衆議院

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第24号 令和2年5月14日(木曜日)

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令和二年五月十四日(木曜日)

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  令和二年五月十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 復興庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 復興庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、復興庁設置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣田中和徳君。

    〔国務大臣田中和徳君登壇〕

国務大臣(田中和徳君) 復興庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、東日本大震災からの復興を重点的かつ効果的に推進するため、復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針を踏まえ、復興・創生期間後の復興を支える仕組み、組織及び財源について必要な法律上の手当てを行うものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、復興庁設置法について、復興庁の廃止期限を令和十三年三月三十一日まで延長することとしております。

 第二に、東日本大震災復興特別区域法について、復興推進計画及び復興整備計画の作成主体を政令で定める区域の地方公共団体とし、復興推進計画に係る課税の特例等の対象区域を政令で定める区域内の復興産業集積区域とするほか、復興交付金事業計画に係る特別の措置を廃止することとしております。

 第三に、福島復興再生特別措置法について、避難指示・解除区域の復興及び再生を推進するため、新たな住民の移住、定住の促進や交流人口、関係人口の拡大に資する施策を交付金の対象に追加するほか、農地の利用集積や六次産業化施設の整備を促進するための特例措置を設けることとしております。

 また、福島イノベーション・コースト構想の推進を軸とした産業集積を促進するため、同構想の推進に係る課税の特例の規定を設けるとともに、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構の要請に応じ、国の職員をその身分を保有したまま当該機構に派遣できることとしております。

 さらに、風評対策に係る課税の特例の規定を設けることとするほか、現行の政策課題ごとの三つの法定計画を統合し、福島県が地域の実情を踏まえて福島復興再生計画を作成し、これを国が認定する制度を設けることとしております。

 第四に、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び特別会計に関する法律について、復興債の発行期間、政府保有株式の売却収入の復興財源への充当期間等を延長するなど、財源に関する所要の措置を講ずることとしております。

 その他所要の改正を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 復興庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。上杉謙太郎君。

    〔上杉謙太郎君登壇〕

上杉謙太郎君 自民党の上杉謙太郎です。

 私は、与党を代表し、ただいま議題となりました復興庁設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 質問に当たりまして、登壇の機会を賜りましたこと、大変ありがたく、御関係先生方に深く感謝申し上げます。

 まず冒頭、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げます。

 そして、東日本大震災、原発事故から九年、改めて、震災でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げます。

 宮城、岩手、福島の三県を始めとして、被災各地域は復興に向かって歩んでまいりました。

 私ども福島県そして自民党福島県連においては、県連会長を筆頭に、県議会議員、市町村議会議員、そして私ども衆参国会議員が一丸となって、県民皆様の声を集約し、第八次にまでわたる提言をまとめ、復興加速化本部で更に議論を重ね、政府に提言をし、そして今回、この法改正という形で県民の思いを受けとめていただきました。

 そこで、まず初めに、復興大臣にお伺いします。

 復興をなし遂げるために、十年で時限の切れる復興庁を十一年目以降も継続する、これは被災三県の願いであります。そのような形にしていただいたその御趣旨と、さらなる復興への御決意をお聞かせいただければと思います。

 次に、福島特措法の改正についてであります。

 福島県の復興にはまだまだ時間を要します。放射線への正しい理解と、国内そして世界に対しての風評対策、営農再開、農林水産、観光含めて全ての産業力の強化、県外から移住をしてもらう等、本法案は、福島の未来に向けた各種取組を強力に推進し、復興を加速させるものと考えますが、改正のポイントについて、復興大臣にお尋ねいたします。

 続いて、地元経済の復興についてであります。

 県内全域の産業復興も強く進めていただきたいと考えますが、しかし、まさに今、新型コロナウイルスにより、福島のみならず、全国大変な影響が生じております。福島県の地元産業においては、震災、その後の風評、そして去年の台風被害、そしてこのコロナと、ある意味三重苦、四重苦となっている方々もいらっしゃいます。このことも御配慮いただいた上で、原子力災害被災地域の産業復興の具体的な取組方針について、経産大臣に伺わせてください。

 最後の質問は、財源確保であります。

 今回の復興財源確保法及び特別会計法の改正により復興債の発行期間等を五年延長することは、大変重要であります。そこで、新たな復興財源フレームの策定に向けた政府の決意について、復興大臣にお伺いいたします。

 最後に、諸先輩先生方に一言御礼申し上げます。

 震災以降、今まで福島県に心をお寄せいただきまして、本当にありがとうございました。私が申し上げるのも僣越ではありますが、県民を代表して、改めて御礼申し上げたいというふうに思います。

 福島県は、原発の廃炉も四十年以上かかると言われており、復興にはまだまだ時間がかかります。しかしながら、前を向いて、四十年、五十年後の未来に、未来の子供たちに美しい福島を残していかなければなりません。

 だからこそ、今、強い福島を、全国に、世界に誇れる、皆さんにすばらしい、よかったねと言ってもらえる福島県をつくっていく、そのためにこの法案はどうしても必要でございます。早期の成立を切にお願い申し上げて、私の質問といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣田中和徳君登壇〕

国務大臣(田中和徳君) ただいまの上杉謙太郎議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 復興庁の設置期間延長の趣旨及び復興への決意についてお尋ねがございました。

 昨年末に閣議決定をいたしました復興・創生期間後の基本方針においてお示しをいたしましたように、地震、津波被災地域は、復興・創生期間後五年間において復興事業がその役割を全うすることを目指すこととしており、一方、原子力災害被災地域は、中長期的対応が必要であり、当面十年間、本格的な復興再生に向けた取組を行うこととしておるところでございます。

 これらを踏まえ、計画的に復興を推進するため、復興庁の設置期間を十年間延長することとしております。

 復興・創生期間後においても、政治の責任とリーダーシップのもとで東日本大震災からの復興をなし遂げられるよう、現場主義を徹底し、被災地に寄り添いながら、復興に全力で取り組んでまいります。

 福島特措法改正案のポイントについてお尋ねがございました。

 福島特措法の改正案は、避難指示の解除や帰還環境の整備が進む中、福島の本格的な復興再生に向けた取組を加速させるために必要な措置を講じるものであります。

 このため、福島特措法改正案において、帰還の促進に加え、新たな住民の移住、定住の促進や関係人口、交流人口の拡大、農地の利用集積、六次産業化施設の整備促進による営農再開の加速化、福島イノベーション・コースト構想の推進や風評対策に係る課税の特例の創設、海外における風評対策や輸入規制の撤廃、緩和に向けた働きかけの推進、福島県が地域の実情を踏まえて福島復興再生計画を作成し、これを国が認定する制度の新設などを盛り込んだところであります。

 福島の復興再生には中長期的な対応が必要であり、復興・創生期間後も継続して、国が前面に立って取組を進めてまいります。

 復興・創生期間後の新たな復興財源フレームの策定についてお尋ねがございました。

 昨年末の基本方針において、今後五年間の事業規模を一兆円台半ばと見込み、その財源の見通しについてもお示しをしたところであります。

 引き続き、復興の進捗状況や被災自治体の意見等を踏まえ、関係省庁と調整をしつつ、精査を行った上で、本年夏ごろを目途に新たな復興財源フレームを策定する考えであります。

 政府としては、復興・創生期間後においても、必要な復興事業を着実に実施できるよう、責任を持って取り組んでまいります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 上杉議員からの御質問にお答えをいたします。

 原子力災害被災地域の産業復興に向けた今後の具体的な取組方針についてお尋ねがありました。

 ことし三月、福島水素エネルギー研究フィールドが稼働し、福島ロボットテストフィールドが全面開所いたしました。こうした最先端の研究拠点を核に、原子力災害を受けた地域に新たな産業を創出することで、一日も早く産業復興をなし遂げてまいります。

 そのため、本法案に盛り込まれた制度や予算措置等を総動員し、まず、官民合同チームが支援をし、地元企業の事業、なりわいの再建を進めます。また、福島イノベーション・コースト構想を推進し、地元企業の新事業展開や新たな活力の呼び込みを進めます。加えて、域外事業者と地元事業者のマッチングを進め、浜通り地域を中心に、県全域の産業復興を進めます。

 また、福島にも、昨年の台風十九号による被害に加え、新型コロナウイルスの影響が生じています。復興に支障やおくれが生じないよう、官民合同チームと連携をし、しっかりと地元事業者の方々へ緊急経済対策を届け、支援をしてまいります。(拍手)

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議長(大島理森君) 金子恵美君。

    〔金子恵美君登壇〕

金子恵美君 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの金子恵美です。(拍手)

 新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々、御遺族の皆様に謹んで哀悼の意を表しますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 また、現在、医師や看護師、病院スタッフの方々が新型コロナウイルスとの闘いの最前線で懸命に取り組まれており、その御努力に深く敬意と感謝の意を表します。

 冒頭、森法務大臣に質問します。

 先週末から、ハッシュタグ検察庁法改正案に抗議しますというツイートが始まり、現在、約一千万件に迫りました。この改正が行われれば、準司法機関である検察が常に政権の顔色をうかがい、三権分立の危機に瀕すると、多くの国民の皆様が日本の未来を憂いています。

 森法務大臣の委員会出席が拒まれていることから、質疑不能となっています。森法務大臣、みずから委員会に出席すると与党に要望していただけませんか。明確な答弁を求めます。

 また、国民の皆様が最も懸念している定年延長や役おり特例の基準を昨日の内閣委員会で後藤委員が求めた際の答弁が、今は基準がない、施行までに明らかにしたいというものでした。これでは、検察官の定年延長や役おりの特例基準を政府に白紙委任せよと言っているのと同じです。委員会審議において基準を明らかにすることをお約束ください。

 それでは、復興庁設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

 東日本大震災、原発事故発生から、台風被害等を受けながらも十年目に入り、日常の生活や事業の経営を取り戻しつつある中で、新型コロナウイルスの感染拡大は被災地の皆様の心に影を落としました。

 岩手県の沿岸部では、仮設住宅を退去する予定であった方々が、工事のおくれにより、仮設暮らしの延長を余儀なくされました。また、災害公営住宅などに暮らす高齢者の方々は、三密を避けるため交流会などが中止となったことから、さらなる孤立感に苦しむのではないかとの懸念があります。そして、事業者の方々も、経済的に大打撃を受け、大変厳しい状況下に置かれています。観光資源を再生させ、復興に向けて前進してきた地域も大きな影響を受けています。

 復興はまだ道半ばで、引き続き国が一丸となって復興政策を進める必要がある中で、新型コロナウイルスにより苦境に陥っている方々への支援をこれまで以上に強力に推し進めていく必要があると思いますが、政府の今後の対応方針を伺います。

 政府は、被災地の強い要望等を踏まえ、復興庁の設置期間を十年間延長する本法律案を提出しましたが、地震、津波被災地域については、復興・創生期間後五年間で復興事業が役割を全うすることを目指しております。

 一方、関係自治体からは、復興庁の設置期間の延長を評価しつつも、五年間で区切ることに対する不安の声が上がり、政府に対して、柔軟に対応してほしいとの要望が出されました。

 政府は、心のケア等のソフト面での施策についてはさらなる継続に含みを持たせておりますが、五年間で復興事業が役割を全うすることを目指すに至った経緯について、政府の見解を伺います。

 また、東日本大震災の被災地は、震災以前から少子高齢化や人口減少、産業の空洞化等の課題が進行していた地域であり、現在も人口減少に歯どめがかかっておりません。新たな人を呼び込むためには、復興施策を検証しつつ、これまでの枠組みにとらわれない新たなアプローチを行うことが必要であると考えますが、見解を伺います。

 昨年十二月に閣議決定された新基本方針においては、「復興の司令塔として各省庁の縦割りを排し、政治の責任とリーダーシップの下で東日本大震災からの復興を成し遂げるため、復興庁の設置期間を復興・創生期間後十年間延長する。」「復興事業予算の一括要求や地方公共団体からの要望等へのワンストップ対応など、現行の総合調整機能を維持する。」とありますが、そもそも、これまでの復興期間で、復興庁は司令塔としての役割を果たしてきたのでしょうか。被災地のニーズにワンストップで対応してきたのでしょうか。また、それを第三者機関等においてしっかり検証しているのでしょうか。答弁を求めます。

 本法律案においては、附則に、東日本大震災からの復興に関する知見の活用に関する規定が置かれています。政府は、復興庁が蓄積したノウハウを今後起こり得る大災害にどのように活用することを想定しているのでしょうか。また、本法律案の規定によって、そのノウハウを関係行政機関等と共有し活用することがこれまで以上に促進されるのでしょうか。見解を伺います。

 復興特区法において、雇用機会を図るため、従前の災害関係税制にはない税制の特例措置が講じられ、多くの投資が呼び込まれています。本法律案では、復興特区税制の対象地域を見直し、重点化を行う対象地域は政令に委任することとしていますが、被災地のためにも、政府は可能な限り早い段階で重点化地域を示す必要があると考えます。政府の見解を伺います。

 本年三月、特定復興再生拠点区域の一部の避難指示が解除され、初めて帰還困難区域の解除が実現しました。避難指示解除は進められてきているものの、いまだに避難を余儀なくされている多くの方々がおり、ふるさとを取り戻し、真の復興をなし遂げるためには、長い時間がかかります。原子力災害被災地域の復興再生に向けた今後の政府の取組を当面十年間としましたが、被災地の安心につなげるためにも、帰還困難区域における中長期的な具体的な対応方針を被災地を始め国民の皆様に示す必要があると考えます。政府の見解を伺います。

 本法律案は、福島再生加速化交付金の対象に、住民の帰還に向けた生活環境整備等の施策に加え、移住の促進や交流人口、関係人口の拡大等に資する施策を追加するものとしています。この交付金については、福島県及び対象市町村がその地域の特性に即して自主的かつ主体的に事業を実施できるよう十分な予算を確保するとともに、新しい住民の定着につながる魅力的なまちづくり等に資するよう柔軟な執行ができるようにすべきと考えますが、政府の見解を伺います。

 一方、子ども・被災者支援法には、みずからの意思で移動、帰還を行えるよう適切に支援すること、支援の必要性が継続する間は確実に実施することがうたわれていることから、避難指示の解除により一方的に帰還を強制されることはあってはなりません。今回の法改正により、帰還政策に加え、移住政策が推進されたとしても、自主避難者、県外避難者を含めた避難者の最後の一人に至るまで、必要な支援は継続されなければなりません。政府の決意を伺います。

 本法律案では、福島特措法に明記されている三つの計画を統合し、地域の実情を踏まえ、新たに、福島県が作成し、国が認定する福島復興再生計画を創設することとしています。しかし、福島においては、双葉町などようやく復興が始まったばかりの地域もあることから、県が計画を作成しつつも、国が引き続き県を助け、継続して復興にかかわっていく姿勢を示していく必要があります。くれぐれも県に丸投げすることなく、国が前面に立って支援していくことを求めます。また、市町村や住民の意向が計画にうまく反映される体制づくりも進めていく必要がありますが、県が主体となって計画を策定する際の今後の国のかかわり方について、政府の見解を伺います。

 政府は、新基本方針において、復興・創生期間後の復旧復興事業の規模と財源の見込み額を示しました。それによると、復興・創生期間後五年間の復興財源については、復興特別税の上振れ分で賄うことができ、新たな財源は必要ないとしています。しかし、今、世界じゅうで新型コロナウイルスによる経済への深刻な影響が懸念されている状況下で、税収の上振れ分を本当に確保することができるのでしょうか。また、税収の上振れ分を確保できない場合、どこから財源を確保しようとしているのか、政府の見解を伺います。

 現時点で、政府は、中間貯蔵施設費用相当分として、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定から、三十年以内とされる事業期間終了後五年以内にわたり、約一・六兆円を支出する予定となっております。

 本法律案は、エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定から一時的に電源開発促進勘定への繰入れを可能とするとともに、あわせて、将来的に繰入金を電源開発促進勘定からエネルギー需給勘定へ返還するものとしていますが、目的外使用であるとの指摘があります。

 今後、中間貯蔵施設費用が不足することが見込まれることから、このような規定を設けたのでしょうか。本規定の創設の経緯及び今後の適用可能性について、政府に伺います。また、仮に繰入れが行われた場合、将来的な返還は担保されるのでしょうか。見解を伺います。

 東電福島第一原発でふえ続ける放射性物質トリチウムを含む処理水、いわゆるALPS処理水の処分方法について、政府の小委員会は報告書をまとめ、水蒸気放出と海洋放出の二つに絞り込みましたが、処理水を放出する際に予想される風評被害について、具体的な対策は盛り込まれておりません。

 安倍総理は、この夏ごろまでに処分方針決定の可能性を示唆しており、政府は、四月から、決定に向け、地元を始めとした関係者から意見を聴取する会合を開催しております。

 会合は、福島県で二回行われた後、第三回会合はウエブ会議で開催されました。緊急事態宣言が出されている非常事態下で、今、リスクを冒して開催を強行する必要があったのでしょうか。小委員会報告書のお墨つきと時間切れを理由に処理水の処分方法の決定を急いでも、地元は到底納得できるものではありません。

 会合では、福島県漁業協同組合連合会は海洋放出には断固反対し、JA福島中央会は二者択一には反対するなど、農林水産団体の代表者はALPS処理水の放出に反対の立場を明確にしています。本当に二者択一しか選択肢はないのでしょうか。答弁を求めます。

 最終決定に当たっては、農林漁業関係者を始めとする地元の皆様、国民の皆様の理解とさらなる議論が不可欠であります。また、地元の市町村議会の説明会でも、さまざまな懸念が示され、国に万全の対策を求めています。国の責任ある対応が必要であると考えますが、政府の見解を求めます。

 今、猛威を振るう新型コロナウイルスは、世界じゅうの政治や経済を混乱に陥れています。こうした中、慎重な議論が求められる汚染水問題について、コロナ禍に紛れ、拙速に議論を進めようとする政府の姿勢は、断じて許されるものではありません。

 最後に、真摯に被災者の声に耳を傾け、復興・創生期間後においても、被災者の最後の一人まで支援を続けることを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣田中和徳君登壇〕

国務大臣(田中和徳君) ただいまの金子恵美議員のお尋ねにお答えをさせていただきます。

 新型コロナウイルスを踏まえた被災地の支援についてお尋ねがございました。

 新型コロナウイルスについては、被災地における状況把握に努めており、交流会等の被災者支援事業や観光業への影響などの報告を受けております。

 御指摘の交流会等の被災者支援については、現場の実情をよく踏まえながら、自治体、NPO等の関係団体とも連携し、延期や内容の見直しなどに柔軟に対応してまいります。

 また、観光を始めとする経済活動への影響に関しては、先般決定された経済対策、補正予算において、観光の支援策など、被災地にも活用いただける施策が含まれております。

 引き続き、被災地の状況を把握しつつ、関係機関と連携して、復興に万全を期してまいります。

 復興・創生期間後の地震、津波被災地域の事業期間についてお尋ねがございました。

 地震、津波被災地域では、住まいの再建や復興まちづくりがおおむね完了するなど、復興の総仕上げの段階を迎えています。

 こうした状況のもと、昨年十二月の復興・創生期間後の基本方針の策定に当たっては、地震、津波被災地域において、インフラ整備等のハード事業は期間内に完了する見込みであること、災害公営住宅のコミュニティー形成の進捗や、見守り対象世帯が減少傾向にあること、過去の大規模災害での取組の実施期間の例等を踏まえ、期間後五年間で、残された事業に全力で取り組むこととしたところであります。

 また、心のケア等の被災者支援、被災した子供に対する支援について、個別の事情を丁寧に把握し、復興・創生期間後五年以内に終了しないものについては、支援のあり方を検討し、適切に対応することとしています。

 被災地の課題に対する復興施策の検証と新たな施策についてお尋ねがありました。

 復興施策については、昨年には、復興推進委員会のもとに設置されたワーキンググループにおいて、進捗状況の把握や効果検証等の総括を行いました。

 この有識者による総括も踏まえ、昨年末の復興・創生期間後の基本方針では、人口減少等の課題に対し、原子力災害被災地域における移住の促進等の新たな活力を呼び込むための取組のほか、地方創生などの政府全体の施策を活用して総合的に対応する旨を定めたところであります。

 今後も、関係省庁と連携して、持続可能で活力ある地域の創造を目指して取り組んでまいります。

 復興庁の司令塔機能についてお尋ねがございました。

 復興庁は、復興施策に関する総合調整を担っており、例えば、私のもとに、関係省庁から成る風評被害の影響への対策タスクフォースを設け、国内外の風評払拭に取り組んでいます。

 また、復興庁は、被災地の御要望にワンストップ窓口として対応しており、被災自治体から、こうした役割を継承してほしいとの御要望をいただくなど、評価されているところであります。

 復興庁の司令塔機能を維持し、設置期間を延長することについては、組織を存続し、総合調整機能を維持すべきとの被災自治体の御意見や、有識者等による復興推進委員会での議論などを踏まえ、今回の法案をお諮りすることとしたところであります。

 復興に係るノウハウの活用のあり方及び本法案の規定を通じた活用促進についてお尋ねがございました。

 これまでの東日本大震災からの復興の取組により、復興庁には、生活再建のステージに応じた被災者支援を始め、さまざまなノウハウが蓄積しております。

 こうしたノウハウの全国への発信などを通じて、積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。

 また、お尋ねの本法案の規定は、政府においてノウハウを積極的に活用すべきことを明示するために設けたものでございます。

 これにより、関係行政機関等とのノウハウの共有、活用を一層進め、復興のさらなる推進を図るとともに、近年の多発する大規模災害に対する防災力の向上にも寄与してまいりたいと考えております。

 復興特区税制の対象地域の見直しについてお尋ねがございました。

 復興特区税制は、これまで、地震、津波等により直接の被害が生じた沿岸地域に加えて、当該地域から通勤圏、取引関係にある内陸地域も対象としていたところであります。

 今後は、内陸地域に比べ復興がおくれている沿岸地域の産業復興を重点的に進める観点から、今般、対象を沿岸地域に重点化することとしております。

 具体の対象地域については、震災前と比べた人口数など、復興の進捗状況に関する幾つかの指標や被災自治体からの要望等も踏まえつつ、引き続き鋭意検討を進めてまいります。

 帰還困難区域における中長期的な対応方針についてお尋ねがございました。

 帰還困難区域については、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意であります。

 まずは、帰還困難区域において認定された特定復興再生拠点区域の整備を着実に進めていくことが重要と考えております。

 特定復興再生拠点区域外の帰還困難区域については、それぞれの地域の実情や自治体の要望等を踏まえ、関係省庁とも連携して、今後の政策の方向性について検討してまいります。

 福島再生加速化交付金の拡充についてお尋ねがございました。

 住民の帰還状況や今後の帰還意向、地元の御要望を踏まえると、復興を支える新たな活力を呼び込む施策にも力を入れる必要がございます。

 そのため、福島特措法の改正案においては、交付金の対象として、新たな住民の移住、定住の促進や交流人口、関係人口の拡大に資する事業を追加しております。

 本事業については、地元からも、使い勝手の面での柔軟性の確保や十分な予算の確保について御要望をいただいております。

 本事業の具体的なあり方については、このような地元からの御要望や議員の御指摘を踏まえつつ、本年夏の予算要求に向けて検討を進めてまいります。

 避難者への継続した支援についてお尋ねがありました。

 自主避難者を含む避難者への支援について、復興庁としては、復興公営住宅等の整備を進めるとともに、住宅、生活再建に関する相談への支援などに取り組んできています。

 また、戻りたいと希望される方の思いがかなうように、医療、介護、買物環境、教育、なりわいの再生など、避難指示解除地域における生活環境整備をしっかりと支援しているところであります。

 避難先で過ごす方に対しては、生活の再建や安定に向けた相談対応や交流会などの取組をしっかりと支援しているところであります。

 今後とも、被災者の方々の声に耳を傾けながら、できる限りの支援を行ってまいります。

 福島復興再生計画の作成についてお尋ねがございました。

 福島県が地域の実情を踏まえて計画を作成することが、地域の独自性や潜在力を生かした施策を実施する上で効果的であるため、県が計画を作成し、国がこれをしっかりと認定する仕組みを新設したところでございます。

 また、同計画は国が策定する福島復興再生基本方針に即して作成することとしており、本法案の成立後、国においても基本方針を改定し、必要な方向性を示してまいります。

 この基本方針の策定に当たっては、福島県及び関係市町村の意見をお聞きした上で定めることが規定されております。

 さらに、福島復興再生計画の実施に必要な予算や税制、規制の特例については国が措置することとしており、引き続き国が前面に立って取り組んでまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 金子議員からの御質問にお答えをいたします。

 エネルギー対策特別会計についてお尋ねがありました。

 今般の措置は、福島の復興再生のために行っている施策の安定的な財源の確保に万全を期すため、財政状況が逼迫している電源開発促進勘定にエネルギー需給勘定から繰入れを可能とするものであります。

 現時点において、具体的な繰入れを想定しているわけではありませんが、繰り入れた金額については、法律上、繰り戻さなければならないことを明記しており、将来的な返還は担保されているものと考えております。

 ALPS処理水についてお尋ねがありました。

 本年二月に公表されました小委員会の報告書を踏まえ、その取扱いについて、しっかりと検討を進めていくべきと考えております。

 現在、地元を始めとした関係者から御意見をお伺いしているところであります。今後も、更に幅広い関係者の御意見をお伺いし、風評被害対策を含めて、政府として責任を持って結論を出してまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 金子議員からは、復興財源について、一点お尋ねがあっております。

 昨年十二月に閣議決定いたしました復興・創生期間後の基本方針では、平成二十三年度から令和七年度までの十五年間、事業規模三十二兆円台後半に対して、その財源についても、税収の上振れ等を踏まえれば三十二兆円台後半と見込まれたことから、事業規模と財源がおおむね見合うとしたものであります。

 このうち、財源につきましては、令和十九年度までの長期にわたる税収のほか、政府保有株式の売却収入などを見込んだものであり、短期的な税収の変動のみによって大きな影響を受けるものとは考えておりません。

 いずれにしても、復興・創生期間後の五年間の事業規模及び財源につきましては、この夏を目途に、これまでの予算の執行状況等を踏まえて、精査をさせていただいた上でお示しすることといたしており、必要な復旧復興事業が確実に実施されるように対応してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 検察庁法改正法案についてお尋ねがありました。

 今般の検察庁法改正法案は、一般職の国家公務員の定年の引上げに合わせて、検察官についても定年を六十五歳まで段階的に引き上げるとともに、役職定年制及びその特例と同様の制度を導入するなどするものであります。

 特例の判断は、他の国家公務員と同様に、検察官についてもその任命権者が行うとするにすぎず、同改正法案は、検察官の独立性を害するものではなく、三権分立に反するものでもありません。

 現行国家公務員法の勤務延長の要件は、改正法によっても緩められておらず、また、役職定年制の特例の要件も、勤務延長と同様の要件が定められており、これらの具体的な要件は人事院規則において適切に定められるものと承知しております。

 検察官の勤務延長や役おり特例が認められる要件についても、改正国家公務員法と比しても緩められておらず、かつ、これらの要件をより具体的に定める内閣が定める事由等についても、新たな人事院規則の規定に準じて定めます。

 そのため、白紙委任との御批判は当たりません。

 国会の審議の進め方については国会において決定される事柄ですので、国会からのお求めがあれば出席しますし、副大臣、政務官においても、答弁を尽くしてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、復興庁設置法等の一部改正案について質問します。(拍手)

 冒頭、コロナウイルス感染で亡くなった方々、闘病中の方々に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 本日、全国を対象にした緊急事態宣言を、一部地域を残して解除すると聞いています。

 そもそも、政府は、未知のウイルスである新型コロナウイルスに対して楽観的な説明を繰り返してきました。検査を絞ってきたことで正確な感染の実態がつかめなかったこと、時々の政府の判断が国民を混乱させ、深刻な被害にもつながったと言えませんか。きちんと修正する勇気も必要です。

 二次補正が急がれます。その際、この間の災害で被災した中小企業・業者は、もともと売上げが落ち込んでいて条件に合わないとか、滞納を理由に融資を断られることがあります。特別な配慮が必要ではありませんか。

 東日本大震災から九年余がたちました。インフラ整備は一定のめどがついても、被災者は十年で区切りをつけることはできません。一生被災者だという声をどう受けとめますか。復興庁の設置期間を延長するのは当然ですが、被災者にとっての復興をどう考えているのか伺います。

 復興公営住宅は、復興交付金によって、十年間の特別家賃低減事業が行われています。今年度末で復興交付金は廃止されるといいます。まだ復興公営住宅の供用開始から五年かそれ未満。どうなるのか。少なくとも開始から十年は今のスキームと同じだとお答えください。

 一方、公営住宅の収入基準を超えるため、退去を余儀なくされた方たちがいます。中には、同居の子供が働き始めたことで、家賃が大幅に上がった方もいます。こうした世帯は地域の大切な担い手です。陸前高田市が行っているみなし特定公共賃貸住宅のように、住み続けられる支援を行うべきではありませんか。

 次に、原発被災地の問題です。

 ことし三月、双葉町の帰還困難区域の一部が初めて解除され、これで全町避難はなくなりました。政府は、たとえ長い年月を要しても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除すると繰り返してきました。そのために全域の除染を終えるのはいつなのか、お答えください。

 三月末で、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村の仮設住宅の無償提供が終了しました。もとの住居が帰還困難区域のままの人もいるのに、見切り発車は断じて許されません。国は最後まで住まい確保に責任を果たすべきです。

 トリチウム等汚染水の処分について、海洋放出が現実味を帯びてきました。政府の小委員会報告では、汚染水の処分も廃炉の一環であるとしています。第一原発の廃止措置終了までは三十年から四十年といいますが、廃炉の後の処分先も決まっていない中、四十年もゴールではありません。結論を急ぐ必要はないのです。幅広く意見を聞き、研究の進捗を見て、当面は現地保管をすべきではありませんか。

 法案では、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構へ国の職員を派遣できるとし、税制特例も設けて推進を図ります。

 県民の八割以上が同構想を知らないと答えています。国、県合わせて三千二百億円もの税金が投入される、呼び込み型の巨大開発が県民にどのように還元されるのか、お答えください。

 さらに、中間貯蔵施設費用などを拠出する電源開発促進勘定にエネルギー需給勘定からの繰入れを可能としました。中間貯蔵に係る費用は約一兆六千億円、国が年四百七十億円を最大三十五年間も資金交付すると閣議決定しました。今回は、その財源が逼迫したからと、別勘定から繰り入れるというものです。その原資は電気料金に転嫁するのですか。どこまでも東電救済ありきであり、到底認められません。

 国は、原発事故によるふるさとの喪失を認めた仙台高裁判決を受け、今こそ東電の責任を全うさせるべきです。

 終わりに、昨日、原子力規制委員会が、青森県六ケ所村の再処理工場の安全審査で、事実上の合格を決めました。核燃料サイクルは、危険なプルトニウムと行き場のない核のごみを生み出す悪魔のサイクルというべきものです。既に破綻した核燃料サイクルはやめ、原発推進政策を転換することを求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 高橋千鶴子議員より、新型コロナウイルス感染症に対する政府の判断についてお尋ねがございました。

 政府といたしましては、強い危機感のもと、経験したことのないこのウイルスの感染拡大リスクを十分に認識し、専門家の御意見も伺いながら、丁寧な説明に努めてまいりました。楽観的な説明を繰り返してきたとの御指摘は当たりません。

 PCR検査につきましては、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けられることが重要であり、我が国におきましては、検査資源を重症化のおそれがある方に集中させ、国民の命を守り抜いてきました。そうした中でも、検査陽性率は主要各国よりも十分に低く、潜在的な感染者をより捕捉できていないわけではありません。

 イタリアなどでは、オーバーシュートが発生してからロックダウンを実施しましたが、日本では、オーバーシュートの軌道に乗る前に専門家の御意見を聞いて緊急事態宣言を発出し、最低七割、極力八割の接触機会低減の取組など、国民の皆様と一体となって取り組んでまいりました。

 こうした取組の結果、現在、事態は収束への道筋に乗っていると考えております。引き続き、気を緩めることなく、感染拡大の防止に万全を期しつつ、社会経済の活動を段階的に引き上げていくことで、国民の皆様の命と暮らしの双方を全力で守ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣田中和徳君登壇〕

国務大臣(田中和徳君) 高橋千鶴子議員のお尋ねの件にお答えをいたします。

 被災者にとっての復興についてお尋ねがございました。

 東日本大震災からの復興においては、住まいの再建やまちづくりとあわせて、被災された方々にとっては、生活の再建、心身のケア、コミュニティー形成、生きがいづくりなどが重要と認識をしているところであります。

 こうした観点から、復興のステージに応じ、切れ目のないきめ細かな対応に取り組んでまいりました。

 復興・創生期間後も、年末に閣議決定をいたしました基本方針に基づき、心のケア等の被災者支援など必要な施策を継続することとしており、引き続き、被災された方々に寄り添いながら、関係省庁、被災自治体、関係団体とも連携し、取り組んでまいります。

 災害公営住宅の特別家賃低減事業についてお尋ねがありました。

 東日本大震災の地震、津波被災地域における災害公営住宅の特別家賃低減事業については、昨年十二月に閣議決定いたしました復興の基本方針において、引き続き支援するとされております。

 その際、各被災地方公共団体の災害公営住宅に係る今後の財政運営状況、過去の大規模災害における取組事例、国と地方の適切な役割分担、管理開始時期が異なる被災地方公共団体間の公平性等を踏まえながら、適切に支援水準の見直しを行うこととされております。

 復興庁では、基本方針に示されたこのような考え方に基づいた検討を国交省とともに現在進めているところであります。

 災害公営住宅の入居収入基準についてお尋ねがございました。

 災害公営住宅の入居収入基準や家賃については、地域の実情に応じて各自治体が一定の範囲内で条例で柔軟に設定することが可能な仕組みとなっております。

 また、自治体の判断により、災害公営住宅の一部をみなし特定公共賃貸住宅として活用し、公営住宅の入居収入基準を超える収入がある世帯の入居を可能にする方法もございます。

 入居者の居住の安定が図られるよう、各自治体において、地域の実情を踏まえ、適切に対応されていると認識をしておるところでございます。

 帰還困難区域の除染についてお尋ねがございました。

 帰還困難区域については、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意のもと、まずは特定復興再生拠点区域の整備を進めてまいります。

 特定復興再生拠点区域外の帰還困難区域については、それぞれの地域の実情や自治体の要望等をしっかりと踏まえ、関係省庁と連携して、今後の政策の方向性について検討してまいります。

 応急仮設住宅の供与終了についてお尋ねがありました。

 応急仮設住宅の供与の終了は、市町村の意向や復興公営住宅の整備状況などを踏まえ、福島県が適切に判断し、内閣府への協議を経て決定されたものでございます。

 応急仮設住宅は仮の住まいであり、帰還困難区域であるか否かにかかわらず、なるべく早期に恒久住宅に移転していただくことが望ましいと認識をいたしております。

 復興庁としては、今後とも、県や市町村と連携して、被災者の方々の生活再建に全力で取り組んでまいります。

 福島イノベーション・コースト構想の県民への還元についてお尋ねがございました。

 福島イノベーション・コースト構想は、福島浜通り地域に新たな産業基盤を構築し、自立的、持続的な産業発展を目指す、福島復興の切り札でございます。

 この三月に福島ロボットテストフィールドや福島水素エネルギー研究フィールドが全面開所するなど、拠点整備が進み、実用化開発の推進や企業誘致等の実績も上げてきております。

 さらに、経済産業省、福島県とともに昨年十二月に取りまとめた、同構想を基軸とした産業発展の青写真の中では、幅広い業種において、地域的な産業の集積を図り、経済効果が浜通り地域等において着実に広がった上で、県全体にも波及することを目指すことといたしております。

 こうした取組を通じ、浜通り地域等が、あらゆるチャレンジが可能であり、地域の企業が主役となって、構想を支える人材育成が進む、先導的な地域となり、産業が集積し、自立的、持続的な経済発展につなげていくことを目指しておるところでございます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) まず最初に、先ほど金子議員からALPS処理水についてのお尋ねがありました。これに対しての答弁をさせていただきます。

 本年二月に公表された小委員会の報告書を踏まえ、その取扱いについて引き続き検討を進めていくべきと考えております。

 現在、地元を始めとした関係者から御意見をお伺いしているところです。今後も、更に幅広い関係者の御意見をお伺いし、風評被害対策を含めて、政府として責任を持って結論を出してまいります。

 高橋議員からの御質問にお答えをいたします。

 中小企業への融資についてお尋ねがありました。

 経済産業省としては、関係省庁と連携しつつ、政府系金融機関等に対し、融資・保証審査に際して、赤字や債務超過、貸出条件の変更、税金の滞納といった形式的な事象のみで判断するのではなく、事業者の実情に応じて最大限の配慮を行うよう、累次にわたって要請をしているところであります。

 政府系金融機関等においてこうした要請の趣旨が徹底されるよう、引き続きしっかりと指導してまいります。

 ALPS処理水の処分についてお尋ねがありました。

 福島の復興は経済産業省の最重要課題であり、そのためには、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉、汚染水対策を着実に進めていくことが必要です。引き続き、三十年から四十年後の廃止措置終了を目指し、国が前面に立って、安全かつ着実に作業を進めてまいります。

 ALPS処理水については、本年二月に公表された小委員会の報告書を踏まえ、引き続きしっかりと検討を進めていくべきと考えております。今後、更に幅広い関係者から御意見をお伺いしながら、政府として、ALPS処理水の取扱いについて、責任を持って結論を出してまいります。

 エネルギー対策特別会計についてお尋ねがありました。

 今般の措置は、国として行う福島の復興再生に関する施策の財源確保に万全を期すために一時的な融通を可能とするものであり、これにより電気料金に影響を与えるものではなく、東電救済との御指摘も当たりません。

 東京電力の賠償責任についてお尋ねがありました。

 東京電力の賠償責任については、東京電力が基本的考え方としてみずから掲げた「三つの誓い」の原点に立ち返って、被災者に寄り添い、迅速かつ適切な賠償を行うよう、東京電力を指導してまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       法務大臣    森 まさこ君

       経済産業大臣  梶山 弘志君

       国務大臣    田中 和徳君

       国務大臣    西村 康稔君

 出席副大臣

       復興副大臣   菅家 一郎君


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