衆議院

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第9号 平成31年3月2日(土曜日)

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平成三十一年三月二日(土曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第五号

  平成三十一年三月二日

    午前零時十分開議

 第一 平成三十一年度一般会計予算(前会の続)

 第二 平成三十一年度特別会計予算(前会の続)

 第三 平成三十一年度政府関係機関予算(前会の続)

 第四 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出)

 第六 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出)

 第七 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第八 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 平成三十一年度一般会計予算(前会の続)

 日程第二 平成三十一年度特別会計予算(前会の続)

 日程第三 平成三十一年度政府関係機関予算(前会の続)

 日程第四 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出)

 日程第六 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出)

 日程第七 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)


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    午前零時十二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 平成三十一年度一般会計予算(前会の続)

 日程第二 平成三十一年度特別会計予算(前会の続)

 日程第三 平成三十一年度政府関係機関予算(前会の続)

議長(大島理森君) 日程第一、平成三十一年度一般会計予算、日程第二、平成三十一年度特別会計予算、日程第三、平成三十一年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題とし、前会の議事を継続いたします。

 討論を継続いたします。もとむら賢太郎君。

    〔もとむら賢太郎君登壇〕

もとむら賢太郎君 社会保障を立て直す国民会議のもとむら賢太郎です。

 平成三十一年度予算案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 一月、二月になると、地元相模原市から小学生が国会見学にやってきます。そこで子供たちに国会の役割は何だと思いますかと質問すると、子供たちは予算と法律をつくるところだと答えてくれます。更に話してみると、自分たちも消費税を払っている納税者だという意識を持っている子もいます。子供たちに恥じない、未来につながる予算編成を私たち政治家はしなければならない、そう思っています。

 さて、そう思ったとき、平成三十一年度予算案は果たして未来につながる予算編成となっているでしょうか。残念ながら、私にはそう思えません。

 通常国会冒頭の代表質問で我が会派の野田佳彦代表が指摘したように、昨年十一月の財政審建議は、平成を、常に受益拡大と負担軽減、先送りを求めるフリーライダーのゆがんだ圧力に税財政運営があらがい切れなかった時代と総括しています。

 当初予算として初めて一般会計総額が百兆円の大台を超える平成三十一年度予算案の歳出膨張の要因は、消費税増税対策と称するばらまき予算です。

 私は、社会保障の充実、安定のため、前提となる諸条件さえ整えば、国民皆様に御理解をいただきながら、消費税を増税することをやむを得ないと考えています。しかし、安倍政権は、参議院の定数六増や社会保障改革の立ちおくれなど、国民との約束を明らかにたがえており、到底、消費増税の前提条件が整ったとは言えません。

 その上、ばらまき予算の象徴である、キャッシュレス決済でのポイント還元策は、対象商品や購入店舗、購入手段によって、実質的に三、五、六、八、一〇%の複数税率を生み出し、店頭での混乱を懸念される上、カードを持てない高齢者や子供たちには恩恵が及ばないという、致命的な不公平を生む愚策であります。

 この大盤振る舞いのポイント還元策は来夏の東京オリンピックまでで終了するため、その時点での実質的な大幅増税によって、オリンピック後の不景気、いわゆるオリンピックの崖に転落する懸念もあります。

 まして、将来不安の解消や社会保障の充実、財政再建のため増税もやむを得ないと理解してくださっていた国民にとって、政府への不信が増幅されることにつながります。

 消費税財源の使途を変更して実施することとなった幼児教育無償化は、一昨年の総選挙直前に安倍総理が、突如、独断で決めた経緯があり、待機児童対策や保育の質の確保に関する議論が置き去りにされています。

 特に、子育てや保育、幼児教育について直接責任を持つ地方自治体との間で、政策的な意見交換が十分行われた形跡はありません。まして、国の都合で、財源負担の半分を事後的に地方にツケ回す中央集権的な安倍政権の姿勢は、この数十年地方分権を推し進めてきた国政、地方政治の積み重ねや地方自治の理念と重要性を無視するものと言わざるを得ません。

 我が会派は、医療制度を始め、いまだ手つかずの社会保障の改革について、地方の現場の実情を踏まえて取り組み、一人でも多くの国民の皆様が満足し、安心していただける制度を提言していく所存です。

 毎月勤労統計の調査不正が発覚したことを機に、これまで一カ月の国会審議の多くの時間が統計不正の問題に費やされました。森友、加計問題と同じように、政府・与党は真相解明について後ろ向きで、誠実さを欠いた対応が続いています。

 まして、統計不正は、予算編成の前提となる、賃金動向など景気判断を左右する統計データへの信頼性を損なう重大問題であるにもかかわらずです。信用できない政府統計を基礎に、政策立案も国会審議もできません。

 以上の理由により、我が会派は、当初予算案は反対いたします。

 私たち政治家は、選挙で選ばれ、国民の代表としてこの場にいます。税金の使い方を監視し、政府の政策運営を国民の望む方向に正していく責任があります。

 今の国会は、安倍官邸一強のもと、その役割、責任を果たされていません。このことは、議会制民主主義を大切に守り続けてきた先人の努力を踏みにじるものであり、強く警鐘を鳴らしたいと思います。

 私は、神奈川県議会議員六年を経て、二〇〇九年の初当選以来、約七年半、衆議院議員として、仲間とともに地方分権、教育、福祉、災害対策など、さまざまな課題に取り組んでまいりました。

 政は民にありの言葉を信念に、常に地元を歩き、いただいた声を国会に届けることを心がけてまいりました。

 日本という国は、全国津々浦々の地域が集積して成り立っています。そして、政治の使命は、それぞれの地域の一人一人の国民が安心して暮らせる社会をつくるため、限られた税収を理想的に配分していくことであります。

 国政で取り組むべき仕事はまだまだ残されていますが、この思いを貫き、これからも一政治家としての道を歩んでまいる所存であります。

 社会保障を立て直すため、国民とともに歩みを進める、現在の所属会派の皆さんはもちろん、与野党を超え、これまでお世話になってきた先輩、同僚議員の皆様に心より感謝を申し上げまして、私の討論を終わりにします。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 平成三十一年度一般会計予算外二案を一括して採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十八

  可とする者(白票)        三百十

  否とする者(青票)       百四十八

議長(大島理森君) 右の結果、平成三十一年度一般会計予算外二案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)

    ―――――――――――――

平成三十一年度一般会計予算外二案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名

あかま 二郎君   あきもと 司君   あべ  俊子君   安倍  晋三君

逢沢  一郎君   青山  周平君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

秋本  真利君   麻生  太郎君   穴見  陽一君   甘利   明君

安藤  高夫君   安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君

井上  貴博君   井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君

伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君

池田  佳隆君   石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君

石破   茂君   石原  伸晃君   石原  宏高君   泉田  裕彦君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君

岩屋   毅君   うえの賢一郎君   上杉 謙太郎君   上野  宏史君

江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君

遠藤  利明君   小倉  將信君   小此木 八郎君   小里  泰弘君

小田原  潔君   小野寺 五典君   小渕  優子君   尾身  朝子君

越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君   大隈  和英君

大塚  高司君   大塚   拓君   大西  英男君   大西  宏幸君

大野 敬太郎君   岡下  昌平君   奥野  信亮君   鬼木   誠君

加藤  鮎子君   加藤  勝信君   加藤  寛治君   梶山  弘志君

勝俣  孝明君   門   博文君   門山  宏哲君   金子  俊平君

金子 万寿夫君   金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君

神谷   昇君   神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河井  克行君   河村  建夫君   神田  憲次君

神田   裕君   菅家  一郎君   木原  誠二君   木原   稔君

木村  次郎君   木村  哲也君   木村  弥生君   城内   実君

黄川田 仁志君   岸   信夫君   岸田  文雄君   北村  誠吾君

工藤  彰三君   国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君

小泉  龍司君   小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君

小林  鷹之君   小林  史明君   古賀   篤君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君

左藤   章君   佐々木  紀君   佐藤  明男君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君

坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   繁本   護君   柴山  昌彦君   下村  博文君

白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君

菅原  一秀君   杉田  水脈君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君

鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君

関   芳弘君   薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君   田中  和徳君

田中  英之君   田中  良生君   田野瀬 太道君   田畑  裕明君

田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君   高木   啓君

高木   毅君   高鳥  修一君   高橋 ひなこ君   竹本  直一君

武井  俊輔君   武田  良太君   武部   新君   武村  展英君

橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君

谷川  弥一君   津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君

寺田   稔君  とかしきなおみ君   冨樫  博之君   渡海 紀三朗君

土井   亨君   冨岡   勉君   中曽根 康隆君   中谷   元君

中谷  真一君   中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君

中山  泰秀君   永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君

二階  俊博君   丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

根本  幸典君   野田  聖子君   野田   毅君   野中   厚君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君   馳    浩君

鳩山  二郎君   浜田  靖一君   林   幹雄君   原田  憲治君

原田  義昭君   百武  公親君   平井  卓也君   平口   洋君

平沢  勝栄君   福井   照君   福田  達夫君   福山   守君

藤井 比早之君   藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君

船橋  利実君   古川   康君   古川  禎久君   古田  圭一君

古屋  圭司君   穂坂   泰君   星野  剛士君   細田  健一君

細田  博之君   堀井   学君   堀内  詔子君   本田  太郎君

牧島 かれん君   牧原  秀樹君   松島 みどり君   松野  博一君

松本   純君   松本  剛明君   松本  文明君   松本  洋平君

三浦   靖君   三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君

三原  朝彦君   御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮川  典子君

宮腰  光寛君   宮崎  政久君   宮澤  博行君   宮路  拓馬君

宮下  一郎君   武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君

村井  英樹君   村上 誠一郎君   望月  義夫君   茂木  敏充君

盛山  正仁君   森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君

簗   和生君   山際 大志郎君   山口  俊一君   山口  泰明君

山口   壯君   山下  貴司君   山田  賢司君   山田  美樹君

山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君   山本  有二君

吉川  貴盛君   吉野  正芳君   義家  弘介君   和田  義明君

若宮  健嗣君   渡辺  孝一君   渡辺  博道君   赤羽  一嘉君

井上  義久君   伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君

石田  祝稔君   稲津   久君   浮島  智子君   江田  康幸君

大口  善徳君   太田  昭宏君   太田  昌孝君   岡本  三成君

北側  一雄君   國重   徹君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君

斉藤  鉄夫君   高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君

遠山  清彦君   富田  茂之君   中野  洋昌君   浜地  雅一君

濱村   進君   古屋  範子君   桝屋  敬悟君   鰐淵  洋子君

細野  豪志君   鷲尾 英一郎君

否とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君

荒井   聰君   伊藤  俊輔君   池田  真紀君   石川  香織君

今井  雅人君   生方  幸夫君   江田  憲司君   枝野  幸男君

小川  淳也君   尾辻 かな子君   大河原 雅子君   大串  博志君

逢坂  誠二君   岡島  一正君   岡田  克也君   岡本 あき子君

落合  貴之君   海江田 万里君   金子  恵美君   神谷   裕君

亀井 亜紀子君   川内  博史君   菅   直人君   菊田 真紀子君

黒岩  宇洋君   近藤  昭一君   佐々木 隆博君   櫻井   周君

篠原   豪君   末松  義規君   田嶋   要君   高井  崇志君

高木 錬太郎君   武内  則男君   辻元  清美君   手塚  仁雄君

寺田   学君   中川  正春君   中谷  一馬君   中村 喜四郎君

長尾  秀樹君   長妻   昭君   西村 智奈美君   長谷川 嘉一君

初鹿  明博君   福田  昭夫君   堀越  啓仁君   本多  平直君

松田   功君   松平  浩一君   道下  大樹君   宮川   伸君

村上  史好君   森山  浩行君   矢上  雅義君   山内  康一君

山尾 志桜里君   山川 百合子君   山崎   誠君   山花  郁夫君

山本 和嘉子君   横光  克彦君   吉田  統彦君   早稲田 夕季君

青山  大人君   浅野   哲君   泉   健太君   稲富  修二君

小熊  慎司君   小沢  一郎君   大島   敦君   大西  健介君

岡本  充功君   奥野 総一郎君   吉良  州司君   城井   崇君

岸本  周平君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   後藤  祐一君

近藤  和也君   佐藤  公治君   斉木  武志君   階    猛君

篠原   孝君   下条  みつ君   白石  洋一君   関  健一郎君

玉木 雄一郎君   津村  啓介君   西岡  秀子君   原口  一博君

日吉  雄太君   平野  博文君   古川  元久君   古本 伸一郎君

前原  誠司君   牧   義夫君   緑川  貴士君   森田  俊和君

山岡  達丸君   山井  和則君   渡辺   周君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   藤野  保史君

宮本  岳志君   宮本   徹君   本村  伸子君   足立  康史君

井上  英孝君   浦野  靖人君   遠藤   敬君   串田  誠一君

下地  幹郎君   杉本  和巳君   馬場  伸幸君   丸山  穂高君

森   夏枝君   井出  庸生君   玄葉 光一郎君   重徳  和彦君

中島  克仁君   野田  佳彦君   広田   一君  もとむら賢太郎君

照屋  寛徳君   吉川   元君   井上  一徳君   中山  成彬君

長島  昭久君   笠   浩史君   青山  雅幸君   赤松  広隆君

柿沢  未途君   馬淵  澄夫君   松原   仁君   柚木  道義君

     ――――◇―――――

 日程第四 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出)

 日程第六 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出)

 日程第七 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第四、地方税法等の一部を改正する法律案、日程第五、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、日程第六、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案、日程第七、地方交付税法等の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長江田康幸君。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案及び同報告書

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案及び同報告書

 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江田康幸君登壇〕

江田康幸君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、地方税法等の一部を改正する法律案は、特別法人事業税の創設にあわせた法人事業税の税率の引下げを行うとともに、自動車税の種別割の税率引下げ及びこれに見合った地方税財源の確保、ふるさと納税制度の見直し等の措置を講じようとするものであります。

 次に、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案は、地方税の税源の偏在性の是正に資するため、特別法人事業税を創設するとともに、その収入額に相当する額を特別法人事業譲与税として都道府県に譲与しようとするものであります。

 次に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案は、市町村及び都道府県が実施する森林の整備等に関する施策に充てるため、森林環境税を創設するとともに、その収入額に相当する額を森林環境譲与税として市町村及び都道府県に譲与しようとするものであります。

 最後に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、平成三十一年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるほか、地方交付税の単位費用等の改正、震災復興特別交付税の確保並びに自動車税減収補填特例交付金及び軽自動車税減収補填特例交付金の創設等の措置を講じようとするものであります。

 各法律案は、去る二月十五日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、十九日各法律案について石田総務大臣から提案理由の説明を聴取した後、二十一日から質疑に入り、二十六日には安倍内閣総理大臣に対する質疑を行いました。昨日、質疑を終局し、討論を行い、採決いたしましたところ、各法律案は賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対し附帯決議が付されました。

 また、委員会において、持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件について決議を行いました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 四案につき討論の通告があります。順次これを許します。山花郁夫君。

    〔山花郁夫君登壇〕

山花郁夫君 立憲民主党・無所属フォーラムの山花郁夫でございます。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案等四法案につきまして、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に賛成、その他の三の法律案については反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 本年十月に消費税率を一〇%に引き上げることが閣議決定されております。一月三十日の本会議で枝野代表の質問でも触れておりますけれども、今取り組むべき政治の課題は、暮らしの下支えと将来不安の緩和に向けた政策を進めることにより消費を回復させることであり、とても消費税を引き上げる環境にはないというのが私どもの認識です。

 平成三十一年度地方財政計画は、消費税率一〇%への引上げを前提として策定されたものであり、今回の地方交付税法改正案は、このような地方財政計画に基づいて立案されたものであるから反対するものであります。

 消費税の引上げには反対という前提を置かせていただきますけれども、そもそも、消費税を五%から一〇%に引き上げる際、国と地方の配分割合については、四回の分科会を開いた上で、平成二十三年十二月二十九日に、国と地方の協議の場における協議の結果、社会保障の充実分に係る国と地方の役割分担に応じて、国分を三・四六%、地方分を一・五四%としたという経緯がございます。

 この役割分担を決定するに際しては、増収分に係る地方の取り分をできるだけ多くするというために、地方単独事業が広くその対象に加えられました。

 地域主権のあり方、地方自治のあるべき方向性を国と自治体が対等な立場で議論し合い、結論を得るという極めて真っ当なプロセスが、総理が悪夢と呼ぶ時代にはしっかりと行われていたということを、ここで改めて確認をしたいと思います。

 ところが、あろうことか、平成三十一年度地方財政計画には、消費税の引上げに合わせて実施される幼児教育の無償化のための財源措置が盛り込まれております。

 この幼児教育の無償化は、地方への事前協議もないままに、政府が一方的に決定し、地方に押しつけたものであります。地方の側から求めたものではなく、国が決めたことですから、全額国費で賄われるのが本来の筋合いである、市長会はこのように主張しておりましたが、極めて当然のことではないでしょうか。

 にもかかわらず、平成三十一年度分だけ国が全額負担しますが、平成三十二年度からは、おおむね都道府県が四分の一、市町村が四分の一を負担することとされました。

 平成二十三年に国と地方が消費税の割合について合意をした時点では、当然、今回の無償化が前提とされているはずは全くありませんから、もともとは地方単独事業に使えるはずであった地方の増収分の多くは、幼児教育の無償化のための財源に消えることになってしまいます。

 ところで、格差の是正ということは、ひとり国だけが行うものではありません。私が住んでいる調布市では、住民税非課税世帯を始め、保育料をゼロ円とする施策は既に実施をされております。

 所得割税額の世帯の階層区分を細かく決めております。二十六の階層に料金を区分しておりまして、世帯の所得割税額が九十万円を超える、つまり一番所得が高い二十六番目の階層には、ゼロから二歳児クラスの標準時間で月額五万九千九百円の保育料と定めています。このような取組は決して珍しいことではなく、多くの自治体で取り組まれておりますので、議場にいる議員の皆様の御地元でも、多くの自治体で取り組まれているのではないでしょうか。

 幼児教育の無償化は、担税力のある世帯には応分の負担を、なかなか生活が厳しいという御家庭には保育料を徴収しないという、いわば自治体による格差是正策でありますけれども、今回の無償化は、いわばこうした自治体による格差是正策を国が逆の方向に上書きをしてしまうという政策であるということも指摘をしなければならないと思います。

 無償化よりも全入を優先すべきです。同じお金を使うのであれば、まずは待機児童問題に集中投資をし、これを解消することが先に行われなければならない政策のはずであると私どもは考えます。

 さて、今回の特別法人事業税及び譲与税法案は、地方税を国税化する、つまり地方の取り分を国の取り分にしてしまいます。地方交付税や地方譲与税で配り直すものであります。このことは、地方の自主財源を縮小させることとなりますから、地方の自立と活性化を目指す地方分権には逆行するものではないでしょうか。

 また、地方交付税の不交付団体への譲与額の七五%は譲与されない。つまり、不交付団体は国から取られた分の二五%しか返ってきません。これは、頑張って地方交付税の不交付団体になろうとしても、せっかく不交付団体になると大損をしてしまうことになります。これでは、みずからが地域経済を活性化させて税収をふやして、交付団体から不交付団体へと脱却しようとする自治体のインセンティブを阻害する仕組みと言わなければなりません。

 さらには、法人事業税課税の根拠というのは、法人が事業活動を行うに当たって、都道府県の行政サービスの提供を受けていることから、これに必要な経費を分担すべきという、いわば応益負担の考え方によるものです。そして、これを税源の状況を示す客観的な基準によって配分するというのが制度本来のあり方のはずです。にもかかわらず、今回の特別地方譲与税は、法人の事業活動には対応しない、人口という基準によって配分するという、税法のセオリーからいっても極めて不自然なものと言わなければなりません。

 偏在是正の取組は、このような小手先の見直しではなくて、消費税における地方分のさらなる見直しも含めて、税制の抜本的な改革によって行われるべきであります。

 かつて地方公共団体は、国の下部機関としての位置づけ、すなわち、機関委任事務を担わされていた時代がありました。しかし、一九九九年、地方分権一括法によって機関委任事務は廃止をされて、国と地方は対等な関係として、法定受託事務というものが創設をされたのです。その際、地方分権推進委員会は、むやみに国が法定受託事務を創設することのないよう、法定受託事務についてはカテゴリーというものを示しています。

 法定受託事務というのは、国が対等な立場である地方に対してお願いをする筋合いのものであります。自衛隊法九十七条、同法施行令百二十条は法定受託事務のはずです。自衛官のポスターを役場の告知板に張るのは、ここにいう事務の一つでありましょうし、募集対象年齢の住民人口が我が町にはこれだけいますというような統計的なものの提供は、資料の提供に当たると言えましょう。

 しかし、条文上、明確に個人情報を紙か電子媒体にして名簿で提供しなければならないとは定められておりません。むしろ、個人情報保護条例に照らして、そのような形では提供できないという自治体の主張の方に分があると言わざるを得ません。

 まさかとは思いますが、総理はいまだに地方公共団体は国の下部機関だと誤解されているのではないでしょうか。もし誤解していないということであれば、あたかも前世紀に既に廃止をされている機関委任事務をほうふつとさせるような、協力を拒否している悲しい実態があるなどという非難めいたせりふは、自治体に対して極めて失礼な発言であり、撤回されるべきだということを申し上げまして、私の討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 稲富修二君。

    〔稲富修二君登壇〕

稲富修二君 国民民主党・無所属クラブの稲富修二です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案、地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案に対し、反対の立場から、そして、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 まず、統計の問題です。

 毎月勤労統計については、日雇労働者を調査対象から外したり、抽出で行われている中規模事業者の調査について、総入れかえ方式から部分入れかえ方式に変更したり、ベンチマーク更新の補正を取りやめたりすることで、二〇一八年の賃金が大きく上振れし水増しされております。

 我々はかねてより、アベノミクスの問題点として、実質賃金が伸びていないことを指摘してまいりました。高齢化による大量退職時代を迎え、人手不足なのに、なぜ賃金が上がらないのかは、現在の日本経済における大問題であります。しかし、こうした問題に正面から向き合おうとせずに、統計の数字を動かし、賃金が上がったことに見せかけ、今日においてもマイナスの実質賃金の統計を隠し続けております。この現状はアベノミクス偽装であり、到底許されるものではありません。

 以下、個々の法案の内容について述べてまいります。

 まず、ふるさと納税制度の見直しについてであります。

 ふるさと納税の当初の理念自体はすばらしいものですが、現実は、そうした理念とは大きく乖離してしまっております。返礼品競争の過熱で特定の自治体に寄附が集中し、本来恩恵を受けられるはずの地方の町や村でも税収流出に苦しんでおります。また、高所得者ほど控除額の上限が高くなり、豪華な返礼品を得られます。所得再分配とは正反対の方向へ向かっております。

 改正法では、返礼品を地場産品に限定するとされていますが、では地場産品とは何なのか、不明確なままであります。結局、具体的には総務大臣が基準を定め、判断するというのでは、地方の創意工夫の尊重とは言えず、中央集権に逆戻りしてしまいます。

 次に、自動車関連諸税についてであります。

 今回の地方税法改正案の中で、自動車税の税率引下げや地方税財源の確保など、我が党の対案である税制改革新構想と方向性を同じくする部分もあります。

 しかし、今回、与党の税制改正大綱の中で、「車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とする。」とされている点は、同意できません。車体課税を減税したと政府・与党は宣伝するかもしれませんが、結局のところ、消費増税と合わせると増税であります。私たちは、ユーザー負担を軽減し、家計を支援する観点からの改正を引き続き求めてまいります。

 次に、特別法人事業税、特別法人事業譲与税についてであります。

 近年、地域間の財政力格差が拡大しています。今回の特別法人事業税、特別法人事業譲与税の創設は、地方法人課税における税源の偏在を是正し、地域間の財政力格差拡大に対応するための措置です。

 しかし、今回の措置は、暫定的な措置として二〇〇八年に導入された地方法人特別税と類似した制度で上書きしたにすぎません。都市と地方の構造問題自体には何ら切り込んでおらず、抜本改革にはほど遠い状況であります。

 次に、森林環境税、森林環境譲与税についてであります。

 森林環境税の賦課の方法、対象、また使途については、疑問点や課題はまだあります。しかし、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する必要に鑑み、賛成いたします。

 安倍内閣の税財政政策に一貫しているのは、高所得者を優遇するという基本姿勢であります。ここが根本的に我々と異なります。

 ふるさと納税についても、高所得者ほど寄附上限額が高くなり、その分、多くの返礼品を受け取れることになっております。高所得者にとって極めてありがたい制度であることは明白です。

 また、消費増税の激変緩和として住宅ローン減税を拡充しますが、これだけでは高所得者優遇です。住宅を新規購入する余裕のある御家庭は恩恵が及びますが、賃貸住宅の方々には全く関係ありません。家を買える高所得者だけを優遇する政策と言えます。

 まだあります。消費税の軽減税率です。累次にわたって我々が指摘してきたように、食料品八%は確かに消費者にとってありがたいですけれども、高所得者ほどその恩恵を受けることになります。国産牛の切り落とし牛肉でも、国産の高級和牛でも、二%の恩恵を受けます。軽減の必要のない高所得者の方がより得をする制度にしか私には思えません。

 話はこれで終わりません。ポイント還元制度です。中小事業者でキャッシュレス決済をすると、二%か五%が還元されます。高級食材、高級絵画、骨とう品、高級時計、高級スーツ、高級電化製品もその対象となります。上限もなく、幾ら購入しても還元されます。このポイント還元事業で最も得をするのは、明らかに高所得者であります。

 また、二〇二五年までにキャッシュレス決済比率を現在の二〇%から四〇%へ目指すそうです。残り六〇%の決済には何の恩恵もありません。約三千億円という巨額の事業費を投じて、カードを使わないお年寄りにカードを持つよう促す政策なんて、どうかしていると思います。結局のところ、一番得をするのは、キャッシュレス決済を多用できる高所得者ではないでしょうか。

 総理が高らかにぶち上げた幼児教育無償化もそうです。消費税引上げの財源で保育園をただにするこの政策。最大の受益者は、先ほど来多くの指摘がありました、今現在最も高い保育料を支払っている高所得者に間違いありません。

 以上のように、現政権の税財政運営には、高所得者を優遇する制度がちりばめられております。そうすれば経済が活性化すると見込んだのかもしれませんが、残念ながら、消費は上向きません。安倍内閣のように高所得者への優遇税制を幾ら繰り返したとしても、格差は拡大するばかりで、日本経済は再生しません。

 今こそ、税の再分配機能を取り戻すことが必要です。高所得者優遇の複雑な税制をやめ、公平、中立、簡素という租税三原則に立ち返り、中間層を復活させることこそ必要です。歯を食いしばって仕事や家事、育児、勉学に励んでいる多くの国民の将来不安を取り除くことが税制に求められております。数字を都合よく取り繕って、アベノミクスの成果を喧伝するばかりの政治では、国民生活も日本経済もよくなりません。

 我が党は、人への投資や地域主権改革などの抜本的な改革を誠実に実行するとともに、国民の皆様の将来不安を解消する税財政政策により、国民生活と日本経済を立て直すことをお約束申し上げ、私の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 本村伸子君。

    〔本村伸子君登壇〕

本村伸子君 私は、日本共産党を代表し、地方税法、地方交付税法の改定案、特別法人事業税及び譲与税法案、森林環境税及び譲与税法案に対し、一括して反対の討論を行います。(拍手)

 地方自治体が憲法と地方自治法に基づき住民の福祉の増進を図るために、地方財政の確立が必要です。消費税増税に頼るのではなく、富裕層と大企業に応分の負担を求め、税制の総合的な見直しを行うとともに、地方交付税の法定率を抜本的に引き上げ、財源の保障機能と財政の調整機能を十分に発揮させていくべきです。

 ところが、政府の地方財政政策はこれに逆行するものとなっています。

 地方交付税法では、交付税算定へのトップランナー方式を拡大しています。安倍内閣は、骨太方針、改革工程表に基づき、社会保障費を始めとする地方の一般財源を厳しく抑制しています。民間委託などによって削減した経費水準を地方交付税の単位費用に反映するトップランナー方式を、来年度、学校用務員などで更に段階的に拡大します。制度導入以降、来年度までで影響額は合計千五百億円となります。

 地方交付税を削り、一層のアウトソーシングを推し進め、水道の広域化、PPP、PFI、コンセッションを推進することは直ちにやめるべきです。

 地方税法では、消費税一〇%への増税強行を前提にしています。上下水道や給食費など、公共サービス料金を更に引き上げ、そして地域の医療機関の経営圧迫など、消費税増税は住民生活に大打撃となります。

 自動車保有税の恒久的な引下げと環境性能割一%減税は、業界団体の要望に応え、消費税増税による駆け込み需要と反動減への対策を行うものです。一部にしか恩恵の及ばない対策ではなく、消費税増税そのものを中止するべきです。

 さらに、消費税増税で自治体間の財政格差を拡大させながら、その格差是正の責任を一部の自治体に押しつけるやり方も問題です。

 新設される特別法人事業税は、地方税を国が取り上げ、ほかの自治体に回すやり方を恒久化するものです。地方自治体の課税自主権を侵害するもので、地方税制にゆがみを持ち込むことには反対です。自治体間の財政格差は、地方交付税の財政調整機能を回復させ、国の責任で是正するべきです。

 また、森林環境税は、東日本大震災を口実に導入し、二〇二三年度で終了とされていた個人住民税均等割への上乗せ千円を看板をかえて継続するものです。

 個人住民税の均等割は、所得割が非課税の人にも課税となる逆進性の高い税です。国民生活を圧迫するやり方はやめるべきです。森林整備の財源は、国の一般会計での森林予算や地方交付税で保障するべきです。

 最後に、沖縄の県民投票です。

 辺野古の埋立てに反対は七一・七%と圧倒的多数を占め、沖縄県民の明確な民意が示されました。政府はこの結果を正面から受けとめるべきです。

 昨日の予算委員会で日本共産党の赤嶺政賢議員が指摘したように、この問題の原点は、米軍兵士による少女暴行事件です。米軍基地があるがゆえの苦しみや悲しみが続いているからこそ、基地を縮小、撤去してほしいと訴え続けてきたのです。その沖縄の方々に、辺野古を受け入れなければ普天間は返さない、なぜそんな理不尽なことが言えるのですか。

 埋立工事は直ちに中止し、沖縄県と誠実に話し合うべきです。

 日本共産党は、新基地建設計画の撤回と普天間基地の無条件撤去を目指し、全力を尽くすことを表明し、討論とさせていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) 足立康史君。

    〔足立康史君登壇〕

足立康史君 日本維新の会の足立康史です。

 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案及び特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案に反対、その他二案については賛成の立場から討論します。(拍手)

 まず、二月十五日の衆院本会議、この壇上で私が安倍総理に質問を行った際の表現について、ある党から苦言があったと仄聞しました。しかし、あの発言の何が問題なのでありましょうか。

 あのとき、私はこう申し上げました。今の国会の中で誰がうそつきかといえば、それは、政府・与党ではなく、あの面々ではないかと指摘をしたのであります。つまり、誰かをうそつきだと断定したのではなく、仮にこの国会の中にうそつきがいるとすれば、どうしてもうそつきというレッテル張りをしたいのであれば、それは政府・与党ではなく、もっと別にうそつきというレッテルにふさわしい面々がいるだろうと申し上げただけなのであります。

 また、あの面々と申し上げた際に私が指さした先におられた方々は、全員、私が演説を始めると同時に席を外され、私の指の先には誰もいなかったのであります。

 話を戻します。

 そのある党が問題にしたのは、あの面々という表現よりも、そのある党と連携しながら真っ当な政治とうそぶくという表現だったそうであります。

 しかし、これでも、より穏当な表現に丸めたのであります。それとも、破防法に基づく調査対象団体とはっきりと言えばよかったのでありましょうか。私は今でも、破防法の監視対象と連携する政党が真っ当な政党を標榜するのはおかしいと考えているし、少なくともそう考える国民は少なくないと指摘しただけなのであります。

 さて、こうした認識からいえば、今の国会で本当に真っ当であると胸を張れる政党は、六十年余りの歴史を有するチームA、自民党と、そして、結党から六年余りとはいえ、新しいチームB、日本維新の会との二つしかないと言わざるを得ません。

 そして、チームAのプランAとチームBによるプランBとの違いが最も先鋭的な形であらわれるのが、今議題となっている税制を始めとする地方制度なのであります。

 一九五五年の結党以来、国と地方との役割分担をあえて明確にせず、いわゆる融合型の行政システムを全国に張りめぐらしてきた自民党にとっては、ふるさと納税に係る総務省の上から目線の制度改正にも場当たり的な地方法人課税の偏在是正措置にも違和感を感じないのかもしれませんが、地方から生まれた私たちには絶対に許せません。

 特に、石田総務大臣と千代松泉佐野市長との応酬を見て、そうした地方税制のあり方に関する自民党の考え方と維新の考え方との決定的な違いを痛感いたしました。

 私たち日本維新の会が目指す社会は、国、広域行政、そして基礎自治体の三つが、それぞれの有する権限と責任を明確にしながら、都市間競争、地域間の競争に臨んでいく、その切磋琢磨の中で国の繁栄を築いていく、そうした公正公平で透明な社会なのであります。

 税のあり方は国の骨格です。

 平成から新しい時代を迎えるに当たり、地方から生まれた唯一の国政政党の責任として、国と地方との新しい関係の構築に最優先で取り組んでいくことをお誓いし、反対討論といたします。

 ありがとうございます。

議長(大島理森君) 重徳和彦君。

    〔重徳和彦君登壇〕

重徳和彦君 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に賛成、その他三本の法案に反対する立場から、会派を代表して討論を行います。(拍手)

 初めに、森林環境税についてです。

 二月十五日の本会議質問で述べたとおり、森林環境税は、森林資源管理の財源としてだけでなく、税を通じて、都市住民も含む全ての国民に森林の恩恵、保全への理解を広げる施策として、日本の国益に資する重要な制度と捉えております。

 ただし、その制度設計については幾つか疑問があります。

 まず、森林環境税の導入時期は、この四月から始まる新たな森林経営管理制度とセットでスタートさせ、国民の皆様に受益と負担を理解し納得できる制度とすべきなのに、何の関係もない個人住民税均等割千円上乗せの終了時期まで五年待ち、その間は税収を前借りする形で財源調達するのは、財政秩序の上でも、健全な方法とは言えません。

 また、森林環境税の市区町村への譲与基準として、森林面積と林業就業者数のほか、人口割を三〇%分設け、都市部での木材利用の促進や普及啓発をも使途対象とするとのことですが、県と比べてエリアの狭い市区町村が川上、川下で連携し好循環を生むという政策目的が、インターネットなどによる使途の公開のみをもって制度的に担保されるとは言えないでしょう。

 まして、国内の森林整備という政策目的からすれば、外国産の木材利用に充てることは明らかに目的に反するにもかかわらず、これを国が禁ずることはWTO協定の内外無差別の原則から適切でなく、自治体において検討すべきとの答弁があり、ここにも大きな不安が残ります。

 これらの課題は、森林環境税の制度を運用する上で極めて重要な点ですので、法律の施行後もしっかり監視すべきことをここに指摘した上で、本法案に賛成いたします。

 なお、国土保全に関連し、私が本会議で質問した我が国の国境離島や防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の買収に関して、安倍総理は、国家安全保障にかかわる重要な問題との認識は示したものの、現在、土地や森林の所有状況の把握を行っているのみであり、必要な施策について検討を行っていくと述べるにとどめていることに強い憂慮の念を申し上げたいと思います。

 この問題を放置すれば、国防はもちろん、食料や水資源といった日本人の生存にもかかわる安全保障上の致命的な問題になりかねません。私たち国会議員一同が、法的な問題を乗り越え、国際交渉においても強い意思を持って一致して取り組む必要がある、国家の重要課題ではないでしょうか。

 次に、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案についてです。

 地方法人税収の東京一極集中は強まる傾向にあり、自治体関係者からすれば、幾ら企業を誘致しても税収がなかなか増加しない状況を生んでいます。

 しかし、法人事業税の一部を国税化し、国が一旦吸い上げて地方に再分配するやり方は、いかにも中央集権的です。

 本来は、現行の分割基準を変更し、例えば、地方法人税収の帰属について、利益でなく売上げに着目するとか、地域ごとに発生した付加価値を積算するなど、新たな課税の仕組みを検討すべきです。

 また、この際、法人事業税の一部を正規の国税の法人税とし、その分、消費税を地方税源に回す、いわゆる税源交換についても、今こそ検討を進めるべきでございます。

 地方税源の強化こそ、地方自治の体制強化につながるのです。

 この数十年、国政、地方政治にかかわる方々が積み重ねてきた地方分権の歩みを安倍政権は軽く見ていると言わざるを得ず、この法案に反対いたします。

 最後に、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案については、地方自治体の安定的な税財政運営のため必要な改正が含まれているものの、これらの法案は消費税増税を前提としたものであり、参議院定数六増のゲリマンダー政治は言うに及ばず、社会保障改革の立ちおくれ、大盤振る舞いの消費増税対策など、消費増税を容認できる状態とは到底言えない以上、総合的に判断して、反対することにいたします。

 以上で討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第四及び第五の両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告は可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第六につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第七につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第八 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第八、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂井学君。

    ―――――――――――――

 所得税法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔坂井学君登壇〕

坂井学君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、消費税率の引上げに伴う対応、デフレ脱却と経済再生の実現、国際的な租税回避への効果的な対応等の観点から、国税に関し、所要の改正を行うものであります。

 本案は、去る二月十四日当委員会に付託され、十九日、麻生財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、二十六日及び二十七日に質疑を行い、三月一日、安倍内閣総理大臣に対する質疑を行って、質疑を終局いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。道下大樹君。

    〔道下大樹君登壇〕

道下大樹君 立憲民主党・無所属フォーラムの道下大樹です。

 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に断固反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 安倍内閣は、所得税法等の一部を改正する理由を、消費税率の引上げに対する需要変動の平準化のため、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするためとしていますが、安倍総理、このままことし十月に消費増税していいのですか。景気は戦後最長、雇用はふえ、賃金は上がり、GDPも上昇するなど、アベノミクスの成果で経済は回復していると再三にわたり豪語されていますが、今でもそう断言できますか。

 有効求人倍率は上昇していますが、賃金が低い分野での超過労働需要。つまり、求人はふえても低賃金の仕事ばかり。だから、外国人労働者受入れ関連法案を無理やり成立させたのではありませんか。

 賃金が上がっている論拠としていた厚生労働省の毎月勤労統計は昨年末に不正が発覚し、その後の我が会派を始めとする野党の徹底追及で、ベンチマーク更新遡及改定なし、抽出調査に対するこっそり三倍復元処理、部分入れかえ方式の導入、日雇労働を除外する常用労働者定義変更など、政府が賃金の上振れ操作をしたことが白日のもとにさらされました。

 この勤労統計不正で、総理は自分や官邸からの指示や圧力は一切ないと言っていますが、同様の光景は以前もありました。森友学園との国有地値引き払下げ問題、加計学園との獣医学部新設首相案件問題。これらは、総理とともに、本来職務権限がないはずの総理秘書官が関与したのは明らかであります。総理秘書官は、重大な影響力を持っているにもかかわらず、関与を否定し、記憶にないとごまかし、その事実をこれまた隠蔽しようとしています。

 さらに、今回は、厚生労働省の役人をわざわざ官邸に呼びつけたのに、統計調査について個人的な問題意識を伝えただけという総理秘書官の答弁に、国会を、国民をなめているとしか思えません。

 官邸圧力で統計を意図的に操作、偽装し、賃金やGDPを上振れ、水増しさせ、その粉飾データを公表して、日本経済や国民生活はよくなったと、アベノミクス成果だと喧伝して国民をだましてきたのは安倍政権であります。

 しかも、与党は野党が求める関係者の参考人招致や資料提出を拒否、妨害しています。与党は、究明ではなく、安倍内閣とともに事実の隠蔽を図ろうとしていると疑わざるを得ません。

 沖縄・辺野古沖埋立ての賛否を問う県民投票で反対多数という結果に対する安倍総理の、投票の結果を真摯に受けとめる、沖縄の民意に寄り添うという発言に、またかと、その気はないのにまたそんなことを言っているのかと、ウチナーンチュの気持ちに全く寄り添ってはいないではないかと考えるのは私だけではないと思います。

 菅官房長官は、定例記者会見において、記者の質問に対して、あなたに答える必要はないと回答を拒絶したことは、内閣の説明責任を果たしていないどころか、特定の記者の質問排除であり、国民の知る権利を侵害する言語道断の発言であります。

 ほかにも安倍政権の暴挙はあまたあります。安倍総理及び内閣全体に猛省を強く求めます。

 先ほども申し上げましたが、統計偽装を通じて、アベノミクスの失敗は国民の誰もが知る明々白々な事実であり、消費税率引上げを行う景気、経済環境には全くなっていません。政府自身、今もデフレ脱却宣言を発することができず、政府が公表を渋る実質賃金は野党試算ではマイナスです。こうした経済状況で消費税率を上げれば、GDPの約六割を占める個人消費は冷え込み、企業は利益を内部留保、そうして景気が低迷し、国民生活が更に追い詰められるのは、消費税率を五%から八%に引き上げたときと同様、火を見るより明らかであります。

 それでは、以下、法案の反対理由を申し述べます。

 まず、住宅ローン減税についてです。

 住宅購入時における消費増税反動減対策は、住宅ローン減税のほかにも、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイント制度の創設など、想定される反動減の予測を上回る対策が多額の税金によって実施されると言わざるを得ません。人口減少、空き家増加のこの時代、住宅ローン減税による持家促進の経済効果は低下しています。

 また、国税庁が住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン減税の申告誤りを多数見落としていたことが昨年末に発覚しました。それだけ住宅ローン減税など住宅取得促進税制の乱発による複雑化と税務当局の体制不備は問題です。

 次に、税制改革の大きな目的は、所得再分配機能の強化です。しかしながら、金融所得課税、資産課税など、真に担税力のある高所得者、富裕層への課税強化が、昨年に続いて、本法案には盛り込まれていません。

 選挙前は課税強化には一切手をつけないという安倍政権の富裕層向けのこそくな考えが見え見えです。金融所得課税の強化に着手しなければ、国民生活の格差はますます拡大するばかりであります。

 次に、法人課税についてです。

 二〇一七年六月五日の衆議院決算行政監視委員会では、研究開発税制について、特定の業界、法人に偏っている状況を見直すべきであると議決されましたが、今回の見直しでは、大企業が対象となったまま、業種も限定していません。この税制は、大企業の節税対策の抜け道となっており、内部留保を助長しています。法人税の減税を続けている中で、更に控除を継続するというのは、大企業優遇でしかありません。対象を中小企業に限定すべきです。

 ベンチャー企業の税額控除の上限を四〇%に引き上げる点について、ベンチャー企業は設立後しばらく赤字のところが多く、この研究開発税制はそうしたベンチャー企業には税額控除の効果が小さくなるという財務金融委員会での我が会派の議員の指摘に対して、財務省政府参考人もこれを認める答弁をしました。再見直しが必要であります。

 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例を延長する理由として、政府は、現下の経済情勢等を踏まえたとしていますが、それは、中小企業にとって今の経済情勢はよくないということをみずから認めていることにほかなりません。そんな中で消費増税ができるとは到底思えません。

 法人課税において真っ先に着手しなければならないのは、利益を内部留保する企業に対して、人件費や設備投資などへの支出を促進する税制の導入です。今回の改正案には、そういう税制や制度見直しが盛り込まれていません。

 次に、輸出時における消費税還付金制度も大きな問題です。

 消費増税すれば、その分、還付金額もふえます。輸出企業のみに恩恵があり、そのしわ寄せは下請企業に、さらには、税収減となる政府、最終的には国民の損失につながるのです。消費税還付金は形を変えた輸出企業への補助金であるという意見もあるこの問題について早急に検討し、制度改正の手を打つべきであります。

 このように、今回の所得税法等の一部を改正する法律案は、税制の適正な改正、見直しとは言えず、増税はほぼなく、控除期間の延長や控除額の上限引上げ、法人税の軽減税率特例など、一部の企業、団体や個人を優遇するための税制改正ばかりです。つまり、これは、四月の統一地方選挙、七月の参議院選挙前の、選挙対策のためのばらまき税制と言わざるを得ません。

 以上、消費増税を前提とした所得税法等の一部を改正する法律案に反対する理由を述べました。

 真っ当な政治、真っ当な税制を目指す立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、良識ある多くの議員の皆様の御賛同を切に願い、反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 浅野哲君。

    〔浅野哲君登壇〕

浅野哲君 国民民主党の浅野哲です。

 私は、会派を代表し、また、日々懸命に働き、税金を納めている方々の思いを代弁するつもりで、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 少子高齢化が進む我が国は、グローバル化の進展による熾烈な国際競争の中にあって、技術革新への対応のおくれや労働力人口の減少、社会保障費の増大など、さまざまな困難に直面をしています。

 このような中、国民生活はどうでしょうか。ここ最近で統計データへの信頼が著しく低下していますが、本来、数字はうそをつきません。

 自民党が与党に戻ってから、実質賃金は五%近く低下をしています。また、働く女性や高齢者がふえているにもかかわらず、GDPの民間最終消費支出は、二〇一三年に二百九十一・七兆円だったものが二〇一八年になっても二百九十二兆円と、ほとんどふえていないことなどを踏まえれば、アベノミクスによって国民一人当たりの生活レベルが改善していないことは明らかであります。多くの国民が生活不安や将来不安を抱えたまま暮らしているのです。

 国民生活を改善するという使命のもと、平成三十年十一月二十六日に経済財政諮問会議等の合同会議で取りまとめられた消費税率引上げに伴う対応等に関する基本方針では、駆け込み、反動減の平準化、社会保障の充実、低所得者に対する支援策、中小・小規模事業者等への対策などの方針が示されました。しかし、本法案はこれらの方針を満たすものではなく、むしろ、我が国の持続的発展に逆行するおそれがあります。

 以下、その理由を申し述べます。

 第一の理由は、この法案の中身が不十分である点です。我が国の発展に資するどころか、逆に悪化させるおそれがあります。

 例えば、自動車税については、国税の自動車重量税及び揮発油税を地方へ財源移譲した上で、あわせて年間約五百三十億円の減税を図った点は評価できますが、問題は、与党が今回の見直しをもって最終的な結論と位置づけ、今後の道筋を示さなかった点は大変残念であります。民主党政権時には平年度ベースで自動車重量税を約三千二百億円減税したことと比べると、相対的に規模が小さいと言わざるを得ません。

 また、教育資金を一括贈与した場合に非課税措置となる対象が拡大されました。しかし、人口の東京一極集中、特に若者の集中が急速に進んでいる現在、贈与による資金移動は東京への預金集中を加速させ、目先は大丈夫でも、将来的に地方銀行を弱体化させるおそれがあります。

 実際に、過去五年間に全国で増加した預金のうち、五八%が東京に集中しているというデータもあります。麻生大臣も二十七日の委員会答弁の中で、地方銀行からの預金流出は間違いないと言い切っておられました。にもかかわらず、政府のこうした懸念に対する具体的対策は地方銀行に丸投げです。

 安倍政権は一億総活躍社会を目指すのではなかったのでしょうか。そうであれば、もう少し地方の声に寄り添うべきだと思います。地方銀行の衰退は、地元企業の資金繰りを悪化させ、産業の衰退にもつながりかねません。政府は、こうした連鎖的な影響をきちんと分析し、十分な対策をとるべきだと思います。

 また、住宅については、賃貸住宅の居住者に対する支援が含まれていません。住宅を購入できる経済力のある人だけが優遇を受け、住宅を買えない若者や賃貸住宅に住まざるを得ない方たちなどが消費増税に伴う家賃引上げの影響に対して何の支援も受けられないのは不公平ではないでしょうか。

 政府は、消費税の負担相当分を家賃に転嫁すること自体は適正な行為として、取り合う姿勢を見せていませんが、家賃の一定額を所得控除するなど、手はあるはずです。先ほど申し述べた基本方針のうち、低所得者に対する支援策はどこへ行ったのでしょうか。

 第二の理由は、社会保障の充実に逆行をしているということです。

 それは、消費税の軽減税率による減収分約一兆円をどのように補填しているかを見れば明らかであります。

 この一兆円のうち、約四千億円は、低所得者が医療や介護を受ける際の支出に上限を設けて負担軽減を図るための総合合算制度の見送りによるものです。また、約三千億円は、労働者の給与所得控除の縮小とたばこ増税、また、約二千億円は、売上高が一千万円以下の免税事業者に対する課税によるものです。残りの一千億円は、社会保障給付の見直しや低所得者向け給付の簡素化などによって捻出される予定です。

 一体、軽減税率は誰のためのものなのでしょうか。低所得者や免税事業者を支援するはずの財源を食い潰し、複雑なルールで現場の混乱を招き、購買力のある人ほど得をする。この軽減税率制度は、どう考えても社会保障の充実に逆行していますし、低所得者の支援策として余りに稚拙と言わざるを得ません。

 麻生大臣は、二十六日の委員会答弁の中で、増税が、再び腰折れすることに対する恐怖感があったことは事実だったと明確におっしゃっていたではありませんか。軽減税率は、今回何としても増税を実行するために財政当局が無理やりつけたつけ焼き刃だったのではないかと疑念を抱かざるを得ません。

 安倍総理、この一兆円があれば、本当に苦しんでいる人たちを助けてあげることができます。軽減税率ではなく、こうした人々を支えるために予算を使うべきです。

 第三の理由は、この法案が、富裕層を厚遇し、国の助けを待つ人々の声を無視したものだからです。特にこの点について、私たちはどうしても納得することができません。

 自民党は、平成二十九年末の税制改正の中で、金融所得課税の見直しを今後の課題として掲げていました。

 金融所得課税は株式の配当や譲渡益に課される税金で、その税率は約二〇%となっています。この税率は、一般の給与所得に課される最高税率五五%に比べると異常に低く、高所得者ほど所得税の負担割合が少なくなる要因となっています。

 しかし、本法案の中では、この金融所得課税には全く触れられていません。昨年からことしにかけて、低所得者ほど負担が重くなる所得税の増税、そしてことしは消費税の増税をする一方で、富裕層への課税強化を見送ることは、どう考えても不公平です。消費税増税を実施するならば、経済的弱者の納得感を得る努力を怠ってはなりません。

 それだけではありません。一人親家庭の税負担を軽くする寡婦(寡夫)控除の対象から未婚の一人親が外れている問題についても、今回盛り込まれませんでした。結婚しているか、していないかにかかわらず、親は愛する我が子を育てようと必死です。一刻も早く見直しを行うべきです。

 以上が、本法案に対する主な理由です。

 最後に、一言申し上げます。

 今回の毎月勤労統計の不正は、国民の信頼を大きく損ねるものでした。そして、毎年の賃金水準改善に取り組んでいる経営者と労働者双方の誠意と努力を踏みにじるものであります。

 今回の統計不正ではっきりしたのは、アベノミクスの行き詰まりがいよいよ隠し切れなくなり、賃金伸び率を水増しし、マイナスの実質賃金を隠すために官邸主導で調査方法を昨年一月から変更し、賃金偽装、アベノミクス偽装を行ったということです。

 アベノミクスは、日本経済の抱える構造問題にメスを入れることなく、ひたすら痛みどめを打ち続けてきました。その結果、政府の中に過剰なそんたくと不正、隠蔽体質を生み出し、国民からの信頼は失われつつあります。そのような事態を招いた組織の長として猛省し、不正の上につくられた本法案は撤回すべきです。

 国民民主党は、これからも、税を納める人の立場に立ち、国民の生活向上を第一に考えながら、今後も政府に対して厳しい監視の目を向けていくと同時に、平成の次にやってくる新たな時代を切り開くための新しい答えを皆様に御提示していくことをお約束し、私の反対討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、所得税法改正案に断固反対の討論を行います。(拍手)

 本法案に反対する最大の理由は、ことし十月からの消費税増税を強行しようという点にあります。

 今国会、これまでの質疑を通じて、この消費税増税はやってはならないことがいよいよはっきりしました。

 こんな深刻な消費不況のもとで増税していいのか。家計調査ベースでもGDPベースでも、消費税は、八%増税の打撃を回復するに至っておりません。この指摘に、総理も、家計消費について、水面上に顔を出していないと、増税前を回復していないことを認めました。ならば、消費不況に追い打ちをかける消費税増税など絶対にやってはならないではありませんか。

 消費税の最大の問題は、低所得者ほど負担が重い逆進性です。総理も逆進性を認めました。一部税率を八%に据え置いても、今回の増税で逆進性が一層強まることは明らかであります。

 政府は、消費増税の際に低所得者対策をとると言います。

 しかし、住民税非課税世帯でない低所得者の高齢者世帯には何か対策があるのか。茂木大臣は、大学の学費の軽減や給付型奨学金を挙げました。これが高齢者のみの世帯に恩恵が及ぶ対策なのでしょうか。

 年収二百から三百万円の単身の勤労者への対策があるか。茂木大臣は、マンション購入の際の税制措置を挙げました。食費も住居費も切り詰めている、収入の少ない単身勤労者で、一体マンションが購入できる方がどれだけいるんですか。全く支離滅裂な説明ではありませんか。

 政府の対策では、逆進性を持つ消費税増税の矛盾は解消しないことは明らかであります。

 政府は、住民税非課税世帯への対策はあると言います。しかし、住民税を非課税としている世帯に重い負担となる消費税増税を重ねることは、生計費非課税の原則に真っ向から反しております。富をふやし続ける富裕層、内部留保を積み上げ続ける大企業を優遇している不公平税制こそ改めるべきであります。

 総理肝いりの増税対策として、五%ポイント還元が打ち出されました。中小・小規模事業者を支援するためと言います。しかし、キャッシュレス決済を導入すれば、事業者は、手数料も維持費もかかり、利益が削られます。それを補うだけの売上げはふえるのか。

 政府は、キャッシュレスを導入したから必ずふえることを保証できるという話ではないと正直に答弁しました。一方、キャッシュレス決済導入を避ければ、ポイント還元策によって売上げが落ち込むでしょう。これのどこが小規模事業者支援なのか。零細業者いじめではありませんか。天下の愚策、ポイント還元はやめるべきであります。

 さらに、複数税率とセットで導入されるインボイス制度は重大です。政府は、百六十一万の免税事業者が課税事業者に転換し、新たに発生する消費税の負担は、一事業者平均十五万四千円との見込みを明らかにしました。その試算の根拠は、一事業者当たり、売上げは約五百五十万、利益は約百五十万円です。ここに十五万円を超す消費税は極めて大きな負担であります。今でも多くの事業者が消費税を価格に転嫁できずに苦しんでおります。

 日本商工会議所の調査では、消費税増税分を価格に転嫁できる見込みと答えた小規模事業者は五割程度。消費税が価格に転嫁できなければ、事業者はどうやって消費税を納めるのか。何度聞いても、政府は、価格に転嫁できるように取り組みたいと繰り返すだけでした。

 インボイス制度の導入は、利益がわずかな事業者に、身銭を切って消費税納税を強いることになります。小規模事業者を苦境、廃業に追い込むインボイス制度の導入は撤回すべきであります。

 最後に、重い消費税増税を国民に求めながら、トランプ政権言いなりに米国製兵器を爆買いし、大軍拡を進めていることは、断じて許されるものではありません。

 消費税増税は中止し、応能負担の税制改革に踏み出すことを強く求め、反対討論とします。(拍手)

議長(大島理森君) 串田誠一君。

    〔串田誠一君登壇〕

串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。

 私は、我が党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 現在の日本が直面している経済的な課題と、社会保障費の膨張に伴いふえ続ける国債発行額の問題を見れば、やらねばならぬことは明確なはずです。

 やるべきことは、経済成長による税収の確保であり、あわせて、身を切る覚悟を持って行財政改革を進めることです。無駄のない行政を実現し、財政健全化を進めることです。

 税制においても、現場の扱いが難しい軽減税率や、控除申告の誤りなどが頻発している住宅ローン減税等の複雑な平準化策などではなく、給付つき税額控除などの適正な所得再分配を行う形での抜本的な税制改革です。

 本法案の内容に、十月の消費税率の引上げに伴う需要変動の平準化策として、政府はさまざまな景気対策を検討されていますが、軽減税率の導入により混乱することは、既に報道によっても明らかであり、我が党は反対です。

 そもそも、二〇一五年に軽減税率を決めた際、マイナンバーを前提とした給付つき税額控除の導入も選択肢であったはずです。マイナンバーカードの普及を前提とした、真に公正な制度を優先すべきです。

 本法案には、住宅ローンの減税制度の拡充や自動車重量税の見直しといった方策が盛り込まれていますが、住宅や自動車のような大きな買物により恩恵を受ける対象は限定的であるだけでなく、そもそも、人口減少に伴って住宅は余る方向です。地方だけではなく、都市部においても、空き家問題が深刻化している状況にあります。

 このような状況下で、果たしてこうした税制が景気対策として妥当でしょうか。そもそも疑問です。場当たり的な制度作成で、本来簡素であらねばならないはずの税制がますます複雑さを増すばかりです。

 また、法案では研究開発税制の改正を打ち出していますが、政策の効果がどれだけあるかを政府すら全く評価できていません。

 ベンチャー企業における投資を促進するという政策目標自体は我が党も思いを共有しますが、しかし、ベンチャー企業は、経営が安定しない中で、税制という手段でその減税枠を引き上げたとしても、その効果については甚だ疑問です。一つ一つの例を挙げてみても、今の税制はびほう策の陳列と言わざるを得ません。

 残念なのは、予算も税金も動物を守ることは全く考慮されていないことです。

 政治が約束した身を切る改革を実行しないまま消費税率を上げることは到底受け入れられるものでないことを改めて申し上げ、所得税法等の一部を改正する法律案の反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 広田一君。

    〔広田一君登壇〕

広田一君 社会保障を立て直す国民会議の広田一です。

 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論します。(拍手)

 今回の改正案は、事業承継税制の個人事業者への拡大や車体課税の実質五百三十億円の引下げなど、評価すべき点もあります。

 昨年度の税制改正は、給与所得控除の見直しなど、主に所得税の改正が中心でした。今回の改正は、消費税一〇%への引上げに伴い、需要の平準化をどう図っていくのかということに力点を置いています。加えて、予算措置とパッケージで消費増税対策を講じようとしております。

 その狙い自体は理解しますが、その内容はばらまきと格差拡大を助長するものにほかならず、全く評価をすることはできません。

 例えば、軽減税率とポイント還元制度の合わせわざで、三、五、六、八、一〇%と、実質的に五段階の複数税率が併存することになります。これでは、消費者も事業者も大変です。店頭は混乱します。安倍総理は、ポスターを張って告知するなどと言っていますが、そんなことで混乱が避けられると考えるのは甘過ぎます。

 特に、ポイント還元制度は、逆進性を助長し、格差を拡大させます。カードを持たない子供たちや高齢者が文房具や日用品を買えば一〇%、カードを持っている金持ちが鮮魚店で高級マグロ、我が地元高知県だと水炊きに使うクエを買えば三%です。余りにも不公平であり、簡素、中立、公平という税の理念、大原則から外れております。

 しからば、審査のないプリペイドカードで対応すれば大丈夫という説明があります。確かに、プリペイドカードは便利です。しかし、現実は、地方に行けば行くほど、使える店舗は限られております。手数料も発生します。明らかに都市と地方との格差は拡大し、これまた助長してしまいます。しかも、六百八十三億円という莫大な事務費も発生します。費用対効果の観点からも、大いに問題です。

 しかも、ポイント還元制度は来年の東京オリンピック前に終了します。つまり、制度になれたころ、キャッシュレスが普及し始めたころに終わってしまいます。終わった後は、今度は実質的な大増税です。下がったり上がったり、ジェットコースターのような場当たり的な対策のために、オリンピックの後の不景気、いわゆるオリンピックの崖に転落するリスクは高まります。

 このような天下の愚策は撤回すべきであります。

 住宅ローン控除の拡充は、駆け込み需要と反動減の平準化という観点では理解できます。しかし、拡充という名のもとに、複雑化しています。それゆえ、弊害も出ています。平成二十五年から平成二十八年分で、何と最大一万四千五百人の方が所得税の申告を間違うなどの問題が発生しております。すまい給付金とか省エネ優遇など、これまた合わせわざで、更に複雑化しています。複雑がゆえに利用者にとってわかりにくく、それゆえに混乱し、迷ってしまえば、それこそ本末転倒です。適正な是正を強く求めます。

 以上、消費税対策と称した過剰なばらまき対策は、将来にツケを回さない、社会保障を安定させるためなら増税もやむを得ないと考える国民を裏切る行為です。

 安倍政権における税制改正は、昨年が特にそうでしたが、全体的に、法人を優遇し、個人は負担をふやすという、バランスの極めて悪いものです。

 逆に、私たちは、野田政権以来、分厚い中間層の復活を目指しています。暮らしの底上げ、個人消費のボトムアップに資する改正こそが、今こそ必要であります。

 最後に、政治を変えるとは、税金のあり方、税金の使い方を変えることです。私たちは、納税者、生活者、そして働く者の立場に立った真の税制改革を実現することを申し上げまして、私の討論といたします。

 どうもありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午前二時一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    石田 真敏君

       法務大臣    山下 貴司君

       外務大臣    河野 太郎君

       文部科学大臣  柴山 昌彦君

       厚生労働大臣  根本  匠君

       農林水産大臣  吉川 貴盛君

       経済産業大臣  世耕 弘成君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       環境大臣    原田 義昭君

       防衛大臣    岩屋  毅君

       国務大臣    片山さつき君

       国務大臣    櫻田 義孝君

       国務大臣    菅  義偉君

       国務大臣    平井 卓也君

       国務大臣    宮腰 光寛君

       国務大臣    茂木 敏充君

       国務大臣    山本 順三君

       国務大臣    渡辺 博道君


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