衆議院

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第8号 平成28年11月30日(水曜日)

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平成二十八年十一月三十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 秋元  司君

   理事 谷川 弥一君 理事 平井たくや君

   理事 ふくだ峰之君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 文明君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    大見  正君

      岡下 昌平君    神谷  昇君

      木内  均君    國場幸之助君

      今野 智博君    田畑  毅君

      武部  新君    武村 展英君

      谷川 とむ君    中山 展宏君

      長尾  敬君    橋本 英教君

      鳩山 二郎君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    和田 義明君

      角田 秀穂君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   議員           細田 博之君

   議員           岩屋  毅君

   議員           西村 康稔君

   議員           小沢 鋭仁君

   議員           松浪 健太君

   参議院内閣委員長     難波 奨二君

   参議院議員        魚住裕一郎君

   参議院議員        山本 香苗君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   内閣府大臣政務官     務台 俊介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中川  真君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  種谷 良二君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         中村  格君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     谷川 とむ君

  岡下 昌平君     長尾  敬君

  國場幸之助君     橋本 英教君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     池田 佳隆君

  長尾  敬君     宗清 皇一君

  橋本 英教君     大見  正君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     國場幸之助君

  宗清 皇一君     岡下 昌平君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第五一号)

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(細田博之君外七名提出、第百八十九回国会衆法第二〇号)


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     ――――◇―――――

秋元委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民進党・無所属クラブ所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

秋元委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、民進党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 参議院提出、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院内閣委員長難波奨二君。

    ―――――――――――――

 ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

難波参議院議員 ただいま議題となりましたストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。

 ストーカー行為等の規制等に関する法律、いわゆるストーカー規制法は、平成十二年の制定後、平成二十五年には、連続して電子メールを送信する行為を規制対象へ追加すること等を内容とする改正が行われ、ストーカー行為等による危害の発生の防止等に一定の役割を果たしてきました。しかし、いわゆるSNSの普及など、技術の進歩や社会情勢の変化に伴い、規制の対象とならない行為類型が生じております。ストーカー事案の相談件数は、平成二十七年で約二万二千件と高水準で推移しており、依然として殺人等の重大事案も発生しております。状況は極めて深刻であるため、速やかに対処する必要があります。

 本法律案は、このような最近におけるストーカー行為等の実情に鑑み、ストーカー規制法について、住居等の付近をみだりにうろつく行為及び電子メールに類するその他の電気通信の送信等をすることを規制の対象に加えるとともに、禁止命令等について、警告をしていない場合であってもこれをすることができるようにすること、緊急の必要がある場合における手続を整備すること等の措置を講ずるほか、ストーカー行為等に係る情報提供の禁止、ストーカー行為等の相手方に対する援助の措置等の拡充、罰則の引き上げ、ストーカー行為をする罪について告訴がなくても公訴を提起することができるようにすること等について定めようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、住居等の付近をみだりにうろつく行為並びに電子メール以外のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信を行うこと及び特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為を「つきまとい等」に追加して、規制の対象とすることとしております。

 第二に、都道府県公安委員会は、第三条のつきまとい等をして不安を覚えさせることを禁止する規定に違反する行為があった場合において、加害者がさらに反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、加害者に対する警告がされていない場合であっても、禁止命令等をすることができることとするとともに、緊急の必要があると認めるときは、聴聞または弁明の機会の付与を行わないで、禁止命令等をすることができることとし、当該禁止命令等をした公安委員会は、意見の聴取を、当該禁止命令等をした日から起算して十五日以内に行わなければならないこととしております。また、禁止命令等に有効期間を設け、一年ごとの更新制にすることとしております。

 第三に、何人も、ストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら、その者に対し、その行為等の相手方の氏名、住所等の情報を提供してはならないこととしております。

 第四に、被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者は、その職務を行うに当たり、被害者の安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならないこととしております。また、国及び地方公共団体は、加害者を更生させるための方法、被害者の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進に努めなければならないこととしております。

 第五に、ストーカー行為をした者に対する刑事罰について、懲役刑の上限を一年に、罰金刑の上限を百万円に、それぞれ引き上げるとともに、告訴がなくても公訴を提起することができることとしております。また、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者等に対する刑事罰について、懲役刑の上限を二年に、罰金刑の上限を二百万円に、それぞれ引き上げることとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとしております。

 以上が本法律案の提案の理由及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

秋元委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長種谷良二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 与党が強引に会期延長を決めて、その翌日、全会一致で取り組んできたこのストーカー規制法の改正を、与党の強引なやり方で審議をするということに、強く抗議をいたします。

 ストーカー事案は、警察が認知しただけでも、年間二万件を超えています。その数からいっても、殺人事件に結びつくという、この重大性からいっても、多くの国民が極めて強い関心を持っている重要な重大な問題です。だからこそ、規制の充実を図る今回のこの法案は、全会一致で成立させようと努力をされてきました。

 このような不正常な中で強引に行われているということは、これからのこの法案の運用にかかわっても、また、この法案を待ち望んでいる多くの関係者にとっても、極めて残念なことであるというふうに思います。厳重に、まず抗議したいと思います。

 質問に移りますが、先日、私は、ストーカーの被害者のカウンセリング活動をされているという方のお話を聞きました。

 ストーカー規制法は、ストーカーについて、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、つきまとい、またその他の行為を行うというふうにされていますけれども、これまでに三千件以上の相談に乗ってこられたこの方がおっしゃっていましたが、実はもっと広く、無許可接近と定義づけるべきではないかというふうにおっしゃっていました。ストーカー事案というのは恋愛関係に必ずしも限られるものではないからだとお話しくださいました。

 私もその意見に賛成で、やはりストーカー行為を狭く捉えない方がいいのではないかなというふうに思うんです。今後こうした観点も踏まえて取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

魚住参議院議員 御質問ありがとうございます。

 ストーカー規制法では、恋愛感情等充足目的で行われる一定の行為を規制の対象としているところでございまして、それ以外の目的で行われる行為については法律の対象外となっております。

 これは、立法当時におきまして、つきまとい等は、実態として、交際を求めたり離婚後の復縁を迫ったりするために行われる例が多く、これらの場合には、その相手方に対する暴行、脅迫、ひいては殺人などの犯罪に発展するおそれが強いと言われていたことから、また一方で、国民の私生活に対する規制の範囲を最小限にすべきであるということも考えまして、恋愛感情等充足目的を持つ者に限って規制するものとしたものでございます。

 この目的要件を拡大する場合には、例えばジャーナリストの取材活動とか調査活動であっても幅広く規制対象となるおそれがあるなど、検討を要する点も少なくありません。

 今先生がおっしゃったこの目的要件の拡大につきましては、その検討の必要性を否定するものではございませんけれども、ストーカー規制法のあり方そのものとかかわる議論ともなることから、その具体的な必要性あるいは目的を拡大した場合の問題点等につきまして、慎重な検討が必要になるものと考えているところでございます。

池内委員 ぜひ、慎重には慎重を重ねてやはり進めていかなければならない、私もそのように思っています。

 この専門家の方がおっしゃっていたことで、ストーカーには三つの段階があるというふうに言われていました。

 第一段階は、当事者間で解決ができる段階。自分を変えるからもう一度やり直してくれというような、相手にまだ期待を抱いて関係を改善したいというふうに考えている段階があって、第二段階というのが次の段階ですけれども、切迫したメールとか待ち伏せ、誠意見せろ、死んでやる、こうした支配的コミュニケーションに至る段階。そして第三段階が、住居侵入、殺人など、こうした重大な問題になっていく。それぞれの段階に合った対応が必要だというふうにおっしゃっていました。

 今回の改正では、ここで言う第二段階から第三段階に至る段階での対応を非親告罪化、そしてSNSのコメント等の行為もストーカーの行為の対象とするということだと思います。

 ある方が、この改正案について、SNSでもう既に発信をされたそうなんです。そうすると、その方に対するSNS上での嫌がらせ行為というのが、そのときからぴたりととまっていると。その意味でも、今回のこの法改正の時期、また内容というのは実態に合っているものであって、進めていくべきだというふうに思っています。

 さらに、緊急的に禁止命令を出すということもできるようになるので、本当に差し迫った危険があるときに迅速な対応ができるということになる。その際、ストーカー行為に対して警告を発することができるケースがふえるということになるんですけれども、もちろん、被害者の意思に反してどんどん警告を出すとかどんどん捕まえるということは好ましくないというふうに思うんですね。

 被害者がどうしてほしいのか、どういうことを望んでいるのかという意思を酌むということがとても大事だと思いますが、どうでしょうか。

山本(香)参議院議員 今御指摘いただきましたとおり、私どもといたしましても、今回、さまざまな段階がありますけれども、被害者の方の安心と安全を確保するということが一番大事だと思っております。

 なので、今御指摘いただきましたけれども、今回、警告を経ずに禁止命令等を出せるという形にしましたけれども、当然のことながら、事態がエスカレートしていないのにやるということはあり得ない。被害者の方々の、逆上されたりとか、そういったことがないような形をしっかりとやっていかなくてはいけない、適切な手段というのを選択していかなくてはいけないと思っています。

 特に、今おっしゃっていただきました、緊急の場合でと、これは五条のところでありますけれども、事前の聴聞等を行うことなく禁止命令等を発出できることとしておりますけれども、これに該当するか否かというところにつきましては、つきまとい等の行為の態様、頻度、期間、被害者が感じていらっしゃる不安の程度といったことなどから、早急につきまとい等をやめさせなければ被害者に対して危害が発生するおそれが強い、そういうことが認められるかどうかというところをしっかりと見ていっていただくことを警察に期待しておりますので、御趣旨に沿った運用ができるように、我々としてもしっかりと担保してまいりたいと思います。

池内委員 しっかりと担保ということで、本当に大事なことだと思っています。

 警告や禁止命令を発するというときに、加害者の危険性をどうやって見きわめるのか、これが大きなポイントだと思うんですが、事前に被害者を一時保護するとか、適切な被害者支援が行われないと、重大事案に発展する可能性もあると思うんです。警告を発したことで被害者が危険にさらされては、本当にこれはいけない、意味がないというふうに思うんですね。

 ストーカーの特徴というのは、加害者が自分のことを加害者と認識していなくて、むしろ被害者だというふうに思っているところにこの問題の特徴があると思います。そうした人物が、警察が介入することによってさらに憎悪を募らせる、この悪循環に陥ってしまうという場合も想定されます。加害者の危険性をより適切に把握する、そのためにどうしているのか。

 また、相談担当の職員の皆さんには異動があると思うんですね。警察官の皆さん、異動があると思いますが、専門性が深まらない中で、危険性が判断できないということにならないための措置をどのように行っているか。お答えください。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 ストーカー事案につきましては、その性質上、事態が急展開して重大事件に発展するおそれがあるため、事案の危険性、切迫性を的確に判断することが重要であるというふうに認識をしておるところでございます。

 警察におきましては、ストーカー事案の危険性、切迫性を的確に判断するため、各都道府県警察の本部において、ストーカー等に一元的に対処するための体制を確立した上で、警察署で事案を認知した段階から、生活安全部門と刑事部門とが連携し、警察本部が確実に関与することによって、組織的に対応するということとしております。

 また、被害者等から加害者の具体的な言動等を引き出すよう努めるとともに、危険性を判断するためのチェック票の判定結果を参考にするなどして、事案の危険性の適切な判断に資するようにしているところでございます。

 このようなことによりまして、事案の危険性、切迫性の的確な判断に努めて、被害者の安全確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

池内委員 ぜひ丁寧に進めていっていただきたいと思います。

 ストーカーの問題の解決が何を意味するのか、どういう状態を指すのか、これは大事な問題だと思います。

 被害者が自分の生活を犠牲にして、つまりは、自分の仕事を休んだり学校に行けなくなったりしながらでは、根本的な解決にはなりません。根本的解決という点では、やはり加害者が危険でなくなること、加害者の無害化ということが対策の目標にならないといけないというふうに思うんです。なので、初期段階での対応というのが非常に重要になってくると思います。

 先ほど、ストーカー事案の認知件数は二万件とあったんですけれども、検挙件数は二〇一五年で二千四百十五件。これは、大多数は実際の暴力以外の、警察沙汰にならない精神的な暴力に苦しめられている方々がたくさんいると思うんですね。こうした状況をまさに生き地獄だと表現されている被害者の方々もいらっしゃる。

 警察は本来、犯罪の捜査とか犯人の逮捕ということが業務であって、ストーカー被害者の相談、大小全てを警察が担うということは余り現実的ではないというふうに思うし、本来の役割でもないと思うんです。

 相談する側も、警察にしか相談窓口がないという状況では相談がしにくい。警察じゃなくて、市町村の役所とか精神保健福祉センター、こうしたところに相談窓口を設置する。警察には言いにくいけれども一人では解決ができない、こうした事案を拾うことができるようにするために、こうした相談窓口の設置をすべきではないでしょうか。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 政府では、平成二十七年の三月に策定したストーカー総合対策に基づき、各省庁において施策を推進しておるところであります。

 また、昨年十二月に閣議決定いたしました第四次男女共同参画計画においても、関係機関が連携してストーカー事案への対策を推進しております。

 お尋ねの、地方自治体や保健所に窓口を設けるべきではないかという点でありますが、警察庁において、地方公共団体に対して、研修会等さまざまな機会を通じて、犯罪被害者等のための総合的な窓口の設置を促進するよう要請しておりまして、平成二十八年四月一日現在で、都道府県、政令都市においては全地域において設置されており、市区町村では、全国千六百六十四市区町村、九六・七%において総合的対応窓口が設置されているというふうに承知しております。

 また、ストーカー行為は被害者の方に大変強いストレスを与えますので、状況に応じた精神的なサポートが必要であるというふうに認識しております。

 厚生労働省においては、地域における保健所や都道府県、指定都市に設置された精神保健福祉センターにおいて、不幸にしてストーカー被害に遭われた方に対しても、精神面での相談や専門的医療機関への紹介等、必要な対応を行っているところであります。

池内委員 さまざま御努力されているということは私も認識をしています。

 今おっしゃった、さまざま相談窓口があるということなんですけれども、ただ、ストーカー相談と看板を掲げているというところは少ないというふうに聞いています。看板を掲げているDV相談と比べると、相談件数がとても少ない。埼玉県のある自治体では、DV相談というのが二千件に及んでいますけれども、ストーカーはその中のわずか二件なんですよね。

 役所に相談に来ても、警察にそのまま、ではこれはストーカーなんでということで警察の方に渡されてしまうというところもあるそうなんです。ストーカー問題にどう対応していいのかわからないということだとか、ストーカーは怖い、そういう窓口の方々の思いもあるというふうに聞いています。

 実際に相談活動に携わっている方の意見を聞いても、やはり、家族や上司とか身近な人への相談に加えて、自治体や保健所などでの専門の相談が受けられる窓口がある、看板が掲げてあるということはとても大事だというふうに聞きました。そして、事案によっては、自治体などからカウンセラーなどのそうした専門家、法テラス、警察への紹介という、警察へ行くほど切迫していない段階での問題解決の道というのがさらに大きく広がっていくということは大事なことではないかと思います。

 なので、結局、DVとストーカーはやはり対応が全く違うわけですので、必要な講習を受けた職員をしっかりと配置していくということをぜひお願いしたいと思いますが、この点いかがでしょうか。

石原副大臣 大変適切な御指摘かと思いますけれども、しっかりと関係省庁とともに連携してまいりたいと思います。

池内委員 あと、時間も少なくなってきて、実は三十分で質問を準備していたので、随分きゅっとスリム化しているんですけれども。

 最後に、ストーカーの加害者への対応方法について聞きたいと思います。

 先ほども述べたように、被害者にとって一番大事なのは、相手のストーカー行為をやめさせること、相手を無害化するということだと思うんです。そのために、何よりも、難しさはいろいろあると思うんですけれども、警察や医療分野だけじゃなくて、厚労省や自治体、NPOなどの連携が今大事なんじゃないかなというふうに思うんです。この点、引き続き取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。

石原副大臣 ストーカーの加害者更生にかかわる取り組みの推進については、第四次男女共同参画基本計画においても、加害者に対する迅速的確な対応を徹底するとともに、関係機関が適切に連携を図りながら加害者更生に係る取り組みを推進することとしております。

 引き続き、関係省庁と連携して取り組みを進めてまいりたいと思います。

池内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋元委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

秋元委員長 次に、第百八十九回国会、細田博之君外七名提出、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。提出者細田博之君。

    ―――――――――――――

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

細田(博)議員 ただいま議題となりました特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案につきまして、提案者を代表して、提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことが必要であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、基本理念として、特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理のもとで運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとすることとしております。

 第二に、国は、基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有することとしております。

 第三に、政府は本法律案に規定された基本方針等に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、このために必要な措置を講ずるものとしております。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないこととしております。

 第四に、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針として、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成等、観光産業等の国際競争力の強化及び地域経済の振興、地方公共団体の構想の尊重、カジノ施設関係者に対する規制及びカジノ施設の設置及び運営に関する規制に係る事項を定めることとしております。

 第五に、内閣府に外局として置かれるカジノ管理委員会は、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るため、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとすることとしております。

 第六に、国及び地方公共団体は、カジノ施設の設置及び運営をする者から納付金を徴収することができるものとし、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるものとすることとしております。

 第七に、特定複合観光施設区域の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする特定複合観光施設区域整備推進本部を置くこととし、その組織及び運営に関し、所要の規定を設けることとしております。

 第八に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

秋元委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中川真君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川弥一君。

谷川(弥)委員 自由民主党の谷川弥一です。

 質問に入る前に、ちょっと私見ですが、本日、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるIR法案をようやく内閣委員会で審議を始めることができることに感謝申し上げたいと思います。同時に、御尽力いただいている会長の細田先生、幹事長の岩屋先生、西村先生ほか議連に所属している全議員に敬意を表したいと思います。

 さて、冷戦構造が終結し、市場が一つになるグローバリズムが到来したことで世界経済は飛躍的に拡大しましたが、結果として、労働賃金が相対的に安い途上国に労働賃金が高い先進国から資本と技術を持って進出した結果、先進国の工場が閉鎖され、大量の失業者が出、閉鎖しないまでも賃金の上昇のスピードが鈍ったことによって、大変な貧富の格差を及ぼしております。同時に、デジタル革命によって情報通信、金融等が飛躍的に伸び、所得格差がますます広がりました。このことによる国民の二層化が進んだことにより、イギリスがEUから離脱、トランプ大統領の誕生等、大変な時代の激変を迎えております。

 国内に目を向けると、少子高齢化により、社会保障制度の維持が難しくなり、市場の縮小によって、個人消費の伸び悩みでなかなか経済がうまく伸びない。アベノミクスで、第一の矢、超金融緩和をしたが、そのことによって必ずしも思ったほどの効果が出ていない。第二については、膨大な借金によって、これも思うに任せない。第三についてのイノベーションですが、これも国立大学の独法化の結果、十二年で千四百五十億も切ったというような大変な状況下にあります。

 そういう中で、日本は、インフラの輸出とかいろいろやっているんですが、この観光産業というものをもう少し大々的にやっていき、それは成功しつつありますが、さらに力を入れるためには今回のこの法案は大変有力なる武器になると思っておりますので、そのことを踏まえながら、以下、数点お尋ねいたします。

 一つは、特定複合観光施設とは何なのか、なぜカジノを合法化しようとするのか、お尋ねしたいと思います。

岩屋議員 まず、この審議の場をお与えいただきました秋元委員長を初め委員の先生方に、心からお礼を申し上げたいというふうに思います。

 今、谷川先生から、我が国の経済の現況についてのお話もいただきましたが、その中で、一番、今着実に伸びていて、なおかつこれからも確実に伸びていく分野はどこかということを考えますと、それは観光だというふうに私ども考えておりまして、先生がおっしゃっていただいたように、我が国の観光振興に資するためにこの法案を提案させていただいているところでございます。

 そこで、先生のお尋ねの特定複合観光施設とは何かということでございますが、推進法案にも明記させていただいておりますように、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与する施設、及び、その施設のごく一部と想定をしておりますが、カジノというゲーミング施設が一体となっている施設を指すものでございます。

 なぜそれが必要かということでございますが、例えば、シンガポールは二カ所のIRを設置することによりまして観光を飛躍的に伸ばしているわけでございますが、そのシンガポールのIRの施設の中には、ごく一部にカジノという非常に収益力の高い施設が設けられております。それが加わっていることによって、国際会議場や展示場、単体であれば不採算になるような施設も含めた施設全体が円滑に運営できている、さらに集客力を飛躍的に伸ばしているという事例がございます。

 したがって、私どもも、日本のMICEの機能を強化していくためにも、一部にカジノ施設を含むIRというものを認めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

谷川(弥)委員 次に、カジノを合法化することの社会的な問題やリスクについてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。

岩屋議員 カジノというのは、言うまでもなくギャンブルでございますので、それが及ぼす社会的な負の影響について十分対策を講じなければいけないというのは、当然のことだと思っております。

 例えば、ギャンブル依存症の問題、それから治安がもしかすると悪化するのではないかという懸念、あるいは青少年に悪影響を及ぼすのではないかというような心配、あるいは社会悪、組織悪の関与があるのではないかという懸念、こういったリスクを最小限に抑制する措置を設けることによって、国民の理解、信頼を深めることが必要であるというふうに考えているところでございます。

 そのために、今回の法案におきましても、カジノ施設の設置、運営に関しまして、不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を政府に講じなさいということを命じております。また、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序維持、安全確保を図る、独立性の高いカジノ管理委員会の設置を予定しているところでございます。これらの厳重かつ適正な規制、監督を行うことを前提にしているところでございます。

谷川(弥)委員 次に、三点目に、IRの推進、導入にはどのような効果があるのか、お尋ねしたいと思います。

細田(博)議員 IRの推進、導入にどのような効果があるのかという御質問でございますが、このIRの導入によりまして、国際観光の振興、国際会議機能の強化、文化の振興、魅力ある都市づくり、地域活性化など、幅広い波及効果が期待されております。

 具体的には、施設整備に伴う建設需要、直接的、間接的な雇用創出、第三に国内外の観光客の増加による経済効果、第四にカジノ収益による財政改善が期待されるわけであります。また、これらの経済効果は、IR施設の設置区域以外の地域にも広域的に波及するのではないかと考えております。

 例えば、シンガポールにおきましては、二〇一〇年に二つのIRが開業したところ、マリーナ・ベイ・サンズの初期投資は約五十七億米ドル、約五千億円弱にも上ります。また、両IRのカジノにおける直接雇用は約二万三千人であり、間接雇用を含めればさらに多くの雇用創出効果があると考えられます。二〇一三年においては、海外旅行者数が導入前の二〇〇九年と比較して六〇%増の千五百五十万人に、また、海外旅行者の消費額が、観光、娯楽、賭博、宿泊、ショッピング、飲食における増加を中心に約九〇%増、二百三十五億シンガポール・ドル、約一・九兆円となっており、これらはIRの導入による影響も大きいと考えられるわけでございます。さらに、二〇一三年のカジノ収入でございますが、導入前と比較して約四一%増の二十四億シンガポール・ドル、二千億円となっております。

 厳しい管理のもとで運営されるカジノは、他の施設とも相まって、今やファミリー層のデスティネーション、観光目的地になっているわけでございまして、旅行をされた方は御理解いただけると思いますが、これらの都市は、今や大人から子供まで家族全員が楽しむことができる総合エンターテインメントシティーに変貌したと言えるわけでございます。そのような効果を参考にしながら、大きな効果に期待しております。

谷川(弥)委員 次に、IR推進の目的の一つに観光振興というのが挙げられていますが、IRは観光振興に本当に役立つのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)議員 お答えを申し上げます。

 今も答弁がありましたけれども、まさにIRは複合的な大型の観光施設ということで、質の高い多様なサービスが提供されるという中で、内外の老若男女を問わず、観光客それからビジネス客をも対象とし、いわゆるギャンブラーを念頭に置いてその人たちを呼び込もうということではありませんので、これは全体として大いに観光振興に役立つものと考えております。

 今もお話がありましたけれども、シンガポールではIRの導入前後で観光客が約六割増加をしておりまして、観光立国というものを実現しているというふうに思います。大いに観光振興に寄与するものと思っております。

 今もお話がありましたとおり、ファミリー層全体を引きつける施設ということで、いわゆる総合エンターテインメントシティーとして実現していければ、日本の観光にも大いに寄与するものと思っております。

 ちなみに、シンガポールのいわゆるアイコニックな外観で有名なIR施設の宿泊施設でありますホテルでありますけれども、その宿泊数のトップは日本人でありまして、その多くはカジノ目的に訪れているわけではないというふうに認識をいたしております。

谷川(弥)委員 五番目については、私見を述べながら、いかに地域の振興が大事か、何で地域が疲弊するのかということについて触れて、今回はぜひ地域を中心に展開していただきたいというのをお尋ねするんですが、なぜ地域が疲弊するのか。それは、一次産業に対する依存度が高いところほど疲弊していっているんです。それと、情報通信社会というのは必ず大都市に集中する傾向が世界的にあります。例えば、九州でいったら福岡へ、中国地方だったら広島へというふうに、どこもなっていくんですね。

 さて、それならどうして地域が疲弊するかという前に、ひとつぜひ原点に返って考えていただきたい。

 それは、戦後の日本社会というものの一番の欠点というのは、先輩たちがむちゃくちゃな戦争をした、そのことによって国民に大変な負担をかけた、もう骨身にしみている。だから、また戦争になるよとちょっとささやいたら、そこで全ての思考がとまってしまう。これが僕は全ての諸悪の根源だと思っているんです。ここをどう脱していくか。

 現実は、戦わなければ生きていけない。全ての動植物がそうです。人間もそれから逃れることはできません。戦わなかったら生きていけないんです、生き物は。そこをまず原点に置いて物を考えていただかないと困る。そうすると、一次産業はどうやって戦っていくのか。これは難しいですよ。

 なぜならば、今はやりというか、盛んに今期待されつつあるAIとかそれからビッグデータとか、そういうのをうまくやっていけば農業も生き返ってくるんですけれども、その間はどうするか、それが完成するまでは。それは、人件費の安いところに負けるのは当たり前なんです、今のやり方では。そうすると、グローバリズムが進むほど一次産業はやられていくというのはもう当たり前なんですね。そこを無視して、農協改革をやろうとしたり、それから合理化が進むからますます地方は疲弊していく。

 それなら、何で地方を救っていくのか。これが、僕は日本だけじゃなくて世界的に抜けているんじゃないかなと。思い切って堂々と、生活保護をやるように一次産業生産者の弱い部分は助けていくべきだと僕は思っているんです。それをしきらぬなら、そのかわりに何の産業を持ってくるか。そこをしっかり頭に入れていただいて、ぜひこの件は展開していただきたい。

 最後に、余談ですけれども、ヘレン・ミアーズという人が書いた「アメリカの鏡・日本」という本があります。物すごく厚い本です。そこに気になることが二つ書いてあるんです。

 一つは、これを書いた人は、昭和二十八年の、労働問題に関係した、占領軍というか、人ですが、ヘレン・ミアーズというんですが、第一、占領の目的は、日本経済をぐちゃぐちゃにたたいてほっておけ、こう書いているんです、本の中に。うそか本当か知りませんよ。その本の中に書いているんです。第二、日本の伝統文化を破壊せよ、こう書いているんですね。

 そうすると、日本の伝統文化とは何だというと、家族なんですよ。家族であり、集落であり、神社なんですよ。それをぐちゃぐちゃにされたから、日本人は立っている基盤というのが弱くなっている。こういうこともまず頭に入れていただきたい。どうぞお願いして、質問に入ります。

 地域の活性化、地方創生の達成のためにIRを活用すべきだと僕は思っているんですが、いかがですか。

岩屋議員 ただいま谷川先生の幅広い御識見を御披露いただきました。それにお答えする能力は私にはないわけでございますが、今先生御指摘の、地域活性化、地方創生の達成のためにこそIRを活用すべきだという点につきましては、私ども提出者も全く同じように考えております。

 どこにIRを展開すべきかということを我々は議論してきたわけではありませんが、やはり、大都市ばかりではなくて、地方への展開もあってしかるべきではないかと思っています。

 今、インバウンドは二千万人に達しましたが、その大半はいわゆるゴールデンルートに集中しております。東京に入って、富士山を見て、大阪へ行って、京都、奈良を見て帰るというのが大半でございますので、こういった海外からのお客様に北海道から九州、沖縄に至るまで幅広く我が国を旅行していただくためにも、地方型のIRというのも私はあってしかるべきではないかと思っています。

 人口減少が進んでいる地方において観光業を中心とするサービス業を発展させることが、地方創生あるいは地域活性化につながっていく。我が国には、先生のお地元もそうでありますように、それぞれ独自の文化、伝統を育み、また魅力ある観光資源に富んでいるわけでございまして、IRの推進によりましてこれからますます地方に観光客がふえていくように、またそうしていかなければいけないというふうに私ども考えているところでございます。

谷川(弥)委員 六番目に、IRを推進するに当たって、最後にもう一回、政府にはお尋ねしますが、国の果たすべき役割は何なのかをお尋ねします。

岩屋議員 お答え申し上げます。

 まずは、新しい取り組みでありますIRのコンセプトを国が明確に打ち出すことによって、地方公共団体や民間事業者の意欲を喚起する必要があるというふうに思っておりまして、そのための第一歩がこの推進法案であると私ども考えております。

 今回の推進法案におきましては、国は、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、さらに、観光産業等の国際競争力の強化、三番目に、地方経済の振興のために必要な措置を講ずる、四番目に、地方公共団体のすぐれた構想を反映させるための措置を講ずるというふうにいたしております。

 IRの円滑かつ着実な推進に当たりましては、したがって、国がこういった基本方針を、基本指針と言ってもいいと思いますが、これをしっかりと策定するなどしてその方向性を示すということが、国の役割になろうかと思います。

 さらに、国は、カジノ施設関係者に対する規制を適切に行う独立の機関といたしましてカジノ管理委員会を設ける、そのカジノ管理委員会によりまして厳しく事業者を規制するとともに、カジノ施設の設置が社会に及ぼす影響等について国民の不安や懸念を払拭するため、カジノ施設における不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を講ずることといたしております。

 その具体的な措置の中身につきましては、この推進法案を成立させていただければ、一年以内に政府が実施法案の中でしっかりと規定をするということになるわけでございます。

谷川(弥)委員 七番目に、入場者についての規制は想定していますか。

 例えば、未成年者や生活保護受給者、過去に犯罪歴のある人のカジノへの入場制限をすることは想定しているか、お尋ねいたします。

西村(康)議員 お答え申し上げます。

 まさに大事な視点でございまして、カジノ施設への入場者への規制ということにつきまして、御指摘ありました、青少年の健全な育成、あるいは暴力団等の関与の排除、ギャンブル依存症への対策、こういったために必要ではないかというふうに考えております。

 そうした観点から、法案の第十条二項に、「カジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずるものとする。」という規定も入れているところでございます。

 少なくとも、未成年者がカジノ施設に入場することは禁止をし、入場に当たっては、写真つきの身分証明書等、マイナンバーカードなんかもその一つだと思いますが、年齢確認等を行うことも考えられると思います。また、入場規制として、欠格要件を設けたり罰則を設けたりすることも考えられるわけでありまして、具体的内容につきましては、政府において策定される実施法、この中で規定をされるものというふうに考えております。

 ちなみに、ギャンブル依存症対策として、シンガポールでは、自己排除あるいは家族排除プログラム等、つまり、家族が、うちの家族の一員である夫はもう行かせないでくれといったような、そういった申し出によって抑止政策が実施されておりまして、こういった諸外国のさまざまな取り組みも、実施法案の中で今後考える、検討に当たっては参考になるものというふうに考えております。

谷川(弥)委員 似たような質問ですが、重なっていたら飛ばしてください。

 カジノの導入によって社会的問題がいろいろ、例えば依存症とかマネーロンダリング、暴力団、地域の風俗環境、青少年に及ぼす影響等に対する国や地方公共団体の対応として、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるか、教えてください。

西村(康)議員 お答え申し上げます。

 御指摘ありました、カジノの導入に際して想定される社会的問題に対する具体的な対策について、政府において一年以内を目途に策定される実施法の中で規定されるものというふうに考えておりますけれども、この法案でも、第十条におきまして幾つかの項目についてしっかりと、必要な措置を講ずるという規定を設けておりまして、例えばチップ等の金銭代替物の適正な利用とか、暴力団員の関与の排除とか、青少年の健全育成とか、ギャンブル依存症対策、こういったことについて必要な措置を講じることにしております。

 依存症対策については、先ほども申し上げましたけれども、カウンセリングの枠組みとかあるいは治療等の体制整備、事業者における配慮義務、あるいは教育、こういったものについて、実態を把握しながらしっかりと政府において対応していくことを求めたいというふうに思っております。

 一方、地方公共団体は、このIR区域及びその周辺環境の健全化、安全化、こういったこと、あるいは、カジノが社会、その地域に与える問題やリスクを最小限に抑制していくために取り組んでいくということが期待をされるというふうに思います。

 いずれにしましても、政府が策定をする実施法案の中でしっかりと規定をしてもらいたいというふうに思っております。

谷川(弥)委員 日本でギャンブル依存症の疑いがある成人は約五百三十六万、その人口に対して四・八%という厚生労働省の研究班の調査結果がありますが、カジノを合法化してIRを推進することによりギャンブル依存症が増加する懸念があるのではないかと心配されますが、対応策についてお尋ねいたします。

西村(康)議員 御指摘のギャンブル依存症対策というのは、物すごく大事な点だというふうに思っております。ぜひ、こうしたギャンブル依存症を含めて社会的な考えられる問題、これをしっかりと排除して、最小限に抑制していくということが最重要の課題というふうに考えております。

 ギャンブル依存症については、公営競技等において既に存在する問題であるというふうに認識をしております。

 国においても、厚労省において現状について調査研究を行って、毎年一定の対策を講じてきているものというふうに承知をしております。

 二十八年度も、本年度末までを対象として依存症に対する調査を行っておりまして、こうしたものを踏まえてしっかりと対応していくことが必要だというふうに考えております。

 先ほど申し上げました諸外国の例とか最新の知見、こういったものを踏まえて、ギャンブル依存症の減少、シンガポールなんかでは減少をさせていますので、こういったことを参考にしながら、ぜひ万全の対策を講じてもらいたいというふうに思っております。

 あわせて、効果的にこの依存症対策を推進するために、地方公共団体、あるいはNPO、NGO、こういったところとも連携をとりながら、細やかな対策を講じていくことが大事だというふうに思っております。

 シンガポールの例で申し上げると、一・二%から〇・二%に下がったりしておりますので、そういった取り組みを参考にしてぜひ取り組んでもらいたいというふうに思っております。

谷川(弥)委員 質問の最後に、政府にお尋ねしますが、本法案第五条において、政府は、本法案で定める基本方針に基づいて、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、そのために必要な法制上の措置について、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないとしているが、本法案が成立した場合、政府は今後どのような法整備を進めていくおつもりか、お尋ねいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 議員立法でありますこのIR推進法案第五条におきまして、政府は、特定複合観光施設区域の推進に必要な法整備の措置につきましては、推進法案の施行後一年以内を目途として講じなければならないとされていることは承知しております。

 このため、この推進法案が施行されました場合には、既にここの場でも御議論をいただきましたように、カジノ施設関係者に対するカジノ規制ですとか、あるいは入場規制などについての海外の先進的な事例なども参考にしつつ、この推進法案等に関する国会の場での御議論ですとか、あるいは国民的な議論を踏まえ、国民の納得を得ながら検討を進めていくことになるというふうに承知しております。

谷川(弥)委員 一応質問は終わったんですが、余りにも時間が余っているので、地元のことを一点。これは、答えにくかったら答えてもらわなくても結構です。そして、最後に私見を述べて終わります。

 地元のことですが、私の地元長崎県は、恥ずかしいことですが、五年間で約五万人人口が減っております。その最大の理由は水産業なんです。東シナ海という大変いい漁場を持って、私の出身の五島列島を中心に、以西底びきとかまき網がどんどん出て大変な経済的効果があったんですが、今から言う理由によってもうがたがたになっております。

 一つは、中国が、川魚を主としたのが海の魚に移ってきて、東シナ海に約二万隻出ております。日本は八百しか出ておりません。そのことによって、以西底びきはほぼ壊滅状態になっております。まき網もほとんどそれに近い。もう一つは、温暖化によって、すむ魚が、地域が違った、西の魚が山陰沖に行き、山陰が青森の沖あたりに移っていっている。三番目が、消費者の魚離れによって、お肉をパックでぱっと買っていく。四番目が、冷凍技術の進歩によって、ノルウェーの魚が、瞬間冷凍して日本に持ってきて解凍したら、すぐその辺の魚と同じような状況になってきた。つまり、産地の優位性が崩れているんです。

 この四つは、どれも簡単に解決できません。できないと思います。そうすると、水産の復興というのは、まず養殖を確立させぬ限りあり得ないかな、こう思っているんですね。

 もう一つは、これは歴史の宿命ですが、造船業が韓国、中国にほとんど移って、主産業の造船業は長崎はもう思うに任せません。

 とすると、何でやるのという話になるんですよ。私は、口を酸っぱくして観光をやれと言っているんですが、なかなか思うとおりやってくれません。これを言うと個人攻撃になるので、中身は言いません。非常に、私は経営感覚は人並み以上にすぐれていると思っているので、これをやれ、あれをやれ、これをやれると言うんですが、一つも実行してくれない。

 そういう中で、このIRというのはすごいなと思っているので、ひとり言ですが、所見があったら教えてください。

細田(博)議員 谷川議員の御出身の五島列島を初め、厳しい環境と過疎、高齢化が進んでいるということをよく承知しております。議員が主導権を持って国境離島の振興、保全に関する法律を成立させたことも一つ大きな業績でございますが、やはり、それぞれの産業がそれぞれの問題を抱えておりますから、観光振興というのも、そして、津々浦々に日本国民も外国人も来てもらって、文化遺産を見てもらったり楽しく旅をしてもらうということも非常に大事な要素になっております。六千万人と一口に言いますけれども、さまざまな工夫を凝らす、これは非常に大切な地域振興につながると思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

谷川(弥)委員 全部時間を使おうとは思っていませんが、私見ですが、一番の心配はやはり、批判する人も言っているとおり、負の部分ですね、この法律による負の部分。

 それで、提案ですけれども、これは私見ですよ、人間の本能というのは苦しいことは避けて楽を求める、これは僕は本能だと思うんです。そうすると、いい結果が出ないので、悪い結果に対して、人のせいにして言いわけをする。これを私は保守本能、美化本能と言っているんですけれども、これに対抗するのは実は五つありますよ、五つ。

 一つは、人生に壮大な目標を持つこと。これは私見ですからどこにも書いていませんよ、私が勝手に言っているだけですから。二つは、このままほっておいたらどうなるかな。例えば、日本はどんどんどんどん借金を重ねていっていますが、このままほっておいたらどうなるのかなといって、将来に対する危機感を持ってそれに構える。三つ目は、あいつには負けたくないよという負けん気を持つ。四つ目が、恥ずかしいんですけれども、愛ですよ、愛。家族を守る。女房、子供を守るために命がけで働く。自分のことは自分でやる。五つが宗教なんです。

 宗教については、日本の社会は触れたがりません、憲法違反とかいって。しかし、我々の先祖はもともと、一週間に一回ぐらいお寺に行ったり教会に行ったりしておったんです。何でやれないのかなと思っているんですけれども、現実はやれない。

 例えば、宗教について一つ触れると、私は禅宗なので、禅の勉強を四十の記念に三年やったんですが、般若心経というのがあるんです。「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄」というんですが、その根底にあるのは、般若波羅蜜多というのは、般若は知恵なんです。蜜多というのは行くなんです。波羅が彼岸。幸せになるための道ということなんですよ。どうしたら幸せになるのといったら、無念無想で生き抜けと言うんですよ。言いわけするなと言うんですよ。七十五分の一秒単位でうわっと行けと言うんですよ。行けますかね。あなたはがんで死にますよと言われて、さて、無心になれるのかなと、私は自問自答するんですが、それはできないと思いますよ。できないでも、泣きながら、はいずり回ってでも、一日でも生きようとする、これが実は般若なんです。

 こんなことを徹底してやっていかないと、解決できない部分が出てきますよ、このIR法案には。やってほしい、けれども負の部分もあるよということをよくよくお考えいただいて、もう一回、宗教については見直せないのかな。自分の宗教でいいじゃないですか、全否定するんじゃなくて。どれをやれと言ったら問題だけれども、自分の宗教なら徹底してやるよということを議員それぞれ考える時期に来ているんじゃないかな。膨大な借金、人のせいにする、平気で人の金を使う、それを何とも思わない。当たり前だとして推奨する新聞もあります。政党もあります。そういうことを、僕は、ここでぜひ立ちどまって考えていただきたい。これがIR法案の負の部分に対する私の心構えなんです。

 もう一つ、ぜひお願いしたい。

 私は、文部副大臣のときに、夏目漱石を読んだことのある人は俺と語ろうよ、来いよと言って手を挙げさせたけれども、誰も来ませんでした。へえ、最近の文部省というのは漱石も読んでいないのかよと思ったんですが、私は、猫と草枕については全部、何ページの何行目から何行目は、これはいけるぞ、これはこの法律について書いているよというのをずっと書いて持っているんですけれども、私は実は漱石が好きなんです。全巻、十二回ぐらい読みました。

 そういうことの中で、例えば、「まつすぐな道でさみしい」とか、「日ざかりのお地蔵さまの顔がにこにこ」とか、「しぐるゝや人のなさけに涙ぐむ」とか、全部山頭火なんですが、こういう部分をもうちょっと見直していただきたい、教育面で。

 そういうことをもう一遍、人の心を、例えばAIが普及したら四九%失業する、どうするんですか。やはり心を耕す仕事をもう一遍我々は考えんといかぬ。

 そうすると、心を耕す仕事というのは何だというと、文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、それから宗教なんですよ。そういうことを構えていかないと、このIR法案の負の部分についての抜本的な解決にならぬぞ、そういうことを提案して反対するならいいけれども、何も提案せぬで、負の部分だけ見て反対反対と言うのはいかにも芸がないよ、それを本当は言いたいんです。

 もうこれで終わりますから、御所見があったら承っておきたいと思います。

細田(博)議員 これまでも、公営競技等について、そのお金を使ってさまざまな振興を図っておりますが、このIR、カジノ収益については、おっしゃるような伝統文化の振興と観光の振興、こういったことをもっと深くやる仕組みを考えなければならないということを今考えておりますので、またお知恵を出していただきたいと思います。実現の際にはよろしくお願いします。

谷川(弥)委員 時間が余りましたが、終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 きょうの委員会で議題となりました特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案につきましては、極めて国民あるいは社会も注目をしているところでもございますので、きょうからの審議で、今回法律によって導入されようとしている、いわゆるIRというものはどういうものなのか、それに伴うメリット、さらにデメリットというものを国民の皆様にもぜひわかっていただくような、そういう審議を心がけてまいりたいと思います。

 谷川先生と一部重なる部分も当然ありますが、なるべく割愛はさせていただきたいと思うんですけれども、しかし、政党が違いますので、我が党も、きょうキックオフで党内議論を始めたところでもございますので、党を代表してという立場から、何点か、今回のこの推進法について御指摘もし、また聞かせていただきたいと思いますので、ぜひ提案者の皆さんには、今回の法律の趣旨がわかるように御答弁をいただきたいと思いますし、一部政府の方も御答弁をいただきたいと思います。

 まず最初に、今、谷川先生からもありましたけれども、今回日本に初めて、いわゆるIRというものを導入するわけですね。まだ導入されていないわけでございます。ですから、このIR推進法案において、第二条の定義で、特定複合観光施設というものが定義をされているわけでございますけれども、この特定複合観光施設というものがどういうものなのかということをわかりやすく御説明いただきたいと思います。

岩屋議員 佐藤先生には、このテーマでこれまでも一緒に勉強させていただいてまいりましたので、釈迦に説法でございますけれども、お尋ねは、特定複合観光施設、IRとは何かということでございます。

 これは、今御指摘がありましたように、推進法案の第二条で書かせていただいておりますが、あくまでも複合型の観光施設であるということでございます。私どもは、カジノというゲーミング場を単体で認めることは全く考えておらないわけでございます。

 このIRとは、宿泊施設、それから国際会議場等の施設、展示施設、劇場、レクリエーション施設、場合によっては遊園地などの、統合型の施設の中に、シンガポールなんかでは大体三%ぐらいに制限していると思いますが、参考にすべきだと思いますが、一部にカジノという、世界百二十七カ国で既に合法化されているゲーミング場を認めようと。あくまでも総合型の、複合型のエンターテインメント施設というものを想定しているわけでございます。

佐藤(茂)委員 ちょっと通告をしていないので、今まさに岩屋先生の答弁の中にありましたが、シンガポールは法律で三%以内、全面積の比でいくと、そういう規定をされているわけですが、これからこの推進法が通った後の第二段階の実施法の議論にもなろうかと思いますけれども、日本もやはりそういう意味でいうと、IRの中におけるカジノの占める広さの制限というんですかね、そういうものについてはどのように考えておられるか、提案者として答弁いただければありがたいと思います。

岩屋議員 具体的な規定は、これから政府がつくる実施法の中で規定をしていくということになるわけでございますが、先ほど紹介をさせていただいたシンガポールの事例などは大いに参考になるというふうに思っておりまして、やはり複合型、統合型観光施設というからには、ゲーミング場の比率というのは一定程度以内に制限されてしかるべきだというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 今回、この推進法によりまして、IR、いわゆる統合型リゾートというものを我が国においても推進していこう、こういう法律でございます。このIRを推進する目的というのは、ずばりどういう目的でこれを推進しようとされるのか、提案者に伺いたいと思います。

細田(博)議員 いわゆる統合型リゾート、IRを推進する目的は何かということでございますが、先ほど岩屋議員からもお答えしておりますが、さまざまな施設が複合的に存在するわけでございます。

 例えば、日本が国際会議場で大きな総会をやりたい、家族ぐるみで大勢の人に来てもらいたいというときに、日本では、確かに国際会議場、大きな展示場は設置しておりますけれども、それが極めて事務的と申しますか、楽しくない、単なる会場。そして、あいているときにはがらがらしておって、自治体等が運営しておりますけれども、採算がなかなか合わない。

 そしてまた、外国の人たちも、こぞって日本に来ようというよりは、どこかほかの国の、特にシンガポール等の施設に行ってみんなで楽しんで帰る、そちらを選んでしまう、こういう問題がございますので、我が国としても、そこは、国際競争力のある、魅力ある観光地を形成していくということは大事なことである。ですから、ひとりカジノのためにとかいうことでは全くないわけでございまして、大勢の方々が日本に来て、会議もやりました、そして観光もしました、演劇等も楽しみました、そういうような施設をつくる時代になっている。

 ただし、もちろん、そういうことによりまして、地域経済が発展し、かつ、国や地方の財政も改善し、赤字ぎみである国際会議場等の施設が全体としては黒字になるような仕組みになるということ。

 ただ、カジノ施設を設けることによって、また国による規制等が必要な要素が出てまいりますから、そういうこともやりながら、監督のもとに運用をすれば、必ず、この新しい国際観光の時代にすばらしい効果が出るのではないか、これがまず我々の狙いであるわけでございます。

 また、世界的にも、大変多くの国際企業が投資をしたい。日本に投資をしたいという企業は、今や余り数が多くありません。製造業で投資したい、金融業で投資したい、なかなかございません。それが、観光業において、このIR施設においては、ぜひ投資したいというところがまだまだ多いわけでございますから、これは日本の魅力に着目しているわけでございます。

 日本再興戦略二〇一六においても、二〇二〇年、二〇三〇年と、訪日外国人観光客を六千万人にしようじゃないかと。二千万人になったばかりで、四千万、六千万にしようじゃないかというときには、まだまださまざまな工夫が要って、それは、リピーターが来て、日本は楽しいなと、さまざまな文化にも触れたし、観光を楽しむこともできた、こういうことを我々が考えていかなければならない時期が来たと考えている次第でございまして、そのような目的を中心課題としております。

佐藤(茂)委員 それで、先ほど谷川先生もちょっと触れられたんですけれども、やはり今回、IRの中にあるカジノというものをどう見るかということが一つのポイントになってこようかと思います。

 カジノについては、一般論として、我が国では、刑法に賭博罪また賭博場開張等図利罪に該当すると認められた行為であるために、これまでは認めてこられませんでした。

 このIRがもし設置されるということになれば、現行の刑法では今まで禁止されている賭博行為を提供する施設となるわけですけれども、それをなぜ今回カジノを認めて合法化しようとするのかという点と、また、今これから議論をするこの推進法案というものが成立すればカジノが合法化されるのか、提案者に御認識を伺いたいと思います。

西村(康)議員 お答え申し上げます。

 IRの目的は、もう今お話があったとおり、観光振興あるいは地域の振興ということであり、財政の改善にも寄与するというものでありますけれども、シンガポールなどの事例を見てみますと、IRが、全体として複合的な観光施設ですけれども、その一部としてカジノ施設がある。三%以下というお話も今ありました。このカジノ施設がほかのIR施設と連携することによって、全体として飛躍的に集客力を伸ばしているということでありますので、日本においてもIRを導入するに当たってカジノを設置することが大事であるというふうに考えております。

 御指摘の、刑法上の違法行為である賭博行為の場を提供する、違反行為じゃないかという点、これが、カジノ施設は、そのままだと当たるわけでありますけれども、新たに立法行為によって、いわゆる刑法の三十五条に、法令による正当行為によって違法性が阻却されるという条項がありますので、立法措置をしっかり行えば、これは合法化できるわけであります。

 これを行わないと違法行為のままということでありますので、全体として複合観光施設で観光そして地域経済の振興を図っていくためにはカジノを合法化する必要があるということであります。

 そのために、その合法化を行うための、まずはIR推進の基本的理念、方向性を、今回のこの推進法案で定めようというものでありまして、今回の推進法案でカジノが合法化されるわけではなく、この後、この法案が通りましたらば、法律上規定をしております、一年以内を目途に政府が実施法案を提出することになっておりますので、その実施法案が制定されて初めてカジノが合法化されるというふうに認識をいたしております。

佐藤(茂)委員 そこで、きょうは一問だけ、政府側にも御答弁いただきたいと思うんです。

 日本では既に、競馬、競輪、オートレース、宝くじ、サッカーくじという公営ギャンブルが実施されているわけですが、これらの公営ギャンブルは、それぞれの特別法の中でどのような点が規定されているがゆえに、先ほど西村委員の方から、新たな立法行為によってということがありましたが、どういう立法行為によっているがゆえに刑法の違法性が阻却され、例外的に合法化されることになっているのかということを、一般論としてで結構ですので、きょうは法務省に来ていただいておりますので法務省と、また提案者の方にも、何か御認識がありましたら、御答弁をいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員からも御指摘がありましたように、いわゆる公営ギャンブルと申しましても多様でございますので、それぞれの趣旨あるいは正当化理由というものについては個別法ごとに考えるべきものであると認識しております。

 ただ、刑法を所管する法務省の立場から申し上げますと、理論的には賭博罪等の罪の構成要件に該当する行為でありましても、法律に従って行われるものであれば、刑法三十五条による法令による行為として違法性が阻却されるということになっております。もっとも、基本法であります刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を、それ自体を没却するような立法がなされるといたしますれば、法秩序全体の整合性を害するということにもなりかねないわけであります。

 このような観点から、既存のいわゆる公営ギャンブルの特別法においては、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮、例えば事業の公正性でありますとか公益性を担保するような制度、そういったものについての配慮がなされているものと認識しております。

西村(康)議員 今法務省から答弁があったとおりでありますけれども、既存の公営ギャンブルを見てみますと、それぞれ特別法によって例外として認められているわけでありますけれども、それを整理いたしますと、何点か要件があるんだと思います。

 八点申し上げたいと思いますが、一つは、目的の公益性。そして二点目、それと関係しますけれども、収益の扱い。それから三点目に、運営主体の性格。それから四点目に、その運営主体の廉潔性。それから、運営主体の健全性。六点目に、射幸性の程度。七点目に、公的監督、規制、監督ですね、その点がしっかりなされているという点。それから八点目に、副次的弊害、先ほどもありましたが、負の部分への防止の措置。こういったものが一般的に挙げられるのではないかというふうに認識をいたしております。

 したがって、今回の推進法、基本法案で、審議を通じて一定の方向性を共有いたしながら、政府において一年以内を目途に提出される実施法案において、こういったものをしっかりと措置をとるという中で違法性が阻却されるというふうに認識をいたしております。

佐藤(茂)委員 それでは、続いて、今回の推進法によって、提案者がどのように考えておられるのかということで、特にIRの区域について伺いたいと思います。

 提案者は、設置されるIR区域の箇所数は、法律提出者としてどのように考えておられるのか。また、認定されるIR区域について、大都市に置くべきなのか、あるいは地域活性化、地方創生、こういう観点から地方に置くべきなのか、具体的なイメージをお持ちであるのであれば御答弁いただきたいと思います。

西村(康)議員 お答えを申し上げます。

 まずIRの区域数についてでありますけれども、このIR推進法案、そしてカジノを実際に施行するに当たって、安全性、安定性、健全性、こういったものも担保していく必要がありますし、その政策的効果を確実に実施する、つまり、観光振興、地域の経済振興、そして財政にも資するという目的がありますので、そういったことを考えますと、当初、最初の段階では、認定区域は二、三カ所程度で限定的に施行して、そして、その効果とか、その地域の様子、課題などを十分に評価、検証しながら、着実な施行を確認した上で、徐々に段階的に、施行数、区域をふやしていくことが適切ではないかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、実施法案が提出されて、その検討の際に適切に判断をされていくんじゃないかというふうに思っております。

 一方で、具体的要件は実施法案の中で決められていきますけれども、設置によって、国際観光地の形成、観光客の増加、多様なサービスの提供、雇用の増加など新たな経済効果が見込まれるとか、あるいは地域の魅力向上、地域再生にも貢献するとか、そういったものがありますので、ある意味で、温泉旅館にちょこちょこっと小さな何かカジノを置くというようなことではなくて、やはりある程度の規模で、地域の活性化に効果があって、そして財政の改善にも資するということでありますので、そういった一定の要件のもとで決められていくことになると思います。

 幾つかの地方公共団体からも、いろいろな要望も我々承っておりますけれども、今後、地方公共団体において計画、構想が策定されて、そして実施法案に基づく透明な手続、公正な手続を経て決定されていくものというふうに思っております。

 これは大都市だけではなくて、先ほど来議論がありますように、地方においてもそれぞれの個性や特性を生かした形で提案がなされて、そして地方にも置かれるということが望ましいというふうに考えておりますが、一定の規模はやはり必要ではないかというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 次に、地方公共団体の視点からちょっとお聞きをしたいんですけれども、法案によりますと、IR区域については、いわゆる手挙げ方式、地方公共団体が国に対して申請するということになっているわけでございますが、これは提案者としては、都道府県、市町村のいずれを想定されているのかということが一点と、また、当該区域の住民の理解を得て進める必要があることを考えますと、申請する地方公共団体の議会の同意も要件として必要ではないかと考えますけれども、提案者はどのように考えておられるのか伺いたいと思います。

岩屋議員 お答えします。

 それぞれ大変重要な御指摘だと思います。申請の主体というのはどこになるのか、また、地域の同意というのは何をもって同意とするのかというお尋ねでございます。

 IRは、国際競争力のある長期滞在型観光地の形成を目指すものでございまして、したがって、立地をする地域だけではなくて、周辺地域を含めた広域的な観光需要を喚起できるものと考えていますし、またそういうものでなければならないというふうに思っております。そのためには、波及効果が及ぶであろう設置区域以外の地方公共団体との広域連携が必要ではないかなと思っているところでございます。

 また、カジノという施設が含まれるIRを厳重に監督、規制するためには、カジノ管理委員会のほかに都道府県警察の協力も必要不可欠だと思っておりますので、一例としては、立地市町村等と連携しつつ、都道府県が国に対して申請するということも一案ではないかというふうに思っております。

 また、所によっては、同一の都道府県内の市町村がIR区域の認定の申請をすることも考えられますので、市町村が単独で申請することも排除されないというふうに、今のところは思っております。

 同意につきましてですが、先生御指摘がありましたように、申請に当たって議会の同意を要件とすることも考えられるというふうに私たちも思っておりまして、それらの要素を勘案の上、政府がこれから実施法において、申請のあり方あるいは同意のあり方について規定を明確にしていくということになると思います。

佐藤(茂)委員 それで、これから、今回のこのカジノ導入による社会的問題等に対して、どのように提案者は認識され、対策を念頭に置かれているのか、何点か具体的にお聞きをしたいと思います。

 谷川先生も先ほど御指摘をされたんですが、法案でいうと第十条に関連して、カジノ導入によるそういう社会的問題やリスク、負のイメージとして、例えばギャンブル依存症、これは一つあります。二つ目にはマネーロンダリング、三つ目に暴力団の関与、四番目に地域の風俗環境あるいは治安の悪化、五点目に青少年に及ぼす影響などについて指摘をされているわけでございますが、提案者としては、まず総論として、今のようなカジノ導入による社会的問題あるいは懸念、こういうものに対して、国や地方公共団体の対応や対策としては具体的にどのようなものを提案者として想定しておられるのか、伺いたいと思います。

細田(博)議員 このカジノ合法化に関連しては、おっしゃるような懸念が幾つか表明されているわけでございます。

 他方、世界じゅうに百数十カ国でカジノがありますけれども、さまざまな欠点が露呈した例もございます。その都度、各国も工夫をいたしまして、対策をとってきた例がたくさんあるわけでございます。

 シンガポール等は、過去の非常に多くの例を参考にしながら、やはり政治の指導者もさまざまな点でそういった欠点のないものを目指せということで、非常にいい形で実現していることも事実でございますから、そういった例も参考にしていかなきゃいけないと思います。

 例えば、マネーロンダリングの問題等についても、そもそもこれは日本的なアプローチでもございますけれども、お金の出入りは、当然ながら、納付金制度その他の関係でいえば、いわば一〇〇%出入りが管理されるような仕組みにならざるを得ないわけでございます。

 マネーロンダリングをしようというのは、最近パナマ文書の問題が起こったり、よく見ると、違法に金を稼いで、そのままほかへ預けて、それでもう事足れり、偽名が使われたり、いろいろなことで送金されたりして、そのまま終わり、こうなるんですが、こういう施設はむしろ、どれだけ入金したかを一〇〇%管理し、どのように支払われたかを一〇〇%管理し、そして、企業の利益がどれだけあって、配当がどれだけあって、ホテルの赤字はどういうふうに埋めて、全体としてどういうふうに使ったかを管理するようにできているわけですから、そのようなマネーロンダリングをしようとする者は大損をしてしまうような中身になっておって、例えばそういうふうな管理をしっかり政府や自治体がすれば、これは防げるし、そういう例が外国には今たくさんある。

 それから、青少年の健全育成の問題については、当然、そこへ入る者、青少年のチェックとか、カジノ施設で遊ぶ人たちの年齢チェックとか、あるいは、そこにギャンブル依存症のような人が多く入るようなことがないように、あるいは暴力団関係者のようなことがないようにというのは、またこれから実施法の段階で当然ながら政府がきちっと管理監督をしなければ、こういう施設はしっかりと運営しがたいという面がございますので、そういったことをカジノ管理委員会の設置等で十分対応するという中身を実施法において我々は期待しているわけでございまして、それができなければ実施法も実現は容易ではないと私は思います。

 それから、ギャンブル依存症の問題については、既にギャンブル依存症というものが存在しているということは周知の事実でございますから、これは社会的問題としてまず対応していかなきゃならない問題でございます。

 既存のギャンブル的な行為がたくさんありますので、またあるいは違法なカジノとか、そういうものもあるわけですから、取り締まりと同時に、この依存症について、また医学的、心理学的、教育学的なアプローチもして、社会全体としてそれを正していくということがまず大事でございます。

 それをやってこそ、また、この法律でカジノにその対象を広げることについてのいわば説明ができるわけでございますから、この点も政府に、実施法までの間にきちっとした対応をすることを今求めている。そういったことを、これから推進法案の成立後の実施法案までの間に個々に対策をとることは可能であると考えているわけでございます。また、外国にもそういう例が多いということでございます。

佐藤(茂)委員 そこで、具体的にお聞きをしたいんです。

 今、細田先生が答弁された以外で、カジノというものに対して、人それぞれでイメージ、例えばアル・カポネの時代とか映画の「ゴッドファーザー」のようなマフィアがいろいろ入り込んでいるんじゃないのかとか、そういうイメージをお持ちの方もいらっしゃろうかと思うんですね。

 ですから、カジノが合法化された場合に懸念される社会的問題の一つとして、暴力団やあるいは外国犯罪組織の影響の排除ができるかどうか、これについては、今回提出されている法案でいうと、第九条のカジノ施設関係者に対する規制及びそれを規制する第十一条のカジノ管理委員会の任務というのが極めて重要ではないかと考えます。

 暴力団や外国犯罪組織の影響を排除するためには、厳格な参入規制と行為規制、監督が必要であると考えますけれども、提案者はどのように考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。

岩屋議員 先生御指摘のとおりだと考えております。

 我が国に、たとえ施設の一部であれ、カジノという新しいゲーミングを認める以上は、これまでの我が国にはなかったような極めて厳格な参入規制をしかなければいけないというふうに思っております。

 そこで、今回の推進法案では、カジノ施設関係者はカジノ管理委員会の行う規制に従わなければならない旨規定しておりますが、このカジノ関係者というのは、経営者、従業員はもちろんでございますが、関連機器の製造、販売等の事業者、あるいはカジノというゲーミング場でサービス提供を行うディーラーその他の従業員、全ての者に対して最高位の廉潔性を求めなければならないというふうに思っておりまして、厳格な参入規制、適格性の審査並びに行為規制、そして監督が必要だというふうに考えております。

 先生御指摘の暴力団や外国犯罪組織の影響の排除のための規制の具体的な内容については、これから政府において実施法で規定をしていくわけでございますが、その規制の内容として、法案にも書いておりますが、暴力団員等の関与の排除、犯罪の予防、通報のための監視、防犯体制、ゲームの公正性確保のために必要な基準、チップ等の金銭代替物の適正な利用等について、必要な措置が実施法の中で明確に規定されるということを想定しております。

佐藤(茂)委員 それに関連して、岩屋委員も出された本の中でも書かれているのを私、読ませていただいたんですが、現在、国際社会には、カジノに関する厳格な規制が国際標準として存在している、百二十七カ国全てにわたってそういう国際標準が存在しているというように伺っております。

 仮に日本がIRにカジノを導入する際にも、それに沿った厳しいルールが適用されなければならないと考えるわけでございますが、国際社会のカジノに関する規制、グローバルスタンダードとしてどのようなものであって、日本にも仮に導入するならば、そういう世界で最も厳格な規制に匹敵するようなルールを設けていく必要がある、そう考えますけれども、提案者の見解を伺いたいと思います。

岩屋議員 先生おっしゃるとおり、今、世界百二十七カ国でカジノが合法化されて運営されております。いわゆるグローバルスタンダードのようなルールの基準がございますが、我が国においては、その最高水準の厳格な規定、規制を設けるべきだというふうに思っております。

 合法化をするに当たりましては、ギャンブル依存症、治安維持、青少年の健全育成、マネーロンダリング対策などの、カジノが社会に与えるかもしれないリスクを最小限に抑制する措置をしっかりと設けなければ、国民の御理解をいただくことにはならないというふうに思っております。

 したがって、今回の推進法案におきましては、カジノ施設の運営に関して、不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を政府にしっかりと求めるということになっておりますし、そのためにカジノ管理委員会の設置を予定するなど、厳重かつ適正な規制、監督を行うこととしているわけでございます。

 諸外国におけるノウハウをしっかりと吸収して、それらと比較しても遜色のない、国際的に見ても最高水準の規制を講じることにより、厳格に管理していかなければならないというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 それで、先ほど谷川委員も指摘されたんですが、ギャンブル依存症のことについてはまとめて一問、お聞きしたいと思います。

 谷川委員も御指摘されましたけれども、厚生労働省の研究班が行った調査で、今、推計で五百三十六万人も、日本で疑いがある人がいらっしゃる、そういう数字が出ております。

 これが、今回IRを推進することによりましてカジノというギャンブルを新しく認めることになれば、ますますギャンブル依存症がふえていくのではないか、そういう懸念を持っておられる方も多々おられるわけですが、この点について提案者の考えを伺いたいのと、私は、やはりIRにカジノが含まれる以上、ギャンブル依存症という問題に正面から向き合う必要がある、そのように思うんですね。今回、仮に通るとすれば、法的にギャンブルを認める以上、そのマイナス面を最小限にとどめるための措置を講ずべきであると考えるわけでございます。

 ギャンブル依存症に対する今の認識と、抜本的な施策として提案者はどのようなものを考えておられるのか、伺いたいと思います。

西村(康)議員 大変大事な御指摘でありまして、厚生労働省の研究班が行った調査で、御指摘の五百万人を超える、ギャンブル依存症について疑いのある人がおられるということで、これは私どもも十分こういったことを受けとめて、しっかりと依存症対策をやらなきゃいけないなということでありますけれども、念のため申し上げますが、この調査は、公営競技、競馬や競輪など、こういったもののほか、パチンコ、スロットなどの風俗営業適正化法上の遊技もギャンブルとして扱って、調査対象で行っていること、あるいは調査基準も、諸外国で主に使われている基準よりも依存症率が高くなるような基準を採用していることとか、アルコール依存症に関する調査に付随してなされたものであるといったことも留意をしなきゃいけないと思います。

 厚生労働省は今年度末までにさらに調査を行っておりますので、いずれにしましても、こうしたさまざまな調査も、実態をしっかりと踏まえながら依存症対策を検討することが必要だというふうに思っております。

 その中で、御指摘のように、カジノだけではなくて公営競技等も含めて、この機会に総合的にギャンブル依存症対策というものを講じていくべきではないかというふうに私どもも考えております。その際、諸外国の事例とか最新の知見も踏まえて、ぜひ的確な対応を、今後実施法を政府が検討するに当たって考えていただきたいと思いますし、その際、NPOとかNGOとかさまざまな団体、知見を持った団体、取り組んでいる団体もありますので、そういったところの連携も含めながら、また、先ほど申し上げたシンガポールの入場規制の例などもうまく活用しながら対応していただきたいと思います。

 いずれにしましても、依存症に対する普及啓発、カウンセリング、治療等の体制整備、こういったものを総合的に対応していくことが必要だというふうに認識をいたしております。

佐藤(茂)委員 今、西村委員が答弁された中で、入場者の規制ということがございました。

 そこで、時間がありませんので一問だけ。

 第十条の二項というのが新しく加わりました。これは、さまざまに読み取れるんですが、新たに、いわゆる排除プログラムを含めたギャンブル依存症対策としての入場規制を規定されているものであると私どもは理解しているわけでございます。

 例えばシンガポールが、自己排除プログラム、家族排除プログラム、そしてさらに第三者による排除プログラムを導入していると伺っておりますけれども、今回の第十条二項の条文の狙い及び具体的にどのような措置を想定されているのか、提案者にお伺いしたいと思います。

西村(康)議員 佐藤委員御指摘のとおりでありまして、前回、法案の提出をして以来、さまざまな観点からギャンブル依存症について懸念が示されているといったことも踏まえまして、今回、カジノ施設の利用による悪影響を防止するため、新たに十条二項を設けたところでありまして、政府に対して必要な措置を講ずるよう求めていくということを明確化したものであります。悪影響を防止するという観点から、一定の入場規制を課したものであります。

 その具体的な制度設計については実施法に委ねられることになりますけれども、御指摘のありましたシンガポールでとられているような仕組み、こういったものも大いに参考になるものというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 時間が大分迫ってきましたが、最後に一問。

 今回、IR及びカジノを導入すれば収益が上がるわけでございます。やはり公正性、公益性という点からも、使い道ということが非常に大事になってくるんだろうと私は思うんです。条文の第十二条に納付金、第十三条に入場料というものが規定されているわけですが、提案者としては、納付金や入場料の使途としては具体的にどのようなものを想定されているのか、提案者のお考えを伺いたいと思います。

岩屋議員 先生御指摘のとおり、カジノからの収入の使途が極めて重要であって、この構想の公益性を担保するためにもその使い道が極めて重要だと思っております。

 私どもとしては、納付金や入場料の使途としては、国民生活の安定向上につながる社会福祉分野、あるいは文化芸術の振興、この中には伝統芸能の継承や発展、あるいは文化財の維持補修なども想定をいたしておりますけれども、そういったものにしっかり使っていく仕組みが望ましい。それから、治安や風紀の問題や、今出ましたギャンブル依存症対策などにも充当されていくべきだと考えています。

佐藤(茂)委員 きょうは本当に、四十分でございましたけれども、提案者の基本的な考え方というものを、質問を通じて明らかにさせていただくことができました。また次回、しっかりと質問をして、さらに国民にわかりやすいような議論をさせていただきたいと思います。

 大変にありがとうございました。

秋元委員長 これより民進党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、ふくだ委員長代理着席〕

    〔ふくだ委員長代理退席、委員長着席〕

秋元委員長 これにて民進党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長中村格君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 まず、本日の委員会ですが、会期延長を決めた昨日の本会議直後に理事懇談会が急遽開かれ、与野党合意のないまま、委員長の職権で立てられました。

 今国会では、TPP特別委員会での強行採決、年金カット法案の厚労委員会での強行採決など、異常な運営が非常に目に余ります。

 TPP特の異常事態の際、本委員会の理事懇談会で私が、内閣委員会ではこうしたことがないように求めたのに対して、委員長は、円満公正に努めると明確にお答えになりました。それに反して、このように強行し、しかも、実に乱暴な運営が行われています。

 最初に、委員長、そして職権での開催に同意した会派に厳しく抗議をいたします。

 カジノ賭博に対する国民の声は明確です。どの世論調査でもほとんど、反対が賛成をダブルスコアで上回っています。国民の皆さんにしっかり理解してもらわなければ、簡単に採決などできません。

 そして、法案の重要性です。ギャンブル、賭博の合法化という政策的大転換をやろうというわけですから、拙速な審議などもってのほかです。

 内閣調査室のこの資料に、推進議連の、カジノを含むIRの実現、実施に関する基本的な考え方が掲載されています。その中に、社会的関心事への対応という項目があり、その中には、暴力団組織の介入や犯罪の温床にならないか、あるいは、マネーロンダリングの防止、地域風俗環境悪化などはどうか、賭博依存症防止などへの考え方が書かれています。つまり、推進議連の皆さんも、こうした国民の不安、心配があると認めているわけです。

 こうした問題に一つ一つしっかりと応える徹底した審議が必要です。これらの心配に応える専門家や関係団体の意見を聞く必要があります。委員長、ぜひ、こうした皆さんを呼んで参考人質疑をやっていただきたいと思います。

秋元委員長 ただいまの件につきまして、理事会で協議いたします。

島津委員 ぜひやっていただきたいと思うんです。

 同時に、この法案は、法律案並びに政令案の立案を政府の特定複合観光施設区域整備推進本部に丸投げし、認可されるカジノの具体的な内容などは先送りされています。それでカジノの合法化を認めるというのは納得できません。ここは、政府の説明を聞く必要がどうしてもあります。

 二〇一四年六月の閣議決定、「日本再興戦略」改訂二〇一四において、「IR推進法案の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進める。」とされました。資料では、これを受けて諸外国の調査をしていることも明らかになっています。こうした報告もしてもらわなければなりません。

 ですから、本案の審議の場に官房長官に出ていただいて審議をすることを求めます。さらに、観光を所管する国土交通大臣、犯罪対策などでは国家公安委員長、刑法に穴をあけるのですから法務大臣、ギャンブル依存症対策では厚労大臣。委員長、以上の大臣が出席をした上での質疑がどうしても必要です。取り計らいをぜひお願いいたします。

秋元委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議をさせていただきます。

島津委員 それでは、法案の質疑に入ります。

 まず、安倍内閣のもとでIRは成長戦略の目玉とされ、ギャンブル合法化という規制緩和がギャンブル市場という新しい市場を生み出し、そこから関連産業への経済的波及効果が発生し、大きな雇用、所得と誘致自治体の税収などが期待できるとしています。この経済波及効果について、まずお聞きいたします。

 アメリカのニューハンプシャー州がカジノの費用便益分析を行っています。これに基づいて、同州の下院議会がカジノ合法化法案を採決しています。この結果と理由というのは承知しているんでしょうか。

岩屋議員 島津委員にお答えをいたします。

 まず、先ほど通告をいただいたばかりでございまして、正直、米国のそれぞれの州の事情まで私ども精通しているわけではありませんが、急ぎ調べさせていただきましたところ、二〇一五年の春の段階においては、ニューハンプシャー議会ではカジノ合法化法案が否決をされたと承知しております。そのとき、上院は可決をしたけれども下院が一票差で否決をしたというふうに承知しております。

 先生御案内のように、米国は州ごとに、カジノを認めるか認めないか、違いがあるわけでございますが、ニューハンプシャー州がこのとき否決をした背景としては、隣のマサチューセッツ州に大型のIRというものが建設をされていて、果たしてニューハンプシャーにつくるIRが成功するのかしないのかということをめぐって、つまり、それが州の歳入に十分な貢献があるのかどうかということをめぐってさまざまな意見があって、この十年来ずっと議論が続いているというふうに承知をしております。

 米国はネバダに一番集積しているわけですが、東海岸でも、ペンシルベニア、ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネティカット州、メリーランド州、ロードアイランド州などでもIRが既に設置をされているということもあって、そこはあくまでも州の観光振興政策、経済政策上の判断なんですね。議会でも議論をされているんだというふうに承知をしております。

島津委員 通告がおくれたのは、こうした乱暴な運営なわけで、そこはぜひ含んで承知していただきたいと思うんです。私も本意ではありません。

 今お答えがありましたけれども、それも一つの理由ですけれども、アメリカでは、行政による政策決定に当たっては、費用便益分析、つまり、一定期間の便益性と費用額を算出し、費用のふえる分と便益のふえる分を比較して政策の分析、評価を行う手法、あるいは費用効果の分析、これは、便益を考慮せず、物的単位で測定された事業の効果、一単位当たりの費用額を算出していく、これを二つあわせて行政は行わなければならないとされています。

 ニューハンプシャー州が作成したカジノの費用便益分析の結果、これを受けて、ニューハンプシャー州の下院議会は今答弁あったように否決したわけですけれども、その理由の中に、カジノは既存のビジネスを共食いする、地元客に依存するカジノの収益は、地元のカジノ関連施設以外のレストラン、ホテル、会議場、娯楽施設、小売業への支出を減少させるので、カジノ客による増大効果は見られず、カジノ関連施設が地元企業を淘汰すれば、地域経済の利益循環を破壊し、地域経済を衰退させる、これが否決した理由の一つなんです。

 一般に、経済効果に関する試算には、カジノ消費の代替性、カジノで消費が生じた結果、他の消費が減少する可能性など、こういう経済的評価は無視されています。

 経済波及効果の測定は、産業連関表をベースとするので、社会的費用などのマイナス効果が測定結果に反映されていない。今述べたニューハンプシャー州の分析結果に照らしてみると、日本で行われている経済波及効果測定は、社会的規制の運営コストや健康保健局での治療コストといった、社会で発生する損失、社会的費用が考慮されていないという問題があります。

 このように、カジノ誘致論では、カジノ建設やカジノ運営に伴う消費額の推計や雇用創出効果、新規財源の創出などの予測計算は容易なんですけれども、社会的費用といった弊害については量的な検討が試みられないことから、経済的な意思決定を行う際の比較考量が不十分になりがちだという指摘があります。

 社会的費用としてのマイナス効果は、暴力団等の反社会的勢力の排除のための費用、マネーロンダリングを防止するためのシステム構築、維持のための費用、防犯のための費用、犯罪発生による直接の被害金額、犯罪発生後の行刑のための費用、風俗環境の悪化を防ぐための費用、青少年をギャンブルから遠ざけるための教育等に要する費用、問題ギャンブラーをカジノから排除するための費用、ギャンブル依存症に陥らないための啓発費用、ギャンブル依存症患者の治療費用などなど、こういうカジノ開設に伴って必然的に生じる社会的コストのほか、カジノの施設周辺からの人口流出、在来商店の流出など、予想される地域変動に伴うマイナスの効果を全て考慮しなければならないんです。

 果たして社会的にプラスになるのか。こうした信頼に足りる調査検討は行われることになるんでしょうか。

岩屋議員 先ほど、米国の状況については簡単に御紹介をさせていただきましたが、米国においては既に、多くの州においてカジノ並びにIRが認められていて、その間の競争も行われているという事情にあるんだろうと思います。

 我が国には、まだIRは誕生していないわけでございます。しかも、国が頭越しに地域を選定しようということではありませんで、あくまでも、地域の同意を得られた自治体の申請を受け、政府がそのプランを、観光振興効果、経済効果、雇用効果、地域振興効果等を総合的に判断をして、そのプランの中から厳選をして絞り込んでいくということになろうと思いますので、そこでしっかりとした調査を行えば、期待された効果を生ぜしめることができるというふうに私どもは考えております。

島津委員 カジノとカジノとの共存じゃなくて、カジノができたときに、既存の商店だとか既存の地域の経済だとか、こういうところが共食いされる。例えば、ホテル一つとってみても、現にホテルがあるわけで、IR型となりますと、ホテルだとかいろいろな施設がありますよね。そこがやはり、既存のところがあるところにまたIRをつくるわけですから、その共食いがあのネバダでは心配である。日本でも、こうしたことはやはり十分考慮しなきゃいけないということだと思うんです。

 これまで、さまざまな施設をつくって経済波及効果を期待したわけですけれども、それが本当に期待どおりだったのか。これをやはりきちんと見る必要があると思うんです。

 大阪の例を見てみます。

 大阪では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを初めとして、さまざまな開発プロジェクトの経済波及効果が取り沙汰されてきました。

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、経済波及効果は五千九百億円でしたが、地元の商店街が潤ったという話は聞いたことがありません。

 あべのハルカスの初年度経済波及効果は、大阪府内で四千五百五十億円と計算されていましたが、このハルカスの麓では、閑古鳥が鳴いています。

 関西社会経済研究所の大阪湾大型施設投資の経済波及効果、ここは、シャープ堺工場の建設で四千五百二十億円、こういう計算をしました。シャープ堺工場は、新日本製鉄の堺製鉄所の跡地を利用して、世界最大規模の液晶パネルと太陽電池の工場として二〇〇九年に稼働しました。ところが、創立以来、巨額の赤字を垂れ流すということになり、稼働率が低下した結果、亀山工場とともにシャープの経営危機の原因となったため、中国の鴻海グループに売却されました。まさに四千五百二十億円は絵に描いた餅に終わったわけです。

 このように、経済波及効果とは計画段階での試算なのであって、それが実現できるかどうかは全く別の問題であることは明らかなんです。一定の経済効果が認められるからといって、そこに意思決定の根拠を求めてしまっては、判断を誤ることになります。

 そうした心配というのは当然予想されますが、この点ではどうなんでしょうか。

西村(康)議員 それぞれの地域、それぞれの企業は、一生懸命やって、収益を上げていこう、あるいは観光客をふやそう、あるいは地域経済の活力を維持しようと、それぞれ工夫をし、努力をしているんだろうと思います。

 ただ、全てが全てうまくいくわけではなくて、うまくいったところもあれば、もちろん失敗したところもある。もちろん、失敗したところは、経営の責任を問われたり、あるいは地域で選挙を通じてまた政権がかわったり、首長がかわったりということを通じながら、さまざまな努力、創意工夫が見られていくんだろうというふうに思います。

 私ども、今回のIR推進法では、一例としてシンガポールの例を先ほど来挙げさせていただいておりますけれども、観光客が六割もふえているということ、あるいは投資額も、五千億円もの投資、あるいは消費額も、海外からの旅行者の消費額も二兆円近くに、九〇%増、倍増近くになっている、こういったことを踏まえて、今回この法案を提出しているわけであります。

 趣旨は、やり方、手続は、地域が、例えば先ほど来議論になっていますように、地元の住民の同意を得て、あるいは議会の同意を得て、住民と一緒に、地域と一緒に計画をつくり、そしてホテルの数が、宿泊施設が足らないところをカバーする、あるいは地域の商店街と一体となって活性化をしていく、そうした絵姿を描きながら、手を挙げて申請してくる、そういったことを想定しておりますので、もちろん、地方議会の同意が得られないところは手を挙げられないような仕組みになるものというふうに想定もいたしております。

 ですから、そういったことを踏まえて、地域地域が創意工夫をして、地域の活性化に資するようなもので手を挙げてくる、そして、政府の方におかれては、それがしっかりと地域の経済の活性化に資するのか、あるいは一定の観光客誘致にうまくいくのか、そういった視点で基準もつくってもらい、そして認められたところが区域として認められるということでありますので、そういったことを含めて、これから、この推進法案の後に、一年以内を目途に政府の方でしっかりと基準をつくり、考え方を整理してもらいながら、日本の国全体として、観光客がふえる、あるいは地域の経済に資する、そして結果的に財政への貢献になっていく、財政改善に資するということを期待して、ぜひ、各地域が創意工夫して、いろいろな提案を出していただきたいというふうに期待をしているところであります。

島津委員 外国の例を出して、観光客が、集客がふえているということで、うまくいっているということでしたけれども、本当にそうなのか。

 それでは、アメリカにおけるIR型カジノのビジネスについてお聞きしたいと思うんです。

 ニュージャージー州アトランティックシティーのカジノ経済の最近の状況というのは御存じなんでしょうか。

小沢(鋭)議員 委員がおっしゃられるのは、恐らく、アトランティックシティーにおいていわゆるカジノ経営四社が倒産をしている、こういう話だろうと思います。

 しかし、これは、アトランティックシティーの場合は、先ほども答弁の中で岩屋委員が申し上げましたが、IR施設が乱立をしておりまして、四十の施設ができたということで、いわゆる競争的結果によってそういったことが起こっているというふうに承知をしておりまして、アメリカ全土で見てみれば、しっかりと、IR型のビジネスはリーマン・ショック以降、収益は増大している、これが私どもの基本的な認識でございます。

島津委員 今お答えがあったように、アメリカでは長年、ネバダ州のみがカジノが認められていたわけです。その中で、ラスベガスの繁栄がカジノの成功例としてモデルとされてきたわけです。ところが、一九七〇年代の不況で地域経済の衰退や税収減に苦しんだ各州政府などが、カジノによって独占された利益の獲得を目指してカジノの合法化に動き出したわけです。ニュージャージー州が真っ先に合法化に踏み切り、アトランティックシティーにカジノ街を建設したわけです。

 今お答えがあったように、倒産が今進んでいる。ここは、従来のカジノ依存から、いわゆるIR型、エンターテインメント施設、会議施設、高級レストラン、ショッピングモール、こういうものを備えたIR型の建設に切りかえていく、これが進められていたわけです。ところがそれが、例えば、IR型カジノの期待の星として、二十四億ドルもの資金を投じて二〇一二年春に開設した「レベル」、このカジノ、IR施設が開業後わずか二年半で閉鎖に追い込まれる。また、次期米大統領のドナルド・トランプ氏も運営しているカジノも含めて、二〇一四年に入ってからのアトランティックシティーでは五つのカジノが経営破綻の憂き目に遭っているんです。今いろいろ理由を、乱立だという話がありましたけれども、結局、アメリカでもIR型カジノビジネスは崩壊しているという指摘もあるんです。

 世界のカジノ産業は、日本で導入論が本格化した二〇一三年ころから斜陽産業と言われてきているんです。その状況は、二〇一六年にかけていよいよ抜き差しならない状況になっています。

 マカオのカジノは、二〇〇六年に米国のラスベガスを抜いて世界一の売り上げとなりました。ところが、マカオの売上高はここ数年、毎年前年割れになっているんです。カジノ不振はもはや慢性的になっている。その結果、マカオの税収も激減しているんです。カジノ収入が激減した最大の理由は、中国経済の成長の鈍化と、中国の国内で進行している反腐敗運動なんです。これが中国の富裕層の出足に直接影響しているわけです。こうした中で、マカオ資本も特別行政区政府もカジノ依存から脱却する方途を模索しているんですが、前途多難だということで指摘されています。

 先ほど話が出たシンガポール、ここも二〇一〇年からカジノが解禁されました。シンガポールでは、日本のカジノの手本とされてきましたけれども、旅行者の大幅な減少に伴って売り上げの減少に見舞われています。シンガポールのカジノ二社の二〇一五年度一月から十二月のカジノ部門の売上高は、前年同期比で一四%減になっているんです。

 一方、外国人専用カジノが十六カ所ある韓国のカジノ業界も、中国人観光客減少で存亡の危機に直面と指摘されるような状態なんです。

 アジア各国のカジノ施設が軒並み総崩れというような状況のもとで、日本に新たな大規模カジノ施設を誘致しようなどというのは無謀な行為と言わざるを得ません。日本でカジノを導入する場合、成否は中国富裕層の呼び込みにかかっているとされてきましたが、カジノの導入、この大前提が既に破綻しつつあるんじゃありませんか。これはどうでしょう。

小沢(鋭)議員 今先生の御指摘で、幾つかちょっと論点を整理してみたいと思うんです。

 まず、アメリカの話がございました。

 いわゆるIR型のビジネスはアメリカでも衰退しているのではないか、こういうお話がございました。ネバダ州ラスベガスの話がありましたけれども、私ども、ラスベガスは収益は拡大していて全く問題はないというふうに承知をしています。

 御承知のように、ラスベガスのIR型ビジネスは、カジノの収益は全体の約四割でありまして、ショービジネスだとかショッピングだとか、あるいはまたいろいろなスポーツ施設だとか、それからあと国際展示場、そういった形に展開していて、極めてある意味では健全になっているというふうに私ども承知しています。

 あと、アジアの話がございました。アジアの話の中でマカオのお話がございました。

 先生御指摘の、中国政策によってそういったいわゆるマカオのVIPのお客さんの勘定がかなり減ったという話は、私どもも聞いております。ただ、全体としては、今お話もありましたけれども、マカオ政府の方は、いわゆる一般観光客の方に相当政策をシフトしておりまして、観光客は相当ふえているということでございまして、いわゆる一般大衆の観光客はふえている、こういうふうに私どもは承知をしています。極めて健全なレベルになってきているのではないかというふうに承知をしております。

 それから、もっと大前提で考えますと、ラスベガスであるとかマカオであるとかは、そういった施設が全くないときに比べれば、はるかに地域の経済は活況になっているわけでありまして、そういった中にあって、一時的にいろいろな景気の問題もあるだろうし、あるいはまた、今御指摘の中国政府の反腐敗運動といったような特殊な政策もあるでしょうし、そういったことはあろうかと思いますが、全体としてIRビジネスがだめになっていく、そういうことは私ども全く考えておりませんし、特に、我が国の場合は初めてのケースになるわけでありますから、過当競争ということは全くありませんので、ビジネスとしては私は極めて有望だと依然として思っております。

島津委員 ラスベガスはともかく、アメリカのほかのところでは、やはりいろいろな衰退の状況があらわれているわけですし、いわゆるたくさんお金を使うVIPの中国の富裕層等、そういうところが減って一般がふえてとなりますと、一般のところからお金を巻き上げるということですから、健全と言えるかどうかというのはまた意見が分かれるところなんですけれども、本当にカジノで地方再生ができるのかということをちょっと考えたいと思うんです。

 大阪がやはりかなり熱心にやっているんですけれども、大阪にカジノをという声が上がって注目されています。

 大阪での地域経済や地域開発を振り返ってみますと、太閤秀吉がこしらえた天下の台所、こういう言葉は昭和十年ごろまではまさにそのとおりだったようです。しかし、戦後になると、絶えず東京との比較において大阪経済の地盤沈下が叫ばれるようになりました。高度成長期には、重化学工業こそが大阪経済の救世主となるんだとばかりに、堺や泉北に臨海コンビナートが建設されました。

 一九七〇年代以降になると今度は、情報産業やサービス産業の強化が叫ばれました。東京や名古屋と違って大阪には広い土地が残されていません。そこで、大阪湾を埋め立てて工業用地が造成され、埋立地のおかげで、日本で最も面積が小さい都府県から抜け出すことができたわけでした。

 ところが、土地はどんどん造成できたのに、そこに入る産業がなかなかないという現実に大阪経済は直面します。大阪のオリンピック誘致にも失敗しました。埋立地である夢洲にはこれまで二千八百億円もの造成費用がつぎ込まれています。ところが、三百九十ヘクタールの広大な敷地に夢洲コンテナターミナルや横浜冷凍の夢洲物流センターが設けられましたが、今なお二百五十ヘクタール以上もの未利用地が残されている始末です。ここで出てきたのが万博とセットでのカジノ誘致、IR構想なわけです。

 IRカジノビジネスは、先ほど提案者からもありますように、商業施設、宿泊施設への集客手段としてカジノを誘致するとの開発計画です。

 ちなみに、マリーナ・ベイ・サンズ、シンガポール、このショッピングゾーンは七万五千平米なんです。ところが、既にこのシンガポールの施設よりもはるかに広い商業地域が大阪にはあるわけです。二万平米以上の商業施設は、大阪市内には四十カ所もあります。この上、夢洲にカジノを利用した商業施設を立地しようというのですから、ただでさえ飽和状態にある大阪地区では、カジノ誘致派の皆さんがIR型のカジノの魅力をあれこれ訴えたとしても、商業施設に限って見れば、多くの競争相手が歴然として存在しているわけです。

 夢洲のIR型カジノ施設が飽和状態にある商業施設と競争していくには、カジノの収益をてこに何がしかの特権を商業施設に与える営業戦略を講じない限り、経営不振に見舞われるのは必定ではないでしょうか。

 何がしかの特権を付加するビジネスモデルは、大阪での商業戦争に一層の混乱を持ち込み、今度は既存の商業施設に経営上の諸困難をもたらす、こういうことを心配しているんですけれども、こういうことというのはないんでしょうか。

松浪議員 私も大阪出身でありまして、今の問題にお答えをさせていただきますと、大阪の場合は、委員御指摘のとおり、非常にいい立地がある。大阪がどうして沈んできたのかということは、まだ大阪に決まったわけではないので、ここから申し上げるのは不適当かもしれませんけれども、とにかく、地方再生というのは地方の創意工夫によるものであって、今回はそれの手挙げ方式ですから、大阪が要らなければ要らないで済むわけです。

 特に、大阪の場合は、今、観光客についても、民泊でも足りないというような状況があって、そこにコンベンション機能とか会議の機能とかを付加したものというのは、実は東京でも、コンベンションをすると、ここでコンベンションをしたけれどもホテルまでは遠過ぎるんだというような問題がある中で、日本で最初に相乗効果を持ったIR施設をつくろうということは、これは大阪府民の中でも、私は、ふだんの感覚で、非常に皆さんの理解を得られていることかなというふうに思います。

 その上で申し上げますけれども、他の国を見ても、ここに、NHKの放送文化研究所が、日本人が好きな国、地域というものを全国で三千六百人を調べている結果では、一位オーストラリア、二位イタリア、三位スイスから十位のスペインに至るまで、これらの国でこうしたカジノ施設と共存をしていない国というのは一つもないわけでありまして、我が国は、先ほどの小沢委員の答弁にもありましたように、こうしたものがまだ一つもない、競合することがないわけですから、我々は、これは、地方が求める地方活性化の、地方がやりたいということの選択肢を新たに与えるということは大変効果の高いものだと思います。

 これによって地域のサービス業全体を活性化させることができれば、これの効果は我々はやはり大きいものだと考えます。

島津委員 社会的なマイナスの面なんかも十分加味しているとは思えませんし、また、アメリカなどの例では、カジノを、IR型をつくったのはいいんだけれども、周辺の商業施設の共存で、どちらかといえばその周辺のところが寂れていく、そして、カジノも集客が少なくなり、結局は撤退する、こういうことがあるわけですから、カジノが来れば万々歳だ、そこまでは言っていないでしょうけれども、非常に幻想を振りまくような思いだというふうに思うんです。

 大阪だけじゃなくて、カジノ誘致に名乗りを上げた自治体のうち、例えば長崎県のハウステンボス、あるいは宮崎県のシーガイアなど、少なくない自治体のプランは、リゾート開発に失敗した施設に再活用のチャンスがめぐってきた、こういうものなんです。

 疲弊した地域経済を立て直したい、この願いはわかります。しかし、その対策がなぜカジノなのか。私は幻想にしかすぎないと思うんです。ここはやはり、賛否あるわけですから、しっかり現地でも専門家の意見も聞いて十分に議論をしなきゃいけないと思うんです。

 次に、マネーロンダリングについてお聞きしたいと思うんです。

 マカオやシンガポールのカジノビジネスの成長の背景には、中国人VIP客のマネーロンダリングがあるわけです。この対策について、日本は、このマネーロンダリング、非常に未熟だというふうに言われているわけです。本当に対策をとれるんでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、犯罪収益移転防止法に基づきまして、特定事業者による取引時確認等の義務の履行を徹底することにより、マネーロンダリングの防止を図るとともに、届けられた疑わしい取引に関する情報を集約、整理、分析いたしまして、都道府県警察を初めとした捜査機関等に提供をしております。

 都道府県警察等におきましては、その情報を活用することなどにより、マネーロンダリング事件を検挙するとともに、犯罪により得た収益を没収、追徴して、その剥奪に努めているところでございます。

 平成二十七年中の警察によるマネーロンダリング事犯の検挙件数は、組織的犯罪処罰法に係るものが三百八十一件、麻薬特例法に係るものが八件の計三百八十九件となっておりまして、この数字は年々検挙件数として増加をいたしておりまして、警察としては、捜査のノウハウを蓄積しているというふうに認識をしております。

 仮にカジノが合法化された場合におきましては、マネーロンダリング対策に関する国際基準でありますところのFATF勧告に基づいて、所要の措置を講ずることが必要だと認識はしておりますけれども、その場合には、警察といたしましては、マネーロンダリング事犯やその前提犯罪を検挙するなどして、不正な資金の移転防止、そして取り締まりにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

島津委員 マネーロンダリングあるいはテロ資金対策を目的に設立された多国間枠組み、FATF、ここは、二〇一四年六月に日本政府に対して、必要な法整備がおくれているとして早期の対応を求める声明を発表しています。ですから、今答えがありましたけれども、ここはしっかりやる必要があると思うんです。私は非常に心配なんです。

 時間がありませんから次の質問に行くんですけれども、ギャンブルはコントロールできるかということなんです。

 実は、ラスベガスを管轄するアメリカ・ネバダ州のゲーミング管理局が、ギャンブルはコントロールできるかについて見解を発表しています。きょう、これを紹介しようと思ったんですが、もう時間がありませんので、これは沖縄県の二〇〇八年度カジノ・エンターテイメント検討事業調査報告書で報告されていますので、ぜひ見ていただきたいんですけれども、ここでは、結論からいえば、なかなか依存症をコントロールはできないと。そして、WHOでは、やはり依存症にならない防止対策というのは、要するに、カジノあるいはギャンブルに触れさせないことだ、こういうことを言っているわけです。

 ここで聞きたいんですけれども、日本のギャンブル依存症、これは成人人口のどれほどなんでしょうか。

堀江政府参考人 障害保健福祉部長でございます。お答え申し上げます。

 平成二十五年度に厚生労働科学研究を行ってございます。そこでは、成人の男女約四千人余りに御自分で記入していただくアンケート調査を行っておりまして、ギャンブル依存の疑いのある人は、成人全体の四・八%というふうにまとめてございます。これは、スクリーニングといいますか、御自分で書いていただいた、ある意味スクリーニングでございまして、また、患者というものではございません。

 そうしたこともございますので、現在、本年度、別の研究におきまして、医師による診断、調査員による面接なども含めまして、より高い精度が期待できる調査を実施しているということでございます。

島津委員 四・八%というのは非常に衝撃的な数字なんです。オーストラリアあるいはニュージーランド、フランス、スウェーデン、韓国や香港と比べてみても、諸外国では一%前後です。日本の異常さが際立つ結果なわけです。

 日本の病的ギャンブラー、依存症、患者の比率は、国際的なカジノが存在する国や地域と比較しても多いわけですけれども、この要因となっているのがパチンコ、パチスロです。六種類の公営賭博の売り上げの合計は約六兆円ですが、これに対して、パチンコ、パチスロの売り上げはその三倍の約十九兆円。

 病的ばくち患者をめぐっては、個々人やその周りの親しい人々の問題だけではありません。パチンコ駐車場にとめた車内への乳幼児の放置の事件、賭博が原因となる事故、事件、トラブルが後を絶ちません。最近では、プロ野球選手による野球賭博事件、バドミントン選手による闇カジノ事件が起き、スポーツ界にもギャンブル依存症が広がっています。こういうことが明らかになっていて、日本の社会の深刻な問題なんです。

 とりわけ心配なのは、青少年への影響なんです。これは青少年にどんな悪影響を与えるのか、こういう心配は統計などで科学的に裏づけることは困難なんですけれども、脱法ハーブや脱法ドラッグだけでなく、たばこやゲーム機、スマートフォンへの依存を含め、依存症という問題は青少年に広範な影響を及ぼしています。こうした問題に解決を見ないまま、さらに賭博を合法化するというようでは、真面目にこつこつと課題に取り組もうという教育は全くの絵そらごとになってしまうのか、こう心配しているわけです。

 賭博をする大人の姿を見て育つ青少年への影響ははかり知れません。IR型のカジノでは、子供が遊べるレクリエーション施設と一体です。家族で出かける先に賭博場がある。子供たちが賭博に対する抵抗感を喪失したまま成長することになりかねません。こういう対策というのは考えているんでしょうか。

西村(康)議員 ギャンブル依存症対策、あるいは青少年の健全な育成、こうしたことについて、第十条に、私ども、必要な事項を講ずるべきだということで、措置を講ずることという規定を置いております。

 御指摘のとおり、ギャンブル依存症、厚労省の調査もございますし、それから、パチンコ、スロットなども、風俗営業適正化法にのっとって、健全な遊技として発展をしてもらいたいというふうに思いますけれども、そうしたことを含めて、今回、このカジノ法案を契機として、公営ギャンブル、公営競技も含めて、ぜひ総合的なそうした対策を講ずるべきだというふうに考えております。

 今回、入場料あるいは納付金という形で一定の資金を国や地方に納めてもらうことになりますので、そういった資金を活用しながら、公営ギャンブルも含めて、ぜひ幅広くギャンブル依存症対策を講じてもらいたいと思いますし、青少年の健全な育成にもそうした資金が使われることを期待したいというふうに思います。

島津委員 時間がありませんから終わりますけれども、期待したいということですけれども、今の答弁でも具体的にどういうことをやるかというのは見えてきません。

 カジノは賭博です。賭博は必ず敗者、損する人がいるわけです。カジノの場合は、その金額がパチンコなどと比べて桁違いに膨らむわけです。他人の不幸の上にみずからの幸福を築こうというものです。新たな価値を生み出すものでもありません。地域の経済が疲弊こんぱいし、振興が求められているときに、逆行するものです。依存症など、日本社会に与えるマイナス影響ははかり知れません。賭博を経済対策の目玉にする、こんな経済学の常道からも逸脱した法案は断じて認めるわけにはいきません。国民の多数も反対しています。

 きょう質問できなかった問題もまだまだあります。また、きょうの答弁を聞いても、やはり関係大臣の説明が必要だと痛感しました。関係者の意見聴取も必要です。官房長官以下五人の関係大臣の出席での質疑、参考人質疑の開催を改めて求めるとともに、引き続き徹底審議するよう重ねて求め、質問を終わります。

秋元委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 まず最初に、本日、このいわゆるIR法案に審議入りをしていただいたお礼を申し述べたいと思います。

 我が党、日本維新の会は、結党以来、まあ結党してからいろいろとありましたけれども、結党以来、このIR法案に関しては終始一貫、推進という立場をとってまいりました。もちろん国政選挙における公約にもしっかりと明記をさせていただきながら、これまでの選挙戦を戦ってまいりました。

 本当にやっとというふうな感慨なんですけれども、少し振り返ってみますと、このIRの法案は実はこの数年という話ではなくて、私もいろいろと背景を調べさせていただくと、平成十三年に東京都が観光産業振興プランというのをつくって、このときに初めてカジノ構想が明記された、これが一番最初だったというふうに記憶しております。このときは石原都知事の時代です。非常に懐かしいお名前です。私もいろいろ石原さんとはありましたけれども、それは遠い過去の話であります。

 そこから本当にありとあらゆる、例えば自治体が、東京に限らず、いろいろな自治体、もちろん先ほどから共産党さんが取り上げてくれている大阪もそうですし、ほかの地域も、長崎もそうですし、いろいろな構想を練ってまいりました。ただ、幾ら構想を練ってもやはり推進法がなければ、法律がなければなかなか難しい。難しいというか、全くできませんので、ということで、我々、平成二十五年に日本維新の会が、六月七日だったんですけれども、法案を提出させていただいた、それが、国会における法案として形が出てきたのは初めてだったんじゃないかなというふうに記憶をしております。

 そこからもう既に数年がたちました。その当時はできたばかりのときの日本維新の会です。一番最初の日本維新の会です。今の日本維新の会ではありません。その中でも、我々は終始一貫して、IR推進法、この法案を審議してくださいとずっとお願いをさせていただいてまいりました。やっと、本当に僕はやっとというイメージなんですけれども、法案提出者の方からぜひ、この審議をするに当たって、今までの経緯と感慨をちょっとお聞かせいただけたらと思います。

小沢(鋭)議員 お答え申し上げたいと思います。

 今、浦野委員からも、感慨深い、こういうお話がございました。ともにこの法案を何とか仕上げたいと思って努力をしてきた仲間の一人として、本当に私も大変感銘をしながら聞いていたわけであります。

 この経緯でありますけれども、まず議連の話で申し上げますと、私どものこの議員連盟ができたのは二〇一〇年だったと思います。まだそのときは民主党政権だったわけでありまして、そういう中にあって、この議員連盟を立ち上げて、そしていわゆるカジノということではなくて、カジノを含む複合施設、IR施設をつくるんだ、特定複合観光施設、それをつくるんだ、こういうことで超党派で集まらせていただきました。

 そのときにいろいろな勉強をしてきましたけれども、私が一番心に残っておりますのは、シンガポールのお亡くなりになったリー・クアンユー元首相の言葉でありまして、いわゆるカジノということは私は個人的には余り好きではない、しかし、カジノを含むIR施設をシンガポールにつくるかつくらないか、こういう議論で考えたときに、それはやはりつくらないということになるとシンガポールは素通りされてしまう、パスされてしまう、そういうことを考えたときに、シンガポールの国として生き残っていくために私はIR法案に賛成するんだという発言をされた、大変名演説をされたということを私どもも聞きまして、そういうことを我々も思いながら頑張ろう、こういうふうに思ったことを思い出しております。

 そのIR議連ですけれども、検討の過程ではいろいろな勉強をしてまいりました。もう数十回やったでしょうか。先ほど来問題が出ております依存症の問題もマネーロンダリングの問題も、それぞれの問題で、それぞれの担当の役所の皆さんと、一対一でというか、一つの役所の皆さんと私ども議連としての勉強会をそれぞれ積み重ねてまいりました。また、そういう中にあって、有志で現地の視察も、シンガポールの方へ行かせてもらったり、また、それぞれの議員は、ラスベガスへ行ったり、ドイツのバーデンバーデンに行ったりとか、そういった活動を積み重ねてまいりまして、法案をつくらせていただいたわけであります。

 その法案でありますけれども、つくらせていただいた法案を超党派としてとにかくまず出したい、こういう議論はしていたわけでありますけれども、なかなか各党のスタンスがそろわない。こういうことの中で、先ほど浦野委員からお話がありました平成二十五年六月七日、日本維新の会として、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案というのを、これは超党派の、ほかの党の皆さんにも御了解をいただいて、とにかくこの流れをつくっていくために、我々単独でとにかく出させてもらいたいんだということで、御了解もいただいて出させていただきました。そして、同年の十二月五日、今度は超党派、無所属の議員も含めて、超党派として改めて法案を提出し直しました。

 それから、平成二十六年六月十八日、これは、この内閣委員会において質疑をやらせていただきました。残念ながら、同年の十一月二十一日に、解散によってその案は廃案になり、そして、改めて平成二十七年四月二十八日に、超党派として、先ほどお話が出ていました十条二項、これを一部付加して、出し直させていただいたということでございます。

 感想をと、こういうことであれば、個人的な話になって大変恐縮なんですが、苦節十年という言葉がありますが、そういった思いの中で、ずっとやらせてきていただいたわけであります。

 ちなみに、ストーカー対策法をきょうやりましたが、実は二〇〇〇年のときに、私は議員立法であれを出させていただいて、桶川事件があって、超党派に変わってできたのです。これは個人的な話で恐縮ですが、そういった私の思い出の深いストーカー法案とこのIR法案が同じ日にこうやって審議がされるというのは、本当に私にとっては感慨深いものであります。

 何とかこの法案を、委員の皆さんとともにしっかり協議をして仕上げてまいりたい、こう思っているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。本当に、何か歴史を感じる答弁だったと思います。

 実は、きょう質問させていただこうと思っていた項目が、ほとんど自民党、公明党の質問とほぼほぼかぶっておりまして、それでも聞きますけれども。

 先ほどから共産党さんが大阪のことを一生懸命アピールしていただいていましたけれども、誤解をされると困りますので、少し反論をしておきます。

 あべのハルカスが閑古鳥が鳴いているということをおっしゃっていましたけれども、鳴いていません。私、大阪市内に出るときは必ず、あべのハルカスの下にある近鉄阿部野駅を、電車で出るときは使わないといけない人間なので、よく使いますけれども、閑古鳥は全く鳴いておりません。共産党のレッテルです。

 それと、USJは、地元商店街を潤すためにハリー・ポッターをつくったわけじゃないです。USJは、大阪、関西、そして日本国内の経済を潤すためにも、そういったもっともっと大きな経済効果を生んでいる施設ですので、地元の商店街の皆さん方は地元の商店街の皆さんでいろいろな努力をされておりますし、それが直接USJのせいではないということだけは言わせていただきたいと思います。

 ホテルのこともおっしゃっていましたけれども、とり合いにはなりません。今、ホテルが足りなくて、大阪は困っています。観光客がたくさん来ていただいて、ありがたい、うれしい悲鳴を上げております。

 私たち日本維新の会、もともとおおさか維新の会、地方政党からでき上がった政党です。大阪、我々は、先ほども申しましたけれども、一貫して、IR推進を主張してまいりました。間違ってもらっては困るのは、カジノを推進すると言っているんじゃないです、IRです。カジノ、カジノとおっしゃいますけれども、カジノはあくまでもごく一部です。

 我々、府議会時代に、大阪府としても、やはり言うだけじゃなくてしっかりと見ようということで、もちろん現地の視察、ラスベガスなどにも行かせていただきました。そのときのメンバーは、今の大阪府知事の松井一郎と我々の参議院の東徹、そして今、副大臣をされている自民党の原田先生も、同じときにラスベガスに視察に行かせていただきました。そのときの話はいろいろおもしろい話がたくさんあるんですけれども、それはここではちょっと余り言えないので、また個人的に言いますけれども。

 そのときに、やはりラスベガスの方々もおっしゃっていたのは、カジノはあくまでもごく一部の部分であって、今、もう既にカジノに頼っているわけではないと。ラスベガスは、もう既に国際会議場、世界でも最大規模の国際会議場を併設している町として、そのついでに、カジノがあるからちょっとやっていこうというぐらいのレベルになっているというふうにおっしゃっていました。

 一番驚いたのは、アメリカは、日本に比べると非常に治安の悪い国です、残念ながら。子供連れで家族が夜に安心して町を歩けるというのは、アメリカでは数が少ないです。そのうちの一つがラスベガスです。家族で来る方もたくさんいらっしゃる。そして、家族で楽しんで、ラスベガスを満喫して帰られる方もたくさんいるんだというふうにおっしゃっていました。

 もう既にカジノの依存を脱却して、ラスベガスは次のステージへと移っているということを、その当時、もう既におっしゃっておりました。これはかれこれ何年前か、ちょっともうわからないですけれども、七、八年ぐらい前の話だったと思います。だから、私は、そうあるべきだというふうに思っています。

 先ほどからの質問で、アメリカは競合して大変なことになっているじゃないかというふうにもおっしゃっていました。私は、日本ではアメリカと全然違い、これからもちろん、この法案が通ってからいろいろと制度、細部にわたってまたつくられていくと思います。

 IRをつくる地区について、先ほどの質問と重なりますけれども、そんなたくさんの想定をしているわけではないと思いますけれども、今現在、想定している数、区域、今区域とかが多分ないと思いますけれども、教えていただけたらと思います。

松浪議員 区域の数ということなんですけれども、御承知のとおり、この議員立法を行うに当たって、既に五年ほど前から超党派の議連で議論をされてきた。今回の法案も、実は民主党政権時代につくられたものとほとんど変わらない状況でありまして、そのときの議論であれば、当初、区域数は、カジノ施行の安全性、安定性、健全性を担保すること、これを第一といたしまして、実施法制定後に、最初の認定区域は二、三カ所がいいんじゃないかということが常識的に語られて、これが今も我々はこういった線で進めていくべきではないかなというふうに考えているというのが、残念ながら、きょう民進党さんはおられませんけれども、民進党さんのもとで参加をされていた多くの先生方の、議連としてのコンセンサス、もう長年のコンセンサスではないかなというふうに考えております。

 いずれにしても、こちらについては、実施法の検討の際に適切に判断をしていくということになります。

 さらには、IRが、国際競争力のある観光地の形成、地域経済の振興を図ることを目的に、国の成長戦略に位置づけられるという一方で、マイナスの影響は最小限にしていくというのは、これは当然のことでありますけれども、実施法制定後の最初の認定については、政府において慎重に限定的に施行していく。その後、その課題を十分に評価、検証するということを経て、段階的に、設置数については増加するか否かを判断していくというふうに考えております。

浦野委員 先ほどから、民進党の方々もいないということで、法案提出者の中には民進党の方もいらっしゃいます。私も、審議入りがどうなるかというときに、ぜひ審議入りしてほしい、審議入りしたらあなたに質問しますからとツイッターで直接言ったんですけれども、東京の方ですけれども、返事も返ってきませんでした。残念です。ここに座って答弁をしていただけたらなと本当は思っています。私は、別に嫌いではありません。

 話がそれましたけれども、続いて、第八条、地方公共団体の構想のうちすぐれたものを施策に反映するために必要な措置という文章が出てくるんですね。この部分について、どういったことなのか、地方公共団体の役割についてということを少しお聞かせいただきたいと思います。

松浪議員 第八条について、地方公共団体の役割ということでありますけれども、当該地域にIRを設置しようとする場合には、国の方針に沿うように、地域のインフラの整備状況そして周辺環境の現況等を総合的に勘案しながら、さまざまな民間事業者の企画提案を検討した上で、最も効果の高いIR施設整備計画を作成して、国に対してIR区域の認定を申請するということになっております。

 また、IR設置後も、地方公共団体は、IR区域及びその周辺環境の健全化、安全化に、カジノが社会に与える問題やリスクを最小限に抑制するように取り組んでいくことが望まれるということになっているわけであります。

 こうしたリスクを最小限にということですけれども、我々としては、このIRを契機に、既存の公営ギャンブルなどにもこの効果が広がっていくような、逆に、カジノが国に導入されたけれども依存症は減っていったなというような状況をつくっていくことを目指しております。

浦野委員 ありがとうございます。

 何項目か挙げている質問のうち、次は入場規制についてお伺いをしたいと思いますけれども、これは、もちろん議連の中でも議論の対象になる大きな部分ですし、当然、入場制限、規制はかけるべきだというふうに私どもも思っております。

 例えば外国人のみにするとか、そういう議論もあります。私は、これは、もちろん最終的にはギャンブル依存症に対する対応、対策にもなっていくと思いますけれども、この部分、年齢制限ももちろんかけるべきだと思っていますけれども、どういった議論がなされておりますか。

小沢(鋭)議員 お答え申し上げます。

 まず、入場制限、幾つかいろいろ考えられるんですが、今委員から御指摘があった、外国人だけにする、こういう話も、我々の中ではかなり議論をさせていただきました。

 結論から言うと、日本人だけだめだというのは、ある意味では憲法における差別になるのではないか、こういう話もあり、さらにはまた、やはりそこは、日本におけるIR施設で日本人が入っていけないという話になるとマーケットとしてもなかなか厳しい、こういう話もあり、そういったことに関しては、私どもとしては、日本人はだめだというような規制はとらない、こういう判断をまずさせていただきました。

 その上で、青少年の健全な育成だとか、あるいは暴力団員の関与の排除だとか、ギャンブル依存症への対策等、そういった形での入場規制はしっかりとやっていこうというふうに考えておりまして、少なくとも、未成年者がカジノ施設に入場することは禁止するとともに、入場に当たっては、写真つきの身分証明書等により年齢確認を行うことをまず考えております。

 入場規制として、欠格要件を設けたり、罰則を設けることも考えられますが、具体的な内容については、政府において策定される実施法の中で規定がされていくものと思っております。

 ちなみに、ギャンブル依存症対策は、コンサルティングとかそういう話はまた別途きちっとやるんですが、入場規制に関しては、シンガポールで行われている自己排除、家族排除プログラム等の抑止政策が参考になるのではないか、こういうふうに思っておるところでございます。

浦野委員 次の質問も佐藤先生とかぶってしまいますけれども、運営側の規制ということで、設置者、従業員ももちろん、しっかりとそういう規制もかけていかないといけないと思っています。

 それと、これももう質問に出てきましたけれども、IR全体の面積に対するカジノ面積というのはやはり制限をするべき、私は、カジノの部分に関しては、やはり規制を最初からかけていく、できる限りかけていくべきだと思っております。

 そうすることによって、カジノだけをやるんだというような、そういったIRに対する誤解に対してしっかりと反論をしていくこともできますし、あくまでもカジノはごくごく一部の施設であって、それが目的ではないということをはっきりと、私は、この法案を審議するに当たって、伝えていかないといけないと思います。

 この運営側の規制、それとカジノの面積などの規制も、今どういうふうな議論がなされているか、お聞かせください。

小沢(鋭)議員 これもさっきの質疑の中でも既に出てきておりますけれども、具体的に何%以下にすべきだというような、そういう決定はしておりません。

 ただし、今、浦野委員からもお話がありましたように、とにかくIR施設という全体が我々は大事だ、こういう意識でありまして、そういった意味では、カジノの占める面積というのは相対的にそんなに大きくない、こういう話になるし、シンガポール型を我々は一番念頭に置いて勉強してきましたけれども、そのシンガポールでは三%未満、こういうことでございます。

 そういった数字を念頭に置きながら、各自治体の皆さん方が手を挙げて提案をしてきてくださるわけでありますから、そういったことは、シンガポール型を我々は念頭に置いてやってきました、そのシンガポール型では三%程度ですよということを頭に置いていただきながら、いいプランをつくっていただければいいのかな、こういうふうに思っております。

 具体的な募集に当たっては、どういった形でそれを織り込んでいくかというのは実施法の中で出されるもの、こう思っております。

浦野委員 この臨時国会の中で、ついこの間ですけれども、IR議連の総会が開かれました。そのときに、大阪府の松井知事にもお越しをいただいて、お話をいただきました。

 私も大阪の人間ですから、余り大阪のことばかり言うのもなんですけれども、我々は、大阪だけがよくなってほしいというわけではありません。これは、大阪というよりはやはり関西、関西が元気になることによってこの国の経済をよくしていこうという思惑で、そのために、やはりその地方自治体の人たちがしっかりとスクラムを組んで手を挙げていかないとなかなか、選ばれないということになれば元も子もありませんから、やはりそこはしっかりと、我が日本維新の会は結党以来のIR推進と、しっかりと公言をして選挙を大阪で戦ってきた政党ですので、大阪府民の皆さんの大半はIR推進について御理解をいただけているというふうに、地元でもそういうふうに私は感じております。

 やはり、国の中で内需をとり合うのではなくて、外からのお金、外貨を稼ぐ、インバウンドのさらなる向上を目指すということが、これからの日本の経済には絶対に必要だというふうに思っています。

 その意味では、関西、大阪を中心として、しっかりとこのIRをつくっていく。先ほど岩屋先生がおっしゃった、まず東京に来て大阪、京都、奈良ではなくて、まず関西、大阪に来ていただいて、それからどこかに行ってもらうというようなことをぜひ、今は東京に負けてしまっていますけれども、それをぜひ、どっちにしようかなと思ってもらえるぐらい、しっかりとやっていきたいと思っております。

 最後の質問ですけれども、これも今まで質問に出ています納付金についてなんです。

 納付金を取ってそれを何に使うかというのはこれからの議論だということですけれども、私は、共産党の皆さんも心配をなさっています、やはり地方経済にどれだけ寄与できるかというのは大きな大きな課題だと思っています。

 この納付金の使い方、これは税ではないということだと思うんですけれども、そうだったとしても、やはり地域に、財政的に潤うような、そういう仕組みも本当は欲しいなというふうに思っていますけれども、その辺の議論というのはなされているんですか。

小沢(鋭)議員 この議論はいつ出てくるのかな、こう思ってずっと質疑を聞いておりましたけれども、今、浦野委員が初めて質問されたんです。実は、このIRを進めていく、こういう意味において、実質的に、事業者として考えている皆さんたちにとっては最も重要なポイントなんだろう、こう思います。

 今お話がありましたように、いわゆる税としては、これは当然、事業者は法人税、こういう話があり得ます。その税とは別に、今回のIR法案で書いてありますことは、国または自治体は納付金または入場料を徴収することができる、こういう書き方をしているわけでありまして、入場料というのはそんなべらぼうに高くするということはできません。それは一般の諸外国との水準、こういう話があるんでしょうが、納付金に関しては、どういった形でどの程度を決めるかというのは、事業者にとっては最もある意味では関心が高いところでございます。

 ただし、結論から申し上げると、それに関して我々は、この法案の中では定めておりません。繰り返しになりますが、あくまでも、徴収することができる、こういう書き方になっているわけでありまして、今後の大変大きな検討課題になる、こういうことであります。

 国だけが取るということもあるかもしれませんし、自治体だけが取るということもあるかもしれませんし、国と自治体、両方取るということもあるかもしれません。いわゆる国、地方自治体それぞれが徴収し得ることができる、こういう規定にまずなっているということは確認でございます。

 今委員から御指摘があった使い道に関してですけれども、今回の推進法の目的には、IR整備の推進に伴う国際観光や地域経済の振興が掲げられているほか、広く財政の改善に資するものとされておりまして、納付金、入場料の使途としては、国民生活の安定向上につながる社会福祉、文化芸術の振興等、広く公益に還元されることを想定しております。また、治安や風紀の問題や、依存症など負の側面についての対策費用にも使われるということになるんだろう、こう思っております。

 シンガポールですと、一般財源的に国の方に入っているようでありまして、教育の問題に使ったり年金の問題に使ったりということもあるようでありまして、そういった意味では、今後のまさに議論でありますが、我々としては、繰り返しになりますが、広く社会福祉あるいはまた文化の振興等、公益に還元される目的に使いたい、こういう議論をしているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 ぜひここは、国だけが取るのか、地方だけが取るのか、それとも国、地方が一定割合を決めて取っていくのかとか、そういう議論も私はしていただけたら、これからしていくだろうと思いますけれども、ぜひお願いをしたいと思います。

 これはもう質問ではありませんけれども、きょうも、ギャンブル依存症について質疑がやはり出て、これは恐らくほかの党の方々もするだろうということで、私は今回はしませんでした。

 まだ日本にはカジノが入っていませんけれども、もう既にギャンブル依存症はあるわけですね。カジノをやるからといってギャンブル依存症のことをわあわあ言うというのは、僕は、そもそもちょっとボタンをかけ違えているんじゃないかというふうに思っています。今まで全く何の対策もしてこなかったからこそ、五百三十六万人、恐らくこれぐらいいるだろうと言われているわけですよね。

 私は、このIR法案の審議の中で、やはりギャンブル依存症に対する対策というのが重要だという認識は皆さん全員が持っておられることだと思うので、この法案を機に、やはり、パチンコに対するものであったり、公営ギャンブルに対するものであったり、そういったありとあらゆるギャンブル依存症を、恐らくこれから対策をとることになっていくんだろうというふうに思っています。

 私は、一つ、本当にこれはしっかりと議論をしていただきたいと思っているのは、生活保護の方でもパチンコに使っても問題ないというか、それを抑制しようとしたら憲法違反だと言われて、負けるわけですね。僕は、この国は本当にちょっとおかしいと思うんです。それは違うだろうと思っているんですけれども。

 生活保護の方々がパチンコに行くなんて、こんなの、完全なギャンブル依存症ですよ、僕からすればね。異論がある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、私は、そういったところも含めて、しっかりと、ギャンブル依存症に対してはこれから議論が積み上がっていくんだろうというふうに思っております。

 あと少し時間がありますので。

 きょうは、ちょっと質問がかぶって、大分コンパクトにしましたけれども、まさか内閣委員会で般若心経が聞けるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしました。私と松浪さんは高校で毎日、般若心経を唱えていましたので、今でも全部唱えることができるんですけれども。

 私たち、大阪ですね、もちろん今まで以上にこのIRをしっかりと推進していきたいと思っていますし、これからまだ審議は続きますけれども、細田先生、最後に、きょうの審議をこの時間まで聞いていただいて、少し思いを述べていただけたらと思います。

細田(博)議員 今、いろいろな国際会議を行ったり催し物をしようと思うと、家族ぐるみで日本を訪問して、会議も出るし、それから家族も楽しめる、あるいは楽しい催し物もある、そういう施設が非常に乏しいわけですね。したがって、大きな会議場は、何々メッセとか何々ホールとかつくるんでございますけれども、稼働率が低くなって採算が悪いということで、余りいい循環になっていないと思うんです。

 やはり、そういった点では、シンガポールは、ラスベガスとともに、国際的な大会合、大会議が行われる中心的な場所になっております。二千万人来た、四千万人にしよう、六千万人にしようということだけ言って喜んでいると、いつの間にかリピーターがだんだん減ってくる可能性もあるし、もっともっと魅力的な日本にしなければいけないと思うんですね。

 だから、日本はさまざま、いろいろなところに文化、伝統もございますから、何も一カ所に来て、シンガポールのように狭いところでずっといてという発想でなくてもいいんです。日本に、ここに来て、楽しみながら、次の観光地に行こうとか、次はどこに行こうと、観光のためにさまざまな情報を発信する基地も必要になると思うんですね。そういうことにまたカジノ収入を充てるということも観光振興の上ではぜひとも必要なことだと思うし、それから、そのための地方の文化財の整備を行う。

 古い建築でも、直さなきゃならないところもある。芸術家でも、伝統の芸術あるいは新しい芸術でも、なかなか経営困難なものがある。そういったものにもお金を使って、全体の文化程度を上げていく。それが大変に国際的にも大事なことであるし、日本国民にとっても大事である。

 そういう大きな意味を付与しながら、この法案の実現をし、そして、そういったことにも有効な効果をもたらしていくということが私どもの夢でございますので、夢を共有して頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

浦野委員 日本で一番大きなコンベンション会場ですら小さくて、何で日本はもっと大きなのをつくらないんだと言う海外の企業もありますので、ぜひこのIR、しっかりと進めていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

秋元委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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