衆議院

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第10号 平成30年11月29日(木曜日)

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平成三十年十一月二十九日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第七号

  平成三十年十一月二十九日

    午後一時開議

 第一 漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 第二 経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第三 日本国と欧州連合及び欧州連合構成国との間の戦略的パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 日程第二 経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第三 日本国と欧州連合及び欧州連合構成国との間の戦略的パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、漁業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長武藤容治君。

    ―――――――――――――

 漁業法等の一部を改正する等の法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔武藤容治君登壇〕

武藤容治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における漁業をめぐる諸情勢の変化等に対応して、漁業生産力の発展を図るため、漁獲割当ての実施等による水産資源の保存及び管理のための制度の創設、漁業の生産性の向上及び漁場の適切かつ有効な活用を図るための漁業の許可及び免許に係る要件等に関する規定の整備、沿岸漁場における水産動植物の生育環境を保全及び改善するための制度の創設等の措置を講ずるとともに、漁業協同組合等の事業の執行体制の強化を図るものであります。

 本案は、去る十一月十五日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、二十一日吉川農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、二十二日から質疑に入り、二十六日参考人から意見を聴取するなど適宜審査を行い、昨二十八日質疑を終局しました。質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。亀井亜紀子君。

    〔亀井亜紀子君登壇〕

亀井亜紀子君 立憲民主党・市民クラブの亀井亜紀子です。

 私は、ただいま議題となりました漁業法等の一部を改正する等の法律案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 冒頭、一言申し上げます。

 本日、憲法審査会が強硬に開かれました。極めて遺憾であり、この場においても断固抗議します。

 憲法審は、これまで与野党合意のもと行われてきましたが、まさに前代未聞の強行開催です。先週も、野党幹事が法務委員会で質疑中にもかかわらず幹事懇を強行開催しようとするなど、与党は議会人としてあるまじき行為を繰り返しています。憲法の議論を行う前提すら理解しない議員に、憲法を論じる資格は全くないことを申し上げ、討論に入ります。

 本法案に反対する第一の理由は、本法案の質疑時間が十分に確保されず、採決ありきで進められた与党の強引な国会運営にあります。

 漁業というなりわいの根幹にかかわる漁業権や資源管理に関する本法案は、本来、臨時国会ではなく通常国会で慎重に審議されるべきものでした。

 七十年ぶりの改正です。法律案関係資料は電話帳のように分厚く、一部改正どころか新法のような法律です。少なくとも、浜を視察し、地元の漁協の意見を聞き、地方公聴会をし、参考人質疑をし、手続は踏んでくださいねと何度も与党の理事に申し上げましたが、参考人質疑以外、実現しませんでした。その参考人質疑も、定例日ではない月曜日に急遽行い、翌日から三日間ある定例日を使い切らずに採決したのです。

 委員会での趣旨説明からたった一週間。二カ月かけて審議された農協法の改正と比べても、余りに短過ぎます。ちなみに、質疑時間で比較すると、農協法は三十二時間二十五分、漁業法は野党の欠席分も含めて十三時間五十分です。農業とは予算が十倍も違うのだから、そんなに時間はかけられないという発言が与党の理事から飛び出しましたが、漁師さんが聞いたら怒ると思います。漁業軽視と言わざるを得ません。

 第二の理由は、漁業者の理解も不十分だからです。

 そもそも、今回の改正は誰のためなのでしょうか。

 さきの国会で成立した卸売市場法の改正と同様に、本法案も政府の規制改革推進会議の提言によって進められたものです。漁業権を岩盤規制と決めつけ、密室でつくられた法案に、漁業者の理解が得られるとは到底思えません。

 法案作成過程で政務三役が一度も浜に足を運んでいないことも明らかになりました。水産庁は現在までに九十九回説明会を行ったとのことですが、それでも改正内容が伝わっているのは一部の漁連の役員であり、地域の漁協までは情報がおりていません。

 立憲民主党で北海道の漁連と意見交換し、なぜ法案を受け入れたのかと尋ねたところ、三千億円の水産関係予算が決め手だったと言われました。本日、本会議に上程されたEPAにしても、TPPにしても、かつてのウルグアイ・ラウンドにしても、大型予算をつけて生産者に理解を求めるのは政府の常套手段ですが、恒常的な制度変更と単発の予算が見合うわけはなく、今回もまた第一次産業が衰退するのではと危惧しています。

 食料自給率が四割に満たない国です。古くは兵糧攻め、現代では食料安全保障と言われる概念に照らし合わせれば、日本の現状は危機的であり、これでは国民を守れません。

 第三の理由は、本法案が、七十年かけて達成された漁業の民主化に逆行するものだからです。

 実際、漁業法の第一条、法律の目的条項から、漁業の民主化という文言が削除されています。本改正で、漁業権は漁協から切り離されます。地元への優先順位規定は廃止、海区漁業調整委員会の漁民委員の公選制も廃止され、知事による任命制となります。

 今後は、漁協を通さず、知事から直接免許を受けた企業が浜に参入してくるかもしれません。漁業調整委員会も、知事に近い人物を委員に任命すれば、公平に機能しないでしょう。何より、漁業権の付与に際し、水域を適切かつ有効に活用するという、いかようにも解釈できる曖昧な基準は、恣意的運用を可能とし、知事の裁量権を不必要に拡大します。まるで、羽織漁師と言われた明治の網元が知事に成りかわったような法律です。

 第四の理由は、TAC、漁獲可能量とIQ、いわゆる個別割当てを用いる資源管理の導入が日本の沿岸漁業を衰退させるおそれがあるからです。

 そもそもIQとは、個人主義の欧米で、先取り競争を防止するために生まれた制度です。

 例えば、十隻の船があり、百トンのTACが設定された場合、日本であれば、一隻十トンのIQを割り当て、おおよその出漁日数を定め、自主的に管理できるでしょう。ところが、外国では、我先にと魚をとり、一カ月間の漁期の最初の一週間でとり尽くすようなことが起きました。水揚げの集中による魚価の低迷や加工処理能力が追いつかないという問題が発生し、IQが導入されたのです。互いに助け合う日本の漁村には必要ない制度です。

 また、TACは、沖合で魚群を探知し、まき網で根こそぎ捕獲するような漁業に対して適用すべきものです。ところが、政府は沿岸漁業も対象としています。無理に進めれば、浜は大混乱するでしょう。

 現在でも、沿岸の定置網にTAC魚種のクロマグロが入り、漁師を困らせています。水産庁は法令違反だと言いますが、とることも売ることもできず、困って海に捨てているのです。今後、TACの対象が漁獲量の八割にまで拡大されたら、定置網の漁師は一体何をとればよいのでしょうか。日本の沿岸は多種多様な魚が生息し、網にかかる魚を選ぶことはできません。

 また、今回の法改正では、船のトン数制限もなくなります。そのかわりにIQが導入されるわけですが、何を基準に今後の割当てが決まるのかが不明です。沖合の大型船、すなわち資本力のある企業にIQが集約されれば、漁村は衰退し、人口はますます都市部へ流出するでしょう。

 企業に対する外資規制がないことも問題です。

 漁村、漁業には、浜を守り、海を守り、領土、領海を守るという多面的な機能があるのです。

 最後に、日本が抱える領土問題である竹島について触れておきます。

 竹島は、映像で見てもおわかりのように、居住できる島ではありません。では、なぜ島根県が竹島の返還を求めるかといえば、これは漁業問題なのです。

 一九九八年に新日韓漁業協定が締結され、日本海に暫定水域が設定されました。これをなくしてほしいという運動が、竹島の日の条例の制定につながっています。

 つい先日、能登半島沖で日本漁船と韓国漁船の衝突事故がありました。

 日本海の漁師にとって、暫定水域と韓国漁船の問題は切実なのです。

 本法案は、漁業の機能が水産物の供給に偏り、漁業の多面的な役割、すなわち漁村の振興や安全保障という発想が欠落しているという致命的欠陥があります。

 以上の理由から本法案に強く反対し、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 稲津久君。

    〔稲津久君登壇〕

稲津久君 公明党の稲津久です。

 私は、漁業法等の一部を改正する等の法律案について、自由民主党、公明党を代表して、賛成の立場から討論します。(拍手)

 近年、我が国における漁業を取り巻く環境は大きく変化しています。水産資源の減少による生産量や漁業者数の減少、また、我が国周辺水域での外国漁船の操業の活発化、さらに、人口減少による消費への影響など、懸念される課題が幾つも顕在化しています。

 かつては水産国日本として世界第一位の生産量を誇ってきた我が国ですが、現在は四百三十万トン前後と、ピーク時の一九八四年に比べて三四%にまで減少しています。漁業就業者も、平成二十九年時点で十五万五千人と、約十年間で三割以上も減少しています。

 このような中で、水産物を安定的に供給し、漁村を維持発展させていくためには、将来を見据えて、変化に耐え得る仕組みの構築が必要であり、水産資源の持続的な利用の確保と水面の総合的な利用を図るための法改正が必要です。

 農林水産委員会の質疑では、新たな資源管理のシステムや漁業許可制度の見直し、また、海面利用の見直しや漁協制度の見直し等の質問があり、質疑を通して法案の重要性が確認され、制度の子細が明らかになりました。

 まず、新たな資源管理システムにおいては、近年の生産量の急速な減少に対し、適切な資源管理の必要性から、科学的な根拠に基づいた資源評価と漁獲量の管理を求め、TACやIQを導入することとしています。

 その際に、特にIQにおいては、大臣許可漁業など準備の整ったものから順次導入していくなど、現場の実態を十分踏まえて対応するとしています。

 その上で、質疑を通して、魚種の選択性が低い定置網漁業などを含め、資源管理の強化による影響を懸念する沿岸小規模漁業者の実態に即し、管理方法を丁寧に構築していくことが明確になりました。

 さらに、漁業者に対する経営支援策として、積立ぷらすやセーフティーネット対策の活用を図ることも確認をされました。

 海面利用制度の見直しについては、優先順位は見直し、漁場を適切かつ有効に活用している漁業者や漁協を優先して免許する仕組みにすることとし、新たな漁場などにおいては、地域の水産業の発展に最も寄与する者に免許することとしていますが、免許に当たっては、事前に既存の漁業者等の利害関係者の意見をよく聞いた上で検討を加え、海区漁場計画を作成することとしています。

 したがって、懸念されている地元の漁業者を無視するようなことではなく、むしろ地元の漁業者が主体となる海区漁業調整委員会の意見を考慮するものとなります。

 免許の判断は都道府県知事が行うことになりますが、質疑の中で、私から、円滑、混乱なく免許するためには、適切かつ有効に活用すること、地域の水産業の発展に最も寄与する者といった判断基準について、ガイドラインを求めました。吉川農林水産大臣の答弁で、国としてのガイドラインを法案成立後速やかに取りまとめ、早期に示すことが明確にされたことは評価されることであります。

 漁船の大型化について、必要性と影響について議論がありました。

 若者にとって魅力のある漁船漁業を構築すること、生産コストの縮減や安全性、居住性、作業性を向上させていくためには大型漁船の導入は必要であること、大型化にあっては、農林水産大臣等が漁業者間の調整を行い、操業期間や区域、また水産物の体長制限などの資源管理措置を講じていくなど、適切な資源管理や紛争防止のために関係漁業者と丁寧な調整を実施することが示されました。

 漁協制度の見直しについては、販売のプロの導入と公認会計士監査の導入で事業、経営基盤の強化を図ることとしています。

 販売のプロを役員に登用する改正では、必ずしも外部の登用が必要ではなく、昨今では、専門知識や経験を通して積極的な営業を展開し、独自の販路開拓をするなど成果を上げている組合も少なくないことから、水産物の販売等に関し実践的な能力を有する者を登用し、常勤、非常勤を問わず、漁協の内部登用が可能であるということが確認されました。

 また、公認会計士監査の移行においては、十分な移行期間を設け、漁協へのコンサルタント派遣等の費用を支援していくことが明確化されました。

 私は、今回の改正を通じて、日本の漁業における漁協の役割の重要性を再確認いたしております。

 全国各地の漁協が協同組合組織として漁業の維持発展に寄与してきたこと、漁協による情報共有を通じた海の監視ネットワークが国境監視等の役割を担ってきたこと、また、連合会が漁協をサポートし、系統組織の連携を進めてきたこと、さらに、漁協と連合会がともに一体感を持って、直面するさまざまな課題に取り組んできた成果は大きいものであると思います。

 その上で、今回の改正により、漁協の役割を評価、認識し、水産資源の持続的な利用と漁業所得の向上が図られるための支援を今こそ政府一丸となって実現すべきであると申し上げます。

 最後に、一言申し上げます。

 水産政策の改革の方向性や今回の法案について、漁業者や水産関係団体に十分な説明がされていないのではないかと一部の野党の指摘が散見されました。

 このことについては、ことし六月に農林水産業活力創造プランにおいて改革の具体的方向性が示され、以降、水産庁や全国漁業協同組合連合会が全国百カ所以上で説明会を実施しており、さらに、水産庁のホームページにわかりやすい解説も掲載しています。

 また、何よりも、参考人質疑において、漁協の代表者である岸全国漁業協同組合連合会会長は、全国説明会や、あるいは各地での説明会を開催し、示された内容につきまして、各浜から、さまざまな疑問や不安点を含め、多くの意見、要望を聞いてまいりました、こうした浜の意見、要望を踏まえながら鋭意対応を進め、水産庁もこれを受けとめ、浜の不安の声は相当程度払拭、解消し、また、論点も絞られてきました、最終的な詰めの協議を行ってきたところでありますと述べられました。

 これからも現場の浜における課題に丁寧に対応することは当然のことですが、以上申し上げた理由から、説明が不十分との指摘は当たらないことを明確に述べておきます。

 以上申し上げ、私の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 近藤和也君。

    〔近藤和也君登壇〕

近藤和也君 石川県能登半島の近藤和也です。

 「つくろう、新しい答え。」、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました漁業法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 討論に先立ち、きょうの憲法審査会の強行開会について抗議します。

 これまで憲法審査会は、与野党が、静かな環境の中、真摯に議論を積み重ねてきた歴史があります。しかしながら、きょう、森会長始め与党は、与野党の合意なく審査会の開会を強行しました。まさに、これまでの歴史を踏みにじるものであり、許しがたい暴挙であります。自民党下村憲法改正推進本部長の暴言に明確なけじめをつけることなく、暴挙に暴挙を重ねる与党の強権的な国会運営のもとでは、憲法審査会は一歩も進まないことを申し上げておきます。

 それでは、討論に入ります。

 法案に賛成の立場の議員の方々に問いたい。この法案に浜の香りがしますか。この法案を今回の国会で何が何でも通してくれ、そのような声を聞いた議員はいらっしゃいますか。七十年ぶりの大改正、総理は所信表明で大々的にうたいました。この言葉に心躍った議員はいらっしゃいますか。

 所信表明から一月余りがたちましたが、私の周りで、この法律を早く通してくれ、そのような声は残念ながら聞こえてきませんでした。わからない、知らないがほとんどなんです。

 日本は海洋国家。世界的にも恵まれた水産環境であり、そして何より、漁業の営みを通じて育まれてきた心意気、文化が深く根づいています。私の地域でのキリコ祭りなどはその結晶と言えるでしょう。合わせるかけ声と吹き出る汗、キリコを担いで海に入る、照らす月明かりと揺れる海面。幻想的な漁村の過去からの営みが、今なお地域の誇りであり、元気の支えともなっています。

 心意気がある、恵まれた環境がある、これを発展させて、新しい時代へ向けた水産業を構築していこうとするならば、漁業関係者、行政、お互いが十分協議しつつ、調和ある発展に導く環境づくりが求められます。しかしながら、この改正案は、つくり上げるまでのプロセスも法案の内容そのものも、率直に言って、海の香りが、浜の香りが全くしません。

 本法案に反対する理由を申し述べます。

 反対理由の第一は、漁業権の見直しについて、内容が粗雑であり、大きな混乱をもたらすおそれがある点です。

 戦後につくられた現在の漁業法の最大の目的は、浜の民主化でした。その中心に位置づけられたのが漁業権です。知事が公選制となり、漁業調整委員会が設立され、さらには地域の慣習と漁村の未来を背負った漁業協同組合が最優先される、この三者を中心として漁業権が扱われ、海の民主化が図られてきました。今回は、一部、その細分化された漁業権の優先順位をなくします。

 明治期に入り、慣習としての漁業権をその主体から取り上げたとき、その権利をめぐり抗争が激化、漁村は大混乱しました。漁業協同組合の前身の漁業組合は、その混乱をおさめていくために、漁村の慣習の一つの集合体としてつくられてきた歴史的経緯があります。その漁協は、今回で漁業権の優先権の一部を失います。養殖業であれば、地元漁協をその最上位として三十九もの優先順位を決めています。もちろん、その細かく規定されてきたものもなくなります。

 有効かつ適切にという曖昧な基準について、政省令で何らかの指針を示すとしていますが、漁業権とは事業を行うための核心的部分です。その大切な部分は後で決める、政省令に丸投げ、これではどこかで聞いてきた話と似ていませんか。

 ましてや、このような曖昧な規定では、実際に漁業権を付与する立場にある都道府県知事には、都合よく適切かつ有効の意味を解釈でき、白紙委任するようなものです。政治は残念ながら性善説を前提にすることはできません。権力は暴走する。憲法審査会の強行開会、入管法の議論がまさにその象徴ではないですか。

 知事に権限を集中し、海区漁業調整委員を公選制から任命制にし、漁村の慣習の象徴の一つでもある漁協の権限を奪う、これでは浜の民主化に逆行するのではないでしょうか。歴史は繰り返す。浜の混乱を望んでいる漁業関係者は誰もいません。

 反対の理由の第二は、議論が圧倒的に足りない点です。

 先ほどの漁業権のほか、漁獲可能量、TACと個別割当て、IQ、譲渡権、ITQの課題、船のトン数制限の見直しなど、論点は山積しています。この法案が大事だというのであれば、この議論を丁寧に行うことを通じて、漁業関係者や水産加工業者の方々の意見も伺いながら、真に彼らに必要な中身にしていこうではないですか。

 だからこそ、国民民主党を始め野党各会派は、委員会での参考人質疑、地方公聴会、現場への視察などを求めてきました。しかし、委員会の地方公聴会や視察は残念ながら行われませんでした。

 一方、私たち野党は合同で宮城県石巻市の現場を先日視察いたしました。野党各会派は、ほかのそれぞれの視察も含め、こうした実情を反映させ、しっかり議論をするため、十分な審議を求めてきましたが、何の力が働いたのか、極めて短い時間で採決に至りました。残念ながら、そこには漁業者に対する配慮は全くありません。

 今国会では、日・EU・EPAについて外務委員会との連合審査を求め続けてきましたが、実現しませんでした。対EU輸入品で、有税品目のうち三分の一が農産品です。さらには、入管法においても、四業種、受入れ見込み人数でも三分の一が農林水産にかかわる部分です。こちらも法務委員会との連合審査を求めていましたが、実現しないまま残念な結果になりました。

 与党の皆さん、もう少し、一次産業に携わる方々の思いに、悩みに、今に、夢に寄り添うべきではないでしょうか。

 先ほど申し上げた石巻の視察で印象に残ったのは、法律が大改正されることを知らされず、中身もよくわからないとおっしゃった漁師さんの不安そうな顔です。水産復興特区導入時の混乱とてんまつも経験されているから、その御心配はなおさらなんです。

 若手の漁師さんの言葉が心に響きました。どっちでもいい、何がどう変わるんだかよくわからないけれども、とにかく漁業者が食べていけるようにしてほしい。魚をとっている人が食べていけるようにしてほしい、悲しい訴えじゃないですか。

 こうした率直な現場の声を政府はどこまで酌んでこの法案を作成したのでしょうか。この改正によって、現場の声が混乱とともにかき消され、調和が乱れ、漁業が衰退するのではないかと私は危惧します。

 最後に、この法案で、この進め方でいいんだとそれでもなお考えておられる、そして、今やじられた議員の方々に、彼の一言を引用し、勇気ある心変わりを期待したいと思います。

 あなたは、食へのリスペクト、一次産業への敬意はありますか。

 以上で私の討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 森夏枝君。

    〔森夏枝君登壇〕

森夏枝君 日本維新の会の森夏枝です。

 私は、我が党を代表して、漁業法等の一部を改正する等の法律案について、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 暖流と寒流がぶつかり合う豊かな海に囲まれた日本にとって、漁業は、食料の確保という安全保障を含めた大きな問題の課題解決のため、重要な分野であると考えております。

 本法案は、水産資源を保存管理するための措置、そして漁業の許可、免許に関する制度を変更する大きな改革です。

 水産業は、残念ながら、年々、事業者の高齢化が顕著な産業分野であり、水産業を若者がなりわいとして選択することを促進するように、魅力的な産業に変えていくために必要な措置がとられるものと理解をしております。

 漁船を大型化し、ICTなどを導入し、より先端的な技術を導入することで、一人当たりの生産量を向上させ、漁業を発展させていかなければなりません。

 賛成の理由ですが、第一点目に、水産資源の分野に科学的な管理方法が導入されるということです。

 これまで効果があることが確認されたTACによる水産資源管理をする魚種を拡大させ、さらには、国際的に遜色のない科学的かつ効果的な評価方法及び管理方法を導入し、水産資源管理を見直して、資源の確保と生産性の増大を図るものです。

 第二点目として、漁業権について、許可制度が見直されることです。

 これまで漁業権の優先順位は法定制として固定をされておりましたが、漁場を適切かつ有効に活用していると認められる漁業者に優先的に与えられる制度に変わります。

 我が党は、かねてから規制緩和を主張してまいりましたが、この改革も好ましい方向であると考えております。

 この七十年ぶりの大改正に際し、全国各地で説明会を開催されておりますが、現場の漁業従事者の方々から、今も不安の声があることは事実です。

 今後も現場へ足を運び、丁寧な説明、意見交換をすることを強くお願いし、賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 金子恵美君。

    〔金子恵美君登壇〕

金子恵美君 無所属の会の金子恵美です。

 会派を代表して、漁業法等の一部を改正する等の法律案につきまして、反対の立場から討論します。(拍手)

 反対の理由の第一は、本法律案に対する現場の漁業者の理解が全く進んでいないことです。

 政府は、今回の法改正に伴い、全国で説明会を開催し、漁業関係者の理解を得られたと豪語しておりますが、現実には、現場の漁業者に情報が行き届いておらず、不安と不信だけが渦巻いております。

 理由の第二は、十分な審議時間が確保されなかったことです。

 総理は、七十年ぶりに漁業法を抜本的に改正すると述べました。これまでの七十年間の反省、評価と将来を見据えた十二分な議論が必要なことは明らかです。しかし、委員会では野党にわずか五時間半余りの質疑時間しか与えられず、また、我々が強く求めた地方公聴会、現地視察も一切実施されず、全く議論が深まらないまま採決を迎えてしまったことは残念でなりません。

 理由の第三は、漁村に無秩序な企業進出が進むことです。

 本法律案では、漁業権免許の優先順位規定が削除され、そのかわりとして、都道府県知事が、漁場を適切かつ有効に活用している場合や地域水産業の発展に最も寄与する場合に免許することとされました。しかし、政府はこうした場合の具体的な判断基準を示すことはなく、知事の恣意的な判断が入り込む余地は大きいと考えられます。

 また、現行法の優先順位規定は、漁村の漁業調整機能を担う漁協を優先的に取り扱うものでありました。これを削除したということは、漁村の維持発展よりも、より産業としての生産力強化に資する企業の参入を促す意図があると疑わざるを得ません。

 知事の恣意的な判断に基づき漁村に無秩序に企業が進出した場合、漁協の機能は著しく低下し、漁業調整機能はもとより、国境監視や環境保全といった漁業、漁村が持つ多面的機能が著しく損なわれることは、火を見るより明らかです。

 理由の第四は、海区漁業調整委員会の公選制の廃止です。

 本法律案では、海区漁業調整委員会について、漁業者委員の公選制を廃止することとしています。現行漁業法において、海区漁業調整委員会は漁業の民主化のかなめです。そして、選挙制度こそ民主主義のかなめであります。これぞ戦前への回帰であります。

 以上の理由から、本法律案に反対することを表明して、私の討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 田村貴昭君。

    〔田村貴昭君登壇〕

田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、漁業法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論を行います。(拍手)

 法案の最大の問題は、漁業をなりわいとする地元漁業者に優先的に漁業権を与え、漁協が主体となって沿岸漁場の環境を守ってきた仕組みを廃止し、知事の裁量で生産性の高い企業に漁業権を与えようとしていることであります。あわせて、漁場の調整などを行う海区漁業調整委員会の公選制も廃止します。現に有効に機能している制度を廃止する必要はありません。

 漁業の成長産業化の名のもと、沿岸漁場に地元漁協と無関係に養殖企業が参入すれば、どうなるか。環境保全や漁場監視、出荷調整など、これまで漁協のもとで協議しながら行ってきた海面利用の仕組みが崩れるのは必然です。

 現に、この法案を先取りした宮城の水産復興特区では、知事が一方的に企業に漁業権を与え、浜に混乱と対立を持ち込みました。このことへの反省や検証がないまま全国に広げるなど、断じて許せません。現在のルールのもとでも、企業は漁協の組合員として沿岸漁業に参入しています。変える必要は全くありません。

 水産資源の管理は重要です。しかし、今回の、魚種ごとに漁獲可能量を設定し、個々の漁船ごとに割り当てる制度の導入は問題です。法案に先行して導入されたクロマグロの資源管理では、政府が沿岸漁業者の意見を聞かず、大規模漁業を一方的に優遇し、小規模な漁業者が生活できない事態に陥りました。

 本法案においても、漁獲割当ての配分に沿岸漁業者の意見を反映する仕組みはなく、禁漁を余儀なくされた場合の補償もありません。資源管理は本来、漁業者の自主的な取組を最大限支援するべきであり、制限が必要な場合は、まき網など資源に最もダメージを与える大規模漁業から抑制すべきであります。

 漁船の大きさを制限するトン数規制も撤廃されます。大型化を容認すれば、大規模漁業は今以上に高性能なエンジンや機械を導入し、漁獲圧が高まります。水産資源の乱獲が進み、沿岸漁業が大きな影響を受けるのは明白であります。

 結局、本法案は、企業の参入を優先し、沿岸の漁民から海を取り上げるものにほかなりません。これほど重要な法案を、全国の単位漁協、漁業者にはほとんど知らせず、審議も尽くさず、無理やり押し通すことは許されません。断固反対であることを強調し、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第三 日本国と欧州連合及び欧州連合構成国との間の戦略的パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第二、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、日本国と欧州連合及び欧州連合構成国との間の戦略的パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長若宮健嗣君。

    ―――――――――――――

 経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 日本国と欧州連合及び欧州連合構成国との間の戦略的パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔若宮健嗣君登壇〕

若宮健嗣君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 日・EU経済連携協定は、我が国と欧州連合との間で、貿易及び投資の自由化及び円滑化、自然人の移動、知的財産の保護等の分野における経済連携を強化するための法的枠組みについて定めるものであり、日・EU戦略的パートナーシップ協定は、我が国と欧州連合及び欧州連合構成国との間で、全般的なパートナーシップの強化等を目的として幅広い分野における対話、協力等を促進すること等について定めるものであります。

 両協定は、本年七月十七日に東京において署名されたものであります。

 両件は、去る十一月二十日に本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日外務委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、翌二十一日に河野外務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十八日、質疑を行い、討論の後、順次採決を行った結果、両件はいずれも賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。石川香織君。

    〔石川香織君登壇〕

石川香織君 立憲民主党の石川香織です。

 私は、立憲民主党・市民クラブを代表いたしまして、ただいま議題になりました経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定について、反対の立場から討論をさせていただきます。(拍手)

 冒頭、私も、憲法審査会について、与党による強行開催に改めて断固抗議した上で、一言申し上げます。

 憲法審を強行開催した与党議員がこの会場にもおられます。その皆さんには、これまで憲法審を穏やかに運営してこられた先輩議員のお話を真摯に聞くことをぜひお勧めします。あなた方がいかに横暴きわまる、前代未聞の憲法審の運営を行ったか、あっという間にわかると思います。強い反省を求めます。

 それでは、討論に入ります。

 政府は、日・EU・EPAによって、日本はどの分野でどのくらいの影響が出るかを試算をしています。農林水産分野では、最大千百億円もの生産額が減少すると見込まれています。その中で、大幅に自由化する牛乳・乳製品では、最大二百三億円生産額が減少すると試算されておりますが、そのうちの九割を北海道が占めると言われております。

 これだけの規模の生産額が減少するのも衝撃的でありますが、これらの試算は対策を講じた上での影響額であり、しかも、対策を講じることで生産量は維持できるという見立てを政府はしております。しかし、そんな見通しの甘い試算はにわかに信じることができません。それは、少しでも影響を小さく見せようとする細工ではないでしょうか。

 日本の生乳生産の多くを支えている北海道。その北海道の生乳の生産量のうち、八割が加工用です。EU産の進出により、飲用に比べて価格が低い加工乳は、北海道を中心に乳価を下げざるを得ないという状況が生まれるのではないでしょうか。

 また、国産チーズの需要が奪われれば、需要と供給のバランスが崩れて、生乳の行き場はなくなる事態もあり得ると思います。政府は、チーズ向け生乳の品質向上に取り組んだ酪農家に対し、一キロ当たり最大十五円の奨励金を支払うという緊急対策をとっていますが、この対策は単年度で終わってしまっては決していけません。

 また、チョコレート菓子の関税は十一年かけて撤廃されます。これは、無税の輸入枠を設けたTPPの合意内容よりも踏み込んだ内容になっています。EU産のチョコレート菓子の輸入量はおよそ一万トンであり、輸入量全体の四割を占めます。EUの菓子業界は巨大企業が多く、ブランド力もあるため、関税撤廃によりメーカーの競争激化は必至です。食品業界、製糖業界への影響だけではなく、てん菜やサトウキビといった甘味資源産地への影響も想定されます。

 そのほか、二年前の十二月に衆参農林水産委員会で、再生産が引き続き可能となるよう、必要な国境措置をしっかり確保すると決議された豚肉など、さまざまな分野で大きな影響が及ぶ懸念があります。

 林産物も同様です。

 現在、木材の自給率は、人工林の多くが伐採期を迎え、国産材の利用が進んで、六年連続で上昇しています。せっかく国内の林業、木材産業が頑張っているところに、今回の日・EU・EPAは逆風になりかねません。また、TPP11参加国からの安価な木材が入ってくるという流れが加わり、ダブルパンチになるのではないかという懸念もあります。

 政府試算では、最大で三百七十一億円生産額が減少するとしています。これだけ生産額が減少すると見込んでいるにもかかわらず、製材工場の規模拡大やEU産と競合の少ない内装材への転換など、国内対策で支援をするために国内生産量は維持されると見込んでいるようでありますが、その見立ては楽観的過ぎるのではないでしょうか。

 欧州委員会は、日・EU・EPAにより、加工食品の日本への輸出が五一%増、日本円にして千三百億円増大すると試算をしています。特に重視する乳製品の日本への輸出に至っては二一五%増、日本円にして九百四十八億円増大すると試算をしています。

 これはEU側が独自に試算をしたとはいえ、日本政府の試算と余りに開きがあります。EU側からすれば攻めどころと思って、自信を持ってこの試算をしているのでしょう。日本の乳製品はEU産に取ってかわられてしまうのではないか、そんな不安を感じながら酪農家の人たちはきょうも搾乳をしています。

 九月六日の北海道胆振東部地震の際、北海道の酪農家は大きな被害を受けました。六日未明の地震は朝の搾乳の直前でありましたが、ブラックアウトになった中でも、何としても牛にストレスをかけまいと必死に対応されていました。真っ暗の中で農協の職員や役場の職員たちが各農家に足を運んで、自家発電機の有無を調査し、どうにか全農家に行き渡るよう奔走していました。そんな状況の中でも必死で搾った生乳は、乳業工場が停電によって受け入れできず、大量に廃棄されてしまうという事態も起こってしまいました。搾乳時間が通常よりも大きくずれ込んでしまった影響で、乳房炎になったり、ストレスになって早産したり、最悪の場合、廃用、死んでしまった家畜もありました。毎日休みなく搾乳する過酷さに加えて、今回のような突然の災害に見舞われたときにもどうにか地域が助け合って何とか乗り切ってくださったのです。

 何げなく毎日口にしている牛乳・乳製品はそんな苦労のたまものであること、また、厳しい基準でしっかり衛生管理されているおかげで安心して私たちの食卓に運ばれているということを忘れてはなりません。

 農家戸数が減っている現状で、大きな投資をして生産量を伸ばす努力をしている酪農家もいる中で、今の日本はそういった酪農家が子や孫へ引き継ぐ未来を夢見て営農できる環境でしょうか。

 全ての自由貿易が悪いとは言いません。EUは日本にとっても最も重要な地域の一つであり、EUと経済的な連携を深めることの重要性も認識をしています。しかし、日・EU・EPAが、EUにおける自動車等の工業製品の関税撤廃によるメリットも明確ではない一方で、農林水産分野が犠牲になることだけは許せないのです。

 日・EU・EPAが、酪農家を始め、生産者の熱意を踏みにじるようなものであっては決してなりません。

 農林水産業への打撃が相当大きいものであるにもかかわらず、見通しの甘い試算をし、影響額を小さく見せようとする政府の姿勢は誠実とは言えず、当然納得できるものではないことから、日・EU・EPAに反対することを強く申し上げまして、私の反対討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 杉本和巳君。

    〔杉本和巳君登壇〕

杉本和巳君 日本維新の会、略称維新の杉本和巳です。

 私は、日・EU経済連携協定の締結についての承認及び日・EU戦略的パートナーシップ協定の締結についての承認について、どちらにも賛成の討論をいたします。(拍手)

 両協定は、平成二十五年四月以来、五年三カ月の歳月を経て、平成三十年七月十七日に署名に至ったわけですが、両協定により、貿易の自由化及び円滑化が促進され、幅広い分野で互恵的な経済連携が構築されることは、原則として比較優位が機能し、日・EU経済が一段と活発化し、かつ、日・EU関係が一層緊密化することと理解できます。

 外務委員会質疑で指摘があったように、英国のEU離脱を控え、離脱交渉が途上で不透明な部分もあることから、その影響がGTAPモデルに反映された試算が行われていないわけで、GDP押し上げ効果と雇用効果の数値が必ずしも政府試算どおりとは言えなくなるという点は、維新としても指摘をしておきます。英国のEU離脱後の適切なタイミングで速やかな試算の修正がなされることを求めます。

 IMFの、四十年後のGDPマイナス二五%という驚愕の試算にもあるように、少子高齢化、人口減少という国難と言える最大の課題を抱える我が国にとって、日本のかかわる開かれた商圏が、総人口六億人、世界のGDPの二八%、世界貿易の三七%を占める巨大経済圏として誕生することは、文字どおりありがたいことです。

 中小・小規模事業者、農業や漁業、社会資本の整備などの分野にも十分な目配りをしつつ、よいものは世界が待っているというポジティブな思考で賛同いたします。

 また、SPAについても、普遍的価値を共有できる国家群であるEUとは、SDGsの旗手を標榜する我が国として、民主主義、法の支配から文化交流促進に至るまで、四十分野での対話、協力の促進ができることは極めて有意義であると理解しております。

 以上を申し上げて、両協定締結への賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 小熊慎司君。

    〔小熊慎司君登壇〕

小熊慎司君 国民の小熊慎司です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、また、本年は、戊辰百五十年の節目の年であります。会津人として会津魂を持って、さらに、一八九〇年、明治二十三年十一月二十九日、本日は第一回の国会が開会をされた記念すべき日でもあります。国会議員として、原点、初心に立ち返り、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件に対し、反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 資源に恵まれない我が国は、これまで対外貿易により経済発展を遂げてまいりました。我が国にとって、公平かつ公正で、透明性の高いルールに基づく自由貿易体制の維持は、死活的に重要と言っても過言ではありません。

 世界に保護主義的な動きが広がる今、自由貿易の旗を高く掲げて、これを守っていく強固な意思を世界に示していくこと、そして、価値観や利益を共有するEUとの間で、自由貿易を引き続き推進するための協力を更に強化していくことは重要です。

 また、二〇一一年三月十一日の東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故から七年八カ月以上を経た今もなお、福島県を始めとする地域の産品に対し輸入規制をかけている国や地域がある中で、EUは昨年十二月、福島県産の米など十県の食品に対する輸入規制を緩和することを決定いたしました。

 この日・EU・EPAの締結を追い風として、福島県を始めとする地域の産品について、EUへの輸出が拡大していくことが大いに期待をされております。しかしながら、日・EU・EPAについては、懸念される点、政府の説明が十分でない点が依然残されています。

 本協定では、重要五品目のうち米は譲許の対象から除外されたものの、豚肉・牛肉、乳製品、砂糖については、衆参農林水産委員会決議を全く守れていないと批判されたTPPとほぼ同水準の譲許をEUに対してもしてしまいました。

 その上さらに、ソフト系チーズ、パスタ、SPF製材等の品目においては、TPPの水準を超える譲許を余儀なくされています。

 政府は、本協定による農林水産物への影響について、約六百億から一千百億円の生産額の減少が生じるとする一方、TPPと同様に、体質強化策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるとの説明を繰り返しています。

 しかし、生産額が減少するのに、なぜ農家所得や国内生産量が維持できるのか、具体的にどのような国内対策を講じることによりそれが可能になるのかなどについては、本院での短い審議では全く明らかになりませんでした。

 また、さまざまな国内対策の財源である関税収入が本協定の締結により更に減少することが見込まれる中、国内対策のための財源をどう確保していくのかについても、政府による明確な回答はありませんでした。

 このような状況で、安全でおいしいものが食べたいと願う私たちの食を支えながら、日々厳しい環境の中で努力されている農業従事者の方々の懸念をどうして払拭することができるのでしょうか。

 特に、乳製品の全国の生産減少額が最大二百三億円に上るとされる中で、そのうち九割もの影響を受けることになる北海道の酪農従事者の方々に対して、この先も安心して生産を続けられますよとどうして断言できるのでしょうか。

 また、来年一月にも始まると見られる日米物品貿易協定、いわゆるTAG交渉について、FTAではないと言い続ける政府が、ここでも詭弁を弄しているのではないかという懸念を到底拭うことはできません。

 我が党は、自由貿易の推進やEUとの協力の重要性を十分に理解しております。しかし、政府の誠実な説明、十分な審議がないまま、大きな問題点のあるこの協定に賛成することはできません。

 更につけ加えれば、八つのILO基本条約のうち、我が国が批准していない百五号条約と百十一号条約について、政府は、日・EU・EPAはこれらの条約の批准を義務づけているわけではないとの説明を繰り返しています。しかし、百七十を超える国、つまり世界のほとんどの国が締結しているこれらの条約を我が国がいまだに締結しておらず、しかも、その批准に向けた検討が何十年もの間一ミリたりとも進んでいない、そういうことに強い違和感を拭えません。

 今回、基本的人権を重視するEUとの間でEPAを締結するに当たり、我が国のそうした姿勢そのものが問われていることになるのだと思います。条約違反でないからいいということではありません。

 この二つのILO条約の批准については、可能な限り早く検討を進め、成果を示していくことを強く求めます。

 さらに、そもそもこの協定の委員会における審議の日程が、与野党間の合意を得ることなく、委員長職権により拙速に決められました。そして、関係委員会との連合審査会を開くこともなく、わずか一日、たった四時間半の審議により採決に至ったことは極めて遺憾であり、不誠実な委員会運営をここに強く抗議いたします。

 これはまさに、政権にとって都合の悪いことを野党から追及される機会をできるだけ少なくするために、わずか四十八日間という短い臨時国会を開き、その会期内に、入管難民法改正案や、また漁業法改正案といった重要法案の審議の陰で本協定の承認手続をさっさと済ませようとする政府のこそくで国会軽視の姿勢のあらわれであると言わざるを得ません。

 しかも、この臨時国会は、閣僚の外遊が多いことがあらかじめわかっている時期に開かれています。国民の代表機関であり、国権の最高機関である国会をこのように軽視する姿勢で、政府は、EUに対して、我が国とEUは民主主義、基本的人権、法の支配という基本的価値を共有する重要なパートナーだと胸を張って言えるのでしょうか。

 このような政府・与党の姿勢を到底認めることはできないということを改めて申し述べさせていただきます。

 最後に、今の政府・与党に最も欠けているのは、政府の政策によってマイナスの影響が避けられないのであれば、そのことを曖昧にしたり、ごまかしたりせずに、国民に真摯に説明する姿勢です。

 どうせこれを言ってもわかってもらえないからしようがない、そんな思いで真実を語らない政治は、国民を信じていない不誠実な政治です。

 私たちは、国民の皆さんを信じて、常に真実を語る努力をしなければなりません。ごまかしや不誠実な政治とは決別をし、正直で公正、そして謙虚で丁寧な政治を希求し、国民の皆さんから信頼を得た上で、未来につながる新しい答えをつくることが政治の真の役割であることを強く申し上げて、反対討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。感謝いたします。(拍手)

議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、日欧EPA及び日欧戦略的パートナーシップ協定に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 両協定は、農林業を始め、国民生活となりわいに深刻な影響を与えるにもかかわらず、外務委員会では、参考人質疑なし、わずか一回、四時間余りの審議で採決が強行されました。

 TPP審議は七十時間以上でした。その一割以下です。入管法案強行に続き、余りにひどい国会運営じゃありませんか。国会は政府の追認機関ではありません。国権の最高機関を形骸化させている与党は猛省すべきであります。

 日欧EPAは、乳製品など農林水産分野で、史上最悪の農業破壊協定であるTPPの水準を上回る譲歩をした亡国の協定にほかなりません。

 TPPでハード系チーズの関税が撤廃された上、日欧EPAではソフト系チーズまで関税が撤廃されます。EUからの輸入が多い豚肉の関税が削減されます。本協定によってEUから安い輸入品が大量に流入すれば、国産品の値崩れなどを招き、懸命に努力を続けている全国の酪農、畜産を始め、大打撃を受けることは明らかではありませんか。

 政府は、国内政策で農家の所得は確保され、生産量も維持されると言います。しかし、その内容は、生産コストの削減や大規模化を画一的に迫るものであり、小規模・家族農業の切捨てと言わざるを得ません。

 加えて、本協定は、市場開放の連鎖をもたらします。

 日豪EPAは、日本が他国の協定で特恵的な市場アクセスを認めた際は、豪州にも同等の待遇を与えるための見直し規定があります。本協定により、豪州からさらなる市場開放を迫られかねません。

 アメリカのパーデュー農務長官も、日本がEUに与えたものと同等か、それ以上の市場開放を期待すると述べています。

 本協定が譲歩の連鎖を引き起こすことは明らかであります。際限のない市場開放を進め、国民の生存基盤である農業を破壊する本協定を断じて容認するわけにはいきません。

 また、日欧SPAは、テロ対策や宇宙空間など四十分野で協力するとしながら、具体的内容は今後の検討に委ねられております。

 この十年、日本とEUは、ソマリア沖の海賊対処活動での自衛隊と欧州各国軍との連携など、安全保障分野での関係を深めてきました。政府の国家安全保障戦略は、EUとの関係を、NATOとともに更に強化する方針を打ち出しており、本協定は、EUとの軍事関連分野での協力を進めるための法的枠組みの一つであります。認めるわけにはまいりません。

 以上、指摘し、反対の討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       外務大臣    河野 太郎君

       農林水産大臣  吉川 貴盛君


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