衆議院

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第5号 平成31年2月14日(木曜日)

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平成三十一年二月十四日(木曜日)

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  平成三十一年二月十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明させていただきます。

 本法律案は、消費税率の引上げに伴う対応、デフレ脱却と経済再生の実現、国際的な租税回避への効果的な対応等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、消費税率の引上げに伴う対応等の観点から、住宅ローン控除制度の拡充、環境性能に優れた自動車に対する自動車重量税の軽減措置の見直し並びに揮発油税及び地方揮発油税の税率の変更を行うことといたしております。

 第二に、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し及び個人事業者の事業承継税制の創設を行うことといたしております。

 第三に、国際的な租税回避についてより効果的に対応するため、国際課税制度の見直しを行うことといたしております。

 このほか、土地の売買等に関する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。

 以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明させていただいた次第であります。(拍手)

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 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。高木錬太郎君。

    〔高木錬太郎君登壇〕

高木錬太郎君 立憲民主党の高木錬太郎です。

 私は、立憲民主党・無所属フォーラムを代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 冒頭、統計不正、賃金偽装問題に触れないわけにはまいりません。

 国を揺るがす大問題にもかかわらず、何を聞いても調査中、確認中、参考人の招致も一々渋る、あげくの果てには四年も前の議事録すら出せないという、こんな不誠実きわまる政府・与党の姿勢は断じて許されません。

 与党の皆さん、なぜそんなに真相究明に後ろ向きなのですか。ここは行政監視機能を果たすべき立法府です。与野党挙げて真相究明とうそぶくなら、ぜひ態度で示していただきたい。与党の皆さんに、あえてそのことを申し上げておきます。

 平成三十一年度税制改正は、消費、需要がともに伸び悩むという現下の経済状況、そして国民の暮らしを考えれば、税による所得再分配機能の強化に向け、控除のあり方を含め、公平、納得、透明、簡素という原則にのっとった抜本的な見直しを行う必要があるにもかかわらず、またもや継ぎはぎだらけ、その場しのぎの小幅な税制改正になったとの印象が拭えません。

 また、国、地方合わせて千六百七十億円の自動車、住宅減税に示されるように、消費税率引上げ対策優先という側面が非常に色濃く出ています。

 まず、その消費税率の引上げに伴う対応としての住宅ローン控除の拡充と車体課税の見直しについて伺います。

 この住宅ローン控除ですが、そもそも、既に現行制度だけでも、景気浮揚と税収減をともに考慮した結果、屋上屋を重ねた複雑怪奇で難解な制度になっており、簡素という税制の原則に反する制度になっていると指摘せざるを得ません。住宅メーカーや不動産業者からも複雑過ぎるとの声が上がっており、何よりも、購入を考えている国民の皆さんにとって理解するのが相当難しい制度になってしまっています。

 事実、昨年六月、会計検査院が、住宅ローン控除と贈与税の住宅取得資金の贈与の特例、いずれも申告をしている場合に関し、納税者の申告の間違いを指摘し、昨年十二月、国税当局も、平成二十五年分から平成二十八年分までの所得税の確定申告を提出した方のうち、最大一万四千人の納税者の皆さんの申告に間違いがあり、是正が必要と発表いたしました。つまり、国税当局すらも余りの複雑さゆえに納税者の申告の誤りを見落としていたということではありませんか。

 既に複雑怪奇になってしまっているこの住宅ローン減税について、簡素な税制に改めるよう抜本的な見直しが必要と考えますが、財務大臣の見解を求めます。

 また、現在、日本全国で空き家問題が深刻化し、中古住宅流通市場の活性化が求められ、政府も、未来投資戦略二〇一七において、既存住宅流通の市場規模倍増を目指すとしています。

 片方で今回の改正も含めた住宅ローン減税による新築住宅の供給を後押しし、片方では中古住宅の流通を活性化させようとする。そもそもを言えば、急速な人口減少が進んでいる我が国であります。一体、国全体としての住宅政策をどのように考えているのでしょうか。石井国土交通大臣、お答えください。

 次に、車体課税の見直しに関してであります。

 新車を購入する皆さんには恩恵のある措置かもしれません。

 しかし、私たちは親世代から、物は大事に、大切に使いなさいと教えられ、買ったものはできるだけ長もちさせるよう努めています。そのことは、私は一つの美徳であると思っています。そういう考えのもと、自動車においても、十年は乗れるよう、大切に、大事に乗っているユーザーも少なくないと思います。また、そういうユーザーのニーズに応えようと、全国の自動車整備工場では、整備士の皆さんが、腕を磨いて、お客様のために、長く乗ることができるよう丁寧に整備しておられます。あるいは、今の収入では新車購入はとても考えられず、所有している車をできるだけ長く乗ろうという方もおられます。

 そういった長く乗ろうとしているユーザーにも恩恵のある税制上の措置を講じることも一方では必要であると思いますが、財務大臣の見解を求めます。

 次に、そもそもの前提である消費税率引上げについて伺ってまいります。

 税の公平性を担保するためには、所得、消費、資産などの課税ベースを適切に組み合わせ、バランスをとることが必要と考えます。

 そこで、伺います。

 安倍政権は、租税収入における直接税と間接税との占める割合、いわゆる直間比率についてどのように考えているのでしょうか。

 消費税導入以前から、この直間比率については長年議論がされてきました。本年十月に消費税率が引き上がるこのタイミングで、改めて歴史的な議論や現下の国民の暮らしを十分踏まえ、租税体系のバランスを鑑みた中で、あるべき直間比率について議論、検討される必要があると考えますが、財務大臣の見解を求めます。

 安倍首相は、昨年の十月、臨時閣議で、法律で定められたとおり、平成三十一年十月一日に現行の八%から一〇%に二%引き上げる予定と発言され、今国会でも繰り返し、引き上げる予定と答弁されています。

 そこで、安倍首相に伺います。

 平成二十八年六月、世界経済の不透明感、世界的な需要の低迷、成長の減速、そしてその後のさらなる景気悪化というリスクに備えるということで、消費税率引上げを新しい判断という言葉を使って再延期されましたが、現在の世界経済は平成二十八年六月当時と比してよくなっていますか、悪くなっていますか。お答えください。

 また、米中貿易摩擦、英国EU離脱など、世界経済の不確実性による景気悪化のリスクが指摘されていることについて、どのような認識をお持ちですか。安倍首相の見解を求めます。

 平成三十一年度予算案においても、消費税増税分の税収を見込んでおり、軽減税率や天下の愚策、キャッシュレス決済ポイント還元などなど、増税前提の対策が次々打たれていますが、実は、今国会の中で安倍首相は増税実施を断言しておりません。

 それは、一貫して述べておられるように、リーマン・ショック級の事態が起こらない限りとの前提があるからだと拝察いたしますが、そのリーマン・ショック級の事態とはどのようなものでしょうか。どの統計の、どの経済指標の、どの数字が、どのように変化したら、リーマン・ショック級と判断されるのでしょうか。安倍首相、定義を御説明ください。

 さらに、昨年の臨時国会で安倍首相は、リーマン・ショック級の事態ということについて、例えば世界的な経済危機や大震災などが考えられますが、いずれにせよ、引上げが困難と判断される事態と答弁されましたが、この答弁は、経済危機や大震災以外の事態も含まれるようにも受けとめることができますが、どのような事態を想定されているのでしょうか。お答えください。

 先ほど、リーマン・ショック級の事態について、どの統計か、どの経済指標かとお尋ねしました。冒頭申し上げた統計不正問題に改めて触れますが、政府は現在も、かなり意識的にさまざまに隠し、隠さなければならないような事情があったのではないかとの疑いを持たざるを得ない状況をつくっています。GDPの算出方法を変えたことも含め、政府が出すさまざまな数字の信憑性が問われ始めています。

 安倍首相、原因究明、全容解明にぜひとも指導力を発揮してください。ついては、今、我々が要求している資料を早急に国会に提出するよう関係大臣に指示を出してください。見解を求めます。

 昨年の財務省による公文書改ざん問題もそうでしたが、今回の統計不正も、国会が愚弄されたわけでありますので、まずは国会の場で、国会として原因究明、全容解明を進めていくこと、それは国会としての当然の務めです。私にとっての悪夢は、国会の行政監視機能の低下であり、国会の形骸化であり、国会が首相官邸の下請機関に堕することであります。

 さて、次に、軽減税率についてもこの際お聞きしておきます。

 以前の国会答弁では安倍首相は、軽減税率制度は、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することの利点があると述べられていますが、今国会から、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点と、答弁を変えられています。答弁を変えた理由を教えてください。

 以前の答弁である、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品では、洗濯洗剤はどうだ、歯磨き粉はどうだ、歯ブラシはどうだ、シャンプーはどうだ、リンスはどうだという話になりかねないので、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等という答弁に変えたのではないですか。お答えください。

 そもそも、ほぼ全ての人が飲食料品等を本当に毎日購入しているのでしょうか。

 仕事などで忙しく、毎日を必死に生きている皆さんは、買物に行くのは週に一度、お休みの日に食材などを安く買えるスーパーにまとめ買いに行き、何とか一週間を工夫しながら、やりくりしながら生活しておられます。お昼御飯は家でつくった弁当、飲物は家でお茶をつくって水筒に入れて職場に持っていく、そうやって、一日の支出を何とか抑えようと、いや、一日の支出をゼロにしようと、日々の飲食料品の購入を我慢しているではありませんか。特に、私と同世代、子育て世代、現役世代の皆さんは、子供の教育資金のため、親の介護資金のため、自分の老後のため、貯蓄しようと毎日必死に節約しています。

 そういう現実の一面を知ってか知らずか、ほぼ全ての人が毎日購入しているという表現に変え、あたかもほぼ全ての人に恩恵があるかのごとく説明するのは、まさに印象操作の最たるものであり、軽減税率導入の根拠である痛税感の緩和が崩壊しているのではないですか。安倍首相の見解を求めます。

 次に、租税特別措置について伺います。

 租税特別措置の適用実態を明らかにする租特透明化法が施行されて以降、同法に基づく適用実態調査が国会に提出されています。その時々の政権の政策判断により多数の租特が存在しますが、税制の公平性や不透明な効果という点を鑑みますと、これまで蓄積されてきた適用実態調査を活用して、そろそろ抜本的な見直しに着手する時期に来ているのではないでしょうか。

 現在行っているであろう効果についての検証結果と見直しについての今後のスケジュールについて、財務大臣、お答えください。

 次に、個人事業者の事業承継税制の創設について伺います。

 二〇二五年には、七十歳を超える個人事業者が約百五十万人にも上ると見込まれ、代がわりを促して廃業を防ぐ仕組みづくりは急務でありました。

 そこで、今般の税制改正で新たな税制が創設されたわけですが、そもそも、この間、法人向けには、累次の改正含め、税制上の措置を講じてきておりました。にもかかわらず、個人事業者に関しては、法人向けと同等の包括的な事業承継税制の創設がなぜことしになってしまったのでしょうか。これまでにできたにもかかわらず、あえてことしに回したのは、統一選、参院選対策ではないですか。財務大臣の見解を求めます。

 次に、今回も見送られた金融所得課税について伺います。

 現状では、金融資産の多い富裕層ほど所得税の実質的な負担が軽くなるとの指摘はかねてよりあり、平成二十九年末の与党税制改正大綱にも、税負担の公平性を担保する観点から総合的に検討すると明記されました。

 今回の税制改正においても、財務省は一時、金融所得課税の強化を検討していたけれども、株価を重視する首相官邸の意向で反対に至ったとの報道もあります。

 現下の格差是正という課題に有効な手段である、税による所得再分配機能に本腰を入れて取り組むことをせず、富裕層への配慮で、またしても金融所得課税を見送ったということになりますが、政府内ではどのように検討され、株価への悪影響をどのように分析され、今般の見送りに至ったのか、財務大臣、御説明ください。

 最後に、森羅万象を担当されていると御答弁された安倍首相に質問いたします。

 昨年の通常国会以降、厚労省、働き方改革データ捏造問題、財務省、公文書改ざん問題、内閣府、国家戦略特区悪用疑惑、自衛隊、日報隠蔽問題、文科省、教育現場不当介入問題、財務事務次官による報道関係者へのたび重なる性的嫌がらせ発言問題、障害者雇用水増し問題、法務省、技能実習生不適切聞き取り調査問題、そして、今般の統計不正問題。次々とゆゆしき不正、不祥事、疑惑が明るみになっています。これこそ、まるで悪夢を見せられているということではないでしょうか。

 日本国憲法第七十二条には、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」とあります。行政各部を指揮監督する内閣総理大臣には、当然その責任も伴います。行政各部の重大な不正、不祥事、疑惑が続いている上に、さらには、櫻田五輪担当大臣の、言葉を失う、信じられないような発言も出て、安倍首相の任命権者としての責任も問われています。

 普通の感覚でしたら、ここまで不正、不祥事、疑惑が発生すると、内閣総理大臣としての責任を痛感し、自責の念に駆られ、良心の呵責にさいなまれるはずです。

 安倍首相は、これら行政各部の……

議長(大島理森君) 時間が来ておりますよ。

高木錬太郎君(続) 不正、不祥事、疑惑の数々の責任をどのようにとるつもりでしょうか。安倍首相の見解を求め、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 高木錬太郎議員の御質問にお答えをいたします。

 世界経済のリスクについてお尋ねがありました。

 二〇一六年度の当初は、アジア新興国や資源国の経済の減速など、世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況となっていました。

 他方、現在は、通商問題の動向、中国経済の先行き等によるリスクに留意する必要がありますが、世界経済は米国を中心に緩やかな回復を続けており、我が国経済も内需を中心とした緩やかな回復が続いていると認識しています。

 リーマン・ショック級の定義についてお尋ねがありました。

 今回の消費税率の引上げについては、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものです。

 リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。

 その上で、リーマン・ショック級の事態については、これまでも申し上げているとおり、例えば世界的な経済危機や大震災などが考えられますが、いずれにしましても、引上げが困難と判断される事態であり、予断を持って申し上げることはできません。

 軽減税率制度についてお尋ねがありました。

 軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点があることから、低所得者への配慮として実施することとしたものです。

 なお、御指摘の私の答弁は、いずれも軽減税率制度の趣旨や利点等を説明したものであり、軽減税率の適用対象を変更したのではないか、軽減税率制度の実施による痛税感の緩和という利点が失われているのではないかという御指摘は当たりません。

 統計不正の全容解明に向けた姿勢についてお尋ねがありました。

 毎月勤労統計について、不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。

 高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において、長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については、重く受けとめています。

 今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要です。再発防止に全力を尽くすことで、政治の責任をしっかりと果たしてまいります。

 要求のあった資料については、国会の御要請に従い、必要な資料をしっかりと提出してまいります。

 行政各部のさまざまな問題に対する内閣総理大臣としての責任についてお尋ねがありました。

 行政をめぐるさまざまな問題について、国民の信頼を揺るがす事態となってしまったことに対して、行政府の長として、大きな責任を痛感しております。率直におわび申し上げます。

 真摯な反省の上に、二度とこうしたことが起こらないように、全力を挙げて、再発の防止に向け、総理大臣としての責任を果たす覚悟であります。

 行政府の長として、一層身を引き締めて政権運営に当たることにより、国民の皆様の信頼を取り戻してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 高木議員からは、住宅ローン控除、車体課税、事業承継税制など、計六問お尋ねがあっております。

 まず、住宅ローン控除制度のあり方についてお尋ねがありました。

 高木先生御指摘の住宅ローン控除に係る申告誤りの件につきましては、国税庁において納税者の方々に申告内容の見直しを要請しているところですが、こうした事態が生じた背景として、関連する制度の周知、広報が必ずしも十分でなかったことのほか、国税庁の事務処理における確認体制に一部不備があったことであると考えられますが、住宅ローン控除制度自体の複雑さゆえに国税当局が申告誤りを見落としていたとの御指摘は当たらないと考えております。

 いずれにせよ、住宅ローン控除を含め、税制につきましては、公平、中立、簡素という原則を勘案しつつ、その時々の政策的課題等を踏まえて、不断にあり方を考えてまいらねばならぬと考えております。

 次に、車体課税の見直しについてのお尋ねがありました。

 自動車重量税につきましては、平成二十二年度、二十四年度の税制改正において税率の見直しが行われた際に、いわゆる厳しい財政事情を踏まえ、負担軽減を図る自動車について優先順位をつけることが必要であるということから、特に環境負荷の高いと考えられる十八年超、十三年超の自動車について、税率を引き下げず維持することにしたという経緯があります。

 こうした経緯を踏まえると、議員御指摘のような経年車に対する税負担の軽減については慎重に検討する必要があろうと考えております。

 次に、直間比率についてのお尋ねがあっております。

 平成元年の消費税の導入は、税体系全体として税負担の公平につなげるため、個人所得課税を軽減し、消費に広く薄く負担を求め、資産に対する負担を適正化する税制改革の一環として行われたと承知をいたしております。

 その後、所得税、法人税、消費税等につきましては、時々の経済社会の変化を踏まえつつ改正を行ってきた結果として、直間比率は、平成二年度には七九対二一だったものが、今では六七対三三となっております。

 少子高齢化社会における国の財源調達において、所得税、法人税、消費税、いわゆる基幹三税というものの中でも、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、働く世代など特定の層に負担が集中することなく経済活動に中立的などの特徴を有する消費税の役割が一層重要になっていることは確かであろうと考えております。

 いずれにいたしましても、所得税、法人税、消費税を適切に組み合わせながら、必要な財源を確保していくということが重要だと考えております。

 次に、租税特別措置の効果検証についてのお尋ねがあっております。

 租税特別措置につきましては、特定の政策項目を実現するために有効な政策手法となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、必要性また政策効果をよく見きわめることが重要と考えております。

 そのため、毎年度の税制改正プロセスにおいて、財務省が、租税特別措置の適用実態調査を行います。また、各府省は、租税特別措置の政策効果について評価を行い、総務省の点検を受けることとされております。こうした透明性確保のプロセスを踏まえて、改正要望についての精査を行います。

 平成三十一年度税制改正におきましては、公害防止用設備の特別償却など五項目を廃止するとともに、特定都市再生建築物の割増し償却など二十項目について適正化を行うことといたしております。

 今後も、毎年度、期限が到来するものを中心に、適用状況や政策効果を見きわめながら、必要な見直しに取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に、金融所得課税の見直しについてのお尋ねがあっております。

 金融所得課税につきましては、再分配機能の回復を図るため、平成二十六年度に上場企業の譲渡益等に係る税率を一〇%から二〇%に引き上げたところであります。

 その上で、さらなる金融所得課税の見直しにつきましては、経済への影響をどう考えるかという論点があり、これまでも、丁寧に検討を行うこととしてきたところです。

 平成三十一年度与党税制改正大綱においても、金融所得課税のあり方につきましては、家計の安定的な資産形成を支援するとともに、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から検討することとされており、政府といたしましても、今後とも総合的によく検討してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 高木錬太郎議員にお答えをいたします。

 我が国の住宅政策についてお尋ねがありました。

 我が国の住宅ストック総数は約六千六十三万戸であり、総世帯数を充足しており、今後も空き家の増加が見込まれることから、その発生を抑制し、利活用を推進するため、また、若年、子育て世帯、高齢者世帯などがおのおのにふさわしい住まいを適切な負担で確保できるようにするためにも、既存住宅流通市場の整備に取り組んでいるところであります。

 一方、住宅ストックには、耐震性を満たさない住宅が約九百万戸あり、省エネ性能が不十分な住宅等も多数あることから、これらの住宅の建てかえ等による性能向上も重要であります。

 さらに、住宅投資の我が国経済に対する影響も重要であり、前回の消費税率引上げ時に生じた住宅に係る駆け込み需要と反動減が経済全体に影響を与えたことに鑑み、そうした事態が生じることのないよう取り組む必要があります。

 このため、今回の住宅ローン減税の拡充等は、反動減が特に懸念される時期に限って追加的に対策を講じることとしております。

 当面の消費税率引上げに伴う経済的影響を抑制するとともに、中長期的には、新築、既存住宅全体として、国民の住生活に対する多様なニーズに応えつつ、将来世代に継承できる良質な住宅の供給に向けて積極的に取り組んでまいります。(拍手)

議長(大島理森君) 財務大臣から、答弁を補足したいとの申出があります。これを許します。財務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 一問答弁漏れがありますので。どなたも御指摘はありませんでしたけれども、当方の方で気がついておりますので。

 次に、個人事業者の事業承継税制についてのお尋ねがあっておりましたが、中小企業、小規模事業者の高齢化が急速に進む中で、事業承継問題は、日本経済の屋台骨を揺るがしかねない、待ったなしの課題であろうと存じます。

 このため、平成三十年度税制改正において、法人の事業承継税制を拡充し、承継時の贈与税、相続税の支払い負担をゼロといたしております。

 一方で、個人事業者の事業承継に係る税制上の措置につきましては、事業承継に不可欠な事業用資産の範囲を明確にするとともに、その承継の円滑化を支援し代がわりを促進するための法的な枠組みが必要であることなどの課題がありました。

 このため、平成三十一年度税制改正では、こうした課題を解決した上で、個人事業者の事業承継を促進するための贈与税、相続税の新たな納税猶予制度を創設することといたしております。

 したがって、選挙対策のため、平成三十一年度税制改正で本制度を創設したとの御指摘は当たっていないと存じます。(拍手)

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議長(大島理森君) 緑川貴士君。

    〔緑川貴士君登壇〕

緑川貴士君 秋田県に住んでいる緑川貴士と申します。

 国民民主党・無所属クラブを代表しまして、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質疑いたします。(拍手)

 国税の建設的な議論のために、そして納税者である国民の疑念を正面から受けとめるためにも、まず、経済実態の把握や政策判断の基礎である統計がこのたび不正にゆがめられていた問題についてたださなくてはなりません。

 統計の誤りは、政策判断を誤らせるだけでなく、判断が誤っていたかどうかの検証すらも行われなくなり、誤りに基づいた判断が将来の暮らしに禍根を残すことさえあり得ます。

 統計の不正という重大な問題がなぜ起きたのか、与野党が協力をして徹底的に究明する必要がありますが、不正発覚当時の担当者であった大西前政策統括官の参考人招致になかなか同意していただけないなど、再発防止の上でも重要な真相の究明に与党がなぜ後ろ向きであるのか、残念でなりません。

 安倍政権のもとで新たに発生した問題として、毎月勤労統計の調査対象のサンプル事業所を入れかえたり、また、賃金を算出する基準値を変えるなどして、いわば別人の身長を比べるようにして、賃金の伸び率を高く見せておりました。

 賃金が上がっていることにしなければ増税しにくい、こうした思惑が仮に働いていたとするならば、これは国民をだます、国家的な詐欺と言うしかありません。

 安倍総理は、名目賃金で見れば、安倍政権下ではプラスとよく答弁されますが、名目賃金が伸びたとしても、それ以上に物価が上昇していれば、生活が苦しくなることは自明です。

 安倍総理は、経済指標として名目さえ上昇すればいいというお考えでしょうか。御答弁を求めます。

 日本経済の成長のエンジンとして、アベノミクスを更に吹かしていくと総理は息巻いていらっしゃいますが、エンジンを吹かすのであれば、物価の影響を考慮した一人当たりの実質賃金こそ、国民の購買力が上がっているかどうかを見る重要な指標ではないでしょうか。実質賃金という、エンジンにおいて重要なこの歯車が回り出さなければ、経済の好循環、そして家計の豊かさの実感は生まれません。

 賃金の実態に近づく上で、総務省と厚労省は、景気指標としての昨年の賃金変化率は、その前の年と比べてサンプルが同じである、共通事業所で見ることが重要であるとの見解を示しています。この共通事業所の参考値として、昨年の名目賃金と実質賃金の変化率はそれぞれ何%だったんでしょうか。総理から御答弁を求めます。

 去る一月三十日の玉木代表の質問に対して、安倍総理は、各省庁で実質賃金の公表のあり方を検討していると答弁されました。しかし、それから二週間以上たってもなお、根本厚労大臣が、実質賃金の検討会を立ち上げ、これから検討するときのう発表しているような状況です。

 不都合な数字は表に出したくない、その気持ちはわかりますが、景気指標として極めて重要な実質賃金、そのマイナス数値を隠蔽するのはやめてください。アベノミクス偽装はやめてください。

 どうしてもお答えできないのであれば、せめて、景気指標としての昨年の実質賃金の変化率、つまり、共通事業所の参考値がプラスであったのか、それともマイナスであったのか、政策の今後の方向性を考える上で重要ですので、どうかお答えください。

 また、総理は、家族の稼ぎである、経済の実態をあらわしている総雇用者所得を見ると、名目で見ても実質で見てもプラスとも答弁されています。

 総雇用者所得は賃金に雇用者数を掛け合わせた数字でありますが、賃金が伸びていないのに、なぜ総雇用者所得が伸びているのかといえば、それは雇用者数が伸びているからであります。

 喜んでいる議員の方もいらっしゃると思いますが、雇用者数の伸びを手放しで喜ぶことはできません。労働力調査によれば、六十五歳以上の非正規労働者の数は、二〇一三年時点では二百四万人であったのが、昨年は三百五十八万人に急増しています。生活が苦しくて、多くの高齢者が働きに出ていかざるを得なくなっている。まさにこれが、総雇用者所得がプラスになっている大きな要因ではないんですか。総理に伺います。

 総雇用者所得が、おひとり暮らしの高齢者が働きに出るようになってもふえるわけです。家族の稼ぎであると強調する総理は誤解している、あるいは誤解を招く答弁であると言わざるを得ません。

 本当に世帯当たりの稼ぎが伸びているのであれば、支出も伸びているはずです。しかし、家計調査によれば、二〇一〇年には一〇五を超えていた実質消費支出が、昨年は一〇〇を切る水準であり、また、国全体で見ても、帰属家賃を除く実質家計最終消費支出は、二〇一二年度二百三十六兆円であったのが、二〇一七年度は二百三十七・六兆円と、ほとんどふえていません。消費支出が伸びていない要因について、総理の御見解を伺います。

 この六年三カ月、戦後最長の景気回復と言われる中にありながら、家計から見ると、その恩恵を受けている実感は乏しい状況です。二〇一四年の消費増税に加え、食料品の値上がりや、社会保険料も引き上げられ、家計で使えるお金は目減りしています。

 このような状況と、加えて、景気判断の根幹を揺るがす統計不正が起こりましたが、本当にことし十月に消費税率を一〇%に引き上げるんでしょうか。

 総理は、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありませんと先日の衆議院本会議でも答弁されましたが、これは現時点で変更はないという意味でしょうか。それとも、十月まで変更はあり得ない、確実に消費税を引き上げるという意味でしょうか。安倍総理の明確な答弁を求めます。

 二〇一四年、消費税率引上げの延期を表明した際、国民生活に大きな影響を与える税制において重大な決断をした、だから国民の皆様の声を聞かなければならないといって衆議院を突如解散したのが安倍総理でありました。

 ことし十月の消費税率引上げに際しては、国民の皆様の声は聞かなくてもいいというお考えでしょうか。あるいは、参院選で消費税率の引上げについて、その是非を問うお考えでしょうか。それとも、衆議院を解散されますか。安倍総理に伺います。

 次に、消費税の軽減税率制度について伺います。

 税の大原則は、公平、中立、簡素ですが、軽減税率ほどこの原則から外れているものはありません。高額な消費ができる高所得者ほど軽減額が大きくなるなど、逆進性の解消にならない上に、店のレジの入れかえや管理システムの改修費などの膨大な事務コスト、また商品分類の線引きの複雑さに加え、同じ食料品を持ち帰るかその場で食べるかで税率が変わることなど、その問題は枚挙にいとまがありません。

 政府は、イートインコーナーを利用する場合にはお申し出くださいと掲示すれば、顧客の意思確認をしなくてもいいとの見解を示しています。しかし、顧客が掲示をよく見ておらず、申出をせずに休憩スペースで購入した食料品を食べ始めたら、顧客は罰せられるんでしょうか。あるいは、掲示も見た上で食べ始めたら罰せられるんでしょうか。そもそも、消費税の納税義務者は事業者であり、顧客は罰せられないと思いますが、念のため麻生大臣に御答弁を求めます。

 また、例えば、店側が顧客とトラブルになるのを避けるために、違反している顧客を見て見ぬふりをした場合には店は罰せられないのか、あわせてお答えください。

 その際、店と顧客、両者ともに罰せられないということであれば、本来のルールを守ってイートインコーナーを利用している正直者が結局ばかを見てしまうような、不公平きわまりない制度ということになりますが、麻生大臣の御見解をお聞かせください。

 自動車関連税制について伺います。

 自動車産業は日本の産業の基盤であり、自動車は地方では特に欠かせない生活の足であります。その自動車に対して、現在、九種類もの不条理で重い税が課せられています。加えて、今回提案されている対策は、複雑な税制を更に複雑にするものであり、自動車販売会社からは、理解するのも一苦労とのお声も聞かれます。

 消費税率引上げによる駆け込み需要を本当に防ぎたいのであれば、どの車種を買い、また、どれだけ保有すれば消費税率引上げによる負担を相殺できるのか、明確にするべきではないでしょうか。財務大臣に求めます。

 また、エコカー減税については、ことし五月に基準が変更され、対象を絞って増税されますが、一方、自動車税の引下げは十月の一日に行われます。つまり、五月一日から九月三十日までのこの半年の間に新車を買う人だけが不利な扱いになり、公平性に問題が生じるとは思われませんか。麻生大臣に御答弁を求めます。

 続いて、個人事業主の事業承継税制についてお尋ねします。

 個人事業主は、日本の企業の六割近くを占め、地方における経済、雇用の重要な担い手であります。また、全体で六百二十万人とも言われる従業員のうち、若者や女性など、さまざまな立場や価値観に基づく多様な働き方を包摂する受皿であり、その経営を支える税制は不可欠であります。

 その上で、今回、贈与税、相続税の納税猶予が認められる事業用の土地面積の上限が四百平方メートルとなっていますが、これよりも広い面積の土地を所有する個人事業主は、特に地方には多く存在します。四百平方メートルを超える事業用の土地についても事業承継税制の対象とすることで、その後継者の経営の安定にも資すると考えますが、麻生大臣、いかがでしょうか。

 最後に、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直しについて伺います。

 親又は祖父母が子や孫に対し教育資金をまとめて贈与した場合に、一人当たり一千五百万円までの分について贈与税を非課税とする措置でありますが、それを受けられる子や孫の年齢要件について、三十歳を過ぎても学校に通っている場合や教育訓練を受けている場合には、最長四十歳まで非課税措置を受けられるように今回見直されておりますが、働き盛り世代として、四十歳を過ぎてからの教育訓練、学び直しも重要であります。

 子や孫が働く現場では、今後、AIやロボットの進化が急速に進むなどして、ホワイトカラーを中心に、最大で七百三十五万人の方が職を追われるという試算も出ております。

 将来の雇用の不安定化や大きく変わる労働需給に対応できるように、ICTの活用などを含めた技能習得など、幾つになってもこうした学び直しができるような仕組みづくりがいま一層求められているところであります。

 いわゆるリカレント教育の一環で人材に投資をした企業については税制面で優遇される改正も昨年行われていますが、そうした企業の枠を超えて、働く人みずからが能力開発に取り組む上で必要な費用を確保しやすくするために、孫や子が四十歳を過ぎている場合でも非課税措置が継続されるべきであるというふうに考えますが、麻生大臣の御答弁を求めます。

 国内で進む人口減少、少子化、そして地域の持続可能性、社会保障制度を揺るがす財政赤字、技術革新や経済のグローバル化の進展など、取り巻く環境が不確実に変化する時代の中で、不安を抱えながら暮らす多くのお声、そして多様な主体を支えられる税制の実現に力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 緑川貴士議員にお答えをいたします。

 今般の統計に関する事案と経済指標に関する考え方についてお尋ねがありました。

 毎月勤労統計については、今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで、政治の責任をしっかりと果たしていきたいと考えております。

 実質賃金については、アベノミクスによる雇用拡大で女性や高齢者などが新たに雇用された場合は、平均賃金の伸びも抑制され、さらに、デフレではないという状況をつくり出す中で、物価が上昇すれば、実質賃金は更に抑えられていくという特徴があります。

 他方、名目賃金について見れば、再集計後のデータにおいても増加傾向が続いていることに変わりはなく、さらに、連合の調査においては、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現しており、中小企業の賃上げは過去二十年で最高となっています。

 アベノミクスの取組により、女性や高齢者の就労参加が進んだことで、生産年齢人口が減少する中でも雇用が大幅に増加し、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得が名目でも実質でも増加が続いていることは、雇用・所得環境が着実に改善していることをあらわしていると考えます。

 毎月勤労統計の共通事業所の賃金についてお尋ねがありました。

 参考値である共通事業所系列については、年単位での伸び率をお示ししておりませんが、月次データとして最も直近の平成三十年十二月の名目の現金給与総額の伸び率は、対前年比プラス一・七%であると承知をしています。

 また、同系列での実質賃金の算出が可能かどうかについては、厚生労働省において、専門家による新たな検討の場を設け、検討していくこととしていると承知をしております。

 いずれにいたしましても、利用者が目的に応じて、さまざまな統計データを見て適切に判断することが重要であり、政府としては、経済動向の分析に当たり、指標の特性や利用目的等を踏まえた上で、適切に判断を行ってまいります。

 総雇用者所得についてお尋ねがありました。

 総雇用者所得について、伸びているのは雇用者数が伸びているからとの御指摘がありましたが、企業が過去最高の収益を上げる中で、雇用環境が改善し、それによって、働く方々の所得環境が改善することで消費が拡大していくという好循環が生まれていくのであり、一国全体で見た経済を評価するに当たって、雇用者数の伸びを踏まえるのは当然のことであります。むしろ、雇用者数の伸びを評価しないという姿勢が大変驚きであります。

 実際、二〇一二年から二〇一八年までの六年間で、生産年齢人口が五百万人減少する中にあっても、就業者数は三百八十万人増加し、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得で見ると、名目でも実質でも増加が続いているなど、雇用・所得環境は着実に改善しています。

 なお、労働力調査によると、六十五歳以上の方が非正規雇用として働く理由については、自分の都合のよい時間に働きたいからという理由が、家計の補助、学費などを得たいからや正規の仕事がないからという理由を上回っており、生活が苦しいために六十五歳以上の方が働きに出ていかざるを得ないことが大きな要因との御指摘は当たりません。

 消費支出についてお尋ねがありました。

 家計消費について、二〇一四年四月の消費税率の八%への引上げにより、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じ、景気の回復力が弱まることとなりました。だからこそ、この間、我々は経済最優先でしっかりと政策を前に進めてまいりました。

 足元では、世帯当たりの消費を捉える家計調査の家計消費支出は、世帯人員の減少などから、長期的に減少傾向となっている一方、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で、二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移するなど、持ち直しています。

 そうした中で、消費を取り巻く環境を見ると、二〇一二年から二〇一八年までの六年間で、生産年齢人口が五百万人減少する中にあっても、就業者数は三百八十万人増加し、景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来最高の水準となり、賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現、中小企業の賃上げは過去二十年で最高となるなど、雇用・所得環境の改善が進んでおり、消費は引き続き持ち直しが続くことが期待されます。

 今後も、引き続き経済最優先で、通商問題の動向、中国経済の先行きなど、海外経済の不確実性には十分留意しつつ、経済運営に万全を期してまいります。

 消費税率の引上げの判断についてお尋ねがありました。

 消費税率の引上げについては、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものであり、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、本年十月に一〇%に引き上げる予定です。

 消費税率の引上げについては、一昨年の衆議院総選挙において、消費税率引上げによる増収分の使い道を見直し、増収分の半分を教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元することを公約に掲げ、国民の信を得たところであります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 緑川議員から、軽減税率制度、自動車関連税制、事業承継税制、贈与税非課税措置について、計五問お尋ねがあっております。

 まず、軽減税率制度についてお尋ねがありました。

 軽減税率制度における適用税率の判定につきましては、販売時点で事業者が判断することとし、営業実態に合わせ、持ち帰りか否か、顧客の意思を確認するなどにより行うことが最も現実的な方法であると考えております。

 その実施に当たりましては、正直者がばかを見ることがないよう、適正な課税及び執行可能性のある運用の確保が重要であります。

 軽減税率制度の周知、広報に全力を尽くしていくことで、事業者の方々のみならず、消費者の方々にも幅広く御理解をいただき、円滑に実施できるようにしてまいりたいと考えております。

 なお、顧客に対する意思確認が適正に行われていないなどにより、営業の実態と申告内容が乖離するような状態があれば、必要に応じ事業者に対し指導等を行うことを通じ、是正を図ることとなります。

 次に、消費税率引上げ後の自動車に係る税負担の明確化についてのお尋ねがあっております。

 平成三十一年度税制改正に盛り込まれた車体課税の見直しにおきましては、消費税率一〇%への引上げに伴う対応として、自動車税を恒久的に減税するとともに、環境性能割の臨時的軽減を行うことにより、自動車ユーザーの負担軽減を図ることといたしております。

 こうした見直しによる負担軽減の効果は、個別の車種ごとの価格、排気量や保有期間等によって異なり、全てのケースを示すことは困難であります。

 いずれにいたしましても、政府としては、事業者や消費者に対し、全般の見直しの内容について、具体例も交えながら、しっかりと周知、広報を図ってまいりたいと考えております。

 次に、消費税率引上げ前の自動車に係る負担の公平性についてのお尋ねがありました。

 自動車重量税のエコカー減税につきましては、環境性能にすぐれた自動車の購入を促す観点から、本年四月末の現行のエコカー減税の期限到来に合わせて、軽減割合等の見直しを行うことといたしております。

 また、消費税率一〇%への引上げ前後の自動車に係る需要を平準化する観点を踏まえ、本年十月以降に購入する新車から自動車税の恒久減税等の措置を講ずることといたしております。

 消費税率引上げの効果や駆け込み需要、反動減を抑制する観点等を総合的に勘案すれば、一連の措置を実施していく過程で過度な不公平が生じるとは考えておりません。

 次に、個人事業者の事業承継税制についてのお尋ねがありました。

 個人事業者につきましては、事業の継続を支援する必要があることから、事業用の土地、建物及び一定の減価償却資産について、承継時の贈与税、相続税の支払い負担をゼロとする納税猶予制度を創設することといたしております。

 一方、事業を営んでいない個人との公平性の観点に留意する必要があります。こうした点も踏まえ、宅地につきましては四百平方メートルの面積上限を、建物につきましては八百平方メートルの床面積上限を設定することといたしております。

 最後に、教育資金の一括贈与非課税措置についてお尋ねがありました。

 本措置は、祖父母や両親の資産を早期に若年世代に移転させることにより経済活性化に寄与することを目的に、平成二十五年度税制改正で導入されたものであります。

 来年度税制改正では、本措置が終了する年齢について、現行の三十歳から、就学等の継続を条件に、最大で四十歳まで引き上げることといたしております。

 年齢制限は、資産を早期に若年世代に移転させることにより経済活性化に寄与する観点、また、大学院課程を含めた就学を支援する観点から設けられているものであり、廃止してしまうということは適切ではないと考えております。(拍手)

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議長(大島理森君) 竹内譲君。

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 公明党の竹内譲でございます。

 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、自民党、公明党を代表し、安倍総理並びに財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣に質問をいたします。(拍手)

 本法案は、与党の税制調査会で議論し、昨年末に決定した税制改正大綱の内容を実現し、日本経済のさらなる成長と好循環の拡大を強力に後押しするものであります。

 人口減少並びに少子高齢化が進む中、日本経済がさらなる成長を遂げるには、生産性革命と人づくり革命に最優先で取り組み、企業収益の拡大を、賃上げ、雇用の拡大、設備投資の増加につなげることが重要です。

 このため、安倍政権は復帰後の六年間で、設備投資促進税制や所得拡大促進税制の創設、研究開発税制の拡充、法人実効税率二〇%台の実現など、累次の法人税改革を実行してきました。

 こうした累次の法人税改革が経営者マインドにどのように影響してきたと評価するか、また、実際の賃上げ、雇用の拡大、設備投資の増加といった動きへどの程度効果を及ぼしてきたとお考えか、総理に伺います。

 その上で、来年度は、中小企業関連税制を延長し、中小企業の生産性向上のための投資を支援するとともに、研究開発税制を見直し、イノベーションを促進する質の高い研究開発を強力に推進することとしています。また、中小企業の法人税の軽減税率を延長するほか、中小企業が災害時にも事業を継続するための防災・減災設備投資の支援も盛り込まれています。

 中小企業を手厚く支援して日本経済の底上げを図る改正案となっていると考えますが、来年度税制改正における法人税改正の意義や期待される効果について、総理の御所見を伺います。

 高齢化に伴い、多くの中小企業経営者が世代交代を迎える中、昨年度の税制改正で大幅に拡充した法人版事業承継税制が好評を博しています。想定をはるかに超える申請件数となり、爆発的な伸びを見せていると伺っております。

 来年度は、法人に加え、本改正案で個人事業者の事業承継税制を創設いたします。

 公明党が昨年四月から約三カ月間にわたって実施した百万人訪問調査の結果、多くの経営者が承継時に税制支援を受けたいと望んでいることがわかり、公明党の強い主張によって盛り込まれたものです。十年間の時限措置として、個人事業者が土地や建物、機械類の償却資産を引き継ぐ際の贈与税、相続税を全額猶予する制度としています。

 制度の活用に当たっては、経営承継円滑化法に基づく認定や承継計画の提出が必要であり、個人事業者に対しては、相談から手続の完了まで、よりきめ細やかな支援が重要です。

 円滑な事業承継が進むよう、経営者に寄り添った伴走型の支援に取り組んでいただきたいと考えますが、経済産業大臣に答弁を求めます。

 さて、近年、グローバルなデジタル企業が、データという無形資産から巨額の富を生み出し、世界各国で利益を上げています。国境を越えてデータが行き来するデジタル経済の拡大が想定される中において、税制上の対応が国際的な課題となっています。

 既に独自課税に動く国も出てきていますが、巨大な多国籍企業への対応には、国際協調に基づく公平なルールづくりが何より重要です。

 本年のG20の議長国である我が国が、各国の橋渡し役となり議論を主導し、一定の結論を見出していただきたいと考えていますが、財務大臣の御見解を伺います。

 本年十月、消費税率の引上げが予定されています。これは、増収分を幼児教育の無償化など子育て支援にも活用して、全ての世代が将来にわたって安心して暮らせる日本をつくるとともに、財政健全化を進めることが目的です。

 引上げに当たっては、前回の反省を踏まえ、需要の変動による景気の腰折れを防がねばなりません。特に、価格の大きな住宅や自動車の駆け込み需要、反動減を抑える取組が極めて重要です。

 今回、公明党の提言も踏まえ、住宅については、住宅ローン減税の控除期間を延長し、税率引上げによる負担増分を三年かけて控除するほか、すまい給付金の拡充や次世代住宅ポイントの付与を行います。

 また、自動車については、長年の課題であった自動車税の恒久減税を決断したほか、環境性能割の臨時的軽減を実施するなど、予算、税制両面による総合的な対策で、税率引上げ後の購入にメリットがある環境をつくり出すこととしています。

 住宅、自動車の需要平準化策として、約二千億円の予算措置、約三千億円の減税措置となりますが、こうした大規模な措置を講じる意義や狙いについて、改めて財務大臣に答弁を求めます。

 また、こうした万全の対策も、国民の皆様にきちんと御理解をいただかなければ効果は見込めません。特に住宅については、本年四月一日以降の契約から一〇%が適用されるケースがあることから、国民の皆様へできる限り早く周知徹底を図っていただきたいと考えますが、国土交通大臣に答弁を求めます。

 消費税率の引上げと同時に、軽減税率を実施します。国民の皆様が、買物の都度、痛税感の緩和を実感でき、低所得者ほど家計の負担軽減効果を発揮する軽減税率制度は、国民生活を守る最大の支援策です。

 一方で、税率の線引きがわかりにくい、納税事務が煩雑になるといった声や、準備のおくれを懸念する指摘があります。十月の円滑な実施に向け、こうした一切の懸念を払拭するため、万全の対応をお願いしたい。

 特に、中小企業や中小小売店への一層の支援や、テレビなどを活用した国民の皆様への周知徹底、国税庁のQアンドAもイラスト入りのわかりやすいものに改善していただきたいと考えます。

 軽減税率制度の円滑な実施に向け、現在の準備状況と準備の完了に向けた取組について、財務大臣に答弁を求めます。

 医療は消費税が非課税であり、診療報酬は公定価格であることから、消費税導入以来、診療報酬を補填する措置を行っていますが、医療機関の種別によって補填にばらつきがあると指摘されていたところです。

 今回の改正では、与党として、各関係団体からの要請も踏まえ、このばらつきを是正し、診療報酬による対応を大きく改善しています。さらには、医療機関の要望に応え、医療用機器の特別償却制度の拡充も行うこととしています。

 医療機関に対する消費税対策について、財務大臣に答弁を求めます。

 公明党が長年訴えてまいりました、未婚の一人親に対する税制上の支援措置が実現をいたします。事実婚状態にないことを条件に、一定の所得以下の未婚の一人親の個人住民税が非課税となります。同じ一人親にもかかわらず、婚姻歴の有無によって税負担に格差が生じている不公平な状態を大きく打開します。

 さらなる税制上の対応の要否等について、来年度も与党の税制調査会で議論してまいります。

 ことしは、子供の貧困対策に関する大綱の五年に一度の見直しを検討する年に当たります。公明党は、親の事情にかかわらず、全ての子供たちが平等に支援を受けられるよう、さらなる支援の拡充に向け、全力で取り組んでいく決意です。

 子供の貧困対策について、総理の御所見を伺います。

 以上、本法案は、人口減少、少子高齢化といった構造問題に真正面から取り組み、日本経済のさらなる成長を実現するための改正案となっています。平成三十一年度予算案とあわせ、早期に成立させるべきであると訴え、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 竹内譲議員にお答えをいたします。

 これまでの法人税改革についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、企業の収益力拡大に向けた前向きな投資や継続的な賃上げが可能な体質への転換を促すため、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるとの考え方のもと、法人税改革を行ってきたところです。

 さらに、平成三十年度税制改正において、過去最高の企業収益をしっかりと賃上げや設備投資につなげていくため、賃上げ等に積極的な企業の税負担を引き下げる一方、収益が拡大しているにもかかわらず賃上げや投資に消極的な企業には研究開発税制などの適用を停止するなど、めり張りをつけた見直しを行ったところです。

 アベノミクス三本の矢の取組を進める中、これらの税制も一つのきっかけとして、企業の設備投資は十四兆円増加、就業者数は三百八十万人増加、五年連続で今世紀最高水準の賃上げが続くなど、経済の好循環が確実に生まれてきています。

 こうした流れを更に力強く持続的なものとしていくため、成長の果実をしっかりと分配に回し、次なる成長につなげていく、成長と分配の好循環を実現してまいります。

 今般の法人税の改正の意義、特に中小企業への支援についてお尋ねがありました。

 竹内議員御指摘のとおり、我が国の成長力を底上げするためには、日本経済の屋台骨を担う全国三百六十万者の中小・小規模事業者の皆さんの生産性を高めていくことが必要不可欠です。

 そのため、平成三十一年度における法人税改正では、中小企業も含め幅広く活用されている研究開発税制について、オープンイノベーションの促進等の見直しを行うこととし、また、中小企業投資促進税制等の延長等に加え、地域未来投資促進税制について支援を強化することで、中小・中堅企業の生産性の向上、先進的な設備投資を後押しすることとしています。

 さらに、中小企業の災害への事前対策の取組を促進する観点から、中小企業が行った防災・減災設備への投資について特別償却できる制度を創設します。

 こうした取組を通じ、さまざまな支援策をより多くの皆さんに御活用いただき、我が国の成長力の底上げにつなげてまいります。

 子供の貧困対策についてお尋ねがありました。

 子供たちこそ、この国の未来そのものであります。政府においては、これまで、子供の貧困対策に関する大綱に基づき、各方面にわたって子供の貧困対策の拡充を進めてまいりました。

 児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、一人親家庭の大学進学率は二四%から四二%に上昇し、悪化を続けてきた子供の相対的貧困率も初めて減少に転じ、大幅に改善しました。

 今後もこうした改善を更に進めていくため、子供の貧困対策に関する大綱について、平成三十一年度内を目途に新たな大綱を作成することを目指し、具体的な検討を開始しています。

 引き続き、全ての子供たちが夢を持って成長していける社会の実現に向け、歩みをとめることなく、必要な対策を実施してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 竹内議員にお答えいたします。

 事業承継の支援策についてお尋ねがありました。

 中小企業の経営者の高齢化が進む中、円滑な事業承継を促進することが必要です。

 このため、事業承継時の課題とされていた重い税負担を軽減するため、昨年、法人の事業承継税制を抜本的に拡充しました。その結果、拡充前は、十一年間で二千五百件の利用でしたが、拡充後は、昨年四月からの十カ月で二千件を超える申請があり、大きな効果を上げています。

 さらに、平成三十一年度税制改正大綱では、個人事業者の集中的な事業承継を後押しするため、十年間の時限措置として、土地、建物、機械、器具備品などの承継時の贈与税、相続税の一〇〇%納税猶予制度の創設を盛り込みました。

 個人事業者にこの制度を御活用いただけるよう、御指摘のとおり、施策の周知から個別の相談対応、申請支援など、きめ細かく対応することが必要です。

 具体的には、まず、この制度を知っていただくため、わかりやすいパンフレットを発行して、全国千六百六十の商工会、五百十五の商工会議所等を通じて事業者のお手元に届けます。さらに、この制度を実際に活用していただけるよう、税理士を始めとした個人事業者等に日ごろより支援を行う全国三万二千二百六十八の認定経営革新等支援機関の御協力も得て、相談対応や制度の申請支援などを行います。

 こうした取組を通じて、個人事業者の皆様に寄り添った支援を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 竹内議員から、グローバル経済への対応に向けた税制上の課題、住宅、自動車の需要平準化策、軽減税率制度の円滑な実施に向けた取組及び医療機関に対する消費税対策について、計四問お尋ねがあっております。

 まず、グローバル経済への対応に向けた税制上の課題についてのお尋ねがありました。

 多国籍企業によります課税逃れに各国が協調して対抗するBEPSプロジェクトにつきましては、私もこれまでG20などの場で議論に積極的に関与してきており、大きな成果を上げてきております。

 BEPSプロジェクトの積み残された課題である経済の電子化に伴う課税上の課題に対し、二〇二〇年度までにグローバルな長期的解決策を取りまとめるべく、現在、OECDを中心として国際的な議論を進めているところであります。

 日本は、二〇二〇年度までに合意できるよう、G20議長国として、引き続き国際的な議論に貢献してまいりたいと考えております。

 次に、住宅、自動車の需要平準化の意義と狙いについてのお尋ねがありました。

 消費税率引上げに当たりましては、前回の引上げの際に、住宅や自動車といった大型耐久財を中心に大きな需要変動が生じた経験を踏まえ、経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる対策を総動員する必要があろうと考えております。

 こうした考え方のもと、予算や税制における十分な規模の対策により、消費税率引上げ以降の住宅や自動車の購入等についてメリットが出るようにするとともに、例えば、住宅ローン減税の効果が得られにくい所得層にはすまい給付金を用意するなど、広い世帯に恩恵が行き届くよう支援を行うことといたしております。

 こうした対策により、駆け込み需要、反動減をできるだけ平準化し、経済の回復基調を持続させることを狙いといたしております。

 次に、軽減税率制度の円滑な実施に向けた取組についてのお尋ねがあっております。

 政府といたしましては、軽減税率制度の円滑な実施に向けて、事業者の理解を促すため、具体的な事例を紹介したQアンドAを公表するほか、これまで計五万回の事業者向け説明会等を開催し、延べ百四十五万程度の事業者が参加されるなど、周知、広報に取り組んできております。

 また、事業者の準備を促すため、軽減税率対応レジの導入等を支援する補助金について、補助率の引上げや補助対象の拡充を行うなど、さまざまな取組を進めております。

 今後も、中小企業や中小小売店も含め、現場での対応が更に進むよう、関係省庁や関係民間団体とも緊密に連携して、わかりやすく周知、広報に努め、軽減税率制度の円滑な実施に向けていきたいものだと考えております。

 最後に、消費税率引上げ後の医療機関への対応についてのお尋ねがあっております。

 医療機関が仕入れ時に負担する消費税につきましては、従来、診療報酬による補填にばらつきがある等の指摘がなされていたところであります。消費税率一〇%への引上げに際して、診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補填のばらつきが是正されることとなります。

 なお、平成三十一年度税制改正におきまして、長時間労働の実態が指摘される医師の勤務時間短縮や、地域医療提供体制の確保、医療機器の共同利用の推進など効率的な配置の促進といった観点から、医療用機器等の特別償却制度の拡充、見直しを行うことといたしております。(拍手)

    〔国務大臣石井啓一君登壇〕

国務大臣(石井啓一君) 竹内譲議員にお答えをいたします。

 消費税率引上げに伴う住宅取得支援策の周知についてお尋ねがありました。

 住宅分野は、本年三月三十一日までに請負契約を締結すれば、引渡時期にかかわらず、消費税率八%が適用される経過措置があるため、過去の消費税率引上げ時の経験では、他の財に先駆けて駆け込み需要と反動減が発生するおそれがあります。

 このため、平成三十一年度予算案、税制改正大綱の閣議決定後、予算案と関連税制法案が成立することを前提とする旨を示した上で、支援策をまとめた広報用チラシの作成、配布、住宅建築関係団体に対する説明会や各都道府県主要都市での説明会の実施、新聞やラジオ、住宅情報ポータルサイト等における広告等の取組を行っているところであります。

 また、業界団体の側におきましても、業界団体独自の事業者用の顧客説明資料の作成、配布、各企業の営業関係者に対する支援制度の説明会実施等の取組を行っているとの報告を受けております。

 このように、支援策の広報等に取り組んでおりますが、今後も引き続き、民間とも連携しつつ、支援策の周知徹底に努めてまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。

 日本共産党を代表して、所得税法等改正案について質問いたします。(拍手)

 本法案の最大の問題は、十月からの消費税増税を強行しようという点にあります。

 消費税導入から三十年。社会保障の財源の確保のためと称し、税率の引上げを繰り返しました。しかし、国の税収は、税率三%だった一九九〇年度は六十・一兆円、税率八%の二〇一八年度が五十九・九兆円と、同水準にとどまっています。

 総理、この原因がどこにあると考えていますか。法人税や富裕層への減税を重ねたことが大きな要因なのではありませんか。

 この三十年、年金は削減、医療費は窓口負担がふえ、介護保険も見直しのたびに給付減、負担増、社会保障は改悪の連続でした。消費税は社会保障のためという説明は、全くのまやかしだったのではありませんか。

 この三十年間の消費税収は三百七十二兆円、同じ期間に、法人三税は二百九十兆円減りました。そしてまた、同じ期間に、企業の内部留保の中心である利益剰余金は三百兆円以上ふえています。庶民から大企業への富の移転が消費税三十年の真実なのではありませんか。

 消費税は、税率引上げのたびに景気に深刻な影響を与えてきました。町を歩くと、多くの商店から、前回の増税で落ち込んだ売上げが戻らないという悲鳴を聞きます。総理には届いているのでしょうか。

 我が党の志位委員長の質問に対し、総理は消費が増税前を回復していないことを認めるなど、消費税増税の根拠は総崩れです。深刻な消費不況を直視し、経済に破壊的な影響を及ぼす消費税増税は中止すべきではありませんか。

 総理は、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講ずると言います。全て還元するほど増税による景気の落ち込みが心配ならば、初めから、消費税増税ではない税収の選択肢こそ考えるべきであります。

 総理、法人税を課税強化してこそ、内部留保が実体経済に還流し、大きな経済効果が期待できるのではありませんか。

 増税対策として打ち出されたポイント還元は、キャッシュレス決済の手段を持たない人には何一つ還元がありません。一方、キャッシュレス決済を多用できる富裕層が百万円のブランドバッグを買えば、五万円のポイント還元です。余りに不公平ではありませんか。

 低所得者ほど負担が重い消費税を増税し、その対策で富裕層が恩恵を受けるのは、所得再分配に反するのではありませんか。

 しかも、ポイント還元は、不正が防止できる保証はありません。にもかかわらず、政府は、ポイント還元の予算が足りなくなれば補正予算で積み増す可能性を否定しておりません。ポイント還元のために赤字国債を発行するなど、愚の骨頂ではありませんか。

 今回のポイント還元は、零細業者に新たな苦しみをもたらします。新たにキャッシュレス決済を導入しても、手数料やWiFi接続料などの設備費用に見合う利益を得られる保証はなく、経済的負担がのしかかるだけではありませんか。一方、キャッシュレス決済導入を避け、現金商売を続ける零細業者は、売上げが落ち込み、営業が厳しくなるのではありませんか。余りにひどい、天下の愚策、ポイント還元はやめるべきであります。

 消費税の複数税率導入も問題です。

 コンビニ店主に戸惑いが広がっています。国税庁は、イートインコーナーで食べる場合は申し出てくださいと店に掲示すれば、レジで申出がない場合は一律八%でよいと説明します。仮に、毎日、購入時に申し出ずにイートインコーナーで食べる方がいても、追加で二%の消費税を求める必要はないとのことです。一方、総理は、テークアウトと言いながらお店で食べている子供がいたら注意するのは大人の義務だと過去に答弁しております。一体、注意するのか、ほっておくのか、どちらが政府の公式見解なのですか。

 また、消費者アンケートによると、外食を減らし、自宅での食事や出前、テークアウトをふやすとの回答が顕著です。外食産業が打撃を受けることは明らかではありませんか。そば屋さんからは、出前がふえても夫婦二人では対応できないと悲鳴が上がっています。これほど理不尽な制度はありません。

 そして、日本商工会議所などの中小企業団体がこぞって反対しているのが、複数税率導入に伴うインボイス制度の導入であります。

 インボイスが発行できない免税事業者は、取引から排除されてしまいます。五百万免税事業者の多くが新たに課税事業者にならざるを得なくなり、零細事業者に煩雑な事務負担と新たに重い税負担がかかります。消費税に免税制度を設けている趣旨に反するのではありませんか。

 かといって、免税事業者にとどまれば、仕事と売上げが減るか、消費税の仕入れ税額控除ができない分の値引きを取引先から求められるでしょう。廃業に追い込まれる業者が続出するではありませんか。

 免税事業者に地獄の選択を強いるインボイス制度の導入は断念すべきであります。

 消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進性、そして、消費税が転嫁できなくても身銭を切って納めなければならないという根本的な欠陥があります。消費税増税はきっぱりと中止し、応能負担の税制改革にこそ踏み出すことを強く求め、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮本徹議員にお答えをいたします。

 消費税についてお尋ねがありました。

 この三十年間の税収の変化についての御議論ですが、所得税や法人税による税収の減少の背景としては、所得税に関しては、累進構造の緩和や三位一体改革の中で地方に税源移譲を行ったこと、法人税に関しては、企業活力と国際競争力を維持強化するための改革を行ったことといった制度改正要因に加え、バブル期以降の資産価格の下落等、経済情勢の要因もあることを指摘したいと思います。

 この間、急速な高齢化等を背景として、年金、医療、介護等の社会保障給付費は大きく増加してきました。消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定しており、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、社会保障に係る費用を賄うための財源としてふさわしく、引上げによる増収分は、実際に社会保障の財源として活用されてきました。

 その上で、本年十月の消費税率一〇%への引上げについては、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものです。

 増収分を活用し、幼児教育の無償化や年間最大六万円の年金生活者支援給付金等の社会保障の充実を行いながら、社会保障の安定化も同時に図ることとしており、消費税が社会保障のためという説明がまやかしであるとの御指摘は全く当たりません。

 消費税率引上げの影響や法人税についてお尋ねがありました。

 消費税については、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、二〇一六年後半以降、増加傾向で推移しており、持ち直しています。

 消費を取り巻く環境を見ますと、二〇一二年から二〇一八年までの六年間で、生産年齢人口が五百万人減少する中にあっても、就業者数は三百八十万人増加し、景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来最高の水準となり、賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現、中小企業の賃上げは過去二十年で最高となるなど、雇用・所得環境の改善が進んでおり、消費は引き続き持ち直しが続くことが期待されます。

 いずれにせよ、消費税率の一〇%への引上げについては、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するためにどうしても必要なものです。

 消費税率の引上げに際しては、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。

 なお、企業に対する税制については、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んできましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により、財源をしっかり確保しております。

 今後の税制のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ、検討する必要があるものと考えております。

 ポイント還元についてお尋ねがありました。

 今回のポイント還元では、与信審査がなくても誰でも簡単に加入できるプリペイドカードなど多様な選択肢を用意することで、クレジットカードを持たない方々も含め、幅広い消費者がそのメリットを受けられるようにいたします。

 また、今回の支援対象である中小・小規模事業者は、雇用の七割を支える、日本経済の屋台骨です。ポイント還元によって中小・小規模事業者の売上げが大きく伸びることとなれば、従業員の方々の所得拡大など裾野の広い波及効果も期待されると考えており、富裕層だけが恩恵を受けるかのような御指摘は当たりません。

 今回の実施に当たっては、当然、政府として、決済事業者とよく連携しながら、不正防止に万全を期してまいります。

 その上で、今後の執行状況をよく注視してまいりますが、予算額については、本事業を担当する経済産業省において、需要喚起策であることも踏まえた上で、事業を実施するに当たって十分と考えられる額を措置していると承知しています。

 さらに、今回は、店頭にQRコードを一枚置くだけで導入でき、中小・小規模事業者の皆さんの維持コストがほとんどかからないQR決済を始め、幅広いキャッシュレス決済手法を対象といたします。

 また、決済端末の導入が必要となる場合も、しっかりと支援を行い、その負担をゼロにするとともに、手数料についても、三・二五%以下とした上で、さらに、その一部を補助するなどにより、中小・小規模事業者の皆さんの経済的負担を軽減する考えです。

 キャッシュレス決済は、レジ締めに必要な手間の削減による生産性向上に加え、海外で急速にキャッシュレス決済が普及する中、日本を訪れる外国人観光客の七割が、キャッシュレスがあればもっとお金を多く使ったと回答している中で、インバウンド消費による売上げ拡大の大きなチャンスです。

 小規模事業者の皆さんも含め、この機会に、キャッシュレス決済を普及させることで、外国人四千万人時代の到来を見据え、日本経済の新しい成長につなげてまいります。

 軽減税率制度についてお尋ねがありました。

 消費税法においては、適用税率の判定に当たり、事業者が販売時点で顧客に意思確認を行うなどの方法で判定することとしており、販売後の消費者の行動を事業者において確認するなどの措置をとることまでは、制度上、求めておりません。

 他方、御指摘の私の答弁は、一般の大人としての教育やモラルに関する問題への対応という観点から答弁したものです。

 また、軽減税率制度の実施に伴い、消費者が外食を減らし、自宅での食事や出前をふやすことで事業者の負担が増すとの御指摘ですが、事業者の皆さんには、コストや消費者の行動も踏まえ、合理的な販売価格を任意に設定していただけるような環境整備を行うことが重要であると考えております。そのような基本的な考え方や事例について、価格表示ガイドラインにおいてお示ししています。

 いずれにしても、政府としては、軽減税率制度の円滑な実施に向けて、消費者の理解と事業者の対応の双方が確保されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

 インボイス制度についてお尋ねがありました。

 インボイス制度は、複数税率制度のもとで、適正な課税を行うために必要なものであり、また、インボイスにおいて税額が明確になることから、中小企業にとっても価格転嫁を行いやすくなるといったメリットも期待されているところです。

 他方、インボイス制度を導入すれば、事務負担がふえるのではないか、あるいは、免税事業者からの仕入れは仕入れ税額控除ができないこととなるため、取引から排除されるのではないかなどの懸念の声があることは承知しています。

 そのため、政府としては、こうした御懸念に対応するため、課税事業者への転換の要否を見きわめながら対応を決めていただけるよう、インボイス制度の導入までに四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることとしています。

 こうした経過措置を設けたことにより、個々の事業者への影響を極力緩和することができるものと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 杉本和巳君。

    〔杉本和巳君登壇〕

杉本和巳君 維新の杉本和巳です。

 党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 まず、維新の基本姿勢を申し上げます。

 維新は、政治家があぐらをかいていてはいけない、政治家が、議員給与削減や定数削減を大胆に行ってきっかけをつくり、その上で徹底的に行政改革を行って財源を確保する、それでも足らないときに、初めて税金を上げることを国民の皆様にお願いをするという姿勢であります。そして、言っているだけではない、自主的に給与削減や定数削減を有言実行する、覚悟の政治集団であります。

 劇作家ウィリアム・シェークスピアは「ハムレット」の中で、金を借りれば倹約がばからしくなると表現していますが、まず、日本の国家財政、政府のお財布、これを個人の家計に例えてみましょう。

 六百万円の年収、四百万円の借金で一千万円の生活、借金の残高はついに一億一千万円となりました。分不相応の生活をこれまでもしてきたので、これからも続けていく。当面借金取りは来ない。借金は身内からしているから大丈夫だ。そのうち商売が上向く。買った住宅や自動車だって資産価値があるから、バランスシートで見れば借金残高はネットで六千万円程度だ。大丈夫、大丈夫とみずからに言い聞かせる。自分たちの先祖や先輩方は勤勉だった。世界は必ず日本を評価してくれる。相対的に見れば円は信頼に足る通貨だから大丈夫だ、大丈夫だ。

 しかし、人口減少が続き、生産性が上がらず、国力が低下していけば、いつかは日本への信頼も低下していきます。

 戦後七十年を並走してきたドイツは、東西ドイツ統合の難題を乗り越えて、近年、プライマリーバランス黒字化を達成しています。

 日本は、このままの傾向、トレンドを続けていて、その上に消費税を上げて、商売は、気から始まる景気は、デフレ脱却路線は本当に大丈夫でしょうか。

 具体的質問に入ります。

 政府は、本年十月一日から消費税を一〇%に引き上げることを前提として本法律案をつくっています。

 一方、米中の関税戦争の影響や、英国のEU離脱が三月二十九日に予定されていることもあり、IMFやOECDは、ことしの世界経済の伸びを下方修正しました。

 消費税率の引上げが日本のGDPの六割を占める消費に大きな影響を与えることは、さきの八%への増税によって消費が著しく縮小したことを経験したことからも明らかです。

 にもかかわらず、徹底行革を行わずに、さらなる税率の引上げをしようとしている政府の姿勢は残念であり、しかも不安を感じざるを得ません。

 総理に伺います。

 現在の厳しさを増す経済情勢において、消費税率を上げることによって消費が縮小しないと言い切れますか。データの裏づけを含めてお答えください。

 消費税を五%から八%に引き上げた際は、こっそりと国会議員の歳費は、震災のために引き下げていたものが、維新を含まぬ当時の与野党の合意で、もとの水準に戻されました。一方、国民の皆様には、復興特別所得税負担は継続しています。また、平成二十六年四月一日には、国民年金の保険料の増額が行われました。国民の負担増が経済への影響を何ら配慮することなく全く同じ日に実施されたことがダブルパンチとなって、消費縮小効果を増幅させた可能性はあったと容易に推察されます。

 しかし、消費税増税の影響を減らす目的とはいえ、消費税増税にあわせて行われるさまざまな平準化措置は、政権中枢から出された政策手段の総動員的な指示に従って官僚が考え出したものの羅列というか、びほう策の陳列になってしまっているのではありませんか。消費税の増税という継続的な負担増の影響への対策として功を奏するかは甚だ疑問です。

 総理に伺います。

 需要平準化の措置は、恒久的な措置と時限的な措置が混在しています。国民の皆さんが理解できないまま混乱し、かえって消費を縮小させ、投入した予算が結局無駄になることが懸念されます。国民の皆様への理解の浸透についてはどのようにお考えですか。お答え願います。

 個人的には、英国で生活し、ぜいたく品は二〇%、食料品と書籍などが非課税なのはシンプルでなかなかよいと感じたことはありますが、今次軽減税率は、新聞の定期購読などは適用対象となるというように、複雑で、かつ恣意性を感じます。国民の皆さんがあまねく理解することは困難で、事務処理の手間と経費を考えると、壮大な徒労を惹起します。軽減税率よりも、税率を一律にして、低所得者支援をふやす方が効率のよい制度ではないでしょうか。

 維新は、行革なき消費増税と軽減税率の導入に反対です。

 総理に質問します。

 欧州の事例から考えれば、軽減税率を導入すれば、徴税をめぐる訴訟が発生します。これは、国家全体として、非生産的な訴訟や出費ではないでしょうか。国に対する無駄な訴訟が起こされる際の国民の皆さんの負担、出費増をどう見通し、どう評価されますか。お答えください。

 プライマリーバランスの黒字化、当初予算額百兆円超えについて、副総理・財務大臣に質問します。

 百一兆の予算規模が、真に国家国民を守ることになるのか、また、健全と言えるのか、このようなワニの口の財政運営をいつまで続けていく予定なのか、お答えをお願いします。

 以上をもって私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 杉本和巳議員にお答えをいたします。

 消費税率引上げによる経済への影響についてお尋ねがありました。

 世界経済の現状について、通商問題の動向、中国経済の先行き等によるリスクに留意する必要がありますが、世界経済は米国を中心に緩やかな回復を続けており、我が国経済も内需を中心とした緩やかな回復が続いていると確認しております。

 前回、八%への引上げの際には、需要変動に対する対策が必ずしも十分ではなかったこともあり、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じ、景気の回復力が弱まることとなりました。だからこそ、この間、我々は経済最優先でしっかりと政策を前に進めてまいりました。

 その結果、消費は、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で、二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。

 不断の行政改革に取り組んでいくことはもちろんですが、今回の消費税率の一〇%への引上げに当たっては、前回の反省の上、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしてまいります。

 消費税率引上げに伴う対策の周知についてお尋ねがありました。

 今回の消費税率の引上げに当たっては、前回の八%への引上げの際の経験を踏まえ、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとしています。

 具体的には、軽減税率を導入するほか、プレミアムつき商品券の発行を通じて、所得の低い皆さんなどの負担を軽減します。また、思い切ったポイント還元や自動車、住宅への大幅減税といった駆け込み需要、反動減対策でしっかりと消費を下支えするなど、消費税率引上げに伴うさまざまな影響にきめ細かく対応します。いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしてまいります。

 こうした対応には国民の皆様の御理解が重要であり、各施策の周知徹底を図ることが極めて大切であると認識しております。引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また、消費者が安心して購買できるよう、引き続ききめ細かな対応を行ってまいります。

 軽減税率制度についてお尋ねがありました。

 軽減税率制度は、消費税率引上げに伴う所得の低い方々への配慮として、食料品等を対象品目と定め、実施するものです。

 既に制度が導入されている欧州諸国においては、適用税率の線引きの問題が取り上げられるケースもありましたが、それを乗り越え、制度として定着し、円滑に運営されていると承知しております。

 我が国においても、訴訟などの混乱が極力生じることのないよう、こうした諸外国の例も参考にしながら、政府を挙げて軽減税率制度の周知、広報に全力を尽くしていくことで、多くの方々に御理解をいただき、円滑に実施できるようにしてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 杉本議員からは、平成三十一年度予算の規模及び財政運営の方向性について、一問お尋ねがあっております。

 平成三十一年度予算におきましては、全世代型の社会保障制度への転換に向け、消費税増収分を活用した社会保障の充実を行うとともに、消費税率引上げに伴う経済への影響を平準化するため、臨時特別の措置を講ずるなど、日本あるいは国民にとっての重要課題に的確に対応するための経費を積み上げた結果、予算規模は百一兆五千億円となっております。

 一方で、三十一年度予算におきましては、歳出規模の取組を継続するとともに、景気の回復を背景に、過去最高となります六十二兆五千億円の税収を見込むことで、新規国債発行額を安倍内閣発足以来七年連続で縮減するなど、財政の健全化も着実に進めております。

 重要なことは、予算総額の大小ではなく、その内容面で財政健全化を進めていくことであり、引き続き、経済再生を図りながら、歳出と歳入両面の改革を続けることで、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を確かなものにしてまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 重徳和彦君。

    〔重徳和彦君登壇〕

重徳和彦君 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。

 所得税法等の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)

 今国会では、統計の調査手続上の不正がクローズアップされ、一刻も早い真相究明が求められますが、本来、より大事なことは、統計をきちんと政策立案に使うことです。

 統計がいいかげんなのは使われないからと言われます。我が国では、とかく局所的な事例や体験、エピソード、過去の慣行に基づく非科学的な根拠で政策が立案されることが少なくなく、統計データが十分活用されていないと感じられます。

 今こそ、限られた政策資源を効率的、効果的に利用して実効性を上げるため、統計データなどの根拠に基づく政策立案、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングに本格的に取り組むべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。

 また、EBPMの観点から、今回改正される事業承継税制についてお尋ねいたします。

 これまで法人事業主を対象に認められてきた事業承継税制について、個人事業主に対象を拡充することとされていますが、これまでの法人対象の事業承継税制はどの程度効果があったのか、これを個人に拡充することでどのような効果が見込まれるのか、統計データを用いてお答えください。

 次に、車体課税について伺います。

 現行の車体課税は、車を買うのは担税力のある富裕層と言われた時代から、いまだに複雑な重複課税が存続していますが、時代は変わり、今や車は地方では生活必需品です。複雑で過重な税体系を整理し、車体課税は全体として引き下げるべきと考えます。

 こうした観点から、今回の改正により、自動車税を恒久的に最大四千五百円引き下げるなど、車体課税全体で実質五百三十億円引き下げることになったことは評価をしたいと思います。

 そこで、改めて政府の見解を伺います。

 国際的に見て我が国の車への重複課税がユーザーの過重負担となっていることと今後のさらなる引下げの必要性について、政府はどう認識していますか。

 また、交通まちづくり政策について現場の自治体が権限と責任を持つ体制をつくるため、車体課税の地方税源化が必要と考えます。今回の自動車重量税の地方譲与税化と地方揮発油税への税源移譲といった方向性を今後更に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 さて、我が会派、社会保障を立て直す国民会議は、消費税増税を前に、これまで先送りされてきた社会保障制度の改革をリードすることを志して、旗上げをしました。

 そこで、医療制度について質問します。

 国民医療費は毎年一兆円規模で増加しており、過重な財政負担も限界に来ています。そして、そもそも現行の医療制度が果たして現在の日本人の健康を支えるのにふさわしい制度なのかどうかも検証が必要です。

 現行の医療制度が創設されたのは半世紀以上前のことですが、その後、日本人の疾病構造は随分変わりました。創設当時は、結核を始めとする感染症に罹患する国民が多数いましたが、現在は、生活習慣病に伴う糖尿病、高血圧、がんなどや、老化に伴う認知症などの疾病が圧倒的に多くなっています。

 感染症など外因性の疾患を治療するのが医療のミッションだった時代と異なり、生活習慣病や老化など内因性の疾患は予防が可能であり、医療のミッションもおのずと変化が求められるはずです。

 患者の健康問題全体を予防段階から継続的に把握するため、いわゆるかかりつけ医を制度化し、医療のミッションを予防医療に比重を移したものへと再定義する必要があるのではないでしょうか。

 医療財政の構造改革と国民の健康保持のためには、医療制度の根本的な改革に取り組むべきと考えますが、政府の見解を求めます。

 また、保健医療データを複数の医療機関が共有し、各機関の連携により、患者にとって最適な医療を提供できる仕組みを強力に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、消費増税対策についてお尋ねします。

 軽減税率は、小売の現場の混乱を招き、インボイス導入による中小零細事業者への負担が大きく、しかも低所得者対策にならないという批判が強いですが、この批判に対する政府側からの反論が全く国民に浸透していません。

 しかも、我が会派の野田佳彦代表が指摘したように、いわゆるポイント還元制度は、三、五、六、八、一〇%と、実質的に五段階の複数税率が発生し、しかも、カードを持たない低所得者や高齢者などに恩恵が及ばないという致命的な問題があります。

 改めてお聞きします。本気で軽減税率を実施するのですか。総理、お答えください。

 参議院の定数六増についてお尋ねします。

 参議院の合区で議席を失う議員を救済するために、自民党は、いよいよ時の権力を行使して都合のよい選挙制度を導入するゲリマンダー政治へと大きな一歩を踏み出し、議員定数を六つふやし、比例区特別枠を設けるという奇策に出ました。権力の腐敗そのものであります。

 安倍総理御自身も、参議院自民党が主導した改正内容を尊重し、定数増法案に賛成したと先日の参議院予算委員会で答弁されました。

 身内の議員への配慮を、国会議員が身を切るという国民との約束よりも優先させたことについて、与党議員の皆様がどう説明するのか、国民は見ています。答弁を求めます。

 最後に、地方自治にかかわる問題を指摘します。

 安倍総理が総選挙直前に突然言い出した幼児教育無償化政策ですが、巨額の費用の半分は地方が負担することになりました。以前なら、こうした政策については、保育サービスの範囲、基準、費用負担のあり方も含め、国と地方で丁寧に協議しながら進めていたはずです。最近の政府は地方をないがしろにしていませんか。

 地方への財政負担についての政策決定過程を具体的に説明してください。そして、地方自治への安倍総理の思いをお述べください。

 以上で質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 重徳和彦議員にお答えをいたします。

 EBPMの推進についてお尋ねがありました。

 統計データなどの根拠を用いて政策の課題把握、立案、検証等を行うEBPMは、行政機能や政策効果の向上を図るための重要な取組であり、国民により信頼される行政を展開する観点から推進してきたところです。

 今年度は、各府省におけるEBPMの取組を総括する政策立案総括審議官を新設したところであり、今後とも、データに基づく合理的な思考で課題を解決できる職員の育成、府省間のデータの相互利用等を進め、EBPMの浸透、定着を図ってまいります。

 消費税増税対策についてお尋ねがありました。

 軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点があることから、低所得者への配慮として実施することとしたものです。

 また、ポイント還元については、前回、八%への引上げの際、予想以上に消費の低迷を招き、その後の景気回復にも力強さを欠き、中小・小規模事業者は、大企業に比べて体力が弱く、競争上の不利もあるといった点を踏まえ、中小・小規模事業者に限定した上で、消費をしっかりと下支えするため実施することとしたものです。

 今回の実施に当たって、ポイント還元の対象となる店舗に還元率を明記したポスター等を張り、消費者の皆さんが一目でわかる工夫を講じます。さらに、キャッシュレスの決済事業者とも連携しながら、中小・小規模事業者、消費者双方に積極的な広報も行っていきます。

 いずれにせよ、今回の消費税率引上げへの対応には、各施策の周知徹底を図ることにより、国民の皆様に御理解いただくことが極めて重要であると認識しており、引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また、消費者が安心して購買できるよう、引き続ききめ細やかな対応を行ってまいります。

 参議院選挙制度改革についてお尋ねがありました。

 政権交代後、まず、平成二十五年に衆議院の定数の〇増五減が実現し、さらに、さまざまな困難を乗り越え、調査会の答申や各党各会派の議論等を踏まえ、平成二十九年には衆議院の定数十削減が実現しました。国会議員が身を切るという国民との約束を果たしていないとの指摘は、これは全く当たりません。

 その上で、さきの国会で成立をした参議院の選挙制度改革については、参議院特有の事情も踏まえ、投票価値の平等とともに、都道府県の単位がどれぐらい尊重されるべきかという点も含めて、各党各会派による検討がなされ、結論が出されたものであると承知しています。

 また、附帯決議として、この定員増に伴う参議院全体の経費の増大を生じないよう、しっかりとその節減に取り組んでいくという参議院としての決意が示されており、これを実行に移すため、自民党、公明党及び無所属クラブは、参議院議員の歳費を削減する法案を今国会に提出しているものと承知しています。

 いずれにせよ、選挙制度のあり方を含め、議員の身分にかかわる問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であり、各党各会派において真摯に議論が行われるべきものであると考えています。

 幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。

 幼児教育の無償化の財源については、消費税率引上げに伴い国と地方へ配分される増収分を活用することとしており、国の責任において、必要な地方財源をしっかり確保します。

 地方の財政負担については、昨年、教育の無償化に関する国と地方の協議において国から地方団体に提案し、その内容について御了解をいただいたものであります。

 もとより地方自治の重要性については十分に認識した上で、児童教育無償化の円滑な実施に当たっては、国と地方が適切に役割分担しつつ、両者が連携、協働していくことが重要であると考えており、引き続き、実務を担う地方自治体の皆様の御意見をしっかり伺いながら、本年十月からの実施に向け準備を進めてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 重徳議員からは、車体課税のさらなる引上げ、さらなる地方への税源移譲について、計二問お尋ねがあっております。

 まず、車体課税のさらなる引下げについてお尋ねがありました。

 平成三十一年度税制改正案に盛り込んだ車体課税の見直しにつきましては、消費税率一〇%への引上げに伴う対応として、自動車税を恒久的に減税するとともに、環境性能割の臨時的軽減を行うことにより、自動車ユーザーの負担軽減を図ることといたしております。

 他方、車体課税は、道路損壊の社会的費用の原因者負担、また、道路整備等の利便性向上の受益者負担の考え方で自動車ユーザーに御負担をいただいているものであり、国、地方の貴重な財源となっておりますのは御存じのとおりです。

 また、日本の自動車に関する税負担につきましては、車体課税、燃料課税、消費税を合わせたベースで見れば、欧州諸国と比べて必ずしも高い水準にはなっておらないと考えております。

 現時点の国の厳しい財政状況や今後も道路の老朽化対策のための多額の財源を確保していく必要があることを踏まえれば、さらなる軽減負担については慎重に検討する必要があろうと考えております。

 さらなる地方への税源移譲についてもお尋ねがありました。

 平成三十一年度税制改正案に盛り込んだ車体課税の見直しにおきましては、車体課税の多くが地方財源であり、地方財政に影響を与えないよう配慮する必要があります。

 国税である自動車重量税の税収を地方に譲与する割合を段階的に引き上げることなどにより、今般の自動車税の引下げに伴う地方の財源不足につきましては、国費でその全額を補填することといたしております。

 その上で、議員御提案の車体課税のさらなる地方への税源移譲については、先ほどの繰り返しになりますが、現時点の国の厳しい財政状況や今後とも道路の老朽化対策のための多額の財源を確保していく必要があることを踏まえれば、慎重であるべきという考えでおります。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 重徳議員にお答えいたします。

 事業承継の支援策についてお尋ねがありました。

 中小企業の経営者の高齢化が進む中、円滑な事業承継を促進することが必要です。

 このため、事業承継時の課題とされていた重い税負担を軽減するため、昨年、法人の事業承継税制を抜本的に拡充しました。その結果、拡充前は、十一年間で二千五百件の利用でしたが、拡充後は、本日時点の集計で、昨年四月から本年一月末までの十カ月間で二千二百二十六件の申請があり、大きな効果を上げています。

 平成三十一年度税制改正大綱では、個人事業者の集中的な事業承継を後押しするため、十年間の時限措置として、土地、建物、機械、器具備品などの承継時の贈与税、相続税の一〇〇%納税猶予制度の創設を盛り込みました。これにより、約三百五十八万者の中小企業のうち五割以上を占める個人事業者の方々にも税制を利用していただくことが可能となります。

 また、税制以外にも、全国四十八カ所の事業引継ぎ支援センターにおける後継者不在の事業者へのマッチング支援や、事業承継補助金による事業承継後の事業者の支援などの施策も講じています。

 これらの施策についても、その効果を検証しつつ、必要に応じ各施策の強化、見直しを行い、事業承継という待ったなしの課題に取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣根本匠君登壇〕

国務大臣(根本匠君) 重徳和彦議員にお答えをいたします。

 疾病予防の推進の観点から、かかりつけ医と医療情報連携についてお尋ねがありました。

 国民一人一人が健康づくりに取り組み、疾病の発症予防につなげるために、厚生労働省としても、第二次健康日本21に基づき、健康寿命の延伸に向けた取組を進めています。

 また、御指摘のとおり、患者の健康問題を予防段階から継続的に把握することは有用であり、患者が身近な地域でかかりつけ医を持つことができるように環境整備を進めることが重要です。

 このため、都道府県が医療機関等の情報を集約し、わかりやすく提供している制度を見直し、新たにかかりつけ医機能に関する情報も提供することとしています。また、診療報酬においても、かかりつけ医機能の評価を推進しているところです。

 引き続き、これらの取組を通じて、予防、健康づくりを推進するとともに、かかりつけ医の普及、定着に取り組んでまいります。

 また、効率的な医療連携を実現するため、ICTを活用した情報連携は重要と考えています。

 このため、未来投資戦略二〇一八に基づき、費用対効果の観点を踏まえつつ、個人の健診・診療・投薬情報が医療機関等の間で共有できる全国的なネットワークについて、必要な実証を行いながら、本格稼働を目指してまいります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

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副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会

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 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       厚生労働大臣   根本  匠君

       経済産業大臣   世耕 弘成君

       国土交通大臣   石井 啓一君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  西村 康稔君

       財務副大臣   うえの賢一郎君


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