衆議院

メインへスキップ



第12号 平成29年3月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十九年三月二十三日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第七号

  平成二十九年三月二十三日

    午後零時三十分開議

 第一 津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)

 第二 臨床研究法案(第百九十回国会、内閣提出)

 第三 原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

 第五 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第六 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案(文部科学委員長提出)

 第七 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第八 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百九十二回国会、内閣提出)

 第九 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第十 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)

 日程第二 臨床研究法案(第百九十回国会、内閣提出)

 日程第三 原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

 日程第五 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案(文部科学委員長提出)

 日程第七 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百九十二回国会、内閣提出)

 日程第九 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 農業競争力強化支援法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


このページのトップに戻る

    午後零時三十二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第一、津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長秋葉賢也君。

    ―――――――――――――

 津波対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔秋葉賢也君登壇〕

秋葉賢也君 ただいま議題となりました法律案について、提案の趣旨及びその主な内容を御説明申し上げます。

 津波対策の推進に関する法律は、津波対策を総合的かつ効果的に推進するため、第百七十七回国会において災害対策特別委員会の提出により制定されたものであります。

 本法制定後、津波被害軽減のためには、国民の理解と関心を深めることが特に重要であるとの認識のもと、津波対策が進められてきました。

 本案は、津波防災の日の規定について、一昨年十二月の国連総会において、本法が津波防災の日と定める十一月五日を世界津波の日とすることが決議されたことも踏まえ、津波対策に関する国際協力の推進に資するよう配慮する旨を追加するとともに、本年三月三十一日限りその効力を失うこととされている地方公共団体に対する国の財政上の援助に関する規定の期限を平成三十四年三月三十一日まで五年間延長する改正を行おうとするものであります。

 本案は、去る十六日の災害対策特別委員会において、全会一致をもって成案と決定し、これを委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 臨床研究法案(第百九十回国会、内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、臨床研究法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長丹羽秀樹君。

    ―――――――――――――

 臨床研究法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔丹羽秀樹君登壇〕

丹羽秀樹君 ただいま議題となりました臨床研究法案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、臨床研究の対象者を初めとする国民の臨床研究に対する信頼の確保を図ることを通じてその実施を推進するため、臨床研究の実施の手続等を定めようとするもので、その主な内容は、

 第一に、未承認もしくは適応外の医薬品等を用いる臨床研究または医薬品等の製造販売業者等から資金の提供を受けて実施する臨床研究については、厚生労働大臣が定める臨床研究実施基準に従って実施しなければならないこととすること、

 第二に、これらの臨床研究の実施に起因するものと疑われる重篤な疾病等が発生した場合には、厚生労働大臣に報告しなければならないこととすること、

 第三に、これらに違反する場合には、厚生労働大臣が改善措置や研究の停止等を命ずることができることとすること、

 第四に、医薬品等の製造販売業者等の臨床研究に関する資金の提供に関する情報の公表制度等を定めること

等であります。

 本案は、第百九十回国会に提出され、継続審査となっていたものであります。

 今国会においては、去る三月十七日、提案理由の説明の聴取を省略した後、質疑を行い、質疑終局後、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本維新の会より、本法律案中の臨床研究法の法律番号の年表示を「平成二十八年」から「平成二十九年」に改める修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。

 次いで、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長平将明君。

    ―――――――――――――

 原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔平将明君登壇〕

平将明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国際原子力機関の勧告等を踏まえ、我が国の原子力利用における安全対策の一層の強化を図るため、原子力事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化、放射線障害の技術的基準に関する放射線審議会の機能強化等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、十日山本環境大臣から提案理由の説明を受け、次いで、十四日から質疑に入り、十七日参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を重ね、同日質疑を終局いたしました。質疑終局後、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第四、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長竹内譲君。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本件は、日本放送協会の平成二十九年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。

 まず、収支予算は、一般勘定において、事業収入七千百十八億円、事業支出七千二十億円を計上し、事業収支差金は九十八億円となっております。

 次に、事業計画は、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実などによる海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K、8Kなどの先導的なサービスの推進に重点を置き取り組むこととしております。

 資金計画は、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 なお、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、協会のあり方について、業務、受信料、ガバナンスの三位一体で改革を進める検討を早急に実施することを求めるとともに、この収支予算等の実施に当たっては、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられていることを十分に自覚し、業務の合理化、効率化に向けたたゆまぬ改善の努力を行うとともに、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが必要であるとする総務大臣の意見が付されております。

 本件は、去る三月十五日本委員会に付託され、翌十六日、高市総務大臣から提案理由の説明を、日本放送協会会長から補足説明をそれぞれ聴取した後、質疑に入り、二十一日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと決しました。

 なお、本件に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第五とともに、日程第六は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第五 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案(文部科学委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第五、独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案、日程第六、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。文部科学委員長永岡桂子君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案及び同報告書

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔永岡桂子君登壇〕

永岡桂子君 ただいま議題となりました両法律案につきまして申し上げます。

 まず、独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的事情により高等教育への進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しするため、給付型奨学金制度の創設に係る所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は、

 第一に、独立行政法人日本学生支援機構の目的及び業務に「学資の支給」を追加すること、

 第二に、学資の支給に係る業務等に要する費用に充てるため、学資支給基金を設けること

などであります。

 本案は、去る三月九日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、十五日、松野文部科学大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、十七日には参考人から意見を聴取しました。

 二十二日に質疑を終局した後、日本共産党より修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度は、学校等の管理下で発生した児童生徒等の災害に対して給付を行うものであり、全国の約千七百万人の児童生徒等の万一の事故の際の安心にとって不可欠なものとなっております。

 しかしながら、現在、専修学校高等課程、企業主導型保育施設及び認可外保育施設については、災害共済給付制度の対象となっておりません。

 そこで、本案は、専修学校高等課程の管理下における生徒の災害について、災害共済給付の対象にするとともに、企業主導型保育施設及び一定の基準を満たす認可外保育施設の管理下における児童の災害について、当分の間、災害共済給付の対象にしようとするものであります。

 本案は、二十二日、文部科学委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、本委員会におきまして、本案に関し、独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度に関する決議が行われたことを申し添えます。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第五につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第六につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第七 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第七、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長御法川信英君。

    ―――――――――――――

 関税定率法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔御法川信英君登壇〕

御法川信英君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、関税率等について所要の改正を行うほか、税関における水際取り締まりの強化を図るため、旅客に係る事前報告制度の拡充等を行うものであります。

 本案は、去る三月十七日当委員会に付託され、二十一日麻生財務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十二日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第八 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百九十二回国会、内閣提出)

 日程第九 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第八、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第九、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第十、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長三ッ矢憲生君。

    ―――――――――――――

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔三ッ矢憲生君登壇〕

三ッ矢憲生君 ただいま議題となりました三件について、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 日米物品役務相互提供協定、いわゆる日米ACSAは、平成二十八年九月二十六日に東京において署名され、第百九十二回国会に提出されましたが、今国会に継続審査となり、本年一月二十日外務委員会に付託されました。

 日豪ACSAは一月十四日にシドニーにおいて、日英ACSAは一月二十六日にロンドンにおいて、それぞれ署名され、今国会に提出されました。

 これらは、いずれも相互主義の原則に基づく自衛隊と相手国軍隊との間の後方支援の分野における物品、役務の提供のための枠組みを定めるものであります。

 三件は、去る三月十四日、本会議において趣旨の説明及び質疑が行われ、日豪及び日英ACSAは、同日外務委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、翌十五日岸田外務大臣から三件の提案理由の説明を聴取し、十七日は安倍内閣総理大臣及び稲田防衛大臣の、また、昨二十二日は防衛大臣の出席を求め、質疑を行いました。同日、質疑を終局し、討論を行い、採決いたしましたところ、いずれも賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 三件につき討論の通告があります。順次これを許します。中島克仁君。

    〔中島克仁君登壇〕

中島克仁君 民進党の中島克仁です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました日米物品役務相互提供協定外二協定に対し承認を求める件について、反対の立場で討論を行います。(拍手)

 まず、本論を述べる前に一言申し上げます。

 稲田大臣は、南スーダンPKO陸自部隊の日報の件でも、学校法人森友学園の件においても、虚偽答弁を何度も何度も繰り返し、国民から完全に信用を失いました。文民統制、いわゆるシビリアンコントロールの大前提は、言うまでもなく、文民たる政治家が主権者である国民に対し正直かつ誠実であることですが、もはや、稲田大臣が我が国の平和と安全を語っても、国民は誰一人信用いたしません。今や、我が国の平和と安全にとって最大の障害は、稲田大臣その人であります。国民の皆さんに安心していただくため、一刻も早く防衛大臣を辞任するべきであります。

 加えて、この日報問題は、稲田大臣が辞任したからといって幕引きを図れるものではありません。先日、PKOの部隊が南スーダンで接触事故を起こしていたことや、十八日に南スーダン政府にPKO派遣部隊五名が拘束されるという事案が発生したことが明らかになりました。

 現地で発生するこれらの事故、事案等の責任や再発防止を検証するにしても、現場の日報がどれほど公文書として重要か、改めて認識されました。日報の存在を隠蔽しようとしていたとすれば、今の防衛省・自衛隊の組織体質を早急に改革しなければなりません。

 安倍総理は、みずからが長となっている組織を掌握できていない稲田大臣を即刻交代させ、日報問題の全容解明と組織改革に一刻も早く取り組む責任があります。

 以上申し上げた上で、まず、日米ACSAの反対理由を申し上げます。

 最大の問題は、存立危機事態等における物品、役務の提供、後方支援が明示的に協定の適用対象となっていることです。存立危機事態は、断じて容認できない、曖昧で歯どめのない武力行使の要件です。

 安倍総理は、存立危機事態の例示として、ホルムズ海峡が機雷で封鎖され、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を挙げておりました。

 当時、国民の八割が説明不足と感じていましたが、このような曖昧な要件のもと、我が国に対する武力攻撃が発生も切迫もしていないにもかかわらず、武力行使を行う米軍と一体となって武力行使や後方支援を行うことは、専守防衛から逸脱し、我が国の平和主義を揺るがすものです。よって、存立危機事態を明示して米国とACSA協定を結ぶことは断じて容認できません。

 さらに、日米ACSAでは、国際平和共同対処事態を明示的に適用対象として挙げています。折しも、米国は日本の自衛隊の果たす役割の拡大を求めており、安倍総理もみずから、より多くの責任と役割を果たすとおっしゃっています。

 安保法制の審議の中で、現在米国を中心に行っているISILへの攻撃について、安倍総理は、我が国は政策判断として今後も軍事的作戦を行う有志連合に参加する考えはありませんと後方支援することを否定されましたが、この協定が承認されると、国内法上も協定上もハードルがなくなります。総理の政策判断も変わってしまうのではないでしょうか。

 他国の軍隊が行う軍事作戦や武力行使の後方支援は個別に慎重に判断する必要があり、共同対処事態が協定の適用対象となっていることにも反対です。

 我々は、日豪、日英ACSAを頭から否定するものではありません。しかし、日豪、日英ACSAでは、武力攻撃事態等の重要影響事態等、有事の事態が協定に明示されていませんが、政府は、「その他の活動」で日本に対する武力攻撃事態を含む平和安全法制の全ての事態を含むと答弁しています。国家間の、しかも武力行使が行われている事態における物品、役務提供の取り決めを「その他」で読むとするのは、余りにもいいかげんではないでしょうか。

 いずれにせよ、我々は、昨年提出した周辺事態法改正案でも弾薬の提供は除くとしていました。我々は重要影響事態そのものを認めませんが、幾ら政府に問いただしても、具体的にそういったニーズが、米国はおろか、豪、英から示されたという答弁はなく、協定上、重要影響事態で弾薬を提供できるようにしておく必要はなく、武力との一体化の観点からも承認はできません。

 以上、議題となりました三協定の承認案件について、改めて反対であることを申し上げます。

 最後に、きょう、午前中の参議院に引き続き、この本会議散会後、衆議院予算委員会において、森友学園籠池前理事長の証人喚問が行われます。与党幹部からは、あたかも総理への侮辱があったから証人喚問を行うという旨の発言がありました。権力者に逆らったら証人喚問というのは、まるで独裁国家ではないですか。与党には、総理に逆らった籠池氏だけではなく、迫田国税庁長官ら森友疑惑にかかわった官僚の参考人招致または証人喚問にもきちんと応じるよう強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 佐々木紀君。

    〔佐々木紀君登壇〕

佐々木紀君 自由民主党・無所属の会の佐々木紀です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となっております日米物品役務相互提供協定、日豪物品役務相互提供協定及び日英物品役務相互提供協定につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 これら三つの協定については、重要広範議案として、外務大臣に加え、内閣総理大臣及び防衛大臣も外務委員会に出席し、審議を行いました。特に、防衛大臣については、これまでにない長時間の審議に出席したものであります。

 このような異例の形で、かつ、条約が重要広範議案として外務委員会で審議されたことは初めてであります。それにもかかわらず、一部の野党が審議の中でこれら協定の内容について十分に触れなかったことは、まことに遺憾であります。

 一方、これらの協定が速やかに審議され、委員会で採決されたことは評価すべきと考えております。

 たび重なる北朝鮮による弾道ミサイル発射、中国の不透明な軍備増強や国際テロの脅威拡大などに見られるとおり、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることについては、広く共通認識があるものと考えます。

 このような現実を前にして、我が国としては、抑止力の向上と国際社会の平和と安全により積極的に寄与することを通じ、我が国の安全保障をより確かなものにすることが急務であると考えます。

 そのような問題意識から、我が国は、我が国及び国際社会の平和及び安全のための切れ目のない体制を構築すべく、平和安全法制を整備いたしました。

 日米、日豪及び日英物品役務相互提供協定、いわゆるACSAは、この平和安全法制の成立を踏まえ、それぞれの国の法令により認められる、日本国の自衛隊と相手国の軍隊との間における物品または役務の提供に係る決済手続等を定めるものであります。

 まず、米国及び豪州との間では、これまでの協定を改め、新たなACSAを締結することにより、平和安全法制に基づく物品または役務の提供についても現行のACSAに定める決済手続等を適用することができるようになります。

 また、日英ACSAについては、アジアと欧州でお互いに最も緊密な安全保障上のパートナーである両国の間の安全保障及び防衛協力の拡大を踏まえ、同協定を締結することとしたものであります。

 日米、日豪及び日英ACSAのいずれも、物品または役務の提供の対象となる活動や場面及び提供される物品または役務の範囲は、基本的に同じであります。

 ACSAは、あくまでそれぞれの国の法令により認められる範囲での物品または役務の提供に係る決済手続等を定めるものであり、物品または役務を提供する権限を付与するものではありません。しかしながら、これらの協定の締結は、こうした物品または役務の提供を円滑に行う上で不可欠であり、日本国の自衛隊とそれぞれの国の軍隊が行う活動において、それぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進するものであります。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、これらの協定の締結は、アジア太平洋地域の平和と安全の礎である日米同盟の対処力、抑止力の強化に加え、米国以外の国との間で今まで以上に幅広い協力を行うことを可能とするものであり、我が国及び国際社会の平和及び安全に積極的に寄与することにつながるものであると考えます。

 我が国の平和と安全を維持し、国民の生命及び財産を守るためには、我が国を取り巻く安全保障環境の変化に機敏に対応していく必要があります。この観点から、日米、日豪及び日英ACSAの一日も早い締結が求められています。このことを申し上げて、私の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、日米、日豪、日英のACSA三協定に断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 本協定の審議のさなか、日報隠蔽問題で新たな事態が発覚しました。南スーダンPKOの自衛隊部隊の日報のデータが、日報を廃棄したと説明してきた陸上自衛隊内にも保存されていたのであります。国会で我が党が指摘したとおりだったわけです。

 驚いたことに、これまでの説明とつじつまを合わせるために、統合幕僚監部の防衛官僚の指示でデータを削除したと報道されています。許しがたい防衛省・自衛隊ぐるみの組織的な隠蔽ではありませんか。

 そもそも、当初、防衛省は、日報は廃棄済みと言い、ことし二月には統幕には全部あったと言い、そして最後は陸自にもあったと言う。当初の廃棄という説明は、全くの虚偽だったということなのではありませんか。

 日報隠蔽問題は、安倍政権が南スーダンへの自衛隊派遣を継続し、駆けつけ警護など安保法制に基づく新任務付与を強行実施するために、昨年七月の首都ジュバでの戦闘の生々しい実態を国会と国民に隠そうとしたものであります。国会に対して虚偽の答弁を重ねてきた稲田大臣の責任は極めて重大と言わなければなりません。

 さらに、この日報問題で明らかになった重大な問題は、稲田大臣が防衛省・自衛隊を全く掌握できていないということであります。実力組織である自衛隊が大臣を平然と欺く、極めてゆゆしき事態、まさにシビリアンコントロールの危機であります。防衛省・自衛隊をコントロールできていない稲田大臣に大臣の資格はないと言わなければなりません。

 防衛省の隠蔽はこれだけではありません。

 一昨年の安保法制審議の際に、我が党は、内部文書、河野統幕長の訪米会談記録を入手して追及しました。ところが、政府は、国会答弁で文書の存在を否定し、隠蔽し続けたわけであります。

 安保法制を強行するときも、発動するときも、そして自衛隊の派遣中も、都合の悪い情報は組織ぐるみで隠蔽し、国民を欺くなど、断じて許されません。

 国会の責任で、防衛省・自衛隊の隠蔽体質をただす必要があります。河野統幕長、岡部陸幕長、辰己総括官初め、関係者を証人喚問して、真相を徹底して究明し、責任を明らかにすべきであります。

 次に、ACSA三協定に反対する理由を述べます。

 本三協定は、世界規模で展開する米軍の軍事作戦の遂行に不可欠な物資や役務を、米軍が必要とするとき、いつでも調達できる、集団的軍事支援網を構築するためのものであります。

 アメリカは、一九八〇年の相互兵たん支援法の制定以来、世界各国とACSA締結を追求してきました。本三協定は、多国間の軍事協力の推進、強化を明記した新ガイドラインのもと、米軍を頂点とする日米豪英四カ国の軍事体制を強めるものであります。

 この間、アメリカの起こした戦争は、アフガニスタン報復戦争であり、イラク侵略戦争であります。この無法な戦争は、罪なき多くの市民の命を奪うと同時に、地獄の門を開き、テロの温床を広げる結果となりました。こうしたアメリカの無法な戦争に世界的規模で兵たん支援を行うなど、断じて許されません。

 本三協定は、安保法制、戦争法の内容を反映し、平時から、そして集団的自衛権の行使を認めた存立危機事態に至るまで、自衛隊があらゆる場面で他国軍に兵たん支援できる枠組みに拡大するものであります。

 補給や輸送、修理、整備などの活動は、武力行使と一体不可分の兵たんそのものであり、戦争行為の必要不可欠の要素をなすものです。本協定は、従来の非戦闘地域の建前さえも取り払い、政府自身が憲法上慎重な検討を要するとしてきた弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油、整備を可能とするものであります。

 政府が重要影響事態や国際平和共同対処事態と認定すれば、戦闘作戦行動へ発進準備中の米軍のオスプレイへの空中給油も可能となります。

 既に政府は、オスプレイにも給油可能な、一機二百億円以上もする新型空中給油機の取得を進めています。この間、沖縄米海兵隊のオスプレイの操縦チェックリストに、空中給油中に給油ホースの分離が不可能になった場合、壊滅的な影響が生じる危険が記載されていることが明るみに出ました。空中給油機、オスプレイなど、日本全国で進めている米軍と自衛隊の一体化や基地強化はやめるべきであります。

 日米同盟第一をとる安倍政権のもとで、今回の協定をてこにして、米軍の前方展開拠点を抱える日本を足場に、アメリカと同盟国の軍事体制を強化することは、周辺諸国に脅威を与え、軍事対軍事の悪循環を招くだけであります。

 侵略戦争の反省のもとに、二度と戦争を繰り返さないことを誓った戦後の出発点である日本国憲法に立ち返り、アジアに平和的環境をつくる外交の道にこそ進むべきであります。

 憲法違反の安保法制の廃止、集団的自衛権容認の閣議決定の撤回、そして本ACSA三協定の撤回を強く求め、反対討論とします。(拍手)

議長(大島理森君) 足立康史君。

    〔足立康史君登壇〕

足立康史君 日本維新の会の足立康史でございます。

 私は、党を代表して、日米ACSA、日豪ACSA、日英ACSAの三協定について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 私たち日本維新の会は、一昨年の延長後の通常国会、いわゆる安保国会において、政府・与党の平和安全法制に対する独自案を提出した上で、政府提案の平和安全法制に反対をいたしました。

 具体的には、憲法適合性を高めるため、存立危機事態にかかわる米軍等防護事態を定義し、日本を防衛するために活動している米軍に対する攻撃等に対処できる法整備を提案いたしました。

 そうした経緯からいえば、平和安全法制の施行を背景に改正された日米ACSAについても反対するという考え方もあり得ましたが、今回の日米ACSAについては、第一に、日米同盟の運用を支える基盤であるという観点から、そして第二に、単なる政局から日米ACSAに反対する民進党や共産党と一線を画する観点から、賛成する次第であります。

 そもそも、民進党は、二〇〇九年に政権を獲得するまでの間、累次の自衛隊関連法案に反対しておきながら、いざ政権につくと、自動失効し廃止となった一つを除いて、反対したはずの自衛隊関連法制の全てについて、修正することも廃止することもなく、自民党を中心とする政権が築いてきた制度体系の上で、のうのうと自衛隊を指揮命令したのであります。

 日本維新の会は、政権を獲得した暁には、既に提案しているとおり、平和安全法制を修正し、日米ACSAについても修正を加えますが、日米同盟の運用を支える基盤であるという観点から、日米ACSA、日豪ACSA、日英ACSAの三協定に賛成いたします。

 なお、いわゆる日報問題については、昨日の外務委員会において既に私が解明を終えた旨、そして、稲田大臣は辞任の必要なしと宣言し、討論を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 三件を一括して採決いたします。

 三件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 農業競争力強化支援法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、農業競争力強化支援法案について、趣旨の説明を求めます。農林水産大臣山本有二君。

    〔国務大臣山本有二君登壇〕

国務大臣(山本有二君) 農業競争力強化支援法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府においては、これまで、我が国農業を将来にわたって持続的に発展させるため、その構造改革を推進してまいりました。

 一方で、農業のさらなる成長を目指すためには、農業者に良質で低廉な農業資材が供給されることや、農産物の品質等が適切に評価された上で効率的に流通、加工が行われることなど、農業者の努力では解決できない構造的な問題に対処することが必要不可欠でございます。

 このため、平成二十八年十一月に改定された農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づき、国の責務や国が講ずべき施策等を明確化し、良質かつ低廉な農業資材の供給と農産物流通等の合理化の実現を図ることによって、農業の競争力の強化の取り組みを支援していくため、この法律案を提出した次第でございます。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国の責務等についてでございます。

 国は、国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況を踏まえ、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化を実現するための施策を総合的に策定し、これを着実に実施する責務を有することとしております。

 さらに、これらの施策が円滑かつ効果的に実施されますように、主務大臣及び関係行政機関の長は相互に連携を図りながら協力するものとしております。

 第二に、国が講ずべき施策についてであります。

 国は、農業資材事業及び農産物流通等事業について、良質かつ低廉な農業資材の供給または農産物流通等の合理化を実現するため、規制や規格の見直しを初めとする事業環境の整備、適正な競争のもとで高い生産性を確保するための事業再編または事業参入の促進、さらには、農業資材の調達先や農産物の出荷先を比較して選択する際の価格等の情報を入手しやすくする措置等を講ずることとしております。

 また、政府は、おおむね五年ごとに、国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況に関する調査を行い、施策のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。

 第三に、事業再編または事業参入を促進するための措置についてでございます。

 良質かつ低廉な農業資材の供給または農産物流通等の合理化を目的として行う事業再編または事業参入を促進するため、主務大臣は、実施指針を策定するとともに、事業者が策定した計画の認定を行うことができることとしております。

 その上で、主務大臣から認定を受けた事業者は、その計画の実施に当たり、農林漁業成長産業化支援機構による出資、日本政策金融公庫による融資、中小企業基盤整備機構による債務保証等の支援措置を受けることができることとしております。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 農業競争力強化支援法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小泉進次郎君。

    〔小泉進次郎君登壇〕

小泉進次郎君 自由民主党の小泉進次郎でございます。(拍手)

 冒頭、議題に入る前に、一点大臣にお伺いします。

 三月十五日、原発事故の影響で中国への輸入が禁じられている日本の十都県産の食品が中国国内で販売されていると中国国営中央テレビが批判したとのことです。番組では、イオンや無印良品の商品について、本社の所在地と製品の産地を混同し、事実誤認に基づいた批判が展開され、報道の結果、現地では日本産食品の販売自粛の動きもあるようです。

 両社は既に反論の声明を出していますが、日本の信頼にかかわる問題であり、政府としてもしかるべき対応が必要だと思います。政府としてどう対応するのか、お聞かせください。

 それでは、ただいま議題となりました政府提出の農業競争力強化支援法案につきまして、自由民主党・無所属の会を代表して質問いたします。

 私が農林部会長に就任したのが二〇一五年十月でした。あれから約一年半、最初は農林部会長になるというまさかの人事に正直戸惑いながら、ただただ必死で農業と向き合ってきましたが、今では、農業の重要性や魅力を教わり、歴史的な改革に携われたことに心から感謝とやりがいを感じています。まさに、農業は国の基であります。

 なぜ、今、農業改革なのか。作家の塩野七生さんは、トランプ大統領の登場に一喜一憂する日本の現状に触れながら、こう書いています。

 こういう時期こそ、日本さえその気になればできることを現実化してみてはどうか。TPPがもしも実現しなかったとしても、あれを契機に動き出していた日本の農業改革。これならば、トランプがどう出ようと関係なく、我々日本人だけでできることなのです。今の日本にとっての農業改革の重要度は、道路や橋やトンネルなどのインフラにも匹敵する。トランプなんかは忘れて、やってみようではないですか。

 塩野さんが言うとおり、農業改革は日本独自でやらなければならないし、必ずできます。そのためにも、これ以上、農業者個人の力と努力では解決できない課題を政治が傍観しているわけにはいきません。

 なぜ日本の農業は生産コストが高どまりしたままなのか。なぜ農林水産物の輸出が世界で六十位の地位に甘んじているのか。なぜ、米農家の平均年齢七十歳、農業者全体の平均年齢六十七歳という世界でも突出した高齢化が進んでしまったのか。三年後の東京オリンピック・パラリンピックにほとんど国産の農産物を出せない状況に陥ってもなお、国際認証の取得推進に本気度が見えないのはなぜなのか。

 このような構造的な課題を解決するための具体策を集めたものが、農業競争力強化プログラムであります。そして、本法案は、このプログラムを実行に移し、農業の構造改革の実現につなげる上で特に重要な法案であります。

 まず、本法案の背景にある政府の問題意識と狙いについてお聞かせください。

 次に、法案の基本的な事項について伺います。

 農水省が農業者を対象に行った調査結果によると、農協の生産資材の価格に満足している人は一一%、満足していない人は四倍の四四%。さらに、満足していない人のうち、理由として価格が高いと答えた人が七四%。そして、今後農協の資材販売事業に期待することとして、八〇%の人が価格の引き下げと回答しています。

 なぜ資材が高いのか。

 例えば、肥料について見ると、全体として多くの銘柄を少量生産する構造となっている結果、銘柄数は約二万、同じ成分の肥料でも別の銘柄として生産されるという実態があり、こうした非効率がコストアップの要因となっています。

 このような構造を温存する一因となった規制の見直しや、事業再編、参入を促すことにより、生産資材の価格を国際的な水準にまで引き下げることが必要です。

 農産物の流通構造も、昭和四十年代の食料需給を反映したシステムを、現在の食料需給や消費の実態に即したものへと改革する必要があります。これは、農業者ひとり勝ちの環境をつくるということではなく、農業、食品業界全体の強化、底上げを意味しています。

 本法案では、国が講ずべき施策として、規制や規格の見直し、生産資材、流通、加工の事業者を対象とした事業再編、参入への支援措置が盛り込まれていますが、どのように課題を解決していくのか、お聞かせください。

 そして、本法案が目指す構造改革の実現には、圧倒的なシェアを持つJAグループ・全農の生産資材の買い方、農産物の売り方の抜本的な改革が決定的に重要であると思います。

 そこで、全農改革の最も重要なポイントは何か。また、全農改革は自己改革とはいえ、全農も政府・与党のプログラムに合意した以上、これを忠実に実行することは当然であり、政府としても進捗状況をしっかりとフォローアップする必要があると思いますが、見解を伺います。

 以上、四点に絞って質問いたしました。

 安倍政権の進める農政新時代とは何か。総理は、先日の自民党大会で、農政新時代とは、守るべきはしっかりと守り抜き、そして攻めるべきは攻めると言いました。また、農林水産物の輸出額が過去最高の七千五百億円を超え、今まではね返されてきた五千億円の壁を突き破ったこと、高齢化の壁も、四十代以下の農業就業者が、統計をとって以来最高の二万三千人を超え、さらに、生産農業所得もこの十一年間で最高水準の三兆三千億円に伸びたことも紹介されました。

 このように、幾つもの壁を乗り越えてきた安倍政権の農業改革ですが、国際認証に対応できる生産現場への変革や農業者の意識改革など、まだまだ改革に終わりはありません。本法案をきっかけに、農政新時代への歯車が着実に回っていくことを期待して、質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣山本有二君登壇〕

国務大臣(山本有二君) 小泉議員の御質問にお答えをいたします。

 中国での日本産食品に関する報道についてのお尋ねがございました。

 御指摘の報道等は承知をしております。中国への輸入が規制されている食品を輸入、販売しているとして番組が取り上げた事例の中には、食品製造企業の本社住所を食品の製造場所と誤認するなどの問題があったようであります。また、番組中で報じられた日本企業は、事実誤認や、声明の発出等、対応されていると承知をしております。

 政府といたしましては、中国側に対し日本側の問題意識を伝達し意思疎通を行っておるほか、昨日、在中国日本大使館を通じ、中国国営中央テレビに対し、事実関係について説明するとともに正しい報道をするよう申し入れを行ったところでございます。

 また、三月十七日には、日本の食品表示の正しい見方を解説した資料を在中国日本大使館主催の日本産食品のPRイベントで配布するなど、現地の小売、流通業者等の方々に対し、正しい情報を発信しているところでございます。

 政府としましては、引き続き、正確な情報発信に努めていくとともに、輸入規制そのものにつきましても、科学的根拠に基づき可及的速やかに撤廃、緩和されるよう働きかけてまいります。

 本法案の背景にある問題意識と狙いについてのお尋ねがございました。

 我が国の農業が将来にわたって発展していくためには、農業の競争力強化は待ったなしの課題でございます。

 そのためには、農業の構造改革の取り組みとあわせて、農業者の努力では解決できない農業資材の価格の引き下げや、農産物の流通、加工構造の改革という構造的課題の解決に本腰を入れて取り組むことが必要でございます。

 一方で、現在、農業資材につきましては、メーカーの生産設備の稼働率が低い、多くの銘柄が少量ずつ生産されているなど、非効率な生産構造となっております。

 農産物の流通、加工につきましては、複数の事業者が介在する多段階構造となっているなど、現在の多様化する実需者、消費者のニーズに対応した構造となっていないといった問題を抱えております。

 これらを解決するため、国として規制の見直しを初めとする農業生産関連事業者の事業環境の整備を行うとともに、事業者の自主的な事業再編等を促すことにより、良質で低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化を実現するため、本法案を提出したところでございます。

 次に、生産資材や農産物流通の業界構造に関する課題の解決についてのお尋ねがございました。

 農業資材価格の引き下げや農産物の流通、加工構造の改革を実現するためには、本法案に規定した施策を一つ一つ着実に実施していくことが重要でございます。

 このため、国といたしましては、第一に、最新の科学的知見等を踏まえて規制の見直しを行うなど、農業生産関連事業者の事業環境を整備するための措置、第二に、これらの事業者が適正な競争のもとで高い生産性を確保するため、自主的な事業再編や事業参入を促進するための措置、第三に、農業者や農業団体が農業資材の調達先や農産物の出荷先を比較して有利な相手方を選択するための情報を入手できる措置等を講ずることとしております。

 さらに、事業再編や事業参入に取り組む事業者に対し、農林漁業成長産業化支援機構による出資、日本政策金融公庫による融資、事業再編を行う者に対する税制上の特例等の支援措置を講ずることとしており、これらによりまして構造的な課題の解決を図ってまいるところでございます。

 次に、全農改革のポイントと進捗状況のフォローアップについてのお尋ねがございました。

 農業の成長産業化に向けて、生産資材価格を引き下げ、また、農産物の流通、加工構造を改革していくためには、全農の生産資材の買い方、農産物の売り方の見直しが極めて重要でございます。

 全農は農業者の協同組織であり、生産資材の共同購入、農産物の共同販売の原点に立ち返り、現行スキームを点検、反省した上で、農業者の立場に立つことを明確にした事業スキームに改めていくことが必須であると考えております。

 具体的には、まず、競争入札などにより、農業者にとって有利な生産資材メーカーから購入するスキーム、次に、中間流通を通すのではなく、消費者、実需者への農産物の直接販売を拡大していくスキーム等を明確にし、これを実践することにより、農業者が成果を実感できるようにしていく必要があります。

 このためには、全農が、農業者の立場に立つという役職員の意識改革、新たなスキームを実行し得る外部からの人材の登用、新たなスキームに適応したスリムな組織体制の整備を進めることが前提になると考えております。

 農林水産省としては、こうした農業者のための全農改革が着実に進むよう、適切にフォローアップを行っていく考えでございます。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 重徳和彦君。

    〔重徳和彦君登壇〕

重徳和彦君 愛知県三河の国から参りました重徳和彦です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました農業競争力強化支援法案につきまして質問をいたします。(拍手)

 農業の言葉が輝くとき。それは、家族が食卓を囲み、とれたての季節の食材を楽しみながら、子供たちが大人たちから、日本が誇る農作物の価値や豊かさを学びながら味わうとき。四季折々の、美しくかぐわしい花をめでるとき。最近の言葉で言えば、地産地消、食育、顔の見える農業が実践され、地元の農家が育てた農産物を安心して買い求めることができるときでありましょう。

 農業という存在が将来にわたって輝き続けられる社会こそ、日本が次に到達すべき目標ではないでしょうか。

 私が暮らす愛知県三河地方は製造業が盛んなことで知られますが、農業生産額も全国屈指であります。その基盤をなすのは、多くの地方選出の議員の皆様方と同様、広大な平野で古来より営まれてきた農業と、そこで育まれた農村文化、そして人と人の結びつきを大切にする共同体、日本人の心であります。

 私たち政治家は、世界の政治経済が混乱する今こそ、日本の津々浦々に息づくこうした農村文化を守り支えることを通じて、世界がうらやむ成熟国家をつくり上げることに全力を注ぐべきではないでしょうか。

 以上申し上げて、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、本法案における競争力という言葉についてお尋ねします。

 市場原理において最も重要な要素は価格であり、農業分野でも価格競争力の向上は当然求められるものと考えます。しかしながら、日本の農産品は、工業製品と異なり、価格競争力で勝負するには制約が多過ぎます。作物の種類や気候、地形や地質などの条件の違いから、営農規模や地域の実情も多種多様であり、効率化、大規模化すればよいという市場原理の感覚は農業の現場から乖離しています。

 そこでまず、今回の法案で言う競争力を考える上で、外国に比べて厳しい条件に置かれる日本農業の価格競争力についてどうお考えなのか、どの程度重きを置いているのか、農林水産大臣にお伺いいたします。

 次に、日米を初めとした農業分野の国際交渉についてお尋ねします。

 先日、アメリカの通商代表に指名されたライトハイザー氏が、農業分野の市場開放について、日本を第一の標的とする旨の発言をしました。TPPを離脱したアメリカが、来月から始まる日米経済対話などを通じて、日本の農業に強い圧力をかけてくる可能性があります。

 これに対しては、日本の農家や消費者の立場に立ち、毅然とした国際交渉を行う覚悟や決意を持たなければ、日本の農業や食生活は劣化の一途をたどります。

 しかし、昨年のTPP審議を見ても、例えば、大幅にふえる輸入牛肉について、複数の議員から、アメリカなどで肥育に使われる成長促進ホルモン剤などの実態への懸念が示されましたが、食品表示の義務づけの提案などに対しても、政府は極めて後ろ向きな答弁に終始しました。

 日本はそんな国でよいのですか。安倍内閣が経済最優先を目指すなら、私たちは、安心最優先、幸福最優先という、一段質の高い国家を実現するための新しい政治の流れをつくりたい。国民が誇りを持って暮らせる尊厳ある国を目指したいと思います。

 そこで、国際社会でどんなに厳しい要求を突きつけられても、事農業分野については、体を張って交渉に臨み、守るべきを守るのが政治の役割ではないかと考えますが、いかがですか。

 次に、農業対策予算についてお尋ねします。

 昨年からの予算審議で、政府から、TPP関連予算はTPPがなくても必要な予算であるとの見解が示されています。税金の使い方の説明として、納税者を小ばかにしていると言わざるを得ません。

 しかし一方で、今後のアメリカとの農業交渉の行方は極めて不透明であります。今後の農業対策予算のあり方についてどう考えているのか、お答えください。

 次に、農協の自主改革と本法案との関係についてお尋ねします。

 まず、農協法との関係です。

 農協法改正に当たっては、平成二十七年六月、当時の維新の党の村岡敏英議員らが提出した修正案により、組合の構成員と役職員との徹底した議論などを促すことにより、当該改革の趣旨に沿った自主的な取り組みを促進するものとする旨の規定が追加されました。

 第二次安倍内閣で、内閣提出の法案に対し、野党が提出した修正案に与党が賛成し可決された例は三件しかなく、ふだんは野党の意見に全く耳を傾けない政府・与党も認めざるを得ない重要な修正だったことがわかります。この修正の意義についてどう考えるのか、お答えください。

 ところで、農協の自主的な取り組みとはどんなものでしょうか。

 例えば、私の地元のJAでは、組合員の声を農協の運営に反映させるため、毎年、運営方針などの説明会を各支店が手分けして、計百二十七会場できめ細かく行っています。

 その中では、農薬や肥料の値段を下げてほしい、出荷する農産物の価格を高くしてほしいという農協への不満の声も当然上がります。こうした要望に対し、大手量販店の資材価格を調査し、農協でも同等の価格で提供する取り組みを進めたり、農産物の産直店舗等での直接販売を進めることで買い取り価格を引き上げ、それまで米屋に直接売った方が得だと考えていた生産者の選択肢がふえるなどの成果を上げています。

 派手ではありませんが、こうして現場に根差し、組合員に真摯に向き合う改革姿勢こそが、協同組合の本来の姿だと考えます。

 今後も、JAグループは、スピード感を持って改革の実効性を上げ、目に見える成果で組合員の負託に応えなければなりません。

 他方、農水省は、現時点で、各地域の農業者団体などの改革への取り組みについて、果たしてどこまで個別具体的に把握しているのでしょうか。

 私の地元の製造業、物づくり現場には現地現物という言葉がありますが、食べ物づくりたる農業こそ、現地現物なくして改革などあり得ません。

 現場の取り組みを評価する前に、政府が介入できる法的根拠だけをつくって、上からの官製改革を押しつけようとする姿勢は、政府と農業現場との信頼関係を損ねるだけでなく、そもそも改革を進める手順として間違っていると思いませんか。

 あわせて、農水省は、現場における農協の自主的な改革への取り組みをどれほど把握し、どう評価しているのか、農林水産大臣にお尋ねします。

 次に、農業競争力強化プログラムとの関係についてお尋ねします。

 本法案の背景となっている昨年十一月の農業競争力強化プログラムでは、農協に対し、組織体制や人事登用のあり方にまで口を出し、数値目標や計画の策定を半ば強制的に求め、政府・与党がそのフォローアップを行うことが決められました。

 こうした経緯から、本法案の本当の目的は、農業競争力の強化というより農協をターゲットにした経営介入、すなわちフォローアップではないのかとの指摘があります。

 農業者の農業所得の増大が思わしくないなどの何かしらの場合に、本法案五条の努力義務規定を根拠に、国が農業者や農業団体に対し何らかの行動を求めることがあり得るのか、もしそうでないのであれば、罰則もなく指導の根拠にもならないこの条文の存在意義は何なのか、農林水産大臣に見解を求めます。

 また、過去に、このように一般に幅広く個人や団体の個別経営に努力義務を課している法律の例はあるのか、お尋ねいたします。

 次に、規制改革推進会議との関係についてお尋ねします。

 本法案十六条に基づき、国が例えば農業資材の価格の調査、公表などを行うことは、資材価格の合理化を後押しするには効果的な手法と考えます。

 しかし、これは、本法案がなくても行政の持つ一般的な権限に基づき実行できることであります。異論の多い法案をつくる前に、やれることはしっかりやることが先決ではないでしょうか。

 農協が自主的な改革に取り組む中、国による最初の調査、施策のあり方検討は、それぞれ一年以内、二年以内に行う規定が設けられていますが、これは、昨年十一月に現場から強い批判を浴びた規制改革推進会議の急進的な改革案を根拠づけるためのものではないかとの疑念が現場に広がっていますが、現時点での同会議としての考え方と本法案との関係について、規制改革担当大臣の答弁を求めます。

 また、本法案があろうとなかろうと、一年を待つことなく、十六条にあるような調査、公表は早急に任意で実施すればよいと考えますが、その考えはないか、農林水産大臣にお尋ねします。

 以下、本法案の各条文について質問いたします。

 本法案五条三項には、農協などの農業者団体に対し、農業者の農業所得の増大に最大限の配慮をするよう努めることとされています。同様の規定は、既に農協法七条二項に置かれています。なぜ改めて法定化するのか、農林水産大臣にお尋ねします。

 次に、本法案八条三号において、国は、農業資材であってその銘柄が著しく多数であるため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いものについて、銘柄の集約の取り組みを促進するとあります。

 現在流通している生産資材は、韓国より数倍値段が高いという話もあります。全く同じ商品なら、単価が安い方がいいことは言うまでもありません。

 しかし、肥料や農薬は、それぞれの作物や気候、土壌に合わせたきめ細かな品質へのニーズがあるからこそ、多くの銘柄が販売され、使用され、商品として成り立っているという農業固有の特性があることを忘れてはなりません。現場では、外国産の安い肥料は、粒の大きさがふぞろいで機械に合わなかったり、適当なロットで販売していないなど、作業効率上問題が生じているとの報告もあります。現場での使い勝手を考慮せず、単価だけ見て生産性を判断することはできません。

 そこで、八条三号の、著しく多数、規模が小さく、生産が低いとは、どういうケースを想定し、どういう基準で判断するのか、農林水産大臣の見解をお尋ねします。

 また、政府は、この規定に基づき、例えば細分化された施肥基準を見直すなどの取り組みを促進することを考えているようですが、この法案がなくてもこれを実行することはできるのではないでしょうか。このように、実行できる解決策は、法案をまつまでもなく、農水省として今すぐ対処すべきではないでしょうか。

 次に、この法案では、農業生産関連事業における生産性などの事情を政府が判断し、事業再編や事業参入を主導する仕組みになっていますが、本法案二条の事業再編促進対象事業や事業参入促進事業に係る事業分野を主務省令にどう定めようとしているのか、また、この規定に基づき、どんな事業者がどの程度再編、参入することを見込んでいるのか、見解を求めます。

 次に、農業者が個人で大手量販店等に直接出荷することとなった場合、不当な買いたたきに遭うことも懸念されますが、本法案六条、合議制の機関の協力規定に基づき、公正取引委員会が農産物の買いたたきの是正に取り組むことになると解釈してよいか、担当大臣の答弁を求めます。

 最後に、本法案三条において、国の責務として、国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況を踏まえ、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通の合理化を実現するとあります。ここで国内外とあるのは、国際的にビジネスを展開する欧米の多国籍企業に門戸を広げる意図があるのでしょうか。

 種子法の廃止法案も既に提出されていますが、日本の食料生産のかなめである稲、麦、大豆の種子生産まで、競争の名のもとに、安易に外資を含めた民間参入の道を開いていいのでしょうか。農業関連産業において外国資本企業が一定のシェアを占めることも想定しているのか、その場合、どのような対応をとられるおつもりなのか、あわせて御答弁を願います。

 以上で私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣山本有二君登壇〕

国務大臣(山本有二君) 重徳議員の御質問にお答えをいたします。

 本法案における競争力と日本農業の価格競争力についてのお尋ねがございました。

 本法案における農業の競争力とは、農業の生産性を高め、高い収益力を確保することにより持続的な農業発展ができる力であると考えております。

 したがいまして、競争力につきまして、価格競争力のみを指すものではありません。品質の高さや安全といった点も競争力の重要な要素であると考えておりまして、価格競争力のみに重きを置いているのではございません。

 次に、農業分野の国際交渉への対応方針についてのお尋ねがございました。

 農林水産省としましては、今後とも、国際交渉に当たりましては、我が国の農林水産業をしっかり守っていくため、農林水産品につきまして、貿易、生産、流通実態等を一つ一つ勘案して、そのセンシティビティーに十分配慮しながら、しっかりと交渉に取り組んでいく方針でございます。

 なお、先日の日米首脳会談における一連の会談を含め、米国政府から二国間交渉について具体的な要請はなかったものと承知しております。

 次に、今後の農業対策予算のあり方についてのお尋ねがございました。

 総合的なTPP関連政策大綱において、農林水産分野につきましては、まず、TPP発効を見据え、それに備えることをきっかけとして、協定の発効を前提とせずとも取り組むべき農林水産業の体質強化を加速する対策と、次に、TPP協定発効後に必要となる関税削減等の影響に対応するための経営安定対策の充実等の二種類の対策を行うこととしたところでございます。

 これまで、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度補正予算におきまして、TPP大綱を実現するための予算として措置したものは、全て前者に該当するものでございまして、これらを着実に実施して、農林水産業の体質強化を進めていく必要があるものと考えております。

 もとより、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの状況にあります。農林水産業の体質強化に必要な施策につきましては、今後とも着実に講じてまいる所存でございます。

 次に、平成二十七年の農協法改正法に対する修正の意義についてお尋ねがございました。

 平成二十七年の農協法改正法に対しましては、維新の党提案による修正が加えられまして、組合の構成員と役職員との徹底した議論を促すことにより、これらの関係者の意識の啓発を図り、改革の趣旨に沿った自主的な取り組みを促進する旨の規定が追加されたと承知しております。

 この規定が追加されたことの意義は、農協改革は自己改革が基本であり、その前提として、第一に組合員と役職員の徹底した話し合いと、第二にこれらの関係者の徹底した意識改革が重要であるということを明らかにしている点にあると考えております。

 次に、農協の自主的な改革への取り組みについてのお尋ねがございました。

 本法案は、農業生産資材価格の引き下げと農産物の流通、加工構造の改革の実現を目指すものであり、農協に対して改革を強制するものではございません。

 また、農協改革は、農協が農業者の協同組織としての原点に立ち返って、農業者の所得向上に向けて、地域の農業者と力を合わせて農産物の有利販売などに取り組んでいただくものであります。JAグループには、この考え方に沿って自己改革を進めていただきたいと考えております。

 各地の農協改革の進捗状況につきましては、都道府県に対して毎年実施していますヒアリングなどさまざまな機会を通じて、各農協の改革の取り組み状況を把握しているところでございます。

 全体として見れば、まだ十分な改革効果が出ていると評価する段階には至っておりませんが、今後さらに改革を促してまいりたいというように考えております。

 次に、第五条の農業者等の努力規定についてのお尋ねがございました。

 本法案では、農業生産関連事業者に対して、良質で低廉な農業資材の供給や、農産物流通等の合理化の実現に資する取り組みを持続的に行うよう努めることを求めております。取引相手である農業者がこのような努力を行う事業者を利用しなければ、その実現につながりません。

 このため、農業者の方々に対しても、このような努力を行う事業者との取引を通じて農業経営の改善に努めることを求める旨の規定を置くこととしたものでございます。

 このように、本規定は、本法案の目的を実現するために必要と考えておりますけれども、国がこれを根拠として農業者等に何かを強制しようとするものではございません。

 次に、他の法律における努力規定の例についてのお尋ねがございました。

 本法案第五条は、農業者や農業者の組織する団体の個別の経営内容について努力義務を課しているものではありません。本法の目的の実現のため、一定の行為を行うことを求める旨の規定を置いたものでございます。

 このような立法例といたしましては、食料・農業・農村基本法第九条があり、「農業者及び農業に関する団体は、農業及びこれに関連する活動を行うに当たっては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。」と規定されているところでございます。

 次に、政府が実施する調査についてのお尋ねがございました。

 農業資材等の状況につきましては、国内の生産、流通や業界構造等の状況を、韓国との比較を含めて調査し、昨年九月に公表しました。

 これらの調査結果を分析し、洗い出された農業資材等に係る課題に対処するため、今般、本法案を提出したところでございます。

 本法第十六条に基づく調査につきましては、法律の施行後できる限り速やかに実施するとともに、その後も定期的に調査、公表を行い、農業資材等に係る施策のあり方の検討に結びつけてまいりたいと考えております。

 次に、農業者団体に対する農業者の所得増大への配慮に係る規定についてのお尋ねがございました。

 本法第五条三項は、農業生産関連事業を行う農業者団体に対して、農業者の農業所得の増大に最大限配慮するよう努めることを規定しております。この規定は、農業生産関連事業を行う農業者団体全体に対して努力を求めたものであります。農協に限定されるものではないため、本法案において規定したものでございます。

 次に、本法案の第八条三号の規定についてお尋ねがございました。

 同号による銘柄の集約の対象となる農業資材といたしましては、一律の基準はないものの、例えば、「銘柄が著しく多数」につきましては、肥料の銘柄数が、韓国の約五千七百銘柄に対して我が国では二万銘柄も存在すること、「銘柄ごとのその生産の規模が小さく」につきましては、代表的なメーカーにおける肥料の一銘柄当たりの年間生産量が、韓国の一万七千トンに対して我が国では約九百トンにすぎないこと、「事業者の生産性が低い」につきましては、飼料工場の稼働率が、韓国の二三七%に対して我が国では九三%にとどまること等が改善すべき状況であり、現状では、肥料、飼料が対象となると考えているところでございます。

 次に、銘柄集約に関し、実行できる解決策の速やかな実施についてのお尋ねがございました。

 我が国における肥料の登録銘柄数は、近年一貫して増加しておりまして、現在、二万銘柄となっております。また、飼料につきましても、製造現場の方から、銘柄数がコスト増の要因になっているとの意見もいただいております。

 銘柄数が多くなっている背景には、都道府県による細分化された施肥基準や、ブランド化を図ろうとする農業者からの要望、メーカーの販売戦略等があると考えております。

 こうした状況を踏まえ、銘柄の集約に向けて、都道府県や農業団体、メーカー等との意見交換を始めているところでございます。

 また、今回、こうした取り組みを国の施策として法案に明示することにより、地方公共団体等の協力を得ながら、国が強力に推進していくことを明確にすることとしております。

 次に、事業再編や事業参入の促進対象事業に係る事業分野についてのお尋ねがありました。

 昨年秋に取りまとめました農業競争力強化プログラムを踏まえ、事業再編促進対象事業につきましては、農業資材では肥料、飼料等、農産物流通等では卸売市場関係業、米卸売業、食品小売業等を想定しているところでございます。

 また、事業参入促進対象事業につきましては、同様に、プログラムを踏まえ、農業機械等を想定しているところでございます。

 なお、事業再編や事業参入は個々の事業者の自主的な判断によるため、どのような事業者がどの程度再編、参入するかを見込むことは困難でございますけれども、本法案に基づく支援措置を講ずることで、これらの取り組みが進むよう、後押ししていきたいと考えております。

 次に、第三条の国内外という文言についてのお尋ねがありました。

 良質かつ低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化を実現するためには、その状況について国際比較を行い、これに基づき施策を講ずることが重要でございます。

 本法案の第三条では、こうした観点から、国内外の農業資材の供給や農産物物流等の状況を踏まえと規定したのでございまして、欧米の多国籍企業に門戸を広げるといったことを意図したものではございません。

 次に、農業関連産業における外国資本企業についてのお尋ねがありました。

 農業関連産業においては、農薬のように、既に外資企業が一定のシェアを占めている資材もあるところでございます。

 本法案は、我が国農業の競争力強化のため、良質かつ低廉な農業資材の供給等に取り組む事業者に支援を行うものでございまして、外資企業のシェアの向上を支援するものではございません。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣山本幸三君登壇〕

国務大臣(山本幸三君) 昨年秋に改革案を提案した規制改革推進会議の考え方と本法案との関係についてお尋ねがありました。

 規制改革推進会議においては、昨年九月以降、農業の競争力を強化し、農業者の所得を向上させるため、生産資材の生産や調達をめぐる課題、農産物の流通や加工をめぐる課題、さらには、その中で重要な役割を果たす農協が自己改革により目指すべき方向性について検討を重ね、改革案が提言されました。

 その後、規制改革推進会議の提言も踏まえつつ、昨年十一月二十九日に、総理を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部において、農業競争力強化プログラムが取りまとめられ、これに基づき、農業競争力強化支援法案が策定されたと承知しています。

 したがいまして、本法案は、政府としての方針に即して策定されたものであり、議員が御指摘されるような、規制改革推進会議独自の改革を根拠づけるというようなものであるとは考えておりません。(拍手)

    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣(松本純君) 重徳議員より、農業者が大手量販店等に直接出荷する際に、当該大手量販店等から不当な買いたたきを受けた場合における公正取引委員会の対応について、御質問をいただきました。

 公正取引委員会におきましては、農業者と大手量販店等との取引に関して、独占禁止法に違反する疑いがある事実に接した場合には、同法の規定に基づき厳正に対処するものと承知しております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 中川康洋君。

    〔中川康洋君登壇〕

中川康洋君 公明党の中川康洋でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました農業競争力強化支援法案につきまして、山本農林水産大臣に質問いたします。(拍手)

 本法律案は、昨年十一月に策定された農業競争力強化プログラムに基づき、真の農業の構造改革をなし遂げるため、必要な法整備を図ることを目的に提出されたものでございます。

 具体的施策として、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化を図ることを主な目的としており、こうした取り組みは、全体的にコストを下げ、需要の拡大や売り上げの向上などが期待できるという意味で、競争力は強化されるものと認識いたします。その一方で、重要な課題である農業所得の向上にこうした具体策がどのようにつながるのか、わかりにくい部分があることは否めません。

 まず初めに、法律名にもある競争力の意味、そして、農業所得の向上との関係について、山本農林大臣のお考えを伺います。

 農業競争力強化プログラムには、生乳の改革を含め十三項目にわたる取り組みが定められています。そのうち、本法律案は、生産資材価格の引き下げと流通、加工の構造改革について必要な法整備を図るものですが、同プログラムには、そのほか、人材力の強化や戦略的輸出体制の整備など、重要な施策が掲げられています。

 私は、そのどれもが、今後の農林水産業の成長産業化を進める上で欠かせないものであり、また、お互いが密接不可分の関係として有機的に機能していくべきものであると考えます。

 さらに申し上げれば、我が国の農業が将来にわたって持続的に発展していくためには、競争力強化とあわせて、今後は、各地の特色を生かした地域政策の充実が欠かせません。

 本法律案を含めたプログラム全体の今後のスケジュール及び進行管理の考え方、さらには地域政策のあり方について、農林水産大臣の答弁を求めます。

 あわせて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、GAP、いわゆる農業生産工程管理について、その導入の促進、国際的なGAPの取得拡大などが急務の課題です。戦略的な輸出体制の強化との関連も含め、取り組み状況について農林水産大臣の見解を伺います。

 以下、条文に即して何点か質問をいたします。

 本法律案では、農業の競争力強化に向けて、国の責務等と並んで、その第五条に農業者等の努力が盛り込まれています。しかし、そもそも、競争力強化のための本法律案の最大の眼目は、これまでの農業者の努力では解決しがたい構造的な問題の解決を図ることにあると理解しています。その上で、なぜ自身の努力では解決できない農業者の努力を明記しているのか。その立法趣旨も含め、その理由について農林水産大臣の見解を伺います。

 本法律案第五条第三項では、農業者の組織する団体であって農業生産関連事業を行うものの責務及びその取り組みについて書かれています。この団体は、具体的には農協系統組織を想定していると思いますが、これは、同プログラムで、生産資材価格の引き下げなどについて、特に全農の取り組みについて特出しをし、その改革の方向性を示していることから、今般条文化されたものと考えます。

 一方、全農を含むJAグループは、同プログラム策定に先立つ昨年九月に、全農による農業者の農業経営の改善に向けた取り組みとして、JAの自己改革、具体的には、魅力増す農業・農村の実現に向けたJAグループの取り組みと提案を発表いたしました。また、現在、JAグループは、自主自立の協同組合として、組合員のための農協という基本原則にのっとり、鋭意取り組みを始めていると伺っています。

 山本大臣は、このJAの自己改革の取り組みについて、現状いかなる評価をお持ちか、答弁を求めます。

 本法律案第七条には、国は、農業生産関連事業者の自主的な努力を支援することにより、適正な競争のもとで農業生産関連事業の健全な発展を図ることに留意するものとしています。

 私は、今回の法律案にこの留意事項が盛り込まれていることを高く評価しますが、私なりにその意味を読み解くと、国は、今回の法律案に基づく農業の競争力の強化に当たり、あくまでも農業生産関連事業者等の努力や取り組みを支援する立場であり、農業生産関連事業の事業環境の見直しや再編など国が講ずべき施策は、何ら強制性を持って行われるのではなく、事業者が自主的に進めていくものであると理解しますが、いかがでしょうか。この留意事項を入れたその意味について、農林水産大臣の見解を伺います。

 次に、農業資材価格等の見える化について伺います。

 本法律案では、農業者が農業資材の調達を行う際に、価格など有利な条件を提示する農業生産関連事業者の情報を容易に入手することができるよう、情報の見える化を進めると明記しております。

 この見える化について、農水省は、既に平成二十八年度補正予算において農業生産資材価格「見える化」推進事業を計上し、まずは国がその内容の立ち上げを進めています。

 しかし、本来は、この見える化こそ、高いノウハウを持つ民間事業者が行い得るものであり、速やかに、国が委託する事業から民間主体の事業に移行してもよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。農林水産大臣の見解を伺います。

 最後に、事業再編及び事業参入を促進するための支援措置について伺います。

 本法律案では、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化に係る事業再編及び参入の促進を掲げ、その促進を図るための実施指針を定めるとしております。

 私は、この法律案を今後真に実効あらしめるためにも、実施指針は極めて重要であると考えます。特に、事業再編や参入を検討する事業者が意欲を持って臨めることが重要であり、その策定に当たっては、現場の実態や声にもしっかりと耳を傾けるべきです。

 また、認定後の支援策である出資や融資なども、再編及び参入事業者が、その改革を進める上で使いやすいものにすべきと考えます。農林水産大臣の答弁を求めます。

 以上、何点か質問いたしましたが、私ども公明党は、今後も現場第一主義を貫き、農は国の基との信念のもと、農業者や消費者、さらには事業者の方々にも希望が行き渡る農政の実現に向け、より一層努力してまいることをお約束し、私の質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣山本有二君登壇〕

国務大臣(山本有二君) 中川議員の御質問にお答えいたします。

 本法案における競争力の意味及び農業所得の向上との関係についてお尋ねがありました。

 農業の競争力とは、農業の生産性を高め、高い収益力を確保することにより持続的な農業発展ができる力であると考えております。

 農業の競争力強化のための手段として、生産コストや流通コストの削減、農産物の適正価格での販売があり、それが実現することで農業所得の向上が図られるものと考えております。

 本法案では、農業の構造改革の取り組みとあわせて、農業者の努力では解決できない農業資材価格の引き下げや、農産物の流通、加工構造の改革という構造的課題の解決に取り組むものであります。このため、国が講ずべき施策を定め、事業者の自主的な事業再編の取り組みなどを支援することにより、農業者による農業の競争力の強化の取り組みを支援し、農業所得の向上につなげていきたいと考えております。

 次に、プログラム全体の今後のスケジュール及び地域政策についてのお尋ねがありました。

 農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決するため、昨年十一月に農業競争力強化プログラムを決定したところでございます。

 本プログラムに盛り込まれました施策につきましては、本法案のほか、収入保険制度の導入など計八本の法案を今国会に提出したところでございます。

 法案以外でも、できるものから順次実行に移していくこととしておりまして、例えば、戦略的輸出体制の整備などを具体化していくこととしております。

 このような産業政策とあわせて、地域の農業者が取り組む共同活動への支援などを行う日本型直接支払い制度、鳥獣被害対策の推進などの地域政策を講じることによりまして、これらを車の両輪として、強くて豊かな農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現に努めてまいります。

 次に、GAP、いわゆる農業生産工程管理についてのお尋ねがありました。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、調達基準を満たす国産農産物を十分に供給するだけでなく、農産物の輸出拡大などを図る観点から、国際的に通用するGAPの取得の拡大が極めて重要であると考えております。

 昨年五月に策定した農林水産物の輸出力強化戦略におきましても、GAPの取得推進を課題の一つとして位置づけております。

 このため、農林水産省といたしましては、生産者による国際的に通用するGAPの取得の支援、都道府県、JA、日本農業法人協会等に対するGAPの取得拡大の働きかけ等、さまざまな取り組みを進めているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、同競技大会において日本食、国産食材の魅力をアピールするとともに、大会後を見据え、我が国の農業競争力の強化につながるよう取り組んでまいります。

 次に、農業者の努力を明記した理由についてのお尋ねがありました。

 本法案では、農業生産関連事業者に対し、良質で低廉な農業資材の供給や、農産物流通等の合理化の実現に資する取り組みを持続的に行うよう努めることを求めておりますが、取引相手である農業者がこのような努力を行う事業者を利用しなければ、その実現につながりません。

 このため、農業者の方々に対しても、このような努力を行う事業者との取引を通じて農業経営の改善に努めることを求める旨の規定を置くこととしたものでございます。

 全農を初めとするJAグループの自己改革についてのお尋ねがありました。

 農協改革は、農協が農業者の協同組織としての原点に立ち返って、農業者の所得向上に向けて、農産物の有利販売などに取り組んでいただくものでございまして、JAグループには、この考え方に沿って自己改革を進めていただきたいと考えております。

 特に、全農におきましては、現在の農業競争力強化プログラムを受けて、年次計画の策定に向けた検討を行っているところでございますが、農産物流通や生産資材の供給に関する構造改革を促進するために、みずから現行スキームを点検、反省した上で、農業者の立場に立つことを明確にした事業スキームに改めていくことが必要であると考えております。

 農林水産省としましては、全農を初めとするJAグループにおきまして、農業者のための自己改革が着実に進むよう、適切にフォローアップを行っていく考え方でございます。

 次に、本法案に留意事項の規定を入れた意味についてお尋ねがありました。

 本法第七条は、議員御指摘のように、国が関連施策を講ずる際に、農業生産関連事業者に取り組みを強制するのではなく、その自主的な努力を支援することによって、民間の活力と創意工夫を生かした取り組みを促すことが重要であることから、その旨を確認的に規定したものでございます。

 農林水産省といたしましては、この規定の趣旨を踏まえ、本法案の適切な執行に努めてまいります。

 次に、農業生産資材価格の見える化についてのお尋ねがありました。

 農業生産資材価格の見える化は、農業者が農業生産資材を有利に調達するために有益です。このため、農業生産資材価格の見える化推進事業により、使いやすいウエブサイトの仕様の検討、決定した仕様を踏まえたウエブサイトの構築等を支援し、その成果を幅広く公開することとしております。

 この成果を活用した実際のウエブサイトの運営は、民間企業が主体的に行うこととなっております。

 今後とも、こうした民間企業の知見を生かしながら、農業生産資材の価格引き下げによる我が国農業の競争力強化を図ってまいります。

 実施指針の策定と支援策についてのお尋ねがありました。

 実施指針の策定に当たりましては、個々の業界によって実態が異なることから、現場の実態や声にしっかり耳を傾けることが重要であると考えており、関係業界との丁寧な意見交換を行いながら策定作業を進めてまいります。

 また、出資や融資などの支援策につきましては、新たに設けられている措置であることから、まずは、関係業界への十分な周知を図るとともに、日本政策金融公庫など関係機関とも密に連携し、円滑な執行に努めてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 畠山和也君。

    〔畠山和也君登壇〕

畠山和也君 私は、日本共産党を代表して、農業競争力強化支援法案について質問いたします。(拍手)

 先日、米通商代表部、USTR代表に指名されたライトハイザー氏が、農産物の市場開放に向け、日本は第一の標的と公言しました。

 日本政府が今後の通商政策のベースと繰り返すTPPにおいて、米は新たに最大七万トンもの無関税輸入枠を設け、牛肉の関税も現行三八・五%から最終で九%まで引き下げることを、既に日米間では合意しています。

 このTPP水準を容認していることに加え、日米同盟が第一との立場で安倍首相が合意したことが、ライトハイザー氏の発言を許しているのではありませんか。

 来月にも開くという日米経済対話において、農業分野ではどのような姿勢で臨むのですか。さらなる譲歩をすることになるのではありませんか。何より、経済主権、食料主権を投げ捨てるTPP水準を交渉のベースにすることは撤回するべきです。交渉を担当する麻生大臣、また農水大臣の見解を求めます。

 昨年、安倍首相は、規制改革推進会議の意見を私が責任を持って実行すると農業競争力強化プログラムを決定しました。本法案は、このプログラムに基づき、TPP批准を念頭にした攻めの農業を具体化したものです。

 本法案は、農業が将来にわたって持続的に発展していくことを目的としていますが、重要なことは、農家の高齢化や耕作放棄地の増加など、農家の深刻な実態をどのように総括しているかです。

 これまで国は、食料確保における公的責任を後退させ、農産物輸入も拡大する中、農産物価格は下がり続けました。一方で欧米諸国は、農業、農家に対して手厚い補償を行い、食料自給率も向上しています。食の安定供給と地域社会の維持へ、国が責任を負うのが当然との考えからです。そこまで日本政府としてやっていると胸を張れるのでしょうか。

 農家の苦しい現状を解決するには、これまでの自民党農政の総括と反省が必要ではありませんか。答弁を求めます。

 本法案は、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化の実現を図り、農業者による農業の競争力の強化の取り組みを支援することとしています。この法案で言う競争力とは何を指すのですか。

 海外との競争に勝てる農業を目指すとすれば、おのずと方向性は大規模化への誘導、法人化や企業参入などとなります。

 しかし、中山間地が多い我が国で、家族経営や兼業農家、また都市農業などの多様な形態こそ日本農業の姿でした。その構造を変えるとは、これまで日本政府が原点としてきた多様な農業の共存という理念や、日本農業の基本であった家族経営を壊していくことになりませんか。競争力強化プログラムや本法案は、さらなる農産物輸入拡大を前提としているものなのですか。どのように将来の農家像を考えているのか、明確に答弁してください。

 本法案では第五条で、農業者の努力まで規定されています。有利な条件を提示する事業者との取引を通じて農業経営の改善に取り組むとありますが、米価初め農産物価格が下落するもとで、言われなくても農家は努力を行っています。なぜ、農家の自主的選択を束縛しようとするのですか。

 国は、農産物流通等の合理化を実現するため、事業再編または事業参入を促進することとしています。そのため実施に関する指針を定めるとしていますが、白紙委任するわけにはいきません。指針の内容について明らかにしてください。

 この指針に基づいて事業者は申請を出し、国の認可を受けることになります。再編や参入の事業者には国籍などの要件はありません。外資の参入も可能ということですか。

 また、認定された再編事業者は、海外における事業再編の実施においても債務の保証を受けられる特例を設けています。なぜ海外での事業再編も対象に含めたのか、答弁を求めます。

 本法案は、法施行日から一年以内に国が農業資材の供給や農産物の流通に関する最初の調査を行い、おおむね二年以内にあり方の見直しを含めた検討を行うとしています。

 これでは、早く結果を出せとの圧力となることが目に見えています。農協系統に対して、口では協同組合の自主性を尊重するとしながら、実態は上からの改革を迫るやり方となるのではありませんか。

 これまで政府は、農業者の所得向上をともかくも掲げてきましたが、本法案の目的にはその言葉さえもありません。目指すべき目標の一つが、農協、全農解体に向かうことも看過できません。

 我が党は、生産資材の価格引き下げなどを求めてきました。それは、農家経営の安定が目的であり、これをてこに農協系統組織の性格を乱暴に変えることは認められません。あくまで自主的な改革に委ねるべきです。

 本法案の制定により廃止するという主要農作物種子法についても聞いておきたい。

 種子法は、我が国の基本的食料である稲、麦、大豆の優良種子を生産、普及することを目的としたものであり、このもとで各地に適した品種改良が進められてきました。

 民間の開発を促すため種子法を廃止するとしていますが、巨大資本の種子独占を招き、自家採種が閉ざされるおそれがあります。種子の安定的な確保は、国内生産にとどまらず、気候変動や人口増加など国際的環境の変化を踏まえても、重要な意義があります。国のやるべき仕事は、種子ビジネスの応援ではありません。

 種子法の廃止によって、安定的な優良種子の生産という国や都道府県の公的責任を放棄することになりませんか。明確な答弁を求めます。

 最後に、国営諫早湾干拓事業に係る和解協議を進めている中で、農水省が堤防開門を求める漁業者を説得するための想定問答をつくり、漁業団体幹部に示していた問題について述べておきます。

 報道によれば、農水省の担当者は他言しないでほしいと秘密を押しつけ、国の基金案の受け入れを認めるような内容となっています。開門を命じた福岡高裁の確定判決への責任を果たすどころか、圧力まがいに国の主張を押しつけることなど、到底許されません。

 速やかに想定問答なるものを公開するよう強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 畠山議員から、日米経済対話について一問お尋ねがあっております。

 御指摘のような発言が報道されていることは承知をしておりますが、先日の日米首脳会談における一連の会談を含め、米国政府からそのような要請はありませんでした。

 その上で申し上げれば、先般の日米首脳会議において、両首脳は、自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米両国間及び地域における経済関係を強化することに引き続き完全にコミットしているということを確認されております。日米経済対話も、まさにこうした考え方に沿って、日米がウイン・ウインの経済関係を一層進めるために立ち上げるものだと考えております。

 経済対話の具体的な内容や構成については、現在、調整を進めているところであります。日米両国の利益となります個別分野での協力を積極的に進めていくことを通じ、日米間の貿易・投資関係を深めていくとともに、アジア太平洋地域に自由でかつルールに基づいた公正なマーケットを日米両国のリーダーシップのもとでつくり上げていくことが重要である点と考えており、建設的な議論を進めたいと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣山本有二君登壇〕

国務大臣(山本有二君) 畠山議員の御質問にお答えいたします。

 日米経済対話における農業分野の姿勢についてお尋ねがありました。

 日米間の経済関係につきましては、今後の日米経済対話において議論されていくこととされておりまして、その具体的な構成、内容につきましては、引き続き両国間で調整していくものと承知しております。

 また、先日の日米首脳会談における一連の会談を含め、米国政府からは二国間交渉について具体的な要請はなかったものと承知しております。

 その上で、一般論として申し上げれば、農林水産省としては、今後とも、我が国の農林水産業をしっかり守っていくため、農林水産品につきまして、貿易、生産、流通実態等を一つ一つ勘案して、そのセンシティビティーに十分配慮しながら、対応していく方針でございます。

 次に、これまでの農政についてのお尋ねがありました。

 安倍内閣では、農業の成長産業化を図り、農業者の所得の向上を実現していく観点から、第一に農地中間管理機構による担い手への農地集積、集約化の促進、第二に米政策の見直し、第三に六次産業化や輸出促進などの農政改革を進めてまいりました。

 その結果、担い手への農地集積率は、平成二十七年度には五二・三%となり、担い手への集積が再び進み始めております。米につきましては、二年連続で全国の過剰作付が解消されるなど、需要に応じた生産が進んだ結果、米の需給及び価格は安定してきているということでございます。輸出につきましては、四年連続で最高額を更新し、平成二十八年に七千五百億円を突破したということでもございます。これまでの農政改革が成果を上げつつあると考えております。

 引き続き、農政改革を進め、農業の体質強化と農業者の所得の向上に努めてまいりたいと考えております。

 次に、本法案における競争力の意味についてお尋ねがありました。

 農業の競争力とは、農業の生産性を高め、高い収益力を確保することにより持続的な農業発展ができる力であると考えております。

 次に、将来の農家像についてのお尋ねがありました。

 昨年十一月に策定した農業競争力強化プログラムは、農業者が自由に経営できる環境を整備するとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決していくための施策を取りまとめたものでございます。

 また、本法案は、プログラムに盛り込まれました施策のうち、生産資材価格の引き下げや農産物の流通、加工構造の改革の実現を目指したものでございます。

 これらの取り組みは、農産物の輸入拡大を前提としているものではありません。

 また、競争力強化を図る農業者については、大規模経営や法人経営だけでなく、耕地面積が小さくても、農産物の高付加価値化や六次産業化に取り組む経営など多様な担い手が対象となると考えておりまして、多様な農業の共存といった理念や家族経営を壊していくことを目指しているわけではありません。

 次に、農業者の努力規定についてのお尋ねがありました。

 本法案では、農業生産関連事業者に対して、良質で低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化の実現に資する取り組みを持続的に行うよう努めることを求めておりますけれども、取引相手である農業者がこのような努力を行う事業者を利用しなければ、その実現につながってまいりません。

 このため、農業者に対しても、このような努力を行う事業者との取引を通じて農業経営の改善に努めることを求める旨の規定を置くこととしたものでございます。

 このように、本規定は、本法案の目的を実現するために必要と考えておりますが、国がこれを根拠として農業者に何かを強制しようとするものではありません。

 次に、実施指針についてのお尋ねがありました。

 事業再編または事業参入の実施指針につきましては、本法第十七条二項におきまして、対象事業の将来のあり方、事業再編等の目標の設定、事業再編等の実施方法を定めることとしております。

 具体的には、将来のあり方につきましては、その事業の現状や将来展望に関すること、目標の設定につきましては、良質で低廉な農業資材の供給または農産物流通等の合理化の実現に資する指標や稼働率などの事業者の生産性の向上を示す指標に関すること、実施方法につきましては、雇用の安定や他の事業者との適正な競争を阻害しないことなどの留意事項等について定めることとしております。

 次に、事業再編や事業参入は、外資の参入も可能かどうかについてのお尋ねがありました。

 本法案は、我が国農業の競争力強化のため、良質かつ低廉な農業資材の供給等に取り組む事業者に支援を行うものでございまして、事業者の国籍に関係はありません。外資企業が支援措置を活用することも可能でございます。

 次に、海外における事業再編に対し債務保証が受けられる特例についてお尋ねがありました。

 我が国の農業資材事業や農産物流通等事業につきましては、生産の拡大や顧客の開拓のため、既に海外展開を行っている企業があります。

 本法案では、我が国の事業者が海外で事業を展開し競争力を強化することで、国内の農業者に対して良質で低廉な農業資材の供給等を行っていくため、海外での事業再編につきまして、日本政策金融公庫による債務保証の対象としたものでございます。

 次に、本法案による調査及び施策の検討が、農協系統に対し改革を迫るものとなるのではないかとのお尋ねがありました。

 本法案につきましては、国が講ずる施策について、おおむね五年ごとに調査と必要な措置の検討を行うこととしておりまして、最初の調査につきましては法律の施行の日からおおむね一年以内に、最初の必要な措置の検討につきましてはおおむね二年以内に行うこととしております。

 これは、国が講じている施策につきまして、PDCAサイクルを回して、その効果等を点検しつつ、必要な見直しを行うための規定でございまして、御指摘のような目的で置いているわけではありません。

 本法案が農協系統の自主的な改革に反するのではないかとのお尋ねがございました。

 農協改革は、農協が農業者の協同組織としての原点に立ち返って、農業者の所得向上に向けて、地域の農業者と力を合わせて、農産物の有利販売や生産資材の有利調達、これに取り組んでいただくものでございます。

 農協は、農業者によって自主的に設立された民間組織でございまして、農協の改革は自己改革が基本であると考えております。

 本法案は、農業生産資材価格の引き下げと農産物の流通、加工構造の改革の実現を目指すものでございまして、農協の自主的な改革を妨げるものではございません。

 次に、主要農作物種子法の廃止についてのお尋ねがありました。

 主要農作物種子法におきましては、都道府県に対し、原種、原原種の生産や奨励品種の決定のための試験等を義務づけておりますけれども、品種開発等につきましては、地域の農業振興を目的として、法律によらず、各都道府県の自主的な判断により実施されております。

 農林水産省が聞き取りを行ったところ、大半の都道府県から、本法が廃止されても、本法に規定されております奨励品種に関する業務、原種、原原種の生産に関する業務、圃場審査、生産物審査に関する業務を都道府県の責任において継続する見通しとの回答が得られたところでございます。国はもとより、都道府県の公的責任が後退するようなことにならないと考えているところでございます。

 最後に、国営諫早湾干拓事業についてのお尋ねがありました。

 諫早湾干拓開門問題につきましては、複数の訴訟が提起され、現在、長崎地裁の訴訟指揮のもと、和解に向けた関係者の交渉が行われているところでございます。

 このような和解協議のもとでの漁業団体との交渉に係る内容を申し上げることは、漁業団体との交渉に支障を及ぼす等、交渉当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、そうした文書が存在しているか否かも含めてお答えすることはできません。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣

       国務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     高市 早苗君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   松野 博一君

       厚生労働大臣   塩崎 恭久君

       農林水産大臣   山本 有二君

       環境大臣     山本 公一君

       国務大臣     松本  純君

       国務大臣     山本 幸三君

 出席副大臣

       農林水産副大臣  齋藤  健君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.