衆議院

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第19号 令和2年4月16日(木曜日)

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令和二年四月十六日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  令和二年四月十六日

    午後一時開議

 第一 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案(内閣提出)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。地方創生に関する特別委員長山口俊一君。

    ―――――――――――――

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口俊一君登壇〕

山口俊一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るため、所要の措置を講ずるものであります。

 その主な内容は、

 第一に、スーパーシティー構想の実現に向け、複数の先端的サービス間でデータを収集、整理し、提供するデータ連携基盤の整備事業を法定化するとともに、複数分野の規制改革を一体的、包括的に進める特別の手続を規定すること、

 第二に、自動車の自動運転、ドローンの遠隔操作等の実証事業に係る道路運送車両法等の特例措置を追加すること、

 第三に、特区民泊における欠格事由等を整備すること

であります。

 本案は、去る四月二日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、同日北村国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。七日に質疑に入り、同日質疑を終局した後、十五日に討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。亀井亜紀子君。

    〔亀井亜紀子君登壇〕

亀井亜紀子君 立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの亀井亜紀子です。(拍手)

 始めに、このたび、新型コロナウイルスに感染し、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、闘病中の方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 それでは、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案、通称スーパーシティー法案について、反対の立場から討論いたします。

 第一の反対理由は、加計学園の事例に象徴されるように、国家戦略特区の選定過程が不透明で、事業の公募とは形だけではないか、一部の人々の利権に結びついているのではないかという疑いがあるからです。

 例えば、「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会の座長は竹中平蔵氏であり、同氏は株式会社パソナグループ取締役会長、オリックス株式会社社外取締役です。パソナは国家戦略特区の大阪、神奈川等で外国人家事代行サービスを展開し、同じく特区の兵庫県養父市にはオリックス農業が参入しています。利害関係者が有識者懇談会の座長を務めることは、国家戦略特区の信頼性を大きく損なうものです。大臣には、竹中氏の交代を強く求めます。

 第二の理由は、国、地方公共団体等が事業者からデータ提供を求められた場合、プライバシーが侵害されないか、住民の合意形成の過程が不透明だからです。

 国家戦略特別区域会議のメンバーは、担当大臣、地方公共団体の長、特定事業を実施すると見込まれる者で組織され、計画段階に住民代表はいません。地方公共団体は、家族構成、収入、納税、健康保険料等、幅広い個人情報を保有しています。どの段階で住民合意を得るのか、サービスを希望しない住民は個別に情報提供を拒否できるのか、知らぬ間に情報が提供されてしまわないか、法案審議では明らかになりませんでした。

 第三の理由は、本法案が、国と地方との関係、地方自治の独立性を変えてしまうおそれがあるからです。

 昨年、国会提出されたスーパーシティー法案は廃案になりましたが、その提出前に、条例による規制緩和は、法律の範囲内で条例を制定するという憲法九十四条に抵触することから、見直されました。本法案は、スーパーシティー、スマートシティーの相互運用性の確保という形に変わり、スーパーシティーと名づけた国家戦略特区で進める規制緩和を全国のスマートシティーに横展開できるようになっています。その際、独自のサービスを提供する自治体にどんな影響があるのか、本来、国と地方の協議の場等で意見を聞くべきでしょう。

 未来都市をつくるというこの法案は、わからないことが多く、まだまだ論点が残っています。

 アメリカでは、自動運転車両による死亡事故が発生し、和解が成立しましたが、誰が法的責任を負うべきかというルールは未整備のままです。日本でも、実証実験を進めるならルールが必要です。

 また、トヨタとNTTは、静岡県裾野市でスマートシティー構想を進めています。国家戦略特区への申請はなく、どんな未来都市をつくるのか、この法律がなくても実現できるのか、知りたいところですが、緊急事態宣言下では参考人招致もできません。

 そうした観点からも、本日の採決は拙速であり、本法案は不要不急であることを指摘して、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 清水忠史君。

    〔清水忠史君登壇〕

清水忠史君 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。(拍手)

 今、新型コロナウイルスの爆発的感染を阻止し、医療崩壊をとめるために必要なことは、外出の自粛、休業要請と一体の補償を行い、検査体制の強化と医療現場への本格的財政支援を行うことであります。このための方策と補正予算をつくることに政治の責任が問われているこの状況下で、なぜ国家戦略特区法の改正なのでしょうか。急がなければならない理由はどこにもありません。

 もともと、スーパーシティー構想に係る本法案は、二〇一八年の第百九十六国会に提出されて以来、これまで三度、審議入りしないまま取り下げられ、出し直しを繰り返してきた、いわくつきの欠陥法案であります。コロナ問題の渦中に審議をする必要はありません。ましてや、たった五時間の委員会審議で採決するなど、余りにも乱暴なやり方だと言わなければなりません。

 そもそも、国家戦略特区制度は、官邸主導で規制緩和を推進する仕組みであり、国民の暮らしと安全にかかわるルールを特定企業の利益のために緩和するものです。

 この官邸主導の仕組みが安倍政権のもとで国家を私物化する道具とされてきたことは、加計学園問題を見ても明らかです。政権に近い特定の人物や事業者を優遇する総理案件で強引に規制緩和を推し進めるような制度は、即刻廃止すべきです。

 しかも、本法案は、内閣府から派遣された職員が区域会議に参加してまとめた基本構想をまずは総理が承認する仕組みを入れることで、各省の審査を簡略化させ、同時一体の審査によって、総理大臣によるトップダウンの仕組みを更に強化するものです。

 本法案が進めようとするスーパーシティー構想は、先端的技術を活用し、さまざまなサービスを提供しようとするものです。最大の問題は、住民の権利や個人のプライバシー保護がないがしろにされることです。

 スーパーシティー構想で先行するカナダのトロント市では、道路や信号機など、ありとあらゆる場所に人、物の動きを把握するセンサーを設置し、ビッグデータを利活用する計画を進めていました。しかし、データが匿名化されても、複数のデータを組み合わせることで、行動が予測できたり、人が分類され、不公平な扱いや差別を生んだりする可能性が十分にあるといった住民の不安や批判が高まり、大混乱しました。

 委員会の審議を通じても、個人情報の収集や利活用の内容と、住民にとってのメリット、デメリットが事業計画にも書き込まれず、こうした問題が発生することが明らかになりました。

 しかも、事業計画立案の前提として住民合意を求めながら、その方法については明確に定められていません。住民の合意なしに、強引に進められかねないのでございます。

 さらに、車の自動運転やドローンによる配送の実証実験をするための地域限定型サンドボックス制度は、安全性を監督する所管省庁の規制の仕組みを形骸化させるものです。区域会議において技術実証区域計画が策定され、総理認定を受ければ、道路運送法や航空法など、住民の安全を守るための許可は不要となり、一括して許可があったとみなされてしまいます。

 車の自動運転の実証実験では、交通事故の危険があり、海外では既に人身事故も起こっています。安全性を監督する監督官庁の権限をなくし、規制緩和を住民の安全性に優先させる仕組みの導入を認めることはできません。

 以上、反対理由を申し述べ、討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

 ただいまから十分後に採決いたしますので、しばらくお待ちください。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 日程第一、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長土井亨君。

    ―――――――――――――

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔土井亨君登壇〕

土井亨君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を一層推進するため、地方公共団体による地域公共交通計画の作成及び同計画に定められた事業の実施に係る関係法律の特例等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月二十四日の本会議におきまして趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、四月十日赤羽国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日、質疑を行い、質疑終了後、本案に対し、日本共産党から修正案が提出され、趣旨説明を聴取した後、採決の結果、修正案は否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長大口善徳君。

    ―――――――――――――

 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔大口善徳君登壇〕

大口善徳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保及び電気通信役務の利用者の利益の保護等を図るため、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社による他の電気通信事業者の電気通信設備を用いた電話の役務の提供を可能とするための措置を講ずるとともに、外国法人等が電気通信事業を営む場合の規定の整備等を行おうとするものであります。

 本案は、去る四月十三日本委員会に付託され、翌十四日高市総務大臣から提案理由の説明を聴取し、同日、質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第四、地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長松本文明君。

    ―――――――――――――

 地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔松本文明君登壇〕

松本文明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地域一般乗合旅客自動車運送事業者及び地域銀行が地域において提供する基盤的なサービスの重要性に鑑み、将来にわたって当該サービスの維持を図り、地域経済の活性化及び地域住民の生活の向上に資するため、これらの事業者に係る合併その他の行為について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定めるものであります。

 本案は、去る四月九日本委員会に付託され、翌十日西村国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、十五日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣武田良太君。

    〔国務大臣武田良太君登壇〕

国務大臣(武田良太君) ただいま議題となりました国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する我が国において、人生百年時代を迎える中、社会全体として、働く意欲のある高齢者にその能力を十分に発揮して活躍していただき、社会を支えていただくことが重要であります。そうした中、国家公務員については、今後二十年程度の間にこれまで行政を支えてきた職員が大量に六十歳を迎えることを踏まえると、能力と意欲のある高齢期の職員を最大限活用しつつ、次の世代にその知識、技術、経験等を継承していくことが、複雑高度化する行政課題への的確な対応等の観点から、必要であります。

 そのため、平成三十年八月の人事院の意見の申出に鑑み、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるとともに、組織全体としての活力の維持や高齢期における多様な職業生活設計の支援等を図るため、管理監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の制度を設けるほか、六十歳を超える職員に係る給与及び退職手当に関する特例を設ける等の措置を講ずるため、国家公務員法等について改正を行うものであります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、職員の定年を現行の六十歳から段階的に六十五歳に引き上げる等の措置を講ずることとしております。

 第二に、管理監督職を占める職員については、管理監督職勤務上限年齢である六十歳に達した日の翌日から同日以後の最初の四月一日までの間に、管理監督職以外の官職に降任をする等の制度を設けるとともに、この制度による降任等を行うことにより、公務の運営に著しい支障が生ずる場合に限り、引き続き、管理監督職として勤務させることができる特例を設ける等の措置を講ずることとしております。

 第三に、六十歳に達した日以後に退職した者を短時間勤務の官職に採用することができるよう、定年前再任用短時間勤務の制度を設けることとしております。

 第四に、当分の間、職員の俸給月額については、六十歳に達した日後における最初の四月一日以降、その者に適用される俸給表の級号俸に応じた額に百分の七十を乗じて得た額とする等の措置を講ずることとしております。

 第五に、六十歳に達した日以後にその者の非違によることなく退職した者については、当分の間、退職事由を定年退職として退職手当を算定する等の措置を講ずることとしております。

 このほか、検察官、防衛省の事務官等の定年を段階的に六十五歳に引き上げる等の措置を講ずるとともに、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。後藤祐一君。

    〔後藤祐一君登壇〕

後藤祐一君 立憲・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。

 ただいま議題となりました国家公務員法等改正案について、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 まず冒頭、新型コロナウイルス対策について、西村大臣に質問いたします。

 安倍政権の新型コロナウイルス対策は、感染症対策としても、そして支援策としても、遅く、不十分であります。

 外出を八割減らすとの目標は、緊急事態宣言から一週間たっても達成には遠い状況です。自粛要請だけでは外出を八割減らすことが難しい場合、どうやって達成するつもりでしょうか。必要な補償を行った上で、外出禁止と休業を義務づける法改正を検討すべきではないでしょうか。

 西村大臣は、四月十三日に、そうした法整備について議論することはやぶさかではございませんとした上で、ただ、当然、人権の制約にかかわるものでありますので、憲法上の議論も必要になってくるのではないかと答弁されております。

 憲法第二十二条で保障される営業の自由は、公共の福祉に反しない限り認められるとされておりますが、一般に、特措法の緊急事態宣言下において、感染症の蔓延防止の目的で事業者に休業を義務づけることは憲法上認められるのか、内閣法制局長官に伺います。

 しかしながら、休業を義務づけるには補償が必要です。

 一世帯当たり三十万円の生活支援臨時給付金も、中小企業向け二百万円の持続化給付金も、一回だけでは安心につながりません。コロナ終息まで何カ月かかるか見えない中で、収入がほとんど途絶えているのに、中小企業の皆様、あるいは中堅の方もあるでしょう、事業継続していただくには、一月当たり幾ら給付するかを明確に示す必要があると考えますが、西村大臣に見解を伺います。

 一世帯当たり三十万円の給付金の評判が悪いことから、与党内でも一人十万円交付する案が協議されているようですが、まさに朝令暮改そのものです。安倍政権の危機管理能力のなさを示しております。我々は、既に、三月十八日、一カ月前にこの一人十万円を提案しています。

 遅きに失したものの、一人当たり十万円の交付はぜひとも実現すべきであり、かつ、急ぐ必要があります。来週審議される補正予算案審議において、我々から組み替え動議を出す予定ですので、ぜひ御賛同いただけますよう、与党の議員の皆様、この議場におられない方々も含め、お願いを申し上げたいと思います。

 まさか、閣議決定した補正予算案をつくり直すために、来週月曜日から予定されていた補正予算案の審議をおくらせるなどということはないでしょうね。国民に一日でも早くお金を届けるためにも、ただでさえ遅くなっている来週月曜からの補正予算案審議の中で組み替えるべきです。予算案を国会で修正したくないというメンツにこだわるとすれば、それは国会としていかがなものでしょうか。今こそ、政府・与党の、国民の方を向いた議会人としてのプライドが試されているのではないでしょうか。政府・与党の皆様、ぜひ来週の補正予算審議の中での組み替えに応じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 コロナ対策においては、感染症指定病院となっている公立病院での治療に当たる医師、空港での検疫官、各種申請の受け付け、清掃作業など、どれもリスクのある仕事を、国家公務員、地方公務員の皆様が、各職場において、国民の命を守るため必死の奮闘をされておられることに敬意を表します。

 武田大臣に伺います。

 現在、多くの国家公務員、地方公務員が、通常業務に加え、コロナ対策に関連する業務が加わり、リスクもあり、迅速な対応が求められております。必ずしも人員が十分でない職場もあることを踏まえ、激励の意味も込めて、公務員の職場環境の整備について政府の果たすべき役割は大きいと思いますが、どう考えているでしょうか。

 国家公務員法改正案について伺います。

 今次法案の主な内容である定年延長の目的は、人生百年時代を迎える中、社会全体として、知識、技術、経験等が豊富な高齢者に引き続きその能力を発揮して活躍していただくことにあるとされております。

 このことは、公務員のみならず、民間労働者も含めた国民的な要請であると考えますが、先般可決、成立した高年齢者雇用安定法における民間企業に対する七十歳までの就業確保措置と国、地方の公務員の定年延長との関係について、武田大臣の見解を伺います。

 また、六十歳における給与水準をそれまでの七割としている根拠は何でしょうか。高過ぎるのではないかとの一部批判もあるようですが、民間準拠となっているのでしょうか。武田大臣に伺います。

 昨年十月には内閣法制局の部長まで了解した検察庁法改正案が、一月になって修正されました。その案文修正の経緯及び概要という文書は、冒頭に、今回、検察官についても国家公務員法第八十一条の三の勤務延長制度が適用されるものと整理したと始まります。今回の意味が不明ですが、案文修正の端緒、きっかけは何でしょうか。大臣も含めた法務省の中の誰が、あるいは法務省外の誰が最初に案文修正を言い出したのでしょうか。森大臣に伺います。

 提出法案では、新国家公務員法の勤務延長の規定第八十一条の七を検察官にも適用するとされておりますが、これが政治介入を招きかねないことは、黒川検事長の問題で国民的にも明らかであります。今後、検察官に国家公務員法の勤務延長の規定を適用する場合、内閣の意向が反映される可能性があるのではないかとの国民の疑念をどう払拭していくつもりか、森大臣、お答えください。

 新検察庁法第二十二条第二項において、定年退職日を定年に達した日と読みかえています。

 黒川検事長が現行国家公務員法第八十一条の三に基づいて勤務延長した時点では、この読みかえ規定はなかったため、定年退職日である令和二年三月三十一日を、定年に達した日、黒川氏の場合、令和二年二月七日と解して準用することはできなかったのではないでしょうか。

 誰しも疑問ない場合についてはわざわざ読みかえのための規定を置かなくても準用できると事務方は説明していますが、黒川氏の勤務延長に現行国家公務員法第八十一条の三を準用できるかに関して、誰しも疑問ないと本当に考えていたのでしょうか。逆に、誰しも疑問なく準用できるのであれば、本法案で読みかえ規定を置く必要はないのではないでしょうか。誰しもとは、霞が関の国家公務員と与党政治家に限定されるのか、一般国民や野党議員も含み得るのかを含め、森大臣に伺います。

 次長検事、検事長、検事正、上席検察官は六十三歳になると平検事になる、いわゆる検察官の役おり制度がこの法案で導入されますが、今回の法案で、六十三歳になった後も役おりせず勤務延長できる制度が設けられています。ここにも政治介入の余地が残ってしまうのであります。

 昨年十月の段階での条文案では、六十三歳で一律に役おりとなり、延長は認めないものとなっていました。昨年十月案の方がすぐれていると思われますが、なぜ提出案では六十三歳以降も延長することができる制度としたのか、森大臣に伺います。

 以上のように、定年延長に関する国家公務員法の規定の準用と役おり後の延長は、ともに政治介入の余地を残す点で極めて問題が大きいものであります。立国社共同会派として、この二点について昨年十月の段階の案に戻す修正案を提出する予定です。検察の独立性を守るためにも、ぜひ与野党の皆様の御賛同を賜りたいと思います。

 国家公務員の定年延長は、新国家公務員法案八十一条の七において、人事院規則に基づいて行われるとされておりますが、検察官の場合は、人事院規則でなく、内閣が定める場合に延長できるとしているのはなぜでしょうか。検察官の内閣からの独立性を重視すれば、内閣ではなく、内閣から一定の独立性がある人事院の承認とした方がまだよかったのではないでしょうか。森大臣に伺います。

 また、米英独仏など諸外国において、定年延長など検察官の辞職の時期について内閣や大臣が裁量的に決定できるような制度を持つ国はあるのでしょうか。森大臣に伺います。

 検察官の内閣からの独立性を確保することは、なぜ重要なのでしょうか。検察官は、例外を除き、起訴する権限を独占するという極めて強大な権限を有しているため、政治的な圧力を不当に受けないよう、内閣からの独立性が認められているからです。

 黒川検事長の定年延長について国家公務員法の規定が恣意的に運用されたことは、まさに政治的な圧力を不当に受けたことそのものではないでしょうか。これは、昭和二十九年に造船疑獄に際して唯一指揮権が発動されて以来の我が国検察の危機、ひいては司法の危機ではないでしょうか。

 政治的な圧力から検察を守れなかった森大臣は、指揮権発動した犬養健法務大臣と同様、辞任をもって責任をとることと、検察、ひいては司法の独立を守るために必要となる修正案への御賛同を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣武田良太君登壇〕

国務大臣(武田良太君) 後藤議員からの御質問にお答えをいたします。

 まず、公務員の職場環境の整備について御質問を賜りました。

 現在、公務員は、それぞれの職場において、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、必要な行政機能を維持し、日々職務の遂行に当たっているところであります。

 こうした非常時に的確に対応していくためにも、平素から職員が能力を存分に発揮できる環境の整備を進めることが重要であります。

 今後とも、必要なところにはしっかりと職員が配置されるよう、内外の行政課題に機動的かつ柔軟に対応できる体制を整えるとともに、業務の効率化や働き方の改革にしっかりと取り組んでまいります。

 次に、民間の就業機会確保措置と公務員の定年引上げとの関係について御質問をいただきました。

 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する我が国が、将来にわたって活力ある社会を維持し、発展していくためには、社会全体として、働く意欲のある高齢者に、その能力を十分に発揮して活躍していただき、社会を支えていただくことが重要であり、これは官民を通じた課題であります。

 このような考え方のもと、民間においては七十歳までの就業機会確保を努力義務とする法律が成立したところであり、国家公務員についても、知識、技術、経験等が豊富な職員が最大限活躍できるよう、人事院の意見の申出に鑑み、定年を段階的に六十五歳に引き上げるものであります。

 なお、政府においては、地方公務員についても、国家公務員と同様の考えに基づき、所要の法律案を提出しているところであります。

 最後に、六十歳を超える職員の給与水準の根拠について御質問を賜りました。

 今回の法律案においては、当分の間、六十歳を超える職員の年間給与を六十歳前の七割水準に設定することとしております。

 これは、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす給与勧告制度を所管する人事院の意見の申出に基づいたものでありますが、人事院においては、厚生労働省の賃金構造基本統計調査や人事院が行った職種別民間給与実態調査により、民間における六十歳前後の給与水準を踏まえたものと承知をいたしております。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 後藤議員からの御質問にお答えをいたします。

 まず、外出自粛と特措法の改正についてお尋ねがございました。

 私は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の執行の責任者として、法第五条で基本的人権の尊重が規定されている趣旨及び三月にいただいた附帯決議の御指摘を踏まえ、本法の運用に当たっては、私権の制約が必要最小限のものとなるよう十分に留意し、常に専門家の御意見を伺いつつ、政府及び都道府県知事において適切な判断が行われるよう対応してきているところであります。

 これまで、政府及び都道府県は、緊密に連携しながら、基本的対処方針に基づき、三つの密を避けることをより一層推進し、外出自粛の要請等による接触機会の低減を強くお願いしてまいりました。また、緊急事態宣言の対象都府県内からその他の地域への人の移動も見られる中、感染のさらなる拡大を防止するためにはもう一段の取組が必要であることから、引き続き御協力をお願いしたいと考えております。

 国民の皆様には大変な御不便をおかけいたしますけれども、私は、国民が一丸となって、ともに力を合わせ、取り組んでいただければ、必ずこの事態を収束に向かわせることができると考えております。

 その上でもなお、国会でも御指摘をいただきました、都道府県知事に対するさらなる権限の付与や、罰則を伴うような、より強制力を伴う仕組みの導入といった考えが国民の総意であれば、そうした法整備について検討を行うこともやぶさかではありませんが、その際は、憲法上の議論も必要になるのではないかと考えているところであります。

 次に、事業者や家計への給付金についてお尋ねがありました。

 先般行いました集中ヒアリングでは、今回の新型コロナウイルス感染症によって、観光や運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント業など、さまざまな事業者が甚大な影響を受け、厳しい状況にあるという声を、切実な声を伺いました。

 どのような状況にあっても、雇用と事業、国民の生活、そして文化芸術の灯を全力で守り抜いていきたいと考えております。

 そのためにも、まずは、持続化給付金により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支えてまいります。再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金を迅速に支給したいと考えております。

 これに加え、政府系金融機関や民間金融機関による実質無利子無担保の融資制度を創設し、また、従業員の休業手当を国が支援する雇用調整助成金を拡充、公共料金、社会保険料、国税、地方税について、ことし一年間納付を猶予し、固定資産税については、今年度は納税を猶予した上で、来年度分は、苦しい経営環境にある中小企業者等に対して二分の一又はゼロに減免、入居するビル等の賃料に対しても、国土交通省から業界団体へ支払い猶予に対応するよう要請するなど、事業継続に必要な資金確保、可能な限りの支払いの軽減に取り組むことで、事業の継続に万全を期しています。

 また、今回の生活支援臨時給付金は、急激に収入が減少し、生活に困っている世帯の生活維持に焦点を当て、スピード感を持って支援するものであり、支援がしっかりと行き届くよう、全力を尽くしてまいります。

 御指摘の、国民への一律十万円支給については、昨日、総理より、今回の補正予算について、先日、政府・与党で決定した内容を速やかに成立をした上で、その後、方向性を持ってよく検討したいとお答えされたと承知をしております。

 引き続き、内外における事態収束までの期間、それと広がり、経済や国民生活への影響を注意深く見きわめ、必要に応じて、時期を逸することなく、臨機応変かつ果断に対応してまいります。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 後藤祐一議員にお答え申し上げます。

 まず、本法律案の検察庁法部分の案文修正の端緒等についてお尋ねがありました。

 検察官の定年引上げに関する法律案については、昨年十月末ごろには内閣法制局第二部長の審査が終了いたしました。

 しかしながら、法律案の提出に至らず、本年の通常国会への提出までに時間ができたことから、昨年十二月ごろから、同法律案について改めて検討する中で、勤務延長制度について、検察官には適用がないとの従前の解釈を維持するのが果たして妥当なのかという観点に立ち戻って検討を行いました。

 その結果、本法律案の検察庁法部分の案文を修正したものです。

 このような法律案の再検討及び案文の修正は、検察庁法を所管する刑事局の担当者が行ったものです。

 次に、検察官の勤務延長に関する疑念についてお尋ねがありました。

 検察官は、検察権の行使に当たり、他の力に左右されることなく公正でなければならないため、独立的性格を持つものとされています。

 その上で、勤務延長制度は、特定の職員に定年後も引き続きその職務を担当させることが公務遂行上必要な場合に、定年制度の趣旨を損なわない範囲で、定年を超えて勤務の延長を認めるとの趣旨に基づくものであり、本来的に、検察権行使に圧力を加えるものではありません。

 さらに、改正法案において、検察官について勤務延長ができるのは、定年に達した職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由、又は法務大臣が定める準則で定める事由があると認めるときに限られ、それらの事由は事前に明示することとされています。このように、勤務延長ができる事由が限定された上で明示されることにより、濫用も防止されており、適正に運用されるものと考えています。

 次に、勤務延長の規定に関する読みかえ規定についてお尋ねがありました。

 読みかえ規定については、国民一般において、法令を解釈するに際し、疑問なく変更が加えられるような部分については、わざわざ読みかえのための規定を置かなくともよく、他方で、どう読みかえて当てはめることとすればよいか気がかりな部分等については、読みかえ規定を置く必要があるものと考えられているものと承知しています。

 現行国家公務員法第八十一条の三第一項の定年退職日については、検察官の定年退職時期の特例を定める検察庁法第二十二条によって定年に達した日と修正されることについて、国民一般において疑問なく解することができるものと考えています。

 一方、今般の改正法案においては、国家公務員法の勤務延長の規定は、検察官に観念できない管理監督職などを含むものに改められました。

 そのため、検察官については、検察庁法に読みかえ規定を置かなければ国家公務員法上の勤務延長の規定をどのように適用するか明確にならないことから、読みかえ規定を置くこととし、その際、読みかえ規定を置く以上、国家公務員法上の定年退職日を定年に達した日と読みかえる旨もあわせて規定することとしたものです。

 次に、検察官の役おり制度の特例を設けることとした理由についてお尋ねがありました。

 本法律案においては、国家公務員法の役職定年制の趣旨を踏まえ、検察庁法に議員御指摘のいわゆる検察官の役おり制度を導入しています。

 その上で、国家公務員法と同様に、検察庁法には役おり制度の特例を設けています。

 その理由は、一般の国家公務員と同様、検察官についても、役おりにより公務の運営に著しい支障が生ずるため、引き続き、その官又は職を占めたまま勤務させる必要がある場合があると考えられるからです。

 次に、次長検事、検事長の勤務延長の要件において、人事院の承認でなく、内閣の定める場合とした理由についてお尋ねがありました。

 現行の勤務延長制度は、国家公務員法上の制度として、検察官への適用に当たっても、人事院による判断にもなじむものでした。

 他方で、本法律案においては、国家公務員法の役職定年制の趣旨を踏まえ、検察庁法に独自のいわゆる検察官の役おり制度を導入しており、検察官に国家公務員法上の勤務延長の規定を適用するに当たっては、この検察庁法独自の制度を前提とすることとなりました。

 このような検察庁法独自の制度を前提とした勤務延長の要件の判断は、任命権者である内閣によることが適当であると考え、内閣の定める場合としたものであり、その内容を明示することで、判断手続が明確化され、濫用を防止することもできると考えております。

 最後に、検察官の辞職の時期に関する諸外国の法制度についてお尋ねがありました。

 お尋ねについては、法務省において網羅的に把握しておらず、また、検察官を含め公務員に関する法制度は国によってさまざまですので、一概にお答えすることは困難であると考えています。(拍手)

    〔政府特別補佐人近藤正春君登壇〕

政府特別補佐人(近藤正春君) お答えいたします。

 感染症の蔓延防止を目的とした休業の義務づけと憲法二十二条との関係についてお尋ねがありました。

 憲法第二十二条第一項に規定する職業選択の自由の中には、いわゆる営業の自由が含まれているものと解されますが、それは、営業活動につき絶対、無制限の自由を保障する趣旨ではなく、公共の福祉に反しない限りにおいて営業の自由を保障する趣旨であることは、この条項の規定に照らして明らかであります。

 この場合の公共の福祉による制約につきましては、その具体的な内容や制約の可能な範囲等について、個別の立法の目的等に応じて、その必要性や合理性の面から具体的に判断する必要があるものと解してきております。

 したがいまして、御質問のありました、新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言下において、感染症の蔓延防止の目的で事業者に休業を義務づけることが憲法上認められるのかという点につきましても、個別の立法の内容等に応じて具体的に判断する必要があるものと考えられます。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 日本共産党を代表し、質問します。(拍手)

 冒頭、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 日本共産党を始め野党は、一貫して、全ての国民に十万円の給付金支給を求めてきました。今や、与党幹部からも同じ要求が出されています。

 安倍総理が述べたという、方向性を持って検討するとは、どういうことですか。所得制限を設けず、全ての国民に十万円の給付金支給に直ちに踏み出すべきではありませんか。官房長官の答弁を求めます。

 議題の国家公務員法等改正案の最大の問題は、憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んだことです。コロナ感染症対策に全力を尽くすべきさなかに火事場泥棒的に押し通そうなど、断じて許されない暴挙であります。

 発端は、安倍政権が、本年一月三十一日、黒川弘務東京高検検事長の定年について、検察庁法の満六十三歳退官の規定を踏みにじり、国家公務員法の勤務延長制度を根拠として延長させる閣議決定を行ったことです。

 この閣議決定は、一九八一年に国家公務員に定年制度を導入して以来、国公法の定年制度は検察官に適用されないと一貫して示してきた政府見解を投げ捨てるものであり、断じて許されません。

 そもそも、戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法が検察官の退官年齢を定めたのは、検察官が起訴権限を独占し、時に総理大臣の訴追も行うという強大な権限を持っていることから、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察の独立性を確保するためです。このことは、一九四七年の法制定時から明確にされています。

 検察庁法の立法趣旨、国公法の政府見解に照らして、黒川氏の定年延長の閣議決定が違法であることは明らかです。

 重大なのは、この違法な解釈変更につじつまを合わせるため、検察庁法を改正しようとしていることです。

 昨年十月に内閣法制局の審査を完了していた改正案は、検察官の定年退官を六十五歳に引き上げ、六十三歳からは役職につかないというものでした。

 ところが、法案は、検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認めるときは、六十三歳を超えて、さらには退官年齢も超えて、検事長や次長検事などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けました。

 まさに、内閣による検察人事への露骨な介入を恒常化するもので、許されません。

 安倍総理自身が桜を見る会の問題で刑事告発され、広島地検による前法務大臣らへの家宅捜索のさなかに提出されたことを見ても、本案が政権の保身を図るためのものであることは明らかであります。

 検察官を官邸に従属させ、刑事司法の独立と公正、権力分立を脅かす、国家権力の私物化であり、断じて認められません。

 黒川検事長の定年延長を決めた閣議決定及び検察庁法改正案は撤回すべきではありませんか。官房長官の答弁を求めます。

 次に、国公法改正案についてです。

 本案は、国家公務員の高齢期職員の活用を図り、年金受給年齢との接続のため、六十歳の定年を段階的に六十五歳へと引き上げるとしています。

 六十歳を超える職員の給与を七割に引き下げるとしていますが、政府が給与七割の根拠としている厚労省調査は、再雇用が八割を占めるデータをもとにしています。雇用が継続する定年延長後の給与について、再雇用を参考にするのは、根拠となり得ないのではありませんか。

 きちんとした根拠を示せない給与の切下げは、地方公務員や民間企業の労働者が定年延長した場合、あしき先例になりはしませんか。

 背景には、公務の人員と給与の削減を推進してきた総人件費抑制政策があります。このもとでの定年延長は、給与引下げと新規採用抑制によるいびつな年齢別構成を生み出すことになります。総人件費抑制政策は撤回し、定員管理を柔軟に運用し、必要な定員を確保する仕組みに改めるべきではありませんか。

 また、本法案には、能力や実績に基づいた人事評価を徹底し、給与に適切に反映することを求める附則が盛り込まれました。このような人事評価制度の徹底は、内閣人事局による幹部職員人事の一元管理と相まって、全体の奉仕者としての公務員制度をゆがめ、時の政権にそんたくする公務員を生み出す仕組みになるのではありませんか。

 答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 給付金についてお尋ねがありました。

 十万円の給付金については、昨日、公明党の山口代表からの要請に対して、安倍総理からは、まずは、政府・与党として決定している緊急経済対策を実施するため補正予算を成立させることに全力を挙げ、その後、方向性を持ってよく検討したいと応答したところであり、まさに言葉どおりの意味と承知をしております。

 今回の緊急経済対策と補正予算は、感染拡大を抑え、国民の生活を守るためのものであり、補正予算を提出した後に速やかに成立の上で実施をさせていただきたいと考えております。

 検察官の勤務延長や検察庁法改正についてお尋ねがありました。

 検察官も一般職の国家公務員であり、国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されるとの今回の解釈は、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知をしております。

 そして、黒川検事長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定をされ、引き続き勤務をさせることとしたものであり、閣議決定を撤回する必要はないと考えます。

 また、本法律案は、平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえ、高齢期の職員の豊富な知識、技術、経験等を最大限に活用するため、国家公務員の定年を引き上げることを内容とするものであり、検察庁法の改正部分についても撤回する必要はないと考えます。(拍手)

    〔国務大臣武田良太君登壇〕

国務大臣(武田良太君) 塩川議員からの御質問にお答えをいたします。

 まず、六十歳を超える国家公務員の給与水準について御質問をいただきました。

 今回の法律案においては、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす給与勧告制度を所管する人事院の意見の申出に基づき、当分の間、六十歳を超える職員の年間給与を六十歳前の七割水準に設定することとしております。

 意見の申出に当たり、人事院においては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるため、民間企業における高齢期雇用の実情を考慮して、再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準を踏まえて設定したものと承知をいたしております。

 こうしたことから、きちんとした根拠を示せない給与の切下げ、あしき先例との御指摘は当たらないものと考えております。

 次に、総人件費抑制と定員管理について御質問をいただきました。

 国家公務員の総人件費については、現下の厳しい財政事情に鑑み、国家公務員の総人件費に関する基本方針に基づき、その抑制を引き続き図っていく必要があると考えております。

 定員管理についても、不断の業務の見直しを進める一方で、必要なところには定員を配置し、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対処できる体制の構築を図ることが基本であり、引き続き適切な定員管理を進めてまいります。

 最後に、人事評価について御質問をいただきました。

 今般の定年引上げに際しては、勤務期間が長期化する中で、優秀な職員や若手職員にとって働きがいのある魅力的な職場となるよう、若手時代から定年年齢までを通じて人事評価に基づいた能力・実績主義を徹底することが重要と考えております。

 このことから、客観的で公正な人事評価を行い、職員の能力及び実績をより処遇に的確に反映するため、附則において人事評価の改善に向けた検討を行うことを定めたものであり、公務員制度をゆがめるといった御指摘は当たらないものと考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣     高市 早苗君

       法務大臣     森 まさこ君

       国土交通大臣   赤羽 一嘉君

       国務大臣     北村 誠吾君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     武田 良太君

       国務大臣     西村 康稔君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  西村 明宏君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  近藤 正春君


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