衆議院

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第2号 平成30年1月24日(水曜日)

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平成三十年一月二十四日(水曜日)

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 議事日程 第二号

  平成三十年一月二十四日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(大島理森君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。枝野幸男君。

    〔枝野幸男君登壇〕

枝野幸男君 立憲民主党代表の枝野幸男です。(拍手)

 質問に先立ち、一言申し上げます。

 草津白根山の噴火によって、訓練中の自衛官の方が亡くなられました。心から哀悼の意を表します。また、被害に遭われた皆さんに、心からお見舞いを申し上げます。二次災害に十分注意しながら、万全の対応を政府にもお願いをしたいと思います。

 さて、立憲民主党は、結党直後の総選挙で、一千百万を超える皆さんから貴重な一票をお預かりしました。それから三カ月。私たちは、皆さんの期待にお応えできる政党となれるよう、体制整備に努力してまいりました。

 その一つとして、党綱領をよりわかりやすいものに改定をしました。

 新しい綱領では、「私たちは、「立憲主義に基づく民主政治」と「多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いさまに支え合う社会」を実現するため、立憲民主党に集いました。」と結党の趣旨を明確にし、「国民のみなさんとつながり、日常の暮らしや働く現場の声を立脚点としたボトムアップの政治を実現します。」と、選挙で訴えた草の根からの民主主義を具体化しました。

 草の根の暮らしという視点から、予算案などに示された政府の姿勢を見たとき、厳しい環境にある皆さんの暮らしの足元に目が向いていないと言わざるを得ません。

 政府の政策は、相変わらず、強いものをより強く、豊かな者をより豊かにすることが基本となっています。しかし、厳しい環境にある皆さんの暮らしを支えて底上げし、分厚い中間層を取り戻すことなしに、消費を回復させ、持続可能な経済と社会の活性化をもたらすことはできません。

 私たちは、社会を下から支えて押し上げる、もう一つの道を地道に訴えてまいります。

 現場とのずれが最も顕著なのが、待機児童問題と保育所等の無償化です。

 私たちは、幼児教育の無償化という理念と方向性には大賛成です。しかし、特別国会でも指摘しましたが、待機児童問題が解消されないままに保育所が無償化されれば、二重の不公平が生じます。待機児童の解消こそが最優先課題です。こうした批判に応え、政府は、待機児童対策を強化し、受皿整備のための予算を積み増しました。

 しかし、一つに、この程度の受皿整備では、待機児童問題を解消するにはまだまだ不十分であります。統計にあらわれない潜在的な待機児童の数や、保育所の整備が進めば進むほど出産を選択できる人がふえるという潜在的需要の問題を考えると、無償化が本格実施される予定の二〇二〇年度までに、三十二万人分の受皿整備で待機児童問題が解決するとは到底考えられません。

 二つ目に、保育所の整備が本当にこの計画どおりに進むのか、甚だ疑問であります。保育所を増設する上で最大のネックは保育士の確保です。保育士不足の最大の要因は、専門性を必要とし、責任が重く、重労働であるにもかかわらず、賃金が安過ぎるという点にあります。若干の施策は進められていますが、全労働者平均と比べて十万円程度安いとされる保育士の賃金水準を考えたとき、問題解決に向かっているとは到底言えません。

 今次の補正予算と平成三十年度予算で、保育士の平均賃金は、人事院勧告の水準と比べてどのくらい上がるのでしょうか。厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 三つ目に、無償化の対象が認可保育所以外のどの範囲までとされるのか、いまだ明確ではありません。

 無認可保育所に加えて、やむなくベビーホテルやベビーシッターに頼っている方も少なくありません。これら全てを無償化の対象にするのでしょうか。あるいは、こうした皆さんも希望すれば全員必ず認可保育所に預けられるようにするのでしょうか。厚生労働大臣にお尋ねをします。

 四つ目に、無償化の財源負担を地方自治体に押しつけるのは不適切です。私立保育所の場合、国の財源負担は二分の一にとどまり、四分の一は都道府県と市町村の負担です。公立保育所は全額市町村の負担とする案を軸に検討と言われています。待機児童対策のために保育所整備を急がなければならない中で、市町村は、保育所を整備すればするほど無償化のための負担もふえます。待機児童が多い自治体ほど、無償化の分も含めて大きな追加財源を必要とすることとなり、結果的に保育所整備をおくらせる要因となりかねません。

 五つ目に、お子さんを保育所に預けることができて無償化の対象となる方にとっても、それが最優先事項であるとは思いません。急な事情が生じても対応できる延長保育、子供が病気のときの対応、研究者や医師など夜間働かざるを得ない方々への支援など、柔軟な制度を可能にすること、あるいは、現在は無認可の保育所を認可の基準に近づけるなど、より安心できる体制の実現こそ、保育料以上に優先すべき課題であります。

 私たちは、限られた財源の中で、当面は、無償化よりも、保育士の賃金底上げなど、現場のニーズにより合った使い道を優先することを求めます。

 保育士とともに、サービス不足と人手不足が深刻なのは介護です。

 特別養護老人ホームの待機者数は三十六万人超。減ったように見えるのは、入所対象を大幅に絞り込んだ結果にすぎません。十二万人余りは在宅で入所を待っています。介護保険料を徴収しながら、必要なサービスが足りずにサービスが受けられない。民間でこんなことがあれば、詐欺だと言われます。

 他方で、職員不足などの理由で空きベッドの存在する特別養護老人ホームは一割以上。人材確保の見通しが立たず、介護施設の新設を断念するという声も少なからず聞こえます。

 介護のサービスは、三百六十五日二十四時間。夜勤も含めた長時間労働が問題視されています。肉体的にも重労働です。にもかかわらず、介護職の平均賃金は全ての勤労者の平均と比べて十万円近くも安く、人材確保には賃金の大幅アップを含めた処遇の改善が不可欠です。

 人材確保のための予算がわずかばかり計上されていますが、介護事業者の利益率は、平成二十六年発表の七・八%から平成二十九年発表の三・三%へと大幅に低下しており、民間事業者の努力で賃金をアップさせることは不可能です。

 立憲民主党は、介護従事者の賃金アップのため、更に迅速かつ大規模に、そして直接的に予算措置することを提案します。

 総理の所信表明では、八万円相当の給与増とおっしゃいましたが、その対象となるのは介護職員全体の何%に当たるのでしょうか。月額四万七千円の改善をしたともおっしゃいましたが、そのことで全産業平均との賃金格差は幾らくらい改善されたのでしょうか。いずれも厚生労働大臣にお尋ねします。

 保育士や介護従事者の賃金底上げは、最も効果的な経済対策です。その財源は公共事業予算を圧縮して捻出すべきで、建設国債と赤字国債の区別はもはや時代おくれです。

 従来型の公共事業と比べて、社会保障関連の人件費支出の方が、消費や雇用など、より大きな経済波及効果につながることは既に明確になっています。

 消費性向、つまり所得の中で消費に回る割合は、低所得者ほど高く、高額所得者ほど低い。したがって、低所得者の所得を押し上げることが消費の拡大につながり、逆に、格差の拡大は消費を冷え込ませる要因です。

 従来型の景気対策だけが経済対策で、社会保障分野は経済とは関係ないという固定観念から抜け出すことを、経済対策の大前提として、立憲民主党は皆さんにお訴えをいたします。

 総理は、所信の中で、少子高齢化を国難と表現しましたが、年金制度について一言も触れませんでした。

 高齢社会対策大綱案では、六十五歳以上を一律に高齢者と見る一般的な傾向は現実的ではなくなりつつあると指摘するとともに、公的年金の受給開始を七十歳を超える場合も可能とする制度の検討が盛り込まれました。

 健康で意欲のある高齢者が働ける環境を整えることには賛成ですが、病気や貧困に苦しむ高齢者の切捨てにつながることがないようにしなければ本末転倒です。

 高齢者の貧困に関する認識、特に単身で高齢の女性の貧困が問題となっている状況と原因、対応策について、総理にお尋ねをいたします。

 生活扶助基準や母子加算の見直しなど生活保護制度についても、現場の実態に目が向いていません。

 今回の見直しでは、子供のいる世帯では四割以上が、一人親世帯に絞っても四割近くが減額になり、全体では三分の二を超える世帯で減額になります。

 減額の規模は月数千円です。しかし、例えば、この冬は葉物野菜が高騰し、例年の二倍以上。白菜一玉が千円近くにもなり、四分の一などにカットしないと高過ぎて売れないという声まであります。毎日スーパーのチラシを見て、百円、十円、それどころか一円単位で安いものを探している人がたくさんいるのです。ましてや、生活保護で何とか暮らしている皆さんにとって、月千円は大金です。

 生活扶助基準などの見直しは、一般の低所得世帯における消費水準との均衡を図ったとも言われています。確かに、正社員と変わらないような労働をしながら、生活扶助基準よりも低い収入しか得られていない非正規労働の方もいらっしゃいます。

 しかし、低い方に合わせて生活扶助基準を引き下げるのは本末転倒です。そもそも、低所得世帯の消費が減っているということは、トリクルダウンが幻想であったことの何よりものあかしであります。

 生活保護は、憲法に規定された健康で文化的な最低限度の生活を保障する最後のとりで。従来でも、その水準に足りるものであったとは思いません。フルタイム的に働きながら、これより低い収入しか得られない人がいるならば、最低賃金の仕組みなど労働法制の見直しで賃金底上げを後押しするべきであります。

 立憲民主党は、今回の見直しのうち、減額部分については中止するべきであると訴えます。

 現在と、そして見直し後の生活保護による給付が、本当に憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を営むに足りるものであると考えているのか、総理の認識をお伺いします。

 また、生活保護というと不正受給の問題ばかりが注目されがちですが、実際にはどの程度であるのでしょう。逆に、生活保護の受給資格があるのに受けていない人はどの程度いるのでしょうか。厚生労働大臣にお尋ねします。

 当然のことながら、不正受給の存在と給付水準とは全く別次元の問題ですが、念のため、総理の認識を伺います。

 給与所得控除の見直しによる所得税増税が提案されています。

 低所得者層を対象から外したことは評価をいたしますが、年収八百五十万円からの給与所得者が狙い撃ちされているのは、取りやすいところから取るという姿勢であるとの批判を免れません。また、消費性向の比較的高い中間層の消費を冷え込ませ、経済対策として逆行します。

 立憲民主党は、税による再分配機能の強化を主張していますが、最優先は、金融所得に対する分離課税の見直しであります。

 利子、配当、株式譲渡などのいわゆる金融所得は、二〇%の分離課税です。ほかにどんなに多くの所得があっても、二〇%しか所得税がかかりません。そして、多額の金融所得を得ることのできる人の大部分は高額所得者です。金融所得と他の所得を合算すると、高額所得者ほど金融所得の割合が高くなり、その部分は二〇%という低い率ですから、年収一億円くらいを境に、実質的な税率は下がっていくと言われています。

 金融所得課税を強化すると資産家が資金を海外に逃がしてしまうなどとの指摘もあり、やり方やプロセスには十分な考慮が必要です。しかし、取りやすい中間層の給与所得を対象にするのではなく、金融所得に対する課税こそ強化すべきであります。

 金融所得を合算した総合的な所得に対する所得税の実質的な税率を見たとき、所得階層別にどうなるのか調査等をしているでしょうか。そして、どのあたりの所得層からどの程度実質的な税率が下がると認識しているのでしょうか。財務大臣に伺います。

 新設される森林環境税については、森林面積という明確な基準で市町村に譲与される制度とされており、過疎などに苦しむ地方自治体の財源を確保する制度として、その狙いは理解します。ただし、目的税という手法では使い勝手が悪く、無駄遣いの温床にもなりがちです。

 譲与された市町村と、そして森林保護という目的にとって真に役立つ財源とするには、その使い道について市町村に幅広い裁量を認めるべきです。総理の見解をお尋ねします。

 佐川国税庁長官は、理財局長在任中、森友学園に対する国有地の売却に関し、価格について国から提示したことも、先方から希望が示されたこともない旨を答弁しています。

 しかし、近畿財務局との間で具体的な金額を示したやりとりがあったことを示す明確な音声テープが明らかになるなど、これが虚偽答弁であったことは、既に明々白々であります。

 また、佐川長官は、交渉記録を適切に破棄したとの答弁を繰り返しましたが、十年分割払い、買戻し特約つきの売却である以上、売買契約が成立しただけでは事案は終了していません。破棄そのものが虚偽であったことを示す事実も明らかになってきています。また、本当に破棄していたならば、公文書管理法違反です。

 このような方が徴税事務の最高責任者である国税庁長官に昇進しているというのは、常識では考えられません。

 佐川長官は、税関係の業界紙で、ささいな問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいますと述べています。また、職員向けの訓示の中で、文書管理の徹底を指示していました。もはや怒りを通り越して、あきれるばかりであります。

 このような長官のもとで、証拠書類を誤って破棄してしまった納税者に、書類がなければ税の減額ができないと言っても、説得力はありません。

 徴税事務の信頼を守るために、今すぐ佐川長官を更迭すべきであります。総理及び財務大臣の見解を伺います。また、こうした事態は予想されたことであったのに、あえて佐川氏を国税庁長官に昇進させた責任をどう考えているのかも含めて、お二人にお答えいただきたいと思います。

 佐川長官は、先ほどの業界紙で、リスク管理に関し、必ず上司に報告するよう徹底させていますとも述べておられます。当然のことながら、佐川長官御自身も、理財局長当時、必ず上司に報告するよう徹底してきたことだろうと思います。

 価格のやりとりがなかった旨の答弁や、交渉記録の破棄についても、当然、上司である財務大臣に報告していたはずでありますが、いかがでしょうか。認識をお尋ねいたします。

 労働法制の改定については、一歩前進の部分もありますが、法定される時間外労働の上限は、休日労働を含んで月百時間未満。いわゆる過労死ラインを大きく超え、過労死容認法案になりかねないなど、問題山積であります。

 特に問題なのは、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の導入という、いわゆる残業代ゼロ法案というべき内容が含まれていることであります。

 ただでさえ、サービス残業という残業代を払わない違法行為が蔓延している中で、このような制度をつくれば、悪用されるおそれが大きいと言わざるを得ません。

 裁量労働制拡大などについて、時間外労働の上限規制などと、他の部分と切り離して議論することを求めます。

 裁量労働制の拡大については、特に法人提案型営業と呼ばれる対象が問題です。

 示されている条文案では、法人向け営業のほとんどが残業代ゼロの対象になりかねません。指針で明確にするとの方針とも聞いていますが、本当に営業を対象としないならば、法文上明確にすべきであります。

 時間外労働の上限規制に関し、自動車運転業務などについて、五年間の適用猶予期間が設けられました。

 人手不足の中で、適用猶予を求める事業者の事情はわからないではありません。しかし、特に自動車運転の業務は、長時間労働による過労が交通事故につながりかねず、労働者の安全に加えて、一般市民の安全をも脅かします。

 運輸業界の人手不足対策としては、過当競争による不当値引きの厳しい取締りなどで、賃金引上げが可能な状況を生み出すことこそが必要です。猶予期間は見直すべきであります。

 長時間労働による過労死などを防ぐためには、インターバル規制が不可欠です。

 欧州では、退社してから出社するまで、最低でも十一時間の確保を法律で義務づける制度が広く実施されています。

 私たちは、作成中の対案の中で、インターバル規制の導入も具体的に提案をしてまいります。

 もっとも、どんなによい制度をつくっても、違法行為がまかり通ったままでは何の解決にもなりません。従来の制度でも、きちっと守られてきたならば、過労死や過労自殺の一定程度は防げたはずです。

 法改正と同じくらい、監督体制の強化が不可欠ですが、労働基準監督官の数は、国際労働機関、ILOの求める労働者一万人当たり一人という基準に対し、これを大幅に下回る〇・六人余りであります。

 労働基準監督署の人員不足についての認識と、体制強化策について、厚生労働大臣にお尋ねします。

 また、同一労働同一賃金の制度が機能するには、挙証責任を雇用者側に持たせることが不可欠ですが、この点についての厚生労働大臣の認識を伺います。

 長時間労働が特に問題な分野の一つが教員です。小中学校教員の七割が勤務時間を記録していないという調査結果もあります。

 労働時間の上限規制を厳格に守ることで、教員の肉体的、精神的余裕を生み出さなければ、疲れ果て、やむを得ず目の前のことだけに追われる、そんな先生方がますますふえてしまいます。これでは、子供たちによりよい教育を提供することができません。

 教員の長時間労働の実態に関する認識と、その改善策について、総理にお伺いをいたします。

 原子力発電所の輸出に関して、政府が事実上保証をするというニュースが注目されています。これに対して私たちは、一日も早く原発ゼロを実現するための法案を三月十一日までに提出する予定で、これから全国でボトムアップ型のタウンミーティングを開催するなど、精力的に準備を進めています。

 原発が本当に経済的であるならば、政府が深く関与しなくても輸出が進むはずです。経済的合理性よりもリスクの方が大きいから、民間だけでは進まないのではないでしょうか。

 原子力発電について、中長期的に本当に経済的合理性があると考えているのか、根拠も含めて、総理の認識を伺います。

 北朝鮮によるミサイル開発、核開発が続き、挑発的な行動が繰り返されています。尖閣諸島周辺の日本の接続水域に中国の潜水艦が不正に侵入するという事件もありました。

 我が国の領土、領海、領空を守るため、着実な防衛力の整備が重要であります。

 政府は、専守防衛との関係について十分説明しないまま、巡航ミサイルやイージス・アショア、ステルス戦闘機や新型迎撃ミサイルなど、米国の有償軍事援助、FMSで、高価な装備の導入を次々と決めています。

 ところが、有償軍事援助では、示されている価格や納入期限も見積りに過ぎず、米国政府はこれに拘束されないなど、米国に有利な内容になっていると伝えられています。本当に、これら高額な装備が専守防衛に反しないのか、価格が適正であるのか、費用対効果の観点で適切であるのか、十分な説明が不可欠です。

 他方、こうした高価な正面装備偏重の陰で、現場で日々任務に従事している自衛隊員の皆さんの衣服などの装備品や、宿舎などの整備に回る予算等に影響が出ているとの声も聞こえてきます。こうした予算こそ、現下の厳しい安全保障環境のもとで、いち早く充実させるべきであります。

 先ほどの高額な装備について、必要最小限の装備であるのか、価格が適正であるのか、費用対効果の観点で適切であるかの具体的な説明を防衛大臣に求めます。また、隊員の衣服等の装備品や宿舎等の整備におくれや問題が出ていないかもお答えください。

 沖縄では、米軍ヘリの事故が相次ぎ、小学校校庭に落下物があって、一歩間違えれば子供たちの命にもかかわりかねない事態でした。政府からの申入れも米軍には馬耳東風。昨日もヘリの不時着がありました。飛ばなくなったはずの小学校上空を飛んでも、曖昧にごまかすほどです。これ以上今の状況が続けば、本当に日本を守るための沖縄米軍基地であるのか、疑問の声がますます強くなるでありましょう。

 日米安全保障条約と在日米軍基地は、日本の安全保障に貢献する重要な役割を担っています。しかし、日本が一方的に守ってもらっているわけではありません。

 太平洋の西側に安定的な同盟国と米軍基地が存在していること、これは、米国の国際戦略と国益に大きく貢献をしています。米国にとっての在日米軍基地は、米国の国益に資するための存在なのです。米国の不適切な運用などに対しては、遠慮することなく、毅然とした姿勢で臨むべきであります。

 私たちは、地位協定の改定を含め、ヘリの飛行中止などを更に強く米国に求めること、特に辺野古の基地建設については、少なくとも一旦立ちどまって、沖縄の皆さんの理解を得るための方策を模索するよう求めます。

 沖縄での一連の米軍ヘリ事故と沖縄の県民感情について、総理の見解を伺います。

 立憲民主党は、カジノ解禁に反対し、ギャンブル依存症対策法案とIR推進法廃止法案を既に提出しました。

 森友、加計問題を繰り返さないための公文書管理法と情報公開法の改正案も出しました。

 組織犯罪防止法のうち弊害の大きい共謀罪部分を廃止する法案は既に提出済みですが、加えて、テロ対策のために真に制定が急がれる航空保安法案も提出する予定です。

 さらに、多様性ある社会を目指して、LGBT差別解消法案、夫婦別姓の選択を可能とする民法改正案、手話言語法案、農業者戸別補償法案など準備を進めています。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に向け、特に原発事故によって分断されたコミュニティーの再生を支援することなどを内容とする復興加速法案については、被災者、被害者の草の根の声に寄り添って検討を急ぎます。

 安倍総理は、施政方針演説で、「国のかたち、理想の姿を語るのは憲法です。」と言いました。しかし、憲法の定義は、統治の根本となる基本的な原理原則に関するルールであり、近代国家では、主権者が政治権力を制限するルールを意味します。一党独裁国家でもない限り、理想の姿は、各政党が綱領や政策という形で示し、選挙等を通じて、その都度国民の声に基づいて選択し、修正をしていくものであります。

 これは主義主張の問題ではなくて、定義の問題です。定義について特異な認識を前提としたのでは、真っ当な議論ができるはずがありません。

 集団的自衛権の行使容認は、立憲主義に反します。これを含んだ安保法を廃止し、領域警備法案を始め、真に領土を守るために必要な法整備と置きかえる法案を提出します。

 大阪での住民投票や英国におけるEU離脱に関する国民投票など、現在の国民投票法制定後の新たな知見に基づき、国民投票法改正案の提出も視野に、その見直し議論を進めてまいります。

 総理は、野党に対し、口を開けば、対案を出せと言ってきました。私たちのこれら提案に対しては、政府なり自民党なりからもぜひ対案を出していただいて、国会審議に応じていただきたいと思います。

 与党の一部からは、既に与党が十分に検討をして賛成を決めて提出した予算案や政府提出法案について、野党の質疑時間を削り与党に回せという妄言が出てきています。こんな妄言には到底同意できませんが、立憲民主党提案の法案審議の際には、党内議論を済ませている我が党議員の質疑時間はごくごく短時間で結構ですので、自民党の皆さん、納得いくまで、五十時間でも百時間でも、どうぞ質問していただきたいと思います。

 立憲民主党は、新しい綱領を踏まえ、国民の皆さんの現場の声とつながるため、つながる本部をつくりました。順次設立している都道府県組織にも同様の仕組みをつくり、国民の皆さんの声を幅広く受けとめる仕組みを充実させてまいります。また、これまでの党員組織とは異なるパートナーシップメンバーの制度をつくり、幅広い皆さんに気軽に参加していただける仕組みも用意をいたします。ツイッターでは、選挙以来、ハッシュタグ立憲ボイスなどを通じて、皆さんからの意見を募集しています。SNSなどについても更に利用しやすい方策を模索してまいります。

 今の政治に不信や不安をお持ちの国民の皆さん、こうした仕組みを利用していただき、民主政治の当事者として、政治に参加し、日常の暮らしや働く現場の声を届けてください。

 そんな思いを込め、ことしも引き続き国民の皆さんに訴えます。

 私には、あなたの力が必要です。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 枝野幸男議員にお答えをいたします。

 答弁に先立ちまして、昨日の本白根山の噴火により亡くなられた自衛官の方に心から哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 政府としては、本白根山について、新たに観測機器を設置し、観測体制を強化するなど、対応に万全を期してまいります。また、今後、火山の監視、観測、研究体制の充実強化、登山者等の安全確保対策の推進など、火山防災対策の強化に取り組んでまいります。

 高齢者の貧困についてお尋ねがありました。

 高齢者の生活状況については、国民生活基礎調査や全国消費実態調査などのさまざまな統計データの活用により、多角的な実態把握に努めており、長期的に見れば、高齢の単身女性も含め、高齢者の相対的貧困率は緩やかに低下傾向にあります。しかしながら、高齢の単身女性も含め、低所得、低年金などにより厳しい生活を送られている方がいることも事実であります。

 このため、低所得の高齢者の方々への対策については、社会保障と税の一体改革において、年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮、年最大六万円の年金生活者支援給付金の創設、医療、介護の保険料負担軽減など、社会保障全体で総合的に講じることとしており、これらにしっかり取り組んでまいります。加えて、将来に向けて老後の所得保障を厚くするため、高齢期の就労機会の確保、女性の就労支援、厚生年金の適用拡大等にも取り組みます。

 こうしたさまざまな施策により、できる限り高齢者が生活に困窮することのないよう支援していくことが重要と考えております。

 生活保護基準や最低賃金の引上げについてお尋ねがありました。

 低所得世帯の消費を支える賃金引上げについては、安倍政権になって以降の四年間で、最低賃金を約百円引き上げました。さらに、年率三%程度を目途として引き上げていき、全国加重平均で千円を目指していきます。

 また、生活保護基準については、健康で文化的な最低限度の生活を保障する観点から適正な水準となるよう、専門的かつ科学的な見地から定期的に検証を行っています。

 今回の検証では、生活扶助基準について、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性ごとに一般低所得世帯の消費の実態と基準額との乖離を是正するため、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じるものです。

 ただし、モデル世帯では一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、生活扶助基準を全体として引き下げるものではありません。

 なお、減額となる世帯への影響を緩和するため、減額幅を最大でも五%以内としつつ、三年をかけて段階的に実施することにしています。

 加えて、今回、貧困の連鎖を断ち切るためにも、児童養育加算の給付対象者を高校生に拡大します。

 これらにより、子供のいる世帯の約六割では基準額が増額となる見込みです。

 さらに、大学等への進学準備の一時金として、自宅から通学の方は十万円、自宅外から通学の方は三十万円の給付を創設します。また、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費減額を取りやめるなど、生活保護世帯の子供に対する支援を強化します。

 このように、生活保護基準は今後とも適正な水準としていく必要があると考えていますが、一方で、不正受給に対しては、調査の徹底など、その発見、防止に取り組んでいきます。

 森林環境税についてお尋ねがありました。

 森林環境税、仮称でありますが、については、パリ協定の枠組みのもとでの我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、今国会に提出予定の森林経営管理法案を踏まえ、創設することとしたものです。

 その使途については、地方団体からの要望等も踏まえ、地域の実情に応じて市町村が森林整備及びその促進に関する事業を幅広く弾力的に実施できるようにしてまいりたいと考えております。

 佐川国税庁長官の人事についてお尋ねがありました。

 国税庁長官の人事については、他の全ての人事と同じく、適材適所の考え方に基づき行ったものであります。

 なお、森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。

 国有地は国民共有の財産であり、その売却に当たっては、国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。私としても、国有財産の売却について、業務のあり方を見直すことが必要と考えており、関係省庁において今後の対応についてしっかりと検討をさせているところです。

 具体的には財務大臣から答弁させます。

 教員の長時間勤務についてお尋ねがありました。

 教員の勤務実態を踏まえ、業務の見直しなどを行う、教員の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題であると認識しております。

 このため、適正な勤務時間管理の実施、業務の効率化、さらには学校の指導、事務体制の効率的な強化などについて緊急対策を取りまとめ、必要な経費を平成三十年度予算案に盛り込んだところです。

 今後とも、教員の長時間勤務の是正にしっかりと取り組んでまいります。

 原発の経済的合理性についてお尋ねがありました。

 徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが安倍内閣の一貫した方針であります。

 他方、多くの原発が停止している中で、現在、震災前に比べ、一般家庭では平均で約一〇%電気代が上昇し、国民の皆さんに経済的に大きな御負担をいただいている現実があります。こうした経済的なコストも踏まえれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。

 海外においても、エネルギー安全保障、地球温暖化対策の観点とあわせ、こうした経済合理性の観点から原発建設の計画を進めている国は数多くあります。

 我が国の原子力にかかわる国際協力は、このような各国のニーズに応えるとともに、我が国の原子力技術、人材の基盤を維持強化していくことを通じて、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応に我が国としてしっかりと責任を果たしていくとの観点に立ち、行うものであります。

 今後も、福島の知見や教訓を生かしながら、安全最優先で取り組んでまいります。

 米軍ヘリの事故と沖縄の県民感情、普天間の移設、日米地位協定についてお尋ねがありました。

 戦後七十年以上を経た今もなお、なぜ沖縄だけが大きな基地の負担を背負い、また、米軍の事件、事故により安全、安心が脅かされるのか、そのような沖縄県民の方々のお気持ちは十分に理解し、また真摯に受けとめています。

 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。トランプ大統領にも直接伝え、大統領と地元の方々の懸念を軽減する重要性を再確認しています。マティス国防長官からも、謝罪とともに、再発防止について重要な課題として取り組むとの表明がありました。

 安全の確保は、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。

 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、もはや待ったなしの課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。

 辺野古への移設が実現すれば、飛行経路は海上となり、安全性は格段に向上します。騒音も大幅に軽減され、住宅防音が必要となる世帯は、現在の一万数千からゼロになります。

 辺野古移設は最高裁判所の判決に従って進めているものです。今後とも、丁寧な説明に努め、御理解、御協力が得られるよう、粘り強く取り組んでいきます。

 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応していきます。安倍政権のもとでは、二つの補足協定の作成が、日米地位協定締結から半世紀を経て初めて実現しました。今後とも、そのような取組を積み上げることにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していく考えであります。

 今後とも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くしてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 枝野議員から、給与所得控除の見直しと所得税の負担のあり方、国税庁長官の人事、国会答弁などに関する自分への報告について、計三問お尋ねがあっております。

 まず、今般の給与所得控除の見直しと所得税の負担のあり方についてのお尋ねがありました。

 給与所得控除の見直しにつきましては、給与所得者の勤務関連支出や主要国の概算控除額と比べて過大となっているということを考慮し、控除が頭打ちとなる給与収入を八百五十万円超に引き下げることといたしております。ただし、子育て世帯、介護世帯に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とはなりません。

 御指摘の消費性向につきましては、所得が高いほど低くなる傾向にあります。したがって、消費を含めた国民生活への影響は限定的であって、経済対策として逆行との御指摘は当たらないと考えております。

 また、申告された金融所得を含む所得に対する所得税の負担率については、平成二十七年度の申告所得税標本調査をもとに試算をいたしております。これによれば、所得が一億円を超えると負担率が下がるという姿となっております。

 金融所得に対する課税のあり方については、平成三十年度の与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援することとともに税負担の垂直的な公平性を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討するとされているところでありまして、丁寧に検討する必要があると考えております。

 次に、国税庁長官人事についてのお尋ねがありました。

 国税庁長官の人事につきましては、他の全ての人事と同じく、それぞれのポストに最もふさわしい人材を適材適所で配置するといった考え方に基づいて行ったものであります。

 佐川長官は国税庁長官としての職務を適切に行っていると考えており、引き続きその職責を果たしてもらいたいと考えております。

 また、森友学園への国有地売却については、引き続きしっかりした説明に努めるとともに、国会等からのさまざまな御指摘を踏まえ、手続の明確化等を図るため、国有財産の管理処分手続についての見直しを行っているところであります。

 最後に、国会答弁などに関する自分への、私への質問についてのお尋ねもあっております。

 国会における事務方答弁や行政文書の管理につきましては、基本的な方針、考え方やルールについての報告を受けており、事務方によります個々の答弁や行政文書の管理はこれを踏まえて行われているものと承知をいたしております。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 枝野議員から六問の御質問を頂戴いたしました。

 保育士の処遇について、政権交代後、合計一〇%改善し、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行っているところであります。

 また、平成二十九年度補正予算案及び平成三十年度予算案においては、人事院勧告に伴う国家公務員給与の引上げに準じて一・一%の処遇改善を盛り込んでおります。

 次に、待機児童の解消及び幼児教育、保育の無償化についてのお尋ねがございました。

 待機児童の解消については、子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を確保することとしており、最優先で取り組んでおります。

 また、幼児教育、保育の無償化に関し、幼稚園、保育園、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等については、昨年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおいて、専門家の声も反映する検討の場を設け、現場及び関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ、保育の必要性及び公平性の観点から、本年夏までに結論を出すとされており、先日、二十三日に第一回の会合を開催したところであります。

 三つ目に、介護人材の処遇改善についてお尋ねがございました。

 介護人材の処遇改善については、昨年十二月に閣議決定いたしました新しい経済政策パッケージに基づき、二〇一九年十月より、介護サービス事業所における勤続年数十年以上の介護福祉士について月額平均八万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費一千億円程度を投じ、処遇改善を行うこととしております。

 その対象者については、新しい経済政策パッケージにおいて、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めるとしており、今後検討していくこととしております。

 また、全産業平均との賃金の比較について、例えば、処遇改善の取組が始まる前の平成二十年と直近の二十八年の賃金構造基本統計調査における、産業計と福祉施設介護員の決まって支給する現金給与額を比較した場合、平成二十年では約十一・三万円、平成二十八年では約十・五万円となっております。

 なお、この調査における福祉施設介護員については、介護事業以外の職員も含まれていることや、勤続年数などを考慮したものではないことなどに留意することが必要であります。

 いずれにしても、今後とも、介護人材の処遇改善に向けて全力で取り組んでまいります。

 四番目に、生活保護の不正受給と、保護を受けていない方の状況についてお尋ねがございました。

 生活保護費の不正受給については、平成二十八年度は四万四千四百六十六件であり、不正受給金額は約百六十八億円となっております。

 また、申請をすれば生活保護を受給できるが受給していない方については、申請がなされなければ、保有する資産や親族からの扶養の可否などの調査、働いて収入を得る能力の把握などが困難であるため、正確に把握することは困難であります。

 五番目に、労働基準監督署の体制についてお尋ねがございました。

 労働基準監督署には、長時間労働の是正など監督指導を通じた法令遵守の徹底、労働災害の防止、迅速な労災補償の実施などが求められており、これまでも、労働基準監督官の増員を図るなど、必要な体制の確保に努めてまいりました。

 働き方改革を通じ、働く方々の労働条件をしっかり守っていくため、来年度より、全ての労働基準監督署に特別チームを新たに編成し、長時間労働是正のための監督指導の徹底、法令に関する知識や労務管理体制などが必ずしも十分でない中小企業等に対するきめ細やかな支援を効果的に推進することを検討しております。

 必要な人員の確保と課題に対応した体制の見直しを通じ、労働基準監督署の体制確保に努めてまいります。

 最後に、同一労働同一賃金についてのお尋ねがございました。

 裁判上の立証責任については、労使どちらが負うかという議論もありますが、訴訟においては、訴える側、訴えられる側がそれぞれの主張を立証していくことになるのが当然ではないかと考えております。

 しかしながら、企業側しか持っていない情報が得られないために労働者が訴訟を起こせないといったことがないようにする必要があります。

 このため、雇入れ後に、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者からの求めに応じて通常の労働者との待遇差の内容及び理由についての説明義務を課すとともに、待遇差について説明を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止することなどを内容とする法案を国会に提出すべく、準備を進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 枝野議員にお答えします。

 最近の防衛装備品の導入とその影響についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国の防衛については、質及び量を必要かつ十分に確保することが不可欠であります。こうした観点から、高い性能を有する最新鋭の装備を導入することは、専守防衛は当然の大前提としながら、我が国の防衛力を強化していくために非常に重要です。

 高性能の装備品の取得に当たっては、我が国の防衛に必要な能力を有するものであることを確認し、FMS調達の場合であっても米国と価格交渉を行うなど、費用対効果を高める努力を行っております。私自身、マティス米国防長官に直接FMS調達の改善に向けた申入れを行うほか、防衛装備庁長官を先週米国に派遣するなど、さまざまなレベルで働きかけを行っております。

 また、隊員の被服や宿舎等、隊員の勤務環境の重要性に言及していただき、感謝申し上げます。これらの整備には一定の費用や期間を要するものがあり、計画的に取り組んではおりますが、引き続き、現場の隊員が日々の任務に邁進できる環境の整備に努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 二階俊博君。

    〔二階俊博君登壇〕

二階俊博君 自由民主党の二階俊博です。

 私は、自由民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の施政方針演説に対し質問をいたします。(拍手)

 昨日、草津の白根山が噴火し、不幸にも訓練中の自衛隊員がお亡くなりになりました。心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、けがをされた方々に対し、改めてお見舞いを申し上げます。

 昨年の七月の九州北部豪雨及びその後の各地における一連の台風、豪雨等、多くの災害が発生しました。今なお行方不明の方がいる現実を、私たちは重く受けとめなければなりません。

 一昨年四月に発生した熊本地方の被災地では、いまだ四万人以上の方が仮住まいを余儀なくされています。東北の復興も道半ばであります。一日も早くこれらの被災者の方々がもとの生活に戻れるように、全身全霊を尽くして、私たちの、政治の使命として努力しなければなりません。

 我々は、いっときも被災地の皆さんのことを忘れてはならない、そしてこれからも決して忘れない、このことをお誓いして、質問に入ります。

 昨年の九州北部豪雨を契機に、私は二つの改革を政府に求めました。

 一点目は、激甚災害指定の迅速化であります。

 被災地を訪れるたびに、地元の皆さんから、直ちに激甚災害に指定してほしいと言われます。被災者の皆さんに一刻も早く安心していただき、被災自治体が財政面で不安なく全力で災害復旧に取り組むことができるようにするために、激甚指定の迅速化が重要であります。

 二点目は、災害復旧改革であります。

 昨年の九州豪雨の災害の際に、記録的な降雨による中小河川の氾濫や山腹崩壊、これに伴う土砂、流木被害等があります。甚大な被害が生じた際には、従来の災害にとらわれずに、再度の被災を防ぐためには、改良復旧を原則とすべきであります。

 政府は、甚大な災害を受けた河川の治水機能を集中的に強化する改良復旧を行うとともに、全国の中小河川でも緊急点検を実施し、治山治水対策を進めていく方針と聞いております。

 同じ被害を繰り返さないために、災害復旧改革、この件に関し、今般の予算にどのように反映されているのか、安倍総理に改革の中身とその真意を御説明をお願いしたいと思います。

 年初から、証券市場は大きく値上がりしましたが、この動きは、市場関係者のみならず、多くの国民の皆さんが、ことしはひょっとしたらよい年になるのではないか、そういう期待を持たれたのではないかと思います。

 日本国じゅうが挙げて経済の再生に取り組み、やっとここまでたどり着いてまいりましたが、デフレ脱却という大目標を達成するためには、未来への投資を大胆に実行することが肝要であります。人づくり革命は、人生のさまざまなステージに手厚い支援を行っていくものであり、生産性革命は、日本経済の変革を促すエンジンであります。

 これらの実現に向けて、安倍総裁の御決意をお伺いします。

 今国会の最大のテーマは働き方改革であります。同一労働同一賃金、また長時間労働の是正、取り組むべき課題は幾つもあるのであります。

 働き方改革は、働く人の満足度と生産性を上げていくために行うものであり、働くモチベーションを上げていくことがその目的であります。何かとイメージで語られやすいわけでありますが、より具体的な事例に関して丁寧に説明していくことが求められています。

 安倍総理には、働き方改革の実現に向けて、国民にわかりやすく語りかけていただきたいと思います。

 企業の内部留保は四百兆円を超え、過去最高となっております。その一方で、特に昨年秋以降、データ改ざんなど、我が国を代表する企業の不祥事が相次ぎました。現場では一体何が起こっているのか、私たちは、世界的な大競争の中で戦い抜く企業の現状を深く知る必要があります。

 これまでの延長線上だけでは衰退をしてしまいます。世界と戦うためには、イノベーションを起こし、高付加価値で勝負しなければなりません。そのために、高度化投資やあるいは人材育成に、政府はこれまで以上に企業を後押しし、挑戦する環境をつくっていくべきであります。総理のお考えをお尋ねいたします。

 北朝鮮は、昨年、たび重なる弾道ミサイル発射と通算六回目の核実験を行い、残念ながら、その能力は急速に向上しています。このことは深刻かつ重大な事態であり、世界を恐怖に陥れる暴挙は、決してこれを許すわけにはまいりません。

 政府は、国民に必要な情報提供を行い、直ちに国家安全保障会議を開催し、万全の体制で危機に対して対応しています。安倍総理が、アメリカや中国、韓国、ロシアなどの指導者に積極的に働きかけ、国際社会を主導する姿は、多くの国民に安心感を与えてくれております。

 また、北朝鮮と見られる漁船が日本海側に大量に漂着している事実は、沿岸の住民にとっては大きな不安であり、この問題に政府は総合的に対応していく必要があります。

 今後、北朝鮮にどう対峙していくのか、我が国の外交・安全保障政策のあり方などと拉致問題の解決、あわせて日中韓サミットの開催の見通し等について、安倍総理にお尋ねをいたします。

 尖閣列島を始め、東シナ海や日本海など、領海警備や海上治安の維持に当たる海上保安庁の現場は、常に危機と隣り合わせで緊張しております。

 厳しい現場での任務を果たす海上保安庁の皆さんの、一つ間違えば国際問題となりかねないような重要な任務、常に緊張感を持って自分の判断に責任を持ちたいという話に、私は真剣に耳を傾けなければならないと思っております。

 私も運輸大臣の時代に、本土から約千キロ離れた小笠原海上保安署の視察を行い、日夜、警戒監視、海難救助に当たっておられる海上保安官の頼もしい姿に感銘を覚えたことを今でも忘れてはおりません。

 四方を海に囲まれた島国である我が国にとって、海上保安庁の体制を大胆に強化し、国民の安全、安心を確保していくことは極めて重要なことでありますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。

 総理は、昨年五月三日のビデオメッセージにおいて、自衛隊は憲法違反なの、お父さんは何か悪いことをしているのと問い詰められる自衛隊員の心情に思いをはせられました。北海道の災害現地に人命救助に向かう途中で命を落とした自衛官のみたまに、そしてその家族に、きちっと憲法に自衛隊が明記されたことを報告したいとも、後に述べられています。

 私は、それを多としたいと思います。まさに命を賭して任務を遂行しようとする公務員の心に、我々は尊厳と誇りと勇気を与えなければなりません。総理のこれに対するお考えをお尋ねしておきたいと思います。

 首脳間の人間的な信頼関係は外交の基本であります。地球儀を俯瞰する外交を、積極的平和主義に基づき、引き続き展開していただきたいと思います。

 昨年は、日中国交正常化四十五周年の節目の年でありました。私自身も、五月には中国における一帯一路フォーラムに出席し、八月と十二月には日本と中国で日中与党交流協議会の開催がありました。

 日中関係は極めて重要な二国間関係であり、世界じゅうがこの関係の行く末に注目しています。過去に厳しい時代もありましたが、どんなときもお互いの交流の機会を絶やすことなく、間断なくお互いに交流を続けることが大切であります。

 昨年以来、両国関係改善の機運が高まってきております。また、春暖のときを迎えたとも言われ、お互いがこの道で進んでいくということに対して強く意識し始めたのではないか、私にはそう感じられます。

 政府は一帯一路構想に今後どのような考えでかかわっていくつもりか、また首脳往来について、安倍総理にお伺いをします。

 農林水産業を成長産業化させていくためには、成長著しい海外マーケットを取り込んで輸出を拡大していく取組が不可欠であります。

 そのための課題の一つに、福島県第一原子力発電所事故に伴う諸外国の輸入規制への対応があります。政府一体となった働きかけの結果、二十六カ国と地域で撤廃されておりますが、中国では、十都県の食品の輸入がいまだに規制を受けているということは事実であります。

 私は、昨年十二月、日本産の食品に対する放射線に係る規制等に、中国の担当局長と意見を交わす機会がありましたが、これまでとは違い、前向きな反応があったと認識しております。

 安倍総理は、これらの規制の撤廃、緩和について、復興に取り組む皆さんに勇気を与えることができるよう、積極的な御答弁を承りたいと思います。

 意識の変化はチャンスであります。平和友好条約四十周年の本年は、この流れを更に加速させて、さまざまな分野で交流を続けていくことが大事であり、重要な年にしていかなくてはなりません。

 昨年十二月、中国共産党の幹部候補生たちを育成する中央党校で講演をする機会があり、私は、中央党校の研修生を前に、日本に招待することを提案しました。日本の若手政治家との交流は双方にとって大変有意義であり、私たち政治に身を置く者がみずから率先して行動しないと何も始まりません。

 私は、これからの日中関係は、長期的な展望に立って、ともに未来をつくるということが求められているのではないかと考えております。ともにつくる、共創という新しい考えのもと、日中両国は世界の恒久平和を目指していかなければなりません。

 木を植え、種をまき、そして井戸を掘る。私自身、このような気持ちで議員外交にきょうまで取り組んでまいりました。

 世界の若者の活発な交流が、やがて大きなうねりとなり、それぞれの分野で成果を出す。そして世界平和の花を咲かせることに、私は、これは十分期待ができるし、今後もこれに対して党外交を展開していきたいと思っております。

 昨年の訪日観光客は、御承知のとおり、二千八百万人を超え、これまでの長年にわたる関係者の御努力が実を結び、観光立国への道を着実に歩みつつあります。ビザ緩和やクルーズ船対策等、効果が次々にあらわれております。

 来年一月には国際観光旅客税も創設されることも決まり、税関、入国管理、あるいは検疫機能の充実やテロ対策など、安心、安全の体制も急務であります。

 観光という言葉は、易経の国の光を観るという言葉が語源とも言われております。今では観光を語らない自治体関係者はいなくなりましたが、自国の文化や伝統を発信する一方で、他国のすぐれた部分を学ぶ姿勢も重要であります。その観点から真の観光立国を目指すために、インバウンドだけではなくて、双方向での観光交流が重要であります。

 観光分野での我が国の方向性と具体策について、安倍総理のお考えをお尋ねしたいと思います。

 私たち日本人は、長い歴史の中で鯨とともに歩んでまいりました。捕鯨と、鯨と生きる文化は、次の世代に伝承していかなければならない、これは我が国固有の文化であります。山口県下関市の鯨料理専門店のくじら館のおかみは、鯨を食べる文化を若い人に伝えたい、訪日外国人にも体験してほしいと切々と語っておられます。

 その切実な思いを実現し、多様な食文化を相互に尊重するという観点から、商業捕鯨の再開を実現しなければなりません。

 ことし九月、IWC総会に向け、四十七年ぶりの日本人議長のもと、議論の正常化に向けた努力が行われていますが、ことしのIWC総会は、我が国の悲願でもある商業捕鯨の再開に向けて道筋をつけるというために、国は全力を挙げなければなりません。

 今後の捕鯨政策の進め方について、総理の御決意を承りたいのであります。

 私は、昨年の中国福建省へ出張の際、福建省の方々と沖縄県の富川副知事と御一緒でありました。副知事からは、帰国後、こんな手紙がありました。

 沖縄を一帯一路の日本への入り口と考えてくださり、感謝にたえない。今後、迅速な通関体制等、必要な措置を行えば、沖縄県と福建省との貿易が飛躍的に拡大するものと思います。

 私は、これを読みながら、ともに努力していく決意を新たにしたところです。

 沖縄の問題は、決して沖縄だけの問題ではありません。日本全体の問題だと考えます。

 米軍ヘリの不時着は、今月に入って、御承知のとおり、これで三度目、起きておるのであります。昨今相次いでいるこの問題は大変遺憾であり、政府としてアメリカに強く抗議し、原因究明と再発防止に対して全力を尽くす決意をとることは当然のことであります。

 私自身も、米国大使館の首席公使に会い、沖縄県のみならず、日本国じゅうが怒りに満ちていることを厳重に抗議したところであります。

 私は、沖縄が万国津梁の地として、世界に冠たるその平和文化を高らかに発信できるよう、昨年、世界津波の日高校生サミットを沖縄で開催するなど、力を注いでまいりました。

 沖縄に対する思いについて、私はこの際、改めて総理にお伺いをしたいと思います。

 誰一人見捨てない。誰一人忘れない。誰もひとりぼっちにはさせない。無駄な人間などはどこにもいない。無駄な中山間地域などどこにも存在しない。

 全ての人に生き生きと過ごしていただくことが、地方創生を目指す政治の真髄であると考えます。

 例えば、地方に活気をもたらす例として、本社機能の地方移転があります。

 石川県小松市に研究施設を開設する方、東京からの地方移転を進めてきたコマツの坂根相談役が、石川県は物価が東京よりもずっと安い、子育てもしやすい、社員の婚姻率も上がり、子供の数もふえた、こうして分析されておるのであります。

 また、YKKAP株式会社は、北陸新幹線の開業を機に、富山県黒部市に開発機能の一部を移転しました。家賃が安いので会社の近くに住むことができる、通勤時間が短くなったので、自然が近いので、登山、スキーなど気軽に行ける、社員から喜びの声が寄せられ、社内が活気にあふれているとのことであります。

 地方経済にとって宝であるはずの中小企業を守り抜くため、使い勝手のよい事業承継税制の改正が行われたことは、まことに時宜を得たものと言えます。

 こうしたよい事例がある一方で、人口減少や少子高齢化が進む中で、地方の、漠然と不安を抱いている人たちがまだまだたくさんおられることに、我々は注意を向けなくてはなりません。今こそ、将来に希望を見出せるような長期ビジョンを示す時期に来ているのであります。

 地方創生の今後と中小企業の支援について、総理のお考えをお尋ねしておきます。

 我が国は、未来の生活をテーマに、二〇二五年の大阪での大阪万博誘致に取り組んでいるところでありますが、国を挙げて誘致に取り組むには、政党や会派の違いなどありません。今こそ一致団結して、私たちは、競合する各国と戦っていかなくてはなりません。

 改めて、これに対する総理の御決意を伺っておきたいと思います。

 現行憲法は、施行から七十年が経過しました。この間、国民主義、基本的人権の尊重、平和主義など、憲法の基本原理は国民の中に定着し、国民の福祉、国民の発展に大きな役割を果たしてまいりました。

 憲法は、言うまでもなく、国民のものであり、国の形そのものであります。改正には、国会が発議し、国民投票によって決まっていくことでありますが、国民に問うにふさわしい論点を私たちが提示することが必要であります。

 そうした観点から、我が国は、昨年、憲法改正に関する論点の取りまとめを進めております。

 それは、安全保障にかかわる自衛隊、あるいはまた統治機構のあり方に関する緊急事態、一票の格差と地域の民意反映を問われる合区解消、そして、国家百年の計たる教育の充実の四項目であります。

 私たち自由民主党は、国会で改憲論議を充実させていくためには、この四項目を含め、各党各会派から出される御意見等を十分検討してこのことに対して対応していかなくてはなりませんが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 今の日本は、他人に対して関心のない社会になってしまったとやゆする人もおります。およそ他人とかかわり合いなく生きていける人など、実際はどこにもいません。

 振り返れば、平成七年の阪神・淡路大地震の後にボランティア活動が日本社会に芽吹き、共感を覚え、多くの皆さんの協力がありました。

 先日の晴れ着の詐欺事件は決して許すことのできない事件でありますが、各地で手づくりの成人式をボランティアでやろうという支援の輪が広がっていることは、本当に頭が下がることであります。

 詐欺に遭った被害者の皆さん、本当に、これらの人たちの心を癒やそうとする、そして晴れの日の瞬間を再現しようというこの日本社会、私は大いに誇りを持って歓迎すべきことだと思います。

 いつから、どこからでも、何回でもやり直せる、そのような人生、日本政府が先導していることに応えるために、思いやり、助け合い、そしてお互いさま、このことを肝に銘じて、日本人の生きざまは確実に深化しています。

 国に命を吹き込み、今求められている安倍総理に対し、私たちは、この状況にいかに総理としてのお考えをいただけるか、お願いをしたいと思います。

 命を守り抜くこと、ふるさとを愛し守り抜くことが、私たち政治活動の原点であります。

 これからもふるさとに責任を持ち、ふるさとを守り抜くことをお誓い申し上げ、ここに私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 二階俊博議員にお答えをいたします。

 災害対策についてお尋ねがありました。

 我が国は、その自然条件から、場所を問わず、さまざまな自然災害が起こりやすい環境にあります。一昨日は東京を始め各地で大雪となり、昨日も群馬県の本白根山が噴火しました。お亡くなりになった方々に心から哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 二階議員は、昨年の九州北部豪雨災害の被災現場を視察され、激甚災害指定の迅速化と災害復旧改革の二つの改革を政府に提起されました。

 激甚災害の指定については、御指摘のとおり、被災自治体が、財政面での不安なく、迅速に復旧復興に取り組めるようにするため、被害状況調査の国による積極的な支援や激甚災害指定見込みの早期公表など、運用の迅速化を昨年十二月に行ったところです。

 災害復旧改革については、特に、同様の被害を繰り返さないようにするための改良復旧が極めて重要と認識をしており、九州北部豪雨により大量の土砂、流木等が著しく埋まった河川については、川幅を広げるなどの改良的な復旧事業を採択するなど、災害復旧事業の適用拡充を行いました。今後、おおむね五年間で緊急的かつ集中的に河川の治水機能を強化する改良復旧等を行ってまいります。

 また、中小河川において水害が頻発したことを受け、治山対策では、流木被害の軽減、防止を図るため、治山施設の整備や間伐等の森林整備による災害に強い森林づくり対策を、治水対策では、氾濫防止、土砂流出や流木の防止、水位の監視強化対策を、今後、おおむね三年間で緊急的かつ集中的に推進することとしており、以上の対策に必要な予算については、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度予算に計上しているところです。

 政府としては、このような改革に取り組み、引き続き、被災地の復旧復興に全力を尽くすとともに、国民の生命と財産を守るため、火山防災対策も含め、ハード、ソフト一体となった総合的な防災・減災対策を推進し、国土強靱化を進めてまいります。

 人づくり革命と生産性革命についてお尋ねがありました。

 五年間のアベノミクスにより、日本経済は、足元で、二十八年ぶりとなる、七四半期連続のプラス成長、四年連続の賃上げにより、民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却の道を確実に進んでいます。

 この経済の成長軌道を確かなものとし、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、人づくり革命と生産性革命を車の両輪とする新しい経済政策パッケージを昨年十二月に閣議決定しました。

 人づくり革命は、人生百年時代を見据え、経済社会のあり方を大胆に改革するものです。

 具体的には、現役世代が抱える介護や子育ての不安を解消するため、介護や保育の受皿整備を進めます。また、これまで段階的に進めてきた幼児教育の無償化を一気に進めるとともに、給付型奨学金や授業料の減免措置を大幅に拡充することにより、真に必要な子供たちの高等教育無償化を実現します。さらに、幾つになっても学び直せる機会を確保するため、リカレント教育の拡充を図ります。

 生産性革命では、二〇二〇年に向けて、過去最高の企業収益をしっかりと賃上げや設備投資につなげていくことが必要です。

 このため、三%以上の賃上げなど、投資に積極的な企業には、法人税負担を二五%まで引き下げます。また、自治体の判断により、固定資産税をゼロにする新たな制度をスタートするなど、中小・小規模事業者の生産性向上を進めます。さらに、生産性革命に向けた新法を制定し、規制のサンドボックス制度により、企業が革新的なサービスにチャレンジできる環境を整えます。

 こうした取組によって、世界で胎動する生産性革命を我が国がリードしてまいります。

 働き方改革についてお尋ねがありました。

 安倍政権は、高齢者も若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んでおり、その最大のチャレンジが働き方改革です。

 非正規で働く方とお話をした際、現状では、正規と非正規の間には、給与だけでなく、通勤などの各種手当や忌引等にも格差があり、職場で一緒に頑張って成果を上げているのに、疎外感を感じ、やる気を失っていくことにもつながっていくとの話を伺いました。

 パートタイム労働者の賃金水準は、欧州諸国において正規雇用労働者に比べて二割低い状況でありますが、日本では四割低くなっているとの指摘もあります。

 このような現状を打破し、非正規という言葉をこの国から一掃します。これが、働き方改革の柱の一つである同一労働同一賃金です。

 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の理由のない待遇差を埋め、自分の能力を評価されているという納得感や働くモチベーションを高め、労働生産性を向上させていきます。

 また、高度成長時代の猛烈社員のように、長時間働いたことを自慢するような社会は、根本から改めなければなりません。

 欧州諸国と比較して、我が国の平均労働時間は長く、かつ、時間外労働を行っている労働者の割合も高くなっています。

 労働時間、長時間労働を是正していきます。

 今回、史上初めて、労働界、経済界の合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けます。

 長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者が仕事につきやすくなり、男性も子育てを行う環境が整備されます。

 経営者は労働者にどのように働いてもらうかに関心を高め、時間当たりの労働生産性向上につながります。

 以上のように、子育て、介護など、さまざまな事情を抱える皆さんが、意欲を持って働くことができ、誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと抜本的に改革します。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。

 企業のチャレンジを後押しすべきとのお尋ねがありますが、これまで日本経済の成長を牽引してきたのは、物づくりなどの現場において常に新しい付加価値を生み出すことに挑戦してきた人材の力です。それは、これからも変わることはありません。

 しかし、IoT、ロボット、人工知能など、革新的な技術の登場により世界的にビジネスのありようが劇的に変化する中で、激しさを増す国際競争に打ちかつためには、これまでの延長線上ではない、時代の潮流を先取りした挑戦が求められます。

 政府として、二〇二〇年を目指し、人材や設備に果敢に投資して革新的なイノベーションに挑戦する企業には、規制のサンドボックス制度の創設、法人税負担を二〇%まで引き下げることに加え、中小・小規模事業者には固定資産税をゼロとするなど、これまでにない大胆な政策を講じます。

 企業の未来への挑戦を力強く後押しすることで、我が国が誇る人材の力を最大限まで引き出し、日本経済の持続的な成長を実現してまいります。

 北朝鮮問題及び日中韓サミットについてお尋ねがありました。

 北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄させるため、安保理決議の完全な履行を始め、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めてまいります。

 同時に、日米の緊密な連携のもと、高度の警戒態勢を維持し、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。御指摘の違法操業を行う北朝鮮漁船の取締りを含め、我が国周辺海域の警戒警備にも万全を期してまいります。

 拉致問題は、安倍内閣の最重要課題です。北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、私が司令塔となって、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。

 日中韓サミットにおいては、お互いに都合のよい、できるだけ早い時期に開催したいと考えております。

 海上保安体制の強化についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、海上保安庁の諸君は、厳しい環境において、絶え間ない緊張感のもと、最前線で、二十四時間三百六十五日、命がけで我が国の海を守ってくれています。内閣総理大臣として、深く敬意を表します。

 我が国周辺海域を取り巻く状況は、尖閣諸島周辺では、中国公船による接近や徘回が依然として繰り返されており、また、日本海では、北朝鮮漁船による違法操業や木造船の漂流、漂着事案が多発するとともに、弾道ミサイルが何度も着水するなど、一層厳しさを増しています。

 こうした状況を踏まえれば、海上保安庁の装備や要員の充実強化は焦眉の急です。

 このため、平成二十八年十二月、政府として先を見据えた海上保安体制強化に関する方針を決定し、大幅な体制強化に着手いたしました。

 二十九年度補正予算及び三十年度予算においては、大型巡視船二隻、新型ジェット機一機や要員の増強、弾道ミサイル発射に対する航行警報発出の迅速化のための予算を計上しました。

 今後とも、海上保安体制の強化を段階的かつ着実に推し進め、我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの決意のもと、我が国周辺海域の警戒警備、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

 憲法への自衛隊の明記についてお尋ねがありました。

 私が自由民主党総裁として憲法改正の議論を深めるため一石を投じた思いの一端について、改めて申し上げたいと思います。

 近年の世論調査でも、自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は二割にとどまり、多くの教科書に合憲性に議論がある旨記述されています。自衛隊は違憲であると主張する有力な政党も存在します。

 自衛隊員たちに、君たちは、憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれというのは余りにも無責任であります。そうした議論が行われる余地をなくしていくことは、私たちの世代の責任ではないかと考えています。

 命を賭して任務を遂行する公務員の心に尊厳と誇りと勇気を与える必要があるとの御指摘は、まさにそのとおりであると考えます。

 憲法改正は、国会で発議し、最終的に国民投票で国民が決めるものです。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において議論を深め、前に進めていくことを期待しています。

 一帯一路及び日中間の首脳往来についてお尋ねがありました。

 アジアの旺盛なインフラ需要に日本と中国が協力して応えていくことは、両国の経済発展にとどまらず、アジアの人々の繁栄に大きく貢献します。

 一帯一路については、インフラの開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性等、国際社会共通の考え方を十分に取り入れることで、地域と世界の平和と繁栄に前向きに貢献していくことを期待しております。日本としては、こうした観点から協力していく考えです。

 日中間の首脳往来については、早期に日中韓サミットを開催して李克強首相を日本にお迎えし、その後、私が適切な時期に訪中し、その後には習近平主席に訪日していただきたい。このようなハイレベルの往来を重ねる中で、日中関係を新たな段階へと押し上げていきたいと考えています。

 日本産食品に対する輸入規制についてお尋ねがありました。

 原発事故に伴う諸外国の輸入規制については、私自身、首脳会談などのあらゆる機会を捉え、撤廃、緩和を積極的に働きかけ、これまでに二十六カ国で規制撤廃を実現しています。

 私は、毎日官邸で福島産のお米を食べており、その味は折り紙つきです。おいしくて安全な日本の農林水産物、食品をどんどん輸出していくことは、復興の大きな力になると確信しています。

 そうした中で、中国を含む諸外国の輸入規制の撤廃、緩和に向け、二階議員を始め与党の皆様が積極的な働きかけを行っていただいていることに、大変心強く感じております。

 今後とも、福島の復興なくして日本の再生なしとの強い信念のもとに、まさにオール・ジャパンでこの問題に全力で取り組んでいく決意であります。

 観光分野での我が国の方向性と具体策についてお尋ねがありました。

 観光は、我が国の成長戦略の柱であり、地方創生の切り札です。

 安倍内閣では、できることは全て行うとの方針のもと、観光立国の実現に向け精力的に取り組んでまいりました。

 この結果、昨年の訪日外国人旅行者は、五年連続で過去最高を更新し、二千八百六十九万人となりました。

 また、観光を通じて他国への理解を深め、活発な異文化交流を進めることも重要です。特に、若い世代の日本人が海外旅行に出かけ、世界の人々との双方向の交流を進めることが大切です。

 今後は、新たに創設することとしている観光促進税も活用し、瞬時に顔を認証して入管審査を通過できるゲートの整備や、海外の旅行安全情報を関係者間でリアルタイムに共有できる仕組みの構築など、日本人が安全かつ快適に海外旅行できる施策についても政府一丸となって進めてまいります。

 捕鯨政策の進め方についてお尋ねがありました。

 我が国では、古来、鯨を、食料としてのみならず、脂やひげをさまざまな用途に利用し、それぞれの地域で鯨を利用する文化を育んできました。こうした鯨の利用については、他の水産資源と同様に、科学的根拠に基づき持続的に行っていくべきと考えています。

 政府としては、我が国の目指すべき商業捕鯨の姿についての検討を進め、本年九月のIWC総会の機会を含め、商業捕鯨の早期再開のため、あらゆる可能性を追求してまいります。

 沖縄に対する思いについてお尋ねがありました。

 さきの大戦で、沖縄は国内で最も苛烈な地上戦の場となりました。痛ましい犠牲、筆舌に尽くしがたい苦難の歴史を経て、今私たちが享受する平和と繁栄があります。このことを深く心に刻み、常に思いをいたす、そうあり続けなければなりません。

 そして、戦後七十年以上を経た今もなお、沖縄の皆様には大きな基地の負担を背負っていただいています。到底是認できるものではありません。この事実を重く受けとめなければなりません。

 その上で、私たちは、国を挙げて、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出していかなければなりません。米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。安全の確保は、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。

 同時に、将来に目を向けると、沖縄は、日本のフロントランナーとして経済再生の牽引役となる可能性を秘めています。成長するアジアの玄関口に位置する地理的特性、日本一高い出生率といった優位性、潜在力を生かし、二階幹事長に御尽力いただいた国際会議の沖縄での開催も含め、重要な国家戦略として沖縄の振興を総合的、積極的に推進していく決意であります。

 今後とも、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、日本全体の問題として、必要な取組に全力を尽くしてまいります。

 地方創生の今後と中小企業の支援についてお尋ねがありました。

 日本の地方には、豊かな自然、新鮮な農水産物、子育てしやすい住環境、固有の歴史、文化、伝統など、さまざまな魅力があります。また、地方経済の中核を担う中小企業には、オンリーワンの技術など、すぐれた経営資源がたくさんあります。

 まさに国難とも呼ぶべき人口減少、少子高齢化は、地方にとって深刻な課題でありますが、地方や中小企業ならではの魅力や強みをしっかりと生かしていくことで、こうした危機も必ずや乗り越えることができる。未来に希望を持てる、元気な地方、元気な中小企業をつくり上げることができると考えています。

 みずからの魅力や強みを一番わかっているのは、その地方であり、中小企業の皆さんです。政府として、そうした皆さんの情熱、創意工夫を、一千億円の地方創生交付金のほか、中小企業に対する事業承継税制の拡充や設備投資への大胆な支援により後押しいたします。

 今後も、地方や中小企業の声にしっかりと耳を傾けながら、新しいチャレンジを促す環境を整えることで、地方創生と中小企業の成長を力強く応援してまいります。

 二〇二五年国際博覧会の大阪・関西誘致への決意についてお尋ねがありました。

 国際博覧会の国内への誘致は、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会となります。開催地のみならず、我が国各地を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する起爆剤になると考えます。

 私自身、各国の首脳に対して直接働きかけを行っておりますが、二階議員が会長を務めておられます超党派の議連の皆様にも、各国大使への働きかけを始め、積極的な活動を展開していることに改めて感謝申し上げたいと思います。

 本年十一月に予定される開催国決定投票に向け、今後も、党派にかかわらず、国会議員の皆様にも幅広くお力をかりながら、何としても誘致を成功させるという決意のもと、内閣としても全力で取り組んでまいります。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 憲法は、この国の形、理想の姿を示すものです。私たちは、時代の節目にあって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ていると思います。

 現在、自由民主党において、御指摘の四項目について熱心な議論が行われていますが、言うまでもなく、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により国民の皆様が決めるものであります。

 今後、憲法審査会において各党による建設的な議論が行われ、国会における議論が深まる中で、与党、野党にかかわらず、幅広い合意が形成され、国民的な理解も深まっていくことを期待しております。

 国に命を吹き込む政治についてお尋ねがありました。

 日本は古来、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合う自助自立を基本とし、不幸にして誰かが倒れれば、村の人たちがみんなで助け合ってきました。二階議員御指摘のとおり、過酷な災害や困難な状況に直面すれば、みずからの力で立ち上がり、前を向く人々をみんなで支え合い、応援する、それが日本の底力であります。

 こうした日本の誇るべき国柄をしっかりと守りながら、あらゆる国難に立ち向かい、五十年、百年先の未来を見据えた国づくりを進めてまいります。

 政権を担って五年。アベノミクス、地球儀を俯瞰する外交、安全保障政策の立て直し、教育再生、さまざまな課題に全力で取り組んでまいりました。

 この国の行く末を見定めながら、あらゆる分野の大改革に挑戦することで、誰にでもチャンスあふれ、頑張った人が報われる、みんなが夢に向かって進んでいける社会、そして、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した人も、障害や難病のある人も、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会をつくり上げてまいります。

 私たちの子や孫、その先の世代の子供たちがこの国に生まれてよかったと思えるように、この国の未来を皆さんとともに切り開いていく決意であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 玉木雄一郎君。

    〔玉木雄一郎君登壇〕

玉木雄一郎君 希望の党代表の玉木雄一郎です。

 私は、希望の党・無所属クラブを代表して、安倍総理の施政方針演説に対して質問します。(拍手)

 冒頭、二点申し上げます。

 まず、昨日発生した草津本白根山の噴火で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げますとともに、今なお深刻な状態にある方々の回復を祈ります。そして、訓練中殉職された陸上自衛官に対し、心からお悔やみを申し上げます。

 次に、総理は平昌オリンピックに参加することを決断されたようですが、昨日、CIA長官が、北朝鮮によるICBM実戦配備まで数カ月ということを明言されました。異例のことだと思います。

 オリンピックはオリンピックとして、我が国として言うべきことは文大統領にもしっかり伝えるとともに、半島の非核化という目標が一ミリも揺らぐことのないよう、米国を含む関係国への働きかけ、そして連携強化をぜひお願いしたいと思います。

 さて、ことしは明治維新から百五十年に当たります。安倍総理は、内閣を挙げてお祭りムードを盛り上げようとしていますが、ことしは戊辰戦争から百五十年にも当たります。

 歴史は常に、勝者に都合のよい史実を中心に形成されていきます。日本の近代化を極めて短期間になし遂げた意義は大きいものの、この百五十年間は、人口増加を前提とした経済成長、そして、中央集権を固定化してきた百五十年でもあります。その限界や弊害に直面しているのが現在の日本です。

 単なる礼賛ではなく、明治維新を客観的、中立的に捉え、急速な近代化の陰で積み重ねられてきた矛盾や課題に正面から取り組み、これを乗り越えていく新たな構想を示していかなければなりません。

 我が党は、未来先取り政党として、この明治レジームを乗り越える、人口減少社会における新たな社会像や政策を打ち出してまいります。

 勝てば官軍という思想は、勝った者が正義との考えであり、明治レジームの考え方とも言えます。新自由主義的発想で、強い者はより強く、そして負けた者への配慮など一切ない、小泉政権以降の自民党政権、とりわけ安倍政権では、こうした姿勢が色濃くなっています。

 事実、OECDの調査によると、日本では、所得再分配政策を講じた後の方が格差が拡大するという逆転現象が起き、再分配機能が正しく働いていません。

 来年度予算案を見ても、生活保護の母子加算や児童養育加算を削減する一方、海外には多額のお金を配ったり、最新のミサイル導入に何千億もの莫大なお金を使おうとしています。多くの国民が素朴におかしいと感じています。スローガンばかりの政策で、格差の是正、とりわけ子供の貧困対策への予算が余りにも少ないのではありませんか。

 総理は施政方針演説の冒頭で、全ての日本人がその可能性を存分に開花できる時代を切り開くと明言されましたが、母子家庭の命綱を削るような予算はこれと矛盾します。改めて、総理自身が国民に訴えた言葉の本気度を伺います。

 税制改正も問題だらけです。なぜ、所得税が増税となるサラリーマンが年収八百万円以上から八百五十万円以上に急に変わったのでしょうか。官邸の鶴の一声で決まるような税制は、極めて不透明ではないですか。総理の所信を伺います。

 そもそも、消費への悪影響を心配して消費税増税を二度にわたって延期しておきながら、個人消費を支えるサラリーマン層の所得税増税を毎年行うのは政策的にちぐはぐです。しかも、衆院選挙の公約には一言も書いてありませんでした。選挙が終わった途端、取りやすいところから一気に取ろうとする安易なサラリーマン増税に、我が党は反対です。

 むしろ、格差是正のためにも、総所得が一億円を超えると逆に税負担が軽くなる逆累進課税の矛盾を解消するためにも、株式の譲渡益など金融所得への課税を強化すべきではありませんか。総理の所見を伺います。

 アベノミクスも丸五年がたちました。物価上昇率二%の目標達成時期は、何と六回も先送りされています。物価上昇目標は一体いつ実現するのか、総理の所見を伺います。

 華々しい目標を掲げて、それができないと先送りし、道半ばだからまだやらせてほしいというのは、まるでゴールのない永遠の道半ば政策です。これは、安倍総理が繰り返す、政治は結果責任と、真っ向から矛盾するのではありませんか。

 確かに、株価は好調です。しかし、多くの国民に実感はありません。昨年十二月の日銀調査では、暮らしにゆとりと答えた人は六・五%で、前回九月から一%近く減少しています。完全雇用状態なのになぜ賃金が上がらないのか、総理の所見を伺います。

 活況を呈する株式市場も、いびつな状態が続いています。

 昨年は、日銀が六兆円も上場投資信託、ETFを買っている一方で、個人はほぼ同額の六兆円を売り越しています。明らかに官製市場の様相が強まっており、日銀の資産残高も五百兆円を超えています。もしマーケットが暴落すれば、日銀が破綻し、最後の貸し手としての機能を発揮できない懸念もあります。

 万が一の危機に備え、日銀はETFの買入れをやめるべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 全国的に、少子高齢化や人口流出による人手不足が恒常化しています。

 帝国データバンクの調査によりますと、私の地元四国でも、半数の企業で正社員が不足しています。二〇〇七年の調査開始以降初めて五割を超え、深刻な事態です。

 特に地方では、今や人手不足への対策こそ、最大の成長戦略、活性化戦略です。女性、高齢者の皆さんにも更に社会で活躍していただく必要はありますが、地域の現場が外国人労働者に支えられている現実に正面から向き合わなければなりません。

 現場では既に外国人頼みが高まっており、製造業における依存度は三%を超えています。特に地方においては、なくてはならない存在となっています。

 安倍総理は、全ての都道府県で有効求人倍率が一を超えた話はよくされますが、実は、昨年初めて、全ての都道府県で在留外国人が増加しました。この問題に対して、外国人技能実習制度で対応するには限界が来ているのではないでしょうか。

 また、労災による死亡と認定された外国人技能実習生が二〇一四年からの三年間で計二十二名に上り、うち一名は過労死と認定されています。労災比率も、日本の雇用者平均を大きく上回っています。外国人が危険な現場で即戦力として使われている現実があります。

 そこで、一定の要件を満たした場合には技能実習生に在留資格の更新を柔軟に認めるなど、大幅な制度見直しが必要だと考えますが、総理の所見を伺います。

 また、留学生の就労にもさまざまな問題が指摘されており、見直しが必要ではないでしょうか。あわせて伺います。

 外国人の待遇などの問題を改善しなければ、中国、韓国との雇い負けが生じ、外国人さえ雇えない事態も近く発生しかねません。

 次に、働き方改革について伺います。

 坂本光司法政大学教授の著書「日本でいちばん大切にしたい会社」はベストセラーとなりました。心を打つ会社の物語がおさめられています。

 この大切にしたい会社に選ばれる基準として、過去五年間営業黒字であること、障害者雇用は法定雇用率以上であること、正社員率が六五%以上であることなどに加え、一カ月の超過労働時間が十時間以下、年次有給休暇の取得率が七〇%以上、育児休業取得率が八〇%以上など、五十の項目が示されています。

 安倍総理は生産性革命を唱えていますが、働く人たちが余裕を持って働き、家族や友人と充実した時間を過ごすことができてこそ、生産性の高い労働が可能になるのではないでしょうか。まさに坂本先生の言う、人を大切にする会社をふやすことこそ、生産性向上につながるのではないでしょうか。

 しかし、安倍政権が行おうとしている政策は、方向性が逆です。

 残業時間の上限規制として月百時間を認めるとしていますが、これは過労死ラインでもあります。総理はこれで適当とお考えですか。

 また、残業代ゼロ法案と指摘をされる高度プロフェッショナル制度の導入、裁量労働制の拡大が、労働者のためではなく、人件費削減の観点から導入されようとしており、問題です。

 我々は、これらを法案から分離、削除することが審議入りの前提と考えますが、総理の所見を伺います。

 二〇一五年九月、安倍総理が突如、アベノミクスは第二ステージに移ると宣言し、新三本の矢を発表しました。

 その一本目として、二〇二〇年に六百兆円の名目GDP達成を掲げました。しかし、昨日発表された中長期の経済財政に関する試算では、達成時期が先送りされました。

 経済が絶好調だと胸を張るのに、なぜ達成できないのですか。矢は既に折れているのではないですか。総理の所見を伺います。

 さらに、GDPの算出方法を見直した際、RアンドD、研究開発費の資本化など国際基準対応で二十四・一兆円、そして、それ以外のその他の要素で七・五兆円ものかさ上げが行われています。このうち、その他とは一体何でしょうか。総理の合理的な説明を求めます。

 結局、二〇二〇年GDP六百兆円の目標も、数字の魔術でかさ上げされたカサアゲノミクスであり、達成見込みのない、永遠の道半ば政策ではないでしょうか。

 次に、財政健全化についても伺います。

 安倍内閣は、二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化目標の達成をついに断念しました。

 内閣府の中長期試算では、黒字化が二〇二七年度にずれ込むとされていますが、総理は、次なる財政健全化目標の策定を本年夏に先延ばしし、目標が宙ぶらりんの状態です。

 財政健全化目標も示さないまま、来年度予算案を閣議決定し、この国会の審議にかけることは、歴代内閣でも例はなく、極めて不誠実かつ無責任です。総理の所見を伺います。

 安倍総理は、消費税の使い道を変更して子育て支援に回すこととしていますが、今のまま幼児教育や保育を無償化すれば、更に待機児童がふえ、そして、高所得者ほど恩恵を受けるという二重の不公平が更に助長されます。

 無償化の前に、保育園全入化を優先すべきではありませんか。総理の所見を伺います。

 安倍総理は、アベノミクス新三本の矢の二本目として、二〇一七年度末までに待機児童ゼロを掲げていましたが、昨年、目標を三年先送りしました。

 先送りした二〇二〇年度までに待機児童ゼロに必要とされる保育の受皿三十二万人の計算式には、保育園の申込みを諦めた人、すなわち潜在需要が考慮されていません。民間の試算では、約八十九万人の受皿が必要との試算もあります。

 二〇二〇年度末に待機児童は本当にゼロになるのでしょうか。もし受皿目標を見直すことになれば、これまた、永遠の道半ば政策になってしまいます。総理の所見を伺います。

 安倍総理は消費税の使い道を変えるということですが、そもそも、軽減税率を導入することで、予定された消費税の増収分、これが約一兆円減ることになっています。しかも、六千億円の代替財源の手当てがなく、穴があいたままです。財源のめどもつけずに使い道を変更するのは、結局、赤字国債をふやすだけで、無責任です。

 安倍総理、六千億円の財源のめどはつきましたか。財源のめどもなく消費税の使い道を変えるなら、高所得者優遇にもつながる軽減税率はやめるべきではないでしょうか。総理の所見を伺います。

 アベノミクス新三本の矢の三本目、介護離職ゼロでした。しかし、皆さんも実感されていませんか。むしろ、介護離職はふえているのが現状ではないですか。いつまでに、どのように介護離職をゼロにするのか、総理の所見を伺います。

 そもそも、介護離職ゼロは、今般の介護報酬改定で実現できるのですか。さらなる介護職員の待遇改善や認知症対策などにもっと力を入れるべきです。介護離職ゼロもまた、かけ声だけの永遠の道半ば政策になるのではありませんか。

 二〇一三年末、安倍政権は、農業・農村所得倍増計画を掲げました。政権発足から丸五年がたち、農家の所得は本当に倍になっていますか。総理の所見を伺います。

 折り返し地点の今、無理なスローガンになっていないか検証すべきです。できないことを掲げて予算要求に使うのは、典型的な永遠の道半ば政策だと言わざるを得ません。

 また、戸別所得補償の半額部分が廃止されるなど、水田政策の将来が見えないとの不安が農家に広がっています。高級銘柄の米の輸出がふえ、また、飼料用米の作付を奨励することで主食用米の価格が上がっているのは確かです。しかし、今の米政策では、日本人の農家が税金を使って外国人と家畜のための米をつくり、日本人は外国から輸入される安い業務用米を食べるような、極めて皮肉なことが広がってしまいます。総理の所見を伺います。

 我が党は、戸別所得補償制度をベースとして、食の安全や環境に配慮した消費者志向の農業を推進する新たな直接支払制度を提案します。農家が安心して営農継続できる環境をしっかりと整備をしていきます。

 受動喫煙対策について、厚生労働省は昨年、店舗面積三十平方メートル以下の飲食店を、原則禁止とする案をまとめていました。しかし、自民党が反発をし、店舗面積百五十平方メートル以下の飲食店であれば、店舗の判断で喫煙を認める案で調整中と聞いています。この案では、東京都内の九割近い一般飲食店は規制の対象外になってしまいます。このような規制で二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えることができるとお考えなのか、総理自身の所見を伺います。

 二〇一四年、安倍政権は、年間十万人超の東京圏への人口流入に歯どめをかけ、二〇二〇年までに東京圏から地方への転出入を均衡させるという目標を掲げました。しかし、東京圏への転入超過は、昨年は十一月までで既に十二万人と、むしろ増加しています。地方創生も永遠の道半ば政策になっていませんか。

 しかも、都内の大学定員を十年間に限り抑制するとの政策を出していますが、これで本当に東京圏と地方の人口転出入を均衡させられるのでしょうか。

 問題の本質は十八歳人口の減少であり、根本的な解決策にはならないと考えますが、総理の所見を伺います。

 次に、安倍総理の外交、安全保障について伺います。

 何回プーチン大統領と会談を重ねても、日ロ平和条約締結に向けた道筋が見えてきません。プーチン大統領は、昨年六月、北方領土を日本に引き渡した場合、米軍の何らかの基地やミサイル防衛の施設ができることは絶対に容認できないと語っています。

 総理は、このプーチン大統領の言葉をどう受けとめ、そしてどう対応しようとしているのか、所見を伺います。

 また、安倍総理は、今春にも共同経済活動の具体的な事業を策定することとしていますが、日本の主権を害さない特別な制度は本当に実現可能なのでしょうか。ロシアのミサイル基地がある国後島、択捉島でも、ロシアの国内法ではない特別な制度は本当に可能なのでしょうか。総理の所見を伺います。

 安倍総理は、北方領土問題について、自分の時代に終止符を打つと元島民の前で明言をしました。総理の言う終止符とは一体何を指すのでしょうか。そして、それをどのように実現していくのか、総理の説明を求めます。

 八月の概算要求にはなかった巡航ミサイル経費が、年末の予算編成の大詰めの段階で突如として追加計上されました。巡航ミサイルを保有することは、従来の専守防衛を逸脱し、周辺国に対していたずらに緊張感をエスカレートさせるおそれもあります。イージス・アショアも、地対地ミサイルを搭載すれば敵基地攻撃能力を持つことにもつながります。

 安倍総理は昨日の演説で、専守防衛を大前提としながら、従来の延長線上ではない防衛力のあるべき姿を見定めると述べていますが、従来の延長線上ではないということは敵基地攻撃能力を持つことを意味するのか、総理の明確な答弁を求めます。

 一方、昨年は、北朝鮮の木造船が漂着する事案が相次ぎました。私も昨年末、秋田県の由利本荘市に木造船が漂着した現場を視察いたしました。上陸した北朝鮮の乗組員が民家のドアをたたいて救援を申し出たと聞きました。つまり、簡単に民家や施設に接近できる現実を目の当たりにしたわけでありますが、巡視船をふやすなどの対応はとられていません。原発施設への接近も容易な状況は放置されたままです。

 ミサイル等の議論を頭から否定するつもりはありませんが、日本海側の足元の守りをもっと強化すべきではありませんか。総理の所見を伺います。

 総理は、施政方針演説の中で、世界の脱炭素化を牽引すると高らかに述べました。

 しかし、昨年十一月、ドイツのボンのCOP23の会議で、日本は世界を汚染する石炭火力を輸出していると批判されました。日本は、脱炭素社会に向けて国際的な孤立を深めています。また、中川環境大臣自身も、日本には多数の石炭火力の新設計画があり、全て建設されると、二〇三〇年に二〇一三年比二六%削減という温室効果ガスの削減目標達成が困難になると大臣自身が認めています。

 石炭火力発電所の増設及び輸出について、閣内不一致ではありませんか。総理の見解を伺います。

 我が党は、再生可能エネルギーの導入推進が日本経済の成長エンジンとなり、地方経済の活性化にもつながると考えています。しかし、安倍政権の原発をベースロード電源とするかたくなな姿勢が、自然エネルギー普及にブレーキをかけています。

 我が党は、立地から最終処分まで、いわば揺りかごから墓場まで、原発事業の国有化を含めた国の責任の明確化を前提に、立地自治体や電力事業者にも配慮した現実的な原発ゼロ政策を推進してまいります。

 次に、安倍政権の情報公開に対する姿勢について伺います。

 森友、加計学園、PKO日報問題でも、時の権力にとって都合の悪い文書が保存期間一年未満とされ、秘密裏に破棄されていたことが明らかになりました。保存期間一年未満の対象文書を絞り込む公文書管理のガイドライン見直しは一歩前進ではありますが、そもそも、一年未満のものも含めて、電子データは永久保存にすべきではありませんか。

 また、新聞社からの情報公開請求に対して、森友学園に関するメールのやりとりは一切保存されていないとする財務省、国交省の回答は、にわかに信じることはできません。

 アメリカでは、ヒラリー・クリントン元国務長官が在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていたことが問題視され、大統領選敗北の一因となりましたが、それだけメールが貴重な公文書との認識がある裏返しでもあります。

 官僚の裁量でメールが破棄されてしまう日本の取組は明らかにおくれています。電子メールのやりとりは私的メモとせず、全て行政文書として保存すべきと考えますが、総理の所見を伺います。

 スパコン補助金詐欺の問題では、文部科学省所管の科学技術振興機構、JSTからの融資の募集期間はわずか十四日間、説明会は何と締切りの四日前に行われたと報道されています。最初から特定事業者ありきだと疑われても仕方のないスケジュールではないですか。

 こうした疑惑を払拭するためにも、徹底した情報の公開が求められますが、補助金の審査過程や支出手続に関する資料が一切公開されていません。国民が納めた貴重な税金の使い道をチェックするのは国会の重要な責務です。森友、加計学園の二の舞を避けるためにも、税金の支出根拠となる資料を全て公開すべきと考えますが、総理の所見を伺います。

 また、閣僚など政務三役や官邸の職員が本件に関与していないと総理は断言できますか。あわせて伺います。

 国会改革について伺います。

 昨年の特別国会から野党の質問時間の削減などの提案が自民党側からなされていますが、単に説明責任から逃げようとするものであり、受け入れることはできません。実りある国会審議は望むところでありますが、そのためには、本質的な国会改革の議論を進めるべきです。

 党首討論についても、河野外務大臣が七年前に超党派の有志でまとめた具体的提言にもあるように、多くの国民がリアルタイムで視聴できる、毎週夜八時に開催してはいかがでしょうか。総理の所見を伺います。

 憲法改正について伺います。(発言する者あり)静かに聞いてください。

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

玉木雄一郎君(続) 憲法改正について伺います。

 現行の国民投票法では、広告宣伝活動への規制がほとんどありません。資金さえあればテレビCMや新聞広告を好きなだけ流すことができます。資金力によって国民投票の結果を左右できるとすれば、公平公正な手続とは言えません。国民投票における広告宣伝活動の規制を設けて、国民のために公平中立なルールと環境を整えることが必要だと考えますが、総理の所見を伺います。

 次に、安倍総理が昨年五月に提案をした、九条一項、二項をそのままにして、単に自衛隊を明記するだけの改憲案について、その場合、自衛隊の役割は今までと変わるのか、変わらないのか、総理の明確な答弁を求めます。

 変わらないなら、立法事実がないということになります。我が党は、立法事実のない九条改憲案には反対です。しかも、戦力及び交戦権の不保持を定めた二項との矛盾を固定化、明文化することになりませんか。

 実際、NHKの最新の世論調査でも、九条二項を維持して自衛隊の存在を追記する改正への支持は一六%しかありません。与党、とりわけ自民党内での、改革のための改革ではない真っ当な議論を期待いたします。

 沖縄で米軍ヘリ等の不時着事案が頻発をしています。再発防止を申し入れるだけでは事態は解決しません。安倍総理、憲法九条改正の前に、日本の調査権や捜査権を制限している日米地位協定を優先して見直すのが先ではないでしょうか。総理の所見を伺います。

 なお、我が党は、地方自治について、補完性の原則等を明示した条文案を示してまいりたいと思います。明治百五十年の中央集権の歴史の流れを変え、江戸時代のように、地方ごとの特色を発揮しやすい、新たな地方の時代を実現します。明治レジームを脱却するような改正案を提示していきたいと思いますので、与野党を超えて議論していこうではありませんか。我が党は、改憲のための改憲ではなく、意味ある憲法議論をリードしてまいります。

 昨年の特別国会における代表質問で、私は、大平正芳元総理大臣の楕円の哲学の話をいたしました。物事には二つの焦点が必要で、複眼的な視点で見て初めて真実が浮かび上がるとの理念です。明治維新百五十年も、礼賛一辺倒ではなく、複眼的な視点で捉えるべきではないでしょうか。

 政策も同じです。安倍政権も丸五年がたちました。この道しかないと言い、異なる考えを排除しながら、達成できないと、今度は道半ばと唱えて、効果のない政策を漫然と継続していく……(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

玉木雄一郎君(続) そんな永遠の道半ば政策の乱発ではなく、複眼的な視点を取り入れながら、人口減少問題など本質的な課題に、逃げずに、先送りせずに取り組むべきです。

 我が党には、多数の専門的人材、論客がそろっています。この仲間とともに、安倍政権のおかしなところは徹底追及するとともに、明治レジームを転換するもう一つの視点、視座を提供してまいります。

 総理におかれては、はぐらかさずに、丁寧に説明されることを求めて、私の代表質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 玉木雄一郎議員にお答えをいたします。

 冒頭、昨日の本白根山の噴火により亡くなられた自衛官の方に心から哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 政府としては、本白根山について、新たに観測機器を設置し、観測体制を強化するなど、対応に万全を期してまいります。また、今後、火山の監視、観測、研究体制の充実強化、登山者の安全確保対策の推進など、火山防災対策の強化に取り組んでまいります。

 また、平昌五輪への出席についての御発言がございました。

 諸般の事情が許し、そして平昌五輪の開会式に出席できる場合、ぜひとも文在寅大統領と会談を行い、北朝鮮に政策を変更させ、核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていくとの方針から、ぶれてはならないことを直接伝えたいと考えております。また、慰安婦合意について、日韓の合意についても日本政府の考え方を明確に伝えてきたい、このように考えております。そして、韓国側にも、約束を誠実に履行していくよう働きかけてまいります。

 格差や子供の貧困についてお尋ねがありました。

 格差が固定化しない、許容し得ない格差が生じない社会を構築していくことが重要な課題であります。

 安倍政権発足後の格差を示す指標の動きを見ますと、長期的に上昇傾向にあった相対的貧困率については、政権交代後、雇用が大きく増加するなど、経済が好転する中で低下に転じました。特に、子供の相対的貧困率については、総務省の全国消費実態調査によれば、ずっと上昇し続けてきたものが、平成二十六年の調査において、集計開始以来初めて低下しました。

 また、現役世代の生活保護受給世帯は、政権交代直後である平成二十五年二月のピーク時の約八十八万世帯より、前年同月比で四年六カ月連続で減少し、現在では約七十七万世帯となっています。

 こうした中で、貧困の連鎖を断ち切るため、来年度予算においては、一人親家庭に対する児童扶養手当について、五十万を超える世帯で支給額をふやします。

 また、生活保護基準において、母子加算の見直しは行いますが、児童養育加算の支給対象者を高校生に拡大するなどにより、一人親世帯の六割強では基準額が増額となる見込みです。

 さらに、生活保護世帯の子供の大学等への進学支援のため、進学準備の一時金として、自宅から通学の方は十万円、自宅外から通学の方は三十万円の給付を創設します。また、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費減額を取りやめるなど、支援を強化してまいります。

 引き続き、アベノミクスを更に加速させながら、成長と分配の好循環をつくり上げることで、格差が固定化せず、全ての子供たちが夢に向かって頑張ることができる社会をつくってまいります。

 給与所得控除の見直しと金融所得課税についてお尋ねがありました。

 今般の給与所得控除の見直しにおいて、控除が頭打ちとなる給与収入の水準については、与党の税制調査会において、御指摘の八百万円超とする案も含め、さまざまな議論を行う中、最終的に、家計への影響や地方財政への影響等を総合的に勘案しつつ、八百五十万円超とされたところであります。

 さらに、子育て世帯、介護世帯に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっています。

 このように、今般の見直しは与党の税制調査会における真摯な議論を踏まえたものであり、官邸の鶴の一声との御指摘は当たりません。

 金融所得に対する課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、「家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。」とされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。

 二%の物価安定目標の達成時期についてお尋ねがありました。

 日本銀行は、一月二十三日に公表した展望レポートにおいて、二%程度に達する時期は二〇一九年度ころになる可能性が高いとしていると承知しております。

 経済の好循環は着実に回り始めており、今後とも、日本銀行が、二%の物価安定目標の達成に向けて、大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。

 賃金についてお尋ねがありました。

 賃金が上昇していく中において家計の支出も消費も順調にふえていく、そうした経済の好循環を回していくことが重要と考えております。

 実質賃金は、二〇一六年に前年比プラスとなった後、二〇一七年に入ってからは、おおむね横ばいで推移しています。

 一方、名目賃金については、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、多くの企業で四年連続のベースアップを実施、パートで働く方々の時給は、統計開始以来、最高の水準となっています。正規の方、非正規の方、それぞれ所得環境に改善が見られ、二〇一四年春以降、増加傾向にあります。

 雇用者数の増加を加味した国民みんなの稼ぎである総雇用者所得を見ると、名目で見ても、実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスが続いています。

 こうした中で、御指摘の日本銀行の調査において、暮らしにゆとりが出てきたと昨年九月に答えた方、七・三%は、近年で最も高い数値であります。十二月は一%近く下がったと言われましたが、十二月の六・五%は、近年でそれに次ぐ高い数値であります。

 ちなみに、御党の前身である民主党政権末期の二〇一二年十二月を見ると、三・三%でありました。

 また、二〇一七年の内閣府の調査によれば、現在の生活に満足と回答した者の割合は、七三・九%と過去最高となっています。所得、収入面で満足と回答した者の割合も、平成八年以来、二十一年ぶりに不満を上回っているところです。

 ことしの春季労使交渉においては、生産性革命をしっかり進める中で、三%以上の賃上げが実現するよう期待しています。

 政府としては、大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる施策を総動員することにより、賃金アップの勢いを力強いものとし、更に国民に実感が広がっていくよう取り組んでまいります。

 日本銀行によるETFの買入れについてお尋ねがありました。

 日本銀行によるETFの買入れは、物価安定目標を実現するための金融政策の一環として行われているものであり、特定の株価水準を念頭に置いているものではないと承知しております。

 その上で、日本銀行は、資産価格の動向を含むさまざまなリスク要因も十分に点検し、経済、物価、金融情勢等を踏まえながら、適切に金融政策運営を行っていると理解しています。

 金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきであると考えており、私は、黒田総裁の手腕を信頼しております。

 外国人労働者の受入れ制度の見直しについてお尋ねがありました。

 我が国の活力を維持するためには、あらゆる場で誰もが活躍できる全員参加型の社会を構築することが必要と考えています。

 その上で、今後の外国人材受入れのあり方について申し上げれば、経済社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ内容の具体化を検討していく考えです。

 なお、安倍政権として、いわゆる移民政策をとる考えはありません。

 また、昨年十一月より施行された技能実習法に基づき、技能実習制度の適正化を図っているところであり、外国人技能実習機構による実地検査等により、労働基準監督署等と連携しつつ、技能実習生の適切な労働条件、安全衛生の確保に取り組んでまいります。

 働き方改革についてお尋ねがありました。

 働き方改革は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための、労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。

 過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。

 働く方の健康の確保を大前提に、ワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など、さまざまな事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく。こうした社会を実現するために、労働時間法制の見直しが急務であります。

 そのために、労使が合意すれば上限なく時間外労働が可能となる現行の仕組みを改めます。

 史上初めて、労働界、経済界の合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間外労働の限度を設けます。

 具体的には、時間外労働の上限は、月四十五時間かつ年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定めます。

 また、高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ、誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと改革するものであり、一つの法案でお示しすることが適当と考えます。

 六百兆円経済の実現についてお尋ねがありました。

 昨日公表された中長期の経済財政に関する試算は、過去の実績や足元の経済状況を組み込んだ現実的な試算にすべきとの経済財政諮問会議の議論を踏まえて作成したものです。この試算においても、二〇二〇年ごろ六百兆円経済を実現するという姿は変わりありません。

 批判することは容易であります。しかし、私たちに課せられた責任とは、具体的な政策を掲げ、それを実行し、結果を出していくことであります。

 かつて、一九九七年にGDPは五百三十六兆円、過去最高を記録しましたが、残念ながら、その後だんだん縮小に向かいました。我々が政権を奪還する前は、とうとう五百兆円を切っていた。人口が減少すれば経済は成長しないとも言われていました。それに私たちは、三本の矢の政策を示し、挑戦をしたわけであります。

 そして、その結果、現在、デフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一一・四%成長し、五十六兆円増加し、GDPは五百四十九兆円、過去最高を更新いたしました。

 この流れをより確かなものとするため、引き続き、生産性革命、人づくり革命など、あらゆる政策を総動員し、名目GDP六百兆円経済の実現を目指してまいります。

 また、平成二十八年十二月に実施したGDP統計の基準改定では、RアンドDの資本化などの最新の国際基準への対応のほか、建設投資について、建設工事にかかった費用ではなく、実際の販売額を活用するなどの推計手法の改善、産業連関表や住宅・土地統計など、最新の基礎統計の反映などを行いました。

 これにより、結果として、二〇一五年については、国際基準への対応以外の要因で七・五兆円の上方改定となっています。

 財政健全化目標と予算審議についてお尋ねがありました。

 二〇一九年十月に予定されている消費税率引上げ分の使い道の見直しにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。

 ただし、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、財政健全化の旗は決しておろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持しております。

 今般国会に提出した来年度予算は、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化に向けて政府として決定した経済・財政再生計画の集中改革期間の最終年度の予算として、経済再生と財政健全化を両立する予算としております。

 具体的には、人づくり革命や生産性革命といった重要課題に重点化しつつ、薬価制度の抜本改革など、改革努力や歳出削減努力を積み重ねることにより、一般歳出や社会保障費の伸びについて、経済・財政再生計画の目安を達成し、国債発行額を六年連続で縮減するとともに、一般会計のプライマリーバランスも改善させております。

 本年予算を国会で御審議いただくことが不誠実との御指摘は当たりません。

 なお、プライマリーバランスの黒字化につきましては、この夏までに、その達成時期と、裏づけとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定してまいります。

 幼児教育の無償化と待機児童対策についてお尋ねがありました。

 待機児童の解消は待ったなしの課題であり、最優先で取り組んでいきます。新しい経済政策パッケージのもと、幼児教育の無償化は二〇一九年度から段階的に進めていくのに対し、子育て安心プランは、補正予算も活用して、今年度から早急に実施します。これにより二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を確保し、待機児童を解消することとしています。

 この子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分については、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇すること、その就業率と相関して保育の利用申込み率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量を推計したものであります。

 待機児童の解消に当たっては、保育の実施主体である市区町村が、待機児童の状況や潜在ニーズを踏まえながら保育の受皿整備を行うことが重要であり、引き続き取組を加速してまいります。

 消費税の軽減税率についてお尋ねがありました。

 消費税率一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮として、平成三十一年十月に軽減税率を実施することとしており、その財源については、平成三十年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保することとしております。

 総合合算制度の見送りにより生ずる財源以外で必要となる〇・六兆円程度の財源については、今後、歳出歳入の両面からしっかりと検討していきます。

 介護離職ゼロについてお尋ねがありました。

 介護離職ゼロに向けて、介護サービスが利用できずやむを得ず離職する方や、特養に入所が必要であるにもかかわらず自宅待機する方をなくすため、二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受皿の整備を進めていきます。

 また、その大きな目標に向かって、介護人材確保への取組を強化します。既に、自公政権で月額四万七千円の改善を行いましたが、来年秋からは、リーダー級の職員の皆さんを対象に、更に、八万円相当の給与増を行えるような処遇改善を実現することで、他産業との賃金格差をなくしてまいります。

 さらに、認知症は誰もがかかわる可能性のある身近な病気です。認知症の方ができる限り住みなれた地域で暮らすことができる取組を進めていく必要があります。

 このため、我が国の認知症国家戦略である新オレンジプランに基づき、認知症の方やその家族の方に寄り添いながら、認知症の方々が自分らしい生活を営めるよう支援してまいります。

 こうした取組を総合的に進め、介護離職ゼロを目指していきます。

 農業、農村の所得倍増と米政策についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地の集積、集約、輸出促進や六次産業化の推進など、生産性や付加価値を向上させ、マーケットを内外に広げる農政改革を進めているところです。

 攻めの農政によって、生産農業所得は、過去二年で約九千億円も伸び、直近で三兆八千億円となりました。農村地域の関連所得も着実にふえ、平成二十七年度には一兆五千億円となりました。

 関係者が一体となって努力を積み重ね、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていくことができれば、農業、農村全体の所得倍増は十分に実現可能性があると考えております。

 また、我が国の主食用米については、需要が年々減少する中で、恒常的な生産余力があるところです。このため、主食用から自給率の低い飼料用への転換、国内向けから新たな需要拡大が見込める輸出向けへの転換などを促し、水田のフル活用を図っているところです。

 国内には十分な量の国産米が供給されており、日本人は、おいしくて安全な国産米を食べています。また、中食、外食等の業務用米についても、国内産地と中食、外食等とのマッチングを進め、こうした需要に対応した生産、販売を促進しているところです。

 安倍内閣は、消費者の方々においしくて安全な国産の農産物を食べてもらい、農家の方々の所得も上がっていくよう、引き続き農政改革を強力に推進してまいります。

 受動喫煙対策についてお尋ねがありました。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを目指し、受動喫煙対策を徹底することが重要です。このため、必要な法案を今国会に提出するべく、現在、与党及び関係省庁において調整を進めています。

 大切なことは、望まない受動喫煙をなくしていくことであり、受動喫煙に関する普及啓発や事業者への支援措置なども含め、皆さんがしっかりと守っていただけるような実効性のある総合的な対策を進めてまいります。

 東京一極集中の是正についてお尋ねがありました。

 人づくり革命などを進めることで若者人口自体の減少に歯どめをかけると同時に、若者の減少率が東京圏よりも地方においてより深刻となる中で、地方から東京圏への転出入の均衡は喫緊の課題です。

 また、東京圏は出生率が相対的に低いことから、東京圏への人口集中はさらなる出生率の低下につながりかねず、少子化対策の観点からも、地方への若者の流れをつくることは極めて重要であると考えています。

 こうした観点から、東京二十三区における大学定員の抑制だけでなく、あわせて、先端科学、観光、農業といった地域の特性を生かした分野で世界レベルの研究を行い、日本全国から学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを進めてまいります。

 そうした地方大学を核に、地場の企業の知恵を生かしながら、産学連携により地方経済の活性化にもつなげてまいります。さらに、地方拠点強化税制による魅力ある仕事づくり、地方企業でのインターンシップ推進などにより、地方への若者の流れを生み出してまいります。

 学びにおいても働く場としても地方にこそチャンスがあると若者たちが感じられるような地方創生を力強く進めることで、地方から東京圏への転出入の均衡を目指してまいります。

 日ロ関係についてのお尋ねがありました。

 プーチン大統領の発言に公の場でコメントすることは、交渉に支障を来すおそれがあるので差し控えますが、ロシア側とは、安全保障面を含むさまざまな事項について粘り強く協議を進めてきています。

 共同経済活動については、双方の法的立場を害さない形でプロジェクトを早期に実施すべく、さまざまなレベルでロシア側と鋭意協議を進めています。

 北方領土問題の目標は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結することであり、その実現のため、政府一体となって粘り強く交渉を進めてまいります。

 今後の防衛力のあるべき姿と、いわゆる敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。

 まず、はっきり申し上げておきたいことは、脅威をつくり出しているのは、それはまさに北朝鮮の側である。日本ではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

 その脅威に対して、国民の命を守るためにしっかりと備えをしていくことは、私たちの大きな責任であります。

 スタンドオフミサイルは、我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を確保しつつ、我が国を有効に防衛するために導入するものであります。イージス・アショアは、弾道ミサイルの脅威から我が国全土を、二十四時間三百六十五日切れ目なく防護する能力を抜本的に向上させるものです。いずれの装備も、専守防衛のもと、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的向上を図るものであります。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しいと言っても過言ではありません。今後とも、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力とは何かを検討し、見定めていくことが必要です。

 他方、いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で、米国の打撃力に依存しており、政府としては、今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません。

 日本海側の沿岸警備体制の強化についてお尋ねがありました。

 長大な海岸線を有する我が国において、沿岸警備の徹底は重要な課題であり、平素から、海上保安庁と警察が緊密に連携し、日本海沿岸区域のパトロールの実施、不審者対策を推進しているところです。

 また、平成二十九年度補正予算においては、原発等テロ対処能力の強化のため日本海対応の大型巡視船一隻のほか、日本海を含めた海洋監視体制強化のための新型ジェット機一機の増強のための予算を計上し、日本海側の海上保安体制の強化を図っているところです。

 今後とも、我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの決意のもと、我が国周辺海域の警戒警備、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

 石炭火力についてお尋ねがありました。

 我が国は、再生可能エネルギーや水素など、二酸化炭素の排出削減に資するあらゆる選択肢を用いて、世界の脱炭素化を牽引しています。

 こうした中で、新興国を中心に、効率の低い石炭火力発電所がいまだ数多く稼働している状況下で、我が国の高効率の石炭火力発電に対するニーズがあれば、その導入を支援することで、実効的な世界の二酸化炭素の排出削減に貢献しています。

 国内の石炭火力発電については、単に活用を図るだけではなくて、既存の低効率発電所の稼働抑制や休廃止を進めることで、政府一体となって、エネルギー政策と整合的な形で、二〇三〇年の温室効果ガス排出目標を達成する考えであります。

 行政文書の保存についてお尋ねがありました。

 昨年末の行政文書の管理に関するガイドライン改正に当たっては、紙文書、電子文書の別を問わず、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書について、一年以上の保存期間を設定することを義務づけることにより、現在及び将来の国民への説明責任を全うするという公文書管理法の趣旨の徹底を図ったところです。

 また、どのような文書が公文書管理法の行政文書に該当するかについては、電子メールについても、他の形態の文書と同様、文書の作成又は取得の状況などを総合的に考慮して実質的に判断することが必要であると考えています。

 いずれにせよ、政府としては、公文書を扱う職員の意識の向上も含め、今後、公文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいります。

 スーパーコンピューターに係る補助金についてお尋ねがありました。

 補助金の交付等については、それぞれの所管官庁、実施機関において、法令や予算の趣旨にのっとって適正に実施されるべきものであり、御指摘の事業について、そのように行われているものと承知しております。

 また、行政文書等については、公文書管理法や情報公開法等の法令に従い、各省庁において、公開すべきはしっかりと公開してまいります。

 国会改革、党首討論についてお尋ねがありました。

 この国会においては、さきの総選挙における国民の負託に応えることができるよう、玉木議員を始め、希望の党の皆さんとも充実した政策論議を行わせていただきたいと思います。

 具体的な国会改革、党首討論のあり方については国会がお決めになることであり、各党各会派においてしっかりと議論を行っていただきたいと考えております。

 国民投票における広告宣伝活動の規制においてお尋ねがありました。

 国民投票法は、平成十九年に議員立法が制定されたものですが、その際、各党各会派でさまざまな議論がなされた結果として、広告放送を含めた国民投票運動については基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限の規制のみを設けるとの結論に至り、現在の制度となったものと承知しております。

 憲法第九条の改正についてお尋ねがありました。

 御指摘の昨年五月の私の発言は、自由民主党総裁として、憲法改正の議論を深めるため、一石を投じたものであります。

 国会の憲法審査会において議論される憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、お尋ねですので、あえて自民党総裁としての考えを申し上げるとすれば、現行の第九条第二項の規定を残した上で自衛隊の存在を憲法に明記することによって、自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないものと考えております。

 米軍機の事故への対応と日米地位協定についてお尋ねがありました。

 米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提です。関係当局においても、所要の調査や捜査を行っています。

 米側からは、再発防止について、重要な課題として取り組むとの表明がありました。安全の確保は、最優先の課題として日米で協力して取り組んでまいります。

 地位協定については、今まで、地位協定が結ばれてから、さまざまな議論がありました。しかし、この日米地位協定を締結してから半世紀を経て初めて、二つの補足協定の策定が実現されたわけであります。

 今後とも、事案に応じた最も適切な取組を積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。(拍手)

     ――――◇―――――

田野瀬太道君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十五日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(赤松広隆君) 田野瀬太道君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(赤松広隆君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     野田 聖子君

       法務大臣     上川 陽子君

       外務大臣     河野 太郎君

       文部科学大臣   林  芳正君

       厚生労働大臣   加藤 勝信君

       農林水産大臣   齋藤  健君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       環境大臣     中川 雅治君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     江崎 鐵磨君

       国務大臣     小此木八郎君

       国務大臣     梶山 弘志君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     鈴木 俊一君

       国務大臣     松山 政司君

       国務大臣     茂木 敏充君

       国務大臣     吉野 正芳君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  西村 康稔君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  横畠 裕介君


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