衆議院

メインへスキップ



法律第二十六号(昭三二・三・三一)

  ◎租税特別措置法

 租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)の全部を改正する。

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 所得税法の特例

  第一節 利子所得及び配当所得(第三条―第九条)

  第二節 不動産所得及び事業所得

   第一款 減価償却の特例(第十条―第十八条)

   第二款 準備金(第十九条・第二十条)

   第三款 輸出所得の課税の特例(第二十一条―第二十三条)

   第四款 農業所得の免税(第二十四条・第二十五条)

   第五款 その他の特例(第二十六条―第二十八条)

  第三節 給与所得(第二十九条)

  第四節 山林所得及び譲渡所得

   第一款 山林所得の概算経費控除(第三十条)

   第二款 収用等の場合の譲渡所得等の課税の特例(第三十一条―第三十四条)

   第三款 居住用財産等の買換の場合の譲渡所得の課税の特例(第三十五条―第三十九条)

   第四款 その他の特例(第四十条・第四十一条)

 第三章 法人税法の特例

  第一節 減価償却の特例(第四十二条―第五十二条)

  第二節 準備金(第五十三条・第五十四条)

  第三節 輸出所得の課税の特例(第五十五条―第五十七条)

  第四節 協同組合の課税の特例(第五十八条―第六十一条)

  第五節 交際費等の課税の特例(第六十二条・第六十三条)

  第六節 その他の特例(第六十四条―第六十八条)

 第四章 相続税法及び財産税法の特例(第六十九条―第七十一条)

 第五章 登録税法の特例(第七十二条―第八十四条)

 第六章 酒税法等の特例

  第一節 酒税法の特例(第八十五条―第八十七条)

  第二節 物品税法の特例(第八十八条)

  第三節 揮発油税法及び地方道路税法の特例(第八十九条・第九十条)

  第四節 その他の税の特例(第九十一条・第九十二条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、当分の間、所得税、法人税、相続税、財産税、登録税、酒税、物品税、揮発油税、地方道路税、通行税及び印紙税を軽減し、若しくは免除し、又はこれらの税に係る課税標準の計算、徴収若しくは資産の再評価につき、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)、財産税法(昭和二十一年法律第五十二号)、登録税法(明治二十九年法律第二十七号)、酒税法(昭和二十八年法律第六号)、物品税法(昭和十五年法律第四十号)、揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)、地方道路税法(昭和三十年法律第百四号)、通行税法(昭和十五年法律第四十三号)、印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)及び資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)の特例を設けることについて規定するものとする。

 (用語の意義)

第二条 第二章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 居住者又は非居住者 それぞれ所得税法第一条第一項又は第二項に規定する居住者又は非居住者をいう。

 二 合同運用信託、貸付信託又は証券投資信託 それぞれ所得税法第七条に規定する合同運用信託、貸付信託又は証券投資信託をいう。

 三 総所得金額、退職所得の金額、山林所得の金額、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、山林所得又は譲渡所得 それぞれ所得税法第九条第一項に規定する総所得金額、退職所得の金額、山林所得の金額、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、山林所得又は譲渡所得をいう。

 四 確定申告書 所得税法第二十六条第一項に規定する確定申告書をいう。

 五 損失申告書 所得税法第二十六条の二第一項に規定する損失申告書をいう。

 六 確定申告書等 所得税法第二十二条の二第五項に規定する予定納税額減額申請書、同法第二十五条第二項に規定する予定納税額更正請求書、同法第二十三条第一項若しくは第二項の規定による七月予定申告書若しくは十一月予定申告書、第四号に規定する確定申告書又は前号に規定する損失申告書をいう。

 七 青色申告書 所得税法第二十六条の三第一項に規定する青色申告書をいう。

 八 修正申告書 所得税法第二十七条第一項に規定する修正確定申告書及び修正損失申告書をいう。

 九 更正の請求 所得税法第二十七条第六項の規定による更正の請求をいう。

2 第三章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 事業年度 法人税法第七条に定める事業年度をいう。

 二 資本積立金額 法人税法第九条の六第二項第一号に規定する資本積立金額をいう。

 三 積立金額 法人税法第十六条に規定する積立金額をいう。

 四 確定申告書等 法人税法第十八条から第二十一条までの規定による申告書又は同法第二十三条の規定による申告書で同法第十八条から第二十一条までに規定する事項を記載したものをいう。

 五 青色申告書 法人税法第二十五条に規定する青色申告書をいう。

 六 再評価積立金額 資産再評価法第百二条の規定による再評価積立金の額をいう。

3 第六章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 酒類 酒税法第二条第一項に規定する酒類をいう。

 二 酒類製造者 酒税法第七条第一項に規定する酒類製造者をいう。

 三 揮発油 揮発油税法第二条第一項に規定する揮発油をいう。

 四 保税地域 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条に規定する保税地域をいう。

   第二章 所得税法の特例

    第一節 利子所得及び配当所得

 (利子所得の分離課税及び税率の軽減)

第三条 居住者又は所得税法の施行地に事業を有する非居住者が昭和三十二年四月一日から昭和三十四年三月三十一日までの間に支払を受けるべき利子所得については、同法第九条第一項及び第十三条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その支払を受けるべき利子所得の金額に対し、百分の十の税率を適用して所得税を課する。

2 所得税法の施行地に事業を有しない非居住者又は法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この章において同じ。)が昭和三十二年四月一日から昭和三十四年三月三十一日までの間に支払を受けるべき利子所得に対する所得税法第十七条又は第十八条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

3 昭和三十二年四月一日から昭和三十四年三月三十一日までの間に支払を受けるべき利子所得に対する所得税法第三十七条又は第四十一条の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

4 第一項又は第二項に規定する利子所得の支払を受ける者及びその支払をする者については、所得税法第五十九条及び第六十一条中利子所得に係る部分の規定は、適用しない。

 (長期預金等の利子所得の非課税)

第四条 次に掲げる公債、社債、預金又は合同運用信託について昭和三十二年四月一日からその発行、預入又は信託の日から起算して三年を経過した日まで(その日が昭和三十四年三月三十一日前である場合には、同日まで)に支払われるべき利子所得(第二号に掲げる預金のうち任意に又は定期に積み立てる預金で政令で定めるものの利子については、政令で定めるところにより計算した預入期間が一年以上の金額に係る部分の利子)については、前条の規定にかかわらず、所得税を課さない。

 一 昭和三十四年三月三十一日までに発行された公債又は社債(特別の法令により設立された法人の発行する債券を含む。以下同じ。)で発行の日から償還期限(当該社債に係る契約において順次償還すべき旨の定のあるものについては、最も早く償還がされる時期)までの期間が一年以上であるもの

 二 昭和三十四年三月三十一日までに締結された契約に基く金融機関に対する預金で当該契約において定める預入期間が一年以上であるもののうち政令で定めるもの

 三 昭和三十四年三月三十一日までに締結された契約に基く合同運用信託で当該契約において定める信託期間が一年以上であるもののうち政令で定めるもの

2 前条第四項の規定は、前項に規定する利子所得の支払を受ける者及びその支払をする者について準用する。

 (納税準備預金の利子の非課税)

第五条 納税準備預金の利子については、所得税を課さない。ただし、当該預金から租税の納付の目的以外の目的のために引き出された金額がある場合には、政令で定めるところにより、当該金額に対する利子については、所得税を課する。

2 前項に規定する納税準備預金とは、租税の納付に充てることを目的として銀行その他の政令で定める金融機関に対してした預金で当該金融機関が他の預金と区分して経理しているものをいう。

 (非居住者等の受ける戦前外貨債利子の非課税)

第六条 非居住者又は所得税法の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人が支払を受ける利子で次に掲げるものについては、同法第十七条、第十八条第一項及び第二項並びに第四十一条の規定は、適用しない。

 一 戦前外貨債の利子で本邦と当該利子の支払地の属する国との間の所得税及びこれに相当する税の二重課税防止のための条約の効力が生じた日から起算して六月を経過した日までに支払期日が到来するもの

 二 次のイ又はロに掲げる利子で前号に規定する六月を経過した日後に支払期日が到来するもの

  イ 戦前外貨債でその利子につき所得税を課さない旨又は利子の支払の際所得税が徴収されない旨の特約があるものの利子

  ロ 戦前外貨債で特約によりその利子につき課される所得税が国の負担となるものの利子

2 前項に規定する戦前外貨債とは、昭和六年七月一日以前に発行された次に掲げる国債、地方債又は社債で大蔵省令で定めるものをいう。

 一 アメリカ合衆国通貨、連合王国通貨又はフランス国通貨で表示された国債、地方債又は社債

 二 本邦通貨で表示されている国債、地方債又は社債で確定換算率により連合王国通貨で支払を行うべき旨の特約があるもの

 (非居住者等の受ける対外支払手段により取得した国債の利子等の税率の軽減)

第七条 非居住者又は所得税法の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人が、対外支払手段の提供により合法的に取得した国債、地方債、同法の施行地に本店若しくは主たる事務所を有する法人の発行する社債、貸付信託の受益証券又は株式、出資若しくは証券投資信託の受益証券について、昭和三十四年四月一日以後に支払を受けるべき利子所得(第四条の規定に該当するものを除く。)又は配当所得に対する所得税法第十七条又は第十八条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

2 前項に規定する非居住者又は法人が対外支払手段の提供により合法的に取得した貸付金債権について支払を受けるべき利子に対する所得税法第十七条又は第十八条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

3 第一項に規定する利子所得若しくは配当所得又は前項に規定する利子に対する所得税法第四十一条の規定の適用については、同条に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

4 第一項又は第二項の規定は、これらの規定の適用を受けようとする者が、大蔵省令で定めるところにより、利子所得若しくは配当所得又は貸付金債権の利子の支払をする者の備え付ける帳簿にその氏名又は名称、住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地その他必要な事項の登載を受けた場合において、その登載を受けている期間に限り、適用する。

5 第一項に規定する対外支払手段とは、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第八号に規定する対外支払手段その他の大蔵省令で定めるこれと同等の価値のあるものをいう。

 (金融機関の受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用)

第八条 所得税法の施行地に営業所を有する銀行その他の政令で定める金融機関(以下この条において「金融機関」という。)が支払を受ける公債、社債若しくは預金の利子又は合同運用信託の利益で次に掲げるものについては、同法第十八条第一項及び第二項並びに第四十一条の規定は、適用しない。

 一 国債に関する法律(明治三十九年法律第三十四号)第二条第二項又は社債等登録法(昭和十七年法律第十一号)第三条の規定により登録した公債又は社債の利子(信託業務を兼営する銀行の登録した公債又は社債の利子で政令で定めるものを除く。)でその登録した期間内に生じたもの

 二 貯蓄銀行法(大正十年法律第七十四号)第九条第一項又は普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第二条第一項の規定により貯蓄銀行又は貯蓄銀行業務を兼営する銀行の供託した公債又は社債の利子でその供託した期間内に生じたもの

 三 金融機関に対する預金の利子

 四 金融機関を委託者とし、かつ、当該金融機関を受益者とする合同運用信託の利益でその委託した期間(貸付信託の利益については、当該貸付信託の受益証券が引き続き記名式であつた期間)内に生じたもの

2 金融機関は、前項第一号、第二号又は第四号に規定する利子又は利益の支払を受ける際、大蔵省令で定めるところにより、その利子又は利益のうち同項の規定の適用を受ける部分とその他の部分とを区分した明細書を、利子又は利益の支払の取扱者を経由して、その支払地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3 第一項第一号、第二号又は第四号に規定する登録した期間、供託した期間又は委託した期間若しくは記名式であつた期間及びこれらの期間内に生じた部分の金額の計算に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。

 (配当所得の源泉徴収税率の軽減)

第九条 昭和三十二年四月一日から昭和三十四年三月三十一日までの間に支払を受けるべき配当所得に対する所得税法第十七条、第十八条第一項若しくは第二項、第三十七条及び第四十一条の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

    第二節 不動産所得及び事業所得

     第一款 減価償却の特例

 (重要機械等の三年間五割増償却)

第十条 青色申告書を提出する個人が、日本経済の健全な発展に資するため緊急に必要なものとして政令で定める機械その他の設備及び船舶(以下この条において「重要機械等」という。)につき政令で定める期間内に、重要機械等でその製作後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は重要機械等を製作して、これを当該個人の事業の用に供した場合には、当該個人の不動産所得又は事業所得の計算上、その用に供した日以後三年間に係る当該重要機械等の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該重要機械等について同項の規定により計算した減価償却費の額で当該期間に係るものの百分の百五十に相当する金額とする。

2 前項の規定は、確定申告書等に、同項の規定により必要な経費に算入される金額についてのその算入に関する記載があり、かつ、これらの書類に重要機械等の減価償却費の額の計算に関する明細書の添附がある場合に限り、適用する。

 (合理化機械等の初年度二分の一償却)

第十一条 青色申告書を提出する個人で企業合理化促進法(昭和二十七年法律第五号)第六条に規定する政令で定める重要産業に属する事業を営むものが、当該事業の近代化のため緊急に必要なものとして政令で定める機械その他の設備(以下この条において「合理化機械等」という。)につき政令で定める期間内に、合理化機械等でその製作後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は合理化機械等を製作して、これを当該個人の当該事業の用に供した場合には、その用に供した日の属する年における当該個人の事業所得の計算上、当該合理化機械等の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該合理化機械等の取得価額の二分の一に相当する金額以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額とする。ただし、当該合理化機械等の減価償却費として同項の規定により必要な経費に算入される金額を下ることはできない。

2 前項の規定により当該合理化機械等の減価償却費として必要な経費に算入した金額がその取得価額の二分の一に相当する金額に満たない場合には、当該合理化機械等を事業の用に供した年の翌年以後二年間の各年における事業所得の計算上、当該合理化機械等の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該合理化機械等の減価償却費として同項の規定により必要な経費に算入する金額とその満たない金額(その金額のうちこの項の規定により既に必要な経費に算入した金額があるときは、当該金額を控除した金額)以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額との合計額に相当する金額とすることができる。

3 前条第一項の規定は、合理化機械等については適用しない。

4 前条第二項の規定は、第一項又は第二項の規定を適用する場合について準用する。

 (試験研究用機械設備等の特別償却)

第十二条 企業合理化促進法第三条に規定する試験研究を行う個人で事業を営むものが、同法第四条第一項の規定による承認を受けた場合において、その承認を受けた日から一年以内に、その承認を受けた機械設備等を取得し、又は製作して、その承認を受けた試験研究(当該個人の営む当該事業と関連のある試験研究に限る。)の用に供したときは、その用に供した日以後三年以内の日を含む各年の事業所得の計算上、当該機械設備等の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、その用に供した日以後三年以内でその用に供している期間に限り、当該機械設備等を取得し、又は製作するために要した金額の百分の九十に相当する金額に当該各年のうちの当該期間の月数を乗じてこれを三十六で除して計算した金額とする。

2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月未満の端数を生じたときは、これを一月とする。

3 第十条第二項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。

 (新築貸家住宅の割増償却)

第十三条 個人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に、所得税法の施行地において、新築した貸家住宅で政令で定めるものを取得し、又は当該貸家住宅を新築して、これを貸家の用(その者の営む事業に係る使用人の居住の用を含む。以下この項において同じ。)に供した場合には、当該個人の不動産所得又は事業所得の計算上、その貸家の用に供した日以後五年以内でその用に供している期間に限り、当該貸家住宅の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、同法第十条第二項の規定にかかわらず、当該貸家住宅について同項の規定により計算した減価償却費の額で当該期間に係るものの百分の二百(当該貸家住宅についてその新築の時において所得税法の規定により定められている耐用年数が五十年以上であるときは、百分の三百)に相当する金額とする。

2 第十条第二項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

 (満期保険に附した漁船の特別償却)

第十四条 個人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に、その有する総トン数百トン未満の漁船につき漁船損害補償法(昭和二十七年法律第二十八号)第三条に規定する満期保険の保険料を支払つた場合には、当該各年の事業所得の計算上、当該漁船の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該漁船の減価償却費の額の累計額がその取得価額の百分の九十に相当する金額に達するまでは、その年中に支払つた当該保険料のうち漁船損害補償法第百十三条の十一に規定する積立保険料に相当する額とする。ただし、当該漁船の減価償却費として同項の規定により必要な経費に算入される金額を下ることはできない。

2 第十条第二項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

 (探鉱用機械設備等の特別償却)

第十五条 青色申告書を提出する個人で鉱業を営むものが、昭和三十二年四月一日から昭和三十六年十二月三十一日までの間(以下この条において「指定期間」という。)に、政令で定める探鉱用機械設備を取得し、又は製作して、これを所得税法の施行地にある鉱床でまだ採掘に着手していないもの(以下この条及び第四十八条において「新鉱床」という。)の探鉱の用に供した場合には、その用に供した日の属する年における当該個人の事業所得の計算上、当該探鉱用機械設備の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、同法第十条第二項の規定にかかわらず、当該探鉱用機械設備の取得価額の百分の九十に相当する金額以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額とする。ただし、当該探鉱用機械設備の減価償却費として同項の規定により必要な経費に算入される金額を下ることはできない。

2 前項に規定する個人が、指定期間内に、新鉱床の探鉱のために支出した金額(その年十二月三十一日までに探鉱を打ち切り、かつ、その探鉱により採掘可能の鉱量を発見するに至らなかつた場合における当該探鉱のために支出した金額及び鉱業権以外の固定資産の取得のために支出した金額を除く。)又は新鉱床の鉱業権を他から購入するために支出した金額がある場合には、その支出した金額以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額は、当該個人のその支出の日を含む年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

3 青色申告書を提出する個人で金属鉱業(硫黄鉱業を含む。)のうち政令で定めるもの(以下この項及び次項において「金属鉱業等」という。)を営むものが、指定期間内の日の属する各年分において第一項に規定する探鉱用機械設備のうち金属鉱業等に係るものの取得又は新鉱床(金属鉱業等に係るものに限る。以下この項において同じ。)の探鉱若しくは新鉱床の鉱業権の購入のために支出する金額の合計額(以下次項において「探鉱費総額」という。)でその年の指定期間内の支出に係るものが基準年分の探鉱費額に当該年の指定期間の月数を乗じ十二で除して計算した金額をこえる場合には、当該個人の指定期間内の各年の金属鉱業等に係る鉱業権の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該鉱業権について同項の規定により計算した減価償却費の金額とそのこえる金額との合計額(当該合計額が昭和三十一年十二月三十一日における金属鉱業等に係る鉱業権の帳簿価額の合計額に当該年の指定期間の月数を乗じてこれを政令で定める数で除して計算した金額をこえるときは、当該金額)とする。

4 前項に規定する基準年分の探鉱費額とは、同項に規定する個人が昭和三十一年以前三年間において支出した探鉱費総額の合計額を三十六(当該期間内に金属鉱業等を開始した場合には、その開始した日から同年十二月までの月数)で除して計算した金額に十二を乗じて計算した金額をいう。

5 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。

6 第四項に規定するもののほか、同項の基準年分の探鉱費額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

7 第十一条第二項の規定は、第一項に規定する探鉱用機械設備の減価償却費の額の計算について準用する。この場合において、同条第二項中「二分の一」とあるのは、「百分の九十」と読み替えるものとする。

8 第十条第二項の規定は、第一項から第三項までの規定を適用する場合について準用する。

 (鉱業用坑道等の特別償却)

第十六条 青色申告書を提出する個人で鉱業を営むものが、昭和三十二年四月一日から昭和三十六年十二月三十一日までの間に採掘場所の深部移行又は坑内条件の悪化に対処しその生産を維持するために必要な次に掲げる資産で政令で定めるものを取得し、又は製作して、これを当該個人の事業の用に供した場合には、その取得又は製作のために支出した金額以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額は、その用に供した日の属する年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

 一 坑内において掘さくされる坑道

 二 坑内において施設される軌条、動力線、排水管その他の機械及び装置

 三 坑内において使用される車両及び運搬具並びに工具、器具及び備品

2 前項に規定する個人が、同項に規定する期間内に、坑外から掘さくされる通気坑道又は排水坑道で政令で定めるものを取得してこれを当該個人の事業の用に供した場合には、その用に供した日の属する年以後の各年(当該通気坑道又は排水坑道について第十条第一項又は第十一条第一項の規定の適用を受ける年を除く。)における事業所得の計算上、当該通気坑道又は排水坑道の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、政令で定める年数をその耐用年数として定額法により計算した額(その年において第十一条第二項の規定により通常の場合の減価償却費に加算して必要な経費に算入することができる金額があるときは、当該金額を加算した金額)とすることができる。

3 第十条第二項の規定は、前二項の規定を適用する場合について準用する。

 (海外支店用設備等の特別償却)

第十七条 青色申告書を提出する個人で貿易業その他政令で定める外国貿易の促進に寄与する事業を営むものが、昭和二十八年一月一日から昭和三十二年十二月三十一日までの間に、所得税法の施行地外に事業所を設け、機械及び装置、車両及び運搬具その他の資産で政令で定めるもの(以下この条において「海外支店用設備」という。)を取得して、これを当該事業所の事業の用に供した場合には、その用に供した日の属する年における事業所得の計算上、当該海外支店用設備の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該海外支店用設備の取得価額の二分の一に相当する金額以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額とする。ただし、当該海外支店用設備の減価償却費として同項の規定により必要な経費に算入される金額を下ることはできない。

2 前項に規定する個人が、同項に規定する期間内に、同項に規定する事業所に係る建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)及び構築物を取得して、これを当該事業所の事業の用に供した場合には、当該個人の事業所得の計算上、その用に供した日以後五年間に係る当該建物及び構築物の減価償却費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該建物及び構築物について同項の規定により計算した減価償却費の額で当該期間に係るものの百分の百五十に相当する金額とする。

3 第一項に規定する個人が、同項に規定する期間内に、同項に規定する事業所の用に供する土地又は家屋を賃借するため権利金を支出した場合には、その支出金額の二分の一に相当する金額以下の金額で当該個人が必要な経費として計算した金額は、その支出の日の属する年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

4 第十一条第二項の規定は、海外支店用設備の減価償却費の額を計算する場合について準用する。

5 第十条第二項の規定は、前四項の規定を適用する場合について準用する。

 (重油ボイラーの改造費の特別償却)

第十八条 青色申告書を提出する個人が、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律(昭和三十年法律第百五十七号)第四条の規定による指示に基いて、昭和三十三年三月三十一日までに、同法第二条に規定する重油ボイラーを当該重油ボイラー以外のボイラーに改造した場合には、その改造のために支出した金額のうち当該個人が必要な経費として計算した金額は、その支出の日の属する年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

2 第十条第二項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

     第二款 準備金

 (価格変動準備金勘定への繰入金額の必要経費算入)

第十九条 青色申告書を提出する個人が、各年において、所得税法第十条の二第一項の規定するたな卸をすべき資産(以下この条において「たな卸資産」という。)の価格の低落による損失に備えるため、その有するたな卸資産の評価方法の区分に従い、次の各号に定めるところにより計算した金額の合計額(当該合計額がその年分の事業所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額をこえるときは、当該金額。以下この条において「繰入限度額」という。)以下の金額を価格変動準備金勘定に繰り入れたときは、その繰り入れた金額は、当該個人の当該繰入をした年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

 一 後入先出法による原価法又は後入先出法により算出した取得価額を基礎とする低価法により評価されるたな卸資産については、その年十二月三十一日におけるたな卸資産の帳簿価額の合計額が同日における当該たな卸資産の価額の百分の九十二に相当する金額の合計額をこえる場合のそのこえる金額

 二 前号に規定する方法以外の評価方法により評価されるたな卸資産については、その年十二月三十一日におけるたな卸資産の帳簿価額の合計額から当該合計額又は同日における当該たな卸資産の価額の合計額のうちいずれか少ない金額の百分の九十二に相当する金額を控除した金額

2 前項第一号又は第二号に掲げる金額は、当該たな卸資産を政令で定める事業の種類ごとに区分し、又は更に商品若しくは製品、半製品若しくは仕掛品、主要原材料、補助原材料その他のたな卸資産に区分して計算することができるものとする。

3 第一項の規定により事業所得の計算上必要な経費に算入された価格変動準備金勘定の額は、その翌年の事業所得の計算上、総収入金額に算入する。

4 第一項の規定は、確定申告書又は損失申告書に同項の規定により必要な経費に算入される金額についてのその算入に関する記載があり、かつ、これらの申告書にその年分の繰入限度額の計算に関する明細書の添附がある場合に限り、適用する。

 (輸出損失準備金勘定への繰入金額の必要経費算入)

第二十条 青色申告書を提出する個人で貿易業を営むものが、輸出契約の全部若しくは一部の取消又は当該契約の履行についてのその相手方に対する損害賠償義務の発生その他の政令で定める事由による損失に備えるため、昭和二十八年から昭和三十二年までの各年において、その年中に成立した輸出契約の契約高の合計額からその年中に取り消された輸出契約の契約高の合計額を控除した金額(その金額がその年の末日において存する輸出契約の契約高の合計額に満たない場合には、当該合計額。以下次項において「輸出契約高の合計額」という。)の千分の五に相当する金額(その金額が貿易業に係るその年分の事業所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額の百分の三十五に相当する金額をこえるときは、当該金額)以下の金額を輸出損失準備金勘定に繰り入れたときは、その繰り入れた金額は、当該繰入をした年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

2 前項に規定する輸出損失準備金勘定を設けている個人のその年の末日における輸出損失準備金勘定の金額(その日までに次項の規定により総収入金額に算入すべきであつた金額又は前年十二月三十一日までにこの項の規定により総収入金額に算入すべきであつた金額がある場合には、これらの金額を控除した金額)が、その年の輸出契約高の合計額の千分の十に相当する金額をこえるときは、そのこえる金額は、その年分の事業所得の計算上、総収入金額に算入する。

3 第一項に規定する輸出損失準備金勘定を設けている個人について同項に規定する損失が生じた場合又は当該個人が当該輸出損失準備金勘定の金額を当該損失をうめる目的以外の目的に支出し、貿易業を廃止し、青色申告書の提出の承認を取り消され、その提出をやめ、若しくは死亡した場合には、政令で定めるところにより、当該輸出損失準備金勘定の金額の全部又は一部を、これらの事由の生じた日の属する年分及びその翌年分の事業所得の計算上、総収入金額に算入する。

4 第一項に規定する輸出損失準備金勘定を設けている個人の昭和三十四年十二月三十一日における輸出損失準備金勘定の金額(その日までに前二項の規定により総収入金額に算入すべきであつた金額がある場合には、当該金額を控除した金額)は、当該年分の事業所得の計算上、総収入金額に算入する。

5 前条第四項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。

     第三款 輸出所得の課税の特例

 (輸出所得の特別控除)

第二十一条 青色申告書を提出する個人の昭和三十二年四月一日から昭和三十四年十二月三十一日までの間における次に掲げる取引については、その年中の当該取引による収入金額の百分の三(第一号に掲げる取引については収入金額の百分の一とし、第二号及び第三号に掲げる取引については収入金額の百分の五とする。)に相当する金額と当該取引に係る当該年分の事業所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額の百分の八十に相当する金額とのいずれか少い金額は、当該年分の事業所得の計算上、必要な経費に算入する。

 一 他から購入した物品の輸出(対価の支払が日本国と外国との間に締結された賠償に関する条約に基き日本国政府又は外国政府によりされるものを除く。)以下第二十三条までにおいて同じ。)

 二 自己の製造した設備等(第五十五条第二項に規定する設備等をいう。以下この条及び第二十三条において同じ。)の輸出

 三 自己の製造した設備等の輸出のためにする輸出を行う者への販売(当該輸出を行う者に対する物品の販売を業とする者への販売を含む。以下第二十三条までにおいて同じ。)

 四 自己の製造、採掘、採取、栽培、養殖その他これらに準ずる行為により取得した物品(設備等を除く。)の輸出

 五 前号に規定する物品の輸出のためにする輸出を行う者への販売

 六 輸出業者(他から購入した物品の販売を主たる業とする者で常時物品の輸出を行うものをいう。以下この条及び第二十三条において同じ。)の委託を受けて行う当該輸出業者の輸出のための物品の加工又は当該加工の対象となつた第四号に規定する物品の当該輸出業者への販売

 七 陶磁器の輸出のためにする上絵付を行う者への自己の製造した陶磁器の素地の販売

 八 製糸業者、紡績業者又は織物業者(織物の販売を業とする者で他の者に原料等を供給して織物の製造を委託するものを除く。以下この条及び第二十三条において同じ。)の製造する繊維製品に係るこれらの者の委託を受けて行う輸出のための製織加工、メリヤス加工、染色加工又は整理加工

 九 第六号に規定する加工を行う者の委託を受けて行う当該加工に係る物品の捺染加工

 十 外国航路において行う輸出貨物の運送

 十一 対外支払手段(第七条第五項に規定する対外支払手段をいう。以下この条において同じ。)を対価として行う運送(前号に掲げる運送を除く。)、修理、加工、建設請負又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)若しくは著作権(映画フイルムの上映権を含む。)の譲渡若しくは提供

2 次の各号に規定する取引が行われた場合には、前項の規定により必要な経費に算入する金額の計算の基礎となる当該取引による収入金額は、同項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる金額によるものとする。

 一 輸出業者が前項第二号又は第四号に掲げる取引をした場合において、当該取引に係る物品についての加工が他の者に委託されたものであるとき、又はその加工の対象となつた物品が他の者から購入されたものであるときは、当該取引による収入金額から当該委託又は購入によりこれらの者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 二 陶磁器の上絵付を行う者が前項第四号又は第五号に掲げる取引をした場合において、当該取引に係る陶磁器が他の者から購入した陶磁器の素地に上絵付をしたものであるときは、当該取引による収入金額から当該購入によりその者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 三 製糸業者、紡績業者又は織物業者が前項第四号又は第五号に掲げる取引をした場合において、当該取引に係る物品についての製織加エ、メリヤス加工、染色加工又は整理加工が他の者に委託されたものであるときは、当該取引による収入金額からその委託によりその者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 四 前項第六号に規定する加工を行う者が当該加工を行つた場合において、当該取引に係る物品についての捺染加工が他の者に委託されたものであるときは、当該取引による収入金額からその委託によりその者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 五 建設業者が対外支払手段を対価として建設請負を行つた場合において、当該建設請負に係る材料代、人夫賃等を対外支払手段により支出したときは、当該取引による収入金額から当該対外支払手段により支出した金額に相当する金額を控除した金額

3 第一項の規定により必要な経費に算入する金額の計算の基礎となる同項第一号、第二号、第四号、第十号又は第十一号に掲げる取引による収入金額は、当該取引に係る物品が輸出されたこと、当該取引が外国航路における輸出貨物の運送であつたこと又は当該運送、修理、加工、建設請負、譲渡若しくは提供が対外支払手段を対価としてされたものであることについて、また、所得税法第二十九条第一項又は第二項の規定に該当する場合における当該年分に係る第一項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引による収入金額は、これらの号に規定する物品が輸出されたことについて、それぞれ大蔵省令で定めるところにより証明されたものによる収入金額に限るものとする。

4 第一項の規定は、確定申告書等に同項の規定により必要な経費に算入される金額についてのその算入に関する記載があり、かつ、当該申告書に当該金額の計算に関する明細書の添附がある場合に限り、適用する。

 (輸出の証明がされない場合の総収入金額算入)

第二十二条 前条第一項の規定により同項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引に関し必要な経費に算入した金額がある場合において、これらの号に規定する物品のうちにこれらの号に掲げる取引の行われた日からその日の属する年の翌年十二月三十一日までの間に当該物品が輸出されたことについて大蔵省令で定める証明がされないものがあるときは、当該必要な経費に算入した金額のうち当該証明がされなかつた物品の取引に係る部分として政令で定めるところにより計算した金額は、当該翌年の事業所得の計算上、総収入金額に算入する。

2 前条第一項の規定により同項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引に関し必要な経費に算入した金額がある個人が所得税法第二十九条第一項又は第二項の規定に該当することとなる場合において、これらの号に掲げる物品のうちにこれらの号に規定する取引の行われた日から同条第一項から第三項までの規定による申告書の提出期限までに当該物品が輸出されたことについて大蔵省令で定める証明がされないものがあるときは、前項の規定にかかわらず、当該必要な経費に算入した金額のうち当該証明がされなかつた物品の取引に係る部分として政令で定めるところにより計算した金額は、当該申告書に係る年分の事業所得の計算上、総収入金額に算入する。

 (輸出取引となつた場合の特別控除)

第二十三条 青色申告書を提出する個人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十四年十二月三十一日までの間に次に掲げる取引(輸出のための販売又は加工を除く。)を行つた場合において、当該取引について当該取引の行われた日の属する年の翌年十二月三十一日までに大蔵省令で定める証明を受けたときは、当該取引を第二十一条第一項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引とみなして同項の規定を適用する。この場合において当該証明が当該取引の行われた日の属する年分に係る確定申告書又は損失申告書の提出後にされたときは、所得税法第二十七条第六項の規定にかかわらず、その証明のされた日の属する年の翌年一月一日からこれらの申告書の提出期限までに、更正の請求をすることができる。

 一 自己の製造した設備等若しくは第二十一条第一項第四号に規定する物品のその輸出を行う者又は輸出業者への販売

 二 輸出業者の委託を受けてする物品の加工

 三 陶磁器の上絵付を行う者への自己の製造した陶磁器の素地の販売

 四 製糸業者、紡績業者又は織物業者の委託を受けてする繊維製品についての製織加工、メリヤス加工、染色加工又は整理加工

 五 輸出業者の委託を受けて物品の加工を行う者の委託を受けてする当該加工に係る物品についての捺染加工

2 前項に規定する取引の行われた日の属する年又はその翌年において所得税法第二十九条第一項又は第二項の規定に該当する場合における前項の規定による証明又は更正の請求の期限は、政令で定めるところによる。

3 第二十一条第四項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第四項中「確定申告書等」とあるのは、「確定申告書等又は第二十三条第一項の規定による請求書」と読み替えるものとする。

     第四款 農業所得の免税

 (開墾地等の農業所得及び採塩所得の免税)

第二十四条 個人が、昭和二十八年一月一日から昭和三十二年十二月三十一日までの間に所得税法の施行地にある土地を開墾し、又は水面を埋め立て、若しくは干拓して、その土地を昭和三十三年十二月三十一日までに当該個人(その相続人を含む。)の耕作又は採塩(塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)第一条第一項又は第二項に規定する塩又はかん水の採取をいう。)以下この項において同じ。)の用に供したときは、その者には、その耕作又は採塩の用に供した日の属する年及びその翌年から五年間は、当該土地における米、麦その他政令で定める農産物の栽培又は採塩から生ずる所得に対する所得税を免除する。

2 前項の規定は、確定申告書等に同項の規定の適用を受けようとする旨及び当該所得の明細に関する事項の記載がない場合には、適用しない。

 (土地改良事業施行地の後作所得の免税)

第二十五条 個人が、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)に基く土地改良事業を施行し、その土地につき当該個人(その相続人を含む。)が昭和三十三年十二月三十一日までに水稲の後作として麦又は菜種の植付をした場合には、その者には、当該土地において当該土地改良事業の実施前三年間に水稲の後作として麦又は菜種の植付がされていた場合で政令で定める場合に該当するときを除くほか、当該植付をした日の属する年及びその翌年から三年間は、当該土地における当該麦又は菜種の植付により生じた所得に対する所得税を免除する。

2 前条第二項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

     第五款 その他の特例

 (社会保険診療報酬の所得計算の特例)

第二十六条 医業又は歯科医業を営む個人が、各年において、次の各号に掲げる給付又は医療若しくは助産につき支払を受けるべき金額がある場合には、その年分の事業所得の計算上、当該給付又は医療若しくは助産に係る経費として必要な経費に算入する金額は、所得税法第十条第二項の規定にかかわらず、当該支払を受けるべき金額の百分の七十二に相当する金額とする。

 一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)、日雇労仂者健康保険法(昭和二十八年法律第二百七号)、国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)、(船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)(防衛庁職員給与法(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十二条第一項においてその例によるものとされる場合を含む。以下この号において同じ。)、公共企業体職員等共済組合法(昭和三十一年法律第百三十四号)、市町村職員共済組合法(昭和二十九年法律第二百四号)、私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)、未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)、戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)又は原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(昭和三十二年法律第四十一号)の規定に基く療養の給付(健康保険法、日雇労働者健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法、公共企業体職員等共済組合法、市町村職員共済組合法又は私立学校教職員共済組合法の規定によつて家族療養費を支給し、負担し、又は支払うべき被扶養者に係る療養を含むものとする。)、助産の給付、更生医療の給付、育成医療の給付又は医療の給付

 二 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定に基く医療扶助のための医療又は出産扶助のための助産

 三 精神衛生法(昭和二十五年法律第百二十三号)又は結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の規定に基く医療

2 前項の規定は、確定申告書等に同項の規定により所得の金額を計算した旨の記載がない場合には、適用しない。

 (社会保険診療報酬の源泉徴収税率の軽減)

第二十七条 前条第一項に規定する個人が同項各号に掲げる給付又は医療につき支払を受けるべき金額に対する所得税法第四十二条第二項の規定の適用については、同項に規定する百分の十の税率は、百分の五の税率とする。

 (重要外国技術の使用料についての税率の軽減)

第二十八条 非居住者又は所得税法の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人が、重要外国技術を提供することにより支払を受ける使用料に対する同法第十七条、第十八条第一項及び第二項並びに第四十一条の規定の適用については、これらの規定に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

2 前項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者が、大蔵省令で定めるところにより、その所得の支払をする者の備え付ける帳簿にその氏名又は名称、住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地、同項に規定する重要外国技術の使用契約に関する事項その他必要な事項の登載を受けた場合において、その登載を受けている期間に限り、適用する。

3 第一項に規定する重要外国技術とは、同項に規定する者の有する工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)のうち日本経済の健全な発展のために外国技術の導入を緊急に必要とする事業として政令で定めるものの用に直接供するもので所得税法の施行地外で取得したものをいう。

    第三節 給与所得

 (国内に住所のない特定居住者の給与所得の収入金額の特例)

第二十九条 所得税法の施行地に住所を有しない居住者のうち次の各号に規定する者の昭和三十一年から昭和三十五年までの各年における同法の施行地における勤務により支払を受ける当該各号に掲げる給与所得については、同法の施行地における支払による収入金額を当該給与所得に係る収入金額として、同法の規定を適用する。

 一 日本経済の健全な発展に資するものとして大蔵大臣の指定する事業を営む法人その他の団体に勤務する者が、当該法人その他の団体から支払を受ける給与所得

 二 学術の研究、教育の普及その他公益を目的とする事業を行う法人その他の団体で国際文化の交流に資するものとして大蔵大臣の指定するものに勤務する者が、当該法人その他の団体から支払を受ける給与所得

 三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学又は高等学校(学校教育法第九十八条の従前の規定による大学、大学予科又は専門学校を含む。)の教員が、これらの学校の教員として支払を受ける給与所得

 四 牧師その他宗教の布教に従事する者が、その所属する宗教上の組織から支払を受ける給与所得

2 前項に規定する各年において同項各号に規定する者が所得税法の施行地外から送金を受領した場合には、その受領した金額のうち同項各号に掲げる給与所得の収入金額で同法の施行地外において支払われた金額に達するまでの金額に相当する金額は、同項の規定の適用については、同項各号に掲げる給与所得の同法の施行地における支払による収入金額とみなす。この場合において、同法第二条第二項の規定との調整に関し必要な事項は、政令で定める。

3 第一項各号に規定する者の生活に通常必要な金額として大蔵大臣の定める金額が所得税法の施行地における支払による同項各号に掲げる給与所得の収入金額(前項の規定により所得税法の施行地における支払による収入金額とみなされる金額を含むものとし、その者が総所得金額、退職所得の金額又は山林所得の金額の計算の基礎となる同法第九条第一項第一号から第四号まで又は第六号から第十号までの所得を有するときは、これらの号に規定する所得の金額を、その者が第一項各号に掲げる給与所得以外の給与所得を有するときは、当該給与所得の収入金額を、それぞれ加算した金額とする。)をこえる場合には、そのこえる金額のうち同法の施行地外で支払われた同項各号に掲げる給与所得の収入金額(前項の規定により所得税法の施行地における支払による収入金額とみなされた金額があるときは、当該金額に相当する金額を控除した金額)は、第一項の規定の適用については、同項各号に掲げる給与所得の同法の施行地における支払による収入金額とみなす。

4 第一項各号に規定する者の昭和三十二年から昭和三十五年までの各年の所得税法の施行地における支払による同項各号に掲げる給与所得の収入金額(前二項の規定により所得税法の施行地における支払による収入金額とみなされる金額を含む。)がその年中の当該各号に掲げる給与所得の収入金額の百分の六十(昭和三十三年にあつては百分の七十、昭和三十四年にあつては百分の八十、昭和三十五年にあつては百分の九十)に相当する金額に満たない場合には、その満たない金額に相当する金額は、同項の規定の適用については、当該各年における同項各号に掲げる給与所得の同法の施行地における支払による収入金額とみなす。

5 第一項各号に規定する者の同項に規定する各年における所得税については、所得税法第二十六条第一項ただし書(所得税法第二十九条第一項又は第二項において準ずるものとされる場合を含む。)の規定は、適用しない。

6 第一項の規定は、確定申告書等に、第一項の規定の適用を受けようとする旨、同法の施行地外において支払を受ける給与所得の収入金額その他大蔵省令で定める事項の記載がない場合には、適用しない。

    第四節 山林所得及び譲渡所得

     第一款 山林所得の概算経費控除

 (山林所得の概算経費控除)

第三十条 個人が、昭和二十一年三月三日から引き続き所有していた山林を伐採し、又は譲渡した場合において、当該伐採又は譲渡による山林所得の計算上、総収入金額から控除すべき植林費、取得費、管理費、伐採費その他の必要な経費の金額は、所得税法第十条第二項及び第三項並びに第十条の四第一項の規定にかかわらず、当該伐採又は譲渡による収入金額(当該伐採又は譲渡に関し、伐採費、運搬費その他の大蔵省令で定める経費を要したときは、当該経費の金額を控除した金額)に第五項の規定により定められた割合を乗じて算出した金額(その控除した金額があるときは、当該金額を加算した金額)とすることができる。

2 前項の規定の適用については、相続、包括遺贈又は被相続人からの遺贈により取得した山林は、相続人又は包括受遺者が引き続き所有していたものとみなす。ただし、昭和二十五年四月一日から昭和二十六年十二月三十一日までの間に相続若しくは被相続人からの遺贈(包括遺贈を除く。)により取得した山林又は昭和二十五年四月一日から昭和二十八年十二月三十一日までの間に包括遺贈により取得した山林については、この限りでない。

3 第一項の規定は、確定申告書等に、同項の規定の適用を受ける旨の記載がない場合には、適用しない。

4 資産再評価法第九条の規定は、第一項の規定の適用があつた山林については、適用しない。

5 第一項の規定により同項に規定する伐採又は譲渡による収入金額に乗ずべき割合は、山林について通常要すべき植林費、取得費、管理費その他の必要な経費の金額の合計額を基礎とし、山林の譲渡により通常課されるべき再評価税額を考慮に入れて、大蔵省令で定める。

     第二款 収用等の場合の譲渡所得等の課税の特例

 (収用等の場合の譲渡所得等の計算上の再評価額の特例)

第三十一条 資産再評価法第三条に規定する基準日において個人の有する資産(所得税法第十条の二第一項に規定するたな卸をすべき資産を除く。以下この条において同じ。)で次の各号に規定するものが当該各号に該当することとなつた場合には、当該資産のうちに同法第八条第二項又は第九条に規定する資産以外のものがあるときは、これらの規定に規定する資産の譲渡があつたものとみなしてこれらの規定を適用し、これらの資産についてこれらの規定により行われたものとみなされる再評価の再評価額は、当該各号に規定する補償金又は対価の額(第一号又は第二号に掲げる場合において当該資産が所得税法第十条の五に規定する資産であるときは、資産再評価法第四十二条第三項本文に規定する減価の価額を加算した金額)とする。

 一 資産が土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)、河川法(明治二十九年法律第七十一号)、都市計画法(大正八年法律第三十六号)、不良住宅地区改良法(昭和二年法律第十四号)、水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)、土地改良法、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)、その他政令で定めるその他の法令(以下第三十三条までにおいて「土地収用法等」という。)の規定に基いて収用され、補償金を取得する場合

 二 資産について買取の申出を拒むときは土地収用法等の規定に基いて収用されることとなる場合において、当該資産が買い取られ、対価を取得するとき。

 三 土地、土地の上に存する権利その他の資産が農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の規定に基いて買収され、対価を取得する場合

 四 保安林整備臨時措置法(昭和二十九年法律第八十四号)第四条第一号又は第二号に掲げる森林等が同条の規定に基いて買い入れられ、又は同法第六条の規定に基き買い取られ、対価又は補償金を取得する場合

 五 資産が土地収用法等の規定により収用された場合(第二号の規定に該当する買取があつた場合を含む。)において、当該資産に関して有する所有権以外の権利が消滅し、補償金又は対価を取得するとき。

2 前項第一号、第四号又は第五号に規定する補償金の額は、名義がいずれであるかを問わず、資産の収用、買入、買取又は消滅の対価たる金額をいうものとし、収用、買入、買取又は消滅に際して交付を受ける移転料その他当該資産の収用、買入、買取又は消滅の対価たる金額以外の金額を含まないものとする。

3 第一項の規定は、同項の規定の適用を受ける資産の再評価に係る資産再評価法第四十七条第一項の規定による申告書に、第一項の規定の適用を受けようとする旨の記載がない場合には、適用しない。

 (換地処分等の場合の譲渡所得等の計算上の再評価額の特例)

第三十二条 資産再評価法第三条に規定する基準日において個人が有する資産で次の各号に規定するものが当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、政令で定めるところにより、当該各号に規定する収用、買取、換地処分又は交換に係る従前の土地、土地の上に存する権利、立木又は森林等のうちこれらの号に規定する補償金又は清算金の額に対応する部分についてのみ譲渡があつたものとみなし、その譲渡があつたものとみなされた部分の土地、土地の上に存する権利、立木又は森林等について前条の規定を適用する。この場合において、同条第一項中「補償金又は対価」とあるのは、「補償金、対価又は清算金」とする。

 一 土地、土地の上に存する権利又は立木につき土地収用法等の規定による収用があつた場合(前条第一項第二号の規定に該当する買取があつた場合を含む。)において、土地、土地の上に存する権利又は立木とともに補償金又は対価を取得するとき。

 二 土地又は土地の上に存する権利につき土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業又は土地改良法による土地改良事業が施行された場合において、当該土地又は土地の上に存する権利に係る換地処分又は交換により清算金を取得するとき。

 三 保安林整備臨時措置法第四条第一号又は第二号に掲げる森林等が国有林野と交換された場合において、当該交換により清算金を取得するとき。

 (収用等に伴い土地等を取得した場合の譲渡所得等の非課税)

第三十三条 個人の有する資産で次の各号に規定するものが当該各号に掲げる場合に該当することとなつた場合(当該各号に規定する土地、土地の上に存する権利、立木又は森林等とともに補償金、対価又は清算金を取得する場合を含む。)には、政令で定めるところにより、当該各号に規定する収用、買取、換地処分又は交換に係る従前の土地、土地の上に存する権利、立木又は森林等は、所得税法第九条第一項及び資産再評価法第九条の規定の適用については、当該補償金、対価又は清算金の額に対応する部分を除くほか、譲渡がなかつたものとみなす。

 一 土地、土地の上に存する権利若しくは立木につき土地収用法等による収用があつた場合(第三十一条第一項第二号の規定に該当する買取があつた場合を含む。)又は土地区画整理法による土地区画整理事業若しくは土地改良法による土地改良事業が施行された場合において、当該収用、買取、土地区画整理事業又は土地改良事業に係る土地、土地の上に存する権利又は立木に換えて他の土地、土地の上に存する権利又は立木を取得するとき。

 二 保安林整備臨時措置法第四条各号に掲げる森林等が国有林野と交換された場合において、当該森林等に換えて他の森林等を取得するとき。

 (収用等により譲渡した財産に換えて取得した財産の取得価額等)

第三十四条 前条の規定の適用を受けた個人が、同条に規定する収用、買取、換地処分若しくは交換により取得した財産を譲渡し、若しくは遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く。以下第三十九条までにおいて同じ。)若しくは贈与の目的とした場合において、山林所得若しくは譲渡所得を計算するとき、又は当該財産について資産再評価法第九条の規定により再評価を行うときは、政令で定めるところにより、当該収用、買取、換地処分又は交換により譲渡した財産のうち前条の規定により譲渡がなかつたものとみなされた部分の取得の時期及び取得価額を、当該譲渡し、又は遺贈若しくは贈与の目的とした財産の取得の時期及び取得価額とみなす。

     第三款 居住用財産等の買換の場合の譲渡所得の課税の特例

 (居住用財産等の買換の場合の譲渡所得の金額の計算)

第三十五条 個人が、居住用財産、耕作用財産又は採塩用財産を譲渡し、当該譲渡の日前一年の期間又は当該譲渡の日の属する年の十二月三十一日までに当該個人の居住、耕作又は採塩の用に供するこれらの財産で所得税法の施行地にあるものを取得し、当該取得の日から一年以内にこれらの用に供した場合(当該期間内にその者のこれらの用に供さなくなつた場合を除く。)又は供する見込である場合には、政令で定めるところにより、その譲渡したこれらの財産の譲渡による譲渡所得の金額は、次の各号に規定する場合に応じ、当該各号に定めるところによる。

 一 当該譲渡に係る財産の譲渡による収入金額が当該取得に係る財産の取得価額をこえる場合には、当該譲渡に係る財産のうちそのこえる金額に相当する部分の譲渡があつたものとして政令で定めるところにより計算した金額とする。

 二 当該譲渡に係る財産の譲渡による収入金額が当該取得に係る財産の取得価額に等しい場合又はその取得価額に満たない場合には、ないものとする。

2 前項の規定は、個人が、その有する同項に規定する財産を譲渡し、その譲渡の日の属する年の翌年で当該譲渡の日から一年以内に当該個人の居住、耕作又は採塩の用に供する当該財産で所得税法の施行地にあるものを取得し、かつ、当該取得の日から一年以内にこれらの用に供する見込である場合において、大蔵省令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときについて準用する。この場合において、同項各号中「取得価額」とあるのは、「税務署長の承認を受けた取得価額の見積額」と読み替えるものとする。

3 前二項の規定は、これらの規定の適用を受けようとする者の第一項に規定する財産を譲渡した日の属する年分の確定申告書等に、これらの規定の適用を受けようとする旨並びに譲渡した当該財産の譲渡価額、取得し、又は取得しようとする当該財産の明細及びその取得価額又はその見積額その他大蔵省令で定める事項の記載がない場合には、適用しない。

4 第一項に規定する次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 居住用財産 居住の用に供する家屋、当該家屋の敷地に供される土地及び当該土地の上に存する権利をいう。

 二 耕作用財産 耕作の用に供する土地及び当該土地の上に存する耕作に関する権利をいう。

 三 採塩用財産 塩田、塩田の上に存する採塩に関する権利及び塩田の附属設備で大蔵省令で定めるものをいう。

 (居住用財産等を取得した場合の更正の請求、修正申告等)

第三十六条 個人が、前条第一項に規定する居住用財産、耕作用財産又は採塩用財産を譲渡し、その譲渡の日の属する年の翌年で当該譲渡の日から一年以内に当該個人の居住、耕作又は採塩の用に供するこれらの財産で所得税法の施行地にあるものを取得し、その取得の日から一年以内にこれらの用に供した場合(当該期間内にその者のこれらの用に供さなくなつた場合を除く。)において、当該譲渡のあつた日の属する年分の所得税の額が当該譲渡したこれらの財産について同項の規定を適用して計算した場合の所得税の額に比して過大となつたときは、同条第二項の規定の適用があつた場合を除くほか、当該個人は、当該財産をこれらの用に供することとなつた日から四月以内に、納税地の所轄税務署長に対し、更正の請求をすることができる。

2 前条第一項の規定の適用を受けた者は、同項に規定する財産を取得した日から一年以内に、当該財産をその居住、耕作若しくは採塩の用に供しない場合又はこれらの用に供さなくなつた場合には、これらの事由に該当することとなつた日から四月以内に修正申告書を提出しなければならない。

3 前条第二項の規定の適用を受けた者は、次の各号の一に該当する場合には、第一号に該当する場合で過大となつた場合にあつては、当該財産を取得した日から四月以内に更正の請求をすることができるものとし、同号に該当する場合で不足額を生ずることとなつた場合又は第二号に該当する場合にあつては、当該財産を取得した日又は第二号の事由が生じた日から四月以内に修正申告書を提出しなければならないものとする。

 一 前条第一項に規定する財産を取得した場合において、その取得価額が同条第二項に規定する税務署長の承認を受けた取得価額の見積額に対して過不足額があるとき。

 二 前条第一項に規定する財産を同項に規定する期間内に、取得せず、その者の居住、耕作若しくは採塩の用に供せず、又はこれらの用に供さなくなつたとき。

4 第二項若しくは前項第二号の規定に該当する場合又は同項第一号に規定する不足額を生ずることとなつた場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、所得税法第四十四条の規定により所得金額及び所得税額を更正する。

 (買換に係る居住用財産等の譲渡の場合の取得価額の計算)

第三十七条 第三十五条第一項若しくは第二項又は前条第一項の規定の適用を受け、譲渡所得の計算について特例を認められた者(前条第二項若しくは第三項の規定による修正申告書を提出し、又は同条第四項の規定による更正を受けたため、当該特例を認められないこととなつた者を除く。)が、当該特例を認められる基因となつた第三十五条第一項若しくは第二項又は前条第一項に規定するその者の取得した財産(以下この条において「取得財産」という。)について所得税法第十条第二項の規定により減価償却費の額を計算する場合又は当該取得の日以後当該財産の譲渡、遺贈若しくは贈与があつた場合において譲渡所得を計算するときは、政令で定めるところにより、当該特例を認められたこれらの規定に規定するその者が譲渡した財産(以下この条において「譲渡財産」という。)の取得の時期をその譲渡、遺贈又は贈与があつた取得財産の取得の時期とし、その取得価額は、次の各号に規定する場合に応じ、当該各号に掲げる金額(譲渡財産の譲渡に関する経費があるときは、政令で定めるところにより計算した当該経費の金額を加算した金額)とする。

 一 譲渡財産の譲渡による収入金額が取得財産の取得価額をこえる場合には、譲渡財産の取得価額のうちそのこえる金額に対応する部分以外の部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額

 二 譲渡財産の譲渡による収入金額が取得財産の取得価額に等しい場合には、譲渡財産の取得価額に相当する金額

 三 譲渡財産の譲渡による収入金額が取得財産の取得価額に満たない場合には、譲渡財産の取得価額にその満たない金額を加算した金額に相当する金額

 (居住用財産等の交換の場合の譲渡所得の非課税)

第三十八条 個人が、所得税法の施行地にある第三十五条第一項に規定する居住用財産、耕作用財産又は採塩用財産を同種の他のこれらの財産と交換した場合において、当該交換により金銭その他当該居住用財産、耕作用財産又は採塩用財産以外の財産の授受が行われなかつたときは、同項の規定を適用せず、所得税法第九条第一項第八号又は資産再評価法第八条第二項若しくは第九条の規定の適用については、当該居住用財産、耕作用財産又は採塩用財産の譲渡がなかつたものとみなす。

2 前項の規定の適用を受けた交換により取得した居住用財産、耕作用財産若しくは採塩用財産について所得税法第十条第二項の規定により減価償却費の額を計算する場合又は当該交換後これらの財産の譲渡、遺贈若しくは贈与があつた場合において譲渡所得を計算するとき、若しくは資産再評価法第八条第二項若しくは第九条に規定する再評価を行うときは、これらの財産と交換した財産の取得の時期及び取得価額(当該交換に関する経費があるときは、当該経費の金額を加算した金額)をその取得の時期及び取得価額とみなす。

 (国有機械等との交換の場合の譲渡所得の非課税)

第三十九条 個人がその機械又は器具を国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第九条第一項の規定により国の所有する機械又は器具と交換した場合には、所得税法第九条第一項第八号の規定の適用については、当該機械又は器具の譲渡がなかつたものとみなす。

2 前条第二項の規定は、前項の規定の適用を受けた交換により取得した機械若しくは器具について所得税法第十条第二項の規定により減価償却費の額を計算する場合又は当該機械若しくは器具の譲渡、遺贈若しくは贈与があつた場合において譲渡所得を計算するときについて準用する。この場合において、当該交換に際して当該交換により譲渡した機械又は器具のほか、金銭その他の財産を提供したときは、当該交換により取得した機械又は器具の取得価額は、当該交換の時において、当該金銭その他の財産の価額に相当する金額の増額がされたものとみなす。

     第四款 その他の特例

 (国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税)

第四十条 国又は地方公共団体に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合には、所得税法第五条の二第一項並びに資産再評価法第八条第二項及び第九条の規定の適用については、当該財産の贈与又は遺贈がなかつたものとみなす。民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人その他の公益を目的とする事業を営む法人に対する財産の贈与又は遺贈(当該法人を設立するためにする財産の提供を含む。以下この条において同じ。)で政令で定めるところにより大蔵大臣の承認を受けたものについても、また同様とする。

2 前項後段の規定の適用を受けて贈与又は遺贈があつた場合において、当該贈与又は遺贈のあつた後、当該贈与若しくは遺贈を受けた法人が同項に規定する政令で定めるものに該当しないこととなつた場合又は当該贈与若しくは遺贈に係る財産が当該財産を受けた法人の目的とする事業の用に供されないこととなつたときは、大蔵大臣は、その承認を取り消すことができる。この場合には、その承認が取り消された時において、政令で定めるところにより、同項に規定する贈与又は遺贈があつたものとみなす。

 (物納による譲渡所得等の非課税)

第四十一条 個人がその財産を相続税法の規定により物納した場合には、所得税法第九条第一項第七号又は第八号の規定の適用については、当該財産の譲渡がなかつたものとみなす。

   第三章 法人税法の特例

    第一節 減価償却の特例

 (重要機械等の三年間五割増償却)

第四十二条 法人(法人税法第一条第二項に規定する人格のない社団等で同法の適用を受けるものを含む。以下この章において同じ。)で青色申告書を提出するものが、第十条第一項に規定する政令で定める機械その他の設備及び船舶(以下この条において「重要機械等」という。)につき同項に規定する政令で定める期間内に、重要機械等でその製作後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は重要機械等を製作して、これを当該法人の事業の用に供した場合には、その用に供した日以後三年以内の日を含む各事業年度の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該重要機械等の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、その用に供した日以後三年間を限り、これらの規定により計算される当該重要機械等の償却範囲額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を控除した金額)の百分の百五十に相当する金額(その控除した償却不足額に相当する金額があるときは、当該金額を加算した金額)とする。

2 前項の規定の適用については、法人税法及び同法に基く命令に定める償却不足額は、法人の各事業年度開始の日前三年以内に開始した事業年度(当該各事業年度まで連続して青色申告書を提出している場合に係る事業年度に限る。)において当該重要機械等についてした償却の額が同項の規定により計算した償却範囲額(この項の規定による償却不足額があるときは、当該償却不足額を加算する前の金額)に達しない場合のその差額の合計額のうちその償却不足額を生じた事業年度の翌事業年度から当該事業年度の直前の事業年度までの所得の計算上、総益金から控除されなかつた金額とする。

3 第一項の規定は、確定申告書等に同項に規定する償却範囲額の計算に関する明細書の添附がない場合には、適用しない。

 (合理化機械等の初年度二分の一償却)

第四十三条 青色申告書を提出する法人で企業合理化促進法第六条に規定する政令で定める重要産業に属する事業を営むものが、第十一条第一項に規定する政令で定める機械その他の設備(以下この条において「合理化機械等」という。)につき同項に規定する政令で定める期間内に、合理化機械等でその製作後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は合理化機械等を製作して、これを当該法人の当該事業の用に供した場合には、その用に供した日を含む事業年度の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該合理化機械等の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、当該合理化機械等の取得価額の二分の一に相当する金額とする。

2 前条第一項の規定は、合理化機械等については適用しない。

3 前条第三項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。

 (試験研究用機械設備等の特別償却)

第四十四条 企業合理化促進法第三条に規定する試験研究を行う法人が、同法第四条第一項の規定による承認を受けた場合において、その承認を受けた日から一年以内に、その承認を受けた機械設備等を取得し、又は製作して、その承認を受けた試験研究の用に供したときは、その用に供した日以後三年以内の日を含む各事業年度の当該機械設備等の償却範囲額は、法人税法及び同法に基く命令の規定にかかわらず、その用に供した日以後三年以内でその用に供している期間に限り、当該機械設備等を取得し、又は製作するために要した金額の百分の九十に相当する金額に当該事業年度の月数のうちの当該期間の月数を乗じてこれを三十六で除して計算した金額とする。

2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月未満の端数を生じたときは、これを一月とする。

3 第四十二条第三項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。

 (協同事業用機械等の三年間五割増償却)

第四十五条 青色申告書を提出する農業協同組合、農業協同組合連合会、中小企業等協同組合(企業組合を除く。)、塩業組合、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、森林組合(法人税法第九条第六項の規定の適用を受けない森林組合を除く。以下第五十九条第一項において同じ。)及び森林組合連合会が、昭和三十二年四月一日以後最初に開始する事業年度開始の日から昭和三十三年八月一日を含む事業年度の直前の事業年度終了の日までの間に、協同事業の経営の合理化に資する機械その他の設備で政令で定めるもの(以下この項において「協同事業用機械等」という。)のうちその製作後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は協同事業用機械等を製作して、これを当該法人の事業の用に供した場合には、その用に供した日以後三年以内の日を含む各事業年度の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該協同事業用機械等の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、その用に供した日以後三年間を限り、これらの規定により計算される当該協同事業用機械等の償却範囲額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を控除した金額)の百分の百五十に相当する金額(その控除した償却不足額に相当する金額があるときは、当該金額を加算した金額)とする。

2 第四十二条第二項及び第三項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

 (新築貸家住宅の割増償却)

第四十六条 法人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に、法人税法の施行地において、新築した貸家住宅で第十三条第一項に規定する政令で定めるものを取得し、又は当該貸家住宅を新築して、これを貸家の用(当該法人の従業員の居住の用を含む。以下この項において同じ。)に供した場合には、当該法人の貸家の用に供した日以後五年以内の日を含む各事業年度の同法及びこれに基く命令の規定により計算される当該貸家住宅の償却範囲額は、その貸家の用に供した日以後五年以内でその用に供している期間に限り、これらの規定により計算される当該貸家住宅の償却範囲額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を控除した金額)の百分の二百(当該貸家住宅についてその新築の時において法人税法の規定により定められている耐用年数が五十年以上であるときは、百分の三百)に相当する金額(その控除した償却不足額に相当する金額があるときは、当該金額を加算した金額)とする。

2 第四十二条第二項及び第三項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第二項中「三年」とあるのは、「五年」と読み替えるものとする。

 (満期保険に附した漁船の特別償却)

第四十七条 法人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に、その有する総トン数百トン未満の漁船につき漁船損害補償法第三条に規定する満期保険の保険料を支払つた場合において、その支払つた金額のうち同法第百十三条の十一に規定する積立保険料に相当する金額がその支払つた日を含む事業年度における法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該漁船の償却範囲額をこえるときは、当該漁船の当該事業年度の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、当該漁船の減価償却費の額の累計額がその取得価額の百分の九十に相当する金額に達するまでは、その支払金額のうち当該積立保険料に相当する金額とする。

2 第四十二条第三項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

 (探鉱用機械設備等の特別償却)

第四十八条 青色申告書を提出する法人で鉱業を営むものが、昭和三十二年四月一日から昭和三十六年十二月三十一日までの間(以下この条において「指定期間」という。)に、第十五条第一項に規定する政令で定める探鉱用機械設備を取得し、又は製作して、これを新鉱床の探鉱の用に供した場合には、その用に供した日を含む事業年度の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該探鉱用機械設備の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、当該探鉱用機械設備の取得価額の百分の九十に相当する金額とする。

2 前項に規定する法人が、指定期間内に、新鉱床の探鉱のために支出した金額(当該金額を支出した日を含む事業年度終了の日までに探鉱を打ち切り、かつ、その探鉱により採掘可能の鉱量を発見するに至らなかつた場合における当該探鉱のために当該事業年度において支出した金額及び鉱業権以外の固定資産の取得のために支出した金額を除く。)又は新鉱床の鉱業権を他から購入するために支出した金額がある場合において、その支出した金額につき一円を下らない価額を帳簿価額として財産目録に記載したときは、その支出金額と財産目録に記載した価額との差額に相当する金額は、その支出の日を含む事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

3 青色申告書を提出する法人で金属鉱業( 硫黄鉱業を含む。)のうち政令で定めるもの(以下この項において「金属鉱業等」という。)を営むものが、指定期間内の日を含む各事業年度において、第一項に規定する探鉱用機械設備のうち金属鉱業等に係るものの取得又は新鉱床(金属鉱業等に係るものに限る。以下この項において同じ。)の探鉱若しくは新鉱床の鉱業権の購入のために支出する金額の合計額(以下次項において「探鉱費総額」という。)で当該事業年度の指定期間内の支出に係るものが基準年度の探鉱費額に当該事業年度の指定期間の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額をこえる場合には、当該法人の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該事業年度の期間のうち指定期間の金属鉱業等に係る鉱業権の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、当該償却範囲額とそのこえる金額との合計額(当該合計額が昭和三十二年四月一日を含む事業年度の直前の事業年度終了の日における金属鉱業等に係る鉱業権の帳簿価額の合計額に指定期間内の日を含む当該事業年度の指定期間の月数を乗じてこれを政令で定める数で除して計算した金額をこえるときは、当該金額)とする。

4 前項に規定する基準年度の探鉱費額とは、同項に規定する法人が昭和三十二年四月一日を含む事業年度開始の日前三年以内に開始した各事業年度において支出した探鉱費総額の合計額を当該各事業年度の月数の合計で除して計算した金額に十二を乗じて計算した金額をいう。

5 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。

6 第四項に規定するもののほか、同項の基準年度の探鉱費額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

7 第四十二条第三項の規定は、第一項又は第三項の規定を適用する場合について準用する。

8 第二項の規定は、確定申告書等に同項に規定する支出金額の損金算入に関する申告の記載がない場合には、適用しない。

 (鉱業用坑道等の特別償却)

第四十九条 青色申告書を提出する法人で鉱業を営むものが、昭和三十二年四月一日から昭和三十六年十二月三十一日までの間に、採掘場所の深部移行又は坑内条件の悪化に対処しその生産を維持するために必要な次に掲げる資産で政令で定めるものを取得し、又は製作して、これを当該法人の事業の用に供した場合には、その取得又は製作のために支出した金額以下の金額で当該法人が損金に算入したものは、その用に供した日を含む事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

 一 坑内において掘さくされる坑道

 二 坑内において施設される軌条、動力線、排水管その他の機械及び装置

 三 坑内において使用される車両及び運搬具並びに工具、器具及び備品

2 前項に規定する法人が、同項に規定する期間内に、坑外から掘さくされる通気坑道又は排水坑道で政令で定めるものを取得してこれを当該法人の事業の用に供した場合には、その用に供した日を含む事業年度以後の各事業年度(当該通気坑道又は排水坑道について第四十二条第一項又は第四十三条第一項の規定の適用を受ける事業年度を除く。)の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該通気坑道又は排水坑道の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、政令で定める年数をその耐用年数として定額法により計算した額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を加算した金額)とすることができる。

3 前条第八項の規定は、第一項の規定を適用する場合について、第四十二条第三項の規定は、第二項の規定を適用する場合について、それぞれ準用する。

 (造林費の特別償却)

第五十条 青色申告書を提出する法人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十六年十二月三十一日までの間に、天然林を人工林(植栽又は播種によつて育成する森林をいう。)に転換するため、又は原野に造林を行うために必要な地ごしらえ若しくは治山の工事をし、又は造林のために使用される歩道を設けた場合には、これらの工事をした日を含む事業年度及びその翌事業年度以後の各事業年度において、これらの工事のために支出した金額につき政令で定めるところにより固定資産の償却額の計算に準じて計算した金額以下の金額で当該法人が損金に算入したものは、これらの事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

2 前項に規定する地ごしらえ及び治山の工事並びに歩道の範囲は、政令で定める。

3 第四十八条第八項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。

 (海外支店用設備等の特別償却)

第五十一条 青色申告書を提出する法人で第十七条第一項に規定する事業を営むものが、昭和二十八年八月一日以後最初に終了する事業年度開始の日から昭和三十三年八月一日を含む事業年度の直前の事業年度終了の日までの間に、法人税法の施行地外に事業所を設け、同項に規定する政令で定める機械及び装置、車両及び運搬具その他の資産(以下この項において「海外支店用設備」という。)を取得して、これを当該事業所の事業の用に供した場合には、その用に供した日を含む事業年度の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該海外支店用設備の償却範囲額は、これらの規定にかかわらず、当該海外支店用設備の取得価額の二分の一に相当する金額とする。

2 前項に規定する法人が、同項に規定する期間内に、同項に規定する事業所に係る建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)及び構築物を取得して、これを当該事業所の事業の用に供した場合には、その用に供した日以後五年以内の日を含む各事業年度の法人税法及び同法に基く命令の規定により計算される当該建物及び構築物の償却範囲額は、その用に供した日以後五年間を限り、これらの規定により計算される当該建物及び構築物の償却範囲額(これらの規定に定める償却不足額があるときは、当該償却不足額に相当する金額を控除した金額)の百分の百五十に相当する金額(その控除した償却不足額に相当する金額があるときは、当該金額を加算した金額)とする。

3 第一項に規定する法人が、同項に規定する期間内に、同項に規定する事業所の用に供する土地又は家屋を賃借するため権利金を支出した場合において、その支出した金額に満たない金額を当該権利金の帳簿価額として財産目録に記載したときは、その支出した金額と財産目録に記載された価額との差額に相当する金額は、その支出金額の二分の一に相当する金額を限度として、その支出の日を含む事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

4 第四十二条第二項の規定は、第二項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第二項中「三年」とあるのは、「五年」と読み替えるものとする。

5 第四十二条第三項の規定は、第一項及び第二項の規定を適用する場合について、第四十八条第八項の規定は、第三項の規定を適用する場合について、それぞれ準用する。

 (重油ボイラーの改造費の特別償却)

第五十二条 青色申告書を提出する法人が、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律第四条の規定による指定に基いて、昭和三十三年三月三十一日までに、同法第二条に規定する重油ボイラーを当該重油ボイラー以外のボイラーに改造した場合には、その改造のために支出した金額のうち当該法人がその支出の日を含む事業年度の費用として損金に算入した金額は、当該事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

2 第四十八条第八項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

    第二節 準備金

 (価格変動準備金勘定への繰入金額の損金算入)

第五十三条 青色申告書を提出する法人が、各事業年度(解散又は合併により消滅した法人の解散又は合併の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において、法人税法第九条の七に規定するたな卸をすべき資産(有価証券を除く。以下この条において「たな卸資産」という。)又は証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項及び第二項に規定する有価証券(以下この条において「有価証券」という。)の価格の低落による損失に備えるため、その有するたな卸資産又は有価証券の評価方法の区分に従い次の各号に定めるところにより計算した金額の合計額(当該合計金額が当該事業年度の所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額をこえるときは、当該金額。以下この条において「繰入限度額」という。)以下の金額を価格変動準備金勘定に繰り入れたときは、当該繰入金額は、当該繰入をした事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

 一 後入先出法による原価法又は後入先出法により算出した取得価額を基礎とする低価法により評価されるたな卸資産及びたな卸をすべき有価証券については、次のイ及びロに掲げる金額の合計額

  イ 当該事業年度終了の日におけるたな卸資産の帳簿価額の合計額が同日における当該たな卸資産の価額の百分の九十二に相当する金額の合計額をこえる場合のそのこえる金額

  ロ 当該事業年度終了の日におけるたな卸をすべき有価証券の帳簿価額の合計額が同日における当該有価証券の価額(証券取引所に上場されているものについては、証券取引法第百二十二条第二項の規定により公表された同日前一月間の毎日の最終価格の平均額。以下この項において同じ。)の百分の九十六(株式については、百分の九十二)に相当する金額の合計額をこえる場合のそのこえる金額

 二 前号に規定する方法以外の評価方法により評価されるたな卸資産及びたな卸をすべき有価証券については、次のイ及びロに掲げる金額の合計額

  イ 当該事業年度終了の日におけるたな卸資産の帳簿価額の合計額から当該合計額又は同日における当該たな卸資産の価額の合計額のうちいずれか少い金額の百分の九十二に相当する金額を控除した金額

  ロ 当該事業年度終了の日におけるたな卸をすべき有価証券の帳簿価額の合計額から当該合計額又は同日における当該有価証券の価額の合計額のうちいずれか少い金額の百分の九十六(株式については、百分の九十二)に相当する金額を控除した金額

 三 たな卸をすべき有価証券以外の有価証券については、当該事業年度終了の日における有価証券の帳簿価額の合計額が同日における当該有価証券の価額の百分の九十六(株式については、百分の九十二)に相当する金額の合計額をこえる場合のそのこえる金額

2 前項第一号イ又は第二号イに掲げる金額は、当該たな卸資産を政令で定める事業の種類ごとに区分し、又は更に商品若しくは製品、半製品若しくは仕掛品、主要原材料、補助原材料その他のたな卸資産に区分して計算することができもるのとし、同項第一号ロ、第二号ロ又は第三号に掲げる金額は、当該有価証券を株式と株式以外の有価証券とに区分して計算するものとする。

3 第一項の規定により法人税法の所得の計算上損金に算入された価格変動準備金勘定の金額は、その翌事業年度の同法の規定による所得の計算上、益金に算入する。

4 第一項の規定は、確定申告書等に価格変動準備金勘定に繰り入れた金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該確定申告書等にその事業年度の繰入限度額の計算に関する明細書の添附がある場合に限り、適用する。

 (輸出損失準備金勘定への繰入金額の損金算入)

第五十四条 青色申告書を提出する法人で貿易業を営むものが、第二十条第一項に規定する政令で定める事由による損失に備えるため、昭和二十八年八月一日以後最初に終了する事業年度から昭和三十三年八月一日を含む事業年度の直前の事業年度までの各事業年度において、当該事業年度中に成立した輸出契約の契約高の合計額からその事業年度中に取り消された輸出契約の契約高の合計額を控除した金額(その金額が当該事業年度終了の日において存する輸出契約の契約高の合計額に満たない場合には、当該合計額)の千分の五に相当する金額と貿易業に係る当該事業年度の所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額の百分の三十五に相当する金額とのいずれか少い金額以下の金額を輸出損失準備金勘定に繰り入れたときは、当該繰入金額は、当該繰入をした事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

2 前項に規定する輸出損失準備金勘定を設けている法人のその事業年度終了の日における輸出損失準備金勘定の金額(その日までに次項の規定により益金に算入すべきであつた金額又は前事業年度終了の日までにこの項の規定により益金に算入すべきであつた金額がある場合には、これらの金額を控除した金額)が、当該事業年度中に成立した輸出契約の契約高の合計額からその事業年度中に取り消された輸出契約の契約高の合計額を控除した金額に十二を乗じ当該事業年度の月数で除して計算した金額(その金額が当該事業年度終了の日において存する輸出契約の契約高の合計額に満たない場合には、当該合計額)の千分の十に相当する金額(当該金額が当該事業年度終了の日における資本又は出資の金額、資本積立金額及び再評価積立金額並びに当該事業年度開始の日における積立金額の合計額をこえる場合には、当該合計額に相当する金額)をこえるときは、そのこえる金額は、当該事業年度の所得の計算上、益金に算入する。

3 第一項に規定する輸出損失準備金勘定を設けている法人について同項に規定する損失が生じた場合又は当該法人が当該輸出損失準備金勘定の金額を当該損失をうめる目的以外の目的に支出し、青色申告書の提出の承認を取り消され、その提出をやめ、若しくは解散した場合(合併により解散した場合を除く。)には、政令で定めるところにより、当該輸出損失準備金勘定の金額の全部又は一部を、これらの事由の生じた日以後二年以内の日を含む事業年度の所得の計算上、益金に算入する。

4 第一項に規定する輸出損失準備金勘定を設けている法人の昭和三十五年八月一日を含む事業年度の直前の事業年度終了の日における輸出損失準備金勘定の金額(その日までに前二項の規定により益金に算入すべきであつた金額がある場合には、当該金額を控除した金額)は、当該事業年度の所得の計算上、益金に算入する。

5 第二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。

6 前条第四項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。

    第三節 輸出所得の課税の特例

 (輸出所得の特別控除)

第五十五条 青色申告書を提出する法人の昭和三十二年四月一日から昭和三十四年十二月三十一日までの間における次に掲げる取引については、その各事業年度中の当該取引による収入金額の百分の三(第一号に掲げる取引については収入金額の百分の一とし、第二号及び第三号に掲げる取引については収入金額の百分の五とする。)に相当する金額と当該取引に係る当該事業年度の所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額の百分の八十に相当する金額とのいずれか少い金額は、当該事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

 一 他から購入した物品の輸出(対価の支払が日本国と外国との間に締結された賠償に関する条約に基き日本国政府又は外国政府によりされるものを除く。以下第五十七条までにおいて同じ。)

 二 当該法人の製造した設備等の輸出

 三 当該法人の製造した設備等の輸出のためにする輸出を行う者への販売(当該輸出を行う者に対する物品の販売を業とする者への販売を含む。以下第五十七条までにおいて同じ。)

 四 当該法人の製造、採掘、採取、栽培、養殖その他これらに準ずる行為により取得した物品(設備等を除く。)の輸出

 五 前号に規定する物品の輸出のためにする輸出を行う者への販売

 六 輸出業者(他から購入した物品の販売を主たる業とする者で常時物品の輸出を行うものをいう。以下この条及び第五十七条において同じ。)の委託を受けて行う当該輸出業者の輸出のための物品の加工又は当該加工の対象となつた第四号に規定する物品の当該輸出業者への販売

 七 陶磁器の輸出のためにする上絵付を行う者への当該法人の製造した陶磁器の素地の販売

 八 製糸業者、紡績業者又は織物業者(織物の販売を業とする者で他の者に原料等を供給して織物の製造を委託するものを除く。以下この条及び第五十七条において同じ。)の製造する繊維製品に係るこれらの者の委託を受けて行う輸出のための製織加工、メリヤス加工、染色加工又は整理加工

 九 第六号に規定する加工を行う者の委託を受けて行う当該加工に係る物品の捺染加工

 十 外国航路において行う輸出貨物の運送

 十一 対外支払手段(第七条第五項に規定する対外支払手段をいう。以下この条において同じ。)を対価として行う運送(前号に掲げる運送を除く。)、修理、加工、建設請負又は工業所有権その他の技術に関する権利若しくは特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)若しくは著作権(映画フィルムの上映権を含む。)の譲渡若しくは提供

2 前項第二号から第四号までに規定する設備等とは、次の各号に掲げる物品でその輸出契約の契約金額が千万円をこえる場合における当該物品をいう。

 一 一の鉱工業生産設備、発電及び変電設備、ガス貯蔵及び供給設備(導管を除く。)、石油貯蔵設備、建設用機械設備、農業用機械設備、蒸気発生設備、通信用機械設備又は荷役設備の全部又は一部を構成する機械又は装置

 二 建物用、橋りよう用又は鉄塔用の鉄骨(一の輸出契約に係るものを組み立てることにより建物用若しくは橋りよう用の鉄骨構造物又は鉄塔の全部又は大部分を構成することとなるものに限る。)、発電用水圧鉄管、油井管及び送油管、鉄道用又は軌道用の軌条、送電用の裸より線、送電用又は通信用のケーブル並びに送電用特別高圧碍子

 三 船舶、航空機、鉄道用、軌道用若しくは産業用の車両、鉄道用若しくは軌道用の車両の輪軸又は自動車(自動二輪車及び自動三輪車を除く。)

3 次の各号に規定する取引が行われた場合には、第一項の規定により損金に算入する金額の計算の基礎となる当該取引による収入金額は、同項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる金額によるものとする。

 一 輸出業者が第一項第二号又は第四号に掲げる取引をした場合において、当該取引に係る物品についての加工が他の者に委託されたものであるとき、又はその加工の対象となつた物品が他の者から購入されたものであるときは、当該取引による収入金額から当該委託又は購入によりこれらの者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 二 陶磁器の上絵付を行う者が第一項第四号又は第五号に掲げる取引をした場合において、当該取引に係る陶磁器が他の者から購入した陶磁器の素地に上絵付をしたものであるときは、当該取引による収入金額から当該購入によりその者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 三 製糸業者、紡績業者又は織物業者が第一項第四号又は第五号に掲げる取引をした場合において、当該取引に係る物品についての製織加工、メリヤス加工、染色加工又は整理加工が他の者に委託されたものであるときは、当該取引による収入金額からその委託によりその者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 四 第一項第六号に規定する加工を行う者が当該加工を行つた場合において、当該取引に係る物品についての捺染加工が他の者に委託されたものであるときは、当該取引による収入金額からその委託によりその者に支払う金額に相当する金額を控除した金額

 五 建設業者が対外支払手段を対価として建設請負を行つた場合において、当該建設請負に係る材料代、人夫賃等を対外支払手段により支出したときは、当該取引による収入金額から当該対外支払手段により支出した金額に相当する金額を控除した金額

4 第一項の規定により損金に算入する金額の計算の基礎となる同項第一号、第二号、第四号、第十号又は第十一号に掲げる取引による収入金額は、当該取引に係る物品が輸出されたこと、当該取引が外国航路における輸出貨物の運送であつたこと又は当該運送、修理、加工、建設請負、譲渡若しくは提供が対外支払手段を対価としてされたものであることについて、大蔵省令で定めるところにより証明されたものによる収入金額に限るものとする。

5 第一項の規定は、確定申告書等に同項の規定により損金に算入される金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該確定申告書等にその損金に算入される金額の計算に関する明細書の添附がある場合に限り、適用する。

6 第一項の規定の適用を受けた法人の同項の規定により損金に算入された金額は、法人税法第十六条第一項の規定の適用については、所得の金額に含まれるものとし、同法第十七条の二第二項の規定の適用については、所得の金額に含まれないものとする。

 (輸出の証明がされない場合の益金算入)

第五十六条 前条第一項の規定により同項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引に関し損金に算入した金額がある場合において、これらの号に規定する物品のうちにこれらの号に掲げる取引の行われた日以後一年を経過した日を含む事業年度終了の日までの間に当該物品が輸出されたことについて大蔵省令で定める証明がされないものがあるときは、当該損金に算入した金額のうち当該証明がされなかつた物品の取引に係る部分として政令で定めるところにより計算した金額は、当該事業年度の所得の計算上、益金に算入する。

2 前条第一項の規定により同項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引に関し損金に算入した金額がある法人が前項に規定する期間内に解散し、又は合併により消滅した場合において、解散した場合にあつては同項に規定する事業年度終了の日(その日までに残余財産が確定した場合には、その確定の日)までに、合併により消滅した場合にあつてはこれらの号に掲げる取引の行われた日以後一年を経過した日を含む合併法人の事業年度終了の日までに、当該取引に係る物品が輸出されたことについて大蔵省令で定める証明がされないものがあるときは、同項の規定にかかわらず、当該損金に算入した金額のうち当該証明がされなかつた物品の取引に係る部分として政令で定めるところにより計算した金額は、当該解散の日を含む事業年度又は合併法人の当該事業年度の所得の計算上、益金に算入する。

 (輸出取引となつた場合の特別控除)

第五十七条 青色申告書を提出する法人が、昭和三十二年四月一日から昭和三十四年十二月三十一日までの間に次に掲げる取引(輸出のための販売又は加工を除く。)を行つた場合において、当該取引について当該取引の行われた日以後一年を経過した日を含む事業年度終了の日までに大蔵省令で定める証明を受けたときは、当該取引を第五十五条第一項第三号又は第五号から第九号までに掲げる取引とみなして同項の規定を適用する。この場合において、当該証明が当該取引の行われた日を含む事業年度分の法人税に係る法人税法第十八条から第二十一条までの規定による申告書の提出期限後にされたときは、当該取引の行われた事業年度分の確定申告書等に記載された課税標準又は法人税額について、これらの額の更正の請求をすることができる。

 一 当該法人の製造した第五十五条第一項第二号若しくは第三号に規定する設備等又は同項第四号に規定する物品のその輸出を行う者又は輸出業者への販売

 二 輸出業者の委託を受けてする物品の加工

 三 陶磁器の上絵付を行う者への当該法人の製造した陶磁器の素地の販売

 四 製糸業者、紡績業者又は織物業者の委託を受けてする繊維製品についての製織加工、メリヤス加工、染色加工又は整理加工

 五 輸出業者の委託を受けて物品の加工を行う者の委託を受けてする当該加工に係る物品についての捺染加工

2 前項後段の規定による更正の請求書は、法人税法の適用については、同法第二十四条の規定による修正申告書とみなす。

3 第五十五条第五項及び第六項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第五項中「確定申告書等」とあるのは、「確定申告書等又は第五十七条第一項の規定による請求書」と読み替えるものとする。

    第四節 協同組合の課税の特例

 (非出資組合の非課税)

第五十八条 非出資組合である農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会については、昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度から昭和三十五年三月三十一日を含む事業年度までの各事業年度においては、各事業年度の所得に対する法人税は、課さない。

 (再建整備を行う協同組合の留保所得の非課税)

第五十九条 各事業年度開始の日において、農林漁業組合再建整備法(昭和二十六年法律第百四十号)に基く再建整備又は農林漁業組合連合会整備促進法(昭和二十八年法律第百九十号)に基く整備を行つている出資組合である農林漁業組合(農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会をいう。以下この条において同じ。)が、昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度から農林漁業組合再建整備法第四条に規定する条件をみたした日又は農林漁業組合連合会整備促進法第四条に規定する条件をみたした日(当該農林漁業組合が再建整備と整備とをあわせて行つている場合には、これらの日のうちいずれか遅い日。以下この条において「整備終了の日」という。)を含む事業年度までの各事業年度において、その所得の全部又は一部を留保したときは、その留保した金額(当該事業年度終了の日における積立金額(当該事業年度において留保した金額を含む。以下第六十一条までにおいて同じ。)が同日における出資総額の四分の一に相当する金額をこえる場合には、当該事業年度の所得から留保した金額のうちそのこえる金額に相当する金額を除く。)については、当該事業年度の所得に対する法人税は、課さない。

2 前項の規定の適用を受ける農業協同組合連合会、森林組合連合会又は漁業協同組合連合会(以下この項において「連合会」という。)の直接又は間接の構成員たる出資組合である農林漁業組合が、昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度から当該連合会の整備終了の日(当該農林漁業組合が前項の規定の適用を受ける二以上の連合会の直接又は間接の構成員となつている場合には、これらの連合会の整備終了の日のうち最も遅い日とし、また、当該農林漁業組合が同項の規定の適用を受ける場合において、当該連合会の整備終了の日又は当該遅い日が当該農林漁業組合の同項に規定する整備終了の日前であるときは、当該整備終了の日とする。)を含む事業年度までの各事業年度において、その所得の全部又は一部を留保したときは、その留保した金額(当該事業年度終了の日における積立金額が同日における出資総額の四分の一に相当する金額をこえる場合には、当該事業年度の所得から留保した金額のうちそのこえる金額に相当する金額を除く。)については、当該事業年度の所得に対する法人税は、課さない。

3 前二項の規定の適用を受けた法人については、当該法人のこれらの規定の適用を受けた事業年度の翌事業年度開始の日から三年以内に開始する各事業年度における配当、賞与その他剰余金の処分により支出した金額が当該事業年度の所得の金額として政令で定める金額をこえる場合には、そのこえる金額のうちこれらの規定の適用を受けた留保金額からなる部分の金額として政令で定める金額は、当該剰余金の処分に係る事業年度の所得の計算上、益金に算入する。

 (事業協同組合等の留保所得の非課税)

第六十条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)の規定による事業協同組合又は協同組合連合会(中小企業等協同組合法第九条の九第一項第一号に掲げる事業を行う協同組合連合会を除く。)で次の各号のいずれにも該当するものが、第二号に規定する確認を受けた日を含む事業年度から同号に規定する整備計画が完了することとなつている日を含む事業年度までの各事業年度において、その所得の全部又は一部を留保したときは、その留保した金額(当該事業年度終了の日における積立金額が同日における出資総額の四分の一に相当する金額をこえる場合には、当該事業年度の所得から留保した金額のうちそのこえる金額に相当する金額を除く。)については、当該事業年度の所得に対する法人税は、課さない。ただし、当該事業年度前の事業年度において当該整備計画の目標を達成している場合には、この限りでない。

 一 当該事業協同組合又は協同組合連合会の昭和三十年四月一日における有形固定資産及び無形固定資産並びに貸付金(弁済期が昭和三十一年四月一日以後であるものに限る。)の帳簿価額の合計額が昭和三十年四月一日における出資総額、資本積立金額、再評価積立金額及び積立金額並びに借入金(弁済期が昭和三十一年四月一日以後であるものに限る。)の金額の合計額(昭和三十年四月一日において繰越欠損金があるときは、その繰越欠損金の額を控除した金額)をこえること。

 二 当該事業協同組合又は協同組合連合会が、企業合理化促進法第十二条の規定による勧告に基いて前号の超過額を昭和三十五年三月三十一日までに解消するための整備計画を樹立し、及び昭和三十一年六月三十日までにその整備計画が当該勧告の旨を達成するために必要かつ適当であることについて当該勧告をした者の確認を受けたものであること。

2 前条第三項の規定は、前項本文の規定の適用を受けて留保した金額について準用する。

 (消費生活協同組合等の留保所得の非課税)

第六十一条 消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会が、昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度から昭和三十五年三月三十一日を含む事業年度までの各事業年度において、その所得の全部又は一部を留保したときは、その留保した金額(当該事業年度終了の日における積立金額が同日における出資総額の四分の一に相当する金額をこえる場合には、当該事業年度の所得から留保した金額のうちそのこえる金額に相当する金額を除く。)については、当該各事業年度の所得に対する法人税は、課さない。ただし、当該事業年度においてその組合員その他政令で定める者以外の者にその事業を利用させた場合には、この限りでない。

2 第五十九条第三項の規定は、前項本文の規定の適用を受けて留保した金額について準用する。

    第五節 交際費等の課税の特例

 (交際費等の損金不算入)

第六十二条 法人が昭和三十二年四月一日から昭和三十四年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(清算中の事業年度を除く。)において支出した交際費等の額が、基準年度の交際費額に当該事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額の百分の六十に相当する金額(次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に掲げる金額)をこえるときは、そのこえる部分の金額は、当該事業年度の所得の計算上、損金に算入しない。

 一 基準年度の交際費額がない場合(次号に掲げる場合を除く。)又は当該百分の六十に相当する金額が当該法人の営む主たる事業の区分及び取引金額に応じて政令で定める金額に満たない場合 当該政令で定める金額

 二 基準年度の交際費額がなく、かつ、当該法人の当該事業年度がその設立の日を含む事業年度から最初に前号に規定する政令で定める金額を生じた日を含む事業年度までの各事業年度に該当する場合 前号に規定する政令で定める金額と当該法人の当該事業年度終了の日における資本の金額、出資金額又は基金の額、資本積立金額及び再評価積立金額の合計額に政令で定める割合を乗じて計算した金額とのいずれか多い金額

2 前項の規定は、同項に規定する各事業年度終了の日における資本又は出資の金額が千万円に満たない法人及び政令で定める資本又は出資のない法人については、適用しない。

3 第一項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。

 (基準年度の交際費額の意義)

第六十三条 前条第一項に規定する基準年度の交際費額とは、法人が昭和二十九年四月一日を含む事業年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度において支出した交際費等の額の合計額をいう。

2 前条第一項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(もつぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く。)をいう。

3 昭和二十九年四月一日を含む事業年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度の月数の合計が一年に満たない法人又は当該一年以内に開始した最初の事業年度開始の日以後に基準年度の交際費額のある法人が合併した場合における当該合併法人の基準年度の交際費額は、第一項の規定にかかわらず、政令で定める。前条第三項の規定は、この場合における月数の計算について準用する。

    第六節 その他の特例

 (収用等の場合の所得計算上の再評価額の特例)

第六十四条 資産再評価法第三条に規定する基準日において法人の有する資産(法人税法第九条の七第一項の規定によりたな卸をすべき資産を除く。以下この条において同じ。)で次の各号に規定するものが当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該法人は、当該資産について当該基準日に帳簿価額があるかどうか及び資産再評価法の規定により再評価を行つたかどうかを問わず、当該各号に規定する事由の生じた日を含む事業年度開始の日現在において再評価を行うことができる。

 一 資産が土地収用法等(第三十一条第一項第一号に規定する土地収用法等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の規定に基いて収用され、補償金を取得する場合

 二 資産について買取の申出を拒むときは土地収用法等の規定に基いて収用されることとなる場合において、当該資産が買い取られ、対価を取得するとき。

 三 土地又は土地の上に存する権利が農地法の規定に基いて買収され、対価を取得する場合

 四 保安林整備臨時措置法第四条第一号若しくは第二号に掲げる森林等に該当するものが同条の規定に基いて買い入れられ、又は同法第六条の規定に基いて買い取られ、対価又は補償金を取得する場合

 五 資産が土地収用法等の規定により収用された場合(第二号の規定に該当する買取があつた場合を含む。)において、当該資産に関して有する所有権以外の権利が消滅し、補償金又は対価を取得するとき。

2 法人が前項の規定により行う再評価は、資産再評価法第六条第一項に規定する再評価とみなして、同法の規定を適用する。ただし、次の各号に掲げる事項については、当該各号に定めるところによる。

 一 当該資産の再評価の再評価額の限度額は、当該法人が当該資産の収用、買取、買収、買入又は消滅(以下この条及び次条において「収用等」という。)により交付を受けるべき補償金又は対価の額とする。

 二 当該資産で当該再評価の再評価日の直前において帳簿価額がないもの(資産再評価法第七条各号に掲げる資産を除く。)についての再評価の再評価差額は、当該資産の再評価額に相当する金額とする。

3 第一項第一号、第四号又は第五号に規定する補償金の額は、名義がいずれであるかを問わず、資産の収用等の対価たるものをいうものとし、収用等に際して交付を受ける移転料その他当該資産の収用等の対価たる金額以外の金額を含まないものとする。

 (換地処分等の場合の再評価額の特例)

第六十五条 資産再評価法第三条に規定する基準日において法人の有する資産で次の各号に規定するものが当該各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に規定する収用、買取、換地処分又は交換に係る従前の土地、土地の上に存する権利、立木又は森林等のうち当該各号に規定する補償金又は清算金の額に対応する部分についてのみ収用等があつたものとみなして前条の規定を適用する。この場合において、前条第一項中「補償金又は対価」とあるのは、「補償金、対価又は清算金」とする。

 一 土地、土地の上に存する権利又は立木につき土地収用法等の規定による収用があつた場合(前条第一項第二号の規定に該当する買取があつた場合を含む。)において、土地、土地の上に存する権利又は立木とともに補償金又は対価を取得するとき。

 二 土地又は土地の上に存する権利につき土地区画整理法による土地区画整理事業又は土地改良法による土地改良事業が施行された場合において、当該土地又は土地の上に存する権利に係る換地処分又は交換により清算金を取得するとき。

 三 保安林整備臨時措置法第四条第一号又は第二号に掲げる森林等が国有林野と交換された場合において、当該交換により清算金を取得するとき。

 (国有機械等との交換の場合の所得計算の特例)

第六十六条 法人がその機械又は器具を国有財産特別措置法第九条第一項の規定により国の所有する機械又は器具と交換した場合において、当該交換により取得した資産につき当該交換により譲渡した資産の交換の直前における帳簿価額(当該交換に際して当該譲渡した資産のほか、金銭その他の財産を提供したときは、当該財産の価額を加算した金額)を下らない価額をその帳簿価額として財産目録に記載したときは、当該交換により取得した資産の価額と財産目録に記載した価額との差額に相当する金額は、各事業年度の所得の計算上、益金に算入しない。

2 前項の規定は、確定申告書等に同項の規定により益金に算入しない金額のその不算入に関する申告の記載がない場合には、適用しない。

 (社会保険診療報酬の所得計算の特例)

第六十七条 医療法人が、各事業年度において第二十六条第一項各号に掲げる給付又は医療若しくは助産につき支払を受けるべき金額がある場合には、当該事業年度の所得の計算上、当該給付又は医療若しくは助産に係る経費として損金に算入する金額は、当該支払を受けるべき金額の百分の七十二に相当する金額とする。

2 前項の規定は、確定申告書等に同項に規定する経費の損金算入に関する申告の記載がない場合には、適用しない。

 (優先株式の配当の免税)

第六十八条 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行が同法附則第十三項において準用する旧銀行等の債券発行に関する法律(昭和二十五年法律第四十号)第十三条第一項又は第十四条第一項の規定により利益から優先株式に対する配当をしたときは、当該配当の金額は、当該利益の生じた事業年度の所得の計算上、損金に算入する。

   第四章 相続税法及び財産税法の特例

 (在外財産等についての相続税の課税価格の計算の特例)

第六十九条 相続又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する遺贈に限る。)により取得した財産のうちに昭和二十年八月十五日において相続税法の施行地外にあつた財産その他大蔵省令で定める財産(以下この条及び次条において「在外財産等」という。)がある場合には、当該在外財産等(当該相続に係る相続税法第二十七条の規定による申告書の提出期限までに、大蔵省令で定めるところによりその価額を算定することができるものを除く。)の価額は、当該相続又は遺贈に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入しない。

2 相続又は包括遺贈により承継した被相続人の債務のうちに相続税法の施行地外において履行すべき大蔵省令で定める債務で昭和二十年八月十五日において存したものがあるときは、当該債務の金額は、当該相続に係る相続税の課税価格の計算上、同法第十三条の規定による債務控除の金額に算入しない。

3 第一項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者の当該相続に係る相続税法第二十七条の規定による申告書に同項の規定の適用を受けようとする旨及び在外財産等の明細に関する事項の記載がない場合には、適用しない。

 (在外財産等の価額が算定可能となつた場合の修正申告等)

第七十条 前条第一項の規定の適用を受けて同項に規定する相続又は遺贈に係る申告書を提出した者(その者の相続人及び包括受遺者を含む。)は、同項の規定の適用を受けた在外財産等について同項に規定する大蔵省令で定めるところによりその価額を算定することができることとなつた場合には、その算定することができることとなつた日の翌日から四月以内に、相続税法第三十一条の規定により修正申告書を提出しなければならない。

2 前条第一項の規定の適用を受けた者は、同項の規定の適用を受けた財産について同項に規定する大蔵省令で定めるところによりその価額を算定して相続税の課税価格に算入することにより相続税法第二十七条の規定による申告書を提出すべきこととなつた場合には、その算定することができることとなつた日の翌日から四月以内に、同法第三十条の規定により申告書を提出しなければならない。

3 前二項の規定により申告書を提出すべき者がこれらの申告書を提出しなかつた場合には、税務署長は、相続税法第三十五条の規定により課税価格及び相続税額を更正し、又は決定する。

4 前三項の場合における相続税法第五十一条から第五十四条までの規定の適用については、第一項又は第二項に規定する期間の末日をこれらの規定に規定する申告書の提出期限とする。

 (復活外貨債に係る課税の更正)

第七十一条 個人が相続税又は財産税を課せられた場合において、これらの課税価格の計算の基礎に算入された財産のうちに旧外貨債処理法による借換済外貨債の証券の一部の有効化等に関する法律(昭和二十六年法律第二百八十九号)第三条第一項の規定によりその証券が有効なものとされた外貨債の旧外貨債処理法(昭和十八年法律第六十号)第二条第一項の規定による借換に際し当該外貨債に代えて発行された国債、地方債又は社債があるときは、税務署長は、その者が当該外貨債に代えて発行された当該国債、地方債又は社債で相続税又は財産税の課税価格の計算の基礎となつたものを有していなかつたものとし、その者が当該外貨債を有していたものとみなして、当該相続税又は財産税の課税価格及び税額の更正をすることができる。

2 前項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者がその旨並びに同項に規定する国債、地方債又は社債及び外貨債の名称、数量及び価額を記載した申請書を当該相続税又は財産税に係る納税地の所轄税務署長に提出しない場合には、適用しない。

   第五章 登録税法の特例

 (新築住宅の保存登記の税率の軽減)

第七十二条 昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に新築した住宅の用に供する家屋で政令で定めるものの所有権の保存の登記については、当該期間内に登記を受けるものに限り、その登記の登録税の額は、登録税法第二条第一項第四号の規定にかかわらず、当該家屋の価格の千分の一とする。

2 家屋につき前項に規定する期間内に増築をし、増築後の当該家屋が同項に規定する政令で定める家屋に該当するものである場合には、その増築による床面積の増加に係る登記については、当該期間内に登記を受けるものに限り、その登記の登録税の額は、当該増築により床面積が増加した部分の価格の千分の一とする。

 (地方公共団体の新築住宅の保存登記の非課税)

第七十三条 地方公共団体が昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に新築した住宅の用に供する家屋で政令で定めるものにつき当該地方公共団体が受ける所有権の保存の登記については、当該期間内に登記を受けるものに限り、登録税を課さない。地方公共団体が当該期間内に家屋につき増築をし、増築後の家屋が当該政令で定める家屋に該当する場合において、その増築による床面積の増加につき当該期間内に当該地方公共団体が受ける登記についての登録税についても、また同様とする。

 (建売住宅の所有権取得の登記の税率の軽減)

第七十四条 地方公共団体、住宅金融公庫、日本住宅公団又は家屋を建築して譲渡することを業とする者で政令で定めるものが昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に新築した住宅の用に供する家屋で政令で定めるものをこれらの者から取得した場合には、その所有権の取得の登記の登録税の額は、当該期間内に登記を受けるものに限り、登録税法第二条第一項第三号の規定にかかわらず、当該家屋の価格の千分の一とする。

 (住宅新築資金の貸付に係る抵当権取得の登記の税率の軽減)

第七十五条 昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に住宅の用に供する家屋で第七十二条第一項に規定する政令で定めるものの新築(当該期間内に家屋につき増築をし、当該増築後の家屋が当該政令で定める家屋に該当する場合における当該増築を含む。)のための資金が貸し付けられる場合において、その貸付に係る債権の担保として当該家屋の上に設定される抵当権の取得の登記の登録税の額は、大蔵省令で定めるところにより当該期間内に登記を受けるものに限り、登録税法第二条第一項第十号の規定にかかわらず、債権金額の千分の一とする。

2 地方公共団体、住宅金融公庫、日本住宅公団又は前条に規定する政令で定める者が昭和三十二年四月一日から昭和三十三年十二月三十一日までの間に新築した住宅の用に供する家屋で前条に規定する政令で定めるものをこれらの者から取得するための資金が貸し付けられる場合には、その貸付に係る債権の担保として当該家屋の上に設定される抵当権の取得の登記の登録税の額は、大蔵省令で定めるところにより当該期間内に登記を受けるものに限り、登録税法第二条第一項第十号の規定にかかわらず、債権金額の千分の一とする。

 (更生保護事業用施設の所有権の保存又は取得の登記の免税)

第七十六条 民法第三十四条の規定により設立した法人で更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)第五条第一項の規定により更生保護事業を営むことについて法務大臣の認可を受けたものが同法第六条の規定により行う事業の用に供する土地又は家屋の所有権の保存又は取得の登記については、大蔵省令で定めるところにより当該土地又は家屋が当該法人の当該事業の用に供するものであることの証明がされたものに限り、登録税を免除する。

 (農地等の交換による所有権取得の登記の税率の軽減)

第七十七条 次の各号に規定する交換が行われた場合には、その交換による所有権の取得の登記の登録税の額は、大蔵省令で定めるところにより昭和三十二年四月一日から昭和三十四年十二月三十一日までの間に登記を受けるものに限り、登録税法第二条第一項第三号の規定にかかわらず、当該土地の価格の千分の六とする。

 一 耕作を目的とする土地の所有権の交換で農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第六条第二項の規定に基く農業委員会のあつせんによるもの

 二 塩専売法第十条の規定に基く日本専売公社の指示による塩田の所有権の交換

 (国有林野との交換による所有権の取得又は保存の登記の免税)

第七十八条 保安林整備臨時措置法第四条第一号又は第二号に掲げる森林等に該当する民有林野と国有林野の交換による所有権の取得又は当該交換のためにする所有権の保存の登記については、大蔵省令で定めるところにより証明がされたものに限り、登録税を免除する。

 (外航船船の保存登記又は抵当権取得の登記の税率の軽減)

第七十九条 昭和三十二年四月一日から昭和三十三年三月三十一日までの間に新造した外国航路に就航する船舶で政令で定めるものの所有権の保存の登記については、大蔵省令で定めるところにより当該期間内に登記を受けるものに限り、その登記の登録税の額は、登録税法第三条第一項第五号の規定にかかわらず、当該船舶の価格の千分の二とする。

2 前項に規定する期間内に新造する外国航路に就航する船舶で政令で定めるものの建造のための資金が貸し付けられる場合において、その貸付に係る債権の担保として当該船舶の上に設定される抵当権の取得の登記の登録税の額は、大蔵省令で定めるところにより当該期間内に登記を受けるものに限り、登録税法第三条第一項第七号の規定にかかわらず、債権金額の千分の三とする。

 (再評価積立金の資本組入による増資の登記の税率の軽減)

第八十条 法人が資産再評価法第百九条の規定により再評価積立金を資本又は出資に組み入れる場合には、その組入による資本又は出資の増加の登記についての登録税の額は、登録税法第六条第一項第二号、第四号又は第八号ノ三の規定にかかわらず、増加資本又は出資の金額の千分の一・五とする。

 (勧告によつてする登記の税率の軽減)

第八十一条 次に掲げる事項について登記を受ける場合において、当該事項が日本経済の健全な発展に資するため緊急に必要なものとして、行政機関の法令の規定に基く勧告又は指示によつてされたものであるときは、当該登記の登録税の額は、政令で定めるところにより、登録税法の規定にかかわらず、当該各号に掲げる額による。

 一 会社の設立 金銭の出資による払込株金額及び金銭を目的とする株金以外の出資の価格の千分の六と金銭以外の財産の出資による払込株金額及び金銭以外の財産を目的とする株金以外の出資の価格の千分の一・五との合計額

 二 会社資本の増加 金銭の出資による増資払込株金額及び金銭を目的とする株金以外の出資の価格の千分の六と金銭以外の財産の出資による増資払込株金額及び金銭以外の財産を目的とする株金以外の出資の価格の千分の一・五との合計額

 三 法人の設立、資本若しくは出資の増加又は事業の設備の譲受の場合における不動産又は船船の権利の取得 当該不動産の価格の千分の六又は当該船船の価格の千分の四

 (電源開発株式会社の登記の免税)

第八十二条 電源開発株式会社が次に掲げる事項について登記を受ける場合には、その登記の登録税は、免除する。ただし、第一号に掲げる事項の登記の登録税にあつては、増加資本の金額のうち政府の出資に係る部分以外の部分については、この限りでない。

 一 会社の資本増加

 二 電源開発及びこれに附帯する送電変電施設の整備の用に供する土地又は家屋に関する権利の取得又は所有権の保存

2 電源開発株式会社が発行する社債で商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百三条の規定による払込があつた日(売出の方法により発行した場合には、売出満了の日)から最終の償還期限に至る期間が一年をこえるものの払込の登記についての登録税の額は、登録税法第六条第一項第十一号の規定にかかわらず、払込金額の千分の一・五とする。

 (石油資源開発株式会社の登記の免税)

第八十三条 石油資源開発株式会社が次に掲げる事項について登記又は登録を受ける場合には、その登記又は登録の登録税は、免除する。ただし、第一号に掲げる事項の登記の登録税にあつては、増加資本の金額のうち政府の出資に係る部分以外の部分については、この限りでない。

 一 会社の資本増加(設立の日以後五年以内に行われる場合に限る。)

 二 石油又は可燃性天然ガスを目的とする鉱業権の設定(設立の日以後五年以内に行われる場合に限る。)

 (日本航空株式会社等の登記の免税)

第八十四条 日本航空株式会社、日本海外移住振興株式会社及び株式会社科学研究所がその資本の増加について登記を受ける場合には、その登記の登録税は、免除する。ただし、増加資本の金額のうち政府の出資に係る部分以外の部分については、この限りでない。

   第六章 酒税法等の特例

    第一節 酒税法の特例

 (特殊用途酒類の税率の軽減)

第八十五条 酒類製造者が特殊用途酒類をその製造場から移出する場合には、その移出により徴収されるべき酒税の税率は、酒税法第二十二条の規定にかかわらず、同条に定める税率の百分の七十(焼ちゆうについては、百分の八十)に相当する税率とする。

2 酒税法第九条の規定により酒類の販売業免許を受けた者が特殊用途酒類として引渡を受けた酒類を特殊用途酒類以外の酒類として引き渡した場合(その引渡前に飲用に供した場合を含み、酒類の製造場に移入された場合を除く。)には、当該酒類については、その者を酒類製造者とみなし、その引渡を酒類の製造場からの移出とみなして、酒税法を適用する。この場合には、当該酒類に対する酒税の税率は、同法第二十二条の規定にかかわらず、同条に定める税率の百分の三十(焼ちゆうについては、百分の二十)に相当する税率とする。

3 前二項に規定する特殊用途酒類とは、清酒、合成清酒、焼ちゆう又はビールのうち生産の奨励その他の用途に供するもので大蔵省令で定めるものをいう。

 (二十度焼ちゆうの税率の軽減)

第八十六条 酒類製造者が製造する焼ちゆうでアルコール分が二十度以下のものに対する酒税の税率は、酒税法第二十二条の規定にかかわらず、焼ちゆう甲類については一石につき一万三百円、焼ちゆう乙類については一石につき九千百円とする。

 (外航船等の旅客用酒類の免除)

第八十七条 本邦と外国との間を往来する本邦の船舶又は航空機で政令で定めるもの(以下この条及び次条において「外航船等」という。)の旅客の飲用に供する目的をもつて外航船等に積み込むために酒類製造者が酒類の製造場から移出する酒類及び保税地域から引き取る酒類で旅客の数、航行の日数その他の事情を勘案して相当と認められるものについては、大蔵省令で定めるところにより、当該外航船等への積込を輸出とみなし、酒類の引取者が保税地域から引き取る当該酒類にあつては、酒類製造者が酒類の製造場からこれを移出するものとみなし、所轄税関長を所轄税務署長とみなして、酒税法を適用する。この場合には、同法第二十九条第六項又は第五十八条第一項第三号の規定の適用については、当該外航船等は、同法の施行地外であるものとする。

2 前項の規定の適用を受けて外航船等に積み込まれた酒類が最初に次の各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該外航船等の船長又は機長が当該各号に掲げる酒類を保税地域から引き取つたものとみなして、酒税法を適用する。この場合には、同法第二十四条第二項及び第二十六条第二項の規定にかかわらず、当該酒類についてのこれらの規定に規定する申告書の提出期限及び酒税の納期は、当該外航船等が大蔵省令で定める一航行の終了後本邦の港(関税法第二条第十一号から第十三号までに規定する開港、税関空港又は不開港をいう。以下この条において同じ。)に入港した日(第四号に掲げる酒類については、同号に掲げる場合に該当することとなつた日)から起算して三日を経過した日とし、当該申告書の提出先は、その入港した場所(第四号に掲げる酒類については、同号に掲げる場合に該当することとなつた場所)の所轄税関長とする。

 一 本邦の領土、領海又は領空において消費された場合 その消費された酒類

 二 外航船等の旅客の飲用以外の目的のために消費され、又は当該旅客以外の者に譲渡された場合 その消費され、又は譲渡された酒類

 三 大蔵省令で定める一航行を終了して本邦の港に入港した外航船等に現存する場合 入港する前又は入港の日から起算して三日以内に税関職員により前項の規定の適用を受けたものであることの表示(以下この項において「免税表示」という。)を施されない酒類

 四 外航船等が外航船等でなくなつた時に当該船舶又は航空機に現存する場合 その現存する酒類(当該船舶若しくは航空機が再び外航船等となる見込がある場合又は当該酒類が他の外航船等に積み換えられる場合において税関職員により免税表示を施されたものを除く。)

 五 税関職員により施された免税表示を破棄された場合(公海又は領空以外の空において破棄された場合を除く。) その免税表示を破棄された酒類

3 外航船等の船長又は機長は、大蔵省令で定めるところにより、第一項の規定の適用を受けた酒類の受払に関する事実を帳簿に記載し、これを当該外航船等に保管し、その写を当該外航船等が本邦の港に入港した日から起算して三日を経過した日までにその港の所轄税関長に提出しなければならない。

    第二節 物品税法の特例

 (外航船等の旅客用物品の免税)

第八十八条 外航船等の旅客の飲用に供する目的をもつて外航船等に積み込むために物品税法第一条に規定する物品のうち政令で定めるもの(以下この条において「指定飲料」という。)の製造者がその製造場から移出する指定飲料及び保税地域から引き取る指定飲料で旅客の数、航行の日数その他の事情を勘案して相当と認められるものについては、大蔵省令で定めるところにより、当該外航船等への積込を輸出とみなして、物品税法を適用する。この場合には、同法第十三条ノ二第一項の規定の適用については、当該外航船等は、同法の施行地外であるものとする。

2 前条第二項及び第三項の規定は、指定飲料について準用する。この場合において、同条第二項中「酒税法」とあるのは「物品税法」と、「第二十四条第二項」とあるのは「第八条第二項」と、「第二十六条第二項」とあるのは「第十条第一項ただし書」と、「酒税」とあるのは「物品税」と、それぞれ読み替えるものとする。

    第三節 揮発油税法及び地方道路税法の特例

 (航空機の燃料用揮発油の免税)

第八十九条 昭和三十二年四月一日から昭和三十四年三月三十一日までの間に、航空機の燃料用に供する揮発油のうち政令で定める規格を有するもので、政令で定めるところによりその製造場(保税地域に該当するものを除く。以下この条において同じ。)の所在地の所轄税務署長又はその保税地域の所在地の所轄税関長の承認を受けてその製造場又は保税地域から引き取られるものについては、当該引取に係る揮発油税及び地方道路税を免除する。

 (証明がない場合の揮発油税等の徴収)

第九十条 揮発油税法第七条第三項の規定は、前条の承認を受けて引き取つた揮発油で、政令で定めるところにより、税務署長又は税関長が指定した期間内に同条に規定する用途に供されたことの証明のないものについて準用する。この場合において、揮油発油税を徴収することとなるときは、当該揮発油の引取人から地方道路税をあわせて徴収する。

    第四節 その他の税の特例

 (納税準備預金通帳の印紙税の非課税)

第九十一条 納税準備預金通帳(第五条第二項に規定する納税準備預金の通帳をいう。)には、印紙税は、課さない。

 (航空機の乗客の通行税の軽減)

第九十二条 航空機の乗客に対する通行税法第二条の規定の適用については、昭和三十二年四月一日から昭和三十三年三月三十一日までの間は、同条に規定する百分の二十の税率は、百分の十の税率とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和三十二年四月一日から施行する。

 (旧法に基いてした課税標準に係る計算等の効力)

第二条 改正後の租税特別措置法(以下「新法」という。)の規定を適用する場合において、新法の規定でこれに相当する改正前の租税特別措置法(以下「旧法」という。)の規定があるものについては、この附則に特別の定があるものを除くほか、旧法の規定に基いてした課税標準に係る計算、政府の承認又は旧法の規定の適用を受けるための手続は、それぞれ新法の相当規定に基いてした課税標準に係る計算、政府の承認又は新法の相当規定の適用を受けるための手続とみなす。

 (所得税の特例に関する経過規定の原則)

第三条 新法第二章の規定は、次条から附則第十条までに特別の定があるものを除くほか、昭和三十二年分以後の所得税について適用し、昭和三十一年分以前の所得税については、なお従前の例による。

 (利子所得及び配当所得に関する経過規定)

第四条 新法第二章第一節の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に支払を受けるべき利子所得(新法第七条第二項に規定する貸付金債権の利子を含む。以下この項において同じ。)及び配当所得について適用し、同日前に支払を受けるベきであつた利子所得(無記名の公債若しくは社債の利子又は貸付信託若しくは証券投資信託の無記名受益証券につき受ける収益にあつては、施行日前に支払を受けたもの)及び配当所得(無記名株式の配当又は元本の追加信託をすることができる証券投資信託の無記名受益証券につき受ける収益にあつては、施行日前に支払を受けた金額)については、なお従前の例による。

2 無記名の公債若しくは社債又は貸付信託若しくは証券投資信託の無記名受益証券につき受ける利子所得及び無記名株式又は元本の追加信託をすることができる証券投資信託の無記名受益証券につき受ける配当所得のうち、施行日前にその支払期日が到来しているもので同日において支払を受けていないものについては、これらを無記名でないものとみなし、なお旧法第二条の二(利子所得の非課税)又は第二条の四(配当所得の源泉徴収税率の軽減)の規定の例による。

3 旧法第二条の三(長期預金等の利子所得の分離、五パーセント課税)の規定は、次に掲げる公債、社債、預金又は合同運用信託について支払を受けるべき利子所得については、なおその効力を有する。ただし、新法第四条の規定の適用を妨げない。

 一 昭和三十一年三月三十一日までに発行された公債又は社債(昭和三十年一月三十一日までに償還期限が到来する公債及び社債を除く。)で国債に関する法律第二条第二項又は社債等登録法第三条の規定により引き続きその者の登録している期間が一年以上であるもの

 二 昭和三十一年三月三十一日までに締結された契約に基く金融機関に対する預金で当該預金に係る契約において定める預入期間が一年以上であるもの(昭和三十年一月三十一日までに払戻の期日が到来するものを除く。)のうち政令で定めるもの

 三 昭和三十一年三月三十一日までに締結された契約に基く合同運用信託(貸付信託を除く。)で当該信託に係る契約において定める信託期間が一年以上であるもの(昭和三十年一月三十一日までに信託契約期間が終了するものを除く。)のうち政令で定めるもの

 四 昭和三十一年三月三十一日までに締結された契約に基く貸付信託の受益証券で引き続きその者のものとして記名されている期間が一年以上であるもの(昭和三十年一月三十一日までに信託契約期間が終了するものを除く。)

4 施行日前に支払を受けるべきであつた証券投資信託(元本の追加信託をすることができる証券投資信託を除く。)の信託期間中に分配される収益(証券投資信託契約の一部の解約により分配されるものを除く。)については、なお旧法第二条の五(証券投資信託の期中分配金の所得区分の特例)の規定の例による。

5 昭和三十年分及び昭和三十一年分の所得税についての配当控除額については、なお旧法第二条の六(配当控除額の特例)の規定の例による。

 (個人の減価償却に関する経過規定)

第五条 新法第十条及び第十一条の規定は、個人が施行日以後に取得し、又は製作して事業の用に供した新法第十条第一項に規定する重要機械等又は新法第十一条第一項に規定する合理化機械等の減価償却額の計算について適用し、個人が施行日前に取得し、又は製作して事業の用に供した旧法第五条の五第一項(機械等の特別償却)に規定する機械等又は旧法第五条の七第一項(指定事業用機械の特別償却)に規定する指定事業用機械の減価償却額の計算については、なお従前の例による。

2 個人が、施行日前に取得し、又は製作して同日においてまだ事業の用に供していない旧法第五条の五第一項に規定する機械等又は旧法第五条の七第一項に規定する指定事業用機械を同日から一年以内にその用に供した場合における当該機械等又は指定事業用機械の減価償却額の計算については、旧法第五条の五又は第五条の七の規定は、なおその効力を有する。

3 新法第十二条の規定は、試験研究を行う個人が施行日以後に企業合理化促進法第四条の規定により承認を受けた機械設備等の減価償却額の計算について適用し、当該個人が同日前に当該承認を受けた機械設備等の減価償却額の計算については、なお従前の例による。

4 個人が、昭和二十七年一月一日から昭和三十年六月三十日までの間に、貸家の用(その者の営む事業に係る使用人の居住の用を含む。以下この項及び次項において同じ。)に供する目的をもつて住宅の用に供する旧法第二十一条第一項(貸家住宅の五年間五割増償却)に規定する命令で定める家屋を取得して貸家の用に供した場合における当該家屋の減価償却額の計算については、なお従前の例による。

5 個人が、昭和三十年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に、貸家の用に供する目的をもつて住宅の用に供する旧法第二十一条の二第一項(貸家住宅の五年間十割増又は二十割増償却)に規定する命令で定める家屋を取得して、これを昭和三十三年十二月三十一日までに貸家の用に供した場合における当該家屋の減価償却額の計算については、同項の規定は、なおその効力を有する。

6 個人が昭和三十二年一月一日から同年三月三十一日までの間に旧法第七条の三第一項(満期保険に附した漁船の特別償却)に規定する漁船につき支払つた同項に規定する満期保険の保険料は、新法第十四条の規定の適用を受ける保険料とみなす。

7 個人が昭和三十二年四月一日前に取得し、又は製作して旧法第七条の八第一項(探鉱用機械設備の特別償却)に規定する新鉱床の探鉱の用に供した同項に規定する探鉱用機械設備の減価償却額の計算については、なお従前の例による。

8 個人が昭和三十二年四月一日前に取得し、又は製作して同日においてまだ探鉱の用に供していない旧法第七条の八第一項に規定する探鉱用機械設備を同日から一年以内に同項に規定する新鉱床の探鉱の用に供した場合における当該探鉱用機械設備の減価償却額の計算については、同条の規定は、なおその効力を有する。

9 個人が昭和三十二年四月一日前に支出した旧法第七条の八第二項(探鉱費及び他から購入した鉱業権の特別償却)に規定する支出金額の必要経費算入については、なお従前の例による。

 (個人の準備金に関する経過規定)

第六条 個人の昭和三十二年分の事業所得の金額を計算する場合において、昭和三十一年十二月三十一日における価格変動準備金勘定の金額と昭和三十二年十二月三十一日において旧法第五条の九第一項(価格変動準備金勘定への繰入金額の必要経費算入)の規定により計算した価格変動準備金勘定の繰入限度額とのうちいずれか少い金額が、同日において新法第十九条第一項各号の規定により計算した金額の合計額をこえるときは、同項の規定にかかわらず、当該金額の合計額にそのこえる金額を加算した金額を、同項各号の規定により計算した金額の合計額とする。

2 前項の規定の適用を受けた個人の新法第十九条第一項の規定により計算した価格変動準備金勘定の繰入限度額が前年十二月三十一日における価格変動準備金勘定の金額をこえることとなる最初の年の前年までの各年においては、同項の規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額を同項各号の規定により計算した金額の合計額とする。

 一 その年十二月三十一日において新法第十九条第一項各号の規定により計算した金額の合計額

 二 前年十二月三十一日における価格変動準備金勘定の金額から同日において新法第十九条第一項各号の規定により計算した金額の合計額と前号に掲げる合計額とのいずれか多い金額を控除した金額

 (個人の輸出所得に関する経過規定)

第七条 個人が昭和三十二年四月一日前にした旧法第七条の六第一項各号又は第七項(輸出所得の特別控除)に規定する取引は、新法第二十一条第一項各号又は第二十三条第一項各号に規定する取引とみなして、新法第二章第二節第三款の規定を適用する。

 (社会診療報酬の源泉徴収に関する経過規定)

第八条 新法第二十七条の規定は、施行日以後に支払を受けるべき同条に規定する報酬について適用し、同日前に支払を受けるべき当該報酬については、なお従前の例による。

 (外国技術使用料課税に関する経過規定)

第九条 新法第二十八条の規定は、施行日以後に支払を受けるべき同条第一項に規定する重要外国技術の使用料について適用し、同日前に支払を受けるべきであつた旧法第三条の二第二項(外国技術使用料の税率の軽減)に規定する工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるものに係る所得については、なお従前の例による。

2 昭和二十八年三月三十一日までに締結された契約に基き、旧法第三条の二第一項(外国技術使用料の非課税)に規定する工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるものにつき、同項に規定する非居住者又は法人が施行日前に支払を受けるべきであつた同項に規定する所得及び施行日以後に支払を受ける同項に規定する所得については、同条第一項、第三項及び第四項の規定は、なおその効力を有する。

 (個人に関するその他の経過規定)

第十条 新法第三十一条及び第三十二条の規定は、昭和三十二年一月一日以後これらの規定に該当すべき事実が生じた場合におけるその該当する資産の再評価について適用し、同日前に旧法第十四条(収用等の場合の譲渡所得等の計算上の再評価額の特例)の規定に該当する事実が生じた場合におけるその該当する資産の再評価については、なお従前の例による。

2 新法第四十条第二項(国等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税)の規定は、施行日以後に同条第一項に規定する承認があつたものについて適用する。

3 昭和三十一年分以前の所得税について旧法第五条の四第一項(概算所得控除)の規定の適用を選択した個人の同年分以前の所得税については、なお従前の例による。

4 旧法第十三条(長期の耐用年数の資産に関する旧再評価税の延納)の規定は、個人の同条に規定する減価償却資産の旧再評価差額に係る再評価税の納付については、なおその効力を有する。

5 旧法第二十条の二第一項(国有林野と交換した山林の山林所得の計算の特例)の規定の適用を受けた交換により取得した立木又は立木の存する土地については、同条第二項の規定は、なおその効力を有する。

 (法人税の特例に関する経過規定の原則)

第十一条 新法第三章の規定は、次条から附則第十八条までに特別の定があるものを除くほか、法人の昭和三十二年四月一日以後に終了する事業年度分の法人税(清算中の事業年度に係る法人税を含むものとし、法人税法第一条第二項に規定する人格のない社団等で同法の適用を受けるものについては、昭和三十二年四月一日以後に開始する事業年度分の法人税とする。)について適用し、法人の同日前に終了する事業年度分の法人税(清算中の事業年度に係る法人税を含む。)については、なお従前の例による。

 (法人の減価償却に関する経過規定)

第十二条 新法第四十二条及び第四十三条の規定は、法人が施行日以後に取得し、又は製作して事業の用に供した新法第四十二条第一項に規定する重要機械等又は新法第四十三条第一項に規定する合理化機械等の償却範囲額の計算について適用し、法人が施行日前に取得し、又は製作して事業の用に供した旧法第五条の六第一項(機械等の特別償却)に規定する機械等又は旧法第五条の八第一項(指定事業用機械の特別償却)に規定する指定事業用機械の償却範囲額の計算については、なお従前の例による。

2 法人が、施行日前に取得し、又は製作して同日においてまだ事業の用に供していない旧法第五条の六第一項に規定する機械等又は旧法第五条の八第一項に規定する指定事業用機械を同日から一年以内にその用に供した場合における当該機械等又は指定事業用機械の償却範囲額の計算については、旧法第五条の六又は第五条の八の規定は、なおその効力を有する。

3 新法第四十四条の規定は、試験研究を行う法人が施行日以後に企業合理化促進法第四条の規定により承認を受けた機械設備等の償却範囲額の計算について適用し、当該法人が同日前に当該承認を受けた機械設備等の償却範囲額の計算については、なお従前の例による。

4 新法第四十五条の規定は、同条に規定する法人の昭和三十二年四月一日以後最初に開始する事業年度開始の日以後に取得し、又は製作して当該法人の事業の用に供した同条第一項に規定する協同事業用機械等の償却範囲額の計算について適用し、旧法第七条の五第一項(協同事業用機械等の特別償却)に規定する法人の昭和三十二年四月一日以後最初に開始する事業年度開始の日前に取得し、又は製作して当該法人の事業の用に供した同項に規定する協同事業用機械等の償却範囲額の計算については、なお従前の例による。

5 旧法第七条の五第一項に規定する法人が、昭和三十二年四月一日以後最初に開始する事業年度開始の日前に取得し、又は製作して同日においてまだ事業の用に供していない同項に規定する協同事業用機械等を同日から一年以内に当該法人の事業の用に供した場合における当該協同事業用機械等の償却範囲額の計算については、同条の規定は、なおその効力を有する。

6 法人が、昭和二十七年一月一日から昭和三十年六月三十日までの間に、貸家の用(当該法人の営む事業に係る使用人の居住の用を含む。以下この項及び次項において同じ。)に供する目的をもつて住宅の用に供する旧法第二十一条第二項(貸家住宅の五年間五割増償却)に規定する命令で定める家屋を取得して貸家の用に供した場合における当該家屋の償却範囲額の計算については、なお従前の例による。

7 法人が、昭和三十年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に、貸家の用に供する目的をもつて住宅の用に供する旧法第二十一条の二第二項(貸家住宅の五年間十割増又は二十割増償却)に規定する命令で定める家屋を取得して、これを昭和三十三年十二月三十一日までに貸家の用に供した場合における当該家屋の償却範囲額の計算については、同条第二項及び第三項の規定は、なおその効力を有する。

8 法人が昭和三十二年四月一日を含む事業年度(同日から開始する事業年度を除く。)開始の日から同年三月三十一日までの間に旧法第七条の四第一項(満期保険に附した漁船の特別償却)に規定する漁船につき支払つた同項に規定する満期保険の保険料は、新法第四十七条の規定の適用を受ける保険料とみなす。

9 法人が昭和三十二年四月一日前に取得し、又は製作して旧法第七条の九第一項(探鉱用機械設備の特別償却)に規定する新鉱床の探鉱の用に供した同項に規定する探鉱用機械設備の償却範囲額の計算については、なお従前の例による。

10 法人が昭和三十二年四月一日前に取得し、又は製作して同日においてまだ探鉱の用に供していない旧法第七条の九第一項に規定する探鉱用機械設備を同日から一年以内に同項に規定する新鉱床の探鉱の用に供した場合における当該探鉱用機械設備の償却範囲額の計算については、同条の規定は、なおその効力を有する。

11 法人が昭和三十二年四月一日前に支出した旧法第七条の九第二項(探鉱費及び他から購入した鉱業権の特別償却)に規定する支出金額の損金算入については、なお従前の例による。

 (法人の準備金に関する経過規定)

第十三条 昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度(以下この項において「改正事業年度」という。)において、改正事業年度の直前の事業年度終了の日における価格変動準備金勘定の金額と改正事業年度終了の日において旧法第五条の十第一項(価格変動準備金勘定への繰入金額の損金算入)の規定により計算した価格変動準備金勘定の繰入限度額とのうちいずれか少い金額が、同日において新法第五十三条第一項各号の規定により計算した金額の合計額をこえる法人については、同項の規定にかかわらず、当該金額の合計額にそのこえる金額を加算した金額を、同項各号の規定により計算した金額の合計額とする。

2 前項の規定の適用を受けた法人の新法第五十三条第一項の規定により計算した価格変動準備金勘定の繰入限度額が当該事業年度の直前の事業年度終了の日における価格変動準備金勘定の金額をこえることとなる最初の事業年度の直前の事業年度までの各事業年度においては、同項の規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額を同項各号の規定により計算した金額の合計額とする。

 一 当該事業年度終了の日において新法第五十三条第一項各号の規定により計算した金額の合計額

 二 当該事業年度の直前の事業年度終了の日における価格変動準備金勘定の金額から同日において新法第五十三条第一項各号の規定により計算した金額の合計額と前号に掲げる合計額とのいずれか多い金額を控除した金額

 (法人の輸出所得に関する経過規定)

第十四条 法人の昭和三十二年四月一日前にした旧法第七条の六第一項各号又は旧法第七条の七第五項(輸出所得の特別控除)に規定する取引は、新法第五十五条第一項各号又は第五十七条第一項各号に規定する取引とみなして、新法第三章第三節の規定を適用する。

 (協同組合の課税に関する経過規定)

第十五条 新法第五十九条第三項(新法第六十条第二項及び第六十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、法人の昭和三十二年四月一日以後最初に終了する事業年度以後の各事業年度において留保した所得で新法第五十九条第一項若しくは第二項、第六十条第一項又は第六十一条第一項の規定の適用があつたものの同日以後に支出した金額について適用する。

 (法人の交際費の課税に関する経過規定)

第十六条 新法第六十二条の規定は、法人の昭和三十二年四月一日以後に開始する事業年度において支出した同条第一項に規定する交際費等について適用し、法人の同日前に開始した事業年度において支出した旧法第五条の十二第一項(法人の交際費等の損金不算入)に規定する交際費等については、なお従前の例による。

 (増資配当の免税に関する経過規定)

第十七条 昭和二十八年十二月一日から昭和三十二年一月三十一日までの間に旧法第五条の十一第一項(増資配当に対する法人税の免除)に規定する増資を行つた法人(旧法第五条の十一第一項の規定する当該法人の合併法人を含む。)が、当該増資の行われた日以後二年を経過した日の前日を含む事業年度までの各事業年度において、当該増資により増加した資本又は出資に対し、当該事業年度の所得のうちからする利益の配当又は剰余金の分配(当該法人の合併法人が当該合併により継承した資本又は出資でその増資により増加した資本又は出資からなる部分についてする利益の配当又は剰余金の分配を含む。)については、同条の規定は、なおその効力を有する。ただし、当該法人が同項の規定の適用を受けることとなる要件としての減価償却資産の償却範囲額の計算の基礎となる償却範囲額は、法人税法及び同法に基く命令の規定に定める償却不足額及びこの法律の規定の適用により増加することとなる減価償却費の額を含まないで計算した場合の償却範囲額とする。

 (法人に関するその他の経過規定)

第十八条 旧銀行等の債券発行等に関する法律第十三条第一項又は第十四条第一項(旧銀行等の債券発行等に関する法律第十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定により、法人が施行日以後にその利益又は剰余金から優先株式又は優先出資に対してする配当又は剰余金の分配については、旧法第五条の十三(優先株式等に対する配当の免税)の規定は、なおその効力を有する。

2 新法第六十四条及び第六十五条の規定は、施行日を含む事業年度開始の日以後これらの規定に該当すべき事実が生じた場合におけるその該当する資産の再評価について適用し、同日前に旧法第十五条(収用等の場合の所得の計算上の再評価額の特例)の規定に該当する事実が生じた場合におけるその該当する資産の再評価については、なお従前の例による。

3 旧法第十三条の二(長期の耐用年数の資産に関する旧再評価税額の延納)の規定は、法人の同条に規定する減価償却資産の旧再評価差額に係る再評価税の納付については、なおその効力を有する。

 (相続税法の特例に関する経過規定)

第十九条 新法第四章の規定は、施行日以後に開始した相続に係る相続税について適用し、同日前に開始した相続に係る相続税については、なお従前の例による。

 (登録税法の特例に関する経過規定)

第二十条 次に掲げる登記の登録税については、なお従前の例による。

 一 昭和二十七年四月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に新築した旧法第九条の二第一項(新築住宅の登録税の軽減)に規定する家屋の所有権の保存の登記及び当該期間内に増築した家屋の床面積の増加に係る所有権の保存の登記

 二 昭和三十年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に、旧法第九条の二第二項に規定する者が新築した同項に規定する家屋をその者から取得した場合の所有権の取得の登記

 三 前二号に規定する家屋の取得のための資金の貸付がされた場合にその貸付に係る債権の担保として当該家屋の上に設定される抵当権の取得の登記

 四 昭和三十年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に、地方公共団体が新築し、又は増築した旧法第九条の二第四項に規定する家屋の所有権の保存の登記

 五 昭和二十八年八月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に新造した船舶で旧法第九条の四第一項(外航船舶の登録税の軽減)に規定する船舶の所有権の保存の登記

 六 昭和二十七年十一月一日から昭和三十二年三月三十一日までの間に新造した船舶で旧法第九条の四第二項に規定する船舶の建造のための資金の貸付がされた場合にその貸付に係る債権の担保として当該船舶の上に設定される抵当権の取得の登記

 七 旧法第九条の五に規定する船舶公団の他の船舶所有者との船舶の共有契約に基く持分で国に引き継がれたものを当該船舶所有者が国から譲り受けた場合の所有権の取得の登記

 (酒税法等の特例に関する経過規定)

第二十一条 施行日前に移出し、又は引き取つた旧法第二十五条第一項(特殊用途酒類の酒税の軽減)に規定する特殊用途酒類及び旧法第二十五条の二(二十度焼ちゆうの酒税の軽減)に規定する焼ちゆう又は旧法第二十六条第一項(航空機用揮発油の免税)に規定する揮発油については、なお従前の例による。

 (他の法律の一部改正等)

第二十二条 資産再評価法の一部を次のように改正する。

  第十七条第四項中「租税特別措置法」を「旧租税特別措置法」に改める。

第二十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十三条第一号中「租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)第二条の二第一項又は第二条の三第一項」を「租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三条又は同法附則第四条第三項」に改める。

  第七十二条の十四第一項ただし書中「租税特別措置法第七条の七」を「租税特別措置法第五十五条から第五十七条まで」に改める。

  第七十二条の十七第一項ただし書中「租税特別措置法第七条の六」を「租税特別措置法第二十一条から第二十三条まで」に改める。

  第二百九十二条第五号中「租税特別措置法第二条の二第一項又は第二条の三第一項」を「租税特別措置法第三条又は同法附則第四条第三項」に改める。

  第三百四十九条の三第三項中「第二項若しくは第三項」を「第二項」に改める。

2 前項の規定による改正後の地方税法第二十三条及び第二百九十二条の規定は、個人の昭和三十三年度分以後の道府県民税及び市町村民税について適用し、個人の昭和三十二年度分以前の道府県民税及び市町村民税については、なお従前の例による。

3 第一項の規定による改正後の地方税法第七十二条の十四の規定は、法人の昭和三十二年四月一日を含む事業年度分以後の事業税について、同法第七十二条の十七の規定は、個人の昭和三十三年度分以後の事業税について適用し、法人の当該事業年度前の事業年度分の事業税、個人の昭和三十二年度分以前の事業税については、なお従前の例による。ただし、地方税法第七十二条の十六第二項の規定の適用を受ける事業税については、第一項の規定による改正後の地方税法第七十二条の十七の規定は、昭和三十二年一月一日以後の同項に規定する所得に対して課する事業税について適用し、同日前の同項に規定する所得に対して課する事業税については、なお従前の例による。

第二十四条 企業合理化促進法の一部を次のように改正する。

  第四条第二項から第五項までを次のように改める。

 2 前項の規定により承認を受けた者の当該承認を受けた機械設備等については、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の定めるところにより、特別償却を行うことができる。

  第六条中「租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)」を「租税特別措置法」に改める。

第二十五条 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法(昭和二十九年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。

  第十条第二項中「租税特別措置法」を「旧租税特別措置法」に改める。

第二十六条 日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律(昭和二十九年法律第百九十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)第二条の二、第二条の三、第三条及び第三条の二」を「租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三条から第七条まで及び第二十八条並びに同法附則第四条第三項」に改める。

(内閣総理・大蔵・通商産業大臣署名) 

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.