衆議院

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第12号 令和2年3月24日(火曜日)

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令和二年三月二十四日(火曜日)

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  令和二年三月二十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

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 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣赤羽一嘉君。

    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

国務大臣(赤羽一嘉君) 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 地方部を中心とした人口減少の本格化、運転者不足の深刻化等に伴って、公共交通サービスの維持、確保が厳しさを増している中、高齢者の運転免許の返納が年々増加する等、地域の暮らしと産業を支える移動手段を確保することがますます重要になっております。加えて、交通ネットワークの充実等を図るために、地域経済社会の発展に資する交通インフラを着実に整備していくことも必要となっております。

 このような状況を踏まえて、全ての地域において、持続可能な運送サービスの提供を確保するため、地方公共団体が、公共交通事業者等と連携して、最新技術等も活用しつつ、既存の公共交通サービスの改善充実に主体的に取り組むなど、地域の輸送資源を総動員する取組を推進する必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体は、国が策定する基本方針に基づき、地域旅客運送サービスの持続可能な提供を確保するための計画を作成するよう努めなければならないこととしております。また、乗合バスの新規参入に係る地方公共団体への通知制度を創設し、地域公共交通サービスの維持、確保に向けた議論を深めていただくこととしております。

 第二に、維持が困難となった旅客運送事業の路線等について、地域において多様な選択肢を検討、協議し、地方公共団体が公募により選定した者が地域に最適な旅客運送を実施する地域旅客運送サービス継続事業や、同一の車両を用いて旅客及び貨物の運送を併せて行う貨客運送効率化事業の制度を創設し、国の認定を受けたこれらの事業については、関係法律の特例措置等各種の支援措置を講ずることとしております。また、過疎地等で市町村等が行う自家用有償旅客運送について、地域住民のみならず、観光客を含めた来訪者も対象として明確化するなど、その実施の円滑化を行うこととしております。

 第三に、利用者目線による路線、ダイヤの改善や運賃の設定等を促進するための地域公共交通利便増進事業の制度を創設することとしております。また、新たなモビリティーサービスである、いわゆるMaaSの全国への速やかな普及を促進するため、複数の公共交通事業者による運賃の設定に係る手続を簡素化する事業計画の認定制度や幅広い関係者で構成される協議会制度を創設することとしております。

 第四に、交通インフラに対する支援の充実を図るため、多様な関係者の連携による鉄道インフラや物流拠点の整備への資金の貸付けを行うことができることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。矢上雅義君。

    〔矢上雅義君登壇〕

矢上雅義君 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの矢上雅義です。

 私は、共同会派を代表し、ただいま議題となりました地域公共交通活性化再生法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 まず、冒頭におきまして、新型肺炎で亡くなられた皆様に心より哀悼の意を表するとともに、療養中の皆様にもお見舞いの言葉を申し上げます。

 ところで、七年にわたる安倍一強により、国家統治の基本原理である三権分立が大きく揺らいでおります。桜を見る会や検事長定年延長問題など、枚挙にいとまがありません。

 その中でも許せないのが、森友学園への国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題です。

 二〇一八年三月七日、近畿財務局の赤木俊夫さんがみずから命を絶たれました。赤木俊夫さんが亡くなる直前に残したメモには、森友問題、佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それにノーを誰も言わない、理財局の体質はコンプライアンスなど全くない、これが財務官僚王国、最後は下部が尻尾を切られる、何て世の中だ、手が震える、怖い、命、大切な命、終止符、で終わっております。

 仕事へのプライドをずたずたに引き裂き、最後は赤木さんの命まで奪ったのは、一体誰でしょうか。

 安倍総理は、かつて、衆議院予算委員会の場で、私や妻が関係したということになれば、総理大臣も国会議員もやめると発言しました。

 総理の発言をそんたくして佐川理財局長が公文書改ざんに走ったのか、それとも総理の関与があったのか、真相は闇の中です。

 二度と犠牲者を出さないためにも、財務省に徹底的な再調査を求めると同時に、財務大臣におかれましても、早急に御遺族が求められてきた弔問に行かれますよう、お願いいたします。

 以上、財務大臣の御意見をお伺いいたします。

 世界保健機関から新型肺炎に関するパンデミック宣言が出され、テドロス事務局長も十六日の記者会見で、全ての国に訴えたい、検査、検査、検査だ、疑わしい例全てに対してだと述べています。

 既に米国ではドライブスルー方式の検査が導入されています。

 日本では、発熱後四日以上の自宅待機を要求され、必要があれば検査を受けますが、検査を受けられないまま、肺炎による呼吸困難で救急搬送されるケースがふえております。このままでは、感染治療室や人工呼吸器などが不足するおそれがあります。

 検査体制の強化が医療崩壊を招くとの声もありますが、重症患者の急増による医療崩壊も現実のものとなりつつあります。重症化を防ぐには、隔離検査体制の強化や隔離治療施設の整備が急がれます。

 また、感染予防のためには、消毒液やマスクも欠かせません。医療現場への重点配布とともに、各世帯への直接配布も考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 以上、厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。

 新型肺炎の影響で、企業の資金繰りも大変深刻な状況です。

 観光、宿泊、運輸業界では、近年の災害によりかなりの苦境に立つ企業も多く、赤字や税金の滞納があれば融資が受けられません。また、既存の救済制度では借りかえができないので二重ローンとなり、黒字決算の企業でさえ足踏みします。

 今月末には、銀行ローン、人件費などの支払いを迎えますが、最悪、手形の不渡りによる銀行取引の停止も考えられます。

 三月に決算を迎える企業では、決算後の五月末には法人税や消費税の納付期限を迎えます。

 特に深刻なのが住民税です。前年度の収入で計算しますので、収入がなくても請求書が来ますし、企業の法人税や消費税も、前年度の売上げを前提に計算された予定納税の請求書が来ます。仮に融資を受けても、税金の支払いに充てられ、借金だけが残ります。要するに、銀行から借りたお金が国に回るだけの話です。

 以上を踏まえれば、融資手続の迅速化だけでなく、ローンの返済猶予や社会保険料の納付猶予、そして納税猶予が必要となります。

 ところで、納税猶予の間は、結果として税の滞納状態となります。したがって、基本的に新規融資は受けられません。そして、納税猶予の終了後は、二年分の税金の支払いが同時に来ますので、中長期的には、税負担の軽減化や平準化のためのあらゆる税の減免策の検討が必要になります。

 以上、財務大臣に御所見をお伺いいたします。

 長期的な株安に伴う株価低迷により、GPIFが保有する株式の評価損が発生すると、年金受給者の受給額に影響が及びます。

 また、企業の業績悪化により、正規労働者の解雇、派遣労働者やアルバイトの雇いどめ、新卒者の内定取消し問題が生じております。

 今後どのような対応をとられるのか、厚生労働大臣にお伺いします。

 政府の考える休業補償案では、雇用保険の対象外となる一部の非正規労働者やフリーランス、自営業者などの救済策が不透明なままです。相談窓口の充実などの対策が急がれます。

 また、一斉休校やイベントの自粛による影響が、教育現場や企業活動、そしてスポーツ、演劇、音楽界などに幅広く及んでいます。そのため、現金給付や地域クーポン券、そして児童手当の特別加算などの検討が各所より寄せられています。

 仕事や収入を失った人々のため、政策の優先順位を明確にし、迅速かつ有効な対策をとられますことを政府に強く要望いたします。

 続きまして、本法案に対する質問をいたします。お待たせいたしました。

 モータリゼーションの進展と少子高齢化に伴い、交通事業者が経営難に陥り、路線の維持も困難となりました。

 そこで、平成十九年、地域が主体的に地域公共交通の維持及び確保に取り組むことを支援するため、地域公共交通活性化再生法が制定されました。さらに、平成二十六年の法改正では、まちづくりとの連携を強化し、地域公共交通ネットワークを広域化するため、現行の法定計画が創設されました。

 ところで、平成二十五年成立の交通政策基本法において、国と地方公共団体の連携による施策の推進が明記されましたが、不採算路線への取組はおくれたままです。

 地域公共交通を維持していくには、より抜本的な施策や安定的な財源の確保が求められます。今回の法改正は、免許返納した高齢者の交通手段の確保とともに、バリアフリーの視点に立った、利便性と快適性の向上に向けた契機でもあります。苦境に立つ鉄道、バス、タクシー等の活性化と再生を交通政策のど真ん中に据えた施策の展開を強く望むものであります。

 そこで、地域公共交通に関する現状認識と本法案の提出に至る基本的な考えを国土交通大臣にお伺いいたします。

 現行の競争政策では、地域内の路線バス事業者が共同で行うダイヤと運賃の調整は独占禁止法に抵触するおそれがあります。不採算路線を維持するには、共同でのダイヤ調整による等間隔運行、そして共通の定額制乗り放題運賃といった取組が必要です。そこで、国土交通大臣の認可を受けて行う共同経営には、独占禁止法の適用を除外し、交通事業者が共同で行う運賃プール制などを可能とする特例法案が提出されました。これにより、等間隔運行や定額制乗り放題運賃が可能となります。

 そこで、本法案と独占禁止法特例法案との関係が具体的にどのような関係にあるものなのか、国土交通大臣にお伺いいたします。

 次に、ディマンドタクシー等についてお伺いします。

 ディマンド交通は、予約がある場合だけ運行するため、定時路線バスと比較し負担も少なく、小型車での運用が通常なので、導入費用や小回りがきくという面での優位性もあります。一方、ディマンド交通には、一人当たりの輸送コストの問題、事前予約の煩わしさや予約の多寡による所要時間の不確実性といった課題が存在し、それぞれ一長一短がございます。

 厳しい経営環境を踏まえ、ディマンド交通の効率化や利便性向上などの面で今後どのように支援していかれるのか、国土交通大臣の御見解をお伺いします。

 次に、自家用有償旅客運送についてお伺いいたします。

 本法案では、自家用有償旅客運送を地域の公共交通機関を補完する旅客運送サービスであると位置づけ、その実施の円滑化を図ることとしています。

 この円滑化の措置とは具体的にいかなるものか、またその効果について、国土交通大臣にお伺いいたします。

 そもそも、自家用有償旅客運送とは、交通空白地域に限定して、二種免許を持たない者でも自家用車で地域住民を運送することができる、極めて例外的な制度です。旅客対象も、地域住民等に限るといった限定がありますが、今回の改正では、観光客を含む来訪者にまで拡大することとなっております。

 旅客対象者の拡大を可能とする自家用有償旅客運送の実施の円滑化の施策が、将来的に白タクの合法化やライドシェアの導入につながるおそれはないのか、国土交通大臣にお伺いいたします。

 近年、急速な技術革新により、MaaSや自動運転といった新たなモビリティーサービスが導入されつつあります。新たなテクノロジーを踏まえた上での地域の移動手段の確保及び充実に向けた国土交通大臣の決意をお伺いします。

 最後に、人流の担い手である鉄道、バス、タクシー、航空、旅客船舶、並びに物流の担い手であるトラック、鉄道、航空、船舶貨物の分野に関してお伺いいたします。

 今回の新型肺炎の影響で、仕事のキャンセルが相次ぎ、売上げも激減し、今後の見通しが立たない状況です。これらの業界は、設備投資や固定経費の占める割合が高いことから、今、大変深刻な状況です。

 そこで、資金繰り融資の要件緩和と枠の拡大、マスクや消毒液の優先的配布、雇用調整助成金の要件緩和と助成率アップ、また、固定資産税や航空機燃料税の減免措置、そして、新型肺炎事態収束後における旅行キャンペーンの実施など、数多くの要望が出されております。

 これら関連業界に対する支援策について、国土交通大臣のお考えをお伺いいたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

国務大臣(赤羽一嘉君) 矢上雅義議員にお答えいたします。

 まず、地域公共交通に関する現状認識と本法案の提出に至る基本的な考え方についてお尋ねがありました。

 現在、多くの地域で、人口減少の本格化に伴い、バスを始めとする公共交通サービスの需要の縮小や経営の悪化、運転者不足の深刻化など、厳しい状況に直面しています。

 他方、高齢者の運転免許の返納が年々増加し、受皿としての移動手段を確保することがますます重要な課題になっております。

 このような状況に対し、国土交通省として、まずはバス、タクシーの労働力の確保とサービスの維持や改善を図りながら、過疎地などについては、スクールバスや福祉車両等の地域の輸送資源を総動員して移動ニーズに対応すること、その際、MaaS、AIによる配車、自動運転などの最新技術も最大限活用し、生産性を向上しつつ、地域の高齢者はもとより、外国人旅行者も含めた幅広い利用者に使いやすいサービスが提供されることが必要であると考えております。

 このため、本法案において、地域における移動ニーズに対し、きめ細やかに対応できる立場にある市町村等が中心となってこうした取組を進めるよう促すとともに、国として財政面やノウハウ面でしっかり支援していきたいと考えております。

 次に、本法案と独占禁止法特例法案との関係についてお尋ねがございました。

 地方都市などのバス交通については、取り巻く環境の厳しさから、地域内の事業者同士が連携し、サービスの改善や効率性の向上に取り組みたいとの御要望が多く寄せられております。

 しかしながら、現行の独占禁止法では、矢上議員の御指摘のとおり、複数のバス事業者間でダイヤ、運賃の調整などを行うことはカルテル規制に抵触するおそれがあることから、このたび、独占禁止法特例法案において、一定の場合にこれを適用除外とすることとしております。

 国土交通省におきましては、この特例法案と連動し、市町村等が策定する計画のもとで、バス事業者が共同で等間隔運行や定額制乗り放題運賃などに取り組む場合、その手続を簡素化する制度を創設することとしております。

 両法案の制度を一体的に活用し、地方都市のバス交通の利便性向上と運行効率化を図ってまいります。

 次に、今後のディマンド交通への支援についてお尋ねがございました。

 国土交通省では、これまで、ディマンド交通については、数値目標を定めた上で、国費補助による支援などを行って導入を促進してきたところです。

 本法案におきましては、路線バスの維持が困難となった場合などにおいて、市町村等が、関係者と協議し、地域の実情に応じたディマンド交通などの移動手段を導入しやすくする制度を盛り込んでおるところでございます。

 地域における協議に際しては、地方運輸局等を通じ、ディマンド交通のメリットを周知し、更に普及が進むよう支援していきたいと考えております。

 自家用有償旅客運送の実施の円滑化の措置の内容及びその効果並びにライドシェアの導入につながるおそれについてお尋ねがございました。

 自家用有償旅客運送制度について、本法案においては、第一に、市町村等が交通事業者に運行管理、車両整備等を委託するインセンティブを拡大するなど、交通事業者のノウハウを活用して、より効率的な運送を促すこと、第二に、地域住民に加え、観光客を含む来訪者についても広く輸送の対象にすることなどの措置を講じているところです。

 これにより、市町村等の業務負担の軽減、観光客の移動ニーズに応えられることが期待されます。

 なお、ライドシェアは、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保などの問題があるため、国土交通省としては認めるわけにはいかないと考えており、この考えは従来から全く変わっておりません。

 一方、自家用有償旅客運送は、道路運送法による登録を受け、市町村等が、運行管理等の措置や事故の際の賠償等を行う体制を整備し、利用者の安全、安心を確保することとしており、ライドシェアとは全く異なるものと認識をしております。

 したがいまして、自家用有償旅客運送の実施の円滑化がライドシェアの導入につながるとは考えておりません。

 次に、新たなテクノロジーを踏まえた上での地域の移動手段の確保及び充実に向けた決意についてお尋ねがございました。

 過疎地等においては、将来的には自動運転による移動サービスの提供が効果的な対策になると考えられる一方で、これが本格的に普及するまでの間は、AIによる配車やMaaSなどを最大限活用し、交通サービスをより使いやすくしていかなければならないと考えております。

 このような考えに基づき、本法案におきましては、地域の実情に応じ、AI配車のディマンド交通を導入しやすくする制度や、MaaSのプロジェクトごとに地域の幅広い関係者が連携して事業に取り組める制度を盛り込んだところでございます。

 これらの制度を的確に運用し、みずからの運転に頼らずに暮らせる社会の実現に努めてまいります。

 最後に、新型コロナウイルス感染症により交通分野で生じた影響への対策についてお尋ねがございました。

 地域公共交通の各業界では、二月以後、利用者数や予約が大幅に減少し、事業経営に極めて深刻な影響が生じております。また、物流業界においても、輸出入関係などの運送の減少により、今後の見通しを不安視する声が出ております。

 昨日、私自身も、第四回新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリングに出席したところでございますが、業界の代表者からは、雇用調整助成金の助成率の引上げや日数の延長などの雇用確保対策のさらなる強化、既往債務の返済猶予など柔軟な資金繰り対策の実行、手続の簡素化及び迅速化、また、公租公課や公共料金の支払い猶予や減免措置並びに事態収束後を見据えた大規模な需要喚起策の実施などについて、切実な御意見や御要望が出されました。

 国土交通省といたしまして、政府全体の早期収束に向けた取組の中で、所管業界の状況をきめ細かく把握しつつ、御要望に全力でお応えし、内外の経済の動向や国民生活への影響等についてしっかり見きわめ、反転攻勢に向けた効果的な施策が講じられるよう、必要な対応について万全を期してまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 矢上議員からは、森友学園関係の文書改ざんの問題、新型コロナウイルスの影響への対応について、計二問お尋ねがあっております。

 まず、森友学園の文書改ざんの問題についてのお尋ねでありますが、近畿財務局の職員が亡くなられたということにつきましては、これは、残された御家族、御遺族の気持ちを思いますと言葉もなく、静かに、謹んで御冥福をお祈りするものであります。

 文書改ざんなどの問題は、これは極めてゆゆしいことであって、まことに遺憾であり、深くおわびを申し上げねばならないと考えております。

 財務省の調査報告は、文書改ざんなどの一連の問題について、財務省としても説明責任を果たすという観点から、できる限りの調査を尽くした結果をお示ししたものであります。

 その上で、一連の問題行為は、佐川元局長が方向性を決定づけ、近畿財務局の職員の抵抗にもかかわらず、本省理財局の指示により行われたという調査報告書の評価の結論に変わりはないために、手記に基づいた新たな事実が、説明したものとは考えられず、手記と調査報告書の内容に大きなそごはなく、実質的な違いがあると考えてはおりませんため、再調査を行うようなことは考えておりません。

 弔問につきましては、当時から、御遺族の御了解をいただければ弔問に伺いたいということを申しておりましたので、御遺族の御了解もあって、次官ないし幹部を含む財務省本省や近畿財務局の職員が、過去複数回、弔問に伺わせていただいたところでもあります。

 今も深く哀悼の意をあらわす気持ちに変わりはありませんが、報道によれば、御遺族は国を提訴されたものと承知をいたしております。

 現時点において訴状がまだ接到しておりませんので、到着しておりませんのでという意味です、内容を確認しておりませんが、そうしたことも踏まえますと、この場でのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

 コロナウイルスの影響への対応についてのお尋ねがありました。

 日本政策金融公庫等に対して、条件変更等を含め、事業者の実情に応じた柔軟な対応に全力を挙げ、相談受け付けや審査、実行等にスピード感を持って取り組むよう、三月六日と十六日の二度にわたって要請をいたしたところでもあります。

 日本政策金融公庫からは、融資審査における手続の迅速化を図るため、本店から支店への応援人員の派遣、支店等々の営業時間の延長等を実施しているとの報告を受けているところでもあります。

 社会保険料、納税等々につきましては、これは現行制度上、一時に納付することができないと認められる方については猶予することができることから、柔軟な対応を行っているところでもあります。

 また、猶予された国税について、二重負担となるために減免すべきとの御指摘につきましては、納税者の置かれた状況等に配慮しながら、適切な対応を行っていくということが重要と考えてもおります。

 なお、日本政策金融公庫において、納税の猶予期間であることをもって、少なくとも融資を行わないということはありません。また、日本政策金融公庫では、税の滞納先への融資審査に当たって、例えば、税務署との間で未納分に関する分納の調整が行われているとか、そういった滞納解消に向けた取組を十分にしんしゃくするなど、公庫内の取決めを踏まえて柔軟に判断しているものと承知をいたしております。

 いずれにしても、新型コロナウイルス感染症について、さまざまな経済活動への影響を注意深く見きわめていく必要があると考えており、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 矢上雅義議員から二問の御質問をいただきました。

 新型コロナウイルス感染症の検査体制や医療提供体制の強化、マスク等の配布についてまずお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の検査に当たっては、感染症を疑われる患者とそれ以外の患者が接することなく、感染拡大が起こらない医療体制のもとで行うことが重要であります。また、検査については、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けられるようにすることが求められております。

 こうした体制をとり得る帰国者・接触者外来は、三月二十三日時点で、四十七都道府県において千三十一施設を確保しております。

 また、医療提供体制については、感染拡大防止と同時に、国内で患者数が大幅にふえるときに備え、重症者対策を中心として強化することが重要です。

 感染症指定医療機関の病床については、既に全国で一万二千床以上の空き病床を確保しており、さらに、重症者の治療に必要となる人工呼吸器についても、現時点で、感染症指定医療機関において、使用可能な人工呼吸器三千個を確保しておりますが、引き続きこれらの体制の充実に取り組んでまいります。

 マスクについては、在庫が不足する医療機関や、人口に占める患者の割合が大きい北海道の一般世帯等に対して優先的に配布するとともに、再利用可能な布製マスクを高齢者施設等へ配布を行っているところであります。また、消毒液についても、医療機関等に対する優先供給の仕組みを構築し、対応しております。

 引き続き、マスク等の増産を支援していくとともに、流通状況、需要動向をきめ細かく把握し、医療機関を始め、必要とする方々への供給確保に万全を期してまいります。

 新型コロナウイルス感染症の影響による年金積立金の運用、労働者の解雇や雇いどめ、新卒の内定取消しについてお尋ねがありました。

 年金積立金の運用については、平成十三年度の市場運用開始以降、令和元年度第三・四半期までの累積収益は、利子、配当収入が約三十六・五兆円、評価損益等が約三十八・七兆円、合計約七十五・二兆円となっております。

 年金積立金の運用は、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされており、株式市場を含む市場の一時的な変動に過度にとらわれるべきではありません。

 今後とも、国民の老後を支える年金が将来にわたって確保されるよう、長期的な観点から、安全かつ効率的な年金積立金の運用に努めてまいります。

 労働者の解雇や雇いどめ、新卒の内定取消しに関しては、経済団体に対し、有期契約労働者、パートタイム労働者及び派遣労働者の方々等の雇用の安定や、新卒者の採用内定の取扱いを含めて、雇用維持等への配慮を要請するとともに、事業主の皆様の雇用維持の努力を一層強力に支援していくため、雇用調整助成金の特例措置を講じる等の取組を進めています。

 その上で、実際に解雇や雇いどめされた方々への支援として、二月十四日に、全国の労働局等に設置した特別労働相談窓口において労働者の方からの解雇等に関する相談に対応するとともに、ハローワークにおいて、求職者の方の置かれている状況に応じて、きめ細かな就職支援を実施し、雇用保険の基本手当の支給や求職者支援制度による再就職支援等に取り組んでおります。

 また、採用内定の取消し等を受けた新卒者に対しては、新卒応援ハローワーク等において、学校とも連携しながら、新たな就職先の確保に取り組むなど、丁寧な就職支援に努めております。

 今後とも、新型コロナウイルス感染症の雇用への影響も十分注意しながら、雇用を守るとの立場に立って、必要な対策を講じてまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、地域公共交通活性化再生法等改正案について質問します。(拍手)

 十九日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、突然爆発的に患者が急増するオーバーシュートの可能性に言及し、できるだけ影響を最小に、効果を最大限にする方策を呼びかけました。旅客運送事業者は、不特定多数の乗客と接触する業態上、感染リスクが高い特性があります。運転従事者の感染防止対策を徹底すること、自粛が即リストラや廃業につながらないよう、支援策はできるだけ簡素な手続と直接支援が求められると考えますが、見解を伺います。

 地域住民の足、移動を支えてきた路線バスは、この十年間で一万三千キロが廃止され、地域鉄道は、二〇〇〇年以降、全国で八百九十五キロ、四十一路線が廃止されました。鉄道もバスもない交通空白地の面積は日本全体の三割にも及びます。

 こうした現状は、住民の生活に深刻な影響を及ぼすとともに、人口流出を加速させ、大都市と地方の格差拡大に拍車をかけています。地域公共交通の充実が今ほど求められているときはありません。

 政府はこの現状をどのように捉えているのか、伺います。

 法案は、乗り合いバスの新規参入に対して、申請があったと国から通知を受けた地元自治体が協議会に諮り、意見を国に提出できるとしています。また、バス路線が廃止される前に、自治体が何らかの旅客運送サービスをつくるよう求めています。

 参入と廃止に対して自治体の関与を強めた理由についてお答えください。

 さらに、バス事業者間の共同事業などを今回独禁法の適用除外にするのはなぜでしょうか。

 これらは規制緩和路線の修正であります。

 地域公共交通の廃止、衰退が顕在化した二十年前、政府は鉄道やバス、タクシー事業の新規参入を自由化し、少ない乗客の奪い合いを激化させました。鉄道は一年、バスは六カ月前に届け出るだけで路線廃止ができるようにしました。

 国は、地域の実情を考慮せず進めた規制緩和路線を率直に反省すべきではありませんか。

 青森県弘前市では、バス路線の七割以上が赤字で、利用者も減少する中、ディマンドタクシーを運行し、路線バスに接続、市街地では百円バスが走り、通院、買物の足になっています。路線バスの空白地域もカバーし、かつ料金も安くなったのです。こうした自治体の取組を全国で広げ、国として積極的に支援するべきです。

 ところが、国の補助金は、二〇一一年の三百五億円から、来年度予算案は二百四億円に減額されています。赤字分の半額を補填する仕組みですが、全体、支線、それぞれの地方自治体等からの直近の要望額とこれに対する実績は幾らか、お答えください。

 要望に応える予算を直ちに確保し、抜本拡充をするべきです。なお、昨年の台風でも復旧が大きな課題となった地域鉄道もこの補助制度の対象に加えるべきです。見解を伺います。

 自家用有償旅客運送は、二種免許のない者が運転して料金を取る、いわゆる白タク行為です。今回、対象や地域の限定を事実上なくします。事業者の協力を明文化していますが、もともと二種免許を持った運転手で運行しているタクシー事業者等に協力を求めるのはなぜですか。

 二〇一六年国家戦略特区法の衆参附帯決議には、「いわゆる「ライドシェア」の導入は認めないこと。」とあります。国交省としても、新経済連盟のライドシェア提言に対し、対応不可と回答していました。今もその立場に変わりはないか、改正案が事実上のライドシェア解禁につながらないのか、お答えください。

 交通政策基本法第二条は、「交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要」と定めています。充足どころか、高齢者の三割以上が運転できなければ生活できないという実態なのです。地方バス路線等を公共インフラとして位置づけ、一兆円規模の財政援助を続けているEU諸国などに学び、思い切って拡充すべきではありませんか。

 今こそ、移動の権利を交通政策基本法に明記し、それに基づく施策に踏み出すべきときです。

 以上、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

国務大臣(赤羽一嘉君) 高橋千鶴子議員にお答えをいたします。

 まず、運転従事者の感染防止対策と旅客運送事業者に対する支援策についてお尋ねがございました。

 何よりも感染の拡大防止が重要であり、運転従事者の感染防止対策のため、これまで関係業界団体等に対し、マスクの着用、うがい、手洗い及び検温の励行、そして、体調がすぐれないときには無理をして仕事に出ない環境づくりを繰り返し要請し、徹底していただいております。

 そして、厳しい状況にある事業者の資金繰りと雇用の維持を図るため、これまでセーフティーネット保証制度や雇用調整助成金の要件緩和を行ってきたところでございますが、今後も引き続き、事業者の声に真摯に耳を傾け、実効性ある支援に取り組んでまいります。

 国土交通省として、政府全体の早期収束に向けた取組の中で、所管業界の状況をきめ細かく把握しつつ、内外の経済の動向や国民生活への影響等についてしっかりと見きわめ、反転攻勢に向けた効果的な施策が講じられるよう、必要な対応について引き続き万全を期してまいります。

 地域公共交通の現状に関する認識についてお尋ねがございました。

 現在、地域公共交通は、人口減少の本格化に伴う需要の縮小や経営の悪化、運転者不足の深刻化によるサービス供給体制の不安など、厳しい状況に直面をしております。

 他方、高齢者の運転免許の返納が年々増加し、受皿としての移動手段を確保することがますます重要になっております。

 このため、地域における移動ニーズに対し、きめ細やかに対応できる立場にある地方公共団体が中心となって、交通事業者や地域の住民等と協議しながら、また、国の支援も受けながら、交通サービスの確保、充実に取り組むことがこれまで以上に求められていると認識をしております。

 次に、乗り合いバスの参入と廃止に対して自治体の関与を強めた理由についてお尋ねがございました。

 本法案では、地域における移動ニーズに対し、きめ細やかに対応できる立場にある地方公共団体が中心となって多様な関係者と連携し、それぞれの実情に応じた交通サービスを確保するための制度について、その充実を図ることとしております。

 その一環として、乗り合いバスの新規参入等について国が通知する制度により、地方公共団体が地域の交通をめぐる最新の動向を常に把握し、その将来のあり方を適切に検討できるようにすることとしております。

 また、維持が困難となった路線バスについては、地方公共団体が中心となって将来のあり方を関係者とともに十分協議することが必要です。このため、廃止の届出が行われる前の段階でそのような協議ができる制度を盛り込んだところでございます。

 続きまして、バス事業者間の共同事業などを独禁法の適用除外とする理由についてお尋ねがございました。

 地方都市などのバス交通については、取り巻く環境の厳しさから、地域内の事業者同士が連携し、サービスの改善や効率性の向上に取り組みたいとの御要望が多く寄せられております。

 しかしながら、現行の独占禁止法では、複数のバス事業者間でダイヤ、運賃の調整等を行うことはカルテル規制に抵触するおそれがあることから、このたびの独占禁止法特例法案において、一定の場合にこれを適用除外とすることとしたところでございます。

 次に、地域公共交通における規制緩和に対する見解についてお尋ねがございました。

 乗り合いバスや鉄道などにつきましては、平成十二年以降、いわゆる需給調整規制が廃止され、サービスの供給量やその水準は、原則として交通事業者の経営判断により決められるようになっており、このことにより、運賃の低下や運行便数の増加など、さまざまな面で利用者にとっての利便性の向上が図られてきたところ、本法案においても、このような基本的な考え方については変更ございません。

 一方で、その後の人口減少の本格化に伴う需要の縮小や運転者不足の深刻化等により、特に地方部では、採算性の安定的な確保等が難しくなってきております。

 これに対応し、国土交通省では、地方公共団体が中心となって、国の支援を受けながら、地域の多様な関係者と連携し、それぞれの実情に応じた交通サービスを確保するための制度の整備をこれまで進めてきたところであり、本法案においても、引き続きその充実を図ることとしております。

 地方におけるバスや地域鉄道への補助の拡充についてお尋ねがございました。

 国土交通省におきましては、地域における必要不可欠な移動手段を確保、維持するため、過疎地域等における幹線バスやコミュニティーバス等の運行、離島航路や航空路の運航の欠損等に対し、国費による補助を行っております。

 このうち、バス関係につきましては、平成三十年度には、幹線バス関係で、地域からの要望どおり約九十億円を、また、これと一体となったコミュニティーバス等の地域内交通関係で、地域からの要望約六十二億円に対し、約三十億円を交付しております。

 地域鉄道につきましては、安全性向上のための車両更新や被災時の施設の復旧等に対する補助を行っているものの、鉄道の特性が発揮できないものについては、より効率的な他の交通機関で代替することが可能であることから、欠損補助の対象とすることは考えておりません。

 今後とも、地域の御要望を伺いながら、必要な予算の確保に最大限努めてまいりたいと思っております。

 ライドシェアに対する国土交通省の立場と本法案による改正がライドシェアの解禁につながらないのかについてお尋ねがございました。

 ライドシェアは、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保等の問題があるため、認めるわけにはいかないと考えており、この考えは従来から全く変わっておりません。

 一方、自家用有償旅客運送は、道路運送法による登録を受け、市町村等が、運行管理等の措置や事故の際の賠償等を行う体制を整備し、利用者の安全、安心を確保することとしており、ライドシェアとは全く異なるものと認識をしております。

 したがいまして、本法案による改正がライドシェアの解禁につながるとは考えておりません。

 最後に、交通政策基本法を踏まえた地方バス路線等への支援の拡充と、移動権に基づく施策についてお尋ねがございました。

 国におきましては、過疎地域等における必要不可欠な移動手段であるバス路線等の確保、維持を予算面で支援しつつ、本法案の枠組みも活用し、地域の実情に応じて、より効率的な交通サービスが提供されるよう促していくことが重要と考えております。

 次に、いわゆる移動権を法律上規定することにつきましては、平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われたところでございます。

 この際には、保障する権利の内容や保障する責務を有する主体、権利を保障する仕組みや財源の確保について、実定法上の権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとし、移動権を法定化することは時期尚早とされたところでございます。

 こうした状況は、現在においてもなお変わっていないと考えております。

 以上でございます。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       国土交通大臣  赤羽 一嘉君

 出席副大臣

       国土交通副大臣 御法川信英君


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