衆議院

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第6号 平成29年2月16日(木曜日)

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平成二十九年二月十六日(木曜日)

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  平成二十九年二月十六日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 高市総務大臣の平成二十九年度地方財政計画についての発言並びに地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員小里貞利君は、昨年十二月十四日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 小里貞利君に対する弔詞は、議長において去る九日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰され さきに運輸委員長 国家基本政策委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等小里貞利君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

 所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、所得税法等の一部を改正する等の法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する等の法律案の趣旨を御説明申し上げたいと存じます。

 本法律案は、日本経済の成長力の底上げのため、就業調整を意識しなくて済む仕組みの構築、経済の好循環の促進、酒類間の税負担の公平性の回復、国際的な租税回避への効果的な対応などの観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築するという観点から、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しを行うことといたしております。

 第二に、経済の好循環を促す観点から、研究開発税制及び所得拡大促進税制の見直し、中小企業向け設備投資促進税制の拡充等を行うことといたしております。

 第三に、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、酒税の税率構造及び酒類の定義の見直しを行うことといたしております。

 第四に、より効果的に国際的な租税回避に対応する観点から、外国子会社合算税制の見直しを行うこととしております。

 このほか、災害に関する特例の配備を行うとともに、土地の売買等に係る登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。

 以上、所得税法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鷲尾英一郎君。

    〔鷲尾英一郎君登壇〕

鷲尾英一郎君 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する等の法律案につきまして質問をいたします。(拍手)

 先月の経済財政諮問会議に提出された中長期の経済財政に関する試算によりますと、財政健全化の指標である基礎的財政収支、プライマリーバランスは、経済再生ケースであっても、二〇二〇年度の赤字額が国、地方を合わせて八・三兆円となり、昨年七月時点の試算から二・八兆円悪化すると見込まれました。

 今回、赤字幅が拡大したのは、企業業績が悪化し、一六年度の税収見通しが当初想定より下振れしたことを試算に反映したためとされています。安倍総理は、ことし年頭の記者会見で、鳥が大空をかけるように颯爽と三本の矢を打ち続けるとおっしゃいましたが、税収減となり、デフレ脱却が遠のいている現実に鑑みれば、アベノミクスという言葉自体が空洞化していると言わざるを得ません。

 政府は、二〇一八年度にプライマリーバランスの赤字幅をGDPの一%に抑え、二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字化するという目標を掲げています。しかし、今回の税制改正、さらには平成二十九年度予算案の内容を見ても、政府が財政健全化に向けた取り組みを強化する気配はなく、達成への意思を感じることができません。

 他方で、平成二十九年度予算案の見出しだけは、経済再生と財政健全化を実現する予算となっています。びほう策を重ねて、歳入を大きく、歳出を小さく見せていますが、財政健全化を実現する予算は言い過ぎではありませんか。空疎な言葉は政治の信用を失うことにつながります。

 もはや言葉に力を失ったアベノミクス、三本の矢を幾ら打ち続けると言ってみても、絶望的な財政健全化を実現すると宣言することも、国民に誠実な姿勢とは言えません。

 壮大な社会実験であるアベノミクスがどうやらうまくいかないようであれば、違う方法、やり方にバージョンアップするか、別の戦略を打ち出すべきです。それとも、このまま実現不可能なことを言い続けるのでしょうか。本当に財政健全化目標を達成できるというのでしょうか。あわせて、総理にお尋ねいたします。

 表面的には失業率は低下し、完全雇用の状態と言えます。完全雇用の状態で実質成長率がゼロ%近傍であることを考えれば、今回の完全雇用はほぼゼロ成長のもとで実現してしまっていて、日本の労働市場の観点に立つと、日本が安定的に実現できる成長率はゼロ%ということになります。

 安倍首相は、アベノミクスが成功した暁には実質二%成長が実現するとしていたはずであり、もはや違う処方箋を書くしかないと考えます。

 中身を見ると、人手不足の主体が圧倒的に非製造業となっており、労働生産性の低い非製造業主導の人手不足のもとでは、実質賃金の上昇ペースは鈍くなります。

 団塊の世代が六十五歳を超える中、男性の労働参加率が今後高まる余地は限られ、二〇一二年ごろから労働参加率の上昇が女性のみで、ついに日本の女性労働参加率はほぼ米国に並んだ状態です。もはや、日本の女性の労働参加率を、国際比較の観点で低いと言うことはできません。

 完全雇用であり、実質賃金が上がらず、したがって消費が伸び悩む日本経済において、政府が書かなければならない処方箋はアベノミクスの加速化という空疎な言葉ではないと思います。

 特に、自身の経済政策はうまくいっているといいながらも、新しい判断として消費税増税を二度も先送りしました。これは、消費が伸び悩むというアベノミクスが解決できていない問題により、消費税増税が可能な経済状況をつくり出すことができなかった結果です。これにより社会保障の充実は滞り、かえって消費抑制、生活防衛の影響が出ています。

 次は必ず消費税を上げるのでしょうか。これまで、アベノミクスの矢を打ち続けても、消費増税が可能な経済状況をつくり出すことができなかったのに、平成三十一年十月までにどうやって経済状況を好転させるのでしょうか。

 実質賃金を上げ、消費を拡大させ、消費税を上げるための方法について、総理の明確な答弁を求めます。

 次に、所得税法の改正内容である配偶者控除、配偶者特別控除の見直しについて伺います。

 昨年九月、安倍総理は、政府税制調査会総会で所得税について、多様な働き方に中立的な仕組みをつくる必要があると表明しました。しかし、議論が進むにつれて尻すぼみになり、結局、控除対象配偶者の年収要件を百三万円以下から百五十万円以下に広げるびほう策となってしまいました。

 そもそも配偶者控除の見直しは、女性の働き方改革の一環として提起されてきたはずです。しかし、この改正は、百五十万円という新しい壁をつくったにすぎず、働き方に中立や、所得控除から税額控除という方向性に全く逆行するものです。

 パート主婦等控除対象配偶者の就労拡大を妨げているのは、所得税法上の年収制限だけではありません。年収が百三十万円以上になると、社会保険料を納めなければならなくなる百三十万円の壁があります。加えて、昨年十月からは、五百一人以上の企業で働くなどの条件を満たすパート主婦には百六万円から社会保険料負担が生じていますから、新たに百六万円の壁ができています。

 こうした社会保険料負担と税の調整もせずに配偶者控除対象配偶者の年収上限を単純に引き上げても、その就労拡大の効果は余り期待できません。

 当初、総理や与党幹部が明言していた、働き方に中立という仕組みをつくれなかったのはなぜでしょうか。あわせて、社会保険料の適用によってできる壁を、事業者及び配偶者本人の給与収入に給付金を補填することで就労調整が起こりにくくなると考えますが、この点、御考慮いただけないでしょうか。麻生大臣に御所見を伺います。

 総務省統計局の調査によれば、アベノミクスを境にして、所得分布の変化、特に年間収入階級の四百万円から七百万円の階級が減少し、上下に二極化していることが見受けられます。所得や世代、地域、性別など、その格差の拡大に伴って、社会の中で分断が起こり始めています。

 我が党は、進みつつある社会の分断化を食いとめ、全ての人を包摂する社会を実現していきたいと考えています。税制もその目的に資する改革を目指さなければならないと考え、そのための対案を用意しております。

 税制における所得再分配機能を強化し、実質的に全ての人に基礎的な所得を保障することにつながる所得税改革、無年金者、生活保護世帯を減らし、社会保障制度再編の起爆剤にしていく日本型ベーシックインカム構想です。

 その第一段階として、まずは従来の所得控除を税額控除に変えます。所得控除では、税率が高いほど控除額が上がりますから、所得の高い人の方が減税額が大きいのです。これを税額控除にすると、累進税率を変えなくても、所得の再分配機能は大きく強化されることになります。

 具体的には、基礎控除を税額控除に変えます。配偶者控除、扶養控除は廃止、縮小、統合し、新たに世帯控除を創設します。これにより、百三万円の壁は極めて低くなり、税制はライフスタイルにほぼ中立になります。

 次の段階としては、給付つき税額控除の導入です。給付つき税額控除とは所得税減税と給付を組み合わせた制度で、諸外国では既に導入が進んでいるものです。具体的には、就労により得た所得に応じ減税額をふやすことで就労を促進する就労税額控除を、給与所得控除を再編成して導入します。勤労意欲の低下を防ぎつつ、中低所得者の手取りをふやします。しかも、現金給付ではなく社会保険料の支払いとして充てることで、年金保険料未納問題の解決、ひいては将来的に生活保護に陥る方々をなくしていくことにもつなげます。

 我が党は、以上申し上げた日本型ベーシックインカム構想実現に向けた法案を準備しております。政府もこの提案を受けとめ、実現に向けて検討を進めていくべきかと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。

 最後に、自動車関連税制について伺います。

 自動車関連税制は、本来であれば、消費税率の一〇%への引き上げと同時に、自動車取得税の廃止を初めとする抜本的見直しが行われるはずでした。しかし、消費増税先送りにより、見直しが行われないどころか、エコカー減税、グリーン税制が縮小される方向性が打ち出されました。

 自動車産業は非常に裾野が広い産業であることから影響が大きい上に、地方では自動車は生活の足となっています。そうしたところで負担をふやすということは、景気や消費の足を引っ張ることになるのではないかと懸念しますが、麻生大臣の御所見を伺います。

 安倍内閣は、アベノミクスの成果を語るとき、都合のよい数字だけをつまみ食いし、間違った現状認識で間違った処方箋を出してしまっています。せっかくの高い支持率というポリティカルアセットをうまく生かし切れておりません。今こそ、迅速に、大きな税制改革を行い、時代に合った税制に変革することが、そのポリティカルアセットの使い道だと確信いたしております。

 我々は、政府・与党に不都合な真実を突きつけるだけでなく、建設的に税制改革案を提示し、皆さんの共感を得て、結果として社会の分断化を食いとめ、日本の成長と全ての人を包摂する社会の実現を両立させることをお約束申し上げ、私の代表質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 鷲尾英一郎議員にお答えをいたします。

 財政健全化目標についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、政権交代後、名目GDPは九・五%、四十七兆円増加、実質GDPも五・三%、二十六兆円増加し、過去最高の水準となりました。国、地方を合わせた税収は二十二兆円増加、新規国債の発行額が十兆円減少し、国の一般会計プライマリーバランスを十四兆円改善させました。二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標も達成いたしました。

 また、来年度予算案においても、六百兆円経済の実現を目指した取り組みを進めるとともに、かつて毎年一兆円ずつふえていた社会保障費の伸びを本年度予算に引き続き五千億円以下に抑えるなど、経済再生と財政健全化の両立を進める予算としています。

 確かに、二〇二〇年度のプライマリーバランスの赤字が五・五兆円から八・三兆円になったことは事実であります。しかし、金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢の政策により、経済の好循環の拡大を通じ、消費が改善することによって、また、金融資本市場の推移いかんによって、税収等が内閣府の中長期試算で示した水準を上回って増加する余地があると考えています。

 重要なことは、つじつま合わせのためにプライマリーバランスを一時的に改善させるようなことではなく、経済をしっかりさせて税収を上げていくことです。

 大切なのはやはり実体経済であり、その中でも特に雇用が大切です。安倍内閣において、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百七十万人増加、正規雇用についても、一昨年、八年ぶりにプラスに転じ、昨年と合わせて七十七万人増加し、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超えるなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。

 大切なことは、プライマリーバランスを改善し、債務残高対GDP比を着実に引き下げることです。そのためには、経済成長を実現し、税収を上げなければなりません。ナローパスではありますが、経済再生を図りながら、歳出を削減し、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化、債務残高対GDP比の着実な引き下げを達成してまいります。

 今後の経済財政運営についてお尋ねがありました。

 先ほども申し上げたとおり、これまでの安倍内閣の取り組みにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、GDPは過去最高の水準となりました。特に、就業者数が百七十万人増加したように、国民生活にとって最も大切な雇用が大きく改善するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。

 この流れをより確かなものとするため、ことしの賃上げに向けて、少なくとも昨年並みの水準の賃上げ、特に四年連続のベアの実施、期待物価上昇率も勘案した賃上げの議論等を産業界に対してお願いしているところです。

 また、一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革を断行します。

 同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望を持てるようにすることにより、中間層の厚みを増し、より多くの消費につなげてまいります。

 引き続き、あらゆる政策を総動員して、デフレ脱却、そして力強い成長を目指していきます。

 消費税率の一〇%への引き上げは、二年半延期することとしましたが、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要なものであり、経済財政運営に万全を期し、平成三十一年十月には引き上げを実施いたします。

 就労税額控除等についてお尋ねがありました。

 まずは、現在所得控除方式をとっている基礎控除などの人的控除等における控除方式のあり方については、所得再配分機能を回復する観点から、御指摘の税額控除方式も含め、幅広く検討を行ってまいります。

 また、就労税額控除については、就労インセンティブを高めながら低所得者対策を行うといった政策目的のもと、勤労所得等を有する者に対し、所得等に応じて税額控除や給付を行う制度であると承知していますが、これを検討するに当たっては、低所得者対策全体の議論の中で、生活保護制度など同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要と考えます。

 さらに、所得や資産の把握が難しいといった問題や、過誤、不正受給といった支給の適正性の確保など多岐にわたる課題があり、慎重な検討が必要と考えます。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 配偶者控除等の見直しと車体課税について、二問お尋ねがあっております。

 まず、配偶者控除の見直しについては、働き方に中立的な仕組みを構築していくには、パートの方々など、一定の年収以下となるよう労働時間を減らす就業調整問題を解消するなどの取り組みが必要であります。今回の見直しは、まさにこうした課題に対応するために行うものであり、働き方に中立的な仕組みの構築に寄与するものと考えております。

 また、社会保険料の適用による壁に対応するため、保険料負担については、事業者や被雇用者本人に収入を補填するという御提案がありました。

 これにつきましては、財源の問題やパートなどの被雇用者と自営業者との保険料負担の公平性といったさまざまな問題があるものと考えております。

 いずれにせよ、就業時間の調整問題につきましては、税制や社会保障制度の見直しだけで解決するものではなく、民間企業においても配偶者手当のあり方を検討していただくなど、多角的に取り組んでいく必要があると考えております。

 また、自動車関連税制についてのお尋ねがありました。

 エコカー減税につきましては、燃料性能がよりすぐれた自動車の普及を促進するという観点から、対象範囲を見直すことといたしております。

 その見直しに当たりましては、段階的に基準を引き上げるなど、きめ細かな工夫を盛り込んだところでもありまして、日本経済における自動車産業の重要性や消費への影響という観点にも配慮したものといたしております。(拍手)

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議長(大島理森君) 上田勇君。

    〔上田勇君登壇〕

上田勇君 公明党の上田勇です。

 私は、公明党を代表し、所得税法等の一部を改正する法律案について、安倍総理並びに財務大臣に質問いたします。(拍手)

 安倍内閣、与党は、この四年間、デフレ脱却と経済再生を最優先の課題として、金融政策、財政政策、成長戦略を推進してきました。その結果、雇用・所得環境は大きく改善しています。

 他方、個人消費や設備投資は力強さを欠く状況にあり、その背景には、人口減少、少子高齢化といった社会の構造的な問題があります。内閣、与党は、日本再興戦略に基づき成長力を強化し、一億総活躍プランに基づき社会の構造的な課題に対処し、日本経済を再生させるために着実に政策を推進させてきました。

 本法案は、与党の税制調査会で議論し、昨年末に決定した税制改正大綱の内容を実行するためのものであり、税制の面から経済の好循環を実現する後押しをするものだと考えています。

 以下、法案の内容について質問いたします。

 初めに、個人所得税の配偶者控除、配偶者特別控除の見直しについて伺います。

 現行制度では、百三万円の壁と言われているように、配偶者の給与収入が百三万円を超えると世帯の手取り収入が減ると認識され、それを防ぐために、本当はもっと働きたい人でも就業調整を行っている傾向があると指摘されています。このことは、労働者、経営者双方にとって不利益となっています。最低賃金の引き上げやパート賃金等が上昇する中で、就業調整への懸念がさらに強まっています。

 これに対処するため、本法案では、控除の適用対象を給与収入百五十万円まで引き上げ、パート労働者等の税負担を軽減するとともに、就業調整を意識しなくて済むような仕組みに改正をします。

 総理に、配偶者控除等を見直す意義並びに控除の上限を百五十万円とする理由についてお伺いします。

 現行制度でも、配偶者特別控除制度によって、配偶者の給与が百三万円を超えた場合でも、税負担によって世帯全体の手取り収入が逆転することがない仕組みにはなっています。しかし、企業等が家族手当の支給基準に援用しているケースが多いことや、また、心理的な壁として作用しているのではないかといった指摘もあります。

 企業等に対しては、社員の収入を減少させることがないようにしながら、家族手当のあり方や支給基準等の見直しを行うよう働きかけていく必要があると考えますが、総理の御所見を伺います。

 所得税制については、近年の経済社会の構造変化に対応するための改革を引き続き行っていく必要があると考えます。

 今回の改正は、あくまでパート労働者等の就業調整という緊急な課題に対応するためのものです。

 今後、検討していかなければならないテーマには、第一に、現行制度が働き方の選択に中立な制度とはなっていない、公平性に欠けるとの指摘への対応です。

 第二に、所得格差の拡大が強く認識されている中で、所得再分配機能を強化していく必要性が高まっています。これまで、給与所得控除に上限額を設定するなどの改正を行ってきましたが、さらに、基礎控除を含めた人的控除のあり方について、例えば所得控除から税額控除方式への変更や、高所得者の控除額の逓減、消失などの見直しが考えられます。

 第三には、雇用の流動化や働き方の多様化が進んでいますが、所得の種類に応じた負担調整の仕組みを、ライフスタイルに合わせて多様な働き方を選択できる仕組みにしていくべきであるとの意見もあります。

 こうした制度の改革を実施すると、働き方や家族のあり方によって、増税になる場合も減税になる場合もあり、幅広い国民の理解を得ながら丁寧に議論を進めていくべきであることは当然であります。

 総理の、所得税制のあるべき姿と今後の議論の方向性についてのお考えを伺います。

 その関連で、寡婦控除制度についてお伺いします。

 現行制度では、一旦結婚した後に配偶者と死別または離婚した場合には適用されますが、未婚の場合には、扶養する子供がいても適用されません。生活に困窮している世帯も多く、地方自治体においては、保育料や公営住宅家賃等の基準においてみなし適用しているケースも少なくありません。

 一億総活躍社会を目指す観点から、適用拡大について検討するべきであると考えますが、総理のお考えを伺います。

 次に、デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置について質問します。

 本法案では、研究開発税制の適用対象の拡大、所得拡大税制の拡充など法人税制の改正のほか、積立型NISAの創設などの改正を行います。

 所得拡大促進税制については、賃金引き上げに取り組む企業を支援するため、平成二十四年度から給与支給総額が一定割合以上増加した企業に対して、増加額の一〇%を税額控除する制度が導入されています。財務省の租税特別措置の適用実態調査においては、平成二十六年度には適用額が約二千五百億円、二十七年度には約二千八百億円と、かなり活用されていることがわかります。

 本法案では、税額控除額を拡大し、さらに中小企業については上乗せする拡充を行います。

 これまで税制が賃上げにどのように効果を発揮してきたと評価されているのか、また、本法案による拡充によって期待される効果について、総理の御認識をお伺いします。

 我が国経済の土台であり、地方も含めた雇用を支えているのは、中堅・中小事業者であります。

 本法案では、地域中核企業向け設備投資促進税制の創設、事業承継税制の改善など各種税制支援措置が講じられることとなっています。

 その中で、償却資産に係る固定資産税の減額措置について質問します。

 固定資産税は、企業の利益や規模にかかわりなく課税されるもので、積極的な設備投資を計画している小規模事業者にとって大きな負担となり、投資をちゅうちょする原因ともなっていると言われています。昨年度の改正において、公明党の強い要請によって、製造業の機械、装置を対象に減税措置が導入されました。

 本法案では、適用対象をサービス産業の取得する一定の工具、器具、備品等に拡大することとしています。GDPの七割を占めるサービス産業の低生産性が重要な課題となっている今日、小規模サービス業の生産性向上を後押しし、地域経済の活性化に寄与するものと考えますが、総理の御所見を伺います。

 次に、酒税の見直しについて伺います。

 ビール、発泡酒、新ジャンルなどの類似した酒類間の税率の差が小売価格の差となり、商品開発や販売戦略に大きな影響を与えてきました。その格差が余りに大きくなっていることから、消費者の本来の嗜好が消費行動にストレートに反映されないほか、生産、流通事業者にさまざまな弊害が発生してきました。

 本法案では、十年間をかけて税率を段階的に一本化していくこととしています。ビール価格が下がる一方、発泡酒、新ジャンルは値上げになります。それに伴い負担が増加する世帯も少なくないと考えます。実施に当たっては、経済情勢などを注視し、家計への影響を勘案しながら慎重に実施すべきであると考えますが、総理並びに財務大臣のお考えを伺います。

 次に、本法案では、一時的に在住する外国人同士の相続に、国外財産を相続税の課税対象から除外する改正を行います。

 我が国で就労する外国の専門職や経営者などの高度人材が、日本に在住している間に不幸にして相続が発生することとなった場合に、本国の資産に多額の相続税が課税されるのではないかという不安があります。このことが日本国内で仕事をすることを選択する際の障害になっているとして、改善の要望が出されてきました。

 本改正によってそうした懸念は解消され、海外からの高度人材の受け入れ促進に寄与するのか、総理の御所見を伺います。

 本法案は、日本再興戦略と一億総活躍プランを促進し、日本経済を再生するための必要な税制上の措置を実行するものであります。平成二十九年度予算とあわせて早期に成立させる必要があることを訴えて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 上田勇議員にお答えをいたします。

 配偶者控除等の見直しについてお尋ねがありました。

 配偶者控除等については、配偶者の収入制限を百三万円から百五十万円に引き上げるなどの見直しを行うこととしました。これは、パート労働者が週三十時間働いた場合の年収水準なども踏まえた見直しであります。これにより、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境づくりに寄与するとともに、人手不足の解消を通じて日本経済の成長にも資することが期待されるものと考えています。

 企業の家族手当のあり方等についてお尋ねがありました。

 就業調整を意識しなくて済む仕組みの構築は、税制だけで達成できるものではありません。御指摘のように、企業の配偶者手当に配偶者の収入制限があることも就業調整の大きな要因の一つと考えています。

 経団連は、一月十七日に取りまとめた経労委報告で、配偶者手当の再点検や見直しの検討を企業に促しております。一月二十五日の経済財政諮問会議では、私からも企業の配偶者手当の見直しなどの取り組みをお願いしました。

 引き続き、労使の真摯な話し合いのもと、前向きな取り組みが行われるよう働きかけていきたいと考えています。

 所得税制のあるべき姿等についてお尋ねがありました。

 平成二十九年度の与党税制改正大綱においては、所得再分配機能の回復の観点から、現在所得控除方式をとっている基礎控除などの人的控除等における控除方式の見直し、多様な働き方を踏まえた、所得の種類に応じた控除と人的控除のあり方の全体としての見直しなどの個人所得課税改革の方向性が示されています。

 個人所得税改革については、御指摘のように、負担構造のあるべき姿について検討が必要であることから、引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと考えています。

 寡婦控除についてお尋ねがありました。

 寡婦控除については、平成二十九年度の与党税制改正大綱において、家族のあり方にもかかわる事柄であることや他の控除との関係にも留意しつつ、夫との死別、離婚等の事情に基づく配慮という制度の趣旨も踏まえながら、所得税の諸控除のあり方の議論の中で検討を行う旨が示されているところです。与党における検討も注視しつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

 所得拡大促進税制についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、平成二十五年度において所得拡大促進税制を創設し、その後、拡充を行ってまいりました。

 平成二十七年度の適用金額は、議員御指摘のとおり約二千八百億円となっており、多くの企業が賃上げに際して本税制を活用しております。

 中小企業も含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現しておりますが、政労使会議の開催といった取り組みのほか、こうした税制も一つのきっかけとなったものと考えております。

 平成二十九年度税制改正においては、この所得拡大促進税制について、中小企業の賃上げへの支援を重点的に行うなど、めり張りをつける見直しを行い、賃上げのインセンティブを強化します。

 こうした改正を受けて、企業における賃上げがより一層進むことを期待しています。

 償却資産に係る固定資産税の減額措置についてお尋ねがありました。

 地域経済を支える中小企業の収益の拡大を実現し、経済の好循環を確かなものとするため、平成二十八年度税制改正において、中小企業の生産性を高める機械、装置の設備投資について、固定資産税の特例措置を講じたところであります。

 今般の税制改正においては、この特例措置の対象に器具、備品、工具等を加え、小規模なサービス産業の生産性向上などを後押しすることとしています。

 その際、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることも踏まえ、制度そのものは堅持しつつ、地域や業種について重点化を図ることとしたところであります。

 この特例措置は、一定の要件を満たす経営計画を持った企業であれば、赤字であっても活用できるものです。中小・小規模事業者の集中的な攻めの投資を促し、景気回復の風を全国津々浦々にお届けしてまいりたいと思います。

 酒税改革についてお尋ねがありました。

 今回の改革では、ビール系飲料に対する酒税の税率格差を三段階で解消し、平成三十八年十月に一本化することとしております。

 税率の見直しに当たっては、自民党、公明党の税制改正大綱に示されたとおり、消費者への影響に配慮して、税率の段階的な見直しの都度、経済状況を踏まえ、家計への影響等を勘案した上で実施してまいります。

 国外財産に対する相続税の納税義務の見直しについてお尋ねがありました。

 日本経済のさらなる活性化を図り、競争力を高めていくため、優秀な外国人材を我が国に積極的に呼び込んでいくことが重要です。

 御指摘のように、駐在等の一時的に日本に住所を有する外国人について、本国にある自宅等の国外資産にも相続税が課される可能性がある、そのような不安が外国人材の来日の阻害要因の一つとなっているとの声がありました。

 今般の法案においては、こうした御意見等も踏まえ、一時的に日本に住所を持つ外国人同士の相続税については、本国の資産には日本の相続税を課さないこととしており、外国人材の受け入れの促進につながるものと考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 酒税改革についてお尋ねがあっております。

 今回の改革に当たりましては、御指摘のように、ビール系飲料のうち、新ジャンルなどの税率が引き上がることを踏まえて、これによる消費者への影響などをよく確認しながら改革を進めていくことが必要であると考えております。

 このため、今回の法案では、税率見直しの都度、経済状況を踏まえ、酒税の負担の変動が家計に与える影響等を勘案して検討を加え、必要があれば所要の措置を講ずると明記をいたしており、この検討規定に沿って、適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 宮本岳志君。

    〔宮本岳志君登壇〕

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、所得税法等一部改正案について、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 さきに成立した二〇一六年度第三次補正予算では、国の税収が一・七兆円も下方修正され、一・九兆円の赤字国債の追加発行を余儀なくされました。

 さらには、足元の消費を見ても、GDP統計で、昨年十月から十二月の個人消費がマイナスになるなど、アベノミクスの破綻はもはや明白であります。にもかかわらず、総理は施政方針演説で、アベノミクスにより経済の好循環が拡大していると強調しました。

 税収が大幅に落ち込んでいながら、日本の経済はよくなっていると言われるのはどうしてか、その落ち込みの原因を具体的にお答えいただきたい。

 個人消費の低迷は、GDP統計を見ても明白です。第二次安倍政権の四年間で、日本のGDPは、名目で約四十四兆円、実質では約二十五兆円ふえ、最高水準になったなどと誇っていますが、その中身は、国民にとって単純に喜べるものではありません。

 物価上昇を加味した実質GDPは、約二十五兆円の増加で、約五%伸びたのに対し、GDPの六割を占める個人消費の実質的な伸びは一・六兆円の増加。わずか〇・六六%の成長にすぎません。これでどうして経済の好循環が実現していると言えるのか。これで国民が豊かになったと言えるのか。しかとお答えいただきたい。

 総理は、政権発足前の二〇一二年総選挙で、行き過ぎた円高を是正すると各地で訴え、政権発足後は、経済政策の柱として、大胆な金融緩和を中心とするアベノミクスを進めてまいりました。

 同時に、円・ドルの為替相場は、一ドル八十円台から百二十円台へと急激に円安に振れたことは、確かに事実であります。

 急激な円安は、自動車産業など輸出大企業の収益を大きく改善させ、史上最高の収益をもたらす一方、食料品や、電気、ガスなどの輸入価格を押し上げ、多くの国民が消費を抑制せざるを得なくなったのであります。

 個人消費の低迷の背景には、二〇一四年四月の消費税増税、社会保険料の負担増、円安による輸入食品やエネルギー価格の上昇など、庶民への負担の増加、社会保障改悪による将来不安などがあります。そして、それはまさに政治の責任ではありませんか。総理の答弁を求めます。

 円安により海外での利益を膨らませ、まさに過去最高の利益を上げている大企業は、その利益を労働者の賃金に回さず、配当や内部留保にふやし続けています。

 労働分配率の低下は、それを証明しています。

 内閣府の平成二十七年度国民経済計算年次推計によれば、二〇一一年、二〇一二年と七〇%を超えていた労働分配率は、二〇一三年、六八・一%、二〇一四年は六八・六%、二〇一五年が六七・八%と、安倍政権下で落ち込んだままであります。

 賃金がふえなければ、当然、労働者の個人消費がふえるはずがありません。なぜ、安倍政権下で労働分配率の低下が起こり、いまだ改善のめどが立たないのか、総理の認識をお聞きしたい。

 総理は、日米首脳会談後の記者会見で、大統領の成長戦略に貢献できる、米国に新しい雇用を生み出すことができると述べました。

 その上、昨日の参議院本会議で、総理は、米国から兵器を購入することが米国の雇用にも貢献するとまで答弁しました。事もあろうか、兵器を買って米国の雇用に貢献するなど、言語道断であります。総理の見識を厳しく問うものです。

 総理はアメリカの雇用を心配しますが、日本国内では、低賃金に置かれている非正規労働者は働く人の四割にも迫ります。非正規労働者を正規労働者とし、真っ当な賃金が払われる労働環境をつくることこそ、力を注ぐべきではありませんか。

 次に、税収と税制のあり方についてお聞きします。

 安倍政権で国と地方の税収が二十二兆円ふえた、このアベノミクスの成果を国民に還元すると総理は成果を誇ります。しかし、二十二兆円は本当にアベノミクスの成果と言えるのでしょうか。

 二〇一六年度第三次補正予算後の一般会計税収見込み額は、国と地方を合わせて九十七・七兆円、これが現在の我が国の実力です。結局、補正後の税収見込み額から消費税増税分を除くと、国と地方の税収合計は、リーマン・ショック前の二〇〇七年の税収、九十二兆円にさえ届いておりません。

 安倍政権で税収がふえたといっても、これがアベノミクスの成果の実態ではありませんか。総理の答弁を求めます。

 我が国の税制は、安倍政権の四年間で大きく変わりました。

 消費税は、税率五%から八%へと約九兆円の増税が実施され、その一方で、法人税は、実効税率が三七・〇〇%から二九・七四%へと大幅に引き下げられました。この結果、大企業が過去最高の収益を上げているにもかかわらず、相当する法人税収の増加は全く見られません。

 国税庁の統計によれば、二〇一五年度の法人企業の税引き前当期純利益は、バブル期の三十八・九兆円を大きく上回り、約一・六倍の六十・六兆円に達しました。しかし、法人税収は、当時の約半分の、わずか十・八兆円にすぎません。我が国の税制の現状は、まさに大企業栄えて民が細る、こういう税制であります。

 近代税制の原則である、担税力に応じて負担するという応能負担を土台に据えて、法人税の引き下げ政策を見直さなければ、税による再配分機能の回復も国の財政の再建も、とてもおぼつかないのではありませんか。答弁を求めます。

 そもそも、大企業の税負担割合は実効税率よりさらに低いことが財務省の統計から明らかになっています。

 その主な要因が租税特別措置にあり、中でも研究開発減税は、毎年六千億円の減税が適用され、その九割程度が資本金十億円超の大企業の減税となっています。

 報道によれば、大企業は五社に一社が今期最高益の更新を見込み、内部留保は毎年二十四兆から二十五兆円も拡大しています。それだけの資金力がある大企業に対し、なぜ研究開発費の増額をわざわざ誘導しなければならないのでしょうか。国際競争力を高めるために、みずからの判断で必要な投資を行う資金力を日本の大企業は十分持っています。

 例えば、研究開発減税一位のトヨタ自動車は、営業利益二兆九千億円、当期純利益二兆三千億円を誇る国際的大企業です。九百四十億円の減税をしなければトヨタは研究開発投資を減らしてしまうなどというのは、あり得ない話ではありませんか。答弁を求めます。

 他方で、防衛省は、大学などの研究を軍事研究に動員する制度をつくり、来年度予算では予算額を十八倍に増大させようとしています。こうした軍学共同は、戦後の日本が憲法九条のもとで戦争を目的とする科学研究は行わないとしてきた日本学術会議の方針に反すると、大問題になっています。

 こうした中、日米首脳会談での共同声明には、防衛イノベーションに関する二国間の技術協力を強化すると盛り込まれました。日本の研究や技術を兵器の共同開発に動員しようというのですか。断じて許されません。

 総理の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本岳志議員にお答えをいたします。

 平成二十八年度税収の見通しについてお尋ねがありました。

 平成二十八年度の税収について、対当初予算比で一・七兆円減の五十五・九兆円と見積もりました。その主な要因は、海外経済に弱さが見られる中で、平成二十八年の年初から円高が進行したことにより、法人税収や消費税収が当初予算から減少すると見込んだためです。

 平成二十九年度税収は、平成二十八年度補正後税収から一・九兆円増の五十七・七兆円と見込んでいます。これにより、安倍内閣において、国、地方合わせた税収は、民主党政権時に比べて二十二兆円増加することとなり、政権交代以降、税収が増加している基調に変化はありません。

 また、アベノミクスの破綻が明白ではないかという御指摘でありますが、政権交代後、アベノミクスによって、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出すことができ、名目GDPは九・五%、四十七兆円、実質GDPは五・三%、二十六兆円増加し、過去最高の水準となりました。特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百七十万人増加、正規雇用についても、一昨年、八年ぶりにプラスに転じ、昨年と合わせて七十七万人増です。有効求人倍率は、史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超えるなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれており、御指摘は当たりません。

 経済の好循環と個人消費についてお尋ねがありました。

 先ほども申し上げたとおり、アベノミクスにより、政権交代後、極めて短い期間でデフレでないという状況をつくり出す中で、GDPは過去最高の水準となりました。特に、就業者数が百七十万人増加したように、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しています。賃金についても、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現し、パートで働く方々の時給はここ二十四年間で最高の水準となっているなど、所得環境の改善も進んでいます。

 雇用・所得環境の改善等を背景に、税や社会保障負担等を差し引いた家計の可処分所得は二年連続で増加し、二〇一五年にはその伸びが高まっています。

 このような中、御指摘の個人消費については、二〇一六年は三年ぶりに前年比プラスに転じ、持ち直しの動きが見られます。この流れをより確かなものとするため、ことしの賃上げに向けて、少なくとも昨年並みの水準の賃上げ、特に四年連続のベアの実施、期待物価上昇率も勘案した賃上げの議論等を産業界に対してお願いをしているところです。

 一月十七日に経団連がことしの春季労使交渉に向けた基本スタンスを取りまとめた経労委報告は、これを受けたものとなっており、ことしの春季労使交渉においても前向きな成果が出ることを期待しています。

 また、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジである働き方改革の中で、同一労働同一賃金を実現します。正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望を持てるようにすることにより、中間層の厚みを増すことにつながると考えております。

 労働分配率と我が国の労働環境についてお尋ねがありました。

 雇用者報酬が国民所得に占める割合である労働分配率は、二〇一五年に二年ぶりに低下しました。これは、先ほども申し上げた雇用・所得環境の改善等を背景に、雇用者報酬が三年連続で増加する中、国民所得全体がそれ以上に増加したことによるものであり、賃金がふえていないとの御指摘は当たりません。

 非正規雇用を取り巻く雇用環境については、不本意ながら非正規の職についている方の割合は前年に比べて低下、働き盛りの五十五歳未満では、二〇一三年から十五四半期連続で、非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っているなど、着実に改善をしております。

 正規雇用労働者は、一昨年、八年ぶりにプラスに転じ、七十七万人増加、正社員の有効求人倍率も〇・九二倍と、調査開始以来過去最高となっています。

 さらに、労働環境の改善に向け、平成二十九年度予算において、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしています。

 なお、我が国は、最先端の技術を用いた米国の装備品を導入していますが、これは我が国の防衛に不可欠なものであり、日米の相互運用性の向上を初め、日米同盟の強化にもつながっています。安全保障と経済は当然分けて考えるべきですが、これらは結果として米国の経済や雇用にも貢献するものと考えております。

 安倍内閣における税収増についてお尋ねがありました。

 安倍内閣における税収増についてですが、平成二十九年度の国、地方の税収は、政権交代前の平成二十四年度当初予算に比べて約二十二兆円増加しています。

 民主党政権下の平成二十四年度の第三・四半期までは、名目、実質ともに成長率はマイナスからゼロ近傍でしたが、政権交代直後の二十五年一―三月期は一%を超えるプラス成長に転じました。

 こうした事実に鑑みれば、二十四年度当初予算から決算にかけての国、地方の税収の増加一・九兆円は、二十四年の年末から、政権交代を見越した景気回復と、政権交代後の安倍内閣の政策によって実現したものと考えています。

 また、平成二十九年度税収は、アベノミクスの政策により、雇用・所得環境の改善が続く中で、民需を中心とした景気回復が見込まれることを反映し、国税について、平成二十八年度第三次補正予算において見込んだ税収から一・九兆円増の五十七・七兆円と見込んでおります。政権交代以降、税収が増加している基調に変化はありません。

 こうしたことから、税収面でのアベノミクスの成果をあらわすものとしては、二十二兆円が適切であると考えております。

 この二十二兆円のうち、消費税率引き上げによる消費税の増収は八兆円ですが、このほか、所得税収、個人住民税収が約五兆円、法人税収、地方法人二税の税収が約六兆円増加をしております。これは、安倍内閣のもとでの三本の矢の政策により、好調な企業収益が雇用・所得環境の改善につながり、それが消費や投資に結びつくという経済の好循環の拡大を反映したものと言えるものではないかと考えています。

 消費税率引き上げによる消費税の増収八兆円についても、税率を引き上げることができたのは、安倍政権におけるアベノミクスの三本の矢により、増税にも耐え得る経済状況をつくり上げたからこそできたのであると考えております。

 法人税改革及び研究開発税制についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、企業の収益力拡大に向けた前向きな投資や継続的な賃上げが可能な体質への転換を促すため、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるとの考え方のもと、法人税改革を行ってまいりました。

 具体的には、法人実効税率を国際的に遜色のない水準である二〇%台にまで引き下げると同時に、政策税制や大企業の欠損金繰越控除制度等を見直し、特に大企業の課税ベースの拡大に取り組んできています。

 また、御指摘の研究開発税制は、大企業を優遇するためのものではなく、将来の経済成長の礎となる企業の研究開発投資を後押しするためのものであり、利用件数を見ると、中小企業も含め、幅広く利用されています。

 さらに、二十九年度税制改正において、企業の研究開発投資の増加を強く促す制度となるよう、めり張りをつけた見直しを行ったところです。今回の改正を受けて、企業の研究開発投資がさらに増加していくことを期待しています。

 防衛イノベーションと安全保障技術研究推進制度についてのお尋ねがありました。

 安全保障環境が厳しさを増す中、新たな脅威に対応し、戦略的に重要な分野において技術的な優位性を確保していくためには、中長期的な視点に基づく研究開発の推進が必要であります。また、新ガイドラインも、防衛装備、技術協力の発展、強化を明記しています。

 共同声明における防衛イノベーションに関する記述は、こうした分野での日米協力を強化していくことを確認したものです。

 防衛省における安全保障技術研究推進制度は、防衛にも応用可能な先進的な民生技術について公募により研究を行うものであり、研究への参加はあくまでも研究者の自由な意思によるものであります。研究対象は基礎研究分野に限られていることから、そのまま防衛装備に適用できるものではありません。

 また、本制度は、研究成果の公開を重視しており、政府として、研究成果の公表を制限することはなく、研究成果を秘密に指定することもありません。また、研究者に対して秘密を提供することもありません。

 このようなことから、本制度に基づく研究が日米間の防衛技術協力の対象となることは想定されません。

 なお、学術界における議論について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 丸山穂高君。

    〔丸山穂高君登壇〕

丸山穂高君 日本維新の会の丸山穂高です。(拍手)

 少子高齢化と人口減少、東京一極集中と地方の衰退など、我が国が抱える諸課題を解決していく上で、税制の果たす役割は極めて重要であります。中長期的な経済成長、公正な所得分配、そして何より将来世代への重点投資を実現するためには、各業界の要望を積み上げたような小手先の利害調整ではなく、抜本的な税制改正が必要であります。

 我が党は、しがらみのない立場から、税制のあるべき姿について提言してまいりました。

 税制改正の理念として通常挙げられるのは、簡素、公平、中立の三点です。我が党は、税制が経済活動に中立であるだけでなく、経済、社会の活力を最大限引き出すべきものであると考え、活力という理念を加えた抜本的な税制改正を目指しております。

 以上のような観点から、本法案について質問してまいります。

 まず、所得税制についてです。

 昨年の税制改正の議論では、政府・与党が、配偶者控除にかえて夫婦世帯を対象とする新たな控除を導入する方向と言われておりました。しかし、最終的には、配偶者控除制度は維持した上で、控除対象となる配偶者の給与収入を百五十万円に引き上げるといった小幅の改正案にとどまっています。

 女性の働き方やライフスタイルの選択に税制が悪影響を及ぼさない制度は、長年にわたって求められてきたものです。一昨年の税制改正の議論でも、骨太の方針二〇一五にて、働き方に中立的な制度の確保に向けた見直しを行うとしておりましたが、結局、配偶者控除の見直しは先送りされました。つまり、この課題の先送りは二年連続で行われたことになります。

 配偶者控除制度の抜本的な見直しは、なぜかけ声ばかりでいつも実現しないのでしょうか。

 今回の議論では、いわゆる夫婦控除を導入した場合、中所得世帯が増税となる懸念があったのが先送りの一因とも言われております。それならば、今後の所得税改革の進め方として、新たな人的控除による税収減は、増税ではなく、行政改革による歳出削減も含めた、所得税以外の財源で補うことも検討できるのではないでしょうか。総理の御所見をお伺いします。

 我が党は、結婚している人たちが働き方と関係なく控除を受けられる制度とするため、そもそも現在の配偶者控除制度は廃止するべきだと考えております。その上で、夫婦控除として結婚することのメリットを打ち出しつつ、同時に、少子化に対する抜本的な対策として、子供の数が多ければ多いほど給付つき税額控除を大幅にふやしていく制度を導入すべきだと考えております。

 現状の少子化対策や配偶者控除税制では、結局、これまでの政権と同じく小手先の改革にしかすぎません。抜本的に少子化と人口減を何とかしようという意思は総理にはないのでしょうか。少子化と人口減の課題に如実に直面する若い世代を代表して、総理に真に抜本的な改革をお願いしたいのです。総理の御所見をお伺いします。

 次に、法人税についてお伺いします。

 昨年の税制改正で、長年の課題であった実効税率三割未満への引き下げが実現したことは評価いたします。しかし、海外での税制の変化は今後さらにダイナミックに進むことが予想されます。

 アメリカのトランプ大統領は、法人税率を一五%に引き下げると宣言しました。どの程度実現するかはともかく、同時に発表されたインフラ投資等とあわせて、この方針は市場に対する強烈なメッセージとなっております。

 税制改正には、緻密な利害調整だけでなく、企業も国民も大きな変化を実感できるような政策の打ち出し方も必要であります。

 そこで、お伺いします。

 例えば、我が党案のように法人実効税率を二〇%に引き下げるというように、法人税率のさらなる大幅な引き下げを目標とすべきではありませんか。総理の御所見を伺います。

 もちろん、こうした大胆な法人税改革を実現するためには、財源に関する責任ある議論が必要不可欠です。

 我が党は、財源のために、特定の企業のみ適用され続けて既得権化している、その上経済効果も示されていない租税特別措置を全て廃止すべきだと考えております。租特全体による法人税の減収は二兆円強と推計されております。こうした特別措置のうち、効果の乏しいものを全廃して法人税率引き下げを行うべきではないか。総理の御所見をお伺いします。

 また、こうした見直しを可能とするためにも、租税特別措置については、経済成長にどの程度の寄与が見込まれるのか、政府としてしっかりとした試算を行うべきではないでしょうか。総理の御認識をお伺いします。

 次に、事業承継税制についてお伺いします。

 今回の改正で、取引相場のない株式の評価方式を見直したこと、また相続時精算課税との併用を認めて贈与税軽減を図ったことは評価できます。しかし、将来の成長が見込まれる優良な中小企業ほど非上場株式の相続税や贈与税で苦しめられているという実態を解消するにはまだまだ不十分です。

 このため、我が党は、現経営者の相続または遺贈により後継者が取得した非上場株式等につき、相続税の納税猶予割合を八〇%から一〇〇%に引き上げるべきだと考えております。さらに、経営者や後継者が筆頭株主でない場合、例えば経営者の配偶者が筆頭株主の場合でも、納税猶予制度の適用を受けられるようにすべきと考えております。

 以上、我が党案につきまして、経済産業大臣の所見をお伺いいたします。

 維新の会は、民間の活力を最大限発揮できるような税制を実現すると同時に、本当に支援が必要な人へのサポートを手厚くし、将来世代への思い切った重点投資を可能にすることを目指していきます。日本の競争力を高めるために、未来の世代のために、今こそ抜本的な税制改革が必要不可欠です。

 以上、引き続き、本当に必要な改革や改善を主張し、その実現を求めていくことを国民の皆さんにお約束して、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 丸山穂高議員にお答えをいたします。

 いわゆる夫婦控除の導入や給付つき税額控除の導入などについてお尋ねがありました。

 御指摘の夫婦控除については、与党の税制調査会の議論において、高所得の夫婦世帯にまで配慮を行えば非常に多額の財源を必要とすること、国民の理解が深まっていないことなどの問題があるとされたところであります。

 こうした中で、配偶者控除等について、配偶者の収入制限の引き上げなどの見直しを行うこととしました。これにより、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境づくりに寄与するものと考えています。

 御指摘の、子供の数に着目した給付つき税額控除については、低所得者対策や少子化対策全体の議論の中で、生活保護制度や児童手当など同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要であるとともに、所得や資産の把握が難しいといった問題や、過誤、不正受給の防止など多岐にわたる課題があり、慎重な検討が必要と考えます。

 また、平成二十九年度予算において、少子化や人口減への対応として、保育士の処遇改善や保育の受け皿の拡大などに取り組んでおり、引き続き、一億総活躍社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

 なお、個人所得課税の改革に当たっては、御指摘の骨太の方針二〇一五にあるように、税収中立の考え方を基本として取り組んでまいります。

 法人税率のさらなる引き下げと租税特別措置の効果の検証についてお尋ねがありました。

 法人税率のさらなる引き下げの御提案についてでありますが、安倍政権において取り組んだ成長志向の法人税改革は、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベースの拡大により、財源をしっかり確保しつつ、日本の法人実効税率を国際的に遜色のない水準に引き下げたものであります。これは、御指摘の問題意識に沿った改革であると考えます。

 この法人税改革は、企業が収益力を高め、積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行ったものであり、その成果を見きわめていきたいと考えています。

 また、租税特別措置については、その政策効果を検証することが重要と考えております。各省庁による政策効果の検証、必要な見直しを踏まえ、毎年度の税制改正を行っているところでありますが、今後とも、効果検証の徹底、質の向上に努めてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 丸山穂高議員にお答えいたします。

 事業承継税制についてお尋ねがありました。

 中小企業経営者の高齢化が進んでおり、これから数年のうちに多くの中小企業が世代交代の時期を迎える中で、中小企業の事業承継の円滑化は待ったなしの深刻な課題だと認識をしております。

 このため、事業承継税制について、平成二十七年一月には、使い勝手をよくするための要件緩和等を行い、今般の平成二十九年度税制改正においても、御指摘いただきました生前贈与の際の税負担の軽減や小規模事業者のためのさらなる要件緩和などを行うこととしております。

 また、議員御指摘の猶予割合や筆頭株主要件については、個人の小規模な事業用宅地に関する相続税の特例における軽減割合が八〇%であることや、一般に、中小企業では経営者が筆頭株主であることが多いことなどを踏まえて、現行の制度としているものと承知をしております。

 今後とも、事業者の実態をよく把握し、その意見に耳を傾け、事業承継の円滑化に向けて施策の充実を図ってまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

    〔議長退席、副議長着席〕

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(平成二十九年度地方財政計画について)並びに地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

副議長(川端達夫君) この際、平成二十九年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣高市早苗君。

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 平成二十九年度地方財政計画の概要並びに地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 まず、平成二十九年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、一億総活躍社会の実現や地方創生、公共施設等の適正管理に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取り組みと基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針のもとに、平成二十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ八千六百五億円増の八十六兆六千百九十八億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ四千九百五十七億円減の一兆二千八百四十二億円などとなっております。

 次に、地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しを行うこととしております。

 また、環境への負荷の少ない自動車を対象とした自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の税率の軽減等の特例措置について、所要の見直しを行った上、適用期限を延長する等の措置を講ずるほか、居住用超高層建築物に係る固定資産税の新たな税額の算定方法の導入、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 地方交付税の総額について、平成二十九年度分の通常収支に係る地方交付税の総額を十六兆三千二百九十八億円確保するとともに、交付税特別会計借入金について各年度の償還額を見直すほか、普通交付税の算定に用いる単位費用等の改正を行うこととしております。

 また、平成二十九年度分の震災復興特別交付税について、新たに三千四百六十四億円を確保し、総額四千五百三億円とすることとしております。

 何とぞ、御審議の上、御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(平成二十九年度地方財政計画について)並びに地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

副議長(川端達夫君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。古賀篤君。

    〔古賀篤君登壇〕

古賀篤君 自由民主党・無所属の会の古賀篤です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となりました平成二十九年度地方財政計画並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案について、高市早苗総務大臣に御質問いたします。(拍手)

 昭和二十年にさきの大戦が終わり、ことしで七十二年がたちます。その間、高度経済成長期を経て、我が国は経済大国への成長を遂げましたが、昨年の国勢調査において初の人口減少の調査結果が報告されたように、今後、我が国においては、人口減少、高齢化の進展という新たな局面を迎えます。

 そうした中、地方においては、高度経済成長期前後に整備された公共施設等の老朽化の問題や、地域の活性化あるいは過疎化対策といった長年の課題があります。

 また、昨年は、熊本地震を初め、北海道、東北での台風、鳥取県中部地震、糸魚川の大火災など、大規模災害の頻発により、各地で大きな被害がもたらされました。

 私自身、昨年、総務大臣政務官として、高市大臣指揮のもと、熊本地震発生直後から連日対応に当たらせていただきましたが、現地に入っての状況把握を行う中、庁舎が多数損壊している現場にも遭遇いたしました。改めて、地方自治体が、災害に強いまちづくり、地域の防災力強化等の防災・減災対策に取り組む必要性とともに、特に発災時における庁舎機能の確保の重要性を認識したところです。

 以上のように、地方自治体においては、長期的な諸課題や災害対応等に早急に取り組む必要がありますが、厳しい財政状況の中で、なかなか取り組みが進まない現状があると考えます。地方自治体においてこれらの喫緊の課題への取り組みを進められるよう、総務省として強力に後押しすべきです。

 地方財政制度においては、例えば地方交付税制度において、これまで、対象税目や法定率、算定方法等の改定が行われているほか、今から十数年前には、国と地方の財政改革、いわゆる三位一体改革など、不断の見直しを行いつつ、現在に至っています。今後とも、時代の要請や社会状況の変化に対応すべく、諸制度を見直し、充実を図っていくことが大切です。

 そこで、まず、平成二十九年度の地方財政対策においては、前年度を〇・四兆円上回る一般財源総額が確保されていますが、高市総務大臣御自身は今回の地方財政対策をどう評価されているのか、御所見を伺います。

 また、地方自治体における公共施設等の適正管理や地域の防災力強化等の取り組みを今後一層強力に進める必要があると考えますが、総務省としてどのような対策を講じることとしているのか、総務大臣に伺います。

 次に、個人所得課税改革についてお伺いいたします。

 今回の法案においては、個人所得課税改革の第一弾として、所得税同様、個人住民税の配偶者控除及び配偶者特別控除を見直し、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額の上限を引き上げるなどの改正内容が盛り込まれました。

 これらの改正は、我が党が精力的に行ってきた議論の内容を踏まえたものですが、その際にも指摘されているように、個人住民税は、応益課税の観点から広く住民が負担を分かち合う仕組みであるとともに、地方自治を支える基幹税として、地域の行政サービスの財源確保の観点から大変重要な役割を果たしております。

 個人住民税のあり方を検討する際にはこのような点に留意する必要はありますが、この点も含め、今回の配偶者控除等の見直しの意義についてどのように考えているのか、総務大臣に御所見を伺います。

 次に、車体課税の見直しについてお伺いします。

 このたびの税制改正においては、自動車取得税のエコカー減税の見直しが焦点の一つでありました。

 自動車産業は、我が国の主要製造業の約二割、国内雇用の約一割を占める我が国経済の基幹産業であり、自動車産業の発展を妨げないように配慮する必要があります。

 その一方で、自動車が走るための道路や橋、トンネル等の社会インフラは老朽化が進んでおり、自動車ユーザーの安心、安全の確保のためにも、これらの維持管理に必要な財源をしっかりと確保していかなければなりません。

 今回の法案に盛り込まれている車体課税の見直し案については、与党税制調査会等における議論の中で、自動車産業や地方財政への影響などさまざまな観点を考慮に入れて、バランスをとった結果であると考えていますが、所管大臣のお立場として、今回の見直し内容をどのように評価しているか、総務大臣に御所見を伺います。

 最後に、我々自由民主党が政権復帰して四年が過ぎ、いよいよ政権与党として真価が問われる時期となっております。先日、安倍総理は施政方針演説において、「戦後七十年余り。今を生きる私たちもまた、立ち上がらなければならない。戦後の、その先の時代を開くため、新しいスタートを切るときです。」と述べられました。

 国だけでなく、地方においても課題山積の現在、全国各地域が新たなスタートを切ることができるよう、国もしっかりとサポートをする必要があります。

 地方創生の推進、そしてその先も見据えた長期的な取り組みを着実に行っていくべく、私も与党の一員として、議員の一人として、謙虚に、真摯に諸政策に全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 古賀議員から私には、まず、平成二十九年度地方財政対策への評価についてお尋ねがありました。

 平成二十九年度の地方財政対策は、平成二十三年度以来、地方交付税総額の確保に活用してきた前年度からの繰越金がないなど、近年にない大変厳しい状況の中で、地方団体から要望の強い地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制について懸命の努力を行いました。

 この結果、概算要求時点において十六兆円を下回ると見込まれていた地方交付税を十六・三兆円程度確保するとともに、概算要求時点において対前年度〇・九兆円の増と見込まれていた臨時財政対策債の発行額も〇・三兆円の増にとどめました。

 地方の一般財源総額についても、子ども・子育て支援などの社会保障の充実分の確保を含め、前年度を上回る六十二・一兆円程度を確保できました。

 国の財政も大変厳しい中にあって、地方団体からの御要望に対して最大限の対応ができたものと考えております。

 なお、地方六団体からは、概算要求時点で見込まれた地方交付税の減と臨時財政対策債の増を、国において可能な手段を最大限活用して抑制したこと、地方の一般財源総額について、前年度を〇・四兆円上回る六十二・一兆円が確保されたことを評価するとの声明をいただいています。

 次に、公共施設等の適正管理及び地域の防災力強化等の取り組みについてお尋ねがありました。

 総務省では、これまでも、地方公共団体が公共施設等総合管理計画を策定して取り組む施設の集約化、複合化や、転用事業、除却事業、また、地方公共団体が実施する防災・減災事業に対して地方財政措置を講じてきました。

 今年度中にほぼ全ての地方公共団体において公共施設等総合管理計画の策定が完了し、今後、老朽化対策等の取り組みが本格化する見通しであることから、来年度からは、既存施設をより長く活用するための長寿命化事業、コンパクトシティーの形成に向けたまちづくりを進めるための立地適正化事業、熊本地震の被害状況等を踏まえ、災害発生時の庁舎機能を確保するための市町村役場機能緊急保全事業に対しても地方財政措置を講じます。

 また、地方公共団体が、引き続き、喫緊の課題である防災・減災事業に取り組んでいけるよう、平成二十八年度までとしていた緊急防災・減災事業について、対象事業を拡充した上で、東日本大震災に係る復興・創生期間である平成三十二年度まで継続することとしています。

 こうした措置により、公共施設等の適正管理や地域の防災力強化等の取り組みを一層推進してまいります。

 次に、配偶者控除等の見直しの意義についてお尋ねがありました。

 今回の見直しは、働きたい人が就業調整を行うことを意識しないで働くことができる環境づくりに寄与するものであり、女性活躍の観点からも、また、従業員の就業調整による人手不足の解消の観点からも意義があるものと考えています。

 平成二十九年度与党税制改正大綱では、今回の見直しは個人所得課税改革の第一弾であり、今後数年をかけて人的控除等の見直し等の諸課題に取り組んでいくこととするとされています。

 今後、個人住民税については、地域社会の会費的性格を有することなども踏まえ、制度のあり方について検討を進めてまいります。

 最後に、車体課税の見直しについてお尋ねがありました。

 車体課税の見直しに当たっては、道路等の行政サービスを提供するために必要な税収の確保という視点だけではなく、自動車産業が我が国経済や地域の雇用を支える重要な基幹産業であるとの認識のもと、検討を行ってまいりました。

 その結果、エコカー減税等については、より燃費性能のすぐれた自動車の普及を促進する観点から、対象範囲を平成三十二年度燃費基準のもとで見直し、二年間延長することとしています。これは、政策インセンティブ機能を強化するとともに、段階的な基準の引き上げにより市場にも配慮した上で、地方税収を適切に確保する内容となっており、前向きに評価できると考えています。(拍手)

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副議長(川端達夫君) 高井崇志君。

    〔高井崇志君登壇〕

高井崇志君 岡山から参りました高井崇志です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました地方税法等改正案、地方交付税法等改正案につきまして質問いたします。(拍手)

 質問に先立ち、一言申し上げます。

 共謀罪を、中身はほとんど変わらないのにテロ等準備罪と言いかえ、行政府の立場にありながら、立法府の質問を制限する前代未聞の文書を配付した法務大臣。南スーダンにおいて戦闘が行われたとする自衛隊の日報を隠蔽した防衛大臣。組織的な天下りのあっせんを想定問答まで用意して隠してきた文部科学省。現在の安倍内閣は、残念ながら、都合の悪い事実を隠そうとする意図を明確に持った隠蔽内閣、隠蔽政権であると断ぜざるを得ません。

 明治維新から続いてきた中央集権、官僚制の改革は最重要課題です。中でも、最大の弊害は天下りです。

 天下りの何が問題か。幾つもありますが、最大の問題は、天下りが税金の無駄遣いにつながるからです。天下り先を確保するために、本来の必要性とは別に組織を温存したり、新設したり、必要でない事業に税金が使われる。天下りがある限り、来年度予算にも無駄な予算が含まれている可能性が極めて高い。民進党は、ムダ遣い解消プロジェクトチームにて独自に全府省を対象に調査を行っていますが、疑わしいものばかりです。

 政府は、全府省調査を行っていると言いますが、本気で行っているのでしょうか。一体いつまでに調査結果を出すのでしょうか。まさか、また隠蔽するのではないでしょうか。予算委員会の審議が終わるまでには必ず調査結果を出すように強く求めます。

 そもそも、第一次安倍政権で改正した現行天下り規制は抜け穴だらけです。表向きのあっせんはなくなったものの、OBを介したあっせんが行われ、天下りの数はふえる一方です。再就職等監視委員会が法律違反と認定した事例は八件ありますが、このうち七件はおとがめなし。刑事罰がなく、懲戒処分のみのため、OBは対象外だからです。

 民主党政権時に始まった独立行政法人等の公募制度は形骸化され、民主党政権三年三カ月で公募が行われたのは百七十二ポスト、このうち公務員OB以外の者が採用されたのは百十八件ありましたが、第二次安倍政権四年二カ月間で公募が行われたのはわずか四十六ポストと四分の一に激減。さらに、公務員OB以外の者が採用されたのはわずか十八件で、民主党政権時と比べると六分の一以下です。

 我々は、現在、抜け穴だらけの現行天下り規制の改正案を準備中です。本気で天下りをなくそうと考えているならば、国家公務員法を改正するべきではありませんか。国家公務員制度担当大臣の見解を求めます。

 以下、総務大臣にお尋ねします。

 安倍総理が地方創生を表明してから二年が過ぎました。この間、地方自治体に対して、国が押しつける形での総合戦略や人口ビジョンの策定を求めてきましたが、成果を上げているとは到底言えません。総合戦略もコンサルタント会社に丸投げのものが多く、自治体の創意工夫とは言いがたい現状です。

 こうした中、地方自治体と民間企業、市民が連携し、成果を出している事例もあります。昨年十一月、秋田県湯沢市、千葉県千葉市、静岡県浜松市、佐賀県多久市、長崎県島原市の五自治体が、シェアリングエコノミーを通じた共助による地域課題の解決を目指すシェアリングシティ宣言を発表しました。

 ベンチャー企業百三十社で構成されるシェアリングエコノミー協会との連携により、地域における人口減少や、子育て、介護などの地域共助、地域の市民が観光の担い手となるなど、あらゆる地域課題を解決し、民間経済によって財政負担を減らし、持続可能な社会をつくり出そうとしています。

 こうしたシェアリングエコノミーを初めとする、ICT、情報通信の活用をもっと図るべきです。総務省はせっかく、地方自治を担う自治省とICTを担う郵政省が合併してできた省です。もっともっと、ICTを活用した地域活性化策に対して、予算を一桁ふやすくらい、思い切って力を入れて取り組むべきと考えますが、見解を求めます。

 ICTの活用は、地方財政にも大きく寄与します。

 地方自治体の情報システム運営費は、総務省の発表によれば年間約三千三百億円ですが、関連費用まで含めれば五千億円以上とも言われています。

 この費用は、システムの共同化、クラウド化によって、三割、年間一千億円以上の削減が可能です。国の情報システムは、二〇二一年度までに三割削減を目標に掲げていますが、地方自治体には期限を設けた目標がありません。

 しかも、この自治体クラウドにかける来年度予算は、わずか〇・四億円です。一千億円以上のコスト削減となる政策にわずか〇・四億円では、桁が一桁か二桁違いませんか。

 地方財政措置を行っていることは承知していますが、それでは進まないんです。地方自治体の情報システムは、ほんの一握りの大手ITベンダーの寡占状態で、ベンダーロックインと言われる状態が続いており、ここを改革しなければコスト削減はできません。

 本気で自治体クラウドを進め、年間一千億円以上のコスト削減を実現するつもりはあるのでしょうか。

 昨年十二月に、超党派の議員立法、官民データ活用推進基本法が成立、施行されました。

 カジノ法案で大混乱であった内閣委員会において成立したことは奇跡的で、関係者の御努力に敬意を表します。この法律で地方自治体のICT政策は飛躍的に進むはずですが、この法律の推進のためにどのような取り組みを行っていく考えか、お聞きします。

 また、本年五月に改正個人情報保護法が施行されますが、官民データ活用を進めるためには、自治体ごとに個人情報保護条例が異なる、いわゆる二千個問題を解決しなければなりません。この問題にどのように取り組んでいくか、あわせてお聞きします。

 次に、地方財政の現状についてお聞きします。

 平成二十九年度地方財政を見ると、地方交付税総額は〇・四兆円減額され、不足分は臨時財政対策債を〇・三兆円ふやして確保しています。しかし、地方交付税十六・三兆円も、公庫債権金利変動準備金の活用など、いろいろとかき集めて何とか帳尻を合わせています。

 国税五税の法定率分の額は、名目二・五%、実質一・五%と、極めて甘い経済成長見通しに基づいた税収見積もりで割り出されたものです。

 平成二十八年度は、税収見積もりが大きく下回る大誤算となり、国税五税の法定率分収入の下振れを地方は臨財債という借金で負担することとなりましたが、今回もまたこの甘い税収見積もりで、地方交付税額は本当に確保できるのでしょうか。

 地方財政は慢性的な赤字で、借金でやりくりしているのが現状です。

 平成十三年から、国と地方の折半ルールで、地方負担分は臨財債を発行するという制度が始まりました。当初は三年間の時限措置でしたが、延長を重ねて現在に至っており、地方財政全体の債務残高は二百兆円に達しました。中でも、臨財債の累積残高は五十兆円を超えて増加し続けています。臨財債は地方交付税の代替的性格のものですから、元利償還金が増大するのに伴って地方交付税もふやさなければならないはずですが、実際には地方交付税は五年連続で削減されています。このままだと、臨財債の残高はますます膨れ上がり、財政健全化の大きな支障になるおそれがあると考えますが、御所見を伺います。

 地方財政全体の債務残高はほぼ横ばいですが、それは地方の努力により歳出全体の伸びを抑制してきたからです。社会保障関係経費が増加する中で、給与関係経費や投資的経費の削減で吸収してきたわけです。本来であれば、地方交付税の法定率を引き上げて財源不足を解消すべきではないですか。

 次に、配偶者控除、配偶者特別控除の見直しについてお聞きします。

 今回の見直しは、国税に合わせる形で、配偶者特別控除について、所得金額の上限を百十万円から百五十五万円に引き上げるもので、新しい壁をつくったにすぎません。そもそも配偶者控除見直しは女性の働き方改革の一環として提起されたはずで、これではとても働き方に中立な改革とはならず、問題は全く解決していないと考えますが、御所見を伺います。

 今回の法改正は、税制的にも財政的にもびほう策にとどまり、大きな方針が見えません。人口減少のもとで行政サービスを安定的に提供するためには、持続可能な財政基盤を構築しなければなりません。そのためには、税源の偏在を抑えながら地方税の一層の充実を図るとともに、地方財政の健全化を進める改革を一刻も早く進めなければなりません。我々民進党こそが、そうした改革を地方の目線で目指していくことを申し上げ、私の代表質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 高井議員から私には、まず、ICTを活用した地域活性化策についてお尋ねがありました。

 総務省では、ICTを活用した地域活性化に取り組んでおり、特に生活に身近な分野のIoTの活用には大きな可能性があると考えています。

 昨年十二月に策定したロードマップも踏まえ、農林水産業、医療、介護、教育、雇用、行政などさまざまな分野で、身近なIoTプロジェクトなどを通じて、地域へのIoTの実装推進に取り組んでいます。

 この地域へのIoT実装を推進する施策として、平成二十八年度補正予算及び平成二十九年度当初予算案に総額百五十八億円を計上しており、この中には、シェアリングエコノミーの活用を含めたIoTによる新サービス創出への支援予算も入っています。

 今後とも、しっかりと予算を確保した上で、地域の自治体や企業などへの支援に積極的に取り組んでまいります。

 次に、自治体クラウドについてお尋ねがありました。

 自治体クラウドの導入には、コストの削減、セキュリティーレベルの向上、業務の標準化による住民サービスの向上といったメリットがあり、総務省も従来よりその導入を積極的に進めています。

 これまでも、先行自治体の例を分析し、クラウドの導入手順書の作成、導入サポート人材の紹介、あっせんを行うとともに、政府CIOとも連携の上、直接地方公共団体の長に働きかけを行っています。

 自治体クラウドの推進には大きな可能性があり、今後とも、コストの削減と住民サービス向上の両立を図りながら、積極的に取り組んでまいります。

 次に、官民データ活用推進基本法の推進のための取り組みについてお尋ねがありました。

 さきの臨時国会で成立した官民データ活用推進基本法は、官民が保有するデータの流通の拡大とさらなる活用を推進することにより、経済成長の実現や社会課題の解決を図るものです。

 総務省としては、内閣官房、経済産業省など関係省庁と連携し、官民が保有するデータのオープン化、マイナンバーカードの普及などの施策を進めていきます。

 また、今国会に、電子委任状の普及の促進に関する法律案の提出も予定いたしております。

 地方自治体に対しては、本法の施行日に内閣官房と共同で本法に関する情報提供を行っております。本法の規定に基づく取り組みが円滑に行われるよう、全力で支援をしてまいります。

 次に、個人情報保護条例に関する取り組みについてお尋ねがありました。

 現在の個人情報保護法制において、地方公共団体の保有する個人情報については条例により規律することとされています。一方、地方公共団体において、非識別加工情報の仕組みの導入などが国の行政機関等と同様に行われることが官民データの効果的な活用に当たっては重要でございます。

 このため、総務省では、現在、地方公共団体が保有するパーソナルデータに関する検討会において検討を行っており、地方公共団体に対し、個人情報保護条例の見直しなどに必要な協力を行ってまいります。

 次に、平成二十九年度の税収見積もりと交付税法定率分の確保についてお尋ねがありました。

 交付税原資を含む平成二十九年度の国税収入につきましては、政府経済見通しにおける雇用・所得環境の改善、消費や生産の増加等を反映して見積もりを行い、平成二十八年度補正後税収から一・九兆円増の五十七・七兆円を見込んでいるものと承知をしています。

 政府としては、平成二十九年度には、雇用・所得環境の改善が続く中で、民需を中心とした景気回復を見込んでおり、アベノミクスの取り組みなどにより、これを実現してまいりたいと考えています。

 次に、臨時財政対策債についてお尋ねがございました。

 地方においては巨額の財源不足が計上していることから、臨時財政対策債の発行残高は平成二十九年度末には五十三兆円程度となる見通しでございます。地方財政の健全化の観点から課題があると認識をしています。

 そのため、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要であり、歳入面では、アベノミクスの成果を地域の隅々まで波及させて、地方税収などの増を図ることが重要です。また、歳出面では、国の取り組みと基調を合わせ、めり張りをつけて歳出構造を見直すことで、財務体質を強化することが必要でございます。

 今後も、地方財政の健全化に努め、まずは、国と地方で折半すべき財源不足が解消され、折半分の臨時財政対策債を発行しなかった平成十九年度及び平成二十年度の状況をなるべく早く実現することを目指してまいります。

 次に、地方交付税法定率の引き上げについてお尋ねがありました。

 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引き上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向だと考え、概算要求時点でも事項要求をいたしました。

 しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えているということ、それから、平成二十九年度においては、国、地方の役割分担に係る大きな制度改正がなかったこと、現下の厳しい財政状況のもと、国債発行額を引き続き抑制する中で、国の一般会計から交付税特別会計への繰入額を前年度から〇・三兆円増額して確保することができたことなどから、平成二十九年度地方財政対策においては、法定率の引き上げによらず、折半ルールを三年間延長した上で、国は、一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は、臨時財政対策債の発行により対処をすることといたしました。

 国、地方とも厳しい財政状況であることから、法定率のさらなる引き上げは容易なものではないと考えてはおりますが、議員の御指摘、もっともだと思っております。今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について、私も粘り強く主張をし、政府部内で十分に議論をしてまいります。

 最後に、配偶者控除等の見直しについてお尋ねがございました。

 配偶者特別控除によって、税制上、百三万円の壁は解消していますが、百三万円という水準が企業の配偶者手当制度等の支給基準に援用されていることや、心理的な壁となっているという御指摘もございます。こうした指摘を踏まえ、就業調整をめぐる喫緊の課題に対応するため、配偶者控除等について配偶者の収入制限の引き上げなどを行うこととしています。

 今回の見直しは、働きたい方が就業調整を行うことを意識しないで働くことができる環境づくりに寄与するものであり、女性活躍の観点からも、また、従業員の就業調整による人手不足の解消の観点からも意義があるものと考えています。(拍手)

    〔国務大臣山本幸三君登壇〕

国務大臣(山本幸三君) 全府省調査についてのお尋ねがありました。

 今般の文部科学省事案で生じた国民の疑念を払拭するため、安倍内閣総理大臣から私に対し、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示がありました。

 調査は、各省任せではなく、内閣人事局に外部の弁護士を含む再就職徹底調査チームを立ち上げ、直接実施しているところです。

 大事なのは、しっかりとした調査を厳正に行うことであり、最初からスケジュールありきではないと考えております。一方で、調査結果が出次第、速やかに結果を明らかにしていくことも重要であり、私の指揮のもと、スピード感を持って進めてまいります。

 次に、国家公務員法改正についてのお尋ねがありました。

 国家公務員の天下りについては、安倍内閣において、厳にこれを根絶していくとの姿勢で一貫して取り組んでまいりました。

 国家公務員の再就職について問題なのは、官民の癒着につながりかねない、公務員OBの口ききや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。

 一方、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があります。

 このため、密接な関係のある営利企業への離職後二年間の再就職の原則禁止にかえて、平成十九年の国家公務員法改正により、それまで禁止されていなかった各府省による再就職あっせんの禁止等厳格な規制を導入するとともに、監視体制として再就職等監視委員会を設置したところであります。

 先ほど申し上げた調査の結果を受けて、どのような対策をとれば実効の上がる対策がとれるか、しっかりと検討してまいります。(拍手)

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副議長(川端達夫君) 田村貴昭君。

    〔田村貴昭君登壇〕

田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画、地方税法改正案、地方交付税法等改正案について関係大臣に質問します。(拍手)

 まず、地方自治にとって看過できないのは、沖縄の米軍基地問題です。

 米軍オスプレイの墜落という重大事故が起こりました。政府は、事故原因が解明されていないにもかかわらず、飛行再開を容認しました。住民の安全よりも米軍を優先する姿勢であります。その上、日米首脳会談では、唯一の解決策として、辺野古への新基地建設を合意したのであります。

 沖縄県民がたび重なる選挙で示した民意を踏みにじり、政府みずから地方自治を否定するものではありませんか。総務大臣の答弁を求めます。

 安倍内閣が地方創生の名で行っていることは一体何か。それは、医療、介護、子育てなどの社会保障や生活に欠かせないインフラ、行政サービスを大幅に削減して切り出し、それを市場に投げ与え、成長戦略に結びつけようということです。このもとで、地方に循環すべき利益は、一層大企業の本社がある東京圏などに吸い上げられています。これでは、地域の主役は住民ではなく、企業ではありませんか。

 国民の命と最低限の生活を保障する国の責任を投げ捨て、社会保障のナショナルミニマムを放棄するものです。地方自治体に行政サービスの削減と職員の非正規化を強いるやり方は、直ちにやめるべきであります。

 来年度の地方財政計画では、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円のうち、六千億円に当たる人口減少等特別対策事業費の配分を、成果を上げた自治体に段階的にシフトするとしています。地方交付税制度をねじ曲げ、国の政策誘導に動員することは許されません。

 以下、具体的に質問します。

 第一は、社会保障サービスの削減です。

 二〇一八年度から国民健康保険が都道府県単位化され、地域医療ビジョンによる医療体制の適正化と医療費の削減が迫られます。市町村国保は、国民皆保険制度の基盤の役割を果たしてきました。その役割と努力がなくなることがあってはなりません。厚労大臣の見解を求めます。

 都道府県が決めた納付水準が目標とされ、市町村が徴収強化に走らざるを得なくなれば、納税者の権利を踏みにじった徴収が際限なく広がりかねません。都道府県に差し押さえや滞納処分を競わせるようなことはあってはなりません。厚労大臣、総務大臣の答弁を求めます。

 医療体制と医療費の確保を都道府県の自己責任に委ねれば、都道府県が賄い切れない部分を企業に開放することにつながるのではありませんか。

 第二は、行政のアウトソーシングです。

 安倍内閣は、人口二十万人以上の地方自治体が社会資本や公共施設を整備、運営する場合に、PPP、PFIを優先的に採用することを打ち出しています。

 愛知県西尾市は、合併を機にPFI方式による大規模な公共施設等の統合と再配置事業を打ち出しています。多数の施設の解体、新設、維持管理、運営を特別目的会社一社が百九十八億円もの総事業費で行うものです。

 事業計画は、事業者の所有物との理由で十分に公開されていません。住民合意がないままに、七小中学校の学校のプールの廃止と民間温水プールへの統合、学校給食センターにおける仕出し弁当事業の検討などが進められています。

 PPP、PFI事業では、住民合意は保障されないのではありませんか。

 PPP、PFIの推進は、住民を無視した一方的なまちづくりを各地に広げるものではありませんか。

 また、水道事業の広域化計画が問題になっています。

 香川県の計画では、県下五十五施設の自己水源のうち、二十九施設の廃止が前提となっています。自己水源の廃止は、災害時のリスクとなるのは明白です。なぜこのような計画を進めるのですか。

 さらに、政府は、水道事業の運営を民間に委ねるコンセッション方式の導入を推進しています。広域化計画は、結局、水道事業の民営化を進めるものではありませんか。

 ところが、民営化を進めてきた欧州諸国では、水道料金の高騰などの問題が多発し、むしろ再公営化の動きが強まっているではありませんか。

 今やるべきことは、インフラに対する老朽化対策です。水道を初めとする都市インフラの老朽化対策をどう考えているんですか。何をやろうとしているのか、政府の見解を求めます。

 第三は、自治体職員の削減と非正規化です。

 自民党政権が推進する自治体業務の民営化路線のもとで、自治体職員は一貫して削減されてきています。とりわけ、集中改革プランによる地方公務員の削減は、自治体の力を大きく後退させたのであります。

 いまだに、東日本大震災からの復興に必要な職員は、被災自治体の希望を満たしておらず、熊本の被災自治体からは、何度要求しても応援職員が来てくれないという訴えが絶えません。自民党政権によって押しつけられた地方行革と職員削減が、震災時の被災者支援、復興復旧に深刻な傷跡を残している認識はありますか。

 自治体消防を強化する。正規職員の配置、増員を基本にして、行政各分野の体制強化に取り組むための財政措置を直ちに拡充すべきであります。答弁を求めます。

 社会保障サービスの削減やインフラ整備のアウトソーシングを進めれば、一層の職員削減と非正規化を広げることになるのではありませんか。とりわけ、インフラの維持管理にかかわる技術職員の削減路線は直ちに改め、職員の大幅な増員配置へと転換すべきであります。

 最後に、震災対策です。

 東日本大震災や熊本地震を初め、多くの被災者が苦しみの中にいます。被災者生活再建支援法の改善、一部損壊への支援の創設、災害関連死を防ぐための支援策の充実などをどう進めていくのですか。

 災害から国民の命と財産を守ることは、国と地方自治体の重要な責務です。被災者の生活となりわいの再建、被災地の復興に求められる施策を、被災者の実態に応えて発展拡充すべきであります。

 安倍内閣が地方自治の本旨にのっとり、団体自治と住民自治を尊重し、発展させることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 田村議員から私には、まず、沖縄の米軍基地問題についてお尋ねがございました。

 国と地方公共団体の意見が対立する場合は、地方自治法を初めとする各種法令の規定に沿って解決が図られているものと認識しており、政府みずからが地方自治を踏みにじるという御指摘は当たらないと考えております。

 次に、地方自治体の行政サービスの削減と職員の非正規化についてお尋ねがありました。

 各地方公共団体は、厳しい財政状況にあっても、ICTの徹底的な活用や民間委託等の推進などによる業務改革を進め、簡素で効率的な行政体制を実現していくことが必要でございます。

 多様化する行政サービスとさまざまな働き方へのニーズを踏まえれば、多様な勤務形態の職員を適切に活用しながら、質の高い公共サービスを効果的、効率的に提供していくことが重要です。

 次に、人口減少等特別対策事業費についてお尋ねがありました。

 地方交付税の人口減少等特別対策事業費では、地方団体が自主的、主体的に地方創生に取り組むための財政需要を算定しています。人口減少対策等に積極的に取り組み、成果を上げた団体では、全国標準以上の経費が生じていると考えられることから、取り組みの成果を反映しているものであり、適切な算定であると考えています。

 次に、国民健康保険税における差し押さえ等についてお尋ねがありました。

 国民健康保険税を含めた地方税の滞納処分については、滞納者の方々の個別具体的な実情を十分に把握した上で、地方税法の規定を踏まえて適切に行われるべきであり、その旨地方団体にも要請をいたしております。

 次に、PPP、PFIについてお尋ねがございました。

 PPP、PFIは、関係法令の規定に基づき、住民の皆様の御理解や議会の議決など必要な手続を経て進められるものです。住民を無視した一方的なまちづくりを各地に広げるものという御指摘は当たりません。

 次に、水道事業などの老朽化対策についてお尋ねがありました。

 総務省は、水道事業等について、必要な財政措置を講じつつ、広域化や民間活用などの抜本的な改革の検討や経営戦略の策定を推進し、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を図っています。引き続き、関係省庁と連携しながら、老朽化対策を支援してまいります。

 次に、地方行革、職員削減による被災地の復旧復興への影響などについてお尋ねがありました。

 総務省は、これまでも、被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながら、必要な職員の確保に努めてまいりました。地方団体の職員数が全体としては減少となる中で、復旧復興に必要な土木職員等は、近年増加傾向にございます。

 今後も、引き続き、全国の地方団体に職員の派遣を積極的に働きかけるなど、人的支援の確保に努め、被災地の復旧復興を支援してまいります。

 消防職員につきましても、多様化、複雑化する災害に的確に対応するため、各団体において必要な人員の確保を行っており、増加傾向にあります。

 なお、標準的な業務に必要な職員給与費については、適切に財政措置を講じております。

 そして、社会保障サービスの削減などに伴う職員削減と非正規化についてもお尋ねがございました。

 地方公共団体においては、行政改革の取り組みなどにより総職員数を抑制する一方、福祉事務所、児童相談所などの職員や防災対策に携わる職員の数を増加させています。

 各地方公共団体においては、地域の実情や行政需要の変化に応じ、めり張りのある人員配置を行い、社会保障を初めとする行政サービスの確保を図っていただいていると考えております。

 地方の技術職員の定員についてもお尋ねがございました。

 土木技師、建築技師などの技術職員については、近年増加傾向にございます。

 先ほど申し上げましたとおり、地域の実情、行政需要の変化に応じて、めり張りのある人員配置を行って、効率的で質の高い行政の実現に向け、適正な定員管理の推進に取り組むことが重要であると考えております。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 田村貴昭議員にお答えを申し上げます。

 国民健康保険改革等についてお尋ねがございました。

 国保改革は、厳しい財政状況にある国保制度につきまして、財政基盤の強化を図ること、そして、財政運営の責任主体を都道府県に移行することにより、高額医療費の発生など、多様なリスクの都道府県全体での分散を可能とすることとしておりますが、市町村には引き続き、資格管理、保険給付、賦課徴収等の役割を担っていただくこととしており、住民に身近な主体として、都道府県とともに、国民皆保険を支える基盤としての役割を果たしていただくものと認識をしております。

 また、平成三十年度以降も市町村が保険料を集めることとなりますが、保険料を滞納されている方にはさまざまな事情を抱えておられる方々もおられることから、引き続き、市町村に対し、それぞれの事情をよく相談いただき、きめ細かな対応を行うよう求めてまいりたいと考えております。

 なお、国として、都道府県による医療提供体制の整備につきましては、地域医療介護総合確保基金等による支援を行っているほか、国保財政については、平成三十年度以降、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援等を行うこととしており、医療体制と医療費の確保を都道府県の自己責任に委ねているとの御指摘は当たらないものと考えております。

 水道事業についてのお尋ねがございました。

 近年、施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入の減少等の課題に直面をしており、水道事業の基盤強化が喫緊の課題となっております。

 このため、水道事業者による事業収支の見通しの作成など、施設の計画的な更新を進めるとともに、災害時のリスクを踏まえ、都道府県が主体となって広域連携を進める仕組みや、コンセッション方式の導入などを内容とした水道法の改正案を今国会に提出することとしております。

 コンセッション方式の導入につきましては、安易な民間委託として住民の不安を招かないよう、市町村が最終的な責任を負うとの原則を維持しながら、市町村が料金の範囲をあらかじめ条例で定めるとともに、市町村と国において民間事業者に対する監視、監督を行うなど、適切な事業運営を確保してまいります。(拍手)

    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕

国務大臣(石原伸晃君) 田村議員の御質問にお答えいたします。

 PFI事業における住民合意についてのお尋ねがございました。

 PPP、PFIとは、公共施設等の整備、運営に当たりまして、民間の資金や創意工夫を活用することにより、公的負担の抑制を図りつつ、効率的かつ効果的な公共サービスを実現するものでございます。

 地方公共団体は、PFI法に基づき、一定規模以上の公共施設を整備するPFI事業を実施する場合には、あらかじめ議会の議決を経る必要がございます。このため、PFI事業の個々の案件については、住民の理解、議会の議決等必要な手続を経て進められるものと承知をしているところでございます。

 水道事業の広域化とコンセッション方式の導入についてお尋ねがございました。

 水道利用人口の減少や施設の老朽化が進む中で、安定的な経営を確保し、効率的な整備、管理を実施するためには、地域の実情に応じて事業の広域化を行うことが重要でございます。また、公共施設の運営を幅広く民間に委ねるコンセッション方式を推進することによりまして、新技術の採用や料金の設定など、民間の創意工夫を活用することも重要でございます。

 このため、全閣僚により構成されておりますPFI推進会議において昨年の五月に決定したPPP/PFI推進アクションプランでは、水道をコンセッション事業推進の重点分野の一つに位置づけているところでございます。

 内閣府としては、今後とも関係省庁と連携しながら、PPP、PFIを推進してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣(松本純君) 田村議員より、震災対策について御質問をいただきました。

 被災者の一日も早い生活となりわいの再建に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。

 被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方々の生活の再建を支援することを目的としており、全壊や大規模半壊等の甚大な被害があった世帯を対象としております。

 このような制度の被災者生活再建支援金の支援対象の拡大については、東日本大震災を初め、過去の災害の被災者との公平性、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。

 また、被害程度の小さい一部損壊の被害を受けた方に対しては、独立行政法人住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援があり、地方自治体によっては、地域や災害の実情、財政事情などに応じて独自の支援措置を実施されているところです。

 今後とも、被災者の生活支援が速やかに行われるよう、また、過去の災害における知見などを生かし、災害が直接的な原因となる以外で亡くなる方が一人でも少なくなるよう、今後とも、政府、自治体、関係者がしっかり連携して取り組んでまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(川端達夫君) 足立康史君。

    〔足立康史君登壇〕

足立康史君 日本維新の会の足立康史です。

 私は、党を代表して、ただいま議題となりました二法案について質問します。(拍手)

 私たち日本維新の会は、東京一極集中の是正を党の綱領に掲げる地方分権政党であります。地方の衰退という国民の不安を解消し、国を発展させていくためには、首都機能を担うことのできる大阪都をつくり、大阪を副首都とすることで東京一極集中を打破する、さらには二極から多極へと地方の自立した発展を促す、そうした分権型の国づくりを目指してまいります。

 ところが、安倍政権の地方創生は、残念ながらかけ声倒れ。福島の復興と沖縄の基地問題を混乱させた前政権の失政よりはましではありますが、二〇二〇年に地方と東京圏との転出入の均衡を図るという安倍政権の目標は、残念ながら絵に描いた餅。東京圏への転入超過は、依然として年間十二万人近くに及んでいます。

 安倍政権は、本当に、東京一極集中を是正する意思をお持ちなのでしょうか。お持ちであれば、それをどのような方策で実現しようとしているのでしょうか。山本担当大臣に伺います。

 初代の地方創生相、石破大臣の肝いりで成立したまち・ひと・しごと創生法に基づく五カ年計画は、本年中にも折り返し点を迎えます。高市大臣も、地方財政計画において、まち・ひと・しごと創生事業費を引き続き一兆円確保すると胸を張っておられますが、しょせんは一般財源であります。仮に、まち・ひと・しごと創生事業費の確保が自治体の予算配分に影響を与えたという事実があるのであれば、具体的にお示しください。

 私たちは、地方の自立した発展を実現するためには税源と権限の大胆な再配分が不可欠であると考えていますが、東京一極集中を是正するための安倍政権の取り組みは、地域再生法に基づく地方拠点強化税制など、余りに小粒であります。ちなみに、当該税制が本社機能の地方移転に影響を与えたという事実はあるのでしょうか。

 そもそも、私たちは、近畿圏や中部圏の中心部が支援対象から外れていることに異論を唱えてまいりましたが、まずは、地方拠点強化税制の成果について御答弁ください。

 総務省は、規制についても自治体の手足を縛り過ぎです。

 吉村洋文市長率いる大阪市は、市営地下鉄の民営化に取り組んでいますが、昨年の予算委員会でも指摘したように、いわゆる公の施設の民営化に係る地方自治法の不合理な規定が障害となって、膠着を余儀なくされています。

 東京メトロは国会の過半数で民営化されたにもかかわらず、市営地下鉄を大阪市議会の過半数で民営化できないのは、余りに理不尽ではないでしょうか。総務大臣の見解を伺います。

 大阪市議会においては、そうした不合理な法令を盾に、地下鉄民営化の基本方針に賛成しておきながら、条例案の採決には時期尚早と批判をし、大阪都構想の取り扱い次第では条例案に反対する可能性があると示唆をしている会派もあります。

 地域活性化に資する民営化への取り組みを妨害するすべを少数会派に与えている地方自治法の不合理な規定は、早晩見直すべきであると改めて訴えておきたいと存じます。

 これまで、橋下・松井改革の意義を認めようとせず、あろうことか、大阪府が起債許可団体に転落したのは橋下・松井府政のためであるとのデマさえ吹聴されてきました。

 そこで、最後に、大阪府の財政について確認的に伺います。

 第一に、太田房江府政では増加を続けていた大阪府の借金が橋下・松井府政で減少に転じたこと、第二に、太田府政では、資金不足を補うために減債基金の流用が拡大し五千二百億円に上ったこと、さらには橋下・松井府政がそれを再建しつつあること、第三に、大阪府が起債許可団体に転落したのは、橋下・松井府政の結果ではなく、それ以前の放漫財政の結果であること、以上三点について総務大臣の明快な答弁を求め、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣高市早苗君登壇〕

国務大臣(高市早苗君) 足立議員から私には、まず、まち・ひと・しごと創生事業費についてお尋ねがありました。

 地方創生については、地方団体が地域の実情に応じて、自主性、主体性を最大限発揮して取り組めるようにすることが重要でございます。このため、地方財政計画にまち・ひと・しごと創生事業費を一兆円計上し、地方団体の財源を確保しています。

 地方交付税は使途の制限のない一般財源であることから、具体的にどのように活用するかは各地方団体が自主的に判断するものでございますが、この財源を活用して、今後とも、地方創生の取り組みが進められていくことを期待しております。

 次に、地方自治法の公の施設の廃止の規定についてお尋ねがありました。

 公の施設のうち条例で定める特に重要な公の施設を廃止する場合は、住民に広く平等に与えられるべき施設の利用に対する重大な制限となることから、住民の代表である地方議会において、出席議員の三分の二以上の特別多数議決を必要としています。

 そして、どの施設を特に重要な公の施設とするかは、地域の実情に応じて各地方団体の判断に委ねられています。

 地方自治法の規定は、住民の利用権を尊重する観点から、特別多数議決という議会の幅広い同意を求める選択肢を提供しているものであり、理不尽であるとの指摘は当たらないと考えております。

 最後に、大阪府の財政状況についてお尋ねがございました。

 まず、地方債については、新規発行額は、普通会計ベース、臨時財政対策債除きで見ると、平成十二年度から十九年度までの間の一年度当たりの平均額が二千百七十四億円だったのに対し、平成二十年度から二十七年度までの間は千二百三十六億円と減少しています。

 また、残高を平成十二年度以降について、同じく普通会計ベース、臨時財政対策債除きで見ると、平成十四年度まで増加し、その後、平成二十年度まで減少して、平成二十一年度に一旦増加した後、平成二十二年度以降は再び減少しています。

 また、財源不足を補うための減債基金の取り崩しは、平成十三年度から十九年度までの間に合計で五千二百二億円が行われていましたが、平成二十年度以降は取り崩しは行われず、平成二十一年度以降は積み立てが進められているという状況にあります。

 そして、起債許可団体となるか否かは、実質公債費比率に基づき判断されます。実質公債費比率は、当該年度に支払う元利償還金を初め、普通交付税の基準財政需要額に算入される元利償還金や標準財政規模などのさまざまな数値を用いて算定するものですが、大阪府においては、過去に発行された地方債によって後年度の元利償還金が増加したことが比率の上昇の要因の一つとなっているものと認識をしています。(拍手)

    〔国務大臣山本幸三君登壇〕

国務大臣(山本幸三君) 東京一極集中を是正する意思とその方策についてお尋ねがありました。

 東京一極集中については、二〇一二年以降四年連続で転入超過数が増加し、二〇一五年に約十二万人の転入超過となっていました。二〇一六年には五年ぶりに若干減少しましたが、一極集中の傾向は続いていると承知しております。

 このように厳しい状況が続いていますが、国としては、東京圏と地方との転出、転入の均衡という目標の実現を目指して取り組みを進めてまいります。

 地方から東京圏への人口流出に歯どめをかけ、東京一極集中を是正するためには、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立し、地方の平均所得の向上を実現することが重要であります。

 このため、国としては、企業の本社機能移転税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまちの実現、地方創生インターンシップ事業等、多岐にわたる施策を推進するとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してまいりました。

 さらに、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等についての総合的な対策の検討等を推進することにより、東京一極集中是正に向けた取り組みをより一層強化してまいります。

 次に、地方拠点強化税制の成果についてお尋ねがありました。

 地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯どめをかけ、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保することが重要と認識しております。

 このため、平成二十七年の通常国会で成立した改正地域再生法において、地方において本社機能を新増設する事業者に対し、設備投資や雇用促進のための減税措置を講じる地方拠点強化税制を創設しました。さらに、今年度からは、地方において雇用者を増加させるインセンティブを強化したところであります。

 地方拠点強化税制については、平成二十七年八月の施行後、これまでに四十四道府県の企業の地方拠点強化に関する地域再生計画を認定しました。これらの地域再生計画においては、合計千四百三件の事業により、一万一千五百六十人の雇用創出が目標値として掲げられています。この地域再生計画に基づき、ことしの一月末までに百三十三件の事業者の計画が道府県において認定されており、この中で六千八百二十三人の雇用創出が計画されています。

 このように、各地域において、企業の地方移転や地方拠点の拡充に向けた具体的な取り組みが動き始めていると承知しています。

 さらに、東京一極集中の是正に向けた取り組みをさらに強化するために、昨年十二月に閣議決定された平成二十九年度税制改正大綱において、地方拠点強化税制に関する拡充措置が盛り込まれました。引き続き、地方創生の実現に向けて、企業の地方拠点強化に係る施策に取り組んでまいります。(拍手)

副議長(川端達夫君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(川端達夫君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     高市 早苗君

       厚生労働大臣   塩崎 恭久君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国務大臣     石原 伸晃君

       国務大臣     松本  純君

       国務大臣     山本 幸三君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  萩生田光一君

       総務副大臣    原田 憲治君

       財務副大臣    木原  稔君


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