衆議院

メインへスキップ



第9号 平成30年4月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十年四月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 寺田  学君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大西 英男君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      亀岡 偉民君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    國場幸之助君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      武井 俊輔君    長坂 康正君

      西田 昭二君    船橋 利実君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    山田 賢司君

      大河原雅子君    篠原  豪君

      森山 浩行君    山内 康一君

      山崎  誠君    稲富 修二君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      中川 正春君    塩川 鉄也君

      畑野 君枝君    浦野 靖人君

      玉城デニー君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小此木八郎君

   国務大臣

   (海洋政策担当)     福井  照君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   国務大臣

   (規制改革担当)     梶山 弘志君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   法務大臣政務官      山下 貴司君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  杉山 徳明君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        黒川純一良君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊丹  潔君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      行松 泰弘君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局長)        羽尾 一郎君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    桝田 好一君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    村田  隆君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     古市 裕久君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   市川 健太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           大山 真未君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総合政策・政策評価審議官)  本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉田 博史君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山口 敏彦君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        石川  武君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     大西 英男君

  大隈 和英君     本田 太郎君

  加藤 鮎子君     宗清 皇一君

  武井 俊輔君     國場幸之助君

  森山 浩行君     山内 康一君

  柿沢 未途君     緑川 貴士君

  塩川 鉄也君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     池田 佳隆君

  國場幸之助君     武井 俊輔君

  本田 太郎君     山田 賢司君

  宗清 皇一君     加藤 鮎子君

  山内 康一君     森山 浩行君

  緑川 貴士君     柿沢 未途君

  畑野 君枝君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     船橋 利実君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     大隈 和英君

    ―――――――――――――

四月十日

 古物営業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 古物営業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案起草の件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中川真君、内閣官房内閣参事官杉山徳明君、内閣官房水循環政策本部事務局長黒川純一良君、内閣府大臣官房長北崎秀一君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府大臣官房審議官伊丹潔君、内閣府政策統括官、子ども・子育て本部統括官小野田壮君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官行松泰弘君、内閣府総合海洋政策推進事務局長羽尾一郎君、警察庁交通局長桝田好一君、警察庁警備局長村田隆君、消費者庁審議官福岡徹君、総務省大臣官房審議官横山均君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長古市裕久君、総務省統計局統計調査部長佐伯修司君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省大臣官房参事官市川恵一君、外務省大臣官房参事官志水史雄君、財務省理財局次長市川健太君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、文部科学省大臣官房審議官大山真未君、厚生労働省大臣官房総合政策・政策評価審議官本多則惠君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長宮嵜雅則君、経済産業省大臣官房審議官吉田博史君、中小企業庁経営支援部長高島竜祐君、国土交通省大臣官房審議官山口敏彦君、防衛装備庁プロジェクト管理部長石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲富修二君。

稲富委員 おはようございます。希望の党の稲富でございます。

 きょうは、質疑の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。三十五分間いただきましたことに、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは、ひとり暮らし世帯の急増についてと、地域を歩く中で地元の課題、恐らくそれは日本全体に通底する問題として、中心に質疑をさせていただきます。

 まず、地域を歩いておりますと、一人世帯が非常にふえているというのを感じております。かつて御夫婦で暮らしていらっしゃった御家庭が単身世帯になっているという風景でございます。

 私は福岡の選出、出身でございますが、人口もふえて非常に活気ある町であるということはそのとおりではありますけれども、都心部の一部においてはちょっと違う風景もございます。

 限界集落という言葉があります。人口五〇%以上が六十五歳以上の高齢者という定義だそうですけれども、ある自治会の方は、都心部においても限界集落があるんだという言葉がございました。福岡市の中心部においても同じような現象が実は起こっております。

 高齢者が圧倒的に多くて、自治会活動もほとんど高齢者、そして、その自治会の活動を一旦受け入れるとなかなか次のなり手がいないのでやめられない、そして、その道路を挟んだところには高層マンションが建っている、しかし、そこに新居されている住人の方は自治会活動にはほとんど参加をされない、誰がどこに住んでいるのかもよくわからないという状況でございます。孤独死という、あってはならないことが現実に起こっていることもあります。

 地域行事などを通じて、地域のつながりの再生ということで、さまざまな活動は行われておりますが、更にこれからさまざまな課題が生まれてくると思います。

 そこで、資料一をごらんいただければと思います。

 これは、読売新聞、ことしの一月十三日の記事でございますけれども、「単身世帯 二〇四〇年四割」という表題でございます。この見出しを見て、やはり驚きました。ひとり暮らしが多くなっているなということは感じておりましたけれども、まさか四割というのは驚きでございます。

 私は、典型的な、両親そして兄と私ということで、四人家族に生まれ育った者ですけれども、それがほとんど日本のモデルのような形でこれまで社会保障制度、さまざまな制度の基盤になってまいりましたが、それが大きく構造的に変わるということでございます。

 そこで、質問をいたします。

 現時点、総世帯に占めるひとり暮らしの割合、ここ二十年どういう推移だったのか、お答えをお願いいたします。

本多政府参考人 お尋ねのひとり暮らし世帯数の割合でございますが、総務省の国勢調査及び国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数の将来推計によりますと、総世帯に占める単独世帯の割合は、一九九五年に二五・六%でありましたものが年々増加をいたしまして、直近の二〇一五年では三四・五%となっておりまして、御指摘のとおり、今後も増加が続く見通しとなっております。

稲富委員 これから二〇四〇年に向けてはどうなるのか、済みません、続けて御答弁をお願いできますでしょうか。

本多政府参考人 今後の見通しについてでございますが、単独世帯数の割合は二〇四〇年には三九・三%に達する見込みとなっております。

稲富委員 ありがとうございます。

 将来推計では、二〇四〇年には単身世帯が三九・三%ということで、二〇一五年、三四・五%よりも五ポイント増加ということでございます。

 資料二をごらんいただけますでしょうか。

 これはちょっと別の統計を含んでおりますが、大体の全体観を見られるものでございます。

 世帯構造別に見た世帯数の構成割合の年次推移ということでございますが、かつては、この左のピンクのところが一人世帯、その次の右のところが二人、夫婦の世帯、そして、青がいわゆる子供そして大人の一般的な家庭、そして、ちょっと緑から飛んで右の黄色が三世代ということで、この色に分けられております。

 見てみると、左の一番ピンクのところがどんどんふえていっているということがわかると思います。そして、青の、両親そして子供の世帯が減っていっているというのがわかると思います。

 夫婦と子供世帯、一九八〇年代というのはこれを見ていただきますと四割だったのが、二〇四〇年代には二〇%台まで下がってくるということで、圧倒的にひとり暮らしの多い社会になる。というか、最も多い世帯がひとり暮らしになるということでございます。男性高齢者の五人に一人、女性高齢者の四人に一人がひとり暮らしになるということでございます。

 それでは、そのひとり暮らし世帯を年代別に見ると、どのような年代がひとり暮らしで多いのか、ひとり暮らしに占める年代の分布についてお伺いをいたします。

本多政府参考人 お答えいたします。

 単独世帯で暮らす方の年齢別の内訳でございますが、直近の二〇一五年を見ますと、二十五から二十九歳が百六十八万人で最も多く、全体の九・一%でございます。次いで多いのは、二十歳から二十四歳、これが百六十四万人で全体の八・九%となっておりまして、二十歳代の方が多いということでございます。

 一方、二〇四〇年におきましては、単独世帯で暮らす方は、人口の高齢化等によりまして、五十四歳以下の全ての年齢階級では減少する一方で、五十五歳以上の全ての年齢階級で増加をする見通しとなっております。

稲富委員 今御答弁いただきましたように、二〇一五年は二十代が最多である、そして、ちょっと今御答弁にはなかったんですけれども、その次は六十代でございます。そして、二〇四〇年は、これもちょっと御答弁いただけなかったんですが、一番多い世代は、もちろん高齢化をするということでございますが、八十五歳以上が最多になり、次が六十代、そして次が七十代、その次に二十代となるということでございます。つまり、ひとり暮らしがどんどん多くなる社会になる。

 その中で、我々が学生時代イメージしていたひとり暮らしは、学生さんあるいは就職をしてまだ結婚をしていない、その方々がひとり暮らしだというイメージでございました。しかし、今やひとり暮らし、あるいはこれからのひとり暮らしというのは、学生や結婚前の若者ではなく、高齢者中心の生活形態になるということだと思います。

 そこで、では、なぜひとり暮らしがふえているのか。どう分析されているのか、教えてください。

本多政府参考人 委員御指摘のとおり、今後、当面の間、単独世帯で暮らす者が増加する見通しとなっております。これを年齢別に見ますと、特に高齢者層で増加する見通しとなっております。

 この理由でございますが、まず、高齢化によって六十五歳以上世帯主の世帯が増加をするということがございます。また、これに加えまして、子供世帯と同居する高齢者の割合が減少していること、また、未婚のまま高齢期を迎える高齢者の割合が増加すること、こういったことが影響しているというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 未婚率が上昇し、そして夫婦のみ世帯、これは、すなわち夫婦のみですので、お一人が例えば死別をするとひとり暮らしになるということで、ひとり暮らし予備軍とも言えると思います。そういう方がふえているということかと思います。

 そこで、資料三をごらんいただければと思います。

 未婚率の上昇というのが大きいということがございました。これはよく議論になるわけですけれども、二〇一五年、直近でいうと約二四・二%の男性が未婚である、そして女性は一四・九%。その方々が、二〇三五年には、男性は二九%、そして女性は一九%が未婚であるということ。すなわち、男性の約三人から四人に一人が未婚のままであるということ、そして女性の約五人に一人が未婚の社会になるということ。すなわち、そういう、人生においては家族を持たず一人で暮らす方がふえていくということかと思います。

 そこで、やはりひとり暮らしになる際に、問題はお年寄りがふえるということ、先ほどありました。そこで、ひとり暮らしの高齢者について少し焦点を当てて、どういう生活になるのかということを議論させていただければと思います。

 まず、ひとり暮らしの高齢者の介護についてです。もちろん、ひとり暮らしでございますので、そういうお年寄りがふえるということは、介護の需要もふえるということになります。高齢者自体がふえることによって介護がふえるというのもそのとおりですけれども、ひとり暮らしがふえると更に介護需要がふえるということが予想されますが、将来的な介護を支える人材についてどのように試算をされているか、政府の見解を求めます。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 介護人材の必要数につきましては、市町村の第六期介護保険事業計画などを踏まえた推計によりますと、二〇二〇年代初頭までに約二百三十一万人、二〇二五年までに約二百五十三万人が必要と見込んでおりまして、需要見込みと供給見込みの差といたしましては、二〇二〇年代初頭には約二十五万人、二〇二五年には約三十八万人の介護人材の確保が必要と見込んでいるところでございます。

稲富委員 マイナス三十八万人、あるいはマイナス二十五万人ということかと思います。

 その確保の対策について、政府の見解を伺います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 国民一人一人の方が必要な福祉サービスを安心して受けられるように、サービスを提供する人材の確保、育成は喫緊の課題であると認識しております。このため、処遇改善や就業促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成への支援なども含めて、人材の確保、育成に総合的に取り組んでいくことが重要であると考えます。

 具体的には、これまでの処遇改善に加えまして、リーダー級の職員の皆さんを対象に八万円相当の給与増を行えるような処遇改善を新しい経済政策パッケージに基づき実現することで、他産業との賃金格差をなくしていく努力をしてまいります。

 あわせまして、介護分野へのアクティブシニア等の参入を促すための入門的研修の普及などによる多様な人材の活用、また、ICTや介護ロボットを活用した生産性の向上の推進による業務負担の軽減や職場環境の改善などによる働きやすい環境の整備、さらに、介護の仕事の魅力発信などによる普及啓発などにも取り組み、介護人材の確保に総合的に全力を尽くしてまいりたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 さまざまなお取組があって、確かにこの十年余り、介護職員の数はかなりふえていっております。それにはやはりどうしても財源が必要であるということ、今、処遇改善等、御答弁いただきましたけれども、必要になってまいります。そして、これから二十五万人、あるいはプラス三十八万人ということになりますと、もちろん財源が必要になる。

 ただ、これだけでは、職員をふやす、従事者をふやすということはなかなか限界があるということで、やはり介護にならないような、予防をするということがあわせて重要であると思います。

 そこで、介護、要支援にならない取組について、政府の見解を伺います。

大沼大臣政務官 介護予防についてお尋ねがございました。

 介護予防の取組につきましては、従前は、心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練に偏りがちでございましたが、現在は、機能回復訓練だけではなく、生活機能全般を改善することが重要であるという考えに基づきまして、活動や社会参加にも焦点を当てた取組を進めているところでございます。具体的には、高齢者の主体的な機能回復訓練や高齢者同士の交流のために通う場所を市町村が主体となって整備を進めているところでございます。

 しかしながら、こうした取組の実施状況は地域差がございます。厚生労働省といたしましては、介護予防に資する地域の取組を全国に展開する観点から、通いの場の運営についての手引の作成や、市町村に好事例の紹介等を行っているところでございます。

 このような介護予防の取組を通じまして、高齢者が要介護状態等になることの予防や、要介護状態等の軽減、悪化の防止により、国民一人一人の生活の質の向上を目指してまいりたいと考えております。

稲富委員 通いの場をつくるということかと思います。それが大きな一つ、これまでなかった取組ということかと思います。

 それで、次にかかわるんですけれども、ひとり暮らしの高齢者の生活でいうと、やはり孤立化というのがございます。会話の頻度を見ると、何といっても、特に単身の男性高齢者はほとんど会話がない、会話をする相手がいないという現状がございます。そういうデータもございます。

 やはり、孤立化、そこから、さらには、先ほど申し上げましたようにあってはならない孤独死等々を防ぐ、どうやって防ぐのかというのはなかなか一筋縄ではいかない問題かもしれませんが、どのように考えていらっしゃるか、見解を伺います。

大沼大臣政務官 ひとり暮らしの高齢者などが孤立し、いわゆる孤独死の事案ができる限り起きることのないよう、まずは自治体を始めとした地域の関係機関のネットワークの強化、見守り体制の構築などを通じて、支援が必要な方々を早期に発見し必要な支援が行き届くように取り組むことが重要であると考えております。

 先ほど申し上げましたように、地域住民が交流する拠点の整備などの地域づくりの取組を筆頭に、身近な地域で住民の相談を包括的に受けとめる場の整備もあわせて必要であると考えております。また、相談支援機関が協働して課題を解決するネットワーク体制の整備等々を通じ、市町村における包括的な支援体制の整備を推進してまいりたいと思います。あわせて、現在、自治体の創意工夫ある取組を支援するモデル事業を実施しているところでございます。こうした取組をしっかりと検証し、全国展開に結びつけていきたいと思っております。

 また、地域包括支援センターが支援を必要とする高齢者を発見し必要な支援につなげていくためには、介護事業者や医療機関とのネットワークを構築する支援が必要だと考えております。また、こうした支援を行っているところでございます。

 これらの取組が相まって、地域の関係機関のネットワークの強化や見守り体制の構築などを進めることにより、ひとり暮らしの高齢者などの孤立を防ぎ、いわゆる孤独死ができる限り起きることのないよう取り組んでまいりたいと考えております。

稲富委員 地域においては、民生委員さんを始め、地域を回りながらそういった孤立化がないようにということはされております。ただ、やはり限界もあるということで、これはまさに地域差があることではございますが、取組が必要なところが多々あると思います。ただ、これはすぐには回答が出ない話かもしれません。ここは努力をし、こつこつとやっていくことかと思います。

 そこで、ひとり暮らしの高齢者の住宅について、次に伺いたいと思います。

 平成二十六年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果、これは内閣府によると、住宅の種類でいくと、ひとり暮らし高齢者の一戸建ての持家が今六三・四%ということで、住み方としては最も多い住み方が一戸建ての持家でございます。

 そこで、考えますのは、ひとり暮らしの高齢者が一戸建てで住んでいらっしゃる、その高齢者が、例えばですけれども、その庭の手入れをする、そしてその家を守っていくということは簡単ではないと思います。もちろん御自身が望んでいるということではありますけれども、やはり、医療機関や介護施設、そういったところが身近にある環境の方がより住みやすいのではないかと思うわけです。

 そこで、ひとり暮らしの高齢者が、例えば大きな家があって、一戸建てがあって、そこを次の世代、二人お子さんがいる世帯に、住宅として次の世代にかえていくという政策は、私はあってもいいのではないかと思うわけです。

 地域を歩くと、大きな家にお一人で住まわれている高齢者の方がいらっしゃいます。そういう方のそういう住宅が次の世代に移っていく、そういった政策的な誘導が何かできないかと思うわけですけれども、政府の取組をお伺いをいたします。

山口政府参考人 お答えいたします。

 おひとり暮らしの方も含めまして、高齢者世帯の方々が、それぞれの状況に応じまして、希望する住宅に住みかえ、また、従前保有する既存住宅を、若年、子育て世帯の方々が有効に活用してまいりますことは重要な課題の一つと考えてございます。

 このため、まずは高齢者の方々がみずからの住宅を売却しやすくなるよう、既存住宅市場の活性化を図っているところでございます。具体的には、リフォーム等による既存住宅の質の向上や、住宅の資産価値が適正に評価される環境の整備等の支援を行っているところです。

 また、既存住宅が安心して取引できますような環境整備に向けまして、宅地建物取引業法を改正し、この四月より宅地建物取引業者によるインスペクション業者のあっせんの可否を位置づけておりますとともに、不安、汚い、わからないといった従来の既存住宅のイメージを払拭し、消費者が住みたい、買いたいと思う新しいイメージの既存住宅を選択できますよう、安心R住宅制度を開始したところでございます。

 他方、高齢者の所有する住宅を賃貸住宅として活用する仕組みといたしまして、戸建て住宅の賃貸を希望する高齢者と子育て世帯等をマッチングするための取組を進めてございます。具体的には、一般社団法人移住・住みかえ支援機構におきまして、高齢者の住宅を一定の賃料を保証した上で借り上げ、高齢期に適した住宅への住みかえ等を促進いたしますとともに、広い住宅を必要とする子育て世帯等に適切な負担で提供する取組を推進してございます。

 今後とも、これらの施策を通じまして、高齢者の世帯の方々の住みかえや子育て世帯の方々の既存住宅の活用の促進に努めてまいりたいと考えてございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 次の世代へのマッチングをされているということでございますが、適用件数を見ると、思いというか政策目的はそうだなと思うわけですけれども、なかなか実績としては少ない状況かと思います。やはりこれは大きな制度をつくっていかなければいけないのではないかという問題意識があります。

 例えば、今、贈与税については、お孫さんの教育費について減免をされるという制度がございます。これは、金融資産をお年寄りから次の世代に引き渡すときの税を免除していくという制度。例えば土地、建物、住宅についても、資産を次の世代に引き渡していくということも、それに倣って私は考えてもいいのではないか、何か大きな枠組みがないと進まないのではないかという問題意識がございます。

 その点、ごめんなさい、これはちょっと通告していませんが、何かお考えございますでしょうか。

山口政府参考人 お答えをいたします。

 今申し上げました制度につきまして、なかなか件数が出ていないというお話がございました。

 これにつきましては、私ども、いろいろヒアリングをしておりますと、やはり高齢者の方々自身がなれ親しんだところにしっかりと住み続けたいというような意向が多くあることから、なかなか、いろいろな御説得、説明をしても、そこを移る、あるいは空き家を賃貸に貸すというような面でまだまだ積極的でないということがあるようでございます。

 私どもといたしましては、今、先生の方からお話もございましたように、より環境のいいところで高齢者の方々がお住まいになるということは大事なことだと思っておりますので、そうした点をよく説明、理解を得て、この制度が更に進むように努めてまいりたいと思います。

 また、ただいま御指摘をいただいた点につきましては、今後とも広く考えていきたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 高齢者のひとり暮らしの住宅、生活、介護についてお伺いしましたが、次に、ひとり暮らしの中高年の女性についてお伺いをします。

 そもそもこの問題を私がこの場で取り上げさせていただいたきっかけとなったのは、中高年の女性から実は手紙をいただきまして、このようなことをおっしゃっておりました。友人に四十代以上の独身女性が多く、皆それぞれに将来の不安を抱えているという趣旨のことでございます。

 そして、朝日新聞の記事が同封をされておりまして、二〇一七年十月十七日の記事なんですけれども、「見落とされる独身女性」という表題であって、こういう文章の中にございます。これは選挙公約についてですけれども、「各党の公約には若者や子育て世帯向けのメニューが目立つ。高齢者と若者世代のはざまで見落とされがちなのが、未婚の中高年の存在だ。」という表現がございます。

 冒頭申し上げましたように、未婚率が上昇し、これはいや応なく中高年の独身の方がふえてくるということになります。

 そこで、中高年の女性の生活あるいはあり方についてなんですけれども、今、非正規の独身女性というのはどれぐらいの数いらっしゃるのか、教えてください。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 総務省で実施しております労働力調査の二〇一七年平均結果では、女性の非農林業の非正規雇用者のうち、配偶関係が未婚の方は二百八十九万人、死別、離別の方は百七十二万人で、これらを合わせた配偶者のいない女性の非正規雇用者は四百六十一万人となっています。十年前と比べますと、未婚の方は六万人の増加、死別、離別の方は四十三万人の増加で、合わせて四十九万人の増加となっています。

稲富委員 四百万人以上の方が、そういう非正規独身女性の方がいらっしゃるということからして、これは、指摘があったように、「見落とされる独身女性」という表題があるように、なかなか政策としてそこに光を当てるということがなかったのではないかと思います。

 この質問に当たって、例えば、年収だとか経済状況についても厚労省の方にもお伺いをしましたが、実態調査というのはなかなかされていないということでございました。

 しかし、民間というか別のところで調査をされているものがありますので御紹介しますと、横浜市の男女共同参画推進協会の調査二〇一五年によれば、非正規シングル女性の三十五から五十四歳の方の年収は、二百五十万円未満が七割で、年齢が上がるほど年収は下がるということが出ております。

 いずれにしても、この経済状況は決して楽ではないということかと思います。今ひとり暮らしが圧倒的に多くなる社会の中で、女性のひとり暮らしについて、やはりもっと調査をし実態を勉強すべきだというふうに思いますが、政務官、何か御答弁いただけないでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 ひとり暮らしが直ちに生活の困難をもたらすというわけではございませんが、生活上の困難が生じたときに身近な家族のサポートが得られず、社会的に孤立してしまうリスクがあることは非常に高いと考えております。

 未婚の、特に、委員御指摘の女性、中高年の高齢者、また男性の高齢者もそうでございますが、割合が増加していく見込みでございます。子供のサポートが得られない高齢者単身世帯がふえていくことを踏まえますと、委員御指摘の問題については非常に重要な課題であると考えております。

 こうした単身世帯も含めて、生活に身近な地域において、医療、介護予防、住まい、生活支援等、包括的に取組ができるように、地域包括ケアシステムの構築に取り組み、また公的サービスとともに、地域生活を支える地域のインフォーマルな支え合いを強化していくなど、地域共生社会の構築を進めてまいりたいというふうに考えております。

稲富委員 済みません、官房長官、せっかく来ていただいておりますので、ちょっと御質問させていただきます。

 イギリスでは、ことし一月十七日に、孤独担当大臣という国務大臣が新設をされました。要するに、孤独、孤立が社会問題化をしているという問題意識から、一年間の調査を経て、この大臣が新設をされております。

 先ほど来申し上げているように、一人世帯が圧倒的に多くなる社会にあって、日本も、年代別とかではなく、一人世帯ということに対して焦点を当てて、いきなり大臣というのは難しいとは思いますが、勉強し研究をしていくことが必要ではないかと思いますが、ぜひ御答弁お願いいたします。

菅国務大臣 今、急増するひとり暮らし対策について、委員からいろいろな本質的な御指摘、そしてまた貴重な御意見を賜ったというふうに思っております。

 人口減少社会、少子高齢化社会の進行する中で、ひとり暮らしの世帯がふえ、また今後もふえる中にあって、社会的に孤立してしまうリスク、このことは非常に高いという認識は政府としても持っているところであります。

 いずれにしろ、こうした社会の変化も想定しながら、社会保障や住まいの確保など、関係府省庁において検討を進めていかなきゃならない、そういう思いを新たにいたしました。

 そして、今、最後、御提案をいただいたイギリスの例でありますけれども、そうしたことも含めて検討していきたいというふうに思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 最後に、時間が迫ってまいりましたので、質問をかえて、加計学園の問題を最後に申し上げて、質問させていただきます。

 昨日の朝日新聞の朝刊で、愛媛県や今治市職員が二〇一五年四月二日に柳瀬当時の秘書官と首相官邸で面会した文書が存在すると報じられました。

 昨日、中村愛媛県知事が、面会記録について、担当職員が備忘録として作成していたということを認められました。

 昨日の野党合同ヒアリングでも質問をし、事実関係を確認中ということでございましたが、内閣府にこの備忘録、文書が残されているのか確認中ということでございましたが、現状をお伺いをいたします。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 報道された文書は、愛媛県が作成した文書ということでございます。

 また、内閣府といたしましては、愛媛県による官邸及び内閣府への訪問結果を記録したとされる文書をこれまでに見たことがないということでございます。

 ただ、公文書管理を担当する役所でもございます。念のため、報道のあった文書が保存されていないか、確認をしているところでございます。

稲富委員 今、確認中ということでしょうか。もう一度御答弁をお願いします。

長坂大臣政務官 はい、そのとおりでございます。

稲富委員 本文書には、本件は首相案件であると述べたとされております。

 官房長官は、加計学園、この設置計画に対して首相案件だということは認識をされていたのか、最後に質問いたします。

菅国務大臣 認識はしておりません。

稲富委員 牧原副大臣、申しわけございませんでした。時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 委員長、ありがとうございます。質問に入る前に一言お礼を申し上げたいというふうに思います。

 きょう、この一般質疑が終わった後、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案の起草を委員長の名でもってしていただくという段取りにしていただきました。

 超党派の議連を中心に二年、トータル三年にわたって取り組んできて、そして各党の御理解をいただき、そしてまた、それぞれ、これを応援していただいている、女性がやはり政治に参画をするということによって、日本という国の多様性といいますか、ダイバーシティーというのが確実に実現ができる、そういう体制に持っていかなければならないという思いを持った皆さんの応援のもとに進めてまいったわけでありますが、それをこの委員会の委員の皆さんの御理解のもとにきょう通していただくということになりました。

 皆さんを代表して、楽しみにしておっていただく皆さんを代表して、心からお礼を申し上げたいというふうに思います。

 さて、質問に入っていきたいんですけれども、官房長官にと思っていたんですが、官房長官、退席をされてしまいました。

 まず冒頭、加計問題をめぐる、これは国家戦略特区ということを前提に進んできた案件なんですけれども、この関係について問うていきたいというふうに思います。

 先ほども質問の中にあったんですが、きょう、きのう、おとといから、やはりこの加計の問題というのは、総理の指示があって、そして総理案件であり、また首相案件であるということが前提に進められてきた、そのことが、愛媛だとか今治の、これを進めていきたいとしていた当事者のメモからその事実が出てきたというふうな形で報道されております。

 その中で、まず聞いていきたいんですが、首相案件ということがこの記事の中にあるんですけれども、内閣府としてこの首相案件というのはどういうことを意味するのか、改めて聞いていきたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 四月二日の事実関係については、昨年夏の閉会中審査におきまして、既にこの国会の場で柳瀬元秘書官から答弁がございました。

 御指摘の報道につきましても、柳瀬元秘書官自身が、そうした発言をすることはあり得ないとのコメントを既に出していると承知をいたしております。

中川委員 いや、柳瀬さんがこれを言ったか言わないかというのは、これから証明をされていくところだと思うので。

 そうじゃないんです。内閣府として、首相案件という言葉、これは予算委員会のやりとりの中でも、この言葉は何回も出てきているんですよね。一般的にこの首相案件というのは内閣府の中ではどういう意味を持って使われているのかというのを、一般論として聞きたいということなんです。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 この首相案件という、愛媛県の作成した文書の中で用いられた言葉について、どのような意味であるのかということについては、内閣府としてコメントする立場にないということでございます。内閣府の中で一般的に首相案件といったような形でのやりとりはしてございませんので、この愛媛県の文書についてはコメントを差し控えさせていただきたいということでございます。

中川委員 文部科学省から出てきた文言では、例えば、一六年秋に、官邸の最高レベルが言っているということであるとか、あるいは総理の御意向だと聞いているということ、これは文科省のサイドから記録文書が出てきている、その中に書かれた言葉なんですね。

 こうした形で両方すり合わせていけば、これは総理が直接指示をして進めてきた、そうした案件であるというふうに受けとめられる、当然受けとめられるわけでありますが、そのように使われていたということで確認をしたいんですけれども、それでいいんですね。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問にありました文書そのものは、調査の中で出てきて公開をされているものということは承知をしてございますが、内閣府としては、その文書の中にあったような総理の御意向といったような発言はしていないということでございますので、そういった言葉についての真意は、内閣府としては確認できないということでございます。

中川委員 それ、言い切っていいんですか。これからさまざまな形で事実が表にまだ出てくるだろうと思うんです。これは道半ばですよ。その上で、こうした言葉を縦横に使いながらこの案件を進めてきたということが判明したときには、あなた、ここで虚偽の答弁をしていたということになるんですよ。使っていなかった、さっきのはそういう説明でしょう。それでいいんですか、本当にいいんですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお尋ねのありました文書における総理の意向ということについて、私、先ほど御答弁をさせていただきました。

 一般的に使っていないかどうかにつきましては、急なお尋ねでもございますので、お答えを差し控えさせていただければというふうに思います。

中川委員 事前に通告してあるんですよ、これ。そういうふうに都合のいいように解釈して答えない。そこのところをしっかり。これは国民に対して説明しているんですから、そんなごまかしをやり続けていったら、いつまでもいつまでもこの話は続いていくんですよ。ということを指摘しておきたいと思います。

 もし、心改めて、いや違うんだということで答えるんだったら言ってください、なかったらいいですけれども。どうですか、ありませんか。はい。その体制というのがこれから問われるんだというふうに思います。

 次に、構造改革特区と国家戦略特区という制度の中で、結局、加計学園の獣医学部を国家戦略特区として申請するよう誘導した。それまでに、加計学園というのは、二〇〇七年から一四年まで計十五回、構造改革特区で獣医学部開設を申請してきて、ずっと却下され続けてきたわけでありますが、それを踏まえて、この新聞報道では、加計学園の獣医学部を国家戦略特区として申請するようにというふうに内閣府の方から、もっと具体的に言えば、藤原内閣地方創生推進室次長が誘導したというふうに報道されているわけです。

 それを踏まえて、この構造改革特区と国家戦略特区との違いというのはどういうところにあるのかというのを説明していただけますか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 国家戦略特区も構造改革特区も、対象地域を限定して規制改革を行う点では共通でございますが、構造改革特区は、一旦措置された規制改革事項であれば、希望する全国どの地域でも活用を申請できる制度でございます。これに対しまして、国家戦略特区は、活用できる地域を厳格に限ることで、特にかたい岩盤規制改革に突破口を開く制度と、異なる意義、目的を有しております。

 ただし、両制度とも、地域からの提案に基づいて改革実現に向けた検討を行い、最終的には総理をトップとする組織で規制改革や特区指定を決定するという点で、同じ側面を有しております。

 実務的にも、両制度の提案募集を共同で行っておりまして、提案内容の特性に応じ、いずれの制度で改革を実現するかを選択するなど、その一体的、効果的な運用に努めております。

中川委員 一般的に法律の及ぶ分野というのは、全国あまねくということだと思うんですね。そうした規制に対して、これを岩盤規制と呼ぶのであれば、それを突破していくということになると、この構造改革特区と国家戦略特区は基本的に違うところがあるんです。

 それは、さっき説明にあったとおりで、この構造改革特区というのは、一カ所でもそれを岩盤突破したら、その突破した新しい基準というのが全国に及ぶ、そういう前提の中で規制改革というのをやっていこうということ、これは私は正しいやり方なんだというふうに思うんです。そういう意味で規制を見直していくということだと思うんです。それは、そうした形での推進というのが正常にやられてきたと私は思っています。

 ところが、国家戦略特区というのは、さっき話があったように、ここだけよ、あなただけよというんですよ、これは。ここだけよ、あなただけよという話になって、全国にそれが波及しない。全国に波及するようなものは、本来はやっちゃいけないことなんです。

 例えば、今回の加計の話でも、獣医学部というもののいわゆる需給関係の前提からいけば、ニーズからいけば、新しい大学をつくる必要がなくて、既存の大学に新しい分野を増設していく方がずっと効果がありますねという話であるとか、あるいは、そもそもそうした形での量をふやす必要はないという話は、これは文科省の中でずっと続けてきて、それを調整してきた、そういう分野なんだと思うんです。だから、新しいものをそこでぽんとつくって、それをまた全国でどれだけつくってもいいよという話にしていかない、ここだけよという話なんです。

 これは利益誘導するようなもので、それが、総理の息がかかっている、あるいは、そういうそんたくができるようなものがそこにしつらえてあって、既に地域としても、もうこれですよ、そういう前提で、例えば今治と愛媛と、そして加計の関係者が総理官邸に来てその話を進めていくという、この構図というのは、もともとそうしたものを誘導してしまうような形の、いわば構造になっているんです。ということを改めて指摘をしておきたいというふうに思うんですが。

 今回の件、どういう形で来ても、やはり最初から加計学園ありきということでこの特区を活用して進められてきたと言われても、これは反論のしようがない、そういうことなんじゃないですか。どうですか。

村上政府参考人 制度についてお尋ねをいただきましたので、お答え申し上げます。

 国家戦略特区制度も、御指摘のとおり、まずは地域を限って規制改革ということで岩盤規制改革の実現を志すものでありますが、最終的には全国措置化されることを目指すべきものということは制度も想定しているところでございます。

 現在、八十を超える国家戦略の特例措置がございますが、既に二十五の措置が全国措置化されてございます。まだ獣医学部の件につきましては一件ということの状況でございます。

 ほかの特例措置におきましても同様でございますが、事業の評価等を積み重ねつつ、目指すべき方向性といたしましては全国措置化ということでございますが、まだ獣医学部については動き始めたばかりということで、今後しっかりと事業の評価をしてまいりたい、かように考えてございます。

中川委員 もし、そういうことで全国に波及させるということであれば、獣医学部の問題だけにとどまらないんですよ。

 例えば大学設置の許認可、今文科省でやっていますよね。これに対して、いや、基準を満たしたら全部認可していくよという、基本的な、いわゆる方向転換につながっていく、そういう要素を持っている、そういうことではないですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 そういったようなことも考えられるということも含めて、まずは現状、特区で、今の状況でスタートをするということにつきまして各省で合意の上スタートしたということでございます。

 今後これがどのような形になっていくかは、この後の展開、事業評価も含めつつ、各省とよく御相談をしながら、今後検討をしていくことになるのではないかというふうに考えてございます。

中川委員 内閣府だけで検討する話じゃないんです、これは。今は内閣府が横やりを入れているんですよ、この加計については。だから、特例なんですよ。特例でとまっているんですよ。それを全国に波及させようと思ったら、これまでの文科省の基本政策を根本的に変えていかなきゃいけない。だから、どっちにしたって八方塞がりなんですよ、この制度を加計に使ったということは。ということを改めて指摘をしておきたいと思います。

 それだけに、藤原内閣地方創生推進室次長がもしこのときにこの国家戦略特区を使いなさいと誘導したとすれば、それは確実に利益誘導であって、加計だけですよ。それも、総理がそうした指示をされている首相案件だからですよということでこの方策が決まったということが、客観的に見ていると、そういう筋書きだったねという話になっちゃうんだ、これ。ということを指摘しておきたいと思います。

 それで、その上で、この柳瀬さんや藤原さんに、二〇一五年の四月二日だというふうに報道されていると思うんですが、官邸へ向いて、愛媛県、それから今治市の職員、そして加計学園の関係者が行って面会した上で、こうしたさまざまな話が出てきていたということなんです。

 この日の、柳瀬さん、藤原さんはこれを否定しているわけですけれども、この日の柳瀬さん、藤原さんの一日の行動と、それから、そのときにそれぞれの、いわゆるコメントといいますか、役所の方も、誰それに会って何を話したという、そのメモというのは残っているはずなんですね、こっちのサイドも、官邸のサイドも。そうしたものを表に出してきて、そして、もし会っていないんだとすれば、この日何をしていたのか、証明をする責任というのは、そっち側、官邸の方にあるし、政府の方にあるんだというふうに思うんです。

 そうしたものをここに出してきてください。いいですか、それを出してきてください。どうぞ。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 柳瀬元総理秘書官につきましては、報道を受けまして、昨日コメントを出しているとおりというふうに認識をしてございます。

 また、藤原前次長につきましても、本人に確認をいたしましたところ、今治市、愛媛県とは、この時期、日付は特定はできないが、今治市、愛媛県の担当者とお会いしたことはあり、その際には、これまでの今治市側の提案の経緯と、それから国家戦略特区に関する一般的な説明を差し上げたといったようなことがあったということで、確認をとらせていただいたところでございます。

中川委員 では、そのときの会談メモというのを出してきてください。この委員会に出してきてください。いいですね。

 これはあなたが答えることじゃない、副大臣が答えることだと思うんですよ。

長坂大臣政務官 今の、報道されました文書は、愛媛県が作成した文書でございますし、今まで内閣府としては、愛媛県による官邸及び内閣府への訪問結果を記録したという文書をこれまで見たことがないということでもございますが、念のために、報道のあった文書が保存されていないかどうかも確認をしております。

中川委員 委員長、これは改めて、委員会としても、これを提出してもらうということ、これをちゃんと決めて、政府の方に通達をしてもらいたいというふうに思います。

山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

中川委員 次に、裁量労働制の法案のときに、いわゆる基礎データをめぐって、客観的に正確さに欠けた基礎データを使って、そして法案の根拠としたという指摘がされて、いろいろ問題になりました。このことについてちょっと整理をしていきたいと思うんです。

 そうしたもののデータというのは、統計法上におけるいわゆる基本データですね、これの中で、そうした法律とかあるいはいろいろな予算の前提になっているさまざまな統計があると思うんですが、それをいわゆる基幹統計だとか一般統計だとかといって、ある程度、質の保証というか客観的な保証をしていると思いますけれども、この裁量労働制の残業をめぐる基礎データというのはそうした統計法上の類型に入っていたのかどうかということをまず確認をしたいというふうに思います。

横山政府参考人 お答えします。

 裁量労働法制の検討に使われました労働時間等総合実態調査につきましては、厚生労働省が労働基準法第百一条の規定に基づいて、労働基準監督官による臨検監督の一環として実施したものと承知しております。

 集計されたデータは、この業務の結果として副次的に作成されたものであります。したがいまして、この集計されたデータというのは、統計法に規定する基幹統計調査や一般統計調査に基づく統計には該当いたしません。

中川委員 恐らく、裁量労働の今回の問題でたまたま出てきましたけれども、さまざまな法律の根拠、あるいはほかの省庁で使っているいろいろなデータについて何にも規制がないんですね。このままだと、自分の都合のいいものを引っ張ってきて、それで、こうやって使いましたよということが、これまでもあるいは今からも行われている可能性というのは相当あるんじゃないかというふうに思うんです。

 これは、公文書管理をやっている省庁として、そうしたものがそれこそ公文書になっていくわけですよね、それでいいのかどうかという点検というのはここで改めてしておく必要があるんじゃないかということ、この問題意識を私は持っているんですけれども、どうでしょうか。

梶山国務大臣 公文書管理法の第一条において、行政文書等の適正な管理を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責任が全うされるようにすることを目的とする旨規定されていることは、事実であります。

 まさに、今申し上げた法の目的を実現するためには、正確性が確保された行政文書を作成することが重要であり、昨年末に改正を行ったガイドラインにおいても、行政文書の作成に当たっては文書の正確性確保を期することなどを義務づけたところであります。

 一般論として、正確性を欠く行政文書を作成することは、先ほど申し上げた法の目的に照らせば適切ではないと考えておりまして、そういったことも含めて、体系的にどうするかということはこれからの課題であると思っております。

中川委員 課題であるという認識をお持ちだということで、それで頑張っていただきたいというふうに思うんですが。

 基本的にこれをコントロールするのは、いわゆる客観的にこのデータでいいよという形でチェックを入れていくのはどこでやったらいいというふうに思われますか。今の段階だと何もないんですよね。何もない。これはどこかでそうした仕組みをつくっていかないといけないというふうに思うんですけれども。答弁、準備していますか。はい、どうぞ。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 個々の行政文書の作成、保存の管理につきましては、あるいは作成につきましては、公文書管理法の趣旨をきちんと、統一的な考え方のものを踏まえていただいて、各行政機関の業務プロセスを最もよく理解する当該行政機関の責任において、その行政機関の行政文書管理規則にのっとって行うことが大切だと考えております。

 今回の例で申しますと、まさに業務を熟知しておる、そして仕事をやっておる厚生労働省において、責任を持ってきちんとやっていただきたいと思っております。

 以上であります。

中川委員 役所の中だけで役人の皆さんが議論すると、あんなふうになっちゃうんですよ、さっきのような答弁にね。それで物事が通っていたら、今回のようなことは起こらないんです。恐らく、ほかの分野でも同じような話が起こっているんだと、都合のいいデータをとって説明をするということが起こっているんだというふうに思うんです。

 なものだから、これはしっかりシステムを新たに構築をするという発想でないと解決ができない問題だと思いますが、そこについて、大臣。

梶山国務大臣 公文書の管理とあわせて、行政改革の中で、証拠に基づく政策立案、EBPMという取組にも今取りかかっているところであります。

 これは、あわせて統計改革ということも視野に入れてやっているところでありますけれども、いずれにしても、そういうデータに基づく政策立案の中で、そういったところを整理していかなければならないと思いますし、統計は総務省の管轄でありますけれども、そういったこともあわせて、関係者が集まって今検討会をしているところでもあります。

中川委員 もう一つテーマを私持っていたんですけれども、時間が来てしまいました。

 一つだけ、ちょっと芽出しだけしておいて、次の回に中身を移していきたいと思うんですが、今、難民の問題が世界では大きく取り上げられているんですが、今の日本の難民を受け入れる体制あるいは趨勢、それに対する問題点、これをまず包括的に述べてください。

山下(貴)大臣政務官 お答えいたします。

 まず、現状について、近年、難民認定申請が急増しておりまして、昨平成二十九年の申請数は、前年の一・八倍である一万九千六百二十九人と、過去最高でございます。これは、平成二十四年比で約八倍という数値になっております。

 また、難民認定手続の結果、我が国での在留を認めた者というのが六十五人でありまして、その内訳というのは、条約上の難民として認定した者が二十人、条約上難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた者が四十五人となっております。

 我が国におきましては、難民、避難民の流入が国際問題化している欧州などとは異なって、シリア、アフガニスタン、イラクのように、いわゆる、UNHCRいわくの難民、避難民を大量に生じさせているとされている国からの難民認定申請が少ないというものの、これらの国の出身者の申請者に対する庇護を与える比率などの状況は、欧州等とも比率的にはほぼ変わらないものと考えております。

 他方、難民認定申請によって庇護を求めることが主眼でなく、我が国での就労等を目的とすると思われる濫用、誤用的な申請が相当数見受けられる。そして、その結果、未処理数が急増し、処理期間も長期化し、真の難民の迅速な保護に支障が生じる事態となっております。

 これにつきましては、真の難民の迅速な保護を図るため、難民認定制度の運用のさらなる見直しを行い、本年一月十五日から施行しているところでございます。

中川委員 続きの質疑は、次の機会に移りたいと思います。ありがとうございました。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございます。

山際委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 よろしくお願いをいたします。立憲民主党の森山浩行でございます。

 今回の質問、まずは、内閣官房が持っておられる幾つかの基本法、また基本計画というような部分について、確認からスタートをしたいと思います。

 まず、水循環基本法、それから基本計画ということで、私のライフワークでもございますけれども、水を循環として全体として捉えていくという中で、日本の水制度というものを一体的にしていくということで、これまでばらばら、主なものだけでも九省庁、九府省と言われておりましたけれども、これを一つのテーブルの中で解決をするための議論をしていくというようなところでスタートをしているところでございます。

 第一回目の基本計画、その中で、重要な部分として、水を、市町村やあるいは自治体というような単位で切り取るのではなく、流域全体で何とかできないかということで、流域基本計画というものが位置づけられております。川は全体として、地下水も含めてやっていくということなんですけれども、流域基本計画についてのこれまでの取組についてお伺いをしたいというふうに思います。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年に制定された水循環基本法の理念を具体化していくためには、関係する公的機関だけではなく、事業者、団体、住民などが連携し、流域の総合的かつ一体的な管理を行う流域マネジメントに取り組むことが必要です。このため、地域の実情に応じ、地方公共団体及び国が中心となって、関係者による流域水循環協議会を設置し、流域水循環計画を策定するなど、健全な水循環の維持又は回復のための施策を柔軟かつ段階的に推進することが重要です。

 現在、流域水循環計画については、平成二十七年七月に閣議決定された水循環基本計画に基づくものとして二十九の計画が策定されており、水循環政策本部のウエブサイトで公表しています。

 また、流域マネジメントを始めとする水循環施策を推進するためには、政府として三つの取組を行っています。

 第一に、先進的な取組を実施している地方公共団体に対して、その取組を支援するとともに、他の参考となる取組事例の収集、分析、整理を行うモデル調査を、熊本地域や愛知県岡崎市など全国六カ所で実施しています。

 第二に、全ての地方公共団体に向けて、モデル調査の結果などをもとに、流域マネジメントに取り組むための手引や事例集を作成、提供し、説明会や省庁横断的な支援窓口を通じた技術的助言などの支援を実施しています。

 第三に、今年度より、社会資本整備総合交付金の配分に当たって、流域水循環計画に基づき実施される計画を含む整備計画である場合には、一定程度配慮されることになりました。

 今後とも、このような取組を通じて、流域マネジメントの重要性が国民に広く理解され、各流域における取組が一層推進されるよう努めてまいります。

森山(浩)委員 モデル調査というものを中心に行われているということで、二十九でありますから、都道府県の数が四十七である、あるいは市町村、もっと細かい形でいくと、流域というのはもっと、何百というような形になるんでしょうかね、というようなところで、各川に応じた形でつくっていただきたいと思うわけですが、例えば鹿児島などでは、錦江湾を中心として、その周りの市町村が一体となって計画をつくる、若しくは、地下水を中心にしているところもありますし、都市化による洪水被害なんというようなテーマをやっておられるところもあります。

 つまり、水の問題というのはさまざまな多面的な側面がありますので、これを、では、こんなものをやったらどうだというような形で情報提供していくというのは非常に大事なことだと考えております。

 さて、今、予算の話が少し出ておりました。市町村あるいは都道府県という単位であれば簡単なわけですけれども、どうしても市町村、都道府県を流域の方は超えていくというような、道はありませんね、都府県ですけれども、これを超えていくというようなことというのが考えられるわけなんですけれども、そういった場合の予算のとり方というのが難しいのではないかと思いますが、これに対する工夫あるいは指導というのは行われておりますか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 水循環基本計画では、行政区域を超えた施策の調整も図ることができるようにするため、流域単位を基本として、関係する行政機関や事業者で構成する流域水循環協議会を設置し、水循環に関する施策を総合的かつ一体的に推進することとしております。

 具体的な施策を推進するに当たっての財政的な支援としては、今年度より、社会資本整備総合交付金の配分に当たって、流域水循環計画に基づき実施される事業を含む整備計画である場合には、一定程度配慮されることになったところです。また、そのほかの必要な資金の確保方策については、モデル調査などによって得られた先進の取組を流域マネジメントの手引などに取りまとめることにしており、それを通じて全国的な展開を図ってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ところが、このモデル調査を見ていますと、地域が、福島県、熊本県、岡崎市、秦野市、大野市、鹿児島市というような形で、一つの県若しくは市というようなものが多く取り上げられています。流域といったときには、もう少し大きなものに対してのイメージというものでこれは提案をした部分もあるわけなんですけれども。

 私、九〇年代最初の京都の環境サミットというのを誘致したときに横目で取材をしたりもしていたんですけれども、琵琶湖・淀川水系、当時指摘をされたんですね。それぞれの市町村で上下水道を持っている、自分のところの地域で上水を引いて、そして自分のところの地域で下水を戻すというような形になっていることによって、琵琶湖・淀川水系、一番下流になると、七回人間の体を通った水、これを飲んでいるじゃないか、こんなもの世界でも類がないよというような指摘を受けたということで、大変恥ずかしい思いをしたというようなところから、確かに、下水、きれいになっていますから、科学的には大丈夫なんでしょうけれども、例えば上流から一緒に取水をする、若しくは一番下流に一緒に戻していくというようなことをするとエネルギー的にも環境的にもいいのではないか、このようなことも考えられるわけなんです。

 より流域全体、市町村を超えたような形、都道府県を超えたような形、これに向けて意欲的な取組というのを推進される気はございますか。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 モデル調査については現在六地域、そして計画については二十九の地域で計画をつくっております。

 流域の単位のとり方にしましても、例えば福島県であれば、流域を超えて、県全体を三つのブロックに分けてセットするようなこともしておりますし、岡崎市の場合は、矢作川の中の一つの小さな支川の流域だけをとるような取り出し方をしております。

 いろいろ、このような取組を紹介していく中で、流域の大きさ、あるいは地域、さまざまなケースがあると思いますが、さまざまな取組ができるということをお知らせして、加速してまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 明治政府ができて以来の初めての取組でありますから、たくさんの知見を積み重ねていかなきゃいけないというような部分もあるかと思います。

 この一回目の基本計画、これが五年間でありまして、ことしが中間年になります。これから知見を積み重ねていくとともに、次の計画に向けた準備を始めていくというようなことも大事なことだと思いますが、次の見直しについての方向性についてお尋ねします。

黒川政府参考人 お答えいたします。

 水循環基本計画については、水循環基本法において、おおむね五年ごとに見直しを行い、必要な変更を加えるものとするとされているところです。このため、今後、水循環にかかわるこれまでの取組や地域の状況を整理し、水循環に関する取組を進める上での課題を抽出して、有識者の御意見もいただきながら、必要な見直しを進めてまいります。

森山(浩)委員 これは実は議員連盟もやっていまして、議員連盟の方には、フォローアップ委員会というような形で専門家の皆さんにも集まってもらって、いろいろ議論をしてもらったりしているんですが、なかなかこれは、まずその中身以前に、この法律がある、あるいはこういう方向性で国が取り組んでいるということについてもっともっと知らせなきゃいけないよね、こういう議論が出てきているようなところでもございます。

 日本は水が豊かな国と言われて、ふだん余り意識することはないんですが、実は非常に貴重な資源であり、また循環というような形で守っていくことが大事だということを含めまして、啓発の方にも取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、宇宙基本法、これについても管轄をされているわけで、宇宙基本計画、これもまた毎年、工程表も含めて改定をされているわけなんですけれども、宇宙にいろいろな衛星を飛ばしたりしている中で、たくさんのデータが国の中に蓄積をされてきているかと思います。しかしながら、それを国で独占するのはもったいないなという部分でありまして、これを、民間で利活用できるようなものをわかりやすい形で提供していくなどというようなことについては、どのように取組をされているでしょうか。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問ございました、政府としての、衛星データを利用しやすい形での取組ということにつきましては、ことし予算を計上いたしまして、政府が保有する衛星データを民間企業が利用しやすい形の環境の整備を進めるということで、実証事業をまずやっております。加えまして、衛星データの利活用の促進も図ってきているところでございます。

 衛星データを活用することによりまして、例えば農業分野におきましては、美しいお米の最適な収穫時期もわかるようになるとか、そういったビジネスが出てきておるところでございまして、そういった新しい利用の方法も含めて、利活用の促進を図ってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 例えばこういうデータが欲しいんだとかいうような問合せがあったりはするものでしょうか。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 政府の衛星データがどこにあるかというのがわかりにくいという御指摘もございまして、そういうところも踏まえまして、そのアーカイブ化でありますとかホームページを通じた広報といった形で、利用しやすいような形を進めていくということにも取り組んでいるところでございます。

森山(浩)委員 せっかく予算をつけて民間に開放しようかという話でありますので、ニーズのあるデータについても、また情報収集をしながら取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、海洋基本法、海洋基本計画でございます。

 これは、ことし改定の時期に当たっておりますけれども、現在の計画の評価について御質問をいたします。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 平成二十五年四月に策定をされました現行の海洋基本計画の御紹介をちょっとさせていただきたいと思います。その評価という御質問でございますので、まず基本を御紹介させていただきたいと思います。

 四本柱がございまして、まず一本目が、国際協調と国際社会への貢献、二本目が、海洋の開発利用による富と繁栄、三本目が、海に守られた国から海を守る国へという柱、そして最後に、未踏のフロンティアへの挑戦。これら四本柱を基本的な取組姿勢として、海洋に関する諸施策を、関係府省が連携の上で、政府一体となって、一丸となって推進してきたところでございます。

 具体には、メタンハイドレートの商業化に向けた海洋産出試験の実施、そして国境離島の名称付与、そして無主の国境離島の国有財産化、そして洋上の風力発電の整備のための海域利用のルールを定める法律案の今国会への提出など、幅広い、関係府省にまたがる横断的な施策を実施してきたところでございます。

 海洋基本法にのっとりまして、これらの現行計画の実施の評価及び海洋をめぐる最近の情勢を踏まえまして、次期となります第三期海洋基本計画案をただいま策定しているところでございます。

森山(浩)委員 これは、いろいろなステークホルダー、また海洋を利用してビジネスをされている方、いらっしゃると思います。今、次期計画の策定に向けて案をつくっているということですけれども、これはパブリックコメントにかかっているのかなというところでございまして、パブリックコメントにかける素案の部分、どのようなことを前回のものとは違う形で盛り込んでいるのかということをお知らせください。

福井国務大臣 本質的な御質問、ありがとうございます。

 次期海洋基本計画の策定に向けてのポイントということでございます。

 ちょっと項目が多くなりますけれども、次期の第三期計画案につきましては、海洋基本法施行後十年の総括、そして海洋をめぐる最近の情勢を踏まえまして策定しているところでございます。

 特に、海洋の安全保障の観点から海洋政策を幅広く捉え、そして政府一体で取組を推進することとしており、具体には、今度は三本柱がございまして、防衛、海上保安体制を強化するが一本目、そして二本目が、脅威の早期察知等につながる海洋状況把握、MDAと申しますけれども、海洋状況把握体制の確立、そして三本目が、我が国の領海等の外縁を根拠づける国境離島の保全管理を重点的に取り組むこととしてございます。

 また、海洋の安全保障以外にも、メタンハイドレート等の商業化に向けたさらなる技術開発、洋上風力発電の導入拡大、そして海洋の産業利用の促進を図っていくこととしておるわけでございます。

 さらに、北極政策を主要政策として位置づけて、この研究開発、国際協力、持続的な利用を強力に推進していくこととしておるわけでございます。

 計画案は、さっき先生がおっしゃいましたように、現在、パブリックコメント中でございます。四月七日から四月二十日までの期間でパブリックコメント中でございます。

 今後、総合海洋政策本部、総理が本部長でございますけれども、総合海洋政策本部での計画案の了承等の必要なプロセスを経て閣議決定を行う予定でございます。今月から来月にかけての策定を目指して、現在調整を進めているところでございます。

森山(浩)委員 そうですね。これも、たくさんの関係者がいるという中でのパブリックコメント中ということで、四月二十日に向けて、より多くの皆さんから御意見をいただいていただくように、また、それをしっかり反映をさせていただくようにお願いをして、案の提出を待ちたいというふうに思います。

 さて、きょうなんですが、裏で予算委員会をやっているということで、各大臣、たくさんの大臣がそちらの方にとられているということでございまして、森友学園の問題については、事実確認をさせていただきたいというふうに思います。

 昨年の二月二十日に森友学園側に対して財務省、近畿財務局から口裏合わせと言われるものが行われたという部分については、太田理財局長の方から既に答弁があったところでございますけれども、省内でのメールによる指示もあったんだというような報道もありますけれども、そこは事実でしょうか。

市川(健)政府参考人 御答弁申し上げます。

 森友学園側に事実と異なる説明を求めるという対応は間違いなく誤った対応でありまして、大変恥ずかしいことでございます。大変申しわけないところでありまして、当委員会始め国会の御審議にも御迷惑をおかけいたしましたこと、深くおわび申し上げます。

 なお、本件については、まずは事実関係を明らかにさせていただきましたが、そうした対応を行った職員の責任の程度、誰の指示に基づき、どの範囲の職員が了解していたのかといった点について引き続き調査しているところでございまして、そうした調査の中で、御指摘のメールについても確認を行ってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 先週末、篠原委員の方から、この件について、メールは、理財局長、ごらんになりましたかというようなことで御質問をさせていただいているかと思います。メールを見るというのはそんなに時間のかかるものではないのではないかということで、重ねて質問をされたところでありますけれども、この調査というものは、実際、メールによる指示があったのか、二月二十日、というような部分についてはお答えできるんじゃないですか。

市川(健)政府参考人 重ねての答弁となり恐縮でございますが、メールにつきましては、存在、不存在を含めて、現在確認中と承知しております。

森山(浩)委員 では、もうちょっと広くいきましょうか。

 十四文書、三百カ所の改ざんということで、これは三月の十日過ぎ、ここに明らかになったわけですけれども、これも内部調査をするんだという話になっております。これはいつ、その調査結果が出るような見込みになっておりますか。

市川(健)政府参考人 御答弁申し上げます。

 今のお尋ねは、書換えの経緯、背景等々についてのより深い調査ということでございます。

 これは現在、人事当局が中心となって調査を進めているものと承知しておりますが、現時点でいつまでにというお答えが可能なものではないというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 目標とか、どういう段取りで調査をしているので、ここまで進んでいます、そして、いつごろ出るんじゃないかというようなことは、これは計画を立ててやっておられるんじゃないですか。

市川(健)政府参考人 重ねての答弁となり、まことに恐縮でございますが、本件につきましては、職員の処分にもつながる調査でありまして、調査を尽くす必要もあり、また、捜査当局による捜査への影響にも留意する必要があることから、確たることは申し上げられませんが、できる限り速やかに対応してまいりたいということでございます。

森山(浩)委員 何度も同じ答弁ということでございます。

 調査するということで、出せるものから出していかないことには、これは進まないんですね、議論も。実際、我々の審議時間というものが、ずっとこれの確認をしては、新たな事実が出てきた、確認しては、うそだったというような形が続いています。これは、きちんと調査をしていただくとともに、調査をきちんとやるんだ、いつまでにやるんだということも含めて、ちょっと中で調整をしていただいて、答えられるようにしていただきたいと思います。

 いつ、何のために、誰の指示で公文書は改ざんされたのかというところが最も本質の部分だと思います。これについて、きちんと出していただけますか。

市川(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今委員御指摘のとおり、既に着手している調査によって、書換えは当時の理財局の職員により行われたものという判断にはたどり着いておるんですが、その先、今おっしゃったとおり、更に書換えの経緯や目的などの詳細を明らかにすべく、個別具体的にどの職員がどの程度関与したかについてさらなる調査を進めているところでございまして、その調査結果は明らかにしてまいりたいというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 内部で調査をするという一方で、どんどんマスコミから新しい事実というものが出てきて、出てきたらそれを認めるという循環になっています。非常にこれは恥ずかしい話ではないかなというふうに思いますので、ここはプライドを持ってきちんと調査をしていただき、速やかに出していただきたいというふうに思います。

 きのうかな、参議院で、ごみの処理業者さんの中で自殺された方はいるのかというような、おとといかな、質問もありましたけれども、ごみの処理業者さんの方で自殺をされた方がいるというふうに把握はされていますか。

市川(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 当方として、そのような情報を把握してございません。

森山(浩)委員 把握していないんですね。

 けさのNHKのニュースにおきまして、繰り返し口裏合わせをした模様というような報道が出ております。ごみの撤去費用がはっきりしないという形を近畿財務局が書面で作成をし、そしてそれを、これに署名をしてくれと森友学園側にお願いをした、それに対して署名を拒否されたというような報道でございましたけれども、これは事実ですか。

市川(健)政府参考人 ただいま御指摘の報道内容につきましては、現在、事実関係の確認を進めているところでございまして、事実関係が明らかになり次第、お答えさせていただきたいと存じます。(発言する者あり)

森山(浩)委員 そうですね、金曜日に集中審議がありますから、きちんと調べていただくと。

 これはもう一個ありましたね。撤去費用が一億円ぐらいというようなことをしゃべってしまったことについても、訂正をしてくださいと言っていたというようなことも報道をされておりまして、重ねての口裏合わせというような形での報道になっております。

 ですので、これが本当かどうか、きちんと把握をしていただいて、といいますのも、これは佐川局長のときですかね、業者、学園側からごみ処理をしたと聞いているという答弁をされています。つまり、ごみ処理については、やったかやっていないか、あったかなかったのか、こういう議論のときに、適切に学園側からごみの撤去をしたというふうに聞いているというふうな調査結果を、国会で答弁をされています。

 ですので、財務局側からこういうことにしてくれということをもし言ったとすれば、これは虚偽答弁になりますので、きちんとこれは調べていただきたいというふうに思います。

 金曜日までに大丈夫ですか。

市川(健)政府参考人 先ほど申し上げました確認作業につきましては、現在鋭意取り組んでいるところでございまして、最大限の努力をさせていただきます。

森山(浩)委員 集中審議をやるんだというときに材料がそろっていなかったら、なかなかこれをやる意味がないということで、もしかしたら集中審議の日程を変えなきゃいけないぐらいの話なんじゃないかなというふうに、私、個人的には思います。無駄に審議時間を使わないためにも、調査をきちんとやっていただくように。

 そんなにたくさんの人がかかわっていることではないですよね。担当する何人かの方の聞き取り、これが中心になるかと思いますし、もしかしたら、国土交通省、航空局が絡んでいるのか絡んでいないのか、もともとの土地ですし、同席をしていたというような話も途中でもありましたので、そういうことも含めて、役所の中での調査でほとんどはできるのではないかと思うんですね。そういう意味で、ここの部分というのをきちんとやるんだと。

 どこかに取材に行かなきゃいけないという話であれば、それは、半月かかります、一カ月かかります、あり得るかもしれない。しかし、役所の中の調査ぐらいはきちんとやり切っていただきたいというふうに思います。いいですか。

市川(健)政府参考人 ただいまの御指摘を重く受けとめまして、しっかり対応させていただきたいと存じます。

森山(浩)委員 月刊文芸春秋に、自殺をされた近畿財務局職員のお父様の手記というものが載っております。「息子は改ざんを許せなかった」というような題名でございますけれども、お読みになりましたか。

市川(健)政府参考人 大変痛ましい事柄でございまして、襟を正して拝読させていただきました。

森山(浩)委員 お父様も、大変悔しいと書いておられます。

 お父様御本人にはお会いに行かれましたか。あるいは、行かれる予定はありますか。

市川(健)政府参考人 まだお会いしたことはございません。また、現時点において、お目にかかる予定というものもまだ立っておりません。

森山(浩)委員 きょう大臣がいないので、大臣にという問いはしませんけれども、きちんとこれはお話をしていれば、あるいは何か連絡があれば、このような形での、手記の掲載というような形で世に出てしまうということ以前に、財務省との間でさまざまなやりとりというのができたのではないかなというふうに思うんですが。

 ほかにも、自殺をされたとか、あるいは自殺をされる未遂であったとか、いろいろなことが報道されていますけれども、ほかの方というのはいかがですか。

市川(健)政府参考人 それぞれの方のプライバシーにかかわることでございますので、慎重にお話をさせていただきますが、一月末、本省において、一名、国有部局の職員が亡くなられたということは事実でございます。ただ、そのお仕事の内容等々、客観的に見まして、これは森友学園事案の個別の処理にかかわってのお仕事をお願いしていた職員の方ではございませんので、直接の関係はないのではないかというのが今のところの私どもの考え方でございます。

 それから、あと、ネットで、自殺未遂をした人がいるんじゃないかとか、女性職員だとかというものが流れていたというのは承知しているんですが、そういうものは一切把握してございません。

森山(浩)委員 災害現場に駆けつけて命を落とす危険があるというような職種があるというのも事実でございますけれども、財務省で事務をしていて命を落とさなければならない、あるいはそれが原因で落としたかもしれないというような部分に関しましては、これはやはり組織の問題として非常に大きなことではないかなというふうに思います。

 ほかの省庁についてもいろいろなことが今出てきておりますけれども、何か上司がミスをした、それを部下に押しつけるというような風土がなかったのか、あるいは、これは違法だとわかっているけれどもやってくれというような指示がなかったのか、こういうことを含めて、きちんとお調べをいただきたいと思うんですが、いかがですか。

市川(健)政府参考人 御指摘を重く受けとめまして、まずは、今回の書換えのその背景、先ほど申しましたように、誰がどのようなことで指示をしたのかというようなこと、こういうものを含めまして、きちんと調査させていただきたい、そのように考えております。

森山(浩)委員 事実関係というものが明らかにならなければ、いろいろな臆測が飛んだりとかいうような形で更に傷つく人が出てきてもいけません。

 本当に真摯に調査をしていただきたいと思いますが、前回ほかの職員の方にもお聞きをされていますけれども、市川理財局次長としては、公文書の改ざんというようなものにかかわったことはおありですか。

市川(健)政府参考人 お答えいたします。

 一切ございません。

森山(浩)委員 役所に何十年とおられるかと思いますけれども、そのようなことが周りで行われたというようなことはございますか。

市川(健)政府参考人 今回のこの恥ずかしい一件を除いて、ございませんでした。

森山(浩)委員 ということは、何十年と役所で生活をされている中で、多くの人がそうお答えになっていますけれども、このようなことはない。しかしながら、現在あちこちの省庁で、公文書がなくなったり、あるいは改ざんされたりというような形になっています。現在の政権の状況、政治の状況というような部分も含めまして、これは大臣以下政治家側に問うていきたいというふうに思います。

 きょうは事実確認ということでお聞きをさせていただきました。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、大西宏幸君。

大西(宏)委員 自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。

 このたび質疑の時間を賜りまして、感謝を申し上げます。

 今後、また内閣委員会でIRの法案等々を審議するわけでございますけれども、その前に、つばぜり合いといいますか、前哨戦の議論になればなと思いながらこの場に立たせていただいている次第でございます。

 日本のギャンブルとか賭博というのは意外と歴史がありまして、もともと日本書紀に書かれている内容から考えると、天武天皇がすごろくの賭博に興じて奥さんに怒られた。また、その奥さんが天皇になって、持統天皇ですね、なられたときに、六八九年、すごろくの賭博を禁止する法令を初めて出したということで、その後にも歴史的に何回も法令を出したんですけれども、功を奏さなかったということも事実でございます。

 江戸時代に入りまして、庶民の賭博は浸透していきまして、いわゆるさい賭博ですね、開張して、さい賭博や、囲碁や将棋、遊び道具などがかけ等の対象になった始末でございますけれども、賭博規制が強化されてもギャンブルというのはなくならなかった。その中で、一六六四年、家綱さんの時代、賭博をして、負けて訴えればその賭博したものを返すというおふれも出ておりまして、一七八八年、家治さんの時代ですけれども、密告の奨励まで出ていたということで、逆に言うところの、江戸時代というのは、今の宝くじの原型、富くじも発売された。

 ともに、日本というのは、為政者の皆さんが、その当時その当時、その時代に、賭博とうまくつき合おうと模索されたこともうかがえます。

 時代によって、賭博というかギャンブルの概念というのは変わってきておるわけでございますけれども、いろいろ議論の中で、パチンコはギャンブルなのかギャンブルじゃないのかという議論もあると思いますけれども、この議論も、この内閣委員会で詰められていくのではないかなと私自身は思っております。

 時代時代で、これがギャンブルであるのかないのかという議論というのは変わっていって仕方ないものでありますし、その時代のギャンブル性があるのかないのか、その次の時代にそれがギャンブルかどうかということを踏まえて、我々も議論していかなきゃいけないということでございます。

 さて、四月六日、カジノを中核とする総合リゾート、IRの実施法案を、大型連休、二十七日に閣議決定して国会に提出するという話が報道で出ました。私の地元大阪もIRに手を挙げておりますけれども、やはり皆さんがおっしゃられるのは、ギャンブル依存症の問題とか地域に対しての影響の問題がいろいろ聞かされるわけでございますけれども、実施法案の前提となるギャンブル等依存症対策基本法案、これは議員立法でございますけれども、本委員会で審議されます。

 ギャンブル依存症対策は、今後どうなるのでしょうか。今、そこそこ議論はされてきていると思うんですけれども、課題や強化してきた取組などをお聞かせいただけたらありがたいと思っております。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 今委員御指摘のギャンブル等依存症対策の課題の洗い出しと、そしてその強化が必要であるという認識につきましては、政府としても完全に共有をするところでございます。

 政府といたしましては、一昨年末、当委員会で御審議いただきましたIR推進法のときの当委員会での御審議、そしてIR推進法の可決に際しまして衆参の両内閣委員会でつけられました、決議いただきました附帯決議の御趣旨も受けまして、政府といたしましては、一昨年末から、ギャンブル等依存症対策に関する関係閣僚会議を設置いたしまして、昨年八月には、ギャンブル等依存症対策の強化策を取りまとめたところでございます。

 その中では、インターネット投票などにおける本人、家族申告によるアクセス制限の必要性、それからパチンコの出玉規制など射幸性の抑制、そして全国における治療、相談拠点の整備、さらには学校教育、消費者教育という場でも啓発、指導が必要であるといった課題を整理し、そのための対策として、実施可能な施策から順次実行に移してきたところでございます。

 さらに、昨年末には強化策についてのフォローアップを行ったところでございまして、例えば中央競馬、JRAにおきましては、昨年末から、家族からの申告に基づいて、インターネット投票を通じたアクセスの制限をするという措置を既に開始しているところでございます。今後につきましては、政府といたしましても一体となって、必要な取組を徹底的かつ包括的に実施していくとともに、不断に取組を強化してまいりたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、健全な社会を構築するため、引き続き政府一体となって、更に国会とも協力を行いながら、必要な措置を徹底的かつ包括的に講じてまいりたいと考えている所存でございます。

大西(宏)委員 ギャンブル依存症というのは並大抵のもので回復するものじゃないでしょうし、私の地元というのは下町の下町でございまして、昔から、ギャンブル依存症になって家を潰したとかお店を潰したという人がまあまあ目についた場所でもあるわけでございますけれども。

 IRをやはり成功させるためには、ギャンブル依存症をきっちりと議論して対応していかないけませんし、先ほどから言っているように、パチンコがギャンブル依存症の最たるものであるにもかかわらず、ギャンブルじゃないということも、これはやはりちゃんと議論していかないけない時代に来ているんじゃないかなと私自身は思っております。

 その中でも、今新たにeスポーツというのがございます。ギャンブルという認定をされないように一生懸命やっているんですけれども、アメリカのeスポーツというのは、年間優勝者が億を超えるお金を稼いだりしているわけでございますけれども、日本の場合は、このeスポーツをするところには開張の嫌疑をかけられまして、だめであるということで、余り広がらない。

 本当に、ギャンブルという概念というのは、やはり今、現代、現代で変えていかなきゃいけない、それがギャンブルかどうかという確認もしていかなきゃいけない時代に来ていて、法律が本当に今に、現在に即しているかどうかというのも考えていかなきゃいけないのかなと私自身は思っております。

 その中で、ギャンブル依存症で、これは問題だなと以前から思っていることがありまして、いわゆるオンラインゲームですね。スマホやソーシャルゲーム、パソコンのネトゲというのもあるんですけれども、いつも言われているのが、プレー無料という喧伝をしているわけです。基本利用料はあくまでも無料なんですけれども、やはりだんだんだんだん依存度が高くなっていったら、そのキャラクターを強くしていこうとか、また、よくあるパターンで、ある程度のレベルに達すると、そのレベルから上に行かないんですよね、無課金では。だから、結局、課金をしてしまうということですね。

 詐欺とはさすがに言いませんけれども、誘導性があるというのは、これは否定ができないことだと私自身は思っております。このアイテム課金制というのが、特にスマホのゲーム、子供たちが簡単に利用できるもので、射幸心をあおられる高額の課金となっていることもあるんですよね。長時間ゲームに熱中するなど、ギャンブル依存症と似た症状に陥っておるわけです。

 そして、学校の授業で何とタブレットを使ってゲームをしたり、私の娘でもそういう状況があったんですけれども、うちの家内が使っているタブレットを使って、うちの家内がカードの番号を入れていたというのを忘れていて、知らない間に、そのとき八歳だったんですが、八歳の子供が課金をしてしまって、気がついたら、五万、六万の課金になっていたということもあって、これはもう驚くというよりも、いい経験だなと思いましたね。

 低年層のインターネットの利用も考えていかなきゃいけませんし、これは内閣府が調査していますよね。子供たちのインターネット利用の機器や利用内容、利用時間、調べていたら教えてください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府が平成二十八年度にゼロ歳から満九歳の子供の保護者を対象に実施いたしました低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査によりますと、調査に回答した保護者の子供の約三九%がいずれかの機器でインターネットを利用しており、利用する機器は、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機が上位を占めてございます。

 また、いずれかの機器でインターネットを利用する子供のインターネットの利用内容でございますけれども、動画視聴、ゲーム、知育、これは言葉とか数遊び等でございますが、これらが上位を占めているほか、利用時間は、一日当たり平均約六十一分となってございます。

大西(宏)委員 今おっしゃっておられる内容というのは、スマホが基本として、タブレット、ゲーム機器というのは、WiFiをつなげたらネット機能がついて、そこでゲームができるということだと思います。

 この中でやはり考えなきゃいけないのは、ネット接続可能なゲームが異常に多いということなんですよね。その異常に多い中で考えなきゃいけないのは、やはり子供たちに、インターネット上のトラブルについて、どれぐらいあるのか、どういうものがあるのか、これは総務省が把握しているのではないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

古市政府参考人 お答えいたします。

 未成年者に関するインターネットトラブルの内容についての御質問でございますが、総務省では、毎年度、教育関係者や有識者の協力を得て、インターネットトラブル事例集を取りまとめ、公表し、啓発活動に活用しております。

 平成二十九年度版では十七の事例を取り上げておりますが、その幾つかを御紹介いたしますと、SNSやネットで知り合った人に実際に会ってトラブルや犯罪に巻き込まれたという事例、また、無料通話アプリなどでの悪口や仲間外れ、あるいはスマホの長時間利用による生活習慣の乱れや睡眠不足、それによる健康や学習への影響、また、御指摘のありました、オンラインゲームに夢中になり、有料アイテムを購入し、高額な請求となったといった内容でございます。

大西(宏)委員 大きな問題というのは、やはり課金のことだと思うんですね。

 親のクレジットカードを勝手に持ち出すということも、これはテレビのニュースとかでもよくある話でもありますし、スマホで一回入力するとクレジットカードというのは登録されてしまいますので、自由に課金できてしまうという、先ほどうちの子供の話もありましたけれども、射幸心をあおるような課金の仕組みであるということは、現在、事実だと思っています。

 それでは、未成年者のオンラインゲームに関するトラブルについては、今度は消費者庁が相談件数などを把握していると思うんですけれども、データはどうでしょうか。

福岡政府参考人 オンラインゲームに関するトラブルについての御質問でございます。

 全国の消費生活センター等に寄せられたオンラインゲームに関する相談件数は、平成二十四年度に五千三百二十五件でございましたが、平成二十九年度には、暫定集計値でございますが、三千八百九十一件となっており、平成二十四年度をピークに減少傾向にございます。

 また、このうちの特に未成年者についての相談件数でございますが、平成二十五年度に二千五十七件とピークでございましたが、減少傾向にありまして、二十九年度、これも暫定集計値でございますが、千四百七十一件となっているところでございます。

大西(宏)委員 これは、実は二〇一二年、一三年をピークに減少をしているんですけれども、このきっかけとなったのは、やはりコンプガチャの問題ですよね。二〇一二年五月に消費者庁が、コンプリートガチャ、通称コンプガチャを景品表示違反に当たるということで指摘されまして、その結果、運営、企画の自主規制というのが進んできたということなんです。

 しかし、ここの部分では大分と下がってきて安定してきたなと思う気持ちもあるんでしょうけれども、違う方向から見たら、やはり違うものが出てくるんですね。

 オンラインゲームの売上げについて、実はデータがあると思うんですけれども、これは経済産業省ですか、お聞かせください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省として直接調査したデータはございませんが、オンラインゲームの業界団体が調査したデータはございます。

 それによりますと、二〇一六年の国内オンラインゲーム市場は約一・三兆円と調査結果が出ていると承知しております。

大西(宏)委員 一・三兆円、これは実はネットゲームの先進国である韓国や中国の試算が入っていないということで、これは、韓国、中国の売上げを考えたら五兆円以上になるのかなと思っております。日本だけでこの金額でございます。

 これは経済産業省のホームページにあった資料ですけれども、平成二十八年度コンテンツ産業強化対策支援事業、オンラインゲームの海外展開強化等に向けた調査事業の報告書というのがありまして、この中に、オンラインゲームの各国における収入構造というのが出ています。

 これは、海外展開する際に何が一番有効にお金を稼げるのかということを示す資料なんですけれども、国内の収入構造が出ていまして、売上げ構造比率では、やはりガチャ課金が九〇%、アイテム課金が一〇%ということでございまして、当然、利益を追求する民間企業でございますので、これは悪とは言えませんけれども。

 帝国データバンクが十一月末に配信した記事によると、パチンコのホール経営者二千三百五十三社の売上げ合計は、二〇一六年しか出ていないんですけれども、十九兆五千四百三十五億円。これは、パチンコ依存症問題に端を発したことで、大分と、二〇一六年以降、非適合機種の撤去等もあって、売上げが激減していっているということも予測されるんです。

 また、公営ギャンブルでありましたら、競輪ですけれども、六千三百四十億円、オートレースで見ますと、売上げは六百五十億円。

 こう考えると、オンラインゲームは一兆円を超える産業になってきておるということを我々は認識しなきゃならないと思っておるわけでございます。

 公営ギャンブルを追い抜く状況の中で、子供たちをどういうふうに我々は守っていくのかということを真剣に考えなきゃいけない時代に来ているのかということを、私は委員の皆様に御提言を申し上げる次第でございますけれども、オンラインゲームに限らず、少年をインターネット上の有害情報から守るために、実はいろいろなことをやっていただいていると思うんですけれども、現状はどのような対策をされておられましょうか。今後の対策についてお聞かせください。よろしくお願いします。

山下(雄)大臣政務官 インターネットというのは、大変便利なツールとして今日の我々の生活になくてはならないものだというふうに認識しておりますけれども、一方で、ネットを利用する子供たちが有害情報に触れる機会や、SNSなどに起因する犯罪被害が増加しているというふうに認識しております。

 第三次の青少年インターネット環境整備基本計画に基づき、青少年のインターネットの適切な利用に関する教育や啓発活動の推進、フィルタリングの性質の向上や利用の普及、青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援などを、政府を挙げて、青少年が安心、安全にインターネットを利用できる環境の整備に取り組んでいるところでございます。

 この基本計画の見直しについては、四月末を目途に有識者検討会から御提言をいただくこととしております。提言を踏まえて、関係省庁とも協議の上、現行の基本計画の見直しを行っていきます。

 また、スマートフォンやアプリ、WiFiなどの利用が急速に拡大し、フィルタリング利用率が伸び悩んでいる状況に対応するために、フィルタリングの利用の促進を図ることを目的とする改正青少年インターネット環境整備法がことしの二月一日に施行されたところであります。

 先ほど来、大西議員が御自身の御家庭の話にもお触れになられましたし、私も、三十代ではありますけれども、三十代の私が見ても、子供が遊んでいるオンラインゲームだったりとかサイトだったりとかアプリが、これは何なのかというのがわからないぐらい日進月歩の時代でもありますので、今後とも、関係事業者、国民に、この改正法の趣旨、内容の一層の周知を図るとともに、有害環境対策に自主的に取り組んでいる関係業界団体、さらには各種ボランティアなどと連携しながら、青少年を取り巻く有害環境対策を推進していきたいというふうに考えております。

大西(宏)委員 ありがとうございます。

 やはり、いわゆるオンラインゲームはギャンブルだと私は思います。自分の発言だけでございますけれども。

 続きまして、先ほど質疑されました森山先生を始め、大阪の委員が意外とこの内閣委員会に多いわけでございますけれども、地元ネタの質疑をちょっとさせていただきたいと思います。

 私の選挙区であります御堂筋の側道について、歩道化するというニュースがありました。

 昭和十二年、当時の関一市長がつくられた大阪の大動脈でございます。側道の歩道化というのは我々自民党も望んできたことでございますけれども、これは、四・二七メートルと、幅員が四十三・六メートル、六車線の大きな大きな道路でございます。これが今、平成二十七年度全国道路・街路交通情勢調査において、一日の車の交通量が四万八千六百五十六台、単純に、がさっと三百六十五日で換算すると、一千七百七十六万台以上になるということで、交通量の多い道路でも有名でございます。

 この歩道の取組についてはとやかくは申し上げませんけれども、それに、御堂筋は補助国道でありまして、大阪市が管轄をしています。

 その現状で、やはり私自身、時間がないのでざくっと申し上げますけれども、御堂筋が、大阪市の計画、八十周年計画では左右の側道、道路をなくす、そして、百周年では真ん中の六車線をなくして歩道にするという計画を立てている。もうびっくりするような計画なんです。

 通常考えると、これは警察庁の答弁になると思うんですけれども、それは周辺の、なにわ筋とか新なにわ筋とか千日前線を含めて、周辺が大混雑するのじゃないかなと思うんですよね。地域住民の方に、大変迷惑するのかということをお聞きしますと、やはり迷惑するという意見が多いんですよね。

 そういうことについて、最終的に大阪市が許可を出して、次は地元の大阪府警が許可を出すことになるんですけれども、警察庁、どうでしょうか。

桝田政府参考人 お答えいたします。

 御堂筋の側道を歩道にした場合における車両交通の他の路線への振りかえ等についてお尋ねをいただいたところでございますけれども、交差点及びその付近における車道や歩道の幅員の変更等の一定の道路改良が行われる場合には、道路法に基づきまして、道路管理者から都道府県公安委員会に対しまして意見の聴取が行われるなどの必要な調整が行われることとなってございます。

 御質問は、個別の場所におけます具体的な事例についてのお尋ねでございますが、本件につきましては、社会実験の実施について、大阪府警察において現在相談を受けている段階にございまして、警察庁においてお答えするのは困難でございます。

 しかしながら、いずれにいたしましても、大阪府警察におきまして適切に対処するものと考えているところでございます。

大西(宏)委員 適切に対処していただくということでございますけれども、やはり大阪市内の大きな繁華街があるところでございまして、インバウンドでもたくさんの外国人の方が来られておられます。

 その中で、やはりイメージアップするにはいろいろなことをやらなきゃいけないんでしょうけれども、その地域に住んでいる住民の方も実際いらっしゃるわけでございますし、個別のことについて答えられないというのはわかります。けれども、個別のことに答えられなくて、ちゃんと適切に対応できなければ、これはそちらの責任になりますからね。これだけははっきり申し上げます。

 国土交通省自体も、これについて、はてなの懸念を示しているということを私自身はお聞きしておるわけでございますので、善処していただくように要望をいたしまして、時間が来ましたので質疑を終わらせていただきます。

 以上です。

山際委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 私も四十分、お時間を頂戴しましたので、質疑をさせていただきたいと思います。

 まずは、先ほども他の委員が言及されました日本の北極政策についてお聞きをしたいと思っています。

 きょう、私、北極政策をなぜ問おうかと思ったということなんですが、今回、第三期海洋基本計画が策定間近ということで、新聞等では海洋の安全保障がクローズアップされるのでないかということで、私も注目をしておりました。党の方で安全保障の部会長をさせていただいておる関係で、安保環境というところで非常に注目をしておったんですが、そこで逆に目にとまったのがこの北極政策でした。

 単純に、私、北極には恐らく日本のEEZは絶対に設定できないであろうし、また、北極は今氷に覆われておって、ここを航路として実際活用できないんじゃないかというような、そういった素人的な認識であったわけでございますが、今回、第三期海洋基本計画におきまして、北極政策が初めて主要施策として特出しをしたいという説明を受けたものでありますので、大変興味を持ったということでございます。

 そこで、端的に、我が国が北極政策の取組を行おうとする意義につきまして、福井大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 第三次海洋基本計画においての北極政策の位置づけを行う意義について御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 我が国は、北極の気候変動を受けやすい地理的位置にございます。他方、アジアにおいて最も北極海に近く、その航路の利活用や資源開発など、経済的、商業的な機会を享受し得ることから、北極政策は大変重要な政策課題と認識をしております。ただいま先生おっしゃったとおりでございます。

 このような観点から、平成二十七年十月に総合海洋政策本部におきまして、「我が国の北極政策」を策定いたしました。三本柱ございまして、研究開発、国際協力、持続的な利用でございました。これまで、それ以降、民間のヤマルLNGプロジェクトに関連した北極海航路の利用や、北極海の公海部分における水産資源の保存管理などに関する国際ルール形成などの取組の進展が図られてきたところでございます。

 こうした状況を受けまして、次期第三次海洋基本計画案におきましては、北極政策の推進を主要施策として独立の項目として、さらに三本柱ございまして、北極域に関する観測・研究体制の強化等の研究開発、二本目が国際ルール形成への積極的な参画等の国際協力、三本目が北極海航路の利活用や北極域の持続的な海洋経済の振興などの各種施策を盛り込んでいるところでございます。

 先生今御指摘のように、北極政策を次期計画において新たに位置づけ、さらなる取組の進展を図ってまいりたいと存じている次第でございます。

浜地委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 北極圏の我が国に対する影響といいますか重要性ということが改めて認識をされたわけでございます。国民の皆様、なかなか意識が北極まで行くかどうかというところもありますので、しっかりこの海洋基本計画に定めることによって、しっかりとこの北極政策の意義というものも私自身も訴えてまいりたいと思っています。

 先ほど大臣の答弁の中で、この北極圏の国際ルールへの取組ということがございました。このとき、北極と対比するものとして南極がありまして、南極は南極条約というものがございます。日本もこれに加盟をしているわけでございます。世界では五十数カ国加盟をしているわけでございまして、南極では日本も観測基地がございます。

 ここでは、この南極条約では、軍事基地は建設しないでおこう、又は軍事演習も禁止をしよう、そしてまた、領土の主張をするような国もございますが、南極条約に入ったところはこの領土の主張を凍結しようというような、さまざまなメニューが盛り込まれているわけでございますが、では、北極では、この南極条約のような、そういった条約を目指して外務省はこれから取り組んでいくのか、どのようなルールを目指されているのか、そして実際にどのような取組を現在行われているのか、外務省に御答弁をお願いしたいと思います。

市川(恵)政府参考人 お答え申し上げます。

 今、ただいま浜地先生御指摘のとおり、南極と北極では状況が異なりまして、まさに大陸のあります南極と違って北極は基本的に海でございますので、基本的には国連海洋法条約を始めとする関連の国際法が適用されるということで、いわゆる南極条約のような包括的な条約はございません。

 さはさりながら、やはり北極に関する、あるいは北極海に関するさまざまな資源あるいは航行の自由、あるいは資源、環境といった面のさまざまな重要な点は、先ほど先生も御指摘になり、また福井大臣もおっしゃっていたとおりでございまして、我が国としては、北極に関する国際的な意思決定ですとか、あるいはルールの策定には積極的に関与をしてまいりましたし、これからもしていきたいと思っております。

 もちろん外務省だけではなくて、これは、政府を挙げて関係省庁連携して、日本の強みである科学的な知見ですとか、北極をめぐる議論の主要なプレーヤーとして国際社会に貢献していきたいと思います。

 一つ例を申し上げれば、北極海には公海がございます、公海における漁業規制に関する協定の交渉に日本としても参加をいたしまして、この北極海の公海における無規制漁業を防止し、漁業資源の保存と持続可能な利用を確保するという協定の大筋合意を最近いたしました。日本もこの協定の大筋合意に向けて大きく貢献したと思っておりまして、非常に大きな意義があったというふうに思っております。

 我が国としましては、今後、この協定については締結する方向で、更に関係省庁を始めとして政府内で検討していきたいと思いますが、更に今後とも、我が国それから国際社会全体の利益に資するという観点から、北極をめぐる国際ルールの形成というものに積極的に参加していきたいと考えております。

浜地委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 日本は、二〇一三年ですか、AC、北極評議会のオブザーバーになったというふうに聞いています。外務省には北極担当の大使がいらっしゃるというふうに聞いて、私、外務政務官をしておりましたが、お会いしたことがないので、ちょっと認識が薄かったのでございますけれども、しっかり大使まで御用意をされ、また北極評議会、AC評議会といいますけれども、これのオブザーバーになっておりますので、ぜひ、日本の科学的知見、さまざまなルールの策定に頑張っていただきたいと思っています。後ほど、これは特に、国連海洋法条約が適用されるということで、中国との関係でもまた注意喚起をさせていただきたいと思いますので。

 その前に、エネルギーの開発や北極の航路というお話も出てきましたので、これについてお聞きをしたいと思っています。

 北極にありますエネルギー資源、これはまだ未発見の石油また天然ガスがたくさんあるというふうに聞いております。鉱物も、ウラン、レアアース、ダイヤモンドなどが豊富に埋まっているというふうに私自身も聞いております。

 また、航路におきましても、我が国の船舶がここを、北極を利用できるようになりますと、いわゆる南回りのルート、マラッカ海峡を通って、スエズ運河を通って、中東やヨーロッパに抜けるこの南ルートに比べて約六割、距離が短縮できるということも聞いておるわけでございます。

 しかし、先ほど私が言いましたとおり、このエネルギー開発については、日本はEEZが設定できないわけでありまして、どうやってこれに関与をしていくんだろう、また、北極航路についても夏しか使えないというふうに聞いておりますので、どのようにこの北極航路について政府が積極的に関与をしていくんだろう、そこの点につきまして、具体的にこの北極航路またエネルギー開発についての政府の取組について、内閣府の方に御答弁をお願いしたいと思っております。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの福井大臣からの答弁にもございましたとおり、我が国民間企業におきまして、ヤマルLNGプロジェクトに関連しまして北極海航路を利用する具体的な動きが出てきておるところでございます。

 北極海航路に関しましては、第三期海洋基本計画におきまして、海氷分布予測システムあるいは気象予測システム、こういった航行支援システムの構築など、我が国海運企業等の北極海航路の利活用に向けた環境整備を進めることといたしております。また、北極海航路に係る官民連携協議会を設置し、民間事業者との情報共有も進められていると承知しております。

 エネルギー開発に関しましても、第三期海洋基本計画案におきまして、政府、民間企業、研究機関が協力いたしまして、北極域の天然資源開発等に関します情報収集、活用方策を検討することといたしているところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 北極航路、エネルギーについて御答弁いただきましたが、次に、先ほども大臣の御答弁にありました、気候の影響を非常に受けるという点で、この気象観測等の観点から、文部科学省はこの北極への取組についてどのような施策を講じられているか、御答弁いただきたいと思います。

大山政府参考人 お答えいたします。

 北極域は、気候変動の影響が最も顕著にあらわれている地域であり、また環境変化が他の地域に先駆けて起こっているとも言われ、地球全体の環境や生態系の研究にとりまして極めて重要な地域でございます。

 このため、文部科学省では、海洋基本計画や「我が国の北極政策」等に基づきまして、北極域における観測、研究を推進しております。

 具体的には、平成二十七年十月から北極域研究推進プロジェクトを実施し、北極圏の国々と国際連携拠点を整備し、国際共同により観測、研究等を推進するとともに、研究拠点に若手研究者を派遣するなど、人材育成にも努めております。また、新たな国際研究プラットホームとしての北極域研究船の建造等に向けた検討を進めております。

 今後とも、我が国の強みである科学技術を基盤として、北極の環境変化の理解に貢献していくことが重要であると考えており、文部科学省としても積極的に取り組んでまいります。

浜地委員 やはり日本の強みである科学技術の部分は、気象観測、気候等に生かされると思っておりますので、ぜひ取組を推進していただきたいと思っています。

 先ほど御答弁の中で、砕氷機能を有する船舶という話がありました。南極では「しらせ」が、防衛省が持っていますが、私、これは使えないんですかという質問をしましたけれども、南極に張りついておりますし、ローテーションの問題やまたメンテナンスの問題で、これを南と北で使うわけにはなかなかいかないということでございます。

 ぜひ、文科省、頑張って、中国、韓国も北極専用の砕氷機能の船舶を持っていますから、負けないように、私も応援しますので、ぜひ予算獲得に向けて頑張っていただきたいというふうに思って、来年の話になろうかと思いますので。

 次に、きょうちょっと私が持ってきました日経新聞の記事であります。中国が、ことしの一月の二十六日に北極の白書というものを発表いたしました。見出しでは、「中国 北極海でも「一帯一路」」という見出しでございます。いわゆる氷上のシルクロードと呼んで、まさに北極の方まで非常に注視をしているところでございます。

 私思いますのは、中国の北極に対するメリットというのは、まず、やはり軍事の面が大変大きいと思っております。線を引いたところで、核抑止のかなめとなる潜水艦発射弾道ミサイル、SLBM、これを搭載した原子力潜水艦、これを北極海に沈めるとなかなか見つかりにくいですし、かつ、中国のSLBMは大体七千キロです。いわゆる南シナ海の方から撃ってもアメリカには届きません。しかし、北極圏にありますと、恐らくアメリカには届く距離になろうかと思っています。

 また、エネルギーの開発という部分でいいますと、当然、中国はマラッカ・ジレンマを抱えておりまして、エネルギーの安全保障の面でも大変ここは注目をしているんだろうと思っています。

 先ほどヤマルLNGというお話が出てまいりました。日本も、これの積出し、資源の積出しに向かってさまざま協力したいという話がありましたが、中国は既に、このヤマルLNGに関しましては、中国の国営企業、またシルクロード基金を使って約三〇%の資本を既に入れているということでございまして、非常に、我々が、政府は気づいていらっしゃるかと思いますが、余りメディアには報道されない中、着々とここの歩みを進めているわけでございます。

 特に、中国は、最後の線を引いた、二番目のところですが、北極における国際ルールの策定に積極的な役割を果たしたいと言っております。

 さっき南極条約のようなものがないということでございましたけれども、そうなると、国際海洋法条約という、いわゆる国際法の一般法の中で勝負をしなきゃいけないわけでございまして、その勝負の中で、現実問題、いわゆる実効支配されたのが南シナでありますので、そういう部分でいいますと、やはり国際ルールの取組に関しても、南シナのようなことにならないように、ぜひ外務省には中心的に働きをかけていただきたいなと思っております。

 この中国の北極政策に対する政府の評価について、今回、外務省にお答えいただきたいと思っています。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は、一九九〇年代半ば以降、北極調査を本格化しており、とりわけ近年におきましては、北極圏諸国との首脳外交の展開、それから、先ほど委員御指摘ありました中国国産の砕氷船の建造など、積極的に北極に進出する動きを見せていると承知しております。

 こうした中国の北極政策の動向については、これも委員御配付された新聞記事にありますけれども、本年一月に、中国として初めての北極政策に関する白書が発表されたということで、我が国としても、日ごろから注視しておりますし、中国との間でもさまざまな機会を捉えて意見交換を行ってきております。

 引き続き、我が国としての北極政策を戦略的視点から着実に推進するとともに、中国の関連の動向についても情報収集してまいりたいと思っておりますし、また、その中で、中国の政策の透明性向上についても、必要に応じて働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 中国とのやりとりの詳細については差し控えますけれども、一つ御紹介できるかと思いますのは、これは日中のバイではありませんが、日本、中国、韓国によるハイレベルの対話というのをこれまで二回行っております。最近では昨年六月に東京において行われておりまして、これは、委員先ほど御指摘の、日本からは北極担当大使、それから中国からは外交部北極担当特別代表、韓国からは外交部北極担当大使が出席しております。

 その際に共同声明を出しておりまして、何点かうたわれておりますけれども、そのうちの一つというのが、これも委員御懸念の点かと思いますが、ルールを基礎とした海洋秩序に基づき平和、安定及び建設的な協力を維持することの重要性というのを共同声明の中でもうたっているところでございます。

浜地委員 今御紹介のありました日中韓のハイレベル対話をやっていらっしゃるということです。ここは、やはり南極のように、軍事的なことはしないというようなルールづくりに、ぜひ日本が先頭に立って頑張っていただきたいというふうに思っております。

 ちょっとテーマをかえます。

 私も、月曜日通告をしまして、国家戦略特区のレビューをしたいと思っておりました。加計の問題についてはさまざま報道されていますが、私、これによって、ほかで頑張っている国家戦略特区のさまざまなメニューがとまるようなことがあってはならないと思っています。当然加計の真相究明は大事でございますが、しかし、他のメニューについてしっかりと推進をしていくということが大事であろうという意味で、質問をさせていただきます。

 ちょっと時間の関係で、三月の二十六日の諮問会議の評価については飛ばさせていただきます。

 先ほど、国家戦略特区、なかなか全国展開は想定されていないんだというようなお話がございましたけれども、国家戦略特区というのは、当然地域は限定をしておりますが、その中で、全国展開に資するようなそういった特区のメニューにおいては、どんどん全国展開をして、日本全体をビジネスのしやすい環境にするんだというふうに私は理解をしておりました。

 私が一年生議員のときの法案でございましたので、ようやく五年たちまして、その検証をしたいと思っております。

 そこで、これまでこの特区のメニューの中で全国展開をされてきたものについてはどのようなものがございますか、長坂政務官にお答えいただきたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、全国措置の進んだ幾つかの代表的な事例を御紹介申し上げたいと思います。

 例えば、都市公園の中への保育所の設置を認めました都市公園法の特例につきましては、平成二十七年十一月に東京都で活用が始まり、その後、神奈川県、大阪府にも普及をいたしております。これまで全国で十八施設が認定をされまして、約千八百人の保育定員を確保し、都市部の待機児童問題の解決に貢献をいたしております。

 また、神奈川県等の五つの自治体に活用が広がりました地域限定保育士の特例につきましては、これまで四千人以上の保育士を輩出したほか、本試験の開始がきっかけとなりまして、年二回保育士試験を実施する自治体が急増をし、地域限定保育士試験の実施主体を多様化する特例措置も導入し活性化を図るなど、待機児童の解消に貢献をいたしております。

 このほかにも、新潟市で活用が始まり養父市や仙北市や愛知県にも活用が広がっております、先般正式に全国措置化がされました農業生産法人の設置要件緩和など八十九の改革事項のうち、特区をきっかけに全国化された特例措置は二十五事項に及んでおります。

 引き続き、その全国展開も目指しつつ、岩盤規制改革の実現にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 特に代表的な事例として、都市公園を使った保育所の設置、また地域限定保育士、これは四千人も誕生したということでございます。あとは、養父市等でございました農業生産法人の要件緩和、これは更に法案で緩和をされて全国適用されたというふうに聞いております。私の秘書も世田谷の芦花公園の近くに住んでいるそうですが、芦花公園にもこの保育所ができて、大変待機児童の解消に一役買っているというようなことも聞いております。

 先ほど農業生産法人の要件緩和というお話が出ましたので、私、特区で非常に成功している事例としては、私の印象では大きく二つの地域がございます。それは、やはり兵庫県の養父市の中山間農業改革特区でありますとか、また私の地元でございます福岡市の創業支援特区というのは、非常に効果を発揮しているのではないかなというふうに思っております。

 しかし、きょうはそのレビューをしたいと思っておりまして、ただ、聞くところによりますと、この養父市の取組、確かに農業生産法人はできましたが、法人自身の農地取得は四社にとどまるじゃないかというような、そういった報道もございます。ですので、なかなかこれは、実は農業生産法人が土地を取得することに対しては及び腰になっているのではないかというような報道もあるわけでございます。

 そこで、今、五年たちまして、さまざまな評価をされていると思いますが、この兵庫県養父市の中山間地農業改革拠点についての評価と、あと、率直にその課題についてどのようなものがあるとお考えか、御答弁をお願いしたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 養父市では、御紹介いただきましたとおり、ベンチャー企業はもとより、地元の製本事業者が事業の暇な期間を上手に利用してニンニクをつくる、農機具メーカー自身が水耕栽培に取り組んで先進的な生産、栽培技術を確立するといった、なかなかおもしろい取組も含めて、十八ヘクタールの耕作放棄地の再生ということで、着実に前に進んでございます。

 御言及のありました農業生産法人の設立も、養父市で十一の法人が設立され、要件緩和も追加され、全国展開ということについては先生御指摘いただいたとおりでございます。

 御指摘の農地取得の特例についてでございます。

 特に当初は、企業が農地を適切に扱えるのかといったような地元住民の不安でありますとか、結局は活用件数や面積がわずかなのではないか、これだけではしょせん大きな効果を生まないんじゃないかといったような批判も多数ございましたが、まずは、入られた、最初に取得した企業の皆さんが、地元住民と車座で対話を重ねていただいたり、営農に取り組むことのできる丁寧な検討といったようなことを積み上げてこられた結果、最初一、二年聞かれていたような不満も地元ではかなり影を潜めてございます。

 また、四社という話を頂戴いたしましたが、先般、三月九日の諮問会議におきまして五社目が確定をいたしまして、着々とふえてございます。

 ちょっとおもしろいなと思いましたのは、取得面積をあえて一割程度にとどめまして九割をリースにするという形で、逆に企業の農地取得を農地所有者に対する安心感の付与の材料として上手に組み合わせて、企業は確実に農地の面積を確保する、農地の所有者の皆さんはある意味不動産的な方からも農地の活用ができるといったウイン・ウインの関係が出てきているといったような側面もございます。

 その結果、市価の二倍近くで売れるミニトマトでございますとか、倉庫の中に時価一千万相当のニンニクの在庫が積み上がるといったようなことが中山間地域では生まれてきてございます。

 今、最大の課題は、こうやって御指摘をいただいています、こういう機会をいただきました成果をなかなか全国に知らせられていないというところがあろうかなと思ってございます。もちろん、直ちにこの措置だけで大きな経済的効果がすぐ数量的に出るわけではございませんが、これだけおもしろい取組が生まれるような措置なんだということにつきまして、更に普及、知らせて、更にこういった取組にチャレンジしたい方をふやしていく、そこが大きな課題ではないかというふうに承知をしてございます。

浜地委員 今御答弁いただきまして、前向きな取組の紹介でしたので、ぜひまたどんどん積極的に全国に紹介をしていただきたいなというふうに思っております。

 次に、これは私の地元ですので少し細かく聞きますけれども、福岡市は創業支援、雇用改革の拠点というふうに位置づけられました。これは第一次の指定を受けました。

 福岡は非常に若者が多い町です。福岡市は、政令指定都市の中では、若者と言われる大体三十代の方の占有率はナンバーワンです。私も町を歩いていて、非常に若い方が多いなというふうに思っています。

 あとは、東京から来た経営者が最近多いです。飲食店で食事をしていたら、博多という町は、どちらかというと、屋台とかで話しかけてすぐ友達になるんですね、どこから来たんですかと言うと、東京から来たということで、何でと言ったら、いや、福岡は住みやすくて、仕事がしやすくて、若い人が多くて、家賃も安いし、空港も近いということをおっしゃられて、結構そういう人に私、余り深い町には出ませんが、大体出ると大体一人に会うというぐらいの感じで、非常に若い創業者がふえているなと思っています。

 しかし、実際の福岡市の特区のメニューは、雇用相談センターをつくるというメニュー。それともう一つは、外国人の創業者で、例えば、これは二人以上雇用しなきゃいけないとか、資金をこれぐらい持っていなきゃいけない、持っていないと創業として入国をしたり在留資格がないんですが、それを半年以内に達成できる見込みのある人は入国していいですよ、在留していいですよというような、主に、雇用相談センターは多分全国どこでもあるような取組ですし、外国人の創業支援についても大体二、三例だというふうに聞いておりますので、私は、特区の事業によって、福岡が若い人が集まり、創業者が盛り上がっているんじゃないんじゃないかなと実は思っております。

 そこで、この福岡市、今開業率約一〇%と言われておりますが、特区事業がどういうふうに貢献をしているというふうにお考えか、内閣府の御答弁をお願いしたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、福岡市は、全国トップクラスの開業率ということで我々も承知しております。

 正直申し上げます。特区制度の活用も上手に含めということではございますが、特区制度の活用だけでこの高い数字が出ているわけではないというのは等身大の評価ではないかというふうに思います。

 雇用労働センターにつきましては、実態はかなり高く活用はされてございまして、やはり創業者は、特に三六でありますとか労働関係、どういうルールをつくればいいのか実際にはわからないという方が大変多うございまして、毎年毎年相談件数は増加の一途をたどっている、特に東京と福岡につきましては、その伸びが著しい状況でございます。

 外国人創業人材の在留資格の要件緩和、適用件数は先生御指摘のとおりではございますけれども、これは非常に評判のいい制度でございまして、実は現在、これを更に要件を緩くした形で全国措置化するという話の検討が経産省、法務省との間でも進んでございまして、いわばこの福岡の取組が踏み台となって、全国的にもやろうという話が広がっているところでございます。

 あと、まだ活用の事例は少のうございますが、ベンチャー企業と自治体の官民の垣根を越えた、これは公務員がベンチャーに行っている期間を退職金に通算するというものですが、起業家型公務員の育成なんというのもこの福岡のような取組の中から出てきたらすばらしいのではないかということに加えまして、問題意識を事前にいただいております所得税額控除につきましても、福岡が、エストニア人の、可視光通信といった非常に高い水準の技術を持っている企業で全国第一号が出たということで、この措置だけで量的な成果が出ているわけではございませんが、福岡市には、特に特区を上手に、いろいろなベンチャーの創業者のメッセージ、こんなことをやっているんだという意味では、大変、特区という言葉も含めてメッセージとしては伝えやすいので、そこを上手に使っていただいているというふうに理解をしてございます。

 なお、先生も御指摘いただいているような、量的な効果も含めて更に実質的な提案が出ないかということにつきましては、内閣府も福岡市とともに更に検討を重ねて、今後工夫を重ねてまいりたい、このように考えてございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 そうですね、結果的にやはり創業がふえればいいわけで、実際福岡は成功しているんだと思っておりますし、先ほど御答弁の中で、創業人材の外国人の活用という部分が、これが全国展開も目指すような話をされていましたので、私は質問の中でまだ二、三例しかないんじゃないですかというような話をしましたが、そうではなくて非常に進んでいるというふうに、私自身がかえって認識をすることができました。

 先ほど御答弁の中にありました、福岡市では、法人税の所得控除を、国家戦略特区として初めてこれを認められました。福岡市では、これに加えまして、市の独自の取組として、福岡市の法人市民税を創業五年間に限り免除をする制度がございます。

 しかし、これは余り免除、免除するとなると、なかなか財務当局の目も厳しいわけでございますが、この福岡市の法人税所得控除というのはどういった要件のもとに認められるのか、改めて御答弁をいただきたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 税制の適用要件といたしましては、医療、国際、農業、IoTの分野であること、それから、革新的な事業を行うものであって特区の規制改革が重要な役割を果たすもの、この企業を対象に課税所得の二〇%を控除するという特例措置が二十八年度に創設されております。二十九年度で、先ほど御紹介したITベンチャーの場合は、外国人創業者の特例を活用して経営者が入ってこられて、それが可視光通信で非常に高い技術を持っていたということで、全国初適用となったということでございます。

 こういった革新的なビジネスを支援できるよう、我々も制度の普及に努力してまいりたいと考えてございます。

浜地委員 そうです、いわゆるベンチャー企業だからといって税金をどんどんまけるというのは、やはり一国二制度的なことになろうかと思いますので、先ほどの御答弁の中では、特区のメニューをしっかり使っているところで、医療や国際、農業やIoTなど、その分野で創業するような場合ということでございますので、福岡市は外国人の創業特区のメニューを使って創設をしているので、この適用があるということでございます。

 そうはいっても、実際は今三〇%ぐらいの実効税率の中、創業、五年間は大体二二%ぐらいで創業できるということでございますので、要件をしっかり見ながらもぜひ活用していただきたいというふうに思っております。

 最後、長坂政務官にお聞きしますが、なかなか、さまざまな評価の中で、今は成功している事例を言いました、失敗しているのはどこですかなんということは私自身は言えないわけでございますけれども、やはりこの諮問会議の評価の中では厳しい評価が下った特区事業もございます。

 しかし、今回は国主導でこれを進めるんだというのが特区の特徴でございますので、やはり、国として、なかなかいい評価はまだ得られていない事業については今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、御答弁いただきたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 国家戦略特区制度は、地域からの提案に基づいてその実現を図る制度という点では、構造改革特区など、これまでの特区制度と同様でございますが、公募で選ばれました民間事業者と自治体と国の三者が一体となって区域計画を策定し、岩盤規制改革の実現を進めていくことを特徴としております。

 最近では、制度の活用が低調でありました沖縄地区について、国の沖縄振興関係部局が連携して連絡会議を設置いたしまして、沖縄県庁による新規の提案事項の掘り起こしを支援いたしました。その結果、沖縄県から幾つかの新規提案を特区ワーキンググループに御提案いただくこととなり、現在、民間議員の皆さんにも御審議をいただいているところでございます。

 このほかにも、東京都や養父市と設置をいたしました内閣府と特区自治体の共同事務局の活用、各自治体との定期的な情報交換の強化などを通じまして意思疎通の強化を図りまして、今後とも、それぞれの自治体のニーズに寄り添いながら、自治体による規制改革事項の新規提案や特区措置の活用が更に進むよう、内閣府といたしましてもしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

浜地委員 ありがとうございました。

 時間もありませんので、最後のテーマにしたいと思っています。障害者就労施設等からの物品の調達についてお聞きをしたいと思っています。

 第四次障害者基本計画におきまして、引き続き、第三次に続きまして、やはり役所の障害者就労施設からのさまざまな調達というものも明記をされたわけでございます。

 厚労省に本来はお聞きしたかったんですが、ちょっと飛ばさせていただきます。

 この障害者優先調達法の概要について本来お聞きしたかったわけでございますけれども、これは国や自治体に対しては義務規定ではなく努力規定ということでございますが、やはり積極的に、私も表を見せていただきましたが、さまざまな省庁、取組をされております。

 そこで、私、地元の福岡で、ある障害者施設の方からお話を聞きました。この方は、福岡県警という警察、ここでは障害者施設の皆様方が、いわゆる階級を示す袖章又は帽子が、階級が上がるごとに糸を縫い直すという作業がございますが、これについては、実は、福岡県警は、この袖章の巻きかえという作業を障害者施設に発注をしておるということです。私が今安全保障の担当を党でしていますという話をしましたら、ぜひ自衛隊の階級章の巻きかえについても障害者の方にやらせていただきたいという御要望がございました。

 日報問題は安保委員会で話し合いますが、やはり自衛隊の皆さんが、障害者の方が丹精込めて巻き直したこの階級章をつけて訓練や、またさまざまな活動を行われる、これは一つ、防衛省が国民の理解を得るためにも私は大事なことだろうと思っています。

 全てとなりますと、やはり時間的な問題、納期の問題とかございますけれども、ぜひ、警察のように、防衛省も、この障害者優先調達法の趣旨にのっとって、海上自衛隊の階級章の巻きかえの作業、障害者の方に優先的に調達をお願いしたいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましても、障害者就労施設等からの物品や役務の調達につきましては、毎年度、法律に基づき推進方針を定め、例えば食料品、事務用品等の物品やクリーニング、印刷等の役務の分野で、受注機会を確保する取組を進めております。

 この結果、障害者就労施設等からの調達実績は、法律施行後の平成二十五年には二百十七件、約三千五百万円でしたが、平成二十八年度には三百九十七件、約六千八百万円まで増加しております。

 委員御指摘の、海上自衛官の制服の袖の階級章の巻きかえ作業でございますけれども、縫製されている階級章を外した上で、次の階級章を縫製し直す作業でございます。この作業は、いささか難易度が高く、あと、自衛官の昇任決定から二週間程度の短期に作業が集中することもございますので、現時点では発注実績はございません。

 いずれにいたしましても、防衛省としましても、障害者就労施設等からの物品・役務調達の推進の重要性を踏まえまして、引き続き、しっかりとその実施に努めてまいりたいと考えております。

浜地委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

山際委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五分開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、加計学園のいわゆる首相案件問題について質問をいたします。

 加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画をめぐって、二〇一五年四月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官と藤原豊地方創生推進室次長らと面会した際の記録文書があると報道されました。中村時広愛媛県知事は、文書は会議に出席した県の職員が報告するため備忘録として書いたものと判明したと、県の職員が作成した文書であることを認めました。この文書は、国家戦略特区の説明資料として愛媛県が内閣府や文科省、農水省に配ったということを中村知事も認めているところです。

 官房長官にお尋ねいたします。政府として、この文書の存在を把握しておられますか。

菅国務大臣 政府としては、そのような文書は承知をしておりません。

 報道を受けて、加計学園の獣医学部新設をめぐる愛媛県と関係府省庁、そのやりとりに関する文書については、昨日、事務の副長官から、報道のありました内閣府、文科省、農水省、厚労省の事務次官に対して、確認するよう指示をいたしました。現在、関係府省において速やかに確認を進めているところだというふうに考えています。

塩川委員 中村知事は、文書は会議に出席した県の職員が報告するための備忘録として書いたものと判明したと述べたわけですけれども。

 愛媛県の方は、もうこの文書の内容を真正のものと認めているわけなんですよ。それについて、当然、一方の当事者である政府の方は、この文書の内容を認めるのか否定をするのか、その点、いかがですか。

菅国務大臣 この点については、柳瀬元総理秘書官がコメントを出しているんじゃないでしょうか。そして、政府としては、現在、関係府省庁に速やかに確認を進めているところであります。

塩川委員 柳瀬氏のコメントもそうですけれども、柳瀬氏の国会答弁が虚偽なんじゃないのかということが極めて問われているわけであります。

 文書では、柳瀬首相秘書官が本件は首相案件と述べたといいます。また、藤原氏が要請の内容は総理官邸から聞いていると述べたということです。これらの文書の文言は、文科省内で発見された文書において藤原氏が総理の御意向とか官邸の最高レベルが言っていることと発言していたということと、非常に符合しているわけであります。

 安倍総理が関与しているということを否定できるんでしょうか。

菅国務大臣 総理が国会で答弁してきているとおりだと思っています。

塩川委員 文書では、柳瀬首相秘書官が本件を首相案件と述べているわけです。

 国家戦略特区の仕組みですけれども、その基本方針では、直接の利害関係を有する議員については審議及び議決への不参加が規定をされています。加計学園の獣医学部新設の特区というのは、安倍首相の腹心の友の案件であります。このような首相案件の審議に安倍総理自身が議長として諮問会議に出席するということは、そもそもこの基本方針で規定をしていることに反することになるんじゃありませんか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 安倍総理が本件に関しまして利害関係人に相当するかどうかという点につきましては、単なる友人関係につきましては、これは該当しないというふうに整理をしてございます。

 いずれにしましても、それぞれのプロセスにおいて、適切に法にのっとり判断をして、合意を得てきたものというふうに理解してございます。

塩川委員 この腹心の友との関係について、きょう予算委員会でも、川内議員、少しやりとりがありましたけれども、やはり非常に親しい関係の中でこの問題が出てきているということについて、この愛媛県が作成をした文書においても、その事実関係についても書かれているところであります。極めて重大な問題であります。

 そこで、さらに、官房長官にお尋ねしますけれども、二〇一五年四月時点で加計学園の獣医学部新設が首相案件という話であれば、昨年七月の衆議院予算委員会で、加計学園の獣医学部新設という意向を知ったのは加計が事業者に決まった昨年一月二十日だったという安倍総理の答弁もうそになるわけですけれども、こういったことについては官房長官はどのように考えておられますか。

菅国務大臣 既に国会で総理が答弁したとおりであります。

塩川委員 このことも含めて、予算の集中審議の中で明らかにされなければならない。総理の答弁として、この点はやはりしっかりただす必要があります。

 あわせて、柳瀬氏は国会答弁で、私の記憶をたどる限り今治市の方とお会いしたことはないと述べております。これ自身も、この文書との関係でいえば虚偽答弁となるのではないのか。また、国家戦略特区の主担当である藤原豊地方創生推進室次長は、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいと提案をしたということです。これは、藤原氏の、今治市に構造改革特区ではなく国家戦略特区で提案するよう示唆したということはないという過去の答弁がうそということになります。

 こういう点でも、虚偽答弁が問われるようなこの二人について、内閣官房、内閣府を所掌する官房長官として、柳瀬氏、藤原氏に事実関係をしっかりとただす、こういうことを行うべきではありませんか。

菅国務大臣 所管は私ではありません。

 ただ、いずれにしろ、政府としてあのような文書の存在というのは承知をしていないということです。

塩川委員 もともと二〇一五年の四月の時点であれば、首相秘書官であり、また内閣府における地方創生推進室の次長という立場ですから、内閣官房、内閣府のもとに置かれている、そういう担当者のかかわる問題ですから、それはやはり官房長官として、当時も菅官房長官であったわけですし、しっかりとただすということが必要じゃないでしょうか。改めて、いかがですか。

菅国務大臣 いずれにしろ、政府としては、そうした文書は承知をしていないわけでありますし、愛媛県のことであります。そしてまた、柳瀬元総理秘書官も、きのうしっかりとみずからの考え方を、コメントを発表していることじゃないでしょうか。

塩川委員 承知していないといっても、確認中だということも言っているわけですし、一方の当事者の愛媛県の方は、これはその内容を含めて県の職員がつくったものと認めているわけですから、これが事実でないんだということであれば、これは政府、国の方がしっかりと言うべき話なんですよ。そのことについてきちっと明らかにしないので、これでわかってくれという話にならないということを言わざるを得ません。

 首相秘書官として国家戦略特区を担当していた柳瀬氏は、現在国家戦略特区の方が勢いがあると述べたということですし、また、国家戦略特区の主担当である藤原豊地方創生推進室次長は、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいと提案をした。このように、国家戦略特区を強調するというのは、安倍総理御自身が国家戦略特区に入れ込んでいるからであります。

 安倍総理は、私が提案する国家戦略特区は規制改革の切り込み隊長である構造改革特区の考え方を更に面的なものへと進化させていく、このようなことを述べ、また、規制改革のショーケースとなる特区も総理大臣である私自身が進みぐあいを監督する国家戦略特区として強い政治力を用いて進めますと述べています。

 そういうことは、加計学園の獣医学部の建設というのは、総理自身が進みぐあいを監督するために、構造改革特区ではなく国家戦略特区に切りかえたというのが真相ということになるんじゃありませんか。官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 ただ、この問題は、もう何時間、何十時間か国会で答弁をしたことじゃなかったでしょうか。まさに、この改革を進めるために必要なことであったということは事実じゃないでしょうか。

塩川委員 去年された議論がことしも行われている、防衛省の日報の問題もそうですし、森友学園の問題も同様なんですよ。一貫して疑惑が解明されていない、いや、逆に深まっているからこそ、こういう議論が積み重ねられているわけです。そういう事態を招いている大もとにあるのが安倍総理御本人なんじゃないでしょうか。そのことこそを今問われているわけで、安倍総理の国政の私物化だ、安倍総理の進退が問われる大問題だと言わざるを得ません。

 藤原氏や柳瀬氏、加計孝太郎氏の証人喚問をぜひとも求めていくことが必要ですし、こういった事態を招く、その根っこにある安倍総理におやめいただくということが今求められているということを述べて、委員長、ぜひ証人喚問について求めたいと思います。

山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

塩川委員 それでは、次のテーマへ入りますので、官房長官や関係の部署の方は御退席いただいて結構です。

 次にお尋ねするのが火山災害対策、特に大規模降灰対策についてお尋ねをいたします。

 死傷者が出ました草津白根山の水蒸気噴火ですとか新燃岳の大きな噴火など、火山災害対策に国民的な関心が高まっております。二〇一三年に、内閣府防災のもと、広域的な火山防災対策に係る検討会が行われ、大規模火山災害対策への提言がまとめられました。

 提言では、環太平洋造山帯に位置し百十もの活火山を有する我が国では、古来幾度となく大規模な火山災害に見舞われており、その歴史を振り返ればいつの日か再び大規模な火山災害が発生することは避けられないであろう、特に東北地方太平洋沖地震発生後の日本列島は、同じく三陸沖で大きな地震が発生し火山活動が著しく活発であった九世紀の状況に似ているとの指摘もあり、今世紀中に大規模噴火など大規模な火山災害が発生してもおかしくないと述べております。

 そこで、お配りしました資料の一枚目をごらんいただきたいんですが、気象庁がつくりました降灰の影響と降灰量の関係という図であります。

 一番下の欄が、〇・一ミリから一ミリという降灰量の厚さにありますように、要するに、一ミリという降灰であっても、例えば、道路で白線が見えなくなる、あるいはJRの運休や滑走路が使えなくなる、こういう事態が生まれますし、稲作では一年間収穫が不可になるとか、家畜の中毒の可能性とか、ぜんそく患者の方の症状が悪化をする。一ミリから一センチであれば、「健康」のところに書かれていますように、喉や鼻への異常の訴え、慢性疾患者の健康問題が増加をするということで、わずか一ミリといっても大変大きな影響を与えるというのがこの大規模降灰の問題であります。

 健康、公共交通機関、農作物などに甚大な被害が及ぶこのような降灰ですけれども、内閣府にお尋ねをいたします。提言においてもこの大規模な降灰の影響について指摘をしておりますが、該当部分を紹介してもらえますか。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 大規模火山対策への提言におきましては、大規模な降灰に備えて取り組むべき事項について、噴火口からの距離に応じまして、山麓から近郊地域、遠隔地域、そして地域共通の三つに分けて記載されているところでございます。

 具体的な内容といたしましては、主に、山麓から近郊地域につきましては、降灰を対象とした噴火警報の運用手法の設定、遠隔地域につきましては、降灰下で住民がとるべき対応に関する指針の作成や、除灰作業に関しまして関係機関と調整する仕組みの構築につきまして、そして、地域共通につきましては、降灰による産業構造や社会システムへの影響に関する調査研究の推進などが記載されております。

塩川委員 質問に答えていないんですけれども。

 大規模な降灰の影響をどのように提言では指摘をしているのかということです。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 大規模な降灰の発生につきましては、山麓におきまして数十センチ以上、都市部など遠隔地域でも数センチ以上の火山灰が堆積する可能性があるということでございまして、山麓では、降灰によりまして避難を強いられる、さらに、除灰作業が完了するまで避難が継続することで地域全体が機能不全に陥るおそれがある、道路につきましては、火山灰が〇・五ミリメートル程度堆積すれば一般車両での移動に影響が生じ、湿潤時には数ミリメートル、乾燥時には一から二センチメートル程度堆積すれば一般車両での避難が困難となる、そのため大規模降灰時には住民の避難などの移動手段が大幅に限定される、このような内容が記載されております。

塩川委員 小此木大臣にお尋ねいたします。

 今、紹介もし、答弁にもありましたように、この大規模な噴火に伴う降灰というのが、健康や公共交通機関、また農作物などに大きな被害をもたらすということであります。

 ぜひ、大規模噴火による降灰の社会的な影響について大臣が率直に感じておられること、所感をお聞かせいただけないでしょうか。

小此木国務大臣 塩川委員には、予算委員会におきましても火山について御質問をいただきました。

 本白根山、あるいは、昨年、ちょうど秋口ですけれども、霧島・新燃岳の噴火もございまして、いまだにまだレベルが低くない状況にあるところでありますので、おっしゃった観点から、国民の生活に与える影響は多々と思いますし、不安も残っているところだと思います。

 今、政府として一生懸命それに当たっているところであると思いますけれども、警察において、例えば降灰によって、住民の移動手段、こういったものは限定されるなどの影響があることも念頭に置きつつ、迅速的確な災害救助活動や交通対策が行われるよう降灰時の対応力の向上等を図っていくことが今私として重要なことであるというふうに思っております。

 今後とも、噴火に伴う各種警察活動が迅速的確に行えるように指導してまいりたいと思います。

塩川委員 大臣からも、降灰の社会的な影響について、そういう中での移動手段が限定される、こういったことについての対策の必要性のお話がございました。

 内閣府防災にお尋ねしますが、では、この提言を具体的にどのように措置してきたのかということであります。特に大規模な降灰対策についてです。山麓のことはもちろん別途あるんですけれども、遠隔地域の対策として、提言では「国は、降灰下で住民が取るべき対応について指針を作成すべきである。」としておりますが、指針はつくりましたか。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 遠隔地域において住民がとるべき対応に関する指針も含めました降灰対策の推進に向けましては、これまで、降灰が及ぼす影響や被害の想定手法等の調査検討を行ってきたところでございます。

 広域的な降灰への対策は重要な課題と認識しておりまして、今後は、これらの調査検討の成果を踏まえて、具体的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。

塩川委員 いや、五年前の提言で、指針をつくると言っていたんですよ。書いてあるでしょう。五年前の提言で言っていた指針をつくったのかと聞いているんです。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 これまで取り組んでおりましたのが、その指針の具体的検討作業の、いわば準備段階に相当するものでございますので、本年度におきまして、これまでの調査検討の成果を踏まえまして、都市機能が集積している地域を含めた大規模な降灰時の影響や対応策について検討することとしております。

塩川委員 いや、ことしとか去年の話じゃないんですよ、提言が出ているのは。五年前なんだよ。五年前なのに、五年間も指針をつくらずに来たと。何でそんなことができるんだと。何でそんなことになっているのか。おかしいじゃないですか。その点を答えてください。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、提言なされた時期につきましてはおっしゃるとおりでございます。

 火山対策全般につきましては、御嶽山の噴火などへの対応ということで、活動火山対策特別措置法の改正、そして、それに伴います火山防災協議会あるいは避難計画策定、義務づけ、こういったことの取組も並行して行ってきていたところでございます。そのような時間経過の中で今に至っているというのが実情でございます。

塩川委員 御嶽山の水蒸気噴火は、多くの方々が犠牲になられた。これを踏まえた対処措置としての火山対策特措法の改正というのは重要だと思います。そういう対策はしっかりやると言うんですけれども、並行してと言うけれども、並行していないじゃないですか。この五年間、具体的に指針をつくると決めていたのに、決めていたにもかかわらず五年間つくらないで来たということについての、私、やはり内閣府防災の責任が問われると思いますよ。こういったことについて曖昧にするということは許されないということを申し上げておくものです。

 今年度の予算事業として、広域噴火災害対策の検討が入っております。広域噴火災害時に国の各機関が行う具体的な防災対策の検討をモデル火山地域を設定して実施するとしておりますが、この広域噴火災害対策の検討というのはどういうものか、ここで挙げられているモデル火山地域というのはどこになるのか、このことについて説明してください。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 具体的な検討内容というお尋ねでございましたけれども、先ほど答弁でも触れさせていただきましたが、都市機能が集積している地域も含めまして、大規模降灰時の影響、それからそれへの対応策、こういったことを具体的に検討していくこととしております。

 この検討に当たりましては、首都圏に大量の降灰をもたらした実績がございまして、その状況について多数の研究実績がございます富士山をモデルケースにして取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 大規模降灰時の影響を踏まえて、富士山を念頭に、予算措置、防災対策の検討を行うということです。

 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、これは、国も関与してつくりました、富士山ハザードマップ検討委員会の報告書です。これは二〇〇四年の六月ですけれども、そこに掲載してあります降灰可能性マップであります。降灰が、東京都心、二センチというところが入っておりますけれども、広範囲に降灰の被害が及ぶということがよくわかります。

 富士山などをモデル火山地域に設定して、広域噴火災害時に国の機関が行う具体的な防災対策の検討を行うというのが今回の予算措置ということであります。

 そこでお尋ねしますけれども、首都圏に大きな影響を及ぼすということでは、浅間山などもあるんですよね。偏西風の影響を大きく受けるという点では、西側の方の山ですから、富士山はもちろんのことですけれども、浅間山というのも、当然、首都圏、都心に大きな影響を及ぼすわけです。

 この浅間山の広域噴火災害対策というのはどうなっているのか。つまり、都心に影響を及ぼすような、そういった噴火、降灰を念頭に置いた、そういった調査、検討などが行われているんでしょうか。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 浅間山に関しましては、現地の火山防災協議会を中心に検討が進められておりますけれども、現状におきましては、住宅が倒壊する危険が生じる一つの目安である降灰量、これが二十センチメートルということでございますが、これまでを念頭に置いてハザードマップを作成し、それをもとに防災対策をまず考えておる状況という状況でございます。

塩川委員 今お答えいただいたのが資料の三枚目ですけれども、浅間山火山防災協議会が作成をしました大規模噴火のハザードマップということで、浅間山火山防災協議会は、大規模噴火を想定した火山ハザードマップの新規を作成した。これがこの図になるわけです。

 これを見ていただくと、青い円がありますけれども、内側から、五十センチ以上積もるおそれ、三十センチ以上積もるおそれ、二十センチ以上積もるおそれというのが範囲として示されているわけですけれども、何で二十センチなのか。先ほど見てもらった富士山のハザードマップは十センチ、二センチと入っているじゃないですか。ですから、当然、都心まで及ぶような降灰のハザードマップになっているんですよ。何で、浅間山の場合については二十センチのところで終わっているんですか。十センチとか二センチ、まさに一ミリでも影響を受けるわけですから。

 こういったことについて、何で浅間山のハザードマップには入っていないのか。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 こうした火山ハザードマップに表示する、いわゆる降灰量についてでございますが、内閣府及び関係省庁では、念頭に置く被害や影響の程度を勘案して、各地の火山防災協議会において決めるということを指針の一つとして掲げて取り組んできております。

 浅間山の場合につきましては、先ほどの答弁でも触れさせていただきましたが、住宅が倒壊する危険が生じる一つの目安ということで、降灰量二十センチということを取り上げて整理をされているというふうに認識しております。

塩川委員 それはおかしいじゃないですか。気象庁も言っているし、内閣府防災も、一ミリでも大きな影響を受けますよと言っているわけですから、当然、それを念頭に、このことしのいろいろな調査の予算もとっているし、指針ももちろんそういう趣旨でつくるべき話なんですよ。

 それなのに、何で、家屋が倒壊する、家屋が倒壊すること自身は極めて重大ですけれども、それにとどまるのか。農作物への影響だとか健康への影響とか、十センチ、二センチ、一センチ、入れればいいじゃないですか。そういうアドバイスをしなかったんですか。

伊丹政府参考人 浅間山の火山ハザードマップにつきましては、まず、どういったことを念頭に置いて、あるいは影響を勘案して取り組むかということが、やはり地元の協議会での議論がベースになるところでございます。まず人命の尊重、確保ということで、避難、これに伴うところにまず取り組まれているというのが状況でございます。

塩川委員 いや、それはわかるんですよ。それはわかるんです。だけれども、大規模噴火のハザードマップなんでしょう。大規模噴火については、降灰の被害は甚大に及ぶということは政府も言っているわけですから、何で、そういった十センチとか二センチというところまで入れないのか。

 結局、何でこうなっているかというと、この浅間山のハザードマップをつくっている協議会の自治体の範囲にハザードマップをとどめようという話があるわけですよ。いわばこのマップだけじゃなくて対策も必要ですから、そういう対策の部分で、いや、お隣の埼玉県とか栃木県とかいうところと調整がしていないものだから、結局は、群馬県、長野県を中心とした範囲のものにとどまっている。

 もちろん、群馬や長野の皆さんにとって必要なハザードマップなんです。しかし、大規模噴火のマップをつくるのであれば、首都圏に及ぶような、都心に影響が及ぶようなものをつくるべきなんですよ。そういうものをつくらないのは、結局、自治体任せに国がしているからじゃないですか。

 富士山の場合には、国が関与してつくっているんですよ。だったら浅間山だって、国がしっかりかかわって、人も出すし金も出して、首都圏に降灰被害が及ぶようなハザードマップをつくればいいじゃないですか。何でそんなことをやらないんですか。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 広域的な降灰が及ぼす影響や対策、これについては深めた検討が必要だと認識しておりまして、先ほどの答弁でも触れましたけれども、今年度、富士山をまずモデルケースとして検討をして、具体的な内容を深めたい、このようなことでございます。

 浅間山につきましては、浅間山も含めた他の火山ということになろうかと思いますが、どのような取組を進めるかということに関しましては、関係機関とともに、こういった富士山をモデルケースにした検討結果も踏まえて、検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 自治体など関係機関のこういう努力を本当に生かしていくためにも、国は積極的に役割を果たす必要があるんですよ。大規模噴火の降灰対策について、国がしっかりとかかわったハザードマップをつくるし対策もつくる。五年間も指針を放置しているようなこと自身が重大問題だと、直ちに対策をとることを強く求めて、質問を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうは、内閣の重要政策に関する件の中で、公文書管理について、十五分という時間ですが、質疑をさせていただきたいと思います。

 昨日、質問のレクを受けました際に、内閣府大臣官房公文書管理課から、公文書管理に関する制度の体系と、そして公文書管理制度の全体像というポンチ絵を頂戴いたしました。

 行政文書の作成、保存は、後に同様の案件があった際にその参考にするもの、それから、国民から行政文書の公開が求められたときには、積極的にその情報を、国民のものであるという認識のもとで開示をする、そういうことであろうというふうに私は思料いたします。

 内閣府においては、公文書管理法を制定し、そして、公文書管理法施行令を政令で決め、総理大臣の決定によって、行政文書の管理に関するガイドライン、各行政機関の行政文書管理規則の規定例を示し実務上の留意点等を解説したガイドラインを置いております。

 そして、各行政機関では、文書管理規制を適正な文書管理のためのルールのもとで行います。さらには、個々の行政文書の作成、整理、保存等についても、それぞれの、個々の文書の行政文書該当性の一義的な判断も含めて責任を有するというふうになっております。そして、情報公開法によって、行政文書を国民に開示あるいは不開示を決定するという流れになっております。

 今般、非常に国会で問題になっているのは、森友学園の問題では財務省が文書を改ざんしたという疑惑があり、さらには厚生労働省の働き方改革におけるデータの不適切な使用、さらには、自衛隊におけるイラクあるいは南スーダンの日報等の隠蔽ともとれる、あるいは積極的に開示しないというその体質ともとれる問題が、今、国会に渦巻いております。

 ですから、この公文書の管理、情報の公開、これは二つを一つにして、しっかりと国民のために、内閣府のみならず全省庁、国会が三権分立のもとでその責任を負うという点においては、立法府にも、追及する責任と、そしてそれを誠実に履行を求めるという姿勢もまた欠かせないものであるというふうに思います。

 そこで、きょうは、この公文書の管理等についての質問を幾つかさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、公文書管理の目的と管理等について幾つかお尋ねいたします。

 行政文書の管理に関するガイドラインには、法の趣旨として、国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであり、公文書の管理を適切に行うことにより、行政が適正かつ効率的に運営されるとともに、国の有する諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることと、明確に目的を規定しています。

 大臣に二点お伺いをしたいと思います。

 まず、ここで言う健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源とは、どのようなことをあらわしておりますでしょうか。

梶山国務大臣 民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスをし、それに基づいて判断を行い主権を行使することにあると考えておりまして、まさにその意味において、公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える基本インフラであるとともに、国民共有の知的資源であります。

 こうした趣旨を踏まえて、公文書管理法第一条において、主権者たる国民の立場に立って、公文書等が国民共有の知的資源であり国民が主体的に利用し得るものと位置づけることにより、公文書管理に携わる行政の立場のみならず、公文書等を利用する国民の立場についても、公文書管理法上、明文化しているものと承知をしているところであります。

玉城委員 すなわち、公文書とは、国民の知的資源、共有の財産であるということがここでしっかりと書かれているわけですね。ですから、文書を保管する年限はそれぞれ決められておりますけれども、やはり国民の求めに応じて、明確に国あるいは行政機関がその職責を果たしているということの足跡として記すべきものでもあります。

 では、現在及び将来の国民に説明する責務の全うとはどのようなことを指していらっしゃいますか。

梶山国務大臣 公文書は、過去の歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な知的資源であるという観点から、行政機関は、現在のみならず、将来の国民に対する説明責任を負うものであります。

 このため、各行政機関においては、具体的に、各行政機関における経緯も含めた意思決定過程等を合理的に跡づけ、検証することができるよう、文書を作成をする、そして、行政文書ファイル等について、業務に必要な保存期間を設定し、その満了までの間、適切に保存をする、歴史資料として重要な行政文書ファイル等については、保存期間終了後、国立公文書館への移管の措置をとるといった適切な文書管理が求められるところであります。

玉城委員 例えば、森友学園における公有地の売却等の公文書は保存期間三十年です。ですから、三十年先にわたって、国民にちゃんといつでも説明ができるように残しておかなければならない非常に重要な資料なんですね。

 では、次にお伺いいたしますが、法の目的を踏まえ、規定に基づく行政文書の管理に関する規則が設けられる必要があると記されているガイドラインでは、各行政機関の業務内容や取り扱う文書の性格は多岐にわたっており、当該行政機関における文書管理の実効性を確保するため、各行政機関それぞれの業務内容や取り扱う文書の性格、組織体制等を考慮する必要があること、そして、職員一人一人が内容をよく理解して、その趣旨を踏まえた適切な運用が図られるよう、おのおのの組織体制、オフィスのファイリング用具、事務机、ファイリングキャビネット、書棚、書庫の状況などを踏まえ創意工夫することなど、非常にきめ細かく指示されています。それがガイドラインの性格をなすものだというふうに思いますが。

 では、参考人にお伺いいたします。

 行政事務を執行する上では、こういうふうに細かく規定することは極めて常識的と思います。では、極めて常識的と思える記述をする理由とは何でしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 各行政機関の業務内容や取り扱う文書の性格は多岐にわたっていることから、各行政機関の業務プロセス等を最もよく理解する当該行政機関において、行政文書管理規則を定め、行政文書の管理を行うこととしているところでございます。

 他方、適正な文書管理のためには政府全体の統一性の確保が必要であることから、行政文書管理規則の制定、改正に当たっては、内閣総理大臣が定める行政文書の管理に関するガイドラインに沿ったものとすることとなってございます。

 このため、ガイドラインにおいては、作成、保存という文書管理の各場面における共通のルールや実際の運用に当たっての留意事項を示し、全行政機関における統一的な考え方のもとでの運用の確保を図っているところでございます。

玉城委員 そうですね。それぞれの省庁でばらばらで管理の運用に当たっていたのでは、そこでは統制がとれない、つまり、きちんとした正規な、適正な文書の管理ができないということで、行政文書の管理に関するガイドラインも、平成二十三年四月一日内閣総理大臣決定の後、最新は昨平成二十九年十二月二十六日の一部改正まで、計六回改正されています。つまり、その都度、ガイドラインの重要性、必要性が見直されながらブラッシュアップされてきているということなんですね。

 では、職員が法の趣旨にのっとって行政文書を適正に管理するための、この管理の体制として、それぞれ総括文書管理者、副総括文書管理者、文書管理者、文書管理担当者、監査責任者などを置くことの理由は何でしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の総括文書管理者等の体制につきましては、行政文書の管理は、各行政機関がみずから定める行政文書管理規則に基づいて行われるところでございます。規則に基づくおのおのの事務に係る管理体制を明確にすることにより、適正な文書管理を確保することとしているものでございます。

 具体的には、行政機関全体を総括する立場で文書管理に当たる総括文書管理者や、業務単位の文書管理の実施責任者である文書管理者等を置くことにより、文書管理に係る責任体制を明確にするとともに、監査を行う監査責任者も置き、文書管理に関するコンプライアンスの確保を図っているところでございます。

玉城委員 では、それぞれの管理者及び責任者は、その職責としておのおのどのような確認の手続をとるものでしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 昨年末に改正した行政文書の管理に関するガイドラインにおきましては、課長級の文書管理者による確認手続を導入したところでございます。これは、各府省が統一的な考え方のもとで、文書の正確性の確保を図るとともに、文書管理に関する責任体制を明確化するためのものであり、この改正は、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の目的に、より一層かなうものと考えているところでございます。

 お尋ねの文書管理者による具体的な確認方法については、各行政機関において、当該業務の性質、内容等に応じて適切に判断する必要があると考えているところでございますが、例えば、改正ガイドラインにおきましては、新たに設置を義務づけた、文書管理者を補佐するものである文書管理担当者を活用して確認を行う等の方法が考えられるところでございます。

玉城委員 その一つ一つの手続がやはり着実に、丁寧になされてこそ、文書管理の全体的な体制をなすものであるというふうに思います。

 手続にのっとって管理に付された公文書は、どのように保存されますでしょうか。

田中(愛)政府参考人 公文書の保存につきましては、公文書管理法第六条において、「当該行政文書ファイル等の保存期間の満了する日までの間、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。」と規定されているところでございます。

 また、昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインにおいても、紙文書、電子文書の別を問わず、課長級による文書管理者の確認の上で、共用の書棚や共有フォルダといった共用の保存場所に保存することを義務づけたところでございます。

玉城委員 今の田中審議官の答弁の内容ですと、つまり、文書を調査する、あるいはフォルダを調査するということも、恐らくは統一的なルールにのっとって行われることになると思います。ですから、調査に時間がかかる、あるいは見つからなかったということは、その調査が十分ではないということを示唆するようなことになるのではないかと思うんですね。

 では、保存に付せられることになった公文書が、万が一、何らかの手により書き加え、あるいは書き直し、もしくはページ等の切取りや遺棄等が行われた場合、どのような罰則を受けるものと理解できますでしょうか。

田中(愛)政府参考人 現行の公文書管理法やガイドラインにおいては罰則が規定されていないところでございますが、公文書に関しましては、刑法において、公用文書等毀棄罪、虚偽公文書作成罪が既に規定されているところでございます。

 また、不適切な公文書管理を行った職員については、国家公務員法に基づき、事案によって懲戒処分が行われることもあるということでございます。

玉城委員 このように、公文書の管理に関しては非常に厳重に厳格に行うということが、今の重い刑事罰を受けるということに照らしてもはっきりするわけでございます。

 さて、梶山大臣、申しわけありません。文書主義の原則等については、後刻の委員会でまた質問をさせていただきたいと思いますので、時間ですので質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

山際委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 希望の党の森田俊和でございます。

 質問の時間、三十五分頂戴いたしております。ありがとうございます。

 早速でございますけれども、私は、少子化の問題についてお伺いをさせていただきたいなと思っております。

 先日の月曜日、地元の小中学校の入学式に参加をしてまいりました。午前中小学校、午後中学校ということでございましたけれども、私も、娘がちょうど、上が高校への入学、三番目が中学校への入学ということで、たまたま二人午後に入学式が重なってしまったものですから、妻に高校の入学式に出てもらって、私は今、ちょうど総会まで、PTA会長も中学校の方でやらせていただいているものですから、中学校の方に出てまいりました。

 そこの入学生の数が、三クラスで百三十五名という人数でございました。この中学校は、私は埼玉の熊谷なんですけれども、熊谷の玉井中学校という学校なんですが、私自身も卒業生なんですけれども、私のとき、今私は四十三ですけれども、第二次のベビーブームの世代でございまして、一番子供が多いときでございました。当時、私のときが六クラスの二百七十六名という卒業生でございましたので、本当にちょうど半分の新入生ということでございました。

 いろいろな人口の推計が出ておりますけれども、五十年後にはおよそ四千万の人口が減ってくるというような数も出てきておりまして、こういう子供の数の様子なんかを見ると、なるほど、そうだなということで、かなり深刻な思いを感じてまいりました。

 少子化というのはとても大きな問題でございますので、何かこれをやったからすぐ子供がふえるということはないというふうに思っておりますけれども、私も、自分自身で仮説を持ちながら、正面からこの問題に取り組んでまいりたいなというふうに思っておるところでございます。

 そこで、まず議論の前提として、松山大臣にお伺いさせていただきたいと思いますが、この少子化の原因、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

松山国務大臣 お答えいたします。

 森田委員に御指摘いただいたように、昨年末公表されました平成二十九年の人口動態統計の年間推計ですけれども、これにおきましても、平成二十九年の出生数は九十四万一千人と過去最少となっておりまして、出生数から死亡数を引いた自然増減数もマイナス四十万三千人と、過去最大というふうになっております。また、婚姻件数におきましても、戦後最少の六十万件という状況になっておるところでございます。

 少子化の問題は、若者の、一つは経済的な不安定さというもの、また長時間労働、あるいは仕事と子育ての両立の難しさ、また子育て中の孤立感あるいは負担感、そして教育費の負担の重さ、あるいは身体的な理由や年齢的な理由、これら、結婚、出産、そして子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が絡み合っているものというふうに認識をしているところでございます。

森田委員 どうもありがとうございます。

 子供が少ないという問題でございますけれども、更にもう一歩踏み込んで考えてみますと、先ほど御答弁の中にもちらっとお話が出てまいりましたけれども、子供が少ないという前に、まず、結婚をされないという方がふえておられます。この未婚率の増加ということについても、あわせて大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 未婚率ですけれども、我が国では五十歳時点での未婚者の割合が、平成二年の段階で、男性で五・六%、女性で四・三%でございました。二十五年後の平成二十七年のデータを見ますと、男性で二三・四%、約四倍になっております。女性で一四・一%に上昇しているところでございます。

 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、若い世代では、男女ともに、いずれ結婚するつもりと答える人たちは約九割いらっしゃるんですけれども、その一方で、結婚の意思のある未婚者が独身にとどまっている理由ということでお聞きすると、適当な相手にめぐり会わない、あるいは結婚資金が足りない、また、まだ必要性を感じない、自由さや気楽さというものを失いたくないというものが挙げられておりまして、特に、結婚資金が足りないという項目と仕事に打ち込みたいとする理由は上昇傾向にございます。

 こういう状況でございます。

森田委員 どうもありがとうございました。

 このあたりのことが、恐らく、いろいろな議論の出発点になってくるんだろうなというふうに思っております。

 御答弁の中にもございましたけれども、お金の問題もあると思います。自分が食べていくのに精いっぱいだということでは、とても、結婚しよう、子供を持とうという気にはなりません。これもわかります。また、労働時間が長いと、自分の時間が持てないということもあろうかなと思います。家族や友人と過ごす時間、あるいは、趣味やスポーツに使える時間、地域のことに使える時間。残業だったり休日出勤であったり、こういうことで自分で使える時間が少ないと、とても家族を持とうという気になれないというのは、確かにそのとおりだなというふうに思っております。

 確かにそういった原因もあるかなとは思っておるんですけれども、これは私は今の日本の根本的な問題だなというふうに思っているんですが、私たちは一体何のために生きるのかということが、ちょっと違う方向に行ってしまっているのかなという私は危惧を抱いております。

 例えば、よい給料をもらうだとか、あるいは出世をするだとか、確かにそういう成功といったようなものも大事かもしれませんけれども、そのために生きているのではないというふうに思います。例えば、よい学校に入って、よいお給料をもらって、出世して、それでどうなのかということが大切になってくるのではないかなというふうに思っております。

 これは国に当てはめてみましても同じことが言えるんじゃないかなと思っておりまして、例えば、国の経済が成長する、GDPが幾らになった、こういうことも確かに大事なことだとは思いますけれども、では、例えば、成長したらどうなるのか、GDPが上がったら何が私たちの人生にとってプラスになるのか、よいことがあるのかということが、なかなか、まあ、これは誰ということではなくて、社会全般の風潮として、見えてきていないという気がしております。

 私は、もちろん経済を否定しません。経済は大事です。しかし、経済だけで人間は幸せになれないということも、また一つの考え方だろうというふうに思っております。

 心理学者のマズローという人がいますけれども、欲求五段階説を唱えました。第一段階では、飲んだり食べたりする生理的な欲求、第二段階では、安心、安全の欲求、第三段階は、社会的な欲求、すなわち、家族がいたり、友人がいたり、地域の人たちとのつながりがあったり、人間はこういうことを求めるというのが第三段階に来ておりまして、さらに、第四、第五と行きますと、尊厳であったり自己実現の欲求というふうに続いていくわけです。

 どうも、この五段階に当てはめてみますと、私たちの身の回りというのは、大体この第一段階、第二段階ぐらいまででとまってしまっているような気が私はしております。よいお給料をもらえればそれで幸せになれるということではなくて、人間同士のつながりがないと第三段階に行けないということでございまして、こういった基本的な人生に対する考え方というものが共有できない限りは、いつまでたっても、経済だけでは何となく満たされない生活、何となく満たされない人生ということになってしまうのではないかなというふうに思っております。

 こういったことを踏まえて、保育のことについて伺っていきたいなというふうに思います。

 先ほどの御答弁の中で、子育ての負担というお話が出てまいりました。負担が大きいというお話が出てまいりました。確かに、乳飲み子を育てる、きかん坊の幼児を育てるというのは大変な御苦労があると思います。

 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、まず、保育所の最も重要な役割というのは何でしょうか。御答弁をお願いします。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育園は、保育を必要とする子供の保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設でございます。

 このため、保育園では、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携のもとに、子供の健康と安全を確保しながら、その状況や発達過程を踏まえた、きめ細かな養護及び教育を行っていくことが求められております。

 また、保育園は、入園する子供を保育するとともに、家庭や地域のさまざまな社会資源との連携を図りながら、入園する子供の保護者に対する支援や地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割も求められているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 御答弁の中に保護者の支援というような言葉が出てまいりましたけれども、これが二番目に来るということでございまして、まず初めに来るのは健全な心身の発達ということで、子供たちのためにあるのが保育所だということになります。

 しかし、私たちが子育て支援の政策を考えるときに、一体子供たちが何を望んでいるのかということを聞いているかといえば、これは聞くことができません。しゃべれない乳児、乳幼児にそれを聞くことはできないわけでございます。でも、やはり恐らくは親と一緒にいたいというふうに思っているはずです。私も、小さいころ、年少のときだったと思いますけれども、登園拒否を、保育園に行かないということをやりましたので、その気持ちは痛いほどよくわかります。

 こういった子供の思いとは別のところで、これまで大人の都合で、受皿を五十万人ふやすということで保育所などの増設をやってきているわけです。その結果、確かに保育の施設はふえております。しかし、今度はそれを担う人材、人手が足りないという問題が出てまいりました。

 私は、親心を育む会というのがあるんですけれども、これは主に埼玉県内の保育園の園長先生ですとか主任の先生方の勉強会なんですけれども、このメンバーに入れていただいておりまして、いろいろな話をさせていただいております。例えば、三人保育士を募集したいというところに応募が二名しか来なかったというような状況があるということもございました。この人はどうかなと思っても、どうかなというのは、割と否定的な意味でどうかなと思っても、配置基準の問題が当然ありますので、法規上採らざるを得ないというようなことが出てきております。

 そこで、伺いたいと思いますけれども、保育士の不足の問題、これについてはどういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育の受皿整備に伴って、全国的に保育士の有効求人倍率は高い水準で推移しており、保育人材の確保を図ることが重要であると認識しているところでございます。

 このため、保育人材の確保に向け、政権交代後、合計一〇%の処遇改善を実現するとともに、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行ったところでございます。

 また、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度予算において、昨年度の人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定に準じた一・一%の処遇改善を行ったところでございます。

 さらに、昨年末に閣議決定されました新しい経済政策パッケージでは、保育士の確保や他産業との賃金格差を踏まえた処遇改善に更に取り組むこととし、二〇一九年四月から更に一%の賃金引上げを行うことを盛り込んでおります。

 こうした処遇改善のほか、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職といった支援に総合的に取り組むことにより、保育人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 いろいろと処遇改善をしていただいたりということで、いろいろな対策をとっていただいているということでございますけれども、現実としては足りていないという状況がございます。現場は今、大変な状況になっているというお声が聞こえてまいります。場合によると、今までは採用できなかったような方まで採用しないと手が追いつかない、そういう状況になっております。そうすると、当然の流れとして、今度は保育レベルの低下というような問題が出てきてしまいます。

 さらに、お伺いをさせていただきますけれども、こういった人手不足の中で、保育所はその役割を適切に果たしているというふうにお考えでしょうか、お答え願います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育園等における保育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであることから、保育の受皿の拡充と同時に、保育の質の確保、向上を車の両輪として進めていかなければならないと考えております。

 このため、保育園の保育の質や子供の安全を確保するため、各都道府県等において、毎年一回以上、人員配置基準を満たしているか等について実地監査を行う仕組みとしております。

 また、保育の質の向上に向け、保育人材の専門性の向上を図るため、平成二十九年度には、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善の仕組みを創設するとともに、乳児保育、障害児保育、保護者支援、子育て支援といった職務分野に対応した研修の体系化を行い、保育士等キャリアアップ研修を創設したところでございます。

 保育園の役割や機能が適切に発揮されるよう、こうした取組を通じて、引き続き保育に携わる方の専門性の向上を図り、保育の質が向上されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 お話、御答弁にありましたように、指導監督をしていただいている、都道府県、小さい規模の保育所ですと市町村が見ていただいているということでございますけれども、しかし、現場に近い方でしたらおわかりになっていらっしゃることだと思いますけれども、今、ブラック保育園といったような言葉まで出てきているほど、保育所での虐待が深刻な状況になってきてしまっているということです。

 先ほど人格形成というお話もございました。確かに、特に生まれてからゼロ、一、二歳という間で、人間関係、例えば愛情を受けて、信頼関係を親との間で築いていくとかいうことも含めて大事な時期なわけでございますけれども、乳児にかなり深刻な虐待が出てきているという例で、例えば手足を縛る、こういう拘束ですよね、あるいは話しかけずに放っておく、ネグレクト、こういった実態がございます。

 ゼロ、一、二歳児は人手がかかるということでございまして、三歳以上はクラス単位で保育士さんがクラス担任として見るわけでございますけれども、ゼロ、一、二歳児は、例えばゼロ歳児で見ますと、配置基準で三人の子供さんに対して保育士さんが一人というようなことでございまして、複数の保育士でかかわっていくということになってきております。待機児童も、このゼロ、一、二歳の層がどうしても多くなってきております。

 ここで確認をさせていただきたいんですけれども、ゼロ、一、二歳児の保育に係る一人当たりの保育の費用、おわかりになりますでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 保育を利用している児童の一人当たりの費用についてでございますが、財務省の財政制度等審議会の分科会において示された資料によりますと、国の基準に基づく平成二十九年度の予算上の平均値ではございますが、市立保育所等を利用する場合、ゼロ歳児は月額二十万六千円となっており、そこから利用者負担額の月額平均三万六千円を引いた月額十七万円が公費負担額でございます。一、二歳児は月額十二万八千円となっており、そこから利用者負担額の月額平均三万六千円を引いた月額九万三千円が公費負担額となってございます。

 なお、当該額でございますが、あくまでも国の予算上かつ平均値の数字でございまして、実際には、各自治体において独自の負担で上乗せ補助を行っているところもございますので、これよりも多い場合がございます。

森田委員 平均値というようなお話がありましたけれども、二十万というのは本当にその一部であろうと思いまして、もっと大きな額のお金がここに注ぎ込まれているというのが実態でございます。

 実際の、実際というか、親御さんの負担そのもので見ますと数万円という負担になってくるわけですけれども、公費ということを考えますと、何十万という額の保育のお金がそこには注ぎ込まれているということでございまして、待機児童の問題を考えても、また、先ほどのゼロ、一、二歳の、特にそういった小さい乳児の保育のコスト面を考えても、やはり乳児を預かるというのは、現実的にはもう限界に近いところまで来ているのかなというふうに思っております。

 今は、枠をふやすたびに新たな需要を掘り起こしているというような状況になっております。数万円で預けられるということで、私も預けようという流れになってきているという面もあろうかなと思います。これは保育の人手という意味でも限界ですし、また、子供たちのことを考えると、やはり親元にいたい、親御さんが育てられるということが好ましいということもあろうかと思います。

 鳥取県で、ゼロ歳児を自宅で見ているお宅に三万円を上限として子育ての手当を出すという制度が、これは二十九年度の制度として始まったというようなことがございました。これは一つの考え方かなというふうに思っております。

 そこで、お伺いしたいのですけれども、ゼロ、一、二歳児、なるべく親御さんに育てていただくという意味で、子育て支援の給付を行っていくということについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 働くことを希望する人が仕事と子育てを両立できるよう、保育所の受皿整備などの環境整備に取り組むとともに、御自宅で子育てをされている方々への支援もあわせて実施していくことが重要であると認識してございます。

 そのような観点から、例えば児童手当につきましては、ゼロ歳から二歳児までの児童に対しては五千円加算し、月額一万五千円を支給することとしており、また、御自宅で子育てをされている方々への支援といたしまして、例えば、一時預かり事業の実施、親子の交流や子育てに関する不安、悩み等を相談できる場としての地域子育て支援拠点、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行う子育て世代包括支援センターの整備などを進めているところでございます。

 現金給付と現物給付のバランスを踏まえつつ、全体として子育て世帯への充実した支援が行われるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

森田委員 当然、財源、お金の話になってまいります。しかし、今後のさらなる需要の増大といったものも含めて考えますと、ゼロ、一、二歳児の保育の枠を確保するのにかかる費用、これからかかるであろう費用、それから何よりも保育の現場の深刻さといったものを考えますと、こういった給付も現実的な選択肢になってくるのではないかなというふうに考えております。

 その際には、先ほどお話にもあったように、支援拠点、支援センターを、親御さんを孤立させて負担が集中し過ぎることがないようにしないといけないというふうに思っておりますので、そういった支給と支援センターといった意味で、セットで支援をお願いしていきたいなというふうに考えております。

 私が日ごろ、すごく難しいなと思っておりますのは、保育は単なるサービスではないということですよね。子供たちの人生の本当に最初の、最初の最初の部分を形づくっていくという大切な役割を担っていただいております。子供たちのためということもあり、また、親も子育てをしながら親として成長していくという面もございます。

 うちには三人の娘がおりまして、三人とも暦でいきますと年子でございます。今は高一、中二、中一と、学年はちょっと離れるんですけれども。

 振り返って、今でもよく覚えているんですけれども、三人目ができたとわかったとき、妻からは、おろしたいという相談をされました。とても心身ともにもたない、年子ですから、当然、乳飲み子が二人もういるわけで、当然もたないというお話がありました。しかし、私は、せっかく授かった命だからということで、全面的に協力するからということで産んでもらったわけです。

 しかし、それからが大変でした。三人目が生まれたとき、ちょうど私、県議選に落ちた後でして、浪人中で、介護の仕事を立ち上げといったことで青年会議所の活動等もやっておりましたので、よく、真ん中の子、次女ですけれども、おんぶして仕事に行ったり、あるいは会議だとかイベントに出かけていったりということをしておりました。そうすると、やはり、なめてるのかという話をされるわけですね、周りの人たちから。しかし、そういった経験もしましたけれども、今振り返ってみると、それをやっておいて本当によかったなと思っております。

 特に男親は、形式的には親になったとしても、本当の意味で親になるというのがかなり難しいことだというふうに思っております。自分で経験しないと、なかなか親になり切れないという面もあるんじゃないかなと思っています。

 そこで、保育所をふやすのはやむを得ないとしても、せめて親としてのかかわりを密にしていくべきだろうということを考えております。

 そこで、保育士体験のことを取り上げてみたいと思います。

 保護者による一日保育士体験を全ての幼稚園、保育園、それから認定こども園で取り入れていただきたいというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。これはそれぞれの御担当でお答えいただきたいと思います。

成田政府参考人 保育園についてお答え申し上げます。

 厚生労働省では、保育園が行うべき保育の内容等について定めた保育所保育指針において、「保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与することから、これを促すこと。」との内容を盛り込んでおり、保育園と保護者との相互理解の観点から、保育園における保育活動への保護者の参加を促しているところでございます。

 本指針を踏まえ、各保育園において、保護者の就労や生活形態にも配慮しながら、一日保育士体験など、保育活動への保護者の積極的な参加の機会を提供いただきたいと考えております。

小野田政府参考人 認定こども園についてお答えいたします。

 幼保連携型認定こども園の教育及び保育の活動に保護者が積極的に参加することは、保護者の子育てをみずから実践する力の向上に寄与するだけでなく、地域社会における子育てをみずから実践する力の向上や子育ての経験の継承につながるきっかけとなります。このため、幼保連携型認定こども園教育・保育要領におきましては、このことを記載するとともに、「保護者の参加を促すとともに、参加しやすいよう工夫すること。」としてございます。

 本教育・保育要領を踏まえ、各園におきましては、保護者の生活形態が異なることへの配慮や、保護者参加の意義や目的についての理解を高めるための努力を行いながら、保護者が一日を通してかかわることも含め、保護者が参加できる時間や日程を選択しやすくするなどして、保護者の積極的な参加を促していただきたいと考えてございます。

白間政府参考人 幼稚園についてお答えさせていただきます。

 幼稚園におきましては、幼児期の教育に関する保護者からの相談に応じたり、あるいは必要な助言を行う、こういった積極的に子育ての支援を行うということが重要だと考えております。

 幼稚園の教育要領がございますけれども、この中では、子育ての支援のために幼稚園と家庭が一体となって幼児とかかわる取組を進め、「地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たすよう努める」、こういった記述がなされているところでございます。

 各幼稚園におきましては、こうしたことを踏まえまして、例えば保護者が教諭とともに保育に参加をする取組ですとか子育て公開講座の開催、こういったさまざまな取組が地域の実情に応じてなされていると承知しております。

 文部科学省としては、今後とも、こういった子育て支援の取組が充実するように努めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 国が親に対して子育てにもっと参加しなさいと言うのは大変難しいと思いますし、また、国から強制するというのもまた違うことだと思いますけれども、ぜひ、よい例を積極的に紹介をしていただきたいなというふうに思っております。

 自治体でも大分取り組むところがふえてきておりまして、私も県議をやっているときから埼玉県にはかなりお願いをしてきたんですけれども、埼玉県も全県で取り組んでおります。私も、子供が保育園に通っているときには保育士体験に行きました。先ほど申し上げた親心を育む会というところのホームページには、多くの体験談、親から寄せられた体験談が載っております。

 保育士体験をやれという話をすると、一日保育園なんかにいられるか、俺は仕事で忙しいんだという親御さんももちろん出てくると思います。でも、ぜひやってみてください。やっているうちに、できる親から体験に来てくれます。そうすると、子供たちは、うちはいつ来てくれるの、そういうふうに子供たちから自分の親にリクエストが出てくるというふうになるわけですね。

 子供が小さいときなんというのは、ほんの何年間しかないわけです。そのうちの年に一日有休がとれないような、そんな社会には私はすべきではないというふうに思っております。親もせめて子供のために年に一日有休をとってもらいたいなと思うし、会社もそれを温かく認められるような、そういう社会になれば、日本は私は必ずよい国になるというふうに思っております。

 特に、男親を引っ張り出すようにうまく誘導していただきたいなと思います。殺伐とした大人の社会、競争社会をいっとき抜けて、子供たちの輪の中に入る。学歴、肩書、一切関係なし。子供は親を、親の心を見ます。ああ、これが人間本来の姿だ、本来の世界なんだなということを感じていただくことができると私は確信をいたしております。ぜひ、これは世の中を変えることだと思っておりますので、取組をお願いできればなと思っております。

 また、次の質問ですけれども、これからの日本を担う若い世代に乳幼児とのかかわりを身をもって体験していただきたいという意味で、一日保育士体験を小学校の高学年あたりから大学でカリキュラムに取り入れていただけないものかなと考えておりますけれども、いかがでございますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 初等中等教育、小学校、中学校、高等学校におきましては、学習指導要領が定められておりますけれども、ここにおきましては、保育や乳幼児との触れ合いなどに関する教育を行うこととされております。

 具体的に申し上げますと、小学校の家庭科、これは平成二十九年に新しく改訂をしておりますけれども、この中では、家族や地域の人々とのかかわりについて学習をする際には、幼児など異なる世代の人々とのかかわりについても扱うことといったことを新たに規定をしたところでございます。

 また、中学校の技術・家庭科におきましては、幼児とのかかわり方を学ぶ際に、幼児との触れ合いができるように留意することといった記述。

 また、高等学校の家庭科の家庭基礎におきましては、子供の生活と保育ということを学ぶ際に、乳幼児との触れ合いや交流などの実践的な活動を取り入れるよう努めること、これを引き続き明記をしているところでございまして、これを受けて、各学校、地域の実態に応じて乳幼児と触れ合う活動が行われている、このように承知をしています。

 また、大学につきましては、御指摘のとおり、大学の自主的、自律的な判断でカリキュラムが編成されますので、なかなか義務づけということは難しゅうございますけれども、一方で、少子化等に関する問題について学生がみずからの問題として考える、あるいは対処できるようにする、こういった観点から、保育士体験は重要な機会になることもある、このように考えております。

 文部科学省としましては、関係省庁とも連携をしながら、子育てについて実感を持って学んでいけるような、そういった教育が充実できるよう努めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 昔というか、何世代か前の日本の社会であれば、自然と身の回りに親戚だとか近所の子供たち、乳幼児がいるという、かかわりを持つというような生活が当たり前に行われていたわけでございますけれども、今それがなかなか難しい社会になってきている。

 ぜひ、これから子供たちとのかかわりの中で、子供、乳幼児のすばらしさ、ひいては家族のすばらしさ、とうとさを感じてもらうことができる、こういった取組をうまく誘導していただきながら進めていただきたいなと思います。

 こういった若いときに、これから数年後に結婚したり家庭を持つといった世代にその意義を身をもって感じてもらえるということが、子供を大切にする社会の基礎、基盤をつくるものというふうに思っておりますので、ぜひお願いできればなと思います。

 さらに、お尋ねをいたしますけれども、一日保育士体験を学校の教職員の研修に取り入れていただきたいなと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 教職員が保育士の業務を体験する、こういった御指摘でございますけれども、これは、福祉の現場における社会経験を積むことができるといったことのほかに、やはり、幼児期における教育と小学校における教育の円滑な接続、こういったことを図る上で効果が期待できるものと考えております。

 教職員の研修でございますけれども、基本的には、研修を実施される都道府県教育委員会等においてその内容を検討していただくという必要がございますけれども、現実にそれぞれの地域においては、例えば教職五年目の小学校、中学校の教員が保育所などで体験研修をする例ですとか、あるいは、小学校の教員を対象として、保育所などで一定期間研修をするといった例が現実にございます。

 こういったことも含めまして、文部科学省としましては、それぞれの地域において、その地域の実情を踏まえながら、こういった研修が充実するよう、また努めてまいりたいと考えております。

森田委員 おっしゃるとおり、学校の問題というのは、保育園、幼稚園からずっとつながってきている問題なわけです。例えば小一プロブレムへの対応といった意味でもそうだと思いますし、それから、今、若い世代の先生方がとてもふえております。団塊世代の先生方が退職をされて、若い世代の教員の方がふえております。特に若い先生方が、今、生意気なことを言っている子供たちの、そのルーツがどういうところなのかということを身をもって認識をしてもらうだけでも、とても、教育の現場に立つ先生方にとっても貴重な機会だと思いますので、ぜひ、実際に研修をされているのは市町村、あと都道府県だと思いますけれども、促しをしていただきたいなと思います。

 まとめの質問になりますけれども、最後に松山大臣にお伺いをさせていただきます。

 少子化に歯どめをかけるべく、ぜひ、五十年、百年といった長期的な視点も含めて、御決意をお聞かせいただきたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のように、日本は、急速に進む少子高齢化という、まさに国難ともいうべき課題に直面をしているところでございます。人口減少が進む中に、この少子化のトレンドに歯どめをかけることが喫緊の課題でございます。

 先ほど参考人からも御答弁ありましたように、働くことを希望する人が仕事と子育てを両立できるように、保育の受皿整備を、しっかりと環境整備に取り組む、また、御自宅で子育てをされている方々への支援、これもあわせてしっかり実施をしてまいります。

 これらのほかに、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現等の働き方改革、また不妊治療への支援、さらには幼児教育、保育の無償化、また真に必要な子供に限った高等教育の無償化、加えて、育児休業等の取得を促進する機運の醸成というものを、しっかりと関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

 また、現在、社会全体で取り組むべき対応策ということで、幅広い視点から検討するために、少子化克服戦略会議というものを設けまして、この会議においても、その成果を早く、できることから速やかに実施をすべく取り組んでまいりたいと思っております。

森田委員 大臣、ありがとうございました。

 心理学者、精神科医のビクトール・フランクルは、人間は楽を求めるのではない、価値ある目標に向かって困難を乗り越え、それを達成することで人間は幸福を感じることができるというふうに言っております。

 子育てはとうといものです。大変ですけれども、それを親子一緒になって乗り越えることで、人間は幸せを感じることができます。子供がいて、家族がいて、大変なことはたくさんあるけれども大きな幸せを感じることができる、そんな社会、国に向けて政策を組み立てていき、また実践していただくことを切にお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山際委員長 次に、男女共同参画社会の形成の促進に関する件について調査を進めます。

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案の起草案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 本案は、政治分野における男女共同参画が、国又は地方公共団体における政策の立案及び決定において多様な国民の意見が的確に反映されるために一層重要となることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性だけでなく男性も含めた政治分野における共同参画を効果的かつ積極的に推進することを目指すもので、起草案の主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、政治分野における男女共同参画の推進に当たっての基本原則として、衆議院議員、参議院議員及び地方公共団体の議会の議員の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すこと、男女が、その個性と能力を十分に発揮できるようにすることを旨とすること、及び、男女が、公選による公職等としての活動と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨とすることを規定しております。

 第二に、この基本原則を受けて、国及び地方公共団体の責務を規定するほか、政党その他の政治団体が自主的な取組を行うよう努めるものとしております。

 第三に、国及び地方公共団体は、各種施策を行う前提となる実態の調査及び情報の収集等を行うこととし、その上で、啓発活動、環境整備並びに人材の育成及び活用に資する施策を行うよう努めるものとしております。

 第四に、国は、実態の調査及び情報の収集等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、必要な法制上又は財政上の措置等を講ずるものとしております。

 第五に、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。

    ―――――――――――――

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山際委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 ただいま提案されました政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案について、意見を表明いたします。

 昨日、今から七十二年前の歴史的な日を記念する国会内での集会がありました。一九四六年四月十日、戦後初の国政選挙で、初めて女性が参政権を行使し、三十九名の女性衆議院議員が誕生しました。

 七十二年たった今、どうなっているでしょうか。女性衆議院議員は四十七名、比率は一〇・一%です。これは、列国議会同盟、IPU発表で、二〇一八年三月一日現在、百九十三カ国中百五十九位と最低ランクです。

 こうした現状を変えるため、二〇一五年に超党派の議員連盟が国会内で設立され、多くの議論が重ねられてきました。

 二〇一六年五月に、野党四党が男女の候補者ができる限り同数となることを目指す法案を提出し、十二月に与党が法案を提出しました。二〇一七年に、この両案を一本化することで全会派が合意し、一本化に当たっては、できる限り同数とできる限り均等は法的には同義であることが確認されて、今回の法案となりました。

 これを機に、実質的な男女平等の実現に向け、前へ進むことが必要です。

 参政権、選挙権は、民主主義の根幹をなすものです。

 日本国憲法の前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と始まります。歴史を見れば、選挙権獲得は自由と人権の闘いの中心にありました。女性の社会参加、政治参加を認めない時代から、こうした闘い、運動が、戦後の女性参政権の実現につながり、国民主権の日本国憲法を確定したのです。こうした運動が日本国憲法に刻まれていることを忘れてはなりません。

 この際、指摘しておきたいのは、政治分野における女性の参画を拡大するには、選挙制度全体の見直しが必要だということです。

 内閣府男女共同参画会議が二〇一一年十二月に取りまとめた報告は、小選挙区より中選挙区、大選挙区制や比例代表制のもとでの方が多様な民意が反映されやすく、女性議員の割合が高くなると指摘しています。

 民意の反映を著しくゆがめている小選挙区制を廃止し、国民の多様な意思が正確に反映される選挙制度への抜本的な改革が必要であるということを申し上げ、意見表明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

山際委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山際委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山際委員長 次に、内閣提出、参議院送付、古物営業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小此木国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 古物営業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小此木国務大臣 ただいま議題となりました古物営業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、最近における古物営業の実情等に鑑み、その受けるべき許可を、営業所等の所在する都道府県ごとの公安委員会の許可から主たる営業所等の所在する都道府県の公安委員会の許可に改めるとともに、古物商の仮設店舗における古物の受取に係る営業の制限を緩和すること等をその内容としております。

 以下、各項目ごとにその概要を説明いたします。

 第一は、古物営業の許可に関する規定の整備についてであります。

 その一は、古物営業の許可を、営業所等の所在する都道府県ごとの公安委員会の許可から主たる営業所等の所在する都道府県の公安委員会の許可に改めることとするとともに、許可申請に係る事項の変更の届出、古物商等に対する指示及び営業の停止等に関する規定を整備することとするものであります。

 その二は、集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある者等を、古物商等の欠格事由に追加することとするものであります。

 その三は、公安委員会は、古物商等の営業所等の所在地を確知できないとき、又は古物商等の所在を確知できないときは、その事実を公告し、当該古物商等から申出がないときは、その許可を取り消すことができることとするものであります。

 第二は、仮設店舗における営業の制限の緩和についてであります。

 その一は、古物商は、仮設店舗において古物営業を営む場合において、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは、買受け等を行うため、古物商以外の者から古物を受け取ることができることとするものであります。

 その二は、警察職員は、必要があると認めるときは、営業時間中において、古物商の仮設店舗に立ち入り、古物及び帳簿等を検査し、関係者に質問することができることとするものであります。

 なお、この法律の施行日は、欠格事由の追加に関する規定、公告による許可の取消しに関する規定及び仮設店舗における営業の制限の緩和に関する規定については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

山際委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.