衆議院

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第9号 平成29年3月9日(木曜日)

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平成二十九年三月九日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第四号

  平成二十九年三月九日

    午後一時開議

 第一 特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案(佐藤勉君外十四名提出)

 日程第一 特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

笹川博義君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 佐藤勉君外十四名提出、北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 笹川博義君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案(佐藤勉君外十四名提出)

議長(大島理森君) 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。佐藤勉君。

    ―――――――――――――

 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔佐藤勉君登壇〕

佐藤勉君 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 昨年の二度の核実験と弾道ミサイル発射を受けて、我が国を初めとする国際社会が北朝鮮に対する非難の度合いを強めている中で、二月十二日に続き、去る六日に弾道ミサイル発射を強行するなど、エスカレートするばかりの北朝鮮の挑発行為は、極めて遺憾であり、断じて容認することはできません。

 以下、案文の朗読をもちまして趣旨の説明にかえさせていただきます。

    北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案

  三月六日、北朝鮮は、四発の弾道ミサイルをほぼ同時に発射し、そのうち三発は我が国の排他的経済水域内に落下したものと推定される。北朝鮮による核実験や度重なる弾道ミサイル発射は、新たな段階の脅威であるとともに、我が国を含む地域及び国際社会の平和と安全に対する明らかな挑発行為であり、断じて容認できない。とりわけ、我が国の排他的経済水域内に落下させることは、我が国の安全に対する直接的かつ重大な脅威である。今回の発射は、一連の国連安保理決議及び日朝平壌宣言に違反するとともに、六者会合共同声明の趣旨に反するものである。我が国として断じて容認できず、北朝鮮に対し、厳重に抗議し、最も強い表現で非難する。

  本院は日本国民を代表して、今般の弾道ミサイル発射に対し重ねて厳重に抗議し、北朝鮮には、弾道ミサイルの開発を直ちに断念するよう強く求める。

  国際社会は、国連安保理決議等を踏まえ、結束した外交努力を展開し、平和的な解決を目指すべきである。政府においては、国連加盟国に対し、これまでの国連安保理決議に基づく制裁措置の完全なる履行を実現するよう働き掛けを強化しつつ、各国との連携を強化し、国連安保理での取組や我が国独自の措置の徹底を通じて圧力の強化を追求すべきである。

  さらに、政府は、核・ミサイル問題のみならず、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題である拉致問題をも含め、北朝鮮情勢に関する情報を収集・分析の上、国民に対して的確な情報提供を行うべきである。そして、国際社会が結束して北朝鮮による核・ミサイル・拉致問題の包括的かつ早急な解決を図るべく、政府の総力を挙げた努力を傾注し、もって国民の負託に応えるべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)

 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいまの御決議への所信を申し述べます。

 三月六日、北朝鮮は、四発の弾道ミサイルをほぼ同時に発射し、うち三発を我が国の排他的経済水域内に着弾させました。これは、北朝鮮が新たな段階の脅威であることを明確に示すものです。重大な挑発行為であり、断じて容認できません。安保理決議や日朝平壌宣言に明白に違反し、六者会合共同声明の趣旨に反するものです。さらに、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題です。北朝鮮に対し厳重に抗議し、この暴挙を最も強い表現で非難します。

 先般行った日米首脳電話会談においては、トランプ大統領から、米国は一〇〇%日本とともにあるとの発言があり、日米、日米韓で、国連の場を含めて緊密に連携していくことを確認しました。

 拉致、核、ミサイルの諸問題を解決しない限り、世界からますます孤立し、明るい未来を描くことはできない。北朝鮮にこのことを理解させなければなりません。

 我が国は、引き続き、米国、韓国、中国、ロシア等と緊密に連携しながら、北朝鮮に対し、さらなる挑発行動を自制し、安保理決議を即時かつ完全に履行し、核・弾道ミサイル計画を放棄するよう強く求めてまいります。安保理非常任理事国として、国際社会に対し、決議の履行を強く働きかけるとともに、我が国独自の措置の実施を徹底し、毅然かつ断固として対応してまいります。北朝鮮の脅威に対処するため、日米、日米韓の連携を主導し、安保協力での取り組みをさらに前進させてまいります。

 北朝鮮は、これまで新型ミサイルの発射を示唆していますが、我が国としても重大な関心を持っており、引き続き、高度な警戒監視態勢を維持し、万全の態勢をとってまいります。国民に適時適切な情報提供を行い、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

 拉致問題は安倍政権の最重要課題です。被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わりません。対話と圧力、行動対行動の原則のもと、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、全力を尽くしてまいります。

 ただいまの御決議の趣旨を体し、核、ミサイル、そして、引き続き最重要課題である拉致問題に関し、北朝鮮が問題の解決に向け具体的行動をとるよう強く求めてまいります。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第一、特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。農林水産委員長北村茂男君。

    ―――――――――――――

 特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔北村茂男君登壇〕

北村茂男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法は、特殊土壌地帯の保全と農業生産力の向上を図ることを目的として、昭和二十七年四月、議員立法により五年間の時限法として制定され、以後十二度にわたり期限延長のための一部改正が行われました。

 今日までの六十五年間にわたる特殊土壌地帯対策事業の実施により、災害防除と農業振興の両面において改善がなされてきたところでありますが、台風の来襲に伴う集中豪雨等の回数が増加する中、依然として、特殊土壌地帯において大きな被害が発生しているなど、今なお対応すべき多くの課題に直面しており、引き続きこれらの事業を推進していく必要があります。

 こうした観点から、本案は、本年三月三十一日をもって期限切れとなる現行法の有効期限をさらに五年間延長しようとするものであります。

 本案は、昨八日、農林水産委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣松野博一君。

    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣(松野博一君) 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府においては、教育基本法に定められている教育の機会均等の確保の重要性を踏まえ、意欲と能力のある若者が経済的理由により大学等への進学を断念することがないよう、教育費負担の軽減に一層取り組んでいく必要があります。

 この法律案は、このような観点から、大学等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与するため、特にすぐれた学生等であって経済的理由により極めて修学に困難があるものとされた者に対して学資を支給する業務を独立行政法人日本学生支援機構の業務に追加すること等について所要の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人日本学生支援機構の目的及び業務に学資の支給を追加するものであります。

 第二に、独立行政法人日本学生支援機構は、特にすぐれた学生等であって経済的理由により修学に極めて困難があるものと認定された者に対して学資を支給することとするものであります。

 第三に、独立行政法人日本学生支援機構に、学資の支給の業務に要する費用に充てるため、学資支給基金を設けることとするものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。菊田真紀子君。

    〔菊田真紀子君登壇〕

菊田真紀子君 民進党の菊田真紀子でございます。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案に対し質問いたします。(拍手)

 今国会ほど、文部科学省に対して国民の大きな注目と関心が集まり、連日、松野大臣が弁明に追われる国会は珍しいのではないでしょうか。

 教育をつかさどる文部科学省の事務次官や歴代の人事担当者、さらには文科省OBが暗躍して、組織ぐるみで天下りあっせんを行っていたことが明らかとなりました。当時の事務次官の辞任が、まるで国会の開会日に合わせたかのように早々と閣議決定されましたが、それで幕引きとはなりません。その後の調査で次から次へと新たな国家公務員法違反が判明するなど、いまだに真相は闇の中です。今月末には文科省による調査の結果が公表されると聞いていますが、よもやうそをついたり、隠蔽したりすることは許されません。

 今回の重大な事案について、文科省のトップに立つ松野大臣はどのように責任をとるおつもりなのか、まず見解をお伺いいたします。

 国会と国民が納得のいく説明責任を果たし、信頼を回復するために全力で取り組むよう強く求めます。

 次に、学校法人森友学園をめぐる一連の問題について、関係大臣にお尋ねします。

 森友学園については、連日のように新たな問題が浮上し、まさに疑惑の総合学園のような様相を呈してきました。中でも問題なのは、国民の大切な財産である国有地を、極めて不透明かつ不可解な経緯で、破格の安値で投げ売りした問題です。

 森友学園の籠池理事長夫妻が自民党の鴻池参議院議員に語ったというとおり、上から政治力で早く結論が得られるように工作しない限り、このような結論に至るとは到底思えません。

 麻生財務大臣にお尋ねしますが、この期に及んでも、手続は適正だったと言われるのでしょうか。

 次に、国土交通省が森友学園に交付した補助金について、石井国土交通大臣にお尋ねします。

 森友学園が補助金申請時に報告した総事業費と大阪府に報告した総事業費とでは、実に三倍もの開きがあることが判明しました。この結果、森友学園には六千二百万円という過大な補助金交付が決まったのであります。これはまさに詐欺的行為だと言わざるを得ません。

 国として直ちに全額返還するよう要求すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

 さらに、松野文科大臣にお尋ねします。

 森友学園に関しては、小さな幼稚園児に運動会で安倍首相頑張れと宣誓させるなど、偏向的な教育が行われていたことが明らかになりました。この衝撃的な映像は世界各国でも報道されています。

 このような不適切な教育を行っているばかりか、政治家に口ききを、また詐欺的な補助金申請を行う籠池理事長は果たして教育者としてふさわしいのか、松野大臣の見解を伺います。

 連日報道されているように、この幼稚園には安倍総理夫人が何度も足を運び、総理大臣夫人という肩書で講演し、そして政府の職員も公務として同行していたことが明らかになりました。

 安倍総理は、我々野党の質問に対して、印象操作だとむきになって答弁していますが、やましいことがあるのではないかとますます疑ってしまいます。

 これら森友学園に関する一連の疑惑を解明するためには、当事者である籠池理事長の参考人招致が必要不可欠でありますが、与党は、民間人だからとか、事件性がないからとか、全く説明力のない言いわけを並び立てて参考人招致を拒否しています。まさに疑惑隠しとしか言いようがありません。

 政府としても、総理大臣の夫人が巻き込まれるという前代未聞の疑惑であることから、国会が決めることなどとして傍観するのではなく、積極的に籠池理事長の参考人招致に協力すべきと考えますが、菅官房長官の御見解をお尋ねいたします。

 これらの問題により、本来の文部科学省の業務が停滞し、子供たちの教育にかかわる重要な法案の審議が進まないことは残念でなりません。

 それでは、法案について質問いたします。

 奨学金というと聞こえはいいのですが、残念ながら、我が国の奨学金制度は貸与型のみであり、実質的な教育ローンとなっています。日本学生支援機構によれば、平成二十八年三月に貸与が終了した奨学生の一人当たりの平均貸与総額は、第一種奨学金で二百三十六万円、第二種奨学金で三百四十三万円となっています。

 卒業と同時に多額の借金を抱えることになり、正社員で働きたくても働けないなど、安定した雇用につくのが難しくなっている今日の社会情勢の中で、その返済に苦しむ人が多くいます。そのような状況から、奨学金問題が社会的な問題として大きく取り上げられるようになり、給付型奨学金に向けた世論形成がなされました。

 教育は親や家族、個人の責任であるという考えに立ち、長らく教育分野への国による大きな投資を怠ってきた安倍総理、自民党が、今回、大きな世論の後押しもあり、給付型奨学金の創設へと踏み出したことは評価したいと思います。

 しかしながら、本法案の内容を見ると、支給対象者や支給額が余りに少なく絞り込まれており、スズメの涙ではないかと本当に涙が出そうになります。

 文科省の説明によれば、平成二十九年度からの一部先行実施で対象となる学生は全国で約二千八百人、本格実施の平成三十年度以降は一学年当たり約二万人を想定しているとのことですが、国土強靱化とかオスプレイ購入には大胆に予算をつぎ込む安倍政権にしては、余りに対象規模が小さくて、看板倒れに正直がっかりしました。このような限定的な規模で、本法案の趣旨である教育の機会均等が図られるのか甚だ疑問です。

 今回の制度改正では、来年度は二万円から四万円を住民税非課税世帯と児童養護施設の子供に支給するとしています。まず、この支給額の根拠を教えてください。

 学生生活調査によれば、学生が毎月必要とする追加必要額は三万円から五万円程度と試算されていますが、それとて家庭からの支援やアルバイトなどの収入を含めてなお不足している金額であり、今回の支給額で十分だとは言えません。

 しかも、住民税非課税世帯から大学等に進学する人数は約六万人と推計されていますが、本格実施となる平成三十年以降も、対象人数は一学年当たり約二万人であり、三分の一にすぎません。同じ境遇にあっても、奨学金を受給できる学生と受給できない学生に分かれてしまいます。給付対象にならなかった学生に対して、文科大臣はどのように説明されるのでしょうか。お答えください。

 財源について文科省にお聞きすると、厚生労働省の重複施策の縮減など既定経費の見直しで約八十億円、教育・研究職返還免除枠の規模の精査で約三十億円、そのほか奨学金制度全体の見直しを行うとの回答がありましたが、これで本当に安定的に継続できるのでしょうか。最初は小さく産んで、対象者や予算額をだんだん大きく拡充していけるのか懸念します。財務大臣、財源の中身について詳しく御説明をお願いいたします。

 給付型奨学金同様、無利子の奨学金の財源にも懸念を持ちます。

 今回、残存適格者を解消するなど、無利子奨学金の貸与人数を大幅に拡充したことは評価します。しかし、文科省の説明によれば、無利子奨学金の事業費は国の一般会計から支出されるが、来年度はそれだけでは足らず、初めて民間金融機関から二百二十三億円借金するとの回答でした。

 民間金融機関に利子を払ってまで予算を調達し、どうして胸を張って無利子奨学金を拡充したと言えるのでしょうか。文部科学省が予算を獲得できなかったのですか、それとも財務省が出し渋ったのでしょうか。どちらにせよ残念な話ですが、なぜ借入金に頼ることになったのか、そして今後の財源の見通しは立っているのか、文科大臣、財務大臣、それぞれ御答弁をお願いします。

 そもそも、日本は高等教育に対する国としての財政的支援がOECD諸国と比べて最低レベルとなっています。諸外国の状況を見ると、給付型の奨学金制度や学生への財政支援の仕組みが充実しており、学び続けたい学生に手厚い環境が与えられています。

 今後、諸外国に比較しても恥ずかしくない教育への公的支援をふやしていくことについて、どのようにお考えでしょうか。文科大臣と財務大臣に、それぞれ伺います。

 私たち民進党は、教育の無償化を目指し、法案化も検討しています。一人一人が個性を生かし、その能力を伸ばしていけるよう、人への投資を最優先で実現していくという考えのもと、就学前から高等教育までの各教育段階における授業料の無償化の推進、授業料以外の学校給食や学用品などの就学に要する負担の軽減等の政策を提案していきます。

 民主党政権では、小学校の一年生、二年生の三十五人以下学級を実現しました。さらには、高校無償化の導入、大学授業料減免の拡充を推し進め、それらの実績により、国際人権規約の中等、高等教育の漸進的無償化条項に付してきた留保を撤回するなど、着実に施策を実行してきました。

 安倍総理は、さきの施政方針演説で、「どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。」と述べました。

 今回の制度改正は、本当に希望すれば誰もが進学できるような内容になっているのでしょうか。文科大臣、明確な御答弁をお願いします。

 また、民進党は、就学前と高等教育の無償化を目指していますが、この考えについての見解もあわせてお尋ねします。

 私の地元新潟県には、百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育に充てればあすの一万、百万俵となるという、教育の重要性を説いた長岡藩の藩士小林虎三郎の故事があります。

 二〇〇一年、当時の小泉純一郎総理は、所信表明演説の中で、今の痛みに耐え未来に投資する米百俵の精神を引用しました。

 その小泉氏が、今月四日、都内で開催されたある会合に出席され、祝辞を述べられたと報道されています。中米ホンジュラスで、日本のODAを活用して学校建設を進める米百俵学校プロジェクトが目標の百校を突破した記念式典でのことです。

 小泉氏は、挨拶の中で、今の政治の状況は、今の痛みに耐えてあすをよくしようという精神から全くかけ離れている、ツケは後の世代に回そうとしている現在の日本に、米百俵の精神が最も必要ではないかと話されたそうです。

 当時、官房副長官として小泉総理に仕えられた安倍総理がこの言葉をどう受けとめるのか、私には知る由もありませんが、行き過ぎた金融緩和や財政出動で目先の金をばらまき、次世代に借金をツケ回す政治を改めるべきです。

 今こそ、米百俵の精神で、教育に思い切った投資をし、子供たちの未来が明るい夢と希望に輝くよう、我々民進党はあらゆる努力をしていくことをお約束し、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣(松野博一君) 菊田議員から六つの質問がありました。

 最初に、文部科学省職員の再就職等規制違反についてお尋ねがありました。

 教育をつかさどり、法を遵守すべき立場にある文部科学省の職員が、国家公務員法に規定する再就職等規制に違反する行為を行ったこと、さらには、再就職等監視委員会の調査に対して虚偽の報告をし、隠蔽を図ったことについては、国民の文部科学行政に対する信頼を著しく損ねるものであり、省として猛省するとともに、文部科学省の責任者として心よりおわびを申し上げます。

 私も、文部科学省の責任者として、このような事態が生じたことについて大きな責任があると考えており、大臣俸給六カ月の全額を自主的に返納することといたしましたが、今後、文部科学行政に対する国民の信頼を取り戻すために全力を尽くすことが私の最大の責任であると考えており、引き続きみずからが先頭に立って全容解明に向けて調査を進めるとともに、調査結果に従って厳正な処分を行い、再発防止策を検討し、着実に実行することを通じて、省を挙げて信頼回復に取り組んでまいります。

 次に、森友学園についてのお尋ねがありました。

 議員御指摘の件については、現在、大阪府から事実関係を確認していると聞いておりますが、一般論として、公共性の高い学校法人の理事長には、高い倫理観とそれにふさわしい行動が求められるものです。

 いずれにせよ、大阪府において適切に対応が行われるものと考えており、文部科学省としては、大阪府の対応を注視してまいりたいと考えています。

 次に、給付型奨学金の支給月額の根拠及び給付の対象とならなかった学生への説明についてお尋ねでありますけれども、給付型奨学金の給付額については、学生生活費の実態を踏まえ、国公私立といった進学先や、自宅、自宅外といった通学形態の違い、また、対象とならない世帯との公平性等を考慮の上、月額二万円から四万円と設定しております。

 加えて、児童養護施設の退所者など社会的養護が必要な学生については、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしています。

 さらに、新たに創設する給付型奨学金とあわせ、来年度より大幅に拡充する無利子奨学金を活用していただくことにより、おおむね必要な学生生活費を賄うことができると試算しており、大きな進学の後押し効果があると考えています。

 また、住民税非課税世帯の子供たちについては無利子奨学金の成績基準を実質的に撤廃し、必要とする全ての皆さんが奨学金を受けられるようにするとともに、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度を導入することとしています。給付対象とならなかった方についても、こうした制度がありますので、ぜひとも活用していただきたいと思います。

 次に、無利子奨学金の財源についてのお尋ねでありますが、昨年八月に閣議決定した未来への投資を実現する経済対策に示したとおり、無利子奨学金については、速やかに残存適格者を解消するとともに、低所得世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃し、必要とする全ての子供たちが受給できるようにすることとしています。

 このため、平成二十九年度予算においては、子供たちの学びの機会を優先的に確保するため、一般会計の政府貸付金に加えて、現在の低金利の状況を踏まえ、民間金融機関からの借入金を貸与財源とした利子補給方式を活用することといたしました。

 無利子奨学金については、平成二十四年度以降、事業規模が拡充しており、今後、返還金の増加が見込まれます。このため、今回の措置は一時的なものであり、近い将来には一般会計により十分に事業を実施する見通しを立てております。

 引き続き、必要な財源を確保しながら、無利子奨学金事業の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。

 次に、高等教育への公的支援の拡大についてのお尋ねでありますが、OECDが公表しているデータでは、我が国の高等教育機関への教育支出は、OECD加盟国平均に比べて公財政支出の割合が低く、私費負担の割合が高いという結果になっています。

 大学は国力の源泉であることから、文部科学省としても、家計の教育費負担軽減を図ることは重要と認識しており、必要な財源を確保しつつ、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

 次に、希望すれば誰もが進学できる環境についてのお尋ねでありますが、文部科学省では、これまで、意欲と能力のある学生が経済的理由によって進学を断念することがないよう、奨学金制度や授業料減免の充実などに取り組んでまいりました。

 平成二十九年度予算においては、授業料減免の一層の充実に加えて、無利子奨学金について、低所得世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、残存適格者を解消することとしております。また、卒業後の所得に応じて返還月額が変わる所得連動返還型奨学金制度を導入することとしております。

 さらに、意欲と能力がありながら、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、我が国として初めて返還不要の給付型奨学金を創設することとしております。

 これら一連の施策を一体的に進めることにより、確実に子供の進学を後押しすることが可能になると考えております。

 このほか、幼児教育無償化の段階的推進など、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形での教育費負担軽減に取り組んでいるところであり、今後とも、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 菊田議員から、奨学金制度などに関する四つの点についてのお尋ねがあっております。

 まず、森友学園への国有地の売却手続についてのお尋ねがありました。

 国有財産につきましては、いずれの場合においても適正な価格により処分を行うことが定められており、時価による処分がなされております。

 本件につきましては、発見された地下埋設物に対応するため、近畿財務局と大阪航空局とで協力し、国有財産法等の法令に基づき、適正な手続、価格によって処分されたものであり、問題はないと考えております。

 次に、給付型奨学金の財源についてのお尋ねがありました。

 給付型奨学金の財源としては、省庁間の重複排除や事業の効率化といった既定経費の見直しにより約八十億円、教育・研究職返還免除枠の廃止に伴う将来的な免除額減少により約三十億円、所得に応じた奨学金貸与額の設定など奨学金制度全体の見直しにより約九十五億円等を見込んでおります。

 これらの財源は、いずれも制度的な見直しに伴う恒久的なものであり、将来にわたり安定的に確保され、給付型奨学金制度を安定的に継続できるものと考えております。

 次に、無利子奨学金の財源についてのお尋ねがありました。

 無利子奨学金の拡充の財源につきましては、厳しい財政事情も踏まえ、その一部について、有利子奨学金と同様、民間金融機関及び財政融資資金からの借入金を活用し、利子を補給することで手当てすることといたしております。

 今回の利子補給方式につきましては、将来的には無利子奨学金の貸与財源の全てを一般会計の政府貸付金で賄うことで、安定的、持続的な運用にしていくことが必要であると考えております。

 最後に、高等教育に対する財政支援の拡充についてのお尋ねがありました。

 高等教育段階における在学者一人当たりの財政支出について、OECD諸国の中で低水準であるとの指摘があることは承知をいたしておりますが、初等中等教育まで含めますとOECD諸国の平均は超えていること、国民負担率はOECD諸国の中で最も低いレベルにあることなどを踏まえますと、数値を単純に比較できるものではないと考えております。

 その上で、高等教育に対する国からの財政支援につきましては、平成二十九年度予算におきましても、国立大学運営費交付金等の充実、無利子奨学金の拡充、返還不要の給付型奨学金の創設、国立、私立大学授業料減免の拡充など、公的支援をふやしているところであります。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 森友学園に対するサステナブル建築物等推進事業の補助金についてのお尋ねがございました。

 国土交通省においては、補助金の交付の際に、提出された工事請負契約書の写しによって建設工事費の金額を確認しております。

 本事業において申請された建築費と大阪府教育庁に対して提出された建築費に違いがあるとの情報を踏まえ、森友学園の申請代理人である建築設計事務所に改めて確認をしたところ、工事請負契約額は既に国土交通省に提出した工事請負契約書の写しのとおりであるとの回答を得ているところです。

 今後、さらに、工事請負契約の経緯やその履行状況など、事実関係の詳細を明らかにする必要があると考えており、事務方に対し、早急に申請代理人を呼び、徹底した調査を行うよう指示したところであります。

 現状においては、まず何よりも事実関係を明らかにすることが最優先の課題であると考えており、速やかに対応してまいります。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 森友学園理事長の参考人招致への協力についてお尋ねがありました。

 国会での参考人招致の問題については、国会でお決めになることであり、政府としてコメントすべきではないと考えております。

 政府としては、本件国有地の売却につきましては、引き続き適切に説明していくことを重要と考えており、その旨、徹底をしてまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 富田茂之君。

    〔富田茂之君登壇〕

富田茂之君 公明党の富田茂之です。

 ただいま議題となりました法律案につき、公明党を代表して、松野文部科学大臣、麻生財務大臣に質問いたします。(拍手)

 安倍内閣総理大臣は、一月二十日の施政方針演説において、「どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。」と指摘され、無利子奨学金の残存適格者の解消、成績要件の事実上撤廃、新所得連動返還型奨学金制度の導入、給付型奨学金制度の創設を宣言されました。

 そもそも、現在の奨学金制度の原型は、一九四三年、昭和十八年に、後に第六十八代内閣総理大臣になられた若き日の大平正芳大蔵省主計局主査が制度設計されたものです。大平元総理は、御自身が地元の篤志家の支援で大学に進学できた経験を踏まえ、育英事業を国が行う以上、本来、給付制にすべきと考えておられました。しかしながら、限られた財源のもと、当時の主計局長や文部省の意向もあり、できるだけ多くの人を対象にした貸与型にすることから日本の奨学金制度は始まりました。

 衆議院予算委員会公聴会において、奨学金制度研究の第一人者である小林雅之東京大学教授は、今回の制度改正は、七十年余り続く学生への経済的支援制度の転換であり、画期的な制度の創設であると高く評価されました。

 このような評価を受け、新所得連動返還型の有利子、既卒者への適用等を含め、今後の制度の充実に向けた文部科学大臣の御決意をお伺いいたします。

 平成二十九年度予算並びに本法案が成立しますと、給付型奨学金が、平成二十九年度進学者は約二千八百人で、本格実施となる平成三十年度進学者からは約二万人規模で実施されます。住民税非課税世帯から大学や専門学校などへの進学者のうち、高校など学校の推薦を受けた人に毎月二万円から四万円が給付されます。

 規模が小さいとの批判もありますが、二〇一二年の東京大学の保護者調査によれば、経済的理由で四年制大学へ進学できなかった者は一・九万人とされています。小林教授も、住民税非課税世帯を対象とすることは、低所得層の進学を促すという趣旨から見て非常に意味があると評価されています。

 今回の制度設計は、貸与型から給付型への転換点として、十分進学の後押しになると考えます。

 しかし、諸外国の代表的な給付型奨学金制度と比べると、給付額については、今後の検討課題として、さらなる拡充も望まれます。

 例えば、アメリカのペル奨学金は、年間最大六十六・八万円、イギリスの生活費給付奨学金は、最大六十二・五万円となっております。

 公明党のヒアリングにおいても、私立大学、専門学校の設置者から、年間の授業料、施設整備費等約百二十万円の半分程度の給付がないと、進学のインセンティブとしては十分とは言えないとの意見がありました。児童養護施設出身の学生や生活保護世帯出身の学生からも、アルバイトや無利子奨学金に加えて、給付型として五万円の支給があれば、しっかり勉学に取り組めるとの切実な声がありました。

 今後の給付額の拡充に向け、どのように取り組まれるのか、文部科学大臣の御決意を伺いたい。

 また、給付額の拡充は、未来への投資として政府挙げて取り組むべき課題と考えますが、財務大臣の御所見を伺いたい。

 公明党は、今回の制度設計に当たり、社会的養護を必要とする学生等に対する特別な配慮を要請いたしました。具体的には、一般学生への支給額に月額プラス一万円を提案しました。

 児童養護施設退所者等については、大学等への入学とともに自立する必要があり、生活のための資金に加えて、大学等の入学金の負担が発生します。その際、一般の学生と違い、家族からの支援が困難な状況にあることは明らかです。

 児童養護施設出身の子供の進学率が、平成二十六年四月の厚生労働省調査によれば、二二・六%。これに対し、文部科学省の平成二十七年度学校基本調査によれば、全世帯の大学等の進学率は七三・二%であり、児童養護施設退所者等への特別な配慮が望まれるところであります。

 最終的に、文部科学省、財務省等との協議の結果、入学時に二十四万円を給付することといたしました。

 厚生労働省の調査によると、児童養護施設出身者の進学先は、短期大学、専門学校等が大半であることがわかりました。これらの修学期間二年分、一カ月、一般学生への支給額プラス一万円相当で、合計二十四万円となります。

 また、短期大学、平均二十四万五千七百八十三円、専門学校、平均十六万二千四百八十七円の入学金も、この追加給付で賄えることもわかりました。

 安倍総理は、昨年三月二十九日の総理大臣会見において、家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが大学にも専修学校にも進学できるようにしなければなりません、本年から、児童養護施設や里親のもとで育った子供たちが進学した場合、毎月家賃相当額に加えて五万円の生活費を支給し、そして、卒業後、五年間仕事を続ければ、その返還を免除する新しい制度を始めました、本当に厳しい状況にある子供たちには、返還が要らなくなる給付型の支援によってしっかりと手を差し伸べてまいりますと力強く宣言されました。

 この厚生労働省の支援措置に加えての、給付型奨学金制度における入学時特別給付金の支給は、児童養護施設を退所した学生に対し、進学への大きな後押しになると確信します。

 これら制度の組み合わせの教育的、社会的効果を、文部科学大臣はどのように考えられますか。

 公明党は、給付型奨学金の財源として、平成十六年度採用者から廃止になっている教育・研究職特別返還免除制度が、平成三十二年度以降、毎年必要額が減少していき、最大約百五十億円の枠が生まれることに着目し、この枠百五十億円を活用すべきと提案しました。

 最終的に、この枠の一部に加え、奨学金事業の見直し、既定経費の見直し等を加えて、平年度ベース約二百二十億円の必要財源を確保することとしました。

 この奨学金事業の見直しとして、大学院業績優秀者免除制度を見直し、修士課程から博士課程へのシフトに伴う免除枠を活用することとされていますが、大学院進学希望者の進学意欲を阻害するようなことにならないような配慮が望まれます。

 この点につき、文部科学大臣はどのように対応されようとしているのか、お聞かせ願いたい。

 今後の給付型奨学金制度の安定的な運営のために、我が党が提案し、改正案第二十三条の二第一項に、学資支給基金を新たに設け、民間の寄附を可能としました。

 この基金の充実、安定化に向けて、文部科学省としてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

 基金の充実、安定化には、財務省の協力が不可欠です。財務大臣の御所見をお伺いします。

 奨学金の拡充に伴い、多額の奨学金返還債務に苦しむ卒業生がふえたことも事実です。

 小林教授は、どんなに立派な制度でも、利用する学生に趣旨が周知徹底できなければ意味がない、授業料減免や奨学金返済猶予の対象になるのに、制度を知らずに苦労している人の事例を幾つも見てきた、必要な人に正確な情報を届けるために、国や高校、大学が果たすべき責任は大きい、情報格差の解消も奨学金改革の大きな柱なんだとインタビューに答えられています。

 学生や保護者が奨学金を正しく理解し、安心して利用できるよう、スカラシップアドバイザーを派遣、わかりやすい資料の作成、配布や相談窓口の設置、制度の周知ときめ細やかな学生サポートを行うこととしていますが、大事な取り組みであると考えます。

 さらに、減額返還制度について、減額幅の拡充を行うとともに、適用期間を延長することを検討しております。加えて、新所得連動返還型奨学金の導入に伴い、機関保証制度の保証料率を一五%程度引き下げることも検討しております。

 しかし、マイナス金利が続く中、より一層の引き下げを検討すべきではないでしょうか。

 昨年四月、都内に住む一人親世帯の私立大学四年生から、次のような要望をいただきました。

 機関保証を利用する人は、身近に保証人や連帯保証人になり得る人がいないので、やむを得ず機関保証を利用しているのです、にもかかわらず、現行の機関保証の保証料は高く、その金額は毎月の奨学金から差し引かれます、私の場合、月額五万四千円の奨学金から、毎月二千二百六十九円差し引かれています、たかが二千二百六十九円と感じるとは思いますが、学生が学生食堂で食事をすると考えた場合、一食三百二十円と仮定すると、約七食分の食事代を賄うことができます、このように、機関保証の利用者は、高過ぎる保証料によって学生生活が圧迫されてしまっているのです、機関保証の保証料の値下げを要望いたしますと。

 一五%の引き下げでは、学食一食分にしかなりません。経済的に困難な中、懸命に学んでいる学生の立場に立った保証料率の見直しを検討すべきと考えますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。

 最後に、今回の制度設計に当たり、文部科学省、財務省等の担当の職員の皆様には大変な御苦労をおかけするとともに、大変お世話になりました。

 皆様の努力を無にすることのないよう、公明党は、社会のための教育ではなく、教育のための社会の実現に向け、より一層努力することをお誓いし、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣(松野博一君) 富田議員から六つ質問がございました。

 初めに、今後の奨学金制度の充実に向けた決意についてお尋ねがありました。

 文部科学省では、これまで、貸与型の奨学金の拡充により、大学等進学者の経済的負担の軽減に努めてきましたが、今般、誰もが希望すれば進学できる環境を整えるため、給付型奨学金の創設を含む奨学金制度の抜本的拡充を図ることといたしました。

 給付型奨学金制度は、意欲と能力がありながら、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、我が国として初めて返還不要の給付型奨学金として創設するものです。

 また、無利子奨学金については、住民税非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、基準を満たしながら、予算上の制約により貸与を受けられなかった残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにしてまいります。

 さらに、返還負担を大幅に軽減する所得連動返還型奨学金制度も来年度から導入することとしております。

 所得連動返還型奨学金制度の有利子奨学金への導入については、返還者の所得が低く返還月額が低額となる場合、利息の支払いが増大し、返還が非常に長期にわたることが予想されることから、まずは無利子奨学金での運用状況を見つつ、導入に向けて検討を行うこととしております。

 また、既に返還を開始している方への適用については、減額返還制度を拡充することにより負担軽減を図ることとし、返還月額を二分の一から例えば三分の一に減額し、より長い期間をかけて返還できる制度へ拡充するなど、返還が困難な方へのさらなる負担軽減策について検討を進めてまいります。

 こうした一連の施策を進めることで、経済的に困難な状況にある子供の大学等への進学を大きく後押ししてまいります。

 次に、給付額の拡充についてお尋ねがありました。

 給付型奨学金の給付額については、学生生活費の実態を踏まえ、国公私立といった進学先や、自宅、自宅外といった通学形態の違い、また、対象とならない世帯との公平性等を考慮の上、月額二万円から四万円と設定しております。

 加えて、児童養護施設の退所者など社会的養護が必要な学生については、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしています。

 また、今般、無利子奨学金についても、所得連動返還型奨学金制度を導入するなど負担軽減に努めており、進学に当たっては、給付型とあわせて無利子奨学金などを活用いただくことを想定しています。

 給付型奨学金については、まずは制度を安定的に運用し、定着を図ることで、進学の後押し効果を十分に発揮することが重要であります。引き続き、高等教育の負担軽減を進めるべく、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、児童養護施設退所者等への支援施策の教育的、社会的効果についてのお尋ねでありますが、今回の給付型奨学金においては、対象者の中でも特に経済的に厳しい、児童養護施設退所者や里親出身者といった社会的養護を必要とする学生に対して特別な配慮を行うこととし、月額の給付に加えて、入学金相当額として二十四万円の一時金を追加給付することとしております。

 児童養護施設退所者等が大学等へ進学する場合、進学のための準備のみならず、自立のための生活基盤を整える必要があり、また、学生生活を送る上でも、保護者からの支援が見込めないことから、他の学生に比べ非常に大きな負担を伴います。

 このような厳しい状況にあっても、厚生労働省の自立支援資金貸付事業による支援と給付型奨学金による支援とを組み合わせて利用していただくことにより、安定した生活基盤を築きながら、学生生活に必要な資金を賄うことができるようになるものと考えております。

 厚生労働省と連携して、両制度の周知を図るとともに、両制度が相まって、進学の後押し効果を十分に発揮できるよう努めてまいります。

 次に、財源確保のための奨学金事業の見直しについてお尋ねでありますが、奨学金制度については、給付型奨学金の創設や無利子奨学金の大幅な拡充などの抜本的な制度改正を行うことを踏まえ、奨学金制度全体を見直すこととしたところであり、より低所得の方や、より必要性の高い方への支援を手厚くする観点から、現在、制度の見直しの検討を行っております。

 具体的には、無利子奨学金について、比較的所得が高い世帯の学生については、所得に応じた貸与額を設定するとともに、大学院業績優秀者返還免除制度について、修士課程から博士課程の学生へのシフトを図るなどの見直しを行うことを検討しております。

 このうち、大学院業績優秀者返還免除制度については、博士課程進学者の減少が課題となっている現状を踏まえ、特に国立大学において、博士課程の学生への支援を相対的に厚くし、経済的負担の軽減の充実を図ろうとするものです。

 国立大学の大学院進学者への支援については、あわせて授業料減免の拡充を図っており、来年度予算案においても、全体として経済的支援の充実が図られているものと考えております。

 今後とも、こうした支援を通じて、我が国のあらゆる分野で活躍し、発展に貢献する中核的な人材を育成するとともに、大学院進学のインセンティブを高めることができるよう努めてまいります。

 次に、学資支給基金の充実、安定化に向けた取り組みについてのお尋ねでありますが、給付型奨学金を安定的に運用し、毎年度確実な支給を可能とすることが必要であり、学資支給基金を充実、安定させることは極めて重要です。

 このためには、一定の余裕金も含めた基金を造成し、年度を超えた弾力的な支出を可能とすることが求められ、平成二十九年度予算案においては、二十九年度先行実施の対象者二千八百人分について、在学期間分の支給額を見込んで七十億円を計上しております。

 この学資支給基金には、毎年度、予算の範囲内において政府から補助する資金をもって充てることとしていますが、民間企業や個人からの寄附など、政府以外の者から出捐も可能としております。

 給付型奨学金制度を将来にわたって安定的に運用できるよう、政府として必要な規模の資金を確保していくことはもちろん、企業や個人からの寄附も促進しつつ、基金の充実、安定化を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、機関保証料率の引き下げについてお尋ねがありました。

 来年度から無利子奨学金において導入する新たな所得連動返還型奨学金制度においては、所得が低い返還者は返還期間が長期化することから、人的保証である連帯保証人の返還能力が返還終了まで確保されないケースがふえることが懸念されるため、機関保証に移行するべきであることが有識者会議において示されており、その際、保証料の引き下げについてもあわせて検討するべきとされております。

 文部科学省におきましては、有識者会議の議論を受けて関係機関と協議を行い、このたびの所得連動返還型奨学金制度の導入に合わせて、加入者数が増加することを前提に、二十五年後まで安定的に運用するためのシミュレーションを行った上で、機関保証の保証料率を〇・六九三%から〇・五八九%へと約一五%分引き下げることといたしました。

 機関保証制度は、連帯保証人や保証人を立てることなく、学生みずからの意思と責任において大学等で学ぶことを可能にする制度であるとともに、奨学生全体で保証を分担するという互助会的な仕組みであります。今後についても、機関保証制度の安定的運用を図りつつ、運用状況を見ながら、適切な保証料となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 富田先生から、給付型奨学金について二問お尋ねがありました。

 まず、給付型奨学金の給付額の拡充についてのお尋ねがあっております。

 給付型奨学金制度の給付額につきましては、学生の生活費の実態を踏まえて、国立、公立、私立といった進学先の違いや、自宅また自宅以外といった通学形態の違い、また、給付の対象とならない世帯との公平性などを考慮の上、設定されたものと承知をいたしております。

 今後につきましては、平成三十年度進学者から本格運用をしていくところであり、まずは、制度を当面安定的に運用し、定着を図ることで、後押し対策を十分に発揮することが重要であろうと考えております。

 次に、給付型奨学金に係る学資支給基金の充実、安定化についてのお尋ねがあっております。

 この学資支給基金につきましては、毎年度、予算の範囲内において政府から補助する資金をもって充てることに加え、御指摘のように、民間企業からの寄附などを充てることも可能といたしております。なお、企業や個人からの寄附を促進するため、この基金も含め、奨学金事業を行う学校法人や公益法人などに対して寄附を行った場合、所得税や法人税を軽減しているところでもあります。

 こうした民間企業などからの寄附等の状況も踏まえつつ、制度を安定的に運用し、定着化を図ってまいりたいと考えております。(拍手)

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議長(大島理森君) 大平喜信君。

    〔大平喜信君登壇〕

大平喜信君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人日本学生支援機構法改正案、いわゆる給付型奨学金法案について質問します。(拍手)

 安倍総理は、施政方針演説で、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりませんと述べました。しかし、一体誰が、希望しても進学できない環境をつくってきたのでしょうか。

 まず問われるべきは、日本の大学の学費が極めて高いことです。今や、国立大学の初年度納付金は八十一万七千八百円、私立大学は平均で約百三十一万円に上ります。

 学生生活調査によれば、大学生の学費と生活費を合わせた平均額は年間百八十六万二千円です。このうち学費は百十九万五千三百円で、実に支出の六割を占めています。二年前と比べても、学費は二万円近く上がり、生活費は約四万円も減少しています。

 このような極めて異常な状況をつくってきた歴代の自民党政権の責任は極めて重大です。今行うべきは、高過ぎる学費を引き下げることではありませんか。大臣の答弁を求めます。

 奨学金は本来、学生の生活費補填が目的ですが、今はそれが学費の支払いに充てられており、多くの学生が生活のためにアルバイトに追われています。実際、学生のバイト就労率は七一・九%に上り、週二十時間以上が一三・九%、深夜の就労は二〇・七%にも及びます。奨学金を利用する学生は、九〇年代には二割程度だったものが、今では五割を超えています。格差と貧困の拡大が進む中、世帯収入が百万円も減少していることが重い負担に拍車をかけています。これが今の実態ではありませんか。

 しかも、重大なことは、この奨学金の大半が有利子奨学金だということです。

 一九九九年に、自民、公明両党の合意で、有利子奨学金の規模を増大させました。今や、奨学金事業全体の六割以上が有利子となっているのです。その結果、多くの学生が、卒業時に三百万円、五百万円もの奨学金という名の借金を背負わされる状況がつくり出されたのではありませんか。

 その上、大学を卒業しても正社員になれないという不安定な雇用環境の中で返済を迫られ、返済が滞れば延滞金を課され、裁判というおどしまでかけられている。まさに、サラ金まがいの取り立てが横行しています。この実態を放置し続けるのですか。延滞金や強引な取り立ては直ちにやめさせるべきです。そして、有利子奨学金は全て無利子にするよう望みます。

 今、進学を希望する多くの若者たちが直面するのは、進学をしてバイト漬けと借金返済という日々を送るか、あるいは進学を断念し夢を諦めるかという余りにも苦しい選択なのです。

 こうした深刻な実態に対し、多くの学生、保護者が立ち上がり、長年にわたってその改善を求め、給付奨学金の創設を要求してきましたが、安倍政権は冷たく突き放してきました。

 今回、ようやく給付型奨学金を創設することになりましたが、本法案はその期待に応えるものとなっているでしょうか。

 まず、支給対象の問題です。

 対象となる家計基準は住民税非課税世帯としています。しかし、経済的理由で進学ができない学生は、決して住民税非課税世帯にとどまりません。なぜ住民税非課税世帯だけに対象を絞るのですか。

 しかも、住民税非課税世帯の高校生は、政府の試算でも一学年十五万九千人いるにもかかわらず、支給されるのはその一割程度の二万人とされています。なぜ二万人なのですか。その根拠をお示しください。

 この数は、高校ごとに見れば二人から三人程度にすぎません。これでは、希望する圧倒的多数の学生が対象外となってしまうではありませんか。貧困層のさらにそのごく一部しか対象にならないで、どうして、誰もが希望すれば進学できる環境と言えるのですか。大臣の答弁を求めます。

 さらに、住民税非課税世帯であっても、国立大学に通う自宅生は、授業料免除を受けるため、給付型奨学金は支給されないことになっています。

 その上、給付といいながら、学業成績次第では、支給の停止にとどまらず返還まで求めるとしています。給付というなら、文字どおりの渡し切りにするべきではありませんか。

 まさに、給付とは名ばかりで、何重にも看板に偽りありと言わなければなりません。

 給付型奨学金の創設のための財源も問題です。

 政府は、大学院生の奨学金返還免除制度の見直しや無利子奨学金の減額で充てるとしています。現在の乏しい教育費負担軽減策をさらに削って財源に充てるというのは、困っている人同士にとり合いを求めるやり方で、新たな進学困難者を生み出すことになり、本末転倒ではありませんか。

 我が党は、規模も内容も拡充をして、文字どおりの給付奨学金とすることを強く求めます。

 誰もが希望すれば進学できる環境をつくるために必要なことは、日本国憲法を文字どおり実践することです。憲法第二十六条には、全て国民は、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有すると定めています。これは、生まれや育ち、家計の状況に左右されることなく学ぶことができるという規定であり、人権規定の根幹をなすものです。政府には、学ぶ権利を保障するために教育条件を整備する責務があります。

 ところが、自民党政権は、国際人権規約にある高等教育を受ける権利の保障として漸進的な無償化条項を世界の流れに逆行して長年にわたって留保し続け、世界でも異常な高学費を放置し、学生に負担を押しつけてきました。ヨーロッパ諸国では、奨学金は給付が当然で、学費も無償または低額です。

 二〇一二年にようやく留保が撤回され、今や、安倍政権には高等教育の無償化のための具体的措置をとることが求められているのです。こうした経過に照らしても、教育予算を抜本的に拡充して、教育費の無償化に進むことは当然ではありませんか。

 大臣の答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣(松野博一君) 大平議員から十の質問がありました。

 最初に、学費の値上げについてお尋ねがありました。

 意欲と能力のある学生が家庭の経済状況にかかわらず大学教育を受けられるようにすることは重要なことと考えております。

 国立大学の授業料については、最近の十一年間は値上げしておらず、来年度も授業料標準額の引き上げを行わないこととしています。

 また、平成二十九年度予算案では、授業料減免の対象者について、国立大学では二千人の増員、私立大学では一万人の増員を計上しています。

 御指摘の、各大学の授業料そのものを引き下げることについては、必要な財源の確保などの観点も含め、総合的な検討が必要であると考えています。

 一方、必要な財源を確保しつつ、大学等奨学金事業や授業料減免の充実など、今後とも教育費負担の軽減に努めてまいります。

 次に、学生のアルバイトや奨学金の利用状況に関するお尋ねでありますが、日本学生支援機構の奨学金は、学生生活費の実態を踏まえて貸与額を設定し、学生の希望に応じて貸与を行っています。

 アルバイトにより学業に支障が出るようなことは望ましいことではないと考えており、奨学金制度や授業料減免の充実により、学生が安心して学ぶことができる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、奨学金の負担に関するお尋ねでありますが、有利子奨学金については、平成十一年度の自公合意に基づき大幅に拡充を図ったことにより、それまで奨学金の貸与を受けられなかった学生への貸与が可能となりました。これにより、経済的な理由で進学を断念せざるを得なかった学生等の進学を後押しすることができ、進学率の向上に大きく寄与してきたものと認識をしています。

 しかしながら、高等教育段階における教育費負担が一部の学生にとって大きな負担となっているという課題があることは認識しています。

 このため、無利子奨学金の拡充や、所得連動返還型奨学金制度の導入等、各種負担軽減策の充実を図ってきたところであり、引き続き、学生が安心して学ぶことができるよう、財源の確保をしながら奨学金事業の充実に努めてまいります。

 次に、奨学金の返還についてお尋ねがありますが、日本学生支援機構の奨学金制度は、貸与した学生からの返還金が次の学生への奨学金の原資となっており、返還できる方からはしっかりと返還してもらうことが重要です。

 返還に係る各種取り組みは、民間等の事例を参考にし、あらかじめ本人に対して説明するなどしており、強引な回収を行っているとの御指摘には当たらないと考えます。

 一方、経済的理由等により返還が困難な方に対しては、返還期限猶予制度や減額返還制度を適用することにより対応しているところです。

 また、無利子奨学金については、平成二十九年度予算案において、住民非課税世帯の子供たちに係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、残存適格者を解消し、必要とする全ての学生が奨学金を受けられるようにしています。

 引き続き、奨学金の返還に係る不安及び負担が軽減されるよう、奨学金制度の充実を図ってまいりたいと考えております。

 次に、給付型奨学金の対象についてのお尋ねでありますが、給付型奨学金制度は、より経済的に厳しい世帯の進学を後押しすることが政策趣旨であり、所得基準については、現在の小中高等学校で行われている給付型支援制度で基準として広く用いられている住民税非課税世帯を対象とすることとしたものです。

 次に、給付規模についてのお尋ねでありますが、給付型奨学金の対象者については、住民税非課税世帯の大学等進学者のうち、給付型奨学金を支給するにふさわしい学生を対象にするという観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を課すこととし、二万人を対象としております。

 次に、希望すれば誰もが進学できる環境についてのお尋ねでありますが、文部科学省では、これまで、意欲と能力のある学生が経済的理由によって進学を断念することがないよう、奨学金制度や授業料減免の充実などに取り組んでまいりました。

 平成二十九年度予算案においては、授業料減免の一層の充実に加えて、無利子奨学金について、低所得者世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃するとともに、残存適格者を解消することとしております。また、卒業後の所得に応じて返還月額が変わる所得連動返還型奨学金制度を導入することとしております。

 さらに、意欲と能力がありながら、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、我が国として初めて、返還不要の給付型の奨学金を創設することとしております。

 これら一連の施策を一体的に進めることにより、確実に子供の進学を後押しすることが可能になると考えております。

 次に、給付型奨学金の減額及び返還についてのお尋ねでありますが、高等教育における教育費負担の軽減については、従来から、奨学金制度のほか、授業料減免などの各種支援方策を組み合わせながら、総合的に施策を講じてまいりました。

 国立大学においては、国費による授業料減免制度が整備されており、公平性の観点から、免除を受ける学生については給付型奨学金の減額を含めて調整することとし、給付型奨学金の対象者が国立大学に進学した場合には、授業料の全額免除を行う取り扱いとすることとしております。

 また、今回の給付型奨学金は渡し切りとしていますが、学生等の努力を促す観点から、毎年度、学業状況を確認することとしています。一方、貸与型奨学金以上に税の使途としての説明責任が問われるため、学業に励まず学業成績が著しく不振な者や学生としてふさわしくない行為を行う者については、返還を求める場合があることとしております。

 次に、給付型奨学金の財源についてのお尋ねでありますが、奨学金制度については、給付型奨学金の創設や無利子奨学金の大幅な拡充などの抜本的な制度改正を行うことを踏まえ、奨学金制度全体を見直すこととしたところであり、より低所得の者への支援を手厚くする観点から、現在、制度見直しの検討を行っております。

 こうした見直しにより、奨学金制度全体として効果的に教育費の負担軽減がなされるよう、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

 最後に、教育無償化のお尋ねでありますが、誰もが、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは大変重要です。

 このため、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減として、平成二十九年度予算案では、特に、幼児教育無償化に向けた取り組みの段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料減免等や、給付型奨学金の創設を含めた大学等奨学金事業の充実等に必要な経費を盛り込んでいます。

 今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育費負担軽減に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 大平議員から、給付型奨学金の財源と、教育予算の拡充、教育無償化について、二問のお尋ねがあっております。

 まず、給付型奨学金の財源のお尋ねですが、平成二十九年度予算におきましては、給付型奨学金の創設に加え、無利子奨学金の拡充など奨学金制度の抜本的な制度改正を行うことを踏まえて、制度全体を見直すことにより捻出された財源を活用することとしたところです。

 具体的には、大学院生の奨学金返還免除制度は、対象者数を変えない中で、修士課程から博士課程の学生へ支援を重点化しつつ、無利子奨学金は、比較的所得が高い世帯の学生について、所得に応じた貸与額を設定することといたしております。

 したがって、給付型奨学金の財源づくりのため、新たな進学困難者を生み出しているとの御指摘は全く当たっておりません。

 次に、教育資金の拡充、教育無償化についてのお尋ねがありました。

 平成二十九年度文部科学省所管予算案は、平成二十四年度当初と比べて、一千三十一億円減少しております。少子化に伴います教職員の定数の自然減、また教職員の若返りによる給与減、また平成二十八年度予算で創設した地方創生推進交付金への拠出などの影響によるものであります。

 こうした中におきましても、幼児教育の無償化の段階的推進、奨学金制度の充実、大学授業料減免の拡大など、必要な分野に重点配分を行っているところであり、予算の方向が間違っているのではないかとの御指摘も当たりません。

 なお、高等教育の無償化につきましては、国民負担率が先進国の中で最も低いレベルにあることも踏まえつつ、例えば、一般には大学を卒業すると生涯賃金が高まる中、中高卒の方との公平性の観点からどのような費用負担が適当かといった点からもよくよく考慮しながら検討を進めていく必要があろうと考えております。(拍手)

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議長(大島理森君) 浦野靖人君。

    〔浦野靖人君登壇〕

浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。

 我が党を代表して、ただいま議題となりました改正案につきまして質問いたします。(拍手)

 我が国が直面する重要な課題として、少子高齢化と人口減少、潜在成長率の低下と財政危機、そして教育格差を通じた所得格差の固定化などが挙げられています。これらの問題の解決に最も有効な政策の一つが、教育の全課程にわたる無償化であると我が党は考えており、結党時よりその実現を訴え続けてまいりました。

 幸いにして、今国会では、与野党ともに教育無償化に積極的な姿勢をお示しです。我が国の教育を無償化するため、各党が党派の対立を超えて合意し、教育無償化がどの政権においても続くようにするための絶好の機会であります。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねいたします。

 本年度以降の法律案、予算案では、教育無償化に向けて、新たにどのような政策を打ち出すべきとお考えでしょうか。また、政権交代にかかわらず教育無償化が続くようにするためには、これを憲法に定めるべきではないでしょうか。御認識をお伺いいたします。

 本法案では、大学などへの給付型奨学金が初めて創設されるということであり、その点は我が党としても評価します。

 ただ、その対象は極めて狭くなっております。家計基準は、住民税非課税世帯となっております。そして、学力・資質基準は、十分に満足できる高い学習成績等の結果を要求しています。貧困世帯の子供たちは、本人の努力の及ばない理由で結果を出せないことも多いため、こうした要件は問題です。

 文部科学大臣にお伺いいたします。

 この制度の要件が厳しいものとなったのは、現行の貸与型奨学金とのバランスを考慮したからではないでしょうか。もしそうならば、今後、大学教育の無償化を検討する際には、従来の制度の延長線上にある給付型奨学金を充実させるよりも、端的に授業料を無償化する制度を新たに創設するべきではないでしょうか。御認識をお伺いいたします。

 給付型奨学金の対象が限定的となった原因としては、もちろん財源の問題が挙げられます。十分な財源が確保できなかったため、現在想定されている給付規模は大変心もとないものです。本格実施初年度の平成三十年でも七十億円強、四学年が出そろう平成三十三年度からは毎年二百二十億円程度の試算とされています。

 我が党の試算では、大学の授業料無償化に必要な額は約二兆六千億円、教育の全課程無償化に必要な額は約四兆二千億円です。これほどの額の財源確保には、説得力ある政策効果を示す必要があります。各種の政策が経済成長に与える効果を分析した最近の研究の中には、子育て支援政策の効果が特に大きいと主張して注目されているものもあります。

 そこで、石原経済再生担当大臣にお伺いいたします。

 教育無償化政策の経済効果を、TPPの効果の試算のときのように、国際的に確立した手法を利用して内閣府で分析してはいかがでしょうか。与野党ともに教育無償化を主張している現在、こうした分析をしっかり行う価値はあると考えますが、御所見をお伺いいたします。

 我が党は、教育無償化を憲法改正で実現しようと考えております。教育無償化こそ、今国民が最も身近に、切実にその必要性を感じていると考えるからです。我が党が目指すのは、世論を二つに割るような憲法改正ではなく、ほとんどの国民が賛成できるような、いわば国民を一つにするための憲法改正です。このことを国民の皆様に申し上げて、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣(松野博一君) 浦野議員から二つ質問がありました。

 最初に、教育無償化についてお尋ねがありました。

 誰もが、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは大変重要です。

 このため、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減として、平成二十九年度予算案では、特に、幼児教育無償化に向けた取り組みの段階的推進、高校生等奨学給付金の充実、大学等における授業料減免等や、給付型奨学金の創設を含めた大学等奨学金事業の充実等に必要な経費を盛り込んでいます。

 今後とも、必要な財源を確保しつつ、教育費負担軽減に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。

 なお、憲法改正については、国会の憲法審査会において御議論を深めていただきたいと思います。

 次に、給付型奨学金のお尋ねでありますが、給付型奨学金制度については、生徒の進学を後押しするという観点から、平成三十年度の進学者から本格実施することとし、特に経済的に厳しい方を対象として、平成二十九年度進学者から一部先行実施することとしています。

 本格実施時の給付対象者は、住民税非課税世帯であって、各高校が定める学力・資質基準を満たす者として各高校が推薦する者とし、全体で一学年約二万人を対象とすることとしています。

 給付に当たっての学力・資質要件は、給付型奨学金を支給するにふさわしい学生を対象とするとの観点から、無利子奨学金よりも高い学力・資質基準を設けているところです。

 大学教育の無償化についてのお尋ねでございますが、高等教育段階の教育費負担軽減については、平成二十九年度予算案において、授業料減免や奨学金制度の一層の充実を図っているところです。授業料無償化については、教育費の家計負担の軽減策全体の中で、総合的な観点から優先順位をつけながら検討することが必要です。

 今後とも、意欲と能力のある学生が家庭の経済状況にかかわらず高等教育を受けられるよう、学生の経済的負担軽減を図ることは重要であると認識をしており、財源を確保しながらしっかりと取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕

国務大臣(石原伸晃君) 教育無償化の効果分析についてお尋ねがございました。

 全ての子供たちが、家庭の経済状況にかかわらず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる社会を実現していく必要がございます。

 そのため、平成二十九年度予算案において、教育費の負担軽減のための取り組みが盛り込まれており、低所得世帯のお子さんであっても安心して教育を受けられる環境整備が進められているものと承知をしております。

 委員御指摘の、教育が経済社会に与える効果等の分析については、私どもも、国民の皆様方の理解を得るために重要と考えており、教育行政を担当する文部科学省を中心に検討していく中で、内閣府としても協力してまいりたいと考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

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議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会

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 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       文部科学大臣   松野 博一君

       農林水産大臣   山本 有二君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       国務大臣     石原 伸晃君

       国務大臣     菅  義偉君

 出席副大臣

       文部科学副大臣  義家 弘介君


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