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法律第百八十二号(昭二二・一二・一五)

◎未復員者給与法

第一条 もとの陸海軍に属している者で、まだ復員していないもの(以下未復員者という。)に係る給与に関しては、他の法令に特別の定のあるものを除く外、この法律で定めるところによる。

第二条 未復員者に支給する給与は、これを分つて俸給、扶養手当及び帰郷旅費とする。

第三条 未復員者の俸給は、これを月額百円とする。

俸給は、未復員者が内地(樺太を除く。以下同じ。)に帰還したとき、これをとりまとめてその者に支払うものとする。但し、特に必要があるときは、その者が内地に帰還する以前でも、命令で指定する者に支払うことができる。

第四条 未復員者で命令で定める扶養親族のあるものには、扶養手当を支給する。

扶養手当月額は、百五十円に前項の規定による扶養親族の員数を乗じて得た額とする。

第一項の規定に該当する未復員者で、この法律施行の際現に従前の例によりその者の家族が給与の支払を受けているものについては、その者の俸給月額と扶養手当月額との合計額が、この法律施行の際現に従前の例によりその者の家族が支払を受けていた給与月額に満たないときは、その差額を超えない範囲内の額を前項の扶養手当月額に加えた額を以て、その者の扶養手当月額とすることができる。但し、その額と前条に規定する俸給月額との合計額は、従前の例により昭和二十二年三月分としてその者の家族に支払われていた給与の月額を超えてはならない。

扶養手当は、毎月、命令の定めるところにより、これを扶養親族の一人に支払うものとする。但し、支給庁において必要があると認めた場合においては、支給すべき三箇月分以内の分は、これをとりまとめて支払うことができる。

扶養手当の支払を受けている者又は命令で定める者は、左の各号の一に該当する事実がある場合においては、遅滞なく、その旨を支給庁に届け出でなければならない。

一 あらたに扶養親族たる要件を具備する者があるに至つた場合

二 扶養親族のうち扶養親族たる要件を欠く者があるに至つた場合

扶養手当は、前項各号に掲げる事実の生じた日の属する月の翌月分から、その支給を開始し、その支給額を改訂し、又はその支給をやめる。

第五条 未復員者が復員し又は死亡したときは、復員し又は死亡した日の属する月分の俸給及び扶養手当は、全額これを支給する。

未復員者が復員し又は死亡した日の属する月の翌月以降その者の復員又は死亡の事実の判明した日までに、既に支給された俸給又は扶養手当は、これを国庫に返還させないことができる。

未復員者が復員し又は死亡した場合においては、その者に係る俸給又は扶養手当の支払を受ける者は、遅滞なく、その者の復員又は死亡の事実を支給庁に届け出でなければ、前項の規定の適用を受けることはできない。

第六条 未復員者が連合国軍の命令により、戦争犯罪人又は戦争犯罪人容疑者として逮捕、抑留又は処刑された場合においては、その逮捕、抑留又は処刑の事実があつた日の属する月の翌月分以後の俸給及び扶養手当は、これを支給しない。

前項の規定に該当した者が起訴される前に釈放され又は無罪の判決を受けた場合においては、前項の規定により支給をやめた月分以後の俸給及び扶養手当は、これを支給する。

前条第二項及び第三項の規定は、第一項の場合に、これを準用する。

第七条 未復員者には、その復員の際、帰郷旅費として三百円を支給する。但し、内地外において復員した者及び連合国軍の命令により戦争犯罪人として処刑された者には、これを支給しない。

第八条 未復員者が死亡した場合においては、遺骨の引取に要する経費として、死亡者一人当り二百七十円、遺骨の埋葬に要する経費として、死亡者一人当り三百十円をその遺族に支給することができる。但し、命令で指定する者の遺族には、遺骨の埋葬に要する経費は、これを支給しない。

前項の規定による遺族の範囲及び順位は、死亡した未復員者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びにこれらの親族を欠くときはその葬祭を行う者とし、同順位者

にあつては、長は幼に先だつものとする。

附 則

第九条 この法律は、昭和二十二年七月一日以後において、その給与事由の生じた給与につき、これを適用する。

第十条 未復員者で、昭和二十二年七月一日現在において従前の例により臨時家族手当を受けていたものには、その者の同日現在において臨時家族手当を受ける基礎となつていた家族に関する従前の届出を以て第四条第五項の規定による届出とみなし、同条第六項の規定にかかわらず、同年七月分から、扶養手当を支給する。

前項の規定する者に昭和二十二年七月一日現在において臨時家族手当を受ける基礎となつていた家族以外の扶養親族があつた場合においては、当該扶養親族につき、命令の定めるところにより、扶養親族に関する事項を支給庁に届け出でたときは、第四条第六項の規定にかかわらず、昭和二十二年七月分から、当該扶養親族に係る扶養手当を支給する。

前項の規定は、未復員者で、昭和二十二年七月一日現在においては、従前の例によつては臨時家族手当を受け得ないがこの法律の規定の適用によりあらたに扶養手当を受け得ることとなつたものに、同日現在において、この法律の規定による扶養親族があつた場合に、これを準用する。

第十一条 昭和二十二年六月分以前の給与でこの法律施行の際まだ支給していない分については、なお従前の例により、これを支給する。但し、昭和二十年九月分から昭和二十二年六月分までの給与のうちまだ支給していない給与は、別表に定める額により、これを払切とすることができる。

第十二条 昭和二十二年政令第五十二号(陸軍刑法を廃止する等の政令)第七条中「関しては、」の下に「未復員者給与法に定めるものを除く外、」を加える。

別表 未支給給与月額表

もと軍人

もと軍属

家族渡した月

家族渡しなかつた月

扶養家族のある者

自昭和二十年九月分

至昭和二十年十一月分

自昭和二十年十二月分

至昭和二十二年六月分

自昭和二十年九月分

至昭和二十年十一月分

自昭和二十年十二月分

至昭和二十一年三月分

自昭和二十一年四月分

至昭和二十一年五月分

 

旧本俸月額

         
   

 

大将

 

四七〇

一、〇二〇

五五〇

七九八

中将

四五〇円以上

 

四一〇

 

 

九八三

 

四八三

 

七三一

少将

四〇〇円以上

 

三五五

 

 

七七一

 

四一六

 

六六二

大佐

三〇〇円以上

 

三〇〇

 

 

六四〇

 

三四〇

 

五七八

特進中佐

二七〇円以上

 

二五五

 

 

五二五

 

二七〇

 

四九八

中佐

一五〇円以上

 

二三五

 

 

四八五

 

二五〇

 

四七四

特進少佐

二二〇円以上

 

一九五

 

 

四一五

 

二二〇

 

四三七

少佐

二〇〇円以上

 

一七五

 

 

三七四

 

二〇〇

 

四一二

特進大尉

二五〇円以上

 

一六五

 

 

三二二

 

一五七

 

三五九

大尉

一三〇円以上

 

一四五

 

 

二八二

 

一三七

 

三三四

特進中尉

一〇〇円以上

 

一二五

 

 

二二九

 

一〇四

 

二八八

中尉

九五円以上

 

一一五

 

 

二〇九

 

九四

 

二七四

特進少尉

九〇円以上

 

一一五

 

 

二〇五

 

九〇

 

二八八

少尉

七〇円以上

 

一〇五

 

 

一七五

 

七〇

 

二七〇

准尉

八五円以上

 

一一〇

 

 

一九五

 

八五

 

二六一

曹長

一、二等給

七五円以上

 

八五

 

 

一六〇

 

七五

 

二四七

 

四〇円以上

 

七五

 

 

一二五

 

五〇

 

二一八

曹長

三、四等給

四〇円未満

 

二三

 

 

五八

 

三五

 

一九一

軍曹

 

一八

四四

二六

一八二

伍長

一四

三四

二〇

一七二

兵長

二二

一三

一三

上等兵

一七

一〇

一〇

一、二等兵

一五

 

 
 

扶養家族のない者

昭和二十一年六月分

自昭和二十一年七月分

至昭和二十一年十一月分

昭和二十一年十二月分

昭和二十二年一月分

自昭和二十二年二月分

至昭和二十二年六月分

自昭和二十年九月分

至昭和二十年十一月分

自昭和二十年十二月分

至昭和二十二年六月分

             

一、〇四一

一、一七二

三、一三八

二、〇〇六

一、九五六

一、〇二〇

五五〇

九六七

一、〇九三

二、八九九

一、八八六

一、八三六

九八三

四八三

八八八

九九六

二、六一〇

一、七五〇

一、七〇〇

七七一

四一六

七七四

八八〇

二、二六二

一、五九四

一、五四四

六四〇

三四〇

六六三

七六五

一、九一七

一、三八九

一、三三九

五二五

二七〇

六三〇

七三二

一、八一八

一、三三六

一、二八六

四八五

二五〇

五八〇

六八一

一、六六五

一、二五五

一、二〇五

四一五

二二〇

五四七

六四七

一、五六三

一、一九一

一、一四一

三七五

二〇〇

四七六

五六六

一、三二〇

一、〇四〇

九九〇

三二三

一五七

四四二

五二九

一、二〇九

九六三

九一三

二八二

一三七

三七八

四七一

一、〇三五

八六五

八一五

二二九

一〇四

三六〇

四五二

九七八

八三六

七八六

二〇九

九四

三七八

四四八

九六六

八二二

七七二

二〇五

九〇

三五六

四一一

八五五

七六五

七一五

一七五

七〇

三四二

四三五

九二七

八〇九

七五九

一九五

八五

三二四

四一六

八七〇

七七〇

七二〇

一六〇

七五

二八二

三七四

七四四

七〇八

六五八

一二五

五〇

二五〇

三四二

六四八

六七六

六二六

五八

三五

二四一

三二五

五九七

六五九

六〇九

四四

二六

二二六

三一九

五七九

六五三

六〇三

三四

二〇

一三

一三

一三

一三

一三

二二

一三

一〇

一〇

一〇

一〇

一〇

一七

一〇

一五

備 考 一、将校で「特進」を冠しているのは、准士官又は下士官から将校に任ぜられた者をいう。

二、階級及び旧本俸月額は、昭和二十一年四月一日現在のものによる。

三、扶養家族は内地に残置されている臨時家族手当支給上の扶養家族とし、その有無は、昭和二十二年六月三十日現在の事実による。

四、この表は月額を示したものであるから、支給定額はこの表の額に夫々該当期間の月数を乗じて得た金額とし、計算の結果十円未満の端数のあるときは、これを十円に切り上げる。

五、昭和二十二年十二月一日以降内地に帰還した者に対しては、前号によつて計算して得た金額と、第三条第二項によつて内地に帰還の後、その者がとりまとめて支払を受ける俸給の額との合計額が五百円に満たないときは、その差額を前号によつて計算した額に合算した額を以てその者の未支給給与の額とすることができる。

(大蔵・内閣総理大臣署名)

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