衆議院

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第18号 平成30年4月12日(木曜日)

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平成三十年四月十二日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十五号

  平成三十年四月十二日

    午後一時開議

 第一 東日本大震災に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案(総務委員長提出)

 第二 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案(内閣委員長提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 東日本大震災に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案(総務委員長提出)

 日程第二 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案(内閣委員長提出)

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 東日本大震災に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案(総務委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第一、東日本大震災に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。総務委員長古屋範子君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔古屋範子君登壇〕

古屋範子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、平成二十八年熊本地震等の相次ぐ大規模災害や、全国的な建設需要の増大等により、合併市町村の市町村建設計画に基づいて行う事業等の実施に支障が生じている状況に鑑み、合併特例債の発行可能期間を、被災市町村については合併年度及びこれに続く二十五年度に、それ以外の市町村については合併年度及びこれに続く二十年度に、それぞれ五年間延長するものであります。

 本案は、去る十日、総務委員会におきまして、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、委員会におきまして、東日本大震災等に伴う合併市町村に係る地方債の特例に関する件について決議が行われたことを申し添えます。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第二 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案(内閣委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第二、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。内閣委員長山際大志郎君。

    ―――――――――――――

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山際大志郎君登壇〕

山際大志郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、政治分野における男女共同参画が、国又は地方公共団体における政策の立案及び決定において多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要となることに鑑み、政治分野における男女共同参画を効果的かつ積極的に推進するため、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、政治分野における男女共同参画の推進について、その基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、政治分野における男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めるものであります。

 本案は、昨十一日の内閣委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣梶山弘志君。

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、公的負担の抑制を図るとともに、持続可能かつ良好な公共サービスを実現するためには、様々な分野の公共施設等の整備、運営等において民間の資金や創意工夫を活用することが重要であり、それらを活用した多様な特定事業の導入、とりわけ民間の経営原理を導入する公共施設等運営事業を活用することが求められております。

 この法律案は、このような状況に鑑み、特定事業の一層の推進と公共施設等運営事業の実施の促進を図るため、特定事業に関する国による支援の強化、公共施設等運営権者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合の特例の創設及び水道事業等に関し地方公共団体に対して貸し付けられた地方債の繰上償還に係る特例の創設を定めるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、公共施設等の管理者等及び民間事業者が特定事業に係る支援措置等について確認を求めた際に内閣総理大臣が一元的に回答する制度を創設するほか、内閣総理大臣が公共施設等の管理者等に対し特定事業の実施に関し報告を求め、必要に応じ助言や勧告を行うことができることとしております。

 第二に、公共施設等運営権者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合において、公の施設の利用料金における地方公共団体の承認や、公共施設等運営権の移転に伴う指定管理者の再指定における議会の議決について、一定の要件を満たす場合にはそれらを不要とする地方自治法の特例を設けることとしております。

 第三に、水道事業及び下水道事業に係る公共施設等運営権を設定した地方公共団体に対し、過去に貸し付けられた当該事業に係る地方債について、補償金を免除し元金償還金のみで繰上償還することを認める特例を時限的に設けることとしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森山浩行君。

    〔森山浩行君登壇〕

森山浩行君 初当選から八年目で、今回、初登壇でございます。草の根の国民の声を受け、民主主義と立憲主義に根差した真っ当な政治を目指す立憲民主党の森山浩行です。(拍手)

 まずは、今週発生した島根県西部を震源とする地震、大分県中津市の山崩れ、この被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 冒頭、申し上げます。

 きのう、予算委員会での集中審議がありました。安倍総理を始めとする政府側の答弁は、不誠実きわまるものであり、惨たんたる内容でございました。

 森友学園の八億円のごみの積算を、適切だの当然だのと何度も言い切ってきた安倍総理は、きのうになって突然答弁を変えて、コメントから逃げました。

 自衛隊の日報隠蔽疑惑についても、防衛大臣は調査中と繰り返すばかりで、集中審議なのに中間的な報告すら避けました。

 さらには、加計問題です。愛媛県知事がわざわざ記者会見までしてお認めになった、当時の柳瀬首相秘書官と愛媛県職員らとの面会も、柳瀬氏に言わせれば、お会いしたことはないのだそうです。それも、記憶にある限りとわざわざ必ず注釈をつけ、会ってはいないと決して断言はしません。どちらかが確実にうそをついている、これは明らかですが、安倍総理は、この点でもまたまたコメントから逃げました。

 特に、この最後の加計問題、愛媛県の方にうそをつく理由は全くありません。中村知事のお言葉をかりれば、国は正直に話すべきなのです。

 この一点をもってしても、もはやこの安倍政権から発せられる言葉、書類の類いを信じるわけにはいきません。今まで繰り返し言い張ってきた答弁が、次々と事実と異なることが明らかになる。そして、あげくの果てに、委員会中に秘書官がやじを飛ばす。もはや政権を続けていられるような状況ではなく、安倍政権の信頼は根底の根底から完全に崩壊をしています。議場の皆さん、そうではありませんか。国民の皆さん、そうではありませんか。

 魚は頭から腐るといいます。最も責任のある人が全く責任をとろうとしていないので、モラルの崩壊がとまりません。多くの公務員の皆さんは、今でもモラル高く仕事をしておられます。最も責任ある方が責任をとっていただきたい。我が国のモラル回復のため、安倍総理にはもうお引き取りいただきたい。

 このことを強く感じたきのうの審議であったと申し上げ、ただいま議題となりました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるPFI法改正案について、これだけ数々の問題を起こし、公文書も答弁も信用できない、うそつきと言われても仕方のない状況にある安倍政権において、総理大臣が自治体からの相談を受け、助言を堂々とできる制度ができてしまえば、ますます多くの、いわゆる首相案件が出てくるのではないか、このことを心配しながら、立憲民主党・市民クラブを代表して質問をいたします。

 さて、安倍内閣ではPFIの推進を掲げておられますが、WTO体制のもとでは、事業実施に当たり、海外の企業の参入は避けることができません。

 特に、上下水道の分野では、世界を股にかける欧米の水メジャーの事業力は世界的に強大になりつつあり、その一方、現段階で競争力を有する日本企業を私は知りません。このままでは、本法施行後、私たちの暮らしの源である命の水の管理は、根こそぎ海外企業に落札をされるおそれがあります。現に、浜松市の下水道事業の一部では、世界三大水メジャーにも数えられるフランスのヴェオリアグループの日本法人を中核とする企業連合、ここがコンセッション事業の事業者となっています。

 海外企業の参入により、多くの自治体で上下水道の利用料金の収入が外資系の企業を通じて海外に流出することともなれば、地方に与える影響は極めて重大であります。上下水道管理者がこれまで積み上げてきたノウハウが海外へ流出する可能性も懸念されます。諸外国で問題になっている水戦争、これが我が国でも起こる懸念は、既に海の向こうの話ではありません。これらの影響、そして懸念について政府はどのようにお考えか、大臣の見解を求めます。

 次に、安倍政権では、ここには大きな議論があるところですけれども、成長戦略と財政健全化に向けた施策の一つということで、PPP、PFIの活用を位置づけており、その取組の方針を示したアクションプランにおいて、平成二十五年度から十年間で二十一兆円の事業規模、この目標を掲げておられます。これは、当初十兆から十二兆円を目標としていたものを、平成二十八年の改定において目標を上積みしたものです。

 この事業規模に関する目標設定はどのような根拠に基づいているのか。目標ありきではないでしょうか。過大な目標に引きずられ、私たちの暮らしに密着した公的分野でのPFI事業、この推進が不必要に拡大するのではないか、懸念が拭えません。

 目標設定の意味、根拠についてどのように考えているか、梶山大臣にお尋ねいたします。あわせて、アクションプランで掲げられた達成に向けた目標の進捗状況についても御説明ください。

 本法律案においては、提出前の本年一月四日、日本経済新聞において詳細な内容に関する報道がなされ、すぐに担当部局から、これは正しい報道ではありませんと私のもとへも説明に来られました。

 報道記者出身の私としては、一分一秒でも早く正確な情報をとって国民の知る権利に奉仕すべき、そういう記者の使命感は、当然、理解、共感しています。一方で、行政が公表すべき情報は、徐々に漏れるということではなく、そのタイミングまできちんと管理するとともに、速やかに整理して一斉に公開をすべきです。

 今回の報道は、発表前に流出した情報だから正しくなかっただけなのか、報道内容のどこかが間違っていたのか。本法案の事前報道に関する経緯及び責任の所在について、大臣の見解を伺います。

 次に、本法律案の改正事項についてお伺いします。

 まず、本法律案では、国による公共施設等管理者への助言機能の強化に関する措置、これを講ずることとしています。報告徴収や助言、勧告の機能は、着実、効率的な事業運営を確保していく上では一定程度必要な面もあります。しかし、国から地方への関与を強めるものと評価することもできます。

 このような機能を国が持つことで、地方自治体が実施するPFI事業について、地方分権の趣旨に逆行し、事実上、国の考え方を地方へ押しつけるおそれがあるのではないでしょうか。そのおそれなしとする明快な答弁を大臣に求めます。

 また、本法律案では、コンセッションの事業者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合、地方自治法の特例を設けることとしています。この特例により、地方自治法上で必要とされる、利用料金の設定における地方公共団体の承認、これを必要としないとされ、さらに、一定の場合には、運営権の移転に伴う指定管理者の再指定に関する地方公共団体の議会の議決を事後報告でよいとされています。

 この特例は、行政処分権限を持つ指定管理者に対して、地方議会の関与をなくし、その存在を形骸化させるものとも捉えられます。本法律案における特例が地方議会を軽視した内容となっていないか、また、指定管理者制度の本来の趣旨から逸脱したものとなっていないか、あわせて政府の考え方をお聞かせください。

 政府では、上下水道をコンセッション事業推進の重点分野と位置づけ、事業件数の目標を掲げています。本法律案についても、上下水道におけるコンセッションの導入を推進するための措置として、地方債の繰上償還を認め、補償金を免除する規定が盛り込まれておりますが、なぜ、この措置の対象について、その他の重点分野に広げず、水道、下水道事業に限定しているのか、お尋ねします。

 上下水道については、人口減少により料金収入が減少する一方、その施設の老朽化、これが着実に進行しており、その基盤強化のための取組を行うことは喫緊の課題となっています。

 その方策として、人口減少社会の中で、これまでの設備をそのまま更新するのではなく、例えば既に実績を上げている岩手中部水道企業団のように、ダウンサイジングや事業の広域化などを組み合わせる取組も必要と考えます。

 本法律案において、これら将来的な地方の姿を踏まえたさまざまな方策を考慮することなく、コンセッションの推進のみに突き進もうとする理由について、梶山大臣にお尋ねします。

 さらに、本法律案では、そのインセンティブを与えるための手段として、補助金などではなく、地方債の繰上償還に要する補償金を免除する措置を講ずることにしていますが、財政の安定性、公平性の観点から問題があるのではないでしょうか。総務大臣の見解をお尋ねします。

 資源の少ない我が国にとって、水は数少ない恵まれた資源です。そして、水循環はそれぞれの地域に根差した個別具体的なものです。本法案は、管路や施設の更新時期が来ている上下水道に限定し、わざわざ挙げた目標値ありきで一律期限を区切ってコンセッションの導入を進めるものであり、個別の事情をよく知る自治体における十分な議論がないまま拙速な判断が行われることが危惧されます。

 また、上下水道分野において、まだまだ海外の水メジャーの力に及ばない日本企業の現状でコンセッションを推進するということは、まさに、まさに国益の観点からも大きな問題があると言わざるを得ません。

 公害対策基本法の成立した年に工業地帯で生まれ、きれいな水には人一倍憧れてきた私は、水政策をライフワークとしています。

 また、私のふるさと堺は、自治都市としてあまたの戦国大名と渡り合ってきた伝統のある町です。

 政治家として、国を思い、水と自治を守る立場から、PFIの枠組みそのものについて、また、さまざまな懸念に応えることなく、そして命の水をつかさどる上下水道分野におけるコンセッションをむやみに進めようとする政府の姿勢について、今後、委員会で徹底的にただしてまいります。

 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 森山議員にお答えをいたします。

 初めに、海外企業の参入による影響や懸念についてのお尋ねがありました。

 コンセッション方式は、欧州では百年以上前から用いられている手法で、ノウハウを有する事業者が存在していることから、国内の先行事例が少ない段階においては、海外事業者が参入することにより、我が国の公共事業サービスレベル向上に寄与する側面があるものと認識をしております。

 一方、コンセッション事業は、地方公共団体が引き続き所有権及び責任を有する制度であります。コンセッション事業者は、事業の実施方法を定めた契約の範囲内で事業を行う性質のものであります。また、PFI法に基づき、事業実施状況の報告や調査指示ができるため、御指摘のような懸念は当たらないと考えております。

 いずれにしても、我が国の厳しい財政状況や人口減少社会の中で、今後、大量の更新需要の発生が予想される上下水道施設の維持更新を着実に行い、ネットワークを維持していくためには、事業主体である地方公共団体において最大限の効率化を図ることが必要であります。

 このため、課題解決の多様な選択肢の一つとして、上下水道におけるコンセッション方式の積極的な活用の推進を図ってまいるところであります。

 次に、PPP/PFI推進アクションプランで掲げる事業規模目標の意味、根拠及び進捗状況についてのお尋ねがありました。

 国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、公的負担の抑制を図るとともに、持続可能かつ良好な公共サービスを実現するためには、さまざまな分野で民間の資金や創意工夫を活用することが重要であり、PPP、PFI事業の推進を図る必要があります。

 平成二十八年四月の産業競争力会議実行実現点検会合において、PPP、PFIの取組体制をPFI先進国並みに引き上げるという考え方に立ち、新たな目標を設定すべきであるとの見解が示されたことを踏まえて、政府として、PPP、PFIを積極的に推進しているイギリスにおけるPPP、PFI事業の対GDP比率を参考に算出した二十一兆円を目標に設定をいたしました。

 また、事業規模目標の進捗状況については、十年間の目標二十一兆円に対して、平成二十五年から二十八年度までの四年間の実績で十一・五兆円の進捗となっております。

 しかしながら、この実績には非常に大規模な事業も含むため、それらの大規模事業を除くと、目標達成には、コンセッション等のモデルとなる事業を確実に実施するとともに、更に幅広い取組を進めていくことが重要であると考えております。

 今般の法律改正や支援措置の実施、アクションプランに掲げる具体的な施策の着実な実施などを通じて、今後一層の推進に取り組んでまいります。

 次に、一月四日の日本経済新聞に掲載された記事についてのお尋ねがありました。

 この記事においては、上下水道や公共施設の運営権を売却する際、地方議会の議決を不要とするとされていますが、今回の法案においても、運営権を設定する際に議会の議決が必要であることに変わりはありません。

 また、特段対象を限定することなく、利用料金の設定が届出だけで済むとされていますが、今回の法案においては、届出のみで可能となるのは運営権を取得した者が指定管理者を兼ねる場合のみである点などが不正確であります。

 PFI法の改正とその趣旨については、平成二十九年六月九日に閣議決定された未来投資戦略二〇一七や、平成二十九年に成立した国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の附則に記載されております。その後、その内容の具体化について議論を行ってきておりますが、どのように当該記事が作成されたかについては承知をしておりません。

 次に、国による支援の強化についてのお尋ねがありました。

 助言及び勧告は、内閣総理大臣が所管するPFI法令、ガイドライン等に照らして、特定事業の適正かつ確実な実施を確保するため必要な措置を講ずることを求めるものでありますが、法的拘束力はありません。

 助言及び勧告の制度は、指揮命令関係のない機関相互の間において、相互の自主性を尊重しつつ、専門的な立場における判断や意見を提供することによって相手方の任意の協力を促すためのものであります。

 また、報告徴収につきましても、特定事業の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときに必要な情報提供を求めるものでございます。

 したがいまして、これらの制度はPFI事業の適正かつ確実な実施に資するものであり、地方分権の趣旨に逆行するものではないと考えております。

 次に、コンセッション事業者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合の地方自治法の特例についてお尋ねがありました。

 今回の改正は、国際展示場等において公共施設等運営権者が同時に指定管理者となる場合における手続の整理を行うものであります。

 今回の改正による指定管理者制度の特例については、あくまで議会で定められた条例に利用料金の範囲等や指定管理者の指定に当たっての特別の定めがある場合のみに適用されるものであり、議会の意思は十分に反映される仕組みとなっていることから、指定管理者制度の本来の趣旨から逸脱したものになっているとは考えておりません。

 次に、繰上償還に係る補償金の免除の対象分野についてのお尋ねがありました。

 コンセッション事業については、PPP/PFI推進アクションプランにおいて、今後ストックの維持更新に大きな課題を抱えることが予想される分野等を重点分野として定め、数値目標と目標期限を設定しております。

 当初から重点分野として位置づけられている空港、水道、下水道、道路のうち、空港と道路については既に一定の進捗が見られるものの、水道、下水道は他の事業と比較して進捗が必ずしも十分でないことから、今後の横展開の呼び水となる先駆的取組を支援することが必要と考えております。

 地方債の繰上償還に伴う補償金の免除は特例的な措置であるため、特に必要性の高い分野である水道、下水道に限って実施することとしております。

 最後に、上下水道事業においてコンセッションを推進する理由についてお尋ねがありました。

 我が国の厳しい財政状況や人口減少社会の中で、今後、大量の更新需要の発生が予想される上下水道施設の維持更新を着実に行い、ネットワークを維持していくためには、事業主体である地方公共団体において最大限の効率化を図ることが必要であります。

 民間の創意工夫や資金を活用することは、その有効な手段の一つと認識をしております。

 中でも、コンセッション方式は、公共施設等の運営を幅広く民間に委ねる方式であり、民間の最新ノウハウの導入、先進技術の採用等について大幅に裁量を与えることにより、高い効率化を期待することができる方式です。

 上下水道事業の効率化を実現する方法としては、施設規模の最適化や広域化等の取組も有効と考えており、これらを推進する関係省とも連携をしながら課題に対処してまいりますが、PPP、PFI推進を所管する内閣府としては、課題解決の多様な選択肢の一つとして、コンセッション方式の活用の推進を図ることとしております。(拍手)

    〔国務大臣野田聖子君登壇〕

国務大臣(野田聖子君) 森山議員にお答えいたします。

 地方債の補償金免除繰上償還についてお尋ねがありました。

 上下水道事業において、コンセッションの導入を先駆的に行う地方団体に対し、当該団体に貸し付けられた地方債の繰上償還を行う場合に補償金の免除を行うことは、当該団体の財政負担が軽減されるとともに、先駆的事例の横展開により、コンセッションの導入に向けた取組の拡大が期待できると考えています。

 今回の措置は、こうした先駆的な地方団体に対して特例的に補償金の免除を行うものであり、適切な措置であると考えています。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 青山大人君。

    〔青山大人君登壇〕

青山大人君 希望の党・無所属クラブの青山大人です。

 ただいま議題となりました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案について、希望の党・無所属クラブを代表して質問します。(拍手)

 まずは、法律案の直接の質疑に入る前に、全国の多くの社会インフラや公共施設などが、今後、一斉に更新の時期を迎えます。しかしながら、施設の更新や保守点検費用には多額の財政負担が伴うことや、人口減少や少子高齢化により施設需要の変化が見込まれるため、どのように更新していくかが全国的に大きな課題となっております。

 また、私は茨城県議会議員を八年間務めさせていただきましたが、特に地方自治体においては、官民のパートナーシップによる公共サービスの適切な民間開放を実現することにより、地元企業の振興や雇用の創出、行政コストの削減、公共サービスの向上など、さまざまな効果をもたらしましたが、まだまだ法整備が必要な部分が多く、改革も必要でございます。

 政府でも、地方公共団体に対し、施設の管理に関する基本的な方針を定めた公共施設等総合管理計画を策定するよう平成二十六年に要請し、これを受けて、地方自治体では、公共施設等の更新や統廃合、長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減、平準化し、公共施設等の最適な配置を実現すべく取り組んでおります。

 地方分権の時代に当たり、地方自治体がそれぞれの状況に応じた公共施設等総合管理計画を策定することは必要であります。まずは、その策定状況について伺います。また、いまだ策定できていない地方自治体に対し、国として支援すべきと考えますが、野田大臣の所見を伺います。

 さて、今回の法律案ですが、公共施設等の管理者等及び民間事業者に対する国の支援を強化するために内閣府がワンストップサービスを行うことは、各省庁横断的な取組として意義深いものと思われます。

 ただ、この窓口においては、国の機関の情報に限らず、地方自治体に関する情報も提供することで、より意義あるものとなるのではないでしょうか。内閣府においては、地方自治体に関する情報も収集し、的確かつ円滑に提供することが必要であると考えます。

 また、指定管理制度における料金承認においては、現在も条例の枠内で指定管理者が決めており、以前から承認は不要という意見もあったので、この改正は意義があると思われます。

 一方で、指定管理者の指定は地方議会の議決事項とされていますが、今回の改正では、条例に特別の定めがあれば事後報告で済むとされています。しかし、地方議会の議決は重要な権限として必要であります。

 今回、議会の議決を外す意義はどのあたりにあるのでしょうか。さらに、条例に特別の定めとは、一体どのような事項を想定しているのでしょうか。

 また、改正以後の事後報告は議会での承認が不要なのか、単なる事後報告のみにとどめるかについても、あわせて確認します。

 指定管理者の指定について議会の議決を不要とすることについては慎重に行うべきと考えますが、梶山大臣の所見を伺います。

 さて、厳しい財政状況の中、社会インフラの維持、構築には、国や地方自治体が独占的に行う発想から脱却し、特に需要拡大が見込める分野、例えば空港、港湾、観光などの分野では、民間の知恵や資金、ノウハウを取り入れ、既存の施設の利活用を広げることは必要な試みであります。

 平成二十六年六月に出された、PPP、PFI抜本改革に向けたアクションプランに係る集中強化期間の取組方針において、平成二十六年から二十八年の三年間の数値目標として、空港六件、水道六件、下水道六件、道路一件が示され、取組が行われてきました。空港と道路においては達成しましたが、水道と下水道においては達成できておりません。

 空港については、日本には九十七の空港がありますが、主要路線を担う空港を除いては厳しい経営であります。地元茨城空港ではLCC対応に特化し成功しておりますが、多くの地方空港で問題になるのが、滑走路等と空港ビルの運営主体が分離されているため、一体的な運営ができていないことがあります。

 運営企業が自由に経営できるために、コンセッション方式を積極的に導入すべきと考えますが、石井大臣の所見を伺います。

 さて、今回の法案では、特に、水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金の免除が盛り込まれていますが、そもそも、水道事業がコンセッション事業に合うのかどうかの議論があります。

 御承知のとおり、日本の水道事業は、水道法の改正や地方自治法の改正による指定管理者制度の導入もされていますが、ほとんどの委託先は公共的団体などに限定されています。

 諸外国を見ても、水道事業の民間参入が進んでいるフランスのパリでは、一九八四年に水道事業の運営権を民間に委ねましたが、二〇一〇年に、委託期間の終了に合わせて再公営化されております。その原因としては、水道料金の設定方法や市民へのサービス水準が不明確であったことなどが原因として挙げられます。同様に、水道を民営化した多くの国々では、水道の再公営化にかじが切られております。

 やはり、水道という、私たちが毎日口にする水の事業については、水質の維持や料金水準のコントロール、事業の継続性といった点において多くの課題を抱えており、本法律案が推進するコンセッション制度の導入がそぐわないのではないでしょうか。

 水道事業にコンセッション制度を導入しようと試みましたが市議会で否決された奈良市、水道事業にコンセッション制度導入のための条例改正案について、賛否がいずれも過半数に達せず、審議未了となり廃案となった大阪市など、各地方議会の議員の皆様のお話や議事録を拝見すると、今回は、水道事業等にコンセッション制度導入可能性を調査するために国から多額の補助金があったから導入を試みたわけで、今後ほかの自治体が追随するとは思えません。

 単に、PPP、PFI抜本改革に向けたアクションプランを達成するための、安倍政権への実績のアリバイづくりだけの政策誘導にしか見えません。安倍政権へのそんたくのために、毎日口にする水の安心、安全の責任を放棄していいのでしょうか。

 水道事業については公的な責任において運営すべきではないかと考えますが、大臣の所見を伺います。

 また、水道料金の算定の仕組みについても、公営企業会計で行っている場合、総括原価方式であります。それが民間企業でやる場合には、利用料金の積算根拠の中に、法人税、事業税や株主への配当など、総括原価方式にそれを上乗せするわけであります。幾ら、民間企業に最大限の自由を与えて創意工夫することによって事業費を圧縮するといっても、限界があります。水道事業のコンセッション制度導入が、結果的に利用料金の値上げという利用者の負担増になる可能性も考えられます。

 また、水道事業では、管路が資産の八割超を占めております。この管路の建設、維持管理には、地元の企業がかかわっているケースがほとんどであります。こういった地元企業は、自治体との間で災害時の支援協定を結ぶなど、地域にとって重要な存在であります。

 これらを踏まえ、今後、コンセッション方式を導入していく上で、地元事業者とのかかわりを持つ仕組みもきちんと法的に担保していく必要があります。

 これは、水道事業等に限らず、PFI方式全般に言えますが、PFI方式の場合、地元の企業が参画できないケースがほとんどです。水道事業については、維持管理や災害時の対応なども考え、地元事業者がしっかり関与できる仕組みも検討すべきであります。

 以上を踏まえ、水道事業等についてコンセッション方式を導入していくにはまだまだ多くの課題が見受けられます。梶山大臣の所見を伺います。

 最後に一言申し上げます。

 モリカケ疑惑あるいは自衛隊日報問題をめぐり、連日のように新たな事実が明るみに出ています。隠蔽、改ざん、口裏合わせ、虚偽答弁。いずれも、立法府と行政府に対する国民の皆様からの信頼を大きく損なうような重大な問題です。こうした状況をこのまま看過していけば、私たち立法府にいる人間そのものが国民の皆様から見放されます。

 そもそも、こうした事態を招いたのは一体誰でしょうか。安倍総理その人だと思います。

 安倍総理の退陣を求め、私の質問を終わりにします。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 青山議員にお答えをいたします。

 空港コンセッションの推進についてお尋ねがございました。

 国土交通省といたしましては、航空ネットワークの充実や地域の活性化に資するものといたしまして、滑走路等と空港ビルを一体として空港運営の民間委託を行ういわゆるコンセッション方式は有効と考えております。

 一昨年の七月より国管理空港で初となる仙台空港が、本年四月一日よりは高松空港が、それぞれ民間企業による運営を開始したところであります。

 仙台空港につきましては、二〇一七年度の利用者数は過去最高の約三百四十三万人、とりわけ国際線の利用者数は、委託前の二〇一五年度と比較して約一・七五倍に増加をしております。

 現在も、福岡空港、北海道内の七空港、熊本空港、広島空港において、運営の民間委託に向けた手続を進めているところでありまして、地域の関係者の御意見もよく伺いながら、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣野田聖子君登壇〕

国務大臣(野田聖子君) 青山議員にお答えいたします。

 公共施設等総合管理計画の策定状況と未策定団体への支援についてお尋ねがありました。

 公共施設等総合管理計画は、平成二十九年九月三十日時点で、全ての地方公共団体の九九・四%に当たる千七百七十七団体において策定済みとなっています。

 総務省では、これまでも、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するため、各団体の総合管理計画の主な記載事項等の情報をわかりやすく一覧表に取りまとめて提供してきました。

 今月下旬には、ことし二月の総合管理計画策定指針の改定を踏まえた地方公共団体に対する説明会を開催する予定です。その際には、先進団体の具体的な計画の記載事項や取組内容の紹介等を行うこととしており、引き続き未策定団体の計画策定に役立つ情報提供を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 青山議員にお答えをいたします。

 初めに、コンセッション事業者が指定管理者を兼ねる場合の特例についてのお尋ねがありました。

 今回の改正の意義は、国際展示場等において公共施設等運営権者が同時に指定管理者となる場合における手続の特例を設けることにより、これらの事業に関するコンセッション事業実施の円滑化を図るものであります。

 この特例を適用するには条例に特別の定めを設けることが必要ですが、具体的には、公共施設等運営権の移転に際して議会の議決が不要となる旨を条例に規定することとされており、また、公共施設等運営権の移転が許容される範囲等を条例に規定することが想定をされるところであります。

 なお、このように条例に特別の定めがあるときには、議会の議決にかえて議会への報告を行うこととしておりますが、議会の承認を求めるものではありません。

 今回の改正による指定管理者制度の特例については、議会で定められた条例により特別の定めのある場合にのみ適用されるものであり、議会の意思は十分に反映される仕組みとなっていると考えております。

 次に、水道事業におけるコンセッション方式の導入の推進に関してお尋ねがありました。

 我が国の厳しい財政状況や人口減少社会の中で、今後、大量の更新需要の発生が予想される水道施設の維持更新を着実に行い、ネットワークを維持していくためには、事業主体である地方公共団体において最大限の効率化を図ることが必要であります。

 民間の創意工夫や資金を活用することは、その有効な手段の一つと認識をしております。

 中でも、コンセッション方式は、公共施設等の運営を幅広く民間に委ねる方式であり、民間の最新ノウハウの導入、先進技術の採用等について大幅に裁量を与えることにより、高い効率化を期待することができる方式でもあります。

 なお、コンセッション方式においても、地方公共団体は管理者として引き続き水道事業の実施に責任を有しています。このため、地方公共団体は、事業者選定段階で事業者をしっかり見きわめるとともに、運営権者に対し、適切にモニタリングを行い、必要があれば速やかに改善命令等を行うこと等により、公共サービスの安定供給を担保することとしております。

 水道事業の効率化を実現する方法として、PPP、PFI推進を所管する内閣府としては、公共サービスの安定供給を前提としつつ、課題解決の多様な選択肢の一つとして、コンセッション方式の活用の推進を図ることとしているところであります。

 最後に、PFI事業における地元事業者の関与についてのお尋ねがありました。

 水道事業を含めたコンセッション事業においては、各地域の実情を踏まえた事業の展開を図り、維持管理や災害時の対応を円滑に行う観点から、地元事業者が適切に参画することが大変重要であると認識をしております。

 このため、これまで実施されているPPP、PFI事業においては、地元事業者が参画しやすくするための取組として、地方公共団体の判断により、事業者選定に当たって、代表企業に市内工事の受注実績があることを義務づけ、構成員に市内企業を含むことを義務づけ又は加点、地元企業の活用に関する提案を採点上有利に扱う手法を実施するなどの例があると承知をしております。

 このような取組については、内閣府においても、地方公共団体や地域の民間事業者等が集まる会議等の場を通じ、周知を行っているところであります。今後、コンセッション方式を含め水道事業を行う地方公共団体に対しても、このような取組を周知してまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 浜地雅一君。

    〔浜地雅一君登壇〕

浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。

 公明党を代表し、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。(拍手)

 本格的な少子高齢化社会が到来する中、国民が真に豊かさを実感できる社会を実現するためには、効率的かつ効果的に社会資本を整備し、質の高い公共サービスを提供することが重要な課題です。

 一方で、長期債務残高がGDPの二倍を超え、国及び地方の財政が非常に厳しい状況にある中、公共施設の整備と財政健全化の両立を図ることも喫緊の課題です。

 政府は、これまでも、公共施設の長寿命化、集約化を進める公共施設等総合管理計画の策定を始めとする取組を行ってきていますが、これらの施策と並び重要な役割を果たすものがPPP、PFI事業です。加えて、PPP、PFIの推進は、民間の創意工夫により地域に新たな価値を創出するものとして、地方創生の観点からも大きな期待が寄せられています。

 以下、改正案に関し、関係大臣に質問をします。

 まず、PPP/PFI推進アクションプランの改定についてお尋ねします。

 政府は、一昨年の平成二十八年にアクションプランを策定し、事業規模目標を十年間で二十一兆円と定めました。昨年の平成二十九年六月にもこのアクションプランを改定しましたが、事業規模目標は変更はされておりません。では、昨年六月にはどのような点を改定されたのか。改定の経緯を含めて、梶山地方創生担当大臣の答弁を求めます。

 政府は、PPP、PFI事業の類型を四つに分類をしています。コンセッション事業に代表されるPFI法に基づく事業と、包括民間委託事業などのPFI法に基づかない事業との場合で、事業の実施や政府の支援措置がどのように異なるのか、PFI法に基づく場合の法的な効果について、梶山担当大臣の答弁を求めます。

 今回のPFI法改正の中身は、一つは、公共施設等の管理者に対するワンストップ窓口の創設、二つ目は、公共施設の運営管理者が指定管理者を兼ねる場合の二重適用の負担の軽減、三つ目に、水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に伴う補償金を免除することによって、地方自治体にPFI推進のインセンティブを付与する内容となっています。

 このうち、二つ目の運営管理者と指定管理者の二重適用の負担軽減についてお尋ねしますが、まず、なぜ二重適用の問題が生じるのか、今回の改正により負担軽減の対象となる公共施設はどういった施設であるのか、どのような点において負担が軽減されるのか、梶山担当大臣の答弁を求めます。

 PFI事業の中で最も事業採算性が高く、かつ経済的波及効果があるのがコンセッション事業です。これまで、コンセッション事業は空港では既に複数の事業が開始され、また、愛知県では道路事業の運営も始まりました。旧奈良監獄などの文教施設、MICEなどのコンセッションも検討をされています。

 これらに比べ、上下水道についてはなかなか進んでいないのが実感です。本年四月から静岡県浜松市で下水道事業が開始されましたが、上水道事業のコンセッションは、資産評価、デューデリジェンスを実施中の案件はあるものの、運営実施まで至っておりません。

 我が国の水道普及率は九七・九%に上り、水質もよく、料金も安価な、世界に誇れる重要なインフラでありますが、今後、人口減少による料金収入の減少、水道事業者の職員の減少など、多くの課題を抱えています。

 まず、水道事業の現状を確認します。法定耐用年数を超え、更新が必要な水道の管路は、全体の管路に対して何%に上るのか。加えて、昨年の管路の更新率と、それを前提とすると、老朽化対策が必要な管路の更新を全て終えるにはあと何年程度かかるのか、加藤厚生労働大臣の答弁を求めます。

 先日、水道事業のコンセッション事業を検討している民間事業者からお話を伺いました。民間事業者が水道事業のコンセッション事業参加への壁として挙げたのは、地中に埋まっている管路の状態を正確に把握するための資料が不足し、管路の維持管理、更新にかかる事業費を正確に見積もることが困難である、よって、現状では、管路の維持管理を除いた、浄水場などの目に見える範囲のみを対象とした部分的なコンセッション事業にしか参画ができないとの声でありました。

 民間事業者が管路の維持管理コストの算定など、適切に資産評価、デューデリジェンスができるよう、例えば管路の台帳と管路修繕の履歴を連携させるための電子化など、民間事業者が安心してコンセッション事業に参加できる環境整備を国が積極的に後押しする必要があると思いますが、加藤厚生労働大臣の答弁を求めます。

 仮に管路台帳と修繕履歴の電子データ化などの取組が始まったとしても、管路の状況把握には一定の時間がかかることは否めません。そこで、管路の維持管理を含む包括民間委託事業を推進し、民間事業者が委託事業を通じて実際に当該地方公共団体の管路の維持管理、更新の経験を積み重ねることが、民間事業者が管路の現状を把握し、適切な資産評価ができることにつながると考えます。

 これがひいてはフルサイズのコンセッション事業移行への後押しになると考えますが、管路の維持管理を含めたフルサイズのコンセッション事業を推進する観点から、包括民間委託事業の位置づけに対する梶山担当大臣の御見解をお聞きします。

 厚労省では、水道事業のコンセッション事業を後押しする施策として、水道事業の経営の認可権限を地方公共団体に残したまま運営権を設定できる仕組みなどを盛り込んだ水道法の改正を今国会に提出をしています。

 この改正案は、地方公共団体及び民間事業者からは、水道のコンセッションを推進する強力な切り札であり、今国会での確実な成立を望むとの声があります。改めて、加藤厚生労働大臣に、水道法の一部改正案の意義をお伺いします。

 PFI事業は、民間資金、民間技術の海外展開、インフラ輸出の促進という点でも重要です。PFI事業は、長期安定的なキャッシュフローが見込めるため、海外では年金ファンドの重要な投資先として注目をされています。

 一方、我が国の現状は、例えば北九州市のカンボジアの水道事業など、地方公共団体がODAなどの枠組みを使った国際貢献の取組の一環として行っており、世界のPFI事業において、我が国の民間事業者は大きくおくれをとっています。

 日本企業の持つ質の高いインフラ技術、民間資金を海外のPFI事業に展開し、確実に受注していくためには、将来の海外展開を見据えながら国内でのインフラ運営の経験を積み重ねていくことが重要と考えます。PFI事業の海外展開について、梶山担当大臣の答弁を求めます。

 以上、少子高齢化を本格的に迎える我が国において、将来にわたって真に必要な質の高い公共施設を国民に提供し続けるには、民間資金、民間技術の活用は欠かせません。しかし、我が国におけるコンセッションを始めとするPFI事業の推進の速度は、正直、遅いとの感が否めません。今回の改正により、PFI事業が加速度を増して推進されることを期待し、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 浜地議員にお答えをいたします。

 初めに、PPP/PFI推進アクションプランについてのお尋ねがありました。

 PPP、PFIの推進を図るため、民間資金等活用事業推進会議において、平成二十五年に初めて、PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプランを策定しました。翌二十六年に集中強化期間の取組方針を策定し、それらの進捗状況を踏まえ、平成二十八年にPPP/PFI推進アクションプランを策定しております。

 このPPP/PFI推進アクションプランは、施策を適切に推進していくために、毎年度フォローアップし、必要に応じて見直すこととしており、直近では平成二十九年六月に改定をしております。

 改定の主な内容は、PPP、PFIを一層推進するための施策として、新たに、公的不動産における官民連携の推進の明記、空港を始めとする従来のコンセッション事業等の重点分野に、クルーズ船向け旅客ターミナル施設及びMICE施設の追加、そのほか、施策のフォローアップを踏まえた具体的施策の見直しです。

 内閣府としては、アクションプランの具体的な施策を着実に実施することにより、事業規模目標の確実な達成を目指してまいります。

 次に、PFI法に基づく法的効果についてのお尋ねがありました。

 PFI法には、同法に基づいて実施されるPFI事業にのみ適用される支援措置等が規定されています。具体的な法的効果としては、行政財産の貸付けの特例、公有財産の無償使用等、PFI機構による出資、融資等の適用を受けることが可能になります。

 なお、PFI法に基づいて事業を実施することにより、公共施設等の管理者等及び民間事業者双方にとって実施すべき手続が明確になることで、円滑な事業実施が可能になるという効果もあるものと考えております。

 次に、公共施設等運営権制度と指定管理者制度の二重適用についてのお尋ねがありました。

 音楽ホールや国際会議場など、その目的の範囲内で特定の第三者に使用許可を行う形態の公共施設において公共施設等運営権制度を行う場合に、管理を行う民間事業者は、地方自治法に基づく指定管理者の指定を受ける必要があります。

 一方、こうした公共施設については、今般、公共施設等運営事業での実施を政府として推進しているところであります。運営権者となるだけでは使用許可権限がないことから、運営権者は、指定管理者の指定があわせて求められるところであります。

 本改正案において、運営権者が料金の設定を行うに当たって、条例で定めた利用料金の範囲内であるなど一定の要件を満たせば、指定管理者制度では必要な地方公共団体の承認制を届出制とすることとしております。

 さらに、運営権の移転に伴い、指定管理者の指定を新たに行う場合において、条例で指定管理者の基準を定めるなど特別な定めを定めた場合においては、指定管理者の指定に当たって、議会の議決にかえて議会への事後報告を行うこととしております。

 これらの特例により、運営権者による利用料金の柔軟な設定や、どのような事業者であれば指定管理者の指定を受けられるのかといった予見が可能となり、事業の円滑な実施に資するものと考えております。

 次に、水道事業に関し、包括的民間委託事業についてのお尋ねがありました。

 複数の事業をまとめて民間事業者に委託する包括的民間委託事業は、従来型事業よりも民間事業者のノウハウ活用の促進に資するものであります。そのため、PPP、PFIの第一歩として積極的に活用することが重要であり、平成二十九年に改定されたPPP/PFI推進アクションプランにおいても、その活用を推進することとしております。

 また、包括的民間委託事業により民間事業者が受託する業務の幅を広げていくことで、将来的に、更に民間事業者のノウハウ活用の自由度が高いコンセッション事業へと発展することが期待できるものと考えております。

 最後に、日本企業がインフラ運営の経験を積み重ねていくことの重要性、PFI事業の海外展開についてのお尋ねがありました。

 日本企業の海外へのインフラ輸出については、政府としても、インフラシステム輸出戦略を策定するなどの取組を行っております。

 日本企業が、国内において、PPP、PFIを含めた幅広い事業手法を経験し、そのノウハウを蓄積することは、海外で運営ノウハウが必要となる事業に参入する際の強みとなり得るなど、結果として、海外への展開にも資するものと考えられます。

 今後とも、日本企業が多くのノウハウを蓄積し、海外展開の一助となることを視野に入れつつ、PPP、PFI活用の促進を図ってまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 浜地雅一議員より、三問の御質問をいただきました。

 老朽化対策が必要な水道管路の更新についてのお尋ねがありました。

 高度経済成長期に多くの水道施設が整備をされ、水道の普及率が急速に上昇いたしましたが、水道の管路を含むこれらの施設が、順次、更新すべき時期を迎えております。

 全国の水道管路のうち、四十年の法定耐用年数を超えた管路の割合は、平成二十八年度末時点では一四・八%となっております。

 また、平成二十八年度における管路の更新率は〇・七五%であることから、これを前提に、現在埋設されている水道管を全て更新するために要する期間を単純に計算いたしますと、約百三十年となります。

 コンセッション事業に安心して参画できる環境整備についてお尋ねがありました。

 地中に埋設されている管路を含め、水道施設の台帳整備や修繕を適切に実施し、水道施設の状態を管理していくことは、コンセッションのみならず、水道事業の持続的な経営を確保していくためにも極めて重要であります。

 このため、今国会に提出した水道法改正法案において、水道事業者等に対して、水道施設台帳の整備及び水道施設の維持修繕を義務づけることとしております。

 また、平成三十年度予算において、他の水道事業者等と共同で水道施設台帳を電子化する費用の一部を助成する制度を盛り込んでおり、引き続き、水道事業における適切な資産管理を推進してまいります。

 水道法改正法案の意義についてのお尋ねがありました。

 水道施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入の減少など、水道の直面する課題に対応するために、今回の水道法改正案は、水道事業の広域連携や多様な官民連携を進めるとともに、水道事業者等に対し水道施設の適切な管理を求めること等により水道の基盤強化を図るものであり、国民の皆さんに将来にわたり安全な水を安定的にお届けしていくために必要な改正であると考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣

       国務大臣    野田 聖子君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       国務大臣    梶山 弘志君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  越智 隆雄君


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