衆議院

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第6号 平成29年11月21日(火曜日)

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平成二十九年十一月二十一日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第五号

  平成二十九年十一月二十一日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

 議員請暇の件

 岩屋毅君の故議員木村太郎君に対する追悼演説

 谷公一君の故議員長島忠美君に対する追悼演説


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    午後二時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(大島理森君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 公明党の井上義久です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問します。(拍手)

 さきの衆議院選で、公明党は国民の皆様から多くの御支援と御支持をいただき、引き続き、自民党と連立与党として政権運営に携わる重責を担うこととなりました。

 十月二十三日に連立政権合意を交わし、北朝鮮問題への対応や力強い日本経済への再生を初め、全世代型社会保障の構築、東日本大震災からの復興、災害対策の強化などに総力を挙げて取り組むことを確認しました。

 国民とお約束した一つ一つの課題に真剣に取り組み、結果を出すことで、国民の負託に応えてまいります。

 自民党と公明党の連立政権がスタートして五年。今回の選挙結果は、この五年間の経済の再生や、政治に安定をもたらしてきた自公連立政権、安倍内閣への評価であることはもちろんですが、今後の政策実現に対する国民の期待と受けとめ、決しておごることなく、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に当たらなければなりません。

 改めて、今後の政権運営と政策実現について、総理の決意を伺います。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しています。

 北朝鮮は、国際社会のたび重なる抗議や警告を無視し、相次ぐ弾道ミサイルの発射や核実験を強行しており、断じて容認できません。

 総理は、今月六日、トランプ米大統領との首脳会談後の共同記者会見で、対話のための対話では全く意味がない、北朝鮮から政策を変えるので話し合いたいという状況をつくっていくことが大事だと指摘されました。

 国民の安全、安心、そして拉致問題の解決を図ることは、何よりも優先されなければなりません。

 政府は、強固な日米同盟のもと、国際社会との連携をさらに深め、我が国が主導的役割を発揮して、国連安保理決議に基づく一連の制裁決議の完全履行を全ての国連加盟国に働きかけ、北朝鮮の政策転換を強く迫り、核、ミサイル、拉致といった問題の解決に全力を尽くすべきです。

 北朝鮮問題への対応について、総理の決意を伺います。

 以下、諸課題について質問します。

 初めに、経済政策について質問します。

 安倍内閣発足から五年、これまでの経済財政政策によって、過去類を見ないほどの景気回復と雇用環境の改善が実現をしています。

 安倍内閣、そして私たち公明党も、内需主導型の経済成長と賃金上昇による所得環境の改善が全国津々浦々で実感できることが最重要課題であるとの共通認識のもと、成長戦略を推進し、成長と分配の好循環の実現を目指してあらゆる施策を講じてきた結果であることは言うまでもありません。

 しかし、大企業を中心とする業績の回復と賃金上昇が続く一方で、地域の中小企業や、保育、介護、IT分野などでは、必要な場所に人材が不足しており、現場からは切実な声が上がっています。

 これまで、保育、介護人材や土木建設労働者の確保のために、処遇改善や労務単価の引き上げなど適時適切な政策を実行してきましたが、雇用・所得環境の改善や人手不足問題は、その解決に時間がかかることは否めません。

 だからこそ、安倍内閣は、足元の経済指標におごることなく、経済の好循環を地域にまで定着させていくために、どこまでも経済優先で取り組むべきです。

 成長と分配の好循環の創出について、総理の決意を伺います。

 我が国は、本格的な少子高齢化社会を迎えようとしています。

 総理は、この課題克服に向けて、生産性革命と人づくり革命の二本柱を断行するとしています。

 私どももまた、生産性革命と人づくり革命によって我が国の潜在力を存分に発揮することができれば、まだまだ日本は大きく発展できるチャンスが広がっていると確信します。

 例えば、AIやビッグデータなどに代表される情報通信技術をフル活用できる人材の育成は、そこから生まれた新しい技術によって、世界をリードする産業を育て、日本経済を底上げすることが期待されます。

 自動運転の早期実現のため、安全基準を策定すること、高齢運転者の交通事故防止に役立つ警報装置等の普及促進、トラックの自動隊列走行の実現による物流改革などもその典型例であり、総力を挙げて取り組むべきです。

 また、生産性革命には、人手不足で悩む中小企業や小規模企業を中心に、生産性を飛躍的に向上させるITツールの導入や設備投資を積極的に促すことが必要です。そのための予算や税制を早急に検討すべきです。

 こうした取り組みによって、あらゆる分野で日本の潜在力が発揮されれば、公明党が目指す一人一人の能力が生かせる社会の構築にもつながります。

 生産性革命、人づくり革命に向けた取り組みについて、総理の答弁を求めます。

 社会保障と税の一体改革と、消費税収の使途変更の意義を改めて確認しておきたいと思います。

 少子高齢化の進展に伴い、年金給付や医療、介護のサービス提供、子育てや介護、障害者支援、生活保護などに充てる国の社会保障給付費は、右肩上がりで増加しています。未曽有の超高齢社会を迎える二〇二五年には百五十兆円に迫るという試算もあります。

 一方で、支え手である現役世代は減少の一途をたどり、ふえ続ける社会保障給付費をどう賄っていくかは待ったなしの重要課題です。

 そこで、二〇一二年に、当時の与党民主党、そして自民党、公明党の三党が、未曽有の少子高齢社会に耐え得る社会保障制度を再構築するため、消費税率の引き上げを含む歳入改革と、効率的な運用による歳出の改革を同時に進めていく、いわゆる社会保障と税の一体改革について合意し、これまで工程表に沿って改革を進めてきました。

 社会保障制度を持続可能なものとしつつ、さらに強化するには、安定的な財源を確保する必要があります。そのために、消費税率を引き上げ、その増収分を年金、医療、介護、子育ての社会保障四分野の維持強化に充てることが一体改革のかなめです。

 今般、政府・与党は、この一体改革の基本を堅持しつつ、幼児教育の無償化を初めとする子育て支援や教育の充実など、現役世代が抱える不安解消に取り組むために、これまで予定していた増収分の使途を変更し、社会保障を全世代型に大きく改革することを決定しました。

 改めて、社会保障と税の一体改革の中で消費税の使い道を見直し、子育て世代や子供への支援を充実する意義について、総理の答弁を求めます。

 あわせて、公明党は、社会保障の強化のみならず、消費税率の引き上げに際し、大きな痛みを実感する家計に対する視点を重視して、消費税の持つ逆進性を緩和するため、軽減税率の導入を訴え、制度実現をリードしてきました。

 消費税率一〇%への引き上げと同時に、軽減税率を円滑に確実に開始できるよう、万全の準備を進めることは、一体改革を完結させるための責任です。

 軽減税率の円滑な導入について、総理の答弁を求めます。

 教育負担の軽減について質問をします。

 教育への投資、特に教育負担の軽減は、少子化対策の柱です。

 公明党は、これまで一貫して教育費の負担軽減に取り組んできました。教科書無償配付もその一例です。

 教科書無償配付は、小学五年生の少女の切実な声がきっかけでした。彼女は、家計が苦しく教科書を購入できないことを教師に訴えたのです。その教師は、後に参議院議員となり、何はさておいても中学三年までの教科書代を無償にすべきと政府に訴えました。

 その結果、教科書無償配付は一九六三年から段階的に行われ、六九年には小学校一年から中学三年生までの全児童生徒を対象に完全実施されました。公明党の「小さな声を、聴く力」が結実したあかしでもあります。

 さきの衆議院選で、私たち公明党は、家庭の経済的な理由にかかわらず、希望すれば誰もが教育を受けられるよう、幼児教育の無償化を初めとする教育負担の軽減を公約に掲げました。教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い教育を受ける機会を保障することが重要だからです。

 特に公明党は、二〇〇六年から幼児教育の無償化を訴え続け、二〇一二年の自公連立政権合意には段階的に進めることを盛り込み、着実に実績を積み上げてきました。

 一日も早く、ゼロ歳から五歳までの全ての幼児を対象とした幼児教育の無償化を実現すべきです。あわせて、保育士や幼稚園教諭等の処遇改善、働きやすい環境整備を図ることも重要です。

 一方、高校等への進学率は九八・七%に上り、ほとんどの生徒が高校まで進学しています。ところが、公立の全日制高校に入学する生徒は志願者の約七五%で、公立を志願しても合格できず、やむを得ず私立に入学するケースも少なくありません。また、特色のある私立高校に学びたくても、経済的な理由から選択肢に入れられない生徒もいます。

 東京都がことし三月に発表した子供の生活実態調査によると、私立に在籍する高校生の保護者に私立高校を選んだ理由を聞いたところ、一般の所得世帯層では、「教育の質が高いと思った」が四三・六%、「教育方針が気に入った」が三七・五%となっています。しかし、経済的困窮層では、「公立高校の入試に合格しなかった」が五四・四%で最も高くなっています。

 高校生が安心して教育を受けられるよう、授業料に充てるための就学支援金が支給されています。公立高校は授業料の無償化が実現していますが、私立高校は、加算分を足しても授業料の平均額の四十万円に遠く及んでいません。

 こうした公私格差是正の観点から、公明党は、年収五百九十万円未満の世帯を対象に、私立高校授業料の実質無償化を実現すべきと訴えています。

 また、高校生がいる低所得世帯、多子世帯の負担軽減を図るため、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金の制度についても、第一子の給付額を第二子以降の給付額と同額まで拡充し、低所得世帯や多子世帯の負担軽減を図るべきです。

 大学生については、今年度から、公明党が長年訴えてきた給付型奨学金が実現しました。今後さらに、給付額や対象枠を大胆に拡充すべきです。また、授業料減免の拡充も図り、希望すれば誰もが大学等で学べる社会を築かなければなりません。

 あわせて、希望する全ての学生に無利子奨学金の貸与を目指し、有利子から無利子への流れを加速させるとともに、一七年度から新たに導入された、卒業後の所得に応じて奨学金の返還額が変わる所得連動返還型奨学金の既卒者への適用を検討すべきです。

 以上、教育負担の軽減について、総理の答弁を求めます。

 経済連携協定について質問します。

 TPP11や日・EUなどの経済連携協定が重要な局面を迎えています。成長戦略の重要な柱の一つであり、協定発効に向けて強力に取り組んでいただきたい。

 一方、経済連携協定には、国内への影響、特に農業への影響を心配する声があります。例えば、ヨーロッパ産のチーズは、世界の生産量の約半分を占め、種類も豊富なため、関税率の引き下げで値下がりすれば、国産チーズの売り上げが圧迫されるといった心配です。

 一方で、チーズの国際コンクールでは日本のチーズが金賞に輝くなど、国産チーズの品質や評価は着実に向上しています。

 日本の農林水産業が世界との競争の中でも生き残っていくためには、生産力の向上やブランド化を一層進めるとともに、担い手の確保や生産者が経営力を身につけるなど、現場の実態を踏まえた支援が急務です。

 二〇一五年に策定した総合的なTPP関連政策大綱についても改定する必要があります。その際、今般の日・EU経済連携協定の大枠合意により新たに必要となる国内対策を盛り込むとともに、強い農林水産業の構築に向けた万全な対策を打ち出すべきです。

 我が国の農林水産業の持続的な発展に向けた安倍総理の決意を伺います。

 働き方改革について質問します。

 昨年、大手企業の女性社員が過重労働によってみずから命を絶つ痛ましい事件が起きました。また、先月は、女性記者が過重労働の末、四年前に亡くなっていた事実が判明しました。過労死や過労自殺という悲劇を繰り返してはなりません。

 時間外労働に罰則つきの上限規制を設けるなど、命を守る働き方改革の実行が急務です。

 特に、中小企業の働き方改革には、多重的な下請構造や労務管理制度の未整備など、実態を踏まえた支援が求められます。大企業の働き方改革が進む中、中小企業にしわ寄せが及ばぬよう、企業間の適正な取引の徹底も不可欠です。

 業種によっては、発注者との関係で労働時間の短縮が難しい物流や建築業、地域医療の担い手の確保と働き方改革の両立など、それぞれの課題にきめ細かく対応する必要があります。

 学校現場で懸命に子供たちと向き合う教員も、勤務環境は極めて厳しい状況にあり、教職員定数の抜本的な拡充など、働き方改革が待ったなしです。

 働き方改革の取り組みについて、総理の答弁を求めます。

 がん対策について質問します。

 日本人の二人に一人が生涯のうちに何らかのがんになる時代を迎えています。長寿命化が進む中、国民の命と健康、生活を守る上で、がん対策の強化は極めて重要です。

 先月二十四日、政府は、国の指標となる第三期がん対策推進基本計画を閣議決定しました。この基本計画では、がん予防、がん医療の充実、がんとの共生の三本柱のもと、がんの克服を目指すこととなりました。

 がん予防については、受動喫煙の防止対策が鍵になります。受動喫煙が原因で死亡する日本人は年間一万五千人を超えると言われ、徹底した受動喫煙防止対策が求められています。従来の健康増進法による努力義務規定を抜本的に見直し、より厳しい、実効性の高い制度を構築すべきです。

 がん教育の普及も重要です。医師等の外部講師の活用によるがん教育の全国展開に全力を挙げて取り組むべきです。

 がん医療の充実については、がんゲノム医療や免疫療法など、新たな治療法に期待が高まっており、がん患者一人一人に最も適したがん医療が提供できるよう、我が国のがん研究を強力に推進すべきです。

 がんとの共生を実現するためには、治療と仕事の両立や生活支援の取り組みが重要です。

 公明党がん対策推進本部が、二〇一五年の提言に傷病手当金制度の見直しを盛り込み、その実現を訴えてきた結果、三月に策定された働き方改革実行計画の工程表に、二〇二一年度までに傷病手当の支給要件等について検討、措置することと明記され、このたびの第三期基本計画にも盛り込まれました。一刻も早く、制度の使い勝手をよくすべきです。

 また、がんと診断されたときからの緩和ケアを充実するため、引き続き、医療者への緩和ケア研修を推進するとともに、病院の実態調査も継続すべきです。

 以上、がん対策の強化について、総理の答弁を求めます。

 防災・減災ニューディールの推進について質問します。

 公明党は、国民の命を守ることが政治の最優先課題と考え、全国的な防災・減災、老朽化対策を集中的に支援する防災・減災ニューディールを提唱し、一貫してその取り組みを強力に進めてきました。

 防災・減災ニューディールは、国土の強靱化とともに、地域経済の活性化を促し、地方創生にも大きく貢献し得る重要な政策であると考えています。

 近年、熊本地震や、本年に発生した九州北部豪雨、台風二十一号による被害など、我が国では自然災害が激甚化、多発化し、想定を超える被害等も各地で発生しており、国民の命を守る社会インフラの強化は待ったなしです。

 政府は、水防災意識社会の再構築に向けた取り組みを進めていますが、九州北部豪雨、台風二十一号等の水害、土砂災害を踏まえて、中小河川の氾濫防止や都市部における内水氾濫の対策など、全国各地のインフラ整備に加え、ソフト対策と自助を組み合わせた総合的な対策を着実に進めるべきです。

 地方自治体が行う対策も、防災・安全交付金を積み増しするなど、強力な支援が必要です。

 全国的な防災・減災対策の強化について、総理の答弁を求めます。

 七月の九州北部の豪雨災害では、福岡県や大分県を中心に河川の氾濫や土砂災害など甚大な被害をもたらし、三十七人ものとうとい命が犠牲となり、四人の方が行方不明となっています。

 この豪雨災害で課題となった一つは、中山間地域の集落における防災対策です。

 高齢者も多く、孤立しやすい地域では、自助、共助の観点から、災害時要配慮者の方々が安全に避難できる避難経路と自主避難場所の事前の確保とともに、日ごろから地域住民同士の連携、確認が極めて重要です。

 我が国において、全国各地に同様の中山間地は多く、防災・減災対策の強化は喫緊の課題です。総理の答弁を求めます。

 次に、東日本大震災からの復興について質問します。

 発災より六年と八カ月がたちました。被災地では、復興は着実に進んでいますが、今なお八万人の方々が避難生活をし、約四万人の方々が仮設住宅での暮らしを余儀なくされています。

 復興の進展に伴い、被災者、地域のニーズが多様化しています。それに対応したきめ細かな支援がますます重要な段階となっています。

 公明党は、これからも被災者に寄り添い、お一人お一人が人間としての心の復興、人間の復興をなし遂げるまで、二つの風、すなわち風化と風評被害と闘い、復興を加速しなければならないと、決意を新たにしています。

 世界が刮目するような東北復興を目指し、地域コミュニティーの活性化や福島イノベーション・コースト構想などの新産業の創出、観光復興の強化、推進など、東北の魅力、潜在力を大きく引き出し、我が国における地方創生の模範となるような新しい東北を創造していくべきです。

 以下、具体的に質問します。

 東北の地方創生、経済活性化の起爆剤こそ東北観光復興です。

 近年の我が国における全国的なインバウンド急増の流れを踏まえて、政府は、二〇一六年を東北観光復興元年と銘打ち、それ以降、さまざまな取り組みを進めています。

 一方で、福島を初めとする東北の観光は、いまだ根強い風評被害により、依然として多くの課題が残されています。

 風評被害対策の強化とともに、観光先進地東北実現のための取り組みについて、石井国土交通大臣に答弁を求めます。

 福島再生に向けて、本年春には、帰還困難区域を除くほぼ全ての地域で避難指示が解除となりました。これからが正念場です。帰還される避難者の方々にしっかりと寄り添い、全力で支え続けていかなければなりません。

 帰還される方は高齢者の割合が高いため、介護、福祉、医療等のきめ細かな環境整備と、担い手の確保を急がなくてはなりません。

 また、そこで働く担い手の人たちがやりがいを持って働き続けていけるような仕組みや環境づくりも重要です。

 福島の避難解除に伴う介護、福祉等を含めた生活環境整備や担い手確保について、総理の答弁を求めます。

 帰還困難区域については、五年後を目指した住民の避難指示解除や居住可能なまちづくりに向けた復興拠点の整備が、双葉町や大熊町を皮切りにスタートしました。

 除染とインフラ整備を着実に進め、やがて帰還される住民の方々が安心と誇りを持って生活できる新しいまちづくりとともに、将来的には浜通りの福島イノベーション・コースト構想と連動した新産業の雇用創出を見据え、新たな住民確保にも全力を挙げて取り組まなければなりません。

 復興拠点の整備促進が、福島の復興再生の新たな希望となるよう、国が前面に立ち、より一層の支援が必要です。

 復興拠点の整備促進について、総理の決意を伺います。

 最後に、一言申し上げます。

 自公連立政権、安倍内閣が発足して五年。自民党と公明党の安定した政治基盤のもと、経済の再生を初め、社会保障の充実や教育、防災・減災対策、外交、安全保障の強化など、さまざまな政策課題に真っ正面から挑戦し、着実に成果を上げてきました。

 公明党には、地域に根差した党員、支持者の皆さんに支えられた地方組織があります。そして、地方議員、国会議員のネットワークを通じて地域の課題や国民の幅広い民意を受けとめて、それを政策にし、地方議会や国会を通じてその政策を形にし、実現する努力を積み重ねてきました。

 これからも公明党は、大衆の中から生まれた政党として、このネットワークをさらに強化し、幅広い国民の民意をしっかりと受けとめ、与党として、政策実現を通じて国民の暮らしを全力で守り抜くことをお誓い申し上げ、私の代表質問といたします。

 御清聴、大変にありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。

 今後の政権運営と政策実現への私の決意についてお尋ねがありました。

 先般の総選挙において、私たち連立与党は、国民の皆様から、三分の二を超える力強い信任をいただきました。その責任の重さを深く胸に刻み、自由民主党、公明党の強固で安定した連立基盤の上に、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に当たってまいります。

 急速に進む少子高齢化を克服し、子供たちの未来を切り開く、北朝鮮の現実の脅威に対して国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この選挙で国民の皆様にお約束した約束を、公明党の皆様のお力も得て一つ一つ実行し、結果を出していく、その決意であります。

 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。

 北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方から対話を求めてくる状況をつくっていく必要があります。

 我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行を全ての国連加盟国に働きかけ、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。

 成長と分配の好循環についてお尋ねがありました。

 安倍内閣が進めている政策は、成長と分配の好循環をつくり上げていくというものです。成長し、富を生み出し、それが全国津々浦々の国民に広く均てんされ、多くの人たちがその成長を享受できる社会を実現していきます。

 政権交代後、アベノミクスによって、極めて短い期間で、デフレではないという状況をつくり出すことができました。

 特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百八十五万人増加し、有効求人倍率は史上初めて四十七全ての都道府県で一倍を超え、正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて一倍を超えています。また、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップを実施されております。

 こうした成果をより広い地域、より多くの人々に届けるため、人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による人材や設備への力強い投資、並びにソサエティー五・〇の実現に向けたイノベーションを促すため、これまでにない大胆な政策を講じていきます。

 経済最優先。アベノミクスをさらに加速させながら、成長と分配の好循環をつくり上げ、持続的な経済成長の実現に取り組んでまいります。

 生産性革命、人づくり革命に向けた取り組みについてお尋ねがありました。

 我が国が直面する最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、生産性革命、人づくり革命を車の両輪として断行いたします。

 二〇二〇年を大きな目標に、生産性革命の実現に向けて、人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による人材や設備への力強い投資、並びにソサエティー五・〇の実現に向けたイノベーションを促すため、これまでにない大胆な政策を講じていきます。

 人づくり革命については、幼児教育の無償化や介護人材の確保などを通じて、社会保障制度を全世代型へ転換するとともに、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化など、人への投資を拡充します。これらの政策を力強く進めていくため、消費税率一〇%への引き上げに伴う増収分などを活用した二兆円規模の政策を取りまとめます。

 これにより、女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した方も、誰もが生きがいを持って、一人一人がその能力を存分に生かせる一億総活躍社会を、公明党の皆様と力を合わせてつくり上げてまいります。

 社会保障と税の一体改革についてお尋ねがありました。

 少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、社会保障と税の一体改革を推進してきたところであります。

 その上で、足元の経済の成長軌道を確かなものとするために、我が国の最大の課題である少子高齢化の克服に向け、人づくり革命を断行します。

 子育て、介護といった現役世代が直面するこの二つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を、お年寄りも若者も安心できる全世代型へと大きく改革してまいります。

 今後とも、世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、少子高齢化を乗り越え、我が国を力強く成長させるため、必要な政策を実行してまいります。

 消費税の軽減税率制度の実施についてお尋ねがありました。

 消費税の軽減税率制度については、税制抜本改革法に基づく消費税率一〇%への引き上げに伴う低所得者への配慮として、二〇一九年十月に実施することとされています。

 政府としては、事業者の準備状況を把握しつつ、着実な実施に向け、万全の準備を進めてまいります。

 教育負担の軽減についてお尋ねがありました。

 どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば、高校、高専にも、専修学校、大学にも行くことができるようにすることが重要です。

 そのため、真に必要な子供たちには、高等教育を無償化します。授業料の減免措置の拡充と、給付型奨学金の支給額の大幅増加を検討しています。

 また、無利子奨学金については、今年度から、低所得世帯の子供に係る成績基準の実質的撤廃や残存適格者の解消を図るとともに、卒業後の所得に応じて返還月額が変わる所得連動返還型奨学金制度を導入したところであります。既に返還を開始している方に対しては、減額返還制度の拡充により、返還負担の軽減に取り組んでいます。

 私立高校の授業料の無償化については、先般の総選挙の前に行われた党首討論会において山口代表から申し入れがあり、検討しているところであります。

 また、高校生等奨学給付金のあり方については、今後検討してまいります。

 幼児教育の無償化については、二〇二〇年度までに、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育園の費用を無償化する、ゼロ歳から二歳児についても所得の低い世帯に対して無償化するとの方針のもとで、現在、具体的な検討を進めているところです。

 あわせて、これまでも保育士や幼稚園教諭の処遇改善や労働負担の軽減などの働きやすい環境整備を進めてきており、引き続きこうした取り組みの推進に努めてまいります。

 幼児教育や高等教育の無償化については、現在、与党においても議論が行われていると承知しており、政府としては、与党の提言をいただいた上で、十二月上旬に新しい経済政策パッケージを取りまとめてまいります。

 我が国農林水産業の持続的な発展についてお尋ねがありました。

 TPPや日・EU・EPA交渉においては、農林水産分野について、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割り当てやセーフガード等の措置を獲得しました。

 それでもなお残る農林漁業者の方々の不安や懸念にもしっかり向き合い、安心して再生産に取り組むことができるよう、十分な対策を講じてまいります。

 このため、これまでも、TPP対策として、産地の国際競争力の強化や農林水産物の輸出拡大などの体質強化対策を実施してまいりました。さらに、今月下旬に改定する総合的TPP関連政策大綱に基づき、平成二十九年度補正予算も含め、農林水産業の強化策等の措置を講じてまいります。

 意欲ある農林漁業者が将来に夢や希望を持てるよう、政府一体となって、強い農林水産業の構築に全力で取り組んでまいります。

 働き方改革の取り組みについてお尋ねがありました。

 働き過ぎにより健康を損なったり命を落とすようなことはあってはならないことであり、こうした事態を何としても防いでいかなければなりません。罰則つき時間外労働の上限規制の導入などの働き方改革については、働き方改革実行計画の内容を踏まえ、法案の早期提出を目指します。

 その際、取引関係の弱い中小企業は、発注企業からの短納期要請や顧客からの要求などに応えようとして長時間労働になりがちです。商慣習の見直しや取引条件の適正化を一層強力に推進します。

 また、自動車運送業、建設業、医師などについても、関係省庁が一体となって、それぞれの業界の実態に応じたきめ細かな対応に取り組んでまいります。

 教員については、業務の効率化、精選や、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実などについて検討し、年末までに緊急対策を取りまとめてまいります。

 がん対策の強化についてお尋ねがありました。

 国民の二人に一人がかかると言われるがんは、国民の関心が高く、早期発見、早期治療とともに、療養中の生活の質の向上が重要であると考えます。

 このため、昨年改正したがん対策基本法に基づき、本年十月に、第三期がん対策推進基本計画を、御党からの御提案を踏まえながら策定いたしました。この計画では、がん予防、がん医療の充実及びがんとの共生を三つの柱としております。

 今後、この計画に基づき、がん教育の全国展開、がんゲノム医療提供体制の構築、傷病手当金制度の見直しの検討を含む治療と仕事の両立支援、医療者に対する緩和ケア研修の普及などの取り組みを通じて、がん対策をさらに推進してまいります。

 また、二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策を徹底するため、必要な法案を取りまとめてまいります。

 防災・減災対策の強化についてお尋ねがありました。

 本年七月に発生した九州北部豪雨を初めとして、近年、多数の災害が発生しており、防災・減災対策は我が国にとって焦眉の急であります。

 このため、社会全体で水害に備える、河川の氾濫を防ぐ対策とともに、氾濫した場合にも被害を軽減する対策や、地域住民への水害リスクやとるべき避難行動の周知等の総合的な取り組みを、地方自治体と一体となって推進してまいります。

 また、九州北部豪雨においては、住民と行政が協力して作成し、自主避難場所等も記載した防災マップが減災につながったと言われており、このような取り組みを、中山間地域を含め、全国的に広めていく必要があると考えています。

 今後も、国民の生命と財産を守るため、これまでの災害で得られた貴重な教訓を生かし、ソフト、ハードを組み合わせて、防災・減災対策に万全を期してまいります。

 福島の避難指示解除に伴う介護、福祉等を含めた生活環境整備や担い手確保策についてのお尋ねがありました。

 特に高齢者を初め、帰還した住民の皆さんがふるさとで安心して生活できる環境を整備するため、介護サービスや医療の提供体制の確保を図ることが重要な課題です。

 介護サービスの提供体制を整備するため、避難指示解除区域の介護施設等の安定的な運営の支援に取り組むとともに、介護、福祉の担い手を確保するため、この地域で働くことを希望する方に対する就職準備金の引き上げなどの支援に取り組んでまいります。

 医療の提供体制についても、被災地域における医療機関の再開支援や医療従事者の養成確保のために必要な予算を確保しています。

 安倍政権は、今後とも、福島の復興再生に向けて全力で取り組んでまいります。

 帰還困難区域における復興拠点の整備促進についてお尋ねがありました。

 帰還困難区域については、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意のもと、まずは復興拠点から、着実かつ段階的に、政府一丸となって、一日も早い復興を目指して取り組んでいく考えです。

 このため、新たな制度のもと、帰還困難区域に特定復興再生拠点を設け、避難指示解除後の土地利用を想定した整備計画に基づき、除染、解体事業についてもインフラ整備などと一体的に実施することとしています。

 この特定復興再生拠点の整備に当たっては、町村が計画を作成する段階から、国も前面に立って必要な支援を行ってまいります。

 あわせて、福島イノベーション・コースト構想を推進することにより、浜通り地域に新しい雇用を生み出し、町村、県、国が一体となって新たなまちづくりを力強く進めてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 東北の観光復興についてお尋ねがございました。

 東北地方につきましては、外国人旅行者の延べ宿泊数が、一昨年ようやく震災前の水準に戻ったものの、全国の水準に比較すると、伸び率は必ずしも高くない状況であります。

 このため、昨年を東北観光復興元年といたしまして、二〇二〇年に東北六県の外国人延べ宿泊者数を百五十万人泊とする目標実現に向け、東北観光復興対策交付金を平成二十八年度に創設しております。この中で、地域で実施する滞在コンテンツの充実強化、プロモーションの強化、受け入れ環境整備に対して支援を行っております。

 また、日本政府観光局による、全世界を対象といたしましたデスティネーションキャンペーンといたしまして、海外の著名人や旅行会社、メディアなどを東北に招いて、東北の魅力を海外に発信し、集中的なプロモーションを実施しているところであります。

 さらに、福島県における風評被害対策及び震災復興に資する観光関連事業といたしまして、イベント開催等による国内プロモーションや、関係者を福島に招待し実態を見ていただく教育旅行再生事業等に対する支援を行っているところであります。

 今後、二〇一九年のラグビーワールドカップや、復興五輪と位置づけられる二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機会も十分活用しながら、観光先進地東北の実現のため、しっかりと取り組みを強化してまいりたいと存じます。(拍手)

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議長(大島理森君) 岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 私たちは、さきの総選挙で無所属で戦い、小選挙区で勝ち抜いてきた十三名から成る会派、無所属の会です。

 私は、無所属の会を代表し、安倍総理の所信表明演説について質問いたします。(拍手)

 まず、外交、安全保障について質問します。

 今、日本が直面する安全保障上の最大の課題は北朝鮮問題です。安倍総理は、さきの所信表明演説で、北朝鮮にその政策を変更させるため国際社会とともに圧力を一層強化する旨述べました。私も基本的に同意見です。

 その上で、幾つか懸念すべき点がありますので、以下、具体的に質問いたします。

 先般、安倍総理は日米首脳会談を行い、その後の記者会見で、今後とるべき方策について完全に見解の一致を見たと述べました。しかし、具体的な問題について両首脳間でどういう議論があったのか、明らかにされていません。

 そこで、お聞きしたいと思います。

 例えば、ティラーソン国務長官が述べている北朝鮮に体制転換は求めないという考えは、日米首脳間の共通認識なのでしょうか。安倍総理自身はどう考えているのでしょうか。また、朝鮮半島有事における六万人の在韓邦人の退避計画について、トランプ大統領との間でどのような議論が行われたのでしょうか。在韓邦人は安心していてよいのでしょうか。それぞれについて、安倍総理の答弁を求めます。

 朝鮮半島で軍事衝突が発生した場合の甚大な犠牲は明らかです。先月末の米国の議会調査局報告書では、北朝鮮が通常兵器のみを使用する場合でも、軍事衝突の最初の一日だけで、ソウルで三万から三十万人の民間人が死亡するとの想定がなされています。日本が直接の標的となる可能性も高いと言わざるを得ません。

 国民の命と平和な暮らしを守ることが内閣総理大臣の最大の使命であることは論をまちません。少なくとも、先制的な軍事行動は選択肢から排除するようトランプ大統領を説得することこそが、安倍総理、あなたがなすべきことではないですか。

 全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持していると安倍総理の発言がありますが、余りにも軽率であり、撤回すべきです。安倍総理の答弁を求めます。

 先月二十九日に予定された航空自衛隊観閲式に、核兵器搭載が可能な米空軍B2戦略爆撃機が初参加するとの報道がありました。結局、台風の影響で観閲式そのものが中止となったのですが、この報道にあるとおり、日米間で調整がなされた事実はあるのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。

 核兵器を持ち込まないという非核三原則をめぐる日本政府のうそは、私が外務大臣のときに行った核密約の調査によって明らかになっています。B2戦略爆撃機が日本に飛来すれば、同じことの繰り返しになります。核兵器が搭載されているか否か、米国政府は決して明らかにしないはずです。朝鮮半島有事において、在日米軍基地から飛び立ったB2戦略爆撃機が核爆弾を投下するということが起こり得る重大問題です。

 核兵器搭載が可能な戦略爆撃機が日本に飛来することは認めるべきではありません。安倍総理の答弁を求めます。

 日本にとって重要な同盟国の大統領であるトランプ氏と、ある程度共同歩調をとることは必要でしょう。しかし、トランプ大統領はオバマ前大統領の政策の多くを否定しています。

 そこで、安倍総理にお聞きしたい。

 第一に、大統領がかわって、米国の政策が大きく変わったにもかかわらず、変わることなく米国の政策を支持している安倍総理の姿勢は、結局、日本には独自の外交政策が存在しないということなのでしょうか。

 第二に、安倍総理が日本外交の基本方針として一時期盛んに唱えた価値観外交、すなわち、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的な価値に基づく外交は一体どこに行ったんでしょうか。

 第三に、米国にひたすら追随する安倍総理の外交姿勢が、国際社会における日本の存在を小さくし、国益を損ねているのではないかと私は強く懸念しています。

 以上の三点について、総理の答弁を求めます。

 次に、内政について質問します。

 安倍総理は、さきの総選挙で、人口減少問題を国難と主張しました。極めて重要な問題であるという認識は私も共有します。待機児童解消に向けた保育所整備の加速化など、働きながら子育てできる環境整備を行うことが、結果的に人口減少を抑制することになります。また、幼児教育の無償化など教育費の負担軽減も大切です。ここまでは安倍総理も提案しています。

 しかし、それだけでは危機的状況にある少子化対策として十分ではありません。日本の少子化、人口減少の根本原因は、未婚化、非婚化にあるからです。

 一九九〇年に十人に一人だった日本人男性の生涯未婚は、今や四人に一人になっています。人口減少問題のより根本的な原因は、結婚を望みながら経済的な理由で諦めている人が数多くいることです。この点、安倍総理も同様の認識でしょうか。答弁を求めます。

 生涯未婚が大幅にふえている大きな原因は、雇用が不安定化し、所得が減少していることです。

 具体的に数字を挙げます。

 三十歳から三十四歳の男性で結婚している人の割合は、非正規雇用では二三・三%であり、正社員の半分以下です。

 そういう中、非正規雇用の割合は、一九九〇年の二〇・二%から、現在は三七・五%とほぼ倍増し、特に二十五歳から三十四歳の男性は、一九九〇年の三・二%から一五・八%へと激増しています。この現実をどう考えているのか、安倍総理の答弁を求めます。

 安倍政権が強行した一昨年九月の労働者派遣法の改悪などがその後押しをしてきました。明らかに誤った政策です。より安定した働き方を可能とし、格差を是正することこそが人口減少に歯どめをかけるために抜本策であるとの認識を共有し、大きく政策転換する覚悟があるか、安倍総理の答弁を求めます。

 人口減少問題と並ぶ日本の内政上最大の課題は、財政健全化問題です。しかし、安倍総理のこの問題への対応は先送りの連続であり、極めて不十分です。所信表明演説でも具体策に全く触れていません。私は驚きました。

 安倍総理は、消費税増税分の使途変更を財政健全化目標が達成できなくなる理由としています。しかし、それは、その使途変更がなくとも、二〇二〇年度のプライマリーバランスは八・三兆円もの赤字になるというのが従来の政府試算です。そして、今後三年間でその赤字を埋める具体策は政府によって何も示されていません。安倍政権の財政健全化目標は、とうに破綻していたのです。そのことを正直に認めるべきと考えますが、安倍総理の答弁を求めます。

 財政の健全化は待ったなしです。このままでは、次世代に大きな負担を強いるのみならず、今の世代の社会保障制度の持続可能性すら危ぶまれる状況にあります。一体、いつ新たな財政健全化目標は示されるのでしょうか。その際の目標年限はいつにするのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。

 その上で、三点、私から具体的に提案しておきます。それぞれについて、安倍総理の答弁を求めます。

 第一に、プライマリーバランス黒字化の目標は必ず残すべきです。

 第二に、歳出削減のさらなる深掘りや税制改革による歳入増を柱とした堅実な財政健全化計画とすべきです。とりわけ、主要歳出項目について、具体的な歳出削減計画の策定が必要不可欠です。

 第三に、安倍政権で膨張する財政が何とか持ちこたえているのは、日銀の超低金利政策によって国債の利払い費が抑えられているからです。

 しかし、いつまでもゼロ金利の時代が続けられるわけではありません。名目長期金利が正常化すれば国債の利払い費が急増し、その結果、仮にプライマリーバランス黒字化を達成したとしても、財政収支全体の赤字はさらに拡大するという状況に陥りかねません。

 新たな財政健全化計画では、低金利による国債の利払い費の抑制分は、歳出増に充てるのではなく、国債発行の減額に充てるという原則を確立すべきです。

 以上の私の提案について、安倍総理の答弁を求めます。

 安倍総理は、与野党の枠を超えた建設的な政策論議を呼びかけました。賛成です。お互い、国民にとって意味のある、しっかりとした国会議論を行おうではありませんか。

 そのためには、安倍総理によく考えていただきたいことを三つ指摘します。それぞれについて、安倍総理の答弁を求めます。

 第一に、建設的な議論を行うためには十分な時間が必要です。野党の質問時間を大幅に削減するのは大きな間違いです。

 与党だけではありません。菅官房長官は記者会見で、国会議員が等しく質問できるよう議席数に応じて配分するのは、国民の側から見てもっともな意見だと発言しました。都合のいいときだけ国民を持ち出し、かつ、国会運営に政府が口を出すものです。私は強い違和感を覚えました。

 この官房長官の記者会見発言を安倍総理はどう受けとめているのか、答弁を求めます。

 第二に、野党との論戦に当たり、国民に対して答弁するという気持ちを忘れないでいただきたい。安倍総理には逃げの答弁が目立ちます。国民の疑問に対して正直に説明することがなければ、安倍総理に対する国民の信頼は決して戻りません。

 安倍総理はこの点をどう考えているのでしょうか。答弁を求めます。

 第三に、安倍総理は、民主党政権時代の批判や野党攻撃が得意です。時には、野党議員に向かってやじられることもあります。

 しかし、野党の主張にも謙虚に耳を傾け、敬意を払い、よい提案については取り入れる度量の広さを歴代総理大臣は示してきました。

 私は、安倍総理にその姿勢が決定的に欠けていると思います。国会における建設的な議論を拒否しているのは安倍総理ではありませんか。その姿勢を改める決意をぜひこの本会議場で聞かせていただきたいと考えます。

 以上、安倍総理の見解を求め、私の代表質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田克也議員にお答えをいたします。

 北朝鮮問題における日米連携についてお尋ねがありました。

 国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは、私の最大の使命です。私は、考えに考え抜いた上で、北朝鮮の挑発に屈することなく、毅然とした外交を通じて、北朝鮮の政策を変えさせるとの覚悟で取り組んでおります。

 もとより政府として、他の国、地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはありません。米国の今後の対応を予断することは差し控えますが、日米間で、北朝鮮問題への対応に関し緊密に連携してまいります。

 邦人の退避と保護について、米国とは、日米防衛協力のための指針も踏まえ協力を進めてきていますが、具体的な内容は、事柄の性質上及び相手国との関係もあり、差し控えさせていただきます。

 我が国は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持しており、それは今も変わりありません。北朝鮮に政策を変えさせるため、日米で協力して、あらゆる手段を使って圧力を最大限にし、北朝鮮から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。

 米軍のB2爆撃機の航空観閲式への参加及び非核三原則についてお尋ねがありました。

 航空観閲式においては、自衛隊機に加え、同盟国の米軍機も参加するのが通例です。B2爆撃機の参加を含め、日米間で緊密に連携して調整していました。また、B2爆撃機の航空観閲式への参加調整に際しては、米側に対し、航空ショーにおける上空飛行を行う航空機は武装していないということを確認しています。

 いずれにせよ、政府としては、非核三原則を国是として堅持しており、これを見直すことは全く考えておりません。

 我が国の外交姿勢及び日米関係についてお尋ねがありました。

 米国の大統領がオバマ前大統領からトランプ大統領に交代しても、強固な日米同盟と米国のアジア太平洋へのコミットメントは不変です。我が国は一貫して米国のこの姿勢を強く支持しており、これは、独自外交が存在しないことを意味するのではなく、まさに日本外交の礎がぶれないことを示すものであります。

 アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と力を合わせながら、日本の安全保障と地域の繁栄を確保するとの考え方も、いささかも変わりはありません。

 トランプ大統領訪日の際には、かねてより日本が提唱している、自由で開かれたインド太平洋戦略を日米で協力して進めることで一致をいたしました。

 この自由で開かれたインド太平洋戦略については、私もさまざまな場で政府の基本的考え方を述べてきたところでありますが、この戦略はまさに普遍的価値の上につくり上げられた戦略であることは言をまたないわけでありまして、日本がかねてから主張していたこの基本的な戦略を、米国もともに進めていくことで一致したところでございます。

 我が国は、引き続き、地域や国際社会における諸課題に対する明確なビジョンを示し、リーダーシップを発揮してまいります。

 非正規雇用についてお尋ねがありました。

 非正規雇用を取り巻く雇用環境については、不本意ながら非正規の職についている方の割合は前年に比べて低下し続けている、働き盛りの五十五歳未満では、二〇一三年から十九四半期連続で、非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っているなど、着実に改善をしています。

 非正規から正規への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金などを通じ、今後も正社員転換をより一層進めてまいります。

 また、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正など、働き方改革に取り組んでまいります。

 さらに、再来年十月に引き上げが予定される消費税の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資してまいります。

 なお、先般の労働者派遣法改正は、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ、均衡待遇措置の強化などを内容とするものであり、改悪とは考えておりません。

 財政健全化についてのお尋ねがありました。

 政府は、消費税率引き上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資をするとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしております。これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。

 ただし、財政健全化の旗は決しておろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。

 岡田議員からもさまざまな御提案がございましたが、この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取り組みを精査した上で、プライマリーバランスの黒字化の達成時期、そして、その裏づけとなる具体的かつ実効性の高い計画をお示ししてまいります。

 国会での建設的な議論に関し、官房長官の発言、私の答弁姿勢、野党に対する姿勢についてお尋ねがありました。

 御指摘の官房長官の発言は、国会がお決めになることを前提とした上で、あくまで一般論として述べたものであると承知しております。私も、内閣総理大臣の立場でこれ以上のコメントは差し控えます。

 国会における審議については、議員御指摘のとおり、国民の皆様がそのやりとりを見詰めており、私も含めて全ての国会議員が国民の負託に応えられるような真摯で建設的な議論を行うべきと考えております。

 ただ批判に終始するのではなく、与党、野党の違いを超えて、相手の主張にも謙虚に耳を傾け、敬意を払い、よい提案については取り入れる、そうした努力の中から、困難な課題にも答えを見出し、国家国民のために結果を出していくことができると考えております。

 ぜひ、無所属の会の皆さんとも、正々堂々、建設的な議論を行わせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

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副議長(赤松広隆君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)

 まず、森友、加計疑惑についてです。

 この疑惑は、公正公平であるべき行政が時の権力者によってゆがめられ、国政が私物化されたのではないかという重大疑惑であり、自民党が総選挙で多数を得たからといって絶対に曖昧にされてはならないものであります。

 森友疑惑の核心は、国民の財産である国有地が、なぜ八億円も値引きされ、ただ同然で売却されたのかにあります。

 この間、売却に直接かかわった財務省職員と学園側とのやりとりを記録した音声データが報道で明らかになりました。音声データには、地下深くまでごみがあったことにして売却価格を引き下げるというシナリオを財務省職員の側から提案していたことが記録されています。売る側である財務省の側から値引きを提案するなどという信じられないことがなぜ起こったのか。籠池氏は国会で、神風が吹いたと証言しましたが、神風が吹き出した時期と安倍昭恵夫人が名誉校長に就任した時期が重なっているのは、到底偶然とは考えられません。

 真相を究明するためには、売却に直接かかわった財務省職員と、売却交渉のときの名誉校長であった昭恵夫人に国会に来ていただき、直接話法で真実を語ってもらうことが必要であると考えますが、総理の見解を問うものであります。

 加計学園の問題の核心は、加計学園理事長の親友である総理の関与によって、獣医学部新設に特別の便宜が図られたのではないかというところにあります。

 総理は、獣医学部新設について、私が関与したと言った方は一人もいないと述べ、この一点をもって、みずからの関与を強く否定しています。しかし、獣医学部の新設が国家戦略特区に認定される過程で、総理の御意向とか、官邸の最高レベルが言っているなどと記載された文書が文科省内で交わされ、圧力として働いたことは紛れもない事実であります。

 総理がみずからの関与をあくまで否定するなら、総理の名をかたって関与した人物が別にいるということになります。その人物を明らかにして、断固とした処置をとる意思はありますか。

 総理はまた、加計氏から獣医学部新設の話をされたことはないと言います。しかし、加計孝太郎氏は、特区に獣医学部の新設を認める山場の時期に、当時の農水大臣、文科大臣、地方創生大臣に相次いで面会し、獣医学部新設の話をしています。

 民間の一学園理事長である加計氏が三人の大臣と直接面談すること自体が極めて異例なことですが、そのときに、加計氏が腹心の友である総理の名をかたって、行政への働きかけを行った事実はありませんか。その究明のためにも、加計孝太郎氏の国会招致は不可欠だと考えますが、総理の見解を求めます。

 北朝鮮問題への対応について質問します。

 北朝鮮による核・ミサイル開発は、もとより断じて容認できません。同時に、破滅をもたらす戦争だけは、絶対に引き起こしてはなりません。この点で、総理の姿勢に二つの大きな問題点があることを率直に指摘しなければなりません。

 第一は、総理が、対話のための対話は意味がないと、対話否定論を繰り返し述べていることであります。

 現在の最大の危機は、米朝の軍事的緊張が高まるもとで、偶発的な事態や誤算から軍事衝突が起き、それが戦争に発展することにあります。この危機を回避し、打開するためにも、米朝が直接対話に踏み切ることが必要だと考えますが、いかがですか。

 経済制裁の強化は必要ですが、それだけでは事態を打開することはできません。制裁強化と一体に、対話による平和的解決を図ることこそ唯一の解決策であり、日本政府はそのためのイニシアチブを発揮すべきではありませんか。

 第二は、総理が、全ての選択肢はテーブルの上にあるという米国政府の立場を支持すると繰り返していることです。

 ここで言う選択肢の中には、米国による先制的な軍事力行使が含まれていることは明瞭です。万一、米国が先制攻撃に踏み切ったら、何十万、何百万もの人命が最初の数日間の戦闘で失われるという強い警告がされています。こうした危険な道にあらかじめ支持を与えるなど、言語道断であります。米国政府に対して、先制的な軍事力行使は絶対にやるべきではないと提起すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。

 暮らしと経済について質問します。

 総選挙の翌日、日本経団連の榊原会長は、安倍政権には、国民の痛みを伴う改革にも取り組んでもらいたいとして、計画どおりの消費増税の実行と社会保障制度の改革に勇気を持って取り組めと求めました。

 この号令に呼応するように、財務省の財政制度審議会、内閣府の経済財政諮問会議で、相次いで社会保障改革の案が出されました。その内容は、医療、介護、生活保護など、社会保障のあらゆる分野で給付削減の大なたを振るおうというものです。

 介護では、要介護一、二の在宅サービスを介護保険の給付から外すことが提案されています。安倍政権のもとで、既に要支援一、二の百七十六万人の在宅サービスが保険給付から外されています。この上、要介護一、二の二百四十万人のサービスまで保険給付から外したら、要支援、要介護と認定されている人の実に六五%が保険給付の枠外に置かれてしまいます。

 高い保険料を払って要支援、要介護と認定されても、六割以上の人がサービスを受けられない。これでは、国家的詐欺と言うほかないではありませんか。

 こうした制度改変で大変困るのは、介護が必要な家族を持つ現役世代であります。介護離職は十年間で百五万人に上ります。総理は介護離職ゼロを掲げておられますが、六割以上の人から保険給付を取り上げて、どうして介護離職ゼロになりますか。それを深刻化させるだけではありませんか。

 生活保護では、子供のいる世帯を狙い撃ちにした切り下げが検討されています。母子加算を初め、子育て世代に支給される各種加算を軒並み切り下げ、生活扶助費の本体についても、子供の多い世帯ほど厳しく削減していくというのが政府の方針です。これが実行されれば、子だくさんの貧困家庭に事実上のペナルティーを科すことになります。

 総理は、少子高齢化を克服する、貧困の連鎖を断ち切ると言われますが、やろうとしていることは全く逆のことではありませんか。

 総理は、総選挙で、社会保障制度を全世代型に転換すると公約しましたが、選挙が終わってやろうとしていることは、全世代に対する社会保障切り捨てにほかなりません。こうした姿勢を根本から改め、社会保障拡充への政策転換を図ることを強く求めるものであります。

 経団連がもう一つ、国民の痛みを伴う改革として要求しているのが、計画どおりの消費増税の実行であります。

 重大なことは、経団連が消費税増税を法人税実効税率の二五%への引き下げとセットで要求していることです。既に安倍政権のもとで、四兆円の法人税減税、大企業減税のばらまきが行われましたが、さらに二兆円を超える法人税減税を求めているのです。

 総理、国民には社会保障削減と大増税の激痛を押しつけながら、自分の税負担はひたすら軽くしてくれというこの財界の要求は余りに身勝手だと考えませんか。

 消費税一〇%への大増税は中止し、増税するなら、アベノミクスで空前のもうけを手にしている富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革こそ実行すべきであります。明確な答弁を求めます。

 沖縄の米軍基地問題について質問します。

 総選挙では、沖縄の四つの小選挙区のうち、一、二、三区の三つで、辺野古新基地に反対するオール沖縄の候補者が勝利しました。新基地建設に反対する沖縄県民の民意がはっきり示された結果であることは明らかであります。ところが、政府は、そのわずか二週間後に、新たな護岸工事の建設に着手しました。

 総理に伺います。

 総選挙で沖縄県民が新基地建設反対の審判を下したという事実をあなたはお認めにならないのですか。政府の暴挙は、沖縄には民主主義は適用しないという宣言に等しいものだと考えますが、いかがですか。しかとお答えいただきたい。

 米軍ヘリが炎上、大破した事故も、沖縄県民の怒りを広げています。こんな重大事故が住民の生活する民有地で起こったのに、日本の警察は立入調査すらできませんでした。機体の一部に放射性物質が使われていたにもかかわらず、十分な調査ができませんでした。昨年のオスプレイ墜落事故のときにも、海上保安庁は原因究明に関与することができませんでした。

 総理、これで独立した主権国家と言えますか。この屈辱的な現状を正すために、日米地位協定の抜本見直しが必要だと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

 最後に、憲法九条改定について質問いたします。

 総理は、憲法九条の一項、二項は残しつつ、自衛隊を明文で書き込む憲法改定を主張しておられます。総理は、ただ存在する自衛隊を書くだけで、何も変わらないと言いますが、とんでもありません。極めて重大な問題が生まれてきます。

 法律の世界では、後からつくった法律は前の法律に優先する、このことが一般原則とされています。ですから、仮に九条二項が残されたとしても、後からつくった条項で自衛隊が明記されれば、こちらが優先され、九条二項の空文化、死文化に道を開くことになるのではありませんか。そうなれば、九条二項によってできないとされてきた武力行使を目的にした海外派兵や集団的自衛権の全面的発動が可能となり、海外での武力行使が無制限になるのではありませんか。こうした大改悪には我が党は断固反対であります。

 大体、総理に憲法改定を語る資格があるでしょうか。安保法制、秘密法、共謀罪、どれもこれもが憲法違反の法律を数の暴力で通してきた。野党が憲法五十三条に基づいて臨時国会召集を要求しても、三カ月も放置したあげく、冒頭解散を強行しました。憲法を守らない総理に憲法を変える資格などありません。

 今、日本に求められているのは、憲法を変えることではなく、憲法をきちんと守る政治を取り戻すことだということを訴えて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。

 森友学園への国有地売却についてお尋ねがありました。

 国有地の売却における当事者間でのやりとりについては、現在捜査が行われており、捜査の場及びその後の司法の場において明らかになっていくことだろうと思います。

 ただ、私の妻が一時期名誉校長を務めていたこともあり、国民の皆様から疑念の目を向けられたとしても、もっともだと思います。

 その上で、本件については、私自身、閉会中審査に出席するなど、国会において丁寧な説明を積み重ねてまいりました。今回の衆議院選挙における各種の討論会でも質問が多くあり、その都度、丁寧に説明をさせていただいたところであり、今後もその考え方に変わりはございません。

 なお、国会における審議のあり方については、国会においてお決めいただくことだと認識しています。

 国家戦略特区に関する私の関与、関係者の処分についてお尋ねがありました。

 私は、国家戦略特区における獣医学部新設という個別の案件について、具体的に指示したり働きかけをしたことは、これまでも申し上げてきたとおり、一度もありません。

 他方、岩盤規制改革を全体としてスピード感を持って進めるよう常々指示してきたところであり、今回のプロセスは、こうした大方針に基づき、担当大臣のリーダーシップのもと、節目節目で関係大臣の間に異論がないことを確認し、合意の上で適正に進められてきたものと承知しています。

 こうしたプロセスについては、特区の民間有識者も一点の曇りもないと述べているところであり、関係者の処分といった御指摘は当たりません。

 加計理事長の各大臣との面会、国会招致についてのお尋ねがありました。

 加計理事長と各大臣との面会においては、御指摘のような事実はなかった旨、既に政府として答弁しているとおりであります。

 いずれにせよ、先般の閉会中審査において、関係大臣を初め誰一人として私から国家戦略特区における獣医学部新設につき指示を受けなかったことが明らかになったところであり、そのことが、今回の行政プロセスを評価するに当たり、最も重要なポイントであると考えております。

 その上で、国会の運営については、国会がお決めになることであると考えております。

 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。

 まず、申し上げておきたいことは、挑発行為を繰り返し、世界の脅威となっているのは、北朝鮮であります。私も含めて、世界の誰一人紛争など望んでおりません。

 韓国で、トランプ大統領は、北朝鮮が対話のテーブルに着き、北朝鮮の人々や世界じゅうの人々にとってよい合意を結ぶことは筋が通っている、また、米国は北朝鮮に対してよりよい未来への道を提供することができると述べており、これに対して、非核化に向けた対話を拒否しているのは北朝鮮です。

 北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。

 我が国としては、日米、日米韓で協力し、中国、ロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。

 もとより政府として、他の国、地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはありません。米国の今後の対応を予断することは差し控えますが、日米間で、北朝鮮問題への対応に関し緊密に連携してまいります。

 軽度者向け介護サービスについてお尋ねがありました。

 御指摘の軽度の要介護者に対する生活援助サービス等については、経済・財政再生計画改革工程表に沿って、高齢者の自立支援等の観点から、引き続き検討を行ってまいります。

 なお、要支援の方がサービスを受けられないとの御指摘ですが、平成二十六年の介護保険法改正では、要支援の方を引き続き介護保険の地域支援事業の対象として、市町村が必要なサービスを地域の実情に応じて効果的かつ効率的に提供できるよう仕組みを見直したものであります。国家的詐欺との御批判は全く当たりません。

 また、介護離職ゼロに向けて、二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受け皿を整備します。また、その大きな目標に向かって、介護人材確保への取り組みを強化します。さらに、他の産業との賃金格差をなくしていくため、介護人材のさらなる処遇改善を進めてまいります。

 生活保護基準の見直しについてお尋ねがありました。

 生活保護基準については、最低限度の生活を保障する観点から、低所得世帯の消費水準と均衡がとれる適正な水準となるよう、現在、専門的かつ客観的な検証を行っているところです。

 その中で、子供がいる家庭については、貧困の連鎖を防ぐ観点から、子供の健全育成に必要な費用の範囲や水準について検討を行ってまいります。

 社会保障についてお尋ねがありました。

 社会保障に関しては、少子高齢化が進行する中で、社会保障費の伸びが引き続き見込まれます。そうした中で、持続可能な社会保障制度を構築するために、医療や介護などの給付と負担のあり方について不断の見直しを行いつつ、社会保障・税一体改革やニッポン一億総活躍プランに掲げた充実を図ってきたところです。

 さらに、今般、現役世代が直面する子育て、介護という二つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換していく方針であり、全世代に対する社会保障切り捨てとの御指摘は、これも当たりません。

 消費税率引き上げの中止等についてお尋ねがありました。

 消費税率の一〇%への引き上げに当たっては、その使い道を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当することとしており、引き上げを中止することはありません。こうした使い道の見直しによって、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へと大きく改革してまいります。

 安倍政権において取り組んできた成長志向の法人税改革は、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により財源をしっかり確保しつつ行ってきたものであります。また、税制の再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引き上げ等を講じてきたところです。

 今後の税制のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。

 普天間飛行場の辺野古移設についてのお尋ねがありました。

 沖縄県におけるさきの総選挙の結果については真摯に受けとめています。

 大切なことは、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということであります。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。

 普天間の辺野古への移設は、沖縄県と合意した和解の内容と最高裁判所の判決に従って進めているものです。このような負担軽減のための取り組みが、沖縄には民主主義を適用しないという宣言に等しいとの御指摘は当たらないものと考えています。

 引き続き、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。

 米軍機の事故への対応と日米地位協定についてのお尋ねがありました。

 米軍のCH53Eヘリの事故に際しては、防衛省、沖縄県警察及び沖縄県の関係者等も現場に立ち入り、状況を確認するとともに、放射能調査を実施し、一般的な環境と比べて差異はないことを確認しています。また、昨年のオスプレイ不時着水事故については、海上保安庁において所要の捜査を行っています。いずれにしても、御指摘は当たりません。

 米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提です。政府としては、引き続き、米側に対し、安全面に最大限配慮するとともに、地元住民への影響を最小限にとどめるよう強く求めてまいります。

 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて最も適切な取り組みを通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきています。安倍政権のもとでは、二つの補足協定の作成が、日米地位協定締結から半世紀を経て初めて実現しました。

 今後とも、そのような取り組みを積み上げることにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していく考えであります。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 憲法改正の内容については、私は、今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している改正案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、自衛隊の存在が憲法に明記されることによって自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないものと考えており、これは一項、二項を残すという私の提案を前提に申し上げておるところでございますが、御指摘は全く当たらないことを申し上げておきたいと思います。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 馬場伸幸君。

    〔馬場伸幸君登壇〕

馬場伸幸君 日本維新の会の馬場伸幸です。(拍手)

 明年、平成三十年は、明治維新から数えてちょうど百五十年目の年に当たります。

 人生百年時代を迎えた今の日本で、たった百五十年前、それまで数百年と続いてきた前例、慣例の象徴であるちょんまげを切り、腰から刀を抜き、我々の先人たちが日本を近代国家に生まれ変わらせるため、文字どおり命をかけた大改革が行われました。

 現在の日本について考えたとき、明治維新のときに設計された、人口が右肩上がりで増加し、経済が成長し、税収がどんどん上がっていくという前提で考えられた全ての行政制度は、その前提条件が崩れ、疲弊しています。

 それだけではなく、憲法、外交、安全保障、社会保障、教育、環境問題など、どの分野も現状の日本に適合している状態とは言えず、閉塞感が漂っています。

 国民は、現役時代は普通に働けば普通に暮らしていける、そして、現役を退けば、第二の人生は何の不安や心配もなく暮らしていける、そういう社会や制度を望んでいます。

 そのためには、坂本龍馬の言葉をかりれば、日本をいま一度洗濯いたし候を行う必要があります。明治維新の志士たちの思いに応えるべく、これからの百年先、百五十年先の日本を想像しながら、今こそ日本大改革を行うときであります。

 総理、もちろん、今の国民の暮らしを守り、現状の課題に立ち向かっていくことは重要でありますが、一強政権、安定政権だからこそできる大改革を総理主導のもとで行ってほしい、それが衆議院選挙で示された本当の民意であると考えます。

 我々日本維新の会も、その名のとおり、「維れ新たなり」という発想で建設的な議論をこれからも行っていくことを約束し、質問に入ります。

 さて、安倍総理は、さきの衆議院解散を国難突破解散と名づけました。北朝鮮による核とミサイルの開発は日本にとって確かに大変な脅威ですが、そうした国難を招いたのは一体誰の責任なのでしょうか。長年政権を担ってきた自民党の不作為の結果なのではないでしょうか。

 日本が直面する少子高齢化の大波も大変厳しいものがありますが、既に確定した人口動態を国難とあおってみても、今の事態に至るまで手をこまねいてきたのはまさに自民党政権であり、国難ではなく怠慢です。

 私たちは、北朝鮮の問題であれ、少子化の問題であれ、その課題に正面から向き合い、国民の生命と財産を守るため、仕事と生活を守るため、冷静かつ愚直に政策実現に取り組む以外にない、そう考えています。国難とあおってみても何も生まれない、むしろ、なすべきことはわかっているのですから、タブーを恐れず、覚悟を持って実行に移していくべきです。

 あえて国難という言葉に意味があるとすれば、安倍政権になって国民負担率が二・七%ふえた、これこそ国民にとっては災難ではないでしょうか。国民の収入のうち、税金の負担率と社会保障負担率を合計したいわゆる国民負担率は、第二次安倍政権になる直前の平成二十四年には三九・七%でしたが、平成二十九年には四二・五%にはね上がりました。

 安倍総理、こうした国民負担率の増大をどう認識されていますか。また、負担率を上げるその前にやるべきことがあるのではないでしょうか。

 アベノミクスは失敗した、国民が好景気を実感できないと言われていますが、知らぬ間に負担だけがふえれば、実感できないのも当たり前です。さらに、二年後には消費増税が予定されています。政治家だけが議員特権を拡大し、国民の負担は確実に増大する、これこそ国難ではないでしょうか。

 議員特権の象徴である議員年金について質問します。

 国会議員の議員年金は平成十一年に廃止され、地方議員年金は、積立金が枯渇して制度が破綻する見込みとなり、平成二十三年六月に廃止されました。しかし、驚いたことに、自民党を中心に、地方議員年金にかわる新たな公的年金制度を求める動きがあります。

 先日、自民党幹部は、元国会議員で生活保護を受けたりホームレスになったりする方もいると聞いているとし、議員年金の復活を示唆しました。

 一方、廃止された地方議員年金の既存支給者への給付は現在も続いており、完全廃止まで今後五十年間、自治体は負担を負い続けます。総務省の試算によれば、公費負担累積額が一兆千四百億円にも上ります。

 自治体はこれだけの負の遺産を背負わされています。その上に、地方議員の公的年金制度を復活させるというのは、とんでもない話です。

 日本維新の会は、地方議員の新たな公的年金制度には徹底的に反対します。また、国会議員年金の復活にも徹底的に反対をします。

 非常勤で兼業が許される地方議員の立場を考えた上で、新たな公的年金制度が必要なのかどうか。また、国民の中には、国民年金のみで生活をされている方々が少なからずいらっしゃいます。元国会議員が国民年金では生活できないということであれば、国民年金制度自体を根本的に見直すことが優先されるべきです。

 国会議員、地方議員年金を復活させることについて、総理の所見をお伺いいたします。

 次に、教育無償化の財源について質問します。

 安倍総理は、所信表明演説において、どんなに貧しい家庭に育っても、高校、高専にも、専修学校、大学に行くことができる、そういう日本にしていこうではありませんかと述べられました。

 私たち日本維新の会が言い続けてきた教育無償化に対する理解が広がっている、その結果であると自負し、評価もしています。

 しかし、画竜点睛を欠くとの言葉のとおり、最も大事な財源について、安倍総理は消費増税を活用すると明言されました。国の行財政改革は不徹底であり、増税よりも先になすべきことがあるのではないでしょうか。

 大阪府では、六年前の平成二十三年から、私立を含めた高校の実質無償化を実現しています。そして、その財源は、身を切る改革から始まり、職員が一丸となって行財政改革に取り組み、財源を捻出し、府民の新たな負担なしに実現をしました。大阪市、守口市、門真市でも、新たな負担なしに幼稚園や保育園の無償化を実現しています。

 総理、この大阪での、国民に新しい負担を負わせず教育の無償化を次々と実現していることをどう評価していますか。

 国においても、徹底的な行財政改革によって財源を捻出し、増税を行わずに教育無償化を実現できる、実現すべきと考えますが、総理の所見をお伺いいたします。

 次に、慰安婦像問題について質問します。

 サンフランシスコ市セント・メリーズ公園の私有地に民間団体が設置した慰安婦像と碑文がありますが、展示スペースごとサンフランシスコに寄贈され、十一月十四日に同市議会が寄贈の受け入れを議決しました。

 姉妹都市である大阪市の吉村洋文市長は、ハガティ駐日大使やリー・サンフランシスコ市長に、書簡を通じて、寄贈を受け入れれば慰安婦像と碑文の内容を同市の意思とみなさざるを得なくなると、姉妹都市関係の解消も視野に、慰安婦像の受け入れ撤回を強く求めてきました。

 碑文には、日本軍に性奴隷にされた数十万人の女性や少女の苦しみの証拠といった、史実ではない極めて不適切な表現が含まれています。

 この問題は、本来、日本政府が解決すべき外交問題です。リー市長が拒否権を行使しなければ、今月二十四日には慰安婦像と碑文が公共物になってしまいます。実にゆゆしき事態であります。

 菅官房長官は、この問題に関し、十一月六日の記者会見で、極めて残念と述べ、関係者を通じた取り組みを行うと述べました。

 自民党の二階幹事長も十七日の記者会見で、日本が喜ぶか、どういう反応が国民の間に広がるかを考えてみれば答えはおのずから明らかだ、米国がそういうことをして恥じないようなことであってはいけないと不快感を示し、これからは慰安婦問題について渡米時には必ず意見を申し述べてくる、日本から来た国会議員はみんな意見を持っていて、気をよくしているわけではないということを理解してもらうと述べました。

 サンフランシスコ市への慰安婦像の寄贈問題を安倍総理はどう捉まえていますか。

 大阪維新の会の大阪市会議員団は、十一月十七日、河野太郎外務大臣に、サンフランシスコにおける慰安婦像設置及び慰安婦の日制定について、その撤回等を求める要望書を提出しました。そして、慰安婦にまつわる諸問題は、朝日新聞を初めとする報道機関や一部のジャーナリストによる捏造であった事実をサンフランシスコにはっきり伝え、そのことの普及啓発に努めるよう要望しました。

 しかし、時既に遅しです。

 大阪市会は、ことしの五月と九月にも、慰安婦像設置を撤回するようサンフランシスコ市議会に求める決議を行おうとしましたが、市議会自民党が反対し、二回とも否決されました。維新の大阪市会議員団が河野外務大臣に要望せざるを得なかったのは、大阪市会で否決されたためです。

 大阪市におけるこうした自民党の行動は国益に反するものと断じざるを得ませんが、安倍総理は自民党総裁としてどう受けとめられますか。お答え願います。

 次に、ギャンブル依存症について質問します。

 ギャンブル依存症は、ギャンブルにのめり込むことによる多重債務、貧困、虐待といった重大な社会問題を引き起こしています。しかし、対策は後手に回っていて、問題の解決の道筋が決まっていないのが現状です。

 対策には、発症、進行、再発の各段階に応じたものが必要です。また、アルコールや薬物などの依存症と合併しているケースもあり、一筋縄では解決しない複雑な事情を持つ患者さんの例も多くあります。

 この複雑化した問題の解決のために、ギャンブル依存症の関係者会議をつくって、有益な意見と実績を持つNPOにも参加をお願いすることを考えています。

 苦しんでいるのは、依存症患者本人だけではありません。本人を支える家族も苦しんでいます。速やかな救済が必要であると考えます。

 NPOの参加を含めた関係者会議を可及的速やかに設置すべきと考えますが、総理はどうお考えですか。お答え願います。

 二〇二五年国際博覧会に関して伺います。

 大阪・関西は、大阪湾岸の夢洲に万博を誘致すべく立候補しました。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、東京オリンピック・パラリンピックの次に来る世界的な大イベントです。

 日本経済が東京一極集中に進む中、東京以外の経済成長の拠点をつくるためにも重要なイベントです。

 また、人工知能、ロボットなどの技術革新が進む中で、夢のある革新技術を社会や一般家庭に取り入れる絶好の機会であると考えます。

 大阪・関西の万国博覧会の誘致は、オール・ジャパン体制で臨まなければなりません。ライバルは、ロシア、フランス、アゼルバイジャンと、いずれも強敵です。誘致をかち取るため、総理の決意を改めて伺います。

 日本維新の会は和して同ぜず。冒頭にも申し上げたように、国民の皆様にとって納得のできる政治を実現するために、政府・与党に対しても、他の野党に対しても、是々非々という建設的な姿勢で臨んでいく、それをお約束して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 馬場伸幸議員にお答えをいたします。

 国民負担率についてお尋ねがありました。

 少子高齢化が進み、社会保障費が増大する中、消費税率の五%から八%への引き上げを含め、社会保障と税の一体改革を進めてまいりました。こうしたことなどにより、国民負担率は上昇しています。

 消費税率一〇%への引き上げも、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当するものです。

 いずれにせよ、大切なことは、国民の負担を適正で負担可能な範囲にとどめることであり、今後とも、国民の活力を損なわないことに留意しつつ、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など、歳出削減に取り組んでまいります。

 国会議員及び地方議員の議員年金についてお尋ねがありました。

 地方議員の厚生年金への加入については、国民の幅広い政治参加や、地方議会における人材確保の観点から必要との考え方もありますが、他方、保険料の公費負担などの課題もあります。

 この問題は、地方議員の身分の根幹にかかわることであり、国民の皆様の声や議員の声もよく聞きながら、各党各会派において検討がなされる必要があると考えています。

 国会議員の議員年金についても、国会議員の身分の根幹にかかわることから、国会において各党各会派の間で議論していただく必要があり、政府の立場から答弁は差し控えさせていただきます。

 教育無償化の財源についてお尋ねがありました。

 今御紹介がございました大阪の取り組みについては、大阪の実情を踏まえた意欲的な取り組みであると評価したいと思います。

 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもと、これまで、アベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋をつけてきました。国、地方を合わせた税収は約二十二兆円増加し、新規国債発行額も約十兆円減っています。

 また、例えば社会保障関係費の伸びを三年連続で実質五千億円以下に抑制するなど、歳出削減努力を続けてきたところであり、今後とも、徹底的な重点化、効率化など、歳出削減努力に取り組んでまいります。

 行政改革についても、これまでも行政事業レビューなどの取り組みを不断に進めてきたところであり、引き続き行政改革に取り組んでいきます。

 他方、急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行しなければなりません。

 大きな改革には大きな財源が必要になります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなるおそれがあります。このため、今回、消費税の使い道を見直すこととし、幼児教育無償化や、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化などへの投資を拡充します。

 慰安婦像のサンフランシスコ市への寄贈問題についてお尋ねがありました。

 大阪市議会自民党の活動については詳細は承知していませんが、慰安婦像のサンフランシスコ市への寄贈は、我が国政府の立場と相入れない極めて遺憾なことであると考えています。

 政府としては、サンフランシスコ市長に対して、二十四日までに拒否権を行使するよう申し入れを行いました。

 ギャンブルによる依存症への対策についてのお尋ねがありました。

 政府では、ギャンブル依存症対策について、本年八月に強化策を取りまとめました。

 今後、さまざまな知見、御意見も伺いながら、全国における相談、治療体制の整備、適切に対応できる医師等の人材育成、患者やその家族を助ける民間団体への支援等の対策を徹底的かつ包括的に推進してまいります。

 二〇二五年国際博覧会の大阪・関西誘致への決意についてお尋ねがありました。

 国際博覧会の国家への誘致は、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会となります。開催地のみならず、我が国各地を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する起爆剤になると考えます。

 先週開催されたBIE総会における日本のプレゼンテーションでは、私みずからビデオメッセージを流すなど、オール・ジャパンの体制で取り組んでいることを強く発信し、各地から高い関心が示されたと聞いております。

 これまでも、私自身が各国の首脳に対し、直接、大阪・関西での万博開催への支持を要請してまいりました。

 今後も、内閣を挙げて誘致に取り組むとともに、経済界や地元自治体から成る二〇二五日本万国博覧会誘致委員会と一体的に連携し、オール・ジャパンの体制のもと、何としても誘致を成功させるという決意で、全力で取り組んでまいります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

    〔副議長退席、議長着席〕

     ――――◇―――――

 議員請暇の件

議長(大島理森君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。

 河井克行君から、十一月二十三日から三十日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 議員木村太郎君は、去る七月二十五日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 木村太郎君に対する弔詞は、議長において去る九月十二日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され さきに安全保障委員長の要職にあたられた地方創生に関する特別委員長議員従三位旭日大綬章 木村太郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

    ―――――――――――――

 故議員木村太郎君に対する追悼演説

議長(大島理森君) この際、弔意を表するため、岩屋毅君から発言を求められております。これを許します。岩屋毅君。

    〔岩屋毅君登壇〕

岩屋毅君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員木村太郎先生は、去る七月二十五日、逝去されました。

 よわいいまだ五十二。政治家として円熟期を迎え、これからこその活躍が期待されていた中での急逝は今もって信じがたく、ましてや、奥様を初め御遺族の御心痛はいかばかりか、お察しするに余りあり、お慰めの言葉もございません。

 私は、ここに、皆様の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べさせていただきます。

 七月二十五日の早朝、真紀子夫人から私の携帯に電話が入りました。何かせっぱ詰まった御様子で、今からすぐに来てほしいところがありますとのことでした。先生が闘病中であられたことに感づいてはおりましたが、詳しい病状については知らされていなかっただけに、突然の御連絡に、よもやと思い、着のみ着のまま都内の病院へと急行いたしました。

 病室の前まで参りますと、中からは、お父さん、お父さんとすすり泣くお嬢様方の声が聞こえてまいりました。まさかと思って部屋に駆け込むと、時既に遅く、ベッドに横たわる君は既に幽明境を異にされていたのであります。私はとっさにベッドに駆け寄り、太郎ちゃん、太郎ちゃん、何をしよんのか、起きぬか、起きてくれ、何度も体を揺さぶり声をかけ続けましたが、君はついに目をあけてはくれませんでした。

 毎朝のウオーキングを欠かさず、毎年精密な健康診断を受けるほどに健康に留意していた君が、まさかこんなにも早く逝ってしまうとは。さぞかし無念だったでありましょう。さぞかし悔しかったでしょう。志半ばで逝かれたあなたの心境を思うとき、到底言葉が見つかりません。

 しかし、きょうは、貴君の最後の舞台です。勇気を振り絞って、あなたの人となりをしのんでまいりたいと思います。

 木村太郎先生は、昭和四十年七月二十日、リンゴの名品種「ふじ」発祥の地、青森県南津軽郡藤崎町において木村家の御長男としてお生まれになりました。御尊父守男様は、本院議員を四期務められた後に青森県知事を三期務められ、また祖父文男様も本院議員を務められるなど、木村家は三代にわたって国家並びに郷土のために貢献してこられた御一家であります。

 そのような環境の中に生をうけられた先生でしたが、幼少のころは、御尊父の晴れやかな当選の場面よりも、再起のために苦心されるお姿の方が深く心に残り、選挙のたびに田畑が切り売りされるのを見て、政治家だけにはなりたくないと思っていたそうです。御母堂せつゑ様も、別の道を歩まれることを望んでおられたと聞いています。

 しかし、先生の中に脈々と流れる政治家の血がそれを許しませんでした。

 先生が小学校のころ、青森県は日本一出稼ぎの多い県でした。同級生の中にも、父親が農閑期に都心部へ出稼ぎに行くという御家庭が多く、クラス全員でお父さんたちを励ます文集をつくられたと聞いています。

 先生は、このような状況を目の当たりにして、子供心に、青森をもっと豊かにしたい、そういう沸々たる思いを抱くようになっていかれました。

 そして、高校三年生のときに、将来の進路について思いをめぐらし、ふるさとと日本の発展のために、そして恵まれない人たちのために、人生をかけて政治の道で役立っていきたいとの青雲の志を立てられたのであります。

 その後、東洋大学に進学された先生は、政治への志を果たすための修行の第一歩として故田中角栄元総理邸に書生として住み込み、学業に励む傍ら、生の政治の勉強を開始されました。

 政界の大実力者であられた元総理の息遣いを身近に感じ、その活動を支えられたことは、その後の先生の政治人生の土台を築いていくためのまたとない学びの機会となったものと思います。

 昭和六十三年に大学を卒業された先生は、故三塚博元外務大臣の秘書としてさらに修行を重ねられ、来るべき将来に備えました。そして、平成三年四月の統一地方選に勇躍、立候補。生まれた津軽で全力投球をスローガンに、弱冠二十五歳の若さで青森県議会議員に初当選を飾られ、政治家としての第一歩をスタートされたのであります。

 そして、平成八年十月、いつかは国政にと志しておられた先生にチャンスが到来しました。政治改革の嵐が吹き荒れる中に行われた第四十一回衆議院総選挙であります。この選挙に先生は青森県第四区から出馬され、多くの選挙民の期待を一身に集められて、見事に初当選。弱冠三十一歳の若さで念願の国政にデビューを果たされました。

 以後、先生は、選挙区の皆様の絶大な信頼と支持に支えられ、当選すること連続七回。この間、国会においては、農林水産委員会、安全保障委員会、武力攻撃事態対処特別委員会の理事、決算行政監視委員会の筆頭理事、さらには安全保障委員長、そして直近には地方創生特別委員長として、幅広い政策分野において重要な役割を果たしてこられました。

 また、政府においては、農林水産大臣政務官を務められたほか、防衛庁長官政務官を経て、防衛庁副長官として、日本の安全保障、防衛の第一線で獅子奮迅の活躍をされました。

 陸海空の三自衛隊を抱える青森県がお地元の先生は、自衛隊の活動には住民の理解が欠かせないということを骨身にしみて感じておられ、常に地元自治体や住民の方々のことを第一にお考えになり、誠心誠意を尽くされました。

 弾道ミサイル追尾のためのXバンドレーダーが青森県車力に配備される際にも、真っ先に現地に入り、調整に汗をかかれました。

 昨今の緊迫する国際情勢に鑑みれば、このことは、国民の安心、安全に心を砕かれた木村太郎先生の面目躍如たる御功績であると存じます。

 一方、党においては、副幹事長、国際局次長、青年局次長などを経て、筆頭副幹事長、広報本部長、さらには青森県連会長として党勢の拡大に多大な足跡を残してこられました。

 中でも特筆すべきは、自民党が野党時代、先生が中心になって開始されたふるさと対話集会であります。マイクの要らない集会、あなたの生の声を国政へを合い言葉に開始されたこの集会は、党所属国会議員が自分の選挙区以外の地域の隅々にまで足を運び、住民の皆さんと車座になって地域や国政の課題を語り合うという、それまでにはなかった取り組みでした。

 先生は、比類なき情熱と行動力を持ってこのプロジェクトを力強く推進され、御自身も七十カ所の集会に出席されて、中央と地方との橋渡しの役割を果たされました。

 私も、先生のお地元のふるさと対話集会にお邪魔したことがございます。山村の小さな公民館で、座布団を円陣に敷き詰めただけのわずか十数人の集会でした。その集会の終了後、この小さな対話の積み重ねこそが党の信頼回復、ひいては政治の信頼回復につながっていくと思うんだと言われた先生の言葉が今も脳裏に焼きついています。

 このふるさと対話集会は現在も継続されており、九百回近くに及んでおります。これは、決しておごることなく、偉ぶることなく、常に国民に寄り添う気持ちを忘れない木村太郎先生だからこそなし得た偉業であり、政治の場にある私どもが常に心しておかねばならない政治の原点がまさしくそこにあると思います。(拍手)

 そして、平成二十四年十二月に第二次安倍内閣が発足すると、先生はふるさと担当の内閣総理大臣補佐官に就任され、約三年間、地道に、そして懸命に安倍総理を支えられました。先生は、ふるさと対話で培った御経験をもとに、地域活性化に取り組む全国の自治体をみずからの足で訪ね、住民の方々と精力的に意見交換をされました。先生にとってのふるさとは、もはや生まれ故郷の青森県にとどまらず、先生が訪れ、心を寄せられた全国各地へと大きく広がっていったのであります。

 先生は、こよなくふるさとを愛した人でした。

 ねぶた祭りを一度見においでよ、もう十年近く前から言われ続けていましたが、ようやく二年前にそれが実現しました。弘前ねぷた祭りでは、祭り装束に身を包んだ先生の雄姿を見ることができ、ヤーヤドーという力強いかけ声を耳にすることができました。そして、青森ねぶた祭りにおいては、先生が用意してくれた席で、ラッセラー、ラッセラーのかけ声とともに繰り出されてくる勇壮なねぶたの数々に圧倒されました。

 津軽富士とも称される美しい岩木山、津軽海峡を望む峻厳たる竜飛岬、吸い込まれるような緑をたたえる世界遺産白神山地、森とせせらぎが幽玄な世界を醸し出す奥入瀬渓流、湖と言うには余りに雄大な十和田湖、縄文時代の人々の息遣いが聞こえてきそうな三内丸山遺跡、そして津軽の人々の熱情と哀愁を織りまぜて響く津軽三味線。先生は、青森県の魅力の数々を二日半の行程の中にぎっしりと詰め込み、私たちを魅了してくれました。

 この美しい大地があり、この豊穣たる文化があればこそ、こよなく人々を愛し、そして人々から愛される人間味あふれる政治家木村太郎が生まれ育ったのだということを深く感じ取ることのできた、生涯忘れることのできない経験となりました。

 国を思うこと切なる情熱、限りない愛郷心、そして、常に弱者の立場を思いやる温かい人情を持ち合わせていた木村太郎先生。御存命であれば、今ごろあなたは国政の中心にあって、我が国を導くリーダーのお一人として颯爽と活躍され、国民の厚い信望を集めていたに違いありません。

 しかし、そのやさきに、先生は忽然と逝ってしまわれました。先生を失ったことは、御郷里青森県にとっても、そして我が日本国にとっても、まことに大きな損失であり、惜しみても余りあるものがあります。返す返すも残念、そして無念でなりません。今はただただ、この世の無情の前に悄然と立ち尽くすのみであります。

 しかし、それにとどまっていたのでは、きっと先生からお叱りを受けるに違いありません。残された私どもの使命は、先生の志を引き継がれた木村次郎代議士とともに、先生の思いをしかと受け継ぎ、日本国の繁栄と地方の発展のために、先生の分まで汗をかき、最善を尽くしていくことだと存じます。

 木村太郎先生、あなたが残された数々の御功績は、国政壇上に、そして御郷里青森県の大地にしっかりと刻まれています。これからは、あなたが愛してやまなかった青森の土に返られ、ふるさとの発展と日本国の発展を見守ってください。

 そして、二十七年間に及んだあなたの政治活動を終始、内助の功をもって支えてこられた最愛の奥様、真紀子さんと四人のお子様たち、そして御両親の行く末をお見守りください。

 ここに、木村太郎先生の長年にわたる国家並びに御郷里に対する多大な御功績をたたえるとともに、その人となりをしのび、みたまの安らかならんことを心から願って、追悼の言葉といたします。

 木村太郎先生、どうぞ安らかにお眠りください。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 議員長島忠美君は、去る八月十八日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 長島忠美君に対する弔詞は、去る十月三十日贈呈いたしました。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力された 議員正四位旭日重光章 長島忠美君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

    ―――――――――――――

 故議員長島忠美君に対する追悼演説

議長(大島理森君) この際、弔意を表するため、谷公一君から発言を求められております。これを許します。谷公一君。

    〔谷公一君登壇〕

谷公一君 ただいま議長から御報告がありましたとおり、本院議員長島忠美君は、去る八月十八日、新潟県長岡市内の病院で御逝去されました。

 十五日未明に緊急入院されてから三日、余りにも突然で思いも寄らぬ訃報に、言いようのないショックと、なぜ、どうして、本当にという思いが錯綜し、にわかには信じることができませんでした。

 入院のお見舞いに伺う手はずをしていた中での突如の訃報でした。翌日の夜、山古志の御自宅に伺いました。長島さんは静かに横たわっていました。早いよ、長島さん、これからじゃないか、まだまだ一緒にやりたかったよ、本当に無念だったよねと語りかけました。

 奥様の久子様は、皆さんに助けられ、皆さんのおかげで活動することができました、ありがとうございましたと、悲しみをこらえ、気丈に弔問の私たちに気遣い、感謝の言葉を述べられました。

 まだ六十六歳、寂しさがしんしんと込み上げてまいります。残念で、無念で、痛恨のきわみです。

 ここに私は、皆様の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと思います。

 長島先生は、昭和二十六年一月九日、新潟県古志郡山古志村にお生まれになりました。日本書紀にも記述があり、悠久の歴史を有する山古志村は、ニシキゴイの発祥地であり、また、千年の伝統があるとも言われる牛の角突きといった地域文化を大切に守り続けてきた土地柄であります。

 先生は、先祖代々守り継いできた美しい景観を見せる棚田の周りを駆け回り、情豊かで、きずなの強い、温かな人々に囲まれた少年時代を送られました。

 県立長岡高校に進み、さらに、後に理事長になる東洋大学に進まれ、昭和四十八年に同大学を卒業。東京都内に就職後、二十八歳にて、家業の農業、畜産業を継ぐため、生まれ故郷の山古志村に帰郷されました。

 長島家は十四代続いた旧家の兼業農家で、先生は、平日は長岡の建設会社に勤め、週末には田んぼや畑で汗を流すという生活を過ごされました。農作業は手間暇がかかり大変だが、お金では買えない豊かさがあり、大地の恵みを感じられると、目を細めてよく話をしていたことを思い出します。

 山古志の方々は、先生の村を思う熱い気持ち、高い見識を見過ごしません。力量を買われ、村の教育委員、さらには村議会議員にと推され、平成十二年には、地域の衆望を担い、四十八歳で村長に就任したのであります。

 村長になられ数々の意欲的な取り組みをなされていた平成十六年十月二十三日、運命の新潟県中越地震が起きます。瞬間的な揺れの強さは、私が経験した平成七年の阪神・淡路大震災をはるかにしのぎ、震源地に近い山古志村は、村に続く道路や橋が根こそぎ壊れ、村内の斜面に点在している全十四集落が完全に孤立し、壊滅的な状態となりました。ほとんどの住民が取り残され、防災無線も携帯電話も通じない中、先生は、村長として被害状況の把握と緊急の対応に忙殺されたのであります。

 余震が続き、予報ではまとまった降雨が見込まれる中、長島村長はついに全村避難という苦渋の決断をされ、被災の翌日には自衛隊に救出輸送を依頼し、何と二十六時間ほどの驚異的な短時間で二千二百人にも及ぶ村民全員を安全に、無事に、見事に避難させたのであります。(拍手)

 そうした緊急事態の中で、村を陣頭指揮するさなかにあっても、きめ細かな配慮、復興への道筋を忘れてはいませんでした。

 高齢者が避難先でも同じ医療を受けられるよう、診療所のカルテも一緒に移送するなど周到な配慮も怠らず、さらに、人の命が第一義だが、先祖から受け継いだ伝統、文化を守ることも大切だ、これがなくては、住民が地域コミュニティーそのものを失い、意欲をなくし、生活再建もできないと、千年続く牛の角突きの闘牛をヘリコプターで運んだのであります。

 非常時のリーダーの姿を、阪神・淡路大震災以降、私は数多く見てまいりましたが、当時の長島村長の果敢な決断のすごさ、危機対応の的確さ、そして、限りない愛に裏打ちされた気配り、心配りのすばらしさに感嘆せざるを得ないのであります。

 後に、先生は当時を振り返り、大きな三つの決断をしたと述べられています。第一に、全村避難、第二に、みんなで帰ろう山古志へというメッセージの発信、第三に、二年で帰ろうと帰村の時期を宣言したことです。

 「疾風に勁草を知る」と中国の古書にありますが、艱難に耐え、長島村長は、前例のない全村避難を実行し、村民が避難先で希望を失わないための明確な目標を掲げ、村民を鼓舞し続け、嵐の中でも大地にしっかりと根づく強い草のような底知れぬ強さを発揮したのであります。

 奥様は、避難先の災害対策本部に泊まり続ける先生の姿をテレビのニュースで見ながら、自分が結婚した人はこんなにも腹が据わった人なのか、こんなにも頼りがいがある人なのかと、大きく、たくましく思い、そして誇りに感じたとのことであります。

 全村避難して仮設住宅で暮らしていたころの話です。仮設住宅暮らしも時が過ぎ、恒久住宅に次々と住民が移り行くころ、一人のおばあさんが不安げに長島村長に尋ねたそうです。村長さん、私はいつまでおれますか、もう追い出されるのではと、とても心配で夜も眠れないんです。村長は答えた。おばあちゃん、大丈夫、追い出したりはしませんよ、皆さんの最後に私が仮設住宅を出ますから。

 そして、震災から三年二カ月後、約束どおり最後の一人となった先生が村に戻り、全村民が村に帰ることができたのであります。

 大災害時のリーダーの姿として、末永く語り継げられる感動的な話であります。(拍手)

 時あたかも平成十七年の夏、郵政問題で国会が解散されました。震災から九カ月余り、御礼やお願いのために霞が関や国会や自民党本部などに足しげく通ううち、村民を思っての復興に対するたぎるような情熱と、穏やかな中にもしんの強い人柄が自然と伝わり、政府を動かし、他の被災地域から、何ゆえ山古志ばかりと、うらやむほどの評判が立っていました。

 このとき、不屈のリーダー山古志にありと目をとめた時の小泉総理から、国政への出馬要請があったのであります。合併して長岡市の復興管理監になっていた先生が断っても断っても、手をかえ品をかえ、さまざまな形で要請はとどまりません。熟慮の末に、腹を据え、覚悟を決め、同年九月、第四十四回総選挙に立候補し、見事、初当選されたのであります。

 かくして、本院に議席を得た先生は、国土交通委員会、災害対策特別委員会などに籍を置き、ライフワークとなった復興、防災、中山間地域対策に取り組まれました。そして、国会運営の裏方としての仕事にも汗をかかれました。初当選から衆議院議員在職約十二年間、ひたすらぶれることなく、愚直に、山古志の闘牛のようにまっしぐらに突き進まれたのであります。

 平成二十三年、東日本大震災が発生しました。先生は、自民党対策本部チームの中心メンバーとして発災直後から被災地に入り、復旧復興を支える活動をされました。

 そんな先生が、政権交代を機に、平成二十四年十二月、農林水産大臣政務官兼復興大臣政務官に就任され、さらに平成二十六年九月から二年間、私の後任として復興副大臣に就任されました。

 この間、ほぼ毎週のように岩手、宮城、福島などの被災地に入り、御自身の目で現場の状況を確かめるという徹底的な現場主義を貫かれました。中越地震の経験から、被災地に対して、みずから考え、みずから復興のシナリオを描くことを求め、また、被災地の将来を見据えた助言をするなど、先生は、誰よりも被災者、被災地に寄り添い、一人一人の話をよく聞き、被災地の課題に一つ一つ丁寧に取り組んでおられました。中でも、大槌、南三陸、飯舘など小さな町村の復旧復興には殊のほか心を寄せておられました。

 長島先生は、時に過大過ぎる復興ビジョンに、気持ちはよくわかる、しかし、私の経験から、厳しい現実を踏まえた計画でないと将来に禍根を残すよとじゅんじゅんと、切々と説かれ、納得していただきました。修羅場をくぐり抜けた政治家ならではの迫力と説得力でした。その先生の根底には、被災地や被災者への限りない愛情があったのであります。

 大きな体でした。分厚い手でした。静かな語り口でした。酒を飲むとすぐ顔が赤くなりました。素朴で、律儀で、土のにおいのする議員でした。地元に誇りを持つこと、地域コミュニティーの大切さを何度も熱く語る方でした。

 震災による瓦れきを、瓦れきは役所のように単に震災廃棄物と考えちゃいけない、写真、手紙、服、建物など、被災者一人一人の大事な思い出が詰まった宝物なのだと訴える心優しい方でした。

 農業の大切さを訴える方は世に多い。しかし、大地の恵みに感謝、国土を守る農業を大切にと選挙公約に記す国会議員をほかに私は知りません。大地と自然と人への感謝の心を忘れない政治家でした。

 母ちゃん、母ちゃんと呼びながら、奥様を大切にされ、御家族を何よりも愛した方でした。

 もはやこの議場に先生の姿を見ることはできません。先生の携帯に電話をしても、あの穏やかな声をもう聞くことはできません。

 長島先生と一緒に仕事できたことは幸せでした。熱い感謝の気持ちでいっぱいです。ともに汗をかかせていただいたことは私の政治家人生の何よりの誇りです。本当の優しさとは何か、被災地に寄り添うとはどういうことか、大切な中山間地域を守り育てるとはどういうことか、長島先生から数多くのことを学ばされました。

 それでも私は言いたい。早いよ、早過ぎるよ、あなたが仮設住宅を最後に退去したのと逆ではないですか、一人先に逝ってはだめだよと。

 力強い同志の一人がいなくなった寂しさは、冬の越後の寒さのように身にしみます。親を亡くしたのと同じ喪失感を私は感じます。

  蛍舞う山へ緩(ゆる)りと牡牛(こってうし)

 長島先生を失ったことは、ひとり本院のみならず、被災地、被災地支援に心を寄せる人々、全国のボランティアの人々、中山間地域を支えるために汗をかいている人々にとって、また、我が国にとりましてもまことに大きな痛手であります。

 復興と防災と中山間地域に一身をささげてこられた長島先生には遠く及びませんが、少しでも先生の志を、思いを、心配りをつないでいけるよう、後を継がれた泉田先生ともども、残された我々は全力を挙げて取り組んでまいることをお誓い申し上げるものであります。

 私は、ここに、長島忠美君の御逝去を悼み、謹んで御冥福をお祈りいたしますとともに、長島先生を今日まで支えてこられました奥様を初め、御家族の皆様の胸中に深く思いをいたし、追悼の言葉といたします。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     野田 聖子君

       法務大臣     上川 陽子君

       外務大臣     河野 太郎君

       文部科学大臣   林  芳正君

       厚生労働大臣   加藤 勝信君

       農林水産大臣   齋藤  健君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       環境大臣     中川 雅治君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     江崎 鐵磨君

       国務大臣     小此木八郎君

       国務大臣     梶山 弘志君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     鈴木 俊一君

       国務大臣     松山 政司君

       国務大臣     茂木 敏充君

       国務大臣     吉野 正芳君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  西村 康稔君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  横畠 裕介君


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