衆議院

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第1号 平成30年1月22日(月曜日)

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平成三十年一月二十二日(月曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第一号

  平成三十年一月二十二日

    正午開議

 第一 議席の指定

    …………………………………

  一 国務大臣の演説

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 議席の指定

 災害対策を樹立するため委員四十人よりなる災害対策特別委員会、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する調査を行うため委員四十人よりなる政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会、沖縄及び北方問題に関する対策樹立のため委員二十五人よりなる沖縄及び北方問題に関する特別委員会、北朝鮮による拉致等に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため委員二十五人よりなる北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会、消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策を樹立するため委員三十五人よりなる消費者問題に関する特別委員会、科学技術、イノベーション推進の総合的な対策を樹立するため委員三十五人よりなる科学技術・イノベーション推進特別委員会、東日本大震災からの復興に当たり、その総合的対策を樹立するため委員四十五人よりなる東日本大震災復興特別委員会及び原子力に関する諸問題を調査するため委員四十人よりなる原子力問題調査特別委員会を設置するの件(議長発議)

 地方創生に関する総合的な対策を樹立するため委員四十人よりなる地方創生に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)

 安倍内閣総理大臣の施政方針に関する演説

 河野外務大臣の外交に関する演説

 麻生財務大臣の財政に関する演説

 茂木国務大臣の経済に関する演説


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    午後零時二分開議

議長(大島理森君) 諸君、第百九十六回国会は本日召集されました。

 これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 議席の指定

議長(大島理森君) 日程第一、議席の指定を行います。

 衆議院規則第十四条によりまして、諸君の議席は、議長において、ただいまの仮議席のとおりに指定いたします。

     ――――◇―――――

 特別委員会設置の件

議長(大島理森君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。

 災害対策を樹立するため委員四十人よりなる災害対策特別委員会

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する調査を行うため委員四十人よりなる政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会

 沖縄及び北方問題に関する対策樹立のため委員二十五人よりなる沖縄及び北方問題に関する特別委員会

 北朝鮮による拉致等に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため委員二十五人よりなる北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策を樹立するため委員三十五人よりなる消費者問題に関する特別委員会

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策を樹立するため委員三十五人よりなる科学技術・イノベーション推進特別委員会

 東日本大震災からの復興に当たり、その総合的対策を樹立するため委員四十五人よりなる東日本大震災復興特別委員会

及び

 原子力に関する諸問題を調査するため委員四十人よりなる原子力問題調査特別委員会

を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 次に、地方創生に関する総合的な対策を樹立するため委員四十人よりなる地方創生に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、そのとおり決まりました。

 ただいま議決されました九特別委員会の委員は追って指名いたします。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二分開議

議長(大島理森君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説

議長(大島理森君) 内閣総理大臣から施政方針に関する演説、外務大臣から外交に関する演説、財務大臣から財政に関する演説、茂木国務大臣から経済に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 百五十年前、明治という時代が始まったその瞬間を、山川健次郎は、政府軍と戦う白虎隊の一員として迎えました。

 しかし、明治政府は、国の未来のために、彼の能力を活かし、活躍のチャンスを開きました。

 「国の力は、人に在り。」

 東京帝国大学の総長に登用された山川は、学生寮をつくるなど、貧しい家庭の若者たちに学問の道を開くことに力を入れました。女性の教育も重視し、日本人初の女性博士の誕生を後押ししました。

 身分、生まれ、貧富の差にかかわらず、チャンスが与えられる。明治という新しい時代が育てた数多の人材が、技術優位の欧米諸国が迫る国難とも呼ぶべき危機の中で、我が国が急速に近代化を遂げる原動力となりました。

 今また、日本は、少子高齢化という国難とも呼ぶべき危機に直面しています。

 この壁も、必ずや乗り越えることができる。明治の先人たちに倣って、もう一度、あらゆる日本人にチャンスを創ることで、少子高齢化もきっと克服できる。今こそ、新たな国創りの時です。

 女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、全ての日本人がその可能性を存分に開花できる新しい時代を、皆さん、共に切り拓いていこうではありませんか。

 働き方改革を断行いたします。

 子育て、介護など、様々な事情を抱える皆さんが、意欲を持って働くことができる。誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと抜本的に改革します。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。

 長年議論だけが繰り返されてきた同一労働同一賃金。いよいよ実現の時が来ました。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、非正規という言葉をこの国から一掃してまいります。

 所得税の基礎控除を拡大する一方、サラリーマンなど特定のライフスタイルに限定した控除制度を見直すことで、働き方に左右されない税制へと改革します。

 我が国に染みついた長時間労働の慣行を打ち破ります。史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設けます。専門性の高い仕事では、時間によらず成果で評価する制度を選択できるようにします。

 「新たな働き方を開発すれば、大手に負けない戦い方ができる。」

 若いベンチャー経営者が私に語ってくれました。テレワークや週三日勤務を積極的に導入することで、家庭の事情で大企業を辞めた優秀な人材を集めることに成功しています。

 働き方改革は、社会政策にとどまるものではありません。成長戦略そのものであります。ワーク・ライフ・バランスを確保することで、誰もが生きがいを感じて、その能力を思う存分発揮すれば、少子高齢化も克服できるはずであります。

 新しい時代を切り拓く働き方改革を、皆さん、共に実現しようではありませんか。

 少子高齢化を克服するために、我が国の社会保障制度の改革を力強く進めていかなければなりません。

 来年十月に引き上げる予定の消費税財源を活用し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、大きく転換してまいります。同時に財政健全化も確実に実現します。この夏までに、プライマリーバランス黒字化の達成時期と、その裏付けとなる具体的な計画をお示しいたします。

 現役世代が抱える介護や子育ての不安を解消します。

 二〇二〇年代初頭までに、五十万人分の介護の受け皿を整備します。四月から介護報酬を引き上げ、ロボットなどを活用して、現場で働く皆さんの負担軽減、労働環境の改善に取り組みます。

 介護人材の確保に向けて、処遇改善を進めます。既に、自公政権で月額四万七千円の改善を行いましたが、来年秋からは、リーダー級の職員の皆さんを対象に、更に、八万円相当の給与増を行えるような処遇改善を実現することで、他産業との賃金格差をなくしてまいります。

 保育施設についても、この五年間で、政権交代前の二・五倍以上のペースで、当初の目標を上回る五十九万人分の受け皿を整備してまいりました。こうした中で、子育て世代の女性の就業率は、五ポイント上昇し、過去最高となりました。今や、二十五歳以上の全ての世代で、米国よりも高くなっています。

 女性活躍の旗を高く掲げ、引き続き、待機児童の解消に全力で取り組みます。補正予算の活用に加え、経済界の拠出金負担を引き上げ、子育て安心プランを前倒しします。待機児童対策の主体である市区町村への支援を都道府県が中心となって強化します。二〇二〇年度までに三十二万人分の受け皿整備を目指し、来年度十万人分以上を整備いたします。

 これまで、自公政権で、保育士の皆さんの処遇を月額三万円相当改善し、更に経験に応じて四万円の加算を行ってまいりました。これに加えて、今年度、月額三千円の処遇改善を実施します。来年も更に三千円引き上げ、他産業との賃金格差を埋めることで保育士の確保に全力で取り組みます。

 これまで段階的に進めてきた幼児教育の無償化を、二〇二〇年度を目指し、一気に進めます。お約束した、幼稚園、保育園、認定こども園に加え、無償化の対象について、現場や関係者の皆様の声を踏まえ、この夏までに結論を出してまいります。

 格差の固定化は、決してあってはならない。貧困の連鎖を断ち切らなければなりません。

 生活保護世帯の子どもたちへの支援を拡充します。公平性の観点から給付額を見直す一方、食事など生活習慣の改善、放課後の補習など、子どもたちへのきめ細かな支援を充実します。大学に進学する際には、住宅への扶助について、現行制度を改め、給付水準を維持するとともに、新生活に必要な費用を援助する新しい制度を創設します。

 本年より、児童扶養手当の所得制限を引き上げ、五十万を超える世帯で支給額を増やします。さらに、来年からは、支払回数を年三回から六回に増やすことにより、ひとり親家庭の生活の安定を図ってまいります。

 児童養護施設で育った若者が、先日、自分の夢を私に語ってくれました。

 「自動車の完全自動運転を実現させたい。」

 彼は、この春、学費免除と給付型の奨学金を得ることで、青山学院大学理工学部への進学が叶いました。

 「春からは、初めての土地で頼る者もいない不安はありますが、皆様に頂いたチャンスを活かし、自分の夢に向かって全力を尽くします。」

 子どもたちの誰もが、夢に向かって頑張ることができる。これが当たり前となる社会を創ることは、私たち大人の責任であります。

 どんなに貧しい家庭に育った子どもたちでも、高校、高専にも、専修学校、大学にも進学できるチャンスを確保します。二〇二〇年度までに、公立高校だけでなく、私立高校についても、現行の加算額を大きく引き上げることで、実質的な無償化を実現します。

 来年度から、新たに一万七千人の大学生の授業料を減免します。昨年からスタートした給付型奨学金についても、この春から、新たに二万人の子どもたちに支給します。

 その支給額を、再来年四月からは、学生生活を送るために必要な生活費が賄えるよう、大幅に増やすとともに、住民税非課税世帯の意欲ある全ての子どもたちに支給します。授業料の減免措置も思い切って拡充いたします。これに準じる経済的に厳しい家庭の子どもたちにも、しっかりと必要な支援を行います。これらの施策を通じて、真に必要な子どもたちの高等教育無償化を実現します。

 大学の在り方も、また、変わらなければなりません。社会のニーズにしっかりと応えられる人材を育成できるよう、学問追究のみならず人づくりにも意欲を燃やす大学に限って、無償化の対象といたします。

 これらの高等教育無償化に向けた詳細な制度設計について、夏までに結論を出してまいります。

 この春から、道徳が全ての小学校で正式な教科となります。公共の精神や豊かな人間性を培い、子どもたち一人ひとりの個性を大切にする教育再生を進めてまいります。

 フリースクールの子どもたちへの支援を引き続き行います。いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちが自信を持って学んでいけるよう、環境を整えていきます。

 若い頃、何らかの事情で学校に通えなかった皆さんには、夜間中学での学びの場を提供してまいります。

 若宮正子さんは、八十歳を過ぎてから、コンピューターを学び、ゲームを開発。世界中から注目を集めました。

 「人生百年時代、学齢期の教育だけでは不十分です。」

 若宮さんはこう述べました。いくつになっても、誰にでも、学び直しと新たなチャレンジの機会を確保する。雇用保険制度も活用し、リカレント教育の抜本的な拡充を図ります。

 人生百年時代を見据えて、教育の無償化、リカレント教育の充実など、経済社会の在り方を大胆に改革していく。あらゆる人にチャンスがあふれる一億総活躍社会に向けて、人づくり革命を、皆さん、共に進めていこうではありませんか。

 五年間のアベノミクスにより、日本経済は、足元で、二十八年ぶりとなる、七四半期連続プラス成長。四年連続の賃上げにより、民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。本年、就職を希望する大学生の九割近くが、既に内定をもらって新年を迎えることができました。過去最高の内定率です。正社員の有効求人倍率も一倍を超え、正社員への転換が加速しています。

 他方、中小・小規模事業者の皆さんは、深刻な人手不足に直面しています。キャリアアップ助成金を拡充して、人手確保を支援することと併せ、生産性向上に向けた攻めの投資を力強く支援します。

 三年間で百万者のIT導入を支援します。自治体の判断により、固定資産税をゼロにする新たな制度をスタートします。積極的に取り組む自治体では、ものづくり補助金や持続化補助金による支援を重点的に実施します。

 下請取引の適正化に向け、製造業や小売、流通などの分野で、業界毎の自主行動計画の策定を進めます。六万社を対象に改善状況の調査を行い、厳格な運用を確保することで、取引条件の改善に努めてまいります。

 経営者の高齢化が進む中で、事業承継税制を抜本的に拡充し、相続税を全額猶予といたします。併せて、中小・小規模事業者の特許料を半減し、オンリーワンの技術やノウハウを守り、次世代に引き継いでいきます。

 中小・小規模事業者の生産性向上を進めることで、賃金上昇、景気回復の波を全国津々浦々へと広げてまいります。

 明治時代、豊田佐吉は、織機を作る小さな会社を立ち上げました。

 「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」

 愛知に生まれた小規模事業者は、その後、織機の自動化への挑戦、自動車の開発、次々と最先端のイノベーションにチャレンジすることで、世界に冠たる大企業へと成長しました。

 IoT、ロボット、人工知能。今、世界中でソサエティー五・〇に向かって、新たなイノベーションが次々と生まれています。この生産性革命への流れを先取りすることなくして、日本経済の未来はありません。二〇二〇年を大きな目標に、あらゆる政策手段を総動員してまいります。

 三%以上の賃上げを行い、積極的に投資を行う企業には、法人税負担を二五%まで引き下げ、世界で十分に戦える環境を整えます。他方、収益が拡大しているにもかかわらず投資に消極的な企業には、研究開発減税など、優遇税制の適用を停止します。

 生産性革命に向けた新法を制定します。規制のサンドボックス制度を創設し、既存の規制にとらわれることなく、企業が革新的なサービスやビジネスモデルにチャレンジできる環境を整えます。革新的なイノベーションに挑戦する企業には、思い切って、法人税負担を二〇%まで軽減します。

 コーポレートガバナンス改革も行い、生産性革命に向けた果断な経営判断を後押ししてまいります。

 イノベーションの拠点となる大学の改革を進めます。経営と研究の分離によるガバナンス改革を支援します。民間資金を積極的に取り込む大学に支援を重点化し、政策資源を若手研究者へと大きくシフトします。統合的かつ具体的なイノベーション戦略を夏までに策定し、速やかに実行に移してまいります。

 行政も、また、生産性向上に向けて努力を進めていかなければなりません。

 社会保障などに係る申請手続を大胆に簡素化し、法人の設立登記は、オンラインで二十四時間以内に完了するようにします。あらゆる電子申請において添付書類ゼロを実現します。公文書管理の透明性を高めながら、行政事業レビューを徹底的に実施し、行政改革を不断に進めてまいります。

 PFI法を改正し、運営の自由度を更に高めることで、民間のノウハウや資金を活用した公共インフラの充実、サービスの向上につなげます。

 新たなイノベーションを生み出す規制・制度改革を大胆に進めます。ビッグデータ時代に対応し、行政が保有する様々なデータから新たな付加価値を生み出すため、公開、民間開放を原則とします。通信と放送が融合する中で、国民の共有財産である電波の有効利用に向けて、大胆な改革を進めてまいります。

 戦後以来の林業改革に挑戦します。豊富な森林資源を有する我が国の林業には、大きな成長の可能性があります。

 森林バンクを創設します。意欲と能力のある経営者に森林を集約し、大規模化を進めます。その他の森林も、市町村が管理を行うことで、国土を保全し、美しい山々を次世代に引き渡してまいります。

 我が国を取り巻く広大な海にも、豊かな恵みがあります。漁獲量による資源管理を導入し、漁業者による生産性向上への創意工夫を活かします。養殖業へ新規参入が容易となるよう、海面の利用制度の改革を行います。水産業改革に向けた工程表を策定し、速やかに実行に移してまいります。

 全ての食品事業者に、国際的なスタンダードに基づく衛生管理を義務付け、おいしい日本の農水産物の世界展開を力強く後押しします。

 攻めの農政によって、農林水産物の輸出は、五年連続で過去最高を更新するペースです。生産農業所得は直近で三兆八千億円となり、過去十八年で最も高い水準となっています。四十代以下の若手新規就農者は、統計開始以来、初めて三年連続で二万人を超えました。

 農林水産業全般にわたって改革を力強く進めることで、若者が夢や希望を持てる農業、林業、そして水産業を、農林水産新時代を、皆さん、共に築いていこうではありませんか。

 ナスの生産性で日本一を誇る高知県。ナス農家では、新たな農法を実現することで生産性を二割向上しました。

 これを可能としたのは、県と高知大学が長年取り組んできた、湿度やCO2などを厳密に管理する技術です。オランダと協力し、世界レベルの園芸農業研究を行う高知大学には、フィリピンやケニアなど世界中から学生が集まり、日本人学生の九割は県外からやってきます。

 地方への若者の流れを生み出す。先端科学、観光、農業など特定の分野で世界レベルの研究を行う、キラリと光る地方大学づくりを、新たな交付金により応援します。学びの場としても、そして働く場としても、若者が地方にこそチャンスがあると飛び込んでいける。こうした地方創生を進めてまいります。

 高知大学で食品ビジネスを学んだ安岡千春さんは、日高村で栽培されたトマトを使って、ソースやジャムの商品開発に挑みました。今や、全国から注文が集まり、年間一千万円以上を売り上げる人気商品。特産品のトマトが新しい付加価値を生み、日高村の新たな活力につながっています。

 地方の皆さんの創意工夫や熱意を、一千億円の地方創生交付金により、引き続き応援します。社会保障分野においても地方独自の取組を後押しするため、都市に偏りがちな地方消費税を、人口を重視した配分に見直すことで、財源をしっかりと確保します。

 草を引き、畔を守り、水を保つ。毎日、汗を流して田畑を耕す農家の皆さんの世代を超えた営みが、中山間地域、故郷の豊かな山々を守り、地域が誇る特産品を生み出し、そして、我が国の美しい田園風景を作り上げてきました。それぞれの地方にしかないモノ、それぞれの特色を活かすことで、全国津々浦々、地方創生を力強く進めてまいります。

 明治時代に建設された重要文化財の一つである旧奈良監獄は、三年後にホテルへと生まれ変わります。我が国には、十分活用されていない観光資源が数多く存在します。文化財保護法を改正し、日本が誇る全国各地の文化財の活用を促進します。自然に恵まれた国立公園についても、美しい環境を守りつつ、民間投資を呼び込み、観光資源として活かします。多くの人に接していただき、大切さを理解してもらうことで、しっかりと後世に引き渡してまいります。

 日本を訪れた外国人観光客は、五年連続で過去最高を更新し、二千八百六十九万人となりました。地方を訪れる観光客は、三大都市圏に比べて、足元で二倍近いペースで増えています。

 観光立国は地方創生の起爆剤です。

 沖縄への観光客は、昨年九月まででハワイを上回りました。四年前、年間僅か三隻だった宮古島を訪れるクルーズ船は、昨年は四十倍以上の百三十隻となりました。クルーズ船専用ターミナルの二〇二〇年供用開始に向けて、岸壁の整備を本格化いたします。アジアのハブを目指し、沖縄の振興に引き続き取り組んでまいります。

 IR推進法に基づき、日本型の複合観光施設を整備するための実施法案を提出します。これまでの国会における議論を踏まえ、依存症対策などの課題に対応しながら、世界中から観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 羽田、成田空港の容量を世界最高水準の百万回にまで拡大する。その大きな目標に向かって、飛行経路の見直しに向けた騒音対策を進め、地元の理解を得て、二〇二〇年までに八万回の発着枠拡大を実現します。

 観光促進税を活用し、瞬時に顔を認証して入管審査を通過できるゲートを整備するなど、観光先進国にふさわしい快適な旅行環境の整備を行います。

 二〇二〇年の訪日外国人四千万人目標の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

 二年後の東京オリンピック・パラリンピックを目指し、受動喫煙防止対策を徹底します。お年寄りや障害のある方が安心して旅行できるよう、あらゆる交通手段のバリアフリー化を進めます。成人年齢を十八歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぎます。

 危機管理に万全を期すとともに、サイバーセキュリティー対策、テロなど組織犯罪への対策など、世界一安全、安心な国創りを推し進めます。

 災害時に国が主要な道路の復旧を代行する制度を創設し、より早く人命救助や生活必需品の輸送を行えるようにします。防災インフラの整備が迅速に進められるよう、所有者が不明な土地を自治体が利用するための手続を整備します。

 昨年も、全国各地で自然災害が相次ぎました。防災、減災に取り組み、国土強靱化を進めるとともに、熊本地震や九州北部豪雨をはじめとする災害からの復旧復興を、引き続き力強く支援してまいります。

 東北三県では、来年の春までに、九九%の災害公営住宅の建設、高台移転の工事の九八%が完了する見込みです。

 「私たちの町が大好きです。」

 先般訪れた岩手の大槌高校では、高校生たちが、町の将来を真剣な眼差しで語り合っていました。震災の困難を自らの力で乗り越えようとする彼らの思いを胸に刻み、これからも復興に向けた街づくりを力強く後押しします。

 東北の復興なくして日本の再生なし。その決意の下に、引き続き、生業の復興、心の復興に全力で取り組んでまいります。

 福島では、帰還困難区域において復興再生拠点の整備が動き出しました。二〇二二年度を目指し、除染やインフラ整備を進めます。その上で、どんなに長い年月を要するとしても、全ての地域の避難指示解除に向けて、復興再生を着実に前に進めてまいります。

 福島イノベーション・コースト構想が、いよいよ本格化します。浪江町では、この夏、世界最大級の水素製造工場の建設を開始します。再生可能エネルギーから水素を生み出す、まさにCO2排出ゼロの新しいエネルギー供給のモデルです。オリンピック・パラリンピックでは、福島産のクリーンな水素を使って、復興五輪を世界に向けて発信してまいります。

 沖合では、世界初の浮体式洋上風力発電の本格稼働が始まりました。洋上風力発電の更なる導入に向けて、発電のために海域を占用することを可能とする新たな制度を整備します。

 原発事故で大きな被害を受けた福島において、未来のエネルギー社会の姿をいち早く示し、世界の脱炭素化を牽引してまいります。

 パリ協定における二〇五〇年の目標に向けた戦略策定に取り組みます。日本の強みである環境技術で、世界の経済成長と気候変動対策の両立に貢献します。

 持続可能な開発目標の実現に向けて、貧困対策や保健衛生、女性のエンパワーメントなど、人間の安全保障に関わるあらゆる課題の解決に、国際社会での強いリーダーシップを発揮していきます。

 先月、EUとの経済連携協定交渉が妥結しました。十一か国によるTPPについても閣僚間で大筋合意に達しました。早期の発効を目指します。引き続き、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく二十一世紀型の経済秩序を世界へと広げてまいります。

 我が国は、長年、あらゆる中東の国々と良好な関係を築き、難民・人道支援、経済支援など、この地域の平和と安定に積極的な役割を果たしてきました。今後とも、中東和平の実現にできる限りの貢献をいたします。

 積極的平和主義の旗の下、これからも我が国は、国際社会と手を携え、世界の平和と繁栄に力を尽くしてまいります。

 しかし、その平和と繁栄が、今、脅かされています。北朝鮮の核・ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません。

 北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄させる。そして、引き続き最重要課題である拉致問題を解決する。北朝鮮に政策を変えさせるため、いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然とした外交を展開します。

 三年前、私たちは平和安全法制を成立させました。北朝鮮情勢が緊迫する中、自衛隊は初めて米艦艇と航空機の防護の任務に当たりました。互いに助け合うことのできる同盟は、その絆を強くする。皆さん、日米同盟は、間違いなく、かつてないほど強固なものとなりました。

 北朝鮮による挑発がエスカレートする中にあって、あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下、具体的行動を取っていく。日米の緊密な連携の下、高度の警戒態勢を維持し、いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。

 安全保障政策において、根幹となるのは、自らが行う努力であります。厳しさを増す安全保障環境の現実を直視し、イージス・アショア、スタンドオフミサイルを導入するなど、我が国防衛力を強化します。

 年末に向け、防衛大綱の見直しも進めてまいります。専守防衛は当然の大前提としながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めてまいります。

 我が国の外交、安全保障の基軸は、これまでも、これからも日米同盟です。

 トランプ大統領とは、電話会談を含めて二十回を超える首脳会談を行いました。個人的な信頼関係の下、世界の様々な課題に共に立ち向かってまいります。

 先月末、沖縄の米軍北部訓練場四千ヘクタールが、戦後七十年余りの時を経て、土地所有者の皆様の手元へ戻りました。本土復帰後最大の返還です。地位協定についても、初めて、環境と軍属に関する二つの補足協定を締結しました。

 これからも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くします。米軍機の飛行には、安全の確保が大前提であることは言うまでもありません。米国に対し、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き強く求めていきます。

 学校や住宅に囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の全面返還を一日も早く成し遂げなければなりません。最高裁判所の判決に従い、名護市辺野古沖への移設工事を進めます。移設は、三つの基地機能のうち一つに限定するとともに、飛行経路が海上となることで安全性が格段に向上し、普天間では一万数千戸必要であった住宅防音がゼロとなります。

 安倍内閣は、米国との信頼関係の下、沖縄の基地負担軽減に一つひとつ結果を出してまいります。

 総理就任から五年。これまで、七十六か国・地域を訪問し、六百回の首脳会談を行い、世界の平和と繁栄に貢献するとともに、積極果敢に国益を追求してまいりました。これからも、地球儀を俯瞰する外交を一層積極的に展開いたします。

 自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と連携する。米国はもとより、欧州、ASEAN、豪州、インドといった諸国と手を携え、アジア、環太平洋地域からインド洋に及ぶこの地域の平和と繁栄を確固たるものとしてまいります。

 太平洋からインド洋に至る広大な海。古来、この地域の人々は、広く自由な海を舞台に豊かさと繁栄を享受してきました。航行の自由、法の支配はその礎であります。この海を将来にわたって、全ての人に分け隔てなく平和と繁栄をもたらす公共財としなければなりません。自由で開かれたインド太平洋戦略を推し進めます。

 この大きな方向性の下で、中国とも協力して、増大するアジアのインフラ需要に応えていきます。日本と中国は、地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ、切っても切れない関係にあります。大局的な観点から、安定的に友好関係を発展させることで、国際社会の期待に応えてまいります。

 本年は、日中平和友好条約締結四十周年という大きな節目に当たります。経済、文化、観光、スポーツ、あらゆるレベルで日中両国民の交流を飛躍的に強化します。早期に日中韓サミットを開催し、李克強首相を日本にお迎えします。そして、私が適切な時期に訪中し、習近平国家主席にもできるだけ早期に日本を訪問していただく。ハイレベルな往来を深めることで、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。

 韓国の文在寅大統領とは、これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新たな時代の協力関係を深化させてまいります。

 日露関係は、最も可能性を秘めた二国間関係です。昨年九月、国後島、択捉島で、初めて、航空機による元島民の皆様のお墓参りが実現しました。北方四島での共同経済活動、八項目の経済協力プランを更に前進させ、日露の結び付きを深めます。長門合意を一つひとつ着実に進めることで領土問題を解決し、日露平和条約を締結する。プーチン大統領との深い信頼関係の下に、北朝鮮問題をはじめ、国際社会の様々な課題について、協力する関係を築き上げていきます。

 中国、ロシアも含め、全会一致をもって、先月、北朝鮮に対する国連制裁措置を前例のないレベルにまで高める、強力な国連安保理決議が採択されました。地域の平和と繁栄のために、近隣諸国との連携を一層強化してまいります。

 皇室会議を経て、皇室典範特例法の施行日が、平成三十一年四月三十日となりました。天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が、国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くしてまいります。

 「五十年、八十年先の国土を富ます。」

 百五十年前。天竜川はたびたび氾濫し、村人たちは苦しめられてきました。子々孫々、洪水から村を守るため、金原明善は植林により治水を行いました。

 六百ヘクタールに及ぶ荒れ地に、三百万本もの木を植える壮大な計画。それでも、多くの人たちが明善の呼び掛けに賛同し、植林のため、共に山に移り住みます。

 力ある者は山を耕し、苗木を植える。木登りが得意な者は枝を切り落とす。女性や子どもは蔦や雑草を取り除く。それぞれが自身の持ち味を活かしました。

 多くの人たちの力を結集することによって築き上げられた森林は、百年たった今でも、肥沃な遠州平野の守り神となっています。

 多くの人の力を結集し、次の時代を切り拓く。あらゆる人にチャンスあふれる日本を、与野党の枠を超えて、皆さん、共に作ろうではありませんか。

 五十年、百年先の未来を見据えた国創りを行う。国のかたち、理想の姿を語るのは憲法です。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。

 未来は、与えられるものではありません。私たち一人ひとりの努力で創り上げていくものであります。私たちの子や孫たちのために、今こそ新たな国創りを共に進めていこうではありませんか。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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議長(大島理森君) 外務大臣河野太郎君。

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) 第百九十六回国会に当たり、所信を申し述べます。この外交演説では、本年、私が外務大臣として日本外交を進めていくに当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。

 私は、外務大臣に就任以来の約半年間で、外国訪問を十三回行い、延べ三十か国を訪問しました。初めに、これらの訪問を通じた現在の世界についての私の所感から申し上げます。

 様々な新興国の存在が増す中で、これまで自由貿易の恩恵を受けていたはずの国々の中でも保護主義が台頭しつつあります。欧州でも内向き志向が顕著になっています。また、テロや暴力的過激主義が国境を越えて跳梁跋扈し始めたことにより、日本を含む世界の安定と繁栄を支えてきた自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値に基づく国際秩序が挑戦を受けています。日本を取り巻く安全保障環境は、極めて厳しい状況にあります。

 それ故に、日本を始めとする様々な国々が、既存の国際秩序の維持のため、また、自由貿易や安全保障、地球環境の維持といった視点からも、従来以上に大きな責任と役割を果たさなければならない時代になりました。

 人類が近代に創り出してきた自由、民主主義、人権、法の支配といった価値観は、それを生み出し維持していくために、政府に、国民に様々な努力を要求します。国際社会の中にそういう価値観を定着させるために、我々は、必要な支援の手を差し伸べていかなければなりません。

 だからこそ、日本は、厳しい財政の制約の中でも、必要とされる支援をできる限りでも続けていく必要があります。日本としては、選挙、議会、法律、司法、治安、徴税、入国管理などの様々な側面における各国の制度構築の取組に対し、積極的に手を差し伸べていきます。

 多極化する時代の中で、日本は、応分の責任と役割を果たしながら、世界と共に発展し、豊かになることを目指します。

 以上を申し上げた上で、本日、まず取り上げなければならない喫緊の課題は、北朝鮮問題です。

 北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて容認できません。北朝鮮は、昨年までの二年間、三回の核実験に加え、米国東海岸も射程に収めるICBM級を含む、四十発もの弾道ミサイル発射を強行しました。北朝鮮の現状は、今や日本のみならず、国際社会全体に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威です。

 こうした中、北朝鮮は核・ミサイル開発を継続しており、引き続き、北朝鮮に対する圧力を強化し続けていくことが不可欠です。

 私が議長を務めた昨年十二月の北朝鮮問題に関する国連安保理閣僚級会合では、国際社会は核武装した北朝鮮を決して受け入れず、全ての国連加盟国による安保理決議の完全な履行が不可欠であるとの一致したメッセージを発出しました。これに引き続き、安保理は、更に強化された制裁を含む新たな決議を全会一致で採択しました。このことは、国際社会の強い意思を示すものです。

 北朝鮮と一刻も早く対話すべきだという意見があります。しかし、圧力のない中での対話は、核武装を完了したと公言する北朝鮮を非核化に向けて動かすことはできません。我々は、一時的な緊張緩和を得るために北朝鮮の核保有を容認するような対話を決して行うことはありません。

 北朝鮮を非核化に向けて動かすためには、核・ミサイル開発をこのまま続けても、北朝鮮の現体制に明るい未来はあり得ないということを知らしめる必要があります。だからこそ我々は、経済制裁を通じて圧力をかけ続けるために国際社会が一致して努力できるよう、米韓と緊密に協力し、中国やロシアとも連携を強めてまいりました。

 日本は、これからも国際社会の団結を維持する努力を最大限に続けてまいります。

 また、拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求め、北朝鮮に対する国際社会の圧力を梃子としつつ、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ることが不可欠です。

 北朝鮮の問題を始め、国際秩序を揺るがす様々な外交課題に直面する中、日本としては、国際協調主義に基づく積極的平和主義の旗の下、特に以下の六つの重点分野を中心に取組を強化してまいります。

 一つ目として、北朝鮮問題を含め、日本の平和と安全を確保していく上で、日米同盟の強化及び同盟国、友好国のネットワーク化の推進が最も重要な課題であることは言うまでもありません。

 私は、就任間もなく米国を訪問し、日米2プラス2で日米同盟の抑止力と対処力を一層強化することで一致しました。昨年十一月のトランプ大統領の訪日では、地域と国際社会の平和と繁栄を主導する日米同盟の揺るぎない絆を世界に示すことができました。外相間でも緊密に連携し、日米同盟の更なる強化を図っていきます。

 また、普天間飛行場の一日も早い辺野古移設を含め、地元の負担軽減に全力で取り組むとともに、英語で教える小学校の開設など、米軍施設の資源も活用した沖縄の一層の成長につながる国際化支援を一層進めます。

 経済面では、日米経済対話を通じて日米経済関係を深化させるとともに、日米で、アジア太平洋地域に広がる貿易・投資の高い基準作りを主導し、公正で実効性ある経済秩序を創り上げる努力を重ね、地域ひいては世界の経済成長を力強く主導します。

 また、日米韓、日米豪、日米印、日豪印、日米豪印といった戦略的利益を共有する各国との枠組み、ASEANを含めたアジア太平洋の地域協力の枠組み、英仏等欧州主要国との戦略対話等、同盟国、友好国のネットワーク化を推進します。

 二つ目として、近隣諸国との協力関係の強化もしっかり進めてまいります。

 まず、中国との安定的な関係構築は極めて重要です。日中関係は、日中双方にとり最も重要な二国間関係の一つです。同時に、世界第二、第三の経済大国である日中は、北朝鮮問題を始めとする地域及び国際社会の諸課題に、肩を並べて共に取り組んでいく責務を共有しています。

 日中平和友好条約締結四十周年に当たる本年は、日中両国が共に国民レベルの交流を深め、信頼関係を強化する好機です。日本は、戦略的互恵関係の考えの下、大局的観点から、二国間の様々な問題について議論しつつも、首脳往来の実現、国民交流の促進、経済関係の強化を進める考えです。中国側にも関係改善に向けた着実かつ建設的な努力を促してまいります。

 こうした観点から、東シナ海における一方的な現状変更の試みは、断じて認められません。引き続き、冷静かつ毅然に対応するとともに、東シナ海を平和・協力・友好の海とすべく日中間で議論を進めてまいります。

 北朝鮮の脅威がかつてなく強まる中、日韓両国が緊密に連携協力して対処する必要がますます高まっています。日韓パートナーシップ宣言二十周年の本年、両国が困難な問題に適切に当たるとともに、長年にわたって両国の関係者が築いてきた信頼、友好関係を強化し、未来志向の日韓関係を築いていくことが重要です。

 日韓合意は、慰安婦問題について最終的かつ不可逆的な解決を確認した両国間の約束です。これを守ることは国際的かつ普遍的な原則です。日本側は日韓合意で約束したことは全て誠実に実行しており、韓国側も責任を持って合意を着実に実施するよう、引き続き強く求めてまいります。また、日本固有の領土である竹島については、日本の主張をしっかり伝え、粘り強く対応します。

 ロシアとは、最大の懸案である北方領土問題を解決するため、首脳レベルに加え、外相レベルでも緊密に対話を積み重ねることが重要です。首脳間の合意を踏まえつつ、北方四島における共同経済活動の実現に向けた取組を進めるとともに、元島民の方々のための人道的措置等も実施します。引き続き、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、ロシアとの交渉に粘り強く取り組みます。

 ASEANとは、本年、日本で開催される日・メコン首脳会議の機会等を活用しつつ、その連結性強化に一層取り組みます。また、太平洋島嶼国とは、本年五月に福島で開催する第八回太平洋・島サミットなどの対話の場を活用してパートナーシップを強化します。

 三つ目として、日本は、自由貿易の旗振り役として、より一層積極的な役割を果たしていきます。

 戦後、日本は、自由貿易体制の最大の受益国として現在の繁栄を実現してきました。しかし、近年、新興国の存在が増す一方、グローバル化による負の側面である格差の問題や難民問題などに直面する中で、これまで自由貿易を主導してきた国々において、保護主義や内向きの傾向が顕著となっています。しかし、自由で開かれた国際経済体制こそ、日本を始めとする国際社会の繁栄を約束するものであるとの日本の確信はいささかも揺らぎません。グローバル化に伴い生じている諸問題に連携して対処しつつ、日本は、自由貿易の旗手として、引き続き指導力を発揮し、経済外交を推進してまいります。

 先般のTPPに関する大筋合意及び日・EU・EPA交渉の妥結は、その大きな成果です。引き続き、これらの協定の早期の署名、発効のため最大限の努力を傾注します。これに加え、質の高い東アジア地域包括的経済連携を始めとする様々な経済連携協定等の交渉を推進するとともに、WTOを中心とした多角的貿易体制の維持強化にも取り組んでまいります。

 また、官民が連携して日本企業の海外展開を支援しながら、日本経済の成長を後押ししていきます。英国のEU離脱については、欧州でビジネスを展開する日本企業への影響を最小限にすべく、引き続き、透明性及び予見可能性の確保を英国及びEUに求めます。さらに、エネルギー・資源外交、戦略的なビザの緩和を含むインバウンド観光の促進に尽力します。

 二〇一九年、日本はG20サミットを主催します。本年十二月からG20議長国として世界経済におけるリーダーシップを発揮すべく、政府一丸となって準備を進めてまいります。

 四つ目として、地球規模課題の解決への一層積極的な貢献をしていきます。

 国連創設から七十年以上が経過し、加盟国は創設時の五十一か国から百九十三か国に増加しました。世界を取り巻く政治経済状況も大きく変化する中で、安保理は、もはや二十一世紀の現実を反映しているとは言えません。安保理を改革していくことは、日本だけでなく、国際社会の喫緊の課題です。

 昨年まで二年間、日本は安保理理事国として、北朝鮮問題を始め、国際的な議論を主導してきました。国際社会がますます増大する諸課題に対処できるよう、引き続き、日本の常任理事国入りを含む安保理改革の実現に取り組みます。

 国際社会における日本のプレゼンスを向上させるためには、そこで働く日本人を増やしていくことも重要です。国際機関における日本人職員の増員、昇進にも積極的に取り組みます。

 唯一の戦争被爆国である日本にとって、核軍縮は重要な問題です。さらに、北朝鮮という差し迫った核の脅威にさらされている日本にとり、国際社会の平和と日本の安全をいかに守っていくかという観点からも、この問題は極めて重要です。核兵器のない世界の実現に向け、賢人会議の開催や核兵器不拡散条約の維持強化を通じ、核兵器国と非核兵器国といった立場の異なる国々の橋渡しを行い、核軍縮・不拡散の現実的かつ実践的な取組を主導します。

 世界の平和と安定のためには、開発問題にも取り組まなければなりません。日本としては、開発協力大綱の下、国際社会の平和と安定及び繁栄と、それを通じた日本の国益確保に官民一体で取り組むべく、積極的かつ戦略的にODAを活用します。持続可能な開発目標の達成に向け、国内外での取組を一層推進します。

 地球規模課題の中で、気候変動問題は最も重要な課題の一つです。私は、昨年十二月、気候変動サミットに出席し、この問題に更に積極的に取り組んでいく姿勢を示しました。パリ協定のルール作りへの貢献や協定の着実な実施を始め、気候変動の影響にしっかり立ち向かい、かけがえのない地球の未来を確保すべく努力していきます。

 テロの問題も忘れてはなりません。イラク、シリアにおけるISILの支配地域が大幅に縮小したものの、外国人テロ戦闘員が出身国や第三国へ帰還、移転したことにより、テロ及び暴力的過激主義の脅威もアジアを含めて世界中に拡散しています。外務大臣の下に設置された国際テロ情報収集ユニットを通じた情報収集の更なる強化に努め、関係各国とテロ対策に関する協力を強化し、穏健化の促進等に取り組みます。これと並行して、国際協力事業関係者の安全対策を強化するとともに、日本企業や日本人旅行者を含め、在外邦人の安全確保に万全を期してまいります。

 日本としては、こうした様々な地球規模課題の解決に積極的に貢献すべく、リーダーシップを発揮してまいります。

 五つ目として、私は、対中東政策を抜本的に強化していく考えです。

 歴史的経緯に起因するアラブ地域における様々な対立、イスラエルとパレスチナの和平の問題、そして原油や天然ガスといったエネルギー資源がもたらす問題が複雑に絡み合い、そこに暴力的過激主義が加わったことにより、中東諸国はそれぞれ大きな問題を抱えることになりました。

 中東の平和と安定は、日本を含む世界の平和や経済の繁栄に直接関わってきます。それ故、私は、日本として、中東諸国との経済関係を強化するにとどまらず、この地域への政治的関与も強化していく考えです。日本は、宗教、宗派や民族的な観点から中立であり、中東地域になんら負の歴史的足跡を残したことはありません。また、中東に影響力のある米国と強固な同盟関係にあります。こうした強みを持つ日本だからこそ果たせる役割があります。

 私は、昨年九月の日・アラブ政治対話において、日本の中東への関わり方を示す河野四箇条を発表しました。すなわち、知的・人的貢献、人への投資、息の長い取組、政治的取組の強化の四箇条です。私は、この方針の下、経済面のみならず、中東への政治的関与を強化し、その平和と安定に向け一層の役割を果たしていきます。

 そして、六つ目の重点分野として、自由で開かれたインド太平洋戦略をしっかり推進してまいります。

 法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序は、国際社会の安定と繁栄の礎です。特に、アジア太平洋からインド洋を経て中東、アフリカに至るインド太平洋地域は、世界人口の半数以上を擁する世界の活力の中核です。インド太平洋地域の自由で開かれた海洋秩序を国際公共財として維持強化することは、この地域のいずれの国にも分け隔てなく安定と繁栄をもたらすはずです。

 私自身も、多くの機会に、関係国の外相に直接この戦略を説明し、賛同を得ました。この戦略を具体的に推進するため、第一に、航行の自由、法の支配等の普及、定着、第二に、国際スタンダードにのっとった質の高いインフラ整備などによる連結性の向上等を通じた経済的繁栄の追求、第三に、海上法執行能力の構築支援等による平和と安定の確保、この三つを柱として進めていきます。

 以上六つの重点分野において、着実な成果を上げていくためには、外交活動を支える足腰を強固なものとし、持続力と瞬発力のある外務省を作っていかなければなりません。このような観点から、総合的な外交力の強化に取り組みます。

 そのような体制強化の下、日本の政策や取組、多様な魅力を戦略的に対外発信するとともに、親日派、知日派の育成を強力に推進していきたいと考えます。

 世界の中で日本の影響力を増進していくためには、国際機関で活躍する日本人や海外に展開する日本企業、あるいは多様な魅力を持つ日本文化等、日本の全ての力を集結していくことがますます重要になっています。さらに、世界各地の日系人社会との連携も重要です。こうした認識の下、私は、日本の国益や平和をしっかり守りながら、世界の平和と安定に貢献していく考えです。

 議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)

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議長(大島理森君) 財務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 平成三十年度予算及び税制改正並びに平成二十九年度補正予算の御審議をお願いするに当たり、財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明させていただきたいと存じます。

 安倍内閣のこれまでの取組によって、雇用・所得環境の大幅な改善を達成したことを背景に、経済の好循環は着実に回り始めております。このような経済の好循環をより確かなものとし、持続的な経済成長を実現するためにも、昨年十二月に取りまとめさせていただきました新しい経済政策パッケージに基づき、人づくり革命と生産性革命を車の両輪として、少子高齢化という最大の長期的課題に立ち向かってまいります。

 人づくり革命の財源には、二〇一九年十月に予定される消費税率一〇%への引上げによる増収分の一部等を活用させていただきます。これにより、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は困難となろうと存じますが、財政健全化の旗は決して降ろすことなく、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持いたします。この目標の達成に向け、今年の経済財政運営と改革の基本方針において、具体的かつ実効性の高い計画を示すことといたします。

 次に、平成三十年度予算及び税制改正の大要等を御説明申し上げます。

 新しい経済政策パッケージも踏まえ、平成三十年度予算におきましては、保育の受け皿拡大や地域の中核企業による設備・人材投資等の促進等の重要課題に重点化いたしております。同時に、一般歳出等について、経済・財政再生計画の目安を達成し、公債の発行額を安倍内閣発足以来六年連続で減額するなど、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算といたしております。

 歳出につきましては、一般歳出が約五十八兆九千億円であり、これに地方交付税交付金等約十五兆五千百億円及び国債費約二十三兆三千億円を加えた一般会計総額は、約九十七兆七千百億円となっております。

 一方、歳入につきましては、租税等の収入は約五十九兆八百億円、その他収入は約四兆九千四百億円と見込んでおります。また、公債金は約三十三兆六千九百億円であり、前年度当初予算に対し、約六千八百億円の減額を行っております。

 次に、主要な経費について申し述べさせていただきます。

 社会保障関係費につきましては、持続可能な社会保障制度を構築する観点から、薬価制度の抜本改革等、様々な分野における改革に取り組むことといたしております。また、子育て安心プランを前倒し、保育の受け皿拡大等を推進することといたしております。

 文教及び科学振興費につきましては、教職員定数において効率化と必要な分野への充実を図るほか、幼児教育や高等教育の経済的負担の軽減、大学改革、安全、安心な学校の施設整備等を推進することといたしております。また、科学技術イノベーションを促進することといたしております。

 地方財政につきましては、歳出特別枠を廃止するなど地方歳出を見直す一方、地方の税収増を反映し地方交付税交付金等を縮減いたしつつ、その一般財源の総額を適切に確保し、地方に最大限配慮いたしております。

 防衛関係費につきましては、より重大かつ差し迫った脅威となった北朝鮮の核・ミサイル開発等に適切に対応し、中期防衛力整備計画に基づき所要の取組を講じるとともに、沖縄の基地負担軽減等のための在日米軍再編事業を着実に推進することといたしております。

 公共事業関係費につきましては、生産性向上のためのインフラ整備や豪雨・台風災害等を踏まえた防災・減災対策等への重点化、効率化を推進することといたしております。

 経済協力費につきましては、戦略的外交を後押しする観点から、自由で開かれたインド太平洋戦略等に重点化しつつ、ODAは予算、事業量ともに必要な額を確保いたしております。

 中小企業対策費につきましては、地域の中核となる企業の支援や中小企業の事業承継支援を充実するほか、人材対策や資金繰り対策等にも万全を期すことといたしております。

 エネルギー対策費につきましては、再生可能エネルギーの導入に向けた研究開発を拡充するほか、省エネルギーの取組や国内資源の開発、海外資源の権益確保等を推進することといたしております。

 農林水産関係予算につきましては、米政策の改革を円滑に行うことができるよう、必要な支援を充実させるほか、林業の成長産業化や輸出力の強化等に取り組むことといたしております。

 国家公務員の人件費につきましては、給与改定や給与制度の総合的見直しのほか、退職手当の引下げ等を的確に予算に反映いたしております。

 東日本大震災からの復興につきましては、復興のステージに応じた課題に対応するため、平成三十年度東日本大震災復興特別会計の総額を約二兆三千六百億円といたしております。

 平成三十年度財政投融資計画につきましては、生産性向上に向けた事業者及び農業者の施設投資等の支援、物流ネットワークの核となる高速道路整備の加速等に取り組むなど、特に必要な資金需要に適切に対応するため、総額約十四兆四千六百億円といたしております。

 国債管理政策につきましては、借換債等を含む国債発行総額が約百五十兆円と、依然として極めて高い水準にある中で、引き続き、市場との緊密な対話に基づき適切に運営してまいりたいと存じます。

 平成三十年度税制改正につきましては、働き方の多様化等を踏まえ、個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ、生産性向上のための税制上の措置を講ずることといたしております。さらに、中小企業の代替わりを促進いたします事業承継税制の拡充や、観光促進のための税として国際観光旅客税の創設等を行うことといたしております。このほか、国際課税制度の見直し、税務手続の電子化の推進やたばこ税の見直し等を行うことといたしております。

 なお、国会等から御指摘のありました国有財産の管理処分の手続につきましては、手続の明確化、売却価格の客観性の確保及び文書管理の徹底という方針で、財政制度等審議会の意見を踏まえ、見直しを行ってまいります。

 続いて、平成二十九年度補正予算の大要について申し述べます。

 一般会計において、生産性革命・人づくり革命、災害復旧等・防災・減災事業、総合的なTPP等関連政策大綱実現に向けた施策等、総額約二兆七千百億円の歳出の追加を行うことといたしております。また、国債整理基金特別会計への繰入として、約一千九百億円を計上しております。これらにつきましては、既定経費を約一兆二千四百億円減額するとともに、前年度剰余金を約三千七百億円、税外収入を約一千億円計上するほか、建設公債を約一兆一千八百億円発行することで対応することといたします。

 この結果、平成二十九年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに約一兆六千五百億円増加し、約九十九兆一千百億円となります。

 また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。

 財政投融資計画につきましては、足下の旺盛な設備投資意欲に鑑み、二千八百億円を補正追加いたしております。

 以上、財政政策等の基本的な考え方と、平成三十年度予算及び税制改正並びに平成二十九年度補正予算の大要等について御説明をさせていただきました。

 経済の好循環をより確かなものとし、持続的な経済成長を実現するべく、今後もあらゆる政策手段を総動員していかなければならないと存じます。そのためにも、経済再生と財政健全化を両立する本予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要と存じます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、財政政策等において、国民の皆様及び与野党の議員各位の御理解と御協力を切にお願いを申し上げます。(拍手)

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議長(大島理森君) 国務大臣茂木敏充君。

    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

国務大臣(茂木敏充君) 経済財政政策担当大臣として、我が国経済の課題と政策運営の基本的考え方について所信を申し述べます。

 日本経済は、五年に亘るアベノミクスの推進により、名目GDPは過去最大の五百四十九兆円に拡大し、実質成長率は七四半期連続のプラス成長、企業収益も過去最高の七十五兆円を記録しています。

 また、国民生活に最も密接に関わる雇用、所得についても、直近の有効求人倍率は一・五六倍と、一九七〇年代前半以来四十年ぶりの高水準となり、賃金についても、中小企業を含め、二%程度の高い賃上げが四年連続で実現するなど、雇用・所得環境は改善し、経済の好循環が実現しつつあります。

 本日閣議決定した政府経済見通しでは、来年度の日本経済について、雇用・所得環境の改善が続く中で、民需を中心とした景気回復が見込まれ、経済成長率は実質で一・八%程度、名目で二・五%程度になると見込んでいます。

 こうした中、需給ギャップは縮小し、足もとではプラスになっています。今、日本経済の最大の課題は、少子高齢化という壁を乗り越え、サプライサイドの改革を通じて潜在成長率を引き上げることです。

 このため、一人ひとりの人材の質を高める人づくり革命と、成長戦略の核となる生産性革命に最優先で取り組みます。このため、昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージを着実に実施してまいります。

 まず、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行してまいります。

 人づくり革命では、第一に、幼児教育無償化を一気に加速します。三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化します。〇歳から二歳児については、待機児童解消の取組と併せて、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めます。

 第二に、最優先の課題である待機児童問題の解消に向け、子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受け皿整備を進めるとともに、保育士の更なる処遇改善に取り組みます。

 第三に、真に支援が必要な、所得が低い家庭の子供たちには、大学や専修学校などの高等教育無償化を実現します。住民税非課税世帯の子供たちに対しては、国立大学の場合はその授業料を免除し、私立大学の場合は私立大学の平均授業料の水準を勘案した一定額を加算した額までの対応を図ります。給付型奨学金を抜本的に拡充し、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるような措置を講じます。住民税非課税世帯に準ずる世帯の子供たちについても、支援の崖が生じないように、これに準じた支援を段階的に行います。

 第四に、政府全体として安定的な財源を確保しつつ、家庭の経済状況にかかわらず、幅広く教育を受けられるようにする観点から、年収五百九十万円未満の世帯を対象とした私立高校の授業料の実質無償化を実現します。

 第五に、介護分野で大きな課題となっている人材確保に向け、介護職員の更なる処遇改善を進めます。

 こうした二兆円規模の政策を推進し、子育て世代に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換してまいります。

 もう一つ、今後三年間を生産性革命集中投資期間と位置付け、生産性革命を進めてまいります。二〇二〇年に向けて、過去最高の企業収益を更なる賃上げや設備投資につなげていきます。

 このため、三%以上の賃上げや投資に積極的な企業には、法人税負担を二五%まで引き下げます。さらに、革新的な技術により生産性向上に挑戦する企業には、思い切って二〇%まで引き下げます。他方、賃上げ、投資に消極的な企業には、投資家に対する説明責任を課すことと併せ、果断な経営判断を促す税制措置も講じます。

 また、厳しい経営環境の下でも積極的に投資にチャレンジする中小企業、小規模事業者には、ものづくり・商業・サービス補助金などの支援策と併せ、自治体の自主性に配慮しつつ、固定資産税が三年間ゼロとなる画期的な制度を創設します。

 加えて、AI、ロボット、IoTなど第四次産業革命の社会実装によるソサエティー五・〇の実現、技術革新を踏まえた電波帯域の有効利用などを進めるとともに、革新的なアイデアをビジネスにつなげる規制のサンドボックスの仕組みについて今国会に法案を提出します。

 昨年十一月にTPP11が大筋合意に至りました。世界的に保護主義が台頭する中で、自由で公正な二十一世紀型の新しいルールをどこよりも早く作る意味合いは極めて大きく、今回の大筋合意は、今後の日本の成長戦略にとっても大きな意味があると考えております。引き続き、関係国と協力し、速やかに署名し、早期発効を実現できるように尽力してまいります。

 また、昨年十二月に日・EU・EPAについても交渉妥結いたしました。TPP、日・EU・EPA交渉の進展も踏まえ、昨年十一月に総合的なTPP等関連政策大綱を決定しています。この政策大綱には、地方の中堅・中小企業の海外展開支援、国内産業の競争力強化、そして農林水産業の強化等、TPP及び日・EU・EPAを真に我が国の経済成長に直結させるために必要な政策を盛り込みました。今後、この政策大綱に基づき、農林水産業の強化策など、万全の対策を講じてまいります。

 経済再生なくして財政健全化なし。この基本方針の下、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標はしっかりと堅持をし、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指します。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を経済財政諮問会議において十分精査した上で、本年の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針において、プライマリーバランスの黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を改めてお示しします。

 経済・財政再生計画における集中改革期間の最終年度である二〇一八年度においても、歳出改革を着実に推進してまいります。経済財政や暮らしに係る情報や地域比較データの見える化を徹底するとともに、優良事例の全国展開に取り組みます。

 社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、引き続き、社会保障と税の一体改革に取り組みます。

 最後に、日本経済再生に向けた三つの変化への対応について申し上げます。

 一つは、テクノロジーの発展。第四次産業革命やソサエティー五・〇の時代に、日本として、世界に先駆けた成長戦略を大胆に実行していくこと。

 二つ目は、少子高齢化の進展。これからの人生百年時代、個々人が人生を再設計でき、誰でもいくつになっても活躍できる新しい国の仕組みを作っていくこと。

 三つ目は、経済社会のグローバル化。これに対応して、TPPや日・EU・EPAなど、二十一世紀型の新しいルール作りを日本が主導すること。

 こうした取組が、日本経済再生のカギを握ると確信しています。

 国民の皆様、議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

田野瀬太道君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来る二十四日午後一時から本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。

議長(大島理森君) 田野瀬太道君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十八分散会

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 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       法務大臣     上川 陽子君

       外務大臣     河野 太郎君

       文部科学大臣   林  芳正君

       厚生労働大臣   加藤 勝信君

       農林水産大臣   齋藤  健君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       環境大臣     中川 雅治君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     江崎 鐵磨君

       国務大臣     小此木八郎君

       国務大臣     梶山 弘志君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     鈴木 俊一君

       国務大臣     松山 政司君

       国務大臣     茂木 敏充君

       国務大臣     吉野 正芳君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  西村 康稔君

       総務副大臣    奥野 信亮君


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