衆議院

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第16号 平成31年4月9日(火曜日)

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平成三十一年四月九日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十号

  平成三十一年四月九日

    午後一時開議

 第一 自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長秋葉賢也君。

    ―――――――――――――

 自然環境保全法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔秋葉賢也君登壇〕

秋葉賢也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、沖合の海底の自然環境の保全を図るため、沖合海底自然環境保全地域の指定及び当該地域内における海底の形質を変更するおそれがある行為に対する許可制度の創設等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月十八日本委員会に付託され、翌十九日原田環境大臣から提案理由の説明を受け、今月二日に質疑を行い、質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対して附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長牧原秀樹君。

    ―――――――――――――

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔牧原秀樹君登壇〕

牧原秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、我が国における急速な少子化の進行並びに幼児期の教育及び保育の重要性に鑑み、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図るため、市町村の確認を受けた幼児期の教育及び保育等を行う施設等の利用に関する給付制度を創設する等の措置を講ずるものでございます。

 本案は、去る三月十二日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会においては、同月十三日宮腰国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、十五日から質疑に入りました。二十六日に公益財団法人児童育成協会の視察を行い、翌二十七日には参考人から意見を聴取いたしました。さらに、翌二十八日に文部科学委員会及び厚生労働委員会との連合審査会を開会し、四月三日には安倍内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど慎重に審査を重ね、同日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、本案に対し、立憲民主党・無所属フォーラム及び国民民主党・無所属クラブより、待機児童に関する問題の早急な解消、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の見直し、保育等従業者の処遇の改善等の措置を講ずること及びこれらの措置が講ぜられた結果として待機児童に関する問題が解消されるまでの間、無償化のための措置の施行を延期すること等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、原案及び修正案について討論を行い、採決した結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。阿部知子君。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 私は、会派を代表して、政府提出の子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 冒頭、塚田一郎国土交通副大臣の四月一日の下関北九州道路調査費に関するそんたく発言並びに四月五日付辞任について一言申し上げます。

 安倍政権のもとでのそんたく疑惑は、森友学園問題に始まり、加計学園問題、統計不正問題、今回の道路問題に至るまで後を絶ちません。

 もしも塚田氏のそんたく発言が事実であれば、これまでの事案と同様、著しい行政の私物化です。また、虚偽であっても、有権者に公然とうそをついたことになります。いずれであっても、主権者国民の知る権利を著しく侵害し、立憲主義を踏みにじるものであり、到底許されるものではありません。

 安倍総理にあっては、辞任を追認するのではなく、罷免の上、総理御自身もまた任命責任をとるべきです。

 そんたく政治を横行させている原因は安倍政権そのものにあり、国民の信頼を回復することこそ急務と考えます。

 さて、このたびの子ども・子育て支援法改正とそれに伴う幼児教育の無償化に立憲民主党として反対せねばならないことは、大変残念です。

 二十一世紀に入って間もなく、世界各国で幼児期の教育について注目が高まり、子供のよりよい将来のために、早期幼児教育と保育の質を高めることがOECDにおいても重要な政策目標となりました。

 我が国においても、このことを課題として、幼保一体化あるいは幼保一元化として、政権のいずれを問わず取り組まれてきました。

 子ども・子育て支援法もそうした中で二〇一二年に成立し、その第二条に、「全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない。」とされました。

 ところが、一昨年秋の衆議院の解散・総選挙を前に、安倍総理は、みずからの看板政策として、消費税増税の使途を幼児教育の無償化にまで拡大することを掲げました。そして、三から五歳児の幼稚園、保育園の保護者負担の軽減を所得制限なく行うことを無償化と言いかえ、この言葉をひとり歩きさせてきました。

 この過程で、年来の課題であった待機児童対策が進まないゼロから二歳児は低所得世帯のみの給付に限られる一方、三から五歳児においては、保育の質の担保されない認可外保育施設にまで支給対象が拡大されました。

 すなわち、ゼロから五歳の全ての子供に対する完全無償化でもなく、おまけに待機児童は全く枠外に置かれ、良質かつ適切とはほど遠いものまで取り込んだのです。

 子ども・子育て政策の根幹をゆがめた本改正案について、以下、具体的に言及します。

 第一の問題は、その財源を消費税増税に求めた点です。

 これまで消費税は、専ら社会保障の財源とうたわれ、二〇一二年の社会保障改革推進法で新たに少子化対策が加えられましたが、一昨年の安倍総理の提案は、幼児の保育、教育の経費をもここに含めようとするものです。

 今回、三から五歳児の無償化に要する費用が年間八千億円で、さらに、今後、それをゼロから二歳児にも所得制限なく拡大する方針なら、一体その総額はどれくらいとなり、また、財源はどこに求めるのでしょうか。さらなる消費増税が不可避となります。今回の給付は、長期方針も一貫性もない、安易かつ目先のばらまきであると断ぜざるを得ません。

 まして、逆進性の高い消費税を三から五歳児に所得制限なく給付すれば、高所得者層に手厚く、そもそも待機児童が給付の枠外では、子育て世代に格差の拡大と著しい分断をもたらします。

 第二に、何といっても深刻な待機児童問題を悪化させると同時に、保育の質を低下させることです。

 立憲民主党では、一昨年春、保護者からの切実な声を受けて、待機児童の解消に取り組むためには、保育の受皿施設だけでなく、それを担う人材こそ重要と考え、保育士の処遇改善法案を五野党一会派で取りまとめて提案してまいりましたが、いまだに審議もされておりません。

 保育士の賃金の低さは今も抜本的には解消されず、加えて保育士の数が少ないことが、現場での長時間労働や妊娠をはばかる状況を生み、マタハラにつながっています。

 さらに、最近、児童への虐待報道が相次ぐなど、長年親子を支えてきた保育現場は疲弊し、余力をなくしています。

 政府は、二〇一四年には、保育の量的拡充と質の改善は車の両輪であるとして、保育士の配置をふやし、一歳児では五人に一人、四、五歳児では二十五人に一人にふやす予定でした。政府は、今、みずからそれを放棄したまま無償化を先行させようとしていますが、これはさらなる保育士の離職と保育現場の劣化を招きます。充実した保育を願う現場からも、保育の質が低下するなどの声が上がり、民間アンケートでは、無償化には七割近くの保育士が反対を表明したとの結果があります。

 第三に、認可外保育施設を給付の対象としたことは論外です。

 指導監督基準すら満たさない施設で保育、教育されることは、良質かつ適切どころか、時に子供たちの命の危険に結びつきます。経過措置の五年や自治体ごとの判断に委ねるべきものではありません。

 第四に、この間の審議を通して、二〇一六年から開始された企業主導型保育所の抱える問題が隠蔽、放置されていることが明らかになりました。

 企業主導型保育所は、企業拠出金を財源とした交付金制度のもとに、保育事業者を募集し、整備、運営されるものです。施設整備費や運営費を助成する業務は内閣府が公益財団法人児童育成協会に委託し、協会はその監査業務の大部分を株式会社パソナに再委託しています。

 ところが、昨年暮れに、突然の閉園で行き場を失う園児や保護者の戸惑いが報道されたことをきっかけに、交付金の虚偽申請や不正受給が明らかになりました。

 その全容把握のために再三再四政府に資料を求めると、制度開始後わずか二年足らずで二法人が事業資格を取り消され、交付金でつくったばかりの保育所を譲渡するいわゆる保育園転がしは十一法人二十八施設、さらに、民事再生手続中が二法人九施設、休止保育園は十法人十一施設あると判明をいたしました。

 さらに、企業拠出金の執行状況も明らかにせよと求め続けてやっと出してきたデータを見ると、初年度は、約八百億円の予算のうち百九十四億円しか使わず、六百億円を余らせ、二年度は、千三百億円も拠出させて八百億円しか使わず、五百億円も余らせ、二年間で千百億が余剰に積み上がっています。にもかかわらず、二〇一八年には企業拠出金の負担額が引き上げられたのです。余りにずさんな執行状況であり、年金特別会計での処理が更にそれを見えづらくしています。

 世田谷区など自治体からの指摘を受けて、内閣府は企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会を立ち上げて検証を始めましたが、こうした実態はいまだ未検証です。企業主導型保育は、安倍総理の肝いりで、経済界からの支援を仰いでハードの増設を急がせたものですが、その運営や保育人材確保に当たっては、内閣府としてしっかりと子供の保育に責任を持つ体制もないままに今日まで来ています。

 今回の無償化も、多くの論点も積み残したまま、消費税増税の負担軽減の手段であるかのように、その実施が急がれています。子供たちの時間も子育ての時間も二度と戻りません。ここで立ちどまり、選挙目当てではなく、子どもの権利条約にのっとった、子供にとって最善の保育や教育のあり方を徹底論議すべきときと考えます。

 問題山積みの子ども・子育て支援法改正案であることを強調し、以上、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 長坂康正君。

    〔長坂康正君登壇〕

長坂康正君 自由民主党の長坂康正です。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました政府提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 我が国が直面する最大の課題は、申すまでもなく少子高齢化問題であります。活力ある経済社会を構築し、元気あふれる地域社会を創生していくためには、お年寄りが安心して生活できるようにするだけではなく、子供たちが健やかに成長していけるような環境づくりが肝要であります。

 しかし、若い世代の方々とお話をいたしますと、子育てや教育に係る費用の負担ゆえに子供を産むことをためらうという声も聞きます。経済的な理由で子供が産めず、少子化が進み、日本の社会が衰退してしまうとすれば、ゆゆしき事態であります。また、経済的な理由で生涯にわたる人格形成の基礎を培っている幼児教育が十分に受けられない子供がいるとすれば、深刻な問題であります。

 我が国は人生百年時代に移行しつつありますが、その基盤はいまだ脆弱であると言わねばなりません。今こそ、子育て世代や子供たちに大胆に政策資源を投入し、子供を産み育てやすい国へと転換をさせ、将来にわたって安定した社会を構築することを目指すべきであります。

 安倍内閣は、平成二十六年度以降、幼児教育、保育の段階的無償化に取り組んできましたが、今回、これを一気に加速し、消費税という安定財源を用いて、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼児教育、保育を無償化することといたしました。これは、少子化対策として最重要の政策であるとともに、一昨年の総選挙で国民の皆様とお約束をした政策であり、我々は、責任を持って、しっかりと実行に移していかねばなりません。

 なお、無償化よりも待機児童の解消や保育士の処遇改善を先に進めるべきという意見もあるようですが、無償化と待機児童解消とは二者択一の問題ではありません。

 政府は待機児童の解消を強力に進めており、昨年は待機児童が十年ぶりに二万人を下回っていますが、幼児教育、保育の無償化の後も着実に待機児童の解消に向けて進めていかなくてはなりません。

 また、保育士の処遇改善も、平成二十五年度以降、月額三万八千円に加え、今年度からは新たに月額三千円相当の処遇改善を行うこととしていますが、保育士の方々が保育の現場で安心して働けるような環境づくりも着実に進めていく必要があります。

 また、今般の無償化が高所得者優遇になるといった指摘も一部の野党からはありましたが、これまで進めてきた低所得世帯を中心とした無償化の流れ全体を見れば、当を得ていないことは明白であります。

 ゼロ歳から二歳までの子供たちについては住民税非課税世帯を対象に無償化が進められますし、待機児童問題により、やむを得ず認可外保育施設に通っている子供たちについても、無償化の対象となっております。このように公平性にも十分配慮した制度設計となっています。

 いずれにせよ、政府には、無償化を実施するとともに、引き続き待機児童の解消に全力で取り組んでいただくことを求めたいと思います。

 さらに、地方自治体からも、この無償化を本年十月から円滑に実施するために、一日も早い法案の成立を求める声が日に日に強まっております。

 何とぞ多くの議員の皆様の御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、子ども・子育て支援法改正案に反対の討論を行います。(拍手)

 第一に、本法案は消費税増税を発端としたものです。

 安倍総理は、総選挙を前にした二〇一七年九月、消費税一〇%増税の使途変更を理由に、幼児教育の無償化を持ち出し、解散・総選挙の口実としました。消費税は低所得者ほど負担が重くなる逆進性を持つ税であることは、総理自身認めています。保育料は既に所得に応じて段階的になっており、住民税非課税の一人親世帯などでは保育料は免除されています。このような世帯では、無償化による恩恵はなく、消費税増税分が重くのしかかるだけであります。消費税増税を財源にすることで低所得者層へ重い負担を押しつけることは認められません。

 第二に、幼児教育の無償化措置は、教育、子育ての切実な願いを逆手にとり、増税と引きかえに、総理の一言で、まさに党略的に決められたものであります。

 質疑の中で内閣府が検討の場はなかったと答弁したように、制度としての十分な検討が行われたものではありません。だから、経過措置期間の五年間は、保育士が一人もいないような施設も給付対象とし、是正すべき指導監督基準以下の施設を容認するなど、制度として矛盾だらけです。

 認可外保育施設への児童福祉法に基づく立入調査は、現在でも六八%しか行われておりません。無償化によって調査対象は一・七倍にふえます。これに対し、厚労省は巡回支援指導員をふやすと言いますが、巡回支援指導員は児童福祉法に基づく指導監督を代替できるものではありません。このことは厚労省も認めざるを得ませんでした。指導監督体制の強化なしに、安心、安全な保育を保障することはできません。

 また、法案は、これまで保育料に含まれていた三から五歳児の給食おかず費を施設側に徴収させることとしています。保育の一環である給食の費用は公費で負担すべきであり、給食費の実費化は公的保育制度を後退させるものです。

 第三に、公立保育所を更に減らし、問題が相次ぐ企業主導型保育事業を拡大させようとしていることです。

 公立保育所数は、地方行革の押しつけ、運営費、整備費の一般財源化によって、この二十年間で三割も減少しています。今回の無償化措置は、私立保育所には国から二分の一補助が出るのに比べ、公立保育所は市町村の十割負担です。公立保育所の廃止、民営化を一層加速させることは明らかです。

 一方、この間、急拡大してきた企業主導型保育は、突然の閉園や助成金の不正受給、七五%の施設で基準違反が見つかるなど、問題が相次いでいます。助成決定を行う児童育成協会の審査で、現地確認は、約二千六百施設のうち、わずか六件です。審査はたった五人で年三回の会議で行うというのが実態です。慎重な審査が行われているとは到底言えません。

 企業主導型保育は、仕組み上、認可施設にならない施設であると内閣府も認めました。にもかかわらず、政府は、子育て安心プランで、企業主導型保育を待機児童の受皿として組み込み、推進してきました。企業主導型保育を今回の無償化の対象とすることによって、市町村が設置、監査に関与せず、認可基準以下で整備、運営ができる企業主導型保育が拡大するのは目に見えています。

 公立保育所を減らし、企業主導型をふやすことが何をもたらすのか。結局、認可保育所による、自治体の保育実施義務に支えられた公的保育制度を大きく後退させるだけではありませんか。断じて認められません。

 最後に、緊急にやるべきは、待機児童解消であり、そのための公立を含む認可保育所の増設と保育士の抜本的な処遇改善です。

 政府の対応は、保育の受皿整備は問題だらけの企業主導型を推進するだけ、保育士不足の要因である低賃金、長時間・過密労働の実態調査すら行っていませんでした。これでどうして保育士の処遇改善ができるでしょうか。

 保護者と保育関係者の安心、安全な保育をという願いに応えるためには、保育の質、量の確保をしながら、保護者の負担軽減を進めるべきことを強調し、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 岡本三成君。

    〔岡本三成君登壇〕

岡本三成君 公明党の岡本三成です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 今回の改正案は、今日の日本における最大の課題である少子化を克服するため、本年十月に予定されている消費税率引上げの財源を活用し、本年同月より、三歳から五歳までの全ての子供たちと、ゼロ歳から二歳までの住民税非課税世帯の幼児教育、保育を無償化しようとするものであります。

 これは、幼児教育が生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う重要性に鑑み、幼児教育に対する保護者の費用負担の軽減を図ることによって少子化対策の一層の推進を図るものであり、小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、実に七十年ぶりの大改革となるものであります。

 公明党は、二〇〇六年に発表した少子社会トータルプランで幼児教育の無償化を掲げ、一人親世帯や多子世帯を中心に、財源を見つけながら段階的に対象を拡大させ、今日まで着実に保護者の教育費負担の軽減を実現してまいりました。

 我が党が昨年実施した百万人訪問調査では、全体の七割以上の方々が教育費の経済的負担に関して何らかの不安を抱えていることが明らかとなりました。また、国立社会保障・人口問題研究所が二〇一五年に発表した調査結果で、二十代、三十代の若い世代に理想の子供の人数を持たない理由を聞いたところ、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由でした。このような結果からも、これまで公明党が取り組んできた教育費負担の軽減に対するニーズの高さが改めて明らかとなりました。

 今回の幼児教育、保育の無償化は、子供たちの未来に対して国全体で責任を持つ政策として、極めて大きな意義を持つものと考えています。

 我が党は、これまで、無償化の対象施設として、幼稚園、認定保育所、認定こども園のほか、認可外保育施設や幼稚園の預かり保育、さらには通園や入所による障害者の発達支援も無償化の対象にすることを主張してまいりました。そして、本法案にはそれがしっかりと反映しており、評価できるものと考えております。

 一方、今後、特に認可外保育施設等における質の確保、向上に向けた取組が一層重要となります。乳幼児期の保育、教育は、生涯にわたる人格の基礎を築く重要なものです。今回の無償化を好機として、五年間の間に、自治体と連携し、基準を満たすように導き、さらに、認可施設へと移行できるよう、政府は質の確保、向上に向けて総合的な対策を実施していくべきであると考えています。

 また、幼児教育、保育の無償化よりも待機児童の解消を優先すべきだという声もあります。政府は、我が党の主張を踏まえて、二〇一七年までの五年間で五十三万五千人分の保育の受皿を拡大してきたところですが、内閣委員会での附帯決議にもあるように、政府には引き続き施設の整備や保育士の処遇改善を進めていただきたいと考えています。幼児教育、保育の無償化と待機児童の解消は二者択一ではありません。どちらも最優先で取り組むことが重要です。

 本格的な少子高齢化、人口減少社会の到来という構造変化の中で、子供に対する教育支援のいかんで日本の未来は決まると言っても過言ではありません。教育への投資は未来への投資です。そして、一人の子供をどこまでも大切にし、無限の可能性を開くことは政治の責任であります。

 子供の幸福こそ教育の目的です。公明党は、全ての子供たちの幸福を目指し、安心して子育てができる環境を整えるために、今後も全力で取り組むことをお約束いたしまして、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) 浦野靖人君。

    〔浦野靖人君登壇〕

浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。

 私は、我が党を代表して、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 冒頭に、まず、統一地方選挙前半戦、皆様お疲れさまでした。悲喜こもごもではあったと思いますが、自分たちの政策を有権者の皆様に御理解をしていただく選挙は後半戦もあります。ぶれることなく、しっかり戦ってまいりましょう。

 私の地元大阪は、二重行政はないと言わしめるほど大阪府、大阪市が一枚岩となり、大阪の発展を牽引してきました。大阪府知事、大阪市長の人間関係で維持されているバーチャル大阪都構想を制度化する試みを進めてほしいという民意を真摯に受けとめ、おごることなく前へ進めてまいります。

 それでは、討論に入ります。

 我が党では少子化対策として憲法改正による教育無償化を挙げており、幼児教育の一部無償化は、現役世代に向けた社会保障の充実という点でも、意義のある政策であると考えます。

 しかしながら、保育を始めとした幼児教育は、本来、住民に近い基礎的自治体が地域の実情に合わせて独自のサービスを展開すべきであり、国による画一的な制度設計にはなじまないと考えます。自治体に権限と財源を移譲し、地域の創意工夫で住民サービスの向上に努めるのが本来の姿です。

 全国市長会からは、本法案の内容に対する反対意見やベビーシッターに関する基準を整備してほしいという要求が上がっていますが、現場において発生するさまざまな課題に対しては、国ではなく、それぞれの自治体が状況に応じて判断し、対応可能なスキームが求められているのではないでしょうか。

 統治機構改革の観点からも、保育を始めとした幼児教育については、抜本的に国、地方の役割見直しが必要であると考えます。

 また、我が党は教育無償化に必要な財源は行財政改革による財源の捻出を主張していますが、政府では身を切る改革もなく、国民に景気回復の実感もない中で、消費増税により無償化を進める姿勢には疑問を感じざるを得ません。

 今回の無償化により、保育ニーズのますますの伸びが予想されますが、待機児童問題や保育士不足の問題が解決されているわけではありません。

 保育士の処遇については以前から課題となっており、処遇改善に向けてさまざまな取組が進められているところですが、離職率の高さや平均勤続年数に大幅な改善は見られないのが実態です。

 保育ニーズに応えるため、派遣事業者を利用し保育士確保が行われているケースも散見されますが、派遣事業者が介入することにより、本来解決しなければならない保育士の処遇改善という目的が二の次になっていることは、保育園経営に携わる一員として、じくじたる思いをしています。

 保育士確保のために費やされる予算が本来の趣旨に充当されるよう、その制度運用について、政府としてもしっかりと実態を把握する必要があることを申し上げておきます。

 また、質の高い保育が提供されるためには、監査が適切に行われることが必要です。自治体における監査体制は質、量ともに十分ではないことからも、国として実効性のある監査に必要な支援の推進を求めます。

 安倍総理は、新三本の矢として希望出生率を一・八にするという目標を掲げていますが、出生率の低下に歯どめはかからず、とうとう出生率は、昨年、九十二万人まで下がりました。しかしながら、今回の幼児教育無償化は、どの所得階層においても教育負担の軽減が希望する数の子供を持つインセンティブとなるというエビデンスに基づくものであり、我が党としても効果を期待するところです。

 昨年からことしにかけて、児童虐待による痛ましい事件が続き、子供を守る仕組みが不十分であるという悲しい現実が明らかになりました。

 児童相談所間での広域的な情報共有が不十分な実態に対し、全国ネットワークの整備のほか、児童相談所の機能強化に向けた増員や、警察組織や弁護士等との連携強化等、虐待死ゼロに向けて実効性の高い取組を一刻も早く進めなければなりません。今の日本には、命の大切さを叫ぶだけでは解決しない問題が横たわっています。幼児教育の一部無償化だけでなく、社会全体が子供を守ること、子育て世帯を支援する仕組みを十分に整えていくべきです。

 社会全体として子育て世帯を支援していくことこそが、豊かな未来につながるものと考えます。そのためにも私たち日本維新の会は子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に賛成という立場を表明いたしまして、私からの討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。

 預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金につきましては、会計検査院の平成二十七年度決算報告におきまして、適時に国庫に納付したり、預金保険機構の財務の健全性を維持するために活用したりするため、必要な制度を整備するなど抜本的な方策を検討するよう、意見が表示をされております。

 また、これまでに、衆議院本会議及び参議院決算委員会それぞれにおきましても、同じ趣旨の議決等がなされております。

 本法案は、これらの議決等を踏まえ、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金を活用するため、金融機能早期健全化業務が終了する日よりも前にその剰余金を国庫に納付することができるようにすることとともに、金融機能早期健全化勘定から金融再生勘定に繰入れをすることができるようにするものであります。

 以上、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。

 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。櫻井周君。

    〔櫻井周君登壇〕

櫻井周君 立憲民主党・無所属フォーラムの櫻井周です。

 立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 冒頭、塚田前国土交通大臣のそんたく発言と麻生財務大臣の傲慢きわまる政治姿勢について問いたださざるを得ません。

 この問題の本質は、森友、加計に続いて、またもや総理とその周辺に利益を誘導する安倍政権の政治姿勢が明らかになったことです。国民の税金を自身の権力維持に使用することは許されません。ほかにも同様の問題が隠されているのではないでしょうか。森友、加計、安倍麻生道路問題、これらの利益誘導政治を引き続き追及してまいります。

 さて、麻生財務大臣は、四月四日の参議院決算委員会で、下関北九州道路にどのように取り組んできたのかを聞かれ、その種の話は直接私のところに来たという記憶は最近はなかったと答弁されました。

 しかし、昨年十二月十九日に吉田自民党参議院幹事長と、そして二日後の十二月二十一日には山口県知事などの地元首長らと会って、要望を受けているではありませんか。その一月前の十一月二十二日には、参議院財務金融委員会で大家議員に下関北九州道路の見解を聞かれて、経済波及効果が極めて大きいのははっきりしていると答弁しています。

 麻生大臣、これでもまだ記憶はないと言い張るのですか。記憶が戻ったかどうか、お答えください。

 もう一点、記者会見で塚田元副大臣の辞任について聞かれたときに、麻生財務大臣は、質問に対して、はい、大きな声で言えやと言い放ちましたが、記者を半ばおどすような、傲慢不遜きわまる口ぶりだと言わざるを得ません。こんな発言は不遜でも何でもないとお考えなのでしょうか。ぜひ大きな声でお答えください。

 景気の現状についてもお聞きします。

 最近発表されるさまざまな景気に関する指標は景気の先行きが不透明であることを次々に示しており、総理が喧伝し続けているアベノミクスなるものは果たして成功していると言えるのか、疑問です。新しい判断だの、国難突破だの、言葉だけ躍る政治はもう許されません。

 そこで、麻生財務大臣にお聞きいたします。率直に言って、今でも景気は上昇していると断言できますか。明確に、大きな声で御答弁ください。

 さて、法案に関する質問に入ります。

 本改正案は、早期健全化勘定の剰余金の国庫納付が、勘定廃止時に限定されていたものを、所定の手続を経れば適時行うことができるようにするというものです。

 そこで、まず、早期健全化勘定の現状について麻生大臣にお伺いします。早期健全化勘定の利益剰余金は平成二十九年度末時点で一兆六千億円と報告されていますが、昨年度末での早期健全化勘定の利益剰余金と含み損益は幾らでしょうか。

 また、今後、株式市場などの市況の変化によってはこの利益剰余金の金額は変動するものと理解しますが、最悪の場合には利益剰余金の目減りはどの程度になると予測していますでしょうか。

 また、今年度予算では、早期健全化勘定から八千億円を一般会計に繰り入れることになっています。一方で、会計検査院の平成二十七年度決算報告では、早期健全化勘定において余裕資金が一・一兆円あると指摘しています。なぜ、一・一兆円全額ではなく、八千億円なのでしょうか。麻生大臣に答弁を求めます。

 会計検査院による早期健全化勘定の余裕資金に関する指摘は、二年半前の平成二十八年十一月になされています。しかし、八千億円の一般会計への繰入れは今年度に実現することになります。なぜもっと早く実現できなかったのか、なぜ今年度になったのか、麻生大臣、理由をお聞かせください。

 早期健全化で当初想定されていた業務はおおむね終了することになります。このことを踏まえて、早期健全化法が金融システムの安定にどのように寄与したのか、早期健全化業務の実施による超過コストの有無及び残存する資本増強の処分見通しなど、現時点でどのように評価していますか。

 また、早期健全化業務と同様の予防的措置として制度が継続している金融機能強化業務による資本参加制度の効果について、どのように評価していますか。

 次に、一般会計に繰り入れられる八千億円の使途についてお伺いします。

 一般会計に繰り入れられる資金は一般財源です。しかし、財務省が発表している平成三十一年度予算フレームでは、臨時特別の措置の項目において、預金保険機構からの利益剰余金の繰入金を八千億円計上するとともに、一般歳出においては、中小小売業等に関する消費者へのポイント還元、低所得、子育て世帯向けプレミアムつき商品券など、「消費税引上げによる経済への影響の平準化に向け、施策を総動員」に充当されることとなっています。

 早期健全化勘定の原資は、二十年前の金融機関救済のために国民の皆様にお願いをして拠出していただいたものでございます。利益剰余金は、時の政権の都合で実施されるばらまき政策に充当するのではなく、財政健全化に充てるべきと考えます。麻生大臣の見解を求めます。

 本改正案は、早期健全化勘定又は金融再生勘定の廃止時に早期健全化勘定の剰余金を金融再生勘定へ繰り入れることを可能とするものです。

 そこで、まず、金融再生勘定の現状について麻生大臣にお伺いします。金融再生勘定の欠損金と含み損益は、昨年度末では幾らでしょうか。

 また、今後、株式市場などの市況の変化によってはこの金額は変動するものと理解いたしますが、最悪の場合にはどの程度になると予想していますか。

 そして、早期健全化勘定から金融再生勘定への残余の額の繰入れをすることが特に必要と認められる状況とはどのようなケースなのか、御説明ください。

 早期健全化勘定と金融再生勘定の間で相殺すると、それぞれの勘定において利益剰余金と欠損金が幾らずつ発生したのか、曖昧にされかねません。むしろ、一般会計と早期健全化勘定との間、一般会計と金融再生勘定との間、それぞれ繰入れ及び繰り出しとすることで会計を明朗にすべきと考えますが、麻生大臣の見解を求めます。

 また、金融再生勘定において欠損金の処理が必要となった場合には、予算措置をとるのでしょうか。

 金融再生勘定が保有する株式は、国民負担の最小化と市場への影響の極小化を原則として、平成十八年八月から処分を進めていました。しかし、平成二十年十月に麻生内閣の中川財政金融担当大臣の談話で、総理、すなわち当時の麻生総理のことですが、からの指示を踏まえとして、「政府等が保有する株式売却について、市中売却の一時凍結を検討・実施する。」としました。

 アベノミクスが成功しているというのであれば、市中売却の一時凍結を解除して、株式保有長期化のリスクを解消すべきと考えます。特に、麻生大臣が総理大臣のときに指示したものでございます。麻生大臣、みずからの手で後始末をするべきと考えますが、麻生大臣の見解を求めます。

 金融システムの安定は、国民経済の発展に必要不可欠であることはもちろんのこと、この機能が損なわれると、破綻処理には直接的にも間接的にも大きな負担を国民が負うことになります。

 直接的な国民負担としては、金融機能早期健全化法など金融機関の破綻処理で十・四兆円の国民負担が確定しています。

 また、間接的な国民負担としては、バブル崩壊による資産価格の下落と金融システム不安が実体経済に悪影響を及ぼしています。そして、バブル崩壊の悪影響は、バブルによる好影響よりもはるかに大きいものとなります。

 したがって、バブル発生時期の金融政策上の対応として最も望ましいのは、適切にバブルの行き過ぎを早目に抑制することです。昭和末期のバブルについては、政策当局がバブルの発生を適切に認識できなかった、認知のおくれがあったとの指摘があります。

 そこで、お伺いいたします。麻生大臣は、昭和末期のバブルとその後の政策について、どのような教訓を見出していますか。

 バブル崩壊後の不良債権のおくれから、金融機関はリスクをとって融資ができなくなり、このことがバブル崩壊後の長期不況につながったとの指摘があります。ゼロ金利時代が長く続き、金融機関にとって、企業への貸出しではもはやもうからない状況になっています。貸倒れのリスクを勘案すれば、資金の貸し手としての機能は果たしたくても十分に果たせない、そんな状況になっています。

 本当の意味での金融機能の健全化をどのようにして達成するのか、麻生大臣、そのプロセスをお示しください。

 これまで、バブルという言葉を繰り返し申し上げてきました。経済現象としてのバブルは何なのかを改めて確認します。

 一般には、バブルと言われる現象は、株式や不動産などの資産価格が異常に上昇し続けることです。

 本来、資産価格はその資産から得られる収益に基づいて算出されるものであり、その時点では合理的な予想です。しかし、予想の時点では合理的であったとしても、事後的に見れば収益が過大に見積もられていたことが明らかになることがあります。そして、それが明らかになると、バブルが崩壊します。

 また、収益性が見込めなくても、高い価格で転売可能であるというふうに期待される場合、すなわち、未来永劫、より高い価格で購入してくれる主体があれば、非合理的に高い資産価格が形成されます。未来永劫ではないということがある時点で明らかになると、バブルは崩壊するということになります。

 こうした観点からすると、現在の債券市場と株式市場では、日本銀行や年金基金積立金など公的資金が買い支えてくれるとの期待から、収益性を度外視した価格が形成されているリスクがあります。

 そこで、麻生大臣にお尋ねをいたします。現在がバブルである可能性について、どのように認識していますか。また、そのバブルが崩壊するリスクについて、どのように評価していますか。

 もちろん、収益の過大見積りは事後的に明らかになる、すなわちバブルは崩壊して初めてバブルであることが明らかになるものです。しかし、バブルが崩壊してからでは、国民生活に多大なる悪影響を与えることになります。政策当局がバブルの発生を適切に認識できない、認知のおくれは避けなければなりません。

 時代は平成から令和にかわろうとしています。平成はバブル崩壊の後始末の三十年であったとも言えます。バブルは、その時点では調子がよくとも、その後の反動は大きく、国民生活への多大なる悪影響が生じます。令和の時代には、平成の時代のようなバブル崩壊の後始末に追われるようなことにならないようにしなければなりません。

 後になって悪夢などと言われないようにすべきですが、悪夢の種は既にまかれてしまっている可能性を指摘させていただき、私からの質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 櫻井議員から、下関北九州道路の答弁、記者会見での発言、景気に関する認識、利益剰余金の取扱い等十四問、間違いないですね、十四問お尋ねがありました。

 まず、下関北九州道路の私の答弁についてのお尋ねですが、四月四日の参議院決算委員会において、事前に通告することがなく、突然の御質問をいただいた中で、下関北九州道路について、整備を促進する大会に参加するなどの積極的な取組を最近は行っていない、予算編成過程において地方公共団体の多くの要望の一つとして陳情を受けたのではないかという趣旨の発言をしております。

 このうち、陳情につきましては、その後、正確な事実を確かめたところ、十二月十九日に下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会から、同じく十二月の二十一日に下関北九州道路整備促進期成同盟会からお話を伺ったことが確認できたことでありまして、いずれにいたしましても、私の答弁にそごはなかったということであります。

 次に、記者会見における私の発言についてのお尋ねがあっております。

 お尋ねの私の発言は、質問を明確にするよう記者に促したものであります。

 したがいまして、おどすというようなことなんか全くありませんでしたが、不遜ではないかとの御指摘も踏まえて、今後、発言には注意をしていかねばならぬと考えております。

 現在の景気の認識についてのお尋ねがありました。

 三月二十日に公表された月例経済報告におきましては、日本の経済の現状について、景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さが見られるものの、緩やかに回復をしているとの認識が示されているものと承知をいたしております。

 二月と比較をいたしますと、中国経済の減速の影響を受け、輸出及び一部製造業における生産活動に弱さが見られる一方、これまでと同様、雇用並びに所得環境の改善を背景に、消費、設備投資が、いずれも内需を中心とした経済成長が続いており、緩やかに回復をしているという認識は変わっていないと考えております。

 次に、早期健全化勘定において、昨年度末の利益剰余金と含み損益は幾らか、今後、最悪の場合、利益剰余金の目減りはどの程度と予測しているかとのお尋ねがあっております。

 保険機構の昨年度の決算は御存じのようにまだ未確定でありますから、したがいまして、早期健全化勘定の本年三月末における決算は見込みの数字としかなりませんので、利益剰余金は一兆六千億円弱、保有株式の含み益は約百億円の合計一兆六千億円となっております。

 議員御指摘の最悪の場合につきましては、これは具体的な内容が必ずしも明確ではありませんが、早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額約八千億円のうち、早期健全化勘定の業務に必要なものとして、一千八百億円と試算をいたしておるところです。

 次に、早期健全化勘定から一般会計への繰入額について、一兆一千億ではなく八千億円である理由についてのお尋ねがあっております。

 会計検査院の意見表示においては、現在の制度のもとで早期健全化勘定に今後発生し得る損失を最大限に見込んで機械的に試算をした約〇・五兆、五千億円を同勘定の利益剰余金約一兆六千億円から控除いたした残り一兆一千億円を余裕資金としているものと承知をいたしております。

 他方、今年度予算における八千億円の国庫納付金に関しましては、まず、早期健全化勘定に今後も留保する必要のある金額について、過去の実績も参考にさせていただきながら、早期健全化勘定の業務のための留保する必要がある金額約一千八百億円と、今回提案をいたしております法律改正が行われた場合、金融再生勘定の業務のための留保する必要がある金額約六千二百億円、合わせて約八千億円と試算したものであります。

 その上で、早期健全化勘定の利益剰余金約一兆六千億円からこの八千億円を差し引くことにより、国庫納付額を算出したものであります。

 次に、会計検査院における意見表示を踏まえた国庫納付がなぜ今年度になったのかについてのお尋ねがありました。

 早期健全化勘定の利益剰余金の取扱いにつきましては、平成二十八年十一月の会計検査院の意見表示のほか、平成二十九年の六月の衆議院の本会議及び参議院の決算委員会の議決等を受けて、金融庁におきまして、平成金融危機への対応を進める中、預金等の全額保護のため約十兆四千億円という巨額の国民負担が確定しているといった経緯、また、預金保険機構の他の勘定に欠損金や含み損が発生していること及び金融資本市場の状況等々によりましてその含み損は変動いたしますので、そういったことも踏まえまして、財政当局とも協議をしながら総合的な検討を進めてきたところであります。

 このたび、その検討の結果が得られたことから、対応を行うこととしたものでありまして、具体的には、必要な制度整備等々を行った上で、早期健全化目標の利益剰余金のうち八千億円を国庫に納付するということにしたものであります。

 次に、早期健全化勘定が金融システムの安定にどのように寄与したのか、また金融機能強化業務の資本参加制度の効果についてのお尋ねがあっております。

 早期健全化法に基づき、三十二の金融機関に対して約八兆六千億円の資本増強を実施したところです。これにより、短期金融市場におけるジャパン・プレミアムの鎮静化を通じて、金融システムに対する懸念の払拭に寄与したものと考えております。

 その結果として、資本増強を通じて取得した優先株式等の処分及び配当等により、これまで一兆六千億円の利益剰余金が発生をいたしたところです。

 なお、現在も早期健全化勘定で保有する株式の処分の見通し等については、個別銀行の資本政策や、また金融資本市場の状況等にかかわる事項であり、その見通しを申し上げることは困難であります。

 また、金融機能強化法は、国の資本参加を通じて、金融機関が金融仲介機能を発揮するのに十分な資本を確保するという枠組みであります。この法律に基づきまして、これまで地域銀行十六行及び協同組織金融機関十四先に対して、合計六千八百九十三億円の資本参加を実施したところです。

 こうした中、これらの金融機関において、中小企業に対する信用供与及び経営改善支援に係る計画値を掲げ、またこれらの具体的な方策を策定し取り組んでおり、結果として中小企業向け融資がふえるなど、同法の趣旨を踏まえた対応により、一定の効果が生じていたものと考えております。

 次に、預金保険機構からの国庫納付と財政健全化への取組についてのお尋ねがあっております。

 本年十月に予定される消費税率の引上げに際しまして、前回の引上げの経験を踏まえ、プレミアムつき商品券など、経済的影響を平準化するための十二分の対策を講じることとし、預金保険機構からの国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別措置の財源としてお示しをいたしております。

 先生御指摘のとおり、債務の返済につきましては、財政健全化の取組が重要であるということは言うまでもありませんが、こうした臨時の財政も用いて経済への影響を平準化しつつ、消費税率を引き上げ、持続的な経済成長の実現と財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、金融再生勘定において、昨年度末の欠損金と含み損益は幾らか、今後、最悪の場合、この金額がどの程度になると予想しているか、早期健全化勘定から金融再生勘定へ残余の金額を繰り入れることが特に必要と認められる状況とはどのようなケースかとのお尋ねがあっております。

 預金保険機構の昨年度の決算は未確定でありますため、金融再生勘定の本年三月における計数は見込み数値ということになりますが、欠損金は約二百億円、保有株式の含み損は約一千四百億円、合計一千六百億円となっております。

 議員御指摘の最悪の場合につきましては、具体的な内容が必ずしも明らかではありませんが、金融再生勘定で保有する株式の処分等々によって、金融再生勘定を廃止する際に損失が発生している状況等が想定をされるということだと思います。

 こうした場合には、早期健全化勘定から金融再生勘定へ残余の額を繰り入れることが特に必要と認められると思います。具体的には、早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額約八千億円のうち、金融再生勘定の業務に必要なものとして、約六千二百億円と試算をいたしておるところであります。

 次に、早期健全化勘定から金融再生勘定への繰入れ規定整備の妥当性等についてのお尋ねがあっております。

 平成二十八年の十一月の会計検査院の意思表示や平成二十九年六月の衆議院本会議及び参議院決算委員会の議決等は、早期健全化勘定の利益剰余金について、適時に国庫納付することのみならず、預金保険機構の財務の健全性維持に活用することを求められております。

 今回、これらの議決等を踏まえまして、早期健全化勘定から金融再生勘定への繰入れ規定の整備を行うことといたしております。両勘定の明朗な会計を維持するため、金融再生勘定の廃止の際の繰入れは、同勘定の債務超過の範囲内に限定するなどの措置を講じているところであります。

 また、早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額につきましては、金融再生勘定の廃止の際に国民負担が生ずることがないよう、金融再生勘定の今後の業務におけるリスクも十分に考慮した上で試算したものだと考えております。

 次に、金融再生勘定の保有株式の処理についてのお尋ねがありました。

 預金保険機構は、旧長銀、旧日債銀から買い取りました株式について、平成十八年八月から、国民負担の最小化及び市場への影響の極小化の原則のもと、おおむね十年をめどに処分を開始しましたが、平成二十年九月のリーマン・ショックの後の急激な株価の下落等を受けて、同年十月から、上場株式の処分を原則として停止をいたしております。

 上場株式の処分の再開につきましては、その含み損益の状況に加え、多額の株式の処分が市場に不測の影響を与えるということがないなど、金融資本市場の動向を踏まえつつ、今後、適切に判断してまいりたいと考えております。

 バブルとその後の政策からの教訓についてのお尋ねもあっております。

 バブル崩壊後、株価などの資産価格の大幅な下落や大手金融機関の破綻等から実体経済が大きな影響を受けたのは御存じのとおりです。

 こうした実体経済に大きな影響を与えるリスクが顕在化しないよう、経済金融市場の動向を精緻かつリアルタイムにモニタリング、観察し、金融システムの潜在的リスクや将来の健全性に課題のある金融機関の経営課題をあらかじめフォワードルッキングに分析、特定することが重要と考えておりまして、金融庁といたしましては、引き続き適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

 次に、金融機能の健全化をどのように達成していくのかについてのお尋ねがありました。

 人口減少や低金利、超低金利環境の継続などを背景に、金融機関をめぐる経営環境は厳しい状況が続いておりますのは御指摘のとおりです。

 金融庁としては、金融機関が、現状のような厳しい経営環境のもとでも、例えば、適切なアドバイスやファイナンスを提供することで企業の生産性向上を図り、経済の発展に貢献することなどを通じて、持続可能なビジネスモデルをみずから構築することが重要だと考えております。

 金融庁としては、適切なモニタリングを通じて金融機関の自主的な取組を促していくとともに、そうした取組をサポートするため、業務範囲に関する規制緩和などの環境整備に引き続き努めてまいりたいと考えております。

 最後に、現状の金融市場がバブルである可能性についてのお尋ねがありました。

 債券市場、また株式市場において、経済や企業のファンダメンタルズ、その見通し等に関する投資家のさまざまな見方とか取引ニーズなどに基づいて価格が形成されるものでありますのは御存じのとおりで、現状の債券価格や株価がファンダメンタルズから大幅に乖離した、いわゆるバブルであるか否かを当局として一概に申し上げるということは困難であります。

 いずれにしても、金融市場の動向につきましては、日本経済や金融システムに深く影響するものであり、先ほど申し上げたとおり、注意深くモニタリングをいたし、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 近藤和也君。

    〔近藤和也君登壇〕

近藤和也君 石川県能登半島の近藤和也です。

 「つくろう、新しい答え。」、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)

 初めに、塚田一郎前国土交通大臣のいわゆるそんたく発言について、麻生大臣に伺います。

 塚田氏は、かつて麻生大臣の秘書を務め、御本人も筋金入りの麻生派だと豪語しておられます。その塚田副大臣から、下関北九州道路の事業化調査予算について、私は物わかりがいい、すぐそんたくする、わかりましたと応じたという驚くべき発言が飛び出しました。

 森友学園事件を始めとする最近の政府の不祥事でも、安倍総理へのそんたくがあったのではないかということが大きな焦点となりましたが、塚田副大臣の発言は、まさに政府全体にそんたくムードが蔓延していることをあらわにしたものと言えます。

 先日、平成三十一年度予算が成立しましたが、ほかにもこのようなそんたく予算、利益誘導予算が紛れ込んでいるのではありませんか。財務省としては、予算をもう一度厳しくチェックし、そんたく予算、利益誘導予算がないかどうか査定し直すべきではないですか。麻生大臣に伺います。

 このような欠陥予算を審議させられた国会としても、今回の発言は到底看過できるものではありません。もう一度予算を出し直し、審議をやり直すよう求めます。

 それでは、本題に入ります。

 現在の経済金融政策が始まって、はや六年以上が過ぎました。最近では、毎度の物価上昇の目標達成見送りも、プライマリーバランス黒字化先送りについても、あきれて驚きもしないようになりました。

 確かに、株価が上がり、企業収益が上がり、税収もふえています。総理の言うように、ファクトが大事とのことはそのとおりですが、都合のいい部分だけがファクトではありません。実質賃金はマイナス、実質消費もマイナス、貯蓄ゼロ家庭が三割増加等、政権にとっての不都合な部分も含めてこそのファクトであり、それを踏まえて政策を議論する必要があります。

 総理は、前の政権を指して、悪夢という表現を使いました。本当にそうなのでしょうか。

 日経平均が七千円を割ったのは麻生政権下です。政権交代直後の年度税収は九兆円以上下振れしました。百年に一度の経済不況と言われたリーマン・ショック後の世界的な不況の中、ギリシャ・ショック、ユーロ危機、アメリカの財政の崖問題など、国外要因だけでも大変厳しく、当時の麻生総理も言われた全治三年と表現される中、経営者も労働者も行政関係者も含めて、必死に頑張ってこられました。

 その努力を、総理が悪夢という表現を使われるのは、こういった方々の努力を愚弄するものです。一国の総理として、いかに政敵を憎いと思っても、品格が問われると言わざるを得ませんし、適切とは思えません。

 そこで、麻生大臣に伺います。

 リーマン・ショック時、総理であり、立て直しに尽力された当事者として、この悪夢という、安倍総理が表現されたことについてどのように感じたか、さらには、総理経験者として、一国の総理が政敵を指して悪夢という表現が今後使われることが適切と考えるか、御所見をお願いいたします。

 一九九八年、健全化法並びに再生法が成立したときこそが、金融機関のみならず、日本社会全体を脅かす本当の悪夢でした。私は、その清算へ向けた議論が今できることはありがたいことだと感じていますが、同時に、現状の経済金融政策の先にまた悪夢がやってくる可能性があることを恐れています。

 ドレッシング買いとは、自分の損益をよく見せる目的で保有銘柄を買い上げるというものです。優しい言い方をすればお化粧買い、厳しい言い方をすれば粉飾です。今回の法律はドレッシング、このみずからの政権の姿を美しく見せる行為とも見てとれます。

 今年度予算においても、国債発行額が減ったと総理は豪語されています。しかし、この約一兆円の縮減は、本法律案を前提とした預金保険機構からの八千億円の国庫納付と平成二十九年度の決算剰余金約二千億円に依存した結果にすぎません。

 そもそもとして、政権交代以降、国債発行額の縮減は、消費税の増税による増収分や無理に無理を重ねてきた金融政策の結果が多くを占めます。税収はふえていますが、その分、日銀は国債やETFなどを爆買い、年金機構で株式保有を倍増させ、無理やりに経済の体温を上げたにすぎません。豪華な宴会で幾ら盛り上がろうが、支払いは必ずやってきます。アベノミクスはこのコストを全く語っていないことも問題です。

 平成三十一年度の予算のフレームでは、国庫納付金八千億円は臨時特別の措置の歳入に計上されており、これに対応する歳出は、軽減税率とキャッシュレス決済のポイント還元の組合せ、別名愚策のコンビネーションや、消費の押し上げ効果が限定だとの指摘を受けているプレミアムつき商品券の発行など、十月の消費税引上げによる経済への影響の平準化という名のもとに実施するばらまき政策に充てられています。

 金融危機から十兆円を超える多大なる損失が発生し、国庫を痛めました。本来なら、政権の人気取りに使うのではなく、素直に国庫に戻すのが筋です。

 これらのことを見ると、財政規律、財政再建に本気で取り組んでいるとは到底思えません。財政健全化に本気で取り組むのであれば、みずからの顔を美しく見せるために使うのではなく、今回の利益剰余金も国の借金返済のために使うべきではないでしょうか。麻生大臣に伺います。

 本改正案により、早期健全化勘定の利益剰余金の国庫への納付や勘定間の移動が柔軟化されることになります。しかし、その納付又は移動は、早期健全化勘定の業務において想定される二つのリスク、すなわち、平成二十三年の改正金融機能強化法による東日本大震災への対応に関する損失発生のリスクと、本改正案により可能となる金融再生勘定の将来の損失リスクに配慮しなければなりません。

 この二つのリスクへの備えは、国庫納付前の早期健全化勘定の利益剰余金一・六兆円から納付八千億円を差し引いた残額の八千億円となります。二つの損失リスクが想定を上回ってしまう場合には、早期健全化勘定に欠損金が発生することになりますが、これらのリスクをどのように見積もったのか、留保する水準を決めたのか、麻生大臣の御所見を伺います。

 法律上、早期健全化勘定及び金融再生勘定ともに損失補填条項が存在しておりません。

 金融再生勘定については、廃止時に欠損金がある場合には、税金で補填することが明らかになっています。金融機関に負担を求めることはないことも当時の小泉総理が明言しています。

 他方、早期健全化勘定は、勘定廃止時において仮に欠損金が発生した場合の対応が現時点では明らかになっていません。そこで、早期健全化勘定の廃止時に欠損金が発生してしまった場合、どのような対応をとるのかについて、麻生大臣に伺います。

 金融再生勘定は、現時点で一・五兆円規模の特別公的管理銀行からの買取り株式を保有しています。この処分は、当初十年をめどとする予定でしたが、既に平成二十年から見合わせています。

 世界的な景気拡大と官製相場の合わせわざで上昇してきた株式市場においても、直近で含み損益がゼロというポートフォリオであればなおさら、厳しい株価変動リスクに直面し続ける可能性が高いと想定せざるを得ません。

 米国の年内の利上げ見送りに代表されるように、長年好調が続いた世界経済は減速の気配が出ています。年金はさすがにこれ以上の株式の買い増しは難しく、日銀の国債買入れ拡大もこれ以上の拡大は事実上厳しいものがあります。ETFなどの買い増しも、市場のチェック機能、さらには将来的な売却も考えると、買入れ枠拡大などあり得なく、このような官製相場はいつまでも続けられません。

 アベノミクスは失敗しました。株価の先行きは不透明です。早目に金融再生勘定の保有株を処理して、含み損を最小限にとどめるという考え方もあると思いますが、麻生大臣の御所見を伺います。

 昨年八月、民間調査会社が、銀行百十二行の二〇一八年三月期決算総資金利ざやの調査結果を発表しました。マイナス金利等の影響を受け、逆ざやが大手三行を含む十六行と、大変厳しい収益状況となっています。

 人口減少社会の中、金融機関の経営環境はますます厳しいものとなることが予想されます。日本の金融システムは大丈夫だろうか。既に採用削減を始めてきている金融機関もありますが、これは当事者の危機感のあらわれでもあります。

 こうした状況下では、預金保険機構の財務を健全化し、十分に余裕あるものにするべきと考えます。その上で、本当に国庫に組入れできる部分については、財政健全化に十分に配慮した使い方をするべきです。

 バブル、そして崩壊、続いて金融危機、そこからの立ち直り過程は日本が得た教訓です。悪夢を過去のものにしようと出口を探ろうという議論に至ったこと自体はありがたく、大切なことだと考えます。

 しかし、現状はどうなのでしょうか。この数年間の経済金融政策の結果、美点しか見ず、戦後最長の経済成長と誇っておられる一部の方には夢心地の気分かもしれませんが、これこそドリームバブルと言ってもいいくらいです。この後、バブルの崩壊、同規模か若しくはそれ以上の悪夢がやってくるかもしれません。

 総理、もう前の政権のことを感情的になって悪夢と言って身内で盛り上がっても、何も生産性が上がるものではありません。早く夢から覚めて現実に向き合ってほしいと思います。

 私たち国民民主党は、「つくろう、新しい答え。」のもと、預金者のリスクをしっかり低減しつつ、プライマリーバランスの黒字化を始めとする財政の健全化、さらには今後の金融リスクに備えるためにも一日も早いアベノミクスからの脱却、金融政策の正常化、さらに、その影響緩和対策の準備など、真摯に過去から学び、現実を見詰め、未来を見据えて行動していくことをお約束申し上げ、私の代表質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 近藤議員から、平成三十一年度予算の内容や預金保険機構の財務の健全性等について、計六問お尋ねをいただきました。

 まず最初に、平成三十一年度予算の再査定の必要性についてのお尋ねがありました。

 塚田前国土交通大臣につきましては、本人が発言を撤回し、謝罪した上で、副大臣の職を辞したものと承知をいたしております。

 また、平成三十一年度予算は、本年予算過程において、各事業の必要性等を厳格に精査し、所要額を適正に計上したものであります。その後、衆議院において七十六時間、参議院において六十六時間にわたる充実した御審議をいただき、成立をいたしております。

 また、その内容は、全世代型の社会保障への転換に向けた社会保障の充実や防災・減災、国土強靱化などであり、本予算を着実に実施し、少子高齢化を始めとする諸課題に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、総理大臣の自民党大会における発言に対する私の考えについてのお尋ねというのがありました。

 一般論として、政治の場において、対立軸を明確にする観点から、一定の批判的な言葉遣いがなされることはあるものだと承知をいたしております。

 御指摘の総理の発言をめぐっては、既に国会において、野党の皆様とのやりとりの中で総理御自身が詳細に述べておられるとおりであり、私から個別にコメントするようなものは特にありません。

 次に、預金保険機構からの国庫納付と財政健全化の取組についてのお尋ねがありました。

 預金保険機構の利益剰余金につきましては、平成二十八年に、会計検査院から、適時の国庫納付等について検討するよう意見表示がなされ、その後、衆議院、参議院においても同趣旨の議決をいただいたことを踏まえ、今般、国庫納付を行うこととしたものであります。

 また、二十九年度の決算剰余金につきましても、財政法の規定に沿って処理するものであります。

 いずれも財源として適切に活用した結果であり、見せかけの国債発行額の減を行っているとの御指摘は全く当たらないと思っております。

 こうした中、本年十月に予定をされる消費税率の引上げに際して、前回の経験を踏まえ、プレミアムつき商品券など、経済的影響を平準化するための十二分な対策を講じることとし、預金保険機構からの国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをしているところであります。

 先生御指摘のとおり、債務の返済、ひいては財政健全化の取組が重要であることは言うまでもありません。こうした臨時の財源を用いて経済への影響を平準化しつつ、消費税率引上げ、持続的な経済成長の実現と財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、早期健全化勘定に留保する必要がある金額の水準についてのお尋ねがあっております。

 早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額は、早期健全化勘定の業務のために留保する必要がある金額として、東日本大震災を受けて国が資本参加をした東北地方六つの協同組織金融機関に、将来、損失が発生した場合に備えるため、過去の協同組織金融機関の破綻事例を参考に試算した資金など約一千八百億円と、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額として、旧長銀、旧日債銀から買い取った簿価約一兆五千億円の株式について、日経平均株価が過去十年間における平均的な水準である約一万四千円まで下落したとの仮定を置いた上で、保有する上場株式の含み損を試算するなどして試算をした六千二百億円、合わせまして約八千億円と試算したものであります。

 このように、早期健全化勘定に留保する金額は、議員御指摘の二つの損失リスクを十分に勘案したものとなっております。

 次に、早期健全化勘定の廃止の際に損失が発生している場合の対応についてのお尋ねがあっております。

 現行の早期健全化法には、早期健全化勘定の廃止の際に損失が発生している場合の対応に関する規定は設けられておりません。

 このため、同勘定の廃止の際に損失が発生し、国民負担が生じることがないよう、早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額について、先ほど申し上げたとおり、過去の実績等を参考にしつつ、将来の損失リスクを十分に勘案した上、約八千億円と試算したものであります。

 最後に、金融再生勘定の保有株式の処理についてのお尋ねがありました。

 預金保険機構は、旧長銀、旧日債銀から買い取った株式について、二〇〇六年、平成十八年八月から、国民負担の最小化及び市場への影響の極小化の原則のもと、おおむね十年をめどに処分を開始いたしましたが、二〇〇八年の九月のリーマン・ショックの後の急激な株価の下落等を受けまして、同年十月から、上場株式の処分を原則として停止をいたしております。

 上場株式の処分の再開につきましては、その含み損益の状況も踏まえ、かつ、多額の株式の処分というものを行いますので、市場に不測の影響を与えることがないよう、いろいろな意味で、金融資本市場の動向も踏まえつつ、今後、適切に判断してまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 森夏枝君。

    〔森夏枝君登壇〕

森夏枝君 日本維新の会の森夏枝です。

 我が党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 さて、今回、預金保険機構から八千億円もの利益剰余金が税外収入として国庫に組み入れられている中で、政府は、国債発行額を七年連続で縮小したという説明をしていますが、それはあくまで本予算上の話です。決算ベースで見ると、平成二十八年については前年より国債発行額はふえています。それにもかかわらず、赤字国債発行額を小さく見せたいがために、預金保険機構の利益剰余金にまで手をつけ、税外収入として利用する姿勢は理解できません。

 税外収入をふやす努力よりも、財政健全化に向け、まずは歳出全体の節減が必要と考えますが、財務大臣の御所見をお伺いいたします。

 また、金融庁の調査によると、全国に百六ある地方銀行のうち、半数が本業赤字、二割強が五期以上連続で本業赤字を計上していると報告されています。

 地方銀行を取り巻く環境が厳しさを増している中、今後、地方銀行の再編等を進めない限り、地方銀行の生き残りは困難となると考えますが、政府として、具体的にどのような取組を進めるのでしょうか。

 地方銀行の経営悪化が深刻であるにもかかわらず、今回の利益剰余金繰入れの判断は整合性を欠いているのではないでしょうか。金融担当大臣、お答え願います。

 会計検査院の平成二十七年度決算検査報告において、預金保険機構早期健全化勘定における利益剰余金について、余裕資金の額を把握した上で、当該余裕資金の有効活用として、適時に国庫に納付したり、預金保険機構の財務の健全性を維持するために活用するため、必要な制度を整備するなど抜本的な方策を検討するようという意見が出ています。

 しかし、日銀により平成二十八年二月十六日から導入されたマイナス金利政策の影響は大きく、特に、地方銀行は利益が出せない状況が続いているのが実態です。預金保険機構が巨額な出費をしなければならないリスクは、現在の金融政策下では拡大していると考えるべきです。

 会計検査院は、あくまでも余裕資金である場合の活用を意見として出しているのであって、経済の先行きに不透明感が増す中、また、地銀のさらなる経営悪化の可能性が完全に否定できない中、預金保険機構から国庫に入れるに当たっての八千億円という数字はどのような試算に基づくものなのでしょうか。金融担当大臣、具体的にお答えください。

 金融機関の破綻に備えるための利益剰余金は、負債性引当金としての性格を持つものであり、経済情勢が不透明な中にあっては、取り崩すのではなく、むしろ維持するべきではないでしょうか。まして、リーマン・ショック級の景気悪化懸念がない限りと消費増税延期に含みを残しているのですから、現時点での国庫への繰入れはやはり矛盾していると言わざるを得ません。

 預金残高が約一千兆円にも上っている背景がある中、今回の繰入れが行われるに当たって、そもそも政府としては機構の積立額としてどの程度の残高が必要とお考えなのでしょうか。金融担当大臣、お答えください。

 私たち日本維新の会は、小手先のごまかしではなく、みずから身を切る改革を進めることで必要な行財政改革につなげていく努力を続けていくことをお約束しまして、私からの質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 森先生からは、預金保険機構からの国庫納付金等について、計四問のお尋ねがあっております。

 まず、預金保険機構からの国庫納付と財政健全化の取組についてのお尋ねがありました。

 預金保険機構の利益剰余金につきましては、平成二十八年に、会計検査院から、適時の国庫納付について検討するよう意見表示がなされ、その後、衆議院、参議院におきましても同趣旨の議決をいただいたところであります。

 こうした指摘も踏まえ、今般八千億円の国庫納付を行うこととしたものでありまして、新規国債発行額を小さく見せようとするためにとの御指摘は全く当たっていないと存じます。

 財政健全化につきましては、経済再生を図りつつ、不断の歳出改革努力、安定的な歳入の確保など、さまざまな取組を継続していくことが重要と考えております。

 これらに真摯に取り組むことで、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化を実現し、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいりたいと考えております。

 次に、地方銀行の経営悪化に対する政府としての取組及び今回の利益剰余金の繰入れの判断の整合性についてのお尋ねがあっております。

 地域銀行につきましては、厳しい経営環境のもとでも持続可能なビジネスモデルをみずから構築していくということが重要であると考えております。

 金融庁としては、適切なモニタリング等々を通じて地域銀行の自主的な取組を促していくとともに、そうした取組をサポートするため、業務範囲に関する規制緩和等の環境整備に引き続き努めてまいらねばならぬと考えております。

 また、金融庁として、経営統合は、金融機関が将来にわたって健全性というものを確保し、地域において適切な金融仲介機能を発揮していくための一つの選択肢であるとは考えております。こうした観点も踏まえて、現在、政府において、地域銀行等の統合に関する独禁法の適用のあり方について検討いたしております。

 他方、預金保険機構の早期健全化勘定につきましては、平成金融危機への対応として設けられたもので、廃止時に残余がある場合、当初より国庫納付を予定していたものであります。同勘定の利益剰余金について、適時の国庫納付等の検討を求める会計検査院の意見表示や、衆参両院におけます同趣旨の議決等が行われたことも踏まえ、そのうち八千億円を国庫納付することといたしたものであります。

 日本の金融システムが総体として安定をしていることや、早期健全化勘定の目的や趣旨などを踏まえれば、今回の国庫納付が整合性を欠くという御指摘は当たらないと考えております。

 次に、国庫納付額八千億円の積算根拠についてのお尋ねがあっております。

 八千億円の国庫納付額に関しましては、まず、早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額について、過去の実績等を参考にしつつ、早期健全化勘定の業務のための留保する必要がある金額一千八百億円と、今回提案をいたしております法律改正が行われた場合、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額約六千二百億円を足し合わせて、約八千億円と試算したものであります。その上で、早期健全化勘定の利益剰余金一兆六千億円からこの八千億円を差し引くことにより、国庫納付金を算出したものであります。

 最後に、預金保険機構の利益剰余金は、金融機関の破綻に備えておくため、取り崩すのではなく留保すべきではないか、また、預金保険機構の積立額としてどの程度の残高が必要と考えているのかとのお尋ねがあっております。

 今回国庫納付することといたしております早期健全化勘定の利益剰余金は、平成金融危機への対応として政府保証つきで調達をいたしました資金を原資として、金融機関の資本増強を行った結果として生じたものであり、早期健全化勘定の廃止時の残余につきましては、当初より国庫納付を予定していたものであります。

 他方、現在では、金融機関が万一破綻をした場合等に備える観点から、預金の定額保護に関する業務等は預金保険機構の一般勘定で、また、金融機関への対応として行う金融機関の資本増強や一時国有化に関する業務などは預金保険機構のいわゆる危機対応勘定で、それぞれ経理をするということとされております。

 このうち一般勘定は、金融機関からの預金保険料を収入として、二〇二一年度に五兆円程度の責任準備金を積み立てておることを当面の目標といたしておりまして、二〇一八年、平成三十年三月末時点で約三兆六千億円の責任準備金を既に計上いたしております。

 また、危機対応勘定は、二〇一八年、平成三十年三月末において約三千七百億円の利益剰余金を計上しているほか、不足が生じた場合には、原則として金融業界が負担することといたしております。

 現時点におきまして、日本の金融機関は充実した資本基盤というものを備えており、日本の金融システムは総体として安定しておりますが、万一の場合に備え、預金保険機構に十分な額が積み立てられていると考えておる次第であります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣

       国務大臣   麻生 太郎君

       環境大臣   原田 義昭君

       国務大臣   宮腰 光寛君

 出席副大臣

       内閣府副大臣 田中 良生君


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