衆議院

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第4号 令和元年10月24日(木曜日)

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令和元年十月二十四日(木曜日)

    ―――――――――――――

  令和元年十月二十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 今般の台風第十九号がもたらした災害によりまして、多くのとうとい命が失われ、各地に甚大な被害がもたらされていることは、まことに痛恨にたえません。

 犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、その御遺族に対しまして、衷心より哀悼の意を表します。また、今なお安否が明らかでない方々の御無事を心からお祈りするとともに、負傷された方々、避難生活を余儀なくされている方々を始め、被害に遭われた方々と御親族、関係者の皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、犠牲となられた方々に対し、黙祷をささげたいと思います。

 御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

議長(大島理森君) 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員松本善明君は、去る六月二十四日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 松本善明君に対する弔詞は、議長において去る二十二日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰された松本善明君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

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議長(大島理森君) 永年在職議員として表彰された元議員水野清君は、去る七月二十八日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 水野清君に対する弔詞は、議長において去る十四日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰され さきに逓信委員長の要職につき また再度国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等水野清君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣茂木敏充君。

    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府は、平成三十一年四月以来、アメリカ合衆国との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、令和元年十月七日にワシントンにおいて、我が方在米大使と先方合衆国通商代表との間で、この協定の署名が行われました。

 この協定は、我が国とアメリカ合衆国との間で、物品の貿易につき、関税の撤廃又は削減の方法等を定め、両国間の物品の貿易を促進するものであります。

 この協定の締結により、我が国とアメリカ合衆国との間の物品の貿易が促進され、両国間の経済的な結びつきがより強固になることを通じ、両国経済が一段と活性化し、ひいては両国関係全般が一層緊密化することが期待されます。

 次に、デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府は、平成三十一年四月以来、アメリカ合衆国との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、令和元年十月七日にワシントンにおいて、我が方在米大使と先方合衆国通商代表との間で、この協定の署名が行われました。

 この協定は、我が国とアメリカ合衆国との間で、円滑で信頼性の高い自由なデジタル貿易を促進するための法的基盤を確立することにより、両国間のデジタル貿易を促進することを目的とするものであります。

 この協定の締結により、我が国とアメリカ合衆国との間のデジタル貿易が促進され、両国間の経済的な結びつきがより強固になることを通じ、両国間の貿易が安定的に拡大し、ひいては自由で開かれた国際経済の発展につながることが期待されます。

 以上が、これらの協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。玄葉光一郎君。

    〔玄葉光一郎君登壇〕

玄葉光一郎君 玄葉光一郎です。

 共同会派を代表して質問をいたします。(拍手)

 台風十九号による甚大な被害の発生から二週間がたちます。

 先ほど議長からもございましたけれども、改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 私の地元福島県でも大きな被害が出ており、発災以来、現場を歩く毎日です。

 事の緊急性に鑑みて、冒頭、災害対策について幾つかの質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 被災者の声で最も返答に窮したのは、玄葉さん、私たちは、水没したこの家を修繕して、このままここに住んでいて大丈夫なのですかという問いです。

 温暖化型の集中豪雨や流域型洪水によって、全国各地で従来の想定を大きく超える災害が生じています。雨の降り方、降る量が大きく変わる中で、想定の見直しによる堤防強化は必須だとしても、一方で、その限界もあると思います。堤防強化とその限界、今後の治水、防災のあり方についての総理のお考えをお伺いいたします。

 住宅の再建に当たって、公的支援の柱となっているのが被災者生活再建支援制度です。しかし、現行では、支給対象が全壊と大規模半壊に限られています。災害時の国民生活の安定と安心をより担保する制度とするため、支援対象を半壊まで拡大すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 東日本大震災の際に創設をし、大きな効果を発揮したグループ補助金は、このたびの台風十九号の被災地の地域経済の再建にも大きな役割を果たすはずです。その実施を強く求めたいと考えますが、総理の御見解を求めます。

 また、被災した事業所の雇用を守るため、雇用調整助成金の特例措置、例えば、助成率の引上げや支給日数の延長、労働者の継続雇用期間の条件の緩和などの措置が必要と考えますが、厚労大臣の見解を伺います。

 農業の被害も深刻です。多くの農業用ハウスが大破しています。トラクターなどの農機具も水没して使用できなくなり、農家が再生産する意欲を失いかねない危機的な状況です。被災した農業用ハウスの撤去及び再建に向けた特段の措置、農業用機械等の再導入に向けた特段の措置が必要です。次期作に必要な種子、種苗の確保策も含め、農水大臣の見解を求めます。

 以上のことを申し上げた上で、日米貿易協定の質問に移ります。

 今回の日米貿易協定は、当面の追加関税等は見送られたものの、日本にとって、とても手放しで喜べるような内容にはなっておりません。重要な問題点を内包し、かつ、大きな対立点を先送りしております。

 まず、米国にTPPへの復帰を求めるという日本としての本来戦略はどこへ行ったのでしょうか。日米というバイの二国間交渉より、マルチの多国間交渉の方が、他国を味方につけながら交渉できる分、日本にとって有利という判断から、あくまで米国にTPP復帰を求めていくというのが日本の戦略的判断であったはずです。結局のところ、次に来る第二段階の交渉も含めて、本来避けようとしていた本格的な二国間交渉に引きずり込まれているのではないでしょうか。答弁を求めます。

 TPPは、車と農産品のパッケージ合意でありました。つまり、日本側は牛肉などの農産物関税を引き下げ、米国側は車の関税を撤廃するというものでした。しかし、本協定では、日本側の農産物関税は、米国側の要望どおり、TPP参加国並みに引き下げる。しかも、一気にであります。一方、日本側が求めた自動車及び関連部品の撤廃については、継続協議となりました。TPPでは、将来の撤廃が時期も含めて約束されていたはずです。車関税についてTPP並みにかち取れなかったのですから、農産物関税をTPP水準まで引き下げる必要はなかったのではないですか。トランプ大統領への選挙向けのプレゼントでしょうか。

 政府は、自動車及び自動車部品についての関税撤廃について今後交渉するとしていますが、果たしてその関税撤廃の実現について日本政府として何らかの確証があるのでしょうか。確証があるとすれば、何をもってそう言えるのでしょうか。さらに、撤廃時期の目途についてもお答えください。

 WTOには、最恵国待遇、つまりは全ての加盟国に同じルールを適用するという原則があります。RTA、すなわち自由貿易地域やFTAなどは、いわばこの最恵国待遇の例外として扱われるのであります。ただし、その際には条件が課されています。それは、実質上全ての貿易について、原則として十年以内に関税等を撤廃することというものです。

 実質上全てのの範囲は、おおよそ九〇%以上と言われています。つまり、今回の日米貿易協定がWTO整合的であるためには、九割以上の自由化率でなければならないのです。しかし、今般の合意では、自動車及び関連部品の関税撤廃は確約されておらず、それらを除けば、米国側の自由化率は六割にも満たない。今回の協定は果たしてWTO整合的であると言えるのかどうか、違和感を拭えません。WTOと整合的であるというなら、その根拠も含めて答弁を求めます。

 今申し上げた論点に鑑みれば、次のように指摘することもできます。つまり、九割以上の自由化率がなければWTOに整合的でないということは、日本側にとっての交渉上のいわば切り札だったはずです。それにもかかわらず、米国側から車の関税撤廃についての確約を取り付けることができなかったということであります。このままではWTO違反を指摘されてしまうから、車についての関税撤廃を約束してほしいと米側に強く迫ったことは、想像にかたくありません。それでも、結局のところ、車関税をかち取れなかったわけです。

 九月二十五日の日米共同声明には、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本協定の精神に反する行動をとらないとの記載があります。このことについて、追加関税や数量制限、輸出自主規制を課すものではないことを確認したということですが、仮にこの首脳間、閣僚間の口頭での確認を信じたとしても、あくまで、協定が誠実に履行されている間という期限付の条件が付されているのです。その意味においては、米国は追加関税カードを完全に手放したわけではないとも言えます。そこで、お尋ねします。

 協定が誠実に履行されている間とありますが、誠実な履行でない場合とはどのような場合を想定しているのでしょうか。また、両協定及び本協定の精神とは何を指すのか、わかりやすく御説明ください。

 更に気がかりなことがあります。

 昨年九月の日米共同声明第五項には、「米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。」と明記されています。今後、追加関税や数量規制等を課すことをちらつかせながら、日本側に対して米国における直接投資、現地生産を迫ってくるのではないかという懸念があります。この懸念は杞憂ですか。答弁を求めます。

 今後の交渉について、日米共同声明では、四カ月以内に交渉対象を決め、関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題について交渉を開始する意図であるとしています。ここにおいて、交渉を開始するとせずに、交渉を開始する意図としているのはなぜですか。お答えください。

 さらに、今後の交渉について、総理は、協定を結ぶか否かも含め、予断を持って申し上げることは差し控えたいと述べています。日本政府としては、次の日米二国間のさらなる交渉のテーブルにはできれば着きたくないということなのでしょうか。それとも、むしろ積極的な姿勢で向き合うつもりなのでしょうか。お尋ねをいたします。

 政府は、農産物についてはTPPの範囲内と言いますが、牛肉についてはTPP以下です。つまりは、TPPよりもさらなる譲歩を強いられています。結果として、緊急輸入制限、セーフガードの発動基準数量が実質的に緩和をされています。米国が離脱したTPP11でのセーフガード発動基準数量が、米国抜きのそれに修正されていないのです。このままだと、米国以外の豪州、ニュージーランド、カナダなどからの輸入牛肉に対してセーフガード措置がききにくくなります。このことについての農水大臣の見解を求めます。今後の畜産業の国内対策の具体策とあわせてお答えください。

 政府は、十月十八日、日米貿易協定の経済効果の試算を公表しましたが、車関税の撤廃を前提としたものだけとなっており、驚きを禁じ得ません。当然ながら、車関税が二・五%にとどまった場合の試算も公表すべきと考えます。答弁を求めます。

 以上申し述べたように、本協定は重要な問題点をはらんでいます。特に、GDP一位の米国とGDP三位の日本による貿易協定に対してWTO整合性の点で疑義が生じているということは、大きな問題であります。

 自国第一主義がはびこる中、日本は、国際秩序形成、国際ルール形成において、自由貿易や法の支配、人間の安全保障、あるいは平和といった分野においては特に主要な役割を果たしていくべきだと考えます。

 WTO体制を発展させるべき立場にある日本とWTOをこれまでリードしてきた米国が結んだ貿易協定、そこにおいてWTO整合性に関して疑問の目が向けられている、この点が私は残念で仕方がありません。何とか米国を説得して、疑問の余地のない協定にしてほしかった。自由貿易の旗手となると所信表明で述べた安倍総理、この日米貿易協定がWTO体制の終わりの始まりを演出したなどと将来言われることがないようにしていただきたいと考えます。

 最後に、慎重かつ十分な議論が行われるための審議時間の確保、さらには、米通商拡大法二百三十二条による追加関税は課さないとの首脳間で行われたという口頭確認についての議事録を含めた必要な情報の公開を強く求め、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 玄葉光一郎議員にお答えをいたします。

 防災対応や被災者等への支援策についてお尋ねがありました。

 平成の時代は大きな自然災害が相次ぎ、昨年からことしにかけても、集中豪雨、台風など、異次元の災害が相次いでいます。災害への対応は、もはや、これまでの経験や備えだけでは通用せず、命にかかわる事態を想定外と片づけるわけにはいきません。

 台風十九号において被災した堤防の強化を図ることはもちろんですが、さらに、今後、将来の気候変動の影響により降雨量が増大し、水害が頻発化、激甚化する場合に備えた治水対策を適切に講じてまいります。

 被災者生活再建支援金については、国や都道府県の財政負担面での課題もあり、支給対象の拡大については慎重に検討すべき点もあると認識しておりますが、昨年の全国知事会からの提言等も踏まえ、被災者に寄り添う観点から、必要な対応を検討してまいります。

 また、現在、被災者の生活やなりわいの再建に向けた対策パッケージの策定を進めているところであり、その中で、御指摘のグループ補助金を含め、必要な支援を検討してまいります。

 今後とも、地元自治体と緊密に連携しつつ、被災地の方々の気持ちに寄り添い、復旧復興を全力で支えるとともに、国家百年の大計として、災害に屈しない、強さとしなやかさを備えた国土をつくり上げてまいります。

 米国との二国間交渉を行うことについてお尋ねがありました。

 日米貿易協定は、TPPや欧州とのEPAなど過去の協定の成果の上に、トランプ大統領との信頼関係のもと、二国間で交渉を行った結果、昨年九月の合意に沿って、日米双方にとってウイン・ウインでバランスのとれた結論を得ることができたと考えています。

 今回の交渉結果については、我が国の自動車工業会から、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものであるとの評価が既に発表されており、また、JA全中からも、中家会長の談話として、合意内容は昨年九月の日米共同声明の内容を踏まえた結論と受けとめ、特に、米については、米国への関税割当て枠の設置が見送られることとなり、生産現場は安心できるものと考えているとの評価が発表されたものと承知しており、我が国にとって、まさに国益にかなう結果が得られたと考えています。

 なお、今後の米国との二国間交渉については、今回の共同声明では、今後、どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしており、現時点において、その後に協定を結ぶか否かも含め、予断を持って申し上げることは差し控えます。

 農産物関税の引下げと自動車・自動車部品の関税撤廃についてお尋ねがありました。

 今回の協定では、工業品について、日本企業の輸出関心が高く貿易量も多い品目を中心に幅広く関税撤廃や削減が実現しました。また、我が国の牛肉について、米国への輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど、農産品の分野でも新しいチャンスが生まれます。攻めるべきは攻め、守るべきは守ることにより、日米双方にバランスのとれた協定になっていると考えています。

 自動車・自動車部品については、今回の協定では、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記いたしました。

 具体的な関税撤廃期間については今後の交渉となりますが、自動車については、電動化、自動走行による大変革期にあり、さまざまな部品構成やその重要度も変わっていく可能性が高いことなども踏まえ、このような状況を見きわめながら、今後、最善の結果が得られるよう、協議を行っていく考えであります。

 関税撤廃率とWTO協定との整合性についてお尋ねがありました。

 今回の協定では、自動車及び自動車部品について、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記いたしました。関税撤廃がなされることが前提となっている以上、関税撤廃率の換算に加えることに問題があるとは考えていません。

 そして、このように新たに譲許される品目にWTO協定の枠組みのもとで無税とされているものを含めれば、二〇一八年の貿易額ベースで、関税撤廃率は、日本が約八四%、米国が九二%となり、本協定はWTO協定と整合的であると考えます。

 本年九月の日米共同声明の第四パラグラフの趣旨についてお尋ねがありました。

 本年九月の日米共同声明には、「協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない。」との記載がありますが、国際約束たる条約はもとより誠実に履行されるべきものであり、御指摘のような誠実な履行でない場合が生じ得るかのような仮定の質問には、お答えすることは差し控えます。

 また、「両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない。」とは、日米両国の二国間協定を強力かつ安定的な、互恵的な形で拡大するなど、共同声明にも明記されている協定の目的に信義則上反する行動をとらないとの意味であると理解しています。

 なお、この文言が、日本の自動車・自動車部品に対して米国通商拡大法二三二条に基づく追加関税を課さないことを意味するということについて、私から直接トランプ大統領に明確に確認したところであり、国益にかなう結果を得ることができたと考えております。

 米国による追加関税や数量規制等についてのお尋ねがありました。

 日本の自動車・自動車部品に対して米国通商拡大法二三二条に基づく追加関税が課されないことは、日米首脳会談において私から直接トランプ大統領に確認しています。少人数会合で、そして全体会合でも改めて確認したところです。

 また、数量規制のような管理貿易的措置についても、米国としてこれらを求めない旨を茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で直接確認していると承知しており、御懸念は全く当たらないと考えています。

 本年九月の日米共同声明にある今後の交渉についてお尋ねがありました。

 今後の交渉については、どの分野を交渉するかについて、その対象をまず協議することとなっております。つまり、具体的な交渉内容は、前段階の協議次第である、あらかじめ確定的なものとなっていないことから、交渉を開始する意図との表現を用いたものです。

 そのため、今後の交渉自体についても、どのような姿勢で臨むかも含め、現時点において予断を持って申し上げることは差し控えます。

 いずれにせよ、我が国の国益に反するような合意を行うつもりはありません。

 日米貿易交渉における経済効果の試算についてお尋ねがありました。

 日米貿易協定では、自動車・自動車部品については、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記しました。関税撤廃がなされることが前提となっている以上、最終的な経済効果について、これをもとに試算することが当然と考えます。

 その上で、自動車及び同部品の関税を現状のままとした経済効果を試算することは、あくまで関税撤廃がなされることが前提となっている今回の交渉結果に反するものであり、具体的な撤廃時期などに係る今後の交渉にも悪影響を与えかねないことから、差し控えたいと思います。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 玄葉議員より、雇用調整助成金の特例措置についてお尋ねがございました。

 今回の台風第十九号による企業活動や雇用への影響は既に幅広い範囲で生じており、地域の雇用を守るため、雇用調整助成金について、起業後一年未満の事業主も助成対象とするなど、通達で対応可能な支給要件の緩和措置を十月二十一日付で実施しております。

 また、御指摘の助成率の引上げ、支給日数の延長、継続雇用期間の条件緩和等の省令で対応する特例措置については、台風十九号による災害が激甚災害に指定された後、速やかに対応することとしております。(拍手)

    〔国務大臣江藤拓君登壇〕

国務大臣(江藤拓君) 玄葉議員の御質問にお答えいたします。

 台風十九号の農業被害についてのお尋ねがありました。

 今般の台風十九号に伴う暴風及び記録的な大雨により、関東甲信、東北地方を中心に農作物や農業用ハウス、農業用機械に大きな被害が発生しています。

 農林水産省といたしましては、被災された方々が離農されることなく、一日も早くなりわいを再開できるよう、農林漁業者のニーズを丁寧に聞いて、可能な限りの支援を検討してまいります。

 被害を受けた農業用ハウスの撤去及び再建、農業用機械の再取得、種子や種苗の確保への支援策については、さきに決定した台風十五号の対策を基本にしっかりとした支援策を講じてまいりたいと考えております。

 次に、日米貿易協定における牛肉のセーフガード及び今後の畜産業の国内対策についてお尋ねがありました。

 牛肉のセーフガードは、二〇二〇年度の米国への発動基準数量を、二〇一八年度の輸入量二十五万五千トンより低い二十四万二千トンに抑制したところであります。

 この二十四万二千トンに二〇一八年度のTPP11発効国からの輸入量を加えると六十万六千トンとなり、二〇二〇年度のTPPの発動基準数量六十一万四千トンとの差が八千トンあることから、TPPの範囲内とすることができたものと考えております。

 また、TPP11関係国との協議については、内閣官房において適切に判断されるものと考えておりますが、私としては、生産者の不安に寄り添い、早期に協議する必要があると考えております。

 畜産業の国内対策については、現在、畜産クラスター事業などの体質強化対策を講じているほか、牛マルキンの補填率の引上げなどで経営安定対策を実施しているところであります。

 農林水産省としては、意欲ある生産者が将来にわたって希望を持って畜産経営に取り組んでいただけるよう、TPP等関連政策大綱の改定も踏まえ、生産基盤の強化など必要な対策をしっかりと講じてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 竹内譲君。

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 公明党の竹内譲です。

 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました両協定について、安倍総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)

 質問に先立ち、今般、甚大な被害をもたらした台風十九号により、お亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災され苦しんでおられる多くの方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。与党として、被災者の生活支援、復旧復興並びに巨大災害を想定した防災・減災対策に全力を尽くしてまいります。

 さて、世界経済は現在、保護主義的な動きが広まるなど、先行きの不透明感が強まっています。このような状況の中で、我が国は、昨年末以降、TPP11や日・EU・EPAといった経済連携協定を次々に発効させ、自由で公正なルールに基づく経済圏を着実に広げてまいりました。

 その中で、今月初めに署名された日米貿易協定については、世界のGDPの約三割を占める日米両国の物品貿易を強力かつ安定的に拡大するものと認識しています。特に、世界最大の経済大国である米国との貿易協定は、アジア太平洋地域におけるグローバル化を通じて経済成長を進めるとともに、自由で公正なルールに基づく世界経済の発展に大きく貢献するものであると考えます。

 また、AIなどの技術革新やグローバル化したサプライチェーンの構築が進む中で、日米デジタル貿易協定は、デジタル分野におけるハイレベルなルールを世界に示すものであります。与党としても、両協定の早期締結、発効に向けてしっかりと協力してまいりたい。

 昨今の流動的で不透明な国際情勢の中で、大変厳しい交渉をまとめ上げ、日米双方の国益にかなう結果となったのは、安倍総理とトランプ大統領との強固な信頼関係があったからこそだと認識しています。

 これまでの交渉の経緯等を踏まえて、改めて、本協定の意義や狙いについて、安倍総理にお伺いしたいと思います。

 日米貿易協定に関して、三点質問いたします。

 最初に、本協定の経済効果について伺います。

 本協定の発効により、貿易額ベースで、米国側は九二%、日本側は八四%の関税撤廃が実現いたします。加えて、こうした関税の撤廃、削減を契機とした我が国の経済効果に関する分析によると、実質GDPは約〇・八%押し上げられるほか、労働供給は約二十八万人増加すると見込まれています。既に発効しているTPP11では約一・五%、日・EU・EPAでは約一%のGDPを押し上げる効果があり、本協定の経済効果を加えれば、これら経済連携協定が我が国の成長戦略の一つとして重要な役割を果たすことは言うまでもありません。

 一方で、この試算では、関税引下げによる価格や貿易数量の変化を受けて、我が国の需要や投資の増加、生産性の押し上げ、労働供給の拡大といった、成長につながる前提が置かれています。しかし、近年深刻化する人口減少、少子高齢化などの影響が更に大きくなる場合は、本試算で示されたGDPの押し上げ効果への影響も懸念されます。今のところ、雇用・所得環境は着実に改善しているものの、今後、生産性向上や人への投資等を通じ、潜在成長率の底上げに引き続き取り組むべきです。

 本協定の経済効果について、西村経済再生担当大臣の見解を伺います。

 農産品及び工業品に係る関税撤廃、削減等について伺います。

 昨年九月に発出された日米共同声明に基づき、最も懸念されていた農産品については、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるとの方針に沿って交渉が進められ、その姿勢が堅持されたことは高く評価すべきと考えます。特に、日本の米については、関税撤廃、削減の対象から完全に除外されるほか、日本産酒類の輸出を促進するための非関税措置が約束されました。

 また、米国は近年、自国の貿易赤字削減を図るため、自動車や自動車部品に係る相当厳しい数量規制や、通商拡大法二百三十二条に基づく追加関税などの措置を他国に対して講じています。しかし、今回は、こうした措置を課さないことを首脳間や閣僚間で確認できたことは、大きな交渉結果であると考えます。日本自動車工業会からも、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されることを歓迎しますとの評価をいただいています。

 まさに、日本政府の粘り強い交渉姿勢が随所に結果としてあらわれ、我が国の国益にかなう内容になったと認識しています。

 一方で、自動車や自動車部品については、関税の撤廃に関して更に交渉すると明記されました。今後、政府においては、関税の撤廃が前提であることを踏まえ、例えば乗用車に係る二・五%の関税を二十五年目に撤廃するというTPP12で決定している期間を短縮するなど、一層攻めの交渉に臨んでいただきたい。

 農産品及び工業品に係る関税撤廃、削減等について、茂木外務大臣の答弁を求めます。

 先日公表された暫定版の試算によると、農林水産物の生産減少額は約六百億円から約一千百億円になると見込まれています。本協定の発効を見据えると、農林水産業の国内対策などに万全を期すことが極めて重要です。

 これまでも、公明党は、TPP11や日・EU・EPAの発効を見据え、酪農の生産基盤を強化する畜産クラスター事業の推進や、農林水産物の輸出拡大に向けたハード、ソフト両面の支援などを推進してまいりました。

 今秋をめどに総合的なTPP等関連政策大綱を改定することが決定していますが、引き続き、農林水産業の生産基盤の強化等に取り組み、拡大基調にある農林水産物の輸出拡大を更に進めていただきたい。あわせて、地方の中小企業が世界へ果敢に踏み出せる効果的な支援策を講じるべきです。

 政府においては、補正予算も視野に入れて、農林水産業の国内対策などに万全を期していただきたい。西村経済再生担当大臣の答弁を求めます。

 次に、日米デジタル貿易協定について伺います。

 デジタル技術の進展により、国境を越えた経済活動が急速に拡大する中、我が国においても、個人情報や知的財産などのデータを適切に保護しつつ、自由なデータ流通の実現を通じて新たなビジネスモデルの創出や生産性の向上に取り組むことが急務です。

 その中で、本協定では、電子的な送信に関税を課さないことや、消費者保護に関する法令の制定、維持等の内容が規定されています。

 今後、本協定の発効を通じた恩恵を受けることができるよう、個人情報の保護や大手IT企業の独占的な取引慣行への対策も含め、産業界の生産性向上を一層進めるべきです。

 日米デジタル貿易協定の意義と今後の課題について、茂木外務大臣の答弁を求めます。

 最後に、我が国が、自由貿易の旗手として引き続き主導的な役割を果たしつつ、世界の安定と繁栄に努めることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの答弁の中で、日米両国の二国間協定をと発言しましたが、正しくは、日米両国の二国間貿易をでありましたので、訂正させていただきます。

 それでは、竹内譲議員にお答えをいたします。

 日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定の意義と狙いについてお尋ねがありました。

 今回の貿易協定では、農林水産物について、過去の協定で約束したものが最大限であるとした昨年九月のトランプ大統領との共同声明に沿った結論が得られました。とりわけ、我が国にとって大切な米について、関税削減の対象から完全に除外いたしました。さらには、米国への牛肉輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど、新しいチャンスも生まれています。

 幅広い工業品についても、米国の関税削減、撤廃が実現します。日本の自動車・自動車部品に対しては、米国通商拡大法第二三二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しました。我が国にとって、まさに国益にかなう結果が得られたと考えています。

 日米デジタル貿易協定は、新しい時代の付加価値の源泉であるデータ等について、同盟の強固なきずなで結ばれた日米が新しい経済秩序づくりをリードするものであり、先般のG20サミットで立ち上げたWTOにおける大阪トラック交渉にも大きな推進力となると考えています。

 TPP11、欧州とのEPA、そして今回の日米貿易協定の三つを合わせれば、実に世界経済の六割を占める巨大な自由貿易圏が誕生します。

 現在、国際貿易をめぐっては米中の貿易摩擦を始め世界的に懸念が高まっていますが、そうした時代に、アジア、欧州、さらには米国も含める形で、日本を中心として、自由で開かれた公正なルールに基づく貿易圏を築き上げる意義は国際的にも大変大きいと考えています。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 竹内譲議員から、日米貿易協定に関する経済効果分析の概要についてお尋ねがございました。

 米国時間七日に署名され、十五日に承認議案を国会に提出した本協定について、十八日に経済効果分析の暫定値を公表いたしました。

 TPP12、TPP11に係る経済効果分析と同様に、GTAPモデルを用いて日米貿易協定の効果を試算いたしました。これまでと同様、専門家による検証等を経て、最終的な分析結果は年内に取りまとめることとしておりますが、現時点の暫定値として、我が国の実質GDPは日米貿易協定がない場合に比べ約〇・八%押し上げられる見込みであります。これを二〇一八年度のGDP水準で換算をすると、約四兆円に相当いたします。

 TPP12とTPP11の効果の差分一・一%よりは若干低い数字となりますが、これは、日米協定では貿易円滑化等に関する規定がなく、それによる効果を見込んでいないこと等によるものと考えております。

 いずれにしても、我が国の成長に資する協定であり、国会で御審議いただいた上で、政府としては早期発効を目指してまいります。

 次に、日米貿易協定に関する国内対策についてお尋ねがありました。

 今回の協定を踏まえた国内対策については、十月一日に政府のTPP等総合対策本部で決定した総合的なTPP等関連政策大綱改訂に係る基本方針に基づき、経済効果分析も含め、本協定の成果を最大限に生かすため、必要な政策の検討を進めていくこととしております。

 具体的には、TPP11、日・EU・EPAの発効後の動向も踏まえ、政策を改めて体系的に整理をし、この秋を目途に、前回の決定から二年経過をした総合的なTPP等関連政策大綱を改定することとしております。

 大綱の改定に当たりましては、なお残る農家の皆さんなどの不安にもしっかりと寄り添い、万全の対策を講じていくことが必要であります。

 基本方針に示されているとおり、特に、中小企業の海外展開支援等を通じた日本企業、日本産品等の新たな市場の開拓、国内企業と外国企業からの投資のマッチング等を通じた国内産業の競争力の強化、生産基盤の強化等を通じた強い農林水産業、農山漁村の構築にしっかりと取り組むことで、我が国経済のさらなる成長につなげてまいります。

 なお、補正予算の編成につきましては、現段階において具体的に想定しているものではありませんが、今後、適切に判断してまいります。(拍手)

    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

国務大臣(茂木敏充君) 竹内議員から、日米貿易交渉に関し、関税撤廃、削減等についてのお尋ねがありました。

 日米貿易協定は、日米双方にとってウイン・ウインかつバランスのとれた協定になっていると考えております。

 その上で、日本の農林水産品については、全て過去の経済連携協定の範囲内であり、これまでの貿易交渉でも常に焦点となってきた米は調製品も含め完全除外、また、林産品、水産品、さらにはTPPワイド関税割当て対象の三十三品目なども、全く譲許しておりません。

 一方、工業品については、日本企業の輸出関心が高く貿易量も多い品目を中心に早期の関税撤廃、削減が実現します。

 自動車及び自動車部品については、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を協定に明記したほか、米通商拡大法二三二条の追加関税を発動しないこと、数量規制のような管理貿易的措置は求めないことを米側に明確に確認をしております。

 なお、今後の自動車及び自動車部品について関税撤廃がなされることを前提に交渉を行う中で、関税撤廃までの期間がTPP12で決定されている期間よりも短縮されることもあり得ると考えており、具体的な撤廃時期等についてしっかりと交渉を行ってまいります。

 もう一点、日米デジタル貿易協定についてお尋ねがありました。

 日米デジタル貿易協定は、日米間で円滑で信頼性の高い自由なデジタル貿易を促進するための法的基盤を確立することにより、両国間のデジタル貿易を促進することを目的としているものであります。

 本協定の締結により、今後、拡大が期待されるデジタル貿易が日米間で一層促進され、両国間の経済的な結びつきが強固になることを通じ、両国間の貿易が安定的に拡大し、ひいては自由で開かれた国際経済の発展につながることを期待しています。

 本協定は、これからの時代の経済を牽引するデジタル貿易のルールづくりにおいて日米両国が引き続き主導的な役割を果たしていく基盤になるものであると考えており、大阪トラックの推進を始め、デジタル貿易に関する国際的なルールづくりに向けてしっかりと対応してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 笠井亮君。

    〔笠井亮君登壇〕

笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、日米貿易協定、デジタル貿易協定について、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 まず、台風十五号、十九号による災害で亡くなられた方々に心からのお悔やみを、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。

 今なお数多くの方が、浸水した住宅や避難所などでの生活を余儀なくされています。総理、生活改善は急務です。被災者が安心して過ごせるよう、集中的な対策を求めます。

 さらに、被災者の生活となりわいの再建のために、住宅の確保、農林水産業者の経営再建と再開までの収入補填、中小・小規模事業者へのグループ補助など直接支援を速やかに実施することを強く求めます。

 日米貿易協定について伺います。

 本協定は、交渉開始からわずか五カ月、交渉内容も経過も国会や国民に一切知らせず、前代未聞のスピードで合意、署名したものです。

 安倍総理は、この協定を、日米双方にとってウイン・ウインの中身になったと誇っています。しかし、その内容は、秘密交渉によって、日本側が一方的に譲歩したものではありませんか。

 トランプ大統領が、日米首脳会談や署名式に米国の農業団体の代表らを同席させ、米国の農家、牧場主らにとって巨大な勝利だと手放しで評価したことに、まさに象徴的に示されているではありませんか。総理は、巨大な勝利の中身をどう認識していますか。本協定が国民に何をもたらすのか、明確にお答えください。

 日本農業新聞の調査では、日本農業への影響が強まるが七八・九%にも達しています。政府が、日本への影響について試算もなく協定を締結したことは重大です。これまでの自由化協定と相まって、どれだけ農林水産物の生産減少をもたらすことになるか。農林水産業や地域経済への深刻な打撃を何ら考慮しなかったのですか。

 米国側は、日本は米国産農産物の輸入で七十二億ドル、七千八百億円もの市場を開放したとしています。総理、これは事実ですか。この額は、現行の輸入額の六割にも相当するものです。国会にその詳細を報告すべきです。

 現に、総理がこの間推し進めてきたTPP、TPP11、日欧EPAは、どれも日本側の関税、非関税措置を縮小させ、農産物の市場開放、自由化を一層もたらすものでした。

 本協定では、牛肉や豚肉などの畜産物の関税が大幅に引き下げられます。その上、米国産トウモロコシの大量輸入まで表明したことは、まさに、トランプ大統領が掲げるアメリカ・ファースト、バイ・アメリカンに迎合した政治姿勢そのものではありませんか。

 更に重大なのは、米国側への特恵的待遇と再交渉規定が盛り込まれていることです。

 米国側がこれらを盾に、米の無税輸入枠の設定など、さらなる市場開放を強く求めてきた場合、総理は断れますか。米は完全に守ったどころか、応じざるを得ないのではありませんか。

 再交渉には終わりがありません。セーフガード措置も事実上無力化させられ、結局、日本が米国に対し、あらゆる分野にわたる譲歩を迫られることになるのではありませんか。

 本協定の問題点は、農産物の際限ない市場開放にとどまりません。

 日米共同声明では、関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題についての交渉を開始する意図であると宣言されました。米国側の次の具体的な要求は何ですか。昨年十二月の米USTRの二十二項目の市場開放要求に基づいた交渉を進めるということではありませんか。明確な答弁を求めます。

 その先取りとも言えるのが、突如締結されたデジタル貿易協定です。

 トランプ大統領が四百億ドルの重要な勝利とあけすけに語っているとおり、米IT企業を保護するための協定にほかなりません。

 総理、個人情報保護や中小企業の利益よりも、GAFAに代表される米国の巨大プラットフォーマーの利益を優先し、ビッグデータを制約なくビジネスに活用させようとするものではありませんか。アメリカ型のルール設定が先行することによって、政府が検討しているプラットフォーマー規制の選択肢を狭めることはないと言えますか。

 本協定のどこが物品協定、TAGですか。まさにFTA交渉そのものです。独占的利益を得ようとする米国の多国籍IT企業を背景にしたトランプ大統領の要求を丸のみしたものではありませんか。答弁を求めます。

 災害が多発する今、国土保全など多面的機能を持つ農林水産業を衰退へと追いやり、食料自給率を更に低下させる亡国の道を進んではなりません。食料主権、経済主権を破壊する日米貿易協定、デジタル貿易協定の国会承認は断じて認められません。

 日米FTA交渉は直ちに中止することを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 笠井議員にお答えをいたします。

 台風十五号及び十九号の被災者支援についてお尋ねがありました。

 台風第十五号による災害に対しては、予備費を活用して食料やブルーシート等のプッシュ型支援を実施したほか、住家の被害について、台風通過後の降雨による被害も加味して被害認定調査を行うこととしたところであります。また、災害救助法の制度を拡充して、一部損壊の住宅であっても、屋根等に日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅については支援の対象とするなど、被災地のニーズに応じて弾力的な対応を行ってきたところです。

 加えて、同台風による災害を激甚災害に指定したほか、農林水産業については、一日も早い経営再開に向けて総合的な農林漁業者への支援策を決定し、被災された中小・小規模事業者に対しても災害復旧貸付け等を実施しております。

 台風第十九号による災害に対しては、まずもって、各省横断の被災者生活再建チームを中心に、被災自治体に派遣した職員を通じて、自治体や避難所の個々のニーズを把握し、水、食料、段ボールベッド、暖房器具等のプッシュ型支援を実施するなど、避難所の生活環境の整備を図ったほか、順次、公営住宅等を提供するなど、被災者の生活支援を政府一丸となって進めているところです。

 また、同台風による災害についても、激甚災害に指定する方針であるほか、先日、予備費等を活用して、住まいの確保や、農林漁業者、中小・小規模事業者の事業再開支援など、被災者の生活となりわいの再建に向けた支援パッケージを早急に取りまとめるよう、私から指示を行いました。

 引き続き、国としてできることは全てやるとの方針のもと、被災地のニーズを把握し、政府一体となって諸対策を進めてまいります。

 日米貿易協定についてお尋ねがありました。

 本協定に係る米国側の評価について日本政府として述べる立場にはなく、また、トランプ大統領の一つ一つの発言について論評することは差し控えます。

 我が国について申し上げれば、今回の日米貿易協定により、幅広い工業品について、米国の関税削減、撤廃が実現します。また、日本の自動車・自動車部品に対して米国通商拡大法二三二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しました。

 農林水産物については、過去の経済連携協定で約束したものが最大限であるとした昨年九月の共同声明に沿った結論が得られました。とりわけ、我が国にとって大切な米について、関税削減の対象から完全に除外いたしました。さらには、米国への牛肉輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど、新しいチャンスも生まれます。

 そして、こうした交渉結果については、我が国の自動車工業会から、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものであるとの評価が既に発表されており、また、JA全中からも、中家会長の談話として、合意内容は、昨年九月の日米共同声明の内容を踏まえた結論と受けとめ、特に、米については、米国への関税割当て枠の設置が見送られることとなり、生産現場は安心できるものと考えているとの評価が発表されたものと承知しており、我が国にとって、まさに国益にかなう結果が得られたものと考えております。

 日米貿易協定が農林水産業に与える影響の考慮についてお尋ねがありました。

 今回の協定による農林水産物の生産額への影響は、農林水産省の試算によると、約六百億円から約一千百億円とされているところです。

 また、米国が説明する七十二億ドルについては、今回の協定により、我が国が関税撤廃、削減等を行う農林水産物の、二〇一八年における貿易額の合計額に相当するものであると承知しています。

 農家の皆さんの不安にしっかり向き合い、万全の対策を講じていくため、年末に向けて、総合的なTPP等関連政策大綱を改正する考えです。新たな市場の開拓や生産基盤の強化などに取り組むことで、今回の協定を全国津々浦々、我が国経済のさらなる成長につなげてまいります。

 日米貿易協定等における政治姿勢についてお尋ねがありました。

 農林水産業こそ国の基であります。その基本的な考え方のもと、安倍内閣は、農林漁業者の皆さんの気持ちに寄り添いながら、交渉においては、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国益にかなう最善の道を追求してきました。

 そうした中、今回は、過去の協定で約束した内容が最大限であるとした昨年九月の日米共同声明に沿った結論を得たところであり、その点はJA全中の中家会長の談話でも評価いただいているものと承知しています。日米両国にとってバランスのとれた内容の協定となったと考えています。

 なお、トウモロコシの購入について、米国と約束や合意をしたとの事実はありません。

 今後の交渉に関するお尋ねがありました。

 今後の交渉については、どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしており、現時点において予断を持って申し上げることは差し控えます。

 いずれにせよ、日米双方で合意した内容のみが交渉の対象となるものであり、我が国として、我が国の国益に反するような合意を行う考えはありません。

 今後の交渉における米国側の要求についてお尋ねがありました。

 今回の共同声明においては、サービス貿易や投資等が例示されておりますが、今後、どの分野を交渉するのかについては、その対象をまず協議することとしております。そのため、現時点において、米国側の考え方も含め、予断を持って申し上げることは差し控えます。

 いずれにせよ、日米双方で合意した内容のみが交渉の対象となり得るものであり、我が国として、我が国の国益に反するような合意を行う考えはありません。

 日米デジタル貿易協定及び日米貿易協定についてお尋ねがありました。

 日米デジタル貿易協定は、TPPなどで定められているデジタル貿易に関するルールなど、この分野における国際的な議論の進展を踏まえた内容を盛り込んだものであり、米国側の一方的な要求によるものとの御指摘は全く当たりません。

 そのため、自由なデジタル貿易を促進しながらも、当然、個人情報の保護はその前提となっております。さまざまな例外規定のほか、規制機関や司法当局による一定の制限措置は認められており、中小企業の取引適正化、競争法上の規律は妨げられません。今後、いわゆるデジタルプラットフォーマーに対して必要な規制を行うことも、問題ないものと考えています。

 なお、今回の米国との協定では、デジタル貿易協定のほかは、投資やルールに関する内容は含まれておらず、我が国がこれまで締結してきた包括的なFTAとは異なるものであると認識しております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 杉本和巳君。

    〔杉本和巳君登壇〕

杉本和巳君 維新の杉本和巳です。(拍手)

 まずもって、台風十五号、十九号でお亡くなりになられた方々の御冥福を衷心よりお祈りし、また、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 私は、我が党を代表して、議題の件について質問させていただきます。

 維新は、結党以来、責任政党として、自由貿易圏の拡大を支持する立場から、アジア太平洋地域の多角的経済的連携協定、TPPや日・EU・EPAにも一貫して賛成してまいりました。我が国の経済成長への原動力になることのみならず、安全保障体制の強化のためにも欠かせない、極めて重要な協定と考えるからです。

 今回の日米間の貿易協定については、アメリカ・ファーストを掲げ、TPPから離脱したトランプ政権が、自国の主張を通しやすい二国間協議に持ち込んだ経緯があります。しかし、世界のGDPの三割を占める日米両国が自由貿易推進の枠組みを築く意義は、小さくはありません。米中間の貿易摩擦が周辺国にも影を落とす中、日米の通商関係が安定をもたらす効果は大きいと考えられます。

 そこで、総理に質問いたします。

 日本外交の基軸である日米同盟を強化していく上で、安全保障問題と通商問題は表裏一体、車の両輪と確信していますが、どう認識されていますか。

 また、米国第一主義を掲げるトランプ大統領は保護主義的な傾向の通商政策を展開しており、自由で公平な通商秩序構築への阻害要因になっているとも解されます。日本に対して、在日米軍駐留経費問題にもリンケージさせるなどの揺さぶりの発言もありました。こうしたトランプ政権の姿勢をどう捉えていらっしゃいますか。

 日本政府は、米国のTPP復帰の可能性を探りつつ、米国抜きのTPP11、日・EU・EPAの発効にこぎつけました。そして、年内妥結を目指す日本、中国、韓国やインド、ASEANなど十六カ国によるRCEPの交渉に鋭意取り組んでいます。

 自由貿易の維持拡大は、長期的には各国共通の利益であります。安倍総理は、さきの所信表明演説で、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済圏を世界へ広げていくと言われました。

 総理にお尋ねします。

 難航しているとされるRCEPの合意に向けて、日本が具体的にどのように主導的な役割を果たしていくお考えですか。また、自由貿易圏を一層拡大していくためには米国のTPP復帰が最善の道だと認識していますが、総理はどう捉えていらっしゃいますか。

 平成十八年二月二十七日の衆議院農林水産委員会で、今は亡き中川昭一農林水産大臣が、WTOのドーハ・ラウンドをめぐって、「この分野だけは決めるけれどもこの分野は決めない、いわゆるアーリーハーベストはやらないという大原則があります。」と答弁されておられます。

 総理にお伺いします。

 米国側は、ライトハイザー通商代表が昨年十月に議会に交渉開始を通告した書簡にも、インステージズ、つまり段階的に日本との交渉を追求する旨記されていました。

 今回の協定は、故中川大臣が述べられた大原則との整合として、アーリーハーベストになっていないと言えるのでしょうか。

 また、トランプ大統領も包括的協定という表現をたびたび用いていますが、今後の米国との協議の射程、着地点はいかにお考えでしょうか。答弁をお願いします。

 今回の協定では、日本から輸出する自動車や部品の関税撤廃が先送りされ、協定締結中に米国は日本車への制裁関税や数量規制を発動しないことが、協定に反する行動をとらないとの表現で共同声明に盛り込まれました。発動されれば日本の自動車メーカーに深刻な打撃を与えることは不可避であり、ひとまず日本は最悪の事態を回避することができました。

 外務大臣に質問します。

 日本が農産物の輸入で譲歩する以上、米国も自動車関税をなくすのが筋です。しかし、自動車産業保護を訴えるトランプ政権が積極的に関税撤廃に向けた協議に応じる保証はありません。

 米国側は追加関税の措置はとらないと言い切れますか。また、関税撤廃の実現に向け、日本はこの事態をいかに打開していくおつもりですか。

 他方、日本が重視する米の米国からの無関税輸入枠が設定されなかったことは評価できます。

 一方で、米国は、世界に誇る日本産の米の大きな市場になる可能性を十分に秘めています。農水省によりますと、米国は、二〇一八年の国、地域別の日本の米輸出先として、香港、シンガポールに次いで世界第三位であります。ただし、輸出額は、香港の三分の一弱の、わずか四億円にすぎません。

 そこで、農林水産大臣にお尋ねします。

 日本産の米の市場として、米国をどう捉えていらっしゃいますか。また、米国への輸出をどのように推進していく御予定ですか。御所見をお聞かせください。

 最後に、日米間のデジタル貿易協定について、外務大臣に質問します。

 トランプ大統領は、この協定がもたらす経済効果を四百億ドルと言及しました。日本政府としてはどのくらいの規模と試算されていますか。答弁をお願いいたします。

 外交交渉は、ラグビーのようなノーサイドはなく、攻守のせめぎ合いとも解していますが、維新は、責任政党として、引き続き、具体的な問題を現実的かつ合理的に解決することを活動原則とし、国家及び国民の利益に資する外交、通商政策の実現に努めていくことを改めて表明し、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 杉本和巳議員にお答えいたします。

 日米同盟の強化及びトランプ政権の姿勢についてお尋ねがありました。

 日米安保条約の第二条で、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と定義されているとおり、日米同盟を強化していく上で、安全保障問題に関する連携の強化のみならず、経済関係を強化していくことが日米同盟の強化に当たり重要であることは言うまでもありません。

 トランプ政権の通商政策については政府としてコメントする立場にはありませんが、在日米軍駐留経費は、日米両政府の合意に基づき、適切に分担されていると考えております。

 いずれにせよ、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、揺るぎない日米同盟を今後とも一層強化してまいります。

 RCEP交渉及び米国のTPP復帰についてお尋ねがありました。

 世界的に保護主義への懸念が高まる中で、これまでも我が国は、自由貿易の旗手として、TPPやEUとのEPAを始め、自由で公正なルールに基づく経済圏を世界へと広げるため、力を尽くしてまいりました。

 中でも、TPP11協定の、ハイスタンダードでバランスのとれた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めることは、国際的な自由貿易体制の強化につながるものと考えています。そうした観点から、我が国としては、米国を含めて、できるだけ多くの国、地域がTPPに参加することが最善であると考えております。

 また、RCEPは、TPPに参加していない中国やインドを含めた十六カ国が参加する枠組みであり、こうした国々の間で自由で公正な経済ルールが共有されることは、この地域の安定とさらなる繁栄に大きく寄与するものと考えます。

 現在、RCEP交渉は大詰めを迎えております。関税引下げにとどまることなく、知的財産や電子商取引などのルールを含めた野心的な協定が早期に妥結されるよう、引き続き、我が国は主導的な役割を果たしてまいります。

 過去の国会答弁との整合性及び今後の米国との協議についてお尋ねがありました。

 今回の日米貿易協定は、マルチで行われたWTOのラウンド交渉とは性質が異なるものであり、単純な比較はできませんが、農産品、工業品の幅広い品目を対象としており、二〇一八年の貿易額ベースで、関税撤廃率は、日本が約八四%、米国が九二%となっていることから、WTO協定と整合的な結論が得られたと考えています。

 その上で、今後の米国との協議については、今回の共同声明では、今後、どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしており、現時点においては、その後に協定を結ぶか否かも含め、予断を持って申し上げることは差し控えます。

 いずれにせよ、我が国の国益に反するような合意を行うつもりはありません。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣茂木敏充君登壇〕

国務大臣(茂木敏充君) 杉本議員から、自動車に対する追加関税及び自動車関税の撤廃についてのお尋ねがありました。

 自動車・自動車部品に係る米通商拡大法二三二条の扱いについては、日米首脳共同声明において、両国は、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動をとらない旨を明記し、そして、これが日本の自動車・自動車部品に対して追加関税を課さないという趣旨であることは、首脳会談で安倍総理からトランプ大統領に明確に確認をいたしました。

 また、自動車・自動車部品については、本協定によって今後関税撤廃がなされることを前提に、市場アクセスの改善策として関税の撤廃時期や原産地規則等について交渉が行われることになります。期間の短縮も含め、具体的な撤廃時期等についてしっかりと交渉を行ってまいります。

 もう一点、日米デジタル貿易協定がもたらす経済効果についてお尋ねがありました。

 トランプ大統領の発言は、デジタル貿易の市場規模が四百億ドルに相当しているという趣旨で述べられたものと理解をいたしております。確かに、デジタル貿易の市場規模は今後も大きな拡大が期待をされます。

 一方、日米貿易協定の経済効果分析については、十月十八日に内閣官房が公表した分析のとおりですが、当該分析では、その性質上、関税の撤廃、削減の効果を見ており、デジタル貿易拡大のもたらし得る効果については試算に含まれておりません。

 その上で、今回の分析では、我が国の実質GDPは日米貿易協定がない場合に比べ約〇・八%押し上げられる見込みであり、これを二〇一八年度GDP水準で換算いたしますと、約四兆円に相当すると承知をいたしております。(拍手)

    〔国務大臣江藤拓君登壇〕

国務大臣(江藤拓君) 杉本議員の御質問にお答えいたします。

 日本産米の対米輸出についてのお尋ねがありました。

 米国向けの米の輸出量は、日本食レストラン向けを中心に、過去五年間で約十五倍に拡大しているところでございます。

 米国における日本食への関心は今後も高まることが期待され、米の輸出も更に拡大余地がある有望な市場と認識いたしております。

 国内の米消費が減少する中、海外需要の拡大は重要であり、米国を始めとして世界各国に向けさらなる輸出を推進するため、輸出事業者によるプロモーションや国内の産地とのマッチングの取組を支援してまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       外務大臣    茂木 敏充君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       農林水産大臣  江藤  拓君

       国務大臣    西村 康稔君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 西村 明宏君

       外務副大臣   若宮 健嗣君


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