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法律第二十四号(平一七・四・一)

  ◎地域再生法

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 地域再生基本方針(第四条)

 第三章 地域再生計画の認定等(第五条―第十一条)

 第四章 認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置(第十二条―第十四条)

 第五章 地域再生本部(第十五条―第二十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、近年における急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組による地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生(以下「地域再生」という。)を総合的かつ効果的に推進するため、その基本理念、政府による地域再生基本方針の策定、地方公共団体による地域再生計画の作成及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けた地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置並びに地域再生本部の設置について定め、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

 (基本理念)

第二条 地域再生の推進は、地域における創意工夫を生かしつつ、潤いのある豊かな生活環境を創造し、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる住みよい地域社会の実現を図ることを基本とし、地域における地理的及び自然的特性、文化的所産並びに多様な人材の創造力を最大限に活用した事業活動の活性化を図ることにより魅力ある就業の機会を創出するとともに、地域の特性に応じた経済基盤の強化及び快適で魅力ある生活環境の整備を総合的かつ効果的に行うことを旨として、行われなければならない。

 (国の責務)

第三条 国は、前条に規定する基本理念にのっとり、地方公共団体の自主性及び自立性を尊重しつつ、地域再生に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

   第二章 地域再生基本方針

第四条 政府は、地域再生に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本的な方針(以下「地域再生基本方針」という。)を定めなければならない。

2 地域再生基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 地域再生の意義及び目標に関する事項

 二 地域再生のために政府が実施すべき施策に関する基本的な方針

 三 次条第一項に規定する地域再生計画の同条第四項の認定に関する基本的な事項

 四 前各号に掲げるもののほか、地域再生の推進のために必要な事項

3 内閣総理大臣は、地域再生本部が作成した地域再生基本方針の案について閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、地域再生基本方針を公表しなければならない。

5 政府は、情勢の推移により必要が生じたときは、地域再生基本方針を変更しなければならない。

6 第三項及び第四項の規定は、前項の地域再生基本方針の変更について準用する。

   第三章 地域再生計画の認定等

 (地域再生計画の認定)

第五条 地方公共団体(都道府県、市町村(特別区を含む。)又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合若しくは広域連合をいい、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局を含む。以下同じ。)は、地域再生基本方針に基づき、内閣府令で定めるところにより、地域再生を図るための計画(以下「地域再生計画」という。)を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができる。

2 地域再生計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。

 一 地域再生計画の区域

 二 地域再生計画の目標

 三 前号の目標を達成するために行う事業に関する事項

 四 計画期間

 五 その他内閣府令で定める事項

 六 前各号に掲げるもののほか、地域再生計画の実施に関し当該地方公共団体が必要と認める事項

3 前項第三号に掲げる事項には、次に掲げる事項を記載することができる。

 一 地域における雇用機会の創出その他地域再生に資する経済的社会的効果を及ぼすものとして内閣府令で定める事業であって株式会社により行われるものに関する事項

 二 地域における経済基盤の強化又は生活環境の整備のために行う次に掲げる事業に関する事項

  イ 地域における交通の円滑化及び産業の振興を図るために行われる道路、農道又は林道の二以上を総合的に整備する事業

  ロ 地域の人々の生活環境を改善するために行われる下水道、集落排水施設又は浄化槽の二以上を総合的に整備する事業

  ハ 地域における海上輸送及び水産業を通じて地域経済の振興を図るために行われる港湾施設及び漁港施設を総合的に整備する事業

 三 地域における福祉、文化その他の地域再生に資する事業活動の基盤を充実するため、補助金等交付財産(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二十二条に規定する財産をいう。)を当該補助金等交付財産に充てられた補助金等(同法第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の交付の目的以外の目的に使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供することにより行う事業に関する事項

4 内閣総理大臣は、第一項の規定による認定の申請があった地域再生計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 地域再生基本方針に適合するものであること。

 二 当該地域再生計画の実施が当該地域における地域再生の実現に相当程度寄与するものであると認められること。

 三 円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

5 内閣総理大臣は、前項の認定を行うに際し必要と認めるときは、地域再生本部に対し、意見を求めることができる。

6 内閣総理大臣は、地域再生計画に第三項各号に掲げる事項が記載されている場合において、第四項の認定をしようとするときは、当該事項に係る関係行政機関の長(以下単に「関係行政機関の長」という。)の同意を得なければならない。

7 内閣総理大臣は、第四項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。

 (認定に関する処理期間)

第六条 内閣総理大臣は、前条第一項の規定による認定の申請を受理した日から三月以内において速やかに、同条第四項の認定に関する処分を行わなければならない。

2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣が前項の処理期間中に前条第四項の認定に関する処分を行うことができるよう、速やかに、同条第六項の同意について同意又は不同意の旨を通知しなければならない。

 (認定地域再生計画の変更)

第七条 地方公共団体は、第五条第四項の認定を受けた地域再生計画(以下「認定地域再生計画」という。)の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。

2 第五条第四項から第七項まで及び前条の規定は、前項の認定地域再生計画の変更について準用する。

 (報告の徴収)

第八条 内閣総理大臣は、第五条第四項の認定(前条第一項の変更の認定を含む。)を受けた地方公共団体(以下「認定地方公共団体」という。)に対し、認定地域再生計画(認定地域再生計画の変更があったときは、その変更後のもの。以下同じ。)の実施の状況について報告を求めることができる。

2 関係行政機関の長は、認定地域再生計画に第五条第三項各号に掲げる事項が記載されている場合には、認定地方公共団体に対し、同項各号に規定する事業の実施の状況について報告を求めることができる。

 (措置の要求)

第九条 内閣総理大臣又は関係行政機関の長は、認定地域再生計画に第五条第三項各号に掲げる事項が記載されている場合において、同項各号に規定する事業の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該事業の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。

 (認定の取消し)

第十条 内閣総理大臣は、認定地域再生計画が第五条第四項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。この場合において、当該認定地域再生計画に同条第三項各号に掲げる事項が記載されているときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長にその旨を通知しなければならない。

2 前項の通知を受けた関係行政機関の長は、同項の規定による認定の取消しに関し、内閣総理大臣に意見を述べることができる。

3 前項に規定する場合のほか、関係行政機関の長は、認定地域再生計画に第五条第三項各号に掲げる事項が記載されている場合には、第一項の規定による認定の取消しに関し、内閣総理大臣に意見を述べることができる。

4 第五条第七項の規定は、第一項の規定による認定の取消しについて準用する。

 (認定地方公共団体への援助等)

第十一条 認定地方公共団体は、地域再生本部に対し、認定地域再生計画の実施を通じて得られた知見に基づき、当該認定地域再生計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、政府の地域再生に関する施策の改善についての提案をすることができる。

2 地域再生本部は、前項の提案について検討を加え、遅滞なく、その結果を当該認定地方公共団体に通知するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

3 国は、認定地方公共団体に対し、当該認定地域再生計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うように努めなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、国及び認定地方公共団体は、当該認定地域再生計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

   第四章 認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置

 (課税の特例)

第十二条 認定地域再生計画に記載されている第五条第三項第一号に規定する事業を行う株式会社であって地域における雇用機会の創出に対する寄与の程度を考慮して内閣府令で定める常時雇用する従業員の数その他の要件に該当するものとして内閣総理大臣が指定するもの(以下この条において「特定地域再生事業会社」という。)により発行される株式を払込みにより個人が取得した場合には、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。

2 内閣総理大臣は、特定地域再生事業会社が前項に規定する内閣府令で定める要件を欠くに至ったと認めるときは、その指定を取り消すことができる。

3 特定地域再生事業会社の指定及びその取消しの手続に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

 (地域再生基盤強化交付金の交付等)

第十三条 国は、認定地方公共団体に対し、当該認定地方公共団体の認定地域再生計画に第五条第三項第二号に掲げる事項が記載されている場合において、同号イ、ロ又はハに規定する事業に要する経費に充てるため、政令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。

2 前項の交付金(以下この条において「地域再生基盤強化交付金」という。)の種類は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める施設の整備に充てられるものとする。

 一 道整備交付金 道路、農道又は林道であって政令で定めるもの

 二 汚水処理施設整備交付金 下水道、集落排水施設又は浄化槽であって政令で定めるもの

 三 港整備交付金 港湾施設又は漁港施設であって政令で定めるもの

3 地域再生基盤強化交付金を充てて行う施設の整備に要する費用については、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)その他の法令の規定に基づく国の負担又は補助は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。

4 地域再生基盤強化交付金の交付の事務は、交付金の種類に応じ、政令で定める区分に従って農林水産大臣、国土交通大臣又は環境大臣が行う。

 (財産の処分の制限に係る承認の手続の特例)

第十四条 認定地方公共団体が認定地域再生計画に基づき第五条第三項第三号に規定する事業を行う場合においては、当該認定地方公共団体がその認定を受けたことをもって、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第二十二条に規定する各省各庁の長の承認を受けたものとみなす。

   第五章 地域再生本部

 (設置)

第十五条 地域再生に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に、地域再生本部(以下「本部」という。)を置く。

 (所掌事務)

第十六条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 地域再生基本方針の案の作成に関すること。

 二 認定の申請がなされた地域再生計画についての意見(第五条第五項の規定により内閣総理大臣に対し述べる意見をいう。)に関すること。

 三 認定地域再生計画の円滑かつ確実な実施のための施策の総合調整及び支援措置の推進に関すること。

 四 前二号に掲げるもののほか、地域再生基本方針に基づく施策の実施の推進に関すること。

 五 前各号に掲げるもののほか、地域再生に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。

 (組織)

第十七条 本部は、地域再生本部長、地域再生副本部長及び地域再生本部員をもって組織する。

 (地域再生本部長)

第十八条 本部の長は、地域再生本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

 (地域再生副本部長)

第十九条 本部に、地域再生副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。

2 副本部長は、本部長の職務を助ける。

 (地域再生本部員)

第二十条 本部に、地域再生本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2 本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。

 (資料の提出その他の協力)

第二十一条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (事務)

第二十二条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。

 (主任の大臣)

第二十三条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

 (政令への委任)

第二十四条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成十七年四月一日から施行する。

 (検討)

2 政府は、この法律の施行後七年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (内閣府設置法の一部改正)

3 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三項第三号の二の次に次の一号を加える。

  三の三 地域再生法(平成十七年法律第二十四号)第五条第一項に規定する地域再生計画の認定に関すること及び同法第十二条第一項に規定する特定地域再生事業会社の指定に関すること並びに同法第十三条第一項の交付金を充てて行う事業に関する関係行政機関の経費の配分計画に関すること。

(内閣総理・総務・法務・外務・財務・文部科学・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境大臣署名)

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