衆議院

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第23号 平成30年5月31日(木曜日)

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平成三十年五月三十一日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 遠山 清彦君

      池田 佳隆君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      武井 俊輔君    長坂 康正君

      西田 昭二君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    福田 昭夫君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      源馬謙太郎君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      中川 正春君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君    玉城デニー君

    …………………………………

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   参考人

   (大阪商業大学総合経営学部教授)         美原  融君

   参考人

   (静岡大学人文社会科学部教授)          鳥畑 与一君

   参考人

   (GT東京法律事務所弁護士)           石川 耕治君

   参考人

   (日本弁護士連合会カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ座長)   新里 宏二君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

五月三十一日

 特定秘密保護法を即時廃止することに関する請願(田村貴昭君紹介)(第一四四七号)

 慰安婦問題の解決に関する請願(大河原雅子君紹介)(第一五七八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一五七九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定複合観光施設区域整備法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、大阪商業大学総合経営学部教授美原融君、静岡大学人文社会科学部教授鳥畑与一君、GT東京法律事務所弁護士石川耕治君、日本弁護士連合会カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ座長新里宏二君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 美原参考人、鳥畑参考人、石川参考人、新里参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、美原参考人にお願いいたします。

美原参考人 大阪商業大学の美原でございます。

 お時間をいただきましたので、特定複合観光施設区域整備法案に関し、若干意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず御理解いただきたいのは、マスコミではこれをカジノ法案と呼称してございますが、これはカジノ法案ではございません。あくまでもIR整備法案でございます。

 IRとは一体何なのでございましょう。世界規模の会議施設、展示場、宿泊施設、劇場などの観光施設とカジノ施設を、数を制限して、一体として整備し運営する、こういうものでございます。単純に、カジノ施設単体をどこにでも無制限に認めるような考えではございません。かつ、カジノ部分というのは、IR施設全体のわずか延べ床面積の三%以内で、ごく一部。さらには、IRが設置できる区域を三つ以内に限定して、カジノ施設もこの区域においてのみ一カ所について認められるという考え方になっております。別途、規制機関から免許を得た場合には、カジノを設置、運営できる、こういう構造になってきているわけです。

 考えてみてください。九七%以上がカジノ外の集客施設でもあるわけです。ということは、条件的には極めて厳格でございまして、高規格施設への投資が前提になる場合、事業者にとっては大きな負担になりましたために、カジノ部分を無制限に認めるという法案では絶対あり得ないわけでございます。

 集客効果につきましては、かなり誤解があるようでございます。非カジノ部分が圧倒的に多いというのがこのIR施設の現状でもございます。施設としてもコンテンツとしても魅力的な非カジノ施設は、カジノ以上に大きな集客効果をもたらすということが現実ではないかと思います。ただし、収益的にはカジノ部分は高い事業性が期待できるために、非カジノ部分を財政的に支えるということが好まれているという現状になるのではないかと思います。

 このように、魅力のある施設群とカジノ施設を組み合わせて、地域と数を限定して、地域開発、地域振興、来訪客増、あるいは雇用、税収増を図るという政策でございますが、カジノ施行の許諾と地域再開発、地域振興を組み合わせた政策手法として、一九九〇年代以降、例えばオーストラリアの各州、あるいはニュージーランド、米国の各州、シンガポールなどのさまざまな先進諸国で実践され、定着している政策でもあります。いずれもこれらの国においては成功しているという実態があります。

 また、競争環境下で、公平、透明な手法により地域と事業者を選定する手法も実践されており、我が国におけるこのIR整備法案も、これら諸外国の経験を踏襲する考え方に基づいているということが考えられるのではないかと思います。

 カジノは、先進諸国では健全、安全、安心な、成人が自己責任で楽しむ遊興の一つでもあります。しっかりとした規制と監視の枠組みがあれば、健全なエンターテインメントでしかないことが先進諸国では実証されているということが事実ではないかと思います。マフィアとか反社会勢力の介在というのは先進諸国では半世紀前の事情でございまして、現在では一掃されて、上場企業が参入する健全な産業でしかないということを御認識する必要があります。

 さまざまな懸念事項が指摘されておりますが、これを縮小化する施策、実践の手法というのは現実に存在しており、先進諸外国でも実践されているベストプラクティスが存在しますので、これをうまく取り込むことにより、安心、安全な施行を提供することは法治国家である我が国でも当然可能であるというふうに考えております。

 このIR制度でございますが、極めてユニークな制度かつ厳格な制度で、グローバルスタンダードに準拠しているということを御理解いただきたいと思います。

 制度上の仕組みとしては、IRを所管する国土交通大臣が区域認定のための基本方針を一定期間後に定めて、これをもとに都道府県が実施方針を策定、その後、公募手続により民間提案を募り、まず民間事業者を選定するステップに入ります。

 都道府県等は、事業者を選定し、当該事業者と共同で区域整備計画を策定し、この計画を政令で定める一定期間に国土交通大臣に申請するという手順をとります。

 大臣は、提案を審査、評価し、推進本部の意見聴取を経て、区域整備計画を認定する。ただし、上限は三つの区域認定まで、こういうことになってございます。

 区域認定を受けた都道府県等と民間事業者は実施協定を締結し、協定の締結に当たっては主務大臣の認証を得るということになっております。

 この後、民間事業者は初めてカジノ規制機関に対して免許を申請して、一定の審査を経て、初めてカジノの施行が可能になる、こういう複雑な手順を踏むことになっております。

 このIR認定制度とカジノ免許、規制制度の二つの制度が存在し、国土交通大臣とカジノ管理委員会という二つの機関が、重複的におのおの、IR、カジノを監督、規制するという仕組みは、世界でも類例のないユニークな制度と思っていただいて結構ではないかと思います。すなわち、IRの公共性を国土交通大臣が所管し、カジノの健全性、安全性をカジノ管理委員会が担保する、こういう仕組みになってきているわけでございます。

 かつ、区域認定の公平性、透明性を担保するとともに、地域社会の合意形成を全ての前提とし、都道府県等と民間事業者による区域整備計画及び実施協定が事業の基本的枠組みを構成する、こういう仕組みになってきているわけでございます。

 カジノに関しては精緻な規制と監督の仕組みとなっており、世界の類似関連法規制と比較しても、遜色のない、国際的標準にかなったものと評価できるのではないかと思います。

 本則二百五十一条、附則十六条という大変な大法律になりますが、これは、区域認定の公平性を担保するとともに、施行の健全性、安全性を期すために必要不可欠な規定が盛り込まれているからであり、世界でも最も厳格なレベルにある制度であることは明らかであります。

 類例を見ない厳格な制度と規制、施行の枠組みにより、全ての構成員が廉潔性チェックの対象になるなど、一般産業とは全く異なる、高いコンプライアンス意識と厳格な規制が産業全体に求められる異例の規制産業になるということを理解する必要があるのではないかと思います。

 かつまた、OECD諸国の中では、日本は、最後にカジノを施行する唯一の先進国でもあります。諸外国の先進事例や慣行を踏まえて、よい側面を積極的に取り入れるとともに、顔認証技術とかAI、ディープラーニングなど世界の最先端技術を、実際のゲーム施行や、あるいはその監視、監督、規制に取り入れることができる環境に我が国はあるわけでございます。公共性、安全、安心を完璧に履行できる諸条件が整っているのが我が国の現状ではないかというふうに考えます。

 IRは大きな経済効果をもたらします。これを、ゼロサムゲームで、所得の移転効果ではないかとする御議論がございますが、これはいかがなものでしょうか。IRは、その整備に必要な数千億円以上の民間投融資、建設資材需要と建設需要がもたらす大きな経済浮揚効果、直接間接的に数万人の新規雇用、消費が地域社会にもたらすスピルオーバー効果など、あるいは、国際会議やイベントなどの内外来訪客の招致とこれがもたらす消費など、大きな経済効果をもたらすことは明白でもあるわけでございます。カジノを含むIR全体の経済効果に着目すべきでしょう。カジノだけに注目してはいけません。IRがもたらし得る大きな経済効果を評価して、IRの存在意義を認めるべきではないかというふうに思います。

 IRは、健全なエンターテインメントの産業の創出につながる要素もあるわけでございます。

 最後に、国民の関心事には適切な対応をし、制度のみではなく、実践のあり方を踏まえた継続的な対応が必要なことを喚起したいと思います。

 依存症などの国民の関心事でございますが、これに対しては、絵にも描きましたが、重複的、ふくそう的な対応が制度的枠組みとして設けられているのがこの法案の特徴になります。

 この問題は、エビデンスに基づかない極めて感情的な議論も多くて、しっかりとした調査に基づき、実態に即した問題への対応が必要であります。効果的なのは、対象となり得るリスクのある主体への安易な資金のアクセスを絶対やめさせること、入場させないこと、やらせないことでもあります。

 ただし、これは、制度の枠組みではやはり不十分でございまして、これをうまく機能させるには努力が必要でありまして、国、自治体、あるいは民間施行者、利害関係者等による連携協力による実践と協力がまず大事なのではないか、こういうふうに思います。

 残念ながら、この分野での調査研究は、我が国では全く貧弱でございます。世界のベストプラクティスの中には参考となる側面もあるわけでございまして、効果的な制度の実践に関しては学ぶべき点は多いのではないかというふうに思います。

 一九九〇年代以降、先進諸外国におけるカジノを含むIRに関する制度構築は、経済的好機を志向する施策、すなわち、観光振興、地域振興、雇用、税収増と、社会的施策としての国民や地域住民の関心事への対応、例えば社会的危害縮小化施策とか、責任ある賭博施行にかかわる施策などでございます、これをうまくバランスさせることによることが制度上の必須の要件になっているということが言えるのではないかと思います。

 我が国においても、この二つの考え方をうまくバランスさせることによって、先進諸外国に匹敵し得る、世界最高レベルの規制と監督を実施することは不可能ではないわけでございます。

 最後に申し上げますが、IRとは、地域活性化、地域振興、観光振興に資する重要な政策ツールであるとともに、これをうまく活用すれば、周辺地域や広域経済圏においても来訪客の往来を通じて大きな経済効果をもたらす効果的な政策ツールの一つでもあるわけです。カジノだけに注目した議論はおかしいと思います。IR全体の経済効果、集客効果にもっと注目すべきでございます。

 また、カジノは、厳格な規制、監督、監視があれば、健全、安心な、成人による自己責任に基づく娯楽であって、顧客自身が時間の経過やゲームの帰結を楽しむものでもあるわけです。これを提供する行為は、決して、マスコミが言うように、不幸を呼ぶビジネスではありません。楽しい、おもしろいからこそ、施設への内外の来訪客による集客が実現するのであって、行ってみたいとする魅力のある施設、コンテンツがあり、初めてIRは機能するわけでもございます。

 IRとは、観光振興、地域振興に資する一つの効果的な手法、あくまでもプラスアルファの観光資源を豊かにする要素、こういうふうにお考えいただくのが適切ではないかと思います。IR整備法案というのはこれを実現する効果的な枠組みである、こういうふうに考えております。

 以上で、意見を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 次に、鳥畑参考人にお願いいたします。

鳥畑参考人 静岡大学の鳥畑と申します。

 お手元の資料を見ていただければと思います。

 このたびは、本法案に対する意見陳述の貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、一昨年十二月の参議院内閣委員会参考人質疑において、IRに収益エンジンとしてカジノを組み込むことでカジノを合法化するIR型カジノは、日本経済の発展と地域社会の安定と振興に逆行すると発言させていただきました。

 その後のIR推進会議取りまとめ、各地公聴会での指摘、本法案の内容を通じて、私の懸念はより現実的なものとなっていると考えます。

 まず、IR型カジノの前提条件つくりと言えるギャンブル等依存症対策基本法の問題点を二点指摘させていただきます。

 この法案は、第一に、ギャンブル依存症対策を統一的に進める、独立権限を持った対策機関の設立が欠落しています。

 シンガポールでは、IR設置を認めて真っ先に設立したのはNCPG、ナショナル・カウンシル・オン・プロブレム・ギャンブリングでした。

 二〇一〇年のIRオープンに五年先行して設立されたNCPGは、カジノだけではなく、既存の全てのギャンブルを対象に、その危険性の啓蒙、宣伝のほか、依存症の早期発見や治療への誘導を関係機関とともに強力に進めてきました。

 何よりも、NCPGが自己排除制度の実施を担当することで、カジノ企業任せの自己排除制度の他国と比較して、極めて高い実効性を実現しております。

 お手元の資料、図表の方、一から四をごらんになってください。

 シンガポールの自己排除制度の適用者は、本年三月末で三十七万人。そのうち、市民又は政府から補助を受けている低所得者層の部分だけを見ても、七万三千人近くとなっております。これは、シンガポールの成人人口三百六万人の二・四%に当たります。

 ほかに、入場回数制限とあわせて、まずはシンガポール市民にカジノを体験させない政策が有効に機能しているのではないか、これが図表の四で示されていると考えます。

 また一枚目にお戻りください。

 ところが、シンガポールを一モデルにしながら、本法案は各省庁の縦割りでの推進体制のままです。

 第二に、ギャンブル依存症を発生させるギャンブル業界に依存症対策費用を負担させる仕組みが欠落しています。

 カジノを含めたあらゆる利用可能なギャンブルを通じて依存症が深刻化する危険性を考えれば、カジノのほか既存のギャンブル産業にも責任に応じた費用負担をさせるべきです。カジノからの納付金で依存症対策を進める場合は、カジノの社会的コスト負担を財政に転嫁することになり、財政改善への貢献に逆行するばかりか、国と地方自治体のギャンブル拡大の誘因となりかねません。

 二、政府は、カジノ単独では刑法の賭博禁止の違法性を阻却できないが、IRの中に組み込んだカジノは違法性を阻却できるとします。

 推進会議取りまとめでは、公共政策としてのIR又は新しい公益という概念で、民設、民営、私益のカジノが、あたかも、公益性を始めとした、法務省がこれまで示してきた八条件を満たすかのような主張がなされています。

 その論拠は、カジノの高収益で、世界最高水準の国際会議場、展示施設や宿泊施設、観光の魅力増進施設、送客機能施設等が実現し、観光振興や巨大な雇用と税収の実現などの経済効果が生まれるというものです。カジノの収益性の水準が、IR型カジノの経済効果を左右する仕組みとなっています。

 このカジノの高収益性は、低率のハウスエッジのもと、大数の法則等で収益を実現するカジノのビジネス手法の特性上、不可避的に世界最高水準の依存症対策と矛盾するものです。

 IR施設面積の三%以下にカジノ行為区域を制限するということは、一・五ヘクタールのカジノで五十ヘクタールの施設の投資と運営費を賄うということになります。しかし、一・五ヘクタール程度のカジノでは、ラスベガス・ストリップ地区のIR型カジノ等の海外の事例を見ても、宣伝されている高収益を上げるのは非現実的です。

 また資料の五から六をごらんになってください。

 例えば、ラスベガス・サンズはベネチアン・リゾートホテルとパラッツォ・リゾートホテルをラスベガス・ストリップに持っておりますが、カジノ面積二万平方メートルで、合わせて、二〇一六年、四億三千九百万ドル程度のカジノ収益しか上げることができておりません。

 またお戻りください。

 高収益実現の障害としてカジノ面積の絶対面積規制が削除されましたが、IR施設面積比でのカジノ面積規制としたことは、カジノ面積を広げるために、ますますIR施設を巨大化せざるを得ないことになります。IR施設が巨大化するほど、カジノの高収益を高めるため、依存症対策を緩和していかざるを得なくなります。

 今国会でも、巨大なMICE施設が国民負担なしに実現するとの説明がされていますが、ギャンブルの負けという国民犠牲の上に、MICE等のIR投資が回収され、運営されるというのが実態ではないでしょうか。

 三、経済効果をカジノの高収益性に依存するIR型カジノのスキームが必然的に依存症対策を形骸化せざるを得ないことは、現実に本法案の内容で示されています。

 入場料徴収は、入場料も含めた負け額を取り戻せると信じる依存症者の行動を促進することはあれ、抑制することはありません。

 また、週三回、月十回という入場回数制限は、七十二時間連続カジノ漬けを容認することであり、年間百二十回の入場を認めるということです。入場回数を月一回から八回に制限するシンガポールの入場回数制限や、年間百回のカジノ入場で高リスク依存症者として扱う韓国の事例から見ても、依存症者に優しい回数制限と言わざるを得ません。

 世界最高水準のカジノ規制と言うならば、そして大人の社交場としてのカジノを強調するならば、欧州におけるギャンブル継続時間やかけ金額の制限、事前にかけ金額を決定させるなどの規制を導入すべきです。詳細については資料の九をごらんになってください。

 四、今回の法案は、公設、公営、公益のギャンブルのみ認めるというこれまでの方針を百八十度転換させるものです。しかし、カジノ事業者の私益追求を肯定しながら、その利益の一部が納付金や寄附等で社会還元されることをもってカジノ事業者の利潤極大化行動を公益性で粉飾することはできません。

 例えば、世界最大のカジノ事業者であり、日本進出が最有力視されているラスベガス・サンズの場合、過去六年間で百八十七億ドルの利益を株主等に還元したことを誇っています。

 資料の二枚目、図表十をごらんになってください。

 ラスベガス・サンズのアニュアルレポートによりますと、過去六年間で純益百六十億ドルを上げていますが、それを上回る株主還元、百八十七億ドル、をしております。その株主は、アデルソン一族とファンドという構成になっております。

 また一枚目にお戻りください。

 その株主の七割はアデルソン一族であり、残るは投資ファンドであり、投資に対する利益率二〇%の実現を経営目標に掲げております。

 また資料二枚目の方をちょっと縦にして見ていただければと思いますが、ラスベガス・サンズのグローバル成長戦略の中で、投資に対する利益率目標二〇%ということを掲げております。

 またお戻りください。

 犯罪組織との関係根絶をもって健全なカジノとされていますが、それは、カジノが利益極大化を目指す投資ビジネスの中に組み込まれたということであり、顧客の資産を費消し尽くすまでかけ続けさせるという略奪的ギャンブルと呼ばれるカジノのビジネス手法がより洗練されてきたということです。

 しかし、その利益源はかけ金の負け額であり、そして、顧客を依存症状態に誘導するほど利益が拡大するのであり、人の不幸を最大化することで利益が最大化するビジネスは、目的の公益性とは全く相反するものです。

 裏側をごらんになってください。

 五、本法案では、マネーロンダリング対策でいわゆるジャンケットを認めない一方、カジノ事業者の特定金融業務を認めています。これは、顧客資産等の信用審査の上で信用枠を設定してかけ金額を顧客に貸し付けるものであり、顧客のかけ行為の継続時間の長期化や射幸性増大を通じて依存症の危険性を高めるばかりか、顧客の金融資産のかけによる喪失を促進するものです。このことは、カジノ合法化が日本の家計金融資産を標的としていることを如実に示しています。

 家族みんなで楽しめるIRは、カジノ収益による価格サービス、コンプと言われておりますが、でさまざまな入り口から誘引した顧客をカジノに誘導して収益化するというのが実態であり、家族みんなのギャンブル漬けを促進することになります。

 またお手元の資料二枚目、図表十二をごらんになってください。

 ラスベガスの場合ですが、カジノ目的で来客したお客さんは比率としては少ないのですが、滞在中に七十数%の方がギャンブルを体験して、最も金を使うのはギャンブルであるということが示されております。

 また一枚目にお戻りください。

 このことは、より多くの家庭の崩壊や老後生活の破壊を導くものになります。

 世界百二十数カ国にカジノがあり、そのカジノ市場が飽和化しているもとで、いわゆるVIP市場を始めカジノ市場は大きく縮小傾向にあります。

 図表十四から十八をごらんになってください。ちょっと時間がございませんので、説明は省略をいたします。

 カジノを目当てにした外国ギャンブラーの訪日は期待できず、各推計においても、カジノの外国人比率は、甘目に見ても大阪等の大都市部で三割、地方では一割から二割というのが現実です。

 図表十九から二十をごらんになってください。

 大阪でも三〇%ちょっと、図表二十では、北海道の場合、釧路では外国人比率一〇%、空港近くの苫小牧でも二〇%しか見込めないという推計が出されております。この中には、カジノ目的でない外国観光客のカジノへの誘導部分も含まれているのであり、その場合は、外国観光客の観光支出の置きかえでしかありません。

 この外国人比率の低さとラスベガス・サンズの利益配分を踏まえれば、国内の富の海外流出の危険性は高く、資金の地域外と国外への流出により、地域循環型経済の衰退が進むことになります。何よりも、カジノ収益をもとにした価格サービスによって顧客を奪われる一方で、依存症の増大という社会的コストを押しつけられる地域社会はますます衰退していくことになります。国内客中心のカジノはいわゆる共食い、カニバリゼーションであり、カジノによる経済効果の裏側で、失われた消費力によるマイナスの経済効果が発生することになります。

 また資料三枚目の裏側をごらんになってください。

 そこに、図表二十一ということで、ギャンブルの勝った側、カジノ企業側ではプラスの経済効果は発生しますが、失われた消費によってマイナスの経済効果が生まれ、差引きでゼロということであり、これはアメリカでは置きかえ効果、カニバリゼーションと呼ばれておりまして、いろいろな地域社会への影響等調査でこれを評価するということはもう既に常識となっております。

 六、IR推進法からIR実施法の審議において、我々は具体的にどのようなIRがつくられるのかわからず、正確な経済効果や社会的コストの推計を行うことができないままです。それは、申請自治体と民間事業者が共同作成する区域整備計画の提示をもって初めて可能になりますが、この段階での経済効果と社会的コストの評価、それを踏まえた地域社会の住民の意思決定の仕組みが欠落しています。

 米国マサチューセッツ州では、受入れ自治体とカジノ事業者がホストコミュニティー協定を結んだ後に住民投票を実施することで、より正確な評価に基づいた最終決定権を担保しています。ニューヨーク州は、影響評価の添付をカジノ申請に義務づけています。しかし、本法案では、自治体との協議又は議会の議決のみが要件とされ、第三者機関による影響評価の仕組みが欠落しております。

 国際水準のIRによる経済効果を刑法の違法性阻却の根拠としている法案では、地方でのIRにおいてかなり背伸びした投資計画を結果せざるを得ません。実際、地方の有力候補地とされている長崎IRや北海道IRでは、本法案を踏まえて、以前よりもかなり大きな投資規模が打ち出されています。しかし、過大な投資規模ほどカジノの高収益化が必要であり、地方では、より多くの地元住民のギャンブル漬けを余儀なくします。その危険性を回避するためにも、影響評価を踏まえた住民投票の仕組みが必要です。

 最後に、IR型カジノがなくても、今、日本への国際観光客は大きく増大をしています。もはや、国際観光振興のためにカジノという立法根拠はなくなったのではないでしょうか。IR型カジノがなくても国際観光客が増大している今、そもそもカジノ合法化がIRにとって不可欠なのかという根本に立ち返った議論が必要であると訴えて、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 次に、石川参考人にお願いいたします。

石川参考人 弁護士の石川でございます。

 まず、本来であれば私の意見要旨、資料をお配りするべきところでしたが、なかなか時間的な余裕がなく、今、大体月の半分ぐらいは海外出張、外へ出ておりますので、資料を準備できなかったこと、お許しいただきたいと思います。

 簡単に経歴を紹介させていただきまして、その後、本法案に賛成の立場から若干の意見を申し上げたいと存じます。

 弁護士登録は一九九七年でありまして、第一東京弁護士会に所属しております。司法修習は四十九期となります。

 早稲田大学法学部卒業。それから、ニューヨーク大学のロースクールに留学しまして、米国の会社法の修士を取りました。その後、北京大学の法学院、北京大学のロースクールですけれども、そこで客員研究員をしまして、中国の会社法と証券法を勉強しておりました。

 また、昨年の秋からは、ネバダ州立大学ラスベガス校のロースクール、英語の頭文字を集めてUNLVなんというふうに言っておりますけれども、UNLVのロースクールで客員研究員として、米国のゲーミング法、それから最近ですとeスポーツ、ビデオゲームなんかに関する法律ですが、eスポーツの研究をしておりました。

 また、そういった経験をもとに、今現在所属するGT東京法律事務所、これは米国のニューヨークを本部とするグリーンバーグ・トラウリグという法律事務所の東京オフィスという位置づけになりますが、そこに所属するパートナーとして、国内外のゲーミングクライアント様、それから日本の自治体様に対して、ゲーミング法に関する各種の助言を行っております。

 きょうは、そういった法律実務家、ゲーミング法制のアドバイスにかかわる法律実務家の立場から、二、三、意見を申し上げたいと存じます。

 まず、具体的な制度の細かい点はこの後の質疑で議論がなされると思いますので、少し総論的なところ、大きいマクロの視点からの私の、本法案、推進法案と整備法案、総称してIR法案と呼ばせていただきますが、IR法に関する意見を申し上げたいと思います。

 まず第一点目は、垂直的な観点と申しますか、消費社会の変化ということがやはり言えるのではないか。日本のような成熟した消費社会では、消費者は、いわゆる物の消費ではなく、事の消費を求めている。いろいろなメディアなんかでも言われておりますが、従来のような大量生産、大量消費の物が売れなくなっている。これはいろいろなデフレの一つの要因かもしれませんが、そうではなくて、日本のような成熟した消費社会では、消費者は事を、特別な体験、非日常的な体験をやはり求めているんだろうというふうに言えると思います。

 こういった公の場で余り個人的なことを話すのは適切じゃないかもしれませんが、私が今住んでいるところは鎌倉でありまして、いろいろなお寺で、お抹茶、干菓子なんかをつけて、せいぜい数百円から千円ぐらいでしょうか、そういったサービスをするお寺があります。

 そのお抹茶と干菓子で、非常においしい、千円でありますけれども、それが、例えばふだんは公開していない特別なお茶室を公開します、そこでお茶の先生がお手前をする、干菓子がつく、それからお茶の作法とか、日本の例えばいろいろな美術品、華道、そういったものの解説がつく。そういうふうになると、観光客の人、これは国内、国外、両方の観光客がありますが、一万円ぐらい払うわけですね。だけれども、飲むお抹茶は千円のものと同じでありまして、日本の伝統文化を紹介する、そういった付加価値をつける、事を商品にすることによって観光客の方は喜んでその十倍の値段を払う、そういうふうな社会に日本はなってきているのではないかというふうに思います。

 難しい言葉で言うと産業資本主義社会からポスト産業資本主義社会という変化なのかもしれませんが、IRというのは、まさに事の消費、非日常的な体験、ふだん、今まで身近にはなかった、あるいは日本にはもしかしたらなかった特別な空間、非日常的な体験、そういったところに例えば誕生日に行く、あるいは親の結婚記念日に行くとか、そういった場が日本にはもっとあってもいい、日本のような成熟した市民社会、消費社会にはそういった場がもっと必要ではないかというふうに思っております。

 これは何も日本の伝統文化だけではなくて、もっと新しい分野、クールジャパンという言葉が適切かどうかわかりませんが、そういった分野でも十分魅力ある事消費を喚起できるのではないかというふうに思っております。

 また地元のことで恐縮ですが、鎌倉高校の前、日本のアニメとか漫画でアジアの各国でファンができて、そこが、聖地巡礼というんでしょうか、非常に多くの台湾とかアジアの観光客の方がいらっしゃって、江ノ電の鎌倉高校の前の踏切で記念写真を撮って、週末なんかはそれで車の渋滞が起きるぐらい人が集まっているわけですけれども、そういった新しい日本のコンテンツ、クールジャパンと言われるような、そういったものでもアジア、国内外の観光客を大いに集められる、非常にポテンシャルがある、そういったものを実現する一つの有力なツール、器としてIRというものは非常に意義があるのではないかというふうに考えております。

 二つ目の視点は、水平方向の視点と申しますか、官から民へ、中央から地方へと、こういった流れをIRは促進する一つの有力な装置になるのではないかというふうに考えております。

 IR法では、IR区域整備計画、地方自治体と民間事業者の共同で申請する、共同で運営するということが想定されていますが、これは、地方に、すなわち、過去、戦後七十年、どちらかといえば中央であるとかあるいは官に偏りがちであった、例えば人材であるとか財源であるとか、あるいは権限であるとか、そういった資源を地方あるいは民間にバランスよく再配置する、バランスをとる、そういった起爆剤にIRはなるのではないかというふうに考えております。

 IR法の中でも地方自治体それから民間事業者の創意工夫ということが強調されていますが、そういった流れをIRは加速する。そういった観点からは、IRというのは、地方IRというのが非常に重要であろう、IR法を実施する意味の恐らく半分ぐらい、もしかしたら半分以上は地方IRによって実現されるのではないかというふうに考えております。

 今のような情報化社会、インターネット社会になりますと、別に大都会に出てこなくても世界の最新の状況、知識、ノウハウがわかる、地方にいても情報格差というものがどんどん都市との間で少なくなってきている。また、人材の面についても、例えば海外の人が東京とか大都会ではなく地方に住む、日本のこの地方が好きだと住む、そこで仕事をする、家庭をつくる、子供をつくる、そういったことが実際ふえてきているわけであります。

 そういった地方をもう一回元気にする、民間の創意工夫を生かすという観点から、このIR法というのは非常にやはり意義があるんだろうというふうに思うわけであります。

 少し大げさな話になりますが、日本国民である以上、日本のどこに住んでも十分な就業の機会があり、高校や大学を卒業して大都会に行かなくても地元で十分家を買える、家族を養える、そういった就職の機会がある、そして、交通であるとか病院であるとか、インフラが日本の津々浦々どこにでも最低限のものは保障されている、そういったことを達成するのが国の重要な責務であろうというふうに考えております。

 もちろん、IRのみによってそれが実現するわけではありませんが、IRという器、仕組みを通じて国内外の投資を呼び込み、国内外のお客様に来ていただく、需要を喚起する、それによって地方の財政も改善し、インフラが整う、結果的に国民生活の向上に資する、そういった意義があるんだろうというふうに思っております。

 これが、官から民へ、中央から地方へという流れの視点であります。

 最後に、そういった施策には弊害、副作用というのが当然ある。それは、何をつくっても、例えば道路であれ、トンネルであれ、工場であれ、必ずそういったプラスの面もあればマイナス面もあるわけですが、IR法について言えばカジノ部分、依存症対策ということになりますが、それについては、現行の整備法の中で十分な手当て、世界最高水準の手当てができているんではないかというふうに思われます。

 私が留学しておりましたUNLVの教授たち、彼らは世界各国の政府に対してゲーミング法のアドバイスをしているわけですが、そういったUNLVの教授たちと議論をしていて、日本のIR法はこういう仕組みになっている、こういう制度になっているということを私の方から御説明しましたけれども、それは非常に厳しいと。もちろん世界全部の規制を調べたわけではありませんが、恐らく世界一厳しいと言ってもいいんだろうというふうにUNLVの教授たちもびっくりしていて、本当にこんなに厳しくしていいんだろうかというぐらいのものができ上がっていると思います。

 ですので、そういった依存症対策、副作用については、現行の法案で十分手当てがなされているのではないかというふうに考えております。

 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 次に、新里参考人にお願いいたします。

新里参考人 日弁連のカジノ・ギャンブル問題検討ワーキングチームの座長をしております新里でございます。

 この機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、本法案を見まして、条文が二百五十一条、資料もいただきましたけれども、第一分冊が百七十六、それから第二分冊で二百三十三、大変な量でございます。十分に時間をかけた審議をしていただきたい。カジノ解禁推進法での拙速な審議が批判を浴びたところでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 私が所属しております日本弁護士連合会では、二〇一四年五月、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるカジノ解禁推進法案に反対する意見書を公表しております。カジノ解禁には、暴力団対策上の問題、マネーロンダリング対策上の問題、ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題再燃の危険性、青少年の健全育成への悪影響等、多数の弊害があることを理由にしておりまして、一貫してカジノ解禁に反対をさせていただいております。

 今回の法案につきましても、反対の会長声明を上げております。

 ちなみに、私自身は、弁護士三十六年、多重債務の問題はずっと取り組んでおりまして、その中で、ギャンブル依存症で命を奪う人の被害を見ている中で、今、ここに立っているということでございます。

 私は、今法案に反対の立場から、大きく分けて四点について意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず第一は、国民的議論が尽くされていないこと。二つ目に、カジノ解禁について、負の影響の検討が不十分であること。三、カジノについて、世界最高水準の規制とは言えないこと。四、カジノ解禁について、違法性阻却ができるとは考えられないこと。以上でございます。

 まず、一の、国民的議論が尽くされていないことについてでございます。

 カジノ解禁推進法の衆議院の附帯決議十五によれば、十分に国民的議論を尽くすこととされております。これは、カジノ解禁推進法の議論が極めて拙速であったこと、カジノ解禁は、日本で初めて民間賭博を解禁することで国民の中に抵抗感が強かったことなどによると考えるところでございます。

 推進会議が二十九年七月三十一日に取りまとめました「「観光先進国」の実現に向けて」、本取りまとめと言いますけれども、に対し、昨年の八月一日から八月末までパブコメ、意見募集を行い、また、九カ所で公聴会を実施しまして、私も仙台の公聴会で参加させていただきました。

 パブコメの結果がやっと十二月十五日に公表されました。意見提出者数は千二百三十四名、提出意見は七千四十九となって、関心の高さがうかがわれました。

 それによると、本当に意外なことにと言ったら変ですけれども、カジノの存在を前提として観光振興を行うべきでない、日本の観光資源を生かした観光推進を図るべき、千二百五十一件、これが最多の意見でございました。IR導入による経済効果は期待できない、千百五十五件。推進法案に反対、カジノ賭博解禁に反対、八百二十九件。IRを導入すると社会的コストが生ずる、五百五十六件。高い収益性と世界最高の規制の両立について、両論から二百六十件、双方からの意見。また、不当取引取締り、犯罪対策、不正行為による犯罪組織の資金獲得及びカジノ周辺地域への犯罪組織の流入等に対する規制に言及がない、又はその実効性が期待できない、二百五十三件。IR周辺地域においても、暴力団や海外での犯罪集団等、反社会的勢力の関与による治安、風俗環境の悪化等のさまざまな問題や犯罪等の弊害が懸念されるため、徹底的に排除するような対策や規制を講じるべきである、二百四十四件等、軒並みカジノ解禁へ否定的な意見が強く寄せられております。

 他方、IR導入には経済効果がある、六十二件にとどまり、今回の意見表明ではカジノ解禁に反対が六七・一%に上るなど、これまでの世論調査とほぼ同様の結果があらわれたと言ってよいと考えます。

 また、本年三月の共同通信の世論調査でも、賛成二二・六%、反対六五・一%であり、日本で民間賭博を解禁するには国民の理解が不可欠でありますが、いまだ理解が得られていないままでの解禁は許されないものと考えるところでございます。

 二、カジノ解禁について、負の影響の検討が不十分な点でございます。

 推進会議や本法案でも、経済効果、地方への波及効果は述べられておりますけれども、負の影響についての金額的試算がなされておりません。したがって、経済効果から負の影響を差し引いて真に経済的効果が期待されるかは定かではないと言えます。

 例えば韓国では、ギャンブル産業による売上高が、〇九年に十六・五兆ウォン。他方、国家ゲーミング産業統合監視委員会のホームページの賭博問題の社会・経済的費用推計研究によると、経済と財政、雇用、犯罪、法律、及び、健康及び福祉についてそれぞれの金額を推計しております。賭博中毒者らの年間総社会・経済的費用として、七十八兆ウォンと指摘されております。

 負の影響が経済効果を大きく上回ることは、本当は、日本においてカジノを解禁する上での議論で極めて重要な点でございました。しかし、この点が十分検討されておりませんし、パブコメでの意見で明らかなように、国民の中で負の影響が経済効果を上回ることが反対の大きな理由となっていると考えられます。解禁を推進する側は、負の影響を試算することなどをすべきであり、国民の理解を得る努力を怠っていると言わざるを得ないと思います。

 三、カジノについて、世界最高水準の規制とは言えないことについて述べます。

 カジノ解禁実施法案は、ギャンブル依存症対策として、入場回数制限を、七日間で三回、二十八日間で十回までとし、入場料を六千円と定めております。

 日本が倣ったとするシンガポールでは、平成二十五年秋から、ガイドライン、ビジット・リミット・ガイドラインというそうですけれども、によって、依存国家評議会、NCPGから月六回以上の利用者に対し通知を出し、銀行口座などを自己申告させること、カウンセリングを受けることを通知するようになったと聞いております。協力的でない者に対しては、標準的な基準をもとに個別ケースで調整して、一カ月のカジノ入場回数を四回ないし八回に制限できることになっているとも聞いております。

 シンガポールではカジノの広告は一切禁止でございます。この部分でも、テレビ広告まで認めている日本の規制と違いは明らかだと思われます。

 賭博依存国家評議会の役割は大きく、単に回数制限、しかもシンガポールより緩い制限をする日本が世界最高のカジノ規制とは言えないことは明らかだと考えます。

 さらに、パブリックコメントに付した取りまとめの四十一ページで、カジノの面積について、絶対値でカジノ施設の面積規制を行うべきであるとして、当初の政府案では全体の三%案と一万五千平方メートルの案が出ましたけれども、新聞報道では三%案と落ちついたと伝えられております。

 本法案四十一条七号で政令に委ねられているとはいえ、シンガポールでも一万五千平方メートルの基準が維持されていること、この資料の第二分冊十九ページでも指摘されております、からも、シンガポールの水準にも及ばないことが明らかです。

 例えば、大阪のシンポジウムで、アメリカのサンズ社の役員から大変な異議が出たということでございました。参入業者の意向によって基準を緩めたと批判が浴びせられると言えましょう。

 世界最高水準のカジノ規制とは到底言えず、参入カジノ事業者側の収益アップのため、ゆがめられたのではないかと考えざるを得ません。

 四、カジノ解禁について、違法性阻却ができるとは考えられないことについて述べます。

 何度も議論されたかもしれませんけれども、日本では賭博は太古の昔から厳罰をもって禁止され、記録上確認できるのが持統天皇によるすごろく禁止令だということは国会の議論でなされているところでございます。

 現行刑法は、賭博及び富くじに関する規定、刑法第百八十五条以下を設け、他方、特別法、当せん金付証票法、競馬法、自転車競技法等により、賭博罪、富くじ罪に該当する行為を正当化する規定が置かれており、実際上は、これらの公認された賭博、富くじの枠外で行われ、違法行為を惹起し、暴力団等の資金源となり得るような賭博、富くじが処罰の対象になってきておりました。

 カジノについて違法性阻却を認めるかについて、法務省の説明によれば、八項目が示されております。これまで刑法を所管する法務省の立場から、例えば、目的の公益性(収益の使途が公益性のものに限ることを含む)、運営主体の性格(官又はそれに準ずる団体に限る)、収益の扱い(業務委託を受けた民間団体の不当な利潤を得ないようにするなど)、射幸性の程度、運営主体の廉潔性(前科者の排除等)、運営主体の公的管理監督、運営主体の健全性、副次的弊害(青少年への不当な影響等)の防止等に着目し、意見を述べてきたところであり、カジノの規制のあり方についても同様であるとされております。

 法務省のこれまで公営ギャンブルを容認してきた八要件のうち、目的の公益性、射幸性の程度、副次的被害の防止について検討が必要であろうと意見を述べさせていただきます。

 目的の公益性について、収益の使途が公益性のあるものに限られるとされることとの関係では、カジノという民間賭博は、多額を投資し、リターン、資金の回収、配当を求めるものであり、これまで民間賭博が八要件のもとで認められなかった大きな要因が、この目的の公益性をクリアできなかったことによるものと考えられるところでございます。

 ところが、今回は、IR地域の整備の推進によって、観光及び地域経済の振興に寄与し、財政の改善を図ること、カジノの収益の内部還元とカジノ収益にかけられる給付金を社会に還元することを公益と捉えているようでございます。

 しかし、現在、年間、海外からの旅行者が二千八百万人まで増加し、四兆円の消費があるとされていて、負の影響も十分検討することなく、それ自体で賭博解禁の公益目的を認めることには疑問なしとしません。

 今回、各地の計画においても利用が期待されているのは、多くは日本人でございます、そして、金融資産であると考えるところでございます。日本の個人金融資産は千八百兆、それがターゲットにされているのではないか。この点、各地の事業計画と政府の説明が異なっております。

 次に、本法案では、七十二時間、カジノ事業者が利用者に借金で賭博させることができることが、射幸性の程度、副次被害の防止に抵触と考えるところでございます。

 ギャンブル依存症対策として、例えば消費者金融の公営賭博の敷地内でATMの設置をしない方向が進んでおります。本法案でもカジノの敷地内でのATMの設置が禁止されております。

 借金してギャンブルにつぎ込む、これがギャンブル依存症の実態でございます。例えば大王製紙の井川元社長も、金曜日の夜、日本を立って、マカオ等に行って、日曜日に帰ってくる、二泊三日のコースで、初めは自分の現金、次にはカジノで借りてかける、そこで深みにはまったと述べております。

 ところが、今回の法案ではそこが推進されると言うべきであります。

 本法案の八十五条以下で、特定資金貸付業務として、カジノ事業者に貸付けの業務を認めております。同条二号で、借入れができるのは、カジノ管理委員会規則で定める金額以上、当該カジノ事業者の管理する口座に預け入れている者で、八十六条一項では、カジノ管理委員会規則で定めるところで、顧客の収入その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査し、その結果に基づいて貸付けの金額の限度額を顧客ごとに定めなければならないとし、信用情報機関の利用が義務づけられております。

 カジノ管理委員会規則にもよりますが、貸金業法の総量貸付けの適用外となりかねないことだけでなく、これまで、日本の公営ギャンブル、パチンコで事業者が現場で貸付けすることはないし、あってはならないと考えられてきたものでございます。ギャンブル依存症に直結するからにほかなりません。

 この部分が、これまでの公営ギャンブルの違法性阻却との関係で、射幸性の程度、副次的被害の防止について大きく逸脱していると考えるところでございます。

 法務省は八要件を総合的に判断するとの立場でございますけれども、違法性阻却ができるかは、これまでの法務省見解との整合性が求められるところであり、私としましては、違法性は阻却できないのではないかと考えているところでございます。

 最後になりました。国民の理解の得られないカジノ実施法案には反対させていただきます。

 以上でございます。(拍手)

山際委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様に貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。

 早速質問をさせていただきます。

 今ちょうど、最後に、新里参考人から、カジノ事業者に係る貸付けの話がございました。その関係で、美原参考人、鳥畑参考人、そして石川参考人にお尋ねをいたします。

 本法案では、カジノ事業者が顧客に金銭を貸し付ける業務が規定をされております。その点、依存を助長し、過剰貸付けとなる懸念があります。顧客の利便性向上のためという説明ではあるんですけれども、お金を事前に預託するということはあっても、貸付けまでする必要があるのかという懸念はあるんですが、このようなカジノ事業者による金銭貸付けというのは不可欠なのか、この点についてお尋ねをいたします。

美原参考人 お答えいたします。

 実は、この貸付業務というのは、通常の一般国民を対象にしたものではございません。カジノ管理委員会が別途定める一定金額以上の金額を預け入れる者。相当な高額だと思ってください。この対象は、富裕層と呼ばれるVIPを対象にしたものでございます。

 なぜでございましょう。

 都議会で、バッグに何千万円を積み込むようなショーケースがございました。一億円をバッグに積んでください。十キロ以上で、持てません。

 実は、高額富裕層をカジノに招聘するためには、彼らは金を一銭も持ってこないわけです、彼らに対して高額消費をさせるためには、あくまでも限定的に現在の金融業法を逸脱するような形にして、同等の規制をかけながらVIPに対して利便性を供与することが、VIP顧客を日本に招致する唯一の方法だからでもあるわけです。

 繰り返し申しますが、依存症等の対策等に関しましては、これら富裕層にも共通して適用する項目でもございます。ただし、かけ金額の前提というのは、一般の国民とは全く違った行動パターンをしますので、それをもし認めないとするならば、我が国のカジノにはVIP顧客は一人も来られないという結果になるわけです。

 あくまでも、厳格な規制のもとに、特定の対象者をもとに認めるということでございまして、一般国民に対して特定金融業務といった形で金を貸し付けるということは、当然のことながら好ましくないものと判断しております。

鳥畑参考人 お答えさせていただきます。

 例えば、アメリカのゲーミング協会が責任あるギャンブラーといったときに、自分で時間を決めて、自分でかけ金額を決めて、予算を決めて、それをオーバーしたときにやめることができる。

 ところが、実際に各地、世界、いろいろなところに行きますと、例えばシンガポールであれば、すぐ外にATMがありますから、予定した金額をオーバーして、やめようと思ったけれども誘惑に勝てなくて、外に一遍出てATMというような形で、結局、借金できるということが歯どめをなくすわけですね。これは、井川大王製紙会長の「熔ける」という本を読めば、非常にはっきりしている。

 その貸し付けるといったときに、恐らく、例えば、ジャンケットに任せて、ジャンケットがお金を貸すという場合がある。アメリカのカジノ事業者のアニュアルレポートなんかを読みますと、国によってはギャンブルでの負けを債権として保護してくれない国がある、中国のようですが。そうしますと、中国の富裕層を呼んで、金を貸し付けて、大負けをさせる、その取立てというのは法的に保護されませんので、それなりのノウハウを持ったジャンケットに任せるしかない。

 日本では、ジャンケットは認めません。当然、一定の要件をもって、一定の資産、信用調査をして、もちろん対象を限定するわけですけれども、そこにお金を貸し付けて、負けた場合は取り立てる。

 例えば、私、昨年九月にラスベガスに行きまして、ちょうどスティーブン・パドックの乱射事件の時期と重ね合わさったんですが、彼は、ビジネスで資産を蓄えまして、引退して、ラスベガスでカジノにはまった、ポーカーですけれども。一定の資産がありますので、信用枠ということで主要なカジノ企業からお金を借りて、できていた。ところが、やはり財産を費消しますと、もうそうやって遊べなくなるわけですね。

 こういう、特定金融業務という形で、資産評価して、この客は財産があるからこれだけ貸すよということは、結局そこで、借金の取立てということでその人の財産を奪っていく危険性が非常に高い。そういった意味では、日本のある意味富裕層といいますか財産を持った人を対象にしてビジネスをする仕組みであろうというふうに考えております。

石川参考人 美原参考人の意見に私も全く同意見でありますが、一点つけ加えさせていただきます。

 依存症、これは貸付けの問題もそうですが、一番の利害関係者はむしろ民間の事業者、カジノ免許事業者でありまして、自分の施設から依存症、借金、債務問題、そういった問題が発生しますと自分たちのレピュテーションにかかわる、事業上の大きなリスクになりますので、今、世界の流れでは、事業者が積極的に、むしろ事業者が一番積極的にと言っていいかもしれませんが、そういったプログラム、場内の見回り、与信の管理ということをみずから、法律で義務づけられていない国もありますので、そういった国でも、事業者みずからプログラムをつくってモニターしているというのが実際であろうというふうに理解しております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、新里参考人にお尋ねをいたします。

 新里参考人、お話の中にもありましたように、多重債務問題に取り組んでこられた。そういう中で、お尋ねしたいのが、公営ギャンブルやまたパチンコなどの既存のギャンブル、その害悪、弊害、これはどのようなものか。その辺について、いろいろ御体験を通じてお考えのところをお聞かせいただけないでしょうか。

新里参考人 先ほど述べましたように、三十六年弁護士をし、ほとんど多重債務の問題に取り組んできた中で、何度も何度も借金をつくって、整理をするんだけれども、結局、僕らも叱っていたんです、どうしてこんなばかなことをするんだ、家族が泣くじゃないかといって。だんだん家族がなくなっていき、そして会社もなくなっていく、その中で自殺した人も体験しました。まさしくギャンブル依存症による借金で自殺につながる。

 実は私、江原ランド、韓国の唯一の自国民が入るところにも行きましたけれども、そこで、一番近くの駅のところにワゴンカーがあって、どうもそこに女の子のポスターがあって、お父さん、お母さん、自殺しないでくださいと書いていました。まさしく江原ランドの中で、数年間で四十八名の方が自殺をする。まさしく借金をつくって自殺をしていくということ、それが大変な悲劇。

 そして、日本が非常に今、三百二十万人というギャンブル依存症が疑われる方、三・八%程度ですけれども、これは諸外国と比べて大変多い数字でございます。

 ちょっとだけ、先ほどの件ですけれども、一番問題なのは、一番大事なのは、幾らお金を預けるかということについての基準が政令等に委任されていてわからないということなんですね。だから、美原先生が言ったことは、カジノ管理規則をわかっていればそういうことかもしれません。ただ、それでも、結局、千八百兆と言われる個人の金融資産が狙われるということではある。それが庶民の方まで下がってくるかどうかというのはよくわからない。ただ、日本でこれまで事業者が貸付けをするということは認めてこなかった、それと大変矛盾するんだというふうには考えております。

 以上です。

塩川委員 続けて新里参考人に伺います。

 日本における公営ギャンブルやパチンコなどのギャンブルの害悪の話をいただきました。また、海外の事例で、江原ランドのそういった具体的な呼びかけの話なんかもあるわけですが、その他の海外の事例、例えばシンガポールですとか、カジノの害悪、社会的弊害などについて、お聞きになっているようなことがありましたら御紹介いただけないでしょうか。

新里参考人 私は、江原ランドだけじゃなくて、シンガポールの方にもお邪魔してきました。二カ所のカジノのところに行ってきましたけれども、やはり高齢者の方が非常に多くて、中国系の方が非常に多いなという印象を持ったところでした。

 市民グループの方と、大変相談が多くなってきているということで、牧師さんがやっている市民グループのところに相談に行きましたけれども、牧師の中まで、やはり借金をつくってしまって、仲間で一回お金を出してやったんだけれども、その後、また船上カジノをやって、結局、もう協力しないと言って投身自殺をされたということで、反対運動もされたということを聞きました。

 そこで出てきたのは、やはり日本で言う闇金が大変ばっこしているということを聞きました。韓国でもサチェという私金融、闇金がばっこしているとも聞きましたし、それから、シンガポールではローンシャークという闇金がばっこしているということも聞いております。そのように、正規のところから借りられなくて闇金まで追われていく、そういう状況がシンガポールでも出てきているということを聞いてまいりました。

 以上でございます。

塩川委員 続けて新里参考人にお尋ねいたします。

 カジノ事業者に貸付業務を認めるという今回の法案についての懸念を述べていただいたわけです。

 制度設計のつくり込みのところでいえば、カジノ規制委員会の規則、政省令のところに落としていくということで、こういう議論をこの後しっかりこの委員会でもやっていかなければならないと思うんですけれども、貸金業法と同等というんですけれども、同等であれば貸金業法を適用すればいいと思うんですが、そうなっていないという点で、これが一体どういうふうになるのかというところではいろいろな心配もあるわけですけれども、その辺について、お考えのところがあればお聞かせいただけないでしょうか。

新里参考人 貸金業法では、収入の三分の一規制という格好で、収入証明書を出して進めるということですけれども、今回は、収入だけではなくて資産も含めて行われるということで、どうも規制が違っているのではないか、多くを貸せるような仕組みになっているのではないか。

 それから、当然に、貸金業法の場合については、収入の三分の一ということで決まっていて、信用情報を見て、既存の借入れがどのくらいあるかということで、もうきちっとわかるわけですけれども、今回は、上限についてカジノ事業者が定めるという格好になっていて、これについても、カジノ管理委員会の規則に方法が委ねられていて、それがどうなっているのかが十分わからない。

 そういう意味では、カジノ管理委員会規則とともに見ていかないと詳細はわからないけれども、どうも、二重のルールにして、ここでは多額な貸付けができるような仕組みが検討される。そうでなければ貸金業のルールでやったはずですから。そのように考えております。

 以上です。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、鳥畑参考人にお尋ねをいたします。

 海外の事例、ラスベガスの話などもお聞きいたしました。

 日本がいろいろモデルとしている際にはシンガポールの例を出されるわけですが、その収益の柱、収益のエンジンというのはもちろんカジノであって、それは七七%とかという例があります。一方、ラスベガスの場合にはそれが少し低いような話なんかもお聞きしているわけです。

 ラスベガスの話なんかも聞きながら、収益の三分の二がカジノ以外だという話も聞きますけれども、カジノに依拠しないビジネスモデルとなり得るのか、その辺について、お考えのところを少しお聞かせをいただけないでしょうか。

鳥畑参考人 IRの場合にカジノの面積規制がありまして、日本では三%、シンガポールでは一万五千平米ということで、カジノは面積的にはほんの一部だというふうに言われているわけですけれども、きょう、お手元の図表の十五のところ、シンガポールのカジノ収益の構成を見ますと、マリーナ・ベイ・サンズそれからリゾート・ワールド・セントーサあわせて、やはりカジノに対する収益依存が七割から八割ということなんですね。

 それから、カジノが収益エンジンである、さらに、収益を還元するというのはどういうことなんだろうということで、その上の図表の十三をごらんになってください。

 もうとにかくカジノのもうけでさまざまな価格サービスを行ってお客さんを誘引するということになります。例えば、アトランティックシティーで最も典型的なIRと言えるボルガタですか、ここは、例えば二〇一七年はカジノのもうけの三二・七%をいわゆるコンプに使い、そのコンプで、部屋であるとか食事であるとか飲物であるとか、さまざまな料金サービスを延べ千二百七十七万人に対して行って引き寄せるということなんですね。

 さまざまな形でこのコンプというサービスを通じてお客さんを誘引して、それをカジノに誘導して、遊んでとにかく金を使ってもらう、これがIR型のカジノビジネスのたてつけといいますか仕組みなわけです。

 では、統合型リゾート、IRといった場合に、本当にカジノがなければ成り立たないのかということについては、少々疑問に思っているわけです。

 例えば、この春に、横浜の横浜港運協会の方にお伺いしました。山下ふ頭の再開発、あそこで四十七ヘクタールぐらいの土地ができる、あそこで十分MICEだけでビジネスが成り立つ、我々は、カジノのないIR、MICE中心のIRで十分やっていくんだという計画を打ち出しておりますと。これは、実際に、そういう会議、展示協会ですか、その業界とコンサルをやった上で、十分収益として成り立つということで進めているわけですね。

 そういった意味では、本当に観光資源が豊富な日本において、カジノがなくても、カジノがないIR、可能じゃないか、そういう意味で創意工夫を凝らすべきじゃないかなというふうに考えております。

 以上です。

塩川委員 ありがとうございます。

 続けて鳥畑参考人に伺いますが、日本型IRの場合に運営事業者はどうなっていくんだろうかというところがあるわけですけれども、日本の事業者というのはそもそも想定されるのかというところが率直に思うわけです。

 こういったように、まさに、カジノが収益のエンジン、カジノに精通をしているということがその核心ということになった場合に、日本の事業者でそのノウハウを直接持っている者はありません。そういった際に、やはり日本型IRの運営事業者が海外のカジノ資本とならざるを得ないんじゃないのか。その辺については、いろいろお聞きしているところでお話しいただけないでしょうか。

鳥畑参考人 在日アメリカの商工会議所がこの問題について提言を出しております。IR事業者の選定においては、経験が豊富であるということを重視すべきであるということを言っているわけですね。

 実際、IRをつくる、では、その成功というのは、やはりカジノ収益、収益エンジンとしてのカジノということで、そこのビジネスといいますか、経験、ノウハウが豊富な海外の大手のカジノ事業者が優先的にとっていくんじゃないか。

 大都市部では、いわゆるビッグフォーと呼ばれるような、例えばラスベガス・サンズであるとかMGMとかが有力視されると思いますが、地方では、アメリカの中堅カジノ事業者が積極的に働きかけているということなんですが、やはり日本の企業がカジノ事業というところで食い込んでいくことはできずに、その周辺の、ホテルとか周辺のところで何とか参加していくような形になっていくんじゃないかなというふうに考えております。

 以上です。

塩川委員 それとの関連で、先ほどもお話に出た収益の海外漏出の話というのが出てくるということで、日本国民を対象とするようなビジネスで、さらには株主還元ということを考えれば、海外資本となれば本当に日本に富が集まってくるのか、そういう懸念というのがあるわけですが、その点について一言伺って、終わりにしたいと思います。

鳥畑参考人 先ほども少し紹介をさせていただきました、例えばラスベガス・サンズがどういうビジネスをやっているんだということで、ラスベガス・サンズの収益構造ということで図表十を示しております。

 よく、海外資本による投資、百億ドル規模で投資してくれる、今どきそんな投資機会はないんだよということが言われるわけですけれども、そういう投資、例えば百億ドルがあれば、それが五年とか六年で回収されていくという意味では、それが海外資本による投資であれば、海外に回収をされていく。

 さらに、運営において、ただ、ラスベガス・サンズは非常に高い収益率目標を設定しているわけでして、実際、純益率は二〇%をクリアしております。その利益を、ほとんどといいますか、実態的にはそれを上回る収益還元を株主、要するにアデルソン一族と海外ファンドに還元をしていくということになるわけです。

 そうしますと、その中のEBITDAというのがありますが、いわゆる償還であるとか還元前の利益ということですが、これがラスベガス・サンズの場合は大体三五%前後ということになるわけですが、ここに相当する部分は確実に海外に持っていかれるという点であれば、要するに、海外の純粋な外国客、外国ギャンブラー獲得で上げた利益の部分がこの部分を超えない限り、海外流出の方が多いという話になってしまう。

 もちろん、さまざまな資材を地元で調達しているかどうか。江原ランドの話では、江原ランドは、地元で、ローカルでいろいろな資材を調達しない、非常に外からいろいろ安い資材を調達しているので、地元経済にはそういう意味では貢献をしていないという話もあるわけです。

 以上です。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、西田昭二君。

西田委員 おはようございます。自由民主党の石川県能登半島選出の西田昭二と申します。

 先ほどから、本当に、四人の参考人の先生の皆様方におかれましては、IR法案について大変丁寧に御説明をいただき、かついろいろな御意見を賜りました。本当にありがとうございます。

 私もカジノというのはほとんど行ったことがない、なかったんですけれども、昨年、私も、県議会議員をしておりまして、シンガポールの方へ視察に行かせていただきました。マリーナ・ベイ・サンズですか、その施設、大変すばらしい施設も視察もさせていただきましたし、カジノの方も、ついでといってはなんだったんですけれども、視察をさせていただきました。

 大変厳正な、ボディーガードの方々がいましたり、中では多くの中国人の観光客の方々がカジノを楽しんでいたように思っております。大変雰囲気の高い、興奮状態にあるかなと思っていたんですけれども、和やかな雰囲気でカジノを楽しんでいたのかなと思っております。

 本当に、日本に戻ってきて、こういう施設が日本にあれば、大変集客力が高い、そういうことにならないかなという思いもありましたし、今回はこのようなIRの質問の機会をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。

 まず、IR法案は報道等でもカジノ法案と報じられたりしたこともありますし、カジノのことが先行しているように感じております。私としても、IRというのは、特定複合観光施設区域整備法案という名称のとおり、さまざまな施設整備を進めていくことからも、いわゆる町づくりというように考えております。

 そして、町づくりの中で非常に重要になってくるのは安全の確保だと思っております。カジノ施設ができる地域や周辺の方々の不安をなくすためにも、カジノ施設及びその周辺の警備や治安の維持について、カジノ事業者や委託を受けた民間の警備会社だけでなく、警察の協力も必要だと考えております。

 カジノ施設及びその周辺の警備や治安維持についてどのような対策が必要なのか、美原参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

美原参考人 さまざまなことが考えられるのではないかと思います。

 この法案では、まず、整備計画を提案するに際して、協議会をつくりなさい、すなわち、都道府県等、立地市町村、あるいは関連し得る民間団体、地域住民等々と、どうIRが地域に貢献できるのか、それを協議して、地域的な合意を得た上で、国土交通大臣に申請できる、こういう要件規定がございます。あくまでも、地域の同意を得て、必要な公安委員会等の協力を得ながら、地域の住民の安全、安心をどう確保できるのか、どう担保できるのかをまず住民と議会に指し示して初めて国土交通大臣に申請できるような仕組みになっているわけでございますね。

 そういった意味においては、地域社会における合意形成、地域社会における安全、安心の確保というのは法案の中に明確に位置づけられているのではないかと思います。これを利用しつつ、どういうふうに地域社会がみずからの安全を期していくのかというのは、今後、実践過程で地域社会において十分な御議論があってしかるべきではないか、こういうふうに思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 先ほど美原先生のお話の中にも、IRは健全、安心なエンターテインメント産業の創出につながるとの御意見もありましたし、また、石川先生におかれましては、eスポーツに大変御造詣が深いようなお話も賜ったわけでございます。

 近年、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦スポーツ競技としてeスポーツが大変注目をされているわけでございます。二〇二〇年のアジア競技大会の正式種目として採用されたわけでございます。また、二〇一九年の秋には、第七十四回の国民体育大会に合わせてeスポーツの都道府県大会が開催されると聞いております。ラスベガスではeスポーツの専用会場がオープンをし、昨今では、eスポーツがオリンピック種目になるかもというような話題も出たりしているところであります。

 ここ数年で急速に発展しておりますeスポーツの日本での可能性や、IRの施設の一つとしてeスポーツ用の施設の整備等について、美原、石川参考人にお伺いをさせていただければと思っております。

美原参考人 eスポーツを法律上どういうふうに定義するかというのはさまざまな御議論があるところでございます。

 これは賭博行為か否か、賭博行為ではないというのが今現在の法律上のたてつけで、かかる御議論の中において議論されているわけでございますが、これとカジノと賭博をどういうふうに関連づけるかというのは、恐らく、将来制定されますカジノ管理委員会が何を対象としてカジノのゲームとするのか、それをどういうふうに認めていくのか、そういうカジノ管理委員会の規則に委ねられる側面もあるのではないかと思います。

 ちなみに、ちょっと誤解を招くようでございますが、このeスポーツとスポーツベッティングというのは違います。

 スポーツベッティングというのは、二週間前、米国最高裁で、米国では、過去のアマチュアスポーツ保護法というものの矛盾が指摘されて、解禁されることになりました。これは、スポーツの帰結をかけごとにするという、全くのかけごとでございます。

 これを認めるか否かも、当然、日本では大きな問題になると思いますし、私が聞いているところでは、やはり将来のカジノ管理委員会の御判断に委ねる、こういうところでございます。

 eスポーツとスポーツ賭博とは基本的にジャンルが違うということをおわかりいただきたいと思います。

石川参考人 eスポーツについての御質問と理解しますが、私は、昨年の秋から、UNLVに月に一週間から十日程度、毎月ラスベガスに行っておりまして、ちょうどいい機会だということで、ほぼ、主要なカジノホテルは多分全て、一週間ずつ泊まっていたと思います。

 その中で、今委員がおっしゃられたようなeスポーツ、例えば、カジノフロアを少し縮小するとか、あるいは飲食、フード・アンド・ベバレッジの部分を少し縮小してeスポーツのアリーナをつくるというような改装工事が今まさにラスベガスで複数の施設で進んでおります。

 これは恐らく、従来の伝統的なカジノですと、なかなか若い世代、ミレニアル世代なんというふうにいいますが、そういった方が、若い世代がなかなか引きつけられなくなっている。では、ミレニアル世代はどういうところに魅力を感じてお金を払うかというと、やはりナイトクラブであるとかコンサート、ショー、それからeスポーツということかと思います。その若者世代への対策の一つとして、eスポーツというのが今非常に注目されているのかと思います。

 また、今、美原先生がおっしゃられましたように、eスポーツとeスポーツベッティングというのはまた違う概念であります。

 アメリカの場合ですと、もともと、カジノの中にスポーツベッティング、アメリカンフットボールとかそういったものにかけるコーナー、施設があります。日本では、それは多分ないということですので話が違うと思いますが、アメリカのeスポーツベッティングというのは、もともとあったスポーツベッティングの方から、じゃ、アメリカンフットボール、リアルのスポーツにもベットできるのであれば、eスポーツ、ビデオゲームの対戦型のもの、そういったものにもベットしてもいいんじゃないかということで、今、法律の改正であるとか、あるいは研究者の間で研究が進んでいるというところでございます。

西田委員 ありがとうございます。

 今ほど美原先生も少しお話がありました、法的なことというようなこともありましたし、また、本当に日本においてeスポーツのさらなる発展を図るためには、カジノの収益を施設整備や雇用、賞金等に利用することも、法改正等の手続も必要になってくるとは思っております。

 一つの可能性だと考えますが、その辺について、お答えできる範囲があるならば、お二人の先生にお伺いをさせていただきたいと思います。

美原参考人 確かに、今のIR整備法案の中で何が認められるかというのは、まだ政令、規則等々を見ない限り、非常にわかりにくい状況にあることは間違いありません。

 ただ、議員の御指摘のとおり、eスポーツを新しく認める場合には、やはりどうしても今現在御審議中のIR整備法案の一部改定を伴わざるを得ないものではないかというふうに考えております。

石川参考人 eスポーツ自体は今でも行われていますけれども、eスポーツベッティングということになりますと、また新たな法的な手当てが必要であろう。恐らく、日本においては中長期的な課題になるのではないかというふうに思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 次に、地方創生の観点で少し先生方の御意見を賜りたいと思います。

 IR法案の中で送客機能の施設の整備について書かれておりますが、地方経済の発展のためにも、広域観光の仕組みづくりは非常に重要だと考えております。

 昨年の訪日外国人旅行者数は二千八百六十九万人、旅行者の消費額は四兆四千百六十二億円と、順調に増加をしております。そして、IR整備により、更に訪日外国人旅行者がふえると期待をされているところでございます。しかし、現在の外国人宿泊者の約六割は三大都市圏に集中しておりますし、インバウンドは東京、大阪を始めとしたゴールデンルートに集中をしているところでございます。

 言いかえれば、ゴールデンルート以外の地域は、インバウンドの増加による経済効果等を行き渡らせる余裕がまだまだあるのではないかと思っております。外国人観光客の観光先が大都市だけに偏らないよう、IR施設から全国各地へ観光客を送り出すような機能を持たせる必要があると考えております。

 全国各地のさまざまな魅力的な観光ルートの紹介、地方への送客等に係る課題、必要な整備等について、また、IRの整備による地方への経済効果について、美原、石川参考人にその辺の持論も含めてお話をいただければありがたいと思います。

美原参考人 IR整備法案は、中核施設の中に御指摘のような送客機能を持った施設というものを考えているわけでございます。

 これは、意味するところは、やはりIRを整備する視点から、全国さまざまな各地に存在する我が国の魅力ある観光資源を外国のお客様に見ていただくような形で、何らかの形で顧客の周遊を考慮する施設を考えろ、あるいはそういうコンテンツを考えろ、こういう趣旨ではないかというふうに理解しております。

 これをどういうふうな形で実現するかは、そもそも区域が三つというふうに限定されておりますので、提案する地方公共団体、すなわち都道府県等が考える送客施設の考え方、あるいは広域観光レベルでIRをどういうふうに位置づけるのかという、提案する都道府県等のお考え方そのものに含まれてくるのではないか、こういうふうに思います。

 ぜひとも提案の際には、送客施設とか、広域観光圏におけるツーリスト、観光客の招致をどういうふうにやるかという提案も必要になってくるわけでございますので、提案する地方公共団体において、かかる真摯な議論が行われることを期待しているところでございます。

石川参考人 IRによる地方創生それから全国への観光促進という御質問と理解しました。

 まず、IR、統合型リゾートと言われますが、私は、この統合型の統合という意味は、IR区域内の各施設、カジノ、ホテル、商業施設、会議場、展示場、それらの諸施設が有機的に統合されているということはもちろんですが、それに加えて、IR施設が地域あるいはその周辺自治体とも経済的、社会的、文化的に統合されているという意味もあるんだろうというふうに考えております。

 そういった意味では、地元からの雇用をもしかしたら優先して雇用するということもあるかもしれません。それから、いろいろなベンダーさん、サプライヤーさん、それは地元を優先するということも当然考えられると思います。昨今の日本では非常な人手不足でありますので、IRというものがもし地方にできた場合に、そこで働く人を確保することは、多分設置自治体だけでは足りないんだろう。そうすると、周辺自治体からの雇用の確保、協力ということも当然必要になるわけでありまして、IRができる以上、周辺自治体との密接な協力というのは不可欠なものになるだろうというふうに思っております。

 また、全国への送客機能でありますが、例えば、ラスベガスに行きましても、行かれればわかりますが、大体、グランドキャニオンを見に行きましょうとか、ヘリコプターの広告宣伝があるわけですね。なので、大体、そこを拠点にして三日、四日いれば、そのうち一日ぐらいは周辺の別の観光資源にアクセスしようというのは自然な感情かと思われます。

 そういった機能を、日本のIR、特に、三つというふうに制限されていますので、全国への波及効果、送客機能というのは非常に重要な要素であろうというふうに考えております。

西田委員 改めて、地方創生の観点として、鳥畑先生や新里先生に、今の御意見等の中でまたサポート的なお話があるようでしたらお願いしたいと思います。

鳥畑参考人 実は、私も石川県の能登出身でして、ふるさとに帰るたびに地方が衰退をしていく、これを何とかしないといけないんだろうと痛切に思っております。

 そういった意味で、例えば、北海道へちょっとヒアリングに行きまして、苫小牧、地元の方に聞くと、いやもう札幌一極集中だから、札幌にとられているお金を我々が取り返すんだ、そのためにIRが必要なんだということも言われるわけですね。

 ただ、IRにカジノを組み込んだ場合に、そういう地方創生の機能を果たすのかということについて、私は非常に疑問を持っております。

 つまり、カジノのもうけでさまざまな料金サービスをしてお客さんを集める、そうすると、例えばアトランティックシティーなんかに行きますと、レストランはもう行列なんですよね。でも、外に誰も行かないんですよ。つまり、料金サービスがついていて、中で食べるとある意味ただで食べられるからということで、地元の方に聞くと、アトランティックシティーのカジノが繁栄していたときでも、地元のレストランであるとかはどんどん衰退をしていった、全部お客さんをカジノがある施設にとられてしまったんだと。

 そうしますと、じゃ、日本に外国観光客が来てくれます、IRに泊まりました、そこから送客機能で地方に回っていくのかといったときに、いや、IRはホテルが安かったし泊まったよ、カジノがあるから遊んでしまった、夢中になってしまった、旅行で使おうと思っていたお金がなくなってしまった、そこからもうお金を使えなくなったよということが起き得るとすれば、それは逆効果になるんじゃないかなというふうに思っておりまして、やはりそこは相当な工夫をしないと地方経済にはマイナスになるんじゃないか。非常に、衰退地域の出身者としては懸念をしております。

新里参考人 私自身は仙台でございまして、仙台は百八万ということで、どうもやはり東北の中では集中をしてきているというところで、東北全体がどうなるかということで、例えば松島と平泉ですかね、のルートをつくったりしながら、皆さんで、東北全体として進めるべきではないかということで進んでいるようでございます。

 そういう格好になればいいとは思いますけれども、発想自体、僕は、ちょっとずれるかもしれませんけれども、城崎温泉に旅行したことがありまして、あそこは、巨大施設を建てずに、皆さんが外湯を使いながら共存共栄をするんですね。そして、内湯はそんなに立派じゃなくて、みんなが外に出て、町全体として、高層ビルを建てずに進めていって協力をしているような温泉づくりをしていて、すごくいいなと思ったんですけれども、どうもカジノというのは全部一つに集中させてしまう。これは鳥畑さんが言っていることと同じなのです。

 そこに矛盾があって、その発想のもとにうまく地方創生につながるのかどうかについては、ちょっと疑問なしとはしないというところで勘弁してください。

西田委員 私自身も、本当は、すばらしい日本の伝統文化や観光誘客の魅力の一つであります食、それはまさに地方にこそあると思っておりますし、地方との連携が一番の魅力発信の大きな目玉になろうと思っております。

 本当に、ギャンブルの依存症やセキュリティーの問題、また社会的な負の側面の対応を図り、いろいろな懸念を最小限度に抑えつつ、最大限のIRの経済波及効果を生み出すためには、綿密な制度づくり、そしてまた民間事業者等の知見やノウハウを生かす環境づくりが私は必要だと思っております。カジノでかけない人にも恩恵があるような整備も大切だと考えております。

 どうぞ、引き続き、参考人の先生方におかれましては、各方面からの御指導、助言をお願いいたしまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございました。

山際委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、四人の参考人の皆さんにそれぞれの視点からの御意見を御披瀝いただきまして、本当にありがとうございます。勉強になりました。

 順次お伺いを申し上げます。

 まず、美原参考人にお願いいたします。

 今回、話題、論議としておりますいわゆるカジノを含めたIRという施設についてお話をしてくださいましたが、もともと、カジノというものに日本の社会や政治が改めて光を当てるというか論議に上ったのは、恐らく、バブル経済が崩壊した後、日本の経済の低迷、特に、地方の疲弊の中でどのように経済を再生させていくかという論議から始まっているように思います。

 その中で、今回の先生がお入りになっているIRの推進会議でも、この役割を「我が国の経済社会に一大転換をもたらし、国際的なプレゼンスを向上させることを目指す。」と書いてございまして、果たして、今回、カジノを含めたIRが我が国の経済社会に一大転換をもたらす、一大転換ですから、そんなに転換するだろうかと。これは先生たちのおまとめのページ四ですから、私は、これはすごいことだ、一体何を意味しているんだろうと。

 例えば、経済規模ではどのくらいをお考えなのか。今回、法案は三カ所でありますが、そういう一大転換という割には見えてきておらないように思うので、まず一点目、それをお願いいたします。

美原参考人 一大転機ということでございますが、このIRで目指す一つの眼目は、世界規模のMICE施設をつくるということでございます。

 御案内のように、日本のMICE施設は、一万人以上の会議となりますと、ほとんど対応できません。横浜は対応できるでしょう。でも、なぜ日本のMICE施設が貧弱なんでしょう。民間がみずからのリスクでつくった実例はほとんどございません。MICE施設というのは全てが公共の金でつくって、運営のみを最近コンセッションとして切り離していますが、施設の整備コストは税金で持っているわけでございます。なおかつ、運営は第三セクターに委ねている。こういうふうな関係から、巨大な、日本を動かすような世界会議というのは残念ながら我が国では実行できないのが、この国の実態ではないかと思います。

 このIRは、世界規模のMICE施設をつくろう、世界規模の国際会議をつくろうということでございます。ですから、展示場も含めて十万平米以上、あるいは、国際会議場と申しますと五千人集客の施設などが一つの考え方として考えられているところでございますが、残念ながら、我が国にかかる施設はございません。

 今、公的主体にこれを頼んだところで、税金でつくることは果たしていかがなものかと思います。民間の活力を使いながら我が国にはないMICE産業というものを何とか興したい、それによって五万、十万、何万人もの海外の顧客をこの施設に取り込むことが、このIRの一つの大きな前提でもあるわけです。

 来訪客数を考えてください。カジノというのは、そんなに来訪客数はいないんですよ。カジノの数を考えるのは、ポジション数というのを考えます。ポジション数というのは、一人が座れる席でございますね。スロット二千台、テーブル四百台、これで一万五千平米ぐらいは満杯になります。わずか数千人の規模です。満杯になることはそんなにないでしょう。でも、MICE施設を考えてください。MICE施設は一週間の間に何十万人もの人を呼び寄せる効果があるわけです。その中には日本人も数多くおられるでしょうし、外国人も多く期待される、こういうことになるのではないかと思います。

阿部委員 そうだったらいいのになという部分もあろうかと思いますが、夢は大きい方がいいので、ただ、現実にはそれに伴うリスクもございましょう。それは、ギャンブル依存症等々だけではない。物事って失敗することもあるし、誰が責任をとるかという体制もございます。その場合に自治体が担う部分も、先生は今、全部民間でとおっしゃいましたが、その周辺地域が崩壊した場合に、そんなものは民間ではカバーできません。確かに、施設内のこれが破綻して、その破綻処理はできるかもしれませんが、そこだけぽこっとあるわけじゃなくて、周辺とやはり溶け込まなければ波及効果もないし、波及するものがいいものだけではないということも、これはリスクの一端であります。

 そしてもう一つ伺いたいのは、今回、全体の広大なIR施設の三%というふうにして、あえて言えば絶対値で例えば一・五万平米とか、例えばです、ヘクタールで一・五ヘクタール、こういう面積規制をこの法案では設けておりません。それは、今先生がおっしゃったように、広大なものをつくって、カジノ施設も大きくして、ちなみに、先生はよく御存じでしょう、シンガポールでは相対的なパーセンテージだけじゃなくて絶対的な面積規制も伴っております、それをあえてとらないのか、壮大にするために、そこはいかがお考えでしょう。

美原参考人 カジノ面積の規制に関してはさまざま御意見があるというのは、御指摘のとおりだと思います。

 ただ、パーセンテージ規制のみにするというのは政治的な御判断というふうに聞いておりますので、果たしてどういう背景でこれがこういう形になったのか。審議の過程では二つの考え方があるとともに、おのおのにメリット、デメリットがあるよね、こういう議論をしたことは間違いございません。

 ただし、パーセント規制のみであっても、そんなに単純じゃございません。大きな施設をつくれば、つくろうと思うほど巨額な資金投資が必要になってきますし、その投資コストの回収ということも全ての前提になるわけでございますから、無制限にカジノ面積が大きくなることはまずあり得ず、まず経済性の観点からどこかで自然に上限の数字というものが決まってきて、その枠内においてバランスよく施設整備を考えるというのが期待されている考えではないか、こういうふうに考えてございます。

阿部委員 恐らくシンガポールでは、そのようにレット・イット・ビーにしないで、どこかでとしないで、規制をかけたものなんだと思うんです。

 先生もおっしゃったように、審議のというか会議の過程では両論あったものが政治の中で消えたというのは私は重要で、それが政治の意思であるなら、その意思は何かということを国会審議の中でしっかりと詰めていかなければ、あったものがないものになっているわけですから、一方でやはり面積規制も必要だという論があったんだと思います。ここからは私どもの政治の側の責任ですので、しっかりとこれを国民にわかりやすく説明していかねばならないと思います。ありがとうございます。

 引き続いて、鳥畑先生に伺います。

 さはさりながら、カジノを含めた、IRも含めたものでもよいと思いますが、世界動向というのは、先ほどお示しいただきましたように、全体、もうピークを過ぎて、やはりこのもの自身への見直しの機運が高まっていると先生のペーパーの中にございました。

 先ほどお時間がなくて飛ばされた部分でありますので、カジノの世界動向ということをめぐって、お願いいたします。

鳥畑参考人 カジノ、ギャンブルでお金を使うというのはいわば消費行動で、要するに自分でそれなりの所得とか資産がなければ遊べないわけですね。したがって、景気変動等、非常に影響を受けるわけです。リーマン・ショックの直後にはラスベガス自身が大きな減収に見舞われて、何年か、ラスベガス・ストリップ地区も、全体としては赤字傾向が続きました。

 アメリカのゲーミング協会が、いや、アメリカ市場全体としてはゲーミングの収入、カジノの収入がふえているんだと言うんですけれども、それは、合法化する州がふえていてカジノ数がふえていて、その中の競争で、州全体としてはカジノ収入が減る州もかなり出てきている。全体としては、飽和化といいますか過当競争の状態になっている。

 したがって、そういうアメリカの市場で、御存じだと思いますが、アメリカのシーザーズというのは経営破綻に、二〇一三年でしたっけ、追い込まれました。MGM自身もかなり経営が苦しい立場に追い込まれまして、赤字の状態でありますとか、長年配当ができない状態が続いておりました。

 そういった意味で、成長マーケットとしてのアジアというものがアメリカのカジノ資本にとって非常に重要ということで、ラスベガス・サンズは、利益の九割は今アジアで稼ぐ、マカオで六割、シンガポールで三割ということなんですね。

 では、アジアが今、成長マーケットなのかというと、資料でお示ししましたけれども、マカオのマーケットがこの一年間は少し回復傾向にありますが、それでもピーク時の三割減の状態です。シンガポールも、ゲンティンは大きく落ち込んだままです。韓国も同様です。フィリピンとかいろいろなところでIRカジノが認められて、アジア自身が過当競争になっている。とりわけ、VIPマーケットが大きく縮小しているということなんですね。

 そうすると、残る有望なマーケットはもう日本しかない。最後の楽天地といいますか、香港のCLSAというところがレポートを書いておりますが、日本のマーケットは何で二百五十億ドルとか四百億ドルとかもうかるのかといえば、現にパチンコも含めて日本人はたくさん使っているじゃないか、かけ金資産がたくさんあるじゃないか、だから、それを背景にして中国人並みに日本人がギャンブルでお金を使えばこれだけのお金がもうかるじゃないかという議論でやっているわけですね。

 そういった意味で、世界全体のカジノ市場が縮小する中で、新しいマーケットを求めて海外のカジノ資本というのは一生懸命になっている。

 あと、ちなみに、御紹介がおくれましたけれども、ヨーロッパも実はカジノ市場としては非常に縮小しております。

 ということで、ちょっと発言が長くなりました。よろしくお願いします。

阿部委員 ありがとうございます。

 お話を伺っていると、日本の御高齢者がカモネギのように金融資産を狙われるとなれば、これは何としてでも阻止をしなきゃならないと今のお話で強く思いました。

 やはり私は、先ほどの前の方の質疑の中でもありましたが、カジノというものが、一つは、そうした誰かの財産を狙うというか原資とすると同時に、地域に広がらない、その中でのみ消費が行われて、地域循環型経済にならないという懸念を強く抱いております。

 引き続いて、石川参考人にお伺いをいたします。

 実は、石川参考人と私はお隣に住まいしておりまして、私の選挙区は藤沢であります。ですから、鎌倉高校とか言われるとよくわかりますし、今、私の方は江ノ島になりますけれども、鎌倉から江ノ島にかけては大変に観光客が多く、去年の統計でも、おととしの一千二百万人が千八百万人と、大変にふえております。もちろん、外国からの方も国内の方も。

 先ほどるるお話しいただきましたが、なぜここに多いかというと、鎌倉にお寺があって、湘南の海があって、ゆったり江ノ電が走ってと、こういうものを求めて大変たくさんの方が来てくださいます。

 でも、もし、地域の住民の皆さんに、ここにカジノをつくろうかな、カジノつきIRにしようかなと言ったら、私、恐らく総スカンを食うと思うんです。

 というのは、今までの、例えば海外の方が来られるだけでも地域の環境というのは少し変わって、どう折り合っていけばいいか。それぞれに、江ノ電などは満杯になってしまって、高校生が乗れないというようなことがあって、調整が必要になってきます。まして、IR、大型施設でカジノとなれば、地域に与える影響は甚大です。

 私は、こういうことをやる前には住民投票をやるべきだと思うんです、これを受け入れていいものかどうか。もちろん、自治体にもいろいろなリスクがかかります。住民生活にも、これはイエス・オア・ノーを言う権利が私はあると思いますが、今回の法案ではそういう住民投票に類いするものが全く規定されておりません。先生はいかがお考えでしょう。

石川参考人 ありがとうございます。

 本委員会はIRの整備法案を審議する場で、鎌倉整備法案ではないわけでありますが、私も、非常に地元を愛好する者として、先生の御意見に全く賛成であります。

 現在のIR法の仕組みでは、基本的には地元自治体の発議、地元自治体の自主的なイニシアチブによって区域認定してほしいと、それに賛同する民間事業者とともに区域整備計画をつくるということになっておりますので、地元が望まない、あるいは地元に歓迎されない事業者、あるいは地元に歓迎されないIRというのは恐らく制度上できない、不可能なのではないかというふうに思います。

 また、IRに参画する民間事業者の立場からしても、地元に歓迎されないものというのは当然成功するわけはないわけでありまして、純粋に民間事業、営利事業のリスクという観点からも、なかなかそういうところにIRをつくろうという動きは実際にはないのではないかというふうに考えております。

阿部委員 現在、三カ所と限られて、そして、先ほど横浜の例も出ましたが、横浜では港運協会の皆さんも、もしやるならカジノ抜きのIRで十分だという御意見でした。

 私は、今回の開業までのプロセスという政府からいただいた文献を見ていますと、やはり、今、先生は住民の意思なくばというふうにおっしゃっていただきましたが、それを拾うものが十分ではないなと思います。

 IRについてパブコメを求めまして反対の声が多くても事が進んでいっているのと同じで、非常にこの国の民主主義が危うくなっていると懸念をいたしております。規制改革という旗のもとに、本当に今進むべき経済の方向がどうであるかについて、私はまだまだ住民の声は入れられていないなと思うものであります。

 最後に、新里先生にお伺いいたします。

 私も先生と同じで、これ全体を読んでも、負の影響、幾らもうかりますというのは出てくるんですけれども、韓国のようにそれが与える社会的弊害の総試算をしたものが日本にはないというのが不思議でなりません。物事には光と影があって、必ずリスクは考えておかなければいけない。安全と言われた原発でも事故は起こる。負を考えないものは必ず、そのリスクを担うのは国民になると私は思います。

 先生には、最後にもう一度、この負の影響ということで、一番いろいろな、依存症もそうですし、多重債務もそうですし、社会的な問題もそうでしょう、に寄り添ってこられた先生の目から見て、我が国にとっての大きな目で見たマイナスと、それをどう分析するかについてお考えを伺います。

新里参考人 今、私自身もいろいろなことを、特に多重債務の問題をずっとやってきた中で、今回のカジノの絡みの中で、実はアメリカの中でも、クリントン政権のときに、たしか一九九九年だと思いましたけれども、いろいろな賛成派、反対派を入れて検討委員会をつくって影響調査をしているんですね。その後、やはり学者の方、たしかグリノール教授という方が継続的に負の影響を調査しているんですね。そして、その報告では、プラスよりマイナスの方が、三、四倍ほどマイナスの影響が多いんだということを金額レベルとして明らかにしていて、その研究が韓国の方でもなされていたということのようでございます。特に、多重債務によって例えば自己破産をする、又は犯罪をする、そうするときのコストをどう見ていくのか、失業する、そして失業手当の給付はしなければならない、いろいろな形で見積りができるんだろうなと。

 韓国でできたことであれば日本でもできるはずで、有識者の会議の中でも検討されたようですけれども、実は、韓国での検討結果を踏まえて日本でどうするかというと、定量的な検討は無理だというような格好で結論づけたのではないか。

 実質的な検討はなされていなかったというのは非常に残念なことであって、やはり、先ほど言いましたように、一大転換ですよね。民間賭博という、どうもやはりおかしいじゃないかという声がある。それを違うんだよと言うためには、定量的な、いわゆる金額的な問題としても調査してこれを出す、きちっとこういう対策をしてもこれぐらい悪影響はあるけれどもプラスがこんなに多いよね、やはりそういうことをしないと国民が納得しない。それで、先ほど出た六七・一%の反対になっているのではないか、そこらを丁寧にやるべきではなかったのかなというふうに思っております。

 以上です。

阿部委員 まだまだ課題がたくさんあることを御指摘いただきました。ありがとうございます。

 終わります。

山際委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 きょうは、さまざまな立場から御教示をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、美原先生そして石川先生にお伺いをいたします。

 先ほどの御答弁でもありましたように、基本的には、IRが地域の活性化そして地域再生につながるというお立場かと思います。

 そこで、今回、三つという限定がされましたけれども、その評価と、今後、もしつながるのであればもっと数は多い方がいいとお考えなのかどうか、お伺いをします。

美原参考人 数を限定するとしたわけでございますが、私、二十年来、国会議員先生とIRの原案を議論する席にたまたま在籍しておりましたが、当時から、与野党の先生方も含めて、日本型IRの数は最初から限定したい、こういう政治的意思があったというふうに伺っております。

 全国津々浦々にこのIRができることは一切前提にしていない、明確に確実に成功を期そう、そのためには、しっかりとした制度のもとに数を限定して、国民にまずわかりやすい成功例を持ってこよう、そうすることによって国民の信頼と信用を得た上で、もしその事実を国民が納得するならば政治的に数をふやしてもいいのではないか、そういうお考え方であるとお聞きしておりますし、私も、それは健全な政策ではないか、こういうふうに考えております。

石川参考人 私も、美原参考人の意見に特につけ加えることはありませんが、IR、カジノとしてもいいかもしれませんが、その参入を無制限に認める国、地域というのは、恐らく先進国ではないんだろうと思います。必ず、シンガポールであれマサチューセッツであれ、上限を決めている。ネバダはもちろん自由競争、自由参入でありますが、日本とは置かれている環境が違うということで、日本の参考にはならないと思います。

 三つがいいかどうかというのは、これは政策論、バランス論でありますので、私からは何とも申し上げませんが、やはり確実に成功する、そして国民の理解を得て進めるという観点からは、妥当な数字ではないかというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 引き続き、美原先生そして石川先生にお伺いします。

 日本版のIRを今回つくるに当たって、海外からお客様を呼び込むということも書かれておりますし、御答弁も何度も、大臣からもありました。

 その考える際に、日本の外、海外にもたくさんあるわけで、そうしたことを考えたとき、日本の優位性というか、日本版IRの優位性は他国のIRと比べてどういうところに考え得るか、あるいはそういうことを制度として組み込むかということについて、ぜひお伺いをいたします。

美原参考人 アジアの他国と比しまして日本が持っている最大のメリットというのは、観光資源の豊かさにあります。歴史、文化、伝統、芸能、食、あらゆる観点において、アジアにおいて突出した文化と観光資源を持っているというのが我が国でもあるわけですね。

 残念ながら、その魅力を海外に対して発信する拠点というのは、実は日本人は下手でございます。日本の公共団体も、今まで、本当に外国人旅客を日本に呼び寄せるのか。直近ではかなり、二千八百万人まで伸びていますけれども、まだまだ足りない。ロンドンあるいはパリを見ても、国民の数を上回る来訪客が一つの都市に来ている。我が国の将来的な観光施策を考えてみた場合、あるいはこの豊かな観光資源を考えてみた場合、ロンドン、パリに匹敵し得るような来訪客が来てもおかしくないのではないか、こういうふうに思います。

 そういった意味においては、IRを拠点に、できる限り多くのコンベンショニストあるいは観光客を日本に招請するというのは極めて健全な政策ではないかと思いますし、IRみたいな観光拠点があって初めて、さまざまなコンベンションとか国際会議、観光客を招聘できるのではないか、こういうふうに思っています。

石川参考人 アジア各国とのそういったIRをめぐる競争という御質問と理解しましたが、日本の魅力というのはやはり多様性であると思います。食だけではなく、自然、文化、歴史、これだけのものが比較的コンパクトな、日本国内、大体飛行機で二、三時間あればどこでも行けるという中に集まっている国というのは、恐らくほかになかなかないんだろうというふうに思います。そういった日本の魅力、多様性、今ある観光資源を新しい時代に即した形で表現する、それがIRなんだろうというふうに思います。

 もちろん、既存の伝統的な日本旅館であるとか温泉であるとか、それ自体もすばらしく魅力があるわけですが、一方、新しい時代の要請、例えばバリアフリーであるとか、フリーのWiFiがいつでもどこでもアクセスしやすいであるとか、最近ですと、いろいろな、LGBT、ダイバーシティーの問題、そういったものに対応した宿泊施設、観光施設というのがもっと日本にあっていいんだろう。そうなると、外国人の方もふえるし、日本の国内の旅行者も満足度が上がるのではないかというふうに考えております。

稲富委員 引き続き、美原先生、石川先生にお伺いします。

 海外から来られるということを目的の一つとする場合に、先ほど来ちょっと議論がありましたけれども、日本人と海外から来られる方の割合を、どの程度を我が国として目標とするか、どう考えるかということなんですけれども、大体、海外からどれぐらいの割合の方に来ていただきたいのか。そういった目標、あるいはその目安でもいいです、海外の方に五割ぐらい来てほしいのか、六割来てほしいのか、いや、二割でいいのか。やはりそこら辺がないとなかなか、ちょっと私なんかイメージがつかないものですから、大体どれぐらいの方に来ていただこう、もしそういうお考えがあればお伺いをいたします。

美原参考人 大変難しい微妙な御質問であるかと思います。

 マカオを見てみましょう。マカオは、九〇%が中国人です。中国しか向いていない市場ですね。

 シンガポールを見てみましょう。実際シンガポールに行っているお客は、シンガポール人じゃございません、数的には東南アジアの華僑です。それと、シンガポールに在住する在留低所得外国人層が主な顧客になっている実態がございます。

 日本はどう考えるべきでしょう。さまざまな議論がございます。

 これは、IRを考える地方公共団体並びに民間事業者がどういうビジネスプランを持ってくるのか、何を考えるのか、大都市なのか、地方なのか、観光都市なのか、あるいはどういう観光特性を持っているのかによっても違ってきます。どういう中核施設を持って、どういうふうな施設をつくるのかによっても集客のあり方は違ってくるのではないかと思います。

 例えば、大都市、MICE施設がある。多分、膨大なお客が何十万人という形で海外から、日本から来るでしょうね。そういった意味においては、大都市型のIRというのは日本人の構成が大きいかもしれません。

 カジノはどうでしょうか。どういう形で、どういうビジネス戦略をとるかによっても変わってきます。いろいろな考え方がとれますね。単純でないのは、例えば、考えてみてください、三千人の日本人のお客を呼ぶことと一人、二人の中国人のVIPを呼ぶことが経済効果が同じであるというふうに考えてみた場合、数だけで物事を判断するのは必ずしも適正ではないということをおわかりいただけると思います。

 どういうビジネス戦略を立てるのかということに関しては、人口稠密な東京みたいな大都市あるいは関西みたいな大都市圏においては、当然のことながら、相当数のパーセンテージを日本人顧客が占めるだろうと考えるのは合理的な推定ではないかと思います。ちょっと曖昧な形で申しわけございませんが、大都市においては相当数の日本人顧客が想定される。

 もっとも、地方における観光都市の場合はどうでございましょうか。戦略的に北海道とか九州に外国人観光客を呼ぶ、そういう観光都市であった場合、確実に外国人観光客の比率がカジノもIRに対しても多くなるのではないかということが想定されることができるわけです。

 そういった意味におきましては、地域、事業者のビジネスプランによって大きく変わる要素がある、でも重要部は日本人が占めると想定される、こういうお考えでよろしいのではないかと思います。

石川参考人 私も同じ意見でありまして、基本的には、自治体と民間事業者がどういうストーリー、どういう顧客層をターゲットにしてIRをつくるのかということによるものであろう。したがって、国の方で外国人比率をこれぐらいにしなさいとか日本人比率はこれくらいにしなさいと言うのは、少し筋が、話が違うのかなというふうに思っております。

 ただ、気持ちとしては外国人十割、日本人十割、たくさん来ていただきたいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、IRの経済性についてちょっとお伺いをいたします。

 経済効果については、民間のさまざまな試算がございます。そこで、美原先生そして鳥畑先生にお伺いします。

 さまざまな試算があって、一体これは幾らの事業なのかということは政府に聞いてもなかなか出てこない。恐らく、これから各自治体と、もちろん政府の計画の中でということなんですけれども、しかし、やはり、大体どれぐらいなのかという規模感がない中ではなかなか議論しにくいのが率直なところです。

 幾らの投資なのか、幾らの事業なのか。大体百億のオーダーなのか、千億のオーダーなのか、一兆のオーダーなのか。そこら辺のところが、海外の事例もぜひ教えていただきながら、大体、今回の仮に三カ所とした場合にどれぐらいの投資になるのか、ぜひ御見解をお伺いします。

美原参考人 これもまた大変難しい微妙な御質問であるというふうに認識しております。

 どういう形の経済規模になるのかというのは、中核施設の内容、施設の規模、カジノ施設の規模等、今後、政令ないしはカジノ管理委員会の規則で定められる詳細な規則をもって初めて、一定地域においてどういう施設をつくることが合理的なのか、例えば国際規模のMICEとはどういう程度の規模を示すものなのか、国際規模の国際会議室、どういうふうな施設をつくるかによっても大きな投資判断指標というのが変わってくるわけでございます。

 経済効果試算というのは、当然、投資効果があって初めて、売上げ予測があって初めてできるものでございますけれども、残念ながら、今の状況では、さまざまな経済指標を確定的に定めることが極めて難しい状況にあります。恐らく、基本方針策定、今から一定期間後、国が基本方針を定める段階になりますとさまざまなパラメーターを固定できることになりますので、その段階で、地域独自に、ではどのくらいの施設が要求されるのか、これに対してどのくらいの投資規模が期待されるのかを見て初めて経済効果試算、事業者による投資判断というのが出てくるのではないかと思います。

 ただ、五十万平米以上の会議施設とか一万人を超える会議室とか、そういう試算をもってしても、もしこういったものが九七%を占めるとなりますと、当然のことながら、数千億円から七、八千億円の総投資額がなければまずできないと思いますね。当然、大都市においては、今政府が期待する世界規模の大規模MICE施設、ホテル等々がある場合には、やはり相当規模の投資が前提にならざるを得ないということが言えるのではないかと思います。

鳥畑参考人 日本でカジノ、IRをつくった場合にどれぐらいのカジノ収益が期待できるのかということについては、途中で議論が大きく変わったんじゃないかなと思っているんです。

 九九年にお台場カジノ構想ができたときは、二十四時間眠らない東京都市といいますか、ヨーロッパを念頭に置いた、ホテルにカジノを加えたような感じのものをまず想定していたわけですね。

 そのころの議論というのは、実際、海外の事例で、カジノの周辺人口、それから来客率とか一人当たりの消費額とか、そういうボトムアップ型で積み重ねてきた。そうすると、どうしても規模は小さくなっちゃうんですね。カジノの収益として、やはり数百億円程度にしかならない。

 実際に、きょう、図表の十六で、ラスベガスのストリップ地区のカジノ、例えばカジノの売上げが七千万ドル以上の大型カジノがあそこに二十四あるんです。二十四合わせても、昨年のカジノの売上げが五十六億ドルぐらいなんです。もう二、三億ドルぐらい。したがって、あれだけ創意工夫というか魅力的な施設をつくって、行ってみると、確かに皆さん、リッチな方が来客しているんですが、それでもカジノのもうけは数百億円なんですね。

 ところが、日本では、途中で、IRの経済効果を強調することで違法性を阻却しようという議論になったときに、議論の組立て方が、投資規模から逆算するようになったと思うんです。百億ドルの投資が可能だよ、したがって百億ドルの投資を支えるためにはこれだけのカジノが必要だねという議論にどうも逆転をした。

 その推計をするときに、どうしても、海外のカジノではこれだけもうかっているからという、海外の施設の数値をそのまま横滑りさせてくる。したがって、マカオでカジノはこれだけもうかっているから、日本でもこれだけもうかるはずだみたいな、ちょっと逆さまの議論になっていて、かなり投資の見通しとしてはずさんなものになっているんじゃないか。

 かつてのリゾート法のような二の舞になる。でも、かつてのリゾート法は税金で負担ということになったんだけれども、今度は国民をギャンブル漬けにすることによって担保するような仕組みになっているんじゃないかというのが懸念なんです。

 失礼します。

稲富委員 最後の質問にいたします。鳥畑先生そして新里先生に御質問いたします。

 これは莫大な、巨大な投資であるということは、もう皆さんお話しいただいたとおりです。うまくいけばいいんですけれども、最悪のシナリオの場合どうなるかということをぜひ伺いたいんですね。最悪のシナリオの場合、何千億という投資をしたときに、要するに民間企業です、それをどうするのか。潰せるのか、潰せないのか。人手を、何万人という雇用があったときに、どうやって潰すのか。誰か引き継ぐところがあるのか。そういう最悪のシナリオのときはどういうことが想定されるのか、ぜひお伺いをいたします。

鳥畑参考人 例えば、その最悪の事態というものが、アメリカのアトランティックシティーで発生をしているんじゃないか。

 図表の十七でお示ししておりますが、あの近隣、ニューヨーク州であるとかペンシルベニア州がカジノを合法化する、過当競争でニュージャージー州アトランティックシティーのカジノの収益が大きく落ち込みまして、既に五つのカジノが破綻をする、税収が大きく減収をするということになっております。

 同様の事態が、ミシシッピ州のテュニカでも起きていまして、テュニカもカジノ収益を当てにして、水族館とかいろいろな道路を整備するとかいうことをやりました。そうしますと、結局、カジノ依存の経済をつくったときに、カジノ以外の産業がかなり衰退してしまう。それで、カジノにかわる産業がなくなったところで、カジノを失ってしまったときに地域経済というのは非常に深刻な問題に直面をするんだろうなと。

 それから、背伸びをして投資規模を大きくすればするほど最終的な担保は、結局、カジノ規制を緩めてカジノをもっともうかるようにしなければならないじゃないですかということで、例えば納付金の比率を下げるであるとか、さまざまな規制を緩和するであるとか、それから、たしかテュニカの場合は地元自治体への補助金ですかね、議論もされたと記憶をしております。

 といった意味では、非常にリスクの高い選択になるんだろうなというふうに考えております。

新里参考人 鳥畑参考人と同様とは思いますけれども、どうも、地方競馬でも、例えば自治体が貸付けをせざるを得ないとかといって、結局潰せないまま貸付けがふえていってしまうというようなこともある。

 それから、やはり税収に一定頼ることになってしまって、もうなければ暮らせないからそういう貸付けをせざるを得ないような事態にもなりかねないということで、大変、自治体自体の存続の問題になるのかなと。

 それから、潰してしまうとまさしく雇用が失われてしまう、何千人の雇用を守るためにどうするんだということで、財政的負担がなされてしまう可能性すらある、それが過去の例でも出ているのではないかなというふうに思っています。

 以上です。

稲富委員 さまざまな御教示をいただきまして、ありがとうございました。

 終わります。

山際委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょう、四人の参考人の先生から大変に示唆に富む指摘をいただきまして、本当にありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思いますが、少しだけ私のカジノに対する経験といいますか、それをお話ししたいと思っています。

 私、カジノ施設には二カ所行ったことがございます。一つはシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズと、あとは韓国の、家族旅行をしたときに、ホテルの、ツアーか何かで三千円だけ使っていいですよというチケットをいただいて、行ったことがございました。三千円、すぐ終了したわけでございますけれども。

 マリーナ・ベイ・サンズを見たときに、やはり、初めてこのIRというものを拝見して、その壮大さと、最上階にプールがあるわけですから、奇想天外な発想を経験しました。

 これは視察でしたので、カジノの施設に入って、カジノはしませんでしたが、VIPルームに入りました。しかし、その中で私、感じましたのは、日本だったらもうちょっといいものをつくれるんじゃないかなというのは実は感じました。造作にしましても、余り言うとこれは批判になりますが、もう少し日本人だったら細かなものをつくれるだろうし、また、ホテルの中にも、当然泊まらせていただきましたけれども、もっと日本人だったら温泉施設を使いながらやれるんじゃないかなという、行って自信を持ったのが一つの感想です。

 片や、韓国の方は、これはほぼ単体の施設でございました。先ほどから江原ランドの話が出ていますが、まさに単体のカジノの施設とIRというのは、かなり異質なものだろうなと思っております。当然、大人しか外国人は入れないホテルの施設でしたので、私は子供を連れておりましたけれども、子供は外で待たなきゃいけないんですね。そのときに、プレハブ小屋に入れられて、ジュースを持たされて、もう二度とこういうところには行きたくないと。

 だから、まさにやはり、一つ、カジノだけを目的にギャンブルをしに行く施設と、一つ、IRという多くの複合施設が入ったところというのは違うんだなということを私個人で感じたわけでございます。

 しかし、当然、私も法曹のもと端くれでございますし、新里先生のようにギャンブル依存症の方々に会われた方々は、こういう法案に対しては非常に御心配されることも理解をしなきゃいけないというふうに思っておりますし、片や、投資の部分で実際に自分がこのビジネスにかかわる方は、早く進めてほしいという気持ちもわかるわけでございますが、国民の中で六七%がまだ理解をしていない。ここをもし払拭するには、カジノが日本で成功して、この法の趣旨でありますとおり、観光そして地方創生、もって財政の健全化ということが、やはりできる前から、これをしっかりと国民の方々にもっと説明すべきだと私は思っております。

 ですので、一番のポイントは、やはり、さまざまな負の部分、これをどう抑えるかということも大事なんですが、どれだけプラスの面がこの日本型IRであるかということを、ぜひ専門家の先生にお聞きをしたいと思っています。

 そこで、美原先生にぜひ、日本の今の市場、アジアにおけるマーケットの中で、先ほども聞かれておりましたけれども、日本型のIRをやるとこれだけの経済規模があり、メリットがあるんだということを、今の段階で、推進をされている先生の方から改めてお聞きをしたいというふうに思っておりますが、お答えいただければと思っています。

美原参考人 大変難しい御質問でございます。

 実は、経済規模の推定というのは、さまざまな前提にもよりますので、余り、かかる場において私が明確な数字をお答えできるというのは、極めて難しい状況にあるのではないかと思います。相当の経済効果が期待できますけれども、計数的にそれを落とす場合には、その前提となるものがいかなるものになるかによって大きな経済効果の差が出てくるというのが実態ではないかと思います。

 ただし、相当の経済効果が認められることは、諸外国の実勢を見ても明らかでございますし、今政府が想定している大規模MICE施設を含むようなIRというのは、相当の投資規模を要求することになると思いますので、それに伴うさまざまな経済効果が期待できるというのが実態ではないかと思います。

 残念ながら、現段階におきましては、定性的な判断はできますけれども、定量的な明確な数字というものは、前提数字が決まった段階で初めて、事業者の考え方を聞いた上で、経済効果試算というものができるのではないか、こういうふうに思います。

 一方、先生のおっしゃるとおり、国民の理解を得るというのは確かに重要でございますね。そのメリットあるいはデメリットをいかにコントロールして、問題がないということを国民の皆様にいかにわかりやすくわかっていただくことが必要かというのは、政治の場でも行政の場でも、最も重要な側面であるということは認識しております。

浜地委員 ありがとうございます。

 次に、石川参考人にお聞きをしたいと思っております。

 先ほど、石川先生の方は、やはり都市から地方への一つの流れをつくるような一つのきっかけになるということをおっしゃいました。

 私、九州・沖縄比例ブロックの選出でございまして、地元は福岡なんですが、長崎というところを抱えております。少し、候補地になるのではないかなと。地元の方も、やりたいということがございます。

 しかし、これまでの地方の施設を見ておりますと、やはり、大きなものをつくっても、なかなか今まで成功していないという事例がございます。

 実際に、佐世保のハウステンボスという施設も、一旦、少し経営が苦しくなってから、新しい経営主体が入って、非常に今景気がいいわけでございますし、特にリーマン・ショックのときあたりも、今もてはやされている例えば温泉施設を多く行うところも、あれは実際は、破綻した施設を安く買って、再生の形でやっているわけでございますので、そういう意味では、やはり、地方においてこういったIR施設ができたときに、本当にこれがもうかるのかなというところの実は懸念もございます。

 そこで、海外で、例えばIRをつくることによってその地方が浮かび上がったような事例というものがもし先生御存じでございましたら、具体的にお話をしていただくと非常に参考になるかなと思っております。

石川参考人 ありがとうございます。

 私も、日常業務もありますので、世界の全てのIRを訪問するわけにはいかないんですが、大体、アメリカにおいても、IRというのは大都市よりはむしろ地方に置かれることが多分多いんだろうというふうに思います。

 ですので、日本の地方においても、まさにこれは、先ほど申し上げました中央から地方へという流れ、地方の例えば自治体の役職員の方、私も長崎へ訪問させていただきましたが、非常に一生懸命やっていらっしゃる。能力の優秀な方はたくさんいらっしゃる。また、自治体の中で人材あるいはノウハウとして足りないところは外部の専門家を雇うといった形、それから民間事業者の創意工夫ということで、地方においても十分事業として成り立つ、IRは可能なんだろうというふうに思っております。

 もしそうでなければ、例えば北海道であるとか長崎であるとか、そういったところで説明会をして、あれだけの数の事業者が説明会に来るということはないわけでありまして、その出席してくる事業者の数を見ても、地方IRというのは十分採算性がとれるんだろう、工夫の次第によっては、ということの証左かと思っております。

浜地委員 ありがとうございます。

 次に、経済性の部分で鳥畑先生から御紹介をいただきましたので、まず、鳥畑先生に聞きたいと思っております。

 先ほど、カニバリゼーションの部分がございました。当然、カジノ事業に限定をすれば、誰かの負けが誰かの富になるということでございますので、そういったことだろうと思いますが、ただ、それ以外にも当然、美原先生もおっしゃっていたように、ほかの消費があったり、さまざまな経済効果もあるわけでございます。

 このカニバリゼーションが世界の常識で、プラスマイナスなんだというようなことをたしか御説明を今されたと思いますが、これをもう少し詳しく、また、どういう部分で常識、根拠といいますかそういったものがあるのかをもう少し詳しく教えていただければと思います。

鳥畑参考人 カジノの経済効果を正確に評価するときは、四つぐらいの基準が必要だろうというふうに言われているんです。

 一つは、単なる消費の置きかえの場合は、単なるカニバリゼーションということになるわけです。

 それから、カジノが地域外からお客を獲得する、こういうのを目的地効果というふうに言っているわけですね。したがって、日本で国際観光業としてカジノが強力に集客機能を発揮する、マカオとかシンガポールのようにほとんどが海外客ですよといった場合には、経済効果は期待できるというふうに考えております。

 もう一つ、奪還効果といいまして、例えば、外のカジノにお客をとられて流れていく、それを取り返すんだというような話なんですね。

 例えば、アメリカのマサチューセッツ州とかニューヨーク州は、本当に地域振興を目的にしてカジノを合法化する。貧しい地域を、例えばAゾーン、Bゾーン、Cゾーンというふうに決めて、そこに要するに大都市部からどうやってお客を引き寄せるんだという、そういう枠組みなんですね。それは日本のIR推進法等の発想とは全く違うものだろうなと思っています。

 例えば、マサチューセッツ州で三つのゾーンをつくりまして、今、一つがオープンをしまして、その報告書が出ました。大体一億七千万ドルぐらいのカジノ売上げが出た、そのうちの七、八千万ドルですか、大部分は周りの州から取り戻したんだと書いてあるんです。三千数百万ドルが地域内の置きかえだと。その場合は、結局、外に流れている部分を取り返したということで、州にとっての効果はあるんだということなんですね。

 そうしますと、どうしても、日本の場合に、本当にカジノを含むIRが国際観光業の振興として海外から純粋にお客をとってこられるのか、その程度にかかっているわけですが、そこが極めて怪しいというのが懸念で、そこが外れた場合は、単なる国内での消費の置きかえ、ゼロサムで、結局、社会的コスト、依存症者がふえただけに終わりますよということを懸念しております。

 以上です。

浜地委員 そうですね。今、キーワードが先生から出てきたと思います。やはり海外からどれだけ取り込めるかというところが大きいんだろうと思っていますが。

 どうですか、済みません、ほかの先生の意見をどうですかというのはちょっと失礼かと思いますが、先ほどの、そういったしっかり海外から取り込むという点において、やはりIRを使うことによってできるんだということを、特に美原先生、MICE等を使っておっしゃっておりましたが、改めて、海外の取り込みという点において、そのIRの優位性、先ほどのような、いわゆるカニバリゼーションにならないためにはそこが重要だと私どもは思っておりますが、それについて、もう一回先生に、IRというものの全体を使った海外からの取り込みという面について、お答えいただければと思っております。

美原参考人 具体的にどういうビジネスプランをつくるかによっても大きく変わってくると思いますが、例えば、東京ディズニーランドとか大阪のユニバーサル・スタジオでも、大体二割か三割が、大体二割ですね、一割か二割が外国人旅行客になっています。大規模集客施設というのは、一定程度の外国人旅客を集めることが可能になると思いますけれども、先生のおっしゃっているように、外国人旅客を大きく取り込める要素をどういうふうに配置するかというのは非常に重要な要素でございます。

 国際会議をある程度頻繁に開かなければ、いわゆる世界に名立たるMICE施設とは言えません。恐らく、何万人、何十万人の顧客を定常的に呼び込めるような能力とコンテンツ、サービスができる事業者でない限り、なかなかIRに外国人の集客はできないでしょう。

 でも、もしコンベンション施設とかMICE施設が膨大な外国人観光客を集客できるとすれば、それに、当然、ホテルにも泊まるでしょうし、同じホテルに泊まるかもしれませんし、ほかのホテルに分散しなければならないかもしれませんね。食事だって、同じところで食うなんてことはありませんよ。私も行きますけれども、大体同じところでは食いませんよね。その町の観光を楽しむ、あるいは周遊するというのが当たり前の行動で、外国人にも同じことが期待できるわけです。

 いかに外国人旅客をこのIR施設に巻き込んで、彼らを楽しませて、できる限り長く滞在させたい、その中には、一部、カジノに行くお客もいるかもしれない。このレベルの集客戦略で、とにかくマスを集めるということがIRの経営戦略の中において重要なポイントになる。その中においては、先生のおっしゃっているように、外国人旅行客、観光客、ビジネス客をいかに効率的、効果的に集めることができるのかというのは鍵であると思います。

浜地委員 おっしゃるとおりだと思います。

 私も、意外と、外国に行くときは、自分で探して、秘境の地に行かないタイプですね。大きい施設があったら、まず安心してそこにやはり行きます。ですので、日本の観光がなれている外国の方は、非常に奥地の方に入ることもあると思うんですが、私自身は、やはりそういう大きな受皿があるとそこに集まってくるということはあるのかなということを思っておりますので、ぜひ、さまざまなチャンネルで使えるような大きなIRの施設というのは必要かなというふうに私自身も思っております。

 もう時間もありませんが、いわゆる負の部分でいいますと、よく依存症のことについては聞かれます。私も、ここはよく自分でも勉強したつもりでございますが、マネーロンダリングの世界というのが私自身は余り実はわかっておりません。

 そこで、石川先生と新里先生に、カジノを使ったマネロンというのは、世界の流れにおいて、今どういう規制にあって、実際にまたそれは今マネロンの温床になっているのか、若しくは、もしそうなるのであれば、日本としてはどういった予防措置が必要なのかという点を、両先生にお答えいただければと思っております。

石川参考人 例えば、既に御案内のことかもしれませんが、ラスベガスにおいては、一万ドル以上の取引については、キャッシュ・トランザクション・リポート、CTRというもの、それから、疑わしい取引については、STR、サスピシャス・トランザクション・リポートというもので監視されていますし、アンタイマネーロンダリングのことが、例えばネバダ州であるとか、あるいはほかの主要なゲーミングの国、地域で深刻な問題になっているというところは、先進国の市場では恐らくないのではないかと思います。

 あるとすれば、やはり中間の介在業者と申しましょうか、ジャンケットというような仲介業者を通じたお金が若干不透明になる部分、そういったところでマネーロンダリングのリスクというのはあるのかもしれませんが、日本の現行のIR法ではそれは想定しておりませんので、現在の整備法のもとでは、それほど心配することはないのではないか、最小限にリスクは抑えられているのではないか。

 マネーロンダリングということでいいますと、カジノを通じてというよりは、恐らく、今焦点というか問題になっているのが、バーチャルカレンシー、電子マネーの方がむしろアンタイマネーロンダリングのリスクが大きくなっているのではないか。時代とともに、手法もやはり高度化というか多様化しているというふうに理解しております。

新里参考人 私自身は、先ほど来述べたように、多重債務の問題をずっとやってきたので、マネロンについては、まさしく詳しい立場ではございません、残念ながら。

 ただ、よくここが、カジノがマネロンの温床になるということはずっと言われてきて、なかなかそれの規制が難しいと一般論では言われてきたところですので、今回の規制でどこまでそれが可能なのかについては私自身はまだわからないということでございます。

 以上です。

浜地委員 では、最後の質問にします。

 済みません、新里先生、申しわけない。ギャンブル依存症のところを聞けばよかったんですが。

 私もシンガポールのNCPGに行ってまいりました。非常にすばらしい施設があって、例えば、入場制限あたりによると、法廷のような場所があって、そこで審判をして、あなたは何回までですよというようなことをやっておりました。

 日本でもギャンブル依存症対策がこの前衆議院で通過をしたわけでございますけれども、いわゆるNCPGのようなところ、シンガポールはギャンブル依存症は逆に減っているわけでございますので、日本においてどういったものをもっと取り入れた方がいいという点がもしございましたら、経験上、御教示いただければと思います。

新里参考人 ありがとうございます。

 私自身はそこまでは行っていません。シンガポールには行きましたけれども、その委員を務めている方とお会いをして、先ほどのリミテッドルールの話を聞かせていただいた。非常にすばらしい施設になっているなと。あそこがやはりシンガポールの、回数制限だけではない、依存症対策として一定の機能を果たしているんだろうなというふうに思っているところです。

 まさしくそういうものが日本でなければなりません。ただ、日本では、一番はパチンコによる依存症ということですので、横断的なもの、そこを含めて考えないと、カジノだけでは不十分であろうなと。そういう横断的なものとしてきちっと機能させなければならない、大変重要な取組だと思っております。

浜地委員 時間が終了したので、終わらせていただきます。

 先生方、ありがとうございました。失礼します。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 中川正春です。

 こうしていろいろな角度からお話を聞いていますと、だんだんイメージというか一つの方向性みたいなものが私たちの心の中にも固まってくるような、そんな思いがしていまして、改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。

 地方創生という課題で、特に美原先生と石川先生にお話をいただきたいというふうに思うんです。

 私は三重県の出身でありまして、昔、リゾート開発というのがあって、そして、伊勢志摩というのが一つの対象になりまして、推進法の中でいろいろ絵を描いてやったということがありました。

 私、あのとき県会議員をしていまして、構想が出たときには胸が躍りまして、これはすばらしい、これで次の、観光だけではなくて、それこそ地方創生をここから始めていこう、そういう受けとめ方でやったんですけれども、見事にひっくり返ってしまいまして、非常に地域としては厳しい状況に追い込まれて、また経済状況もその間いろいろあったものですから、厳しい形でそれに取り組んできたという苦い苦い思いがあります。

 そんな中で、今回、IRというもう一つの地方創生という形の構想が出てきたわけでありますが、その中で、幾ら話を聞いても具体的なイメージが結ばないんですよ。このまま話を聞いていると、地方というよりも、大都市の周辺を見て、巨大MICEを前提にしたもので引っ張っていこうというふうな形でしかビジネスモデルとしては成り立たないんじゃないかなというふうに私は今受けとめております。それぞれお話を聞いているうちにですね。

 なんですが、そういうことを前提にしてやっていくのかというと、いや、まだこれからです、地方で構想を描いていただいて、それでそれを判断していくんですというのが政府の答弁でもあるし、恐らくお二人の答弁になっていくんじゃないかな、先取りして申しわけないんですが、ということなんです。

 しかし、これを推進される限りは、それぞれ、先生なりに一つのビジネスモデルがあって、これが一つの最高のものですよというイメージがあっていいはずだと思うんですが、政府やあるいは地方自治体はともかく、それぞれで持っておられるイメージ、構想というのは、理想的にはこんなものなんだ、ここでこういう形でやったらいいんだというのを、この際、聞かせていただけませんか。

美原参考人 法は、いかなる地方自治体にとっても平等であるべきです。このIR整備法案は、どの地方自治体が手を挙げても対応できるような仕組みになっていることは間違いないと思いますが、ただし、議員の御指摘のように、ハードルが高いのではなかろうか、あるいは地方と大都市では観光資源の偏在性とか状況が違うのではなかろうか、本当にこれが地方創生に資するか、こういう御質問であったというふうに御理解いたします。

 確かに、ハードルは結構高うございます。ですけれども、その高いハードルをどういうふうに知恵を凝らして提案できるかというのも、地方公共団体に課せられた義務でもあるわけでございます。

 ただし、今現在、私が聞いておりますのは、国会答弁にもございましたように、MICE施設のあり方は、やはり地方の多様性を高めるために、どこに焦点を置いた中核施設の提起とするか、それを政令で決めようということを国会審議でもお話を承ったところでございます。MICE施設のうち、展示場、会議場、どれに焦点を置くのか、その焦点の置き方によって地方なりの、例えば、大きなMICE施設は要らないけれども、国際会議場は国際レベルのものがあった方が地方にとって観光振興になる、こういうお考え方もあるのかもしれません。

 そういった意味におきましては、地方公共団体がみずからの観光資源を考慮して、いわゆる地方にとって最も最適な施設構成、中核施設を考えた上で、地方なりのIRを提案するということが法案の中では認められているわけでございます。

 そういった意味においては、一部地方にとってはハードルが高い制度内容になるかもしれませんが、それを乗り越える知力、提案力、実行力があれば、たとえ地方の観光都市であってもこれは乗り越えられる問題ではないか、こういうふうに考えてございます。

石川参考人 御質問ありがとうございます。

 私は一法律実務家でありまして、IRがどういうイメージか、そういうビジネスジャッジメントのところは余り得意ではないわけですが、やはり、今IR法で求められている国際レベルの宿泊施設、会議場、展示場、商業施設、ホテル、ショー、そういった施設、それは言葉は、文字どおりはそうなわけですが、やはりそこに何か日本らしさ、日本の地域、産業、伝統、文化、そういったものが反映されるユニークなものでないと、なかなか成功しないだろう。そういうIRを、日本固有の、地方の独自色が強く出たIRを見てみたい、行ってみたいというふうに考えております。

中川委員 鳥畑先生と新里先生にお聞きをしたいんですが、さっきもちょっと議論が出ておりましたけれども、地方への波及効果をどう考えていくかということだと思うんです。

 さっきのお話のように、海外から入ってくる客を前提とした構造になっているところというのは、そういう意味では、全体としてプラス、いわゆる輸出効果みたいな形のサービスの形態というのがあって、そこから地方へ向いて波及をする可能性もあるんだというふうにお話がありました。

 もう一方で、コンプというんですか、収益を活用して滞在環境を、さまざまにコストを下げていきながらトータルで集客を求めていくという形になったときに、周辺に及ぼす影響というのは逆にマイナスになるんじゃないかというふうなことであるとか、あるいは、先ほど二重債務の話が出ていましたが、依存症等々含めて、ちょうど韓国でそのような例があって、今、国としてどうしていくかという議論になっていますけれども、そういうものを含めて、本当にそうした地方への広がりをカジノを中に入れるということによって見出せるのかどうかということ、これを改めて整理をした形でお話しいただきたいというふうに思います。

鳥畑参考人 私は、国際観光業の振興策としてカジノを組み込んだIRという、ある意味、その発想自体が本当の意味での地域創生とは関係がないんじゃないかなと思っているんですね。つまり、巨大な投資であるとか巨大なMICE施設であるとか、それが可能になるのは、結局、大都市部、例えば大阪ぐらいにしかならない仕組みだろうと思うんです。

 そういった意味では、それを地方で、同じようなたてつけで地方型IRをつくってごらんなさいというのは非常にハードルが高くて、例えば、先日、佐世保のハウステンボスをちょっと見てきましたけれども、長崎市は長崎市でMICEというか会議場の建設計画があって、あそこにそんな大きな会議、展示施設をつくる。それから、ハウステンボスの顧客層というのは本当に若い方、カップルが多くて、顧客層が違っていて、この若い人たちをカジノに誘導してどうするんだというふうに思うんです。

 そういった意味では、そもそもこの法律の枠組みが、やはり海外の大手のカジノ資本のマーケット戦略の中に組み込まれているんじゃないか。例えば、ラスベガス・サンズのアニュアルレポートを読みますと、リスクファクターとして、利益がアジアに集中し過ぎているということと、六割利益を上げているマカオの免許が二〇二二年に切れるんだということなんですね。切れた場合のリスクとして、かわるマーケットを確保しておかないといけないという意味では、やはりどうしても大都市部につくっておきたいということかなと思うんです。

 そういった意味では、私はカジノは反対ですが、大都市部の一極集中の是正で、本当に地方のために有効に活用するのであれば、全く違う法律の枠組みで議論し直さないといけないんだろうなと。そういう意味では、アメリカのニューヨーク州であるとかマサチューセッツ州であるとか、そういったほかの法律の枠組みを本当に参考にしないといけないんだろうなというふうに考えております。

新里参考人 新里でございます。

 私自身は、MICE自体がやはり極めて大事な施設だ、それが集客力があるんだというふうには理解をしていて、日本の政府の中でも、観光推進の中で、MICEについて大変推進をしている。実は、たしか仙台市もMICEの推進都市になっていて、それがたしか全国で十二カ所ぐらいあるのではないかなというふうに思っています。

 そうすると、三カ所でできてしまうと、例えば、カジノとMICE中心の三カ所で、先ほど言ったように、どうも、カジノの収益ですから、コンプ等を使って安く誘導できますよね。だとすると、すごく不公正な競争をほかの、例えば仙台は手も挙げておりませんので、そこでMICEをやろうと思ったときに大変不公正が生じてしまって、かえって、地域で今、MICEを一つのメーンとして地域振興を果たそうとしている都市の出ばなをくじいてしまうのではないか。

 僕は、きっと、MICE自体に可能性があるんだとすれば、カジノのないMICEということを、例えば先ほどの横浜での取組のように、それをメーンにして、うちはMICEでやるぜということを、それをかえって国として奨励する、今はその仕組みだと思っておりますが、それを伸ばしていくことが大事なのではないかな。かえって地域間の不公正を三カ所とほかのところで助長してしまうのではないかな、かえってそれが地域振興に逆行することになりかねないというふうに思っております。

中川委員 これはそもそも論に帰っていくんですけれども、MICEを存立させるためには財政基盤が、そのまま民間で一〇〇%やった場合には採算が合わないんでしょう。だから、税でやるか、あるいはこういう形のビジネスモデルをつくるかということで維持をしていくんだ、この論法が一つあると思うんですね。そこにこのカジノが入ってきたわけでありますが。

 一方で、公営ギャンブルも含めて、あるいはパチンコみたいな形の、ギャンブルというのか遊技というのか、建前と本音を分けたようなそういう世界がもう一方であって、こうしたところから入ってくる収益をどう使うかというもう一つの議論があって、例えば、同じようなカジノということで固定化するということだけではなくて、こうしたさまざまな形のギャンブル収益を例えばMICEへ持ってくるというような、そういうもう一つ前の議論というのがなかったのかどうか。

 そして、もっと言えば、パチンコの場合は公営ではないので、民間なので、公益に資するような、いわば公益金というか、そういう資金の使い方はないという形の中で、今ギャンブルとしてはある。そういう意味で、非常にいびつな形で今、日本のギャンブルの世界というのがあって、それにMICEの話がぽっと出てきて、じゃ、カジノだ、こういう話になってきたものだから、我々も全体を一遍整理をしてみて、その中で、既存のものをどう使うかということも含めてトータルな議論をしなきゃいけないんじゃないかという思いがしているんです。

 その議論がないままに、MICEでといって、だっと今突進しているような印象を受けるんですけれども、そこのところをトータルで考えて、海外からの集客の拠点をつくっていくというのは私も賛成なんだけれども、トータルで考えて、もっといい方法があるんじゃないか、もっといい財政的な使い方、既存のものも含めて、あるんじゃないかという、そんな議論を一度していただきたいなというふうに思っていたんですけれども。

 これまでの流れの中ではそれがなかったのかどうかということですね。あったとすれば、それをやめてなぜカジノに集中したかということですね。そんなことを四人の参考人の皆さんに、まず、これは本当に根本的な部分に帰るんですけれども、お聞きをしたいというふうに思います。

美原参考人 残念ながら、そういうお話があったとは聞いておりません。

 ですけれども、先生の御発想自身は非常に適切、かつ、おもしろいところがあるのではないかと思います。賭博税収若しくは遊技税収の一部を何らかの政策目的に使うために、何らかの投資的な考え方もあってしかるべきではないかというのは、一つのお考えではないかと思います。

 諸外国において、実は、似たような発想をした国がございます。ニュージーランドと英国でございます。実は、日本と同様に、賭博行為というものは遊技も含めてさまざまな省庁に分かれている。法律があって、省庁があって、縦割りにコントロールしているというのが世界の実態でございます。これはおかしいのではないかというふうに考えた国が二つございました。英国とニュージーランドです。

 四、五年にわたる詳細な現実の評価、マイナスの評価、賭博依存症は何で起こっているんだろう、こういうのを評価した上で、統一ギャンブル法というのを設けて、さまざま過去の省庁のしがらみを全部、利権も排した上で、国全体としてどういうふうにあるべきなのか、賭博依存も国全体として、一つの方法として処理すべきではないだろうか、そういうもとに賭博法体系を再構成したというのがニュージーランドと英国でございます。ただし、その準備には極めて長い調査期間と国会における大きな議論がございました。

 でも、それは一つの事例でございまして、我が国においても、将来的には、先生のおっしゃっているように、何らかの形で立法政策的に一つにした方がいいというお考えは、正当なお考えではないかというふうに考えております。

鳥畑参考人 私は、九〇年代にアメリカのカジノ資本は、グローバル戦略といいますか、海外進出に打って出たというふうに考えております。その中で、とりわけその先頭を切ったラスベガス・サンズが、MICE型のIRということを売りにして展開をしてきた。そういう流れの中で、日本では、ある意味、カジノ色を隠すといいますか、IRですよ、MICEですよということを前面に押し出してきた。

 そのときに、カジノがないとIR、とりわけMICEが成り立たないのかどうかということについては非常に疑問に思っていまして、例えばシンガポールのラスベガス・サンズに行ったとき、まあ一年間いるわけじゃないんですが、コンベンションセンターといいますか展示施設は閑散としているんですね。去年、ラスベガスに行ったときもやはり閑散としていまして、これは稼働率はどれぐらいなんだろうなと。アニュアルレポート等を見ても、一切そういうことを書いてないんです。したがって、MICEを組み込んだIRというものが本当にちゃんと機能しているのかどうかというのが確認がとれない。

 それから、MICEだけでは成り立たないのかという点では、横浜の港運協会の専務理事さんにお伺いしたら、日本の展示協会と協議をして、いや、この立地条件であれば、国際水準のMICEをつくれば、それだけで十分採算がとれるんですよということで、しっかり計算をした上で計画を立てているということなんですね。

 だから、そういった意味では、我々、いろいろな意味で何か思い込みをしているんじゃないか、やはり基本に立ち返って議論する必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

石川参考人 もちろん、MICEはIRの重要な施設、構成要素でありますが、IRにはそのほかの施設、要素もあるわけでございまして、それはまさに、自治体と民間事業者がどういうIRをつくりたいのか。MICEが得意な事業者もいるでしょうし、あるいはファミリー向けに強いビジネスモデルのオペレーターもいるかと思います。あるいは、若者向けファッションとか音楽であるとか、そういったものに強い事業者もあるかもしれません。いろいろなIRができて、それこそまさに多様性、競争力の源泉なんだろうというふうに思っております。

 また、既存の公営競技とIRの統一した捉え方でありますが、既存の公営競技は、それぞれの時代背景というか社会背景があったかと理解しております。戦後からのいろいろな復興であるとか、そういったものの財源確保の一つとして公営競技というようなものがつくられ、発展してきたという経緯があるかと思います。

 これはアメリカにおいても同じでありまして、今までアメリカにおいては三つぐらいのIR、カジノ、まあ、カジノですね、ちょっと古い時代ですから、カジノの解禁の流れがあった、三つの波があった。一つは、やはり西部開拓時代の資金の一つとして、次は、南北戦争からの復興の資金として、最後は、一九二九年の大恐慌からの復興の資金として、この三つの時期にカジノを解禁する州というのが特徴的にふえているという歴史的な経緯があります。

 今の日本においては、南北戦争であるとか、あるいは西部開拓とか、そういった国家的、社会的なテーマはないわけでありますが、震災からの復興であるとか、あるいは長引く景気低迷、デフレであるとか、そういった二十一世紀型、新しい社会的課題というのが今、日本に山積しているんだろうというふうに思います。それの効果的な対策の一つ、あくまでも一つでありますが、一つとして、IRというものは今の日本において有効な施策になるんだろうというふうに考えております。

新里参考人 先ほども話しましたけれども、日本でやはりギャンブル依存症の一番の要因はパチンコではないのかなというふうに思っています。全世界のいわゆる遊技機の六割が日本にあると言われていて、スロット等の機械でございますけれども、それが非常にアクセスしやすいということで、パチンコに近接性があって、利用者が多くて、それが依存症を引き上げているんだろうなというふうに言われております。

 実際、以前はパチンコの貸し玉料が三十兆が、今二十四兆ぐらいまで下がってきております。それから、利用者も三千万人いたのが九百万台に下がってきているというふうに言われていますけれども、この規制というんですかね、いわゆる賭博ではない、風営法の中で遊技として捉えられていて、どうも、ここでのきちっとした、見据えた議論というところの中で、例えばそれの収入からどうするかということが出てくるのではないか。それの議論が日本の中では不十分ではないのかな、そこの議論をやはり始める時期に来ているのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

中川委員 ありがとうございました。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日は、参考人の皆さん、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速始めたいと思います。

 鳥畑参考人にお聞きいたしますけれども、今回の法案について、カジノ以外の部分の評価についてはどうでしょうか。

鳥畑参考人 カジノ以外のところの評価と言われて、ちょっと戸惑っておるんですが。

 ともかく、収益エンジンとしてのカジノ、その収益を還元しなければ成り立たないというのが今回の法案の枠組みなわけですね。一方で、私は、日本の観光資源の豊富さ、それぞれの地域の可能性を考えれば、カジノがないIRというものも可能じゃないかなと思っております。

 ただ、私の疑問は、IRの中に例えばホテルがあります、エンターテインメント施設があります、レストラン、ショッピングセンターがあります、でも、それってもう既に日本にあるんじゃないですかと。例えば大阪というところで見たときに、五つ星のレストランだってホテルだってたくさんある。それが何で一カ所に集まったらとてつもない集客力を発揮するのか、手品というか、その秘密がちょっとよくわからない。既に存在しているものを一カ所に集めただけで、何でそんなに生まれ変わるのか。

 結局、やはりカジノのもうけで、コンプで集客するからということにしか行き着かないものですから、そういった意味では、カジノ以外の、他の評価はどうと言われると、ちょっとうまい答えが見つかりません。済みません。

浦野委員 今、大阪の例をおっしゃっておりましたけれども、鳥畑参考人も大阪市大の出身だということで、大阪に少しゆかりのある方なんですけれども。

 私は大阪の人間ですので、大阪でIRを実現していきたいということで、いろいろやってきた側の人間です。だからといって、心配をしていることというのももちろん、それは例えば、もちろんギャンブル依存症なんかは本当に対策をとらないといけない。これは、賛成する人、反対する人に共通した認識ではあると思うんですね。だからこそ、先日、ギャンブル依存症対策の法案が衆議院で一応通って、今国会中に成立できるんじゃないかという運びにはなっております。

 賛成派というか、美原参考人と石川参考人にお聞かせいただきたいんですけれども、今回あえて懸念していることがあれば、何か挙げていただけたらと思うんです。

美原参考人 やはり、国会において、慎重かつ充実した審議を行っていただきたいと思います。国民にとってわかりやすく説明していくには、やはり国会でのオープンな審議が必要だと思います。

 なかなか国民にとって、この膨大な法律の内容を理解して、IRとかMICEとか、わけのわからない用語を使っているということで、実は、わかりにくいと言われているんです。その意味では、ありとあらゆる機会を通じて私どももこれを御説明申し上げて、こういう趣旨なんですと。なぜカジノがあるのか、なぜIRなのかというのは、実は、国民目線から見た場合、確かにわかりにくいというところがあるのではないかと思います。

 法律案というものは、やはり国民の幅広い支持と支援を得てうまくいくものではないか、こういうふうに思いますので、ぜひとも今国会において十分な審議を尽くされていただいて、この法案が意図するところは何なのかというのを国民にわかりやすく議論していただくということが、唯一の懸念でございます。

石川参考人 私も、特段、美原参考人の御説明につけ加えることはございませんが、例えば、昨年来留学しておりましたUNLV、ラスベガス校のロースクールの教授たちとの意見交換、それから、二、三週間前でしたか、マカオで、IAGAという組織がありまして、これは、インターナショナル・アソシエーション・オブ・ゲーミング・アドバイザーズということで、国際的なゲーミング関係のアドバイスに携わる弁護士であるとか会計士であるとか、あるいは規制当局の方であるとか、毎年カンファレンスをやっております。ことしはマカオで二、三週間前にありました。

 そこでの日本のIR法をめぐる議論、意見交換などで海外の評価を聞いておりますと、日本の依存症対策あるいはマネーロンダリング規制というものは非常に厳しい、厳し過ぎるぐらい厳しいんだというのが海外の一般的な、最大公約数的な見方であろうというふうに感じております。

 ですので、委員御指摘の懸念というのは、現行の整備法案の中で最小化されているのではないかというふうに考えております。

 また、時々メディア等で、昨年のラスベガスでの大量の銃撃事件がありました、大変な悲劇でありましたが、それと何かギャンブル依存症の話を結びつけたかのような報道があったかと記憶をしております。

 ただ、これは、現地のラスベガスの規制当局の方、ホテルのマネジメントの方、それから我々のような法律実務家、現地のラスベガスの方の意見を聞いてみますと、昨年の銃撃事件、大変な不幸でありましたが、それは、ギャンブル依存症の問題というよりは、むしろ米国一般の銃規制の問題であろうというのが現地での一致した理解であります。そこを何かカジノ、ギャンブルの依存症の問題というふうに捉えると、現地での見方、アメリカ社会一般の銃規制の問題というふうに捉えられているのとちょっと違う見方になるのかなというふうに考えております。

浦野委員 参考人質疑も終盤に差しかかると、これを聞こうと思っていたことはほとんど聞かれて、全く同じことを聞いてしまわないといけなくなるので、なかなか結構難しいんですけれども。

 先ほどの質疑の中で海外資本による投資の話がありましたけれども、日本で大型の海外資本の投資って何が今まであったかと考えると、私、今ぱっと思い浮かぶのは、東京ディズニーランド、そしてユニバーサル・スタジオ・ジャパン。僕、本当にそれぐらいしかちょっと、ぱっとは浮かばないんですね。それも、規模がどれぐらいだったかというような数字も今僕は認識がちょっとできていないですけれども、海外資本による大型投資というのが、しかも、大都市、東京以外で行われたというのは、本当に、例を挙げたら、僕はもうユニバーサル・スタジオ・ジャパンぐらいしか思いつかないですけれども、それぐらいしかないんですね。

 私はやはり、今回このIRが進めば、少なくとも、物すごく大きな海外資本の投資がなされる。その中で、そういうことをすると、結局はその収益はそれを持っている外国人の方の利益につながっていくんだということをおっしゃいましたけれども、アップルもアマゾンもマイクロソフトも全部社長は外国人ですから、そんなことを言ったらもう日本の経済も世界の経済も成り立たなくなってしまうので、私は、そこはちょっと違うんじゃないかと思っているんですね。

 美原参考人なんかは三井物産におられたという経歴もありますけれども、海外資本が日本に投資をするという意義について、少しお話を聞かせていただけたらと思います。

美原参考人 現代社会におきまして、外国資本が入っているのは、特に不動産開発とかマージャー・アンド・アクイジションについては、かなり積極的に外資も日本市場に入ってくるのではないかというふうに理解しております。

 ただ、議員のおっしゃっているように、ゼロから、グリーンフィールドをもって大きなプロジェクトを日本においてゼロから開発するという開発案件につきましては極めて少ないというのが実態ではないかと思います。

 私は、外国資本、外国人のみがやってきて全てをやるとは考えておりません。多分、この国で実現する場合には、外国資本と日本の企業が一緒になってやらなければ不可能であります。資本だけではなくて、金融機関という、間接金融手法をもって日本の金融機関、あるいは機関投資家からお金を集めない限り、こんな巨大なプロジェクトはできるはずもありません。外国だけではございません。密接にその中に日本企業と外国企業が連携して、お互いの知恵、能力を出し合うことによって初めて事業が可能になる。これがIRの本当の姿ではないかと思います。

 外資だけがいるのではなくて、当然のことながら、重要なステークホルダーとして日本企業の資本参画あるいは日本の金融機関の融資行為があって初めてこのIRができる。また、ホテル施設の運営、MICE施設の一部運営、さまざまなサービス業に関しては、当然のことながら日本企業でしかできません。

 このIRの外資が入るメリットというのは、先ほど申しましたように、さまざまな知恵、能力、資金力を結集することによって、今まで日本にはなかったものをつくり上げることができる、これが唯一のメリットでございます。

 そういった意味においては、この産業というのはかなり規制、特に、国の機関あるいは地方自治体との協定とか免許とか複雑な関係を持ちますので、日本企業との連携なくして外国企業のみがこういう複雑な案件を施行できるとは到底思っていないわけです。

 このように、最近では、例えば関西でも、関西空港などは外資と日本企業のガチンコ勝負のジョイントベンチャーでございますね。ガバナンスもうまくやっていると思います。ああいう、日本と外国企業が連携して新しいビジネスをこの日本において創出するということは実に好ましいことではないかと思いますし、グローバル時代において、外資がどうのこうのとか外資にお金を持っていかれるなんということは恐らくグローバル社会には合わない考え方ではないか、こういうふうに認識しております。

浦野委員 ありがとうございます。

 私、きのうの委員会質疑でも言わせていただいたんですけれども、私個人はギャンブルには全く興味がないんですね。物は試しというか、後学のためにラスベガスには行ったことがありますけれども。そういう意味では、私自身は、今回のIRの中で一番楽しみにしているのがエンターテインメントなんですね。

 ラスベガスに行かせていただいたときも、そのときはちょうどセリーヌ・ディオンさんが、これまた、ラスベガスのそこでしか歌えないという専属契約で、もうずっとそこで歌っているということだったんですけれども、そんな契約ってあるのというふうに驚いたことがあったんです。今はその契約が終わって、たしか世界じゅうでツアーをしてはったと思うんですけれども。

 やはり、子供から大人までが楽しめるエンターテインメントをショービジネスの盛んなアメリカでどれだけ成功させるかというのがラスベガスでもやられていた。私は、そういうノウハウを、我々大阪人にとってエンターテインメントといえば吉本新喜劇ですけれども、吉本さんが、では、アメリカのショービズのようなことができるかといったら、僕は、それはちょっとなかなか難しいかなと思ったりします。エンターテインメントがやはりすごく売りの一つになってくるんじゃないかと思っています。

 大阪は、先ほど鳥畑参考人がおっしゃった、ホテルとかもあるじゃないか、観光資源もたくさんあって、別にカジノがなくてもいけるんじゃないかということをおっしゃる。

 確かに、ホテルもたくさんあります。観光資源も、国宝や世界遺産がある奈良や京都がすぐそこにあります。関東では、上野動物園でパンダが一頭生まれたら、わあっとなりますけれども、関西は、南紀白浜アドベンチャーワールドで毎年パンダが生まれていますので、ほぼニュースにもならないというような状況なんですね。パンダもアドベンチャーワールドには何頭も今いますし、観光資源としてはたくさん確かにあるんです。

 ただ、今、海外から、これはもう大阪観光局が頑張った、そして日本が観光立国ということで政府が頑張ったおかげで、大阪、関西は、外国人の旅行者が非常にふえました。そのおかげでホテルの稼働率がほぼほぼ九〇%以上、ほとんどとれないというような、悲鳴が上がるような状況になっています。その中で、そういったMICE施設の中でホテルを建てていく。大阪の既存のホテルも、建てかえて、大きいホテルを今つくっていくということになっています。そういった、既に経済効果もあらわれている。我々は、だからこそIRはしっかりと進めていきたいと思っているんです。

 そんな中で、美原参考人は大学も大阪商大ということですので、大阪におけるIRの可能性について、思うところをちょっと述べていただけたらと思うんです。

美原参考人 立場上、特定地域を支援するな、こういうふうに言われているのが政府のお立場であるようでございますが。

 大阪のメリットというのは、やはり大きな関西の経済圏を持っていること、国際飛行場を複数持っているということ、いわゆるインフラの結節のかなめでもありますし、世の中の楽しみ、エンターテインメントはほとんど大阪から出ているぐらい。エンターテインメントに関しましては、極めて信頼性のというか、親しみが非常に強い地域でもございます。

 大阪は、大阪なりの集客戦術でもってIRを考えることができるのではないかと思いますし、国際的な観光資源が周辺に恵まれている。奈良、京都、あるいは姫路とか高野山とか、そういうさまざまな国際資源に近くて、国際観光客を引きつけることができる、極めて高い潜在的能力を持った場所ではないか、こういうふうに考えています。

 ぜひとも大阪には、地域の人たちも頑張っていただいて、日本最高の提案を出していただいて、区域に選定されていただくことを願うばかりでございます。

浦野委員 思いっ切り特定の場所の応援をしてしまったような感じになっちゃいましたけれども、また後で政府の方に謝っておいていただけたらと思います。

 今回の法案、確かにギャンブル依存症の部分というのは心配をされているところがありますけれども、先ほど新里参考人がおっしゃったように、今、日本で起こっているギャンブル依存症の方々の大半はパチンコが原因だということをおっしゃっていました。今、日本にまだカジノがない中で三・六%でしたかの方がいるというのは非常に大き過ぎる数字ですし、では、原因はほかにあるんだろうということになって、それはイコール、法律上はギャンブルではないとはいえパチンコだろうということ、私もそう思うんですね。

 だからこそ対策をしっかりととらないけないし、その点に関しては新里参考人と私は全く同じ意見なんですけれども、その部分に関してもう少し思うところを述べていただけたらと思います。これが最後の質問になります。

新里参考人 最後のお答え、ありがとうございます。

 私、多重債務それから消費者問題をやっているということで、そうすると、例えばゲームをやって病気になるということからすると、それってゲームの安全が保てないのではないか、だから、その意味で、利用者というのが、遊戯をやっている人をひとつ消費者と見たらどうなんだろうか、そして一つの消費者被害を防止する仕組みとしてギャンブル依存症対策を考えていくべきではないのかなというふうに思っています。

 僕は、多重債務の問題をやったときには金利規制をかけていったということからすると、どうやって利用のところの制限をかけていくかということ。例えば、ノルウェー等では、ゲームをやる前に、月であったりその日の、自分で自己申告をさせて、それがいっぱいになったらそれで終わりにするような仕組みがあるんですね。そんなことも含めて、きちっとしたギャンブル依存症対策ができていけばいいなというふうに思っております。

 以上でございます。

浦野委員 どうもありがとうございました。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーと申します。

 きょう最後の質問者ですが、どうぞ、重複する質問、内容もあるかと思いますが、参考人の皆様には忌憚のない御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、私は実は沖縄に住んでおりまして、沖縄も、昨今、非常に観光客の数が伸びている場所でもあります。

 二〇一七年の統計で、沖縄とハワイを比べたら、ハワイが九百三十八万人、沖縄が九百三十九万人と、ハワイを抜いたんですね。ああ、いいなと思っていたら、さにあらずで、ハワイは滞在日数が八・九五日、長く泊まります。沖縄は三・七八日。本当に安近短という、その目的地になってしまっています。そこでどれだけのお金が落ちたのかというと、ハワイに行った方々は平均で一千七百八十七ドル、日本円にすると十九万六千円。沖縄で使った方はどのぐらいですか、十万以上使いましたかと思ったら、七万五千円。

 やはり、そこで滞在日数がふえていくことが少なくとも周辺に波及効果を及ぼしていって地域経済にも貢献していくということが、ただ来客の伸びだけではなく、いかにしてそこで、長くとどまっていただいていろいろなところを見ていただいて総体的な経済効果を上げるかということが、これからの、今伸びていると言われている沖縄の中にあっても非常に大きなテーマになっていると思います。

 さて、今般、IR整備法なんですが、このIR整備法も、実は目的の最初に、適切な国の監視及び管理のもとで運営される健全なカジノ事業の収益を活用してということが出てきます。さらには、IRの区域制度には、特定複合観光施設はカジノ施設と国際会議場施設、展示施設等というふうに、どちらも、目的も区域制度もカジノから最初に出てくるんですね。そうすると、やはりカジノありきの設備であるというふうなことが、国民の皆さんにはおのずとそういうふうなものなんだろうなという伝わり方をしているのではないかと思います。

 そこで、幾つかの点についてぜひお話を伺いたいと思います。

 まず、美原参考人にお伺いいたします。

 参考人のきょうの資料で、しかし、IRは地域活性化、地域振興、観光振興に資する一つの重要な政策的ツールであるとともに、うまく活用すれば、周辺地域や広域経済圏においても、来訪客の往来を通じ、大きな経済効果をもたらす効果的な手段であると。カジノだけに注目した議論はおかしいよ、全体で見て楽しい、おもしろいからこそ施設への内外の来訪客による集客が実現するというふうに答えていただいています。

 しかし、今回のIR整備法でカジノが表に出ているということの印象について、美原参考人から、カジノだけに注目した議論はおかしいと言いつつも、カジノを整備するということがやはり初めて民間にいわゆるギャンブルを委ねるというふうな大きなポイントに合わせている以上、カジノを表に出さないといけないということが、このIR整備法の一つの、うがった見方かもしれませんが、そういうふうに国民が捉えるところではないかと思うんですね。でも、これはカジノだけに注目すべきではないとおっしゃる美原参考人の御意見を改めてお伺いしたいと思います。

美原参考人 いろいろな考え方があると思います。

 先ほどラスベガスの例が出ましたけれども、ラスベガスのカジノのストリップ地区の収益の六〇%以上は非カジノ収益です。わずか四〇%だけなんですよ。

 なぜゲーミング外の収益が多いと思いますか。九〇年代以降、逆転しました。それで、今でもカジノ収益の伸びよりも非カジノ収益の伸びの方が強い。これはコンベンション旅客です。組織的にコンベンション旅客を何十万人あるいは何百万人というふうに呼び寄せることは、なぜ経済効果が高いんでしょう。

 先ほど議員がおっしゃいましたように、実は滞在日数が長いんですよ。四日、五日、一週間のコンベンションというのは当たり前でございます。一週間いて、私なんかコンベンションに出ませんよね。遊びに行ってみたり、ちょっと観光も入れてみたり、あるいはほかに食事に行ってみたり、そういう支出単価の極めて高いお客がいるために、飲食、ホテル、リーテイルあるいはアトラクション、こういったものの単価収入がわっとふえて、全体を支えているという形になります。

 施設のあり方は、実は全体の施設のあり方を変えてしまう要素があるわけです。カジノとカジノ外の施設が一体となって整備されたときに違った効果をもたらすということも正確に理解していただきたいというのが、ラスベガスの事例でもわかると思います。

 もちろん、そうではない国もございます。日本の国はどうなのか、日本の地域にもしこれが設置された場合どうなるかというのは、さまざまな違った御意見があるのかもしれません。

 ただ、地域ごとに違ってくると思いますけれども、カジノだけにとどまらない優良顧客をいかに大量に引きつける仕組みをつくることができるかというのは極めて重要になると思いますし、ぜひとも沖縄県でも、そういった戦略から観光戦略あるいはコンベンション戦略をお考えになった方がいいのではないかと思う。ひょっとすると、IRもそれに資する施設になり得ると、県民の方々の御理解も得られるのかもしれません。

玉城委員 美ら海水族館に、かつてユニバーサル・スタジオ・ジャパンがIRの考えを持ってきました。ところが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの親会社がアメリカのケーブルネットワークに吸収されるということで、計画は頓挫したんですね。そのときも、やはり最初に出てきたのはカジノでした。

 なぜ美ら海水族館なのかというと、附帯設備がそこにあるからです。既に集客がある。年間それこそ三百万人ぐらいが必ずそこに行くという施設の隣にカジノをつくれば、おのずとカジノに客が来る。逆の論法で、私たちは、新聞で報じられているそういう情報を得たわけですね。

 では次に、石川参考人に伺います。

 今、カジノ以外の施設でいろいろなものをつくっていくんだというふうなお話がありましたけれども、石川参考人に、IRの地方区域整備計画で、中央から地方へ、官から民へ、民間にバランスよく再配置する工夫が生まれる、地方を元気にする創意工夫も生まれてくる、これが地域活性化へ果たすIRの役割であるということなんですが、つまり、例えば島国である日本、あるいはその地域が、どうしても移動手段が、さまざまなことを考慮するに、まだインフラ整備が追いついていないのではないか、あるいはさらなるインフラ投資が必要ではないかという観点も含めて、IRが地方を元気にするということについて、いま一度お伺いをしたいと思います。

石川参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、直接的な効果としては、もちろん外国資本も内国資本もありますが、投融資がその地域になされる、雇用が生まれる、それから各種の納入業者、サービス業者、これも遠くから持ってくるというわけには性質上いきませんので、地元自治体、周辺自治体からのベンダー、サプライヤーというのが必要になる、そういった直接的な経済効果が生まれます。

 それから、逆に、その地域独自の歴史であるとか文化とか社会とか、そういったものを国内外に発信するという意味での経済効果もあるんだろうというふうに思います。

 関連して若干申し上げますと、じゃ、IRが地方に来たらどうなるかとか、カジノを解禁したらどうなるか、あるいは外資が日本に来たらどうなるかという何か受け身の議論が非常に多くて、日本としてどうしたいのか、地方としてどうしたいのかという、もうちょっとプロアクティブな議論がなされてもいいのではないか。

 何か受け身の議論が多くて、日本はこう考えている、何々県はこう考えている、我々はこうしたいんだというものをもうちょっと、日本人的な謙虚さも非常に美しいわけですが、もう少しプロアクティブに発信することも重要ではないかというふうに考えております。

玉城委員 確かに、鎌倉高校前の江ノ電ですか、若い世代の皆さんがそこに集まってくるというお話もしていらっしゃいました。何か、例えば映画であれストーリーであれ、それが国民に広く知られていくとそこが聖地になるということは、こういう事例からもはっきりしているわけだと思います。

 ですから、私は、決してIRを含む大きな投資を呼び込むビジネス型ではない、地域発案型の、地域から発していく、そういう、地域のことは地域の人たちが決めるという基本原則にのっとったさまざまなエンターテインメントの構築であるとか、そのためのコンテンツの開発ということを地域で起こしていけるような支えこそ必要ではないかなと思います。

 さて、今度は鳥畑参考人にお伺いいたします。

 この今回の法案の中では、IR施設の中で、九七対三、三%のスペースにカジノを置くというふうになっております。でありながら、収益性の高いカジノを置くということになり、単体であれば不採算になるような施設も含めた全体的な運営ができるということが、やはりここでのカジノの端的な必要性として言われているわけですね。しかし、そうではないであろうという点に関して、鳥畑参考人のお考えを伺いたいと思います。

鳥畑参考人 まず、カジノ以外の収益性が悪いといいますか、赤字のものをカジノの収益で支えるんだというところが、私自身、ちょっと自信を持って言えないんですね。つまり、海外のカジノ資本のアニュアルレポートとかを読んで、多分、ラスベガス・サンズとかを見ていても、それぞれの部門でちゃんと黒字が上がるような報告書を出しているんですね。

 だから、そういった意味では、本当にカジノがなければその施設運営が成り立たないのかという部分はちょっと疑問で、要するに、逆に言えば、カジノの高収益で、とにかく高い利益を上げていきます、それぞれの施設はそういうカジノの高収益を上げるための道具ですよということじゃないかなと。

 だから、そういった意味で、海外のIRに行ったときに、本当にどこまでMICEに力に入れているのか、稼働率が高いのかというのはよくわからない。

 昨年ラスベガスに行ったときも、一生懸命主なIRを回りまして会議施設を見てまいりましたけれども、どこも基本的には閑散としていて稼働率が低い。確かにラスベガス全体としてはMICEでの客はふえている、それは、市が巨大なコンベンションセンターを整備して、そこを中核としてやっているわけですね。そういうものを総体的に見ないといけないんじゃないかなと。

 それから、先ほど、長期滞在、地域振興という話が出ました。本当に長期滞在型が必要だと。

 カジノの長期滞在は意味が違っていまして、要するに、カジノに夢中になって、寝るのも食事も忘れて続けてしまう。客が夢中になって続ければ続けるほどカジノとしては安定的に高収益が上がるという意味での長期滞在であって、普通、本当に地域にとってためになる長期滞在型の観光とはちょっと性格が違うんだろうなというふうに考えております。

 そういった意味で、ともかくも、たてつけが、巨大な施設を三%のカジノ収益で賄おうという組立てが、とにかくカジノで高収益を上げさせないとだめなんだというところにちょっと無理があるんじゃないかなというふうに考えております。

玉城委員 では次に、新里参考人にお伺いいたします。

 参考人のきょうの資料にも、特定複合観光施設区域整備法案は、条文二百五十一条、資料第一分冊百七十六ページ、第二分冊二百三十三ページ、十分な時間をかけた審議が必要であり、カジノ解禁推進法での拙速な審議は避けなければならないと考えるとおっしゃっています。

 これはもう、異論はありません。まさしく十分議論しないと、全くその内容がつまびらかにならない。そのための審議時間は十分とるべきだと思います。

 さて、その中で、新里参考人がパブコメの資料をきょう出していただきました。

 平成二十九年の八月一日から八月末まで意見募集、パブコメが寄せられ、全国九カ所では公聴会も実施されている。このうち、関心が非常に高いということなんですが、カジノの存在を前提として観光振興を行うべきではない、日本の観光資源を生かした観光振興を図るべきが一千二百五十一件。これは、全体が七千四十九件のうちの一千二百五十一件が日本の観光資源を生かした観光振興を図るべき。IR導入による経済効果は期待できないが千百五十五件、推進法案に反対、カジノ賭博解禁に反対が八百二十九件、IRを導入すると社会的コストが生じるが五百五十六件などなど、やはり国民の皆さんは、まだこのIRやカジノに関しての十分な情報が伝わっていない、もしくは十分な認識を得るに必要な説明を受けていないというふうに思います。

 このカジノについてのパブコメに見られるような国民の率直な意見、これは情報を十分に受け取っていない国民の側にまだまだ理解が足りないとごらんになるのか、それとも、情報を認識していただきながら、希望的な方向に持っていきましょうという政府やあるいは国会あるいは業界の努力を更に必要とするものなのか、どのようにお考えでしょうか。

新里参考人 私自身も、このパブコメの結論が十二月の十五日に出てきまして、実はこれは膨大なもので、一覧表が後の方についてきて、事務局がまとめた文書の中にはこの数字が出ていなかったのです。それで、わかりにくい取りまとめだなと思って、どんどん後ろの方を見ていくとそういう一覧表が出てきて、そこに意見の推移というのが出てきて、やっと、あっ、こういうことが出てきたのかなということがわかってきて、どうも、やはり皆さん、切迫感がそれぞれ出てきて、自分の隣にできたらどうだろうかなと思うと、それは困ったものだねという、僕は、一定の国民の側に認識が広まっているのではないのかなと。

 実は、パブリックコメントというのは、二桁で終わるときもありますし、百いったら大変多いという格好で言われている中で、千を超える、そして、お一人の人が何通もやっていると七千件ということになっていますので、このパブリックコメントの件数自体は非常に多かったのではないのかなという意味では、それなりの国民的な理解があるのではないのかなと。

 それに対して、やはりもう少し真摯に説明する態度、推進する側もやはり先ほど述べたように負の影響等をきちっと示しながら、それでもこんなメリットがあるよね、皆さん幸福になるよね、地域がうまくいくよねということをプレゼンしていかないといけない。やはり一定の国民の中に理解があるということが前提になっているのではないかなと。

 単なる世論調査と違いまして、自分で意見を出すということはそれなりにアクションをするということになりますので、それが千件を超えているということはそれなりに理解があるという格好になっていて、理解不足だと切り捨てるのは不相当ではないかなというふうに思います。

 以上です。

玉城委員 国民の意識あってこそ、そのパブリックコメントでの反応に如実にあらわれているということだと思います。

 では、時間ですので、鳥畑参考人に最後にお伺いいたします。

 カジノは利益極大化を目指す投資ビジネスであるというふうなこと、それから、直接的な利益のもとはいわゆるかけ金の負けた額、負担額です。その中で、鳥畑参考人の資料の中には、やはり人の不幸を最大化するカジノビジネスは国民の考える公益性の高い施設として本当に認められるものなのかというふうな考えを呈していると思いますが、これは、シーザーズ・エンターテインメント・コーポレーションのエグゼクティブ・バイス・プレジデントのジャン・ジョーンズ・ブラックハーストさんもそう言っています。つまり、負けを取り戻すのではないと。それは要するに楽しんだ遊興費だというふうに考えると、カジノは非常に健全性が高いんだということを言うわけですね。

 他方で、やはりギャンブル依存症の対策基本法案でも話に出たんですが、民間が行っているパチンコでさえ、依存症の問題が非常に高くなっています。これは、依存症という病的な症状ではなく、問題ギャンブリング、理性は働いているけれどもそこにお金を使ってしまうというふうなことが、結果的にはカジノではその金額がより大きくなってしまうという危険性と懸念があると思います。

 ですから、この直接的な利益のもとはかけ金の負け額だということを考えると、この国民のシンプルな不安そのものがカジノに対する抵抗感になっているのではないかなと思います。

 しかし、これが実際に、先ほど新里参考人からもありましたとおり、果たして、ではIRがオールハッピーになるのかということ、そこはやはり国民も意識をしているのではないかという御意見もありました。

 この利益極大化を目指す投資ビジネスであるカジノに対して、鳥畑参考人が更に議論をしなければいけないという点などについて意見があれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

鳥畑参考人 アメリカのゲーミングアソシエーションも含めて健全なギャンブル、ギャンブルというのは普通のスポーツと変わらないエンターテインメントですよというわけですね。だから、そういった意味では、ディズニーランドに行くのもギャンブルするのも同じですよと。

 ただ、価格という意味では全く違うんですね。オーストラリア政府が二〇一〇年にギャンブリングというレポートを出しておりまして、そのとき、経済効果が大きいといったときに消費者余剰というちょっと専門用語が出てくるんですけれども、要するに心の満足ですね。心が満足するから、それなりの効用があるから高い価格を払うんですよと。

 では、我々がディズニーランドに行きます。入場料できょうはアトラクションにこれぐらい乗れるかなと覚悟して行くわけで、事前に価格が決まっていて、その価格と見合ってこれぐらいの楽しみが得られるからという一定の合理的判断、覚悟を持ってディズニーランドに行くんですけれども、ギャンブルのいわゆる価格というのは後にならないとわからないわけですよね。事前に幾らの価格だじゃなくて、夢中になって、負ければ負けるほどその人は満足して払ったんですよという理屈になって、消費者余剰が高くなりますという理屈になる。

 もう一方で、カジノが提供するギャンブルというのは、公営ギャンブルとは違って、いわゆるハウスエッジ、胴元方の取り分は低率ですね。それから、偶然性に対してかけますので、誰もが勝った経験をできる、その勝つ確率が高い、胴元自身が負けるリスクもある。ということは、できるだけお客さんが途中でやめずに続けてもらわないと困るわけなんですね。

 だから、そういった意味で、二十四時間三百六十五日、窓もない、時計もないようなところでお酒をただで飲んでもらいながら長期滞在してもらうというビジネスになるわけで、私は、ともかくこのビジネス自身が、お客さんがギャンブルに夢中になればなるほど利益がふえる仕組みになっていて、カジノ企業側もどうやってお客さんを夢中にさせるかというところでいろいろなノウハウを蓄積してきているということで、既存のパチンコも含めたギャンブルとはちょっと性格が違うんだろうなと考えております。

玉城委員 ありがとうございました。

 貴重な御意見を承りました。ありがとうございます。ニフェーデービタン。

山際委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、明六月一日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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