衆議院

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第31号 令和2年6月8日(月曜日)

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令和二年六月八日(月曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十一号

  令和二年六月八日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説

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本日の会議に付した案件

 麻生財務大臣の財政についての演説及びこれに対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説

議長(大島理森君) 財務大臣から財政について発言を求められております。これを許します。財務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 今般、コロナウイルス感染症に対応し必要な財政措置を講ずるため、令和二年度第二次補正予算を提出することといたしております。その御審議をお願いするに当たり、第二次補正予算の大要について御説明申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、内外経済に甚大な影響をもたらしております。今後とも、感染拡大の防止の取組を進めつつ、社会経済の活動レベルを引き上げていくことになりますが、完全な日常を取り戻すまでには時間を要することが想定をされております。

 こうした中、引き続き、困難な状況にある国民、事業者の方々をしっかりと支え、雇用と事業と生活を守り抜くとともに、次なる流行のおそれに万全の備えを固めていかなければならないと存じます。このような考えに基づき、令和二年度第一次補正予算を強化するため、財政支出約七十三兆円、事業規模約百十七兆円の令和二年度第二次補正予算を編成いたしております。

 主な対応策として、第一に、雇用調整助成金の拡充等と家賃支援給付金の創設により、人件費と家賃という固定費への支援を抜本的に強化いたします。

 第二に、実質無利子無担保融資等の大幅拡充に加え、資本性資金の供給等を行い、企業等の資金繰り対応に万全を期してまいります。

 第三に、地方自治体向けに、医療、介護等の交付金と臨時交付金を追加することにより、その取組を国として全力で支援いたします。

 第四に、今後の長期戦を見据え、状況の変化に応じた臨機応変な対応ができるよう、新型コロナウイルス感染症対策予備費を更に積み増し、今後の対応に万全を期すことといたします。

 次に、令和二年度第二次補正予算の大要について申し述べます。

 一般会計につきましては、総額で約三十一兆九千百億円の歳出追加を行うことといたしております。

 その内容としては、新型コロナウイルス感染症対策経費として、雇用調整助成金の拡充等に係る経費に約四千五百億円、資金繰り対応の強化に係る経費に約十一兆六千四百億円、家賃支援給付金の創設に係る経費に約二兆二百億円、医療提供体制等の強化に係る経費に約二兆九千九百億円、その他の支援に係る経費に約四兆七千百億円、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円計上するとともに、国債整理基金特別会計への繰入として約一千億円を計上いたしております。

 その財源面につきましては、歳出において、議員歳費を約二十億円減額いたしております。また、歳入において、建設公債を約九兆三千億円、特例公債を約二十二兆六千百億円発行することといたします。

 この結果、令和二年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対して歳入歳出ともに約三十一兆九千百億円増加し、約百六十兆二千六百億円となります。

 また、特別会計予算等につきましても、所要の補正を行っております。

 財政投融資計画につきましては、実質無利子無担保融資等の大幅拡充に加え、資本性資金の供給等を行い、企業等の資金繰り対応に万全を期すため、約三十九兆四千三百億円を追加いたしております。

 なお、新型コロナウイルス感染症対策予備費の十兆円の追加につきましては、まず、第二波、第三波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合には、少なくとも五兆円程度の予算が必要になると考えているところであります。

 その内容につきましては、ある程度の幅をもってみる必要はありますが、第一に、雇用調整助成金など、雇用維持や生活支援の観点から一兆円程度、第二に、持続化給付金や家賃支援給付金など、事業継続の観点から二兆円程度、第三に、地方自治体向けの医療、介護等の交付金など、医療提供体制等の強化の観点から二兆円程度が必要になるのではないかと考えております。

 その上で、今後の長期戦の中では、事態がどのように進展するかにつきまして、予見し難いところが大きいと考えております。このため、どのような事態が起こったとしても、迅速かつ十分に対応できるよう、万全を期すため、更に五兆円程度の予備費を確保することとしたものであります。

 この予備費の使用につきましては、適時適切に国会に御報告を申し上げます。

 以上、令和二年度第二次補正予算の大要について御説明をさせていただきました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(大島理森君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。大西健介君。

    〔大西健介君登壇〕

大西健介君 国民民主党の大西健介です。

 私は、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表して、ただいまの財政演説に対して質問をいたします。(拍手)

 冒頭、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、罹患された方々に心よりお見舞いを申し上げます。そして、昼夜を問わず対応されている医療関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。

 また、横田めぐみさんの父、滋さんがお亡くなりになりました。さぞ無念だったと思います。心よりお悔やみを申し上げますとともに、拉致問題解決に向けて、国会も力を合わせて取り組むことを皆さんと誓い合いたいと思います。

 さて、一次補正予算が成立をして既に一月以上がたちました。まず申し上げなければならないのは、遅過ぎます。総理は、よく、スピード感を持ってという言葉を使いますが、国民が求めているのはスピード感ではなくてスピードです。やってる感ではなくて実際の成果です。

 納税通知書は届いていても、アベノマスクも十万円の特別定額給付金も、いまだ国民の皆様に行き渡っていません。私の地元では、先週になってようやくアベノマスクが届き始めましたが、既に店頭には使い捨てマスクが並ぶようになり、不要な布マスクを回収している団体には全国から寄贈が殺到しています。

 政府は、当初、五月中に配布を完了すると言っていましたが、全戸配布が完了するのはいつになるのか、また、配布がおくれたことで、意味がない、税金の無駄遣いだと言われていることを総理はどう思いますか。

 総理は、十万円の特別定額給付金についても、当初、五月中の支給を目指すと考えを示されていましたが、支給開始が六月以降にずれ込む自治体も出てきています。現時点で総世帯の何%に給付済みになっているのかを教えてください。

 また、定額給付金については、マイナンバーを使いオンライン申請すれば迅速に支給できるとしていましたが、郵送による申請の方が早く受け取れるという本末転倒な事態まで起きています。準備が整わない中でオンライン申請を推奨した結果、現場が混乱し、自治体の事務の負担増になったことを総理はどう考えているか、お聞きをいたします。

 緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルスとの闘いは長期戦の様相を呈しています。十万円ではとても足りず、もう一度十万円を支給してほしいという声がありますが、総理の考えを伺います。

 今回の二次補正の内容を見ると、雇用調整助成金の拡充、家賃支援、一人親世帯への支援、地方創生臨時交付金の拡充、予備費を活用した学生支援、医療従事者等への慰労金の支給など、我々が先んじて提案をしてきたことが盛り込まれていることは一定評価したいと思います。

 一方で、そのほとんどは一次補正の審議の際に既に野党が言っていたことであり、後手後手の対応と言わざるを得ません。

 野党の強い求めで、雇用調整助成金の日額上限が一万五千円に引き上げられました。この点、事業主の中には、日額上限の引上げを待って、申請手続を控える動きがあります。上限引上げは四月一日以降の賃金締切り期間中の休業に適用されますが、既に支給申請や支給決定をしている場合に、差額の追加支給を受けることができるのか、また、その際、申請書の再提出や追加の書類の提出を求めるなど余計な負担をかけることがないよう配慮すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 リーマン・ショックのときには比較的労務管理をしっかりしている製造業が多かったのに対し、今回は飲食など小規模の事業者が多いことが雇用調整助成金の申請が進まない理由の一つになっています。

 今回、休業手当をもらえない場合にも中小企業の労働者の申請により支給される新たな支援金ができたことは画期的です。

 ただし、雇用調整助成金の申請が煩雑で、社会保険労務士の助けをかりなければ申請が難しいのに対して、休業証明をハローワークに提出すれば簡単に支援を受けることができることになれば、休業手当を払わない会社が出てくるおそれがあります。また、雇用保険に加入させなくても新たな制度で救済されるということになれば、モラルハザードが起きることを懸念しますが、総理の見解を求めます。

 リーマン・ショックでは、製造業を中心に派遣切りが相次ぎ、多くの人々が仕事を失いました。今回は、飲食や宿泊など幅広い職種が影響を受けており、約百四十四万人と言われる派遣社員の二割から三割は三カ月ごとの契約更新になっているため、七月以降の契約が継続されないおそれがあります。総理は非正規の雇用への影響、失業者の数がどの程度まで膨らむと予測しているのか、お答えください。

 また、派遣労働者の中には失業給付を受けられない者もおり、派遣切りに遭った労働者など非正規も幅広く休業扱いにして、新たな休業支援金の対象とすべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 関連して、総理は、全世代型社会保障検討会議で、中小・小規模事業者が置かれた状況を考慮して、最低賃金引上げに慎重な姿勢を示しました。

 経営者の厳しさは私もよくわかります。一方で、我が国の最低賃金の絶対額は、二千時間働いても二百万円に満たないという、先進国でも最も低い水準にあり、経済が厳しい状況にあるからこそセーフティーネットの強化が必要です。

 いずれにしろ、最低賃金の改定は、審議会の答申を経て、各地域の公労使による審議に委ねられており、総理が頭ごなしに、上げる環境にないと言うのは不見識と考えますが、総理の見解を求めます。

 家賃支援については、野党は、公的金融機関が家賃を肩がわりし、支払いを猶予した上で減免する法案を一月以上前に国会に提出をしています。これに対して、二次補正の家賃支援給付金は、テナント、借り主に対して給付をする制度であり、これだと、テナントは、給付を受けても、オーナー、貸し主に家賃を支払わずに別の用途に給付金を使うおそれがあると思いますが、総理の答弁を求めます。

 持続化給付金については、これも野党の指摘を受けて、ことしの新規創業者や雑収入として確定申告をしていたフリーランス等へ対象を拡充することになりました。一方で、多くの事業者から、五〇%売上げ減の会社は既に潰れている、もともと利益率が低い業種では売上げが三〇%減でも相当きつい、こういった声を多くいただいています。この点、例えば、三〇%以上減ならば上限額二百万円の半分を支給するなど、支給要件を緩和してほしいという要望がありますが、総理の見解を求めます。

 持続化給付金については、手続業務がサービスデザイン推進協議会に七百六十九億円で委託されていますが、二次補正で更に八百五十億円を積み増される見込みであります。協議会は、二十億円を中抜きして、受注金額の九七%を広告大手の電通に再委託しています。

 協議会は、理事は全員非常勤、社員二十一人で、法に定められた決算公告も行っておらず、事務所を訪ねても人影もなく、トンネル法人の疑いがあります。

 また、経産省は競争入札の公示前に協議会側からヒアリングを行っており、最初から協議会ありきだった疑いがあり、入札も不透明です。

 総理は、再委託や契約の手続に一点の曇りもないと言えますか。また、税金の無駄遣いはやめて、一円でも多く、苦しんでいる事業者への給付に回すべきと思いませんか。総理の見解を求めます。

 過去、行政委託型公益法人の改革や随意契約の競争性、透明性の確保が問題になった際、契約金額の相当部分が再委託先に支払われる場合は、不適切であり、再委託比率の上限を設定すべきとの指摘が行われています。再発防止のために、再委託比率の上限を設定することを提案したいと思いますが、総理の答弁を求めます。

 同様に、ゴー・トゥー・キャンペーンでは総事業費の約二割を占める最大三千九十五億円もの多額の事務委託費が計上されており、ネット上では、強盗キャンペーンだとやゆされています。

 政府は、公募を一旦中止して、見直すことを表明しましたが、そのためキャンペーンの開始はおくれる見込みです。

 他方で、赤羽大臣は、異例の金額であることを認めた上で、可能な限り圧縮すると答弁していますが、事務委託費を圧縮することで間違いないのか、総理に確認をします。

 一次補正のときには、緊急事態宣言による外出自粛や休業要請が行われており、ゴー・トゥー・キャンペーンを行う局面ではありませんでしたが、むしろ二次補正にはもっと消費喚起策を盛り込むべきです。例えば、五月の国内自動車販売は、前年同月比四四・九%減で、台数も過去最低となりました。自動車産業は、全就業人口の約一割に当たる人が働き、裾野が広い産業です。自動車関連諸税の減免等の購入支援を検討すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 また、最近では、満員電車を避けて車通勤する人や、テレワークで自動車をワークスペースに利用する人がふえています。給与所得者であっても車検費用やガソリン代を経費化できる仕組みを検討すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 さらに、通勤、物流、観光など移動のコストを下げるため、鉄道、飛行機など他の交通機関にも配慮しつつ、高速道路料金の引下げを検討すべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 二次補正は、遅過ぎると同時に少な過ぎます。民間のエコノミストによる四月―六月期のGDP成長率の予測は、年率換算でマイナス二一%というすさまじい落ち込みになっています。二次補正は、事業規模で百十七兆円と言っていますが、国の財政支出は三十二兆円にすぎず、しかも、うち十兆円は予備費です。

 前例のない十兆円もの巨額の予算の使途について、国会審議を経る必要がない形で白紙委任することは、議会の自殺行為です。

 野党の求めにより、うち五兆円について、その内訳を一定程度明示することとしたことは大きな成果です。しかし、残る五兆円がばらまきのためのつかみ金になる疑念はなお消えません。また、予備費使用については適宜適切に国会に報告することになっていますが、国会への報告は事前という理解でよいのか、また、国会閉会中はどうなるのか、総理の答弁を求めます。

 感染状況の変化に臨機応変に対応する必要は一定理解するものの、白紙委任できない理由の一つは、安倍政権が信頼できないからです。

 SNSでは、芸能人らを始めとして、検察庁法改正に反対する投稿が七百万件を超えました。安倍政権は、総理大臣を逮捕することができる準司法官である検察官の人事に介入し、政権に近い黒川氏を、法律の解釈まで変えて、過去に例のない勤務延長をさせることで検事総長にしようとした疑いが持たれています。

 そして、コロナ禍の混乱に乗じて、勤務延長を後づけで正当化する法改正を強行しようとしたこと、また、緊急事態宣言のさなか、かけマージャンを行った黒川氏への軽過ぎる処分に対して、国民の不信感は頂点に達しています。

 賭博により検察の権威を傷つけた人物を、余人をもってかえがたいと勤務延長させた責任を総理はどう感じているのか、お答えください。

 検察当局は、国会閉会を待って、河井克行元法相と妻のあんり議員を公職選挙法違反、買収容疑で立件する方針と言われています。また、買収の原資となった一億五千万円の選挙資金に関し、自民党本部関係者が事情聴取を受けています。

 第二次安倍政権では、河井法相を含め十人の閣僚が辞任をしており、そのたびに、総理は、任命責任は私にあると言ってきましたが、一度もその責任をとったことはありません。河井元法相が立件された場合に、総理はどう責任をとるのか、お答えください。

 最後に、外交について質問します。

 国際社会が新型コロナウイルス感染症の対応に追われる中、中国の全人代で、香港での反体制的な言動を取り締まる、国家安全法制の導入が決まりました。一国二制度のもとでの自由で開かれた体制の危機に憂慮が広がっており、米英など四カ国が共同声明を発表しました。この問題について、総理の見解を求めます。

 また、コロナ対応に追われる日本のすきを突いて、中国公船による尖閣周辺での領海侵入や日本漁船の追尾が多発しており、断じて許すことができません。強く抗議すべきと考えますが、総理の見解を求めます。

 ポストコロナの世界では、社会経済のあり方が大きく変質する可能性があります。テレワーク、オンライン授業、遠隔診療などデジタル化の推進、地方分権など、我々はこの国のあり方を見直す転換期にあり、国会は、今こそポストコロナの新たな社会像について議論すべきです。

 東日本大震災のときには、国会の会期を大幅に延長し、補正予算は四次まで編成しました。コロナショックは、リーマン・ショックをはるかに上回り、二次補正だけではとても対応し切れません。また、現在も東京や北九州で感染確認が続き、秋以降のインフルエンザの流行と第二波が重なることに備えて、医療提供体制の強化は急務です。

 このまま国会を閉じることは、立法府として責任放棄であり、国民に対する背信行為であることを与野党の同僚議員の皆様に訴えて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 大西議員にお答えいたします。

 布マスクの配布についてお尋ねがありました。

 今後の新しい生活様式の定着を図っていく上で、国民の皆様には外出時のマスク着用をお願いしておりますが、仮に国民全員が毎日使い捨てマスクを利用するとなると、その需要は月三十億枚を超えることとなります。

 供給面では、これまで、国内増産に加え、輸入増加にも取り組んだ結果、先月は月八億枚を超える供給を確保しましたが、医療機関向けのサージカルマスクを優先的に供給していることも踏まえれば、需要拡大に見合う十分な供給量を確保するためには、引き続き厳しい状況が続いていると考えております。

 こうした中で、洗うことで再利用可能な布マスクは、そうした需要の増大を抑え、需給バランスを回復することに大きな効果が期待できると考えます。

 御指摘の全戸配布については、一億二千万枚を上回るマスクの製造や、こん包、配送作業に携わる多くの皆さんがこの危機に際して力を尽くしてくださっておりますが、検品を強化したことなどにより配布が想定よりおくれています。今月中旬までの完了を目指し、一日も早く国民の皆様のお手元にお届けできるよう、引き続き取り組んでまいります。

 特別定額給付金についてお尋ねがありました。

 特別定額給付金については、早い地方団体においては五月中のできるだけ早い時期に給付を開始していただくこととなるよう、実施に当たる地方団体や関係機関の方々と協力し、全力で取り組んできたところです。地方団体からの報告によりますと、五月中には九九・九%の地方団体で実際の給付が始まり、六月三日時点で、総世帯数の約二一%の世帯で給付済みとなっていると承知しています。平成二十年度の定額給付金と比較しても、格段に早く給付が行われている状況にあります。

 また、オンライン申請で行うことで郵送申請よりも早く給付を開始した地方団体が多く、早期の給付開始に寄与していると受けとめています。

 オンライン申請については、内閣府、総務省において、申請者の入力誤りを減らすための入力画面の改修などを継続して実施しているところです。

 政府としては、引き続き、地方団体のオンライン申請に関して丁寧な技術的支援を行うなど、給付金の円滑、迅速な交付に全力で取り組んでまいります。

 なお、今後の措置については、何ら決まっておらず、答弁は差し控えさせていただきます。

 雇用関係の各種支援策についてお尋ねがありました。

 雇用調整助成金については、既に支給申請や支給決定をしている場合であっても、申請書の再提出や追加書類の提出なしで、追加分について、都道府県労働局で差額を計上の上、遡及して支給することとしております。

 また、今般創設する新たな支援金は、労働保険非加入であっても給付の対象となりますが、まずは、雇用維持のかなめとなる雇用調整助成金を最大限御活用いただき、労働者に休業手当が支払われるよう、更に取組を進めてまいります。

 それでもなお離職を余儀なくされた方に対しては、ハローワークで丁寧な再就職支援を行うとともに、雇用保険の給付日数を延長できる特例措置を講じることとしており、まずは、これにより離職者に対してしっかりと支援してまいります。

 非正規雇用労働者や完全失業者などの今後の動向については、さまざまな要因が影響することから、一概に申し上げることは困難でありますが、厳しい状況が続くものと認識しており、引き続き、雇用を守ることを最優先に、しっかりと取り組んでまいります。

 最低賃金の改定についてお尋ねがありました。

 最低賃金の引上げについては、経済の好循環を実現する観点からも大変重要であると考えており、安倍政権前の十年間では全国加重平均で八十六円の引上げにとどまっていたところ、政権発足以降では、七年間で百五十二円の引上げを行ってきたところであります。昨年度は二十七円の引上げで、現行方式で過去最高の上げ幅となっております。

 これらは、公労使から成る最低賃金審議会において、政府方針にも配意いただきながら、その時々の雇用、経済状況を踏まえた議論を経て決定されております。

 今年度の最低賃金のあり方についても、先般、全世代型社会保障検討会議において、労使の代表に参加をしていただいた上で議論を行ったところであり、御指摘の発言は、その議論を踏まえ、より早期に全国加重平均千円になることを目指す方針を堅持した上で、新型コロナウイルス感染症による雇用、経済への影響は厳しい状況にあることから、今は官民を挙げて雇用を守ることが最優先課題であるとの政府としての考え方をお示ししたものであって、頭ごなしとの御指摘は全く当たらないと考えております。

 家賃支援給付金についてお尋ねがありました。

 今般の給付金は、大きな困難に直面しているテナント事業者の皆さんの過重な家賃負担を軽減することで、その事業継続を後押しする政策であり、その設計に当たっては、与党の意見に加え、御党を含めた与野党間の意見交換を反映したと聞いています。

 その上で、支給に当たっては、家賃支払いの実績を確認するなどにより、可能な限りオーナー側の家賃収入確保にも資するものとなるような制度としてまいります。

 持続化給付金及びゴー・トゥー・キャンペーンについてお尋ねがありました。

 今回の……(発言する者あり)強盗ではありません、ゴー・トゥーです。ゴー・トゥー・キャンペーンについてお尋ねがありました。

 今回の持続化給付金については、緊急事態宣言などにより、多くの事業者の皆さんが休業などで売上げがゼロになるような中で、売上高が半減するような大変厳しい状況の事業者の皆さんを対象に最大二百万円の現金給付を行うこととしたものです。その上で、売上高半減に至らない場合でも、実質無利子の融資や税、社会保険料の支払い猶予などにより、事業継続を支援していく考えです。

 持続化給付金については、スタートから一カ月で、百万件以上の中小企業、個人事業主の皆さんに、合わせて一兆四千億円を超える現金をお届けしています。あすの支払いにも御苦労しておられるたくさんの事業者の皆さんにスピード感を持って現金をお届けすることが、本事業の最大の目標です。事務局については、そうした事業目的に照らし、一般競争入札のプロセスを経て落札されたものと承知しております。

 その実施に当たっても、二百万件を超える申請の審査手続、兆円単位での現金振り込み、コールセンターでのさまざまな問合せへの対応、電子申請が難しい事業者の皆さんに対する全国五百カ所の窓口における申請サポートなど、かなり多岐にわたる業務をスピード感を持ってこなしていく必要があることを踏まえれば、再委託についても、一律の上限を設けるのではなく、事業目的に照らして、それぞれの担当省庁において適切な予算執行に努めるべきものと考えております。

 もとより、その費用について無駄があってはなりません。委託費については、事業終了後に精算を行い、そして、真に必要となった経費のみを支払うものと承知しており、可能な限り事業者の皆さんへの給付のための費用に回すべきは当然であります。

 ゴー・トゥー・キャンペーンの委託費については、過去に実施したふっこう割などの消費喚起キャンペーンの際に実際に生じた費用を参考に計上したものでありますが、この金額があくまで上限であり、実際に要した費用以外が支払われることはありません。事業目的に照らした効果が最大限発揮されるよう、それぞれの担当省庁において適切な執行に努めさせる考えであります。

 消費喚起策についてお尋ねがありました。

 緊急事態宣言の解除後も、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていくにはかなりの時間を要すると考えられます。その間も、事業と雇用を何としても守り抜いていかなければなりません。今般の第二次補正予算は、こうした考えのもと、先般の第一次補正予算に加え、もう一段の強力な対策が必要であると判断し、編成したものです。早期に承認いただいた上で、速やかに実行に移し、完全なる日常を取り戻すべく取組を進めてまいります。

 御指摘の自動車関連諸税については、自動車税環境性能割などの軽減措置を六カ月延長することとしております。

 他方、サラリーマンの車検費用等の経費化については、既に勤務費用の概算控除の意味も持つ給与所得控除があることを踏まえ、慎重に検討していく必要があります。

 また、高速道路の料金引下げについては、先般実施したヒアリングにおいても、他の交通事業者への影響などに対する強い懸念の声も示されたところであり、慎重に検討していく必要があると考えております。

 予備費の使用についてお尋ねがありました。

 予備費の使用については、与野党間の合意を踏まえ、財務大臣より財政演説において御説明したとおり、適時適切に国会に御報告することとしており、政府として適切に対応してまいりたいと考えております。具体的な報告のあり方については、今後よく相談してまいります。

 黒川前東京高検検事長の勤務延長等についてお尋ねがありました。

 黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、適切なプロセスを経て、引き続き勤務させることとしたものであり、この勤務延長自体に問題はなかったものと考えています。また、今般の検察庁法の改正部分の趣旨、目的は、高齢期の職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用する点にあります。

 他方で、このたびの黒川氏の行為については、まことに不適切な行為であり、極めて遺憾であります。法務省において必要な調査を行い、適正に処分をしたものと承知しております。

 黒川氏を勤務延長させたことについては、法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあり、御批判は真摯に受けとめたいと考えております。行政府の長として、一層身を引き締めて政権運営に当たることにより、国民の皆様からの信頼回復に向けて責任を果たしてまいります。

 河井前法務大臣の任命責任等についてお尋ねがありました。

 まず、御指摘の事案については、現在捜査中の刑事事件に関する事柄であり、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。

 その上で、この七年余りの間に、御指摘のように閣僚が辞任したことについては、国民の皆様には大変申しわけなく、任命した者としてその責任を痛感しております。

 とりわけ、政府には、国民の厳しいまなざしが注がれていることを常に意識すべきであり、いかなる事態にあっても、国民の負託に応え、政策を遅滞なく前に進める大きな責任があります。さまざまな御批判があることを真摯に受けとめながら、今後、内閣として一層の緊張感を持って政権運営に当たってまいりたいと考えております。

 全人代における香港に関する議決及び尖閣諸島周辺での領海侵入についてお尋ねがありました。

 先般、全人代において、香港に関する議決が国際社会や香港市民が強く懸念する中でなされたこと及びそれに関連する香港の情勢を深く憂慮しています。

 香港は、我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり、一国二制度のもとに、従来の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した方針です。

 こうした我が国の立場については、中国側に申し入れ、適切な対応を求めています。引き続き、状況を注視するとともに、関係国と連携しつつ、適切に対応してまいります。

 尖閣諸島周辺海域においては、中国公船による接続水域航行及び領海侵入が継続しており、先日も日本漁船への接近、追尾が行われたことは極めて遺憾です。こうした活動に対しては、外交ルートを通じ、繰り返し厳重に抗議してきています。

 今後とも、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意のもと、冷静かつ毅然として対処してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 高鳥修一君。

    〔高鳥修一君登壇〕

高鳥修一君 自由民主党の高鳥修一でございます。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、令和二年度第二次補正予算外二案に対し質問をいたします。(拍手)

 質問に先立ちまして、拉致被害者横田めぐみさんのお父様、横田滋様の御逝去に対し、衷心より哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたします。また、このたびの新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々、罹患された方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 政府は、先月二十五日、全国で緊急事態宣言を解除しました。四月七日以来、約一カ月半に及ぶ外出自粛等の要請に御協力いただいた皆様、医療従事者を始め、さまざまなところで御対応いただいた全ての皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。

 早速質問に入りますが、まず、総理に対策の規模について伺います。

 今回の対策は、一次と合わせて、財政支出約百二十兆円、事業規模約二百三十兆円のまさに空前絶後の規模となりました。まず、この対策に込めた総理の思いを伺います。

 次に、日銀が、金融調節の一環とはいえ、必要に応じて上限を設けず長期国債を買い入れることについて、財政に与える影響を不安視する声もあります。

 財務省のホームページでは、外国格付会社宛て意見書の中で、マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国であり、その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている、日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備高も世界最高とし、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない、また、ハイパーインフレの懸念はゼロに等しいとしています。

 財務省記載のとおり、デフォルトの心配はないのか、この際、総理のお考えをお聞きいたします。

 次に、医療について伺います。

 今般の二次補正については、医療提供体制強化のため、緊急包括支援交付金は、全額国費での負担とするとともに、一次補正の約十五倍、二兆二千億円を超える規模となりました。

 一次補正に比べて一桁違う状況になったこと、重点医療機関の空床補償対策、医療や介護、障害福祉従事者に最大二十万円の給付金を創設したことを高く評価いたします。

 しかし、新型コロナ対応を行う医療機関は、外来、入院患者の減少や手術の延期、ゾーニングや新たな設備投資の負担等により、危機的な経営環境に追い込まれています。その他の病院や診療所、薬局等においても、診療の抑制で、地域医療の存続が極めて厳しい状況です。医療提供体制を維持する上で、経営面に対する格段の支援が必要です。

 今回の二次補正においては、一次補正に加えて、ワクチン、治療薬開発を加速するため、総額二千億円を上回る対策も講じています。

 病院等の経営安定対策と、ワクチンと治療薬の開発強化に向けてどのように取り組んでいくのか、以上二点を加藤厚生労働大臣に伺います。

 次に、経済再生について伺います。

 今回、新型コロナによって深刻な打撃を受けた中小企業はもとより、大企業や中堅企業も含めた企業の資金繰り支援の強化が必要です。

 これは、雇用を守る意味でも極めて重要であり、その際、融資だけでは債務を積み上げることになり、ちゅうちょする声も聞かれ、限界があります。

 今回の二次補正では、総額九十兆円を超える規模の支援を実施すると承知していますが、日本経済の底割れを防ぎ、再び成長軌道へどう乗せるのか、西村経済再生担当大臣の決意を伺います。

 今回の二次補正では、雇用調整助成金の拡充等と二兆円規模の家賃支援給付金の創設により、人件費と家賃という固定費への支援が抜本的に強化されました。また、飲食店を始め、中小・小規模事業者の事業再開を支援する補助金の創設、農林漁業者の経営継続補助金の創設、文化芸術、スポーツ団体の活動継続・技能向上等支援事業の創設等、それぞれの分野で皆様を支えていく施策が拡充、創設されています。

 しかしながら、こうした支援がなかなか手元に届かないとの声も聞こえてきます。困難に直面し、ぎりぎりの状況で頑張っておられる方に、一刻も早く支援を届ける必要があります。

 国民の生活を守り抜くためには、一次補正予算の早期執行、二次補正予算の早期成立、執行が必要不可欠であります。一刻も早い支援の提供に政府は全力を挙げるべきと考えますが、総理の御見解を伺います。

 また、雇用調整助成金の拡充により、日額上限が一万五千円、緊急対応期間が九月末まで延長されることは大いに評価します。他方、失業給付金の上限が、年齢にもよりますが、七千円程度であることには、雇用制度全体のバランスを欠くとの指摘もあることは事実であります。失業させないための対策とはいうものの、新型コロナに関連した倒産、失業は身近にも起きており、再就職といっても面接すら行われない状況で、直ちに改善は望めません。

 この最も厳しい状況にある方々を何としてもお救いすべきと考えますが、失業者対策について、総理の答弁を求めます。

 また、スポーツや文化の全国大会が次々と中止になったことは、最終学年を迎えた高校三年生にとって極めて心残りだと思います。

 今後、各県レベルでの大会が実施される、あるいは、状況によっては、感染症対策をとった上で、中止となった全国大会が実施される場合、政府として支援する考えはあるのか、総理の御見解を伺います。

 次に、地方の取組の支援について伺います。

 新型コロナウイルスとの闘いは、それぞれの地域の実情に応じたきめ細かな対応が欠かせません。そうした対応を実現していく上で、地方公共団体の役割は極めて大きいと考えます。

 二次補正では、一次補正で創設された地方創生臨時交付金が大きく拡充されました。交付金を拡充した意義について、総理の御見解を伺います。

 今回の二次補正では、予備費を大幅に積み増しし、コロナ対策について、一次補正と合わせて十一・五兆円の予備費を設けることになりました。今回の事態の深刻さと特殊性に鑑みれば、コロナ対応に限って予備費を積み増すことは、今後の対応に万全を期す上で、必要不可欠であると考えます。

 今後の長期戦も想定される一方、財政民主主義の観点からの懸念も指摘される中で、新型コロナウイルス感染症対策として、この十兆円の予備費の意義をどのように考えているのか、総理の御見解を伺います。

 人類が初めて向き合う新型コロナウイルスとの闘いは、予測しがたい困難な闘いであります。まさに日本の底力が問われています。

 時々刻々と変化する事態に、国民一人一人の思いに応え、柔軟かつ大胆に政府が対応していくことを心から望みつつ、私の代表質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 高鳥修一議員にお答えいたします。

 補正予算についてお尋ねがありました。

 国民の皆様に多大な御協力をいただき、先般、緊急事態宣言を全国で解除することができました。今後は、日常の社会経済活動を少しずつ段階的に取り戻していく中で、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていかなければなりません。

 一方で、感染を抑えながら、完全なる日常を取り戻すまでの道のりは、かなりの時間を要することとなります。この険しい道のりの中で、事業と雇用は何としても守り抜いていかなければなりません。同時に、次なる流行のおそれにも万全の備えを固めていかなければなりません。このような決意のもと、本日、第二次補正予算を国会に提出をいたしました。

 先般の補正予算等と合わせ、事業規模は二百三十兆円を超えるものとなります。GDPの四割に上る世界最大の対策によって、この百年に一度の危機から日本経済を守り抜いてまいります。

 財政健全化についてお尋ねがありました。

 今は、あらゆる政策を総動員し、できるだけ早く日本経済を正常な軌道に復帰させることが、財政健全化を達成する意味でも、最も重要なことだと考えています。

 しかしながら、債務残高がどれだけふえても問題がないというわけではありません。引き続き、市場からの信認が損なわれるリスクが顕在化するといった事態を招くことのないよう、事態が収束した後には、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとすると同時に、歳出歳入両面の改革を続けることで、財政健全化もしっかりと進めてまいります。

 補正予算の早期執行についてお尋ねがありました。

 今般の感染拡大により、多くの事業者、御家庭が困難な状況に置かれており、こうした方々に一刻も早く支援をお届けすることが何よりも重要です。

 第一次補正予算の成立から一カ月余りの間で、持続化給付金については、百万件以上の中小企業、個人事業主の皆さんに、合わせて一兆四千億円を超える現金をお届けしており、身近な地銀、信金、信組を通じた実質無利子、最大五年間元本据置きの融資についても、約三兆円の融資が行われ、そして、公庫等と合わせれば、これまでに十兆円を超える資金が提供されています。さらに、一人当たり十万円の特別定額給付金は、ほぼ全ての自治体で実際の給付が始まっています。

 このように、何よりスピード重視で、全力で取り組んできているところであります。

 第二次補正予算についても、早期に御承認をいただいた上で、あらゆる手だてを講じ、各種の支援策を必要とされる方々のお手元に迅速に届けることで、雇用と事業活動、生活を守り抜いていく決意であります。

 失業者対策についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、経済も大きな影響を受けており、事業者の皆様の経営にも大きな打撃となっています。こうした中にあって、政治に課された最大の使命は、何とか事業を継続していただき、また、しっかりと雇用を守っていくことにあると考えております。

 このため、今般の第二次補正予算においては、雇用調整助成金を抜本的に拡充するとともに、労働者個人が直接申請できる新たな支援金を創設することとしており、企業に雇用を継続していただくための更に強力な支援策を講じることとしております。

 その上で、失業された方に対しても、ハローワークで丁寧な再就職支援を行うとともに、雇用保険の給付日数を延長できる特例措置を講じることとしており、引き続き、雇用情勢を注視しつつ、雇用を守るために必要な対策をしっかりと講じてまいります。

 高校生のスポーツ、文化の全国大会についてお尋ねがありました。

 今回、さまざまな全国大会が中止となったことで、生徒の皆さんが大変残念な思いをしているものと受けとめています。

 政府としては、感染状況が落ちついていけば、今後、各地域における地方大会や、さらには全国大会の開催も可能ではないかと考え、今般の第二次補正予算において、大会開催等を支援することとしています。

 また、こうした大会の開催は、最終学年の皆さんにとって当面の目標となるだけではなく、大会成績が入試等での評価に活用されることも期待されます。

 生徒の皆さんが、スポーツや文化活動に打ち込める日常を取り戻し、主役となれる、かけがえのない舞台を用意できるよう、関係各方面と協力しながら、しっかりと応援してまいります。

 地方創生臨時交付金についてお尋ねがありました。

 今回の二次補正予算においては、事業と雇用を何としても守り抜くとの決意のもと、資本性の資金供給を含む大胆な資金繰り支援、世界で最も手厚いレベルの人件費への助成、家賃負担を軽減するための新たな給付金の創設など、さまざまな対策を国として講じることとしております。

 その上で、地域の実情に応じながら、家賃支援を含む事業継続や雇用維持などへのきめ細かな対応が可能となるよう、地方創生臨時交付金についても増額することとしたものです。

 全国知事会などの要望も踏まえ、一次補正予算と合わせて総額三兆円を措置することとしたところであり、国と地方で緊密に連携しながら、全国津々浦々、事業と雇用、そして国民の暮らしを全力で守り抜いてまいります。

 予備費についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症については、今後の長期戦を見据え、状況の変化に応じ、臨機応変に、かつ時期を逸することなく対応する必要があります。

 こうした観点から、今後の対応に万全を期すため、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円追加することといたしました。

 この予備費の扱いについては、与野党間の合意を踏まえ、財務大臣より財政演説において御説明したところです。

 こうした考え方を踏まえ、今後起こり得るさまざまな事態に対し、迅速かつ十分に対応できるよう、万全を期してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 高鳥修一議員にお答えいたします。

 医療機関の経営安定対策とワクチンや治療薬の開発強化についてお尋ねがありました。

 医療機関においては、今般の新型コロナウイルス感染症の影響による患者の減少などにより、経営が悪化していると承知をしております。地域の医療提供は、複数の医療機関が連携し、面で対応するものであり、その一部が欠ければ成り立たないため、医療機関全体として必要な診療の継続を確保することによって、初めて医療提供体制は維持することができるものであります。

 このため、コロナ対応を行う医療機関に対しては、診療報酬のさらなる引上げとともに、専用病棟を設定する医療機関での病床確保や設備整備に対する支援を四月にさかのぼって拡充するなどにより、さらなる支援を行います。

 また、それ以外の医療機関に対しても、新型コロナウイルス感染症の疑い患者受入れのための院内感染防止対策や、医療機関、薬局等における感染拡大防止のための支援を行うとともに、当面の資金繰り支援として、無利子無担保等を内容とする危機対応融資の拡充や診療報酬の一部概算前払いなどを行うことにより、地域の医療を継続することができるよう、万全の体制をとることとしております。

 これらの取組により、感染症対策を徹底していくための支援を行うとともに、医療の現場をしっかりと守ってまいります。

 また、ワクチンや治療薬の開発強化については、これまでの緊急対策及び第一次補正予算に加え、今般の第二次補正予算では、引き続き、ワクチン開発のために五百億円を、ワクチンの迅速な製造体制や接種に必要な資材を確保し、速やかな接種を可能とするための体制整備として一千四百五十五億円を、また、治療薬等の開発促進のために百億円をそれぞれ計上しております。

 今後とも、有効性と安全性が確認されたワクチンや治療薬の研究開発を促進し、早期活用に向けて取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 高鳥修一議員にお答え申し上げます。

 資金繰り支援の強化についてお尋ねがございました。

 本日より御審議いただいている第二次補正予算案は、第一次補正予算を強化し、これまで足りなかった部分も含めてしっかり対応するためのものであります。この中で、企業の資金繰り支援を強化するため、これまでの四十五兆円に九十四兆円を加え、総額百四十兆円規模の強力な資金繰り支援を講ずることとしております。

 具体的には、中小企業への実質無利子無担保融資を百兆円規模に大幅に積み増すとともに、地域経済を支える中堅企業、大企業の資金繰り支援として、商工中金や日本政策投資銀行の危機対応融資を五兆円から十兆円規模に倍増しております。

 一方、高鳥議員御指摘のとおり、融資による資金繰りの支援に加え、資本性資金を通じて中小企業、中堅企業、大企業の財務基盤を強化するため、日本政策金融公庫や商工中金、日本政策投資銀行等による資本性劣後ローンによる支援も六兆円規模確保いたしております。

 さらに、地域経済活性化支援機構、REVICや産業革新投資機構、JIC等による六兆円規模の出資やファンド等を通じ、地域の経済や雇用を支える中堅企業や経営の厳しい企業の支援、事業再生に取り組むとともに、今回改めて課題となったデジタル化、ロボット化、リモート化や無人化、さらにはワクチンや治療薬の開発等に挑戦するベンチャー企業もしっかりと支援し、将来の成長へとつなげてまいります。

 第二次補正予算案では、以上の資金繰り支援のほか、持続化給付金の増額、拡充、雇用調整助成金の大幅な拡充や最大六百万円の家賃支援給付金の創設など、どんな事態が生じても事業、雇用、生活を守り抜く、そのための万全の枠組みとしております。

 本補正予算の速やかな成立を図り、引き続き、一日も早く事業者の皆様のお手元に支援をお届けすることを通じて経済をしっかりと下支えし、持続的な経済成長へと戻すべく、全力を尽くしてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 石田祝稔君。

    〔石田祝稔君登壇〕

石田祝稔君 公明党の石田祝稔です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました令和二年度第二次補正予算案について、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた皆様に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお治療中の皆様にお見舞いを申し上げます。

 北朝鮮拉致被害者横田めぐみさんの御父君がお亡くなりになりました。心から御冥福をお祈り申し上げます。

 拉致問題の解決は、我が国外交上の最大の課題であります。解決に向け、政府、与野党で全力を挙げて取り組まねばなりません。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 国民の皆様の努力と協力によって、全国で緊急事態宣言が解除され、感染拡大防止と社会経済活動の両立という新たなステージに入りました。

 こうした中で決定された第二次補正予算案は、一次補正と合わせてGDPの四割を超える二百三十三・九兆円というかつてない規模と必要な支援策を盛り込んだ、まさに国民の命と生活を守り抜くための予算となっています。

 この上は、予算案に盛り込まれた支援策を一日も早く国民の皆様にお届けし、あすへの希望と安心につなげていかなければなりません。

 以下、こうした観点から、具体的に質問をいたします。

 冒頭、緊急事態宣言が感染拡大の防止や国民生活に与えた影響について、改めて総理の御認識を伺います。

 あわせて、新たな日常づくりを進める上で、新しい生活様式や業種別のガイドラインの定着、実践が重要となりますが、これには国民の皆様の協力が必要です。こうした行動変容を幅広く浸透させていくために、政府としてどのような取組や支援策をお考えか、総理にお伺いいたします。

 コロナの第二、第三波に備え、これまで明らかになった多くの課題を踏まえつつ、医療提供体制のさらなる充実に万全を期す重要な時期を迎えています。

 第一に対応すべきは、医療現場を支える皆様への手厚い支援と医療機関の経営支援です。

 次に、検査体制の拡充や保健所の負担軽減、感染症対応と一般診療の両立を図る医療機関の体制整備なども課題です。

 その上で、安心して日常生活を送るために、一日でも早く安全で効果的なワクチンが開発、実用化されることを多くの国民が待ち望んでいます。研究開発の促進と並行して、必要なワクチン量を生産できる体制を国が全面的に支援すべきです。

 医療提供体制の充実について、総理の答弁を求めます。

 医療提供体制の充実に加え、介護、障害福祉サービスへの支援も重要です。

 介護、障害の現場で働く皆様は、医療現場と同様、感染リスクの高い中、利用者とその家族の生活を支えるために必死で事業を継続してくださっています。こうした皆様が安心して事業を継続できるよう、マスク、消毒液など感染防止対策はもちろんのこと、手当の支給を含め、最大限の支援を行うべきです。

 介護、障害福祉サービスへの支援について、総理に伺います。

 新型コロナウイルスの影響による解雇や雇いどめが増大しています。特に厳しい状況にある非正規雇用を含め、雇用の維持は最優先課題であり、雇用調整助成金等による支援を迅速に行うことが不可欠です。

 本予算案には、雇用調整助成金の拡充とともに、労働者が直接申請する休業支援金の創設が盛り込まれています。この新たな仕組みが迅速かつ十分に活用されるよう、手続は極力簡便にすべきです。

 また、感染拡大を防止する観点から、これまでの経験を生かし、オンラインや郵送を活用するなど、申請窓口の混雑を避けることも重要です。

 雇用を守る取組について、総理の答弁を求めます。

 緊急事態宣言の延長などにより収入が更に減少する企業の事業継続を強力に支援しなければなりません。政府系、民間金融機関による迅速な融資に取り組むとともに、中堅・大企業を含めた事業継続やさらなる成長を後押しする資本性資金の供給など、資金繰り支援に万全を期すべきです。

 また、収入が急減する中で、家賃などの固定費負担も増しています。

 本予算案には家賃支援給付金が盛り込まれましたが、事業用の駐車場代を含め幅広く対象を認め、簡素な手続で迅速に実施すべきです。

 あわせて、各自治体が進める家賃支援についても、地方創生臨時交付金を活用して、十分な対応ができるよう後押しすべきです。

 事業継続に向けた支援策について、総理の答弁を求めます。

 コロナの影響は、農林漁業者、関連事業者にも甚大な被害をもたらしています。コロナ禍からの完全回復のためには、食料安全保障の強化の観点に立ち、農林水産業の経営に資する強力な支援は不可欠です。

 公明党は、休学やイベント等の自粛による花卉、茶の需要減によって、経営継続が不安との声を受け、政府に支援策を要望しました。

 農林水産業の経営を支援する補助金の創設などを通じて、事業者が安心して事業に取り組めるよう手厚い施策が必要であると思いますが、総理の見解を求めます。

 長期休校に伴う学びのおくれへの対応も急がれます。この間、各学校ではオンライン教育や家庭学習の充実などに取り組んできましたが、教育格差が広がったとの指摘もあります。

 本予算案では、消毒液などの衛生用品の購入経費などの学校再開への支援や、学習指導員の大幅な追加による補習学習の実施支援などが盛り込まれています。

 こうした支援策に加え、第二波、第三波を見据え、通信料の負担軽減を含めたオンライン教育環境の整備も加速させるべきです。

 学校再開における感染症対策と学習支援体制の強化について、総理に伺います。

 公明党が大幅な増額を求めていた地方創生臨時交付金については、今回、家賃を含めた事業者支援分と地方創生分に合計二兆円が上積みされることとなります。交付金の配分に当たっては、事業者数の多い都市部と財政力の弱い地方、双方への配慮が必要です。

 また、今回は、医療や事業継続だけでなく、守りから攻めへの、暮らしと経済を立て直し、地域の活性化を図るために有効活用するなどして、地方自治体の取組を後押しすべきです。総理の御見解を伺います。

 以上、第二次補正予算案に盛り込まれた主な支援策について伺いました。新型コロナウイルスの完全な終息や経済の本格的な回復には、なお一定の時間を要します。その間、国民生活への影響も長期に及ぶことが想定されます。政府においては、引き続き、あらゆる事態に迅速に対応するため、大幅に積み増しされた予備費の活用を含め、国民生活を守る機動的な対応に万全を期すとともに、予備費の使途についても、国民が納得できるよう国会に十分な説明を行うことを求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 石田祝稔議員にお答えをいたします。

 緊急事態宣言の影響や行動変容の浸透についてお尋ねがありました。

 緊急事態宣言の感染拡大防止への効果については、専門家会議において、人との接触機会が継続して抑制され、その減少が維持されたことや、クラスターが発生しやすい場所、施設の利用機会が外出自粛要請や施設の使用制限等との組合せにより実効的に抑制できたことなどを通じて、新規感染の抑制に貢献した可能性が高いと分析されております。

 他方で、緊急事態宣言のもと、不自由な生活、厳しい経済状況を強いられている国民の皆様や、経営上ぎりぎりの困難に直面している事業者の皆様のことは、片時も頭を離れたことはありません。

 このため、累次の対策と今般の第二次補正予算で、国民の皆様の生活や雇用をしっかりと守り抜くとともに、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくことで、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていかなければならないと考えております。

 御指摘の新しい生活様式はそのための指針となるものであり、専門家会議において、国民の皆様が具体的にイメージできるよう、わかりやすい実践例も作成いただいております。政府としては、その定着に向け、動画、ポスター、ホームページ、SNSなどさまざまな媒体を活用しながら、積極的に情報発信に努めてまいります。

 また、各業界団体においては、専門家の助言のもと、感染予防のためのガイドラインを作成いただいております。政府としては、持続化補助金の上限を引き上げる等の支援策を設け、そのガイドラインに沿った感染防止対策が実施されるよう、支援していくこととしております。

 医療提供体制や検査体制等の拡充についてお尋ねがありました。

 次なる流行の波に備えるためには、医療現場において、感染症対策を徹底しつつ、地域医療を継続できるようにしていくことが重要です。そのため、医療現場におけるさまざまな活動に対し、強力な支援を行ってまいります。

 具体的には、患者と接する医療従事者の皆様には、慰労金として最大二十万円の給付を行うこととしております。

 また、医療機関の体制整備については、都道府県とも連携しつつ、新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟の設置を推進し、これらの医療機関に対して、診療報酬のさらなる引上げや、病床確保、設備整備に対する支援の拡充を行うとともに、それ以外の医療機関に対しても、感染拡大防止のための支援や危機対応融資の拡充など、当面の資金繰りの支援を行ってまいります。

 PCR検査については、医師が必要と判断した方や濃厚接触者の方が確実に検査を受けられることが重要であると考えております。このため、PCR検査を保険適用するとともに、抗原検査との最適な組合せによる迅速かつ効率的な検査体制の構築や、民間検査機関のさらなる活用等により検査能力の増強を行い、さらに、これを最大限生かすため、PCR検査センターの設置や、唾液を用いたPCR検査等を推進することで、検体採取のための体制の拡充を図ることとしております。

 政府としては、第二次補正予算において、自治体による感染症対策を支援する医療の交付金を大幅に拡充しており、自治体と密接に連携しながら、検査体制や医療機関の体制の整備等をしっかりと進めてまいります。

 ワクチンの研究開発については、日本じゅう、世界じゅうの企業や研究者の英知を結集して進めているところであり、一日でも早く国民の皆様の不安を解消できるよう、政府としても開発支援を行っているところです。

 第二次補正予算では、ワクチン開発を更に加速するための支援、研究開発と並行して国内での生産体制の早期整備など約二千億円を盛り込んでおり、有効性と安全性が確認されたワクチンを一日も早く国民の皆様にお届けできるよう、研究開発を力強く後押ししてまいります。

 介護、障害福祉サービスについてお尋ねがありました。

 このような大変厳しい状況の中にあっても、現場では多くの職員の皆さんが介護や障害福祉サービスを必要とされる方のために業務を続けてくださっており、国として必要な支援をしっかりと行ってまいります。

 このため、介護報酬等の特例的な弾力措置を講じるとともに、マスク等の物資の支援や、感染者が発生した施設等の職員確保に必要な費用の助成等を実施してきたところです。

 さらに、今般の第二次補正予算においては、対象を全ての介護、障害福祉サービス事業所に拡大し、全額国費負担とした上で、感染症対策の実施のために必要な費用の助成や、職員に対する最大二十万円の慰労金の支給等を盛り込んでいます。

 今後とも、感染症対策のために大変厳しい状況にある介護や障害福祉現場をしっかりと支えてまいります。

 雇用を守るための取組についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、経済も大きな影響を受けており、事業者の皆様の経営にも大変な打撃となっています。こうした中にあって、政治に課された最大の使命は、何とか事業を継続していただき、また、しっかりと雇用を守っていくことにあると考えております。

 このため、雇用調整助成金については、これまでも累次の拡充や手続の簡素化、迅速な支給に取り組んできたところですが、今般の第二次補正予算では、日額上限を一万五千円へと引き上げるなどさらなる拡充措置を盛り込んでおり、予算が成立し次第、速やかに実施してまいります。

 また、労働者が直接申請する新たな支援金制度については、一刻も早い実施が必要であると考えており、御指摘のオンライン等での申請も含め、感染予防に留意しつつ、制度を利用される方々の目線に立った簡易かつ迅速にお支払いができる仕組みを早急に構築してまいります。

 事業継続に向けた支援についてお尋ねがありました。

 第二次補正予算では、日本政策金融公庫や商工中金のみならず、身近な地銀、信金、信組などによる実質無利子、最大五年元本返済据置きの融資制度を拡充するとともに、連鎖倒産といった事態を避けるため、企業規模の大小にかかわらず、政策投資銀行や公的ファンドを通じて劣後ローンや出資など資本性の資金による支援を行うことといたします。多くの事業者の皆さんがあすの支払いにも苦労しておられる中で、これまでの金融措置とあわせて百四十兆円規模の資金繰り対策を強力に実施してまいります。

 また、今回、駐車場代を含む地代や家賃の負担を軽減するため、借り主に最大六百万円の家賃支援給付金を創設するとともに、地方創生臨時交付金を増額し、地方自治体が借り主と家主の双方をきめ細かく支援することも可能としたところであり、国と地方自治体が一体となって、必要とする皆さんに迅速に支援をお届けしてまいります。

 さらに、持続化給付金の拡充なども行い、あらゆる手段を尽くして、全国津々浦々、事業と雇用、そして国民の暮らしを全力で守り抜いてまいります。

 農林水産業に対する支援についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症は、農林水産物の需要の減少や価格の低迷など、農林漁業者の経営に大きな影響を及ぼしています。

 このため、御党の御提案も踏まえ、農林漁業者が行う販路回復や事業継続等への取組に対し、最大百五十万円を補助する経営継続補助金を創設することとしています。

 政府としては、引き続き、食料安全保障の観点も踏まえ、農林水産業の生産基盤を守るため、必要な対策を全力で講じてまいります。

 学校再開についてお尋ねがありました。

 長く続いた臨時休業から学校が再開しつつある中、感染リスクを可能な限り低減させた上で、子供たちの学習の機会を確保していくことが重要です。

 このため、今般の第二次補正予算において、学校が必要とする消毒液などの衛生用品の購入支援や、子供たちの状況に応じてきめ細やかな指導ができるよう、教員や学習指導員など計八万五千人の追加配置を行うこととしております。

 また、オンライン学習を確立するため、四年間で実施予定であった一人一台のIT端末整備をこの一年間に前倒しするとともに、低所得世帯への通信費支援を含め、家庭学習における通信環境の整備も推進してまいります。

 地方創生臨時交付金についてお尋ねがありました。

 地方自治体への配分に当たっては、家賃支援を含む事業継続や雇用維持などへの対応、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化への対応など、さまざまな地域や対策の特性に応じた配分となるよう検討を進めてまいります。

 今般、全国知事会などの要望も踏まえ、一次補正予算と合わせて総額三兆円に増額することとしたところであり、国と地方で緊密に連携しながら、全国津々浦々、事業と雇用、そして国民の暮らしを全力で守り抜いてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 藤野保史君。

    〔藤野保史君登壇〕

藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、第二次補正予算案について質問します。(拍手)

 本案の最大の問題は、十兆円の予備費です。安倍総理は、憲法が定める財政民主主義を一体どう捉えているのですか。

 日本国憲法は、財政支出の決定権を持つのは国民の代表である国会であり、政府が好き勝手に予算を使ってはならないという大原則を定め、例外を厳しく制限しています。十兆円もの予備費は、この憲法が定める財政民主主義の大原則を踏みにじるものではありませんか。

 既に、当初予算で五千億円、第一次補正でも一兆五千億円の予備費が計上されており、一部執行されましたが、まだ一次補正の予備費を超える約一兆六千億円が残っています。新たに十兆円もの予備費を組む必要はありません。

 政府は、財政演説で、このうち五兆円について、雇用調整助成金など雇用維持や生活支援のために一兆円、持続化給付金など事業継続のために二兆円、医療体制の強化等のために二兆円など、使途の大枠を示しました。政府も二次補正では足りない部分があると認めたことになります。そうであるならば、本予算案を修正して、明確に二次補正に盛り込むべきではありませんか。

 また、残る五兆円についても、財政演説では、長期にわたるコロナ対策に使う旨が述べられました。そうであれば、速やかに第三次補正予算を編成し、国会で審議すべきではありませんか。

 結局、そうしたことを行わず、十兆円の予備費を計上するというのは、お金は好き勝手に使いたいが、野党に追及される国会は開きたくないという政府の身勝手な都合によるものではありませんか。

 当初予算の予備費を使って国民が求めていないアベノマスクをばらまき、いまだに反省もしていない安倍政権に十兆円の予備費を委ねるなど、到底できる話ではありません。

 そもそも、安倍政権の新型コロナへの対応は、最初から極めて不十分でした。

 野党は、当初予算の段階から、新型コロナに対応するための予算組み替えを強く主張していました。ところが、安倍政権はこれに応じず、当初予算はコロナ対策費ゼロという異常なものになりました。

 四月末の第一次補正は、国民の声に押されて、一旦決定した予算を組み直して、一人十万円の特別給付金を盛り込んだものの、我々野党が求めた他の多くの施策は取り入れられませんでした。

 第一次補正に基づく特別給付金、持続化給付金、雇用調整助成金の支給は、おくれにおくれています。

 このもとで、既に、六百万人近い労働者が休業に追い込まれ、百万人近くの非正規労働者が仕事を失っています。今後も、大規模な解雇、雇いどめや中小・小規模事業者の倒産、廃業など、いわゆる六月危機が予想されています。安倍総理には、当初予算や一次補正が全く事態に見合ったものでなかったという反省はあるのでしょうか。

 国民の声と野党の論戦に押されて、第二次補正予算案には一定の支援策が含まれています。しかし、その内容は、国民の暮らしや医療などの現場が求める水準とはかけ離れています。

 野党が一致して求めた家賃補助制度は、五月以降に売上げが減少した事業者が対象です。既に三月から固定費負担や売上げ減少で苦しんでいる多くの事業者を冷たく切り捨てるのはなぜですか。

 五人に一人の学生が退学を検討という衝撃の事態が広がっているにもかかわらず、本案の学生支援給付金の対象は、全学生のわずか一割にすぎません。

 一人親家庭、ネットカフェ難民、児童虐待やDV被害者、外国人など、生活困窮者への緊急支援を抜本的に拡充すべきです。

 医療機関への支援は、当初予算でも一次補正でも、全く足りていませんでした。

 十八道県の知事は、緊急提言で、PCR検査を現在の約二万件から約二十万件に引き上げることを提案し、そのための予算として約三千億円が必要としています。ところが、本案のPCR検査体制の整備費は三百六十六億円にすぎません。これでは感染の第二波を把握するには不十分ではありませんか。

 コロナを受け入れている全国八十の病院では、年間五千億円もの赤字となっています。コロナを受け入れていない病院でも、大規模な受診抑制により九割以上が収入減となるなど、経営危機が深刻化しています。

 政府の支援不足によって生まれた経営危機によって医療崩壊が引き起こされることなど、絶対にあってはなりません。医療機関の減収補填のための財政支援を抜本的に拡充すべきです。

 安倍総理は、二つの補正予算を世界最大級と自画自賛していますが、この間、重大な問題が明らかになっています。

 持続化給付金事業で、経産省と電通が一体となり、不正に利益を得ていたという疑惑です。この制度は、政府の自粛要請に協力し、生きるか死ぬかという必死の思いで頑張っている事業者を救うための制度です。そういう制度まで経産省みずからが利権化し、一部企業の食い物にするなど、断じて許されません。

 ゴー・トゥー・キャンペーンについても、総事業費の約二割、三千九十五億円に上る委託費が判明し、持続化給付金と同じ構造ではないかとの批判が広がっています。

 政府は、事業者の公募を中止すると発表しましたが、我が党が一次補正の際に主張したとおり、この制度はもうやめるべきではありませんか。

 五月八日夜、たった一人の女性のツイートから始まった検察庁法改正案への抗議は、数日で数百万のツイートデモへと発展し、安倍政権の支持率は急落しています。

 一内閣の閣議決定で現行法の解釈を百八十度転換し、事実上、立法権を侵害する。これを許したら、日本は法治国家でなくなります。準司法官である検察官の人事に政府が介入することは、司法権の独立を侵害するものです。

 三権分立を踏みにじる安倍政権に対して主権者である国民の怒りが広がっている、このことを重く受けとめるべきです。

 コロナ禍のもとで、国民の暮らしと経済はかつてない危機に直面しています。国民の声と結んで、政治の私物化をただし、暮らしと営業を守るために全力を尽くす決意を申し述べて、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 予備費についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症については、今後の長期戦を見据え、状況の変化に応じ、臨機応変に、かつ時期を逸することなく対応する必要があります。

 こうした観点から、今後の対応に万全を期すため、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円追加することとしました。

 今回の予備費については、予算総則で、あらかじめ、国会の議決をいただいた範囲内にその使途が限られていることとなっており、国会の御審議を通じた予算統制が十分に働く仕組みとしております。

 さらに、その使途についての考え方を財務大臣より財政演説において御説明したところでありますが、予備費はそもそも予見しがたい予算の不足に充てるために措置しており、使途をお示しした五兆円についても、ある程度の幅を持って見る必要があることから、そのおのおのについて具体的な予算額を計上することは困難です。また、さらなる五兆円についても、今後の長期戦の中では事態がどのように推移するかについて予見しがたいところが大きく、今後起こり得るさまざまな事態に対して迅速かつ十分に対応できるよう計上したものです。

 その上で、この予備費の使用については適時適切に国会に御報告することとしており、具体的な報告のあり方については今後よく御相談してまいります。

 各種の支援策についてお尋ねがありました。

 第一次補正予算を含めたこれまでの対策は、その時点の状況を踏まえて対応を行ってきたところであり、引き続き、何よりスピード重視で、厳しい状況にある事業者、御家庭に支援をお届けするべく、全力で取り組んでまいります。

 その上で、今般の第二次補正予算は、緊急事態宣言の解除後も、コロナ時代の新たな日常をつくり上げていくにはかなりの時間を要することから、第一次補正予算に加え、もう一段の強力な対策が必要であると判断し、編成したものです。

 その中で、事業者にとって固定費として大きな負担となっている家賃負担を軽減するための最大六百万円の給付金を新たに創設しました。これは、五月の緊急事態宣言が延長されたことなどを踏まえ、売上げの減少に直面する事業者の方々に対して一層の下支えを行うものであります。

 また、学生に対しては、御指摘の経済的に厳しい状況にあるアルバイト学生に対する最大二十万円の給付金の支給のみならず、家計が急変した学生について、生活費や授業料をカバーする高等教育の無償化の支援対象にするとともに、授業料等の納付が困難となった学生への授業料減免を行った大学等への助成など、今回の感染症の影響によって子供たちの学びの機会が奪われることのないよう、さまざまな支援を講じています。

 その他の、生活に困窮されている方々に対しても、低所得の一人親世帯への臨時特別給付金の支給や、地域における子供の見守り体制の強化、住まいが不安定な方に対するアパート等への入居支援や住居確保給付金の支給、外国人の方も含め、さまざまな事情で生活にお困りの方に対する最大八十万円の緊急小口資金等の貸付けなど、重層的なセーフティーネットを用意しています。

 これらの施策を盛り込んだ第二次補正予算を早期に御承認いただいた上で、各種の支援策を必要とされる方々のお手元に迅速にお届けすることで、雇用と事業活動、生活を守り抜いてまいります。

 PCR検査体制の整備と医療機関への財政支援についてお尋ねがありました。

 政府としては、新型コロナウイルス感染症について、感染状況が落ちついてきたこの機を生かし、医療提供体制や検査体制の整備など、次なる感染に向けて万全の備えを固める方針です。

 PCR検査については、医師が必要と判断した方や濃厚接触者の方が確実に検査を受けられることが重要であると考えております。

 このため、PCR検査を保険適用するとともに、抗原検査との最適な組合せによる迅速かつ効率的な検査体制の構築や、民間検査機関のさらなる活用等により検査能力の増強を行い、さらに、これを最大限活用するため、PCR検査センターの設置や、唾液を用いたPCR検査等を推進することで、検体採取のための体制の拡充を図ることとしております。

 こうした取組を推進するため、今般の第二次補正予算においては、御指摘のPCR検査センターの設置や、PCR、抗原検査の実施の経費のみならず、検査試薬や検査キットの確保のための経費のほか、検査設備の整備を支援する交付金を大幅に拡充し、全額国費負担とするなど、自治体とも密接に連携しながら、検査体制の整備をしっかりと進めていくこととしております。

 また、医療機関については、感染症対策の徹底を促しつつ、地域医療体制を継続できるよう、コロナ対応を行う医療機関や地域の医療を支える医療機関が行うさまざまな取組に対し、強力な支援を行うこととしております。

 具体的には、コロナ対応を行う医療機関に対しては、診療報酬のさらなる引上げとともに、専用病棟を設置する医療機関での病床確保や設備整備に対する支援を四月にさかのぼって拡充することにより、さらなる支援を行っていくこととしています。

 また、それ以外の医療機関に対しても、感染疑い患者の受入れのための対策や、医療機関や薬局等における感染拡大防止のための支援を行うとともに、当面の資金繰り支援として、無利子無担保等を内容とする危機対応融資の拡充や診療報酬の一部概算前払いを行うこととしております。

 持続化給付金事業及びゴー・トゥー・キャンペーンについてお尋ねがありました。

 持続化給付金については、スタートから一カ月で、百万件以上の中小企業、個人事業主の皆さんに、合わせて一兆四千億円を超える現金をお届けしています。あすの支払いにも御苦労しておられるたくさんの事業者の皆さんにスピード感を持って現金をお届けすることが、本事業の最大の目標であります。

 事務局については、そうした事業目的に照らし、一般競争入札のプロセスを経て落札されたものであり、その費用についても、事業終了後に精算を行い、審査手続や現金振り込み、申請サポート、コールセンターなど、真に必要となった経費のみを支払うものであり、御指摘のような不正な利益を得る余地はありません。

 また、ゴー・トゥー・キャンペーンの委託費については、過去に実施したふっこう割などの消費喚起キャンペーンの際に実際に生じた費用を参考に計上したものでありますが、この金額はあくまで上限であり、実際に要した費用以外が支払われることはありません。事業目的に照らした効果が最大限発揮されるよう、それぞれの担当省庁において適切な執行に努めさせる考えです。

 今回の新型コロナウイルス感染症により、観光・運輸業、飲食業、文化芸術を含めたイベント・エンターテインメント事業の皆さんには甚大な影響が生じています。今後、ゴー・トゥー・キャンペーンによってそうした事業への消費喚起をしっかりと行っていくことで、そうした皆さんの事業継続を後押ししてまいります。

 検察官の勤務延長等についてお尋ねがありました。

 検察官も一般職の国家公務員であり、一般法たる国家公務員法の勤務延長に関する規定が検察官にも適用されるとの今回の解釈変更は、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知しています。

 また、そもそも、検察官は行政官であり、その任命は内閣又は法務大臣が行うこととされているところ、今回の解釈変更は、検察権行使に圧力を加えるものではなく、検察官の準司法官的性格を害さず、三権分立にも反しないものであります。三権分立を踏みにじるなどの御指摘は全く当たりません。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 井上英孝君。

    〔井上英孝君登壇〕

井上英孝君 日本維新の会の井上英孝です。(拍手)

 まず初めに、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、現在治療中の方々に心からお見舞いを申し上げます。そして、最前線で尽力いただいている医療従事者の皆様には心から敬意と感謝を申し上げて、党を代表して、第二次補正予算案に対し質問をさせていただきます。

 安倍総理は、感染症に関する政府方針を説明する際、専門家と相談した上でとされてきました。つまり、専門家会議は政府の意思決定上かなり重要なプロセスであるにもかかわらず、この会議は非公開の上に、会議録がありません。甚だ疑問であり、政府は、透明化して国民の協力を得ることや、今後に備えて検証することを軽視していると言わざるを得ません。

 大阪府の吉村知事は、フルオープンにして決定プロセスの透明化を図ることで、府民の広範な協力を得ることに成功しています。

 そこで、総理に質問します。

 第二波到来に備え、専門家会議の会議録を含めて決定プロセスを公開することが必要と考えますが、御見解を伺います。

 次に、本年一月、当時の黒川東京高検検事長の定年延長が突然検察庁法の解釈変更により行われましたが、その際、法律解釈の変更手続に決裁文書はなく、口頭決裁であったという政府の説明では、国民の納得は得られないと考えます。

 さかのぼれば、南スーダン派遣部隊の日報問題や森友問題における公文書の改ざんを起こしたにもかかわらず、安倍政権は、公文書管理に真剣に向き合わず、文書がないと言うばかりでは、国民の信頼を損なうだけです。

 日本維新の会は、ペーパーレス化と改ざん防止を実現する公文書管理法改正案と公文書院の設置法案というのを今国会に提出をさせていただいています。

 総理に質問します。

 公文書管理の強化のための公文書院設置の必要性についてどのようにお考えか、お答えいただきます。

 次に、コロナウイルス感染症に対する検証体制についてお伺いをいたします。

 推定感染日を横軸としたグラフでは、全国の感染者数のピークは三月二十八日前後です。緊急事態宣言を発した四月七日はピークから十日後であり、緊急事態宣言が第一波を収束させた主要因と考えるのは疑問であります。

 もちろん、緊急事態宣言が不要だったとは申しませんが、科学的な検証を行い、感染症がおさまった要因を明らかにすべきです。第二波の到来に無原則な自粛しか選択肢がなければ、消費マインドが上がらず、国家の危機を招きます。

 総理に質問します。

 緊急事態宣言発令時期の適切さ及び同宣言が感染症を抑え込んだ効果をどのように評価していますか。第二波も含めた今後の感染症対策のために、検証委員会を設置して政府対応の科学的検証をいつまでにされるおつもりなのか、お聞きします。

 また、感染症拡大の防止が効果的に実施できる仕組みを整えるためには、緊急事態宣言や休業要請に関して、国と都道府県の権限の二重構造についても問題がありますが、まずは地方の権限に見合う財源を地方に与える体制をしっかり構築すべきと考えます。補償のない自粛要請だけでは、国民の皆さんの協力は全く得られません。

 行政による要請を効果的に実施するために、休業要請に対する補償を義務づける新型インフル特措法の再改正をすべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。

 東日本大震災後に、復興特別法人税などの増税措置がとられました。復興特別所得税は、令和十九年まで継続します。一方、同時期導入した国会議員の歳費の二割の削減は、二年間実施後、もとに戻されました。

 日本維新の会所属議員は、歳費削減を国民の皆さんとの大切な約束と考え、本年四月まで自主的に継続をしてまいりました。今後もしてまいります。感染症拡大により傷ついた多くの国民の傷が癒える前に国会議員歳費の二割削減をまたもとに戻すということを危惧しています。

 総理に質問します。

 経済指標が景気後退を示している今、減税が必要ですが、検討しているのでしょうか。

 感染症対策とともに実施された国会議員の歳費削減は、国会議員が身を切る姿勢を示すものです。よもやもとに戻すというようなことは考えていないと思いますが、いかがでしょうか。

 第二次補正予算案には、十兆円の予備費が計上されています。

 五兆円分の使途の概要が示されたというのは一定の評価をいたしますが、感染症に真摯に向き合った病院というのは、対策をすればするほど赤字になりました。そのような病院は全国に数多くあります。病院の赤字分をぜひともこの予備費から拠出し、社会を守り続けている病院と医療従事者の心意気にぜひとも報いていただきたいと考えます。

 さらには、医療従事者の働きの陰で見落とされがちなのは、子供を預けて働ける環境を支えてきた保育従事者の存在です。保育従事者の方々にも予備費を充てるお考えはありますか。総理にお伺いをいたします。

 政府・与党は九月入学を諦めましたが、この冬に第二波が来て休校となれば、カリキュラムがこなせないのは明らかです。特に、最終学年の学習不足は、児童生徒の一生を左右する大問題です。それでも九月入学を実施しないのでしょうか。児童生徒の学習不足は政府にとって軽い問題なのでしょうか。総理のお考えを求めます。

 特別定額給付金は、マイナンバーカード所持者はオンライン申請できることが特徴でした。しかし、準備が不十分で、かえって混乱を招きました。マイナンバーの利活用は、平時の準備が重要でした。今、給付の遅延を非難するほかの野党は、遅滞ない給付に必要なマイナンバーの活用に反対してきました。

 与党と日本維新の会は、現金給付を速やかに行うため、マイナンバーと預貯金口座をひもづける法案の共同提出を合意いたしました。第二波到来に備え、迅速な給付の実現が今こそ必要です。この議員立法への期待について、総理の御存念をお伺いいたします。

 感染症の第一波は医療崩壊を来すことなく対処できましたが、日本モデルの成功と名づけて浮かれる余裕はありません。第二波到来に備え、強い医療体制を整える時期です。

 総理にお伺いいたします。

 感染症用の集中治療室、ICUと対応人員が少ないことが問題となりました。第二波までに、特に都市部において、ICU設備及び人員をどの程度ふやす計画でしょうか。また、新型コロナ関連の地方創生交付金は、感染症が広がりやすい都市部に傾斜配分すべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。

 自粛による経済ダメージが社会全体に広がりつつあります。第二波が来る前に、医療体制の整備と政府の支援策を遅滞なく行き渡らせる体制を整える必要性を改めて主張して、私からの質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上英孝議員にお答えをいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策に関する政府の意思決定プロセスについてお尋ねがありました。

 御指摘の専門家会議については、行政文書の管理に関するガイドライン上の政策決定又は了解を行わない会議等に該当するものであり、第一回会議において、自由かつ率直に御議論をいただくため、発言者が特定されない形の議事概要を作成して公表するとの方針を構成員の皆様に御理解をいただき、以後、その方針のもと、適切に記録を作成しております。

 その上で、五月二十九日の専門家会議の場で、議事概要のあり方について御意見があったことを踏まえ、改めて構成員の皆様の御意見、御意向を確認した結果、引き続き、従来と同様の形で速記録等に基づき議事概要を作成、公表することとしつつ、今後開かれる会議の議事概要については、発言者名を明記することで御了解が得られたと承知しております。

 加えて、速記録についても、適切に保存し、保存期間満了後は、国立公文書館に移管の上、原則公表扱いになるものと承知しております。

 このほか、新型コロナウイルス感染症に関する政策の決定又は了解を行う場である新型コロナウイルス感染症対策本部の会議については、対策本部長である私が、決定事項を確認するとともに、閣僚への指示や国民への呼びかけ等を行う部分についてはメディアに公開しています。その発言内容と動画については、官邸のホームページで公開しているほか、対策本部での配付資料や決定内容についても、対策本部の開催後、速やかにホームページで公表しており、議事概要についても、作成次第公表しております。

 今後も、ガイドラインを踏まえつつ、新型コロナウイルス感染症についての政府の方針等を国民の皆様に丁寧にお伝えし、御理解を得ていきたいと考えております。

 公文書管理についてお尋ねがありました。

 政府としては、一連の公文書に関する問題を踏まえ、平成三十年七月に、職員一人一人のコンプライアンス意識向上のための研修の充実強化、独立公文書管理監を中心とした各府省の公文書監理官による実効性のあるチェック、悪質な事案に対する免職を含む重い懲戒処分の明確化など、公文書管理の適正化に係る総合的な施策を決定したところです。決定した全ての施策については着実に実行に移しているところであり、引き続き、適正な公文書管理の徹底に万全を期してまいる所存です。

 御党提出の法案については、文書管理の電子化の推進など、政府におけるこれまでの取組と方向性を同じくする部分もありますが、公文書の管理については、あくまで所管業務に知見と責任を負う立場にある個々の行政機関が行うことが適当と考えております。

 いずれにしても、法案の取扱いについては、国会及び各会派において御議論をいただくべきものであると考えております。

 緊急事態宣言の効果の検証についてお尋ねがありました。

 議員が御指摘になったデータは、五月二十九日に開催された専門家会議の提言において示されたものですが、同提言は、緊急事態宣言により、人と人との接触機会が低い状態を維持できたこと、クラスターが発生しやすい場所、施設の利用機会が外出自粛要請や施設の使用制限等との組合せにより実効的に抑制できたこと、域外への外出自粛により大都市圏から地方都市への感染拡大に歯どめがかかったこと、国と連携して、全国の都道府県知事のもと、一体となった対策の推進が図れたことにより、新規感染の抑制に貢献した可能性が高いと評価されているところです。

 政府としては、こうした専門家による科学的な検証を踏まえながら、次の事態に備えて対策を講じていくとともに、今般の感染が収束した後には、これまでの政府の対応を含め、しっかりと検証を行ってまいります。

 新型インフルエンザ等特別措置法の再改正についてお尋ねがありました。

 休業要請に伴う影響は事業者によって千差万別であり、事業者ごとの休業損失が幾らかを算定し、それを全額補償するといった考え方の給付を行っている国は存在していないと考えています。

 その上で、要請に基づいて休業した方のみならず、多くの事業者の皆さんが極めて厳しい状況にあると認識しており、第二次補正予算においても、こうした方々を徹底的に下支えしていくためのさまざまな支援策を盛り込んでいるところであり、全力で事業と雇用を守り抜いてまいります。

 減税と国会議員の歳費削減についてお尋ねがありました。

 税制については、緊急経済対策に基づき、前例のない延滞金なしの納税猶予制度を創設しており、また、地方の基幹税である固定資産税について、思い切った減税措置を講じております。

 また、我々政治家は、政策を実現するため、真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。さらに、常にみずからを省みる必要があることは当然です。

 日本維新の会が、そうした観点から率先垂範して身を切る改革を続けてこられていることについては、敬意を表したいと思います。

 その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動のあり方、すなわち民主主義の根幹にかかわる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えています。

 保育士等への支援についてお尋ねがありました。

 今般の新型コロナウイルス感染症の中にあっても、現場で業務を続けてくださっている保育所の皆さんに対しては、人員体制確保のための経費をしっかりと支援するとともに、今般の第二次補正予算においても、感染防止対策などについてさまざまな形で支援を行うこととしているところであります。

 その上で、予備費の取扱いについては、財政演説において財務大臣より御説明をさせていただいたところでありますが、その考え方に沿って適切に使用してまいります。

 学びの保障と九月入学についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、今後、学校の臨時休業を行わざるを得ない場合があっても、子供たちの学びに著しいおくれが生じないようにすることは極めて重要です。

 このため、政府としては、学校における感染症対策を徹底した上で、学習活動の重点化を含めた教育課程編成の考え方を示すとともに、オンライン学習を確立するため、四年間で実施予定であった一人一台のIT端末整備をこの一年間に前倒しするなど、学びの保障に向けた総合的な対策を講じているところです。

 特に、最終学年の子供たちには、夏休みなどの長期休業や土曜日などを活用し、学習のおくれをしっかりカバーするとともに、大学入試の日程や出題内容等については、現在、全国の高等学校を対象に生徒等の意向を調査しており、その結果を踏まえ、高校、大学の関係者等とも十分相談の上、今月中に方針を示してまいります。

 御指摘の九月入学への移行については、与党においても提言がまとめられたところであり、それらも踏まえ、社会全体への影響を見きわめつつ、検討を継続してまいります。

 マイナンバーに係る法案についてお尋ねがありました。

 マイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤となるものであるとともに、デジタル社会のインフラとして、国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものです。

 御指摘の法案においては、災害や感染症の発生等の緊急時において、給付を行う際のマイナンバーの利用等が盛り込まれているものと承知しております。

 御指摘の法案については、議員立法に関するものであることから、国会及び各会派において御議論をいただくべきものと考えています。

 ICUの整備及び地方創生交付金の配分についてお尋ねがありました。

 ICU等については、適切な国際比較によれば、既に欧州の主要国を上回る整備水準となっているところでありますが、さらに、都道府県ごとに新型コロナ重症患者に対応できるICU等の重症者向け病床の確保について調整を行った結果、六月三日時点で、二千五百床を超える重症者病床について既に医療機関と個別の割当てを終えています。

 政府としては、次なる流行の波に備え、感染者の増大に十分対応できる医療提供体制を確保するため、コロナ対応を行う医療機関に対しては、ICU等における重症者治療への診療報酬のさらなる引上げとともに、今般の第二次補正予算においては、一兆六千億円を計上し、専用病棟を設定する医療機関や設備整備に対する支援の拡充などを行うことにより、さらなる支援を行ってまいります。

 また、地方創生臨時交付金については、医療提供体制の整備に関し、その他の、国の施策ではカバーすることができない地方自治体の独自の取組に活用することができます。

 地方自治体への配分に当たっては、家賃支援を含む事業継続や雇用維持などへの対応、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化への対応など、さまざまな地域や対策の特性に応じた配分となるよう検討を進めてまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       厚生労働大臣   加藤 勝信君

       国務大臣     西村 康稔君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  西村 明宏君

       財務副大臣    遠山 清彦君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  近藤 正春君


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