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法律第百八号(昭四六・六・一〇)

  ◎国有林野の活用に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、林業基本法(昭和三十九年法律第百六十一号)第四条の規定の趣旨に即し、国有林野の所在する地域における農林業の構造改善その他産業の振興又は住民の福祉の向上のための国有林野の活用につき、国の方針を明らかにすること等により、その適正かつ円滑な実施の確保を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「国有林野」とは、国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)第二条に規定する国有林野をいい、「国有林野の活用」とは、同法、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)その他の法令の規定に基づき、国有林野を貸し付け、使用させ、交換し、売り払い、若しくは譲与し、国有林野の所管換若しくは所属替をし、又は国有林野につき部分林契約若しくは共用林野契約を締結することをいう。

2 この法律において「農林業の構造改善」とは、農業構造の改善及び林業構造の改善をいい、「農業構造の改善」及び「林業構造の改善」とは、それぞれ、農業基本法(昭和三十六年法律第百二十七号)第二条第一項第三号の農業構造の改善及び林業基本法第三条第一項第二号の林業構造の改善をいう。

 (国有林野の活用の推進)

第三条 農林大臣は、国有林野の所在する地域における農林業の構造改善その他産業の振興又は住民の福祉の向上に資するため、国有林野の管理及び経営の事業の適切な運営の確保に必要な考慮を払いつつ、次の各号に掲げる国有林野の活用で当該各号に掲げる者を相手方とするもの(第一号に掲げる国有林野の活用にあつては、同号に掲げる者に売り払うことを目的とする所属替を含む。)を積極的に行なうものとする。

 一 農業構造の改善の計画的推進又は農業生産の選択的拡大の促進のための農用地(土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第一項に規定する農用地をいう。)の造成の事業で農林省令で定めるものの用に供することを目的とする国有林野の活用

   農業を営む個人、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第七項に規定する農業生産法人、農業協同組合、地方公共団体その他農林省令で定める者

 二 前号に掲げる事業の用に供することを目的として譲渡された土地で林業経営の用に供されていたものに代わるべき土地として林業経営の用に供することを目的とする国有林野の活用

   当該譲渡をした者で農林省令で定めるもの

 三 林業構造の改善の計画的推進のための小規模林業経営の規模の拡大その他林業経営の近代化の事業で農林省令で定めるものの用に供することを目的とする国有林野の活用

   林業を営む個人で農林省令で定めるもの又は農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第七十二条の八第一項第二号に掲げる事業を行なう農事組合法人、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第七十九条第一項第二号に掲げる事業を行なう森林組合その他の小規模林業経営を行なう者が主たる構成員若しくは出資者となつている団体で農林省令で定めるもの

 四 国有林野の所在する地域の市町村の住民又は当該市町村内の一定の区域に住所を有する者が共同して行なう造林及び保育、家畜の放牧又は養畜の業務のための採草で農林省令で定めるものの用に供することを目的とする国有林野の活用(前三号に掲げるものを除く。)

   当該造林及び保育、家畜の放牧若しくは養畜の業務のための採草を行なう者若しくはこれらの者が主たる構成員若しくは出資者となつている団体で農林省令で定めるもの又は当該市町村

 五 国有林野の所在する地域の産業の振興又は住民の福祉の向上のために必要な事業で公用、公共用又は公益事業の用に供する施設に関するものの用に供することを目的とする国有林野の活用

   当該事業を行なう者

 六 前各号に掲げるもののほか、国有林野の所在する地域の産業の振興又は住民の福祉の向上のために必要な事業で山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)第八条第一項の山村振興計画に基づくものの用に供することを目的とする国有林野の活用

   農事組合法人、農業協同組合、森林組合、地方公共団体その他農林省令で定める者

2 前項の規定による国有林野の活用は、当該国有林野の位置その他の自然的経済的諸条件からみて合理的なものであるとともに、当該国有林野の所在する地域の経済的又は社会的実情を考慮しかつ当該地域の住民の意向を尊重したものでなければならない。

 (国有林野の活用に関する基本的事項の決定及び公表)

第四条 農林大臣は、前条第一項の規定による国有林野の活用につき、その推進のための方針、適地の選定方法その他当該活用の実施に関する基本的事項を定め、これを公表しなければならない。

 (国有林野の活用の適正な実施)

第五条 農林大臣は、第三条第一項各号に掲げる者から当該各号に掲げる国有林野の活用を受けたい旨の申出があつたときは、必要な現地調査を行なつて、すみやかに当該活用の適否を決定するとともに、当該活用を行なうに当たつては、次項の規定によるほか、用途を指定する等当該活用に係る土地の利用が当該活用の目的に従つて適正に行なわれるようにするための必要な措置を講じなければならない。

2 農林大臣は、第三条第一項の規定による国有林野の活用により土地の売払いをする場合には、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百七十九条の定めるところにより、買戻しの期間を当該売払いの日から十年を経過する日までの期間とする買戻しの特約をつけなければならない。

3 農林大臣は、前項の売払いに係る土地につき、次の各号に掲げる場合(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)によつてその土地が収用された場合その他農林省令で定める場合を除く。)に限り、同項の特約に基づく買戻権を行使することができる。

 一 指定された期日までに指定された用途に供されなかつたとき。

 二 指定された用途に供された後指定された期間内にその用途が廃止されたとき。

 (国有林野の活用を受けた者の義務)

第六条 第三条第一項の規定による国有林野の活用を受けた者は、当該活用の目的に従つて、当該活用に係る土地の利用を適正に行なうとともに、その利用の増進に努めなければならない。

 (延納の特約)

第七条 農林大臣は、第三条第一項の規定による国有林野の活用で同項第一号から第三号までに掲げるものに該当する土地の売払い又は当該活用に伴う立木竹の売払いをする場合において、当該売払いを受ける者がその代金を一時に支払うことが困難であると認めるときは、国有財産法第三十一条第一項の規定にかかわらず、確実な担保を徴し、利息を附し、二十五年以内の延納の特約をすることができる。この場合には、同条第二項及び第三項(同項第二号を除く。)の規定を準用する。

 (収入の使途)

第八条 第三条第一項の規定による国有林野の活用により行なう国有林野の交換、売払い、所管換又は所属替による収入は、予算で定めるところにより、次の各号に掲げる経費の財源に充てるものとする。

 一 森林経営の用に供することが適当な民有林野(地方公共団体の所有に属するものを含む。以下同じ。)で国有林野とあわせて経営することを相当とするものの買入れに要する経費

 二 国土の保全上必要な民有林野で国有林野とあわせて経営することを相当とするものの買入れに要する経費

 三 前二号に掲げる民有林野を交換により取得する場合における交換に要する経費

 四 前各号の買入れ又は交換により取得した森林原野に係る林道の開設その他林業生産基盤の整備に要する経費

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名) 

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