衆議院

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第26号 平成30年6月8日(金曜日)

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平成三十年六月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 遠山 清彦君

      池田 佳隆君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      小林 茂樹君    古賀  篤君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      武井 俊輔君    長坂 康正君

      西田 昭二君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    長尾 秀樹君

      福田 昭夫君    森山 浩行君

      山崎  誠君    浅野  哲君

      源馬謙太郎君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      中川 正春君  もとむら賢太郎君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      玉城デニー君

    …………………………………

   国務大臣         石井 啓一君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  中川  真君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           馬場崎 靖君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     小林 茂樹君

  山崎  誠君     長尾 秀樹君

  森田 俊和君     浅野  哲君

  中川 正春君     もとむら賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     小寺 裕雄君

  長尾 秀樹君     山崎  誠君

  浅野  哲君     森田 俊和君

  もとむら賢太郎君   中川 正春君

    ―――――――――――――

六月八日

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九二五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九二七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九二九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九三一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一九三二号)

 同(藤野保史君紹介)(第一九三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九三四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九三五号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定複合観光施設区域整備法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長中川真君、総務省自治行政局長山崎重孝君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、国土交通省大臣官房審議官馬場崎靖君、観光庁審議官秡川直也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。遠山清彦君。

遠山委員 おはようございます。公明党の遠山清彦でございます。

 私は、このIR整備法案につきましては、公明党内の検討プロジェクトチームの座長でございました。また、与党のワーキングチームのメンバーとしても本法案の策定に一定の関与をさせていただいたわけでございますが、これまでの委員会質疑を拝見をいたしまして、少し国民の間に誤解を生じさせている面があるなと感じておりまして、本日は、限られた質問の時間ではございますけれども、本法案が想定をしておりますIR導入の意義、またギャンブル依存症対策などを中心に、政府の見解を確認をしてまいりたいと思っております。

 まず、最初の質問でございますが、日本型IRの導入の意義について確認をさせていただきます。

 私は、現在、訪日外国人がふえている中で、日本が国際観光立国としてふさわしい施設やサービスを整備していかなければならないと考えております。その施設の中には、いわゆるMICE機能を有する大規模な国際会議場や展示場、また、それ以外の施設も、この法案の中で中核施設として明記をされているわけであります。

 私は、先日の本会議の代表質問で強調させていただきましたように、今回の法案の最大の眼目の一つはこれらの施設の整備拡充であって、カジノの併設も、その収益の一部をこれらの施設の財政的な維持に充てることができるというところに存在意義があると考えております。

 そこで、まず、二つ伺います。

 一つは、日本にある既存のMICE施設が、アジア地域の他国で存在する類似施設との比較においてどういう位置にあるのかということ。また、IRの中核施設の維持にカジノ事業がどのような役割を果たすことが期待されているのか。それぞれ答弁をいただきたいと思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、国際会議場施設といたしましては、固定席で約五千人収容のホールを有します、東京国際フォーラムあるいはパシフィコ横浜が代表的でございます。展示場施設といたしましては、約九万六千平米の展示面積を有しております、お台場の東京ビッグサイトが代表的な施設でございます。

 一方、近隣の競合国におきましては、例えば、シンガポールにおいては二〇一〇年に標準的なレイアウトで約八千人を収容できる会議室を有する施設、あるいは、中国では二〇一五年に上海に約四十万平米の展示施設が開業するなど、我が国を上回る大規模なMICE施設の整備が進められるとともに、積極的な誘致活動が行われておりまして、MICE誘致の競争は激化していると言えると思っております。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IRの中での、特にこのMICE関連施設との関係でカジノ事業がどのような役割を果たすのかという御質問をいただきました。御答弁申し上げます。

 我が国のMICE施設につきましては、ただいま観光庁から御説明がありましたけれども、東京ビッグサイトやパシフィコ横浜のように我が国を代表する大規模なMICE施設については、純粋に民間事業として整備、運営されている例は見られません。さらに、我が国におきまして、純粋な民間事業として、日本型IRのように、MICE施設に加え、さまざまな誘客施設を一体的に整備、運営しているものは存在していないというふうに承知をしております。

 このような中、カジノ収益も活用いたしまして、委員御指摘のように、このMICE施設を始め、さまざまな誘客施設が一体となって国際競争力を有するIRを整備することにより、これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤とすることに加えまして、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入による世界に向けた日本の魅力の発信をすること、それから、これらにより世界じゅうから今後観光客を集める滞在型観光モデルを確立すること、これらを実現することによって、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力をこの日本型IRは持っているものというふうに考えている次第でございます。

 以上のように、カジノ収益も活用いたしまして魅力的な日本型IRを実現すべく、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設が一体的に運営されることが必要だというふうに考えている次第でございます。

遠山委員 ですから、一言で言うと、日本型IRと我々がこの法案に基づいて想定しているものは、世界じゅうでほとんどないということでございます。

 ですから、後ほど申し上げますが、よく韓国の江原ランドを例に、カジノはだめだ、IRもどうだというお話がありますが、江原ランドはIRじゃないんです。この日本型IRには全く合致しないのが韓国の江原ランド。それを例に取り上げられて批判をされても、的外れと言わざるを得ないわけでございます。

 そこで、石井大臣に伺いますが、日本型IRの特徴としては、日本の伝統や文化あるいは自然と調和した施設群を整備して日本の魅力を発信することが十分可能であるし、これは大事だというふうに思っております。

 きょう皆様に配付をしております資料は、長崎県そして佐世保市、ここは数年前から、県の執行部が所信表明でIR誘致を表明をし、そして県議会も佐世保の市議会も、大多数がIR導入に賛成をしております。佐世保市におきましては、PTA連合会や商店街連合会や青年会議所の代表が入って、一年以上にわたって議論をして報告書を出して、佐世保市民のその諸団体の代表者が、ギャンブル依存症対策等についてしっかりと行政が責任を持ってやるということを前提に、IRの導入に賛成をしているという現実がございます。

 もちろん、この法律は、国が勝手にIRをあちこちにつくるとか、あるいは民間の、民設民営の事業ですけれども、民間事業者が勝手に町の真ん中とかにIRをつくる、カジノをつくるわけではありません。あくまでも、地方自治体が主体となって国に対して認可申請をするということでございます。

 このお手元の資料を見ていただくとおわかりのとおり、長崎で今行政が中心となって考えているコンセプトを見ていただきますと、独創性と先駆性、そして長崎がたくさん豊富に持っております自然の資源、観光資源、海と島、また歴史と国際交流、長崎や、あるいはシュガーロードを通って佐賀、福岡というのはアジアとの交流の深い歴史があるわけでありますし、長崎は、出島がありましたから、江戸時代も一貫してヨーロッパとも交流があったわけでございます。こういったものを最大限に生かして、この日本型IRというものを整備しようとしているわけでございます。

 そういうことからいいますと、このIR導入が日本らしさに逆行するなどの指摘は当たらない、こう考えているわけでありますが、石井国土交通大臣の御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 我が国の日本型IRにおきましては、日本各地に存在をしております豊かな自然、固有の歴史、文化、伝統、食などの魅力を生かしつつ、これらを更に磨き上げ、IR施設全体として、これまでにないスケールとクオリティーで魅力を発信をすることによりまして、これまでの他国のIRにはない独自性と高い国際競争力を有し、幅広く世界じゅうの観光客を引きつけることを目指しております。

 さらに、IR区域への来訪客に日本各地の魅力を発信し、かつ、チケット手配などを通じて全国各地に送り出す送客機能を持たせることによりまして、IRが世界と日本の各地とをつなぐ交流のハブとなり、日本全体の経済成長につながると考えております。

 今後、政府は、依存症対策などの課題に万全の対策を講じながら、日本らしさを強みとした魅力ある日本型IRを実現をして、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。(発言する者あり)

山際委員長 委員に申し上げます。不規則発言は慎んでください。

遠山委員 本法案の第二百三十一条では、国庫納付金に相当する金額については、観光振興や地域経済の振興に関する施策のほか、文化芸術の振興に関する施策に必要な経費に充てるものとされております。

 これを踏まえて、今後、文化財や文化芸術を磨き上げ、それをIR施設で活用することについてどのように取り組む方針なのか、これも石井大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 本法案では、IRの中核施設の一つとしまして、我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設の設置を義務づけております。

 この施設は卓越した魅力増進機能が求められることを踏まえまして、充実した活動、広報等を通じて対外的にわかりやすく魅力を発信する機能を有する施設と位置づけまして、我が国のコンテンツの創造、発展を推進する機能を有する施設とすることを想定をしております。

 また、都道府県等がIR事業者と共同で作成し実施する区域整備計画におきましては、IRの各施設の具体的な内容のほか、特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置や、認定都道府県等納付金の使途などを定めることを義務づけております。

 これらを踏まえまして、区域整備計画に基づき、我が国の観光の魅力の増進に資する施設を活用して、文化芸術の振興に関する取組を進めることが考えられます。都道府県等とIR事業者が協力をして、地域の創意工夫や民間の活力を生かして、具体的な取組を進めることとなります。

 なお、納付金の使途につきましては、御指摘の点も含めまして、IR整備法案では、観光及び地域経済の振興、その他のIR整備法案の目的及び国、地方公共団体の責務を達成するための施策、社会福祉の増進に関する施策、文化芸術の振興に関する施策に充てることを規定をしております。

 納付金の具体的な使途につきましては、毎年度の予算編成において適切に措置されるものと承知をしております。

遠山委員 ぜひ、このIRができることで、なかなか予算の増額を図ることが難しい文化芸術の振興についてもこれを活用していくことが大事だと思いますので、政府の御努力をしっかりしていただきたいと思います。

 続きまして、本法案に関連をいたしまして、ギャンブル依存症がふえるのではないかとの指摘が委員会の質疑でも相次いでまいりました。

 私は、このIRを全国で三カ所に限定をし、そしてIRの延べ床面積の三%以内という規制をかけられたカジノによって、どの程度ギャンブル依存症の方々がふえるのかは今わからないわけでありますが、しかし、シンガポールの例などを見ますと、カジノ合法化を契機としてギャンブル依存症対策を強化することで、既存の公営ギャンブルや遊技場に起因する人も含めた依存症患者の数を全体として減らすことは十分可能である、また、そうしなければならないと強く思っております。

 そこで、まず内閣官房に伺いますが、日本の既存のギャンブル施設、遊技場の総数、利用者数、市場規模について、まず確認でお伺いをしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 公営競技におきます直近の施設数、利用者数、売上げについて、それぞれの競技ごとに御報告をさせていただきます。

 まず、中央競馬が、現時点での施設数は九十九カ所でございます。それから、入場人員は、平成二十九年の数字でございますけれども、六百十八万人でございます。売上げは、同様に二十九年の数字として、二兆七千五百七十八億円となってございます。

 二番目に、地方競馬でございますけれども、現時点での施設数は九十九カ所、それから、地方競馬以下は、これは全て年度の数字になりますけれども、入場人員は、二十九年度が三百十七万人、売上げが五千五百二十五億円。

 それから三番目に、競輪でございますけれども、現時点での施設数は百十三カ所、同様に二十九年度の数字になりますけれども、入場人員は二百七十一万人、売上げは六千四百億円。

 四番目に、オートレースですけれども、現時点での施設数が三十三カ所、入場人員が百四十五万人、売上げが六百六十億円となってございます。

 最後に、モーターボート競走では、現時点での施設数は九十七カ所、それから、入場人員は七百九十三万人、売上げは一兆二千三百七十九億円となってございます。

 また、遊技でございますけれども、パチンコにおきます直近の店舗数につきましては、警察庁の調べによりますと、平成二十九年末現在で一万五百九十六店舗となってございます。

 また、遊技参加人口及び市場規模につきましては、日本生産性本部のレジャー白書二〇一七によりますと、遊技参加人口は九百四十万人、それから市場規模は二十一兆六千二百六十億円となってございます。このレジャー白書の数字は、平成二十八年の数字として掲載されてございます。

 以上でございます。

遠山委員 今の数字でおわかりのとおり、日本は既に公営ギャンブル場が、競馬だけでも九十九カ所とか、競輪百十三カ所、オートレース三十三カ所、そして、遊技場としてのパチンコ店に至りますと一万五百九十六店舗ということで、あとは今答弁があったとおりですけれども、何百万、何千万という方々が累計で利用しているということでありまして、ここから当然にギャンブル依存症の方々が発生をしているわけでございます。

 で、私のポイントは、カジノは三カ所です。何百カ所とか何十カ所じゃないんです、三カ所です。ここでカジノ由来のギャンブル依存症患者が出てくる可能性はあると思いますよ、私は。ただ、ポイントは、今既に答弁のあったこれだけ多くの公営のギャンブル施設、遊技場がある中で、多数のギャンブル依存症の方々が出ている。この数全体を減らしていくような努力を、今回のIR整備法案の整備をきっかけにやっていこうということであります。

 そこで、政府に、政府に伺います。(発言する者あり)いや、シンガポールはそうやって、やっているんだから。

 それで、シンガポールは、カジノ合法化、二〇〇五年……

山際委員長 御静粛にお願いします。

遠山委員 IR開業、二〇一〇年。以前からシンガポールにも競馬やスロットマシンなどのギャンブルがあって、よって依存症患者も存在しましたが、シンガポールで、二つのカジノ、二つのIR開業後に、その全体の数を減らすことに成功したことが知られております。

 合法化前後の数字と、そのシンガポールにおける減少努力の要因について、政府はどう分析しているか、お答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま遠山委員から御指摘のございましたとおり、シンガポールにおきましては、IRの合法化の前後を比べまして、ギャンブル等依存症が疑われる者の割合は減少してございます。

 具体的には、病的賭博と推定される者の割合とギャンブルに問題を抱えると推定される者の割合を合計した値は、シンガポールのカジノ管理法制定時の二〇〇五年には四・一%でございましたけれども、直近の調査結果の二〇一七年には〇・九%に減少したと承知をしてございます。

 この結果が起こったことの要因分析でございますけれども、シンガポールには問題ギャンブル国家評議会というものがございまして、その中での取組として、広報啓発活動、あるいは二番目に相談業務、これはヘルプラインの二十四時間の開設、それから最近では、二十四時間三百六十五日のオンラインによるヘルプラインの開設などもやっているようでございます。それから三番目には、青少年教育の充実、これは、日本でいいます初中等教育の段階からそういう取組をしているようでございますし、それから、この委員会の場でも再々御議論になっております本人、家族申告などによる入場制限の措置、そして最後に、定期的な実態調査と調査研究、そういう活動が行われているところでございまして、シンガポール当局は必ずしも数字が減少した要因を分析したものまで発表しているわけではございませんけれども、政府といたしましては、こういうシンガポール当局の御努力がこういう成果を生んできたものだというふうに理解しているところでございます。

遠山委員 ありがとうございます。

 シンガポールは、カジノを含むIRの合法化をきっかけに、病的賭博、問題のある、賭博にのめり込む人たちの割合を四・一%から〇・九%に減らしたという実績を示しているわけであります。日本もそうしなければいけないと私どもは考えているわけでございます。

 そこで大臣に伺いますが、日本もこういったシンガポールと同じような実績をつくっていかなければならない中で、野党の委員の先生方からも指摘があった、カジノができればカジノ由来の依存症患者が出るじゃないか、そのカジノ由来の依存症患者への対応というものが今後重要だと私も考えております。

 この点について、この法案に基づいて設置される予定のカジノ管理委員会の役割も念頭に、政府の御答弁を求めたいと思います。

石井国務大臣 IR推進法に係る国会審議の中では、依存症等の悪影響について懸念があるとの議論がなされ、厳格な入場規制等について附帯決議が付されたものと認識をしており、IRに関して新たな依存症が生まれるとの御懸念があることは承知をしております。

 IR整備法におきましては、カジノ事業の規制監督を専門的に担う独立した行政委員会であるカジノ管理委員会を新設いたしまして、カジノ事業者の免許申請時に、事業者が作成する依存防止規程が依存防止の観点から十分なものとして認められるか審査するとともに、事業者から実施状況や自己評価結果等の報告を受けるほか、毎年の監査や必要に応じた報告徴収等により監督するなどとしておりまして、監督機能を適切に発揮をして、事業者による依存防止措置を徹底することとしております。

 これらのほか、IR整備法における依存防止対策としては、これまでも御説明しているとおり、重層的、多段階的な措置を制度的に整備をしておりまして、カジノ行為への依存防止に万全を期してまいりたいと考えております。

遠山委員 これまで余り委員会質疑で指摘されておりませんが、カジノ管理委員会、非常に重要な役割を担っております。

 このカジノ管理委員会が、今大臣の御答弁にありましたように、カジノ事業者の取組について毎年監査をする、そして必要があれば随時報告を求めることができるということでございますし、依存症対策で、私は、成果をしっかりカジノ事業者が上げていなければ、カジノ委員会は厳しく対応すべきだということを、あえて今から申し上げておきたいと思います。

 次に、これは既に委員会の質疑で出ておりますが、カジノ事業者は、粗利、いわゆるGGRですね、グロス・ゲーミング・レベニュー、GGRの三〇%、一五パー、一五パーで国と地方自治体に納付金を納めるということになっておりますが、この納付金をギャンブル依存症対策に使うということが非常に大事だと思っております。

 既に日本政府は依存症対策をやっているわけでございますが、これはアルコール依存症の対策も含めて、年間たった約六億円という極めて貧弱な予算で依存症対策をやっているのが日本の現状でありまして、これは大幅にふやしていかなきゃいけない、こう思っているわけであります。

 今回のIR法案の第三条に、国の責務として、カジノの有害な影響の排除というものがありますが、それらを根拠として、既存の公営ギャンブル、何百万人が使っているわけですから、そのところから来る依存症患者も減らしていくようなことが今回の法案の整備をきっかけにできると私は期待をしているわけでございますが、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。

石井国務大臣 IR整備法案では、国、地方公共団体の責務といたしまして、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を明確に位置づけております。

 納付金は、ギャンブル等依存症対策を始め、これらの責務を達成するための施策に必要な経費に充てることとしております。

 また、国の基本方針及び都道府県等の実施方針に基づき、区域整備計画や実施協定において、都道府県等及びIR事業者が実施する施策及び措置を記載することを義務づけておりまして、こうした制度的枠組みを通じて依存防止対策が適切に講じられていくこととなります。

 こうした取組を始めとしまして、IR整備法案における依存防止対策としては、これまでも説明してまいりましたように、重層的、多段階的な取組を制度的に整備をしておりまして、万全を尽くしております。

 加えて、ギャンブル等依存症に関する医療・回復支援や学校教育等における取組におきましては、政府において、IR整備法に先立ちまして昨年八月に強化策を取りまとめ、実施可能な施策から順次実行に移してきたところでありまして、患者が必要なときに早期に相談や治療を受けられる環境の整備等を推進しているものであります。また、現在、国会におきましても、ギャンブル等依存症対策を強化するための法案が御審議されているものと承知をしております。

 ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をできるだけ少なくするために必要な取組を徹底的かつ包括的に講じていくことが重要と認識をしておりまして、カジノ行為への依存の防止に当たって、有害な影響の排除という責務を達成できるよう万全な対策を期してまいりますし、また、御指摘の国の依存症対策の予算につきましても、納付金が徴収されるようになれば、効果、優先順位を検証しつつ、現状より充実を図っていきたいと考えております。

遠山委員 法案上は、納付金は国にも地方自治体にも一五%ずつ入るわけでありますが、これは一般財源に繰り入れられると聞いております。ということは、どこにどう使うかというのは、地方自治体の行政、また国の行政の責任で決めることができるわけでありますから、私もこの点は野党の先生方と一緒で、今回のIR導入によってギャンブル依存症の方々が国全体としてふえるということはあってはならない、こう考えているわけでありまして、しっかりと予算を大幅に拡充をした上で、国全体のギャンブル依存症対策の実を上げていくということをやっていただきたいと思います。

 時間の関係で、最後の質問、石井大臣にもう一問、させていただきたいと思います。

 アメリカのアトランティックシティーでは、カジノが飽和状態でカジノ閉鎖が相次いでいると聞いております。これを捉まえて、アジアにおいてもカジノは飽和状態で、後発の日本のカジノは事業として成功しないという批判がありますが、この点について大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

石井国務大臣 米国のアトランティックシティーにおきましては、二〇一四年及び二〇一六年に一部のカジノ事業者の撤退が見られ、その結果、二〇一三年の十二施設から二〇一六年末時点で七施設に減少したと承知をしております。

 その要因としましては、二〇〇六年以降、近隣のペンシルベニア州においてカジノが開業したこと等により過当競争に陥り、シェアが奪われた結果、カジノ売上げが大きく減少したこと、主な市場と想定されるニューヨーク等からのアクセスが容易でない等立地条件が悪いこと、諸施設が海外観光客を呼び込む国際競争力を有する規模や内容とは必ずしも言えないこと、カジノを中心とした集客に頼っていたこと等が考えられます。

 これらの施設は、IR推進法及びIR整備法案の目的とされております、国際競争力の高い滞在型観光を実現するために整備される我が国におけるIRとは、スケールとクオリティーにおいて必ずしも同じものではないと考えております。

 また、東アジアにおきましては、例えばマカオにおけるカジノ売上げは二〇一七年に対前年比で約一九%増加、シンガポールにおけるカジノ売上げは二〇一七年に対前年比で約一四%増加するなど、カジノ産業全体として見れば、引き続き復調又は拡大傾向にあると聞いております。

 我が国の日本型IRにおきましては、日本各地に存在している豊かな自然、固有の歴史、文化、伝統、食などの魅力を生かしつつ、これらを更に磨き上げ、IR施設全体として、これまでにないスケールとクオリティーで魅力を発信することで、後発であっても、これまでの他国のIRにはない独自性と高い国際競争力を有し、幅広く世界じゅうの観光客を引きつけることを目指しております。また、魅力ある多種多様な観光資源が数多く立地する我が国の潜在的な市場規模は非常に大きいと考えられております。

 さらに、IR区域への来訪客に日本各地の魅力を発信し、かつチケット手配などを通じて全国各地に送り出す送客機能を持たせることにより、IRが世界と日本の各地とをつなぐ交流のハブとなり、日本全体の経済成長につながると考えております。

遠山委員 時間が参りましたので、終わりたいと思いますが、きょうの質疑で確認をさせていただいたことも含めてしっかりと政府に取り組んでいただきたいということを要望申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 参考人の新里宏二弁護士が意見陳述していましたように、今回のIR整備実施法案は、条文が二百五十一条、附則が十六条もある大部な法案であり、その上、政省令、規則等へ委任する項目が何と三百三十一項目以上もあるので、議論が一向に深まりません。肝心なところが政令等に委任されております。

 きょうも、五十分ぐらい時間をいただけるのかと思ったら、わずか二十三分なので、全部質問することができませんので、少し、今までの政府の答弁で明確にならない点に絞って何点か質問いたします。きっと質問が全部できないかと思いますけれども、質問は全て石井大臣に自分の言葉でお願いしたいと思っております。政府参考人の答弁は要りません。

 まず一つ目ですけれども、平成二十九年版、日本政策投資銀行と日本交通公社が、アジア、欧米豪、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの訪日外国人旅行者の意向調査をしました。時間がありませんので三つまとめて伺いますけれども、資料の一をごらんください。

 まず一つ目の質問、統合リゾート、IRができたら行ってみたいですかという質問に対して、ぜひ行きたいという人は、全体で六〇%、アジアの方がちょっと多くて六九%、欧米豪では四五%です。

 質問の二、IRのどの施設に行ってみたいですかというのを聞くと、何と、カジノへ行きたいという人は、全体でもアジアでも欧米豪でも、たった七%です。一割おりません。そしてさらに、先ほどもちょっと指摘があったようでありますが、一番下の欄、特に日本版統合型リゾートには行きたくないという人が、何と全体では一一%、アジアで六%、欧米豪では何と二一%も日本版のIRに行きたくないというんです。すごい数字ですね。

 そして三番目の質問、カジノで幾ら使いたいですか、対象、カジノに行きたいと回答した人は、わずか六千二百七十四サンプルのうち四百五十一サンプル。少ないですね、七%しか行きたくないというんですから、それはそうですわね。これを見ますと、ではどのくらいお金を使いたいかということを見ると、下の方の段、百九十九米ドル以下、全体で四〇%。さらに今度は上の方、千ドル以上使いたいという人は一四%ですよ。

 それこそ、アジアそれからアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの人たちから、六千二百七十四人に聞いてみたんですよね、そうしたら、IRができたら日本に行ってみたいという人は六割いますけれども、しかし、そのうち、カジノへ行きたいという人はわずか七%、一割しかいない。しかも、お金もたくさん使いたいという人はほとんどいない、一四%。

 こういう資料を見て、大臣はどう思われますか。

石井国務大臣 まとめて御質問がありましたので、まとめてお答えをいたしたいと思います。

 まず、御指摘の、日本政策投資銀行及び日本交通公社が行いました、平成二十九年度版、アジア、欧米豪、訪日外国人旅行者の意向調査につきまして、統合型リゾートができたら行きたいかという調査ですが、ぜひ行きたいが二四%、機会があれば行ってみたいが三六%、関心はあるが行くかどうかわからないが二一%と、約八割の外国人旅行者が日本のIRに関心を示していると承知をしております。

 このような外国人旅行者の高い関心に応えるため、日本型IRにおきましては、日本各地に存在している豊かな自然、固有の歴史、文化、伝統、食などの魅力を生かしつつ、これらを更に磨き上げ、IR施設全体として、これまでにないスケールとクオリティーで魅力を発信することによりまして、これまでの他国のIRにはない独自性と高い国際競争力を有し、幅広く世界じゅうの観光客を引きつけることが重要と考えております。

 今回のアンケートを踏まえて、この重要性を更に認識をしたところであります。

 また……(福田(昭)委員「もういいですよ」と呼ぶ)三点お聞きしましたので、三点をお答えを。

 次は、カジノに行きたい人はどの程度かということで、御指摘の調査結果については、七%の外国人旅行者がカジノに行ってみたい、また、それぞれ、四割以上の外国人旅行者が、IRの商業施設、ホテル及びアミューズメント施設に行ってみたいと回答していると承知をしております。

 日本型IRにおきましては、カジノ収益も活用して、さまざまな誘客施設が一体となった国際競争力を有するIRを整備することによりまして、これまでにないような国際的なMICEビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤とすること、日本の伝統、文化や芸術を生かしたコンテンツの導入による世界に向けた魅力を発信することによりまして、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルを確立することが重要と考えております。

 アンケートからも、カジノだけでなくいろいろな誘客施設にも行きたいという答えがはっきりしましたので、やはりIR、全体的な、カジノを含めた誘客施設の重要性を改めて認識をしたところであります。

 では、三点目でありますが、カジノに行きたい人はカジノでどれぐらい使いたいかということでありますが、御指摘の調査につきましては、カジノに行きたいと回答した者のカジノ予算は、二七%の者が五百米ドル以上、五四%の者が二百米ドル以上、六九%の者が百米ドル以上と回答していると承知をしております。

 一方、カジノのみならず、観光消費という観点から見た日本型IRにおきましては、先ほどから申し上げているとおり、他国のIRにはない独自性と高い競争力を有し、幅広く世界じゅうの観光客を引きつけることを目指しております。

 また、来訪客に日本各地の魅力を発信し、かつ、チケット手配などを通じて全国各地に送り出す送客機能を持たせることによりまして、IRが世界と日本の各地とをつなぐ交流のハブとなり、日本全国にIR導入の効果を発現させることが重要であります。これによりまして、IRの来訪者が全国各地を訪れる機会をこれまで以上に創出することになり、我が国での滞在日数の増加につながることが期待をできます。

 カジノで使うのと同時に、そのほかの誘客施設にも観光消費という形で使っていただいて、全体的に経済発展につながるということを期待しております。

 アンケートについての回答ということでありましたので、三点、答弁をさせていただきました。

山際委員長 答弁は極力簡便にお願いいたします。

福田(昭)委員 委員長、今大臣が答えたことは、今まで既に皆さんに答えたこと。そんなこと、私は聞いていないんだ。このアンケートを、意向調査をどう思ったかと聞いている。全く答弁していない。だから、現状認識を全くしていないということだよ、大臣は。このアンケート、外国人旅行者が何を考えているかということを全く理解していない石井大臣ということを一つ指摘しておきます。

 次ですけれども、資料の二をごらんください。今度は、いわゆる特定複合観光施設区域整備法案の疑問点、これはどこまで解消されたのか。

 まず一つ目は、立法目的である訪日外国人の増加にはカジノが必要かということであります。

 資料二をごらんください。これは静岡大学の鳥畑先生が出した資料です。シンガポールと日本を比較しております。日本は、二〇一〇年から二〇一七年、昨年まで、七年間で何と、人数は四六一%、消費額は五四二%、こんなにふやしています。しかし、カジノを含むIRのあるシンガポールは、二〇〇九年から二〇一六年まで、人数は一六九・四%、消費額は一九六・八%しか伸ばしておりません。

 カジノがない、IRがない日本がこんなに伸ばしているんですよ、外国人の旅行客、観光客も、そして消費額も。ですから、これはカジノなんか必要ないじゃないですか。どうですか、大臣。

石井国務大臣 政府としては、議員立法で成立をしたIR推進法において、カジノを含むIRの整備推進が国の責務とされております。法的な責務を負っているということから、今般、具体的な制度設計の検討を進め、IR整備法案を提出したということがそもそもございます。

 それから、確かに、我が国は、第二次安倍政権になってから、インバウンドは非常に増加をしておりました。これは率直に与野党を通じてお認めになるところでありますが、昨年のインバウンド二千八百六十九万人にとどまらず、さらに、政府としては、二〇二〇年インバウンド四千万人、二〇三〇年六千万人という高い目標を掲げております。

 IRの整備は、この目標の達成の後押しになるものというふうに考えております。

福田(昭)委員 余計なことまで答えなくていいと言っているのに。

 それでは次。立法目的も曖昧で、経済効果の試算なしで法律での議論ができるのかという話ですが、これは二番目ですね。時間の関係で急ぎますけれども、2の方ですけれども、第二点。

 世界じゅうから観光客を集めるというが、後発国日本ではもう集められるはずがない。先ほどの調査のように、七%しか日本でカジノへ行きたくないというんですからね。

 さらに、三番目ですね、4。第三点、四点ですね。これをまとめて伺います。

 カジノ施設の規模の絶対値規制については、シンガポールを参考に、政府案ではゲーミング区域の上限値を一万五千平米としたのに、なぜ今回、法案では削除したのか。

 それから、その次、第四点目の、カジノ施設の規模の割合規制については、これもシンガポールを参考に、ゲーミング区域の割合の上限値をIR施設の延べ床面積又はIR区域の面積のいずれか大きい面積の三%としていたのを、今回なぜ法律では延べ床面積の三%としたのか。

 大臣、これは、調査室の資料では与党協議で削除したと書いてありますが、なぜ削除したんですか。

石井国務大臣 たくさん一度に御質問いただくものですから、ちょっと答弁を……(福田(昭)委員「たくさんって、基本的なことでしょう」と呼ぶ)いやいや、三点御質問いただいておりますので、順次お答えします。

 まず、後発の日本でも成功するのか……(福田(昭)委員「それはいいですよ、答えなくて」と呼ぶ)それはいいんですか。御質問じゃない、そうですか。

 それではまず、ゲーミング区域の上限値を、絶対値を設けずに割合で決めるのはなぜかということでありますが、カジノ事業はIR整備の推進のために特別に認められるものであることから、IRのうちカジノ施設につきましては、IRの整備の目的である、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するという政策目的を達成するために、必要な限度で認められるべきであると考えております。

 また、IR推進法の附帯決議におきましても、同様の観点から、「特定複合観光施設全体に占めるカジノ施設の規模に上限等を設けるとともに、あくまで一体としての特定複合観光施設区域の整備が主眼であることを明確にすること。」とされているところであります。

 カジノ施設の規模を制限するに当たって、上限を絶対値とするという考え方もあり得ますけれども、IRの立地地域や規模が未確定であるという状況では、その上限により、カジノ事業の収益を活用して整備をされますIRの施設規模が制限される可能性もあります。IR整備法案の目的である、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するという目的の制約の要因になりかねないから、絶対値による規制をしないこととしております。

 なお、シンガポールの事例を言われますけれども、IRが整備された過程を見ると、当初に事業構想の公募を実施し、IRの立地地域が決定した後に、その面積や施設の規模をある程度具体的に想定した上で、最終的に、ゲーミングエリアの面積を割合で規制することを目的として、その上限面積を一万五千平米とすることがカジノ管理規則において定められた。

 すなわち、シンガポールにおいては、IRを整備する地域を特定しておいて、そこに設けるカジノの上限面積を決めたということでありますが、我が国においては、まだIRの立地地域や規模が未確定であるという状況であるということであります。

福田(昭)委員 余計なことをぐだぐだ言わなくていいですよ。

 資料の四から五の一、五の二をごらんいただきたいと思いますが、これは推進会議に政府が出した資料ですよ。これを見てください、いいですか。

 制度設計案、資料の四を見ると、規制の対象となる部分をカジノ施設のうちゲーミング区域とし、絶対値による規制と割合による規制の組合せによるもの、二、ゲーミング区域の面積の上限を、一万五千平米又は、IR施設の延べ床面積又はIR区域の面積のいずれか大きい面積の三%のいずれか小さい数値とすることとする。推進会議ではこういう議論をしたんですよ。

 資料の五の一を見てください。

 具体的な上限値。絶対値規制については、絶対値による面積規制を導入しているシンガポールの例を踏まえ、ゲーミング区域の上限値を一万五千平米とする。なお、シンガポールのカジノ施設は、ゲーミング設備の数等に照らすと世界最大級のカジノ施設となっていると推計される。シンガポールは世界最大だというんですよね。

 その下の表を見ていただきますと、ここに、ゲーミング区域、IR施設延べ床面積、IR施設敷地面積がありますけれども、マリーナ・ベイ・サンズを見ると、延べ床面積の二・五%、リゾート・ワールド・セントーサを見ると、敷地面積の三・一%。これで一万五千平米と三%という案を推進会議はつくったんじゃないですか。

 そしてさらに、資料の五の二を見ると、ここにありますように、シンガポールは、まさに、テーブル台数が二つの施設で六百台、五百台、スロットマシン数が二千五百、二千四百。ほかの、マカオやラスベガスやアトランティックシティーと比べると、確かに最大級なんですよ。

 ですから、今回、皆さんが、政府が一万五千平米を外したり敷地面積を外したということは、日本がつくる三カ所のIR、カジノ施設は世界最大の施設になるんですよ。世界の最大施設ですよ、三カ所で。

 しかも、ゆうべ、ニュースステーションでやっていましたけれども、このIRを推進するための会議が開かれて、カジノの経営者が、外国人の経営者が来て、みんな異口同音に言っていましたよ。日本は非常にすばらしい市場だから、一兆円投資すると言っていました、数人が。ハゲタカがみんな持っていく算段じゃないですか。一兆円投資すると数人が言っていましたよ、基本。

 ですから、時間がなくなってきたので、前に戻って質問しますけれども、要するに、大臣は、滞在型観光モデルを確立することで地域振興や雇用創出といった大きな効果が見込めると何回も答弁しているんですよね。しかし、具体的には場所が決まっていないから試算できないんだ、こう言っているわけですよ。

 でも、私が考えるに、世界最大級のカジノをつくるわけですから、これを試算して発表したら、これは、もう国会だけじゃない、国民から大反対が巻き上がるということで、これをあえて試算しないんじゃないんですか。どうなんですか、大臣。

石井国務大臣 IRの設置による経済効果、地域振興効果、雇用創出効果については、現時点ではIRがどこにどのような形で設置されるかが不明であり、定量的に試算することは困難であります。

 しかしながら、例えば、公共政策としてIRを導入することを決定したシンガポールの事例で申し上げれば、IR導入前後五年、これは二〇〇九年と二〇一四年を比較しますと、外国人旅行者数が九百六十八万人から一千五百十万人に、外国人旅行消費額が約一兆円から約一・九兆円に、国際会議開催件数が六百八十九件から八百五十件に、それぞれ増加をしております。

 これらの効果については、規模等が異なる国同士ですから単純には比較はできませんけれども、シンガポールにおいて大きな経済効果、地域振興効果を生み出していると承知をしております。また、シンガポールの二つのIRでは、合わせて約一兆円の初期投資がなされ、約二万二千人の直接雇用が生まれたと承知をしております。

 今後、日本型IRを実現する中で、IR推進法及び附帯決議、シンガポールの事例等も踏まえ、我が国のIRが大きな効果を生み出すものとなるよう努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 世界最大級のシンガポールを例にして三カ所試算してみたら、出るじゃないですか。そういうことをやらないとだめですよ。それで経済効果があるなんというのは議論できません。

 そろそろ時間が来ますので、ちょっとまとめておきたいと思います。

 大臣、国民が持っている個人金融資産、幾らだか御存じですか。通告しておりませんが。

石井国務大臣 直近の数字はちょっとよく覚えていないんですけれども、たしか一千六百兆円だったんじゃないかと思います。

福田(昭)委員 大臣、日本人の資産というのはすごくて、個人金融資産、昨年の十二月末現在、日銀が発表していますけれども、千八百三十四兆円です。そのうち、現金、預金九百五十兆円弱、年金保険料五百五十兆円。これをハゲタカが狙っているというのを参考人が何人か言っておりました。これはとんでもない話ですよ。

 カジノは、利益を出そうとすると、お客さんにお金を使ってもらわないと成り立たないですね。お客の損失がカジノ事業の利益となるわけです。人の不幸で成り立つビジネスですよ。創造的なものは何も生み出すものはありません。とても、政府の成長戦略に位置づけるのはとんでもない大きな間違いだと思います。まさにカジノは賭博であり、どう繕ってみても、金余りの金融資本主義がつくり出したあだ花じゃないですか、これは。とても賛成するわけにはいきません。

 しかも、大臣が全く現状も理解していない。こんなことでは断固反対を声明して、質問を終わります。

山際委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 おはようございます。国民民主党の源馬謙太郎です。

 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 このIRに関して、これまでも質問させていただいてきましたが、ちょっと細切れになってしまっているので、きょうも引き続き、参考人中心にお伺いしたいんです。

 やはり、このカジノがIR施設の中にあって、これも繰り返しになりますけれども、IR施設の収益を高めていくためにカジノがその中心にあって、とにかく人に来てもらってお金を使ってもらわないと、その収益が上がらずに、IR施設全体の収益も上がらないということになるということをこれまでも何度も確認をしてきました。

 それでカジノの収益を上げるのはいいんですが、そこで心配になるのが、やはり依存症になってしまう人、まあ依存症という名前がつかなくても、のめり込んでお金をどんどんどんどん使ってしまうこと、これがやはり心配になるわけです。

 そこで、第八十五条についてこれまでも議論させていただいてきましたけれども、そもそも、カジノ事業者が貸金業務をできるというこの条項が加わった、その背景をもう一回説明していただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 我々政府も、この整備法案の制度設計を検討するに当たりまして、諸外国のカジノオペレーターがどういう業務をどのようにしているかということを研究させていただきました。

 その中で、北米のカジノオペレーター、あるいはヨーロッパのオペレーター、あるいはアジアのオペレーターにおきましても、野方図にではございませんけれども、そういう顧客の需要に応じて、あくまでもゲーミングをお客さんが楽しんでいただくための付随するサービスとして、金融貸付けあるいは回収業務をしているということに鑑みまして、この日本のIR、認定IR事業者につきましても、そういう貸付機能を持てる、そういう特定金融業務を行えるという制度設計をしているところでございます。

源馬委員 つまり、海外の例を見てつくったということでしょうか。そもそも、カジノを楽しんでもらうということでしたら、別に貸金がなくたっていいんじゃないかと思いますが、海外にもあるからつくったという、それだけが理由ということでよろしいでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 海外の事例を参考にしたことは事実でございます。

 しかし、海外でのカジノのオペレーションの実態を見ますと、お客さんの需要、しかも顧客の中にはいろいろなバリエーションの顧客がございます。いわゆるマスと言われる顧客で、通常のポケットマネーを使いながら、いわばレクリエーションとしてカジノをされる方も当然いらっしゃいますし、あるいは、その正反対の方には我々が想像もつかないような超富裕層のお客さんもいらっしゃって、そういう方はもちろんポケットマネーの額も多いでしょうけれども、一方、ゲーミングに当たりまして、その場で資金が必要になったときには、カジノオペレーターの方がそういう顧客の需要に応じて、そしてかつ事業者がクレジットのラインの管理をしながらこういう貸付業務を行っているという実態は、日本のカジノでも考えるべき、想定すべき事態であろうというふうに考えている次第でございます。

源馬委員 需要があったんでしょうか。その需要はどうやって調査をして確認したんでしょうか。それは誰の需要があって、こういった貸金業務をやることになったんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、日本のIRの需要、誘客需要、それからそれを含む影響について、今、個別具体的な需要調査に基づいた、きっちりとした積算に基づいてこの需要の予測が立てられるものでは、現時点ではございません。

 そういう意味では、この八十五条以下も含むカジノの特定金融業務について、その業務のボリュームがどれぐらいになるのかということについての需要調査をしているわけではございません。

源馬委員 そういう意味ではなくて、貸金業務をぜひつくってもらいたいという需要があったんでしょうかという質問だったんですけれども。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的に、特定金融業務について、現時点で、カジノオペレーションをやっているような民間事業者から、こういう機能が必要かどうかということを個別具体的にヒアリングをしたりだとかしたことはございません。

 政府の中におきましては、昨年の夏に取りまとめた推進会議の取りまとめの中で既に、こういう金融業務を、特定金融業務を置くと考えるべきだという方向性が示され、それを受けて、民間事業者も含めてパブリックコメントをかけましたけれども、その中では、もう既にこういう特定金融業務を行うという方向での政策の方向性が示されてございますので、特に特定金融業務のあり方についてパブリックコメントの中で強く意見を言われたという記憶はございません。

源馬委員 需要が特にあったわけではないという、今、御答弁だったと思います。需要がないのに、なぜそれをつくったのか。

 今、御答弁の中にありました推進会議の議事録をいただきましたけれども、たしか整備法の中ではこうした貸金業務については触れられていなくて、調べてもらったら、第四回特定複合観光施設区域整備推進会議の中で初めてこの貸金業務の話が出てきまして、平成二十九年六月十三日ですけれども、これを拝見すると、これを提言しているのは、中川次長がこのことを提言しています。

 中川次長の御発言の中で、こうした貸金業務に関する提言というのがありまして、こういった、ちょっと長いので全部読みませんが、顧客名義の預貯金口座との間の資金移動に限って、送金、受入れ業務を限定的に認めるという規制を考えてはいかがかという提言がございますというところで結ばれているところに、中川次長の言葉で初めて貸金業務についてメンションされています。

 これに至った背景、なぜ必要だ、需要も特段あったわけではない、誰かから聞いたわけでもない、プレーヤーから貸金業務がないと困るという話を聞いたわけでもなくて、こうしたゲーミングの事業者になり得るべき人たちに貸金業務がないといけないというふうに聞いたわけではないけれども、つくったという、やはりそこが判然としないんですが、そのあたり、もう一回教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私が答弁させていただきました趣旨は、需要がないということを申し上げたつもりではなくて、個々の事業者から個別具体的にこういう特定金融業務のあり方とかその必要性などについて特にヒアリングをしたことはない、そういう意味でございまして、特定金融業務の必要性については、これはオペレーターの方では世界じゅうのカジノでやっていることでございますので、これは当然、そういう需要が事業者の方からはあるであろうというふうに想定をしております。

 それから今お尋ねの、政府の推進会議での議論でございますけれども、推進会議に御提案をしている制度設計の方向性につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、政府の推進本部の事務局におきまして、諸外国のカジノ運営の実態などを調査研究いたしました上、こういう方向性での制度設計を考えるべきではないかということを推進会議に御提案を申し上げまして、そして、私自身が提案したといいますか、私はその推進会議の運営の中でそういう事務局の考え方について説明をする役割を負っておりましたので、議事録には私が説明をしたものが残っているという次第でございます。

源馬委員 つまり、特定の事業者ですとか顧客層に需要を聞いたわけではないんだけれども、事業者が当然それを欲するだろうということでつくったということだと思います。それはやはりちゃんとした理由になっていないんじゃないかなと思います。

 同時に、この推進会議で中川次長御本人のお言葉で、クレジットカードですとか一般の金融機関のATMの設置に関する議論もありますと。クレジットカードの利用なんかについては、依存を防止するために制限しなくてはいけないというような趣旨がありますが、同じですよね、これ。クレジットカードももちろん信用機関を通して借りるわけですし。

 クレジットカードでの依存を防止するためというのは必要なんだけれども、金融機関、特定金融業務については、これはいいという認識なんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 クレジットカードを使ってチップを購入することも、そういう意味では、クレジット、信販会社からの信用の供与になるというのはそのとおりでございますけれども、推進会議の中の議論でも、依存防止の観点からすると、日本人等の顧客についてはそういうクレジットカードを使ったチップの購入というものは禁じるという方向で考えて議論をしておりまして、そういう意味では、特定金融業務の中の貸付業務についても、日本人等については原則として貸付けをすることができないというふうにしているのと同様の考え方でございます。

源馬委員 この貸付業務について、何度かこの委員会でも議論になりました。そのうちの貸金業法を適用しないのはなぜかという議論もたびたびあったと理解をしています。そのときの中川次長の御答弁は、カジノ事業者は兼業ができない、なのでIR事業者は貸金業者にはなれない、だから貸金業法の対応外である、こういう答弁がありましたが、それはやはり理由になっていないと思うんですね。兼業できないんだから貸金業法を適用することができない、そういうことではなくて、総量制を適用するということは、別に兼業ができなかったとしても十分できるはずだと思います。

 なぜ総量規制、こういったことをやらないんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 私から御指摘のような御答弁を申し上げましたのは、カジノライセンスを受けているカジノ事業者が、貸金業法上の貸金事業者にはなれないという制度設計になっているということと、逆に言うと、それの当然の効果として、このIR整備法に基づいてカジノ事業者が行う事業については、このIR整備法案に基づいた規制のもとに服してもらわなければなりませんので、金融の特に貸付業務につきましても、これまで再々御説明をさせていただきましたように、誰彼問わず貸し付けることができるということにしているわけではございませんで、原則、日本人等には貸し付けることができない。一定の供託金、預託金をあらかじめ送金した者だけに限定をして、かつ保証をつけることができない、かつ利息をつけることができないという、あるいは、信用調査会社のデータを使って信用調査をして、個々人の顧客に対して限度額管理をきちんとした上でしか貸し付けられない、そういう規制を貸金業法のかわりに置いているものでございます。

 なお、貸金業法は、これは貸金事業者が幅広く国民を対象にしてサービスを提供できる、そういう業態を前提にしておりますけれども、このIR整備法案では、今も御説明いたしましたように、極めて限られた顧客だけを対象にしているものですから、総量規制の考え方はとっていないところでございます。

源馬委員 今、御答弁を聞いていてもよくわからなかったんですが、だったら総量規制をかけたっていいんじゃないですか。それをどうしてもかけたくないという理由は全く釈然としませんが、その点について伺いたい。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御答弁させていただきましたように、貸金業法に基づく貸金業者は、あまねく国民が貸金業に対する需要があれば、それにどう応えるかということを前提にした規制体系になってございますけれども、このIR整備法案の中での規制は、貸付業務については、原則、日本人等には貸付けをすることができないという前提のもとでの規制でございますので、その違いは大きいというふうに考えている次第でございます。

源馬委員 貸金業法で総量規制が設けられたその背景は、次長も私と多分同じ認識だと思いますが、やはり、どんどんどんどん借り過ぎて多重債務にならないというようなことをもってつくったと思うんですよね。それが、今の御答弁だと、一定程度の預託金を預けたごく限られた人しか貸さないんだから総量規制はなくても大丈夫ということは、たくさんのお金を持って預託金を預けられる人は多重債務者にならないという認識のように聞こえますが、その点どうでしょうか。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 そういう貸付けが許される対象になる日本人等の顧客に対しましては、貸金業法上の機関としても位置づけられております指定信用情報会社の情報も使って、そういう顧客の個人資産ですとか、あるいは所得のフローがどういうふうになっているか、そういう情報も加味しながら、顧客の個々の所得、資産の状況に応じながら、あるいは現時点での負債状況などに応じながら……(発言する者あり)

山際委員長 御静粛にお願いします。

中川政府参考人 顧客ごとにクレジットラインを設定し管理していく、そういう形にしているものでございます。

源馬委員 時間がないので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 やはり、今の議論を聞いていても、貸金業務ができるということは、非常に心配な点です。

 先ほど次長から御答弁ありましたとおり、顧客の需要ではなくて、恐らくオペレーターがこういった業務は必要だろう、需要があるものだと推察をして、こうしたたてつけにしたという答弁がありました。

 そのオペレーターも、今有力と言われているのが海外の事業者。海外の事業者が日本にやってきて、特定のお金を預けられるだけのVIPの日本人顧客に対して自分たちが貸し付けられるお金を決める、それを全部事業者に任せるというのはやはり危険じゃないかなと思います。

 国内で少なくとも法律で規制するならまだしも、海外からやってくる事業者にどれだけ貸すかを委ねてしまうというのは本当に危険だと思います。せめてマックスベットそれから総量規制、こういったことも含めて、国としての規制をかけるべきだと思いますが、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

石井国務大臣 一律の総量規制というわけではなくて、今回の法案の中では、預託金というまずハードルがありますけれども、相当の額の預託金を預け入れる人については、それぞれの方の収入や資産の状況あるいは債務の状況等々、個々人ごとに貸し付ける上限額を決めている。そのことをカジノ管理委員会もきちんと監督をするという形で健全性を担保していきたいと考えています。

源馬委員 時間が来たので終わりますが、海外の事業者のための貸金業務のたてつけというのはやはり釈然としませんし、まだまだこれは議論が足りないと思いますので、審議を打ち切ることなく、継続してぜひ審議をしていただきたいと申し上げまして、終了させていただきます。

山際委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 四月四日にも国土交通大臣として石井大臣にIRのあり方に関してお聞きをしてまいりましたが、また、六月六日の立憲民主党篠原議員の質疑においても、世界で開催される大規模国際会議にカジノ施設が全く関係ないことが示されましたし、昨年開催された一万人以上の会議で、十七のうち、カジノ施設が併設されていないことも確認をされたわけでありますが、改めて、このIRは訪日外国人の誘客や国際MICE誘致に必要とのことでありますが、そこにカジノが必要な理由について、大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 まず、政府としては、議員立法で成立をしたIR推進法において、カジノ及びMICE施設を含むIRの整備推進が国の責務とされております。ですから、政府は、法律上、このIRの整備推進が法律上の責務になっている。その責務に基づいて、IR推進法に基づき具体的な制度設計の検討を進め、今般IR整備法案を提出した、それが、そもそも論がございます。

 カジノ収益も活用して、MICE施設を始め、さまざまな誘客施設が一体となった国際競争力を有するIRを、純粋な民間事業として整備をやろうと思っております。日本の場合、既存の大型MICEは、純粋に民間でやっている事例はないと承知をしてございます。

 これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤としていくこと、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入により世界に向けた日本の魅力を発信すること、これらにより世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルを確立することを実現し、我が国を観光先進国へ引き上げる原動力としていきたいと考えています。

 今申し上げましたように、東京ビッグサイトやパシフィコ横浜のように、我が国を代表する大規模なMICE施設については、純粋に民間事業として整備、運営されている例は見られません。さらに、我が国において、純粋な民間事業として、MICE施設に加え、さまざまな誘客施設を一体的に整備、運営している日本型IRのような存在はないと承知をしております。

 このように、カジノ収益も活用して魅力的な日本型IRを実現するべく、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力になるカジノ施設が一体的に運営されることは必要と考えています。

もとむら委員 なかなか、今の答弁で、カジノが本当に必要なのかどうか、ちょっと理解に苦しむところであります。

 本会議で、五月二十二日も代表質問で指摘をしましたが、MICE誘致に必要なものは、ラグジュアリーホテルがあること、国際空港へのアクセス利便性、夜を過ごす良質なエンターテインメントということでありまして、カジノの有無ではないというふうにここは指摘をしてまいりたいと思います。

 次に、これも委員会で指摘をさせていただきましたが、株式会社日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が発表した外国人旅行者の意識調査によりますと、日本にIR施設ができたら訪れてみたいですかという問いに、六割が訪れてみたいと回答されておりまして、タイが八九%、中国八一%の一方、イギリスは三九%、オーストラリアは四一%と二極化をしています。

 同調査で、さらに、IRのどの施設に行ってみたいですかと質問したところ、ショッピングモールが四六%、ホテルが四三%、アミューズメント施設が四〇%、温泉施設が三七%の順に高く、カジノと答えたのはわずか七%であります。

 これはもう委員会でも指摘をさせていただいておりますし、大阪府の試算や北海道の試算、ゴールドマン・サックス証券の試算も、国際カジノ研究所の試算も、日本人客中心の集客という試算が示されている中で、外国人よりも日本人がメーンターゲットになっているのではないかというふうに推測されておりますが、政府はどのように捉えているか、お伺いいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 民間事業者ですとかあるいは自治体におきまして、もとむら委員御指摘のように、来訪者の予測などについてさまざまな試算が行われていることは重々承知はしてございます。

 しかしながら、その試算の内容につきましては、IRの各施設、コンテンツの具体的かつ詳細な内容ですとか、あるいは具体的な事業者のビジネスモデルが未確定な中で行われているものでございまして、また、通常のマーケティング手法の一環として行われます内外の旅行客に対する精緻な需要調査などに基づいているのかどうかとか、あるいは分析手法として、ある程度確度の高い需要予測モデルが使われた予測になっているのかどうかとか、そういうことにつきまして、必ずしもこれらの試算においては明確にされているところではございませんので、現時点では、民間事業者などが出している調査結果の推計の適否も含めまして、政府としてコメントすることは適切ではないというふうに考えております。

 いずれにしましても、我が国に整備されます日本型IRにつきましては、これまでのほかの国のIRにはない独自性と、そして高い国際競争力を有して、我が国に既にある豊かな観光資源も活用しながら、幅広く世界じゅうの観光客を引きつけることを目指しているものでございますので、依存対策などに万全を尽くしながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えている所存でございます。

もとむら委員 今のような、明らかに日本人がメーンターゲットになっているというふうに私どもは捉えていますが、大体、そういう試算もしないで、カジノを、IRを推進していくこと自体、ここはちょっと政府も一歩立ちどまってお考えいただくことがベストではないかというふうに思います。

 次に、IR推進法の附帯決議にも、カジノ管理委員会がカジノ営業規則等を厳格に執行できる体制の構築が不可欠であるというふうにありますが、カジノ管理委員会は、どのような体制で、どのように実効性ある監督を行っていくのか、お伺いいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ管理委員会そのものにつきましては、この整備法案の中にありますように、委員長を含めまして五人の委員で構成されるということになります。

 お尋ねは、恐らく、この委員会のもとにあります委員会の事務局のことであろう、事務体制の方であろうというふうに思いますけれども、事務体制につきましては、この法案が成立をいたしますれば、そういう場合には、今後の予算編成過程の中で、政府の中で具体化をしていくということになります。

 事務体制の整備に当たりましては、カジノ管理委員会が与えられましたさまざまな調査権限などを確実に行使することができるように、幅広い業務の特性に応じた人材を各行政分野から確保するとともに、専門的知見を有する民間人材の任用についても、必要に応じて検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 またさらには、外国の規制当局との交流ですとかなどを含め、事務局の職員が十分な研修、キャパシティービルディングをしていくということも重要だというふうに考えている次第でございます。

もとむら委員 平成二十八年十二月二日の内閣委員会におけるIR推進法提案者からの答弁で、シンガポールのカジノ規制機関は百五十七名程度が必要だということでお話を伺っておりますが、今のように、独立した強い権限を持つカジノ管理委員会の中身すらお示しをされないというのは、これをもってIRを進めるというのは全くもって言語道断であると思いますし、規則で定める内容が余りにも多いわけであります。

 具体的なことは政省令やカジノ管理委員会規則で定められるというふうになっておりますし、事業者ありきでルールを定めることができるのではないかということは、これもまさしく中川委員が指摘したように、加計学園ありきのような話じゃないかというふうにこれは指摘をしてまいりたいと思いますし、現時点で具体的な答弁が出てこないので、国民も具体的なイメージをすることができないわけであります。

 大臣は、日本型IRとしては、国内外を問わず、多くの来訪者を引きつけるような魅力ある施設を整備することを考えておりますと答弁していますが、それがどんなイメージなのか、全く伝わってきません。

 六月一日の中川委員の、全国キャンペーンという、総理からも質疑に対して答弁いただいたわけでありますが、今まさに国民の理解は深まっていないというふうに思います。

 大臣、本当に国民の理解が深まっているというなら、例えば、私たちと一緒に街頭に立ってみて、国民の皆さんにカジノがどのぐらい、皆さんにIRが理解されているのか、マル・バツのプレートでもつくって一緒にやったらどうかなというふうに提案をしてまいりたいと思います。

 最後に、この本法案について国民の理解が深まっていると大臣は考えていらっしゃるのか、また、それと、日本人来訪客が多いという予測をどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いします。

石井国務大臣 現段階においては、IRについてはカジノに焦点が当たりがちなことから、さまざまな弊害を心配する声があることは承知をしております。

 この要因としましては、国民の声に対応して、依存症防止対策、犯罪、治安維持対策、青少年の健全育成対策を重層的かつ多段階的に講じたクリーンなカジノであることや、日本型IRの実現が、観光や地域振興、雇用創出など、日本の成長戦略に資する大きな効果を生むものであることのイメージの共有が道半ばであり、これらの厳格な対策、効果について、日本においてまさにこれからIRの整備が行われることから、現時点において実感を持ってイメージしにくいこと等が考えられます。

 今後、単なるカジノ施設ではない日本型IRのイメージを具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施してまいります。

 引き続き、国民の皆様に丁寧に説明を行うとともに、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。

もとむら委員 今の答弁からも、国民の理解が十分に深まっていません。全国キャラバンも行うなら、この法律案を出す前にキャラバンを行って、国民の皆様の理解を得てからこういった法案を出すべきじゃないかということを指摘させていただいて、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございます。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、今、質疑もありましたカジノ管理委員会について質問をいたします。

 この第六回のIR推進会議の資料で、カジノ管理委員会というのがあります。これを見ますと、カジノ管理委員会の権限の行使に当たっては、IR推進、振興に関係する他の行政機関や利害を有するカジノ事業者との関係を踏まえ、組織として独立性を有し、公正中立な立場での意思決定及び手続等が求められるとあります。

 つまり、組織としての独立性を担保をするために、IR推進の他の行政機関との独立性、またカジノ事業者との独立性、これが問われているということが指摘をされているわけであります。

 そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、このカジノ管理委員会の事務局が組織として独立性を担保するために、カジノ管理委員会事務局とIR推進の行政機関との人事交流を規制するという規定は、法文のどこにありますか。

石井国務大臣 今回のIR整備法案におきましては、IRの推進を通じた公益の実現を担うIR主務大臣、カジノ施設の設置、運営に関する秩序維持等を担うカジノ管理委員会という、行政目的を異にする二つの組織が新たに設けられることになります。そして、これら二つの行政目的は、互いに相反するものではありません。

 カジノ管理委員会は、世界最高水準のカジノ規制を公正中立な立場から担う存在としまして、内閣府のいわゆる三条委員会として設置することとしておりまして、カジノ管理委員会の事務局の職員につきましても、委員会の指揮命令のもと、公正中立かつ厳格にカジノ規制事務の執行に当たることとなります。

 カジノ管理委員会が担うカジノ規制の内容は多岐にわたり、また専門的な知見を必要とすることから、厳格なカジノ規制を実現するため、幅広い業務の特性に応じた人材を行政各分野から確保していく必要があるところであります。

 カジノ管理委員会の事務局につきましては、他省庁との間で行われる人事交流について制限を設けることは考えておりません。

塩川委員 それはおかしいですね。だって、カジノ管理委員会の事務局について、IR推進会議の取りまとめにおいても、カジノ管理委員会は、IR推進、振興に関係する他の行政機関とは一線を画し、カジノに関する規制を厳格に執行する行政委員会として位置づけるべきとあるわけです。明確に区分する必要があるんですよ。IRを推進する部局と、まさにカジノを規制する、カジノを管理する部局と、これは人的にも分けるのは当たり前じゃないですか。

 三条委員会の議論でも、一番問題となったのが原子力規制委員会でしょう。まさに原子力を推進する機関と規制する機関の分離が必要だ、その人的な交流は行わない、こういう議論がずっと行われてきたじゃないですか。

 原子力規制委員会の設置法では、原子力規制庁の職員については、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないという、いわゆるノーリターンルールが規定をされています。経産省や文科省の原子力担当、原子力委員会の事務局などには配置転換ができません。

 原子力に係る推進機関と規制機関の分離を図る観点で実施をされているわけで、IR推進の行政機関とカジノ管理委員会事務局の間でのこういうノーリターンルール、カジノ法案で規定しないのか。独立性を言うのであれば、そういうことこそ必要じゃないですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、推進会議の中でのこの一線を画するという御指摘でございますけれども、これは先ほど石井国務大臣の方から御答弁がございましたように、カジノ管理委員会のマンデートは、カジノ事業の廉潔性を確保するということが明確にある。一方、IR事業を担当する主務大臣は、IR事業を通じて日本を観光先進国に引き上げていく、そういう公益を実現することを監督していくということで、行政目的が異なるということを触れたものでございます。

石井国務大臣 御指摘の原子力規制庁については、従来、原子力を推進する経済産業省に規制を担う機関が属し、規制機関の独立性が欠如するという中にあって、安全が軽んじられていたこと等の反省に立って、いわゆるノーリターンルールが設けられたものと承知をしております。

 今、先ほどから御説明申し上げておりますように、今般、IR主務大臣とカジノ管理委員会、二つの組織が新たに設けられるわけでありますが、これら二つの行政目的は、互いに相反するものではありません。

 なおかつ、カジノ管理委員会は、いわゆる三条委員会として、公正中立な立場からカジノ規制を担う存在として設けられるものでありまして、事務局職員についても、委員会の指揮命令のもと、公正中立かつ厳格にカジノ規制事務の執行に当たることになります。

 したがいまして、行政各分野からカジノ管理委員会に人事交流等で出向したとしても、それでもってカジノ管理委員会の公正中立な立場が失われるということはないというふうに考えております。

塩川委員 いや、信じられないですね。IRを推進するためにもうけを上げようと思えば、カジノの収益を上げるというのが一番だと。もうけ、八割がカジノから来ているんですから、IR推進、どんどん広げようと思えば、カジノをどんどん広げるということにならざるを得ないじゃないですか。それはもう、カジノ管理委員会の目的、きちんとした規制をするというところと相反する方向なんですよ。だからこそ、組織としての独立性を担保するということを、事務局の議論でも有識者の議論でも行ってきたんじゃないですか。

 こんなところについても、これでは結局、規制、管理するどころか、IR推進の目的のためにどんどんどんどんカジノを拡大する、こういうことにならざるを得ない。まさにそういう法案の中身だということをみずから認めているという点でも、極めて重大だと言わざるを得ません。

 もう一つ指摘をしたいのが、このカジノ管理委員会が組織として独立性を有するために、カジノ管理委員会事務局にカジノ事業者を入れるということはないですね。

石井国務大臣 カジノ管理委員会は、世界最高水準のカジノ規制を公正中立な立場から担う存在として、内閣府のいわゆる三条委員会として設置することとしておりまして、カジノ管理委員会の事務局職員については、委員会の指揮命令のもと、公正中立かつ厳格にカジノ規制事務の執行に当たるものであります。

 カジノ管理委員会の職員の外部からの任用に当たっては、監督等の対象となるカジノ事業者等との間の癒着など、カジノ規制事務の公正性、中立性にいささかの疑念を持たれることのないようにすることが前提でございます。

塩川委員 だから、癒着など中立公正性を損なうようなことがないように、人的な交流を禁じるということが必要じゃないかと聞いているんですよ。

 大体、この法案の中にも、カジノ管理委員会の委員長又は委員は、カジノ事業者はなることができないと規定しているんですよ。委員長や委員についてはカジノ事業者、関連の事業者はなることができないと規定しているんだったら、このカジノ管理委員会の事務局も禁止すればいいじゃないですか。禁止すればいいでしょう。どうですか、大臣。

石井国務大臣 これは、カジノ事業者から、外部から職員を任用するかどうかというのは、それは明確に定めていないところでありますが、ある意味で、カジノを管理するためには、カジノの実態を知っている人を任用するということも一つあり得るかもしれません。

 ただし、先ほども申し上げたように、カジノ事業者との間の癒着など、カジノ規制事務の公正性、中立性にいささかの疑念を持たれないようにすることが大前提ということであります。(発言する者あり)

山際委員長 御静粛にお願いします。

塩川委員 だから、中立公正性に疑念が持たれないように、カジノ事業者は事務局に入れないと規定すればいいじゃないですか。何でそんなこともできないのか。

 そもそも、カジノ管理委員会の経費という、皆さん、カジノ管理委員会の経費は誰が負担するのか。規制対象のカジノ事業者が負担するんですよ、納付金から出るんですから。また、カジノ規制の仕組みについてはカジノ事業者の方が精通しているということは、大臣もお認めになっておりますから。

 カジノ管理委員会は、カジノ規制のノウハウについてもカジノ事業者に劣後をし、カジノ事業者との人的結合、官民癒着の疑念は排除をされず、財政的にもカジノ事業者に依存する。金も人もノウハウもカジノ事業者に依存する。カジノ管理委員会は、カジノ規制機関ではなく、カジノ推進機関になりかねないじゃありませんか。

 規制機関が規制される事業者に取り込まれる、規制のとりこが大問題となった、あの原発事故の過ちを繰り返してはならないのではありませんか。

 さらなる徹底審議を要求する、このことを強く求めて、質問を終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 この委員会でも、幾つか、詳細について確認をしてまいりました。きょう、更に確認をしていきたいと思います。

 この法案、成立するとなれば、きょうも質疑等で、反対をされている方々は、何も決まっていないじゃないかということをおっしゃっていましたけれども、それはこれから制度設計、基本方針等が製作されるということです。

 政府においても、成立後に自治体にヒアリング等で調査をするということですけれども、国際的な競争力を有するすばらしいIRを実現するためにも、実際に共同で事業を進めることとなる自治体と事業者の意見を十分に聞くべきと考えておりますが、見解をお願いいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案が成立しました場合は、政府におきましては、このIR整備法の政省令の制定ですとかあるいは国土交通大臣による基本方針の策定など、IR制度の詳細を定めていくことが必要になります。

 これら政省令の制定ですとか基本方針の策定に当たりましては、パブリックコメントを実施し、そして、都道府県等や民間事業者も含め、幅広く意見をお聞きすることとなるというふうに考えてございます。

 また、法案が成立しました場合、申請、認定のプロセスの進め方を検討するため、都道府県等や民間事業者の状況把握などをしっかりと行ってまいりたいというふうに考えておりまして、政府といたしましては、こういう機会を通じまして、都道府県等や民間事業者の意見も伺いながら、このIR制度の詳細を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

浦野委員 例えば、カジノ施設については、現行の建築基準法では、当然、今、日本国内に一つもありませんから、建築物の用途としての位置づけがありませんよね。都市計画のどの用途地域においてカジノ施設が設置できるのかとか、そんなのも実際まだ明らかになっていません。

 これらの制限、土地の利用については制限がいろいろありますけれども、その内容が明らかにならないということで、都市計画の変更などをもしかしたら自治体内でやらないといけないんじゃないか、そういう心配もあります。

 このように、自治体や事業者がこれを進めていくに当たって課題が出てくるのはもちろん当然ですけれども、政府として速やかな対処が必要なことも出てくると思いますけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま浦野委員から御指摘をいただきました個別具体的な制度に関する問合せなど、これから、地方自治体、都道府県等の方から、あるいは民間事業者などからもさまざまな御問合せを受けることであろうというふうに考えております。

 したがいまして、このIR区域の整備の推進に関する制度につきましては、さまざまな制度がかかわってくる可能性があるというふうに考えてございますので、当該制度を所管する各省庁において適切な判断が求められていくというのが原則だというふうに考えてございます。

 一方、IR推進法に基づきまして、政府の中には、内閣にはIR推進本部が設置をされております。そして、そこの機能といたしましては、IR区域整備の推進に関する総合調整に関する事務をこの本部がつかさどってございますので、その本部の事務局でありますIR整備推進本部事務局といたしましては、自治体や事業者などから御要望などがございました場合、関係する制度を所管しております省庁には検討を要請するなど、政府が一体となってこのIR区域の整備の促進を図ることができるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

浦野委員 続きまして、マイナンバーカードについてです。

 マイナンバーカード、質問通告した後、来られていろいろ話をしたときに、職員の皆さん、マイナンバーカードで今やってはりますよね。マイナンバーカードを使った公的個人認証が義務づけられているという、このことについては、私はいいことだと思っております。

 ただ、これは、マイナンバーカードを議論するときもですけれども、普及率がやはりかなり苦戦をしているということですので、マイナンバーカードにかわる、何か違う本人認証のものも使えるようにするべきじゃないかという議論もありました。

 ただ、これは、最終的にはマイナンバーカードでいくということで恐らく答弁はされるでしょうし、そうであるならば、このマイナンバーカードの普及率が高まるようなことをしていかないといけないと思いますけれども、何か政府として具体的に取組を行うのか、お聞かせをいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードは、申請がありましたときに必要な方に交付するというふうになっております。無料でございます。そういった意味からしますと、さらなる普及に向けましては、国民の皆様が自然に持ちたいというふうに思っていただけるよう、利便性自体を高めていくということが必要であると思っております。

 現在、マイナンバーカードに搭載されました電子証明書で、コンビニ交付サービス、戸籍だとか住民票だとか、市役所と組みになりまして、それが全国いろいろなところでとれていくサービスだとか、あるいはオンラインで口座を開設するとか、それから住宅ローンの契約を締結するとか、民間分野でも利用は拡大しております。

 また、経済団体に対しましては、私どももそうなのでございますが、各企業の社員証としての利用も要請しておりまして、ビジネスへの活用拡大と普及率の向上の好循環を目指しております。

 各地方公共団体におきましては、無料で顔写真を撮影するとか、それからオンライン申請のサポートをするなど、かなりいろいろな取組をしております。

 私どもとしては、無料で取得できる、しかも自分の意思で取得できる厳格な本人認証でございますので、このマイナンバーカードの取得を進んでしていただけるよう、官民でさまざまな取組を後押しして、利便性を向上させていきたいというふうに思ってございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 最後の質問になります。

 これは、私の個人的ないろいろ考えというか思いもあるんですけれども、クルーズ船について少しお聞きをしたいと思います。

 海外の大型クルーズ船なんかは、船内にカジノがあるようなクルーズ船もあります。観光政策として、大型のクルーズ船に日本に来てもらうような政策をいろいろととっていますけれども、今の現状の法律では、十二海里内だとカジノは動かせませんよね。恐らく、カジノのところはとめて領海内に入ってきているんだと思うんです。

 今回、なるべく長く日本に滞在をしてもらうために、そういったクルーズ船が十二海里離れなくても、例えば船内で、それでもこれは船内の人だけが対象ですよ、船内の人が対象で、十二海里内でもカジノができるのであれば、もしかしたら日本に滞在する期間も、例えば一日で帰ってしまうのが二日になったりとか、そういうこともあり得ると思うんですね。

 ですから、そういったところ、恐らくこの部分に関してはまだ何も検討されていないと思いますけれども、これからどういったことが考えられるのかというのを検討してもいいんじゃないかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

馬場崎政府参考人 近年、我が国港湾へのクルーズ需要は急増しております。二〇一七年、昨年は、旅客数それから寄港回数とも過去最高を記録しております。

 国土交通省では、政府目標であります二〇二〇年訪日クルーズ旅客五百万人の実現に向けて、ハード、ソフト一体となったクルーズ船受入れ環境の整備を積極的に行っております。

 クルーズ船内におけるカジノ営業につきましては、公海上では当該クルーズ船の船籍国の法令が適用されるということでありますので、現状、多くの外国籍のクルーズ船ではカジノ営業が行われると聞いております。ただ一方、我が国の領海内では、船籍国にかかわらず我が国の法令が適用されることから、カジノ営業は認められていないと承知しております。

 委員からの御指摘がございました我が国の領海内におけるクルーズ船内のカジノ営業につきましては、国土交通省としては検討しておりません。

浦野委員 質問を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 IR整備法案、きょうは五分間のお時間をいただいておりますが、私たち野党はそろって、カジノを含むIR整備法案審議に当たっての要求事項を都度、上げさせていただきました。これまでに二度、上げさせていただいております。ですから、地方公聴会、中央公聴会、さらなる参考人質疑を行うことを含め、十分な審議時間の確保をずっと求めてまいりました。

 きょうまでの時間でも、まだ二十時間に足りていません。これでもし質疑が打切りになるとしたら、国民の不安、不満はこの国会で全く議論されていない、そのことを大臣が示してしまうということになりかねません。

 平成二十九年八月に行われましたパブコメと、それから全国九カ所の公聴会で、パブコメが七千四十九件ありました。公聴会では、四百六十七件の意見がありました。しかし、日本の観光資源を生かした観光振興を図るべき、千二百五十一件、IR導入による経済効果は期待できない、千百五十五件など、推進の意見もありましたが、その大多数は反対の意見です。カジノ解禁に反対が六七・一%、意見表明ではそのように寄せられています。

 ですから、なぜこのような反対意見が多いかということは、まだまだ国民が、このカジノに対して、今までの日本が進めてきた公設、公営、公益という名のもとのいわゆる公営ギャンブルを百八十度転換させる、民営ギャンブルを認めるということに大きな不安を持っているからです。

 その証拠に、これは、ギャンブル依存症問題を考える会がまとめられた、御自身の会で、新聞あるいは報道で、ギャンブルによるものというニュースをまとめた件数で、どのような症状があったのかということをホームページで公開しております。

 つまり、ギャンブル依存症は、ギャンブル問題なども含めて、実は、まだまだ国民にとって解決しなければならない、真っ先に取り組まねばならない優先課題である。これは、せんだってギャンブル等依存症対策の法案が決議されましたが、しかし、それをしっかりと実行した上で、本当に国が責任を持って国民の生命財産を守る、その取組をしているかどうかということが先行されるべきではありませんか。

 しかし、そのギャンブル依存症対策法案が決議されて、本当に日もたたずにこのようにIR整備法案が上がってくる。そして、IRの整備を望んでいる業界からは、六月にもこの法案が成立するというニュースが流れている。業界は既にギャンブルに対して、カジノに対して、その準備をしようとしているというふうな姿勢がホームページでも見てとれるわけです。

 このことからしても、国民の多くの不安は、不満は、私たちのこの審議を更に尽くしていくということで、本当に政府がその説明責任を果たしているかどうかということが問われているのではないかと思います。

 カジノを核とするIR整備法案は、先ほど申し上げましたとおり、これまでの公設、公営、公益の方針を百八十度転換させる、本邦で初めて民営ギャンブルを認めるための法律案です。

 そして、せんだっては政府の方から、IRに係る経済効果及びマイナスの影響に関する資料、政省令委任事項の概要、いわゆる重要論点に係る資料などなど、資料が提出されました。ついせんだってのことです、この資料が上がってきたのも。カジノ規制関係、カジノ事業者に係る公租公課など、カジノ管理委員会、IR制度などなど、重要論点一覧というものが上がってきておりますが、まだこの審議は十分に行われておりません。

 そういうことを考えると、出してきた資料の説明だけを参考人が行い、IR担当大臣に対して、その内容について、るる細かいところまでぜひ説明をしていただきたいということを、きょうの審議でも、例えば、貸金業の総量規制についても、それからベットマックスについてもいろいろと質問をさせていただいておりますが、まだ十分その審議が尽くされたとは言えないわけです。

 ですから、そのための地方公聴会、中央公聴会の開催、さらなる参考人質疑及び総理質疑を重ね、国民への説明責任を十二分に尽くすこと、審議を深め、疑問点を明らかにして、国民の理解を得ようとすることは、政府、所管省庁、所管大臣として当然の姿勢であるべきです。

 与党の理事の皆さんにもお願いをしておきます。

 もし、きょう、これで審議が打ち切られるようなことがあっては、国民のIRに対する疑問、疑念はますます深まるばかりです。断ち切ることがないよう、これからもしっかり審議をし、先ほど公明党の遠山委員からは、長崎が手を挙げているという意見もありました。長崎で公聴会をやりましょう。私の前は浦野さんが質問をいたしました。大阪でも手を挙げていらっしゃいます。夢洲に行きましょうよ。現場を十分見て、公聴会も開催して、あまねく国民の……(発言する者あり)横浜も行きましょう。そうだ、横浜はカジノは反対していますからね、カジノなしのIRでもいいと言っているわけですから。

 地方公聴会をしっかり重ねて、国民の議論をこの委員会で積み重ねていく。その中で、本当に日本型のIRとはどういうものかという、その姿勢をぜひ大臣、追求していこうじゃありませんか。

 大臣、そのことについて、大臣の見解をお伺いいたします。石井IR担当大臣は、審議は十分であるという認識に立っていらっしゃるか否か、お聞かせください。

山際委員長 時間を経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

石井国務大臣 各種世論調査で、まだ国民の皆様の反対が多いということは承知をしております。日本型IRのイメージがまだまだ伝わっていないということかと思いますので、今後、イメージを実感に近い形で具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施をしていきたいと思います。引き続き、国民に丁寧に説明を行うとともに、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと思います。

 なお、国会での御審議のあり方は国会でお決めいただくことでありますので、私からはコメントは控えさせていただきます。

玉城委員 成立する前の審議が必要であって、キャラバンで説明できるとは、国民誰も思わないわけですよ。

 委員長、理事会で諮ってください。さらなる慎重審議、地方公聴会、中央公聴会の開催などなど、理事会で諮っていただくようお願い申し上げ、質問とさせていただきます。

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十一分散会


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