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 将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案要綱

第一 趣旨(第1条関係)
  この法律は、将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための措置を講ずることにより、要介護者等が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにし、その日常生活の質を維持向上させるとともに、要介護者等の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないよう要介護者等の家族の負担を軽減することに資するため、介護保険法等の一部改正について定めるものとすること。

第二 介護保険法の一部改正(第2条関係)
 一 介護保険制度の理念等
  1 目的に、給付の対象者がその日常生活の質を維持向上させることを追加すること。(介護保険法第1条関係)
  2 保険給付の内容及び水準に関する配慮事項に、
   (1) 被保険者が要介護状態となった場合においても、その日常生活の質を維持向上させるように配慮されなければならないこと。
   (2) 要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようにするため、要介護者等の家族の負担を十分に軽減するように配慮されなければならないこと。
   を追加すること。(介護保険法第2条関係)
  3 国及び地方公共団体の責務に、被保険者がその日常生活の質を維持向上させるよう施策を推進することを追加すること。(介護保険法第5条第3項関係)

 二 優れた人材の確保
   国の責務に、介護保険事業に係る保健医療サービス及び福祉サービスに従事する優れた人材の確保を明記すること。(介護保険法第5条第1項関係)

 三 利用者等の評価の向上のための措置
   国及び地方公共団体並びに介護事業者の責務として、介護等サービスの利用者及びその家族の介護等サービスに対する評価の把握に努めるとともに、当該評価を向上させるための措置を講ずるよう努めなければならないことを追加すること。(介護保険法第5条の3関係)

 四 2割負担となる所得の額を定める政令委任の趣旨の追加
   利用者負担の割合が2割となる所得の額は、利用者負担割合が2割となる第一号被保険者の数の、第一号被保険者の総数のうちに占める割合が、おおむね百分の二十を超えないように政令で定める額とすること。(介護保険法第49条の2及び第59条の2関係)

 五 軽度要介護者等に対する将来にわたる十分な内容及び水準のサービスの提供
  1 政府は、軽度要介護者にとって、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修その他将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律(3において「平成29年改正法」という。)の施行の際現に保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスとして提供されているものを受けることが、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにし、その日常生活の質を維持向上させること及びその者の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようその者の家族の負担を軽減すること(2及び3において「日常生活の質の維持向上等」という。)に重要な役割を果たすものであることに鑑み、六の調査等の結果を踏まえつつ、当該保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービス又はこれらに相当するサービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容及び水準で提供され、軽度要介護者が必要とする良質なこれらのサービスを受けることができるようにしなければならないものとすること。
  2 政府は、要支援者にとって、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(第四の2において「平成26年改正法」という。)による改正により地域支援事業に移行した介護予防訪問介護及び介護予防通所介護(以下2において「旧介護予防訪問介護等」という。)を受けることが、日常生活の質の維持向上等に重要な役割を果たしていたことに鑑み、六の調査等の結果を踏まえつつ、旧介護予防訪問介護等に相当する保健医療サービス及び福祉サービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容及び水準で提供され、要支援者が必要とする良質なこれらのサービスを受けることができるようにしなければならないこと。
  3 政府は、要支援者にとって、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売、介護予防住宅改修その他平成29年改正法の施行の際現に保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスとして提供されているものを受けることが、日常生活の質の維持向上等に重要な役割を果たすものであることに鑑み、六の調査等の結果を踏まえつつ、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービス又はこれらに相当するサービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容及び水準で提供され、要支援者が必要とする良質なこれらのサービスを受けることができるようにしなければならないこと。
   (介護保険法附則第5条の2関係)

 六 介護保険制度等の改正が行われた場合の調査、分析及び評価
   政府は、当分の間、介護保険制度又は介護報酬基準の改正が行われた場合には、当該改正に関し、以下の(1)から(5)までについて調査、分析及び評価を行わなければならないこと。
  (1) 要介護者等が経済的困難その他の事由により介護等サービスの提供を受けない事例(要介護者等が要介護認定又は要支援認定を受けないことにより介護等サービスの提供を受けない事例を含む。)の発生の状況
  (2) 当該改正前と同一の水準及び内容の介護等サービスが提供されない事例の発生の状況
  (3) (1)又は(2)の事例の発生が要介護者等の要介護状態又は要支援状態の悪化に及ぼす影響及び介護保険事業の財政に及ぼす長期的な影響
  (4) (1)又は(2)の事例の発生が家族の介護のために離職を余儀なくされる事態の発生に及ぼす影響並びに当該事態の発生が国民生活及び国民経済に与える長期的な影響
  (5) (1)から(4)までのほか、当該改正に起因する重大な影響
  (介護保険法附則第5条の3関係)

 七 介護保険制度等の改正を行おうとする場合の調査、予測及び評価
   政府は、当分の間、介護保険制度又は介護報酬基準の改正を行おうとする場合には、あらかじめ、六の調査等の結果を踏まえ、当該改正による影響に関し、六の(1)から(5)までの事項について調査、予測及び評価を行わなければならないこと。(介護保険法附則第5条の4関係)
  
第三 育児・介護休業法の一部改正(第4条関係)
  政府は、要介護者等の家族が、介護休業又は介護休暇に関する制度を活用することにより、介護のために離職を余儀なくされる事態が生じないよう、介護休業をすることができる日数及び回数の増加等について、速やかに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとすること。(育児・介護休業法附則第3条関係)


第四 施行期日等(附則等関係)
  1 この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
  2 平成26年改正法による介護保険制度の改正及び平成27年度に行われた介護報酬基準の改正について、第二の六の調査等を行うこと。
  3 関係法律について所要の改正を行うこと。

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