衆議院

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第18号 平成29年4月11日(火曜日)

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平成二十九年四月十一日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十一号

  平成二十九年四月十一日

    午後一時開議

 第一 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

 第二 電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 農業競争力強化支援法案(内閣提出)

 第四 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件

 第五 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第六 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件

 第七 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件

 第八 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件

 第九 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

 第十 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件

 第十一 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

 日程第二 電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 農業競争力強化支援法案(内閣提出)

 日程第四 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件

 日程第五 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第六 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件

 日程第七 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第八 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第九 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

 日程第十 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件

 日程第十一 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。地方創生に関する特別委員長木村太郎君。

    ―――――――――――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔木村太郎君登壇〕

木村太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、地方公共団体等の提案等を踏まえ、所要の措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、住民に身近な行政主体である指定都市等が地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるようにするため、幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定等の事務、権限の移譲を初めとして、都道府県から指定都市等への事務、権限の移譲を行うこととし、関係四法律の改正を行うこと、

 第二に、地方がみずからの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等を行うこととし、関係六法律の改正を行うこと

であります。

 本案は、去る三月二十八日本委員会に付託され、三十日山本国務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月六日、質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論を行い、採決をいたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長竹内譲君。

    ―――――――――――――

 電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、電波の有効利用を促進し、及び情報通信技術の進展に対応した規制の合理化を図るため、電波利用料の料額の改定、電気通信業務を行うことを目的としない船舶地球局の実用化に係る規定の整備、登録検査等事業者及び登録認定機関がその業務に使用する測定器の校正に係る期間の延長等を行おうとするものであります。

 本案は、去る三月三十一日本委員会に付託され、四月四日高市総務大臣から提案理由の説明を聴取し、六日、質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 農業競争力強化支援法案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、農業競争力強化支援法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長北村茂男君。

    ―――――――――――――

 農業競争力強化支援法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔北村茂男君登壇〕

北村茂男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、農業者による農業の競争力の強化の取り組みを支援するため、良質かつ低廉な農業資材の供給または農産物流通等の合理化の実現に関し、国の責務及び国が講ずべき施策等を定め、農業生産に関連する事業の再編または当該事業への参入を促進するための措置を講ずるものであります。

 本案は、去る三月二十三日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託をされました。

 委員会におきましては、二十九日山本農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、四月五日から質疑に入り、六日に参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、同日質疑を終局いたしました。質疑終局後、討論を行い、採決をいたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。小山展弘君。

    〔小山展弘君登壇〕

小山展弘君 民進党・無所属クラブの小山展弘です。

 ただいま議題となりました農業競争力強化支援法案について、反対の立場から討論させていただきます。(拍手)

 まず、冒頭申し上げたいのは、農水省OBにより受注調整が行われた震災復興事業における談合事件です。現在、公正取引委員会による立入検査が行われておりますが、疑惑が本当だとすれば、まさに被災地の復興を食い物にした極めて悪質な事件であり、断じて許せません。政府は全農に対して役職員の意識改革を求めておりますが、意識改革が必要なのは農水省やそのOBの方であります。再発防止とともに綱紀粛正を強く求めます。

 また、本法案は、当初TPPへの中長期対策として検討されたものでしたが、そのTPPは破綻しました。本来、前提条件から考え直し、顔を洗って出直すべきだったんじゃないでしょうか。

 本法案では、農業者に有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて農業経営の改善に取り組む努力義務を課していますが、これほど農家をばかにした規定はありません。今どき、スーパーで買い物をする人でも、チラシなどを見比べて一円でも安い商品を買おうといたします。

 農家だけが主体的、合理的な購入ができず、価値に見合わない資材を高く購入しているとでもいうのでしょうか。赤字でも債務超過でもない企業に政府が支援する仕組みを農家のためにつくるのだから、農家は経営改善の努力をせよという理屈ですが、これは関連事業者にとっても農家にとってもおせっかい以外何物でもなく、まさに上からの上からによる上から目線の改悪と言わざるを得ません。

 そして、本来の大目的であるべき農家の所得向上は全くおざなりです。

 そもそも、本法案は、農協系統組織の経営に介入するためにつくられたものではなかったんでしょうか。政府並びに規制改革推進会議は、本法案の根拠となっている農業競争力強化プログラムなるものを策定し、全農の購買事業、販売事業、会長や理事長を初めとする人事や組織体制にまで口を出し、数値目標や計画の策定を半ば強制的に求め、そのフォローアップまで行うとしています。

 全農は債務超過でもなければ繰越欠損もありません。政府の出資や特別融資を受けてもおりません。民間出資一〇〇%の健全な事業体です。ここまでの過剰な行政指導は極めて異常であり、憲法二十二条に反するおそれすらあります。

 また、昨年末に世界文化遺産に登録された協同組合の価値や原則を踏みにじるものであり、断じて容認できません。ICAを初め国際的な非難も浴びており、政府並びに規制改革推進会議の暴走に強く抗議し、猛省を求めます。

 本法案第五条では、農業者団体の努力義務を定め、附則で調査と施策検討の年限を規定していますが、これらの条文を根拠に、政府が農協系統や他の民間団体にさらなる介入を行うお墨つきを与えるものとの疑念は強まるものであり、容認できません。

 本法案第八条四号では、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進するとの規定があります。

 これまで税金を使って重ねてきた日本のすぐれた種子研究の知見を、国内民間企業はおろか外資にまで公表することは、主権の放棄にも等しい暴挙であります。加えて、日本の農産品の競争力の低下も招きかねず、国民に対する背信行為以外何物でもありません。

 本法案では、農業生産関連事業分野に対する事業再編や参入に支援措置を講じるとしていますが、そもそもこの分野に参入障壁などあったのでしょうか。

 農機市場は、昭和五十年代をピークに急激に縮小しております。これまでも多くの企業が撤退または統合再編し、現在の業界構造となりました。また、野菜やお茶など特定の品目のみに対応する農機を生産する中小零細企業も多々存在します。

 国は、既存の農機メーカーが行う新規事業には一切支援しない一方で、異業種の超大手企業の新規参入や、あるいは以前に農機市場から撤退をした企業の再参入については支援するとしておりますが、これは適切な市場競争をゆがめることにほかなりません。

 加えて、国からの支援に名乗りを上げる企業が総理周辺のお友達企業であるならば、特定の企業に利益を誘導するものではないでしょうか。

 ちなみに、国家戦略特区諮問会議において、愛媛県今治市の特区に極めて不透明かつ不合理な獣医学部の新設が認められ、安倍総理が親しい加計学園が進出することになりました。これは最初からできレースだったのではないんでしょうか。これらは、規制改革推進会議や国家戦略特区諮問会議の場を通じた新たな政官業の癒着構造と疑わざるを得ません。

 農村人口の急速な減少や高齢化への対応こそ喫緊の課題です。

 農機について言えば、人工知能を取り込んだ無人化や自動化などの高度な農機の研究開発こそ求められております。本法案によって農機メーカーが弱体すれば、民間による日本に適した農機の研究開発力が奪われることにもなりかねません。それはひいては、日本農業の競争力の弱体化、食料安全保障の脆弱化を招くものであり、まさに本法案は農業競争力弱体化法案であります。

 政府は、肥料や農薬の銘柄数が多いことを問題にしていますが、銘柄数削減によるコスト削減効果は固定費の範囲内で限定的という見方が大半です。かえって、銘柄削減の指導が、行政指導が、農家のニーズに応える関連事業者の姿勢を変え、価格に見合った真に必要な農業資材の生産がなされず、農家のもとに届けられず、農産品の品質低下を招きかねません。まさに本法案は、現場の声を聞いて問題を解決するものではなく、役人の考えた理屈に現場を合わせようとする頭でっかちな法案であります。

 農協法の変更、本法案、そして農業競争力強化プログラムなどの一連の農協系統に対する異常な介入、異常な行政指導は、かつて小泉純一郎首相がうそぶいた、郵政の後は農協という新自由主義的な路線の延長線上にあると思わざるを得ません。

 しかし、郵政民営化しなければ夜も明けないという当時の喧騒から覚め来れば、郵政民営化とは、組織の外形だけを変え、郵政事業に携わる皆様の誇りと思いを踏みにじり、国会に混乱を招いただけだったのではないでしょうか。この愚を再び繰り返してはなりません。

 そして、民間の特定の事業体をいけにえにして、農協系統組織をいけにえにして、みずからへの支持を高めようとする劇場型政治はもうやめるべきです。

 今、世界じゅうで、日本国内で、いけにえづくりの劇場型政治、ポピュリズムが横行しています。しかし、そこからは憎しみと分断しか生まれません。私たちは、憎しみと分断ではなく、違いを認め合いつつも合意形成を図る政治、現場の声をしっかりと聞く姿勢を持った調和の政治こそ求めていくべきであることを申し上げ、本法案に対する反対の討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 斉藤和子君。

    〔斉藤和子君登壇〕

斉藤和子君 日本共産党を代表し、農業競争力強化支援法案に反対の討論を行います。(拍手)

 本法案は、農業が将来にわたって持続的に発展していくことを目的として競争力を強化するとしていますが、日本農業が直面している課題に応えるものにはなっていません。

 この間、自民党農政のもとで農産物の輸入自由化は拡大され、農産物価格の下落により農家の所得は減り続けています。その結果、後を継ぐ者は他産業に行き、農家は高齢化し、耕作放棄地が増加する現状がつくり出されてきました。

 それにもかかわらず、本法案では、TPPなど農産物のさらなる関税撤廃のもとでも、輸入農産物と競争できる大規模化を推進し、農協解体をてこに政府が業界の再編に乗り出すものであり、農業競争力強化どころか、農業弱体化法案と言わねばなりません。

 第一に、農業の持続的発展のためには、欧米で当然のように行われている再生産可能な生産費を補償する所得補償や価格保障こそ行うべきです。

 関税撤廃されたもとでも生き残れる大規模な農業経営体だけを支援しても、日本農業の持続的発展にはつながりません。

 それどころか、コスト削減の名のもとに、政府主導で中小の農薬、肥料メーカーを再編、淘汰するのは、地域営農に打撃を与えるだけでなく、地域経済や雇用にも悪影響を与え、さらなる過疎を拡大しかねません。

 第二に、本法案は、安倍政権が進めてきた、全農を株式会社化し外資の参入を許す農協改革とあわせて、協同組合である農協、全農への介入を促進することになりかねません。

 そもそも協同組合は自主自立が基本であり、政府がとやかく言う筋合いのものではありません。昨年十一月、協同組合はユネスコの無形文化遺産に指定されました。全世界で展開されている協同組合の思想と実践が人類の大切な財産であり、これを受け継ぎ発展させることが求められているにもかかわらず、協同組合の自主性を奪い、権力的に介入することなど、断じて認められません。

 第三に、農業政策の基本は、食料主権を確立し、国民への安定的な食料供給のために、三九%の食料自給率をいかに向上させるかを柱に据えるべきです。

 本法案では、食料自給率の向上に触れないどころか、農業の根幹である種子を民間に開放し、主要農作物種子法の廃止をセットで行うなど、断じて許せるものではありません。

 北海道から沖縄まで、気候も風土も違い、平地の少ない日本では、家族農業が地域を支え、文化を築き、食料生産を支えてきました。

 小規模な家族農業も含めた多様な農業者全体を支援し、再生産可能な価格を保障する農業政策を根幹に据えてこそ、農業の持続可能な発展が可能になり、食料自給率の向上へとつながります。

 中山間地の多い日本の国土のもとで、大規模化一辺倒の政策は、農業の弱体化を招き、地域を荒廃させるものです。農政の方向を根本的に改めるべきことを求めて、反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件

 日程第五 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第六 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件

 日程第七 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第八 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第九 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件

 日程第十 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第四、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件、日程第五、北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第六、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件、日程第七、生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件、日程第八、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件、日程第九、万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、日程第十、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、右七件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長三ッ矢憲生君。

    ―――――――――――――

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業を防止し、抑止し、及び排除するための寄港国の措置に関する協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔三ッ矢憲生君登壇〕

三ッ矢憲生君 ただいま議題となりました七件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、WTO譲許表の修正及び訂正は、平成二十八年三月二十四日にジュネーブにおいて作成されたもので、WTO設立協定に含まれている我が国の譲許表に関し、情報技術製品の関税撤廃の対象品目の拡大を行うためのものであります。

 次に、北太平洋漁業委員会特権・免除協定は、平成二十七年十一月三十日に東京において署名されたもので、北太平洋漁業委員会及びその事務局職員が享有する特権及び免除等を規定するものであります。

 次に、違法漁業防止寄港国措置協定は、平成二十一年十一月二十二日に、ローマで開催された国際会議において採択されたもので、違法な漁業に対する効果的な寄港国の措置の実施等について定めるものであります。

 次に、名古屋議定書は、平成二十二年十月二十九日に、名古屋で開催された生物多様性条約の第十回締約国会議において採択されたもので、遺伝資源の利用から生ずる利益が公正かつ衡平に配分されるよう、遺伝資源の提供国及び利用国がとるべき措置等について定めるものであります。

 次に、名古屋・クアラルンプール補足議定書は、平成二十二年十月十五日に、名古屋で開催された生物多様性条約カルタヘナ議定書の第五回締約国会議において採択されたもので、バイオテクノロジーにより改変された生物の国境を越える移動から生ずる損害についての責任及び救済に関する国際的な規則等を定めるものであります。

 最後に、万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約及び郵便送金業務に関する約定は、いずれも、平成二十八年十月六日に、イスタンブールで開催された第二十六回万国郵便大会議において採択されたものであり、両追加議定書及び条約は、万国郵便連合の運営等及び国際郵便業務に関する事項についての所要の変更を加えるものであり、約定は、郵便送金業務に関する事項についての所要の変更を加えるものであります。

 以上七件は、三月二十九日外務委員会に付託され、同日岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月五日質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。去る七日順次採決を行った結果、七件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 七件を一括して採決いたします。

 七件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、七件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第十一 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第十一、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長西銘恒三郎君。

    ―――――――――――――

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西銘恒三郎君登壇〕

西銘恒三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給促進を図るための措置を講じるものであります。

 その主な内容は、

 第一に、都道府県及び市町村が住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅供給促進計画を作成することができること、

 第二に、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅について、都道府県知事等による登録制度を創設すること、

 第三に、住宅確保要配慮者の居住支援活動を公正かつ適確に行うことができる法人を居住支援法人として指定できること

などであります。

 本案は、去る四月四日委員会に付託され、翌五日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、七日、参考人から意見聴取を行い、質疑を終了いたしました。

 質疑終了後、本案に対し、日本共産党から修正案が提出され、趣旨説明を聴取した後、採決の結果、修正案は否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。環境大臣山本公一君。

    〔国務大臣山本公一君登壇〕

国務大臣(山本公一君) ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律では、国内希少野生動植物種を指定して捕獲等及び譲り渡し等を規制し、保全を図っているところですが、特に里地里山などに生息、生育する絶滅危惧種については、これらの厳しい規制が環境教育や調査研究等に支障を及ぼし、かえって保全につながらないことが懸念されるため、こうした種の効果的な保存を進めるための新たな制度が求められています。

 また、野生動植物種の生息、生育状況の悪化に伴い、生息域外での保護増殖が必要な種が増大しており、こうした取り組みを政府の力だけで実施していくのではなく、動物園、水族館、植物園等と緊密に連携していくことが必要不可欠です。

 加えて、ワシントン条約に基づいて国際取引が規制されている希少な野生動植物種についても、国内における違法流通等が報告されており、国際的に協力して種を保存していく観点から、違法行為を食いとめるための対策が急務となっています。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策を一層強化するための措置を講じようとするものであります。

 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、里地里山などに分布する種についても積極的に本法律に基づく保全対象とするため、販売または頒布を目的とする捕獲等及び譲り渡し等のみを禁止する特定第二種国内希少野生動植物種制度を創設します。

 第二に、希少種保全の観点から一定の基準を満たす動植物園等を認定する制度を導入し、認定を受けた動植物園等については希少野生動植物種の譲り渡し等の禁止の規定を適用しないこととします。

 第三に、国際希少野生動植物種の個体等の登録に関して、個体識別措置の義務づけ、有効期間の導入等を行います。

 第四に、象牙を取り扱う事業者について現行の届け出制を登録制とし、登録時の審査、登録の更新、登録の取り消し等の手続を新設するとともに、罰則を強化することにより、事業者管理の強化を図ります。

 第五に、国内希少野生動植物種等の指定等に当たっては、専門の学識経験を有する者の意見を聞かなければならないこととするとともに、希少野生動植物種保存基本方針に、国内希少野生動植物種に係る提案の募集に関する基本的な事項を追加し、国民の提案も踏まえた国内希少野生動植物種の指定等を推進します。

 以上が、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松田直久君。

    〔松田直久君登壇〕

松田直久君 民進党・無所属クラブの松田直久でございます。

 ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問させていただきます。(拍手)

 地球上の生物は、およそ四十億年にもわたる進化の歴史でさまざまな環境に適応してきました。現在、世界で確認している生物だけでも約百七十五万種、未知の種も含めると五百から三千万種が生息をしていると言われています。地球の豊かな自然は、こうした多種多様な野生生物がつながり合って形づくられており、私たちにとっても大切な資源にもなっています。

 身の回りでも、ここ十数年見かけなくなった種もいます。例えばゲンゴロウです。私の子供のころから比べて、ただ見る機会をなくしていることが理由だと思っていましたが、環境省の第四次レッドリストでも、準絶滅危惧から絶滅危惧2類にランクを上げ、現在でも減少に歯どめがかかっていない状況です。

 私の地元三重県においても、二〇一四年版三重県レッドリストの昆虫類レッドリストでは、スジゲンゴロウが絶滅になりました。知らぬ間に絶滅をしているという現実に直面をしているわけです。

 現在、野生生物を取り巻く環境は、開発による生息地破壊や土壌、水質汚染、地球温暖化、乱獲、外来種の持ち込みといった人間の活動によって急速に悪化しており、その結果、かつてないスピードで野生生物が絶滅しています。一度でも失ってしまった生物は、人の手ではつくり出せず、二度ともとに戻すことはできません。

 私たちは、暮らしに欠かせない水や食料、木材、繊維、医薬品を初め、さまざまな生物多様性の恵みを受け取っています。生物多様性がある豊かな自然は、私たちの命と暮らしを支えており、今後もこの恵みを受け取り続けるためには、自然を賢く利用することが必要です。

 この生物多様性を保全するために重要な法律の一つが、今回改正をされる種の保存法であります。前回の改正で規制が強化されたものの、まだまだ数多く課題が残されました。それは、衆議院で十一項目も附帯決議がつけられたことからも明らかです。今回の改正が、これらの附帯決議をしっかりと反映させたものになっているのかについて、まず答弁願います。

 海洋生物を含めた保全戦略の策定について伺います。

 平成二十六年四月に策定された絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略では、平成二十八年度をめどに海洋生物のレッドリスト作成を目指すとされていましたが、先日、ようやく海洋生物のレッドリストが公表されました。

 そもそも、もともとの法律の策定時には海洋生物は想定されていなかったことを考えれば、海洋生物のレッドリストを作成し、海洋生物の種の保存のあり方も十分に検討した上で、種の保存法の抜本的な改正を行うべきであったと考えます。

 なぜ公表がおくれ、今回の法改正が抜本改正に至らなかったのかについて答弁願います。

 財産権の尊重について伺います。

 種の保存法三条には、財産権の尊重等として、「この法律の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し、並びに国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。」とされています。同様の規定は、自然環境保全法、自然公園法にも置かれています。

 これらの規定は、生物多様性保全や自然保護の意識がまだまだ低い時代の、自然保護で所有権が侵害されて財産的価値が低くなるという考えや、自然を破壊しても公共事業を行うべきという考え方が支配的な時代の条文に思えてなりません。人間の諸活動がこのとうとい地球の生態系の上に成り立っているという観点からすれば、生物多様性、生態系の保全を優先的な価値として考えるべきです。

 三条の規定をわざわざ置くことによって種の保存が十分に行われないような事態は、避けなければなりません。この条文が本法の効力を弱めてきたという指摘が、生物多様性の保全に取り組む団体から指摘されていますし、本法の上位法である生物多様性基本法には財産権の尊重に関する規定はありません。

 環境法令における財産権の尊重規定について削除するか、財産権よりも環境的価値が優位である旨の規定に変えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 今回の改正で、二次的自然に分布する種の保存を図るため、特定第二種国内希少野生動植物種の制度が創設されたことは評価します。一方で、今後の種の指定がこの第二種ばかりになり、現行の国内希少野生動植物種の指定がなされなくなるということはないでしょうか。

 現行の国内希少野生動植物種は、指定をふやすだけではなく、種ごとにきちんと保全計画を立てると明確に答弁願います。

 第二種の場合、販売、頒布目的での捕獲のみを禁止することになっておりますが、販売、頒布目的と、調査研究、環境教育での捕獲は外見上区別がつかず、現場で調査研究との言い逃れができてしまうのではないかとの懸念があります。

 少なくとも、捕獲時には、事前の申請に基づいて発行された許可証の携帯を義務づけるといった措置を講ずるか、九条二号の「販売又は頒布をする目的以外」の証明は捕獲を行った者に課し、言い逃れをできないようにする工夫をすべきであると考えますが、どのような運用を行おうとしているのかについて答弁願います。

 平成二十五年の改正時の衆参両院の附帯決議では、科学委員会の法定化が最も重要な項目と意識されていました。なぜなら、種の指定の過程が密室で行われるため、なぜ指定が進まないのか、また、どのような種が候補に挙がり、どのような理由で指定に至らなかったのかなど、全て不明なままだからです。

 今回の改正で四条七項が新設されましたが、これが科学委員会の法定化に該当するということでしょうか。また、それは原則公開の場で行われることを想定しているのかについても答弁願います。

 この法律の究極の目的は、絶滅を危惧されている種が、その危険を脱し、本来の生息数を取り戻し、この法律の対象から外れていくことかと思います。保全戦略では、個体数の回復によりレッドリストカテゴリーから外れ、ランク外とされた場合、指定を解除するとされています。この指定の解除については、今回の改正で創設される四条七項の、専門の学識経験者の意見を聞いて科学的に決めるということでよろしいでしょうか。答弁を願います。

 また、指定の目標はあるものの、解除についての、いつまで、どのぐらいといった数値目標も必要ではないでしょうか。あわせて答弁願います。

 国際希少野生動植物種の登録制度についてお伺いをいたします。

 今回の改正では、新たに登録の有効期限を設けるとともに、可能かつ必要な種については個体識別制度を導入することとなりました。一定の期間で失効させることにより、不正流用を防止する趣旨は理解できます。不正流用を確実に防止するために、これまでの登録票と一見明らかに違うものにすべきではないでしょうか。例えば登録票の色、大きさを変えて、これまでのものと区別できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 加えて、これまでの登録票には、登録した者の氏名や住所が全く記載されていませんでしたが、これらも記載すべきであると考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 世界で環境、野生動物の保護活動を行っている国際機関の環境調査エージェンシーが、一般財団法人自然環境研究センターをめぐる実態調査を明らかにし、センターの担当者が象牙の違法取引を助長していると訴えました。EIAによれば、当局者一名が、いつ輸入されたかわからない象牙をどうすれば合法的に登録できるのか、警察の捜査を未然に防ぐためにはどうすればよいのか、潜入捜査官に対しその方法を具体的に教えたとして、電話のやりとりが明らかにされました。

 自然環境研究センターは、一部に誤解を招きかねない対応があったとして、対応マニュアルの作成と履行状況の確認を定期的に行うとしていますが、対応マニュアルはいつ作成され、履行状況の確認はいつ行われたかについて答弁願います。

 この事件で、日本の象牙管理が海外から甘いと思われたことは明らかであります。やはり登録業務委託先をゼロベースで選定し直すべきではないでしょうか。選定をし直さないのであれば、その理由を誰にでもわかるように明確に答弁願います。

 象牙については日本国内に十分なストックがあり、違法な輸入は考えられないとしていますが、全ての象牙の登録がなされているわけではなく、家に眠っていたと言えば許される状況であれば、海外の疑念を払拭することはできないと思います。期限を定め、個人が所有する象牙も登録し、象牙に登録済みマーキングなどを施す必要があるのではないでしょうか。答弁を願います。

 今回の改正では、届け出を登録に改め、罰則を設けたことは評価しますが、二〇一六年秋のワシントン条約第十七回締約国会議における国内象牙市場閉鎖決議も出ており、今回の改正で象牙管理が十分であると考えているかについても答弁願います。

 国内希少野生動植物種の指定増、希少野生動植物種の流通管理強化、象牙等の事業者の管理強化に伴い、これから実効あらしめるためには、大幅な人員強化と予算強化が求められます。今回の法改正の結果、人員並びに予算について、これを大幅にふやし、法の実効性を担保すべきであると考えますが、政府の見解を求めます。

 生物多様性基本法三条三項においては、「生物の多様性が微妙な均衡を保つことによって成り立っており、科学的に解明されていない事象が多いこと及び一度損なわれた生物の多様性を再生することが困難である」とされています。私たちは、少なくとも次世代に、かけがえのない、生物多様性という生物資源を残す義務があります。

 民進党は、今後も、生物多様性の確保に全力を挙げることをお誓い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣山本公一君登壇〕

国務大臣(山本公一君) 松田議員から十三問のお尋ねがございました。

 まず、前回改正時の附帯決議への対応状況についてのお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、当該附帯決議は十一項目ありますが、このうち、法律上の対応を求められた事項については、いずれも今回の改正法案で対応しているものと考えております。

 引き続き、絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に向けた取り組みを推進してまいります。

 次に、海洋生物の種の保存のあり方についてのお尋ねがございました。

 海洋生物のレッドリストについては、平成二十四年度の検討当初より、平成二十八年度の公表を目指して作業を進めてきており、予定どおり、平成二十八年度末に公表をしたところでございます。

 今回の改正は、法全体について見直しを行うものですが、現行法でも、海洋生物の国内希少野生動植物種への指定が可能であるなど、既に海洋生物も含めて対応可能な法制度となっていると認識をいたしております。

 財産権尊重条項についてのお尋ねがございました。

 本法は、野生動植物の種の保存のため、その捕獲等を規制するとともに、その生息地の保護等を行うものであり、国民の生活に大きな影響を与える可能性があります。

 このため、当該条項は、法の適用に当たっては、憲法が保障する国民の財産権を尊重すべきであることを明らかにしたものでありまして、削除または変更することは妥当ではないと考えております。

 国内の希少野生動植物種の指定と保全についてのお尋ねがございました。

 前回改正時の附帯決議で、現行の国内希少野生動植物種を二〇二〇年までに三百種追加指定という目標を示されており、今後とも、目標達成に向けて着実に指定を進めてまいります。

 さらに、現行の国内希少野生動植物種については、その希少性や減少要因を踏まえ、事業の実施による保護効果が高いと考えられる種から優先して、保護増殖事業計画の策定を積極的に進めてまいります。

 特定第二種国内希少野生動植物種に係る規制の運用についてのお尋ねがございました。

 実際に販売、頒布された場合には、捕獲者も取り締まることが可能であり、調査研究のためと釈明した者については違反とすることができます。

 また、警察等と連携しつつ、捕獲態様等から、販売または頒布目的ではないかどうか総合的に判断し、対応をいたします。

 科学委員会の法定化及び会議の公開についてお尋ねがございました。

 第四条第七項の改正は、前回改正時の附帯決議を踏まえ、科学委員会を法定するものであります。

 この会議については、原則として公開で開催する考えです。

 国内希少野生動植物種の指定の解除についてのお尋ねがございました。

 国内希少野生動植物種の指定や解除については、改正法案第四条第七項の規定に基づき、野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者の意見を聞いて行います。

 保全対策にはさまざまな要因が関係しており、その効果のあらわれる時期などを単純に予測することができないことから、指定解除の目標を数値として示すことは困難であります。まずは、一種一種の保全を着実に進め、指定解除の実績を積み重ねてまいりたいと考えています。

 登録票の様式についてのお尋ねがございました。

 登録票については、今回の改正案で、個体識別番号、登録年月日等を記載することとし、所有者がかわっても個体等と登録票との対応関係を明確にし、不正流用を防止したいと考えております。

 したがって、登録票の色、大きさを変更することは、不正流用防止の観点からは必ずしも重要ではないと考えております。

 また、最初の登録者は、その時々の所有者と必ずしも一致せず、所有者がかわるたびに登録票を書きかえることは煩雑であることから、登録者の氏名等を登録票に記載する必要はないと考えております。

 自然環境研究センターの対応についてのお尋ねがございました。

 環境省の調査では、同センターが登録申請者に対して象牙の偽装登録を誘導した事実は確認されませんでしたが、誤解を与えかねない対応が一部確認されたことから、昨年一月に登録事務の適正な実施について文書をもって指導をいたしました。

 それを受けて、自然環境研究センターにおいて、速やかに対応マニュアルが作成され、履行状況について確認が行われているものと承知をいたしております。

 登録機関の選定についてのお尋ねがございました。

 種の保存法では、環境大臣は、機関登録の申請をした者が、動植物の分類の知識や実務経験を有する者が複数いる等の基準に適合しているときは、その機関登録をしなければならないとされています。

 自然環境研究センターは必要な基準を満たしていることから、登録機関として登録され、関係事務を行っているものです。

 また、同センターは、現在、登録関係事務を適正に実施しているものと考えております。

 個人が所有する象牙の登録についてのお尋ねがございました。

 象牙の流通管理の強化を図るため、今回の改正法案では、象牙事業について届け出制から登録制とし、事業者が所有している全ての全形牙の登録を義務づけることといたしております。

 加えて、個人が所有する全形牙も含めた国内在庫を把握するため、今後、全形牙の登録推進キャンペーンを実施し、象牙の流通管理を着実に進めてまいります。

 ワシントン条約締約国会議の決議を踏まえた象牙管理についてのお尋ねがございました。

 これまで我が国では、象牙の大規模な違法輸入は報告されておらず、条約のもとでの報告においても、我が国の市場は密猟や違法取引に関与していないと評価されています。

 しかしながら、御指摘の決議など国際的な要請も踏まえ、国内市場の適正管理の継続を基本としつつ、今回の改正法案では、象牙事業を届け出制から登録制とし、管理を強化いたします。

 これにより、象牙の国内市場の管理は十分なものになると考えております。

 人員と予算の拡充についてのお尋ねがございました。

 国内外における種の保存は喫緊の課題であり、そうした課題に対応するための措置を盛り込んだ本改正法案をお認めいただいた暁には、これを実施していくために必要な人員と予算の確保に努めていきたいと考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣     高市 早苗君

       外務大臣臨時代理

       国務大臣     菅  義偉君

       農林水産大臣   山本 有二君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       環境大臣     山本 公一君

       国務大臣     山本 幸三君

 出席副大臣

       環境副大臣    関  芳弘君


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