衆議院

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第28号 平成30年5月22日(火曜日)

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平成三十年五月二十二日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十二号

  平成三十年五月二十二日

    午後一時開議

 第一 文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 気候変動適応法案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国務大臣茂木敏充君不信任決議案(辻元清美君外五名提出)

 永年在職の議員林幹雄君、穀田恵二君、山本公一君、鴨下一郎君、塩崎恭久君、志位和夫君、安倍晋三君、浜田靖一君、岸田文雄君、野田聖子君、前原誠司君、玄葉光一郎君及び茂木敏充君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)

 日程第一 文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 気候変動適応法案(内閣提出)

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

田野瀬太道君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 辻元清美君外五名提出、国務大臣茂木敏充君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 田野瀬太道君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 国務大臣茂木敏充君不信任決議案(辻元清美君外五名提出)

議長(大島理森君) 国務大臣茂木敏充君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。玉城デニー君。

    ―――――――――――――

 国務大臣茂木敏充君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔玉城デニー君登壇〕

玉城デニー君 ハイサイグスーヨーチューウガナビラ。皆様、こんにちは。自由党の玉城デニーです。

 きょうは貴重な機会をいただきまして、非常に光栄です。どうぞ、真摯に思いを述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)

 経済再生担当大臣茂木敏充君解任決議案につきまして、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党及び自由党の提出者を代表して、提案の趣旨を説明いたします。

 その前に、ここで申し上げたいことがあります。それは、国会における法案審議の前提が著しく毀損されているということです。

 国会に提出された公文書、財務省の決裁済みの文書の改ざん、厚生労働省のデータ偽装、防衛省・自衛隊の日々報告書の隠蔽などが白日のもとにさらされ、大臣及び政府参考人がこれまで国会で答弁してきたことについて多大な疑義が生じることになり、国会での審議における最前提であるはずの信憑性や信頼性が今成り立っていないということです。

 真正のものではない全く別の資料を提出して空疎な議論を重ねさせられるということは、国民に対する冒涜とも言えるもので、絶対に許されるものではありません。

 資料提出の期日についても、与党、野党の国会対策から財務省に幾度も確認、念押しをしたにもかかわらず、また先送りされている現状から鑑みるに、これは、政府による行政全体の管理監督責任が緩み切っていることの証左であると断じざるをも得ないのではないでしょうか。

 国会で証人喚問を受けた佐川元理財局長は、刑事訴追のおそれを理由に、森友学園の公有地取引問題に関する内容及び自身の関与についての事実や詳細を明らかにしませんでした。他方、国会に証人喚問された籠池前森友学園理事長は、事の次第をでき得る限りお話ししようとなさっていました。その証言内容からするならば、公有地取引の全容解明について、いわゆる名誉校長を一時期就任なさっていた安倍昭恵総理令夫人を含めた関係者全員の国会招致を含めた事実の解明を図らなければなりません。

 加計学園に関する件について、参考人として招致された柳瀬前首相秘書官は、記憶にない、メモはとっていない、総理への報告もないと答えましたが、これは、中村愛媛県知事側から物的証拠の提示によって、柳瀬氏の答弁と実際の状況報告との事実関係が大きく異なっていることが明らかにされました。柳瀬氏本人は否定していますが、首相案件という特別な計らいを示唆するかの発言もあったことが、これも面談の際の当事者のメモからも明らかとなっています。

 あったことをなかったと言うのは、事実がゆがめられてしまうということです。国会での答弁でゆがめられている事実は、やはり国会の場で明らかにするしかないのではないでしょうか。

 いつまで森友、加計やっているのかという国民の声は、国会における審議の前提が崩壊している現状を放置したままでいいと開き直るような安倍政権と、それを見過ごしている与党に向けられていることを、各世論調査が示しているとおりです。そして、うそはいつか白日のもとに明かされるときが必ず来るのです。

 学校法人加計学園の獣医学部新設について、二〇一五年二月に学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と面会して学部新設の目標について説明し、首相が、新しい獣医学部の考えはいいねと返したと記録された愛媛県の文書が存在することがわかったと、昨日、五月二十一日、朝日新聞で報道がされました。そして、けさの全国紙、新聞各一面はこのことを大きく報じております。

 愛媛県は二十一日、こうした内容を含む獣医学部関連の文書を参議院の予算委員会に提出いたしました。これまで安倍首相は、加計氏について、私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ないと語っておりました。また、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは二〇一七年一月二十日と説明しています。しかし、文書には、二〇一五年二月の段階で加計氏から相談があったと記録されており、発言の整合性が問われることは間違いありません。

 「愛媛県企画振興部地域振興局地域政策課 文書の提出について(回答)」。国政調査権に基づいて平成三十年五月十日付で参議院予算委員会理事会から依頼があり、五月十七日に電話で督促いただきました件について、県庁を挙げて調査したので、下記文書を提出いたします、なお、提出する文書には個人情報が含まれておりますので、その取扱いには御注意くださいますようお願いいたしますということで出された文書です。

 報告 獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合せ会等について

       平成二十七年三月 地域政策課 

 1 加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申出があり、三月三日、同学園関係者と県との間で打合せ会を行った。

 2 加計学園からの報告等は、次のとおり。

  1二月二十五日に理事長が首相と面談(十五分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり。また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。

  2下村文科大臣が一歩引いたスタンスになっており、県においても、官邸への働きかけを非公式で実施いただけないかとの要望があったが、政治的な動きは難しい旨回答。

  3検討中の大学附置施設(高度総合検査センター等)の設置には多額の費用が必要であるが、施設設置に伴う国からの補助がない中、一私学では困難であるので、国の支援が可能となる方策の検討を含め、県・市の財政支援をお願いしたい。

   なお、三月四日には、同学園と今治市長が面会し、ほぼ同内容の説明があった。

 3 おって、三月三日に開催された国家戦略特区諮問会議では、特区法改正案に盛り込む追加規制緩和案が決定されたが、新潟市の国家戦略特区(獣医学部設置に係る規制緩和)は、含まれていない。今後、二十六年度末までに出される構造改革特区提案(愛媛県・今治市)に対する回答と合わせて、国家戦略特区の結論も出される模様。

 4 ついては、加計学園の具体的な大学構想が示されたことから、特区提案の動向を踏まえ、今後の対応方針について、今治市としっかりと協議を進めていきたい。

このように報告が上がっています。

         二十七年三月 地域政策課 

  今治市と加計学園関係者との獣医師養成系大学の設置に係る協議(三月十五日、同市役所で実施)結果概要について、次のとおり報告があった。

 (1)柳瀬首相秘書官と加計学園の協議日程について(二月二十五日の学園理事長と総理との面会を受け、同秘書官から資料提出の指示あり)

  (学園)三月二十四日(火)で最終調整中である。

 (2)柳瀬首相秘書官への提出資料について

ここは省略いたします。

 (3)大学構想について

  (学園)日本獣医師会の反対意見から考えて、今回提案したレベルのものでなければ難しいと思う。

  (市)今回の構想の実現に関しては非常に巨額の資金が必要とのことであるが、今治市としては、五十億円の支援と用地の無償提供が限界である。その中で資金計画を練ってほしい。

   また、県からも協力をいただけると思っているが、県としても厳しいとの話は受けている。加計学園からの反応なし。

  (学園)構想実現のために、愛媛大学との共同大学院の開設や愛媛県の研究機関との連携を検討しているので、協力願いたい。

  三月二十四日(火)、首相官邸において、柳瀬首相秘書官らと加計学園関係者(田丸相談役、渡邊事務局長)との間で、獣医師養成系大学の設置について協議した結果について、次のとおり今治市から報告があった。

  柳瀬首相秘書官の主なコメント

   獣医師会の反対が強い。

   この反対を乗り越えるためには、地方創生特区の活用が考えられるので、県や今治市と一緒に内閣府の藤原地方創生推進室次長に相談されたい。

 2 また、加計学園から内閣府の藤原次長との相談日程が四月二日十一時三十分に調整できたとの連絡があったと今治市から報告があった。

   さらに、安倍総理と加計学園理事長が先日会食した際に、獣医師養成系大学の設置について地元の動きが鈍いとの話が出たとのことであり、同学園としては柳瀬首相秘書官に四月二日午後三時から説明したいので、県と今治市にも同行願いたいとの要請があったと今治市から連絡があった。

 3 ついては、柳瀬首相秘書官に対し、県・今治市の獣医師系養成大学の設置に向けた取組状況を丁寧に説明するとともに、内閣府藤原次長から地方創生特区等について、情報収集をいたしたい。

 内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談について

  四月二日(木)の面談結果について下記のとおり概要メモを報告します。

 内閣府 藤原次長

  愛媛県と今治市からこれまでの取組を簡単に説明した後、今後の特区提案について下記のような話があった。

  構造改革特区として提出されているが、突破口を開くという意味では国家戦略特区で申請することも考えられる。

  今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うことになった。国家戦略特区では広く全国レベルの制度改革提案というものであり、一般的な話にはなるものの、やはり風穴をあけた自治体を特区として指定するというのは十分に考えられる。

  今後四月末か五月の連休明けには提案を募集するので、それにぜひ応募を。

  総理は一次産業にも熱心である。申請の軸として獣医学部のみならず水産、養殖といった他産業についても盛り込むことも考えられるが、そのあたりは自治体に任せる。

  事前相談も対応する。むしろ熱心な自治体ほどもってきているといった感じがある。言い換えると自治体にどれくらいの熱意があるか、というところが重要になってくる。

  公衆衛生の観点、公務員獣医の確保といったこれまでの獣医学部ではなかったようなものを提示することも重要である。加計学園の名前は公式なペーパーには出ていないそうだが、実際の事業者と具体的な話ができている、といった点でかなりプラスであると思う。

  申請するにあたっては、二、三枚の分量で具体的かつインパクトがあるものを。資料を作成されたら、早めに相談してもらいたい。

 今治市からは、「現在二十六次特区申請を行っているところだが」と質問。藤原次長は、「特区申請を一体化するという理由から現在審議を止めているところ。」

 愛媛県から、「新潟市から国家戦略特区で追加申請があったかと思うが」という質問。藤原次長、「一時期は打診があったが、現在はそうでもない。具体性があるかどうかでいえば、今治市のほうが上だと思われる。」

これが最後です。

 獣医師養成系大学の設置に向けた県の取組みについて

二十七ページの報告書の二十七ページはこう書いてあります。

 柳瀬首相秘書官説明用

 ○今治新都市への獣医師養成系大学の設置の必要性

  危機管理事象が発生時の四国ブロックとしてのゾーニング対応が必要

  愛媛県が全国一位である海面養殖の技術革新

  本県畜産物のブランド化や安全確保

  獣医師の卒後教育、地域動物医療の二次診療拠点施設

  公務員獣医師・産業動物獣医師の育成・確保

  地域産業活性化

 ○愛媛県と今治市による獣医学部新設にかかる規制緩和のこれまでの取組

  平成十九年十一月から、十五回(第二十六次提案)にわたり、共同で構造改革特区提案を行う

  当初は「特区対応不可」、平成二十二年からは「提案の実現に向けて対応を検討」という状況が続く

  国に対し本県の最重点項目として要望を行う

  平成二十一年度からは、本県と徳島県の提案により四国知事会でも提言

  平成二十五年度には愛媛県議会も要望書を採択

  文部科学省には、副知事と今治市長が事務次官らを訪問し、獣医大学構想と地元定着策を説明。

  文部科学省からの地元の要望が大きな要素との助言を受けて、県と今治市で四国三県や各県獣医師会、四国経済連合会にも協力要請

 ○今後の対応

  日本獣医師会の強い反対、その意向を踏まえて愛媛を除く四国三県獣医師会や四国他県の積極的な協力が得られない状況

  賛同が得られるよう、各県の獣医師会等へ粘り強い働きかけを行う

二十七ページのうち、抜粋して読み上げただけでも、このように、間違いなく総理がかかわっていた、首相補佐官がかかわっていた、れっきとした文書として記されている実物が存在いたします。

 新聞にはそれぞれ、加計ありきであるという表現、あるいは、最初からつくることが国家戦略特区の中で織り込まれ、国家戦略特区が、規制改革の名のもとに、そして岩盤規制に穴をあけるというその名目のもとで、行政が行うその正しかるべき公文書の、その期日と、そしてその提出を政府側が拒んでいるという実態は、看過されるべきではありません。

 それでは、趣旨の説明をいたします。

 去る五月八日の衆議院本会議において、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案の提案趣旨説明が茂木経済再生担当大臣によってなされました。これに先立つ四月十七日、本法案の協定にかかわる部分が外務委員会に付託され、審議が始まっていましたが、本来は、協定の締結とそれに伴う国内法の整備は総合的、一体的に捉えられねばならず、外務委員会、内閣委員会と担当を分けて審議しようとした茂木大臣の姿勢に大きな瑕疵があったものです。

 さきのTPP12にあっては、少なくとも、協定とその対策、関連法整備は特別委員会において関係大臣出席のもと、総合的に行われ、そのマイナス面の影響を最小化しようとする姿勢だけはありました。逆に言えば、しっかりした対応をとらねば、この協定の副作用は余りに激甚で、日本の社会も文化も暮らしもそれに耐えられないという国民からの強い懸念の声に押されて、そうせざるを得なかったのかもしれません。

 衆議院で約七十時間に及んだ審議はそれでも不十分で、農業対策についてはある程度審議に時間がかけられたものの、重要なISDS、ISD条項やラチェット条項ほかの非関税障壁分野では、著作権や食の安心、安全分野が一部論じられた以外は、まだまだ疑念と激しい対立を残したまま、TPP12とその対策法が二〇一六年十二月に成立しました。

 それからわずか一カ月後に、米国トランプ大統領は永久にこの協定から離脱することを表明して、TPP12は完全に宙に浮く中で、残る十一カ国との広域FTA、すなわちTPP11の調整に乗り出したのが甘利大臣にかわる茂木大臣であり、各国の事情も、交渉から見えてきたTPP11の姿も、実は最も認識している方でもあります。

 すなわち、TPP11とは何か、アメリカが去った今、当初の目的と役割は何であるのかを国民にわかりやすく示す責任が茂木大臣にはあります。

 しかし、茂木大臣の我々国会議員に対する答弁は、言葉こそ流暢ですが、アジア太平洋を挟んだ十一の国々がなぜ広域FTAを結ばねばならないのか、その答弁からはさっぱり理解ができません。アメリカを待ちながら、いつアメリカが帰ってきても対応できるよう、とりあえず十一カ国でスタートさせる協定の意味とは何なのか。

 そして、その中途半端な協定であるという認識ゆえに、いまだ発効していない協定、TPP12を取り込んだ形で、次の協定、TPP11の二つがともに承認も求められ、それに対する関連整備法は一つという、いびつとも異形とも思える関連法の成立が図られようとしています。

 国民に対して不誠実なばかりか、関連整備法としても真剣に考えられた内容とは言いがたいことは、茂木大臣が答弁の中で、米国抜きでもTPPを早期に発効させる重要性があると述べたことや、二十一世紀型の新しいルールづくりを日本がリードする意味合いは非常に大きいと答えたことにもあらわれているのではないでしょうか。

 いびつな法案のその中身や詳細な方向性について質疑を求め、TPPは米国抜きではあり得ないと安倍総理が答えた意味をなすのかなど、更に詳しく追及する必要があると考えていました。

 ところが、内閣委員会で慎重審議がされるどころか、わずか三日足らずの質疑でこの関連法の審議を終了し、採決が行われようとしていることは、到底認められません。国民への説明責任を踏まえれば、当然、十分かつ慎重審議する必要がそこかしこにある法案であることは疑う余地なしです。委員会としても、広く国民や有識者からの声を聞くための中央及び地方公聴会の開催、関係委員会との集中審議、テーマ別の集中審議、総理出席の審議を複数回行うことなども重ねた上で、茂木大臣には真摯に説明を尽くしていただかなければならないのではないでしょうか。

 関連整備法案のわずか三日間の審議の中で、参考人質疑がたった一回行われました。

 東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘参考人の意見及び資料は、このような内容でした。

 TPP11はTPP12より悪い。アメリカ抜きのTPP11を進めるということは、セットで、TPP12のとき以上のアメリカからの対日要求に応えるということになり、TPP11を進めれば、TPP12のとき以上に日本は打撃を受けるということも、そもそも最初から想定して受け入れていると言わざるを得ない。

 なぜTPPをアメリカが否決したのかについて、日本では議論が全くない。アメリカ国民の八〇%が、TPPをやってもグローバル企業の経営陣がもうかるだけで、賃金は下がる、失業がふえる、国家主権の侵害だ、食の安全性が脅かされるということで、大統領候補の全てがTPP反対と言わざるを得なくなった。これは保護主義との闘いではなく、アメリカは、自由貿易からの反省でTPPを否定せざるを得なかった。新自由主義経済が、現実を説明できないし改善できないとして急速に見直されている。

 国家戦略特区に象徴される規制改革は、ルールを破って特定企業に便宜供与する国家私物化であり、TPP型協定に象徴される自由貿易は、国境を越えたグローバル企業への便宜供与で、世界の私物化である。お友達への便宜供与である。

 アメリカのハッチ共和党議員がTPPを進めたのはどういうことなのか。これは、製薬企業から二年で五億円の献金をもらって、患者さんが死んでもいいから、ジェネリック医薬品をつくれないように新薬のデータ保護期間を二十年に延ばしてくれと主張した。これがある意味でTPPの本質なのである。

 そもそも、TPP破棄で一番怒ったのはアメリカの農業団体である。我々にとって日本にあんなにおいしい約束をさせたのにそれができなくなると怒った。だから、日本は相当なことをやってしまっていたということですが、アメリカの農業団体のすごいのは、ここの切りかえの速さだ。TPPも不十分だったのか、要はそれ以上の要求を二国間ですればいいと。

 それを見越して、日本は準備を当然どんどん進めています。アメリカへの要求にどう応えるかというリストも、実は全部できています。例えば、TPP枠でアメリカに七万トンの米の輸入枠をつくったが、それが実現できなくなるかというと、実は日本は、SBS米という、一万トンくらいしかアメリカの米を買ってなかったのを六万トンまでふやしています。このように、いろいろな手だてでアメリカの要求に応える用意をしているわけです。

 TPP11にするときに、凍結したい項目が、最初八十もの項目が出てきました。それから二十二まで絞り込まれたけれども、その中で、日本だけが、私は何も外したい項目はありませんと言いました。

 ここまでアメリカと同調する姿勢をとったのに、今、ISDSについて何が起きたかというと、あれだけ、グローバル企業が人の命や環境を痛めつけてでも自分たちの利益を損害賠償してでもとってやるというISDSはいかぬという議論があったのに、日本とアメリカだけが主張し、ほかの国は全部反対でした。EUは、こんなものは死んだものだと言っていました。

 ところが、その中で、日本はアメリカに追従して絶対にやらなきゃいけないと言ってまいりましたが、今、アメリカが世論に押されて、これは国家主権の侵害だということで、NAFTAの交渉からアメリカは、ISDSはもうやらないと言い始めています。これは入れないんだと。ISDSをアメリカが拒否し、今、日本だけが宙に浮いて、ISDSに固執しているという異常な状況になっている。TPP11から、ISDSは当然凍結ではなく削除するべきです。

 ここまでアメリカに追従してはしごを外されるということの繰り返しをやめないと非常に危険であるということが、ここからもわかると思います。

 TPP11で、早く決めてしまおう、成果を出そうということで何をやったかというと、アメリカを含めて決めたことを、アメリカはいなくなったのに、ほかの国にそれを譲ってしまったということです。オーストラリア、ニュージーランドは大喜びです。乳製品の輸出がアメリカの分まで全部できるぞと。それで、最強のオセアニアの農業国から我々は攻められなければならないことになります。

 しかし、そうすると、今度はアメリカが黙っているわけはありませんから、俺の分はどうしてくれるんだと要求される。そして、それ以上のものをやってくれという話になるわけだから、結局、TPP12以上の打撃を農林水産業、食料が受けるということをわかっていて進めています。

 ここは本当に戦略を考えないといけません。日本は、チーズについても、TPPでアメリカから、ハード系のチーズは得意だからゴーダとかチェダー、関税を撤廃してくれと言われ、はい、わかりました、でもカマンベールは守りましたと言っていました。ところが、EUとの協定もTPPレベル以上にやっていいぞということになったものだから、EU側からカマンベールの関税は撤廃してくれと言われて、ソフト系も実質関税撤廃してしまいました。気がついたら、チーズの関税が完全全面撤廃になっていたわけです。

 カナダは、日本の米に匹敵する酪農を絶対死守するということで、TPPでも、EUとカナダとの協定でも、一切乳製品の関税には手をつけていません。こういう戦略というものが日本にあるのかということが問われています。

 その影響と対策については、影響がないように対策するから影響がないと言います。対策はどうなっているのかという問題なんです。

 TPP11で、加工原料乳はキロ八円下がります。それでも、生産量も所得も影響ないと言います。チーズ向けの奨励金をふやしただけで八円の差額がふえるのか。畜産クラスター事業をやれば八円のコストが下がるのか。そうであるとするならば、そのことをきちんと説明する必要と責任があります。

 牛肉、豚肉については、今回の法案でも、マルキンという仕組みを九割補填にし、豚肉は生産者負担を二五%まで、牛肉と同じにすると強化しました。法制化もすると。これは評価される方向性だと思いますが、だからといって、牛肉や豚肉の生産や収入がそのままのわけにはいかないと見なければなりません。牛肉では、最大規模階層二百頭以上が赤字を免れ、豚肉でも、最大規模階層二千頭以上だけが赤字を免れます。それだけの効果なのだということは押さえておかないといけません。

 一方、酪農についてはそのようなものが全くない。ことしの夏から国産牛乳は全く飲めなくなるかもしれないということが業界では大きな話題になっています。このことを国民が認識しなければいけません。ことしの夏から、小売の店頭から牛乳が時々消えるかもしれないということです。

 酪農はトリプルパンチです。TPP11と日・EUのFTA、そして指定団体の解体、酪農協の解体が決まりました。世界で、牛乳については、量を把握して消費者に届けないときちんと届かないということで、全量出荷の原則を全ての国がとっています。それを日本は法律で、全量出荷を義務づけてはいけない、二股出荷でも受け付けるという、世界で唯一、例のないことをやってしまいました。このことは大変な事実です。そういう不安もあって、都府県酪農を中心に生産がどんどん減り、ことしの夏から牛乳が足りなくなるといいます。

 酪農については、牛肉、豚肉のようなマルキンをきちんと入れなければいけないという議論があってしかるべきなのに、そういうことがないままである。

 今回は酪農、畜産に影響が大きいということになっているが、米と関係がないということではありません。米の生産も減っていきます。しかし、生産より消費の方が減り方が大きいので、十五年後には米が七十万トン余り、餌米をやらなければならなくなります。ところが、このまま酪農、畜産が五割、六割と減っていくとすると、餌米をどう消費するのかということになります。そのことに対する整合性をどうとるのかが問題になってきます。

 さらには、安い食品が入ってきます。食の安全基準が緩められていくということを続けていった場合、輸入食品の検疫でひっかかるものがふえてきます。あり得ないような化学薬品が出てきています。だが、検査率は全体の七%で素通りし、それを食べています。日本人は、安いものが食べたいから、現地へコストを下げてくれと要求します。しかし、同時に、安全性に対するコストも低くなり、危なくなってきている現実があります。

 輸入農産物は、成長ホルモンの問題、成長促進剤の問題、除草剤、遺伝子組み換え、防カビ剤などのリスクが、危機が満載の状況です。だからこそ、国内で安心、安全の食材をつくっている農家さんのことを今考えておかないと、牛乳でことしの夏から起こりそうな事態がどんどん広がっていき、気がついたときには国内の自給率が一割台になっていて、もはや商品を選ぶことすらできないという事態が目の前に来ているのです。

 国民の命を守り国土を守るには、どんなときにも安全、安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠であり、国家安全保障のかなめです。国民全体で農林水産業を支え、食料自給率を高く維持するのは世界の常識です。

 食料自給は独立国家の最低条件です。日本の産業が過保護であるというのはマスコミにつくり上げられたうそです。農業所得に占める補助金の割合は、日本三〇%、スイス一〇〇%、イギリス、フランスでも九十数%です。ヨーロッパは、幾たびの戦争で、食糧難と国境の危機にさらされました。命を守り、環境を守り、地域を守って国土を守るための産業は、みんなで支えるのは当たり前であると認識されています。しかし、それが当たり前でないのが日本であるということになります。食料自給率という言葉を死語にしてしまうような流れに歯どめをかけないといけません。

 欧米諸国が、所得の一〇〇%近くを税金で払っても、自分たちの国境、国土、地域を徹底して守っている、そのようなときに、我が国は、民間活力の最大限の活用とか、企業参入が全てであるとか、自由貿易が全てであるという名目のうちに、気づいたら、安全性の懸念が大きい輸入農水産物に一層依存し、国民の健康がむしばまれる、資源、環境、地域社会、そして国民の主権さえもが実質的に奪われかねないような状況をもたらす政策をあらゆる形で組み合わせて今進めようとしているのではないか、ここが問われているわけです。

 イタリアの水田地帯では、こう言われています。田んぼにオタマジャクシがすめる生物多様性、ダムのかわりに貯水できる洪水防止機能、水をろ過してくれる機能、こうした機能にみんなお世話になっているが、では、きちんと値段に反映できているか。できていないのならみんなでお金を集めて払おうじゃないかということで、EUでは、農業の持つさまざまな多面的機能、環境機能について指標化し、それを国民がどれだけ支えていくかという壮大な環境支払いシステムをつくり上げています。だから、国民は納得して払えるし、生産者は誇りを持ってつくっていけるわけです。

 そのようなシステマチックな支援体制をつくり上げた上で、政策として十分納得して進めていけるのか。食を外国に握られることは、国民の命を握られ、国の独立を失うことであることを常に念頭に置いて、安全保障戦略の中心を担う恒久的な農林水産業政策を、政党の垣根を越え、省庁の垣根を越えた国家戦略予算として再構築するべきであるという、多岐にわたり、そして大変貴重な意見を陳述していただきました。

 茂木大臣に繰り返し問いただしたいことは、米国抜きのTPPは意味をなすのか、なさないのか、そのことについて国民が納得できる言葉で答えるべきです。

 アメリカがTPPを離脱するまでの政府のアジア太平洋地域における経済戦略というのは、米国を含む十二カ国でハイスタンダードのTPPをつくり、それを基礎として、APECにおいてFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏をつくるというものでした。果たして、米国抜きTPP11はハイスタンダードとなるのでしょうか。米国が入ってきたら凍結を解除する項目が二十二ありますが、高い要求項目を出していたアメリカが入ってこなければ、大臣には期待外れのハイスタンダードになってしまうのではないでしょうか。

 希望的観測以上にファンタジー、幻想を振りまく説明では、激しく変わりつつあるアジア太平洋地域を前に、日本は茫然と立ちすくみ、現実の対応や将来に向けたビジョンを描けぬまま、日本独自の通商外交を放棄することになります。

 TPP11を初めての広域FTAであると豪語する茂木大臣は、アメリカ抜きでもやれる確信やそのときの展望も、ファンタジーではない現実的な通商の姿として国民に語る立場にあるのです。

 元農林水産大臣の山田正彦氏は、以前御自身が畜産農家であった経験を踏まえ、TPP協定の議論が始まった当時から、この協定に対する各界各層からの丹念な調査と、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどの関連各国の研究者の方々とともに、この壮大なグローバル企業優先協定に強く警鐘を鳴らしていたお一人です。

 TPP関連の著書も幾つか上梓している中から、参考までに一文を紹介したいと思います。

 NAFTAのときに、メキシコの農家三万戸が倒産した。その結果、二百万人もの移民が職を求めて米国内に流入し、それによって米国民が五百万人も失業した。これから私たち日本人の失業がどんどんふえていくことは目に見えている。

 米国ではこの二十年の間に、四万二千の工場がメキシコに出ていき、製造業の二五%が空洞化したと言われる。日本からもこれから企業のベトナムなどへの工場進出は加速される。既に日本でも有数の造船所がベトナム進出を決め、工場建設に取りかかっている。

 こうして考えると、私たち日本人の給料は、TPPに加入後、どんどんと引き下げられていくことを覚悟しなければなりません。ただでさえ給料は下がっている。十五年前にサラリーマンの平均給与が約四百六十七万円だったのが、現在では四百八万円にまで下落した。これが加速されることになるかもしれません。米国がNAFTAの締結以降どんどん給料が下がり続けて、二十年の間に一九七二年の水準まで下がってしまったように。

 例えば、為替が円安にぶれて、食料品、燃料が上がり続けて、更に追い打ちをかけるように消費税が上がっていくと、本当に生活できないことになる。恐ろしい話です。

 現在、日本でも、一%の多国籍企業と富裕層だけで国の三〇%の富を持っていると言われているが、TPPによって貧富の差は更に広がってしまうだろうと述べていらっしゃいます。

 安い外国からの食品が流通すると、国内企業の生産性が下がってしまい、現場の給料が支払えないため、職員の皆さんはやむなく離職する。立ち行かなくなった会社や工場は、再建のめどが立たなければ倒産する。農林水産、畜産業への影響のみならず、ごく普通に暮らしていた日常の大激変がやってくるかもしれません。特に、中小零細企業への圧力となって重たくのしかかってくることに、果たしてどれくらいの国内企業がそれに耐えられるだけの底力があるのでしょうか。

 TPPから離脱した米国との間で、政府は昨年、麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話を立ち上げ、その下部機関とも言えるFFRをスタートさせることで合意していますが、TPP11協定の発効が早ければことし中とも報じられる中、では、我が国と米国との自由貿易制度のあり方はどうなるのか、FFR及び日米経済対話が今日的に何を目指しているのか、茂木大臣は明確に答弁をしていません。米国輸出に係る幅広い日本の障壁を除去することを求めていくとした米国の強硬姿勢の前に、日本自身から、国益、国民の暮らし、文化、雇用を守るという覚悟が伝わってまいりません。

 加えて、米国は、大統領令の中で、米国の産業を促進し、アメリカ人の労働者を守り、アメリカ人の賃金を上げるためにTPPから永久に離脱すると述べる一方で、これからは二カ国間の貿易交渉を開始すると宣言していますから、米国が主張する日米FTAに対しての態度も曖昧にはできません。

 米国が加わっていたTPP12交渉の段階から、米国は、米韓FTAを参考にして、それ以上ハイレベルなものにすると言っていた経緯からしても、日本、米国の二国間による協定の内容がTPPを上回るような要求が出されないとも限りません。米韓FTAで国内法をことごとく変えさせられた韓国の前例から考えても、決して安閑としていられる場合ではないと強く認識するべきです。それについても、茂木大臣からその認識は全く伝わってまいりません。

 茂木大臣から明確にされないままでは、本年六月からは日米経済対話が本格化するのですから、国民はやはり納得できていません。

 そして、政府は、TPP12からアメリカの離脱によりTPP11となって以降、基本的にはアメリカの復帰を待つ姿勢をとりながら、再交渉の可能性について、従来のように、米国から求めがあっても応じる考えはないと主張できるんでしょうか。

 茂木大臣は、一部のみを取り出して再交渉する、変えることは極めて困難と答弁し、再交渉に余地を残しているかの発言ですが、凍結二十二項目を解凍させるなど、もし政府方針が変わるのであれば、それを明確にしておくべきです。

 TPP12はTPP11に変わり、そこからまたもとに戻すことが前提であれば、今回このTPP11をつくる意味はどこにあるのか。国内準備法の内容は二〇一六年時点のまま、施行日だけをTPP11の発効の日とするだけの極めて技術的な変更のみで、中身についての精査は全く必要としない、国民への説明も要らないかのような茂木大臣の対応は、極めて不誠実と言わざるを得ません。

 ゆえに、TPP12並びにTPP11に関する整備法の審議はそれぞれその土台を欠いており、データの開示以前の問題であります。

 加えて、安倍内閣の常として、情報開示には後ろ向きです。TPP12とは異なり非公開とはされていない以上、可能な限りの交渉経過が明らかにされねばなりません。

 しかしながら、政府並びに茂木大臣の対応は、相手国の事情を盾に、公開したのは交渉経過の概要とその都度の記者ブリーフや記者会見のコピーのみでした。これは交渉経過の説明にはなり得ません。もしそれをして情報公開というのなら、一つ一つの判断がなぜとられたのかは闇の中になってしまいます。この交渉にかかわった議事録、メモ等の公文書は果たして今後どのように公開されるのでしょうか。

 この交渉の結果、十年、二十年後、トランプ大統領が指摘したと同じように、産業が衰退し、雇用が減り、賃金が下がったとき、あるいは、農業が破滅的になり、食料自給率が更に下がり、海外からの食料輸入の道も途絶えるような事態が生じたら、今回の判断を記した交渉録がじっくりと検証されるでしょう。

 責任者は幾人かわれども、そこにいた責任、それを進めた責任まで変わってしまうわけではないのです。茂木大臣に、国民の命のもとを守ろうという責任者たる姿勢がかいま見えないのは実に残念です。

 さきに読み上げた愛媛県による調査報告文書のように、事実は事実として記録され、後年後日、一つの事案に関連する問題が惹起したとき、その文書に記された事実の経過が事の真相を語るわけです。ある事実から一つの真実になるのです。そして、国民は、その説明責任を全ての当事者が果たした後、みずからの出処進退を明らかにする姿勢を見て、職務の責任を全うしたと初めて認めるわけです。政治の責任のあり方、とり方によって、政治への信頼が戻ってくるわけです。国民の命、暮らしがかかっているものであれば、なお言うまでもありません。

 以上申し上げましたとおり、茂木大臣には、所管大臣として職責を担うに甚だ適正とは認められず、辞任を求めるものであります。

 以上、私の説明とさせていただきます。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。亀岡偉民君。

    〔亀岡偉民君登壇〕

亀岡偉民君 自由民主党の亀岡偉民です。

 私は、自由民主党並びに公明党を代表して、ただいま議題となりました国務大臣茂木敏充君に対する不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

 まず申し上げたいのは、この決議案を提出する理由とタイミングが全く意味不明だということであります。余りにも場当たり的で、単に国会をとめるためだけの方便としての決議案を提出したとしか思えません。旧態依然とした筋の通らない日程闘争に対して、我々はいつまでもおつき合いしているわけにはまいりません。極めて不誠実な姿勢に対し、強く猛省を求めます。

 提出会派は、不信任提出の理由の中で、TPP協定につき十分な議論が必要であると述べていますが、その一方で、議論の機会をみずから閉ざしているのです。何という矛盾でしょうか。

 もとより国会は議論の場であり、言論の府であります。つい先ごろまで十八日間も審議拒否を続けておいて、更に仕事を放棄するというのなら、今も、そしてこれからも、到底国民の負託に応えられるものではありません。

 更に言えば、この決議案が提出されたのは、内閣委員会で審査中のTPP国内整備法が、採決まであとわずかというタイミングであります。審査の過程で不信任に値するような言動があったのならまだしも、むしろ茂木大臣は誠実に答弁を繰り返してこられました。

 かくも的外れな理由をあげつらって不信任案を提出し、いたずらに法案審査をとめようとする姿勢は、健全な議会運営に水を差す、形を変えた審議拒否であると強く非難いたします。

 茂木大臣は、就任以来、豊富な知識と経験を生かしながら、行政や国会対応と真摯に向き合い、誠実にその重責を果たしてこられました。

 皆さん御承知のとおり、国益増進に対する茂木大臣の熱意はとどまることを知りません。アメリカがTPPからの離脱を表明して以降、世界的に保護主義への懸念が高まっている中、茂木大臣は、自由で公正なルールに基づく経済圏の創設に向けて各国と密接に連携をとり、かつ主導的に議論を進めて、わずかな期間でTPP11の署名を交わすことができました。

 また、地方の中堅・中小企業の海外展開や国内産業の競争力強化、そして農林水産業の強化など、真に我が国の経済成長に直結するために必要な政策を盛り込んだ総合的TPP等関連政策大綱の取りまとめに尽力を尽くし、不安を抱えるさまざまな方々の懸念を踏まえ、きめ細やかな対策を講じるのみならず、TPPに関する情報や政府の取組につき、みずからも先頭に立って丁寧に説明を繰り返し、不安の払拭に努めてこられたのであります。

 もちろん、TPP以外にも、茂木大臣の功績はたくさんあります。

 経済財政諮問会議においては、関係閣僚や有識者議員の広く深い見識を十分に活用し、会議の司令塔として新しい経済政策パッケージの取りまとめにすぐれた手腕を発揮されました。その政策パッケージは、成長戦略の推進を加速するのみならず、人づくり革命と生産性革命を両輪として、幼児教育の無償化や待機児童の解消、高等教育無償化、介護人材の処遇改善などに手厚い対応を施すなど、我が国の将来や人生百年時代をしっかりと見据えた構想に満ち満ちております。

 さらには、国の内外でアベノミクスの重要性を発信し、イノベーションに関する先進事例の視察にも積極的に取り組むなど、安倍内閣はもちろんのこと、今や我が国の成長と発展のために絶対に欠かすことのできない存在なのであります。

 今回、この決議案を提出された方々は、茂木大臣の強い責任感とリーダーシップこそが国益と国民生活を着実に押し上げ、我が国を輝ける未来へと導くものだということを全く理解しておられません。

 このように、茂木大臣が不信任に値する理由は全く見当たりません。かかる無節操かつ無責任な決議案は、速やかに圧倒的多数をもって否決し、この後に予定されている茂木大臣の永年勤続表彰に大輪の花を添えようではありませんか。

 以上をもちまして、私の反対討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 山崎誠君。

    〔山崎誠君登壇〕

山崎誠君 立憲民主党・市民クラブの山崎誠でございます。

 会派を代表して、ただいま議題となりました経済再生担当大臣茂木敏充君の不信任決議案に対して、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 永年在職議員の表彰のこの日に、この不信任決議案という不名誉な議案のために登壇されていらっしゃいます茂木大臣、心中お察しいたします。でも、その理由は茂木大臣にございますので、その理由を述べさせていただきます。

 まず問わなければいけないのは、国際交渉、TPP11に対する茂木大臣の基本的な姿勢でございます。

 政府は、TPP11の意義、二十一世紀型の自由で公正な新しいルールをアジア太平洋地域につくり上げるとしております。自由貿易の価値を一定理解するところではございますが、TPP11はグローバル企業に一方的な有利な環境を提供するもので、グローバル企業への便宜供与、世界の私物化との批判があります。

 日本の国内の農業や畜産、酪農に対して壊滅的な打撃を与える可能性も高い。また、例えば食の安全に対する規制緩和など、国民の命や健康への危険も拡大します。公共事業への外国企業の参加を広げるなど、疲弊する地方再生に逆行する規定も含まれている。自民党、これでいいんでしょうか。

 茂木大臣にとって大切なのは、グローバル企業が闊歩する弱肉強食の自由貿易ですか、それとも、国民の命や暮らし、農業によって支えられている豊かな日本の自然環境、多くの先人の努力によって築き上げられた信頼された日本ですか、どちらですか。

 私たち日本の政治家が真っ先に守るべきものを見失っている茂木大臣に国際交渉を担っていただくわけにはまいりません。

 安倍政権は、TPP11はTPP12の延長で中身は変わらない、審議する必要はないと考えているのではないですか。とんでもない間違いでございます。

 米国では、もうかるのはグローバル企業の経営陣だけ、賃金は下がり、失業はふえ、国家主権が侵害される、食の安全が脅かされるとの理由で、多くの国民がTPP反対の声を上げています。大統領候補全員がTPPを否定せざるを得なかったこの事実をどう受けとめるんですか。米国というTPP12のキープレーヤーが抜けてしまったTPP11を、TPP12と同じ考え方に立っていく合理性は全くありません。

 政府は、TPP11の日本の農業への影響を千五百億円と試算しております。この試算は、国内政策がうまく効果を発揮したことを前提に算出されている。国内対策を前提としない影響評価をお聞きをしても、一向にその試算は明らかにされません。国内の農業生産量は変わらないということも言っている。こんな御都合主義が許されるんでしょうか。TPP11ありきの情報操作と言われても仕方ない状況ではないですか。政府の希望的観測だけを聞かされて、納得いくわけにはまいりません。

 こうした多くの問題を、課題を抱えながら、与党は、関連法案の審議をわずか三日間、十数時間の審議で終わらせようといたしました。このようなごくわずかな時間と期間で審議を終わらせるような政府・与党の姿勢は、国民に問題を知られたくない、気づいてほしくない、そういう意識のあらわれではないですか。

 安倍政権から始まる国難は去っていません。国難国会は会期を大幅に延長して、じっくり議論しようではありませんか。なぜ議論を避けようとするんですか。どうか逃げずに、国民の皆様に堂々と議論を尽くそうではありませんか。よろしくお願いいたします。

 最後に、自民党、公明党の皆様に申し上げます。

 戦後の焼け野原となった日本は、自民党の政治的リーダーシップのもと復興を遂げ、高度成長期を経て、世界有数の経済的にも社会的にも豊かな国となりました。そこには、国民に対する責任を誰よりも自覚し、日本の未来を描こうとする、誇り高き政治の姿があったと思います。私は、主義主張や政策の違いはあっても、こうした自民党の政治に対して尊敬と敬意の念を持ってまいりました。

 しかしながら、今の安倍政権、自民党、公明党の政治は、こうしたかつての自民党政治とは全くかけ離れた、正義に欠ける政治になってしまったと糾弾せざるを得ません。極めて残念です。

 政治における正義とは何か。私は、政治における正義とは、たとえ少数であっても、困難に陥っている方、本当に社会の支えが必要、そういう方々を真っ先に考えること、お互いに違いを認め、多様な価値、価値観を尊重すること、無私の心、広く公共、国民のために尽くすこと、こうした姿勢とともに、一人も置き去りにしないという決意こそ、そこに正義が宿るんだと考えます。

 働き方改革、働かせ改革に正義があるでしょうか。今、過労死、過労自殺が社会問題化しています。多くのかけがえのない命が日本社会のひずみの中で奪われています。今なすべきは、こうした過労死、過労自殺の実態に真摯に向き合い、その原因を究明し、対策を打つことではありませんか。働く皆さんの暮らしや命を犠牲にして、企業経営のニーズを優先させる働き方改革に正義はありません。

 東京電力福島第一原発事故への対応に正義はあるでしょうか。家族を守りたい、子供たちを守りたいとの一念で、断腸の思いで自主的に福島の地を離れた方々がいます。今、そうした自主避難者への住まいの有償提供が打ち切られようとしています。避難者の方々は経済的にも困窮しており、かわりの住まいを見つけることができていません。福島の子供たちへのいじめも続いています。転校はいじめを助長するんです。こうした何の落ち度もない苦悩する避難者の方々を置き去りにして、原発推進はありません、正義はありません。

 生活保護の切捨て、自衛隊の日報問題、沖縄の基地問題、カジノの問題、セクハラ問題、全く同じでございます。安倍政権に正義はありません。

 そして、安倍政権の不正義の象徴とも言える加計問題です。昨日、愛媛県から出された文書は、まさに衝撃的でした。これまで繰り返されてきた安倍総理の自信満々に見えるあの答弁も、柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑のあの答弁も、もはや何の信用も置けない、虚偽に満ちたものであった疑いが極めて濃厚となりました。

 そういう獣医学部の考え方はいいねと総理のコメントを、恐らく、真面目な愛媛県職員は、そして熱心な加計学園関係者は、この言葉を聞いて、いろいろと思って、しっかりと記録に残したのだと思われます。その後に、幾ら記憶にないと言い張っても、記録はきちんと残っているのです。

議長(大島理森君) 山崎君、時間が来ました。

山崎誠君(続) 与党の皆様に改めて申し上げます。

 政治の正義、国会の正義が問われています。今こそ、責任ある政治家として、官僚として、国民に向き合ってください。

 私の討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 稲富修二君。

    〔稲富修二君登壇〕

稲富修二君 国民民主党の稲富修二でございます。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案のございました茂木大臣の不信任決議案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)

 最初に、安倍政権、与党の国会軽視、権力を私物化する政権、国会運営に厳重に抗議いたします。

 森友、加計問題などについて、国会の議論を改ざんや隠蔽で妨害する政府の態度は、国民主権をないがしろにするものであります。この政府は誰を向いて仕事をしているのか、国民の税金は誰のために使われているのかという深刻な政治不信を生んでおります。

 TPP整備法改正案を審議している内閣委員会でも、与党が強引な運営を続けています。国民生活にとってメリットも少なく、問題だらけのTPPやカジノ法案を優先しようとする与党の姿勢は言語道断であり、我が党としても強く抗議するものであります。

 不信任決議案に賛成する最大の理由は、茂木大臣が、多くの問題を含んだTPP11協定を推進し、署名を行った当事者であるということであります。

 国民民主党は、包摂的な成長の観点から、自由貿易を堅持し、国益も守りながら、国際間の経済連携をますます推進し、保護主義の台頭を食いとめる必要があると考えます。私たちは、そのような観点から、高いレベルでの経済連携を積極的に推進し、地域の新しいルールをリードする立場に日本が立つべきだと考えております。

 しかし、今回のTPP協定は、そうした基本から外れ、日本を含めた加盟国の国民にとって大きな利益をもたらすものとはなっておりません。

 TPPは米国抜きでは意味がない、再交渉が不可能であるのと同様、根本的な利益のバランスが崩れてしまう、二〇一六年十一月に安倍総理御本人がおっしゃっているとおり、米国抜きでは意味がないのではないでしょうか。また、この期に及んでも米国復帰を望むのは、甘い期待と言わざるを得ません。

 協定の第一の問題点は、一昨年の国会で、安倍内閣により強引に承認されたTPP協定の内容をほとんど引き継いでいることであります。

 工業製品分野など、我が国として攻めるべき分野で十分なメリットが得られず、また、農産物主要五品目など、守られなければならない分野において相当な譲歩を迫られました。

 今回の協定では、二十二項目の凍結項目が設けられたものの、その他の大部分については協定の内容が踏襲されており、市場アクセス、関税に係る部分については全く変更がなされておりません。

 協定の第二の問題点は、我が国の国内農業への深刻な打撃が必至であるということであります。

 カナダやニュージーランドなどを始めとする農産物の輸出国にとっては有利ですが、我が国のような農産物の輸入国にとっては著しく不利であります。農水省が国内の農業従事者には影響はないとの無責任な試算を示していることも、到底納得することはできません。

 協定の第三の問題点は、交渉経過に係る情報公開が全くなされていない点であります。

 今回のTPP11協定における凍結項目の決定過程などについても、政府はその内容を全く明らかにしておりません。国民の知る権利を徹底的にないがしろにする政府の姿勢は、決して容認できるものではありません。

 そもそも与党自民党は、二〇一二年十二月の衆議院選挙において、聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対すると公約を掲げ、全国には、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と記されたポスターを張り出しました。

 現在進めているTPP協定は、この選挙公約に違反しているとしか思えません。公約違反は明らかではないでしょうか。

 自民党の選挙公約違反についても、TPPについての多くの問題点についても、茂木大臣から納得のできる説明は行われていないままであり、非難せざるを得ません。

 不信任案に賛成する第二の理由は、経済再生担当である茂木大臣が、アベノミクスの司令塔として、日本社会の格差拡大を進めたことであります。

 茂木大臣は、今年度の日本経済について、雇用・所得環境の改善が続く中で、民需を中心とした景気回復が見込まれる、年初の経済演説で述べました。

 しかし、内閣府が発表した二〇一八年一―三月期国民所得統計一次速報によると、実質国内総生産、GDPは前期比マイナス〇・二%、年率換算マイナス〇・六%となり、一五年十―十二月期以来の九四半期ぶりのマイナス成長となりました。

 二〇一七年度の実質GDPの成長率は一・五%、名目GDP成長率は一・六%となりました。見た目の成長率を膨らませるのが安倍政権の常套手段でございましたが、それさえも失敗し、実質、名目ともの低成長となったことについて、茂木大臣は責任をとるべきだと考えます。

 何よりも働く人たちの賃金が下がっていることを直視しなければなりません。二〇一六年における民間の平均給与は四百二十二万円となっていますが、二十年前には四百六十一万円、十年前に四百三十五万円だったものから大きく下がっております。

 審議入りした働き方改革法案が通ると、国民の賃金は上がるのか、実質賃金は改善されるのかをただしても、安倍総理は、全体の需要が伸び悩む状況下では賃金上昇につながりにくい面があると釈明しております。茂木大臣が、今年度の日本経済について、雇用・所得環境の改善が続くと説明していることとも矛盾いたします。

 茂木大臣は、生産性革命、人づくり革命というスローガンを掲げますが、大企業がもうかれば、おこぼれが中小企業や庶民に行き渡るという発想自体が間違っております。中小企業や庶民の懐をまず暖める再分配政策が重要であると訴えてまいりましたが、大臣は基本認識を変えることはありませんでした。

 茂木大臣に潔く辞していただくこと以外に、日本経済の再生はないと確信をいたします。

 不信任決議に賛成する第三の理由は、茂木大臣が、財政再建という国家の重大な政策課題を担当する大臣でありながら、放漫財政を放置していることにあります。

 安倍総理は、衆議院解散に先立ち、二〇一七年九月の記者会見において、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成を公然と放棄をいたしました。茂木大臣も、安倍総理のばらまき財政路線に追随するだけで、財政規律の確立に必要な政策に取り組む姿勢を見せておりません。

 政府は、二〇二五年度までの財政健全化計画を策定する中で、二一年度に中間目標を設ける方針と伺っております。過去における中間目標も未達成であるのに、また同じ轍を踏もうとしているのでしょうか。まさに問題先送りと批判せざるを得ません。

 バブル好況に沸いた一九九〇年度から九三年度を除いて、毎年度ごとに特例法を制定し、やむなく赤字国債を発行するという形をとってまいりました。毎年度に国会が採決をし法律をつくっていたので、政府、国会が緊張感を持っておりました。

 しかし、二〇一六年度から二〇二〇年度までの五年間、まとめて特例公債の発行を認める法律に改悪されてしまいました。五年に一回しか国会の議決がないとすると、財政再建に対する意識もますます希薄になってしまいます。

 茂木大臣は、旧民進党が参議院に提出した、二〇一八年度に限って赤字国債の発行を認める法案を握り潰し、本来プライマリーバランスの黒字を達成すべき年度までの特例公債を出すことを何ら疑問視しておらず、遺憾にたえません。

 以上の諸点を踏まえまして、これ以上茂木敏充君が大臣を続けることは我が国のためにならないことを確信いたします。

 アベノミクスは六年目に入り、財政も金融も当初の目的を達せられないことが明らかになってまいりました。アベノミクスという言葉自体が空虚に聞こえるようになってまいりました。

 また、首相答弁と真っ向から反する愛媛県の新文書が明らかになりましたが、森友、加計問題などによって国会の議論は大いにゆがめられております。うそや隠蔽や改ざんを繰り返し、国会からTPPや財政、金融などの大切な政策論争を奪ってきたのは、責任は、ひとえに政府・与党にあることを強く申し上げたい。

 アベノミクスの司令塔たる茂木大臣がみずから辞任をされることが最善でありますが、衆議院として不信任決議案を議決することを呼びかけて私の賛成討論として、終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。

 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました茂木敏充TPP担当大臣に対する不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 まず冒頭、加計学園疑惑について指摘しなければなりません。

 総理は、先週、私の質問に対して、私は加計理事長と獣医学部の新設について話をしたことはないと答弁されました。しかし、きのう国会に提出された愛媛県新文書では、二〇一五年二月二十五日に加計理事長と首相とが面談し、今治市での獣医学部新設について話したことが繰り返し記されております。総理は国会をだまし続けているのではありませんか。

 時の権力者がみずからの友人のために権力を行使し、便宜を図る、行政の私物化そのものであります。そして、そのことを隠すために国会を欺き続ける。関係者をも巻き込み、虚偽の説明をさせる。まことに罪深いと言わなければなりません。

 今、国会がやるべきは、TPPの強行ではありません。働き方の改悪でもありません。カジノの強行でもありません。国会が今やるべきは、国民の負託に応え、国会の国政調査権を行使し、いよいよ総理主導の疑いが決定的となった、加計学園疑惑の真相究明の責任を果たすことであります。

 加計孝太郎理事長、柳瀬元総理秘書官、藤原元内閣府審議官など関係者の証人喚問と、中村愛媛県知事の参考人招致を早急に行うことを強く求めるものであります。

 続いて、茂木大臣不信任決議案に賛成する理由を述べます。

 最大の理由は、茂木大臣が、国会決議に違反し、農林水産業を始め国民生活に甚大な打撃を与えるTPP11を強行しようとしているからであります。

 内閣委員会の審議の中で、総理は、TPPでの日本の農業における譲歩というものはもうマックスだと明確にトランプ大統領に伝えていると答弁しました。しかし、たび重なる国会決議は、農業分野のマックスの譲歩など認めていないのであります。

 国会決議は、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要五品目を関税撤廃の交渉から除外することを明確に求めてきました。ところが、TPPでは、重要五品目のうち、三割の品目で関税を撤廃、牛肉・豚肉では七割の品目で関税が撤廃されます。

 国会決議に明白に反し、TPPを進める茂木大臣を信任できないのは当然であります。TPPは即時撤回するべきであります。

 さらに、四月の日米首脳会談で、日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意しましたが、その担当が茂木大臣であります。新協議は日米双方がお互いの関心事項を持ち寄るといいますが、USTRが外国貿易障壁報告書をもとに、牛肉や米、乳製品を含む農産物を始め、規制緩和など、TPP以上の要求を突きつけてくることは明白であります。

 既にアメリカ側は、適切な時期にFTAを結ぶことに関心があると日本政府に通告しております。TPP交渉で譲歩をした線をスタートとして、際限のない譲歩を迫られ、行き着く先は日米FTAという、国民の利益を大きく損なうことになるのではありませんか。このような茂木大臣は到底認めることはできません。

 このような重大な問題にもかかわらず、TPP11条約は、外務委員会での審議は六時間にも満たないものであり、内閣委員会での法案質疑もまだ十数時間。会期末まで一カ月を切る中、国会多数が懸念しているカジノ実施法案を強引に成立させるために、TPPについてまともに審議を尽くさず、短時間で打ち切り強行しようとしている与党の姿勢は断じて許されません。

 公文書改ざん、隠蔽、捏造、虚偽答弁の連発という前代未聞の異常事態を引き起こし、国民の代表たる国会を冒涜し、我が国の民主主義を根底から突き崩し恥じない、安倍政権と与党の姿勢を厳しく批判し、茂木大臣不信任決議案に対する私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十五

  可とする者(白票)       百三十五

  否とする者(青票)       三百二十

議長(大島理森君) 右の結果、国務大臣茂木敏充君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

辻元清美君外五名提出国務大臣茂木敏充君不信任決議案を可とする議員の氏名

阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   荒井   聰君

池田  真紀君   石川  香織君   生方  幸夫君   枝野  幸男君

尾辻 かな子君   大河原 雅子君   逢坂  誠二君   岡島  一正君

岡本 あき子君   落合  貴之君   海江田 万里君   神谷   裕君

亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君   近藤  昭一君

佐々木 隆博君   櫻井   周君   篠原   豪君   末松  義規君

高井  崇志君   高木 錬太郎君   武内  則男君   辻元  清美君

手塚  仁雄君   中谷  一馬君   長尾  秀樹君   長妻   昭君

西村 智奈美君   長谷川 嘉一君   初鹿  明博君   日吉  雄太君

福田  昭夫君   堀越  啓仁君   本多  平直君   松田   功君

松平  浩一君   道下  大樹君   宮川   伸君   村上  史好君

森山  浩行君   矢上  雅義君   山内  康一君   山尾 志桜里君

山川 百合子君   山崎   誠君   山花  郁夫君   山本 和嘉子君

横光  克彦君   吉田  統彦君   早稲田 夕季君   青山  大人君

浅野   哲君   伊藤  俊輔君   泉   健太君   稲富  修二君

今井  雅人君   小熊  慎司君   大島   敦君   大西  健介君

岡本  充功君   奥野 総一郎君   吉良  州司君   城井   崇君

岸本  周平君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   後藤  祐一君

近藤  和也君   斉木  武志君   階    猛君   篠原   孝君

下条  みつ君   白石  洋一君   関  健一郎君   玉木 雄一郎君

津村  啓介君   西岡  秀子君   原口  一博君   平野  博文君

古本 伸一郎君   前原  誠司君   牧   義夫君   緑川  貴士君

森田  俊和君   山岡  達丸君   山井  和則君   柚木  道義君

渡辺   周君   安住   淳君   江田  憲司君   大串  博志君

岡田  克也君   金子  恵美君   黒岩  宇洋君   玄葉 光一郎君

田嶋   要君   中川  正春君   中村 喜四郎君   野田  佳彦君

広田   一君  もとむら賢太郎君   赤嶺  政賢君   笠井   亮君

穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君   田村  貴昭君

高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   藤野  保史君   宮本  岳志君

宮本   徹君   本村  伸子君   小沢  一郎君   玉城 デニー君

照屋  寛徳君   吉川   元君   青山  雅幸君   赤松  広隆君

井出  庸生君   小川  淳也君   柿沢  未途君   菊田 真紀子君

佐藤  公治君   重徳  和彦君   樽床  伸二君   寺田   学君

中島  克仁君   松原   仁君   鷲尾 英一郎君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   あべ  俊子君   安倍  晋三君

逢沢  一郎君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君

麻生  太郎君   穴見  陽一君   甘利   明君   安藤  高夫君

安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君   井上  貴博君

井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君   池田  佳隆君

石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   石原  宏高君   泉田  裕彦君   稲田  朋美君

今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君   岩屋   毅君

うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君   上野  宏史君   江崎  鐵磨君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君

小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君   小田原  潔君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君   越智  隆雄君

大岡  敏孝君   大隈  和英君   大塚  高司君   大塚   拓君

大西  英男君   大西  宏幸君   大野 敬太郎君   大見   正君

岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君

加藤  寛治君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君   門   博文君

門山  宏哲君   金子  俊平君   金子 万寿夫君   金子  恭之君

金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君   神山  佐市君

亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   河井  克行君

河村  建夫君   神田  憲次君   神田   裕君   菅家  一郎君

木原  誠二君   木原   稔君   木村  次郎君   木村  哲也君

木村  弥生君   城内   実君   黄川田 仁志君   岸   信夫君

岸田  文雄君   北川  知克君   北村  誠吾君   工藤  彰三君

国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君

小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君

小林  史明君   古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

高村  正大君   左藤   章君   佐々木  紀君   佐藤  明男君

佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君

坂井   学君   坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君

塩崎  恭久君   塩谷   立君   繁本   護君   柴山  昌彦君

下村  博文君   白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   杉田  水脈君   鈴木  馨祐君

鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君

鈴木  隼人君   関   芳弘君   園田  博之君   田所  嘉徳君

田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君   田野瀬 太道君

田畑   毅君   田畑  裕明君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君   高鳥  修一君

高橋 ひなこ君   竹下   亘君   竹本  直一君   武井  俊輔君

武田  良太君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君

津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君   寺田   稔君

とかしきなおみ君   冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君

冨岡   勉君   中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君

中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君

永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西村  明宏君   西村  康稔君

西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君   根本  幸典君

野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  二郎君

浜田  靖一君   林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君

百武  公親君   平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君

福井   照君   福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君

藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君   船橋  利実君

古川   康君   古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君

穂坂   泰君   星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君

堀井   学君   堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君

牧原  秀樹君   松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君

松本  剛明君   松本  文明君   松本  洋平君   三浦   靖君

三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君

御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮川  典子君   宮腰  光寛君

宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君   武藤  容治君

務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君   村上 誠一郎君

望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口  泰明君   山口   壯君   山下  貴司君

山田  賢司君   山田  美樹君   山本  公一君   山本  幸三君

山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君   吉野  正芳君

義家  弘介君   和田  義明君   若宮  健嗣君   渡辺  孝一君

渡辺  博道君   赤羽  一嘉君   井上  義久君   伊佐  進一君

伊藤   渉君   石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君

浮島  智子君   江田  康幸君   大口  善徳君   太田  昭宏君

太田  昌孝君   岡本  三成君   北側  一雄君   國重   徹君

佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   高木  陽介君

竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君   中野  洋昌君

浜地  雅一君   濱村   進君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君

鰐淵  洋子君   足立  康史君   井上  英孝君   浦野  靖人君

遠藤   敬君   串田  誠一君   下地  幹郎君   杉本  和巳君

馬場  伸幸君   丸山  穂高君   森   夏枝君   井上  一徳君

中山  成彬君   長島  昭久君   細野  豪志君   笠   浩史君

     ――――◇―――――

 永年在職議員の表彰の件

議長(大島理森君) お諮りいたします。

 本院議員として、また、国会議員として在職二十五年に達せられました林幹雄君、穀田恵二君、山本公一君、鴨下一郎君、塩崎恭久君、志位和夫君、安倍晋三君、浜田靖一君、岸田文雄君、野田聖子君、前原誠司君、玄葉光一郎君及び茂木敏充君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。

 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 これより表彰文を順次朗読いたします。

 議員林幹雄君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員穀田恵二君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員山本公一君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員鴨下一郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員塩崎恭久君は国会議員として在職すること二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員志位和夫君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員安倍晋三君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員浜田靖一君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員岸田文雄君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員野田聖子君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員前原誠司君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員玄葉光一郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

    …………………………………

 議員茂木敏充君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた

 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する

    〔拍手〕

 この贈呈方は議長において取り計らいます。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。

    〔被表彰議員登壇、拍手〕

議長(大島理森君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、林幹雄君から発言を求められております。これを許します。林幹雄君。

林幹雄君 林幹雄です。

 ただいま、院議をもちまして我々十三名に永年在職表彰の御決議を賜りました。大変身に余る光栄であります。

 最年長ということで、代表して挨拶をさせていただきます。

 私たちは、平成五年の初当選以来、お互いに切磋琢磨し、時には党派を超え、励まし合ってきた同志であります。まずもって、今日まで一方ならぬ御支援、御厚情を賜りましたふるさとの皆様に、心から感謝と御礼を申し上げます。(拍手)

 また、全国各地で叱咤激励くださった皆様、御指導いただきました先輩、同僚議員の皆様、事務所の秘書、役所や国会職員、党本部の皆さん、そして、本日傍聴席にも来ておりますが、苦楽をともにしてくれた愛する家族に、ひたすら感謝いたしております。(拍手)

 私は、父である林大幹の秘書を十年、千葉県議会議員を三期務めた後、平成五年七月の第四十回総選挙で初当選させていただきました。政治改革、新党ブームの風が吹く、大変厳しい選挙でありましたが、ふるさと銚子の皆様を始め、選挙区の皆様方のお力添えに、改めて深く御礼を申し上げる次第であります。ありがとうございました。(拍手)

 この選挙で自民党は結党以来初めての野党となり、野党議員としてスタートしたわけですが、政権交代はいつでも起こり得るという事実は、私の政治活動に緊張感を与えてくれるものでした。

 以来、二十五年間、一意専心、地元千葉県の発展と、安心、安全な国づくりに全力投球してまいりました。

 福田内閣と麻生内閣において、国家公安委員長として、治安水準のさらなる向上を図り、沖縄及び北方担当大臣として、沖縄の振興や北方地域の諸課題に取り組み、防災担当大臣として、ゲリラ豪雨を始め、頻発する自然災害に対峙してまいりました。

 安倍内閣においては、経済産業大臣として、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興を着実に進める一方、我が国の将来を見据えた責任あるエネルギー政策を推進し、経済再生と中小企業支援、通商政策等に全力で取り組みました。

 国会では、第百八十九常会の議院運営委員長として、国会運営に心血を注ぎました。戦後最長の九十五日間の延長をしたことは、記憶にも記録にも残るものでありました。

 党にあっては、国対や幹事長室を担当することが多く、現在は、二階幹事長の御指導のもと、幹事長代理として、党務全般の重責を担わせていただいております。

 政党政治、議院内閣制の我が国にあって、党の安定がすなわち政治の安定を意味することは言うまでもありません。多くの方々の御協力を得て、党運営に全身全霊で取り組む日々であります。

 政策面では、平成二十三年六月に、野党でありながら、議員立法として津波対策の推進に関する法律を成立させることができました。当時の二階総務会長のリーダーシップのもと、津波防災の重要性を世界に訴え、国連総会の全会一致で、十一月五日が世界津波の日に制定されたことは、万感胸に迫るものがありました。(拍手)

 我が国を強くしなやかな国土にする国土強靱化は、かつては書くことも読むことも大変難しい言葉でしたが、今や、我が国の有力な政策となり、日本全国各地でその重要性が叫ばれ、ついには海を渡り、諸外国でもその精神が根づき始めています。

 二十五年の節目に来し方を振り返るとき、本当に多くの方々のお支えがあってやってこられたと実感しております。

 もとより浅学非才でありますが、今後も愚直に誠実に職務に取り組み、子や孫の世代に、世界に誇れる日本国、魅力あふれる我が地元千葉県を引き継いでまいることをお誓いし、謝辞といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君の挨拶につきましては、これを会議録に掲載することといたします。

 おめでとうございました。

    ―――――――――――――

    穀田 恵二君の挨拶

  このたび院議をもって、永年在職議員の表彰を受けました。望外の喜びであり感謝の念に堪えません。一九九三年、京都一区での初当選以来、四半世紀にわたり、私を国会に押し上げていただいた京都と近畿ブロックの支持者の皆さんに心からお礼を申し上げます。

  私の政治活動の出発点は、反戦平和の思いです。母校の立命館大学には、侵略戦争に学徒が動員された過ちを反省し、二度と若者が銃をとらないとの決意を表した、反戦平和の象徴・わだつみ像が建立されています。

  私はこの決意を自らのものとして、戦前の暗黒時代に、侵略戦争に反対し平和と民主主義の実現を主張してきた日本共産党に入党しました。

  日本国憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないやうに決意し」、国民主権、恒久平和、基本的人権の原則をうちたてました。

  私は、この原則を政治に生かすべく、「わだつみの悲劇を繰り返すまい」「憲法を政治に生かそう」を政治信条として貫いてきました。

  九五年、阪神淡路大震災が発生しました。発災直後から被災地を訪れ、被災者支援と復興は「人間の復興」を理念とすべきこと、政治の要諦は「国民の安全」と痛感しました。被災者の生活再建に対する公的支援の実現を求め続け、被災者・市民の皆さんと共同を広げ「被災者生活再建支援制度」の創設に努力してきました。

  私は、二十一年間日本共産党の国会対策委員長を務めてきました。議会とは、議会制民主主義とは何でしょうか。国会の最大の任務は、政府の暴走をストップし、行政府に対するチェック機能を果たすことです。その点では、憲法の平和主義を根本から破壊する安保法制、さらには、公文書の改ざん・ねつ造・隠ぺいという、国会を愚弄し議会制民主主義を根底から覆す事態に対して議会の存在が問われているといわねばなりません。

  国政は国民の厳粛な信託にもとづくものでありながら、国民の声を無視する強権政治が横行しています。その背景には選挙制度があります。小選挙区制を廃止し、多様な民意を正確に反映する選挙制度への改革を訴えるものです。

  いま「戦争する国づくり」が進められ、憲法九条を変えようとする動きが強まっています。

  国民は、この策動を断じて許さないでありましょう。暴走政治と対峙し、立憲主義回復・安保法制反対の国民的運動の中で培われた「野党は共闘」の声が、「市民と野党の共闘」として発展しつつあります。

  私は、国会議員としての今後の活動の中で、憲法を生かす新しい政治の流れを実現するために全力を尽くす決意を改めて表明して謝辞といたします。

    …………………………………

    山本 公一君の挨拶

  この度、院議をもって永年在職議員表彰の栄誉を賜りましたこと、誠に身に余る光栄で心より感謝申し上げます。

  私を国政へと送り出し、その後も支え続けて頂いたふるさと愛媛の皆様、厳しくも適切なご指導・ご助言いただきました先輩議員や同僚議員の皆様、故今井勇先生やその後援会の皆様、そして私の後援会・友人・事務所スタッフ、親族関係者に厚く感謝申し上げます。

  私の初出馬は平成五年の第四十回総選挙でしたが、当初私は県議会議員として候補者を選定する立場におりました。候補者が決まらない中、私に出馬の要請があり、悩んだ末、父友一に相談したところ、国会議員・市長等の経験ある父は「悪いことは言わん、国会議員だけはやめておけ」と。それは家族を犠牲に、あるいは路頭に迷わせるかもしれないそんな厳しい世界だという思いであったのだろうと思います。しかし最後には「お前でないとだめだと、皆がどうしてもと推挙してくれるなら議員冥利に尽きるではないか」と背中を押してくれ、地方と都会の格差を是正し地方の成長・発展のために微力ながらもふるさとに貢献をしたいと出馬を決断したのです。

  選挙後、八党派による細川連立政権が樹立され、五五年体制が終焉、私の国会議員活動は野党からのスタートとなりました。その後政治改革の議論が再び起こり、翌平成六年には政治改革四法案が成立し、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へと選挙制度が変更となったのです。党内での選挙区調整が困難を極める中、同じ選挙区地盤を抱える西田司先生から、「私が比例にまわるから、若い山本君、君が小選挙区で出てくれ、若い者がやらんといけん」と有難い言葉を頂いたのです。その後小選挙区で八回の国民の審判を受けますが、「ふるさとが私の原点」という気持ちを忘れることなく今日まで有権者の声に耳を傾け、国政へ反映すべく取り組んでまいりました。

  平成九年の第二次橋本改造内閣で環境政務次官として初の内閣の一員となった際には、我が政治の師であった加藤紘一先生から「環境は票にはならん。だけんど環境は田舎者(大企業のない地方出身)の君にしか大事を成すことはできんのだ、しっかりやれ」と激励を受けます。そして同年の気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)に出席し、先進国の温室効果ガス排出削減の数値目標を規定する「京都議定書採択」に携わることになりますが、今思えばここが環境をライフワークとする大きな分岐点であったのだろうと思います。

  その後、内閣委員長、総務副大臣、沖縄北方特別委員長、国家基本政策委員長、倫理・選挙特別委員長などを務めさせて頂き、平成二十八年八月第三次安倍第二次改造内閣において環境大臣兼内閣府特命担当大臣(原子力防災)を拝命致しました。気候変動対策と経済成長の両立やパリ協定の着実な実施、東日本大震災からの復興・創生、国立公園満喫プロジェクト、資源やごみ問題、環境教育、大気環境、原子力防災対策など対立も辞さず信念をもって臨んできたつもりです。

  現在、日本は最大の社会的課題で懸念される人口減少社会を迎えるとともに社会保障や資源・エネルギー問題、多発化する自然災害、憲法改正・安全保障などをはじめ様々な課題を抱えております。国民の代表として議席を与えてくださった皆様の思いに応えるためにも、真摯にそして力の限り国内外の諸課題に取り組むとともに、引き続き日本に活力と潤いを与える政治を心がけていく所存です。

  終わりに、政治家の妻として五人の子供の母として陰に陽に私を支えてくれた妻照子と家族に心からの感謝の念を表し、御礼のご挨拶とさせていただきます。

    …………………………………

    鴨下 一郎君の挨拶

  本日、茲に院議をもちまして永年在職議員の表彰の栄誉を賜り、感無量であり身に余る光栄であります。

  平成五年七月の総選挙にて初当選以来、連続九期当選を果たし、在職二十五年を迎えることとなりました。

  四半世紀に渡り国政の舞台に立つことが出来ましたのは、私をお育て支えていただいた地元足立区の皆様方、ご支援ご協力を賜りました友人各位のおかげと心より厚く御礼申し上げます。

  初当選以来、ご指導いただきました多くの諸先輩、同僚議員には感謝の念に堪えません。

  加えまして、私を温かく見守る母、妻、並びに家族にも感謝の思いを伝えたいと思います。

  私は、東京都足立区で父多吉・母光江の長男として生を受けました。幼少時から、父の結核と闘病する姿を見て来て、医師になる決断をしました。その後、心療内科を専門とし治療にあたる中で、現代の心の病を治すには、まず社会病理を直す必要性があると考え、政治を志しました。

  政治家として厚生労働副大臣を経て安倍改造内閣で環境大臣を拝命、続く福田内閣では、G8北海道洞爺湖サミットのメインテーマであった地球温暖化対策の国際交渉を環境大臣として務めました。

  自由民主党が下野した三年三カ月間に於いては、東日本大震災での自然の驚異に、国家として政治の役割の重責さを実感いたしました。復興に際しては自民党「福島再興に関する委員長」として政府に対し、一刻も早く除染を進めるようその法案作成に寄与いたしました。

  また、「社会保障と税の一体改革」では野党側の実務者として民主、自民、公明の三党合意をまとめることが出来たのは、社会保障は与野党の争点にしてはいけないと万感の思いの下であり、急激な少子高齢化社会に対応し、持続可能な制度とするため一体改革を合意をし、政治の大切さ・力強さを感じた一時でありました。

  与党復帰後、国会対策委員長・消費者問題に関する特別委員長などを歴任し、微力を尽くしております。

  政治に、心療内科の専門性を活かし、働き方や一人一人のいきがいという観点から、年金・医療などの社会保障関係、都市の住環境や水・大気、生物多様性などの環境分野についても、院内外等含め意見を述べる機会をいただいております。しかしライフワークとしては、いまだ道半ばでございます。

  結びに、本日の永年表彰の意味を改めて道標とし、初心を忘れず政治舞台で努力し、次世代の国民に日本に生れ育つことを誇れるよう、職責を果たして参ることをお誓いいたし、更なる諸先輩、同僚各位のご教導をお願い申し上げ、御礼のご挨拶といたします。

    …………………………………

    塩崎 恭久君の挨拶

  本日、院議を持って永年在職表彰の栄に浴しますことは光栄至極であり、地元愛媛、松山の皆様、多くの先輩、同僚、友人、後輩など、ここまで私をお育て頂いた全ての皆様に感謝申し上げます。また、大学教育の責任を負いながら、今日まで私の最大の支えになって来てくれた妻千枝子をはじめとした家族、親族、事務所スタッフにも感謝の意を表したいと思います。

  初当選の翌年、小選挙区制度が導入され、四小選挙区に対し現職が七人だった愛媛県では、公認を巡り議論が難航、結果、私が平成七年に参議院に転出致しました。平成十二年、再び衆議院に復帰、今日を迎えました。衆議院、参議院、そして再び衆議院と、途切れることなく院を移動したのは、憲政史上私が唯一の例と聞いています。

  この間大蔵政務次官、衆議院法務委員長、外務副大臣、内閣官房長官、自民党政調会長代理、厚生労働大臣などの職を経ながら全力投球して参りました。

  折しもバブル崩壊後の「失われた十年」は二十年以上に及び、「閉塞感」はアベノミクスの奏功まで蔓延し続けました。私たち立法府に属する者に課せられた使命の本質は、グローバル時代の日本にとって最早旧来型の行政主導の国家運営では、発想の転換を伴う問題の根本解決は難しく、政治主導の国家運営を如何に実現するかでした。私にとってこの二十五年間は、いわば新しい時代に相応しい三権分立の再構築への海図なき航海であったと思います。

  新しい時代に相応しい行政を目指した橋本行革において、たじろぐ当局を説得して金融ビッグバンを決断。また不良債権問題による金融危機時には、与野党を超えた政治主導により危機管理法制を議員立法で導入、政策新人類との呼称も頂きました。またバブルの責任論から始まった大蔵省改革の際には、日銀法改正、金融監督機能の分離独立という歴史に残る大きな改革に寄与しました。

  増えゆく児童虐待に対しては、厚労大臣任期中、事務方の消極姿勢を排しながら児童福祉法を約七十年ぶりに二年連続、全会一致にて抜本改正し、児童の権利、家庭養育優先原則などを明定しました。

  東日本大震災後には、野党でありながら、わが国で初めて立法府に独立した国会事故調査委員会を設置し、原発事故の原因究明を行う議員立法や、独立し、専門性も高い原子力規制委員会を創設する議員立法を成立させたことも新しい立法府の役割を示すこととなりました。

  世界は、日本が如何にして超高齢化など深刻な人口問題を克服し、一人ひとりが納得する人生を歩めるようにするかに注目しています。経済や暮らしが発展する中、健康寿命を延伸し、かつ国民負担も納得いく範囲に止める、という命題に答えを出すには、ITやAIなど科学技術の粋をフル活用するとともに、社会システム全体も改革する、という大きな課題に取り組まねばなりません。

  引き続き多くの皆様のご指導を頂き、国民の幸せ実現に向け、全力で精進をして参る事をお誓い申し上げ、感謝の言葉と致します。

    …………………………………

    志位 和夫君の挨拶

  このたび、永年在職の表彰を受けたことに対して、心からの謝意を表します。私を、四半世紀にわたって国会に送り出していただいた、旧千葉一区、比例代表南関東ブロックの有権者・支持者のみなさんに、あつくお礼を申し上げます。

  私の初当選は、一九九三年七月の総選挙でした。この選挙では、「自民か、非自民か」にもっぱら焦点があてられ、「共産党は選択肢の外」とされて、たいへんに苦しいたたかいを強いられました。国際的には、旧ソ連・東欧の崩壊という事態を受け、「共産党は時代遅れ」といった議論が広くとなえられ、わが党にとって逆風となりました。初挑戦で、私は、二重の逆風に遭遇しましたが、地元・千葉県のみなさんの懸命のご支援により初議席を得ることができたことは大きな喜びであり、この勝利があったからこそその後の国会活動が可能になったと、深い感謝の気持ちをもって当時を思い起こしています。

  それから四半世紀をへた今日、私たちをとりまく情勢には、大きな前向きの変動がおこっていることを実感しています。

  国際的には、昨年七月七日、国連で、人類史で初めての核兵器禁止条約が採択されたことが象徴するように、一握りの大国中心の世界秩序は過去のものとなり、逆行や複雑さをはらみながらも、すべての国ぐにが対等・平等の権利をもって国際政治の主人公となる新しい世界が姿をあらわしつつあります。私自身、国連会議に参加し、核兵器禁止条約採択にむけた活動を行いましたが、広島・長崎の被爆者を先頭とする世界の反核平和の運動、それと連帯した日本共産党の立場が、二十一世紀の世界の本流となっていることに、大きな確信と希望をみいだすことができました。

  国内の情勢では、とくに、二〇一四年から一五年の安保法制・戦争法反対の論戦と運動のなかで、市民と野党の共闘によって日本の政治を変えるという、新しい画期的な流れがつくられています。共闘の発展とともに、長い間、日本の政界を覆ってきた「共産党をのぞく」という壁がとりのぞかれ、日本共産党も参加しての共闘が、さまざまな形で当たり前のようにとりくまれてきています。

  市民と野党の共闘にこそ、未来がある。これが私たちの確信です。いったん踏み出した「共闘によって政治を変える」という道を、多くの方々と手を携えて、とことん追求していく決意を申し述べて、永年在職の表彰をうけての謝辞といたします。

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    安倍 晋三君の挨拶

  この度、院議をもって在職二十五周年の表彰を賜りましたこと、心より厚く御礼申し上げます。

  幼い頃から政治は私の身近なところにありました。自分には政治家としての能力があるのか。疑問を持ちながらも、政治への思いを募らせる中、「今度はお前が頑張れ。何とかなるはずだよ」。病床にあった父のこの言葉を聞いたとき、私の志が固まった瞬間でありました。

  国政に初めて出馬した日、傘もささず、全身ずぶ濡れの私に、地元の皆様から温かい言葉をかけていただいたことを思い出します。あの恵みの雨から、私は国政に送り出されました。

  その選挙では、政治改革の方向性を巡る混乱から、三十八年間、政権を担ってきた自民党が初めて下野しました。政権復帰までの一年間を通じ、政権の地位にあること自体を目的としてはならない。確たる信念に裏打ちされた政策を実行する決意を新たにいたしました。

  次の時代を担う子どもたちが、「この国に生まれて良かった」と思えるような国を作ることが、私たち、政治家としての責務です。誰もが夢に向かって頑張ることができる、何度でもチャンスにあふれる社会。

  そして額に汗して頑張った人が報われる、まっとうな社会、今日よりも明日はきっと良くなると信じることができる社会をつくる。その上で、世界に開かれ、世界の真ん中で輝く国をつくる。この二十五年間、粉骨砕身、取り組んでまいりました。

  私が二度目の内閣総理大臣を拝命した時、日本経済はデフレ不況に沈んでいました。「人口が減少していくからもう成長なんてできない」こうした諦めが蔓延していました。最大の問題は、この諦めでした。しかし、今や、力強い経済成長が実現し、日本経済は、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。日本は、やればできる。

  吉田松陰先生が好み、祖父の座右の銘であった「自ら反みて縮んば、千万人といえども吾ゆかん」。まさに、批判を伴う政策も、確たる信念を持ち、たじろがず、進めてまいりました。平和安全法制がなければ、現下の緊迫する北朝鮮情勢にしっかりと対応することはできなかったと思います。

  今、改めて振り返ってみると、これまで、多くの方々に支えられてきました。困難な時でも、傍にあってくれた郷里の皆様、後援会の皆様、先輩・同僚、友人、そして、妻、母、家族がいました。本当に、ありがとうございます。深く、感謝を申し上げます。

  「初心忘るべからず」。私の好きな言葉です。全ては国家・国民のため。政治家を志した時の初心を忘れることなく、年齢を重ねて、その時の自分が進歩しているのかということを常に省みながら、全身全霊、今後とも一層、力を尽くしてまいります。

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    浜田 靖一君の挨拶

  本日、衆議院本会議において在職二十五周年の表彰を賜りましたことは、身に余る光栄であります。これも平成五年の初当選以来、変わらぬご支援を私に対してお与えくださった地元の皆様のおかげであります。その友情と愛情に対して、あらためて心底から感謝申し上げます。

  私は「政界の暴れん坊」と世間で評された故浜田幸一の長男として生まれ育つ中で、自然に政治に対して興味を持ち、政治に志を抱きました。政治家になる前も政治家になった後も数えきれないほど多くの先輩、同僚、友人からご教導いただいたわけですが、その中でも大学卒業後、秘書として仕えさせていただいた故渡辺美智雄先生の教えほど大きなものはありませんでした。先生の座右の銘であった「同心成就」という言葉は、立場や利害が違っていても、事に当たり、同じ志の人間が集えば、必ず事を成就できるという教えであり、この言葉こそ、私が政治活動を続ける中で、指針となった教えでした。そのような教えのもと、私の目指したのは「一隅を照らす」ことのできる政治家であり、それゆえに私の取り組んだのは、例えば私が当選した当時は未だ建設的な議論が難しかった安全保障の分野であり、また取り組む議員がほとんどいなかった捕鯨問題でした。後者は我が国と他国の利害、主張が鋭く対立する問題であり、国際会議に何度も出席する中で国際政治の実際を学ぶことができました。

  安全保障分野においては、平成二十年、麻生内閣において防衛大臣を拝命致しました。二十一年には北朝鮮が人工衛星実験と称するミサイル実験を行ったことに対して初の破壊措置命令を防衛大臣として発する事態となりましたように、私の議員生活はほとんど冷戦終結後の東アジアにおける軍事バランスの急変及び国際情勢の構造変化の時代と重なっております。今後も我が国を取り巻く環境の変化の中で、国家と国民を防衛できる安全保障政策の構築を、国民の理解を得ながら推進していく一翼を担えるよう精励していく覚悟です。

  思えば、自民党が野党時代の国会対策委員長、平和安全法制で大荒れになった安全保障委員会委員長、予算委員長等、人一倍汗をかく仕事に起用いただいたことは政治家としてまことに欣快とするところです。

  最後に、国家の繁栄と国民の幸福を追求するために一人の議会人としてたゆまぬ努力を続けていくことをお誓いして、謝辞と致します。

    …………………………………

    岸田 文雄君の挨拶

  本日は、院議をもって、永年在職表彰の栄誉を賜りました事に対し、厚く御礼申し上げます。既にお亡くなりになられた先輩方も含め、今日までご支援をいただきました全ての皆様に心から感謝申し上げます。併せて、今日があるのは、事務所スタッフ、家族など身近で私を支えてくれた人々の存在のおかげでもあることを忘れてはなりません。ありがとうございました。

  私が初当選したのは、政界において、政治改革、新党ブームの嵐が吹き荒れた平成五年の第四十回衆議院選挙でありました。選挙の結果、宮沢政権が退陣し、細川政権がスタートすることにより、政治は単独政権時代から連立政権時代へと移り変わりました。その後も私は一貫して自由民主党の議員として活動してきましたが、その間、二度の野党を経験し、また、いわゆる「加藤の乱」といった大きな政局もいくつか経験しました。それによって、政権交代の意味、野党の役割といったものを学ばせて頂きました。

  また、与党時代には、内閣府特命担当大臣、外務大臣、防衛大臣等を経験しました。こうした経験によって、政治の安定が、外交や経済の安定にいかに重要であるか等を学ばせて頂きました。

  この二十五年間、微力ではありますが、私を国会に送っていただいた方々の負託に応えるべく、全力で取り組んで参りましたが、併せて、激動の生きた政治を経験し、多くのものを学ばせて頂きました。その貴重な経験は、人間として、政治家として成長する上で、一つとして無駄なものはなかったと振り返っています。この貴重な成長の機会を与えていただいた事に対しても多くの方々に御礼を申し上げる次第です。

  そして、多くの方々に感謝を申し上げれば申し上げる程、自分は多くの方々の期待に応えるべく十分努力し尽くしたのだろうかという自問自答に行き当たります。

  二十五年表彰という栄誉を頂くに当たり、心からの感謝の気持ちと共に、今一度、多くの方々のおかげで成長させて頂いた成果をしっかりと発揮し、一層、国政のために、粉骨砕身、努力を重ねなければ、という強い思いを感じる次第です。少子高齢化、人口減少、不透明な国際情勢等、多くの課題を抱える我が国の社会を、誇り高く、豊かに、持続可能な形で次世代に引き継ぐため、引き続き努力して参ります。ありがとうございました。

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    野田 聖子君の挨拶

  本日、院議をもって永年在職議員表彰の栄誉を賜り、万感胸に迫る想いです。これも、日頃より惜しみないご支援をもって国政へ送り続けてくれた地元岐阜の皆さま。折に触れて応援して下さった全国各地の皆さま。私の政治活動を支えてくれた事務所スタッフ。そして、政治家として活動することを心配しながらも、常に隣で叱咤激励し、何事も私以上に喜び悲しんでくれる母の弘子や家族のおかげです。心より感謝申し上げます。

  思い返せば、国会議員であった祖父野田卯一の支援者とのご縁から始まった政治家としての道のりは、波乱万丈でした。昭和六十二年、岐阜県議会議員選挙に二十六歳で初当選。その後、平成二年の衆議院議員総選挙での落選を経て、平成五年の総選挙で初当選を果たしました。以来九期連続で当選させていただき、その間、郵政大臣、消費者行政推進担当大臣、自由民主党総務会長、総務大臣など、数多くの役職を拝命させていただきました。また、衆議院議員としては「発達障害者支援法」を始め、複数の議員立法も手掛けてまいりました。その中でも二〇一八年に成立した「政治分野における男女共同参画推進法」には特別な想いがあります。一九四六年、日本に初めて女性国会議員が誕生して以降、国政における女性議員の割合は全く増えませんでした。そのような状況にあって、候補者の男女均等を目指すこの法律は、日本の政治を大きく変えるきっかけになると信じています。そして、起案から携わり提出した本法案を、所管大臣として受け止めることができた瞬間は、とても感慨深いものがありました。

  その一方、初めての国政選挙での落選や、自民党から離党勧告を受け、無所属での選挙戦となった郵政選挙。自民党が下野した政権交代選挙での比例復活当選など、様々な困難もございました。しかし、そういった時期があったからこそ、本当に大切な人たちの繋がりができ、そこで培った経験が私を大きく成長させてくれたのだと思います。

  私は自分の信念を曲げることができず、人から見れば不器用な生き方しかできません。そのため、支援者の方々には多大なご負担を掛けることもあったと思います。しかし、そんな私を見捨てることなく、精一杯支えてくださった皆さんには本当に感謝してもしきれません。今日という日を一つの区切りとし、座右の銘である「義を見てせざるは勇無きなり」を胸に、今後も自らが信じる道を邁進していく所存です。皆さまには今後もご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げ、謝辞とさせていただきます。

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    前原 誠司君の挨拶

  本日、院議をもって永年在職議員表彰の栄誉を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。

  平成五年七月の初当選以来、連続九期、二十五年間、衆議院議員を務めることができたのは、旧京都一区、現京都二区の有権者の方々はもとより、多大なご支援、ご協力をいただいた全ての方々のご芳情の賜物と存じます。特にご生前、我が事のように懸命に私の活動をお支えくださった方々、同様に現在、お世話になっております方々、同僚議員・同志、事務所スタッフ、母、妻には感謝の言葉も見つかりません。いかなる時も私を信じ、献身的に、無償の愛情で支えていただきました。「日本一の後援会」を作り上げてくださった全ての皆様に、改めて心から感謝と御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

  一貫して政権交代可能な二大政党制を目標に掲げ、「政権交代を実現するためには、野党も外交・安全保障政策で現実的な対応をしなければならない」との強い思いから、民主党の責任者として有事法制・国民保護法制の修正合意・成立に尽力しました。

  政権交代後は、国土交通大臣、外務大臣、与党政調会長、国家戦略担当大臣を拝命し、羽田空港の国際化、日本航空の再生、インバウンドを増やすためのビザの緩和やオープンスカイ協定締結そして日の丸LCC(格安航空会社)設立(ピーチアヴィエーション)などを実行。さらに関西空港と伊丹空港の公設民営一体運用化(コンセッション)の実現、港湾の集中と選択そして拠点港指定、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)制度の確立、防衛装備の共同開発・共同生産を行うために武器輸出三原則の見直し、復興予算や「社会保障と税の一体改革」の三党合意取りまとめ、政府と日本銀行の共同文書策定など、様々な仕事をさせていただきました。

  ただ、政権交代可能な二大政党制はいまだ視界不良であり、また「経済成長を前提とし、小さな政府で自己責任に軸足を置いた社会モデル」は限界に達しているにもかかわらず、新たな選択肢を明確に示し切れていない現状は、大いに反省しなければなりません。

  「All for All」社会を実現する。すなわち、みんなの税でみんなの不安、悩みを解決し、すべての国民が将来に対して希望と生きがいを持てる「中福祉中負担」の社会を実現する。その目標達成に向け、今後も「全ては国家国民のために」使命感を持って政に取り組むことをお誓い申し上げ、御礼と決意の表明とさせていただきます。

    …………………………………

    玄葉光一郎君の挨拶

  本日院議により永年在職表彰を賜りました。

  二十五年間国会議員を務めることができたのは、ひとえに地元福島県の皆様、後援会の皆様のご支援のおかげであり、深く感謝を申し上げます。

  また妻をはじめ家族、親戚、事務所スタッフには何かと心労をかけてまいりました。この機会に感謝の意を表します。

  初当選は平成五年(一九九三年)七月で、最後の中選挙区制度下でありました。選挙制度を含む政治改革が争点でした。

  当時は自民党の県議会議員でしたが、無所属での出馬を選択しました。半年後には小選挙区比例代表並立制度が導入されることとなりました。

  以来、制度の狙いでもあった政権交代のある政治の実現は、福島県の発展、地方分権改革、日本の外交力強化と並んで私の国会活動のテーマになりました。

  平成二十一年(二〇〇九年)、本格的政権交代が実現しました。この民主党政権時において、私は二年半にわたり閣僚を務めさせて頂きました。

  二十五年間で最も衝撃的な出来事は、平成二十三年(二〇一一年)三月十一日におきた東日本大震災です。福島県の被災は地震・津波に原発事故が重なり、未曾有かつ壮絶でありました。私は地元選出の唯一の閣僚として、最後の砦たらんと決死の覚悟で、この不条理ともいうべき事態と向き合いました。

  七年を経た現在、根強い風評被害や医師不足などを抱えながらも、福島県の大半の地域には震災前の日常がほぼ戻ってきました。しかし、双葉地方や飯舘村、南相馬市小高地区など福島第一原発周辺の復興は緒についたばかりです。事故原発の廃炉も順調とはいえません。

  日本全体に目を転じると、人口減少問題や地方の衰退などに非常に強い危機感を感じます。

  これからの日本は量より質の時代です。ひとりあたりの稼ぎ(GDP)はもちろん、心や制度も含めたクオリティー、生活の質や豊かさの総合力で世界をリードし、法の支配・民主主義・人間の尊厳・平和の実現などで国際社会の大枝となっていくべきです。

  二十五年はひとつの区切りではありますが、通過点でもあります。この難局に当たり、今後さらなる勇気を振り絞り、福島県の復興・発展そして次世代へ質の高い豊かさを引き継げるよう全力を尽くしてまいります。

    …………………………………

    茂木 敏充君の挨拶

  本日、院議を持って永年在職表彰の栄誉を賜りましたことに対し、厚く御礼申し上げます。

  これまでご指導頂きました諸先輩方、そして今日までお支え頂いた地元栃木の皆様、全国の支援者、家族や事務所スタッフをはじめとする全ての皆様に心より感謝申し上げます。

  平成五年七月に初当選以来、地域の発展、日本の将来を真剣に考え全力で走り続けて参りました。そして地元の皆様のお支えで九期連続当選をさせて頂き、この在職二十五周年を迎えることとなりました。

  初めて政府の役職に就任した通産政務次官では「二〇〇〇年問題」に直面。二〇〇三年、外務副大臣時代にはイラク戦争直前、総理特使として現地に赴き、また、イラク戦争後も政情不安が続くバクダットを世界の要人として最初に訪問しました。

  これまで、四度の入閣(沖縄・北方、科学技術、IT担当、金融・行政改革、経済産業大臣、経済再生・人づくり革命)を経験させて頂きました。四十七歳で初入閣した、沖縄・北方、科学技術、IT担当大臣。まさに「IT革命」が始まった時でもありました。リーマンショックに直面した金融大臣。自民党が政権復帰直後に就任し、日本経済の再生やエネルギー問題等に関わった経済産業大臣。それぞれ全力で取り組み、深く記憶に刻まれています。良い仲間、スタッフにも恵まれました。

  自民党では広報本部長、幹事長代理、政務調査会長、選挙対策委員長など、党務全般に携わって参りました。

  野党時代と与党復帰後に二度務めた政務調査会長では、党の政策責任者として大胆かつ実行可能な政策を立案してきました。選挙対策委員長としては、衆院選・参院選・統一地方選の三大選の陣頭指揮にあたり、多くの仲間の当選に奔走しました。選挙を通じて四十七都道府県の同志と絆を深めた時でもありました。

  また、年金問題のさなか務めた衆議院厚生労働委員長。現在も務める自民党栃木県連の会長。全て私の政治人生においてかけがえのないものとなっています。

  私は現在、経済再生、人づくり革命担当大臣として、日々職務にあたっております。

  最優先課題である「日本経済の再生」をより確かなものとする。また、日本が直面する少子高齢化という大きな壁を克服し、誰もが活躍出来る「人生百年時代」を築いていく。

  本日頂いた栄誉を胸に、これからさらに国家国民の為、使命感を持ち、邁進することをお誓いさせていただきます。

     ――――◇―――――

 日程第一 文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長冨岡勉君。

    ―――――――――――――

 文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔冨岡勉君登壇〕

冨岡勉君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、過疎化、少子高齢化等を背景に、文化財の滅失や散逸等の防止が緊急の課題であり、地域社会総がかりで、文化財の継承に取り組んでいくこと等が必要であることを踏まえ、地域における文化財の計画的な保存、活用の促進や、地方における文化財保護行政の推進力の強化を図ろうとするものであり、その主な内容は、

 第一に、都道府県においては、文化財の保存と活用に関する総合的な施策の大綱を策定できることとするとともに、市町村においては、都道府県の大綱を勘案し、文化財の保存と活用に関する総合的な計画を作成し、文化庁長官の認定を受けることにより、文化財の登録の提案を行うこと等ができるようにすること、

 第二に、個々の文化財の確実な継承に向けて、重要文化財等の所有者等が、保存活用計画を作成し、文化庁長官の認定を受けた場合、現状変更等に係る手続を弾力化すること、

 第三に、地方公共団体における文化財保護の事務の所管について、条例の定めるところにより、教育委員会から地方公共団体の長に移すことができるようにすること

などであります。

 本案は、去る五月十日本委員会に付託され、翌十一日林文部科学大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。十六日に質疑に入り、同日質疑を終局した後、十八日に討論、採決を行った結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 気候変動適応法案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、気候変動適応法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長松島みどり君。

    ―――――――――――――

 気候変動適応法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔松島みどり君登壇〕

松島みどり君 ただいま議題となりました気候変動適応法案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、近年、高温による農作物の品質低下、大雨の頻発化に伴う災害の増加等、気候変動の影響が全国各地で起きており、さらに今後、長期にわたり拡大するおそれがあることから、気候変動への適応を推進するため、政府による気候変動適応計画の策定、環境大臣による気候変動影響の評価の実施、国立環境研究所による気候変動への適応を推進するための業務の実施等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月十日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、四月十七日中川環境大臣から提案理由の説明を聴取し、二十四日及び五月十五日に参考人から意見を聴取し、五月十一日及び十五日に政府に対する質疑を行い、十八日に質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、本案に対しまして、立憲民主党・市民クラブ及び日本共産党から、地球温暖化対策の一層の推進の明記等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。

 次いで、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、特定複合観光施設区域整備法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣石井啓一君。

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) ただいま議題となりました特定複合観光施設区域整備法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 一昨年末に成立いたしました特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律におきましては、政府は同法の施行後一年以内を目途として必要となる法制上の措置を講じなければならないこととされております。

 このため、同法並びに衆議院及び参議院内閣委員会の特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する附帯決議に基づき、特定複合観光施設区域整備推進会議において検討を行いました。さらに、全国で国民の御意見を直接伺う機会を設けた上で、日本型の特定複合観光施設に関する制度設計を進めてきたところであります。

 この法律案は、国際会議場、展示場や、日本の伝統、文化、芸術等を生かした観光の魅力増進施設等を一体的に設置、運営することにより、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を推進するという政策目的を実現するものであり、同時に、世界最高水準のカジノ規制等によって、様々な懸念に万全の対策を講じるものであります。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、特定複合観光施設区域の整備について、国土交通大臣による基本方針の作成、都道府県等による民間事業者との区域整備計画の共同作成、認定申請、その際の地域の合意形成等について規定をしております。また、国土交通大臣は、認定区域整備計画の数が三を超えることとならないよう区域整備計画を認定することとしているほか、特定複合観光施設の設置運営事業者の監督等の制度を規定しております。

 第二に、特定複合観光施設の設置運営事業者は、カジノ管理委員会の免許を受けたときは、カジノ事業を行うことができることとし、主要株主等その他の関係者についても、免許制等の下で所要の規制を設けております。また、カジノ行為の種類及び方法、カジノ関連機器等についても、所要の規制を設けております。さらに、日本人等のカジノ施設への入場回数について、連続する七日間で三回、連続する二十八日間で十回に制限するとともに、二十歳未満の者、暴力団員等に対し、カジノ施設への入場等を禁止しております。

 第三に、安易な入場を抑止する等の観点から、日本人等の入場者に対し、国と認定都道府県等がそれぞれ三千円の入場料を賦課することとしております。また、カジノ事業者に対し、国と認定都道府県等に納付金の納付を義務付けております。国庫納付金として、カジノ行為粗収益の一五%に相当する額及びカジノ管理委員会の経費のうちカジノ事業者に負担させることが相当なものの額の合計額を、認定都道府県等納付金として、カジノ行為粗収益の一五%に相当する額をそれぞれ納付させることとしております。

 第四に、内閣府の外局としてカジノ管理委員会を設置し、委員長及び四名の委員については、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとしております。また、カジノ管理委員会のカジノ事業者等に対する監査、報告の徴収及び立入検査、公務所等への照会等に関する規定を設けております。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 最後に、この法律案は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において、順次、施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 速やかな御審議をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鈴木馨祐君。

    〔鈴木馨祐君登壇〕

鈴木馨祐君 自由民主党の鈴木馨祐です。

 ただいま議題となりました政府提出の特定複合観光施設区域整備法案について、自由民主党を代表して質問いたします。(拍手)

 我が国を訪れる外国人旅行者の数は、自由民主党・公明党連立政権による安倍内閣が発足をした二〇一二年では八百三十六万人であったのに対し、直近の二〇一七年では二千八百六十九万人と急増しています。

 また、国内消費額も四・四兆円に達しており、GDPへの寄与度でいえば、鉄鋼、金属製品の輸出額に迫らんとする勢いで伸びております。

 この背景としては、ビザの緩和や為替の要因が大きかったと言われていますが、我が国の持続的な経済成長を考えれば、いわゆるインバウンド政策の加速が極めて重要です。

 今後の成長領域を考えたとき、ビジネス、スポーツ、アート、食等の領域が高付加価値の伸び代と考えられますが、その一方で、大規模展示施設、国際会議施設の不足、ナイトタイムエコノミー、すなわち夜遊びに行くところがない等の問題も指摘をされています。

 オリンピック・パラリンピック東京大会が開催をされる二〇二〇年から先、この流れを更に加速させるためには、これまでの取組に加え、更にもう一押しする施策が必要ではないかと考えます。

 特定複合観光施設、いわゆるIRは、まさに、今後、訪日外国人旅行者数を伸ばしていく上で大きなインパクトを与えるものになるほか、日本経済に対してもさまざまな効果があるものと考えますが、改めて、IRを推進、導入する意義について、石井国務大臣にお伺いいたします。

 次に、地域経済に与える影響について伺います。

 IRについては、立地する地域においては、開業前の建設段階から、初期投資に伴うさまざまな需要のほか、開業後においても、IRを訪れる旅行者によるさまざまな消費活動によって経済効果があらわれてくるとともに、大きな雇用も生み出すものと考えられます。海外のIRにおいても、そのような経済効果や雇用創出があったと聞いていますが、他方で、IRの中に旅行者を囲い込んでしまう傾向があるとも言われています。

 こうした懸念が現実のものとなれば、魅力ある観光資源が至るところにたくさんある我が国において、広く経済効果を波及させるとの観点からも適切ではないと考えますが、IRが地域経済の振興に寄与するものとして設置、運営されるようになるために、この法案の中でどのような仕組みが盛り込まれているのか、また、どのような施策が検討されているのかについて、石井国務大臣にお伺いいたします。

 次に、カジノの解禁に対する懸念への対策についてお伺いをいたします。

 巨大な国際会議施設や展示施設といったMICE施設の必要は高いものの、今は、こうした施設を税金を投入して整備していく時代ではありません。国民負担を減らし、民間投資により施設整備を進めていくためには、諸外国の例でもカジノの売上げが必要不可欠と言われていますが、他方、IRの中に設置されているカジノが今回の法案によって解禁されることについては、ギャンブル等依存症の増加、青少年の健全な育成に対する悪影響、暴力団等の関与や治安悪化などに対する懸念の声が多く聞かれます。

 カジノは健全なものでなくてはならず、こうした懸念を払拭する対策が行われることが必要だと考えますが、この法案の中では具体的にどのような対策がとられることになっているのか、石井国務大臣にお伺いをいたします。

 次に、カジノの収益に賦課される納付金についてお伺いをします。

 この法案の目的として、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することが規定をされています。本法案では、カジノ事業者に対して、国と認定地方公共団体にそれぞれカジノの粗利の一五%の納付金の納付を義務づけることとされており、国だけではなくて地方にとっても新たな財源が生み出されることが期待されています。この納付金の使途についてどのようなことが規定され、具体的にどのように使われることが想定されているのかについて、石井国務大臣にお伺いをいたします。

 最後に、総理にお伺いをいたします。

 この法案については、一昨年末に議員立法で成立をいたしました特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法とその附帯決議の内容を体現し、観光先進国としての日本を実現するとともに、世界最高水準のカジノ規制により、国民のさまざまな懸念に万全の対策を講じることのできる世界初のIR法制度となっており、高く評価をしたいと思います。

 この法案のもとで実現される日本型IR、これを早期に実現するために、法案の審議を速やかに進め、成立させることが国会の責任であると考えております。

 他方、政府においては、この法案に基づいた政省令を含むルールの策定のほか、的確な執行が求められます。必要な体制整備を含め、日本型IRの実現に向けた総理の御決意をお伺いし、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 鈴木馨祐議員にお答えをいたします。

 日本型IRの実現に向けた決意についてお尋ねがありました。

 日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされております。

 一方で、カジノの施設について、さまざまな弊害を心配する声もあることから、依存症防止対策、犯罪、治安維持対策、青少年の健全育成対策として、厳格な入場規制や広告、勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところです。

 また、独立した強い権限を持つ、いわゆる三条委員会としてカジノ管理委員会を設置し、世界最高水準のカジノ規制を的確に実施することとしております。

 今後、政府として、魅力ある日本型IRを実現するために、関係政省令の整備や世界最高水準の規制の執行体制の整備等を着実に実施し、依存症対策などの課題に万全の対策を講じながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 鈴木議員にお答えをいたします。

 IRを推進、導入する意義についてお尋ねがありました。

 IRは、カジノのみならず、MICE施設等のさまざまな誘客施設が一体となった総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出等の経済効果が非常に大きいと期待をされております。

 また、我が国に国際競争力を有するIRの整備により、これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤とすること、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入により、世界に向けた日本の魅力の発信、これらによる世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルの確立を実現し、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力となることが期待をされております。

 これらの目標を実現するため、弊害防止に万全の対策を講じた上で、魅力的な日本型IRを実現してまいりたいと考えております。

 IRの地域経済の振興への寄与についてお尋ねがありました。

 IR整備法案では、法律の目的として、IR区域の整備を推進することにより、観光及び地域経済の振興に寄与することを定めております。

 また、IRの必置施設の一つとして、各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、あわせて各地域への観光旅行に必要なサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設を義務づけております。

 さらに、IRの区域整備計画の認定基準として、観光及び地域経済の振興に寄与すると認められるものであることを法定しております。

 これらを通じまして、IRへの来訪客が全国各地を訪れることにより、IR区域の整備による効果が地域や全国に波及する仕組みとしております。

 カジノによる弊害防止対策についてお尋ねがありました。

 IR整備法案では、カジノ行為に対する依存の防止を図る観点から、IR区域数の限定やカジノ施設の規模の制限、一つのIR区域におけるカジノ施設の数を一つに限定すること、日本人等を対象とした一律の入場回数制限や入場料の賦課、依存防止規程に基づく本人、家族の申出等による利用制限措置や相談窓口の設置といった利用者の個別の事情に即した措置、日本人等に対する貸付業務の規制、広告、勧誘等の規制といった重層的、多段階的な対策を講じております。

 また、青少年の健全育成の観点からは、二十歳未満の者のカジノ施設への入場を禁止するとともに、二十歳未満の者に対する勧誘を一切禁止するなどの措置を講じております。

 さらに、暴力団員等の排除や犯罪防止の観点からは、カジノ事業の免許等の審査の際、事業者やその役員等が、十分な社会的信用を有することや、暴力団員等に該当しないことをカジノ管理委員会が徹底的に調査をし、事業者等の廉潔性を確保するとともに、暴力団員等のカジノ施設への入場の禁止、犯罪収益移転防止法に基づく措置に上乗せをしたマネーロンダリング防止のための措置の義務づけなどの対策を講じております。

 このように、さまざまな懸念に対する万全の対策が講じられていると考えております。

 納付金の使途についてお尋ねがありました。

 IR推進法に係る附帯決議におきまして、納付金の使途については、「特定複合観光施設区域の整備の推進の目的と整合するものとするとともに、社会福祉、文化芸術の振興等の公益のためにも充てることを検討すること。」とされております。

 その上で、IR推進会議取りまとめにおいては、納付金について、一般財源として徴収し、使途については、附帯決議の趣旨を含め、幅広く公益に用いることとすべきとされたところであります。

 これらを踏まえまして、IR整備法案におきましては、納付金による収入について、観光及び地域経済の振興に関する施策、その他のIR整備法案の目的及び国、地方公共団体の責務を達成するための施策、社会福祉の増進に関する施策、文化芸術の振興に関する施策に充てることを規定しております。

 なお、その具体的な使途につきましては、毎年度の予算編成において適切に措置されるものと承知をしております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 阿部知子君。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 立憲民主党の阿部知子です。

 私は、ただいま議題となりました特定複合観光施設区域整備法案、通称IR法案につきまして、立憲民主党・市民クラブを代表して質問をいたします。(拍手)

 まず、何よりも最初にお尋ねいたします。

 安倍総理、あなたには、あったことをなかったことにする魔法の力がおありでしょうか。あるいは、加戸前愛媛県知事が加計学園の入学式で、魔法で生まれた学園と言われたように、魔法で学校をつくる力もおありなのですか。その魔法で学ぶ、魔法がつくった学園で、未来ある若者たちのためにも、総理には国民からの疑念を晴らす義務があります。もちろん、うそをついてはなりません。

 昨日、愛媛県が新たな文書を出してきました。その文書は、今まで首相が繰り返し国会で答弁してきたことの信憑性を大きく揺るがすものでした。

 「獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合せ会等について」と題して、愛媛県地域政策課が二〇一五年三月に書いた報告書ですが、その中では、加計学園からの報告等として、二月二十五日に理事長が首相と面談、十五分程度。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは、そういう新しい獣医学の考えはいいねとコメントありと書かれています。

 やっぱり会っていたのではないですか。安倍総理はこれまで、加計さんは腹心の友だが、彼が獣医学部をつくりたいという話を聞いたことはない、私が加計学園の計画について知ったのは、昨年、二〇一七年の一月の二十日でありますと、私の質問に対しても答弁をし続けてきました。そして、昨日もまた、加計学園側は、二月二十五日の面会の事実はないとし、総理もけさ方同じようにこれを否定されていますが、全く信じられません。

 総理は、よもや愛媛県側がうそを書いたとでもいうのでしょうか。明確にお答えください。

 愛媛県地域政策課の報告書は更に続けて、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定とあり、愛媛県と今治市と加計学園関係者は、次に三月十五日にも協議を行っています。そこでも首相と加計理事長が面会した事実が書かれています。

 なぜ加計学園の人々が特別に柳瀬首相秘書官に会うことができたのか。それは、先に首相と加計理事長が会ったからではないですか。

 今回は、その首相秘書官と加計学園と愛媛県と今治市が面会した記録も、正式なものが出てまいりました。これまで言っていた備忘録ではなく、正式な復命書です。

 日付は二〇一五年四月二日の面会の記録です。愛媛県の中村時広知事宛てに、明確にこうあります。

 内閣府地方推進室次長及び首相秘書官との面談のために東京都に出張したので、復命します。用務は、今治市への獣医師系養成大学の設置に係る内閣府地方推進室及び首相秘書官との協議。二ページ目には、首相秘書官、藤原豊地方創生推進室次長のほか三名の名刺がコピーされています。三ページ目には、それらの受入れ側と加計学園の四名を含む訪問者側の氏名、そして、藤原次長と柳瀬秘書官による発言が、以前の備忘録とされていたものよりも更に詳細に書かれています。

 この復命書で、愛媛県職員が知事に対してうそをつく必要は全くなく、誠実に記録に残したのです。いかがですか。そもそも自民党議員も、みずからこのことに答えたらどうですか。やじを飛ばしている間にも、あなた方の総裁である安倍総理が真実を述べているのか、挙証責任は安倍総理の側にあるからです。

 この復命書の内容は、加計学園の四名、今治市からの二名、愛媛県からの三名による事前打合せの内容から始まっています。その最初には次のようにあるのです。柳瀬首相秘書官に対しては、内閣府藤原次長を紹介いただいたことに対して御礼を述べたいと。首相と加計理事長が会い、次に首相秘書官が会うことになりました。その次に内閣府の国家戦略特区担当者が加計学園関係者に会ったのは、柳瀬首相秘書官の手引きで行われた加計学園ありきの作戦会議だったのです。

 それゆえ、実際、四月二日十一時三十分に内閣府で加計学園に面会した藤原次長は、要請の内容は総理官邸から聞いていると語ったことが明確に記録されたわけです。

 そして、審査をする立場であるにもかかわらず、これまでの構造改革特区のように事務的に対応されて終わりということではなく、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいとも述べています。

 続いて、その日の十五時に、加計学園ら九名は官邸で柳瀬首相秘書官に面会し、その面会記録に、首相秘書官がこう言ったことが記されています。

 本件は、首相案件となっており、何とか実現したいと考えているので、今回、内閣府にも話を聞きに来てもらった。今後は、こういう非公式の場ではなく、藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

 首相案件あるいは総理案件として、加計学園の獣医学部新設の実現に向けて、全ては安倍総理を起点として動いていたことが明らかになっています。

 この一年以上、総理と昭恵夫人にかかわる案件に、多くの国会審議の時間が費やされてきました。新事実が報道される都度、その真偽を確認する必要がありました。しかし、誠意ある答弁は一貫してありません。あるはずの記録はないとされました。森友学園問題では、当初、国会に提出された記録は改ざん後のものでした。加計学園問題では、総理からの働きかけはなかったことにされましたが、双方とも、根雪のように深く残っております。

 その上に、過労死に拍車をかける裁量労働制が、労働時間のデータを恣意的に操作して推し進められようとしたことが発覚して、一部は断念されました。しかし、二割ものデータが誤りであったことが政府の調査で判明した後もなお、高度プロフェッショナル制度の導入と残業時間の上限を百時間とする法案を、労働政策審議会に差し戻すことなく、厚生労働委員会であすにも強行採決されようとしています。

 与党の皆さんも恥ずかしくないのですか。この国会運営こそ大きな恥だと思います。

 百時間は、そもそも過労死認定の基準をすら上回っています。そして、過労死で愛する御家族を失った御遺族の方々が総理に面会を求めても門前払いです。安倍総理の柳瀬元秘書官は、面会の申入れがあれば誰とでも会うと言ったではないですか。なぜ会えないのですか。これもうそなのですか。余りにも冷たい、非人間的な仕打ちです。

 そもそも、八時間労働という労働時間規制は、人間の一日の生活が人間らしく送れるよう、メーデーに始まる長い闘いの中で守られてきたルールであり、働く者の命を守る規制であるにもかかわらずです。

 また、内閣委員会では、国民の強い関心事であったTPPからアメリカが抜けて十一カ国という枠組みで、その実態も意義も説明されないまま、TPP11協定として強行採決され、一方の関連法案は極めて薄い対策のままです。人の命も食の安全も社会のルールも置き去りにして規制緩和にひた走る暴走列車のような安倍政権と、その横暴な審議を進めることは、断固認めるわけにはいきません。

 命を軽んじ、働く者の生活を破壊し、グローバル化した企業が富をふやし、格差社会が進む等、国益を放棄した安倍政権が次に目指すのが、皆さん待ち望んでおられる特定複合観光施設区域整備法案です。

 これは、刑法では違法とされるギャンブルを、特定複合観光施設区域整備という名前をかぶせて合法化する法案です。横行するセクハラに加えて、賭博も解禁となれば、人としての倫理は地に落ち、社会の闇は更に深くなります。

 そもそも日本には、世界のギャンブルマシンのおよそ六〇%が存在していると言われています。パチンコです。ギャンブル依存症の存在も明らかです。その上に、なぜカジノが要るのですか。アベノミクスとは、人の不幸を食い物にして成り立つ経済なのでしょうか。それは、長く日本社会を支えてきた、経済は人々の暮らしを豊かにするためにあるという経世済民の思想とは全く異なるものです。安倍総理、明確にお答えください。

 そのやましさゆえに、法律案には、有害な影響の排除という言葉が少なくとも四回出てきます。有害を排除しながらでなければ進められない政策なのです。

 うそも、命の犠牲も、経済や社会の崩壊も、全てよしとしてまで進める公益性とは果たして何なのか。誰のための利益か、一部外国企業の利益にこの国の富を譲り渡すつもりですか。安倍総理、明確にお答えください。

 違法なものを成立させるために、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図ることを任務とするカジノ管理委員会を内閣府の外局として設置するとされています。四人の委員から成り立つとされますが、果たして十分な規制の能力がどう担保されるのでしょう。

 事務局は国家公務員が務めることになることが想定されます。一体何人の優秀な国家公務員をその義務につけ、安倍政権の犠牲とするのですか。その数は、国家公務員定数の中から捻出するのでしょうか。それとも、カジノのために公務員の定数をふやすのでしょうか。石井担当大臣、明確にお答えください。

 人の負けの上に成り立つ税収でギャンブル依存症対策をとるなら、最初からその害をつくり出さなければよい、それだけの話です。いや、もう既にギャンブル依存症がそこにあり、その対策に人材や税収を費やすべきであると、民間で依存症に取り組んでいる方々が叫んでいます。

 そもそも、こうした実態の調査や十分な対策費用はどう確保するのでしょう。石井大臣、お答えください。

 違法性の阻却について質問いたします。

 カジノを合法化するために、二〇一三年十一月二十日の衆議院内閣委員会で法務省が、刑法第三十五条で正当行為として阻却する要件、すなわち、罪をチャラにする八要件を答弁しています。

 それらは、次のようなものです。目的の公益性、運営主体の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止の八条件です。

 この抽象的な要件が法律の中にどのように具体的に……

議長(大島理森君) 阿部君、約束の時間が過ぎております。阿部君、約束の時間が過ぎております。

阿部知子君(続) 埋め込まれているというのでしょうか。

 最後に伺います。

 そもそも、IRの激しい規制と収益は相反します。安倍総理、どちらを選ぶのか、明確にお答えください。

 収益を追えば追うほど、ギャンブル依存症という悲しい犠牲者が出るカジノ、果たしてこれが安倍総理の言うところの美しい日本でしょうか。

 まず、政治が真っ当な姿に戻るためにも、八割近い国民から不信を抱かれた加計問題において、加計孝太郎並びに柳瀬元首相秘書官の証人喚問、そして、地方からの誠実な声として、愛媛県中村知事の参考人招致を行うべきです。

 最後に、ギャンブル依存症の対策法すらおざなりにして……

議長(大島理森君) 阿部君、時間が来ておりますので、約束どおりにしてください。

阿部知子君(続) IR法案の審議を進めることのないよう申し添えて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 阿部知子議員にお答えいたします。(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 愛媛県の文書についてお尋ねがありました。

 御指摘の平成二十七年二月二十五日に加計理事長とお会いしたことはありません。念のため入邸記録も調査しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できませんでした。

 加計理事長とはこれまで何度もお目にかかっておりますが、これまで繰り返し答弁してきたとおり、獣医学部の新設について話したことはありません。

 カジノを含むIRの公益性についてお尋ねがありました。(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) カジノを含む日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされております。

 また、カジノによる収益は、社会福祉の増進や文化芸術の振興に関する施設にも充当されます。

 一方で、カジノの施設について、さまざまな弊害を心配する声もあることから、依存症防止対策、犯罪、治安維持対策、青少年の健全育成対策として、厳格な入場規制や広告、勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところです。

 今後、政府は、成長戦略の一つとして、魅力ある日本型IRを実現するために、依存症対策などの課題に万全の対策を講じながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 世界最高水準の規制と収益についてお尋ねがありました。

 IR整備法案においては、世界最高水準のカジノ規制を導入し、依存症やマネーロンダリング、青少年への影響等、IRについてのさまざまな懸念に万全の対策を講じております。

 その上で、健全なカジノ事業の収益を活用して特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えさせます。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 阿部議員にお答えをいたします。

 カジノ管理委員会の十分な規制の能力の担保についてお尋ねがありました。

 IR整備法案におきましては、カジノ管理委員会によるカジノ事業等の厳格な免許等審査や監督を実効あるものとするため、公務所、公私の団体等への照会権限、外国規制当局との情報交換、事業者からの報告徴収、立入検査、違反行為に対する業務停止命令等の行政処分、罰則について規定をし、十分な権限を措置しております。

 また、カジノ管理委員会の委員長及び委員につきましては、人格が高潔であって、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、識見の高い者から、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとなっており、十分な規制の能力が担保されるような人選をすることとしております。

 カジノ管理委員会の事務体制についてお尋ねがありました。

 カジノ管理委員会の事務体制につきましては、今後の予算編成過程において具体化していくこととなりますが、いずれにいたしましても、カジノ管理委員会が与えられた役割をしっかり果たすことができるよう、必要な体制整備を進めることが重要と考えております。

 依存症対策の費用についてお尋ねがありました。

 IR整備法案におきましては、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を国及び地方公共団体の責務として明確に位置づけており、納付金の使途として、依存症対策を含め、このような国、地方公共団体の責務を達成するための施策等に充てることとしております。

 IR整備法案と、IR推進法の附帯決議に示された八つの観点との関係及び八つの観点の考え方についてお尋ねがありました。

 IR推進法の附帯決議では、IR区域の整備の推進のために必要な措置を講ずるに当たり、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止の八つの観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な検討を行うこととされております。

 これを受けまして、政府におけるIR整備法案の立案過程におきましては、附帯決議で示された八つの観点を踏まえた検討がなされた上、IR整備法案の内容は、それぞれの観点に関連した諸制度が整備されており、刑法の賭博に関する法制との整合性が保たれたものであると考えております。

 お尋ねの八つの観点の考え方につきましては、総合的に制度全体を観察して、刑法との整合性が保たれているかどうかということを判断するものであり、御指摘の答弁は撤回する必要はないと考えております。

 なお、先ほど申し上げたとおり、IR整備法案におきましては、八つの観点に照らして十分な制度を整備しているところであります。

 基本方針に関するパブリックコメントの実施についてお尋ねがありました。

 基本方針は、IR区域の整備の意義及び目標、IR区域の整備の推進に関する施策に関する基本的な事項、区域整備計画の認定に関する基本的な事項等を定めることとしております。

 このように、基本方針は、IR区域の整備のための基本的な方針であり、また区域整備計画を認定する際の認定基準でもあることから、その策定に当たっては、広く国民の意見を聞くパブリックコメントを実施することになると考えております。

 世界最高水準の規制におけるカジノ事業の従業者の規制についてお尋ねがありました。

 IR整備法案では、ディーラー等、重要なカジノ業務に従事しようとする者について、暴力団員等の反社会的勢力等を排除するための欠格要件を含めた厳格な人的要件を定め、その要件の該当性につき事業者が調査を行った後、カジノ管理委員会の確認を受けることとする等によりまして、その廉潔性を確保することとしており、諸外国と同等の厳格な規制を行うものであります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 森田俊和君。

    〔森田俊和君登壇〕

森田俊和君 関東平野のど真ん中、北に利根川、南に荒川、二つの大河に育まれ、埼玉県からやってまいりました、国民民主党の森田俊和でございます。

 国民民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま提案のありました特定複合観光施設区域整備法案について質問をいたします。(拍手)

 IRの質問に入る前にお伺いしたいことがあります。

 きのう、参議院予算委員会に、愛媛県からの加計学園に関する内部文書が提出されました。またこういう文書が出てきたのかと驚き、そして、悲しい気持ちになりました。

 三年前の平成二十七年三月三日に行われた加計学園と愛媛県との打合せの内容を記したメモには、二月二十五日に理事長が首相と面談、首相からは、そういう新しい獣医学部の考えはいいねとのコメントありなどというやりとりが明記をされています。

 本件は、行政の公平性、公正性を問われている重大な案件です。安倍総理の意向が働き、しかも、今までの答弁が事実と反する内容であったということであれば、それは権力の私物化であり、私たちは何を信じてよいのかわからず、IR法案を始め、ほかの法律の審議も全て疑ってかからなければなりません。

 安倍総理は、これまで、加計学園の計画を知ったのは昨年一月二十日だと繰り返し説明をしてこられました。しかし、今回の愛媛県の内部文書は、総理のこれまでの説明を根底から覆すものであり、到底見過ごすことはできません。

 改めてお尋ねいたしますが、安倍総理は、昨年一月二十日以前から、加計学園の獣医学部新設の計画を御存じだったのではありませんか。また、昨年一月二十日以前に、加計理事長から相談を受け、いいねと後押しするような発言をしたのではありませんか。そして、安倍総理の明示的又は暗黙の指示あるいは総理秘書官ら官僚の安倍総理へのそんたくのもと、獣医学部新設計画が大きく進み始めたのではないですか。

 愛媛県文書には、また、加計学園が当時の加藤内閣官房副長官と面会したことも記されていました。

 そこで、加藤厚生労働大臣にお尋ねします。

 加計学園又は愛媛県、今治市関係者と面会し、獣医学部新設について話したことはありますか。また、あるのなら、どのような話をされましたか。お答えください。

 加計学園疑惑の真相究明のためには、安倍総理が真実を語ることはもちろん、加計理事長や柳瀬元総理秘書官、藤原元内閣府地方創生推進室次長らの証人喚問が不可欠です。また、愛媛県の中村知事にも参考人として御協力いただく必要があります。

 安倍総理は、御自身で、責任を持って必ず全容を解明し、うみを出し切っていくという決意を述べられました。この言葉に偽りがないのであれば、関係者の証人喚問、参考人招致について、御自身が積極的に努力されるべきと考えます。総理にそのようなお考えはあるでしょうか。

 安倍総理にはぜひ真実を語っていただきたい。そして、与党の皆さん、責任政党として、何もやましいことがないのであれば、安倍総理にありのままを語っていただいてください。

 与党の皆さん、愛媛県の文書がうそを書いているとお考えなのでしょうか。もし総理の方にやましいことがあって、説明ができないのであれば、安倍総理に残された道は退陣しかないと申し上げなければなりません。

 さて、IRです。

 私は、祖母、おばあちゃんですけれども、の遺言により、ギャンブルをやりません。やらないから、なおさら思うのですが、この法案を、単にカジノを認めるだけの法律にしてはならないと考えます。

 私は、学生のとき、グランドキャニオンなど、アメリカの国立公園を旅行したとき、まず初めにラスベガスにおりました。比較的ホテルが安く、空港から町へのアクセスなど、旅をする玄関口として便利だったと記憶しています。カジノの町に立ち寄ってから、雄大な自然に触れる旅をすることができたわけです。

 観光の本質は、その国の歴史や文化を訪ね、自然をめでることにあると思います。日本には、他の国にはない、独自の伝統文化や自然があります。

 この法案で想定されている施設は、あくまで観光の呼び水として位置づけ、多くの人に日本を訪れてもらい、日本ってすばらしいなと、日本のファンをふやすきっかけにすべきであると考えます。

 さて、法律案の内容について伺います。

 カジノの設置について避けて通れないのが、賭博性の違法性が阻却されるのかとの問題です。

 この問題が明確にならない限り、本法案等は、そもそも違法な法案となってしまいます。

 賭博罪の違法性阻却の着目点として、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度など八つが要件となっていますが、これらの点について、いまだ明確になっていないのではないかという声があります。

 そこで、法務大臣に伺いますが、カジノ設置の違法性は阻却されているのでしょうか。また、阻却されているという判断であれば、その理由を明確にお答えください。

 次に、治安対策について伺います。

 今回の法案では、暴力団員の入場禁止など、カジノ内の治安、秩序に関する項目が入っております。しかし、問題は、カジノ施設周辺の治安維持です。

 また、お隣の韓国を例にとりますが、自国民の入場割合が九九%に上る江原ランドのある旌善郡庁では、たばこと酒の消費量が全国一位、また自殺率も全国一位、賭博中毒者が野宿して地域住民との衝突が起こる、周辺地区には質屋、消費者金融、車担保金融、風俗店が建ち並ぶなどが問題視されていると聞いています。

 これから候補地が明らかになるにつれ、候補地周辺の方の不安も高まってくると思われます。

 そこで伺いますが、政府として、カジノ周辺の治安、秩序対策をどのように考えているのでしょうか。総理及びIR担当大臣の見解を伺います。

 次に、カジノ管理委員会について伺います。

 事業者を監督するため、カジノ管理委員会を新設することが盛り込まれております。委員長、委員を国会の同意人事としたことは最低限必要なことと考えますが、委員会の中身については、まだまだ説明が十分になされているとは言えない状況です。

 カジノ委員会は、カジノ事業の監督、カジノ施設供用事業の監督、また関連機器等の製造など、重大な責務を負います。委員長等の選任に当たっては、透明性を確保し、専門性を持った上で、なおかつ公平公正に判断できる人材が求められます。

 そこで伺いますが、カジノ管理委員会の権限の実効性の確保について、また委員長人事の選任のあり方について、どのようにお考えでしょうか。総理及びIR担当大臣にお伺いをいたします。

 次に、外国人観光客の集客、おもてなしについて伺います。

 本法律案に定義されている特定複合観光施設とは、カジノ、国際会議場、展示施設、我が国の伝統、文化、芸術等を生かした魅力増進施設、送客機能施設、宿泊施設などから構成されるとされています。

 どうしても、カジノや国際会議場などは、どこの国でも似たり寄ったり、同じようなものになりがちです。先ほど申し上げたように、IRは、日本全体の観光政策からすると、呼び水とすべきです。ちょうど、来年はラグビーワールドカップ、再来年はオリンピック・パラリンピックが開催されます。IRとこうした大きな国際イベントとの関連性も考慮すべきでしょう。

 また、国内の多様な観光地、観光資源への誘導をどのような手段で行っていくかということを具体的にしていくことは、IRが設置される地域以外の地域の方々からIRへの理解を得る土壌をつくると思われます。

 そこで、お伺いします。

 カジノを中心とした外国人観光客の集客対策ではなく、国内で開催される国際的なイベントや周辺地域の観光地への誘導を見据えた対策を実施するべきと考えますが、総理及びIR担当大臣の見解を伺います。

 最後の質問です。

 もし法案が成立した場合、IRは三カ所設置されることとなります。また、IRの実施事業者もそれぞれ選定されることとなります。設置場所や事業者の選定に当たっては、地域に大きな影響を与え、また動く金額も大きいことから、特定の人物や企業との癒着あるいは利益誘導といった疑惑を持たれることのないよう、細心の注意を払うべきと考えます。

 そこで、総理にお尋ねしますが、設置場所、事業者の選定に当たってはどのような姿勢で臨もうとされているか、御所見を伺います。

 観光政策全体の中でのIRの位置づけ、設置区域や事業者の選定、周辺地区の安心、安全の確保などは国民的な議論が必要な大きな課題です。ぜひ政府・与党にお願いしたいのは、このような大事なことをじっくりと議論し、後に禍根を残さぬよう、最大限の配慮を持って審議を進めていただきたいということです。そのことを切にお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 森田議員にお答えをいたします。

 愛媛県の文書に関連して、事実関係及び特区における獣医学部新設プロセスへの影響、関係者の国会招致についてお尋ねがありました。

 御指摘の平成二十七年二月二十五日に加計理事長とお会いしたことはありません。念のため入邸記録も調査しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できませんでした。

 加計理事長とはこれまで何度もお目にかかっておりますが、これまで繰り返し答弁してきたとおり、獣医学部の新設について話をしたことはありません。

 いずれにしても、今回の規制改革プロセスを主導した八田座長を始め民間有識者の皆さんは、口をそろえて、一点の曇りもないと繰り返し述べておられます。

 さらに、さきの参考人質疑に際しても、八田座長から、私からもまた秘書官からも何の働きかけも受けてはいないこと、平成二十七年の前年の平成二十六年九月の時点で既に民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記しており、秘書官の面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないこととの発言があったと承知しております。

 その上で、国会の運営については国会がお決めになることであり、行政府の長としてコメントは差し控えます。

 カジノ周辺の治安、秩序対策についてお尋ねがありました。

 本法案では、都道府県又は政令指定都市は、都道府県公安委員会等とも協議の上、カジノ施設の設備及び運営に伴う有害な影響の排除に必要な、施設及び措置を区域整備計画に明確に位置づけなければならないこととしています。

 区域整備計画の認定に当たっては、このような施策及び措置が実施されると認められるものであることが認定の基準とされており、国土交通大臣が、この基準に沿って、関係行政機関とも協議しつつ適切に判断することとなります。

 カジノ管理委員会の権限と委員長等の選任についてお尋ねがありました。

 カジノ管理委員会は、カジノ事業免許の申請の審査に際しての背面調査、事業者の違反行為時の免許取消しを含む行政処分などの強力な権限等が付与され、事業者の監督などを行うこととなります。カジノ管理委員会がこうした権限等を確実に行使できるよう、必要な体制整備を進めてまいります。

 また、カジノ管理委員会の委員長及び委員については、人格が高潔であって、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、識見の高い者から、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとしており、任命権者として、これを踏まえて適切に対処してまいります。

 外国人観光客の集客対策についてお尋ねがありました。

 日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進するものです。

 また、日本型IRの中核施設の一つとして、国内の観光旅行を促進するための施設を設置し、運営することを義務づけることにより、IRへの来訪客が全国各地を訪れることを促す仕組みを講じています。

 IRの設置場所の選定及び事業者の選定についてお尋ねがありました。

 IR区域の整備については、都道府県又は政令指定都市が、公募により選定したIR事業者と共同で区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることとしております。

 その認定に当たっては、IR整備法の目的に最大限資するよう、全閣僚から構成されるIR推進本部の意見を聞いて、国土交通大臣において、認定基準に適合するかどうかを厳正に審査してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 森田議員にお答えをいたします。

 カジノ周辺の治安、秩序対策についてお尋ねがありました。

 本法案では、都道府県又は政令指定都市は、都道府県公安委員会等とも協議の上、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除に必要な施策及び措置を区域整備計画に明確に位置づけなければならないこととしております。

 区域整備計画の作成に当たりましては、住民の意見を反映させる措置を講じるなど、カジノ周辺の治安、秩序対策につきましても、地域での十分な合意形成を図ることとしております。

 さらに、区域整備計画の認定に当たりましては、「カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置が実施されると認められるものであること。」という認定基準を定めており、国土交通大臣が、関係行政機関とも協議をしつつ適切に判断することとなります。

 カジノ管理委員会の権限と委員長等の選任についてお尋ねがありました。

 IR整備法案におきましては、カジノ管理委員会によるカジノ事業者等の厳格な免許等審査や監督を実効あるものとするため、公務所、公私の団体等への照会権限、外国規制当局との情報交換、事業者からの報告徴収、立入検査、違反行為に対する業務停止命令等の行政処分、罰則について規定をし、十分な権限を措置しております。

 また、カジノ管理委員会の委員長及び委員につきましては、欠格事由について明確に定めるとともに、人格が高潔であって、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、識見の高い者から、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとしております。

 外国人観光客の集客対策についてお尋ねがありました。

 IR施設につきましては、カジノ施設のみならず、国際会議場施設、展示施設、レクリエーション施設、宿泊施設、その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている総合的なリゾート施設であり、世界じゅうから数多くの外国人観光客を引きつけ、観光や地域振興、雇用創出といった経済効果が非常に大きいと期待をされております。

 また、IRの必置施設の一つといたしまして、各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、あわせて各地域への観光旅行に必要なサービスを一元的に提供することにより、国内の観光旅行を促進するための施設を義務づけており、IRへの来訪者が全国各地を訪れることにより、IR区域の整備による効果が地域や全国に波及する仕組みとしております。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 森田俊和議員にお答え申し上げます。

 本法律案に基づくカジノ行為と賭博罪との関係についてお尋ねがありました。

 IR推進法の附帯決議においては、本法律案の立案に当たり、御指摘の、目的の公益性等多角的な観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が保たれることとなるよう十分な検討が求められているものと承知しています。

 これを受けて、政府における本法律案の立案過程においては、附帯決議で示された諸点を踏まえて、その趣旨に沿った制度設計がなされ、本法律案の内容は、賭博に関する法制との整合性が保たれていると考えており、本法律案に従って行われるカジノ行為については、賭博罪等は成立しないものと承知しています。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 森田俊和議員より、加計学園関係者との面会についてお尋ねがありました。

 平成二十七年二月十四日の土曜日に、私の地元の事務所において加計学園の事務局の方とお会いをし、その際に、先方から、獣医学部新設の件について、これまでの経緯についてお話を伺ったところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 遠山清彦君。

    〔遠山清彦君登壇〕

遠山清彦君 公明党の遠山清彦です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました特定複合観光施設区域整備法案に関し、質問をさせていただきます。(拍手)

 この法律案は、外国からの訪日客が安倍政権下において急増する中で、日本において現在不足している大規模な宿泊、エンターテインメント施設、展示場及び国際会議場等をふやすことにより、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するため、地域の創意工夫及び民間の活力と資金を生かして、いわゆる統合型リゾート、IRを整備する事項を定めたものであります。

 これにより、観光のみならず地域経済の振興を前進させ、また、IRの一部としてのみ設置が認められるカジノの事業収益の一部を納付金等を通じて社会還元させることで、地域の活性化、財政の改善、社会福祉充実や文化芸術振興、また、ギャンブル依存症対策等の強化を図ることも可能となります。

 IR整備には、公共政策としてこのような効果が期待される一方、カジノ事業については、国民の間に、ギャンブル依存症等に関連して懸念の声があることは事実であります。

 公明党では、私が座長を務める検討プロジェクトチームにおいて、昨夏より二十回の会合を重ね、厳格なカジノ規制を導入するために具体的な提言を示し、それらは与党合意を通じて今回の法律案に反映をされました。政府としては、与党合意を最大限尊重し、IR整備について国民の幅広い理解を得られるよう万全を尽くしていただきたいことを冒頭お願いを申し上げます。

 以下、本法案の重要な論点について具体的に質問いたします。

 IR整備推進本部長である安倍総理に伺います。

 総理は、第一回推進本部の会合において、日本型IRの実現を強調されております。IRは、複合観光施設であり、カジノ単体だけでは認可を受けられません。IRのカジノ以外の中核施設としては、国際会議場施設、展示施設、我が国の伝統、文化、芸術等を生かした観光の魅力増進施設、送客機能施設、宿泊施設が規定をされています。

 IRの成否は、実は、これらMICE機能等を有する施設群が、これまでにない集客機能を発揮し、日本を真の国際観光国家に成長させていけるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。一定の収益性のあるカジノを認めるのも、一義的にはこれらの施設を安定的に維持するためであります。総理の言う日本型IRとはどのようなものなのか、具体的な答弁を求めます。

 また、これらの施設の設置基準等については、立地する地域の特性を勘案したものとし、都市部のみならず地方の自治体にも申請の門戸を開くものとすべきと考えますが、あわせて御見解を伺います。

 総理は、世界最高水準のカジノ規制の導入の必要性についても語っています。

 周知のとおり、海外においては、既に百三十程度の国々でカジノが合法化されており、シンガポールなどではカジノを併設したIRが成功をおさめております。

 しかし、海外では、問題の多いカジノや、事業として失敗し、撤退したケースも指摘されています。現在は、日本にカジノは存在せず、よってカジノによるギャンブル依存症患者も存在しません。しかし、海外事例では、カジノによるギャンブル依存症問題の存在が報告されており、日本の既存の公営ギャンブル場や遊技場等に起因する依存症への対策とあわせて対応策を充実強化することが必要です。

 与党合意には、IRの設置箇所を三に限定すること、ゲーミングエリアの面積の上限規制、カジノ管理委員会による適正な管理、日本人及び日本在住外国人に対する入場料の賦課、マイナンバーカードによる本人確認と入場回数制限、本人、家族の申出による入場制限等の諸規制によってカジノの弊害を抑止する方策が盛り込まれました。これらを反映した本法案が、総理の言う世界最高水準のカジノ規制を実現しているか否かについて所見を求めます。

 依存症対策で日本のモデルとなるのはシンガポールであります。同国においてカジノが合法化された二〇一〇年以前より、同国には競馬等のギャンブルは存在しており、よって依存症患者もおりました。シンガポール政府は、合法化に合わせて、ギャンブル依存症対策審議会、NCPG等を設置し、予防教育の実施、医療提供体制、相談支援等の対応を強化してきましたが、その結果、問題のあるギャンブルと病的なギャンブルにのめり込む国民の割合を、合法化前の四・一%から〇・九%に減らすことに成功しております。

 この点に関し、今国会に議員立法によるギャンブル等依存症対策基本法案が提出されていることは画期的なことであり、一日も早い成立が望まれます。

 日本にも既に多様なギャンブル施設が存在をしておりますが、政府においても、シンガポールの取組を参考に、IR設置後に今日よりもギャンブル依存症に苦しむ人々が減るような結果を出すべく、あらゆる施策を実行すべきと考えます。安倍総理の決意を伺います。

 次に、刑法の賭博罪との関係について質問します。

 本法案は、一昨年末に国会で成立したIR推進法に基づき政府が策定したものですが、推進法の附帯決議においては、刑法が賭博を犯罪と規定した趣旨と整合しているかどうかについて、目的の公益性や運営主体の廉潔性など八つの観点から十分な検討を加えることが要請されています。

 政府は、本法案を国会提出するに当たり、法務省内での慎重な検討や内閣法制局の審査を経て、整合性が図られているとの結論を得たと承知をしていますが、その具体的な内容について、上川法務大臣の答弁を求めます。

 IRは全国三カ所に限定されておりますが、カジノの設置により、周辺地域の治安が悪化し、犯罪が増加するようなことはあってはなりません。

 本法案は、カジノ事業者やカジノ施設の入場者から暴力団員等を排除することや、犯罪収益の移転防止、すなわちマネーロンダリング対策にかかわる諸規制を事業者に罰則つきで課しております。実務的には、本法案に基づき、委員が国会同意人事で選定され設置される予定のカジノ管理委員会の管理や審査のもとに担保されていくわけですが、その主な規制や事業者の責務について、石井大臣の答弁を求めます。

 今般のIR区域認定手続の最大の特徴は、立地予定地域の住民の合意形成を重視していることであります。言いかえれば、大多数の住民が反対している地域でカジノを含むIR施設が整備されることはないということであります。

 IRの認定申請主体は都道府県と政令市に限られており、申請しようとする自治体の長はあらかじめ議会の同意を得なければなりません。さらに、立地市町村の同意や住民公聴会の開催等も義務づけられており、公明党の強い主張により、地方自治法第九十六条第二項に基づき立地市町村議会の議決の対象とすることも可能であることが法案に明記をされました。

 国や民間事業者、あるいは申請する自治体の長の意向だけでIR整備が進むことはないと認識していますが、石井大臣より確認の答弁をいただきたいと思います。

 最後に一言申し上げます。

 日本には多くの外国人を魅了する豊かな観光資源があります。外国人訪日客数が二千八百万人を突破した今日、観光は我が国の成長戦略の柱の一つとなりました。その一方で、大規模なMICE施設が少ないことや長期滞在の促進につながる施設が少ないこと等の課題も明らかになってまいりました。

 本法案の意義は、地方自治体の主導により、カジノの弊害を最大限抑止しつつ、民間の知恵と活力を生かして複合観光施設区域を整備することが、これらの課題を克服して日本が国際観光立国として更に飛躍する一助になることにあるということを強く申し上げ、私の代表質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 遠山清彦議員にお答えをいたします。

 日本型IRとはどのようなものか、IRの中核的な施設の設置基準等についてお尋ねがありました。

 日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされております。

 一方で、カジノの設置について、さまざまな弊害を心配する声もあることから、依存症防止対策、犯罪、治安維持対策等、青少年の健全育成対策として、厳格な入場規制や広告、勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じ、世界最高水準のカジノ規制を的確に実施することとしております。

 次に、IRの中核的な施設の要件、基準については、IRが立地される地域の特性がさまざまであることも十分に踏まえつつ、我が国を代表することとなる規模等とすること、我が国の魅力をわかりやすく発信することなどを政令等において規定することとしております。

 なお、IRの区域整備計画は、全ての都道府県又は政令指定都市が申請を行えるものとしております。

 今後、政府として、魅力ある日本型IRを実現するために、依存症対策などの課題に万全の対策を講じながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 世界最高水準のカジノ規制の実現についてお尋ねがありました。

 政府においては、与党の合意内容も踏まえて、厳格なシンガポール等の制度等を参考にしつつ、広範なカジノ規制の法制化に取り組んだところです。

 その主な措置としては、例えば、御指摘のように、IR区域数の限定、カジノ施設の規模の制限や、他国には例のない長期、短期の一律の入場回数制限、相当額の入場料の賦課に加え、利用者の個別の事情に即し、本人、家族申告による利用制限等を義務づけるなどの重層的、多段階的な依存症対策を講じることとしております。

 これらにより、IR整備法案においては、シンガポール等の先進的な制度と比肩できる最高水準のカジノ規制が整備され、さまざまな懸念に対する万全の措置が講じられたものと考えております。

 ギャンブル等依存症への対策についてお尋ねがありました。

 政府においては、IR推進法の附帯決議を契機として、IR整備法を待つことなく、昨年八月に強化策を取りまとめ、全国における相談、治療拠点の整備、医師等の人材育成、学校教育、消費者教育における指導啓発等の諸対策を順次実行に移してきたところです。

 御指摘のとおり、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をできるだけ少なくしなければなりません。政府一体となって、必要な取組を徹底的かつ包括的に講じてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 遠山清彦議員にお答え申し上げます。

 本法律案と賭博に関する法制との整合性についてお尋ねがありました。

 御指摘の附帯決議におきましては、本法律案の立案に当たり、目的の公益性等多角的な観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が保たれることとなるよう十分な検討が求められているものと承知しています。

 これを受けて、政府における本法律案の立案過程においては、附帯決議で示された諸点を踏まえた検討がなされた上、その趣旨に沿った制度設計がなされており、本法律案の内容は、賭博に関する法制との整合性が保たれたものであると考えています。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 遠山議員にお答えをいたします。

 IR整備法案におけます暴力団員等の排除及びマネーロンダリング対策についてお尋ねがありました。

 IR整備法案では、暴力団員等の排除の観点から、カジノ事業の免許等の審査の際、事業者やその役員等が、十分な社会的信用を有することや、暴力団員等に該当しないことをカジノ管理委員会が徹底的に調査をし、事業者等の廉潔性を確保するほか、暴力団員等のカジノ施設への入場を禁止するとともに、カジノ事業者に対し、暴力団員等を入場させることを禁止するなどの対策を講じております。

 また、マネーロンダリング対策の観点から、犯罪収益移転防止法の規制対象にカジノ事業者を追加するとともに、同法に基づく措置の上乗せといたしまして、カジノ事業者に対し、犯罪収益移転防止規程の作成を義務づけ、これをカジノ管理委員会が審査するほか、カジノ事業者に対し、一定額以上の現金とチップの交換等について、カジノ管理委員会への届出を義務づける、他人へのチップの譲渡やカジノ行為区画外への持ち出しを禁止するといった対策を講じております。

 このように、暴力団員等の排除及びマネーロンダリング対策の観点から、万全の対策が講じられていると考えております。

 IR区域の整備に関する地域の合意形成についてお尋ねがありました。

 IR推進法の附帯決議を踏まえ、IR整備法案では、都道府県等は、区域整備計画の作成に当たり、公聴会の開催等、住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないこと、区域整備計画の認定申請に当たり、都道府県等の議会の議決を経なければならないこととしております。

 また、都道府県が区域整備計画の認定申請を行う場合には、立地市町村の同意を得ることとしております。

 さらに、この立地市町村の同意については、地方自治法第九十六条第二項の規定に基づき、条例により立地市町村の議会の議決事項とすることも可能であることを明確にしております。

 これらの手続により、都道府県等は、地域の合意形成を十分図った上で区域整備計画の認定を申請することが求められております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) もとむら賢太郎君。

    〔もとむら賢太郎君登壇〕

もとむら賢太郎君 無所属の会のもとむら賢太郎です。

 会派を代表し、ただいま議題となりました特定複合観光施設区域整備法案、通称IR法案について質問します。(拍手)

 冒頭、国会で正しい真実な答弁が行われていることは審議の大前提です。それが揺らいでいる今、疑念を払拭することは安倍総理の重大な責任だと指摘をさせていただきます。

 きのう、加計学園問題に関する愛媛県の文書が新たに公開されました。二〇一五年二月二十五日に加計理事長と面会した総理が、獣医学部新設の構想を聞き、いいねと言ったとの記述がありますが、事実でしょうか。これまでの総理の答弁と矛盾します。

 総理は、先ほど来、加計理事長との面会を否定し、官邸の記録を見ても確認できなかったと答弁していますが、そもそも、官邸の入退記録はもう既にないということではなかったのでしょうか。事実関係を正直に御説明ください。

 また、その場に柳瀬元総理秘書官が同席し、加計学園側に改めて資料の提出を求めたのではありませんか。

 加えて、総理は、二〇一五年四月以前に加計理事長と会食し、その場でも獣医学部新設について話したのではないですか。

 さらに、文書には、二〇一五年二月に、当時官房副長官であった加藤大臣と加計学園関係者が面会したと記述がありますが、事実でしょうか。その後の総理と加計理事長との面会をあっせんしたのは加藤大臣ではありませんか。

 きのうの消費者特で、私の本会議質問に対する答弁修正が突如として提案されました。質問者である私にも全く聞かされておらず、大きく意味の変わる修正が提示されたことは遺憾ですが、せっかくですから、本件も答弁修正されてはいかがでしょうか。

 さて、二〇一四年に総理は、外国人観光客を二〇二〇年までに年二千万人に倍増させたい、IRは成長戦略の目玉となると発言していますが、昨年の訪日外国人は既に二千八百万人となりました。観光庁の調査によれば、訪日外国人が日本観光に求めるものは、食、温泉などが上位を占め、日本ならではの文化、芸術こそ価値を感じていることがうかがえます。

 さらに、アジアだけに目を向けても、総理も訪れたシンガポールを始め、マカオ、韓国など、カジノは既に飽和状態。米国ではカジノ運営会社が倒産した例も報告されています。

 そこで、総理に伺います。

 観光立国を推進するためには、そもそもカジノを含むIRは必要ないのではありませんか。カジノの収益は賭博客の負け分です。誰かの不運や散財に期待する成長戦略は健全でしょうか。まさか、アベノミクスの失敗をカジノの収益で取り戻そうとしているのではありませんか。総理の見解を伺います。

 IRの整備は、我が国のMICE開催の誘致競争力の強化につながると石井大臣は答弁されています。確かに、国際MICEの経済波及効果は昨年度で約一兆円と大きいものです。

 MICEの誘致に必要とされるのは、ラグジュアリーホテル、空港へのアクセス利便性、良質のエンターテインメントだといいます。ならば、我が国ならではのエンターテインメントを考え、カジノなしのIRを整備してはいかがですか。担当大臣の見解を伺います。

 そもそも、カジノで行われるのは、刑法によって禁止されている賭博です。競馬や競輪は、特別法を設置し、目的の公益性や運営主体の性格などを考慮要素とすることで、脱税や詐欺賭博等の危険性をなくし、保護法益を守っています。しかし、今回の法案では、明確な違法性阻却事由が認められません。

 法秩序全体の整合性の観点からも慎重な検討が必要だと思いますが、本法案においてどのように違法性が阻却されているのでしょうか。もし、法律をつくったからよいのだというならば、法律をつくれば、どんな犯罪でも許されることになりませんか。総理の見解を伺います。

 我が国のギャンブル依存症患者は約三百二十万人に上ると推計されています。世界最高水準のカジノ規制によって、依存症などの懸念に万全の対策を講じていくと、連続する七日間で三回、連続する二十八日間で十回とする制限も、これだけ通えば既にギャンブル依存とする指摘もあります。

 政府は、ギャンブル依存症対策について、どれだけ真剣に向き合っているのでしょうか。万全の対策である根拠をお示しください。

 今回、事業者を監督するカジノ管理委員会が新設され、カジノ事業を行うための免許発行など強い権限を付与することとしていますが、いかに実効性を保つのかが重要です。利害関係者や総理のお友達が委員に任命されるようなことはないと理解してよろしいでしょうか。総理、明快にお答えください。

 我が国には四季があり、各地に独自の文化、伝統が根づいています。その魅力を最大限に生かすことこそ、観光立国において重視すべきことです。

 アベノミクスによって格差が広がり、非正規雇用率、子供の貧困率も高い。カジノを進める前に、こうした現状に手を差し伸べ、普通に暮らす人が豊かになっていく社会を目指すことこそが政治の大事な役割だと指摘し、質問を終わりにします。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) もとむら議員にお答えをいたします。

 愛媛県の文書についてお尋ねがありました。

 御指摘の平成二十七年七月二十五日に加計理事長とお会いしたことはありません。念のため入邸記録も調査をいたしましたが、入邸記録は、使用目的終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとされており、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できませんでした。

 加計理事長とはこれまで何度もお目にかかっておりますが、繰り返し答弁してきたとおり、獣医学部の新設について話をしたことはありません。

 柳瀬元秘書官について、御指摘については、柳瀬元秘書官が既に、資料の提示をお願いした覚えはない旨コメントしていると承知しています。

 その上で、柳瀬元秘書官の面会については報告を受けておらず、先日の参考人質疑において柳瀬元秘書官が答弁した以上に私からコメントすることはできません。

 カジノを含むIRと観光立国の関係性についてお尋ねがありました。

 カジノ施設を含む日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに統合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされております。

 また、本法案においては、国際競争力の高い魅力あるIR施設でなければ区域整備計画の認定を行わないこととしており、IRに期待される大きな効果を発揮するものに限定しております。

 今後、政府として、魅力ある日本型IRを実現するために、依存症対策などの課題に万全の対策を講じながら、観光立国の実現に向け、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 カジノを含むIRと成長戦略の関係についてお尋ねがありました。

 まず初めに、アベノミクスがうまくいっていないことをカジノの収益で取り戻そうとしているとの御指摘は、これは全く当たりません。

 我々が政権交代前の二〇一二年の七月、八月、九月、GDPはマイナス三・五%でありました。日本は、デフレ経済のもと、経済は低迷しておりました。そして、子供の相対的貧困率も悪化しておりました。

 政権交代後、アベノミクスの取組により、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一一・二%、五十五兆円増加し、過去最高水準となりました。そして、子供の相対的貧困率は、統計をとって以来、初めて大幅に低下したのであります。

 カジノ施設を含む日本型IRは、先ほど答弁したとおり、総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされております。

 一方で、カジノの設備について、さまざまな弊害を心配する声もあることから、依存症防止対策、犯罪、治安維持対策、青少年の健全育成対策として、厳格な入場規制や広告、勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところです。

 今後、政府は、成長戦略の一つとして、魅力ある日本型IRの実現に、推進してまいります。

 IR整備法案と刑法の賭博に関する法制との整合性についてお尋ねがありました。

 IR推進法の附帯決議では、IR区域の整備の推進のために必要な措置を講ずるに当たり、目的の公益性、運営主体等の性格等八つの観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な検討を行うこととされております。

 政府におけるIR整備法案の立案過程においては、附帯決議で示された八つの観点を踏まえた検討がなされ、例えば、目的の公益性の観点については、カジノ収益の活用によるIR区域整備を通じた観光及び地域経済の振興等、運営主体等の性格の観点については、カジノ事業免許等に基づく事業者その他関係者の厳格な管理監督等に関する制度設計等、その趣旨に沿った制度設計がなされており、このように、IR整備法案の内容は、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するようなものではなく、法秩序全体の整合性は確保されているものと考えております。

 IR整備法案におけるギャンブル等依存症への対策についてお尋ねがありました。

 IR整備法案における依存症防止対策として設けた、御指摘の日本人等に対する長期、短期の一律の入場回数制限は、他国には例のないものであります。

 これに加え、IR整備法案においては、IR区域数の限定やIR施設の規模の制限、相当額の入場料の賦課、利用者の個別の事情に即した、本人、家族申告による利用制限等のカジノ事業者に対する義務づけといった重層的かつ多段階的な取組を制度的に整備しており、万全が尽くされているものと考えております。

 カジノ管理委員会の人事についてお尋ねがありました。

 カジノ管理委員会の委員長及び委員については、カジノ事業者の役員等を排除するなど欠格事由について定めるとともに、人格が高潔であって、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、識見の高い者から、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとしており、任命権者として、これを踏まえて適切に対処してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) もとむら議員にお答えをいたします。

 カジノ施設を除いたIR整備についてお尋ねがありました。

 カジノ施設を含む日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設とカジノ施設とが一体的に運営をされ、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされております。

 このようなIR施設の整備に当たり、カジノ施設は収益面での原動力と位置づけているところでございます。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) もとむら賢太郎議員より、加計学園関係者との面会などについてお尋ねがありました。

 平成二十七年二月十四日の土曜日に、私の地元の事務所において加計学園の事務局の方とお会いをし、その際に、先方から、獣医学部新設の件について、これまでの経緯についてお話を伺ったところであります。

 これは私に対する説明であり、私から総理に対して報告は行っておりませんし、また総理と理事長の面会については全く承知しておらず、これまで総理と加計理事長の面会をあっせんしたことは一度もありません。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 宮本岳志君。

    〔宮本岳志君登壇〕

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、特定複合観光施設区域整備法案、いわゆるカジノ実施法案について総理に質問いたします。(拍手)

 しかし、その前に、どうしても総理にただしておかなければならないことがあります。重大な問題があるからです。

 昨日、愛媛県は、参議院予算委員会の国政調査権に基づく調査要求に対して文書を提出いたしました。「文書の提出について(回答)」と題されたその文書の中には、安倍総理の国会答弁を覆す数々の事実が示されています。

 閣法の質疑に当たり、まず国民に対する説明責任を果たすのは当たり前ではありませんか。

 とりわけ「獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合せ会等について」と題した文書には、二〇一五年三月三日、加計学園関係者と愛媛県との間で行った打合せ会で、加計学園からの報告として、同年二月二十五日に加計理事長が首相と十五分間程度面談し、「理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり。」と書かれております。

 総理、これは事実ですか。あなたは、これまで加計氏について、私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ないと語ってきました。

 また、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは二〇一七年一月二十日だと答弁してきました。今回愛媛県が国会に提出した文書は、総理が国会を欺き続けてきたことを示すものです。明確な答弁を求めます。

 総理、あなたは、さきに愛媛県や農水省から提出された二〇一五年四月二日の面談記録に、「下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている」との記述があることについて、獣医学部のお話をしたことはないということは何回も申し上げているとおり、下村前文科大臣もそのような発言をされていると否定してきました。

 しかし、今回の愛媛県文書には、何度も下村前大臣の名前が出てきます。これもうそだったのですか。つまり、何回もうそをつき続けてきたということではありませんか。

 そもそも、この問題は、事もあろうに首相が国会を欺き、虚偽の答弁を重ねてきたのではないかという極めて重大な疑惑です。

 この問題の真相解明のため、加計孝太郎氏、柳瀬元首相秘書官の証人喚問、中村愛媛県知事の参考人招致を強く求めるものであります。

 次に、カジノ実施法案についてです。

 どの世論調査を見ても、カジノ解禁反対は六割を超え、この国会で成立させる必要はないは七割を超えています。政府・与党が幾ら経済効果や依存症対策の強化を宣伝しても、国民のカジノ反対の世論は変わらないのです。その原因はどこにあると考えますか。答弁を求めます。

 それは、政府の説明が不足しているからではありません。カジノが賭博であり、そして、賭博は刑法で禁じられた犯罪行為だからであります。賭博は、社会の風俗を害し、副次的な犯罪さえ誘発し、青少年に悪影響を与えるものであります。IR、統合型リゾートなどという粉飾を施して進めることは許されません。

 従来、賭博は、競馬、競輪など、公設、公が行うもののみが公営ギャンブルとして特別法で認められてきました。民営賭博は違法行為として禁じられてきました。

 本法案は、歴史上初めて民営賭博を合法化しようとするものです。なぜ、今まで違法だった民営賭博が合法になるのか。その根拠が説明できますか。

 今回の実施法では、経済活性化に資するとか、収益の一定部分を国、自治体に納付するとか、公的管理下に置かれるなどの理由で公益性があるから合法であるとしています。しかし、賭博は、しょせん人の金を巻き上げるだけのゼロサムゲームで、経済効果を試算するような代物ではありません。雇用がふえるといっても、雇われた人の所得の何倍もの所得がカジノに吸い上げられ、家庭破壊や自己破産を生むことを忘れてはなりません。

 なぜ、このような民営賭博が経済効果を有し、公益性があるのか、国民に納得のいく説明を求めます。

 射幸性を抑えることも公益性の要件になってきました。しかし、民営カジノでは、射幸性を高め、ギャンブル依存症の人たちをふやしてもうけをふやそうとすることは目に見えています。世界最高の規制などといいながら、射幸性のコントロールさえできない民営カジノがどうして公益性を有することになるのか、明確な答弁を求めます。

 政府は、万博とカジノの間には直接関係はないと繰り返してきましたが、報道によると、既に大阪府市は、カジノ事業者側に説明を始め、理解を得ているといいます。これでも、関係はないと言えるのですか。

 大阪万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」であります。家庭破壊や自己破産を生み、ギャンブル依存症を広げるカジノIRが、なぜ、命輝く未来社会をデザインすることになるのか、総理の答弁を求めます。

 本法案は、違法性が高く、経済効果もない上に、カジノ資本が国民を搾取し、深刻なギャンブル依存症を増加させる前代未聞の悪法であり、断固廃案にすべきだということを申し上げ、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本議員にお答えをいたします。

 愛媛県の文書についてお尋ねがありました。

 御指摘の平成二十七年二月二十五日に加計理事長とお会いしたことはありません。念のため入邸記録も調査しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できませんでした。

 加計理事長とはこれまで何度もお目にかかっておりますが、これまで繰り返し答弁してきたとおり、下村元文科大臣についての御指摘も含め、獣医学部の新設について話をしたことはありません。

 カジノを含むIRの導入に関する世論の状況についてお尋ねがありました。

 IRについては、カジノばかりに焦点が当たりがちなことから、さまざまな弊害を心配する声があることは承知しております。

 カジノの設置については、依存症防止対策、犯罪、治安維持対策、青少年の健全育成対策、そして厳格な入場規制や広告、勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところです。

 政府としては、IR推進法及びその附帯決議に基づき、IR整備法案の策定に当たって、その制度の大枠について、パブリックコメントや説明会を実施し、国民の意見を丁寧に伺う機会を設けてまいりました。

 引き続き、国民に丁寧に説明を行うとともに、世界最高水準の規制の執行体制の整備等を着実に実施し、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 IR整備法案における民間事業者によるカジノ事業の実施と刑法の賭博に関する法制との整合性についてお尋ねがありました。

 IR推進法の附帯決議では、IR区域の整備の推進のために必要な措置を講ずるに当たり、運営主体等の性格等八つの観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な検討を行うこととされております。

 政府におけるIR整備法案の立案過程においては、附帯決議で示された八つの観点を踏まえた検討がなされ、特に運営主体等の性格の観点については、カジノ事業免許等に基づく事業者その他関係者の厳格な管理監督等に関する制度設計がその趣旨に沿ってなされております。このように、IR整備法案の内容は、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するようなものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていると考えております。

 IR整備法案における目的の公益性と刑法の賭博に関する法制との整合性についてお尋ねがありました。

 政府におけるIR整備法案の立案過程においては、IR推進法の附帯決議で示された、目的の公益性等八つの観点を踏まえた検討がなされ、特に目的の公益性の観点については、カジノ収益の活用によるIR区域整備を通じた観光及び地域経済の振興等やカジノ収益の国庫等納付、社会還元を通じた公益の実現に関する制度設計がその趣旨に沿ってなされていることに加え、副次的弊害の防止の観点を踏まえた制度設計等をあわせて、全体として見れば、IR整備法案の内容は、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するようなものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていると考えております。

 IR整備法案における射幸性の程度と刑法の賭博に関する法制との整合性についてお尋ねがありました。

 政府におけるIR整備法案の立案過程においては、IR推進法の附帯決議で示された、射幸性の程度等八つの観点を踏まえた検討がなされ、特に射幸性の程度の観点については、カジノ行為の種類及び方法の制限、公正なカジノ行為の実施の確保、カジノ施設へのアクセス制限等に関する制度設計がその趣旨に沿ってなされていることに加え、その他の観点を踏まえた制度設計をあわせて、全体として見れば、IR整備法案の内容は、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するようなものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていると考えております。

 大阪における万博とIRの関係についてお尋ねがありました。

 大阪の夢洲で誘致を目指す国際博覧会は、IRと関係するものではありません。

 IR区域の整備については、都道府県又は政令指定都市が、IR事業者と共同で区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることとしております。

 このため、中立性、公正性の観点から、現時点で、特定の自治体による個別の検討内容について、コメントを差し控えさせていただきます。

 なお、IRにおける依存症対策については、厳格な入場制限を始めとする重層的かつ多段階的な依存症対策を講じることとしております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 IR実施法について質問いたします。(拍手)

 我が党は、IRの設置が、外国人観光客数をふやし、観光産業が更に拡大し、地方創生の切り札となると考えております。一方、IR実施法とギャンブルの依存症対策は両輪で進めるべきであると考えます。

 IR実施と依存症対策の進め方について、総理の御所見をお伺いします。

 日本のギャンブル依存症患者は、厚労省の調査によると、約三百二十万人、成人の三・六%と推計されています。これを諸外国と比較すると、生涯で見た場合は、フランスが一・二%、イタリアが〇・四%、ドイツが〇・二%であり、日本の割合の高さを指摘する声があります。

 日本におけるギャンブル依存症に、パチンコ、スロットが指摘されています。

 現在、パチンコ、スロットのホールは全国に一万店舗以上で、コンビニのように身近にギャンブルが存在しているのが現状です。外国から来た観光客には、日本はギャンブル大国と映って当然でしょう。

 パチンコは、射幸性が高いギャンブルと呼ぶべきものであるにもかかわらず、依存症対策が全く講じられず、業界負担について検討されてこなかったことは大きな問題であると考えますが、総理の御認識をお答えください。

 また、法的にはギャンブル扱いされないパチンコやスロットの現状について、率直な感想をお聞かせください。

 ギャンブルへののめり込みによる多重債務、貧困、虐待といった重大な社会問題の発生による社会的、経済的損失の観点からも、アルコールやたばこへの依存症と同様、公衆衛生政策の一環として、国際水準に見合った対策を講じる必要があると考えます。

 依存症対策として、特に医療的ケアの充実が必要と考えています。

 日本精神神経科学会等と連携し、専門医等の養成や地域における研修体制の確立が急務であると考えますが、具体的な今後の対策についてどのような取組を予定されているか、お聞かせください。

 国際会議場など、通常では採算がとれない施設を維持するために、カジノを併設することにしたその意義を理解しています。

 国際会議等のビジネスイベンツ、いわゆるMICE市場において、日本の国際競争力は相対的に低下しており、大規模MICEの誘致が難しい状況となっています。IR施設の設置によって国際会議を呼び込み、日本の国際的役割を高めていくことで、観光施設と異なる経済効果が得られるものと考えられます。

 そこで、総理に質問します。

 IRが設置されることで、日本で開催される国際会議数の増加に向けて、具体的な数値目標は設定されるのでしょうか。お答えください。

 次に、日本人にかかる入場制限について質問いたします。

 政府案においては、入場料を一回六千円、入場回数を、連続する七日間で三回まで、連続する二十八日間で十回までに制限するといった案が示されています。この入場制限の設定は、どのような根拠に基づくものなのでしょうか。

 また、本人や家族の申告があれば入場を拒否することもできるとありますが、どのような周知啓発を行い、実効を持たせるのか、具体的な方針についてお答えください。

 次に、カジノ事業者及びカジノ規制当局とのあり方について伺います。

 カジノは、反社会勢力と結びつきやすいことが考えられることから、事業者と規制当局に対しては、クリーンであること、すなわち廉潔性が確保されなければなりません。カジノを設置している諸外国においても厳しいルールが定められています。

 我が国にカジノを含む統合型リゾート施設を置く場合、どのような規制を課すことになるのか、また、犯罪防止をどのように進める計画であるのか、総理、御説明を願います。

 次に、認定の見直し時期について質問をいたします。

 政府案では、当初の設置は三カ所を上限とし、認定から七年後に見直しを行うこととされていますが、見直しに当たっての判断基準をどのように定めるかが重要であると考えます。IRを地方創生の切り札とすることはもちろん大事ですが、IRが誘致されることによって依存症患者が増加しては本末転倒です。

 見直しまでの七年間についてどのように判断していくのか、総理の御所見をお伺いします。

 私たち日本維新の会は、地方創生の観点から、そして日本の国際的地位を高めるために、統合型リゾート施設の設置を進めるべきものと考えています。

 それとともに、これまで手をつけられてこなかったギャンブル依存症対策に着手し、貧困、多重債務といった社会問題への対策を図っていく努力をしていくことをお約束して、私からの質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 串田誠一議員にお答えをいたします。

 IRの整備と依存症対策の進め方についてお尋ねがありました。

 IRは、カジノのみならず、国際会議場等のさまざまな誘客施設が一体となった総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、そして雇用創出等の経済効果が非常に大きいと期待されています。

 一方、依存症対策については、厳格な入場制限を始めとする重層的かつ多段階的な依存症対策を講じることとしており、万全が尽くされているものと考えております。

 IRの整備に当たっては、依存症対策に万全を講じ、観光先進国の実現を目指してまいります。

 パチンコ等への依存症対策についてお尋ねがありました。

 パチンコ等については、依存症対策をしっかりと講じていくことが肝要と認識しています。

 政府においては、出玉規制の基準等を見直すとともに、営業等の管理者の業務として依存症対策を義務づけるなど、パチンコ等への依存症対策に取り組んでいるところです。

 業界においても、パチンコ等への依存症対策として、問題を抱える人への相談対応等の取組が実施されており、こうした取組がしっかりと行われることが肝要と考えます。

 ギャンブル等依存症への医療的ケアの充実についてお尋ねがありました。

 ギャンブル等依存症については、地域で必要な医療を受けられるよう、都道府県等において、拠点となる医療機関を始めとする体制整備を進めています。

 また、依存症の治療等にかかわる人材を確保するため、地域において専門的な研修を行うための指導者を養成するなど、研修体制の強化を図るとともに、医師の臨床研修において経験すべき分野として依存症を位置づけるなどの取組を進めており、引き続き、関係学会等とも連携して、依存症に対する医療的ケアの充実に努めてまいります。

 IRの設置による国際会議数の数値目標の設定についてお尋ねがありました。

 日本型IRの実現により、これまでにないような国際的な会議ビジネス等を展開し、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいります。

 我が国の国際会議開催件数の数値目標については、IRの具体的な立地地域や事業内容が決まった段階で、その設定について検討してまいります。

 カジノ施設への入場制限についてお尋ねがありました。

 IR整備法案では、世界最高水準のカジノ規制を目指す観点から、日本人及び国内居住の外国人について、一律に、他国に例を見ない、長期間と短期間を組み合わせた入場回数制限を行うこととし、国内宿泊旅行の平均泊数等を踏まえつつ、連続する二十八日間で十回、連続する七日間で三回という入場回数制限を設けることとしております。

 また、入場料については、安易な入場の抑止を図るための制限として、一回六千円を賦課することとしております。

 さらに、本人や家族の申告による利用制限については、その実施をカジノ事業者に義務づけており、カジノ管理委員会の監督のもと、当該取組の周知についても事業者において適切に行われることとなります。

 カジノ事業者及び規制当局の廉潔性の確保等についてお尋ねがありました。

 カジノ管理委員会については、その廉潔性等を確保するため、委員長及び委員については、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとするとともに、その職員も含め、カジノ行為を禁止し、一般の国家公務員よりも厳格な守秘義務を課すこととしております。

 カジノ事業者については、カジノ事業の免許等の審査の際、事業者やその役員等が、十分な社会的信用を有することや、暴力団員等に該当しないことをカジノ管理委員会が徹底的に調査することとするなど、その廉潔性確保の観点から徹底した規制を課しています。

 加えて、犯罪防止対策については、暴力団員等のカジノ施設への入場の禁止、犯罪収益移転防止法の規制対象への追加、それに上乗せしたマネーロンダリング防止のための措置の義務づけなどの措置を講ずることとしております。

 認定区域整備計画の上限数の見直しの判断基準についてお尋ねがありました。

 認定区域整備計画の上限数の見直しについては、最初の認定から七年が経過した場合において、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響、日本型IRの実現による効果、影響等について十分検証した上で行うこととなると考えております。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       法務大臣     上川 陽子君

       文部科学大臣   林  芳正君

       厚生労働大臣   加藤 勝信君

       環境大臣     中川 雅治君

       国務大臣     石井 啓一君

       国務大臣     茂木 敏充君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  西村 康稔君

       内閣府副大臣   あきもと司君


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