衆議院

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第25号 平成30年5月11日(金曜日)

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平成三十年五月十一日(金曜日)

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  平成三十年五月十一日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、消費者契約法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣福井照君。

    〔国務大臣福井照君登壇〕

国務大臣(福井照君) ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。

 消費者契約におきましては、消費者と事業者との間に交渉力等の格差があることなどから、依然、若年者を含めた幅広い年代において消費者被害が生じております。

 また、平成十三年の施行以降、消費者契約についての裁判例や消費生活相談事例が蓄積しており、この傾向等も踏まえ、適切な措置を講ずる必要がございます。

 こうした状況を踏まえ、消費者の利益の擁護を図るため、事業者の一定の行為により消費者が困惑した場合について、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型を追加する等の措置を講ずることとするため、この法律案を提出した次第でございます。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型として、社会生活上の経験が乏しいことから、消費者が抱いている過大な不安をあおったり、消費者が勧誘を行う者に対して恋愛感情を抱いていることなどに乗じて、一定の内容を告げることを追加することといたしております。

 また、消費者が意思表示をする前に、契約を締結したならば負うこととなる義務の内容を実施すること等を追加することとしております。

 加えて、不利益事実の不告知による取消しについても所要の改正を行います。

 第二に、無効となる不当な契約条項の類型として、事業者に対し消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項、事業者にその損害賠償責任及び消費者の解除権の有無等を決定する権限を付与する条項を追加することといたしております。

 第三に、事業者の努力義務についても、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で、必要な情報を提供することを明示するなどの所要の改正を行います。

 なお、一部の附則規定を除き、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することといたしております。

 以上、消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。尾辻かな子君。

    〔尾辻かな子君登壇〕

尾辻かな子君 立憲民主党の尾辻かな子です。

 ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、立憲民主党・市民クラブを代表して質問いたします。(拍手)

 質問に入る前に、一言申し上げます。

 加計学園の獣医学部新設をめぐる問題について、きのう、柳瀬元首相秘書官の参考人質疑が行われました。結果、疑惑はますます深まった、闇はますます深くなったと言わざるを得ません。

 官邸で首相秘書官が特定の学校法人関係者に御丁寧に三回も会う。そして、国家戦略特区に関して面会したのは、何と加計の関係者だけ。しかも、加計孝太郎理事長は、自他ともに認める安倍内閣総理大臣の親友です。これが特別扱いでなければ、何だというのでしょうか。

 にもかかわらず、面会の内容はおろか、会った事実すら安倍総理に全く報告もしていません、話もしていませんなどという話を一体誰が信じるというのでしょうか。

 記憶にないを連発していた柳瀬氏は、調整の結果なのか、さっさと記憶を取り戻したようですが、都合のよいところだけはやけに詳しく、肝心なところは闇の中。疑惑がますます深まった以上、今後も関係者に国会でお話しいただく必要がますます高まったと、この場でもあえて申し上げておきます。

 また、本日の財務金融委員会における麻生大臣に対する私の質問に対して、大臣が、女性記者にはめられたとの見方があると改めて言及した上で、そういう可能性は否定できないと答弁されました。

 四月二十七日に、財務省は前事務次官のセクシュアルハラスメント行為があったと判断し、テレビ朝日に謝罪したにもかかわらず、その組織のトップがいまだにセクシュアルハラスメントの二次被害を広げ、被害者をバッシングしているのは、とんでもない発言です。即刻、麻生大臣は被害者に謝罪し、発言を撤回すべきです。

 さて、消費者契約法ですが、御担当は福井照大臣です。消費者担当大臣は、消費者政策を預かる重要なお立場であり、人権感覚がとても大事です。人格、品格が問われることは申し上げるまでもありません。

 安倍内閣には、セクハラ罪という罪はないなど、いろいろ信じられない認識をお持ちの大臣も居座っておられます。世界各国でミー・トゥー運動が大きなうねりとなっております。福井大臣におかれましても、セクハラ行為等を指摘されたようなことはないものと信じております。

 さて、近年の消費者を取り巻く社会経済情勢の変化に伴い、商品、サービスは多様化、複雑化し、新たな消費者トラブルが次々と発生するなど、消費者被害の発生は後を絶たず、特に、加齢や認知症等の影響により判断能力が低下した高齢者を狙った悪質な訪問販売や電話勧誘販売など、不当勧誘販売による高齢者被害は依然として増大しております。

 また、成年年齢引下げに関する民法改正の動向を受けて、若年者の被害拡大が懸念されており、高齢者及び若年者等の被害の防止、救済は喫緊の課題となっております。

 このような実情を踏まえ、今般提出された本法律案は、依然として発生している幅広い年代における消費者被害に対して、消費者と事業者との間の交渉力等の格差是正を前提として、消費者の利益の擁護を図るための法改正でなければなりません。

 私たちは、こうした消費者被害の問題に対して、本法律案が、消費者の利益の擁護を図るため、消費者被害の防止及び救済の観点から実効性のある法改正となるよう、消費者目線に立った審議を強く望み、消費者担当大臣と、一部を法務大臣に質問いたします。

 二〇〇一年の消費者契約法施行後、現在もなお消費者被害が後を絶たず、全国の消費生活センター等へ寄せられる相談は、ここ十年間においても、年間約九十万件と高水準であり、二〇一六年には、その約三割を六十五歳以上高齢者が占め、被害額は相談一件当たり六十九万円と高額となっております。

 こうしたことから、二〇一六年の第百九十回国会の一次改正に至らず積み残された課題と、さらに、民法の成人年齢引下げの動向を受けて、今般の改正は、消費者からの安心して暮らしたいという声、全国の消費生活相談の現場や適格消費者団体等からの、消費者被害を防止、救済したい、悪質事業者ではなく、真っ当に働く事業者に当然入るべき利益が届くべきだという強い思いに対する結実として、非常に期待されているものでありました。

 ところが、本法律案は、消費者委員会の異例の付言が盛り込まれた答申の趣旨を十分に踏まえたものとは言いがたい改正案になっております。

 そこで、消費者担当大臣にお尋ねします。

 本法律案は、消費者委員会の答申をどれだけ真摯に受けとめた改正になっているというのでしょうか。本改正の狙いと、本改正により、依然として発生している高齢者、若年者等の消費者被害がどれだけ防止、救済される効果があるとお考えですか。お伺いいたします。

 本改正では、事業者の情報提供の配慮義務について、事業者が個々の消費者の事情を考慮すべき事項として、消費者契約の目的となるものの性質に応じることと、個々の消費者の知識及び経験を考慮することを追加していますが、年齢については、知識及び経験と一致する側面があるとの理由から、本改正には盛り込まれませんでした。

 しかし、知識及び経験が浅いことによる判断能力不足と、高齢者や若年者それぞれの年齢に応じた判断能力不足の特徴は、必ずしも重複しません。

 若年者のみならず、高齢者の消費者被害の予防、救済を図るため、事業者に情報提供についての配慮義務を明確化する上で年齢を明記することが有効と考えますが、消費者担当大臣の見解を求めます。

 また、近年、消費生活の環境変化に伴い、事業者と消費者との情報格差は一層拡大しております。事実、消費者委員会成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループでは、事業者の配慮義務として、当該消費者の需要及び資力に適した商品及び役務の提供について、必要かつ合理的な配慮をすることと提案しています。

 このような事実関係を踏まえれば、事業者の情報提供については、消費者の需要及び資力等についても考慮するよう明記すべきと考えますが、消費者担当大臣の見解を求めます。

 本法律案は、事業者が不安をあおる告知と恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用という不当勧誘行為により、消費者が困惑して消費者契約を締結した場合の取消権を追加することとしています。

 しかし、両規定には、消費者、事業者及び有識者で構成される消費者委員会専門調査会では議論の俎上にも上がっていない「社会生活上の経験が乏しいことから」という文言が、いつの間にか要件として追加されています。

 そもそも、今般の改正は、消費者委員会に対する内閣総理大臣からの諮問を受けて消費者委員会で検討が進められたものであり、この諮問に対し、現下の重要な課題の一つとして、高齢化の進展への対応が挙げられていたはずです。

 ところが、「社会生活上の経験が乏しいことから」という、若年者だけを対象に置いているかのようなこの要件が追加されたことにより、高齢者等の被害が救済されないような間違った解釈、運用になりかねません。

 政府においては、この社会生活上の経験が乏しいという要件は年齢を制限するものではない、また、この要件を削除することは、対象が広くなり過ぎ、取引の安定性を害すると説明しています。

 しかし、過大な不安をあおり、正当な理由もないのに、願望実現のために必要であると告げること、好意の感情に乗じて、契約締結しなければ破綻すると告げるという行為は、健全な商行為ではなく、保護すべき事業者ではありません。これ以上、何の要件が必要なのでしょうか。

 政府は、「社会生活上の経験が乏しいことから」の要件について、救える場合と救えない場合を逐条解説等で対応すると説明していますが、この使いづらい要件がなぜ必要なのでしょうか。

 実際、個々の事案ごとの判断になるのです。その基準は不明確であることから、最終的には、交渉の現場、訴訟の場面において実効性のない規定になる可能性が高いことは明らかです。

 このような中、多くの消費者団体等から、「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件削除を求める声が高まっております。

 我が党では、「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件を削除する修正を求め、以下の点をお伺いいたします。

 消費者担当大臣に、この要件を追加した理由を伺います。

 また、明確な規定を設けるとしながら、不明確で曖昧な規定を更に追加し、逐条解説で対応するとしていることには大きな矛盾があると考えますが、大臣の明確な見解を求めます。

 この要件により消費者被害の救済対象が狭められる懸念に対し、本改正案で適用対象の範囲がどこまでとされているのか、この改正規定を使う現場の方々にわかるようにお示しください。

 現行法は、契約の解約時に消費者が求められるキャンセル料に関し、当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効とする規定があります。この平均的な損害の額の立証は消費者側に求められます。これは消費者に大変困難な立証であるため、平均的な損害の額の推定規定について、消費者委員会専門調査会で合意されましたが、本法律案には盛り込まれておりません。その理由についてお聞かせください。

 また、平均的な損害の額の算定に必要な帳簿などの資料は事業者が持つことから、事業者に平均的な損害の額の立証責任を転換することも考えられますが、あわせて消費者担当大臣の答弁を求めます。

 今国会に提出された、成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案が仮に成立すれば、二百二十万人とも言われる十八歳、十九歳の若年消費者が未成年者取消権を失うことを意味します。

 そもそも、民法の成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるとした二〇〇九年の法制審議会答申では、引下げの法整備を行うには、消費者被害のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要であるとされました。

 その後、専門調査会報告書、消費者委員会二次答申、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書等でも明らかなように、成年年齢が引き下げられた場合に備えた消費者被害対策が求められております。

 しかしながら、本改正案には、不安をあおる告知、恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用など、ごく限られた場合の取消権しか盛り込まれておらず、日弁連を始め、全国の消費者団体等からは、これでは十八歳、十九歳の消費者被害を防止、救済するための施策としては不十分との声が上がっております。

 十八歳、十九歳の若者への救済策として、法制審議会答申を契機として、それ以降、成年年齢引下げに備えてどのような取組を行ってこられたのか、そして、本法律案のあるべき姿についてどうお考えなのか、消費者担当大臣にお伺いいたします。

 また、民法改正案を提出する決断を下した法務大臣に、成年年齢引下げに伴い心配される消費者被害対策が実現されたと考える根拠についてお伺いいたします。

 消費者契約法は、規制緩和が進む中、消費者を守るための法律的な盾とならなければなりません。そのためには、立憲民主党は、消費者契約法の消費者の利益の擁護を図るという立法精神にのっとり、原案よりも一歩進んだ、全ての消費者、国民、市民のための消費者契約法の成立を目指して、与野党問わず協力してまいりたいと思います。

 以上で私の代表質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣福井照君登壇〕

国務大臣(福井照君) 尾辻議員にお答えをいたします。

 消費者委員会の答申の受けとめ等についてお尋ねがございました。

 本法律案は、消費者委員会の答申で法改正を行うべきとされた事項について法制的な見地から検討を行い策定したものであり、消費者委員会において検討されていた具体的な事例については、基本的に防止、救済を図ることができるものと考えております。

 また、答申書の付言等につきましては、重要な課題であると考えており、引き続き検討してまいります。

 本改正案は、高齢者や若年者を含めた幅広い年代において生じている消費者被害のさらなる防止、救済を図るために必要な法整備であると考えております。

 次に、事業者の情報提供について、配慮義務についてお尋ねがございました。

 事業者が消費者に情報を提供する際に考慮すべき事情としては、消費者の理解と関連性が高い、知識及び経験を明記することといたしました。年齢につきましては、知識及び経験と重複する側面があることから、法文上明記しなかったものでございます。

 次に、事業者の情報提供に関し、消費者の需要及び資力等についても考慮すべきではないかについてお尋ねがございました。

 消費者委員会専門調査会におきまして、消費者の需要及び資力に適した商品及び役務の提供について、必要かつ合理的な配慮をすることについて議論されましたけれども、消費者の需要及び資力に適したものであるかどうかの判断は事業者側からは困難であるとの意見が出され、コンセンサスが得られませんでした。

 こうしたことを踏まえ、現段階では、消費者の需要及び資力を事業者が消費者に情報を提供する際の考慮事項とすることは困難だと考えられます。

 次に、不当な勧誘行為の追加要件である、社会生活上の経験が乏しいことについてお尋ねがございました。

 消費者委員会では、知識、経験の不足など、消費者の合理的な判断をすることができないような事情につけ込む被害事例について検討がなされました。本要件は、こうした被害事例を適切に捉えるため、経験の有無という客観的な要素により、要件の該当性の判断が可能となるよう法制化したものでございます。

 総じて経験が少ない若年者は本要件に該当する場合が多くなりますけれども、高齢者であっても該当し得るものでございます。

 次に、平均的な損害の額の推定規定の必要性についてお尋ねがございました。

 平均的な損害の額の推定規定を設けるに当たり、消費者契約一般に通ずる事業の内容の類似性判断の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、改正事項とはしなかったものでございます。

 立証責任を転換することにつきましては、消費者委員会における検討においてコンセンサスが得られず、改正事項として提案されなかったものでございます。

 成年年齢の引下げに備えた取組、本法律案のあるべき姿についてお尋ねがございました。

 まず、若年者が消費者被害に遭わないためには、消費者教育を充実させることが必要でございます。答申以降、消費者教育の内容が充実された学習指導要領が順次施行されるとともに、消費者教育の推進に関する法律や、これに基づき閣議決定された基本方針などを踏まえ、実践的な消費者教育のための教材「社会への扉」を作成し、昨年度は徳島県の全ての高校でこれを活用した授業を実施いたしました。

 また、本年二月には、文部科学省等の関係省庁と連携をして、二〇二〇年度までの三年間を集中強化期間とするアクションプログラムを決定し、「社会への扉」を活用した授業が全ての都道府県の全高校で行われることを目指しております。

 さらに、相談窓口の充実、周知にも取り組んできた結果、全国の消費生活センターの数は八百二十九カ所まで増加したほか、消費者ホットライン一八八に電話すれば全国どこからでも最寄りの相談窓口につながるようになりました。

 また、消費者契約法は、不当な勧誘行為により締結された契約に対し取消権を付与すること等を内容とするものですが、本法律案では、不安をあおる告知や恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用を取消しの対象となる不当な勧誘行為として追加するなどの措置を講じており、成年年齢の引下げに対応するものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 尾辻かな子議員にお答え申し上げます。

 民法の成年年齢の引下げに向けた消費者被害対策が実現されたと考える根拠についてお尋ねがありました。

 これまで、政府としては、消費者被害の拡大を防止するために各種の施策に取り組んできました。

 教育の面からは、平成二十年及び二十一年の学習指導要領の改訂により、消費者教育、法教育、金融経済教育等の充実が図られており、現在の高校生は、既に改訂後の学習指導要領に基づく教育を受けております。

 また、今国会には、若年者を中心に発生している消費者被害に対応するための取消権の創設等を内容とする消費者契約法の一部を改正する法律案が提出されております。この法律により、これまで未成年者であった年齢層以外の者も含めて、消費者被害の防止のための制度的な対応が行われることになります。

 法務省としては、こうした各種の施策により、成年年齢の引下げの是非について国会に御判断いただく前提となる環境整備は実現されたものと考えておりますが、環境整備のための施策については、今後も省庁横断的に、更に充実強化を図る必要があると考えております。

 政府としては、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議を開催し、平成三十四年四月一日の施行日に向けて、工程表を作成した上で全体的な進捗管理を行っていくこととしており、施行日までにこれらの施策が十分な効果を発揮するよう、引き続き努力してまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 西岡秀子君。

    〔西岡秀子君登壇〕

西岡秀子君 国民民主党、長崎一区選出、西岡秀子でございます。

 ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして、国民民主党を代表して質問いたします。(拍手)

 近年、家計の消費支出構造が変化し、物からサービスへ支出がシフトしており、社会経済情勢も激変しております。

 そのような中で、少子高齢化の中、ネット上の取引の急激な普及など、情報通信技術の進展や生活環境の変化に伴い、我々消費者を取り巻く環境も複雑化しております。悪徳業者の手口が巧妙化し、従来では見られなかった類型の消費者問題が生じております。

 消費者契約法は、消費者契約に関する包括的な民事ルールとして平成十三年に施行されました。平成十八年改正においては消費者団体訴訟制度を導入、平成二十年改正においては差止め請求の対象の拡大、平成二十八年改正においては取消し、無効に関する民事ルールを改正いたしました。

 前回の改正におきまして、衆参両消費者特別委員会において、今後の検討課題について必要な措置を講ずる旨の附帯決議がなされました。その内容は、勧誘要件のあり方、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、平均的な損害額の立証責任、条項利用者不利の原則、不当条項の類型の追加など、平成二十七年報告書において今後の課題とされた論点について、成立後三年以内に必要な措置を求めるとされておりました。

 今回の改正は、この論点に沿った改正でございます。消費者と事業者の交渉力の格差に鑑み、消費者契約に関する被害事例等を踏まえたものとなっています。

 消費者を世代別で見ると、高齢者の場合は、さまざまな身体的な衰えに加えて、判断力の低下により、悪質な訪問販売や電話勧誘によるトラブルに巻き込まれるリスクが高まっております。また、認知症についても、二〇二五年には約七百万人の方が認知症に罹患すると推定されており、五人に一人という状況が予測され、認知症の方の被害の拡大も大変懸念をされております。

 若年層については、特に、さまざまなネット上のトラブルやマルチ商法の被害に巻き込まれる事例が多発し、スマートフォンの普及により、消費者の被害のリスクの低年齢化が進行しております。

 そのような中で、民法の成人年齢を二十歳から十八歳へ引き下げる民法改正案が国会で審議入りをいたしました。この民法改正自体にもさまざまな議論があるところでございますが、消費者保護の観点から考えると、民法五条二項の未成年者取消権の喪失によって消費者被害の拡大が懸念をされております。今回の改正は、それを踏まえた上での改正と承知をいたしておりますけれども、ほかにも、親権の喪失によって生じるさまざまな問題もございます。法案が成立した場合には、成人年齢の引下げによる若年者、特に十八歳、十九歳の消費者被害の拡大が大変心配をされます。

 しかし、この改正案では、保護される部分が極めて限定的で、若年成人者の保護規定の充実がより必要であると考えますが、大臣の見解をお尋ねいたします。

 また、若年成人者という定義を設定する場合の年齢の範囲について、大臣の見解をお尋ねいたします。

 今回の改正で、意思表示を取り消し得る不当な勧誘行為の類型というものが追加をされました。現行法では、取消しの事由として不退去及び退去妨害が規定されておりましたが、消費者被害の実例に鑑みて、判断力や知識、経験の不足、不安定な精神状況、断り切れない人間関係など、消費者が合理的に判断できない事情を事業者が不当に利用している例が多く発生しております。

 消費者の立場からは、契約の取消しが認められる場合を明確にし、契約の効力を否定する規定を設けるべきという指摘がある一方で、事業者からは、適用範囲を明確化しなければ、事業活動上、過度な規制や萎縮につながる旨の指摘がされておりました。

 このような議論を踏まえて、今改正において、困惑類型と言われる不安をあおる告知、恋愛感情に乗じた人間関係の濫用の規定が新たに設けられました。この場合に該当すれば消費者が当該契約の取消しができるものと規定されております。

 この改正の趣旨は評価するものでございますが、第四条三項に社会生活上の経験が乏しいという文言が入ったことにより、若年者を意識した規定と捉えられるおそれがあり、霊感商法等の事例において、高齢者などの救済に規制的に働くおそれがあると考えます。

 本規定の適用対象となる範囲について、若年者から高齢者までどのような事例を想定しているのか、また、この文言の見直し又は削除する考えがあるかどうか、大臣に見解をお尋ねいたします。

 また、今回、限られた場合の取消権しか認められていないことは問題があると考えます。どのような理由でこの二つの類型を規定されたのか、規定以外の部分について今後どのように対応していくのか、また、法改正以外にどのように成年年齢の引下げに対応していくおつもりなのか、見解を大臣にお尋ねいたします。

 次に、専門委員会において法改正の合意が得られていた平均的な損害額の立証責任に関する規定は、今回盛り込まれておりません。

 現行法において、契約解除時に消費者が求められるキャンセル料は、当該事業者に生ずべき平均的な損害額を超える部分は無効とすると規定されておりますが、平均的な損害額及びこれを超える部分は、基本的には消費者に立証責任があるとされております。

 今回問題となっているのは、平均的な損害額を算定するための根拠となる資料が主に事業者に保管され、それらの資料が事業者から積極的に提出されるということは考えにくく、消費者が平均的な損害額を立証することは極めて困難であるという点です。

 報告書においては、そのことを踏まえて、法律上の推定規定を設けることとされておりました。今回、なぜ改正案に盛り込まれなかったのか、その理由と、今後どのようにこのことに対応されるのか、見解をお尋ねいたします。

 次に、事業者の努力義務に関する改正についてお尋ねをいたします。

 事業者の情報提供についての配慮義務として、知識及び経験のみが今回明示をされました。年齢については明示されず、個別の消費者の事情を考慮した上での情報提供が規定されていない状況です。これでは、弱い立場の消費者の保護、つまり高齢者や若年者、ハンディキャップをお持ちの方などに配慮したものとはならないと考えます。

 例えば、消費者の加齢による判断力の低下や消費者の生活の状況を踏まえた需要、消費者の財産の状況を踏まえた取引可能な分量等が考慮事項として明示されておりません。

 また、その解釈についても疑義を生じないという文言が追加されましたが、この文言は極めて抽象的で、どれだけの効果があるか疑問です。情報提供の義務化についても、現在、努力義務であり、法的な拘束力がないために、実効性の観点から不十分であると考えます。このことについて大臣の見解をお尋ねいたします。

 国民が消費生活を送る上で、どこに住んでいても、安心して消費生活を送り、何か問題が発生したときには質の高い相談を受けられ、救済されることは、消費者行政の基本であります。

 消費者行政の第一線を担っている地方公共団体が、より消費者に近い立場からしっかりと取り組んでいただくためにも、財源や人的な支援、研修などの面で国の支援が何より重要です。地方によって、限られた人員、体制の中で御苦労いただいている状況もあり、より一層の消費者行政の体制強化を図っていただきたいと考えますが、大臣に今後の取組についてお尋ねいたします。

 消費者庁においては、成人年齢の引下げを見据えて、自立的な消費者として主体的に判断できるように、消費者教育推進法に基づいて消費者教育に取り組んでおられます。

 消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスが徳島県庁に開設されて八カ月が過ぎ、徳島県内の全高校において、「社会への扉」という高校生向けの消費者教育教材を使い、消費者教育が行われています。二〇二〇年までに全国の高校生が消費者教育を受けることができるプロジェクトが進行しておりますが、今後どのように展開をされるのか、大臣にお尋ねをいたします。

 国民にとって、消費者問題は大変身近な問題であり、関心の高い分野であるものの、消費者契約法という法律についての認知度や、その内容についての知識が十分でないという現実があります。今後一層、消費者の立場に立ったきめ細やかな広報活動、各種説明会の実施が必要であります。

 現在、消費者が重要な情報を得ているのはテレビ等の媒体が中心でございますが、インターネットによる情報を望む方も急増しており、特に若年層において要望が高いデータが出ています。

 また、消費者相談の窓口の充実に関連して、消費者ホットライン一八八とあわせて、国民生活センターにおいてSNSを活用されておりますが、特に若年層に対してはLINEを使った相談窓口が有効であると考えますが、大臣の見解をお尋ねいたします。

 以上、今回の改正案は、十分と言えないまでも、消費者保護の観点に立ち、被害を未然に防ぎ、救済の道を拡大するものであり、一定評価したいと考えます。一方で、消費者の利益の保護とともに、事業者の健全な事業活動の負担にならないための配慮も大変重要な視点であります。

 特に私が申し上げたいのは、社会的に弱い立場の方々に立った消費者行政を一層推進していただけますように強く大臣にお願い申し上げます。

 最後に申し上げます。

 加計学園問題について、柳瀬元秘書官は、昨日の予算委員会参考人質疑、官邸で三度も加計学園関係者と面会したことを認めました。

 これについて、柳瀬氏との官邸での面会記録を残してきた愛媛県からは、中村知事が柳瀬氏の答弁を受けた記者会見で、全ての真実を語らない方だ、愛媛県の信頼にかかわるような発言があったことは非常に残念だと語りました。

 真相を究明するには、もう一つの当事者である愛媛県の中村知事に国会にお越しいただきたいと考えます。ぜひとも、来週月曜日の予算委員会における中村知事の参考人招致を与党に求めたいと思います。

 今の国会において、さまざまの信じがたい問題が噴出をいたしております。安倍総理は、さまざまな問題が表面化したときに、その都度、最終的な責任は私にありますと述べられておられます。

 今の国会の現状を行政の最高責任者としてどのように感じておられるのか。また、御自身の道義的な責任をどのように感じておられるのか。次世代を担う子供たちに、虚偽の答弁やうそが当然のようにまかり通る今の国会の現状をどのように御説明されるのか。

 今回、どのように責任をとられるか、国民が注視しています。総理は、みずからがまさにこのような問題の当事者であるということをもっと認識されるべきです。決して官僚だけの責任で幕引きを図ることがあっては断じてならないと考えます。

 行政府の長として安倍総理の責任は大変重いということを申し上げて、私の質問を終わります。

 御清聴いただきありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣福井照君登壇〕

国務大臣(福井照君) 西岡議員にお答えを申し上げます。

 若年成人者の保護規定の充実、年齢範囲についてお尋ねがございました。

 本法律案は、不安をあおる告知と人間関係の濫用の二類型について、消費者委員会の答申を踏まえ、取り消し得る不当な勧誘行為として追加するものであり、消費者委員会において検討されていた具体的な事例は基本的に救済されるものと考えております。

 また、消費者契約法は消費者と事業者の契約に広く適用されるものであり、消費者の年齢範囲を定義して特別の規定を設けるものではありません。

 次に、不安をあおる告知と人間関係の濫用の二類型についてお尋ねがございました。

 社会生活上の経験が乏しいという要件は、取消権の適用される範囲について、消費者に類型的に困惑をもたらす不当性の高い事業者の行為を特定し明確化するために必要なものでございます。

 この要件を設けたとしても、高齢者の被害事例を含め、消費者委員会において検討されていた具体的な被害事例は基本的に適用対象となるものと考えられます。

 また、不安をあおる告知と人間関係の濫用の二類型については、消費者委員会の答申において、取り消し得る不当な勧誘行為として追加すべきものとされたことを踏まえ、改正法案を策定したものでございます。

 成年年齢引下げへの対応といたしましては、若年者の被害の発生、拡大を防止するため、法制度の見直しに加え、消費者教育の充実に取り組むとともに、被害事例の傾向や特徴の紹介、消費者が活用できる被害救済手段や被害に遭った場合の相談窓口等の周知啓発に万全を期してまいります。

 次に、平均的損害額の立証に関する推定規定についてお尋ねがございました。

 平均的な損害の額の推定規定を設けるに当たり、消費者契約一般に通ずる事業の内容の類似性判断の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、改正事項とはしなかったものでございます。推定規定を設けることに関しては、引き続き検討を進めてまいります。

 次に、事業者の努力義務に関する改正についてお尋ねがございました。

 事業者が消費者に情報を提供する際に考慮すべき要素としては、消費者の理解と結びつきが強い、知識及び経験を明記することとしたものでございます。

 「解釈について疑義が生じない」を追加する趣旨は、消費者契約の条項の中に、解釈に疑義が生じるおそれのある不明確な条項があると、契約締結後に消費者トラブルを招くおそれがあることから、明確でわかりやすい条項を作成する事業者の取組を促すためのものでございます。

 事業者の情報提供は努力義務であるものの、消費者契約という局面で具体化された義務を規定していることに意義がございます。

 地方消費者行政の体制強化についてお尋ねがございました。

 地方消費者行政については、どこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる地域体制を全国的に整備するため、地方消費者行政推進交付金等を活用して整備されてきた体制を維持するよう支援を行います。

 また、新たに創設した地方消費者行政強化交付金を活用して、国が取り組むべき重要消費者政策を実施する地方公共団体を支援しながら、さらなる地方消費者行政の充実を図ってまいります。

 次に、消費者教育の全国への発信、展開の方針についてお尋ねがございました。

 成年年齢の引下げを見据え、実践的な消費者教育を確実に行うため、本年二月、文部科学省等の関係省庁と連携して、二〇二〇年度までの三年間を集中強化期間とする、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムを決定したところでございます。

 これに基づき、文部科学省等と連携をして、消費者庁が作成した教材「社会への扉」を活用した授業が全ての都道府県の全高校で行われるよう働きかけを進めてまいります。また、昨年度、徳島県内で授業を行った中から授業例を収集し、提供することで、より効果的な取組を全国に展開してまいります。

 消費者相談窓口の充実についてお尋ねがございました。

 消費生活相談は、双方向のやりとりを通じて消費者が抱える問題の所在を把握し、適切な解決を図っていくことが基本となります。

 このため、まずは消費者ホットライン一八八の周知を図り、若い世代も含めて一八八の利用の普及が重要と考えております。消費者庁ツイッター、首相官邸LINE等のさまざまなツールを用い、普及啓発を行っておりますけれども、今後とも、時代の変化に応じて、消費者が適切に相談を行える環境整備について検討をしてまいる所存でございます。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 濱村進君。

    〔濱村進君登壇〕

濱村進君 公明党の濱村進でございます。

 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)

 消費者契約法は、消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があることに鑑み、不当な勧誘による契約の取消し及び不当な契約条項の無効等について規定した民法の特別法でもあります。

 平成十二年成立、十三年の施行の後に累次の改正を重ねてきており、直近では、平成二十八年に改正され、二十九年六月に施行されました。その際、衆参の消費者問題特別委員会において附帯決議が付され、改正法成立後三年以内に必要な措置を講ずることを要請されていたところであります。

 そこで、福井消費者担当大臣に伺います。

 今般の改正は、法成立後三年以内との附帯決議にもかかわらず、それよりも早い段階での改正案提出となっていますが、成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法の一部を改正する法律案との関連等を含め、その背景や理由についてお伺いいたします。

 消費者契約法は、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としております。つまり、消費者被害の救済とともに、円滑な事業活動の確保を両立することが必要です。

 消費者契約法は、雇用契約以外の事業者と消費者との間における契約全般を対象とする包括的な民事ルールであり、広範な業種、業態にかかわるものであるため、事業者の予見可能性を担保するとともに、事業活動が円滑に進むように留意することが重要であります。

 このたびの改正案では、事業者に対して、消費者契約の条項が、その解釈について疑義が生じない明確なものとすることが追加で求められております。しかし、この規定は抽象的であり、人によってその程度が変化し得ると考えます。

 不明瞭な条項によるトラブルを防ぐという趣旨は理解しますが、具体的にどのような条項であれば、その解釈について疑義が生じない明確なものと言えるのか、具体的にお示しください。

 消費者委員会専門調査会においては、判断力不足により合理的な判断ができない状況を利用して契約を締結させる、いわゆるつけ込み型勧誘に対する取消権の設定について検討されましたが、適用範囲の明確化がクリアされていないため、事業活動の過度な制約や萎縮につながるおそれがあると指摘されており、かつ、十分な検討時間の確保もできなかったために、今後の検討課題となったと聞いております。

 その一方で、消費者委員会の答申書においては、高齢者、若年成人、障害者等の知識、経験、判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権について、早急に検討し、明らかにすべきであると付言されております。

 これは政府として重く受けとめるべきと考えておりますが、今後どのように検討を進めていくおつもりか、大臣の御所見をお伺いいたします。

 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し、四条において、いわゆるつけ込み型勧誘の類型については今回の改正に盛り込まれなかったわけでありますが、不安をあおる告知と恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用という二つの行為類型に対してのみ取消権は追加されることとなりました。

 なぜ、このように行為類型を規定し追加するように判断したのか、その理由を確認いたします。

 不当勧誘行為によって消費者が困惑し、消費者契約を締結した場合に、その消費者契約を取り消すことができるという規定が追加されるわけですが、それぞれの行為類型の条文には、社会生活上の経験が乏しいという要件がついております。

 これはどういう要件なのか。若年者だけが該当するのか、それとも高齢者も該当するのか、具体的な事例も交えてお示しください。

 成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法の一部を改正する法律案によると、民法の未成年者取消権がなくなることとなります。これにより、十八歳、十九歳の世代において消費者被害が拡大するおそれがあるとの見方があります。これまでは未成年者取消権が行使できていた世代が、悪質な事業者によって狙い撃ちにされ、被害救済できずに消費者被害がふえるということはあってはなりません。若年者が安心して社会生活を送ることができるように、また、法的安定性の確保の観点から、今般の消費者契約法の改正で、可能な限り対応するべきであると考えます。

 そこで、重要なのは、これまでの未成年者取消権の行使の実態です。どのような消費者契約について取消しが行われ、どのような規定の追加を消費者契約法で行わなければならないのか、エビデンスに基づいて検討されるべきと考えます。現状、未成年者取消権が行使された消費者契約は何件程度存在し、その種類についてはどのような分析を行っているのか、確認いたします。

 現行法第九条第一号において、契約の解除に伴うキャンセル料については、当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効としております。この当該事業者に生ずべき平均的な損害の額及びこれを超える部分については、事実上の推定の働く余地があるとしても、基本的には消費者に立証責任があると最高裁判決で整理されております。

 しかし、平均的損害額を算定する根拠資料が事業者から提示されない現状を鑑み、専門調査会で対応策が検討されました。その検討によると、消費者が、事業の内容が類似する同種の事業者に生ずべき平均的な額を推定した場合には、その額が当該事業者に生ずべき平均的損害額とすることが取りまとめられましたが、本改正案では盛り込まれておりません。その理由について確認するとともに、どのようにして消費者による平均的損害額の立証の困難さを軽減していくおつもりか、確認いたします。

 また、消費者団体を始めとして、平均的損害額の立証責任は事業者が負うべきであるとの意見もある中で、消費者庁として、今後、その立証責任を事業者に転換するということについてはどのように評価しているのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

 安定した消費生活と、事業者による予見可能性を高めることは、政府を挙げて取り組んでいる経済の好循環の基盤となるものと考えます。成年年齢の引下げとともに消費者教育の充実を行うことで、消費者被害の撲滅に取り組むべきと申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣福井照君登壇〕

国務大臣(福井照君) 濱村議員にお答えをいたします。

 改正法案提出の背景、理由についてお尋ねがございました。

 消費者契約法につきましては、消費者委員会の平成二十八年一月の答申にて残された論点につきまして、平成二十八年改正の際の衆参両院の附帯決議を踏まえて、同委員会において約一年間、精力的な検討が行われてきた経過がございます。

 その結果、平成二十九年八月に、速やかに改正法案を策定した上で国会に提出すべき旨の答申が示されたことから、今般、改正法案を国会に提出したものでございます。

 本法律案では、成年年齢引下げにも対応するものとして、不安をあおる告知や恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用を、取消しの対象となる不当な勧誘行為として追加をいたしました。このほか、消費者が後見開始の審判等を受けたことのみを理由として契約を解除できることとする権限を事業者に付与する条項を、無効となる不当な契約条項として追加するなどの措置を講じております。

 次に、事業者の努力義務についてお尋ねがございました。

 「解釈について疑義が生じない」を追加する趣旨は、消費者契約の条項の中に、解釈に疑義が生じるおそれのある不明確な条項がありますと、契約締結後に消費者トラブルを招くおそれがあることから、明確でわかりやすい条項を作成する事業者の取組を促すためのものでございます。

 具体的には、例えば、契約書の中で、単にAとBを読点で結んだ場合は、AかつBなのか、A又はBなのか不明確であり、解釈に疑義が生じ得ますけれども、かつ、又はのいずれであるかを明記すれば、その解釈について疑義が生じない明確なものと言えると考えております。

 いわゆるつけ込み型勧誘に対する取消権についてお尋ねがございました。

 つけ込み型勧誘による被害事例につきましては、平成二十八年改正により新設された過量契約の取消権の規定や、本法律案により追加する不当な勧誘行為の規定等によって、被害の救済を図ることができる場合もあります。

 ただし、より消費者の被害の救済を図る上で、答申の付言は重要な課題であると考えており、被害事例や裁判例の分析等を進め、引き続き検討をしてまいります。

 行為類型に対する取消権追加の理由についてお尋ねがございました。

 平成二十九年八月の消費者委員会の答申においては、法改正を行うべき事項として、これらの二つの類型を、取り消し得る不当な勧誘行為として追加すべきとされました。

 消費者庁としては、これを踏まえ、法制的な見地からさらなる検討を行い、これらの二類型について改正法案を策定したものでございます。

 「社会生活上の経験が乏しい」の対象についてお尋ねがございました。

 社会生活上の経験が乏しいとは、社会生活上の経験の積み重ねが、契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものでございます。

 総じて経験の積み重ねが少ない若年者は本要件に該当する場合が多くなりますけれども、高齢者であっても、契約の目的となるものや勧誘の態様との関係で、本要件に該当する場合があります。

 例えば、霊感商法のように、勧誘の態様に特殊性があり、積み重ねてきた社会生活上の経験による対応が困難な事案では、高齢者でも、本要件に該当し、救済され得るものでございます。

 成年年齢引下げとの関係で、未成年者取消権の行使の実態についてお尋ねがございました。

 未成年者取消権の行使により紛争が解決されている事案の中には、消費生活センターへの相談等として顕在化していないものもあるため、消費者契約における未成年者取消権の行使件数は明らかではございません。

 なお、成年年齢の引下げにより、十八歳、十九歳の者の消費者被害が拡大するおそれがあるとの指摘があり、消費者庁としては、二十歳代の若年者に多く見られる相談の情報等を分析し、その結果等を踏まえて本法案を作成したものでございます。

 平均的損害額の立証に関する推定規定についてお尋ねがございました。

 平均的な損害の額の推定規定を設けるに当たり、消費者契約一般に通ずる事業の内容の類似性判断の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、改正事項とはしなかったものでございます。

 今後は、裁判例のさらなる調査、標準約款における損害賠償の額を予定する条項の作成過程に関する業界ヒアリング等に取り組み、推定規定を設けることに関する検討を進めてまいります。

 平均的損害額の立証責任についてお尋ねがございました。

 立証責任を転換することについて、消費者契約法専門調査会における検討ではコンセンサスが得られず、改正事項として提案されなかったものでございます。

 ただし、裁判や消費生活相談において、消費者による平均的な損害の額の立証が困難な場合があると考えられることから、立証に関する規律のあり方について、引き続き検討を進めてまいる所存でございます。

 以上でございます。(拍手)

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議長(大島理森君) もとむら賢太郎君。

    〔もとむら賢太郎君登壇〕

もとむら賢太郎君 無所属の会のもとむら賢太郎です。

 会派を代表し、ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 まず冒頭に、六月十二日に米朝首脳会談がシンガポールで開催されることが発表されました。大きな局面の中で、非核化はもちろんのこと、我が国の拉致被害者全員を帰国させなければなりません。政府としても、米国などとしっかり連携し、拉致問題を解決するために万全を尽くすことを強く要請いたします。

 さて、今回の改正案では、困惑類型として、不安をあおる告知と恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用が追加され、この要件として、「社会生活上の経験が乏しいことから」という文言が追加されました。

 本要件は、消費者や事業者の代表者も加わった内閣府消費者委員会の場でも議論されておらず、答申にも含まれていないにもかかわらず、追加されたものです。消費者団体や法曹界からは、若年者層向けの規定に読まれ、高齢者層などの救済に制約的に働き、あっせんや裁判の際に混乱を来すのではないかとの大きな懸念が示されています。

 仮に、民法改正による成年年齢の引下げを視野に、若年層の消費者被害防止への対応を明確とするために本要件を加えたとしても、その結果、高齢者が取消権の対象から排除されることとなっては、改正の趣旨からして本末転倒であると言わざるを得ません。

 本要件が盛り込まれるに至った経緯について、誰の要請で、いつ、どこで、どういった議論を経て追加に至ったのか、具体的に御説明ください。

 また、高齢者の霊感商法被害や、ジャパンライフ事件のように老後の生活や健康に関する不安につけ込んで契約を結ばせる大型被害が発生している中で、高齢者が取消権の対象から排除される可能性があるにもかかわらず、本要件が必要である理由と、仮に削除した場合の弊害について、消費者保護の観点から御説明ください。

 加えて、本要件により、同一の被害を受けた被害者であっても、その救済に差が生まれ、被害者の分断を招く可能性など、消費者保護に逆行し、悪徳業者を利する結果となるのではありませんか。お答えください。

 今回の改正では、消費者委員会消費者契約専門調査会報告書で措置すべきとされた論点のうち、平均的な損害額の立証に関する推定規定が盛り込まれませんでした。

 平均的な損害の額については、立証に必要な資料については専ら事業者が保有しており、消費者が立証を行うことは著しく困難であることから、推定規定の検討にとどまらず、事業者への立証責任の転換について、期限を設け検討すべきであると考えます。見解を求めます。

 加えて、つけ込み型勧誘に関する取消権については、二つの困惑類型の追加という勧誘の類型の一部に対する措置にとどまっています。消費者契約法が消費者被害に関する包括的な民事ルールであることからしても、高齢者、若年成人、障害者などの知識、経験、判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権についての規定が包括的に検討されるべきと考えます。

 三月八日付で消費者委員会が出した本改正案に対する意見では、今回本改正案に盛り込まれなかった事項について、速やかにその検討を進めることを強く要請するとしています。消費者庁は、民法改正による成年年齢引下げの実施までに、具体的に期限を定め、これらの項目について検討を行うべきではありませんか。見解を求めます。

 本改正案を見れば、消費者庁が、本当に消費者、生活者の立場に立ち、被害者をおもんぱかりながら消費者庁の使命を全うしようとしているのか、残念ながら、その姿勢に疑問を抱かざるを得ません。本改正案をより消費者被害の防止と救済に資するものとすべく、しっかりとした議論を重ねていくことの必要性を訴え、私の質問とさせていただきます。

 最後に、きのうの柳瀬元首相秘書官の答弁は、加計学園問題に関する国民の疑念を更に深めました。安倍総理におかれては、みずからイニシアチブを発揮して疑念を晴らすことを求めて、終わりにします。(拍手)

    〔国務大臣福井照君登壇〕

国務大臣(福井照君) もとむら議員にお答えをさせていただきます。

 「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件を設けることとした経過についてお尋ねがございました。

 内閣府消費者委員会の専門調査会では、知識、経験の不足など、合理的な判断をすることができないような事情につけ込む被害事例について検討が行われ、できる限り客観的な要件をもって明確に定める必要があるものとして、昨年八月に報告書が取りまとめられました。

 本要件は、その報告書等を踏まえ、こうした被害事例を適切に捉えるために、政府内での検討を経て法制化したものでございます。

 「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件が必要である理由と、削除した場合の弊害についてお尋ねがございました。

 本要件は、取消権の適用される範囲について、消費者に類型的に困惑をもたらす不当性の高い事業者の行為を特定し、明確化するためのものでございます。仮に本要件を置かなければ、本来法が想定していない場合についてまで取消しが主張されてしまうおそれがございます。

 また、本要件を設けたとしても、消費者委員会において検討されていた具体的な被害事例は、高齢者の被害事例も含めて、基本的に救済されるものと考えられます。

 「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件は、消費者保護に逆行し、悪徳事業者を利する結果とならないかというお尋ねでございました。

 例えば、霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には本要件に該当するものと考えております。

 このように、悪徳事業者との関係では、被害者の救済に差はなく、本要件が被害者の分断を招くなどして消費者保護に逆行し、悪徳事業者を利する結果とはならないと考えてございます。

 平均的な損害の額についてお尋ねがございました。

 その立証責任を事業者に転換することについては、消費者委員会における検討においてコンセンサスが得られず、改正事項として提案されなかったものですけれども、消費者の立証の負担を軽減するための規律のあり方については、引き続き検討を進めてまいります。

 改正法案に盛り込まれなかった事項の検討についてお尋ねがございました。

 本年三月の消費者委員会の意見において指摘された付言事項への対応、平均的な損害の額の立証に関する規律のあり方、困惑類型の追加という本改正法案に盛り込まれなかった事項については、引き続き検討してまいります。

 以上でございます。(拍手)

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議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、消費者契約法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 安倍総理は、今国会の施政方針演説で、「成人年齢を十八歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぎます。」と述べています。この総理の演説に示されているように、成年年齢の引下げと消費者被害は、極めて密接に関連しています。

 成年年齢が引き下げられれば、十八歳、十九歳の若者が親の同意なくローンを組んだり、クレジットカードを利用できるようになると同時に、これらの若者から未成年者取消権が失われるからであります。

 ところが、本法案は、取り消し得る不当な勧誘行為として、不安をあおって告知を行って契約させた場合、恋愛感情等に乗じた人間関係を濫用して契約させた場合の二類型を規定していますが、この二類型だけで悪質商法の被害を防止できるのでしょうか。また、若者に被害の多い美容医療やマルチ取引等に対応できるのでしょうか。さらに、法案には、社会生活上の経験が乏しいとの要件が設けられていますが、これでは中高年の被害が対象外となってしまうのではありませんか。

 未成年者取消権は、未成年であることだけを証明するだけで、だまされたとかおどされたと立証するまでもなく契約を取り消すことができます。未成年者取消権は、消費者被害から未成年者を保護する鉄壁の防波堤の役割を果たしているのではありませんか。

 日弁連や消費者団体などからは、十八歳、十九歳の若者を未成年者取消権による保護から外すことで、若者の消費者被害が増加するとの強い懸念が示されています。この懸念にどう応えるのでしょうか。

 十八歳になった若者から未成年者取消権の保護を外す理由は何ですか。明確な答弁を求めます。

 消費者教育推進法が施行されて五年が経過しましたが、若者の消費者被害の実情は一向に改善していません。専門家からは、消費者教育は一応行われているが、要素が点在しており、消費者の自立の観点から体系化されていないと指摘をされています。この指摘をどう受けとめているのでしょうか。

 そもそも、成年年齢をどうするかは、若者のみならず、日本社会のありようにかかわる大問題です。本法案や民法改正案のみならず、二百本を超える法律が関係し、必要な施策や担当する省庁も多岐にわたります。成年年齢とは何か、それを引き下げることに伴う国民生活や日本社会への影響について、国民的な議論が必要ではありませんか。

 ところが、二〇一三年の内閣府の世論調査では、十八歳から十九歳の八五%が、成年年齢引下げの議論について知らないと答えています。ことし四月の読売新聞の世論調査では、引下げに反対が五六%であり、これは三年前の同調査の五三%よりもふえています。なぜこうした結果になっているのか、その理由をどのように認識していますか。

 成年年齢引下げについて議論した二〇〇九年の法制審議会の最終報告は、法整備に関して、若者の自立を促すような施策、消費者被害の拡大のおそれを解決する施策が実現されること、これらの施策の効果が十分に発揮されること、施策の効果が国民の意識としてあらわれることという三つのハードルをクリアすることを求めています。これらのハードルはクリアされたと認識しているのでしょうか。

 二〇〇九年の法制審の際には、日弁連や消費者団体の意見を聞く機会が設けられました。ところが、今回、上川法務大臣は、こうした会議を開催していないと答弁しています。その理由は何でしょうか。

 成年年齢の引下げは、国民一人一人の人生、日本社会の未来にも大きな影響を与えるものです。今後どのような環境整備が必要なのか、政府としての検証を行うべきではありませんか。

 以上、明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣福井照君登壇〕

国務大臣(福井照君) 藤野議員にお答えをいたします。

 本法律案で追加する不当な勧誘行為の取消しと悪質商法の被害防止の関係等についてお尋ねがございました。

 本法律案では、不安をあおる告知と人間関係の濫用の二類型について、消費者委員会の答申を踏まえ、取り消し得る不当な勧誘行為として追加することといたしております。

 また、この二類型につきましては、社会生活上の経験が乏しいの要件を設けたとしても、中高年者の被害事例も含め、消費者委員会において検討されていた具体的な被害事例は基本的に救済、防止されるものと考えております。

 御指摘の美容医療やマルチ取引等に関するものを含む若年者の被害の発生、拡大の防止のため、消費者教育を充実させるとともに、所管法令の厳正な執行にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

 十八歳、十九歳が未成年者取消権を失うことの懸念についてお尋ねがございました。

 消費者庁は、成年年齢の引下げに際しては、本法律案による不当な勧誘行為への取消権の追加に加え、消費者教育の充実、厳正な法執行、さらには消費生活相談窓口の充実、周知などのさまざまな施策の実施に全力を挙げて取り組んでまいります。

 中でも、消費者教育の充実は特に重要であることから、実践的な教材「社会への扉」を作成し、昨年度は徳島県の全ての高校でこれを活用した授業を実施いたしました。

 さらに、本年二月には、文部科学省等の関係省庁と連携をして、二〇二〇年度までの三年間を集中強化期間とするアクションプログラムを決定し、「社会への扉」を活用した授業が全ての都道府県で行われることを目指します。

 このような取組を通じ、自立した消費生活を送ることができる若者を育成できると考えております。

 消費者教育の体系化に関する指摘についてお尋ねがございました。

 平成二十五年に閣議決定されました消費者教育の推進に関する基本的な方針を踏まえ、社会の一員として行動する自立した消費者を育成するため、関係省庁等を挙げて、総合的かつ一体的に消費者教育の充実を図ってまいりました。

 本年三月の基本方針の変更に当たっては、若年者への消費者教育の充実を当面の重点事項と位置づけており、学校や地域など、さまざまな場における多様な担い手による取組が効果的に進められるよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 藤野保史議員にお答え申し上げます。

 まず、十八歳になった若年者が未成年者取消権による保護を受けられないこととした理由につきましてお尋ねがありました。

 今国会に提出している民法の一部を改正する法律案においては、公職選挙法の定める選挙権の年齢が満二十歳以上から満十八歳以上に改められたことや、今日の十八歳、十九歳の者には独立した主体として生活している者も多いことなどに鑑み、民法上の成年年齢を十八歳に引き下げることとしております。

 成年年齢の引下げには、若者の自己決定権を尊重するとともに、その積極的な社会参加を促すことにより、社会を活力あるものにするという意義があるものと考えます。

 そして、成年年齢の引下げのための環境整備として、政府においては、これまでも、消費者教育の推進等、消費者被害の拡大を防止するための環境整備のための施策に取り組んできました。

 また、今般の消費者契約法の改正によって追加される、不安をあおる告知や人間関係の濫用によって締結された消費者契約に関する取消権は、若年者に多く見られる悪質な消費者被害への対応を図るものであり、他の施策と相まって、十分な消費者被害への対策となるものと考えております。

 以上のとおり、成年年齢の引下げには積極的な理由や意義があることに鑑み、消費者被害の拡大を防止する施策をとった上で、成年年齢を十八歳に引き下げ、十八歳、十九歳の者は未成年であることを理由として取消権を行使することができないこととしたものです。

 次に、成年年齢の意味や、その引下げに伴う影響について国民的な議論が必要ではないかとのお尋ねがありました。

 民法の成年年齢の引下げは、明治九年の太政官布告で二十歳と定められたところから数えると、約百四十年ぶりの改正であり、また、民法が成年年齢としている年齢二十歳は、民法以外の多数の法令において各種の基準年齢とされ、国民生活に大きな影響を及ぼすものであることからすれば、その引下げに当たっては、国民の意見を広く聴取するなど、国民的な議論が必要であるものと認識しております。

 次に、世論調査において、成年年齢引下げの議論を知らないと答えた人や、引下げに反対であると答えた人が多かった理由をどのように認識しているのかについてお尋ねがありました。

 内閣府が平成二十五年に実施した世論調査では、成年年齢の引下げが議論されていることを聞いたことがない、議論の存在を聞いたことがあるが内容は知らないと回答した者が七五%前後となっていました。このことは、成年年齢の引下げに関する議論については、これに向けた環境整備の施策の内容等も含めて、周知が十分でないことが原因になっているものと思われます。

 次に、御指摘の新聞社が実施した世論調査においては、成年年齢の引下げに反対する意見が過半数を占めていますが、その理由としては、経済的に自立していない人が多いから、大人としての自覚を持つと思えないからといった回答が多かったものと承知しています。

 この結果については、さきに申し上げた平成二十五年の世論調査では、反対した方の中にも、一定の環境が整備されれば成年年齢の引下げを容認するという意見の方が相当程度含まれていたことに照らせば、新聞社が実施した調査における反対意見の方にも、同様の意見の方が含まれているものと考えられます。

 政府としては、これまでも、消費者被害の拡大を防止するための施策など、成年年齢の引下げの環境整備のための施策の充実に努めてきたところですが、これらの周知が不十分であることが、成年年齢引下げについて反対意見が賛成意見を上回った原因の一つになっているのではないかと考えられます。

 法務省としては、今後も、さらなる環境整備の施策の充実やその周知に努め、成年年齢の引下げについて国民の十分な理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、法制審議会の最終報告で掲げられたハードルがクリアされたと認識しているか、お尋ねがありました。

 これまで、政府としては、消費者被害の拡大を防止するため、学習指導要領の改訂により、消費者教育、法教育、金融経済教育等を充実させるなど、各種の施策に取り組んできました。

 また、今国会には、若年者を中心に発生している消費者被害に対応するための取消権の創設等を内容とする消費者契約法の一部を改正する法律案が提出されています。

 さらに、若年者の自立を促すような施策としては、全閣僚から成る子ども・若者育成支援推進本部を設置し、キャリア教育などのキャリア形成に対する支援や教育現場へのスクールカウンセラー等の配置の推進などの施策に取り組んできました。

 法務省としては、これらの施策が相応の効果を上げ、国民にも浸透していると考えており、法制審議会の最終報告で掲げられた条件を満たしているものと考えていますが、環境整備の施策については、今後も、省庁横断的に、更に充実強化を図る必要があると考えています。

 政府としては、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議を開催し、施行日に向けて、工程表を作成した上で全体的な進捗管理を行うこととしており、国民の理解が得られるよう、引き続き努力してまいりたいと考えています。

 次に、民法の成年年齢を引き下げる民法改正法案を提出するに当たり、関係者の意見を聞く会議を開催していない理由についてお尋ねがありました。

 私は、四月五日の参議院法務委員会において、成年年齢の引下げのための条件が満たされたかどうかを判断するために、日弁連や消費者関係団体の意見を聞く会議を開催したことはないと答弁しております。

 民法の成年年齢の引下げについての法制審議会の答申は、民法が定める成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるとした上で、引下げの法整備を行う時期については、国民の意識を踏まえた、国会の判断に委ねるのが相当であるとしています。

 法務省としては、これまでに取り組んできた環境整備の施策の状況や、公職選挙法が改正され、実際に十八歳、十九歳の者が参加する選挙が実施されるなどの社会経済情勢の重要な変化等を踏まえ、国会の御判断を仰ぐ条件が整ったものと考えており、成年年齢の引下げのための条件が満たされたかどうかを判断するために会議を開催することはしておりません。

 もっとも、成年年齢の引下げの環境整備に向けた諸施策については、今後も引き続き取り組む必要があると考えており、本法律案が成立した後は、その内容の周知等も必要であると考えています。

 今後、消費者関係団体や日弁連などからの意見聴取や意見交換の機会を設けるかどうかは未定ですが、今後の環境整備に向けた諸施策や周知を効果的なものとするために、関係諸団体からの意見の聴取についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、成年年齢の引下げに関し、どのような環境整備が必要なのか、政府として検証を行うべきではないのかとのお尋ねがありました。

 成年年齢の引下げに向けた環境整備の施策としては、これまでも、若年者の自立を促すための施策や消費者被害の拡大を防止するための施策など、さまざまな環境整備の施策を実施してまいりました。もっとも、成年年齢の引下げの施行に向けては、環境整備に万全を期すため、更にどのような施策が必要かについて検証を行っていくことも必要であると考えております。

 本年四月には、成年年齢の引下げに向けて、法務大臣を議長とする成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議の第一回会議を開催いたしました。この連絡会議の場において、これらの施策の進捗管理と検証などを的確に行っていきたいと考えております。

 以上です。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣    上川 陽子君

       国務大臣    福井  照君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  あかま二郎君


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