衆議院

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第3号 平成31年3月6日(水曜日)

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平成三十一年三月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      西田 昭二君    松野 博一君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    阿部 知子君

      大河原雅子君    岡本あき子君

      近藤 昭一君    篠原  豪君

      初鹿 明博君    山尾志桜里君

      日吉 雄太君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      佐藤 茂樹君    鰐淵 洋子君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山本 順三君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (国家公務員制度担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   片山さつき君

   国務大臣         櫻田 義孝君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室長)          橋本 元秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官)

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  岩尾 信行君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            森永 耕造君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   井野 靖久君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      行松 泰弘君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        三浦健太郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           藤本 隆史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 勝也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉開正治郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       林  俊行君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     木村 次郎君

  今井 雅人君     阿部 知子君

  山岡 達丸君     日吉 雄太君

  佐藤 茂樹君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     泉田 裕彦君

  阿部 知子君     今井 雅人君

  日吉 雄太君     山岡 達丸君

  鰐淵 洋子君     佐藤 茂樹君

    ―――――――――――――

三月五日

 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

二月二十五日

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(岡本充功君紹介)(第四六号)

 児童福祉としての保育制度の拡充に関する請願(野田毅君紹介)(第五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、内閣官房アイヌ総合政策室長橋本元秀君、内閣官房内閣審議官諸戸修二君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官・特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長中川真君、内閣法制局第一部長岩尾信行君、人事院事務総局給与局長森永耕造君、内閣府大臣官房長井野靖久君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官行松泰弘君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、内閣府子ども・子育て本部審議官三浦健太郎君、警察庁長官官房総括審議官藤本隆史君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、警察庁長官官房審議官田中勝也君、総務省大臣官房審議官吉開正治郎君、総務省大臣官房審議官横山均君、総務省行政評価局長讃岐建君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属クラブの阿部知子です。

 本日は、宮腰大臣に御出席いただきまして、せんだっての予算の分科会、内閣の分科会でも取上げをさせていただきました企業主導型保育についてお尋ねをいたします。

 少子高齢化の我が国にとって、子供たちをどのように育み、育てていくかというのは国家的な課題であると認識します。そして、大切な企業からの拠出金をいただいて運営されているこの企業主導型保育所において、既に大臣も随所で御発言でありますが、いろいろな事態が発生して、見直し、検討委員会なども既に開かれているところと思います。

 立憲民主党では、子ども・子育てPTをつくって、私が座長で、せんだって宮腰大臣に御質問させていただきました早稲田夕季さんを始めとして、何とかこの企業主導型保育所が健全なものとして運営されていくようにということを願っての質問をいたしておりますが、検討委員会、次回、四回目を経て、それを取りまとめて、大臣の方でいろいろな改善点をお考えくださるということでありますが、これまで三回の検討委員会には、実は、破綻した園、廃園になった園、休園になった園、譲渡された園、あるいは、開設という予定にありながら、運営交付金をもらいながら開園しなかった園など、さまざまなものが現実にはございます。

 大臣に確認ですが、この第四回の検討会より前に、必ず、児童育成協会から具体的な問題事例について、大臣並びに検討委員会ではその報告を受けて第四回に臨み、そして結果の検証をされるということを確認させていただきます。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、制度創設から三年目を迎え、さまざまな課題が生じていることから、現在、有識者から成る検討委員会において、改善方策について検討しております。

 これまで、国会等における指摘事項、自治体や事業者団体、保護者の代表の方々からのヒアリングを踏まえ、御議論をいただいてきておりまして、今年度内に一定の取りまとめを行っていただき、まずはその検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいと考えております。

 一方で、これまで二年間で助成決定された施設の検証を行うことは大変重要だと考えておりまして、検証結果は検討委員会に報告させていただくという考えであります。

阿部委員 必ずや現実を見て、きちんと対応策が出るようにお願い申し上げたいので、今の大臣のお言葉、さまざまな現場の検証ということを含めてお願いしたいと思います。

 ところで、大臣にお伺いいたしますが、これまで大臣が得られた情報で、実は、児童育成協会が、ある事業者に対して被害届を出されているような事案がある、すなわち、簡単に言うと、補助金をだまし取られたということで被害届を出されているような事態があるということは、大臣はお聞き及びでございましょうか。

宮腰国務大臣 被害届の有無につきましては、個別具体的にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

阿部委員 それでは現実の検証になりませんで、有無って、あるかないかのどっちかなんですよね、有無っていうんだから。

 被害届はあるんですか、三浦参考人。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、個別案件ですので、お答えの方は差し控えさせていただきたいと存じます。

阿部委員 全くそれでは答弁になりません。

 委員長、本日は、実は、児童育成協会に来ていただくようにお願いいたしました。それすらかなわぬ中、それをヒアリングして私ども国会に伝えてくれるはずの内閣の担当大臣も、参事官も、全く答弁されません。

 私は、個別を聞いているのではなくて、ありやなしやを聞いておるんです。どうでしょう、大臣。

宮腰国務大臣 先ほど御答弁をさせていただいたとおり、被害届の有無につきましては、個別具体的にお答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、不適切な事案がある場合、まずは、本事業の実施主体、補助事業者である児童育成協会におきまして、確認のための調査等を行い、その事実が判明した場合には、助成決定の取消しを行い、助成金の返還を求めるなど、必要な対応をとることになります。

 また、内閣府としても、必要に応じ、報告徴収等の対応をするということになります。

阿部委員 一般論で申し上げているのではなくて、検証しているのに、補助金の被害届、詐取されたかもしれない、だまし取られたかもしれないという被害届が出ているか出ていないかすら答弁できない。それで検証になるでしょうか。異常なことです。これは、入った補助金が不適切に使用されているというふうに思ったからこそ、育成協会が被害届を出すんですよ。被害届って、尋常なことではありません。

 大臣、これで進みますか、おかしいじゃないですか。

 委員長、なぜ、きょう、育成協会も来ていない。大臣は個別の案件とおっしゃいますが、全然個別じゃないです。そういう事態まで起きているという認識がありやなしやなんです。

 大臣、どうですか、事態まで起きている認識がおありですか。

宮腰国務大臣 二年間で助成決定された施設の検証につきましては、現在、実は悉皆調査を行っております。二千五百余りの全ての施設に関して、今委員御指摘の問題なども含めて、これまでの助成決定のプロセス、その後の状況などについても悉皆調査を行っておりまして、それがまとまった段階で公表させていただくということにいたしております。

阿部委員 大臣、確認ですが、それは第四回の検討会議の前までになさるんですよね。二千五百とおっしゃいましたか、それを全部状況を把握して、それでなければ検討委員会になりませんが、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 この結果については、相当広範な調査をかけておりますので、必ずしも第四回までにということではありませんが、これまでの国会等における指摘事項、あるいは自治体や事業者団体、保護者の代表の方々からのヒアリングを踏まえ、御意見をいただいた上で、今年度内に一定の取りまとめを行っていただいて、その結果を踏まえて改善を図ってまいるということであります。

 施設の検証につきまして、大変重要であると考えておりまして、でありますから、全てのこれまで助成決定した企業主導型保育事業について、全て検証を行った上で、ちゃんとした検証を行った上で検討委員会に報告をさせていただくということでありますので、必ずしも第四回までにということでやっているわけではありません。

阿部委員 大臣、それでは検討委員会の意義が半減してしまうと思います。とても重要なことだと思います。現実に何が起きているのか、それが全く把握されないで、いつなさるんですか、その二千五百園の検証結果の報告を。

 では、検討委員会はこれからも、四回は一区切り、その後も、検討委員会、検討委員会、検討委員会とやっていかれるのですか。

宮腰国務大臣 四回目、一定の取りまとめをこの四回目の検討委員会の御議論を踏まえて行うということでありまして、五回目以降の開催については、四回で終わるということを考えているわけではありません。

阿部委員 でも、続けることを考えているわけでもないみたいでしょう、今の……(宮腰国務大臣「いやいや」と呼ぶ)ちょっと待ってくださいね。

 三浦政府参考人のせんだっての早稲田夕季さんへの御答弁は、検証結果を検討委員会に報告させていただくことを予定しておりまして、現在、報告に向けて最終的な精査を行っている。最終的な精査ですよ。最終的な精査って、あと半年も一年もかかるものを言わないんです。最終的な精査って、いつ言うんですか。どうぞ。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、大臣からも御答弁されましたとおり、二千五百を超える、二千六百前後の施設の方を精査しておりまして、しかるべく検討委員会の方に御報告させていただくよう、鋭意精査、分析を進めているところでございます。

阿部委員 最終的な検証を行っているとおっしゃっているでしょう、御自分で。最終まであとどのくらいあるんですか。最終的なと書いてありますよ、答弁されていますよ。委員長、おかしいじゃないですか。詰めてくださいな。そんな曖昧な答弁、許されませんよ。

 そして、四回の後、大臣は確かにまだやるんだとおっしゃいました。しかし、これは、毎年毎年、予算が出て、執行されて、後ほど御紹介しますが、多額の剰余金が出て、こんなずさんなことはいつまでも続けられない。

 いつ最終を出すんですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 精査をしておるのは事実でございまして、先生がおっしゃられたように、半年も一年もかけて精査ということは私どもも考えてございません。極力急いでおります。

 以上でございます。

阿部委員 宮腰大臣、そんな、半年や一年じゃない、それでは二カ月ですか、三カ月、大臣のめどを教えてください。これは私はとても重要だと思うんです。どうぞ。

宮腰国務大臣 まだ確たる取りまとめの時期を決めているわけではありませんけれども、間違いなく、一件一件丁寧に精査をしているということでありまして、できる限り早く検討委員会にこのお示しをしたいというふうに考えております。

 三年目に入っていろいろな問題が起きているということを踏まえて、我々も、事はやはり子供の問題であるということを踏まえて、極めて慎重に、しかし、問題があるところは全て洗い出して、その上でしっかりと、特に平成三十一年度、二〇一九年度の新規採択については極めて慎重に、丁寧にやっていく必要があるということから、悉皆調査を行った上で、その上で問題点を洗い出してやっていくということでありますので、この検証結果については更に検討委員会の方でしっかりと御議論をいただいて、二〇一九年度の採択あるいはそのほかの、例えば監査だとか、そういうものの強化に生かしていきたいというふうに考えております。

阿部委員 問題はこれまでもあり、今、大臣がおっしゃったのは、これからに生かしたいと。それは当然です。でも、これまでのことでも、対処しなきゃいけないこと、私はあると思うんです。だから、早く出してください。そして、例えば企業からいただいたお金が不適切に使われていたならば、内閣府の責任において、私は、これを取り返す。そうでなければ、企業にさらなる負担なんかお願いできないですよ。

 大臣、二つお伺いいたします。

 児童育成協会が被害届を出しているような実態については、御存じないか、あえて御答弁なさらない。しかし、児童育成協会が被害届を出しておられれば、その事業者に対しての指導監査、立入調査はどなたがなさるんですか。片っ方は被害届を出している、片っ方は出されている。果たして、これ、誰が指導監査、立入調査をするんですか。大臣、お願いします。

宮腰国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、被害届が出された場合といいますか、不適切な事案がある場合、まず、本事業の実施主体、補助事業者である児童育成協会において、確認のための調査等を行い、その事実が判明した場合には、助成決定の取消しを行い、助成金の返還を求めるというように、必要な対応をとっていただくことになります。

 また、内閣府といたしましても、補助金適正化法に従い、必要に応じ、報告徴収等の対応をするということになってまいります。

阿部委員 私はそんな生易しいことじゃないと思うんです。だって、被害届を出していたら、不適切な使用に不適切だと相手がして、反応して返してこないから、被害届になるんですよ。返してくれば、そんなことはないじゃないですか。だから、被害届が出ているものがあるんですかと伺っているんです。

 そして、その場合は、国しか、内閣府のこの事業のいわば責任においての立入調査しかないんですよ。だって、被害届を出している方が相手の事業者のところに立入調査なんかできないじゃないですか。そういう二階から目薬構造をとっているから、この事業は間接的になってしまっているから、問題が放置されるんですね。

 内閣府の責任で、きょうお手元に示しましたが、いろいろな取りまとめの中に、国が直接前面に出て、すなわち指導監査の三の三番目、必要な場合の国による直接の指導監査とあるんですよ。三番目の指導監査の三点目。これをちゃんと発動しないと、いつまでも、片っ方は被害届、片っ方は、いや、払わない。これが膠着状態で続いて、そんなことを放置したまま、何度も申しますが、企業に次のお願いなんかできないですよ、大臣。常識じゃないですか。こんな係争案件にしてしまったら、この事業に不信が募るわけですよ。

 でも、それほどの事態が起きているということを大臣はぜひ認識していただきたいし、検討委員会でもそのことを伝える責任が内閣府に、大臣にあるんですね。育成協会からちゃんと聞いて、そして、そこにも立入調査して、それを報告するのが大臣の役割なんですよ。これが、内閣府の子ども・子育て担当大臣が責任を持つということの中身なんです。

 もう一つ、大臣、伺います。

 譲渡案件、お知らせいただいただけでも二十八件。せんだって、私が二十七日に大臣に御質問いたしましたところ、転売などをして、その売った方の事業者に収入があれば、それは返していただくと大臣はおっしゃっていました。幾ら返されていますか、二十八園で。二十八の園で、幾ら、売った方から児童育成協会に返されていますか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 事業譲渡は、助成要領の方で定めておりますとおり、「協会の承認を受けて財産を処分することにより、収入があった場合には、その収入の全部又は一部を協会に返還させることがある。」ということでございまして、協会の承認のもとで行われておるところでございますが、企業主導型保育事業の施設整備の助成決定を受けた事業者が施設を譲渡し、収入があった場合には、助成要領に基づき、その収入の一部又は全部を育成協会に返還させることとしておりまして、事業譲渡につきましても、現在、二カ年の検証の中で精査を進めているところでございます。

阿部委員 何もわかっていないじゃないですか。精査って何ですか。

 私は、何回も、幾ら返ってきているのと。だって、お金ですから。ある人が、補助金をもらって、よそに売っちゃったんですよ。この人は、お金がただもうかるだけじゃないの。だから、幾ら返ってきているんですか、育成協会に。それを知る必要が内閣府にはあるんですよ。

 こういうのは保育園転がしと言うんです。今、実際にそうなっているから、保育園が、そういう、子供の大事な成長を預かる保育園という事業を、土地転がしみたいにしないでほしいんですよ。

 だから、幾ら戻ってきているんですか、譲渡二十八件のうち。譲渡って、ただで譲ったらいいということですか。そうじゃないでしょう。公正価格がありますよ。そうしたら収入ですよ。

 幾ら戻ってきているんですか。大臣、答えてください。答えられなかったら、次回、私が質問しますから、そのときまでに御用意ください。

宮腰国務大臣 先ほども申し上げておりますけれども、悉皆調査をやらせていただいている。事業譲渡につきましても、その検証の中で精査を進めさせていただいております。

 例えば、事業譲渡の場合は、施設ができて、それを譲渡先に販売をするといった面で収入があるわけですから、そういう点で、そういった場合には、当然、その収入の全部又は一部を育成協会に返還をしてもらう必要があるということでありますので、そういう点なども含めて、この二年間の検証の中で今精査をさせていただいている。つまりは、問題点を全部洗い出すというつもりで、今この検証を進めているということを申し上げておきたいと思います。

阿部委員 委員長にお願いがあります。

 何を聞いても精査中、何も数値が出てこない。これで、私は、本当は予算審議の終わる前にこれを明らかにしてほしいと何回も内閣府に要求しましたが、今に至るまで出されない。そして、育成協会も来ない。

 やっていただくのは、二つに一つです。もう予算は衆議院を通過しています。そして、これが適正な予算かどうかも問われます。その本当の中身抜きに、物事を表面だけで進めるわけにはいきません。児童育成協会を呼んでいただくか、しかるべく、今の金額を理事会にまず早急に出していただく。だって、ずっと精査を重ねてきて、最終段階と言っているんですから、データを持っていないはずはありません。これをきちんと理事会で御協議いただきたい。お願いいたします。

牧原委員長 児童育成協会を呼ぶか、あるいは、しかるべき金額を出してもらうかということですね、あるいは両方。

阿部委員 それは両方が一番いいです。必ずしも育成協会が全部を報告していないかもしれませんから、よろしくお取り計らいください。

牧原委員長 わかりました。

 いずれか、あるいは両方ということで、後刻、理事会で協議をさせていただきます。

阿部委員 大臣、次に行きますが、私は、企業主導型保育事業の助成の決定額というものも大変疑念を持っております。

 二枚目の資料をごらんいただきたいです。

 平成二十八年度の助成決定状況でありますが、簡単に言うと、新しい施設をつくるのに百二十一億、改修には九十三億、合わせて二百十三億。下の運営費というのは、子供が保育園に行くための運営費、一人頭二十数万とかが出ておりますが、これを合わせても二百四十四億円にしかなりません。

 さて、この二十八年度の予算額は、この事業に対しては七百九十三億でした。七百九十三億の予算で、決定は二百四十四でありました。

 その翌年度、平成二十九年度、同じように新しい施設をつくるのに三百五十八億、改修には三百四十一億。運営費は、子供の数がふえますから、二百九十七億。これを合わせて九百九十五億。この年度の予算は一千三百九億でした。

 二十八年度には約五百億円以上の残、余り。平成二十九年であっても、四百億近いお金が残っているはずであります。こんなふうに、予算と決算額の差が著しく大きくて、事業だけがどんどんどんどん前に進むというのは、どう考えてもおかしい。おかしい構造なんだと思います。

 大臣は、こういう実態、まず一点、どう思われますか。予算額と実際の助成決定額。しかし、これは助成執行額ではありません。決定額で、まだ、執行はもっと少ない。どうですか、この大きな差は。お金はどこに行っちゃっているんですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘の、過去の助成決定とのずれでございますが、制度が二〇一六年、二十八年四月に始まり、その後、各施設が開所して間もないことから、予算を下回る状況となっております。今後、定員の充足率など、事業の実施状況を注視していく必要はもちろんあると考えてございます。

 私ども、企業の皆様から拠出いただいた貴重な財源を用いて事業を行っていることを肝に銘じながら、今後ともきちんと対応させていただきたいと存じます。

阿部委員 今の私の質問への答えになっていません。この差額はどこにあるんですか。

三浦政府参考人 当該年度の翌年度に入った七月に決算をいたしまして、拠出金の方に戻してございます。

阿部委員 大臣、次の資料を見ていただきたいですが、今、平成二十八年度予算が七百九十七億で、助成の決定額は二百四十四億。わかりますか、一番左です。しかし、確定額は百九十四。すなわち、助成を決定したけれども、確定額は更に少ないんですね。七百九十七億の予算のうち、確定して使ったのは百九十四億で、六百億円近く余っているんです。五百九十九億。異常ですよね、幾ら初年度といったって。

 次、平成二十九年度、千三百九億の予算で、これはまだ確定額が出ておらないということですが、助成決定額は九百九十五億。この差額、少なく見ても四百億。まあ、いかないかもしれません、確定額は大体この決定額より少ないですから。この年度だって四百億近くあるんですよ。

 一年目は六百億近く、二年目は四百億近く。積み上がって、たまり込んで、そして一方で、料率は上げていっているんですね。こんなこと、説明責任、できますか。

 大臣、これは御存じでしたか。いかがでしょう。

宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、交付決定額は予算額にほぼ近い、助成決定額はそれより少ない、確定額はもっと少ない。これは、先ほど三浦審議官の方から答弁申し上げましたけれども、初年度はある程度やむを得ない部分もあると思いますが、二年目以降はやはりそれなりに問題があるのではないかなというふうに思っております。

 せっかくの予算でありますから、これをしっかり生かしていくということでやっていく必要があると思っております。

 企業の皆さん方の拠出金でもって運営されている事業でありますから、本来の目的をしっかり果たすために今後どうすればいいかということで、今、検討委員会で御検討いただいているところでありまして、そのお金の趣旨に沿った運営にこれから心がけていきたいというふうに考えております。

阿部委員 大臣がそう思われるのは理解しますけれども、そうなっていないから、こんなふうに何回も質問をしなきゃならないんですね。

 具体的なことでお伺いいたしますが、大臣、今の助成決定額、それは予算額より大幅に少ないですよ。でも、決定されて、実際に出たお金にも私は問題があると思っているんです。

 平成二十八年度の、例えば施設の創設、一施設当たり三千八百万円ですね。平成二十九年度は五千百万円ですね。この二枚目のペーパーをごらんいただきたいです。

 企業主導型保育というのは小さいわけです。平米単価当たり一体幾らで新設していると思われますか。これもずっと聞いているんです、出せと、内閣府に。出てこないんです。ですから、この場でお尋ねいたします。

 平米単価、幾らですか。出してください。どうですか、三浦さん。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 認可保育所と同じ基準でございまして、平米単価の方でございます、創設が三千八百万円、改修の方が二千万円となってございます。

阿部委員 それは平米単価じゃないでしょう。全体にその施設にかかったお金。

 平米単価を出してください。

牧原委員長 では、阿部知子君、もう一回明確に質問をお願いします。

 三浦さん、聞いてください。

阿部委員 建物をつくるときは、平米単価、まあ坪単価もありますけれども、平米単価で、例えば厚生労働省が、一つの園をつくるとき、平米単価幾らくらいという補助を出すんですよ。それに比べて、これの平米単価は幾らですか。

三浦政府参考人 大変失礼いたしました。

 お答え申し上げます。

 先ほど私が申しましたのは施設当たりということでございまして……(阿部委員「答えだけでいいです」と呼ぶ)

 認可保育所と同じ基準になっておりまして、今、手元にございませんので、後ほど示させていただきます。(発言する者あり)

阿部委員 今、与党の筆頭理事がおっしゃってくださいましたが、通告いたしましたよ。いたしたって、出てこないんですよ。出す気がないと。私は本当にこれは怒っています。

 大体、次の年は創設が一施設当たり五千百万なんですね。こんなに変わっていくんですよ。

 そうしたら、今、平米単価が同じです、厚労省と同じですと言いましたが、本当ですか。ちゃんと調べなさいよ。そうやって次々と、何度も言いますが、企業負担を求めてはいけない。それは、企業負担が大事だからですよ。やってもらわないと、本当にやはり今、日本の財政が大変だから。だから、こんな不誠実な、いわば透明性もない、説明責任もない、調べてこようともしない、そういうことはやってはならないのです。

 大臣、どうですか。

宮腰国務大臣 今の委員御指摘の件については、しっかり調べて回答させていただきたいと思います。

 その上で、今回の検討委員会の取りまとめ骨子案においては、施設整備費の助成基準を適正化をするということも盛り込んでいただいておりまして、適切な価格、基準で透明性を持って交付をするという形にしていかなければいけないと考えております。

阿部委員 大臣、さっきも申し上げましたが、これからのことと、これまでだって、私は、もしかして不当に保険料をいただいたとお返ししなきゃいけない事態だってあると思いますよ、説明できないのであれば。本当に大事なんです。

 そして、一つの質問をして、育成協会に聞いて、返ってくるまで一週間、あるいはきょうみたいに来ない。これだから私は、審議が進まない、実態が見えない、そんな検証をしてもらっても意味がないと本当に思います。

 大臣、よほど自覚して、大臣のリーダーシップで全て透明にしていただきたい。いかがですか。

宮腰国務大臣 検証、意味がないとおっしゃられてもちょっと困るのでありますけれども、しっかりと検証した上で、検証結果についてはしっかりと全て公開をするということでやってまいるつもりでおります。

 それから、いろいろな面の手続あるいは基準などの透明化についても、今後、三十一年、まあ二〇二〇年の採択等々につきましては、しっかりと透明性を確保した形で進めていきたいというふうに考えております。

阿部委員 今起きていることの説明もできないで、二〇二〇年にまた保険料を下さいなんて言えない。私は、それがあるから、何度も何度も取り上げているんです。

 大臣、次の四枚目になりますね、資料の。これが、この予算の審議のときに出てきた二〇一七年度の決算の案の概要ということですが、私が求めて出てきたものであります。

 ここを見ていただくと、歳入、歳出、事業主の拠出金のところが上にございますが、下の方の仕事・子育て両立支援事業補助金というところが、今私が問題にしている企業主導型保育所のことであります。七百九十六億、さっき申し上げました七百九十七億と一緒です。

 そして、ほぼ六百億近くが残っているというのが、下に五百九十一億と、積立残高のところに出てまいります。これは実は、これらの事業全部でこれだけの積立残高があるかのような書き方になっているけれども、この仕事・子育て両立支援事業の補助金のところが六百億近く余っているんですよ。

 これを見せられても、例えば、これを事業主に見せたとします。私は、どこが余っているのかわからないと思います。私は、この間、建物補助幾ら、運営費幾ら、ああ、随分余っていますねというのを逐一やって調べ上げて、質問に起こしました。でも、皆さんに伝わるものはこれだけ。あっ、五百九十一億、どこかに余っているなと。ほとんどがこの仕事・子育て両立支援事業補助金なんですよ、さっきお話し申し上げたように。

 そして、翌年度は千三百十二億の決算額ですね。もう決算ですよ、二十九年だから。このうち千四百五十二億円も剰余金に積み上がっているんです。

 普通に考えたら、これは、どこから、何が、幾ら来たか説明できる資料を、大臣、出してくださいな。これも内閣府に何度も言いました。そうしたら、上と相談すると。上と相談して、週が明け、きょうになりました。こんな不誠実な決算報告はないと私は思います。一体どこから来るんですか、このお金は。大臣、御答弁ありますか。

宮腰国務大臣 この決算案の概要、平成二十九年度ですので、もうそろそろきちっとなっておるはずだと思いますが、その具体的なものについてお示しするのは、それはもう事実の問題ですから、計数の問題でありますから、決してやぶさかではありません。

阿部委員 やぶさかでないものが出てこないんですよ。先週から私はやっているんですから。きょう質問だから、一体、企業の出していただいたお金はどこに隠れているのと。どこにどれだけ余っているのか企業に伝えないと不誠実ですよ。

 委員長、お願いがあります。

 私は、先ほどの平米単価、そして、きちんと、ここ、丸めにして、特別会計だから、がさっと入れて、剰余金のところで書いているだけなんですね。おのおのの事業がどのくらいの額を余しているかというのは、これからはわかりません。すなわち、仕事・子育て両立支援補助金が幾ら余っているかがわかりません。

 これを理事会に早急に出していただきたい。私がずっと求め続けて、大臣、もう本当にこの一週間、これでやりとりをずっとしているんです。出ないのです。大臣の責任において理事会に出していただきたい。

牧原委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

阿部委員 では、私の質問をかえましょう。

 大臣は、大臣としてこれをお出しいただきたいです。だって、これは説明責任が果たされていないんですよ。

 大臣、最後のページを見てくださいな。お金の料率だけはどんどん上がっていくんです、拠出金率。二〇一六、一七、一八、〇・二〇、〇・二三、〇・二九、〇・三四。

 こんな不誠実なことはないでしょう。本当に中小企業者の皆さんにとっては、保険料率が上がるということは物すごく経営的に負担なことですよ。しかし、それをお願いしてでも子供たちを育てていこうという意思のあらわれなんです、この事業は。だからこそ、いいかげんなことをしちゃいけない。

 大臣、もう一つお願いがあります。こうやって料率を上げてきたことは妥当ですか。お金の試算はどうしましたか。説明してください。

宮腰国務大臣 子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿整備に対応するため、子ども・子育て支援法を改正いたしまして、事業主拠出金率の法定上限を引き上げて〇・三兆円を充当するに当たっては、経済団体に対して丁寧に御説明をしてまいりました。

 事業主拠出金を財源として実施している企業主導型保育事業などについては、経済団体に対し、毎年定期的に、複数回にわたって、予算の収支の状況や実施状況について情報共有と意見交換を行っております。また、毎年の拠出金率についても、経済団体との定期的な協議の場において、助成決定の状況などを丁寧に協議することにいたしております。

 この事業主拠出金を財源として実施している事業の中には、企業主導型保育事業のほかに、ゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費も含まれておりまして、必ずしも企業主導型保育のみを対象としているものではありません。

 過去の助成決定につきましては、制度が二〇一六年四月に始まり、その後、各施設が開所して間もないことから、予算を下回る状況となっておりますが、今後の定員の充足率など、事業の実施状況を注視していく必要があると考えております。

 企業の皆様から拠出いただいた貴重な財源を用いて事業を行っているということを肝に銘じながら、今後とも、経済団体との情報共有や意見交換を丁寧に誠実に行ってまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 大臣、企業とのお話合いのときに、さっきの決算書以上のものを出されたんですか。どこから、何が、幾ら余ってを企業は知っているんですか。私はそれを問題にしているんです。

 そして、今、運営費も入っているからとおっしゃいましたが、運営費の見積りだって、平成三十年度予算は過大なんですよ。千三百三十一億となっていますが、もう年度もそろそろ終わるんですから、この運営費の見積りは過大だと思います、私は。その前年度の運営費の見積りも過大でした。七百五十一億見積もったけれども、到底そこまでは、二百九十七億しかいかなかったんだから。

 大臣、よく見てくださいな。数値は語るですよ。うそはつかない。いや、うその数値を並べて引上げを求めたんじゃないですか。少なくとも大臣には、さっきの平米単価、自覚をして。だって、大臣が経営団体と臨むんですよ。

 それから、予算書の、決算書の、どこから、何が、幾ら余ったか見えない。そして、もうそろそろ運営費だって出ていますよ。それをそろえて大臣は企業とも臨んでいただきたいし、また委員会にも臨んでいただきたい。いかがですか。

宮腰国務大臣 先ほど、うその数字をというお話がありましたけれども、役所がうその数字を出すわけがないと思います。誠実に、きちっとした数字を出して理解を求めるという努力は必要だと思います。

 前任の松山大臣が、いろいろな団体をみずから回って御理解をいただく努力をされたという経緯もあります。やはりこれは、拠出金を出していただいている方々に対して、誠実に、透明化した形で、実績あるいは今後の方針等について丁寧に説明を重ねていく努力が必要だというふうに考えております。

阿部委員 さっきの決算書ではその説明がされていない、数値も隠れて見えない、そのことを私は指摘して、きょうは終わらせていただきます。

牧原委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。

 きょうは、企業主導型保育のこと、そして令状なしの個人情報提供と、二点質問させていただきたいと思います。

 まずは、保育について。

 質問に入る前に、宮腰大臣、今、役所がうその数字を言うわけないと言いましたけれども、その認識は改めていただいた方がいいと思います。

 必ずうその数字を言うとか、悪意を持ってかどうかはわかりません。でも、これまで起きてきたことを見ると、政府が認めている限りでも、ミスを隠したり、現状をよりよく見せるために、やはり誠実とは言えない数字を出してきたということが複数回あったわけですね。

 それが役所のせいかどうかはまた別の問題ですけれども、そういうことがどの役所にも、役人においても、大臣に上げる情報や数字においてもあり得るんだということは認識してもらって、そのチェックも政務三役の一つの役割なんだというふうに思っていただくべきだと、これは意見として申し上げたいと思います。

 まず、お手元の資料で、宮腰大臣が、これは私も、議事録、出ているものは全部読みましたけれども、みずから検討委員会に出て、随分意見や発言もしていらっしゃいました。私は、それ自体は、当然だけれども立派なことだというふうに思います。こうやって検討委員会をつくっても、およそ最初の挨拶だけ出て中身を聞いていないとか、何か取りまとめのときにちょこっと来て、ありがとうと言うような大臣もいるように思いますので、それは私、議事録を見て、真摯な姿勢だなということは思いました。

 そうやって宮腰大臣はこれに出ていらっしゃいますので、大臣とこれは議論をしたいと思います。

 皆様のお手元の「検討委員会取りまとめの骨子案」、これは企業主導型保育の円滑な実施に向けた検討委員会、二月の二十五日、つい先日に開催された第三回の、提示された取りまとめの骨子案であります。皆さんのお手元には、この骨子案の四ページ全部、資料として配らせていただきました。

 まず、一点目です。素朴な疑問です。

 一ページ目、1で、「企業主導型保育事業について」「(1)意義」、その一番上に「待機児童対策へ貢献」と書いてあります。二ページ目、めくってください、「2 企業主導型保育事業の課題」。つまり、最初に、企業主導型保育事業についてはこういうふうに三年間進んできましたよというのが1であって、ページをめくった2で、そうするとこんな課題が今指摘されておりますというふうにまとめてあって、そして、「3 今後の方向性」というところで、今こんなふうに、恐らく事務局が、考えておりますけれども、委員の皆さんのまた御意見をいただいて実際に文案にしてまとめていきたい、こういう資料であります。

 「3 今後の方向性」の「(1)基本的考え方」ここにも冒頭と同じように、この「事業の意義」というのがあります。

 私は、これを見てなぜかなと思ったんですけれども、括弧の中を見てください。冒頭では「多様な働き方」「企業の自主性」、二番目、三番目のポツで書かれていたものが括弧の中に書いてあって、なぜか一番上に書かれていた大事な意義、「待機児童対策へ貢献」ということがすっぽりと抜けているんですね。これは役所のつくる文書ですから、私はあらゆることに意味があるというふうに考えております。

 大臣にお伺いをいたします。「待機児童対策へ貢献」ということが「今後の方向性」で丸々抜けているのは、意図的ですか、意図的ではありませんか。

宮腰国務大臣 この企業主導型保育事業の意義は、まず、女性の活躍を推進していく中で、国政上の重要課題として、保育の受皿を更に拡大するため待機児童対策へ貢献すること、それから、夜間や休日勤務、短時間勤務などそれぞれの多様な働き方に対応した柔軟な保育を企業の創意工夫により提供できるようにして、人材確保を進めようとする企業を支援すること、財源は税ではなく事業主の負担する拠出金であることを踏まえて、企業の自主性に配慮するといった点にあるというふうに考えておりまして、この意義について、まず三点記述してあります。

 現在、改善方策について検討いただいている検討委員会においても、こうした制度創設時の意義を再認識していただきながら御議論をいただいているというふうに考えております。

 この検討委員会は、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないかとの反省から立ち上げたものであります。このため、「今後の方向性」についても質の確保に関する項目が掲げられているものと考えておりますが、検討委員会におきましても、待機児童対策が制度創設の意義の一つであることは十分に踏まえていただいた上で御議論をいただいているというふうに考えております。

山尾委員 本当は質問に答えていませんと言って座りたいところですけれども、最初の質問ですので、もう一回お伺いをいたします。

 待機児童対策の貢献ということが、「3 今後の方向性 (1)基本的考え方 事業の意義」の中で、なぜかこの点だけ記載がないのは、意図的に抜かしたのですか。それとも、意図はなく抜かしてしまったのですか。どちらですか。

宮腰国務大臣 意図的ということではありません。ただ、この検討委員会の設置のきっかけになったのは、当初、量の整備に重点が置かれ過ぎて、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないかという問題意識からスタートをしたということでありますので、意図的にこの待機児童の解消ということを抜いているというわけでは全くありません。

山尾委員 意図的に抜いていないのであれば、ここにきちっと書き込んでいただいた方がいいと思いますが、いかがですか。

宮腰国務大臣 了解いたしました。

山尾委員 この骨子案は、前回示していただいて、私が聞いているところによると、それぞれの民間の委員の方がこの骨子案をもとに次の開催までにもさまざまな意見を御自身で考えられる大事な素材でありますので、これは事務局にお願いしたいですけれども、この括弧の中に「待機児童対策へ貢献」ということは入れるべきでありました、入れますと、入れたものをきちっと次の回までに委員の皆さんに送り直していただきたいと思うんですけれども、大臣、善処していただけますか。

宮腰国務大臣 最終的には検討委員会でお決めいただくということでありますが、案として追加をさせていただきたいというふうに思います。

山尾委員 なので、今のこの骨子案には、きちっと、今後の方向性としても、意義に待機児童対策が入っているんだ、そういうふうに受けとめましたけれども、それでよろしいですか。

宮腰国務大臣 意義のところにまず含まれているということから、問題意識、スタート時点の問題意識としては、先ほど申し上げたように、量の拡大に重点が置かれ過ぎていて質の確保に問題があったのではないかというスタート時点の問題意識からこういうふうになっていると思いますが、意義の上では全く対等だというふうに思っておりまして、案として検討委員会にお示しをしたいというふうに思います。

山尾委員 私から二点だけ追加して申し上げると、まず、なぜ今これにこだわったかといいますと、私が仄聞するところでありますと、例えば、それこそ経団連を含めたお金を出している事業者団体が、これは我々のお金でやっているのだから、社会における広い待機児童の解決というよりも、お金を出している企業とその家族のためという趣旨を強く打ち出してほしい、むしろ、広く待機児童対策だというところを薄めてほしい、そういう意見があるやに仄聞をしておりましたので、今大臣、首を振っていらっしゃいますけれども、そういうことを何か趣旨で入れて消したのではないということはまず確認をしたいということを思ったのが一点であります。

 もう一点つけ加えると、待機児童対策が量重視で質がないがしろになっているというのは、これは、私は政府の待機児童対策はそういう面があると思って指摘をしましたけれども、本来の待機児童対策というのは、その六文字に込められた思いというのは、質と量の両輪でしっかりと回していくということでありますので、待機児童対策ということを落とすことによって何かその疑いとか懸念とか誤解が晴れるとか、質を大事にするんだという思いがより明確になるということではありませんので、そこには相関関係がないということは指摘をしたいと思います。

 もう一点なんですけれども、私が最初に、大臣きちっと毎回出席してと、私、第三回は、まだ議事録が公表されておりませんので読めておりませんけれども、第一回、第二回と読ませていただきました。本当に大臣自身が聞いて、御自身の意見や質問をきちっと発言をしていらっしゃると思ったんですけれども、確認をしたいと思います。

 第二回のときに、大臣はこのように言っていました。「できる限りこの五年間の間に認可に移行してもらいたいという思いで後押しをしたい」と。もう一回言います。「できる限りこの五年間の間に認可に移行してもらいたいという思いで後押しをしたい」、これが議事録に残っております。

 その思いに今も変化はございませんね。

宮腰国務大臣 認可保育所の基準を満たすという意味で申し上げたものでありまして、認可保育所そのものに移行をという意味では必ずしもありません。

 認可保育所の場合は、例えば、自治体の認可が要るという形になりますので、自治体の方で認可しなければ認可保育所にならないということでありますから、企業主導型保育の場合は、働く方、多様な働く方に対応するといったような考え方がベースにあるわけでありますので、認可保育所の基準はクリアしてもらいたいという趣旨で申し上げたものであります。

山尾委員 まず、いいところから。

 今、実際に三年経過をして存在している企業主導型保育所が、できるだけ認可のレベルに合った基準にきちっと行ってもらいたい、そこまで達してもらいたいということは、私はそれはいいことだと思います。保育士比率も含めて、しっかり過渡的にやってもらいたいと思います。

 でも、大臣、ちょっと確認しますね。

 ここに第二回の議事録もありますけれども、大臣は、一点、この五年の間に認可に移行してもらいたいと言っているんです。認可の基準にまで達してもらいたいと言っていないんです。「認可に移行してもらいたい」とおっしゃっているんですね。その前には、「企業主導型も含めて、できる限りこの五年間の間に認可に移行してもらいたい」と言っているんです。それを受けて世田谷区長が、そういった企業主導型保育がこの五年のうちに認可制度に内在化されていくということはいいことだと思いますよ、そこから、だからこそ、自治体関与を今からしっかり強めていきましょうよ、こういう会話の流れなんですね。

 だから、このときの大臣の議事録を見ると、やはり五年の間に、要するに、政府の方針で、五年間は認可外でも無償の対象になる、猶予期間がある、だから五年の間に認可に移行してもらいたいと言っているんです。

 これを、認可の基準に達してもらいたいという趣旨で言いましたというのは、少し無理があるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

宮腰国務大臣 ちょっと私にも認識不足がありまして、今度の幼児教育、保育の無償化において、認可外であっても五年間については無償化の対象施設とするということと少し混同がありまして、気持ちの上では、認可の基準を満たす施設に五年間の間になっていただきたいという思いで実は申し上げたわけであります。

山尾委員 これ以上何か非難をするつもりはありません。

 多少正確性を欠いても、きちっと議事録に残るにもかかわらず、大臣がそのときの自分の思いをやはりぶつけていくということ自体、私は悪いことではないと思うし、少なくとも今大臣が、この五年の間に企業内保育所もやはり認可の基準まで達してもらいたいということは、これは大臣の方針だというふうに言っていただいたので、それはそれとして、私自身も、企業主導型保育所がある以上は、早く認可のレベルに達するように政府も制度設計をしてほしい、この検討会もそう取りまとめてほしいというふうに思っております。

 その上で、少しこの検討委員会の取りまとめの中身に入っていきたいんですけれども、三ページをあけていただきたいと思います。皆さんのお手元の資料の三ページですね。

 ここに、(3)の「指導監査」というところの五番目のポツですけれども、「指導監査業務の中立性・専門性の確保。利益相反の禁止。」という指摘がなされています。

 そのことについて御質問をいたしますけれども、この企業主導型保育、実施主体と指導監査主体というのが分かれていて、三年間、実施主体としては児童育成協会がやった。その下で、指導監査業務については、平成二十九年から始まったんだけれども、平成二十九と三十の二年間、育成協会の公募に応じて民間がやっていたと思うんですけれども、この二年間、どこが幾らでやっていたんでしょうか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業の指導監査業務、これは児童育成協会が実施しておりまして、その一部を株式会社パソナに委託しております。

 委託事業者の選定に当たりましては、児童育成協会が公募を実施した上で、想定している立入調査の実施箇所数を期間内で完結できるスケジュールや人員体制が組まれているか、また、内部での研修など指導監査の質を確保するための具体的な取組が計画されているかなどの観点から、児童育成協会の中に置かれた選考委員会において、応募のあった事業者からの資料提出等、プレゼンテーションを受けました。その結果、平成二十九年度、平成三十年度ともに、最も評価が高かった株式会社パソナが選定されたと承知しております。

 この指導監査業務の委託額は、平成二十九年度においては約三億円、平成三十年度においては約六・九億円と承知をいたしております。

山尾委員 私もそう聞いております。

 ちょっと評価の認識が違うのは、指導監査業務の一部を民間に委託したのではなくて、指導監査業務の大部を民間に委託したんだと思います。だけれども、一部は確かに児童育成協会みずからがやっております。

 その児童育成協会みずからが指導監査した対象というのは、どういう保育所ですか。

 質問を付加すると、要するに、委託者であるパソナに指導監査をさせることがふさわしくないであろうというお考えのもと、一部については児童育成協会がやっているんですけれども、それはどういう保育所に対してですか。

宮腰国務大臣 平成三十年三月三十一日現在、株式会社パソナフォスターが運営を委託された企業主導型保育施設は十二施設あるというふうに承知しております。

山尾委員 ちょっと質問と回答がかみ合っていないんですけれども。

 パソナフォスターというパソナの関連会社が経営している企業主導型保育所は三月三十日時点で十二件であるということなんですよね。それはそう聞いているんですよ。

 じゃ、ちょっと進めますね。私が聞きたいのは、だから、パソナの関連会社であるパソナフォスターが事業主となっている保育所については、やはりパソナに指導監査をさせるのはよろしくなかろうということで、児童育成協会がやっているのではありませんか、そういう質問です。

宮腰国務大臣 そのとおりでありまして、株式会社パソナのグループ会社に企業主導型保育施設を運営している会社がありますが、当該グループ会社が運営する施設に対しましては、公平性の観点から、必ず児童育成協会そのものが監査に入るということにいたしております。

山尾委員 そういう利益相反とか中立性が疑われるところに指導監査をさせてはいけないから、指導監査の公募要領には「保育事業を行っていない者であること」という要件をつけたわけですよね。その要件をつけて、でも、実質保育事業を行っている業者を選んで、実質そこがやっているところはそこにやらせずに児童育成協会がやると。

 そうすると、この要件は何のためにあったんですかということになりませんか。

宮腰国務大臣 今回の取りまとめ骨子案におきましては、御指摘のとおり、「指導監査業務の中立性・専門性の確保。利益相反の禁止。」というものが書かれております。極めて大事だと思っておりまして、指導監査の実施に当たって、公平性を確保するといった観点から、この公平性について疑問が持たれないように、今後しっかり検討結果を踏まえて改善を図ってまいらなければならないというふうに考えております。

山尾委員 私は、委託を受けた民間業者を非難するつもりはないんです。ただ、やはり、こういった要件設定と、そういった要件設定でありながらそれを選んだ、この場合でいうと児童育成協会の判断、そしてそういう児童育成協会を実施主体として選んできた政府の判断、むしろそこに問題があるんじゃないかというふうに思っています。

 でも、実際、実施主体を政府が選ぶ際にも同じような要件が入っていて、これではちゃんと、保育事業を行っていない者ではなくて、みずから又は関係企業が保育事業を実施しないことというふうになっているんですね。

 本来であれば関係事業も含めたきちっとした要件設定をさせるべきであったし、それに沿った主体を選ぶべきであったというふうに指摘をしますが、それをわかった上で今取りまとめをやっていただいているということなので、みずからの言葉に責任を持った結論を出していただきたいというふうに思っております。

 次に、今話に出ました指導監督のやり方や主体の前に、まず実施主体の問題があるわけですけれども、今は児童育成協会がやっています。平成二十九年、三十年と、評価委員会の評価で三年結局継続されています。いつで任期が切れるんですか。

宮腰国務大臣 済みません、任期と聞きましたので、ちょっと別のことを考えまして、申しわけありません。

 実施機関のあり方については、取りまとめ骨子案におきまして、審査基準や運営基準、指導監査、相談支援、情報公開、自治体との連携等につきまして、中立、専門的な体制とし、利益相反を禁止すること、さらには、外部の評価等を前提に複数年の事業実施を可能とすることといった内容が示されておりまして、来年度以降の実施体制については、検討委員会における検討結果を踏まえ、しっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

山尾委員 児童育成協会への委託は、いつで終わるんですか。

宮腰国務大臣 平成三十年度までは委託の契約ができているということでありますので、その後はまだ決まっていないということであります。

山尾委員 つまり、三月三十一までは児童育成協会だけれども、その後はどうするか決まっていないということですか。

宮腰国務大臣 そういうことであります。

山尾委員 三月三十一日以降、実施主体がないという状況が生まれるんですけれども、大臣はどうされるおつもりですか。

宮腰国務大臣 この取りまとめ案において、実施体制について、今、先ほど申し上げた、公募によるということにいたしておりますが、新たな仕組みでスタートするまでの間、空白期間がないようにしておく必要があるのではないかというふうに考えております。

山尾委員 空白期間がないようにするために三月三十一日以降どうするのかということが、じゃ、まだ決まっていないというふうに伺えばいいんですか。

宮腰国務大臣 正式に決まっているわけではありませんが、新たなルールで公募をするというまでの間の短期間ということになりますので、まだ決まったわけではありませんけれども、実施体制をちゃんとやっていただけるところでその間はやっていただくということになるのではないかと。空白期間は絶対つくってはいけないということだと思っております。

山尾委員 つまり、だから、三月三十一日なので、もう今月の末なので、空白期間ができることは自明の理なので、空白期間をどうするかということはもう決まっていないとまずいと思うんですけれども、決まっていないのか、実は決まっているのかということを教えていただきたいんです。直轄でやるのか、どこかにやらせるのか。

宮腰国務大臣 政府が直轄でやるということはなかなか困難ではないかというふうに考えておりまして、まだ正式に決まっているわけではありませんが、少なくとも四回目の検討委員会において一定の取りまとめをいただくということになっておりますので、それを踏まえて検討したいというふうに考えております。

山尾委員 ということは、今、現時点では決まっていない、第四回の検討委員会等を待って決めるということなんですけれども。

 ちょっときょうは優し過ぎたかなと思っているんですけれども、やはり大変無責任な状態なんですよ、幾ら何でも。三月三十一日で実施主体も切れる、監査指導体制も切れる、でも企業主導型保育所は進んでいく、でも実施主体は見えない、指導監査も、毎年一回やっていましたけれども、それも、いつ、どこで、誰がやるのかもわからない、三十一年度はそれができるのかどうかもわからない、そういう無責任な状態になっているということだけはやはりしっかり指摘をさせていただいて、それでも取りまとめ案は中身の濃い、いいものにしていただかなきゃいけませんので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間が押していますけれども、国家公安委員長、せっかく来ていただきましたので、少しだけ入りたいというふうに思います。

 宮腰大臣も、個人情報保護委員会の所轄でありますので、済みません、あと少しですからおつき合いをいただければと思います。

 皆さんのお手元の資料ですけれども、今の検討報告書が終わった五ページ目ですか、東京新聞の一月十四日の記事であります。

 これは、EUに日本がGDPRの十分性を認定してもらうに当たって法務大臣等の署名でEUに出した説明文書に、正確性に欠くところがあるんじゃないですか、こんな正確性を欠いた文書で、当面、ちょっとありていに言えばごまかしても、二年後の見直しのときにばれちゃうと、善処をしないと取り消されちゃうんじゃないですか、こういう指摘のされている記事であります。

 ここに赤線で、「プライバシー意識の高まりで、企業はあまり照会に応じない」、つまり、個人情報を警察が捜査で入手するに当たっては、本来は令状が必要なんだけれども、任意に応じる限りは、令状なしで、照会書で対応していただける場合がある。それに対して、令状主義が原則なんだから、照会で任意に個人情報をどんどんもらえちゃうという体制は、ちょっとEUのGDPRとは哲学が反するんですけれどもという指摘がなされていたわけですね。それに対して法務大臣等の署名でEUに出した説明文書に、こういう文章があったと。

 皆さんのお手元に、次のページをめくっていただくと、これは、英語で書かれていた原文の、内閣府が仮訳、日本語にしたものです。七ページと真ん中に書いてあるところの黄色い線です。確かに書いてありました。プライバシー権や、かかる照会による負担への個人の意識の高まりを背景に、事業者において、かかる照会への回答がより慎重になされる傾向は顕著となっていると。

 国家公安委員長にお伺いをいたします。この根拠は何ですか。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 お尋ねの点について、プライバシー権や、かかる照会による負担への個人意識の高まりを背景に、事業者において、かかる照会への回答がより慎重になされる傾向が顕著になっている、この記載でございますけれども、これは平成十一年に警察庁が発出をした通達の記載を引用したものというふうに承知をいたしております。

 同通達が発出された当時は、個人情報保護の制定に向けた政府の検討が進み始めたころでございまして、個人情報保護に対する国民の関心が高まりを見せるなどしていた時期であり、そうした社会情勢を踏まえて、警察庁として認識を通達に記載したものというふうに承知をしています。

 また、平成二十年一月には、警察庁が都道府県警察の第一線の刑事警察官約二千四百五十人でございますけれども、こちらに対して日ごろの捜査活動についてアンケート調査を実施したところ、約八〇%が、捜査に対する協力を得ることが難しくなったというふうに回答いたしておりますし、そのうちの半数近く、四八%が、情報提供に慎重な会社、事業者が多いということを理由として挙げているということを背景にした記載であるというふうに思っております。

山尾委員 まず、最初に言っていただいたものが、このEUに出した文書の注釈にも出ているんです。私、見てびっくりしたんですよ。今委員長がおっしゃったことなんですけれども、この根拠は、警察庁が示した通達、一九九九年十二月七日だと。

 何年前ですか。二十年前の警察庁の内部の通達文書に、根拠づけるファクトはなく、評価として、こうやってなかなか照会に応じてもらえなくなっていますよ、きょうこのごろと。それが根拠で、二十年後のEUに出す文書に、照会に最近は皆さん応じないので大丈夫ですと書くのは、これはちょっとまずいんじゃないですか。

山本国務大臣 現状においても、警察庁で、本来であるならば捜査関係事項照会で回答を得ることが可能であるにもかかわらずですけれども、令状による差押えによらなければ応じていただけない、そういう民間事業者が存在することを把握しておりまして、当時の情勢とそう大きな変化はないものというふうに認識をいたしております。

山尾委員 まず、変化がないという根拠がないし、これだけ情報化社会ですごいスピードで進んでいるから対応しなきゃと政府皆さんで言っているじゃないですか。変化はありますし、それがどういう変化があったのかと何の分析もなく、ちょっとまずいというふうに思いますし、もう一つ言っていただいた、何か、平成二十年の警察の内部のアンケートですか、それは、一生懸命捜査している警察官に聞いたら、もっと情報提供してほしい、犯人を捕まえたいとなるに決まっているんですよ。当たり前じゃないですか、それは。

 ちょっと、それはそれとして別に責めませんけれども、やはり対EUに出す文書の根拠がその二点では、余りにも薄弱どころか根拠がないと言わざるを得ない。

 もう一つだけ言いますけれども、むしろ、皆さんも、最近は照会に応えていただけないのでと言いながら、照会で応えてくれと要請しているじゃないですか、国内では。対EUには、もう令状なんです、照会ではなかなか応じていただけないんです、だから個人情報は保護されています、大丈夫ですと言いながら、国内では、令状なしで出してくださいよと要請しているわけですよね。それはやはり二律背反、いいとこ取りで、それぞれ対内、対外的に対応しているというふうに思います。

 ちょっと、この話は引き続き内閣委員会でやらせていただきたいと思いますし、政務官、法務の方から来ていただいたんですけれども、そこまで及ばずに大変失礼をいたしました。またお願いいたします。

牧原委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大河原雅子でございます。

 昨年の大臣所信に引き続き、片山特命大臣に伺っていきたいと思います。

 まず、政治分野の女性参画について、昨年の五月に政治分野における男女共同参画の推進にかかわる法律が、この内閣委員会を経て成立いたしました。女性議員をふやす活動をしてきた私としても、感無量でございました。しかし、問題はこれからで、特にことし、施行後初めての統一地方選挙、そして参議院選を迎えるわけでございます。

 内閣府の男女共同参画局においては、女性の政治参画マップをつくるなど、女性の政治参画を見える化する、このマップ、非常に、部屋に張っておきますと、来訪者、皆さん、えっ、こんななのと驚かれることが間々ございます。

 この政治参画マップによりますと、いまだ市区町村議会における女性議員の比率は全国平均で一二・八%、国会議員の数も、もちろん、国際比較でも日本は百九十三カ国中百五十七位という大変低水準でございます。立憲民主党は、今回の選挙において、候補者の女性割合を四〇%超えにしたいと目標を掲げまして、恐らく参院選では、候補者、男女同数を出せるんじゃないかというふうに思っております。

 しかし、与党である自民党の皆さんの候補者の女性割合というのはなかなか厳しい水準であるかと思いますけれども、現在、女性の閣僚も片山大臣お一人で、総理は、三人分ぐらい働いてくれるから大丈夫というふうにおっしゃっていましたけれども、またこの点についても、やはり政府としての姿勢が問われるんじゃないかと思います。

 また、最高裁の裁判官について、先月の閣議決定で、女性の後任に男性の裁判官がつくというようなことが決定されたようで、九年ぶりに、十五人いる最高裁裁判官のうち女性はわずか一人、これはなかなか容認できるものではないなというふうに思いますけれども、このような現状を勘案しますと、女性活躍推進を看板に掲げながら、到底政府は本気を出していないんじゃないのというふうに思うわけです。

 そこで、片山大臣に伺います。

 女性活躍、男女共同参画などを担当する大臣として、政府そしてまた与党のこのような現状をどんなふうにお考えか、率直にお気持ちをお聞かせください。

片山国務大臣 お答えいたします。

 前国会に引き続きまして、大変この分野に知見のある大河原先生からこういった御質問、また機会を与えていただき、ありがとうございます。

 我々、安倍政権、二〇二〇年三〇%という目標を、高過ぎる目標かもしれませんが、掲げ続けて各般努力をしている、その誠意につきましては御理解を賜りたいと思うのでございますが、今回、特に委員が御例示された閣僚につきましては、御承知のように、閣僚の人事は総理のスーパー専権事項でございますから、私からコメントをするような立場でもないですし、また、最高裁につきましてもまた後でちょっと申し上げたいと思うんですが、まず、その上で、政治分野における女性の参画がいかに重要か、政治に多様な民意を反映させることがいかに重要かということは、これはもう間違いなく申し上げるところでございます。

 閣僚についてあえて申し上げさせていただきますと、過去、女性の閣僚が池田内閣のころからずっと出ているこの歴史を見ると、途切れているときもあるんですよ。自民党政権でもあります。率直に申し上げて、私どもの前の政権政党の旧民主党時代も、途切れていたときがあります。野田政権のときも、ずっとお一人だった小宮山厚生労働大臣といろいろな意見を、これは逆の立場でさせていただいた、非常に率直にいろいろなお話を進めてまいったんですが、どの政権も、登用したいというふうに思っていないところは恐らくないのではないかなと思いますが、まさにそういった結果、さまざまな配慮からそういうことになっているということなのかなと思います。

 最高裁につきましても、私は官僚の世界におりましたので、初めは、官僚の中から局長経験者ということが任命し始められた歴史がございまして、その最初のときも大変感動したんですよ、みんな、一人入ったなということで。ただ、その後に、本来の法律の専門家の世界からお入りになるようになって、今入っておられる方も存じ上げないわけではないですが、やはりその世界で、じゃ、私法の世界ではどういう方、あるいは弁護士の世界ではどういう方、学者の世界ではということを緻密に考えていった上で、たまたま途切れるときがあるのかな、それ以上のことが想像されることはないという気がしておりまして、一番重要なことは、その層を厚くすること、その層を厚くすれば、必ず結果として最高位につく方はふえますから、その層がふえるようにすることも非常に大きな仕事というふうに思っている次第です。

 また、政治分野につきましては、国会終了後、直ちに各党を回らせていただきまして、御党から大変前向きな御回答があって、頼もしいな、すばらしいなと思った次第でございまして、おくれていると御指摘がありました自民党につきましても、幹事長が初めてそれを幹事長会議で全国的に指示しようということをおっしゃって、先般一応指示はしたんですが、結果が伴うかどうかはまだこれからということでございますが、全ての党につきまして、毎年毎年これから恐らく進んでいく対応にはなるのではないかな、そういう感触は受けたところでございます。

 ただ、都道府県議会でも一割しかいないんですよ。衆議院議員も一割ですが。また、首長も多くないんですよ、この国は。先般、WPLの主宰者であるシルバナ・コッホ・メーランさんが来られたので、そのときもお話はしましたけれども、やはり選挙風土ということもあるのかなということも考えている次第でございます。

 以上です。

大河原委員 裾野を広げるというか、その層を広げるということは大賛成ですね。

 だけれども、これまで、医学部の入試に、あの差別事件を見れば、女性が不当に排除されてきた、差別されてきた歴史もあって、やはりこの一割に満たないとか全然議員がいないとか、これは意識して政権としてもきちんと取り組んで目標を達成する。世の中半分ですから、本来ならば、パリテ社会、男女平等の社会が実現するために、前に進まなきゃならないわけです。

 そうやって見ていきますと、この現状では、国が掲げている、二〇二〇年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を三〇%にするという目標、これは、来年が二〇二〇年ですから、到底無理なんじゃないか。政治分野でも経済分野でも、女性の管理職割合は低水準です。

 三〇%というこの数字ですけれども、意味がとても大きい数字なんですね。量的な変化が質的な変化を起こす、その境目のこと、これはクリティカルマスということを御存じと思いますけれども、その境目が三割なんですよ。だから、三割超えないと、環境は、社会は変わっていかないんです。だから、国会の中にも、衆議院は女性が一割しかいない。閣僚の中にも一人しかいない。これが三割を超える、そういう女性の比率が高まれば、どんどん今求められているニーズに応えられる、多様性が確保される、こういうことがやっと実現されるわけです。

 ですから、女性の割合が低水準のままだと、男性社会の行動規範というのは全く変わらない、それどころか、女性はそれに合わせていかざるを得なくなってしまう、排除される、こういう状況に陥るわけです。だから、たくさんの方たちが運動してきました、女性たちが声を上げてきました。でも、各所にこの三〇%以上を超える女性がいるという、このラインを突破できない限り、なかなか環境を変えることはできません。

 働き方改革、女性活躍を掲げる政府として、本腰を入れてこの政府目標を達成すること、そして、質的な変化を起こしていくこと、このことが必要だと思っています。そうでなければ、本来の意味での働き方改革とか女性活躍を行うことは難しいし、それはもう看板倒れ、掲げるべきではありません。

 政府の姿勢が問われる。例えば、三割じゃなくて半分にします、閣僚は半分女性にする。これは、例えばカナダがそうでしたっけ。すごく違いますよね。同じ先進国、自由主義国であっても、全然違うわけです。

 二〇一六年に施行された女活法、女性活躍推進法では、三百一人以上の民間事業主の義務が百一人以上に拡大する改正法、今国会で提出されると聞いておりますけれども、それ自体、一歩前進だとは思います。しかし、中小企業に経過措置がある。二〇二〇年の目標達成のための起爆剤にはほど遠いんじゃないでしょうか。

 そこで大臣に伺いたいんですが、政府が掲げる二〇二〇年三〇%という目標まであと一年を切りました。政府として目標達成に向けてどのような取組を考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 御指摘のとおり、現時点において、この三〇%という意味ある数字で何とかなっているものは、例えば教育委員が四割に達している、国際機関等の日本人幹部、短大教授など、限られた分野のみが三割を超えておりまして、まだまだほど遠い分野が多いのも事実でございます。

 まず、先ほど申し上げましたように、採用される女性の割合からして低いんですね。そこからのボトムアップアプローチをするとともに、先日、女性活躍を推進する男性リーダー二百社の会というのに行ってまいりましたけれども、きらきらの、本当に上場企業のようなところのリーダーがそろっていて涙が出るほどうれしかったんですが、まず女性のモチベーション、それからアンコンシャスバイアスを取るという議論を徹底的に役員の中でやるとか、そういったことも含めて、いい取組は出てきているので、これを、我々政府の力としては横展開を強力にプッシュする、だったらもう一定割合のところは全てやっていただくというようなことをしなければならないということで、御指摘の女活法についても、労政審も含めさんざん議論がございまして、あそこに折り合ったということですが、我々の部局は推進、推進をお願いする部局ですから、そういった枠組みになりながらも、委員のおっしゃったように、更に前へ前へというつもりで努力をしてまいりたい、かように考えております。

大河原委員 昨年は、セクシュアルハラスメントなどを告発するミー・トゥー運動、日本にも広がりました。さまざまな分野で、いまだハラスメントが蔓延している状況、現状が明らかになったわけです。国民のハラスメントへの問題意識というのは高まった一年だったと思いますけれども、それに政府の対応、これは追いついていないというふうに言わざるを得ません。

 そして、国連の専門機関でありますILO、ことし設立百年になります。労働の根幹をきちんと守っていく、私たちの暮らしに密接な機関だと思いますけれども、ことしの六月の総会では、このハラスメントに特化した初めての条約が採択される予定というふうに聞いております。

 このことにおいて、日本でも、昨年来、労働政策審議会でハラスメント対策の議論がされ、そして今国会で改正案が提出される運びというふうに伺っておりますけれども、この労政審の議論を見ていても、労働者側は、ILO条約にもあるハラスメント行為そのものを禁止する規定を強く求めていました。そしてまた、女性団体を始めとしてさまざまな団体が、あらゆるハラスメントの根絶に向けて禁止規定を求める署名活動をしたり、厚生労働省への要請行動なども活発に行われたと思っています。見てきました。

 しかし、結局のところ、労政審の報告では、今回、禁止規定というのは見送りになって、その必要性を含め中長期的な検討を要するという記載にとどまっているわけなんです。これは、どこまでいっても平行線じゃないか、両論併記をして、こういうふうにうやむやにまた終わってしまうんじゃないかというふうに思うんですが、これは検討会の報告でございますから、ここは政治が、政府がその姿勢をはっきり示す場面だと思います。

 内閣府においても、女性に対する暴力に関する専門調査会でセクシュアルハラスメント対策の現状と課題について議論も行われましたし、そして近々報告書がまとまると聞いております。もしかしたら、きょうですか。

 ですから、このILO先進国と言われる私たちの国ですから、ILOの八十カ国調査では、六十三カ国が労働者、管理者及び第三者がセクハラを行うことを禁止している。また、世界銀行の百八十九カ国の調査でも、セクハラに関する禁止規定となり得る民事救済措置、これはもう八十九カ国で行われておりますし、刑法上の刑罰、これは七十九カ国が行っているわけです。多くの国では、セクハラは既に犯罪として認められている。セクハラ罪はないというふうに麻生大臣はおっしゃったわけですけれども、私たちは、その意味ではハラスメント対策大後進国というふうに言わなければなりません。厳しく私たちは自分たちの足元を見るべきで、何周もおくれている対策を、この大きなチャンスをつかんで前に進めなきゃいけないというふうに思っています。

 セクハラは多くの女性を萎縮させます。ディーセントワーク、女性の活躍を妨げる暴力です。二月二十八日の予算委員会でも、安倍首相は、女性に対する暴力というのはあってはならないことで、その根絶に向けて政府としても当然全力で取り組んでいかなければならないと答弁しておられます。

 セクシュアルハラスメントが、仕事とは関係ない、仕事以前の問題ということがありますから、他のハラスメントの禁止規定導入に課題があるとしても、セクハラは先行して禁止規定を導入するべきだというふうに思っております。ぜひ先頭に立つ大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 委員御承知のとおり、今国会の参議院の本会議の方で、この法制化についての御質問が他党さんから出ておりまして、あらゆるハラスメントを禁止する刑罰つき禁止規定を設けるということについては、違法となる行為の要件の明確化等の課題があるので慎重な検討が必要ということが安倍総理からお答えいただいたのですが、現時点、この瞬間での政府の見解なんですけれども。

 まさにきょう十時から十二時まで、公開の場で、女性に対する暴力に関する専門調査会の法制度の議論を、私どものセクションですが、やっておりまして、セクハラ行為が、じゃ、日本では罰せられないかというと、現行の刑法の名誉毀損罪、脅迫罪、暴行罪、強制わいせつ罪やストーカー規制法、各都道府県の迷惑防止条例等の処罰規定に該当をし得ていて、セクハラ罪を規定する諸外国であっても、我が国と比較して処罰できる行為の範囲にそれほど差がないという事実はある。

 ただ、委員のおっしゃっていることは、委員は法律家でいらっしゃいますから、まず、それをまとめたきちっとした法律を立てるかどうかという立法論ではあると思うんですけれども、現実のところでは、まだそういった検討をしているという状況でございます。やはり法制の立て方として、刑法に非常に慎重に取り組んできたというこの国の今までの歴史がございまして、我々としては、漏れることがあるということはあり得ないというふうに思っております。

 セクシュアルハラスメントの防止対策の実効性が上がるということが重要と思っておりまして、先ほどまだ足りないとおっしゃっておりましたけれども、労政審の建議で、セクハラが許されないということを明確化する、防止対策の実効性に向けた法案というものを出すということにはなったわけでございますので、きょうの御意見もしっかりと受けとめながら、少なくとも、実は一昨日も参議院の方で候補者ハラスメントが事実上女性に対してあるのではないかというやりとりがございまして、それは実感としてここにいらっしゃる方は皆さん経験があるかもしれませんし、私もあるとお答えしましたよ。そういった部分も含めて、統一地方選の年でもありますから、実態をまず進めるような取組をきちっと進めてまいりたいと思っております。

大河原委員 私も普通の市民としてこの国会に参りましたので、本当に日常的に起こっているセクハラ問題、例えば、電車通勤すれば痴漢の問題なんかは本当に日常茶飯事、真っ昼間に起こっているわけです、たくさんの人たちが乗っている。こういうことが、日本が不思議な国だ、おかしな国だ、実効性のある対策を打つというならば、周回おくれで刑法の順番を追っていく、そういうことをもっと超える政治力を発揮していただきたいというふうに思います。電車内で痴漢の被害に遭っている、これは通学の子供たちなんですね、若い子たちなんです。

 そういう意味でも、本当にきちんと実態を捉えた、そしてその対策を打つために今何が必要なのか、世界の動向、これは大臣はどのように捉えていらっしゃるんですか。

片山国務大臣 今申し上げましたように、フランスにおいては、性的性質を有する言葉又は行動を反復的に押しつける行為ということでセクハラ罪を決めている。ただ、G7においてもいろいろと差があります。

 私が申し上げたかったのは、そういった社会現象として、満員電車に女子中学生、女子高校生がたくさん乗って通勤をするということが恒常化していて、そこでそういった被害が多発するということは、もちろん、女性の問題、セクハラの定義もありますが、社会的にどういう社会をつくりたいかという問題もあるわけで、いろいろな意味で総合的に対応していく中で、セクハラ罪を設ければ、じゃ、全て加害者は減るのか、そういうことなのか、そういう捉え方も必要で、ですから、社会的基盤によって大分違う部分があるなと思っておるところですが、もちろん、中長期的に検討するということは、この法制を否定しているわけではないですから、そういったことは御理解を賜りたいと思っております。

大河原委員 昨年の大臣所信のときに伺ったイスタンブール条約、女性に対する暴力及びドメスティックバイオレンス防止条約ということで、EU、欧州評議会から始まっていますけれども、これは明確に、ジェンダーによって起こる暴力ということをやはり撲滅する、そのためにつくられて、世界の動向の中でいえば、最終的に、そして究極的にこのことを全世界で広げて、国内の法整備をきちんとしていく、そういうところが必要になっていると思うんです。昨年の十一月の委員会では、このイスタンブール条約について勉強しますというふうに言っていただいたんですけれども、きのう、事前レクでどのぐらい進んでいるんでしょうかと伺いましたら、なかなかお答えできるような状況ではないということだったんですね。ですから、この条約、私は内容的にも今こそ必要なんじゃないかというふうに思っています。

 これに関連して、野田市のDV、虐待女児死亡事件に関連して伺っていきたいと思うんですけれども、この野田事件を検証するに当たって、背景に、DVについての認識、あるいはDV被害者支援の視点というのは不可欠であると思います。

 予算委員会で、片山大臣は、今回の案件がDVとの関連性が非常に強いという認識を示されました。この大臣の認識の根拠について、二月の二十七日、立憲民主党の西村衆議院議員が予算委員会の第一分科会で質問させていただきましたけれども、大臣はおいでになれずに、副大臣がお答えになっています。改めて認識を伺いたいと思います。

片山国務大臣 民間シェルター等の支援の現場における課題や対応策ということも含めて、私のもとに検討会をつくったわけでございますが、これのもとの認識が、DV問題、かなりいろいろ対応してきているつもりはあるんです、これは前政権もそう、我々もそうなんですが、被害件数が高どまりしておりますので、このままではいけないということと、この民間シェルターをどうするかは、これは長年の宿題事項でございましたので、私がおりますときに何とか結論を出したいということで始めて、その相前後して、この野田の、もう決して起きてはいけない事件が起きてしまいました。

 いろいろ、閣僚会議にも、初めは正式メンバーとしてではなくて、関係があるだろうということで呼んでいただいて、このたび、我々の方で申し入れて、女活、男女共同参画担当大臣が正式に児童虐待防止の関係閣僚会議のメンバーになったんですね。去年まではなっていなかったんですけれども、両方の関連性があるということでなったんですが。

 この事案につきましては、DV被害があったというようなことが来ておりますから、また、その延長線上にかなり異常な形での家族関係があったということが客観的には間違いないので、そのような認識は私も持っておりますし、他のセクションも持っているところでございまして、また、一般論として、一定の割合の方が、夫婦間の暴力がある場合に、その子供への虐待事案もあったということがあるわけでございまして、この間の第一回の私どもの検討会の会合でも、子供虐待の背後にはDVがあるという問題意識が構成員の現場を預かっていらっしゃる先生方からたくさん出ておりますので、被害防止、未然防止という意味では、児童相談所の今回の緊急対策も非常に重要で、我々の配偶者暴力の組織との連携ということもきちっとしていくんですが、それを超えて、家族全体の問題について包括的に取り組むということが未然防止にはもっと必要だという認識を持っております。

 以上です。

大河原委員 昨年来、民間シェルターへの支援ということでお尋ねさせていただいて、二月の一日に検討会を立ち上げられたということで、大変うれしく、心強く思っております。

 なんですが、今現実にお尋ねした野田の事件も含めて、野田の事件などは、死亡が一月二十四日ということでございました、お嬢ちゃんが亡くなられて。そして、政府は、関係閣僚会議、二月の八日に開かれているんですよね。大臣、ここで御発言されましたか。

 今の、DVの陰に児童虐待あり、児童虐待の陰にDVありというのは、シェルター関連の方たち、そういう被害に遭われた方たちと近いところにおられる方たちは、これはもう通説と言っていい、当然のことだと思うんですが、この児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で、実は片山大臣の御発言がなかったというふうに伺っております。そこは御発言がなかったことにちょっとがっかりしておりますけれども、どうしてだったんでしょうか。

片山国務大臣 恐らくそのお話が出るかなと思って先ほどちょっと申し上げたんですが、そもそも、この会議を立ち上げたのは、昨年のまた別の事件を契機にできたんですが、そのときに、率直に言って、その認識は余り強くなかったんですよ。ですから、女活大臣、男女共同参画大臣が正式メンバーに入っておらず、今回は、とにかく陪席をということで入ったんですが、正式メンバーでないので、発言の機会がなかったんですね。

 そこで、その後、急激に、ほぼあらゆるステークホルダーというかオピニオン関係者の中で、これは非常に関係をつけて取り組むべきだという声が高くなり、正式に入りましたので、これからはしっかりと発言をさせていただけるということになったという経緯がありまして、まことにそういうことでございます。

大河原委員 大臣の御認識は、本当に、DV被害者と子供、一体となった一時保護が必要なんだというふうに御発言もされているのを聞いております。これは本当に大事なことだと思いまして、この閣僚会議の後、「「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底・強化」、こういうものが出ているわけですけれども、実は、DV関連の施策がここに入っていないんですよ。

 閣僚会議で大臣が御発言になっている、あるいはこのシェルターの検討会をつくっている、このことがもっと内閣、政府にきちんと伝わって、その意味合い、重要性がきちんと、刷り込まれたらと言うとおかしいけれども、それがベースになれば、こんなことはないはずなんですね。幾らヒアリングしても、DV関連のことで視点があったとは思えない。

 ですから、ぜひ、このことをいま一度、この強化対策徹底・強化の中に、このことが重要なんだということを、しっかりと発言を更に重ねていただきたいというふうに思いますし、この対策のチェックに、それは片山大臣が中心になってチェックしていただきたいというふうに思います。

 それで、片山大臣が開催されておりますDV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会、長いですね、二月の一日に開催されましたけれども、実は、あと二回ぐらいしかないというふうに聞いています。冒頭、この一回目の会でも恐らく、これらの、野田の事件に絡めても御発言があったんじゃないかと思いますが、発言録は公開されておりませんので、この検討会で野田事件については片山大臣はどのような御発言をされているんでしょうか。

片山国務大臣 二月一日の初回におきましては、今般の事件はまさに児童虐待を含めた家族全体の中での、家族の劣悪な環境という、ファミリーバイオレンスですか、それとDVのはざまで、今回の事件は結局救えなかった、ざんきにたえない悲惨な事件であるというようなことを申し上げたところ、皆様からも、その両方の関連性につきまして意見が示されましたし、母と子が一時的に一体に避難できるというシェルターの確保の必要性についても非常に強く指摘されたわけでございます。

 民間シェルターは、場所も含めて、御承知のように、安全の観点から秘匿性が高いものですから、その観点でつまびらかに今していない部分もありますが、関係のあるところには我々視察も伺って、本会合は、余りに忙しい方が多いので三回という予定にしておりますが、漏れなくいろいろな意見を集約して、きちっと具体策を項目として出してまいりたい、かように思っております。

大河原委員 二月の十九日の記者会見、記者から質問されていて、このDVの民間シェルターの話で、検討会、母子一体避難の話をされましたけれども、大臣は、どういう支援が一番効果的かと聞かれて、今私が申し上げてしまったら、先が、結論が出てしまうというような御発言でした。

 民間の方たち、大変長いキャリアをお持ちの方たちから、やはり真摯に現実的、具体的な御提案をいただき、そして、そこに支援を打つためには、やはり大臣にもしっかりと、御自分の結論は確かに、仮説はあるかもしれません、でも、しっかり現実を受けとめるということをやっていただきたいんです。ですから、二回目、三回目にとどめてしまわないで、ぜひつながりを持っていただきたいこと。

 そして、二回目の開催に当たっては、この検討会では既にDVと児童虐待の関係性を認識していらっしゃる方ばかりがお集まりになっているとは思いますけれども、なぜ子供を救えなかったのか、なぜDV被害を受けている女性を救えないのか。野田の事件に関して言えば、逮捕されているわけです、加害をしたお父さんと一緒に。そういったことも含めて、冒頭の御挨拶の御発言もあるんでしょう、それから議論の中に参加されることもあるのかもしれませんが、ぜひ片山大臣の姿勢を鮮明にしていただきたい。いかがでしょう。

片山国務大臣 この問題の総合的な解決に向けて、現在、我々の方で検討しております事象が非常に大事だということは日々明らかになってきておりますので、その意味では、国会でも各般お答えをしておりますし、総理も、今、こちらの部局で検討してもらっているというふうに答えておりますので、極めて我々は責任が重いと思っておりまして、済みません、三回ではなくて、あと三回なんですが、会合の回数の問題ではなくて、その後、フォローをして、また現場も視察して、漏れなく意見を集め、最善の結論に向けて意見を集約をするというのが我々の立場でございますので、今委員がおっしゃったような知見も含めて、今回防げなかったような要因についてきちっと対応するということをまず第一に掲げながら、今後の児童虐待防止の閣僚懇においても、こういったことをしっかりとインプットできるようにしてまいりたいと思っております。

大河原委員 国内のみならず世界じゅうから注視されております、注目されておりますので、ILO条約の批准に向けても、それからイスタンブール条約の批准に向けても、日本の基本的な姿勢が問われることになってくるかというふうに思います。ぜひ頑張っていただきたい。応援団でございます。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。

 本日、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、宮腰大臣、内閣府副大臣の田中副大臣、そして、厚生労働省の方からは新谷政務官の方にお越しをいただいております。

 大きく二つの質問をさせていただきたいと思っておりますが、まず、中長期的な経済財政のことについてということと、後半では、保育を中心に質問させていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、経済財政を中長期的な視点で見たというところでお伺いさせていただきたいというふうに思っております。

 現在の経済成長、非常に長い期間の経済成長ということが言われております。今まで長い景気というと、高度経済成長期の景気拡大等々があると思いますが、こうした経済成長と比べて、今回の経済成長、どのような分析をされておられるか、政府としての見解をお伺いできればと思っております。よろしくお願いいたします。

田中副大臣 今回の景気回復でありますが、それまで長くデフレが続いてきたという状況にある中で、現在は、もはやデフレではない、こういう状況を実現したということであります。

 例えば、生産年齢人口も五百万人減少する中でも就業者数が三百八十万人増加したり、地方においても景況感の地域間格差が小さい、今回の景気回復期間はこうしたすぐれた特徴があると考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 イザナギ景気と今回の景気拡大、景気回復の数字を比べてみた資料がございますけれども、例えば、実質GDPのところでいいますと、昭和四十年から四十五年のイザナギ景気で見てみますと、十九四半期で六二・九%のGDPの拡大があった。それに対して今回は、二十三四半期のところの数字で見てみますと六・九%ということで、イザナギ景気に比べると九分の一のGDPの拡大ということにとどまっているということがございます。また、鉱工業生産ということで見てみますと、これがもっと顕著でございまして、一〇五・四%、イザナギ景気のときには拡大があったというところでございますが、今回は七・六%の増加にとどまっているということでございます。

 これをどういうふうに見るかというのはいろいろな議論があるとは思いますけれども、やはり、日銀の、いろいろな、ありとあらゆることを含めての天文学的な量的緩和ということをやった中でのこういう結果ということで、いろいろな数字の捉え方というのはありますけれども、実体経済が反応をなかなかしていないというのが、この数字から見るところの分析になってくるのかなというふうに思っております。

 地元で聞いていて聞く声というのは、やはり、よく言われますけれども、景気の実感、景気拡大の実感がないよ、そういうお話を地域を回っておると聞くわけでございます。現在の経済状況、数字の上では非常に長い期間の景気拡大ということですけれども、この経済状況を好況というふうに感じていない方がいらっしゃるということについての捉え方を、ぜひお聞かせいただければなというふうに考えております。

田中副大臣 現在の経済状況を好況と感じていない人もいるということについてという問いだと思います。

 今回の景気回復においては、やはり一番重要な点、特に国民生活にとって最も大切な雇用という部分に関しても、大きく改善をしている状況にあります。確実に、今、経済の好循環は生まれている、そのように考えております。

 例えば、有効求人倍率ですとか就職の内定率も過去最高水準であります。正規雇用も百三十一万人増加したということであります。また、日銀の短観でも、この五年間にわたって、北海道から九州・沖縄、全国九の地域全てにおいて、地域別の景況感、これがプラスで推移してきているという状況にあります。今、全国津々浦々に景気回復の温かい風が吹きつつある、届きつつあるという状況にあります。

 一方で、今委員がおっしゃられるように、まだ実感できない、こういう感じ方をしている方もいらっしゃる、これも承知をしているところであります。

 今後とも、少子高齢化が進む中にあっても、やはり我が国経済が力強く成長して、国民一人一人に景気回復の波が広がっていくように、あらゆる政策、これを総動員していきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 一月の有効求人倍率が正社員、正職員の方で一・六倍というようなお話も伺っておりますけれども、ただ、例えば九〇年代の同じような水準の有効求人倍率と比べると、賃金上昇率、この前の統計の問題があって、プラスかマイナスかなんというお話がありましたけれども、ただ、どちらにしても、ゼロとか一とかそういう数字である、プラス、マイナスにしてもそういう数字であることは間違いのないことでございます。

 そういった意味で考えますと、なぜ、これだけ景気拡大が続いていて、それから有効求人倍率も高いのに、なかなかそれが実感として反映できていないかといえば、やはり、副大臣も企業経営に携わっていらっしゃるし、私も個人的な仕事で介護の事業所に携わっておりますので実感としてわかりますが、今の時点で、じゃ、正社員の給料を上げていきましょう、ベースアップをしていきましょうという判断がなかなかしづらいというのが、今の経済状況をあらわしている一番の肌身の感覚かなというふうに思っております。

 ですから、これから、少子高齢化というのは、これはもう避けられない事実でございますので、これをすぐどうこうするというのは難しいんですけれども、いわば、景気も上がったり下がったり、人口も上がったり下がったりしますので、長い歴史の中で見れば、今は、行け行けどんどんで攻めていく時代から、少し足をとめて、どちらかといえば戦線を縮小していくという、拡大から縮小へという時代をどうやってプラスの形で乗り切っていくかということが求められている時代ではないのかなというふうに思っております。

 撤退の方が進むよりも非常に難しいというのは、これは軍隊のことでも言われているそうでございますけれども、そういった意味では、GDPという大枠にとらわれずに、例えば一人頭の賃金をどうやって上げていくことができるのか、AIの活用であったりとかも含めて、そういったことを一人頭の数字としてどうやって積み上げられるか。

 又は、実感として、暮らしやすさだとか住みやすさだとか、そういうところをどうやっていい形にしていくのかなというのを、単なる否定的な、縮小だよということではなくて、やはりいい形で、どうやって国民の皆様にもお示しできるのかということをこれから考えていく、そういう時代に入ってきているのかなというふうに思っておるところでございます。

 一方で、三十一年度の予算を拝見をいたしますと、百一兆円ということで、非常に大きな規模の予算でございまして。これが、国債の発行額、ここ数年を見てみますと、三十兆円を超える新規発行額ということになっております。

 単純計算はできないわけでございますけれども、これが積み上がっていくと、非常に大きな、危機的な事態も予想されるというようなことになってくると思いますが、国民の金融資産を国、地方の借金が上回るような事態に備えたというか、そういうことも含めた経済財政政策というものをどのようにお考えか、御所見を伺えればなと思っております。お願いします。

田中副大臣 今御質問いただきました、我が国の財政についての懸念事項だと思っております。

 確かに、今、GDPの二倍程度という巨額の公的債務、これが累積している。これも厳しい状況にあるということであります。

 しかし、今までのところは、豊富な国内貯蓄の存在等、こうしたものを背景に、やはり低い金利水準で、国内においても安定的に国債が消化する、こういう状況にあります。

 今後、やはり、急速な少子高齢化によって社会保障費の増加、こうしたものも見込まれる状況にあります。仮に、海外ですとか市場の信認、こうしたものが損なわれるといったリスク、これが顕在化したら、やはり国民生活においては深刻な影響、こうしたものが生じる可能性もある。こうした事態を招くことのないように、しっかりと考えていかなきゃいけないということであります。

 そんな中で、安倍内閣は、やはり、経済の再生なくして財政健全化なし、これが基本方針でありまして、これまでも財政健全化には大きな道筋をつけてきたところであります。

 安倍政権となって、例えば、国、地方を合わせた税収、これも二十八兆円増加しておりますし、新規の国債の発行額も約十二兆円減少している、こういう状況にあります。

 今後とも、経済再生と財政健全化、この両立を図って、二〇二五年のプライマリーバランスの黒字化、同時に、債務残高の対GDP比の安定的な引下げ、これをしっかりと目指していきたい、そのように考えています。

森田委員 ありがとうございました。

 いろいろな計算の仕方はあると思うんですけれども、例えば、国、地方を合わせた借金が今一千百兆円と言われておりまして、一方で、国民の金融資産が一千七百兆円というふうに、単純計算して六百兆円の今差額があるので、今のところ国債の消化は国内で問題ないよ、国内の資金で問題ないよと。

 ただ、これが、来年度のことも含めて考えると、三十兆円を積み増していくというふうに考えていくと、単純に考えて、六百兆円の差額を三十兆円で割っていくと二十年でこの差額が埋まってしまうというふうになります。もちろん、私たちはそういうことにならないようにいろいろな対応をしていかなくちゃいけないわけでございますけれども、いつまでもやはりぐずぐずしていると、いろいろな悪影響が出てくるのではないかなと思っております。

 これは別に、誰がいいとか悪いとかという問題ではなくて、政治家を始め国民の皆さんも含めて、きちんと今の現状に向き合って、どういうふうにこれからの日本の将来像を描いていくかということで、非常に大切な議論だと思っておりますので、ぜひそこは、直近の議論だけにとらわれず、大きな視点を持ちながら、よりよい国に向けての道筋を描いていければなというふうに考えております。

 田中副大臣、ありがとうございました。ここまでで質問を終わらせていただきます。

牧原委員長 田中副大臣、御退室ください。

森田委員 引き続き、ここから先は、主に保育の問題について宮腰大臣にお伺いをさせていただければなというふうに考えております。

 今回の来年度のお話でも、幼児教育、保育の無償化というようなお話も出ておりまして、保育に対する国民の皆さんの視線というのは非常に熱いものがあるわけでございますけれども、無償化をすると保育のニーズが更に高まっていくのではないかなという声も聞くんですけれども、このあたりについての大臣のお考えはいかがでございますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 今般の幼児教育、保育の無償化は、三歳から五歳までの全てのお子様を対象としてございます。その九割以上が既に認可施設を利用できてございまして、待機児童への影響は限定的であると考えてございます。なお、ゼロ歳から二歳につきましては、無償化は住民税非課税世帯までのお子様を対象としているところでございます。

 また、言うまでもございませんが、待機児童の解消は待ったなしの課題でございまして、最優先で取り組む必要がございます。このため、待機児童の解消を図るとともに、子育て世代の女性の就業率が他の先進国並みの八割まで上昇しても対応できる三十二万人分の保育の受皿を二〇二〇年度末までに確保すべく、既に取組を始めておるところでございます。

 待機児童の解消に向けた取組を着実に進めつつ、あわせて幼児教育、保育の無償化を実施することが重要であると考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。

 ほかの事例ですけれども、子供たちの医療費を無料にするというお話がございまして、それで、私の周りのいろいろなことを聞いておりますと、例えば、医療費、医療機関にかかるのが無料なので、本当はというか、その前だったら薬局に行って薬を買って済ませていたものを、医療機関、お医者さんにかかれば無料になるということで、処方してもらって薬を買ってということで、そういった意味では、モラルハザードと言っては言い過ぎなのかもしれませんけれども、ただで使えるから更に需要を掘り起こすというようなことがあるということもあるのではないかなというふうに思っております。

 後でまた、大臣にはそこも含めてお伺いしたいと思います。

 ちょっと、保育士の確保という観点で伺いたいと思います。

 これは、厚生労働省の方から新谷政務官にお越しをいただいておりますので、これから政府がいろいろな取組を進めていくに当たっての保育士の確保についてはどのように政府としてお考えか、お答えいただければと思います。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 仕事と子育てを両立することができ、安心して子供を産み育てることができる社会としていく上で、待機児童、こういったことの解消、これは待ったなしの課題と考えているところでございます。そして、これは最優先で取り組んでいるところでございます。

 この待機児童解消のために、委員おっしゃられたこのたびの無償化も含めて、保育の受皿拡大と同時に、それを支える保育人材の確保、これが不可欠というふうに考えているところでございます。

 これまで、二〇一三年度以降、月額約三万八千円の処遇改善に加えまして、二〇一七年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施しているところでございます。さらに、ことし四月からはさらなる一%の処遇改善を実施する予定となっております。

 また、こういった処遇改善のほかに、新規の資格取得の促進、就業継続、あるいは離職者の再就職の促進、こういった観点からも、総合的な支援に力を尽くしてまいり、保育人材の確保に努めてまいりたい、そのように考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 私、地元が埼玉の熊谷というところなんですけれども、保育園の園長さんとか主任さんの勉強会に定期的に顔を出させていただいておりまして、その保育園の先生からお伺いをいたしました。

 その園そのものではなかったんですけれども、市内には、保育園の保育士さんが確保できずに、定員いっぱいの子供を受けられないというような園も出てきている、そういうことも出てきております。求人の状況はどうですかというふうに聞いたら、ハローワークだとかあるいはネットの求人等々で今募集をしておるけれども、そこで反応は、ここのところないということでございました。

 例えば、派遣会社にお願いすれば、紹介をしてもらったりということはあるらしいですけれども、これもかなり、人件費としては、派遣社員として入れれば高いですし、あるいは、紹介といっても紹介手数料がかなり高額になる、八十万円とか百万円とか、そういう数字にもなってくるということで、非常に雇用をめぐる情勢というのは厳しいものがございます。何とか、職員さんの知り合いの保育士さんだとかを入れて間に合わせているんだというようなことです。

 その中で出ておりましたのが、一つ大きな話なんですけれども、埼玉県の北部ですから、例えば資格を取った若い方がどういうふうに就職するかといえば、もちろん、地域の園に就職していただける方もいれば、例えば、埼玉の北部の方ですから、東京に近い県南の方の地域に移動してしまうとか、あるいは東京都内の園に、就職口に、住居手当なんかも例えば保障されているところですから、そういうところに行けば、別に通勤とかお住まいのことも考えなくていいということになりまして、非常に雇い負けをしてしまうというようなことが出ておりました。

 もう少し小さい視点で考えますと、埼玉県の中でも地域の格差があるというようなお話が出ておりました。

 そこで、お伺いをしたいと思っておりますが、保育園に支払われる公定価格でございますけれども、これが近隣の自治体によって差があるということなんですけれども、これについて御説明いただければと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 公定価格でございますけれども、この公定価格における地域区分、これにつきましては、地域ごとの民間給与の水準を反映させています国家公務員の地域手当の区分等に準拠して設定しているものでございます。統一的、客観的なルールという観点から、これに準拠して設定している状況でございます。

 今後、国家公務員の地域手当の区分の見直しの動向、他制度の仕組み等も踏まえながら検討していきたいとは考えてございます。

森田委員 今御説明のあったとおりでございまして、国家公務員の地域手当に準ずる形で公定価格が決められているということなんですね。

 例えば、私の住んでいる熊谷というところでは、この地域手当が百分の三だと。これが、例えば東隣の行田市というところがあるんですけれども、ここと、あと西隣の深谷市というところがあるんですけれども、ここでいくと百分の六と、手当の額でいくと倍ということになりますね。それから、東松山、南に下りますと百分の十二ということで、熊谷が百分の三と言いましたので、三と十二ですから、これだけの開きが、手当のところで見るとということなんですけれども、開きが出ているということなんですね。

 熊谷のその園の園長さんに聞いたら、仮にですけれども、六十人定員ぐらいの園というふうにして比較した場合には、年間にすると五、六百万円ぐらいの収入差が出てくるよ、そういうお話で。お話ですから、これが正確な数字かどうかわかりませんが、五、六百万ぐらいの収入差というものが出てくる。それが、極端な話、市の境をまたいだら五、六百万違ってくるということでございます。

 こういうことがあるということで、大きく言えば、地域を越えた、例えば埼玉と東京の賃金格差があり、又は、地域の中でも、こういった近隣の市町村でも差があるということでございまして、ぜひ、こういうところも考えていかなくちゃなと思っているんです。

 では、そのもとになっているということですけれども、国家公務員の地域手当が隣接自治体で何で異なっているのかということ、ちょっとこの辺を教えていただければと思うんですが、人事院の方から。

森永政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の地域手当は、国家公務員給与に対します国民の理解が得られますよう、全国一律の俸給に加えて、地域の民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させるために支給されているものでございます。このため、民間賃金に係ります客観的なデータに基づいて市町村ごとに支給割合を定めてきているというものでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 賃金の基本統計等々を参考にその数字を決めているというようなお話ということなんですけれども、実感として、例えば求人広告なんかを見ても、一市を対象に出している求人広告というのはほとんど私も見ていないわけで、大体エリア指定で、例えば県を四つとか五つとか六つとかに分けて、エリア指定で、何々市、何々市をカバーしていますみたいな、そういう広告の入れ方が多いように私は見ておりますけれども。そういうところで金額を出していくと、そこで非常に明確な差が出てきてしまうということで、ない袖は振れないという園の事情もありますので、やはり、この辺は国の方でもよく見ていただきたいなと思います。

 場合によると、人事院の数字というのはあくまで参考として使っているというようなお話でございますので、これを変えるという選択肢もあると思いますし、あるいは、もっと地域の事情をわかっている例えば都道府県に、この手当の決定権を委ねるというようなことも、国がやると国の責任になってしまうというのもありますし、やはり、地域ごとの事情は、その事情がよくわかっている方にお任せするのも一つの方法かなと思いますので、ぜひ、改定のタイミングに合わせて制度の変更、修正を考えていただくということで、余り地域差がないように、特に近隣のところで地域差が生まれないような工夫をお願いしたいなというふうに思っております。

 それから、人材の確保という意味からなんですけれども、これは確認を含めてお伺いさせていただきますけれども、保育士の人材を海外から登用するということについて、今のところどうなっているかということで御説明をお伺いできればと思います。

本多政府参考人 お答えいたします。

 外国人材の受入れにつきましては、今般、特定技能の在留資格が創設されたところでございます。この制度は、中小・小規模事業者を始めとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある分野が対象となっておりまして、当該業界の希望も踏まえて検討することとされております。

 保育分野につきましては、海外人材の活用に関する業界団体の要望はいただいていないことから、積極的な外国人材の登用につきましては検討を行っていないところでございます。

 いずれにいたしましても、保育人材の確保に向けまして、処遇改善のほか、新規の資格取得の促進、就業継続、離職者の再就職の促進といった観点から、総合的な支援に力を尽くしてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 海外からの人材登用というのは、大きな形では多分出てこないんだろうなというふうに思っております。理解をいたしました。

 大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、今までいろいろな議論をさせていただきましたけれども、こういったことに関連をして、やはり、保育の質であるとか、あるいは子供たちの声をどういうふうに拾い上げるかということを考えて保育をやっていく必要があるのではないかなというふうに思っております。

 どういうことかといいますと、例えば、先ほどの保育園の園長先生なんかからも出てきた話なんですけれども、保育の質の確保からしてみると、今非常に危機的な状況にあると。これはもちろん一般的な話ではないんですけれども、一度保育の業界から退場した人材がまた、今回のいろいろなことをきっかけに再入場してくる、こういう危険もあるということですね。これは、表に事件になったかどうかは別にして、例えば乳幼児の虐待に携わったとか、そういう疑いが高いというような人材が再び保育の業界に戻ってくるというようなこともあると思います。

 また、ここのところの制度の変更で、保育士の資格がない方にも保育園で勤務ができるという状況になっております。これは全く否定をするつもりはないわけなんですけれども、というのも、今の制度でも、主たる保育者は資格を持っている職員さんが入っているということで、補助的な業務であったりということで、資格がない方、研修を受けた資格がない方ということですけれども、こういう方に入ってもらうということがございます。

 ですから、質の点で、今までは資格がないと保育ができなかったというところから、いろいろな形で拡大がなされている。確かに、保育というものを考えますと、保育園というものを考えますと、保育そのものに携わる人手と、例えば、いろいろな業務、ほかの事務的な業務であったりだとか、清掃業務であったりだとか、給食の業務であったりだとか、そういうところに携わっていく人材もいらっしゃいますので、必ずしも全部、保育士の資格を持っていなくちゃいけないということはもちろんないと思いますが、やはり、本筋のところで道を外さないような形のリスク管理というものは国としても検討していく必要があるというふうに思っております。

 そのリスクが非常に大きくなっている、そういう認識を保育園の関係者が持っておられるということをぜひお伝えさせていただきたいなというふうに思っております。

 また、子供たちの声というお話をさせていただいたんですけれども、保育のニーズというふうにいうと、例えば、政策決定のときに届く声というのは、一国民の皆さんの声が届くかどうかは別にしても、その届く声というのは、必ず大人が発している声だというふうに思っております。というのは、子供が例えば投票はできませんし、子供というのは、乳幼児はもちろん投票はできませんし、それから、ゼロ、一、二とかといえば話すことも難しいという世代でもございます。

 そういう子たちがどういうことを求めているのかなということも含めて、大人が想像力を持ってそこに当たっていかないと、大変な事態に至るということも考えられるということでございます。

 ぜひ、保育の質であるとか子供たちの声であるとか、こういったものを踏まえた保育政策を実施していただきたいなと思っているわけでございますけれども、このあたりについての大臣の見解をお聞かせいただければと思います。

宮腰国務大臣 子ども・子育て支援は、子供の最善の利益が実現される社会を目指すとの考えを基本に、子供の視点に立ち、子供の生存と発達が保障されるよう、良質かつ適切な内容と水準の支援とすることが必要です。これは子ども・子育て支援法の目的にも明記されているということであります。

 このため、子供と子育ての支援につきまして、量的拡充とともに質の向上に力を入れて取り組んでおります。

 先ほども、企業主導型保育事業のところでも申し上げましたけれども、量の拡大も重要ですが、やはり、そういう中にあっても質をしっかりと確保していくということが重要でありまして、今回の見直しの骨子案におきましてでも、例えば、定員が二十名以上の企業主導型保育、これまでは保育士の充足率五〇%ということでありましたが、今後の方向としては七五%ということにも議論をいただいております。

 さらには、例えば、消費税率が一〇%に引き上げられたときに実施することとしておりました〇・七兆円のメニューにつきましては、消費税率が八%に据え置かれる中にあっても、全ての事項を既に実施済みであります。

 さらに、質の向上を実施するための〇・三兆円超のメニューにつきましても、これまで保育人材の処遇の二%の改善などを実施し、ことし十月からは新たに栄養士を週三日程度配置する費用の補助を行うことにいたしております。

 この〇・三兆円メニューにつきましては、骨太の方針二〇一八におきまして、「適切に財源を確保していく。」とされておりまして、引き続き、各年度の予算編成過程において、安定的な財源確保に努めてまいりたいと考えております。

 今回の幼児教育、保育の無償化の目的も、一つは少子化対策、希望する子供を産みたいけれども、特に子育ての負担が大変であるというような八割の方々の声も踏まえ、実施することとしたものでありますし、また、幼児期における良質な教育の確保といった点からも、今回、待機児童の解消もあわせて、質の確保という点からも無償化を行うということにしたものでありまして、子供の視点からの子ども・子育て政策が極めて大事であるというふうに考えておりまして、引き続きその方向でしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 お子さんの、子供たちからの視点ということなんですけれども、子育ての負担を減らすというような親からの声が出ていると。確かに、それはそのとおりだと思います。

 というのは、やはり、かつてに比べると、昔は、世代を超えた、例えば三世代が同居してやっていた、いろいろな人手があった、親だけが孤立することはなかったような地域もあったし、家庭もあったということだと思いますが、最近はそういうこともなくなっている。

 それを全部、この保育の制度で請け負うということになると、何が起こるかといえば、例えば、長時間保育で朝早い時間から夜遅い時間まで。保育士が、朝のパートさんと、今度は昼のメーンの保育士と、また夕方、夜のパートさんの保育士で、今度は三人にわたっていく。これが、年齢が低ければ低いほど、ゼロ、一、二歳なんかは特に保育士さんの配置も厚いわけですから、人の入れかわりもやはり大きくならざるを得ないというようなことがあります。

 やはり、子育てが大事なんだなというのを、子育てをした人間が経験を持って若い世代の方に伝えていき、大変なんだけれども、もちろん、孤立はさせない、きちんと手助けはするといいながらも、その大変さに向き合って、夜泣きで夜も寝られず頑張っていたときがあったねなんということも思い出しながら、学校の卒業式に出て、あるいは結婚式を迎えなんてやっていくと、やはりその感動も大きいわけでございます。

 制度でやるのが子育てではなくて、やはり、人間同士のきずなを育んでいく大事な局面であるということを、この乳幼児の時期を捉えてやっていくことが必要かなと思いますので、ぜひ、そのあたりの大臣のお考えを改めてお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 私も三人の子供の親ということで、例えば、いまだに、もう最近余り言われなくなりましたけれども、上の娘が小学校の入学式のときにちょうど自分の初めての選挙の真っ最中でありまして、昭和五十八年なんですが、家内はもちろん、選挙中であっても、それだけは許可を得て入学式に行きましたが、私はちょっと、とてもじゃないけれども行けなかった。

 小学校、中学生ぐらいのときには、あのときお父さんは来てくれなかったよね、こういって言われることが間々ありまして、それ以外は何としても、例えば父親の授業参観とかそういうのは何をさておいても出席をさせてもらいまして、孫の運動会も何度も行きました。

 できる限り、まずは家族ですけれども、地域社会がその地域の子供たちに寄り添って、その成長を見守っていくという社会がまず一番大事なのではないかなというふうに思っておりまして、私も孫じいという気持ちでこれからも頑張ってまいりたいなというふうに思っております。

森田委員 本当に心のこもったお言葉を最後にいただきまして、ありがとうございました。

 やはり、女性だけに任せるからいろいろなふぐあいも出てくるわけでございまして、男も女も、同じように休めるし、いろいろな負担もするしということで、ぜひ、いい家庭、いい地域を築いていこうという視点も持ち合わせた中での制度設計にしていただければというふうに考えております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 国民民主党・無所属クラブの日吉雄太でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 菅官房長官に、主に辺野古の埋立ての件につきましてお話をお伺いさせていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、改めましてですが、二月に実施されました沖縄の県民投票、これで辺野古埋立反対が七二%という民意が示されたわけでございますけれども、これにつきまして、この結果についてどのように受けとめられたのか、改めて教えてください。

菅国務大臣 県民投票の結果については真摯に受けとめますが、地方公共団体が条例に基づいて行ったものであり、政府としてコメントは差し控えたい、このように私は記者会見で申し上げました。

 さらに、その上で申し上げれば、普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点というのは、市街地に位置し、住宅や学校に囲まれて、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の危険除去と返還、普天間飛行場が固定化され、危険な状態がそのまま置き去りにされることは絶対避けなきゃならない、そういう思いの中で、政府としては、一日も早いこの普天間飛行場の返還に努めていきたい、そういう思いであります。

日吉委員 今、改めまして、真摯にこの県民投票の結果を受けとめるとおっしゃっていただきましたけれども、ここで、真摯に受けとめるという、この意味をどのように解釈すればいいのかなということを教えていただきたいんです。これは具体的には何をするのか、どういったアクションをするのかとか、どういうふうにお考えですか。

菅国務大臣 一番大事なのは、沖縄の基地負担軽減であります。目に見える形で実現する、それが総理から私どもに指示がありました。

 そういう意味で基地負担軽減に全力で取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。

日吉委員 真摯に受けとめるということでございますけれども、やはりこれは、県民投票自体が、この普天間基地の危険除去ということを理解した上で、だけれども、辺野古埋立て、これは反対だというふうにおっしゃっているわけですね。

 そういった中で、やはり、一旦立ちどまりこれを再考する、こういったことが本当の真摯に受けとめるということではないかなと思うんですけれども、この埋立て、これを中断する、再考する、これについてどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 きのうも予算委員会で質問がありまして、総理は、そういう状況の中で防衛大臣が判断をしたと。防衛大臣も、一日も早い普天間飛行場の全面返還に努めたい、そういう状況を考える中で判断をしたということでありました。私も同じであります。

 さらに申し上げれば、委員御承知のとおり、今から二十三年前に、まさに米軍による事故、そしてさらに事件、そうしたものが契機となって、普天間飛行場の県内移設と全面返還に日米で合意し、それから三年後に、地元の市長と県知事の合意をいただいて、国が閣議決定をしました。

 しかし、今日に至るまで、いろいろな紆余曲折があって、安倍政権になってから十数年たった中で、安倍政権として当時の知事に埋立申請をし、許可をいただいたわけであります。そういう中で、その許可をいただいてからも、一旦中断をして話合いの機会を設けたときもありました。

 そういう中で、やはり現状、たしか一昨年だったと思いますけれども、普天間飛行場に隣接する小学校の校庭にヘリコプターの窓枠が落下をするという事故もありました。今、子供たちは、避難所というんですか、そういうものを、ベンチのようなものをつくって、現実的に、グラウンドで授業をするときもすぐ避難場所に逃げることができるような、そんな状況でやっていますので、こうした危険な状況というのは一日も早くそれはなくさなきゃならない、そんな思いで取り組んでおります。

日吉委員 今のお話ですと、普天間飛行場を全面返還してその危険性を除去するには辺野古を埋め立てるしかない、こういう論法でおっしゃられていると思うんですけれども、裏を返しますと、辺野古の埋立てをしないのであれば普天間飛行場の全面返還は諦めよというように聞こえるわけでございます。

 しかし、沖縄県民は、普天間基地問題解決を求める思いで、今回、辺野古移設に反対という住民投票の結果を出したわけでございます。その意思を県民投票で示したわけでございますから、そういった意味で、沖縄の皆さんの意思を尊重しなければならない、このように考えます。

 そういった中で、普天間飛行場の全面返還という民意と辺野古基地建設反対という民意があるわけでございますけれども、今のお話ですと、普天間飛行場の全面返還という民意の方がまさっているかのように聞こえるんですけれども、これは何か優劣があるのか。それで、あるのであれば、その根拠を教えてもらえますか。

菅国務大臣 これも何回となく申し上げておりますけれども、普天間飛行場の辺野古への移設、まさに市街地に位置し、周りは学校で囲まれ、世界で一番危険と言われている普天間飛行場の危険除去と返還、そして、固定化されれば危険な状況が置き去りにされる、これが現在の状況だというふうに思います。

 そういう中で、政府としては、先ほど申し上げましたけれども、地元の市長そして県知事の合意をいただいて閣議決定をし、県知事から承認をいただいて今取り組んでいるところであります。

 いずれにしろ、安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去、そして固定化を避ける、そうしたことを考えたときに、この辺野古移設が唯一の解決策だというふうに思っております。地元の皆さんの御理解をいただく中で、住環境、自然環境に配慮しながら進めさせていただきたい、このように思っています。

日吉委員 今、沖縄の玉城デニー知事は、辺野古の埋立てを一旦中止する、そして再考をする、これを訴えられているわけでございますけれども、そういった中で、憲法九十五条との今回の埋立ての関係をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 九十五条では、特定の地方公共団体のみに適用される特別法については、その地方公共団体の住民投票で同意を得なければ国会は制定することができない、こういった内容でございますけれども、まず、この憲法九十五条の趣旨を教えてください。

岩尾政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの憲法第九十五条は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」、すなわち、特定の地方公共団体の組織、運営又は権能について特例を定める法律「は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」旨を規定しているものでございます。

日吉委員 今、制定している内容はわかったんですけれども、そもそも、この憲法の理念といいますか、これをつくっている、これが規定されている趣旨、何のために、何を回避するためにこれができているんですか。

岩尾政府参考人 お答えいたします。

 全ての地方公共団体に適用される一般的な法律とは異なりまして、特定の地方公共団体のみに適用される法律を制定するということは、その地方公共団体のみを特別に取り扱うものである、こういった点に鑑みまして、この憲法九十五条は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会の立法権を特別に制約する例外規定として設けられたものであると理解しております。

日吉委員 今お話ございましたけれども、この憲法九十五条の趣旨というのは、今回、法律ではございませんけれども、国による特定の地方公共団体に対する不利益な取扱い、異常な介入、こういったものを回避する趣旨ではないかな、こう理解しております。

 そういったところを今回のこの辺野古埋立てに当てはめますと、沖縄の県民投票で辺野古埋立反対の民意が示されたという中で、沖縄県が反対していることを国が強引に推し進めているということはけしからぬということになるわけでございます。

 すなわち憲法の精神に反する、このように考えておりますが、この点について、菅官房長官、どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 地方公共団体の条例に基づく今回の県民投票というのは憲法第九十五条に規定するものとは異なるものであって、この規定に基づいて埋立工事を中止すべきものではない、このように考えています。

日吉委員 確かに、法律の定めではございません。ただ、趣旨としては、やはり、国が地方の考え、民意を無視して何か強引に法律をつくってはいけない、介入してはいけない、こういった趣旨でこの憲法九十五条というのはあるわけでございます。

 そういった中で、今、この辺野古の埋立て、これを見ていくと、国が沖縄の反対だという民意を無視した上でそれを推し進めているように、こういうふうに見えるわけですけれども、それ自体は、この憲法九十五条が国が不当に介入するとかそういったことをやめましょうと言っている精神に反するのではないか。この憲法の精神に反しているか反していないか、教えてください。

菅国務大臣 ぜひ御理解をいただきたいんですけれども、この埋立てというのは、先ほど申し上げましたが、二十三年前に、日米の合意によって、危険な普天間飛行場を県内に移設しよう、そういう中で、それから三年かかって、地元の市長と県知事の合意をいただいて閣議決定をされ、それから十年前後かかって、正式に埋立申請をし、そして県知事から埋立ての許可をいただいて行っているものであることをぜひ御理解をいただきたいと思います。

日吉委員 時間も大分なくなってまいりましたが、もう一点、公有水面埋立法についてお伺いをさせていただきます。

 公有水面埋立法では、埋立てを承認する要件として、国土利用上適正かつ合理的ということを定めております。地元の県民が非常に強く反対するこの辺野古の埋立てが、国土利用上適正かつ合理的であるか、こういう条件を本当に満たしているのかどうか、教えてください。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員お尋ねの辺野古の埋立てにつきましては、沖縄防衛局から、沖縄県が行いました承認の撤回に対しまして審査請求及び執行停止の申立てが行われておりまして、現在、審査請求手続中ということでございます。沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出されました書面の内容を検討し、審査をしているところでございますので、この件についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論で申し上げますと、公有水面埋立法に基づく埋立承認の手続におきましては、委員御指摘の公有水面埋立法二条に規定する埋立地の用途や設計の概要など、こうした事項が記載された願書や添付書類をもとに、周囲の土地利用の現況等との整合性、すなわち、「国土利用上適正且合理的ナルコト」などを含めた同法四条一項の基準に適合するか否かを判断することとされております。

日吉委員 お答えできないということではございましたけれども、二〇一六年の九月の福岡高裁那覇支部判決文には、国土利用上の観点からの当該埋立ての必要性及び公共性の高さ、埋立てに係る環境への影響などを比較考量し、地域の実情などを踏まえて総合的に判断するということがこの適正性や合理性を判断するに当たっての指針だというふうにうたっております。

 そういったところを踏まえますと、この適正性、合理性につきまして、今回の県民投票の結果で反対だといった民意、地域の実情、こういったものを踏まえた場合に、非常にこの合理性、適正性に疑義が生じていると思います。この点につきまして、菅官房長官、どのようにお考えになりますか。

辰己政府参考人 お答えします。

 御指摘の福岡高裁那覇支部の判決は、沖縄県知事が行った埋立承認取消処分は違法であるとの国の主張を全面的に認めたものと承知しております。

 既に裁判所の判断が示された判決の内容について、今回の県民投票の結果という判決後の事情を踏まえてコメントすることは差し控えたいと思っております。

日吉委員 コメントを差し控えるということではございますけれども、この適正性、合理性の判断をするに当たっては、当然裁判で言われている内容をもとに判断するわけですから、地域の実情を考えるというのは当然、当たり前の話でございまして、それを踏まえた上で判断をしていかなければいけないということになろうかと思います。

 そしてもう一つ、この判決文の中に、辺野古埋立てに反対する民意には沿わなくても、普天間飛行場全面返還の民意には沿っている旨の記載がありましたが、今回の県民投票の結果を受け、辺野古埋立てに反対する方の民意に沿わなくていいのかどうか、この点についてお伺いいたします。

辰己政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、これについては、福岡高裁那覇支部で二十八年九月に、沖縄県知事の行った埋立承認取消処分は違法であるという国の主張を全面的に認めたものである、その中の記述だと承知をしています。

 先ほど申したように、既に裁判所の判断が示された判決の内容でございますので、これについて、今回の県民投票の結果という判決後の事情、これを踏まえたものについてコメントすることは差し控えたいと思います。

日吉委員 時間が参りましたので終わりますが、最後に一言申し上げたいと思います。

 今回の県民投票の結果を受けまして、それにもかかわらず、岩屋防衛大臣はさきの参議院予算委員会におきまして、工事を続ける方針を事前に決めていた、こういった話があったり、沖縄の民主主義と国の民主主義があたかも違うかのような発言があったりしておりますけれども、この民意を受けとめて、一旦立ちどまり再考することをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山岡達丸君。

山岡委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸と申します。

 また、きょうは、委員長を始め理事の皆様、そして委員の皆様にまた貴重なお時間をいただきましたこととあわせて、菅官房長官、そして山本国家公安委員長、櫻田大臣に御質疑をさせていただきます。日ごろの公務に心から敬意を表させていただきながら、この時間に当たりまして、幾つかの課題についてお話を伺えればと思います。

 きょうは皆様に資料もお配りしているんですけれども、この資料の中身は、爆破予告に関する新聞報道ということでお配りをさせていただいているかと思いますが、質問としては、初めに、北海道を含めて全国におられるわけでありますけれども、アイヌの皆様をめぐる議論について、昨年の秋の臨時国会でも御質疑をさせていただきましたが、きょうもそのことについてまず質疑をさせていただければと思います。

 菅官房長官におかれましては、所信表明において、未来志向のアイヌ政策を進める、その旨のお話をいただきました。昨年の臨時国会の十一月の質疑の中でも、もう繰り返しはしませんが、アイヌの方々が歴史的に本当に非常に厳しい環境に置かれながら今日を迎えられたということはお伝えさせていただいた中で、これは記録にも残っている話の中、あるいは現代に生きる方々も幼少のころから厳しい言われ方をしてきたということをお伝えをさせていただきました。この中で、官房長官から、アイヌの方々にきちんと向き合っていくという意味での大変前向きなお話もいただきましたことに、心から感謝を申し上げさせていただきます。

 アイヌ新法も、報道も含めて今盛り上がっていますけれども、閣議決定され、そして、二〇二〇年には北海道白老町で民族共生象徴空間がオープンする。この全体の動きの中で、本当に大変よい方向になっているんだろうという中で、関係者も政府に大きな期待も寄せていますが、まずお伺いしなきゃいけないなというのは、一方で残念な動きもあります。アイヌの方々、アイヌの民族に対する、偏見を含むいわゆるヘイトデモのような動き。

 通常国会が始まりました、この初日になります一月二十八日ごろだったと思いますが、その日にも議員会館周辺で、そうした、拡声機を持って発言、発信をされている方がおられて、私も議員会館におりましたが、その内容も伝わってくるというような状況でありました。その主張に少し耳を傾けますと、いわゆる今政府が進めようとしていますアイヌ新法、これを進めると、日本の分断になるんだ、あるいは日本の解体につながるんだ、そんな趣旨のこともお話をされています。

 こうした声を上げることに私個人としても本当に残念でありますし、関係者は本当に心を痛めているものだと理解しています。先ほども、この内閣委員の方とお話しさせていただきましたけれども、やはりこういう方にきちんと寄り添った政治を進めていくことこそ民主主義の原則だというお話もしていただきながら、本当にこうした動きが残念でならないという思いであります。

 本日、また前回に引き続き、このアイヌ民族の政策全般を統括されている菅官房長官に質疑をさせていただきますが、まずお伺いしたいと思います。

 こうしたアイヌ新法、日本を分断する、解体につながる、そんなことがあるんでしょうか。私はそんな発想が生まれるのが不思議だし、そうした声が上がるのは本当に残念でありますが、官房長官はどのような認識をされておられるか、御見解を伺えればと思います。

菅国務大臣 アイヌ政策について、政府としては、これまでもアイヌの方々を始めさまざまな立場の方々から課題、要望を幅広く伺ってきたところであります。さまざまな御意見があることは承知をいたしております。

 また一方で、平成二十年には、衆参両院において、アイヌ民族を先住民とすることを求める決議、これがなされており、両院の御決議を踏まえてアイヌ政策を展開していく、こうしたことが求められている、このように思っています。

 政府としては、アイヌの方々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことは、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会、その実現のために必要だというふうに考えております。

 今回国会に提出しております法律案に基づく未来志向のアイヌ政策を着実に実施することによって、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会、ここをしっかり実現していきたい、このように思います。

山岡委員 ちょっとお答えしにくい部分もあるかもしれませんが、アイヌ政策、このアイヌ新法を続けることによって日本が解体するとか分断になるとか、そうしたことについて、これはあり得るんでしょうか。

 このことについて一言、官房長官からお願いできますか。

菅国務大臣 あり得ないと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 政府として、今お答えいただきました共生社会をつくるために必要な法律だということの趣旨も含めてお話しいただきました。あり得ないということも、官房長官からお話しいただきました。

 本当にそのとおりだと思っておりまして、先ほど、お言葉の中で、いろいろな御意見があるということで、表現の自由のこともあるんだということは理解しながらも、非常に残念であるということと、あり得ないということの見解を官房長官と共有させていただきましたことには、本当に心強く思うところであります。

 あわせて、これはまた政府の関係者にも聞きますが、ここに関係して、アイヌ民族なんてもういない、見たことがないなどということをお話しされる方も、世間一般にそれなりに知識人とされているような方の中にもそうした発言をされておられるという方もいらっしゃるようであります。

 私は、北海道の胆振、日高の地域を主に活動エリアとしていますけれども、このエリアを歩いておりますと、本当にたくさんお会いします。コミュニティーもありますし、文化を継承しながら生活をしている。もちろん、それぞれ職についておられますから、普通の暮らしもしているわけであります。

 ほかの国の事例で恐縮ですけれども、例えばマオリの方々はスーツを着ないのかといえば、着るわけでありますね。皆それぞれ、地域の先住民族の方は、伝統と文化を守りながらも、そしてアイデンティティーを保ちつつも、それぞれの国の中で共同生活を送っているという中で、民族というのは何なのか、民族衣装を常に着て、日常会話をして、生活様式、昔ながらでなければ民族ではないのか、そういうことを思うわけであります。

 政府に問いますけれども、こうした民族を否定するかのような発言、そしてまた民族について、どのように考え、どう対処されるか、伺います。

橋本政府参考人 アイヌの方々につきましては、現在では日常生活においてほかの日本の人々と変わらない生活を営んでいるものの、政府といたしましては、今日においても、アイヌの方々は独自の言語、文化や民族への帰属意識などの面から、民族としての独自性を有しているものと認識しているところでございます。

 政府といたしましては、我が国にアイヌという民族やアイヌ文化が存在するということについて国民の認識を一層深めることが重要であると考えており、民族共生象徴空間の活用であるとか、またそれと地域における取組との連携強化、また教育活動、広報活動等を通じまして、アイヌ文化等の国内外への発信に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

山岡委員 まさに政府としての見解もお伝えいただきながら、そのことを発信していきたいというお話でありましたけれども、民族としてきちんと存在しているんだという認識をやはりきちんと発信していただくということが重要であると思いますし、正しい情報が正しい理解をいただけるような環境をつくっていくために、また、我々もそうですが、取り組むようお願いをしたいと思います。

 少しアイヌ新法について、これはまた新法の議論は新法の委員会の議論もありますが、せっかくの機会なので、報道に少し出ていることについてお伺いしますが、いわゆるこの中に既に出ていますけれども、アイヌであることを理由として差別することをしてはならないという趣旨の内容が含まれているということが伝えられています。

 この報道が出て、非常に私の地域におられるそうした方々の中には複雑な心境になっておられる方がいて、意見が寄せられました。

 差別というのは誰もしてはいけないことなわけでありますけれども、法文上、アイヌであることを理由に差別しないとわざわざ明示的に書いてあるということは、やはり特殊な扱いを受けているのではないかと。これは本当に複雑な思いであります。極めてセンシティブな話なんだろうと思います。

 政府として、こうした差別、こうしたことをしないということを明示していくことにどんな意味を込めているのか、そうしたことを含めて、考え方をお伺いします。

橋本政府参考人 アイヌの方々に対します差別につきましては、政府が平成二十八年に取りまとめた調査によりますと、いまだ多くのアイヌの方々から、本人又はその知人が差別を受けたという回答をいただいたというふうに承知しております。

 また、平成二十年の衆参両院でなされました、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議におきましても、アイヌの方々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を厳粛に受けとめなければならないとされております。

 したがいまして、このようなアイヌの方々の差別の解消は、政府としても重要な課題だと考えており、今国会に提出いたしました法律案におきまして、アイヌの方々に対する差別の禁止を基本理念として規定しているところでございます。

 今後、アイヌの伝統文化、アイヌの歴史等に関する教育活動や広報活動、また民族共生象徴空間の運営などを通じまして、国民の理解を深めるよう努め、アイヌの方々への差別が解消されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

山岡委員 現状の認識と入れ込んだ趣旨を今伺いましたけれども、まさに、今後もさまざまな法改正、また進展をしていくかもしれませんが、やはり、こういう文言が少しでも薄れていきながら、消えていくような環境を社会全体でつくるということが、その道筋をつくっていくことが本当に大切なんだということを思うわけでありますので、それについて、また引き続きいろいろ御努力もいただきながら、我々もいろいろ意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 ひとえにアイヌ文化と言いましても、地域ごとにさまざま違いもあります。コタンという、集落という主な意味でありますけれども、アイヌ民族といっても、それぞれ地域ごとに暮らしていて、今、キャンペーンの言葉でイランカラプテという言葉が、いわゆるこんにちはの意味で、あなたの心にそっと触れさせてくださいというような言葉の意味と言われていますけれども、こんにちはという意味で象徴的な言葉として使っていますけれども、例えば、私たちの地域に住んでいる人が、昔はイカタイと言っていたんだ、こんにちは、久しぶりだねみたいな意味で言っていたんだよねと。

 だから、これは難しいところもあるんですけれども、一つの、アイヌ民族という形で世間に公表するに当たって、わかりやすくしなければという側面と、それでも、一つ一つ集落ごとに、伝わっている伝承も違えば、いでたちも少しずつ違うというさまざまな状況もあります。

 こうした地域性の違いというのをしかし尊重していかなければ、画一的な対応だけではやはり共生という政策はうまく進められないというふうに考えますが、この地域差、配慮、対応のあり方をどのように考えますか。伺います。

橋本政府参考人 御指摘のとおり、アイヌ文化は一様でなく、地域ごとにさまざまな特色があります。

 また、各地域におきましては、それぞれの特色を生かした多様な取組を進めているものと承知しております。

 例えば、私も訪問いたしました平取町におきましては、二風谷イタや二風谷アットゥシ等の工芸品を生かした地域振興につきまして、原材料の確保に苦労しながらも取り組んでおられます。

 また、釧路市では、阿寒湖アイヌシアターイコロにおきまして、アイヌ式古式舞踊や人形劇を披露するなどによりましてアイヌ文化の発信に努めるなど、地域ごとに創意工夫した、特色ある取組を行っておられると承知しております。

 政府といたしましては、こうした各地域の取組につきまして、今国会に提出しておりますいわゆるアイヌ施策推進法案の交付金を活用いたしまして、各地域におけるアイヌの人々の要望や各市町村の意見を踏まえつつ、きめ細かく支援をしてまいりたい、そのように考えている次第でございます。

 以上でございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 本当に、きめ細やかな対応というのが、これからの話でありますけれども、強くお願いするところであります。

 前回の質疑の中で、きょうは櫻田大臣にもお越しいただいておりまして、二〇二〇年にこのアイヌのいわゆる象徴的な施設ができ上がるということで、二〇二〇年のオリンピックの開会式等、各国の事例に倣えば、やはり民族がいろいろな発信をしているではないかというお話について、組織委に対してその思いを伝えるということの理解をしていただき、そしてまた、そうした御発言もいただきました。関係者は、政府として、公式に初めて、組織委員会にそうしたことを伝えていくということを言っていただいたということもあって、本当に大きな喜びを感じているところでありますが、せっかくの機会なので、その後の進捗状況はどうなっているか、伺います。

櫻田国務大臣 昨年の臨時国会では、オリンピックの開会式でアイヌの人々による発言がなされるべきとの山岡委員の御意見につきましては、大会組織委員会に伝える旨、お答えをいたしました。その後、速やかに内閣官房の事務方に指示し、山岡意見の御意見を大会委員会にしっかりと伝えました。

 二〇二〇年東京大会は、スポーツだけでなく、文化の祭典でもあり、大会を契機とした文化プログラムを実施しております。これまでも、アイヌ文化の発信については、多様性や国際性に配慮して、日本文化の魅力を発信する取組を認証するビヨンド二〇二〇プログラムを活用していただいております。また、文化プログラムの中核的な事業として検討が進められている日本博では、今後具体化していく案の一つとして、自然とともに生きるアイヌ文化をテーマとした企画が挙げられております。

 今後とも、さまざまな機会を捉えて、アイヌ文化の発信に関係の皆様と連携して取り組んでまいります。

山岡委員 ありがとうございます。櫻田大臣に山岡意見という表現を使っていただいて、非常に人情あふれる御答弁をいただいて、私も本当にありがたく思っておるところであります。ある種、本当にこうした機会を大きな期待をしていますので、引き続きこのことの取組にはお願いをさせていただきたいと思いますし、その後の国会の後の記者会見で、官房長官におかれましても同様の発信をしていただいたということで、そのことも本当に感謝申し上げさせていただきたいと思います。

 官房長官にお伺いするわけでありますが、二〇二〇年にこのアイヌの象徴空間という関連施設、民族共生象徴空間ができていくという中で、来場者数をどうするかという議論がずっとありました。この中で、当初は年間五十万人かどうかとかなどと言われていたわけでありますけれども、官房長官みずからが座長を務めるアイヌ政策推進会議において、年間百万人にするということを二〇一六年に発表していただいて、それで、地元もそれに合わせて、白老も、そのための駐車場をどれぐらい用意するかとか、いろいろな準備をしているところであります。

 よくよく確認してみますと、この百万人、大変心強い数字なんですけれども、いつまでに達成するということが明示されていなかったということで、二〇二〇年にオープンするわけでありますが、官房長官にせっかくなので伺いたいんですけれども、これはいつまでに百万人達成する、その目標でやってくださいますか、お伺いします。

菅国務大臣 まず、この民族共生象徴空間は、アイヌ文化の振興等のナショナルセンターとして、アイヌ文化のすばらしさを体験し、民族共生の理念に共感していただく、そうしたことを期待しているところであり、世界じゅうからできるだけの多くの方に来ていただきたい、このように思っております。

 ちょうどオリンピックが決まる前、札幌で開かれましたアイヌ政策推進会議において、二〇二〇年ですから、二〇一九年度に完成させよう、オリンピック前には完成させようということで、今、工事を進めているところであります。

 当初五十万という話でありましたけれども、かつて八十七万ですか、来た実績があるということでありますし、インバウンドがどんどんどんどんふえています。例えば、北海道でありますけれども、これは当初八十万だったんですが、一七年度は二百七十九万人、約三・五倍ぐらいになっていますから、そうしたことも踏まえて、私は、これは百万はいくだろう、来ていただけるようなものをつくってみんなで盛り上げていけば実現できるだろうという思いの中で、百万ということを申し上げました。二〇二〇年度に実現したいと思います。

山岡委員 ありがとうございます。力強く、二〇二〇年度オープン、二〇二〇年度に百万人を実現したいという意欲を伺いました。本当に心強く思いながら、関係者は本当に、また大いにそれに向けて頑張ろうという気持ちになろうと思いますので、どうか、ぜひ、さまざまな形でこれからも心を寄せていただければと思います。

 そして、今二〇二〇年の話を伺ったわけでありますが、もう一つ非常に心配をしていることが地元でありまして、それは、今、二〇二〇年が何もかもがピークになってしまうような、そんな方向になっていまして、二一年以降の政策についてはきちんと心を寄せてくれるのかという思いがあります。

 仮に官房長官も二〇二一年以降も官房長官をお続けになられるというような前提の話というのがいいのかどうかわかりませんが、ぜひ、二〇二〇年が終わっても、二一年以降も政府としてこうしたアイヌ民族の皆様との共生の政策を大いに進める、そうしたメッセージを、最後、お話しいただきたいと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 一つ訂正させてください。

 この開館でありますけれども、二〇二〇年の四月二十四日であります。ですから、二〇二〇年度中に百万というのを目標にしているということであります。

 そういう中で、この法律案においては、法律を根拠とするアイヌ政策推進本部、これを内閣に設置して、総合的なアイヌ政策を着実に推進するために必要な体制、そうしたものを整備するわけであります。推進本部は官房長官を本部長とされておりますが、本法律案を成立させていただいた暁には、アイヌ政策推進本部の本部長として、引き続き、アイヌの方々の誇りが尊重される社会の実現に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。ですから、そういう意味で、新法が成立しても時の官房長官が本部長になって推進していく、こういうふうに思っています。

山岡委員 ありがとうございます。

 本当に法律にもそうした明記をしていただくんだということも今改めてお話をいただきましたが、まさに本当に先人たちの御努力の中で、私が議員になる前から多くの関係者も努力され、あるいは議員の関係者、国の、政府の関係者も努力されてきて今日を迎え、ことしアイヌ新法というのが国会に提出されるわけでありますけれども、二〇二〇年にそれを実現するという意味での象徴空間の運営等も含めて、そこに規定されている。

 あるいは、オリンピックでの発信も、櫻田大臣からそうした力強い意欲のお話もいただいて、本当にそういう意味ではありがたい方向もあり、かつ、でもまだまだやはりそうしたことの形だけでは解決できない、本当に長年にわたるいろいろな皆様の思いといいますか、歴史の思いもありますので、ぜひ末永く本当に政府の皆様あるいは関係者の皆様には御理解いただきながら施策を進めていただきたいということを改めてお願いさせていただきまして、官房長官におかれましては、ここまでで御質問を終わりますので、お忙しい中、ありがとうございました。

牧原委員長 菅長官、御退席、お願いします。

山岡委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、残りの時間、今アイヌの政策を中心にさせていただきましたが、ちょっと話ががらっと変わりますが、サイバーの犯罪のことを、ちょっと深刻な話も含めて、見解を伺えればと思います。

 皆様のお手元に新聞一枚コピーを送らせていただきましたが、これは苫小牧民報という苫小牧における地元紙の報道であります。ごらんいただければわかりますが、二〇一六年五月に爆破予告メールが届くという事件がありました。これは、この後警察庁にもちょっと事件の概要の把握をどのようにされているかを伺いますが、結論からいえば一万五千人以上が避難した。苫小牧という町は人口十七万の町となっていますけれども、相当程度の大きな影響が出た事件でありました。

 警察庁にお伺いします。

 爆破予告の話は全国にあろうかと思いますが、苫小牧の話もどのように認識されているか、そのことをお伺いします。

田中政府参考人 お尋ねの事案でございますが、平成二十八年五月二十三日、北海道苫小牧市役所のホームページ上に、市役所及び市内小中学校を爆破する旨の書き込みがあったものと承知をいたしております。

 この事案につきましては北海道警察において所要の捜査を行っているものと承知しておりますが、捜査状況の詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

 なお、お尋ねの事案につきましては、安全確保のため、市において児童生徒や市の職員等を一時的に屋外に避難させるとともに、警察等において所要の捜索活動を実施したものと承知をいたしております。

山岡委員 今捜査中ということでありますので、検挙に向けてこれは全力で取り組んでいただきたいという思いであります。

 今、ホームページに書き込まれたというお話もありましたが、詳しくは、私も聞いてはいますけれども、手口にかかわることなので述べませんけれども、市役所や学校などに複数個の爆弾を仕掛けるという旨が夜書かれていて、朝気づいた職員がそれに対応する、時間もかなり限られている中で、地元の警察署にも相談した中で、やはり安全を考えてこれは避難はさせなきゃいけないということで対応をされたわけであります。

 地元の議会議員の方ともさまざまこのことについて意見交換をするわけでありますが、これは五月の話なんであります。御存じのとおり、苫小牧というのは北海道でありますから、もし仮にこれが冬だったらどうだっただろうかと。つい先日もマイナス十二度を記録したりしまして、海沿いの町でありますから風も非常に強く吹くエリアであるんですけれども、仮にこうした冬に一万五千人が避難するような話になれば、これは本当に深刻な話になる。しかも、これが書き込み一つでなされてしまうという状況。(発言する者あり)

 今、委員からのお話もありましたが、しかも、これは、私個人としても迷惑なことに、名前を山岡と名乗って書き込みをされたそうでありまして、非常に私としても、そのことも含めてですけれども、事件そのものに憤りを感じるわけであります。

 苫小牧は、その後も実は同じメールが来ていますけれども、ただ、警察の分析とさまざまな状況の判断で、二通目以降は避難はさせずに、愉快犯であろうという結論の中で必要な対応をしていたということで、影響はそういう意味ではできる限りの最小限にしていったわけでありますけれども、ただ、全国的な爆破予告の状況を確認しますと、やはり、来るたびに一応安全のためにこれを避難させなきゃいけないということもケースとしてはあるということも確認しているところであります。

 非常に深刻な話で、今は捜査中でありますけれども、きょうは公安委員長、お越しになっていますので、この事件についてまずどのように考え、所信表明でサイバー空間の脅威に的確に対処するという話があるわけですけれども、サイバーといっても、何か高度な話ばかりではなくて、こういうインターネットのネットワークを使った事件も十分にサイバーの事件なわけでありまして、この的確に対処するという所信表明の中で、この問題についてどのように考えられますかということを公安委員長に伺えればと思います。

山本国務大臣 山岡委員のお父上も国家公安委員会委員長ということで、平素から警察関係の事案にも大変関心いただいていることを大変うれしく、またありがたく思っているところでございます。

 今ほどの爆破予告につきましては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えておりまして、インターネット上のものも含めて社会活動を停滞させるなど、本当に卑劣きわまりない重大な犯罪であるというように認識をいたしております。

 警察におきましては、インターネット上の爆破予告を認知した場合には、徹底した捜査により書き込んだ者を検挙することはもとより、同種事件の再発防止に向け、さまざまな対策を講じているところでございます。

 引き続きまして、こうした事案を含め、サイバー犯罪に対して、的確な捜査を推進することはもとより、被害の発生や手口に関する情報を関係機関あるいは事業者等と共有し緊密に連携するなど、サイバー空間の安全確保に向け、よりきめ細かな対策を進めていくよう警察を指導してまいりたい、このように思っているところでございます。

山岡委員 今、本当にそうした厳しく対処する旨の、警察に指導していく旨の話をいただきましたが、私は、こういう事件の一番の抑止力はやはり検挙であると思っています。これは本当に警察の皆様の御努力もあるので、無体な話かもしれませんが、そのことについてはぜひ全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 愉快犯ということもあれば、もしかしたら軽い気持ちでやっておられる方もいるかもしれない。でも、社会的に与える影響は非常に重大であるということも含めて、その必要な対応、必要な措置を検討してほしいし、再発防止のためには、やはり、これは重大な事件であって重大な処罰を受けるということも、そういう認識を皆様に知っていただくといいますか、そのことも非常に重要なのであろうということを思っております。

 警察の皆様におかれては、これはまさに捜査をしていただく以上のことはないと思っておりますが、きょうは、櫻田大臣が今サイバーのセキュリティー担当だということで、御所信の中にも、いわゆるこれから戦略を練っていかなきゃいけないんだというお話もいただきました。

 平成三十年の警察白書にも書かれていて、いわゆるサイバー犯罪の捜査というのが、まさに、匿名化ツールとか、あるいはダークウエブというような、ツールを使ってのアクセスしかできない、そういう匿名サイトみたいなものも非常にあって、捜査をやりにくくしているということも、そうした中身には記載されていたりするわけであります。

 手口としては、恐らく、安易にもできてしまう、簡単にもできてしまう。しかし、さまざまな現代の社会情勢の中で、捜査がやりにくくしている。こうした中で、来年はオリンピックもある中で必要な対応が迫られるわけでありますけれども、サイバーセキュリティー担当大臣として、どのような対応、対策を考えていくか、そのことを櫻田大臣にお伺いします。

櫻田国務大臣 関係省庁としっかりと連絡をとり合って、きっちりと守っていきたいと思っております。

山本国務大臣 捜査の関係について私の方からお答えしたいと思いますけれども、サイバー犯罪につきましては、地理的制約を受けることが極めて少ないわけでございまして、容易に国境を越えて行われるほか、匿名性が非常に高いということもございまして、犯行の痕跡が残りにくい犯罪であり、こうしたことからも、サイバー犯罪をめぐる情勢は極めて厳しいというふうに認識をいたしております。

 過去にも何件も爆破予告事案について検挙に至っている案件がございますけれども、全てが全て検挙にはつながらないという非常に悩ましい状況でもございます。

 サイバー犯罪に的確に対処するため、不正プログラムの解析能力等の警察の対処能力の向上、それから、国際捜査共助の枠組みの活用、また外国捜査機関等との連携等の取組を推進するように警察を指導してまいりたいというふうに思っております。

山岡委員 今、公安委員長からもお話しいただきましたが、警察の皆様には捜査を頑張っていただきたいんです、これは本当に重大な犯罪でありますので、対応していただきたいということで。

 私がお伺いしたのは、櫻田大臣は所信表明の一節で、サイバー攻撃による多大な経済的、社会的損失が生じるなどの脅威が急速に高まっている、それに対応する戦略を練るということを所信でおっしゃっていて、きょうは所信表明に対する質疑ということで、櫻田大臣にも質問いたしますよということは事前に質問通告もさせていただいておりまして、戦略ということが、さすがに先ほどおっしゃっていただいた関係機関と連携するという一言だけでは何とも寂しい戦略でありますので、ぜひ櫻田大臣、戦略をどう考えていくか、そのことをちょっとお伺いしたいと思います。

櫻田国務大臣 システムやネットワークが国民生活や経済活動に不可欠な社会基盤として定着する中、サイバー空間の脅威は深刻化しております。東京大会を安全かつ円滑に運営するためには、国全体としてのサイバーセキュリティー対策を強化していかねばなりません。政府としては、サイバーセキュリティ戦略、平成三十年の七月二十七日に閣議決定をなされておりますので、戦略の着実な実施を推進していきたいと思っております。

 その上で、東京大会におけるサイバーセキュリティーを確保するためには、エネルギー、通信、交通など大会運営を支える事業者等に対して、サイバーセキュリティー上のリスクマネジメントを促進する政策の推進、サイバーセキュリティーに関する情報を集約し、事業者等に注意喚起や予防措置を促すために、サイバーセキュリティ対処調整センターの構築に取り組んでいるところでございます。

山岡委員 私、質疑の中で、苫小牧の事例も含めてこの状況を具体的にお話をさせていただいて、これに対してこの戦略をどう練っていきますかという御質問をさせていただいたわけでありますが、まさに私が伺いたかったのは、本当に来年のオリンピックでこういうメールが来て対応するときどうするのかとか、さまざまお話もありますので具体的にお伺いをしたかったんですけれども、ちょっときょうは時間も来ましたので、また機会を持って伺いたいと思います。

 ぜひ、深刻な課題なので、これは警察の皆様には捜査を一生懸命やっていただかなきゃいけない。ただ、全体を統括される櫻田大臣におかれては、このことに対してどう対応していく、対処していくのか、それは捜査だけではないお話もあろうかと思いますので、具体な話をぜひ深めていただければと思いますので、そのことをお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、官邸機能強化の問題と、これにかかわって行政監視機能の強化について質問をいたします。

 国会は、立法とともに、政府、行政の統制、財政の統制のための権限を持っております。行政監視機能の発揮は、国民の負託を受けた国会の極めて重要な役割の一つであります。

 そこで、最初に官房長官に、昨年の七月における大島衆院議長の「今国会を振り返っての所感」、談話ですね、それについての受けとめをお伺いしたいんですが、少し紹介したいんですけれども、大島議長は、去年の通常国会を振り返ってということで、

 憲法上、国会は、「国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関」として、「法律による行政」の根拠である法律を制定するとともに、行政執行全般を監視する責務と権限を有しています。これらの権限を適切に行使し、国民の負託に応えるためには、行政から正しい情報が適時適切に提供されることが大前提となっていることは論を俟ちません。これは、議院内閣制下の立法・行政の基本的な信任関係とも言うべき事項であります。

  しかるに、財務省の森友問題をめぐる決裁文書の改ざん問題や、厚生労働省による裁量労働制に関する不適切なデータの提示、防衛省の陸上自衛隊の海外派遣部隊の日報に関するずさんな文書管理などの一連の事件はすべて、法律の制定や行政監視における立法府の判断を誤らせるおそれがあるものであり、立法府・行政府相互の緊張関係の上に成り立っている議院内閣制の基本的な前提を揺るがすものであると考えねばなりません。

  また、行政・立法を含む国政は、「国民の厳粛な信託によるもの」であり、民主主義国家においては、国政全般に対する国民の信頼は不可欠なものであります。

  にもかかわらず、行政執行の公正さを問われた諸々の事案や、行政府の幹部公務員をめぐる様々な不祥事は、国民に大いなる不信感を惹起し、極めて残念な状況となったのではないでしょうか。

  政府においては、このような問題を引き起こした経緯・原因を早急に究明するとともに、それを踏まえた上で、個々の関係者に係る一過性の問題として済ませるのではなく、深刻に受け止めていただきたい。その上で、その再発の防止のための運用改善や制度構築を強く求めるものであります。

このように述べておられることは、大変重く受けとめているところであります。

 官房長官として、この大島議長の所感、談話について、政府としてどのように受けとめておられるのか、お尋ねをいたします。

菅国務大臣 そうした議長からの申入れというんですか、そうしたことは政府として当然重く受けとめさせていただいて、なすべきことを一つ一つ着実に実行に移させていただいて、信頼を得るようにしたい、このように思います。

塩川委員 なすべきことをなして、信頼をしっかりと回復していく、そういうお話であります。

 その点で、この間の森友、加計問題や勤労統計問題など、総理官邸にかかわる、いわゆるそんたくの政治ということも取り沙汰をされ、官邸主導の体制についての厳しい意見も寄せられております。

 そこで、その背景にある、この間の官邸機能強化について質問をいたします。

 一九九八年成立の中央省庁等改革基本法及び一九九九年の中央省庁等改革関連法においては、内閣機能の強化を掲げておりました。

 そこで、お尋ねしますが、このような中央省庁の改革において、内閣官房においてはどのような機能強化が行われたんでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 省庁再編の際、内閣機能の強化が図られたが、どのようなことが行われたかというお問いかけでございます。

 中央省庁等改革基本法に盛り込まれた内閣機能の強化の具体化といたしまして、内閣官房につきましては、内閣総理大臣が閣議を主宰する場合におきまして、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる、このことを明らかにすることが一つでございます。また、内閣官房副長官補、内閣広報官、内閣情報官の創設といった、内閣及び内閣総理大臣を補佐する、支援する体制を整備する、この二つが大きな柱となっておりました。

 以上でございます。

塩川委員 閣議における内閣総理大臣の発議権の明記をする問題や、内閣官房副長官補の新設など内閣官房の組織の整備、また、総理補佐官の増員等の首相補佐体制の整備等々、行われてきているわけであります。

 同時に、それ以降も随分改革も行われてきているわけですけれども、中央省庁再編以降、内閣官房においてはどのような組織、機能の強化が行われてきたでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十三年一月六日の省庁再編以降でございますが、内閣官房におきましては、まず、内閣法の改正によりまして、平成二十五年五月、内閣情報通信政策監、平成二十六年の一月、国家安全保障局、平成二十六年の五月に内閣人事局がそれぞれ新設されたところでございます。

 また、内閣官房組織令、政令でございますが、その改正によりまして、平成十三年四月に内閣衛星情報センター、また、平成二十七年一月に内閣サイバーセキュリティセンター等がそれぞれ新設されているところでございます。

塩川委員 資料を配付させていただきました。

 一枚目に内閣官房の機構図があります。平成三十年十二月七日現在ですけれども、今答弁がありましたように、この図も、当初からそういう機構ではなくて、この間ずっと強化をされてきているということで、今の答弁にもありますように、左側に張り出している内閣人事局や、真ん中のところの下あたりに内閣情報通信政策監、あるいはその右の国家安全保障局などが設置をされ、その下にある内閣サイバーセキュリティセンターや内閣衛星情報センターなどがこの間、次から次へと内閣の機構としてつけ加わってきているわけであります。

 あわせて、この機構図を見ると、内閣官房副長官補のもとに分室がたくさんあるんですけれども、これは、内閣官房、中央省庁再編を行った直後の時期は幾つぐらいで、今幾つぐらいかというのを、およそわかりますかね。

大西政府参考人 今、正確に数字をそらんじることはできませんけれども、お手元の資料にも入っておりますが、三十六の室が内閣官房副長官補のもとにぶら下がっておりますというか設置されております。

 そのうち、省庁再編の前からあるものは、一番左端に書いていただいています情報通信技術(IT)総合戦略室。これは再編前からあったと聞いておりますが、それ以外、新型インフルエンザ等対策室から右にプレミアム付商品券施策推進室までの組織につきましては、その後に設置されたものと認識をしております。平成二十一年以降の設置になっていると認識しております。

塩川委員 今御説明ありましたように、中央省庁再編以前からあるのは一番左側のITの総合戦略室で、基本、スクラップ・アンド・ビルドですから、つくっては、用をなせばなくして、新しいものをつくるということであるので、それをずっと繰り返しているということではありますけれども、でも、トータルの数そのものも大きくふえているというのが実際のところであるわけです。そういう点でも、この内閣官房副長官補のもとでの分室が、企画立案や総合調整の機能を果たすということで、内閣の重要な政策を担うという役割をそれぞれ持っているということが、ここにも見てとれるわけであります。

 それで、このような中央省庁再編以降、法案、閣法について、各省が提出するということであったのを、内閣官房からの法案の提出の権限が明確化をされたと承知をしております。ですから、そういう意味では、内閣官房としてストレートに官邸の方針を反映する、そういう法案提出が可能になったわけであります。郵政民営化法案を念頭に置けば、そういうものだということになるわけですけれども。

 このように、内閣官房から提出された法案について伺いますが、ちなみに、省庁再編以前はほとんどなかったと承知しているんですけれども、例えばこういうものというので例示してもらえれば紹介していただきたいということと、省庁再編以降、実際、各年で見た場合に、内閣官房から出されている法案が幾つあるのか、わかるところで教えてください。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、数の方から申し上げたいと思います。

 省庁再編が行われました平成十三年から平成三十一年の現在までで、内閣官房が主として閣議請議を行いまして国会に提出した法律案でございますが、合計百四十九本ございます。また、それに対しまして、省庁再編以前、平成十二年以前でございますけれども、その期間におけます同様の法律案を調べましたところ、十八本が確認できております。

 例示を述べよということでございましたので、例えば、昭和五十七年におきましては、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案というものが出されております。

 そういうところでございまして、対比して見れば、百四十九対十八ということでございますので、省庁再編後、内閣官房が主として閣議請議を行って提出をさせていただいた法律案はふえている傾向にあるということは申し上げられるかと思います。

塩川委員 ですから、中央省庁再編以前というのが十八本だ、同時に、中央省庁再編以降については百四十九本ということで、大変多くの法案、だから、平年でならしても七本とか八本とか、そういう数になってきているわけですよね。内閣委員会が忙しくなっているということでもあるわけですけれども。

 こういった法案が内閣官房から閣議請議という形で出されてくるという点でも、内閣官房を含む官邸機能の強化のあらわれとしての法案の提出が見てもらえるのではないでしょうか。

 それから、内閣官房のこのような機能強化とともに、総理大臣秘書官の権限も大きくなるわけであります。この総理大臣秘書官というのは何人いるんでしょうか。また、仕事の内容はどんなもので、その複数の方の分担はどのようにされておられるんでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣総理大臣秘書官につきましては、内閣法の二十三条に関連の規定が設けられております。

 その前に人数でございました。人数は内閣官房組織令に定数が設けられておりまして、第十一条で定数は五人とされておりますが、当分の間、附則の五項におきまして、「同条中「五人」とあるのは、「七人」とする。」すなわち七人まで設置することが可能となっております。現在、六名の秘書官がおります。

 秘書官の業務でございますけれども、内閣法第二十三条におきまして規定されておりますのは、内閣総理大臣の命を受け、「機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け内閣官房その他関係各部局の事務を助ける。」とされているところでございます。端的に、基本的に申し上げますと、内閣総理大臣の秘書的な業務に従事するというものでございます。

 また、それぞれの役割分担についてお問いかけがございましたが、総理秘書官それぞれの役割分担につきましては、内閣総理大臣の命を受けまして、案件案件につきまして秘書官の間で調整をされているものと承知をしております。

塩川委員 現在六人で、いわば総理の秘書的な仕事というお話ですけれども、その分担なんですけれども、例えば、予算委員会の議論の中で中江元総理秘書官が出席をされて、そのやりとりの中に、私は財務省、金融庁だけでなく厚労省の部分も担当していたという発言があるんですよ。ですから、省庁ごとの担当とか、何らかの分担があると思うんですけれども、そういうことについてはわからないんですか。

大西政府参考人 塩川先生御指摘のように、二月の二十二日の本院の予算委員会におきまして、中江元哉参考人が、総理秘書官としては、担当する政策の一つ一つにつきまして、私は財務省、金融庁だけではなく厚労省の部分も担当しておりましたと御答弁をされているのは確かでございます。

 また、三十年の五月十日、参議院予算委員会におきまして、柳瀬唯夫参考人が、総理秘書官であった当時は、イノベーション、TPP、規制改革などを担当していたというふうに御答弁されていることも承知はしております。

 そのように、出身省庁との関係でおのずから御知見は深いところもあろうかと思いますので、そういうところも含めてだと思いますが、そういうところを含めて、踏まえて、秘書官の間で調整をされているというふうに認識をしております。

塩川委員 ですから、どういう調整をしているのかを確認したいだけなんですけれども。それはわからないんですか。聞けないの。

大西政府参考人 それぞれの役割分担につきましては、総理の命を受けた中で、それぞれの事案に応じて御相談されているということでございます。

塩川委員 いや、わからないんですけれども。

 今言ったように、分担の話、それぞれ中江さんもそうですし昨年の例なんかも紹介しているんですから。流動的な部分はわかりますよ。だけれども、現時点で切り取って、こういう分担ですというのはわかるんじゃないですか。何でそれが出せないの。

大西政府参考人 やはり、そこにつきましては、秘書官の中で個別案件に応じて調整をされているものと承知をしておりまして、現在、更に具体的にどのような役割分担を行っているかにつきましては、大変恐縮ですが、それ以上は承知をしてございません。

塩川委員 いやいや、国会として確認をしたいということで求めて、そういうやりとり、こういう質問ということも事前に伝えてあるわけですし、それは確認できる話でしょう。何で答えられないのかという理由がわからない。

牧原委員長 内閣官房大西内閣審議官、答えられないならなぜ答えられないのか、あるいは調べれば答えられるのか、ちょっと明確にお答えください。

大西政府参考人 恐れ入ります。

 やはり、具体的にどのような役割分担が行われているかにつきましては、大変恐縮ながら、承知をしてございません。少しお時間をいただきたいと思います。

塩川委員 いや、承知をしていないじゃなくて、一応、私はそういうことを聞きますよと言っていたのに、何で出せないのかというところがわからないわけ。もう一回。

大西政府参考人 恐れ入ります。

 そのことも含めまして、やはり、それぞれの個別案件に応じまして、調整をされているということでございます。申しわけございません。

塩川委員 ですから、何も答えていないわけですよ、承知していないという話ですから。

 これは、しっかりと説明責任を果たしてもらわないと、要するに、では何をやっているのかが不透明だというところが、ある意味、信頼を欠くようなことにもなりかねないわけで、そういう点でも、これをきちっと明らかにするというのは当然の責務だと思うんですけれども、これは出してもらえますか、ちゃんと。

牧原委員長 大西審議官、ちゃんと出せるかどうか、答弁をしてください。

大西政府参考人 出身省庁のお話が先ほどございました。そういうのも含めて、いろいろ、個別案件、個別状況に応じて整理をされているというふうに認識をしておりまして、それ以上のことは、ちょっと私も今承知しておりません。

牧原委員長 なので、済みません、確認できるかどうか。

大西政府参考人 確認できるかどうかも含めまして、持ち帰らせていただきたいと思います。

 恐れ入ります。

塩川委員 いや、持ち帰る話じゃないんですよ、そもそも、きょう質問するということで話をしているわけだから。

 これはそもそも、だから、不透明というところが疑念にもなりかねないわけで、これは出せる話なので、初歩的な話ですから、しっかり出してもらうという話ですので、もう一回ちゃんと出すと言ってもらえますか。

大西政府参考人 出せるかどうかというよりも、どのようなことが整理として申し上げられるかも含めまして、持ち帰りまして検討いたします。相談をいたします。

塩川委員 まあ、相談するという話で、出すとは言っていないので。これはやはり、最低限の話ですからね。

 それをきちっとやってもらうということですから、委員長にもその点はぜひお願いしたいと思いますので。

牧原委員長 後刻、理事会で協議をいたしますが、大西審議官にも、確認するようにお願い申し上げます。

塩川委員 よろしくお願いします。

 それで、内閣官房の機能強化の話を聞いてきたわけですが、あわせて、内閣府の機能強化の問題です。

 内閣府は、中央省庁再編時に設置をされたわけですけれども、この内閣府設置の理由は何だったのか、中央省庁再編時の内閣府の機能はどのようなものだったのかについて、説明をお願いをいたします。

井野政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府は、先生御指摘のとおり、平成十三年の中央省庁の再編において創設されたわけでありますけれども、その際に、内閣府が担うこととされた機能といたしましては、一つには、経済財政政策、科学技術政策、防災などの、内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整を行うこと、さらに、もう一つには、栄典行政などの内閣総理大臣が担当することがふさわしい事務等を担当することがございました。

 こうした機能を果たすべき組織として、内閣府がつくられたところでございます。

塩川委員 よく知恵の場と言われるような内閣府の役割として、重要政策に関する会議を置くということで、経済財政諮問会議の例などもありました。

 あと、栄典などの分担管理事務ですかね、内閣府として行うべき、他の省と同等の分担管理事務についても受け持つ部分があるという点でいうと、そもそも、内閣補助事務として、その企画立案、総合調整機能というのは内閣府が持つし、あわせて分担管理事務も持っている、それが内閣府だという御説明ですけれども、この内閣府については、内閣府設置法として置かれていて、国家行政組織法の対象外となっているわけです。

 そうすることで、内閣府は、内閣の重要課題に弾力的に対応する必要があることから、国家行政組織法の適用外とされたと承知しておりますけれども、それはなぜでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 内閣府におきましては、内閣の重要政策に関して企画立案、総合調整を行うということですので、その時々の重要政策に応じて柔軟に組織を運営していく必要がございます。そのために、局長級の政策統括官八人を置いているところでございます。

 その際、政策統括官の間の事務分担は、政令ではなく訓令によって柔軟に変更可能な仕組みとすることにより、その時々の政策課題ごとの事務量の変化に的確に対応できる体制としているところでございます。

塩川委員 つまり、分担管理事務ではなくて、内閣府が持っている内閣の重要政策に係る企画立案、総合調整機能、この内閣補助事務にかかわって柔軟に組織を運用していく必要があると。ですから、当初は七人で、今八人の政策統括官についても、その事務分掌などは柔軟に対応できる、政令事項ではなくてその下に落としているということで弾力的に対応すると。

 これは、内閣府設置法の第五条に、内閣府の組織は、「内閣の重要な課題に弾力的に対応できるものとしなければならない。」とあるわけです。ですから、そういう意味では、柔軟に、あるいは弾力的にという趣旨でいえば、なぜそうするのかということについてきちっと説明する責任もあるわけなんです。法令事項で訓令に落とすような話であれば、なおのこと透明性の確保ということが求められているということを指摘したいと思います。

 次に、内閣府が発足以降もいろいろな組織、機能の強化が行われてきているわけですが、どのような組織、機能の強化が行われてきたかについて説明してください。

井野政府参考人 お答えいたします。

 内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整を行う観点から、内閣府には、その発足後も、その時々の情勢を踏まえまして新しい機能がつけ加えられてきたところでございます。

 具体的に申し上げますと、少子化対策、子ども・子育て支援ですとか、地方創生、宇宙政策など、行政各部の施策の統一を図ることが必要なさまざまな重要政策に関する事務等が追加されてきているところでございます。

塩川委員 資料の二枚目と三枚目をごらんください。

 二枚目の方が、省庁再編時の、発足したときの内閣府の機構図になっています。三枚目、三ページの方が、平成三十年十月四日現在ということでの内閣府の機構図になっています。

 今の話でいえば、この三枚目の資料でいいますと、いっぱい箱が並んでいますけれども、右から二つ目の列のところにあるように、例えば、ちょっと説明はなかったですけれども、重要政策に関する会議という中に、当初は四つだったものを、この間、国家戦略特区の諮問会議を加えてきているということがあります。その下、一つ飛ばして、特別の機関というところで、今御説明のあった地方創生ですとか、宇宙開発とか、子ども・子育てとか少子化とかが入ってきていると。そういう点でも、さまざまな機構、組織の強化が図られているのが内閣府の実情であります。

 こういった内閣府における機能強化を見たときに、人員もふえてきているわけですよね。内閣官房とそれから内閣府の人員数、定員数というのはどのように推移しているのか、中央省庁の再編時と直近の数字で紹介をしてください。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房の定員についてでございますけれども、省庁再編が行われました平成十三年の三月末時点の数字でございますが、三百七十七人。平成三十年度末におきまして、これが千百四十一人となっているところでございます。

井野政府参考人 内閣府の定員でございますけれども、中央省庁再編時の平成十二年度末、すなわち平成十三年三月末の定員でございますが、二千二百四十五人。現在と申しますか三十年度末の定員が二千三百六十四人ということになっております。

塩川委員 内閣官房は三百七十七人が千百四十一人ですから、三倍になっているわけです。

 内閣府の方は、十三年三月は二千二百四十五人なんですけれども、その後、公文書館の独法化があって切り出されたものですから、翌年度には二千二百十人に減って、そこから今のように二千三百六十四人に増員をしているという経緯があります。

 それで、ついでにお聞きしたいんですが、平成三十一年度の定員審査結果による平成三十一年度末の定員は、内閣府において、前年度比大幅増になっているんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。

井野政府参考人 申しわけありません。

 三十一年度、来年度末の定員につきましては、今手元にございません。

塩川委員 直近ということもあったので、平成三十一年度末の数字というのは出ているわけですから、それを確認したかったんですが、要はふえているわけですよね。

 何がふえているかというと、カジノ管理委員会なわけですよね。これで百人近くふえているとかというのもあって、内閣府の強化、人員増というのは、こういうところにもあらわれているわけであります。

 そこで、官房長官にお尋ねをいたします。

 今ずっと確認をしてきたように、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整機能を持つ内閣官房、内閣府を拡大強化してまいりました。加えて、内閣人事局の発足によって、各省の幹部人事についても官邸が関与するようになったわけであります。

 こういった官邸機能強化というのが、大島議長の談話にもありましたように、森友学園や加計学園問題など官邸にかかわる問題について、公文書の改ざんとか捏造、隠蔽、虚偽答弁がまかり通る。要するに、官邸機能強化がこういった不祥事がまかり通る背景にあるんじゃないのか、この点についてお考えをお聞かせください。

菅国務大臣 中央省庁等の改革においては、内外の情勢変化や危機に機動的、弾力的に対応するために、国政運営に当たる最高の責任を持つ内閣の機能を高めるとともに、内閣及び内閣総理大臣を補佐し支援する体制、これを整備したものであります。

 また、内閣人事局の設置により導入された幹部人事の一元管理制度は、縦割り行政の弊害を排除して内閣の重要政策に応じることのできる戦略的な人事配置を実現する、こうしたことを目標に導入したものであり、公正中立に能力・実績主義に基づく適切な人事配置を行っております。

 このように、内閣機能の強化は行政全体の戦略性、総合性を確保し、機動的で迅速な意思決定を可能とするために行っております。

 安倍内閣としては、何をなすべきか明確に座標軸を示して、政治主導で改革に取り組み、目に見える形で実現をしております。

 今後とも、国民の皆さんの声に耳を傾け、真摯に一つ一つ課題に取り組んでいきたいと思います。

 官邸へのそんたくといった御指摘は当たらないんだろうというふうに思います。

 例えば、内閣人事局、これが発足することによって、戦略的な人事配置ができています。採用年次、職種などにとらわれない人事の運用ですよね。

 例えば、海上保安庁長官に初めて、海上保安庁採用出身者、いわゆる生え抜きの人材を登用した。

 あるいは女性職員の登用。これについても、審議官で十六名から三十二名に現在なっております。また、経済産業省で次官級ポスト、特許庁長官に初めて女性を登用するとか、農水省で本省局長に初めて女性を登用するとか。

 あるいは府省間の人事交流の推進。これは、農林水産省と経済産業省で局長クラスがこの交換人事を行う。

 こうしたことをしっかり行ってきておりますし、また、地方公共団体、民間企業への出向など、こうしたことも多数実現をし、まさに戦略的な人事配置を行って、国民の皆さんの期待にお応えすることができるような、こうしたことを一つ一つ実行に移しております。

塩川委員 いろいろ幹部人事のお話がありましたけれども、一方で、佐川さんが国税庁長官に栄転するという話なんかもあるわけですから、その点では、やはり厳しく見なければいけない。

 要するに、このように、内閣官房、内閣府の機能強化が行われているときに、そこにやはり透明性の確保というのがなければいけない。つまり、国民への説明責任というのは最低限の条件であって、そういったときに、やはり公文書の改ざん、捏造、隠蔽というのは極めて重いわけです。ですから、公文書管理のあり方をどうするのかということが問われなければいけません。

 ですから、官房長官に、こういった透明性を図る必要性についてお尋ねしたいんですが、やはり情報公開法や公文書管理法をしかるべく改正するということが必要なんじゃないのか。例えば公文書管理については、メモについても公文書に位置づけるとか、一年未満の公文書の廃棄をなくすとか、公文書の定義について組織で共有を外すということを含めて、公文書をしっかりと作成し、保管をし、それが、しかるべく説明責任を果たすような形で公開もされていく、そういうことが求められているわけであります。

 こういった公文書管理法の抜本改正など、行政の透明性を図る、こういうところでしかるべき措置を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 一連の公文書をめぐる問題を踏まえて、文書管理の実務を根底から立て直すべく、昨年七月の閣僚会議において、公文書管理の適正化に向けた総合的な施策を決定いたしました。現在、決定した施策を一つ一つ着実に実行に移し、政府を挙げて、公文書管理の適正化に取り組んでいるところであります。

 平成二十九年末に改正した行政文書の管理に関するガイドラインの徹底も含め、引き続き、適正な公文書管理の徹底に万全を期していきたいと思います。

塩川委員 いや、抜本的にやはり公文書のあり方を見直すことが必要だ。その点でも、我が党も提出者に加わっている野党の公文書管理法案をしっかり国会でも議論していただきたい。そういう点で今の問題点も改めて浮き彫りにしていく、このことを求めていきたいと思います。

 あわせて、行政監視機能については、行政内部における監視機能の問題も問われてくるわけであります。

 そこで、総務省にお聞きしますけれども、政策評価の問題があります。この政策評価については、実施主体は、行政事務を分担管理する行政事務、つまり、分担管理事務をやる各府省とされており、内閣官房や内閣府が行っている、内閣の重要な政策に係る企画立案や総合調整という内閣補助事務は政策評価の対象とされていないということなんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘にございました、政策評価法に基づく政策評価制度でございますけれども、御指摘のあったとおり、内閣の統括のもとにおける各行政機関が、その分担管理する事務について、適切に行われているか、みずから評価するという仕組みであります。

 一方、内閣の意思形成や内閣の行為を補助すること自体を内容とする、内閣官房や内閣府の内閣補助事務は、今申し上げたいわゆる分担管理事務とは性格、位置づけが異なるものであることから、政策評価法に基づく政策評価の対象とは位置づけられていないということでございます。

塩川委員 要するに、内閣機能の強化という中で、内閣官房が強化をされ、内閣府が設置をされる。そのポイントというのは、内閣補助事務にあるわけですよね。つまり、内閣の重要な政策に係る企画立案機能、総合調整機能、これは、今の政策評価法でいえば評価の対象とならないということであります。

 ですから、分担管理事務の部分はやるけれども、内閣補助事務のところは対象外ということでいうと、内閣官房とか内閣府が果たしているこの仕事についての、しっかりとした行政内部における監視が働いていないということにもなるわけです。ここは曖昧にできない問題じゃないのか。

 官房長官にお尋ねしますけれども、行政監視機能の強化、特に、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整機能である内閣補助事務について、少なくとも行政内部での監視機能、行うということは考えないんでしょうか。

菅国務大臣 情報公開制度は、政府が国民に対し説明責任を果たす重要な制度であり、政府としては、引き続き適切に運用していきたいというふうに考えています。

 いずれにしろ、これまでも国会の場でさまざまな機会を通じて、必要な説明に努めてきております。今後とも、政府の考え方や政策について国民の理解を得るために、全力で尽くしてまいりたいと思います。

塩川委員 質問に答えていただきたいんですが。情報公開は、これはこれとしてあり方は問われるわけですけれども。

 行政内部における行政監視機能については、政策評価法では分担管理事務しか対象にしていません。一方で、内閣補助事務を担う内閣官房、内閣府の事務については対象外ということであれば、これはふさわしいチェックが働かないんじゃないのかと思うんですけれども、この内閣補助事務についても、少なくとも行政内部で少しきちっと手当てするとか、評価をするとか、そういうことは考えないのかということなんですが。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 内閣官房及び内閣補助機関たる内閣府が企画立案する政策的方針は、内閣の重要方針を形成するものであり、これらは、内閣の統括のもとに政策評価を行う各府省の政策の評価尺度となるものであります。

 こうした内閣の重要政策については、それ自体を評価する尺度があるわけでなく、その時々の内閣による高度に政治的な判断などにより決定されるものであることから、その妥当性については、基本的に国会等の場においても議論されてきているところであるというふうに考えています。

塩川委員 高度な政治的な判断を伴うような、それにかかわる内閣補助事務については評価法の対象にはしないんだということなんですけれども、それ自身も、そのあり方をもう少し考える必要があるんじゃないかということと、あわせて、だからこそ国会の行政監視機能の役割が重要だということを指摘しなければなりません。

 きょう、ずっと確認してきたように、内閣官房、内閣府の機能がずっと強化をされているんですよ。それに見合う国会の行政監視機能はどうか。内閣委員会の役割は極めて重い、委員長、そう思いませんか。

牧原委員長 そのように思いますが。

塩川委員 ですから、こういった国会による行政監視機能の発揮が求められているときに、この内閣委員会の果たす役割は極めて大きいということで、内閣官房や内閣府の機能の拡大強化に対応して、国会による行政監視機能を果たす場である内閣委員会の役割が現状でいいのかということも検証する必要があるんじゃないのか。

 つまり、中央省庁等再編に合わせて国会も委員会を再編しました。内閣委員会もできました。当初は三十人だったのを四十人にふやした。現状はそこにとどまっているわけなんですよ。一方の内閣官房は三倍にふえて、内閣府も割増しになって、さまざまな機構がここにぶら下がるようになってくる。となると、内閣委員会が果たすべき役割が極めて大きくなっているんですよ。それに見合うような行政監視機能を果たすということが改めて重要なんじゃないのかなと。こういうことについてしっかりと国会で議論するということが必要だと思うんですけれども、その点、受けていただけないでしょうか。

牧原委員長 委員長として、しっかり重く受けとめて、検討したいと思います。

塩川委員 そうしますと、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整機能である内閣補助事務については、行政内部での政策評価はやらないと言っているわけですから、国会の監視機能の発揮が求められているわけです。

 そうしますと、しかるべき人に国会に出てきてもらうというのは必要なんですよ。ですから、総理秘書官ですとか内閣官房副長官補とか、こういった方々に出てきてもらって、しっかりと、内閣においてどういうことが行われているのかということをきちっと国会において答弁してもらう必要があると思うので、こういった方々の政府参考人としての出頭要求、これはやはり具体化すべき話だと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

牧原委員長 内閣委員会のあり方については、議運等、国会全体で考えることでございますし、今の話は、理事会でも、後刻、検討をさせていただきます。

塩川委員 ということで、行政内部における行政監視機能の話と同時に、国会の行政監視機能をどう果たしていくのかという点での内閣委員会の重さというのは極めて重要で、その点でも、行政監視という点で一般質疑の機会は極めて重要なわけですから、十分な時間の確保ということを改めて求めていくものであります。

 以上で官邸機能強化にかかわる部分は終わりにして、次に、統計問題について何点かお尋ねをいたします。

 国と地方の統計職員の配置の問題です。

 公的統計とは、「国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」と、統計法の第一条でうたわれています。その統計が損なわれることは、国民にとって政府の施策を判断する材料が損なわれることであり、国の進路を危うくするものであります。徹底的に究明することが必要です。

 その際に検証が求められることの一つが、統計業務に従事する職員のリストラの問題です。職員が不正を行うことはもちろん許されないのは当然のことであります。同時に、不正を生じさせない環境整備が必要です。このような統計業務を担う国と地方の職員数がどうなっているのかを確認したいと思います。

 資料の四に、国の統計職員の推移が書かれています。二〇〇九年と二〇一九年度を比較して、減っていることがここにも見てとれるわけです。

 確認しますが、このような統計職員の削減というのは、統計業務にしわ寄せをされ、結果として不正を生じさせることにつながったのではないのか。この点についてお尋ねをいたします。

横山政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のように、国の統計職員につきましては、この十年余りにおいて減少をしております。しかし、これは業務のICT化や外部委託、それから出先機関の組織再編などに伴うものと承知しております。もっとも、平成三十年度は統計改革を推進するため増員し、来年度も増員していただける見込みとなっております。

 いずれにしましても、毎月勤労統計については、厚生労働省の特別監察委員会において追加報告書が取りまとめられたところであります。また、賃金構造基本統計については、総務省行政評価局が調査を行っているところであります。

 統計委員会におきましても、今般の統計をめぐる問題を受けて設置された点検検証部会において、先月から審議を進めていただいているところであります。基幹統計及び一般統計について、こうした再発防止や統計の品質向上といった観点から、この部会で徹底した検証を行うこととしております。

 こうした結果を踏まえつつ、今後の統計全体を考えていく中で、総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。

塩川委員 この統計不正そのものは決して許されないのは当然であります。同時に、そういったことが生じ得るその背景として、こういう職員の配置状況がどうかということについて、きちっとした検証が必要だ。点検検証部会での検証という話が出ましたけれども、そういう観点でどこまでやるのかということも問われるところであります。

 例えば、賃金構造基本統計では、調査員による調査が必要なのに、実際には、配付、回収ともにほぼ全ての事業所について郵送調査が行われていたとか、バー、キャバレー、ナイトクラブについて、夜間の調査になるからと調査対象から外していたとか、調査計画どおり行うべきところを手抜きをしていた。こういった問題は、個々にはその問題をきちっと指摘をすると同時に、その背景としての人員の状況についてもしっかりと検証することが必要だ。

 それで、実際に人員を見ても、総務省は、統計委員会が内閣府から移管もされているということもあって、少しふえているところですけれども、統計不正の相次いでいる厚労省とか経産省などは、減り続けているわけです。

 厚労省にお尋ねしますが、厚労省は減らし続けて、これでいいんですか。

上野大臣政務官 まず、統計に関する職員が減少してきたということであります。

 厚生労働省においては、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針等に基づき、全省庁的に定員の適正配置が求められる中で、統計職員についても定員の合理化を図ってきたところであります。

 これは、定員の合理化のための取組として、ICT化、例えばオンライン報告の利用率の向上でありますとか、又は既存の行政データの活用などでありますけれども、ICT化や外部委託等といった業務の効率化を行ったことに伴うものであります。

塩川委員 同じ答えなんですけれども、でも、厚労省は、ほかのところが昨年度以降ふやしているというところを厚労省としては減らしているんですよ。この問題については問題意識はないのかということなんです。

上野大臣政務官 今お答えをしたとおり、厚労省の統計職員、この十年程度で見ると減少傾向にありますけれども、これはICT化や外部委託といった業務の効率化等に伴うものであります。

 その上で、今般の事案について報告書が出されました。追加報告書においては、今般の事案の背景として、公的統計の意義やその重要性に対する意識が低かったこと、それから、幹部職員の公的統計に対する無関心、それに加えて、組織としてのガバナンスの欠如といった点が指摘をされております。

 こうした御指摘を真摯に受けとめ、厚生労働省として、統計に対する姿勢を抜本から正し、再発防止を徹底するとともに、厚生労働行政の重みに対応した、しっかりとした組織のガバナンスを確立をしていきたいというふうに思っているところであります。

塩川委員 毎勤統計の検討会の追加報告自身も全く納得ができない話であって、そういった点で、厚労省自身の検証が本当に大丈夫なのかということは厳しく言わざるを得ません。

 統計改革推進をして、昨年度以降少しふやしているという話なんですけれども、ここで指摘をしたいのが、骨太方針の二〇一七では、統計改革の推進として、効率化の徹底により官民の統計コストを三年間で二割削減すると、より一層のコストダウンを要求をしています。これは大丈夫なんですか。

横山政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、統計改革の一環として、官民の統計コストを三年で二割削減することが求められています。これは、統計改革の確実な実施に必要となる統計リソースを確保するとともに、そのためにも、オンライン調査の推進、必要性の低下した調査の廃止や調査項目の縮減、データ利活用環境の改善等を行うものでございます。

 これらを通じまして、統計作成者だけではなくて、報告者、ユーザーを含めた官民統計に係る作業等に要する時間コストを削減しようというものであります。

 したがいまして、この取組は、いわば統計リソースの確保といった一体的な取組を指すものでありまして、単なる人員の削減を行うものではありません。

塩川委員 官民の作業時間のコスト、時間換算で絞り込むという話なんですけれども、でも、統計リソースの確保といっても、人減らしが更に進むんじゃないのかという懸念が拭えないんですけれども、そこはどうなんですか。

横山政府参考人 あくまでもこれは時間コストに係るものでありまして、例えば利用者側からしますと、統計を利用するダウンロードにどのぐらい時間を節約することができるか、又はどのように統計を見やすくするか。さらに、報告者側から見ますと、どれだけわかりやすく調査票を書くことができるか。そういう利便性を含めた時間コストの削減というものもございます。

塩川委員 ですから、民間側が報告するのに手間取るようなことを減らしましょう、あるいは利活用が進むようにさまざまな工夫をしましょう、それはわかる話なんだけれども、官の方についての時間コストの削減というのが人減らしにならないのかというのは懸念が残るわけです。

 地方の問題も極めて重大です。地方の統計職員も、この間減ってきているわけですけれども、国庫負担で人件費を出している都道府県の統計専任職員の定数というのは、この間でどれだけ減っているのかを示してください。

横山政府参考人 お答えします。

 二〇〇四年では六千二百四十一人で、二〇一八年には千九百四十人となっております。

 ただ、これにつきましては、例えば農林水産省において、統計専任職員であった方が食品の安全を兼務することによって統計専任職員として外れたということが極めて大きい影響を与えております。

 その一方で、統計環境をめぐる状況は厳しくなっておりまして、プライバシー意識の高まりとか、又は統計調査員の高齢化という問題もあります。

 こうした地方公共団体の中で、新たに取り組もうとするところにつきましては、平成三十年度から、こうした調査環境の改善や統計調査員の確保のための取組を行う都道府県に、試行的に職員を追加的に増員を始めているというところでございます。

塩川委員 そもそも、どんどんどんどん減らしているというのは、国家公務員の削減計画に準じての措置なんですよ。ですから、今でいえば、定員合理化計画が行われています。五カ年で一〇%という合理化を図るということですから、直近でいえば、地方統計職員、統計専任職員についても、百八十一人の合理化を図るという目標を持ってやっているから減っているんですよ。ですから、国の定員合理化計画に準じて地方の統計専任職員も減り続けるということになっているわけです。

 宮腰大臣にお尋ねしますけれども、このような、二〇一五年度から二〇一九年度までの定員合理化計画がかかっていて減り続ける、極めて不十分だけれども国の職員はちょこっとふえているのかもしれないけれども、このままだと地方の統計専任職員は減り続けることになるんじゃないですか。これはこのままでいいのか。定員合理化計画の枠をはめるのをやめるという措置だって考えるべきだと思うんですが、いかがですか。

宮腰国務大臣 国家公務員の定員につきましては、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づきまして、行政機関全体で計画的に合理化に取り組んでいるところであります。

 この定員合理化の取組は、既存業務の見直しを進めることによって生まれた原資を活用し、新たな行政課題に対して必要な増員を行うためのものでありまして、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対処できる体制の構築を図るために、今後も維持する必要がある仕組みであるというふうに考えております。

 今ほど事務方の方からも答弁の中でありましたけれども、一方で、平成三十年度においては、調査環境の改善や統計調査員の確保のための先行的な取組を行う県に対しまして、試行的に加配が行われたと承知をいたしております。

 この定員合理化計画そのものについて、今後も維持する必要がある仕組みであるというふうに考えております。

塩川委員 私は、だから、定員合理化計画そのものを撤回しろと言っているわけですけれども。

 少なくとも今の宮腰大臣の話でいえば、役所の中で必要なところに再配置をするという趣旨で言っているんだけれども、国がお金を出している地方の統計専任職員については、どこかに人が回る話じゃないんですよ。減るばかりなんですよ。これが定員合理化計画に準じて行われているからなんです。これをそのまま容認していたら、減り続けるだけなんじゃないですか。

 今の計画でも、定員合理化計画、五年が二〇一九年度で終わりますけれども、その以降の五年間も、引き続き定員合理化計画をやりますと決めているわけですよね。ですから、ずっと減り続けるという話になるんじゃないですか、それでいいのかというのを、定員合理化計画も所管する宮腰大臣にもう一度お尋ねしたい。

宮腰国務大臣 県によっては、兼任職員という形で、統計の仕事とそれ以外の仕事を兼任しながらやっているということもあります。

 農林水産省の統計事務所が、廃止になって、農政事務所というふうになったときに、それまで統計の事務に当たっておいでになった方々が、例えば消費、安全の事務に当たるということになって、あるいは一部兼任というようなことにもなっておりまして、いろいろな方策は考えられるのではないかなというふうに考えております。

塩川委員 それは、事実と違うんじゃないでしょうか。統計専任職員は専任なんですよ。兼任じゃないんですよ。市町村はいろいろ現場の担当があるんだけれども、都道府県に配置をされている統計専任職員は専任なんですよ。だから、減り続けるしかないんですよ。ちょっと今の間違いを直してもらった上で、これに即した答弁をもう一回お願いします。

横山政府参考人 済みません。

 統計専任職員につきましては国の定員ではありませんで、あくまでも予算措置を講じて行っているという類いのものでありまして、総務省と財務省は、何人にするかということを決めるものでございます。

 それで、済みません、先生に対して、事前通告がなかった問いで、ちょっと慌てて答えてしまったんですけれども、都道府県の専任職員につきましては、二〇〇四年は二千二百四十二人で、二〇一八年は千六百七十一人という形で、確かに減っています。ただ、減っていますが、この二年間は、財務省との関係で増員も認められている、こういう状況にあります。

塩川委員 説明になっていないんだけれども。

 増員といっても五人程度で、減る中で、減っているのは変わらないんですよ、減っているのは変わらない。だから、そういう意味でも説明になっていないし、統計専任職員の予算措置、承知していますよ。非常勤の人もいる、事務補助なんかもあると。だけれども、ほかのまでできるという話はないでしょう。そんなことを認めているんですか。それは違うんじゃないですか。それだけでも正しておいた方がいいんじゃない。

牧原委員長 申合せの時間が経過をしております。答弁は簡潔にお願いします。

横山政府参考人 お答えします。

 統計専任職員は、専任という名前のとおり、ほかの職の兼務は認めていないということを申し上げさせていただきたいと思います。

塩川委員 そういうことを踏まえて、減らし続けるようなことはやめるべきだ、このような統計コストの削減方針の撤回をするということを求めて、質問を終わります。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 今、塩川委員からも統計の調査の人員に関する質疑がありましたけれども、きょうは大阪府の、国から委託を受けた大阪府の方、調査員でも、やらないといけない調査をやっていなかったというのが発覚して、きょうニュースにもなっていました。やはり、人員不足でもう回らなくなって、そういった不正といいますか、手を抜いた調査をしていたことがきょうのニュースでも出ておりました。ぜひ真剣に、統計に関するやり方をしっかりと考えないといけないんだろうなというのを改めて思った記事でした。これは通告も何もありませんから、言うにとどめたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうは、何問か質疑をしていきますけれども、まず一つは、マイナンバーカードについての質疑です。

 未来投資戦略二〇一八というものを掲げて、かなり、私から見れば、政府も意欲的にこのマイナンバーカードを使っていこうと。当然、制度設計した当初はかなり広範囲な用途を想定をして、そういうものに対応できるようなものをつくったというふうに私も思っております。

 ただ、そうはいうものの、予算委員会等でも、私もそうですし、我が党の同僚の足立委員からも指摘をさせていただいていますけれども、何かいまいち、マイナンバーカードをもっと使えばいいのに、なかなか前に進まないという現状があるように私は思っています。

 今国会では、保険証をマイナンバーカードと連動させる、検討するということで、非常に大きな前進だとは思うんですけれども、各省いろいろ、マイナンバーカードを利用してどういうことをしていく、どういうことをするという、未来投資戦略二〇一八というのでいろいろ書いているわけですね。

 その各省の進捗、検討状況というのを、まず、恐らくかなりの数、検討とかそういうのがありますので、答弁、少し長くなるとは思いますけれども、それをちょっと教えていただけますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーそのものは、法令に定められた社会保障、税、災害分野の行政事務以外を提供することはできませんが、マイナンバーカードは、日本国内の住民が誰もが無料で取得できる唯一の公的な文書でございますので、対面やオンラインでの本人確認に広く民間利用もできるということでございます。また、ICチップの空き容量につきましても、民間開放されておりますので、社員証や入館証として民間で利用することが可能でございます。

 委員御指摘ございましたマイナンバーカードを活用した利活用将来像といたしまして、インターネットバンキングの利用、自治体ポイントの利用など、マイナンバーカードの本人確認機能の利活用事例を示しておりますが、例えば、インターネットバンキングの利用につきましては、世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画におきまして、金融庁を主担当、総務省を関係省庁として、銀行等において、公的個人認証を用いて容易にオンラインで本人確認手続を行うことができる環境を整備するために、アクセス手段を多様化する取組を進めるなど、公的個人認証を用いた本人確認の導入、拡大に向けた対応を逐次促進、これにより、利用者の手続簡略化等による銀行等の事務効率化、利用者利便の向上を目指すとされているところでございます。

 その進捗状況を把握、KPIといたしまして、マイナンバーカードを活用する銀行数が設定されているところでございます。

 現在、マイナンバーカードの公的個人認証を利用すれば、金融機関でオンラインで口座開設ができ、即時に取引を始められることから、銀行や証券会社での活用が広がり始めているところでございます。

 内閣官房としても、金融庁、総務省と連携して、銀行等に、働きかけに協力してまいりたいと思っております。ちなみに、対応しております銀行は二つ、証券が現状六つでございます。

 また、総務省では、地域経済を応援するために、マイナンバーカードの本人確認機能を利用し、クレジットカード会社や航空会社等が発行するポイントやマイレージを特定の自治体ポイントに交換し、地域の商店等で利用できる仕組みを既に構築してございます。現在、二十社からポイント交換についての協力をいただいているところでございます。

 そのほか、利用、活用の将来像におきましては、例えばワンストップサービスとか、いろいろございます。ワンストップサービスにつきましては、子育て関係のワンストップサービスをマイナポータルという政府のポータルサイト、個人のアカウントみたいなものでございますが、そこで利用できるようにしてございます。

 今後さらに、引っ越しや、あるいは死亡、あるいは介護などについても進めてもらいたいところだと思っております。

 そのほか、チケットレスサービスとか、それから健康、医療情報へのアクセス、それから災害の避難指示、見守り等が挙げられてございますけれども、現状、民間につきましては、チケットレスサービスについて民間で現在やっているところはございません。そのほか、医療、健康情報へのアクセスにつきましては、マイナポータルを通じて健康情報をとるようなことを現在検討中でございます。

 いずれにいたしましても、これらのことを、これ以外にもいろいろございますが、民間も多数かんでいるところもございますので、各省と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

浦野委員 答弁の中で民間の話にも触れていただきましたけれども、民間業者も、ICチップの中に容量がちゃんと余裕を持たせてあって、そこを民間で利用できるようには開放はしてあるわけですね。

 いろいろな使い道はあるとは思いますので、これからいろいろと出てくるんだろうとは思うんですけれども、ヒアリングをさせていただいて、この質問通告でいろいろお話を聞いたときに、やはり、マイナンバーカードが普及していたら、こういうのに使いたい、ああいうのに使いたいという提案はたくさんある。要は、もう卵が先か鶏が先かというお話だったと思いますけれども。例えば三千枚以上マイナンバーカードが発行されていたらこういうサービスを提供したいとか、そういう提案はあるということなんですけれども、これは、逆にやはり、こういうサービスを受けられる、こういう便利なことに使えるんだというのがあって初めてマイナンバーカードをみんな発行するんだと思うので、そこはもうちょっと民間を巻き込んでやっていただけたらなと思います。

 私の地元の自治体も、地元の自治体言うたら自分の住んでいる市になっちゃうので、ばれてしまうので、松原市というところですけれども、担当の人たち、市の担当者の方々も、これは何とか、せっかくマイナンバーカードがあるのに、これは使い出したら便利やというのは市の職員もみんなわかっているわけですね。なのに、なかなかみんな発行してくれない。発行しなくても、番号があればある程度用途が済ませられる。しかも、仮で出しているやつはずっと使える。ところが、マイナンバーカードは、発行してしまうと、期限が設けられていて、更新を、ICチップは五年でしたっけ、そういう更新をしないといけないという、面倒くさい手続までまた、本チャンのカードがむしろ面倒くさい手続がふえてしまう、そういうところを何とかなりませんかねみたいなことをやはり市の担当者もおっしゃっていました。やはり、利便性が上がれば、みんな使うようになると思います。

 これは、今、チケットの転売とかコンサート会場の本人確認で使われるようになっているそうなんですけれども、聞くところによると、ついこの間引退をされた大物歌手と言ったらもう誰かわかっちゃいますけれども、名前は言いませんけれども、例えばそういう方のコンサートは、本人確認できるものを持っていかないと会場に入れない。ある子供が療育手帳、子供さんですから免許証とかそういうものは持っていませんから、療育手帳を持っていって本人確認をしてほしいと言ったら、できません、これは本人確認のものではないですというふうに言って断られた。では子供たちはどうしたらいいんですかということだったらしいんですけれども、マイナンバーカードをとってくださいというふうに運営側から言われたと。

 確かに、子供でもマイナンバーカードは発行できますので、とれますので、そういった意味では、そういういわゆる免許証とか保険証とか、大人が大体普通持っていそうな、身分を証明できるようなものというのを子供として持たそうとすれば、やはりマイナンバーカードが今一番有効なんじゃないかなということらしいんですね。

 それで、その話を聞いて、そうしたら、アイドルに会いに行っている若い子とかでも、そのうち、本人確認のためにマイナンバーカードをみんなとるようになるんじゃないかなというふうに、むしろ、我々の世代よりももっと若い世代がマイナンバーカード普及率がめちゃくちゃ上がっていくんじゃないかなというふうにも思います。

 もう一つ聞いたところでは、レンタルビデオ屋さんで、子供、それなりの年になればいろいろなDVDとかを借りに行く。そのときも、本人確認が学生証とかではしてもらえないから、そういう子供らもマイナンバーカードを発行して、マイナンバーカードが自分の証明書になるので、それでそういうレンタルビデオ屋さんとかに行って会員カードをつくって利用しているんだと。

 何か本当にちょっと、だんだんだんだん自分が年をとってきたなというふうに、そういう話を聞くと思ってしまいますけれども、何かそういう、自分たちがああなるほどと思うようなマイナンバーカードの利用の方法が、若い世代には、もう勝手に、勝手にという言い方は適当じゃないかもしれないですけれども、しっかりと普及していっているんやなというのは、改めて、お話を聞かせていただいて、びっくりいたしました。

 私の子供も四月から中学生なので、マイナンバーカードをとると言い出したら、ああ、何かやろうとしているなというのが、多分ビデオ屋さんで何かビデオを借りに行くのかなとか、何かでマイナンバーを使おうとしているんやなというのはわかるので、それはそれでいいなとは思いますけれども、余り自分の子供のことをばらさぬようにしますけれども。

 ということで、マイナンバーカードは普及はこれからどんどんしていくでしょうけれども、やはり、これも私、予算委員会で少し、苦言というか、申し上げましたけれども、省益で、自分たちの既得権を侵されるのが嫌で各省庁が実は抵抗しているんじゃないかという疑いすら私は持っていますので、やはり、政府としてぜひ、これはもう導入した以上は便利になるように普及をどんどんしていただけたらと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、企業主導型保育所についてなんですけれども、これは午前中も、山尾委員も、その前の阿部委員も取り上げてやっていました。

 このきょうの午前中の指摘も、私は本当に傾聴に値する議論だったと思うんですね。やはり一番危惧しているのは、真面目にやっている企業主導型保育所の皆さんがあらぬ疑いをかけられるというのだけは本当に残念なことで、そのためには、私は企業主導型の保育園の経営者の皆さんとも日ごろ意見交換もさせてもらったりしましたけれども、やはり、自分たちでまずはしっかりと、ちゃんと運営していくんだと。それで、保育の質もしっかりと自分たちで自己研さんして上げていく、そして業界として自助努力でレベルを上げていくということをやはりしないといけないということで、みんな努力はされているわけですね。しかし、一部の不届きな企業によって、そういう悪いイメージを植え付けられる。

 これは、待機児童解消のためにも資する、当然、きょうの山尾さんの指摘にもありましたけれども、そういう目的も含まれているわけですから、この制度がそういった一部の人たちのせいでこけてしまうと、待機児童がまたふえる、今度は入れない子供がふえてしまうんですね。だから、私は、それはやはり避けるべきだし、しっかりと企業主導型保育所が自立してやっていっていただかないといけないというのはあるんですけれども。

 私は、これは監査がしっかりできているか、もし監査がしっかりできておったら、そんな変な保育所なんて淘汰されるはずなんですよ。なのに、淘汰されない。いろいろな問題を抱えて、発覚したときには、もう逃げていたり、もう畳んでいたりするわけですね。私は、この監査がまともにできているのかどうかというのを非常に危惧しています。

 この質疑をすると、隣に座っている塩川先生が、だからこの法案審議したときに指摘したやんかと、えらい怒られるんですけれども、僕も。そのとおりなんですけれどもね、心配していたことが起こっているじゃないかというふうに言われるんですけれども。

 要は、監査、きょうの阿部さんの指摘の中にも大きく取り上げられましたけれども、その監査指導を委任、委託しているところがほんまに大丈夫なのかと。具体的に言うと、パソナフォスターですね、株式会社パソナのグループ会社ですけれども、ここに委託をされていると。

 これは予算も、午前中の質疑で、平成二十九年に三億円、三十年に六・九億円、予算がついています。

 これで、今、物すごく数がふえている企業主導型の保育所全部をほんまにしっかり監査できているのかと言われると、絶対できていないです。間違いなくできていないです。これだけの認可の数、人数も今確認しましたけれども、これだけの人数で、全国これだけある主導型保育所を監査できるわけがありません。

 しかも、監査に来られたことがある経営者の方がおっしゃっていました。めちゃくちゃ態度が悪い。監査しに来る人の態度がめちゃくちゃ悪い、もうめちゃくちゃ腹が立つと。めちゃくちゃ上から目線で、ああだこうだ言ってくる、おまえらに何がわかるねんという話をされていました。

 だから、私、これはちょっと、監査のあり方については真剣に議論していただきたいんです。これを例えば行政がまたやりますとなると、行政自体も監査でもういっぱいいっぱいなんですよね、実際。認可保育所の数だけでも、正直、地元自治体は、監査、あれは年に一回、本当は監査しないといけないんですけれども、できていませんから、もう既に。だから、主導型保育所までやりましょうとなると、すごい数になってしまうでしょうから、私、行政でもなかなかできないんじゃないかと思うんです。

 やはり監査の仕方をちょっと検討すべきだと思うんですね。これは、ちょうど立憲民主党の早稲田さんの質問主意書で、三十年の十一月二十日に質問主意書が出されていて、この質問主意書と答弁書を読んだらすごくわかりやすいんですけれども、本当にこの主意書の中身を見ても、監査のあり方については考えさせられる部分がたくさん出ていますので、この監査の部分について、どういうふうにこれからしていくかというのをちょっとお答えいただけますか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、制度創設から三年目を迎え、さまざまな課題が生じておりますことから、現在、有識者から成る検討委員会において、改善方策について検討をしております。

 委員御指摘の指導監査のあり方については、検討委員会の取りまとめ骨子案において、財務面等の審査や監査を充実させること、地域ブロック別又は業務別の指導監査体制の整備を行うこと、監査結果のフォローアップの充実や必要な場合の国による直接の指導監査を行うこと、実施機関と自治体が指導監査や研修を合同で実施したり、監査結果を共有することなどが指摘されております。

 入り口の審査については、これまでも不明朗ではないかという御指摘があり、今回の取りまとめ案の中では、国は、審査基準、指導監査基準、情報公開基準等の基本ルールを設定し、公表する。その上で、今後は、新設時の審査結果の詳細を事業者へ通知するということになっております。

 入り口のこのチェックについても、審査基準が曖昧であるということから、なぜ審査に通らなかったのかという点について、わからないという方々もおいでになります。つまりは、手を挙げにくいということをおっしゃっておいでになる方々もおいでになりますので、ここは審査基準を明確にし、途中の、基本的に毎年の指導監査基準、これも明らかにし、そして情報公開の基準、これも明らかにすることで、こういう基準をクリアすれば確実に認められるということを明らかにしていきたいと思っております。

 それに加えまして、指導監査についてはなかなか大変だというのはおっしゃるとおりです。現状で、例えば大阪では、実施機関の行った監査結果について、自治体と情報共有をしているというところもあります。

 いろいろな意味で、大きな負担とならないような方法で、いかに正確な監査を行っていくか。それにいたしましてでも、体制の充実というのが確実に必要になってまいりますので、この点も含めて、効果的かつ確実に監査ができるという体制をいかに構築していくかというのは、これからの大きな課題ではないかというふうに考えております。

浦野委員 これは本当に、監査をしっかりやるということが大前提で、そういうできの悪い主導型保育所をそれで淘汰していかないといけないんですけれども、もちろん、認可保育所でもそうですけれども、やはり、自分たちでまずは努力をして質を上げていく。その園をちゃんと運営をしていくというのは当たり前のようにしないといけないんですけれども、そういったノウハウもどんどんこれから積み上がっていくとは思いますけれども、この制度は、私は、いろいろ批判のある部分はありますけれども、これからもちゃんとやっていただきたいと思っているので、しっかり対応していただきたいと思います。

 運営費の支払いの遅延も、これもやはり相変わらず、これも質疑で取り上げられた、過去にもありますけれども、やはり切実な皆さんのお話ですので、ぜひ改善をまたしていただけたらなと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 いろいろ、先ほど取り上げた質問主意書の中に、本当に、ああ、これは僕も質問したいなと思うことがたくさん載っているんですけれども、それは多分、僕が質問したら早稲田さんに怒られますので、早稲田さんがどこかのタイミングでされるんだろうなと。調べたら、まだこの質問主意書の中の質疑を全然されていませんので、ぜひこれからされていくんだろうなと思っていますので、これはもうきょうはここまでにしておきたいと思います。

 次に、児童相談所のあり方について、あり方についてといいますか、これは弁護士の常勤配置についてだけ、ちょっときょう一言、一言というか、お聞かせいただきたいなと思っているんです。

 これは、この国会で児童虐待防止法の改正をするんだという機運が非常に高くなって、きのうですかね、与党間でもそれをしようということでニュースにもなっていました。

 私、今、ずっと児童虐待にかかわってこさせていただいた中で、私自身も、相談所における弁護士の常勤配置をするべきじゃないかというふうにずっと言っていたんですね。

 ところが、この間の中央公聴会で、大阪のセンター長、江口さんだったと思いますけれども、中央相談所のセンターの所長さんがおっしゃるんですけれども、弁護士の常勤配置はやめた方がいいと。そのときにも理由をいろいろ述べられていましたけれども、大阪は、弁護士会と協力をして、輪番、点ではなくて面でしっかりと、弁護士会と相談をして派遣をしてもらって、それで回している。江口さんは大阪方式というふうな言い方をされていましたけれども、その方が弁護士の皆さんにとってもいいし、児童相談所側にとってもそれで回れるようにした方がいいんじゃないかという指摘をされていました。

 その点について、恐らく今議論されているのは常勤配置にすべきだというのが大半ですので、弁護士の人的な、そういう余裕のあるところは、大阪とか東京とかそういう都市部は、例えば、ではそうやって回しましょうとやってもできる可能性がありますけれども、もともと弁護士の少ないところなんかはそれはなかなか厳しいかもしれないし、場所によっては常勤の方が人はちゃんと雇えるんだ、手当てができるんだという可能性もあるので、私は、これは常勤というふうに決めるんじゃなくて、その地域に合ったやり方を選べるようにしていただけたらいいんじゃないかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 児童相談所におきまして法的な知見を踏まえた対応ができるということは非常に重要でございます。このため、平成二十八年の児童福祉法の改正におきまして、児童相談所における弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うこととしたほか、弁護士の配置費用の補助などによりまして体制整備を支援しているところでございます。

 委員御指摘ございました先日の中央公聴会におきましては、江口公述人から、大阪府での取組といたしまして、弁護士の勤務形態について多様な形態とするということで、幅広く専門性を有した人材を確保することができること、ベテランの弁護士や若手の弁護士が一緒に活動いただくということで持続可能な仕組みになる、これらの仕組みによって、日常的に弁護士とともに対応できるなどのメリットがあるということが紹介されたものと承知をしております。

 厚生労働省といたしましても、児童相談所におきまして、日常的に弁護士とともに対応できる体制整備、これは非常に重要なことだというふうに考えておりますので、大阪府の取組も含めまして、自治体の御意見もよくお伺いしながら、よりよい仕組みを具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。

 児童相談所の体制強化や人材の資質向上を図るため、今国会に提出を予定しております児童福祉法等の改正法案におきまして、必要な措置を急ぎ検討してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

浦野委員 この点はぜひ検討していただけたらと思います。やはり現場の声というのは非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、宇宙政策についてなんですけれども、これは「はやぶさ2」のことで、今、非常に世界的にもニュースになりましたし、また、今、次の挑戦に向けて進んでいるということですけれども、日本はJAXAが主体になって、そういった世界最高水準の技術を確立をしていっています。

 一方、アメリカの民間企業、これはスペースXですけれども、この間、宇宙ステーションと初めて民間の宇宙船がドッキングをしたというニュースがありました。これは、一ベンチャー企業ですよね。日本でも、民間の宇宙関係の企業といえば、たしか堀江貴文さんの会社もあったと思いますけれども。

 私、一方では、民間の企業がそうやって世界ではどんどんどんどん宇宙に進出していく中で、日本も、もちろんJAXAという非常に大きな技術を持っているところも大事なんですけれども、民間企業としっかりと手を組んで、宇宙政策、世界的に見れば、日本は別におくれているとは思わないですけれども、おくれているという方もいらっしゃいます。そういったことも含めて、民間とタッグを組んで、これからもっともっと、日本の持っている技術というのを宇宙開発、宇宙政策のために広げていくということをしないといけないと思っているんですけれども、その点についてどうお考えでしょうか。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、近年、大企業からベンチャー企業まで、さまざまな主体によりますロケットや人工衛星の開発等が活発になってきております。また、農業や交通、防災、そういった多くの分野で、衛星データを活用した民間ビジネスも新たに創出をされてきているところでございます。

 また、宇宙政策委員会におきまして、平成二十九年に取りまとめられております宇宙産業ビジョン二〇三〇におきましては、宇宙産業の市場規模を、現在の一・二兆円から、二〇三〇年代早期には倍増させるということを目標としております。これを実現するべく、政府におきましては、資金面でのリスクマネー供給でありますとか専門家のマッチングの支援、技術実証の支援など、企業の成長段階に応じたさまざまな支援を積極的に進めているところでございます。

 具体的には、日本政策投資銀行、産業革新機構によるリスクマネーの強化でありますとか、宇宙を利用したビジネスアイデアを募集するコンテスト、エスブースターと呼んでおりますけれども、三回目の本年は、先週、三月の一日に募集を開始をしております。

 さらに、経済産業省が進める政府衛星のデータのオープン化、フリー化の取組と連携をいたしまして、新たな価値の創造に向けた衛星データ利用に関する技術実証の支援、さらに、コンセプト立案の段階からJAXAと企業が共同して事業化を目指す宇宙イノベーションパートナーシップ、J―SPARCと呼んでおりますけれども、を実施をするとか、関係機関と連携をして、さまざまな取組を進めているところでございます。

 これらを通じまして、宇宙産業における民間事業の取組の拡大を鋭意支援してまいりたいと考えております。

浦野委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 最後に、IRについて質問をいたします。

 質問いたしますといいますか、今の進捗状況ですね、それを、どうなっているのかをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本型IRは、国際会議場ですとかあるいは家族で楽しめるエンターテインメント施設など、そういう誘客施設と、それから収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営されることにより、これまでにないスケールとクオリティーを有する総合的なリゾート施設を整備することにより、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を目指すものでございます。

 政府といたしましては、昨年夏に成立したIR整備法に基づきまして、まず第一に、一昨日まで、三月四日までIR整備法施行令案のパブリックコメントを募集するなど、現在、政令の制定作業を進めております。また、そのほか、来年度に予定しているカジノ管理委員会の設立や基本方針の策定に向けた準備をしてございます。

 政府といたしましては、できるだけ早期にIR区域の整備による効果を発現させることが重要だというふうに考えてございますので、着実に所要の準備を進めてまいります。

浦野委員 ありがとうございます。

 このIRの話になれば、必ずギャンブル依存症対策という話ももちろんしないといけませんけれども、このギャンブル依存症対策についても、今どういう進捗状況なのかをお聞かせいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症対策は、昨年七月にギャンブル等依存症対策基本法が成立する前の、それより先立って、平成二十八年十二月に、政府としては関係閣僚会議を設け、公営競技、パチンコにおけるアクセス制限、あるいはパチンコの出玉規制などの射幸性の抑制、治療、相談体制の充実、消費者教育などに取り組んできたところでございます。

 今般、この基本法が成立したことを受けまして、依存症対策を総合的かつ計画的に推進する観点から、政府に、官房長官を長とする推進本部が設けられました。また、ここに御在席されている宮腰国務大臣が、閣僚として御担当でございます。

 依存症対策は喫緊の課題でございますことから、基本計画を速やかに策定して、その実施を推進することが極めて重要だというふうに考えてございます。正式に立ち上がりましたギャンブル等依存症対策関係者会議の中で、改めて関係者の皆様の御意見をしっかりと聴取して、充実した基本計画を策定してまいりたいというふうに考えてございます。

浦野委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ギャンブル依存症対策、しっかりと進めていただきたいなと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、内閣提出、警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山本国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 警察法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本国務大臣 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、警察運営の効率化を図るため、警察庁の組織について、警備局に警備運用部を設置するとともに、中国管区警察局及び四国管区警察局を統合して中国四国管区警察局を設置する等の改正を行うことをその内容としております。

 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、警察庁警備局に新たに警備運用部を設置し、その所掌事務を定めるものであります。

 第二は、中国管区警察局及び四国管区警察局を統合して中国四国管区警察局を設置するとともに、管区警察局に警察支局を置くことができることとするものであります。

 このほか、警察庁長官官房の所掌事務の変更その他所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律の施行日は、平成三十一年四月一日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。

牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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