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法律第五十八号(昭二六・三・三〇)

  ◎緊要物資輸入基金特別会計法

 (設置)

第一条 外国で生産された物資で政府において緊急に取得することを必要とするものの取得及び売払を円滑にするために緊要物資輸入基金を置き、その運用に関する経理を一般会計と区分して特別に行うため、特別会計を設置する。

 (管理)

第二条 この会計は、通商産業大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。

 (緊要物資輸入基金)

第三条 緊要物資輸入基金(以下「基金」という。)は、予算の定めるところにより一般会計から繰り入れる繰入金をもつて充てる。

 (基金の運用)

第四条 基金は、政府において特殊需要に応ずるため緊急に取得することを必要とする外国で生産された物資に運用することができる。

2 この会計において、基金に属する現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。

 (基金の運用に伴う利益又は損失の処理)

第五条 この会計において、前条第一項の規定による基金の運用によつて利益を生じたときは、これをこの会計の当該年度の歳入に組み入れ、同項の規定による基金の運用によつて損失を生じたときは、これをこの会計の当該年度の歳出をもつて補てんする。但し、補てんのためのこの会計の当該年度の歳出予算額が当該補てん額に対して不足するときは、当該不足額は、翌年度において補てんするものとする。

2 前項の規定による利益及び損失の計算の方法並びに当該利益の組入及び当該損失の補てんの時期は、政令で定める。

 (基金に属する現金の出納命令の委任)

第六条 通商産業大臣は、基金に属する現金の出納執行の命令を部下の部局の長に行わせることができる。

 (歳入及び歳出)

第七条 この会計においては、第五条第一項の規定による利益の組入金、第四条第二項及び第十五条の規定による預託金の利子、第十六条第二項但書の規定による借入金の借入及び融通証券の発行に因る収入金、第十二条の規定による一般会計からの補てん金並びに附属雑収入をもつてその歳入とし、事務取扱費、第十六条第二項但書の規定による借入金及び融通証券の償還金、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、第五条第一項の規定による損失の補てん金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。

 (歳入歳出予定計算書の作製及び送付)

第八条 通商産業大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出予定計算書には、左の書類を添附しなければならない。

 一 前前年度の貸借対照表及び損益計算書

 二 前年度及び当該年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書

 (歳入歳出予算の区分)

第九条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。

 (予算の作成及び提出)

第十条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、第八条第一項に規定する歳入歳出予定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。

 (決算上の剰余の繰入)

第十一条 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上、当該年度における第五条第一項の規定による利益の組入金、第四条第二項及び第十五条の規定による預託金の利子並びに附属雑収入の収納済額の合計額(以下「収納済額の合計額」という。)から当該年度における事務取扱費、一時借入金、借入金及び融通証券の利子、融通証券の発行及び償還に関する経費、第五条第一項の規定による損失の補てん金並びに附属諸費の支出済額と当該年度における第二十条第一項の規定による歳出金の翌年度への繰越額との合計額(以下「支出済額等の合計額」という。)を控除して残余があるときはこれを一般会計に繰り入れるものとする。

 (決算上の不足の補てん)

第十二条 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上、収納済額の合計額が支出済額等の合計額に不足するときは、これを当該年度の一般会計の歳出をもつて補てんする。但し、その補てんのための歳出予算額が当該年度において計上されていないため補てんできないとき、又は計上された当該年度の歳出予算額が当該補てん額に対して不足するため補てんができないときは、その補てんできない金額は、翌年度において補てんするものとする。

 (歳入歳出決定計算書の作製及び送付)

第十三条 通商産業大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出決定計算書には、当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第十四条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書並びに同条第二項に規定する当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。

 (歳出の支払上の余裕金)

第十五条 この会計において、歳出の支払上現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。

 (一時借入金、借入金及び融通証券の起債並びに基金に属する現金の繰替使用)

第十六条 この会計において、歳出の支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、若しくは融通証券を発行し、又は基金に属する現金を繰替使用することができる。

2 前項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替使用金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。但し、歳入不足のため償還できないときは、その償還することができない金額を限り、この会計の負担において借入金をし、又は融通証券を発行することができる。

3 前項但書の規定による借入金又は融通証券は、一年内に償還しなければならない。

 (一時借入金、借入金及び融通証券の起債、償還等の事務)

第十七条 前条第一項の規定による一時借入金及び融通証券並びに同条第二項但書の規定による借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大蔵大臣が行う。

 (国債整理基金特別会計への繰入)

第十八条 この会計の負担に属する一時借入金、借入金及び融通証券の利子、第十六条第二項但書の規定による借入金及び融通証券の償還金並びにこの会計の負担に属する融通証券の発行及び償還に関する経費の支出に必要な金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。

 (基金支出負担行為計画及び基金支払計画)

第十九条 通商産業大臣は、政令で定めるところにより、基金に属する現金の支出の原因となる契約その他の行為(以下「基金支出負担行為」という。)の所要額及び基金に属する現金の支払(以下「基金支払」という。)の所要額を定め、基金支出負担行為の計画(以下「基金支出負担行為計画」という。)又は基金支払の計画(以下「資金支払計画」という。)に関する書類を作製して、これを大蔵大臣に送付し、その承認を経なければならない

2 大蔵大臣は、前項の規定による基金支出負担行為計画及び基金支払計画の承認をしたときは、基金支出負担行為計画については、通商産業大臣及び会計検査院に、基金支払計画については、通商産業大臣、会計検査院及び日本銀行に、その旨を通知しなければならない。

3 通商産業大臣は、基金支出負担行為又は基金支払をしようとするときは、第一項の規定による大蔵大臣の承認を経た基金支出負担行為計画又は基金支払計画に定める金額をこえてはならない。

 (支出未済額の繰越)

第二十条 この会計において、支払義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。

2 通商産業大臣は、前項の規定により繰越をしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。

3 第一項の規定により繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。

 (実施規定)

第二十一条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。

   附 則

1 この法律中附則第三項の規定は、公布の日から、その他の規定は、昭和二十六年四月一日から施行する。

2 貿易特別会計法(昭和二十四年法律第四十一号)は、廃止する。

3 昭和二十五年度において旧貿易特別会計法第十条第二項の規定により借り入れ、又は発行した一時借入金又は融通証券で、昭和二十六年三月三十一日までに償還できないもの(以下「未償還借入金等」という。)は、同条第三項の規定にかかわらず、貿易特別会計の昭和二十五年度の歳入をもつて償還することができる。

4 貿易特別会計の昭和二十五年度分の収入支出並びに昭和二十四年度及び昭和二十五年度の決算については、なお従前の例による。

5 この法律施行の際貿易特別会計に属する資産(現金及び未収金債権を除く。)及び負債(同特別会計において昭和二十五年度中に支払義務の生じた歳出金でこの法律施行の際までに支出済とならなかつたものに係る負債及び未償還借入金等を除く。)のうち、昭和二十五年度特別会計予算補正(特第一号)乙号国庫債務負担行為に基いて同会計において昭和二十五年度中にした行為に係るものは、基金に帰属するものとし、残余のものは、一般会計に帰属するものとする。

6 貿易特別会計の昭和二十五年度の出納の完結(以下「出納の完結」という。)の際同特別会計に属する未収金債権及び同特別会計において昭和二十五年度中に支払義務の生じた歳出金で出納の完結の際までに支出済とならなかつたものに係る負債は、出納の完結の際一般会計に帰属するものとする。

7 出納の完結の際貿易特別会計に属する現金は、出納の完結の際一般会計の歳入に繰り入れるものとする。

8 昭和二十五年度における貿易特別会計の歳出予算中同年度において支払義務の生じた歳出金で出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度の一般会計に繰り越して使用することができる。

9 第二十条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による繰越について準用する。

10 通商産業省設置法(昭和二十四年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第七条第一項第五号及び第六号中「貿易特別会計」を「緊要物資輸入基金特別会計」に改める。

  第九条第一項第十二号中「貿易特別会計」を「緊要物資輸入基金特別会計」に改め、同項第十一号の二の次に次の一号を加える。

  十一の三 緊要物資輸入基金特別会計に係る物資の取得及び売払に関する事業を行うこと。(臨時通商業務局の所掌に係ることを除く。)

11 外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令(昭和二十四年政令第三百十一号)の一部を次のように改正する。

  第九条第二項中「の貿易特別会計に対する債権」を「が貿易特別会計に対し有していた債権で同特別会計の廃止に伴い一般会計に対する債権となつたもの」に改める。

12 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「貿易特別会計、」を削り、「輸出信用保険特別会計、」の下に「中小企業信用保険特別会計、緊要物資輸入基金特別会計、」を加える。

(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名) 

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