衆議院

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第12号 平成30年12月6日(木曜日)

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平成三十年十二月六日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第九号

  平成三十年十二月六日

    午後一時開議

 第一 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 第二 水道法の一部を改正する法律案(第百九十六回国会、内閣提出)(参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第二 水道法の一部を改正する法律案(第百九十六回国会、内閣提出)(参議院送付)


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第二 水道法の一部を改正する法律案(第百九十六回国会、内閣提出)(参議院送付)

議長(大島理森君) 日程第一、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案、日程第二、水道法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。厚生労働委員長冨岡勉君。

    ―――――――――――――

 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案

 水道法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔冨岡勉君登壇〕

冨岡勉君 ただいま議題となりました両案について申し上げます。

 まず、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、成育過程にある者等に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策を総合的に推進するため、成育医療等の提供に関する施策に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、保護者及び医療関係者等の責務等を明らかにし、成育医療等基本方針の策定について定めるとともに、成育医療等の提供に関する施策の基本となる事項を定めようとするものであります。

 本案は、昨日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

 次に、水道法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化等に対応し、水道の基盤の強化を図るため、都道府県による水道基盤強化計画の策定、地方公共団体である水道事業者等が水道施設に関する公共施設等運営権を設定する場合の許可制の導入、指定給水装置工事事業者の指定に係る更新制の導入等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、前国会、本院において可決され、参議院において継続審査となっていたもので、昨日、参議院において可決の上、本院に送付され、同日本委員会に付託されました。

 本委員会においては、同日、提案理由の説明を省略した後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 両案中、日程第二につき討論の通告があります。順次これを許します。初鹿明博君。

    〔初鹿明博君登壇〕

初鹿明博君 立憲民主党・市民クラブを代表して、ただいま議題となりました水道法の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論いたします。(拍手)

 ついに水までもか、我々の命の源である水まで商売の種にしないでくれ、これが多くの国民の思いではないでしょうか。

 この法案は、さきの通常国会において、大阪北部地震の対応を理由に十分な審議なく衆議院を通過し、参議院に送られ、継続審議となっていたものです。

 この後、法案の中に、水道事業の運営権を民間企業に譲り渡すコンセッション方式の導入が規定されている事実が広がるにつれ、マスコミも大きく取り上げるようになり、国民の不安の声も強くなってきています。

 地方議会においても、野党系の発案に自民党会派が賛成して成立した新潟県議会を始め、多くの地方議会で今回の改正案に反対する意見書を採択しています。

 このような反対意見の高まりや参議院審議で明らかになった問題点などを考えると、衆議院においても、十分な審議時間をとり、改めて議論を行うべきであります。

 しかしながら、与党は数の力で、午前中に参議院を通過したその日に、野党からの審議要求を無視して委員会採決を強行しました。審議を行えば行うほど、問題点が明らかになり、反対の世論が大きくなることを懸念したのでしょうか。与党の側が審議拒否をして採決を強行したことに強く抗議いたします。

 さて、安倍政権発足後、政府の政策決定のプロセスが大きく変わりました。首相官邸のもとに置かれた経済財政諮問会議、産業力競争会議、規制改革会議、未来投資会議などの安倍総理のお友達中心に集められた民間委員による会議体で発案されたものが、関係省庁において積み上げられてきた議論を飛び越えて法案化され、国会に提出されるようになったのです。

 そして、その多くが、外資系企業を含む多国籍企業の参入を可能とする規制緩和を行うものであり、我が国の文化や慣習、産業、そして国民生活の安定を脅かすようなものばかりであります。

 今国会で成立した漁業法の改正、外資規制のないPFI法、卸売市場に民間参入をできるようにする卸売市場法の改正、民間企業が種子産業に参入しやすくするための主要農産物種子法の廃止、そして高度プロフェッショナル制度の導入を決めた働き方改革関連法、そして、きわめつけはカジノを解禁するIR実施法など、当事者や関係者の声を無視する一方で、主に海外の巨大企業の利益を優先し、国民生活をないがしろにする法案を安倍政権は続けざまに成立させてきております。

 そして、今回、私たちの命の源である水を供給する水道事業を民間企業、それも外資系企業に売り渡すことにつながるコンセッション方式の導入を行おうとしているのです。

 先ほど例示した法案の多くは、与党、自民党内でも反対の意見が強くあったと聞いています。しかし、残念ながら、与党の議員の皆さんは、官邸の意向に逆らうことができずに成立を容認しております。中には、良心の痛みに苦しんでいる議員の方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

 憲法第四十一条には、国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関であると規定されています。しかし、現状は、官邸のもとにつくられた、選挙で選ばれていない民間委員の案がそのまま法案となり、与党議員も疑問に思いながらも追認し、国会の審議も十分に時間の確保がされず、野党からの問題点の指摘にも正面から答えることもせずに、成立に至っています。

 このような、国民から選ばれた国民の代表たる国会議員の意見が軽視され、選挙で選ばれてもいない民間委員の意見が優先される事態は、民主主義を冒涜するものであり、議会制民主主義の否定につながります。

 私たち立憲民主党は、立憲主義に基づき、健全な民主主義を守る上で、安倍政権が発足してからの政府の政策決定プロセスのあり方に強く抗議するとともに、抜本的な見直しを図るよう求めるものであります。

 さて、我々立憲民主党・市民クラブは、今回議題となっております水道法の一部を改正する法律案に全て反対しているわけではありません。

 今回の法改正が、人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤強化を図るためのものであり、これらの点においては必要性があると我々も理解しています。

 しかしながら、水道事業の運営権を民間企業に譲り渡すコンセッション方式の導入については、以下の三点で、断じて認めるわけにはいかないのです。

 反対の第一の理由は、日本を取り戻すと宣言されてスタートした安倍政権において、まさに言行不一致と言える、日本を売り渡す、先ほど示した一連の売国法案の総仕上げとも言える法案であるからです。

 我が国において、水道事業はこれまで公営で行われてきました。それがゆえに、国内企業で水道事業の運営をするノウハウを持っている企業はほぼ存在しておりません。海外で実績のある、水メジャーと呼ばれる特定の企業がコンセッションに参入していることは間違いないのです。

 国会審議の中で明らかになりましたが、フランス水メジャー、ヴェオリア社の日本法人から内閣府に社員が出向しておりました。官房長官の補佐官がフランス出張の際には、ヴェオリア社の副社長と食事をともにし、水メジャー、スエズ社から、移動のための車を提供してもらうなど、利益相反が疑われる事態も明らかになっております。

 水メジャーがこのような便宜供与を行う理由は、法改正が行われれば一定の利益を得ることができると考えているからこそであり、今、国と契約関係にないから利益相反には当たらないとはとても言えないのではないでしょうか。

 このように、水道事業を特定の外資系企業に譲り渡すことにつながる、つまりは日本を売り渡すことになるような法律を認めるわけにはまいりません。

 二つ目の理由は、海外では民間委託が失敗に終わり、再公営化の流れが加速している中で、周回おくれでコンセッション方式を導入する理由が理解できないからです。

 英国とEUの会計検査院が既にコンセッションは非効率であると指摘しているように、コンセッション方式を導入することで水道事業の効率化は図れません。コストカットのつもりがコスト増になる可能性は否定できないのです。

 世界の民営化水道の実態を調査している公共サービスリサーチ連合によると、世界三十七カ国、二百三十五水道事業が再公営化されております。

 今回の法改正で海外の再公営化の流れに反してコンセッション方式を導入する理由があるとすれば、再公営化によって海外での契約を失った水メジャー企業のために、我が国の水道事業を開放し、穴埋めしてあげようということ以外には考えられません。

 また、一旦民間に運営権を譲ってしまうと、問題があっても公営に戻すことが非常に困難になります。なぜなら、民営化することで自治体に水道事業を担うことのできる人材が枯渇したり、債務不履行で民間事業者から訴訟を提起される可能性があるからです。

 海外の再公営化した事例から学ぶべきところでありますが、残念ながら、再公営化した事例について調査したのはたった三例で、再公営化しようとしたけれどもできなかった事例や訴訟を提起された事例については件数も把握していないというずさんさも明らかになりました。

 つまりは、一旦民営化してしまうと、失敗だとわかっても戻ることができない片道切符になる可能性もあり、水道料金の高騰という形で返ってくる可能性が高いのです。このことも、反対の大きな理由です。

 そして、三番目の理由は、今求められているのは安心、安全な水道事業の継続であって、民営化や運営権の売却ではないからです。

 近年、全国各地で災害が頻発しております。災害時に、水道事業者相互間で協定を結び、給水車を派遣するなど、協力体制をとっています。このような、自社の利益に直接ならないことを民間企業が行うか疑問です。また、災害により被害を受けた施設をもとどおりに修復するのかも疑問が残ります。

 今やるべきことは、蛇口をひねれば水が出て、その水をそのまま飲める、安全かつ安価な水を今後も守っていくことです。そのためには、老朽化施設の更新に加えて、人材の育成や技術の伝承を確実に行えるよう、水道事業を地方自治体のみならず国も責任を持って支援していく必要があるのです。少なくとも、外資系企業に水道事業の運営権を譲り渡すことではありません。

 国民の命の源である水を守るために、コンセッション方式の導入には断固反対を表明して、反対討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 私は、党を代表して、ただいま議題になりました水道法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 今年六月の大阪北部地震では、老朽化した水道管の破断により道路が冠水し、多くの世帯で断水となるなど大きな被害が生じました。

 全国的に、主要水道は高度経済成長期につくられたために法定耐用年数を超えており、老朽化、耐震化対策は待ったなしです。対応がおくれれば、将来の水道維持コストが高くなることは明らかです。

 本法案には、その解決策として、広域化と官民連携が明示されています。

 大阪では、橋下知事の時代に、大阪府と大阪市の水道事業を統合しようとしましたが、猛烈な反対に遭って実現できませんでした。そして、現在も、同じ淀川水系で府と市が別々の建物を建てて水をとっているという極めて非効率な状態が続いています。全国的にも、非効率な状況を解消していかなければなりません。

 今回の法改正にあるコンセッション方式ですが、施設の所有権は地方公共団体にあり、いわゆる完全な民営化ではありません。地方公共団体に給水義務を残すなど、水質の確保や災害時の対応など、公の関与を強くする内容となっています。

 また、水道料金について、地方公共団体のモニタリングにより条例で料金の上限を定めるとともに、国も報告聴取や立入検査を行う権限をもとに料金の設定をチェックすることで、民間事業者へのガバナンスを徹底することができます。

 官民のよい形による組合せによって、今後本格化する少子高齢化社会を乗り越えていくべきであると考えます。

 国民の生活の基礎である水が、安全で安く供給することを目指して、水道法の一部を改正する法律案に対する賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 稲富修二君。

    〔稲富修二君登壇〕

稲富修二君 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の水道法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 今国会での参議院での本法案の審議を通じて、厚労省が調べた諸外国の水道民営化の失敗事例がわずか三件だけであったこと、公共部門の民営化を推進する内閣府民間資金等活用事業推進室に水道サービス大手の社員が出向していて利益相反が疑われることなど、新たな問題が発覚をいたしました。衆議院においてさきの通常国会で審議したとしても、その後に新たな問題が発覚した以上、改めて衆議院で徹底的に審議するのは当然のことであります。

 そのため、国民民主党など野党は、本法案を衆議院の厚労委員会で審議を行うよう強く求めました。にもかかわらず、政府・与党は、本法案の問題を隠蔽するため、一方的に委員会での質疑を省略してしまいました。会期末とはいっても、厚労委員会の定例日はまだ残されております。にもかかわらず、質疑を省略し、採決を強行したのは、国会軽視の許されざる暴挙と言わざるを得ません。臭い物にふたをするために、国会審議を行わず、国会議員としての職責を果たさない政府・与党の姿勢に抗議をいたします。

 その上で、本法案について申し上げます。

 本法案には、震災への備えとなる、水道事業者等に施設の維持修繕を行うことを義務づけるといった規定が盛り込まれています。水道管の老朽化によって破断が起きないよう、維持修繕を行うことが求められており、必要な改正事項であると考えます。

 また、水道事業は主に市町村単位で経営されており、多くの事業が小規模で、経営基盤が脆弱であります。そのため、本法案のように、都道府県に水道事業者等の広域的な連携の推進役としての責務を規定し、都道府県が水道基盤強化計画を定めたり、広域的連携等推進協議会を設置できるようにする改正事項も必要不可欠であると考えます。

 しかしながら、私たちは、さきの通常国会における衆議院での審議において、いわゆるコンセッション方式の導入については、次の三点の問題があると指摘をし、反対をさせていただきました。

 一点目は、事業者が水道事業の許可を得る必要がなく、水道法上の責任の所在が不明確になることであります。二点目は、自治体職員の転籍、災害時の責任の所在や役割分担など、自治体が策定する枠組みに委ねられてしまっていること。三点目は、水道技術の技術継承を困難にし、地方公営企業の技術力、人的基盤の喪失につながるおそれがあること、また、特に、運営のほぼ全てを民間事業者が行う中で、モニタリングができるだけの知識と経験が自治体に蓄積されないといった問題があると考えております。

 また、本年は、豪雨や地震など災害が多発し、重要な生活インフラである水道も甚大な被害を受けました。コンセッション方式の導入によって、十分な災害対応が行えるのか。国民の不安は高まっております。

 現行法のもとでコンセッション方式を導入しようとした自治体もありますが、それぞれの議会で次のような意見があり、導入には至りませんでした。

 いわく、運営会社が経営破綻した場合、すぐに代替する会社はない。また、全職員転籍のため、ノウハウは市に残らず、公営に戻せない。現時点でも赤字であるのに、経営は本当に成り立つのか。あるいは、長期契約のため、官はノウハウを失い、運営会社に問題があった場合において、迅速な対応ができないのではないか。また、民間運営会社に任せて、料金や水質等に問題はないのか。このようなさまざまな声に、政府は真正面から答えるべきだと思います。

 海外において、民営化した又はコンセッション方式を導入した水道事業を再び公営に戻している事例が近年増加しております。そういった最新事例が本法案の検討過程において全く考慮されていないことが明らかになりました。十分な海外事例の調査も行わないままに、多くの水道事業者が必要ないと考えているコンセッション方式を推し進めるのは、一体何のためなのか。

 コンセッション方式を導入すれば民間の効率的経営が必ず導入できるというのは幻想であります。例えば、空港のように、観光客がふえ利用客がふえる中で、民間事業者が経営ノウハウを活用し、場合によっては、民間事業者の経営がだめな場合は他の民間事業者がかわり得るような、そういった市場環境があればうまくいくかもしれません。しかし、人口減少という構造問題を抱え、明らかに水需要が減る日本で、水道事業にコンセッション方式を導入して、うまくいくとは思えません。

 結局のところ、もうかると思われる人口集中地域に限られるか、運営のために料金を上げるか、海外の巨大水メジャーに席巻されるということになるのではないでしょうか。

 コンセッション方式が導入されることにより、我が国がこれまで築き上げてきた、世界に誇る水道事業が世界に売られてしまうおそれのある、このような法律案を認めることはできません。

 立法府である国会は、政府から提出された法律案について、唯々諾々と賛否の結論を出せばよいというわけではないはずであります。国会は、国民の代表者たる国会議員が、与野党を問わず、政府をただしていくことにより議論を深め、結論を出していく場所であります。

 しかし、残念ながら、十分な審議を経ることなく採決をされるという場面は、わずかこの一年で何度見てきたかわかりません。カジノ法でも、入管法改正でも、強行採決が繰り返されてまいりました。

 政府・与党におかれては、野党の批判にたえられない、あるいはたえる自信のない法律を量産することはやめていただきたいのであります。国会が行政府の下請になり、討論や採決を単なる儀式におとしめてはなりません。

 本法案は、命と生活を支える水道の基盤を壊しかねない法案です。そのため、参議院の審議を通じ、国民の不安が解消されるどころか、逆に高まっております。

 安倍政権が、結論ありきで数の力で突き進むのは一体誰のためなのか、どちらを向いて仕事をされているのか、この基本点が我々と全く異なります。

 私たち国民民主党は、生活者の立場から、命と生活を支える水の安全、安心を守ってまいります。そのために、本法案には断固反対であることを改めて申し述べ、討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) もとむら賢太郎君。

    〔もとむら賢太郎君登壇〕

もとむら賢太郎君 無所属の会のもとむら賢太郎です。

 会派を代表し、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 冒頭、水道民営化を進める内閣府のPPP/PFI推進室にヴェオリア社日本法人の出向職員が勤務していることがわかりました。さらに、コンセッション方式導入に関する情報収集のため、イギリス、フランスを視察した際、ヴェオリア社と飲食し、スエズ社の負担で移動していたことも明らかになりました。

 まさか、水メジャーと呼ばれる外国企業のために本法案を成立させ、日本を海外に売ろうとしているのではないですよね。

 本法案は、人口減少に伴う需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の直面する課題に対し、水道の基盤強化を図るため所要の措置を講ずるとして提出されたものです。そのため、関係者の責務の明確化、広域連携の推進、適切な資産管理の推進、指定給水装置工事事業者制度の改善が盛り込まれている点は評価ができます。

 しかし、突如として加えられた運営権の民間への売却、譲渡は断固として認められません。そもそも、コンセッション方式は人口の多い自治体にしか適さず、本当に水道の持続に苦しむ自治体が必要としているのは予算と人の手当てです。

 法案の中身が報じられるにつれ、国民が不安の声を上げています。水道料金が値上げするんじゃないか、水が飲めなくなるんじゃないか、その声は与党の皆さんにも届いているはずです。

 世界の流れは再公営化です。民営化による料金高騰、水質低下などの理由から、世界三十七カ国、二百三十五件で再公営化されています。政府が調べたのは三件のみです。それも、なぜかヴェオリア社と契約している自治体ばかりです。全く不十分、先例から学べていないと言わざるを得ません。

 また、災害時の近隣自治体との連携や復旧復興対応への不安、さらには医療機関からも血液透析などの診療場面で大量にきれいな水を必要とするために心配の声が上がっています。

 水は命の原点です。生きていくのに欠かすことができない、まさにライフラインである水の問題について、政府は真剣に考えているのでしょうか。

 国民の生活を守ることこそ政治の原点です。国民の生活を脅かしかねない本法案には断固反対であることを申し述べ、私の討論とさせていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、水道法の一部改正案に反対の討論を行います。(拍手)

 まず冒頭、昨日の厚労委員会において、午前の参議院本会議で採決されたばかりの本法案を、趣旨説明も質疑も省略して採決強行に及んだ政府・与党に対し、満身の怒りを込め、抗議をするものです。

 水道事業は、あまねく国民に安全、安心、安定的な水供給によって憲法の生存権を保障するものです。本法案はその根幹を脅かすものと言わなければなりません。

 コンセッション方式は、水道事業者として自治体に責任を残しながら、運営権を民間事業者に委ねるものです。経営効率化の名のもとに、安全性、安定性の後退や水道料金の値上げなどが危惧されています。これを裏づけるかのように、海外では水道事業の再公営化が広がっています。

 こうした懸念に対し、自治体の関与を残しているから大丈夫だと言いながら、その鍵となるモニタリングは第三者機関に任せてもよいとしました。技術の継承が困難で十分なチェックができない一方、運営事業者に専門的技術のある自治体職員が吸収されることになり、水道の基盤強化どころか、何ら解決できないことが明らかになりました。運営権は二十年から四十年など長期の設定とされ、後戻りできない事態になることを直視すべきです。

 コンセッション方式に有利なのは、運営から管理まで一気通貫のノウハウを持つ外資であります。さらに政府は、海外市場で〇・四%のシェアにとどまる日本企業を、水メジャーとの連携を強め、海外展開を進めようとしています。水道法改定による国内での実績づくりはそのための地ならしであり、そこには住民の命の源をいかに保障するかという観点は皆無です。水道事業をビジネスの対象にすべきではありません。

 次に、法案は、事実上の広域化を押しつけるものとなっています。

 先行事例では、広域化による自己水源の放棄、余剰になったダム水の押しつけが住民負担の増加やサービス低下を招いており、この間の災害の教訓にも学びながら、身近な水源を住民参加で守っていくことが重要です。

 日本共産党は、国民が安心して使え、災害などにも対応できる安全な水道事業の発展を求めます。

 本法案は廃案にし、国は、制度的、財政的にもその責任を果たすことを強く求め、反対の討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  根本  匠君


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