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法律第五十七号(平二六・六・四)

  ◎重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律

 (趣旨)

第一条 この法律は、日本国政府及びアメリカ合衆国政府が、日米査証免除制度(日本国が、アメリカ合衆国政府の発行する旅券を所持する同国の国民の一部について、本邦への上陸に際し、外国に駐在する日本国の大使、公使又は領事官の査証を必要としないこととする制度及びアメリカ合衆国が日本国民について実施している同様の制度をいう。第八条において同じ。)の下で安全な国際的な渡航を一層容易にしつつ、両国の国民の安全を強化するため、重大な犯罪を防止し、及び捜査することを目的として、相互に必要な指紋情報等を交換するための枠組みを定めた重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(以下「協定」という。)の実施に関し必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 合衆国連絡部局 アメリカ合衆国政府が協定第三条1の規定により指定する国内連絡部局をいう。

 二 指紋情報 電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録された指紋をいう。

 三 特定指紋情報 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により被疑者から採取された指紋に係る指紋情報をいう。

 四 照合用電子計算機 特定指紋情報及び次に掲げる事項が記録されている警察庁長官の使用に係る電子計算機であって、特定の者に係る指紋情報と特定指紋情報とを照合してその者に係る指紋情報が当該電子計算機に記録されているか否か及び当該指紋情報が記録されている場合にあっては当該指紋情報に係る当該事項を確認することができる機能を有するものをいう。

  イ 当該特定指紋情報により識別される者の氏名、生年月日、出生地、性別、身長又は体重

  ロ 当該特定指紋情報により識別される者の刑事の処分の経歴

  ハ 当該特定指紋情報に係る指紋の採取がされた年月日その他の当該指紋の採取に関する事項

 (合衆国連絡部局から照会を受けた場合の措置)

第三条 警察庁長官は、合衆国連絡部局から、合衆国使用電子計算機(合衆国連絡部局の使用に係る電子計算機をいう。以下この条において同じ。)より電気通信回線を通じて照合用電子計算機に特定の者が識別されている旨の情報と共にその者に係る指紋情報を送信する方法によって、協定第四条の規定による指紋情報に関する照会を受けたときは、照合用電子計算機より電気通信回線を通じて合衆国使用電子計算機に送信する方法によって、その者に係る指紋情報が照合用電子計算機に記録されており、かつ、その者が次の各号のいずれかに該当する者であるか否かを回答するものとする。

 一 日本国の法令に違反して刑に処せられたことのある者

 二 刑事上の手続による身体の拘束を受けたことのある成人(満二十歳以上の者をいう。次号において同じ。)であって、当該身体の拘束を受けることとなった事件について次のいずれかに該当するもの

  イ 現に被告人である者

  ロ 刑事訴訟法第二百四十八条の規定により公訴を提起しない処分を受けた者

  ハ 公訴の提起又は公訴を提起しない処分のいずれをも受けていない者(刑事訴訟法第二百四十六条ただし書の規定により当該事件が検察官に送致されなかった者及び少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十八条、第十九条第一項、第二十三条第二項又は第二十四条第一項の決定を受けた者を除く。)

 三 逮捕状が発せられており、かつ、所在が不明である成人のうち国家公安委員会規則で定めるもの

2 警察庁長官は、合衆国連絡部局から、合衆国使用電子計算機より電気通信回線を通じて照合用電子計算機に特定の者が識別されていない旨の情報と共にその者に係る指紋情報を送信する方法によって、協定第四条の規定による指紋情報に関する照会を受けたときは、照合用電子計算機より電気通信回線を通じて合衆国使用電子計算機に送信する方法によって、その者に係る指紋情報が照合用電子計算機に記録されているか否かを回答するものとする。

 (合衆国連絡部局から追加の情報の提供の要請を受けた場合の措置)

第四条 警察庁長官は、前条の規定により、特定の者に係る指紋情報が照合用電子計算機に記録されている旨(同条第一項の場合にあっては、その者に係る指紋情報が照合用電子計算機に記録されており、かつ、その者が同項各号のいずれかに該当する者である旨)を回答した場合において、合衆国連絡部局から、協定第五条1の規定によるその者に係る追加の情報の提供の要請を受けたときは、当該要請があった時に現に照合用電子計算機に記録されている情報(第二条第四号イからハまでに掲げる事項に係るものに限る。)であって、当該要請の目的に照らして必要かつ適当であると認められるものを提供することができる。

2 警察庁長官は、前項の規定により合衆国連絡部局に対し情報を提供する場合において、必要があると認めるときは、当該情報の利用に関する条件を定めるものとする。

 (提供した情報の利用に係る同意等)

第五条 警察庁長官は、合衆国連絡部局から、前条の規定により提供した情報の利用に係る協定第八条5(2)の規定による同意又は第三条の規定により回答し、若しくは前条の規定により提供した情報の開示に係る協定第八条7の規定による同意を求められたときは、それらの内容について同意をするかどうかを決定し、その旨を合衆国連絡部局に通知するものとする。

 (国家公安委員会規則への委任)

第六条 前三条に定めるもののほか、これらの規定の実施のための手続その他その施行に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

 (情報の適切な管理のための措置)

第七条 警察庁長官は、照合用電子計算機に記録された特定指紋情報その他の第三条から第五条までの措置に係る情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他これらの情報の適切な管理のために、照合用電子計算機に係るアクセス制御機能(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第三項に規定するアクセス制御機能をいう。)の高度化その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (外務大臣の措置)

第八条 外務大臣は、日米査証免除制度の下で安全な国際的な渡航を一層容易にしつつ、両国の国民の安全を強化する上で協定が果たす役割に鑑み、協定の実施に関し、必要に応じ、アメリカ合衆国政府と協議するものとする。

 (関係行政機関の協力)

第九条 警察庁長官、法務大臣及び外務大臣は、協定の実施に関し、相互に協力するものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、協定の効力発生の日から施行する。

 (警察法の一部改正)

2 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第二十三条第一項に次の一号を加える。

  九 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律(平成二十六年法律第五十七号)第二条第一号に規定する合衆国連絡部局との連絡に関すること。

  第二十三条第二項中「第八号」を「第九号」に改める。

(内閣総理臨時代理・法務・外務大臣署名) 

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