衆議院

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第15号 令和2年5月29日(金曜日)

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令和二年五月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本 文明君

   理事 井上 信治君 理事 関  芳弘君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 宮内 秀樹君 理事 今井 雅人君

   理事 大島  敦君 理事 太田 昌孝君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      小寺 裕雄君    高村 正大君

      佐藤 明男君    杉田 水脈君

      鈴木 憲和君    高木  啓君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      西田 昭二君    平井 卓也君

      藤原  崇君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    泉  健太君

      大河原雅子君    神谷  裕君

      源馬謙太郎君    中島 克仁君

      森田 俊和君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    早稲田夕季君

      江田 康幸君    佐藤 茂樹君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 武田 良太君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 太刀川浩一君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    北村 博文君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           福田 守雄君

   内閣委員会専門員     笠井 真一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     佐藤 明男君

  村井 英樹君     鈴木 憲和君

  中谷 一馬君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     三谷 英弘君

  鈴木 憲和君     村井 英樹君

  神谷  裕君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁長官官房審議官太刀川浩一君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄君。

小寺委員 おはようございます。自由民主党、滋賀四区の小寺裕雄でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、早速、道路交通法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 今回改正されるポイントは三点。まずは、高齢運転者による交通事故の防止対策について、次に、第二種免許等の受験資格の見直しについて、そして最後に、近年大きな社会問題として注目を集めている、あおり運転対策についてであります。

 いずれの改正点にもそれぞれ重要な論点があるわけですが、持ち時間が十五分と限られておりますので、高齢運転者対策のところに絞って質問をさせていただきます。

 さて、高齢化社会の我が国において、後期高齢者の七十五歳以上で運転免許を保持されている方が一体どれくらいおられるのか調べてみたところ、平成二十一年には三百二十四万人だったものが、昨年の令和元年には五百八十三万人に、さらに、四年後の令和六年には七百六十万人になるというデータが示されています。いかに元気な高齢ドライバーが私たちの周りに数多くおられるかといったことではないでしょうか。

 一方、七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故件数を調べてみますと、全体の死亡事故件数が年々減少傾向にあるにもかかわらず、死亡事故件数全体に占める高齢者の割合は増加傾向にあり、運転免許人口十万人当たりでは、七十五歳以上の運転者が引き起こす死亡事故の割合は、七十五歳以下が引き起こす割合と比較すると二倍以上であるという割合になっています。

 高齢者が引き起こした死亡事故といえば、時代が平成から令和にかわる直前の四月十九日お昼過ぎに、東京都豊島区東池袋、東京メトロ東池袋駅近くの交差点で、当時八十七歳の運転者がアクセルとブレーキを踏み間違えたために、母子二名が死亡した事故が記憶に新しいところです。

 こうした高齢運転者による悲惨な死亡事故の現状から、制度の見直しを求める国民の声も届けられており、今回の見直しに至ったものと承知をしておりますが、そこでまず、今回の高齢運転者対策の概要についてお尋ねをいたします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年、交通死亡事故全体の件数は減少傾向にございますが、高齢運転者による死亡事故の割合は増加傾向にあります。

 委員御指摘のとおり、運転免許人口十万人当たりで見ますと、七十五歳以上の高齢運転者は、七十五歳未満の二倍以上死亡事故を起こしております。

 この高齢運転者による死亡事故について見ますと、その大きな要因に運転操作の不適切があることから、今回の改正におきましては、運転免許証更新時に運転技能検査を導入することといたしております。

 なお、高齢運転者には個人差が大きいということに鑑みまして、この検査の対象者を、七十五歳以上で一定の違反歴がある者に限定しているところでございます。この一定の違反歴につきましては、信号無視や速度超過等の違反のうち、その違反歴と交通事故との相関関係を踏まえ、政令で定める予定といたしております。

小寺委員 ありがとうございました。

 何か次の質問の答えも含まれていたような気もしますが、予定どおり進めさせていただきまして、ただいまお答えいただいた、七十五歳以上の運転者については、一定の違反歴がない場合には新認知機能検査を受けていただいて、認知症のおそれがなければ、七十歳から七十四歳の方々と同じ手続で免許を更新していただきます。しかし、一定の違反歴がある場合には運転技能検査に合格していただく必要があるというお話でしたけれども、その対象者を、七十五歳以上、そして一定の違反歴がある者とされた理由は何でしょうか。そしてまた、その一定の違反歴とは具体的にどのようなものなのでしょうか。お尋ねをいたします。

北村政府参考人 お答えをいたします。

 七十五歳以上の高齢運転者につきましては、運転免許人口十万人当たりで死亡事故を起こす割合が高いということでその対象としているところでございますが、加齢に伴う運転技能の低下の状況というものは個人による差が大きいという点がございます。

 そこで、今回の制度におきましては、過去の違反歴というものと、その後の重大事故の起こしやすさというものとの関係を精査いたしまして、違反歴のうち、信号無視や速度超過等の違反のうち、その違反歴と交通事故との相関が強いというものを選び出して政令で定めることといたしております。

小寺委員 ありがとうございます。

 この法改正がされて、高齢運転者の新たな運転技能検査が実施されるといたしますと、必要とされている方に免許を更新していただくことはもちろんのことでありますが、何より大事なことは、この検査を通じてこれ以上運転してはいけないという人を見つけ出して、冒頭に御紹介したように、悲惨な死亡事故を未然に防止し、被害者も加害者もこれ以上は生み出さないことにつなげることであろうというふうに考えます。

 そこで、今回の運転技能検査では、結果によっては、つまり一定の基準に達しないときには、運転免許証の更新ができないということになるわけですが、この検査に不合格となるのは、どういう場合に不合格となるのでしょうか。お尋ねをいたします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正法案におきましては、運転技能検査の結果、運転に支障があるとして内閣府令で定める基準に該当する場合には、免許証を更新しないことといたしております。

 具体的には、免許を更新される高齢運転者の方に実際にコースを走行していただきまして、信号無視でありますとか、交差点の右左折後に反対車線に進入してしまうというような、明らかに安全に支障があるという場合には免許証の更新はできないことといたしますとともに、例えば脱輪でありますとか一時停止違反というような違反を繰り返すという、安全運転が期待できないほど技能水準が低いという方につきましても合格はしないことといたしたいと考えておりますが、具体的な基準については更に検討してまいります。

小寺委員 ありがとうございます。

 実際には、先ほど申し上げましたように、これから先は六百万人とも七百万人とも言われる高齢ドライバーが免許を更新して運転をされる社会が来るわけであります。その現実を想像いたしますと、私は、運転技能検査を導入するだけではなくて、その対象とならない方々、つまり一定の違反のない方々についても安全対策を講じる必要があるものというふうに考えます。

 そこで、運転技能検査の対象とならない方々については、高齢者講習の実車指導について、運転技能検査と同様の手法により客観的評価を行うということですが、その評価というものにはどういった意味合いがあるのでしょうか。お尋ねをいたします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の制度改正におきましては、運転技能検査を、一定の違反歴があり交通事故を起こしやすい高齢者に限定いたしておりますが、その検査の対象とならない方につきましても、高齢者講習の実車指導におきまして運転技能の評価を同じように行い、運転技能の低下を自覚していただき、慎重な運転に努めるよう指導をしてまいりたいと考えているところでございます。

小寺委員 そういうことであろうと思いますけれども、とはいえ、高齢者講習の実車指導というものは、安全指導中に問題があったとしても、免許を更新していただくことが前提となった講習であり、更新できないというふうな決定を下すことができないというふうに承知をしています。

 私は、高齢者講習の実車指導で評価が低かった方々についても、実は、免許を更新してもらわない方がよいのではないか、それなら最初から七十歳以上の方全てに運転技能検査を受けていただく方がよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、高齢運転者による悲惨な交通事故を防止するという観点からは、全員を運転技能検査の対象とすべきという考え方もあると存じます。

 他方で、運転免許の喪失という権利の剥奪につながり得る制度の導入ということでございますので、これはかなり大きな個人の権利に対する処分となるということでございまして、慎重な対応が必要となると考えてございます。

 そこで、先ほど来申し上げておりますように、運転技能検査の対象者を、年齢要件に加えまして、一定の違反歴というものをかぶせているところでございます。

 なお、施行後の実車指導における実際の評価と、その方がその後事故を起こしているかどうかというようなデータをエビデンスとして収集いたしまして、事後も運転技能検査の対象の見直し、不断の見直しに努めてまいる必要があると考えてございます。

小寺委員 時間が大分限られてまいりましたので、この後は少し御意見を披露しながら最後の質問にさせていただきます。

 今はそういうお話でしたけれども、現場の実務を担っていただくのは、多くが自動車教習所であるというふうに承知をしております。

 つまり、教習所の職員さんは、これから運転免許を取って前向きに社会で活躍していこうという方々に日々御指導をいただく役割であるわけですけれども、そうした方々が一方で、免許証を、今言われたように、私権の制限にもつながりかねないようなことを決めていただく役割も担っていただくとなれば、いわゆるそのあたりの公平性でありますとか、よほどきちんとした体制をあらかじめ構築していただかないと、現場の教習所の方々の負担というのは大変大きいものがあるのではないかというふうに思います。

 そのあたりを、今後、十分に制度設計の中できちんとしていただいて、教習所の指導員あるいは教習所自体に大変な迷惑なり御負担がかからないようにしていただければというふうに考えるわけであります。

 最後に、時間が近くなりましたので。いろいろな課題でありますとか論点について質問をさせていただきました。今回の改正によって、家族や肉親を悲惨な交通事故で失い悲しむ遺族をこれ以上ふやしてはならないということは言うまでもありません。また、先ほど来お話ししていますように、長年積み上げてきた人生の終末期に、みずからが加害者となり、人の命を奪い、加害者の家族もまた同じように苦しまなければならないようなことは何があっても防がなければなりません。

 道路交通法の一部を改正する法律案、特に高齢者運転対策に係る思いと決意について、武田国家公安委員会委員長にお尋ねをいたします。

武田国務大臣 御指摘のように、交通事故というのは、その犠牲者のみならず、御家族、そして御遺族、関係者の方々に大変な思いをさせる痛ましいものであり、ともすればその方々の人生をも一変させる重大な問題であります。

 昨今、高齢者による事故というものが随所に発生しておりますけれども、高齢者の事故防止を図るということも重要な責務ではないかなと思っております。今回、この改正によりまして、技能検査、そしてサポカーの限定免許、こうしたものを導入するわけでありますけれども、この試みがしっかりと効果を発揮して事故防止につなげる、それがまた高齢者運転対策を一層推進するものにつながるように今後とも気を引き締めて臨んでまいりたい、このように考えております。

小寺委員 ありがとうございました。

 ぜひ、今回の改正が、私は質問ができませんでしたけれども、あおり運転対策についても、また運輸業界から求められております第二種免許等の改正についてもすばらしい結果に終わることを期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、内閣委員会で質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 私、この数年、今御質問があった高齢運転者対策、また、いわゆるあおり運転対策等についても党内でかかわってきたわけでございますが、きょうは、十五分という限られた時間でもございますので、あおり運転に対する罰則の創設に関して、絞って質問をさせていただきたいと思います。

 いわゆるあおり運転というものは、二〇一七年の六月五日に神奈川県の大井町の東名高速道路で無理やり車を停止させられた萩山さん御夫妻がトラックに追突され死亡し、娘さん二人がけがをした事故を機に社会問題となったわけでございます。

 私はすぐに、その直後の臨時国会でこの問題を取り上げて質問をさせていただきました。そして、当時、小此木国家公安委員長に、こういう悪質また危険な違反というのは徹底して取り締まるべきではないのか、そういうことを質問させていただきましたところ、その当時の国家公安委員長も、取締りの強化について更に一層力を入れて取り組んでいくんだ、そういう答弁をされて、翌年の年頭の二〇一八年の一月十六日だったと思いますが、「いわゆる「あおり運転」等の悪質・危険な運転に対する厳正な対処について」という通達を全国の都道府県の県警さらには警視庁に発出されたわけでございます。

 その通達の翌年は前年に比べまして取締り件数というのが約一・八倍にふえ、非常に成果が出てきて、また、その翌年は二〇一七年に比べて約二倍以上、そういう取締り件数が出てきたわけでございますが、しかし、残念ながら、二〇一九年八月の常磐自動車道でのあおり運転での暴行事件、こういうものも明るみになって、あおり運転というものに対しては非常に厳しい対処を求める声というのが強く出てまいりました。

 我が党も、与党ではございましたけれども、ちょうど二〇一九年の八月にあおり運転防止対策プロジェクトチームを設置いたしました。私もPTの顧問ではございましたけれども、十二月には政府に対しまして、あおり運転に対する定義づけあるいは罰則の創設を求める提言というものを党として出させていただいたところでございます。

 しかしながら、現実に今、昨年警察庁がアンケート調査をしたところでも、この一年間に限ってあおり運転の被害経験があるんだと言われた方も約三五%、三分の一いらっしゃるわけですね。そして、その三分の一だけではなくて、ほとんどのドライバーが、四分の三だったと思いますが、罰則の強化を求めておられる、そういう現実があるわけでございます。

 このような経緯からいたしますと、今回の道交法の改正というのは、私は極めて画期的な、待望の改正であるというように考えておりますけれども、ここでまず、国家公安委員長の武田大臣にお尋ねをしたいんですが、いわゆるあおり運転と言われる妨害運転に対する現行の道路交通法での限界及び課題と、今回の法改正の狙いと期待される効果についてどのような所見を持っておられるのか、大臣の答弁を求めたいと思います。

武田国務大臣 委員御指摘ございました、平成二十九年六月、東名高速道路上でのあの痛ましい死亡事故であります。いわゆるあおり運転による痛ましい事故が発生したことから、警察としては、あらゆる法令を駆使した厳正な取締りの徹底等の諸対策を推進してまいりました。

 しかしながら、御指摘がありました、昨年八月、常磐自動車道上で社会的耳目を集める事件が発生するなど、依然としていわゆるあおり運転が重大な社会問題となっており、厳正な対処を求める国民の声も多く寄せられたことから、今国会の法改正を行うものとしたものであります。

 妨害運転罪を新設することによりまして、悪質、危険な運転行為に対し、従来よりかなり重い法定刑が適用されることとなるので、相当の抑止効果があるものと考えております。

 警察としましては、改正法の内容についてしっかりと周知をして、あおり運転を抑止するとともに、それでも発生する違反に対しましては一層厳正、的確な対応を行い、あおり運転のない安全な道路交通の実現を目指してまいりたいと存じます。

佐藤(茂)委員 そこで、時間が限られておりますので、ぜひ、この法改正が成立した後のことをまとめて警察庁にお尋ねをしたいと思うんですけれども、要請も入っておりますが、一つは、今大臣の答弁にもありましたけれども、国民への徹底した周知であります。

 一つ気になるのは、今回の法改正の施行日なんですね。主たる改正部分、例えば高齢運転者対策等については、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める、そういうように定めておられるんですが、いわゆるあおり運転に対する罰則の創設の部分については、公布の日から起算して二十日を経過した日としておられるわけであります。

 今回の罰則の強化については全く異論のないところなんですけれども、私が気になるのは、本当に、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行して、そんな短時間で、国民に周知徹底して、国民に理解していただけるのかどうかということが一つ懸念としてあるわけです。

 私は、施行まで余り時間が短過ぎるのではないかという懸念を持っているんですが、施行前はもちろんのこと、施行後も含めて、国民の不安をなくすためにも、テレビやインターネット、あるいはSNS等を通じて、あらゆる手段を通じて国民への周知を徹底していくべきであるということを一点目に要請をさせていただきたいと思います。

 もう一つは、改正法に基づく取締りの強化であります。

 先ほど言いましたように、現行法でも、警察庁が通達を出された後、その前年に比べて一・八倍の取締り件数、そして、翌年は更に、二倍、取締り件数がふえているわけでございます。しっかりと成果を出しておられるんですね。

 何度も申し上げておりますように、あおり運転というのは重大事故を引き起こしかねない極めて危険な行為でありまして、このような悪質、危険な運転は徹底して法に基づいて取り締まるべきであります。

 悪質、危険な運転を取り締まっていただくことが、まともな、善良なドライバーの安心につながるわけでありまして、警察庁においては、毎年恒例では、例えば、春と秋に全国交通安全運動というキャンペーンを実施されておりますけれども、こうしたあおり運転による痛ましい事故を風化させないためにも、例えば、社会問題化いたしました六月、二〇一七年の六月でしたから、東名高速道路の、そういう月なんかを決めて、あおり運転撲滅のための集中取締り月間、あるいは集中取締り週間というようなものを設けて、工夫していただいて、取締りを強化して国民の意識を高める、そういう取組をしてはどうかと考えるわけでございます。

 以上、二つのことを申し上げました。あおり運転に対する罰則の創設について、国民に対する周知をどのように徹底されるのか、さらにまた、法施行後の取締りをどのように強化されていくのか、まとめて警察庁の見解を伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正法につきましては、速やかな対応が必要であるということで、施行までの間を公布の日から二十日と定めているところでございます。

 短い期間ではございますけれども、その中におきまして、改正法の内容でありますとか、あおり運転の悪質性、危険性、また、これに対しましては厳正な取締りが行われるといったようなことにつきまして、集中的かつ強力に広報啓発を行ってまいりたい、御指摘のSNS、ウエブサイトあるいはチラシ、さまざまな手段を使いまして、このあおり運転撲滅の機運を醸成してまいりたいと考えてございます。

 また、先ほど大臣が答弁いたしましたように、厳罰化によりまして抑止力が機能する、それによりまして、取締りをしなくてもあおり運転などの妨害運転がなくなっていくということに期待はしているわけでございますけれども、施行後の妨害運転の発生状況につきましても十分に注視し、状況によっては、委員から御提案いただきましたような集中取締りということについても検討してまいりたいと存じます。

佐藤(茂)委員 きょうはもう質問できないのでやめますが、要するに、今回の法改正の百十七条の二の二の第十一号で、十の行動、これが今回罰せられますよというように実は条文上なっているんですね。条文を読んでわかる人はほとんどいらっしゃらない。具体的にどういう行動があおり運転として罰せられるのかということについて、やはり明確に国民に理解されるようにしておくことが何よりも大事かと思いますので、要望させていただきたいと思います。

 それで、今回の法案は参議院先議でございましたので、参議院の内閣委員会の審議におきまして、あおり運転について、違反の有無についてどういうように判断していくのか、それについて北村交通局長は、実際の捜査におきましては、違反の有無につきましては、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、当事者又は第三者の目撃情報に基づく聴取内容などの各種証拠に基づきまして判断していくということになると答弁をされております。また、ドライブレコーダーが、その記録により、あおり運転等の悪質、危険な運転の抑止にも有効である、そういう趣旨の答弁もされているわけでございます。

 私は、防犯カメラの設置されているところに限りがあるということ、また、常に第三者の目撃情報が得られるとは限らないことを鑑みますと、やはり特にドライブレコーダーというのは、運転時、停車時の映像が自動的に記録されることから、あおり運転などの事件の立証等にも活用できる、そのように考えております。また、当事者の聴取内容を裏づける情報としても有効であると考えているわけでございますが、しかしながら、今、民間の調査によると、自家用の自動車のドライブレコーダーの搭載率というのは三二・一%、これはソニー損保会社による調査でございますが、そういうふうにとどまっております。

 政府として、あおり運転の罰則を創設して対策を強化していこうとされているわけですから、その摘発に必要な情況証拠として有効な手段の一つであるドライブレコーダーのさらなる普及に向けて、より積極的に支援を検討していってもらいたい、そのように考えるわけでございます。

 特に、事業用自動車のドライブレコーダーについては、平成二十二年から、導入費用の三分の一補助、そういう補助制度がしっかりとあるわけです。しかし、自家用自動車のドライブレコーダーの補助制度というのはございません。

 政府として、新しい法改正の実効性を上げるために、自家用自動車用のドライブレコーダーの普及に向けての、こういう事業用自動車の補助制度のような支援も含めた取組を、ぜひ、交通安全に関する関係閣僚会議というものが政府にあるわけです、さらに関係省庁会議もあるわけですから、警察庁だけではできないと思いますが、関係省庁と連携して検討していただきたいと思いますけれども。

 ドライブレコーダーの有効性と、さらに積極的な普及促進策の取組について、武田大臣の答弁を求めたいと思います。

武田国務大臣 ドライブレコーダーは、運転行為が記録されることにより、いわゆるあおり運転等の悪質、危険な運転の抑止にも有効であると認識をいたしております。また、運転者自身にとりましても、装着することにより、急ブレーキ時や交通事故発生時等の映像が記録されるという緊張感が生まれるため、交通安全意識の向上につながるものと認識をいたしております。

 警察では、ドライブレコーダーがあおり運転抑止に有効であることについて、ウエブサイトやSNSを通じて発信しているところではありますが、近年では、御指摘ありましたように、保険会社からドライブレコーダーの搭載を前提とした保険商品が販売されたりするなど、ドライブレコーダーの普及につながる取組がさまざまなところで行われているものと承知をいたしております。

 引き続き、国土交通省その他の関係省庁や関係業界とも連携しながら、先ほど委員の方から御指摘のありました事業用との比較も含めて、ドライブレコーダーの広範な普及に努めてまいりたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 時間が参りました。

 ぜひ、二〇一七年六月の萩山さん御夫妻のような犠牲者が二度と出ないような、そういう、法改正の実効性を上げてしっかりと取り締まっていただくことを要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、早稲田夕季さん。

早稲田委員 おはようございます。質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。立国社の早稲田夕季でございます。

 それでは、提案をされております道路交通法の改正について順次質問をさせていただきたいと思います。

 この法改正では、高齢者の運転による事故が多発をしていることなどから、高齢者に対する運転技能検査の導入が九十七条で書かれております。

 まずこのことについてでございますが、本法律案では、運転技能検査の対象者を、一定の違反歴があるなど、基準に該当する七十五歳以上の者としております。しかしながら、大変な、今、高齢者の事故等がふえている中で、あえて一定の違反歴がある方などに限定をした理由、もう少し広くとられる必要があるのではないかと私は考えているところですし、また、諸外国の事例を見ましても、全ての方に、高齢者の七十五歳以上とかですね、そういう基準をつけているところもありますが、日本でこのような法改正、限定をした理由をお尋ねいたします。

武田国務大臣 高齢運転者による悲惨な交通事故を防止する観点からは、全員を運転技能検査の対象とすべきとの考え方もあるのも承知をいたしております。

 他方で、運転技能検査は、これに不合格となった場合には免許を喪失するという重大な処分となることから、その対象者については慎重な検討が必要であると考えております。

 そこで、今回の改正においては、運転技能検査の対象を、一定の違反歴があり、交通事故を起こしやすい高齢運転者に限定することが、交通事故防止の観点からも合理的であり、国民の理解を得られやすいと考えたところであります。

早稲田委員 そうしますと、違反歴のある方が、より事故に陥る可能性といいますか、そうしたデータがあるんでしょうか。それをいろいろ鑑みてのこの結論ということでしょうか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども保有しております統計を分析いたしますと、過去三年間に何らかの違反をしたという方が、それ以降一年間に重大事故、これは死亡事故又は重傷事故でございますけれども、これを起こしてしまう割合というものが全体の平均の一・八倍ございます。つまり、違反歴があると、一般の人よりも一・八倍、重大事故を起こしやすいということがございます。

 さらに、違反もいろいろな種類がございますので、その中から、平均よりも、よりその違反の場合には死亡事故、重傷事故を起こしやすい違反、かつ、ある程度数のある違反というものを十三種類ほど抽出いたしますと、そういう違反を過去三年間に起こされた方は、全体の平均と比べて、死亡事故あるいは重傷事故を引き起こしてしまう割合が約二倍となってございます。

 したがいまして、そういう特に事故とのつながりが予見される違反歴というものがある方を対象として、今回の運転技能検査を導入することとしたいと考えてございます。

 なお、この違反と事故との関係につきましては、その時々の交通情勢によりましてそのつながりも若干変化をしてまいろうかと存じますので、政令を定める際には、最新のデータというもので時点修正をした上で対象違反を定めるようにしてまいりたいと考えてございます。

早稲田委員 今局長の方から詳細な御説明がございました。今の段階では、その三年間の違反と重大事故が、ほかの方よりも二倍になっているということもわかりますので、今後またそうしたことも変わってくる可能性も十分にございますので、注視をしていただいて判断をいただきたいと思います。

 それでは次でございますが、その運転技能検査の内容、同検査の結果によりまして免許証を更新しないということも判断されるわけですけれども、この基準について内閣府令で定めるとされておりますが、現段階で、どのような課題を課して、どのような基準で免許証の更新の可否、継続の可否を判断しようとされているのか、お考えを伺います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の法律案におきましては、運転技能の検査の結果、運転に支障があるとして内閣府令で定める基準に該当する場合には免許証を更新しないことといたしております。

 私ども、有識者を交えました調査研究におきましては、七十五歳以上の方、約百八十五人につきまして、実際に、一・二キロの教習所のコース、約十分ほどでございますが、走っていただきました。その中で、信号をきちんと守れるか、あるいは一時停止はできるか、脱輪しないかというようなことについてチェックしたのでございますが、その結果、この十分間程度の走行の中で、信号無視をしてしまわれた方が七・六%ありました。あるいは、右折等をしたときに反対車線に入ってしまうという方が二〇%ございました。また、検査員が横に座っておりますが、危なくて補助ブレーキを踏んでしまうとか、最後まで課題がこなせないという方が一四・一%ございました。これら三つのいずれかをしてしまうという方が全体の三分の一近くいらっしゃったところでございます。

 具体的には今後検討してまいることになるのでございますが、実際にコースを走行していただきまして、今申し上げましたような信号無視でありますとか右左折後に反対車線に進入してしまうような場合、もう明らかに安全に支障があるという場合には、免許証の更新はできないという形にしたいと考えておりますし、例えば脱輪でありますとか一時停止違反などを繰り返すというような場合も、安全運転が期待できないほどの技術水準であるということになりますので、合格はしないことといたしたいと考えてございますけれども、具体的な基準につきましては更に検討してまいりたいと考えてございます。

早稲田委員 今、詳細にお答えいただきました。本当に、この検査の内容が、評価の基準がこの法改正の肝だと思っております。

 これも、各国の状況を見てみるといろいろであります。緩やかなところもあれば、米国イリノイ州のように新規取得とほぼ同じような内容でやるというところもございます。もちろん、厳しくし過ぎれば全てよいということでもないのはよくわかっておりますが、その評価基準というものは、やはり、やってみて、またそうではないところも出てくる、改善もしなければならないと思いますので、ぜひそういうことも長期的に考えながら、しっかりとした評価基準をつくっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 それから次に、第二種免許。

 これは、タクシーやバスの、旅客を大勢お乗せになるような職業的な第二種免許の受験資格、これの見直しが九十六条に出ておりますが、今まで二十一歳以上、三年以上というものを、十九歳で一年以上に引き下げるという規制緩和でありまして、これは従来、警察庁の方ではかなり反対の立場でいらしたものではないかと思います。

 その中でこういう改正になったということでございますので、まず初めに、この若年運転者期間、二十一歳に達するまでとされておりますけれども、本来の経験年数要件である普通免許の保有三年以上を満たしていなくても、若年運転期間の対象とならない場合が出てまいります。本来の経験年数要件を満たすまでの間の安全の確保、これが十分であるかどうかと懸念が示されますが、国家公安委員長のお考えを伺います。

武田国務大臣 御指摘の問題は、我が国の経済活動とも密接にかかわってくる問題でありまして、ドライバー不足というのが物すごく深刻化しているということを業界の方から強く要望を受け続けてまいりました。それを踏まえて決定されました規制改革実施計画を受け、平成二十九年以降、有識者会議を開催するとともに、調査研究を実施するなどして、検討を行ってまいりました。

 その結果、特別な教習を修了することにより、十九歳かつ普通免許等保有一年以上二年未満の者であっても、第二種免許等の受験資格要件を満たす者を上回る運転技能等が備わることが確認をできました。この検討結果を踏まえまして、特別な教習を修了した者につきましては、第二種免許等の受験資格要件を見直すこととしたものであります。

 また、有識者の検討会におきましては、特例を受けて運転免許を取得した後においても、本来の年齢に至るまでは安全対策が必要とされたところであり、今回の改正におきましては、本来の年齢要件に達するまでの間、慎重な運転を促すために、若年運転者期間の制度を設けることといたしております。

早稲田委員 経済との密接な関係というお話でございましたが、規制改革推進会議で警察庁が説明資料として二十九年に出されているものを見ますと、普通自動車を運転できる免許を取得した者の年齢別の一万人当たりの人身事故件数を比較したものがございます。十八歳、断トツであります。そしてまた、十九歳もかなり高いというこの傾向は今も変わらないのだろうと思われるところでございますので、特別な研修ということで効果が出たということが本当に万人にそうであるかどうかは、またこれからの実情を、実態を見ていただかないと言えないのではないかと、私も非常に心配をしているところでございます。

 そもそもですけれども、この規制緩和には警察庁は反対をされていた。反対をされていた中で、経済界からの、業界からの大変人手不足という要望もありということのお話はございましたけれども、それでは、そこだけなのか。なぜ、今まで反対の立場から変わったのか。そして、この規制緩和をする、十九歳ということに引き下げる、その立法事実を改めて伺います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 第二種免許の受験資格でございますが、二種類ございまして、一つは、免許を取ってから三年たっているということでございます。もう一つは、二十一歳、中型免許の場合は二十歳でございますが、という年齢になっているということでございます。

 では、この三年とか二十一歳とかいうものは何をあらわしているのだろうかということでございますが、有識者の方々の検討いただきました中におきましては、この三年というのは、運転経験によりまして危険な状況を道路交通の場で予測するとか回避するというような能力をあらわしているのだろうと整理されたところでございます。

 他方で、二十一歳というのは何をあらわしているのだろうということでございますが、これは、簡単に言えば大人だということなんですが、その大人であるということは、自分の能力を過信せずに客観的に見詰めることができるということでありますとか、あるいは自己を、感情をコントロールできるというような自己制御能力と整理されたところでございます。

 実は、警察庁が規制緩和推進会議等において申し上げてきた中では、経験年数につきましては、ある程度訓練をしていくということで、そういう危険回避能力、予測能力というものは身につけることが比較的容易であろう、その一方で、年齢要件に係る能力、自己をコントロールする能力というものについては、やはりなかなか開発していくということが難しいのではないか、現に若者の交通事故は多いというようなことを申し上げてきたところでございます。

 こちらにつきましても、有識者会議の中での、走行実験というものを行いまして、その中で前後の比較というものを行いました。例えば、自分の運転がどの程度上手であるかということについて自己を評価する、また、あわせて、隣の検査員が彼の能力を評価するということをしました場合に、一連の教育の前後におきまして、言ってみれば、前では自信過剰であったというものが、事後においては客観的に自分を評価できるようになったということがございます。

 なぜそういうふうになるかと申しますと、この特別な教習におきまして、性格検査に基づくいろいろなトレーニングを行ったり、あるいは、自分の運転行動をビデオで撮って、その運転を顧みながらマンツーマンで教育を行うということによりまして自己に対する正しい認識が得られるだろうということでございまして、有識者会議におきましても、年齢要件を引き下げても大丈夫であろうかとなったのでございますが、そうはいいましても、やはり年齢につきましては、その特別な教育では十分ではないおそれもあるということでございます。

 そこで、本来の年齢要件になるまでの間は、いわば子供を親がぎっちしと監督するというのと同じような形で、先ほど御質問にありました若年期間制度というものを設けまして、この間は、例えば、違反点数が一定の点数に達すれば改めて再教育を受けますよ、それを受けないと免許は取り消されてしまいますよというような形で外的に制約を加えることによりまして、安全な運転を心がけさせようとしているところでございます。

 なお、全体として年齢要件の原則を、二十一歳を変更しようとしているものではございません。あくまでも、特別な教育を受けた場合には一定の緩和をすることができるだろうということで今回の制度の見直しにつなげてございますので、決して全体として二十一歳が十九歳でも大丈夫だとしているのではないことにつきましては、御理解賜りたいと存じます。

早稲田委員 十分ではないというお言葉もございました。

 中ででありますけれども、この規制改革推進会議で警察庁がおつけになっていらっしゃる、脳の発達に関する科学的な知見、これも、制御が優位となるのは二十一歳ごろとされており、世界の青少年期の脳発達領域を研究する専門家の共通認識となっておるとここにもしっかり書かれております。

 それを十九歳に引き下げても特別な教育でカバーできるんだというお話ではありますけれども、その有識者の中にどれだけ専門家の方がいらっしゃるのか、大変私は疑問です。経済一辺倒で、こういう人手不足ということで、とにかく年齢を引き下げてでも募集をふやそうということにならないように、私は、この実効性、本当に人がふえるのか、この職業につきたいと思う方がふえていくのかということも今後見きわめていただく、そのためには、きちんと検証を毎年していただきたいと思います。どれぐらい人がふえて、どれぐらいその方たちが安全に運転ができるのかということは、これは警察庁の責任としてお願いをしたいということを、国家公安委員長にも強くお願いを申し上げておきたいと思います。

 次に、道交法の改正以外の道交法の案件について質問をしてまいります。

 まず、かすれて見えなくなった横断歩道の補修を市町村が自主的に行うことに関する質問主意書、昨年十二月に私も出させていただきました。大変警察庁も、そして各県警察も頑張っていただいて、一生懸命これを補修をしていただいていることはもう十分わかっているわけですけれども、そうした中でも、やはりまだまだ、市民は毎日通っておりますから、その中で、あそこもかすれている、こっちもかすれているということの相談が、多分、私だけでなく皆様も、どの議員にもお寄せをいただいている相談ではないかと思います。

 その中で、本当にかすれたところで事故があって重大な死亡事故となるような案件も出ておりまして、私の地元の神奈川県、こちらは、二〇一九年の八月に、鎌倉市、大和市、そして厚木市、茅ケ崎市の四市が連名で、県への要望で、県の公安委員会に不鮮明な横断歩道を迅速に補修するよう必要な予算措置を講ずることを新規に求めております。

 そうした中でもまだまだなされていない大変厳しい状況だという中で、再度、この質問主意書の後のお取組ということで伺ってまいりたいと思います。

 質問主意書の中では、市町村が、もちろん既存の横断歩道ですけれども、それを補修するようなことが、地方財政法の第二十八条の二に抵触する懸念があるということが総務省からも言われておりまして、なかなか前には進んでおりませんが、私は、ぜひこうしたことも、これから引き続き、警察庁も総務省といろいろ意見交換をする中で進めていただける、何か知恵を出していただけるのではないかと期待をしております。

 そのことはおきましても、市民から通報を受けてから補修までのリードタイムが少しずつでも短くなっているのでしょうか。こうしたことの実態調査、統計などをとるように、各都道府県警察に取組を促していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

武田国務大臣 昨年十二月の質問主意書以降の取組についてでありますが、警察庁では、横断中の歩行者の事故の状況に照らして、横断歩道の効率的な維持管理が行われるよう、摩耗率の高いものから適切に更新するよう指示しており、都道府県警察におきましては、横断歩道の計画的な点検と補修に努めているものと承知をいたしております。

 しかしながら、約百十六万本に及ぶ全国の横断歩道の更新が必ずしも十分行われていないとの指摘があることも承知をいたしております。委員からの御指摘も踏まえ、横断歩道を始めとする道路標識、道路標示の維持管理が適切になされるよう、引き続き警察を指導してまいりたいと思います。

早稲田委員 ぜひ、そちらはもちろんお願いをしたいわけですが、総務省ともいろいろ意見交換をしていただいて、引き続き、市町村が取組を何かできないかということを考えていただきたい、知恵を出していただきたいと思います。

 そのことでですけれども、例えば佐賀県では、交番の警官の方が個人的に、補修という意味で、少し薄くなったところを塗り直したことが報道をされております。例えばですけれども、例えばNPOや自治会、それから有志の個人などが、既存の、もともとある横断歩道を補修した場合、これが何らかの法律の違反に当たることになるのでしょうか。確認させてください。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 道路交通法第七十六条におきましては、何人も、信号機でありますとか道路標識、道路標示又はこれらに類する工作物あるいは物件といったものをみだりに設置してはならないと規定されており、罰則もございます。道路交通法におきましては、修繕を含みます道路標識、道路標示の設置、維持管理は都道府県公安委員会すなわち都道府県の事務とされているからでございます。

 他方で、先ほど御指摘いただきましたような事案がこの法律の規定に違反するかということになりますと、個別具体的な事実関係に即して、先ほどの条文に即して申し上げますと、みだりに設置したということになるかの当てはめということになりますので、一概にお答えすることは困難でございます。

 他方、横断歩道の維持管理というものが民間の方でも自由にどうぞということになってまいりますと、そのやり方いかんによりましては、法令に定められていない様式、例えば色が少し違うとかいうようなものが出てきたり、あるいは、ドライバーなり地域の住民からしますと、いや、あれは警察がつけたのではなくして勝手に誰かが塗ったんだろうというようなことがまた紛議の対象になるということでも困ると考えてございます。

 いずれにいたしましても、道路標識、道路標示を適切に管理しないと交通規制は守られませんし、実効は保てないということでございます。都道府県には、それを適切に行い、予算を獲得していくということが責任としてあるわけでございますので、例えば、市町村がやってくれるからよかろうとか、民間の方がやってくれるからいいやということでは、都道府県警察としての責任を果たしていないと言わざるを得ませんし、先ほどお話がありましたように、通報とのリードタイムということでございますが、その通報を待ってからおっ取り刀で対応するというのでは計画的な対応ではない、我々としては厳しく戒めていかなければならないと考えているところでございます。

早稲田委員 別に、県警察がおっ取り刀でやっているんだとは思わないんですね。いつも見ていただいていますし、早く早くと思っていらっしゃいます。そのためにも、予算がつかないということのその裏返しがこういう結果になっていると私は思っているんです。

 それから、今、みだりに設置してはならないという七十六条をおっしゃいましたが、補修に関しては設置とは言えないのではないでしょうか。しかも、みだりではなくてきちんと県警察にこれを届出などすれば、これに抵触しないやり方はあるのではないか、私は今の局長の御説明を聞いてそう思いました。

 なので、もちろん、県警察との協議の上で、どなたかが、どなたかというのはまあ自治体が一番いいんですけれども、実際に、道路を補修したとき、ガス管工事とかそういうときは事業者がやっておりますよね。これももちろん協議の上だと思いますけれども、これをもう少し枠を広げて、自治体等にもできる、そうしたことをお考えをいただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 それから、次に参ります。

 交通規制の話でございまして、交通規制については時間指定の通行禁止など、交通規制、何十年も前に決めた、設定をしたものがそのままになっている、実態に即していない事例が多々見られます。

 例えば、保育園、幼稚園の周辺道路で、退園時間等が変わっても時間帯を変えずに何十年も規制がそのままになっている。それから、地域住民から、また自治体からも要望が上がっているけれども、一回規制を決めてしまった場合、なかなかそこが変わらない。

 それで、一九九九年制定の交通規制基準によれば、最小限の規制、そして地域の声をよく聞いてという規制の基準になっておりますので、ぜひここは、いろいろ通知を出していらっしゃることは承知をしておりますけれども、改めて、必要最小限の規制プラス地域住民の声を聞いていただきたいということで、このことについてどのようにお考えか、また、改めて全国に通知を出していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

武田国務大臣 警察庁では、交通規制が全国において適切に実施されるよう交通規制基準を都道府県警察に示しており、交通規制が実態と合わなくなっていると認められた場合は必要な見直しを行うように求めております。また、会議等の場において、交通実態に応じた交通規制の見直しを随時指示しているものと承知をいたしております。

 今後とも、都道府県警察において、警察庁が示した交通規制基準に従い、交通実態に応じた適切な交通規制の見直しに取り組むよう、警察を指導してまいります。

早稲田委員 時間が押しておりますので、最後に一問だけ。

 民間の小さな、余り大きくないコインパーキングの場合、都市部でよく、駐車した車がもうほとんど、ほとんどというか、大分はみ出て、道路それから歩道、これに乗り上げているような形のものが散見されて、特に通学路でございますと、保護者の方から、非常に危険だ、何とかしてもらえないかというお話を伺います。

 これは国土交通省にももう問い合わせてありますけれども、駐車法上、何ら規制がないということなんです。でも、この駐車枠というものが改善されるように、ぜひ警察庁としても国交省と連携をして、実態把握に取り組んでいただくなど、こうしたことをやっていただきたいと思いますけれども、公安委員長のお考えを伺います。

武田国務大臣 国交省と深くかかわる問題であります。

 これは必要な対策を講ずることが重要であるとは認識しております。例えば、大きな車両が駐車場の駐車枠をはみ出して駐車することが常態化し、交通の安全に支障を生じているような場所があれば、駐車場設置者や国土交通省に対する情報提供を含め、今後適切に対応してまいりたい、このように考えております。

早稲田委員 ぜひ国交省と連携をして、お取組、改善をお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

松本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立国社の中島克仁です。

 道交法改正案の審議でございますが、できるだけ重複しないように質問させていただきたいと思います。

 その前に一点だけ、ちょっと新型コロナウイルス感染症に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 緊急事態が全国で解除をされ、経済活動また国民の社会活動も段階式に再開をされてきておりますが、北九州では昨日二十一人の感染、陽性者、東京、北海道でもクラスターが局地的ではございますが発生をして、第二波への懸念というのも高まっております。そんな現状の中で、本当の意味での収束に向かうにはワクチンまた治療薬の確立ということですが、現段階ではまだされていない状況で、今後に向けて備えが大事になってくる。そういう意味では、これまでの取組、特に緊急事態宣言下で一体どのようなことが課題となり、今後、第二、第三波と更に自粛要請や緊急事態になった場合に、その課題をどう反映させていくかということが大事というふうに思います。

 そんな中で、今回の新型コロナウイルス感染拡大により生じた社会風潮の一つと言っていいかもしれませんが、通称自粛警察、自粛ポリスとも呼ばれる行為について、緊急事態宣言後、個人や商店などに対して私的に取り締まる、また、東京などで、これは私の知っているお店でありましたが、自粛要請に従って時短営業をしている居酒屋さんなどに圧力をかけるような張り紙を張ったり、また、地方では、県外ナンバーが、まさに今回の法案の肝の一つでもございますが、あおり運転を受けた、帰省されている方々がSNSで過剰に誹謗中傷を受ける、このようなことが報告をされておる。これも聞いた話ですが、自粛警察と自称、名乗っている方々は、警察から依頼を受けたなど、そんなようにうそぶくこともあるというふうにも聞いております。

 大臣にお尋ねいたしますが、自粛警察と呼ばれる私的な行為についてどのように大臣は認識されておるのか、また、どのような見解を持たれているのか、今後、また緊急事態、自粛要請となる際、どのように対応されるつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。

武田国務大臣 緊急事態宣言のもとに、外出の自粛、また休業の要請に応じていない個人や店舗に対する嫌がらせ等、いわゆる御指摘の自粛警察と呼ばれている行為が見られたものは承知をいたしております。

 警察におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う混乱や、外出自粛、休業要請等に乗じた各種犯罪を防止するため、パトロール等の警戒活動の強化、警戒活動中に発見した不審者に対する職務質問の実施を行ってきたところであり、こうした中で、例えば、緊急事態宣言後に営業している店舗に対する威力業務妨害、また器物損壊事件を検挙してきたところであります。

 今後も、犯罪に当たる行為に対しては、法と証拠に基づき適切に対処をしてまいりたいと考えております。

中島委員 適切に取り締まってきたということでありますが、御承知というか、今もお答えにありましたが、日本は欧米のように罰則を設けるロックダウンということはできない、政府や自治体レベルで自粛の要請を行うものであります。そのような対応の中で、移動自粛においても、これも私の地元山梨であります、帰省していた二十代の女性が、検査をした後、陽性の結果を見る前に東京に戻られた、その後、陽性がわかったということで、その行為自体はもう少し慎重な対応が求められるわけですが、やはり、SNSでその女性の家が特定をされたり、また、全く違う情報が拡散されたり、そのようなことが起こります。

 今回の新型コロナウイルス感染症では、問題の本質はちょっとずれるかもしれませんが、医療従事者や介護従事者、エッセンシャルワーカーの方々がいわゆる差別に遭うということも問題になりました。

 こういった、新型コロナウイルス感染症、緊急事態宣言下という特殊な状況の中で、もともとは正義感というのかもしれませんが、ねじ曲がってしまって、あらぬ方向に行き、そして分断を生んでしまう。これは言うまでもなく相手はウイルスなわけでありまして、そういった行為に対して、政府として明確にその姿勢を示していただきたい。このような行為について、今までどういうことが事例としてあって、どういった対策が必要なのか、万全に取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、法案の内容について御質問させていただきたいと思います。

 先ほど来御質問されておられますが、本法案は、高齢者運転対策の充実強化、第二種免許等の受験資格の見直し、あおり運転に対する罰則の創設などが主なものとなっておりますが、少子高齢化、人口減少、人生百年時代などの社会背景、一方、あおり運転などは交通ルール、マナーのあり方の課題として、改正案の内容について、私もおおむね賛成でございます。

 そのことを前提に何点か御質問をさせていただきますが、大臣と私、ほぼ同い年と承知しています。私の方が学年は一個上なんですけれども。私たちというか我々は、子供のころからやはり車への興味とそして憧れというのは大変強かったと思います。そういった世代とともに車産業というのは発展してきた。

 しかし、我が国が抱える少子高齢化やさまざまな社会背景の中で、若い世代の車に対する関心は昔ほどではなくなってきたかなと。車は、若い世代の関心というよりは、地方においては生活を維持する大事なツールとなっている現実の一方で、高齢者の事故が社会問題化していることから、今回の高齢者の運転対策強化内容となっています。

 自動運転も視野に入る時代、今後の車との共存社会を国家としてデザインするかは、前提として大変重要な課題だというふうに思います。

 大臣にお尋ねいたしますが、国民が安全に車と共存する社会に発展させていく必要性をどのように認識しているのか。車と共存する社会をつくることの意義について、大臣の見解を求めたいと思います。

武田国務大臣 今、経歴を拝見させていただいたら、学年も同じということがわかりましたので。

 自動車利用に伴って引き起こされる事故というものを防止して国民の生命、身体、財産を守るということは、これは重要なことでありますけれども、今となっては、自動車の利用というのは国民の社会経済活動において不可欠であり、安全を確保しながら自動車の利便性を国民が享受できるようにすることが重要であると認識をいたしております。

 このために、政府としては、関係行政機関が連携しながら、人と車とが調和した安全な交通社会の構築のためにさまざまな取組を行っているところであります。

 引き続き、交通安全教育、また交通指導取締り、道路交通環境の整備等を的確に推進するとともに、運転免許制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

中島委員 今お答えいただいたように、日々変化する中で、今回の法案の中身もそうでありますけれども、利便性、車は便利である一方で危険なものに豹変する、そういう状況の中で、今もおっしゃっていただきましたが、各省庁横断的に取組を強化して、さらには自動運転のことも念頭に、車社会との共存というものを、政府としてグランドデザインをしっかり示して取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、高齢者運転対策の充実強化の内容について質問をいたします。

 今回、七十五歳以上で一定の違反歴のある方は、運転免許証更新時に運転技能検査を受検し、検査の結果が一定の基準に達しない方は運転免許証を更新しないとされています。

 先ほども御質問、ちょっと重複いたしますが、改めてですが、ここでいう一定の違反歴とは、具体的にどのような違反がどの程度あることが要件となるのか、また、今回の改正で運転技能検査の対象を一定の違反歴のある方に絞った理由について、改めてお答えいただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 質問とは順番が相前後いたしますが、まず最初に、受検の対象者の方からお答え差し上げたいと存じます。

 高齢運転者による悲惨な交通事故を防止するという観点から、今回の改正におきましては、運転技能検査の対象者を、一つには七十五歳以上という年齢要件、それからもう一つは一定の違反歴という要件にかかってくる者に、免許更新時に運転技能検査を受けていただくことといたしております。

 このように違反歴のある者に絞りました理由でございますが、全体の趣旨が交通事故の防止ということでありますので、交通事故につながりやすい対象者を選定する、それは一つは、七十五歳以上という年齢がございます。他方で、運転技能の加齢による低下につきましては個人差が大きいということがございますので、また、運転免許の喪失という結果につながりかねない運転技能検査でございますので、かなり大きな個人の権利に対する処分となりますことから、対象を限定しようと考えまして、しからば、実際の統計データをベースといたしまして、事故を起こしやすい一定の違反歴がある方を対象とするということにしたところでございます。

 この一定の違反歴につきましては、先ほども御説明したところではございますけれども、最新の統計資料を用いまして、信号無視、速度超過などの違反のうち、その違反歴と交通事故との相関関係が高いというものを選定いたしまして、政令で定めることとしてまいりたいと考えてございます。

中島委員 一定の違反歴、いわゆる最新のデータで、その違反歴とその後の交通事故の相関性ということでありますが、先ほども少し触れられておりましたけれども、七十五歳以上に限定しなくても、その相関性はやはりある程度あるんだと思います。もちろん、七十五歳以上になると、認知機能の低下ということも加味されるということになるとは思うんですが、その後の事故発生割合について、七十五歳という区切りが、個人差もあるというふうに今もおっしゃっておりましたが、それが適切なのかということについては、今後最新のデータをもとにということであります。

 ただ、違反がないからといって必ずしも運転技能が維持できているとは限らないと思います。いわゆるペーパードライバーでは違反はないことになってしまいます。運転技能検査の対象外ということになるというふうに理解しておりますが、七十五歳以上で違反歴がない方の免許更新の際には、高齢者講習の一環として、実車指導が行われ、技能評価が行われると承知しています。

 確認ですが、高齢者講習の実車指導の技能評価が著しく低かった場合でも免許は更新されるということでよろしいでしょうか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正におきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、運転技能検査の対象を交通事故を起こしやすい一定の違反歴のある者に限定しておりますので、運転技能検査の対象とならない方につきましては、高齢者講習における実車指導の評価のいかんにかかわらず、免許証は更新できるということといたしております。

 なお、新たな制度のもとでの実車指導における技能評価とその後の事故の発生状況というものの関連も分析いたしまして、運転技能検査の対象につきましては不断の見直しに努めていくことが必要であると考えてございます。

中島委員 もちろん、違反歴がない、まあペーパードライバーは違反しようがないわけですが、ただ、免許を持っている限り、何かのタイミングで、じゃ、運転しようと。それを実車指導で、先ほど、技能検査ですか、それで右折したとき隣の車線に入っちゃうとか。私が聞いたのは、実車指導で技能が著しく低かったと。私は、むしろそういう方の方が、免許を持っているわけですから、何かのタイミングで、まれにかもしれませんが、運転した際事故を起こす可能性は高いんじゃないかなと。

 それについては、今後のとおっしゃいましたが、何がしの、高齢者の事故を防止していくという観点からいけば、もし、もともとペーパードライバーで違反歴がない、でも、必要としていないものであれば、まあ慎重に丁寧にやらなきゃいけないですけれども、ここについては、実車指導で著しく技能評価が低いということですから、公道に出たときに事故を起こす可能性は私はより高いんじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがですか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 事故がどのようにして発生するかということにつきましては、幾つかの要因がございます。

 先ほど来申し上げております、運転技能が低いということは、やはり事故を起こす要因でございます。また、運転における行動態様といいますか、慎重な性格で運転される方もいれば、技能を過信して乱暴な運転をされる方もいらっしゃいます。また、運転の機会の頻度というようなものもございまして、先ほど来お話しされておりますように、ペーパードライバーの場合には事故が起きない、これは運転の機会がないということでございます。

 こうしたことも前提といたしまして、しからば現実としてどういう方々が事故を起こしやすいかということを抽出しようといたしました場合に、年齢というものと違反歴というものが出てまいりました。

 この違反歴というものが、ある意味、技能と、それから運転の機会と、それから運転の際の本人の行動の性格とかを反映していると見られることからそのようにしたわけでございますが、なお、例えば、運転技能検査において運転技能の結果が著しく低い、ペーパードライバーだと言っていたけれども実はその後に運転したというようなことで、実際事故が、ある程度の規模になりますが起きているというようなことが、施行後の実際の実車指導におきます運転技能の評価の結果と事故の発生状況との間の相関関係、こういうものがエビデンスとして積み上がってまいりますので、その中で、そういうエビデンスがあるものがあれば、また不断の制度の見直しということに努めていかなければならないと考えてございます。

中島委員 ここでとまってもしようがないので。私は、実車指導で著しく技能の評価が低かったという方に関しても対応していくべきだということを、御指摘を強くさせていただきたいと思います。

 高齢者の事故を未然に防ぐことも重要な一方で、高齢者は運転をやめた後に認知機能の衰えが加速するとの指摘もあります。高齢者の免許返納のあり方について、高齢化、人生百年時代を迎えた我が国において、免許返納後の認知症の悪化との関係性を政府としてどのように考えておられるか、お尋ねします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察におきましては、交通安全の観点から、みずからの運転に不安を覚えている高齢運転者の方、またその御家族などに対しまして、安全運転相談などを通じまして、運転免許証の自主返納という制度があることなどの周知も図っているところでございます。その一方で、委員御指摘のように、自動車の運転の中止ということが要介護状態あるいは認知症発症のリスクを高めるという指摘があることも承知いたしております。

 さはさりながら、現に高齢運転者による交通死亡事故がより高い割合で発生しているということを踏まえますと、加齢に伴いまして運転技能が低下した方に、やはり引き続き運転するのではなくして、免許証の自主返納というものをお教えするということでありますとか、今回の制度改正に入れておりますような運転技能検査の導入ということによりまして、一定の方については免許証の更新に制約を加えるということもやむを得ざるものと考えているところでございます。

 なお、警察といたしましても、免許証の更新をしない結果、高齢者の方が引き続き健康でお暮らしいただけますよう、社会活動を活発に行い、健康寿命を延ばしながら充実した生活を送っていただくことが重要であると考えるところでございまして、運転免許証返納の際にかわりに入手できます運転経歴証明書を取得された方へのバス、タクシー料金割引等の支援施策の充実にも力を入れてまいりたいと考えておりますし、関係省庁とも連携しながら、地域における足の確保でありますとか、先ほどもお話がありました自動運転技術の実用化の促進のための支援ということにも力を入れてまいりたいと考えてございます。

中島委員 時間がありませんので、この後大臣に何点か聞こうと思ったんですが、指摘だけさせてもらいたい。

 今、代替交通のあり方という話もありましたけれども、私、地元山梨県の北杜市というところで診療所をやっています。御高齢の方が、九十歳を超えた方が軽トラックで受診をされる。ちょっと危ないから気をつけてくださいと言ったら、次はバイクで来るんですね。バイクで来るんです。それはもっと危ないからと言ったら、今度は自転車で来るんですね。そういう結果から、迎えに行くことにする。でも、そういうのって、見た目からすると、あの診療所は患者さんを何かとりに行っているぞ、そんなイメージでとられてしまったりとか、いわゆる地方においては、やはり車というのは大事な交通、先ほど言った私らの世代、もっと上の世代は、もっと車が日常の中でなじんでいるものであって、人生百年時代と言われておるわけですから、そういう観点でも代替の交通手段について大臣にお尋ねしようと思ったんですが、時間がありませんので御指摘だけさせていただいて。

 さらには、自動運転ももう視野に入っている段階で、制度改革、制度の整合性というもの、これが進捗を阻んでおるということも指摘をされておりますので、その件に関しては、ぜひ政府一丸となって果断に取り組んでいただきたい、御指摘にとどまらせていただきたいと思います。

 時間がありませんので、最後の部分で、あおり運転対策についてお尋ねをしたいと思います。

 あおり運転に対しましても、痛ましい事故が相次いでおる、社会問題化しております。

 まず、基本的なことをお尋ねいたしますが、本法案の罰則の対象、通行妨害目的で交通の危険のおそれのある方法により一定の違反、著しい交通の危険を生じさせた場合とされておりますが、適用は高速道路に限定されるのでしょうか、一般道路にも適用されるのか。端的に一言でいいです。

北村政府参考人 高速道路につきましては例示でございますので、高速道路に限定されるものではございません。

中島委員 一般道においても適用されるということで、ちょっとここも確認させていただきたいんですが、今回、あおり運転を予防する対策をとるということですが、いわゆるのろのろ運転で通行を妨害する逆あおり運転というんでしょうか、そのような場合はどうなるのか。一般道における最低速度の設定について現状はどういった状況となっていて、いわゆる逆あおり運転の取締りとどのように整理しているのか、お尋ねしたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般道におきまして、他の車両等の前方で著しく低速で走行してその進路を塞ぐような運転行為、先ほどのろのろ運転という御指摘がありましたが、これは道路交通法上は追いつかれた車両の義務に違反する行為でございます。このような行為につきましては、交通の円滑を妨げる迷惑な行為でございますけれども、いわゆるあおり運転として重大な社会問題となりました極めて悪質かつ危険な行為とは必ずしも言えないということであり、妨害運転の対象とはしていないところでございます。

 そうは申しましても、このような行為は、道路における交通の円滑を妨げますとともに、時としては、逆にあおり運転を誘発するということにもなりかねない行為でございます。警察におきましては、思いやり、譲り合いの気持ちを持った運転の必要性につきまして各種広報啓発を推進しているところでございますけれども、あわせて、現に、追いつかれた車両の義務違反での検挙ということも行っているところでございます。

 また、先ほど、一般道における最低速度の設定についてのお尋ねがございました。

 道路交通法におきましても、最低速度を定めることができる旨の規定はございます。

 ただ、これにつきましては交通規制基準に書いておるのでございますけれども、いわゆる自動車専用道路の場合、これは高速自動車国道でございませんので、法定の最低速度五十キロの適用はございません。しかしながら、高速自動車国道と規格等が似ている自動車専用道路というものもございまして、例えば、最高速度が法定速度六十キロではない八十キロを適用しているような道路もございます。こうした道路におきましては最低速度の規制を実施するということも行っているところでございますけれども、いろんな車両が通行している一般道路、いわゆる一般道路におきましては最低速度の規制は行われていないところでございます。

中島委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立国社の源馬謙太郎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、道交法改正についての質疑をさせていただくんですが、その質疑に入る前に、通告していないんですけれども、一点、大臣にお伺いしたいと思います。

 きのう、中国の全人代で香港への国家安全法の導入が決まったというニュースがありました。今、与野党を超えてたくさんの議員がそれに反対する署名をしていると思いますが、本当にこれは大変なことが起きているなというふうに私は認識をしておりますが、大臣、内閣の一員として、そして日本の公安の長として、どういう受けとめをされているのか、もし御所感がありましたら教えていただきたいと思います。

武田国務大臣 所掌ではないために、答えは差し控えさせていただきたいと思います。

源馬委員 ありがとうございました。

 では、質疑に入りたいと思います。

 まず、高齢運転者の運転技能検査に関することをお伺いしていきたいと思います。

 本法律案では、普通自動車対応免許を現に受けている者であって、一定の違反歴があるなどの基準に該当する七十五歳以上の者に、免許更新に際して運転技能検査を義務づける、こういうことがございます。

 法案審査なのでたびたび質疑が重なるところがあるかもしれませんが、それはちょっと御容赦いただきたいんですが、まず、そもそも、本当は全ての高齢運転者を対象に技能検査したいんだけれども、それは現実的に難しいから、だから、リスクがより高い者に対象を絞るという意味で一定の違反歴などがある者というふうにして、その人たちに技能検査を受けてもらう、こういう理解でよろしいでしょうか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 運転技能検査の対象となる者につきましては、答弁申し上げておりますように、七十五歳以上という要件と一定の違反歴があるという要件をかぶせているわけでございますけれども、これは一定の年齢以上とすることが現実に難しいという理由かといいますと、現実に難しいをどう捉えるかということではございますけれども。

 私どもといたしましては、運転技能検査の結果、技能が低いと判定された方はこれまで保有していた運転免許という権利を剥奪されてしまうということが非常に重大である、交通安全の観点からいたしますと、技能の低い方には道路交通の場から運転しないように出ていっていただくということがよいのかもしれませんけれども、やはり、現実にその方の生活等を考え、また一旦免許という形で与えられた権利というものを考えましたときには、軽々にその権利を剥奪してしまうということは慎重であるべきだろうと考えてございます。

 そう考えましたときには、ある程度のエビデンスというものを持って権利の制約をしなければならないと考えたところでございます。

 現時点では、年齢が七十五歳という区分におきまして免許人口十万人当たりの事故率が高くなるということは一つございます。また、過去三年間の違反歴というものが事後一年間の重大事故との関連があるということもございます。現時点で私どもが国民の皆様方に明らかにできる権利制約の要件というものはこの二点でございますので、今回の制度におきましては、この二点を運転技能検査を受ける方の内容としているところでございます。

 これは先ほど来申し上げているのでございますけれども、今回の運転技能検査の対象とならない方につきましても、高齢者講習の実車指導の場におきましては同じような形で走っていただきまして、評価はしたい。その結果、その方に、もしもあなたが運転技能検査を受けていれば通らないですよということがあれば、それはお伝えをし、その上で適切な指導を行ってまいりたい、場合によっては運転免許の返納をお勧めするということもあるかもしれません。

 ただ、今後、そういう実車指導の評価の結果というものと事後の交通事故の関連というものが、年間に二百万人以上の方が更新いたしますので、エビデンスとしては積み重なってまいるだろうと考えております。そうなってまいりますれば、そういうデータをもとにして、先ほども申し上げましたが、不断の見直しということはしてまいらなければならないと考えているところでございます。

源馬委員 この法案の御説明を受けているときに、私、いまいちちょっとしっくりこないなとずっと思っていたのが、今もるる説明がありましたけれども、リスクがより高い人というのが、本当に違反歴が過去あった人とイコールなのかというところに、私はすごく腑に落ちないものをずっと感じてきております。

 先ほどからもさまざまな先生方の質疑に対する御答弁でいろいろ御説明がありますが、きょう配付した資料で、一枚目の資料をレクのときも警察庁の方からいただいて、七十五歳以上の運転免許を持っている人の中で、オレンジの部分の過去三年間に何らかの違反があった人を抽出すると、十万人当たりで考えると、違反歴がなかった人に比べて一・八倍事故を起こしているというエビデンスがあるんだという御説明を受けてきました。それでいいんですよね。

 それは一つのエビデンスなのかもしれませんが、裏というか二番の資料を見ていただくと、これは交通安全白書からとりましたが、私は、違反歴がある人が事故を起こしやすいんじゃなくて、もっと違うところがあるんじゃないかなと思うんですよ。より高齢な人とか、より運動能力が下がってきてしまった人とか、認知能力が下がってきてしまった人の方が事故を起こす可能性が高いんじゃないかなと思うんです。

 交通安全白書の表を見ると、一枚目はデータが二十六年から二十九年の三年間の平均ということだったので、同じ平均をとりました。七十から七十九歳の人は十万人当たりで五・三件、八十歳以上の人は十万人当たりでいうと十二・七件で、二・四倍違うんですよ。過去に違反歴がある人は一・八倍、八十歳以上の人は二・四倍なんです。

 なので、より事故を起こすリスクが高いということで枠を決めるんだったら、違反歴がある人よりも、例えば八十代とか年齢で区切った方が実態に即すんじゃないかと思いますが、どのようにお考えなのか伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 運転技能検査の対象者は、一定の違反歴で区切って、より事故を起こしやすいだろうという方に限定しているという説明を申し上げましたが、もちろん、委員御指摘のように、年齢が高くなるというのも一つ大きな要因でございます。また、認知症であるということも大きな要因でございます。

 警察庁におきましては、当初は七十五歳以上、現在は七十歳以上の方につきましては、免許を更新する際には、それまでの更新時講習ではない高齢者講習を受けていただくという制度にしているところでございます。

 また、七十五歳以上の方につきましては、更新の際には認知機能検査というものを受けなければならないといたしまして、現在、認知症の疑いがあると判定された方には、その後、医者に診ていただきまして、認知症であるとなれば免許は取り消してしまうという制度も導入しているところでございます。

 それに加えて、さらに、加齢に伴う運転技能の低下に対処する必要があるということが今回の制度改正の背景となってございます。

 確かに、委員御指摘のように、例えば八十歳以上というものを一律対象とするという考え方もあるだろうと思ってございます。ただ、今お配りの資料には、実は、七十歳から七十九歳がまとめられておりますので、七十五歳区分というのはないのでございますが、御参考までに、この資料は三十年で終わっておりますが、昨年中の数字を少し申し上げさせていただきますと、免許人口十万人当たりの事故件数でございますが、七十五歳以下は三・一件でございます。それに対して、七十五歳以上は六・九件になっております。つまり、七十五歳以上は七十五歳以下の二倍以上事故を起こしやすいというエビデンスはここに一つございます。

 もう少し細かく御説明差し上げますと、実は、五歳刻みで見ましたときに、六十五歳から六十九歳まで、それから七十歳から七十四歳まではともに三・三件でございます。これに対しまして、七十五歳から七十九歳になりますと五・〇件となってございます。これはやはり一・八倍とかそういうような割合になって、七十五歳というところを境として事故を起こしやすいということでございます。したがいまして、今回の認知機能検査の対象、一つには七十五歳という年齢で切ってございます。

 それに加えまして、先ほどの違反歴というものも、一・八倍とか二倍という数字もお話ししておりますけれども、それで切っているということでございますので、加齢に伴う影響それから個別の運転技能、双方に着目して運転技能検査の対象者を限定しているということを御理解賜れば幸いでございます。

源馬委員 今御説明いただきましたけれども、やはり主な原因は、加齢による運転技術の低下とか運動能力の低下なんだと思うんですね、それは多分お認めになっていると思うんですが、それを違反歴と無理やりつけても、私は、何か本当にそれが相関関係にあるようにはやはり幾ら説明を受けてもなかなか思えないなと思います。

 高齢者ドライバーによる事故の主な要因というのは、これはもう操作不適が圧倒的に多いわけで、ブレーキの踏み間違いとかですね、過去に違反をしたかどうかというのは、ブレーキを踏み間違えちゃうのと関係ないんですよ、やはり。なので、私は、この区分にはまだやはり少し疑問が残るなというふうに思っております。本当は、加齢が一番の原因なのでということで七十五歳で区切ったと。それだったら、やはり皆さんに技能検査を受けてもらうのが本来あるべき姿なんではないかなというふうに思います。

 これまでの再三のやりとりの中で、違反歴がある人というのは、心理的、性格的適性が関係する、だから事故を起こしやすいんだという御答弁がたびたびありました。参議院の方でもありました。それを言うなら、心理的、性格的適性と言うのであれば、過去三年間に区切らずに、もっと過去にさかのぼって違反歴がある人というふうにしてもいいんじゃないかと思いますが、なぜ三年間の、ごめんなさい、三年間じゃないですね、今のところ制度設計の方向性としては前の更新のときからの違反歴ということになっていると思いますが、もっと前の違反歴もさかのぼってもいいのではないかと思いますが、そこをしない制度設計で今お考えになっているという理由を教えていただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 違反歴につきまして、心理的な側面を見ているということは確かに申し上げてございます。

 ただ、違反歴につきましては、これも先ほども申し上げましたけれども、一つは運転技能ということ、それからそういう心理ということ、それから運転機会ということ、これらを反映しているものと見ておりますので、運転技能の低下というものを全く評価していないわけではございません。

 また、アクセルとブレーキの踏み間違いというお話がございました。

 確かに、高齢運転者の死亡事故のデータを分析しますと、それより若い方と比べて大きく違いますのは、全体の三〇%が運転操作不適ということでございます。ただし、そのうちのアクセルとブレーキの踏み間違いは半分もない、七、八%でございまして、世間の方は、高齢運転者の事故というのはみんなアクセルとブレーキの踏み間違いだと思っていらっしゃる方もいるのでございますが、これは誤解でございます。やはり一番多いのは、注意不足、周りをよく見ていない、前方を見ていないというようなことが事故の原因としては一番大きくなってございます。やはりこうしたことは、信号無視、速度違反等の違反にもつながり得るものと考えてございます。

 なお、三年間ということについてのお尋ねでございますが、現在、道路交通法上、違反歴を評価する期間につきましては、過去三年間の点数をベースに、それを積み上げて免許の停止、取消し等の処分を行っているということでありますし、高齢運転者の免許の更新期間というものは三年間となっているようなことも踏まえまして、三年間でデータをとらさせていただきました。

源馬委員 交通局長、もう少し短目に答弁していただいてもいいですか。しかも、何も私聞いていないことまで、ブレーキとアクセルの件数とかはいいんです、それを言われちゃうと私も聞きたくなってしまうところもあるので。

 今おっしゃいましたが、注意不足が圧倒的だと言いましたけれども、それは、令和元年のデータでは、操作不適とは別にありますよね、操作不適が一番多くなっているわけじゃないですか。圧倒的に注意不足が多いんでございますとか言うと、それは、七十五歳未満の運転者の方は安全不確認とか前方不注意が多くなっていて、逆に、高齢者の方は安全不確認や前方不注意よりも操作不適の方が多いじゃないですか。心理的要因とか性格的要因、違反者はそういう要因があるんだから事故が起きやすいということは、この操作不適に当てはまらないんじゃないかということを言いたかったわけなんです。

 それはもうお答えにならなくて結構なんですが、そういうことがあるので、違反歴で区切るということの正当性がまだやはりわかりにくいので、引き続き、これはちょっとまた教えていただきたいなと思います。

 ちょっと次に行きますが、この検査をやることによって、教習所の負担というのはどのぐらいふえる、そして検査官がどのぐらい必要と見込んでいるのか、見通しを教えていただきたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 運転技能検査の具体的内容につきましては、今後更に検討してまいりたいと考えてございます。

 その一方で、現在も、高齢運転者講習におきましては実車指導の時間がございまして、その実車指導において検査員が高齢運転者と一緒に乗って指導しているところでございます。この高齢者講習におきます実車指導において対応している体制というものをベースにして新しい制度を構築していかないと、実際には回らないだろうと思っておりますので、直ちに新しい制度において人員不足に陥るということのないようには努めてまいりたいと考えてございます。

 その一方で、高齢運転者の実数というものが今後も急激に増加してまいる、ベビーブーマーが七十五歳以上となってくるということに合わせてかなり数がふえてまいりますので、それなりに教習所の体制の強化というものは必要となってくると思いますけれども、現時点では、若者の免許取得者数の減少というものとの兼ね合いもあって、直ちに全体でどれだけ人手が不足するかということの計算には至っておりません。

源馬委員 次に、第二種免許の受験資格の見直しについて伺っていきたいと思います。

 まず、この見直しの理由を改めて教えていただきたいと思っていたんですが、ちょっともう時間もなくなりましたので。

 結局、旅客自動車業界とかの運転手不足、なり手不足という背景があったという御説明がありました。この改正案で二十一歳から十九歳にすることによって、どのぐらいなり手不足が解消されるのか、どのぐらい第二種免許を取って運転手になりたいという人がふえるのか、どういう見込みでいるのか、教えていただきたいと思います。

武田国務大臣 見込みについての御質問だと思いますけれども、特例を受ける人数の見込みについて一概にお答えすることは困難だとは思うんですが、学校を卒業して比較的短期間で第二種免許等を取得できるようになることから、企業における採用の幅が広がるとともに、若者にとっても職業運転者を進路としてより選択しやすい状況となる、このように考えております。

源馬委員 ありがとうございます。

 事前にいただいた資料で、アンケートをとられているんですね、警察庁の中で、学生さんにアンケートをとって、この中で、十九歳に引き下げられるのであればぜひ第二種免許を取ってその仕事につきたいと答えた人は一割しかいなかったというアンケート結果があります。

 なり手不足がこれで解消されるとは到底思えない。今委員長の御答弁にありましたとおり、ほかの要因の方がやはり大きくなると思うので、そこはしっかりと連携をしながら、なり手不足解消に努めていただきたいと思います。

 それから、最後、あおり運転について伺いたいと思います。

 今回、通行妨害目的で交通の危険のおそれがある方法ということで、目的が入りました。この目的が入ると、一つには、通行を妨害する目的であったかどうかというのをどう立証していくのか。例えばドライブレコーダーがあったとしても、映像だけではわからないところもあると思います。

 一方で、さっきもちょっとお話に出ましたが、通行を妨害する目的で前をのろのろ走るのは今回当てはまると思うんですが、急いでいるから早くどいてほしくて後ろから猛スピードであおるというのは、この目的に入らないと思うんですね。そこをどう整理されているのか、お考えを伺いたいと思います。

武田国務大臣 今回の改正で創設することとしておる妨害運転罪は、その要件として、御指摘のように、他の車両等の通行を妨害する目的を規定をいたしております。これは、例えば、単に先を急ぐため他の車両の前に割り込んだような事例を処罰対象から除外し、処罰対象を真に危険かつ悪質なものに限定するために規定したものであります。

 この目的につきましては、個別の事案に応じて、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、現場に残されたタイヤ痕、車両の損傷状況、目撃者、被害者及び加害者の供述などのさまざまな証拠に基づいて、加害者の具体的な運転態様等のさまざまな事実を明らかにしつつ、立証することになろうかと思います。

源馬委員 ありがとうございます。

 それでは最後に、今後について伺っていきたいと思うんですが、大きな社会問題になったこのあおり運転は、実は、大きな社会問題になった平成三十年以降、警察庁が各県警に通達を出したこともあったんですけれども、事前のレクで伺ったんですが、その通達を出した後に、あおり運転、私はあれだけ大きな問題になったので減ったのかなというふうに思っていたんですが、逆に、検挙数が一・八倍になったと。ちなみに、一・八倍というのは、さっき交通局長が違反者が事故を起こす確率が高いんだと言っていた一・八倍と同じ一・八倍なんですけれども、逆に、減らずに、検挙の数がふえてきたという現実もあります。

 これを、どのような背景でふえたのかわかりませんが、今後減少させていかなきゃいけないという中で、今回の改正案にもありますが、もう少し罰則を厳しくする、例えば一発で取消しにするとかそういったこと、あるいは、どれだけ危険なのかという教育を、今でも教習所でやっていると思いますけれども、もっとそれを強化していくなどの、今後のあおり運転撲滅のための、どういう方向性でいらっしゃるのかを最後に伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、あおり運転の撲滅ということが非常に大切でございますので、私どもといたしましては、体制も確立し、的確に検挙もし、その一方で、教育、また広報を通じて、あおり運転そのものがなくなるようにしてまいりたいと考えてございます。

 今回の罰則の規定は、やはり悪質、危険と称されております飲酒運転と同じ法定刑にしたところでございます。今後、点数については政令で定めてまいりますけれども、ただいま委員からお話がありましたように、いわゆる一発で取消しとなるような点数として厳罰化を示すことによりまして、あおり運転の撲滅が進むように努めてまいりたいと考えてございます。

源馬委員 ありがとうございました。終わります。

松本委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 共同会派の森田俊和でございます。

 二十五分お時間をいただいておりますので、質問させていただきます。

 道路交通法ということで、きょうは、十年ちょっと前に起きました、埼玉県熊谷市で起きた、お一人の命が失われたひき逃げ事件のことについて関連で質問させていただきたいなというふうに思っております。武田大臣、そして法務大臣政務官の宮崎政務官にもお越しをいただいております。よろしくお願いいたします。

 これは、二〇〇九年の九月の三十日午後六時五十分ごろだったんですけれども、小関孝徳君という当時十歳、小学四年生の男の子が、いろいろな調査をした結果なんですけれども、どうも二台の車に、一台目の車で転倒して、二台目の車でもう一回ひかれてしまったというような、そういう形で恐らくはお亡くなりになったんだろう、こういうひき逃げの事故でございました。

 お母さんがそれ以来ずっと、いろいろな形での活動をされていらっしゃいます。

 最初のころは、情報提供を求めるチラシを街頭、駅頭でお配りになったり、あるいは、私もちょうどその近くの道路を通ったときに見たんですけれども、一台一台、近隣の道路を通っている車のナンバーをずっと控えていらっしゃって、生活道路でしたので、そこの近隣を通っている車にやはりヒントがあるんじゃないかということで、当時の保護者のお仲間も含めてのそんな活動もされていらっしゃったこともありました。

 最近では、十年が経過をいたしましたので、時効の撤廃ということでもいろいろな形で要望されて、警察庁、法務省、それから交通安全の議連の方にも要望等に行かれているということもしていらっしゃいます。

 独自に、元警察官の交通事故のコンサルタントの方にお願いをして、事故の現場を再現をして、どういう形で自転車がひっかけられて、あるいはどういうふうに車が通っていったか、そういうシミュレーションもしたりしながら当時の現場を丁寧に分析をしている、そういうことも独自なこととしてやっていらっしゃいます。

 やはり、交通事故というのは本当に予期せぬ出来事でありまして、朝、玄関を出ていった男の子が、夜にはもう二度と元気な顔を見せてくれなかった、この深い苦しみであったり、驚きであったり、悲しみであったり、こういったものが、この十年間ずっとひたむきに活動されてこられたお母さんの大もとのところにそういういろいろな感情があるんだろうと思います。

 こういうことに対して、交通事故、特に重大な事故は起こってはいけないわけでございますけれども、こういった被害者、あるいはその遺族の方に対してどういう思いを持っていらっしゃるか、まずお聞かせいただければと思います。大臣、お願いします。

武田国務大臣 被害者の御遺族、今お母様の話をされましたけれども、その多大な苦痛については察するに余りあるものがある、このように思っております。

 交通死亡事故でありますけれども、減少傾向にあるとはいえ、昨年だけで三千二百十五名という数字が出ておるわけでありまして、これはやはり我々としても深刻な問題であるというふうに受けとめております。

 交通事故を何としても減らしていかなくてはならないわけでありますけれども、事故が発生したときには徹底した捜査をやるということはもちろんのこと、その被害者、また御遺族の方々の支援にも万全を期してまいる、このことが必要であろう、このように考えております。

森田委員 十年たって、今回、時効の十年という期間が過ぎたんですけれども、危険運転の方の捜査に切りかえて、時効ということにとらわれずに、今度、二十年の枠の中で捜査をしていこうということで取り計らいがされているということもございました。

 十年というと、当時十歳であった孝徳君が、今、二十とか二十一歳とか、こういう年齢になっている。周りの同級生たちは、小学生であったところから今度中学生になり、高校生になり、サッカーが好きな男の子でしたので、中学、高校に行けば部活をやっていたのかな、大学生になれば今どんなスポーツをやっていたのかなというふうに、同じぐらいの子供たちを見れば必ずやはりそういうことを思い出すんだろうなと思います。

 ぜひ、こういうところに寄り添った形で、法体系の整備を含めて、いろいろな対策をやっていかなくちゃいけないんだろうなと思っております。

 さっき武田大臣からもお話がありましたけれども、減少傾向にあるという事故でございますけれども、ひき逃げ事故、特に死亡だとか重傷の推移、あと、わかればその背景についても教えていただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 ひき逃げ事件全体の数といたしましては、発生はやや減少傾向でございます。

 死亡ひき逃げ事件につきましては、過去五年間の平均で六百六十一件発生、年間でございますが、しております。それは、その前の五年間の平均が八百十二件でございましたので、百五十件ほど減少しているということでございます。

 また、重傷のひき逃げ事件というものが、過去五年間では三千八百八十五件発生してございます。これが、その前の五年間の年間平均でありますと四千百四十七件でございましたので、こちらは死亡ひき逃げ事件ほどではございませんけれども、やはり一定程度は減少しているということでございます。

森田委員 いろいろな捜査技術の進歩でありますとか、ドライブレコーダー等々、いろいろな形で、事件がどのような形で発生したのかということで調査できるようなこともあると思いますし、やはり、特に死亡事故といった場合には、本当に現場の警察官の皆さんが熱心に捜査をしていただいているということで減少傾向にあるということだと思います。

 ただ、減少しているといっても、やはり事故が起こっているというのはもう紛れもない事実でございまして、そういった被害に遭われた方、御遺族にどうやって結果として出していくのかということも非常に大事な視点ではないかなと思っております。

 そこで、これは捜査の方針のお話なんですけれども、例えば、ある家の中で人が頭から血を流して死んでいたというときには、殺人も含めた捜査というのを多分されるんだと思います。例えば、道路上で頭から血を流されて死んでいる方がいたとしたらどうするのかといったときには、もちろんいろいろなパターンがあるので一概には言えませんけれども、今の新しい概念が出てきた危険運転を前提に、とにかく、誰がどうなっているかわからないという中で、やはり最悪のケースを想定して捜査をしていくということも必要なのではないかなと思いますけれども、このあたりについてお聞かせいただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 冒頭、先ほどの答弁、誤りがございましたので、おわび申し上げて訂正させていただきたいと存じます。

 先ほど、ひき逃げの件数につきまして、五年間の平均と申し上げましたが、五年間の合計数の誤りでございましたので、数字自体は誤ってございませんが、平均でなく、合計数でございました。申しわけございません。

 お答えを申し上げます。

 ひき逃げ事件の場合には、直ちには、現場の事故の態様からは、どのような事故であったのかということは明らかになりませんので、初動捜査の段階におきましては、自動車運転処罰法第五条の過失運転致死傷罪であるほか、同法第二条又は同法第三条の危険運転致死傷罪というものも視野に入れて捜査を進めているところでございます。

 なお、昨年中の死亡ひき逃げ事件の検挙件数は百二十八件でございましたが、このうち七件につきましては現に危険運転致死傷罪を適用して送致したところでございますので、やはり一定数、危険運転致死による死亡ひき逃げ事件というものもあるわけでございます。

 私どもといたしましては、今後とも厳正かつ適正な捜査に努めてまいるようにしたいと考えているところでございます。

森田委員 そこに当事者がもういないという状態、どなたかが重傷であったりあるいはお亡くなりになっているような事故で、そこで当事者がもういないということは、もうその場から立ち去っているということがあるわけで、非常に深刻な事態、事故を起こして逃げてしまうという行為は深刻な結果を生む行為である。

 そういうふうに考えますと、逃げるという行為そのものが危険運転に当たるのではないかな、そういう捉え方ができるのではないかなというふうに思っております。

 先ほどのあおり運転だとかも、もちろん、危険なことをやって深刻な事態を生むおそれが高いからそういうふうに扱っているわけだと思うんですけれども、何らかの事故があって被害者が出たような場合に、やはり逃げること自体が危険運転に当たるんじゃないかなと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 議員の御指摘は、救護義務違反から自動車運転処罰法に移せ、こういうことだと思うんです。きょうは久しぶりに法務省に来ていただいているので、後でじっくり聞いていただいたらいいと思うんですが。

 事故が発生して、負傷者というものを救護せず、また必要な措置を講じない、いわゆるひき逃げにつきましては、もちろん極めて悪質な行為であることから、これまでも、道路交通法を改正し罰則の強化を図るとともに厳正に対処してきたところであります。

 委員からこのような御指摘があったことにつきましては、危険運転致死傷罪を規定する自動車運転処罰法を所管する法務省と共有してまいりたい、このように考えております。

森田委員 それで、関連で、交通事故に関係するいろいろな罪名、罪の名前が決まっているわけでございますけれども、最近出てきた概念で、危険運転という考え方、これは法務省の所管の法律で、自動車運転死傷行為処罰法、こういう法律の中で新しい概念として規定をされてきた。

 同じようなというか、起こした行為を消そうとする行為ということで、アルコール等影響発覚免脱罪というのも自動車運転死傷行為処罰法の中で規定をされているということで、要するに、これは、逃げ得を許さない、アルコールを飲んで運転していたんだということを隠すために、その後追加で酒を飲んだりだとか、あるいは水をがぶ飲みしてアルコール濃度を下げるとか、あった事象から逃れようとする、そういう行為をさせないということでこういう罪がつくられているということがあります。

 もともとは刑法の中にあった自動車の事故であったりだとか、あるいは鉄道の事故ももともとは同じ枠の中でやっていたんだと思いますが、そういうところからだんだん切り出されて、新しい危険運転という概念、法律をつくってそういうものを規定をしてきたという中に、アルコールの発覚免脱とかということも新しい罪としてつくられてきたというわけで、古いところから新しいところにいろいろな社会状況の変化で移っていく中で、ある行為から逃れようとする行為が新しく概念化されているというのが今のところの現実なのではないかなというふうに思っております。

 そういったところでいいますと、逃げ得を許さないという意味では、アルコールの発覚免脱も含めて、例えば、あと、ひき逃げで今されているのは、道交法の中の救護措置義務違反ということで、助けられる人を助けなかったですよねという、何か、もうちょっと中立的な感じの捉え方というのが道交法の中でされていると思うんですけれども、やはりその罪を、明らかにそこの現場から立ち去って、自分の中でないものとしようとした、こういうことは、大きく言えば逃げ得を許さないという、アルコールの発覚免脱なんか等も含めて、そこから逃げるという行為で概念化してもいいのではないかなということがあると思います。

 このあたりが、先ほども出ましたけれども、こっちは法務省、こっちは警察だとかということで、いろいろ所管の問題は出てくるわけなんですけれども、新しいことが出てきているという中で、こういうことも検討すべきなのではないかなと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 アルコール発覚免脱罪、これは自動車運転処罰法、法務省のマターになってくるのではないかと思いますが、道路交通法の救護義務というのは、運転者等に交通事故による負傷者の救護を行わせるとともに、交通秩序の回復のため適切な措置をとらせ、それによって被害の増大と交通の危険の拡大を防止し、交通の安全と円滑を図ることを目的とした行政法上の義務であり、処罰規定である過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪とは法的性質が異なるものである、このように考えております。

 今そのような御指摘があったことは、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪を所管する法務省とは共有をしてまいりたいと思いますし、いわゆるひき逃げにつきましては、極めて悪質な行為であり、警察としては今後とも厳正に対処してまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 所管が分かれている、法律が違うとかということは、被害者の立場からしてみれば、特にそれは法律上の問題ということでありまして、ぜひそこは一体となって、大事なのはやはり、先ほどの話に戻りますけれども、本当に悪質な逃げるという行為、しかもそこに命が失われているという、こういったところをどうやって救えるのかな、あるいは、そこに対して逃げ得を許さないということをどうやって法律的に規定して、あるいはそれをさせないように皆さんに周知をさせるのか、そういう周知をしていくのか、これをわかりやすく整理していくということが大事なことだと思っております。

 繰り返しになりますけれども、新しい概念が出てきたという、こういう時代背景、社会的な背景もありますので、ぜひこのあたりのところ、よりわかりやすく、そして、やはりやっちゃいけない行為なんだなということを広く認知をしていただくために、ぜひ、法務省も含めて御検討をお願いできればなというふうに考えております。

 そして、公訴時効、時効の撤廃をするということでお母さんからも主張がされております。要望がされております。いろいろ整理する中で、やはりその刑の重いとか軽いとか、殺人罪で死刑になるような重い罪であれば公訴時効はないよ、時効はないよということになるとは思うんですけれども、内容的なものを考えますと、ひき逃げで誰かの命を奪ってしまったというのは非常に重い行為というふうにも考えられるんじゃないかなというふうに思っております。

 このひき逃げの死亡事故の公訴時効を撤廃する、こういう御意見に対してはどのようにお考えでしょうか。法務省の方からお答えをいただければと思いますが。

宮崎大臣政務官 冒頭、先ほど御指摘がありました、ひき逃げがあった事犯における救護義務違反と過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱の罪との関係で、まさに法的性質の違うことは武田大臣が御指摘になられたとおりでございます。

 ただ、委員御指摘のような事案と、時代の変化に即してしっかり対応するべきだという御指摘はおっしゃるとおりでございまして、例えば、この二つの罪、一つはアルコール等影響発覚免脱罪の致死傷のときには十二年以下の懲役という法定刑になっています。救護義務違反は十年以下の懲役というふうな法定刑になっておりまして、これを併合罪加重しますと、法律上は十八年以下の懲役で処断できる。事案に即して厳正に対処するという意味で、しっかりと委員の御指摘を受けとめて、警察庁さんとも連携して対応していきますことを、冒頭、まずお約束をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、今御指摘ありました公訴時効の点でございます。

 まず、先生の御地元の小関孝徳君の、小学四年生でお亡くなりになったときの事故の件、お母様からも森法務大臣宛てに嘆願書も頂戴しております。法務省まで足をお運びいただいているということも承知をしております。法務省としても、その思いはしっかりと強く受けとめて全ての事案に対処していきたいと思っているところでございます。

 その上で、お尋ねの救護義務違反を伴う過失運転致死傷罪等の罪について公訴時効から除外するべきではないかという御指摘についてでありますけれども、まず、公訴時効制度の趣旨について申し上げますと、時の経過による証拠の散逸などによって法的安定の要請を図らないといけないということと、犯人を処罰しなければいけない、この要請との調和を図るために、法定刑の重さに応じて一定期間の経過によって公訴権が消滅する、つまり検察官が起訴することができることがないようにするという制度でございます。

 こういった公訴時効制度の仕組みにおいて、過失運転致死傷の罪についてのみ公訴時効の対象から除外をするとか、罪を犯した犯人が逃げている事件のうち救護義務違反を伴う過失運転致死罪についてのみ公訴時効の対象から除外をするということに関しては、公訴時効制度の趣旨との関係やほかの犯罪との均衡等の関係から、ここは慎重な検討を要するところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、社会状況の変化や国民意識の変遷などに応じて見直しも必要でございまして、先ほど言及いただいたとおり、平成二十二年には刑訴法の一部を改正をして、公訴時効の期間、危険運転致死傷罪については十年から二十年に伸長させていただいているところでございますので、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

森田委員 大分踏み込んだ丁寧な御発言をいただきました。宮崎政務官、ぜひ法務省の中でも御検討いただければと思っております。

 やはり、十年なり二十年なり逃げていたんだから、それでもう制裁を受けていることにもなるだろうというような考え方もあると思うんですが、その辺のところは裁判の中で、量刑の方でやってもいいことだとも思いますし、今、時代背景からいいますと、日々新しい情報が出てきたり、あるいは、証拠だと思っていなかったようなことが、いろいろな技術の進歩によって証拠として採用に至るようなケースがこれからも出てくるかもしれない。

 そういうことを考えますと、今、グーグルアースで画像を撮ったところが、湖の中に車が沈んでいて、それが事件の発覚につながったみたいな、そういうこともある時代でございますので、何かがあったときには、これが罪でしたということがきちんと認められるような社会であるべきではないかなと私は思っておりますので、いろいろな、ほかの法体系も含めた検討が必要だと思うんですけれども、ぜひ、そのあたりについても御配慮をいただきたいなというふうに考えております。

 それから、最後に、今般のコロナウイルスの関係でございますけれども、警察官の方たちも非常に御苦労されていらっしゃったんじゃないかな、要するに、外に行くこと自体が難しいということになりますと、普通に行われている捜査というものに非常に大きな支障が出たのではないかなというふうに思っております。

 そういった意味では、十年なり二十年なりという公訴時効の範囲というものが、捜査期間がある一定期間そがれてしまった、捜査ができなかったということは、やはりある程度考慮すべきことなのではないかなと思っております。

 もちろん、こういうことが起きるのはそんなに頻繁に起きることではないというふうに思いますし、あってはいけないことだと思うんですけれども、これからまた第二波なり第三波が来ないとも限らない。来ない方がいいですけれども、そういう事態もあり得るということを考えますと、捜査に明らかな支障が出た、例えば、限定するならば、緊急事態宣言の期間の中、その間ぐらいは公訴時効の中から外してもいいんじゃないか、こういうことも考えられるのではないかなと思いますけれども、このあたりについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

宮崎大臣政務官 さまざまなケースも想定していただいて御質問いただいたところでございまして、公訴時効制度の趣旨については先ほど申し上げたとおりでございます。

 現行法では公訴時効の停止という仕組みがございまして、例えば、刑訴法の二百五十五条ですと、犯人が国外にいるような場合に、この場合、主権が及びませんので、進行を停止するというようなことも規定されているところでございます。

 この趣旨とするところは、公訴の提起が法律上、事実上の理由から困難である場合においても常に公訴の提起まで公訴時効が進行してしまうということになれば、処罰をするべき犯人に対する刑罰権の適正な実現に不都合が生じるからであるというふうに解されているところでございます。

 新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されている間は、通常時と同じように捜査を遂行することに支障を生じることも想定し得るわけでございまして、委員御指摘のような事情があり得るところでもあるかとは思いますけれども、先ほど申し上げたような公訴時効の停止事由と同じ程度に公訴の提起が法律上、事実上の理由から困難な状況にあって公訴時効を停止させるべきであるかどうかといった観点から慎重な検討を要するところでありまして、当然これは立法措置も必要になるというところでございますので、そのような観点から慎重に検討してまいりたいということを御理解いただければと思っております。

森田委員 今回のコロナウイルスの関係のことについては、私たちも本当に初めて遭遇する事態であると思いますので、ぜひそのあたりも含めて柔軟に御対応、あるいは今後のことを御検討いただければなというふうに考えております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 四月六日、自動車教習所を経営する私の知人から、道路交通法で求められる講習や免許の更新が運転免許センターで行われるが、教室が満杯で、新型コロナウイルス感染症のことを考えると感染しないか冷や冷やすると電話をいただきました。

 私の地元、鴻巣にある免許センターには毎日二千人を超える方が埼玉県全域から来訪されます。今後感染リスクのおそれが高くなることを考え、四月七日には北村交通局長に、九日には武田国家公安委員長にお伝えをさせていただきました。その後、四月十六日から、新型コロナウイルス感染拡大を予防するため、運転免許センター及び各県警での運転免許更新業務が一時停止されることになりました。私のほかにも、多分、知事始め多くの方々からの要請があったと思います。早急の対応、まことにありがとうございます。

 埼玉県と神奈川県は一カ所しか免許センターがないものですから、全域から更新のために、私の地元ですと毎日二千人の方が来訪していただいて、非常に感染リスクが高くなります。私も昨年十二月には五年ぶりの免許更新を行いまして、皆さん、熱心にてきぱきと、講習される方も非常に要領よく熱心に、ただ、学校と全く同じですから、若干の感染リスクを考えた上で御対応をお願いをさせていただきました。

 そこで、政府参考人に伺いたいんですけれども、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策等の観点から、これまで各都道府県の運転免許センターにおいて免許の更新等の業務が休止されてきたものと承知をしております。更新ができないまま免許を失効してしまうおそれのある運転免許保有者に対しては警察としてどのような措置を講じているのか。

 あわせてもう一点、免許証の更新以外にも、運転免許センターの新規付与業務、これは新しい運転免許の試験ですね、それや、緊急事態宣言に基づく知事の要請による自動車教習所における教習業務が休止してしまうことによって困ってしまう方がいると思います。そのような方に対して警察としてはどのような措置を講じているのか、御答弁をお願いします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察庁におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、感染拡大防止の観点から対策を講じてまいりました。

 まず、免許証の更新についてでございますが、二月下旬に、新型コロナウイルスへの感染等を理由として、更新することができない、免許証を失効させてしまったという方につきましては、通常の更新と同じ手続で再取得ができるという旨を都道府県警察に周知いたしました。

 次に、三月十日でございますが、更新期限までに申出があれば、更新をしなくても三カ月間は運転ができる、更新もできるということといたしました。この申出につきましては、四月三日に、郵送等によるものも認めることといたしました。現在、更新期限が七月三十一日までの方につきましては、三カ月間の延長ができるということといたしております。

 また、先ほど委員からお話がありましたように、四月七日の緊急事態宣言を受けまして、四月十三日には、運転免許センター等における更新業務の一時休止を行う場合の留意事項につきまして都道府県警察に連絡し、結果として、お話のありましたように、更新業務の一時休止ということに至ってございます。

 また、更新以外の新規取得の関係でございますけれども、感染拡大防止の観点から、四月中旬以降、運転免許試験につきまして、各都道府県警察において予約制を導入して混雑緩和に努めているところでございます。

 また、自動車教習所が営業を自粛するということになってまいりましたので、その手当てといたしまして、免許を取る際の仮免許証の有効期間が六カ月間なのでございます、また、教習所を卒業してからその卒業証明書を使えば運転免許試験の技能試験が免除されるというのは一年間なのでございますが、これら六カ月間、一年間につきましても延長できるようにしたところでございます。

 また、そのほか、違反者に講習というものを行っておりますが、この講習を受けるべき通知の時期の調整なども行いまして混雑緩和に努めているところでございます。

大島(敦)委員 武田国家公安委員長には本当に感謝を申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、ここで終わっているわけではなくて、若干気を抜くとまたふえてきます。結構長い間私たちは対応しなければならないと思っていまして、今局長の御答弁があったとおり、三カ月間は期間を延ばしてあげるよと。ですから、そうすると、今、ここ一カ月半ぐらいかな、免許センターが閉じていますから、その分の人たちがまた更新に来るし、また新しい方もいらっしゃるものですから、物すごくこれから免許センターが混むことが想定されます。今後も、ひょっとしたら免許センターを閉じることも必要かもしれない。

 そうすると、今後の対応について、三カ月でいいのか、六カ月がいいのか、一年にするのか、もう少し長期的な対応が必要かと思いますので、その点について国家公安委員長の御答弁をお願いいたします。

武田国務大臣 センター等の件につきましては、いろいろと先生の方から御指摘、御指導を賜りましたことに、まずは厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 御指摘のとおり、緊急事態宣言の解除等に伴いまして、運転免許センター等における運転免許証の更新業務等が段階的に再開されてきております。

 その一方で、政府方針では緊急事態宣言の解除後も感染拡大防止の観点から慎重な対応を求めていることを踏まえ、警察庁から都道府県警察に対して、運転免許センター等において感染リスクの高い過密な状態が生じないよう、更新手続における予約制の導入、更新受け付け時間の延長、三カ月間の延長措置の活用等の対応を指示しているところであり、今後とも、各都道府県における感染の状況等を注視しながら、適時適切に対応するよう指導してまいりたいと思います。

大島(敦)委員 御答弁ありがとうございました。

 今後とも、恐らく北村局長を始めとしてしっかりと現場に足を運んでいただいていると思います、その実態を加味していただきながら、長期戦に備えた御対応をお願いをいたします。よろしくお願いいたします。

 続きまして、認知症の検査について伺いたいと思います。

 認知機能検査、高齢者講習の受検、受講待ち期間の長期化が問題となっています。これに対してどのような改善方策を講じてきたのか、また、運転技能検査の導入により待ち時間が更に大きな問題とならないようどのような対策を講ずるのかについて御説明をお願いいたします。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、認知機能検査や高齢者講習の実施につきましては自動車教習所に委託されているところでございますが、地域によりましては受検、受講待ちが長期にわたるという問題が発生いたしまして、その改善に努めてまいりました。

 具体的に申し上げますと、体制を整備して、警察みずからが検査や講習を行う直接実施、予約、相談窓口の拡充、自動車教習所の予約空き情報の提供、更新期限が迫っている方への優先枠の確保等の対策を講じてまいったところでございまして、待ち時間につきましては一定程度の改善が見られているところではございます。

 しかしながら、今回の改正におきましては、新たに運転技能検査制度を導入するということとなっておりますので、教習所の対応能力を勘案した手当てが必要となってございます。そのため、認知機能検査につきましては、今後は認知症のおそれの有無のみを判定するという形に改めますことや、現在二種類あります高齢者講習を一元化するというようなこともあわせて措置してまいりたいと考えてございます。

 こうした今後の運転技能検査の内容でありますとか認知機能検査、高齢者講習の見直しに当たりましては、これを実際に行う実施機関側であります自動車教習所の御意見を承りながら、高齢運転者の免許更新が円滑になされるように制度設計をしてまいりたいと考えてございます。

大島(敦)委員 政府参考人に質問をいたします。

 高齢運転者に関して、運転免許センターにおける更新時講習のかわりに自動車教習所等における実車指導を含む高齢者講習等を受ける必要があるものということは承知しております。高齢者については、体力的な問題や講習等の内容、実車指導から、感染予防策の徹底が特に必要であると思います。これまでの対応と今後の対応について御答弁をお願いします。

 もう一つが、認定を受けた自動車教習所が運転技能検査等を行う認定検査制度が導入されると聞いておりますけれども、その狙いについてお伺いをさせてください。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 高齢者につきましては特に感染拡大防止対策の徹底が必要であるという点は、御指摘のとおりであると存じます。

 高齢運転者につきましては、先ほど申し上げました対応のほか、四月十三日、運転免許センター等における更新業務の休止に合わせまして、高齢者講習についても自動車教習所への委託を中止するように都道府県警察に対して連絡を行いました。また、高齢者講習における接触機会の減少ということへの徹底も求めているところでございます。

 引き続き、更新や高齢者講習の滞留状況を注意しつつ、高齢運転者の免許証更新を支障なく、また安全に行うことができる方法について検討してまいりたいと存じます。

 また、今回の制度改正に関連いたしまして、高齢運転者に行われることとなる運転技能検査、こちらにつきましては、実際には、高齢者の方の検査当日の体調不良あるいは緊張のために本来の運転技能を示すことができないといったようなこともあるだろう、そういうことで、繰り返しの受検もできるようにしているところでございますが、練習した上で検査に臨みたいというニーズもあるものと考えております。

 そこで、指定自動車教習所を始めとするさまざまな実施主体が、運転指導などの交通安全教育と、先ほど来お話ししております運転技能検査とをあわせて行うというような主体的な取組もできるようにということで、今回の改正におきましては認定検査制度を設けることといたしてございます。

大島(敦)委員 最後に、武田国家公安委員長に質問をさせていただきます。

 もう十数年前なんですけれども、当時、真面目な警察官の方が仕事するために自宅で子供のパソコンを使っていたらその情報が拡散をして問題になった事件がありまして、そのとき、私、党の部会でこういう発言をしました。それは、幹部職員の皆さんの勤務の怠慢じゃないか、そうやって家に帰ってまで仕事をさせるのではなくて、一人一台ちゃんと予算をとってパソコンを貸与して、ちゃんとそのパソコンで家で仕事ができるようにする措置が必要じゃないかと発言をさせていただいた。

 そうしたら、現場の方から、その発言を聞いていただいて、大島さん、いいこと言ってくれるねと言われたことがあるものですから、やはり幹部職員の皆さんの仕事は、現場をよく見ていただいて、人員の件、特に埼玉県については大分警察官をふやしてもらっています、ありがとうございました、あるいは機材の設備の面、合理化も必要なんですけれども、しっかりと安心して警察官の方が職務をできるような環境を整えるのが国家公安委員長なり幹部職員の仕事だと思っていますので、その点も踏まえて、感染症対策を含めて御答弁いただければと思います。

武田国務大臣 数々の御指摘、ありがとうございます。

 こうした警察行政というのは、やはり現場の声というものをしっかりと吸い上げて、その必要性というものを認識して的確に対処するということが大事であろうか、このように思っております。先ほどの機材の件も含めて、今、最前線でコロナウイルス対策にも臨ませていただいておりますけれども、やはり警察官一人一人の健康状況というのもしっかりと我々は注視しながらも、治安を維持するという任務に支障は来さないように緊張感を持って今後とも臨んでいきたい、このように考えております。

大島(敦)委員 終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の道路交通法改正案には賛成であります。

 きょうは、警察庁が進める信号機合理化等計画についてお尋ねをいたします。

 警察庁は、政府インフラ長寿命化計画に基づき、二〇一五年三月に警察庁インフラ長寿命化計画を策定しました。その中で信号機の適切な管理を位置づけ、二〇一五年十二月に信号機設置指針を策定しました。これらを踏まえ、警察庁は二〇一九年三月に、信号機合理化等計画、一九年度から二三年度までの五年間を期間とする計画策定を求める通達を出して、全国の都道府県で信号機の撤去計画が策定されています。

 そこで、警察庁にお尋ねします。

 信号機の今の総数、それから信号機設置指針の基準に基づき、二〇一九年十二月末時点の点検箇所数、そのうち撤去が妥当と考えられる信号機数はそれぞれ幾つか、お答えください。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成三十年度末時点で、全国において二十万八千二百五十一基の信号機が整備されております。

 警察庁におきましては、信号機の計画的な更新が行われるよう、都道府県警察に対して、設置当時から交通実態が大きく変化するなど、信号機設置の指針に照らしてその設置の合理性について重点的に点検を行う必要性の高い信号機の選定を求めました。先ほどお話もありました、昨年三月でございます。その結果でございますが、令和元年末時点におきまして、全国で六万六百十八基が選定されており、そのうち一万六千八百四十一基について点検が行われてございます。

 その点検結果でございますが、撤去や移設をすることが妥当であると報告を受けております信号機が二千八百八十三基ございます。そのうち、令和元年度中に撤去や移設が計画されていた信号機は六百四十六基となってございます。

 なお、過去の信号機の撤去数は、平成二十八年度が五百三十八基、平成二十九年度が六百九十八基、平成三十年度が六百七十五基となってございます。

塩川委員 今答弁にありましたように、多数の信号機の撤去計画が立てられています。

 資料をお配りしました。

 全国の二十万八千二百五十一に対して、実際に点検をしている箇所数が一万六千八百四十一。その一万六千八百四十一に対して、撤去、一部移設とかというのはありますけれども、撤去が妥当とされる信号機が二千八百八十三もあるということなんです。都道府県ごとで見ていただくと、皆さんの御地元にもこういうところがあるかもしれません、ぜひお聞きいただければと思いますが。

 こういった撤去計画が立てられている場所では、その中には、小学生の通学路となっている横断歩道の信号機も撤去対象となっています。この通学路となっている横断歩道の信号機を撤去対象にするというのは、これは住民の理解が得られないんじゃないでしょうか。こういった通学路の信号機の撤去はやめるべきじゃないのかと思いますが、国家公安委員長、武田大臣、いかがですか。

武田国務大臣 さまざまな声が届いているのは確かでありますけれども、信号機の設置も、これは交通規制の手段の一つであり、交通実態に的確に対応するとともに、地域住民の理解を得ることが重要だと考えております。

 そこで、各都道府県警察におきましては、それぞれの都道府県の将来を見据えた持続可能な交通安全施設等のあり方について、部外の有識者等を招いて検討を進めているところであります。このような検討の結果等も踏まえ、全体としての信号機の設置の合理化の必要性について各地域における理解を深めるとともに、個別の信号機の移設や撤去についてもそれぞれの地域において十分に周知が図られるべきもの、このように考えております。

塩川委員 いや、そんな周知されていないんですよ。

 例えば、広島市中区白島地区では通学路の信号機の撤去計画があった、あるいは私がお聞きした滋賀県の高島市でも通学路の信号機の撤去計画が示されて、住民の皆さんにほとんど伝わっていなかったと。そういった際に、いや、それは困るという地域住民の方の運動と我が党の議員の働きかけで、そういう撤去計画を見直しをさせてきたという経緯があります。

 歩行者優先の原則や横断歩道の一時停止が遵守されていないもとで、信号機がなければ道路を安全に横断できない現状があります。こういったときに、やはり通学路の信号機は残してくれという当然の要求が地元からあれば、それをしっかりと受けとめて、その住民の声に応えるということが必要じゃないですか。それは約束してもらえますか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の案件におきまして住民への周知が足りないものがあるという御指摘につきましては、私どももしっかりと向き合っていかなければならないと反省いたしてございます。

 先ほど御説明にもありました昨年三月の通達におきましても、いたずらに必要性のある信号機の撤去、移設を求めるものではない、撤去等に当たっては、地域住民や道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと、特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況や撤去後の安全性について説明を行うなどしてその理解を求めることと指示しているところでございまして、その趣旨、不徹底でありますれば更に徹底してまいるように努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 率直に言って、そういうのが徹底されていない現状というのがあるんです。

 というのも、撤去がどこで行われるのかという計画そのものが知らされていないんですよ。ですから、実際に信号機の撤去計画を各都道府県警でつくった場合に、どこが撤去の対象となるのか、こういうことが知らされなければ意見の上げようがないじゃないですか。その辺が極めて不徹底だという実態があるわけです。

 ですから、都道府県警の方で、各警察署でそういう計画をつくった場合では、それが住民に知らされていないことが一番の問題で、該当地域でチラシを配布をして、通学路であれば保護者の方のエリアに学区単位できちっとチラシを届けるとか、その場合の意見を聞く住民の説明会を行うとか、あるいは、当然やらなくちゃいけないのは、例えば警察のホームページ上に、こことここはこの合理化計画で撤去の対象としていますけれども御意見を下さいとか、こんなことは最低限やるべきことで、こういう説明責任を具体的に果たす必要があるんじゃないですか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 一部繰り返しにはなりますけれども、撤去等に当たりましては、地域住民また道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと、特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況でありますとか撤去後の安全性について説明を行うなどしてその理解を求めることとしておりますので、そういうことが十分に行われていないことのないように、我々も心していく必要があると考えてございます。

塩川委員 その周知の方法はどうするんですかと聞いているんですよ。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域のそれぞれの状況に応じまして異なると存じますので一概に申し上げることはできませんけれども、先ほどお話のありましたような、通学路となっているところにおきまして信号機を撤去するということであれば、学校を通じまして保護者の方々にも御連絡を差し上げるということになると存じますし、特定の施設、例えば高齢者の方々が利用される福祉施設の前の信号機を撤去するということになれば、そこの利用者の方々にも御理解をいただけるように、そういう施設の関係者を通じてのお話をさせていただくということもあると存じます。また、地域の代表者としての自治会というようなものがあればそういうところを通じての周知を図る、あるいは御意見を承るということもあると存じますが、これもまた一概に誰に対してということはなかなか線引きは難しいものと存じますけれども、そういう理解を得るため、周知するための手だてを尽くしていかなければならないと考えてございます。

塩川委員 この点でも、きちっと周知徹底を図るということは最低限の行うべきことだと思います。

 やはり、そもそも、こういった合理化計画が求められるというのは、もちろん老朽更新での費用の増大が当然あるわけですけれども、一律に減らすということを前提の計画の立て方はおかしい。そういう点では、この警察庁が示している信号機の設置指針というのがいわば撤去を優先するという仕組みになっていると同時に、信号機を新しくつくる、必要なところに信号機を新設するという点での障害ともなっているという点で、信号機設置指針の見直しを求めると同時に、武田国家公安委員長、信号機設置に係る事業費が全国的に減少傾向にある、必要な予算の確保が必要じゃないのか、この点について御答弁をお願いします。

武田国務大臣 交通規制というものを適切に行い、交通の安全と円滑を確保するためには、信号機、道路標識、道路標示等の交通安全施設を適切に設置、管理することが重要だと考えております。

 国において半額を補助しています特定交通安全施設等整備事業につきましては、令和二年度当初予算として二百二十一億円、これは対前年度比八・一%、十六億円ふえました、を計上しているところでありますけれども、今後も、交通の安全と円滑を図るために、必要な予算が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 必要な予算の確保と同時に、この信号機設置指針の見直しを強く求めるものです。

 残りの時間で、黒川弘務元東京高検検事長に関するカジノ賭博問題について質問をいたします。武田大臣にぜひよく聞いていただきたいんですが。

 週刊文春の記事では、黒川さんのカジノ好きは有名でした、韓国やマカオだけでなく、ヨーロッパのカジノにまで、出張の仕事が終われば遊びに行っていた、かなりの好き者ですと述べています。週刊文春でも取り上げている雑誌「時評」二〇一七年九月号に黒川事務次官のインタビューが掲載されています。質問者の、次官は休日などはどのように過ごされていますかという質問に対して、大型犬を飼っているので、車に乗せてあちこちにドライブや旅行に出かけていますね、また、海外に行った際には、個人的な観点でIRを視察するなどもしています、日本でもIR法の議論が本格化し、法務省の施策も依存症対策など複数の分野にかかわりますので、職業上の関心も兼ねて(笑)と述べているわけです。

 法務省にお尋ねしますが、当時法務事務次官だった黒川氏は、職業上の関心も兼ねてIRを視察していたんでしょうか。

山内政府参考人 記録を確認させていただきましたが、黒川前東京高検検事長によります海外出張におきまして、カジノ施設を訪問先として含むものはございませんでした。

塩川委員 このインタビュー記事にもあるように、週末の過ごし方の話で、犬の散歩はわかりますよ、だけれども、海外に行ったときにIRに行くというのが週末の過ごし方というところに驚きを覚えるわけです。

 今、海外出張の話がありましたけれども、このインタビュー記事が二〇一七年の八月ですけれども、その直前の二〇一七年四月三十日から五月五日にかけて、黒川事務次官は海外出張をしています。どこに行きましたか。

山内政府参考人 黒川前東京高検検事長、平成二十九年四月三十日から五月三日までのことでございますが、法務事務次官であった当時でございますが、シンガポール共和国に出張に行っております。それは、国際仲裁に関してシンガポールの政府要人と意見交換などを行ったものでございます。ただ、そのとき、その海外出張における訪問先には、カジノ施設、これは含まれておりません。

塩川委員 公式日程の話しかされませんから。この日程で三日間もシンガポールに泊まっているんですよ。日程の一日目は先乗りで、何の予定も入っていません。二日目の方には二つの日程だけで、もう夕方はあいています。三日目についても、夕方で行事は終わっているわけですよね。

 こういったように、シンガポールには有名なIR、カジノであるマリーナ・ベイ・サンズやリゾート・ワールド・セントーサがあります。黒川氏は、職業上の関心も兼ねてシンガポールのIR、カジノを視察していたのか、このことが問われるわけであります。

 そこでお聞きしたいのは、黒川氏がインタビューに答えた二〇一七年前後というのはまさにカジノ解禁の議論が進んでいたときであります。安倍政権肝いりで、二〇一六年十二月にカジノ解禁法案が強行採決をされました。二〇一七年八月、このインタビューが行われた時期でもありますが、IR推進会議取りまとめでカジノ実施の制度設計が決定されました。そして、二〇一八年七月にカジノ実施法案が強行採決をされた。

 この間、黒川氏は一六年七月から一九年まで事務次官を務めています。これまで違法とされていた賭博、カジノを合法化をする解釈変更を法務省が追認したのも黒川事務次官のときだったわけであります。官邸の肝いりのカジノ合法化に汗をかいていたのがギャンブル好きの黒川氏だったということになるんじゃないですか。

保坂政府参考人 お答えします。

 ちょっと、御質問の趣旨があれでしたけれども、法務省がIRの関係で、これまで、政府としての立案作業においては、必要な協力を省としてあるいは刑事局としてもさせていただいております。

 我が法務省刑事局といたしましては、刑法を所管しています、賭博罪が規定されている刑法を所管しておりますので、IR整備法の立案過程においてその観点、つまりIR推進法の附帯決議で示されたいわゆる八要素というのがございますけれども、その観点から、その趣旨に沿った制度設計がなされているかどうかということから必要な協力を行ってきたものでございます。

塩川委員 今まで、法務省は違法性の阻却の要件を挙げて、それは無理なんですとなっていたんですよ。それをひっくり返したというのがあのカジノ解禁法だったわけで、その審議に法務省として手をかしていたのが黒川事務次官だ、ギャンブル好きの黒川さんのもとでギャンブルが推進されたということを言わざるを得ません。

 黒川氏のカジノ合法化にかかわった経緯について資料の提出を求めると同時に、安倍政権の国政私物化に手をかすこういう官僚の特別扱いをやめて、検察庁法改正案は撤回をし、黒川氏の検事長勤務延長の閣議決定を撤回することを求めます。

 その上で、もう一つ。

 過去五年間において、一般職公務員が賭博で懲戒処分された事例は、人事院によると、平成二十七年に五人、平成二十九年に五人であります。平成二十七年の懲戒処分は法務省の事例と承知をしています。どういう事件だったのか、法務省として調査報告の作成とか全国的な横展開の再発防止策をとったのか、この点についてお答えください。

西山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、法務省職員につきましては、平成二十七年一月に、福岡刑務所の職員五名につきまして、免職、停職、減給又は戒告とした例がございます。

 具体的には、多数回にわたり、賭客として野球、サッカーの試合を対象に多額の現金をかける賭博を行ったほか、現金一千六百万円以上をかける賭博の胴元となるなどして利益を図った職員を免職、多数回にわたり、賭客として野球、サッカーの試合を対象に現金一千万円以上をかける賭博を行ったほか、現金百六十万円以上をかける賭博の胴元となるなどとして利益を図った職員を停職六月、多数回にわたり、野球、サッカーの試合を対象に現金六百万円以上をかける賭博を行った職員を停職三月、複数回にわたり、野球、サッカーの試合を対象に現金約百五十万円をかける賭博を行った職員を減給一月百分の二十、三回にわたり、野球の試合を対象に現金十三万円をかける賭博を行った職員を戒告とした例があるものと承知をいたしております。(塩川委員「法務省の調査報告、再発防止策はどうなっているの」と呼ぶ)

 この処分にかかわります調査は当然行っております。また、対策、防止策はとられたものと承知しております。(塩川委員「報告書を出したのか」と呼ぶ)

松本委員長 ちょっと勝手にやらないで。一度席に帰ってください。

 塩川鉄也君、質問してください。

塩川委員 いや、さっきの質問、調査報告、全国展開するような再発防止策、行ったのか。

西山政府参考人 本件につきましては、福岡刑務所を監督する法務省矯正職員及び地方支分部局である福岡矯正管区職員による特別監査を実施し、再発防止に必要な措置をとったということでございます。

塩川委員 調査報告書をつくっていないんですよ。かかわる福岡とかあの範囲の再発防止策しかしていなくて、全国展開していないんですよね。こういった重大な事件に対して、法務省として調査報告も行わなければ再発防止策についても示していない。

 このとき、職員の不祥事事件を取り扱う官房長は誰かといえば黒川氏であります。黒川氏そして法務省は賭博に甘い官庁だと言わざるを得ない、このことを指摘をして、質問を終わります。

松本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 一つ目なんですけれども、今ツイッターで、某県知事が東京と大阪で医療崩壊が起きたとしつこく発言をされております。この点に関して、いや、本当に医療崩壊が起きているのやったら問題なんですよ、だから厚労省に確認をしたいと思います。国内で医療崩壊が起きた都道府県はあったんでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 新型コロナウイルス対策本部の専門家会議が国内において感染拡大の傾向が見られた四月に公表した状況分析におきまして、我が国では諸外国のようなオーバーシュートは見られておりませんけれども、都市部を中心にクラスター感染が次々と報告され、感染者数が急増している、そうした中、医療提供体制が逼迫しつつある地域が出ており、医療供給体制の強化が喫緊の課題との認識を示されておりまして、このような中で、都道府県は、感染症指定医療機関に限らず、一般医療機関も含めた必要な病床の確保や、感染者を重点的に受け入れる重点医療機関の設定、軽度者等のための宿泊療養施設の確保とともに、救急搬送困難事例の要因となる新型コロナウイルス感染症疑いの救急患者をまず受け入れる医療機関の設定の検討などの対応を進めたところでございます。

 そして、感染拡大がピークを迎えたと考えられる四月二十七日の状況につきまして、五月四日の専門家会議では、入院医療を引き受ける医療機関への負荷はぎりぎりの状況にあるとされたものの、その後の状況につきまして、五月十四日の専門家会議では、入院を必要としている患者数に対しては十分な病床数が確保されており、入院患者数、重症者数はともに減少傾向であることが確認されたとの見解が示されております。

 このように、国民や医療関係者など、多くの皆様の努力によりまして医療提供体制は維持され、必要とされる医療が継続的に提供できないといった事態が生じていたとは認識をしておりません。

 現在、再度の感染流行に備えまして、感染拡大の防止、医療提供体制の整備等に最優先に取り組むこととしておりまして、第二次補正予算におきましても、重点医療機関への支援や医療従事者等への慰労金の支給を始めとする人、物両面から医療提供体制の抜本的強化ができるよう対応を検討しているところでございまして、引き続き、都道府県に対しまして、医療提供体制の維持のために必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

浦野委員 ありがとうございます。

 要するに、医療崩壊と呼ばれる、医療崩壊の定義というのもなかなか難しいですけれども、医療崩壊は起きていないというのが恐らく国の見解だと思います。

 答弁の中にもありましたように、東京、大阪に限らず、全国の医療従事者の皆さんが努力を重ねてその事態を回避をした、その努力に本当に泥を塗るような発言だと思いますので、ここで今それをあの人に求めても仕方がないことですけれども、誤解がないようにしっかりとやはりやらないといけないと思っております。

 ただ、今、きのうニュースになりましたけれども、専門家会議の議事録が残っていないというのがありますけれども、今のような答弁も、専門家会議でこういう議論があったとか言っている割には議事録がないというのはちょっと僕は腑に落ちないんですけれども。

 ぜひ議事録は、とっていないんですか、ほんまに。まあ、通告していないんであれですけれども、もしとっていないんだったらほんまに問題やと思いますけれども、どうなんですか。審議官、答えられますか。

迫井政府参考人 通告がございませんのと、それから専門家会議の所管につきましては私どもの所管でもございませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと考えております。

浦野委員 議事録があるかないかぐらいは答えられると思うんですけれども。まあ、わかりました。

 法案の審議に入りたいと思います。

 施行期日についてなんですけれども、あおり運転は公布から二十日間以内に施行するということになっています。ただ、高齢者運転については公布から二年以内という、二年というのはかなり時間がありますけれども、今、高齢者の事故というのが社会問題になっていたわけですから、こちらも速やかに施行するということを考えるべきと思いますけれども、何か理由があるんでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきましては、高齢運転者対策といたしまして、免許証更新時の技能運転検査や安全運転サポート車限定免許に関する制度を導入することといたしております。

 施行が速やかである方が望ましいということは委員御指摘のとおりでございますけれども、こうした制度導入に当たりましては、運転技能検査を受けなければならない高齢者の範囲、検査の内容や採点基準、また、限定免許の対象となる安全運転サポート車の具体的機能などにつきまして検討した上で下位法令を整備してまいる必要がございます。

 また、そうした内容を踏まえまして、警察におきましてはシステムの改修を行い、また、実際に検査を行う自動車教習所におきましても必要な準備を行わなければならないところでございます。

 こうした改正法の施行のための準備を適切に行うためには一定の期間が必要ということでございまして、改正法の公布の日から起算して二年以内に施行することとしておるところでございます。

浦野委員 高齢者の免許更新の基準が厳しくなるということになるんですけれども、これは今までより以上に、免許更新のときのそういった方々とのトラブル、窓口のトラブルがふえるんじゃないかと思っているんですけれども、そのトラブルに対するいろいろな想定はちゃんとされておりますか。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の改正におきまして導入する運転技能検査の結果、普通自動車等を運転することに支障があるとして内閣府令で定める基準に該当する場合には免許証が更新されないということになりますので、そこでのトラブルということはないとは申し上げられません。

 仮に運転技能検査の結果が不合格となるような場合にも、その結果に納得していただけますよう、検査の採点基準や合否判定基準、これを明確なものとすることが極めて重要であると考えておりまして、今後、明確な基準の策定に努めてまいります。

 また、検査の当日の急な体調不良あるいは緊張のために受検者が本来の技能を示すことができなかったという御意見もあり得るところでございますので、複数回の受検というものができるようにしてまいります。

 さらに、教習所における検査の結果には納得ができないという方もいるかとは存じますので、公安委員会が行う検査も受けられるという制度としてまいりたいと考えております。

 このような制度といたしますことにつきまして、免許証の更新をする高齢者の方々に十分に周知を行いまして、御指摘のようなトラブルが生じないように努めてまいりたいと考えてございます。

浦野委員 ありがとうございます。しっかりと対応していただきたいと思います。

 最後に、このコロナ自粛で、ニュースにもなりましたけれども、ウーバーイーツの自転車がたくさん走っているというのがありました。その中で、ウーバーイーツの自転車だけじゃなくて、やはり通勤に自転車を使う方がふえて、非常に交通事故も起きやすくなっているんじゃないかというふうに思っています。

 こういう交通トラブルが今実際どうなっているのかということと、特にウーバーイーツなんかは本当に爆発的にふえていますので、そういった方々の交通ルールを守る守らせ方といいますか、そういったものをどういうふうにしていくのかというのを最後にお聞かせをいただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 本年四月末における自転車関連事故件数につきましては二万七百二十七件でございまして、前年同期比でマイナス一八・八%となってはございます。

 しかしながら、近時、御指摘のように、宅配代行サービスを行う自転車が関連する違反、事故があるということでありますとか、また、通勤において自転車利用がふえているという報道もありますので、自転車が関連する交通事故の状況というものについては十分注意していく必要があると考えてございます。

 この点、例えば先ほどの宅配代行サービス業者におきましては、個別に社内での教育制度というものを設けているようでありますが、警視庁におきましては、この事業者との個別の話合いというものも行いまして、交通ルールの遵守を促していると承知いたしております。

 また、今月は自転車月間でございましたが、関係機関、団体とも連携して、広報、教育、取締りを通じて自転車の安全利用を促進しているところでございます。

 引き続き、自転車関連事故の減少に向けまして、必要な対策を講じてまいりたいと存じます。

浦野委員 ありがとうございました。

松本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松本委員長 次回は、来る六月三日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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