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法律第六十四号(平二〇・六・一一)

  ◎領海等における外国船舶の航行に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 外国船舶の航行方法等(第三条−第七条)

 第三章 雑則(第八条−第十条)

 第四章 罰則(第十一条・第十二条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、海に囲まれた我が国にとって海洋の安全を確保することが我が国の安全を確保する上で重要であることにかんがみ、領海等における外国船舶の航行方法、外国船舶の航行の規制に関する措置その他の必要な事項を定めることにより、領海等における外国船舶の航行の秩序を維持するとともにその不審な行動を抑止し、もって領海等の安全を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 領海等 我が国の領海及び内水をいう。

 二 新内水 我が国の内水のうち、領海及び接続水域に関する法律(昭和五十二年法律第三十号)第二条第一項に規定する直線基線により新たに我が国の内水となった部分をいう。

 三 外国船舶 船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶以外の船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるものを除く。)をいう。

 四 船長等 船長又は船長に代わって船舶を指揮する者をいう。

 五 水域施設 我が国の港にある泊地その他の船舶の停留又はびょう泊の用に供する施設又は場所として国土交通省令で定めるものをいう。

 六 係留施設 我が国の港にある岸壁その他の船舶の係留の用に供する施設又は場所として国土交通省令で定めるものをいう。

 七 水域施設等 水域施設又は係留施設をいう。

   第二章 外国船舶の航行方法等

 (領海等における外国船舶の航行方法)

第三条 領海等における外国船舶の航行は、通過(内水においては、新内水に係るものに限る。)又は水域施設等との往来を目的として継続的かつ迅速に行われるものでなければならない。

第四条 外国船舶の船長等は、領海等において、当該外国船舶に次に掲げる行為(以下「停留等」という。)を伴う航行をさせてはならない。ただし、当該停留等について荒天、海難その他の危難を避ける場合、人命、他の船舶又は航空機を救助する場合、海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)その他の法令の規定を遵守する場合その他の国土交通省令で定めるやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

 一 停留(水域施設におけるものを除く。)

 二 びょう泊(水域施設におけるものを除く。)

 三 係留(係留施設にするものを除く。)

 四 はいかい等(気象、海象、船舶交通の状況、進路前方の障害物の有無その他周囲の事情に照らして、船舶の航行において通常必要なものとは認められない進路又は速力による進行をいう。)

2 前項に定めるもののほか、外国船舶の船長等は、内水(新内水を除く。以下同じ。)において、当該外国船舶に水域施設等に到着し、又は水域施設等から出発するための航行以外の航行(以下「通過航行」という。)をさせてはならない。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。

 (外国船舶の通報義務)

第五条 外国船舶の船長等は、領海等において当該外国船舶に停留等をさせ、又は内水において当該外国船舶に通過航行をさせる必要があるときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、当該外国船舶の名称、船籍港、停留等又は通過航行をさせようとする理由その他の国土交通省令で定める事項(次項において「通報事項」という。)を最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。ただし、停留等又は通過航行をさせようとする理由が明らかである場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。

2 前項の場合において、急迫した危険を避けるためあらかじめ通報することができないときは、外国船舶の船長等は、当該危険を避けた後直ちに、通報事項を最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。

3 前二項の規定により外国船舶の船長等がしなければならない通報は、当該外国船舶の所有者又は船長等若しくは所有者の代理人もすることができる。

4 第一項又は第二項の規定による通報(前項の規定によりされたものを含む。次条第一項において同じ。)を受けた海上保安庁の事務所の長は、必要があると認めるときは、当該通報に係る外国船舶の船長等に対して、助言又は指導をするものとする。

 (外国船舶に対する立入検査)

第六条 海上保安庁長官は、領海等において現に停留等を伴う航行を行っており、又は内水において現に通過航行を行っている外国船舶と思料される船舶があり、当該停留等又は当該通過航行について、前条第一項若しくは第二項の規定による通報がされておらず、又はその通報の内容に虚偽の事実が含まれている疑いがあると認められる場合において、周囲の事情から合理的に判断して、当該船舶の船長等が第四条の規定に違反している疑いがあると認められ、かつ、この法律の目的を達成するため、当該船舶が当該停留等を伴う航行又は当該通過航行を行っている理由を確かめる必要があると認めるときは、海上保安官に、当該船舶に立ち入り、書類その他の物件を検査させ、又は当該船舶の乗組員その他の関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入検査をする海上保安官は、制服を着用し、又はその身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (外国船舶に対する退去命令)

第七条 海上保安庁長官は、前条第一項の規定による立入検査の結果、当該船舶の船長等が第四条の規定に違反していると認めるときは、当該船長等に対し、当該船舶を領海等から退去させるべきことを命ずることができる。

   第三章 雑則

 (権限の委任)

第八条 この法律の規定により海上保安庁長官の権限に属する事項は、国土交通省令で定めるところにより、管区海上保安本部長に行わせることができる。

 (行政手続法の適用除外)

第九条 第七条の規定による命令については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。

 (国際約束の誠実な履行)

第十条 この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならない。

   第四章 罰則

第十一条 第七条の規定による命令に違反した船長等は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第十二条 第六条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (海事代理士法の一部改正)

2 海事代理士法(昭和二十六年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。

  別表第二中第十号を第十五号とし、第九号を第十三号とし、同号の次に次の一号を加える。

  十四 領海等における外国船舶の航行に関する法律(平成二十年法律第六十四号)

  別表第二中第八号を第十二号とし、第七号を第十一号とし、第六号の二を第十号とし、第六号を第九号とし、第五号の三を第八号とし、第五号の二を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の二を第四号とする。

 (海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律の一部改正)

3 海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。

  附則第十九条中「新海事代理士法別表第二第三号の二若しくは第五号の三に掲げる法律」を「新船員職業安定法若しくは新内航海運業法」に改める。

(国土交通・内閣総理大臣署名) 

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