衆議院

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第14号 平成29年3月30日(木曜日)

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平成二十九年三月三十日(木曜日)

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  平成二十九年三月三十日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣世耕弘成君。

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) ただいま議題となりました原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から約六年が経過する中、福島の復興再生を一層加速していくため、昨年末に原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針を閣議決定し、必要な対策の追加、拡充を行うこととしました。

 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施は、福島の復興再生の大前提であります。本基本指針に基づき、東京電力が廃炉の実施責任を果たしていくという原則を維持しつつ、長期にわたる巨額の資金需要に対応するための制度を国が整備し、廃炉の実施をより確実なものとしていく必要があります。

 こうした状況を踏まえ、事故炉廃炉の着実な実施を確保すべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、事故炉の廃炉を行う原子力事業者に対し、廃炉に必要な資金を、毎年度、国の認可法人である原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てる義務を課します。

 第二に、積立金の額は、同機構が、廃炉の実施に関する長期的な見通し等を踏まえて定め、主務大臣の認可を受けなければならないこととします。

 第三に、事故炉の廃炉を行う原子力事業者は、廃炉作業に充てるため積立金を取り戻す際には、同機構と共同して取り戻し計画を作成し、主務大臣の承認を受けなければならないこととします。

 第四に、主務大臣による積立金の額の認可等に当たり、必要な場合には、国の職員または機構の職員が、事故炉の廃炉を行う原子力事業者の本社や廃炉作業の現場に立入検査を行うことを可能とします。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。北神圭朗君。

    〔北神圭朗君登壇〕

北神圭朗君 民進党の北神圭朗であります。

 ただいま議題となりました原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について、民進党・無所属クラブを代表して、経済産業大臣に質問いたします。(拍手)

 東日本大震災の悲劇が我が国を襲ってから、はや六年たちました。まことに残念なことながら、復興はまだまだ道半ばであります。いまだにふるさとに帰ることができない方々が、現時点で約五・六万人もおられます。こうした中で、復興に最も重くのしかかる課題の一つが、東電福島原発事故の後処理であります。

 事廃炉に係る費用については、これまで想定されていた二兆円が八兆円となりました。これまでの仕組みではお金が足りません。

 今回の法案は、より廃炉を着実に進めるために、東京電力ホールディングスに対して、必要なお金を機構に積み立てる義務を課すものであります。

 具体的には、廃炉等は引き続き東電の責任とし、毎年廃炉費用三千億円をみずから捻出しなさいというものであります。これに加えて、賠償費用二千億円もあり、東電が毎年負担しなければいけない費用は、合計で五千億円となります。

 ここ数年の東電の経常利益が四千億円程度で、廃炉が最低でも三十年、四十年もかかる中で、本当に五千億円もの金額を確保できるのか、実に心配であります。

 だからこそ、東電を改革して、さらに利益を上げるんだと言われても、結論ありきの論文は誰にでも書けます。三、四十年の間には景気の変動もあります。四十年後に労働力人口が四割減るという政府の試算もあります。よほど生産性が上がらなければ、経済成長率そのものが低下することになります。

 そこで、まず、東電改革については、東京電力一F問題委員会という有識者会合が具体策を示しております。

 その第一段階としては、経営合理化により年間五千億円捻出するとしておりますが、具体的な内容について大臣に伺います。

 第二段階としては、柏崎刈羽原発の再稼働で年間一千億円生み出すことになっています。しかし、立地自治体、とりわけ新潟県知事の方針もあります。加えて、同原発免震棟の耐震性をめぐる東電の対応で、地元は不信感を募らせています。こうした中で、当然のように再稼働を前提に東電が廃炉費用を生み出すとするのは、やや首をかしげざるを得ませんが、大臣の真意をお聞きします。

 第三段階としては、送配電と原子力の分野で他社と共同事業体を設立するとしております。具体的にどういうことを考えているのでしょうか。また、これによりどのくらいの効果を見込んでいるのか、大臣にお聞きします。

 なお、送配電事業の再編統合も検討されるようであります。しかし、余り国や機構が再編統合に介入してくると、ほかの電力会社が、自分たちも、結果として廃炉費用の負担をさせられるのではないかと疑って、かえって引いてしまうという声も聞いております。本来は、民間企業同士、お互い利益のある形で再編統合を進めるべきだと考えますが、大臣の見解をお聞きします。

 以上の東電改革により、三、四十年もの長きにわたって、毎年毎年相当な利益を上げることができるんだ、そして、そこから年間三千億円、賠償費用を加えると五千億円のお金をひねり出すことができるんだという自信は、一体どこからくるのでしょうか。来年の景気すら誰にも予測がつかないのに、このように四十年間にわたり民間企業について超長期的見通しを立てること自体、非現実的ではありませんか。大臣の見解を伺います。

 いずれにせよ、どんなに希望的観測の上に希望的観測を積み上げたとしても、現実は思いどおりにはいきません。東電の幹部の、今までの負担を上回る資金を継続的に出していくのは厳しいとの嘆きを新聞紙上で拝見いたしましたが、これは率直な思いでありましょう。

 そこで、お尋ねしますが、こうした中で、今回、東電が八兆円負担することが確定したのであれば、この時点で、東電は債務超過に陥り、継続企業として認められないという判断になるのが、大臣、企業会計上の常識ではないでしょうか。

 他方で、廃炉費用八兆円の試算については、機構の責任において評価したものではない、また、経済産業省として評価したものではないと明記されています。ということは、機構も、政府も、この廃炉費用の試算の責任をとらないということなのでしょうか。大臣のお立場を聞かせてください。

 また、国は東電の筆頭株主でもあります。東電の企業価値を上げて、株主への配当をふやすことが本来の使命でもあります。誰も責任をとれないあやふやな数字に基づいて毎年三千億円もの負担を義務づけられることについて、ほかの少数株主たちにどう説明するのか、大臣の考えを伺います。

 つまり、東電に負担を義務づける行政としての国の立場と、筆頭株主としての国の立場との間には利益相反があるのではないでしょうか。その結果として、東電の少数株主への配当が不当に減るという不利益が生じてしまうことに対して、大臣の見解を聞きます。

 確かに、本法案ができた当初は緊急事態でありました。事故の全貌が見えない中、東電が当事者意識を持って全面的に責任を負うのはやむを得なかったと思います。過去のことをとやかく言うつもりはありません。私は至って前向きな男でございます。しかし、今回の事故は前代未聞の規模と性質のものであり、今回、廃炉費用が四倍膨張したように、今後もさらに膨張する可能性は十分あります。

 具体的な条文で申し上げれば、第五十五条の四第二項で、廃炉のために東電が積み立てなければいけない金額は次の二つの条件を満たすことが求められています。

 一つは、廃炉を適正かつ着実に実施するために十分な金額であること、もう一つの条件は、電気の安定供給のための東電の事業の支障とならない金額、または電気の消費者に著しい負担を及ぼすおそれのない金額であることと規定されております。

 しかし、廃炉の見通しが極めて不透明である中で、この二つの条件が両立しない可能性は高いと言わざるを得ません。東電の収支が悪化する場合も考えられます。あるいは、廃炉費用がさらに膨張することも考えられます。さらには、東電の収支が悪化し、かつ、同時に廃炉費用が膨張することも十分考えられます。

 こうした場合に、消費者に著しい負担を求めなければ、東電の収支が悪化し、その電力事業が破綻することは容易に想定できます。大臣、こうした二つの条件が両立しない事態は絶対に起こらないと言い切れますか。お答えください。

 そもそも、法案で言う著しい負担とは具体的にどの程度のものか、はっきりさせる必要があります。

 まず、毎年三千億円負担をすることで、東電管内の電気料金はどのくらい値上げされるのか。これは、経営合理化によって本来値下げすべきであるのにもかかわらず廃炉費用等の負担により値下げできない部分、すなわち消費者への実質負担も含めてお聞きします。電気料金といえども、これはいわば税負担と同じ国民負担であり、当然、このくらいの試算はしてあるでしょう。

 次に、電気料金が何割増しになれば著しい負担とみなされるのでしょうか。これも実質負担を含めて大臣にお聞きします。

 以上、申し上げたいのは、東電が、事実上、電気料金への転嫁により廃炉費用を捻出するという、隠れみの的徴税機関のようなやり方には、かなり無理があるのではないかということであります。

 本法案においては、ただいま申し上げた二つの条件が両立しない場合、国が足りない部分を支援するという規定があってしかるべきでしょう。そうでなければ、法律本来の目的である廃炉の適正かつ着実な実施のための仕組みとしては完結しないのではないでしょうか。大臣の答弁を求めます。

 確かに、原発村と戦うという姿勢は受けがいいでしょう。また、あからさまな税負担よりも、電気料金で負担を求める方が財政の庭先をきれいにお掃除できるのかもしれません。国民の反発が少ないのかもしれません。さしずめこれは、取りやすいところから取るという政府の隠れたる租税原則の応用編だということなのでしょうか。

 しかしながら、福島県を初め、東日本の復興を一番に考えると、財源の心配なく一日でも早く廃炉を実行することが国家の責任というものではないでしょうか。これは私一人の意見ではございません。国の責任のあり方を検討すべきだということは、衆参両院の附帯決議にもたびたび示されてきた国会の意思でもあります。もうかれこれ五年以上たちますが、この間、政府は一体何を検討してきたのでしょうか。大臣の答弁を求めます。

 いずれにせよ、今回の仕組みでは、百歩譲っても、廃炉費用がぎりぎり確保できるかできないかの綱渡りだと言わざるを得ません。

 こうした中で、廃炉作業は、効率よくかつ効果的に進める必要がございます。そのためにも、現場の皆さんが強い責任感を持って、やる気と創意工夫を発揮し、無駄を極力省くことが極めて重要であります。

 ところが、私の耳には、国や機構がどうしても東電の経営陣との対話に偏ってしまっているという現場からの叫び声が届いています。また、東電の中の部署部署によって、廃炉事業の情報や認識が共有されていないことから、必ずしも一体感が生まれていないという憂慮の声も上がっています。

 大臣におかれましては、ぜひとも、上層部だけではなく、現場の皆さんとも積極的に意思疎通を図り、特に人材確保を含めた労働環境の改善を図っていただきたいと思います。また、組織の縦割りの弊害を取り除くための指導もあわせて求めます。いかがでしょうか。

 以上、福島第一原発の廃炉は、東日本の復興という大目的を踏まえれば、最後は国家の責任であります。したがって、廃炉費用の負担のあり方については、つらくても、厳しくても、批判が巻き起こっても、現実を直視し、ただただ廃炉まっしぐらに突き進むべきであります。

 兵糧が万全の上で、国、機構、東電の経営陣、さらには現場の皆さんが一丸となってこの戦に臨めば、必ず勝利を得られると確信しております。世耕経済産業大臣の今後の御英断を強く期待して、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 北神議員にお答えをいたします。

 まず、東京電力改革・一F問題委員会、いわゆる東電委員会で提言をされた内容と再編統合の進め方についてのお尋ねがありました。

 御指摘の東電の改革ステップについてですが、第一段階は、現段階の年間〇・四兆円の収益水準を、送配電コスト改革を初めとするさらなるコスト削減により年間〇・五兆円にしていくことで、廃炉や賠償に係る資金の確保を着実に行っていくことが期待をされています。

 第二段階の柏崎刈羽原発の再稼働については、これは、第一段階の廃炉、賠償に係る資金の確保をより確実なものにすることに資するものであり、東電としては、信頼回復を前提としてしっかり対応していくことが必要です。

 第三段階は、企業の価値を向上させていく段階です。ここでは、送配電事業や原子力事業において共通する課題を解決するため、他の電力会社との間で共同事業体を早期に設立し再編統合を目指すことを想定していますが、今後、再編統合を具体化していく中で、御指摘の定量的な効果が見込まれることになろうかと考えています。

 改革を実現するまでには相当な時間を要しますが、福島への責任を果たす観点から、腰を据えて、より長い時間軸の中で粘り強く取り組むことが必要であり、その観点から収益の見通しを立てることも必要なことであると考えております。

 再編統合については、御指摘のとおり、再編当事者同士で、お互いに利益のある形で進めるべきものであり、東京電力としては、他の電力会社から事業に対等に取り組み得るパートナーであるとの信頼をかち得るよう努力することが必要であると考えております。

 福島第一原発の廃炉費用についてお尋ねがありました。

 福島第一原発の廃炉は、世界にも前例のない困難な作業です。現時点では、燃料デブリの取り出しの作業方針や工法が決定されておらず、そうした中で廃炉に要する資金を具体的かつ合理的に見積もることは非常に困難です。

 今回お示しした八兆円という数字は、廃炉に要する資金の全体像が見えない中でも、東電改革の具体的な姿や廃炉に要する資金に係る制度整備の検討を進める上で一定の規模感を示す必要があったため、廃炉に関する専門的知見を有する原子力損害賠償・廃炉等支援機構において、有識者へのヒアリング結果をもとに、現時点で最新の情報に基づき、一定の蓋然性を有するものとして機械的に算出されたものです。したがって、当該金額が債務として認識され、債務超過となることはないと考えています。

 このように、この数字は、具体的かつ合理的に見積もることが難しい中で、責任を持って東電改革等に関する議論を進めるために必要な数字であって、責任をとるかとらないかという性質のものではないと考えております。

 国が東電の筆頭株主であることに関してのお尋ねがありました。

 昨年十二月に閣議決定した原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針において国と東京電力の役割分担を整理したとおり、東京電力は、賠償や廃炉を含む福島への責任を貫徹するため、電力自由化に伴う競争環境下においても、株式価値の向上も含め必要な資金を確保していくこととなっております。

 決して簡単ではありませんが、東京電力は、今後、東電委員会で示された、従来の発想にはない非連続な経営改革を、新・総合特別事業計画の改定に反映させ、取り組んでいくこととなると考えております。

 御指摘の少数株主についても、事故を起こした東京電力の株主である以上、その責任を果たしていってもらうことが必要であり、東京電力としては、その方針を理解してもらうべくしっかり説明していくべきであると考えております。

 また、国としては、必要な環境整備を行いつつ、東京電力による新たな計画の着実な履行を促していくべき立場にあり、利益相反というのは当たらないと考えております。

 廃炉等積立金に係る二つの条件についてお尋ねがありました。

 まず、福島第一原発の廃炉は、世界にも前例のない困難な作業であり、現時点では、燃料デブリの取り出しの作業方針や工法が決定されておらず、廃炉に要する資金を具体的かつ合理的に見積もることが困難である中、御指摘の状況が絶対に起こらないと言い切ることはできません。

 他方、だからといって対応しないということではなく、廃炉を着実に実施していく観点から、現時点で可能なことはあらかじめ対応していくことが国としての責務と考えます。

 廃炉に要する資金を見積もることが困難な中で、御指摘のような実質負担も見積もることは困難ですが、いずれにせよ、今回の措置による託送料金の値上げや電気料金の値上げは想定しておりません。廃炉に要する資金は、グループの総力を挙げた経営合理化によって捻出されるものと認識をしております。

 また、御指摘の、著しい負担を何割増しといった定量的な形でお示しすることは困難ですが、国民生活及び国民経済に重大な支障が生じるおそれのない範囲で負担を求めるものと考えております。

 なお、国が足りない部分を支援するという規定が必要との御指摘については、現段階において、そういった措置を想定することで、東京電力の改革の速度を緩めるようなことになってはならないと考えております。

 国の責任のあり方の検討についてのお尋ねがありました。

 平成二十三年八月に成立した原賠機構法附則及び法案成立時の附帯決議において、原子力損害賠償に係る制度における国の責任のあり方等について、法施行後できるだけ早期に検討を加え、原子力損害の賠償に関する法律の抜本的見直し等の必要な措置を講ずることとされております。

 これらを受けて、現在、内閣府原子力委員会のもとに設置された原子力損害賠償制度専門部会において、今後発生し得る原子力事故に適切に備えるため、原子力損害賠償制度の見直しに関して、専門的かつ総合的な観点から検討が行われているものと承知をしております。

 また、福島第一原発の事故に係る賠償、廃炉の対応については、東電が最後まで責任を持って行うという大原則を踏まえつつ、その上で、福島の復興再生を一日も早く実現するため、国も前面に立って適切に対応していくこととしています。

 予算面でも、中間貯蔵施設費用に相当する金額については、エネルギー対策特別会計からの資金交付を行うとともに、廃炉・汚染水対策のうち、技術的難易度の高い研究開発に対する財政措置等を講じてきております。

 廃炉作業に関して、現場との意思疎通や労働環境の改善等についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、廃炉事業を着実に進めていくには、現場の一人一人の行動と努力が欠かせません。

 私自身、就任直後に福島第一原発の現場を訪問し、働いておられる皆様を激励させていただきました。加えて、高木副大臣が三カ月に一度程度現場を視察し、直接意思疎通を行っております。今後もこうした取り組みを続けてまいります。

 また、廃炉を担う人材確保のため、東京電力は、工事の発注期間を長期化するなどの工夫を行っています。作業環境の改善についても、構内の約九割で一般作業服での作業が可能になるなど、作業員の負担軽減が進んでいます。

 組織の縦割りの弊害を取り除くためには、東電も含めた多様な主体が、原賠機構の監督と支援のもと、最適な事業体制を構築していくことが重要です。

 東京電力が不断の取り組みを行っていくよう、国としてもしっかりと指導してまいりたいと思います。(拍手)

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議長(大島理森君) 真島省三君。

    〔真島省三君登壇〕

真島省三君 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案について質問します。(拍手)

 福島では、今なお八万人近い県民が避難を強いられ、関連死が直接死の一・三倍となるなど、深刻な被害が続いています。

 三月十七日の前橋地裁判決は、東京電力の責任について、経済的合理性を安全性に優先させたと評されてもやむを得ないような対応で、特に非難に値するとし、また、国に対しても、規制権限を行使すれば事故を防ぐことは可能であり、違法だと厳しく指摘しました。世耕大臣は、この司法判断をどう受けとめますか。

 この間、加害者である東電は、事故処理と賠償の責任を果たしてきたのでしょうか。

 東電はこれまで、原賠機構法の枠組みのもとで、機構から七・一兆円もの資金交付を受け、それを特別利益として虚構の黒字決算をつくり出してきました。国が機構を通じて何度でも資金援助を行い、決して債務超過にさせない、この仕組みの検証と総括をまず行うべきです。

 本法案は、東電に廃炉費用の積み立てを義務づけるものですが、結局、東電救済と際限ない国民負担にしかなりません。

 大臣、過酷事故は起きないと安全神話を振りまき、原発を推進した歴代自民党政府の誤りを認めますか。その上で、東電を破綻処理し、一時的に国有化すること、資産を売却し、経営陣や株主、メガバンクなど貸し手の責任を問うべきです。さらに、原発で莫大な利益を得てきた原発利益共同体にも応分の負担を求めてこそ、国民負担を最小化できるのではありませんか。答弁を求めます。

 事故処理費用が二十一・五兆円と倍になったことに、多くの国民が驚きました。

 この巨額の費用を見積もったのが、経産省に設置された東電委員会です。そのメンバーは財界人中心で、原発事故被害者も福島県民の代表も参加していません。非公開の議論で国民に負担だけ押しつける、このやり方に大きな批判が巻き起こるのは当然です。

 東電改革提言が言う事故処理費用について伺います。

 果たして、二十一・五兆円で済むのでしょうか。

 世耕大臣、八兆円の廃炉費の試算額を保守的な数字と言いながら、試算の根拠である機構の有識者ヒアリングを、経産省も機構もみずから評価していないとはどういうことですか。廃炉費はスリーマイル島事故の五十倍程度、東電が積み立てた額が正確な廃炉費用、こういう大臣の答弁を見る限り、実に無責任な数字だと言わなければなりません。

 溶け落ちた核燃料の状況さえつかめず、汚染水も完全にコントロールされているどころか、対策の切り札として国費を投じた凍土遮水壁の効果はあらわれておりません。汚染水対策やデブリ取り出しが難航すれば、その費用がさらに膨らむのではありませんか。

 そもそも、法案が言う廃炉では、デブリ取り出しの先の作業をどう想定していますか。廃炉費の八兆円にその額も含まれていますか。

 福島の方々の苦しみや青天井の事故処理費用を直視しても、なお原発は低廉な電源だと言えるんですか。原発を安いベースロード電源としたエネルギー基本計画は見直すべきです。明確な答弁を求めます。

 提言が示す三段階の東電改革の中身も看過できません。

 第一段階とされているのが、送配電コスト改革による廃炉、賠償費用の確保です。送配電事業の合理化により捻出した費用を機構に積み立て、廃炉費に充てるとしていますが、経営合理化で生み出した利益は、電気料金引き下げの原資とすべきです。消費者に還元しないのは、実質的に値上げと一緒です。発電コストである廃炉費用を託送料に転嫁することは、発送電を分離した電力システム改革の趣旨と目的に反するのではありませんか。

 さらに、提言は、原子力賠償制度の不備による賠償費の不足分二・四兆円を、今後四十年間、消費者に請求するとしています。そもそも、二・四兆円の根拠は何ですか。過去分を新電力に負担させることは、原発以外の電源を選んだ消費者の選択権の侵害ではありませんか。原発推進の責任を国民に転嫁する、まさに不当請求と言わなければなりません。

 東電改革の第二段階で、柏崎刈羽原発再稼働を東電再建の柱だとしていることも重大です。再稼働反対の民意は、どの世論調査でも揺るがぬ多数です。昨年十月の新潟県知事選挙では、再稼働に反対する米山隆一知事が誕生しました。

 大臣、民意に反する再稼働は中止し、福島第二原発の廃炉を直ちに決断すべきではありませんか。

 東電改革の第三段階とされているのが、電力、原子力事業の再編統合、原発輸出と廃炉ビジネスによる株価の向上です。しかし、東電の株価を四、五倍に引き上げるなど、まさに机上の空論です。

 東芝の子会社ウェスチングハウスが、福島の事故後の安全規制強化でコストが膨らみ、巨額の損失を出して債務超過となり、米連邦破産法の適用申請をしました。

 世耕大臣、三月十六日の訪米の際、ロス商務長官らとの会談で、東芝の再建問題について、日米両政府で緊密に情報交換することを合意したと報道されています。一体、ウェスチングハウスをめぐって、日米でいかなる協議をされたのですか。報告を願います。その合意をもとに、政府主導の原発延命のための業界再編を加速しようというのですか。

 麻生大臣、来月にも始まる日米経済対話には、共同での原発売り込みが盛り込まれています。脱原発の流れや世界の原発市場の縮小は明白です。原発輸出はきっぱりやめるべきです。明確な答弁を求めます。

 最後に、原発は、事業者すら事故処理費用を賄えない究極の高コスト電源です。記録的猛暑の夏も、原発なしで電力を賄えました。動かせば、処理できない核のごみをふやします。原発再稼働路線は完全に破綻しています。

 省エネと再生可能エネルギーを中心とした、原発ゼロの日本への転換を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 真島議員にお答えをいたします。

 東京電力の福島第一原発事故への責任及び前橋地裁における判決の受けとめについてお尋ねがありました。

 東電による福島第一原発事故に係る事故処理や賠償の対応については、事故の当事者である東電が最後まで責任を持って行うという大原則のもと、これまで対応がなされてきたものと認識をしています。

 また、先日、前橋地裁における福島第一原発の事故に関する訴訟の判決については、裁判所の事実認定及び判断に国の見解と異なる点がありましたので、本日、控訴したところであります。

 原発の安全神話と原賠機構法の枠組み等についてお尋ねがありました。

 まず、政府及び原子力事業者がいわゆる安全神話に陥り、過酷事故への十分な対応ができず、福島第一原発事故を防ぐことができなかったことへの反省は、いっときたりとも忘れてはならないと考えています。

 その上で、東電を法的に整理すべきかどうかという点については、震災直後にも大きな論点になりました。

 当時も東電を法的整理すべきという選択肢も検討されましたが、被災者、被災企業への賠償や廃炉の停滞への懸念、これを強行すれば国みずから賠償や廃炉を行うこととなり、結果として東電の責任が消滅する点、破綻処理に伴う首都圏の電力安定供給への懸念などから、東電を法的整理せず、交付国債を原資とした機構による資金交付を通じて賠償の支払いを支援し、東電は迅速かつ適切な賠償、着実な廃炉、電力の安定供給、経営合理化といった責任を全うすべく、抜本的な経営改革を行うという方向となった経緯があります。

 現段階においても東電はその責任を果たしている途上であり、引き続き原賠機構法の枠組みにおいて対応していくことが必要であるとともに、東電を法的整理するのではなく、東電が経営改革により企業価値を上げながら福島に対する責任をしっかり果たしていくことが国民負担の最小化につながることになると考えています。

 東京電力改革・一F問題委員会、いわゆる東電委員会についてお尋ねがありました。

 東電委員会は、東京電力という企業の改革のあり方に関して有識者の意見をお聞きするため、事業再編や企業再生にも深い知見や経験を有する経営者等の方々に参画をお願いし、経済産業省設置法に基づき、大臣である私が設置した機関であります。また、その検討内容が個社の経営問題に直結することもあり、会議自体は非公開の扱いとしましたが、議事の概要及び資料を原則公開するとともに、委員長から、毎回終了後、長時間にわたり丁寧な記者ブリーフィングを行ってきており、今後も引き続き適切な対応を行ってまいります。

 福島第一原発の廃炉費用についてお尋ねがありました。

 福島第一原発の廃炉は、世界にも前例のない困難な作業です。現時点では、燃料デブリの取り出しの作業方針や工法が決定されておらず、そうした中で、廃炉に要する資金を具体的かつ合理的に見積もることは非常に困難です。

 他方、東電改革の具体策や廃炉費用に係る制度整備の検討を進めるに当たっては、廃炉費用について一定の規模感を示す必要があったため、廃炉に関する専門的知見を有する機構に依頼し、機構において、有識者のヒアリング結果をもとに、最新の情報に基づき、一定の蓋然性を有するものとして機械的に算出したものであり、現時点で上振れることは想定しておりません。

 今後、デブリ取り出しを含めて、廃炉に少なくとも三十年から四十年を要することが想定される中で、将来的に、必要となる資金が見通せるようになってくれば、その時点で追加すべきものは追加するものと考えています。

 また、燃料デブリについては、まずは取り出しを行い、安全に保管した上で、次の処理、処分方法については、燃料デブリ取り出し開始後に決定することとしています。

 デブリ取り出し後の処分費用については、今回の試算では、燃料デブリ取り出し以降に生ずる廃棄物の処分は含まれていないとされており、デブリ取り出し後の処分費用は含まれていないと認識をしています。

 原発のコストについてのお尋ねがありました。

 直近の発電コスト検証では、賠償や除染、中間貯蔵等の事故リスク対応費用、追加安全対策費用、核燃料サイクル費用、立地対策や研究開発等の政策経費などを全て含んだ試算を行っており、原子力の発電コストとして、キロワットアワー当たり十・一円以上という結果を得ています。

 また、当該試算の際に、あわせて、事故対応費用が将来仮に増加した場合の発電コストへの影響を機械的に算出することができるよう感度分析を行っており、いわゆる東電委員会においても、福島第一原発事故関連費用が一兆円増加した場合に、事故リスク対応のための発電コストは、キロワットアワー当たり〇・〇一から〇・〇三円増加するという試算を提示しているところであります。

 その試算に従いますと、仮に福島第一原発事故関連費用が十兆円増加した場合には、原子力発電の発電コストはキロワットアワー当たり十・二から十・四円となり、福島第一原発事故の賠償費用等を勘案したとしても低廉な電源だと考えられます。

 エネルギー基本計画については、エネルギー政策基本法において、三年ごとに検討を加え、必要があると認めるときはこれを変更するとされており、法律上検討する時期に来ていることから、今後、エネルギー情勢の変化などを見きわめながら、現行の計画の見直しの要否も含め幅広く検討を加えていきます。

 廃炉費用と賠償費用に係る措置についてお尋ねがありました。

 東電は、グループの総力を挙げて廃炉費用を負担すべき立場である中、現行制度上、送配電事業による合理化分を値下げ以外に活用することが認められていることを踏まえ、発電事業や小売事業に合理化を求めるとともに送配電事業にも合理化を求めるものであって、廃炉費用に係る今回の措置は、発送電分離に逆行するものではありません。

 むしろ、こうした制度によって、東電グループに対して合理化を求めることで、国民負担の増加を極力抑えることに資すると考えています。

 賠償に関する今回の措置は、福島原発事故以前、原賠機構法が措置されていなかったことから生じた賠償への備えの不足分をどう手当てすることが適当かという問題への対応であります。

 制度がなかったことによって、賠償への備えの不足が生じてしまったことについては、政府として真摯に反省しつつ、福島の復興を支えるという観点、また、当時、原子力の電気を広く消費者が利用し受益していた実態があることなども勘案し、全ての消費者から公平に回収させていただきたいと考えています。

 また、託送料金で回収する金額の規模は、現在の一般負担金の水準をベースに、一キロワット当たりの単価を算定した上で、これを前提に、二〇一〇年度までの原子力発電所の毎年度の設備容量等を用いて算出した金額から、回収が始まる二〇二〇年前の二〇一九年度末時点までに納付した、または納付することになると見込まれる一般負担金の合計額を控除した二・四兆円とし、これを上限とすることを、昨年十二月に閣議決定した福島復興指針において明記しております。

 柏崎刈羽原発の再稼働と福島第二原発の扱いについてお尋ねがありました。

 原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です。

 御指摘の柏崎刈羽原発については、東京電力において、原子力規制委員会による安全審査にしっかりと対応することはもとより、過去の企業文化と決別し、地元の方々への丁寧な説明を含め、国民の信頼を取り戻すべく努力することが極めて重要と考えております。

 また、福島第二原発については、福島県の皆様の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合審査を申請している他の原発と同列に扱うことは難しいと認識しております。まずは、東京電力が、地元の皆様の声に真摯に向き合った上で判断を行うべきものと考えています。

 東芝・ウェスチングハウスについてのお尋ねがありました。

 先日の訪米の際、ロス商務長官、ペリー・エネルギー長官から、米国で原発建設を進めるウェスチングハウスの親会社である東芝の財政的安定性は米国にとって重要との言及がありましたが、これ以上の詳細については特に議論になっておりません。

 米国とは、その後、随時情報交換を行っていますが、外交上のやりとりであり、その内容については答弁を差し控えさせていただきます。

 また、日米政府間で業界再編に関する議論がなされた事実はなく、原子力に関連する個々の事業者の再編や統合の是非については、民間企業の経営判断に属するものであり、政府としてお答えすべき性格のものではないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 真島議員から、日米経済対話と原発輸出について、一問お尋ねがあっております。

 日米経済対話の具体的な構成、内容につきましては、今後、日米間で調整をしていくことになります。御指摘の原発輸出も含めまして、現時点では何も決まっておるわけではありません。

 一方、世界におきましては、エネルギー安全保障などの観点から、原発の建設計画を進めている国は数多くあります。日本の原子力技術に対する期待の声があることも事実です。

 いずれにしても、日本といたしましては、相手国の意向や地理的状況を踏まえつつ、福島第一原発事故の知見や教訓を生かしながら、安全最優先で適切に対応していきたいと考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       経済産業大臣

       国務大臣     世耕 弘成君

       国務大臣     麻生 太郎君

 出席副大臣

       経済産業副大臣  松村 祥史君


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