衆議院

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第14号 令和2年4月2日(木曜日)

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令和二年四月二日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  令和二年四月二日

    午後一時開議

 第一 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 政治資金適正化委員会委員の指名

 日程第一 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案(内閣提出)

 安倍内閣総理大臣の新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条に定める政府対策本部の設置等及び二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の延期に関する報告及び質疑

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(大島理森君) 昨一日、議員谷畑孝君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。

    ―――――――――――――

    辞職願

  今般、一身上の都合により、衆議院議員を辞職いたしたく御許可をお願いいたします。

   令和二年四月一日

          衆議院議員 谷畑  孝

  衆議院議長 大島 理森殿

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これにつきお諮りいたしたいと思います。

 谷畑孝君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 政治資金適正化委員会委員の指名

議長(大島理森君) 政治資金適正化委員会委員の指名を行います。

福田達夫君 政治資金適正化委員会委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。

議長(大島理森君) 福田達夫君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 議長は、政治資金適正化委員会委員に

      伊藤 鉄男君    淺井 万富君

      杉田 慶一君    田口 尚文君

   及び 谷口 将紀君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

 日程第一 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案、日程第二、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長吉野正芳君。

    ―――――――――――――

 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び同報告書

 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔吉野正芳君登壇〕

吉野正芳君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案は、最近における家畜人工授精及び家畜受精卵移植をめぐる状況の変化に鑑み、家畜人工授精用精液等の保存等に関する規制を強化するとともに、特にその適正な流通を確保する必要がある家畜人工授精用精液等について容器への表示等の規制を整備する等の措置を講ずるものであります。

 次に、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案は、家畜遺伝資源の生産事業者間の公正な競争を確保するため、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講ずるものであります。

 両法律案は、去る三月二十三日本委員会に付託され、翌二十四日江藤農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、二十五日から質疑に入り、三十一日質疑を終局しました。質疑終局後、両法律案について順次採決いたしましたところ、両案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、両案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条に定める政府対策本部の設置等及び二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の延期に関する報告)

議長(大島理森君) 内閣総理大臣から、新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条に定める政府対策本部の設置等及び二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の延期に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 新型コロナウイルス感染症について、先般、厚生労働大臣から、蔓延のおそれが高いと認めるとの報告が行われ、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条に定める政府対策本部を三月二十六日に設置いたしました。

 これに伴い、各都道府県においても、本法に基づく対策本部が既に設置されており、今後は、これまで以上に都道府県と連携を密にしながら、一体となって対策を進めてまいります。

 また、三月二十八日には、今回の新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たっての準拠すべき統一的指針である基本的対処方針を策定いたしました。

 今後も、政府対策本部のもと、国民の皆様の命と健康を守ることを第一に、基本的対処方針に記載されている事項を着実に実行することで、感染拡大の防止に向けた取組を徹底してまいります。

 次に、二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の延期について御報告いたします。

 私は、三月二十四日、トーマス・バッハIOC会長と電話会談を行い、東京大会の中止はないことについて、改めて確認しました。

 その上で、世界のアスリートが最高のコンディションでプレーを行い、観客にとって安心で安全な大会とするため、遅くとも二〇二一年の夏までに開催することで合意しました。人類が新型コロナウイルス感染症に打ちかったあかしとして、完全な形で実施できるよう、IOCと緊密に連携していくことで一致しました。

 その後、関係者間における協議を経て、東京オリンピックについては、来年七月二十三日から八月八日に、また、東京パラリンピックについては、八月二十四日から九月五日に開催されることが決定されました。

 政府としては、この決定を踏まえ、今後とも、IOC、大会組織委員会、東京都等との緊密な連携のもと、東京大会の成功に向けて、開催国の責任をしっかりと果たしてまいる所存であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条に定める政府対策本部の設置等及び二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の延期に関する報告)に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小倉將信君。

    〔小倉將信君登壇〕

小倉將信君 自由民主党・無所属の会の小倉將信です。

 私は、会派を代表して、ただいま報告いただいた件に関し、質問いたします。(拍手)

 志村けんさんの訃報は国民に衝撃をもたらしました。我が国では、既に六十人の方が亡くなっています。その命のとうとさに変わりはありませんが、テレビを通じて長年なれ親しんできた国民的コメディアンの訃報に接し、新型コロナの恐ろしさを身近に感じた人も多かったはずです。御遺族の方は、衛生上、最後のお別れもできず、御遺骨も拾えなかったと聞きます。

 感染者数は二千三百八十一人に上っており、新型コロナは私たちのすぐ近くに潜んでいると言っても過言ではありません。あなたも私も、かけがえのない家族、大好きな友人、お世話になった恩人を失わないために、一人一人が自覚を持って行動し、この見えないウイルスを克服しようではありませんか。明けない夜はありません。

 それでは、質問に移ります。

 まず、新型コロナウイルス感染症に対する政府の認識と今後の対応について伺います。

 改正新型インフルエンザ対策特別措置法が三月十四日に施行され、国民の間では、同法に基づき、いつ緊急事態宣言が発令されるのか、発令されると、いわゆるロックダウン、都市封鎖が行われるのではないかとの心配が広がっております。

 仮に発令されても、巷間でうわさされる諸外国のような強制的な移動・外出制限はそもそも現行法上行えないことははっきりと申し上げておきますが、ここ最近の感染者数のふえ方、特に、感染者数の中に感染経路を特定できない者の割合がふえていること等を踏まえると、緊急事態宣言も視野に入れねばならぬほど事態の深刻さは増しているのではないかとも感じられます。

 そこで、緊急事態宣言発令の必要性も含め、足元の状況をどのように認識しておられるか、総理の御見解を伺います。

 次に、ここ最近、特に感染者数が増加をしている東京都との連携について伺います。

 ミラノ、マドリードやニューヨークなど、人口の稠密な大都市からは、感染者数が著増し、医療現場に過度な負担がかかってしまっている、そんな切迫した状況が伝わってきます。

 我が国においても、首都東京で、これ以上の感染拡大を食いとめるだけでなく、万が一感染者数が急増しても患者の命を救うことのできる十分な医療体制を構築していかなければなりません。

 特措法に基づき、国、地方自治体において対策本部が設置されており、国と自治体が一体となって感染症対策に取り組むこととなっていますが、国と東京都との連携のあり方について、総理の御認識を伺います。

 次に、新型コロナウイルス感染症の治療薬開発について伺います。

 総理は、先日の記者会見で、有効な治療薬やワクチンの開発を世界の英知を結集して加速していく、そして、現在、四つの薬について実際の患者への投与が進められていると述べられました。

 新型コロナウイルス感染症の終息には、治療薬、ワクチンの開発は急務です。世界じゅうの人々に希望の光をもたらし得る治療薬、ワクチンの提供を早期に実現すべく、政府はありとあらゆる手段を講ずべきと思いますが、治療薬開発に関する政府の取組と現状、今後の見通しについて、加藤大臣の見解を伺います。

 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの延期について質問いたします。

 東京オリンピック・パラリンピックについて、来年の七月二十三日から開催されることが決まりました。新型コロナという未知の脅威を前に、アスリートだけでなく世界じゅうの人々の命と安全を考えたとき、延期の判断は不可避でした。そもそも、過去一度もない延期を決めることは、我々の想像をはるかに超える高いハードルであったはずです。この状況下で、世界各国の首脳の強固な支持を得つつ、バッハ会長との直接交渉の末、延期の判断を導いた総理のリーダーシップを、事情をよく知る人ほど評価しているのではないでしょうか。

 そこで、二〇二一年に行われることになった東京二〇二〇大会の成功に向けた総理の御決意をお伺いいたします。

 東京大会は、復興五輪の旗を高く掲げてまいりました。聖火リレーのグランドスタートは一旦中止となったものの、聖火は福島県に残されると聞いております。二〇二一年となった東京大会は、東日本大震災からちょうど十年目の節目での開催となります。新型コロナに人類が勝利したあかしという新たなテーマが加わったとしても、復興五輪としての意義は不変です。

 今も復興に向けて懸命に努力をされている方々に対して、復興五輪をどのように実現をしていくか、総理の変わらぬ御決意をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 小倉將信議員にお答えをいたします。

 緊急事態宣言についてお尋ねがありました。

 緊急事態宣言は、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したと認めるときに、政府対策本部長である私が行うこととなっています。

 現在の国内の蔓延の状況に関しては、東京を始めとして、都市部を中心に感染者数が急増し、感染経路が不明な感染者も増加しており、海外からの移入が疑われる事例も多数報告されているものと承知しています。

 緊急事態宣言との関係では、現時点では、まだ全国的かつ急速な蔓延という状況には至っておらず、ぎりぎり持ちこたえている状況にあり、少しでも気を緩めればいつ急拡大してもおかしくない、まさに瀬戸際が継続している状況にあると考えています。

 事態は時々刻々と変化しています。政府としては、感染拡大の防止にこれまで以上に全力を傾けつつ、国内の感染状況を注視し、専門家の意見も十分にお聞きしながら、適切に対応してまいります。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた東京都との連携のあり方についてお尋ねがありました。

 我が国においては、今のところ、諸外国のような爆発的感染急増、いわゆるオーバーシュートは見られておりませんが、東京都を含む都市部を中心に感染者数が急増していると承知しています。

 こうした中で、多数の人口を抱える経済の中心でもある東京を含む首都圏で急速な感染拡大を回避することは極めて重要であり、東京都の小池知事とは緊密に連携し、同じ危機感を持って対応をしているところです。

 特措法に基づき政府対策本部を設置したことにより、全ての都道府県に対策本部が設置されたため、今後は、これまで以上に、東京都を含めた各都道府県と連携を密にしながら、一体となって感染の拡大防止や医療提供体制の万全な整備などの対策を進めていく所存です。

 東京大会の成功に向けた決意についてお尋ねがありました。

 東京大会については、私とIOCバッハ会長との電話会談において、私から、アスリートのことを第一に考え、おおむね一年程度の延期を提案し、その後、関係者間における協議を経て、来年の七月二十三日からの開催が決定したところです。こうした方針に対し、G20首脳を始めとした国際社会や競技団体からも評価を得ているところです。

 こうした中、先日、ギリシャより日本に届いた聖火は、今、我々が直面しているトンネルの出口へ導く希望のともしびであり、人類の希望の象徴として、ともし続け、来るべき日に力強く送り出すこととしたいと考えています。

 政府としては、世界のアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆さんにとっても安心で安全な大会を目指し、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、東京大会を完全な形で実施できるよう、今後とも、IOC、大会組織委員会、東京都等との緊密な連携のもと、開催国の責任をしっかりと果たしてまいります。

 復興五輪の実現についてお尋ねがありました。

 東京大会については、来年夏に延期されることとなりましたが、世界の注目が集まる大会であることに変わりはなく、福島を始め、東日本大震災における被災地の復興を世界にアピールする絶好の機会であります。

 具体的には、被災地を駆け抜ける聖火リレーのほか、参加国・地域と被災自治体との相互交流を図る復興ありがとうホストタウンの取組などを通じて、被災地の地域性豊かな魅力を世界に発信してまいります。

 政府としては、世界じゅうの皆様からいただいた心温まる支援のおかげで力強く復興しつつある被災地の姿を実感できる復興五輪となるよう、IOC、大会組織委員会、東京都等との緊密な連携のもと、全力で取り組んでまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 小倉將信議員より、新型コロナウイルス感染症に関する治療薬開発の取組と現状、今後の見通しについてお尋ねがありました。

 治療薬の開発に関しては、これまでも必要な予算の確保に努めるとともに、国内で既に患者等に投与経験のある抗ウイルス薬等の有効性等を確認するため、国立国際医療研究センターを中心に、多数の医療機関で、観察研究等において同意をされた患者に対する投与が既に開始をされております。

 具体的な例としては、レムデシビル、アビガン、オルベスコ、カレトラについては、二月二十二日から観察研究が実施されており、また、アビガン、オルベスコについては、三月上旬から臨床研究も開始されております。さらに、アビガンについては、三月三十一日から企業治験が実施され、レムデシビルについては、三月二十三日に米国との国際共同医師主導治験が開始されるとともに、四月中に企業治験も実施される予定となっております。

 総理からは、緊急経済対策において、感染拡大防止策と医療提供体制の整備とともに、治療薬の開発について取りまとめるよう指示を受けたところであり、厚生労働省としては、早期の治療薬開発の促進に向け、現在、具体的な検討を行っているところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 逢坂誠二君。

    〔逢坂誠二君登壇〕

逢坂誠二君 私は、立憲民主党の逢坂誠二です。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表して質問を行います。(拍手)

 新型コロナウイルス感染の拡大に伴って、国民生活や社会のさまざまな分野への影響が深刻なものとなっています。オイルショック、バブルの崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災など、私のこれまでの人生の中でも、さまざまな危機がありましたが、今回のコロナショックは以前のものとは全く異質のものです。

 私の地元のホテルでは、九割以上の予約が一気にキャンセルになった、その上、今後の予約が全く入らない、海産物を扱う商店では突然客が来なくなったなど、現場の収入が急激に途絶え、そのことによって国民の生活は窮乏に陥り、個人事業主や中小企業の経営が立ち行かなくなっています。

 特に、日々雇われる皆さん、パートや有期の方々の雇用の打切りが始まり、社会的に弱い立場の皆さんから窮地に陥っています。しかも、この状況がいつまで続くのか、希望の光が見えないのが現実です。

 国民の命と暮らしを守るため、あらゆる政策資源を投入して感染対策を行うこと、経済対策を行うこと、私たちは、この両方を、国家の非常事態とも言える今、国の総力を挙げて全力で実行しなければなりません。

 それでは、質問に入ります。

 まず、東京五輪の延期ですが、延期によってどのような課題が生ずるのか、延期による追加費用はどの程度と見積もっているのか、さらに、その追加費用を誰が負担するのか、それぞれについて総理の見解を求めます。

 また、来年夏まで一年の延期ですが、一年後には確実に実施できるのか、再延期はないと言い切れるのか、総理の見解を求めます。

 五輪の延期以降、東京の感染者数がふえ、PCR検査についてさまざまな疑問の声があります。

 そこで、次の点をお伺いします。

 現時点で日本のPCR検査可能数は一日当たり九千件程度と承知していますが、実際の検査件数は一日当たり二千件弱にとどまっております。この理由は何か。

 また、医師によって検査が必要と認められた者に対するPCR検査は、現在、全件行われているのか。

 東京のPCR検査に関し、帰国者・接触者相談センターへの全相談数に占める検査件数が一%台と、東京は全国で三番目に低い状況となっていますが、必要な検査を意図的に抑制していることはないのか、この点を政府は東京都に確認しているのか、また、確認していないとすれば、今後確認すべきと思うが、見解はいかがか。

 以上、総理に質問します。

 現在、我が国の一日当たりの検査件数は、先進国の中で圧倒的に少なく、欧州でも日本と同程度の医療水準を誇るドイツの十七分の一程度、二千件弱であります。一日の検査能力は九千件程度であるのに、その稼働率を二割程度にとどめている理由として、入院ベッドの不足など医療崩壊を招くおそれを指摘する声もあります。

 ただ、感染の実態を正確につかみ、きちんとした対策を打ち出すには、検査の大幅拡充が必要不可欠であり、ノーベル賞学者である山中伸弥教授も、検査の大幅拡充や、入院ベッド不足解消手段として、軽症者には予約が減少しているホテルや公的宿泊施設の利用を提言しておられます。

 私たちが政権を担当するのであれば、現政権とは百八十度違う、徹底検査によるコロナ克服策を断行することを宣言いたします。

 総理は、新型コロナウイルス感染症問題を歴史的緊急事態に指定し、新型コロナに関連する会議の議事録作成などを政府に義務づけられました。この政府の姿勢を評価したいと思います。

 一方で、安倍政権は、公文書の改ざん、廃棄、捏造、隠蔽を繰り返し、日本の民主主義の基盤を破壊する行為を行っています。公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であります。安倍政権は、これまでの公文書に対するでたらめな扱いを大いに反省し、根本的な改善をしなければなりません。

 その第一歩として、森友学園問題で公文書の改ざんを強要され、みずから命を絶った赤木俊夫さんとその御遺族の思いに報いることが、総理として最低限行うべきことです。

 そこで、次の点について質問します。

 総理自身が赤木さんの霊前に参りおわびすること。赤木さんの遺書などにより、今回改ざんにかかわった者が明らかになっており、それらの者からの証言も受けて、改ざん前の文書を復元し公開すること。赤木さんの奥様は、総理は調査を受ける立場と指摘しておりますが、この指摘を真摯に受けとめて、公平な第三者によって森友問題の再調査を行うこと。総理は、遺書などの公開によっても新事実がないとの立場をとっておられるようですが、それならば、あの遺書などに記載されていることは、総理にとって既にわかっていたことであり、事実だったと認めるのか。

 以上、お伺いします。

 今回のコロナ感染症に対するさまざまな対策は、簡便な手続によって、迅速かつ実効性のあるものでなければなりません。

 また、感染の拡大を防ぐための自粛要請によって営業的な減収が発生していますが、個人や企業を問わず、これら減収に対する補填がなければ、要請などが実効性のあるものにはなりません。

 これら要請などの法的根拠の有無にかかわらず、減収補填なき要請や宣言はしないことを原則とすべきと考えますが、これらの点に関する総理の見解を求めます。

 今後、緊急事態を発する場合には、事前に国会に報告すると同時に、国会での審議が可能となるような時間的余裕のある時期に決定すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 今回、読みかえ規定の整備によって、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防止するため、感染症法第三十三条に規定する交通規制などが可能となると承知しておりますが、この規制は七十二時間以内を一つの単位として繰り返し規制できるのか、また、同法三十四条に規定する必要最小限とは、広い地域を指定できないという意味なのか、この二点に対する総理の見解を伺います。

 総理は、二月二十七日、事前の準備を全くしないままに、学校の全国一斉休業要請を行いました。

 この件に関し、政府内でどのような場で議論が行われ、どのような経過でこの一斉休業要請が行われたのか、総理の説明をお願いします。また、そのつまびらかなてんまつを公文書として残し公開すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 この一斉要請の際に、総理は、これに伴うさまざまな課題に対しては、私の責任において万全の対応を行ってまいりますと発言しておりますが、現時点で万全の対応ができたのか、あるいは対応がまだ不十分なのか、不十分だとすればどの点なのか、総理の見解を伺います。

 また、学校休業のありなしと長期化によって、子供たちの学力に格差が生ずるとも指摘されております。これに対処するために、オンライン授業やタブレット利用を検討すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 活動自粛などにより傷んだ家計を助け、生活を守るため、また、新型コロナウイルス拡大に伴う倒産、失業を防ぐため、速やかに支援策を実施しなければなりません。

 その幾つかについて質問します。

 まず、全ての国民に対して一人当たり十万円以上、総額十数兆円規模で現金を給付すべきと考えます。特に、迅速に給付するためには、まず全ての国民に対し給付し、給付金を課税対象とすることなどにより、実質的な所得に応じた給付を行うなどの工夫をすべきと考えますが、総理の見解を伺います。迅速に給付するために何が必要か、実質的な所得に応じた給付方法についても、それぞれお考えをお聞かせください。

 また、一定所得水準以下世帯に対して、給付金の上乗せを実施したり、給付金は一回限りではなく、経済や世帯の状況に応じて継続することも検討すべきと思いますが、総理の見解を伺います。

 給付においてマイナンバーの活用も検討すべきと思いますが、これについての考えもお知らせください。

 雇用就労形態にかかわらず、今後、多数の失職、休業が発生することが想定されます。また、入社直前に内定を取り消す事例も既に発生しています。これらの失職、休業した労働者や内定取消しされた者に対する住宅保障を始めとする支援策に対する総理の見解を伺います。

 所得税、住民税などの租税、社会保険料、公共料金、奨学金や、家主への国からの支援を前提にした家賃やテナント料などについて、支払い猶予を実施し、手元に現金を残すことのできる対策をまず早急に講ずべきと考えます。また、猶予の後、これら経費の繰延べ払い、減免、補助などを検討すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 雇用調整助成金については、十分の十補助、対象範囲の拡大、手続の簡素化と早期支給を実施する必要があります。特に、添付書類が多い上、手続が煩雑で、実際の申請に至らないケースが多発しています。せっかく申請しても助成金の支給までには三月以上かかるため、雇用調整助成制度を使わずに、事業主都合で従業員を解雇し、失業給付を受けるケースもあることを知りました。せっかく制度があっても機能しておりません。こうした状況にどう対応するのか、総理の見解を伺います。

 また、雇用調整助成金を申請すれば、助成金を受け取るまでの間、地域金融機関から無利子でつなぎ融資を受けられるようにすべきと考えますが、あわせて見解を伺います。

 また、資金繰り支援のため、無利子無担保融資の拡大、拡充と、地域金融円滑化法を復活した上で償還免除等の大胆な措置を実施すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 自治体に対しては、地域の実情に応じて、新型コロナウイルス対策に、自由度高く利用できる一括交付金を支給すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 また、今回、入国制限、学校の休業、イベントや外出の自粛など、法的根拠の有無にかかわらないさまざまな要請などが行われておりますが、これらによって生じた個人事業主、あるいは音楽家や舞台関係、エンジニアなども含めたフリーランス、こういった方々、中小・小規模事業者の収入減に対し、簡素、迅速な手法を用いて補填を実施すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 現在、政府は、新型コロナウイルスの感染が拡大している国から日本への入国者に対し、ホテルなど検疫所長の指定する場所での二週間の待機と、待機場所への移動に電車やバスといった公共交通機関を使わないことを要請していますが、このことについて次の点を確認します。

 検疫所長の指定する場所とは、民間施設以外に全国のどこに存在し、どの程度の収容人数があり、食事の確保などを始め、二週間の滞在にたえ得る十分な環境となっているのでしょうか。

 指定場所として民間宿泊施設の紹介もしていると承知しておりますが、予約などが断られ、公共交通機関を利用して帰宅せざるを得ない方もおります。こうしたケースが頻発すれば、感染の拡大につながりかねません。入国者の宿泊場所を確保すると同時に、今後の感染者の増加の動向を見据えた医療的処置の場として民間宿泊施設を政府が借り上げるべきと考えます。

 また、政府が経費を負担して五輪選手村の活用も検討すべきと思います。

 以上、それぞれに対する総理の見解を求めます。

 新型コロナウイルス感染症による経済への影響を現時点では政府はどの程度と見積もっているのか、総理の見解を伺います。それによってどの程度の規模の対策が必要だと考えているのか、その対策の財源について、さらに、必要に応じて数度の補正予算も視野に入れているのかもお伺いします。

 また、令和元年度予算、補正予算に関し、現時点での執行残や令和二年度への繰越額はどの程度と見積もっているのか、総理の見解を伺います。

 現在、多くの国民の皆様は、マスクが十分に流通せず、感染の恐怖にさらされています。こうした執行残や繰越しのうちの不要不急な財源なども念頭に置きつつ、政府が国内のマスク増産を積極的に支援すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 きょう、この対策に係る政府・与野党連絡協議会の三回目の会合が開催されます。この協議会における野党からの提案や要請を、総理は真摯に受けとめて、野党からの提案だからといって排除することなく、野党の要請も積極的に受け入れて具体的な政策実現を行うべきと思いますが、総理の見解を求めます。

 今回の新型コロナウイルス感染症による私たちの社会や世界への影響は、今後、どのような方向に進むのか全く予断を許さない状況ですが、国民の命と暮らしを守ることを最大の使命と認識し、我々共同会派、立国社は、この対策に全力を尽くすことをお約束し、質問を終了させていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 逢坂議員にお答えいたします。

 東京大会の延期についてお尋ねがありました。

 東京大会の延期に伴い、例えば、競技会場の確保やボランティアを含めたスタッフの確保等の課題があるものと考えています。

 また、大会延期に伴う追加的経費については、まずは、大会組織委員会や東京都を中心にその内容の精査を進められるものと承知をしており、政府としては、その検討状況を注視してまいります。

 新型コロナウイルスとの闘いは長期戦を覚悟する必要がありますが、政府としては、来年夏に、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、完全な形で東京大会を実施する方針であり、こうした方針を国際社会も支持をしています。引き続き、IOC、大会組織委員会、東京都等との緊密な連携のもと、全力を挙げて取り組んでまいります。

 PCR検査についてお尋ねがありました。

 PCR検査については、一日九千件を超える検査能力を確保した上で、医師が必要と判断した場合に検査を実施することとしています。

 その際、医師が必要と判断したが、結果的に検査が行われていない事例について、医師会等を通じて個別に事実関係の確認を行っているところであり、その結果も踏まえて、必要な患者が確実に検査を受けられるように改善を行っているところです。

 加えて、これまで累次にわたって、医師が必要と認める検査を実施いただくよう周知しているところでありますが、東京都を含め、全相談件数に占める検査実施の報告件数が低い都道府県については、その背景や事情について改めてフォローアップを行うことといたします。

 森友学園についてお尋ねがありました。

 森友事案に係る決裁文書の改ざんについては、国民の皆様の信頼を揺るがす事態となってしまったことに対し、行政府の長として大きな責任を痛感しております。

 また、真面目に職務に精励していた方がみずから命を絶たれたことについては、改めて御冥福をお祈りします。奥様にとっても、愛する方がみずからの命を絶たれたことで本当に大変な思いをされているのだろうと思います。改めて、お見舞いを申し上げるとともに、総理大臣としておわびを申し上げます。

 財務省においては、麻生大臣のもとで、捜査当局の協力も得て、事実を徹底的に調査し、改ざん前の決裁文書も明らかにするとともに、平成三十年六月に調査結果を取りまとめたものと承知しております。

 再調査については、麻生財務大臣より、手記と調査報告書の内容に事実的な違いがあるとは考えていないため、再調査を行うようなことは考えていないと答弁しているものと承知しております。

 いずれにしても、決裁文書の改ざんはあってはならず、今後二度とこうしたことのないよう再発防止を徹底していくものと考えております。

 政府の行う自粛要請と損失補償についてお尋ねがありました。

 お尋ねの自粛要請によって生ずる個別の損失に対する補償については、政府として、さまざまな事業活動の中で発生する民間事業者や個人の方々の個別の損失を直接補償することは困難であり、また、直接の自粛要請の対象となっていない分野においても、売上げや発注の減によって甚大な影響が生じています。

 そのため、感染拡大により影響を受けた方々には、要請の有無にかかわらず、雇用や事業の継続を最優先に、あらゆる手だてを講じているところです。

 また、今は、感染拡大の防止、重症化の防止が最優先ですが、その後は、日本経済を再び確かな成長軌道へと回復させるべく、甚大な影響のマグニチュードに見合うだけの強大な経済政策を打っていくため、来週、緊急経済対策を取りまとめ、前例にとらわれることなく思い切った措置を、財政、金融、税制を総動員して実行に移してまいります。

 この中で、中小・小規模事業者や個人事業主の方々が継続して事業に取り組めるよう、民間金融機関でも無利子の制度融資を受けることができる制度を整えるとともに、特に厳しい状況にある中小・小規模事業者等に対しては、事業を持続するための新たな給付金制度を創設してまいります。

 緊急事態宣言と感染症法についてのお尋ねがありました。

 緊急事態宣言については、私権を制限する措置を行い得るため、国内の感染状況を注視し、専門家の意見も十分にお聞きしながら判断する必要があると考えております。

 先般、衆参両院からいただいた附帯決議では、「緊急事態宣言をするに当たっては、特に緊急の必要がありやむを得ない場合を除き、国会へその旨及び必要な事項について事前に報告すること。」とされており、皆様の御理解が得られるよう、どのように報告するかも含めて、しっかりと検討してまいります。

 また、御指摘の感染症法第三十三条については、感染症の病原体に汚染された疑いのある場所について、原則は消毒を行うところ、これによりがたい場合に、七十二時間以内の必要な期限に限って交通の制限、遮断を可能としているものであり、繰り返しこれを行うことはできないと解されています。

 第三十四条が規定する必要最小限とは、この措置が病原体の感染予防という目的に照らして必要最小限のものであることを明確化する趣旨の規定であり、そうした必要な範囲を超えた地域にまで交通の制限、遮断を拡大することはできないものと解されています。

 学校の臨時休業等についてお尋ねがありました。

 本年二月、政府が行った臨時休校の要請は、当時、一、二週間が瀬戸際との専門家の見解が示された切迫した状況下において、大人のみならず、子供たちへの感染事例も各地で発生し、判断に時間をかけるいとまはない中で、何よりも子供たちの健康、安全が第一である、学校において子供たちへの集団感染という事態は何としても防がなければならないとの判断から、私のもとで関係省庁が議論し、その後開催した対策本部において、臨時休業を行うよう要請することを決定したものであります。それに伴う公文書の作成、管理については、法令に基づき適切に対応してまいります。

 また、この要請に伴って生じたさまざまな課題に対しては、正規、非正規を問わない新たな助成金制度の創設など、保護者の休暇取得の支援を始め、放課後児童クラブ等の体制強化、学校給食休止への対応などの幅広い対策を実施し、きめ細かく対応してきたところです。

 また、タブレット等の活用やオンライン授業の実施については、一人一台のIT端末の整備の前倒しや端末の持ち帰りなどによる自宅での学習機会の向上などによって、教育分野における遠隔対応をこの機に一気に進めたいと考えています。

 家計や企業への支援策についてお尋ねがありました。

 この難局を乗り切っていただくことに重点を置いて、徹底的に下支えすることにより、雇用、家計、事業をしっかり守り抜いていく考えです。

 具体的には、現金給付について、さまざまな具体的な御指摘をいただきましたが、国民全員に一律で行うのではなく、困難な状況にある中小・小規模事業者や生活に困難を来すおそれのある方々に必要な資金をできるだけ早くお届けできるよう、具体策の検討を急ぎ、成案を得た上で、丁寧に説明してまいります。

 離職や廃業により住居を失うおそれがある方等に対しては、住居確保給付金により、安定した住まいの確保と就労の支援を行っています。

 国税や社会保険料について、原則として一年間は納付を猶予するとともに、延滞税、延滞金についても、免除、軽減措置を講じているところであり、地方税についても、徴収の猶予等を地方公共団体に要請してきたところです。今後、更に制度的対応も検討してまいります。

 奨学金についても、猶予制度等を整備しており、テナントの賃料についても、支払い猶予等の検討を関連団体に要請しています。

 雇用調整助成金については、四月から、解雇等を行わず雇用を維持する企業に対して、正規、非正規にかかわらず、中小企業は九〇%、大企業でも七五%に引き上げていきます。支給事務の迅速化や手続の簡素化などにも取り組んでまいります。

 資金繰り支援については、これまでも実質無利子無担保の融資など大胆な資金繰り支援策を講じてきたところですが、この無利子融資を民間金融機関でも受けられるようにいたします。

 また、返済猶予等の条件変更への対応については、各担当大臣から官民の金融機関に対して要請を行い、さらに、銀行法等に基づく報告徴求命令などの法令上の措置も講じたところです。

 このように、現状では、まず、この難局を乗り切っていただくことに重点を置いた対策が必要となると考えており、政府一丸となって、切れ目なく、きめ細かな対応に全力を挙げていく考えです。そうした目的に照らして、どのような政策が最も効果的かという観点から、さまざまな御意見も踏まえながら、今後、緊急経済対策の取りまとめに向けて、御指摘の一括交付金も含め、具体的に検討を進めてまいります。

 入国者に対する待機要請と医療処置の場所の確保についてお尋ねがありました。

 我が国国内への感染者の流入及び感染拡大を防止する観点から、一部地域からの入国者に対し、検疫所長の指定する場所で十四日間待機し、空港等からの移動も含め、国内において公共交通機関を使用しないことを要請することとしております。

 十四日間の待機場所については、検疫時に申告いただいた自宅やホテル等を検疫所長が待機場所として指定することとしておりますが、当該場所への移動手段も含め、出国前に各自御準備いただくことを厚生労働省のホームページや在外公館を通じてお願いしております。

 ただし、事前に待機場所や移動手段がどうしても用意できず入国された方については、空港近隣の宿泊施設等に関する情報を提供すること等により支援を行っています。

 また、国内で患者数が大幅にふえた場合の対応として、三月二十八日に決定した基本的対処方針においては、患者が増加し重症者等に対する入院医療の提供に支障を来すおそれがある場合には、入院治療が必要ない軽症者等は自宅療養とし、その際、家族構成等から高齢者や基礎疾患を有する者等への感染のおそれがある場合には、地方公共団体は、軽症者が宿泊施設等での療養を行うなど、家族内感染のリスクを下げるための取組を講じることとしております。

 御指摘の宿泊施設や五輪選手村をどのように活用するかは、一義的には各自治体の判断が優先されますが、国としても、自治体と連携を密にし、積極的な支援を行ってまいります。

 新型コロナウイルスによる経済への影響と対策、予算の執行等についてお尋ねがありました。

 令和元年度予算の執行については、現在、年度末を経過したばかりであり、現時点で確たることを申し上げることは難しいですが、例えば、令和元年度補正予算は、事業規模二十六兆円に及ぶ総合経済対策を実行するためのものですが、相当部分の執行が今年度に繰り越されているものと見込まれ、これを確実に実施していくことで景気を下支えしてまいります。

 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界全体で経済活動が縮小しており、我が国の景気にも甚大な影響を及ぼしており、先行きについてもこうした厳しい状況が続くものと見込まれます。

 甚大な影響のマグニチュードに見合うだけの強大な経済対策とそれに伴う補正予算を、感染終息が視野に入った段階も視野に入れたものとして取りまとめ、切れ目なく政策を実行してまいります。その規模は、世界の協調をリードする我が国としては、リーマン・ショック時の経済対策を上回る、かつてない規模のものとしたいと考えています。

 その中でも、マスクについては、政府として生産設備への投資を支援するなどの取組を進めてきた結果、電機メーカーのシャープがマスク生産を開始するなど、先月は通常の需要を上回る月六億枚を超える供給を行ったところです。今月のさらなる増産を支援し、月七億枚を超える供給を確保する見込みです。

 このうち、サージカルマスクについては、優先的に医療機関に提供するとの考え方のもと、来週までに合計三千万枚の配布を終える予定であります。

 また、全国の高齢者施設や障害者施設、小学校、中学校には、必要な量の布マスクの配布を現在行っております。

 その上で、来月にかけて、更に一億枚を確保するめどが立ったことから、来週決定する緊急経済対策に、洗うことで再生利用可能な布マスクの買上げを盛り込むこととし、全国で五千万余りの世帯全てを対象に、一住所当たり二枚ずつ配布することとしました。補正予算成立前にあっても、予備費の活用などにより、再来週以降、感染者数が多い都道府県から順次配布を開始する予定です。店頭でのマスクの品薄が続く現状を踏まえ、急拡大するマスクの需要の抑制を図り、国民の皆様の不安解消に少しでも資するよう、速やかに取り組んでまいりたいと考えております。

 今後とも、事態の進展に伴い、必要な政策をちゅうちょなく講じてまいります。

 政府・与野党連絡協議会についてお尋ねがありました。

 政府・与野党連絡協議会は、これまで二回開催され、各党から、新型コロナウイルス感染症に対する感染拡大防止対策や経済対策を始め、さまざまな御意見をいただいているところです。

 このような国難とも言える新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、国民の命と健康を守り、国民生活や経済への影響を最小限に食いとめることは国家として最重要課題であり、協議会で各党からいただいた御提案についても、政府として、しっかり受けとめながら、この難局を乗り越えるために全力で対応してまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 高木美智代君。

    〔高木美智代君登壇〕

高木美智代君 公明党の高木美智代です。

 公明党を代表し、ただいまの総理国会報告に対し質問をいたします。(拍手)

 初めに、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、闘病中の方々の一日も早い御回復を心からお祈りいたします。

 また、感染拡大防止のために懸命に御尽力くださっている医師、看護師始め、全ての関係者の方々に深く感謝申し上げます。

 新型コロナウイルスとの闘いは、長期戦も覚悟しなければならない状況となりました。山中伸弥教授は次のように発信されています。マラソンと同じで、飛ばし過ぎると途中で失速します、ゆっくり過ぎると勝負にはならず、ウイルスに負けてしまいます、国民一人一人がそれぞれの家庭や仕事の状況に応じた最速スピードで走り続ける必要がありますと。

 まさに、国民の協力なくして乗り越えられない国難にあって、最も重要なことは、国民の理解と協力を得るためのコミュニケーションです。

 今後、さまざまな強制力を伴う対応をせざるを得ない事態にあっても、国民と向き合い、医療と雇用、生活をしっかり守るとの姿勢を明確にしつつ、コロナ終息のための全体像を示し、その先に何があるのか、予見性も含めてメッセージを発信し、協力を要請していくことが不可欠です。あらゆる工夫をしながら、若い世代も含めて全ての国民に伝わるような発信が必要です。

 三月二十六日に設置された対策本部の長として、今まで以上にリーダーシップを発揮して、国民の賢明な判断と行動を促すため、コミュニケーションをとり続けることが何より重要と考えますが、総理の御決意を伺います。

 また、政府対策本部が設置されたことで、緊急事態宣言を出すことが可能となりました。国民の生命と健康を守るため、必要なときにはちゅうちょなく出すべきと考えます。

 一方で、緊急事態宣言によって、国民の私権を制限するような要請や指示なども可能となり、国民生活に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、仮に緊急事態宣言を出す場合には、幅広い専門家の意見を踏まえ、国民への丁寧な説明が不可欠です。

 そこで、伺います。

 緊急事態宣言を出す場合には、国と対象地域の自治体が連携して、何がどう変わるのかということを正確に発信していただきたい。国民や企業等が正確に認識することによって、パニックを避けることができるからです。現段階での総理の御見解を伺っておきたいと思います。

 感染爆発や医療崩壊などを招かないよう、対策に万全を期すことは言うまでもありません。感染拡大のスピードを抑制しつつ、感染者の急増に対応するための医療提供体制の構築は急務です。

 日を追うごとに緊迫感が高まる感染拡大の現状認識と今後の対策について、総理の見解を伺います。

 緊急経済対策について伺います。

 新型コロナウイルス感染症の終息こそが最大の経済対策と言えます。しかし、昨日の日銀短観が示すように、経済は大打撃を受け、長期戦も覚悟しなければならない状況下では、とるべき対策は全てとらなければなりません。

 その上で、国民の協力を得る中、事業や生活が激変してしまった方々に対し、迅速かつ的確な支援策を講じ、雇用や日々の生活を守っていくことは政治の責任です。

 公明党は、新型コロナウイルス感染拡大の影響について、全国から党に寄せられた意見や、各種団体等からのヒアリングを重ね、緊急経済対策の策定に向けた提言を取りまとめ、一昨日、総理に申入れを行いました。

 生活支援、事業継続支援、非正規雇用労働者やフリーランスを含む雇用の維持、確保支援、景気全体を浮揚させるための対策など、リーマン・ショック時を超える国費二十兆円、事業費六十兆円以上の対策を措置すべきです。

 具体的には、生活支援の柱として、一人当たり十万円の現金給付を迅速に行うよう、強く求めます。

 また、雇いどめや派遣切り、内定取消しなど雇用不安に対応するために、雇用調整助成金の助成率を最大十分の九まで引き上げ、対象期間も三百日まで延長するなど、大幅な拡充を行うとともに、雇用保険の被保険者でない非正規雇用労働者にも助成を行うべきです。

 中小・小規模事業者や個人事業主、フリーランスの方については、給付金制度の創設や民間金融機関も含めた強力な資金繰り支援など、事業の継続を徹底して支援すべきです。

 また、固定資産税を減免することや、社会保険料等についても、納付猶予だけでなく、減免措置を講じるべきです。

 国民の生活と雇用を守るための大胆な経済対策について、安倍総理のお考えを伺います。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは、世界的に新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、中止という選択肢もあった中で、安倍総理がリーダーシップを発揮され、G20首脳テレビ会議等でメーンスピーカーとして訴えるなど、各国の総意に基づき、完全な形での開催が決定され、東京オリンピックは来年七月二十三日、パラリンピックは八月二十四日に延期が決定いたしました。

 このことは、総理が外交努力を地道に積み重ねてこられた外交の勝利であり、安定政権あればこそと高く評価するものです。

 日程が明確になったことにより、コロナ終息へ我が国が向かっていく決勝点も明確になったと言えます。日本のみならず、今後拡大が予想されるアジア、アフリカ地域などへの国際的な支援を展開しつつ、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、また東日本大震災から十年となる復興五輪の意義を込め、成功を期してまいりたいと思います。

 そのためにも、今後の課題として、コロナの終息、準備スケジュールの確定、施設と人材の確保、財政面などが挙げられます。また、全国のホストタウンへの最大限の配慮も必要です。とりわけ、パラリンピックについては、財政基盤が弱いため、十分な強化費が確保できるよう、団体やアスリート等への財政支援が求められます。

 こうした課題にどのように対応されるのか、総理の御見解を求めます。

 日本政治に大きな影響を与えた中国唐時代の「貞観政要」に、国は人民をもととしとあります。改めて、国の根本である国民を大切にし、国民が豊かに栄えてこそ国の発展と繁栄があることを確認し合い、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 高木美智代議員にお答えをいたします。

 国民の理解と協力を得るためのコミュニケーションの重要性についてお尋ねがありました。

 今回の新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、三月二十六日に、全閣僚をメンバーとする改正特措法に基づく政府対策本部を設置し、対策本部長である私のもと、政府一丸となって対応に当たってきております。

 他方、この国難とも呼ぶべき事態の中で、これを乗り越えていくためには、政府だけでなく、国民の皆さんお一人お一人の御理解や御協力を得ることが不可欠であると考えております。

 そのためには、議員御指摘のとおり、国民の皆さんの声にしっかりと耳を傾けるとともに、不安を抱えておられる方々に対して丁寧にわかりやすく御説明を行っていくこと、国民の皆さんとのコミュニケーションが極めて重要と考えています。

 これまでも、節目節目で政府対策本部長である私みずから会見を行うなど、情報の発信を行ってきたところでありますが、今後とも、SNS等の媒体も積極的に活用することで、若い世代も含めて全ての国民の方々に必要な情報が迅速に伝わるよう、積極的に情報発信に努めてまいります。

 緊急事態宣言についてお尋ねがありました。

 緊急事態宣言を出す場合には、政府対策本部長である私から、感染症の専門家、弁護士等で構成される基本的対処方針等諮問委員会に対して諮問を行った上で、緊急事態宣言を行うこととなっています。

 仮にこうした事態に至った場合には、私権が制限される措置をとる可能性もあることから、専門家の意見や決定に至った背景等について私から直接国民の皆様に御説明する場を設けるなど、政府として、できる限りわかりやすく御説明する機会を設けるとともに、都道府県が講じる外出自粛要請などの措置の内容についても、都道府県と連携しながら、しっかりと情報発信することにより、国民の皆様の不安の払拭にできる限り努めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する認識と今後の対策についてお尋ねがありました。

 我が国では、今のところ、諸外国のような爆発的な患者急増、いわゆるオーバーシュートは見られていないものの、都市部を中心に感染者が急増している状態にあります。そうした中、医療提供体制が逼迫しつつある地域も出てきており、この強化が喫緊の課題となっていると認識しています。

 このため、三月二十八日に決定した基本的対処方針に基づき、感染者の急増に備え、重症者への医療に重点を置く医療提供体制の整備など、国民の健康と命を守るために必要な対策をちゅうちょなく実施してまいります。

 緊急経済対策についてお尋ねがありました。

 今般の新型コロナウイルス感染症の経済への甚大な影響に対して、そのマグニチュードに見合うだけの必要かつ十分な経済対策を実施していく考えであり、世界の協調をリードする我が国としては、リーマン・ショック時の経済対策を上回る、かつてない規模の対策としたいと考えています。

 この難局を乗り切っていただくことに重点を置いて、徹底的に下支えすることにより、地域の雇用、働く場所はしっかり守り抜いていく考えです。

 中小・小規模事業者の皆さんには、実質無利子の大胆な資金繰り支援策を民間金融機関でも受けられるようにいたします。

 その上で、甚大な影響を受けている中小・小規模事業者の方々に、この困難を乗り越えていただくための新たな給付金制度を用意いたします。

 また、雇用調整助成金については、四月から、解雇等を行わず雇用を維持する企業に対して、正規、非正規にかかわらず、中小企業は九〇%、大企業でも七五%に引き上げていきます。

 さらに、固定資産税の軽減については、事業継承支援などの観点から御要望をいただいており、与党の税制調査会における議論を踏まえ、検討してまいります。

 加えて、社会保険料についても、原則一年間は納付を猶予し、延滞金も免除、軽減措置を講じています。

 また、フリーランス、個人事業主の方々を始め、仕事が減るなどにより、収入が減少し、生活に困難を来している御家庭の方々には、税や公共料金支払いの猶予などを既に進めてきましたが、これに加え、生活を維持していくための現金給付を実施してまいります。

 このように、前例にとらわれることなく、財政、金融、税制を総動員して、思い切った措置を講じてまいります。

 御党の御提言を十分に踏まえながら、来週、緊急経済対策を取りまとめ、この難局を乗り越えるために全力で対応してまいります。

 東京大会の延期に伴う課題についてお尋ねがありました。

 東京大会については、私とIOCバッハ会長が直接会談し、私から、アスリートのことを第一に考え、おおむね一年程度の延期を提案し、その後、関係者間における協議を経て、来年七月二十三日からの開催が決定されたところであります。

 我が国としては、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、また東日本大震災から十年を迎える復興五輪として、東京大会を完全な形で実施していく方針であり、G20首脳を始めとする国際社会や競技団体も、こうした我が国の決意、方針を評価しています。

 一方で、東京大会を延期したことにより、準備や競技に関する新しいスケジュールの決定、競技会場やスタッフなどの人材の確保、ホストタウンに対する支援などに取り組んでいく必要があると承知しており、政府としては、こうした大会の延長に伴うさまざまな課題について、IOC、大会組織委員会、東京都等との緊密な連携のもと、しっかりと対応してまいります。

 特に、パラリンピックに対しては、これまで競技団体の選手強化に対する助成の充実を図ってきたところでありますが、東京大会に向けてアスリートが安心して競技に取り組むことができるよう、引き続き支援をしてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 日本共産党を代表して、新型コロナウイルス感染症対策について、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 感染が広がる中で、国民は、感染への不安、長引く自粛への不安など、健康と暮らしに大きな不安を募らせています。政府が国民の理解と協力を得て対策を進めるためには、コロナ感染症の現状と対策についての情報を積極的に公開し、国民にきちんと説明し、政府の判断の科学的根拠と展望を示すことです。一方的に自粛と協力を求めるだけでは国民の理解は得られません。問われているのは政府の信頼性であります。

 そこで、大きく二つただしたい。

 第一は、国民の命と健康を守る医療体制です。

 今、最も大事なことは、感染症対策に全力を挙げている医療現場をしっかりと支え、何としても医療体制の崩壊を防ぐことです。

 医療従事者を感染から守り、院内感染の拡大を防止することは、最優先の課題です。感染防護用品であるマスク、ゴーグル、ガウン、防護服、消毒液など、全く足りていません。必要数を確保するためにどのような取組を行っているのですか。

 とりわけ感染が広がっている大都市の対策が重要です。東京、大阪におけるピーク時の入院患者、重症患者を何人と想定して対策を立てているのか、それに必要な病床数は幾つであり、現在確保されているのは幾つなのか、軽症者の隔離施設はどう確保するのか、重症患者の病床確保のために人工呼吸器など必要な医療機器の迅速な確保はどうなっているのか、お答えください。

 次に、検査体制です。

 感染者の把握なしに、感染防止対策はありません。医師が必要だと判断すれば、帰国者・接触者相談センターを介さずともPCR検査を受けられる体制をつくるべきです。公衆衛生を担う保健所が検査体制、クラスター対策を果たすことのできるように、人員、予算とも抜本的な拡充を図るべきではありませんか。

 また、イギリスなどで実施している抗体検査についても、速やかに、かつ大規模に実施すべきではありませんか。答弁を求めます。

 さらに、医療機関への対策です。

 一般医療機関での病床を大規模に確保するためには、病床確保に伴う減収分を穴埋めする財政措置が不可欠であります。

 政府が進める地域医療構想によって、公立・公的医療機関が再編統合され、感染症にも対応する急性期病床が大幅に削減されようとしています。この地域医療構想は直ちに撤回をすべきです。

 加えて、介護施設、障害者施設、作業所や訪問看護事業所など、医療、介護、福祉の現場は、政府の社会保障費抑制政策のもとで、現状でも経営が厳しく、人材不足も深刻です。その上、今回の新型コロナによって、倒産、廃業に追い込まれようとしています。施設、事業所を絶対に破綻させないため、感染予防の利用抑制に伴う減収については損失補填に踏み出すべきではありませんか。

 第二に、コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請と補償を一体で行うことが重要です。

 感染拡大を抑止するための外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対して、損失補填を行うべきです。収入減少を補償し、安心して休業できるようにしてこそ、実効ある感染症防止対策となるのではありませんか。

 政府が言う中小・小規模事業者及び生活困窮者に対する新たな給付金とは、そうしたものとなるのでしょうか。

 安倍総理は、先週の会見で、経済において一番大切な使命は雇用を守ることと表明しました。雇用を守るためには、雇用形態を問わず、賃金、収入の八割を補償することが必要です。また、新型コロナを理由とした解雇、雇いどめ、派遣切り、内定取消し、採用繰延べなどを行わないように対策を講じるべきです。

 中小・小規模事業者に対しては、無利子無担保の融資を速やかに実行するとともに、税、社会保険料の減免、家賃、光熱費、リース代など固定費への直接助成を行い、倒産、廃業を何としても食いとめるべきです。イベント、公演などの中止に伴う必要経費を補填することを強く求めます。

 先日成立した今年度予算も組み直すべきです。5G減税、カジノ予算、軍事費など、不要不急の税財政措置は見直して、コロナ対応の財源を確保すべきではありませんか。

 安倍総理は、新型コロナの経済への影響に対して、リーマン・ショックの規模を上回る対策をとると述べました。昨年、リーマン級の経済危機でないといって消費税増税をしたのが安倍総理です。だったら、今、消費税は五%へ減税すべきではありませんか。

 オリンピック、パラリンピックの一年延期についてお聞きします。

 これは、新型コロナ感染症が一年以内に終息することを前提としていますが、そうした判断の科学的根拠を示していただきたい。

 最後に、特措法に基づく緊急事態宣言は、外出自粛の要請、学校、保育所、老人福祉施設の使用制限、停止の要請、指示、さまざまなイベント等に対する使用制限、停止の要請、指示、臨時医療施設開設のための土地の強制使用も可能となるものです。こうした私権制限は、憲法に保障された移動の自由や集会の自由、表現の自由といった基本的人権を制約し、経済活動にも大きな影響をもたらすものであり、慎重であるべきです。

 宣言を発動する場合には、専門家による科学的知見を踏まえた宣言発動の要件を明確にすることを求めるとともに、私権制限による経済的損失に対する補償措置を行い、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠だということを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 塩川鉄也議員にお答えをいたします。

 新型コロナウイルス感染症に関する情報提供についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の対応に当たっては、政府対策本部のもとに専門家会議を設置し、これまで累次にわたり、最新のデータを踏まえた科学的な知見に基づく現状分析や見解をお示ししてきたところです。

 国民の皆様の不安を解消するためには、こうした情報をわかりやすく正確な形で発信していくことが極めて重要です。

 これまでも、私みずから記者会見を行い、感染予防策や、患者の発生状況、今後の政府の対応方針など、国民の皆様に丁寧に呼びかけるとともに、関係閣僚も、私の指揮のもと、適切なタイミングで報道発表等を行っており、今後も引き続き、私自身が先頭に立って、国民の皆様の不安を払拭するため、正確な情報発信に努めてまいります。

 新型コロナウイルス感染症の感染者の急増に備えた医療提供体制についてお尋ねがありました。

 マスクを始めとする感染症防護具や消毒液については、国内企業に対して、国内生産体制の強化や輸入の拡大を働きかけてきたところですが、全国の医療機関に必要な量を確保できるよう、さらなる増産を支援するなどの取組を進めてまいります。

 また、感染拡大防止と同時に、国内で感染者数が大幅にふえたときに備え、重症者対策を中心とした医療提供体制を強化することは喫緊の課題と考えております。

 御指摘のピーク時の入院患者数等は現在集計中ですが、治療のために必要な病床としては、現時点において、感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、二万五千床を超える病床を確保しております。

 また、重症者の治療に必要となる人工呼吸器についても、現時点で八千個を超える台数を確保しているところであり、引き続き、三月二十八日に決定した基本的対処方針に基づき、感染者の急増に備え、重症者への医療に重点を置く医療提供体制の整備等を実施してまいります。

 加えて、基本的対処方針においては、患者が増加し重症者等に対する入院医療の提供に支障を来すおそれがある場合には、入院治療が必要ない軽症者等は自宅療養とし、その際、家族構成等から高齢者や基礎疾患を有する者等への感染のおそれがある場合には、地方公共団体は、軽症者が宿泊施設等での療養を行うなど、家族内感染のリスクを下げるための取組を講じることとしております。

 新たに編成する補正予算案では、対策の第一の柱として、医療提供体制の整備を掲げることとしており、このような取組も含め、重症者への医療に重点を置く医療提供体制の整備を早急に進めてまいります。

 PCR検査、保健所の体制拡充、抗体検査についてお尋ねがありました。

 PCR検査については、受診に当たって、まず、帰国者・接触者相談センターに御相談いただくことが原則となりますが、同センターを経由しないケースであっても、医師が必要と判断すれば民間の検査機関に直接検査依頼を行うことも可能となっております。

 保健所においては、新型コロナウイルス対策で業務が増大している中、その業務が継続できるよう、一部の業務について外部委託を可能とし、必要となる非常勤職員に係る経費を助成するなど、必要な支援を行っているところです。

 また、抗体検査については、現在、その有用性や使用方法を含め専門家と検討を行っている段階であり、現時点で大規模な抗体検査をできる段階にはありませんが、実用化に向け、その研究開発について国としても引き続き支援を行ってまいります。

 新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関等への支援についてお尋ねがありました。

 感染拡大防止と同時に、国内で患者数が大幅にふえたときに備え、重症者対策を中心として医療提供体制を強化することは喫緊の課題です。

 病床確保の支援としては、今後国内で感染者数が大幅にふえたときに備え、病床をあけておくための経費として、一床当たり定額の補助を行っております。

 また、地域医療構想については、効率的で質の高い地域医療提供体制の確保を目指して取り組むものであり、地域の医療機関が担うべき役割などを機械的に決めるものではありません。

 公立・公的医療機関等については、ほとんどの感染症病床を担い、感染症対策で重要な役割を果たしていると承知をしており、このような機能や役割も含め、地域で必要とされる医療提供体制の議論を深めていただきたいと考えております。

 また、医療、介護、障害者福祉サービスを行う事業者に対しては、一時的に人員の基準を満たすことができない場合にも報酬を減額しない等の特例を設けているほか、利用抑制による減収等に対しては、雇用調整助成金や無利子無担保を内容とする経営資金融資による支援を行っております。

 引き続き、医療、介護、障害者福祉サービスが適切に提供されるよう、必要な支援を行ってまいります。

 経済的損失をこうむる事業者等に対する損失補填等についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、経済も大きな影響を受けており、事業者の皆様の経営にも大変な打撃となっております。

 こうした中にあって、政治に課された最大の使命は、何とか事業を継続していただき、また、しっかりと雇用を守っていくことであり、そのために最大限の努力を、できることは全て行っていく所存であります。

 既に、雇用調整助成金制度の大幅な拡充や、中小・小規模事業者への実質無利子無担保融資を含む強力な資金繰り支援など、必要な対策を直ちに実行してきました。

 また、経済団体等を通じて、企業の皆様に対して、解雇、雇いどめ、採用内定の取消しを防止するため、雇用調整助成金の活用を含め、最大限の経営努力を行うこと等もお願いをしたところです。

 フリーランス、個人事業主の方々を始め、仕事が減ることなどにより、収入が減少し、生活に困難を来している御家庭の方々に対しては、返済免除も可能な小口資金支援、税や保険料、公共料金の支払いの猶予などの取組も進めています。

 さらに、今は、感染拡大の防止、重症化の防止が最優先ですが、その後は、日本の経済を再び確かな成長軌道へと回復させていくべく、甚大な影響のマグニチュードに見合うだけの強大な経済政策を行っていかなければならないと考えており、来週、緊急経済対策を取りまとめ、前例にとらわれることなく思い切った措置を、財政、金融、税制を総動員して実行に移してまいります。

 その際、今回、特に影響の大きいイベント産業の振興等についても対策を講じてまいります。

 また、緊急経済対策の中では、雇用の維持と事業の継続の観点からは、中小・小規模事業者や個人事業主の方々が継続して事業に取り組めるよう、民間金融機関でも無利子制度融資を受けることができる制度を整えるとともに、特に厳しい状況にある中小・小規模事業者等に対して、事業を持続するための新たな給付金制度を創設することとしております。

 このような、前例にとらわれない思い切った対策を総動員し、いざ感染の拡大が抑制され、そして社会的な不安が払拭された段階では、一気に日本経済をV字回復させていく所存であります。

 新型コロナウイルス対策の財源確保についてお尋ねがありました。

 先般成立をした令和二年度予算に含まれた事業規模二十六兆円に及ぶ総合経済対策をできる限り早期に執行することで、景気を下支えしてまいります。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大により、日本経済全体にわたって極めて甚大な影響が生じており、そのマグニチュードに見合った強大な経済対策を実行していく考えです。

 そのために必要な財源については、国債の追加発行も含め、今後検討し、しっかり確保してまいります。

 なお、御指摘の税財政措置は、いずれも我が国の経済を成長させ、また、安全保障を確保していくために不可欠なものであり、見直すことは考えていません。

 消費税率の引下げについてお尋ねがありました。

 消費税については、急速に高齢化が進む我が国にあって、若者からお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障を構築するためにどうしても必要な財源と考えています。

 今般の新型コロナウイルス感染症の経済への甚大な影響に対しては、そのマグニチュードに見合うだけの、リーマン・ショック時の経済対策の規模を上回る規模の緊急経済対策を、財政、金融、税制を総動員して策定することとしていますが、その施策は効果があるものでなければならないと考えています。

 このため、政府としては、今、大変厳しい状況の中でも、何とか事業を継続していただき、地域の雇用と国民生活をしっかりと守り抜いていくために、こうした方々に対する現金給付制度の創設を含め、思い切った対策を講じるとともに、感染拡大が抑制された段階を見据え、甚大な影響を受けている旅行、運輸、外食、イベントなどにフォーカスした短期集中で大胆な需要喚起策などを講じることで、大変な状況にある方々に直接手が届く効果的な支援策を実施していく考えです。

 東京大会の延期の判断についてお尋ねがありました。

 東京大会については、私とIOCバッハ会長との電話会談において、私から、アスリートのことを第一に考え、おおむね一年程度の延期を提案し、その後、関係者の協議を経て、来年七月二十三日からの開幕が決定されたところであります。

 東京大会の完全な形での実施に向けて、日本のみならず、世界的に見て、新型コロナウイルス感染症の終息に向けためどを立てていく必要があります。

 このため、先般開催されたG7やG20で、私から、まずは現下の事態を収束させるため、国際社会とともに治療薬やワクチンの開発に全力を挙げて取り組むことを強く主張し、合意を得たところであります。

 政府としては、こうした取組をあわせて行うことを通じて、世界のアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆さんにとっても安全で安心な大会を目指し、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、東京大会を完全な形で実施できるよう、今後とも、IOC、大会組織委員会、東京都等と緊密な連携のもと、開催国としての責任をしっかりと果たしてまいります。

 緊急事態宣言の発動要件とその損失補填についてお尋ねがありました。

 緊急事態宣言は、改正特措法に基づき、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したと認めるときに、政府対策本部長である私が行うこととなっております。

 その際、緊急事態宣言の判断に当たっては、専門家で構成される基本的対処方針等諮問委員会の意見を十分踏まえた上で、総合的に判断することとしております。

 その上で、仮に緊急事態が宣言された場合には、御指摘のとおり、私権が制限される措置をとる可能性があることから、決定に至った背景等も含め、私から国民の皆様に御説明する場を設けるなど、政府として、できる限りわかりやすく丁寧な説明を行うこととしております。

 また、土地や施設の使用など緊急事態措置に伴う経済的な補償については、法にのっとり適切に対応することは当然ですが、同時に、経済全体の状況も踏まえた十分な経済対策を実施してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 浦野靖人君。

    〔浦野靖人君登壇〕

浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。(拍手)

 まず初めに、新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになった方々の御冥福をお祈りし、御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。

 息子が本会議場の様子を見て言いました。三密あかん言うてるのに、あんなぎゅうぎゅうでええんか。今テレビをごらんになっている皆様も同じように思っているのではないでしょうか。

 我が党は議運で、密閉、密集、密接、いわゆる三密を避ける提案をし続けていますが、どの政党にも聞き入れていただけません。いつまで旧態然とした国会運営を続けているのでしょうか。一言苦言を申し上げておきます。

 見えない敵が地球規模で猛威を振るう中、政府は、三月二十六日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府対策本部を設置し、ようやく緊急事態宣言を発令することができる体制が整いました。

 宣言後は、政府や都道府県がより効果的なウイルス封じ込め策を講じることができますが、発出について、総理は翌二十七日の記者会見で、ぎりぎり持ちこたえている、瀬戸際の状況が続いていると述べられ、ここに至ります。

 しかし、感染拡大は特措法の手続より先行しています。ウイルスの潜伏期間は長く、軽症状も続きます。その間に感染が広がります。ぎりぎりの状況ならば、感染拡大を少しでも食いとめ、国民の命綱である医療の崩壊を招かないために、一刻も早く対象地域と期間を示し、宣言を発するべきです。

 権限を付与された都道府県知事による外出自粛要請やイベント開催制限、商業施設使用制限などの要請、指示に罰則規定はありません。しかし、法的根拠に基づく要請、指示に、国民の心理も変わり、感染阻止への実効性がより上がることは間違いありません。

 まだ、まだ、もう少しと粘り、感染者がふえるのを待っているのならば、不作為と同じことです。目の前まで忍び寄っている最悪の事態を想定し、先手を打つのが政治の責任ではないでしょうか。総理の認識をお示しください。

 一方で、特措法では、知事の権限と感染抑止効果が不十分です。要請、指示ができる範囲を広げて、補償措置を講ずるとともに、罰則つきの命令規定を設け、強制力を持たせることが不可欠です。特措法の再改正など法整備も進めるべきだと考えますが、総理の見解を求めます。

 日本は未曽有の国難に直面しています。国民の閉塞感が増して、経済も悪化の一途をたどり、国民の命、生活、雇用を守ることが喫緊の課題となっています。

 国民の命を守るためには、万全の医療体制をしくことが至上命題ですが、現状、感染が爆発的に広がれば、病床が追いつかず、医療崩壊に陥る危険にあります。

 軽症者は自宅療養が推奨されていますが、高齢者や基礎疾患を有する人がいる場合、自宅にいられません。そこで、軽症者向けに宿泊施設や休床病床、閉鎖病院等を活用し、借り上げ費用などを国が支援することが必要となります。

 率先してトリアージに取り組む大阪府に対し、政府は閉鎖病棟等の活用への財政支援の準備を進めていると聞いていますが、宿泊施設の借り上げに対する財政措置はなおも大きな課題です。

 各都道府県がトリアージを円滑に実行し、医療崩壊を防ぐには、宿泊施設の借り上げに対する国の財政支援が不可欠です。総理、ぜひやっていただけないですか。前向きな答弁を期待します。

 緊急経済対策についてお尋ねします。

 政府は、リーマン・ショック時を上回る、過去最大規模の令和二年度補正予算案を編成される方針ですが、自民党は、事業規模六十兆円、財政支出二十兆円規模と提言しています。

 これに対し、日本維新の会は、欧米がGDPの五%から一〇%規模の対策を打ち出す中、財政拠出そのものに六十兆円を費やし、さらに、必要な金融措置等を講ずるよう訴えています。国民に寄り添った、大胆かつインパクトある施策が必要だからです。我が党は、年金の社会保険料について、中小企業の事業者負担、労働者負担を一年間免除し、原資の四十兆円は国債で補填することを提言しています。

 政府が支出を検討されている財政規模で、国民の生活、中小零細企業の経営、そして雇用を守れますか。まさに今、十分に手当てしないと、日本の経済社会は再起不能の瀕死状態に追い込まれかねません。総理の認識をお聞かせください。

 日本維新の会は、緊急の生活費を支える観点から、国民に一律現金十万円を給付すべきだと主張しています。現金給付にしても、政府・与党は所得で対象者を制限する方向ですが、線引きに手間がかかり、今すぐに生活費等を求める方々への給付がおくれてしまいます。

 総理にお尋ねします。現金の一律給付は一切検討されないのですか。

 我が党は、困っている方々を対象に、毎月十万円を限度とする政府一〇〇%保証の小口融資型給付制度を導入し、マイナンバーと銀行口座のひもづけを条件に、三年後から、低所得の方々の返済を猶予、免除する案を検討しています。政府で採用する考えはないでしょうか。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催が一年延期され、開幕日も決まりました。ウイルスとの闘いの帰趨は不透明で、道のりは平たんではありませんが、国と国民が一つになって、日本の底力を見せるときです。

 パンデミックの克服、そして東京オリパラの成功に向けて、日本維新の会は、政府や東京都、関係機関への協力を惜しまないことをお誓いし、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 浦野靖人議員にお答えをいたします。

 緊急事態宣言についてお尋ねがありました。

 緊急事態宣言は、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したと認めるときに、政府対策本部長である私が行うこととなっています。

 現在の国内の蔓延の状況に関しては、東京を始めとして、都市部を中心に感染者が急増し、感染経路が不明な感染者も増加しており、海外からの移入が疑われる事例も多数報告されているものと承知しています。

 緊急事態宣言との関係では、現時点では、全国的かつ急速な蔓延という状況にはなく、ぎりぎり持ちこたえている状況にあり、少しでも気を緩めればいつ急拡大してもおかしくない、まさに瀬戸際が継続している状況にあると考えています。

 引き続き、時々刻々と変化する事態の先を見通しながら、国民の命と健康を守るため、必要であれば、ちゅうちょなく決断し、実行してまいります。

 特措法の再改正についてお尋ねがありました。

 現行法では、緊急事態において、感染の蔓延防止の観点から、大規模施設の使用やこれを使用したイベントの制限について、都道府県知事に要請や指示を行う権限が付与されていますが、これは私権を制限するものであるため、この範囲を広げることや罰則による強制力を強めることは、慎重に検討することが必要であると考えております。

 また、御指摘の損失補償については、現行法では強制力とのバランスの中で位置づけられており、強制措置にまでは至らないイベント等の制限について、その補償措置を法律上位置づけることについても、慎重な検討が必要になると考えているところです。

 他方で、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による甚大な影響に対しては、中小・小規模事業者の皆さんに対して、強力な資金繰り支援に加えて新たな給付金制度を用意し、これまでにない規模で前例のない支援を行うとともに、生活に困難を来すおそれのある御家庭に対して、思い切った、生活のための現金給付を実施していく方針であり、現在、具体的制度の詰めを行っているところです。

 新型コロナウイルス感染症に対応した医療提供体制の整備についてお尋ねがありました。

 感染拡大防止と同時に、国内で患者数が大幅にふえたときに備え、重症者対策を中心として、医療提供体制を強化することは喫緊の課題です。

 三月二十八日に決定した基本的対処方針においては、患者が増加し重症者等に対する入院医療の提供に支障を来すおそれがある場合には、入院治療が必要ない軽症者等は自宅療養とし、その際、家族構成等から高齢者や基礎疾患を有する者等への感染のおそれがある場合には、地方公共団体は、軽症者が宿泊施設等での療養を行うなど、家族内感染のリスクを下げるための取組を講じることとしております。

 新たに編成する補正予算案では、対策の第一の柱として、医療提供体制の整備を掲げることとしており、このような取組も含め、重症者への医療に重点を置く医療提供体制の整備を早急に進めてまいります。

 緊急経済対策の規模についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響は、まさに甚大です。そのマグニチュードに見合うだけの強大な経済対策を実行していく考えであり、世界の協調をリードする我が国としては、リーマン・ショック時の経済対策を上回る、かつてない規模の十分な対策としたいと考えています。

 御指摘の年金の社会保険料を含め、前例にとらわれることなく、財政、金融、税制を総動員し、大胆かつインパクトのある措置を講じることで、国民の生活、中小・小規模事業者の経営、雇用を守り抜き、日本経済を一気にV字回復させてまいります。

 現金給付についてお尋ねがありました。

 感染拡大のストップに最優先で取り組む中で、さまざまな活動の自粛等により、多くの事業者、個人の方々が大変な厳しい状況に置かれており、集中ヒアリングでも、さまざまな分野の方々から切実な声を伺ったところです。こうした方々を対象に、この難局を乗り切っていただくための支援を集中的に行っていくことで、地域の雇用、働く場所をしっかり守り抜いていきたいと考えています。

 こうした考え方のもと、現金給付については、国民全員に一律で行うのではなく、甚大な影響を受けている中小・小規模事業者の方々や、フリーランス、個人事業主の方々を始め、仕事が減るなどにより、収入が減少し、生活に困難を来している御家庭の方々に、この困難を乗り越えていただき、事業の継続のため、また生活を維持していただくために、必要な額をできるだけ早期に提供していきたいと考えています。

 議員からいただいた御提言も受けとめ、必要な資金をできるだけ早くお届けできるよう、早急に具体策の検討を進めてまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

    〔議長退席、副議長着席〕

     ――――◇―――――

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

副議長(赤松広隆君) この際、内閣提出、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣北村誠吾君。

    〔国務大臣北村誠吾君登壇〕

国務大臣(北村誠吾君) 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 国家戦略特区は、岩盤のように固い規制や制度を打ち砕き、我が国経済社会の構造改革を進める突破口として、待機児童の解消、先端医療の促進、農業への民間参入、新たな観光市場の開拓といった多様な分野において、これまでに百一項目の規制改革を実現いたし、これらを活用した合計三百四十五の事業を実行に移してまいりました。

 我が国における地域課題、とりわけ人口減少、超高齢化、労働人口の減少等に的確に対応するには、AIやビッグデータの活用を含む、我が国が有する最先端技術を暮らしに実装し、未来の生活を先行実現することが不可欠であります。国際的にも、これらの最先端技術を取り込んだまちづくりが急速に進みつつあります。我が国においてもその場を積極的に創出していかなければ、第四次産業革命の成果を自国の経済活力に取り入れるための世界的な競争に取り残されてしまいかねません。

 本法律案は、こうした情勢を背景として、国家戦略特別区域会議や全国の地方公共団体、産業界からの提案を踏まえ、国家戦略特別区域諮問会議等において検討した結果に基づき、第四次産業革命における最先端技術を活用し、未来の暮らしを先行実現するスーパーシティー構想の実現に向けた制度の整備など、地域から要望の強い、新たな制度改革事項を盛り込んだものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、スーパーシティー構想の実現に向け、複数の先端的サービス間でデータを収集、整理いたし、提供するデータ連携基盤の整備事業を法定化し、事業の実施主体が、国や自治体等に対して、その保有するデータの提供を求めることができる規定を盛り込むこととしております。

 また、スーパーシティーを構成する複数の先端的サービス事業が、同時かつ一体的に実現できるよう、複数分野の規制改革を一体的、包括的に進める特別の手続を規定することとしております。

 さらに、スーパーシティーについて、各府省による協力を強化するために国がデータ連携基盤を整備する者を援助する規定、データ連携基盤整備事業の実施主体に都市間の相互連携強化のための基準を遵守させる規定を盛り込むとともに、法施行後三年以内を目途に施策を検討し必要な措置を講じることを規定することとしております。

 第二に、自動車の自動運転、無人航空機の遠隔操作又は自動操縦その他の技術革新の進展に即応した高度な産業技術の有効性の実証を行う事業を定めた区域計画において、関係行政機関の同意の上、内閣総理大臣の認定を受けたときには、道路運送車両法等の関連四法の特例措置を受けられることとしております。

 第三に、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業について、認定を受けることができない者として、暴力団員等を規定するとともに、認定を受けた事業者に対する立入検査及び業務改善命令、それらの違反者に対する罰則についての規定を盛り込むこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

副議長(赤松広隆君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松平浩一君。

    〔松平浩一君登壇〕

松平浩一君 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの松平浩一です。

 ただいま議題となりました国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 まず、冒頭、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた多くの方に心より哀悼の意を表するとともに、療養中の皆様の一刻も早い御回復をお祈りいたします。

 フランスの哲学者であり、ノーベル賞作家でもあるアルベール・カミュは、一九四七年に発表した小説「ペスト」の中でこう言っています。ペストに勝つ唯一の方法は、誠実さである。

 国民生活に大変な影響が出ている新型コロナウイルスに対する政府の対応に、果たして誠実さはあるのでしょうか。

 ダイヤモンド・プリンセス号では、約千名の乗船者を、船内での隔離が不十分なまま、公共交通機関を使って帰宅させてしまっています。

 武漢のある中国湖北省からの入国制限を行ったのは、九十二万人が来日した春節の後でした。

 国民に大きな混乱と不安をもたらした全国一斉休校も、何の前ぶれもなく、突然要請されました。

 先月二十日に一斉休校の段階的解除を打ち出していますが、それは政府専門家会議にて今後の爆発的拡大が警告されているさなかのことでした。

 そして、きのう、一世帯当たりマスク二枚の配布。こちら、ネットでは、アベノマスクと呼ばれています。

 まさに、思いつきの場当たり的対応のきわみです。カミュの言う誠実さはみじんも感じることができません。

 経済対策も後手後手です。

 経営者、労働者、フリーランス、学生、職種を問わず、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。経営は立ち行かず、労働者は雇いどめや失業、フリーランスは仕事がなくなっています。特に、困窮者の生活は、もうのっぴきならない状況になってしまっています。もし今後ロックダウンとなれば、今以上に外出制限や営業自粛が行われ、このままでは更に倒産や経済的な困窮者がふえてくることは明らかです。

 海外に目を転じれば、既に多くの国が、賃金補償や現金の給付など、大規模で具体的、かつ即効性のある対策に乗り出しています。

 米国では、先月二十七日、日本円で二百二十兆円規模の経済対策を決定しています。ドイツでも、総額九十兆円の経済対策を行うことにしています。英国、フランス、スペインなどでも、大型の経済対策を既に発表しています。

 一方で、我が国の経済対策は、全く場当たり的な、小さな対策ばかりでした。

 政府は補正予算を大型連休前までに示すと言っていますが、これでは余りにも遅過ぎます。人の生活がまさにぎりぎり、瀬戸際となっているのに、政府にはその危機感はなく、そして、やはりこちらも誠実さは全く感じられません。

 今、国民が求めているのは、この災害に対応できる規模の、大胆な、しっかりした補償とセットになった経済対策です。今後、いつ、どのような経済対策をするつもりなのか、西村大臣にお聞きします。

 先日、みずから命を絶たれた近畿財務局の赤木さんの手記が公表されました。全て佐川局長の指示ですとの言葉。財務省の報告書とそごがある部分も多くあります。

 共同通信社の世論調査によると、この手記公表を受け、公文書改ざんについて再調査する必要があるというのは七三・四%に上っています。赤木さんの奥さんが三月二十七日から進め始めたインターネット上の署名では、三日間で二十万人が署名しました。これは、ネット署名で我が国最多の数であり、最短の期間で達しています。本日では、二十七万人に達しています。

 この声を受けてもう一度調査することが国民の信頼に応える行政ではないでしょうか。麻生大臣は再調査を否定されています。しかし、国民の声を受けて考えを変えることは何ら恥ではありません。政治家として、むしろ当然のことだと思います。

 再調査する意向について、麻生大臣のお考えを伺います。

 本法案の目玉は、丸ごと未来都市であるスーパーシティー構想の実現であるとされています。法案によれば、このスーパーシティーは国家戦略特区を活用することになっています。国家戦略特区は、実現すれば、提案者だけでなく、広く一般に適用される制度であり、その運用が真に正しくなされるなら、最終的に全国民の利益となるはずです。

 国家戦略特区は、二〇一三年十二月から始まって、現在までに三百五十四もの事業が認定されています。しかし、六年を経た現在でも、特区から全国に広がった事業は八事業にしかすぎません。この数字からは、結局、特定の人や業者のために条件を整備してあげただけの制度となってしまっていると思えます。

 特区から全国に広がった事業がなぜ少ないのか、全国措置を拡大するためにどのような措置を講じる予定であるのか、北村大臣の御見解を伺います。

 政府が出した日本再興戦略においては、二〇二〇年までに世界銀行のビジネス環境ランキングにおいて日本が先進国三位以内に入るとの目標が掲げられています。しかし、昨年秋公表のランキングでは、OECD加盟国の中で、日本はいまだ十八位です。

 国家戦略特区はこの目標を達成する手段のはずですが、三百五十四と事業認定の数だけは多いですが、この目標達成に結びついていません。世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、経済成長につなげるとの国家戦略特区の理念はどこに行ったのか。今回のスーパーシティー構想がビジネス環境をどのように向上させ、どう三位以内というKPI実現に結びつくのか、北村大臣の御見解を具体的にお伺いします。

 いまだ疑惑が解明されていない加計学園問題があったこともあり、国家戦略特区は完全にブラックボックス化していると言われています。一般人から見て、選定の過程は全くわからない。加計学園問題、森友学園問題のように、権力者へのそんたく、利益誘導、そういったものが行われない保証はあるのでしょうか。特権や利益誘導が生じるのは問題外の話ですが、そもそもそういった疑いが生じること自体に制度的な問題があると言わざるを得ません。

 国家戦略特区の選定に当たって、特定の人や業者への優遇、権力者へのそんたく、そういった不公正な事情が介在しないよう、選定のプロセスの公正と透明性の強化、私は、この点こそが本改正において必須だと認識しています。

 今回の制度において、一体どのようにして公正と透明性を確保し、国民の信頼を得ていくのか、北村大臣の御見解を伺います。

 地方創生の目的の一つは、東京一極集中の是正です。しかし、去年の都道府県別の転入超過数を見ると、転入超過となっているのはほとんどが東京圏であり、それ以外の地域はほぼ転出超過となっています。もはや東京から地方への人の流れをつくることに失敗していると言わざるを得ません。

 もちろん、地方都市の中には、子育て支援策を手厚くするなどの努力によって人口増加を達成している都市もあります。しかし、東京からの人の流れがつくられていない現在においては、地方都市の間による人口の奪い合いとなっている側面があります。

 実際、人口増加に成功した自治体の近くの自治体では、人口減少が加速してしまっているところもあります。現状でもそういったストロー現象が生じている中、この法案で地方の都市の幾つかがスーパーシティーとなってしまうと、それに乗りおくれた都市はどうなってしまうのか。

 確かに、スーパーシティーは、住むに便利で快適で、多くの魅力的企業も集まり、若者も集まってくるでしょう。しかし、乗りおくれた周辺の都市からは人口が減り、生活が不便になり、働く場所もなく、お金もなく、地域経済が崩壊する、そういうところがふえてしまうかもしれません。

 したがって、スーパーシティー構想においては、都市間の格差が広がらないよう手当てが必要だと思いますが、そういったものがあるのでしょうか。ある場合、それはどのようなものなのか、どのように地域の統一した発展を実現していくのか、北村大臣の御説明をお願いいたします。

 スーパーシティー構想では、最先端の技術を使った便利な生活を目指すかわりに、自分が住む地域をその実験場とすること、そして個人情報が取得されることなどを認めなければならないことになっています。

 グーグルが進めるトロントでの都市計画では、個人情報流出への懸念から、住民による反対運動が起こって計画が思うように進んでいないというのはよく知られています。それでも国策としてスーパーシティー構想を進めるとなれば、便利な面だけが強調され、多数派が主導して十分な説明と議論がないまま小さな声が無視されてしまうことにならないか、住民合意をどのようにとっていくつもりなのか、北村大臣の明確な御説明をお願いいたします。

 二十一世紀の石油と言われるデータを有効活用する、その方向性自体は有意なものだと思います。しかし、今や個人情報というのは、プロファイリングを行うことで個人を丸裸にしてしまうものであり、差別やヘイト、犯罪にも利用される可能性が大変高まっています。

 ネット上では既にさまざまな人権侵害や犯罪も起きていることを考えれば、データ連携のシステムに対応できる法的基盤や管理上の技術が不可欠です。

 今回のデータ連携基盤の整備によって、個人情報を不当な形で利用されないという保証はあるのでしょうか。どのような法的、技術的基盤によって個人情報の適正利用を担保するのか、北村大臣、具体的にお答えください。

 地方創生推進交付金は、本年度は一千億円です。では、地方に配られた地方創生交付金は最終的にどこに向かうのか。まち・ひと・しごと創生法では、総合戦略の策定が地方自治体に指示されましたが、この総合戦略の策定について、東京のコンサルに依頼した自治体が非常に多いという状況にあります。

 地方自治総合研究所が実施したアンケートによれば、集計した千三百四十二自治体のうち約八割がコンサルタントに依頼、そのうち、受注額と受注件数とも約五割は東京に本社を置く機関が占めていたということです。

 この数字から見えてくるもの、それは、国から各自治体に配られたお金が東京に戻ってきてしまっているという現実です。人の東京一極集中だけでなく、お金も一極集中の状況です。

 スーパーシティーのデータ連携基盤の標準モデル構築について、本年度の予算では三億円が措置されています。こういったデータ連携基盤のモデルや、実際に基盤をつくれる業者というのは、やはり多くは東京に本社がある大きな会社です。また、データ連携基盤を利用して、AIやデータを活用してサービスを提供できる事業者も、東京に本社があるテック企業ばかりとなってしまうのではないかと予想されます。

 そうなると、政府の補助金も含めて結局お金が回るのは、東京の事業者だけとなってしまってもおかしくありません。

 また、必ずスーパーシティー構想が成功すればいいのですが、もしうまくいかなかった場合、構想にかかったお金は東京の事業者に落ちる一方で、地方にとってみると、東京の事業者の実験場になっただけという結論もあり得ます。

 地方にお金が落ちない政策では、地方創生はかないません。今回のスーパーシティー構想が、どう経済面で地方創生につながるのか、北村大臣のお考えをお願いいたします。

 本法案については、確かに、いいところだけを見ると夢のある話です。質疑に取り上げたような、負の側面は何か、その影響と対策はなされているのかという点の十分かつ慎重な審議が国会に求められます。

 大臣の誠実な答弁を切にお願いするとともに、真の地方創生の実現に向けた充実した審議がなされることを期待して、私の代表質問とさせていただきます。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣北村誠吾君登壇〕

国務大臣(北村誠吾君) 初めに、国家戦略特区における特例措置の全国展開についてお尋ねがございました。

 国家戦略特区の特例措置は、現時点で八つの規制改革の項目が、特区における特例措置として実現した後、その成果などを踏まえて全国でも活用可能となっております。初めから全国で措置されたものを含めれば、全体で百六項目のうち三十九項目が全国展開がなされております。

 残りの六十七項目につきましては、特に岩盤性が強いとの理由によって、その実現や全国展開に向けて道半ばにあります。このため、特区エリアでのさらなる活用を継続的に促しつつ、PDCAサイクルに基づく評価も活用することで、積極的に全国展開に取り組んでまいります。

 引き続き、関係省庁とも連携し、特段の問題がない特区の成果は、必要なものから速やかに全国展開を進めてまいります。

 次に、世界で一番ビジネスのしやすい環境の創出についてもお尋ねがありました。

 昨年十月に世界銀行が公表したビジネス環境ランキングの日本の順位は、OECD加盟国中十八位です。しかしながら、前年と比べると、その順位は二十五位から七位上昇するなど、着実に改善しております。

 国家戦略特区の取組だけでその順位を上昇させられるわけではありませんが、世界で一番ビジネスのしやすい環境の整備に向けて岩盤規制改革を進めることは内閣の最重要課題の一つでございます。

 また、スーパーシティー構想は、AIやビッグデータなど第四次産業革命における最先端技術を活用し、未来の暮らしを先行実現するものでございます。

 こうした取組は、民間投資を喚起し、都市の国際競争力の強化に大いに貢献するものであると考えるものでございます。

 次に、スーパーシティーの整備に当たっての透明性、公正性の確保についてのお尋ねがございました。

 スーパーシティーエリアの選定に当たっては、国家戦略特別区域基本方針に定めるスーパーシティーの選定に関する要件を満たす都市の中から、可能な限り定量的な指標も活用いたしつつ、客観的な評価に基づいて検討を行い、選定候補について特区諮問会議など有識者等の第三者が加わったオープンな場に諮ることにより、透明性を確保しながら進めることといたしております。

 最終的には、関係府省に協議した上で、閣議において決定される政令によって対象エリアを選定することといたしておるものでございます。

 次に、スーパーシティー構想による都市間格差の拡大の懸念についてのお尋ねがあったと存じます。

 スーパーシティー構想は、大都市、地方を問わず、人口減少や高齢化に悩む地域も含めて、最先端技術を活用して各地域が抱える社会的課題の解決に取り組むことを目的といたしております。

 また、スーパーシティーでは、データ連携基盤に接続する際の仕様の公開を事業者に義務づけることにより、住民の暮らしに役立つさまざまな先端的サービスが他の地域にも波及しやすくなることも狙いとしております。

 このように、スーパーシティー構想は、地域間格差の縮小にも資するものであり、地方創生に関する他の支援策ともあわせて、しっかりと取組を進めてまいります。

 次に、住民の合意の方法についてお尋ねがございました。

 区域会議が規制改革の案とともに区域計画の案を内閣総理大臣に提出する際には、本法案に基づき、住民その他の利害関係者の意向を踏まえる必要があります。

 その方法は、スーパーシティー内で提供されるサービスの内容や範囲に応じて、事前の住民説明会などにより、住民等の意向を丁寧にお伺いしながら、内閣府や地方公共団体等を構成員とする区域会議で適切な住民等の意向把握に努めることとなっております。

 次に、データ連携基盤の整備に当たっての個人情報の適正利用についてお尋ねがございました。

 本法案では、データ連携基盤整備事業者及びサービス事業者には、これまでと変わることなく、個人情報関連の法令遵守を強く求めることとなります。

 また、データ連携基盤整備事業者には、政府が定めるデータの安全管理基準により、サイバーセキュリティー対策等を義務づけることとしております。

 このように、個人情報の管理には、法令や基準に基づき、万全を期してまいります。

 次に、スーパーシティー構想による地方創生についてのお尋ねがございました。

 スーパーシティー構想は、最先端技術を活用して各地域が抱える社会的課題の解決に取り組むものであり、人口減少や高齢化などの課題に悩む地方をその重要な対象と想定いたしております。

 ただし、経済規模の小さな地方の場合、単一のエリアだけでは最先端技術を活用したサービスの採算をとることが難しい場合も想定されます。

 このため、データ連携基盤に接続する際の仕様の公開を事業者に義務づけることにより、先端的サービスが他の地域に波及しやすくなる環境を整えることで、取組の事業性と成果の普及効果を同時に高めることとしております。

 このような形で、地方における最先端技術の活用を普及していくことで、力強く地方創生を進めてまいります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 新たな経済対策についてお尋ねがございました。

 新型コロナウイルスの感染症の拡大により、世界全体で経済活動が縮小しており、我が国経済にも甚大な影響を及ぼしています。

 強い危機感を持ち、既に、事業者の方々の資金繰り、雇用の維持、生活を守ることを当面最優先に全力を挙げて取り組むべく、中小・小規模事業者に対する実質無利子無担保の特別貸付制度、また、雇用調整助成金の特例措置を大幅に拡大し、四月一日からは、助成率を解雇等を行わない場合には中小企業は十分の九とするなどの拡充をすることとしたところであり、また、返済免除要件つきの個人向け緊急小口資金の特例の創設などの措置を講じているところです。

 さらに、先月下旬に開催した新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響の集中ヒアリングでは、現場で御苦労されている方々から切実な声を伺いました。

 こうした状況を踏まえ、先般、総理から、新たな緊急経済対策の御指示がありました。日本経済を再び確かな成長軌道へと回復させていくため、甚大な影響のマグニチュードに見合う強大な経済対策を打っていくこととし、前例にとらわれることなく思い切った措置を、財政、金融、税制を総動員して講じてまいります。

 今般の経済対策においては、民間金融機関でも無利子融資を受けることのできる制度など資金繰り対策の強化、特に厳しい中小・小規模事業者への新たな給付金制度の創設、休業等により、収入が減少し、生活に困っている方々に対する新たな給付金の創設等を新たに講ずることとしています。雇用、生活、事業を全力で守り抜いてまいります。

 また、感染症流行の収束後を見据え、経済のV字回復を実現すべく、甚大な影響を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業を対象に、官民一体型のキャンペーンとしての大規模な支援策を展開してまいります。

 これまでいただいたさまざまな御意見、御提案を受けとめつつ、総理からの、リーマン・ショック時を上回る規模のかつてない経済対策との御指示に沿って、この難局を乗り越えるための力強い経済対策を来週取りまとめるべく、全力を尽くしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 松平議員から、森友学園関係の文書改ざん問題について、一問お尋ねがあっております。

 近畿財務局の職員がお亡くなりになられたことにつきましては、残された御遺族の気持ち等々を思うと言葉もなく、静かに、謹んで御冥福をお祈りするものであります。

 文書改ざんなどの問題は極めてゆゆしいことであり、まことに遺憾のきわみ、深くおわびを申し上げなければならないと考えております。

 財務省の調査報告というものは、文書改ざんなどの一連の問題につきまして、財務省としても説明責任を果たす観点から、できる限りの調査を尽くした結果をお示ししたものであります。

 その上で、調査報告書におきましては、一連の問題行為は、佐川元局長が方向性を決定づけ、近畿財務局職員の抵抗にもかかわらず、本省理財局の指示により行われたと結論づけられております。

 このたびの手記と調査報告書の内容には大きなそごはありません。実質的な違いがあるとは考えられませんので、再調査を行うようなことも考えておりません。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    高市 早苗君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       農林水産大臣  江藤  拓君

       国務大臣    北村 誠吾君

       国務大臣    西村 康稔君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 西村 明宏君

       内閣府副大臣  大塚  拓君


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