衆議院

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第5号 平成30年11月13日(火曜日)

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平成三十年十一月十三日(火曜日)

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  平成三十年十一月十三日

    午後二時 本会議

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本日の会議に付した案件

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後二時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣山下貴司君。

    〔国務大臣山下貴司君登壇〕

国務大臣(山下貴司君) 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきています。

 このため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められております。

 また、我が国を訪れる外国人は増加を続け、平成二十九年の外国人入国者数は約二千七百四十三万人と過去最高を更新しており、我が国に在留する外国人数も、平成三十年六月末現在では、過去最多の約二百六十四万人となっています。

 このような中、厳格な入国管理と円滑な入国審査を高度な次元で両立し、特に、増加する外国人に対する在留管理を的確に行っていくことが求められております。

 この法律案は、以上に述べた情勢に鑑み、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正するものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する一定の専門性、技能を有する外国人の受入れを図るため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、当該技能を有する外国人に係る在留資格、特定技能一号及び特定技能二号を設けるとともに、基本方針及び分野別運用方針に関する規定など、外国人を受け入れるプロセスに関する規定、外国人に対する支援に関する規定、外国人を受け入れる機関に関する規定等を整備することとするものです。

 第二は、新たな在留資格の創設に伴う在留外国人の増加に的確に対応しつつ、外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整といった新規業務に一体的かつ効率的に取り組む組織として、法務省の外局に出入国在留管理庁を新設することとするものです。

 その他所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

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 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田所嘉徳君。

    〔田所嘉徳君登壇〕

田所嘉徳君 自由民主党の田所嘉徳です。(拍手)

 政府の積極的な経済政策により日本経済は著しい回復を見せており、名目GDPが六十兆円、名目の国民総所得が六十七兆円増額し、地方税収に至っては過去最高になっています。

 有効求人倍率は四十四年ぶりの高水準にあり、雇用の安心感には隔世の感があります。

 しかし、一方で、深刻な人手不足を来している分野もあり、介護などでは有効求人倍率が三倍以上、建設業に至っては十倍を超えるものがあります。特に、中小・小規模事業者の中には深刻な人手不足に陥っているところも多く、現在の雇用情勢では人手不足倒産が過去最多になるという民間の調査報告もあります。

 そうした中、各方面から、外国人材の受入れを積極的に進めてもらいたいとの強い要望が出されていると承知しています。

 このような中、政府は、いわゆる単純労働者の受入れについては、第九次雇用対策基本計画等において、国民的なコンセンサスを踏まえることが必要としつつ、本年六月、骨太の方針において、一定の専門性、技能を有する、即戦力となる外国人材について受入れを図る方針を打ち出しました。

 私は、このような仕組みの構築は、深刻化する人手不足に一定の対処を図るものとして評価するとともに、極めて緊急性の高いものであると考えています。

 そこで、政府はなぜ今この新しい制度を導入すべきと考えたのか、単純労働者の受入れとはどう異なるのか、受入れ見込み数について確かに数値が示されるのか、そして、その見込み数は受入れに当たっての制限となるのかについて、総理にお伺いいたします。

 次に、外国人労働者が増加すると、日本人の雇用を奪い、給与の上昇を妨げ、犯罪が増加するのではないかとの懸念を示す向きがあります。このような懸念を払拭するための方策をどのように考えているのか。さらに、即戦力となる者を必要に応じて受け入れるという趣旨からすれば、人手不足が解消された場合に日本人の雇用を守ることを考慮しておかなければなりませんが、本制度の施行後において、受入れを認めない措置を機動的にとることができるのでしょうか。法務大臣にお伺いをいたします。

 今回、新たに特定技能という在留資格を設けることとされています。特定技能一号は、相当程度の知識又は経験を必要とする技能、さらに、一定程度の日本語能力を有する者とされており、これらの基準いかんでは、外国人に過度に大きく門戸を開くことになってしまいます。

 これらの基準についてどのように考えているのか、法務大臣にお伺いをいたします。

 次に、特定技能二号について、雇用契約の締結によって在留期間の更新が可能となる、また、家族の帯同も認められるとされています。これでは自動的に永住者になるのと同じではないかとの危惧する声が上がっております。

 特定技能二号は、我が国への大きな貢献が期待できる者が対象となるべきであり、極めて厳格な要件のもとで進められる必要があると考えます。

 この点、どのような対応をされるのか、法務大臣にお伺いをいたします。

 技能実習制度において、無断で実習先を去ってしまい、その行方が捕捉できない者がいることは、大きな問題です。

 今般の外国人材受入れについて、同様の問題が発生してはならないと思いますが、この点についてどのような対策を考えられているのか、法務大臣にお伺いをいたします。

 さらに、外国人材の増加に伴い、日本人と同じ社会保障制度のもとで、母国の家族にまで給付義務が生じるのではないか、医療保険が乱用されないかなど、我が国の社会保障制度への影響が心配されています。

 ついては、政府として総合的対応策の中でどのようにしていくのか、法務大臣にお伺いをいたします。

 最後に、今回の外国人材の受入れ拡大について、一部報道では、移民政策への転換などと表現されています。そのまま受けとめれば、欧州の一部で発生している移民問題と同様のことが日本にも起こるのではないかとの不安が生じてしまいます。

 政府は、今回の新たな在留資格の創設が移民を受け入れることには当たらないものだと説明されていますが、この点についての法務大臣の認識をお伺いいたします。

 以上です。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 田所嘉徳議員にお答えをいたします。

 新たな外国人材の受入れについて、単純労働者との相違及び受入れ見込み数についてのお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、アベノミクスの推進により、成長から分配への経済の好循環が着実に回りつつある中、有効求人倍率が四十四年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化の影響により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少しており、現下の人手不足の状況は深刻な問題となっております。

 これは早急に対応すべき喫緊の課題であることから、今回、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお労働力が不足する分野に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れることとしたものであります。これは、現行の専門的、技術的分野における外国人受入れ制度を拡充したものであり、従来の基本方針を変更するものではありません。

 具体的な受入れ見込み数については、各業所管省庁において現在精査中ですが、今回の法案審議に資するよう、近日中に業種別の初年度と五年後の現段階での受入れ見込みの数をお示しする予定です。

 お示しする数字は、制度の趣旨に沿って、業界ごとに異なる雇用情勢……(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 政策的な要素等、業界の特性、事情を踏まえ、さらに、当該分野において、一定の専門性、技能を有する外国人材を確保する実現可能性も勘案しながら受入れ見込み数を推計したものとなります。したがって、大きな事情変更がない限り、この数字を超えた受入れは行われないことから、その意味で、受入れ数の上限として運用することとなります。

 政府としては、法律に基づいて政府が策定することとされている分野別運用方針において、更に精査の上、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていく予定です。

 分野別運用方針に明記する数字は、受け入れる業種における大きな経済情勢の変化、つまり各業種の雇用情勢全般にかかわる事項についての大きな変化が生じない限り、五年間は受入れ数の上限としてこれを維持することとなります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣山下貴司君登壇〕

国務大臣(山下貴司君) 田所嘉徳議員にお答え申し上げます。

 まず、外国人労働者の増加による日本人の雇用への影響、犯罪増加等への影響に対する懸念を払拭するための方策、そして受入れ一時停止措置についてお尋ねがありました。

 今回の受入れは、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、当該分野の存続、発展のために外国人の受入れが必要な分野に限って行うことが大前提となっています。

 加えて、受入れ分野を所管する業所管省庁が人手不足状況を継続的に把握し、生産性の向上や国内人材確保の取組の状況や人手不足の状況を適切に判断した上で、臨機に受入れの停止措置をとることとしており、制度上、日本人の雇用に影響を与えないよう十分に配慮しています。

 治安について申し上げますと、十年前と比べて、我が国への入国者数は約三倍、在留外国人数は約一・二倍と増加していますが、例えば、来日外国人の刑法犯の検挙件数は約半分にまで減少しています。

 もとより、不法滞在者や不法就労者対策を含め、治安への十分な配慮を行うことは重要であり、引き続き警察や厚生労働省等の関係機関と連携してまいります。

 なお、今後は、出入国在留管理庁を新たに設置して管理体制を抜本的に強化し、また、関係機関との情報連携等も一層充実させ、国民の皆様に不安や懸念を与えることのないよう適切に取り組む所存です。

 次に、特定技能一号の、相当程度の知識又は経験を必要とする技能及び一定程度の日本語能力を要するとされているところ、これらの基準についてどのように考えているのかについてお尋ねがありました。

 特定技能一号における相当程度の知識又は経験を必要とする技能とは、その技能水準に達するために相当期間の実務経験等を要するものをいいます。例えば、技能実習二号修了者は、三年間の実務経験を積んで一定以上の技能や知識等を修得していますので、少なくともこの程度のレベルであれば特定技能一号の技能水準を満たすものと考えています。

 また、求められる日本語能力については、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本とした上で、受入れ分野ごとに業務上必要な日本語能力を考慮して具体的に確認することにより測定することとしています。

 したがいまして、特定技能一号については、このような技能水準及び日本語能力に達していることが必要となるため、外国人に過度に門戸を開くといった状況にはならないと考えています。

 次に、特定技能二号に対する対応についてお尋ねがありました。

 特定技能二号は、改正法案において、熟練した技能と規定しているところ、現行の専門的、技術的分野における在留資格に必要とされる技能と同等又はそれ以上の技能が求められるものであり、高い専門性を有していることを難度の高い試験によって確認される必要があることから、その受入れのハードルはかなり高く、より限られた人数になると考えています。

 次に、今般の外国人材の受入れ拡大において、技能実習制度における失踪問題のような事案を発生させないため、どのような対策を考えているのか、お尋ねがありました。

 技能実習生の失踪問題については、より高い賃金が得られる就労先を求めて失踪するケースがあると認識しています。今回の受入れ制度においては、技能実習制度と異なり、入国、在留を認められた分野の範囲内での転職が認められるため、より高い賃金を得たいと思えば、失踪することなく、就業先を変更することができます。

 また、保証金の徴収等の有無を厳格に確認し、日本人との同等報酬をしっかりと確保するほか、新たな制度では、特定技能一号の外国人に対して、受入れ機関の、又は登録支援機関による各種支援を実施することとしており、これにより、特定技能一号の外国人が、失踪することなく、安定的かつ円滑な在留活動を継続することが期待されるところです。

 加えて、今般、出入国在留管理庁を新たに設置して在留管理体制を抜本的に強化することとしており、制度の運用開始後は、出入国在留管理庁において、各種届出に係る情報等を踏まえ、受入れ機関に対する指導助言等を適切に行うとともに、警察等関係機関と緊密に連携し、失踪防止に努めてまいります。

 次に、外国人材の増加に伴い、医療保険が乱用されるなど、そのような我が国の社会保障制度への影響について、政府として総合的対応策の中でどのように対処していくのか、お尋ねがありました。

 御指摘の点については、現状の問題として認識しているところ、外国人との共生社会を実現するためには、外国人に社会保障制度を始めとする我が国の諸制度を正しく理解して適切に利用してもらうことが重要であります。

 そのような観点から、現在、取りまとめを進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の検討の方向性においては、関係行政機関の連携等による加入促進、医療保険の不適切使用の防止ということが特に明示されており、そのため、関係行政機関が的確に連携し、専ら医療を受けるため偽って在留資格を取得した者について在留資格を取り消すこと、被扶養者の認定方法を厳格化すること、我が国の諸制度を正しく理解してもらうために生活ガイダンス等を実施することなどの各施策を進めることとしており、我が国に受け入れる外国人により社会保障制度等の諸制度が適正に利用されるよう、関係省庁と連携して対応してまいります。

 最後に、今回の外国人材の受入れ拡大が移民の受入れに当たらないとする点の認識についてお尋ねがありました。

 いわゆる移民の概念は多義的なものであります。政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人及びその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持しておこうという政策をとることは考えていません。

 今回の制度改正は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、真に必要な分野に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限を付して受け入れるものであって、先ほど申し上げたような政策とは明確に異なるものであり、いわゆる移民政策をとるものではありません。(拍手)

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議長(大島理森君) 山尾志桜里君。

    〔山尾志桜里君登壇〕

山尾志桜里君 立憲民主党の山尾志桜里です。

 立憲民主党・市民クラブを代表して、入管法一部改正案に対して質問いたします。(拍手)

 移民国家と言われるスイスの小説家マックス・フリッシュは、このように述べています。我々が欲しかったのは労働者だが、来たのは人間だった。

 これまで日本社会は、日本で働く外国人の四割以上を技能実習生あるいは留学生と呼び、労働者として受けとめることすら拒んできました。ましてや、生身の人間、生活者として尊重し、ともに生きる環境整備は、本格化するのがこれからです。

 この根本的な問題を放置したまま、人材不足を理由に、粗雑な新制度を提示し、日本社会としての議論も準備も成熟しない状況で受入れ拡大にかじを切ることに大きな警鐘を鳴らします。

 既に約百二十八万人の外国人が国内で就労しているにもかかわらず、就労を目的としたビザで正規の労働者として働いている外国人は、その一八%にすぎません。建前と実態の乖離を制度的なごまかしのパッチワークで継ぎはぎしていることが、技能実習生に対する深刻な人権侵害を生じさせています。旅券の取上げや強制貯金、賃金不払いやハラスメントなど、重大な問題を抱えたこの制度を温存したまま新制度を連結させ、さらなる問題の深刻化、拡大に目をつぶる本法案を、このまま見逃すことはできません。

 また、労働者は生身の人間です。仕事が終われば、職場の出口の先には生活があります。家に帰れば家族団らんという心のよりどころを必要とし、病気になれば治療を必要とし、出会いがあり、結婚があり、子供を持ち、その子供たちは学校に通い、いつしか人は、国籍を問わず、生まれ育った町、住みなれた町への愛着を持ちます。

 生活者としての外国人を社会に包摂することに失敗すれば、日本国内に分断と排除の構図を生み出します。社会保障、家族帯同、学校教育、永住資格、こうした根本的な問題から目をそらして、外国人の受入れだけをなし崩し的に拡大することがあってはなりません。

 この国会は、まず、受入れ拡大が日本社会の財政、雇用、医療体制や年金制度、教育現場や地域コミュニティーなどに与える多面的な影響をきちんと予測し理解するスタートラインとするべきです。この作業を法案成立後に先送りにして、大きな政策変更を拙速に決断すれば、必ず禍根を残します。ましてや、移民ではない、単純労働は入れないと言い切ることで、大きな変更を小さく見せ、あるべき議論を封じることは無責任です。

 日本で働く外国人の受入れ拡大を議論するのであれば、現行制度のごまかしを改め、労働者としての権利を保障すること、さらに、生身の人間として社会の一員として受け入れる社会インフラを確立することが不可欠であり、現時点で本法案を見る限り、この必要なハードルを越えるだけの質を持った法案とは見えないということを冒頭申し上げます。

 まず、技能実習制度に象徴される現行制度の深刻な問題について質問します。

 日本で働く外国人約百二十八万人のうち、約二割の二十五万人が技能実習生の名のもとの労働者です。

 先日、技能実習生当事者の声を院内で聞きました。異国の国会で、たくさんの議員やメディアに囲まれる中、今なお続くつらい状況を訴えることは、どれだけの勇気が必要だったでしょう。

 技能実習という名のもとに、安い、使い捨ての穴埋め労働力として外国人を利用するような制度設計は、国家の品格にかけて見直すべきです。

 きょうは、この国会に当事者の方々もいらしていると聞いています。

 安易な新制度による受入れ拡大の前に、建前と実態の乖離、職場移動の自由の否定、中間搾取と人権侵害を許す受入れ制度、こうした問題をいかに解決するつもりか、お答えください。

 平成二十九年における失踪者は、過去最高の七千八十九人に上ります。法務省は、把握できた二千八百九十二人に対して事情を聴取していますが、その分析結果が余りにお粗末です。

 最低賃金以下あるいは契約賃金以下しか支払いを受けられなかったという訴えを、より高い賃金を求めて失踪したとして二千五百十四人に含めて一くくりにし、失踪原因の八六・九%を占めると分析しています。そして、その上で、以下のように結論づけています。より高い賃金を求めて失踪するものが多数、技能実習生に対する人権侵害行為等、受入れ側の不適正な取扱いによるものも少数存在と。

 総理にお伺いします。

 最低賃金以下の支払い、契約賃金以下の支払いは、受入れ側の不適正な取扱いそのものだと思うのですが、異なる認識でしょうか。これらは、より高い賃金を求めて失踪した実習生側のひとりよがりの主張なのですか。

 最低賃金以下、契約賃金以下の支払いしか受けられなかったと訴えた人数は、本当はそれぞれ何名なのでしょうか。失踪者が激増しているという異常な状況の中で、政府は、いつ、この貴重な聴取結果を分析し、公表する予定なのでしょうか。

 あわせて、人権侵害行為を技能実習生側の責任に転嫁するような意識の政府だけに、この分析と解決策の立案は任せられません。したがって、プライバシーに係る部分は配慮していただいて構いませんので、聴取票そのものを早く提出していただく必要がありますが、いつになるのかお答えください。

 新制度について、総理は、移民政策ではないと繰り返しています。移民政策か否かと論点を単純化することは、充実した議論の足を引っ張るばかりです。ただ、総理みずからが移民政策ではないとの発信をしている以上、総理がいかなる理由で何を否定しているのか知る必要があります。

 そこで、伺います。

 移民とは社会で多義的に使われていることは理解しています。ですから、焦点を絞ります。総理が、十月二十九日の本会議における枝野議員に対する答弁で、この法案の説明において否定した移民政策とは何かをお答えください。総理自身の本会議での特定の発言における移民の定義を聞いておりますので、例えばという枕言葉がつく説明は成り立たないことを付言します。その上で、なぜそこまで移民政策であることを必死に否定したいのか、お答えください。

 また、総理がいわゆる例示として利用する定義は、米国やカナダの定義とも、国連で使われている定義とも、OECDで使われている定義とも異なります。総理独自の定義なのか、それとも、同様の定義を用いている組織や学説があるのであれば、その具体をお答えください。

 なお、繰り返しますが、移民政策は許されず、移民政策でなければ許されるというような論点整理は不毛です。私たちは実質を議論したいと思っています。

 例えば、新制度の特定技能一号及び二号における就労資格は、それぞれ、永住許可に関するガイドラインの就労資格をもって五年以上在留していることに該当し得るのですか。お答えください。

 該当し得るのであれば、法務大臣の裁量の範囲内とはいえ、新制度による特定技能労働者が永住者となる新たなルートが開かれたことになります。それを、移民政策と、入り口と呼ぶかどうかが重要なのではありません。総理自身の政策選択とその理由を明示し、国会の議論に臨んでいただくことが大切なのです。批判を恐れて政策決定の明示から逃げ、移民政策ではないという無意味なワンフレーズでごまかすことはやめるべきです。

 なお、法務省は、この点、検討中であり、検討終了は法案が成立した後であると私たちの部会で言っておりました。この方針は今も維持されるのですか。維持されるのであれば、なぜこの法案の核心部分の一つについて検討終了を法案成立した後にあえて持ち越すのか、合理的な理由をお答えください。

 もう一つ、総理は、今回の新資格の参入業種につき、単純労働ではないと答弁しています。単純労働への受入れ拡大が移民政策だと批判されることを恐れ、実質はいわゆる単純労働と分類されるのが自然な業種にもかかわらず、専門的、技術的分野であると強弁するのは、責任ある態度とは言えません。しかし、総理みずからが否定する以上、私たちとしては、総理がいかなる理由で何を否定しているのか知る必要があります。総理の言う、この単純労働とは何でしょう。

 法務省は、例えば土を右から左に移動させるだけの仕事と会議で言っていましたが、これは例示として適切なのですか。ティッシュ配りもこの単純労働として例示されていましたが、それは適切なのですか。そのほか、今の日本社会で特段の技術、技能、知識又は経験を必要としない単純労働が存在するというのであれば、その具体をお示しください。

 単純労働には拡大しないという建前に固執して、比較的熟練を要しない仕事の中に無理やりラインを引き、その一部の仕事を単純労働と切り分けることは、仕事をめぐる日本社会の価値観や労働者の尊厳に悪影響を及ぼすことを非常に危惧いたします。

 また、あわせて、政府のロジックを前提とすれば、特段の技術、技能、知識、経験を必要としない極めて限定的な労働は外国人に拡大せず、日本人だけにとっておくという政策になります。いわば、誰でもできる仕事は日本人枠にとっておき、そうでない仕事は外国人にも拡大する、こういった方向性を目指す法案だということでいいのでしょうか。違うのであれば、何が違うのか、お答えください。

 現在、特定技能について受入れを要望している業種として、十四業種が公表されています。この要望把握プロセスは、当然のことながら、たまたま省庁にパイプを持つ業界団体だけが声を届けられるという手続であってはなりません。真に人手不足で、業界団体としての組織運営もままならず、政治献金などもできない業界がこぼれ落ちる手続であってはならないと考えます。

 再三法務省に対し、このプロセスを公表するよう要請していますが、いまだお答えがありません。仮に手続に偏向性があるのであれば、軽減税率同様、業界団体と政治の癒着構造の温床たる制度の発足ともなりかねませんし、当然のことながら、手続を正当にやり直していただく必要があります。

 そこで、この要望把握プロセスの透明性と公平性について、いかなる手続で担保したのか、お答えください。

 私たちは、充実した議論の前提として、この新制度に基づく受入れ見込み数と内訳を求め続けていますが、出てきていません。一週間以上前の予算委員会でも、本日の法務委員会でも、そしてこの場で総理も、現在精査中であると。そして、大臣は、法案の審査に資するようにしっかりと出していきたいと、これは法務大臣が述べております。

 しかし、他方で、この午前中にも、精査中であるはずの見込み数が複数のメディアで既に報道されております。この報道が誤報でないとするならば、精査中といいながら実は精査は終わっており、立法府に提示する前にメディアに提示されていたということにもなりかねません。極めて重大な問題であると指摘します。

 もとより、本日、法案の趣旨説明がなされたにもかかわらず、正式な数字が出ていないため、審査に資するこのテーマに関する質問が残念ながらできません。いつ出されるのでしょうか。お答えください。

 また、その見込み数について、受入れ分野別に数字が出なければ合計数は出てこないはずですので、分野別に提示がいただけるとの認識でよいでしょうか。

 さらに、その根拠として、分野の選定基準や選定結果、受入れ見込み数の把握手法も御提示ください。

 あわせて、見込み数とは別に、段階的で丁寧な受入れにより社会的包摂を進めていくためには、初年度含めて上限規制を検討すべきだと考えますが、この検討余地があるのかないのか、お答えください。

 なお、さきに総理から、推計を上限として運用するなどという答弁がございましたが、このようなごまかしではなくて、正面からこの上限規制についても検討すべきだと考えます。

 総理は、新たな外国人材の受入れに当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保いたしますと述べています。

 そこで、質問です。

 総理は、ある分野における外国人の受入れ拡大が、その分野を担ってきた日本人の賃金水準を今より下げないということまで約束しているのでしょうか。そうであるなら、賃金水準が下がらないことの制度的担保を説明してください。

 それとも、今の賃金水準は下がることがあるかもしれないが、日本人と外国人に同等の賃金を確保するという約束にすぎないのでしょうか。そうであれば、つまり、外国人労働者の受入れ拡大は、労働者の賃金低下という代償のもと、雇用主に利益を与えるという方向での富の再分配政策ということになるのではないでしょうか。この問題点につき、総理の見解をお述べください。

 本制度の提案と並行して、健康保険が適用される扶養家族や厚生年金の受給資格を得られる配偶者に関し、国内居住要件を付す検討がなされているとの報道があります。

 この点、一方で特定技能一号では家族帯同を認めないとしながら、他方で国内に居住しない限り家族に社会保障サービスを与えないとすることの緊張矛盾関係があるとするなら、これをいかに検討するつもりなのでしょうか。お伺いをいたします。

 なお、特定技能二号に関しては、家族帯同が可能になり在留期間更新の上限がなくなるなど、日本社会とのきずなが深い社会の一員となっていくことを促進していくたてつけとなっています。しかし、一方で、人手不足が解消すれば更新を認めないとする矛盾した制度になっています。

 一旦家族ごと社会に包摂しながら、あくまでも人手不足の調整弁たる性質が残存することの制度矛盾をいかに解消するつもりなのか、説明を求めます。

 冒頭に小説家の言葉を紹介いたしました。我々が欲しかったのは労働者だが、来たのは人間だった。

 生身の人間、生身の個人を我々の社会に受け入れて包摂するための制度設計は、少数者の人権に深く関与するものである以上、時の多数派のみの議論で押し切ってはなりません。物ではなく、単なる労働者でもなく、外国から人間を受け入れることは、社会のあらゆる制度や価値観という、この国の形に不可逆的な変化を与え得るものであります。

 外国人という潜在的な少数者の受入れの問題を、私たち日本人が、そして日本国家がどのような価値観で受けとめるのかという極めて重大な国家の方向転換に当たっては、必要な視察や参考人質疑を含め、真剣かつ充実した議論が必要です。私たちは、その議論のプレーヤーとしての役割をしっかり果たすことをお約束いたします。

 必要な審議時間の確保を前提とするのであれば、今国会での成立はあり得ません。真剣な議論をいたしましょう。

 以上、代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 山尾議員にお答えいたします。

 技能実習制度の問題及びその解決策についてお尋ねがありました。

 技能実習制度は、技能等の移転による国際貢献を目的とする制度でありますが、一部の監理団体や受入れ企業において賃金不払いや長時間労働等といった労働関係法令違反等の問題が生じていると承知しています。

 そこで、昨年十一月に施行した技能実習法により設立した外国人技能実習機構のもと、受入れ企業等に対する実地検査や技能実習生に対する母国語相談対応等の取組を進めておりますが、今般新設する出入国在留管理庁のもとで、在留管理を抜本的に強化していくこととしております。

 これら取組を通じて、引き続き、技能実習制度の適正化及び技能実習生の保護を図ってまいります。

 失踪技能実習生からの聴取結果の取扱いについてお尋ねがありました。

 お尋ねの聴取票につきましては、失踪した技能実習生、すなわち入管法違反の容疑で刑事訴追を受けるおそれがある者から任意に聴取した内容を記したものです。今後の調査等への甚大な影響や個人のプライバシー保護の観点から、聴取票そのものの開示は困難であることを御理解いただきたいと思います。

 また、聴取票を取りまとめた結果の公表に関しては、調査項目及び調査結果の内容も踏まえ、公表を控えるべき項目の有無を含めて慎重に検討を行っているところです。

 技能実習生の失踪者等の問題については、昨年十一月に施行された技能実習法のもと、二国間取決めによる送り出し機関の適正化等による対策を進めておりますが、今般新設する出入国在留管理庁のもとで、在留管理が抜本的に強化される中で、しっかりと対応してまいります。

 移民の定義についてお尋ねがありました。

 移民という言葉はさまざまな文脈で用いられており、明確に定義することは困難ですが、安倍政権としては、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとするといった政策、いわゆる移民政策をとる考えはありません。

 こうした政策をとることは、我が国の将来の形や国民生活全体に関する問題として、国民の中にさまざまな御意見がある中で、これを行うべきではないと考えているからです。

 特定技能の永住許可についてお尋ねがありました。

 今回の受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものですが、特定技能の在留資格を得さえすれば我が国での永住が認められるというものではありません。

 我が国での永住が認められるためには、素行善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、引き続き十年以上我が国に在留していること、就労資格をもって引き続き五年以上在留していることなどの厳しい条件が課されています。

 御指摘の永住許可に関するガイドラインと新設する特定技能との関係については、永住許可の運用の問題であり、法務大臣において判断されるものでありますが、少なくとも、今回の新たな在留資格について永住許可要件を緩和するものではないものと承知しております。

 新たに受け入れる外国人材と、いわゆる単純労働との関係についてお尋ねがありました。

 外国人労働者の受入れに関し、これまで政府が示してきた基本方針は、専門的、技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れ、いわゆる単純労働者の受入れについては、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠というものですが、引き続き、政府としては、例えば、法務省が例に挙げるような特段の技術、技能、知識又は経験を必要としない労働に従事する活動を行う外国人を受け入れる政策については、これをとることは考えておりません。

 今回の新たな受入れは、あくまで、専門的、技術的分野を拡充し、一定の専門性、技能を有する外国人材を受け入れようとするものであり、従来の基本方針を変更するものではありません。

 新たな外国人材の受入れ要望の把握プロセスについてお尋ねがありました。

 本年六月の骨太の方針二〇一八において制度の基本的方向性が盛り込まれた後、法務省から関係省庁に対して広く意向確認をした結果、深刻な人手不足であるとして、業所管省庁から法務省に対して外国人材の受入れ対象業種としての希望が示されたものが現在十四業種と承知しています。

 具体的な受入れ対象分野については今後法務省と関係省庁において検討していくものと承知していますが、いずれにせよ、一連のプロセスにおける透明性と公平性にも十分配慮しながら、生産性向上や外国人材確保のための取組及び人手不足の状況等を総合的に勘案した上で、できる限り客観的な指標を用いて判断することが重要であると考えています。

 外国人材の分野別受入れ見込み数の提示時期、受入れの上限規制等についてお尋ねがありました。

 具体的な受入れ見込み数については、各業所管省庁において現在精査中ですが、今回の法案審議に資するよう、近日中に業種別の初年度と五年後の現段階での受入れ見込みの数をお示しする予定です。

 お示しする数字は、制度の趣旨に沿って、業界ごとに異なる雇用情勢、政策的な要素等、業界の特性、事情を踏まえ、さらに、当該分野において、一定の専門性、技能を有する外国人材を確保する実現可能性も勘案しながら受入れ見込み数を推計したものとなります。したがって、大きな事情変更がない限り、この数字を超えた受入れは行われないことから、その意味で、受入れ数の上限として運用することとなります。

 政府としては、法律に基づいて政府が策定することとされている分野別運用方針において、更に精査の上、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていく予定です。

 分野別運用方針に明記する数字は、受け入れる業種における大きな経済情勢の変化、つまり各業種の雇用情勢全般にかかわる事項についての大きな変化が生じない限り、五年間は受入れ数の上限としてこれを維持することになります。

 新たに受け入れる外国人材の報酬確保についてお尋ねがありました。

 新たな受入れ制度においては、受け入れる外国人材が同一業務に従事する日本人と同等以上の報酬であることを雇用契約の基準とします。

 また、今回の新しい制度は、深刻な人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要になる分野において、一定の専門性、技能を有する外国人材を就労の目的で受け入れるものであり、単に労働需要を満たすために外国人材を受け入れることができるという制度ではありません。したがって、外国労働者の受入れ拡大は労働者の賃金低下につながるという御指摘は全く当たりません。

 新たな外国人材の家族帯同等についてお尋ねがありました。

 新たに受入れの対象とする外国人に対しては、我が国で安定的に在留活動を行うことができるようにするため、その生活環境を確保するための各種支援を行う方針であるところ、このような外国人の家族をあわせて受け入れることとした場合、その家族に対する支援も検討する必要があり、その点については幅広い観点から国民的なコンセンサスを得る必要があるものと認識しています。

 そのため、まずは現下の深刻化する人手不足に対応することが喫緊の課題であることを踏まえ、特定技能一号については、家族の帯同を基本的に認めないこととしています。

 他方、健康保険と厚生年金の在外被扶養者の問題については、今般の出入国管理及び難民認定法の改正にかかわりなく、これまでも加入要件の確認の厳格化といった運用の改善を行ってきており、引き続き必要な対応を検討してまいります。

 また、今回の制度においては、受入れ分野で必要とされている人材が確保された場合には、外国人の新規入国を一時的に停止することができる措置も設けていますが、この場合であっても、既に在留する外国人材の在留を直ちに打ち切り、直ちに帰国させるということは考えていません。

 特定技能の在留資格は、外国人と受入れ機関との間で雇用契約が締結されていることが前提となっていることから、既に特定技能で在留中の外国人については、雇用契約が締結、継続していることなど、個別の在留状況をしっかりと把握した上で在留の許否を判断することとなります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 階猛君。

    〔階猛君登壇〕

階猛君 国民民主党の階猛です。

 ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対し、国民民主党を代表して質問いたします。(拍手)

 なお、政府側の答弁が不十分な場合、再質問をさせていただきます。

 さて、本法案は、ことし六月に閣議決定された、いわゆる骨太方針二〇一八の新たな外国人材の受入れの項目に記載された内容をほとんど変えず、法律の形式に整えただけの手抜き法案です。

 しかも、新たに設けられる在留資格である特定技能は、どんな業種で何人程度の外国人に付与されるのか、どの程度の専門性、技能があれば認められるのか、肝心な点が条文上明らかではありません。

 これでは特定技能というより不特定技能です。本法案は、骨と皮だけがあって筋も通っていない、骨皮だけの筋なし法案と言わざるを得ません。

 本法案が肝心な部分を法務省令に白紙委任し、法案成立後に法務省が実質的な立法権を行使しようとすることは、国会を唯一の立法機関とする憲法四十一条に照らしてみても問題であります。

 文書の改ざんや隠蔽で国会を欺き、審議を空転させた安倍政権の国会軽視の姿勢がここにもあらわれています。国会の権限を踏みにじる本法案については、政府として原案の早期成立にこだわるべきではありません。総理の見解を伺います。

 骨皮だけの筋なし法案につき、肉づけをし、血を通わせるためには、外国人を受け入れた後の生活支援が重要となります。外国人を単なる労働力として扱うのではなく、同じ人間として扱い、日本人と共生して地域社会になじんでいける体制を整える必要があります。そうでなければ、日本人と外国人との間に心理的、物理的な障壁ができ、国民の不安と不満が高まりかねません。また、そんな状況を放置すれば、将来的には、日本の経済界が幾ら望んでも、外国人の側が日本で働くことを選択しなくなる時代が来るかもしれません。

 その意味で、政府が年内にまとめるとされる外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の内容を充実させ、これを生かして政府は本法案を立案すべきでありました。そうしなかった理由について、総理の説明を求めます。

 骨太方針では、外国人労働者の受入れの前提条件として、「生産性向上や国内人材の確保のための取組(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等)」を行うことが明記されています。しかし、本法案では、そのような文言が見当たりません。

 こうした前提条件なしに外国人労働者を受け入れるならば、日本人の雇用の機会が奪われたり、処遇に悪影響が及んだりする危険があります。骨太方針の最も重要な骨が、本法案では欠落しています。

 業種ごと、受入れ機関ごとに外国人労働者の受入れの可否や人数を定めるに当たり、生産性向上や国内人材確保の取組を行ってきたかどうかを考慮するのか、総理の見解を求めます。

 また、仮に考慮するとした場合、総理や与党議員のお友達が優遇されるといった、行政手続の公正さが損なわれる事態を防がなくてはなりません。権力者と業界団体や個別企業等との癒着を防ぐため、業種ごと、受入れ機関ごとに外国人労働者の受入れの可否や人数を判断する客観的、具体的基準を法案の条文に明記すべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。

 外国人労働者の受入れ規模を単年度のフローの数字で示すことは当然ですが、それだけでは足りません。生産年齢人口の推移、労働参加率の動向、AIやICTによる省力化、行政サービスの供給能力も勘案し、中長期的なストック、すなわち、特定技能を含む就労可能な在留資格を有する外国人の総数の上限を政府として示すべきです。

 政府は、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を受け入れることを移民政策の要件として掲げた上で、移民政策をとらないと明言しています。それならば、将来的な外国人労働者の受入れ総数の上限を示した上で、総人口に占める比率が低水準にとどまることを説明するべきです。上限を示さないのであれば、移民政策をとらないとは言えないのではないでしょうか。総理の答弁を求めます。

 本法案施行後は、技能実習生の多くが特定技能一号資格を取得し、日本で働き続けることが想定されます。

 本来、技能実習制度は、開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済発展を担う人づくりに協力することを目的にしています。本法案により、技能実習制度を日本の人手不足解消のために利用可能とすることは、制度の目的、趣旨からかけ離れています。技能実習生が本国に戻って活躍する必要がなくなるのであれば、技能実習制度の意味がありません。

 新たな外国人労働者の受入れ制度を始めるのであれば、技能実習制度を廃止すべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。

 そもそも技能実習制度では、最低賃金法や労働基準法などの労働法令違反や、セクハラ、パワハラなどの人権侵害により、技能実習生が劣悪な労働環境を強いられている事例が多々あります。

 きょうも、技能実習生の皆さんが傍聴に来られています。新たな外国人労働者の受入れ制度を始める前に、総理みずから技能実習生の声を聞くなどして、現状をしっかり把握すべきではないでしょうか。そして、新制度で同様の問題が生じないような制度設計をするべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。

 本法案で受け入れる外国人労働者には在留資格の範囲で転職の自由が認められる方針だと伺っています。転職によって都市部の待遇のいい企業に外国人労働者が集中し、地方の中小企業の人手不足は解消しないようにも思えます。

 外国人労働者の転職の自由と地方の中小企業の人手不足の解消をどのように両立させるのか、総理の答弁を求めます。

 本法案の立法理由としては、人手不足の深刻化が挙げられています。他方、政府は、次回一〇%への消費増税時には、飲食料品や新聞などにつき税率を八%に据え置く複数税率を導入しようとしています。

 関係する業界の中小零細事業者については、区分経理や顧客対応などで事務負担がふえ、必要な人手がふえます。これは、人手不足の解消を図る方向性と矛盾しているのではないでしょうか。財務大臣の答弁を求めます。

 同じく、本法案の立法理由として人手不足の深刻化を挙げつつ、政府は、外国人労働者の受入れ規模が決まる前から、法務省に外局を設け、定員を大きくふやそうとしています。

 これは、貴重な国内労働力を公務部門で吸収することにつながります。人手不足の解消を図る方向性と矛盾しているのではないでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。

 以上述べましたとおり、新たな外国人労働者の受入れ制度を開始する前に検討すべき論点は数多くあります。本法案の審議は、法務委員会単独ではなく、関連委員会との合同審査を交え、丁寧に、時間をかけて行うべきです。

 政府提出の骨皮だけの筋なし法案を短期間で手つかずのまま国会で成立させるようなことがあれば、国会議員が国民から責任放棄のそしりを受けることは免れないでしょう。

 与野党の議員が知恵を出し合い、よりよい答え、新しい答えをつくり出していくべきです。政府としても、来年四月の施行にこだわる特段の理由はないはずです。最後にこの点について総理の見解を求め、私からの質問を終わります。

 以上です。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 階議員にお答えいたします。

 入管法改正法案の立法プロセス等についてお尋ねがありました。

 入国管理及び難民認定法は、入国、在留する外国人の動向や経済社会情勢の変化に即応するため、出入国管理、在留管理の仕組み、在留資格の種別などを法律事項として定め、在留資格に関する具体的な細部事項は臨機に対応が可能な法務省令等の下位法令に委ねております。

 外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材確保のための取組を行うことがその前提となりますが、その具体的な内容については、業界ごとに異なる事情や時間の経過とともに変化する雇用情勢を踏まえて個別に検討していく必要があることから、法律で定めることは適当でないと考えています。

 その上で、制度に関する重要な事項については、国会での御審議に資するよう、今後の審議の過程において早目にお示しすることとしており、国会の権限を侵しているとの御指摘は当たりません。

 外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策は、今回新たに受け入れる外国人材に限らず、外国人一般の円滑な受入れ、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備のための対策を総合的に検討しているものであります。

 外国人材の中長期的な受入れ規模についてお尋ねがありました。

 具体的な受入れ見込み数については、各業所管省庁において現在精査中ですが、今回の法案審議に資するよう、近日中に業種別の初年度と五年後の現段階での受入れ見込みの数をお示しする予定です。

 お示しする数字は、制度の趣旨に沿って、業界ごとに異なる雇用情勢、政策的な要素等、業界の特性、事情を踏まえ、さらに、当該分野において、一定の専門性、技能を有する外国人材を確保する実現可能性も勘案しながら受入れ見込み数を推計したものとなります。したがって、大きな事情変更がない限り、この数字を超えた受入れは行われないことから、その意味で、受入れ数の上限として運用することとなります。

 政府としては、法律に基づいて政府が策定することとされている分野別運用方針において、更に精査の上、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていく予定です。

 分野別運用方針に明記する数字は、受け入れる業種における大きな経済情勢の変化、つまり各業種の雇用情勢全般にかかわる事項についての大きな変化が生じない限り、五年間は受入れ数の上限としてこれを維持することとなります。

 技能実習制度と新たな外国人材の受入れ制度についてお尋ねがありました。

 技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度ですが、一部の監理団体や受入れ企業において労働関係法令違反や人権侵害が生じている等の指摘があることから、制度を見直し、昨年十一月に技能実習法が施行され、制度の適正化を図っているところです。

 新たな受入れ制度の導入に当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかり実行に移し、在留のための環境整備について、関連施策を積極的に推進することとしております。

 転職の自由と人手不足解消の両立についてお尋ねがありました。

 全国各地で人手不足が深刻化する中、とりわけ地方における人手不足の対応は、政府として取り組むべき喫緊の課題であると認識しております。

 今回の新たな外国人材の受入れ制度においては、外国人材が自由に受入れ機関と雇用契約を締結することを前提としており、制度の趣旨に鑑みても、通常は人手不足が深刻な受入れ機関において受け入れられるものと考えております。

 したがって、外国人労働者の転職の自由と人手不足については相反するものではなく、また、必ずしも大都市圏に限らず、地方においても受入れは進むものと考えています。

 法律の施行時期と法案審議のあり方についてお尋ねがありました。

 アベノミクスの推進により、成長から分配への経済の好循環が着実に回りつつある中、有効求人倍率が四十四年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少し、現下の人手不足の状況は深刻な問題となっております。

 政府としては、この待ったなしの課題に迅速に対応するため、来年四月から制度をスタートさせることを目指すものです。

 国会での本法案の審議のあり方については、国会で御審議いただくことであると考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 階議員から、軽減税率制度の事務負担について、一問お尋ねがあっております。

 軽減税率制度の実施により、事業者の方々には新たな区分整理等の事務負担をお願いすることになります。そのコストは事業者によってさまざまと考えられますが、区分経理が困難な中小事業者等には、税額計算の特例を設けるなどの負担軽減を行うことといたしております。

 軽減税率は、低所得者に配慮する観点から実施することにしたものであります。したがって、その円滑な実施に向け、引き続き着実に準備を進めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣山下貴司君登壇〕

国務大臣(山下貴司君) 階猛議員にお答え申し上げます。

 本法案の立法理由として人手不足の深刻化を挙げつつ、法務省に外局を設け定員を大きくふやそうとするのは、貴重な国内労働力を吸収することにつながり、矛盾ではないかとのお尋ねがありました。

 平成三十一年度概算要求において、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設する機構要求を行い、また、増員要求を行うこととしたのは、新たな外国人材の受入れに関する業務のみならず、外国人の受入れ環境整備に関する業務を円滑かつ効率的に実施するための体制整備が必要不可欠であると考えたためです。

 同庁新設により、今般の新たな外国人材の受入れに関する業務を始め、出入国在留管理行政をより一層強力に推進してまいりたいと考えております。(拍手)

議長(大島理森君) 階猛君から再質疑の申出がありますから、これを許します。階猛君。

    〔階猛君登壇〕

階猛君 再質問を二つさせていただきます。

 三点目の質問ですが、私は、骨太方針で前提条件として挙げられていた生産性向上や国内人材の確保のための取組といった文言が法案では見当たらないことを指摘した上で、今回、新たな制度が始まる際、業種ごと、受入れ機関ごとに外国人労働者の受入れの可否や人数を定めるに当たっては、生産性向上や国内人材確保のための取組という骨太方針に掲げられていた要素を考慮するのかどうか、これを総理に尋ねました。明確な答弁がなかったと思料いたしますので、再度質問させていただきます。

 もう一点、質問をさせていただきます。

 先ほど技能実習制度について、現在でも、最低賃金法を大きく下回り、残業手当が時給三百円、あるいは労働基準法の労働時間規制を大きく上回る長時間の労働、こういった問題など多々あるということを踏まえつつ、こうした労働法令違反あるいはセクハラ、パワハラなどの人権侵害によって技能実習生が劣悪な労働環境を強いられている事例を直視すべきだ、そして、きょうも技能実習生の皆さんが多数傍聴に来られていらっしゃいますけれども、新たな外国人労働者の受入れ制度を始めるのであれば、その前に、総理みずから技能実習生の声を聞いて現状を把握すべきではないかということをお尋ねしました。この点についても明確な答弁がございませんでしたので、再度質問をさせていただきます。

 以上です。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 再質問にお答えをいたします。

 外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材確保のための取組を行うことがその前提となりますが、その具体的な内容については、業界ごとに異なる事情や時間の経過とともに変化する雇用情勢を踏まえ個別に検討していく必要があることから、法律で定めることは適当でないと考えております。

 そして、技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度ですが、一部の監理団体や受入れ企業において労働関係法令違反や人権侵害が生じている等の指摘があることから、制度を見直し、昨年十一月に技能実習法が施行され、制度の適正化を図っているところでありますが、引き続き当局においてしっかりと対応していくものと考えております。(拍手、発言する者あり)

議長(大島理森君) 今協議しておりますから、静かに。

 階君から再々質疑の要求がございます。階猛君。

    〔階猛君登壇〕

階猛君 重要なところですので、重ねて再質問させていただきます。

 まず一点目について、生産性向上や国内人材確保の取組を行ってきたかどうかを、業種ごと、受入れ機関ごとの外国人労働者の受入れの可否や人数を定めるに当たり考慮するのかということをお尋ねしました。法令に定められているかどうかということを聞いているわけではありませんので、私の質問に答えていただければと思います。

 そしてもう一つ、外国人労働者の受入れ制度を始める前に、総理みずから技能実習生の生の声を聞くなどして現状を把握すべきではないか、この問いに対しても、技能実習生の声を聞くなどして現状を把握するのかどうか、明確ではなかったと思います。もう一度答弁をお願いします。

 以上です。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 再々質問にお答えをいたします。

 外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材確保のための取組を行うことがその前提となります。その具体的な内容については、業界ごとに異なる事情や時間の経過とともに変化する雇用情勢を踏まえて個別に検討してまいります。

 そしてもう一点、技能実習生からの意見を私が聞くべきではないかとの御質問でございますが、それにつきましては、まさにこの法案を所管している法務省において適切に対応していくことが正しい、このように考えております。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 浜地雅一君。

    〔浜地雅一君登壇〕

浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。

 公明党を代表し、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に関し質問をいたします。(拍手)

 アベノミクスの推進により日本経済は大きく改善し、雇用者数はここ五年間で約三百万人以上増加、特に女性や高齢者の伸びが顕著です。有効求人倍率は、生産年齢人口の減少とも相まって、一・六三倍とバブル期をしのぐ高さにありますが、特に、建設や造船、介護、接客業などは、三倍から七倍と深刻な人手不足となっています。あるシンクタンクは、二〇三〇年には全産業で約六百四十四万人の人手不足になると試算をしています。

 これまで以上に高齢者や女性の就労を促すことやイノベーション、AI化を進め労働生産性を向上させることが重要ですが、雇用のミスマッチを早急に解消するには、人手不足が顕著な分野に専門的知識、技能を有する外国人材を受け入れることが必要です。

 一方、国内労働者に与える影響、地域の治安や社会保障への影響など、国民の不安の声も聞かれます。

 公明党では、新たな外国人材の受入れ対策本部で議論を重ね、三十八項目にわたる新たな外国人材の受入れ整備に関する決議を取りまとめました。

 以下、対策本部における決議も踏まえ、総理及び法務大臣に質問をします。

 まず、施行時期についてお尋ねします。

 政府は、これまで、一億総活躍社会の理念のもと、国内就業者をふやす施策を打ち出してきましたが、なぜ来年の四月から新たに外国人労働者の受入れ拡大を行おうと判断したのか、総理の答弁を求めます。

 外国人材を受け入れるに当たり、国内労働者の賃金のさらなる上昇、働き方改革を促進し、日本人が働きやすい環境をつくることこそ、外国人が日本を就労先として選択する上で最重要の対策と考えます。政府は、これまで行ってきた国内人材の就労促進、処遇改善策に加え、更にどのような対策が今後必要と考えるか、総理の答弁を求めます。

 現在、我が国の外国人労働者の割合は二%程度であり、欧米の二〇%弱に比べ低い水準にありますが、本制度による受入れ人数を初年度約四万人、受入れ業種は特定技能一号で十四業種、二号で五業種との報道があります。受入れ規模及び受入れ業種について、現在の検討状況を総理にお答え願います。

 また、受入れ業種、分野の決定は、生産性向上や国内人材の確保の取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる業種、分野をできる限り客観的指標を用いて判断するとのことですが、この客観的指標は有効求人倍率以外にどのようなものを用いるのか。

 同時に、長期的ビジョンとして、例えば労働者不足がより顕在化する二〇三〇年ころにはどの程度の外国人の受入れを予定しているのか。その受入れ人数で、政府が中長期試算で示した実質二%、名目三%以上のGDP成長率を達成できると考えるか、総理の答弁を求めます。

 移民の定義は定まっておりませんが、諸外国では永住を目的に外国人を受け入れる国もあり、移民政策と永住許可は密接に関連するものと考えます。

 そこで、今回の特定技能外国人は永住を目的として受け入れるものであるのか、永住許可の国益要件である十年以上の継続在留のうちの五年就労資格要件と特定技能による就労期間との関係について、法務大臣の答弁を求めます。

 技能実習二号修了者には特定技能一号の試験が免除されるため、技能実習からの移行が多いと予想されます。

 技能実習制度では、二国間取決めに基づき、送り出し国側に送り出し機関の適切な認定を求めた上で、監理団体を許可制、実習実施者を届出制とし、外国人技能実習機構が監理団体等に対し厳格な管理を行う体制となっています。他方、特定技能一号においては、雇用契約の当事者となる受入れ機関は届出や登録を要さず、支援計画の作成を受託する登録支援機関は登録で足り、許可は不要となっています。

 なぜ技能実習のように許可制や届出制としなかったのか、かかる体制で受入れ機関に適切な雇用契約及び支援計画を履行させるための監督はどのように行うのか、あわせて、保証金を徴取するような悪質ブローカーをどのように排除していくのか、法務大臣の答弁を求めます。

 また、特定技能一号外国人が帰責なく雇用契約を解除された場合、受入れ機関が転職などの支援を行うことになっています。受入れ機関が倒産した場合などは、国も積極的な支援を行うべきと考えます。非自発的離職者に対し、具体的にはどのような支援がなされるのか、法務大臣にお尋ねします。

 党内議論では、雇用形態は受入れ機関との直接雇用を原則とし、派遣形態の必要不可欠性が証明され、派遣先が所要の基準を満たすことが担保される分野に限り、派遣形態を認めるべきとの意見が相次ぎました。

 雇用形態をどう考えるのか、派遣を認める分野は具体的に検討されているのか、法務大臣の答弁を求めます。

 技能実習生の失踪問題は、過重労働や賃金未払いに加え、技能実習生は転職ができないため、より待遇のよい勤務先を求め自発的に失踪しているとの見方もありますが、政府は、技能実習生の失踪の実態、原因を的確に把握しているのか、失踪問題の解決策をどう図るか、法務大臣の答弁を求めます。

 特定技能一号外国人は、技能実習と同様、家族帯同を認めない方針のようですが、それはなぜか、人道的見地からどのような配慮を行うのか、法務大臣の答弁を求めます。

 創設が予定される出入国在留管理庁は、受入れ体制の管理監督の体制整備に加え、公正な在留を基礎として本格的な共生社会の構築に向けた司令塔的な役割を果たすことが期待されます。

 したがって、単なる入管体制の増員にとどまらず、関係各府省との総合的な調整機能を果たすなど、抜本的な組織構築が必要と考えますが、法務大臣の見解を求めます。

 外国人労働者の拡大により、これまで以上に、外国人労働者及びその家族を含めた、生活、教育、就労の場などでより円滑なコミュニケーションを図る環境整備を促進すべきことは言うまでもありません。そのためのワンストップでの相談支援体制の充実強化を求めます。

 地方からの声として、日本語教育の体制整備や住居の確保支援など、地方公共団体の負担が増加する懸念があります。そこで、公明党の提案で、附則の見直し条項に、関係地方公共団体を始めとする関係者の意見を踏まえ必要な措置を講じるよう加えたところであります。

 財政的な支援も含めた地方公共団体への支援について、総理の答弁を求めます。

 一方、違法な資格外労働を目的とした日本語学校の存在や、在外の被扶養者を水増しした社会保険への加入、年金保険料の未払い、また高額医療制度の本来の趣旨を逸脱した利用などに対しては、これまで以上の対策が必要です。

 適法に在留する外国人にはしっかりと支援をする一方で、制度を悪用するような違法な在留は許さないとの強い決意が、真に外国人との共生社会を構築し、日本が有能な外国人材から選ばれる国になる礎と考えます。

 最後に、我が国の共生社会の姿を総理はどう描いておられるのか、そのお考えをお聞きし、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 浜地雅一議員にお答えをいたします。

 外国人材の受入れ拡大についてお尋ねがありました。

 アベノミクスの推進により、成長から分配への経済の好循環が着実に回りつつある中、有効求人倍率が四十四年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化の影響により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少しており、現下の人手不足の状況は深刻な問題となっています。

 これは早急に対応すべき喫緊の課題であり、今回、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお労働力が不足する分野に限り、新しい在留資格を設けることとし、来年四月から制度をスタートさせることを目指すものです。

 国内人材の就労促進等についてお尋ねがありました。

 急激な少子高齢化、生産年齢人口の減少に直面している我が国が、日本の活力を維持発展させていくためには、国内労働者の賃金上昇や働き方改革を促進し、女性、高齢者を始めとして、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会の実現に向けて取り組むことが何より重要です。

 このため、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現といった働き方改革、幾つになっても学び直せるリカレント教育の充実、生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討等を推進するとともに、成長と分配の好循環を更に推し進め、五年連続で今世紀に入って最も高い水準にある賃上げの流れを一層力強いものとしてまいります。

 今後とも、誰もが働きやすい社会に向けて、また、外国人材に選ばれる国になるためにも、こうした取組をしっかりと進めてまいります。

 外国人材の受入れ規模、業種等についてお尋ねがありました。

 具体的な受入れ見込み数については、各業所管省庁において現在精査中ですが、今回の法案審議に資するよう、近日中に業種別の初年度と五年後の現段階での受入れ見込みの数をお示しする予定です。

 また、現時点で、十四業種について外国人材の受入れ希望の意向が示されており、今後、これらが受入れ業種として適切であるかどうかを具体的に検討し、政府として決定していく予定です。

 人材不足の状況を判断する指標としては、有効求人倍率のほか、各業種における公的統計、業界団体を通じた所属機関への調査等を用いることを考えています。

 将来的な受入れ見込み数については、分野別運用方針において、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていく予定ですが、今回の制度改正も含め、政府としては、働き方改革、生産性革命、人づくり革命など、あらゆる政策を総動員していくことで、潜在成長率を押し上げ、実質二%程度、名目三%を上回る経済成長を実現してまいります。

 外国人材の受入れ拡充に伴う受入れ環境の整備についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、多文化共生の実現に向けて、適法に在留する外国人にはしっかりと支援を図る一方で、制度の悪用には厳正に対応する必要があると考えております。

 現在、地方公共団体の関係者の御意見も伺いながら、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の取りまとめを進めており、生活、教育、就労に関する情報提供や相談を行う一元的窓口の設置、日本語教育の充実、適正化、住宅への入居支援、社会保険への加入促進、医療保険の不適切使用の防止などの各種取組の拡充等を行うこととしています。

 政府として、地方公共団体に対する適切な支援を含め、関連する施策をしっかり推進するとともに、新設する出入国在留管理庁のもとで、在留管理をしっかりと強化していくこととしております。

 これらの取組を通じて、外国人の方々を、日本で働き、学び、生活する方として受け入れ、迎え入れ、来る側も受け入れる側もお互いが尊重し合えるような共生社会の実現に万全を期してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣山下貴司君登壇〕

国務大臣(山下貴司君) 浜地雅一議員にお答え申し上げます。

 まず、今回の特定技能外国人は永住を目的として受け入れるものであるのか、永住許可の国益要件である十年以上の継続在留のうち、五年就労資格要件と特定技能による就労期間との関係についてお尋ねがありました。

 今回の受入れ制度は、永住を目的として受け入れるものではなく、深刻な人手不足の状況に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものであります。

 永住許可については、法律上、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合すると認めることの三つの要件を全て満たす必要があり、永住許可申請がなされれば厳格に審査しています。

 御指摘の、国益要件の十年以上の継続在留と新設する特定技能との関係については、永住許可の運用として検討されるべき事項であり、在留資格ごとの在留期間の上限の有無なども踏まえつつ、適切に検討してまいります。

 次に、受入れ機関及び登録支援機関の仕組み、並びに悪質なブローカーの排除策についてお尋ねがありました。

 技能実習制度においては、実習が計画に沿って適切に行われているか継続的に把握する必要があるため、監理団体を許可制とし、技能実習の実施に関する監理を行わせる仕組みとしました。

 他方、今回の受入れ制度は、就労の目的で一定の専門性ある外国人の受入れを拡充するものです。

 そこで、まず、受入れ機関については、在留資格認定証明書交付申請時などに雇用契約の適切性を確認することとし、その際に受入れ機関が確認できることから、届出制とはしませんでした。また、登録支援機関については、支援の担い手はさまざまであるので一律に許可制とはしなかったものの、本法の特定技能一号外国人の支援を十分かつ適切に行うことを確保するという観点から登録制としました。

 さらに、今回の受入れ制度では、新設する出入国在留管理庁が受入れ機関や登録支援機関の監督を行うこととしています。

 今回の受入れ制度については、外国人材から保証金等を徴収する悪質なブローカーの介在を防止するため、外国人材又はその親族が保証金等を徴収されている場合は特定技能外国人としての受入れができないことなどを法務省令で定めることを検討しています。

 その上で、在留資格認定証明書交付申請時において、保証金等を徴収されていないことの確認を行うほか、受入れ機関及び登録支援機関に対する周知、指導等を通じて悪質なブローカーの介在防止に努めてまいりたいと考えております。

 次に、非自発的離職者に対する具体的な支援の内容についてお尋ねがありました。

 今回の制度では、受入れ機関による整理解雇など、特定技能一号の外国人が非自発的に離職することとなる場合には、当該受入れ機関又はその委託を受けた登録支援機関において、新たな受入れ機関との間で受入れがなされるように、転職の支援を実施しなければならないことを法律上の義務としています。

 具体的には、受入れ機関又は登録支援機関は、新たな受入れ機関において外国人の受入れがなされるようにするため、転職に必要な手続や求人情報を外国人に提供したり、業界団体の相談窓口やハローワークを通じるなどして必要なサポートを行うなどの転職支援を行うこととなります。

 次に、派遣形態の検討状況についてお尋ねがありました。

 今回の制度で受け入れる外国人の雇用形態は、原則として直接雇用とすることを考えています。もっとも、分野の特定に応じて派遣形態とすることが真に不可欠である業種があると指摘されていることも事実です。今後、当該業種において派遣形態とすることが真に必要不可欠かどうか、また、派遣形態を認めるとする場合には、派遣先において現在受入れ機関に課すこととしている厳格な基準を満たすことが可能かどうか、法務省としても関係省庁と連携して検討してまいります。

 業所管省庁から現時点で十四業種について受入れ希望があり、現在、業所管省庁において、業界からのヒアリング等を行いながら、派遣形態の利用についても具体的な検討を進めているところ、例えば農業からは派遣形態の利用を希望する意向が示されていると聞いています。

 いずれにしても、派遣形態の利用については、引き続き関係省庁と適切に協議してまいります。

 次に、政府は、技能実習生の失踪の実態、原因を的確に把握しているのか、失踪問題の解決策をどう図るのかについてお尋ねがありました。

 技能実習制度については、年々在留者数が増加し、活用されているところであります。

 他方、中には失踪する者があり、それには、送り出し機関等から不当に高額の手数料等を徴収され、その借金返済のため、より高い賃金が得られる就労先を求めて失踪する者が相当数いるなどといった背景があります。現在、十カ国との間で二国間取決めを作成済みのところ、送り出し国政府と協力しながら、不適切な送り出し機関の排除に努めているところです。

 あわせて、昨年十一月に施行された技能実習法に規定された取組を確実に実施していきます。

 次に、特定技能一号外国人は、技能実習と同様、家族帯同を認めない方針のようだが、それはなぜか、人道的見地からどのような配慮を行うのかについてお尋ねがありました。

 特定技能一号については、一定期間後の帰国を前提とする在留資格であり、現行制度においても、在留期間に上限がある在留資格については、基本的に家族の帯同を認めておりません。また、特定技能一号の活動を行う外国人に対しては各種支援を行うこととしているところ、その際、その家族もあわせて受け入れることとした場合、その家族に対する支援も検討する必要が生じ、深刻化する人手不足という現下の喫緊の課題に即座に対応できません。

 これらから、特定技能一号の家族に、在留資格「家族滞在」を付与する旨の規定は本法案に盛り込んでおりません。もっとも、人道的見地から、在留資格「特定活動」により、例外的に配偶者又は子の在留を認める場合があります。

 最後に、本格的な共生社会の構築に向け、出入国在留管理庁の果たすべき役割についてお尋ねがありました。

 本年七月二十四日付閣議決定「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」に基づき、法務省は、外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整を行うこととされたところであり、その司令塔的機能のもと、関係府省と連携し、地方公共団体とも協力しつつ、外国人の受入れ環境の整備を進めていく必要があります。

 出入国在留管理庁が創設された場合には、同庁において、外国人の出入国及び在留の管理と、外国人の受入れ環境整備に関する企画及び立案並びに総合調整に一体的かつ効率的に取り組んでいくこととなります。

 今回の法務省設置法の改正により創設される出入国在留管理庁においては、本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を行うとともに、外国人の受入れ環境整備に係る司令塔的役割を果たし、関係府省の総合調整を的確に行い、外国人との共生社会の実現に努めてまいります。(拍手)

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副議長(赤松広隆君) 黒岩宇洋君。

    〔黒岩宇洋君登壇〕

黒岩宇洋君 無所属の会の黒岩宇洋です。

 私は、ただいま議題となりました入管難民法一部改正案について、会派を代表して質問をいたします。(拍手)

 早速質問に入ります。

 まず、外国人の受入れ業種、規模についてお聞きいたします。

 業種について、法案には、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材を図るべき産業上の分野としか規定されていません。人材を確保することが困難な状況の具体的基準とは何でしょうか。今回は幾つの業種が対象となるのでしょうか。特定技能一号、二号となるべきそれぞれの業種は何でしょうか。それぞれ受入れ規模はどれほどとなり、合計で何人の外国人労働者を受け入れるのでしょうか。山下法務大臣の答弁を求めます。

 次に、受入れ対象者の技能水準について伺います。

 制度の概要では、特定技能一号については、相当程度の知識又は経験を要する技能を要する、特定技能二号については、熟練した技能を要するとあります。それぞれ、相当程度の知識を要する技能、相当程度の経験を要する技能、熟練した技能の具体的基準をお示しください。

 また、現在各省庁から要望が出されている十四業種について、それぞれの具体的水準は定められているのか否かもお示しください。山下法務大臣の答弁を求めます。

 今、自分で質問して言うのもなんですが、以上の質問に山下法務大臣は正確に答えることができないはずです。なぜなら、今法案のたてつけが四重構造になっているからです。

 時系列で述べますと、第一段階、法案成立、第二段階、政府基本方針策定、すなわち府省庁横断的で通則的な受入れ基準や停止基準、技能水準を閣議決定で政府基本方針として定め、第三段階、分野別運用方針策定、分野別ごと、府省庁ごとのそれぞれの個別の基準を関係閣僚会議で分野別運用方針として定め、最後に第四段階、法務省令改正となって初めて具体的な業種名やその数が決まるのです。

 現在、対象業種が十四として議論されていますが、法案成立後、その数をふやすことは、たてつけ上可能ではないですか。この点についても山下法務大臣の答弁を求めます。

 建物でいえば、法案審議の国会は地上一階、その下に地下三階分が埋まっています。法案のたてつけとしては、通常、一般法で二重構造、基本法でも三重構造です。四重構造という例は聞いたことがありません。しかも、地下三階で決められることがこの制度の本質部分となります。本質部分が闇に閉ざされたまま、どうやって外国人受入れの実質審議を国会で行うのでしょうか。甚だしい国会軽視との指摘に対し、安倍総理の見解を求めます。

 法務省だけに責任を押しつけてはなりません。そもそも、今回の受入れ制度は、総理の肝いりでことし六月の骨太方針に盛り込まれ、関係閣僚会議はことし七月二十四日に第一回が開かれましたが、その後三カ月以上開かれませんでした。この間、内容について各省に問い合わせても、何も決まっていないの一点張り。その後、保守層、リベラル層双方からの大批判を受け、内容を小出しにし、特定二号を付加し、法案提出後に健康保険法の改正や外国人雇用管理指針の見直しを打ち出すなど、まさに泥縄式の対応をとる政府の責任者は安倍総理です。世論の批判が高まらなければ、そうっと矛盾にふたをしたまま、ブラックボックスである法案を通そうとしていたのではありませんか。総理の見解を求めます。

 この地下三階構造に懸念を示したのは、自民党法務部会も同じです。法案了承までに紛糾し、決議文が議決されました。自民党の懸念は私も共有しますが、この決議文はいただけません。

 決議文第三号では、政府は、政府基本方針を定める際には我が党と十分な議論を図り調整、第四号では、分野別運用方針を定める際は自民党部会で議論を図り調整とあります。この決議文は、与党の事前審査ではなく事後審査を規定しているではありませんか。野党は地上一階から地下にはおりられませんが、自民党は地下一階にも地下二階にも出入り自由ということになります。

 山下法務大臣はこの部会に出席していますが、決議文を了承したという理解でよろしいのでしょうか。そうだとすれば、立法府をないがしろにする暴挙です。答弁を求めます。仮に、了承していない、法案成立後は自民党部会に諮らないとすれば、自民党の与党事前審査を無視することになりますが、それでよろしいのでしょうか。山下法務大臣の答弁を求めます。

 あわせて、自民党総裁でもある安倍総理に答弁を求めますが、明らかに事後審査、また制度審議の自民党私物化と言える部会の決議文が議決されていること自体、昨今続く政府の立法府軽視の延長であり、外国人受入れ制度においては、自民党安倍一強のおごりと言えるのではないでしょうか。答弁を求めます。

 以上、法案に対する質問と問題点の指摘をさせていただきました。

 このたびの入管難民法一部改正では、我が国の外国人受入れ、ひいては我が国の形を変えるともいうべき改正です。いつまでたってもその場しのぎ、継ぎはぎと言われぬ、抜本的、持続的制度設計を実現しようではありませんか。

副議長(赤松広隆君) 黒岩宇洋君、申合せの時間が過ぎておりますから、なるべく簡潔に願います。

黒岩宇洋君(続) 今後、地下に眠る政府基本方針、分野別運用方針、法務省令をしっかりあぶり出すような法案審議はもちろん、極めて徹底した慎重審議を求めて、私の代表質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 黒岩議員にお答えをいたします。

 入管法改正法案の構造、審議のあり方についてお尋ねがありました。

 出入国管理及び難民認定法は、入国、在留する外国人の動向や経済社会情勢の変化に即応するため、出入国管理、在留管理の仕組み、在留資格の種別などを法律事項として定め、在留資格に関する具体的な細部事項は臨機に対応が可能な法務省令等の下位法令に委ねております。

 今回の法改正においても、新たに外国人材を受け入れる分野については、法律において、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野との定めを置き、これに当てはまる具体的な分野、技能水準、受入れ機関の基準等については、時間の経過とともに変化する経済情勢等を踏まえて個別に検討していく必要があることから、省令で定めることとしております。

 その上で、法律事項ではないものの、制度に関する重要な事項については、国会での御審議に資するよう、今後の審議の過程において早目にお示しすることとしており、国会軽視との御指摘は当たりません。

 改正入管法案の提出前に検討すべき課題があるのではないかとのお尋ねがありました。

 今回の受入れ制度は、深刻な人手不足の状況に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものであり、政府としてこれまで積極的、継続的に検討を重ねてきたものであります。

 改正法案を今国会に提出させていただくに当たっては、さまざまな会議等において御説明させていただいておりますが、引き続き、本制度の趣旨や内容について広く御理解いただけるように取り組んでまいります。

 御指摘の社会保険の加入促進や医療保険の不適切使用の対策等を含め、外国人一般の円滑な受入れ、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備については、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策において、本年七月に関係閣僚会議を開いて方向性を示し、その上で、現在、取りまとめに向けて具体的な検討を進めているところです。

 この総合的対応策については、関係省庁や有識者の御意見等を踏まえ、年内の取りまとめを目指しているものですが、今後、これをしっかりと実行に移し、関連施策を一層積極的に推進してまいります。

 自民党の決議文の内容等についてお尋ねがありました。

 自民党の決議文については、党として決議されたものであり、政府としてはコメントを差し控えますが、議院内閣制のもとにおいては、政府は与党との意見調整を行って法案を提出することとなります。その上で、国会において御審議をいただき、法律が成立した際には、政府は国会での御議論をしっかり踏まえた上で関係する制度を運用していくべきものと考えており、立法府軽視との御指摘は当たりません。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣山下貴司君登壇〕

国務大臣(山下貴司君) 黒岩宇洋議員にお答え申し上げます。

 まず、本法案における、人材を確保することが困難な状況を判断する具体的基準についてお尋ねがありました。

 本法案においては、特定技能の在留資格による外国人の受入れ分野は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野と規定しております。

 人材を確保することが困難な状況にあるか否かは、有効求人倍率、各業種における公的統計、業界団体を通じた所属機関への調査等、できる限り客観的な指標を用いて判断していくこととしております。

 次に、受入れ業種の数、受入れ見込み数等についてお尋ねがありました。

 受入れ業種については、現時点で十四業種について、各業所管省庁から、深刻な人手不足であるとして、外国人材の受入れ希望の意向が示されているところです。

 今後、これらの業種が受入れ業種として適切であるかどうかは、各業所管省庁と法務省等とで具体的に検討し、政府全体として決定していく予定です。

 なお、特定技能二号での受入れについては、その受入れの必要性を含め、現在、業所管省庁において検討しているところです。

 また、特定技能二号は、改正法案において、熟練した技能と規定しているところ、現行の専門的、技術的分野における在留資格に必要とされる技能と同等又はそれ以上の技能が求められるものであり、高い専門性を有していることを難度の高い試験によって確認される必要があることから、その受入れのハードルはかなり高く、より限られた人数になると考えています。

 受入れ業種における具体的な受入れ見込み数については、各業所管省庁において現在精査中です。その結果については、今回の法案審議に資するように、近日中にお示しする予定です。

 次に、特定技能一号の相当程度の知識を要する技能、相当程度の経験を要する技能、特定技能二号の熟練した技能の具体的基準は何か、受入れ対象とされている十四業種について、それぞれ具体的技能水準は何かについてお尋ねがありました。

 在留資格、特定技能一号における相当程度の知識又は経験を要する技能とは、相当期間の実務経験等を要する技能であって、特段の育成、訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できるだけのものをいいます。

 熟練した技能という言葉は、現行の在留資格「技能」においても用いられており、長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいうと解され、特定技能二号でも同様の意味と考えております。

 これらの技能を有するかどうかの具体的基準は、受入れ分野ごとに業所管省庁が定める試験等によって確認されることとなりますが、法務省としては、これらの試験等が、さきに述べたような水準の技能をはかるものであることをきちんと確認してまいります。

 次に、受入れ対象として議論されている十四業種について、法案成立後、数をふやすことは可能ではないかとの御指摘がありました。

 受入れ分野については、本法案成立後、法務省令で定めることとしております。現時点で法務省としては、十四業種について、各業種の業所管省庁から外国人材の受入れ要望を受けております。当該十四業種に限らず、法務省が外国人材の受入れ要望を受けた業種については、国内人材の確保や生産性の向上の取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる分野か否かを業所管省庁等とも協議して、適切に判断してまいります。

 最後に、私の自民党法務部会決議への出席事実及び法務部会決議の了承の有無等についてお尋ねがありました。

 私が平成三十年十月二十九日の自民党法務部会に出席したのは御指摘のとおりであります。

 その上で、私が法務大臣として自民党法務部会決議の内容を了承したか否かについてお尋ねですが、自民党の決議案につきましては、あくまで党として決議されたものであり、法務大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきます。

 また、仮に法務部会決議の内容を了承せず、法案成立後に自民党法務部会に諮らないのであれば、自民党の事前審査を無視することになるのではないかとのお尋ねですが、自民党の党内プロセスについて法務大臣としてお答えする立場になく、コメントは差し控えさせていただきます。

 その上で、総理からも答弁がありましたとおり、我が国の議院内閣制のもとでは、政府は、与党との意見調整を行って法案を提出することとなりますが、法案提出後は、国会で御審議いただき、その議論をしっかり踏まえた上で、法案成立後は、関係する制度を適切に運用していくべきものと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 本法案の審議に当たって何より大切なことは、既に百二十八万人に達した外国人労働者の実態をどう見るかということです。

 一九九〇年の入管法施行以来、政府は、在留資格を次々と追加しながら外国人労働者の受入れを行ってきました。技能実習生、留学生、日系人の建前をとりながら、実際はいずれも安価な労働力として利用してきたのです。

 本音と建前を使い分ける欺瞞的な受入れを続けてきたことが、矛盾を拡大させ、外国人労働者を苦しめているという認識が政府にはあるのですか。

 もうこれ以上、ごまかしはやめるべきです。三十年にわたる外国人労働者の受入れについて、政府はどう総括しているのか、技能実習生、留学生、日系人の各分野についてどういう問題があると認識しているのか、明確な答弁を求めます。

 特に深刻な状態に置かれているのが技能実習生です。きょうも傍聴にお見えです。

 先日、野党合同ヒアリングで、中国、ベトナム、カンボジア、モンゴルの技能実習生が涙ながらに訴えました。段ボール工場で仕事中に左手の指を三本切断したが、治療費は自己負担を求められ、会社からは帰国を迫られた、時給三百円、一日十六時間労働を強いられた、いじめやパワハラに遭い、配置転換の願いも無視され、飛びおり自殺を図ったなどの実態が切々と語られました。

 多くの技能実習生は、渡航前費用などの借金に縛られ、職場移転の自由もなく、悪質なケースでは、送り出し機関、受入れ機関、監理団体の三者からそれぞれ搾取されています。過酷な環境に耐えかねて逃亡すれば、在留資格を失い、入管施設に強制収容され、さらなる人権侵害にさらされる、これが実態ではありませんか。

 法務省は、昨年失踪した技能実習生二千八百九十二人からの聞き取りを行っています。失踪動機の八六・九%が最賃以下を含む低賃金であることを明らかにしましたが、法務省の聴取票には、失踪動機のほかにも、送り出し機関やブローカー、送り出し機関に払った金額、送り出し機関以外に払った金額、月額給与、給与から控除される額などの項目が並んでいます。いずれも、実習生の実態を知る上で重要な資料です。法案審議の大前提として、聴取票のデータを直ちに提出すべきです。

 技能実習生については、日弁連など国内だけでなく、国連や米国務省など国際社会からも、人身売買、奴隷労働だと厳しく批判されています。

 今回の法案は、こうした技能実習生の深刻な実態を何ら改善するものになっていません。現状を温存したまま、外国人労働者の受入れを拡大することは、絶対に許されません。

 本法案は、人手不足を理由としていますが、政府はどのような基準で人手不足と判断するのですか。

 政府は、初年度で四万人を受け入れるといいながら、一体どの業種に何人受け入れるのか、審議の前提となる資料はいまだに提出されていません。ところが、けさのNHKなどのニュースが、政府試算に基づき見通しなどを報道しているではありませんか。国会軽視も甚だしいと言わざるを得ません。この場で具体的な数字と根拠をはっきりと示していただきたい。

 政府が人手不足として挙げた十四業種では、重層下請による構造的な低賃金と労働条件の劣悪さが指摘されてきました。こうした構造にメスを入れないまま、足りないから外国人で補う、こういうやり方をとることは、問題を深刻化させるだけではありませんか。

 本案は、重要事項のほとんどを法案成立以後の基本方針や省令以下に先送りする白紙委任法案です。

 そこで、以下、質問します。

 特定技能一号について、政府は最長で五年と説明していますが、実際には一年ごとの更新制です。しかも、在留の前提となる雇用契約は一年以下、例えば三カ月の短期契約も可能なのではありませんか。しかも、本案は、雇用契約とあるだけで、派遣契約を排除していません。これはなぜですか。

 結局、本案は、五年を上限として雇用契約や在留期間を短期で繰り返す外国人の非正規労働者をつくり出すものです。リーマン・ショックのときには、多くの日系ブラジル人が雇いどめに遭い、帰国を強いられました。本案は、まさに、国が雇いどめ、整理解雇にお墨つきを与えるものではありませんか。

 技能実習生だけでなく、留学生でも、若者を食い物にするブローカーの存在が指摘されています。本案によって悪質な団体が排除される担保はどこにあるのですか。

 転職は可能という説明ですが、支援機関が不正に関与していた場合は、誰がどのように転職を支援するのですか。

 日本人と同等の報酬といいますが、日本人の中でも、非正規雇用や男女間での賃金格差が問題になっています。一体、どんな日本人と比較して同等というのですか。

 以上、新たな外国人受入れ制度の根本問題について、総理の明確な答弁を求めます。

 最後に、求められているのは、外国人労働者の基本的人権が保障される、秩序ある受入れです。外国人の劣悪な労働実態を放置したまま受入れを拡大すれば、日本人労働者の権利と労働条件にも重大な影響を及ぼします。徹底審議の上、廃案とすることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤野議員にお答えをいたします。

 技能実習生、留学生、日系人の我が国での就労についてお尋ねがありました。

 技能実習生及び留学生は、我が国で就労すること自体を禁じられているものではありませんが、本来の留学の目的から乖離した活動についての御指摘があることは承知しており、これは重く受けとめるべきと考えています。

 技能実習制度については、一部の受入れ企業等において労働関係法令違反が生じていることから、昨年十一月に施行された技能実習法のもと、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制の導入等、制度の適正化を図っているところです。

 留学生についても、制限時間を超過して稼働しているなどの実態が確認されていることなどから、法令違反が認められる留学生については、積極的な資格外活動許可の取消し、在留期間更新不許可処分などを行うなどし、適正に対処しているところであります。

 日系人の方々についても、来日後の問題として、地域社会における受入れがスムーズにいかない事例があると指摘されていることから、政府としては、日系人の定住を認めるのにとどまらず、入国後の生活面にも配慮し、日本社会の一員としてしっかりと受け入れていくよう努めてまいります。

 技能実習生の労働実態及び今回の法案における対応についてお尋ねがありました。

 技能実習制度は、技能等の移転による国際貢献を目的とする制度ですが、一部の監理団体や受入れ企業において賃金不払いや長時間労働等といった労働関係法令違反等の問題が生じていると認識しています。

 こうした問題に対応するため、昨年十一月に技能実習法が施行され、制度の適正化を図っているところです。

 今回の受入れ制度は、人手不足の分野において、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れるものであり、そもそも技能実習制度とは趣旨、目的を異にするものですが、技能実習制度において発生している問題に対応するため、特定技能一号外国人に対する支援の実施、届出事項の拡充、関係機関とも連携した調査、指導のほか、必要に応じ、受入れ機関に対する指導助言、立入検査や改善命令といった措置を講じることとしています。

 これらの方策により、外国人材の円滑かつ安定的な在留を確保し、適正な運用に努めてまいります。

 今回の新しい受入れに係る人手不足の判断と労働環境問題の深刻化についてお尋ねがありました。

 人手不足の状況については、生産性向上や国内人材確保のための取組及び人手不足の状況等を総合的に勘案した上で、有効求人倍率、各業種における公的統計、業界団体を通じた所属機関への調査等のできる限り客観的な指標を用いて判断することが重要であると考えています。

 受入れの数については、現在、受入れを希望する十四業種の業所管省庁においてその見込み数を精査しているところであり、今後、法案審議に資するよう、速やかにお示ししたいと思います。

 また、今回の受入れは、生産性向上や人手不足を踏まえた処遇の改善を行ってもなお外国人材が必要であると認められる場合に受入れを行うものであり、こうした取組を行わないまま、単に労働需要を満たすために外国人材を受け入れるという制度ではありません。

 特定技能一号の在留期間、雇用契約等についてお尋ねがありました。

 在留資格、特定技能一号については、在留期間が通算五年に限られており、これを超えて更新することができませんが、一回当たりに付与する在留期間については、個別の事情を踏まえ、適切な期間が付与されているものと考えています。

 また、今回の制度で受け入れる外国人の雇用形態は、原則として直接雇用とすることを考えていますが、分野の特定に応じて派遣形態とすることが真に必要不可欠である業種については、派遣先においても受入れ機関に課すこととしている厳格な基準を同様に満たすことなど、一定の場合に派遣形態を認めることを検討しています。

 また、新たな制度では、必要とされる人材が確保されたと認める場合には外国人の受入れを停止することができることとしていますが、その場合であっても、既に在留する外国人材の在留を直ちに打ち切り、直ちに帰国させるということは考えていません。

 特定技能の在留資格は、外国人と受入れ機関との間で雇用契約が締結されていることが前提となっているところ、既に特定技能で在留中の外国人については、雇用契約が締結、継続していることなど、個別の在留状況をしっかりと把握した上で在留の許否を判断することとなります。

 したがって、御指摘の、国が雇いどめ、整理解雇にお墨つきを与えるなどということにはならないと考えています。

 悪質なブローカー対策、外国人材の転職支援及び報酬についてお尋ねがありました。

 今回の受入れ制度においては、悪質な団体を排除し、日本人と同等の報酬を確保するため、新設する出入国在留管理庁が、受入れ機関や支援機関に対して調査、指導、改善命令、登録の抹消等を行うことにより、的確な管理を徹底することとしております。

 また、日本人と同等額以上の報酬とは、同等の業務に従事する日本人と比較して同等額以上であることを意味しています。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣山下貴司君登壇〕

国務大臣(山下貴司君) 藤野保史議員にお答え申し上げます。

 昨年失踪した技能実習生から聞き取りを行った聴取票について、法案審議の大前提として、直ちに提出すべきではないか、お尋ねがありました。

 実習実施機関から失踪した技能実習生に係る聴取票は、失踪した技能実習生から任意に聴取した情報であるところ、当該技能実習生は、入管法に違反し、資格外活動を行った者であって、当該聴査票は、刑事訴追を受けるおそれのある者からの聴取結果そのものであります。

 これが開示されることになれば、今後の調査ないしは捜査への協力が得られなくなる可能性があり、今後の調査業務や捜査に与える影響は甚大です。

 加えて、聴取票の記載内容は個人に関する情報そのものであり、これを開示すれば個人の特定につながり、また、技能実習生のみならず、受入れ機関や送り出し機関の個人情報も含まれ、このような者のプライバシーの観点からも問題があります。

 したがって、調査票そのものの開示には応じられないことを御理解いただきたいと思います。

 また、聴取票を取りまとめた結果の公表に関しましては、調査項目及びその結果の内容も踏まえ、公表を控えるべきである項目の有無も含めて慎重に検討を行っているところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 出入国管理法等改正案について、総理に質問します。(拍手)

 本年二月に総理から労働力不足への対策をするよう指示があったと伺っています。これにより今回の改正法案が出されているものと認識しておりますが、出てきた法案は、特定技能二号が加わるなど、かなり異なったものになっているように感じます。

 現在、技能実習の名のもとに労働力不足を補っている現状があります。これを是正することは必要ですが、技能実習制度をなくすべきとは思いません。外国の方が日本の技能を学びたいというのであれば、学んでいただきたい。国際貢献でもあります。その制度の乱用であってはならないと思っています。人手不足であるなら、正面からその解決策を国民に示すべきであり、それ以上である必要もないと思います。

 人手不足の趣旨を超え、五年の期間の更新を認める実質移民とも思える特定技能二号をなぜ入れなければならないのか、その理由を総理にお尋ねいたします。

 二〇一三年、労働契約法が改正され、有期雇用の期間が五年を経過して更に勤務を続ける者は無期転換を求めることができるようになりました。それが、二〇一八年のことしであります。企業は有期雇用を何度も繰り返すことができなくなりました。非正規から正規に変われる機会を得たのです。ところが、入管法改正によって外国人に五年の更新が無制限に認められてしまえば、日本人の正規雇用に変われる機会を奪うことになるのではないでしょうか。総理の見解をお伺いします。

 技能実習制度による失踪が後を絶ちません。昨年も七千人以上の外国人が失踪し、所在がつかめない状況です。この解決策を示さないまま、さらなる入国を認めることは、賛成できません。

 なぜ居場所を見つけられないのでしょうか。入管に在留管理のツールがないからです。銀行口座にも連携するマイナンバーカードの管理を入管にも認めるなどして所在の確認をしやすくすることが必要と考えますが、総理の見解をお尋ねします。

 日本の人口は決して少なくありません。ドイツ八千三百万人、イギリス六千六百万人、フランス六千四百万人、日本は一億二千万人です。生産性や社会福祉でよく比較される北欧は一千万人にもなっていません。

 人口の多い日本は、社会保障費の増大により、国民への行政サービスが行き届いているとは決して言えない状況です。外国人の受入れをふやすことに国民が不安に思うのは当然です。

 その一つが介護です。慢性的な人手不足ですが、定着率が低いのは、低賃金など労働環境が悪いからです。国としては、この問題を正面から取り組むべきです。このまま低賃金で外国人によって労働不足を埋めることになれば、高い志を持って介護の職についている日本人の労働環境は固定化されることになってしまいます。

 本気で低賃金の労働分野を改善しようと考えているのでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。

 時間の限られた臨時国会では、人手不足に限って是非を検討し、実質移民とも言える特定技能二号は三年後の見直しの時期に改めて検討することにしても決して遅くはないと考えます。

 日本維新の会は、外国人の日本での就労を全面的に反対しているわけではありません。むしろ、高度な技術や知識を日本のために生かすことには賛成です。しかし、単なる労働不足を解消するための方策を何ら他に手当てせず、外国人を労働力として受け入れることには反対です。政府が行うべきことは、女性のM字曲線の解消や、やる気のある高齢者の雇用の促進、非正規雇用を正規雇用にするなど、日本の政治であるのですから、日本人のための施策を充実させることだと思います。取り組む順番が違います。

 このことを日本維新の会として改めて指摘し、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 串田議員にお答えをする前に、先ほどの山尾議員の単純労働についてのお尋ねへの答弁について補足させていただきます。

 政府としては、引き続き、例えば、法務省が例に挙げるような特段の技術、技能、知識又は経験を必要としない労働に従事する活動を行う外国人を受け入れる政策については、これをとることは考えておりません。

 今回の新たな受入れは、あくまで、専門的、技術的分野を拡充し、一定の専門性、技能を有する外国人材を受け入れようとするものであり、従来の基本方針を変更するものではありません。その一定の専門性、技能は、分野ごとに判断されるものであります。

 それでは、串田誠一議員にお答えをいたします。

 特定技能二号の導入の趣旨についてお尋ねがありました。

 特定技能二号に関しては、従来の専門的、技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れるとの政府方針に沿ったものであり、また、本年六月に閣議決定された、いわゆる骨太の方針において、新たな在留資格による滞在中に一定の試験に合格するなどより高い専門性を有すると認められた者については、現行の専門的、技術的分野における在留資格への移行を認めるとされたことを踏まえたものです。

 特定技能二号については、我が国として積極的に受け入れることとしている専門的、技術的分野の在留資格に必要とされる技能と同等又はそれ以上の技能が求められるものであり、高い専門性を備える限られた人材の受入れを行うものです。

 特定技能二号の在留資格を得るためには、その高い専門性から難度の高い試験に合格する必要がありますが、在留資格を得た方には我が国経済社会の活性化に貢献していただくことが期待されます。

 外国人の在留期間の更新と日本人の雇用機会との関係についてお尋ねがありました。

 今回の新たな受入れ制度は、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、国内人材の確保や生産性の向上の取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる業種に限り、期限を付して外国人材を受け入れるものです。

 また、特定技能一号については、在留期間が通算五年に限られており、これを超えて更新することができません。特定技能二号についても、現行の専門的、技術的分野における他の在留資格と同様、一定の期間を設けて在留が認められるものであり、その在留期間の更新は、日本での活動状況等が厳格に審査されて初めて許可されるものです。新たに設ける在留資格は、いずれも、一定の期間を設けて在留を許可するものであって、御指摘のように更新が無制限に認められるというものではありません。

 さらに、受け入れた分野で外国人材の受入れが必要ではなくなった場合に備えて、外国人の新規入国を一時的に停止することが可能となる規定も設けています。

 新たな受入れ制度は、日本人の雇用に影響を与えるものではないと考えています。

 技能実習制度による失踪者の所在確認についてお尋ねがありました。

 失踪した技能実習生については、一般市民から提供される情報や、外国人雇用状況届出情報、退去強制手続をとった失踪技能実習生から聴取した情報などを収集し、これらの情報の分析を行い、失踪者の所在を把握するように努めており、その結果、所在が判明した者については、警察等関係機関と情報共有を図るなどして、効果的な取締りを行っていると承知しております。

 御指摘の点については、在留管理基盤の強化の課題として検討を進めてまいります。

 介護分野等の労働環境の改善についてお尋ねがありました。

 介護分野においては、就業促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成への支援に加え、他の職種に比べて賃金が低い状況にあることを踏まえ、処遇改善に取り組んできました。

 具体的には、既に自公政権で月額五万一千円の改善を行ったところですが、さらに、リーダー級の職員の皆さんを対象に八万円相当の処遇改善を行うことで、他産業と遜色のない賃金水準を実現してまいります。

 今回の新たな外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保を尽くしたとしてもなお外国人材の受入れが必要となる分野において受入れを行うものであり、こうした処遇改善等による国内人材の確保を適切に進めてまいります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       法務大臣     山下 貴司君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  西村 康稔君

       法務副大臣    平口  洋君


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