衆議院

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第18号 平成28年12月14日(水曜日)

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平成二十八年十二月十四日(水曜日)

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  平成二十八年十二月十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 会期延長の件

 安倍内閣不信任決議案(枝野幸男君外三名提出)


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    午後十時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員奥野誠亮君は、去る十一月十六日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 奥野誠亮君に対する弔詞は、議長において去る十二日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰され しばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等奥野誠亮君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

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 会期延長の件

議長(大島理森君) 会期延長の件につきお諮りいたします。

 本国会の会期を十二月十五日から十七日まで三日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。

 本件につき討論の通告があります。順次これを許します。本村賢太郎君。

    〔本村賢太郎君登壇〕

本村賢太郎君 民進党の本村賢太郎です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました三日間の会期再延長につき、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 冒頭、きのう、米海兵隊普天間基地所属のオスプレイが名護市沖に墜落した件について、一言申し上げます。

 防衛省は不時着水と発表していますが、機体は完全に大破しており、一歩間違えば住民に甚大な被害が発生した可能性のある重大な事故と言わざるを得ません。極めて遺憾であり、厳重に抗議します。

 我々民進党は、直ちにオスプレイの飛行停止を求めるとともに、政府と米軍に対して、徹底した事故原因の究明と、正確かつ速やかな情報の提供を強く求めます。

 陸上自衛隊もオスプレイの導入を決めており、事は極めて重大です。なし崩し的で安易な飛行再開は危険であり、政府、米軍、関係自治体、住民の信頼関係を損ないかねません。政府と米軍に慎重かつ丁寧な対応を強く要求します。

 また、南スーダンPKOに参加する陸上自衛隊の部隊に、駆けつけ警護などの新任務が十二日から付与されました。

 現地の治安状況が極めて流動的であるだけでなく、自衛隊員の安全確保体制が不十分であることもあり、我々民進党は、駆けつけ警護などの新任務の付与には反対です。政府においては、現地情勢を厳しく認識して、PKO五原則を厳格に適用することを前提に、自衛隊が安全に意義のある活動ができるかなどを厳しく検討し、撤収も含めた慎重な判断をすべきと考えます。

 また、我々民進党は、極めて不十分な自衛隊員の第一線における救急救命体制を向上させ、早急に整備させる法案も提出しています。自衛隊員の命を守るため、つけ焼き刃的な対応でなく、政府・与党の真剣な対応を求めるものです。

 さて、当初十一月三十日までであった今国会の会期末は、もはや発効の見込みがなくなったTPPや将来の年金確保困難な年金カット法案を成立させるため、きょうまで延長されました。この延長でさえ無意味であると反対しましたが、政府・与党は、延長に合わせて、さらにカジノ法案の審議も何とかしようと強硬な審議を進めてきました。

 しかし、きょうまでに法案審議は完了すると見込んだ政府・与党の見込みは大きく外れました。つまり、政府・与党は会期の延長を大きく見誤ったわけであります。しかも、真摯に審議に臨むどころか、三度目の強行採決を行うなど、政府・与党の横暴で手段を選ばぬ姿勢は強まるばかりです。

 会期延長幅を大きく見誤った上に、強硬な国会運営を続ける身勝手な政府・与党は、みずからの姿勢を猛省し、今国会の再延長を諦め、カジノ法案を廃案とすべきです。

 以下、反対理由を具体的に申し上げます。

 反対の理由の第一は、賭博解禁など多くの論点を抱え、国民の多くが不安を感じているカジノ法案を成立させるための会期延長だからです。

 そもそも刑法で禁じられている賭博を解禁するには、十分な議論と事前の綿密な準備が必要です。しかし、具体的な内容は法施行後に一年以内をめどに政府が定めるという答弁ばかりでは、国民の不安に応えられるわけがありません。

 安倍総理は、既に破綻が明らかとなったアベノミクスのかわりに、カジノを成長戦略の柱にしようと意気込んでいますが、これ以上国内でギャンブルを解禁する危険性を十分に考慮しているのでしょうか。

 既に我が国には、競馬などの公営ギャンブルに加え、パチンコも広く普及しており、人口の四・八%に当たる五百三十六万人が潜在的なギャンブル依存症と言われ、先進国でも最悪の水準と言われています。我が国では、拙速にカジノ法案を成立させることよりも、包括的なギャンブル依存症対策こそ求められているのです。

 また、カジノがマネーロンダリングの温床とならないよう、適切な対策も不可欠です。

 賭博合法化、ギャンブル依存症対策、資金洗浄対策と大きな問題をはらむ法案ですが、衆議院でわずか五時間三十三分で審議が打ち切られ、強行採決される事態に至りました。与党議員の中には、わずかな審議時間すらもてあまして般若心経を唱える者まで出るなど、まともな審議が行われたのかどうかも疑問です。また、採決時に与党からも反対や欠席者が出たことも忘れてはなりません。

 マスコミ各社の世論調査の結果を見ても、反対が六割を占めています。今国会での成立に固執せず、慎重な議論を徹底して行い、さまざまな問題に正面から向き合ってから採決をすべきではありませんか。

 既に衆議院で強行採決された法案が、参議院での審議を経て、形ばかりの微修正をされて衆議院へ回付されました。このように多くの問題をはらむ法案を成立させるための会期再延長には断固反対します。

 反対理由の第二は、今回の会期再延長が、政府・与党の無計画な御都合主義によるものだからです。

 会期がきょうまで延長されたのは、既に発効の見込みがないTPPや、年金生活者を苦しめ、将来の年金確保も不十分な年金カット法案の審議を続けるためでした。会期の延長に合わせてカジノ法案も審議を推し進め、審議時間が足らないと見ると会期のさらなる延長を求めるのは、政府・与党の単なる御都合主義にすぎません。

 審議日程を見誤ったみずからの責任を棚に上げて、臆面もなく会期の再延長を求める政府・与党は、みずからの身勝手な行動を恥じるべきです。

 反対理由の第三は、数におごる政府・与党の国会軽視の姿勢が余りにも目に余るものであるからです。

 わずか二カ月半の間に政府・与党幹部による暴言が相次いだのは、この場にいる誰もが御存じのとおりであります。

 開会直後、TPP特別委員会の理事であった自民党の福井照衆議院議員が、TPPを強行採決という形で実現すると発言し、理事を辞任しました。TPP審議の主要閣僚である山本有二農水大臣も、軽々しく強行採決に言及。その後、委員会で謝罪しましたが、委員会採決前夜に、冗談を言ったら首になりそうになったと述べる始末であります。萩生田官房副長官までも、国会審議を田舎のプロレス、茶番だと茶化して謝罪に追い込まれました。あげくの果てに安倍総理までも、委員会審議の場で何時間やっても同じと述べるなど、今国会における政府・与党幹部の暴言、失言は枚挙にいとまがありません。

 このように言論の府である国会で審議を軽んじる発言が続くのを、もはや許すことはできません。

 また、TPP特別委員会や厚生労働委員会では、委員長職権の濫用による強権的な委員会運営が繰り返されるなど、横暴な国会運営も目に余るものがあります。それを象徴するのが、わずか一カ月の間に、TPP、年金カット法案に続き、カジノ法案と、三度も行われた強行採決であります。

 会期を延長して丁寧な法案審議を行うどころか、カジノ法案でも強行採決が行われるなど、数におごった政府・与党の姿勢は、謙虚になるどころか強硬になるばかりです。

 このような政府・与党幹部の国会軽視の姿勢が変わらない限り、会期延長をしても国民が納得のいく議論が行われないのは間違いありません。

 このような政府・与党に猛省を促し、カジノ法案審議のための会期延長には国民の理解が得られないことを改めて申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 池内さおり君。

    〔池内さおり君登壇〕

池内さおり君 私は、日本共産党を代表し、会期延長に反対の討論を行います。(拍手)

 自民党が申し出たこの会期延長は、カジノ解禁推進法を成立させるためだけのものであり、断じて認めるわけにはまいりません。

 私は、この法案を審査した内閣委員会の委員の一人として、この法案の徹底審議を求めてきました。ところが、与党と維新の会は、わずか五時間三十三分の審議で採決を強行したのです。法案の内容にも、そして強引に押し通したやり方にも、国民の怒りが沸騰したのは当然です。

 この国民の声を前提とするなら、決められた会期を粛々と閉じ、新たに開かれる国会で徹底審議を尽くすことこそ求められています。

 その際、この法案の審議のやり方について、内閣委員会での三つの合意、一つ、国家公安委員長の常時出席、二つ、内閣委員会の所管大臣を要求ベースで出席させる、三つ、参考人審査、地方公聴会、国土交通委員会、法務委員会との連合審査会の開会という審議の常道を貫くことこそ、国民からの負託に誠実に応えることになるのです。

 カジノ解禁推進法は、特定複合観光施設の整備などとうたっていますが、その本質は、日本でこれまで許されてこなかった民間賭博、カジノを解禁しようというものです。

 刑法は、刑罰をもって賭博を厳しく禁じています。国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害し、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあると最高裁大法廷判決も述べています。これを覆すカジノ解禁は、断じて許されない暴挙だと言わなければなりません。

 カジノ解禁が何をもたらすか。暴力団関係者の関与、マネーロンダリング、周辺地域の治安の悪化、ギャンブル依存症の多発、青少年への悪影響など、まさに社会悪そのものです。

 提案者も、これらのリスクの発生を否定することはできませんでした。さまざまな対策を講じると述べましたが、そのためには莫大な社会的費用を必要とします。カジノ事業者のもうけのために、社会悪を発生させ、そのために莫大な公費を使う、これほどばかばかしい法案を私はほかに知りません。

 提案者は、カジノによって夢のような経済効果があると言います。しかし、シンガポールの例を繰り返すだけで、具体的な根拠は何も示していない。

 我が党が質問でも明らかにしたように、IR方式の施設の破綻は世界のあちこちで起きています。経済効果には何の根拠もありません。あるのは、賭博を通じて巨大なお金が右から左へと流れ、カジノの胴元に巨額なテラ銭が転がり込むだけのこと。暴力団など反社会勢力がカジノ利権に食い込みを図ることは、わざわざ証明するまでもなく、火を見るよりも明らかです。

 マネーロンダリングの温床となることも、世界のカジノの実態を見れば、防ぐことなどできないでしょう。

 国民にとってより深刻なのは、ギャンブル依存症の問題です。既に我が国には五百三十六万人のギャンブル依存症の患者がいることが審議の中で明らかになりました。ギャンブル依存症は、慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至るという極めて重篤な疾患です。これらの患者をそのままに、新たなギャンブル依存症患者を生み出すことは、到底許されることではありません。

 提案者は、カジノ収益から出る納付金でギャンブル依存症対策を講じるなどと述べましたが、これこそまさに本末転倒のきわみ。ギャンブル依存症に真剣に取り組むというのであれば、新たな発生源をつくらないことこそ必要です。

 賭博には必ず敗者が存在します。大数の法則で、必ず胴元が勝つ、ここにカジノ営業の根拠があります。カジノは多重債務者をつくり出さざるを得ません。韓国の江原ランドは、そのことを如実に示しています。

 青少年への影響も深刻です。とりわけ、提案者が言うように家族ぐるみで出かけるところがIRというのなら、そこに公然と賭博場があることは、青少年に対し、賭博への抵抗感を喪失させてしまうことになることは明らかです。

 どこから見ても道理が通らないこの法案を、事もあろうに、安倍内閣は、成長戦略の目玉と位置づけています。最高裁判決が言う健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害し、怠惰浪費の弊風を生じさせるカジノを経済政策の目玉に祭り上げる、余りにも不健全、愚かな政策と言わなければなりません。

 その愚かな施策を実行し、国を滅ぼす希代の悪法、カジノ解禁推進法を成立させるためだけに会期を延長することは、決して許されることではありません。断固反対の意見を表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

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議長(大島理森君) 採決いたします。

 会期を十二月十五日から十七日まで三日間延長するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、会期は三日間延長することに決まりました。

     ――――◇―――――

笹川博義君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 枝野幸男君外三名提出、安倍内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 笹川博義君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

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 安倍内閣不信任決議案(枝野幸男君外三名提出)

議長(大島理森君) 安倍内閣不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。枝野幸男君。

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 安倍内閣不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔枝野幸男君登壇〕

枝野幸男君 私は、民進党・無所属クラブ、日本共産党、自由党及び社会民主党・市民連合を代表し、安倍内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 まず、決議案の案文を朗読いたします。

  本院は、安倍内閣を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

 本国会では、国民生活に多大な影響を与える重要な法律案などが幾つも審議されました。環太平洋パートナーシップ協定及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案、いわゆるTPP、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法の一部を改正する法律案、いわゆる年金カット法案、そして、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるカジノ法案などであります。いずれも無理筋の法案であり、無理筋の三点セットと言わざるを得ません。

 しかも、これらの重要案件の全てが、十分な審議時間もとられないまま、強引な国会運営で採決されました。特に、カジノ法案は、衆議院でわずか五時間余りしか審議をしていません。さらに、質疑の際に質問がないといって般若心経を唱えた与党議員すらいました。国会質問をなめているとしか言いようがありません。

 総理は、本国会の冒頭で、建設的な議論をして結果を出したい旨おっしゃいましたが、一体どこが総理の述べた建設的議論なのでしょうか。カジノ議連の最高顧問だった安倍総理が、あなたの好みに合った結果を出すことが目的なら、国会での審議はどうでもよいということなのでありましょうか。

 総理は、これら法案等の審議について、不十分な審議時間や強行採決の問題を追及されると、国会で決めることですからと逃げ口上を述べるばかりであります。しかし、議員立法であるカジノ法案を含め、最大与党である自由民主党の総裁でもある総理が最終決断を下す最高責任者であることは、誰の目にも明らかであります。

 さらに、国会答弁で総理は、何時間審議しても同じと、国会審議の意義を否定するかのごとき暴言を言い放ちました。

 確かに、議会の議員数だけの問題なら、何時間審議しても、結論を変えることは困難であるかもしれません。しかし、国会の存在意義は最終的な多数決だけではありません。議会での議論を通じて政府・与党に再考を促すこと、そして、主権者である国民各層に、どのような案件が議論され、何が争点であるのかを伝えること、これらも大切な議会の機能であります。

 再考する意思の全くない硬直的な政府・与党の姿勢は議会制度の趣旨に反するものであり、国民に案件や論点の周知を図る機能を無視することは、よらしむべし、知らしむべからずという姿勢であると言わざるを得ません。

 このような総理の暴言を、到底立法府として許すことはできず、これだけでも不信任に値いたします。安倍内閣は即刻退陣すべきであります。

 以下、さらに具体的に、本決議案を提出する理由の一端について説明をいたします。

 まずは、TPPです。

 安倍総理は、世界の首脳で最初にトランプ氏との会談を実現したとして注目を集めました。しかし、総理がアルゼンチンでの記者会見で米国抜きのTPPでは意味がないと訴えた直後に、トランプ氏は、大統領就任初日にTPP離脱を通告するとの方針を表明いたしました。総理は、日本国を代表して恥をかきに行ったようなものであります。

 女性や民族などに係る問題発言の多いトランプ氏を、十分な根拠なく信頼できるとまで持ち上げたことも、国際社会に違和感を与えています。

 言うまでもなく、米国抜きでTPPは発効しません。既に世界は、TPP発効を前提としない新たな経済連携の枠組みに向けた動きを模索し始めています。しかし、安倍総理は、この状況下においても、国内における強い反対を押し切ってTPPに突き進んでおり、国際的な潮流から我が国だけが遊離する状況をつくり出しています。

 また、総理は、国会の場において、TPP協定について国民に丁寧に説明し、理解を得るべく最大限努力すると何度も言ってきました。しかし、ノリ弁当と批判をされた資料の提出に象徴されるように、政府が十分に説明を尽くし、国民の理解が得られたとは到底言えません。

 さらに、TPPの発効に備えた関連法案についてまで採決を強行したことは、支離滅裂であります。

 TPPの発効を前提とした国内対策とTPPが発効しない場合の国内政策では内容が大きく異なるはずであり、今議論しなければならないのは、TPPが発効しない場合のさまざまな国内対策だったはずです。今国会で強行採決してまでTPP協定と関連法案を成立させる必要は全くありませんでした。安倍総理の見識が疑われます。

 TPP協定等は、その内容も問題であります。

 私は、輸出や投資を拡大して国富をふやし、我が国の生活者、消費者に恩恵をもたらすために、高いレベルでの経済連携を実現することが極めて重要であることには異論ありません。さきの参議院選挙でも、民進党は、アジア太平洋貿易圏、いわゆるFTAAPを初めとして、経済連携を積極的に推進すべきという立場を明確にしています。

 しかし、個別具体的な経済連携協定の是非を判断するに当たっては、本当に生活者、消費者に恩恵をもたらすのかどうかを総合的に勘案し、新たにどのようなメリットが得られ、また守られるべきものがしっかり守られているか、その中身を十分に見きわめることが必須であります。

 その点、今回のTPP協定の内容は極めて不十分と言わざるを得ません。

 特に、国会決議違反は重大な問題であります。例えば、農業分野のうち、米については関税率が維持されるものの、現行のミニマムアクセス枠に加えて、新たに無税で輸入される特別枠が七・八万トン設定されることとなりました。

 このことを初めとして、農産物重要五品目で多くの関税が撤廃、削減され、関税割り当ての設定がなされるなど、守らなければならないいわゆる聖域分野で相当な譲歩を余儀なくされています。これは、二〇一三年の衆参両院における農林水産委員会決議に明白に違反をしたものであります。

 自由民主党は、二〇一二年十二月の第四十六回衆議院総選挙において、安倍総裁のもと、聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対すると明確に公約に掲げました。全国に、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と記された自民党のポスターが張り出されました。

 明らかに公約違反であります。自民党は、聖域に手をつけるTPPには反対ではなかったのですか。このようなうそとごまかしの安倍総理と政権与党の姿が政治不信の主たる原因となっていると指摘をせざるを得ません。

 次に、いわゆる年金カット法案であります。

 年金は、老後の生活を支える最後の柱です。そして、年金のルールを変更することは、現在の年金受給者だけでなく、将来世代の方々の老後設計にも多大な影響を与えます。

 そのため、年金制度を大きく改正する内容の法案については、衆議院で少なくとも三十時間前後の審議を行い、議論を尽くして結論を得てまいりました。

 しかし、今回の年金カット法案の衆議院委員会での質疑時間は、わずか十九時間であります。委員会での質疑で出されたさまざまな問題点について明確な答弁がなされないまま採決が強行されました。

 特に、審議の際に重要な前提資料となる制度改正の影響をあらわすまともな試算の提出について、委員会で繰り返し求めても、政府は拒み続けました。最終的には、一時的に賃金がマイナスになることも踏まえた試算を公表するとしましたが、遅きに失し、国会で改正後の具体的な姿を前提とした議論はなされませんでした。

 このようないいかげんな審議で、多くの国民に影響を与える年金改悪を強行することは、到底容認できるものではありません。

 年金カット法の最大の問題は、物価が上がっても、賃金が下がれば年金が下がるという新ルールです。そもそも、賃金水準と物価水準と、状況によって年金額の基準となるべき水準を都合よく使い分けるというのは、まさに御都合主義そのもの、筋が通りません。

 その上、この年金カットの新ルールが発動されると、一度下がった年金は二度と物価に追いつくことがなく、受給開始後の年金の実質価値は一方的に下がり続ける制度となっています。これでは年金の最低保障機能を損なうこととなってしまいます。しかも、物価が上がっても賃金はなかなか上がらないというのが、アベノミクス四年間の実態であります。

 現時点の年金受給者の生活はもとより、年金の所得代替率が三割カットされることになっている将来世代の老後生活も成り立たなくなる可能性があります。その結果、生活保護に頼らざるを得ない高齢者が激増すれば、年金財政の帳尻は合ったとしても、生活保護で国家財政が大赤字になるだけです。安倍総理はこのことを全く理解していないと言わざるを得ません。

 しかも、この制度の施行は五年も先、まだまだ先です。今、拙速かつ強引に採決を急ぐ必要は全くありません。どさくさに紛れて、国民に知られないうちに評判の悪いことを進めてしまおうという意図であったと断じざるを得ません。

 今後も、医療や介護といったいわゆる現物給付に対する費用負担増の計画がメジロ押しです。そして、その後に急激な年金カットが続くことになります。

 少子高齢化社会において、生活の保障と基礎年金のあり方の議論こそ、今最も重要な課題であります。その場しのぎの年金カット法で現行制度を温存することは、結果的に将来世代にツケを回すことになります。今こそ、生活していける年金額の確保、世代間の公平の向上に向けた年金の抜本的な改革にこそ取り組むべきであります。

 次に問題なのは、IR法案、いわゆるカジノ賭博解禁法案であります。

 TPPの関連や年金カット法案は、カジノ法案と比較をすれば、不十分ながらも、議論の時間は若干とはいえありました。しかし、このカジノ法案については、衆議院で極めて短時間の議論しかなされませんでした。

 批判の高まりを受け、ようやく参議院においては、参考人質疑を含めた、これも、でもわずか十六時間程度の審議を行い、微修正が行われましたが、審議過程の問題、そして明確にすべき内容についての問題、さまざまな問題点が残されています。

 まずは、審議のあり方です。

 かつて、この法案の議論をスタートさせる際には、その前提として、平成二十六年六月十八日、内閣委員会の理事会で次のような合意がなされました。一つは、国家公安委員長が常時出席すること。二つ目に、内閣委員会が所管をする関係大臣は要求ベースで出席すること。三つ目は、地方の意見あるいは司法の制度、そして国土交通、さまざまな委員会との連合審査などを含めてきちっとした議論をすること。こうした点が合意をされていたはずであります。

 しかし、今回、これらの合意は全く守られませんでした。わずか五時間少々の審議で、既になされた合意に反して採決を強行する。断じて容認することはできません。

 内容的にも、まだまだ議論は、不十分どころか、入り口に立ったにすぎない。多々問題があります。

 まずは、何といっても、賭博であるカジノをどうして違法性阻却できるのかという問題であります。

 賭博という刑法上の犯罪、この違法性阻却を認めるとすれば、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、そして副次的弊害の防止、これらについて、それぞれ十分な検証が必要であります。しかし、これらの点について、何ら明確になっていないどころか、何らの説明すらなされていないと言わざるを得ません。

 例えば、入場料と納付金の規定は、国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設を設置及び運営する者から納付金を徴収することができる、十二条。そして、国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができる、十三条。いずれも、できる規定が置かれただけであって、実際にどのレベルの入場料や納付金がこれによって徴収されるのか、全く示されていない。これでは違法性阻却の判断ができるはずがないじゃありませんか。

 そして、カジノ議連の最高顧問であった安倍総理が強く主張している経済効果です。

 法案の立法目的にも、経済の活性化が掲げられています。しかし、その経済効果は、十分な検証の上に評価されなければなりません。現実になされているのは、プラス面のみが試算され、経済的なマイナス要因の可能性について、客観的な検証は全くと言っていいほどなされていません。しかも、諸外国を見ると、アメリカのアトランティックシティーやマカオ、韓国などのカジノで、減収やあるいは撤退が見られているのが現実であります。

 マネーロンダリング対策の問題もあります。

 そもそも、カジノ内での資金の流れを全て捕捉することは技術的に甚だ困難であります。法令に基づいてさまざまな届け出を求めたとしても、マネーロンダリングを完全に防ぐことはできません。

 治安対策も問題です。

 カジノ営業を行う事業主体から暴力団を排除するための制度を整備するとされていますが、一次的な事業主体としての参入はできなくても、事業主体に対する出資や従業員の送り込み、事業主体からの委託先や下請への参入等は十分に可能であります。暴力団が関与すれば、襲撃や拳銃発砲等の威力を行使する事態も懸念され、カジノの従業員や利用客、何よりも周辺地域の住民等に被害が及ぶ可能性があります。

 そして、何といっても、言わなければならないのはギャンブル依存症の問題であります。

 厚生労働省自身が実施したギャンブル依存症に関する調査によれば、日本においては、成人男性の九・六%、成人女性の一・六%が病的賭博とされ、世界各国と比べても高い傾向にあります。ギャンブル依存症が疑われる患者は推定で五百六十万人以上にも達しています。一旦発症したギャンブル依存症への対策は甚だ困難であり、ギャンブル依存症の患者を新たに発生させない取り組みこそが重要であります。

 カジノの収益によってギャンブル依存症対策を推進すると言っていますが、ギャンブル依存症対策をギャンブルの収益で行う、本末転倒であり、ギャンブル依存症対策は別途しっかり行うべきものであります。

 ギャンブル、賭博は、誰かの損失によってほかの誰かが不労所得を得るものです。しかも、依存症によって生活の全てを失い、家族まで不幸に陥れるリスクがあります。百歩譲って経済効果があるとしても、このような性格を持つギャンブルによって景気をよくし、ギャンブルによって地域活性化を図るというのが、安倍総理の言う美しい日本なのでしょうか。

 国際観光産業振興議員連盟、いわゆるIR議連の最高顧問であった安倍総理は、常々、カジノを含む特定複合観光施設を今後の日本の成長戦略の目玉として検討していく考えを表明し、自由民主党議員らが議員立法で国会に提出した法案についても、総裁として成立を目指す考えを示していました。

 このように、安倍総理がカジノ法案を成立させたいという強い意思があるならば、なぜ政府提出法案としなかったのでしょうか。また、議員連盟の最高顧問に就任していることを二〇一四年十月の委員会審議で問われ、慌てて顧問を辞任する表明をしたのはなぜなのでしょうか。まさに、何か後ろめたいことでもあるのではないでしょうか。

 安倍総理は、女性の活躍推進を掲げましたが、女性たちが何を最も必要としているかを見きわめ、抜本改革に踏み込むことはありませんでした。

 保育園落ちた日本死ねに象徴される、働く女性が必要としている保育園、保育士の不足問題や配偶者控除の見直し、女性と男性との賃金格差など、カジノの推進や年金カットよりも、そして発効のめどがないTPPよりも優先して議論をしなければならない課題は山積をしていますが、解決には全く至っていません。安倍総理の掲げる女性活躍推進は口先だけと言わざるを得ません。

 安倍総理は、外交問題でも、TPPだけでなく失態を続けています。

 安倍総理の見込み違いからパリ協定の批准がおくれ、パリ協定締結国による初会合の場では、協定の具体的ルールづくりの議論に、議決権を持つ批准国として参加できませんでした。

 南スーダンPKO実施計画の変更では、閣議決定で任務遂行型の武器使用権限を伴う駆けつけ警護任務を付与したため、地元の武装グループとの交戦の可能性が高まっています。にもかかわらず、驚くべきことに、自衛隊の安全確保措置や第一線救急救命体制は不十分なままです。自衛隊の皆様の命を軽々しく考えていると言わざるを得ません。

 安倍総理が最大のスローガンとして掲げているアベノミクスも限界が明らかです。今年度税収見込みは一・九兆円も下振れになっています。株価の上昇や円安による輸出企業の見かけ上の収益増はもたらしても、実体経済を改善することはできていないのです。アベノミクスの失敗は、もはや誰の目にも明らかです。

 そもそも安倍総理は、日本経済低迷の原因がどこにあるかという、その本質を見る見方が間違っていると言わざるを得ません。

 確かに日本は貿易立国です。輸出企業、輸出産業は大変重要です。しかし、バブル崩壊以降二十年余りに及ぶ景気低迷の主たる原因は、輸出産業の不振ではありません。新興国の成長によって、輸出産業が厳しい競争にさらされているのは、先進国共通の課題であります。そして、先進国相互で比較をする限り、日本の輸出産業は、十分、他の先進国と互角以上に頑張ってきています。にもかかわらず、先進国の中で日本が唯一と言っていいぐらい経済が低迷しているのは、ひとえに内需が低迷しているからであります。

 日本経済を復活させ、国民生活を向上させるポイントは、内需にこそあります。にもかかわらず、輸出産業を中心とする大企業の収益にのみ拘泥し、年金カット法や昨年の派遣法改悪など、消費者の購買力を低下させ、消費者心理を冷え込ませる政策を推進したのでは、消費が伸びるはずがありません。

 そして、今度は、この経済失政をごまかすためのTPP、年金カット、そしてカジノ法案です。TPPで日本の経済収支がよくなる、年金をカットすることで将来の年金が確保される、カジノが成長戦略の柱になる。しかし、これらの発言は余りにも現実離れしていることは、ここまでるる述べてきたとおりであります。経済再生につながるどころか、経済失速を加速させるとともに、まさに本来美しい日本を安倍総理みずからがぶち壊すんです。

 これらの重要法案等について、強行採決を含めた強引な国会運営で採決するなど、国権の最高機関である立法府を内閣の下請機関としか見ない安倍政権のおごり高ぶった姿勢は、断じて容認できません。

 まだまだ申し上げたいことはあと三時間ぐらいありますが、最後に、私は、この国と国民生活を守るため、安倍内閣は不信任されるべきであると皆様に心よりお訴えをし、趣旨説明とさせていただきます。(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

枝野幸男君(続) 議員諸氏の、一人一人の良識に基づく判断による御賛成を心から期待申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。林幹雄君。

    〔林幹雄君登壇〕

林幹雄君 自由民主党の林幹雄です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)

 冒頭、昨夜、沖縄県名護市沖でMV22オスプレイが不時着しました。大変遺憾であり、二度とこのような事故が起きないよう、政府は、米軍とともに、早期の原因究明と、県民、国民に対し徹底した説明を行うなど、万全な対策をとっていただきたいと思います。

 さて、この不信任案には、一体どのような意味があるというのでありましょうか。決めるべきときに決めず、時間だけ稼ぐ、意味のない空疎なやり方に対し、多くの国民はもはや飽き飽きしております。幾ら批判のボルテージを上げても、プラカードを掲げて審議や採決をただ妨害しても、誰の共感も得ることはありません。そのような時間があったら、国民のために建設的対案づくりに時間を割こうとするという考え方はないんですか。

 特に、一部の野党諸君は、委員会や本会議で欠席ばかりして、国民の負託に応えているとは到底言いがたく、大変嘆かわしいものがあります。国会は、国の唯一の立法機関として法律を審議する場であり、賛成か反対かを国民の前でわかりやすくお示しすることにあります。欠席ばかりでは、結果は残せません。

 民進党の蓮舫代表に至っては、人を批判するためだけにテレビの画面に登場し、中身もわからず、米国次期大統領との会談にも一々けちをつける。安倍総理に対して、息をするようにうそを吐くなどとばかげた批判に明け暮れる。人を批判する前に、二重国籍問題に関するみずからのうその上塗りを反省し、国民に一度でいいから説明されたらどうですか。自分のことを棚に上げて、国家国民のことを全く考えない対応は、国会議員としてあるまじき態度です。

 以下、安倍内閣がいかに国民の負託に応え、実績を上げ、それに対する不信任案がいかに意味のないものであるか、簡潔に申し述べます。

 安倍総理は、先週十二月五日、総理大臣としての在任期間が千八百七日となり、戦後歴代四位の在任記録となりました。心から敬意を表しますとともに、私たち与党は、これからも、力の限り安倍内閣を支えてまいりますことをお約束申し上げたいと思います。

 私たちは、七月の参議院選挙において、国民の皆様から、与党で目標を大きく上回る勝利を得ることができました。安倍内閣そして与党が参議院選挙でともに訴えたことは、伊勢志摩サミットでG7各国と共有した強い危機感であります。

 強い危機感、それは、英国のEU離脱や失速する新興国経済など、世界経済のリスクに敢然と立ち向かうために、あらゆる政策を総動員し、アベノミクスを一層加速させることが必要であるということであります。

 安倍総理が伊勢志摩サミットの議長として力強いリーダーシップを発揮し、首脳宣言に明記したことは大きな外交成果です。サミット後、政府・与党は、事業規模二十八兆円の第二次補正予算を速やかに成立させることができました。

 この補正予算の成立で、世界経済のリスクに万全な対応を期すとともに、中小企業、小規模事業者及び地方への支援が一層充実しました。

 また、保育所や介護施設の従事者の待遇改善や、二十一世紀型インフラであるリニア中央新幹線の整備、熊本地震や東日本大震災からの復旧復興の加速など、今後、中長期的に民間投資や消費喚起、生産性の向上が期待される分野などに重点的に投資したところであります。

 経済は、安倍内閣の一丁目一番地であり、国民の皆様の関心が最も高い分野でありますので、一億総活躍社会を力強く前に進めていく上でも、あらゆる政策を総動員する第一弾としても、大変意義のある補正予算であることは言うまでもありません。

 ことしの夏は、台風被害が各地で相次ぎました。総理は、甚大な被害をこうむった北海道、岩手県を視察され、すぐさま激甚指定の意向を表明、総理の御判断はまことに適切であり、被災地の方々に勇気と希望を与えました。今後とも、被災地の復旧に政府・与党は全力を挙げていかねばなりません。

 後半国会は、TPP協定と関連法案、年金改革法案など、国民生活にとって大変重要な法律案の審議が続きました。

 第二次大戦後、世界経済は、自由貿易の恩恵を享受し発展してきましたが、とりわけ資源に乏しい我が国が、自由貿易体制を堅持し、さらに強化していくことは当然のことであり、その方針が変わることはありません。

 いやが応でも世界的な大競争を生き抜かねばならない時代にあって、国の成長を考えたとき、国益を第一に考え、攻めるべきところは攻め、守るべきものは守ることは言うまでもなく、そうした前提のもとTPPに参加することは、我が国の成長戦略であります。

 今回、TPPに反対した政党は、自由貿易を推進する日本の姿勢を否定し、成長を放棄したと言っても過言ではありません。私たちは、保護主義に対抗し、自由貿易体制の堅持を粘り強く訴え続けると同時に、農業者の不安にしっかり応え、食の安全や輸入米問題などに万全な対策をとる安倍内閣の方針を全面的に支持してまいります。

 年金改革は、世代間の公平を図り、将来世代の給付水準を確保し、将来の持続可能性のため必要不可欠な改革であります。これにより、公的年金制度への信頼は逆に高まるのにもかかわらず、野党の皆さんが不安をあおるだけであれば、将来世代に責任を持つ態度とは言えません。私たちは、高齢者の低年金対策などにもしっかりと取り組んでまいります。

 外交面では、安倍総理はこれまで、延べ百を超える国・地域を訪れ、現職総理としては初のキューバ訪問も果たしました。オバマ大統領との広島訪問は歴史的であり、世界じゅうの感動を呼びました。地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開し、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携を深めていきます。

 折しも、あすには日ロ首脳会談が開かれます。大事な外交日程を控え、党派を超え一致団結して交渉に臨むべきときに、このような全く無意味な不信任案を提出することは、戦後七十一年を経ていまだふるさとに帰れない御高齢の元島民の皆様の切実な思いを踏みにじり、国益を毀損する行為だと言わざるを得ません。

 私たち与党は、日ロ首脳会談、また、年末にハワイで行われる日米首脳会談が実りあるものとなりますよう御期待申し上げる次第であります。

 政治は結果責任であり、あれこれ語るより、行動と結果で示してきたのが安倍内閣であります。内政、外交両面で数々の実績を上げ、サミットを初め多くの国際会議においてひときわ存在感を示してきたことは、今さら言うまでもありません。

 野党諸君は、あれこれ言葉は弄しますが、何かを実現するという点においては、全くもって評価できません。提案することすら不得意中の不得意であると断ぜざるを得ず、今般の不信任決議案の理由は、まことに理解しがたいものがあります。

 この場におられる議員の皆様におかれましては、このことを十分認識していただいた上で、本案件について毅然として否決をしていただきますよう強くお願いを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 近藤昭一君。

    〔近藤昭一君登壇〕

近藤昭一君 民進党の近藤昭一でございます。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に賛成する立場で討論いたします。(拍手)

 安倍政権が発足してから四年がたとうとしています。アベノミクスで、国民の暮らしはよくならないばかりか、厳しくなっています。

 年金が目減りしたため、節約に節約を重ねて暮らす高齢者。生産コストの上昇や資金繰りの悪化で、経営が苦しい中小企業。正社員と同じ仕事をしても、雇用形態が違うということだけで、賃金などの待遇を低く抑えられている非正規労働者。長時間労働を強いられて、心身の健康に支障を来している働く人たち。今や六人に一人と言われる、貧困状態にある子供たち。

 日本は、世界第三位の経済大国でありながら、なぜ、これほど多くの人が苦しみ、将来への不安を感じているのでしょうか。

 安倍政権は、こうした人たちを置き去りにしたまま、経済的な格差を拡大させ、アベノミクスのエンジンを吹かし続けています。一人一人を大切にし、暮らしの底上げを図り、格差是正に取り組むことこそ、日本の活力を取り戻すために不可欠であり、政府が全力を挙げて取り組むことであります。安倍政権が進めたアベノミクスは、期待に応えられず、行き詰まっていると言わざるを得ません。将来に対する不安は増すばかりであります。

 安倍総理は、現役世代の生活保護受給者は減っていると自慢しておりますが、生活保護受給世帯全体では過去最高となり、高齢者の受給世帯はふえ続けています。

 生活保護受給世帯数は、ことし九月に百六十三万六千九百二世帯に達し、安倍政権が発足した二〇一二年十二月に比べて約六万六千世帯ふえました。とりわけ、受給世帯数の約半分を占める高齢者世帯は八十三万五千四百二世帯に上り、政権発足時に比べて約十五万四千世帯ふえています。これは、本来老後の生活の支えとなる年金の最低保障機能の低下が影響しているからにほかなりません。

 安倍政権は、年金カット法案で、物価が上がっても、賃金が下がれば年金額を下げる新たなルールを導入しています。

 今でさえ年金受給者の生活が苦しいのに、新たなルールが発動されると、年金受給者の生活が立ち行かなくなるおそれがあります。政府は、将来世代の年金水準を確保するために必要だと説明していますが、新ルールは将来世代の年金にも適用されます。

 また、将来の基礎年金の所得代替率は、マクロ経済スライドによって約三〇%減ると見込まれていますが、一方で、新ルールによる将来世代へのプラスの影響は二%にすぎず、世代間公平の向上や年金の最低保障機能の回復にとって効果があるとは言えません。

 これでは、年金財政は百年もっても、年金生活者の生活はもちません。私たちは、このような改定ルールには断固として反対します。

 安倍政権は、女性の活躍推進を掲げていますが、女性たちが何を最も必要としているかを見きわめ、抜本改革に踏み込むことはありませんでした。

 この春、保育所に入れなかったお母さんの声が社会全体に広がり、政府は、待機児童解消を強く求められました。私たちは、保育現場の人手不足を解消し、質の高い保育を確保するために、保育等従事者の給与を平均して月額五万円引き上げる法案を提出しました。しかしながら、安倍政権は取り合わなかったわけであります。

 政府の緊急対策は、保育所の定員や保育士の配置を事実上緩和するものでありました。それでは、子供の安全や保育の質に影響を及ぼしかねず、待機児童を抱えた親たちが納得するものではありませんでした。

 また、保育士の処遇改善は二%、月額約六千円にすぎず、人材確保は期待できません。これでは、来年の春も、子供を安心して預けられずに、仕事に復帰できない親たちが途方に暮れることでありましょう。

 また、子ども・子育て支援の財源として、消費税率引き上げ増収分から七千億円程度と、その他の財源も含め、合計一兆円超の財源確保を目指すことになっていました。安倍政権になってから、消費税以外の財源三千億円のめどは全く立っていません。この四年間、財源を確保する努力を怠ってきたと言わざるを得ません。

 非正規での雇用が多い女性は、男性との賃金格差が依然として開いたままであります。賃金格差は年金水準にも反映され、女性の高齢者の生活が困窮することにつながり、切実な問題であります。安倍総理は、ことしになって、同一労働同一賃金を主張し始めましたが、検討を始めてみると、まずは法律ではなくガイドラインをつくるということになったということで、どの程度実効性があるのか定かではありません。

 安倍政権の外交では、情勢分析の誤り、詰めの甘さが繰り返され、国益を大きく損なっています。

 パリ協定については、外務省が諸外国の状況を読み間違え、モロッコのマラケシュでの締約国会議に協定承認が間に合わないという失態を演じました。安倍政権の温暖化対策に対する関心度の低さをあらわすものだと言わざるを得ません。我が国は地球温暖化対策に関してリーダー役であったのに、国際社会の中での立場が後退してしまった点は大きな痛手であります。

 安倍政権は、南スーダンの国連PKOに派遣した陸上自衛隊部隊に駆けつけ警護の新任務を付与し、今月十二日から実施可能となったわけであります。任務遂行型の武器使用権限を伴う駆けつけ警護は、南スーダンの状況が極めて流動的な中、地元の武装グループとの交戦の可能性を高めることになりかねず、自衛隊の安全確保措置が万全とも言いがたい状況であります。先ほど提案者からありましたように、自衛隊の行動に関する救急救命体制が、諸外国と比較しても脆弱であるわけであります。

 少なくとも、第一線救急救命体制の充実について可及的速やかに取り組むべきであるとの考え方から、自衛隊員救急救命法案を提出しました。残念なことでありますが、この法案も政府・与党は審議に応じていないわけであります。

 また、安倍政権は、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くと言いながら、これらグレーゾーン事態に対する法整備について、私たちが領域警備法案を出しているにもかかわらず、審議、法制化に応じていません。

 こうしたことから、このまま安倍政権に外交、安全保障を担わせることはできません。

 また、沖縄の皆さんの理解を得ると言いながら、沖縄の基地負担軽減にきちんと取り組んでいるとは言えません。昨日、懸念されていた、沖縄普天間飛行場所属の新型輸送機オスプレイが、訓練中、不時着と称する墜落により浅瀬で大破するという重大な事故が起きました。沖縄の人たちの不安はいかばかりでしょうか。安全性が確認されないオスプレイの飛行を許すわけにはいきません。政府は、沖縄の基地負担軽減にこそ全力で取り組むべきであります。

 東京電力福島第一原発事故の賠償、廃炉費用や老朽化で廃止をする原発の廃炉関係費はどれだけかかるかわかりませんが、今になって、託送料金に上乗せして回収するなど、電力会社の責任を問うことなくその負担を軽減し、国民負担を増大させる議論が政府内で進んでいます。国民的議論はもちろん、廃炉、賠償費用に係る十分な情報公開もなく、国会の関与も一切ないままに原則をゆがめた国民負担増大案がまとめられるのであれば、言語道断であります。原発の後始末費用については原則に立ち返るべきであります。

 また、福島県は、原発事故の自主避難者に対する家賃補助の支援を来年三月に打ち切るとしました。放射線被曝から身を守る避難の権利は、日本国憲法に記された、全ての国民が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存することを保障された基本的人権であるに反するものであり、同時に、与野党全員の賛成によって成立をした子ども・被災者支援法の趣旨にも反します。政府は、何よりも、被災者に寄り添った施策を講じるべきであります。

 安倍総理は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに総理として臨みたいと意欲をお持ちだとお聞きします。自民党総裁の任期を延長してまで権力にしがみつこうとする執念は尋常ではありません。

 安倍総理は何をなし遂げようとしているのでしょうか。企業の都合で社員を働かせやすくする規制緩和でしょうか。公共事業の大盤振る舞いやカジノ等による経済再生でしょうか。社会保障費のさらなるカットでしょうか。それとも、自民党の憲法草案に沿った憲法改正でしょうか。少なくとも、国民の暮らしがよくなる気配は全くありません。

 経済というものはギャンブルであってはならないわけであります。政権維持、安倍総理の自己満足を満たす案件が優先をされ、国民本位の政策が後回しになっているのは明らかであります。

 安倍内閣の横暴をこれ以上許さず、国民の暮らしを守るため、全ての議員の良心に訴え、本不信任決議案に御賛同いただくことをお願いし、私の討論とさせていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) 斉藤鉄夫君。

    〔斉藤鉄夫君登壇〕

斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 安倍内閣発足から約四年がたとうとする今国会においても、自公連立政権による政治の安定と機敏かつ的確な政策対応により、多くの重要な法案を成立させました。

 ここで、今国会における三つの主な成果を申し上げたい。

 一つには、環太平洋パートナーシップ協定の成立であります。

 今、世界的に、保護貿易、内向き志向の傾向、風潮が大きくなってきております。この風潮に抗して、国際的な経済の成長、相互経済パートナーシップの進展による平和の基盤の構築、これをつくるためにも、自由貿易の枠組みを拡大していかなければなりません。

 TPP協定の成立は、自由貿易を守っていくんだという日本の決意を世界じゅうに示した大きな成果でございました。今こそ、TPP発効への確実な一歩となるべく、安倍総理を先頭に、内閣一丸となって闘っていくべきときであります。

 二つには、平成二十八年度第二次補正予算の成立であります。

 低所得者向け給付金や訪日観光客増大に向けたインフラの整備などを進め、財源には国債利払い費の減少分などが充てられ、赤字国債は発行しませんでした。また、子育てや介護の環境整備には約二千八百億円が計上され、待機児童ゼロや介護離職ゼロといった、これまで公明党が掲げてきた目標の実現に向け、迅速な対応が期待されています。

 そして、三つには、公的年金の受給資格を得るのに必要な加入期間、受給資格期間を二十五年から十年に短縮する改正年金機能強化法、無年金者救済法の成立です。

 これにより、約六十四万人が新たに年金の受給資格を取得することとなり、受給資格期間の短縮は、将来にわたって無年金となる人を大幅に減らす効果が期待できるのであります。

 翻って、内閣不信任案を提出した野党諸君の国会対応はいかがであったか。

 民進党諸君は、TPP特別委員会の審議入りを認めずとして、国対ヒアリングと称し、マスコミフルオープンで、SBS米の調査が不十分ではないかと指摘するなど、関係省庁職員に対して数多くの叱責を幾度となく繰り返してきました。

 農水省から一切資料が提出されていない、黒塗りでいいから出せと主張したかと思えば、提出された政府資料について、黒塗りばかりのノリ弁では審議できないなどと非難を繰り返すばかりであり、政策論議を国会の場で闘わせることなく、入り口論に終始したではありませんか。

 TPPの意義の議論を深化することなく、情報開示不足や審議時間不足などをあげつらい、農業問題、食品の安全性問題を指摘することはあっても、その対策を提案することなく、同じような批判を繰り返すばかりであったことはまことに残念でなりません。

 そもそも、TPP交渉参加を表明したのは民主党政権であります。

 野田元総理は、二〇一一年十一月十一日の記者会見において、関係各国との協議を開始と表明。二〇一二年十二月の民主党のマニフェストには、アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指し、その道筋となっている環太平洋パートナーシップ、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携を同時並行に進め、政府が判断すると明記したではありませんか。

 今の民進党のTPP特別委員会における振る舞いと発言は、国益の視点に立って結論を得ていきたいと声高に主張した当時の民主党の政策とは相反するものであると言わざるを得ません。

 さらに申し上げたい。

 さきの党首討論の折、蓮舫代表は、働き方改革に大賛成だが、なぜ政府から法案がいつまでたっても出てこないのかと指摘されておられましたが、今国会における民進党の対応はどのようなものであったか。

 平成二十六年五月に、充実した質疑と、国家公務員の過剰な残業是正等を行うため、速やかな質問通告に努めると与野党で申し合わせを行ったにもかかわらず、質問内容を事前通告しなかったことで各省庁の職員を夜中までとめ置き、あろうことか、午前零時過ぎまで質問通告をせず、多数の職員が待機を強いられたのです。

 前々日の十八時までの質疑通告に努めている自公両党とは対照的な行為であり、そんな御都合主義の民進党に働き方改革を叫ぶ資格はないと強く申し上げたいのであります。

 野党の諸君、よくよく考えていただきたい。現下の我が国の情勢を見るとき、少子高齢化が急速に進み、経済活動や社会の仕組みも大きな変革が求められているのです。この重要な局面において、立法府として国会で果たさなければならない責務は何なのか。それは、次の世代、時代をつくり出していく法案を審議し結論を出していくこと以外、何があるのでしょうか。この重要な局面において、最大の努力をするのが我々国会議員に課せられた使命です。

 もう一つ、これだけは明らかにしなければなりません。

 本年五月、芸能活動をしていた女子大学生が卑劣なストーカーによって瀕死の重傷を負わされた事件を受けて改正されたストーカー規制法が、今国会で成立いたしました。しかし、衆議院内閣委員会の採決の際、民進党の姿はありませんでした。

 不毛な欠席戦術を人の命がかかった法案採決にも持ち込むとは、言語道断です。民進党の諸君は、命を守るストーカー規制法案に責任を持っていたと言えるのか。

 思えば、十一月十日のTPP関係法案並びに十一月二十九日の国民年金法改正についての本会議採決時に、民進党は、あろうことか、反対討論を行った上で、全員が採決を棄権しました。一体、あなた方の意思はどこにあるのか。それとも、党内の賛否を明らかにしたくない別の理由があるのでしょうか。世間の耳目を集める討論だけを行い、肝心の採決で明確な意思を示さない姿勢は、身勝手なパフォーマンスであると強く指摘したい。

 今回提出された内閣不信任決議案の提出理由に、アベノミクスの破綻や昨年の安全保障関連法について、憲法解釈の変更や安全保障法制の強引な制定は立憲主義を否定するものと非難されておりますが、昨年提出された内閣不信任決議案は否決され、内閣は信任を受けています。その結果を受けて、本年の参議院選挙では、道半ばの自公政権の経済政策を力強く加速させるべきであり、必要なのは政治の安定であるとの信任を得ております。今回も同様の理由で不信任決議案を再提出するということは、公党としての見識を疑わざるを得ません。

 しかるに、かようなパフォーマンスのための不信任案の提出が万が一可決されるようなことがあれば、我が国の憲政史上の大きな汚点と言わねばなりません。良識ある衆議院の皆様に対し、国会の権威を守るため、このような不信任案を断固として否決していただくことを求めまして、私の討論を終わります。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は時間の関係上この程度にとどめ、明十五日午前零時十分から本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。

 本日は、これにて延会いたします。

    午後十一時三十分延会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    高市 早苗君

       法務大臣    金田 勝年君

       外務大臣    岸田 文雄君

       文部科学大臣  松野 博一君

       厚生労働大臣  塩崎 恭久君

       農林水産大臣  山本 有二君

       経済産業大臣  世耕 弘成君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       環境大臣    山本 公一君

       防衛大臣    稲田 朋美君

       国務大臣    石原 伸晃君

       国務大臣    今村 雅弘君

       国務大臣    加藤 勝信君

       国務大臣    菅  義偉君

       国務大臣    鶴保 庸介君

       国務大臣    松本  純君

       国務大臣    丸川 珠代君

       国務大臣    山本 幸三君

     ――――◇―――――

 昨十三日は、会議を開くに至らなかった。


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