衆議院

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第13号 平成31年4月17日(水曜日)

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平成三十一年四月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      西田 昭二君    松野 博一君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    村井 英樹君

      今井 雅人君    大河原雅子君

      岡本あき子君    近藤 昭一君

      篠原  豪君    初鹿 明博君

      山尾志桜里君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      佐藤 茂樹君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山本 順三君

   国務大臣

   (海洋政策担当)     宮腰 光寛君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (クールジャパン戦略担当)            平井 卓也君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (男女共同参画担当)   片山さつき君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府副大臣       牧野たかお君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣審議官)           時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣審議官)           二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   中村  格君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    北村 博文君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小山  智君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 赤澤 公省君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    米村  猛君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           海谷 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           田尻 直人君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     宮路 拓馬君

  高木  啓君     木村 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     高木  啓君

  宮路 拓馬君     上杉謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     金子 俊平君

    ―――――――――――――

四月十六日

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 この際、牧野内閣府副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。牧野内閣府副大臣。

牧野副大臣 このたび内閣府副大臣に就任いたしました牧野たかおでございます。

 特定複合観光施設区域の整備に関する事務を担当いたします。

 石井大臣を支えて全力で取り組んでまいりますので、牧原委員長を始め理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。

牧原委員長 牧野副大臣はどうぞ御退室をください。

     ――――◇―――――

牧原委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣審議官時澤忠君、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣審議官二宮清治君、内閣官房内閣審議官諸戸修二君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府男女共同参画局長池永肇恵君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府知的財産戦略推進事務局次長川嶋貴樹君、警察庁長官官房長中村格君、警察庁交通局長北村博文君、復興庁統括官小山智君、総務省大臣官房審議官多田健一郎君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、総務省大臣官房審議官赤澤公省君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君、外務省大臣官房審議官塚田玉樹君、外務省大臣官房参事官安藤俊英君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、文化庁審議官杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、水産庁漁政部長森健君、特許庁総務部長米村猛君、国土交通省大臣官房審議官海谷厚志君、国土交通省大臣官房審議官寺田吉道君、国土交通省大臣官房審議官田尻直人君、観光庁審議官秡川直也君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省地方協力局次長田中聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。

西田委員 おはようございます。自由民主党、石川三区の西田昭二でございます。

 本日は、平井、そしてまた宮腰大臣にお越しいただき、内閣委員会において質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 先ほど、たくさんの参考人の方々の御列席のもとでありますが、私自身も幅広い形で質問をさせていただきたいと思いますし、全国では春らんまんの中で統一地方選挙が行われているところでございます。私も、地方議員出身者として、地域の思いを少しでもつなげられるように質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、今月、四月一日に、菅官房長官より、新元号が令和と発表がございました。今日までに、さまざまなお祝いの行事や、天皇皇后両陛下への感謝の思いを込めた行事が国内で行われているところでございます。

 そして、四月三十日には今上陛下の御退位、そしてまた五月一日には皇太子殿下の御即位が行われるわけでございます。このたびの御退位と御即位というのは、我が国にとっても約二百六十年ぶりのことでありますとともに、日本人にとって大変おめでたい、国を挙げたお祝いの日となります。

 また、菅官房長官から発表がありました新元号の令和は、既に国民に受け入れられ、翌日四月二日の報道では、七三・四%の国民が新元号に対して好感が持てると答え、一週間後の四月八日には、八七%の国民が新元号について支持しているとの報道がございました。まさにこの報道を見ても、このような短い期間で既に大変多くの国民に新元号、令和は浸透し、愛されております。

 そのような我が国、我が国民の思い、そしてまた我が国の歴史に水を差すような話が報道をされております。

 報道によりますと、日本の新しい元号が令和となることが一日に発表された、発表後、多くの企業が新しい元号にちなんだ商品やサービスを打ち出したが、元号にちなんだ商品名やサービス名は広く使用できるよう商標登録は基本的に不可能となっている、一方、中国国内では新元号の発表前から既に令和という商標が登録されていたことが判明をしている、これについて、中国メディア捜狐は七日、中国で令和を商標登録していた権利保持者が値段次第では売却する意向を示していることを伝えた、中国ではこれまで日本企業の商標が勝手に登録されトラブルになるケースが多発していたが、今回の場合は、記事も指摘しているとおり、元号の発表前に取得されたものであるため、悪意のあるものではないと言えるとありますが、このことについてしっかりと事実確認、現状把握はできているのか、また今後の対応等についてお伺いをさせていただきたいと思います。

米村政府参考人 お答えを申し上げます。

 第三者が日本の地名、地域ブランド名、著名商標等を出願、登録する、いわゆる冒認商標出願と言われる問題は、現地での日本企業のビジネスに支障を来す大きな問題だと認識をしております。

 御指摘の中国の令和の商標登録につきましては、一昨年に出願がされまして、昨年十月に登録されております。新元号の公表以前に手続が行われたことを踏まえますと、冒認商標出願ではないと考えられるところではありますが、いずれにいたしましても、特許庁は、先ほど申し上げた冒認商標出願への対策として企業支援の施策などを実施しております。

 例えば、まず、ジェトロ北京事務所に知財の専門家を配置いたしまして、現地での情報収集、日本企業支援を行っております。特に冒認商標出願に関しましては、特別の相談窓口を設置いたしまして、現地法の専門家が個別相談に応じております。さらに、法的な対応策を紹介するマニュアルなどを提供するなど、企業への情報発信に努めております。

 また、冒認出願への対策としては、ユーザーが現地で商標の権利をきちんと取得することがまずもって重要でありますことから、中小企業に対しまして、海外での出願に要する費用の補助、さらには海外での権利侵害への対策に要する費用の補助も行っているところでございます。

 引き続き、これらの支援を実施いたしまして、冒認商標対策に取り組んでまいりたいと思います。

西田委員 今御説明いただいたわけであります。

 まさに、元号は、我が国の根幹とも言える、国民にとっても大切なものでありますし、日本の企業の不利益にならないように、政府として今後とも引き続きしっかりとした対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、地方創生の関連で質問させていただきたいと思います。

 昨今の報道でもよく取り上げられておりますが、ふるさと納税の返礼品のあり方について伺いたいと思います。

 ふるさと納税の定義については詳しく述べませんが、ふるさと納税は、納税者と自治体が互いの成長を高める新しい関係を築いていくこと、自治体は納税者の志に応えられる施策の向上を、一方で納税者は地方行政への関心と参加意義を高める、いわば自治体と納税者の両者がともに高め合う関係でございます。一人一人の貢献が地方を変え、そして、よりよい未来をつくる。全国のさまざまな地域に活力が生まれることを期待しております。

 ただ、一方で、ふるさと納税に係る返礼品について、通知に従わず、返礼割合を三割超えとしている地方団体、地場産品以外の返礼品を送付している地方団体をめぐる問題がございます。とある自治体の返礼品の件においても、昨日も報道等で大きく取り上げられております。

 予算委員会の分科会でも質問をさせていただきましたが、改めて地方創生の観点からお伺いをさせていただきます。

 返礼品の割合を三割とした理由についてと、また、その時々で相場が変動する地場産品、特産品を返礼品として自治体が定めた場合に、時期により三割を超えてしまうことがあると思いますが、その対応はどのようになるのか。あわせて、温かい対応をお願いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 返礼割合につきましては、平成二十九年四月の総務大臣通知を発出する際に検討し、ふるさと納税の募集に際して、過度な返礼品を送付せず平均的な取組を行っていると考えられる地方団体における返礼割合がおおむね三割であったこと等を踏まえ、少なくとも三割以下という基準を設定したところでございます。

 その後、累次にわたり、返礼割合を三割以下とするよう、地方団体に対して良識のある対応を要請してきた結果、現在、ほとんどの団体の返礼割合が三割以下となっております。

 また、それに加えまして、地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金のうち少なくとも半分以上が寄附先の地域の活性化のために活用されるべきと考えており、返礼品の調達以外の送付料等の費用が平均で二割弱であることを踏まえ、返礼割合三割以下としたものであります。

 今回のふるさと納税の見直しは、各地方団体が行う募集の方法について、法律上、一定の客観的なルールを設けることで、制度趣旨に沿った運用を実現しようとするものであり、これにより、ふるさと納税制度が健全に発展をする、こういったことを期待しております。

 それから、相場が変動する特産品を返礼品とした場合に、時期により返礼割合が三割を超えてしまう場合ということでございますが、この返礼割合三割のいわゆる分子に当たる返礼品の調達費用について、今国会における改正後の地方税法においては、個別の寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額としております。この調達に要する費用の額とは、基本的に、個別の返礼品に対して地方団体が支出した額となるものでございまして、御理解をいただきたいと思います。

 したがいまして、一件一件の寄附に対する返礼品の返礼割合を三割以下にしていただく必要があるものでございますが、地方団体における具体的な返礼品の調達の一例として、一定の数量をまとめて調達することで調達に要する経費を安定させることや、価格変動により数量や内容に変更があり得る旨をあらかじめ寄附者に周知すること、こういったことに取り組んでいる地方団体もあると聞いているところでございます。

西田委員 一定の割合で数をそろえられる返礼品であったり、そしてまた、地方自治体も、大きなところであれば幅広い返礼品を用意できると思いますし、また、財政が脆弱な小さい自治体であれば特産品も大変極めて少ないわけでありますが、本当に真面目に取り組んでいる、そしてまた真摯に取り組んでいる、そういったところをしっかりと見きわめていただいて、数少ない中の返礼品を用意している自治体には少なからずの配慮や温情をいただければ、決して悪意なものでない限り、そういったものの判断を少しでもしていただきたいと思いますし、温かい対応をぜひともこれからもお願いしたいと思います。

 次に、地場産品の定義についてでありますが、地場産品については、豊富な特産品を持つ自治体、そうでない自治体の格差が生じる懸念があるという意見も先ほども申し上げさせていただきました。私の地元、石川県では、多くの地場産品や特産品がございます。そのおかげで、ふるさと納税は比較的に好調だと聞いているところもあります。

 返礼品の中で、特に加工品について、全国的に小さな自治体では心配している事案があると聞いております。

 その一つの例として、原材料は自治体で生産をしているが、加工する工場が自治体ではなく、隣接する自治体や少し離れたところで加工し、商品となるといったような品物は地場産品として認めてもらえるのかどうなのか、そういう心配もございます。また、それが認められない場合において何らかの対応策があるのか、伺いたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる地場産品につきましては、今国会における改正後の地方税法におきまして、当該地方団体の「区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであつて、総務大臣が定める基準に適合するもの」と規定しており、この総務大臣が定める基準として、四月一日に総務省告示を定めたところでございます。

 この告示の中で、「当該地方団体の区域内において返礼品等の原材料の主要な部分が生産されたもの」についても規定をしておりまして、委員御指摘の、原材料の主要な部分が地元産のものであれば、隣接する他の地方団体にある工場で加工したものであっても、地場産品に該当することになるものでございます。

西田委員 そういう御意見も聞いて少し安心したところでもありますし、また、それを進めていくことによってさまざまな課題や要件が出てくると思いますので、引き続き、温かい制度になるよう、御指導をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、東京オリンピック・パラリンピック大会で来日している選手や関係者に対して振る舞う食事で、もちろん競技前などは、体調管理も含め、管理された食事になるのかもしれませんが、競技が終わった選手などに、日本各地の特産物を食べてもらうことや伝統工芸品などに触れてもらうことにより、我が国の農産物を始めとした特産品を、選手や関係者を通して自国を始めさまざまな国に広めてもらう大きなチャンスとして、各地方の特産品を選手村等で提供できるようなことも考えていただきたいと思っておりますが、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

諸戸政府参考人 お答えを申し上げます。

 東京大会では世界各国から多くの選手や関係者が来航することが見込まれており、委員御指摘もございましたが、日本の食文化はもちろんのこと、我が国の高品質な食材をアピールする絶好の機会だと考えております。

 組織委員会が作成をいたしました飲食提供に係る基本戦略、これでは、地域性豊かな食文化を体感していただくため、メニューとのマッチングを考慮しながら地域特産物を活用する旨が明記をされております。

 昨年十二月の、東京大会における食材提供に関する意向調査結果では、組織委員会の調達基準を満たした地域の食材がかなりたくさん生産されていることを確認いたしております。

 選手村のダイニングなどで大会初となります産地名等の表示が可能となるということを組織委員会に対し確認いたしておりまして、大会関係施設に食材を提供したいという意欲をお持ちの産地の取組の励みとなるような環境整備を進めてまいります。

 現在、組織委員会で選手村のメニュー検討に入っております。全国津々浦々の地域特産物が大会の関係施設で少しでも多く活用されるよう、引き続き、関係省庁と連携しつつ、組織委員会に協力をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西田委員 ただいま御説明いただいて、本当にありがとうございます。

 私ども、地方の各自治体は、やはりスローガンとして、オリンピックに少しでも協力したい、そしてまた、オリンピックに少しでもそういう地域の特産物を提供したい、そういうことが目標でもあり、お題目でもありますので、こういう大会を通じて、選手はもちろんのことでありますけれども、大会に来場していただいた方々に少しでも自国のPR、そしてまた世界に我が国の魅力が発信できるように、何よりも効果的なPRや対策につながることを心からお願いさせていただきたいと思います。

 次に、IR整備推進とインバウンドについて質問させていただきたいと思います。

 IR整備について、特定複合観光施設には、カジノ施設以外に、我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演等による観光の魅力増進施設や、我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、あわせて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊等のサービスの提供を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設が必置とされております。

 国内における観光旅行の促進に資する施設、いわゆる送客機能施設については、外国人観光客の観光先が大都市だけに偏ることのないよう、IR施設から地方都市への観光客を送り出すような機能を持たせる必要があります。

 全国各地の魅力的な観光地や観光ルートを紹介し、IRを拠点にして旅行者が全国に旅立つことができ、全国津々浦々にインバウンドの消費効果が波及することが期待をされておりますが、政府として送客機能の意義と具体的なイメージについてどのように考えているのか、伺いたいと思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備に当たりましては、その効果を全国各地に波及させることが重要であるというふうに考えてございます。

 このため、IR整備法におきましては、各地域の観光の魅力等に関する情報をバーチャルリアリティー等の最先端技術を活用して効果的に提供し、あわせて、チケット手配などのサービスを一元的に提供する送客施設の設置、運営が義務づけられているところでございます。

 今後、国土交通省におきまして区域整備計画の認定を行うに当たりましても、この送客施設の活用によってIRへの来訪客が全国各地の観光地を訪れることを促す内容になっているかをしっかり確認してまいりたいと思います。

西田委員 法案審議の際にもありましたけれども、ぜひとも、設置自治体のみならず、全国にその恩恵が広がるように対策をお願いしたいと思います。

 それに関連して、日本国内に既に入国している旅行者だけではなく、日本に興味を持っている外国の方々や、まだ日本を知らないという方々に対し、日本の魅力、すばらしい文化などを発信し、日本に興味を持ってもらい、未来の日本への観光客になってもらうというような努力が必要と考えますが、政府として、現在どのような方法で海外において広報やPR活動をされているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

秡川政府参考人 二〇二〇年、訪日外国人旅行者四千万人の目標を達成するためには、今委員から御指摘いただきましたように、我が国の多様な魅力を効果的に海外に発信していくことが重要だと考えてございます。

 このため、海外現地にネットワークを持っております日本政府観光局を中心に、四季折々の国内の魅力につきましてウエブサイトやSNSを使って情報発信をすること、それから、現地の旅行会社による訪日ツアーをつくってもらうように促すための、その旅行会社を日本に招いたり、あと商談会を実施したりすること、それから、日本の観光についての情報発信を働きかけるために海外のメディアを日本に招聘すること、それから、比較的人数が少ない欧米豪の旅行者が好むようなアクティビティーや自然に着目したコンテンツなど、日本の旅行先としてのさまざまな魅力を発信するグローバルキャンペーンを展開すること等の取組をやっているところでございます。

西田委員 ありがとうございます。

 また、例えば、総務省、5G実証実験でも使用した、持ち運びができる、簡単に分解や設置ができ、電気さえあればどこにでも、特殊な器具を使わなくても、モニターを見るだけで大勢の人々がリアルな映像を見て体感できる、スフィア五・二やドームワークスなどのような日本のすぐれた技術を活用した海外での広報やPRは非常に有効だと考えます。

 クールジャパン戦略を推進していく一つの手段として有効ではないかと思いますが、また、このほかにも我が国が誇る科学技術を活用したすばらしい製品があると思いますが、あわせてお伺いをさせていただきます。

平井国務大臣 先ほど観光庁さんがお話しになったことも、総務省が進めているいろいろなことも、全て含めてこのクールジャパン戦略とつながってくるというふうに思っています。

 先生が先ほどお話しになったような新しい日本の製品自体も実はもうクールジャパンのコンテンツであり、そういうものを使って海外の方々にPRするというようなことも、そのやり方次第によってはまさに効果があるというふうに思っています。

 今、我々、クールジャパン戦略をこのグローバル化とデジタル化の時代にちょっと見直そうということで、戦略強化のために、外国人の有識者の皆さんを招いてずっと議論を積み重ねてきてまいりました。

 そういう中で、外国人から見た地域の魅力とか祭りとか、そういうものは実はあるんですね。彼らが発見してくれて、彼らがいいと言うもの。中には、みこしの担ぎ手が少なくなっているのを心配していただくような海外の方々もいらっしゃる。

 そういうものをどうやって知るかということに関して言うと、我々が伝えようというより、そういうものに興味を持った方々が自国に伝える、そういうふうに、いわばいろいろな形のインフルエンサーの皆さんのお力というのが大きいと思います。

 その上で、これはもう全て、全般に言えることだと思うんですが、さりとて、やはり海外の検索でひっかかるためには、英語の要するにメタデータを全部つけておくというのは最低な必要条件だなとつくづく思いました。

 そういう意味で、先生の考えておられる新しい技術やデジタル化に対応したいろいろなやはりアイデアというものを、本来の日本が持っている悠久の歴史やすばらしい自然や地域の伝統文化や、そういうものにつなげられていくというようにすることが今後の戦略に重要な点だと考えています。

西田委員 平井大臣、ありがとうございます。

 本当に、このすばらしい映像を直接海外の方々に伝えるということも、日本を知ってもらう大きな手だてになると思いますし、私どもは地域をぜひとも知っていただきたい。先ほど大臣が言われました祭り文化、それは現地に行かなければなかなか体験できないものでもありますが、海外などで、そういう装置で海外の方々に直接臨場感を持って体験していただくということが、日本や日本の地方を思っていただく、大変、一番身近な手だてだと思っておりますので、引き続き、このことがクールジャパンの戦略として、地域の文化遺産やまた祭りを通じて地方の活性化につながるものと思っておりますので、これからも御支援のほどよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、海洋政策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは本当に、私ども地元、私にとってもライフワークの一つでありますけれども、私の地元の石川県の能登半島では、間もなくイカ釣り漁のシーズンを迎えるわけでございます。本年も、六月から漁期の始まる前に、大和堆やEEZ付近で、北朝鮮船籍とも思われる不法操業船の取締りなど、海上の警備を実行していただきたいと思います。

 昨年は、水産庁、海上保安庁の精力的な取締りにより、一昨年に比べて、北朝鮮船籍とも思われる漁船の違法操業に対して非常に大きな成果があったと、地元漁業関係者から感謝の声を聞いているところでございます。

 しかしながら、現状では、外国船籍によるイカやカニなどの乱獲により水産資源が年々著しく低下しており、水産資源の枯渇と、このままでは水産業者の経営が成り立たず廃業との現場の声も聞こえてまいりますし、また、北朝鮮船籍とも思われる木造船が日本海側に大量に漂着し、特に能登半島では多くが漂着し、その処理に各地方自治体が困難をきわめているのが現状でございます。

 政府として、海洋政策の観点から、引き続き力強い御支援と御協力をいただきますようお願いを申し上げるところでございます。

 最後に、宮腰大臣から答弁をお願いしたいと思います。

宮腰国務大臣 日本海の大和堆周辺水域は、我が国の漁業者によるイカ釣り漁業、ベニズワイガニ漁業、それから沖合底びき網漁業が行われるなど、重要な漁場となっておりますが、近年、六月ごろより、北朝鮮籍漁船等による我が国排他的経済水域での違法操業が行われているものと認識しております。また、近年、北朝鮮からのものと見られる木造船が日本海沿岸を中心に多数漂着しているものと承知をいたしております。

 まず、違法操業に対しましては、漁業者を始めとする国民の安全、安心の確保の観点から、政府としてこれを重要な課題と認識をし、水産庁と海上保安庁が連携して取締りを行っているところでありまして、引き続き、連携の強化を図り、的確な海上法執行に取り組むこととしております。

 ちなみに、平成三十年、水産庁及び海上保安庁による退去警告件数、これは、水産庁からの退去警告が延べ五千三百十五隻、うち放水を行ったものが二千五十八隻、海上保安庁による退去警告が延べ千六百二十四隻、うち放水を行ったものが五百十三隻。退去警告、合計するとざっと七千隻近い、それから放水を行ったケースが二千六百隻近いというような状況にありまして、一定の効果は出ているものというふうに考えておりますが、これは引き続き実施していきたいと考えております。

 さらに、漂着した木造船につきましては、地方自治体が財政的な不安を伴うことなく、迅速かつ円滑に処理することができるよう、国として、地元自治体による処分の負担を軽減すべく所要の支援を行っているところであります。

 具体的には、通常の海岸漂着物等に係る補助率よりも、この確認漂着木造船等につきましては補助率をかさ上げをしております。それに加えて、地方負担に対する特別交付税の措置、これは特交の措置ですけれども、一般の海岸漂着物等につきましては八〇%、それから確認漂着木造船等については一〇〇%ということで、特別交付税で補助残の部分については全額支援をしているというような状況にあります。

 この補助金を用いて処理をされた件数が、平成二十九年度は三十件、しかし、平成三十年度は急増いたしておりまして、これはまだ暫定値でありますが、百二十二件というように、極めて急激に増加をしている状況にあります。これらの措置につきましても、引き続き実行してまいりたいと思っております。

 こうした問題の対応につきましては、昨年五月に閣議決定された第三期海洋基本計画におきましても明確に位置づけておりまして、国民の安全、安心の確保及び総合的な海洋の安全保障の観点から、引き続き、関係省庁と連携を密にして万全を期してまいりたいというふうに考えております。

西田委員 それでは、引き続き力強い御支援をよろしくお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

牧原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田でございます。

 沖縄基地の負担軽減の御担当で菅官房長官、そして、国交の政務官、工藤政務官にも同席をしていただいております。二十七分間の時間をいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、米軍基地と、あるいは米軍との関係についてお伺いをしていきたいなというふうに思っております。

 戦争が終わってから七十年が経過をしておりますけれども、いろいろなところで占領状態が続いているかのような、あるいは、その後に朝鮮戦争がありましたけれども、その朝鮮戦争のときの特別な協力体制みたいなものが継続しているというような事例というものが、どうもいろいろなところに見受けられるのかなというふうに思っております。

 まず、横田空域の関係についてお尋ねをしていきたいと思っております。

 まず、横田空域ですけれども、一都八県、この東京もそうですし、それから、埼玉、栃木、群馬、神奈川、静岡、新潟、長野、山梨ということで、ざっと言うと、東京の西側の太平洋から日本海側まで、階段状に二千四百メートルから七千メートルぐらいまでの大きな空域が、今、横田基地の管制の範囲内にあるということでございまして、当然、この中には横田基地があるとか、あるいは米海軍の横須賀の施設があったりだとか、キャンプ座間があったりとかいうことで、米軍の重要な施設も複数あるわけでございます。

 せんだっての一月二十九日の、合意ということで聞いておりますけれども、この横田空域を通る羽田空港に行く新ルートが開設するということで合意をされたということで、これについては日本側が管制をするということで伺っております。

 ただ、これは空域を返還するということではなくて、あくまで発着に対する管制のところの運用上のことであるということで、空域を返還したわけではない、こういう御説明を今までも答弁の中でいただいております。

 第二次大戦の敗戦国であるドイツとかイタリアでも、こういう空域は既に今存在していないということでございまして、政府としても、これまで八回にわたってその空域を削減するということで交渉をされて、実現をされてきたということでございます。

 敗戦で制空権をもちろん失って、それから航空機等を飛ばすのを禁じられたという期間がまずありまして、その後にサンフランシスコ講和条約で主権を回復したということで、その後、昭和二十七年の日米合同委員会の決定、合意ということで、全ての航空管制をまず一旦米軍がやるということで合意をした後で、ずっとこの経過をたどって、昭和五十年に航空管制に係る日米合同委員会の合意という中でこの航空管制の問題が決定をされてきたというふうに伺っております。

 そもそも、この合同委員会の形そのものが、こちらの代表、日本側の代表は外務省の北米局長がお務めだ、アメリカ側の代表は在日米軍司令部の副司令官がお務めだということでございます。こういう大事な問題がそういう場で決められてしまうということが、果たしてこれが日本にとっていいかどうかというと、大いに疑問があるところでございまして、そこにいらっしゃる方というのは、アメリカ側の構成員というと、主に軍の関係者でいらっしゃいます。

 そういったところの中でこういった合意がなされてきているわけなんですけれども、そこでお伺いしたいのは、国同士の、トップ同士のお話の中で、こういう空域の問題が扱われたり、あるいは返還をこちらから求めたりということがあったのかどうなのかということについて、お聞かせをいただければと思っております。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日米間のやりとりの詳細の一つ一つについては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、可能な範囲で御説明を申し上げさせていただきますと、まず、日米合同委員会でございますが、これは日米地位協定の実施に関する国と国との正式な協議機関でございまして、もちろんそういった位置づけのものでございます。

 また、日米合同委員会につきましては、米軍の副司令官が議長ということは委員御指摘のとおりでございますが、例えばアメリカ大使館の政治部長等も構成員になっているところでございます。

 その上で申し上げますと、政治レベルにおきましては、今御指摘いただきましたように、例えば二〇〇六年五月の再編実施のための日米ロードマップにおきまして、横田の空域の一部について、二〇〇八年九月までに管制業務を一部日本に返還する、横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件を検討するということで一致することなど、閣僚レベルを含め、ハイレベルでもやりとりを行ってきているところでございまして、その中で日本の考え方を伝えてきているところでございます。

森田委員 確認ですが、トップ同士のお話としてはされたことはあるんでしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 横田の空域に関しましては、主に、まさに正式な協議機関であるところの合同委員会、さらには2プラス2の枠組みで閣僚で議論をしておるところでございますけれども、これまでも、具体的なやりとりについては控えさせていただきますが、首脳レベルにおきましても米軍再編の着実な実施については確認をしてきておるところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 横田空域が今でも米軍の管制下に置かれているということなんですけれども、これまでも国会の中でもいろいろ答弁がありまして、そういうものをお伺いしておりますと、昭和二十七年の日米行政協定の中で、軍用、非軍用を含めて、航空の管制のことに関しては緊密な協調をもって発展を図るという、そういったところが根拠になっていますよということで御説明をいただいておりますが、横田空域が返還されない理由というのは一体何なんでしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 横田空域の地位協定上の根拠につきましては、まさに委員御指摘のとおりでございまして、我が国における航空管制業務は、戦後しばらくの間、全て米軍により行われておりましたが、その後、日米間の協議を通じ、順次、各地の管制が日本側に移管され、横田空域につきましても、これまで、御指摘のとおり、八回にわたり、漸次、空域の削減を行ってきたところでございます。

 直近では、先ほど申し上げましたように、平成十八年十月に、日米再編ロードマップに基づき、横田進入管制空域の範囲の削減につき合意し、平成二十年九月から、削減空域の管制業務を日本側に移管したところでございます。

 その上で申し上げますと、米側との関係におきまして、横田空域に存在する横田飛行場は、在日米軍司令部や第五空軍司令部等が置かれておりまして、また、有事においては、極東地域全体の兵たんの基地となる在日米軍の中枢基地でございます。このため、米側としては、今後とも、そうした機能の維持というのは必要との考えであると承知しております。

 いずれにせよ、横田の進入管制空域の返還につきましては、我が国の安全保障や日米同盟の抑止力の維持という観点も踏まえつつ、我が国の空域を一元的に管理、管制する観点から、関係省庁と協力しながら取り組んでまいりたいと存じます。

森田委員 ありがとうございます。

 軍事行動におけるいろいろな重要性、抑止力も含めてというお話がございましたけれども、同じような話は恐らくドイツの例なんかにも当てはまるんじゃないかなと、ロシアとの関係等々含めてですね、思うんですが、日本にはそういう特殊な例がまだ残っているということでございまして、ぜひ、そういったものを含めて中長期的に取り組んでいくべきことかなというふうに思っております。

 ちょうど、これは沖縄の関連の記事なんですけれども、きのうの福岡高裁の那覇支部の判決、第二次普天間爆音訴訟というのがあって、この判決の中で、国は米軍機の運航を規制できる立場にないとして、騒音の差止めについては認めなかったというような、そういう判断が裁判所の方からされたということで、まさにそういうことなんだろうなというふうに思っております。

 米軍の特権的な取扱いというか立場といいますか、そういったものを、国内法上、日本においてはそれが規定をされているわけでございますけれども、例えばドイツとかイタリアの事例はどうなのかなということなんです。

 例えば、基地が置かれているところの国内法の適用ということについては、日本においては原則不適用ということがありますけれども、例えばドイツでは、派遣国の軍、要するに米軍の軍隊の施設・区域の使用や訓練、演習に対するドイツ国内法の適用があるというふうに明記をしております。また、イタリアでは、米軍の訓練行動等に対するイタリア法規の遵守義務を明記しているということがあります。

 また、例えば基地の管理権についてはどうなのかなというふうに思って調べてみましたら、ドイツにおいては、国とか州とか自治体の立入り権を認めているということがございます。緊急の場合には事前通告なしで立入りもあり得るということですね、ドイツの場合は。イタリアの場合はどうかといったら、イタリアの場合には、米軍もイタリア軍の司令部の下に置かれている、指揮下にあるということでございまして、司令官による立入り権を明記しているということでございます。

 いろいろとこれまでも問題になっている警察権なんかについても、日本の場合には、これは、施設・区域内の全ての者若しくは財産、施設・区域外の米軍の財産について、日本側による捜索、差押え、検証を行う権利を行使しない、こういう合意がなされているということなんですが、ドイツでは、施設・区域内での任務遂行権限というものをドイツの警察に委ねている、イタリアについては、イタリア司令官による全ての区域・施設への立入り権を明記している、こういう事例がございます。

 別に、ドイツとかイタリアがあるから全部こうだということは、もちろん当てはまらないとは思うんですけれども、当時、大戦を終えて敗戦国となった立場からしてみると、ドイツとかイタリアにはこういった立場が与えられているのに、日本には何でないんだろうな、こういうふうに考えても、当然のことではないんだろうなと思っております。

 先ほど高裁の判決内容を申し上げましたけれども、本来であれば、例えば、憲法のもとでこういう権利が保障されているからということで、行政にそういう対応を求めるとかいうことがあってしかるべきかとも思うんですけれども、司法がそういう判断をする以上は、政治がやるしかないんじゃないかなと私は思っております。

 ということで、こういったドイツとかイタリアの例にあるように、せめてそこのレベルぐらいまで、同じようなレベルぐらいまでちゃんと国内で管理をしていく権利を私たちはきちんと主張して、実現をしていくべきではないかと思うんですが、このあたりについていかがお考えか、お聞かせください。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国として、アメリカと第三国との間の制度につきまして、有権的に述べる立場にはございません。

 その上で、あえて御説明申し上げますれば、日米地位協定と米国が他国と締結している地位協定の比較につきましては、地位協定そのものの規定ぶりのみならず、細部の取決め、実際の運用や背景等も含めた全体像の中で検討する必要があると考えておりまして、一律な比較は難しい面があるものと存じます。

 例えば、今委員御指摘いただきましたイタリアにつきましては、基本的に、米軍基地というのはイタリア軍の基地の中にあるという構造になっておるところでございます。

 いずれにせよ、日米地位協定は合意議事録等を含んだ大きな枠組みであり、政府としては、日米地位協定について、これまで、手当てすべき事項の性格に応じ、効果的に、かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの、具体的に問題に対応してきているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 それで、官房長官にお尋ねをしたいと思いますが、沖縄の基地負担軽減ということで御担当されていらっしゃいますが、沖縄には全国の七割の米軍専用施設があるということでございまして、沖縄本島ということで見ると一五%程度を占めているということも伺っております。

 これは素人考えなんですけれども、米軍といっても、陸、海、空、海兵隊というふうにありまして、それぞれが、基地だったり、駐屯地だったり、あるいは飛行場であったり、港だったり、演習場であったり、いろいろとその関連施設を持っているんだろうなと思いますけれども、とにかく、私なんかが旅行で行ったりして見ても、相当広大な敷地が広がっているなという感覚を持っております。もちろん、あちらの御要望どおりといえば、それ以上どうのこうのというのはないと思うんですけれども、そこを集約していったり、いろいろ工夫をしながらやっていくということを更に求めていくということも必要なことではないのかなと思います。

 そのあたりについて、官房長官の御所見をお伺いできればと思います。

菅国務大臣 今、森田議員から、米軍基地の削減についての御提案をいただきました。そのことは重要なことだというふうに、当然、受けとめさせていただきます。

 その上で申し上げれば、実は、現在の返還計画、これがございまして、地元の皆さんの御要望を受ける形で、日米合意で返還計画というのは今決定をいたしております。

 例えば、安倍総理とオバマ大統領との最初の会談の際に、米軍の人口の約八割を占める嘉手納以南の人口密集地に所在する米軍基地、約千五百ヘクタールあるんです、このうち、初めて返還時期というものを示す形で、その七割を返還計画として発表されています。

 また、SACO合意、この報告の中で、その計画に従って、既に沖縄の米軍基地の約二割が返還されておりますが、日米で合意した計画が全て実現をすれば、沖縄の米軍基地は本土復帰直前の状態と比べて半分にもなるんです。

 ですから、政権としては、この米軍基地の半減目標を現実のものにまずしていくことが責務であるというふうに考えておりまして、一つ一つ、着実に結果を出していきたい、このように考えております。

森田委員 ありがとうございます。返還前の半分のレベルにするということで、大変強い決意をお示しいただいたものと受けとめさせていただきました。

 私が言うまでもなく、沖縄は、大戦で唯一の国内での地上戦というものがありまして、その沖縄戦が終局に近づいていた六月の六日に、当時の沖縄根拠地隊の司令官である大田実海軍中将から海軍次官宛てに送った電文の中で、沖縄の方たちが大変厳しい状況の中で苦闘されたと。その最後に、「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」ということで、そういう最後の電文を送りながら、沖縄戦の終息に向かっていったという状況もございます。

 今、本当に強い決意をお示しいただいたものというふうに思っておりますけれども、これは別に政府だけの問題ではなくて、私たちがこの声にどうやってお応えをしていくのかということが、今を生きる私たち全ての人間の責任だというふうに思っておりまして、もちろん、その「御高配ヲ賜ラン」という中には、米軍の軍政下にあったものが返還をされ、いろいろな配慮の中で、予算をつけて沖縄の発展のために尽くしてきたということがあったりとか、あるいは、先ほどお話しになったように、基地も段階的に今までも減らしてこられた、こういうことは、その責任の果たし方の一端であるというふうに私も認識をしております。

 ただ、一方で、今に至るまでのこの間に、もちろん、敗戦によって占領状態があって、その後すぐに今度は朝鮮戦争があり、その中で冷戦状態が生じて、ベトナム戦争もあり、いわば戦時下における協力体制というものがずっと続いてきてしまったという状態がこの戦後何十年かの状態であった、それがいわば固定化された状態になってしまっているというのが、戦後七十年たった今の状況ではないかなというふうに思っております。

 幸いなことに、今、私たちの近隣で大きな戦争が起こっているということはありません。そのような状態で、先ほど参考人の方からの御答弁もありましたけれども、もちろん、国内にある米軍基地というものが非常に大きな戦略的な役割を担っているというのは承知をした上で、ただ、やはり私たちの主体的な判断の中で米軍基地を置く、あるいはどういう条件で、米軍にいていただくんだとすれば、それを私たちの意思としてちゃんと示していくということが大事なことではないかなというふうに改めてこの段階で思っております。

 すぐにどうこうというのは私はできないというふうに思っておりますけれども、例えば、少し期間を長くして、あと五十年ぐらいたった将来の姿を思い浮かべてみたときに、この沖縄の米軍基地というのがどのような姿になっているかなということを、官房長官の政治家としてのお考えも含めて御所見を伺えればなと思います。

菅国務大臣 お答えする前に、先ほどの私の答弁の中で、沖縄の人口の約八割を占めるというところを米軍の人口と言ったようでありまして、そこは訂正させていただきます。

 五十年先を見据えるというのはなかなか難しいお話かなというふうに思っています。

 ただ、現在、国際社会のパワーバランスというのは大きく変化しておりまして、我が国を取り巻く安全保障の環境というのは、格段に速いスピードで、厳しさと不確実性、これが増しているというふうに私は認識をいたしております。そういう中で、安全保障、日米同盟の抑止力、そしてその中核的要素たる沖縄における海兵隊を始めとする米軍の存在の重要性というのは、極めて大事だという認識を持っております。

 一方、米軍基地の約七割が沖縄県に存在していることは事実でありますので、安倍政権として、沖縄の基地負担軽減、できることは全て行う、目に見える形で実現するという方針のもとに、私も基地負担軽減担当大臣として全力で取り組んでおります。特に、一昨年、北部訓練場約四千ヘクタール、これは戦後最大の返還をなし遂げることができたというふうに思っています。一つ一つ、目に見える形でこうしたことを実現させていただきたい、こういうふうに思います。

 それと、辺野古の今埋立てが行われています。普天間飛行場の危険除去、そして返還実現ということを考えたときに、辺野古移設というのが唯一の解決策だというふうに私どもは考えています。これもSACO合意であります。

 そういう中で、現在、沖縄に存在すると言われる米軍、二万八千人おります。そのうち九千人が海外に出ていくということ、方向性は既に示されています。そのための一つ一つ、やはり辺野古移設ということを実現したい、このように思っているところであります。

森田委員 ありがとうございました。ぜひ、引き続きの取組をお願いできればと思います。

 官房長官に対する質問は以上でございますので。

牧原委員長 では、官房長官は御退室ください。

森田委員 引き続き、地方創生の関連で、鉄道関連のことを質問させていただければと思います。

 以前、ICカードのことで中小私鉄に対する導入の支援をということをお願いしたことがありましたけれども、なかなか、ICカードは入れるにもお金がかかるし、運営にもお金がかかるということなんですけれども、例えばQRコードですとか、あるいはアプリを活用したそういった事例なんかについて、ぜひ推進をしていただけないかなと思うのですが、このあたりについてお考えをお聞かせいただければと思います。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 キャッシュレス決済の導入促進は、地方の中小私鉄を含めた鉄道分野においても重要な課題であると認識しております。このため、国土交通省においては、これまでも、中小私鉄におけるICカードシステムの導入を促進するため、その導入費用について補助を行ってきたところでありますが、委員御指摘のとおり、中小私鉄にとってはICカードシステムの導入費用がまだまだ負担になるという課題がございます。

 他方、現在では、技術の進展により、QRコードなど、導入費用を抑制し得る新たな決済手段について、鉄道分野でも活用できる可能性が広がってきていると考えております。

 国土交通省といたしまして、中小私鉄に対し、ICカード以外のQRコードなどの決済手段の活用についても検討を促し、その導入に当たっては、補助事業も活用するなど、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 もう一つ、鉄道分野で、貨客混載というものが始まっておりますけれども、これは別に新しいことではなくて、昔は一般的に貨車と客車が両方ついている列車なんというのが運行していたわけです。

 これもやはり、主にローカル線、地方路線の話だと思うんですが、例えば、その法的な整理はしていただいていると思うんですが、トラックをホームの脇にちゃんとつけられて、そのまま荷台の高さで荷物が出せて、列車のホームにそのまま滑り込ませることができるなんということができれば、なおいいんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういったことをぜひ強力に推進をしていただけないかなと思っておりまして、御所見を伺えればなと思います。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 旅客鉄道において輸送力の余剰を活用した貨客混載による貨物輸送を行うことは、鉄道事業者の収入増やトラックドライバー不足の解消に寄与するものと考えております。

 国土交通省としては、物流総合効率化法に基づき、鉄道による貨客混載も含めた物流の効率化を図る取組に対して認定を行うとともに、その事業計画の策定に係る経費や運行経費についても支援措置を実施しております。

 また、同法の認定計画に基づき取得した、トラックからの荷おろし場所等から駅ホームまでの段差を解消するための貨物搬送装置について、固定資産税の軽減措置を設けるなど、ハード面の環境整備に係る支援も用意しております。

 今後とも、事業者のニーズを踏まえつつ、こうした支援策を通じて、ソフト、ハードの両面から貨客混載の取組を推進することにより、物流の生産性向上に努めてまいります。

 以上です。

森田委員 ありがとうございました。今あるインフラを生かすという視点で、ぜひそういった取組を推進していただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大河原雅子でございます。

 まず、片山大臣に伺いたいと思います。

 アダルトビデオ出演強要被害というのをお聞きになっていると思いますが、若い女性をだまして、違約金など、おどすとして、アダルトビデオへの出演を強要する被害が大分前から相次いでまいりました。こうした被害に対応するために政府として現在どのような取組を進めておられるのか、伺いたいと思います。

 特に、三月から四月にかけては、若い女性たちが新生活を都会で送るようになるということで、悪質スカウトなどによる被害もふえることが懸念されています。四月は集中的な取組月間ということですが、若い女性たちに届くようにするためにどのような取組をされているのか、簡潔に御答弁ください。

片山国務大臣 御指摘のAV出演強要問題を始めとする若年層の女性に対する性的な暴力に係る問題は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害と認識しております。

 そこで、政府におきましては、男女共同参画担当大臣、私を議長とする関係府省対策会議を設置して、これが二十九年三月からございますが、その都度、対策を取りまとめ、今、このフォローアップをずっと実施をしているところでございます。

 さらに、政府として、進学、就職などに伴い被害に遭うリスクが高まる四月、委員の御指摘のとおり、この季節でございますが、AV出演強要・「JKビジネス」等被害防止月間と位置づけまして、関係府省が連携いたしまして、政府一丸となって必要な取組を集中的に実施をしております。

 内閣府としては、ターゲットである若年層に広く届くように、よき相談相手、先輩的な存在というイメージということで、御指摘がありましたHKT48の指原莉乃さんを起用して、新聞広告やラジオに加えまして、SNS、ウエブ広告も活用して、政府広報を、大々的な広報を行っているというところでございます。

 また、あわせまして、性的な暴力の被害者が安心して相談できる相談機関といたしまして、被害直後から医療的支援、心理的支援、法的支援などを可能な限り一カ所で提供できる、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを全都道府県に整備したところでございまして、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

大河原委員 大臣、ありがとうございます。

 大変丁寧に、いろいろ網羅してお答えいただきました。本当に、性の商品化、特に女性や若い子供たちの問題は、深刻な傷を負わせるものなので、きちんとこういう監視の目を行き届けさせ、被害者にはきちんと支援ということでやっていただきたいと思います。

 さて、この問題ですけれども、昨年、二〇一八年三月九日の衆議院内閣委員会におきまして、自由民主党、杉田水脈衆議院議員が、AV出演強要被害の問題に関連した質疑を行っておられます。しかし、質疑の中で、AV出演強要被害に取り組む民間団体に対して事実に反する指摘がなされ、本委員会に対しては、当該NGOから、議事録の確認そして削除が求められました。その後、一年以上が経過しております。

 杉田衆議院議員は、「JKビジネスとかAVの出演強要とかはあってはならない」としつつも、「先ほども言ったように、」「日本をおとしめるプロパガンダに使おうとする人たちが明らかにいて、その人たちの言うことを聞いて、これは書いていますよね。」と言っておられます。「これ」というのは、内閣府が作成した報告書のことなんですね。ここで、NPO法人ヒューマンライツ・ナウという団体が名指しされています。

 これは男女共同参画局長に伺いたいと思いますが、この認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウという団体は、AV出演強要被害に関連して、どのような活動また提言をしているのか、お答えください。

池永政府参考人 お答えいたします。

 ヒューマンライツ・ナウは、認定NPO法人として、人権に関する状況の調査、公表、関係諸機関への働きかけ、国際人権基準の普及発展のための調査研究活動等を通じて、人権の促進、保護に資することを目的として活動されているというふうに承知しております。

 AV出演強要問題に関しましては、平成二十八年三月に、AV強要被害に係る調査報告書を公表され、同問題に係る事例や課題、関係方面への提言等を示しているというふうに承知しているところでございます。

 以上です。

大河原委員 非常に丁寧に活動されてきている団体だと私も認識しておりまして、この二〇一六年三月のヒューマンライツ・ナウの調査報告書というのは、政府が閣議決定をされてこの取組を進めるという上でも大変貴重な資料だったんじゃないかというふうに思っています。

 杉田議員が、ヒューマンライツ・ナウについて、「日本をおとしめるプロパガンダに使おうとする人たち」と述べられたわけで、さらに、「日本軍が、慰安婦というのが性奴隷であったとかということを、国連などを通じて世界に」「捏造、ばらまくということをすごく熱心にやっている団体が、このヒューマンライツ・ナウなんですね。」と発言しているんです。

 捏造というのは実際になかったことを故意に事実のように仕立て上げることですけれども、この団体は、捏造に該当する行動を行ったことはないと抗議をしているんです。

 抗議文によりますと、当団体はいわゆる従軍慰安婦問題に関して見解の表明を行っていることは事実ですが、その前提となっている事実関係は、河野談話、日本の政府関与のもと設立されたアジア女性基金が残したデジタル記念館慰安婦問題とアジア女性基金に記載された事実、国連人権機関からの各種勧告、レポートです。当団体は二〇〇六年に設立された国際人権NGOであり、設立時には既に、上記の談話や、アジア女性基金等の研究結果、国連人権機関からの勧告、レポートの多くは公表されておりました。当団体は、国際人権NGOとして、これら、日本政府や関係機関が調査した事実に依拠し、国際法に基づいた解決を求める各種提言を行ってきたものです。当団体独自に新たな事実を公表したり、まして仕立て上げたということはありませんと、強い抗議をしているんです。

 そこで、官房長官に伺いたいと思います。

 河野談話や、アジア女性基金が残したデジタル記念館慰安婦問題とアジア女性基金に記載された事実の中に、捏造として問題視されるべき事実は書かれているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 平成五年の八月四日の内閣官房長官談話については、平成三年十二月から政府が慰安婦問題について調査を進めた結果を発表し、その際に表明したものであります。安倍総理が従来答弁しておりますとおり、安倍内閣として、かかる内閣官房長官談話を見直す考えはないということを申し上げております。

 また、デジタル記念館慰安婦問題とアジア女性基金に記載されている事項については、財団法人女性のためのアジア平和国民基金が管理していたものと承知しており、政府としてコメントする立場にないと思います。

大河原委員 歴代内閣が継承してきたそのスタンスは変わらないということでよろしいんですね。

 そして、国連の各機関からいろいろな勧告が出されているということは御承知と思います。その上での今回の、今の御答弁であるということも私も承知をいたしますけれども、捏造というような事実ということは、私は当たらないんじゃないかというふうに思っております。

 官房長官、御答弁ありがとうございました。

 委員長、御退席いただいて結構でございます。

牧原委員長 菅内閣官房長官は御退室ください。

大河原委員 杉田議員は、この団体に対して、捏造をばらまく団体というふうにレッテル張りをされたわけです。

 国会という場において、何の証拠にも基づかず、一民間団体を名指ししてレッテル張りをする、この攻撃が果たして許されるものでしょうか。これは誹謗中傷にほかならないと私は感じます。このような誹謗中傷を行って、それが議事録に残れば、民間団体の信用に多大な影響を及ぼすことになり、その不利益は重大です。事実、杉田議員の質問を聞いたとして、このNGOに対して、天罰が下りますなどと予告する脅迫的メールが団体には届いていると聞いております。

 国会議員の発言は無答責で、名誉毀損が認められないとされております。憲法第四章の五十一条ですね、議員の発言、表決の無答責。でも、これにあぐらをかくようにといいますか悪用して、この立場を利用してこのような発言をするというのは、到底許されることではありません。

 杉田議員は、ヒューマンライツ・ナウの調査報告に基づいて政府がAV出演被害に対する対策を行うのは問題である、こういうふうにも言っているわけで、日本をおとしめるプロパガンダ活動のためにAV出演強要問題を利用しているなどと主張しているわけですけれども、アダルトビデオ出演強要被害というのは、現在、日本の若年女性の間に被害が広がっておりまして、深刻な人権侵害、これは先ほど大臣もおっしゃいました、政府も取組を進めているわけです。こうした被害をなくすために活動する民間団体の活動というのは、従軍慰安婦問題とは何ら関係がございません。

 内閣府は、民間団体の活動は日本をおとしめるプロパガンダだと認識されているんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

池永政府参考人 お答えいたします。

 内閣府としては、ヒューマンライツ・ナウを始めといたしまして、民間団体の活動を網羅的に把握しているわけではありませんので、お尋ねの件については、ちょっと何とも申し上げかねるということでございます。

大河原委員 日本政府のNGOとの関係というのはこれからももっと開発されていかなきゃいけないと思いますが、ヒューマンライツ・ナウさんは、昨日、厚労委員会の参考人としても呼ばれているような、本当にこれまでもきちんとした活動をされてきているところなんですね。

 大変残念なことに、杉田議員は、ヒューマンライツ・ナウ以外にも複数の団体やイベント名を具体的に指摘されて、慰安婦問題に対する取組についての質問の中で紹介をして、全てがあたかも捏造とか反日であると決めつけるような質問を行っています。

 質問では、アクティブ・ミュージアム女たちの戦争と平和資料館、略称wamですが、これについても、十八年前からwamというところとソウルとは手を組んでやってきたと述べていますが、wamの設立は二〇〇五年であるために、明らかに事実誤認です。この件も訂正されていない。そのまま一年がもうたっているんですよね。

 そもそも、第二次世界大戦中の人権問題について、女性の人権問題に関心を寄せる民間団体が何か見解を述べたりイベントを開催するということは、何ら責められるべきものではないはずです。そのようなイベントを過去に開催したことを理由に、捏造をばらまく団体だというようなレッテルを張られるのは、明らかな誹謗中傷ですし、国会議員が民間団体に対して反日などとレッテルを張って攻撃することこそ問題です。

 従軍慰安婦が存在したことは否定できない歴史の事実であり、河野談話でも確認され、その基本的立場は歴代内閣においても継承されています。慰安婦制度そのものが捏造でないことは明らかなんです。

 にもかかわらず、女性の人権、女性の権利に関心を寄せる民間団体が、慰安婦問題についてイベントを開催したり、イベントに参加すること自体を敵視したり、慰安婦問題に関する民間の諸活動そのものを、捏造、プロパガンダ、反日であるかのように指摘、攻撃をする杉田議員の質問は、重大な誤解を与え、国民の正当な言論活動を萎縮、沈黙させる危険性をはらむものなんです。今後、二度と繰り返してはならないと考えております。

 そこで、外務省に伺いたいと思います。

 民間団体がNGOとして国連の人権機関に対して情報提供を行うということは広く推奨される活動であり、そのことを理由に民間の団体、個人が報復を受けるというのは、国連で、リプライザル、報復措置として問題視され、許されないこととされていると思いますが、どうですか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 国連人権理事会におきましては、国連とその代表者及びメカニズムとの人権分野における協力に関する決議が、第十二回、第二十四回、第三十六回会期でそれぞれ採択されております。

 このうち、第二十四回及び第三十六回会期におきまして採択された決議では、個人及び団体が、人権分野において、国連を始めとする国際機関に妨げなく接触し連絡する権利を再確認しております。

 また、これらの決議は、加盟国に対しまして、人権分野での国連を始めとする国際機関との協力を理由としたおどし及び報復措置を予防し、かつ行わないこと等を求めているというふうに承知しております。

大河原委員 先ほど男女共同参画局長のお答えがあったんですが、協力をしていくNGOをやはりきちんと見守り、守る、そして協働していくというのも世界的な流れで、ここのところも大変実はおくれているんですね。

 済みませんけれども、局長、もう一度御答弁いただけますか。NGOの関係はどんなふうに思っていらっしゃるんでしょう。

池永政府参考人 お答えいたします。

 男女共同参画社会の推進のために、従来、男女共同参画局では、民間団体の方、NGOの方と対話を重ねてきております。例えば、内閣府男女共同参画局主催で、NGOの方との意見交換の場、また情報提供の場というのを定期的に設けているところでございます。

 いずれにいたしましても、男女共同参画社会の実現という共通の目標のもと、政府、また民間、また国民、さまざまな主体が連携をしていくことが重要だと考えているところでございます。

 以上です。

大河原委員 今、男女共同参画局長にお答えいただきましたけれども、政府、行政だけでできないことがたくさんあるんですね。そして、きめ細やかにそうした活動をしていこうとしたら、どうしても、NPOの皆さん、NGOの皆さんのお力をかりなきゃいけない、協働しなきゃいけない。そして、決してそういった方々を下請にしないということが大事なわけです。こういうことをやはり日本政府も心して、各省庁ともに、NPOはさまざまな分野で活動しているので、そのことは全省庁に対しても私はお願いをしたいところです。

 再び外務省にお聞きしたいんですけれども、今までのところの流れでいえば、日本政府は、人権を守るためにどういう活動をしているのか。人権擁護のためにNGOが果たす役割について、今、男女共同局長にお答えいただきましたけれども、外務省は更に広い視野をお持ちだと思うんですけれども、どのような役割、位置づけをされているのか、伺いたいと思います。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましては、人権を重視すべき基本的価値と位置づけておりまして、全ての人の人権の保護、促進のため、国内外でさまざまな取組を行っております。そういった取組におきまして、市民社会によるさまざまな活動の重要性も認識しておりまして、人権の保護、促進のために幅広い意見を反映させるということは重要だというふうに考えているところでございます。

大河原委員 模範的というか型どおりのお答えだったと思うんですが、私、外務省は条約局としてさまざまな国際条約を担当する窓口になっておられます。その中でも、やはり、それがどういうふうに私たちの国に有効な条約になるのか、それが私たちの国で、世界の水準、世界の流れ、こうした世界が共有している価値観というものを行き渡らせる、それから日本からも発信をする、そういう役割があると思っているんですね。

 それで、やはり、特に人権擁護のためにNGOが果たす役割というのは大変大きくて、東日本大震災で、私たちの国は本当にたくさんの外国からも支援をもらいました。そして、そこで、海外には支援をしていたNGO、日本はそれぞれ拠出金なんかも、ODAも多いのであれですけれども、我が国の人権擁護についてどういう状況であるのかという把握が、私は現実と向き合っていないんじゃないかというふうに思うんです。

 これは非常に、例えば子どもの権利条約も、ことし、批准二十五周年になります。どれだけ日本の子供たちの人権が守られているのか。型どおりではあるけれども、私たちの国で本当に貧困が広がり、子供の本当に残念な、子供たちの状況が物すごく悲惨な状況になっている、諸外国からは想像もつかない、そのように言われています。こういったことも、ぜひ担当する役所の皆さんには心していただきたいというふうに思います。

 ところで、国連人権理事会二十四会期の決議があります。人権分野で国連に協力した団体、個人に対するいかなる報復措置、リプライザル、いかなる脅迫も許さないとして、国連加盟国に対してこうした事態の発生を防止する適切な措置を講ずるよう求める決議を採択しているわけなんですけれども、日本はこの決議に対してどのような投票行動をとったんでしょうか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました第二十四回会期での決議でございますけれども、日本としては賛成票を投じました。

大河原委員 そうなんですよね。人権理事国として討議に加わって、この二十四会期の決議については賛成をして、可決をしているわけです。だから、当然、ここに書いてある、人権分野で国連に協力した団体、個人に対するいかなる報復措置や脅迫も許さないとしてこの決議を上げたわけですから、事態の発生を防ぐ適切な措置を講ずる、こういうことをやらなきゃいけないわけなんですよ。

 日本はこの決議の趣旨に反する国会での言動を放置すべきではないというふうに考えますけれども、この決議を国内で尊重、促進していくためにどのような活動をされているんでしょうか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 多少繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、基本的人権、人権というものを非常に重視しているという立場から、やはり市民、社会のさまざまな方々の意見をお伺いする必要もあるだろう、いろいろなところにアンテナを立てながら、どういう声があるのかということを常に私どもとしても頭に入れて取り組んでいるようにしているところではございます。

 そして、この国連決議に基づきまして、国連の事務局側も各国の状況についていろいろフォローしているところでございますけれども、各種照会がある際には、私どもとしてもそれに真摯に対応して、いろいろ照会事項に対して答えていくということを、いろいろな条約体委員会の審議と同様に、問合せに対して真摯に対応しているというふうに考えております。

大河原委員 真摯に対応しているというお話なんですが、ちょっと残念ですよね。

 お手元の資料をごらんください。配付させていただきました。

 きょう、杉田議員の問題を取り上げていますけれども、この資料、政権与党の一員である杉田議員がこのような発言をされたこと、そして、国会でこのような発言を公然と行い、制止されなかった、このことは、実は、国連事務総長のリプライザルに関する報告書、これに記載されてしまいました。

 お手元の配付資料は、二〇一八年八月に、国連事務総長が国連人権理事会に送付した報告書です。ここに何が書かれているのか、外務省、説明してください。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 御配付の資料につきましては、国連の人権高等弁務官事務所のホームページに掲載されました、国連とその代表者及びメカニズムとの人権分野における協力と題する、二〇一八年に公表された国連事務総長の報告書の一部及び該当部分でして、それについて外務省が事務的に作成した和訳であるというふうに承知しております。

 外務省といたしましては、この報告書に書かれております書面への回答状況について、二〇一八年八月にOHCHR、国連事務局側から照会を受けておりまして、自由民主党及び衆議院事務局に確認の上で、得られた回答を国連事務局側に伝達したという経緯がございます。この報告書におきましては、この国連側に回答した内容も記載しているというふうに承知しております。

 国連事務局から政府に対しましては、本件につきまして、おどし又は報復措置であると認定したといった事実はなく、何らかの具体的な対応を求められている状況ではないというふうに考えております。

大河原委員 この報告書、

 二〇一八年五月、伊藤氏及びヒューマンライツ・ナウは、国連との協力を理由に標的にされ続けていると報告された。二〇一八年三月九日、録画されている衆議院内閣委員会の審議において、自民党の国会議員が、政府側に対する発言の中で、HRNを「国連等(国際フォーラム)を利用し、日本軍「慰安婦」は日本の性奴隷であったとのねつ造された情報を熱心に世界に広めている組織であり、それがHRNというものである」と表現した。HRNは、女性の地位委員会において「慰安婦」に関するサイドイベントを開催していた。同議員は、国会に対し、国連との協力活動において「NGOの国際的な発言のあり方をコントロール」するよう要請したとされており、「日本を貶めるためにプロパガンダを利用しようとしている人々がいることは明らか」と述べ、右発言はソーシャルメディアで繰り返されている。二〇一八年三月二十七日、HRNは、これらの主張に関する二通の書簡を、衆議院内閣委員会委員長及び自民党に送付した。日本政府は二〇一八年八月十五日に、「日本政府として、自民党及び衆議院事務局に確認したところ、自民党からは、「本件書簡が自民党本部内のどの部局宛てに送付されたのか明らかでなく、本件書簡の受領を確認できない」、衆議院事務局からは、「当該法人からの書簡に対して、委員長から回答はしていない」との回答を得た」と回答した。

つまり、外務省は、このことだけ、この回答、こうでした、事実だけを伝えているんですね。そして、その後、何か、それまでのアクションは起こしていないんですね。確認です。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、こちらの資料にありますとおり、国連の事務局側からの照会があったことに対して、我が方としてもそれに応じていろいろ照会をかけたところ、それに対する、こちらにございますような回答がございましたので、それについて国連事務局側に伝達したということでございます。

大河原委員 申しわけないけれども、単純な伝達で、私たちのこの国の国益というのは大変不名誉な、国益を損なうような回答だと思うんですよ。何をしているんですかと言いたくなる。窓口ではあるけれども、それ以上のことはできない。窓口だけだったら、何でもスルーするんだったら、どこでもできるんですよ。

 日本が、政府が胸を張って先進国の一員だといって外交も進める上では、小さなことでもきちんと対応していかなければ信頼は得られません。そして、これから先、この日本がもっと世界に信頼される国になり、一番立ちおくれているジェンダー問題でも追いついていく、更にその上を行こうという国にするためには、私は、今の外務省の表向きの御答弁と、今、この報告を人権理事会に上げていった、報告が出されているわけですから、対応というのは、私にとっては大変不満でございます。

 きょうのこの報告書、該当部分については、議事録にきちんと載せていただきたいと思います。

 日本の立ちおくれは非常に大きいなというのを感じてまいりました。

 先週、四月の六日から十日までカタールのドーハで開かれました百四十回IPU会議、世界の列国会議、これは、国連と同じように、各国の国会議員、加盟国の国会議員、四万六千人いらっしゃるそうですが、私は初めてこのIPUというのを体感させていただきました。四万六千人の国会議員、ドーハに集まったのは二千人ぐらいだと思いますけれども、非常に、議会人としてのあるべき姿というのをいろいろなところでかいま見たわけです。

 IPUの会議の中でも女性議員フォーラムというのがありまして、そこの中では、女性に対する暴力の問題や、あるいは、女性たち、SDGsを引くまでもなく、ジェンダー平等の実現、これがテーマ、そして、その視点で全ての施策を見ていく。各国それぞれです。紛争を抱えた国もありますし、国の事情は本当にそれぞれだなと。貧富の差も大きいですし、格差もあります。でも、やはりそこで長年、ジェンダー平等主流化というのを各国が真摯に、できるところから闘いながら、社会的な、伝統的な慣行と闘いながらやってきたその姿をかいま見て、ちょっと感動して帰ってきました。

 そして、さらには、この国、今、ハラスメント防止ということで対策をさまざま打とうとしておりますけれども、ジェンダーに基づく暴力というものは犯罪だというのが世界的な共通の認識です。法律で禁止をし、そして、それに対応して、被害に遭った人たちをしっかりと救済する、支援する、こういうことが世界の流れであるということをぜひ心にとめていかなければならないというふうに思います。

 国会議員の不答責、国会議員の特権の一つですよね。こういうものに依拠して、これを濫用して、国会の中で、表現自由だ、さまざまなんだということで、このような国益を損なうような御発言は厳に慎まれるべきだというふうに思います。

 少し時間を余らせましたけれども、今井議員にお譲りいたしますので、ここで私は質疑を終わらせていただきます。

 委員長、ありがとうございました。

牧原委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの今井雅人でございます。

 三十分時間をいただきましたので、質疑をしていきたいと思います。片山大臣にお伺いする前に、きょう農水省に来ていただいていますので、豚コレラの被害について少しお伺いしたいというふうに思います。

 私の出身の岐阜県で発生しまして、いまだに終息をしていないんですけれども、直近では多分十九カ所ではないかなと思いますが、現在の豚コレラの被害の現状、それから今農水省さんも含めて取り組んでいらっしゃる対策について、御説明をいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月以降、関連農場を含め五府県で十九例の豚コレラが確認されております。本年二月十三日以降も発生が確認されております岐阜県及び愛知県の養豚農家の皆様には、豚コレラを侵入させないために、大変な緊張感の中で御対応いただいているところでございます。

 対策につきましては、まず、農場の対策についてでございますが、飼養衛生管理基準の遵守が最も重要であることから、岐阜県内の全ての養豚場に対しまして、国が主導して現地調査を行い、改善指導を行ったところでございます。

 しかしながら、その後の現地調査で、指導事項の一部について改善されていない農場が確認されましたことから、再度、全農場を対象に、国主導による現地調査を進めているところでございます。

 また、岐阜県内では、豚コレラに感染した野生イノシシが多数確認されているところでございます。

 野生イノシシを介した養豚場への豚コレラウイルスの拡散防止対策として、防護柵を設置するとともに、本年三月から、柵の外側から内側に向けまして、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布を行っているところでございます。この結果、飼養豚への感染リスクも減少することを期待しております。

 ただ、野生イノシシへの経口ワクチンの使用は我が国初の試みでございますので、専門家の意見を聞きつつ、散布範囲を工夫しながら、一年間、経口ワクチンの効果を検証してまいりたいと考えております。

 農水省といたしましても、養豚農家の皆様が、できるだけ早く、安心して経営に集中していただけるよう、積極的に関係自治体と連携し、蔓延防止に取り組んでまいりたいと考えております。

今井委員 今お話がありましたとおり、ちょっと今回の豚コレラは非常に対策が難しいんですね。

 最初に岐阜市で発生しましたけれども、拡散した理由は二つあると言われていまして、一つは人的なものですね。人が入って、そこから運んでいってしまったんじゃないか。車のタイヤあるいは足の靴の裏、こういうところでいろいろうつったというふうに言われていますが、そちらの方の対策は、今までの例えば鳥インフルエンザ等々の対策と非常に酷似していますので、しっかりやればある程度対応できると思うんですが、もう一つ、問題は野生のイノシシなんですね。

 ちょうど発生した冬の時期というのは、イノシシというのは、餌を求めてもありますけれども、一日四十キロ移動するというふうに言われていました。一番イノシシが移動する時期でありまして、これは、岐阜県の行政の方には申しわけありませんが、発生した時点で、もっと防護の柵を早くつくっていればもう少し効果があったんじゃないかと思うんですが、数週間たってからということでありましたので、これは非常に悔やまれるんですけれども。

 今何が起きているかといいますと、鳥獣害被害が激減しています。イノシシの被害がちょうどこの豚コレラが出ている地域では非常に激減していまして、ことしはイノシシの被害が全然出ないなという農家の方が多いんですね。これは喜ばしいことではなくて、それだけたくさん感染しているということなんですよ、イノシシが。それが今動きまくっているということですから、これは、本当にここのところを本格的にやっていかないとこの問題は解決しないということで、私はとても危機感を持っております。

 先ほど、三月から野生のイノシシに向けてのワクチンというのをまいているとおっしゃいましたけれども、伺っていると、クッキーみたいなものをつくって、土に埋めて、イノシシが掘りやすいように、ほかの動物がとらないようにということで散布しているようでありますが、これがどれぐらい効果が出てくるかというのもよく見なきゃいけないんですけれども、一年と今おっしゃっていましたけれども、一年も私は待っていられないんじゃないかと思うんですが、そんな経過を一年も見てから判断されるんですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 経口ワクチン、イノシシへ散布をした実績のある地域が、ヨーロッパのフランスあるいはドイツでございます。そこでは、散布期間は、短いもので二年、三年、あるいは長いものですと六年、七年といった期間をかけているという過去の実績がございます。

 そういったことも踏まえまして、私どもの方では、まず一年間実施をしてみるということで、これは一年間を三期に分けて実施することとしております。これは、第一期が今のまさに春、三月から五月でございます。それから第二期が夏の七月から九月。そして第三期が冬の一月から二月。また、その各期ごとには二回まくということでございまして、現在は、第一期の三月から五月の一回目の散布それから回収が終わりました。また、四月から五月にかけまして、二回目の散布、そして、どれだけ接種したかということで回収を行う。

 そういう意味では、この一期目の散布、回収が終わった時点で、まず最初の効果測定、どのぐらい効果があったのかということの確認ができるかと考えております。

今井委員 ちょっと時間がないので、私は一年というのは長過ぎると思いますから、これからもちょっとこの問題を捕捉していきたいと思います。

 もう一個、今散布されているエリアをきのう伺ったんです、事務方に。今、その豚コレラが発生しているところの周辺、ここにまいているとおっしゃっていますが、これは、イノシシがもう既にそれより外に行っている可能性だって十分考えられるわけです。ですから、きのう私が説明いただいたあの範囲では不十分だと思うんですね。

 もっと広範囲にワクチンを散布するべきだと思いますけれども、いかがですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 この野生イノシシの餌ワクチン、接種いたしますと抗体を持つことになります。そうしますと、豚コレラに感染して持ったのか、ワクチンを接種することによって抗体を持ったのかの区別がつかないということがございましたので、まず、岐阜県内に柵を設置しまして、その内外について経口ワクチンを散布しております。

 初めての経験でございますので、専門家の意見も聞きながら、更に範囲の部分については広げるなりということを今後対応していきたいというふうに考えております。

今井委員 引き続き議論していきたいと思います。

 それで、今度は養豚業者への支援策ですけれども、殺処分を余儀なくされた養豚業者の方には評価額の全てを手当金として補填しておられるということで、それでも十分かという問題はありますけれども、まあ、ある程度の支援はできていると思うんですが、問題は風評被害なんですよ。岐阜県の豚は大丈夫かということで、健全な養豚農家のところにも少なからず影響が出ております。こういうところへの風評被害に対する支援というのをどういうふうに考えていらっしゃいますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、豚コレラでございますけれども、風評被害を防ぐために、正確な情報を、農林水産省はもとより、消費者庁、食品安全委員会を通じて発信をさせていただいているところでございます。

 なかなか、この風評被害、定量的に把握することが難しいところでございますけれども、例えば豚肉の枝肉の卸売価格について見させていただきますと、ことしの四月と昨年の四月で比較させていただきますと、本年四月の方がやや高目ということで出ておりますので、風評被害という観点、価格という観点からは大きな影響は出ていないものと認識しております。

今井委員 今価格の話をおっしゃいましたが、個別の養豚業者のところではそういう被害が出ているということも聞いておりますので、よく現状を把握していただきたいと思います。

 それから、最後、この問題、もう一個ですけれども、今、岐阜県の養豚協会の方から、これは最終的には養豚の豚そのものにワクチンを打って、根本的な対策をしてほしいという要望が上がっていると思いますけれども、イノシシの対策をされているということですが、ある程度、これは、なかなか輸出がしにくくなるとか、副作用もあるので難しい判断なんですけれども、場合によってはそういうところまで踏み込むというところまで視野に入れて、本格的に取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚コレラの防疫につきましては、国が指針を定めております。豚へのワクチンにつきましては、発生農場における屠殺及び周辺農場の移動制限のみによっては感染拡大の防止が困難と考えられる場合に、緊急ワクチンの接種を決定するということとなってございます。

 現状につきましては、先ほど申し上げました、飼養衛生管理基準の遵守、あるいは早期発見、迅速な屠殺により発生予防あるいは蔓延防止を図っていくことが重要と考えておりまして、今のところ、ワクチン接種を直ちに行う状況にあるとは考えていないところでございます。

今井委員 これは実は養豚協会も地域によって温度差がありまして、これを要望しているところとそうじゃないところがありますので、また引き続き、協会の皆さんあるいは現場の皆さんともお話しして取り組んでいきたいと思いますけれども、とにかく、先ほども申し上げたとおり、これは広がってしまってからではもう遅いですから、しかも、イノシシはもう我々ではコントロールできないので、早目に早目にという対応をしていただくということをぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次に、片山大臣と女性活躍についてちょっと議論していきたいと思うんです。

 随分時間が過ぎましたので、もう話してもいいかなと思うんですけれども、実は三十年前に、私、アメリカで勤務をしているときに、自分の会社が幾つかの訴訟を抱えていましたけれども、そのうちの二つがセクハラに関する訴訟でした。

 一つは、女性の管理職の方が、ほかの男性の管理職よりも待遇で差別を受けているということで訴訟を起こしておりました。この方は、御自分もローヤーで、弁護士の方だったので、訴訟しておられた。もう一つは、バックオフィスの女性が、ちょっと派手な服を着ている子でしたけれども、日本人の私の同僚を訴えたんですが、これはなぜ訴えたかというと、嫌らしい目で見られた、目で視姦された、こういうことで訴えました。

 対応にとても苦慮したんですけれども、私、三十年前ですから、しかも、ちょっとびっくりしたのは、訴えた側も訴えられた側も、そのまま普通に仕事をしているんですね。そういう中で訴訟が行われているということで、アメリカというのはある意味寛容というか、すごい国だなと思ったんですけれども。当時はまた、ぴたっとこなかったんですが、それから日本に帰ってきて日本の現状を見ると、アメリカというのはやはり人権問題にとても厳しい国だなという、そういうところで生活をしてきたということが、後々の私の物の考え方にとても大きな影響を与えました。

 それで、今、日本で、先週もセクハラに関する法案が出てきて、三十年おくれているんですね。アメリカで三十年前に私が経験してきたことが、今、日本でやっと始まっている。いかにこの人権問題でこの国はおくれているかということの本当に私は証左だなと思って、先週の国会、質疑を聞かせていただいていたんですけれども。

 ちょっと、いろいろこれから発言をお伺いしていきたいんですが、いろいろな研修をやっているとおっしゃっていますけれども、この研修も、どういう発言をしたらセクハラになるかとか、どういう言動をしたらセクハラに当たるか、こういう研修ばかりなんですよ。そうじゃないんですね。

 そもそもセクハラとは何か。物の根底にある考え方、人生観とか、そういうものを変えない限り、この問題は根本的に直らないんですね。表づらだけ、こういうことを言うとセクハラに当たりますから言わないようにしておきましょうなんて、こんな研修をやったってしようがないですよ。

 本当に、そもそも日本人が抱えてきたいろいろな差別意識、そういうものを変えていく、このことをやらないと、この問題は解決しません。これは、私も男性ですから、まあ、私も含めてですけれども、社会がそういうことを変えていかなきゃいけないというふうに強く思っているわけなんですけれども。

 その観点で、私は、先週の国会のこのやりとりが、本当に、どうなんだこれはと思ったんですが、我が会派の池田真紀さんが菅官房長官に質疑をしております。

 菅さんが平成二十七年に、芸能人の名前を出して、○○さんの結婚を機に一緒に子供を産みたいという形で国家に貢献してくれればいいなと思う。これはさすがにもうひどいので、撤回されなきゃいけませんよねということを質問したら、菅官房長官、すごい答弁ですよ。「全ての女性が輝くような社会の構築に向けて、今般の女性活躍推進法の見直しを始め、我が国の女性活躍が更に前進するよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。」と。何にも答えていないですね。

 ひどい答えだ、ばかにするにもほどがあると思っていたので、本当は菅官房長官にお伺いしたかったんですが、ちょっと時間が、ちょうど会見の時間なので、片山大臣にお伺いしたいんですけれども、子供を産むということは、国家に貢献するために産むんですか。どう思われますか。

片山国務大臣 セクハラの問題について、重大な人権侵害であって、男女共同参画社会の形成を大きく阻害する、あってはならないものということは、もう政府として当然の認識で、私もそのように随時答えておりますし、菅官房長官もその基本認識にとっていろいろな発言はされていると考えております。

 もちろん、結婚にいたしましても出産にいたしましても、個人の非常に尊厳ある決定でございまして、もうそれに尽きるということだと認識をしております。

今井委員 ということは、子供を産みたいという形で国家に貢献するという考え方は適切じゃないですね。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 まさに全ての女性が輝くということ、そして、一億総活躍にしても、人生百年時代にしても、それから、全世代型社会保障にしても、希望をお持ちになったらその希望が実現できるようにしたいという意味で、その御希望がお子さんを欲しいということであれば、それを後押しするのが国家で、それ以上のことではないというふうに思っております。

今井委員 いいですか。そういう整備をするから子供さんを産んでもらえるようになっていくというふうにおっしゃっているんじゃないんですよ。○○さんの結婚を機に一緒に子供を産みたい、そういうムードができて、形で国家に貢献してくれればいいと。国がそういうのを整備するからということを言っているわけじゃないです。

 端的に答えてください。子供を産むということは、国家に貢献するために産むことじゃないですね。

片山国務大臣 子供を産むということは、あくまでも個人の選択であると思っております。

今井委員 であるとすれば、この発言は適切ではないということでよろしいですね。

片山国務大臣 官房長官の御発言につきましては、そのときもですが、官房長官が御説明をされていらっしゃるものではないかと思っております。

今井委員 随分無責任ですね。女性活躍担当大臣じゃないですか。そういう方がこういう発言に対して意見を述べられないのは無責任ですよ。

 もう一度答えてください。

片山国務大臣 当時のこともありますが、そのときにもそのお立場としてきちっと御説明をされているのではないかと思いますが、いずれにしても、内閣としてのスタンスとして、そういった個人の問題に介入するとか、そういう発想は一切持っておりませんので、やはり、皆様がそういう御希望を持ったら、その幸せをかなえられるようなお仕事を我々はしたいということに尽きるわけでございます。

今井委員 国家に貢献するわけではないということでいいですね。

片山国務大臣 何度も繰り返しておりますように、個人の選択、個人の幸せの追求ということで、これは憲法にもしっかりある、そういうことであって、それが国家かどうかということは書いていないわけですから、それはあくまでも個人の選択、個人の幸せの追求ということだと思います。

今井委員 先ほども申しましたけれども、たとえ仲間であろうと、不適切な発言をしたときはそれを指摘するのが女性活躍担当大臣の責務だと私は思いますよ。身内を守らないでください。

 では、もう少しお伺いしますけれども、麻生さんが福田事務次官の件、はあって、何でため息つかれるんですか。何でため息つくんですか。(発言する者あり)深呼吸でしたか、それは失礼いたしました。

 それで、はめられたとか、いろいろなことを発言した上で、セクハラ罪という罪は存在しないというふうにおっしゃって、逢坂議員が質問主意書で、セクハラ罪という罪があるのかということで、答弁書にも、そういう存在はないということで答弁書が出てきていますけれども、しかし、事務次官がああいう問題を起こしているときに、セクハラ罪という罪はないとか、まるで何も罪がないような、ああいう表現をされるということに対しては、私はとても、先ほど言った物の考え方、根底にある考え方が間違っているからああいう発言が出てしまうんだと思うんですね。

 その発言についてはどう思われますか。

片山国務大臣 今委員御指摘の御発言につきましては、既に麻生大臣御自身が御説明をされて、かねてから、セクシュアルハラスメントは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であり決して許容されるものではないというふうに御発言をされていると承知をしております。

 私どもといたしましても、内閣といたしましても、セクシュアルハラスメントは重大な人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害する、あってはならないものと考えております。

今井委員 もう何度も申し上げたくないんですけれども、女性活躍担当大臣ですよ。唯一の今女性閣僚ですよね。あれだけ安倍総理が女性活躍ということをおっしゃっておられるわけじゃないですか。もう少しやはり踏み込んで、これはたしか、野田聖子さんはもう少し踏み込んで批判しておられましたよ、適切じゃないと。あなたはそういうことが言えないんですね。わかりました。その程度の認識だということがよくわかりました。

 過去の発言をもう少しお話ししたいと思います。

 子供を産むか産まないかは本人の自由だとおっしゃっていましたけれども、これに対しても、自民党の議員の人たちは何人も、いろいろなところで失言されています。披露宴では必ず新郎新婦に三人以上の子供を産んでいただきたいとお願いする、幾ら努力しても子供に恵まれない方々がおり、無理を言うのは酷なので、そういう方々のためには三人以上が必要だと。あるいは、委員会で質問をしている人に、そんなことより早く結婚して子供を産めというふうに不規則発言をした人もいらっしゃいました。

 どうしてこういう発言をしてしまうかということなんですけれども、これは本当に皆さんに考えていただきたいんですが、私自身も考えなきゃいけないんですけれども、先ほども言いましたとおり、通り一遍の考え方、女性に例えば年齢を聞いたらセクハラだとか、体重を聞いちゃいけないとか、そういう技術的なことじゃないんだと思うんですね。

 本当に、だから、いろいろな自由がそれぞれの個人にあって、そういう中で子供を産みたいという方は産んでいただく。産みたいんだけれども、なかなかいろいろな条件があって産めないという方々に国が支援をしていく。あくまでもそうであるべきであって、こちらから何人産んでくださいとか何人産むべきだとか、こういうのは、根底にそういう考え方があるからこういう発言が出てしまうんですよ。だから、そういうところを片山さんにぜひ変えてもらいたいんです。そういうところに対してのお考えはいかがですか。

片山国務大臣 まさに、個人の思想とか自由とか行動とか、そういったものを尊重するという基本的な問題とこの問題は近いと思います。

 先ほど、委員はアメリカにおける御生活の経験を披露されましたが、私は丸二年フランスに住んでおりまして、必ずしも、人権についての意識は高い国ですが、実態においてはやはりいろいろな問題があり、今解決されつつあるというような話をW20でも議論をいたしたところでございます。

 日本においては、やはり尊厳ですね、被害女性の尊厳や人権が侵害されているという意識、その意識をしっかりとみんなが持つということ、その中心となるものはやはり人間の内面になることなので、これは非常に難しいですよ。教育というものがベースにあるのではないかと思っており、そういった広範な範囲から、ぜひこの問題が、こういうことがもう起きてこないような土壌をつくってまいれればというふうに考えている次第でございます。

今井委員 もうこういう発言を二度としないでいただきたい、そういう取組をぜひやっていただきたいんです。

 それで、その上で、これは委員会がちょっと違いますけれども、女性活躍、職業生活における女性の活躍ということで、先週、法案が質疑に入ったわけでありますが、我が党も対案という形でセクハラ禁止法案というのを出していますけれども、政府案の中にはセクハラの禁止という条項が結局今回は盛り込まれませんでした。まあ、定義が難しいとか、いろいろなことが問題にあったんだと思いますけれども、これは中期的な検討だというふうに伺っていますけれども、これは、今後、禁止規定を入れていく必要があるかどうか、大臣としては今どう考えていらっしゃいますか。

片山国務大臣 御指摘の今般の均等法改正法案は、セクハラの対策のそのことについての禁止規定はないわけでございますが、実効性のさらなる向上という意味で、セクハラは行ってはならないという前提において、ほかの労働者に対する言動に注意を払うように努めるということを、国、事業主及び労働者の責務として明確化するほか、労働者が事業主にセクハラの相談を行ったことを理由とした不利益取扱いの禁止、自社の労働者が他社の労働者に対してセクハラを行った場合の他社の講じる措置への協力の努力義務の新設等は少なくとも盛り込んでおりまして、これによりセクハラの対策は従前よりは前進する、そういうものです。

 ただ、委員の御指摘は、それでは十分でないということで対案を出しておられるということですが、労政審等の議論も踏まえてこのような形にまとまったわけでございますが、内閣府の方では、男女共同参画会議の暴力に関する専門調査会による報告書、セクハラの対策の現状と課題というのを取りまとめておりまして、この報告書も踏まえて、引き続きセクハラを予防し、御指摘がありましたように、そういうような行動が出てこないような環境、社会づくりをしなきゃいけないという意味も含めて、救済や再発防止についての徹底と今後の検討というのをしっかりと行わせていただきたいと思っております。

今井委員 私たちはそれでは不十分だというふうに思っておりますので、これは厚労委員会の方ですから、そちらの方でまた審議することになりますけれども、女性活躍担当大臣は関係がありますからね。ほかの委員会でやっているからといって、所管でもありますので、どうやったら本当にセクハラがなくせるかということで、私たちの提案をしっかり真摯に受けとめていただいて、修正は十分できるわけですから、我々の考えを取り入れていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 最後に一点だけ。選択制夫婦別姓制度ですけれども、これも、私も、もともとはちょっと慎重にいろいろ考えていましたが、いろいろな方とお話ししたり社会のいろいろな状況を見ると、やはりこれは、女性が社会進出するに当たっては、本当に大きな障害の一つになっているということを非常に実感していまして、もうこういうものは認める時期に来ていると思うんですね。

 ですから、女性活躍という観点で、片山大臣はこの選択制夫婦別姓制度についてどうお考えかを、最後、お聞かせください。

片山国務大臣 御指摘のように、社会における活動や個人の生き方が非常に多様化している中で、働きたい女性が不便さを感じたり働く意欲を阻害することがないようにするということは非常に重要でございますので、女性活躍の視点にのっとった制度を整備していくということは重要でございまして、今般、マイナンバーカード等への旧姓併記の推進ということで、そのほか、旅券への旧姓併記の拡大に向けた検討、口座等の実施、働きかけ等もやっております上に、規制改革推進会議におきましては、第三期後期の重点テーマの一つとして、各種の国家資格における旧姓使用の範囲拡大というのが盛り込まれております。

 ただ、選択的夫婦別氏制度の問題は、家族のあり方に深くかかわるということもあり、国民の間にもさまざまな御意見があることから、平成二十七年十二月の最高裁判決における御指摘、それから国民的な議論の動向を踏まえながら、法務省において御検討が続けられていると承知をしております。

今井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、野田聖子さんなんかは、こういうところにも踏み込んでいて、女性活躍に一生懸命やっていらっしゃいますけれども、聞いている限り、もう私は、担当大臣、かわった方がいいんじゃないかなというふうに思いましたので、それぐらい踏み込んで、ぜひやってください。

 以上です。

牧原委員長 次に、太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党の太田昌孝でございます。

 内閣委員会の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。きょうは、一般質疑ということで、ちょっと日ごろの問題意識につきまして何点か質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 それでは、今、政府としましては、本通常国会においてデジタル手続法案を提出して、行政手続のデジタル化、デジタルファーストを進めようとしておられますが、このいわゆるIT化、デジタル化のスピードの中において、一般国民、とりわけ高齢者や障害者等の権利擁護も、重要かつ不可欠な問題であるというふうに認識をしております。

 そのような中で、このデジタル手続法案を始め、こうしたデジタルファーストの目的というものは、デジタル化をすること自体ではなくて、あくまでも利用者の利便性向上であるべきであって、万一にも、デジタル化によって行政の業務の安全性あるいは信頼性が損なわれるようなことがあってはならないと考えております。

 利便性の向上と安全性、信頼性は表裏一体でありまして、同時に特段の配慮があるべきと考えますが、この点をまず確認させていただきたいというふうに思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 今議員御指摘のありましたデジタル手続法案につきましては、行政手続の原則を書面からオンラインに転換するというものでございますが、これは、行政手続のオンライン化自体を目的とするものではございませんで、オンライン化による行政手続の利便性の向上ということを目的としております。

 御指摘になりましたように、この行政手続のオンライン化の推進に当たりましては、業務の安全性や信頼性を確保しつつ、利便性の向上を図るということが大事で、重要でございますことから、こうした点も十分に踏まえながらオンライン化を進めていきたいと考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。しっかりとお答えもいただきましたけれども、そうした安全性それから利便性の向上、双方しっかりと担保していただきたい、このように思います。

 その上で、そうした基本的な考え方を踏まえた上で、何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まず、法務省が所管しております不動産登記事務、特に、不動産権利登記手続についてであります。

 既に平成十六年に、不動産登記法改正によりまして、このたびのデジタル手続法案の求めるオンライン化の法整備はなされており、権利登記の一番の担い手である例えば司法書士さん、七割から八割の方が電子認証、電子証明書を持っておられ、不動産登記のオンライン申請率も約四三%、商業・法人登記のオンライン申請率も五二%ということで、年々この比率は上昇傾向にあると承っております。

 国民の権利擁護のための登記の真実性確保とその利便性の向上が図られてきていると承知をしておりますが、政府としての御認識についてお尋ねをしておきたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 手続の利便性を向上させるとともに、行政手続の簡素化、効率化を図るためには、オンライン化ということだけではなくて、オンライン手続の利用率の向上をさせることが重要であります。

 登記申請につきましても、これまでのさまざまな取組によりまして、利用率が一定程度向上してきたものと認識をしております。

 今後も引き続き、利用率の向上に向けて取り組むことが重要と考えておりますが、その際には、手続の有する性質を踏まえまして、安全性、信頼性を確保しつつ、利便性を向上させるよう取組を進めていくことが重要であると考えております。

太田(昌)委員 今の答弁を前提としながら、今後一層オンライン申請率を上げるため、さらに、登記申請の添付書類について、PDFなどによる電子データ化も視野に入れた、資格者代理人の権限と責任に基づいてオンライン化を検討中というふうに承っております。

 そこで、これは内閣官房情報通信技術総合戦略室と法務省の民事局双方にお聞きをしたいと思います。

 不動産権利登記手続については、既に平成十六年の不動産登記法改正によってこのたびのデジタル手続法案の求めるオンライン化の法整備がなされているということは確認をさせていただきましたが、今後、さらに、登記申請の添付書類についてPDFなどによる電子データ化を検討する場合には、どのような点に留意すべきかについてお伺いをしたいと思います。

 特に、不動産の権利登記については、昭和二十四年まで裁判所所管の司法事務であったわけでありまして、一旦なされた登記は、それがたとえ不実の登記であったとしても、行政の許認可のように公権力によって取消処分等をすることはできない、原則として、不実登記による被害者は裁判手続によらなければ権利の回復ができないということになっております。不動産権利登記が準司法事務であると言われる理由は、このような一般行政事務とは異なる特殊性にあると思います。

 ちなみに、IT化、デジタル化の最先進国と言われておりますバルト三国の一つ、エストニア共和国においても、不動産登記は、結婚届、離婚届とともに他の一般の行政手続の例外となっておりまして、公証人の権限と責任に基づく厳格な手続によって申請をして、裁判所が所管し、手続を行っていることのようであります。

 また、不動産登記は、不動産の権利関係を公示し、土地取引及び不動産担保金融等、経済取引にとっての必要不可欠な基盤でありまして、不動産の権利関係を公示する登記の真実性、信頼性に基づいて経済取引が行われてきたのであり、不動産登記手続の重要性はここにあると思います。

 近年、マスコミでも大々的に報道されましたとおり、積水ハウスの詐欺被害事件、これは被害額六十三億円、あるいはアパホテル詐欺被害事件、これは十二億六千万の被害があった。こうしたものが発生をしております。高齢化社会にあって、地面師グループが暗躍し、世間を騒がせているわけであります。

 認知症高齢者が四百八十万人とも言われておりまして、地面師やオレオレ詐欺が後を絶たない時代背景も鑑みたときに、特に不動産権利登記において、今後さらに、登記申請の添付書類について、PDFなどによる電子データ化を検討する場合には、所有権者等の権利擁護の観点から、添付書面等が偽造、変造されていないか等、資格者代理人、司法書士において原本をしっかり確認すること及び成り済まし等にだまされることのないよう、一層厳格な本人確認手続が業務上不可欠となっている。

 資格者代理人の権限と責任を法律上しっかり位置づけ、もって登記の信頼性と取引の安全性の確保、オンライン申請による利便性の向上の両立が図られるように慎重に考慮しなければならないと考えますが、所管する内閣府としてどのようにお考えか、確認をしたいと存じます。

 また、その際には、利用者の利便性の向上という観点から、この手続の主な担い手である資格者代理人である司法書士会等の意見も十分に聞いて、理解を得た上で、デジタル化やオンライン化のさらなる推進を検討する必要があると思いますが、これについてもあわせて確認をさせていただきたいと思います。

時澤政府参考人 行政手続のオンライン化の目的は、先ほども申し上げましたとおり、あくまでも利用者の利便性の向上でございまして、仮に、オンライン化によって業務の安全性や信頼性が損なわれるようなことがあってはならないというふうに考えます。

 今、先生御指摘のありましたような取組を進めるに当たりましては、手続の結果が及ぼす影響、そして、添付書類の性質等を十分に踏まえまして、添付書類の原本を確認することが必要不可欠でないかなど、手続の安全性、信頼性を確保しつつ、利便性の向上が図られるように考慮して、適切に判断する必要があるというふうに考えております。

 あわせまして、利便性の向上を図る観点から、手続の利用者の意見を十分に聞いて、理解を得て進める必要があると考えております。

筒井政府参考人 法務省から引き続きお答えいたします。

 御指摘がありました方式は、司法書士などの資格者代理人が申請人を代理して権利に関する登記のオンライン申請を行う場合において、資格者代理人が添付情報である書面のPDFファイルを作成し、これに電子署名を行って送信することで、そのもととなった書面を法務局に提供することを不要としようという方策でございまして、オンライン申請の利用促進の観点から、法務省において検討を進めていたものでございます。

 もっとも、このような申請方式の導入の可否やその具体的な内容を検討するに当たりましては、御指摘がありましたとおり、登記の真実性を確保する必要性が大変高いと考えており、登記の真実性が損なわれることのないように、担保措置の要否についても検討を深める必要があると考えております。

 また、資格者代理人方式は、その主たる担い手としては、権利に関する登記の専門家である司法書士が想定されております。このため、その導入に当たりましては、司法書士が、担保措置の要否を含めて、このような方式の導入に理解を示し、積極的に利用していただけるような環境整備が必要であると考えております。

 このような観点から、法務省におきましては、全国各地の司法書士会の方々の意見を聴取する取組も行っているところでありまして、引き続き、これらの観点に配意しつつ、丁寧に検討を行ってまいりたいと考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただきましたとおり、この手続、主な担い手であります資格者代理人でもある司法書士会等、そういう皆様方の意見もしっかりと聞き取っていただきまして、冒頭申し上げましたとおり、利便性の向上と安全性、信頼性、これは表裏一体で、ともにしっかりと確保をして、国民生活の安心、安全に資するものになっていただきたい、このことをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、ソサエティー五・〇に関連をしまして、以下、ちょっと質問をさせていただきます。

 国民生活の多くの部分に、情報通信分野の発展、欠くことができない大きなウエートを占めております。現在、政府としましても、ICTは、新たな富の創出や生産活動の効率化に大きく貢献をして、国民生活を便利にするものであり、ICTの活用が経済成長のために重要な鍵であるとなっております。

 そこで、数ある課題の中で、私の地元でも大変にこれは期待をし、求めております、医師不足や医師の偏在への対応の一つとして、遠隔医療の実現ということがございます。現段階での遠隔医療に対する政府の取組について御説明をお願いいたします。

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 遠隔医療は、ICT機器、ネットワークの利用が不可欠でございまして、総務省といたしましても、さまざまな実証等に取り組んでまいっております。

 近年は、5G等の高速ブロードバンド環境の整備、それからスマートフォン、タブレットの飛躍的な普及等を背景に、これを活用した遠隔医療に対する関心、期待が非常に高まっていると考えているところでございます。

 平成三十年度、総務省の取組でございますが、厚生労働省において、オンライン診療の適切な実施に関する指針が作成されましたことを受けまして、総務省では、主に技術的な観点から、安全かつ効果的なオンライン診療を実施するための優良モデルの構築に向けた実証に取り組んできたところでございます。

 総務省といたしましては、平成三十一年度も、厚生労働省と連携しながら、質の高い遠隔医療が展開されていくよう、引き続き、安全かつ効果的な遠隔医療を実施するための優良モデルの構築に向けた実証に取り組んでいく等々考えているところでございます。

太田(昌)委員 5Gがいよいよ視野に入ってまいりました。超高速、多接続、そして超低遅延というような形の中で、とりわけ、なかなか二次医療圏で医療が十分でない地域も、中山間地、結構あるわけでございまして、そういう意味においても、こうした医療分野における遠隔医療の推進というのを特段お願いをしておきたいというふうに思います。

 さて、そのような中で、さまざまな医療関係、膨大なデータの解析を瞬時に行い、答えを導き出す人工知能、AIの活用があらゆる分野で取り上げられております。私ども公明党におきましても、三月に、ICT社会推進本部、がん対策推進本部で、がん研の有明病院の視察をさせていただき、AIの調査もさせていただきました。

 また、今、さまざまこれは新聞の報道にもありますが、医療現場でもAIの活用が進んでいるということで、ちょっと若干紹介させていただきますと、大腸にできた病変は、早期がん、がんになるおそれのある悪性ポリープ、切除の必要がない良性のポリープがある。内視鏡で映し出した病変の形状などから、医師が悪性か良性かを判断し、必要と判断すれば、電気メスなどで切除する。熟練の医師ならば、九割以上の正確さで見分けられるが、経験が浅い医師だと七割程度である。また、AIに読み込ませた内視鏡画像は、実績のある専門医が診断した約六万枚。内視鏡が病変に接触すると、悪性か良性かを瞬時に判断するものになっておって、正答率は九八%に達する。熟練医師と同様の能力があると。

 また、タブレットで、症状に関する質問に、これは選択肢から答えを選んでいくだけで、症状が文章となって電子カルテに記載されるという問診支援システム、このようなものもございます。これは、内科の病気を中心に約五万件の論文を学ばせて、患者の回答内容と照らし合わせて、医療用語で症状をカルテに反映させる。医師にしてみると、症状を聞き取ってパソコンに入力する手間が省ける上で、また、これまで時間が十分以上かかった問診が四分程度になったとも言われておりますし、患者からも、待ち時間の間で入力をでき、診察時には、そのまますぐに診療に入ることができるなど、大変に好評であるというふうにも聞いております。

 また、別に、今度は外国人も大変ふえておりまして、外国人患者が、これは、日本人医療者との会話、タブレット型端末で自動翻訳をされて、音声で流れる。さまざまな言語に対応をし、あるいは電話で本物の通訳を呼び出すこともできる。

 ふえ続ける訪日外国人に加えて、外国人労働者の受入れ拡大もこれで始まったわけでございますので、そういう意味では、こうした外国人労働者、大変に、そうした方々の患者の受入れで、医療機関が意思疎通あるいは言語の疎通に不安があるというふうにも言われております。そのような意味で、医療現場、AIの活用が広がれば、医師の負担が軽くなり、患者と向き合う時間をしっかりと確保できるのではないか、こんなようなことを言われているところでございます。

 今、ちょっと幾つか紹介をさせていただきましたけれども、医療現場の働き方改革、医療の質の向上に向けても大変に有効であるし、重要である、このように思います。

 そこで、政府としても、医療分野でのAIの活用の取組についての現状の御説明等をお聞かせいただければと思います。

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 医療サービスの質の向上と医療従事者の負担軽減に向けまして、医療分野でのAIの利活用が期待されているという認識でございます。

 このため、総務省では、高精細な内視鏡の映像データを解析することによりまして、先ほど先生がおっしゃいましたのは、恐らく、主に診断の部分の紹介だと思いますが、私どもの方では、診断の前の検出の部分につきまして、大腸ポリープについて自動的に検出するとか、それによって医師の見落としを防ぐ等の仕組みを備えた医療用AIシステムの開発に取り組んでいるところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、厚生労働省を始めとした関係省庁とも連携しながら、医療用AIシステムの実用化など、医療分野でのAI利活用の推進につきまして取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

太田(昌)委員 これからの分野ではありますが、どうか、今紹介されたとおりの動きもしっかり出ておりますので、これは後押しをよろしくお願いしたいと思います。

 次に、政府の未来投資戦略にも掲げられていますが、二〇二〇年度には全国的な保健医療情報ネットワークの本格稼働が想定をされております。現段階の課題認識と全国ネットワークの利活用に向けた取組についてお尋ねをいたします。

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、地域医療の確保といった社会的課題をICTを活用して解決していくため、医療分野の情報化の利活用それからネットワーク化の推進に取り組んでおるところでございます。

 平成三十年度におきましては、御指摘の全国的な保健医療情報ネットワークを見据えまして、当該ネットワークを活用したサービスモデルの検討のため、医療機関と介護施設間、それから、医療機関と、医療保険者でございます、保険薬局の間のそれぞれでの情報連携についての実証を実施したということでございます。

 また、医療機関等とそれから個人のネットワーク化という観点で申し上げれば、個人の医療、介護、健康データの管理、活用を御本人の同意のもとで実現するPHR、パーソナル・ヘルス・レコードの利活用に向けた研究開発を行ってきているところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、厚生労働省を始めとした関係省庁と十分連携いたしまして、医療分野の情報の利活用それからネットワーク化の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたとおり、たしか群馬県で実証実験なんかもやられていたかと思いますが、パーソナル・ヘルス・レコードですか、PHR、さまざまな個人の情報をしっかりと、これは大切な個人情報でありますから、それと同時に、医師の理解あるいは協力も不可欠であろうというふうに思います。

 そういう意味ではさまざまな課題があろうかと思いますけれども、冒頭申し上げましたとおり、なかなか今、医療が充足していない地域というものがやはり地域には存在をしておりまして、そのような中で、今ちょっとさまざま事例として申し上げたこと、一方では医師の働き方改革にもなるかもしれませんが、患者の側からすれば、そうしたところで安心した医療が受けられる、あるいはそういう中で診断も、大変に熟練した医師のそうした力量の中で診断が受けられる、さまざまなメリットがあることだと思いますので、どうかこの推進を、二〇二〇年度にはさまざま進めていただきますように、これは御期待を申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、この三月議会で、私ども、長野県議会でございますが、私の地元でございますけれども、長野県の自転車の安全で快適な利用に関する条例というものが制定をされました。長野県は、健康長寿県であること、あるいは美しい山岳高原など豊かな自然に恵まれている、多様な自然環境、地域資源を生かした観光が重要な産業であることなどから、自転車の利用が、健康の増進、環境への負荷の低減及び観光の振興に資するものであるという認識のもとで制定をされました。

 国におきましても、二〇一七年に自転車活用推進法が施行されまして、自転車は、二酸化炭素、粒子状物質等の環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある物質を排出しないものであること、あるいは、騒音及び振動を発生しないものであること、災害時においても機動的であること、また、自転車の利用を増進して交通における自動車への依存の程度を低減することが、国民の健康の増進及び交通の混雑の緩和による経済的社会的効果を及ぼす等公共の利益の増進に資するものである、こんな基本認識が示されております。

 そういう中で、更に自転車の活用を推進してまいりたいと思いますし、それを応援していきたいと思うわけですが、一方で、安心、安全の確保も重要な問題でございます。

 二〇一五年六月に施行されました改正道路交通法では、信号無視や酒酔い運転など十四項目が危険行為と定められまして、三年以内に二回以上赤切符を切られるなどした十四歳以上の運転者は、刑事処分とは別に、安全講習を義務づけられております。現状の処分状況をお伺いしたいと思います。

 また、この赤切符、二〇一八年の交付件数は全国で一万六千六百十八件に上って、平成としては最多となったと承っております。これは、交付件数は都道府県によって大きな差が生じているとも聞いております。二〇一八年に全国最多の交付となったのは兵庫県で六千五百九十七件、大阪、愛知、東京、神奈川などでも千件を超えた一方で、私の地元、長野県など十一県警はゼロであったというふうにも聞いております。偏在の理由について、これについてもお伺いをしたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず初めに、お尋ねのございました自転車運転者の講習でございますが、その受講者数は、昨年は二百九十六人でございまして、前年の百二十二人と比べまして倍以上に増加している状況にはございます。また、平成三十年中におけます自転車利用者の検挙件数につきましては一万七千六百件ほどでございまして、都道府県別等につきましては、委員御指摘のとおりでございます。また、検挙に至らない違反行為に対しましては、全国で約百六十万件の指導警告票を交付したところでございます。

 この検挙件数、また、指導警告票の交付数につきましては、委員御指摘のとおり、都道府県間で偏在が見られるところでございますが、その要因といたしまして、一つには、自転車の事故が多い都道府県で検挙件数や指導警告票の交付数も多いという傾向がございます。

 また、冬場、冬期間に雪が降る、降雪があるような気象条件でありますとか、坂道が多いかどうかというような地形の状況によりましても自転車の利用状況は大きく異なっておりまして、これも一因であると認識いたしております。

 さらに、先ほど御質問の中でございましたような条例、自転車の安全利用、また、保険加入を促進する条例が制定されている自治体がございまして、こうしたことが法令違反に対する住民の意識に影響を与える面もあるものと考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 これも私の地元の例で申しわけないのですが、自転車が関係する事故が交通事故全体の一割を占めているんですけれども、そのような中で、亡くなった方の七割というのが、例えば右側通行とか、横並び通行とか、一時停止を無視するというような、交通ルールを守らなかった、言ってしまえばそういうことなんですけれども、そういう意味では、交通安全に係る教育及び啓発なども、この自転車活用推進法では基本方針として定められています。

 さまざま、子供から年寄りまでライフステージに応じた自転車運転者への安全教育を充実するために、自転車利用に関する教育指針を示すとともに、自動車のドライバーに対しては、シェア・ザ・ロードの視点に立って通行空間を共有する自転車の安全な通行に配慮するような、こうした教育、啓発を行うべきと考えますが、取組についてお伺いいたします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 自転車が関連する死亡、重傷事故を見ますと、その約七割では自転車側に法令違反がございますので、まずは、自転車利用者の法令遵守をしっかりと求めていくことが重要であると考えてございます。一方で、自転車の死亡、重傷事故の八割弱は自動車との衝突でございまして、その半数以上が出会い頭衝突事故となっておりますので、自動車運転者の側にもこうした事故の実態、形態というものをお示ししながら注意を促す必要があると考えてございます。

 警察といたしましても、五月には自転車月間がございますし、五月十一日から春の全国交通安全運動が始まりますので、こうした機会を利用いたしまして、関係行政機関等とも連携しながら、街頭活動、また交通安全関連のイベントの企画、参加、あるいは、ポスター、チラシ等を使用しての広報啓発活動に一層努めてまいりたいと考えてございます。

太田(昌)委員 一方で、今度は自転車が加害者になる場合もございます。そんな中で、冒頭紹介しました私の地元、長野県の条例であれ、全国で制定しているのが二十二都道府県あるそうでございますが、自転車の保険の加入について、これは義務化が進んでいるというふうにも承っております。

 こうした各県の条例制定の動き、自転車活用推進法にも、自転車損害賠償保険の加入促進を進めることが必要となっておるわけでございますが、これについて、保険の加入の重要性、情報を広く国民にわかりやすく提示すべきと考えますが、御所見を伺いたいと思います。また、これについては、なかなか保険加入状況が調査されていないということもあります。国として、調査を実施して、効果的な加入促進の方策を検討すべきと考えますが、この点についても御所見をお伺いしたいと思います。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 自転車の事故に関しましては、今委員御指摘のように、自転車関連事故件数が減少する中で、自転車対歩行者の事故件数は横ばいが続いている。また、自転車対自転車の事故が近年増加傾向にあるといったことに加えまして、自転車が加害者となる高額の賠償事故が発生しているという状況にございます。

 こうした状況の中で、自転車の活用推進を図る中で、安全に安心して自転車を利用する環境を確保する観点から、御指摘の自転車損害賠償責任保険などに加入することは大変重要というふうに認識しております。

 今委員からお話しいただきましたように、こういった自転車損害賠償責任保険への加入促進を図るための方策としまして、長野県を始めとしまして、一部の都道府県それから政令市においては、条例による加入の義務化が進んでおります。その結果、条例が設置された地域においては、保険の加入率が高まっているということも確認がされております。

 このため、国におきましては、全国の都道府県及び政令市に対しまして、自転車損害賠償責任保険などへの加入義務化につきまして条例を制定いただくために、標準条例を作成し、本年二月に周知をしたところであります。

 また、加入促進を図るためには、国民の方に対しまして、さまざまなルート、媒体を活用して、わかりやすく情報提供を図ることが重要でありますことから、国におきましては、地方公共団体や保険会社などと連携して、保険などへの加入の必要性のほか、保険などの種類あるいは概要などにつきまして、国民に情報提供をしてまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、保険などへの加入状況も踏まえまして、引き続き、地方公共団体あるいは保険会社と連携しまして、継続的に加入促進に努めてまいります。

太田(昌)委員 ありがとうございました。

 時間でございます。現在、自転車の促進については、ナショナルサイクルルート制度も今創設に向けて御尽力をいただいているところというふうに承っております。こうした制度も相まって、自転車の促進、また安心、安全が確保されることを願って、質問を終わります。

牧原委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 本日は、質疑の時間をいただきまして、委員長、理事の皆様、そして委員の皆様に、心から感謝を申し上げます。また、菅官房長官におかれましては、日々の公務御多端の大変お忙しい中、また、国会対応ということで、きょうは質問をさせていただきまして、本当に敬意を表しながら、きょうの質疑に入らせていただければと思うんです。

 きょうは、ちょっと、お配りさせていただいた資料、皆様にもお手元にあろうかと思いますが、昨年の九月六日、時間にして三時七分五十九秒ということで、深夜、朝の早い時間といいますか、夜の時間でありますが、北海道胆振東部地震、厚真町を中心とした震度七、厚真、安平、むかわ、いわゆる被災三町と言われましたけれども、その震災の状況、今の現状のことを少しお伝えする、そのために私がまた撮影させていただいてきた写真であります。撮影日時は、四月十三日、先週の土曜日であります。

 一枚目の右上でありますけれども、これは、むかわ町というところのお寺であります。法城寺というお寺でありますが、これは今も、震災後もう半年以上たつわけでありますけれども、入り口から入ってくるとこのままになっているところであります。その左側は、裏側に回ってきた写真でありますけれども、これは左下にありますとおり、大きな鐘がここに設置されていて、御存じのとおり、お寺でありますので、除夜の鐘とかそうしたことに毎年使われていたりした、そういう状況が、ここはそのままになっているということであります。

 次のページでありますけれども、これは神社であります。むかわ町の神社でありますが、これはもう見た目からもわかるとおり、左上でありますけれども、ブルーシートがかかって、今も、これはリアルタイムの状況でありますけれども、今まだ機能として果たしていないという状況であります。特別に、御神体は別の場所に保管されているということで、中に上がらせていただいて中の様子もいろいろ拝見させていただきましたが、本当に、写真にあるとおり、非常にひどい。右上にある私が撮影しているのは、ちょっと上の方もひびが相当入っていたりずれていたりして、なかなか、本当に立ち行かない状況であると。

 三つ目の写真は、これは厚真町の神社でありますけれども、こちらもいわゆる石塔とかそうしたところが被害のあったままになっているところであります。

 こうしたいわゆるお寺とか神社の被害額を伺いますと、一枚目の写真に一回戻りますが、この一枚目のお寺に関しては、自己資金と義援金で本堂の方は一千五百万円ぐらいかけながら何とか補修をしたりして、これは倒れているところの左側にある建物が本堂のところになろうかと思いますが、それは何とか維持しても、この鐘の部分を建て直すとしたら、やはり四千万ぐらい見積りとしてはかかるのではないかと言われています。

 神社等も、ここの写真以外の場所も、直接お訪ねして写真を撮れたところと、あるいは、お電話で状況をまた改めて伺ったところもあるんですが、やはり、四千万であったり七千万であったり、少し、見積りを何とかとって、いろいろとっても三千万円台ぐらいまでにしか下がらないとか、いろいろな状況が今、神社そしてお寺の状況ではありまして、あるいは、見積りすらとれないまま、立ち行かないまま、今この状況、資金的なめども立たず、放置されたままとなっているのがお寺とか神社の状況であります。

 実は、このお寺とか神社、いろいろ、震災以降、もう政府の皆様にも本当に多数の方に厚真町、安平町、むかわ町に入っていただき、また議員の皆様にも本当に多数入っていただき、私は、被災地で活動させていただいている議員として、この厚真町の隣の苫小牧というところに居住地があるんですけれども、当時、苫小牧も震度六であったんですけれども、本当に、初日から現場に入らせていただいて、いろいろお話を伺っていく中で、本当に大きな政府の力と、そして議員の皆様の本当に御理解の中で、今いろいろな事業が動いていて、住宅とか、道路とか、あるいは森林とか、さまざまなものが、今、復旧復興のために動いているわけでありますけれども、この神社仏閣というのは、一切公的な資金、支援が入っていません。

 もちろん、皆様御存じのとおりでありますが、いわゆる地方でありますから、大都市とはまた違って、地域の住民が集まる場所というのも限られている中で、お寺とか神社というのは、駐車場もあり、緑もあり、広場もあり、皆様が本当に地域の中で集まるということにはすごく適しているわけでもありまして、当然ながら毎年いわゆるお祭りも開かれる。そしてまた、お祭り以外にも、この一枚目のお寺さんではマージャン大会を開いたり、子供の集いを開いて昔遊びをしたりとか、いろいろな本当に工夫の中で、地域の住民の方のまさにコミュニティーの場所としての機能も、役割と、そして心のよりどころの役割も果たしているんだろうということを私は感じさせていただきました。

 鐘がこんな状況でありますから、昨年末は平成最後の大みそかというときでありましたけれども、何とか除夜の鐘ということをできないのかということで、住民の方でちょっとミニチュアサイズの鐘をお持ちだった方がいたということで、その方の鐘をレンタルして、十四時に子供たちも集めて、直した本堂で除夜の鐘のかわりに少し行事をやって、そしてまた、いろいろ皆様の御希望もあって、やはり夜の時間、鐘だけは鳴らそうということで、ミニチュアサイズの、胸元におさまるぐらいのサイズの鐘でありましたけれども、それを鳴らして年を越したという状況であるというのが、この状況でありました。

 令和の時代を迎えるという中で、被災地は復興元年だという思いで今非常に動いているわけでありますけれども、こうした寺とか神社とかは全くそのままになってしまっている、公的支援が入っていない。これはなぜ公的支援をしていないのか、まず、そのことを政府にお伺いしたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、被災した宗教法人に対する支援についてでございますが、憲法第二十条第一項では、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」と定められており、また、憲法第八十九条では、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、」「これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と定められており、政教分離が規定されているところでございます。

 このため、お尋ねの事案につきましても、これらの憲法の規定によりまして、宗教法人に対し、特別の財政援助を与えることはできないものと解されております。

山岡委員 今、憲法上の観点からそうした支援を行っていないということで、被災を受けたお寺とか神社の関係者の方は本当に途方に暮れているという状況があるということであります。

 そういうお話なんですけれども、過去のいろいろ事例を確認していくに当たって、やはり大きな震災があったときは同様の課題もあったのであろうと思いますが、二〇一六年に熊本の地震がございました。

 資料の四番目。熊本の地震のときには、実は、神社、お堂、ほこら、これは資料に今、黄色い線を引かせていただいていますが、支援するという事業を行っているんですね。しかも、この四番目の資料は、熊本から実際取り寄せた資料でありますが、一番下を見ますと、「復旧済の施設であっても、遡及して交付の対象とする。」と。恐らくは、当初からつくっていなくて、その後、課題となって、事業としてつくって、そして支援するという枠組みをつくったからこそ、「遡及して交付の対象とする。」という震災ならではの対応をされたんだと思います。

 熊本震災はしている、これはなぜされたんですか、なぜしているという状況なんですか、そのことを伺います。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 熊本県におきましては、被災した集落、地域におけます地域コミュニティーの場として長年利用されてきた施設等の再建に要する経費を支援されているというふうに承知してございます。

 具体的に申し上げますと、専ら地域住民が利用をし、また、専ら維持管理するものであって、地域、集落のコミュニティーを維持するために復旧が必要と市町村長が認定する施設等について、それに係る建てかえ、修繕に要する経費、これを二分の一以内、上限百万円という額で、当該施設を管理する集落あるいは自治会に対して補助をしているということでございます。

 なお、この事業につきましては、特別交付税措置により造成をいたしました復興基金、これはあくまで一般財源でございますので、その活用はその自治体の判断に委ねられますけれども、これを財源として行っておられると承知してございます。

山岡委員 済みません、ちょっと確認なんですけれども、私が今、熊本から取り寄せた資料では一千万円が上限だと。今、百万円とおっしゃいましたが。

多田政府参考人 失礼をいたしました。一千万円でございます。

山岡委員 これは、県でやっていて、なぜ国ではやらないんですか。もう一度伺います、多田さんに。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 これは先ほどお答えをいたしましたとおりでございますが、熊本県において、災害復旧の一環として、被災した地域、集落における地域コミュニティーの場の確保ということで、特別交付税措置により造成をされた復興基金を財源として、独自の御判断で実施をされたということでございまして、自治体の判断によって行われたものでございます。

 以上でございます。

山岡委員 自治体の判断で行われたからやったのだというお話でございました。

 そして、今お話にもありましたけれども、特別交付税措置で復興基金を、まあ、復興基金をつくるための特別交付税措置と。その後の使い道は独自の判断だから、都道府県がやったことで、こういう資料、わざわざ明示的に、神社、お堂、ほこらというところまで明示して、具体例ということをやったのは、まあ、それはやったのだということが御見解でありましたけれども。

 そうしましたら、この北海道胆振東部地震の対応について、総務省の対応について伺いますが、今、熊本でお話があったような、いわゆる復興基金造成のための特別交付税措置というのはしていただいているんでしょうか、伺います。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 基金造成に対する財政措置につきましては、巨大な災害が発生をし、毎年度の措置では対応が難しいような場合の極めて例外的な措置として実施してございます。近年では、東日本大震災あるいは熊本地震において実施をしているところでございます。

 一方で、北海道胆振東部地震につきましては、過去の災害におけます対応を踏まえますと、復興基金への財政措置につきましては慎重に考える必要があるというふうに考えてございまして、毎年度、被災団体の実情をよくお伺いして、適切に対応するということにしてございます。

 昨年度におきましては、昨年度は多くの災害が発生をいたしましたので、特別交付税全体を七百億円増額いたしました。その上で、胆振東部地震で被災した地方団体に対しまして、災害復旧事業等に係る地方負担の地方債を充当いたしまして、後年度、その元利償還金に普通交付税を行います。

 また、三十年度の特別交付税につきましては、北海道については前年度比五十七・七億円の増、札幌市、厚真町、安平町、むかわ町の四市町につきましては合わせて前年度比九十三・二億円の増とするなど、前年度の額を大きく上回る額を交付したところでございます。

 今後とも、被災団体の実情をよくお伺いしながら、適切に地方財政措置を講じ、財政運営に支障が生じないように対応してまいりたいと考えてございます。

山岡委員 今、長く御答弁をいただきまして、後段は、いろいろな措置を、予算措置をしているんだというお話、これは大変ありがたい話であります。

 しかし、前段にお話がありました、北海道胆振東部地震は、過去の震災に比べて、その規模等を勘案したときに、いわゆる復興基金を造成するための特別交付税の措置は慎重に考えていると。つまり、対応していないんですよ。

 地震は同じように起こって、確かに北海道は人口密度も低いですから、大阪とかあるいは熊本、あるいはさまざまなほかの震災に比べて、確かに、人的被害とか、お亡くなりになった方はいるんですよ。とはいえ、比べたときに、行政、政府は、そういう枠組みの中で、今回は過去の震災と同じ復興基金をつくらないという判断をされている、私はこのことに全く納得できません。

 そして、その結果として、幾ら、今、後段にお話をいただいた、いろいろな措置をしている、いろいろな措置をしているといっても、きめ細やかに、自治体が重要だと思った、その宗教施設というよりは、まさに地域のコミュニティーの場所として、祭りを開き、子供たちが集まり、地域のためにやっているエリアには、独自の判断でした方がいいんじゃないかという、自治体が判断して行ってきた過去の事例が、北海道ではできていないんですよ。

 私は、復興基金がつくられない、その結果としてこういうことが起こっていることが、制度上の問題が問題だと思っています。つまり、金額の多寡については、北海道胆振東部地震に見合った措置があろうかと思いますので、その大小まで、例えば熊本の皆様とかあるいは東日本大震災の被災者の皆様とか、それと同じになるとは思っていません。しかし、その状況だけ見て制度までも縛ってしまった結果、過去の震災で何とかしてきた、こられたことが、北海道で今浮いてしまっているというのが状況であります。

 このことを私、熊本県にも電話をして確認をさせていただいたんですけれども、当時、やはり熊本でも同じ問題が起こって、そしていろいろな声が上がって、過去には新潟中越地震でも同じ事業があることを熊本として確認した、だからこういう事業ができるということを確認した上で、いろいろなアドバイスもあったことでしょう、まさに地方のコミュニティーの場所としての機能ということの役割に対して、そこを復興、再建することに支援するということで対応しましたということを確認させていただいて、平成二十八年以降、八百六十件採択で六億四千万円が支給されているというのが、今、熊本の現状のお話でありました。

 では、政府にまた伺いますが、地方都市は、都市というよりも地方は、まさに、こうしたお寺にしても神社にしても、コミュニティーの中核ですよ。もう言わずもがな。ことしの秋には、この復興からめどが立たないばかりに、複数の神社ではお祭りが開けません。こうしたコミュニティーの場所というのは国としては重要じゃないとお考えなんでしょうか、お伺いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 古来から、寺社仏閣におきましては、例えば、日常生活では地域住民の交流の場となったり、また災害時には避難場所となったりするなど、宗教的機能以外でも多くの社会的機能を果たしていただいております。

 こうした意味におきまして、被災地などでも寺社仏閣がコミュニティーの場としての役割を果たすことはあり得るもの、このように考えております。

山岡委員 コミュニティーの役割を果たしているんだと。まさに都道府県とか各地が判断したことと同じ考えも、国も持てるわけです。

 私は別に、この質問を通じて、憲法の政教分離を乗り越えて支援してほしいとかそういうことを申し上げたいわけではなく、そして、例えば、もらえるものだったらもらっておこうとか、補助金でもらえるものはもらっておこうとか、そういうことを促したいとも思っていない。本当に現場、地域で途方に暮れている、まさにこの方々たちに、なぜ、住宅やさまざま、いろいろな、森林、道路も含めて生活の再建がどんどん進んでいく中で私たちは手つかずなのかというこの素朴な思いに、しかも過去には各県でされていた事例について、これを何とかしてあげてほしい、その思いであります。

 そして、私は、この復興基金、もちろん、つくってくだされば一番ありがたいと思っておりますが、しかし、今ここで問題にしたいと思っているのは、過去にはそういう柔軟な対応をできたことが、省庁と省庁のはざまの中でこうして震災復興の中で抜け落ちてしまっている場所があって、それが地域にとって非常に重要な役割を果たしていると。

 この場所は、これは菅官房長官に今までのお話を伺った中でぜひお伺いしたいと思うんですけれども、震災復興について所信表明でもお触れいただいて、まさにいろいろな人の助けの中で頑張ろうとしている中で、どうか、こういう抜け落ちたところなく、この問題についてもきめ細やかな対応をお願いしたいんです。

 省庁の枠組みでは解決できない、その課題だと思って、私は、きょう、菅官房長官に質疑をさせていただきたいということをお願いさせていただいて、この場で質疑をさせていただきました。官房長官としての御見解とお考えをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 北海道では、ことしに入ってからも強い地震が発生しており、被災地の方々は大変な不安の中で生活をしていらっしゃいます。心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 この胆振東部地震に際し、政府としては、できることは全て行う、その姿勢で取り組み、予備費を活用して、発災直後、直ちにプッシュ型支援を実施するとともに、生活やなりわいの再建に向けた支援策の実施、激甚災害の指定などの対策を迅速に講じてまいりました。加えて、被災地の復旧復興を更に加速するため、平成三十年度第一次補正予算及び今回の国会で成立した平成三十年度第二次補正予算や平成三十一年度当初予算においても、インフラの復旧や生活、なりわいの再建に必要な措置を講じてきております。

 お尋ねの寺社仏閣等についてでありますけれども、地域住民の交流の場や災害時の避難場所となるなどの社会的機能を果たしているものもあり、専ら住民によって維持管理されているようなものについては、自治体が、今委員から御指摘ありましたように、支援を行った例もあると承知をいたしております。

 政教分離の観点から、この寺社仏閣等について直接公的支援を行うことは難しい面もあると認識をしておりますが、自治体と連携をして適切に対応していきたい、こういうふうに思います。

 いずれにしろ、被災者の皆さんが希望を持って前を向いて再建に取り組むことができるよう、一日も早い被災地の復旧復興に引き続き全力で取り組みたい、このように思います。

山岡委員 自治体と連携してというお話もいただきました。

 今、復興基金が財源的な問題が、なくてできないという状況の中で、もちろん、寺社仏閣も自治体に相談して、義援金も入っているので義援金の方で何とかならないかという話もあるわけでありますが。

 自治体の方も、やはりこうした大きな枠組みとしての判断が政府としてない中で、どうしてもその今の政府の考え方を準用して、厳しいという言い方を彼らにしているようであります。過去に、ほかの県でやったという事例も十分に多分自治体の方でも、まあ、研究し切れていない部分もあるでしょうし、あるいは、地域住民と直接向き合っておりますから、地域住民から何か違う視点からいろいろな意見を言われることもやはり考えなければならないという思いもあられると思いますので、この神社仏閣等の対応については非常に慎重な対応を今されているそうであります。

 どうか、財源的な措置もそうですし、そして、ほかの地域でやっているということも踏まえた中で、自治体にも、これは国から進んで推薦するということはできないかもしれませんが、知識、知恵として十分にそういう状況をお伝えしながら、今、ちょうどはざまの中になってしまっているこうした環境を整えていただきたいという思いであります。

 残りの時間で最後にお伺いしますが、今、官房長官から、やれることはあらゆることをやっていくというお話がありました。こうして今、神社や寺などで困っておられる方の思いを、少なくとも官房長官として、菅官房長官として受けとめていただける、そのことを、もし思っていただいているのであれば、ぜひお答えいただければと思います。

菅国務大臣 委員の問題意識というものを、私、先ほど来、質問を聞いておりまして、そうしたものに、ある意味では、被災地の皆さんは、当然、そういう思いの中で毎日生活をしているんだろうというふうに認識をいたしております。

 そういう中で、政府としては、地方自治体としっかり連携をして適切に対応していきたい、そう思います。

山岡委員 引き続き、私も、地域の中で何とか対応できないかということは図っていきたいと思いますが、強い思いを持って、このことは考えていただきたいということをお伝えさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

牧原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょう、最初に、山本国家公安委員長にお尋ねいたします。

 以前の当委員会、三月八日に、警察官と出版社の癒着にかかわる問題について質問いたしました。警察庁と十七都道府県の警察官が、昇任試験の対策問題集を出版する民間企業の依頼を受けて、問題や解答を執筆して現金を受け取っていた問題を取り上げ、真相究明を求めました。

 その際に山本国家公安委員長は、現在事実を確認中、早期に確認した上で適切な対処がされるよう警察を指導していきたいとお答えになりましたが、その後はどうなりましたでしょうか。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 お尋ねの件につきましては、今ほどのお話のとおり、三月八日の日にお尋ねいただいたところでございますけれども、現在におきましても、引き続き、関係警察において事実関係の確認を行っているものと承知をいたしております。

 公務員が、出版社から依頼を受けて、執務時間外に原稿の執筆を行い、その原稿料を受領することは、これは間々あることでございます。ただし、必要な税務申告が行われているとともに公務員関係法令に抵触するものでない限りにおいては、特段の問題は生じないというふうに認識をしているところでもございます。

 事実確認につきましては、いまだ全体としては継続中ではございますけれども、取材や報道のあった者、約四百六十名でありますけれども、その四百六十余名のうち四百名を超えるかなりの部分につきましては、これまでの確認によると、何らの措置を要しないと認められるなど、問題のないケースであるというふうに承知をいたしております。

 他方、少なくとも三十名程度の者につきましては、兼業に当たるか否かなどについて、なお事実確認が必要であり、引き続き、関係警察において事実関係の確認や関係機関との協議等を進めていくものというふうに認識をしているところでございます。

塩川委員 そうしますと、必要な税務申告ですとか公務員法令に当たるかどうかといった点での確認をされておられるということで、大半の方は問題なしということだけれども、三十名程度については、兼業に当たるかどうかといったことを含めて、さきで指摘した点について事実関係の確認を進めているということであります。

 これは、そうはいっても、警察庁及び十七の都道府県警、ここで、もうおおよそ結論が出ているところもある、県警ごとで見たら終わっているところもあるというのは前回も答弁がありましたけれども、そういうところから明らかにするとか、そういうのはできないんですか。

山本国務大臣 全体像を我々把握する必要がございますし、それをベースにして処分等々のことも考えていかなければならないということでございますので、いま少し時間をいただいて、全体の状況がどうであるかということについての確認作業をしていきたいというふうに思っております。

塩川委員 極めて重要な問題であります。しっかりと確認をしていただきたいと思いますけれども、同時に、やはり、明らかになってから、マスコミ報道からも三カ月以上もたちますので、これはしっかり明らかにするということは必要だと思っておりまして、いつまでに全体像を明らかにするお考えか、この点、お聞かせいただけませんか。

山本国務大臣 先ほども申し上げたとおりでございますけれども、取材や報道のあった者、四百六十余名のうち四百名を超えるかなりの部分については、これまでの確認によると、何ら措置を要しないと認められるなど、問題がないものと承知をいたしております。

 他方で、残りの者については、兼業等について事実確認が必要であり、さらに、関係事業者の協力も得なければならない点があるなど、現時点で関係警察における事実確認終了の確たる時期を申し上げる段階にはないものと認識いたしております。

 いずれにしても、可能な限り早期に事実確認を行った上で、必要に応じて適切な対処がなされるように警察を指導してまいりたいと思っております。

塩川委員 そういう点では、四百名以上の人は問題ないと言っているんですけれども、そうはいっても、明らかにしていただかないと我々としても判断のしようがありませんので、その点をしっかり明らかにした上で、しかるべく早期に明らかにしていただいて、警察への信頼が問われる問題だと考えています。

 そういう重要な案件について、国家公安委員会でしっかり議論する必要があるんじゃないかと思うんですが、そういう議論の場というのはあるんでしょうか。

山本国務大臣 国家公安委員会の各委員に対しましては、警察庁におきまして、個別に、当該報道があった旨と、それから、必要な事実確認を関係警察において行う旨の報告を行っているというふうに承知をいたしております。

 現在、関係警察において事実確認中であり、確認の結果、問題があるものがあれば、国家公安委員会として、報告を受けた上で、必要に応じて議論がなされているものというふうに考えておりますが、現時点で予断を持ってお答えするということはできないところでございます。

塩川委員 警察庁が調査しているから、それがまとまったところで議論するというのではなくて、そもそもこの国家公安委員会で警察のあり方についてきちっと議論する、やはり、委員からそれぞれ問題意識を聞いたり意見を聞いたり、そういうのを調査に反映することが必要なんじゃないですか。そういうことをぜひやってもらわなければならぬと思うんですが、いかがですか。

山本国務大臣 国家公安委員会におきましては、確たる事実をベースにしての議論というものをしていく必要があろうかというふうに思っておりまして、今の委員のお話も参考にはしながらでございますけれども、あくまでも、問題があるということについての議論をしっかりさせていただきたいと思っておりますので、その議論の材料が出るまでは、我々としては、予断を持って対応するわけにはいかないというところでございます。

塩川委員 納得のいくお答えではないんですが、問題があるという段階でやはり議論するということが重要なわけですから、まさに国家公安委員会の役割がそこにあるんだと思いますので、全部お膳立てが済んだからやりましょうという話ではないという点でも、国家公安委員会として本来求められる役割をどう果たすのかというのが問われているということは申し上げ、警察への信頼が問われている問題ですので、直ちに全面的に明らかにしていただいて、やはり国民の目線で、国民の立場でしっかりと検証していくということが求められていると思いますので、その点、重ねて要望しておくものであります。

 続いて、前回議論したドローン飛行禁止法案の関係で、若干質疑をし足りないところがありましたので、お尋ねしたいと思います。

 防衛省にお聞きしますが、ドローン飛行禁止法案にある、米軍に係る、日米地位協定第二条第一項の米軍の施設又は区域においては、陸域、水域とともに空域があるという説明がありました。その空域とはどういうものなのかについて、まず説明をいただけますか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 我が国の領域内の訓練空域につきましては、日米地位協定、委員お示しのように、第二条第一項の規定によりまして米軍に提供している陸域ないし水域の上空を、合理的な範囲で地上ないし水面の施設・区域と一体のものとして米軍の使用が認められているものでございます。

 これらの空域につきましては、地上ないし水面の施設・区域と一体のものとして、保安上、対象防衛関係施設に指定することは排除されませんが、個別具体的にどの在日米軍施設・区域を対象防衛関係施設に指定するかという点につきましては、米側と協議をしつつ、法案成立後に、これらの指定の必要性を精査して、真に必要な範囲を指定することになるものでございます。

塩川委員 ドローン飛行禁止法案の話ではなくて、そもそも日米地位協定に基づく米軍の施設又は区域の話で、日米地位協定の二1(a)などで示している米軍の施設又は区域で、空域があると言ったものですから、その空域というのはどういうものですかと。例えば高さ、どういうものを明らかにしているのか、その点が聞きたいんです。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま副大臣の方から、地位協定第二条の1に基づきまして提供しているというお話はさせていただきました。

 具体的に空域と申しますのは、例えば三沢対地訓練区域ですとか、あるいは沖縄であれば久米島射爆撃場ですとか、そういった、特に空軍関係の訓練を行う場所として空域が指定されているというところでございます。

塩川委員 空軍関係というお話なんですが、例えば、でも、日米地位協定により米軍が使用している空域についてということで、沖縄では、例えばキャンプ・シュワブなんかもあるんですよね、空軍ではなくて海兵隊ですけれども。キャンプ・シュワブはあるけれども、海兵隊の航空基地たる普天間は入らない、あるいは空軍の嘉手納はこの空域というもののリストに出てこないんですけれども、空域を指定されているところと指定されていないところの違いは何なんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の、例えば普天間ですとか嘉手納といったものは飛行場でございまして、まさに航空機のベースでございますし、そこから航空機が離発着するという場所でございます。

 一方、空域に関して言えば、先ほど、済みません、代表例として空軍と申し上げましたが、もちろん海軍ですとか海兵隊、さらには陸軍の航空機も使用することは可能でございますが、いずれにせよ、主たる目的は訓練を行うという意味において空域が指定されているというところでございます。

塩川委員 訓練を行うところと言うんですけれども、それは全部じゃないですよね。例えば、キャンプ・マクトリアスとかというのも空域指定しているんですけれども、ここは住宅地ですよね、学校とかスポーツ施設とか。それは、訓練をそこでするんですか。米軍の軍人軍属がいる、そういったところも訓練場所なんですか。

 ちょっととめてもらえますか。

牧原委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

牧原委員長 速記を起こしてください。

 防衛省田中地方協力局次長。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ・マクトリアス区域につきましては、有視界飛行による航空機の運用という使用目的がございます。

塩川委員 だから、有視界飛行による航空機の運用ということであれば、ヘリですとかセスナですとか、基本は計器飛行でないものは全部入るわけですよね。だったら、ほかのところも同じじゃないですか。嘉手納だってそうでしょう。普天間だって同じなんですよ。訓練と言うから、普通に、米軍の住宅地の上が訓練場になっているのかという、その説明にはなっていないんですけれども。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 空域に関しては、訓練という目的がほぼメーンだというふうに考えておりますが、先ほども申し上げたような航空機の運用という言葉に示されるようなものというものも含まれるというふうに考えております。

塩川委員 航空機の運用というのであれば、日本の航空法、米軍は適用除外ですけれども、尊重すると言っていますから、それを当てはめるのであれば、航空法でいえば、地上面の一番高い部分から百五十メートル以上飛びなさいと最低安全高度規定がある、人口稠密地域だったら三百メートル以上とありますよね。

 この空域、地位協定に基づく空域は、高さはどこまでなんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 これは空域ごとによって高度についてはそれぞれ定められているところでございまして、一律に定められているものではございません。

塩川委員 例えばキャンプ・マクトリアスという米軍の住宅地のところが、有視界飛行の航空機の運用という話をしましたけれども、それは基本三百メートル以上は、航空法に準じれば飛ばないわけですよ。この空域というのは三百メートルの更に上まで広がっているから指定しているということですか。

田中政府参考人 委員、申しわけございません。御質問の趣旨は、三百メートル以上についても空域というふうになっているのかという……(塩川委員「いや、キャンプ・マクトリアスは高さはどこまでなんですか、三百メートル以上なんですかと聞いているんです」と呼ぶ)

 キャンプ・マクトリアスに関しましては、上空二千フィートまでというふうになっております。(塩川委員「七百メートルぐらい」と呼ぶ)さようでございます。六百から七百メートルぐらいでございます。

塩川委員 そうですか。これは初めて知りました。そういった格好で、一応上限設定がある。その理屈はもうちょっと確認しようと思うんですが。

 そこで、ドローン飛行禁止法案について聞きたいんですけれども、ドローン飛行禁止法案の場合について、対象施設の上空は、ドローンの飛行は、規制について高さ制限というのはあるんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、防衛関係施設に限らず、御指摘の法案の対象あるいは現行法の対象で上空の高さ制限といったものはございません。

塩川委員 飛ぶかどうかは別にしろ、三千メートルとか四千メートルでもかかっているということですよね。だけれども、航空機の場合だったら、ドローンじゃないから飛べるわけですよね。ドローンはずっと上まで規制されるけれども、航空機は規制されないということになりますね。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるドローン規制法のほかに、いわゆる航空法というのがございまして、こちらでは、ドローンにつきましては高度は原則五百メートル以下しか飛べないということになっております。

塩川委員 いや、航空法で言う航空機、ドローンじゃなくて、の場合は、別に上の方は制限されないですよね。航空法のドローンじゃなくて、航空法の航空機。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと防衛省の所管ではございませんけれども、航空法上の航空機の高度の規制というのはございません。

 それから、済みません、もう一点。先ほど、私、答弁でドローンの航空法上の制限が五百メートルと申し上げましたが、百五十メートルの誤りでございます。

塩川委員 要するに、ドローンの場合には上限規制がないんですよ。だから、そういう意味では、ドローンであればどこまでも規制の対象になっているというのが実態であります。

 それで、広大な空域が米軍に既に提供されているわけですけれども、ドローン飛行禁止の対象エリアも大きく広がる懸念があるわけです。

 防衛省に聞きますが、もともとこれは米軍の要請じゃないのかということなんですけれども、二〇一七年十一月十六日に小野寺防衛大臣とハリス米太平洋軍司令官が会談を行いました。その際にドローン飛行規制を要請したと報道されています。防衛省、日本政府は、米軍から直接ドローン飛行規制の要請を受けているのではありませんか。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 日米間では平素より必要な意見交換等を行っております。これまで米側から、在日米軍施設・区域上空において小型無人機、いわゆるドローンの飛行が確認された事例について情報提供を受けてきたところでございますけれども、御指摘のハリス司令官の件も含め、具体的なやりとりの内容につきましては、相手国との関係もありますことから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 納得のいく答えではありません。否定しなかったということでもありますので、米側が名護市辺野古のキャンプ・シュワブを飛ぶドローンの規制を要請してきた、その経緯は明らかであります。

 山本大臣にお尋ねします。

 やはり、このドローン飛行禁止法案について、日本新聞協会や民放連からも反対の意見表明がなされてきたところです。米軍基地が集中をする沖縄のメディアからも、厳しい声、懸念の声が上がっております。

 琉球新報は、社説で、

  名護市の辺野古新基地建設現場は米軍キャンプ・シュワブと周辺の提供水域に囲まれ、報道機関のドローンは近寄れなくなる。建設現場では県条例に反して赤土が流出している疑いがある。「K4」護岸付近から汚水が漏れ出している様子を市民団体がドローン撮影で確認している。

  東村高江での米軍ヘリ炎上事故ではドローン撮影によって事故直後の状況が明らかになった。ドローン撮影を封じれば工事の進捗や基地建設による環境破壊などの実態を隠すことになる。

と厳しい指摘があり、また、沖縄タイムスも、

  土砂投入が進む辺野古新基地のドローン撮影ができなくなれば、埋め立て承認時の留意事項が守られているかなどの監視は難しくなる。米軍機の事故現場では、取材活動が不当に制限されることになりかねない。基地からの油漏れなど、ただでさえ困難な米軍への取材はますます制約を受けることになる。

 大臣、米軍基地が集中する沖縄では、取材の自由が大幅に制限をされ、国民の知る権利が一層侵害されることになるんじゃありませんか。

山本国務大臣 今回の法改正では、近年におけるドローンの脅威の高まりを受けて、我が国を防衛するための基盤である防衛関係施設に対する危険を未然に防止すること、また、ラグビーワールドカップ及びオリパラ競技大会の安全な、かつ円滑な実施を確保するためのものであって、私も再三申し上げてまいりましたけれども、報道機関の取材活動を制限する意図はございません。

 その上で、報道機関による取材目的の飛行など正当な理由のあるドローンの飛行については、施設管理者の同意等の手続を通じて飛行を認めることにより、法の規制目的と国民の権利との調和を図ることとしているところでございます。

 防衛省におきましても、報道の自由の重要性を十分認識した上で、対象防衛関係施設に関する法の運用について各種検討を行っているというふうに報告を受けておりまして、取材活動やあるいは国民の知る権利に配慮した適切な運用が確保されるものというふうに認識をいたしております。

塩川委員 米軍はやめてくれと言っているんですから、そこでどうして同意が得られるのかということになるわけです。

 沖縄には米軍基地が集中をしております。沖縄の本島においても面積の一四・七%を米軍専用施設が占めるということで、この米軍の要請によるドローン飛行禁止措置では米軍の配慮があるはずもない、ドローン飛行禁止法案はやはり撤回をすべきだということを申し上げておくものであります。

 それでは、山本大臣、御退席いただいて結構です。

牧原委員長 山本大臣は御退室ください。

塩川委員 次に、防衛省に、米軍所沢通信基地への横田基地残土搬入問題についてお尋ねします。

 所沢市議会は、残土搬入反対の意見書を全会一致で採択をしました。所沢市基地対策協議会も、二度にわたって反対を意見表明しています。所沢市民の反対の立場は明確であります。

 防衛省にお尋ねしますが、横田基地の土砂堆積場所について、その土地の取得の経緯、その後、米側に提供した経緯、これらについて説明をいただきたい。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの横田飛行場滑走路北側の土地につきましては、昭和四十年ごろから当時の防衛施設庁が順次取得をいたし、昭和四十七年から航空機の離着陸安全確保のための区域として米軍が使用してきております。

 その後、当該土地は、平成二十八年十二月の日米合同委員会におきまして、外周道路の切りかえ工事を行うために米軍に提供することが合意され、平成二十九年三月に提供されているという状況でございます。

塩川委員 昭和四十年ごろに農地だった土地を取得を開始し、四十七年、一九七二年に離着陸の安全確保のためということで使用するということで行った。外周道路の建設ということで米側に土地を提供したということですが、これはもともと、一九五〇年代に滑走路の延長を行った、それに対応して取得された土地とかかわる部分ということでいいですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 滑走路の北側の端にかかる部分でございます。その部分につきましては、もともとは農地でございました。ただ、滑走路のまさに北端の部分の周辺に当たるものですから、やはり航空機の運用上、そこに例えば障害物などが設置されると航空機の運用に支障があるものですから、その意味において、昭和四十年ごろから、順次、防衛施設庁が取得し、先ほど申し上げたような経緯に至っているというところでございます。

塩川委員 その辺の経緯をもう少しきちっとたどっていただきたいんですけれども、そもそもは農地だったところで、航空機の離着陸の障害とならないように、無障害地帯としてその農地部分を買収した、取得をしたということで、要するに建造物が建たないスペースにしようということなんです。

 そうしますと、もともと農地だったところに、盛土になっているんですよ。だから、それが不思議でならないんですけれども、何でそんな盛土になっているんですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 当省といたしまして、盛土の由来が確認できる資料というのを可能な限りさかのぼって今調査しているところでございますけれども、現時点においては見つかっておりません。

 用地取得から既に五十年以上が経過しているということもございまして、盛土の由来を確認することが非常に困難であるという可能性はあるものの、引き続き調査を行ってまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 ですから、もともと農地だったところだから別に高いところでもないのを、わざわざ盛土するような状況になっているわけですよね。それをどこかから持ってきたという話になって、ですから、所沢市あるいは所沢市民が懸念をするのが、それが汚染されている土壌ではないのかという話なんです。

 前も聞きましたけれども、米軍としては調べているというんだけれども、所沢市も、過去、所沢通信基地の汚染の問題もあって、やはり国として独自で調査してくれとずっと要求しているんですよ。それはやはり汚染土壌への懸念があるからで、基地内からもし持ってくるとしたら、過去、いろいろな、重金属ですとか油類で汚染をされている、そういった土砂が積み上げられている場所じゃないのかといった懸念が当然出てくるわけで、その由来を明らかにするというのはぜひしっかり調べていただきたいということと、こういう所沢市から求められている、国として汚染土壌の調査をやれといったことについて、やはりきっちり少なくとも応えるというのが国の責任じゃないですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍からは、当該土砂につきまして、土壌汚染調査の結果、汚染されていないことが確認できたこと、あるいは、これまで汚染を引き起こす可能性のある産業用の施設として利用したことがないことから、使用形態等を踏まえて、汚染があるとは考えられない旨の説明がございました。

 防衛省におきましても、米軍の行った土壌汚染調査は、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関において実施されたものということ、また、その結果についても、土壌汚染対策法の特定有害物質が全てにおいて基準値内であることを確認いたしております。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、必要に応じまして、関係自治体に対し更に情報提供を行ってまいりたいと思います。

塩川委員 全ての土壌を調べているわけではない、サンプリングですから。つまり、由来がわからないんですよ。由来がわからないんだから、どんな汚染がされているかもわからないんですよ。そういうときに、幾つかのサンプリングで、ありませんでしたという話にならないわけで、その由来をはっきりさせることも踏まえて、しっかりとした調査を国として行ってほしいという所沢市の要望というのは、これは最低限の要望だろうということを申し上げておきたい。

 そもそも、こういった土地、外周道路をつくるために、二1(a)で米側に日本政府が土地を提供したわけです。その時点で、残土が出ることはわかっていたわけですよ。国は残土が出ることがわかっていた。そういうときに、何でわざわざ、住宅団地があり、学校があり、病院があるという所沢通信基地、目の前を残土置場にする、こういうことを容認するようなことをやったんですか。それ自身、国が容認したということになるんですけれども、それはおかしいんじゃないですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍からは、横田飛行場における外周道路の切りかえ工事により発生する土砂につきまして、横田飛行場の滑走路周辺の盛土の部分は運用上の理由から土砂を積み上げることができないというふうに説明を受けております。また、住宅地区も含め、その他の地域においても、既存建物などが過密であること等から土砂を堆積する場所が確保できないことから、施設の運用上問題のない所沢通信施設へ搬入する計画にしたという説明を受けております。

 防衛省といたしましては、土砂搬入に伴いまして、周辺の環境への影響や、あるいは安全等にも十分配慮がなされるよう米軍に要請を行うとともに、関係自治体に対しましては適切に情報提供を行ってまいる所存でございます。

塩川委員 それも納得できる話ではないわけです、既に盛土になっているところなんですから。そういったところについての今の説明では納得しがたい。

 あわせて、少なくとも、民間業者に引き取らせるという話はあるわけですよ。そういう選択肢をそもそも考えるように米側に言わなかったんですか。何で住宅団地の目の前を残土置場にするんだ、どう考えてもおかしいじゃないかと、そういったことはきちっと言わなかったんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、米軍からは、横田飛行場内では工事に伴い発生した土砂を堆積する場所が確保できないことから、施設の運用上問題のない所沢通信施設へ搬入する計画にしたという説明を受けております。

 一方、米軍は、地位協定第三条に基づきまして、施設及び区域の管理のために必要な全ての措置をとる権利が認められており、その範囲内において所沢通信施設へ搬入する計画にしたというふうに承知しております。

塩川委員 日米地位協定が米軍の特権を認めているという大もとの問題になるわけで、これは、全国知事会が去年七月に国に意見を出した、その中にも、日米地位協定の抜本改定と要求しているんですよ。日本の国内法令を米軍も守ってほしいと。これこそ、やはり国民の声であり、住民の声だ。

 そういう点でも、改めて日米地位協定の抜本改定を強く求めると同時に、土砂搬入も直ちにやめろということをしっかりと政府がアメリカ側に言うべきだということを申し上げておきます。

 今、一日百二十台のダンプカーが往復する計画になって、沿線の道路環境の悪化も懸念され、生活環境の悪化を招く、こういった横田基地工事における残土の搬出、搬入はやめよということを申し上げておきます。

 ここでドローン関係と防衛省の方は結構ですので。

牧原委員長 原田副大臣は御退室ください。

塩川委員 残りの時間で平井大臣にお尋ねいたします。

 健康・医療戦略やIT総合戦略を担当しておられます。これまで当委員会でも健康・医療戦略について質問してきたところですけれども、きょうは関連して、IT総合戦略本部、IT総合戦略室の体制問題について、まずお尋ねをしたいと思います。

 IT総合戦略、法案も出るものですから勉強しようと思ってIT総合戦略本部からサイトに入ったんですけれども、IT総合戦略室の詳しい説明が出てこなかったんですよ。IT総合戦略室で検索すると、政府CIOポータルが出てきたものですから、そこでIT総合戦略室のところに行ったわけなんです。

 ただ、この政府CIOポータルは、政策のページを見ると、政策分野の記載の多くというのが二〇一五年三月で更新がとまっているんですよね。そういうのは大臣は御存じでしょうか。何でこんなことになっているんでしょうか。

平井国務大臣 御指摘があるまで私も知りませんで、ありがとうございます。至急修正をせよということで、指示を出させていただきました。

塩川委員 IT総合戦略室ですから、それが四年前のままで置きっ放しというのは、本当に大丈夫なのかと思うんですが、大臣として感想はどうですか。

平井国務大臣 これは、政府CIOポータルの、最近やった新しい仕事については全部更新しているんですよ。大もとのところを更新し忘れたと私は見ました。

 ですから、すぐにそこは修正して、それと、やはりわかりやすくすべきだろうというふうに思っていて、例えば、官邸が運営するIT総合戦略本部のウエブサイトとIT総合戦略室が運営する政府CIOポータル、それぞれの関連情報が掲載されているんですが、相互リンクがなかったりするんですね。だから、そういうことも至急改善させていただきたいと思います。

塩川委員 ですから、IT総合戦略本部をあけて、それの記載の責任はIT総合戦略室になっているんです。そこをクリックできるようになるんだけれども、五行ぐらいの説明で終わっちゃっていて、そこから政府CIOポータルとかに飛べばいいわけで、それは最低限の話だと思うんです。

 その上で、政府CIOポータルについても、今言ったような政策のページが古いということですとか、あるいはIT総合戦略室の各部署の業務も、やはり四年前でとまっているのも多いんですよね。

 例えばということで紹介したのは、配付資料にある、これは配付資料一という方ですけれども、左上に「政府CIOポータル サイトより」と書いているものですが、そもそも、政府のIT総合戦略本部が、全体、どういう機構になっているのか、どういう構成になっているのかを確認しようと思ってあけたんですけれども、この上段の方、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」というのがあって、組織図が出てくるんですけれども、例えば、一番下、水色で、パーソナルデータに関する検討会とあるじゃないですか。これは今でもあるんですか。

平井国務大臣 これを見ますと、例えばこの「eガバメント」といったものが「デジタル・ガバメント」というふうに変わったり、言葉を置きかえなきゃいけないところを置きかえていないというものを今チェックしているところでございまして、最新のものは、最新の状況はちゃんと書いているんだけれども、やはり、過去にさかのぼって、いろいろな説明しているものを全部そのように直していないというところがあるのかもわかりません。

塩川委員 ですから、新しいのを順次更新しているのは確かなんですけれども、古いものが新しいものに置きかわったときに、古いまま残っているという状況なんですよ。

 ですから、この組織図もその一つで、この前、説明を聞こうと思ってIT総合戦略室の方にお話を聞いたときに、この下段の方の「IT総合戦略本部等の構成」というのが、この右上にあるように、去年の十一月の二日現在というので、直近のものなんですよね。これは非常に、ある意味、現段階という点ではわかりやすい図だろうなと思っている。でも、これは、ウエブサイト上、ポータルにはどこにも出てこないんですよ。それも困るんですけれども、その辺は、ぜひ、すぐ改善していただけますでしょうか。

平井国務大臣 大変重要な御指摘をいただきましたので、すぐに修正をさせていただきたいと思います。

塩川委員 それで、IT戦略、これも名称が長い、世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画、いわゆるIT戦略と言っているものについてお尋ねをいたします。

 今、この組織図にもあるように、IT総合戦略本部と官民データ活用推進戦略会議は一体で運用されて、そのもとにいろいろな専門部会などが置かれて、有識者の意見も聞くということになっているわけですけれども、このIT戦略の文章で、「抜本改革推進のための体制拡充と機能強化」の項目というのがあります。

 ここでは、IT総合戦略本部を支える事務局であるIT総合戦略室の規模が不十分であり、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるとの指摘がされており、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとともに、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあります。

 このIT戦略で言うところのIT総合戦略室の規模が不十分というのは、どういう現状であって、それに対してのどういう認識から出ているものなんでしょうか。

平井国務大臣 IT総合戦略室の仕事の、まず内容が大きく変わってきたというのがあります。過去のITの技術の延長線上に今取り組まなきゃいけないものがなくて、要するに、デジタルトランスフォーメーションの中で、技術者とかそういうものの知見も相当最先端のものが必要になるというのは間違いありません。

 一方で、官民データ活用推進基本法によって、データをこれから扱っていくという意味での専門家もこれから必要になってきますし、また同時に、その中でもやはりセキュリティーの問題がわかっている人たちがいなかったら困るとか、そういう意味で、要するに、ここまで、IT総合戦略室というのは、つまり、社会のデジタル化に対応するありとあらゆる知見が必要になってきたがために、人が足りないということであります。

 そういう状況ですので、ここで外部人材の登用というのは、はっきり言って、政府内といいますか役所側にそういう知見を持っていないというのが正直なところなんです。ですから、最先端の知見に関しては外部の方々に来ていただかなきゃいけないんですが、そのあたりの人材は引く手あまたで、なかなか政府に協力をしていただけるような状況にはならない。それも困るわけですね。そこで、はっきり言って給料が安いので、そこを何とかせよというような御指示をいただいたというふうに聞いています。

 ですから、政府、関係府省から人的資源の貢献など一層の協力がまず必要であるということと、民間からの専門人材の活用に向けた環境整備、ここをこれから関係機関と連携してどのように進めていくかということだと思います。

 今度御審議していただく法案の中に、さらに、要するに、予算調達の一元的な検討というものを内閣官房IT室でやれというふうになっておりますので、そうなりますと、ますます人が要るなというふうに思います。

塩川委員 専門的な知見、役所内には知見がない、そういった人材を外に求める場合には引く手あまたということで、確保しようと思っても給料が安い、何とかせよというのがこの文書に出ているということで、資料の裏側の方に、総合戦略室の概要、下に、室員構成ということで、ここの「室員」とあるように、下から二つ目に、民間企業からの出向者、一番下に、高度IT専門家の政府CIO補佐官とか、そういう外部の人材の方がいらっしゃいます。

 その辺の給与の実態とかはまた次回ということで、時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、四つほど質問をさせていただきたいんですけれども、まず最初に、WTOの紛争解決手続、この間、上級委員ですかね、話が出て、ニュースでも取り上げられていました。

 この日本の八県の水産物輸入をめぐる韓国とのWTOの紛争解決手続についての経緯とてんまつを一度おさらいしたいと思いますので、よろしくお願いします。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 我が国がWTOの紛争解決手続に申し立てておりました本件、韓国による日本産の水産物等の輸入規制措置につきましては、昨年二月に、第一審のパネルで、日本の立場を、日本の主張を全面的に認める報告書が出されていたわけでございますけれども、今般、四月十一日に、その上訴審に当たりますWTOの上級委員会が最終的な報告書を公表いたしました。

 この報告書におきましては、上級委員会は、韓国側の輸入規制措置がWTO協定に違反するとしたパネルの判断につきまして、その分析が不十分である、すなわち、本来考慮すべき全ての事項を十分考慮していなかったということを理由として、パネルの判断を取消しをいたしました。

 関係者の方々の期待に応えられず、まことに遺憾、かつ、じくじたる思いではございますが、同時に、どこに問題があったかということにつきましては、真摯に精査、検証したいというふうに思っております。

 一方で、日本産の食品の安全性、科学的にこれは安全であるということにつきましては、韓国が定める安全性の数値基準を十分クリアできるものとしたパネルの事実認定、この点につきましては上級委員会でも変わらなかったということでございまして、この点は非常に重要だというふうに私どもとしても考えております。

 今後、こうした点をしっかり発信しつつ、同時に、戦略を再検討の上、韓国を始め輸入規制をとっている関係国、地域、これらの国々に対しては、日本の食品の安全性について丁寧に説明をし、規制を早期に撤廃するよう引き続き粘り強く働きかけを行っていきたいというふうに思っておりますし、同時に、今回のように、主要争点となった措置自体についての協定違反があったのかなかったのか、この点の判断を行わなかったということについては、私どもとしては非常に問題であると考えておりまして、紛争解決に資するような判断を行うように、適切な形、あるいは適切な場を通じてWTOに対して求めていきたいというふうに考えております。

浦野委員 WTOは、これでもう幕引きという言い方が正しいのかどうかわからないですけれども、もうこれ以上はやらないということになるということで、結局、解決するための手続が解決にも至っていないというのは、非常に、何やったんやろなというふうに私は思うんです。

 ここで、本当は、宮腰大臣が食品安全の担当をされている大臣ということで、宮腰大臣に答弁を聞こうかなと思ったら、私が聞きたいと思っている、この八県の今回のWTOの関係で対象になっている食品の安全性についての見解をいただきたいという質問をしようとしたら、それは宮腰さんは答弁できない、その基準をつくっているだけで、それが安全かどうかは厚生労働省じゃないと答弁できないということなので、きょうは厚生労働省に来ていただいていますので、答弁をよろしくお願いします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 放射性物質に係る日本産食品の安全性につきましては、科学的知見に基づき設定された食品中の放射性物質の基準、都道府県等が実施するモニタリング検査、基準値を超えた食品の出荷制限措置等の取組により確保しているところでございます。

 具体的には、厚生労働省において、食品の国際規格を策定している機関でございますコーデックス委員会が指標としている年間被曝線量の一ミリシーベルトを超えないように、国際的に見ても厳しい条件のもとで基準値を設定しています。

 また、都道府県等が放射性物質のモニタリング検査を実施しており、福島県を含む八県の海産物では、平成二十七年度以降、基準値超過がなく、平成三十一年一月に三年十カ月ぶりに基準値超過が一件あったのみでございます。

 さらに、モニタリング検査で基準値を超過した魚種については、原子力災害対策本部長、総理でございますが、による出荷制限指示等により当該魚種が流通しないように措置されており、検査結果が安定的に基準値を下回るまで出荷制限が継続されます。

 これらの措置により、市場に流通する八県産の水産物等の安全性は確保されております。

浦野委員 食品自体の安全性は間違いなく確保されていると思っているんですけれども、韓国にこの八県から輸出できないことによってこうむっているその経済的な影響というのは実際どれぐらいあるのかというのは、御答弁をお願いできますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 我が国から韓国への水産物の輸出額につきましては、暦年で比較いたしますと、二〇一〇年の百七十五億円が、震災後、約百億円に落ち込みまして、その後、輸出が禁止されている八県以外の水産物輸出により回復傾向にはあるものの、二〇一八年でも約百六十億円にとどまっているところでございます。

 この間、世界全体への水産物輸出額が二〇一〇年の約二千億円から二〇一八年には約三千億円と大きく増加しております。これを踏まえますと、韓国への輸出は相当程度抑制されているというふうに考えております。

 また、個別品目で見ましても、例えば三陸のホヤにつきましては、震災前は十数億円程度が韓国に輸出をされておりましたけれども、この輸入規制強化によりまして輸出がとまってしまったという事例もあるところでございます。

浦野委員 経済的にやはりその影響が少なからずあるということですので、これは、今後、韓国側がどういうふうにしていくのかということにもう尽きてしまうとは思うんですけれども、実際、ほかの、この八県以外のところからのものが韓国に輸入されていますから、今おっしゃっていただいたように、金額的にはそんなに大きな数字ではないけれども、でも、全体的に伸びている中で、やはり少ない。百七十五億から百六十億に下がっているということは、本来ならもっと伸びていないといけない数字だと思いますので。

 これは、本当に、あの報道を見て、何か一般的には、安全性を認めてもらえなかった、日本の食品の安全性をWTOが認めなかったみたいな感じの受けとめをする人が結構多いんじゃないかな、そういう誤解を与えるような報道だったんじゃないかなと思っています。

 そうではなくて、ただ、WTOのパネル、一審で出たパネルの結果が、もうちょっといろいろな複合的なものを勘案して判断すべきだったんじゃないかという、ただの技術的な、そういった部分の不備を指摘して、だから認められないという話になったというのは、余り皆さんに伝わっていないというところがありますので、日本の食の安全、もともと日本はそういう食品の安全の基準も非常に高い国ですから、そういったところはもう全く、韓国が言っているような、言っているのは韓国だけじゃないですね、ほかにもそういうことを言っている国がありますよね。そういう国に対して、日本の食品が安全だというふうに、海外に向けてしっかりとやっていただけたらと思います。

 それと同時に、国内でもいまだに、この八県、まあ八県という範囲かどうかわからないですけれども、放射線による影響で食品が安全じゃないという風評をまだまき散らしている人も、実際まだまだたくさんいらっしゃいます。それは、個人がどう思うかは勝手だとは思いますけれども、事実でないことをやはりそうやって言って回るというのは、なかなか、どうかなと思っています。

 国内での風評被害、これについても、この際、どのような対策を講じているのかをお聞かせいただけたらと思います。

小山政府参考人 お答えいたします。

 風評の払拭は、福島、東北被災地域の復興再生において非常に重要な課題であると認識しております。各省庁が連携して対応することとしております。そのため、一昨年十二月、二十九年十二月に復興庁が中心となり策定いたしました風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略に基づきまして、関係府省庁とともに情報発信に取り組んでいるところであります。

 具体的には、まず、福島県を始めとした被災地域の復興の状況、農水産物の安全確保の取組、さらには、放射線そのものについて正しく理解していただくことが重要と考え、各種パンフレットの作成、配布に加えまして、広く国民に向けて、さまざまな媒体を活用した情報発信に力を入れております。

 例を挙げますと、この二月には、復興庁として初めての取組であります、福島の今を紹介するためのテレビCMを全国で放送させていただきました。また、福島の魅力や未来に向けた取組を紹介するとともに、放射線に関する基礎的な知識を知ってもらうための動画やクイズを掲載したウエブサイトを開設するなどを行っております。

 さらに、具体的に販売促進対策をとることが重要というふうに考えておりまして、そのための農水産物等の流通実態調査というのを行っております。これは、福島県産の米、牛肉、野菜の取引価格、イメージなどを調査しているものですが、その結果を踏まえまして、小売業者や仲卸業者の皆様への働きかけ、さらに、復興大臣より、経済三団体に被災地産品の利用等を直接要請しております。

 このような取組は、当然ながら、復興庁だけではなく、農林水産省、観光庁、経済産業省等、各省庁と連携して各取組を実施しているところでございます。

 引き続き、関係府省庁の連携を密にしながら、風評の払拭に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 ありがとうございます。

 この間も、議員会館の方で福島県産と宮城県産の物産展をやってはりましたけれども、本当に、全国でそういうしっかりと支えるということをこれからも進めていただけたらと思います。

 きょうは、内閣委員会の所管の質疑は一切ないという、非常に、そうなんですよ、実は私。宮腰大臣に答弁していただこうと思っていたことすら厚労省の答弁になっちゃいましたので、聞けないということだったので。いつも内閣委員会の質問は聞いて答えられない質問が多いので、これからも一生懸命考えて質問したいと思います。

 これで質問を終わります。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、内閣提出、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。平井国務大臣。

    ―――――――――――――

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平井国務大臣 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 情報通信技術が急速に進展し、国民の生活が大きく変化する中、社会課題の迅速かつ柔軟な解決や持続的な経済成長を実現するためには、社会全体のデジタル化を早急に進めていかなければなりません。行政においても、手続や業務に用いる情報を紙からデータへと転換し、デジタル化を推進していくことが喫緊の課題となっています。

 また、少子高齢化などの社会構造の変化により、社会の多様性が増していく中、情報通信技術の活用に当たっても、活用のための能力や利用の機会の格差、いわゆるデジタルデバイドに配慮し、高齢者等も含め、全ての者が情報通信技術の便益を享受できる社会を実現することが重要です。

 本法案は、こうした状況を踏まえ、情報通信技術を活用した行政の推進に関する各種施策を講じ、もって国民生活の向上や国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、情報通信技術を活用した行政の推進に関する基本原則を定めるとともに、情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定めることとしております。

 第二に、市町村長は住民票の除票及び戸籍の付票の除票を保存することとするとともに、戸籍の付票の記載事項を追加するほか、地方公共団体情報システム機構は、国の機関等から国外転出者に係る事務の処理に関し求めがあったときに、付票本人確認情報を提供することとしております。

 第三に、国外転出者による個人番号カード及び電子証明書の利用を可能とするとともに、利用者証明用電子証明書の利用方法を拡大するほか、個人番号の通知を通知カードによらず行うこととしております。

 第四に、罹災証明書の交付に関する事務等の個人番号利用事務の範囲の拡充や、乳幼児に対する健康診査に関する事務等の情報連携の範囲の拡充を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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