衆議院

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第31号 平成30年5月29日(火曜日)

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平成三十年五月二十九日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十五号

  平成三十年五月二十九日

    午後一時開議

 第一 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案(内閣提出)

 第三 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、文部科学省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長冨岡勉君。

    ―――――――――――――

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔冨岡勉君登壇〕

冨岡勉君 ただいま議題となりました法律案について、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律の附則第二条に規定された検討の結果に基づく措置として、文化庁の京都への全面的な移転に向け、新文化庁にふさわしい組織改革、機能強化を図り、文化に関する施策を総合的に推進するものであり、その主な内容は、

 第一に、文部科学省及び文化庁の任務のうち文化に係る部分を「文化に関する施策の総合的な推進」に改めること、

 第二に、文部科学省及び文化庁の所掌事務に、文化に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること及び文化に関する関係行政機関の事務の調整に関することを追加するとともに、文化庁は、学校における芸術に関する教育の基準の設定に関する事務及び博物館による社会教育の振興に関する事務をつかさどること

などであります。

 本案は、去る五月十五日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、十八日林文部科学大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。二十三日に質疑に入り、同日質疑を終局した後、二十五日に討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長西村明宏君。

    ―――――――――――――

 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西村明宏君登壇〕

西村明宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、二千九年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約の締結に伴い、船舶の再資源化解体の適正な実施を図るための措置を講ずるもので、その主な内容は、

 第一に、総トン数五百トン以上の国際航海をする日本船舶の所有者に対し、有害物質一覧表を作成し、国土交通大臣の確認を受けることを義務づけること、

 第二に、特定船舶の再資源化解体を行おうとする者に対し、主務大臣の許可を受けることを義務づけること、

 第三に、再資源化解体計画の作成と主務大臣による同計画の承認の制度の創設、また、同計画に係る船舶の譲渡し等について国土交通大臣の承認の義務づけなど、再資源化解体の実施に関しての手続を整備すること

などであります。

 本案は、去る五月二十二日本委員会に付託され、二十三日石井国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十五日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、民法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長平口洋君。

    ―――――――――――――

 民法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔平口洋君登壇〕

平口洋君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、公職選挙法の定める選挙権年齢が満二十年以上から満十八年以上に改められたことなどの社会経済情勢の変化に鑑み、成年となる年齢及び女性の婚姻開始年齢をそれぞれ十八歳とする等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月二十四日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、五月九日上川法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十一日から質疑に入りました。十五日及び二十二日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、二十五日質疑を終局いたしました。次いで、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。松田功君。

    〔松田功君登壇〕

松田功君 国民の皆さん、こんにちは。私は、立憲民主党の松田功でございます。

 私は、立憲民主党・市民クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました民法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 本法律案は、民法上の成年となる年齢を二十歳から十八歳に引き下げ、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げるものです。

 女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることは、男女平等の観点からも重要であります。

 しかしながら、問題は成年年齢の引下げです。

 成年年齢引下げの重要なポイントは次の二点です。

 一つは、未成年者取消権が使える年齢が下がり、十八歳、十九歳の若者は、親の同意がなくても一人で高額の商品を購入することなどの契約ができるようになる一方、未成年者であることを理由に契約の取消しができなくなるということです。

 もう一つ、親権の対象となる年齢が下がり、十八歳、十九歳の若者は、親の管理のもとに置かれなくなることになります。

 この内容が十分に知られているとは言えない中で、なぜ今、急いで成年年齢を十八歳に引き下げるのでしょうか。

 以下、反対の理由を申し上げます。

 まず、本法案の立法事実、すなわち改正の必要性や目的が見えないということです。

 この点に関する委員会における政府答弁では、成年年齢の引下げの意義として、若者の大人としての自覚を高め、自立を促す、積極的な社会活動を促す、自己決定権を尊重するといった抽象的な説明が中心でした。

 しかし、これは、改正が必要であるという明確な根拠、必要性、立法事実とは言えません。

 むしろ、若者の自立を支える施策が実現していないのにもかかわらず、取消権を奪い親権から外すことは、若者にとってマイナスの影響が大きいのではありませんか。

 委員会の議論を通じても、今、ぜひ改正しなければならないという根拠、必要性が政府からはっきり示されることはありませんでした。

 また、内閣府の世論調査によると、未成年者の取消権に八割、親権について七割となっており、成年年齢の引下げが国民に望まれているとは考えられません。

 次に、今回の改正のベースとなった平成二十一年の法制審議会の答申が求めた条件が満たされておりません。

 答申は、成年年齢を十八歳に引き下げるのは適当としながらも、そのタイミングについては、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれの問題点の解決に資する施策が実現されること、これらの施策の効果が十分に発揮されること、それが国民の意識としてあらわれたことという三つの条件を示しました。

 しかし、今国会で審議中の消費者契約法改正案は、若年消費者保護の観点からは不十分であります。

 また、学校における消費者教育も、文部科学省の調査によれば、成年年齢引下げを踏まえて消費者教育を新規、拡大した現場は一割に満たないことが明らかになりました。

 必要な施策が実現されていないのに、効果の発揮や国民意識の変化があるわけでもなく、法制審が提示した条件は全く満たされていないことが委員会の質疑で明らかになりました。

 次に、各方面から最も懸念されているのが、十八歳、十九歳に対する消費者被害の拡大です。

 現在、若者の消費者被害は二十歳を境に急増します。それは、未成年者取消権という防波堤がなくなった直後の若者たちが、悪質業者のターゲットとなっているからです。今、成年年齢を引き下げれば、未成年者取消権がなくなる十八歳、十九歳の若者が新たなターゲットとなるのは火を見るより明らかです。

 成年年齢を引き下げるならば、現在の未成年者取消権に相当する強い若年消費者保護策が求められますが、担保されていません。

 今国会で審議中の消費者契約法改正案は、一部修正の上、衆議院本会議で可決されましたが、消費者保護施策としては一歩前進とは思いますが、若者をターゲットとする現代の多様かつ巧妙なつけ込み型悪徳商法を十分に捉え切れておらず、未成年者取消権の対象から外れる十八歳、十九歳を消費者被害から守るという点では不十分だと考えます。

 消費者保護に関係する特定商取引法、割賦販売法、貸金業法における若年者保護の強化も予定されていません。このまま進めるのは、十八歳、十九歳の消費者をみすみす悪徳業者に手渡すようなものだと言わざるを得ません。

 消費者被害を防ぐには、消費者教育や若者の社会における自立を促す教育が極めて重要です。実務的な消費者教育はもちろん重要ですが、そのベースとして、みずから考え判断する力を身につけることはより重要です。

 しかし、若者の自立やその意識が高まっているかといえば、残念ながら、そうなっていないと思います。教育には時間がかかります。一言で言って、間に合っていないということです。施行までの四年間で国民の意識に浸透させる道筋は全く見えていません。

 さらに、消費者被害以外の懸念も払拭されていません。

 子供の養育費の支払い期限は、成年でなく成熟が基準であるはずですが、成年年齢引下げで十八歳までの支払いがスタンダードになってしまう懸念があります。これは、大学進学などを含めた人生の選択を困難にするなど、子供の人生設計を直撃しかねません。

 また、子供たちが児童養護施設に入所していることができる延長可能な上限年齢も、現在、二十歳が根拠の一つに成年を挙げている以上、民法改正により二十歳から十八歳に引き下げられてしまう懸念が払拭し切れません。

 さらに、成年年齢の引下げが少年法の適用対象年齢の引下げへとつながる懸念、あるいは利用される懸念もあります。

 これらに対する政府答弁も、到底十分なものとは言えませんでした。

 以上の理由から、見切り発車で成年年齢引下げを認めることは、若者の人生の選択権を広げるどころか、狭めることになりかねず、立憲民主党は、拙速で議論が尽くされていない成年年齢の引下げに反対いたします。

 最後に、安倍自公政権の基本姿勢について一言苦言を申し上げます。

 各種世論調査のどれを見ても、いわゆるモリカケ問題をめぐる安倍総理の説明に……

議長(大島理森君) 松田君、松田君、時間をオーバーしております。

松田功君(続) 大半の国民は全く納得しておりません。当たり前です。

 例えば、総理は昨日も、伝聞の伝聞だなどとあの愛媛文書をやゆしましたが、総理の、御自身の答弁こそ、昭恵夫人に私が聞いたなどと、まさに伝聞の類いであって、文書が残っているという事実への反証とは全くなっていません。

 では、どうすればよいか。簡単です。

議長(大島理森君) 松田君、時間をオーバーしております。

松田功君(続) 中村愛媛県知事もいみじくもおっしゃっておられるように、しかるべき場で、関係者から直接話を聞けばよいだけの話です。

 私たち野党がそろって、加計理事長、昭恵総理夫人を始めとした関係者の証人喚問、参考人招致を求めているのは、この問題をすっきり解決させたいからにほかなりません。

 何ゆえに与党の皆さんが、今に至るまでかたくなな、これを拒否するのか、全くもって理解に苦しみます。何か隠したいことがあるのですか。何かやましいことがあるのですか。

 安倍総理を始めとする政府・与党の皆さんの猛省を強く促し、討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 藤原崇君。

    〔藤原崇君登壇〕

藤原崇君 自由民主党の藤原崇です。

 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました民法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 本法律案は、成年年齢を十八歳に引き下げることを主な内容とするものであり、十八歳、十九歳の若者に、みずからの判断でみずからの希望する人生を歩む道を開くことで成人としての自覚を促し、少子高齢化が急速に進行する我が国社会を活力あるものにするという、大きな意義を持つ改正です。

 さらに、世界的な潮流を見ると、平成二十年時点の調査結果によれば、調査ができた百八十七の国・地域のうち、百四十一の国・地域において成年年齢が十八歳以下とされていることから、今回の改正により、我が国もその国際標準に合致することとなります。

 この成年年齢の引下げは、政治決断により導入の方向性が示されたものです。

 すなわち、成年年齢引下げが国会で議論されるようになったきっかけは、平成十二年に当時の民主党が成年年齢引下げの議員立法を提出したことによるものでした。

 その後、平成十九年の憲法改正国民投票法制定の際には、投票権を二十歳以上に付与するという与党案に対し、民主党が十八歳投票権を主張した結果、与党案が修正され、附則においては民法の成年年齢の見直しに言及されました。

 そして、この成年年齢引下げの方向性は、その後も、与野党七党が共同提出した平成二十六年の国民投票法改正法や、与野党六会派等が共同提出した平成二十七年公職選挙法改正法においても維持されてきました。

 委員会審議で、一部参考人からは、成年年齢引下げに対する要望が国民の中から上がっているとは言えないとの指摘がなされていました。しかし、これもある意味当然のことです。先ほど述べたとおり、この成年年齢引下げは、もともと与野党を超えた政治決断として取り組んできたものだからです。

 一方、委員会審議では、未成年者取消権を失う十八歳、十九歳への保護が不十分であるとか、養育費の支払いを受けている単親家庭の子供に悪影響を与える可能性があるなどの懸念が一部委員から示されました。

 しかし、まず指摘をしなければならないのは、そのような懸念に関する議論を本法律案の審議で議論をすることは時期おくれであるということです。本来、成年年齢引下げに伴う弊害の有無に関する議論は、成年年齢引下げの方向性が与野党で合意された平成十九年の国民投票法成立の段階までに行うべきことです。それを、成年年齢引下げの方向性が示され、実際に法案が提出された段階になってから、引下げには弊害が生じる可能性があるから認められないという主張は、これまでの議論の積み重ねを無にするものです。

 そして、実質的な側面を見ても、本案に関連した政府等の対応によって、若年消費者や単親家庭で育つ子供に対する悪影響が生じる可能性は大きく低減されています。

 すなわち、若年消費者の保護については、若年者に多い消費者被害事例を念頭に置いた、取消権の創設等を内容とする消費者契約法改正案が今国会に提出されました。この改正案は、その取消し対象を拡大する修正案が提出され、先般、衆議院において全会一致で可決されました。

 加えて、政府は、これまでも消費者教育や相談窓口の充実といった各種対策を実施している上、今後も消費者被害の拡大防止策に真剣に取り組んでいく意思を委員会審議において何度も表明しました。このような諸事情を踏まえると、若年消費者に対する不利益の拡大の懸念は大きく低減されたと言えます。

 また、養育費に関する紛争発生への懸念についても、政府は、成年年齢の引下げが既存の養育費に関する合意や審判に影響を及ぼすことはないとの解釈を明示しています。さらに、昨今の高い大学進学率を考えれば、今後の養育費支払い終期が直ちに十八歳にリンクするとは考えられません。そして、最高裁も、成年年齢引下げによる実務上の問題に対しては必要な対応を行う旨を答弁しています。こうした取組が浸透していくことにより、養育費に関する紛争が生じる余地は小さくなっています。

 成年年齢の引下げは、世の中の基本的なルールを大転換する取組です。当然、それに伴う各種影響が想定されますが、政府においては、各種対策を実施し、今後もさらなる取組を続けることが期待されます。

 今回の成年年齢引下げは与野党の一致した政治判断によるものです。この政治判断に基づいた取組は、今後も政治が責任を持って推進し、若者が自分の判断で自分の人生を選択できる、そのような環境の構築を更に進めることをお約束し、賛成の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 源馬謙太郎君。

    〔源馬謙太郎君登壇〕

源馬謙太郎君 国民民主党の源馬謙太郎です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました民法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論させていただきます。(拍手)

 まず初めに申し上げますが、成年年齢を二十歳から十八歳に改めること自体、あるいは女性の婚姻適齢を十六歳から十八歳に改めること自体に反対するものではありません。

 国民投票法、公職選挙法において、投票できる年齢が十八歳に引き下げられ、若い世代の声が政治や社会の決定に反映されるようになり、そのことによって若い世代の社会参加を促すことは我が国にとって大切なことだと考えますし、その若者が一人の大人として自立し、それに伴う責任を持つ年齢も同じ年齢に引き下げられることは、至って自然なことではないかと考えます。

 しかしながら、約百四十年ぶりの大きな変化をもたらすわけですから、社会の混乱がないよう、ほかの社会制度と整合性がとれるように、そして、国民全体、とりわけ当事者となる若者の意識が高まるように、環境の整備が重要になります。また、成年年齢を引き下げるということが、当人たちにとっても、日本にとっても、何がどう変わり、どんな意味を持つのかも含めて、議論を深める必要があると考えます。

 法制審議会による平成二十一年の「民法の成年年齢の引下げについての意見」の中で、選挙年齢が十八歳に引き下げられることになるのであれば、十八歳、十九歳の者が政治に参加しているという意識を責任感を持って実感できるようにするためにも、取引の場面などの領域においても自己の判断と責任において自立した活動をすることができるよう、民法の成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であると、成年年齢の引下げ自体については適当であるとしています。

 しかし同時に、引下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大などの問題点を解決する施策が実現され、かつ、それらの施策の効果が十分に発揮されていること、そしてそれが国民の意識としてあらわれていることという三つのハードルが必要だとしています。

 果たして、これらの条件はクリアされ、引下げの環境は本当に整備されたのでしょうか。

 まず、施策が実現されたかどうかです。

 例えば、最も影響が危惧されている、消費者被害が新たに成年となる十八歳、十九歳に拡大しないかという点です。消費者契約法の改正により少し前進はしたものの、その対象となる類型が余りにも限定的で、これまで未成年者取消権で守られてきた若年者を救うことは困難です。

 現在の消費者被害の件数は成年である二十歳を超えると激増しているのは、それ以下の若者が未成年者取消権で保護されてきたためです。この未成年者取消権で守られてきた十八歳、十九歳の若者を消費者被害から守る手だてが担保されているのでしょうか。

 離婚した夫婦間の養育費についても、成年年齢が引き下げられたのだからと、養育費の支払いが事実上十八歳に短縮されてしまうといったことになりかねません。そういう事態について、成年年齢と養育費の関係性は整理されているのか、関係ないのであれば、それが周知徹底されているのかどうか、対策はいまだとられていません。

 一方で、一部施策化しているもののうち、二つ目のハードルである、その効果が十分に発揮されているかどうかです。

 例えば、消費者教育についてです。

 学習指導要領が改訂され、消費者教育の充実が盛り込まれました。しかし、この新学習指導要領が高校で実施されるのは二〇二二年度の予定で、これは成年年齢引下げが施行される年です。その年に十八歳の成年となる学生たちに、その年からようやく消費者教育が充実されるのでは、施策の効果が発揮されたかどうか以前の話だと思います。

 こういう状況ですから、その効果が国民の意識としてあらわれている状況には当然至っていません。

 二〇一三年に内閣府が行った成年年齢に関する世論調査では、十八歳、十九歳の者が親の同意なしに高額な商品を購入するなどの契約をできるようにすることに対して、実に七九・四%が反対しています。実際に対象となる十八歳から十九歳の世代では、八五%が引下げの議論すら知らず、半数が関心がないと回答しています。

 このように、三つのハードルがどれもクリアされていない状況で成年年齢引下げを二〇二二年に行うのは、法制審の意見に即して見ても時期尚早ではないかと考えます。

 ほかにも論点は幾つかあります。

 二〇一五年の公職選挙法改正時の附則第十一条に従い、昨年には少年法の引下げについても法制審に諮問されました。

 法務委員会における政府からの答弁では、成年年齢の引下げが論理必然的に少年法適用年齢の引下げにはつながらないという答弁がありましたが、自立と責任を持つべき年齢が十八歳となれば、むしろ論理的に考えれば、少年法も引き下げるべきだという意見を退けることの方が困難ではないかと思いますが、この点についても整理ができていないまま、成年年齢だけが先行してしまっています。

 加えて申し上げれば、自立し、みずからの行動や契約にまで自己決定権とその責任を持たせる成年になってもお酒やたばこはなぜだめなのか、整理ができていません。そもそも政府からの答弁では、世界的に見ても成年年齢は十八歳が国際スタンダードなのだという論点がありましたが、世界的に見れば、成年年齢よりも飲酒、喫煙ができる年齢が低い国が多数ですが、ダブルスタンダードにはなりませんか。率直に理解に苦しみます。

 高額な商品をローンを組んで買ったり、クレジットカードをつくったりの判断は任される十八歳が、競馬や競輪などの公営ギャンブルは二十歳からでないとできない。公認会計士や医師免許、十年パスポートは十八歳で取れるのに、大型、中型免許は二十歳まで取れない。

 繰り返しますが、若い世代が自立し、自己決定権を持ち、社会参加し、これからの日本の中心になっていくことには賛成です。しかし、個別に対象年齢を決めることで、かえって矛盾が生じるのではないでしょうか。

 結局、成年になるということはどんなことなのかという議論が尽くされていないのだと思います。成年の定義とは、消費者契約ができるようになる年齢ということではないはずです。そうした経済的な自由と自立のみならず、みずからのさまざまな行動の自由とそれに伴う責任、投票し、社会に参加する資格と責任を持つことなど、それらが本当の意味での成年、大人になるということではないでしょうか。

 法律上、若者を成年として扱うというときには、もちろん、結局、どこかで線は引く必要はあります。何歳から大人として扱い、自立を促し、社会参加とともに経済活動の自由を与え、そして責任を持たせるのかという骨太の議論をすべきだと思います。この国が、どこからを大人とするのか、若者に責任と自立を与えるのか、そこをぜひ議論したいと思います。

 同時に、成年と未成年の線が引かれることで生じる問題点や懸念などからどうやって若者全体を守っていくのか、その整備こそ先にしていくべきだと思います。

 こうした議論がまだまだ十分進んでいない現状において、民法上の成年年齢だけが引き下げられることは、本当の意味で若者を自立させ、将来の国づくりの中心になってもらうことにつながらないのではないかという懸念を表明して、反対討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 國重徹君。

    〔國重徹君登壇〕

國重徹君 公明党の國重徹です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました民法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 若者を社会の中でどのように位置づけ、いかなる権利や責任、役割を与えていくのか。これがひいては、その国のあり方、社会の方向性を示す一つの指標になります。

 G7等の主要国を含め、十八歳成人は今や世界の主流です。

 少子高齢化が急速に進む我が国においても、未来を担う若者が、政治、経済、文化といったさまざまな分野にかかわり、より主体的、積極的に活躍していくことが期待されます。そのためには、若者の自己決定権を尊重するとともに、若者が安心して活躍できる社会の土台、環境を整えていくことが必要です。

 このようなことから、平成十九年、憲法改正国民投票法の制定の際に、与野党を超えた立法府の意思として、選挙権年齢や成年年齢も二十歳から十八歳に引き下げることが望ましいという政策の大きな方向性が示されました。それをもとに、選挙権年齢は既に十八歳に引き下がっています。

 なお、それに先立つ平成十二年、成年年齢の引下げ等に関する法律案を衆議院に提出したのは、自由民主党でも公明党でもなく、当時の民主党であります。そして、法制審が「民法の成年年齢の引下げについての意見」を答申した後の平成二十六年、憲法改正国民投票法の改正案の審議においても、当時の民主党議員から、私あるいは私どもは、今回の機会に選挙権年齢も投票権年齢も成人年齢も一気に十八歳にしてしまうことの方が望ましいと今も思っています云々と、速やかな成年年齢の引下げに向けた強い意欲が示されるなど、与野党を超えた多くの政党間でその必要性の認識が共有されてきました。

 本改正案は、そういった与野党を超えた大きな政策決断の流れに沿った改正であって、立法府が責任を持って成立させるべきものであり、世界の趨勢、我が国の将来を見据えた上でも必要な法案であることから、賛成をいたします。

 他方で、成年年齢の引下げは、積極的な意義がある反面、さまざまな懸念も示されており、これらの指摘には真摯に耳を傾ける必要があります。

 そして、引下げに伴う環境整備の取組に不十分な点があったとすれば、その責任は政府だけでなく立法府にあることを我々は強く自覚し、約四年後の二〇二二年四月一日の施行日に向けて環境整備を加速させなければなりません。

 とりわけ、委員会審議で強い懸念が示されたのは、消費者教育や若年消費者を保護する施策がこれまでのものでは不十分であり、十八歳、十九歳の若者に対する消費者被害が拡大するのではないかという点です。

 この点、若年者への消費者教育に関しては、本年二月二十日の四省庁関係局長連絡会議で、新たに、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムが決定されました。関係省庁が横連携し、二〇二〇年までの三年間を集中期間として取り組むことで、これまで以上に消費者教育が強力に推進されることになります。

 この内容は、消費生活専門相談員として四十年間奮闘されてきた参考人からも、今まで私たちが求めていたものが網羅されている、これまでにない飛躍的な前進などと高い評価と強い期待を受けるものとなっております。

 また、若年消費者を保護する施策については、社会経験が乏しい若年者などを対象として、契約取消しの範囲を拡大する消費者契約法改正案が先日、衆議院において全会一致で可決されたことは、御存じのとおりであります。

 加えて、政府は、今後も、若年者の消費者被害の状況等を把握し、これを踏まえて、必要に応じた法整備を含めた検討を行うこととしております。

 このような国を挙げての取組が加速されていくことで、若年者の消費者被害の拡大防止に向けた施策が更に強化されることになります。

 委員会審議では、さまざまな事情により親元で暮らせない子供たち、社会的養護を必要とする子供たちへの支援が切り下げられるのではないか、中でも、児童養護施設に入所できる年齢上限について、必要に応じて二十歳まで延長できるとされていることが、本改正を機に引き下げられるのではないかとの懸念も示されました。

 しかし、これについては、政府より、支援の必要性を考慮し、現行の要件を維持することとしていること、本法案が成立した場合には、現場の懸念が生じないようその周知を図ること、そして、社会的養護が必要な子供たちに対するより一層の支援に取り組んでいくとの明確な答弁を得ており、この懸念は杞憂にすぎません。

 ほかにも、成人式の時期やあり方など、成年年齢の引下げを見据えたさまざまな環境整備が必要となりますが、これらを政府一体となって責任を持って進められるよう、我が党の提案、強い主張を受けて政府が先月設置したのが、これに関する関係府省庁連絡会議であります。

 この連絡会議では、既に、約四年後の本法案の施行日に向け、環境整備を確実に実施するための工程表も作成しており、今後、それに沿って進捗管理をすることになっております。また、その進捗状況を関係府省庁だけではなく我々立法府もチェックできるよう、会議の議事録を作成し、法務省のホームページで公開されることも決まっております。

 更に注目すべきは、委員会審議で与野党を超えて共有された視点、すなわち、成年年齢になったからといって直ちに完成された大人になるわけではない、成年年齢は大人への入り口であって、いまだ成長過程にあることから、自己決定権とともに、それぞれに応じた支援、保護が必要である、この重要な視点を、関係府省庁連絡会議において、各施策に取り組む際の共通認識として打ち出すことを、同会議の議長である上川法務大臣が答弁で強く明言したことであります。

 今般の成年年齢引下げを機に、この視点に立った若者支援に関する大きな政策転換、政策強化が進められていくという意味からも、本改正案は極めて意義あるものと言えます。

 なお、十八歳が成年になったとしても、大人として自立するための保護と支援が必要であるという考え方は、保護政策の一環である少年法にも共通することから、その適用対象年齢の引下げを慎重に考えるべきことは当然であります。

 最後に、改めて申し上げます。

 成年年齢の引下げは、与野党を超えた立法府の主導で決められたものであります。単に十八歳、十九歳の若者の自己決定権が拡大するということにとどまらず、本改正を機に、真の意味で若者がより活躍できる社会をつくっていくことができるかどうか、それは、これからの我々立法府、そして政府の取組にかかっております。

 与野党を超えてこれに関する真摯な取組がなされることを期待し、また、みずからも立法府の一員として、引き続き責任感を持って本件に取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、民法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。(拍手)

 本法案は、成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げるものです。未成年者であっても、人として、成年と同様の基本的人権を有しており、その自己決定権は十分に尊重されるべきです。本法案が成年年齢を十八歳に引き下げることは、十八歳、十九歳の若者の自己決定権を拡大するという積極的な意義を持つものです。

 国際的にも、欧米諸国等多くの国が十八歳を成年としており、成年年齢の引下げは、こうした国際社会の趨勢にも合致するものです。

 また、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることは、両性の平等の観点から当然です。

 しかしながら、現時点においては、成年年齢引下げに伴う問題が存在しており、それに対する対策は十分とは言えません。

 とりわけ、本法案により、十八歳、十九歳の若者が未成年者取消権の保護を外される点は問題です。

 未成年者取消権は、未成年であることを証明するだけで、だまされたとかおどされたと立証するまでもなく契約を取り消すことができるものであり、消費者被害を抑止する防波堤とも言われています。日弁連や消費者団体からは、十八歳、十九歳の若者が未成年者取消権の保護から外されれば若者の消費者被害が増加するとの強い懸念が示されています。

 安倍総理は、今国会の施政方針演説で、「成人年齢を十八歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぎます。」と述べました。しかし、参議院で審議中の消費者契約法が定める取消権は幾つかの類型に限定されており、しかも、過大な不安など、厳しい要件の立証が必要になります。総理が言う、若者を狙った悪質商法の防止には、いまだ不十分です。

 二〇〇九年の法制審の最終報告書では、若者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれを解決する施策が実現されること、これらの施策の効果が十分に発揮されること、施策の効果が国民の意識としてあらわれることを条件としています。

 法務委員会で行われた二回の参考人質疑では、十人の参考人のほとんどが、この三つのハードルについて、道半ば、あるいはクリアできていないと述べています。現時点で成年年齢を十八歳とすることは、積極的な意義がありながらも、想定される問題の解決に至っていないと言わざるを得ません。

 成年年齢をどうするかは、若者のみならず、日本社会のありようにかかわる大問題です。国民的な議論が必要であることを指摘して、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 私は、我が党を代表して、民法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 言うまでもなく、成人年齢の見直しは、国家だけではなく、本人の人生にとっても大きな問題です。

 民法に先駆けて、国民投票法そして公職選挙法が見直され、選挙年齢が十八歳に引き下げられました。これらの参政権の年齢引下げと成人年齢の引下げとは、本来であればセットで考えるべき事柄でした。

 本法案においては、酒、たばこ、ギャンブルなど健康や心身に影響する事柄については二十歳以上とする要件を維持した上で、成人年齢が十八歳に引き下げられることになり、適切な対応であると考えています。

 一方、本法案成立によって新たに成年となる十八歳、十九歳の方々が、社会生活上の経験が乏しいことから、トラブルに巻き込まれることも心配されます。その政策として、消費者契約法の見直しが行われることになりました。

 保護を重視して年齢引下げに反対すべきか。それとも、少子高齢化が見込まれる中、若いころから社会に関与し、社会の一員である意識を深く持つことを期待すべきか。私は、国際社会の一員として、諸外国に対抗するために、成人年齢の引下げは必要なことと考えます。

 また、日本維新の会は、かねてから、選挙権だけではなく被選挙権も十八歳に引き下げるべきと主張しています。

 日本の未来をつくっていくためには、若者の意見を取り入れることが重要であることを理解すべきであり、社会もそのための受入れ準備を進めるべきです。

 参考人質疑の中で、諸外国では、地方議員が十八歳からという例も多くあるばかりか、さらなる引下げの議論がなされており、我が党の主張を裏づける実態が明らかになりました。

 私からは、一点注文をさせていただきます。

 既に成立をしている離婚調停では、養育費の支払いが、成人に達するまでと記載されている例が多く見られます。この読み方が十八歳に変わったと勘違いする例は多く出てくる可能性があります。

 法務省は、質疑で、これは二十歳までということが当事者の大方の意思であるとの回答がありました。しかし、支払いがとまったときに、裁判まで踏み出せず、泣き寝入りするしかないことが想定されます。

 無用な争いを再現させないために、法解釈についても十分な周知徹底をお願いし、私からの賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

田野瀬太道君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会されることを望みます。

議長(大島理森君) 田野瀬太道君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣    上川 陽子君

       文部科学大臣  林  芳正君

       国土交通大臣  石井 啓一君


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