衆議院

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第26号 平成30年5月15日(火曜日)

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平成三十年五月十五日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十号

  平成三十年五月十五日

    午後一時開議

 第一 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案(内閣提出)

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長山際大志郎君。

    ―――――――――――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山際大志郎君登壇〕

山際大志郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の整備等の一層の促進を図るため、公共施設等運営権者が地方自治法上の公の施設の指定管理者を兼ねる場合の利用料金に関する特例等を創設するとともに、内閣総理大臣に対する特定事業に係る支援措置の内容等の確認に係る制度を設ける等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る四月十二日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、十八日梶山国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、二十日から質疑に入り、五月十一日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、本案に対し、立憲民主党・市民クラブから、公共施設等の管理者等又は特定事業を実施し、若しくは実施しようとする民間事業者が、特定事業に係る支援措置の内容等について確認を求めることができる一元的な窓口を、内閣総理大臣から民間資金等活用事業推進委員会に改めること等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、原案及び修正案を一括して討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長稲津久君。

    ―――――――――――――

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔稲津久君登壇〕

稲津久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、第四次産業革命のもと、データの利活用を促進するための事業環境を整備するほか、知的財産や標準の分野において、ビッグデータ等の情報技術の進展を新たな付加価値の創出につなげるために必要な措置を講じようとするものであり、その主な内容は、データの不正取得、使用等に対する民事上の救済措置の創設、日本産業規格、JISの対象へのデータ、サービス等の追加及び全ての中小企業への特許料等の軽減措置の拡大等であります。

 本案は、去る四月十七日本委員会に付託され、翌十八日世耕経済産業大臣から提案理由の説明を聴取し、五月十一日、質疑を行い、質疑終局後、討論、採決を行った結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長西村明宏君。

    ―――――――――――――

 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西村明宏君登壇〕

西村明宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、海外のインフラ事業への我が国事業者の参入の促進を図るために必要な措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、国土交通大臣が、海外インフラ事業への我が国事業者の参入の促進の意義や、参入の促進の方法に関する基本的な事項等を定める基本方針を策定すること、

 第二に、独立行政法人等に、海外インフラ事業に関する調査、設計、運営などの業務を行わせること、

 第三に、国土交通大臣による情報提供、指導、助言や関係者間の連携について定めること

などであります。

 本案は、去る四月十九日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会におきまして、五月九日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十一日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、文部科学省設置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣林芳正君。

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

国務大臣(林芳正君) 文部科学省設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 近年、少子高齢化やグローバル化の進展など、社会の状況が著しく変化する中で、観光やまちづくり、国際交流等の幅広い関連分野との連携を視野に入れた総合的な文化政策の展開がより一層求められております。

 こうした中、昨年六月に成立した文化芸術基本法においては、文化政策と関連分野における施策との有機的な連携を図るための規定等が盛り込まれるとともに、文化に関する施策を総合的に推進するため、政府において、文化庁の機能の拡充等について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが規定されたところであります。

 この法律案は、当該規定に基づき、文化庁の機能強化を図り、文化に関する施策を総合的に推進するために必要な体制の整備を行うものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、文部科学省及び文化庁の任務について、現行の文部科学省設置法においては「文化の振興」と規定されているところを、より広く、「文化に関する施策の総合的な推進」等と改め、文化庁が中核となって我が国の文化行政を総合的に推進していく体制を整備することとしております。

 第二に、芸術教育に関する事務を文部科学省本省から文化庁に移管し、学校教育における人材育成からトップレベルの芸術家の育成まで、一体的な施策の展開を図ることとしております。

 第三に、博物館に関する事務について、現行では、博物館制度全体は文部科学省本省が所管し、文化庁は美術館や歴史博物館といった一部の類型の博物館のみを所管しておりますが、これらを一括して文化庁の所管とすることにより、博物館行政の更なる振興等を図ることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。櫻井周君。

    〔櫻井周君登壇〕

櫻井周君 立憲民主党の櫻井周です。

 私は、立憲民主党・市民クラブを代表して、ただいま議題となりました文部科学省設置法の一部を改正する法律案について、林文部科学大臣及び梶山地方創生担当大臣に対して質問をさせていただきます。(拍手)

 冒頭、政府・与党に申し上げなければなりません。

 文部科学行政がゆがめられたのではないのかという国民の疑念について、昨日の予算委員会で明らかになったのは、政府・与党には、一生懸命国民の皆様に説明しようとする姿勢がかけらもないということです。

 一例を挙げます。

 与党は、なぜ、この期に及んで愛媛県の中村知事の国会招致を拒否し続けるのですか。中村知事は先週、記者会見の中で、うそというものは、発言した人にとどまることなく、第三者、他人を巻き込んでいく、このようにおっしゃっていられます。全くそのとおりです。

 財務省による決裁文書改ざん問題では、政府のつくうそに巻き込まれて、亡くなられた方まで出たのではないですか。まさに痛恨のきわみでございます。柳瀬秘書官と面会した愛媛県の職員は、国とのやりとりを正確に報告すべく、誠実にメモを作成されました。それを間違いではないのかと言っているに等しいではないですか。こんなことが断じて許されてはなりません。国と地方自治体との信頼関係を揺るがす事態だと言わざるを得ません。

 これ以上、うそで第三者を巻き込まないでいただきたい。総理はうみを全部出し切っていないことを認められましたが、そもそも、そのうみの発生源、うみの親は誰なのですか。うみを出そうと思うなら、中村知事をお呼びすることをなぜ断るのですか。何か政府・与党にとって都合の悪いことでもあるのですか。

 証拠として次から次に文書が出てきているのに、本人だけが自供していない状況で、これが裁判なら認められないとの声が出ています。うそで第三者を巻き込み続ける不幸をこれ以上続けるということなのでしょうか。

 さらに、裁量労働制をめぐるデータ問題でも新たなミスが判明し、新たに二千五百社もの不適切なデータを削除するとの報道がありました。この調査結果は、労働政策審議会で議論の出発点とされているものであり、働き方改革の内実は、もはや目も当てられない状況です。高度プロフェッショナル制度は削除し、審議のやり直しをすべきであることを強く申し上げます。

 このような安倍総理と与党の不誠実な姿勢を強く批判し、法案の質疑に入らせていただきます。

 まず、文部科学省の任務である教育全般、特に道徳教育についてお尋ねをします。

 現行の文部科学省設置法では、文部科学省の任務として、「教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成」と規定しております。

 そして、我が国の教育は、教育基本法第一条に示されているとおり、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われるものです。人格の完成及び国民の育成の基盤となるのが道徳性であり、その道徳性を養うことが道徳教育の使命です。

 一方で、安倍内閣は、国会での虚偽答弁、決裁文書の改ざん、自衛隊日報などの公文書の隠蔽、裁量労働データの捏造など、今国会では多くの問題が指摘されています。

 そして、今年度から小学校では道徳科が教科となり、成績評価の対象となりました。安倍内閣はこれまで熱心に道徳教育の強化に取り組んできましたが、うそと欺瞞に満ちた安倍内閣こそ、最も道徳教育が必要です。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねいたします。

 安倍内閣の道徳性について、道徳科の評価基準を参照して評価してください。

 さて、私にも小学生になる二人の娘がおります。小学校の春休みに「映画プリキュアスーパースターズ!」を見たいというので、一緒に見に行きました。映画のストーリーは、うそをつかれた少年がそのことを恨みに思い、ウソバーッカという怪物になって社会を大混乱に陥れるというものです。

 これを子供向けのアニメの作り話と笑い飛ばすことができないのが我が国の政治の現状です。なぜなら、安倍内閣がうそばっかりだからです。

 国権の最高機関である国会において、大臣が、そして政府高官が公然とうそをつく現状では、豊かな人間性も道徳性も身につかないのではないですか。そして、うそをつかれた子供たちが、映画プリキュアのようにウソバーッカになってしまうのではないかと懸念します。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 安倍内閣の多くのうそが子供たちの育ちに与える悪影響について、文部科学大臣はどのように把握され、分析されていますか。

 次に、文化の意味についてお尋ねします。

 今回の法改正では、文化庁の所掌事務について、「文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。」を追加するとしています。ここで言う文化とは何でしょうか。

 辞書的な意味として、文化とは、社会の構成員が共有する行動様式や生活様式です。したがって、文化には、歴史的な建造物や美術品、伝統的な芸能がある一方で、サブカルチャーやカウンターカルチャーなどもあります。

 また、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、これは食文化です。働き方改革の議論の中で変革が求められているものとして、企業文化というものもあります。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 文化という言葉をどのように定義されますか。また、文化庁が政策の対象とする文化はどのような範囲でしょうか。

 次に、芸術に関する教育についてお尋ねします。

 今回の法改正では、芸術に関する教育に関する事務を文部科学省本省から文化庁に移管することで、文化庁として、学校教育における人材育成からトップレベルの芸術家の育成までの一体的な施策の展開を図るとしています。こうした取組の参考として、スポーツ庁によるトップアスリートを育成する取組が挙げられます。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 スポーツ庁によるトップアスリートの育成では、どのような成果が上がっているでしょうか。

 私は、スポーツと文化芸術は同じようにいかないと考えます。スポーツにはルールがあって、勝ち負けという結果も明快です。勝利に向けてどのような練習が効果的なのか、科学的に解析できます。一方で、文化芸術にはルールがありませんし、よしあしは必ずしも明快ではありません。もちろん、芸術には技法がありますので、育成が有効である、そういう要素もございます。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 文化庁として、トップレベルの芸術家の育成を図るに当たり、技法の指導と多様な感性の育成をどのように実現していくのでしょうか。

 第四に、博物館についてお尋ねをいたします。

 一年ほど前に、当時の山本幸三地方創生担当大臣が講演で、観光振興について、一番のガンは文化学芸員、この連中を一掃しないとだめと発言したことが大きな問題となりました。文化政策が観光振興と経済成長の一辺倒になってしまうのであれば、貴重な文化が次の世代に継承できないリスクがあります。

 本来、文化の維持、継承と経済成長は相反するものではありません。そもそも、文化とは、人々の行動様式であり生活様式であるのですから、人々が興味を失えば廃れてなくなってしまいます。すなわち、文化の維持、継承を進めるためには、国民の皆様の理解と関心が必要です。また、地域の文化をよく知ることが地域の発展につながるものと考えられます。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 文化に関する社会教育をどのように展開していきますか。また、社会教育と社会教育施設としての博物館と学校教育と地域の発展とをどのようにつなげていきますか。

 さて、社会教育施設の多くは地方公共団体が運営しています。しかし、多くの地方公共団体は、十分な人員と専門性を有しているわけではありません。

 保存している文化財の価値がわからないままに、多くのお金をかけて保存している場合もあり得ます。もし、大して価値のないものの保存に多額のお金をかけていれば、税金の無駄遣いになります。

 一方で、価値があるとわかっていても、保存のための財源が十分には確保できていない場合もあります。せっかくの価値ある文化財が不適切な保存方法によって朽ち果ててしまってはいけません。価値ある文化財は国民全体の共有財産であるのですから、一つの地方公共団体に任せっきりにせずに、国を挙げて次の世代に維持、継承すべきです。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 地方公共団体が保存している文化財について、文化財としての価値判定や文化財保存状況の情報共有、適切な保存方法など、文化庁が専門家として地方公共団体にアドバイスすべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

 地方公共団体に対しては地方交付税が措置されてきましたが、必ずしも十分ではありませんでした。価値ある文化財の維持、継承に係る費用について、地方公共団体や所有者に対してさらなる財政的支援が必要と考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

 最後に、文化庁の京都移転についてお尋ねします。

 今回の法改正は、京都への全面的な移転に向けてとなっています。京都移転の目的として、東京一極集中是正と地方創生が挙げられています。

 そこで、地方創生担当大臣にお尋ねします。

 文化庁の京都への移転が東京一極集中の是正につながるのでしょうか。東京一極集中は、中央省庁が権限を手放さないことが大きな原因です。東京一極集中の是正は、地方分権と地域主権、規制改革の推進が本筋ではないでしょうか。

 文化庁が京都に移転すれば、関西地域の活性化にはつながるでしょうが、他の地域での地方創生にはつながらない可能性があります。もしかすると、関西以外の地域にとっては、東京にあった方が交通アクセスがよかった、京都に移転してかえって不便だということにもなりかねません。

 そこで、地方創生大臣にお尋ねします。

 文化庁の京都移転を、関西以外での地域の活性化にどのようにつなげていくのでしょうか。

 今回の法改正が、京都への移転のために、東京と京都に分割されると文化庁が弱体化するおそれがある、だから京都移転に先立って文化庁の機能強化を図るというように解釈できます。

 そこで、文部科学大臣にお尋ねします。

 文化行政の強化のために京都に移転するのか、それとも、京都移転に耐えられるようにするために文化行政を強化するのか、どちらなのでしょうか。京都移転のための文化行政強化というのであれば、目的と手段が逆転しているようにも考えられますが、文部科学大臣の御所見をお伺いします。

 また、今回の法改正に伴う文化庁組織改編では、次長が一名から二名に、審議官も一名から二名に増員が予定されています。京都移転に伴って、京都と東京に次長と審議官をそれぞれ配置する必要があるというのは理解できます。しかし、結果として行政の肥大化につながる、すなわち行政改革に逆行することになりかねないと考えますが、文部科学大臣の御所見をお伺いします。

 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

国務大臣(林芳正君) 櫻井議員から、十の質問がありました。

 最初に、安倍内閣の道徳性についてお尋ねがありました。

 特別の教科、道徳における児童生徒の評価につきましては、子供たちが授業において学んだことなどに基づき、一人一人の成長の様子を文章により評価するものであり、安倍内閣の道徳性等、学校外の者の道徳性を評価するためのものではないため、お尋ねの評価については控えさせていただきます。

 次に、安倍内閣の多くのうそが子供たちの育ちに与える悪影響についてというお尋ねがございました。

 御指摘については、それぞれの事案について関係者が丁寧に説明することが重要であると考えますが、いずれにしても、内閣としては、人づくりを始めとした諸課題の解決に向けて一つ一つ着実に取り組み、成果を上げることを通じて、国民から信頼される行政に努めてまいりたいと考えております。

 次に、文化という言葉の定義等のお尋ねでありますが、文化という語の意味内容は多岐にわたることから、その全てを包含して定義することは困難ですが、答申等においては、人間の自然とのかかわりや風土の中で生まれ、育ち、身につけていく立ち居振る舞いや、衣食住を始めとする暮らし、生活様式、価値観等、およそ人間と人間の生活にかかわる総体等と解説されているところです。

 本法案における文化の概念についても、同様に、音楽、美術、演劇等の芸術や、能楽、歌舞伎等の伝統芸能、華道、茶道、食文化等の生活文化、国民娯楽、出版、レコード、文化財など、さまざまな分野を幅広く含むものと整理をしております。

 次に、スポーツ庁によるトップアスリートの育成における成果のお尋ねでありますが、スポーツ庁は、平成二十七年に、スポーツに関する施策の総合的な推進を図ることを任務として設置されたものです。

 スポーツ庁では、スポーツ実施率の向上や子供のスポーツ機会の充実などによるスポーツの裾野の拡大、トップアスリートに対する各競技団体の日常的、継続的な強化活動や、次世代アスリートの発掘、育成等への支援や、スポーツ医科学、情報等を活用した多方面からの専門的な支援、さらにはドーピング防止活動の推進等に総合的に取り組んでおります。

 トップアスリートの育成については、本年開催されました平昌冬季オリンピック大会では冬季大会として過去最高のメダル数を獲得し、また、平昌冬季パラリンピック大会でも前回大会を上回るメダル数を獲得するなど、成果を上げているところでございます。

 次に、トップレベルの芸術家の育成についてのお尋ねでありますが、我が国の文化芸術の発展のためには、文化芸術に関する人材育成が極めて重要です。その際、これまでの技法の習得だけでなく、才能が大いに開花をする若い段階に国内外のトップレベルの芸術家から直接学び、次代を先取りする創造性や感性を大いに伸ばしていくことが重要と考えております。

 文化庁としては、才能豊かな新進芸術家等の育成に向けて、実践的かつ高度な技術、知識を習得するための研修や、国際的な人的交流の機会を提供する施策を展開しており、今後とも、これらを通じてトップレベルの芸術家の育成に積極的に取り組んでまいります。

 次に、文化に関する社会教育をどのように展開していくかのお尋ねでありますが、博物館においては、これまでも社会教育活動の一環として、博物館の資源を生かした、教育普及や地域へのアウトリーチ活動などを展開してきたところです。

 本改正により、博物館行政が文化庁に移管されることになりますが、今後とも、社会教育を担当する文部科学省本省ともしっかり連携しつつ、文化庁としても、博物館における社会教育活動の振興、学校教育との連携、地域活動の活性化を進めてまいります。

 次に、文化財に関する地方公共団体へのアドバイスについてのお尋ねでありますが、これまでも文化庁では、地方の文化財について、地方公共団体の求めに応じて文化財調査官を派遣し、その保存、活用に関する専門的、技術的な指導助言を行ってきているところであります。

 また、今国会においては、文化財の次世代への確実な継承を図るため、文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を提出しているところであり、文化庁としても、本年十月に予定されている機構改革とあわせ、さらなる機能強化を図ることとしております。

 次に、文化財の維持、継承に係る財政的支援についてのお尋ねでありますが、国民共通の貴重な財産である文化財を次世代に確実に継承するため、文化庁においては、文化財の所有者や地方公共団体等が行う文化財の保存修理や活用、整備に係る経費に対して補助を行うとともに、地方交付税措置を講じているところでございます。

 平成三十年度におきましては、文化財保護の充実を図る予算として、対前年度比七億円増の約四百八十二億円を計上するとともに、文化財の保存、活用に要するハード、ソフト経費に対する地方財政措置の拡充を図ったところでございます。

 さらに、今後とも、文化財保護法の改正を踏まえ、必要な財政的支援に努めてまいります。

 次に、文化行政の強化と京都移転の関係についてのお尋ねでございますが、文化の力は、人々の心を豊かにするのみならず、観光振興や地方創生などを実現する上でも、極めて重要なものであります。

 こうした文化の力を最大限発揮するため、昨年六月に施行されました文化芸術基本法では、文化行政の中核を担う文化庁について、その機能強化の検討が規定されました。また、政府方針でも、文化財を活用した観光振興、全国各地の地方文化の創生などの観点を踏まえ、文化行政のさらなる強化が期待されることから、文化庁の京都移転が決定をされました。

 このように、文化庁の機能強化と京都移転は、いずれも文化行政の強化、ひいては文化芸術立国の実現に向けたものであると考えております。

 次に、行政の肥大化につながるおそれについてのお尋ねですが、本法案成立後には、組織令改正によりまして、次長一名、審議官一名を増員すると同時に、現在の文化部及び文化財部から成ります二つの部を廃止する等、今後の機能強化や京都への移転に必要不可欠な体制の確保に当たっても、効率的、効果的なものとなるよう検討しております。

 このように、文部科学省としては、法案成立後も引き続き、行政改革の趣旨を踏まえて対応してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 櫻井議員にお答えをいたします。

 文化庁の京都移転による東京一極集中是正の効果と、地方分権と地域主権、規制改革の推進についてお尋ねがありました。

 中央省庁の移転については、地方移転が移転先の地域を含め我が国の地方創生に貢献するか、地方移転によって機能の維持向上が期待できるか、地方の協力、受入れ体制が整っているか等の視点から検討し、まとめたものであります。

 文化庁の移転についても、文化財を活用した観光の推進を始め、移転先の地域を含めた我が国の地方創生に貢献すること等で、東京一極集中の是正につながるものと考えております。

 また、東京一極集中の是正に向けては、地方創生の取組と規制改革、地方分権改革等との連携が重要であり、引き続き、地域、民間の創意工夫の障害となる規制の改革を進めるとともに、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るため、地方分権改革を推進してまいります。

 次に、文化庁の京都移転を関西以外での地域の活性化にどのようにつなげるかについてのお尋ねがありました。

 文化庁の京都への移転は、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することにより、例えば、文化財を活用した観光振興や外国人観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興など、我が国の文化行政の企画立案能力の向上を期待するものであります。

 さらに、こうした先進的な取組を全国の地方公共団体に効果的に波及させることにより、地方文化の掘り起こしや磨き上げにつながっていくことなどが期待をされております。

 今後とも、文化庁の京都移転の効果が、京都や関西地域はもちろんのこと、我が国全体の地方創生につながるよう、関係大臣と連携しながら、京都への全面的な移転に向けた取組の着実な実施を図ってまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 源馬謙太郎君。

    〔源馬謙太郎君登壇〕

源馬謙太郎君 国民民主党の源馬謙太郎です。

 ただいま議題となりました文部科学省設置法の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して質問させていただきます。(拍手)

 質問に先立ちまして、一言申し上げます。

 我が国がこれまで民主化に向けて支援を続けてきたカンボジアが、今、独裁化の危機に直面しています。二カ月後の七月に総選挙が行われますが、三十年間にわたって政権を担っているフン・セン政権は、昨年、地方選挙で躍進した最大野党を解党し、政権に批判的なメディアを次々閉鎖させる異常事態が起きています。七月の選挙のためには今月中に政党登録をしないと間に合いませんが、解党された野党は、事後法により議席を与党に移されてしまっています。

 アメリカやEU諸国など、日本と同じく民主主義の価値観を持つ各国は、いち早く重大な懸念を表明し、七月の選挙に対する支援を取りやめました。しかしながら、我が国は、この状況下でも選挙への支援を継続しようとしています。与党が野党を解党し、メディアを弾圧する中で行われる選挙が、果たして公正で自由な選挙となるでしょうか。

 その選挙を後押しすることになれば、日本はこのカンボジアの状況を肯定していると、国際社会に間違ったメッセージを発することになります。北朝鮮など緊迫する国際情勢の陰に埋もれがちですが、アジアにおいて民主化に逆行する流れをとめることも我が国にとって極めて重要であると冒頭強く申し上げまして、質問に入りたいと思います。

 日本は、言うまでもなくすばらしい国です。美しい自然があり、長い歴史があり、国民は道徳心を親や祖父母から受け継ぎ、世界から尊敬される国だと思います。そうした誇るべきものの一つに、日本の文化があります。長い歴史の中で培われ、今も現在進行形で紡がれている我が国の文化は、守って継承していくだけではなく、文化に投資していくことで経済成長の起爆剤となり、また外交におけるプレゼンスの向上も期待されています。

 文化を我が国のソフトパワーの源泉としていくことは、これから大きな国益になることは疑いのないことだと思います。

 本法律案では、文化庁の京都への全面的な移転に合わせ、新文化庁にふさわしい組織改革、機能強化を図り、文化に関する施策を総合的に推進することを目指していると承知しています。

 明治政府樹立以来の中央省庁の東京以外への設置であり、我が国の歴史においても非常に大きな意味を持ちますし、文化振興のための抜本的な組織改革と機能強化は、我が国の文化史の大きなメルクマールとなるものと期待しています。

 本法律案では、その中でも特に、文科省及び文化庁の任務の変更、所掌事務の変更、そして文化庁の京都への移転が大きな論点となっています。

 以下、それぞれの論点について順に質問させていただきます。

 まず第一点目の、変更される文部科学省及び文化庁の任務について伺います。

 昨年六月に議員立法によって施行された文化芸術基本法において、文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各分野における施策との有機的な連携が求められることになりました。

 これを受け、本法律案では、文部科学省及び文化庁の任務について、これまでうたわれていた文化の振興から、文化に関する総合的な推進に変更するということですが、そのことによって具体的にどのような効果があると考えられますか。文化の振興を主眼にしていた今までとは何が変わるのか、文部科学大臣に伺います。

 また、これまでは各省庁がそれぞれ取り組んできた文化施策を調整し、省庁連携による文化施策の推進を図ることとしていますが、具体的に、どのような体制で、どのように省庁間の事務を調整するのでしょうか。これまでも同様の調整業務があったのではないかと思いますが、文化庁が京都に移転することで、それがかえって困難になりませんか。これまで一年間、移転に先行する形で京都に設置してきた地域文化創生本部での経験を踏まえて伺います。

 第二点目は、文化庁が所掌する事務の変更についてです。

 本法律案では、これまで文部科学省本省が所管していた、芸術に関する教育の基準の設定に関する事務を文化庁に移管するとしています。

 この法律案と同趣旨の改正はスポーツ庁の設置の際にも行われ、平成二十七年の文部科学省設置法の一部改正により、体育及び保健教育に関する事務がスポーツ庁に移管されました。

 先行事例であるスポーツ庁への移管により、それまでよりも体育などについて子供たちに教育が行き渡るようになったのか、学校現場の混乱はなかったのか、あるいは具体的にプラスの効果があったのか、文部科学大臣に伺います。あわせて、今回の文化庁への移管についても、どのような具体的な効果があると見込まれるのか、伺います。

 そして第三点目が、この法律案と表裏一体となる、そして最もインパクトが大きいと思われる文化庁の京都への移転についてです。

 平成二十六年に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略において、地方からの提案を受ける形で、地方の発展に資する政府関係機関の移転を進めることが決定されました。これを受け、平成二十七年三月から五カ月間、政府関係機関移転に関する道府県からの提案募集が行われ、四十二道府県から六十九機関の移転に関する提案があったと承知しています。

 文化庁の京都への移転はこれらの提案の中の一つであり、他の政府機関に先行する形で、平成二十八年にまち・ひと・しごと創生本部によって決定され、遅くとも二〇二一年度中の移転を目指しています。

 そこで、この移転による効果について、地方の活性化という側面と日本全体の行政組織の変化という側面の両面における意義を伺います。また、本法律案の目的との関係性についてもあわせて確認させていただきます。

 文化庁の京都への移転のほかにも、消費者庁のうち消費者行政新未来創造オフィスを徳島県に開設し、総務省統計局においても統計データ利活用センターを和歌山県に開設、また、そのほかにも小規模の研究機関などの移転が予定されていると承知しています。しかしながら、これらは控え目に見ても、文化庁の移転とは、規模においても性格においても小規模かつ部分的であると思います。

 省庁に限って見てみても、観光庁の北海道や兵庫県への移転、気象庁の三重県への移転、特許庁や中小企業庁の大阪府などへの移転も提案されていますが、文化庁の京都移転の効果などを見ながら、今後も更に省庁の移転を検討していく方針はあるのでしょうか。地方創生担当大臣に伺います。

 京都に移転するに当たっては、庁内の局や課の所掌事務や役職ごとの職務等を見直すことも必要となります。また、移転先の現京都府警察本部本館の改修、府警本部の移転、多数の職員の移動などに向けた取組も必要となってきます。二百五十人規模の職員の移動ということですから、住環境の整備なども必要になってきます。

 さまざまな準備や手続が必要であり、当然費用もかかることでありますが、受入先である京都府と負担をどう分担し、賄っていくのでしょうか。地方を活性化するという目的から考えても、地方に過度な負担を強いることなく、また、遅くとも二〇二一年度中に完全に移転するという期限が切られている中で、どういうロードマップを描いているのか、文部科学大臣に伺います。

 少子化が進み、世界に先駆けて人口減少社会を迎えるとされる我が国において、これ以上、地方から東京に人や物が集まる状況は深刻です。

 これまでも、名は変えながらも、歴代政府によって地方創生や地方活性化などが掲げられ、地方の豊かさを底上げすることが試みられてきました。しかし、どれも国からお金を分配するという発想で、満足な結果が出せなかったことは、地方の現状を見れば明らかです。

 一過性の資金や仕事場の提供ではなく、地方独自でできることをふやして、地方の裁量と責任において豊かさを生んでいくしかありません。

 人も、物も、お金も、情報も、全てが東京に集まり、全てが東京で決められてしまう姿から、地方にも人が集まるように、地方のことは地方で決める姿こそが、日本繁栄の鍵であります。繰り返しますが、国が国のさじかげんで何かを分け与えることでは、地方は豊かになりません。お小遣いを渡す感覚から、自立を促す感覚に切りかえるべきです。

 今回の文化庁の京都移転は、確かに地方への人と職場の移動はあるかもしれません。しかし、気をつけなくてはいけないのは、今回の移転は、国の機関が物理的、地理的に地方に移動するというだけであって、権限や財源の移譲を伴っていないということです。歴史的な省庁の移転は一大事業であって、また、日本の文化のまさに中心である京都に文化庁ができるということは積極的に評価しますが、本末転倒な結果になってしまっては意味がありません。

 そこで、あえて伺いますが、あくまでも中央政府の統治機関の場所の移動にとどまれば、これはかえって権限や財源の地方への移譲を妨げ、権限の中央省庁への一極集中を固定化する懸念はありませんか。道州制についても所管する地方創生担当大臣の今後の日本の一極集中打開に向けた見解を、国家ビジョンとともに伺います。

 そもそも、中央省庁の地方への移転だけでは地域間格差を小さくすることには限界があります。積極的な中央行政機関の移転が進むイギリスでも、ロンドンの賃料高騰や職員採用難などが移転の大きな理由と聞いています。

 そうしたことを考えると、本来であれば、以前議論のあった首都機能の移転や、国から都道府県への本格的な権限の移譲、そして、その先には、今は下火になってしまっている道州制の導入の議論を再び始め、本当の意味で地方が豊かになる道筋をつけていくべきだと思います。

 そういう大事な議論をすべきときに、国会ではいつまでモリカケ問題をやっているんでしょうか。与野党かかわらず、多くの議員の皆様は、私同様、地元に帰れば、いつまでモリカケをやっているんだとお叱りの声を受けるはずです。

 一方で、これも与野党かかわらず、多くの議員の皆様は、国民がこれまでの政府の対応に何かおかしいと感じていることもちゃんと御存じだと思います。

 いつまでもこんなことを続けていないで、そろそろ山積する国家の課題に国会を挙げて議論すべきではないでしょうか。先輩議員の皆様同様、私が国政を志したのは、こんなことのためではありません。

 この問題に終止符を打ち、国民を納得させることができるのは、安倍総理以外ありません。ボールは安倍総理の手にあります。

 国民が、もういいかげんにしてほしいと思っていながらも納得できないのはなぜなのか。この問題を一日も早く終わらせていただくことを強く要望し、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

国務大臣(林芳正君) 源馬謙太郎議員から、四点御質問がありました。

 最初に、文部科学省及び文化庁の任務において、文化に関する施策の総合的な推進を位置づけることについて、その効果等のお尋ねがありました。

 平成二十九年六月に成立した文化芸術基本法において、今後の文化芸術に関する施策の推進に当たっては、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業等の関連分野との有機的な連携が求められる等、新たな展開が求められております。

 このため、本法案により、今後、文化庁の新たな事務として、各府省間の調整を図りながら、政府全体の文化行政の計画を取りまとめ、効果的に実施していくことができるよう、その権限と責任を明確にいたします。

 これにより、文化庁が直接担当する文化振興施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めることができ、新しい切り口からの日本文化の魅力の発信や、各施策の相乗効果、好循環の創出等も期待できることから、文部科学省としては、本法案の成立を機に、文化芸術立国の実現に向けて精力的に取り組んでまいります。

 次に、省庁連携についてお尋ねがありました。

 関係省庁間の事務につきましては、昨年六月に施行された文化芸術基本法に基づく文化芸術推進会議の設置等を通じ、文化施策の総合的な推進を図ることとしております。

 また、これまでの政府決定を踏まえまして、同会議等の事務を担当する部署につきましては、京都には移転せず、東京に残すこととしておるところでございます。

 次に、文化庁への事務の移管についてお尋ねがありました。

 スポーツ庁の創設に当たっては、旧スポーツ・青少年局が所管していた学校体育の振興等に加え、新たにスポーツを通じた健康増進や、地域及び経済活性化等も含め、スポーツ施策を総合的に推進できる体制を構築することにより、学校とスポーツ団体との連携が進む等、スポーツ立国の実現に向けた取組を着実に推進しております。

 今回、芸術に関する教育の基準の設定に関する事務を文化庁に新たに移管することによりまして、今後、学校教育としっかりつながる形で、全ての子供たちへの芸術に関する教育の充実や、文化芸術の振興、トップレベルの芸術家の人材育成等を一体的に担い、国民の文化芸術に関する素養のさらなる向上と、文化芸術を担う人材の育成強化を図りたいと考えております。

 文科省としては、これまで文化庁が培ってきた専門的な知見やネットワーク等を活用しまして、文化と教育の両分野における施策の一体的、効果的な推進に努めてまいります。

 次に、京都移転の費用負担についてお尋ねがございました。

 文化庁の京都移転につきましては、平成二十九年の七月の文化庁移転協議会取りまとめにおきまして、移転場所を現京都府警察本部本館とすること、京都側が土地の提供や庁舎建設費用につきまして応分の負担を表明しながら文化庁の移転を要望してきた経緯に基づきまして、京都府が京都市などの協力を得て同本館の改修、増築を行うこと、文化庁は、京都府の条例等に基づいた適切な貸付価額で長期的に貸付けを受けること、職員の住環境の確保等について、地元の協力も得つつ、引き続き検討を進めることとされております。

 こうした経緯や合意内容を踏まえつつ、遅くとも二〇二一年度中を目指すとされている本格移転に向けて、京都府、京都市や関係省庁などの関係方面と連携協力しながら、着実に調整を進め、円滑な移転に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 源馬議員にお答えをいたします。

 文化庁の京都移転による効果と本法律案の目的との関係性についてお尋ねがありました。

 文化庁の京都移転については、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することで、文化行政の企画立案のさらなる強化や国際発信力の向上、文化財を活用した観光の強化推進など、地方創生の視点から意義が大きいと考えております。

 また、文化庁は、施策、事業の執行業務が一定規模を占めている一方、地方向けの執行業務を行う地方支分部局を有しておりません。地域の文化資源を活用した観光振興、地方創生など、今後拡充が見込まれる業務を勘案すれば、特に、京都及び関西に多数が集積している文化財関係業務について、京都へ移転する効果は大変大きいと考えております。

 移転による効果が大きいと考えられる、地域の文化資源を活用した観光振興、地方創生などの取組は、本法律案の目的である、文化に関する施策の総合的な推進の一部であることからも、本法律案は、文化庁の京都移転を計画的、段階的に進める上で不可欠と承知をしており、引き続き、関係大臣、関係する地方公共団体と連携して、目標である二〇二一年度中の本格移転に向け、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、今後の政府関係機関の地方移転の検討についてお尋ねがありました。

 政府関係機関の地方移転の取組は、東京一極集中を是正するため、地方の自主的な創意工夫を前提に、それぞれの地域資源や産業事情等を踏まえ、地域における仕事と人の好循環を促進することを目的として実施されています。

 具体的には、平成二十八年三月の政府関係機関移転基本方針、平成二十八年九月の「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」をまち・ひと・しごと創生本部において決定し、これに基づき取組を進めているところであります。

 中央省庁については、文化庁のほか、消費者庁は昨年七月に消費者行政新未来創造オフィスを徳島県に開設、総務省統計局についてはことし四月に統計データ利活用センターを和歌山県に開設などの取組を進めているところであります。

 まずは、現在行われている取組の具体的な成果が出ることが重要であると考えており、今後も、関係省庁、地元と連携しつつ、取組を着実に進めてまいります。

 次に、文化庁の京都移転による権限の中央省庁への一極集中に関する懸念と、一極集中打開に向けた所感についてお尋ねがありました。

 中央省庁の移転については、地方移転が移転先の地域を含め我が国の地方創生に貢献をするか、地方移転によって機能の維持向上が期待できるか、地元の協力、受入れ体制が整っているか等の視点から検討し、まとめたものであります。

 地方分権改革については、地方からの提案を踏まえ、地方創生や子ども・子育て支援に資するよう、地方への権限移譲、地方に係る規制の見直しを進めていることから、そのような懸念はないものと考えております。

 今後も、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るため地方分権改革を推進するとともに、さまざまな政策を総動員し、地方で人をつくり、人が仕事をつくり、町をつくる好循環を生み出し、人口減少に歯どめをかけるとともに、人口の東京一極集中の是正に向けて強力に取り組んでまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       文部科学大臣   林  芳正君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国土交通大臣   石井 啓一君

       国務大臣     梶山 弘志君

 出席副大臣

       文部科学副大臣  丹羽 秀樹君


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