衆議院

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第10号 平成31年3月7日(木曜日)

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平成三十一年三月七日(木曜日)

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  平成三十一年三月七日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告いたします。

 天皇陛下御即位三十年に当たり感謝と慶祝の意を表するため、去る二月二十六日の本会議において議決いたしました賀詞は、去る四日、皇居において、天皇陛下にお目にかかり、謹んで奉呈いたしました。(拍手)

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(大島理森君) 去る二日、議員もとむら賢太郎君から、今般施行の相模原市長選挙立候補のため、衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。

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    辞職願

  今般施行の相模原市長選挙立候補のため衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。

   平成三十一年三月二日

        衆議院議員 もとむら賢太郎

  衆議院議長 大島 理森殿

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これにつきお諮りいたしたいと思います。

 もとむら賢太郎君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。防衛大臣岩屋毅君。

    〔国務大臣岩屋毅君登壇〕

国務大臣(岩屋毅君) 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 厳しい財政状況の下で防衛力の計画的な整備を行うため、平成二十七年四月に制定された特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法により、財政法の特別の措置として、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為については、支出すべき年限を十箇年度以内とすることとしております。この法律は、特定防衛調達に要する経費の縮減及び当該調達の安定的な実施に寄与するものでありますが、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととなっており、今後も効率的かつ着実に防衛力の整備を実施していく必要があることから、法律の有効期限を延長する等の改正を行うものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、法律の有効期限を五年延長し、平成三十六年三月三十一日までとすることとしております。

 第二に、特定防衛調達についての国の債務負担等に係る経過措置について、所要の規定を整備することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。武田良太君。

    〔武田良太君登壇〕

武田良太君 自由民主党の武田良太です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表し、ただいま議題となりました特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案、いわゆる長期契約法の改正法案について、岩屋防衛大臣に質問をさせていただきます。(拍手)

 この長期契約法は、厳しい財政状況のもとで防衛力の計画的な整備を行うため、財政法の特例として、六カ年度以上十カ年度以内の期間の契約を結ぶことを可能とするものですが、まず、本法案が提出された背景として、昨今の安全保障環境を踏まえた防衛力の整備について見解をお伺いします。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、国家間のパワーバランスの加速化、複雑化や、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における課題の顕在化など、一段と厳しさと不確実性を増していると認識しています。このような急速な安全保障環境の変化に的確に対処するためには、従来の枠組みにとらわれずに、真に実効的な防衛力を構築していく必要があると考えています。

 このように国家の安全保障のあり方が根本から変わろうとしているこの時代において、今後どのように我が国の防衛力を強化していく考えか、防衛大臣の御見解と決意をお伺いいたしたいと思います。

 次に、防衛装備品の調達のあり方についてお伺いいたします。

 安全保障環境の変化に対処するため、真に必要な防衛装備品を調達する必要がある一方、現下の厳しい財政状況や国民生活にかかわる他の予算の重要性等を踏まえれば、徹底したコスト管理、抑制を行いながら、防衛装備品を効率的に調達していくことも重要であると考えています。

 長期契約法は、そのような効率的な装備品の調達にも寄与する目的で平成二十七年に制定されたものと認識していますが、改めて、長期契約を行うことにより装備品の調達にどのような効果が期待されるのか、また、これまで四年間の長期契約法の効果について具体的にどのように評価しているのかという点を含め、装備品の調達の最適化に長期契約法が果たす役割について、防衛大臣から御説明をいただきたいと思います。

 三点目として、後年度負担についてお伺いいたします。

 各種防衛装備品の取得は一朝一夕にはできず、契約から納入まで、長いもので四年から五年を要することから、後年度負担が発生することになります。一方で、既に述べたような安全保障環境の変化に応じて弾力的かつ柔軟な防衛力の整備を実現するためには、多額の複数年度にわたる調達契約を結ぶことにより将来の財政支出が過度に固定化されることは避けなければなりません。

 後年度負担を含む防衛関係費が増加を続ける中、今後、どのように後年度負担を管理しようとしているのでしょうか。

 また、長期契約法を装備品の調達にいたずらに適用することによって、後年度負担に歯どめがきかなくなったり、国際情勢の激変により不要な装備品を調達するようなことはないという点について、防衛大臣に確認をさせていただきたいと存じます。

 最後に、我が国の防衛産業基盤の強化についてお伺いします。

 国内の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤であり、我が国の防衛力を支える重要かつ不可欠な要素と考えております。他方、国内防衛産業は、契約相手方が限定的であり、限られた予算の中で産業基盤を維持していくことが困難であるという現実もあると聞いております。

 今後の防衛力基盤を支える、競争性のある強靱な防衛産業を構築していくために、どのような対応を行っていくのか。長期契約法の実施が国内産業に与える影響も含めて、防衛大臣の御見識をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岩屋毅君登壇〕

国務大臣(岩屋毅君) 武田良太議員にお答えいたします。

 まず、昨今の安全保障環境を踏まえた防衛力の整備についてお尋ねがありました。

 今、国際社会のパワーバランスは大きく変化しつつあり、我が国を取り巻く安全保障環境は、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しております。とりわけ、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域が死活的に重要になっており、陸、海、空での対応を重視してきたこれまでの安全保障のあり方を根本から変えようとしております。

 このような中にあって、必要なことは、我が国として、みずからを守る体制を主体的、自主的な努力によって抜本的に強化し、みずからが果たし得る役割の拡大を図っていくことであります。

 防衛力の強化に当たりましては、新たな防衛大綱及び中期防のもとで、従来の延長線上ではない、真に実効的な防衛力を構築するため、防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保していく考えです。

 特に、陸、海、空という従来の発想から脱却し、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域を含む、全ての能力を有機的に連携させた、新しい防衛力を構築してまいります。

 政府としては、未来の礎となる、国民を守るために真に必要な防衛力の構築に向け、従来と異なる速度で変革を図ってまいる決意です。

 次に、装備品の調達の最適化に長期契約法が果たす役割についてお尋ねがありました。

 長期契約法については、新たな防衛計画の大綱におきましても装備調達の最適化を図るものとして位置づけられ、自衛隊の装備品等の調達コストを縮減し、安定的な調達の実現に資するものであります。

 具体的には、長期にわたる契約により、企業としては、中長期的な見通しのもとに人員や設備を計画的に活用できるとともに、部品などの一括発注等によりましてコストを縮減することができます。他方、国としては、装備品等の効率的、安定的な調達が可能となります。

 長期契約法の施行後、防衛省としては、これまでの四年間で、固定翼哨戒機P1等の七件の長期契約を実施しておりますが、その縮減額は約七百八十七億円であります。

 このように、長期契約法は国と企業の双方にとって極めて有用なものであると認識しており、防衛省としては、引き続き、防衛力整備を計画的かつ効率的に行うため、長期契約法に基づく事業を行ってまいりたいと考えております。

 次に、後年度負担の管理についてお尋ねがありました。

 長期契約は、必要な防衛力整備を効率的に行うことで財政負担の軽減が図られるものですが、他方で、将来の財政支出を確定させる側面にも十分考慮する必要があると考えております。

 このため、平成二十七年の長期契約法の制定後、長期契約の対象となる装備品の選定に係る基本的な考え方を示した指針におきまして、中長期的な防衛所要を勘案した上で、確実かつ計画的に調達することが不可欠な装備品のうち、仕様が安定していると見込まれ、かつ、長期契約によるコスト縮減効果と調達の安定化の効果が十分に見込まれるものが対象となることを定めた上で、実際の長期契約法の運用に当たりましては、財務大臣との協議を経た上で、国際情勢や技術動向を総合的に勘案して、慎重に判断いたしております。

 さらに、新中期防におきましては、五年間に新規契約する事業費の額を明記し、後年度負担を含め、適切に防衛関係費の管理を図っているところでありまして、長期契約についてもこの枠内で行われることになります。

 最後に、防衛産業基盤の強化についてお尋ねがありました。

 防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤であり、新たな防衛大綱及び中期防におきましては、技術基盤の強化と産業基盤の強靱化について、優先事項として取り組むこととしております。

 具体的には、防衛産業が今後必要となるすぐれた装備品をしっかりと開発することができるよう、重要技術に重点的に投資を行うとともに、契約制度の見直しやサプライチェーンのリスク管理の強化などの施策を通じ、防衛産業の競争力の強化に取り組んでまいります。

 また、長期契約法は、防衛産業にとって、予見可能性を高めることが可能となり、関連企業の防衛産業からの撤退抑制にも寄与する効果が期待できるものと考えており、こうしたさまざまな施策を通じ、競争性のある強靱な防衛産業を構築してまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 篠原豪君。

    〔篠原豪君登壇〕

篠原豪君 立憲民主党の篠原豪です。

 ただいま議題となりました特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して質問をさせていただきます。(拍手)

 質問の前に、一言申し上げます。

 昨日、参議院の予算委員会での、声を荒らげてという横畠内閣法制局長官の発言について申し上げます。

 法の番人たる内閣法制局長官が、声を荒らげたかどうかで法の解釈をするなど、もってのほかであり、看過できない政治的発言です。謝罪と撤回で済む話ではないと考えており、また、憲法違反と言われる安保法制を推進した張本人でもある横畠長官は潔く内閣法制局長官の職を辞すべきであると強く申し上げます。

 また、昨日、籠池理事長が大阪地裁で国策裁判だと主張したとのニュースが流れていましたが、その森友学園問題では、役人にとって一文の得にもならない公文書の改ざんを、エリート官僚中のエリートである財務省の官僚がみずからそんたくをし、実行しています。その改ざんされた、うその事実に基づいて、国会は一年以上も審議を強いられているという議会制民主主義の危機を経験しています。

 この問題は、値引きの根拠としたうその穴の写真が、実態が明らかになるなど……(発言する者あり)いいですか、疑惑は深まるばかりで、何も終わっていないのです。

 そして、官僚機構を統括する政治家は、誰も責任をとらず、曖昧なまま事件の幕を引こうとしていたやさき、またしても、国家経営の土台をなす国の統計で不正が発覚しました。

 しかし、その統計不正を解明する過程で、安倍政権に都合のいい数字が出てくるよう統計手法が変更されたことに首相官邸の関与を疑わせる関係者の動きが次々と明らかになりながら、これまで同様、政治の責任を不問にしようとしています。

 不正の当事者でもある厚労省は、裁量労働制に関する労働時間の調査でも不正を繰り返したばかりです。一体、何回繰り返すのか。

 肝心の政治の責任に向き合おうとしない安倍政権のきわめつきは、普天間基地の移設の問題に対する態度であります。

 先月、二月二十四日の沖縄県民投票で、名護市辺野古周辺の沿岸部の埋立てへの反対票が七二%という圧倒的な多数を獲得した翌日、政府は平然と埋立工事を続行し、首相は投票結果を無視する姿勢を鮮明にいたしました。こんなことが民主主義の我が国日本で許されるはずがありません。

 安倍首相のこうした政治手法は民主主義とは全く相入れないものであり、断固抗議をし、速やかに沖縄県民の皆さんの思いに力ではなく思いやりで接するよう要求をいたします。

 さて、岩屋防衛大臣にお伺いいたします。

 装備品調達の経費の削減について伺います。

 二〇一五年に施行された本法律につきましては、これまで七件の長期契約がなされた結果、約七百八十七億円の調達経費縮減効果があり、割合にして約一三%安くすることができたということは先ほどの答弁にもありました。

 しかし、これを額面どおり受け取れるならば、長期契約を肯定的に評価するにやぶさかではありませんが、防衛装備品の製造に係る価格の算定は原価計算方式でなされているので、防衛省の裁量が入る余地が否定できません。したがって、この七百八十七億円にどれほどの客観性があるのか、疑問を抱くのは当然だと考えています。

 積算の見えない、政府はこの疑問にどのように答えられるのか、お示しいただきたいと存じます。

 そして、二〇一九年度予算案で取り上げられているPAC3ミサイルの部品及びE2Dは、改正案が成立すればすぐ適用される案件でありますが、それぞれの縮減効果の根拠として示されている価格の算定根拠もお示しください。

 また、二〇一五年四月に本法律を制定した一因として、二〇一三年度まで一兆八千億円前後で推移してきた新規後年度負担額が、翌二〇一四年度に二兆円を上回った事実があると考えます。残念ながら、その額は、今年度予算では何と二兆四千十三億円になっている。長期契約による縮減効果があったとは必ずしも言えない現状になっています。

 そもそも長期契約は、後年度負担をふやし、財政を硬直化させる側面があります。このように新規後年度負担増がある様子を見る限り、長期契約による縮減の効果の意味はないと考えますが、政府はどのように考えているのか、お示しください。

 さて、本法律施行の背景には、購入兵器が近年高額化しているという事情があります。それが今後も継続していくのが明らかである以上、本法律の期限を延長し、引き続き兵器調達費用を縮減していくことで、調達費の一定の縮減効果はあるとしたにせよ、その一方で、長期に契約することで、購入兵器が将来の技術革新によって陳腐化をし、十年後には、受け取っても使えない兵器になっている危険性があります。

 さらには、これから十年の長期契約をすると、安倍政権の次の政権の防衛政策も実質的に縛る結果になり、財政民主主義上、好ましくありません。

 つまり、縮減効果を評価するには、長期契約のマイナス効果と比較考量する必要がありますが、政府はどのようにこの矛盾に答えられるのか、お聞きをしたいと思います。

 さて、防衛省が取り組んでいる装備品等の調達効率化の取組は、長期契約による装備品のまとめ買いだけではありません。

 近年、防衛装備品の維持費が装備の高度化と長寿命化によって高騰する傾向にあり、その防衛関係費における構成比が、平成以前には一〇%程度でありました。平成に入ると大きく超えて、二〇一八年現在、防衛関係費は、一七・三%を占めるまでになりました。

 そのため、防衛省は、二〇一三年にいわゆるPBL契約を導入するなど、効率的な維持整備に取り組みましたが、依然として維持費の増加傾向は変わっていません。

 つまり、長期契約同様、結果が見えないわけですが、増加傾向が続くことについてどのように答えるのか、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

 さらに、防衛省は、民生品の使用や装備品の仕様を見直すなど、コスト抑制を図った結果、二〇一四年度、約六百六十億円の削減をなし遂げたとしていますが、一般物件費と歳出化経費の総額が減る兆しは見られません。PBL契約と同様に、増加し続けることへの疑問を持つわけですけれども、政府の答弁をお聞きしたいと思います。

 私から指摘したいのは、防衛省が装備品調達の効率化を図っても、それが装備品調達全体から見れば極めて微々たる額で、長期契約で問題になる防衛予算の硬直化の緩和にまで至らないというのは、そもそも、防衛装備品の製造を請け負える企業が限られているからであり、競争原理が働きにくいという防衛産業の構造的な問題があると考えます。

 例えば、C2輸送機の場合は、二〇一一年度の購入単価は百六十六億円でした。二〇一八年度は、その百六十六億円が二百三十六億円になっていて、四割以上の値上げになっています。

 欧米では防衛産業が再編によって集約される中、日本では再編がおくれ、高コスト化につながっているとの指摘があります。

 つまり、防衛装備品の調達費用を抜本的に削減するためには防衛産業の構造的な再編が必要になってくるのだと考えますが、政府としてはどのような議論をしているのか、御説明願いたいと思います。

 さらに、長期契約には防衛産業の経営安定化に資する効果があるとされていますが、現状を肯定することで、反対に、産業構造の再編にはマイナスの効果になることもあり得ると考えます。この点もどのように評価されているのか、お聞かせください。

 次に、財政規律を無視した防衛予算の膨張の問題についてお伺いします。

 今年度から実施されている中期防では、計画の実施に必要な防衛整備費は、二〇一八年度価格でおおむね二十七兆四千七百億円程度を目途とするとされていますが、長期契約を含む装備品の効率的な取得などを通じて、各年度の予算編成に伴う防衛関係費は、おおむね二十五兆五千億円程度を目途とすると明記されています。

 そこで、この二兆円の縮減をどのような方法で達成をする予定であるのか、それぞれの手段の縮減額を示しながら、具体的にお答えください。

 新中期防衛計画では防衛費の伸び率が、これまでの計画の〇・八%を上回る、年一・一%になるので、第二次安倍政権発足後、七年連続で増加した防衛費が今後も過去最大を更新し続けるということは明らかだと考えています。

 つまり、二兆円の縮減効果があろうとなかろうと、防衛予算は過去最大を更新し続けるということをどのように考えていくのか、そしてまた、近い将来、防衛予算を削減する考えがあるかどうかをお伺いいたします。

 財政法上の問題をお伺いします。

 安倍政権では、当初予算と同時編成される前年度補正予算に、本来当初予算に計上されるべき一部経費を振り分ける、ひどい手法が常態化しています。

 財政法二十九条により、本来は補正予算に防衛装備費が計上されることは想定しがたいことなんですけれども、安倍政権は、二〇一八年に策定される中期防衛力整備計画に盛り込む方向であったイージス・アショアの導入に関する米国からの各種情報等の取得経費を、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を理由に、あえて前倒しし、二〇一七年度補正予算に計上しました。

 しかし、一昨年度、北朝鮮によるミサイル脅威とは、米国に届く大陸間弾道弾が開発されたことに起因するものであり、日本に対するミサイルの脅威は、既に九〇年代のノドンのミサイル実戦配備から始まっているものです。

 つまり、緊急性がないにもかかわらず、補正予算を利用してまで防衛予算を膨張させるやり方は、単年度主義の財政規律を乱し、国会が財政をコントロールすることを無意味にすることと考えますが、このような違法性の強い手法を改める意思があるのかどうか、お伺いをいたします。

 最後に、FMSについて伺います。

 安倍政権は、輸送機オスプレイや陸上配備型迎撃イージスシステム、イージス・アショアなど、米国政府のFMS、有償軍事援助に基づく輸入を急増させています。

 二〇一四年度の予算では千九百六億円だった調達額、契約ベースですが、二〇一八年度で四千百二億円に倍増し、今では、今年度の予算案では、過去最大の七千十三億円に急速に膨張しています。

 この防衛調達を急速に膨張させている最大の原因はFMSと言って過言ではありませんけれども、このFMSは、米国が価格や納期に主導権を持ち、代金は前払いで、米国の言い値で購入することが多いことが問題となっているものです。

 こういう状況の中で、果たしてFMSに長期契約を適用し、装備費用を削減することが本当にできるのか、これは疑問ですので、この疑問に対してどのように政府としてお答えになるのか、お示しください。

 また、今年度予算案では、FMSで購入するE2Dが初めて長期契約の対象になっています。どのような背景でこれが可能になったのか、理由をお答えください。

 さらに、FMSに長期契約を適用することは、国内産業を保護する目的と矛盾すると考えますが、政府はその点をどのように考えているのか、お答えください。

 さて、今回の特定防衛調達に係る長期契約の削減効果は余りにも微々たるもので、長期契約による防衛予算の硬直化を緩和させるには至っていません。さらに、防衛予算が毎年史上最高を記録している現状を見ると、その削減額だけ翌年度の防衛装備品の歳出化経費の総額を低く見せることに役立っているという現状があるのではないでしょうか。この意味で、長期契約によるメリットはデメリットを上回るまでには至っていないのではないかという感想を最後に表明し、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣岩屋毅君登壇〕

国務大臣(岩屋毅君) 篠原豪議員にお答えいたします。

 まず、長期契約法における縮減効果の客観性についてお尋ねがありました。

 長期契約による縮減額につきましては、過去の契約実績を考慮の上、各種経費を構成する要素ごとに細かく計算した数値を積み上げることによって算定を行っております。また、算定に用いる過去の契約実績につきましては、防衛省として監査で確認をしているものであります。

 このように、客観性が担保された契約実績を用いて積み上げを行っている縮減効果について、客観性に疑問があるとの御指摘は当たらないものと考えております。

 次に、長期契約による縮減額の算定根拠についてお尋ねがありました。

 平成三十一年度予算案においては、PAC3ミサイル用部品の一括取得及びE2Dの九機調達によりまして、約三百五十六億円の縮減額を見込んでおります。

 その具体的内容と積算根拠について申し上げれば、PAC3ミサイル用部品については、今後の修理で必要となる部品を、米国等も調達する時期に合わせて十年間の包括契約で一括調達することによりまして、約三十一億円の縮減を見込んでおります。また、E2Dにつきましては、米海軍の調達にあわせて発注をし、七年間の契約で九機を調達することによりまして、約三百二十五億円の縮減を見込んでおります。

 なお、いずれの縮減額につきましても、過去の契約実績や企業見積りを含む各種のデータを考慮の上、適切に算定したものであります。

 次に、長期契約法による後年度負担への影響についてお尋ねがありました。

 装備品は、契約から取得、納入まで、長いもので四年から五年を要することから、後年度負担が発生することになります。

 この点、長期契約方式であろうと従来の方式であろうと、各年度に歳出化経費を含む必要な支払いが発生することに変わりはありません。長期契約を活用することで、全体経費が縮減され、中長期的には後年度負担を含む財政負担の軽減が図られる効果があると考えております。

 次に、中長期的な影響についてお尋ねがありました。

 長期契約の対象となる装備品の選定に当たりましては、中長期的な見通しに立った防衛大綱や中期防に基づき、確実かつ計画的に調達することが不可欠なものであることに加え、コスト縮減効果と調達の安定化の効果が十分見込まれるものを対象とすることとしており、国際情勢や技術動向を総合的に勘案して慎重に判断することとしております。

 これに加えまして、対象となる装備品は、製造期間を通じて仕様が安定しているものとしており、技術革新の反映の必要性の有無などを慎重に見きわめ、装備品が陳腐化したり、将来の財政支出を過度に確定させることのないよう、引き続き努めてまいります。

 次に、維持整備費の増加についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで不確実性と厳しさを増しております中、警戒監視活動や対領空侵犯措置など平素からの自衛隊の活動の増大に的確に対応していくために、装備品の維持管理費が上昇傾向にあることは事実でございます。

 厳しい安全保障環境を踏まえれば、我が国の防衛を全うするために、高性能な装備品は必要不可欠であり、同時に、その能力を十分に発揮できるよう維持整備に万全を期していくため、必要な経費をしっかり確保する必要があると考えております。

 このため、平成三十一年度予算案におきまして、維持整備費は契約ベースで対前年度約四百一億円増の八千九百五十三億円を計上する一方、装備調達の最適化などに取り組むことで、防衛予算全体では約四千百五十九億円の縮減を図ることとしており、引き続き、一層の効率化、合理化を進めてまいります。

 次に、調達コストの縮減の取組の成果についてお尋ねがありました。

 厳しい財政事情のもと、防衛力の確実な整備を実現するためには、一層の効率化、合理化を徹底することは当然であり、防衛省としては、各種の効率化施策に取り組んできたところであります。

 その結果、現中期防におきましては、平成三十年度までの五年間の累計で約七千七百十億円の合理化を実現しており、また、新中期防に基づいて編成した平成三十一年度予算案においても、装備調達の最適化や費用対効果の低いプロジェクトの見直し等によりまして、約四千百五十九億円の効率化、合理化を見込んでいるところであります。

 我が国を取り巻く安全保障環境に対応するために必要な予算を確保しつつも、予算の合理化、効率化に引き続き取り組んでまいります。

 次に、防衛産業の再編についてお尋ねがありました。

 我が国の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤ですけれども、高コスト構造や国際競争力の不足といった課題を抱えていることも事実でございます。

 こうした課題に対応するため、価格面も含めた競争性のある強靱な防衛産業を構築していく必要があると考えておりまして、新たな防衛大綱及び中期防におきましては、装備品の効果的、効率的な取得を一層推進していくとともに、技術基盤の強化と産業基盤の強靱化に優先事項として取り組むこととしております。

 この際、個々の企業の組織のあり方はあくまで各社の経営判断によるものではありますけれども、新たな中期防にも明記しているとおり、防衛省としても、各企業に対して効率化を促す各種施策に取り組み、これらの結果生じ得る企業の再編、統合も視野に、産業基盤の効率化、強靱化を図ってまいります。

 次に、長期契約法が防衛産業の再編に与える影響についてお尋ねがありました。

 長期契約法は、装備品や役務の調達コストを縮減するとともに、調達を安定的に実施していくことを目的としており、企業の予見可能性を高め、撤退抑制にも寄与する効果が期待できるものと考えております。

 一方、長期契約の適用に当たりましては、長期契約によることが、かえって効果的、効率的な装備品等の調達の実現を妨げることにならないように、装備品等を厳格に選定することとしており、また、企業側においても、長期にわたる契約を踏まえ、コスト縮減に取り組むこととなります。

 このため、長期契約は、各企業における組織のあり方を含めた効率化に向けた取組を妨げるものではないと考えております。

 次に、新たな中期防における実質的な財源確保のための方策についてお尋ねがありました。

 新たな中期防におきましては、重要度の低下した装備品の運用停止や費用対効果の低いプロジェクトの見直し、徹底したコスト抑制や長期契約を含む装備品の効率的な取得などの装備調達の最適化、その他の収入の確保などの施策を通じて実質的な財源確保を図ることとしております。

 おのおのの施策の縮減額は、各年度の予算編成において具体的な議論を行っていくことから、現時点で確たる数字をお答えすることは困難ですけれども、新たな中期防に基づいて、一層の効率化、合理化を図り、経費の抑制を徹底してまいりたいと思います。

 次に、防衛予算の規模についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、格段に速いスピードで不確実性を増しております。真に実効的な防衛力を構築するためには、防衛力の質と量を必要かつ十分に確保する必要があります。これを踏まえまして、新たな中期防に基づく防衛関係費の伸びは、実質で年平均一・一%がめどとなっております。

 今後の毎年度の防衛関係費のあり方につきましては、中期防に基づき、各年度の予算編成過程において個別具体的に決定していくものであり、現時点で予断を持ってお答えすることはできません。

 いずれにしても、新たな中期防では、中期防期間中に新規契約できる事業費の枠を示しており、この事業費を限度としながら、一層の効率化、合理化を徹底すること等によりまして、他の諸施策との調和を図りつつ、毎年度の予算編成を行ってまいります。

 なお、我が国に必要な防衛力は、その時々の安全保障環境や技術的水準の動向等によることとなるため、新たな中期防より後の平成三十六年度以降の防衛関係費のあり方については、その時点での内外の諸情勢を踏まえて検討されることになるものと思います。

 次に、補正予算への防衛関係費の計上についてお尋ねがありました。

 財政法第二十九条におきましては、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出などについて、政府は補正予算を作成することができる旨を定めているものと承知をしております。

 各年度の補正予算におきましては、当初予算成立後も刻々と変化する安全保障環境等を踏まえ、弾道ミサイル攻撃への対応等、自衛隊の安定的な運用体制を確保する必要があることから、必要な装備品等を着実かつ可能な限り早期に取得するために緊要性のある経費を計上しており、防衛省としては、これらについて財政法上の問題はないと認識しております。

 イージス・アショアに関しましても、平成二十九年十二月に二基の導入を決定し、これを可能な限り早期に進めるため、平成二十九年度補正予算におきまして、米国からの各種情報の取得に要する経費二十八億円を計上しており、適正なものであると考えております。

 次に、長期契約法のFMS調達の装備品、とりわけE2Dへの適用についてのお尋ねがありました。

 一般に、FMS調達は、価格は見積り、納期は予定である等の特徴がありますが、長期契約法をFMS調達の装備品に適用することは可能であり、他の調達方法による装備品と同様に、これがコストの縮減と調達の安定的な実施に資することが重要であります。

 平成三十一年度予算案に計上したE2Dの調達は、米海軍の調達分二十四機と空自の調達分九機のまとめ買いが前提です。米側は空自の調達分とあわせて米国の製造企業に対して発注することから、価格の低減効果が発生し、製造ラインも、米海軍の調達期間中、確実に維持される見込みです。

 この点につきまして、米海軍との間で、現在の価格と納期の見積りを遵守すべく最大限努力する旨を確認し、また、私も、一月のシャナハン米国防長官代行との会談において、円滑かつ速やかな導入について協力することを確認しており、引き続き米国と緊密に協力していく考えです。

 このように、今回のE2Dの取得に関する長期契約法の適用は、コストの縮減と調達の安定的な実施に資するものと考えております。

 最後に、FMSへの長期契約法の適用と国内防衛産業の保護との関係についてお尋ねがありました。

 長期契約法の主な目的は、一層厳しさを増す財政状況のもとで、効率的、安定的な装備品等の調達を実現することであり、また、国内の防衛産業の予見可能性を高め、撤退抑制にも寄与する効果が期待できるものと考えております。

 この観点から、コスト縮減効果や調達の安定化が見込まれるものであれば、FMSによる装備品の調達も長期契約の対象に含まれるものであり、長期契約法の目的と矛盾するものではないと考えております。

 その上で、国内の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤であり、競争性のある強靱な防衛産業を構築してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 下条みつ君。

    〔下条みつ君登壇〕

下条みつ君 国民民主党の下条みつでございます。(拍手)

 私どもからも、初めに、昨日の参議院予算委員会における横畠内閣法制局長官の暴言と不遜な態度に強く抗議し、即刻辞任されるよう強く求めます。

 あと数日で、東日本大震災が発生した三月十一日を迎えます。多くの亡くなられた皆様、また被災された皆様に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 また、当時、救助、捜索、被害者への温かいケアに昼夜を問わず対応された皆様、そして我が身を粉にして活動されました自衛隊の皆様に、心から敬意を表し、感謝を申し上げます。

 それでは、ただいま議題になりました法案に対し、国民民主党・無所属クラブを代表して質問させていただきます。

 本法案は、いわゆる長期契約法と言われる法案で、防衛装備品の調達に関しましては、国庫債務負担行為を、財政法の認める上限の五年を超えて、十年までの長期契約を可能にする特別措置法です。

 財政状況が極めて厳しい日本政府にとって、必要な防衛体制を整備していくためには、さまざまな優先順位をつけ、コスト削減の努力が必要であることは間違いありません。

 そのため、平成二十七年に本法案が成立した際には、まとめ買いによる調達コストの縮減と安定的な調達を可能にするということで、多くの野党も含め、賛同しました。

 同時に、審議過程及び附帯決議において、財政の過度な硬直化や財政規律の緩みを防ぐため、対象の厳格な選定や透明性の確保、そのための指針の策定、経費縮減効果の公表の検証などを求めました。

 法案成立後、これまでに、P1二十機、SH60K十七機、CH47JA六機の三件の調達と四件の維持整備契約が行われました。金額にして、約五千二百六十五億円に上ります。さらに、今年度には、早期警戒機E2D九機、千九百四十億円、PAC3ミサイル用部品の一括調達のための費用、三十五億円が計上されています。長期契約を結んだことによる縮減額は予算額の約二割にも上るものとなっています。

 ところで、縮減額の算出において、防衛省は、装備品の調達の際は一機ごとに購入した場合の価格、維持整備の費用に関しては一年ごとの契約をした場合の価格を比較対象としています。

 例えば、二十七年度に七年契約での調達が決まった固定翼哨戒機P1について、政府は、縮減額が四百十七億円としていますが、しかし、単年度ごとに契約した場合との比較であり、契約期間を五年から七年に長期化した場合の縮減効果ではありません。

 大臣にお伺いします。

 縮減効果の比較対象を、財政法の上限の五年と比較すべきではないでしょうか。大臣は、このような単年度の比較で、法案規定されている法的義務を果たしていると思われますか。お答えいただきたいと思います。

 防衛省では、仕様が特殊で市場価格が形成されていないなどの防衛装備品等の調達に当たっては、予定価格の算定を特定の民間企業が提出した見積資料等に大きく依存している状況になっていることから、より適正な取得価格を独自に積算できるよう、過去の契約実績のデータベース化を行うため、ライフサイクルコスト・コストデータベース・パイロットモデルを開発し、運用を行っています。

 しかしながら、平成二十九年度の決算検査報告において、会計検査院は、このシステムについて意見を表示し、防衛省に処置を要求しました。

 その内容によると、コストデータの比較を行うことができなかったり、入力した計算価格の、契約金額の総額が自動入力される設定になっており、そもそも入力したコストデータの分析を行うことができなかったりした結果、システムの有用性の検証等を行うことが不可能な状況になっていました。そのため、二〇二二年度の本格導入が困難になっております。さらに、コストデータの入力が原価監査等により取得した契約単位になっており、分析に適すると言われているWBSのレベル1より更に細分化されたものになっておらず、コスト管理機能において求められるコストデータの分析に適したデータベースとはなっていなかったとされています。

 会計検査院の指摘によると、残念ながら、防衛省においてはいまだ適切なコスト管理ができている状況にあるとは言えません。長期契約法における縮減額など、どのような算出根拠をもって提示されたものなのか、その信憑性を疑われる状態になっていると言わざるを得ません。会計検査院の指摘を踏まえ、今後のコスト管理のあり方について見解をお伺いします。

 大臣は、平成二十四年に安全保障委員会で、当時、防衛副大臣だった我が党の渡辺周議員に、F35のFMS調達について、よその国がつくったものを言い値で買う、ブラックボックスつきで買う、いつできるかわからない、価格がどうなるかわからないという調達の仕方というのは、やはり将来に向けては考え直すべきではないかと調達の問題について質問されていますが、我々も、FMS調達の依存度がどんどん上がる安倍政権の防衛予算には深刻に憂慮しています。

 特に、岩屋大臣は、F15の後継機として35を採用し、これまでの国内組立ては取りやめ、平成三十一年度以降に契約した機体については、米国での完成品の輸入に切りかえられました。

 岩屋大臣は、当時、将来のFXXをどうするかというときには、やはり日本も研究、開発、生産に参加をとってしかるべきではないかとおっしゃっていました。その心は、過度なアメリカ依存は、財政的にも、国内産業の育成にも、そして日本政府の安全保障上の自主性にも問題があると感じておられたのではないですか。

 今回、例えば機数を減らしても、国内産業の育成につながるような方法は考えられなかったんでしょうか。大臣、お答えをお願いいたします。

 ここ数年、FMS予算額が二〇〇七年度比の三、四倍で推移しているのに連動して、防衛装備品の購入費を中心とする物件費に占める輸入分の割合を見ると、ここ数年で二〇%前後となっており、二〇一一年度からほぼ倍増しています。安全保障環境の変化等の、国内産業が対応できていないと大臣も記者会見で述べられておりますが、一方で、国内産業への発注額が減少しています。この状況で、国内産業が優秀な開発力を維持し、また、今までの技術の蓄積を次世代につなげていけるか、お伺いします。

 日本の防衛産業は非常に多くの中小企業に支えられています。大企業であれば数年程度の受注変動に耐えていけるかもしれませんが、防衛省としてどのように対策を講じていかれるのか、その方針をお伺いしたい。

 要するに、日本の防衛支出は米国がさらってしまっている状態であります、大臣。ぜひお答えいただきたいというふうに思います。

 FMSは年々増加の一途をたどっていることは先ほど申し上げたとおりです。一方で、FMSが前払い方式をとっていることから、事業終了時の未精算金も、平成二十八年度時点で一千億円以上となっております。

 また、我が党の城井崇議員提出の質問主意書への回答によると、平成三十年二月までの十年間の間に、三十四回にわたり米国側に早期精算の申入れを行っていることです。

 近年のFMSの急増は、両国の事務負担量の限界を超えており、現実に未精算金は依然として多額に上っており、このまま未精算金が拡大していくのでしょうか。未精算金の精算の見通しについてもお伺いしたいと思います。

 報道によれば、昨年十二月一日、安倍総理は、トランプ大統領との会談の際に、F35を十年以上にわたり、米国からのFMSにより調達することを表明されました。その後、十二月十八日、平成三十年度以降に係る防衛計画の大綱とともに、二十六中期防衛力整備計画が閣議決定され、F35の累計百五十機近くの調達が決められました。

 F35の投入に百機程度の老朽化したF15が置きかえられることでありますが、大量のF35の導入について、現状でも人材確保に苦渋されていると伺っております。操縦に当たるパイロットの育成、機体整備の体制構築についてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。

 また、現在のレーダー探知から逃れるためのステルス技術については、近い将来、ないものとなるのではないでしょうか、大臣。といいますのは、戦闘機は膨大な熱量を発するものであり、ステルス機自身も熱源探知から逃れることができません。高額な費用をかけてまで導入する必要のある機能なのでしょうか。

 また、技術が日進月歩で進化していく現状において、同型機の長期にわたる配備計画が本当に防衛力の強化につながっていくのか、甚だ疑問であります。

 最近、カナダ政府は、F35の出資国であるにもかかわらず、高額な購入費用、維持管理費用のため、導入の白紙撤回をしております。

 F35の導入について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

 米国標準技術研究所の定めるSP800―171相当の、日本においても順次開始されていきます。

 既に、米国において、二〇一八年一月より、米国の国防関係の政府調達にかかわる全てのサプライヤーはこの条件を満たす必要があり、対象は、米国内の企業にとどまらず、米国防省と取引のある全世界の企業になります。

 日本では主に防衛省中心の問題として認識されているようですが、防衛省や防衛装備庁の中を守ればいいというわけではない。調達に関しては、一般企業を含むサプライチェーン全体において、機微な情報を守る必要があるとされております。

 防衛省において、我が国の防衛産業においてこの条件を満たすことが必須であることは言うまでもありませんが、昨年問題となった中国メーカー製造の通信機器の取扱いについての対応などについて、民間の、とりわけ中小企業においても、対応が非常に困難であり、早急に政府として、支援体制を含め、方向性の構築が必要ではないかと考えられますが、セキュリティー意識が弱いと言われる日本企業において、どのような対策をとり、またどのように行っていくか、政府の方針をお伺いしたいと思います。

 最後に、私は、政治家として、三つの、国民の皆様に訴えてきたことがあります。それは、年金、福祉を守り、そして働く方々がどんな手であろうとも手取りがふえ、そして次世代の方々が他国の戦争に参加しない。これを神明に誓って、これからも国民民主党の中で働いてまいりたいと思っています。

 以上、青天井のように増加する防衛予算のもとでの長期契約法は、後年度負担の増加、長期化による歳出の既定路線化、硬直化、FMSの急激な増加による米国への依存度、一体化を増す防衛体制、国内防衛基盤の衰退などの深刻な問題を助長するだけではないかという問題意識を持っております。これを皆様と共有させていただき、私の代表質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣岩屋毅君登壇〕

国務大臣(岩屋毅君) 下条みつ議員にお答えいたします。

 長期契約による縮減効果の比較や公表の仕方についてお尋ねがありました。

 自衛隊が使用する装備品につきましては、各装備品ごとに製造に要する期間が異なることから、長期契約を適用する場合の縮減額の算定に当たりまして、一律に五年の製造期間の場合と比較することは困難だと考えております。

 このため、長期契約の縮減効果の比較対象としては、各装備品を従来どおりのやり方で調達する場合の経費と比較することが最も明瞭な算定方法であると考えているところであります。

 また、長期契約の対象となる個々の事業につきましては、長期契約法第三条の規定の趣旨を踏まえ、長期契約によらずして調達した場合に見込まれる経費の額と長期契約により調達することによって縮減される経費の額などを適切に公表しているところでありまして、引き続き、長期契約の効果について国民の皆様の理解が得られるよう努力してまいりたいと存じます。

 次に、長期契約による縮減額の算出根拠についてお尋ねがありました。

 長期契約の対象となる装備品等の調達に要する経費の縮減額につきましては、過去の契約実績や企業見積りを含む各種のデータを考慮の上、適切に算定を行っております。

 なお、コストデータに関するシステムは、長期契約の縮減額の算定に用いていたものではありませんけれども、会計検査院からの指摘は大変重たく受けとめておりまして、現在、防衛装備庁において改善に向けた検討を行っております。しっかり改善をしてまいりたいと思います。

 次に、F35の取得方法の変更についてお尋ねがありました。

 我が国の厳しい財政状況のもとで、効率的に防衛力の強化を図るためには、装備品等の価格の低減が重要であることから、必要な機数を速やかに取得するとの観点を踏まえ、平成三十一年度以降のF35Aの取得は、より安価な完成機輸入によることといたしました。

 これまで国内企業がF35Aの製造等に参画してきたことで、F35の運用、整備基盤の確保や、最先端の戦闘機技術、ノウハウに接することによる戦闘機関連の技術基盤の維持、育成、高度化が図られてきたものと考えております。

 また、今後につきましては、リージョナルデポにおけるF35Aの整備や将来戦闘機関連の研究開発事業の実施によりまして、国内の戦闘機関連の技術基盤の維持、育成、高度化を図ってまいりたいと考えております。

 次に、FMS調達の増加と中小企業を含む我が国の防衛産業への影響及び対策についてお尋ねがありました。

 装備品の調達は、国内であれ国外であれ、我が国として主体的に決めているものでありますけれども、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を受け、高性能な装備品について、早期導入が求められる傾向にあるため、その結果として、近年、FMS調達が増加傾向にあることは事実でございます。

 また、厳しい財政状況の中、限られた予算の中で必要な装備品の取得を効率よく進めていかなければならないところ、防衛産業にとっては、主要装備品の国内調達がふえず、厳しい状況にあるということも認識をいたしております。

 一方で、この点につきましては、単にFMS調達がふえた結果というわけではなくて、背景として、高コスト構造や安全保障環境に適応した高性能な装備品を十分に開発することができていないといった防衛産業が抱える課題があることも事実でございます。

 防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤でありますが、こうした課題に対応するため、新たな防衛大綱、中期防において、防衛産業が有する重要技術に重点的に投資を行うとともに、契約制度の見直しや、中小企業を中心としたサプライチェーンのリスク管理の強化などの施策を通じ、防衛産業全体の競争力の強化に優先事項として取り組むこととしております。

 次に、FMSの未精算金についてのお尋ねがありました。

 防衛省では、従来から、装備品の出荷完了から二年を超えても精算が完了していない支払い金額を未精算額としており、平成二十九年度末における未精算額は約五百二十億円となっております。

 これまで改善に向けて取り組んできた結果、平成二十九年度末の未精算額が平成二十八年度末に比べ約百三億円減少するなど、改善が進展しつつあります。また、米国政府に対して、優先的に精算処理すべき案件を共有し、早期かつ効率的な精算の促進を要請したことで、米国政府が速やかな精算処理を行い、防衛省としても、米側の精算処理が着実に進んでいることを確認しております。

 今後も、引き続き、日米間でより緊密に連携を図りながら、未精算額の縮減に向けて積極的に対応してまいります。

 次に、F35のパイロットの育成、整備のための体制構築についてお尋ねがありました。

 F35Aの増勢は近代化改修に適さないF15の代替であることから、必要となるパイロットの数は大幅に増加するということはありません。高度な訓練用シミュレーターを用いることで、これまでよりも効率的に人材を育成することが可能であると考えております。

 機体整備につきましては、F35Aは、自動的にふぐあいを特定の上、速やかな部品供給と修理が受けられる包括的な後方支援システムを導入しております。また、我が国において、機体、エンジンの維持整備の拠点を設置することとしており、必要な維持整備を行っていけるものと考えております。

 最後に、F35の追加導入の必要性についてお尋ねがありました。

 我が国の周辺国における航空戦力の近代化の進展は著しく、また、我が国周辺空域における活動を急速に拡大させております。あらゆる事態に切れ目なく必要な対処を行うためには、質、量の両面において強化を図る必要がございます。

 F35Aは、現在において最新鋭の戦闘機であるだけでなく、その能力を逐次向上することが可能な、いわば進化する戦闘機です。米国におきましては、今後五十年以上にわたり継続的に運用する計画があるなど、長期間にわたる運用が期待されます。

 こうしたことから、近代化改修に適さないF15九十九機の代替として、追加的な取得数を訓練機も含めて百五機としたものでありまして、我が国の防衛に万全を期す上で必要不可欠と考えております。

 なお、先生御指摘のステルス性能に関しましては、いわゆる第五世代機の開発、生産が進む中で、空対空戦闘において大きな影響を与え得る性能であり、また、赤外線センサーによる熱源探知につきましても、探知範囲、安定性等、現時点でさまざまな課題があることから、将来、ステルス性能が意味のないものになるとは言えないと認識をしております。

 なお、カナダ政府の判断についてコメントすることは控えたいと存じます。

 セキュリティー対策につきましては、関係省庁と緊密に調整を図り、適切に対応してまいりたいと存じます。(拍手)

    〔国務大臣櫻田義孝君登壇〕

国務大臣(櫻田義孝君) 企業におけるセキュリティー対策に関する政府の方針についてお尋ねがありました。

 サプライチェーンが多様化、複雑化する中、その一部で発生したサイバーセキュリティーの問題が経済社会全体に広く波及し、甚大な影響を及ぼすおそれが高まっております。

 このようなサプライチェーンリスクに対応するため、平成三十年七月に閣議決定したサイバーセキュリティ戦略において、サプライチェーンにおける脅威を明確化し、事業者が対策を実施するための、中小企業を含む分野横断的な指針の策定や、防衛産業などの個別産業への実装、サプライチェーン全体のセキュリティーを確保するための対策基盤の研究開発、サイバーセキュリティー保険の活用促進やトラブルについて相談できる仕組みの強化など、中小企業に向けた取組などを推進することとしております。

 政府としては、関係省庁が連携して、これらの施策を着実に推進してまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 日本共産党の宮本徹です。

 私は、日本共産党を代表して、防衛調達特措法一部改正案について質問いたします。(拍手)

 防衛調達特措法は、財政法で五年以内とされている国庫債務負担行為を、自衛隊の航空機や艦船などの防衛調達については十年まで可能とする特例を定めた法律です。

 本法案は、二〇一五年、安保法制の審議の直前に制定された現行法の期限を更に五年間延長するものであります。

 そもそも、一九四七年、日本国憲法のもとで財政法が制定されたとき、国庫債務負担行為の年限は三年でした。当時、大蔵省で法案作成に携わった平井平治氏は、財政法の解説書でこう述べております。余りに長期にわたり将来の国の債務を負担することは、国会の構成も時の経過に伴って異なるのであるから、避けるべきであるとの見地から、原則として三カ年度に制限した、こう述べておるわけであります。

 国会議員の任期を踏まえ、当初は三年とされた年限を、五年はおろか十年にまで延長し、将来の軍事費を先取りすることは、国会の予算審議権を侵害し、憲法の定める財政民主主義に真っ向から反するものではありませんか。

 憲法に財政民主主義の原則が定められたのは、過去の侵略戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行するなどし、国家財政と国民生活を破綻させた痛苦の経験があるからです。政府は、その歴史の教訓をどう認識しているのでしょうか。

 現行法が審議された四年前、当時の中谷防衛大臣は、財政の硬直化を招くことがないように実施すると答弁しました。

 ところが、現実には、契約の翌年度以降に分割で支払う後年度負担が年々増大し、一九年度は、当初予算を上回る、過去最大の五兆三千六百十三億円に上っています。後年度負担の補正予算へのツケ回しは常態化し、防衛省が国内の防衛関連企業に装備品の代金の支払い延期を要請する事態にまでなっております。軍事費をめぐる現状は、財政の硬直化そのものではありませんか。

 財務省が昨年十月に財政制度審議会の分科会に提出した資料には、「長期契約に基づく装備品のまとめ買いなどにより、新規後年度負担額が大きく増加。」「予算の硬直化を招くとともに、平準化されない形で歳出規模の増大を招きかねない状況。」と書かれております。

 防衛調達に財政法上の特例を認め、予算の硬直化を招いた責任を、麻生財務大臣はどう認識されているのでしょうか。

 これまで長期契約の対象は、国内で調達する固定翼哨戒機P1や輸送ヘリCH47などでしたが、来年度予算案には、初めてFMS調達による新型早期警戒機E2D九機のまとめ買いが盛り込まれております。

 しかし、FMS調達については、価格は米国政府の見積り、納期も予定にすぎず、米国政府がこれらに縛られないことは政府自身が認めてきたことであります。長期契約においても、この仕組みに変わりはないではありませんか。

 米国政府と米軍事企業に兵器の一括購入を保証する一方、政府が長期契約の要件としてきたコストの縮減と安定的な調達は全て米国政府次第ということになるのではありませんか。

 政府は、昨年末、新たな防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を閣議決定いたしました。新中期防の総額は、現中期防を二兆八千億円も上回る、過去最大の二十七兆四千七百億円に上ります。

 長期契約による個々の調達コストの縮減は、予算全体の縮減には全くつながっていません。そればかりか、イージス・アショアやF35戦闘機などの米国製兵器を大量購入するための原資になっているのが実態ではありませんか。

 トランプ米大統領に言われるがままの米国製兵器の爆買いをやめ、史上最大の軍拡計画の撤回を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岩屋毅君登壇〕

国務大臣(岩屋毅君) 宮本徹議員にお答えいたします。

 まず、長期契約法と財政民主主義の関係についてお尋ねがありました。

 日本国憲法第八十三条は、財政民主主義の原則として、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と規定をしております。

 今般の法律案に基づく個々の長期契約につきましては、各年度の予算に国庫債務負担行為として計上され、国会の議決を経た上でお認めいただくものでありまして、財政民主主義との関係で問題は生じないものと考えております。

 次に、財政民主主義とその歴史についてのお尋ねがありました。

 財政民主主義につきましては、過去の反省から、国の財政を適切な民主的コントロールのもとに置くことで、国民が不当な負担をこうむることを避けるために現行憲法に規定されたものであると認識をしております。

 次に、財政の硬直化についてお尋ねがありました。

 防衛力整備につきましては、例えば、艦艇一隻、航空機一機の製造に長いもので四年から五年の期間を要し、さらに、所要の隻数、機数を整備するためには長い年月を要することから、どうしても後年度負担が生じます。

 防衛省としては、毎年度、装備品等の調達の効率化、合理化に努め、中期防の枠内で、後年度負担も含む、計画的に予算編成を行っているところでありまして、引き続き、財政の硬直化を招かないように適切に対応してまいりたいと存じます。

 いずれにせよ、新中期防においては、五年間に新規契約する事業費の枠を設定しているところでありまして、後年度負担を含め、防衛関係費を一層適切に管理してまいりたいと存じます。

 なお、補正予算につきましては、財政法第二十九条に基づいて緊要性のある経費を計上しており、また、支払い時期の後ろ倒しを伴う部品の契約変更を三十一年度に行うことは考えておりません。

 次に、FMS調達の装備品に対する長期契約法の適用についてお尋ねがありました。

 御指摘のように、FMS調達は、価格は見積り、納期は予定である等の特徴があり、長期契約法を適用しても、この特徴に変わりはございません。

 長期契約法をFMS調達の装備品に適用することについては、他の調達方法による装備品と同様に、これがコストの縮減と調達の安定的な実施に資するということが重要だと考えております。

 製造企業等との調整は米国政府により実施されることとなりますが、平成三十一年度予算案に計上したE2Dの取得に係る調達効率化は、米海軍の調達分二十四機、空自の調達分九機のまとめ買いが前提となります。米側は空自の調達分とあわせて米国の製造企業に対して発注することから、価格の低減効果が発生し、製造ラインも調達期間中は確実に維持される見込みでございます。

 この点について、米海軍との間で、現在の価格と納期の見積りを遵守してもらうべく、最大限努力する旨を確認し、また、私も、シャナハン米国防長官代行との会談におきまして、速やかな導入、円滑な導入について協力することを確認しておりまして、引き続き米側と緊密に協力をしていきたいと思います。

 このように、今回のE2Dの取得に関する長期契約法の適用は、コストの縮減と調達の安定的な実施に資するものと考えております。

 最後に、長期契約による縮減額と予算額との関係についてお尋ねがありました。

 平成三十一年度予算案における長期契約につきましては、PAC3ミサイル用部品の一括調達によって約三十一億円、E2Dの九機まとめ買いによって約三百二十五億円、合計で約三百五十六億円の縮減額を見込んでおりまして、防衛予算全体の縮減に寄与しているものと認識をしております。

 また、御指摘のイージス・アショアやF35Aといった高い性能を有する米国製の装備品につきましては、我が国を取り巻く安全保障環境に対応し、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要不可欠なものとして平成三十一年度予算案にも計上しているものでございます。

 いずれにいたしましても、厳しい財政状況を踏まえつつ、防衛力整備の一層の効率化、合理化を図ることで経費の抑制に全力で努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 宮本議員から、債務負担行為の年限の特例、財政民主主義と歴史の教訓、防衛予算の硬直化について、計三問お尋ねがあっております。

 まず、国庫債務負担行為の年度の特例についてのお尋ねがありました。

 財政法は、将来にわたる財政の弾力性を阻害することのないよう、国庫債務負担行為の年限を原則五カ年度以内と定めております。

 一方、今回の特別措置法は、防衛力の計画的な整備を行うために必要であって、長期契約による経費の縮減効果が見込まれることから、財政法の特例として定めるものであります。

 今回の特別措置法に基づく国庫債務負担行為につきましては、他の国庫債務負担行為と同様に、毎年度の予算において計上し、国会の議決を経ることとされております。したがって、国会の予算審議は確保されており、財政民主主義に沿ったものであると考えております。

 次に、財政民主主義と歴史の教訓についてのお尋ねがあっております。

 もとより、議会制度自体が、財政に国民の適切なコントロールを及ぼすため発達してきたものであることから、現憲法八十三条の財政民主主義の原則は、議員御指摘の理由のみによって新たに規定されたものではないことは承知をしておりますが、同条の規定に沿って財政運営を行うべきということは言うまでもありません。

 その上で、さきの大戦のような、国力に見合わない債務残高の累増の結果、国家財政や国民生活を危うくすることがあってはならないことであります。こうした教訓も踏まえ、新経済・財政再生計画に沿って経済再生を図り、防衛関係費を含めた歳出と歳入、両面の改革を続けることで、二〇二五年のプライマリーバランスの黒字化を実現し、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指してまいりたいと考えております。

 最後に、防衛予算の硬直化についてのお尋ねがありました。

 防衛関係費につきましては、これまでも、中期防に定められた予算の範囲内で予算編成を行っているところであります。

 このため、後年度負担及びその後の歳出経費の増加により、毎年度必要となる裁量的経費が圧迫されることのないよう、新たな中期防において、後年度負担も含めた、新規契約する事業費の総額を定めることにより、防衛関係費の管理のさらなる適正化を図ったところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 重徳和彦君。

    〔重徳和彦君登壇〕

重徳和彦君 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。

 早速質問に入ります。(拍手)

 昨年十二月十八日、次期中期防が閣議決定されました。平成二十八年三月の安保法制施行により、自衛隊の任務は拡大し、武力攻撃事態に加え、存立危機事態、重要影響事態などへの対処が求められることになりますが、安保法制という観点から、こうした自衛隊の新たな任務に伴って新たに整備される防衛装備品があるのかどうか、答弁願います。

 古来より、戦時の戦費調達は当事国最大の課題でした。財源が底をつけば、その国の国防力は損なわれます。財政の制約は防衛力の制約なのです。厳しい財政状況に置かれる我が国が昨今の安全保障環境の変化に対応するためには、今まで以上に国家の財政構造に気を配り、適切な防衛費の水準や効果的な調達方法について議論が必要と考えます。

 かつてはGDPの一%枠などの目安がありましたが、現在、防衛当局として、我が国の防衛力への制約要因としての財政に対する認識をお尋ねいたします。

 また、戦後の日本は、日米安保体制を基軸に抑止力を強化し、有事においては日米が共同で対処することになっているため、防衛力の整備に当たっては、完全なる自主防衛に比べれば低い負担で済んできたと考えるべきだろうと思います。

 我が国の防衛費の水準は、日米安保体制下における軽武装、経済重視によってどのような影響を受けてきたと認識しているか、また、日本の防衛費は世界第八位の高位にあると言われることもあるようですが、それでも、日米で共同対処する分、日本の防衛費から除かれたコストが米国の国防費に含まれていると考えてよいのか、お尋ねします。

 財政制約がある中で、自衛隊の装備の水準と数を満たすには、装備品の価格引下げが必須であり、発注者も受注者も限られる独特の市場で、防衛省と産業界が一致して努力しなければなりません。

 今回改正される長期契約法などにより、平成三十一年度に削減される経費三百五十六億円の積算根拠をお示しください。

 また、私は、こうした削減努力の一部を研究開発費に回し、低価格、高品質の国内技術力を強化すべきと考えますが、防衛大臣は、これらの経費削減が、我が国の防衛力の向上、すなわち装備品の整備水準の観点から、どのような意味があると認識しておられるか、答弁願います。

 次に、中期防に定める装備品それぞれの単価が、ことし一月八日、初めて一般に公表されましたが、今までなぜ公表していなかったのか。また、これらの単価の決定方法はどうなっているのか。今回の中期防で初めて公表されることになったことを契機に、決定方法に変更点があればお示しください。

 ここ数年、防衛費全体が増加していますが、米国政府からのFMS調達など新規の高額装備品の購入の影響により、既存機の維持整備費などの経費の増減状況はどうなっているのか。最低限必要な経費にしわ寄せが行っていないのか、お尋ねします。

 FMS調達の主たる増額要因となっている航空機については、従来から、米国内と対日本で売り値に差があるという指摘がありますが、現状はどうなのですか。

 また、F35AのFMS調達について、国内企業が最終組立てや検査を実施した機体、いわゆるFACO機の価格上昇要因を確認すべきとの平成二十九年の会計検査院の指摘に対し、どう対応してきたか、お伺いします。

 欧米ではメーカーの統合による体力強化が進んでいますが、日本ではなかなか再編が進まず、各メーカーが国内で競合する状態が続いています。今の業界体制のまま長期契約を続けることは、各メーカーのラインや人員、資材などの確保の見通しが立つことで、調達の安定化と低廉化に結びつくでしょうけれども、同時に、各メーカーの再編意欲を損なわせ、競争力低下により海外依存が高まるのではないか、懸念しています。

 国内の防衛産業の再編を政府が主導し、世界トップレベルの技術力を維持向上させることによって、防衛装備品の対米依存を抑制すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、我が国が高度な科学技術力を抱えることによって、経済上はもちろん、安全保障上も、諸外国から無視し得ない国家として、国際社会で存在感を高める技術安全保障に国家戦略として取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、経済産業大臣に、国内の防衛産業の再編による国内外での産業競争力の強化と、我が国の技術安全保障への取組についての見解を求めます。

 以上で質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣岩屋毅君登壇〕

国務大臣(岩屋毅君) 重徳和彦議員にお答えいたします。

 まず、平和安全法制の整備に伴う防衛装備品の取得についてのお尋ねがありました。

 国民の命と平和な暮らしを守り、国際社会の平和と安全に貢献することは、自衛隊の重要な責務であります。平和安全法制は、このような任務を切れ目なく、より効果的に果たすことを主眼とするものであります。

 平和安全法制の整備によりまして、さまざまな事態への対処が新たな任務として付与されましたが、こうした事態への対処は、我が国の防衛などの従来の任務に必要な装備品によって基本的に対応できるものでありまして、平和安全法制の整備に直接的に起因して導入を決定した新たな装備品はございません。

 防衛省としては、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、新たな防衛大綱及び中期防のもとに、着実に防衛力の強化を図ってまいりたいと存じます。

 次に、防衛関係費の制約要因についてお尋ねがありました。

 防衛省・自衛隊としては、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、これに対応するために必要な防衛力の強化のための取組を検討し、必要となる経費を積み上げております。

 他方、格段に厳しさを増す財政状況と国民生活にかかわる他の予算の重要性等を勘案し、防衛力整備の一層の効率化、合理化を図り、経費の抑制に努めるとともに、国の他の諸施策との調和を図ることも重要だと考えております。

 この点につきまして、中期防において期間中の所要経費を定めるとともに、各年度の予算編成においては、概算要求を行い、その後、財政当局の査定を受けるという一連の予算編成プロセスを通じて、政府として適正な防衛関係費のあり方が形づくられていくものと考えております。

 なお、御指摘のいわゆるGDP比一%枠については、昭和六十一年に撤廃をされているところでありまして、GDPと関連づけた数値目標を設定することは適切ではないと考えております。

 次に、日米安保体制下の防衛関係費のあり方についてお尋ねがありました。

 我が国は、民主主義などの基本的価値を共有する米国との間で同盟関係を継続し、その抑止力と我が国みずからの防衛力によって、すきのない体制を構築して、我が国の安全を確保することを防衛の基本としております。

 このため、我が国の防衛関係費は、日米安保体制を前提としたものになっておりますが、その上で、一般論として申し上げれば、仮に米軍が有するような装備品などを全て我が国自身で整備するとなった場合には、所要の防衛関係費は大幅に増加することになると考えます。

 また、米国は、国防政策上、我が国を含む同盟国の防衛も考慮しつつ、自国の国防費のあり方を検討しているものと認識しておりますが、御指摘の日本の防衛費から除かれたコストについて、一概にお答えすることは困難だと思っております。

 次に、長期契約による縮減額についてお尋ねがありました。

 平成三十一年度予算案におきましては、PAC3ミサイル用部品の一括取得及びE2D早期警戒機の九機調達によりまして、約三百五十六億円の縮減額を見込んでおります。

 その具体的内容と積算根拠について申し上げれば、PAC3ミサイル用部品については、今後の修理で必要となる部品を、米国等も調達する時期に合わせて十年間の包括契約で一括調達することによって、約三十一億円の縮減を見込んでおります。また、E2Dにつきましては、米海軍の調達にあわせて発注し、七年間の契約で九機を調達することによって、約三百二十五億円の縮減を見込んでおります。

 いずれの縮減額につきましても、過去の契約実績、企業見積りを含む各種のデータを考慮の上、適切に算定をしたところでございます。

 次に、長期契約による縮減額の意義についてお尋ねがありました。

 厳しい財政事情のもとで防衛力の計画的かつ確実な整備を行っていくためには、装備品取得や維持整備の効率化を推進し、コスト縮減を図ることにより、限られた予算を有効に活用するとともに、安定的な調達を実現していくことが不可欠です。

 こうした基本的な考え方のもとに、平成三十一年度予算案におきましては、PAC3ミサイル用部品及びE2Dの調達を長期契約の対象とするとともに、引き続き、国内の技術基盤の維持等にも資する研究開発を始めとした我が国の防衛に必要なさまざまな事業を計上しているところでございます。今後とも注力をしてまいりたいと存じます。

 次に、中期防の主要装備品の単価についてお尋ねがありました。

 中期防におきましては、従来から、その期間中の所要経費全体をお示ししており、中期防別表に掲げている主要装備品の単価については、これまで一般に広く公表したことはありませんが、必要に応じ、個別に説明してきたものでございます。

 今回の中期防策定に当たりましては、装備品の効果的、効率的な取得について国民の皆様の関心が高まっていることを踏まえ、説明責任を果たすために公表をしたところでございます。

 この単価は、過去の調達価格や企業等による見積価格等を参考に、中期防の決定年度の価格に置きかえるなどの措置をした上で設定をしております。このような設定方法は従来と変更はございません。

 次に、FMS調達の増加による影響についてお尋ねがありました。

 FMSは、一般では調達できない機密性の高い装備品や、米国においてしか製造できない能力の高い装備品を調達できる点で、我が国の防衛力を強化するために非常に重要だと考えております。

 一方で、維持整備費等の経費も、自衛隊の活動の持続性、強靱性を強化するために重要でございまして、自衛隊の活動に支障が生じないよう措置するとの観点から、平成三十一年度予算案において、維持整備費は、契約ベースで対前年度約四百一億円増の八千九百五十三億円を計上しているところであります。

 今後とも、安全保障環境が厳しさを増す中、全体としてバランスのとれた防衛力を構築すべく、維持整備費を含め、必要な経費を確保してまいります。

 次に、FMSで調達する航空機の米軍との価格差についてお尋ねがありました。

 FMSは、米国の経済的な利益を目的とした装備品の販売ではなく、我が国と米国との間では、FMS調達に当たって、米国政府が、米軍自身が使用する装備品等に適用するのと同じ契約条項、契約管理及び品質、監査検査手続をFMS購入国が使用する装備品にも適用する旨を確認しておりまして、米国の調達制度と同等の公正性が担保されているものと考えております。

 その上で申し上げれば、FMSによって防衛省が米軍と同機種の装備品を調達する場合であっても、例えば、我が国の独自仕様に基づく価格差や、米国政府の管理等に係る費用、米国政府との価格算定方法の相違など、さまざまな要因がございまして、米軍の調達価格と必ずしも同一の価格になるわけではないと認識をしているところでございます。

 次に、会計検査院によるF35Aの価格上昇に関する指摘についてお尋ねがございました。

 平成二十九年九月の会計検査院の随時報告において、本体価格が変動した場合には、引き続き適時適切に合衆国政府に要因を確認することとされております。

 我が国が取得するF35Aについては、大幅な円安となった為替の影響や、平成二十五年度以降、国内企業が製造に参画し、少数しか製造しないといったことから、製造作業に習熟するペースが遅いこと等の理由によって価格が上昇していることを確認いたしました。

 平成三十一年度以降は、F35Aの取得は完成機輸入に切りかえることといたしましたが、防衛省としては、引き続き、我が国が取得するF35Aの価格の変動について、その要因を米国政府に確認をしてまいりたいと存じます。

 次に、防衛産業の再編による装備品の対米依存の抑制についてお尋ねがありました。

 装備品の調達に当たりましては、米国製であれ国内製であれ、今後の我が国の防衛に必要な装備品を個別に評価、検討し、我が国の主体的な判断のもとに決定をしているものであります。

 その上で、国内の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤であることから、今後、防衛産業がすぐれた技術力を確保し、競争力の向上を図れるよう、新たな防衛大綱、中期防において、技術基盤の強化と産業基盤の強靱化について、優先事項として取り組むことといたしております。

 この際、個々の企業の組織のあり方はあくまでも各社の経営判断によるものではありますけれども、新たな中期防に明記しているとおり、防衛省としても、各企業に対して効率化を促す各種施策に取り組み、この結果生じ得る企業の再編、統合も視野に、産業基盤の効率化、強靱化を図ってまいります。

 最後に、技術安全保障についてお尋ねがありました。

 我が国の高い技術力は防衛力の基盤であり、安全保障環境が厳しさを増す中、安全保障にかかわる技術の優位性を維持向上していくことは、将来にわたって国民の命と平和な暮らしを守るために不可欠だと考えております。

 新たな防衛大綱におきましては、我が国のすぐれた科学技術を生かし、政府全体として、防衛装備につながる技術基盤を強化することがこれまで以上に重要になっていると認識しております。

 このため、防衛省・自衛隊においては、新たな領域に関する技術や、人工知能等のゲームチェンジャーとなり得る最先端技術を始めとする重要技術に対して、選択と集中による重点的な投資を行い、技術基盤の強化に努めるとともに、技術管理や知的財産管理を強化することなどによって、我が国が持つ重要技術の海外への流出防止にも万全を期してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣世耕弘成君登壇〕

国務大臣(世耕弘成君) 重徳議員にお答えいたします。

 国内の防衛産業の再編についてお尋ねがありました。

 防衛産業基盤は、防衛装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠で、この分野の効率化、強靱化は重要な課題です。

 このため、政府として、中期防衛力整備計画等に基づき、製造プロセスの効率化や徹底した原価の低減などに取り組んでいます。

 こうした取組の結果、防衛関連企業が再編や統合を目指すことになれば、経済産業省としても、事業再編の円滑化などの支援を行い、生産性の向上などを促進していきます。

 これにより、国内防衛産業の競争力、技術力が更に強化され、国際社会における存在感が高まり、日本全体の安全保障にも貢献できると考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       経済産業大臣  世耕 弘成君

       防衛大臣    岩屋  毅君

       国務大臣    櫻田 義孝君

 出席副大臣

       防衛副大臣   原田 憲治君


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