衆議院

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第17号 平成29年4月6日(木曜日)

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平成二十九年四月六日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十号

  平成二十九年四月六日

    午後一時開議

 第一 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長御法川信英君。

    ―――――――――――――

 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔御法川信英君登壇〕

御法川信英君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国際開発協会の第十八次増資に伴い、政府は、同協会に対し、従来の出資額のほか、三千四百五十九億三千二百八万円の範囲において追加出資することができることとするものであります。

 本案は、去る四月三日当委員会に付託され、四日麻生財務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨五日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣金田勝年君。

    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣(金田勝年君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 三年後に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中、世界各地で重大なテロ事犯が続発し、我が国もテロの標的として名指しされ、邦人にも多数の被害者を出すテロ事件が発生しております。

 また、こうしたテロを敢行する犯罪組織は、テロを通じ、組織の威力を誇示して賛同者等を集めるとともに、薬物犯罪や人身に関する搾取犯罪を初めとするさまざまな組織犯罪によって資金を獲得し、組織の維持拡大を図っている状況にあります。

 さらに、国内においても、暴力団等が関与する対立抗争事犯や市民を標的とする殺傷事犯、高齢者等に対する特殊詐欺事犯等の組織犯罪も後を絶たず、国民の平穏な生活を脅かす状況にあります。

 こうした中、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための国際協力を可能とする国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約は、平成十五年五月に国会においてその締結につき承認され、既に百八十七の国・地域が締結済みでありますが、我が国はこの条約を締結するための国内法が未整備のため、いまだこれを締結はしておりません。

 そこで、この法律案は、近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びにこの条約の締結に伴い、必要となる罰則の新設等所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている一定の罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの、またはテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益の獲得等の目的で行われるものの遂行を二人以上で計画する行為であって、その計画に基づき当該犯罪を実行するための準備行為が行われたものを処罰する規定を新設するものであります。

 第二は、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪等に係る刑事事件に関し、虚偽の証言、証拠の隠滅、偽変造等をすることの報酬として利益を供与する行為を処罰する規定を新設するものであります。

 このほか、いわゆる前提犯罪の拡大など犯罪収益規制に関する規定、一定の犯罪に係る国外犯処罰規定等、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。土屋正忠君。

    〔土屋正忠君登壇〕

土屋正忠君 自由民主党の土屋正忠です。

 ただいま上程されました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆるテロ等準備罪処罰法案について、自由民主党・無所属の会を代表して質問をいたします。(拍手)

 ことしは、日本国憲法施行七十周年の記念すべき年に当たります。我が国は、先人たちの血のにじむような努力の末、今日の平和で成熟した民主主義社会を実現することができました。

 振り返りますと、サンフランシスコ平和条約の締結と独立、米ソ冷戦、六〇年日米安保の改定、一九六四年の東京オリンピック、石油ショックと狂乱物価など、幾多の困難や歴史の転換期に遭遇をいたしました。

 とりわけ、一九八九年ベルリンの壁の崩壊から始まった一九九一年ソビエト連邦の解体の衝撃は、戦後史を一変させる出来事でありました。冷戦が終えんして、自由と民主主義、基本的人権の尊重、法の支配など、人類共通の価値に基づく平和な世界が出現するとの予感がありました。

 しかし、現実は全く様相が異なった世界でした。民族、宗教、人種、貧困、独裁、薬物汚染などの紛争が続出し、また、この十数年、ICTの飛躍的進歩とともに深刻化するサイバー攻撃など、世界を揺るがす困難が相次いで噴出するとともに、二〇〇一年九月の米国の同時多発テロから、最近ではアルカイダやISILのような組織的テロリズムがしょうけつをきわめております。

 昨年七月のバングラデシュにおける七名もの邦人が犠牲になったテロ事件も記憶に新しいところでありますが、直近の四月三日には、ロシア・サンクトペテルブルクの地下鉄において、市民を標的にした多数の死傷者を出す卑劣な爆弾事件等が発生をしております。

 これらの現実に直面した国際社会は、各国が協力してテロや国際金融犯罪と闘うことを決意し、二〇〇〇年に国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、いわゆるTOC条約を採択し、既に百八十七の国・地域が締結をいたしました。

 我が国においても、二〇〇三年に、その締結につき国会で承認をされておりますが、残念ながら、いまだ締結をできておりません。

 大規模なテロ事件等の発生が続いている中、我が国が国際社会において、テロを含む国際的な組織犯罪防止の抜け穴になっているような現状は、早急に解決をしなければなりません。

 このような現状に加えて、二〇二〇年に、テロの標的となり得る東京オリンピック・パラリンピック、その前年のラグビーワールドカップの開催を控えており、組織的なテロ事件の発生を未然に防止すべく、万全の体制を整える必要があります。

 我が国がこの条約を締結する必要性について、改めて安倍総理にお伺いをいたします。

 次に、条約締結における国内法の整備について質問をいたします。

 我が国がTOC条約を締結できない理由は、国内法が未整備のためであり、本法律案は、条約を締結するために必要な法整備を行うものであると理解をいたしております。

 その中で、過去の国会の議論を通じて、テロ等準備罪を新設しなくても条約を締結することは可能であるというような主張が示されております。

 しかし、二〇〇六年、当時の民主党は、既に締結した国際条約に基づいて、テロ組織や組織的犯罪集団に厳罰を設けること自体については当然であると考え、これを容認しておりますなどとした上で、適用対象となる団体を組織的犯罪集団に限定するなどとした組織的な犯罪の共謀罪の修正案を国会に提出されたわけであります。

 当時から、TOC条約を締結するためには重大な犯罪の合意罪の法整備が必要であるとの認識に立っていたことは、まことに卓見であります。

 今回のテロ等準備罪の新設がなければTOC条約の締結ができないものと理解をしておりますが、岸田外務大臣にお尋ねをいたします。

 続きまして、本法律案をめぐる国民の懸念と、国際犯罪、テロ事件防止への有益性について質問をいたします。

 このTOC条約を締結するための国内担保法案は、過去三度国会に提出されましたが、いずれも廃案となりました。

 廃案となった過去の法律案には組織的な犯罪の共謀罪の新設が盛り込まれておりましたが、これに対して、正当な活動を行う団体も対象となるあるいは内心が処罰されることになるなどといった懸念が示されておりました。今回政府が提出したテロ等準備罪処罰法案と過去の法案との違いについて説明を、金田法務大臣にお尋ねいたします。

 テロ等準備罪については、正当な活動を行っている団体も処罰の対象となるのかという意見がありますが、その適用の対象となる団体を組織的犯罪集団に明文で限定しており、正当な活動を行っている一般の団体がこれに当たらないことは明白であります。我が国が監視社会になるなどという批判は全く誤解に基づいた意見と考えますが、この点についても金田法務大臣の見解を伺います。

 また、この条約を締結すれば、日本国と条約締結国との間で、司法、治安の中央当局同士がテロ犯罪情報の交換を初めとした相互援助が直接でき、迅速性に富んだ成果が得られると理解をしております。TOC条約を締結することが各締結国との連携強化にどのように資するか、岸田外務大臣にお尋ねをいたします。

 さらに、G7、先進七カ国等のもとに政府間会合として設立された金融活動作業部会、いわゆるFATFにおいて、我が国を含めたTOC条約未締結国に対して国際金融取引上の懸念が表明されており、経済界からも一日も早い条約の締結を望んでいると理解をいたしております。TOC条約を締結することによる影響について、麻生財務・金融担当大臣にお尋ねいたします。

 結びに、自由民主党は自由と民主主義を党是としている政党であります。三権分立のもと、法の支配、基本的人権の保障を最大の価値として尊重してまいりました。内心の自由、思想信条の自由、結社の自由、人身の自由を尊重、擁護することは当然の責務であります。

 同時に、これらの基本的人権の最大の脅威は、暴力をもって一切を破壊しようとするテロリズムではありませんか。国権の最高機関である立法府に身を置く者として、テロ防止のためにすき間ない立法措置をとることは当然の責任であり、国民の負託に応える道だと確信をいたしております。

 国民の身体と生命、財産を守ることは与党も野党もありません。テロ等準備罪処罰法の一日も早い成立に向けて十分な審議を重ね、立法府としての責任を果たそうではありませんか。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 土屋正忠議員にお答えをいたします。

 国際組織犯罪防止条約の締結の必要性についてお尋ねがありました。

 二〇〇一年にアルカイダによる九・一一テロが発生し、ISILのような凶悪な組織も登場する中、こうした組織は、さまざまな犯罪行為で収益を上げ、それを資金源に暴力的な活動を行っています。今こそ、国際社会が一致結束して、こうした現状にしっかりと対処しなければなりません。

 今日の国際社会においては、テロ行為そのものへの対処に加えて、テロ行為を可能とする資金源を断つことが、テロの最終的な根絶に向けて効果的な方策となっています。

 このような中、国際組織犯罪防止条約は、テロを含む幅広い国際的な犯罪組織を一層効果的に防止するための国際的な枠組みであり、既に百八十七カ国・地域が締結している極めて重要な条約です。この条約を締結していないのは世界で十一カ国だけであり、G7では日本だけです。我が国が国際社会における法の抜け穴となるわけにはいきません。

 世界各地でテロが続発する中、三年後には東京オリンピック・パラリンピック、その前年にはラグビーワールドカップの開催を控え、テロ対策に万全を期すことは開催国の責務であります。

 我が国として、この条約の締結に必要な国内法整備、すなわち、テロ等準備罪処罰法を成立させ、本条約を早期に締結することが必要不可欠であります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 私には、TOC条約、すなわち国際組織犯罪防止条約の締結に当たってテロ等準備罪を新設する必要性についてお尋ねがありました。

 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけています。

 しかし、我が国は、現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在していません。

 したがって、我が国の国内法は本条約の義務を履行できておらず、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することができないと考えております。

 そして、もう一つ、国際組織犯罪防止条約の締結による各締約国との連携強化についてお尋ねがありました。

 例えば、捜査共助に関しては、本条約に基づく義務として一層確実に、かつ、外交ルートによることなく中央当局間で、より迅速かつ効率的に共助が可能となります。

 犯罪人引き渡しに関しては、我が国との間で引き渡し条約を締結していない国との間で引き渡しの要請の実効性が高まります。

 このように、本条約の締結により、百八十七の締約国・地域との間で捜査共助や犯罪人引き渡しがより充実したものとなり、国際社会と協力して、テロを含む国際的な組織犯罪に対処できるようになります。(拍手)

    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣(金田勝年君) 土屋正忠議員にお答えを申し上げます。

 まず、組織的な犯罪の共謀罪とテロ等準備罪の違いについてお尋ねがありました。

 かつての組織的な犯罪の共謀罪については、御指摘のような不安や懸念が示されました。テロ等準備罪は、このような不安や懸念を払拭するために、かつての共謀罪の要件を厳格化したものであります。

 具体的には、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定いたしまして、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が対象とはならないことを一層明確にするとともに、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものをリスト化し、対象犯罪を明確化いたしました。また、犯罪の計画だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰するものではないことについても一層明確化するとともに、処罰範囲も限定いたしました。

 このように、テロ等準備罪は、共謀したことだけで処罰されることとされていたかつての共謀罪とは大きく異なります。

 次に、テロ等準備罪の新設により監視社会となるのではないかとの意見に関するお尋ねがありました。

 テロ等準備罪については、対象となる団体を、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などといった組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々や正当な活動を行っている団体がテロ等準備罪の適用対象となることはありません。

 また、テロ等準備罪の新設に伴い、テロ等準備罪を通信傍受の対象犯罪にするなど、新たな捜査手法を導入することは予定をしておりません。

 したがって、テロ等準備罪の新設により、捜査機関が常時国民の動静を監視するといったような監視社会となることはありません。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 土屋先生からは、国際犯罪防止条約、いわゆるTOC条約締結によります影響について、一問お尋ねがあっております。

 マネーロンダリングとかテロ資金対策のための政府間会合として、G7のもとに設立されております金融活動作業部会、通称FATFにおきましても、参加国は、国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約の締結国となるよう求められております。

 また、G20のサミットの声明でも、このFATFの勧告の実施が要請をされておるというのは御存じのとおりです。

 TOC条約の速やかな締結により、マネーロンダリングの防止など、日本として、国際金融取引における信頼の維持に向けた取り組みを国際社会に対して示すことができると考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 逢坂誠二君。

    〔逢坂誠二君登壇〕

逢坂誠二君 民進党の逢坂誠二でございます。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して質問をさせていただきます。(拍手)

 私は、今、激しい怒りの中にあります。

 その怒りの一番目は、今村復興担当大臣であります。

 一昨日の記者会見で、福島第一原発事故の自主避難者に対して、本人の責任でしょう、裁判でも何でもやればいいじゃないかなどと発言したのみならず、記者の質問に激高し、出ていきなさい、二度と来ないでくださいなどと暴言を吐くという、信じられない事態を引き起こしたのであります。

 自主避難されている皆さんの心を逆なでするばかりか、ああした場所で冷静さを保てない今村復興大臣は、即刻辞任すべきものと思います。この点について、総理の見解を伺います。よもや擁護はしないものと思いますが、しっかりとした見解をお願いいたします。

 怒りの二番目は、安倍政権の隠蔽体質であります。

 森友学園への不透明な土地の払い下げ、南スーダンPKOの日報、文部科学省の違法な天下りなど、国会でさまざまな質問をしても、一向にその真相が明らかになりません。その理由は、麻生財務大臣、石井国土交通大臣、稲田防衛大臣、松野文部科学大臣、いずれもが問題の詳細を明らかにせず、問題解決を先送りしているからであります。特に森友学園問題は、安倍総理夫人関与の懸念がいまだに払拭されておりません。

 これらの問題の解明に向け、安倍内閣の隠蔽体質を早急に是正すべきと思いますが、総理の見解を伺います。

 怒りの三番目は、性犯罪厳格化法案の審議を後回しにしたことであります。

 強姦罪を百十年ぶりに見直す性犯罪厳格化法案は、性犯罪被害に悩む多くの皆さんが待ち望んでいた法案です。きょうも性犯罪被害に遭う方がふえている可能性があります。それにもかかわらず、国民からの批判のある共謀罪法案を先に審議するのは非人道的であり、政治の優先順位を間違えた言語道断の暴挙なのであります。

 法案審議の順番を議論するのは国会の場でありますが、性犯罪厳罰化法案の優先度は共謀罪法案よりも低いと考えておられるのか、総理、さらに法務大臣の見解を伺います。

 安倍総理は、共謀罪法案に関し、一般の方は対象にならないとか従前の共謀罪とは全く違うと繰り返し明言されました。しかし、この間、総理も金田大臣も、その根拠を全く説明することができない始末であります。

 金田大臣に至っては、約四十問に近い疑問に関し、ほとんど答えられず立ち往生し、成案ができたら答えるとしましたが、成案閣議決定後の今も、私たちはその十分な答えを聞いてはおりません。

 先日、法務委員会を傍聴に来た私の支持者が、金田大臣の姿を見て、あれはまるで二人羽織ですね、そう称したのが、まさに金田大臣の姿を象徴しているのではないでしょうか。

 そんな中、この法案の審議に入るのは全く納得のできないことでありますが、強行的に本会議が開催されましたので、やむなく法案の内容について質問をさせていただきます。

 共謀罪法案は、過去三度廃案になりました。二次安倍政権が発足してからおよそ四年を経て、今回新たな共謀罪法案が出てきました。総理は、条約締結のため国内法整備が必要と主張しますが、必要性が高いと言う割には、その動きは緩慢であったと言わざるを得ません。

 総理、今になって急に必要性を強調されておりますが、なぜ一次政権で審議を放置したのか、また、二次安倍政権になって四年も提出に至らなかったのか、その説明を求めます。

 総理は、ことし一月、衆議院本会議で、国内法を整備し、条約を締結できなければ、東京五輪・パラリンピックを開けないと言っても過言ではないと答弁されました。しかし、伊勢志摩サミットのときはこんな話は全くしておりません。

 一方、オリンピック招致のため、ブエノスアイレスで二〇一三年に行った演説では、二〇二〇年を迎えても世界有数の安全な都市、東京で大会を開けますならば、それは私どもにとってこの上ない名誉となるでありましょうと高らかに宣言していました。

 国内外で真逆の発言をする総理の二枚舌にあきれるほかはありませんが、総理の発言がいずれも正しいとするならば、東京は、わずか三年半の間に、オリンピック開催もままならないほど危険になったということなのでしょうか。総理、明確にお答えください。

 総理の一月の衆議院本会議での答弁は、共謀罪法案をつくらなければ、日本はテロにさらされ、テロに対抗できない危険な国であるという誤ったメッセージを世界に向けて発信してしまったと私は受けとめています。日本国内でも非道で悲しい事件が起きることがあるものの、多くの皆さんの努力によって日本は世界でもトップクラスの治安のよさを誇る国だと私は考えています。

 もし私の考えに賛同するのであれば、日々、日本の治安維持を担う人たちの努力を総理がおとしめたことに対して謝罪をすべきです。総理の考えをお示しください。

 総理は、共謀罪法成立と条約締結がテロ対策の切り札であるかのような発言を繰り返しています。しかし、世界に目を向けると、条約を締結している国であってもテロは防ぎ切れていないことは一目瞭然です。また、単独犯によるテロは、この法律案の対象とはなっていません。

 テロ対策が必要なことは当然であり、自明のことであります。しかし、テロ対策を口実にして共謀罪法案の成立を画策するのは、実にこそくな手口であります。

 この共謀罪法案はテロ対策の万能薬ではありません。本来、有効なテロ対策のために優先して行うべきことは、島国日本の特性を考慮した水際対策の強化、さらに、残されたテロ対策関連条約の締結、加えてサイバーテロなどテロに対して手薄な個別分野の強化だと私は考えますが、総理の見解を伺います。

 国際組織犯罪防止条約が批准の際に求める犯罪化の手法に関し、日本の法体系では例外的な位置づけでしかない共謀罪を、なぜ包括的に犯罪化することにこだわるのか、金田大臣の答弁を求めます。

 日本の刑事法体系において、条約が求める包括的共謀罪も参加罪も国内の基本原則にそぐわないことが自明であるにもかかわらず、留保という手段を行使しない理由は何であるのか、岸田外務大臣に答弁を求めます。

 今回の共謀罪では、日本の刑事法での重大な犯罪、六百七十六犯罪のうち、二百七十七犯罪を対象としました。これは、二〇〇五年に政府が閣議決定まで行って否定した重大な犯罪の選別そのものであります。

 なぜ、当時、犯罪を選別できないと答えたのか。また、なぜ今回選別をしたのか。また、選別をしても条約締結の国内法の要件をなぜ達成できると言えるのか。金田法務大臣及び岸田外務大臣に答弁を求めます。

 今回、共謀罪にテロ等準備罪というまやかしの愛称をつけ、政府は共謀罪の危険な本質を隠蔽しようとしています。ところが、この法案の当初案には、テロリズム集団の文言は皆無でした。愛称がまやかしであることがばれることを恐れたのかどうかはわかりませんが、与党議員の懇願で慌てて今回の法案にテロリズム集団の文言を付加したと報道されました。しかし、急ごしらえで付加されたテロリズム集団は、定義も何もない例示にすぎず、この法律の中では全く意味をなさない、単なるお飾りにすぎません。

 真にテロ対策をうたうのであれば、テロリズムやテロリズム集団を定義した上で、まずその定義に当てはまる集団に的を絞った法制をとるべきであると考えますが、なぜ今回の法案ではテロリズム集団でさえも例示的記載にとどまったのか、法務大臣の答弁を求めます。

 総理は、今回の法案はその主体を組織的犯罪集団に絞ったと言い切っていますが、一方で、目的が一変した場合、それが犯罪集団だという説明も繰り返しています。捜査側が組織の目的が一変したかどうかを判断するためには、一変する経過を常に調べていなければ、犯罪集団を早期に検挙し犯行を抑止することはできません。

 そうなってくると、本法案は恒常的な監視が前提、つまり日本を監視社会にする法律と受けとめざるを得ません。国民監視と結びつかないと断言できるのであれば、その論拠をお示しください。

 冒頭に述べたとおり、我々は、性犯罪の厳罰化法案を共謀罪法案よりも先に審議すべきと強く主張しており、今回の共謀罪法案の審議入りには反対です。しかし、与党が強制的に共謀罪法案の審議にどうしても入るというならば、我々には提案があります。

 この法案は議論すべき論点が満載です。そこで、議論すべき論点を提示させていただき、その論点ごとに、参考人質疑も含め丁寧に議論すること、さらに、金田大臣も望んでいたとおり、論点によっては外務大臣にも法務委員会に出席いただくこと、審議の最初の概括的質疑と審議終盤の総括的質疑には、総理、外務大臣も同席をして議論を深めること、これらのことを審議入りの前提として提案させていただきます。

 自公両党が共謀罪法案の審議入りに合意した去る三日、自民党の竹下国対委員長は、記者団に対して、国民にわかりやすく充実した審議をしなければならない、時間をきちんととると話されております。

 古川筆頭、さらにまた公明党の國重理事、さらに与党の理事の皆さん、強行的に共謀罪の審議に入ってしまった今、ぜひ我々の提案を受け入れていただき、十分な審議をお願いいたします。

 さて、自民党の広報本部長を務める方が、この四月一日放送のTBS「報道特集」という番組の中で次のように語られました。

 今回の法律が通れば、捜査当局に権限が与えられて、捜査当局の監視の目が強まる、市民に関する監視の目が強まることは間違いない、通信傍受は人権を侵害するおそれはある、メールでやってもよい、LINEでやってもよい、そういったものも傍受することも将来的に可能性はあると思う、犯罪者の周辺にいる人物に迷惑がかかるでしょう。

 与党の広報本部長の、共謀罪法案に関する極めて重要な全国への発信を御紹介させていただきました。

 安易に、誰でも犯罪集団構成員とみなし得る犯罪を創設するべきではないこと、十分な審議を行うことを訴え、質問といたします。

 終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 逢坂誠二議員にお答えをいたします。

 今村復興大臣の記者会見での発言等に関するお尋ねがありました。

 本件については、今村大臣が当日の夕刻に謝罪会見を行い、感情的になったことをおわびするとともに、今後はそうしたことがないように冷静、適切に対応していく旨申し上げたものと承知しております。

 被災者の方々に寄り添いながら復興に全力を挙げるとの安倍内閣の方針は、いささかも変わるものではありません。今村大臣には、引き続き、被災者の皆様に寄り添って、一日も早い被災地の復興に向け、全力で職務に取り組んでいただきたいと考えております。

 安倍内閣の説明責任についてお尋ねがありました。

 安倍内閣はこれまでも、国会での法案等の御審議に関し、各議員からの御質問に対して、担当大臣が一つ一つ丁寧かつ真摯に説明に努めてまいったところであります。隠蔽体質との御指摘は当たりません。

 政府としては、今後とも、国会での御審議において、真摯かつ丁寧な説明に努めてまいります。

 法律案の審議順序に関してお尋ねがありました。

 今国会に提出しております性犯罪に関する罰則を改正しようとする刑法の一部改正法案は、性犯罪被害者の声に応えるなどの観点から、テロ等準備罪処罰法案と同様、重要な法案であると考えております。

 もっとも、法案審議の順序等、国会審議のあり方については、国会においてお決めいただく事柄であり、政府として申し上げるべきことではないと考えております。

 テロ等準備罪処罰法案の提出時期等に関するお尋ねがありました。

 国際組織犯罪防止条約を締結するために必要な法整備については、平成十五年、十六年、十七年の三回にわたって法案を国会に提出いたしました。

 これらの法案については、国会審議の過程において、主として、組織的な犯罪の共謀罪に関し、正当な活動を行う団体も対象となる、内心が処罰されることとなるなどの不安や懸念が示される一方、与野党において活発な御審議が行われ、修正案が提出、検討されるなどしましたが、いずれも成立に至らず、廃案となったところであります。

 そこで、政府において、こうした国会における御審議の経緯やその間に示された不安、懸念等を踏まえつつ、どのような法整備を行うことが適切か、時間をかけて慎重に検討してまいりました。

 その結果、適用対象となる団体を組織的犯罪集団に限定し、計画行為に加えて、実行準備行為があって初めて処罰の対象とするなど、一般の方々が処罰の対象とならないことをより明確にすることによって、これまで示された不安や懸念を払拭できる成案をようやく取りまとめるに至りましたので、今国会にテロ等準備罪処罰法案を提出した次第であります。

 我が国の治安に対する認識等についてお尋ねがありました。

 国内の犯罪情勢は予断を許さない状況にあるとはいうものの、現状において我が国の治安は良好に保たれております。そのような治安のよさを確保するために日夜厳しい勤務に当たられている治安関係機関の職員に対し、敬意を表するところであります。

 他方、先般もロンドンやサンクトペテルブルクでテロが発生しましたが、世界各地でテロが発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つであります。

 情勢は常に変化しており、テロ対策にこれで十分ということはありません。これで十分と、さらなる努力を放棄するような政党には、政権を担う資格はないと思います。

 できる対策は全て尽くすことが大会開催国の責務であります。

 そのため、国際組織犯罪防止条約が定める犯罪化を実施して同条約を締結することにより、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐとともに、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助を可能とするほか、情報収集において国際社会とより緊密に連携できるようにするとともに、本法律案によるテロ等準備罪の創設により、テロ組織を含む組織的犯罪集団による犯罪の実行着手前の段階での検挙、処罰を可能とし、こうした犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することができるようにする必要があると考えております。

 このように、今回の法整備は、我が国の良好な治安を維持し、より一層確たるものにするためのものであり、私の答弁が誤ったメッセージを与えた等の御指摘は全く当たりません。

 我が国において取り組むべきテロ対策についてお尋ねがありました。

 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つであると認識しています。

 言うまでもなく、テロ対策は、国際組織犯罪防止条約の締結やテロ等準備罪の創設にとどまらず、さまざまな対策を総合的に行っていかなければならないものであり、現在、政府においては、官邸直轄の国際テロ情報ユニットを新設し、国際社会と緊密に連携して、情報収集、分析を強化するとともに、水際対策の徹底、重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化、サイバーセキュリティー対策の強化等、総合的なテロ対策を強力に推進しているところであります。

 今後も、政府の総力を挙げて、テロの未然防止のための諸対策を強力に推進する所存であります。

 テロ等準備罪の新設が国民監視と結びつくのではないかとのお尋ねがありました。

 テロ等準備罪については、対象となる団体を、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々や正当な活動を行っている団体がテロ等準備罪の適用対象となることはありません。

 また、犯罪の嫌疑がなければ捜査が行われることがないことは他の犯罪の捜査と何ら変わることはないのであり、犯罪の嫌疑がない正当な活動を行っている団体が捜査の対象となることもありません。

 さらに、テロ等準備罪の新設に伴い、新たな捜査手法を導入することも予定しておりません。

 したがって、テロ等準備罪の新設により、捜査機関が常時国民の動静を監視するようになるといった御懸念は全く無用のものであります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣(金田勝年君) 逢坂誠二議員にお答えを申し上げます。

 まず、性犯罪に関する刑法の一部を改正する法律案とテロ等準備罪処罰法案についての審議の優先順位についてお尋ねがありました。

 先ほど総理から御答弁がありましたように、法案審議の順序等の国会審議のあり方につきましては、国会においてお決めいただく事柄であり、政府として申し上げるべきことではないものと考えております。

 性犯罪に関する刑法の一部改正法案は、明治四十年に現行刑法が制定されて以来、初めて性犯罪の構成要件等を大幅に見直すなどする点において、非常に大きな意義があるものと認識をしております。

 また、テロ等準備罪処罰法案は、三年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中、国際組織犯罪防止条約の締結のための法整備として必要なものであり、テロ等準備罪を新設し、国際組織犯罪防止条約を締結することは喫緊の課題であると認識しております。

 このように、いずれも国民の安全、安心に密接にかかわるものとして極めて重要な法案であると考えております。

 次に、テロ等準備罪を新設する必要性についてお尋ねがありました。

 国際組織犯罪防止条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意または組織的な犯罪集団への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけております。

 しかし、現行法上、参加罪は存在しない一方、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎません。

 また、予備罪は予備行為を処罰するものであって、合意を処罰するものではない上に、客観的に相当の危険性がなければ処罰の対象とはなりません。したがって、個別に予備罪を設けたとしても、本条約第五条の趣旨に反するおそれが高いものと承知をしております。

 このように、我が国の現行の国内法では国際組織犯罪防止条約の義務を履行できないため、同条約を締結するためにテロ等準備罪を新設する必要があると考えております。

 なお、個別に共謀罪、陰謀罪を設ける場合には、条約上の義務を担保できるものとする必要がありますので、本法律案のテロ等準備罪におけるのと同様の範囲で共謀罪等を設ける必要があることになるものと考えられます。

 次に、組織的な犯罪の共謀罪及びテロ等準備罪の対象犯罪の限定と国際組織犯罪防止条約との関係についてお尋ねがありました。

 条約との関係について、詳しくは後ほど外務大臣から答弁がありますが、組織的な犯罪の共謀罪及びテロ等準備罪は、いずれも本条約の重大な犯罪の合意の犯罪化の義務を履行し得るものとして対象犯罪を定めたものであります。そして、テロ等準備罪は、本条約が対象犯罪を組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪に限定することを締約国に認めていることを活用したものであって、本条約の義務を履行する上で問題はない、このように承知をしております。

 最後に、テロ等準備罪におけるテロリズム集団という文言の意義についてお尋ねがありました。

 テロリズムとは、一般に、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、または社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものと承知をしております。

 テロ等準備罪におけるテロリズム集団という文言は、いかなる団体が組織的犯罪集団に該当するのかをよりわかりやすく例示したものであり、一般的な意味を前提として用いているものであります。

 このように、テロリズム集団は、組織的犯罪集団の例示であって、罰則の構成要件となるものではないので、これを定義する必要はないものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 私には、国際組織犯罪防止条約の締結について、留保を付さない理由についてお尋ねがありました。

 重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の犯罪化について規定する本条約第五条は、国際的な組織犯罪への効果的な対処を目的とした本条約の中核をなす規定です。したがって、このような条約の中核をなす規定に留保を付すことは、本条約の趣旨及び目的と両立せず、そのような留保を付すことはできないと考えております。

 さらに、手続上、申し上げるならば、本条約については、留保を付さずに締結することについて、既に平成十五年、国会の御承認を得ている以上、政府としては、留保を付さない形で締結することとしております。

 なお、我が国においても、特に重大な犯罪や取り締まり上必要がある一部の犯罪については、予備罪や共謀罪等、実行着手前の行為も処罰されます。

 したがって、結果実現の危険性が高く悪質な組織的犯罪の合意について処罰することは、我が国の国内法の基本原則に反するものではないと考えております。

 もう一点、組織的な犯罪の共謀罪及びテロ等準備罪の対象犯罪の限定と国際組織犯罪防止条約との関係についてお尋ねがありました。

 政府は、平成十七年当時、過去の法案における組織的な犯罪の共謀罪の対象犯罪について、犯罪の内容に応じて選別することは、国際組織犯罪防止条約上できないものであると考えているとの答弁書を閣議決定しております。

 この答弁書は、過去の法案の組織的な犯罪の共謀罪において定められていた要件を前提として、その対象犯罪を、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪一般としていた旨を説明したものであります。

 他方、今回の法案のテロ等準備罪においては、一般の方々が処罰の対象とならないことが明確になるよう、法文上、犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪に限定したものです。

 このように、今回の法案のテロ等準備罪は、本条約が対象犯罪を組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪に限定することを締約国に認めていることを活用したものであり、本条約の義務を履行する上で問題はないと考えています。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 國重徹君。

    〔國重徹君登壇〕

國重徹君 公明党の國重徹です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 近年、テロ組織が勢いを増しております。世界各地で過激なテロが頻発し、我が国も、テロ組織から、その標的としてたびたび名指しをされております。

 こういった中、二〇一九年にはラグビーのワールドカップ、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが控えています。世界が注目するこれらの国際大会を、断じてテロの標的にさせてはなりません。

 国民の命、安全を守ること、これは政治の最大の使命であり、ここには与党も野党もありません。

 このことをまず冒頭申し上げ、以下、質問をさせていただきます。

 まず、国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約の早期締結の必要性について伺います。

 テロを含む国際的な組織犯罪を未然に防止する、そのためには国際社会の協力が不可欠です。そこで、我が国でも、二〇〇三年、社民党を除く各党の賛成でTOC条約締結の国会承認がされました。

 しかし、今日まで条約は未締結。締結国は既に百八十七カ国・地域となり、北朝鮮も昨年に締結済みです。国連加盟国のうち未締結国は、日本を含むわずか十一カ国のみ。先進国で我が国だけが取り残されている状況です。

 TOC条約が締結できれば、締結国の間において、捜査共助や逃亡犯罪人引き渡しが円滑、迅速にできるようになります。

 例えば、二国間条約がない国との捜査共助については、外交当局を通じてのやりとりしかできず、半年ないし年単位の時間がかかるケースもあります。これが、条約締結により、中央当局同士の直接のやりとりが可能となり、非常にスピーディーになります。また、中央当局間の接触がふえる効果として、日常的な情報交換の促進も期待されるところです。

 そこで、改めて、TOC条約の早期締結の必要性、重要性、また、我が国が条約を締結していないことにより、諸外国にとって国際協力を行う上でどのような支障が生じているのか、安倍総理の答弁を求めます。

 次に、国内法整備の必要性について伺います。

 TOC条約は、重大な犯罪を行うことの合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の、少なくとも一方を犯罪とするよう求めております。

 しかし、日本の現行法には、条約が求める重大な犯罪の合意罪に当たる罪は一部の犯罪にしか規定がなく、参加罪はありません。そのため、新たな国内法の整備がどうしても必要です。それが本法案です。

 この点、民進党は、条約締結のためには共謀罪もテロ等準備罪も不要であると主張されています。しかし、民進党は、民主党時代、共謀罪を導入することなく条約に入ると公約を掲げ、政権についたものの、その三年三カ月の間、条約に加盟することはできませんでした。民進党は、まずその理由を明確に示すべきです。新たな法整備なくして条約締結ができないことは明白でございます。

 その上で、喫緊の課題であるテロを含む組織犯罪対策をどうするのか。条約の早期締結の必要性は共有していると考えますが、そうであればこそ、本法案に問題があるというのであれば、早期に対案を出し、建設的な議論をすべきです。

 ここで、岸田外務大臣に改めて、TOC条約締結に向けた国内法整備の必要性を伺います。また、条約締結のために予備罪を個別に設ければ足りるとの一部見解について、これで条約の要請を満たすと言えるのか、明快な答弁を求めます。

 テロを含む組織犯罪対策が必要である一方、TOC条約が求める合意罪は実行着手前の行為を処罰の対象とすることから、捜査権濫用による人権侵害のおそれがあると指摘されております。国民の不安や懸念を真摯に受けとめ、その払拭に努めることも政治の使命です。

 本法案は、政府が提出し、三たび廃案となった共謀罪に比べ、構成要件を厳格化し、対象犯罪も限定しています。具体的には、主体を組織的犯罪集団とし、行為は、計画に加え、計画に基づく準備行為を要するとしています。また、組織的犯罪集団が行うことが現実的に想定できない犯罪を対象犯罪から外し、対象犯罪を六百七十六から二百七十七まで絞りました。条約の義務を担保できる範囲で、我が国の刑法の謙抑主義にも十分配慮した法案となっていると考えます。

 岸田外務大臣にお伺いします。

 G7を含むOECD加盟国のうち、合意罪について、合意のほか、TOC条約が犯罪の成立要件のオプションとして許容する組織的犯罪集団と合意内容の推進行為、つまり準備行為を両者ともに要件としている国はないと認識していますが、それで間違いないか。また、テロ等準備罪の対象犯罪を限定することは条約上許されるのか。答弁を求めます。

 次に、テロ等準備罪の主体に関しお伺いします。

 かつての共謀罪は、主体を団体としていました。これに対し、一般の民間団体や労働組合なども対象になるのではないかとの懸念の声がありました。

 本法案では、主体を、結合の目的が重大犯罪を実行する団体である組織的犯罪集団に法文で明確に限定しております。これにより、一般の民間団体、労働組合などがその対象にならないことは、より明らかになったと考えます。

 それでもなお、例えば自然環境や景観の保護など、正当な主義主張をアピールするために、その手段として座り込みを行うことを計画しただけで組織的犯罪集団に当たってしまうのではないかとの懸念の声が示されております。

 しかし、これについては、重大犯罪を実行することを結合の目的としていない以上、その対象に当たらないと考えます。金田法務大臣の見解を伺います。

 かつての共謀罪は、対象となる行為を合意のみにしていました。これに対し、内心が処罰の対象になるといった懸念の声や、居酒屋で上司を殴ってやろうと話し合っただけで犯罪になるといった荒唐無稽な誤った批判が流布しました。

 本法案では、具体的、現実的な計画のほか、計画に基づく準備行為を必要としております。これにより、これらの懸念、批判が明確に解消されることになったと考えますが、金田法務大臣の答弁を求めます。

 警察による証拠偽造など、違法捜査の事例が散見されます。到底許されるものではありません。こうした事例の再発を防止し、テロ等準備罪が新設された場合には、その適切な運用がなされるよう、取り組みを強化すべきです。松本国家公安委員長の見解、決意をお伺いいたします。

 なお、テロ等準備罪については、その嫌疑があると捜査機関が判断さえすれば、逮捕や捜索、差し押さえなどの強制捜査ができることになるとの懸念の声もありますが、強制捜査は中立公平な裁判官の発する令状がない限り行うことはできず、その懸念は当たりません。

 結びに、テロを含む組織犯罪から国民の命と安全を断じて守る、その一方で、捜査機関による不当な人権侵害は絶対に許さない、この責任感と緊張感を持って地に足のついた真摯な審議が行われること、そして、その審議を通し、本法案に対する国民の正確な理解が広がり行くことを強く期待して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 國重徹議員にお答えをいたします。

 国際組織犯罪防止条約の早期締結の必要性及び重要性についてお尋ねがありました。

 国際組織犯罪防止条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための国際的な枠組みであり、既に百八十七カ国・地域が締結している極めて重要な条約です。この条約を締結していないのは世界で十一カ国だけであり、G7では日本だけであります。我が国が国際社会における法の抜け穴となるわけにはいきません。

 捜査共助については、現行法のもとでは、我が国が捜査共助に関する条約を締結していない国との間で捜査共助を行おうとすれば、外交ルートを通じて行う必要があり、御指摘のとおり、迅速性や効率性の面で問題があります。条約が締結されれば、当局同士の直接のやりとりによって迅速な対応が可能となります。

 犯罪人引き渡しについては、海外でテロを計画し、国際組織犯罪防止条約で規定される重大な犯罪の合意罪を犯した人物が日本に逃げてきたとしても、条約の締結に必要な国内法が整備されていない現状では、外国から犯罪人引き渡しの請求があっても拒否せざるを得ません。

 国際社会において、国連の決議やサミットで繰り返しこの条約の締結が要請されている中、国際組織犯罪防止条約の締結に必要な国内法がなければ、この条約の締約国の間で日ごろから行われている効果的な情報交換ができないことになります。

 テロを含む国際的な組織犯罪の防止のための国際協力を促進し、これに対する取り組みを強化していくためには、我が国がこの条約を締結することが必要です。そのためには、我が国として、この条約の締結に必要な国内法としてテロ等準備罪処罰法を成立させ、この条約を早期に締結することが不可欠です。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣(金田勝年君) 國重徹議員にお答えを申し上げます。

 まず、テロ等準備罪の対象となります組織的犯罪集団についてお尋ねがありました。

 テロ等準備罪においては、かつての組織的な犯罪の共謀罪に対して示された不安、懸念等を踏まえ、対象となる団体を明文で、組織的犯罪集団、すなわち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体に限定をいたしました。

 このような限定によりまして、テロ等準備罪の適用対象は、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの犯罪の実行を目的とする団体に限られまして、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が対象とはならないことを一層明確にいたしております。

 御指摘のような自然環境や景観の保護などを主張する団体は、その結合関係の基礎としての共同の目的が、そのような正当な目的にあるものと考えられ、重大な犯罪等を実行することにあるとは考えられませんから、組織的犯罪集団に当たることはなく、座り込みを計画したとしても、テロ等準備罪による処罰の対象となることはありません。

 次に、計画に基づく実行準備行為についてお尋ねがありました。

 かつての組織的な犯罪の共謀罪につきましては、御指摘のとおり、内心が処罰の対象となるのではないかとの懸念や批判が示されました。

 このような懸念や批判を払拭するため、テロ等準備罪におきましては、犯罪の計画だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることによりまして、内心を処罰するものではないことについて一層明確にするとともに、処罰範囲も限定しました。

 このように、テロ等準備罪は、共謀したことだけで処罰されることとされていたかつての共謀罪とは大きく異なるものとなっており、御指摘のような懸念や批判を払拭するものとなったものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) まず、国際組織犯罪防止条約の締結に向けた国内法整備の必要性についてお尋ねがありました。

 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけています。

 しかし、我が国には、現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在していません。また、現行の予備罪は、予備行為自体が客観的に相当の危険性を備えたものでなければ処罰できないとされているので、条約上、重大な犯罪に当たる罪に予備罪を個別に設けたとしても、重大な犯罪の合意を犯罪化することを求める本条約第五条の趣旨に反するおそれが高いものと考えております。

 したがって、我が国の現行の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することはできないと考えております。

 もう一点、重大な犯罪の合意罪について二つのオプションを採用しているOECD加盟国及びテロ等準備罪の対象犯罪の限定についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、OECD加盟国の中では、本条約第五条の重大な犯罪の合意罪について、同条が認める二つのオプション、すなわち、合意の内容を推進するための行為を伴うもの及び組織的な犯罪集団が関与するものとすることをともに採用している国はないと承知しています。

 テロ等準備罪においては、一般の方々が処罰の対象とならないことを明確にするという観点から、本条約が認めるオプションを活用し、法文上、犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記するとともに、その対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪二百七十七個に限定したものであります。

 このようなテロ等準備罪は、本条約が対象犯罪を組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪に限定することを締約国に認めていることを活用したものであり、本条約の義務を履行する上で問題はないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣(松本純君) 警察による不適正な捜査の再発防止とテロ等準備罪の運用のあり方についてのお尋ねがありました。

 捜査が適正に行われなければならないことは言うまでもないことであり、警察においては、各種会議における指示や巡回業務指導等のあらゆる機会を捉えて、不適正な捜査の再発防止を含め、適正捜査の指導を行っているものと承知をしております。

 テロ等準備罪の創設を含む本法案が成立した場合には、適正捜査に一層留意し、法と証拠に基づき、その適正な運用に努めるよう、警察を指導してまいる所存でございます。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(川端達夫君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、組織犯罪処罰法改正案、いわゆる共謀罪法案について質問します。(拍手)

 同法案は、過去三回、国会に提出されましたが、いずれも廃案に追い込まれました。なぜ三回とも廃案に追い込まれたのか、総理は、その理由をどのように認識していますか。

 共謀罪は、計画、すなわち話し合い、相談などを処罰の対象とするものであり、法益侵害の危険性のある行為が行われる前の段階で刑罰権を発動するものです。その人が何をしたかではなく、何を考えたか、何を合意したかが対象となるため、内心の処罰に限りなく近づいていきます。

 かつて国家権力が市民の内心を侵害したことへの反省から、近代刑事法は、犯罪行為が行われ法益侵害が発生した場合、すなわち既遂の処罰を大原則としています。

 犯罪が行われる前の話し合いを処罰する共謀罪は、この近代刑事法の大原則を覆すだけでなく、日本国憲法が保障する思想、良心の自由、表現の自由、適正手続保障などを侵害する違憲立法そのものです。

 過去三回の国会質疑ではさまざまな修正が行われました。しかし、憲法に根本的に反する共謀罪の本質を変えることはできなかった。だからこそ、過去全て廃案に追い込まれたのではありませんか。

 安倍政権は、国民を欺くために、過去三回と異なる説明を加えています。東京オリンピック・パラリンピックを開催するためには国際組織犯罪防止条約の締結が必要であり、テロ等準備罪はそのためのものだというのがその中心です。しかし、果たしてそうなのか。

 東京オリンピック・パラリンピック開催決定を受けて、安倍政権が二〇一三年十二月に閣議決定した治安対策の行動計画には、共謀罪という言葉は一つも出てきません。今になって突然、オリンピックのために共謀罪が必要だと言い出すのは、国民を欺く口実ではありませんか。

 もともと、国際組織犯罪防止条約は、マフィア等による国際的な経済犯罪の処罰化を主眼とするものであり、テロ防止条約ではありません。政府も、二〇〇〇年七月の条約起草委員会第十回会合で、テロリズムは他のフォーラムで行うべきであり、本条約の対象とすべきでないと主張していたではありませんか。

 与党に示された政府原案にはテロの文言が一つもありませんでした。その後、政府は慌てて、テロリズム集団その他という文言をつけ加えましたが、いまだに法案第一条の目的にテロという文言はありません。この経過自体が、テロ等準備罪という呼び名が看板のつけかえにすぎず、本質は共謀罪にほかならないことを物語っているのではありませんか。

 政府は、同条約の対象犯罪を六百七十六から二百七十七に絞り込んだと言っています。しかし、一体どのような基準で絞り込んだのですか。

 また、政府はこれまで、犯罪の内容で対象犯罪を選別することは条約との関係でできないと説明してきました。今回の対象犯罪の選別と過去の答弁との整合性はどうなるのですか。

 さらに、政府の判断で対象犯罪を選別できるとすれば、将来、時の政権の判断で幾らでも対象犯罪をふやすことができることになるのではありませんか。

 野党は、同条約を締結した百八十七カ国において、共謀罪や参加罪がどう規定され、運用されているかについての資料、国連が作成した立法ガイドに関する資料、条約起草段階の外務省公電などの情報開示を求め続けています。

 ところが、政府は頑として、これらの資料を開示しようとしません。これらの資料を隠したまま、条約締結には共謀罪が必要だと幾ら強弁しても、全く説得力はありません。本法案の審議に不可欠なこれらの資料の開示を強く求めるものです。

 同条約第三十四条一項は、自国の国内法の原則に従って必要な措置をとると定めています。この規定に照らしても、日本国憲法に反し、刑事法の大原則を覆す共謀罪を新設する必要は全くありません。

 日本は既に、テロ防止のための十三本の国際条約を締結し、六十六の重大犯罪について、未遂より前の段階で処罰できる国内法を整備しています。日本弁護士連合会も指摘するとおり、共謀罪を新設することなく、直ちに同条約を締結すべきです。

 政府は、本法案は共謀罪とは全く異なる、なぜなら、組織的犯罪集団や準備行為という要件を加えたからだと説明しています。

 組織的犯罪集団について、金田大臣は、テロ組織、薬物密売組織、暴力団の三つを挙げていました。しかし、その後、これらは例示にすぎないと答弁し、NPO法人もサークルも草野球チームも対象となり得ることを認めています。一般人が対象になることはあり得ないどころか、誰もが対象になり得るのではありませんか。

 準備行為は、予備行為とは異なり、客観的な危険性は要求されておらず、日常的な普通の行為も含みます。桜並木を歩いている人がいたとして、それが花見なのか犯罪の下見なのか、どうやって判断するのですか。金田大臣は、花見と下見の違いは目的であり、目的をしっかり調べると答弁しました。まさに、内心を処罰することになるではありませんか。

 そもそも、組織的犯罪集団や準備行為に当たるかどうかを判断するのは捜査機関です。何を目的として行動しているのか、外形からはわかりません。したがって、共謀罪の捜査では、盗聴、GPS、密告、スパイといった捜査手法が多用されます。

 実際、大分県警別府署による違法盗撮事件を初め、現在でも捜査機関は人権侵害の捜査を繰り返しています。我が国刑法学界の中心を担う刑事法学者百六十一名が指摘しているとおり、共謀罪の新設による捜査権限の前倒しは、プライバシー権を侵害し、捜査の公正性を著しくゆがめるものにほかなりません。

 戦前の治安維持法は、一九二五年二月の第五十回帝国議会で審議されました。当時の若槻礼次郎内務大臣は、まさにこの衆議院本会議場で、治安維持法が労働運動を制限するというのは甚だしき誤解であり、何ら制約を加えるものではないと繰り返し答弁しています。

 しかし、実際には、日本共産党だけでなく、労働組合、宗教団体、学生サークルなど、あらゆる団体が弾圧の対象になりました。

 一たび内心を処罰する法律をつくれば、時の政権と捜査機関次第で恣意的に解釈され、萎縮効果を生み、自由な社会を押し潰していく、これが歴史の教訓です。総理、あなたにその認識はないのですか。

 この間、安倍政権は、特定秘密保護法を強行し、盗聴法を拡大し、安保法制、戦争法を強行してきました。物言えぬ監視社会をつくり出す共謀罪は、こうした法制度と一体となって、日本を戦争する国に変質させるものです。

 だからこそ、今、全国各地で本法案に反対する声が急速に広がっています。長野県内の四分の一の地方議会で共謀罪に反対する意見書が採択されるなど、全国各地方議会で反対の声が広がっています。日弁連初め全国四十七の単位弁護士会、日本ペンクラブ、言論人、出版人など、広範な団体が反対を表明しています。

 現代版治安維持法というべき憲法違反の共謀罪法案を強行することは絶対に許せません。

 私たち日本共産党は、市民の皆さんの世論と運動とかたく連帯して、必ずこの法案を廃案に追い込む、その決意を表明して、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤野保史議員にお答えをいたします。

 かつての国際組織犯罪防止条約の国内担保法案が廃案となった理由についてお尋ねがありました。

 国際組織犯罪防止条約を締結するために必要な法整備については、平成十五年、十六年、十七年の三回にわたって法案を国会に提出いたしました。

 これらの法案については、国会審議の過程において、主として、組織的な犯罪の共謀罪に関し、正当な活動を行う団体も対象となる、内心が処罰されることとなるなどの不安や懸念が示される一方、与野党において活発な御審議が行われ、修正案が検討、提出されるなどしましたが、いずれも成立に至らず、廃案となったところです。

 そこで、政府において、こうした国会における御審議の経緯やその間に示された不安、懸念等を踏まえつつ、どのような法整備を行うことが適切か慎重に検討した結果、今般、テロ等準備罪処罰法案を新たに国会に提出したものであります。

 もとより、かつての組織的な犯罪の共謀罪においても、刑事法の大原則を覆す、憲法に違反するなどの批判は全く当たっておりませんでした。

 すなわち、我が国の刑事法においては、現実に法益侵害の結果が発生していなくても、その危険性の高さ等に着目して、未遂罪のほか、実行の着手前の予備罪や共謀罪等を処罰することとしているところであり、かつての組織的な犯罪の共謀罪において、重大かつ組織的な犯罪実行の共謀行為に限り、その危険性の高さに着目して処罰することとしていたことが我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に反するとの批判は当たりません。

 また、かつての組織的な犯罪の共謀罪は、二人以上の者が重大かつ組織的な犯罪を実行しようと考え、共謀という行為に及んだことを処罰することとしていたのであり、人の内心にとどまる意思や思想を処罰するものではなく、憲法に違反するものでなかったことははっきりと申し上げておきます。

 これに加え、今回のテロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定することにより、正当な活動を行っている団体が適用対象とならないことをより一層明確にするとともに、犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とすることで、内心を処罰するものではないことについても一層明確にしているものであります。御指摘が全く的外れであることは言をまたないところであります。

 テロ等準備罪の必要性と呼称についてお尋ねがありました。

 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、我が国は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控えており、テロ対策は最重要課題の一つであると認識しています。

 国際組織犯罪防止条約が定める犯罪化を実施して同条約を締結することにより、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐとともに、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助を可能にするほか、情報収集においても国際社会とより緊密に連携することができるようになります。

 この点、テロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪対策として、国際組織犯罪防止条約を速やかに締結するため、必要な法整備を行うことは、平成二十五年十二月十日に閣議決定した「世界一安全な日本」創造戦略に既に盛り込まれている事項であります。

 加えて、先日策定した、二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向けたセキュリティ基本戦略においても、対策の一つとして、同条約の締結と、そのための国内担保法の整備等によるテロの未然防止等における国際連携の強化を掲げているところであります。

 同時に、本法律案によるテロ等準備罪の創設により、テロ組織を含む組織的犯罪集団による犯罪の実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、こうした犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することができるようになると考えております。

 また、テロ等準備罪の適用対象団体は組織的犯罪集団に限定しているところであり、国内外の犯罪実態を考慮すると、組織的犯罪集団の典型がテロリズム集団であり、テロリズム集団による重大犯罪の典型がテロであることからも、本法律案がテロ対策を目的とするものであることは疑いようがありません。

 また、本罪は、計画行為に加えて実行準備行為が行われて初めて処罰するものであり、テロ等準備罪の呼称は、こうした罰則の実態を適切に反映したものであると考えております。

 国際組織犯罪防止条約に関する情報開示についてお尋ねがありました。

 共謀罪や参加罪が各国でどう規定され運用されているかについて、政府は、今般の国会での御審議を受け、OECD加盟国全てに改めて照会を行い、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の犯罪化について、各国の回答内容を開示しました。

 国連が作成した立法ガイドについては、既に国連のホームページで公開されておりますが、御要望を受けて資料を作成し、提供しています。

 この条約の起草に向けた交渉経緯に関する公電については、各国が公開されることを前提とせずに行った発言については、信頼関係が損なわれるおそれがあるので開示できませんが、それ以外の部分については誠実に開示してきました。

 このように、政府は、国会における審議に資する資料を適切に開示してきたところであり、今後も誠実に丁寧に御説明してまいります。

 テロ等準備罪は内心を処罰するものではないかなどの懸念に関するお尋ねがありました。

 テロ等準備罪は、かつての組織的な犯罪の共謀罪について、内心が処罰の対象となるのではないかとの懸念や批判が示されていたことも踏まえ、このような懸念や批判を払拭するため、犯罪の計画行為に加えて、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰するものではないことをより一層明確にしております。

 また、今回のテロ等準備罪処罰法案は、捜査機関による新たな捜査手法を設けるものではありません。

 加えて、テロ等準備罪の対象となる団体は、一定の重大な犯罪等を行うことを目的とするテロリズム集団その他の組織的犯罪集団に限定しており、一般の方々がテロ等準備罪による処罰の対象となることもありません。

 したがって、テロ等準備罪の新設により、捜査機関が常時国民の動静を監視する監視社会になることはありません。

 テロ等準備罪を新設し、既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約を締結することは、テロの未然防止のために国際社会と緊密に連携する上で必要不可欠であり、テロ等準備罪が日本を戦争する国に変質させるものとの御指摘は全くの誤りであります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) まず、国際組織犯罪防止条約の目的と、その起草過程における我が国の主張についてお尋ねがありました。

 まず、一般論として、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘をされています。

 御指摘の条約起草委員会第十回会合における我が国の発言については、テロリズムという国連において定義が困難な言葉について規定しようとすれば条約の交渉がまとまらなくなってしまうかもしれない中にあって、本条約をぜひまとめようという前向きな立場からの提案であります。

 結果として、本条約にはテロリズムに直接言及する規定は設けられませんでしたが、テロ組織が本条約に言う組織的な犯罪集団に該当する場合、そのような組織が行う犯罪は本条約の対象となります。

 本条約を採択した二〇〇〇年十一月の国連総会決議においても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような犯罪行為と闘うための有効な手段であることが指摘をされています。

 二〇一四年十二月の国連安保理決議も、各加盟国に対し、テロ防止のために、テロの資金源となっている国際組織犯罪への対処を含めた幅広い分野における協力を求めるとともに、本条約を含めた関連する条約の締結及び実施を各加盟国が優先的に行うよう求めています。また、G7、G8サミットにおいても、繰り返し、テロ防止の観点から、各国に対し本条約の締結が要請をされています。

 このように、本条約は、起草段階から現在に至るまで、テロ活動を対象に議論が行われてきたものであり、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための枠組みということが言えると思います。

 次に、テロ等準備罪の対象犯罪の限定についてお尋ねがありました。

 政府は、平成十七年当時、過去の法案における組織的な犯罪の共謀罪の対象犯罪について、犯罪の内容に応じて選別することは、国際組織犯罪防止条約上できないものと考えているとの答弁書を閣議決定しています。

 この答弁書は、過去の法案の組織的な犯罪の共謀罪において定められていた要件を前提として、その対象犯罪を、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪一般としていた旨を説明していたものです。

 他方、今回の法案のテロ等準備罪においては、一般の方々が処罰の対象とならないことが明確になるよう、法文上、犯罪の主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実に想定される重大な犯罪二百七十七個に限定したものです。

 今回の法案のテロ等準備罪は、本条約が対象犯罪を組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪に限定することを締約国に認めていることを活用したものであり、時の政府の判断で幾らでも対象犯罪をふやすことができるとの指摘は当たらないと考えます。

 最後にもう一点、国際組織犯罪防止条約の締結について、テロ等準備罪を新設する必要性についてお尋ねがありました。

 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけています。

 しかし、我が国には、現行法上、参加罪は存在しない上、重大な犯罪の合意罪に相当する罪もごく一部しか存在しません。また、現行の予備罪は、そもそも条約上の重大な犯罪に当たる罪の一部しか規定されていない上、予備行為自体が客観的に相当の危険性を備えたものでなければ処罰できないとされているので、重大な犯罪の合意を犯罪化することを求める本条約第五条の趣旨に反するおそれが高いものと考えております。

 したがって、我が国の現行の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することはできないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣(金田勝年君) 藤野保史議員にお答えを申し上げます。

 まず、テロ等準備罪の対象となります組織的犯罪集団についてお尋ねがありました。

 テロ等準備罪においては、かつての組織的な犯罪の共謀罪に対して示されました不安や懸念等を踏まえ、対象となる団体を明文で、組織的犯罪集団、すなわち、組織的犯罪処罰法における団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるものに限定をいたしました。

 このような限定により、テロ等準備罪の適用対象は、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの違法行為を目的とする団体に限られ、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が処罰の対象とならないことを一層明確にしております。

 御指摘のような、NPO法人、サークル、草野球チームなどの団体は、通常、その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあるとは考えられず、また、指揮命令系統が存在せず、組織的犯罪処罰法における団体にも該当しないため、組織的犯罪集団に当たることはないものと考えております。

 次に、テロ等準備罪の実行準備行為に関するお尋ねがありました。

 実行準備行為とは、計画とは別の行為であって、計画に基づき行われる資金または物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為をいいます。

 そして、実行準備行為に当たるか否かは、個別具体的な事実関係、特に、計画において合意された内容に照らして客観的に判断されるべきものと考えております。その際、行為の目的などについても捜査が行われることはあり得るところでありますが、テロ等準備罪は、犯罪実行の計画行為に加えて、実行準備行為が行われて初めてこれらの行為を処罰するものでありまして、内心を処罰するものでないことは明らかであります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(川端達夫君) 松浪健太君。

    〔松浪健太君登壇〕

松浪健太君 日本維新の会の松浪健太です。

 党を代表して、ただいま議題となりました組織犯罪処罰法改正案について質問をいたします。(拍手)

 本法案については、閣議決定前から、既に予算委員会で議論がなされてきました。我が党は、この法案の賛否については未定であり、今後の審議を経て慎重に判断してまいります。

 以下、テロ対策を含めた組織犯罪対策に関する我が党の考え方を述べつつ、本法案についてお尋ねします。

 グローバリゼーションの進展は、同時に国際組織犯罪の脅威を高めてきました。我が国でも、従来から、暴力団等の犯罪組織が海外の犯罪組織と協力して多くの違法行為を行っており、その活動は近年ますます国際化し、他国の安全さえ脅かしています。さらに、国際的テロ組織への対策が国際社会全体の喫緊の課題となっています。訪日外国人が二千万人を超え、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催も決まりました。日本が一層開かれた国となるためにも、テロ対策には万全を期すべきです。

 以上のような観点から、国際的なテロ対策を含む組織犯罪対策を強化することは必要と考えます。

 そこで、安倍総理にお伺いいたします。

 今回提出された組織犯罪処罰法改正案、いわゆるテロ等準備罪の新設法案は、国際テロ組織の犯罪への対策としてどのような形で効果を発揮するのでしょうか。また、従来から国内にある犯罪組織、例えば暴力団や麻薬密売組織等の犯罪から国民を守るためにも、一層有効な手段となり得るのでしょうか。御認識をお伺いいたします。

 テロを含む組織犯罪の抑止には、本法案のような実体法の整備だけではなく、予算、人員等の確保と、効果的な捜査も必要です。

 先般、最高裁判所が令状なしのGPS捜査は違法とする判決を下しました。警察はこの決定に対応して、通達によって、令状なしのGPS捜査を中止しています。GPS捜査もできないままで実効的なテロ対策が行えるとも思えません。海外の立法例も参考にしつつ、GPS捜査に関する新たな立法措置も必要ではないでしょうか。国家公安委員長の御認識をお伺いいたします。

 本法案は、国際組織犯罪防止条約、TOC条約を締結するに当たり、条約上の義務を果たすための担保としての意味を持っています。我が国での国際組織犯罪への対策を万全とするには、国際社会とともに刑事司法制度を強化し、国際的な司法協力を進めていくことは当然必要です。

 そこで、外務大臣にお伺いします。

 現在、我が国は、どの国と二国間の犯罪人引き渡し条約を結んでいるのか。さらに、TOC条約に加盟しなくとも、それらの国以外で国際犯罪人引き渡し請求ができる場合はあるのでしょうか。また、TOC条約に加盟しないと引き渡しをしないと意思表示をしている国もあるのか。この条約に加盟すれば、これまで犯罪人引き渡しに応じなかった国が応じる可能性が高まるのか否か。御認識をお伺いいたします。

 我が党は、テロ対策を含めた組織犯罪対策の強化という方向性には賛成しますが、当然のことながら、被疑者の人権保障には万全を期すべきであります。特に、本法案は、未遂、予備に至らない段階の計画行為についても広く処罰規定を置く初めての法案となります。国民の理解を得るために、組織犯罪の抑止と人権保障のバランスをとることが求められます。

 法務大臣にお伺いいたします。

 テロ等準備罪の対象犯罪の中には、著作権法違反等幾つかの親告罪があります。実行行為について親告罪であれば、その計画行為については当然親告罪になると考えます。この点を、法文上も、確認の趣旨で明文化すべきではないでしょうか。国民への萎縮効果を防ぐためにも必要ではないかと考えますが、御認識をお伺いいたします。

 犯罪遂行の計画行為を処罰するのは、重大な犯罪の未然防止という点では検討に値すると考えます。ただ、手続面から見ると、計画に関する取り調べは、供述調書に頼る部分がふえるはずです。それならば、本法案で新たに処罰対象とする計画行為に関する取り調べについては、可視化を義務づけることも検討すべきではないでしょうか。

 この法案について、我が国の法体系自体を大きく変えるものであるという批判もあります。確かに、我が国の刑法は、未遂、予備等の処罰にも比較的慎重です。これに対し、アメリカやイギリスには、周知のとおり、共謀罪という犯罪があります。対象犯罪に限定はなく、組織的犯罪の関与さえ必要ではありません。一方で、両国では取り調べの可視化は徹底しており、手続法の面でバランスをとっているのではないでしょうか。

 本法案で新設される犯罪について、重大犯罪の抑止と人権保障の均衡を図り、国民が法案を納得できるよう、取り調べの可視化を義務づけるという考え方につき、安倍総理のお考えを伺います。

 今、テロを含む組織犯罪に対し、効果的で適切な対策が求められています。組織犯罪などと関係のない一般の国民が、重大犯罪の被害者に決してならず、安心して暮らせる社会を実現するためには、現場での捜査に適切な手法を担保すべきです。また、無実の一般国民が決してぬれぎぬを着せられることがないようにしなければなりません。この二つの要請を満たすべく、我が党は、この法案の審議に真摯に取り組んでまいります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 松浪健太議員の質問にお答えをする前に、先ほどの藤野議員の質疑中、過去の歴史認識を問う質問がありましたが、本法案は内心を処罰するものではないということをより一層明確にしておきたいと思います。

 松浪健太議員にお答えをいたします。

 いわゆるテロ等準備罪処罰法案と国際的なテロを含む組織犯罪対策との関係についてお尋ねがありました。

 テロが世界各地で発生し、日本人も犠牲となる中、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を三年後に控え、テロ対策は喫緊の課題であります。

 テロを初めとする国内外の犯罪組織と闘うためには、犯罪人引き渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携することが必要不可欠であり、既に百八十七の国と地域が締結している国際組織犯罪防止条約の締結は、そうした協力関係を構築する上で極めて重要です。

 また、国際組織犯罪防止条約の国内担保法の整備は、テロ等準備罪の新設により、組織的に行われる重大な犯罪の未然防止に資するとともに、犯罪収益規制等を含め、組織犯罪への対処を強化するものであります。

 このように、テロ等準備罪を新設することなどにより国際組織犯罪防止条約を締結することは、テロを初めとする国内外の組織犯罪への対策として高い効果を期待できるものと考えております。

 テロ等準備罪と取り調べの録音、録画制度についてお尋ねがありました。

 各国における取り調べの録音、録画に関する制度や運用は、取り調べの役割、機能を含む刑事司法制度全体の中で考えられるべきものであります。我が国においては、昨年成立した改正刑事訴訟法により、主に裁判員制度対象事件が取り調べの録音、録画制度の対象事件となります。

 裁判員制度対象事件は、死刑または無期の懲役、禁錮に当たる罪の事件等が対象となるところ、法定刑がこれに満たないテロ等準備罪は、基本的に制度の対象事件とはなりません。

 他方、当該制度の対象事件でなくても、事案の内容等に照らして必要と考えられる事件においては、検察等において、実務上の運用としての録音、録画が適切に実施されるものと承知しており、その点は、テロ等準備罪の捜査においても同様であると考えています。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣(金田勝年君) 松浪健太議員にお答えを申し上げます。

 テロ等準備罪の対象犯罪が親告罪である場合についてお尋ねがありました。

 お尋ねの著作権法違反の罪を含め、テロ等準備罪の対象犯罪が親告罪である場合、その前段階の行為を処罰の対象といたしますテロ等準備罪につきましても、同様に親告罪となるものと考えており、このことは、法文上明記するまでもなく、解釈上明らかであるものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 国際組織犯罪防止条約のもとでの犯罪人引き渡し等についてお尋ねがありました。

 我が国がこれまで犯罪人引き渡し条約を締結しているのは、米国と韓国、二カ国です。

 この二カ国以外であっても、犯罪人引き渡しに関し条約の存在を条件としない国は、我が国が国際組織犯罪防止条約を締結していなくても、我が国からの犯罪人引き渡し請求に応じる可能性はあります。

 一方、犯罪人引き渡しに関して条約の存在を条件とする国であって、本条約を犯罪人引き渡しの法的根拠としているもの、すなわち、本条約を締結することにより新たに犯罪人引き渡しを受けることが可能となる国としては、例えばベルギー、オランダ等があります。

 したがって、このような国との間では、本条約を締結することにより、新たに同条約に基づき犯罪人引き渡し請求を行うことが可能となります。(拍手)

    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣(松本純君) いわゆるGPS捜査に関する新たな立法措置の必要性についてお尋ねがありました。

 車両に使用者らの承諾なくひそかにGPS端末を取りつけて位置情報を検索して把握する、いわゆるGPS捜査については、先日、最高裁判所において、強制処分に該当するが、現行法の規定による検証許可状を発付することには疑義があり、立法的な措置が講じられることが望ましい旨の判決がなされたところであります。

 今後の対応につきましては、本判決の内容を踏まえ、関係省庁とも必要な連携を図りながら、適切に検討してまいる所存であります。(拍手)

副議長(川端達夫君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(川端達夫君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       法務大臣     金田 勝年君

       外務大臣     岸田 文雄君

       国務大臣     松本  純君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  萩生田光一君

       法務副大臣    盛山 正仁君


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