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法律第百四十六号(昭二二・一二・一)

  ◎失業保険法

失業保険法目次

 第一章 総則

 第二章 被保険者

 第三章 保険給付

 第四章 費用の負担

 第五章 失業保険委員会

 第六章 審査の請求、訴願及び訴訟

 第七章 雑則

 第八章 罰則

 附則

   第一章 総則

 (法律の目的)

第一条 失業保険は、被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。

 (保険者)

第二条 失業保険は、政府が、これを管掌する。

 (失業の意義)

第三条 この法律で失業とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。

  この法律で離職とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをいう。

 (賃金)

第四条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいう。但し、賃金中臨時に支払われるもの、三箇月を超える期間ごとに支払われるもの及び通貨以外のもので支払われるものであつて命令で定める範囲外のものは、この限りでない。

  前項但書の賃金中通貨以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第五条 保険料及び失業保険金の額は、被保険者の賃金に基いて、これを算定する。

   第二章 被保険者

 (当然被保険者)

第六条 左の各号に規定する事業所に雇用される者は、失業保険の被保険者とする。

 一 左に掲げる事業の事業所であつて、常時五人以上の従業員を雇用するもの。

  (イ) 物の製造、改造、加工、修理、浄洗、選別、包装、装飾、仕上、販売のためにする仕立、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)

  (ロ) 鉱業、砂鉱業、石切業その他土石又は鉱物採取の事業

  (ハ) 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業

  (ニ) 船きよ、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱の事業

  (ホ) 物品の販買、配給、保管又は賃貸の事業

  (へ) 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業

  (ト) 焼却、清掃又は、と殺の事業

 二 法人の事務所であつて、常時五人以上の従業員を雇用するもの。

 三 前各号に該当しない官公署

 (国及び地方公共団体に雇用される者に関する特別指定)

第七条 国、都道府県、市町村その他これに準ずるものに雇用される者が離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基いて支給を受けるべき恩給、退隠料その他これらに準ずる諸給与の内容が、この法律に規定する保険給付の内容を超えると認められる場合には、前条の規定にかかわらず、政令の定めるところによつて、これを失業保険の被保険者としない。

 (任意包括保険者)

第八条 第六条に規定する事業所以外の事業所の事業主は、労働大臣の認可を受けて、その事業所に雇用される従業員を包括して、失業保険の被保険者とすることができる。

  前項の認可を申請するには、被保険者となるべき者の二分の一以上の同意を得なければならない。

  被保険者となるべき者の二分の一以上が希望するときは、事業主は、第一項の認可を申請しなければならない。

  第一項の認可があつたときは、その事業所に雇用される従業員は、失業保険の被保険者とする。

第九条 第六条の事業所が同条の規定に該当しなくなつたときは、その事業所に雇用される者は、前条の規定による被保険者となつたものとみなす。

 (被保険者から除外される者)

第十条 第六条、第八条及び前条の規定にかかわらず、左の各号の一に該当する者は、これを被保険者としない。但し、第一号に該当する者が、一箇月を超えて引き続き同一事業主に雇用されるに至つたとき、又は第二号若しくは第三号に該当する者が、所定の期間を超えて引き続き同一事業主に雇用されるに至つたときは、この限りでない。

 一 日日雇い入れられる者

 二 二箇月以内の期間を定めて雇用される者

 三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて雇用される者

 四 船員保険の被保険者

 五 十四日以内の期間試みに雇用される者

 六 事業所の所在地の一定しない事業に雇用される者

 (被保険者資格の取得)

第十一条 第六条又は第八条の規定によつて被保険者となるべき者は、その事業所に雇用されるに至つた日、当該事業所が第六条の規定に該当するに至つた日又は前条但書の規定に該当するに至つた日から、その資格を取得する。

 (被保険者資格の喪失)

第十二条 被保険者は、死亡し、若しくは離職した日又は第十条本文の規定に該当するに至つた日の翌日から、その資格を喪失する。但し、その事実のあつた日に更に前条の規定に該当するに至つたときは、その日からその資格を喪失する。

第十三条 第八条の規定による被保険者を雇用する事業主は、労働大臣の認可を受けて、同条の規定による被保険者の全部をして、その資格を喪失させることができる。

  前項の認可を申請するには、被保険者の四分の三以上の同意を得なければならない。

  第一項の認可のあつたときは、被保険者は、認可のあつた日の翌日から、その資格を喪失する。

 (被保険者期間の計算)

第十四条 被保険者であつた期間は、月を以て計算し、各月において労働した日数(賃金が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、賃金支払の基礎となつた日数。以下同じ。)が十一日以上であるときは、その月は、これを一月として計算し、その日数が十一日未満のときは、その月は、被保険者期間に算入しない。

   第三章 保険給付

 (受給要件)

第十五条 被保険者が、失業した場合において、離職の日以前一年間に、通算して六箇月以上被保険者であつたときは、保険給付として、失業保険金を支給する。

  前項の規定によつて、失業保険金の支給を受けることができる者が、第十八条に規定する一年の期間内に再び就職した後離職した場合においては、前項の規定に該当しないときでも、前の資格に基く失業保険金の支給を受けることができる。

第十六条 前条の規定に該当する者(以下受給資格者という。)が、失業保険金の支給を受けるには、離職後、政令の定めるところによつて、公共職業安定所に出頭し求職の申込をした上、失業の認定を受けなければならない。

 (給付額)

第十七条 失業保険金は、被保険者の離職した月前において、被保険者期間として計算された最後の月及びその前月(月の末日において離職し、その月が被保険者期間として計算される場合は、その月及びその月前において被保険者期間として計算された最後の月)に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した額によつて算定する。但し、その二箇月間における後の月に支払われた賃金が、法令又は労働協約若しくは就業規則に基く昇給その他これに準ずる賃金の増加によつて、その前の月に支払われた賃金より高いときは、その後の月に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除して得た額によつて算定する。

  前項の額が左の各号の一によつて計算した額に満たないときは、失業保険金は、前項の規定にかかわらず、左の各号の一によつて計算した額によつて算定する。

 一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、前項の期間に支払われた賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の七十

 二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額との合算額

  失業保険金は、労働大臣の定める失業保険金額表における賃金等級に属する賃金に応じて定められた定額とする。但し、失業保険金算定の基礎となる賃金の最高額は、一日につき、百七十円を超えてはならない。

  失業保険金の額は、第一項及び第二項の規定によつて算定した賃金の額が、四十円以上八十円未満の賃金等級に属する場合には、その賃金の額の百分の六十に相当する額、その賃金の額が八十円以上百七十円以下の賃金等級に属する場合には、百七十円について百分の四十を最低の率として逓減した率によつて算定した額、又はその賃金の額が十円(十円未満のものも含む。)以上四十円未満の賃金等級に属する場合には、十円について百分の八十を最高の率として逓増した率によつて算定した額を基準とした金額とする。

  労働大臣は、総理庁統計局の発表する毎月勤労統計に示された工場労働者の平均給与額が、失業保険金額表の制定又は改正がその効力を生ずる月におけるその統計に示された当該平均給与額の百分の百二十五を超えるに至つたことを認めたときは、失業保険金額表を改正し、その平均給与額の上昇した比率に応じて、前項の賃金等級に属する賃金額を引き上げ、その賃金等級に応ずる失業保険金の額をあらたに定めなければならない。但し、前項の賃金等級における失業保険金の額と賃金額との比率は、これを変えてはならない。

  前項の規定によつて失業保険金額表が改正され、その効力が生じた後においては、失業保険金は、第三項及び第四項の規定にかかわらず、改正された当該失業保険金額表によつて支給されるものとする。

  受給資格者は、第十六条の規定によつて公共職業安定所において認定を受けた失業の期間中、自己の労働によつて収入を得るに至つた場合において、その収入の額が失業保険金算定の基礎となつた賃金の百分の八十に相当する額を基準とする金額に達しないときは、失業保険金の支給を受けることができる。この場合における失業保険金算定の方法は、政令でこれを定める。

  受給資格者が健康保険法第五十五条の規定によつて傷病手当金の支給を受ける場合においては、失業保険金は、その者に支給すべき失業保険金の額からその支給を受けるべき傷病手当金の額を控除した残りの額を支給する。

 (受給期間)

第十八条 失業保険金の支給を受ける期間は、受給資格者が第十五条第一項の規定に該当するに至つた後における最初の離職の日の翌日から起算して、一年間とする。

  前項の期間内において、受給資格者が再び就職し、あらたに第十五条第一項の規定に該当するに至つた後離職したときは、前項の期間は、その離職の日から、あらたにこれを起算するものとする。

 (待期)

第十九条 失業保険金は、受給資格者が公共職業安定所に離職後最初に求職の申込をした日以後において、失業の日数が通算して七日に満たない間は、これを支給しない。但し、失業保険金の支給を受けることができる者が前条に規定する一年の期間内において再び就職した後離職した場合は、この限りでない。

 (給付日数)

第二十条 失業保険金は、第十八条に規定する一年の期間内において、通算して百八十日分を超えては、これを支給しない。

  受給資格者が第十八条第二項の規定に該当するに至つたときは、前の資格に基く失業保険金は、これを支給しない。

 (給付の制限)

第二十一条 受給資格者が、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと又はその指示した職業の補導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して一箇月間は、失業保険金を支給しない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。

 一 紹介された職業又は補導を受けることを指示された職業が、受給資格者の能力からみて不適当と認められるとき。

 二 就職するために、現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であると認められるとき。

 三 就職先の賃金が、同一地域における同種の業務及び技能について行われる一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。

 四 職業安定法第二十条の規定に違反して、労働争議の発生している事業所に受給資格者を紹介したとき。

 五 その他正当な理由のあるとき。

  公共職業安定所は、受給資格者について、前項各号の一に該当するかしないかを認定しようとするときは、労働大臣が失業保険委員会の意見を聞いて定めた基準によらなければならない。

第二十二条 被保険者が、自己の責に帰すべき重大な事由によつて解雇され、又はやむを得ない事由がないと認められるにもかかわらず自己の都合によつて退職したときは、第十九条に規定する期間の満了後一箇月以上二箇月以内の間において公共職業安定所の定める期間は、失業保険金を支給しない。

  公共職業安定所は、被保険者の離職が前項に規定する事由によるかどうかを認定しようとするときは、労働大臣が失業保険委員会の意見を聞いて定めた基準によらなければならない。

第二十三条 受給資格者が、詐欺その他不正の行為によつて、失業保険金の支給を受け、又は受けようとしたときは、失業保険金を支給しない。

  前項の場合において、政府は、失業保険金の支給を受けた者又はその相続人に対し、当該支給金額に相当する金額の返還を命ずることができる。

 (支給方法及び支給期日)

第二十四条 失業保険金は、公共職業安定所において、一週間に一回、その日以前の七日分(失業の認定を受けなかつた日分を除く。)を支給する。但し、労働大臣は、必要であると認めるときは、失業保険委員会の意見を聞いて、失業保険金の支給について別段の定めをすることができる。

  公共職業安定所は、各受給資格者について失業保険金を支給すべき日を定め、これをその者に知らせなければならない。

 (受給権の譲渡及び差押の禁止)

第二十五条 失業保険金の支給を受ける権利は、これを譲り渡し、又は差し押えることはできない。

 (租税その他の公課の非課税)

第二十六条 失業保険金を標準として、租税その他の公課は、これを課さない。

 (費用の支給)

第二十七条 受給資格者が、公共職業安定所の紹介した職業に就くため、その住所又は居住を変更する場合においては、政府は、受給資格者及びその者により生計を維持されている同居の親族(届出をしないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の移転に要する費用を支給することができる。

  前項の費用の支給に関し必要な事項は、労働大臣が、失業保険委員会の意見を聞いて、これを定める。

第二十三条の規定は、第一項の場合に、これを準用する。

   第四章 費用の負担

 (国庫の負担)

第二十八条 国庫は、保険給付に要する費用の三分の一を負担する。

  国庫は、前項の費用の外、毎年度予算の範囲内において、失業保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。

 (保険料の徴収)

第二十九条 政府は、失業保険事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。

 (保険料率)

第三十条 保険料率は、被保険者及び被保険者を雇用する事業主について、各々千分の十一とする。

  労働大臣は、政令の定める場合においては、失業保険委員会の意見を聞いて、保険料率を変更する手続をとらなければならない。但し、毎年三月末日又は九月末日において、過去六箇月間に徴収した保険料総額と支給した保険給付総額との差額を失業保険特別会計の積立金に加減した金額が、当該月の翌月から四箇月間に支給せらるべきものと予測される保険給付額に満たないと認められる場合において、緊急の必要があるときは、労働大臣は、失業保険委員会の意見を聞いて、保険料率を変更することができる。

  前項但書の場合には、労働大臣は、次の国会において、保険料率を変更する手続をとらなければならない。この場合において、その変更のあつた日から一年以内に、その変更に関して、国会の議決がなかつた場合には、同項但書の規定によつて変更された保険料率は、その変更のあつた日から一年を経過した日から、第一項に規定する保険料率に変更されたものとみなす。

 (保険料額及び保険料の負担)

第三十一条 保険料額は、各月につき、被保険者に支払われた賃金の額に保険料率を乗じて得た金額を基準として労働大臣の定めた保険料額表に示す賃金等級別の定額とする。但し、保険料算定の基礎となる賃金の最高額は、一月につき、五千百円を超えてはならない。

  第十七条第五項及び第六項の規定は、前項の最高額の変更について、これを準用する。

  被保険者及び被保険者を雇用する事業主は、各々同額の保険料を負担する。

 (保険料納付義務者)

第三十二条 事業主は、その雇用する被保険者の負担する保険料を納付しなければならない。

 (賃金からの保険料控除)

第三十三条 事業主は、前条の規定により納付する被保険者の負担する保険料をその者に支払う賃金から控除することができる。この場合、事業主は、保険料控除に関する計算書を作製し、その控除額を被保険者に知らせなければならない。

 (保険料納付期日)

第三十四条 保険料は、毎月、これを納付しなければならない。

  保険料の納付期日に関しては、政令でこれを定める。

 (保険料の督促その他滞納処分等)

第三十五条 保険料を滞納する者があるときは、政府は、期限を指定して、これを督促しなければならない。

  前項の規定によつて、督促するときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合においては、督促手数料として、政令で定める金額を徴収する。

  前二項の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに、保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、政府は、国税滞納処分の例によつて、これを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができる。

  政府が、前項の規定によつて、市町村に対し、処分を請求したときは、市町村は、市町村税の例によつて、これを処分する。この場合においては、政府は、徴収金額の百分の四を当該市町村に交付しなければならない。

第三十六条 前条の規定によつて、督促をしたときは、政府は、徴収金額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。但し、督促状に指定した期限までに徴収金及び督促手数料を完納したときその他政令で定める場合は、この限りでない。

第三十七条 保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、市町村その他これに準ずるものの徴収金に次ぎ、他の公課に先だつものとする。

第三十八条 保険料その他この法律の規定による徴収金に関する書類の送達については、国税徴収法第四条ノ七及び第四条ノ八の規定を準用する。

   第五章 失業保険委員会

 (失業保険委員会)

第三十九条 失業保険に関する重要事項を審議させるため、失業保険委員会を置く。

  労働大臣は、失業保険事業の運営に関する重要事項については、予め失業保険委員会の意見を聞いて、これを決定しなければならない。

  失業保険委員会は、労働大臣に対するその職能を完うするため、必要に応じ、失業保険事業の運営に関し、関係行政官庁に建議し、又はその報告を求めることができる。

  失業保険委員会は、被保険者を代表する者、事業主を代表する者及び公益を代表する者につき、労働大臣が各々同数を委嘱した者でこれを組織する。

  前各項に定めるものの外、失業保険委員会の事務に関する事項は、政令でこれを定める。

   第六章 審査の請求、訴願及び訴訟

 (不服の申立)

第四十条 失業保険金の支給に関する処分に不服のある者は、失業保険審査官の審査を請求し、その決定に不服のある者は、失業保険審査会に審査を請求し、その決定に不服のある者は、裁判所に訴訟を提起することができる。

  前項の審査の請求は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなす。

 (失業保険審査官)

第四十一条 失業保険審査官は、労働大臣がこれを任命する。失業保険審査官の職務は、この法律の定めるところによるものとする。

  失業保険審査官は、必要があると認める場合においては、職権で審査をすることができる。

  失業保険審査官は、審査のため必要があると認める場合においては、失業保険金の支給に関する処分をした官吏に対して、意見を求め、又は受給資格者若しくはその事業主であつた者に対して、報告をさせ、若しくは出頭を命ずることができる。

 (訴願)

第四十二条 保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分に不服のある者は、労働大臣に訴願することができる。

  前項の規定による訴願の提起があつたときは、労働大臣は、失業保険審査会の審査を経て、これを裁決する。

 (失業保険審査会)

第四十三条 失業保険審査会は、被保険者を代表する者、事業主を代表する者及び公益を代表する者につき、労働大臣が各々同数を委嘱した者でこれを組織する。

 (証拠調)

第四十四条 失業保険審査官又は失業保険審査会は、審査のため必要があると認める場合においては、証人又は鑑定人の尋問その他の証拠調をすることができる。

  証拠調については、民事訴訟法の証拠調に関する規定並びに民事訴訟費用法第九条及び第十一条乃至第十三条の規定を準用する。但し、過料に処し、又は拘引を命ずることができない。

 (申立の期間)

第四十五条 審査の請求、訴の提起又は訴願の提起は、処分の通知又は決定書の交付を受けた日から六十日以内に、これをしなければならない。この場合において、審査の請求については、訴願法第八条第三項の規定を、訴の提起については、民事訴訟法第百五十八条第二項及び第百五十九条の規定を準用する。

 (施行規定)

第四十六条 この章に定めるものの外、失業保険審査官及び失業保険審査会の事務に関する事項は、政令でこれを定める。

   第七章 雑則

 (時効)

第四十七条 保険料を徴収し、又はその還付を受ける権利及び失業保険金を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

  前項の時効について、その中断、停止その他の事項に関しては、民法の時効に関する規定を準用する。

  命令の定めるところによつて、行政庁のなす保険料その他この法律の規定による徴収金の徴収の告知は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を生ずる。

 (印紙税の非課税)

第四十八条 失業保険に関する書類には、印紙税を課さない。

 (報告の義務)

第四十九条 行政庁は、命令の定めるところによつて、被保険者を雇用する事業主に、被保険者の異動、賃金その他失業保険事業の運営に関して必要な報告又は文書を提出させることができる。

  離職した被保険者は、命令の定めるところによつて、従前の事業主に対し失業保険金の支給を受けるために必要な証明書の交付を請求することができる。その請求があつたときは、事業主は、その請求にかかる証明書を交付しなければならない。

第五十条 行政庁は、被保険者又は受給資格者に、失業保険事業の運営に関して必要な報告若しくは文書の提出をさせ、又は出頭させることができる。

 (質問及び検査)

第五十一条 行政庁は、必要があると認める場合においては、当該官吏に、被保険者又は受給資格者を雇用し、又は雇用した事業所に立入つて、被保険者又は受給資格者の雇用関係及び賃金について、関係者に対して質問し又は帳簿書類の検査をさせることができる。

  前項の場合において、当該官吏は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。

 (権限の委任)

第五十二条 この法律に定める労働大臣の職権の一部は、政令の定めるところによつて、行政庁に委任することができる。

   第八章 罰則

第五十三条 事業主が、故なく左の各号の一に該当するときは、これを六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第三項の規定に違反した場合

 二 第三十二条の規定に違反して被保険者の賃金から控除した保険料をその納付期日に納付しなかつた場合

 三 第四十九条第二項の規定による証明を拒んだ場合

 四 この法律の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合

 五 この法律の規定による当該官吏の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

第五十四条 被保険者、受給資格者その他の関係者が、故なく左の各号の一に該当するときは、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

 一 この法律の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合

 二 この法律の規定による当該官吏の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

第五十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するの外、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。

   附 則

 この法律は昭和二十二年十一月一日から、これを適用する。

 失業手当法第二条の規定に該当する者が、同法の規定によつて失業手当金又は失業保険金の支給を受けたときは、その支給を受けるについて計算された同条第一項第一号の期間中被保険者であつた期間は、第十五条第一項の被保険者であつた期間に、これを加算しない。

 失業手当法の規定によつて失業手当金の支給を受ける者が、昭和二十三年五月一日以後同法第二条第一項の規定により失業保険金の支給を受けるに至つた場合においては、その失業保険金の額は、失業手当金の額と同額とし、同法第六条に規定する一年の期間内において、百二十日から既に失業手当金の支給を受けた日数を控除した残りの日数を超えては、これを支給しない。

(大蔵・運輸・労働・内閣総理大臣署名)

 

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