衆議院

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第8号 平成31年3月1日(金曜日)

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平成三十一年三月一日(金曜日)

    ―――――――――――――

  平成三十一年三月一日

    午後一時 本会議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 厚生労働大臣根本匠君不信任決議案(辻元清美君外五名提出)

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(大島理森君) 去る二月二十七日、議員田畑毅君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。

    ―――――――――――――

    辞職願

  今般 一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。

   平成三十一年二月二十七日

          衆議院議員 田畑  毅

  衆議院議長 大島 理森殿

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これにつきお諮りいたしたいと思います。

 田畑毅君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員青山丘君は、去る一月九日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 青山丘君に対する弔詞は、議長において去る二月十九日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰され さきに労働委員長 沖縄及び北方問題に関する特別委員長の要職にあたられた従三位旭日大綬章 青山丘君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

星野剛士君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 辻元清美君外五名提出、厚生労働大臣根本匠君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 星野剛士君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 厚生労働大臣根本匠君不信任決議案(辻元清美君外五名提出)

議長(大島理森君) 厚生労働大臣根本匠君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。小川淳也君。

    ―――――――――――――

 厚生労働大臣根本匠君不信任決議案

    〔本号(二)に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小川淳也君登壇〕

小川淳也君 立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也です。

 私は、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会保障を立て直す国民会議、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました根本厚生労働大臣の不信任決議案について、その趣旨の弁明を行います。(拍手)

 まず、決議文を朗読いたします。

  本院は、厚生労働大臣根本匠君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 以下、その理由を申し上げます。

  不景気も統計一つで好景気

  上がるならつくってしまえにせ統計

  合わぬならつくってしまえにせ統計

  統計は答えを先に決めてから

  アベノミクス全ての統計自由自在

  おかしいなそれでもいいやホットウケイ

  その数値ホントウケイ

  お上から鶴の一声好景気

  官邸の意のままになす数のわざ

  統計の操作がつくる独裁者

  成長率どれだけ盛れるか腕次第

  統計は今や出世の一里塚

  改ざんを隠蔽するため奮闘中

 今国会最大の争点となった統計不正について、まさに事の本質を射抜いた国民の皆様の力作です。その表現力の豊かさに感嘆しつつ、何とも情けなく、申しわけない思いでいっぱいになる標語の数々でした。

 毎年十月十八日は統計の日。この標語は、この日に向けて、二月一日、総務省が公募した標語募集に対するインターネット上の書き込みです。

 この二月一日は、まさに、総務省自身がみずから所管する小売統計についての不適切な調査を公表した、その当日でありました。

 ちなみに、ことし二〇一八年、選ばれた標語は、「活かせ統計、未来の指針。」気恥ずかしく感じるほど、ことし、この標語は、かつてなく泣いているのではないでしょうか。

 これほど政府統計に国民の不信の目が集まり、そして、これが単なる官僚機構、官僚組織の問題か、それとも、その背後に政治的な力学、政治的な思惑があってこそのことではなかったか、この点に重大な関心を寄せつつ、国会審議を進めてまいりました。

 予算審議においては、与野党問わず、委員から厳しい声が相次ぎ、政府統計、いや、政府、国家そのものに対する国民の信任をかけて、論戦を進めてまいりました。

 しかし、勤労統計を始め多くの統計不正に関する一連の真相究明、また再発防止、そして、まさに直接の被害者たる国民の救済において根本厚生労働大臣が本来果たすべき指導力は甚だ不十分、不適切だったと言わざるを得ず、これが本不信任案提出の根本的な理由であります。

 以下、何点か具体的に申し上げます。

 まず、理由の第一は、勤労統計不正が明らかとなった一連の経過において、根本厚生労働大臣が十分な危機管理能力を発揮し得なかった点についてであります。

 勤労統計の不正は二〇〇三年ごろから始まったと言われており、昨年十二月二十日になって、ようやく根本大臣に一報が入っています。しかし、残念ながら根本大臣は、この極めて重要な初動段階において事の重大性を見誤り、翌十二月二十一日の勤労統計の数値公表を漫然と許し、同時に、同じ日に行われた二〇一九年度の予算案の閣議決定も、これまたそのまま許すことになってしまいました。後に予算案を修正し、再度閣議決定し直すという前代未聞の失態に発展した一連の責任は、ほかならぬ根本厚生労働大臣の危機管理能力の欠如にあるのであります。

 加えて、一連の過程において、政府の最高責任者たる内閣総理大臣、また危機管理の最前線に立つ内閣官房長官への報告は、最初の一報から実に一週間以上たった十二月二十八日でした。しかも、このとき、一部先行メディアによってこの勤労統計の不正がスクープ報道されており、見方によっては、このスクープ報道がなければ、発表や報告そのものをする気がなく、むしろ組織的に隠蔽を図る意思があったのではないか。疑われても仕方のない経過であります。

 以上、この初動段階において、根本厚生労働大臣が本来果たすべき危機管理能力が全くもって欠如していたことは明らかであり、今後の適切な職務執行、また、厚生労働省という巨大組織を統括し、指導する任にはあたわないことは明らかであります。

 理由の第二は、さきに述べた初動のおくれに加え、真相究明に向けた調査の進め方において誤った判断、不十分な判断を繰り返した結果、一連の調査がその内容及び過程ともに不手際が極めて目立ち、真相究明をおくらせたばかりか、調査そのものへの信頼を大きく損ねたのです。

 急ぎ調査を進めようとしたことがかえって拙速となり、なおかつ、内部のお手盛り調査との批判を免れない結果となったことで、監察委員会の調査は完全に最初からやり直さざるを得ないところまで追い込まれました。この経過についても、やはり根本厚生労働大臣の判断ミスによるところが大きいと言わざるを得ません。

 また、報告書の中身も、中間報告にせよ、先日の最終報告にせよ、残念ながら、組織的関与、組織的隠蔽をはなから否定する前提でつくられたのではないか、そう疑わざるを得ないものであります。

 うそはついたけれども隠蔽の意図はない。

 本当ですか。うそとは、隠蔽するためにつくものです。

 グレーだけれども白ではない。

 樋口監察委員長のしどろもどろの苦しい答弁が、この矛盾を端的に示しています。

 調査の過程においても、監察委員会による調査に、厚生労働省定塚官房長始め、省内において人事権を有する、まさに組織防衛の最前線に立つべき人が職員のヒアリングに当たっていたことが明るみに出ています。

 一体、誰が、どんな人間が、みずからに対する人事権者を前に、組織にとって不都合な真実を語り、真相究明に本気で協力できるのでしょうか。極めて不適切な調査過程であり、組織にとって都合の悪い証言を封殺し、結論ありき、アリバイづくりのような調査が行われたと疑われても仕方ありません。

 さらに、この調査を総括する監察委員会委員長は、根本大臣みずからが所管する独立行政法人労働政策研究・研修機構の樋口理事長であり、樋口理事長を任命したのも根本厚生労働大臣です。この機構は、年間予算約二十七億円のうち、厚生労働省からの補助金や委託料が二十六億円、実に九六%を占めており、同時に、樋口氏は、厚生労働省労働政策審議会の会長を務めるなど、いわば厚生労働省丸抱えの人物なのではありませんか。

 この方をもってして、そもそも、中立、公平、客観、かつ厳正なる真相究明を期待したこと自体が誤った判断であり、これもまた初動段階における根本厚生労働大臣の重大な失策の一つであります。

 現に、このことは今でも、最終報告書を含め、信頼感を大きく損ねる理由となっており、当初からいえば、調査をやり直さざるを得なかった最大の理由でもあります。

 いずれにしても、この調査報告は、中身においても経過においても到底国民が納得するものとは言えず、断じて容認できません。身内によるお手盛り、結論ありきの不適切な調査、そして、この調査報告の生みの親が最終的にはやはりほかならぬ根本厚生労働大臣であること、これが二つ目の理由であります。

 理由の第三は、実際に、雇用保険等の給付の不足を通して国民に多大なる実損害を与えたことです。

 二〇一八年に至るまで賃金データがでたらめだったことで、これまで支給されてきた雇用保険、労災保険を始めとして、総額にして七百九十五億円、総勢二千十五万人に対する追加支給が必要となることが明らかとなりました。かつての消えた年金にまさるとも劣らない大変な不祥事であり、国民生活に重大な影響を与えるものであります。

 既に述べた根本厚生労働大臣の指導力、統率力で、この困難をきわめるであろう受給者への追加給付という課題に果たして適正かつ迅速に対応できるのでしょうか。大いに疑問であると言わざるを得ません。

 また、救済されるべき受給者の気持ちを考えても、一連のずさんな経過に責任を負う根本大臣御自身の通知を受け取り、また、給付を受けることを果たして望むのでしょうか。むしろ、この経過を一旦清算し、新たな指導者のもと、心機一転、本格的な救済措置に乗り出すことが、受給者、国民との関係においても適切な対応だと思いますが、いかがでしょうか。

 理由の第四は、根本厚生労働大臣が、国民生活の実態をあらわす重要な指標たる二〇一八年の実質賃金を速やかに公表しないことです。

 部分入れかえへの移行、長妻委員が再三指摘しているベンチマーク更新の影響を無視した過去の数値との直結、日雇労働者の調査対象からの除外、そして、こっそり施そうとした東京都大企業分の三倍補正、以上四つのげたを履かされたことで、二〇一八年の賃金数値は、表面上、プラス一・四%と、驚異的な伸び率になっています。

 二〇一二年から一七年まで、アベノミクス開始以降、五年の歳月をもってして、賃金の伸び率はわずかに一・四%であり、これを一年で達成した二〇一八年の数値は、統計にお詳しい明石先生の言葉をかりれば、別人に差しかえ、シークレットブーツを履かせ、更に頭にシリコンまで乗せているとの指摘まであるのです。

 根本大臣、賃金は、与党の議員も言うとおり、バーチャルで上がっても何の意味もありません。数値だけ上乗せされても、国民生活は全く改善しないのです。一刻も早く、統計委員会が重視をし、連続性の観点からも景況判断の決め手となるサンプル入れかえ前の継続事業所の賃金動向、すなわち参考値をベースとした実質賃金の水準を明らかにすることを求めるものであります。

 明石先生によれば、いや、よるまでもなく、私ども素人が考えても、単に名目賃金から物価の影響を引けばわかる数値ですから、数分もあればできると思います。改めて、二〇一九年度予算案の採決の前に、継続事業所の実質賃金を速やかに公表することを求めるものであります。

 理由の第五は、不正統計問題を審議する上で重要な議論の場となる国会において、適切な答弁能力を発揮せず、むしろ審議の妨げとなる場面も多く、かえって審議を混乱させた責任です。

 今後も、参議院も含めて、根本厚生労働大臣が同じありさまで国会答弁に立つことは、国民のためにも許されないと言わざるを得ず、的確な審議を進めるためにも、一刻も早いけじめを求めるものであります。

 実際に、根本大臣の御答弁ですが、一つ一つの質問に対し、聞かれたこととはほど遠い背景説明に終始したり、直接関係ないことも含めて長々と答弁されたり、持論とも事実関係ともつかぬ、率直に申し上げて、何を御答弁されたのか、後から首をかしげざるを得ない場面も多かったのです。

 あげく、安倍総理からは、答弁に立とうとした根本大臣が制止されるという場面まで飛び出し、既に所管大臣としての答弁能力は、内閣の内部においてもその信任が崩れていると言わざるを得ません。

 改めて、みずからけじめをつけられることを望むものであります。

 万一、これが、質疑者の質問時間を意味なく浪費し、結果として野党の追及をかわす意図があるものであるとすれば、それは看過できない悪意、故意であり、断じて容認できないことを申し添えておきます。

 以上、初動段階における指導力、真相究明に至る判断力、被害者救済に向けた取組、実質賃金公表への消極姿勢、そして国会における答弁能力、この五点を述べただけでも、本院は根本厚生労働大臣を信任すべきではないのであります。

 しかし、この根本厚生労働大臣の任命責任は、言うまでもなく安倍総理にあります。

 そして、根本厚生労働大臣以外にも、この際、苦言を呈し、また、事と次第によっては不信任案の提出を受けてもおかしくない閣僚が複数存在することは指摘しなければなりません。

 まず、櫻田大臣。

 東京オリンピック競技大会、パラリンピック大会、そしてサイバーテロ対策等を含め、重責を担っておられる櫻田大臣ですが、本予算案審議期間中、みずから、審議日程の運びに対する目測を誤り定刻におくれるという、あるまじき失態を演じました。当然、野党はこれを看過しません。この日の審議は五時間にわたって中断し、貴重な国会の審議時間を失わしめたのであります。

 報道によれば、英国議会には、答弁に少しおくれただけで、質疑者に対する敬意を欠いたとして、みずから辞任を申し出た大臣もいると聞きます。櫻田大臣御自身でこのことも含めお考えいただくよう、強く促すものであります。

 また、予算審議中、大変残念なことに、あえて深刻な病状を告白されたアスリートの女性に対し、あたかもオリンピックに向けたメダル獲得の道具であるかのように誤解されかねない発言がありました。極めて心ないものと言わざるを得ず、人道的な意味からも、深く反省を求めるものであります。

 次に、片山大臣。

 就任以来、国税当局への重大な口きき疑惑、収支報告等のたび重なる訂正、また、これらに関連する訴訟をみずから抱えながらの公務と聞いております。いずれも、政治家として、また閣僚として根本的な資質にかかわる問題であり、国民の命運を預かる国務大臣として極めて不適格と言わざるを得ません。

 まずは、みずから職を辞し、裁判闘争に専念されるなど、身辺を整理した上で、今後の公務とのかかわりをお考えいただくのが適切ではないでしょうか。

 そして、本予算案提出の責任者は麻生財務大臣です。今に始まったことではないとはいえ、やはり審議期間中も過激であり、また、心ないと言わざるを得ない発言がありました。

 今、日本社会を覆う最大の構造問題は、人口減少であり、少子高齢化です。これに、産まないやつが悪いとの発言は、現在の若者が置かれている雇用や生活条件の厳しさ、重圧としてのしかかっている教育費や子育ての負担、産みたくても産めない、安心して希望どおりの子供をもうけられない、このためらい、これはむしろ、彼ら自身の責任というより、社会の側の責任ではありませんか。この社会のありようを預かる政治の側の責任であり、今を生きる若い世代の自己責任に帰すような事柄ではありません。猛省を求めるものであります。

 河野外務大臣。

 かつては、歯にきぬ着せぬ見識と御発言、お父様譲りの近隣諸国に対する温かいまなざしを感じる、自民党内でも希有な政治家とお見受けしておりました。

 しかしながら、大臣御就任後の河野大臣の発言の歯切れの悪さ、これは他の閣僚に比べても際立つものであり、外交交渉等の機微を割り引くとしても、質疑への対応は極めて誠意を欠くものであります。

 記者会見では、北方領土交渉に関する記者からの質問そのものを無視するなど、大きく問題視されたことは記憶に新しいところです。

 国会答弁においても、それにまさるとも劣らず、木で鼻をくくったような答弁が多く、国会論戦を生産的なものにしようとの意思は全く見られず、大変残念であります。

 今般の米朝会談もありました。現在の米国大統領は、北朝鮮情勢のみをもって、果たして世界的権威たるノーベル平和賞に本当にふさわしいのでしょうか。今、そう言い切ってしまって、本当に大丈夫でしょうか。

 中距離核戦力全廃条約からの離脱、イランの核合意からの離脱、そして、今後恐らく人類にとって最大の脅威となる地球温暖化を防止するためのパリ協定からの離脱。次々としかける貿易戦争、自国第一主義、排外主義に壁の建設。むしろ、こうした合衆国大統領の危険な傾向に警鐘を鳴らし、その姿勢をいさめ、苦言を呈してこその日本外交なのではないでしょうか。

 政権のかなめとも言える菅官房長官にも申し上げたいことがあります。

 率直に申し上げて、日々の政権運営、危機対応等について、私も、一目、二目置く立場であります。しかしながら、昨今の、特定の記者を念頭に置いたと思われる質問権の制限、そして、嫌がらせとも思える、記者会見時における広報室職員の対応、これらを容認する姿勢は大いに問題です。

 あえて申し上げたいと思います。

 事実に基づかない質問をしてはならないと内閣記者会に要請したようでありますが、事実とは一体何ですか。事実とは、はなからそこにあるものですか。どこかに確固として存在しているのが事実ですか。むしろ、事実とは、人々の共通認識にかかわるものではありませんか。

 事実とは共通認識そのもの、つまり、さまざまな情報、さまざまな理解、さまざまな認識をもとに、言葉を闘わせ、対話を重ね、共通認識を確立していく中でこそ、事実は紡がれていくものです。

 したがって、記者会見の場は、国会審議にまさるとも劣らない、国民の知る権利にとって極めて重要な場であり、言葉と言葉を闘わせ、認識と認識をぶつけ合い、記者との真剣勝負の中で事実を固め、つくり上げていく場ではないでしょうか。

 これを、頭ごなしに、事実に基づいて質問せよ、事実に基づかない質問はするなというこの要請自体が、事実上、質問自体をするなと言うに等しく、日本の民主主義社会を守るために、決して看過できないのであります。

 私は、百歩譲って申し上げます。日本国の総理大臣や官房長官に対して、あるいは他の閣僚に対してもです、ある種の敬意なり、又は礼節を持って質問せよということであれば、これは一考に値すると考えています。これは、記者にも、そして我々野党議員にも、場合によっては求められる姿勢です。

 しかし、政権の側が、事実上、質問するなと言うに等しい要請、これは圧力でありますが、言語道断であり、記者の質問権を封殺し、報道の自由、ひいては国民の知る権利という民主主義社会における最大の価値をないがしろにするものと言わざるを得ません。

 菅官房長官には、この撤回を求めると同時に、内閣広報室幹部に対し、記者会見時における厳重なる公平公正な取扱いを、官房長官として業務指導、改善命令を施すことを求めるものであります。

 さて、これら閣僚全ての任命権者であり、政府の業務遂行に一切の責任を負う内閣総理大臣についても、この際、問わざるを得ません。

 まずは、本不信任案のそもそもの原因である不正統計についてです。

 さきに、根本厚生労働大臣のこの問題をめぐる危機管理能力等について疑義を呈しました。

 この統計不正は、根本大臣の危機管理や指導力だけの問題か。はたまた、長年にわたる厚生労働省統計部局の官僚だけの問題か。いや、むしろ、それにとどまることなく、もっと大きな政治的背景はないのか。より深い問題意識を持って、私どもは国会審議に当たってまいりました。

 今回の勤労統計について、問題の一つは、まさに事務的に、こっそり不正なサンプル調査を補正し、数値が高どまりしたことにあります。しかし、これ以外にも、さきに申し上げたとおり、ウエート更新の無視やサンプル入れかえ方法の変更など、七十年来同じ手法で調査、集計が行われていた統計手法が、どう考えても不自然な経緯の中で、政治的圧力、そして官邸関与のもとに変更された疑いがあるのです。

 さかのぼること四年前、二〇一五年に行われた勤労統計のサンプルがえにおいて、過去にさかのぼって賃金水準が下落するという、政権にとっては望ましくない事態に直面しました。折しも、前年、二〇一四年ごろから、国民の購買力の源泉となる実質賃金の低下が国会等において厳しく追及されており、まさに実質賃金はアベノミクスのアキレス腱、アベノミクスの泣きどころとなってきたのです。

 恐らく、この数値が過去にさかのぼって下落するという報告に慌てた総理官邸、特に中江秘書官は、厚労省からの報告に際し、むしろ統計手法に問題があるのではないか、専門家の意見を聞いてみてはどうかとの問題意識を当時の姉崎厚生労働省統計部長に示唆したことが事の発端であります。

 数カ月後の二〇一五年六月、事態は急展開を見せます。厚生労働省は、実に七十年の歳月を経て初めて、勤労統計の統計手法の見直し論議を進めるよう、その重たい腰を上げ、異例の形で有識者検討会を立ち上げたのです。

 まさに、この総理秘書官から示唆された問題意識のとおり、専門家による意見、専門家の間でさまざまな討議が闘わされ、結果として、一五年八月七日、第五回研究会において、さまざまなメリット、デメリットを比較考量した結果として、やはり現行の調査方式である全数入れかえが適当との結論に一旦到達したのでした。

 しかし、翌月、九月十四日、事態は再び急展開を見せます。当時の姉崎統計部長の証言によれば、中江首相補佐官と再びこの日面会し、いま一度、コストの問題等によらず、調査方法の変更に関する問題意識が再度示唆されたものと思われます。

 残念ながらと言うべきか、事もあろうにと言うべきか、当の中江秘書官は、この九月十四日の重要な姉崎氏との面会自体、記憶がないと答弁しており、まさに無責任そのものであります。

 これは、どこかで何度も見聞きした風景と重なります。何度も何度も見てきた答弁ぶりです。総理秘書官は本当に記憶がないのでしょうか。それほど、みずからにとってはその影響力の大きさを顧みない、軽い面会だったのでしょうか。軽い発言だったのでしょうか。はたまた、官邸関与をあくまで否定しなければ政権中枢に追及の手が及ぶため、どうしてもそれを避ける思惑があったのでしょうか。誰が見ても、答えは明らかだと思います。

 姉崎氏の証言によれば、中江秘書官との面談は九月十四日午後早目の時間であり、同日午後二時の時点では、厚労省に残されたファイルに、いまだ研究会の結論は全数入れかえを継続との内容のまま書きかわってはいないことが確認されています。

 その後、午後四時、厚労省職員から研究会の阿部座長に対し、委員以外との意見調整で急に結論を変更しなければならないとのおわびとともに、最終取りまとめを中間整理とし、さらに、官邸側が主張したと思われる調査サンプルの部分入れかえ方式と結論を両論併記にし、引き続き検討を続ける旨、慌ててメールが送られています。

 そして、確認できる限りにおいて、その後、午後十時三十分ごろ、厚労省のファイルで、担当職員のメールのとおり、報告書の結論が書きかわっているのです。

 二日後の九月十六日、何事もなかったかのように第六回研究会が開催され、当時の姉崎部長は、両論併記どころか、その発言録によれば、次回からは部分入れかえ方式に移行したいと、突如、方針転換を明言、断言しています。報告書の両論併記の記載自体が、突然の方針変更をカモフラージュするためのものではなかったのでしょうか。既に鶴の一声で結論は決まっていたと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 ちなみに、この不都合な経緯を記載した研究会議事録の公開は、実に研究会開催から四年もたったことし二月になってからであることを申し添えておきます。

 一連の経緯に鑑みれば、明らかに九月十四日の委員外の意見とは官邸幹部たる中江総理秘書官であり、総理官邸の意向を受けて結論を突如変更、一夜にして方針転換がなされたと言わざるを得ません。

 この点について、中江元秘書官は、問題意識は個人的なものであったと強弁しています。これもこれでまた別の意味で大問題であり、この点は後に述べたいと思います。

 いずれにしても、中江氏は、九月十四日、姉崎氏と面会した記憶すらないとの発言は極めて信憑性に欠ける、都合のよい答弁であり、当の姉崎部長も、突如の方針転換を部下に指示したのは中江首相補佐官と面会する前だったと口裏合わせのような主張を展開しています。こんな都合のよい説明に誰が納得するのでしょうか。国民に通用すると思っているのでしょうか。まさに、つじつま合わせの言い逃れ。

 もう一点、私には許しがたいことがあります。厚労省担当職員から研究会座長に宛てられたメールの内容が正確に姉崎部長の意向を捉えていないものであるとの説明を幹部たちが事後的に行い始めた点です。

 私が当該メールの文面を見る限り、極めて真面目に、上司の指示に忠実に、正確に、勤務に精励している様子がよく伝わってきます。にもかかわらず、不条理を抱えながらも一生懸命に働く部下に対して、まるでつじつま合わせの、責任を転嫁したかのような発言は許されません。

 部下の方の名誉と将来にかけて、強く抗議し、大きな怒りと憤りを表明するものであります。

 一体いつから霞が関はそんな組織、集団になってしまったのでしょうか。本来、実務の負担は下へ行くほど重いものです。そして、負うべき責任は上へ行くほど重いものです。これが組織の当然の倫理であり、モラルであります。そのモラルをこの日本社会において最も具体的に体現すべき、国民に範たるべき日本政府、霞が関内部において崩壊が見え始めていることは、本当に残念な、ゆゆしき事態だと思います。やがてこうした風潮は日本社会の隅々にまで及びかねない。その状況は、今、既に起きつつあるのではないでしょうか。

 総理や官房長官を始めとした政権中枢は、霞が関の人事権を全権掌握した史上初の政権です。その政権が、人事権を振りかざし、官僚に真実を隠させ、事実をゆがませ、事態を隠蔽させることをよしとするのであれば、まさにこれこそ国家的な危機であります。

 先日、ある出版社の若い社員と、トップの資質と組織の文化について意見を交換する機会がありました。トップがどういう人物かによって組織の文化は大きく変わってくるのではないかと私が指摘したときのことです。その若い社員は、しばらく考え込んで、こう言いました。確かにそうですね、トップがどういう人かによって、部下は怒られるところと褒められるところが随分変わってきますからね。私は、その発言にはっとしましたし、極めてシンプルに事の本質を言い当ててくれていると感じました。同時に、私自身も、小さな事務所ではありますが、よく気をつけなければならないと思ったものです。

 まさにそのとおりなんです。組織のトップが何を望むのか、何をとうとび、何を認め、何を褒め、何を好むのか、そして、組織のトップが何を否定し、何を拒否し、何を叱り、何に怒るのか、この日々の小さな積み重ねこそが組織の体質を決め、職員の行動倫理を変えていくのです。この自覚がないままに、現在のように人事権を振りかざす状況が続けば、事態は更に深刻化し、やがては日本社会の隅々、末端にまでモラルの崩壊が押し寄せる、そして、看過しがたいあしき文化が日本社会全体に蔓延、感染していく。大きな危機感を持っています。

 今回、厚労省は、重要なメールを捜し出し、国会に提出しました。私は、これ自体は率直に評価しています。まだまだ国会が機能していると思ったものです。同時に、これを捜し出し、提出せざるを得なかった、将来ある若い担当職員の心痛にも思いが及びました。

 しかし、こうした不都合な事実をさらけ出し、真理を追求することで、一時的に組織は揺らぐかもしれません。しかし、こうしたことを積み重ねることで、社会が揺るぎないものになっていきます。

 誰しも、真に仕えているのは、所属の組織ではなく、ひいてはその先にある社会であり、この国の未来であるはずです。改めて、立場ある人間、責任ある人間の自覚と自制を強く求めたいと思います。

 現在の政権にはびこる、何が正しいかが基準ではなく、何が都合がよいか悪いかの行動、言動の先には一体何が待っているのでしょうか。

 何が正しいかを問い続けた社会は、透明性の高い、信頼に足る、まさにみんなのための社会へと発展するのではないでしょうか。

 何が都合がよいか悪いかを問い続けた社会は、やがて、その都合のよしあしは、誰にとって都合がよいか悪いかという問題と切り離すことができません。したがって、社会は、やがてその特定の誰かのための社会になっていかざるを得ない。これが、今、既に日本社会で起き始めている、極めて危険な兆候ではないでしょうか。

 今回の統計不正もさることながら、かねてから大きな問題となっている国有地の処分、学校法人の認可、全てに同じ構図が見てとれるのではないでしょうか。

 過去、財務省も内閣府も、結局、最後まで不都合な文書の提出を拒み続けました。そして、提出したものは、事もあろうか、書きかえたのです。まさに、組織をゆるがせにしないために社会を大きく揺るがせた事件でした。

 そして、この矛盾に耐えかねた、恐らくは正義感の強かった職員は、みずから命を絶つ道を選びました。痛恨の出来事です。しかし、その後、これを主導したと思われる佐川氏は、国税のトップに上り詰めました。適材適所なんだそうです。彼は政権によって褒められたわけです。そして、その後も、麻生大臣は何事もなかったかのように今も財務大臣の椅子に座り続け、そして、それを許容、容認しているのは、安倍総理御自身ということになります。

 この政権は、部下の何をよしとし、何をあしきとするのか。政権が求めるのは、正しい情報か、それとも都合のよい情報か。極めて重大な岐路が毎日のように政権には踏み絵として与えられ続けています。

 不都合な情報を出し、真相に迫る官僚を褒めるか、政権の都合を優先し、隠蔽や改ざんもいとわない人を褒めるか。この差は、きょうたとえ一ミリでも、あすには一センチ、あさってには数センチ、やがては、数週間、数カ月、数年と歳月が積み重なることで、恐ろしいほどの差につながっていくのではないでしょうか。

 最終的にこの国は一体どこへ行ってしまうのか。国民はどこに連れていかれてしまうのか。そら恐ろしい気さえするのであります。そのことに対する責任意識を深く自覚し、共有して、政権運営、特に人事権の行使に当たっていただきたい。強く要請すると同時に、我々野党は、この点を含め、厳しい姿勢で政権側と対峙をし、日本社会の健全さを保ってまいります。

 さきに述べた総理秘書官の行動、言動についてです。

 中江氏は、御本人によれば、個人的な見解を述べたのだそうです。森友、加計問題における柳瀬秘書官、そして、恐らく現在彼ら全てを統括しているであろう今井政務秘書官、こうした官邸、総理周りの人物は、全て法的な職務権限を持たない人たちばかりです。しかし、実際にその権力と影響力は絶大です。その職責はひとえに総理を補佐することにあるにもかかわらず、霞が関に向かっては、総理の威をかさに着て、事実上、絶大な権力を行使しているのです。

 この国の民主主義、法治国家の基本原則は、全ての権力が国民の信託に由来するところから始まります。同時に、全ての権限は、国民の信託に由来する国会において認められた法律に基づき、具体的な職務権限として規定され、行使されています。同時に、この法律に基づく職務権限は、それに対する説明責任と結果責任をセットとしてあわせ持っています。つまり、権限には責任が伴い、責任のないところには権限はなく、責任なくして権限なし、権限なくして責任なし。これが原則である。当たり前のことです。

 しかるに、このところの総理秘書官の言動は、法律に基づく職務権限、処分権限に基づかず、しかし、事実上有している絶大な影響力を陰で行使している疑いが強く、大変ゆゆしき事態と言わざるを得ません。

 もちろん、総理秘書官としての意見を言うことは結構です。これを妨げるものではありません。しかし、政策決定過程やその内容、行政処分の具体的な内容に直接踏み込んだと疑われる行為、圧力をかけたと疑われる行為、あるいは、少なくとも外形上そうだと疑われる行為すら、絶対にあってはならないのです。説明責任と結果責任から解放された人々だからです。

 そして、その人たちの一言一言は、総理大臣の威をかりたものであるだけに、本人が思う以上に影響力が大きく、これがまさに霞が関全体のそんたくの源泉となってまいります。

 まして、この政権は、重ねて申し上げます、各省幹部の人事権を全権掌握した史上初の政権です。この危険性は、幾ら指摘してもし過ぎることはありません。

 総理は、国会でこの点について、秘書官は夜遅くまで仕事をし、責任ある立場である、民主党政権の総理秘書官はそうではなかったのか云々とおっしゃいました。まるでお門違いの指摘です。総理秘書官の職責や重荷を軽んじているのではなく、むしろ十分理解しているつもりであるからこそ申し上げております。職務権限がなく、国民への説明責任、結果責任を負わないことへの強い自覚と自制がなければ。

 現に、中江秘書官は、極めて重大な九月十四日の面会について、記憶がないで済まそうとしているではありませんか。厚労省の担当局長や担当課長であれば、これに対する説明責任や結果責任を負う人たちですから、こうした答弁が許されるはずはないのです。

 記録も残さず、決裁も要らず、記憶も適宜消去できる、国会に呼ばれ説明を求められることもない。こうした権力がばっこすること自体、まさに政権内部において権力の私物化が深く進行しているのではないでしょうか。

 まさに、秘書官の目は総理の目、秘書官の耳は総理の耳、秘書官の口は総理の口。総理、秘書官双方に、この自覚と自制を求めたいと思います。

 さて、GDP統計についてです。

 勤労統計に端を発した今回の統計不正について、まさにアベノミクスの成果の偽装ではないかとの疑いは拭えていません。そして、この疑惑の本丸はGDP統計です。

 政権交代後、二〇一三年から具体的な検討に入ったGDPの推計手法の見直しにより、二〇一五年のGDPは、それまでの五百兆円から五百三十二兆円と、一夜にして三十一兆円ものかさ上げが行われ、名目六%以上もの成長がなし遂げられました。

 この点、政府は、金科玉条のごとく、国際基準に合わせたものだと言い張ります。しかし、実際に中身をよく見ると、国際基準への適合は全部で二十九項目、そのほとんど全てがGDPの押し上げ要因であり、少なくとも減少要因にはならないものばかりです。

 一方、一つだけ、政策判断により国際基準への適合を見送ったものがあります。私立学校法人の位置づけです。

 もし私立学校の位置づけを国際基準に従って見直していれば、GDPは、最大約二兆円、〇・四%押し下げられることが既に推計されていました。

 統計委員会の議事録を見ると、今、成長率が低下し、ゼロ%を挟んで緊迫した状況にある、たとえ〇・四%でも、GDPを押し下げる効果を持つ要因を適用することには反対ないし慎重である、赤裸々な意見が語られています。

 つまり、国際基準に適合するという名目のもと、内実においては、やはり、GDPを上げるのか下げるのか、この皮算用をしていたことが透けて見えるのです。

 かつて、欧州諸国も、国際基準に適合させたことでGDPが上がりました。しかし、それはおおむね二%から三%程度で、日本の六%は実に異常です。

 この国際基準によるかさ上げが約二十兆円、そして、残りの七兆円から八兆は、これとは全く別の、その他の項目です。

 そして、実に奇妙なことに、このその他の項目は、安倍政権以前のGDPを極端に押し下げ、安倍政権以降のGDPを、まさにウナギ登りで、極端に上昇させているのです。こんなことがあり得るのか。その結果において、極めて不自然であると言わざるを得ません。

 さらに、政府統計の見直しは、GDP推計の基礎となる一次統計にも及んでいます。

 統計委員会が承認した見直しは、第二次安倍政権になって、実に七十四項目、民主党政権時代からははるかに激増しています。

 見直しの対象となった家計調査、木材調査、作物統計、個人企業統計、鉄道車両生産統計、その多くに、統計委員会は、調査手法変更の影響を注視すべきである、出てくる数値の段差に留意が必要との注書きを付しています。異様なものです。

 総理は、よく、GDPが過去最高になったとおっしゃいます。しかし、旧基準と比較できる最も新しい数値、二〇一五年の数値は、実は、かつて、史上十三番目でしかありませんでした。これが、計算方法の変更により、一気に過去最高水準にかさ上げされたのです。その後の二〇一六年、一七年に至っては、旧基準で算出していないため、比較をすることすらできません。

 計算方法を幾ら変えても、それでGDPが幾らふえても、たとえ過去最高になろうとも、国民が豊かになるわけでは決してありません。七割、八割もの国民が景気回復を実感できていないのは、このあたりにあるのではないでしょうか。これこそが、唯一信頼に足る、国民の実感値なのではないでしょうか。

 統計は、過去との連続性が命です。統計手法を変えるのであれば、客観的、専門的見地から議論を重ねなければなりません。同時に、統計に手を入れたのであれば、なぜ手を入れたのか、どこにどのような影響が出るのか、十分な説明責任を果たさなければなりません。

 ましてや、統計の変更による数値のかさ上げを、あたかもみずからの政策の成果であるかのように宣伝し、誇張することは許されず、政策的にも道徳的にも間違った対応であることを強く申し上げておきます。

 一連の統計不正の背景には、二〇一五年ごろを境とする、統計をめぐる政治的なうごめきが見え隠れしています。

 一五年六月、さきに申し上げた勤労統計の見直しが始まりました。一五年十月、経済財政諮問会議で麻生財務大臣が、家計調査と勤労統計を名指しして、見直すよう圧力をかけました。二〇一六年六月、何と、当時の骨太方針、統計改革が成長戦略の一環として位置づけられたのです。同年十二月、当時の山本行革担当大臣が臨時委員として経済財政諮問会議に乗り込み、政治主導の統計改革を訴えました。一七年二月、今度は、菅官房長官を議長とする統計改革推進会議なるものが立ち上がり、この一五年から一七年にかけて、大幅に各省の統計が見直されたのです。まさに、この三年間が、統計が政治化し、統計に政治の手が入った季節だと言わざるを得ません。

 ここまで統計に対する国民の信頼を損ね、政治介入の疑いが出た以上、これを払拭するには方法は一つしかありません。過去にさかのぼり、そして、この先しばらくの間、新基準と旧基準と二重に統計を算出し、影響が本来どの程度あったのか、数値の段差はどのように生じたのか、真摯に、誠実に国民に説明する以外にないのであります。

 さて、本予算案における根本厚生労働大臣が所管する社会保障財源として、重要論点は消費増税です。

 過去の増税の際には、総理は、有識者を交えて慎重に景況感を判断し、増税の可否を丁寧に議論しました。しかし、今回は、米中貿易摩擦など、世界経済の減速も言われる中、これを検討した兆候はなく、国民に重大な負担を課すに当たっては、余りにやすやすと決めようとしているように見えてなりません。

 さきには衆議院を解散してまで消費増税を先送ったこともあるにもかかわらず、今回の対応には本当に首をかしげざるを得ない。これほどまでに国民生活に重大な影響を与える消費増税とは、それほどまでに、総理の胸先三寸、政治の駆け引きの材料でしかないのでしょうか。

 私は、この消費増税に関して、これに関する国民の思いについて、重く受けとめている事実があります。

 昨年暮れから少しずつ減りつつあるとはいえ、今なお三割から四割の国民が消費増税に賛成しているという余りにも重い事実についてです。

議長(大島理森君) 小川君に申し上げます。

 少し早めて、結論に導いてください。

小川淳也君(続) 一体、国民の誰が、好きこのんで消費増税の負担を受け入れ、引上げに賛成、やむなしと回答するのでしょうか。一%で三兆円近い純増税です。他の新税、税目とは桁外れの国民負担です。日々の買物、毎日の取引に余りにも重大な影響と負荷を与えます。そんな中で四割もの国民が消費増税に賛成あるいはやむなしと回答する、その重み、国民の思いの深さ、とうとさに頭が下がる思いです。

 この賛成する人たちの思いは、後世に対する負担の先送りを憂い、また潔しとせず、同時に、傷み、ほころんでしまった社会保障を少しでも立て直してほしい、その貴重な財源として大事に有効に活用してほしい、そんな願いを込めての賛成回答なのではないでしょうか。

 しかし、政権の対応たるや、やれ、クレジットカードで買物すればポイント還元に二千七百億円だの、プレミアム商品券に千七百億円だの、国土強靱化の名のもとに公共事業に数兆円だの、おまけに、総理は、消費税を上げても、お釣りをつけてお返ししますとまでおっしゃる。まさに、国民の思いの深さ、重さ、とうとさに比べて、余りに軽く、不真面目で、不謹慎な対応と言わざるを得ません。

 クレジットカードでポイントを得るために消費税を払いたいと思う国民がいますか。プレミアム商品券をもらうために消費税を払いたいと思う国民がいますか。国土強靱化の名のもとに公共事業に使ってくださいと喜んで消費税を払う国民がいるでしょうか。ましてや、お釣りまでつけて返すというのであれば、最初から消費税なんて取らなければよいではありませんか。

 国民から消費税をいただくのであれば、誠意を持って、誠実に、軽口をたたかず、真摯に使わせていただく。社会保障の真の充実と、わずかでも財政健全化に充てるべく、これこそが国民の真摯な思いに対する政治の側の精いっぱいの誠意ではないでしょうか。

 今回の消費増税による幼児教育の無償化にも大きな懸念があります。

 二つの問題があります。

 一つには、既に低所得者層には相当程度、保育料等の軽減がなされているため、恩恵が及ぶのは、年収にしておおむね四百万円から上の、中間層から富裕層であるという事実です。

 もう一つの問題は、今喫緊の課題である待機児童の解消について、そのほとんどはゼロ歳から二歳児です。今回使われる無償化予算は、ほとんどが三歳から五歳児の七千億円。そして、ゼロから二歳児の待機児童解消に使われるのは、このわずかに十分の一、七百億円程度しかないのであります。

 まさに、優先順位を間違え、かつ、極めて歳出政策においても逆進性が高い、不適切な消費増税ではないでしょうか。

 当然、軽減税率もクレジットカードのポイント還元も、その恩恵は富裕層により多く及ぶでしょう。そして、非課税世帯には、辛うじて、プレミアム商品券や高等教育の無償化など、一部恩恵が見込まれています。

 しかし、最大の問題は、年収二百万から三百万、懸命に働いてなおぎりぎりの生活を強いられている、まさにワーキングプアと言われている世帯を大きく直撃するという重大な事実であります。ここにはほとんど恩恵が及びません。ここに重大な負担増が課せられる、極めて不公正かつ残酷な消費増税ではないでしょうか。

 私たちは、消費増税にそもそも反対している約半分の国民、そして、泣く泣く賛成しながらも、今の使われ方に決して納得していない国民、この双方の声にしっかりと応えていかなければなりません。

 総理、今回、私は、国会審議を通して確信を深めたことがあります。当たり前のことですが……(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

小川淳也君(続) 国民は、改めて、誠実で本質をごまかさない、正直で信頼に足る政治を求めているということです。

 今回の国会審議を通して、私自身のその思いもまた揺るぎない確信に変わりました。なぜなら、私自身が少し前までその絶望とも渇望ともつかぬ思いと闘ってきたからです。こんな政治でよいのか、こうした政治姿勢でよいのか、政治家の資質としてもっと問われるべきことがほかにあるのではないか、いつもそんな思いに駆られ、さいなまれていました。

 しかし、一連の不正統計に対する国会審議を通して、私ども野党議員に対して多くの激励や励ましをいただくことを通して、国民は正直な政治を求めている、国民に真に寄り添う政治を求めている、そのことを強く確信したのです。本当にありがたいことでした。

 最大の闘いの対象は、実は、安倍政権でもなければ、自民党でもない。私自身を含め、真に闘うべき対象は、国民の諦めなのではないか。国民とともにこの諦めと闘うために、まずは私たち自身が、確固たる意思を持って、みずからを励まし、みずからの絶望や諦めと敢然と闘い続け、そして常に国民とともにある、その姿勢を示し続けなければなりません。

 国民は気づいています。現政権の体質に、その本質に気づいています。微妙に、敏感に、しかし確実に感じ取っているのです。そして、安倍政権下において粉飾されているのは、数字だけではありません。そこから吐かれる言葉の数々もまた粉飾されているのです。

 辺野古におけるサンゴの移植、まさか、何万群体もあるにもかかわらず、そのうち移植したのがたった九つと、あの発言から国民が思うはずないではありませんか。

 憲法九条を改正すれば、自衛隊に対する自治体のデータ提出が進むんですか。ここに真の相関関係はありますか。単にみずからが手がけたい憲法九条改正に向けた政治的なプロパガンダではありませんか。

 年金記録問題勃発の際には、最後のお一人まで全て記録をチェックし、正しく年金をお支払いするとおっしゃいました。オリンピック招致に際しては、原発の汚染水はアンダーコントロールと明言されました。障害者雇用の水増しは、ことしじゅうに解消すると早々に言い切りました。一連の疑惑に際しては、私や家内が関係していれば、総理も国会議員もやめてしまうと大見えを切りました。

 いつも大言壮語、しかし論拠は薄弱。常に、真実味と現実味に疑問が残る。

 完全なうそではないかもしれない。しかし、健全な真実では決してない。むしろ、微妙に、うそにならないうそを、真実をごまかし、本質をはぐらかす言葉を紛れ込ませ、国民をミスリードし、政権の成果を誇示するようにしむけています。

 国民は、この言葉と数字の粉飾に、微妙に気づき、疑いと不信を強めています。この小さなうそは、何回も、何年も積み重なることで、この国がどこへ行くか、国民はどこへ連れていかれるか、大きな危惧を抱いています。

 安保法制で、日本は真に平和になったのでしょうか。本来、目を背けてはならない、求めるべき国民の覚悟を求めないままにこの道に突き進んでしまったのではありませんか。改修された空母は、本当に専守防衛原則に抵触しないのでしょうか。この原則は、既に、国民の了解と覚悟なく変質してしまったのではありませんか。

 これからも、統計手法が変わったにもかかわらず、GDPは過去最高になりましたと総理は言い続けるおつもりでしょうか。全部で五%、十五兆円近い消費増税を実行しながら、あたかもそれがみずからの経済政策の成果であるかのごとく、これからも、税収は過去最高になりましたと言い続けるおつもりですか。

 日本では、人口が減るにもかかわらず、世帯数が増加し続けています。多くの国民は単身又は少人数世帯で暮らし、その暮らしは家賃や光熱費といった固定費に圧迫され、厳しさを増しています。そんな中で、総理は、これからもなお、国民の収入について、国全体の雇用者総所得、マクロの数字を見るのがよいのだと言い続けるおつもりでしょうか。

 今回の国会審議、私も数値や統計と格闘してまいりました。しかし、委員会でも申し上げたとおりです。途中から、ふと思うようになりました。なぜ私はこんなに数字をにらみ、統計手法と取っ組み合い、政権と数値論争をしているのだろう。週末に議員会館で一人、詰め、もがいているときだったと思います。

 もし、この国の総理大臣が、よい数字はもういいから、そこはうまくいっているんだろう、悪い数字はないのか、そこに困っている国民はいないか、そこで抱えている社会の矛盾はないか、そう問いかける内閣総理大臣がいれば、そもそもこんな不毛な数値論争は起きていないじゃないですか。

 表面的な言葉だけでなく、数値だけでなく、真に国民に寄り添い、国民生活を思い、国家の威信や国家の尊厳にまさるとも劣らぬ重要な国民生活への思い、民のかまどを憂う思いを総理に求めたいと思います。(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

小川淳也君(続) 本来、ここで……(発言する者あり)まだまだ原稿がありました。

議長(大島理森君) 不規則発言に応えず、進行してください。

小川淳也君(続) 本来、ここで、根本厚生労働大臣が所管する社会保障改革のその大切さと、そしてその難しさと、そしてその背景にある日本の人口動態の激変と、そしてその背景にある世界的な経済社会環境の変化と、これについて最後に議論し、党派を超えて皆様の理解を求めたいと思っていました。しかしながら、諸般の情勢を私なりにしっかりとわきまえ、最後の結論に至りたいと思います。

 今回の統計不正と、そして国民から失った信頼の大きさは、これからいかにして取り戻していくか、全ての国会議員が胸に手を当てて考えなければいけない課題です。

 しかし、申し上げた、今、本来求められる日本社会の正しい変革、そして、社会保障制度を始めとした、右肩上がりの時代につくられたこの古い仕組みの置きかえは、その程度の、今程度の政治に対する国民の信頼で、とてもなし遂げられるものではありません。

 大変な不都合と大変見たくない現実を国民に対して説明をし、説得をし、それでも信頼される政治をこの国が手に入れない限り、決して国民は浮かばれず、この先の将来に向けた見通しは立たないのであります。

 そして、小手先の改革ではどうにもならない構造問題が、この国の未来には横たわっています。

 そして、私たちが真に国民の負託に応えるために、血みどろになる覚悟でその課題に向き合うために、私たちに求められるのは、国民に対する信頼であります。

 政治家が国民に信用されていない。しかし、政治家もまた国民を信用し切れていない。このはざまを、このすき間を埋めなければ、小手先でない、正しい改革はなし遂げられません。

 この間の政権運営を見るにつけて、運営においては確かにプロ、確かに玄人である安倍政権、千年続いても、日本社会の正しい変革をなし遂げることは無理でしょう。

 私たちは、これに成りかわる決意と覚悟で、この日本社会が抱える根本問題に、それこそ国民とともに血みどろになって取り組む決意と覚悟を申し上げて、根本厚生労働大臣に対する不信任決議案の趣旨弁明といたします。

 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。丹羽秀樹君。

    〔丹羽秀樹君登壇〕

丹羽秀樹君 自由民主党の丹羽秀樹です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました根本厚生労働大臣に対する不信任決議案に対し、断固絶対反対の立場から討論を行います。(拍手)

 このたび野党諸君が提出した決議案は、全くもって理不尽な、反対のための反対、ただの審議引き延ばしのパフォーマンスであります。野党諸君は、旧態依然とした日程闘争のみに躍起となっておりますが、国民の誰一人としてこのような無駄な時間の浪費を望んでいないことに、どうして気がつかないのでしょうか。

 今般、毎月勤労統計調査等について、長年にわたり不適切な取扱いが続いてきた事案が明らかとなりました。政策立案や学術研究、経営判断の礎として、常に正確性が求められる政府統計について、今般のような事態が生じたことは極めて遺憾です。与野党の枠を超えて、その対応に真摯に取り組んでいかなければなりません。

 にもかかわらず、いたずらに政争の具にしようとする野党諸君の態度こそ、厳しく批判されるべきではないでしょうか。

 この問題について、根本大臣は、昨年十二月二十日に厚生労働省の事務方から一報を受け、経緯、原因等について速やかに徹底的な調査を行うよう指示するとともに、その後、事案の概要等の公表、平成三十一年度予算概算の変更、追加給付の支給の検討など、次々と矢継ぎ早に的確な対応をなされてまいりました。これだけ大きな、そして前代未聞の事案に対してもなお冷静さを失うことなく、厚生労働省のトップとして、事務方に適時適切に指示を出し、その報告を受けながら、こうした必要な対応や重たい判断、決断を、一つ一つ確実に、それも極めて短時間に行うなど、強力なリーダーシップを発揮されてまいりました。

 こうした根本厚生労働大臣に対して、野党からは、なぜすぐに公表しなかったのか、組織的に隠蔽しようとしたのではないかとの批判の声が上がっています。

 しかし、本当に責任のある対応とは、事態をしっかりと把握すること、その上で対応を打ち出すことであります。

 この点、根本大臣は、徹底的な調査を行うよう指示した上で、年明け初めの会見で調査中の旨説明し、その三日後には事案の概要等を公表いたしました。

 公表できる段階に至ったら速やかに公表する、その責任のある姿勢が、なぜ組織的隠蔽を図ろうとしたことになるのか。ただ単に隠蔽というレッテルを張った印象操作にほかなりません。

 共通事業所の賃金の実質化についてもそうです。野党は、検討会を設置して議論することとした点を捉えて、政府が結論を引き延ばしを図っているかのごとく批判を繰り返していますが、統計学的な観点から専門家によって課題を整理するため設置したものであります。この責任ある対応がなぜ批判されるのか、全くもって理解できません。

 そもそも、野党は、事案について早く公表しろと言いながら、一方で、政府が精力的に取り組んで速やかに公表した特別監察委員会の報告について、拙速だと言い、中身より形式論の批判を繰り返しています。まことに無責任であると言わざるを得ません。

 一昨日、特別監察委員会は、この事案について追加の報告書を公表しました。根本大臣の指示で、事務局体制を外部の弁護士に委ね、中立性、客観性を一層高めた上で追加調査を行ったものであり、その結果、事実関係と、関係職員の動機、目的、認識などが更に明らかになりました。

 一部の世論調査によれば、この問題について、役所の責任を指摘する声が多く、根本大臣の責任とする声はわずかです。

 根本大臣にやっていただくべきことは、みずからもおっしゃっているように、統計に対する姿勢を根本から正し、再発防止を徹底するとともに、雇用保険等の追加給付について、できる限り速やかに、簡便な手続で支払いすることであります。与党としても、これをしっかりとサポートしていきたいと考えます。

 また、根本大臣の国会対応について、答弁が長い、質問に対して答えていないなどと批判されていますが、しかしながら、根本大臣は、本質的な答弁を、聞いている方々を意識しながら、一言一言丁寧に、かつ、しっかりと答弁されており、批判は全く当たりません。

 むしろ、真相究明、通告したという言葉を盾に……(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

丹羽秀樹君(続) 大臣に細かい質問を大量に投げつける野党の姿勢こそ、何も生み出しておらず、問題ではないでしょうか。外交、安保、経済、財政、社会保障。議論すべき課題が山積の中、こうしたことについて大切な議論が全く進まないのは大変残念であります。

 根本大臣は、昨年十月に厚生労働大臣に就任して以来、障害者雇用、外国人材受入れ、水道法改正法案、妊婦加算、風疹対策、認知症施策、医学部入学定員枠問題等々、さまざまな課題に、決断すべきことは決断するという姿勢で、スピード感を持って対処してこられました。

 今後、改めて社会保障、働き方改革の本質に立ち返り、この先の我が国の経済や社会の姿を見据え、安倍内閣の最大のチャレンジである、全ての世代が安心できる社会保障の構築に向けた検討を着実に進めていただきたい。そして、かつて厚生政務次官も務めておられた社会保障政策のプロであり、卓越した知識と経験を有する根本大臣に引き続き厚生労働行政をリードしていただくことこそ、我が国にとって最善の道であります。

 厚生労働大臣の不信任を求める理由は全くありません。そのことを重ねて申し上げ、良識ある衆議院の皆様に対し、このような決議案を断固絶対に否決していただくことを求めまして、私の討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 川内博史君。

    〔川内博史君登壇〕

川内博史君 立憲民主党・無所属フォーラムの川内です。

 私は、会派を代表いたしまして、根本厚生労働大臣不信任案に対し、賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

 その前にまず、この不信任案について趣旨弁明をさせていただいた同僚議員、小川議員に対して、国会の行政監視機能に大変な危機感を抱いていらっしゃる大島議長に多大な配慮をいただいたことに、深甚の敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 今から二十年ほど前、根本匠先生、安倍晋三先生、石原伸晃先生、塩崎恭久先生、この四名の自由民主党の衆議院議員の皆さんによって、それぞれの名前の頭文字をとって、NAISの会という政策研究グループが結成をされたと聞いておりますが、今の根本大臣は、ナイスでも何でもない、ただのNG大臣であると言わざるを得ません。

 今回の統計不正問題では、根本大臣は、昨年十二月十三日の事件発覚以来、終始、事務次官、厚生労働審議官、官房長、官房総括審議官、政策統括官等の事務方官僚に操られ、真実に反する報告、国会答弁等を繰り返し、ついには特別監察委員会による組織的隠蔽の責任者となっていらっしゃいます。

 本年一月二十二日の特別監察委員会による、毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書、さらには、一昨日、二月二十七日の追加報告書こそ、組織的隠蔽を隠すための国家的隠蔽文書であります。

 昨年十二月十日、総務省統計委員会担当室から一通のメールが厚生労働省の雇用・賃金福祉統計室と企画調整担当参事官室に送信をされています。

 これが今回の統計不正問題発覚の端緒であります。このメールに、統計委員会担当室次長で、日本銀行から総務省に出向してきている肥後雅博氏による参考資料が添付をされていました。その参考資料に、昨年、二〇一八年一月の調査において、全数調査の五百人規模以上の事業所において大きな段差があると明記をされていました。

 ここにおいて、東京都の従業員五百人規模以上の大規模事業所について、法令上は全数調査とすべきであったのに、長期間にわたって、法令違反である三分の一抽出調査であったこと。さらに、三分の一抽出調査は、本来は三倍に復元すべきであったのに、長期間にわたって復元せず、その結果、賃金統計が低い数値のデータとなり、雇用保険や労災保険等の支払い額が過少であったこと。三、昨年、二〇一八年一月に、総務省に報告せず、誰にも知らせず、東京都五百人規模以上の大規模事業所の三分の一抽出データをこっそり三倍に復元し、その結果、二〇一八年一月から賃金統計のデータが過大に上振れしていたことが明らかになりました。

 このことは、昨年十二月十三日に大西前政策統括官に報告され、十二月十八、十九日には事務次官以下の事務方官僚幹部が情報を共有されていらっしゃいます。この十二月十八日と十九日の会合については、自民党の小泉進次郎厚労部会長の予算委員会での質疑でその存在が明らかとなり、その点について、私どもが予算委員会において、公文書管理法上、当然文書が作成されているはずと資料要求した結果、予算委員会に資料が提出をされたものであります。

 この予算委員会に提出された厚生労働省の資料、平成三十年十二月十九日現在で判明した事実によると、全数調査をしていなかったこと、長期間復元していなかったことに加えて、平成三十年一月より算定方法を大幅に変更、システム変更時に東京都の抽出調査について復元していると明記されており、事務方官僚幹部は、第三の問題点であるこっそり三倍復元の事実を共有しています。

 しかるに、同じく予算委員会提出資料によれば、十二月二十日、大臣室において、根本大臣は、厚生労働審議官と政策統括官から、毎月勤労統計調査について、五百人以上規模の事業所において全数調査とすべきところ、東京都において抽出調査を行っていたこと、抽出調査の結果に必要な統計的処理を加えず、適切な復元処理を行わずに集計していたこと、これらを報告され、大臣からは、経緯、原因等について速やかに徹底的な調査を行うよう指示ありとこの公文書に記載されています。

 この文書をそのまま信用すれば、根本大臣は、一番大事な問題点、アベノミクス偽装ではないかと指摘をされる、批判をされている、こっそり三倍復元を知らされていなかったことになります。

 すなわち、大臣は、事務方官僚幹部から事実を知らされないまま操られていたということになり、当然のことながら、大臣失格、不信任に値するということになります。

 また、仮に、このこっそり三倍復元の事実を知らされていたとすれば、それはまさに組織ぐるみの隠蔽工作となり、国会と国民への背信行為で、不信任そのものということになります。

 さらに、根本大臣は、それから八日後の十二月二十八日に、こっそり三倍復元以外のことについて官邸に報告したということになっていますが、これも危機管理の原則からすれば余りにも遅過ぎる報告であり、不信任に値いたします。

 一方、実は首相官邸はこっそり三倍復元を既に知っていたということになれば、これは内閣を挙げて国会と国民を欺いたことになり、根本大臣の不信任どころではない事態となるわけであります。

 いずれにせよ、この統計不正問題、法令違反問題では、真実は全く明らかとなっておらず、徹底した国会での究明が行われなければなりません。なぜなら、統計運営は国家の基盤だからであります。

 統計不正問題発覚後の厚生労働省の隠蔽工作は、昨年末から、厚生労働省内の組織である監察チームによって始まりました。厚労省職員による厚労省職員の事情聴取が行われていたのです。

 明けて一月十六日、毎月勤労統計等に関する特別監察委員会が、厚生労働省監察本部長たる根本厚生労働大臣によって設置されました。設置してわずか六日後の一月二十二日に報告書が発表されましたが、事情聴取のほとんどを厚生労働省職員みずから行っていたこと、報告書のたたき台を厚生労働省大臣官房人事課が起案をしていたことなどなどが次々に予算委員会の質疑で明らかとなり、身内によるお手盛り監察であることが判明をいたしました。この点についても、厚労省監察本部長たる根本厚労大臣の責任は重大であります。

 身内に甘い監察報告になることなんか、わかり切ったことじゃないですか。監察チームを仕切った官房長以下の人たちは、十二月十三日の事件発覚以来……

議長(大島理森君) 川内君、約束された時間を過ぎておりますよ。

川内博史君(続) 大臣にも報告をせず、数々の隠蔽工作をしてきた方たちであります。

 甘い身内調査との批判を浴びて、特別監察委員会は追加調査を始め、その追加報告書が一昨日、二月二十七日に公表をされました。この追加報告書が非常に不十分で、真実からほど遠いものとなり、樋口委員長は、うそはついたが組織的な隠蔽ではない、グレーだなどと、わけのわからない答弁に終始をしていらっしゃいました。

 この追加報告書についても徹底的な審議が必要であります。とても審議終了と言えるような状況ではない。事実は全く明らかにはなっておりません。

 こっそり三倍復元についても……

議長(大島理森君) 川内君、時間が一分過ぎております。

川内博史君(続) 平成三十年一月以降、大規模事業所について適切な復元をしたことについてとの表題をつけて、こっそり三倍復元が適切であったとしていますが、昨日の予算委員会質疑で、樋口委員長は、法令上不適切であったことを認めていらっしゃいます。

 以上、根本大臣が監察本部長として全く職責を果たされなかったその一点をもってしても、厚労大臣としての任にあらず、不信任であるということを申し上げて、議場にいる皆様の賛同を求め、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 丸山穂高君。

    〔丸山穂高君登壇〕

丸山穂高君 日本維新の会の丸山穂高です。

 我が党を代表して、ただいま提出されました根本厚労大臣不信任決議案に対し、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 まず第一に、厚生労働省で長年行われてきた不適切な統計調査は、そもそも現政権だけの責任ではないはずです。立憲民主党を始めとしたほかの野党がアベノミクス偽装だと騒いでいますが、自分たちの政権では不正を見つけられなかった旧民主党政権の皆さんが現政権への文句を言っている姿勢は、若い世代の一人として、見ていて本当に恥ずかしく、甚だ滑稽ですらあります。

 あの悪夢のようなとまで言われる民主党政権下も含めて、平成八年以降ずっと行われてきた不正に対し、殊さらに現政権の責任だけを追及すること、ましてや、統計の詳細な内容も、なぜ問題が起こったかの事の本質も理解せずに、貴重な予算委員会の時間を、政権トップの意向を反映させたなどという空想のために時間を割いている議員がいることこそ異常な事態であり、まさにこれらの議員や政党へこそ不信任を突きつけたいと多くの国民の皆さんが感じていらっしゃるのではないでしょうか。

 中身も伴わず、採決の時間を先延ばしするためだけに不信任案を出す。質疑の時間も守らず、先ほどの趣旨弁明では感きわまっておられましたが、その意味不明さに泣きたいのは国民の方です。このような大臣不信任決議案には、日本維新の会は断固として反対します。

 一方で、政府・与党の対応にも問題があります。きちんと調査すると言いながら、結局、再調査する事態にまでなってしまった今回のていたらく。そもそも、その調査メンバーを厚労省や総務省などの役所で選定している、あくまでも内部の調査であり、第三者性や客観性がないと言われても仕方のない状況です。

 大事なのは、同じような問題が起こらないようにするために何をすべきか。そのためには、客観的な視点から問題点を確認し、それを受けて改善点を打ち出していかなければなりません。官庁内の不祥事に対して官庁に調査を任せる、このこと自体が、また新たな偽装を生みかねません。こうしたことを政争の具にするのではなく、さりとて役所に任せきりにするのでもなく、今こそ政治がリーダーシップをとって改革を行わねばなりません。

 適切ではない処理が行われてきたことは大問題で、問題であることを知りながら適正化するためのプロセスが長い間機能してこなかったことは、まさに組織や仕組みに問題があります。統計に対して、その不正の有無を客観的に判断できる余地が少なかったこと、他国にあるような国家統計局、こうした各省横断的な統計専門機関がないこと。優秀な人材を集めて育てる仕組みも必要です。

 また、現場では、COBOLのような、もはや若いプログラマーが学ばなくなった古い言語がいまだに使われており、プログラムを理解できる人員がいなくなる事態の発生がもはや時間の問題でした。また、今のこの時代ですから、大学等での第三者検証も可能になるように、公表も、ある程度は個人情報は抑えた形の生データになってしまいます、抑えた形になりますが、公表も更に進めていくべきではないでしょうか。

 今回の問題発覚を機に、統計における制度や仕組み自体を大改革すべきときが来ています。

 きょうも、深夜にまで国会が及ぶ予定です。政府・与党側も、ふだんは働き方改革とか、野党側質問通告が遅くて役所の残業がひどくなるとかおっしゃる割に、きのうも、例えば予算委員会や財務金融委員会では、就業時間を超えた二十時以降に理事懇を開催し、そのために各省庁に待機の指令を出しています。前日の二十時にそもそも委員会を開くかどうかやテーマを決めるのに、どうして質疑者がその日の業務時間内に通告できるというのでしょうか。

 そして、そもそも、予算を早く上げたいというのであれば、一月末であった今国会の開会自体も、もっと早目にすべきだったんじゃないでしょうか。現在の国会の現状は、与野党ともに本当に非合理的で、時間や税金の無駄遣いが多過ぎます。この議場にいらっしゃる全ての議員の皆さんに問いたい。本当に、こんな今の国会の現状で、次の世代に引き継いでいけるとお考えなのでしょうか。

 維新の会は、政局のための不信任案には断固として反対します。税金の無駄遣いとは一線を画しながら、本来行うべき統計不正問題の根本的解決策を提案し、本日のような政局ばかりの国会のあり方自体も、重ねて改革を求めて、我が党を代表しての反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 青山大人君。

    〔青山大人君登壇〕

青山大人君 国民民主党の青山大人です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました根本厚生労働大臣不信任決議案に対して、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 なぜ、連日、国会で毎月勤労統計問題を取り上げるのか。そういった疑問を国民の皆様からいただくことがあります。それは、単に野党が政権を追い落とすためのスキャンダルにしたい、単に大臣をやめさせたいとか、そんな理由でこの問題を取り上げているわけではありません。

 統計は国家の根幹であり、各種政策の政治決断の根拠となる大切なものであるからこそ、私たちは、なぜこうした事態が起きてしまったのか、きちんとした説明を求め、真相を解明した上で、今後の再発防止のために、新しい答えをつくっていくための建設的な議論を国会でしたいからであります。

 それにもかかわらず、通常国会が始まった直後、根本大臣は統計を担当していた責任者を急遽更迭してしまいました。結果、現在統計を担当していないという理由で、当初、その方を参考人として国会へ招いて国民の皆様の多くが抱いている疑問について質問することができませんでした。

 根本大臣が責任者を急遽更迭したことが、結果的に参考人を招致するだのしないだのといった不毛な時間を費やすことにつながり、国会での毎月勤労統計問題の質疑を長引かせ、予算委員会において大事な予算審議の時間を奪いました。

 これは国民の皆様にとって、日本国家にとっても大きな損失となります。その原因をもたらした根本大臣は不信任に値します。これが一つ目の不信任の理由であります。

 二つ目の理由は、根本大臣は統計の重要性を認識していなく、統計に基づいて客観的な政策を立案し、最終的な決断を下していないことであります。毎月勤労統計問題の報告を受けた後の根本大臣の初動対応を見ても明らかであります。

 統計データをもとに科学的に政策を検討していないということは、厚生労働省という国民の皆様の生活に一番直結する省庁のトップの資質としてふさわしくないと私は考えます。

 言うまでもなく、毎月勤労統計は、賃金や労働時間の動向を示すものであり、マクロ経済分析や政策を立案する際の基礎として活用されることはもちろん、雇用保険や労災保険の給付額の算定といった国民の皆様の暮らし、生活に直結する大変重要な統計でございます。

 根本大臣は、昨年十二月二十日に問題の報告を受けたものの、翌日に毎月勤労統計の十月分の数値を公表し、平成三十一年度予算案の閣議決定もしました。さらに、一月八日の記者会見まで問題を公表しませんでした。

 さらに、徹底した検証と再発防止のために厚生労働省が設置した特別監察委員会が一月二十二日に報告書を公表しましたが、この特別監察委員会の調査手法についての根本大臣の説明が、統計不信をより一層深めてしまいました。

 当初、根本大臣は、調査、聞き取りをした三十七人のうち二十名は、外部有識者であり、特別監察委員会が中立的、客観的に調査を行ったと述べられました。しかし、実際、調査された方のほとんどは厚生労働省の職員であり、外部有識者は三分の一以下でありました。

 初動対応や特別調査委員会の手法を見ても、根本大臣が統計問題の重大さを全く認識できていないのか、それとも事の重大さを認識していたにもかかわらず国民の皆様を欺こうとしていたのか、いずれにせよ、根本大臣は不信任に値します。これが二つ目の不信任の理由でございます。

 さて、安倍政権は、昨年六月の名目賃金の伸びが三・三%だと公表し、二十一年ぶりの高い伸びだと大々的に宣伝をされました。これを見たとき、強い違和感を覚えたのを今でも忘れません。この数値は本当なんだろうか、国民の皆様の実感と余りにもかけ離れていないだろうか。

 やはり、実態は、賃金の高い東京都の大企業の事業所分を三倍に補正し、水増しされており、再集計値は二・八%に修正をされました。さらに、この二・八%も、ベンチマーク更新の補正がされておらず、総務省の統計委員会は、景気指標として重視すべきは二・八%ではなく、共通事業所を比べた一・四%の参考値であるとの見解を示し、景気指標として、昨年六月の賃金伸び率は、三・三%ではなく、実は一・四%にすぎないことが明らかになりました。これは、アベノミクスの成果を過大に宣伝するアベノミクス偽装と言わざるを得ません。

 そこで、私たちは、統計委員会が景気指標として重視している参考値について、昨年の実質賃金伸び率を出すよう求めてきましたが、根本大臣は拒み続けてきました。

 実質賃金はプラス〇・二%と厚労省は公表していますが、国内外のエコノミストや野党などの試算によれば、実態に近い共通事業所を比べた実質賃金はマイナス〇・三%程度との数値が出ております。実際、根本厚生労働大臣も、共通事業所の実質賃金を機械的に計算すれば、昨年はマイナスになることを国会答弁で認めています。実質賃金の推移がどうだったかわからなくては、来年度予算を審議することはできません。

 特に、景気指標としての賃金伸び率については、実際はマイナスであるのに、プラス〇・二%という虚偽の数値を公表し、国民の皆様を欺いて消費増税を強行することは、決して許されません。官邸主導のアベノミクス偽装に加担する根本大臣には、おやめいただくことが必要不可欠でございます。これが三つ目の不信任の理由でございます。

 最後に、今回、基幹統計五十五のうち、二十三で不正があることもわかりました。国際社会において、日本の信頼を失墜しかねない事態でございます。

 繰り返します。

 統計は国の根幹であり、政治の基本であります。統計が不正確であれば、政策を誤り、政治決断を間違える。結果、国を誤った方向に導いてしまう。さきの大戦において、日本は統計を軽んじ、無理な戦争に突入し、敗戦を迎えた。そのことは、与野党問わず、この場にいる私たちは認識しているはずです。

 にもかかわらず、統計を軽んじ、国会において真相究明と今後に向けての新しい答えをつくるための建設的な議論を妨げる根本大臣は、大臣の資質に欠けます。

 根本大臣、ノブレスオブリージュという言葉を御存じでしょうか。本日は、茨城県内の県立高等学校の卒業式でございます。私の母校、茨城県立土浦第一高等学校の教育理念であるノブレスオブリージュとは、高き位に重き務めありとの意味でございます。本来であれば、根本大臣みずからその職を辞すべきと考えます。最後にこの一言をつけ加え、私の賛成討論を終わりにします。(拍手)

議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、根本匠厚生労働大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 安倍内閣のもとで、国会と国民に対するうそと隠蔽の実態が次々に明らかになりました。首相を守るために公文書の改ざんまで行われた森友問題を始め、加計疑惑、防衛省の日報問題、外国人技能実習生の失踪調査、とりわけ厚労省においては、裁量労働制データ捏造問題、障害者雇用水増し問題など、枚挙にいとまがありません。

 安倍政権は、国民の疑問には一切答えず、数の力で押し切ってきました。こうした中、発覚したのが、毎月勤労統計調査の不正、偽装問題であり、根元は同じであります。

 毎勤統計は、雇用保険、労災保険等給付の基準であり、いわばセーフティーネットです。さらに、最低賃金や人勧、建設労務単価の参考値、あるいは内閣府の月例経済報告、日銀や民間エコノミストの景気指標、OECDなど国際機関への報告、時々の景気判断と政策決定につながる極めて重要な基幹統計です。

 誤った統計の上に、実質賃金のマイナスを隠したまま来年度予算を編成したことは、断じて許されません。来年度予算は、土台そのものが崩れているのであります。

 賃金にかつてない注目が集まり、アベノミクスの成果が問われているとして、二〇一五年に毎月勤労統計の改善に関する検討会を開始したこと、その検討会が政治的圧力によって中断し、大きく調査手法が変わってしまったことは事実です。一部の官僚のみに責任を押しつけて幕引きを図ることは、断じて許されません。

 働き方改革一括法や年金カット法など、誤ったデータをもとにした政策判断は見直さなければなりません。秋に強行しようとする消費税増税などはもってのほかです。

 野党が求めている実質賃金を直ちに公表すべきです。真相解明は予算の大前提であり、職権による本日の予算案採決は断じて認められません。

 相次ぐ厚生労働省の不祥事に対し、根本厚労大臣の役割が鋭く問われました。今回明るみになった不正の調査、検証について、大臣が第三者による調査として設置したはずの特別監察委員会がわずか一週間で出した報告書は、その七割が身内の厚労省職員によるヒアリングと、原案さえ厚労省自身が作成したものでした。昨年の裁量労働制データ問題の検証でも、ほぼ身内調査で、外部構成員によるヒアリングは、わずか五名しか行われていませんでした。この手法は全く同じであり、厚労省の姿勢は真実の解明に逆行するものだと言わなければなりません。

 根本大臣は、厳しい批判を受け、特別監察の追加調査を指示しましたが、二月二十七日に発表された追加報告書は、結局、虚偽を認定しながら、組織的隠蔽はないとするもので、当初の報告の上書きにすぎません。これを追認した大臣の責任は極めて重大であります。

 不正な調査とデータの紛失のために正確な再集計もできず、長年にわたって積み上げてきた毎勤統計のデータが失われたことの重大さを知るべきです。

 大臣は十二月二十日に不正の報告を受けながら、翌日には来年度予算案の閣議決定に加わり、結局、その予算案は出し直さざるを得なくなりました。さらには、間違っていることがわかりながら、毎勤統計十月分確報を公表したことも許されるものではありません。根本大臣は、公的統計が国民と国際社会からも信頼を失うという、この重要な問題に正面から向き合っていないのです。

 厚労大臣が真っ先に考えるべきは、今回明るみになった統計不正が国民生活にどういう影響を及ぼすのかということです。本来の自身の役割を忘れ、取り繕いに終始してきた根本厚労大臣に、国民の命と健康を守り、労働者の権利を擁護すべき厚生労働行政をこれ以上任せるわけにはいきません。

 以上、根本厚労大臣不信任案に賛成する理由を述べて、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 中島克仁君。

    〔中島克仁君登壇〕

中島克仁君 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 会派を代表して、根本匠厚生労働大臣不信任決議案に賛成の立場で討論を行います。(拍手)

 社会保障の将来に不安を抱く国民が多い中、毎月勤労統計の不正調査が発覚をいたしました。セーフティーネットへの信頼を損なう、不信を募らせる大変重大な問題であり、全容解明、再発防止のために、政治の責任として、与野党問わず、努力をしなければなりません。

 失った統計に対する信頼を取り戻す基本である全容解明に向け、その先頭に立たなければならないはずの根本大臣ですが、昨年十二月二十日に不正の報告を受けながら、翌日、二十一日には勤労統計の十月確報値をそのまま公表してしまい、また、不正な調査に基づき算出された雇用保険給付額などを含んだ平成三十一年度予算案の閣議決定にサインをし、黙認をされました。その後、閣議決定をやり直すという異常な事態に至らしめた責任は極めて重いものであります。

 不正を知りながら予算案の閣議決定にサインをした事実は、厚生労働大臣としての資質を疑わざるを得ない行為です。

 さらに、第三者委員会とは名ばかりのお手盛り調査を公表し、早々と幕引きを図ろうとする姿勢は、国民の統計、また、厚生労働行政に対する不信を更に大きく増大させてしまいました。

 たびたび訂正される答弁は国会を軽視するものであり、余りにも危機感のない対応は深刻です。国民の命を守る厚生労働行政のトップとしてふさわしくないのは、一連の行動、その姿勢から明らかです。

 今回の統計不正によって、雇用保険の失業給付などの支払い不足が発生し、国民に損害を与えたこと。省内のチェック機能が働かず、外部から指摘されてようやく問題が発覚するという、ガバナンスが著しく欠如している現状の、事の重大さを本当に認識されているのか、甚だ疑問です。

 先日公表された特別監察委員会の再調査の結果は組織的隠蔽を完全に払拭できない内容であり、統計不正をめぐる国民の疑念は解消されたとは到底言えない状況において、さらなる真相究明が必要です。

 官邸の関与の可能性も否定でき得ていない現状において、官邸の意向ばかりを気にして国民と向き合わない厚生労働省、問題に真摯に向き合わない、事なかれ主義の根本大臣のもとでは、全容解明などできるはずがありませんし、解明したと言われても、これまでの経緯を踏まえれば、信用できるはずがありません。

 公的統計の不正は国の信用を揺るがす大問題であり、さらに、医療や介護を含む社会保障全般に対する信頼も失いかねません。

 統計の信頼、厚生労働行政の信頼を取り戻すためにまずやらなければならないのは、根本大臣から信頼できる大臣への交代がその第一歩です。

 私は、個人的に、青年政治家のころから使命感を抱いてこられ、活動されてこられた根本大臣を尊敬をもしております。二十年前、根本大臣が主導され、高い志を持って結成された政策グループNAISの会、時代の一歩先を見据え、新しい政策を掲げて改革を主導するための、沸き立つようなエネルギーをお持ちだったはずです。当時の志は一体どこに行ってしまわれたのか。

 今回の事態は、むしろ、潔く御自分からその職を辞して、責任をとり、厚生労働省の奮起を促すくらいの気概を見せていただきたかったです。まことに残念でなりません。

 統計不正調査の全容を解明し、二度とこのようなことが起こらないよう対策を打ち立てるためにも、根本匠厚生労働大臣不信任決議案に賛成することを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百四十九

  可とする者(白票)       百三十二

  否とする者(青票)       三百十七

議長(大島理森君) 右の結果、厚生労働大臣根本匠君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

辻元清美君外五名提出厚生労働大臣根本匠君不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君

荒井   聰君   伊藤  俊輔君   池田  真紀君   石川  香織君

今井  雅人君   生方  幸夫君   江田  憲司君   枝野  幸男君

小川  淳也君   尾辻 かな子君   大河原 雅子君   大串  博志君

逢坂  誠二君   岡島  一正君   岡田  克也君   岡本 あき子君

落合  貴之君   海江田 万里君   金子  恵美君   神谷   裕君

亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君   菊田 真紀子君

黒岩  宇洋君   近藤  昭一君   佐々木 隆博君   櫻井   周君

篠原   豪君   末松  義規君   田嶋   要君   高井  崇志君

高木 錬太郎君   武内  則男君   辻元  清美君   手塚  仁雄君

寺田   学君   中川  正春君   中谷  一馬君   中村 喜四郎君

長尾  秀樹君   長妻   昭君   西村 智奈美君   長谷川 嘉一君

初鹿  明博君   福田  昭夫君   堀越  啓仁君   本多  平直君

松田   功君   松平  浩一君   道下  大樹君   宮川   伸君

村上  史好君   森山  浩行君   矢上  雅義君   山内  康一君

山尾 志桜里君   山川 百合子君   山崎   誠君   山花  郁夫君

山本 和嘉子君   横光  克彦君   吉田  統彦君   早稲田 夕季君

青山  大人君   浅野   哲君   泉   健太君   稲富  修二君

小熊  慎司君   大島   敦君   大西  健介君   岡本  充功君

奥野 総一郎君   吉良  州司君   城井   崇君   岸本  周平君

源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   後藤  祐一君   近藤  和也君

佐藤  公治君   斉木  武志君   階    猛君   篠原   孝君

下条  みつ君   白石  洋一君   関  健一郎君   玉木 雄一郎君

津村  啓介君   西岡  秀子君   原口  一博君   日吉  雄太君

平野  博文君   古川  元久君   古本 伸一郎君   前原  誠司君

牧   義夫君   緑川  貴士君   森田  俊和君   山岡  達丸君

山井  和則君   渡辺   周君   赤嶺  政賢君   笠井   亮君

穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君   田村  貴昭君

高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   藤野  保史君   宮本  岳志君

宮本   徹君   本村  伸子君   井出  庸生君   玄葉 光一郎君

重徳  和彦君   中島  克仁君   野田  佳彦君   広田   一君

照屋  寛徳君   吉川   元君   青山  雅幸君   赤松  広隆君

柿沢  未途君   馬淵  澄夫君   松原   仁君   柚木  道義君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   あべ  俊子君   安倍  晋三君

逢沢  一郎君   青山  周平君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

秋本  真利君   麻生  太郎君   穴見  陽一君   甘利   明君

安藤  高夫君   安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君

井上  貴博君   井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君

伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君

池田  佳隆君   石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   泉田  裕彦君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君

岩屋   毅君   うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君   上野  宏史君

江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君   小田原  潔君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君   越智  隆雄君

大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君   大塚  高司君

大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君   大野 敬太郎君

岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君

加藤  勝信君   加藤  寛治君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君

門   博文君   門山  宏哲君   金子  俊平君   金子 万寿夫君

金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君   神谷   昇君

神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

河井  克行君   河村  建夫君   神田  憲次君   神田   裕君

菅家  一郎君   木原  誠二君   木原   稔君   木村  次郎君

木村  哲也君   木村  弥生君   城内   実君   黄川田 仁志君

岸   信夫君   岸田  文雄君   北村  誠吾君   工藤  彰三君

国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君

小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君

小林  史明君   古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君   左藤   章君

佐々木  紀君   佐藤  明男君   佐藤   勉君   佐藤 ゆかり君

齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君   坂本  哲志君

櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君   塩谷   立君

繁本   護君   柴山  昌彦君   下村  博文君   白須賀 貴樹君

新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君

杉田  水脈君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君

鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君   関   芳弘君

薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君

田中  良生君   田野瀬 太道君   田畑  裕明君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高木   啓君   高木   毅君

高鳥  修一君   高橋 ひなこ君   竹本  直一君   武井  俊輔君

武田  良太君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君   谷川  弥一君

津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君   寺田   稔君

とかしきなおみ君  冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君

冨岡   勉君   中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君

中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君

永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君

額賀 福志郎君   根本   匠君   根本  幸典君   野田  聖子君

野田   毅君   野中   厚君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君

橋本   岳君   馳    浩君   鳩山  二郎君   浜田  靖一君

林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君   百武  公親君

平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君   福井   照君

福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君   藤丸   敏君

藤原   崇君   船田   元君   船橋  利実君   古川   康君

古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君   穂坂   泰君

星野  剛士君   細田  健一君   細田  博之君   堀井   学君

堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君   松本  剛明君

松本  文明君   松本  洋平君   三浦   靖君   三谷  英弘君

三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君   御法川 信英君

宮内  秀樹君   宮川  典子君   宮腰  光寛君   宮崎  政久君

宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君   武藤  容治君

務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君   村上 誠一郎君

望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   簗   和生君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口   壯君   山下  貴司君   山田  賢司君

山田  美樹君   山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君

山本  有二君   吉川  貴盛君   吉野  正芳君   義家  弘介君

和田  義明君   若宮  健嗣君   渡辺  孝一君   渡辺  博道君

赤羽  一嘉君   井上  義久君   伊佐  進一君   伊藤   渉君

石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君   浮島  智子君

江田  康幸君   大口  善徳君   太田  昭宏君   太田  昌孝君

岡本  三成君   北側  一雄君   國重   徹君   佐藤  茂樹君

佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   高木 美智代君   高木  陽介君

竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君   中野  洋昌君

浜地  雅一君   濱村   進君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君

鰐淵  洋子君   足立  康史君   井上  英孝君   浦野  靖人君

遠藤   敬君   串田  誠一君   下地  幹郎君   杉本  和巳君

馬場  伸幸君   丸山  穂高君   森   夏枝君   細野  豪志君

鷲尾 英一郎君

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) この際、暫時休憩いたします。

    午後四時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後十時五十二分開議

議長(大島理森君) 休憩前に引き続き会議を開きます。

     ――――◇―――――

星野剛士君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 星野剛士君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

議長(大島理森君) 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。予算委員長野田聖子君。

    ―――――――――――――

 平成三十一年度一般会計予算及び同報告書

 平成三十一年度特別会計予算及び同報告書

 平成三十一年度政府関係機関予算及び同報告書

    〔本号(二)に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔野田聖子君登壇〕

野田聖子君 ただいま議題となりました平成三十一年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、予算三案の概要について申し上げます。

 平成三十一年度一般会計予算の規模は百一兆四千五百七十一億円であり、前年度当初予算に対して三・八%の増加となっております。

 歳出のうち、国債費及び地方交付税交付金等を除いた一般歳出の規模は六十一兆九千六百三十九億円であり、前年度当初予算に対して五・二%の増加となっております。

 歳入のうち、公債金は三十二兆六千六百五億円で、公債依存度は三二・二%となっております。

 特別会計予算については、十三の特別会計があり、会計間の取引額などの重複額等を控除した歳出純計額は百九十六兆九千六百八十三億円となっております。

 政府関係機関予算については、沖縄振興開発金融公庫など四機関の予算を計上しております。

 なお、財政投融資計画でありますが、その規模は十三兆一千百九十四億円で、九・三%の減少となっております。

 この予算三案は、去る一月二十八日本委員会に付託され、二月一日麻生財務大臣から提案理由の説明を聴取し、二月八日から質疑に入り、基本的質疑、一般的質疑、集中審議、長野県と北海道における現地視察及び地方公聴会、中央公聴会、分科会を行うなど、慎重に審査を重ね、本日締めくくり質疑を行いました。

 審査においては、経済・財政・金融政策、消費税率引上げに伴う対策、毎月勤労統計調査等の統計調査に関する問題、幼児教育無償化、児童虐待防止対策、豚コレラの防疫対策、北方領土交渉、我が国の安全保障政策、米軍普天間飛行場の辺野古移設、自衛官募集についての地方自治体の対応など、国政の各般にわたって熱心に質疑が行われました。その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。

 本日、質疑を終局し、討論、採決を行いました結果、平成三十一年度予算三案は賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。大串博志君。

    〔大串博志君登壇〕

大串博志君 立憲民主党・無所属フォーラムの大串博志です。

 私は、会派を代表して、平成三十一年度一般会計予算案等について、反対の立場から意見を述べさせていただきます。(拍手)

 反対のそもそもの理由は、予算案を議論する前提条件が整っていないことです。それは、政府統計の信頼性です。国民から信頼される政府の統計があってこそ、一つ一つの政策も的確に立案できるし、それを基礎とした合理的な予算案も構築できます。しかるに、今回の毎月勤労統計不正に端を発した、政府全体の統計不信に対する安倍政権の対応は、全く不十分だと言わざるを得ません。

 一昨日、厚労省特別監察委員会による追加調査の報告書が取りまとめられました。私は、その内容を見て、顎が外れるほど驚きました。第三者による客観的かつ厳格な背景、原因の調査になっているかと思いきや、結果は大甘。殊さら隠蔽の意図は認められないと紋切り型の評価を漫然と繰り返し、それに対して国民が納得できるような説明は報告書の中には全くありません。身内の非を糊塗するためのものであって、この報告書自体が、毎月勤労統計不正の問題を隠蔽してしまっている、何かブラックジョークのような結果となっていると断ぜざるを得ません。

 そもそも、特別監察委員会が本当に第三者なのかという点すら強く疑われます。

 委員長は、厚生労働省が所管する独立行政法人の理事長。そのほか統計の専門家として追加された委員も、長年厚労省における多くの労働統計などの研究会などに参加し続けている、厚労省と極めて近い関係にある人物です。それぞれの方々は立派な学識経験者と認識しますが、それでも、これでは厚労省と独立した見地から厳しく事実関係を調査する立場にあるとはとても思えません。これが大甘の報告書となった原因だという疑念を払拭できません。

 加えて、大きな賃金上振れの結果を生み出した平成三十年一月からの毎月勤労統計の統計手法の見直しに関して、総理官邸の関与があったのではないか、総理官邸の意向をそんたくするが余りに、賃金が下振れするようなことがあってはならないという強い思いに厚生労働省の現場がとらわれてしまったのではないかという論点に関しては、特別監察委員会は全く調査を行っていません。

 まさに今回の問題が発覚する端緒となった昨年六月の極めて高い賃金の伸び、この異例に高い伸びに対して統計委員会が疑問を持ったことに端を発し、今回の統計不正は発覚しました。

 この高い伸びについて、統計委員会の指示も背景として、厚労省が精査したところ、影響の大きかった方から、遡及改定なしのベンチマーク更新、こっそりの三倍復元処理、サンプル部分入れかえ方式への変更と、そこには多くの要因が、盛り過ぎと言わざるを得ないほど盛り込まれていました。

 三年ごとのサンプル見直しのたびに賃金の数値が下振れすることは、今回はあってはならないと、総理官邸の意向をそんたくした厚労省の現場が強く思い、サンプル部分入れかえ方式への変更と同時に、こっそりと遡及改定なしのベンチマーク更新を導入し、こっそりと三倍復元処理を導入した、そういう流れだったのではないかということが強く推認されます。

 ところが、特別監察委員会は、総理官邸の関与の有無に関してはヒアリングすら行わなかったのみならず、遡及改定なしのベンチマーク更新については調査の対象にすら入れていません。特別監察委員会自体が総理官邸の意向をそんたくして、あえて不十分なスコープの、そして大甘な調査報告に持っていったのではないかとの疑念すら覚えます。

 このような不十分な調査報告のもとで、統計に対する国民の信頼が戻ったとはとても言えません。そして、統計自体への国民の信頼を欠く中で、国会として自信を持って予算案の是非を判断することなど、到底できるものではありません。

 そもそも、統計不正の問題を私が予算委員会で真剣に議論しているときに安倍総理から投げかけられたやじが今でも耳から離れません。五回選挙に勝っている。どうでしょうか、これは。統計がゆがめられても、選挙に勝ったらチャラなんでしょうか。総理がこんな態度だから、信じられないような統計不正が起こるんですよ。総理がこんな態度だから、特別監察委員会までが不正を隠蔽するような報告書を出すんですよ。厳しく指摘しておきたいと思います。

 さらに、今回の統計不正に関連して、予算案審議において極めて大切な景気指標たる実質賃金については、安倍政権は依然として昨年の数値を公表していません。

 実質賃金とは、国民の皆さんの景気実感を判断するのに大変重要な指標と言われています。昨年を除いた安倍政権の五年間で、実質賃金の伸びがプラスとなったのは、平成二十八年のたった一回のみ。アベノミクスはうまくいっているという安倍総理のいつものフレーズが、国民の耳には寒々しいほど空疎に聞こえてくるのは当然です。物価が上がったのに給料が追いついていないわけですから。仮に、私たち野党が試算したように、精査の結果、昨年も実質賃金の伸びがマイナスだったとすると、二年連続のマイナスだったということになります。

 もしそうなったとすると、ことし十月、消費税率が引き上げられ、そのための予算も今回の予算案に盛り込まれているわけですから、当然、予算案に対する判断も変わってきます。

 しかるに、依然として厚労省からは、景気指標としての実質賃金が昨年プラスだったのかマイナスだったのか、検討の結果が明らかにされていません。

 二月の初めから、私たち野党の、実質賃金を明らかにすべしという訴えに対して、安倍総理、根本厚労大臣は、繰り返し、専門家の意見を聞いて検討していると述べていましたが、その間の三週間、結局何が出てきたというんでしょうか。

 あげくには、二月二十二日になって初めて、正式な専門家の検討会の立ち上げを発表し、ではいつ実質賃金の結果を出すのかと問うと、検討中ですの一点張り。たちの悪い引き延ばし工作以外の何物でもありません。

 足元の給料が、物価との関係で上がっているのか下がっているのか、景況感に関するこんな基礎的なことすらわからない中で、政府として平気な顔をして予算案を国会に提出していること自体が理解に苦しみます。この前提を欠く中で、責任を持って予算案について判断し、ましていわんや、賛成することなど到底できるものではありません。

 今回の予算案に盛り込まれている、消費税率の引上げとそれへの対応策についても、国民のためになるとはとても思えません。

 もとより、少子高齢化が進む日本において、社会保障制度を持続可能なものとし、また適切な子育て支援を行っていきつつ、将来への財政赤字のツケ回しを減らしていくために、消費税と一体としてこれらの問題を考えていくことの重要性は言うまでもありません。

 しかし、今回の消費税率引上げはどうでしょうか。実質賃金は二年連続マイナスである可能性が高い。また、国民の皆さんに負担をお願いする上での大前提である国会議員の身を切る改革について、身を切るどころか、参議院の定数六増が与党の強硬国会運営の中で決められてしまいました。とんでもないことです。

 加えて、軽減税率です。必要な財源一・一兆の半分は、年収五百万円以上の世帯に行ってしまう。軽減税率は決して低所得世帯に対する逆進性の解決にはなりません。それどころか、いたずらに消費の現場に混乱をもたらすだけです。

 また、その財源一・一兆円の調達の中身を見ると暗たんたる思いになります。総合合算制度の取りやめ、たばこ税の引上げ、インボイス制度導入に伴う中小零細事業者の課税強化と、どれも大衆課税、弱い立場の方々への負担増です。特に、インボイス制度の導入に伴って、中小零細事業者が免税事業者から課税事業者になるということは、約百六十万者の、最も規模の小さい、財政基盤の厳しい事業者に二千億円を超える規模の増税を行うわけで、こんなに大きな、累進課税とは真逆の超逆進課税は見たことがありません。一気に廃業が進んで、更に地方が衰退することが強く懸念されます。

 消費の平準化策はどうでしょうか。キャッシュレス購入の場合のみのポイント還元制度の導入。与党の皆さん、皆さんは本当に、消費税の逆進性をもろに受ける地方の高齢者の方々や中小零細事業主の皆さんに、これを機会にキャッシュレス購入にしてみませんかなんて、のうてんきに言えますか。地方の厳しい立場の中小零細事業主、そして高齢者の方々が結局蚊帳の外に追いやられて、恩恵にあずかれずに終わってしまう懸念は広がる一方で、そのほかの施策もあわせて、そもそも政策意図が全く不明なものばかりです。

 消費税を用いた施策に関しても疑問が残ります。例えば幼児教育の無償化です。これは結果として高所得の世帯により多くの財政資源が投入されることになります。待機児童ゼロという安倍総理のかけ声が、文字どおりかけ声倒れに終わっている今、これを放置したままで無償化を進めれば、入園できた世帯とできない世帯の格差は広がるばかりです。

 統計不正、統計不信を始めとして、消費税率引上げとその対策の是非を含め、このように多くの、全く答えられていない、説明されていない課題が残る中で、あるいは、必ずや後々禍根を残すことが火を見るより明らかな施策が盛り込まれている三十一年度予算案に、賛成することは断じてできません。

 最後に、時間が来たから採決だとばかりに、金曜日の夜中に与党のごり押しでこうして採決を急ぐ姿は異常です。週はまたいででも、審議が充実するように、十分な審議時間を確保すべきだし、与党の責任で……(発言する者あり)

議長(大島理森君) 御静粛に。

大串博志君(続) 必要な答弁者、参考人、資料を妙に隠し立てすることなく、素直に国会に出すべきです。それが本当の国会改革というものです。

 強くこの点を主張し、私の平成三十一年度予算案への反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 堀内詔子君。

    〔堀内詔子君登壇〕

堀内詔子君 自由民主党の堀内詔子です。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成三十一年度一般会計予算案外二案に対しての自信と確信を持って賛成討論を行います。(拍手)

 まず、最初に指摘させていただきたいのは、政府の各種統計は、経済財政運営に関する政策判断の前提となるものであり、常に正確性が求められるということです。

 毎月勤労統計の問題のような事案が二度と生じないように、再発防止の徹底について、与党としても政府に対し強く求めます。

 一方、今回の統計問題によって安倍政権の経済政策が誤りであったかのように位置づける極端な姿勢については、決して妥当とは言えません。

 これまで安倍政権は、いわゆる三本の矢の政策に全力で取り組み、その結果、名目GDPは五十六兆円ふえて五百四十九兆円と、過去最高水準になっております。雇用も大きく改善し、就業者数は政権交代以降三百八十万人もふえ、有効求人倍率は六年前の〇・八三から一・六三へとほぼ倍となっています。

 こうした中、平成三十一年度予算は、今後も経済再生と財政健全化を両立させていくとの安倍政権の方針を具体化したものであると考えます。

 以下、賛成する主な理由を申し述べます。

 第一の理由は、現下の重要課題に的確に対応し、国家国民のために実行すべき施策がしっかりと盛り込まれている点です。

 我が国の最大の課題は、何と申しましても少子高齢化です。

 少子高齢化や人口減少への対応は待ったなしの喫緊の課題であり、その解決はまさに全世代型社会保障の実現にかかっております。

 このため、三十一年度予算では、消費税の増収分を活用し、幼児教育の無償化や社会保障の充実などが図られることになっています。

 具体的には、本年十月から、全ての三歳から五歳児、そして住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児を対象に、幼稚園、保育園、認定こども園などの費用が無償化されることになっています。

 また、介護福祉士の処遇改善や待機児童問題対策としての受皿の確保、低年金の高齢者の方々を対象とした年金生活者支援給付金の支給も盛り込まれています。

 第二の理由は、本年十月の消費税率の引上げによる経済への影響を十二分に乗り越える対策が講じられている点です。

 大きな駆け込み需要と反動減が生じ、結果として景気の回復力が弱まることになった前回の消費税率の引上げ時の教訓を生かし、三十一年度予算では、臨時特別の措置としての施策が総動員されています。

 本年十月より東京オリンピック・パラリンピック前の来年六月までの九カ月間、中小、小規模の小売店、サービス業者、飲食店において、消費者がキャッシュレス決済を行う場合にポイント還元が行われることになっています。

 また、低所得者層の方々やゼロ歳から二歳児の子育て世帯に対し、本年十月から半年間使用できるプレミアムつき商品券が発行、販売されることにより、消費税率の引上げの影響を受けやすい消費者の方々がしっかりと支援されることとなります。

 さらに、臨時特別の措置の一環として、近年頻発している大規模自然災害に対応し、国民の生命と財産を守るための防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を実施することにもなっています。

 第三の理由は、こうした必要な施策を講じると同時に、財政再建も両立させる予算である点です。我が国の財政は大変厳しい状況の中にあり、そのツケを子々孫々の代に押しつけるようなことは、断じてあってはなりません。

 平成三十一年度予算では、国の税収は六十二・五兆円が見込まれています。また、新経済・財政再生計画に沿った歳出改革の取組を継続することで、公債発行額は、第二次安倍内閣発足以来、七年連続で減額され、平成二十四年度当初予算と比較して約十二兆円の縮減が行われるなど、着実に財政健全化が進められています。

 以上、日本のあすを切り開くための平成三十一年度予算案に賛成する主な理由を申し述べました。議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 森田俊和君。

    〔森田俊和君登壇〕

森田俊和君 国民民主党の森田俊和です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案について、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 一体どうしちゃったの、最近の政治、何か違うよね、地元を歩いていますと、そんな声が聞こえてきます。支持政党を問わず、与党の支持者の方からも、こうした疑問というか、心配というか、落胆というか、そういう声が聞こえてまいります。

 今まで私たちは一定のルールの中で政治に携わってまいりました。そして、国民の皆さんも、そういうルールを暗に理解しながら政治にかかわってきたと思います。しかし、このところの統計の話は、一体何でしょう。今までのルールをいつの間にか違うものにしたり、また、それを隠したり、そして、担当者がやったことと一部の職員さんにその責任を押しつけて知らぬ顔をしたり。

 この数年間、森友、加計、いろいろなことが出てまいりました。しかし、今回の統計に手を入れるというのは、今までのこととは全く次元の異なる問題です。私たちが信じていたものが信じられなくなる、根拠にしていたものが根拠にできなくなる、そんな政治の根幹を揺るがす事態を私たちは目の当たりにしています。

 一体、私たちは何を信じればよいのでしょうか。

 これまで、恐らく総理は、人間は忘れる生き物だという認識のもと、とにかく議論を逃れれば国民は忘れると思ってこられたと思います。正月を過ぎれば忘れられる、お盆を過ぎれば忘れられると。そして、実際、支持率も下がらずにここに至っています。

 しかし、私は今、違うものを感じています。何となくこれはおかしいぞ、今までの問題とは違うんじゃないかと思う方がふえてきているのを感じます。もうそろそろ、このやり方は通じなくなると思います。これまでの一つ一つのことを国民の皆さんはずっと見ています。

 今こそ、正直に、謙虚に、国民の皆さんと向き合うときです。政府の都合がよいように手を入れた統計データをもとに、私たちは予算を論じることはできません。もう一度、きちんとした統計データを出し、それをもとに予算を組み立て、議論をすべきではありませんか。

 以下、具体的に、予算案に反対する理由を申し上げます。

 今回の統計問題は、繰り返し指摘されているように、政策立案の根底を揺るがし、民間の活動にも打撃を与え、日本の国際的な信用もおとしめる大問題です。

 今までの審議で明らかになった問題点は四つです。

 第一に、東京都内の大規模事業所について、本来全数調査すべきところを三分の一程度の抽出調査に変更したことです。

 二つ目、産業構造や労働者数などの変化を統計に反映させるベンチマーク更新に伴って生じる急激な変動を和らげるためのデータ補正を、厚生労働省が統計委員会に諮問せずに無断で取りやめていたこと。

 三つ目、二〇一八年から、こっそりと臨時や日雇労働者を調査対象から外したこと。

 四つ目、抽出調査を行ってきた中規模事業所の調査対象を二、三年に一度、全数入れかえをしてきましたが、これを部分入れかえに急に変更したこと。

 これらのことを行った結果、二〇一八年の賃金の伸び率は異常に高くなりました。国内外のエコノミストから、日本の賃金統計は信用できない、実態より高く出過ぎと批判が続出し、いまだに政府はマイナスの実質賃金の公表を拒み続けています。こうした状況の中で、きちんとした議論を行うことができるわけがありません。

 予算の内容についても問題だらけです。

 歳出は百一兆五千億円と過去最大を記録しました。今回の消費増税では一兆円以上の税収増が見込まれるのに、三十一年度もまた三十兆円を超える国債を発行することになっております。財政規律を完全に失っており、何のための消費税率引上げか、さっぱりわかりません。

 十年後、十五年後という単位で見れば、このままいくと国民の金融資産を国、地方の借金が上回る事態も予想されます。そうすると、今までの国債消化の前提が崩れ、海外の資金に頼らざるを得なくなる事態にもなり、ハイパーインフレが起きるなど、経済、財政が立ち行かなくなる事態にもなりかねません。

 支出を見てみます。

 保育の無償化の問題点について、予算委員会の中で玉木代表から指摘がありました。五千億円の予算のうち半分は年収六百四十万円以上の方のところに行き、低所得世帯にはほとんど恩恵はありません。これは、所得の低い方は、もともと減免措置があり、保育料が低くなっていることが理由ですが、結果的に、保育の無償化はお金持ちの方を優遇し、格差を拡大させてしまう予算になっています。

 消費増税対策として行われるキャッシュレスポイント還元。これも、審議の中で、お金持ちの優遇につながることが明らかになりました。例えば、中小の画廊でクレジットカードで高価な絵画を買っても五%の還元がなされることが明らかとなりました。さすがにこれはまずいということで、経済産業大臣から、何らかの上限を設けるという表明がありました。

 また、ポイント相当分の補助金のうち、消費者が使わない分は決済事業者のもらい得になる可能性があることも明らかになりました。

 さらに、キャッシュレスになれた若い方たちにはよいですが、御高齢の方はどうでしょうか。クレジットカード持ってません、QRコードって何ですか、そういう方もいらっしゃる。本当に不公平にならないようにできるのでしょうか。

 また、予算委員会で、原口委員からは、防衛関連での爆買いの指摘がなされました。

 F35やオスプレイ、イージス・アショアを入れますと。いわゆるFMSで七千億円の予算を見ています。日本の防衛戦略全体を考えての予算というよりは、トランプ大統領に言われるままに爆買いさせられているのではないでしょうか。

 例えば、F35を百四十七機買う。こんなに買って、これから調達する飛行機をF35でそろえてしまったら、ふぐあいがあって飛行停止になったときなどにはどの飛行機を飛ばすのでしょうか。また、完成機を買い入れるということで、日本独自の安全保障に対して深刻な懸念を抱く声もあります。

 こうした支出がある一方で、年金の問題があります。

 二〇一九年度の年金支給額はプラス〇・一%です。賃金上昇分で〇・六%アップに対して、マクロ経済スライド分のマイナスが入るために、実質〇・五%カットになってしまいます。物価上昇を二%見ていますので、実質的にはもっと大幅になる可能性もあります。

 ほかで大盤振る舞いの予算がついている一方で、年金は二千七百億円抑えられています。消費税増税と年金カットで、御高齢の方にとってはまさにダブルパンチとなります。国民の皆さんの老後の御心配に応えている予算と言えるでしょうか。

 以上、具体的に反対の理由を述べさせていただきましたが、政策の根拠となる統計がゆがめられてしまったことが明らかになっただけでなく、予算の内容も、これはどうなんだという疑問だらけであることが明らかになりました。

 総理の、何でもあり、いつか忘れるだろうという姿勢は、この国をどんどん間違った方向に導いています。

 私たち国民民主党は、とにかく地域を歩き、国民の皆様お一人お一人の声に耳を傾け、声なき声を拾い、この国の将来を見据え、新しい答えをつくっていきたいと常々思っております。

 時には国民の皆様に御負担をお願いしなければならないこともあります。そうしたときに、数字をいじって、何となくごまかすのではなく、現状を正確に、正直にお伝えし、粘り強く、粘り強く、皆様に御理解、御納得をしていただけるよう説明し、共有していくことが必要不可欠だと思っております。

 ここに集う全員が、よい政治を行っていきたい、そして、この日本を今よりももっと幸せな国にしていきたいと思っているはずです。そのためには、今ここで勇気を持って立ちどまり、正しい基礎データを出して国民の皆様に説明し、それをもとに再度予算を議論すべきであると謹んで御提案申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 太田昌孝君。

    〔太田昌孝君登壇〕

太田昌孝君 公明党の太田昌孝でございます。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました平成三十一年度予算三案につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 初めに、今般の統計不正問題について一言申し上げたい。

 国民生活に密接にかかわる毎月勤労統計が長年にわたって不適切な方法で調査され続けていたこと、これにより雇用保険の失業給付など国民生活に重大な影響を及ぼす事態を招いたことはまことに遺憾であり、厚生労働省には猛省を促したい。

 追加給付が必要な方への対応に万全を期すとともに、国民の信頼回復に向け、二度とこうした事態を起こさないよう、徹底した原因究明と再発防止策を講じていただくよう、政府を挙げ、全力で取り組んでいただきたい。

 来年度は、消費税率を引き上げ、急速な少子高齢化、人口減少に真っ向から挑戦する重要な年であり、本予算案はそのための重要な予算であります。

 以下、主な賛成理由を申し述べます。

 第一に、子供からお年寄りまで、全ての世代が将来にわたって安心できる全世代型の社会保障制度への転換を図る予算となっている点であります。

 本年十月、公明党が長年訴え続けてまいりました幼児教育の無償化が実現します。全ての三歳児から五歳児、住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児を対象に、幼稚園、保育園、認定こども園等の費用を無償化します。

 同時に、待機児童の解消も進みます。来年度は、新たに八万人の保育の受皿を整備するとともに、保育士のさらなる処遇改善を行うこととしております。

 子育て世帯はもとより、これからお子様を持とうとする御夫妻や結婚しようと考えている方々にも大きな安心感につながります。

 消費税の増収分は、高齢者の社会保障の充実にも充てられます。

 低年金で暮らす高齢者に対し、月額最大五千円を上乗せする年金生活者支援給付金を支給するほか、住民税非課税世帯の方々の介護保険料を更に引き下げます。

 高齢者の日々の暮らしに大きな安心を与えるものとなっています。

 第二に、消費税の引上げに伴う影響に十二分に対応している点です。

 このたびの引上げに当たっては、軽減税率制度を実施するほか、幼児教育の無償化や年金生活者支援給付金といった措置も相まって、経済に与える影響を二兆円程度に抑えています。

 さらに、臨時特別の措置として、約二兆円余を計上し、さらなる家計支援策や需要平準化を実施することで、景気への影響に十二分に対応することとしております。

 このうち、プレミアムつき商品券は、住民税非課税の方と三歳未満の子を持つ子育て世帯を対象に、プレミアム分を上乗せした商品券を購入できるようにし、税率引上げ後の家計を応援するものであります。前回の実績から、経済効果はあるということが実証済みであり、さらに、今回は発行自治体が柔軟に制度設計できる仕組みとしており、地域の消費を誘引し、地域経済の活性化やにぎわいの創出に大いに貢献することが期待されます。ばらまきとの批判は当たりません。

 また、需要平準化策としては、住宅や自動車の税率引上げ後の購入を支援するため、すまい給付金の支給や次世代住宅ポイントの付与、あわせて住宅ローン減税や自動車税の引下げといった税制措置との両面による対策で、税率引上げ後の購入にメリットがある環境を生み出しています。

 そのほか、子供の貧困に対応するため、児童扶養手当の支給を受けている未婚の一人親に対して来年度は一万七千五百円を上乗せして支給することにするなど、公明党の主張が随所に反映されております。

 第三に、災害から国民の皆様の命と暮らしを守る予算となっている点であります。

 近年、災害の発生頻度が高まっており、重要インフラの緊急点検の結果を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の着実な実施が求められます。

 二年目となる来年度は、約一・三兆円を計上し、学校等のブロック塀の安全対策、社会福祉施設の耐震化、停電時にも医療的配慮を継続するための非常用自家発電設備の整備、訪日外国人のための避難情報の多言語対応、ターミナルビルの電源設備の浸水対策など、緊急かつ重要な対策の完了を目指すこととしております。

 また、通学路のブロック塀の改修など、防災・安全交付金を約一・三兆円計上しているほか、公明党が主張してきた、社会全体で災害リスクに備える防災意識社会への転換に向けた取組も前進をいたします。

 最後に、こうした大きな財政出動を講じる中においても、社会保障関係費を高齢化による増の範囲内に抑え、国債発行額を七年連続で縮減し、プライマリーバランスは改善しており、財政健全化計画に沿った歳出改革が講じられている点も評価いたします。

 以上、平成三十一年度予算三案は、国民が安心して暮らせる社会保障の確立を目指しつつ、景気の拡大を更に図る予算であるとともに、災害から国民の皆様の命と暮らしを守る重要な予算となっており、早期成立と速やかな執行を望みます。

 公明党は、この国の将来に責任を持ち、国民が安心して暮らせる国づくりへ全力を尽くすことをお約束し、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、二〇一九年度総予算三案に反対の討論を行います。(拍手)

 そもそも、統計不正は予算の土台を掘り崩すものであり、その解明は予算審議の前提です。にもかかわらず、真相の解明に背を向け、実質賃金のマイナスを隠したまま審議を打ち切り、採決を強行するなど、到底認めることはできません。

 統計不正の真相解明は、与野党を超えた国会の責務です。だからこそ、与野党の国対委員長が、国会開会前の一月十八日の会談で、統計問題は予算と国の政策にかかわる課題として、徹底して全容解明を進めると合意したのです。このとき、自民党の森山国対委員長は、資料は包み隠さず誠実に対応するよう厚労省に求めていると述べたではありませんか。

 ところが、予算審議に入ると、政府・与党は、必要な資料の提出を拒否し、真相解明のキーマンとなる参考人の招致を拒み続けました。

 厚労大臣が第三者による公正中立な調査と称した特別監察委員会は、結局、うそを認定しながら組織的隠蔽を認めないなど、極めて欺瞞的な報告を繰り返しています。

 また、毎月勤労統計の調査手法の変更に官邸関係者が関与したメールの存在により、総理官邸が関与した疑いが極めて濃厚になったにもかかわらず、調査対象から外しています。これで幕引きなど、到底許されません。

 日本共産党は、全ての資料の提出と関係者の招致による徹底した全容解明、正しいデータに基づいた予算審議を強く求めるものです。

 本予算の最大の問題は、消費税一〇%増税を前提としていることです。

 日本経済の六割を占める家計消費が、消費税八%増税を契機に激しく落ち込み、いまだに回復できていません。安倍総理は、予算委員会で、我が党の志位委員長の質問に対して、家計消費も実質賃金もマイナス、水面下だと認めました。増税の根拠は総崩れです。

 総理は、就業者が三百八十万人ふえたと繰り返してきました。しかし、三百八十万人の実態は、その多くが、年金の不安から無理をして働く高齢者や、高学費に苦しみアルバイトを強いられている学生たちです。総理もこの実態を否定することができなかったではありませんか。

 今のこの経済情勢のもとで、一〇%増税によって五兆七千億円もの負担を押しつければ、家計にも経済にも大打撃を与えることは明らかです。

 そもそも、消費税は逆進性を持つものです。安倍総理は、軽減税率などで緩和できるなどと答弁しましたが、軽減といっても八%に据え置くだけです。しかも、今ぎりぎりの生活をしている低所得者にとっては、車やマンションを買うときの減税措置などほとんど関係ありません。消費税一〇%増税は絶対にやめるべきです。

 消費税導入から三十年。消費税は増税を重ねる一方で、法人税は減税し続けてきました。今やるべきは、アベノミクスのもとで大もうけしてきた富裕層、大企業への行き過ぎた優遇税制を改め、応分の負担を求めることです。

 重大なことは、本予算案の軍事費が五兆二千五百七十四億円に達し、五年連続で過去最高を更新していることです。米国の有償軍事援助、いわゆるFMSに基づく購入額は、七千十三億円と過去最高です。

 しかも、安倍政権は、米国検査院から千件近い欠陥が指摘されているF35を百機以上購入し、北朝鮮からのミサイル対策と称してイージス・アショアを購入しようとしています。トランプ大統領に言われるがままの米国製兵器の爆買いは、到底認められません。

 憲法違反の安保法制のもとで戦争する国づくりを進める大軍拡予算を削って、国民の大切な税金は、福祉、暮らし、教育に優先的に使うことを強く求めます。

 さらに、安倍総理が成長戦略の目玉としてトップセールスで推進してきた原発輸出の破綻も明らかです。安全面でもコスト面でも、もはや原発は成り立ちません。

 原発輸出戦略への何の反省もなく、国内では原発を再稼働し、新増設を狙うなど、もってのほかです。原発への固執をやめ、野党が共同提出している原発ゼロ基本法の実現を強く求めるものです。

 最後に、二月二十四日、沖縄県で辺野古埋立てへの賛否を問う県民投票が行われ、七一・七%が反対という圧倒的な民意が示されました。安倍政権は、この県民の意思を重く受けとめるべきです。

 辺野古新基地建設を断念し、無条件で普天間基地を直ちに閉鎖、撤去するよう米国と交渉することを強く求め、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 浦野靖人君。

    〔浦野靖人君登壇〕

浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。

 私は、我が党を代表して、平成三十一年度予算案に対し、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 平成三十一年度予算案に反対する第一の理由は、本年十月に予定している消費税増税です。平成三十一年度予算は、消費税増税を当て込んで組まれています。到底賛成できる内容ではありません。

 日本維新の会は、これまで何度も身を切る改革を主張してまいりました。国民の皆さんに増税をお願いする前にすることがある。それが身を切る改革です。政治家が率先して身を切る姿勢を見せる。国会が身を切る改革も行わずに、国民の皆さんに負担をお願いするのはもってのほかです。

 さらには、今、世界的に景気が退潮しています。IMFとOECDは、ことしの経済成長を下方修正しました。昨年の経済成長率は名目で〇・六%と、一昨年の一・七%から著しい低下を見せました。その上に、ことしは、国際機関も予測する、更に景気の退潮の波がかぶさってきます。このようなときに、消費税という消費の低迷をもたらす増税を行うことは、とても正気とは思えません。

 また、消費増税だけでなく、軽減税率を前提としている点も、拙速に過ぎるものであり、将来に禍根を残すと考えます。

 二〇一五年に軽減税率の導入を決めた際に、給付つき税額控除の導入も選択肢であったはずであり、マイナンバーカードの普及を前提としたポイント還元策が可能であるならば、給付つき税額控除の導入を検討すべきであります。

 日本維新の会は、消費税増税の凍結及び軽減税率に対する反対を主張します。

 第二の理由としては、政府の予算説明にはごまかしがあるという点です。

 政府の説明では、平成三十一年度の税収は、バブル期であった平成二年度の六十・一兆円を超えて、史上最高の六十二・五兆円になると説明しています。

 しかしながら、平成二年当時の消費税は三%、来年度には一〇%への増税を予定し、国民に負担を強いるのですから、当たり前です。平成二年当時の国民負担率は三八・四%、ことしは四二・五%にまで上がっています。

 歳出はどうか。歳出を比べますと、平成二年度の歳出は六十九・三兆円、赤字国債は六・二兆円にすぎません。平成三十一年度予算の歳出は百一・五兆円であり、来年度予算において、平成二年度の五倍、三十一・九兆円の新規国債の発行を予定しています。

 税収が六十二・五兆円しか見込まれないにもかかわらず、百一兆円の予算を組むことは大きな問題です。安倍政権ではプライマリーバランスの黒字化を進めるといいながら、黒字化は遠のくばかりです。

 そしてまた、政府があたかもプライマリーバランスが改善されているかのような説明をすることも問題です。

 財務省資料は、国債発行額は七年連続して減少したと説明し、麻生財務大臣の国会答弁にも同じ内容があります。ところが、補正予算と合計した決算ベースでは、平成二十八年度と三十年度は前年度に比べて公債の発行額がふえているのです。本予算だけを分けて切り出せば、あたかも七年連続して公債発行が減少しているように見せることができるだけの話です。このようなうそをついて国民の目をごまかすのは、政府として誠実な態度ではありません。強く反省を求めます。

 第二次安倍政権が始まった当初は、黒田日銀総裁による大規模な金融緩和の影響で確かに景気がよくなりましたが、消費税を五%から八%に上げたことで、消費を縮小させる結果となりました。経済成長を維持するために財政支出をふやすしかなくなり、結果として赤字国債による歳出の拡大を続けざるを得なくなったわけです。

 本来あるべき姿は、民間消費支出や民間設備投資が拡大することによる経済成長です。それを消費税増税によって潰し、その結果、巨額の赤字国債の発行を続けていることが問題です。景気の動向を考慮した上でも、絶対に増税すべきではありません。増税すれば、財政の赤字国債依存度を高め、再び巨大なツケを次の世代に押しつけることになるでしょう。

 政府は、新三本の矢として希望出生率を一・八にすると公言しました。そもそも希望出生率という指標は意味不明ですが、新三本の矢を提示して以降、年間の出生率は年々低下しています。昨年の出生数は九十二万人であり、全く歯どめがかかっていません。子育て世代への支援を厚くするためには、高等教育も含めた教育の無償化を全面的に進めるべきです。そのためには、憲法に教育無償化を書き込み、政権がかわっても教育無償化は必ず実行するようにすべきです。子供、そして子育て世帯への支援の充実が少子化を食いとめる有効な手段であり、教育無償化は未来への投資です。政策の方向性をさらなる教育無償化へとかじを切ることを主張します。

 予算は国の意思を示すものです。日本維新の会は、教育無償化の推進と身を切る改革、そして公務員人件費の削減について引き続き努力をしてまいりますことをお約束して、私からの平成三十一年度予算案に対する反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は時間の関係上この程度にとどめ、明二日午前零時十分から本会議を開き、本日の議事を継続することといたします。

 本日は、これにて延会いたします。

    午後十一時四十九分延会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    石田 真敏君

       法務大臣    山下 貴司君

       外務大臣    河野 太郎君

       文部科学大臣  柴山 昌彦君

       厚生労働大臣  根本  匠君

       農林水産大臣  吉川 貴盛君

       経済産業大臣  世耕 弘成君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       環境大臣    原田 義昭君

       防衛大臣    岩屋  毅君

       国務大臣    片山さつき君

       国務大臣    櫻田 義孝君

       国務大臣    菅  義偉君

       国務大臣    平井 卓也君

       国務大臣    宮腰 光寛君

       国務大臣    茂木 敏充君

       国務大臣    山本 順三君

       国務大臣    渡辺 博道君


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