衆議院

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第17号 平成30年5月17日(木曜日)

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平成三十年五月十七日(木曜日)

    午前八時十五分開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      門山 宏哲君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      木村 哲也君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    佐藤 明男君

      繁本  護君    杉田 水脈君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      中曽根康隆君    長坂 康正君

      西田 昭二君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    福田 昭夫君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      今井 雅人君    源馬謙太郎君

      森田 俊和君    中野 洋昌君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      中川 正春君    笠井  亮君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      玉城デニー君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   国務大臣

   (経済再生担当)     茂木 敏充君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林  禎二君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         天羽  隆君

   参考人

   (東京大学社会科学研究所教授)          中川 淳司君

   参考人

   (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)     鈴木 宣弘君

   参考人

   (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)     中嶋 康博君

   参考人

   (特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表)    内田 聖子君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     佐藤 明男君

  高木  啓君     中曽根康隆君

  武井 俊輔君     門山 宏哲君

  三谷 英弘君     木村 哲也君

  森田 俊和君     今井 雅人君

  濱村  進君     中野 洋昌君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     藤原  崇君

  木村 哲也君     三谷 英弘君

  佐藤 明男君     藤丸  敏君

  中曽根康隆君     繁本  護君

  今井 雅人君     森田 俊和君

  中野 洋昌君     濱村  進君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     高木  啓君

  藤丸  敏君     金子 俊平君

  藤原  崇君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

五月十七日

 ギャンブル等依存症対策基本法案(中谷元君外七名提出、衆法第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として東京大学社会科学研究所教授中川淳司君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授鈴木宣弘君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授中嶋康博君、特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター共同代表内田聖子君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 中川参考人、鈴木参考人、中嶋参考人、内田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、中川参考人にお願いいたします。

中川参考人 おはようございます。中川と申します。

 国際経済法を専攻しておりまして、貿易・投資に関する国際ルールを研究しております。本日は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、長いので、TPP11と、この後、略させていただきますけれども、TPP11の背景と意義ということについて、国際経済法の観点からお話をさせていただきます。

 御案内のとおり、TPP11は、一昨年の十二月に国会承認されたTPP、それがもとになっております。昨年の一月にアメリカのトランプ大統領がTPPから離脱いたしました。それを受けて、残る十一カ国が、TPPをできるだけ早期に実現するために交渉を続けて取りまとめたというものであります。お手元の配付資料の二ページ目にその簡単な経緯を書いてあります。

 そこで、まず、もとになっているTPPの背景と意義について振り返ってみることにいたします。

 配付資料の三ページをごらんください。そこには、ボーイング787のサプライチェーンというものを置きました。

 それを見ましても、ボーイング787というアメリカ製の飛行機が、実は世界じゅうから部品を取り寄せてそれを組み立てるという形でつくられていることがわかります。サプライチェーンあるいは供給網のグローバル化と呼ばれる現象であります。航空機に限らず、製造業全般にそういう供給網のグローバル化が進んでいるというのが今日の世界経済の特色であります。

 資料の次、四ページ目をごらんください。

 供給網のグローバル化をやるとなると、国境はありますけれども、シームレスに物を移動させて、ノウハウも移動させてつくっていくということが必要になります。そのために、個々の拠点をつなぐコストを下げる必要がありますし、個別の工程の生産コストをもちろん下げるということも必要ですけれども、それを実現しようと思いますと、さまざまな貿易・投資ルールが必要となります。ざっくりまとめてありますけれども、説明は、もし必要があれば、後で御質問があればいたします。

 本来、こういうルールはWTOという世界貿易機関でつくるというのが本筋でありますけれども、御案内のとおり、ドーハ交渉を失敗いたしまして、WTOが機能しておりません。そこで、先進国、主要国は、たくさんの国が参加するFTA、いわゆるメガFTA、広域FTAを通じてそういう必要なルールをつくっていくという方針をとるようになりまして、その中で、TPPが最初にまとまった広域FTAであります。

 五枚目の資料をごらんください。

 TPPは、さまざまな先進的な貿易・投資ルールを盛り込んでおります。項目だけ挙げますと、貿易円滑化に関するルール、これは通関手続とかそういうところです。それから投資ルール、そこに書きましたのは、これは例えば、中国が実行していて、アメリカが問題にしているような、そういう実践ですけれども、それを禁止しております。電子商取引、さまざまなルールがございます。国有企業の規制という、これも中国を念頭に置いてつくられたルールですけれども、そういったものも含んでおります。知的財産についても、模倣品、海賊版を厳しく規制するという内容を持っております。

 膨大な協定でありますけれども、TPPはそういう意味で、先進的な貿易・投資ルールを盛り込んだ二十一世紀のFTAということになりました。

 以上がTPPの背景と意義であります。

 次に、資料の六枚目をごらんください。

 最初に申し上げた経緯でTPPからアメリカが離脱をして、残る十一カ国でTPP11をまとめたわけですね。TPP11はTPPのルールの大半を吸収しております。

 御案内のとおり、凍結項目ということで、テキスト、附属書から二十二項目が今回凍結されましたけれども、全体として、条文数からいくと恐らく二千条ぐらいあると思うんですね。八千ページぐらいの膨大なTPPの協定のうちの二十二項目に絞り込んだということです。その中で、ルールにかかわる、私はルールのお話をしておりますので、ルールにかかわる主な凍結項目としてそこに書かせていただきました。

 郵便独占に係る急送便サービスの義務を免除したことであるとか、それから、投資家と国の紛争解決、ISDSというものがございますけれども、その適用対象を少し絞り込む、そういう凍結が行われました。政府調達の参加条件についても、労働基準に関する部分の参加条件を緩和するというふうな規定が入りました。

 その下に挙げましたのは、いずれも知的財産にかかわるものであります。これはアメリカがTPPの交渉で非常に強く要求をして、日本側も基本的に先端技術の保護を推進するという立場から同調していて盛り込んだ、TPPに盛り込んだルールですけれども、その一部が凍結されるということがあります。

 しかし、戻って資料五ページ目に書きましたような、先進的な貿易・投資ルール、供給網のグローバル化に必要な先進的なルールは、全てTPP11でも引き継がれて、実現を見るということになったわけであります。

 以上、非常に駆け足で申し上げましたけれども、国際経済法、ルールの観点から見たTPPの意義であります。つまり、今日の世界経済に必要な供給網のグローバル化に欠かせない新しいルールを、WTOにかわってTPP11が実現しようとしているということであります。

 しかし、現在の世界情勢を見ますと、TPP11にはそれ以上の、加えての意義が二つあると考えています。

 資料の七枚目をごらんください。

 まず、今日的意義として、アメリカのトランプ政権との関係であります。

 先月の十七日から十八日にかけてフロリダで日米首脳会談が行われました。経済面に関しては、そこに太字で書きましたけれども、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、新貿易協議とかFFRとか、いろいろな言い方をされていますけれども、そういう協議を日米間で開始するということで合意いたしました。早ければ六月の末にも最初の会合が開かれるというふうに聞いております。

 資料に引用いたしましたのは、日米首脳会談後の記者会見からの引用であります。安倍総理の発言として、アメリカが二国間交渉に関心を持っている、それは承知はしているけれども、日本はTPPが両国にとって最善と考えているということを言われました。つまり、この新しく始まる日米協議でも、やはりアメリカに対してはTPPへの復帰を求めて粘り強く働きかけている、そういう意向を表明されたわけであります。

 しかし、その直後に、これは私、テレビでその中継を見ておりましたけれども、トランプ大統領は発言されまして、参加国が、仮に我々が、アメリカが拒めないような非常にポジティブな、アメリカにとって都合のいい見直し案というものを出して、そういうディールを提示しない限りはTPPには戻らないと。中略しましたけれども、二国間協定を我々は望んでいるんだということで、あくまでも日米の二国間でのディールと。そういう言葉は出ませんでしたけれども、日米のFTAを結ぶことを目指している、そういったことを発言され、日米の間で、新協議に関しての思惑の違いといいますか方針の違いが明らかになったわけです。

 他方で、アメリカのトランプ政権はTPP復帰の可能性を否定しているわけではありません。アメリカにとっていい条件が提示されればという条件付でありますけれども、一応そういう窓は開いております。

 とはいえ、十一月の中間選挙に向けて、大統領としては、アメリカ側としては、有権者にアピールする、非常に、貿易赤字を減らすような提案を求めて圧力をかけてくることが予想されます。

 そういう協議に当たって、TPP11が実現しているということは、アメリカ側に対して日本が従来からの立場をあくまでも主張して粘り強く対抗していく、そういう盾になると考えております。

 最後のスライドをごらんください。八ページ目ですね。TPPの将来的意義ということで、二つ書かせていただきました。

 今日の世界情勢は、自由貿易体制の持続可能性が非常に問われている危機的な状況にあると思います。トランプ政権の米国第一の通商政策、米中の貿易摩擦が非常に深刻化しておりますし、また、イギリスはEUから離脱するといったことで、自由貿易体制にまさに逆行する動き、保護主義的な動きが強まっているところであります。

 そうした中で、TPP11は、自由貿易体制の堅持を世界にアピールしていく、そういう重要な意義があると考えています。

 さらに、その先の世界に向けて、将来的な意義というものを強調しておきたいと思います。

 一つは、TPP11の拡大であります。既にTPP11への参加意思を表明した国として、タイ、韓国、台湾、コロンビアそして英国がございます。また、もとになっているTPPへの参加意思を表明している国として、インドネシア、フィリピンがございます。TPP11が発効すれば、引き続いて、TPP11へのこれらの国を加える拡大交渉、そういうプロセスが始まるということが期待できます。

 もう一つ、日本が交渉中の、TPP以外の広域FTAとして三つあります。EUとのEPA、これは交渉は妥結しまして、間もなく署名に至るという、実現に向けての動きが続いていると聞いています。それからRCEP、東アジア地域包括的経済連携がございます。また、日中韓のFTAもございます。TPP11に引き続いて、日本としては、こういった広域FTAの実現に向けて引き続き努力をしているということを期待しております。

 こうした交渉がまとまれば、アメリカにとっては、TPPから離脱したということで、日本に対する貿易関係でますます不利に扱われるという、機会費用が増していくということになりまして、それがTPPへの復帰を促す強い圧力として作用するというふうに考えられます。

 また、TPP11が拡大し、アメリカがもし復帰しということになれば、TPPが大きなアジア太平洋のスタンダードになるわけで、そこには中国も加入を考えざるを得ない、そういう状況がつくられていくだろうと思います。そうした観点から考えても、TPP11の早期発効、実現が重要であると私は考えております。

 以上で私の説明は終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木参考人 おはようございます。

 私の方からは、「TPP11はTPP12より悪い」というペーパーを見ていただきたいと思います。

 アメリカ抜きのTPP11を進めるということは、これはセットで、TPP12のとき以上のアメリカからの対日要求に応えるということになります。そのつもりで日本もおりますから、このままいけば、TPP11を進めれば、TPP12のとき以上に日本は打撃を受けるということをそもそも最初から想定して受け入れていると言わざるを得ない。

 なぜTPPをアメリカが否決したのかということについて、日本では全然議論がされていません。

 アメリカ国民の八〇%が、TPPをやってもグローバル企業の経営陣がもうかるだけで、賃金は下がる、失業がふえる、それから、国家主権の侵害だ、食の安全性が脅かされるということで、大統領候補の全てがTPP反対と言わざるを得なくなった。保護主義との闘いではございません。アメリカは、こういうふうな自由貿易への反省からこれを否定せざるを得なくなったという国民の声があるわけです。

 でも一方で、グローバル企業はもちろん違う。TPP、それから国内の規制改革もそうですが、これはいわばお友達への便宜供与です。アメリカのハッチ共和党議員がTPPを進めたのはどういうことか。製薬企業から二年で五億円の献金をもらって、患者さんが死んでもいいから、ジェネリック医薬品をつくれないように新薬のデータ保護期間を二十年に延ばしてくれと主張した。これがある意味TPPの本質だということは忘れてはいけない。

 そもそも、二ページにありますが、TPP破棄で一番怒ったのはアメリカの農業団体です。何でか。日本にあんなにおいしい約束をさせたのに、できなくなると怒ったわけですね。だから、日本は相当なことをやってしまっていたということですけれども、アメリカの農業団体のすごいのは、ここの切りかえの速さです。そうか、TPPも不十分だったんだ、要はそれ以上のものを二国間で要求すればいいんだということになってきているというのが今の状況です。

 それを見越して、日本はどんどん準備を当然進めています。アメリカへの要求に応えるためにどうやるかというリストも、もう全部できています。例えば、TPP枠でアメリカに七万トンの米の枠をつくりましたけれども、それが実現できなくなるかというと、実はもう日本は、SBS米という部分で、一万トンぐらいしかアメリカの米を買っていなかったのを六万トンまでふやしているわけですよ。いろいろな形でアメリカの要求に応える手だてをしている。

 一つ、TPP11にするときに、先ほどありました、最初八十項目もの、もうこれはやめてほしいという項目が出てきたわけですよね、二十二まで絞り込みましたけれども。その中で、日本だけが、私は何も外したい項目はありませんと。ここまでアメリカと同調する姿勢をとったのに、今、ISDSについて何が起きたか。

 あれだけ、グローバル企業が人の命や環境を痛めつけてでも自分たちの利益を損害賠償をしてとってやるというようなISDSはいかぬという議論があったのに、日本とアメリカだけが主張し、ほかの国は全部反対でした。EUは、こんなものは死んだものだと言っていました。ところが、その中で、日本はアメリカに追従してこれを絶対やらなきゃいけないと言ってきたけれども、今、アメリカが、世論に押されて、これは国家主権の侵害だということで、ISDSをNAFTAの交渉からアメリカはもうやりませんと言い始めたんです、入れないと。ISDSをアメリカが拒否し始めたんですよ。今、日本だけが宙に浮いて、ISDSに固執しているという異常な状況になっています。だから、TPP11から、ISDSは当然、凍結じゃなくて削除すべきなんですよ。

 アメリカに追従して、はしごを外されて孤立するというこの繰り返しをやめないと非常に危険だということが、ここからもわかるということです。

 それから、三ページの真ん中ですが、TPP11で、もう早く決めてしまおう、成果を出そうということで何をやったか。

 アメリカを含めて、農林水産業についてこれだけ譲ると決めた内容を、アメリカはいなくなったのに、そのままほかの国に譲っちゃったわけですよ。オーストラリア、ニュージーランドは大喜び。乳製品の輸出、アメリカの分まで全部できるわと。それで、最強のオセアニアの農業国から我々は更に攻められなきゃいけないということにTPP11でもなっちゃった。

 そうすれば、アメリカが黙っているわけはないから、おい、俺の分はどうしてくれるんだ、それ以上のものをやってくれというさっきの話になってくるわけだから、結局そういうふうに、TPP12以上の打撃を日本の農林水産業、食料が受けるということをわかっていて進めている。ここは本当に戦略を考えないといけないと思います。

 日本は、チーズについても、TPPでアメリカから、ハード系のチーズが得意だからゴーダとかチェダーは関税を撤廃してくれと言われて、はい、わかりましたと。でも、カマンベールは守りましたと言っていたわけですよ。ところが、EUとの協定もTPPレベル以上でやっていいぞということになったものだから、EUからカマンベールの関税を撤廃してくれと言われたら、うん、そうですよねといって、今度はソフト系も実質関税撤廃しちゃった。気がついたら、チーズの関税は全面関税撤廃になっていた。何も考えていないじゃないか。

 カナダは、米に匹敵する酪農を絶対死守するということで、TPPでも、それからEUとカナダとの協定でも、一切、乳製品の関税には手をつけていないですよ。こういうふうな戦略というものが日本にあるのかどうかということが問われている。

 それから、四ページですが、影響と対策については、影響がないように対策するから影響はないと。いや、それはちょっと。それだったら、対策はどうなっているんですか。

 TPP11で、加工原料乳はキロ八円下がる、でも、生産量も所得も影響ないと。いや、そんなことないでしょう。チーズ向けの奨励金をふやしただけで八円の差額がふえますか。畜産クラスター事業をやったら八円のコストが下がりますか。そうであるとすれば、そのことをきちんと説明する必要があるわけです。

 ただ、牛肉、豚肉については、今回の法案にもありますように、マルキンという仕組みを九割補填にして、豚肉の方は生産者負担を二五%まで、牛肉と同じにすると。強化いたしました、法制化もする、これは評価される方向性だと思いますが、四ページの表一、表二を見ていただいたらわかりますように、だからといって、牛肉、豚肉の生産がそのまま減らずに、所得も維持されるというわけにはいかない。表一、和牛では、最大規模階層の二百頭以上だけが赤字を免れる。豚肉でも、最大規模階層の二千頭以上だけが赤字を免れる。そういう効果なんだということは押さえておかないといけない。

 それから一方、酪農についてはそういうものは全くないわけですよ。

 五ページ、国産牛乳がことしの夏から飲めなくなるかもしれないというこの危機、業界では大変なことになっているわけですよね。このことを国民が認識しなければいけない。チーズが安くなるからいいななんと言っているうちに、ことしの夏から、小売店頭から時々牛乳が消えるかもしれないというわけですよ。

 酪農はトリプルパンチ。TPP11と日・EU・FTA、それから指定団体の解体、酪農協の解体が決まりました。世界で、牛乳については、これはきちんと量を把握して流通させないと消費者にきちんと届かないということで、全量出荷の原則を全ての国がとっているんです。それを日本は法律で、全量出荷は義務づけちゃいけない、二股出荷でも受け付けるという、世界で唯一、例のないことをやってしまったんですよ。このことは大変な事実なわけですね。そういうふうな不安もあって、もう都府県中心に酪農生産がどんどん減って、さっき言ったような、ことしの夏から足りなくなる。

 だから、酪農については、牛肉、豚肉のような、せめてマルキンをきちんと入れなきゃいけないという議論があってしかるべきなのに、そういうものはないまま、五ページの下にありますが、この危機を乗り切るために何をするか。国産振興ではなくて、脱脂粉乳とバターの追加輸入で夏に還元乳をつくって、みんな飲んでくれという話になっているんですよ。国産を振興するというのをどう考えているんですか。自給率向上を放棄するんですかというのが今心配になってきている状況です。

 それから、六ページの上にありますが、今回の自由化では酪農、畜産が影響が大きいということになっておりますが、それは米と関係ないわけじゃないということですね。

 表の三にありますように、米の生産も減ります。でも、米は消費の方が減り方が大きいので、十五年後にはまだ七十万トンも余る。やはり餌米をやらなきゃいけない。ところが、このまま酪農、畜産が減っていったら、五割も六割も牛や豚の生産が減って、誰が餌米を食べるんですかということになりかねないわけですよ。そういうことの整合性についてどう考えているのかということも問われる。

 そして、これ以上安い輸入食品が入ってくる、食の安全基準が更に順番に緩められていくということを続けたら、一番最後の裏のページに、最近の検疫でどれだけの食料がひっかかっているかというのを出していますけれども、O157からいろいろな、あり得ないような化学薬品がいっぱい出てきているわけですよ。でも、検査率七%なんですよ。素通りして、みんな食べているわけです。日本人は安いものを食べたいからということで、現地に、コストを下げてくれと。一生懸命やると安全性のコストも下がっちゃって、どんどん安くなるけれども、どんどん危なくなっているという現実。

 こういう中で、六ページに戻っていただいて、輸入農産物は、成長ホルモンの問題、成長促進剤の問題、除草剤、遺伝子組み換え、それから防カビ剤のイマザリル、こういう危機満載なわけですから、リスク満載なわけですから、安いと言っていたら本当に安いのか。必ず病気になって命が縮むんじゃないですか。

 だったら、国内で頑張ってくれている、安全、安心な食料をつくってくれているたくさんの農家の皆さんをいかにみんなで支えるかということを今考えないと、牛乳でことしの夏から起こりそうな事態がどんどん波及していったら、気がついたときにはいろいろな病気がふえて、国産の安全、安心なものを食べたいといったら自給率一割になっていて選ぶこともできないという事態がもう目の前に来ているということであります。

 六ページの下ですね。国民の命を守り国土を守るには、どんなときにも安全、安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠なわけですが、その安全保障のかなめである農林水産業を国民全体で支え自給率を高く維持することは世界の常識なわけですが、それが日本では常識になっているかどうかが問われている。

 七ページの真ん中ですけれども、日本の農業が過保護だというのはマスコミ的につくり上げられたうそです。

 農業所得に占める補助金の割合は、日本は三割、スイス一〇〇%、イギリス、フランスでも九十数%。ヨーロッパは幾度の戦争で食料難と国境の危機にさらされて、命を守り、環境を守り、地域を守り、国土を守っている産業をみんなで支えるのは当たり前ということが認識されているのに、それが当たり前でないのが日本ではないか。だから、ここで、食料自給率を死語にしてしまうような流れを続けることに歯どめをかけないといけない。

 八ページの真ん中ですけれども、今言ったように、欧米諸国が所得の一〇〇%近くを税金で支えてでも自分たちの食料と環境、地域、国土、国境を守るというふうに言っているときに、我が国は民間活力の最大限の活用だとか、企業参入が全てであるとか、自由貿易が全てであるという名目のうちに、気がついたら、安全性の懸念が大きい輸入農産物に一層依存して、国民の健康がむしばまれる、地域の資源、環境、地域社会、そして国民の主権さえも実質的に奪われていきかねないような状況をもたらす政策をあらゆる形で組み合わせて今進めようとしているのではないか、ここが問われている。

 九ページ、最後になりますが、一番上ですね。

 イタリアの水田地帯ではこう言われています。田んぼにはオタマジャクシもすめる、ダムのかわりに洪水もとめてくれる、水もろ過してきれいにしてくれる、こういうふうな機能にみんなお世話になっているけれども、それをきちんと値段に反映できているか。できていないんだったら、みんなでちゃんとお金を集めて払おうじゃないかということで、EUでは、農業の持つさまざまな多面的な機能、環境機能について指標化して、それを国民がどれだけ支えていくかという壮大な環境支払いシステムをつくり上げております。だから、国民は納得して払えるし、生産者は誇りを持ってつくっていける。

 アメリカは、それに輪をかけてと言ったら変ですけれども、最低限の農業所得、価格は政府が五年間固定して、それとの差額は一〇〇%補填するわけですよ。これは、輸出向けもそうです。米は一俵四千円で売っている。でも、一万二千円との差額は一〇〇%払うんです。多いときには、輸出向けだけで一兆円ですよ。この差額補填で農業を支えている。だから、その指標になる最低限の所得、価格というものがわかっているから、それを目安にして生産者は頑張ってつくっていける。これが食料を支えるということです。

 そういう意味で、日本の政策は、今、踏みとどまって、もう一度きちんと考え直さなきゃいけないんじゃないか。

 特に、日本には緊急対策というのが多いですけれども、これは政治家の先生方にはある意味手柄になりますのでいいんですけれども、農家の皆さんにとっては緊急対策じゃいかぬのですよ。アメリカやヨーロッパのように、きちんとシステマチックに、これは最低限支えるから、この差額を補填するから、その発動される基準を目安にして頑張ってくださいということがわかるような、投資計画が立てられるような政策を、恒久的なものをつくらなきゃいけない。

 そういう意味で、今回の、牛、豚のマルキンの強化と法制化は、一つの方向性として評価できる。だけれども、もっとそういうものを入れなきゃいけない農産物がほかにもあるのに、例えば今の酪農ですよね、酪農は、そういうふうな政策がないままに、それを補完するための生乳共販組織が弱体化されようとしている。こういう状況は非常に問題である。収入保険も、戸別所得補償制度にかわるものだというふうにいいながら、残念ながら、最低限のセーフティーネットを形成できない仕組みになっています。

 こうした点の改善も含めて、食料を外国に握られることは国民の命を握られることなんだ、国の独立を失うことであるということをもう一度肝に銘じて、安全保障戦略の中心を担う恒久的な農林水産業政策を、政党の垣根を越え、省庁の垣根を越えた国家戦略予算として再構築するということについて、ぜひきちんと検討してから、TPP11をやっていいのかどうかと。TPP12以上に大変な状況なんですから、簡単に議論を終わらせるということは許されない、非常に大きな問題であるということを申し上げまして、私の話を終わらせていただきます。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 次に、中嶋参考人にお願いいたします。

中嶋参考人 おはようございます。

 本日は、このような発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会において、基本計画等の検討に携わってまいりました。そのような立場から、本日は、専ら農業、それから関連する農業政策にかかわる問題について、意見を陳述させていただきたいと思っております。

 平成二十八年の十月、一年ほど前に開催されたTPP特別委員会におきましても、実は意見陳述させていただきました。その際に私は、農林水産分野の対策において不安を払拭して将来の展望に結びつく期待形成の構築が大事であり、それが再生産可能な条件を形成すると申し上げました。そのことに加えて、影響を遮断するだけの単なる中和策では頑強な対策とはならない、再生産から更に一歩進め、農業が持続可能となるための対策とするべきだと主張させていただいたわけであります。

 この立場は、今回のTPP11の対策を考える上でも全く同じで、繰り返しになる点もございますが、御容赦いただければと存じます。

 まず、再生産可能な条件の確認であります。

 輸入枠の拡大やマークアップ引下げなどへの対策として、経営安定、安定供給のための備えが用意されておりまして、現段階で、この経営安定対策による収入補填や強い農林水産業の構築、体質強化対策による生産コストの引下げなどによって影響を遮断することで、現在の生産を維持できると私は考えております。

 なお、TPP12と比べて、11ではアメリカが参加しないことから、農林水産物の重要品目が再生産可能とするための対策のハードルは低くなっておりますが、もちろん、将来アメリカが参加した場合においても、12について検討したときの結論から、この対策は有効だと考えます。

 その上で、指摘したいことは、今回の対策では、重要品目が再生産可能であることを目指しているだけではなく、日本農業全体がこの後も持続可能な発展を遂げるための対策を展開しているということでございます。体質強化対策は、さきに述べたような、単にコストを削減するためのものではございません。攻めの農林水産業への転換を目指したものであり、既に三年間、補正予算を組んで実施されてきたところであります。

 TPP12の対策が示された後、農林水産業をめぐる状況変化の中で、一つの象徴的現象として指摘したいことは、国産農林水産物、食品の輸出が伸びていることであります。政府は、平成三十一年に輸出額を一兆円にするという目標を定めています。二十七年は七千四百五十一億円、二十八年は七千五百二億円と、やや足踏みした感がございましたが、昨年の平成二十九年は八千七十一億円となり、対前年比七・六%と再び増加し始めております。

 もう一つ、関連することとして取り上げたいのは、訪日外国人観光客の増加です。平成二十七年が千九百七十四万人で、二千万の大台の一歩手前でありましたけれども、二十八年にはそれを超えて二千四百万人、そして、昨年の平成二十九年は二千八百七十万人になっております。インバウンド観光は、目に見えて、日本社会や経済に大きなインパクトを与えております。

 私は、このことが近い将来に海外での日本食の拡大につながっていく、それが国産農林水産物、食品の輸出を後押ししていくのではないかと期待をしております。

 かつて、八〇年代から九〇年代に円高が大きく進んだとき、それまでにはないほど数多くの日本人が海外旅行に出かけ、さまざまな外国での体験をすることになりました。そのとき、現地の食に出会うことになったのだと思います。非常に多くの日本人が外国の本物の食を経験することになり、現在のSNS時代と同じというわけにはいきませんが、しかし、口コミでその経験は人々の間に広く伝播していったことは想像にかたくありません。

 肌感覚でありますが、そのころを境にして、海外料理を出す本物のレストランが国内でふえていったように思っております。そうした実体験が、我が国で豊かな多様な食が更に展開していった背景にあるのだと思うわけであります。

 ただし、その結果、その本物の料理を実現するべく、円高の後押しの中、海外の農産物や食品を輸入することになったのは、やや残念なことでありました。

 それはともかく、海外からの観光客の皆さんに我が国の食を売り込んでいただくような仕掛けをつくれないでしょうか。そして、それをきっかけに、TPPや日・EU・EPAの後押しで輸出を拡大できないかと思う次第であります。更にTPPへの参加国を今後ふやし、それらの国の旺盛な食市場をもっと取り込んでいただきたいと思っております。

 ただ、今までは、輸出をしようとハッパをかけても、なかなか進みませんでした。我が国には一億二千万人の豊かな人々が暮らし、食欲旺盛な巨大市場がそばにあるということならば、わざわざ海外に持っていくことはない、食は国内市場ファーストで対応するのがよいということであったと思います。

 しかし、ここ数年の努力が積み重なり、ついに風穴が開きつつあります。一旦ルートが開拓されると、その後の取引はスムーズになります。好循環の歯車が回り始めたのかもしれません。

 ところで、人口については、国内で減り始めているわけであります。一方、世界ではふえ続けているという非対称の状況にあります。このことにどのように対処していくのかが、我が国における現在の食料、農業をめぐる課題を解決していくポイントとなります。

 御案内のとおり、人口減少は、消費者、マーケットの縮小という消費をめぐる課題と、生産者、担い手の減少という生産をめぐる課題をもたらしております。

 三年前、閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画では、カロリーベースの食料自給率の目標を四五%と定めました。そこでは、まず、目標年次の平成三十七年までは、総供給熱量と呼ばれる需要量は、人口が減るなどの要因から、基準年に比べ一割ほど低下すると見込んでおります。一方、国産供給熱量と呼ばれる供給量は五%拡大する中で、この自給率目標というのは達成されると考えていたわけであります。

 この基本計画の中でも明記しておりますけれども、農地は、計画期間に、荒廃農地の再生にも取り組みつつ、それでも七%ほど減少すると見通しております。あわせて、担い手不足、人手不足、これは御案内のとおりであります。こういった中で五%の生産向上を達成するためには、作物構成の変更に加えて、労働生産性、土地生産性そして全要素生産性の引上げが欠かせません。そのための振興のあり方が基本計画で示されていたわけであります。

 このように発展していくために、その出発点である現在の生産の足場固めをすることが必要であり、今回の経営安定対策、体質強化対策が重要な役割を果たすということであります。

 その上で、生産性の向上を現実のものにしていくためには、イノベーションが絶対に必要であるということです。

 今や、生命科学、情報科学、ロボット工学の分野などで、基本計画策定時には明確に認識されていなかった新しい科学技術が次々に利用可能になってまいりました。それらが生産性向上に貢献してくると大いに期待しておりますけれども、現場でそれらの技術を導入するには、それに関する投資が行われなければいけません。

 しかし、我が国農業は、長い間、投資を減らし続けました。実質投資額を確認してみると、平成元年の農業機械、施設、動物、植物などへ向けた投資額を一〇〇としたとき、その後、毎年のように低下し続け、東日本大震災の起こった平成二十三年には半分の五五しかございませんでした。このところ若干持ち直しているわけでありますが、それでも六〇程度の水準であります。

 体質強化対策では、投資を促進するため、産地パワーアップ事業のような補助制度や金融、税制上の措置などがさまざま用意され、そのことは高く評価したいと思います。しかし、投資しやすい環境を用意したとしても、将来に対する確たる展望がなければ、最終的には農家の皆さんが思い切って投資には踏み切りません。生産振興は重要でありますけれども、加えて、バリューチェーンの構築、需要フロンティアの拡大という施策が決定的に重要になってまいります。

 御存じのように、平成七年あたりを境に国全体の食料消費が減り始めています。平成七年は年間の支出額は八十三・一兆円でしたが、二十三年は七十六・三兆円になり、約十五年の間に七兆円近くが蒸発してしまったわけであります。この時期の景気動向は、消費の低迷に影響を与えている可能性はあります。ただ、あわせて国民の摂取カロリーの動向を確認してみると、先ほど自給率のところで指摘いたしましたとおり、毎年低下しています。今後、人口が減少するので、国内の食料消費額は低下せざるを得ません。

 高齢化が更に進む社会において、健康食や介護食など新たな食のマーケットの開拓に取り組む動きがございます。そのような取組を成功させるためにも、核となる原料生産を振興するのは重要でありますが、それだけでは不十分です。原料農産物の集荷、流通、加工などを行う一次加工業を育成し生産性を向上させるため、業界再編や投資促進によるイノベーションの実現が求められます。また、新たな商品の創造には、規格や認証などソフトの開発も含めた多角的な取組が求められるわけです。そのような観点から、あわせて行われている農業競争力強化プログラムの意義を強調しておきたいと思います。

 しかし、人口の低下が加速することを考えると、国内での食料消費拡大の取組にも限界があることを自覚すべきであります。頑張った生産者がしっかりと売り先を確保するためにも、さきに指摘した輸出市場の開拓が必須となります。

 もう一つ留意しなければならないことは、今後、世界の食料需要が更に増大することです。世界の人口はふえ、途上国も所得をふやします。この状態が進んでいったとき、我が国はこれまでどおり必要な食料を海外から調達できるのか。一部の水産物では、既に買い負けがささやかれております。将来的には、輸入品を少しでも代替し、できるだけ国産品で国民の食料を賄える状態に向けて、生産性を向上させなければなりません。

 TPP11発効後に発動する経営安定対策と、先行して取り組まれている体質強化対策を組み合わせることで、農業と関連する産業を含めた食料の供給体制がより筋肉質な力強い産業へ生まれ変わるような取組が進むことを期待しております。

 そのためにも、体質強化対策が有効に機能しているかを常に確認しなければなりません。PDCAサイクルを回しながら問題を発見し、継続的に改善に取り組むことを希望する次第でございます。

 以上で私の陳述を終えたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 次に、内田参考人にお願いいたします。

内田参考人 私は、アジア太平洋資料センターと申しますNPO法人で共同代表をしております内田聖子です。きょうは、よろしくお願いいたします。

 私どもは、小さなNPO団体、NGOなんですが、WTOの時代から、通商交渉それから貿易協定の問題に取り組んできました。先進国の政府や、特にやはり大企業、グローバルな大企業の声が非常に交渉の現場では強いわけですけれども、そういう立場からではなく、世界の特に途上国、新興国の人々、それから、もちろん日本の国民一人一人、一般消費者、主権者、そういう草の根の立場の人たちから、貿易協定のやはり負の側面というのもあるわけですから、そうしたことをずっと指摘してまいりました。きょうも、その立場からお話をしたいと思います。

 私の資料は、文章で恐縮なんですが、つけさせていただいています。

 まず冒頭に申し上げたいのは、二年前にも国会でTPP12の審議が行われたわけです。私も衆参で参考人、公述人として、その際も出ましたけれども、まずもって今回の11の審議では前回のような特別委員会というものが設けられず、この内閣委員会そして外務委員会で、比較すれば非常にわずかな時間での審議が、我々から見ればとても拙速に行われているように感じております。これから申し上げるように、このTPP11そのものにも検証すべき点はまだたくさんありますし、それから国内への影響というのもあるかと思います。そしてさらには、日米の二国間交渉への対応もあったりします。ですから、決して拙速な審議をするのではなくて、十分な時間をとって慎重に議論していただきたいというふうに切に願っております。

 その理由の大きな一つは、やはり、二年前のTPPを審議した際と現在では、激変と言ってもいいほど、貿易交渉をめぐる状況は変わったわけです。

 この一ページに挙げておきましたけれども、アメリカのTPP脱退はもちろんのこと、イギリスがEUを離脱したり、それから昨今ではアメリカと中国の貿易紛争のようなことも起こりつつあります。

 それから、貿易協定、日本がかかわるものでいえば、確かに日・EU経済連携協定というのは合意に一旦至りましたが、これは当初の予定どおりの完全合意ではなくて、先ほども鈴木先生から御指摘があったように、投資家と国家の紛争解決メカニズム、ISDS、この部分が全く決着をしない。日本はISDSを主張しましたが、EUは、もう完全にISDSを否定していまして、別な仕組みを提案しています。ですから、この部分は協定から切り離して合意せざるを得ないという問題も出ています。

 それから、中国、インドを含め、ASEAN諸国含め、アジアの国々と交渉しているRCEP、これもTPPと同じころ、二〇一三年ごろから交渉しているわけですが、妥結に至っていません。ここには、後で述べますが、いわゆるTPPレベルの強い規律、自由化の規律が決して受け入れられない途上国の声というものがあります。

 そして、この間、WTOの閣僚会合というのも昨年の末にあったわけです。もちろんWTOは停滞していますが、基本的な前提として、今議論しているTPPないしはほかのメガFTAも、WTOの体制を基礎にして、その一部例外を認めるというような形で、FTA、EPAというものは成り立っているわけです。ですから、決してWTOを我々は無視するわけにはいかず、今後どういう形でWTOに向き合っていくのかということも、まさに今問われているわけです。

 ですから、いわばTPP11だけを早期批准すればいいというだけの話ではなくて、あえて言えば、朝鮮半島の和平というか、非核化に向けた動きというものが今急速に起こっていますが、これも、中国、ロシア含めて、朝鮮半島含めて、今後の日本の貿易、経済に必ずかかわってくるわけですから、この激動するアジア情勢の中で、一体日本がどういう通商体制をとるのか、どういう戦略をとるのか、そして、どういう規律を埋め込んでいくことが国民にとっていいのか、国益なのかということを議論するのは、まさに今この国会だというふうに思っております。ですから、TPP11という問題だけに押し込めずに、ぜひ広くて深い議論をしていただきたいと思っております。

 さて、私が挙げたい点としては、TPP11、この二ページの一番というところに書きました。

 TPP11の戦略的な意義という議論はあります。それはそれで重要です。ただ、そもそも貿易協定の目的は何かといえば、当然、経済的な利益を得るという重要な目的があるわけです。当然、分野によってはメリット、デメリットというのがあろうかと思います。

 TPP12から11に変わりましたというときに何が大きく変わったかというと、この二ページ、三ページの図で示しましたが、アメリカが抜けたことで、経済規模そして経済効果が激減しているわけですね。これは政府試算でもはっきりと出ています。

 ですから、改めて、私は、二年前のTPP審議、決して十分ではなかったと思っていますが、TPP11になって一体どういう産業、どういう分野でメリットが生まれるのか、そしてデメリットがあるのか、規模が激減した中でなぜ11をこんなに急いで批准する必要があるのかということは、改めて考える必要があると思っています。

 政府の試算の出し方にはいろいろな議論があって、決して使われている経済モデルだけが私は正しいと思っていないんですが、それにしても、ここに出したように、当初、経済効果は、アメリカを含む12では十三・六兆円、GDPでいえば二・五九%アップすると言われていたものが、11になれば、ほぼ半分に近いような、七・八兆円、一・四九%にしかならない。これを国民にどういうふうに説明しているのかという話です。

 このときに、いやいや、TPPは、経済規模、経済効果は減ったけれども、戦略的な意味があるんだというふうに言われても、国民の実感レベルとしては到底、遠過ぎる話です。わかりません。

 農業に関しては、11のころから影響が大きいということで、対策という話もされてきましたが、なぜか、この何がメリットかということに関しては非常に曖昧なんです。グロスで数字は出ますけれども、じゃ、どういう業種がどういう形でメリットを得るのかということは、政府の試算でも具体的には出せないということなんですね。そのような11というものをこんなに早急に批准してしまうということには、やはり大変疑問を感じます。

 そして、四ページ以降ですけれども、11そのものは12の協定をほとんどそのまま引き継いだ上で、二十二項目の凍結項目で一部停止をしているという形になっています。

 テクニカルに幾つか指摘すると、テクニカルにというか、11に限って評価すると、たくさん疑問はあるんですが、ここに挙げたような、例えば四点ほどの疑問、これは国会でもぜひ議論をいただきたい部分です。

 一つは凍結項目。これは、日本政府は特に何も主張しなかったというふうに言っています。

 他国は、アメリカの市場アクセスができるということの引きかえに、いろいろなものを譲歩したわけです、医薬品の特許の延長とか知的財産とか。しかし、アメリカが出た後は、メリットがないならこちらも譲らないよということで、停止を求めたわけです。これは、国益という観点からいえば当然だと思います。どの国も、やはり国内的な声との調整をしながら、ぎりぎりの交渉をしてきた。ですから、アメリカがいなくなれば、これは嫌だよと。

 そのことを日本政府がしなかったということは、やはり素朴になぜなのか。たくさん譲ってきた部分もあるんだろうと思います。であるならば、この交渉の時点で言うべきだったと思っています。この問題が一つ。

 それから、特に農産品のセーフガードの問題などで、アメリカが抜けたのに変わっていないという問題がいろいろと指摘をされていまして、それに対して政府としては、このTPP第六条では見直し条項があるんだと。

 これは、アメリカが戻ってこないと見込まれる場合には、改めて十一カ国の中で協議をして、いろいろ見直せるんだということを説明されているんですが、この見直し条項の実効性ということについては非常に疑問です。これは、今回の審議の中でも、外務委員会等々でもほかの議員が指摘されている点です。

 それから、新規加入国をどんどんふやしたいという方針でタイや韓国などなどが名乗りを上げているような状況で、これは望ましいというのが日本政府の姿勢なんですが、果たしてそうだろうかという疑問はあります。

 例えば、タイに関して言えば、工業品の関税というのはもうタイ側もほぼ撤廃していますので、輸出のメリットは日本にありません。逆に、農産品の分野で言えば、タイの安いお米が今後入ってくるという懸念があります。こういう新しい国が入ればまた影響は変わってくるということは当たり前にあるわけです。

 このことを政府は、例えば国会の皆さんに対して、どのタイミングでどういう提起をして、そしてその影響をどうはかり、そしてそれをどう承認していくのかという手続的なプロセスですね、もちろんそれは国民にも説明は必要だというあたりも今のうちからきちんと詰めておかないと、知らない間に、どんどんいろいろな国が入ってよかったねという話になってしまったら、実は、その国が日本にたくさんいろいろなものを、農産品であれ工業品であれ輸出をして、影響があるとかということにもなりかねません。ですから、11の議論の際に、このあたりも詰めていただきたい。

 それから、対策予算というものも、この間、この二年で、アメリカがいるという前提で既に巨額のものが使われているわけですね。これはおかしな話で、発効もしていない条約、これに対策をするということで、既に多額の、税金ですけれども、出されている。

 二年前に私も調べたところ、他国でこのように批准もしていない条約の対策として予算を出して使っているという事例は、少なくともTPP参加国の中では見つかりませんでした。これは極めて異例な措置であり、改めて評価していただきたいと思います。

 そして、日米FTAの問題なんですね。これは、正式なFTAになるのかどうかとか、二国間の協議がどこまで動いたかという質問を皆さんがされているのを承知しておりますが、政府としては明確にお答えになっていない。むしろ、大丈夫ですとか、TPP維持は譲りませんという見解が来ています。

 ただ、私もいろいろな情報収集をしている中でいえば、もう交渉は始まっているのかどうかとか、大丈夫です、そういう状況ではなくて、先ほど鈴木先生も指摘されていましたが、既にいろいろな要求は来ていて、そして具体的に交渉する場というのはもう六月にセットされているという状況です。ですから、その枠組みがFTAとか新協議とかそういう問題ではなくて、アメリカが今何を日本に要求してきているのか、これをまずきちんと把握して、分析をして、じゃ、具体的にどうするのかということが早急に議論されなければいけません。これはTPP11と分かちがたく結びついています。

 なぜならば、日本政府はTPPを一方で推進しつつ、アメリカにはTPPに戻ってくるように説得をするというふうに言っています、これは日本のプランですけれども。ところが、アメリカはそのプランというのはほとんど無視して二国間でやっている。この三つの課題というのは分けて考えられないわけですね。

 ですから、ここに挙げました、具体的には四ページ以降に、今後アメリカが何を要求してくるのかということを、いろいろあるんですけれども、わかる範囲で記述をしています。

 六ページ以降に具体的に書きましたけれども、農産物の輸出というのはもちろんのことです。それから、私が気になっているのは製薬業界ですね。

 この間、アメリカの業界団体、製薬団体は、日本が二〇一七年に行った薬価制度改革、これは日本として、主権国家として普通にやったわけですが、これに対して非常に激しく批判をしています。けしからぬと言っています。

 それから、日本が例えばジェネリック薬をできる限り保険の中で適用していくとか、高額なバイオ医薬品を少しでも価格を下げようという話を進めると、アメリカの製薬業界というのはとことん批判をしてきています。

 そして、この上の方に書きましたが、これを日米経済対話の中で議論していくということをもう明言しているわけですね。ですから、早ければ六月にもこの問題は出されてくる。それを見直さなければ日本から投資を引き揚げるぞということまで、アメリカの製薬業界の方は言っている。

 それから、韓米FTA、これは再交渉していました、アメリカと韓国。ここで、結果的には韓国がかなりアメリカに譲歩をした形だったと思っています。この経験は、今後、日本がアメリカから突きつけられる内容というものに、非常に参考になるものだと思っています。自動車に関する要求は、もちろんあるでしょう。

 それから、八ページに書きましたが、為替操作禁止条項、これはTPPの中でも入るんじゃないか。アメリカは、常に、日本の円安誘導政策のようなことを為替操作だと批判して、これを貿易協定で禁止させると言ってきました。韓国はこれをのんでしまったんですね、この条項を入れることを。ですから、日本にとっても危機。

 それから、鉄鋼、アルミとか、いろいろな問題があります。ですから、このことにどう対応するかということを含めて議論しない限り、TPP11の批准というふうにはできない、してはいけないというふうに思っています。

 そして、気になるのは、つい二日前の報道で、八ページの下の方にありますが、日経新聞の報道にこういうことがありました。

 読み上げますが、TPP11では、発効まで米国との二国間交渉に進まない、そういう申合せがある。もし合意を主導した日本がこの約束を破って、批准もしていないのにアメリカと二国間交渉をすれば、一気に信頼を失いかねないと。

 私は、これを見て驚きました。こんな合意があったのかと。これは政府に真偽をぜひお尋ねしたいところですが。もしこれが本当だとすれば、日本は今、大変な袋小路に陥ってしまっているわけです。11の側には、発効するまでアメリカとは交渉しないと申し合わせておきながら、一方では、アメリカからどんどん要求が来て、もう来月には交渉が始まっちゃう、一体どうするんでしょうという話で、これからアメリカを説得するんだとか、TPPのルールを世界に広げていくんだとか、そういう展望というのは、私からすれば極めて非現実であり、そして楽観的であり、日本の今の置かれている状況、この危機等からすれば、かなり乖離していると言わざるを得ません。

 国内関連法に関しては、知財の問題を挙げたかったんですが、ちょっと……

山際委員長 陳述の時間が大分長くなっておりますので、まとめてください。

内田参考人 はい。時間がありませんので、飛ばします。質疑の中で、またよろしくお願いします。

 以上です。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川正春君。

中川委員 おはようございます。中川正春です。

 参考人の先生方には、それぞれの観点から、非常に深く掘り下げて御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 改めて、内田先生からも御指摘ありましたけれども、お話を聞けば聞くほど、しっかり時間をかけて、そして、国民自体も、この問題についてしっかり理解をした上で、いろいろな対策を考えていく、あるいはこれからの日本の将来を考えていくということが定まってくるような、そういうところまでこの問題はしっかり議論をしていかなければならないということ、これを改めて感じた次第でございます。

 その上で、少し質問をしていきたいというふうに思うんですが、まず、頭というか冒頭のところで、アメリカが離脱をして11になった、その上で、アメリカをどうするかという問題があるんだと思うんです。

 先ほども、二国間で交渉していくのか、あるいは、どこまでもこの11の中に戻すということを日本としてやっていくんだということか、これは実は、我々ここで議論をしていて茂木大臣に質問をしても、そこのところは両建てなんです。はっきりしない。はっきりしないままこの問題を進めようとしているという意図というのは、私は今理解をしています。その上に立って、先生方から見られて、この問題をどう整理したらいいか、今の政府の対応でいいのかどうかということ、これをお聞きをしたいと思うんです。

 私も、連休にアメリカに行ってUSTRの関係者とも会ってきましたけれども、あるいは政治家も含めて、TPPには戻らない、二国間でやっていくんだというアメリカの意思表示はかたいように思います。また、トランプ政権の中間選挙を控えた体制から見て、それが現実なのではないかということなんですが、そういうアメリカの体制に対しても、日本の政府というのは、今、さっきのようなことでおさまっているということです。

 それぞれ四人の先生方に、このスタンスについて評価をいただきたいのと、どうすればいいかということ、どうすべきかということ、それの根拠も含めてお話をいただければありがたいと思います。順番に、よろしくお願いします。

中川参考人 お答えいたします。

 私の用意しました配付資料の七ページ目をちょっとごらんいただけますでしょうか。日米でこれから始まる新貿易協議についての日本とアメリカのスタンスの違いというものがここで出ているわけですね。

 今、中川先生の方からも御発言がありましたけれども、アメリカは、あくまでも二国間で日本に対してはいろいろな要求を出していきたいというふうに言っているわけです。これは、しかし、二国間で、単に貿易赤字の削減につながるような、例えば農産物の米をもっと売らせろとか、自動車をもっと売らせろとか、そういう話になるのか、それともFTAを二国間で結びたいという話になるのかはいささか不明確なところがありますけれども、私は、現実的には、二国間のFTAをアメリカが結ぶということを、日本に対して、今時点では本気で考えていないと思っています。

 というのは、アメリカが通商交渉を結ぶ権限となる貿易促進権限法、TPA法がありますけれども、ことしの六月の末で失効します。新しい交渉権限を議会との間で認めてもらわない限り、日米のFTAの交渉は始められないということであります。

 トランプ政権のこれまでの振る舞いを見ていますと、そうではなくて、十一月の中間選挙に向けてアピールできるような、対日交渉でこれだけのものをとったという、具体的な貿易赤字の削減策につながるようなものを言ってくるんだろうということになると思います。

 日本側としては、そういう要求を出してくるのであれば、トランプさんはディールが好きだということなので、その見返りを下さいということを日本は当然言うべきだと思います。見返りが欲しければ、TPPに復帰していただければ直ちにそれは実現しますということを日本は言えるわけですね。

 それに対してアメリカは当然今はノーだと言ってくると思いますけれども、他方で、TPP11のプロセスが進んでいけば、日米で膠着している間に、じりじりと、アメリカにとってはTPPから離脱したことの不利益というものが顕在化していって大きくなっていくという、今非常に、そういう意味でいうとクリティカルな交渉局面ですけれども、あくまでも、アメリカが用意した、アメリカにとって都合のいい土俵には乗らないで、TPPへの復帰を求めるという、日本側がこれまで堅持してきた土俵を貫き続けるということが最善手であるというふうに考えております。

鈴木参考人 私は、先ほども触れましたけれども、二国間の日米FTAのような形にしろ、TPPにアメリカが戻るかどうかにしろ、アメリカからはTPP12のとき以上の内容を日本に要求し、それを受け入れてもらうということをアメリカは求めているわけで、それに対して日本は、アメリカからの要求に応える姿勢を既に続けている。ですから、TPPに復帰するにせよ、アメリカは、TPP12のとき以上の要求を日本にしてくるし、それから、日米FTAになるにしろ、これまで以上の要求をしてくる。

 だから、形はどうあれ、日本が譲り続けなきゃいけないという状況が今できていて、そもそも、日米経済対話等の形で、日本はわざわざ、我が国から、アメリカを訪問したときにそういうものを提案して、日本としてはアメリカの要求に応えますからよろしくお願いしますというような形の外交になってしまっているというところが問題だ。

 例を挙げれば、既に、例えばBSE、狂牛病の輸入条件は、二十カ月齢から三十カ月齢まで、TPPの事前の入場料で緩めさせられました。次、アメリカはBSEの清浄国であるからしてこれを完全になくしてくれというふうに言ってくるのを見越して、日本は、食品安全委員会が既に二年前から、言われたらきょうにでもやめられるように、完全に準備してスタンバイしています。国民には、TPP等を進めることで食の安全性は影響を受けないというふうに言っていますから、これは言えませんけれども、そういうふうにして準備万端整えて、アメリカの要求にいかに応えていくかと。

 先ほどの、米の輸入枠がもう既に六万トンを消化しているというのもそうですし、それから、この間、遺伝子組み換えでないという表示を実質できなくなる方向を日本は示しましたが、これもアメリカから要求されていることと整合性がとれている、その要求に対応するものであるというような形で進んでいる。

 要点は、いずれの形でも、今のような戦略では、アメリカからの要求を受け入れ続けることで、日本の政治、行政の皆さんが自分たちの立場を守るとか、そういうことには役に立っても、国民の利益になっているかどうかが問われている。ここに歯どめをかけられるかどうか、アメリカの要求を聞き続けるだけの外交でいいのかどうかが問われているということではないかと思います。

中嶋参考人 先ほど申し上げましたように、私は、農業に焦点を絞ってお話をさせていただきたいと思います。

 アメリカが離脱したときに、私は非常に残念だと思いました。それは、アメリカが非常に大きなマーケットを持っているからでございます。その可能性を絶たれたということは、今後もう少し考えていきたいなというふうに思っております。

 そういう意味では、復帰をしてもらう方がいいところがあるんですけれども、ただ、その条件として、今の輸入枠とか、それを譲歩しなければならないということについては、私は賛成いたしかねます。当初の12で設定された条件のもとで戻るならば、ぜひとも戻っていただきたいというふうに考えている次第です。

内田参考人 先ほどの説明の中に多くのこと、見方ということは申し上げましたので、この状況は確かに、袋小路という表現をしましたが、そのとおりだろうと思っています。

 じゃ、その中でどういうふうにしていくかということなんですが、やはり気になるのは、この間、アメリカがWTO違反とほぼ思えるような措置を次々出してきているということです、鉄鋼、アルミの問題にせよ。これに対して日本は、どちらかというと、特に強硬な姿勢はとっていません。そのことはどうなのかという問題はあります。

 つまり、一応というか、WTO体制というもので多くの国が、世界百六十カ国以上が合意をしている。これは基本的なルールなわけですね、今、貿易体制の。そこさえも逸脱するような行為に関しては、やはり厳しく言っていくような必要もあるということが一点。

 TPP12にアメリカが戻るかどうか、FTAが始まるかどうか、これはいろいろな解釈、見方があり、断定的なことはできません。

 ただ、一つ備えておかなければいけないなと思うのは、仮にアメリカがTPPに戻ってくるという判断をした際に、トランプ大統領が言っているように、今のまま受け入れて戻ってくるとは到底思えないということです。追加的な交渉、アメリカにとってより有利になれば戻るよと言っていることが実現される危険性です。

 これが、いわゆるTPP11、過去の12以上の要求、再交渉がなされてきたときに日本はどう対応するか。断ればいいよということを政府の方もおっしゃるんですが、せっかく戻ってきてくれるんだったらこのぐらいはちょっと譲歩してあげようかとか、そういう議論に流れていくということを懸念しています。

 だから、ここは、私は九ページに書きました。

 では、国会として、あるいは国民の議論として何が必要かということですが、交渉はするとかしないとか、そういう話じゃなくて、やはり具体的に、ここで挙げたのは、かつての衆参農林水産委員会で決議を出したと記憶しています。これは、日本の国益にとって譲れない線というものを幾つかの項目で、全てではありませんが、一応、レッドラインといって、どの国もやっていますが、交渉に臨むときは、これ以上の線は絶対譲らないよという項目を先に示して国民に理解を得るわけです。

 これは、TPPの審議、基本的に秘密交渉でよくわからなかった時期も、不十分とはいえ、この決議があったことで、国会の議論ということも、いわゆる政府の歯どめということで機能したと思いますし、後でそれがどういう交渉だったのかということを検証することもできます。

 ですから、ぜひこの国会で、来るべき日米FTAないしは日米協議に当たって、じゃ、日本としてはどこまでを最低ラインとしてやるのか、関税の問題はどうなのか、為替条項は受け入れるのか、医薬品の問題はどうなのかというぐらいの項目に落として、やはりしっかりと確認をするということが必要だろうと思っています。

中川委員 十五分という限られた時間でありましたので、時間が来てしまったようであります。残念なんですが、ここで終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 おはようございます。自由党の玉城デニーと申します。

 きょうは、四人の参考人の方々に御参加をいただき、御礼申し上げます。ありがとうございます。

 では、早速ですが、先ほどお話を伺った、それぞれの参考人のお話の内容、それから、お持ちいただいた貴重な資料をもとに、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、昨日から、このTPP11に関する関係法令の整備に関する議論が始まっています。しかし、けさの、この委員会が始まる前の理事会でも、きのう、きょう、あしたという方向性の提案はされていますけれども、参考人の中からも話がありますように、昨日、私は、十分議論するべきである、参考人からの意見も聞き、そしてさらには、関係する所管の委員会でもしっかり議論をし、必要であれば、公聴会も開き、合同審査などもして、TPP12のときでさえ足りなかった中身、それをしっかり国民に説明をするというのは政府の責務であるということもあわせて申し上げた次第です。

 しかし、昨日の質問の中でも、茂木大臣それから堀井外務大臣政務官からは、今まで説明されている以上の説明はありませんでしたし、日米のFTAについては、これは、非公式、公式を問わず、そのような事前協議を持ったことはあるのかということについてもつまびらかにしませんでした。ですから、非常に説明が足りないままこの議論が収束するということは、私からはとても考えられないことなんですね。

 ですから、きょうは、参考人の皆様方には、本当に忌憚のない御意見、お話を聞かせていただきたく、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、中川参考人にお伺いいたします。

 TPP11の拡大、TPP11のその先の世界へということで、将来的な意義についてお話をしていただきました。

 例えば、日本が交渉中の広域FTAですが、EUとのEPA、これは交渉妥結いたしました。そして、今並行して進められていますのはいわゆるRCEPですね、ASEAN十カ国プラス日本、中国、韓国、さらにはオーストラリア、ニュージーランド。こういう交渉がまとまれば、米国へのTPP復帰を求める圧力になるということと、中国もTPP11への参加を検討する流れが生まれるかもしれないというふうにおっしゃっていますが、より自由度の高い、より広範囲に取り組んでいこうとするRCEPとTPP11は、私は相入れるものではないというふうな認識ですが、その件について少し中川参考人のお話を聞かせていただければと思います。

中川参考人 お答えいたします。

 RCEPは、日本の企業にとっては非常に重要なASEANを含んでいますし、中国、インドも含んでいる大事な協定ですけれども、ルールづくりということに関しては、TPPほどの成果は期待できないということは明らかであります。

 したがいまして、RCEPの交渉に加わっている国の中でも、例えばタイであるとかインドネシアであるとかフィリピンはTPP11への参加も同時に求めてきているということであれば、やはりルールに関しては、TPP11の拡大、最終的にアメリカの復帰、さらには中国の参加という形で、ルールのスタンダードセッターとしては、RCEPではなくてTPPを目指すべきだというふうに考えております。

玉城委員 既にTPPに参加している国々にとって、例えば中国は、RCEPの協議はもっと慎重でいい、TPPの方向性を見てからでいいと。つまり、アジアの経済全体を中国がこれから一路一帯政策で更に拡充していこうという中にあっては、TPPの様子は十分見る余裕があるというふうに受け取れる発言をしています。

 さらには、例えば、RCEPに参加する予定でもありますオーストラリアは、このTPPによって、日豪EPAよりも、いわゆる牛肉の関税の削減が大きくなっておりますので、有利になっております。そして、ニュージーランドは、競争力の強い乳製品の対日輸出の拡大も当然、もうこの中では、TPP11の中では十分見込まれるわけですから、いわゆるRCEPが、よりTPP以上のハイレベル、ハイスタンダードな交渉で進んでいくかということは、私はその中にはないのではないかと思うんですね。

 今度は中嶋参考人にお伺いいたします。

 TPP12のときに、TPPが発効された場合、これは農林水産省の試算で出たのは、いわゆる現在の食料自給率三九%よりも格段に落ちるということが発表されておりました。

 しかし、きょうの中嶋参考人の資料の中では、平成三十七年度食料自給率目標四五%ということもあり、その中には、労働生産性、土地生産性、全要素生産性の引上げが必須であるということが述べられていますが、TPP11でもまだ日本の農業全体についての不安は払拭されていない状況にあると思いますが、その中にあってこの食料自給率を上げていくという方策が果たして日本にとれるのかどうかについてお伺いいたします。

中嶋参考人 お答えいたします。

 まず、予測に関しましては、私の承知しているところでは、自給率は同じである、平成二十八年度の値で見たときに同じであるということが政府から出されているのではないかと思います。

 今回の対策、経営安定対策に関しては、ある種の足場固めをして、これ以上は自給率は落とせない、そこから体質強化対策によって自給率を上げていく道筋に乗せていくということが、私は一つのストーリーではないかなと思っております。

 TPP対策はかなり複雑でございますけれども、その合わせわざで日本農業の体質改善、そして自給率の向上を図っていくと理解しております。

玉城委員 このTPP11の参考資料、これは政府が出してきた参考資料ですが、TPP11協定の法整備内容は、TPP12協定の場合と実質的に同一であることを踏まえ、TPP12協定の国内担保法である環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律、TPP整備法、平成二十八年十二月成立を、TPP11協定にも対応できるよう一部改正を行うことで対応しているということで、つまり、二十二項目、この凍結されている現在のさまざまな項目も、アメリカが戻ってくるとすぐTPP12に戻すことができるということが前提になっている書きぶりです。

 先ほど鈴木参考人からは、TPP11は実は12よりも質が悪い、たちが悪いというふうなお話を伺いました。もうかるのはグローバル企業の経営陣だけで、国民にとって、賃金は下がり、失業がふえ、国家主権が侵害され、この国家主権はISDSのところでもお話がありましたが、食の安全が脅かされるとの全国民のTPP反対の声は、これは日本でのTPP反対の主張と同じであるということですね。

 つまり、TPP11はさも12よりも非常に日本にとっては安心である、安全であるというふうに政府は喧伝しているわけですが、しかしそうではないという点について、改めて鈴木参考人からお話を伺えればと思います。

鈴木参考人 御指摘ありがとうございます。

 一つは、先ほども申し上げましたが、アメリカを入れて譲った譲歩内容を、アメリカが抜けても同じ内容を譲っている。ですから、アメリカよりも強いオーストラリア、ニュージーランドのような農業国が、アメリカの輸入枠も含めて、乳製品でどんどん日本を攻められる。日本の打撃は更に増すというような状況があるというのが一つ。

 もう一つは、これは波及効果である。TPP11をやるということは、先ほど来議論になっているように、アメリカが、それならば自分のTPP12で約束させた内容を更に上乗せして日本にやってもらうという要求は、これはセットになっている。ですから、TPP11は単独で見るのではなくて、アメリカがいろいろな形で対日要求を上乗せしてくる、それを何らかの形でセットで受け入れざるを得ないという、この波及効果を含めたものに対してどう考えるか。

 それは、当然の結果として、日本の打撃は、もちろん農林水産業だけじゃないですが、大きくなるということを踏まえて、我々はTPP12のとき以上に対策を考えなきゃいけないということだというふうに認識しております。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさに、これまでも対日年次改革要望書を始めとして、アメリカからの要求は高まる、強まる一方。他方、では日本からはどういうふうな要求をしているのかというふうなことになると、いや大丈夫です、安心です、安全ですと。具体的な話がない中で、きのう茂木大臣は、実はこのTPP11が、アメリカが離脱した後、その経済圏が失われてもアジアに向かって我々は進んでいくんだという話をしていました。

 内田参考人にお伺いいたします。

 資料の中に、アジア諸国へのサプライチェーン形成や金融機関、コンビニ出店などの規制緩和による日本企業のメリット論が辛うじて語られているということですが、これは、鈴木参考人の資料の中にもありますけれども、かつてのアメリカのにぎわった一帯が現在ラストベルトになっているという状況、つまり、国内企業の空洞化を、外に外に向かっていくことによって、日本の中にも日本版ラストベルトが生じてしまうという懸念は、私は非常に大きいと思います。そのことについて内田参考人にお伺いしたいと思います。

内田参考人 御指摘ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、日本の中でも既に起こっている事態というふうにも見れるわけですが、都市に投資や経済活動が集中し、人口も減ってくる中で、地域、地方、農林水産業を営む農山村というのは既に疲弊しつつあると言ってもいいと思います。これがやはり、このTPPのような、やはり大企業に有利なルールづくりが行われたというふうに私は基本的に評価していますが、このルールが導入されることで、地域経済の空洞化、そして、もう人が住めなくなるんじゃないかというようなレベルにまで地域が傷んでいく危険性は非常にあると思います。

 投資が拡大するということ自体はまだ言われておりますが、実際に、都道府県別などで見てみれば、例えば外国の企業が投資をする先というのは、基本的には大都市圏それから中都市であって、例えば人口十万、二十万ぐらいの中核市に今後外国企業がどんどん投資をしてくるということは余り想定できないわけですね。ですから仮に、全体としての投資がふえたとしても、それは都市部に集中するだけの話であって、地域に隅々まで行き渡るような効果には決してならないだろう。

 かつ、加えて、先ほど来指摘があるような、農林水産業、これは非常にTPPで日本が最大譲った分野だと思いますが、ここが持続可能でなくなれば、本当に地域経済は持続可能でなくなるということを懸念しています。

玉城委員 時間も迫ってきましたので、最後に一点、お話をお伺いいたします。

 鈴木参考人の資料の一番後ろに、「「食の安全」新基準」ということで入っていますが、「TPP参加各国からの輸入食品の主な食品衛生法違反」ということで、おびただしい違反の内容が論じられています。

 このことについて、TPPの食の安全、いわゆる食料自給もそうですが、食の安全保障に関するTPPによる懸念について、最後にお聞かせいただければと思います。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 この表を見ていただきましたらわかりますように、TPP12もTPP11もそうですが、まず、食の安全基準が緩められるという問題が一つ大きい。それは特にアメリカなどから、日本の検疫の基準などが非常に厳し過ぎる、極端に言えば、少々大腸菌が入っていても食べろというような形で、日本の世界一厳しい安全基準というものをいかに緩めるか、そういうふうな要求リストがアメリカなどからたくさん出ております。

 それに順番に応えていく、そういうものを小出しにしていくのが日本の戦略になってしまっていますので、食の安全基準は、貿易協定を進めることによって、あるいは二国間交渉、二国間の対応を進めることによって必ず緩められていくという構造になってしまっているということが一つと、もう一つ重要な点は、この表にありますように、今輸入している農産物、今の基準でも非常に危険性が高いものがこんなに入ってきて、検査率が七%で、素通りして我々が食べているということでございます。

 それが、更に貿易自由化を進めれば、もっともっとこういうものがふえて、自給率が下がる。今の自給率が、目標は四五%、それは上げる努力はしていかなきゃいけませんが、実際にはもう三八%まで……

山際委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

鈴木参考人 はい。

 三八%まで下がって、このままいけば更に安い輸入食品に席巻されるような状況を我々は想定しているわけですから、そうなれば、こういうものを更に食べて命が縮むような状況になって、いけない、国内の安全、安心なものをもっと食べたいと思ったときに、仮に自給率が一割になっていたらどうしますか。選ぶことさえできない。その状況を今とめなきゃいけないということだと思います。

玉城委員 ありがとうございました。TPPの危険性が一段と深まったと思います。

 ありがとうございます。失礼いたしました。ニフェーデービタン。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 参考人の皆様には、私どもの視野を広げ、また、それぞれの課題を掘り下げる貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 最初に中川参考人に、TPP11における凍結項目について、なぜ凍結をされたのかについてお尋ねをいたします。

 ISDSの対象を絞り込むことや政府調達に係る労働条件など、米国が強く要求し日本も同調したものの一部が凍結をされたと述べておられましたが、このような凍結項目が決められたのは参加国のどんな事情があったのか、お願いします。

中川参考人 お答えいたします。

 TPP11の交渉プロセスについては、情報が十分公開されておりませんので、私、その間の個々の項目が決まった事情については、率直に申し上げて通じておりません。

 今から申し上げるのは推測でありますけれども、郵便独占に係る急送便サービスの義務でISDS、これはISDSでやはり投資受入れ国として訴えられることを想定して、それは嫌だという抵抗感というのはあるわけですね。

 日本の立場としては、特に、世界じゅうでグローバルに投資を展開するということでありますので、投資受入れ国で、ISDSがなければ、受入れ国の国内裁判所で紛争を解決してもらうということになるわけですけれども、投資受入れ国の国内裁判所が果たして中立公正な判断をしてもらえるかどうかということに対する懸念もあるということで、アメリカと同調してISDSを主張したわけであります。これに対して、受入れ国として抵抗があったということだろうと承知しております。

 知的財産権関係のルール分野は多いと思いますけれども、これはかなりアメリカが主張し、また、日本もそれに同調して高水準の知的財産権保護を主張したわけですから、現行法から見て、受け入れるためにはたくさんの法律改正をしなければいけない国というのが、先進国であるニュージーランドを含めてTPP11の締約国の中にありましたので、それを少し猶予してほしいということだったんだろうと理解しております。

塩川委員 ISDSや知的財産権の関係についてのお話がありました。

 内田参考人にお尋ねをいたします。

 TPP11における二十二の凍結項目について、内田参考人が、TPPの有害条項の代表格と述べておられます。今お話も出ましたけれども、知的財産権の規定も多数あるわけですし、ISDSの問題もあります。

 では、TPP11で有害性が除去されたと言えるのかということと、当然、国内法整備との関係でも問題はないのかということがあるわけですが、この点で、知的財産権、医薬品の特許関係についてお考えのところをまずお聞かせいただけないでしょうか。

内田参考人 ありがとうございます。

 まず、凍結項目について、二十二に絞られたわけですが、その背景には多数あったと思います。

 プロセスは私も承知しておりませんが、途上国側、新興国側からすれば、とりわけ医薬品の特許関連、これに関しては、交渉の時点から非常に反対の声が強くありました。大筋合意をした二〇一五年十月のアトランタでの交渉、私も現場に毎回行っていますのでおりましたが、ここで最後の最後までもめ込んだのが、バイオ医薬品という、新しい生物製剤、医薬品の特許をめぐる規定でした。

 なぜ、これに途上国、新興国は反対するのかといえば、これはとてもシンプルです。命にかかわるからです。途上国では、アメリカの製薬会社が要求するレベルで特許権を強化してしまえば、もちろん、国内法を変えるとかそういうテクニカルな問題はたくさんあったんですが、受け入れられない理由はそうではありません。それが自国の国民の命に直結する問題だからです。

 今、どのメガFTAであれ、二国間であれ、この知的財産、とりわけ医薬品の特許をめぐる問題というのは大変な対立を生み出しているマターです。RCEPでもそうです。

 私、きょう、資料の中で、一番最後のページに、十五ページに写真をつけさせていただきました。これは、RCEP交渉、昨年の七月にインドのハイデラバードで行われたときに私も行きましたけれども、これはTPPと関係ないじゃないかと思われるかもしれませんが、関係あるんです。

 日本政府及び韓国政府は、RCEPの中でも、TPPと同じようなレベルの特許権保護、つまり、WTOのTRIPs協定というものがありまして、それよりももっと保護強化をしよう、つまり、医薬品会社の利益をもっと高めよう、そういうWTOより以上のものを提案しているということがリーク文書でわかりつつあります。このことにインドの人々は非常に抵抗していて、ちょっとショッキングなバナーですけれども、日本と韓国は人々の命をもてあそぶな、こういう厳しい批判というものもあります。

 ですから、こういう形で、ルールを高めたという、企業側からすれば利益なのでしょうが、一方、それは、公衆衛生とかさまざまな公共政策、それから気候変動への対応など、いわゆる国際市民社会が重要としている価値とは非常に対立的になっているということがありますので、日本としては、このあたりを、TPPがいいんだというだけでは、やはり他のアジアの国々、世界の人々に対しての責任という観点からは非常に問題があると思っております。

塩川委員 そういう意味でも、非常に命にかかわる問題だということで、極めて重要、重大だと思います。

 その点で、いや、そうはいっても、この有害条項は凍結しているんだという話があるんですけれども、それが本当にそうなのか、その点についてはどうでしょうか。

内田参考人 済みません、簡潔に。

 まず、有害条項と評したのは、今言ったような、その国々の公共政策だとか公衆衛生だとか人権とか、それから環境保護政策、こういうものにとって有害だという条項という意味です。これは、二十二の条項以外にも、私からすれば、まだ多数、TPPの中にはあります。逆に言えば、たった二十二個しか凍結されなかったのかというふうに思っております。

 ですから、仮に二十二が凍結されたとしても、先ほど来あるような食の安全のものだとか、それから金融のサービス、国有企業等々、まだまだ我々からすれば問題な条項というのが非常に多く埋め込まれております。ですから、このTPPの危険性というのは、若干は解消されたけれども、基本的には変わっていないというふうに思っております。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

塩川委員 続けて内田参考人にお聞きしたいのはISDSの件ですけれども、先ほど、EUはISDSを否定したという話もありました。

 TPP11で、先ほども出た凍結項目としてISDSの話も出てくるわけですけれども、TPP11において、ISDS条項のいわば危険性というのは払拭されたのかということについてお聞かせいただけないでしょうか。

内田参考人 ISDSは、現時点で累積して、特に九〇年代、二〇〇〇年以降、約七百六十件ほど、世界じゅうでさまざまなケースがあります。そのほとんどは、先進国政府の企業が途上国政府を訴えるという構図が基本的なパターンであります。

 ですから、TPPの中では、先ほど中川参考人からもあったように、主に途上国、新興国の政府がやはり提訴の危険というものを重々わかっているわけですね、みんな。ですから、凍結として要求したのだろうと思っております。

 その意味では、私は、凍結項目におけるISDSの、一部の縮小ですけれども、これは、途上国政府がやはり辛うじてTPPの中で奪い返したぎりぎりの線だったんだろうと思っております。

 日本にとってはどうかといえば、特段の変化はありません。これは、たしか凍結の中で、投資の定義というところで中央政府というところに限っていたと思いますけれども、逆に日本が訴えられなくなるじゃないかという声が、日本の企業が途上国政府を訴えるツールがなくなったんじゃないかという意見がありますけれども、逆に訴えられるリスクが減ったかといえば、特段減ってはいないというふうに思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、鈴木参考人にお尋ねいたします。

 TPP11の影響試算のことについてお尋ねしたいんですが、政府は二〇一七年末にTPP11の影響についての試算を出しましたけれども、これは本当に国内対策の検討に使えるのか、恣意的ではないのかという意見をお聞きするわけですけれども、鈴木参考人のお考えをお聞かせください。

鈴木参考人 私の資料の四ページにもございますように、この影響試算というのは、本来は、これだけの影響が出るということをまず計算して、であるから、どれだけの対策が必要かという順序で進めなきゃいけないはずですが、それを、影響がないように対策をするから影響はないということで計算しておりますので、これは対策を検討するための影響試算にはなり得ないということだと思います。

 例えば農産物の価格が十円下がったら、そのためにそれを相殺するだけの政策はやるから生産量も所得も変わらないんだという計算方法でございます。それでは本当の影響というのは見えない。もしそれを正当化するのであれば、その十円下がったときにどういう対策をやるからその十円が相殺されて生産量と所得が変わらないのかについての根拠を示さないといけない。

 そういう意味で、まず、対策を入れ込んだ影響試算ではなくて、対策をしなければどういうことが起きるのかという純粋の影響というものを示してから議論すべきである、これが基本的な視点ではないかというふうに考えております。

塩川委員 その場合、その対策をしなければどのような影響が出るのか、これをきちっと出すことが必要だというお話ですけれども、こういう点について政府に出せという要求をするのは当然のことでありますが、同時に、識者の方から、そういう、対策をしなければどういう影響が出るのかという試算というのは、何らかお示しできるものがあればお示しいただけないでしょうか。

鈴木参考人 私どもでは、TPP12のときに独自の影響試算をして、政府試算とは全く違う、七倍の数字、一兆六千億円の被害が出るという数字を出しました。これは、基本的にはTPP11になっても変わらない、あるいはそれ以上であると考えなきゃいけない。つまり、TPP11をやるということはTPP12以上の内容を結果的に受け入れるわけですから、少なくとも、TPP12のときの打撃が出るということをまず踏まえる必要が出てくる。

 ですので、改めてTPP11だけを切り取って影響試算をすることも可能ではありますが、私はそれを今のところはやっていません。それは今のような理由からでございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 もう一点お聞きしたいのが、TPPがそもそも何のために行われるのか。TPPの本質について、やはりアメリカのグローバル企業の要求、便宜供与の問題があるという話、鈴木参考人もおっしゃっておられます。そういう点についてのお考えと、あわせて、このTPPというのは日本のグローバル企業のアジア等における利益追求にも応えるものとなっているのではないのかと思うんですが、そのこともあわせてお答えいただけないでしょうか。

鈴木参考人 御指摘のとおり、アメリカのグローバル企業、先ほど来出ています製薬会社さんとかが、人の命を縮めても自分たちがもうけられるようなルールをアジア太平洋地域に広めたい、これが端的なTPPの本質ですね。まさにグローバル企業、それが政治家とお友達になって、お友達企業への便宜供与と世界の私物化という現象が起こっている。極端に言えばそういうことだと。

 それは日本のグローバル企業にとっても同じことで、おっしゃるとおりでございます。日本の企業が、あるいは小売企業がアジアに行って、直接投資が更に自由化されれば、どんどん展開できる。それによって日本のグローバル企業の経営陣の利益もふえます。しかし、現地の人たちは安く働かされる。そして、日本の国内では、国内の人々が結局安い賃金で働くか、あるいは失業して、例えばベトナムの方々の賃金は日本の二十分の一から三十分の一ですから、そういう方々が更にふえる、あるいは企業が出ていく。

 いずれにしましても、グローバル企業の経営陣にとってのメリットは、それは日米ともにあることは間違いない。しかし、それが一般国民の九九%の方々の生活をプラスにするかというと、それは逆行してしまう。ここをどのように調整できるのかということが問われているんじゃないかというふうに思います。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

石原(宏)委員長代理 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、参考人の四人の先生方、大変御多忙のところ、なおかつ早朝から当委員会に御出席いただきまして、そしてそれぞれの立場から貴重な御意見を示していただきまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。

 時間が十五分と限られておりますので、角度を絞ってお聞きしますので、御答弁いただけない、そういう参考人の方もいらっしゃるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。

 まず、TPP協定の意義と評価につきまして中川参考人にお尋ねをしたいと思うんです。

 本協定の意義について、当委員会が始まる前に、既にこの国会でも、安倍総理が予算委員会で次のように答弁されました。単に関税を下げるだけではなくて、知的財産の保護、環境、労働規制、そして国有企業の競争条件の規律など幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールをアジア太平洋地域につくり出すんだ、こういうことを述べられているんです。

 参考人の中川先生は、11の前にTPP12の大筋合意が二〇一五年十月五日になされたんですけれども、それを受けて、きょうの資料ではないんですが、学士会会報という中に「TPP締結による成果と展望」という表題の寄稿をされておりました。その中で次のように述べられておりました。

 TPP交渉参加国は、TPPに高水準の貿易・投資の自由化と広範囲で高水準の貿易・投資ルールを盛り込み、TPPを二十一世紀のFTAのモデルにすることを目指してきた。大筋合意と同時に公表されたTPPの概要を見る限り、この目標はおおむね達成されたと評価できる。

 こういうようにその中で言われているんです。

 これはTPP12のときの大筋合意を受けてこういう表現をされたんですが、今回はアメリカが抜けたTPP11なんですが、こういうものも含めても、今この寄稿の中で使われた、二十一世紀のFTAのモデルである、こういうものとして中川参考人はこのTPP11も評価されているのかどうか。内容も含めて、どういうところをそういう観点で評価されているのかということについても御答弁いただければありがたいと思います。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

中川参考人 お答えいたします。

 配付しました資料の五ページにかいつまんで書きましたけれども、先進的な貿易・投資ルールをTPP12は盛り込んでおります。11になったことで、資料の六ページ目ですけれども、凍結項目が出ましたルールに関しては、そういったものが十幾つかあるわけですけれども、全体が二千条ぐらいの条文の中で十幾つかというのは一%ぐらいのことですので。

 戻りまして、その五ページに掲げました先進的な貿易・投資ルール。これはグローバルな供給網の円滑な運営のためには不可欠のものでありますけれども、そのルール、TPPのルールは、ほぼ完全に実現することになると考えております。

佐藤(茂)委員 それで、中川参考人にもう一問お聞きしたいんですけれども、その前の三ページ、きょうの資料の三ページに、これはボーイングの787のサプライチェーンのことを例として出されております。私もこの日本の会社の製造工場に行ってまいりまして、この主翼というものがいかにしてつくられているのかというので、今から十五年ぐらい前に拝見いたしました。その後、ボーイングのアメリカの工場も行かせていただいて、どういうようにそれが具体的に製品になっていくのかというのを見させていただいたことを、きょう見ながら思い出していたんですけれども。

 中川参考人の論のポイントになるのが、サプライチェーンのグローバル化が急速に進んできたというのが、この通商の秩序の中で、非常にやはり、歴史的文脈の中できちっと捉えておかないといけないことだという論を一貫して展開されております。

 一九九〇年代ぐらいから、特にこのサプライチェーンのグローバル化というのが急速に進んできたんだ、それに対して、きょう時間がありませんので概略して言うと、WTOはなかなかそういうことに対してきちっとした機敏な対応がとれなかった、そういうことを一貫して言われているんですが、こういう広域のFTAであればそういう需要に対してきちっと対応していける、そのモデルとなるのがこのTPPである、そういう考え方かなというように、幾つかの中川先生の論文を拝見いたしまして伺っているんですが、そのとおりで間違いないのか。

 このサプライチェーンのグローバル化というキーワードについて、更に教えていただければありがたいと思います。

中川参考人 どうもありがとうございます。

 TPPなり広域FTAが最終解であるとは考えておりません。あくまでも、やはりWTOで全てグローバルに近い形でこういったルールが展開して実現するということがないと、現在のグローバルなサプライチェーンに加わっていない国というのは多数あるわけですね。それは多くの場合、途上国で、後発途上国だと思いますけれども、そういったところはグローバルサプライチェーンの恩恵に全くあずかれないということになりますので、あくまでも最終目標は、WTOにそういったTPPなんかのルールを実現していくことだと思っていまして、TPPはそのための第一歩であるというふうに受けとめております。

佐藤(茂)委員 それでは、続いて中嶋先生にお尋ねをしたいんです。

 中嶋先生は、きょう意見陳述の中でも述べられておりましたが、一年半前のTPP協定等に関する特別委員会で、平成二十八年の十月二十一日に参考人として意見陳述をされているわけでございます。

 そのときに言われたのは、農業分野だけに限ってもTPP協定は数多くの分野に影響を及ぼすものであって、そういうことを踏まえた上で、TPP協定がもたらす懸念と可能性をそれぞれ適切に把握した上で、前者の懸念をできるだけ小さくして、後者の可能性の領域をいかに広げていくかということが今後の取組のポイントであるということを述べられた上で、その上で、TPP協定の影響と成果については、協定の内容と国内対策の両方を政策パッケージとして一体で評価すべきだ、そういうように言われておりました。

 その後、その前から中嶋参考人が取りまとめにかかわられた食料・農業・農村基本計画もございましたし、さらに、政府としては、総合的なTPP関連政策大綱、これも、二十七年そして二十九年と改訂版が決められて実施をされてきておりますし、さらに、きょうの意見陳述でも言われておりました農業競争力強化プログラムを決定づけされたりしているんですけれども、一年半前に言われていた、協定の内容と国内対策の両方を政策パッケージとして一体で評価されたときに、参考人としての御意見として、特に国内対策の面、さらに両方を見ての政策パッケージとして、TPP協定及びそれに関連する国内政策についてどういうように評価されているのか、参考人の御意見を賜ればありがたいと思います。

中嶋参考人 お答えいたします。

 私は、一年半前に考えたことと基本的にスタンスは変わっておりません。今御指摘いただきました一体的パッケージの仕組みとしては、今でも有効であるというふうに思っております。

 外的環境の変化といたしましては、先ほど申し上げたように、輸出がふえてきている。そういった条件整備がされたことで、このパッケージとしての力は一段と高まっているのではないか。

 特に私が指摘したいのは、今、日本の農業が担い手不足等で縮小しかねないというところに、このTPPの対策を使って、基本計画で示したような方向に構造改革を進めていければというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 そこで、もう一つ、今御答弁されたことに関連してお聞きしたいんです。

 このときも言われたと思うんですが、日本の農業にとっては、やはり人口の減少というのが非常に大きなマイナスの影響をもたらすんだと。それによって国内の食料消費が減少し続けることもありますし、さらに、生産年齢人口がますます減って、今おっしゃいました担い手不足ですね、人手不足が深刻になるということが予想されるわけです。

 そこで、このときも言われていたと思うんですが、農業界だけではなくて食品産業界等も一体となって、マーケットがそういう人口減少なんかに伴って縮むのに任せておくのではなくて、生産現場の強化に続いて、きょうも言われていたと思うんですが、バリューチェーンの構築であるとかあるいは需要フロンティアの拡大、こういうことによって行うとか、あるいは、成長する海外市場への輸出とともに介護職などの新しいマーケット、そういうものもつくっていくべきであるということを、示唆にあふれる提言をされていたと思うんです。

 それから一年半たった現段階において、やはり日本の農業を更に育て、強くしていくために、この対策を具体的に国内として更にやらなければいけない、そういう対策というものをどのように考えておられるのか、参考人にお尋ねをしたいと思います。

中嶋参考人 お答えいたします。

 世の中は大変変わってきております。それに合わせて、食をめぐるさまざまな課題が一段とふえてきております。先ほどの介護職等は高齢化問題に対する対策であると思いますが、マーケットを拡大することも含めて、新しい食を提案するためのいわゆる知財戦略、安全対策やそれから認証制度、そういったものの強化というものが非常に重要視されていると思います。それについて政府も万全な対策をとっていると思うんですが、国際的なルールも含めて、一層の拡充を私は期待しております。

佐藤(茂)委員 それで、最後にもう一回、中川参考人にお尋ねをしたいんです。

 きょうも、資料の七ページで、米トランプ政権との関係ということで述べられているんですけれども、TPP11を、米国の圧力に対抗する盾になる、そういう守りだけではなくて、私自身の意見で申し上げると、やはりアメリカに日本のぶれない姿勢を示すためにも、TPP11発効に向けたプロセスを着実に進めていくことが大切ではないかというように思っているんですね。

 やはり、日本はこれまでどおり一貫して、アメリカにTPP復帰を求めながらも再交渉には応じないんだ、そういうメッセージを伝え続ける、この必要があるのではないかなというように私自身は思うんですが、これからのアメリカ・トランプ政権との対応について中川参考人の考えておられることがあれば、御示唆いただければありがたいなと思います。

中川参考人 TPP11は、現段階で署名が終わっただけですから、現実には条約として発効していません。それを、いわば架空の存在を盾には使えないところはありますね。これが実際に発効、早ければ年内、年明けぐらいにもということでやりますと、日米協議は恐らく年越しになると思うんですが、そういう中で現実の盾とするためには、まずは発効というのは当然だと思います。

佐藤(茂)委員 大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 以上で終わります。

山際委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 どうも皆様、きょうは、大変お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございます。立憲民主党の山崎誠でございます。

 多くの質問がまだありますし、これまでも出てまいりました。私も、ポイントを絞って幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 早速質問していきたいと思います。

 まず、内田参考人にお聞きをしたいと思います。

 一番初めにおっしゃっていただきました、十分な審議をというのは本当に同感でございまして、まだ審議は始まったばかりで、きょうも大変貴重な意見をいただきました。参考人の皆様の持ち時間も短くて、まだまだいろいろな論点を恐らくお話しいただきたかったと思いますし、皆さんもお持ちだと思っております。

 そういう中で、これから十分な審議を、ぜひ委員長、あるいは委員の皆様、確保していくことを、お願いをまずさせていただきます。

 内田参考人のお話の中で、途上国あるいは一般の市民の、国民の目線でこのTPP11を考えなきゃいけないという御指摘がございました。この指摘は大変私も重要だと思いまして、今、日本の国内の世論の盛り上がりというのは非常に低い関心と思います。そういった意味で、まだまだ議論が公になる必要があると思うんです。

 きょうのお話の中で、ちょっと、恐らく時間がなくて触れられなかったと思うんですが、国民目線ということでいくと、やはり食の安全、安心というようなテーマが非常に重要で関心のあるテーマだと思っております。

 その中で、いろいろ、第七章の衛生植物検疫、SPS措置とか、あるいは検疫の問題等も別な論文で御紹介いただいていると思うんですが、そのあたり、食の安全に関する問題点等について補足で御意見をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

内田参考人 ありがとうございます。

 TPP協定始め、今いろいろな国がやっているメガFTAというのは、貿易協定ではあるんですが、貿易協定というとやはり物の貿易というだけに思われがちなんですが、私自身は、グローバルな規制緩和ですね、ルールのことに関しては、やはりそのルールを統一していくんだということで。

 しかも重要なのは、これは、例えば政府の規制だとかいろいろな法令を強化する方向には行かないわけですね。企業にとって経済活動が自由になるように、より緩めるということだと思います。その意味では、食の安全、安心に関しても、やはり規制緩和がどんどん進んでいくということを懸念しております。

 鈴木参考人からもいろいろな御意見が出ましたけれども、例えば、やはり検疫の体制、これはTPP協定の中で、SPSではなくて、TBTという、貿易の技術的障壁という章で行われているんですが、これは、輸入品を原則四十八時間で必ず入れなければいけないということが規定されています。

 先ほどもあったように、現在でも日本の検疫体制というのは非常に十分ではなく、さまざまな問題なものが入ってきているという中です。だから、むしろTPPを批准するというのであれば、検疫体制は強化しなければ、とても、でなければ対応できないわけです。ところが、そういう措置が実際にはとられていないという問題ですね。

 それから、やはり遺伝子組み換えの問題、二年前も非常に審議になりましたけれども、例えば、TPPの第二章の内国民待遇及び物品の市場アクセスというところでは、未承認の遺伝子組み換え食品、穀物ですね、これがわずかに混入していた場合の措置なんですけれども、これまでは、違法だからということで出した国の側に突き返すということができたわけなんですが、今後はそこが緩められて、一旦協議をしましょうというような位置づけになると我々は解釈をしています。ちょっとまだまだあるんですけれども、具体的に。

 あと、アメリカが参加しなくなったことで、遺伝子組み換えが入ってこないから大丈夫だろうというような、何というか安心の声みたいなものも逆にあるんですが、そんなこともなくて、カナダは遺伝子組み換えの輸出大国であります。当然、TPPに残っているわけですから、遺伝子組み換え食品の増加という懸念が払拭されたとは決して言えないと思っています。

山崎委員 ありがとうございます。

 私も論文を拝見しまして、今までが予防原則であったものがリスク分析主義になって、リスクを証明しなければ、そのリスクをとれというような、原則が変えられるということの怖さ、それも、我々が持っているものを、外圧というか、外から強制的に統一させられるという怖さを非常に感じます。やはりこれは、食の安全、命、あるいは人類のいろいろな、生物多様性とかそういう問題でございますので、私は、こういった点はやはりTPPの中の大きな問題点の一つということで認識をさせていただきました。

 それから、鈴木参考人にお伺いをしたいと思います。

 以前もいろいろな貴重な御意見をいただいておりまして、私が一番共感をさせていただいているのは、やはり日本の農業の非常識さということでございまして、食を守らない日本というその姿、あるいは農業の多面的な価値の重要性、そういったものをきちっとやはり位置づけた上で農業の政策を考えていかなきゃいけないという御指摘は本当に貴重なお話で、TPP以前のお話かなとも思っておりましたが、そういったことというのは、今、このTPPで議論している自由貿易とか市場原理とか、そういったものとは乗らない価値で、より上位の価値として大事にしなきゃいけないと思っています。それが今回TPPによって壊されるという御指摘だと思うんです。

 先ほどもグローバル企業への便宜供与で世界の私物化というお話があり、要するに、グローバル企業の活動というのが農業の例えばそういった価値に影響を与えているんだというお話だと思うんですが、これはTPPの話だけではなくて、例えば種子法の廃止というようなお話もございました。

 こういったことと組み合わせて、日本のそういう農業の基盤が揺るがせられてしまっている、そういう現状が、私は大変な危機感がTPPの議論とともにあると思うんですが、そのあたり、少し言及いただけますでしょうか。

鈴木参考人 議員の御指摘のとおりで、いろいろな政策、方向性がセットになって、貿易の自由化、それと国内の規制改革という名のもとのルールの撤廃ということが、どんどん国内の農林水産業の、特に家族農業経営を追いやるような状況が今進んでいる。

 言及いただきました種子法も最たるもので、まさにアメリカ発のグローバル種子企業が、日本の国民が食べる米も遺伝子組み換えにしたい、そういうことで、そうなると、国がお金を出して安全、安心な優良な種子を安く供給する、こういう体制が邪魔であるということになって、種子法がいつの間にやら廃止される。これは種の値段を下げるのが目的だと言われましたが、民間の種は、今、奨励品種の十倍もしている、米の種が。ですから、種の値段が下がるわけがない。

 関連法では、今まで県の試験場が培ってきた種とその情報をただで民間企業に差し出せと書いてある。平昌オリンピックでイチゴの種が問題になったのに、種子法に関しては、米麦の種をただで企業に差し出せと書いてあるわけですよ。

 こんなことをやれば、グローバル種子企業はぬれ手でアワで、ただで材料を得て、それを遺伝子組み換えをちょっとして、高く売りつけてくる。それを日本の農家は買わざるを得ない。日本の国民は、そういう遺伝子組み換えの米を食べざるを得ない。まさにグローバル企業による日本の国民の植民地化ですよ。こういうことがどんどん進んでいるわけです。

 これは漁業権の開放でもそうです。沿岸漁業権を全部企業に開放すればいいと。どこの国が買うかわかりませんよ。制海権を失うような状況ですよ。

 だから、こういうことを進めて、日本の食料と、国民の命と環境、地域、国境を守っている産業をこれ以上ずたずたにしてしまったら、私たち国民の命と健康と国土、それから主権というものは本当に維持できるのか、そういうことが全部総合的に今進められている。そこの点を問題にしなきゃいけない。御指摘のとおりだと思います。

山崎委員 ありがとうございます。

 本当に、単に市場で競争をして勝つ負ける、そのためにマルキンの制度で補助をするからいいだろうという話ではない、もっと構造的な変革が起こっているというところに焦点を当ててTPPも議論をしなきゃいけないという認識でおります。恐らく、鈴木先生の御指摘もそういったところにあるのではないかなと思ってお聞きをしておりました。ありがとうございます。

 お時間が限られるので最後の質問になりますが、中川参考人に最後にお聞きしたいと思います。

 TPP11の話をしているときに、中小企業の皆さんが大変喜ぶんだと。輸出をする際のいろいろな障壁というか不安材料をこのTPPが取り除いてくれるので大変喜ばしいというメリットをお話をされるんですが、TPP11自体を切り出して見たときに、例えば、その対象国、相手国でもありますし、それが、例えばアメリカの入っていないこのTPPの世界の中で、どれだけ中小企業の皆さんに期待するようなメリットがあるのか、それについて私はすごく疑問がありまして、そのあたり、どうでしょうか。

 ちょっと中小企業の皆さんのメリットについて、このTPP11をベースにしたときにどうなるか、お聞きいたしたいと思います。

中川参考人 お答えいたします。

 先ほど来、グローバル企業という言葉が使われていますけれども、グローバル企業イコール大企業ではありません。グローバルに供給網を展開する必要があって、メーカーもそうですけれども、部品メーカーも含めてということになると、中小企業にも当然同じTPPルールの恩恵が及んでいくことになります。

 ただ、中小企業の皆さんがそれを活用できるかどうかということは課題ですから、日本政府も、ジェトロ等を通じて、TPPあるいはTPP11を中小企業が活用してグローバルに事業展開していくというためのサポートをさまざま展開されているというふうに理解しております。

山崎委員 あと、中嶋参考人に最後にお聞きをします。

 参考人のお話の中で、国内農林水産物や食品の輸出の伸び、あるいは訪日外国人観光客の増加というのを指摘されて、そういうものにTPP11が与えるインパクトがあるんだというお話だったんですが、これがどのぐらいの影響力があるのか。

 私は、このTPP11が、では観光客にどのぐらい影響があるんだというのは、それほど大きくない。それが全体の農業に与える影響というのはまた更にその先で、それほど大きくないと思うんですが、そのあたり、いかがですか。

中嶋参考人 私が先ほどお話ししたロジックとしては、インバウンド観光が伸びていることが輸出につながるということで、TPPそのものがインバウンド観光にどのぐらいの影響を与えるかということに関しては、実は余り述べておりませんでした。

 私はあるのではないかなと思っておりますけれども、ただ、今の為替レートの問題とか、それから日本の政府が行っている観光振興、これが今じわりじわりときいてきていて、今のインバウンドの拡大というのが進んでいるというふうに思っております。

 私は食のことを特に注目してお話をしたんですが、実は経験、体験というのは非常に大きなインパクトを持っていると思っておりまして、これは数量的にどのぐらいあるのかと言われると、ちょっとお答えしがたい部分があるんですけれども、やや中期的な視野で見ると、かなりのインパクトがあるのではないかなと期待しております。

山崎委員 ありがとうございました。以上で終わります。

山際委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 国民民主党の源馬謙太郎と申します。

 きょうは、参考人の皆様、大変お忙しい中、早朝からおいでをいただきまして、また貴重なお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。

 参考人の皆様のお話を伺っていても、つくづく思ったんですが、やはり、TPP12が11になったということで、政府の進め方を見ると、私は、中身はほとんど変わらないんだ、12が11になったんだ、だからそんなに多くの審議時間を費やさなくても審議を済ましていくことができるんじゃないかというような、そういった側面も見てとれるというふうに思います。

 参考人の皆様のお話を伺っていると、それぞれの方の御意見は違うと思いますが、12が11になったことでその意義も大きく変わった、意味合いも大きく変わったという方もいらっしゃれば、大切だというそのTPPの意義自体は変わっていないんだという方もいらっしゃったかと思います。

 そこで、あえて、まず四人の参考人の皆様にそれぞれ、TPP11になったということ、12から11になったということの受けとめを、それぞれどう評価されているかということも含めて、お考えを聞かせていただきたいと思います。

中川参考人 TPP12からアメリカが抜けまして、それによってTPP12が発効する条件は絶対満たさなくなって、TPP自体はもうほぼ死んだという状態だったわけですね。それを復活させたというのが最大の功績だと思っています。TPP11が、凍結項目、幾つかルール面で含んでおりますけれども、供給網のグローバル化にとって必要な大事なルールは全部TPP11で引き継がれているという点は、先ほど申し上げたとおりであります。

鈴木参考人 私の受けとめ方は、先ほども申し上げましたけれども、TPP11をやるということは、TPP12のときにアメリカが要求していた内容以上のものを最終的に受け入れざるを得ないし、日本はその準備を進めていると。

 だから、TPP11をやるということは、TPP11プラスTPP12以上のアメリカの要求イコールTPP12のとき以上の日本の打撃、こういう算式になりますので、これはそのことを踏まえてきちんと検討しなきゃいけないということであると思います。

中嶋参考人 事農業のことに関して言いますと、私は、TPP12もTPP11も、期待される効果を発揮するのではないかなというふうに思っております。

 ただ、アメリカが入らないということになりましたので、先ほど申し上げたとおり、国内対策としてはやりやすくなった。その間に日本の農業を更に発展することで、将来に向けて備えもできるのではないかなと期待しております。

内田参考人 私は、経済規模の問題等々、今回指摘しましたけれども、基本的には、TPP12から11になったことによって、やはり、二国間を志向しているアメリカにとっては、これが牽制することにはならず、かえって、では日本からより多くのものを引き出そうと、逆にすごく刺激をしてしまうような役割を果たしてしまっていると思います。その意味では、日本にとっては危険度が12のときよりも増したというふうに考えております。

源馬委員 ありがとうございます。

 それぞれ御意見がある中で、中川先生が、サプライチェーンのグローバル化においての重要性の観点から、こうしたTPPのような枠組みというのは非常に重要なんだというようなお話をされていまして、そういったロジックでいうと、やはりアメリカが入った方がいいんだというような御主張だというふうに思います。

 一方で、鈴木先生も、中川先生と御意見が違うんですが、TPP12よりも更に11は、アメリカが抜けて日本にとってよくない状況になるのだから、だったらアメリカがやはり入った方がいい、そこは同意見なのかなというふうに思いました。

 お二人に伺いたいんですが、そういった意味で、アメリカが再び戻ってくる可能性があるとお考えか、また、そのためにはどういった条件が整うことが必要だとお考えなのか、伺いたいと思います。

中川参考人 今の大統領のもとで、しかも中間選挙の前に戻ってくることはまずあり得ないというのが現実的なところだろうと思います。

 ただ、最終的に、TPPのルール面を含めたメリットということを今の政権なりにきちんと理解してもらえれば、それは当然戻ってくるということ、もともとこれはアメリカのプロジェクトであったということも思い出してほしいということを思っています。

 ただ、TPP12で、ではアメリカが入ったらそれでおしまいかということではなくて、日本企業が展開しています中国、ASEAN、インド、さらにアフリカ、中東、中南米と、グローバルルールに持っていく必要があって、最終的にはWTOに移していくということが必要と考えております。

鈴木参考人 私が申し上げたかったのは、アメリカが戻った方がいいという意味とは少し違いまして、アメリカが戻る場合には、アメリカが以前のTPPのときに要求していた以上のものがとれるということがわかったときに戻ってくるということですので、それはそれで日本にとってはよくない。そこからわかるように、アメリカがTPPに戻る可能性は、アメリカにとってTPP12のとき以上の利益があるということがはっきりしたときだろうというふうに考えます。

 それから、そうでなくても、先ほど紹介した、ハッチ議員が製薬会社さんから五億円もらってルールを、新薬の特許をもっと保護しようというようなことを進めている、そういう、企業と結びついた多くのアメリカの政治家の皆さんは、今でもTPP型のルールをやりたくてしようがないわけですね。そういう方々が、トランプ政権の中枢の意向とは違うわけですので、そういう方々の力がどこの時点でもう一度出てくるかということが一つの鍵になろうかと。

 そういうのをとめるためには、私は、RCEPというものをもっと、アメリカ抜きの間にきちんと、柔軟で互恵的でその国々の発展につながるような、お互いに認め合って利益があるような柔軟な協定にしましょうというRCEPを本来の姿できちんと中国や日本が推進して、そういうものを広げていくという形を早く進める必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

源馬委員 ありがとうございます。

 今もお話を伺っていると、先ほど内田参考人がおっしゃっていましたけれども、まさに袋小路に日本は入っていて、非常に難しいのかなということを改めて実感をいたしました。

 アメリカがTPPに戻ってくる条件としては、やはり今よりもアメリカにとって有利なものにならざるを得なくて、一方では二国間をごりごりと進めてきている、そういった状況の中で日本がどうそれに向かっていくのかという非常に大きな課題を今突きつけられているなと思います。

 改めて内田参考人にお伺いをしたいんですけれども、この状況の中、袋小路に陥ってしまっているという状況の中で我が国がまずどうすべきなのか。特に、先ほどお話がありましたけれども、米韓のFTAからの教訓というか学ぶべきこと、それに向けた日本の、この日米の二国間に向けた対策というか取組方、何か御示唆があれば教えていただきたいと思います。

内田参考人 大きな点でどうすればいいかというのは、私自身が答えを出せるほどの問題ではなくて、物すごく大きな問題、まさに、ここにいらっしゃる国会議員の皆さんが、委員会を超えて、通商交渉全体をどうするのかという議論をしていただきたいというふうに思うことが一点です。残念ながら、日本には、横断的な通商交渉政策を考える、議連のようなものでしょうか、そういったものがまだないのではないかと思っております。

 ずっと日本の中では、貿易交渉というと、どうしても物の貿易の問題だという理解に結果的に落とし込まれる傾向なんですが、実は今、本当に貿易交渉の現場で一番問題になっているのは知財だと申し上げましたし、それから電子商取引ですね。これからデジタル経済が始まるという、まあ始まっておりますけれども、そういう中で、労働者がいなくなるとか、あるいは、一部では3Dプリンターというのが今後入ってくる。そのときに国境を越えて物が一応移動するわけなんですが、それはデジタルでもあって、それは関税をかけるのかどうかとか、そういう次元の議論も進んでいるわけですね。ですから、サービス、投資等含めて、ぜひ広い議論をお願いしたいと思います。

 私は、当面、米韓FTAの経験というのは非常に参考になると思っています。ですから、これは情報収集をして対応を考えるということがまず必要だと思いますし、繰り返しますが、アメリカとの関係においては、もう何が要求されてくるかということはかなりの精度をもって予測できるわけですね、いろいろな情報収集や分析をすれば。ですから、ぜひ具体的に、国会の中で、この項目を言われてきたらここまではどうするんだということを挙げて、やはり、先ほど言ったような決議というような形で確認をして、国民に約束をしていただきたいというふうに思っております。

源馬委員 ありがとうございます。

 先ほども御指摘がありましたけれども、このTPP11になってからの審議が本当に時間も短くて、国民の関心もやはりかつてのTPPのときよりも大分薄れてきているなというふうに思います。

 だからこそ、国会での審議がなかなか思うように尽くされていないという側面もあると思いますが、やはり一般の国民の皆さんにとって、もし自分が、例えば農業を営んでいたりとか輸出業にかかわっていたりとか、何か関係すれば非常に関心は高いと思いますが、そうではない人たちにとって、ほとんど関心も持てずに、また、やはりそうした知財のことなんかも、電子商取引もそうですけれども、なかなか想像もしにくいと思うんですね。

 そういったところから、国民的な意識というか、それを上げていかなくてはいけないと思うんですが、また内田参考人にお伺いしたいんですけれども、これまでもいろいろなところでお話をされてきたと思います。危機感も訴えられてきたというふうに思います。もちろん、その対象者が政治関係者であったりとか専門家であることが多かったかもしれませんが、一般の国民の皆さんに、今のTPP11の状況と、日本が袋小路にいるというこの危機感をどう持ってもらったらいいか、これまでの御経験を踏まえて教えていただきたいと思います。

内田参考人 ありがとうございます。

 確かに、率直に申し上げて、二年前のときよりも、全体的なTPPへの関心、危機感というのは弱まっていると言わざるを得ないと思います。これは、我々のようなNGO団体だけの努力ではもちろんできないことであって、メディアの方、それから議員の方、さまざまな方がその考えを、賛成であれ反対であれ発信する必要があると思っています。

 ただ、言えるのは、遠いように思える貿易の問題なんですが、実は物すごく身近なことにかかわってくるわけですね。

 きょうは著作権の問題を申し上げられませんでしたが、今回この内閣委員会において、整備法案として著作権関連の改正が提案されています。やはりその中で問題だと思うのは、著作権保護法の期間、作者の死後五十年というのが現行ですが、これを七十年に延長するんだ、これは12で決まっていましたが、実は凍結項目になっています。ですから、論理的に言えば、12で、今回改正する必要はないわけです。だけれども、なぜ二年前と同じように改正の審議をするのか、これは国民にとっては非常にわかりにくい議論です。

 著作権の問題というのは、小説や映画や、さまざまなキャラクターとかコンテンツ、これにかかわりがありまして、大変国民的関心が高い分野であります。著作権の保護延長と同時に、非親告罪化、これは凍結されていませんので、今回、この国会で整備案がもし承認されれば、日本は今まで著作権侵害をしてきたのは親告罪だったんですが、非親告罪に変わる。これは大変大きな変化なんですね。ネットやコミケとか、いろいろな自由な表現活動の萎縮ということについては、二年前から懸念されていました。

 ですから、そういう具体的な問題を通じてわかっていただくしかないと思いますし、私は、この著作権の保護延長期間に関しては、11で凍結されている項目なわけですから、今回の十本の法案の中にこの条項を入れるということ自体は間違っていると思っております。もし本当に改正して延長したいということであるならば……

山際委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、短く答弁をお願いします。

内田参考人 その別個の問題として審議いただくという必要があるかと思います。

 あと、食の安心、安全なども非常に国民的な関心が高いテーマだと思っています。

源馬委員 大変参考になりました。ありがとうございました。

 終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いいたします。

 早速ですけれども、きょうは、賛成派、反対派という形で二名ずついらっしゃいます。

 賛成をされている方にお聞きをするんですけれども、ここだけはいただけないという項目を挙げていただきたいのと、反対派の方は、ここだけは評価できる、先ほどマルキンのお話がありましたが、それ以外で、もしあるのであれば挙げていただきたい。全員からお聞きしたいと思います。

中川参考人 私は賛成派の代表の一人ということになっているようですけれども、凍結項目を除いて、ほとんどTPP全体としてでき上がったわけですね。TPPに関して、立場上、ここはまずいということは言えないということもありますけれども、そういう観点で考えたことは余りないんです。ただ、通商協定でグローバルサプライチェーンが完結するわけではないので、いろいろな広範囲な規制ということでありますけれども、それは、およそ通商交渉のやはり射程ということはあるので。

 ただ、頂戴したそういう質問に対しては、これから、今後研究してまいりたいと考えております。

 どうもありがとうございました。

鈴木参考人 私が思いますのは、先ほど来申し上げている、グローバル企業のように国際的な展開をしている企業の経営陣にとっては、これは大変なメリットがあるということでみんな進めているわけですから、そういう企業の皆さんと、その方々をお友達としている政治家の皆さんにとっては、これはメリットだ。

 だけれども、それは一%で象徴される皆さんになっていて、残り九九%と言われる方々にとっては、これはある意味収奪の対象になってしまうということで、この構造をどこで調整するかということが重要ではないかというふうに考えております。

中嶋参考人 私が懸念するのは、スピード感を持ってこの枠組みを推し進められなくなるということでございます。今、社会の変化は非常に速い。今、先進的な貿易・投資ルールをつくったにもかかわらず、それが変化によって少しそごが出てくるのではないかなというふうに思います。

 アメリカが入る入らないの問題もございましたけれども、TPP12をつくったときは、そのときの社会経済状況を前提条件に、ある種交渉ゲームをして、ある解を求めたというわけでございますが、先にこのTPP11が走り始めると、それによって状況が変わる。それを見てアメリカが、あっ、これは入らないと損ではないかと思うような事態も出てくるわけですから、私は、早く始めた方がいいのではないか、そこの部分が懸念するところであります。

内田参考人 TPPの条項を細かく見ると何千とありますので、それは、WTOの比較等をする上で考えれば、それは多少よかったなとか、これはかつてはなかったものが入ったと、細かい評価はあります。

 ただ、これだけはという御質問に関しては、なかなか難しいなというのが率直な思いなんですが、その中であえて言えば、TPPの中には、これまでのWTOレベルでは入っていなかった例えば環境という章それから労働という章、これは新しく生まれたんですね。このこと自体、私は評価しています。

 ただ、具体的な条項を見れば、まだまだ全然中身が足りないんです。企業や投資家にとって利益が生まれる条項がたくさん盛り込まれるのと比較すれば、例えば企業を縛る環境の規制だったり、労働者の人権をもっと守る条項というのは弱いので、まだまだなんですけれども、ただ、そういうものが存在したということは価値があると思います。

 要するに、今後の貿易協定の中では、必ず環境とか人権、それから先ほど言った公共政策全体、命を守る特許、こういったものが今まさに対立点になっているわけですね。これはゼロか一〇〇かという問題ではなくて、やはり企業の利益と公共の利益、環境というものをどうバランスをとりながら発展させていくか。しかもそれは、それぞれの国で経済の発展段階が違う中で調整をしていく必要があるという大きな課題ですので、継続してウオッチをしていきたいと思っております。

浦野委員 ありがとうございました。

 鈴木参考人は、評価できることが、多分先ほどの言い方だと、ないというトーンだったと私は理解をしたんですけれども、鈴木参考人はずっとTPPの特別委員会でも、今回のTPPに関して、12のときからですけれども、もうさんざん批判をされて、議事録も読めば、きょうと同じようにおっしゃっているんです。

 確かに、鈴木参考人がおっしゃっているように、農家が輸出でよくなるということも政府は言いますけれども、それはやはりごく限られた輸出の項目、例えば今であれば和牛だとか、そういった本当に世界でブランドとして認められているような、そういうごく一部の食品は確かにいいかもしれないです。

 ただ、多くの農家の皆さんは、ほぼほぼ地産地消で終わってしまっているような農家がほとんどですから、輸入がふえればどこかでそれを圧迫していくことは想像できるだろうなと思っています。

 鈴木参考人は、TPPよりRCEPの方がいいだろうという、先ほどの答弁でされていました。RCEPのいい部分というのも先ほどおっしゃっていましたけれども、内田参考人なんかは、やはり同じようにRCEPの方がいいというふうに考えていらっしゃいますか。

内田参考人 個別のメガ協定を比較してどちらがいいかどうかというのは二つの見方があって、一つは国の組合せですね。グループメンバー、これを見てどっちがいいか悪いかという評価をする方の方が多いんですけれども、私は、全体を見ている中で、そうではなくて、協定それぞれの中身、どういうレベルの規律、どういうチャプターがあって、どういう条項が入っていて、それによってその協定の性格が評価できるわけですけれども、ということがあると思っています。

 私は、基本的に、どっちがいいとかという話ではなくて、WTOを基礎として、やはりそれはみんなでルールをつくるという場が今、現存、あるわけですから、どんなにうまくいっていなかったとしても。ですから、そこをベースに考えるべきだろうと思っています。

 言ってみれば、メガFTAというのは、WTOが進まないので苦し紛れにできた策の一つであってという意味では、メガFTAが次々できるという状況自体はよくないとはっきり思っています。

 補足して言うと、十五ページにつけました上の表をちょっと見ていただきたいんですが、これは政府がつくっていらっしゃる表を少し加工したのですが、結局、WTOがベースにあって、その上に、強い規律を持つ、自由化規律を持つFTAが次々できているわけです。TPPは、その中でも突出していわゆる自由化度が高いものであるわけですね。

 これは、このままどんどんいろいろなFTAができていけば、結局その間の調整というのは極めて困難になっていきますし、WTOにそれは移植していくという言い方もありますが、一部の条項はWTOにも反映できるかもしれませんが、先ほども言ったように、TPPは非常に強い自由化規律を持ちますので、現状、途上国の多くは受け入れられないものが非常に多くあります、特許にせよ、投資のルールにせよ。ですから、このTPPを基準に、モデルに、WTOに戻していくという論は、私は余り現実的ではないと思っています。

 ですから、やはりWTOの中で、どう改革し、その中で全体の合意をどうつくるかということに日本としてはもう少し力を注ぐべきではないかと思っております。

浦野委員 ありがとうございました。

 鈴木参考人にもお伺いしますけれども、TPP12の対象になっている国、先ほど、やはりどういった国同士でやるかにもよるというお話があったんですけれども、このTPP12の参加国に関しても、やはりTPPではなくてRCEPのような取組をした方がいいということでよろしいですか。

鈴木参考人 はい。先生の御指摘のとおりで、TPP12に集まってやってみたけれども、八十項目にも及ぶ、嫌な、外したい事項がいっぱいあって、今回、それが大もめにもめたわけですよね、TPP11をやるに当たって。

 ですから、本来は、アメリカに市場アクセスができるということで、嫌だけれども無理やり認めざるを得なかった、こういうことがたくさんあるわけですから。

 アメリカ以外の、特にこれから発展する途上にある国々にとっては、特にアジアの国々は、アジアを中心とした別の枠組みで、WTOが全体で確かにありますけれども、RCEPのような形はアジアの国を基本的には中心にして、例えば農業でも、分散した小さな水田農業、そういうものが共通項としてあります。

 WTO全体だと、新大陸の要求もあって、なかなかそういう小規模な農業や地域が存続できるルールをうまくつくることができないという要素もありますから、私は、アジアを中心とした、アジアの地域がともに助け合って発展できるようなルールをまず日本や中国や韓国が一緒になってつくって、それを世界全体に主張していく、そういうふうな流れというのは一つ重要なのではないかというふうに考えております。

浦野委員 きょう、東大から三名の方がいらっしゃって、そのうちの鈴木参考人と中嶋参考人は、場所も一緒で、全く真逆の考えを持っておられる。もちろん、差があるのはいいと思うんですけれども、学内でどんな議論がなされているのかというのは非常に興味のあるところなんですけれども。

 もう少ししか時間がありませんので、中嶋参考人に一点、RCEP。

 今、鈴木参考人、内田参考人がおっしゃったように、RCEPをどう評価をされて、TPP12よりもRCEPをやった方がいいんじゃないかという声もある中で、どういうふうに評価をされていますか。

中嶋参考人 私は、どちらも入るべきではないかという考えで、どちらか一方を選べというのは、政府もそういうスタンスではないというふうに思っております。

 ただ、一つ重要なことは、先に決めたことが次の協定の内容に大きな影響を及ぼすということは慎重に吟味しなきゃいけないんですが、今の私の理解では、TPP11については、日本はかなり自分にとって有利な条件をかち取っているわけですから、それを先にやった上で交渉をアジアの国々にしていく必要があるんじゃないかと思っております。

浦野委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、中山展宏君。

中山(展)委員 自由民主党の中山展宏でございます。

 きょうは四人の参考人の方々、本当にありがとうございました。貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 まず最初に、中川参考人と中嶋参考人にお伺いをしたいと思いますが、米国の第一主義、それから中国の国家資本主義というか覇権主義、最近ではエコノミック・ステートクラフトというか、経済力、また、市場や資本をてこにしたというか、それを背景にした外交を国際貿易の中で展開しているように思いますが、こういった環境の中、我が国が多角的な貿易体制をリードするということは非常に意義があると私は思っております。

 中川参考人と中嶋参考人にお伺いをいたしますが、日本が事務局的な機能を今般のTPP11では果たしてきたと拝察をしております。今後、日本に事務局が置かれる方向とも伺っておりますけれども、その事務局を日本に置いておく、その意味についてお伺いをしたいと思います。

中川参考人 TPPの規定の中には、直ちに実現できるものだけではなくて、ベトナムなりマレーシアなりについては、一定の移行期間を置いて実現してもらうことを約束してもらっているものもあります。

 そういう意味でいいますと、TPP11が発効した後に定期的に点検をしながら中身を実現していく、さらには拡大交渉ということもあれば、TPP11は一つの生きた協定としてこれから育てていく必要があるわけで、その場合に事務局機能が非常に重要であり、それを仮に日本が引き受けるということになれば、これはまことに意義のあることだと考えております。

中嶋参考人 まず一つは、アジアの代表であるということだと思います。

 もちろん、カナダや、まあオーストラリアはアジアの一員かもしれませんけれども、そういった中で日本がイニシアチブをとる、この協定のイニシアチブをとる意味が一つあるんじゃないかと思います。

 それから、先ほど中川先生がサプライチェーンの例を挙げて、今の経済のあり方というのを御指摘されましたけれども、そういうサプライチェーンを拡大する力というのはやはり日本はあるので、この協定の枠組みを考えたときに、今残っているメンバーの中で日本こそがその力を発揮できるんじゃないかなと思っております。

中山(展)委員 ありがとうございました。

 続きまして、中川参考人と内田参考人にもお伺いしたいと思うんですが、TPP11を早く批准をするメリット、場合によってはデメリットもあるかもしれませんが、それについてお伺いしたいんです。

 今回、TPP11は、六カ国が批准をすれば六十日後に発効されるということになります。ほか、後から参加をしてくる国に対しての影響もあると思いますけれども、早く批准をするそのメリット、デメリットについてお願いいたします。

中川参考人 配付資料の七ページと八ページにそれを私としては書きました。

 何よりも今の局面を、アメリカとのかなりタフな交渉を六月以降始めなきゃいけない。先方は、必ずバイでいろいろな要求を出してくるということがあります。それに対して、TPPを発効させることによって、それが日本にとって非常に大きな盾になるということを申し上げました。

 さらには、資料の八枚目ですけれども、TPP11が発効すれば、それに入りたいという国がたくさん、列をなしている状況でありますから、その拡大交渉を進めるということ、それでTPPがどんどん大きくなっていくということ自体が、またアメリカに対抗する大きな圧力になっていくと考えております。

内田参考人 これまでのお話の中でも申し上げましたけれども、私は決して、TPPが早期に発効することが、アメリカがまた戻ってくる動機になるというふうには思っていないんです。当面、現状はこの状態が続くと思っています。

 逆に、これはデメリットということになるんでしょうが、さっき申し上げたように、除外されたということでアメリカが逆に焦燥感を持ってしまって、じゃ、もう二国間でどんどんやっていくんだというような形で、WTO体制も否定するようなコメントもしておりますから、日本だけではなくて、これまでFTA交渉していない国々と次々とやっていく。そうすれば、かなり貿易の全体の秩序自体が揺らいでしまうというか不安定な状況になってしまうということですので、早期の発効というのはむしろ非常に危険、これは日本だけではなくて、全体の貿易秩序にとって非常に危険ではないかというふうに考えております。

中山(展)委員 続きまして、鈴木参考人と中嶋参考人にお願いしたいと思いますが、農産品の通関についてお尋ねをしたいと思うんです。

 今、米中のたしか貿易摩擦の中において、例えば、米国産のリンゴを中国では、病害虫を発見したということで検疫体制を厳格化、強化したりとか、また、これは中間選挙をにらんで、トランプ大統領の大票田であります農業州、アイオワとかイリノイの農産品を中国では輸入を細らせるような、そういった意図的な動きもあるように見えます。

 さらには、これは中国ではもとより、例えば、フィリピンのバナナを輸入を行ったときに、輸入手続に時間をかけて、フィリピンにとっては非常に重要な主要な輸出作物でありますバナナを腐らせてしまったりとか、そういった動きもあるんだと思っています。

 こういった、先ほどお話にありましたけれども、SPSと貿易の円滑化、通関、輸入手続の円滑化、時間短縮、この関係性も含めて、今回のTPP11が、こういった大事な農産品をしっかり検疫をスムーズに通した中で、お互いの国の互恵的な関係が生まれてくるかどうか、そういった素地があるかどうかをちょっとお伺いしたいと思います。

鈴木参考人 検疫の問題に関しましては、まず、御指摘のとおり、これが非常に大きな非関税障壁として使われているという現実がございます。

 TPPなどでは、日本の検疫や安全基準がSPSよりも厳し過ぎる、その理由がはっきりしない、予防原則ではだめだ、科学主義で、因果関係が特定できないならばやめなさいという形で、どんどん緩めさせられているという問題があり、あるいは、トランプ大統領は商務長官との電話で、日本が大腸菌が入っていたといってアメリカの農産物を突き返してきた、けしからぬからもっとおどしてもっと緩めさせろというような議論をしている一方で、アメリカは、日本の肉も果物も野菜も、何十品目も、病気になっているとか虫がいるといって、関税はないけれども、全然入れてくれないわけですよね。中国は、日本の米にはカツオブシムシがいるといって、薫蒸しないといかぬと怒る。それから、EUはミラノ万博で、かつおぶしにはカビが生えていて、がんになると。

 そんなことばっかり言って日本のものを全然入れてくれないのが世界なんですけれども、その世界の国々が、日本の検疫が一番厳し過ぎるといって、大腸菌が入っていても食べろといって更に緩めさせられる、このような外交をやっていたのでは農産物の輸出を伸ばすということはできないということだと思います。

中嶋参考人 TPPの枠組みも、WTOで定めたSPSの枠組みを受けとめて、それを基本に組み立てているんじゃないかと私は理解をしております。

 ただ、今、鈴木先生がおっしゃったような個別のいろいろな事案があって、それに対してバイでいろいろ協議をしなきゃいけないというのは現実にございます。そして、それがある種の非関税障壁になるということも、これは歴史的かつ、かなり普遍的な事実だと思いますが、そういうことがないように、科学的根拠に基づいて、そういった行為をさせないためにSPSという仕組みができたので、私は、TPPにおいてそれをきちんと入れ込んでいく、これを日本が主張していく必要があるんじゃないかと思います。

中山(展)委員 ありがとうございます。

 最後の質問にさせていただきます。中川先生に御質問させていただければと思います。

 今回のTPP11が地方の過疎化を進めるというか拍車をかける要因になると思われますか。その点について最後にお伺いして、終わらせていただきたいと思います。

中川参考人 それは、日本のいろいろな地方が、TPPの持っている、私は主にルール面のお話をしましたけれども、大きなビジネスチャンスが広がるというそのことを受けとめ、どれだけ活用し切れるかということにかかってくるんだろうと思っています。

中山(展)委員 この自由貿易協定を通じて、しっかりと我が国が、それぞれの地域でそれぞれが努力をすることも大事なんだと思います。これを契機に、これはピンチではないと思いますが、チャンスに変えていくことも私たちはしっかりと受けとめて頑張っていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

山際委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、外務省大臣官房参事官林禎二君、財務省理財局次長富山一成君、農林水産省大臣官房総括審議官天羽隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 きょうは、総理が御出席のもと、TPPについての質疑の時間ということで、本来であれば大変に充実した時間として持ちたいものでございますが、総理は御存じかどうか、この質疑は今週水曜日から始まりましたばかりで、まだまだ、きょう午前中には参考人をいたしまして、問題点が多々指摘されている中であります。

 そこで、本来であれば、もう少し法案が熟議を重ねて、問題点が集約してきたところで総理にも伺いたいと思うところでありますが、委員長の御採択できょうは委員会の運びとなりましたので、私どもの認識としては、総理入り一回目といたしましてきょうの場をいただいたものとしたいと思います。

 まず、この国会の際立った特徴だと思いますが、国民への説明責任が果たされていない。このことは、実は森友、加計問題でも、イラクの日誌問題でも、あるいは厚生労働省で問題になっております裁量労働制の問題でも同じだと思います。今、多くの国民が、示されるデータやあるいは改ざんされてしまったデータに、なぜだろう、そして納得できないという思いをお持ちです。

 とりわけ、本日は安倍総理に直接お尋ねをできますので、先回、五月十一日の日に私がこの委員会で取り上げさせていただきました、総理と加計孝太郎さんのゴルフあるいはその後の食事の問題で、冒頭一問、質問をさせていただきます。

 五月の十日に柳瀬参考人が出て、そして、その場で柳瀬さんは、御自分が会われたのは加計学園であって、四月の二日、国家戦略特区を含めた相談であったということをお話しになりました。そして、それを総理にお伝えになりましたかというと、総理にはお伝えしていないということでした。

 しかし、ここでお伝えしなかったことで大きな問題が生じているのではないかと、私は、五月十一日、質問いたしました。

 と申しますのも、総理はその後、二〇一五年の四月二日の加計と柳瀬さんの面会以降、二〇一六年になりますが、七月の二十一日、山梨県で焼き肉、翌二十二日、ゴルフ、八月の十日、河口湖で居酒屋、八月の十一、山中湖、ゴルフ、十月の二日、渋谷の焼き肉、十二月二十四日もまた加計孝太郎さんと面会などが記載をされ、というか、国会審議の中で出てまいりまして、総理もお認めになり、加えて、その際のお支払いは、ある場合は加計さんからなされていることもあるというふうに総理自身が御答弁でありました。

 総理、お伺いしますが、もし加計学園のことが既に申請されるプロセスが始まっていたとなれば、当然、総理は国家戦略特区の最高責任者であります。六月四日に書類が出され、五日にワーキングが、二〇一五年、なされておりますので、前年であります。この二〇一六年における何回かの面会のうち、もし総理が加計孝太郎さんから供応を受けたとしたら、これ自身は問題だと思われますか。いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 まず、柳瀬当時の秘書官から聞いていなかったということについては、既に委員会等でお答えをさせていただいているとおりでございますし、なぜ私にそれを伝えなかったかということについては、柳瀬元秘書官が述べているとおりでございます。

 いずれにせよ、この面会の後、柳瀬元秘書官は数カ月後に交代をしているところでございます。

 そしてまた、このプロセスについては、まさに民間議員の皆様が主導して行われるのが国家戦略特区でございまして、もちろん私が議長ではございますが、私が議長という名のもとに、民間議員の皆様が積極的に、積極果敢に議論を行って、岩盤規制に穴をあけていくという仕組みになっているというところでございますが、その座長を務めている八田さんも、プロセスには一点の曇りもなかったということであり、また、八田さんも、私や柳瀬さんから全くそうした指示等がなかったということは既に明らかになっているとおりでございます。

 また、前川前次官も含めて、私から指示や依頼を受けた人は一人もいないということも既に明らかになっているところでございまして、何の影響も与えられていない、こう思うところでございます。

 いずれにせよ、私と加計孝太郎氏のつき合いにおいては、ゴルフ代については、私が基本的に私の分は持っていたということは、もう既に委員会等で述べているとおりでございますが、食事については、私が持ったり加計氏が持ったりする。いずれにせよ、これはポケットマネーの範囲内でということでございます。

阿部委員 私がお伺いしたのは、総理が御存じなかったとしても、加計さんのお立場が変わられたわけです、申請者となって。総理は御存じなかったのかもしれません。

 しかし、結果的に、総理が国家戦略特区の責任者として物事を決める立場にあって、そうであれば、何十年来のお友達であっても、そのときに当然、私は、気をつけなければならない関係性はあるんだと思います。それが、やはり国のトップに立つ者の姿勢だと思います。

 総理は、決定過程に御自分がかかわりなかった、一点の曇りもない、それはずっと御答弁です。私が聞きたいのはそのことではなくて、結果においてです。そういうことは生じ得ると思うんです。長い友達で、自分の役割が変わり、相手の立場が変わり、しかし、その中で同じ関係を続けると問題になる場合があるので、私はあえて伺っております。

 知らなかったからといってお金を払っていただいたことがよかったのか、それとも、それは総理の不注意だったのか、この点についてお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 これはもう既にお答えをさせていただいているところでございますが、結果として本来行われるべき政策議論が行われていないという状況も生じているということに鑑みれば、長年の友人でもあり、そうした疑いを持たれるということももっともなことだ、こう思いますから、李下に冠を正さずという気持ちで注意を払わなければいけなかった、このように考えております。

阿部委員 やはり総理がトップにお立ちになって行政機構を束ねていかなければならないわけですから、結果においても、問題があれば、やはり素直に反省していただいた方が私はいいと思います。

 と申しますのも、次に挙げます藤原国家戦略特区の当時の次長でありますね、彼が、加計学園の視察に行くのに、加計学園の車、手配した車を使って行ったということが、五月十四日の質疑の中で明らかになりました。書類には実は公用車という記載になっておって、答弁と明らかに食い違うわけです。

 総理のお手元に国家公務員倫理規範というものをお示ししてございますが、この中の、中の段、後半の方に、例えば、職務として利害関係者を訪問した場合には、その方は、当該利害関係者から提供される自動車を利用することはあっても、それは事務所の周辺あるいは当該自動車の利用が相当と認められる場合に限るとなっていたにもかかわらず、岡山から今治市まで加計学園の車、手配した車のお世話になり、それだけでなく、出張記録には公用車という偽りの記載があった。

 明らかに公務員の倫理規範に抵触すると思いますが、総理は、みずから内閣人事局の人事の中で、この藤原さんも任命されたんだと思います。なぜこういうことが起こると思うのか、そして問題はどこにあるのか、お考えを伺わせていただきます。

安倍内閣総理大臣 公務員は、国家公務員は、国民から疑念を持たれることのないよう、さまざまなルールにのっとって、みずからをしっかりと律する必要があると思います。

 御指摘の点については、本日は内閣府の担当者に通告を出していただいていないので、詳細を改めて内閣府に御質問いただき、いずれにせよ、現在、梶山大臣が精査中とのことであり、しっかり対応してもらいたいと考えております。

阿部委員 この件に関しては、内閣委員会でこの当事者の藤原さんを何度も何度も参考人にお呼びしておりますが、与党側の賛同が得られません。こういうことをいつまでも長引かせることは国民の政治への信頼としてマイナスだと思いますので、総理大臣は、自民党の総裁でもありますから、党を挙げて、この間の事態の国民への説明責任を果たせるよう指導していただきたいと思います。

 資料の出てくるのは遅い、参考人にも出ない、精査中だ、これはいつものパターンであります。そうしたことに時間を費やすよりも、内容のある審議をしたいとみんな思っていると思いますので、総理の一存にかかったところです、よろしくお願いしたいと思います。

 では、質問に入らせていただきます。

 同じように、このTPP問題も、私は、一番果たされていないのは、国民への説明責任ではないかと思います。

 今般、TPP11という形で、それの対策法というか、国内対策法あるいは条約に関しての国会審議が行われておりますが、総理、果たしてこのTPP11ということを国民はどの程度知っていらっしゃるでしょうか。伝わっているでしょうか。この説明責任が果たされないで政治が行われていくということを、私は大変懸念いたします。

 茂木大臣もきょう御出席でありますので、大臣の実感として、このTPP11というのは、果たしてどこまで国民にはわかっていることでしょう。

 どちらでも構いません。

茂木国務大臣 このTPPは、委員も御案内のとおり、単に関税を下げるだけではなくて、知的財産の保護であったり、環境、労働規制、さらには国有企業の競争条件の規制など幅広い分野について、二十一世紀型の自由で公正なルールをつくり出すものでありまして、例えば、消費者の皆さんにとっても、域内のさまざまなよい商品、これを安く安心して手に入れることができるようになる。また、日本の農家の皆さん、手間暇かけていい製品、これをこしらえてきた農家の皆さんや、中小企業、物づくりに全力で取り組んでいる皆さんが大きくビジネスのチャンスを拡大できる、こういうものでもあると思っております。

 政府として、しっかり国民の皆さんにも、TPPの持っている意義であったりとか具体的な内容、こういったことをお伝えすることが極めて重要だ、このように考えておりまして、これまでも、三百回を超える説明会というものを全国で開催してまいりましたし、例えば、業界団体であったりとか都道府県が主催をします説明会、要請があれば職員を派遣して、農業関係者、中小企業関係者、一般消費者、マスコミ、食品関係者等に対して説明もしてきているところであります。

 ウエブページ、これも相当のボリュームでありまして、これは大体、月で二十万件くらいアクセスがあるという形でありまして、例えば、昨年十一月、ダナンで大筋合意ができたわけでありますけれども、この月は二十八万件近いアクセスという形でありまして、かなり政府のウエブページの中でも人気があるといいますか、アクセス件数が多いのではないかなと考えております。

 そしてまた、こういったホームページをごらんいただくことによって議論のベースをつくっていただく、さまざまな説明会のベースをつくっていただいて、さらなる疑問についてお答えをするいいきっかけにもなっている、このように考えております。

阿部委員 茂木大臣に確認ですが、私もそう言われてウエブページを見て、きょうコピーをして、お手元に置いてございます。大体どのページにも写真が出ていて、そしてその下に結果概要あるいは記者会見の概要等々、出ておるんですが、これを幾ら見ても、交渉のプロセスというものが書かれておりません。結果は出ているんです。写真も出ているんです。

 私は、国民の知りたいことは、例えば、12から11になったときに、どんな考え方があって、日本がどんな方向に進むんだろうという大きな羅針盤、物事の考え方を国民に伝えていないと思います。

 総理、今お手にしていただいているこの資料、ここに、読売新聞の記事で、二〇一七年五月一日の朝刊に「TPP発効 同床異夢」となってございまして、アメリカ抜きの十一カ国のTPPに加盟国がおのおのどんな未来像を描いておるかということの新聞記事がございます。

 ホームページからはこういうものは一切出てまいりませんで、報道されている記者さんたちが聞いてこうやって報道されるのでしょうが、私は、この記事一枚見ても、TPPの考え方、11を今後どういう方向に持っていくかという大きな三つのビジョンが書かれていると思います。

 簡単に言うと、一番目は、施行日だけ変えて、これからアメリカが入ってもルールは変えない、これは今、日本がやっている方式。二番目は、アメリカも含めて、よりルールも変えていくかもしれない方式。三番目は、中国などの参加も考える。

 私は、おのおの長所短所、あるいはWTO体制と比してどうかなどの、そういう本当の中心的な考え方が国民に伝わることが、大変に、貿易問題は国家主権がかかわりますし、国家主権は国民主権でありますから、重要なことであると思います。

 繰り返して総理、申し上げますが、総理が国民に今メッセージを出すとしたら、一体TPP11は、なるべく短くわかりやすく、ああ、そうなのかと私たちが納得できるようにお話しください。

安倍内閣総理大臣 まず、自由貿易を広げていくことについてはどうかということでありますが、日本こそまさに自由貿易の恩恵によって戦後、経済を発展させてきたことは間違いないんだろうな、このように思います。

 その中において、自由貿易に対する保護主義的な流れがある中において、しっかりとこの自由貿易の旗を掲げていく、世界に向けて掲げていくことが大切であろう、このように思います。

 それと同時に、TPPというのは、先ほど茂木大臣が答弁したように、単に関税を下げるというだけではなくて、幅広い分野において二十一世紀型の自由で公正なルールをつくり出すものであります。一言で言えば、これが一番大切なものでありまして、これは、TPPが12になろうが11になろうが同じことでありまして、これはまさに、世界の自由貿易体制をリードしていく核となるものであると確信をしているわけであります。

 このルールができればどういうことになるかということを付言いたしますと、農家の皆さんや中小企業の皆さんが精魂込めてつくってこしらえた、いいものがいいと、ちゃんとルールにのっとって評価されるものになっていくということであります。そして、消費者の皆さんも、確立されたルールの中で、いいものを、安心なものを手にとることがより安くできるようになっていくということであります。

 そして、この後、米国にも入ってもらいたい、あるいは委員の方から中国という例を挙げられましたが、それ以外にも興味を示している国々はあるわけでありますが、なるべくこういう国々が広がっていけば、そういう公正で自由なルールにのっとる、この自由で公正な貿易圏が広がっていくということになるわけであります。

 今、サプライチェーンができている中においては、多くの国々が参加することで、よりグローバルな経済に即したものになっていくのだろうと期待をしております。

阿部委員 現在、グローバル化経済の進むことによって、地域での格差あるいは紛争の増大、影の部分もあるわけです。WTOにおいては、そうした国家間の差や、あるいはいわゆる後進国支援などのルールにもかなり気を配っていると思います。ですから、常にこういう貿易の問題は、自由で公正、なおかつ、それが本当に世界に安定や平和をもたらすというものでなくてはならないと私は思いますので、そういうメッセージがやはり、ストレートにすとんと落ちない。

 その一方、総理に、きょう、せっかくですから、お尋ねがあります。

 最後の資料になります。ここには、トランプ大統領が出されたプレジデンシャル・メモランダというタイトルのものがございます。これは、昨年の一月にトランプ大統領がTPPを離脱するときに発令された大統領令でございます。

 まず、総理はこれをごらんになったことが、もちろんおありでしょうが、おありになるか、そしてここから何を読み取られるか、この二点、お願いいたします。

安倍内閣総理大臣 これについては、もちろん、これを日本語訳して分析したものを説明を受けたことがございます。

 残念ながら米国は離脱をしたわけでございますが、しかし、現在、先般ダボスにおいては、よりよいものになるのであればと興味を示したところであろう、こう思っておる次第でございます。一昨年の十一月に初めてトランプ大統領とお目にかかってお話をしたときから、先ほど申し上げましたTPPの意味、意義、そして米国にとって、また我々にとって、普遍的価値を共有する我々にとっての利点等をお話をさせていただいたわけでございます。

 先ほど、さまざまなグローバル化における問題点等々を指摘をされたんですが、例えば労働条件とか環境についてもルールを決めているのがTPPでございます。そういう中に入ってくる意味、そういうものが広がっていく意味についても話をしたところでございまして、この声明、離脱のときから比べて、トランプ大統領のTPPに対する姿勢、11がいよいよ署名されたということもあるのでしょうが、少し変わってきているのではないか、こう期待をして見ているところでございます。

阿部委員 何だかそれは、そうだったらいいのにな、みたいなもののように思います。

 この文書を素直に読めば、パーマネントリー・ウイズドローですから、永久に撤退しますということと、じゃ、なぜというと、アメリカン・インダストリー、アメリカの産業や、プロテクト・アメリカン・ワーカーズ、アメリカの労働者を守る、そしてレイズ・アメリカン・ウエージズ、アメリカの富あるいは所得をふやすという。

 こういう、私は、トランプ大統領が一国主義的になっていることに賛同はいたしませんが、国民へのメッセージとしてはわかりやすいと思います。そして、今の日本は、来るか来ないかわからないアメリカを待ちながら、しかし国民には、この国の未来を明確に伝えておられないと思います。だからこそ、審議には十分な時間と、実は今回、TPP12と11を一緒くたにして対策法を打っておりますが、それも、とても整合性のあるものとは思えません。

 きょうが、まず総理へのお伺いをする一回目と考えまして、時間の関係で私の……(発言する者あり)ああ、そうですね。では、恐縮です、茂木さん、来ていただきましたので。

 今私が指摘したような、これはやはりアメリカが、きょうの参考人の方はおっしゃっていました、アメリカが来るときはトランプ大統領が去るときだと。与党側が呼んだ参考人でありました。

 そういう状態の中で、国民に、よくわけがわからないTPP11と言われても伝わらないと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 茂木大臣が答える前に、簡単に一言。委員会においてはもう茂木大臣が丁寧に詳しい説明をさせていただいておりますので、私は全体についてだけ一言申し上げたいと思います。

 トランプ大統領もこの一年間で、いわばダボスでの言及のように、随分変わったのは事実でございます。それは、TPPに対する理解も深まってきたんだろう。私も相当、何回も会談のたびに、何回も何回もお話をさせていただいて、これはアメリカの雇用にとっても、アメリカの利益に、間違いなく、なっていくということでありますから、彼が離脱する理由として挙げている懸念は当たらないと私は考えているわけでございます。

 そこで、TPP12を11にしているわけでありますが、基本的に意義は変わらない、こう思っているところでございますし、いずれにせよ、国民の皆様に、これからも、機会があれば、さまざまな機会で御説明をさせていただきたいと思います。

 それでは、この後、茂木大臣から答弁させます。

茂木国務大臣 今総理からも答弁させていただいたように、二十一世紀型の新しい共通ルールを、世界の成長センターでありますアジア太平洋地域に日本がまさに主導してつくっていく、この意義は大きいと思っておりますし、そしてそれは、日本の大企業だけではなくて、総理の方からも答弁ありましたように、地域の中小企業や農業者の皆さん、さらには消費者の皆さんの利益にもつながる。

 これは、大統領の発表にありますように、アメリカの産業を振興する、そしてまたアメリカの労働者を守る、そしてその賃金を上げていく、具体的にトランプ大統領もおっしゃっていらっしゃいますけれども、日本もやはり日本の産業を振興する、そしてまたその成長を後押しをしていく。その手法について、それぞれの国でさまざまな考え方があると思いますけれども、そこはしっかり今後協議をしていきたいと思っております。

阿部委員 当然、利害は衝突し、今、アメリカの考える二国間FTAの方がアメリカの取り分が多いんじゃないかということで攻め込んでこられるわけですから、抽象的に国益と言わないで、国民が納得できるものをお示しくださいますようお願い申し上げて、終わらせていただきます。

山際委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 国民民主党の今井雅人でございます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本題に入ります前に、きょうは、ちょっと幾つか新しい報道が出ていますので、御確認をしたいと思います。

 一つは、今、阿部委員が質問されていましたけれども、加計学園に平成二十七年八月に藤原審議官が伺ったときに、加計学園の用意した車を使っていたと。この報告書、旅費請求書とありますが、こちらには官用車と書いてあります。

 先ほど、内閣府にこの事情を聞いてくれということでしたので、きょうは内閣府さんがいらっしゃっていますよね。その点と、それから、そのとき、前日に泊まって、翌日は、ずっと松山空港に送るまで一緒だったと思いますけれども、その間、食事等の提供がなかったか、その点について教えてください。

村上政府参考人 お尋ねの件についてお答え申し上げます。

 現在、この週末でございますけれども、官用車、民間事業者の方から交通手段の提供を受けたのではないかという御指摘があったということが推認できるという状況になりましたので、調査を始めてございます。

 その調査につきましては、公務員倫理審査会の方に相談をしながら全体的に進めてございまして、恐縮でございますが、その調査自身についてはお答えの内容を差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、旅費の手続書についてのお尋ねでございますが、旅費の手続書には官用車という記載がございます。この官用車の記載につきましては、これは、旅費の手続上は、この区間については旅費の支払いが不要であるということを説明するための記載欄でございまして、これには官用車でありますとか定期券であるとかというふうに記載をすることになってございます。

 これにつきましては、旅費の支払い手続上につきましては問題はないということでございますが、いずれにせよ、これも含めて、全体的には当該事案について精査をしてまいりたいというふうに思います。

今井委員 ということは、済みません、この間の十四日の委員会のときにはお認めになったと思ったんですが、もう一度確認ですけれども、これは、車の提供があったとか食事の提供があったということはまだ調査中でわからないということですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 いずれにせよ、違反行為があるにせよないにせよ、これについてはしっかり全体を調査する必要がございます。そのため、そうした事実があるのかないのかも含めて現在調査をしておりまして、その内容については御説明を現時点では差し控えさせていただきたい、このように思います。

今井委員 この平成二十七年の八月五、六というのは、その二カ月前の六月四日に既に今治市が国家戦略特区に申請しています。ですから、その後の二カ月後に、わざわざ加計学園に行って、加計学園の人たちに連れられて今治市に行って、今治市から帰ってきているんですね。

 これはもう、加計と今治は一体であるとしか言いようがありませんので、もう加計ありきで進んでいる、しかも、その加計の方から、その担当者である藤原審議官が便宜供与を受けていたということは、これは大変な問題になります。そうですよね。

 そうしたら、至急、総理、まず、そういうことがもしあったとすれば問題かということと、それから、これは本当に重要な点ですから、今調査中ということですので、早急に調査をするように総理の方からも指示していただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 状況についてはただいま内閣府から答弁をしたとおりでございまして、その段階で私がこのことについての判断を申し上げることは差し控えさせていただきたい、このように思うところでございます。

 いずれにせよ、今答弁したとおりでありまして、それにのっとって今調査をしているということではないかと思います。

今井委員 一般論として、その担当の方がその特区にかかわる方から便宜供与を受けるというのは、これはあってはならないですね。そういう認識でよろしいですか、一般論として。

 いやいや、総理にお伺いしています。

安倍内閣総理大臣 それは、一般論ということでいえば、いずれにせよ、ルールにのっとって対応するということが求められているんだろう、このように思います。

今井委員 そのルールによると、そういう担当者が事業予定者から便宜を受けることは適切ではありませんね。

安倍内閣総理大臣 いずれにせよ、これは、今、ルールがどうなっているかというのは、私はそのルールを持ち合わせておりませんから、それは内閣府がまさにルールにのっとって、今……(発言する者あり)今、何か御意見がありますか。よろしいですか。

山際委員長 不規則発言は慎んでください。

安倍内閣総理大臣 それで、ルールについては、まさに内閣府が、そのルール上どうかということについては、今、公務員倫理に違反かどうかということについて調査をしているということでありまして、それを待たなければ、お答えを差し控えさせていただかなければならないと思います。

今井委員 委員長、これは本当に、総理はうみを出すとおっしゃっているんですから、こんなのは調べればすぐ済む話ですし、それをなかなか、今調査中でといって出さないというのは、それは私は不誠実だと思いますよ。

 だから、総理の方から、しっかりそれを早くやるように指示していただきたいと思います。

 あわせてもう一点、森友の件ですけれども、きょう、森友学園の件、毎日新聞の一面に出ていました。これが事実だとするとびっくりするんですが、同じような報道を、きょう昼のNHKでも報じています。

 きょうは財務省もいらっしゃっていただいていますけれども、ないと言っていた交渉記録、これが実はあって、数百ページにわたるということで、今調査をしていただいていますね。その交渉記録を、昨年の二月の段階で既に財務局の皆さんは、これが存在しているということを御存じだったという報道を、NHKと毎日新聞がしています。

 これがもし事実だとしたら、これは大変な問題です。この一年間、私たちはだまされ続けたということになるわけですが、この事実関係について教えてください。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 森友学園との交渉記録につきましては、これまでも、記録が残っているのではないかとの御指摘をいただいていたところでございます。まずは決裁文書の書換えについての調査を優先しつつ、交渉記録についても現在調査をしているところでございます。

 できる限り速やかに調べまして、交渉記録が存在するのであれば、今般報道されているような点も含めまして、できる限りの調査を尽くした上で御報告できるよう努力してまいりたいと考えております。

今井委員 この交渉記録は三月に存在するんじゃないかと。もう二カ月たっています。

 二カ月たっていて、これが存在しているかしていないか、そのことを知っていたかどうか、そんなことも今答えられないんですか。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今現在、交渉記録の存否あるいはそれにまつわる、関連することについての調査をしているというところでございますので、調査結果が財務省として責任を持った形で取りまとめられた段階で、きちっと国会の方に御報告をさせていただきたいと考えております。

今井委員 あす十八日に改ざん前の文書が出てくるという予定、そういうふうに我々は聞いておったのですが、何と二十三日にまで延ばしてくれということで、先送りになりました。

 この交渉記録のやつも調べてくれと二カ月前から言っているのに、いまだに何も出てきません。引き延ばししている。国会もあと一カ月ぐらいしかないんですね。時間を引き延ばししているとしか思えないんですよ。

 総理、この国会中にうみを出すんですから、早くこの二つの件について国会に報告するように、財務省に改めて指示をしていただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 国会における要請でありますから、誠意を持って応えるように財務大臣にも指示をしているところでございますが、改めての御請求でございますから、なるべく早く対応するようにということについて財務省の方に申し伝えたい、このように思います。

今井委員 改ざん前の文書も大事なんですけれども、この交渉記録が本当にあったとすれば、これまでの答弁が全て虚偽だったということになりますから、こちらは大変な問題ですので、至急報告をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 それでは、TPPについてお伺いしますが、本来のTPPのときに何度もこれも議論させていただいたんですけれども、総理の方からは、アメリカが入ることの重要性をすごく強調されて、交渉するに当たっても、一対一じゃなくて複数対アメリカで交渉するからこそ価値があるし、アメリカが参加するからこそこのTPPは意味があるんだということを、繰り返し答弁を受けました。

 ところが、残念ながら、トランプ大統領の決断でTPPは離脱するということになって、その後、アメリカを抜きにまたTPP11というのを進められるんですけれども、あのときはアメリカがいることをすごく強調しておられましたが、そこから一体何が変わったんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 こういう貿易交渉もそうなんですが、国と国との交渉というのは、ここでの私の発言も実は交渉の一部でございまして、私の発言を注意深く聞いている米国や他の国々に対しても、メッセージを発信しているわけでございます。

 私は、米国が入らなければ意味がないという発言もしたこともあるんですが、それは、まさに米国が離脱をしようかしないかということになっていたとき、あるいはまた米国において、議会においてなかなか批准されにくいという状況になっているときにおいて、やはり米国に入っていただきたいという強いメッセージを発信しようと考えたところもあるわけでございます。

 いずれにせよ、もちろん米国の経済、市場というのはすごく大きいわけでございますから、それはぜひ入ってもらいたいという気持ちがあったのは事実でございます。

 しかし、同時に、米国がいる中において、米国が入っている中において、TPP12については、これは事実上、交渉は妥結したわけでございますし、また署名もしたわけでございますが、しかし、その段階で離脱をしてしまった。

 そこでどうしようかということになったときには、やはり、せっかくこの二十一世紀型のルール、新しいルールについて、相当お互いにこれは交渉をしつつ、お互いがお互いの国の中で大変な議論を重ねた結果、成果としてあのルールができたわけでございますから、これはまず十一カ国で始めようということで、私も、これは主導的な役割を示しながら、他の国々の皆様にお願いをし、そして最終的に十一カ国でできたわけでございまして、これを成果あるものにしていきたい。その中において、米国にも我々は復帰をしてもらいたい、このように考えているところでございます。

今井委員 TPPに関しては、おととい決算委員会で茂木大臣とも議論させていただきましたけれども、ちょっと同じ質問を、今度は総理にお伺いしたいんです。

 先ほど、トランプ大統領も随分このTPPに対して理解が深まってきたとおっしゃっていましたけれども、先ほど総理も御紹介されていましたが、このTPPがよりよいものになればという条件付で発言されていますね。よりよいものになればということは、今よりもいいものになればということだと思うんですよ。

 実際、今、NAFTAの交渉がほぼ終結に近づいているように聞いていますし、三月には米韓のFTA、これもいろいろ見直しがあって、特に自動車ですね、ピックアップトラックの関税措置の延長ですとか、あるいはアメリカの環境基準を通った車を各社ごと倍増して五万台にするとか、こういういろいろな変更をして交渉が成立して、その結果、鉄鋼やアルミニウムの関税が免除になっている、こういうことが実際起きているわけです。

 このTPPに入るに当たって、アメリカ側は、TPPの中身をもう少しいいものに変えてくれということを言ってくる可能性は十分ありますね。これは、日本側としては、このTPPの内容というのは、これ以上アメリカ側に譲歩するようなことは決してない、そういう姿勢でよろしいんですか。

安倍内閣総理大臣 TPPについては、これは日米間で並行協議をしていたものもございます。自動車等あるいは農業分野ですね。

 例えば農業分野においては、これはもう農家の皆様とのお約束がございますから、この農業分野において我々がこれ以上譲歩するということはないということは申し上げておきたいと思います。

 ただ同時に、米国が入ってくるという大きなメリットもございます。

 この二国間のものとは別に、さまざまなルールの中で、日本と米国が立場を同じにしていたものもあるわけでございます。日本と米国が立場を同じくしながら、他の国と交渉していたものというのもあるんです。これは非常に複雑に重なり合っているものでございますから。

 しかし、それは、そう簡単にルールを変えるというのは、ガラス細工のようなものでありますから、そう簡単なことではないのは事実でありますが、いずれにせよ、彼らが、どうすればいいものになると考えているかということについては、まさにこれから茂木大臣が米国のライトハイザー代表と話していく中においてはそういう議論もあるんだろう、このように思います。その中において、TPPに米国が入ってくる意義、意味、そして彼らにとっては大きな利益になるのは間違いないわけでありますから、そういうことについて議論を進めていくことになるんだろうと思っております。

今井委員 今御紹介のライトハイザーUSTRの代表は、できればFTAのような二国間協議の方が望ましい、そういうことを公式に発言しておられますね。

 先ほど御紹介した米韓のFTAでは、米韓の貿易収支の貿易不均衡の九割は自動車ということで、自動車にターゲットが当たりました。

 それで、先ほど言ったような修正が行われたわけですけれども、アメリカもずっと日本に対して貿易不均衡が是正されないことを不満に思っています。為替報告書の中でも、若干円安過ぎるというような記述もあります。為替の問題もあります。ちなみに、米韓のところには為替条項が入りました。

 それと、車。日米の貿易不均衡も、実は全体の七七%、これは車なんですね。ですから、自動車のところが狙われるのはほぼ間違いないと思うんです。

 で、今言われているのは、自動車と、そして牛肉ですね。先ほど総理は、農業のところはもう一歩も譲ることはないということでしたから、牛肉についてはもう譲らないということを今明言されました。問題は自動車です。

 先日、ウォールストリート・ジャーナルに出ましたけれども、業界団体のところに行って、トランプ大統領は、輸入車に対して二〇%の関税をかけたい、こういう発言をしたということが報道されています。こんな関税をかけられたら、本当に日本の自動車産業はたまったもんじゃありませんから、日米のFTA、二国間の協議にまず入ることすら私は問題だと思いますので、まず、それについての考え方、そして内容です。

 今度は自動車。この自動車分野はどういうふうに臨まれるか。

 自動車分野でいうと、韓国が押し込まれたような、アメリカの環境基準で通ったような車を日本に入れられたら、環境立国の日本はまた困るわけですよ、そんなたくさん入れたら。日本はしっかりとした基準を持っているわけですから。そこもしっかり守っていただきたいんですね。その点についての御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 これについてはトランプ大統領とも随分議論をしました。

 例えば日本車については、アメリカに輸出している日本車の倍の日本車をアメリカで私たちは製造しているんですよという話もしました。何回も大統領は六百九十億ドルの赤字になっているという話をされるんですが、実は、日本のメーカーは米国で工場等をつくって、そこで生産されたものは海外に輸出をされる、それは七百五十七億ドルなんですね。

 いわば彼らと日本のインバランスをはるかに上回るものを日本のメーカーがつくっている。これは他の国にはほとんど見られないことでありまして、大きな雇用をつくり、そしてアメリカに利益をもたらしているんだという話もしつつ、当然、また、例えば環境基準の悪いものを、例えば日本車よりも明らかに環境基準の悪いものを、例えばですね、そんなことはしませんが、我々が、じゃあルールを変えましょうと輸入したところで、消費者は一切手をつけませんよということをはっきりと申し上げたんです。

 日本においては関税をゼロにしているんですが、この状況になっています。しかし、ヨーロッパの国々の車は日本に入ってきているんですから、そうした実態もずっと説明して反論をしてきているところでございますが、いずれにせよ、我々はWTOのルールを尊重しているわけでございます。御指摘の報道は承知をしておりますが、米国から特段の説明は今受けておりません。

 米国の今後の政策について、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、日本の自動車メーカーは、米国内でも良質な雇用を生み、多大な貢献をしているわけでございまして、実態について正確な理解を促しつつ、日本に悪影響が生じることのないよう動向を注視していきたい、このように思っております。

今井委員 時間が来ましたから終わりますが、やはり米国抜きでTPPを進めるということ、その先にどういう問題が起きるかということはやはりよく考えなきゃいけませんし、総理がアメリカに対してそういう主張をされているのは、私は承知しております。そういう主張をしている後に二〇%の関税をかけるということまで言われたとすると、こけにされているかもしれないということなんですよ。それは理解を得なくて、アメリカ側はそうやって言ってきているという可能性もあるわけですから、ここの部分はしっかりと譲らずに戦っていただきたい、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 事前にちょっと通告はしていなかったんですけれども、私も、TPPに入る前に、この一連のモリカケの問題あるいは情報開示ということについて、総理がどういうスタンスを持っておられるのかということを少し聞いていきたいというふうに思います。

 国会がこれだけ乱れているというか混乱をしている。その原因というのは、今回、総理にまつわる一連の問題なんです。

 いつもパターンが決まっていて、情報開示をこちらから求める、しかし、それぞれの役所の中では、公文書、捜してみたけれどもない、あるいは違ったものを持って上げてくるということを繰り返しているうちに、週刊誌やらあるいは情報開示請求の中でどんどん出てくる。うちの役所だけじゃなくて周辺からもそういう情報が出てくる。その間に時間が流れて、国会が混乱をして、現状のような形になっているということであります。

 今回も、この改ざん前の記録も出してくるといいながら、だんだんだんだん引き延ばしをしてきているじゃないかと先ほどから指摘があったところですが、総理、改めて伺いたいんですけれども、こういう状況の中で、この混乱を来しているというのは、まさにこの情報開示がおくれている、あるいは正直に物を言わない、そういう役所の今の流れに対して、総理自身がやはり、責任持って開示しろと総理の方から指示をしなければいけない局面なんだと思うんです。

 これまでどういう具体的な指示をして、どういうふうに情報開示について示唆、指導をしてきたかということ、まずこれから答えてください。

安倍内閣総理大臣 例えば財務省の決裁文書でございますが、この決裁文書については、決裁文書の中身を全て読んでいただければ、かえって、もちろん私もですが、私の妻も関与していないということが明らかになっている、こう思うわけでございまして、これを読んでいけば、むしろ、さまざまな問題について、ああ、こういう問題があったんだなということについて本質の理解が進むものであったわけでございますから、当然、それは私としてはもっと早く出していただいた方がよかった、こう思っておりますし、こうしたものは全て明らかにすることによって、より国民の理解は進むのであろう、こう思う次第でございます。

 また、例えばイラクの日報問題についてでございますが、戦闘という記述については、既に昨年の早い段階の国会において、戦闘という記述があったとしても、それは憲法との関係において、五原則との関係において、いわゆる戦闘行為という定義を持った言葉でない限り、それは私は全く問題ない、いわば国語的な意味においての戦闘という記述があったとしても、それを問題として隠す必要は全くないと私は考えているということは答弁をさせていただいたところでございます。

 むしろ、かえって、このような状況になっていることで大きな誤解を生んでいるところもあるわけでありますから、これは、行政においては、透明性、公文書の意義、意味を考えて、しっかりと公開をしていくべきものは公開をしなければならない、速やかに公開しなければならない、このように考えております。

中川委員 考えていることを聞いたんじゃないんです。実際にそれを指示したかしなかったかということを質問したんですが、それに対しては、さっきの答弁だと指示はしていないということに解釈がとれるということなんですが、これは、そのことによって国会がこれだけ混乱をしているということについてもやはり総理は責任がある、それを指示して情報開示を積極的に総理の方から促さなかったということには、これは総理の責任があるということだと思います。

 同時に、さっき、総理の話とちょっと私は逆に受け取りました。こうした情報開示が進んで出てきた、それを読めば読むほど、あるいは周辺から出てきた資料を読めば読むほど、やはりこれは総理みずからの関与があったのではないだろうかという疑惑が国民の間にも、そして私たちの間にも広がっているというこの事実を、やはり総理はしっかり認識をすべきだというふうに思うんです。

 その上で、ここまで来たら、いや、私は関与していないよということを言われるのであれば、その立証責任というのは総理にあるんだと思います。もうここまで来たら、こうした形で関与していないよということを証明する、その責任はやはり総理の方にあるというふうに思います。そのことについてもしっかり対応をしていくべきだということで、指摘をしておきたいというふうに思います。

 同時に、実はこの委員会でも、四月二日の官邸での面会について、官邸のサイドでの面会記録もある、こういうことは役所の中での前提だと思うので、それを出してきなさいということを何回も何回も言っているんですが、なかなか出してきていません。総理から、自分の足元、手元にある話ですから、ぜひ国会にその面会記録を出していただきたいということ、このことを改めてお願いをしておきたいというふうに思います。

 総理、それはいいですね。

安倍内閣総理大臣 あと、これは中川先生、ないことを証明する、完全に証明するということは不可能でありまして、証明できるのはあることを証明できる、あることは証明できますが、ないことは証明できないというのは、これは常識と言っても、悪魔の証明といってこれはできないわけでございまして、中川先生がもし同じ立場に立たれれば、そのように思われるんだろうと思いますよ。これはもう常識的な考え方なんだろう、こう思います。わかっていておっしゃっているんだろうと思いますが。

 そこで、官邸の入邸記録についてでございますが、使用目的終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとされており、これはもう既に予算委員会でお答えをしていることでございますが、官邸の入邸記録については、使用目的終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとされており、昨年六月、当時の萩生田副長官が答弁したとおり、二〇一五年四月二日の今治市の官邸訪問については確認できなかったところでございます。

 本年四月十一日の衆議院予算委員会の質疑の中で、私から、二〇一五年四月二日の今治市職員の官邸訪問について、もう一度確認させたいと答弁申し上げ、改めて官邸内の関係各室への確認、調査を行ったところでありますが、愛媛県や今治市の職員が官邸を訪問したかどうかについて記録を確認することはできなかったところであります。

中川委員 TPPの方に入っていきますが、アメリカとの二国間協議は始めてはいないということを茂木大臣の方から答弁をいただいておりますけれども、ちょっと前にも指摘をしたんですが、ハガティ駐日大使のコメントが、これはロイターを通じて出ているんですけれども、もう、アメリカのサイドでは、二国間交渉は始まっているんだと、事前交渉について。それがグレートアドバンシズ、非常に有効に進んでいるよというようなコメントがアメリカのサイドから出ているんですね。こちらが幾らやっていないやっていないと言ったって、あるいは、表現として、これは交渉じゃなくて経済ダイアログだというような形で説明していますけれども、しかし、実際はやっているんだというふうに私たちも見ざるを得ないというふうに思うんです。

 そんな中で、向こうはディールなんだと思うんですね。だから、例えば鉄鋼、アルミニウムでああいう形で制裁措置みたいなものが上がってきたら、中国は、もう瞬時でそれに対する報復措置というのを出してきましたよ。それがディールなんだと思うんです。そこからディールが始まって、話合いが、どこへ持っていくかという対等の立場でやられるんだと思うんです。

 日本の場合、今そんな話合いはしていないよ、することがTPPでできないんだよ、そういうスタンスなんだよと言いながら、片方でじわじわじわじわとこういう形の話合いが進んでいるとすれば、これはディールもくそもない、アメリカのペースの中でしかこれは動かないというふうに私たちは見ざるを得ないんですね。そこのところを改めて総理に聞きたいんです。

 日本としてアメリカにどういうふうに対峙をしていくのかというと、これは中途半端であってはいけないというふうに思うんです、相手がトランプ大統領であるだけに。さっきも、こけにされたんじゃないかと総理みずから言われていましたけれども、そういう……(安倍内閣総理大臣「そんなこと言っていない」と呼ぶ)あっ、総理は言われていないのか。総理が言われたのか。ということだと思うんです。そういう話の中で、ちょっとこれまでのルールとは違った形の情景というか姿が出てきているんだと思うんです。それだけに、総理の基本的なスタンスというのを確認しておきたいというふうに思います。

山際委員長 茂木大臣、質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

茂木国務大臣 ハガティ大使の発言についてございましたが、このFFRという新たな協議でありますけれども、閣僚間の、私とライトハイザー通商代表との協議はまだ実際に行われておりません。

 ただ、協議を行うためには、いわゆるTORといいます、どういうテーマを扱っていくのか、どういう項目にするのか、事前の事務的な打合せが必要でありますから、当然それは準備を進めている。その上で、我が国としては、日米両国にとってTPPが最善である、こういう基本的な立場に立って今後の協議をしていきたい。

 二国間の協議と二国間の協定、これは全く意味合いが違うものだと思っております。

安倍内閣総理大臣 ただいま茂木大臣が答弁したとおりでありまして、確かに米国は二国間のディールに関心を有しておりますが、私は、あくまでも、TPPに入っていることが日米両国にとって最善の道であるということを述べているわけでございます。その中において、茂木大臣とライトハイザー氏の間において、では、どうすれば両国にとって最善の利益を得ることができるかどうかという対話を進めているところでございます。

 これは、それぞれの国が、米国が、例えば大統領が米国の立場を主張するのは当然のことであり、私も私の立場を主張しているところであります。その姿をいろいろな表現はできるんだろうと思いますが、いずれにせよ、両国にとっていいものをつくっていきたい、このように考えております。

中川委員 以上、終わります。

山際委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 安倍総理に端的に伺います。

 私は、五月八日の衆議院本会議で、TPP11関連法案について質問をいたしました。そして、これに対する総理の答弁のうち、四月の日米首脳会談で合意された二国間貿易取引のための新たな協議に関してであります。

 総理は、答弁の中で、米側は二国間ディールに関心を有しており、我が国としては、TPPが最善と考えており、その立場を踏まえ、引き続き協議に臨むというふうに明言をされました。その上で、総理自身が言われたのは、日米首脳会談で開始することに合意した貿易取引のための協議だとして、日米FTA交渉と位置づけられるものではなく、その予備協議でもない、このことを二度にわたって繰り返し答弁されたところであります。

 そこで、総理に伺いますが、つまり、この新たな協議そのものというのは、日米間でディール、取引をする場であって、貿易取引、総理の言葉でも貿易取引をやるということでの協議だと言われたわけですが、貿易取引の項目、内容、条件にわたって、個々にも具体的に話し合う、協議して交渉する場になるということでよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今おっしゃった、いわゆる我々がFFRと呼んでいる自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議については、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるように日米間の貿易や投資を更に拡大させていくとの目的で行われるものであります。

 この協議は、もう既にお答えをさせていただいておりますように、日米FTA交渉と位置づけられるものではないわけであります。これは、私とトランプ大統領が行った共同記者会見においてそういう質問があったんですが、それは違いますよということを明確に私は答えている、トランプ大統領の前で答えているわけでございますが、トランプ大統領もそれをもちろん否定はされていないわけでございます。

 そこで、この協議は、日米FTA交渉と位置づけられるものではないわけでありますが、その予備協議でもないのですが、確かに米側は二国間ディールに関心を有していると承知をしておりますが、我が国は、TPPが日米両国にとり最善と考えており、その立場を踏まえて、引き続き議論に臨んでいくところでございます。

笠井委員 総理御自身が本会議でも答弁で認められたように、日米間の貿易取引のための協議を開始することに合意した、そういう場であるということであります。

 総理が二国間ディールに関心を有していると言われる米側の担当者であるライトハイザーUSTR代表は、当然、みずからUSTRの対日要求を示した、直近でいえば二〇一八年外国貿易障壁報告書の立場で臨んでくることになる。

 そこで、総理に伺いますが、例えば、幾つもの分野があったりしますが、牛肉について、対日要求の報告書にはこうあります。全ての月齢の牛肉及び牛肉製品を受け入れ、市場を完全に開放するよう働きかけていくというふうにはっきり米国側の報告書に書いたUSTR、その責任者ライトハイザー氏でありますが、こういうふうにあるわけですが、日米間の新たな協議の場で、こうした牛肉の項目についても取引材料にならない、そういうことは取引材料にはならないということをはっきり言えるでしょうか。

茂木国務大臣 米側が、他国との貿易に関して、農業分野全般に関心を有している、これは委員御指摘のNTEだけではなくて、これまでのTPP12の交渉過程などを見てもそのとおりだと思っております。

 ただ、日米で今回合意をいたしました新たな協議、FFRの協議のテーマ、いわゆるTOR、これは、日米双方がお互いの関心事項を持ち寄る、こういった中で決まっていくものでありまして、USTRの年次報告書、NTEの項目に沿って議論を進める、こういう性格ではないと考えております。

笠井委員 互いの関心事項を持ち寄るわけですから、米側の関心とすればその障壁報告書がある、そしてライトハイザー氏はそれを背負ってくるということになると、総理に伺いますが、その中で、互いの関心事ということになればその事項も持ち寄るんですから、牛肉が取引材料として持ち出されないということはない、要するに、持ち出されることはないとはっきりは言えませんよね、それは。持ち出すという可能性はあると。

安倍内閣総理大臣 持ち出すか持ち出さないかということを私が相手の立場に立って断定的にお答えすることはできないわけでございますが、基本的には、今、茂木大臣から答弁をさせていただいているとおりであります。

 既に二回の会合が開催された日米経済対話では、農業分野を含む日米双方が関心を有する分野について相互的な成果を得るべく対話を行ってきているところでございまして、今後とも、日米経済関係について、日米経済対話やFFR等において建設的に議論していく考えであります。

 いずれにいたしましても、これはいかなる国ともそうなんですが、農業分野を含め、攻めるべきは攻め、守るべきは守って、国益の観点から最善の結果を追求していきたいと思います。

笠井委員 今の総理の答弁を伺っても、牛肉についても米側が要求してくることを否定できないということであります。

 国益に反する合意を行うつもりはない、こういうふうに答弁をされて、強く言われるわけですが、これまでも、外国貿易障壁報告書でアメリカから要求されて日本が譲歩した項目というのは、米国の自動車安全基準、三十カ月の月齢未満の牛肉、牛肉製品、それから米国産米の流通増加など、数多くあるではないかと言いたいと思います。

 そういうことがあるから、茂木大臣も、五月十五日の衆議院の決算行政監視委員会でも、そしてまた昨日の当委員会でも繰り返して、決して簡単な協議ではないと、それは率直に言われるんだと思うんです。米国が日本の関税、非関税措置をターゲットにして強力な取引と譲歩を迫る立場で臨んでくる、挑んでくることは間違いないと私は言いたいと思います。

 しかも、総理、伺いたいんですが、御自身が言われるように、日本側が、TPPが日米両国にとって最善と考えて、その立場を踏まえて日米二国間の議論に臨むというふうになると、どうなるか。

 米側は当然、TPP11で日本が国際約束したとみなされた関税の問題、非関税の問題でも措置撤廃ということを出発点にして、トランプ大統領から、あるいはライトハイザー氏から、TPP11でそこまで日本は譲歩したんだから、日米間でもっと譲歩せよと迫ってくる。そして、TPP11がそのてこになることは必至ではないかと思うんですが、その点での総理の認識はいかがですか。

安倍内閣総理大臣 これはむしろ、いわば、TPP12のとき、今、11でもそれは残っているわけでございますが、ここでの日本の農業分野における譲歩というのはもうマックスだということは、明確にトランプ大統領にも伝えているわけでございます。

 その中において、TPP11と、さらに、もし例えば日米間において要求されても、これで既に我々が譲歩しているもの以上はこれは譲歩できません、ですから、むしろ米国はTPPの中に入ってきて、ここで認められた、並行協議で行った、米国がいわば得たものを活用した方がいいのではないかということは話しているところでございます。

笠井委員 今総理が言われているTPP最善ということでやっていくと、これは本当に危ないと私は思うんです。ディールということになりますから、米側からすれば、日本はそこまでオーケーしたんだからもっといくよね、そのかわりこうだよねという話に引きずり込まれてくる。

 安倍総理自身が、日米首脳会談でも一〇〇%米国とともにあると明言をされて、みずから進んで二国間協議の場を提起し、あるいは進めるということで合意するということになった。米国製兵器についても、総理みずから進んで爆買いということを申し出るということになっている。

 取引にせよ、TPPにせよ、目指すところは身勝手な貿易障壁撤廃ということになって、日米間でいえば、行き着く先は結局のところFTA、そして、その協議は受皿づくりとして機能していくということになってくるというふうに思います。日本経済と国民経済にどんな大打撃を与えるか。

 引き続き、私は、当委員会でも徹底審議が必要であり、文字どおり日本国民の利益に反するTPP、TPP11、そして新たな日米二国間協議はきっぱりやめるべきだ、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 総理とは予算委員会のときに、在籍をさせていただいていたときには幾たびかやりとりをさせていただきましたが、こういう機会ですので、ぜひまた、総理と私との間にある沖縄に関する問題なども、総理の考えを少しお聞かせいただければと思います。

 さて、TPPの話から入らせていただきますが、午前中の参考人の意見の中にも、現在のTPP11はアメリカがいない、その状況ではあるけれども、そこは、アメリカが戻ってくることを前提に、TPP12の全ての今凍結されているものが後々にまた復活をする、凍結ですから解凍するわけですね。解凍して、さらに、アメリカが言うには、アメリカの有利な条件であれば戻ることも考えられるだろうというふうに言っている、そういう関係の中で、日本にとっては現在のTPP11も決して12のときのような経済的な規模で見込めるものではないという、その意見がありました。

 例えば、11と12の比較をしてみます。経済効果でいいますと、米国を含む12のときには約十三・六兆円だったものが、米国を抜く十一カ国では七・八兆円です。雇用創出効果、それも見込まれると言っていたのが、八十一万人が四十六万人です。そして、世界全体に占める経済規模の割合、これが最もこの環太平洋パートナーシップ協定の肝であったはずなんですが、12のときには名目GDPが三八・二%、世界全体に占める経済規模の割合です。これが、アメリカがいない現在は一三・五%。日本と参加国との貿易総額も四十一兆円から現在は十九兆六千億円というふうに、アメリカが抜けているこの状態では、当初もくろんでいたTPPの、いわゆる目指していた形ではないというふうに、私も午前中の質問でそれを参考人に確認をさせていただきました。

 総理のこの点に関する認識をまずお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 確かに、玉城委員が指摘をされたように、経済規模においても、人口においても、その効果においても、米国が抜けるということは大変残念な損失になるわけでございます。

 ただし、そうはいっても、米国が抜けたとしても、十一カ国の人口は五億人であります。そしてGDPは十兆ドルということになるわけでありまして、いわば、日本の人口は一億二千万人でありますが、この五億人の人口の中で、同じルールで仕事ができる、安心して日本の中小企業も農家も仕事ができるということになるわけであります。

 これは大きな可能性が広がる。米国が抜けたからといって諦めてしまっては、私たちはこの大きなチャンスを失うことになる。何よりも、我々が形づくった二十一世紀型のルールを失ってしまうわけでありますから、このルールこそが二十一世紀型のルールであり、これを広げていきたい。まずは十一カ国で始めていきたい、このように思います。

 このルール等については、知的財産の保護や環境や労働規制や国有企業の競争条件の規律など、こうしたものもあるわけでありまして、その意味においては極めて有意義なものである、その意義はほとんど変わっていない、このように考えております。

玉城委員 雇用がふえる、それから経済規模が膨らんでいくということでありますが、では、なぜTPPがアメリカで否定されたのか、なぜトランプ大統領がTPPの完全脱退を大統領令に署名をしたのか。

 もうかるのはグローバル企業の経営陣だけで、賃金は下がり、失業がふえ、国家主権が侵害され、食の安全が脅かされると、米国民の大多数がTPP反対の声を大統領選前からずっと上げていたわけです。ですから、大統領選挙の候補者は、いずれもTPPに対しては否定的な、批判的な姿勢をとらざるを得なかったんですね。そのときのアメリカでの世論調査は、反対が約八割だったそうです。

 ですから、これは要するに、日本でのTPP反対と同じ主張だったわけですね。それだけ、TPPにアメリカが参加するということは、なおアメリカにとってはよろしくないことが続くということを、アメリカ国民はそう言っている。

 日本国民も、TPP12のときにはそういう声がふつふつと日本全国で、いろいろなところで沸き起こっていた。しかし、それが11になったからといって、今の総理の話を聞いていると、アメリカはいないけれども、それでも状況はよくなるんだ、だから何の心配もない、まるでそうおっしゃっているような口調です。

 では、これから先、アメリカがこのTPP11に戻ってくるということは、総理は余り御期待をしていないということなんですか。

安倍内閣総理大臣 そのときできる雰囲気が醸成されますが、それで醸成された雰囲気が常に正しい方向かといえば、そうではないんだろうと思います。

 まさに、日本で議論されているときに何を言われていたかというと、アメリカに、交渉に負けて、日本の富がアメリカに吸い取られるのではないかという議論がなされ、日本で反対論が強かったんですが、これが正しければ、アメリカは反対するはずがないんですよね。アメリカは逆のことを言っているわけでありまして、日本にしてやられているのではないかと言っているわけでありまして、これは両方とも間違っているわけであります。

 これは実はそうではなくて、これはパイの取り合いではなくて、今あるパイを、協力しながら、新しいルールのもとによりふやしていこうということでありまして、その富をルールのもとに公正に分け合っていこうということになっていくのではないか、こう思う次第でございます。

 いずれにせよ、先ほど申し上げましたような二十一世紀型のルールを決めているということ、そして、人口規模、経済規模からいってもこのTPP11は大きな価値があるわけでございますが、同時に、やはり米国が入ってくるということは、経済の規模等々においても大きな意義がありますし、この大きな流れの中において、米国も賛同して、一緒にこの二十一世紀型のルールを世界に広げていくということは極めて意義深いことであろう、このように考えております。

玉城委員 では、少し沖縄の話をさせてください。

 五月十五日、沖縄の祖国復帰記念日です。おととい、沖縄は、一九七二年に祖国に復帰してから四十六年目の復帰記念の日を迎えました。

 この間、五次にわたる沖縄の振興開発計画、それから振興計画というふうに国の予算が投じられ、内閣府によると、復帰後から二〇一八年度当初予算までの累計は、沖縄関係予算は約十二兆五千億円投じられています。

 そして、二〇一二年から、民主党政権のとき、沖縄振興計画の策定主体が、今までは国であったものが県にその振興計画の策定主体がかわり、そして、二十一世紀沖縄ビジョンの実現に向けた基本施策などを示す新たな振計、沖縄二十一世紀ビジョン基本計画が始められ、同時に、使途の自由度が高い沖縄振興推進交付金、いわゆる一括交付金も導入されました。それによって次期振計のさまざまな、観光客の入域客数の増加、あるいは社会基盤、社会資本整備などは進んでおりますが、出生率全国一位の沖縄であっても、実は貧困率も高い、そして、全国平均に比べたら所得は七割しかない。

 つまり、これだけの多額な予算が投じられて、本来ならもうすっかり足腰が鍛えられているはずであろう沖縄は、いまだにまだその発展途上なんですね。ですから、これから、まさに沖縄にどれだけ力を入れていくかということが、多くの沖縄県民が政府に対して期待をすることであります。

 他方、実は今でも、四十六年たっても変わらないのは基地問題です。

 一九五〇年代、反基地感情が高まった岐阜、山梨、静岡などから米軍統治下の沖縄に移転してきたのが、その米軍の数がふえたという実態であります。そして、その結果、沖縄は、本土面積に比べて〇・六%の面積に、今は七〇%余りの、それでもなお高い、米軍基地が置かれているわけでございます。

 ですから、本来、この沖縄の発展は、米軍にしっかり、米国にしっかりとその状況を伝え、これであってはいけないということを主張し、協議をした中で、日本国民の国益、権益を考えて、総理を始めとする閣僚の皆さんあるいは官僚の皆さんがしっかりとその要求を突きつけること。アメリカにあっては、貿易であれ、日米同盟であれ、それをしっかりと伝えるということに尽力するべきであると思います。その点についていかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 沖縄については、我々、政権交代前は有効求人倍率は〇・五だったのでありますが、初めて一倍を超えたわけでございます。これは大変大きいだろう、こう思う次第でございまして、沖縄の皆さん、今まで二人の方が職を求めても一人分の職がなかったのが、一人が求めれば一人分以上の仕事があるという状況ができた、スタートに立ったんだろう、こう思いますし、海外からの観光客はハワイを今超えるに至ったわけでございまして、しっかりと沖縄の強みを生かしていくべく、政府としても沖縄とともに全力を尽くしていきたいと思っています。

 そこで、沖縄にいわば米軍基地が集中している、沖縄の皆様に過度の負担がかかっているということを念頭に置きながら、今、米軍再編を進めているところでございます。例えば海兵隊のグアムへの移転、九千名でしたか、八千名、九千名の方々がグアムに移転をする、これは予算等が凍結をされていたのでありますが、我々が今しっかりと米軍再編を進めていくという姿勢を示したことによってこれも解除されているわけでございまして、一日も早く、更に沖縄の負担の軽減に向けて進めていきたいと思うところでございます。

玉城委員 最後に総理に要望を申しつけたいと思います。

 沖縄を一国二制度にして関税をゼロにし、消費税をゼロにする、そのぐらい大胆な、これからの沖縄の将来を見越した、そういう提案もぜひ行っていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

山際委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 この際、御報告いたします。

 農林水産委員会との連合審査会は、明十八日金曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、明十八日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十一分散会


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