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法律第六十二号(昭四九・五・三一)

  ◎国際協力事業団法

目次

 第一章 総則(第一条―第七条)

 第二章 役員及び職員(第八条―第十八条)

 第三章 運営審議会(第十九条・第二十条)

 第四章 業務(第二十一条―第二十五条)

 第五章 財務及び会計(第二十六条―第三十七条)

 第六章 監督(第三十八条・第三十九条)

 第七章 雑則(第四十条―第四十三条)

 第八章 罰則(第四十四条―第四十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 国際協力事業団は、開発途上にある海外の地域(以下「開発途上地域」という。)に対する技術協力の実施及び青年の海外協力活動の促進に必要な業務を行い、開発途上地域等の社会の開発並びに農林業及び鉱工業の開発に協力する見地からこれらの開発に必要な資金で日本輸出入銀行及び海外経済協力基金から供給を受けることが困難なものについてその円滑な供給を図り、これと併せて技術を提供する等の業務を行い、並びに中南米地域等への海外移住の円滑な実施に必要な業務を行い、もつてこれらの地域の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的とする。

 (法人格)

第二条 国際協力事業団(以下「事業団」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第三条 事業団は、主たる事務所を東京都に置く。

2 事業団は、外務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。

 (資本金)

第四条 事業団の資本金は、四十億円と附則第六条第四項、附則第七条第四項及び附則第八条第五項の規定により政府から出資があつたものとされた金額との合計額とし、政府がその全額を出資する。

2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、事業団に追加して出資することができる。

3 事業団は、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増額するものとする。

 (登記)

第五条 事業団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (名称の使用制限)

第六条 事業団でない者は、国際協力事業団という名称を用いてはならない。

 (民法の準用)

第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、事業団について準用する。

   第二章 役員及び職員

 (役員)

第八条 事業団に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十二人以内及び監事三人以内を置く。

2 事業団に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事六人以内を置くことができる。

 (役員の職務及び権限)

第九条 総裁は、事業団を代表し、その業務を総理する。

2 副総裁は、総裁の定めるところにより、事業団を代表し、総裁を補佐して事業団の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。

3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して事業団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。

4 監事は、事業団の業務を監査する。

5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は主務大臣に意見を提出することができる。

 (役員の任命)

第十条 総裁及び監事は、外務大臣が任命する。

2 副総裁及び理事は、総裁が外務大臣の認可を受けて任命する。この場合において、非常勤の理事のうち、一人は日本輸出入銀行の理事のうちから、一人は海外経済協力基金の理事のうちから、それぞれ、日本輸出入銀行の総裁及び海外経済協力基金の総裁の推薦に基づき、任命するものとする。

 (役員の任期)

第十一条 役員の任期は、四年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第十二条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。

 一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)

 二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて事業団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 (役員の解任)

第十三条 外務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 外務大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

3 総裁は、前項の規定により役員を解任しようとするときは、外務大臣の認可を受けなければならない。

 (役員の兼職禁止)

第十四条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、外務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

 (代表権の制限)

第十五条 事業団と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、総裁及び副総裁は、代表権を有しない。この場合には、監事が事業団を代表する。

 (代理人の選任)

第十六条 総裁は、事業団の理事又は職員のうちから、事業団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

 (職員の任命)

第十七条 事業団の職員は、総裁が任命する。

 (役員及び職員の公務員たる性質)

第十八条 事業団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

   第三章 運営審議会

 (運営審議会)

第十九条 事業団に、運営審議会を置く。

2 運営審議会は、総裁の諮問に応じ、事業団の業務の運営に関する重要事項を審議する。

3 運営審議会は、事業団の業務の運営につき、総裁に対して意見を述べることができる。

4 運営審議会は、委員四十人以内で組織する。

 (委員)

第二十条 委員は、事業団の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、外務大臣の認可を受けて、総裁が任命する。

2 委員の任期は、二年とする。

3 委員は、再任されることができる。

4 第十三条第二項及び第三項の規定は、委員について準用する。

   第四章 業務

 (業務の範囲)

第二十一条 事業団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 条約その他の国際約束に基づく技術協力の実施に必要な次の業務(第三号ニに掲げる業務に該当するものを除く。)を行うこと。

  イ 開発途上地域からの技術研修員に対し技術の研修を行い、並びにこれらの技術研修員のための研修施設及び宿泊施設を設置し、及び運営すること。

  ロ 開発途上地域に対する技術協力のため人員を派遣すること。

  ハ ロに掲げる業務に係る技術協力その他開発途上地域に対する技術協力のための機材を供与すること。

  ニ 開発途上地域に設置される技術協力センターに必要な人員の派遣、機械設備の調達等その設置及び運営に必要な業務を行うこと。

  ホ 開発途上地域における公共的な開発計画に関し基礎的調査を行うこと。

 二 開発途上地域の住民と一体となつて当該地域の経済及び社会の発展に協力することを目的とする海外での青年の活動(以下この号において「海外協力活動」という。)を促進し、及び助長するため、次の業務を行うこと。

  イ 海外協力活動を志望する青年の募集、選考及び訓練を行い、並びにその訓練のための施設を設置し、及び運営すること。

  ロ 条約その他の国際約束に基づき、イの選考及び訓練を受けた青年を開発途上地域に派遣すること。

  ハ 海外協力活動に関し、知識を普及し、及び国民の理解を増進すること。

 三 開発途上地域等の社会の開発並びに農林業及び鉱工業の開発に協力するため、次の業務を行うこと。

  イ 開発途上地域における住民の福祉向上のための文化、交通、通信、衛生、生活環境等に係る施設の整備事業又は開発途上地域等における農林業若しくは鉱工業に係る開発の事業(以下次条までにおいて「開発事業」と総称する。)に付随して必要となる関連施設であつて周辺の地域の開発に資するものの整備(次条において「関連施設の整備」という。)に必要な資金を貸し付け、又は当該資金の借入れに係る債務を保証すること。

  ロ 開発事業のうち試験的に行われる事業(石油(オイルサンド及びオイルシェールを含む。)、可燃性天然ガス及び金属鉱物に係る鉱業並びに工業に係るものを除く。)であつて技術の改良又は開発と一体として行われなければその達成が困難であると認められるものその他これに準ずる事業として政令で定めるもの(次条において「試験的事業等」という。)に必要な資金を貸し付け、若しくは当該資金の借入れに係る債務を保証し、又は当該資金を供給するための出資をすること。

  ハ 条約その他の国際約束に基づき、開発途上地域の政府又は地方公共団体その他の公共的団体からの委託を受けて、当該開発途上地域の社会の開発並びに農林業及び鉱工業の開発に資する施設等の整備事業(政令で定めるものに限る。次条において「施設等整備事業」という。)を行うこと。

  ニ イ又はロの規定による貸付け、債務の保証又は出資の対象となる事業及びハの規定により事業団が行う事業に必要な調査及び技術の指導を行うこと。

  ホ 開発事業に従事する本邦法人(本邦法人が出資している外国法人を含む。)又は本邦人からの要請に基づき、第一号及びニの業務の遂行に支障のない範囲内で適当と認める場合に、当該開発事業に必要な技術の指導を行うこと。

 四 移住者に対する援助及び指導等を国の内外を通じ一貫して実施するため、次の業務を行うこと。

  イ 海外移住に関し、調査及び知識の普及を行い、相談に応じ、並びにあつせんを行うこと。

  ロ 移住者に対して、訓練及び講習並びに渡航費及び支度金等の支給を行い、並びに渡航のための宿泊施設の提供、引率その他の援助及び指導を行うこと。

  ハ 海外において、移住者の事業、職業その他移住者の生活一般について、相談に応じ、及び指導を行うこと。

  ニ 海外において、移住者の定着のために必要な福祉施設の整備その他の援助を行うこと。

  ホ 移住者が入植するための土地の取得、造成、管理及び譲渡並びに取得のあつせんを行うこと。

  へ 移住者若しくはその団体で海外において農業、漁業、工業その他の事業を行うものに対して当該事業に必要な資金を貸し付け、若しくは当該資金の借入れに係る債務を保証し、又は当該事業のうち政令で定めるものに必要な資金を供給するための出資をすること。

  ト 海外において農業、漁業、工業その他の事業であつて移住者の定着及び安定に寄与すると認められるものを行う者(移住者及びその団体を除く。)に対して当該事業に必要な資金を貸し付け、又は当該事業のうち政令で定めるものに必要な資金を供給するための出資をすること。

 五 第一号並びに第三号ニ及びホの業務の遂行に必要な人員の養成及び確保を行うこと。

 六 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 七 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行うこと。

2 事業団は、前項第七号に掲げる業務を行おうとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。

第二十二条 次の各号に掲げる業務については、事業団は、当該各号に定める要件を満たす場合に限り、当該業務を行うことができる。

 一 前条第一項第三号イに掲げる業務 次のイ及びロのいずれにも該当すること。

  イ 当該開発事業につき、日本輸出入銀行、海外経済協力基金、事業団その他政令で定める機関からの資金の貸付け、債務の保証又は出資(以下「貸付け等」という。)があること。

  ロ 当該関連施設の整備につき、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金から貸付け等を受けることが困難であると認められること。

 二 前条第一項第三号ロに掲げる業務 当該試験的事業等につき、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金から貸付け等を受けることが困難であると認められること。

 三 前条第一項第三号ハに掲げる業務 当該施設等整備事業につき、当該開発途上地域及び我が国に事業団以外の適当な事業主体がないと認められること。

 (業務実施方針)

第二十三条 主務大臣は、毎事業年度、第二十一条第一項各号に掲げる業務につき業務実施方針を定め、当該事業年度の開始前に、これを事業団に指示するものとする。

2 主務大臣は、前項の規定により指示した業務実施方針の内容を変更したときは、その都度、その変更に係る指示をするものとする。

 (業務の委託)

第二十四条 事業団は、次の各号に掲げる業務については、主務大臣の認可を受けた場合に限り、当該各号に定める者に対し、当該業務の一部を委託することができる。

 一 第二十一条第一項第三号イ及びロに掲げる業務その他の貸付け等の業務 金融機関

 二 第二十一条第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる業務(前号に掲げる業務に該当するものを除く。) 地方公共団体その地の者

2 前項第一号に掲げる業務につき同項の規定による主務大臣の認可があつた場合においては、同号の金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、当該認可に係る業務を受託することができる。

3 第一項第一号の規定により業務の委託を受けた金融機関(以下「受託金融機関」という。)の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (業務方法書)

第二十五条 事業団は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、主務省令で定める。

   第五章 財務及び会計

 (事業年度)

第二十六条 事業団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

 (事業計画等の認可)

第二十七条 事業団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、外務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (財務諸表)

第二十八条 事業団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後四月以内に外務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 外務大臣は、やむを得ない事情があると認めるときは、事業団の申出により、二月を超えない範囲内において、前項の期間を延長することができる。

3 事業団は、第一項の規定により財務諸表を外務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見を付けなければならない。

 (区分経理)

第二十九条 事業団は、次に掲げる経理については、政令で定めるところにより、それぞれその他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。

 一 第二十一条第一項第三号イ及びロに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務に係る経理

 二 第二十一条第一項第三号ハに掲げる業務及びこれに附帯する業務に係る経理

 三 第二十一条第一項第四号ホに掲げる業務及びこれに附帯する業務に係る経理

 四 第二十一条第一項第四号へ及びトに掲げる業務並びにこれらに附帯する業務に係る経理

 (利益及び損失の処理並びに納付金)

第三十条 事業団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額のうち、政令で定める基準により計算した額を積立金として積み立てなければならない。

2 事業団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

3 事業団は、第一項に規定する残余の額から同項の規定により積立金として積み立てた額を控除して残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。

4 第一項の利益金の計算の方法及び前項の納付金の納付の手続その他同項の納付金に関し必要な事項については、政令で定める。

 (借入金及び国際協力事業団債券)

第三十一条 事業団は、外務大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は国際協力事業団債券(以下「債券」という。)を発行することができる。

2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、外務大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

4 第一項の規定による債券の債権者は、事業団の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6 事業団は、外務大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。

 (債務保証)

第三十二条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、事業団の長期借入金又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。

 (償還計画)

第三十三条 事業団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、外務大臣の認可を受けなければならない。

 (余裕金の運用)

第三十四条 事業団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 国債その他外務大臣の指定する有価証券の取得

 二 資金運用部への預託

 三 銀行その他外務大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金

 四 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託

 (財産の処分等の制限)

第三十五条 事業団は、外務省令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、外務大臣の認可を受けなければならない。

 (給与及び退職手当の支給の基準)

第三十六条 事業団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、外務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (外務省令への委任)

第三十七条 この法律及びこれに基づく命令に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、外務省令で定める。

   第六章 監督

 (監督)

第三十八条 事業団は、主務大臣が監督する。

2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第三十九条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団若しくは受託金融機関に対してその業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、事業団若しくは受託金融機関の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。ただし、受託金融機関に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第七章 雑則

 (連絡等)

第四十条 事業団は、第二十一条第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる業務の運営については、地方公共団体と密接に連絡するものとする。

2 地方公共団体は、事業団に対し、前項に規定する業務の運営について協力するよう努めるものとする。

 (解散)

第四十一条 事業団の解散については、別に法律で定める。

 (協議)

第四十二条 外務大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。

 一 第二十七条、第三十一条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十三条又は第三十五条の規定による認可をしようとするとき。

 二 第二十八条第一項又は第三十六条の規定による承認をしようとするとき。

 三 第三十四条第一号又は第三号の規定による指定をしようとするとき。

 四 第三十五条又は第三十七条の規定により外務省令を定めようとするとき。

2 主務大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。

 一 第二十一条第二項、第二十四条第一項又は第二十五条第一項の規定による認可をしようとするとき。

 二 第二十三条の規定により業務実施方針を定め、又は変更しようとするとき。

 三 第二十五条第二項の規定により主務省令を定めようとするとき。

3 主務大臣(次条第一項第二号の規定により外務大臣が主務大臣となる場合に限る。)は、次の場合には、関係行政機関の長(大蔵大臣を除く。)に協議しなければならない。ただし、第一号の場合にあつては、その協議は、第二十一条第一項第一号、第三号若しくは第五号に掲げる業務又は同項第四号に掲げる業務(これに関連する同項第七号に掲げる業務を含む。)に関する事項に限られるものとする。

 一 第二十三条の規定により業務実施方針を定め、又は変更しようとするとき。

 二 第二十一条第二項の規定による認可(同条第一項第四号に掲げる業務に係るものに限る。)をしようとするとき。

4 主務大臣(次条第一項第三号の規定により外務大臣及び農林大臣が主務大臣となる場合に限る。)は、次の場合には、通商産業大臣に協議しなければならない。ただし、その協議は、第二十一条第一項第三号イに掲げる業務に関する事項に限られるものとする。

 一 第二十三条の規定により業務実施方針を定め、又は変更しようとするとき。

 二 第二十五条第一項の規定による認可をしようとするとき。

 (主務大臣等)

第四十三条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。

 一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、外務大臣

 二 第二十一条第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる業務に関する事項並びに同項第三号及び第五号から第七号までに掲げる業務に関する事項(次号及び第四号に定める事項を除く。)については、外務大臣

 三 第二十一条第一項第三号に掲げる業務及びこれに関連する同項第五号に掲げる業務であつて、農林業の開発に係るもの並びにこれらの業務に関連する同項第六号及び第七号に掲げる業務に関する事項については、外務大臣及び農林大臣

 四 第二十一条第一項第三号に掲げる業務及びこれに関連する同項第五号に掲げる業務であつて、鉱工業の開発に係るもの並びにこれらの業務に関連する同項第六号及び第七号に掲げる業務に関する事項については、外務大臣及び通商産業大臣

2 この法律における主務省令は、前項各号に定める事項に関し、それぞれ同項各号に定める主務大臣の発する命令とする。

   第八章 罰則

 (罰則)

第四十四条 第三十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした事業団又は受託金融機関の役員又は職員は、五万円以下の罰金に処する。

第四十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした事業団の役員は、三万円以下の過料に処する。

 一 この法律により外務大臣又は主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 第五条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。

 三 第二十一条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 四 第三十四条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 五 第三十八条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。

第四十六条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十四条から第二十五条までの規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (事業団の設立)

第二条 外務大臣は、事業団の総裁又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された総裁又は監事となるべき者は、事業団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ総裁又は監事に任命されたものとする。

第三条 外務大臣は、設立委員を命じて、事業団の設立に関する事務を処理させる。

2 設立委員は、事業団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対し、出資金の払込みの請求をしなければならない。

3 設立委員は、出資金の払込みがあつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。

第四条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

第五条 事業団は、設立の登記をすることによつて成立する。

 (海外技術協力事業団の解散等)

第六条 海外技術協力事業団は、事業団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において事業団が承継する。

2 海外技術協力事業団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度は、海外技術協力事業団の解散の日の前日に終わるものとする。

3 海外技術協力事業団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。

4 第一項の規定により事業団が海外技術協力事業団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における海外技術協力事業団に対する政府の出資金に相当する金額は、事業団の設立に際し政府から事業団に出資されたものとする。

5 第一項の規定により海外技術協力事業団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。

 (海外移住事業団の解散等)

第七条 海外移住事業団は、事業団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において事業団が承継する。

2 海外移住事業団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度は、海外移住事業団の解散の日の前日に終わるものとする。

3 海外移住事業団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。

4 第一項の規定により事業団が海外移住事業団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における海外移住事業団に対する政府の出資金に相当する金額は、事業団の設立に際し政府から事業団に出資されたものとする。

5 第一項の規定により海外移住事業団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。

 (海外貿易開発協会からの引継ぎ等)

第八条 昭和四十五年二月一日に設立された財団法人海外貿易開発協会(以下この条において「協会」という。)は、寄附行為の定めるところにより、設立委員に対し、事業団の成立の時において現に協会が有する権利及び義務のうち、昭和四十九年二月一日現在における協会の寄附行為第四条第一号及び第二号に掲げる事業であつて農林業及び鉱工業に係るもの並びにこれらに附帯する事業(以下この条において「引継事業」という。)の遂行に伴い協会に属するに至つたものを、事業団において承継すべき旨を申し出ることができる。

2 設立委員は、前項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、外務大臣及び通商産業大臣の認可を申請しなければならない。

3 前項の認可があつたときは、引継事業の遂行に伴い協会に属するに至つた権利及び義務は、事業団の成立の時において事業団に承継されるものとする。

4 前項の規定による権利及び義務の承継があつた場合においては、事業団の成立前に引継事業の遂行に必要な資金に充てるため日本貿易振興会から協会に貸し付けられた七十四億五千万円の貸付金(以下「日本貿易振興会の貸付金」という。)は、その承継の日において返済されたものとなるものとする。

5 前項の規定により日本貿易振興会の貸付金が返済されたものとなるときは、その返済されたものとなる金額に相当する金額は、事業団の設立に際し政府から事業団に出資されたものとする。

6 第四項の規定により日本貿易振興会の貸付金が返済されたものとなつたときは、日本貿易振興会の資本金の額及び政府の日本貿易振興会に対する出資金の額は、それぞれ当該時期において、その返済されたものとされた日本貿易振興会の貸付金の額に相当する金額を減少するものとする。

 (非課税)

第九条 附則第六条第一項及び第七条第一項の規定により事業団が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得については、不動産取得税若しくは特別土地保有税又は自動車取得税を課することができない。

2 附則第六条第一項及び第七条第一項の規定により事業団が権利を承継する場合における当該承継に係る土地で海外技術協力事業団又は海外移住事業団が昭和四十四年一月一日前に取得したものに対しては、特別土地保有税を課することができない。

 (海外技術協力事業団等の解散等に伴う経過措置)

第十条 海外技術協力事業団若しくは海外移住事業団の解散の際現にその職員として在職する者又は事業団の設立の際現に日本貿易振興会の職員として在職する者で引き続き事業団の職員となつたものについては、事業団が国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条の二第一項に規定する公庫等に該当する場合に限り、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律(昭和四十八年法律第三十号)附則第九項中「在職した後」とあるのは「在職し、引き続き国際協力事業団において使用される者として在職した後」と、同法附則第十二項中「附則第九項に規定する者」とあるのは「国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)附則第十条の規定により読み替えて適用される附則第九項に規定する者」と読み替えてこれらの規定を適用する。

 (名称の使用制限等に関する経過措置)

第十一条 この法律の施行の際現に国際協力事業団という名称を使用している者については、第六条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

第十二条 事業団の最初の事業年度は、第二十六条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和五十年三月三十一日に終わるものとする。

第十三条 事業団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第二十七条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「事業団の成立後遅滞なく」とする。

 (海外技術協力事業団法等の廃止)

第十四条 次に掲げる法律は、廃止する。

 一 海外技術協力事業団法(昭和三十七年法律第百二十号)

 二 海外移住事業団法(昭和三十八年法律第百二十四号)

 (海外技術協力事業団法等の廃止に伴う経過措置)

第十五条 前条の規定の施行前にした廃止前の海外技術協力事業団法又は海外移住事業団法の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (地方財政再建促進特別措置法の一部改正)

第十六条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。

  第二十四条第二項中「、海外移住事業団」を削り、「若しくは畜産振興事業団」を「、畜産振興事業団若しくは国際協力事業団」に改める。

 (所得税法の一部改正)

第十七条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中海外移住事業団の項及び海外技術協力事業団の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。

国際協力事業団

国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)

 (法人税法の一部改正)

第十八条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中海外移住事業団の項及び海外技術協力事業団の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。

国際協力事業団

国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)

 (印紙税法の一部改正)

第十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第二中海外移住事業団の項及び海外技術協力事業団の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。

国際協力事業団

国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)

 (登録免許税法の一部改正)

第二十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第二中海外移住事業団の項及び海外技術協力事業団の項を削る。

  別表第三中七の項の次に次のように加える。

七の二 国際協力事業団

国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)

別表第一の第一号から第十八号までに掲げる登記又は登録(国際協力事業団法第二十一条第一項第三号イ又はロ(業務の範囲)に掲げる業務(同号イに掲げる業務のうち政令で定めるものを除く。)のための先取特権、質権又は抵当権の保存、設定又は移転の登記又は登録を除く。)

先取特権、質権又は抵当権の保存、設定又は移転の登記又は登録については、第三欄の登記又は登録に該当するものであることを証する大蔵省令で定める書類の添付があるものに限る。

 (地方税法の一部改正)

第二十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の四第一項第三号中「、海外技術協力事業団、海外移住事業団」を削り、「及び小型船舶検査機構」を「、小型船舶検査機構及び国際協力事業団」に改める。

  第七十三条の四第一項第二十号の次に次の一号を加える。

  二十の二 国際協力事業団が国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)第二十一条第一項第一号、第二号又は第四号に規定する業務の用に供する不動産で政令で定めるもの

 (行政管理庁設置法の一部改正)

第二十二条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第十二号中「海外技術協力事業団、海外移住事業団」を「国際協力事業団」に改める。

 (外務省設置法の一部改正)

第二十三条 外務省設置法(昭和二十六年法律第二百八十三号)の一部を次のように改正する。

  第七条第一項第二十五号を次のように改める。

  二十五 国際協力事業団の監督(海外移住に関するものに限る。)に関すること。

  第十条の二第六号を次のように改める。

  六 国際協力事業団の監督(海外移住に関するものを除く。)に関すること。

 (農林省設置法の一部改正)

第二十四条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一項第十四号の次に次の一号を加える。

  十四の二 国際協力事業団の指導監督を行うこと。

 (通商産業省設置法の一部改正)

第二十五条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一項第六号の次に次の一号を加える。

  六の二 国際協力事業団に関すること。

  第八条第三項中「第六号」の下に「、第六号の二」を加える。

(内閣総理・外務・大蔵・農林・通商産業・自治大臣署名) 

 

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