司法試験法等の一部を改正する等の法律案要綱
第一 司法試験法の一部改正
一 司法試験の目的等に係る規定の改正
司法試験は法科大学院の課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行うものとする規定を削除すること。 (旧第一条第三項関係)
二 司法試験の方法の追加
司法試験の方法に口述の方法を加えること。 (第二条第一項関係)
三 司法試験の試験科目の変更等
1 短答式による筆記試験は、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法及び刑事訴訟法の各科目について行うこと。
2 論文式による筆記試験は、短答式による筆記試験に合格した者につき、1の科目及び法律実務基礎科目(法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む。)についての科目をいう。以下同じ。)の各科目について行うこと。ただし、法科大学院の課程を修了した者に対しては、その申請により、法律実務基礎科目の試験を免除すること。
3 口述試験は、筆記試験に合格した者につき、公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。)、民事系科目(民法及び民事訴訟法に関する分野の科目をいう。)及び刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。)の各科目について行うこと。
4 筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法試験の筆記試験を免除すること。
(第三条関係)
四 司法試験の受験資格及び受験期間の制限の撤廃
司法試験は法科大学院の課程を修了した者及び司法試験予備試験に合格した者が五年間に限って受けることができることとする規定を削除すること。 (旧第四条関係)
五 司法試験予備試験の廃止
司法試験予備試験に係る規定を削除すること。 (旧第五条等関係)
第二 裁判所法の一部改正
現行では「少なくとも一年間」とされている司法修習生の修習の期間を「少なくとも一年二月間」に改めること。 (第六十七条第一項関係)
第三 弁護士法の一部改正
弁護士会は、法科大学院等と連携しつつ、その所属する弁護士に対しその資質の維持向上に資する研修の機会の提供を行うとともに、その所属する弁護士及び弁護士法人に係る情報その他のそのサービスの利用を容易にするための情報の提供等に努めるものとすること。 (第四十三条の十六関係)
第四 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の廃止
法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律を廃止すること。
第五 施行期日等
一 施行期日
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、二の4は公布の日から、第三は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第二は公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。 (附則第一条関係)
二 経過措置
1 旧司法試験の実施
司法試験委員会は、第一による改正後の司法試験法の規定による司法試験(以下「新司法試験」という。)が初めて行われる年から六年間は、新司法試験を行うほか、第一による改正前の司法試験と同一の方法及び試験科目による司法試験(以下「旧司法試験」という。)を行うものとし、その受験資格はこの法律の施行の日前に法科大学院に入学し、その課程を修了した者及び第一による改正前の司法試験法による司法試験予備試験(以下「司法試験予備試験」という。)に合格した者であることとすること。 (附則第三条関係)
2 新司法試験及び旧司法試験の受験
新司法試験と旧司法試験の双方が行われる各年においては、法務省令で定める手続に従い、あらかじめ選択して出願するところにより、そのいずれか一方のみを受けることができること。
(附則第四条関係)
3 司法試験予備試験に合格した者に関する経過措置
司法試験予備試験に合格した者については、法科大学院の課程を修了した者とみなして、その申請により、新司法試験の論文式による筆記試験の試験科目のうち法律実務基礎科目の試験を免除すること。 (附則第五条関係)
4 法曹の養成に関する配慮
国は、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会が実現されるよう、法曹の養成に関し、弁護士又は弁護士法人に対して法律事務の取扱いの依頼が困難な地域が生じないようにするために必要な配慮をするものとすること。 (附則第九条関係)
三 その他所要の規定の整備を行うこと。