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   労働基準法等の一部を改正する法律案要綱


第一 労働基準法の一部改正
  違法な時間外労働をさせた者の罰則を、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に引き上げること。(第百十八条第一号関係)
第二 労働基準法の一部改正
 一 フレックスタイム制(第三十二条の三及び第三十二条の三の二関係)
  1 フレックスタイム制の清算期間の上限を三箇月とするとともに、使用者は、清算期間が一箇月を超える場合においては、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時間を超えない範囲内において労働させることができるものとすること。
  2 一箇月を超える清算期間を定めるフレックスタイム制の労使協定(その事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をいう。以下同じ。)については、行政官庁への届出を要するものとすること。
  3 フレックスタイム制が適用される一週間の所定労働日数が五日の労働者について、労使協定により、労働時間の限度について、清算期間における所定労働日数を八時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、使用者は、当該清算期間を平均し一週間当たりの労働時間が当該清算期間における日数を七で除して得た数をもってその時間を除して得た時間を超えない範囲内で労働させることができるものとすること。
  4 使用者は、清算期間が一箇月を超えるものであるときの労働させた期間が当該清算期間より短い労働者について、当該労働者を労働させた期間を平均し一週間当たり四十時間を超えて労働させたときは、その超えた時間の労働について法定割増賃金に係る規定の例により割増賃金を支払わなければならないものとすること。
 二 休息時間(インターバル)規制(第三十三条、第三十四条の二、第三十六条の二、第四十条第二項及び第四十一条関係)
  1 使用者は、各日において十分な生活時間(健康を確保するための時間、社会活動を行うための時間、自己啓発をするための時間その他の労働時間及び通勤に要する時間以外の時間をいう。以下同じ。)が確保できるよう十一時間を下回らない範囲内において厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を、労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに確保して与えなければならないものとすること。
  2 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、休息時間に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところにより休息時間を短縮することができるものとすること。
  3 厚生労働大臣は、休息時間の短縮を適正なものとするため、2の協定で定める休息時間の短縮の限度その他の必要な事項について、労働者の健康及び福祉その他の事情を考慮して基準を定めることができるものとすること。
  4 2の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で休息時間の短縮を定めるに当たり、当該協定の内容が3の基準に適合したものとなるようにしなければならないものとすること。
  5 行政官庁は、3の基準に関し、2の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができるものとすること。
  6 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において休息時間を短縮することができるものとすること。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受けるいとまがない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならないものとすること。
  7 6の届出があった場合において、行政官庁が休息時間の短縮を不適当と認めるときは、その後に、休息時間の短縮を補うために必要な措置をとるべきことを、命ずることができるものとすること。
  8 公務のために臨時の必要がある場合においては、6にかかわらず、一定の官公署の事業に従事する国家公務員及び地方公務員については、休息時間を短縮することができるものとすること。
  9 公衆の不便を避けるために必要な事業その他特殊の必要がある事業については、その必要避くべからざる限度で、1について、厚生労働省令で別段の定めをすることができるものとすること。
  @ 休息時間に関する規定は、事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある労働者又は機密の事務を取り扱う労働者(職務が監督又は管理の地位にある労働者の活動と一体である労働者に限る。)についても適用するものとすること。
 三 週休制の例外についての労使協定の要件化(第三十五条第二項関係)
   使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、四週間を通じ四日以上の休日を与える定めをしたときは、毎週一回以上の休日の付与義務にかかわらず、その協定で定めるところにより休日を与えることができるものとすること。
 四 時間外労働の上限規制(第三十六条、第百三十九条から第百四十二条まで関係)
  1 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間又は第三十五条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができるものとすること。
  2 1の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
   吹@1により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
   早@対象期間(1により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。以下同じ。)
   秩@労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
   刀@対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
   煤@労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
  3 2の唐フ労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限るものとすること。
  4 3の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(一年単位の変形労働時間制の対象期間として三箇月を超える期間を定めて労働させる場合にあっては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とすること。
  5 1の協定においては、2の垂ゥら狽ワでに掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に3の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(2の唐ノ関して協定した時間を含め八十時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができるものとすること。この場合において、1の協定に、併せて対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(一年単位の変形労働時間制の対象期間として三箇月を超える期間を定めて労働させる場合にあっては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数を定めなければならないものとすること。
  6 使用者は、1の協定で定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、次に掲げる時間について、それぞれ後段に定める要件を満たすものとしなければならないものとすること。
   吹@坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間 二時間を超えないこと。
   早@一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 八十時間未満であること。
   秩@対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間 六十時間を超えないこと。
  7 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、1の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができるものとすること。
  8 1の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が7の指針に適合したものとなるようにしなければならないものとすること。
  9 行政官庁は、7の指針に関し、1の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができるものとすること。
  @ 9の助言及び指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないものとすること。
  A 3から5まで及び6(窓yび窒ノ係る部分に限る。)は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しないものとすること。
  B 工作物の建設の事業については、この法律の施行の日から五年間は、3から5まで及び6(窓yび窒ノ係る部分に限る。)は適用しないものとすること。この法律の施行の日から五年間を経過した後、工作物の建設の事業のうち災害時における復旧及び復興の事業については、5のうち一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間の制限並びに6(窓yび窒ノ係る部分に限る。)は適用しないものとすること。
  C 自動車の運転の業務については、この法律の施行の日から五年間は、3から5まで及び6(窓yび窒ノ係る部分に限る。)は適用しないものとすること。
  D 医業に従事する医師については、この法律の施行の日から五年間は、3から5まで及び6(窓yび窒ノ係る部分に限る。)は適用しないものとすること。この法律の施行の日から五年間を経過した後、医業に従事する医師のうち医療提供体制の確保に必要な者として厚生労働省令で定める者については、3、5及び6に定める時間等を3の限度時間等並びに労働者の健康及び福祉を勘案して厚生労働省令で定めることができるものとし、4は適用しないものとすること。
  E 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業については、この法律の施行の日から五年間は、5のうち一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間の制限並びに6(窓yび窒ノ係る部分に限る。)は適用しないものとすること。
 五 事業場外労働に係るみなし労働時間制の明確化(第三十八条の二関係)
   事業場外労働に係るみなし労働時間制を適用することができる要件である「労働時間を算定し難いとき」について、その条件を「使用者が当該業務の遂行の方法に関し具体的な指示をすること及び当該業務の遂行の状況を具体的に把握することが困難であるため」と明確化すること。
 六 専門業務型裁量労働制の要件の厳格化(第三十八条の三関係)
  1 専門業務型裁量労働制において、使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化すること。
  2 次の事項を労働基準法第三十八条の三第一項の協定で定める事項とすること。
   吹@対象業務に従事する労働者の健康管理を行うために当該労働者が事業場内にいた時間(当該協定において厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを定めたときは、当該協定に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(窓yび窒ノおいて「健康管理時間」という。)を把握し、及び記録する措置(厚生労働省令で定める方法によるものに限る。)を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
   早@対象業務に従事する労働者に対し、健康管理時間を十分な生活時間が確保できるよう厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とする措置を当該協定及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。
   秩@対象業務に従事する労働者の健康管理時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置であって、当該労働者に対する有給休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。七の3の窒ノおいて同じ。)の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち当該協定で定めるものを使用者が講ずること。
   刀@使用者は、労働者を対象業務に就かせようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならないこと。
    イ 当該協定の内容その他の当該事業場における専門業務型裁量労働制の概要(当該労働者を就かせようとする対象業務の範囲及び当該労働者の裁量に委ねる当該対象業務の遂行の方法を含む。)
    ロ 当該事業場における専門業務型裁量労働制において当該労働者に適用される人事評価の方法及びこれに対応する賃金の決定の方法
    ハ 当該労働者が狽フ同意をしなかった場合における当該労働者の配置及び待遇
   煤@使用者は、第三十八条の三第一項第二号の時間労働したものとみなすことについて当該労働者の書面による同意を得なければならないこと、当該同意をした労働者は三十日前までに予告して当該同意の撤回をすることができること並びに当該同意をしなかった当該労働者及び当該同意の撤回をした当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
  3 2の趨狽ヘ曹フ措置を使用者が講じていない場合は、専門業務型裁量労働制の適用を受けることができないものとすること。
 七 企画業務型裁量労働制の要件の厳格化(第三十八条の四関係)
  1 企画業務型裁量労働制において、使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化すること。
  2 対象業務に従事する労働者は、対象業務を適切に遂行するために必要なものとして厚生労働省令で定める基準に該当する知識、経験等を有するものに限るものとすること。
  3 次の事項を労働基準法第三十八条の四第一項の決議をする事項とすること。
   吹@対象業務に従事する対象労働者(第三十八条の四第一項第二号に掲げる労働者をいう。以下同じ。)の範囲に属する労働者の健康管理を行うために当該労働者が事業場内にいた時間(当該決議において厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを定めたときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(窓yび窒ノおいて「健康管理時間」という。)を把握し、及び記録する措置(厚生労働省令で定める方法によるものに限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。
   早@対象業務に従事する対象労働者の範囲に属する労働者に対し、健康管理時間を十分な生活時間が確保できるよう厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とする措置を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。
   秩@対象業務に従事する対象労働者の範囲に属する労働者の健康管理時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置であって、当該労働者に対する有給休暇の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち当該決議で定めるものを使用者が講ずること。
   刀@使用者は、対象労働者の範囲に属する労働者を対象業務に就かせようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならないこと。
    イ 当該決議の内容その他の当該事業場における企画業務型裁量労働制の概要(当該労働者を就かせようとする対象業務の範囲及び当該労働者の裁量に委ねる当該対象業務の遂行の方法を含む。)
    ロ 当該事業場における企画業務型裁量労働制において当該労働者に適用される人事評価の方法及びこれに対応する賃金の決定の方法
    ハ 当該労働者が狽フ同意をしなかった場合における当該労働者の配置及び待遇
   煤@使用者は、第三十八条の四第一項第三号の時間労働したものとみなすことについて当該労働者の書面による同意を得なければならないこと、当該同意をした労働者は三十日前までに予告して当該同意の撤回をすることができること並びに当該同意をしなかった当該労働者及び当該同意の撤回をした当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
  4 3の趨狽ヘ曹フ措置を使用者が講じていない場合は、企画業務型裁量労働制の適用を受けることができないものとすること。
  5 第三十八条の四第一項の決議をする委員は、当該決議の内容が同条第三項の指針に適合したものとなるようにしなければならないものとすること。
  6 行政官庁は、第三十八条の四第三項の指針に関し、同条第一項の決議をする委員に対し、必要な助言及び指導を行うことができるものとすること。
 八 年次有給休暇(第三十九条第七項及び第八項関係)
  1 使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日(雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日をいう。)から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。1において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならないものとすること。ただし、年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならないものとすること。
  2 1にかかわらず、労働者の時季指定又は計画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合は、当該与えた日数分については、使用者は時季を定めることにより与えることを要しないものとすること。
 九 法令違反行為を行った場合の氏名等の公表(第百五条の三関係)
   厚生労働大臣は、適正な労働条件の確保及び労働者の保護のため必要かつ適当であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準法又は同法に基づく命令に違反する行為を行った者の氏名又は名称、その違反行為の内容その他必要な事項を一般に公表することができるものとすること。
 十 法令等の周知義務(第百六条関係)
   使用者は、二の2及び四の協定を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならないものとすること。
 十一 労働時間管理簿(第百七条の二及び第百九条関係)
  1 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、各事業場ごとに労働時間管理簿を調製し、各労働者に係る労働した日ごとの始業し、及び終業した時刻並びに労働時間(専門業務型裁量労働制が適用される労働者については六の2の垂フ健康管理時間、企画業務型裁量労働制が適用される労働者については七の3の垂フ健康管理時間)その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならないものとすること。
  2 使用者は、労働時間管理簿を三年間保存しなければならないものとすること。
 十二 罰則(第百十八条、第百十九条及び第百二十条関係)
  1 四の6に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すること。
  2 二の1に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処すること。
  3 次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処すること。
   吹@一の2又は八の1に違反した者
   早@十一の労働時間管理簿を調製せず、若しくはこれに記入すべき事項を記入せず、又はこれに虚偽の記入をした者
 十三 中小事業主に対する一箇月について六十時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の適用(第百三十八条関係)
   中小事業主に対する一箇月について六十時間を超える時間外労働に対する通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金の支払義務の適用猶予に係る規定を廃止すること。
 十四 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
第三 じん肺法の一部改正
 一 労働者の心身の状態に関する情報の取扱い(第三十五条の三関係)
  1 事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならないものとすること。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでないものとすること。
  2 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないものとすること。
  3 厚生労働大臣は、1及び2の事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとすること。
  4 厚生労働大臣は、3の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができるものとすること。
 二 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
第四 雇用対策法の一部改正
 一 題名(題名関係)
   題名を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に改めること。
 二 目的(第一条第一項関係)
   国が、経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とするものとすること。
 三 基本的理念(第三条関係)
  1 労働者は、雇用形態の在り方については、本人が希望する場合には正規労働者(事業主と期間の定めのない労働契約を締結し、かつ、所定労働時間が労働に従事する事業所における通常の労働時間である労働者であって、派遣労働者(事業主が雇用する労働者であって、労働者派遣(自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。)の対象となるものをいう。)以外のものをいう。四の4において同じ。)として雇用される環境の整備のために必要な措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定及び経済的社会的地位の向上が図られるように配慮されるものとすること。
  2 労働者は、豊かな日常生活等(日常生活及び職業生活以外の社会生活をいう。以下同じ。)を享受しつつ充実した職業生活を営むことができるよう、各日における生活時間の確保その他の措置が効果的に実施されることにより、各人がその有する能力を有効に発揮することができるよう配慮されるものとすること。
  3 労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項(3において「能力等」という。)の内容が明らかにされ、並びにこれらに即した評価方法により能力等を公正に評価され、当該評価に基づく処遇を受けることその他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとすること。
 四 国の施策(第四条第一項関係)
   国が二の目的を達成するため、必要な施策を総合的に講じなければならない事項として、次に掲げるものを規定するものとすること。
  1 各人が豊かな日常生活等を享受しつつその意欲及び能力に応じて就業することを促進するため、各日における生活時間の確保、労働条件の改善、労働者の所定労働時間の設定、配置等においてその日常生活等への配慮がされる環境の整備並びに雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇及び雇用形態若しくは就業形態又は職種が異なる同一の価値の労働を行う場合に受ける均等な待遇の確保に関する施策を充実すること。
  2 女性の職業及び子の養育又は家族の介護を行う者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進、母子家庭の母及び父子家庭の父並びに寡婦の雇用の促進その他のこれらの者の就業を促進するために必要な施策を充実すること。
  3 疾病、負傷その他の理由により治療を受ける者の職業の安定を図るため、雇用の継続、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職の促進その他の治療の状況に応じた就業を促進するために必要な施策を充実すること。
  4 不安定な雇用状態の是正を図るため、本人が希望する場合には正規労働者として雇用される環境の整備その他雇用形態及び就業形態の改善等を促進するために必要な施策を充実すること。
 五 事業主の責務(第六条第一項関係)
   事業主は、その雇用する労働者の各日における生活時間の確保、労働条件の改善その他の労働者が豊かな日常生活等を享受しつつその意欲及び能力に応じて就業することができる環境の整備に努めなければならないものとすること。
 六 基本方針(第十条関係)
  1 国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないものとすること。
  2 基本方針に定める事項は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにすることの意義に関する事項、国の施策に関する基本的事項等とするものとすること。
  3 厚生労働大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること。
  4 厚生労働大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の意見を求めるとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。
  5 厚生労働大臣は、3の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならないものとすること。
  6 厚生労働大臣は、基本方針の案を作成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができるものとすること。
  7 国は、労働に関する施策をめぐる経済社会情勢の変化を勘案し、基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならないものとすること。
 七 関係行政機関への要請(第十条の二関係)
   厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、基本方針において定められた施策で、関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができるものとすること。
 八 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
第五 労働安全衛生法の一部改正
 一 産業医・産業保健機能の強化
  1 産業医の活動環境の整備(第十三条から第十三条の三まで及び第百一条関係)
   吹@産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならないものとすること。
   早@産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならないものとすること。
   秩@第十三条の二に規定する者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせる事業者は、同条に規定する者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の同条に規定する者が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供するように努めなければならないものとすること。
   刀@事業者は、産業医の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならないものとすること。
   煤@事業者は、産業医又は第十三条の二に規定する者による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医又は同条に規定する者が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならないものとすること。
   普@産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の内容その他の産業医の業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならないものとすること。
   磨@第十三条の二に規定する者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせる事業者は、その事業場における同条に規定する者の業務の内容その他の同条に規定する者の業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させるように努めなければならないものとすること。
  2 労働者の心身の状態に関する情報の取扱い(第百四条関係)
   吹@事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならないものとすること。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでないものとすること。
   早@事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないものとすること。
   秩@厚生労働大臣は、遂yび曹フ事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとすること。
   刀@厚生労働大臣は、窒フ指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができるものとすること。
 二 面接指導等
  1 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する労働者に対する面接指導等(第六十六条の八の二関係)
   吹@事業者は、その労働時間が厚生労働省令で定める時間を超える労働者(新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者に限る。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないものとすること。
   早@垂フ労働者は、垂フ面接指導を受けなければならないものとすること。また、事業者は、垂フ面接指導の結果を記録しておかなければならないものとすること。
   秩@事業者は、垂フ面接指導の結果に基づく必要な措置について医師の意見を聴かなければならないものとするとともに、その必要があると認めるときは、就業場所の変更、職務内容の変更、有給休暇(年次有給休暇を除く。3の窒ノおいて同じ。)の付与、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならないものとすること。
  2 その他(第六十六条の九関係)
    事業者は、1の面接指導を行う労働者以外の労働者のうち健康への配慮が必要なものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならないものとすること。
 三 罰則(第百二十条関係)
   二の1の垂ノ違反した事業者に対し、所要の罰則を科すものとすること。
 四 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
第六 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正
 一 待遇に関する情報の提供等(第二十六条第七項から第十一項まで関係)
  1 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、第二十六条第一項の規定により労働者派遣契約を締結するに当たっては、あらかじめ、派遣元事業主に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定める情報を提供しなければならないものとすること。
  2 1の「比較対象労働者」とは、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、当該労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令で定めるものをいうものとすること。
  3 派遣元事業主は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から1による情報の提供がないときは、当該者との間で、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務に係る労働者派遣契約を締結してはならないものとすること。
  4 派遣先は、1の情報に変更があったときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、派遣元事業主に対し、当該変更の内容に関する情報を提供しなければならないものとすること。
  5 労働者派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先は、当該労働者派遣に関する料金の額について、派遣元事業主が、二の3の協定に係る労働者派遣以外の労働者派遣にあっては二の1及び2、二の3の協定に係る労働者派遣にあっては二の3の曹ゥら狽ワでに掲げる事項に関する協定の定めを遵守することができるものとなるように配慮しなければならないものとすること。
 二 合理的と認められない待遇の禁止等(第三十条の三及び第三十条の四関係)
  1 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、合理的と認められない相違を設けてはならないものとすること。
  2 派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならないものとすること。
  3 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その雇用する派遣労働者の待遇(八の1の教育訓練、八の2の福利厚生施設その他の厚生労働省令で定めるものに係るものを除く。3において同じ。)について、次に掲げる事項を定めたときは、1及び2は、垂ノ掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇については適用しないものとすること。ただし、早A梼痰オくは狽ノ掲げる事項であって当該協定で定めたものを遵守していない場合又は窒ノ関する当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合は、この限りでないものとすること。
   吹@その待遇が当該協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲
   早@垂ノ掲げる範囲に属する派遣労働者の賃金の決定の方法(イ及びロ(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものにあっては、イ)に該当するものに限る。)
    イ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること。
    ロ 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものであること。
   秩@派遣元事業主は、曹ノ掲げる賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たっては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること。
   刀@垂ノ掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇(賃金を除く。唐ノおいて同じ。)の決定の方法(派遣労働者の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、合理的と認められない相違が生じることとならないものに限る。)
   煤@派遣元事業主は、垂ノ掲げる範囲に属する派遣労働者に対して第三十条の二第一項の規定による教育訓練を実施すること。
   普@垂ゥら狽ワでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
  4 3の協定を締結した派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、当該協定をその雇用する労働者に周知しなければならないものとすること。
 三 職務の内容等を勘案した賃金の決定(第三十条の五関係)
   派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者(二の2の派遣労働者及び二の3の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者(以下「協定対象派遣労働者」という。)を除く。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めなければならないものとすること。
 四 就業規則の作成の手続(第三十条の六関係)
   派遣元事業主は、派遣労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、当該事業所において雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならないものとすること。
 五 待遇に関する事項等の説明(第三十一条の二第二項から第五項まで関係)
  1 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(2において「文書の交付等」という。)により、垂ノ掲げる事項を明示するとともに、厚生労働省令で定めるところにより、曹ノ掲げる措置の内容を説明しなければならないものとすること。
   吹@労働条件に関する事項のうち、労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの
   早@二の1から3まで及び三により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び垂ノ掲げる事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容
  2 派遣元事業主は、労働者派遣(二の3の協定に係るものを除く。)をしようとするときは、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、文書の交付等により、垂ノ掲げる事項を明示するとともに、厚生労働省令で定めるところにより、曹ノ掲げる措置の内容を説明しなければならないものとすること。
   吹@労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び1の垂ノ掲げる事項(厚生労働省令で定めるものを除く。)
   早@1の曹ノ掲げる措置の内容
  3 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、当該派遣労働者に対し、次に掲げる事項を説明しなければならないものとすること。
   吹@当該派遣労働者と一の2の比較対象労働者(窒ノおいて単に「比較対象労働者」という。)との間の待遇の相違の内容及び理由(二の1及び2に反するものではないと判断した理由を含む。)
   早@二から四までにより措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項
   秩@当該派遣労働者及び比較対象労働者に係る賃金体系その他の待遇の決定に関する基準
   刀@窒フ基準に従った当該派遣労働者の賃金その他の待遇の決定の方法
   煤@派遣先における教育訓練の実施の状況
   普@派遣先における福利厚生施設の利用に係る規則
  4 派遣元事業主は、1から3までによる説明を行うときは、適切な資料を用いて具体的に分かりやすく説明するものとすること。
  5 派遣元事業主は、派遣労働者が3の求めをしたことを理由として、当該派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
 六 派遣先への通知(第三十五条第一項関係)
   派遣元事業主が労働者派遣をするときに派遣先に通知しなければならない事項に、当該労働者派遣に係る派遣労働者が協定対象派遣労働者であるか否かの別を追加すること。
 七 派遣元管理台帳(第三十七条第一項関係)
   派遣元管理台帳に記載しなければならない事項に、協定対象派遣労働者であるか否かの別を追加すること。
 八 適正な派遣就業の確保等(第四十条第二項から第五項まで関係)
  1 派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣労働者を雇用する派遣元事業主からの求めに応じ、当該派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事するその雇用する労働者が従事する業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、当該派遣労働者が当該業務に必要な能力を習得することができるようにするため、当該派遣労働者が既に当該業務に必要な能力を有している場合その他厚生労働省令で定める場合を除き、当該派遣労働者に対しても、これを実施する等必要な措置を講じなければならないものとすること。
  2 派遣先は、当該派遣先に雇用される労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないものとすること。
  3 第四十条第一項に定めるもの並びに1及び2のもののほか、派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所等の施設であって現に当該派遣先に雇用される労働者が通常利用しているもの(2の厚生労働省令で定める福利厚生施設を除く。)の利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるように配慮しなければならないものとすること。
  4 派遣先は、第三十条の二の規定による措置並びに二の1から3まで及び五の3の措置が適切に講じられるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、当該派遣先に雇用される労働者に関する情報、当該派遣労働者の業務の遂行の状況その他の情報であって当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように配慮しなければならないものとすること。
 九 派遣先管理台帳(第四十二条第一項関係)
   派遣先管理台帳に記載しなければならない事項に、協定対象派遣労働者であるか否かの別を追加すること。
 十 紛争の解決
  1 苦情の自主的解決(第四十七条の四関係)
   吹@派遣元事業主は、二及び五に関し、派遣労働者から苦情の申出を受けたとき、又は派遣労働者が派遣先に対して申し出た苦情の内容が当該派遣先から通知されたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならないものとすること。
   早@派遣先は、八の1及び2に関し、派遣労働者から苦情の申出を受けたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならないものとすること。
  2 紛争の解決の促進に関する特例(第四十七条の五関係)
    二及び五についての派遣労働者と派遣元事業主との間の紛争並びに八の1及び2についての派遣労働者と派遣先との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、3及び4によるものとすること。
  3 紛争の解決の援助(第四十七条の六関係)
   吹@都道府県労働局長は、2の紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができるものとすること。
   早@派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者が垂フ援助を求めたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
  4 調停(第四十七条の七及び第四十七条の八関係)
   吹@都道府県労働局長は、2の紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとすること。
   早@3の曹ヘ、派遣労働者が垂フ申請をした場合について準用するものとすること。
   秩@垂フ調停の手続については、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の規定を準用するものとするとともに、必要な読替えを行うものとすること。
 十一 公表等(第四十九条の二関係)
   厚生労働大臣による勧告及び公表の対象に、一の1若しくは4又は八の1若しくは2に違反している場合及びこれらに違反して第四十八条第一項の規定による指導又は助言を受けたにもかかわらずなおこれらに違反するおそれがあると認める場合を追加すること。
 十二 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
第七 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正
 一 「労働時間等の設定」の定義(第一条の二関係)
  1 「労働時間等」の定義に、休息時間を追加すること。
  2 「労働時間等の設定」の定義に、休息時間及び深夜業の回数を追加すること。
 二 一定の要件を満たす衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなす規定(第七条第二項関係)
   一定の要件を満たす衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなす規定を廃止すること。
 三 労働時間等設定改善企業委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例(第七条の二関係)
   事業場ごとに、当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項について、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、全部の事業場を通じて一つの委員会であって、1から3までの要件に適合するもの(三において「労働時間等設定改善企業委員会」という。)に調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを定めた場合であって、労働時間等設定改善企業委員会でその委員の五分の四以上の多数による議決により、代替休暇、年次有給休暇の時間単位取得及び計画的付与制度に関する事項について決議が行われたときは、当該決議はこれらの事項に関する労使協定と同様の効果を有するものとすること。
  1 全部の事業場を通じて一つの委員会の委員の半数については、当該事業主の雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。
  2 全部の事業場を通じて一つの委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されていること。
  3 1及び2に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件
 四 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
第八 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正
 一 題名(題名関係)
   題名を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に改めること。
 二 定義(第二条関係)
  1 「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(当該事業主に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業主に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいうものとすること。
  2 「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいうものとすること。
 三 基本的理念(第二条の二関係)
   短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者は、豊かな日常生活等を享受しつつその意欲及び能力に応じて就業することができる機会が確保され、職業生活の充実が図られるように配慮されるものとすること。
 四 合理的と認められない待遇の禁止(第八条関係)
   事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、合理的と認められない相違を設けてはならないものとすること。
 五 通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止(第九条関係)
   事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(六において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないものとすること。
 六 賃金(第十条関係)
   事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。七において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとすること。
 七 福利厚生施設(第十二条関係)
   事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないものとすること。
 八 事業主が講ずる措置の内容等の説明(第十四条関係)
  1 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、四から七まで並びに第十一条及び第十三条の規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び労働条件に関する事項のうち当該厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるものを除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないものとすること。
  2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、次の事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないものとすること。
   吹@当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由(四及び五に反するものではないと判断した理由を含む。)
   早@第六条から第十三条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項
   秩@当該短時間・有期雇用労働者及び当該短時間・有期雇用労働者の職務の内容に対応する通常の労働者(唐ノおいて「対応通常労働者」という。)に係る賃金体系その他の待遇の決定に関する基準
   刀@窒フ基準に従った当該短時間・有期雇用労働者及び対応通常労働者の賃金その他の待遇の決定の方法
   煤@教育訓練の実施の状況
   普@福利厚生施設の利用に係る規則
  3 事業主は、1及び2による説明を行うときは、適切な資料を用いて具体的に分かりやすく説明するものとするものとすること。この場合において、通常の労働者に対する労働条件の説明に用いた資料があるときは、当該資料を併せて用いるものとすること。
  4 事業主は、短時間・有期雇用労働者が2の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
 九 指針(第十五条第一項関係)
   事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置等の適切かつ有効な実施を図るための指針の対象に、四から八までによる措置並びに第六条、第七条、第十一条及び第十三条に定める措置を追加すること。
 十 紛争の解決(第二十二条から第二十六条まで関係)
   この法律に規定する紛争の解決に関する規定の対象に、四についての苦情及び紛争を追加すること。
 十一 その他
  1 四から八までのもののほか、この法律の規定の対象に有期雇用労働者を追加すること。
  2 その他所要の規定の整備を行うこと。
第九 労働契約法の一部改正
 一 労働契約の原則(第三条第二項及び第三項関係)
  1 労働契約は、労働者及び使用者が、労働者の職務の価値の適正な評価を踏まえ、均衡及び均等を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとすること。
  2 労働契約は、労働者及び使用者が、各日において十分な生活時間が確保されること等により、豊かな日常生活等を享受することができるよう配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとすること。
 二 労働契約の内容の理解の促進(第四条第一項関係)
   使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、その合理性を含め具体的に分かりやすく説明すること等により、労働者の理解を深めるようにするものとすること。
 三 労働者の安全への配慮(第五条関係)
   使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、労働時間を適切に把握し、これを踏まえて業務における過重な負荷を防止するための措置をとることその他の必要な配慮をするものとすること。
 四 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止に関する規定を削除すること。(第二十条関係)
 五 その他所要の規定の整備を行うこと。
第十 労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律の一部改正
  雇用形態による労働者の待遇についての格差の是正は、通常の労働者の待遇の低下によることなく、通常の労働者以外の労働者の待遇の改善により行われるようにすること。(第二条関係)
第十一 附則
 一 施行期日(附則第一条関係)
   この法律は、平成三十一年四月一日から施行すること。ただし、第四、第十並びに三の3及び4にあっては公布の日、第一にあっては公布の日から起算して二十日を経過した日、第二の二にあっては公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日、第二の十三にあっては平成三十四年四月一日から施行すること。
 二 経過措置等(附則第二条から第十七条まで及び第十九条から第四十条まで関係)
   この法律の施行に伴い必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。
 三 検討規定(附則第十八条関係)
  1 政府は、労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間の上限の引下げについて、第二による改正後の労働基準法の施行の状況等を勘案し、かつ、深夜業に従事し、又は交替制によって勤務する労働者の健康が確保されることの重要性にも留意しつつ検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
  2 政府は、工作物の建設の事業に係る第二の四のBの特例の廃止について、この法律の施行後の労働時間の動向その他の事情を勘案しつつ引き続き検討するものとすること。
  3 政府は、この法律の施行後二年を目途として、労働者の生活時間の確保に資するよう、労働時間(専門業務型裁量労働制又は企画業務型裁量労働制が適用される労働者については、事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間)に関する状況、有給休暇の取得率その他の労働時間等の実態に関する情報の公表を事業主に義務付ける制度について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
  4 政府は、この法律の施行後一年を目途として、労働者の職務に応じた待遇を確保するため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価の方法に関する調査研究を推進するとともに、その成果を労働者及び事業主が職務の価値の評価に係る基準の作成、職務の価値の評価に係る紛争の解決等に当たって利用することができる体制の構築について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
  5 政府は、この法律の施行後三年を目途として、期間の定めのある労働契約(5において「有期労働契約」という。)を締結することができる場合の制限について、有期労働契約が果たす機能、第八による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
  6 政府は、1から5までのほか、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(6において「改正後の各法律」という。)の規定について、改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

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