衆議院

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第14号 令和2年5月27日(水曜日)

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令和二年五月二十七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 松本 文明君

   理事 井上 信治君 理事 関  芳弘君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 宮内 秀樹君 理事 今井 雅人君

   理事 大島  敦君 理事 太田 昌孝君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      小寺 裕雄君    高村 正大君

      佐藤 明男君    杉田 水脈君

      高木  啓君    長尾  敬君

      丹羽 秀樹君    西田 昭二君

      平井 卓也君    深澤 陽一君

      藤原  崇君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    泉  健太君

      大河原雅子君    源馬謙太郎君

      高木錬太郎君    中島 克仁君

      森田 俊和君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    早稲田夕季君

      江田 康幸君    佐藤 茂樹君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国家公務員制度担当)  武田 良太君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    衛藤 晟一君

   国務大臣         竹本 直一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   法務副大臣        義家 弘介君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会事務局長)         佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府休眠預金等活用担当室長)         海老原 諭君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 椿 百合子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山中  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   内閣委員会専門員     笠井 真一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     穂坂  泰君

  高村 正大君     佐藤 明男君

  西田 昭二君     深澤 陽一君

  中谷 一馬君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     高村 正大君

  深澤 陽一君     西田 昭二君

  穂坂  泰君     安藤  裕君

  高木錬太郎君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

五月二十六日

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、個人情報保護法改正案に反対の討論を行います。

 昨年、リクナビが就活生の閲覧履歴等から内定辞退率を算出し、採用企業に販売していた問題が社会に強い衝撃を与えました。このような中で提案された本案ですが、審議の中で、この改正により今後リクナビ問題のような事例は起きないと政府は答弁できなかったのです。

 また、政府は、違法、不当な行為を助長、誘発するおそれがある方法での個人情報の利用禁止や、個人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合に利用停止請求権を認めること等を追加したことで、個人の権利を拡大したと説明します。しかし、そのおそれとは何か、基準を一切示しませんでした。本案では、個人情報の消去、利用停止権、いわゆる忘れられる権利からはほど遠いもので、実質的に個人の権利利益が守られるものになっておらず、反対です。

 また、本案にはさらなる個人情報の利活用を進める新制度が盛り込まれています。新設の仮名加工情報は現行の匿名加工情報よりも加工水準が低く、法律上の保護の対象である個人情報と規定されるものも含まれます。にもかかわらず、仮名加工情報であれば本人の同意なしに利活用を可能としており、権利侵害があった場合でも利用停止すら求めることができず、保護の対象とならないのです。個人情報の保護が伴わない利活用は、プライバシーの侵害のおそれが高まるものであり、認められません。

 安倍政権は、この間、各種法制定により個人情報の利活用に邁進し、個人情報をもうけの種にした成長戦略を行ってきました。経団連や新経連の、正当な事業活動を阻害する、現行制度のもとでの自主的対応で十分であるといった要望を優先し、国民が求める個人の権利保障はないがしろにしてきたのです。

 ペナルティーを見ても、EUのGDPRは数十億円とまさに桁違いであり、日本が極端に貧弱であることは明白です。しかも、これらグローバルな日本企業がEU向けにサービスを提供する場合は、当然GDPRを遵守しているわけで、全く身勝手な要望と言わざるを得ません。

 GAFAなど巨大IT企業は、利用者データを集積し、プロファイリング、スコアリングすることで、ターゲティング広告などに利用する等、巨万の富を上げています。このような緩い保護、事業者への甘い規制では、巨大IT企業から個人の権利利益を守ることはできません。

 個人情報は個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであり、プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。今最も必要なのは、忘れられる権利も含め、本人が個人情報をコントロールできる仕組みにすることです。

 以上、申し述べ、討論を終わります。

松本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、関芳弘君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本維新の会・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。森田俊和君。

森田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  高度情報通信社会の進展に伴い集積される個人情報の利活用に際し、個人の権利利益の保護を図りながら個人情報の利活用を行うことが、より良い社会環境の発展のために一層重要な課題になっていることを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 個人情報に関する定義等を政令等で定めるに当たっては、国民に分かりやすいものとなるよう、消費者や事業者等多様な主体から広く丁寧に意見を聴取し、保護対象を可能な限り明確化する等の措置を講ずること。

 二 匿名加工情報及び仮名加工情報の規定の趣旨が個人の権利利益の保護を図りながら個人情報の利活用を行うものであることに鑑み、個人情報取扱事業者が匿名加工情報及び仮名加工情報を作成する際に必要となる基準を個人情報保護委員会規則で定めるに当たっては、個人の権利利益の保護と個人情報の利活用との均衡について十分に配慮すること。

 三 個人情報の漏えい等の報告及び本人への通知の義務化の対象を個人情報保護委員会規則で定めるに当たっては、国民及び個人情報取扱事業者に分かりやすいものとなるよう、消費者や事業者等多様な主体から広く丁寧に意見を聴取し、義務化の対象となる要件を可能な限り明確化するとともに、漏えい等事案の発生が認知されずに必要な措置が不十分になるような事態及び本人が被害・影響を被るような事態が生じないようにするために必要な措置を講ずるとともに、その運用状況や実態を踏まえ、更なる措置についても検討すること。

 四 保有個人データの開示方法、第三者提供記録の本人開示、利用停止・消去権等の個人の権利の拡充に伴い、その目的と実効性を確保するため、消費者及び事業者等に分かりやすく、その趣旨等をガイドライン等で具体的に示すなど、必要な措置を講ずること。

 五 個人関連情報の第三者提供の制限等については、その実効性を確保するために解釈基準を明確にするなど適切な運用が図られるようにするとともに、その運用状況を把握して適正な個人情報の保護と利活用について更なる検討を行うこと。

 六 情報通信技術の急速な進展に伴い個人情報の利活用が高度化していることにより、データの利活用による個人の権利利益に対する影響が多様化していることから、個人の権利利益の保護を図りながら個人情報の利活用を行うよう、個人情報保護委員会は、民間の実態を常に広く把握し、制度面を含めた検討を随時行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。衛藤国務大臣。

衛藤国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

松本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官大西証史君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 立国社の今井雅人でございます。よろしくお願いします。

 まず、西村大臣、きょう、この後、第二次補正予算が閣議決定されるというふうに伺っておりますけれども、国民に誤解がないようにまずお伺いしたいんですけれども、一番効果があるのは、いわゆる真水と言われる財政出動だと思いますが、この規模は今回どれぐらいになりますか。

西村国務大臣 一次補正と合わせて全体の事業規模は二百三十兆円を超えるということになりますが、真水の金額については、今、最終の調整を行っているところでございます。

今井委員 一次補正のときには、例えば社会保障の猶予とか、こういうのも事業規模に入っておりましたけれども、もちろんそれはそれで大事ですが、やはり、事業規模の中でも効果の度合いが違いますから、真水部分が、財政出動がどれだけあるかということがとても重要だと思いますので、その点をしっかりやっていただきたい。

 それから、ちょっと私確認していないんですが、政府がつくった資料の中に、財政投融資も財政支出であるというような表現があるというふうに、確認していませんけれども、そういうふうに伺っておりますけれども、やはり、国債を発行してやる事業と財政投融資は、あくまでも融資と出資ですので、これは性格が違いますから、この辺も混乱のないようにしっかり説明していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それと、もう一点。今、十万円の給付金だ何だ等で、マイナンバーを使えば早くできるといって総理もおっしゃっておられましたが、結果的には、いろいろな、暗証番号を再発行したりとか、あるいは作業の方で突き合わせをして結局マニュアルでやっているとか、結構お粗末な状態があったり、あるいはオンラインがストップしてしまったり、こういうことが起きていて、それは今対処しておられると思うんですけれども、次のこの第二次補正で行われる経済対策、ここでも恐らくシステムを使うのはいろいろあると思うんですが、今回のことがまた起きないような、そういう対策というのは、今講じておられますか。

西村国務大臣 御指摘のように、マイナンバーカードを使ってオンラインでやれば早くできるということで、現にうまくいっている地域もございます。もう全ての市町村で受け付けがオンライン又は郵送で始まっておりますので、ちょっと今正確な数字、手元にないですけれども、もう六割、七割の自治体で支給が始まっているというふうに伺っております。

 ただ、幾つかの自治体でそうしたふぐあいがあったりしておりますし、また、ほかの申請においてもオンラインのふぐあいがあったりしておりますので、こういったことがないようにしなきゃいけませんし、これまで十分に対応できていなかった部分を、ワンストップ、ワンスオンリーでできるように、経産省において今、実証実験も始まっておりますので、そういった取組をぜひ加速をして、できるだけ迅速にお届けをしたいというふうに考えております。

今井委員 やはり、教訓を生かすということは本当に大事ですから、またこういうことがあったら、何だ、政府はというふうにやはり言われてしまいますので、そういうことがないようにお願いしたいと思います。

 ちょっとまた、いろいろお伺いしたいんですが、後ほどまたお伺いしたいと思います。

 それでは、国家公務員法の改正についてお伺いしたいんですけれども、この委員会でも質疑はずっと行われておりまして、十五日の日に理事会のところで与党の方から採決の提案がございましたが、私たちはそれを受けられないということで、結果的には採決は見送られるということになりました。

 週が越えまして、十八日になって、この国会の成立は見送るということになって、私は、それはそれで、検察庁法の部分というのは私たちは大変問題があると思っていましたから、そういう判断はそれで一つよかったと思うんですけれども、どうしてそうなっちゃったのかなというか、与党がどうしてそういう判断をしたのかなと、どうもよくわからなかったんですけれども。その後、二十日に文春オンラインの黒川さんの件が出まして、二十一日に安倍総理が、この委員会ではない場所で、さらなる検討が必要だと突然おっしゃられました。

 これは理事会でも申し上げたんですけれども、まだこれはこの委員会に付託されたままなんですね。国会に付託されたままなんです。その状況のときに、院外でこの法案について見直し、検討が必要だと言うのは、私はちょっとそれは不適切だというふうに思うんですね。

 官房長官にお伺いします。二十二日、翌日ですね、総理の。記者会見で官房長官もこうおっしゃっています。公務員の定年延長について、国民の皆さんの意見に耳を傾けることが不可欠であり、とりわけ現在の状況は、新型コロナウイルスによって、この法案をつくったときとは状況が違っているのではないかという意見もある、こうしたことも踏まえ、検察庁法の改正部分も含め検討が必要だ、こういうことをおっしゃっているわけですけれども、これはどういう意図でこういう発言をされたんでしょうか。

菅国務大臣 総理の発言について聞かれたからだったと思います。そして私は、国会のことは国会で決められる、そういうふうに申し上げています。

今井委員 国会のことは国会で決めるというのは、そのとおりなんです。それはそれで我々が考えればいいことでありますけれども、一方で、提出者の意思というのがありまして、提出者は、今出している法案はそのまま付託しておきたい、あるいは、問題があるので一回取り下げたい、これをやはり提出者として意思を確認するということも必要なわけです。

 だから、立法府は立法府で、与野党でいろいろ協議をしますけれども、現在、武田大臣で結構です、提出者というか所管大臣ですから。この法案は、今後、政府としてはどう扱われるおつもりですか。

武田国務大臣 何度も答弁で申し上げさせていただいていますけれども、少子化、生産年齢人口の低下、将来の日本の抱える問題に的確に対応するためには、今手を打っておかなければならない必要かつ重要な問題である、このように思って、今国会に提出をさせていただきました。私としては、あらゆる面から国会にて審議をいただきたい、このように考えております。

今井委員 私どもは、前々から申し上げておりますが、人事院の平成三十年八月の意見が出て、こうした高齢社会のもとで、年金の支給年齢も引上げになっていきますし、民間も公もやはり高齢者の方々も働いていただくということで、定年の年齢の引上げ、これについては賛成です、ぜひやりましょうということを申し上げてきたわけですけれども、総理の発言とかをお伺いしていると、ちょっと、私はきのう、政府としての統一見解をいただきたいということでお願いしておりますので、いただきたいんですけれども、とりわけ現在の状況は、このコロナウイルスによって、この法案をつくったときと状況が違っているという認識はあるんでしょうか。

武田国務大臣 政府を挙げて取り組んでおりますこの感染拡大防止の対策でありますけれども、なおもウイルスが全滅したわけではなくて、我々の社会状況を取り巻く環境というのは非常に厳しい状況が続いている、過去に比べ、なお更に厳しい状況が続いているという認識は持っております。

今井委員 官房長官、じゃ、聞き方を変えますけれども、官房長官とか安倍総理、私は、外でこういうことを発言されるのは本当に不適切だと思うんですけれども、これは、検察庁法の改正を含む国家公務員法の改正の中身を見直す必要があるということで検討とおっしゃったのか、あるいは、こういう時期だから、ちょっと今の時期は少しおいておいて、後ほど落ちついてから成立させた方がいい、そういう時期の問題をおっしゃっているのか、どちらですか。

菅国務大臣 この法案を私ども提出したものでありますから、その趣旨というのは、先ほど武田大臣が答えたとおり、この国会で成立をさせていただきたい。これは政府としての統一の考え方であります。

 ただ、この審議の中で、検察庁法の改正案、これはさまざまな御意見があるということも事実でありますし、また、新型コロナウイルス感染症の拡大の中で、状況は違っているのかなという意見もあることも事実です。

 しかし、私どもとしましては、より丁寧な説明について検討するなど、法案の趣旨、内容について御理解をいただく中で、この法案の取扱い等については、やはり最終的には国会でお決めいただけるわけでありますので、政府としては、そこに向けて、成立をすることができるように努力をさせていただくということであります。

今井委員 そうすると、もう一度確認ですが、時期とか内容ではなくて、丁寧に説明をすることが必要なので、その検討をする必要がある、こういう趣旨でおっしゃったということですか。

菅国務大臣 現実に、多くの皆さんからさまざまな意見があるということも事実じゃないでしょうか。

 それと同時に、総理が申し上げましたのは、まさに、新型コロナウイルス、この感染症の拡大によって、現在の社会を取り巻く状況も厳しくなってきている、そういう中で、皆様の意見に十分耳を傾けて、より丁寧に説明させていただいて、法案を成立させることができればというふうに思っています。ただ、国会のことでありますので、それは国会にお委ねをさせていただきたい、こういうことであります。

今井委員 政府としては内容をいじるつもりはないというふうに受けとめました。

 その上でお伺いしますけれども、先ほども申し上げましたが、私たちは、国家公務員一般職の定年年齢の引上げは賛成です。ですけれども、今本当に議論になっております検察庁法の特に勤務延長、これがまじっていることが、これが束ねの中に入っていることがどうしても容認できないということで、この部分だけは一旦外して、別の議論をしたらいかがでしょうかということを御提案していますが、そういうことを検討していただけないでしょうか。

武田国務大臣 経験豊富な方々の技術や知識というものを最大限活用していただけるという統一した趣旨、目的ということでありますので、今回提出した形で、どうか御審議を願いたいと思います。

今井委員 大変残念ですけれども、我々は、ここの立法事実が本当にあるのかどうかということはとても疑問に思っています。

 じゃ、それに関連しまして、きょうは義家副大臣に来ていただいていますのでお伺いしますが、昨日付で黒川元東京高等検事長の後任の人事があったと思いますが、ちょっとそれについて教えていただきたいと思います。

義家副大臣 黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、当時は引き続き勤務させることと判断したものでありますが、今回の辞任を受けまして、その後任者としては、可能な限り黒川氏の抜けた穴を埋めることのできる知識経験等を有する検察官を選任することが適当であり、事務方から必要な情報を得て、適任な後継者として林名古屋高検検事長を選任したものでございます。

今井委員 その上でお伺いしますが、これで、林さんが検事長になられたことで、東京高検の業務は支障なくこれから遂行されるということでよろしいですか。

義家副大臣 黒川氏の辞任によりさまざまな影響が及んでいることは事実であります。その影響を最小限に抑えるために、今回、知識経験等もすぐれた林氏を後任として充てたわけでありますが、影響を最小限に抑えるために全力を尽くしていただくことを期待しております。

今井委員 前に山尾委員が、予算委員会ですかね、話をしておりましたけれども、検察官というのは金太郎あめみたいなもので、誰がどういうふうにかわっても業務に支障があってはいけないということを検察官のころにたたき込まれたという話をしておりましたけれども、法務省も、林さんがなられたことで業務が、順当に遂行していく、そういう認識だということでよろしいですね。もう一度お願いします。

義家副大臣 お答えいたします。

 影響を最小限に食いとめた上で適切に業務が遂行できるよう期待しておりますし、また、バックアップもしてまいりたいというふうに考えております。

今井委員 人がかわって業務に支障を来すということはあってはなりませんし、そういうことは起きない、そういうことは起こさないということを今おっしゃっておられましたけれども、そうなると、いろいろ議論がございました、ことし一月三十一日の閣議決定、これは果たして適当だったかということになってくるわけです。

 資料をきょう皆さんにお渡ししておりますが、二枚目でございます。これは、閣議決定をしたときの添付資料、別紙でございますね。ここに、東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するためにはこの方が不可欠であるということが書いてありますけれども、残念ながら、途中で任をおりられました。後任に林さんがなられました。

 林検事長のもとでも、どの事案か私はわかりませんけれども、この事案は適切に遂行できるのでしょうか、まずお伺いします。

義家副大臣 それぞれの事案については、適切に遂行していく責任があるというふうに考えております。

 現在、黒川氏の辞任によって、具体的な引継ぎもなかなかままならない状況等もございますけれども、影響を最小限にした上で適切に遂行していかなければならない、その責任があると考えております。

今井委員 まだ就任されて二日目ですから、これから引継ぎをされて業務に入られると思うんですけれども、日がたっていけばいくほど、業務に支障が出てきたかどうかということが明らかになってくるわけです。

 そのときに、これまで、余人をもってかえがたしのような表現で、黒川さんじゃなきゃだめなんだというふうにずっとおっしゃっておられましたけれども、実はそうじゃなかったねということが、時間の経過とともに明らかになってくると思いますよ。そうすると、じゃ、この閣議決定のこの事由は果たして正しかったのかということなんです、官房長官。

 これまで、皆さんの答弁は、適切な手続によって行われたという答弁であります。手続論の話をされています。もちろん、私は手続論にも瑕疵があると思っています。口頭で決裁をしたとか、そういうところには大変問題があると思いますが、きょうはその議論はちょっとやめておきますが、手続論ではなくて、この別紙にあるような理由、閣議決定した理由、これはもう合理的な理由にはならないと私は思いますけれども、官房長官はどうお考えですか。

菅国務大臣 黒川氏については、検察庁の業務遂行の必要上、引き続き勤務させることにしたわけであります。そのような黒川氏が、この不祥事の中で辞任したことは大変申しわけない、このように思います。

 ただ、この勤務延長につきましては、今委員からも御指摘ありました、委員の資料にもありますけれども、当時、東京高検管内において遂行している重大かつ複雑困難な事件の捜査、公判に対応するためには、黒川氏の検察官としての豊富な経験、知識などに基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、当分の間、引き続き東京高検検事長の職務を遂行させる必要があるものとして、法務大臣から閣議請議があり、閣議決定されたものであり、その勤務延長には問題はなかった、こういうふうに思っています。

今井委員 世の中の意見には、今回起きた事案について、それをチェックできなかったのか、だから、この閣議決定は適切だったのかということを言う意見も見ますが、私はそこは論点にしていないんです。ここに事案がこうありますから、果たして本当に黒川さんじゃなきゃいけない事案があり、そしてこの方がいないと検察の業務が支障を来す、そういうことが本当に発生するかどうかということが論点なんです。

 今後、予想できますよ、業務は順当に遂行されると思います。そうすると、この閣議決定は本当に意味のないものになりかねないんです。

 もう一度、この閣議決定を撤回するということはお考えになれないでしょうか。

菅国務大臣 今私が申し上げましたように、その黒川氏の延長の閣議決定につきましては、委員の資料にもありましたように、東京高検管内に遂行している重大かつ複雑困難な事件の捜査、これに対応するために、その豊富な経験等を生かしてほしい、そういう思いの中で、法務大臣から閣議請議があり、閣議決定されたものであります。

今井委員 いや、質問に答えていただけていないんですけれども、私はもうこれは撤回すべきだというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 いずれにしろ、前回のこの閣議請議による閣議決定したことについては、適切なプロセスを経て、引き続き勤務されることとしたものであり、勤務延長自体は問題なかった、こういうふうに思っています。ですから、取り消すことは考えておりません。

今井委員 先ほども申しましたように、プロセスの話ではなくて、この理由ですね、事案の理由、ここにもう合理性がないと私は思いますので、そういう理由から撤回をするということは考えないでしょうかということです。

菅国務大臣 当時の理由、捜査の内容、捜査の体制にかかわることでありますので、具体的なことは申し上げることは控えさせていただきますけれども、取消しをするということは考えておりません。

今井委員 なかなか応じていただけませんけれども、私はやはり、もうこれは合理的な理由がなくなっていると思いますので、この閣議決定は撤回すべきだと思います。

 その上で、武田大臣にお伺いしたいんですけれども、五月十三日、この内閣委員会で国家公務員法の質疑がございまして、武田大臣が答弁されておられますけれども、我が会派の後藤委員とのやりとりのところで、さまざまな議論がありましたが、この国家公務員法の改正の中で、検察官の勤務延長、これを認める立法事実は何でしょうかという議論をしたと思いますね、なぜ変えなきゃいけないか、その理由ということで。

 過去に、去年の十月まではその事案はありませんでしたと。じゃ、十月からことしの今の段階まででそういう事案はありましたか、勤務を延長しなきゃいけない、定年になってもまだ働いてもらわなきゃいけないような事案はありましたかと言ったら、それは黒川さんの件一件ですと、そう明確に答弁をされています。

 となると、今後明らかになると思いますが、黒川さんの事案がそれほど余人をもってかえがたしというものではなく、ほかの方がやってもできていたということがわかれば、もはやこの検察庁法の中での勤務延長をしなきゃいけない立法事実がなくなってしまいます。困っているから変えるわけですよね。大臣も、立法事実に相当する人事はありましたかと言ったら、それは黒川さんの件一件ですとおっしゃっていますので、そうすると、この事案がそういう事案じゃないということにもしなっていけば、当然、立法事実はなくなっていくということですよね。そうじゃないですか。

武田国務大臣 当時、法務省の判断だと思いますし、仮定の御質問にはちょっと答えは控えさせていただきたいと思います。

今井委員 じゃ、確認ですけれども、先日のこの十三日のところで、これまで、定年になった後にもその職を続けなきゃいけない、そういう勤務延長に相当する者の事案は黒川さんの件一件ですという、その認識は今もお持ちですね。

武田国務大臣 私の記憶しているところでは、黒川さんの件一件であります。

今井委員 仮定の話にはもうお答えいただけないということですので、これ以上議論しても仕方ないと思いますが、今おっしゃっていただいたように、去年の十月段階では、特に問題がないというところで、一回、法制局に案を出して、了承を得ている。それからさまざまな検討をしたところ、こういうことが、今の複雑な社会環境の変化により必要になってきたという認識で検討を始めたとおっしゃっていて、じゃ、どういうふうに複雑になったんでしょうねという話をしてきたわけですけれども、それに該当するのが、例えば黒川さんの件でありますと。黒川さんは実際、勤務延長したわけですからね。だから、その事案が、いや、そうでもなかったということになれば、果たして本当に勤務延長ということを認める必要があるんだろうかという議論になるわけですよ。

 そうすると、やはりこの部分というのは必要ないですねと。もともと検察官は準司法官で、ほかの国家公務員とは違う扱いをずっとしてきて、認証も天皇がして、そういう特別な存在ですから、長くいられるように、居座れるようにはできないようにしてあったわけです。もちろん、任命するのは内閣なんですけれども、しかし、一定期間でやめなきゃいけないという縛りをつけていたわけですね。今回は、その縛りすらなくしてしまおうということだから、私たちは大変問題だと言っているんです。

 しかも、立法事実がないということになれば、それはもはや改正をする意義を失いますから、この部分は撤回するということをぜひやっていただきたいと思いますが、もう一度、御答弁をお願いします。

武田国務大臣 法務省の判断だろう、このように考えています。

今井委員 法務省。副大臣、法務省のことだそうですので、いかがですか。

義家副大臣 勤務延長制度が導入された昭和五十六年と社会情勢を比較してみると、例えば国際間を含めた交通事情は飛躍的に進歩し、人や物の移動が容易になっている上、インターネットの普及に伴い、実際に人が移動しなくても各種情報の交換やもろもろの手続などが簡単に行えるようになっているなど、社会情勢は大きく変化し、多様化、複雑化しております。

 これに伴って犯罪の性質も、例えば海外を拠点に置いた国際的な組織犯罪や、捜査手法を要するサイバー犯罪なども多く発生している状況にありまして、困難化している状況にあることから、昭和五十六年当時と比べて大きく変わっていることから、今回、国家公務員法改正案の議論を契機として、このような規定を盛り込ませていただいた次第であります。

今井委員 ちょっと次に行きたいので、この辺をもう詰めるのをやめますけれども、去年の十月の段階ではそういうことを検討されていなかったのに、それ以降、突然そんな環境が変わったんでしょうか。それは説明になっていないですよ。

 それ以降にそういう、急に変えなきゃいけないという理由が出てきて、それは例えば黒川さんのケースでした、じゃ、黒川さんがそういうケースに当たらないんですねということになれば変える必要ないじゃない、それはそうなるのが当然ですね。

 ですから、私は、この話は、この部分に関しては削除すべきだと思いますし、大臣、まさに今、この部分は法務省なので法務省に聞いてくれということですよ。そういうことなんです。ですから、やはり束ねなんかで出さないで、この部分は法務省で、法務委員会でもいいです、法務省にやはりちゃんと、森大臣に答弁してもらってそこでどうするかを決める、それが筋じゃないですか。

 大臣、ちょっと今、そうおっしゃったら、まさにそうしていただけないでしょうか。

武田国務大臣 先ほどから申し上げていますように、趣旨、目的が一つになっておりますし、法務省関連のみならず自衛隊法も含めて、その目的や趣旨は一緒ということで、今回、一括して提出させていただいたわけであります。

 御審議のほど、お願い申し上げたいと思います。

今井委員 私たちはその部分は絶対に認められないということは申し上げておきたいと思います。

 続きまして、黒川元検事長の処分についてお伺いをしたいと思うんですけれども、お手元に資料がございます。

 これは、五月二十二日の森法務大臣の会見をそこに書いてあります。まず、下線部分を読みますね。

 これについては、法務省、それから任命権者であります内閣とさまざま協議を行いました、その過程でいろいろな意見も出ましたが、最終的には任命権者である内閣において決定がなされたということでございます。内閣において決定がなされたということでございますと。

 それから、下から三行目のあたりもちょっと読ませてもらいますね。

 さまざまなことを総合考慮した上で、内閣で決定したものを、私が検事総長に、こういった処分が相当であるのではないかということを申し上げ、監督者である検事総長から訓告処分にするという知らせを受けたところでございますと。

 昨日、テレビ局の取材に稲田検事総長がお答えになっています。こういうふうにおっしゃっていますね。

 法務省側から訓告相当と言われ、それを踏まえて判断した。法務省側から訓告相当と言われ、懲戒処分ではないんだなと思ったと。懲戒処分が検討されたかどうかについては、法務省と内閣でどのようなやりとりが行われたかはわからない、こういうふうに言っているんです。

 実は、この二人はとても整合性のあることをおっしゃっています。二人とも実は同じようなことをおっしゃっているんですね。つまり、まず法務省と内閣で協議をして、それでこれは訓告ぐらいでいいだろうという相談になったので、それを検事総長に伝えて、訓告でどうですかというふうにお伝えしたということを言っているわけです、二人とも。受けた側もそういうふうに説明しています。

 ところが、お一人だけこれとそぐわない発言をされておられる方がいらっしゃいます。安倍総理です。安倍総理は、二十二日の衆議院の厚労委員会でこうおっしゃっています。検事総長が適切、適正に処分を行った、それを受けて私は了承したと。

 前段部分をはしょっているのか、ちょっとよくわからないんですけれども、この表現だけでは、検事総長が全部決めてきたんだ、こういうふうに聞こえます。総理の真意はわかりませんけれども、そういうふうにしか聞こえませんよ。検事総長が処分を行った、それを私が了承したと。

 しかし、森大臣も稲田検事総長も、法務省と内閣が相談して訓告になったものが私に伝わってきたと言っているんですね。説明が違いますよ。

 官房長官、内閣で法務省とこういう協議というのは事前にされたんですか。

菅国務大臣 正確に申し上げます。

 黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長として、訓告が相当であると判断をし、決定をしたものというふうに承知をしております。

 その上で、法務大臣から総理、総理の前に私のところにその旨の報告がなされ、その決定に異論がない旨私は申し上げました。同じようなことを総理にも申し上げたんだろうというふうに思います。

今井委員 それが正しいとすると、森大臣はうそをついているということになりますね。だって、法務省と内閣が相談したものを、そこで決めたものを検事総長に伝えたと言っているんですよ。官房長官は、法務省と検事総長で決めたものを報告を受けたと言っているじゃないですか。違いますよ、説明が。食い違っています。どちらが正しいんでしょうか。

菅国務大臣 二十二日の大臣の記者会見、その中で、大臣は、内閣において決定がなされた旨の発言は、法務省及び検事総長が訓告が相当と決定した後、内閣に報告したところ、その決定に異論がない旨の回答を得たこと、このことを申し上げたということを言っているんじゃないでしょうか。

今井委員 いやいや、それは全然説明になっていないですよ。検事総長には最後に伝えたと言っているんですから。まず内閣と相談したものを最後、検事総長に伝えたと言っているんですよ。明らかにそう言っています。でも、官房長官はそうじゃないとおっしゃっているんですよ。これは政府内の説明が食い違っていますよ。どちらが正しいか言ってください。

 順番としては、検事総長に最後、訓告で相当と法務省が伝えるときには、その前に内閣と法務省で協議はしたんですか、していないんですか。

保坂政府参考人 先ほど官房長官からも御説明ございましたが、まず、黒川氏の処分につきましては、法務省として、調査結果を踏まえて、監督上の措置としての訓告が相当であるとまず考えました。そこで、検事長の監督者であります検事総長に対して、法務省の調査結果とともに、法務省としては訓告が相当である、これを伝えました。そして、検事総長においても、訓告が相当である旨判断したものでございまして、黒川氏の訓告という処分内容を決定したのは、あくまでこのような経過での法務省及び検事総長ということでございます。

 その任命権者である内閣に対して、法務省としてのこの決定を報告したところ、異論がない旨の回答を得たものでございまして、時系列的には、その後、検事総長から黒川氏に対して訓告の措置がなされたということでございます。

 そして、官房長官、総理に対しては、最終的な調査結果とこのような処分、そして、辞意が表明されたので、これを法務大臣が了承した旨を法務大臣から報告をして、その対応について了解を得たというのが経過でございます。

 さらに、法務省と検事総長が処分を決するまでの過程で、法務省から内閣に対して、事務的に、調査の経過の報告、先例の説明、処分を考える上での参考となる報告等を行ったところでございまして、法務大臣が内閣と協議したとおっしゃっているのは、このような報告のことを指しているのだろうというふうに承知をいたしております。(発言する者あり)

今井委員 よくないんですよ。

 今、法務省の皆さんは、上司である森大臣がうそをついているということをおっしゃっているわけです。だって、さまざまなことを総合考慮した上で、内閣が決定したものを、私が検事総長に、こういった処分が相当であるということを申し上げたと言っているんです。

 あなたの説明は違いましたよね。法務省から検事総長に言って、その後、内閣に上げたと言っていますけれども、森大臣は、内閣で決定したものを伝えたと言っているんです。違うじゃないですか。明らかに違いますよ。森さんがこれはうそをついているということですか。

 今、普通に考えて、だって、内閣で決定したものを検事総長にお伝えしましたと言っているんですよ。あなたは、内閣には言っていないとおっしゃっているじゃないですか。最終的でしょう。順番が逆なんですよ。内閣で決めたものを検事総長に伝えて、検事総長から訓告の手続をしてもらったということを森さんはおっしゃっているわけです。でも、あなたは、法務省から検事総長に、訓告ですよと言って、その後、内閣に言ったと言っているんです。順番が違うんですよ。どっちが正しいんですか。じゃ、済みません、内閣の代表に。

菅国務大臣 私が先ほど申し上げましたように、法務省と検事総長として、訓告が相当であるという判断をし、決定をした、それを私に報告に来たわけであります。ですから、当然そこのことについて私は異論がない旨回答しました。その後に大臣は総理にお会いをしているわけでありますので、総理にも同じ報告をされたんだろうというふうに思っています。

今井委員 委員長、私、丁寧に説明したつもりですけれども、明らかに、今、官房長官がおっしゃっていることと、森大臣の言っていることの順番は違います。明らかに違います。これは政府内不一致です、説明が。これは、やはり政府としてちゃんと見解を統一してもらわなきゃいけない。人によって違うことを言われたら困るんです。こちらは困りますから。

 政府として、しっかり統一見解を出してもらいたい。この内閣委員会に統一見解をしっかり出してもらいたい、そのことをお願いしたいと思います。

松本委員長 後ほど、理事会で協議をします。

今井委員 ここの説明がしっかりされなかったら、ちょっとその後、またいろいろなものに影響が出ると思いますよ。きょうはこのまま審議を続けますけれども。

 皆さんも聞いていただいて、明らかに順番が違うんですね。説明が違いますよ。この矛盾をちゃんと説明してもらわないと。だから共同とかいろいろな記者が、内閣の方で握り潰したという記事が出ていますけれども、それは私はわかりませんし、本当かどうかは。しかし、複数のメディアがそういうことを報じたりしています。

 事の真相が知りたいわけです。そのためには、どういう順番で言ったかということはとても大事なんですね。まず誰から誰に言って、誰から誰へと、どういう順番で協議がなされたかということはとても大事なんですよ。それがみんなばらばらだったら、そんな、審議できないじゃないですか。そのことを明らかにしてもらいたい。それをちょっとお願いしておきたいと思います。

 その上で、じゃ、この懲戒処分ですけれども、この懲戒処分を決めるのはどなたですか。法律上、どなたになっていますか。

義家副大臣 検事長については、懲戒権が内閣でございます。

今井委員 そのとおりなんです。国家公務員法八十四条だったかな、「懲戒処分は、任命権者が、これを行う。」となっています、法律には。ですから、内閣なんですね。内閣がこれを、懲戒をするかしないかということを決めるわけです。検事総長にはその権限はありません。ですから、今回、懲戒処分にしないと決めたのは内閣なんですね。

 そういうことでよろしいですね。

菅国務大臣 この処分については、法務省と検事総長の間で訓告ということを決定をして、内閣に報告をされ、そして、内閣はそれを、異議はないということを申し上げたところです。

今井委員 ということは、懲戒処分をできるのは法務省でもなく検事総長でもなく内閣ですから、例えば訓告が上がってきたら、もうそれでいいよ、懲戒にしなくていいよ、そういう判断をされたということですね。

菅国務大臣 今回、そういうもので上がってきました、訓告で、法務省と検事総長の間で訓告で上がってきましたので、内閣は、異議はないということを申し上げたところであります。

今井委員 それではお伺いしますが、国家公務員法八十二条のところに、「次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」とありまして、一、二、三がありますが、その三番目、国民の奉仕者たるにふさわしくない非行を行った場合、黒川氏の例はこれに該当しますか。

保坂政府参考人 法務省で調査を行った結果、東京高検の検事長という立場にありながら、緊急事態宣言下において報道関係者とマンションで金銭をかけてマージャンをしたという行為を認定いたしました。

 その行為につきましては、今御指摘のございました国家公務員法八十二条一項三号に規定される「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当するとともに、国家公務員法九十九条に規定される信用失墜行為に該当するというふうに法務省としても考えてございます。

今井委員 ちょっと時間が少ないので、こちらから少し話しますね。

 国家公務員法九十九条にはこうあります。「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」信用失墜の禁止。これに該当するかということで、きのう森大臣は、該当するとおっしゃっていました。

 その上で、人事院が、懲戒のガイドラインみたいなのがありまして、ちょっと私の方で紹介しますね。

 標準例が示してありますが、標準例に挙げる処分の種類よりも軽いものとすることが考えられる場合は例えばどういう場合があるかというと、二つあります。一、職員がみずからの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき、これは当てはまりませんね。二番、非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特別酌量すべきものがあると認められたとき、これもまずないですね。ですから、黒川さんは懲戒処分を軽くするという事案には当たらないということです。

 一方、標準例より重いものとすることが考えられるという例が幾つか示してありますが、そのうちの二つを紹介します。一つは、非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき、これは懲戒処分を重くすることができる。そして、非違行為が公務内外に及ぼす影響が大きいとき、これは懲戒処分を更に重くすることができる。

 これだけの規定を見たら、どう考えたって黒川さんは懲戒処分じゃないですか。私はこの規定を言っているんです。この規定を見る限りは、どこをどう見たって懲戒処分ですよ、これは。違いますか。

菅国務大臣 黒川氏の処分については、今いろいろ御指摘がありました、信用失墜行為、国民全体の奉仕者にふさわしくない行為、こうしたものに該当することのもとに、さきの先例などを踏まえて、法務省及び検事総長において黒川氏に対し訓告の措置をとった、このように報告があったわけであります。

 繰り返しになりますけれども、法務省から内閣に報告がされ、内閣として法務省の決定に異論がない旨を回答いたしました。法務省の訓告という決定に異議はないものでありますので、そこは、指摘は当たらないというふうに思っています。

今井委員 そうすると、もう一回確認します。任命権者である、懲戒処分ができる内閣としては、黒川さんの事案は懲戒に値しないと判断した、そういうことですね。

菅国務大臣 ですから、今申し上げましたけれども、法務省と検事総長において黒川氏に訓告の措置をとって、報告で上がってきたわけですから、それについて異論はないということを申し上げたところです。

今井委員 森大臣は内閣に先に協議したとおっしゃっていますし、内閣で先に協議をしたところで訓告にしたんだったら、今の答弁は全く違うわけです。

 仮に今の官房長官の言葉が正しいとした場合、別に、上がってきたものを内閣は変えることはできますよね。これではだめだ、この事案はどう考えても懲戒だろうといって、懲戒処分をすることはできるわけです。その判断をしなかったということなんですね。

菅国務大臣 法務省と検事総長において判断をした訓告、このことを、内閣としては異論はないということを申し上げたところです。

今井委員 繰り返し申し上げておきますが、稲田検事総長は、私は判断していないと、そういう判断でいきますからということを連絡を受けたので、その手続をしたということですから、検事総長は、私は判断していないと言っていますよ。その答弁は違っていると思います。

 仲間の議員の時間を少しいただきまして、もうちょっとだけやらせてもらいます。

 先ほどからも調査結果の話をしていますけれども、私、読ませていただきましたが、こんないいかげんな調査があるのかと。

 まず、ちょっとお伺いします。

 この調査結果というのは、こう書いてあるんですね。

 検察官は、刑事訴訟法唯一の公訴提起機関であり、その職務遂行の公正が直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼす職責を担っている。そして、黒川検事長は、令和二年五月当時、みずから検察官であったことはもとより、東京高等検察検事長として、同高等検察庁管内の全検察官を含む検察庁職員を指揮する立場にあった。そのような立場にありながら、金銭をかけたマージャンを行ったものであると。

 つまり、普通の人と違うんです、法の番人である人だから特に重いんですということを説明。

 そして、さらには、緊急事態宣言のときにやってしまった、これもひどいと書いてある。

 これだけを読めば、厳しい処分が出るのかなと思いきや、いやいや、レートが低かったから許すんですと。こう、起承転結がころんと変わっているんですよ。ひどいひどいひどいと言っておきながら、最後、すごい情状酌量している。余りにお手盛りだと私は思うんですね。

 それで、もう一個だけお伺いしますけれども、ハイヤーの件ですね。

 ハイヤーの件ですけれども、これも、記者に提供してもらったけれども、それはけしからぬ話だが、記者も一緒に乗って帰ったので、大した話じゃないから見過ごします、そういうことが書いてあります。

 これは誰から聞き取ったんですか。

保坂政府参考人 今御指摘の記載は、調査結果と並行して出した検討結果、職責についての検討結果からの引用だろうと思います。どういう形で調査をしたかといいますと……(今井委員「いやいや、いいです。ハイヤーの部分だけ教えてください」と呼ぶ)

 関係する報道機関の公表内容の確認及び黒川氏本人からの事情聴取という調査を行って確認された結果、先ほどの、そのハイヤー、五月一日ごろと十三日ごろの、ハイヤーに同乗して帰宅した事実が認定されたということでございます。

今井委員 黒川さんの証言、黒川さんにしか聞いていないんですよ。新聞記者、直接その人には聞いていないわけですね。

 ちょっと考えていただきたいんですけれども、私はそもそも新聞記者の自宅でやっていることが何なんだと思うんですが、車を用意して送っていっているんですけれども、それは、その人を送るためにハイヤーを手配したんじゃないですか。それに同乗していったということじゃないんですか、一般的に考えれば。記者が自分で乗っていくものにたまたま乗せてあげたというような表現になっているんですが、それは私は違うと思いますよ。検事長を送るために車を用意して、自分も乗っていく。普通そうでしょう、常識的に考えれば。でも、そうじゃない、たまたま乗せていってもらったんだ、そういう書き方がしてあります。これはちょっとお手盛りじゃないですか。

保坂政府参考人 先ほど申し上げた方式で、報道機関が公表している内容も加味しながら、検事長本人、黒川氏から直接事情聴取をするという結果でございますが、かけマージャンが行われたのは、仮名ですけれども、記者A方でございます。帰宅して同乗したのは、記者Bの手配したタクシーで帰宅したということでございまして、私どもの調査によっては、記者が手配したハイヤーに同乗して帰宅したんだということを認定したということでございます。

今井委員 官房長官、今は、Bさんの車に乗って帰ったというその事実関係を述べただけでありまして、Bさんが何のためにハイヤーを手配したかというところに対しては何の言及もありません。私は、Bさんは黒川検事長を送っていくためにハイヤーを手配したんだと思っています。

 ですから、とりあえず黒川さんに聞いて、新聞社が発表しているやつを見て、まあこんな感じだろうといってつくった調査報告なんですよ。やはりこれはお手盛りですね。

 もう一度やはり、官房長官、懲戒の権限を持っているのは内閣ですから、任命権者である。内閣として、これはもう一度調査をし直すべきだと私は思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 法務省、検察庁において、黒川氏の人事上の処分を決定をするに当たり、必要な調査は行ったもの、このように承知をしています。

今井委員 余り仲間の委員の時間を使ってもいけないのでこれで終わりますけれども、それは私は本当に甘いと思いますよ。これは世論が許さないと思いますよ、このままほっておいたら。

 やはり、もう一度事実関係を見て、この国家公務員法の中に書いてある、あるいは人事院の指針、これに照らして、果たしてこの処分が妥当かどうか、それによって退職金にも影響してきます、そういうものをもう一回見直す、それをぜひやっていただきたい。それがないと、国民の信頼は回復しません。

 そのことを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 しばらく官房長官にお伺いしたいんですが、まず、もう先ほど今井委員からも多数の質問がありましたが、検察庁法改正案の取下げについて改めてお聞きします。

 国家公務員法改正案と一体になって提出された検察庁法の改正法案ですが、急遽、審議自体が取りやめられています、今。私ども立国社共同会派は、検察庁法の改正には立法事実がなく、唯一の立法事実も、これも問題があると思いますが、黒川弘務前東京高検検事長が辞任をされて、なくなってしまいました。

 そこで、改めてお伺いしますが、検察庁法に関しては立法事実なしとして法案を取り下げる予定がございますでしょうか。官房長官にお伺いします。

菅国務大臣 取り下げることは考えておりません。

吉田委員 わかりました。

 それでは、また順次聞いてまいりますが、そもそも、官邸のごり押しだというイメージを非常に強く受けるような形で黒川前検事長の定年を延長をなさいました。

 その手続自体も大きな問題でございますが、余人にかえがたいと繰り返し主張されて、官邸主導で定年延長をした黒川前検事長が、報道によると、常習的にかけマージャン、いわゆる賭博行為をしていたこと、御本人も認めたということで、極めて不適切な人事であったと思いますが、これでも、余人にかえがたいという内閣のお考えは現在も変わらないのでしょうか。余人にかえがたいと今でも思っていらっしゃるのでしょうか。官房長官にお伺いします。

菅国務大臣 黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣から閣議請議があり、それに基づいて閣議決定されたという適切なプロセスを経て、引き続き勤務させることにしたものであり、この勤務延長自体には問題はなかったというふうに思っております。

吉田委員 官房長官、その御答弁はわかるんですが、私が聞きたいのは、余人をもってかえがたいと今でも思っていらっしゃるかどうかだけを聞きたいんです。官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定をしたということであります。

吉田委員 それはもう承知いたしました、官房長官。私が聞きたいのは、余人をもってかえがたいと繰り返しおっしゃっていましたが、そこに関しては、今もなお余人をもってかえがたいと思っていらっしゃるのか、思っていないのか、そこだけお答えください。

菅国務大臣 たびたび同じような回答になるのでありますけれども、この黒川氏の勤務延長については、東京高検管内において遂行している重大かつ複雑困難な事件の捜査、公判に対応するためには、黒川氏の検察官としての豊富な経験、知識などに基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、当面の間、引き続き東京高検検事長の職務を遂行させる必要があるものとして、法務大臣から閣議請義があり、閣議決定されたものであり、その延長については問題なかったというふうに思っています。

 ただ、今回、このような事案が発生したことにつきましては、まことに残念であります。

吉田委員 官房長官、大変私も尊敬をしておりますが、お答えになりたくない、どうも本当にお答えになりたくないんですね。ここまで繰り返しかみ合っていない御答弁をなさるということは非常に遺憾でありますし、大変、本当に官房長官はいつもしっかりとした御答弁をされるんですが、よほど答えたくないという印象を世の中に与えてしまいますので、非常に不適切ではないかと申し添えまして、次の質問に参ります。

 この検察庁法改正案の審議及び採決先延ばし、そういったことが現状起こっているわけでありますが、大きな影響があったのは、間違いなく、民間の方々からのツイッターであったのではないかと思います。

 報道によれば、一千万件以上にも上るツイートがあったとされています。これに対して、政府高官は、ツイッターは民意ではないと言ったとも報道されていますが、このツイッターは民意ですか、民意ではありませんか。官房長官、明確にお答えください。

菅国務大臣 いろいろな御意見があると思っております。

吉田委員 民意なのか、民意ではないかという部分に関しては、官房長官、お答えをいただけませんか。もう一度お願いします。

菅国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、この検察庁法改正案については、さまざまな御意見があるものというふうに承知をしております。

吉田委員 はっきりお答えになればいいんじゃないかなと私は思いますけれどもね、質問する立場としては。

 官房長官は、五月十一日の記者会見で、検察庁法改正に抗議意思を示す市民や野党議員、著名人のツイートが相次いでいることについて、今おっしゃったように、さまざまな意見があることは承知しているが、政府としてコメントすることは差し控えるなどと述べたと報道されています。

 現在では、この抗議の意思を示すツイートについてはどのようにお考えか、全く変わっていないのか、お伺いします。

菅国務大臣 変わっておりません。

吉田委員 それでは、次の質問に行きたいと思います。

 確かに、官房長官、ツイッターというものは、一人が大量に同じ内容の投稿をして、膨大なツイートの数になることもあるわけで、必ずしも民意と一致しないこともあり得るとは考えます。

 しかし、今回は、さまざまな著名人、有識者などが声を上げて、それに応ずる形でたくさんのツイートが寄せられたということでありますので、民意そのものである、政府もしっかりと耳を傾けるべきだと考えます。

 この後は法務省にお伺いしたいんですが、ツイッター関連で、報道されているところによると、ツイッターによる誹謗中傷が原因となって前途ある若い方がみずから命を絶ったのではないかと言われています。お亡くなりになった方に関しては、衷心より御冥福をお祈り申し上げます。

 今回は、残念ながら、人命が失われるという最悪の事態が引き起こされたわけでありますが、以前から、私は、現在ほぼ野放しになっているSNS等による人権侵害、特に、確実な根拠に基づかない誹謗中傷については取締りが必要ではないか、そういった強い思いを持っております。昨年の予算委員会分科会でも、私は当時の山下大臣にお聞きしましたが、余り前向きな答弁はいただけませんでした。その結果が今回の有為な若者の自死につながった部分もあるとはっきり申し上げたいと思います。

 そこで、改めてお伺いしますが、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどのインターネット上の匿名での投稿に対して、人権侵害、嫌がらせ、虚偽の記載に当たる、そういった記載内容に対して、やはり、懲役刑など刑事罰の適用を含めた罰則の強化や、犯罪行為に相当する投稿者の特定など、そういった厳しい対応をしていかなければならないと思いますし、匿名性の極めて高いSNS等に対して、投稿や登録に一定の制限を義務づけたり、また、SNS上での匿名登録から本人の特定に至るようなシステム改変をさせること等によって、捜査機関等による捜査の際に、捜査をスムーズに進めて、投稿者を捕捉し、身元を迅速そして容易に特定できるように監視体制を強化すべきだと考えますが、法務省の見解を求めます。

保坂政府参考人 今委員から御指摘のございましたインターネット上の誹謗中傷等の書き込みにつきましては、ユーザーが、一人一人が他人を傷つけるような書き込みをしないように留意するということがまず重要でございまして、政府といたしまして、そのような情報モラルの啓発に取り組んでいるところでございます。

 また、インターネット上の権利侵害情報の削除、あるいは匿名発信者の情報開示手続につきましては、御案内のとおり、プロバイダー責任制限法に規定をされておるところでございますが、こちらは総務省ですけれども、先月から研究会を設置いたしまして、発信者情報開示のあり方についての議論を開始しているということを承知いたしております。その検討を踏まえて対応されるものと、法務省としても注視をしているところでございます。

 また、罰則の強化についても御指摘がございましたが、名誉毀損等の罰則の強化につきましては、法定刑を引き上げるとしますと、その行為の外延を罰則として明確に規定することができるのかといったさまざまな観点から十分に検討することが必要であると考えておりますけれども、捜査機関におきましては、刑法上の名誉毀損等の犯罪に当たり得るものがあると思料いたしました場合には、関係法令を駆使いたしまして、捜査を尽くして適切に対処しているというふうに承知をしておりまして、引き続きそのように対処するものと考えております。

吉田委員 ありがとうございます。

 でも、根本的に対応しないと、そもそも、プロバイダーとかブログなんかは、責任の所在が外国なんかにあることが、もうわかっていますよね、多くて、ほとんどたどれないんですよ。研究会をされるのは結構ですけれども、相当これは根本的な議論をしていかないと、特定とか捕捉なんてできていないわけですよ、今。実際、できていないじゃないですか。捜査当局、全然、ひどい名誉毀損、今回の誹謗中傷なんかもそうだと思いますけれども、誰がどういうふうにやっているかなんて、捕捉できた例の方が少ないわけですから、今そんな答弁をされていると、亡くなった方は浮かばれないと思いますよ。

 もうちょっと根本的にしっかり対応するという答弁、前の山下大臣のときの答弁も本当にやる気がない答弁だったので、私はがっかりしましたけれども、もう少しちゃんとやらないと、根本的な解決はできないし、検討会をやっても、追えないものはしようがないんだから、追える体制にしないとだめじゃないですか。また今度やりたいと思いますが、これはちょっと本当にひどいですよ。

 官房長官、お忙しいと思いますので、どうぞ、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 それでは、別のテーマに移らせていただきたいと思います。

 本日から審議されると聞いております科学技術基本法改正法案、この中で、健康・医療戦略の事務局である健康・医療戦略室が内閣官房の所管から内閣府へ移管される、健康・医療戦略推進事務局へと模様がえすると聞いております。

 私も、これまで内閣委員会で健康・医療戦略についてさまざまな質問をさせていただいておりますが、本来、内閣官房のもと、健康・医療戦略推進本部が我が国の健康・医療戦略の司令塔としての役割を果たしていく、そして、その担当大臣として竹本大臣が御活躍になるというのが本来の姿だと私は本当に思います。

 しかし、現実に、これまでの健康・医療戦略についてさまざまなことをお聞きしようとすると、毎回、質問レクの段階でも、これは厚生労働省の所管でということでとか、もちろん、竹本大臣にお答えいただいたものもあるんですが、厚生労働省からの答弁を受けるということが非常に多くて、内閣官房や内閣府が健康・医療戦略の司令塔の役割をしている役割というのは形骸化していると私は残念ながら思いますが、その点について、大臣の御見解を求めます。

竹本国務大臣 お答えさせていただきます。

 文科省、厚労省、経産省など各省が個別に実施しております医療分野の研究開発でございますが、これを、全体を俯瞰して、計画を定めて、一体的な予算配分にするようにしまして、そして、それらの関係予算をAMEDに集約して各研究機関に配分させる、このようにやっております。

 それで、もともと、個々の医療問題等については、担当大臣が、例えば厚労大臣とかがおられますから、その方がお答えするのが普通なんですけれども、全体的な国家戦略については、私の方で判断させていただいております。

 具体的に申し上げますと、例えば、コロナでいろいろ問題になりましたけれども、やはり研究開発をしっかりやらなきゃいけないということで、私の方で総合調整をいたしまして、具体的に言いますと、二月十三日に第一弾で二十・三億円、三月十日に第二弾で三十一・一億円、四月七日に七百五十一億円、四月十七日に三十二・五億円、トータル八百三十五億円を順次取りまとめまして、そして、診断キット、治療薬の開発、そしてワクチンの開発、こういったことにお金を割り振りまして、各研究機関で研究していただいております。その全体の総合司令は私の方でやる。

 私の立場は、国家戦略担当大臣だと思っておりまして、国家戦略としてどこに重点を置くかということでやらなきゃいけない。おっしゃるように、もっとどんどん聞いていただけば、幾らでも答えますので、どうぞよろしくお願いします。

吉田委員 頼もしい御返答をいただきました。

 ただ、私の目から見ると、今のようなところ、全体的にまだ、大臣、そういうふうにおっしゃっていただいてありがたいんですけれども、まだ目立ってきていない部分が、はっきり言って、残念ながらあります。

 大臣、日本の健康・医療戦略及び科学技術イノベーションに関する戦略は、さまざまな問題点があります。

 私がよく質問させていただくこのAMEDの問題、今おっしゃいましたけれども、これは日本版NIHというふれ込みで設立されているんですけれども、予算や規模はもう全然話になりませんし、自前の研究者や研究室がないという点でNIHと大きく異なっています。

 一方で、研究機関は厚生労働省、大学は文部科学省の所管であり、これらに対して推進本部が根本的な、根本的なですよ、方針を決めることができない状況だと思います。

 私自身も、十年以上もうたちますけれども、ジョンズ・ホプキンス大学というところにおりました。実は、去年、一番直近のノーベル医学・生理学賞をグレッグ・セメンザ博士が受賞しているんですが、彼と実は共同研究を私はずっとしていまして、カフェテリアで議論したり、ノーベル賞の受賞事由、HIF1なんですけれども、ここに関する論文なんかを私も数編書いております。

 世界最先端の研究室に私も身を置かせていただいて、そこでスタッフとして働いていた立場からすると、科学技術政策の現状を本当に私は憂いています。今の日本の科学技術イノベーション全体、そして医療のそういった健康戦略に関しても、今のままだと、本当に、近い将来、ノーベル賞を受賞する方はいなくなります。

 この意味では、本当に、竹本大臣、司令塔の役割をしっかりと担っていただけるよう期待しておりますので、ぜひ意気込みをもう一言述べていただきたいんですが、さっきも大変いいことを言っていただきました。担当大臣として、大胆かつ細心に国家の健康・医療戦略及び科学技術イノベーションに関する政策を進めて、この内閣委員会で、さっきおっしゃっていたように、激しい議論の応酬をしていただきたいと思いますが、ちょっと意気込みを聞かせていただけますか。

竹本国務大臣 励ましの言葉だと思って、温かく受けとめております。

 結局、ノーベル賞受賞者は、アメリカに次いで、今世紀に入って二番目に多いというんですけれども、これから続くだろうかというと、非常に不安になります。

 と申しますのは、例えば、アカデミアで発明されました特許等に対する評価がアメリカの数十分の一という感じであります。要するに、知的財産に対して高い評価を産業界が余り与えていないんです、現実なんです。そこも上げないと、やはり優秀な科学者はどんどんアメリカへ行ってしまうと思うんですね。

 だから、そこから、私が申し上げたいのは、科学技術がリスペクトされる社会にしなくてはいけない。ところが、せっかく特許等をやっても、わずかなお金しかもらえないようでは、とても日本なんかにおれないという人が結構いる。だから、これではよくないと思うので、根本的に変えなきゃいけないなと思っております。

 ありがとうございました。応援をよろしくお願いします。

吉田委員 大臣、本当にそのとおりで、しっかりと横串を刺してやっていただきたい。

 大臣、ノーベル賞というのは、siRNAとか、あと、iPSみたいな極めて特殊な技術に関しては短期間の受賞があるんですけれども、さっきの、ドクター・セメンザと私が一緒に研究していたのは十年以上前です。普通は、ノーベル賞というのは十年、二十年前の業績、大抵二十年ぐらい前の業績に対してノーベル賞というのは得られるんです。

 だから、これから続くかどうかと、大臣、結構のんきな御表現をされていましたけれども、非常に難しいですよ、本当に。基礎研究に対してもあれですし、もっとありていに言うと、科学者の待遇が悪過ぎるんですよ。私なんかでも、今からアメリカに戻った方が今の給料よりいっぱいもらえますよ、はっきり申し上げると。本当にそうなんですよ。だから、それくらい日本のアカデミアというのは非常に待遇が悪い。

 ここは、本当におっしゃるように、しっかり省庁に横串を刺して、アカデミアの皆さんに、しっかりとした魅力ある、すばらしい発明をして大学の教授になったら、こんなバラ色の人生だ、そういう社会にしていただかないと、大臣、困りますよ。大丈夫です、ちょっと時間がないので。もう大臣はわかっていただいていると思うので、お願いをしていきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 コロナの対応をしている病院というのは、例外なく大幅な赤字です、西村大臣。

 例えば、入院病床や重症者のためのICU病床は隔離をしなきゃいけないですから、本来、十床使えるところが二床ぐらいしか使えなくなっているのが現実です。

 診療報酬を倍増していただきましたが、明らかにそれでは損失を補填できません。単純に五倍ぐらいにしないと立ち行かないんですよ、大臣。先日、これを現状の二倍から三倍に引き上げると指針を示していただきました。ただ、だから、これは十分じゃないんですよ、大臣。

 新型コロナウイルス感染症の対象では、患者負担は生じませんよね。だから、五倍に引き上げても、患者さん、受け手は困らないんですよね。それをまず一言申し上げて、五倍ぐらいに上げないととても支えられません。

 また、経営が苦しいのは、一般の病院、医療機関でも同様です。井上先生のところも医療機関を経営されていますけれども、本当に三密、ふだんはなっていますからね、医療機関。井上先生のところも三密ですよ、本当に。だから、本当に大変なんですよ。どこも大変なんです。

 先日、拝見したあるデータでは、患者数は、三月が一割以上減少、四月はやはり三割、五割、全ての医療機関が減少しています。五月もまたそれが継続して、場合によっては更に減少している。

 一方で、医療機関というのは労働集約型産業で、多くの固定費が必要です。この状況は、規模が大きな病院ほど顕著になります。ただ、町、村のかかりつけ医、クリニックでも同様の状況になっています。私の知り合いのクリニックも、閉めようかという話がかなり出ています。経営難なんですよ。

 今対処しないと、不況のときというのは、医療機関がかなり雇用を守ってきたという事実が、大臣、あるんですね、今までも。不況になると、大体殺到するんですよ、医療機関というのは、その採用の応募が。それが、今、こういった形で、非常に、採用どころか雇いどめとかをせざるを得なくなってくると、これは、本当に雇用の問題、生活保護の増大とか、さまざまな問題の起点になりかねないです。また、消費税増税による控除対象外消費税の問題などもあって、医療機関は本当に経営難、かなりひどい。真面目にやっているところほど、ひどくなっています。

 診療報酬、やはり患者さんの負担がどうしても発生しますので、難しいところですが、そこには配慮しながら、現行の一・三倍から一・五倍に診療報酬を引き上げないと、非常にもう今難しいと申し上げざるを得ません。暫定でも結構なんです。コロナの影響を受けている間だけ、そういった診療報酬、思い切った、これはやはりコロナ担当の西村大臣の鶴の一声でしっかりやれないですかね。どうですか、西村大臣。

西村国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

 私も、先般、東大病院を視察をさせていただきまして、非常に厳しい状況も伺いましたし、また、私立大学始め医師会の皆様からも切実な声を伺っているところであります。

 特に、大学病院が、今、重症者に高度医療を提供するなど、大変重要な役割を果たしている中で、診療体制の構築、あるいは院内感染の防止のため、さまざまな抑制をしながら、一般の外来、手術の抑制をしながら、大幅に減収が生じているというふうに伺っております。

 まさにコロナの最前線で奮闘しておられる医療関係の皆さんに改めて敬意を表したいと思いますし、政府としても、しっかりと支援していかなきゃいけないという思いでございます。

 御指摘のように、診療報酬は、これまでも倍増等をしてきているところでありますけれども、二次補正予算におきまして、御指摘のように、診療報酬を三倍に増額をした上で、これはもう既にした上で、二次補正予算において包括支援交付金を大幅に増額することにしておりまして、二兆円を超える予算とすることとしております。

 こうした中で、例えば、医療従事者の皆さんに感謝の気持ちを表するという観点からの最大二十万円の給付、それから、設備増強など、私立大学への支援、さらには、一般病院も含めて、さまざまな支援をこの中で行っていく予定にしておりますし、いずれにしましても、大学病院を含めて医療従事者へ必要な支援を、必要な予算を確保していきたいと思いますし、厚労省において取り組んでおりますけれども、更に私の立場からも後押しをしていきたいというふうに考えております。

吉田委員 大変力強い御答弁ですが、診療報酬に関してだけもう一回問いたいんですが、一般の医療機関は本当に厳しいんですよね。いろいろな申請、その前に、やはり診療報酬を一・三倍、一・五倍にするというのは非常にわかりやすいし、非常にシンプルなんですよ。何も変えなくていいんです、それを、利率を変えるだけですから。一点を、十三円ないしは十五円に変えるだけですから、いろいろな事務手続も生じない。

 一番効果的でロスが少ないと思うんですが、そういったことを、大臣、やりませんか。もう一回だけ。

西村国務大臣 御指摘をしっかりと厚生労働省に伝えて、厚生労働省において適切に判断していただきたいというふうに思っております。

吉田委員 ぜひ強く働きかけていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと関連の質問なんですが、このCOVID―19の影響で、さまざまな業種、苦しいですね。もちろん、食品の小売業者、宅配業者やホームセンター、もう本当に負担がふえているところはいっぱいあります。間違いなく、この感染のリスクを背負いながら医療体制を支えている医療機関の方々へ、改めて、本当に私も感謝を申し上げます。先ほども、感謝のお言葉を大臣が述べられていました。

 そこで、先ほどもおっしゃってくださいましたが、医療機関を支えるための支援を拡大すること、これは二次補正でもしっかりとやっていただけるし、ぜひしっかりやってほしいんですが、一方、患者さんの減少で、本当に全ての医療機関が減収になっていますね。

 私立大学の大学病院の一部において、このCOVID―19の影響のもとで、理事長と経営陣が、一方的に、その医療機関で働く方々に、ボーナスをカットするだとか、定期昇給を凍結するとか、そういう待遇改悪の通知をしているという話を耳にしております。大臣、御存じですか。

西村国務大臣 私が伺っているのは、例えば、このコロナの治療に当たっているがゆえになかなか家に帰れない、あるいは、万が一の感染のリスクがあるので、大学病院などの近くのホテルにずっと滞在している、そういった面での大変な不自由があるということは伺っておりますけれども、そういった、今おっしゃられたような事例は、具体的には承知をしておりません。

吉田委員 大臣、ちょっと調べてください。

 もちろん、大学というのは、大学の自治が認められて、平時であれば、その経営に関して国が指図をするということは余り好ましくないと言えると思います。しかし、今は平時ではありませんね、大臣。

 このようなことが横行すると、大臣、現場の医療スタッフの士気はもちろん下がります。当たり前です、こんなのは。更に言えば、そのような医療従事者の大量離職が起こってきます。医療崩壊に本当になりかねません。

 新型コロナの蔓延以降、総理、官房長官は先ほどまでいらっしゃいましたが、会見で謝意をたびたび述べられていますよね。そして、政府全体が、その最前線、そして医療機関で踏ん張る医師や医療従事者に対してさっきの特別な手当を、おっしゃるように、検討している状況。ましてや、きょうも審議しているんですが、先ほど私が伺いました科学技術基本法の改正の中の目玉の一つは、アカデミアの人材確保ですよ。こういったことをきょうまさに議論もしている状況に逆行していますよね、大臣。これは甚だ遺憾です。

 大臣、こういったことが本当に事実であれば、やはり毅然とした態度、例えば、私学助成の差止めや減額などをもって、そんなことはやってはいけないし、やるべきではない、この今の国家の緊急時に、何でそんな、医療従事者や医師とか、そういった方の士気を下げるような待遇の改悪をするのかと。そういったことを、リーダーシップをとってちょっと対応していただきたいんですが、大臣、どうですか。

西村国務大臣 御指摘の点については、文部科学省にもしっかり伝えて、対応していただきたいと思いますけれども、私の立場で申し上げれば、このコロナウイルスとの戦いに勝つために、医療機関の皆さんは必死で頑張っておられますので、大学病院を含め、今御指摘のあったようなことが起こらないように全力で応援をしていきたい、そういう環境をつくっていきたいというふうに思います。

吉田委員 もう時間が迫ってきましたので、ちょっと大きなテーマとして準備したので、時間足らずになってしまうと思いますが、コンパッショネートユース、大臣、御存じですよね。当然、もう大臣は、本当にそういった知見が大変豊富でいらっしゃいますから、熟知していらっしゃると思います。日本版コンパッショネートユースというのは、もう大臣わかっていらっしゃるように、治験の拡大にすぎないんですね、はっきり申し上げると。

 今回、アビガンの治験、藤田医科大学で進んでいますね。そのアビガンもやはり各施設でしっかりと、藤田医科大学以外でもちゃんと使えるようにしていただきたいということも一つなんですが、このアビガンの使用というのは、これは欧米のコンパッショネートユースが根本にあったのは、もう大臣、御存じですよね。

 このコンパッショネートユース自体は、やはり本当に平時でないこの国家的な危機の中で、可能性のある薬剤に対してどんどん適用すべきだと思います。今までの日本版のコンパッショネートユースではなくて、欧米に見られるようなコンパッショネートユース、この適用に関して、内閣として御検討いただきたいと思うんですが、そこはいかがでしょう、大臣。

西村国務大臣 御指摘のアビガンについても、いわゆる観察研究という形で、コンパッショネートユースの、ちょっと用語はいろいろ定義もあります、欧米で使われているのとまた用語の違いもありますので。

 まさに御指摘のように、患者さんの立場に立って、その立場を踏まえて、参加を希望する医療機関が速やかに手続をできるように、事務連絡等において研究への参加に必要な要件や手続を周知することなどを通じて、患者さんのアクセスの改善を図ってきているところでございます。

 今後も、引き続き、治験においてコンパッショネートユースの面での拡大がありますけれども、治療薬に患者さんのアクセスがよりできるように、更に努めていきたいというふうに考えております。

吉田委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ぜひこのテーマは、ちょっとまた次回もさせていただきたいと思います。

 引き続き、本当に大臣、頑張ってちょっとリーダーシップをとって、期待していますので、さまざまな、もうあらゆる手段を使って何とかコロナを克服していただけますよう、お願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、黒川弘務東京高検検事長のかけマージャン問題に関連して質問をいたします。

 法務省に最初にお尋ねしますが、法務省は、週刊文春の記事の真偽につき、関係する報道機関の公表内容の確認及び黒川検事長本人からの事情聴取といった調査を行った調査結果を報告しています。この調査結果では、五月の一日と五月十三日に、かけマージャンを行ったことを認めています。また、約三年前から月一、二回程度、かけマージャンを行っていたことを認めています。

 そこで、お尋ねしますが、一方で、朝日新聞社員についての朝日新聞の公表においては、五月一日と十三日だけではなく、四月十三日と二十日にも、かけマージャンを行っていたことを認めています。産経新聞社員について、産経新聞は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出された四月七日以降で、五回程度、かけマージャンを行っていると認めています。つまり、五月の二回を除くと、四月に複数回、かけマージャンを行っていた。

 こういったことについては、黒川氏に確認をされましたか。

保坂政府参考人 法務省におきまして、処分を行う前に行いました調査といたしまして、今委員からも御紹介がございましたが、過去のかけマージャンに関しまして聴取して調査をした結果、三年前から月に一、二回程度ということが認定されたということでございます。

 今、各報道機関から公表された内容というのがございましたが、いずれにしても、我々の調査におきましては、具体的な日付を特定してのものには至っておりませんので、その複数回、三年前から月に一、二回程度あったという点で、報道機関が公表した内容と矛盾するようなものではないというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 いや、ですから、朝日も産経も、四月に複数回、かけマージャンを黒川さんと一緒にやっていましたと認めているじゃないですか。そのことについて確認はしていないんですか。

保坂政府参考人 繰り返しで恐縮ですが、黒川氏からの聴取した結果につきましては、三年前から月に一、二回程度行っていたということでございます。それで、日付が特定できる形で確認されたのが、五月一日ごろと五月十三日ごろというのが我々の調査した内容であり、その結果でございます。

塩川委員 朝日ですと、四月の十三日と二十日にも、かけマージャンを行っていたと認めているんです。四月十三と二十日について、黒川さんはかけマージャンをやっていましたというのは確認しなかったんですか。

保坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、その処分をする前提として、処分をする前に行った調査の結果、確認できたのは、三年前から月に一、二回程度、かけマージャンを行っていたということと、五月一日ごろと五月十三日ごろに行ったということでございます。

塩川委員 いや、産経新聞、朝日新聞は、具体的に四月のかけマージャンを認めているんですよ。だけれども、この調査結果、検討結果というのは、四月分のかけマージャンの日程について何ら書いていないんですよ。そして、この結果を踏まえた訓告においても、事実関係として、五月一日と十三日の二回にわたり、金銭をかけてマージャンを行ったというだけで、四月の日程が書いていないじゃないですか。

 つまり、訓告においては、四月での複数回のかけマージャンということが反映されないで訓告をしているということですね。

保坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、日付が特定してのかけマージャンということでいいますと、五月一日と五月十三日でございますが、三年前から月に一、二回程度という事実を認定いたしまして、この事情を考慮した上で今回の措置を相当としたものでございます。

 御指摘の報道にございますような、例えば四月に二度マージャンを行ったということもあり得るということも考慮した上で、今回の措置を相当としたものでございます。

塩川委員 それはおかしいんじゃないですか。訓告は、五月一日と十三日の二回のかけマージャンのことしか書いていないんですよ。四月の話もなければ、三年前からも毎月複数回やっているというのは、何にも書いていないじゃないですか。おかしいんじゃないですか。

保坂政府参考人 私どもで公表させていただいています職責の検討結果につきましては、その直接の処分対象事実といたしましては、五月一日ごろ及び十三日ごろの二回にわたってのかけマージャンということでございますが、その職責を検討する中で、その事実、その機会以外にも、金銭をかけたマージャンについては、日付を特定した形での事実の認定には至らなかったが、三年前から月に一、二回程度、金銭をかけたマージャンを行っていたことが認められるとした上で、以上によれば、その前記行為というのはまことに不適切であったという評価をしているところでございます。

塩川委員 いや、訓告に至る事実経過として、四月のことは書いていないでしょう。三年前からということも書いていないんですよ。五月の二回という事実認定で訓告にしているんです。三年前からと言うけれども、訓告には何にもそこは書いていないんですよ。それでどうしてまともな訓告という処分、訓告という処分そのものはまともじゃないけれども、こういう訓告という形になるんですか。

 皆さんの事実経過も含めて、これでは納得いく説明になっていないんじゃないですか。

保坂政府参考人 法務省が五月二十一日付で、その日付の書面でございますが、検討結果という書面を、今、私はこの手元に持っておるわけでございますが、そこにおきまして、調査結果を踏まえた職責のあり方ということを検討している項がございます。

 今私が読み上げましたのは、五月一日ごろ及び五月十三日ころ以外の機会における金銭をかけたマージャンについては、具体的な日付を特定しての事実の認定には至らなかったものの、記者A、記者B及び記者Cとともに、約三年前から月一、二回程度、金銭をかけたマージャンを行っていたことが認められるという記載がございます。二ページのところでございます。その上で、以上によれば、黒川検事長による前記行為はまことに不適切であったと認められるというふうに記載がございます。

塩川委員 訓告には何にも書いていないんですよ。訓告には五月の二回しか書いていない、事実認定として。それがおかしいと言っているんです。そもそも、訓告ということ自身が納得のいく処分ではないわけですけれども。

 三年前からということが事実経過として調査結果、検討結果の中にも書かれているわけですけれども、でも、週刊文春の記事の真偽について調査したというのであれば、週刊文春には、ハイヤーの運転手さんの話として、七、八年前に、かけマージャンを黒川氏が行っていたということを認める指摘があるわけですよ。

 三年前じゃなくて、七、八年前はどうだ、こういうことについてははっきりと確認されているんですか。

保坂政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、黒川氏のかけマージャンにつきましては、先ほど申し上げた調査の結果、過去のマージャンでございますが、三年前から月一、二回程度ということを認定した上で、それをも加味して処分を決めたものでございます。

 御指摘の報道にございます、七、八年前のマージャンというのが確かに報道にはございますが、元ハイヤーの運転手の方の証言ということでございますけれども、その方を特定することは困難でございますし、また、その方が直接そのマージャンを見たというわけでもない、かつ、七、八年前に金銭をかけたマージャンがあったといたしましても、この処分を変更するような事情ではないということでございますので、私どもとしては、それを更に調査するということは必要ではなかろうと考えておるところでございます。

塩川委員 いや、ハイヤーの運転者さんを特定しなくても、皆さんの調査手法として、週刊文春の記事の真偽につき、黒川検事長本人からの事情聴取といった調査を行うというふうになっているわけですよ。だから、聞いたのかどうか。

保坂政府参考人 私どもの調査した結果につきましては、その書面に記載したとおりの結果でございまして、その認定された結果の事実は、三年前から月に一、二回程度行っていたというものでございます。

塩川委員 調査したと言えないんですよ。調査したと言えないんです。極めてずさんな調査だ。限定した条件の中で調査をしている。それさえやっていないというのが、この法務省の調査結果、検討結果、それを受けた処分である訓告だという点でも、全く納得のいくものじゃありません。

 結局、訓告におさまる範囲になるような調査しか行っていない。こういう対応では国民の理解は得られないということは、強く指摘をせざるを得ない。

 そこで、こういった訓告の処分に当たって、内閣の関与の問題であります。

 法務省は訓告が相当と考え、検事総長は訓告が相当であると判断したということですが、その前提として、法務省は、内閣への協議、報告を行っています。五月二十五日の参議院の決算委員会で、森大臣は、法務省において調査をする過程において、当然、内閣にもその旨報告をし、協議をしている、当然、任命権者は内閣でありますので、黒川検事長の調査結果等について協議をするのは当然です、事務的に調査の経過について、途中経過等も報告をし、協議をしていたと述べています。

 つまり、訓告という決定をする前に、その過程において協議、報告を内閣に対して行っていたということを森法務大臣は答えているわけですけれども、法務省にお聞きしますが、法務省が調査をする過程において、内閣への協議、報告を行っていると言いますが、調査の過程において協議、報告を行っている相手方の内閣というのは、具体的に誰なんですか。

保坂政府参考人 改めて、ちょっと時系列も含めて御説明させていただければと思いますが、黒川氏の処分につきましては、法務省として、調査結果を踏まえて、訓告が相当であると考えました。それで、検事長の監督者であります検事総長に対して、法務省が行った調査結果とともに、法務省としては訓告が相当と考える旨を伝えまして、検事総長におきましても、訓告が相当であると判断したものでございます。

 したがいまして、黒川氏の訓告という処分内容を決定いたしましたのは、あくまで法務省と検事総長でございます。

 そして、それを任命権者である内閣に報告いたしましたところ、法務省としての決定に異論がない旨の回答を得ました。そこで、改めて検事総長に対して、訓告が相当であることを伝えまして、検事総長から訓告の措置がなされたものでございます。

 その上で、総理に対しては、最終的に、調査結果及びこれを踏まえて処分したこと、及び辞意が表明されたのでこれを了解したことを法務大臣から報告いたしまして、法務省の対応について了承を得たというのが経過でございます。

 法務省及び検事総長が処分を決定するまでの過程におきまして、先ほど委員からも言及がございましたが、法務省から内閣に対して、事務的に、調査の結果の報告、先例の説明、処分を考える上で参考となる事情の報告等を行ったところでございます。

 まず、法務大臣が二十二日の記者会見で、内閣において決定された旨の発言をしましたが、これは、法務省及び検事総長が訓告が相当と決定した後に内閣に報告したところ、その決定に異論がない旨の回答を得たことを申し上げてございまして、今委員が御指摘ございました二十五日の参議院決算委員会における法務大臣の、内閣と協議したという答弁につきましては、法務省と検事総長が処分を決定するまでの過程で、先ほど申し上げました、法務省から内閣に対して、事務的に、調査の経過等の報告を行ったことを申し上げたものでございます。

 その上で、委員お尋ねのその経過等の報告を申し上げた部署につきましては、これは個別の人事のプロセスに関するものでございますので、今申し上げた以上の詳細については差し控えさせていただきたいと存じます。

塩川委員 全く余計な説明をして、時間だけ潰させる、とんでもない。

 私は、別に報告じゃなくて、協議の話を聞いているんですよ。調査をする過程において、内閣にも協議をしている。内閣と協議しているんですよ。協議の相手として誰なのかということを聞いているんです。

 もう一回、個別の人事のプロセス云々という話じゃ納得できるものじゃないですから、どこの組織なのか、機関なのか、担当者なのか、はっきり答えてください。

保坂政府参考人 委員からは、今、協議をしたということでございましたけれども、法務大臣が二十五日の参議院決算委員会で申し上げたその協議をしたということの意味につきましては、法務省と検事総長が処分を決定するまでの過程において、法務省から内閣に対して、事務的に、調査経過の報告等を行ったことを申し上げたものでございます。

 それをどの部署で行われたかということにつきましては、先ほど申し上げたとおり、個別の人事プロセスに関するものでございますので、詳細については差し控えさせていただければと思います。

塩川委員 全く説明になっていません。これは、途中経過についても協議をしていたと言っているんですよ、二十五日に。その説明が何にもないじゃないですか。

 先ほどの衆議院の法務委員会で黒岩議員が質問されていましたけれども、この協議をしている相手方の内閣とは誰なのかというのについて、内閣のしかるべき窓口と協議、内閣のしかるべき担当者と協議ということで言いましたけれども、これは、内閣官房のしかるべき担当者、しかるべき窓口ということですか。

保坂政府参考人 今申し上げたように、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。もしそのような答弁がなされていたとすれば、しかるべき担当ということになろうかと思います。

塩川委員 一番の問題じゃないですか。どういうふうに官邸が関与していたのかといった際に、この問題について誰が関与したのか。内閣官房の職員、例えば、内閣総務官の担当とか、内閣人事局の担当とか、官房副長官とか、そういう具体的な官職を含めて明らかにするということなしに、国民の理解は得られないですよ。そんないいかげんな答弁で済ますわけにいかない。もう一回。

保坂政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、法務省から内閣に対して、事務的に報告等を行ったということでございまして、これ以上の詳細については差し控えさせていただければと思います。

塩川委員 国民に真実を語らないということ自身が問われる問題です。

 じゃ、ちょっと角度を変えて聞きますけれども、内閣が任命権者となっている人事について、処分の手続を行うときには、これは内閣においては誰が担当するのか。これは、内閣官房審議官、教えてもらえますか。

大西政府参考人 失礼をいたします。お答えを申し上げます。

 任命権を内閣が有する者につきまして、国家公務員法に基づく懲戒処分を行うという場合につきましては、通常、所属長として、所属省庁の長として行政事務を分担管理されております国務大臣が処分案の閣議請議を行いまして、閣議において懲戒処分を決めることといたしております。

 こういう閣議請議が行われる場合につきましては、窓口となりますのは、私ども内閣官房の内閣総務官室ということになってございます。

塩川委員 閣議請議がかかる、閣議にかかる案件であれば内閣総務官室ということになるので、そうならないような案件、今回の場合においても、当然、内閣が懲戒処分の権限を持っている、一方で、法務大臣が監督上の措置として、今回のように訓告とかを行っている。

 懲戒処分なのか、訓告という監督上の措置なのか、この辺をどういうふうにすり合わせるのかということは、当然、内閣側と法務省側で調整が必要なわけです。

 そういった調整、すり合わせをする、そういう手続というのはどうなっていますか。

大西政府参考人 失礼いたします。お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、そうした閣議請議があった場合には内閣官房内閣総務官室で承るわけでございますが、今回の場合には、法務大臣からそうした閣議請議が行われませんでしたので、閣議の手続を行う内閣総務官室といたしましては、法務省からは特段お話はなかったということでございます。

塩川委員 いや、事前の協議という話、この処分に至る調査の過程において、内閣と協議をしていたと言っているわけですよね。その場合に、実際に、内閣での懲戒処分、一方で、法務省での訓告とかの監督上の措置、その辺をどうすり合わせるのかということは当然必要なわけですけれども、その手続のルールはどうなっているか。

大西政府参考人 先ほどの答弁に、繰り返しになるところもあろうかと思いますけれども、御容赦をいただければと思います。

 内閣と法務省の個別のやりとりにつきましては、人事のプロセスの詳細でございまして、法務省の審議官からも御答弁がございましたのと重なるところもございますけれども、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 こんなやりとりでは、納得いくものになりません。

 官房長官にお尋ねしますが、官房長官は、この黒川氏の処分について、法務省あるいは検事総長として訓告ということでの対応をするといったことについて、官房長官として、この黒川さんの処分について協議あるいは報告を受けたか、そうであれば、それはいつかについて教えていただけますか。

菅国務大臣 まず、黒川氏の処分については、法務省と検事総長において必要な調査を行った上で、訓告が相当であると判断をし、処分を決定したものというふうに承知をしています。

 この黒川氏処分の内容についてでありますけれども、私に対して大臣から報告があったのは、たしか当日の夕方だったと思います。そこで、法務省及び検事総長において訓告と決定をした、そうした報告がありましたので、それについて理解をしたということであります。

塩川委員 大臣から報告を受けた、当日の夕方という話ですけれども、内閣官房の事務を統括しているのは官房長官であります。ですから、こういった黒川氏の処分の問題について、法務省と内閣が調査の過程で協議をしているといったことについて、官房長官のもとに、法務省から協議、報告を受けていた内閣官房のスタッフから、途中経過について説明を受けたことはありませんか。

菅国務大臣 ありません。

塩川委員 そのまま受け取るということは、我々としてはできない。

 それは、この一連の幹部人事のプロセスの話があります。前も少し議論したことがありましたけれども、大臣が任命権者である幹部職員の任命に当たっては、幹部人事一元管理における任免協議等に関し、内閣として適切に対応するため、人事検討会議が行われています。内閣官房長官及び三人の副長官を構成員として内閣官房長官が開催をする会議です。

 検事長の任命権者は内閣であって、所管大臣ではありませんが、同様のスキームとして、内閣が任命権者となるような幹部人事について、このような処分にかかわるような案件は、官房長官が御担当になっているんじゃありませんか。

菅国務大臣 通常の人事の中ではその検討会議等も行いますけれども、今回は全くそうしたことも行っていません。

塩川委員 これは、具体的に、内閣とそれから法務省の間でこの処分のあり方について協議というのが実際に行われているというような森大臣の答弁があったわけですから、そういったことについて、当然のことながら、この人事に係る職責として官房長官がお持ちでありますので、そういった点での関与が全くなかったということはにわかに信じがたいわけで、そういう点でも、法務省から、あるいは内閣官房の担当者から、こういった経過についての報告がどうだったのか、こういったことについてぜひ当委員会に提出をいただきたい。委員長にお取り計らいをお願いします。

松本委員長 後ほど、理事会にお諮りいたします。

塩川委員 終わります。

松本委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 立国社の大河原雅子でございます。

 橋本大臣にお越しいただきまして、DV問題、引き続き質疑をさせていただこうと思います。

 五月の二十二日の日に、閣法の質疑だったんですが、冒頭、このコロナのことで、世界じゅうが、外出自粛とか、家の中にステイホーム、アットホームということなので、DVや子供の虐待がふえていく、女性団体や国連機関も警告を発しているということがありまして、そこで伺わせていただいたんですが、同じ日に、記者会見で、大臣も記者から質問があってお答えになっているので、きょうは、大臣からしっかりと発信していただきたいと思って質疑をさせていただきます。

 そのときに伺ったことについては、配偶者暴力相談支援センターの相談件数とか、状況について伺わさせていただいているんですが、ともかく、これまでの大規模災害の折にも、こうしたジェンダー視点で対策を考えることとか、それに配慮した形での対応というのが求められていたんですけれども、それも含めまして、今回のコロナでどんなふうに把握をしていらっしゃるのか、まず大臣に伺わせてください。

橋本国務大臣 新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う生活の不安そしてストレスから、DVの増加や深刻化が懸念されておりまして、本年四月の全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は、暫定値でありますけれども、前年の同月比で約三割増加をいたしております。

 内閣府では、四月の二十日から、多様なニーズに対応する新たな相談窓口としてDV相談プラスを開始をしたところ、開始から一カ月間で、電話相談が二千四百八十七件、SNS相談が八百六十四件、メール相談が千四十八件寄せられておりまして、DV相談、支援へのニーズが高いものと認識をいたしております。

 新型ウイルス問題については長期的な視点に立った対応が必要であるということから、DV相談プラスの対応体制の拡充と、そして実施期間の延長を行いまして、DV被害者が速やかに適切な支援を受けることができるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 DV相談電話ですね、相談プラス。お手元に資料を配らせていただいたものがございますが、本当に一月でこんなにもたくさん来るのかということがございましたし、まさに、DVで既に避難をしていらっしゃる方たちへの給付の対応とかもしていただいているんですけれども、ここに電話をかけてきた方たちは、やはり家にいて、それで、日常的には気づかなかったかもしれない、こういうコロナのストレスがたまるときになって、もうやむにやまれず連絡をしてきたという方たちが多いというふうに認識しております。

 前回、池永局長にもお答えいただいた中には、日常的にはもう固定化された、そうした性別役割分業、こういう意識が、ストレスの大きくなるコロナ危機の中にあって、家の中での家事、育児、介護、こうしたことも一方的に女性にかかってきている、そうしたことが、むしろこの危機であるからこそ増幅されている、そういう御答弁もいただいているんです。

 このDV相談のことは、政府広報で、インターネットの検索を開けば、例えばヤフーを開けばここに、このマークとともに出てきたりして、電話相談を知られたということも、周知されたということもあるんですが、まだまだ、実はこれから、もっとふえるというふうに私は思っております。

 それで、この相談の中身、相談してきた内容についての分析をやはりきちんとして、電話はかけたけれども、それが支援や保護につながらなければ意味がないわけなんですね。その点については相談内容の分析とか対応が必要ですけれども、また民間シェルターにつなぐとか、そうした支援につなげることについてはどのような思いを持っていらっしゃるでしょうか。

橋本国務大臣 先生の御指摘、本当にありがたく聞かせていただいております。

 DV相談プラスは、被害者の多様なニーズに対応できるように、二十四時間対応の電話相談に加えまして、SNS、メール相談、外国語対応やウエブ面談での対応、さらには、全国の民間支援団体のネットワークとも連携をいたしまして、必要な場合には関係機関への同行支援や、あるいは保護まで対応するということにしております。

 今後の相談や支援を充実するためにも、今回新たに取り組んだSNSやメール相談を含めまして、DV相談プラスにおける相談内容や対応状況の評価、そして分析を行いたいというふうに考えております。

 その際、私、ずっと気になっていることであったんですけれども、相談をしてこられた方たちだけではなくて、DV被害に苦しんでいるのに相談につながることもつなげることもできないでいる、いわば諦めてしまっているといいますか、相談する行為こそできないような、苦しんでおられるという方もいるのではないかなというふうにずっと思っておりました。

 そういう中で、支援も重要な課題であるというふうに考えて、そういった方たちへの支援も重要だというふうに考えておりますので、例えば、初めて相談された方の相談の経緯を分析することなどによりまして、相談につながっていない人をどのように相談をするまでにつなげていくことができるかというふうなことも検討をしていきたいというふうに思っております。

 また、DV相談プラスでは、民間シェルターの支援員の方々にも、相談、同行支援等において専門性を生かした対応を行っていただいておりまして、民間シェルターが重要な社会資源であるということを改めて認識をしております。

 こうした民間シェルターによる被害者支援が更に充実をするように、内閣府では今年度予算において、民間シェルターの先進的取組を促進するために二・五億円を計上いたしまして、新規にパイロット事業を実施することとしております。この事業をしっかりと実施をいたしまして、大事なことは、やはり、日々起こっていくことに対応するための改善というのは必要だというふうに思っておりますので、継続的にしっかりと実施できるようにしていきたいと思っています。

大河原委員 大臣がおっしゃっていただいたんですけれども、やはり、今相談したくてもできない、それはすごく大事なことですよね。ですから、だからこそ、きめ細やかなという中には、相談をする勇気を持つためにも、相談することで道が開けるんだという希望が見えるということが大事だと思うんです。

 DV相談プラスの中にも、緊急の宿泊提供というのがありますよね。この事業を延長する、そして拡充をしていくためには、やはり予算が要ります。パイロット事業を二・五億円、今年度予算でやっていただいているわけですけれども、コロナの第二次補正、ここにも私はしっかりと予算の獲得が必要じゃないかと思うんですが、補正予算についてはどうですか。

橋本国務大臣 補正予算につきましても、今、本当に大事な局面を迎えているというふうに思いますので、しっかりと取り組んでいきたい、目指していきたいというふうに思っております。

大河原委員 相談件数が増大しているわけですから、回線も必要でしょうし、人員も必要でしょうが、ぜひ増額を求めていってほしいというふうに思います。

 分析をした結果をつなげるということがあると思いますが、今回の感染症ということでは、これまでの災害の、避難所へ行ってどうするということではなくて、もっともっと、被害が、ストレスが見えにくくなるということがありますし、そもそも若い女性で、家で虐待とか性被害に遭っているという方たちは、家に帰れないということもあって、逆に、外にいることによって、外で泊めてくれる人のところで被害に遭うというようなことも出てきているわけなんです。

 若年層の女性の性被害の増加ということも考えられると思うんですけれども、この点、相談件数とか実態とか、そういうことの把握はされているでしょうか。

橋本国務大臣 性犯罪、性暴力の被害者のためのワンストップ支援センターからは、現時点ですけれども、若年女性の性被害の相談件数が増加したという報告は受けておりませんけれども、支援の現場の方からは、子供たちが学校に行けないことで、ネットでつながった人から性被害に遭うということや、家にいるのがつらい中、優しい声をかけてくれた人にだまされて性被害に遭うことなど、被害の増大への強い懸念を持っているということを承知しております。

 性暴力の被害に遭われた方が速やかに適切な支援を受けることができるように、交付金も活用しながら、ワンストップ支援センターの機能の充実や広報と周知を進めてまいりたいというふうに思います。

 また、民間シェルター等の先進的な取組を支援する交付金を活用して、家に帰れない、行き場を失った若年女性を支援する取組も、関係省庁と連携しながらしっかりと推進をしていきたいというふうに考えております。

大河原委員 性暴力被害というのは本当に見えてこないし、自分が悪いんだと責めてしまうところが多いと思いますけれども、ワンストップ支援センターのことも含めて、直ちに手当てをしなければならない、そういうニーズがあるわけです。私ども野党で、性暴力被害のワンストップセンターをもっと拡充をする性暴力被害者支援法、既に提出させていただいておりますので、与党の皆様にもぜひ、この機に一致してこの法案を上げていただきたいというふうに申し上げておきます。

 この中で、やはり女性への、あるいは若年の方も、男性も含めてですけれども、あらゆる暴力を根絶するということは、危機であるからこそ増幅される、その中で更に大きな流れがあります。このことを日本政府として海外にも発信をしていかなければならない、そういう立場にあるわけで、次に伺いたいのは、長年懸案になっております女性差別撤廃条約の選択議定書の批准問題です。

 これは、これまでに日本政府のレポートを撤廃委員会で審議をして、これまでもずっとこの議定書の検討を進めるべきだという奨励の言葉が出てきておりますし、第四次男女平等参画計画の中にも、この問題については、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准に向けて早期に真剣に検討するというふうに書いてあるんですけれども、まず、この検討状況について伺いたいと思います。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のございました女子差別撤廃条約選択議定書でございますけれども、ここに規定をされております個人通報制度につきましては、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度と認識しております。

 この個人通報制度の受入れに当たりましては、我が国の司法制度や立法制度との関連での問題の有無、及び個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識しております。

 個人通報制度の受入れの是非につきましては、各方面から寄せられる意見も踏まえつつ、引き続き政府として真剣に検討を進めているところでございます。

    〔委員長退席、関(芳)委員長代理着席〕

大河原委員 外務省に伺うと、いつもそこなんですよね。具体的な検討状況が答弁されないんですね。

 それで、実は三月の二十六日に茂木大臣が参議院の外交防衛委員会でお答えになっていまして、既に、来年、二〇二一年、女性差別撤廃条約の審議を、日本のレポートについての審議が行われるということで、三月の九日には、日本政府に対して、どういう状況なのか日程を示してほしいと質問が来ていると思うんですが、回答の期限とか、その点について外務省からきちんと答えてください。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二十六日の外交防衛委員会の際の答弁になりますけれども、三月九日に女子差別撤廃委員会から来ました質問状に関しましては、この質問は、受領の後、一年以内に回答することとなっております。

 女子差別撤廃条約選択議定書の国会承認のための計画や展望につきましての質問でございますけれども、今後の個人通報制度に関する検討状況を踏まえて検討することといたしております。現時点で予断を持ってそのタイミングについてお答えすることは、差し控えさせていただきたいと思います。

大河原委員 事務方からはそういう答弁なんですけれども、当日、茂木大臣はこう答えているんですね。論点はある程度明らかになってきているので、関係省庁との間でずるずる引っ張るということではなくて、しっかり議論をして、どこかで結論を出さなきゃいけない問題だと考えているとおっしゃっているんです。

 全世界的にも、この問題については、百十四カ国ですか、もう批准が済んでいる。先進国たる日本というならば、このことをしっかりと議論をして、まず前に進めるべきだというふうに思いますけれども、この点、橋本大臣には男女共同参画の担当大臣として、日本のコロナ後の社会をどう変えていくかということも含めて、この問題についての御所見を伺いたいと思います。

橋本国務大臣 外務省から答弁がありましたけれども、女子差別撤廃条約の選択議定書の批准については、所管する外務省を中心に検討が行われておりますけれども、個人通報制度の受入れの是非の検討に当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無や、個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討の課題があるというふうに承知をしております。

 外務省の検討状況をしっかりと注視をしていきたいというふうに思いますけれども、やはり、今後は外務省において検討が進んでいくようにしっかりと促していかなければいけないというふうに思っておりますので、引き続きしっかりとやっていきたいというふうに思います。

大河原委員 橋本大臣、その答えはまずいですね。

 さっき茂木大臣は、これまでも関係省庁の間でずるずると引っ張って議論を長引かせるんじゃなくて、担当のところもしっかりやっていくと。

 その上、橋本大臣は、日本の政府全体を見渡して、男女平等、ジェンダー平等を推進する方なんですよ。

 外務省に言うと、いつも外務省が窓口と言うけれども、外務省は、どこを窓口にするか、本当の担当をどこにするか、わからないんですよ。今までもそうやってどんどんどんどん先送りしてきたんですよ。

 だから、私は、今、橋本大臣に、この選択議定書、個人通報制度を含めて、女子差別、女性差別撤廃という国際条約を、日本が新しい社会をつくっていくときに、本当にきちんと遵守する義務もあるし、それを前に進めていく、そういう力になっていただきたいというふうに思って問いかけをさせていただいたので、もう一度、御意見をいただけますか。

橋本国務大臣 やはり、先進国にとって重要なことであるというふうに思っております。しっかりとリーダーシップを持って、外務省とともに取り組んでいきたいというふうに思います。

大河原委員 本当にリーダーシップは大事です。このコロナのことでも、各国で、うまくコロナの危機を乗り越えてきているのは、女性の首相だったり、女性リーダーが多いです。ですから、ぜひそこではリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。期待しておりますし、一緒にやっていきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 次は、休眠預金の活用ということなんですが、私も、参議院の時代から、この休眠預金、忘れられた国民の資産を使って、政府や自治体にできない仕事を、やはり民間公益団体の方たちに縦横無尽に活躍していただいて、一人も取り残さない、一人でも苦しい方たちを救えるようにしたいと思ってきました。

 この休眠預金を、まず大臣、御担当ですけれども、どんなふうに考えていらっしゃるんでしょうか。最優先で解決をしなければならない社会課題というふうなことを目的にしておりますけれども、その辺の御認識を伺いたいと思います。

衛藤国務大臣 十年以上取引のない休眠預金を、社会課題の解決に向けて民間の活動に活用するという制度は、昨年度、二〇一九年度から本格的に始まりました。

 具体的には、今御指摘いただきましたように、国や自治体が対応することが大変困難な問題であって、法律が定める三つの分野、子供、若者支援、それから生活困窮者支援、それから地域活性化支援における民間の活動に対して、国民の財産である休眠預金を活用するものであります。

 この制度の特徴の一つは、民間の団体が民間の団体に対して助成を行う、民間主導の取組であるということであります。

 このため、お尋ねの優先的に解決すべき課題は、中長期的な制度の運用方針として政府が決定した基本方針に即し、指定活用団体が設定することとなっています。実際に、指定活用団体のJANPIAが、三つの分野の中で具体的な課題を設定し、取組を進めています。

 担当大臣としては、この制度の円滑な運用を図り、脆弱な立場にある方々への支援が充実し、誰もが安心して過ごせる社会を実現してまいりたいと考えています。

 今回の新型コロナ感染症対策についても、政府として緊急対応を行うとの大きな方針を示したところであります。今後、必要な方に助成が早期に届くよう、迅速に進めてまいりたいと思っています。

    〔関(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

大河原委員 ありがとうございます。

 五月二十一日に、内閣府で休眠預金等交付金活用推進基本計画の一部改正をして、五月二十五日、おとといからですね、指定活用団体JANPIAが新型コロナウイルス対策緊急支援助成を発表して、資金分配団体の公募が始まったというところです。

 今大臣がおっしゃったように、いろいろな民間公益団体がいます。大きいところから小さいところまでありますけれども、このコロナのことで活動を自粛しなければならない。

 ただ、縮小しなければならないということもあるんですけれども、一番必要なニーズが高まっているときに、本当に、貧困とか、助けなければならない、そういう方たちのニーズが高まっているときですから、思い切った支援をしていくためにも、この課題に向き合う休眠預金の活用については非常に大事だと思います。どのぐらいの予定で活用なさるのか、その点についてもお答えいただきたいと思います。

衛藤国務大臣 昨年から始まりました。それで、二〇一九年度にも、採択された団体について、ここのところを増額分として十億円、それから、二〇二〇年度にもこれは決定しておりますけれども、そこの採択する緊急支援策として四十億円、合計で五十億円を計上して充実したいというぐあいに思っているところでございます。

大河原委員 資料を見ていただくと、三ページ目につけましたけれども、今、五十億ということなんですね。ただ、休眠預金は、大体七百億の規模を持っております。

 この一番困っている人たちを助けるための実行団体への支援、それを回していくために、私は、五十億じゃなくて、もっと、本当の意味で、これから先にも小さな団体が潰れないような支援を今こそやらなきゃいけないというふうに思っているんです。

 それで、従来の休眠預金制度というのは、確かに、国民の大事な資産、忘れられているとはいえ、国民の資産ですから、丁寧に使わなければならないというんですが、この二ページ目の資料を見ていただくと、指定活用団体、資金分配団体、民間公益団体、もちろん政府、内閣府でこの仕組みがきっちりつくられているがゆえに、この助成金を出すとかそういうときに、非常に事務が煩雑、提出書類が多過ぎて現場は疲弊しているということがあります。

 平時でもそうなんですけれども、今回の緊急事態枠では緩和された要件があるんでしょうか。こういったところを少し短縮して簡単にして、どんどんスピーディーに支援ができるようにすることが求められていると思います。どうでしょう。

海老原政府参考人 お答えいたします。

 今回の緊急支援策でありますが、御質問にありましたように、コロナの影響で支援を必要とする方々に迅速に必要な支援を届けるという考え方から、スピードを重視した仕組みとしております。

 具体的には、指定活用団体JANPIAによる公募、それから選定において、通常でありますと、活動の持続性のために自己負担を求めているのですが、これを免除すること、それから、申請団体のホームページから確認できる書類については、その提出書類の一部を省略可能とすること、それから、事業の成果につきまして、事業の実施状況をアウトプットで評価することができるように緩和したことなど、資金分配団体、それから現場で実際に事業を行っていただく実行団体に求められるいろいろな各種の要件等を通常枠に比べて緩和したところでございます。

 また、迅速というお話がございました。事業の緊急性、それから事業実施期間が短期であることを踏まえまして、公募の期間、それから審査の期間ともに三週間ということで、JANPIAから発表しております。スピードを重視した仕組みにしていると考えております。

大河原委員 緩和を最大限やっていただきたいというふうに思います。小さなところは本当に、この申請を出す手続をする人員も確保できない。例えば子供食堂。簡単に御想像いただけると思うんですが、その方たちがこの助成金を使っていきたいと思ったときに、そういう管理費のこととか、そうした経費、申し込むにも、そうしたパソコンとかいろいろなものが必要になってくるんですね。

 ですから、これを極力、この休眠預金の活用の本旨に沿った形で最大限私は緩和をして、小さなところほど潰れやすいです、それが潰れてしまってはもう元も子もない、使おうというときにこの資金が使えないということになりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 申請書の要領も読ませていただきましたが、大変ですね。引き続き、NPOの方たちからも直接、内閣府としてもお声を聞いたらいかがかと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございました。

松本委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 西村大臣に何点か質問をさせていただきます。

 三月十三日に新型インフルエンザ等特別措置法が成立をいたしまして、当委員会でも附帯決議をつけさせていただきました。各党集まって、しっかりと議論させていただいて附帯決議をつけましたので、その点につきまして何点か、時間内で、現状どうなっているのかの御報告をしていただくと助かります。

 その前に、時々、今、大臣の発言にもあるし、各知事の皆さんも、この特措法は使い勝手が悪いというお話が結構ありまして、じゃ、特措法がなかったらよかったのかなとも誤解をされる方も多いかと思いますので、特措法があることによって緊急事態宣言もできるし、今の各知事の皆さんが自信を持って対策をつくっていらっしゃるのも、特措法のベースがあってできることだと思いますので、使い勝手が悪いのは、インフルエンザですから、コロナウイルスとは違って、ワクチンをつくることがコロナウイルスほどは難しくないのがインフルエンザだと思っているので、そういう点も踏まえて御発言いただければと思います。

西村国務大臣 御指摘のように、この間、この特措法の法体系に基づいて政府対策本部を設置し、また緊急事態宣言を発出して、各都道府県知事とは緊密に連携をとりながら、この法律の枠組みに沿って、私どもで大きな基本的な方針の中で方向性を示しながら、それぞれの知事がそれぞれの地域の感染状況に応じて適切に判断できるようにサポートし、また調整をしてきたところであります。

 何より、国民の皆さんの御協力で、そしてそれぞれの知事のリーダーシップのもとで、こうした感染、大きな波を、終息に向けて新規感染者の数が大幅に減り、緊急事態宣言を解除することができたものというふうに思っております。改めて、国民の皆さんの協力に感謝を申し上げたいと思いますし、知事の皆さんのリーダーシップに敬意を表したいと思います。

 その上で、幾つか私もこの法律の課題を感じております。

 まず最初に、未知のものであるとする新感染症でないと、なかなか法律がすぐに使えない、指定感染症になると法改正をしなければならなかったというこのことについても、指定感染症であっても、全国的に急速に蔓延するおそれがある場合にはこの法律を使えるようにした方がいいのではないか、そんな思いも持っておりますし、また、今回の措置をとる中で、それぞれの都道府県知事で、休業の要請なり指示なり行われてきましたけれども、それに従わない事業者がおられました。ほかがみんな閉めている中で一店だけあいていると、そこに多くの人が集まって、密の状態になる、感染リスクが高まっている。これは、私、国民の命を守るために必要であれば更に強い措置を講ずることもあり得るのではないか、こんなふうにも感じております。

 いずれにしましても、幾つかのこうした課題については、少し落ちついてからぜひ検討を加えていきたいというふうに考えているところであります。

大島(敦)委員 三月九日の参議院の予算委員会で、自民党の武見先生の発言が耳に残っていまして、このような感染症の危機管理についてこうした法律をつくられたことについては、私は今の時点で改めて当時の皆さんに敬意を表したいと思いますということで、質問に入っている。やはり、こういう観点って必要だと思うんですよ。やはり、使い勝手が悪いかもしれない。ただ、なかったときのことを考えれば、あればこそ、そういう今後のことにつながるので、そのことについては、ぜひ大臣も念頭に置きながら御発言をしていただけると助かります。

 続きまして、何点かの質問なんですけれども、まず一点目が附帯決議の九。「今回の事態により、大幅なマイナス成長になる可能性が極めて高いことを前提に、消費と雇用に重点を置いた万全の金融・財政政策を講ずること。その際、サプライチェーンの寸断等や風評被害を含む顧客の大幅減少により大きな経済的影響を受けている中小・小規模企業、個人事業主・フリーランスのうち、新型コロナウイルス拡大に伴う減収が一定程度を超える事業者に対して、事業継続が可能となるよう特に配慮すること。」と附帯決議につけさせていただいています。

 今回のコロナウイルス感染症対策における経済対策として、事業継続の面、消費の面、雇用の面から、それぞれどのようなメニューがそろっているのか。そして、附帯決議の中で「特に配慮すること。」とされた中小・小規模企業、個人事業主、フリーランスに対する措置は、金額面、給付や貸付けといった措置の内容、手続の煩雑さ、手元に届くまでのスピードなどの点を考慮して、現在の措置は十分に機能しているとお考えでしょうか。また、今後の方針、改善等の方策についてのお考えについての御説明をお願いします。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 既に、第一次補正予算案において、御指摘の中小・小規模事業者、フリーランスの方を含む個人事業主の事業継続に向けたさまざまな支援策を講じてきております。また、個人の方にも、特別の定額給付金を一日も早くお届けしようとしておりますが、こうした事業者の皆さんに対しても、可能な限り早く、必要な資金を必要な方のところにお届けをしたいと全力で取り組んでいるところであります。

 一定の売上げが減少したというもとで、持続化給付金につきましては最大二百万円の補助を、給付を行っているところでありまして、これまでに六十一万件、約八千億円の給付を行ってきております。

 さらに、審査体制の増強も行っておりますし、できるだけ迅速、もっと迅速にできないかということでやっておりますし、オンライン申請が困難な方に対しまして、全国で三百四カ所、二十五日時点で、サポート会場、これは商工会議所とか商工会にお願いしておりますが、そういったことで、サポートしながら申請ができるように対応しているところであります。

 また、実質無利子無担保の融資につきましても、日本政策公庫を中心に、二十五日時点で三十四万件、約六兆円の融資を決定しておりますし、さらには、この無利子無担保の融資を地銀、信金、信組にも拡大をしました。これは身近な金融機関ということで、日ごろからおつき合いもあるんだと思います。数日で対応がなされているものというふうに期待をしたいと思いますが、現に、二十五日時点で十万件、一・八兆円の融資が決定をしているところであります。

 こうした点を含め、特にこの厳しい状況にある小規模事業者、フリーランスの方などに対応を行っているところでありますが、さらに、第二次補正予算におきまして、これは与野党からさまざま御提案いただきました家賃の負担、最大六百万円の給付金、あるいは持続化給付金につきましても、さらに、雑所得や給与所得として計上していたフリーランスの方々を対象にする、あるいはことし創業のベンチャー企業も対象にする、こうした措置を講ずる予定にしております。

 いずれにしましても、どんな状態になっても、しっかりと事業、雇用、生活を守る、そうした万全の枠組みをつくっていきたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 今大臣が触れました各政党との協議なんですけれども、附帯決議の五に、「課題の共有・解決に向け、与野党に対して必要な情報共有を適時、適切に行うとともに、与野党の意見を尊重して施策の実施に当たること。」としております。

 政府・与野党協議会が設けられ、そこで感染症拡大防止策や経済対策を始めさまざまな議論がされています。この協議会の中で、野党からの意見はどのように政策に生かされているのか、野党からの提案が反映された政策があれば、具体的に教えてください。野党に限らず与野党で結構ですので、よろしくお願いします。

西村国務大臣 御指摘のように、政府と与野党が協力して取り組むということが非常に大事なことでありまして、政府・与野党協議会におきまして有意義な議論が行われてきたものと承知をしています。これまで九回開催しておるというふうに聞いておりますが、その中で、野党の皆様からも、感染拡大防止策や経済対策などさまざまな御提言をいただいてきております。

 政府としては、各党のこうした御議論をしっかりと受けとめつつ、これまで対応してきているところであります。

 例えば、今般も、地方創生臨時交付金の増額、あるいは雇用調整助成金の上限額の引上げ、あるいは学生支援、こういったさまざまな事柄について御提言いただいておりまして、それを受けとめて、二次補正予算の編成に取り組んできたところであります。

 改めて、これまでの皆様の御協力に感謝を申し上げたいというふうに思います。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 結構、持続化給付金を知らない人がいます。ネットでつながっていない方が非常に多くて、ああ、そういうのがあったんですかとか、聞かれることがあるので、やはり周知徹底することが必要かなとも思っていますので、国民、それぞれの各党の代表、各党に集う国会議員は国民の代表ですから、その声を聞きながら対策を進めてください。

 次に、附帯決議の十番について、感染症の拡大を防止するために、権利の制限とそれに対する補償はセットで検討すべきだと考えています。

 特措法の四十五条における施設利用等の制限要請等により経済的不利益をこうむった方々に対する配慮の措置として、どのようなことが実施され、今後どのような検討がされていくのか、また、解除後も引き続き活動を制限することが求められ、不利益を受けることが想定される者に対し、何らかの措置がとられるのかについて、御説明をお願いします。

西村国務大臣 政府といたしましては、これまで、補償であるかどうかという名称の問題ではなくて、実質的に雇用、事業、生活を守り抜いていくというために、さまざまな措置を講じてきているところであります。

 今御指摘のありました二百万円、百万円の持続化給付金もその一つでありますし、実質無利子無担保の融資もそうであります。

 また、雇用調整助成金で、中小企業、一定の要件はありますけれども、十分の十、支援をするということも含めて、また、今回、上限の引上げも行いますし、期間の延長も行う予定であります。

 さらには、家賃負担の軽減も今回行う予定でございます。

 そして、政府だけでは足らない部分を地方それぞれの実情に応じて支援をしていただこうということで、地方創生の臨時交付金で、既に休業要請に対する協力金などの形で、各自治体において支援が行われているというふうに思います。この点についても更に二兆円増額をする予定にしておりますし、臨機応変に対応するために、特別の予備費も十兆円を更に増額するという予定でございます。

 いずれにしましても、緊急経済対策、一次補正と合わせて二百三十兆円を超える事業費、それでしっかりと事業、雇用、生活を守り抜いていきたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 附帯決議の十一番なんですけれども、「企業及び個人(奨学金を含む。)」としております。貸付条件について、「国から金融機関等に対して柔軟な対応を要請すること。」としておりまして、企業及び奨学金を含む個人に対する貸付けについて、国から金融機関等に対して柔軟な対応を要請することを求めていました。

 廃業や退学がないように、スピード感のある対応が必要と考えます。これまでに具体的にどのような要請を行ったのか、また、元本の返済を猶予する措置は行われているのか、説明をお願いします。

西村国務大臣 一次補正予算案によりまして、政策金融そして民間金融機関による実質無利子無担保の融資を進めておりまして、約四十五兆円規模の資金繰り対策を進めているところでございます。

 日本政策金融公庫、商工中金では、これまで約三十四万件、約六兆円の融資を決定しているところでありますが、当初、日本政策金融公庫に申込みが殺到したものですから、非常に時間がかかった部分もございました。政策公庫は本当に、人事も行わずに真摯に対応してくれたと思っておりますけれども、件数が余りにも多かったものですから、おくれた部分もあったかと思います。

 これについては先ほども、繰り返しになりますが、地方の銀行、地方銀行、信金、信組に同じ枠組みをつくっていただきましたので、より身近なところで、顔見知りの方も多いと思います、取引がある方も多いと思いますので、より早く、今、この審査が進んでいるものと思います。約十万件、一・八兆円の融資が決定されているということであります。

 あわせて、金融機関に対しましては、迅速な融資実行とあわせて、既存の債務の返済猶予など、貸付条件の変更に係る迅速かつ柔軟な対応を金融庁から強力にお願いをしておりまして、銀行法に基づいてこれもしっかりと報告徴収をすることになっておりますので、それぞれの金融機関で対応していただいているものというふうに理解をしています。

 さらに、個人、学生への奨学金でありますけれども、日本学生支援機構の事業におきまして、今般の影響を受けまして家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みの支援の判定を行うと同時に、大学の窓口におきましても柔軟に対応してもらっているところでありますし、さらに、返還が困難となった方に対しては、これまで充実を図ってきた返還期限猶予制度や減額返還制度の活用が可能となっております。

 いずれにしましても、引き続き、事業者そして個人の資金繰り支援に全力を挙げていきたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 日本政策金融公庫の皆さんは、非常に誠実に対応していただいていると思います。

 一次補正で、民間企業、民間の金融機関も同じようなことができるということになりましたけれども、若干貸し渋り的なところもあるものですから、そのところをちょっと注意していただければと思います。

 続きまして、附帯決議の十二について質問させてください。

 経済支援の制度を実施しても、中小企業や小規模事業者などにはなかなか届かないということがあるということで、生活や経済に支障が生ずる国民や企業に対し、ワンストップで各種支援制度の申請手続が行えるよう検討することを求めていました。

 現在の状況について御説明いただくとともに、申請手続における提出書類や各種条件を極力簡素化するとともに、審査は迅速かつ合理的に行うようにすることを求めていましたが、現在の審査状況等についてどうなっているのか、お知らせください。

西村国務大臣 御指摘の給付金、助成金の審査の簡素化そして迅速化も大変重要な視点、特にワンストップ化も大事な視点だと思っております。

 幾つか申し上げると、例えば雇用調整助成金も、当初、相当書類が多くて時間がかかっておったということは真摯に受けとめなきゃいけないと思いますけれども、申請書類の記載事項の半減、それから小規模事業主を対象として助成額の算定方法を簡略化するなど、今簡素化に取り組んでおりまして、五月の八日までの一週間で二千五百件しか処理できなかったものが、十五日までの一週間で六千件の処理になっておりまして、対応できております。さらに、五月二十二日までの一週間で一万件の処理が、支給決定が行われてきております。さらに、数日間でまた七千件ふえて、今は申請の半分以上対応できてきておりますので、かなりスピードアップもしてきているものというふうに思います。

 残念ながら、オンライン申請を始めたところ、ちょっとふぐあいがあって、ちょっととまっておりますけれども、いずれにしても、できるだけ簡素にできるようにしていきたいと思っております。

 それから、いわゆる二十万円の緊急小口資金、最大八十万円まで、これも社会福祉協議会の皆さんに本当に休日返上で頑張っていただいて、二十六万件の申請に対して二十二万件、そして四百二十五億円の支給を決定してきております。本当に地域の隅々で頑張っておられるということに改めて敬意を表したいと思います。

 そして、これもちょっと手いっぱいになってきているところがありますので、今、全国六百の労働金庫、それから、二十八日からは今度は全国二千百六十の郵便局でも受け付けを行っていきますので、ぜひこういったものを活用していただければというふうに思います。郵便局に行けば、後は郵送などで社会福祉協議会のようにやってくれますので、いわばワンストップ化でできればと思っております。

 それから、資金繰り支援も、先ほど民間のお話がございました。貸し渋りなどないようにまたしっかりと見ていきたいと思いますけれども、民間金融機関が市区町村への信用保証に係る認定申請を代理で行うなど、この手続もワンストップで完了可能となるようにお願いをしているところであります。

 さらには、本当は、各省に申請するいろいろな補助金は、一回申請すれば法人番号とひもづけて、会社の概要など、何回も何回も送らなくてもいいようにできればということで、ことしの四月から経済産業省におきまして、共通の認証システムによるデータ連携の基盤が動き始めております。実証が動き始めておりますので、こういったものを活用しながら、オンライン化、そして添付書類の削減、ワンストップ、ワンスオンリーで手続が済むように全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 なかなか、全部理解するのは結構大変です。私も横断的に全部勉強をさせていただきましたけれども、結構、ここまで到達するのは極めて大変でした。

 次に、附帯決議の十六について、中小企業金融の返済期限、雇用保険の給付期間の延長などについて、東日本大震災に伴って実施された期限延長措置に倣い、検討することを求めていましたが、これまで具体的にどういう措置がとられ、また現在の検討状況はどうなっているかについて御説明ください。

西村国務大臣 まず、資金繰り支援につきましては、実質無利子無担保、そして最長五年間元本返済猶予の措置の融資を実施しているところであります。事業者は、当面の間は返済負担がなく事業回復に専念できることが可能となっているものと思います。

 それから、既往債務についても、返済猶予等の条件変更について金融庁から強力に要請をしているところでございます。

 さらに、御指摘の雇用保険の基本手当の給付日数、これは六十日延長すること、それから、休業手当の支払いを受けることができなかった労働者に対して支援金を支給する制度の創設、これについて、厚労省において答申を受けたところというふうに聞いておりますので、今後、法案提出に向けて準備が進められることになるというふうに考えております。

大島(敦)委員 最後にお願いがあるんですけれども、きょうはちょっと質問はしませんけれども、自殺リスク、これからだと思います。やはり、物づくりのところは六月いっぱいぐらいまでは受注を抱えていますけれども、それ以降がほとんどないので、これから本当の経済的な後退局面に入った場合に、やはり自殺者数は景気と連動しておりますので、ぜひこの辺に留意しながら、多くの国民の命がかかっておりますので、大臣に御要請させていただいて私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、長尾敬君。

長尾(敬)委員 自由民主党の長尾敬でございます。きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、武漢ウイルス終息後の経済対策ということで、西村大臣にお尋ねをしたいと思います。

 御承知のとおり、五月十八日に発表された本年一―三月期のGDP速報というのは、実質成長率は前年比マイナス〇・九%、年換算でマイナス三・四%、昨年は、十―十二月、皆さんも御記憶にあろうかと思いますが、前年比マイナス一・九%、年率換算、何とマイナス七・〇%と発表されました。

 今後、景気の一層の悪化、求人減少の雇用への悪影響が懸念されている中で、民間機関の調査によりますと、二〇二〇年度の実質GDPは、二〇一九年度と比べてマイナス三十兆円弱の減少になるのではないかとも言われております。

 一次、二次補正、二次はこれからですが、一部を除いて、あくまでも武漢ウイルスによって減収となった企業に対する緊急的な支援措置の領域を出ないものと私は理解しております。反転攻勢たる本格的な経済支援対策というのは、まさにこれから措置するべきものと私は認識しているんですが、ここまで悪化した経済をどのように立て直すおつもりでいらっしゃるか、御答弁をお願いします。

西村国務大臣 御指摘のように、我が国経済は、まさに経済を抑制する、ブレーキをかけることによって感染拡大を防いできました。同様のことが世界でも行われ、世界経済も非常に大きい落ち込みとなっております。四月、五月は緊急事態宣言も発出しましたので、数字上は相当厳しいものになるということが想定されております。

 他方で、国民の皆様の御協力で本当にここまで新規感染者の数が減って、日本人の意識の高さ、自制心、もう本当にすばらしいものがあると思っています。このおかげで、これから経済を、新しい生活様式を定着させなきゃいけませんので、一遍に全部自由になるというわけではありませんけれども、感染防止策をやりながら、段階的に経済を引き上げていくことになります。

 そうした中で、一次補正に計上しておりましたゴー・トゥー・キャンペーンの予算ももう準備に入りました。まずは、県内でのさまざまな、徐々に徐々にでありますが、観光振興もやっていき、やがては県をまたぐ観光も支援をしていく、あるいは、飲食やイベントも支援をしていくということであります。当然、感染防止策はとっていただくという前提でありますけれども、こうした予算を活用しながら、さらに、二次補正予算で、今回、一次と合わせて財政支出百二十兆円、事業規模で二百三十兆円を超える見込みのものであります。

 私は、経済の落ち込みをしっかりと支える、それに対応できるものにしていきたいというふうに思いますし、どんな状態になっても、日本経済、皆さんの事業をしっかりと守り抜いていける万全の構えをとっていきたいというふうに考えております。

 さらに、今回、中国にさまざまな、我々の大事なマスクであったり防護服であったり、依存をしてきた、アビガンの原液も、かなりの部分、中国に依存してきたということでありますので、やはりサプライチェーンを強固なものにしていく、これは一次補正で予算を組んでおります、二千四百億円の予算があります。国内でしっかりとした生産拠点をつくっていく。あるいは、さらに、中国以外のところにもサプライチェーンを広げていく、多重化、多元化をしていく。

 こうした取組を通じて日本経済をより強固なものにしつつ、さらには、今回、いろいろ、テレワークができる人はテレワーク、あるいはテレビ会議、オンラインでさまざまなことをやらなきゃいけない、やれることもわかってきましたので、こうしたIT部門の産業、こうしたところ、中小企業も含めて、取り組めるところはぜひ取り組んでもらいながら、しっかりと応援をして、日本の経済、経済回復を確実なものにしていきたいというふうに考えております。

長尾(敬)委員 ただいまサプライチェーンのお話がありました。余りにも特定国、つまり、中国に依存し過ぎたがゆえ、企業も、あるいは日本政府も、この問題について、どうこれを学んでいくのかということに、もうこれは突きつけられていると私は思っています。

 やはりこれは大きな柱の一つでありまして、例えば、米国などは、必ずしもウイルス対策ではなかったにせよ、米国の中での国内回帰、例えば創薬メーカー等について、日本は、先ほど、一次補正で二千四百億円、予算を講じていただきましたが、米国は何と五兆五千億円、この規模の違いというものをどう日本政府として捉えていくのかということ、私は重要だというふうに思っております。

 加えて、後で質疑をやるんですが、国家安全保障局の中に経済班を設置、四月の一日にされました。こういった経済班に法的根拠のある審査権限を加えて、米国のいわゆるCFIUSと連携しながら経済安全保障にも取り組んでいく、ともに国内回帰をしていく。パートナーをどうするのかというような御判断を日本政府にはこれからしていただきたいなと思っているのが大きな柱の一つ。

 もう一つの柱というのは、これは御答弁は結構です、私は、消費税の課税停止並びに消費税を続けるまでの間のポイント還元制度の継続、これを強く提言させていただきます。御答弁を求めますと、必ずしも積極的な御答弁をいただけないものと承知しておりますので、きょうは、大臣の心にしみ入るように訴えさせていただきたいと思っています。

 今回の低迷は、武漢ウイルスだけが原因ではない。明らかに、昨年十月の消費増税、一〇%まで引上げというのが我が国の景気を低迷させているというふうに思っています。後ほど皇位継承についての質疑をいたしますけれども、仁徳天皇は、御即位の際、もう御存じのとおり、高台に上られて、民のかまどに煙が立っておらず、三年間の徴税を禁止、免税とすると仰せになり、減税をされた。令和の時代になって、現下の深刻な有事において日本経済を再生するためには、前例のない大胆な判断が政府に求められる。これが私は減税だと思っております。

 三月上旬より議論を始めまして、実は、衆議院で五十一名以上、参議院で二十一名以上、つまり、予算関連については、議員立法を提出するに足り得る有志議員とともに、消費税及び地方消費税の課税の停止に関する法律案をグループ内でこれまでもたくさん協議をして、今、審議をしております。

 この法律案では、消費税法その他法律の規定にかかわらず、当分の間、消費税及び地方消費税を課さないことを定め、消費課税停止による社会保障等の財源不足は赤字国債で賄う。東京オリンピック・パラリンピックの後の景気回復過程を想定し、日本経済がデフレを脱却したと認められる場合において速やかに廃止をすることを定めて、その後は、景気動向に即した消費税率を定めるための措置を講ずることにより対応するというものであります。

 リーマン・ショックのときに、英国が、二〇〇八年に、十三カ月間、本則の一七・五%を一五%に下げた、そして十三カ月後に戻した、こういった柔軟な対応というもの。実は、レジ会社あるいは会計ソフト会社からたくさんヒアリングをさせていただきましたが、霞が関は、いわゆるシステム変更にやたら時間もかかる、金もかかるということなんですが、どうも印象としては、英国のようなやりようがあるのではないかというふうには実感を持っております。

 先ほども申し上げましたように、審議中でございますので、政府におかれましては、ぜひ、与党自民党の中にこのような声がたくさんあるということを何とぞ御承知おきをいただいて、反転攻勢たる経済対策に、消費税課税停止法案を力強く御支援いただく、場合によっては閣法で取り上げていただくよう、お願いを申し上げたいと思っております。

 西村大臣には、お時間もありますので、御退室いただきまして、本当に、どうもきょうはありがとうございました。

 では、続きまして、皇位継承について、皇室典範の定める皇位継承者が今お三方、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下、常陸宮親王殿下しかいらっしゃらず、うち、恐らく、御年齢を考えると、次世代の継承者と言えるのは悠仁親王殿下お一人という現状にあって、恐らく数十年後に悠仁親王殿下が即位され、その後、男子がお生まれにならなければ、皇位継承が危うくなるという問題提起であります。

 宮内庁にお尋ねします。

 皇位継承は、どのような人に継承されるのか。皇統とは何なんでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 皇位の継承に関しましては、日本国憲法第二条は、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と規定しております。また、皇室典範第一条は、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と規定しております。

 ここに皇統といいますのは、歴代の天皇から伝わる血統のことであると認識しております。

長尾(敬)委員 天皇から伝わる血統という答弁がありました。つまり、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承するということ。俗っぽい言い方をすると、父親をたどれば必ず神武天皇につながる者に皇位は継承されると理解をしたいと思います。

 次に、なぜ一般男子は皇室に入れないんでしょうか。

池田政府参考人 皇室典範第十五条は、皇室以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがないと規定しております。

 これは、歴史的には、一旦皇籍を離脱した方が皇籍に復帰する例もございましたが、極めて例外なものであったことを踏まえて、明治四十年の皇室典範増補に規定が設けられ、現行の皇室典範もこれを踏襲しているものと認識しております。

長尾(敬)委員 一般女子から皇室に入られる方はたくさんいらっしゃる。だけれども、男子からは過去一人もいない。それは、皇統に属さない一般男子は、父親をさかのぼっても神武天皇につながる皇統を継承していない、その子供も皇位を継承できないという理解をしております。

 次に、親等の遠さ近さというのは皇位継承に当たって問題となるのかという観点から、第二十六代継体天皇御即位の背景に関して、宮内庁の理解を御答弁ください。

池田政府参考人 継体天皇は、第二十六代天皇でございますが、先代の第二十五代武烈天皇が崩御されたときにお世継ぎがなかったことから、継体天皇が迎え入れられ、即位したものでございます。

 武烈天皇と継体天皇は、ともに応神天皇の五世孫でございまして、親等では十親等の隔たりがございます。

長尾(敬)委員 委員の皆さんには、お手元の資料一をごらんいただきたいと思います。青い部分です。

 今答弁がありましたように、二十五代武烈天皇から十六代仁徳天皇、先ほどの民のかまどの、まで四代、約二百年さかのぼって、二百年、また四代おりてきて、二十六代継体天皇が五〇七年に御即位されてきたという歴史的事実がございます。

 あわせて、資料一の緑色の部分に同様の事例がございます。九十九代後亀山天皇から九十代亀山天皇まで、四代、約百三十年以上さかのぼって、六代おりてきて、百代後小松天皇が一三八二年に御即位をされていらっしゃいます。

 つまり、親等の遠さ近さというのは皇位継承に当たっては問題とならない、血統の濃い薄いというのは関係ないということを今ここで共有をさせていただきたいと思います。

 そして、戦後、GHQによって十一宮家が臣籍降下をされましたが、臣籍降下をした者が天皇に即位をした歴史的事実は存在しますか。

池田政府参考人 歴史上、皇籍離脱をした方が皇籍に復帰し、天皇に即位した事例としては、宇多天皇の事例がございます。

 平安時代の第五十九代宇多天皇は、時の天皇である第五十八代光孝天皇の皇子であったことから、三年間の皇籍離脱の後、皇位継承を目的に、八八七年に親王宣下をこうむって皇籍に復帰し、皇太子となり、即位したものでございます。

長尾(敬)委員 ありがとうございます。

 臣籍降下した者が天皇に即位した事例が、五十九代宇多天皇にあるということになります。何が継承されているのかというと、血統、血筋であります。

 資料の一、赤色のところをごらんいただきたいんですが、二つあります。上のところが宇多天皇ということになります。

 もう少し詳しく言いますと、宇多天皇は、皇子のころ、父の光孝天皇のほかの皇族に対する政治的な配慮によって、話すと長いのでちょん切っちゃいますけれども、臣籍降下されることになった。源定省という名前を与えられた。ところが、その後、光孝天皇がいよいよ崩御ということになったときにも、その後を継ぐにふさわしい皇族があらわれず、源定省が再び皇籍に戻って、宇多天皇として即位をしているということになります。

 そして、赤色のもう一つ下のところでありますが、実は、六十代醍醐天皇、この宇多天皇が臣籍にあったとき生まれた皇子、源維城が、宇多天皇の後、第六十代の醍醐天皇に即位されています。

 つまり、父の皇籍復帰とともに、みずからも皇籍を与えられ、ここが重要なところなんですが、臣籍の身分として生まれた唯一の天皇。なぜかというと、皇統に属する男子だったからということになります。

 ちょっと整理しますと、皇族が臣籍降下し、一般人となられたが、皇室に復帰し、天皇に即位されたという事例がある。さらには、臣籍の身分として生まれた皇統に属する男子が天皇に即位されたという先例も既にある。しかし、今の皇室典範ではこれが許されていない。だから、これを改正しようという話の流れでございます。

 私からの御提案というのは、やはり、あらゆる選択肢があると思いますが、例えば旧皇族の皇籍復帰を検討すべきではないか。現在の天皇は、閑院宮家の血統を引いておられます。この血統に対するもう一つの男系の血統に、伏見宮家があります。

 資料一のオレンジのところをごらんください。

 後花園天皇にオレンジの四角をさせてもらっていますが、後花園天皇の弟、伏見宮貞常親王以来、実は、GHQによる戦後の臣籍降下の後、このとき臣籍降下したのがいわゆる十一宮家ということになります、今もなお、血筋、皇統は継承されており、今日に至るという事実があるということを確認したいと思います。

 政府機関の非公式な調べによりますと、十代の方で五方、五人、二十代前半でお二方が、ほかにもいらっしゃるんですが、皇位継承者たり得る男子、すなわち、男系、父系で皇統に属する一般男子として生活をされていらっしゃいます。いわば、今上天皇の皇統の別の備えとしての皇統の役割を、今もなお、変わることなく果たし続けてきていただいています。

 という状況に鑑みて、やはり国民的理解に基づく立法を経た後、例えば、旧宮家の中から、了承の意思を持たれる方々に皇籍に復帰していただくことを提案したい。そのためには、皇室典範の改正、又は特例法の制定を行う必要があります。

 あるいは、養子という形もよろしいかと思います。皇室典範第九条、「天皇及び皇族は、養子をすることができない。」という条文に関連して、旧宮家の男子について、了承いただける方には現皇族の養子となられることがあり得るよう、皇室典範の改正、又は特例法の制定を行うことも選択肢ではないかと思っております。

 こういったさまざまな歴史的事実を参考にしながら、今後、どう皇室典範は改正されていくのか、官房の方に御質問したい。

溝口政府参考人 お答え申し上げます。

 安定的な皇位継承の維持につきましては、国会におきまして、総理や官房長官が、国家の基本にかかわる極めて重要な問題である、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある、政府としては、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し、対応してまいりたい旨の答弁をしているところでございます。

 私どもといたしましては、こうした総理や官房長官の答弁を踏まえて、対応していきたいと考えております。

長尾(敬)委員 皇位継承のさまざまな乗り越えなければいけない壁を乗り越えるためのヒントというのは、既に歴史的な事実に存在している。女系天皇なんというのは絶対に認められてはならぬと思っております。

 過去、男系女性天皇が、八方、十代、御存在していらっしゃいますが、御主人が天皇であったり、あるいは子供さんが皇位継承をしなかったり、あるいは御結婚されなかったりということで、男系女性天皇というものは過去にありますが、断じて、女系天皇というものはこれからも認められるものではないというふうに思っております。

 まさに我が国の国体にかかわることでございますので、これからも皆さんと一緒に議論をできればと思っております。

 次の質疑に入ります。

 国家安全保障局経済班の設置について、これをぜひ、この中で、後ほど出ます、外国人、いわゆる外資による土地買収問題をここで解決をしたいという流れで質問をさせていただきたい。

 経済班設置の趣旨について御答弁ください。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 AIや量子など、革新的技術が出現をし、安全保障と経済を横断する領域で国家間の競争が激化しております。安全保障の裾野は経済、技術面に急速に拡大をし、例えば、サイバーセキュリティー、機微技術管理、さらには新型コロナウイルス感染症への対応といった、安全保障と経済を横断する領域でさまざまな課題が顕在化しております。開放性と多様性を維持しつつ、経済の成長と発展を実現する中で、政府一体となって対応し、我が国の安全保障をしっかり確保していく必要がございます。

 このため、今般、経済分野における国家安全保障上の課題について、俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、国家安全保障局に経済班が設置されました。安全保障と経済を横断するさまざまな課題に対し、政府内の各部門と連携し、企画立案、総合調整を行い、迅速かつ適切に対応を進めてまいりたいと考えております。

長尾(敬)委員 二枚目の資料をごらんいただきたいと思うんですが、NSS、局長は、今、北村局長でいらっしゃいますが、赤文字のところ、令和二年四月、経済班発足、経済分野における国家安全保障上の課題ということで、今、二十名の方々の要員配置ということでありますが、実は、米国の対米外国投資委員会では、全体で百名程度、この赤いところだけで百名の要員で経済安全保障をやっているということになります。

 私は、対米外国投資委員会になぞらえて、日本版CFIUSを全力で応援したいなと思っている一人でありますけれども、米国が国防権限法を決定して、日本企業に与える影響は非常に大きいものがある、これに対して備えなければならないというところの中で、米国のCFIUSと経済班はどのような連携をするんでしょうか。御答弁ください。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 安全保障の裾野が経済、技術分野に急速に拡大する中、経済分野における国家安全保障上の課題に対応していく上で、先生御指摘の投資審査の役割は一層重要になっております。

 この分野を含めて、日米間では、これまでさまざまなレベルで重層的に意思疎通を行ってまいりました。先日施行されました改正外為法では、外国当局との情報交換規定が設けられたところでございます。こうした規定も適切に活用されることを通じ、対内直接投資においても、外国当局とのより一層の連携が図られていくものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、経済分野における国家安全保障上の課題については、今後とも、政府一丸となって、日米で密接に連携、意思疎通をし、進めてまいりたいと考えております。

長尾(敬)委員 今、日米連携、密接にやりたいという御答弁がありました。軍事的には、安全保障は日米同盟を基軸としておりますが、経済の面では、先ほどサプライチェーンの話がありましたが、中国との連携を密にしているという非常にいびつな構造になっていると指摘をさせてもらいたいと思います。経済安全保障についても、やはり日米同盟を基軸に、この発展に寄与していくべきだと思っています。

 そこで、日本各地で外資による土地買収問題が発生していますが、米国のCFIUSでも、相当な審査権限のもとで、安全保障上の問題がある土地買収の契約について徹底排除する体制で構えているわけであります。

 私は、実は、この土地買収問題というのは、昭和五十四年から始まっていると理解をしています。

 というのは、外国人の財産取得に関する政令、昭和二十四年三月十五日政令五十一号というのがありまして、これは、ポツダム宣言の受諾に伴い発せられた、何と、勅命に基づく政令がありました。しかし、昭和五十四年に廃止となりまして、裏を返せば、昭和五十四年までは、政令五十一号によって、外国人や外資の財産取得に関しては制限をかけられていたということになります。

 この政令は、第一条、諸外国との間の健全な経済関係の回復を促進するとともに、国民経済の復興及び自立を図り、あわせて国家資源を保全するため、外国人の投資及び事業活動を調整することを目的としている。第二条、外国人とは、日本国籍を有しない者、外国法に基づいて設立された法人とし、第三条、外国人が財産を取得するときは、主務大臣の認可を受けなければならないとされていました。この財産とは、土地、建物、工場、事業所、財産の賃借権、地上権、著作権なども対象になっていた。つまり、国家資源を保全するということを、そう、やるべきことはやっていたんですね。

 ただ、この政令五十一号が廃止されて、一九九四年のGATS条約に至る。他国は、条件付で土地の売買を、条約にサインをしたけれども、日本は、最恵国待遇、内国民待遇というお題目のもと、条件をつけることなしに、どうぞどうぞ売り買いしてくださいということでサインをしてしまって、今日に至るわけです。

 米国のCFIUSでは、土地買収問題は法的根拠を持って審査対象にしていますが、この経済班において、土地買収問題を対応する予定があるんでしょうか。御答弁ください。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 外国資本による土地の取得につきましては、これまで、防衛施設周辺の確認等、土地の性質や所在等に応じて関係する各省庁において実態調査などを行うなど、必要な措置をとってまいりました。

 政府といたしましては、引き続き、こうした取組を進め、土地取引の実態や影響などをよく把握していくことが重要であると考えております。

 議員御指摘のとおり、国境離島、防衛施設周辺等を含む土地利用等のあり方については、国家安全保障の観点からも注視していく必要があると考えております。国家安全保障局といたしましても、関係省庁とともに、土地所有の状況把握に努めてまいりたいと考えております。

長尾(敬)委員 残念ながら、状況把握の領域を出ていないという答弁なんですが、それは、実は無理もないです。米国の場合は、本当に法的根拠を持って、国防権限法や、FIRRMA、日本でいう外為法で大変な権限をCFIUSに持たせている。

 これは、やはり我々議員の側が、経済班がしっかりとこういった日本の国益を守るために資する行動が、法的根拠を持って動くことができるよう、できれば来年の通常国会に、日本版CFIUSが米国並みに稼働できるような法案を提出していただいて、その方向性を担保していただければというふうに思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

松本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、三つほど質問させていただきます。

 一つ目なんですけれども、内閣府のホームページに、経済団体からのコロナ感染症対策としての規制、制度の見直し要望というものに対する回答が掲載されています。かなり多岐にわたるものなんですけれども、要約すると、回答、たくさんある中の私が一番気になっている一つなんですけれども、大もとの法律が変わらない限り、個々の手続を所管する部門で対応するのは難しいというものが多くあるんですね。

 そこで、法律自体、IT先進国を目指すこの国が、デジタル化を前提とした法律ではないというのが大半です。これから、デジタルの専門家を投入して、デジタル化を前提とした法整備、法のチェックというのを進めるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルス感染対策といたしまして、行政手続のデジタル化は極めて重要であり、これまでも、政府CIOのもと、デジタル手続法及びデジタル・ガバメント実行計画に基づきまして、行政のあり方の原則を紙からデジタルに変換することを目指し、情報システムの整備を総合的かつ計画的に実施するなどの取組を通じまして、行政手続のデジタル化を推進しているところでございます。

 このような行政手続のデジタル化に当たりましては、デジタル化自体が目的とならないように、デジタル分野に関する高い専門性を有する政府CIO補佐官も活用しながら、事前に、対面原則や書面規制などの制度そのものを見直すこと、また、利用者と行政機関間のフロント部分だけでなく、バックオフィスも含めたエンド・ツー・エンドで、デジタルを前提とした業務プロセスを再構築する業務改革、いわゆるBPRを行うことなどを徹底し、行政サービスの利用者の利便性向上や行政運営の簡素化、効率化を図ることを求めているところでございます。

 今後は、先月開催されましたIT総合戦略本部におきまして安倍総理の指示を受けましたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためにも、行政手続のデジタル化を始め、デジタルガバメント実現に向けた取組を一層加速させてまいりたいと考えてございます。

浦野委員 御答弁ありがとうございます。

 どうしても今までは対症療法になりがち、こういう規制がかかっているからこそこういうふうにすべきだというふうに、対症療法で進めてきていたわけです。

 きょうの日経にも、「行政の電子化「一〜二年で」」という記事が載っていました。ネットでも、竹本IT担当大臣が、省庁間のそういうネットワークのデジタル化を五年でやりたいという、たしかそういう記事だったと思うんですけれども。

 省庁ごとでも、例えば、今回のコロナに関連して、テレワークを導入する。総務省は、もともと、もちろんそれを推進しているトップの省庁でしたから、現状でも機材とかそういう環境が整っていたということで、かなり進みましたということをおっしゃっていました。

 これは省庁によって全然温度差もあったということですので、私が言いたいのは、これは対症療法じゃなくて、これからいろいろな法律を出してくるに当たって、やはりデジタル化、これはデジタルの波はもう避けられない、デジタル化が前提のもとで法案の整備をしていく。そのためには、やはり、まず法案を、改正するなり、つくるなりするときに、デジタルの専門家の意見をしっかりと、毎回専門家を入れてやるべきだ、もう最初からそういうふうにやっていくべきだというふうに思うんですね。

 海外ですけれども、ある国では、デジタルに対応できない法律は出せないというルールまでつくって、やっている国があります。そこまでとは言いませんけれども、これからもう避けて通ることができないこのデジタル化の波を、国会、まさにきょうの日経の記事でもありましたけれども、やはりこういう行政が一番おくれているんだという認識をしっかり持っていただいて、この電子化、民間では、便利で、早くて、使い勝手のいいものはどんどん取り入れるのは当たり前ですので、そういったスピードに行政がついていけないからこそ、いろいろな問題が起こるわけです。だから、しっかりとこれをやっていただきたいと思います。

 二つ目の質問です。

 コロナ対策、いろいろやっていただいていますけれども、対象になっている、なっていないという、各業界でですね、いろいろ問題も起きています。

 今回私が取り上げるのは、イベント関連会社ですね。これが、イベント関連会社といっても、非常に多岐にわたる、幅の広い業界なんですね。だから、はっきりと自分たちのこの会社が、イベントの関連の会社なんですけれども、私たちの会社が一体どういうものを使えるのかとか、結構困った、実際に、使えるものがないというところもあったということで、いろいろと最近声を聞くようになってきました。

 一度、ちょっと事前に、こういうイベント関連会社が使える、そういう今回のコロナ対策の補償というのはどれぐらいあるのかというのをまずお聞かせいただきたいと思います。

島田政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染の拡大に伴うイベント開催の自粛によりまして、大小を含む幅広い事業者の方がかかわります、例えば展示会の業界といったようなところにも大きな影響が発生をしているというふうに認識をしてございます。

 この状況を乗り切っていただきますために、極めて厳しい状況にある事業者に対しては、現金給付を行う持続化給付金という制度、それから、日本政策金融公庫等が既に実施をしております実質の無利子無担保の融資を民間の金融機関でも実施できるようにするといったような支援措置を現在講じているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 このイベント関連の会社は、要は、密をつくるのが仕事の会社ですよね、実際は。それは今一番やったらあかんことをやらないと稼ぐことができないのがイベント関連会社です。

 今、宣言が解除されて、これからどんどんどんどん経済活動も活発になっていく。恐らく第二波が必ずやってくるだろうというふうにも言われています。だから、一〇〇%警戒ゼロにして、もう一〇〇%活動しましょうというレベルではまだありません。

 ただ、イベント関連会社とかは、イベントにたどり着くまでやはり三カ月ぐらい要るというんですよね。企画から広報、そして、その当日のイベント、それまでにやはり三カ月ぐらい時間がかかる、どうしても。これは、今からやって、企画して、三カ月後、やろうとなったときに、また第二波が来て、自粛ですとか、そういうふうになる可能性もあるわけです。そうなってくると、イベント会社自体がもう仕事ができなくなってしまう。要は、全く先が見えなくなってしまう、そういうことになりかねないので、やはり国としては、イベント開催のガイドラインをしっかりつくってもらいたいというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

島田政府参考人 お答えを申し上げます。

 一昨日、五月の二十五日でございますけれども、新型コロナウイルス感染症対策本部において、五月の二十五日から七月の三十一日までの約二カ月間を移行期間としまして、展示会などを含むイベント開催制限の段階的緩和の目安が示されたところでございます。

 この移行期間において、感染の状況を確認しつつ、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくというふうにされているところでございますけれども、こうした中、委員御指摘のイベントの開催、その中でも特に、例えば展示会の業界というのがございますが、この団体では、感染症拡大防止と事業の実施の両立を図るためのガイドラインの作成というのを現在進めているところでございまして、経済産業省でも、専門家の知見を踏まえた情報の提供、あるいは助言等を行うなど、支援を実施をしているところでございます。

 引き続き、今回の感染症の拡大を抑えつつ、事業者の事業継続と雇用の維持、こういったものもしっかりと確保できるように、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

浦野委員 ぜひ、出口のないトンネルほどやはり長く感じるものはありませんので、しっかりとガイドライン等を考えていただけたらと思います。

 最後の質問ですけれども、これも、緊急事態宣言以降、目にするようになった報道ですけれども、若者の間で望まれない妊娠がふえているというニュースが多く見られるようになってきました。それ自体もやはり問題ですし、その中には、合意のもとでないものとかも恐らく含まれてくると思うんですね。

 私は、内閣委員会で、野党の皆さんと協力して、性暴力被害者の支援に関する法律案というのを出させていただいています。これは、つるしがどの党からもかかっていない唯一の議法なんですけれども、やはり私はこの法案は大事だと思うんです。こういうときに、この法案がある、ないではやはり対応も違いますし、当然、僕は、これは内閣委員会があるたびに必ず毎回質問しますよというふうに宣言しているので、今回も質問しますけれども、予算はつけていただいています、確かに。ただ、それが万全の予算かと言われると、そうじゃない。現場からは、立法されていないから予算がつかないんだ、立法がないから予算が十分もらえない、立法してほしいという声はやはり大きいです。

 ぜひ、この法案について、この議法を審議するかしないかは、それはもちろん委員会、国会の判断ですけれども、私は、これは政府が責任を持ってやるべき仕事だとも思っていますので、それをしてくれないから、我々は議法でも出しています。どっちでも私はいいです、それが内容が伴っているものであれば。

 ぜひ、その点について意見をお聞かせいただけたらと思います。

池永政府参考人 お答えいたします。

 性犯罪や性暴力は、被害者にとって、身体面のみならず、多くの場合、精神面にも長期にわたる傷跡を残す、人権を踏みにじる、決して許すことのできないものです。

 国会における法案の取扱いについて、私どもは直接お答えする立場にはありませんが、性犯罪、性暴力被害者の支援において最も重要なのは、被害者の心身の負担を軽減することです。

 内閣府では、先ほど予算に触れていただきましたけれども、交付金によって、被害直後から医療面、心理面などの支援を可能な限り一カ所で提供するワンストップ支援センターの整備を促進しています。当初は、二〇二〇年度までに全都道府県に設置するという目標でございましたが、平成三十年十月に、前倒しで実現したところでございます。

 今年度は、交付金の予算額を前年度の二・一億円から二・四七億円に増額しました。そして、二十四時間対応、コーディネーターの設置、相談員の処遇改善等により、質の向上を図ってまいります。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、性犯罪、性暴力被害者支援の充実に努めてまいります。

 以上です。

浦野委員 この答弁がいつも限界なんですけれども、都道府県に一個ずつはつくってもらいました、前倒しで。それはもう本当にありがたいと思います。ただ、人口割で考えると全く足りていないというのが現状ですので、ぜひ、この点もしっかりと更に議論していただいて、前に進めていただけたらと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

松本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。武田国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 道路交通法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武田国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢に鑑み、一定の要件に該当する高齢運転者に対する運転技能検査制度及び申請により運転免許に条件を付することができる制度の導入を行うとともに、第二種運転免許等の受験資格の見直し、他の車両等の通行を妨害する目的で一定の違反行為をした者に対する罰則の創設等を行うことをその内容としております。

 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、高齢運転者対策の推進に関する規定の整備であります。

 その一は、七十五歳以上の者のうち一定の基準に該当するものは、運転免許証の更新を受けようとする場合には、運転技能検査を受けていなければならないこととするとともに、その結果が一定の水準に達しない者に対し、公安委員会は運転免許証の更新をしないことができることとするものであります。

 その二は、運転免許を受けた者は、公安委員会に対し、運転免許に、その者が運転することができる自動車等の種類を一定の安全運転サポート車に限定するなどの条件を付すことを申請することができることとするものであります。

 第二は、運転免許の受験資格の見直し等に関する規定の整備であります。

 その一は、一定の教習を修了した者は、十九歳以上であり、かつ、普通自動車免許等を受けていた期間が通算して一年以上である場合には、受験資格の特例として、第二種運転免許の運転免許試験を受けることができることとするものであります。

 その二は、この特例により取得した免許を現に受けている者であって、自動車等の運転に関し道路交通法の規定等に違反する行為をし、一定の基準に該当することとなったものに対し、若年運転者講習の受講を義務づけるとともに、公安委員会は、講習の通知を受けた者が講習を受けないと認めるとき等は、その者が特例により受けている免許を取り消さなければならないこととするものであります。

 第三は、悪質、危険運転者対策の推進に関する規定の整備であります。

 これは、他の車両等の通行を妨害する目的で一定の違反行為をした者に対する罰則を創設するものであります。

 第四は、その他の規定の整備であります。

 これは、乗り合い自動車の停留所等における駐停車の禁止から除外する対象の拡大、車輪どめ装置の取付けの措置による違法駐車行為の防止に係る規定の削除等をするものであります。

 なお、この法律の施行日は、高齢運転者対策の推進に関する規定の整備、運転免許の受験資格の見直し等に関する規定の整備等については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日、悪質、危険運転者対策の推進に関する規定の整備については公布の日から起算して二十日を経過した日、その他の規定の整備については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。

松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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